JPWO2014157054A1 - スパッタリング用シリサイドターゲット及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

ターゲット内に50μm2以上の大きさをもつポアが存在しないことを特徴とするスパッタリング用シリサイドターゲット。スパッタリングの際に発生するパーティクル量を大幅に低減させたスパッタリング用シリサイドターゲットを提供することを課題とする。【選択図】図1

Description

本発明は、スパッタリング用シリサイドターゲット及びその製造方法に関し、特に、半導体デバイスにおけるシリサイド膜の形成に用いられる高密度スパッタリングターゲット及びその製造方法に関する。
半導体デバイスの電極又は配線としてポリシリコンが従来用いられてきたが、半導体デバイスの微細化、高集積化に伴い、抵抗による信号伝播遅延が問題化している。一方セルフアライン法による配線等の形成を容易にするための電極として融点の高い材料の使用が求められている。
このようなことから、ポリシリコンより抵抗率が低く、ゲートプロセスとの互換性を有する金属シリサイド配線及び電極が使用されている。金属シリサイドの例としては、タングステンシリサイド(WSi)、モリブデンシリサイド(MoSi)、タンタルシリサイド(TaSi)、チタンシリサイド(TiSi)、コバルトシリサイド(CoSi)、クロムシリサイド(CrSi)、ニッケルシリサイド(NiSi)、などが挙げられる。
通常、このような金属シリサイドの薄膜は、スパッタリング用シリサイドターゲットをスパッタすることにより形成される、スパッタリング用シリサイドターゲットとしては、モル比xを2以下とすると成膜する際に膜応力が高く、剥離し易いという理由からシリコン/金属のモル比が2を超えるスパッタリング用シリサイドターゲットが使用されることが多い。
ところで、シリサイドターゲットを用いてスパッタリングする場合、ターゲットからパーティクルが発生することがある。これらは基板上の膜に直接付着したり、或いは、チャンバー内の壁等に付着し、堆積後に剥離して膜に再付着したりして、配線の短絡、断線等の問題を引き起こす。電子デバイスの回路の高集積化、微細化が進むにつれて、パーティクルの発生は、極めて重大な問題であった。
従来から、このような金属シリサイドターゲットから発生するパーティクル量を低減する試みがなされている。例えば、特許文献1は、粒状のMSi相とマトリックス相としてのSi相との混合組織を有し、MSi相とSi相との境界に所定の厚さの界面層を形成した金属シリサイドからなるスパッタリング用ターゲット及びその製造方法を開示している。
また、特許文献2は、金属珪化物が連鎖状に結合して金属珪化物相が形成され、珪素粒子が結合して形成された珪素相が前記金属珪化物の間隙に不連続に存在する微細な混合組織を有し、アルミニウム含有量が1ppm以下であることを特徴とするスパッタリングターゲットを開示し、そして、高密度かつ高強度であるために、スパッタリング時におけるパーティクルの発生量が少ないことを開示している。
さらに、本件出願人に係る特許文献3は、スパッタ面に現れるシリコン相の面積比率が23%以下であり、密度が99%以上であり、そして表面の加工変質層が一部除去され、かつ表面粗さが0.05μmを超え且つ1μm以下であることを特徴とするスパッタリング用ターゲットを開示し、これにより、初期パーティクルの発生量を従来よりも大幅に減少できることを開示している。
しかしながら、その後実施を重ねるうちに、金属シリサイドターゲットのスパッタ面に現れる粗大シリコン相の存在量を低減したり、表面の加工変質層を除去したり、するだけでは、パーティクル発生を抑制することは不十分であることが、新たに認識されるようになった。
特開平3−130360号公報 特開平5−214523号公報 特開平6−306595号公報
本発明の課題は、上記問題を鑑みて、スパッタリングの際に発生するパーティクルの発生量が少ない、高密度のスパッタリング用シリサイドターゲット及びその製造方法を提供することである。
上記の課題を解決するために、本発明者らは鋭意研究を行った結果、シリコンの融点に近い温度領域で焼結して、溶融シリコンと固相シリサイドとを反応することにより、ターゲット内のポア(空孔)を著しく低減した、高密度のスパッタリング用シリサイドターゲットを作製することが可能となり、これを用いてスパッタリングした場合には、パーティクルの量を著しく低減できることを見出した。
このような知見に基づき、本発明は、
1)ターゲット内に50μm以上の大きさをもつポアが0.25mm当たり10個以下であることを特徴とするスパッタリング用シリサイドターゲット、
2)ターゲット内に1μm以上の大きさをもつポアが0.01mm当たり20個以下であることを特徴とする上記1)記載のスパッタリグ用シリサイドターゲット、
3)球形のシリサイド相が0.01mm当たり90%以上占有することを特徴とする上記1)又は2)記載のシリサイドターゲット、
4)ターゲットの相対密度が98%以上であることを特徴とする上記1)〜3)のいずれか一に記載のシリサイドターゲット、
5)ターゲット材がTaSi(x>2.0)からなることを特徴とする上記1)〜4)のいずれか一に記載のスパッタリグ用シリサイドターゲット、
6)金属粉末とシリコン粉末を混合し、これを加熱合成して金属シリサイド粉末とした後、該金属シリサイド粉末を機械的に微粉砕し、次にこの微細金属シリサイド粉末と微細シリコン粉末とを所定のモル比となるように均一混合し、この混合粉末をシリコンが溶融する温度でホットプレスして焼結することを特徴とするスパッタリグ用シリサイドターゲットの製造方法、を提供する。
本発明のスパッタリング用シリサイドターゲットは、ターゲット内に存在するポアを著しく低減することにより、スパッタリングの際、パーティクルの発生を非常に少なくすることできるという優れた効果を有する。すなわち、成膜時の歩留まりを向上することが可能となる。
実施例1のターゲット面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したときの組織画像(倍率:200倍)である。 実施例1のターゲット面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したときの組織画像(倍率:1000倍)である。 実施例2のターゲット面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したときの組織画像(倍率:200倍)である。 実施例2のターゲット面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したときの組織画像(倍率:1000倍)である。 実施例3のターゲット面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したときの組織画像(倍率:200倍)である。 実施例3のターゲット面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したときの組織画像(倍率:1000倍)である。 比較例1のターゲット面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したときの組織画像(倍率:200倍)である。 比較例1のターゲット面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したときの組織画像(倍率:1000倍)である。 比較例2のターゲット面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したときの組織画像(倍率:200倍)である。 比較例2のターゲット面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したときの組織画像(倍率:1000倍)である。 比較例3のターゲット面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したときの組織画像(倍率:200倍)である。 比較例3のターゲット面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したときの組織画像(倍率:1000倍)である。
従来、スパッタリング用シリサイドターゲットにおいては、金属粉末とシリコン粉末とを所定のモル比となるように配合、混合し、この混合粉末を加熱してシリサイド合成を行った後、金属シリサイド粉末を共晶温度Tの直下の温度で焼結して、ターゲットを作製することが行われていた。しかし、このような原料粉末が溶融しない温度領域で焼結を行う方法では、粉末(固体)同士が結合(ネッキング)するが、結合しきれない部分が存在し、これがポア(空孔)としてターゲット中に多く残存していた。そして、このようなポアはスパッタリングの際、異常放電(アーキング)の発生の原因となり、パーティクルを増加させる問題となっていた。なお、金属シリサイドの共晶温度Tsは組成によって異なるが、約950℃〜1400℃である。
このようなことから、金属粉末とシリコン粉末を混合し、これを加熱合成して金属シリサイド粉末とした後、該金属シリサイド粉末を機械的に微粉砕し、この微細金属シリサイド粉末と微細シリコン粉末とを所定のモル比となるように均一混合し、この混合粉末をシリコンの融点直下の温度領域でホットプレスして焼結する、すなわち、シリコンが溶融する温度で焼結することで、固相間に生じた隙間を溶融シリコンが埋めることができ、ポア(空孔)が著しく低減したスパッタリングターゲットを得ることができる。さらに、固相と液相との反応は、固相と固相との反応よりも、反応性が優れていることからより均一な組織を得ることができる。
本発明のスパッタリング用シリサイドターゲットは、次のようにして、製造することができる。まず、金属粉末とシリコン粉末とを用意する。金属粉末としては、半導体装置用シリサイドとして、公知の材料を用いることができ、例えば、タンタル、モリブデン、タングステン、コバルト、ニッケルが挙げられる。
次に、金属粉末とシリコン粉末とをボールミル等を用いて混合し、これを熱処理炉等の加熱装置を用いて、加熱合成して金属シリサイド合金とする。シリサイドの合成条件は、組成によっても若干異なるが、雰囲気:真空、温度:800〜1350℃、とすることが好ましい。
得られた金属シリサイド塊をジェットミル等の機械粉砕を用いて、最大粒径が100μmとなるように微粉砕する。このシリサイド微粉末にジェットミル粉砕した最大粒径が100μmのシリコン微粉末を、最終的なターゲットが次のようなモル比となるように混合して、混合粉末を得る。
Ta/Si(x>2.0)、Mo/Si(x>2.15)、W/Si(x>2.25)、Co/Si(x>2.2)、Ni/Si(x>2.2)
この混合粉末を、シリコンが溶融する温度領域でホットプレスして、焼結体を作製する。これが本発明において重要な点の一つである。この温度領域は、組成にもよるが、例えば、TaSi(x>2.0)の場合、1385〜1400℃の範囲とすることが好ましい。焼結温度が1385℃未満であると、シリコンの溶融が充分に起こらず、一方、焼結温度が1400℃超であると、過焼結が発生し、ポアが増大してしまうため、好ましくない。なお、シリコンの融点は約1414℃であるが、化合物となるときその融点は降下することから、上記温度範囲において、シリコンは溶融する。また、焼結圧力は250〜350kg/cmとすることができる。そして、このようにして作製した焼結体を、所望の形状へ機械加工することで、本発明のスパッタリング用シリサイドターゲットを作製できる。
上記の製造工程によってスパッタリング用シリサイドターゲットを製造することができるが、この製造工程は一例を示すものであって、本発明は、この製造工程を発明とするものではないので、他の工程によって製造することは当然可能であり、本発明は、それらを全て包含するものである。
たとえば、上記では、シリサイド粉末とシリコン粉末の混合粉末を焼結して、ターゲットを作製する例を示したが、所定の組成となるように調整した、シリサイド粉末と金属粉末の混合粉末を焼結して、ターゲットを作製することもできる。
本発明のスパッタリング用シリサイドターゲットは、ターゲット内に50μm以上の大きさをもつポアが0.25mm当たり10個以下であり、好ましくは、ターゲット内に1μm以上の大きさをもつポアが0.01mm当たり20個以下である。これにより、粗大なポアを起点とした異常放電を抑制することができ、スパッタリング時のプラズマを安定化することが可能となる。
なお、ポアの大きさは、切り出したターゲット断面を観察し、ポアの断面積を測定、算出して求めることができる。もっとも、ポアは体積を有しているため、観察したポアが、最大の断面積になるとは限らないが、ポアのいずれの断面積においても上記の数値範囲含まれるものであれば、本発明に包含されることは当然理解されるべきである。
また、本発明のスパッタリング用シリサイドターゲットは、ターゲット内に球形のシリサイド相が0.01mm当たり90%以上占有することが好ましい。ここで、球形とは、真球、擬似真球、扁球、擬似扁球を含む立体形状を表し、その中心から外周までの長さの最小値に対する最大値の比が2以下であるものを意味する。
この範囲であれば、外周部に多少の凹凸があっても、同様の特性を得るものである。また、組成によっては、シリサイド相同士が結合し、単独の相として確認することが難しい場合もある。そのような場合は接合部分を延長し、仮想的な形状にて測定するものとすることができる。
以下、実施例および比較例に基づいて説明する。なお、本実施例はあくまで一例であり、この例によって何ら制限されるものではない。すなわち、本発明は特許請求の範囲によってのみ制限されるものであり、本発明に含まれる実施例以外の種々の変形を包含するものである。
(実施例1)
高純度タンタル粉と高純度シリコン粉をボールミルで混合し、真空中で加熱することにより、TaSix(x=2.0)の合金塊を得た。このシリサイド塊をジェットミル粉砕し、最大粒径100μmのシリサイド粉末を得た。このシリサイド粉末に、ジェットミル粉砕して最大粒径100μmとしたシリコン粉末を、ターゲットにおけるSi含有量が27.96wt%となるように混合し、該混合粉末を、ホットプレス装置を用いて、加熱温度1385℃、プレス荷重300kg/cm、保持時間2時間で焼結し、焼結体を作製した。この焼結体を機械加工により、φ300mm、6.35mmtのスパッタリング用シリサイドターゲットを作製した。
このようにして作製したスパッタリングターゲットの断面を研磨して、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いてターゲットの任意の5箇所で観察した(図1、2)。その結果、0.25mmの視野における50μm以上のポアは存在しなかった。0.01μmの視野内における1μm以上のポアは平均で1個であった。また、0.01mmの視野内における球形のシリサイド相が99%以上占有していた。また、アルキメデス法で求めたターゲットの相対密度は99.9%であった。
次に、このターゲットをスパッタ装置に取り付け、以下の条件でマグネトロンスパッタリングを行い、Si基板表面のタンタルシリサイド薄膜に付着した直径:0.3μm以上の大きさのパーティクル数を測定した。その結果70個であった。
(スパッタ条件)
雰囲気ガス:Arガス
雰囲気圧力:1pa
スパッタ出力:1KW
ターゲットとSi基板の距離:5cm
スパッタ時間:30秒
(実施例2)
高純度タンタル粉と高純度シリコン粉をボールミルで混合し、真空中で加熱することにより、TaSix(x=2.0)の合金塊を得た。このシリサイド塊をジェットミル粉砕し、最大粒径100μmのシリサイド粉末を得た。このシリサイド粉末に、ジェットミル粉砕して最大粒径100μmとしたシリコン粉末を、ターゲットにおけるSi含有量が28.73wt%となるように混合し、該混合粉末を、ホットプレス装置を用いて、加熱温度1385℃、プレス荷重290kg/cm、保持時間3時間で焼結し、焼結体を作製した。この焼結体を機械加工により、φ300mm、6.35mmtのスパッタリング用シリサイドターゲットを作製した。
このようにして作製したスパッタリングターゲットの断面を研磨して、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いてターゲットの任意の5箇所で観察した(図3、4)。その結果、0.25mmの視野における50μm以上のポアは存在しなかった。0.01μmの視野内における1μm以上のポアは平均で0個であった。また、0.01mmの視野内における球形のシリサイド相が99%以上占有していた。また、アルキメデス法で求めたターゲットの相対密度は99.8%であった。次に、このターゲットをスパッタ装置に取り付け、実施例1と同様な条件でマグネトロンスパッタリングを行い、Si基板表面のタンタルシリサイド薄膜に付着した直径:0.3μm以上の大きさのパーティクル数を測定した。その結果58個であった。
(実施例3)
高純度タンタル粉と高純度シリコン粉をボールミルで混合し、真空中で加熱することにより、TaSix(x=2.0)の合金塊を得た。このシリサイド塊をジェットミル粉砕し、最大粒径100μmのシリサイド粉末を得た。このシリサイド粉末に、ジェットミル粉砕して最大粒径100μmとしたシリコン粉末を、ターゲットにおけるSi含有量が27.51wt%となるように混合し、該混合粉末を、ホットプレス装置を用いて、加熱温度1390℃、プレス荷重310kg/cm、保持時間2時間で焼結し、焼結体を作製した。この焼結体を機械加工により、φ300mm、6.35mmtのスパッタリング用シリサイドターゲットを作製した。
このようにして作製したスパッタリングターゲットの断面を研磨して、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いてターゲットの任意の5箇所で観察した(図5、6)。その結果、0.25mmの視野における50μm以上のポアは存在しなかった。0.01μmの視野内における1μm以上のポアは平均で3個であった。また、0.01mmの視野内における球形のシリサイド相が99%以上占有していた。また、アルキメデス法で求めたターゲットの相対密度は98.9%であった。次に、このターゲットをスパッタ装置に取り付け、実施例1と同様な条件でマグネトロンスパッタリングを行い、Si基板表面のタンタルシリサイド薄膜に付着した直径:0.3μm以上の大きさのパーティクル数を測定した。その結果62個であった。
(比較例1)
高純度タンタル粉と高純度シリコン粉をボールミルで混合し、真空中で加熱することにより、TaSix(x=2.0)の合金塊を得た。このシリサイド塊をジェットミル粉砕し、最大粒径100μmのシリサイド粉末を得た。このシリサイド粉末に、ジェットミル粉砕して最大粒径100μmとしたシリコン粉末を、ターゲットにおけるSi含有量が28.76wt%となるように混合し、該混合粉末を、ホットプレス装置を用いて、加熱温度1370℃、プレス荷重280kg/cm、保持時間2時間で焼結し、焼結体を作製した。この焼結体を機械加工により、φ300mm、6.35mmtのスパッタリング用シリサイドターゲットを作製した。
このようにして作製したスパッタリングターゲットの断面を研磨して、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いてターゲットの任意の5箇所で観察した(図7、8)。その結果、0.25mmの視野における50μm以上のポアは15個であった。0.01μmの視野内における1μm以上のポアは平均で25個であった。また、0.01mmの視野内における球形のシリサイド相が43%占有していた。また、アルキメデス法で求めたターゲットの相対密度は97.2%であった。次に、このターゲットをスパッタ装置に取り付け、実施例1と同様な条件でマグネトロンスパッタリングを行い、Si基板表面のタンタルシリサイド薄膜に付着した直径:0.3μm以上の大きさのパーティクル数を測定した。その結果203個であった。
(比較例2)
高純度タンタル粉と高純度シリコン粉をボールミルで混合し、真空中で加熱することにより、TaSix(x=2.0)の合金塊を得た。このシリサイド塊をジェットミル粉砕し、最大粒径100μmのシリサイド粉末を得た。このシリサイド粉末に、ジェットミル粉砕して最大粒径100μmとしたシリコン粉末を、ターゲットにおけるSi含有量が27.96wt%となるように混合し、該混合粉末を、ホットプレス装置を用いて、加熱温度1365℃、プレス荷重290kg/cm、保持時間3時間で焼結し、焼結体を作製した。この焼結体を機械加工により、φ300mm、6.35mmtのスパッタリング用シリサイドターゲットを作製した。
このようにして作製したスパッタリングターゲットの断面を研磨して、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いてターゲットの任意の5箇所で観察した(図9、10)。その結果、0.25mmの視野における50μm以上のポアは5個であった。0.01μmの視野内における1μm以上のポアは平均で18個であった。また、0.01mmの視野内における球形のシリサイド相が73%占有していた。また、アルキメデス法で求めたターゲットの相対密度は94.5%であった。次に、このターゲットをスパッタ装置に取り付け、実施例1と同様な条件でマグネトロンスパッタリングを行い、Si基板表面のタンタルシリサイド薄膜に付着した直径:0.3μm以上の大きさのパーティクル数を測定した。その結果174個であった。
(比較例3)
高純度タンタル粉と高純度シリコン粉をボールミルで混合し、真空中で加熱することにより、TaSix(x=2.0)の合金塊を得た。このシリサイド塊をジェットミル粉砕し、最大粒径100μmのシリサイド粉末を得た。このシリサイド粉末に、ジェットミル粉砕して最大粒径100μmとしたシリコン粉末を、ターゲットにおけるSi含有量が20.46wt%となるように混合し、該混合粉末を、ホットプレス装置を用いて、加熱温度1405℃、プレス荷重310kg/cm、保持時間1時間で焼結し、焼結体を作製した。この焼結体を機械加工により、φ300mm、6.35mmtのスパッタリング用シリサイドターゲットを作製した。
このようにして作製したスパッタリングターゲットの断面を研磨して、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いてターゲットの任意の5箇所で観察した(図11、12)。その結果、0.25mmの視野における50μm以上のポアは0個であった。0.01μmの視野内における1μm以上のポアは平均で23個であった。また、0.01mmの視野内における球形のシリサイド相が99%以上占有していた。また、アルキメデス法で求めたターゲットの相対密度は99.7%であった。次に、このターゲットをスパッタ装置に取り付け、実施例1と同様な条件でマグネトロンスパッタリングを行い、Si基板表面のタンタルシリサイド薄膜に付着した直径:0.3μm以上の大きさのパーティクル数を測定した。その結果125個であった。
本発明のスパッタリングターゲットは、スパッタ時に発生するパーティクル量を低減することができ、成膜時における歩留まりを向上することができるという優れた効果を有する。したがって、半導体デバイスの電極又は配線として用いられるシリサイド膜を形成するためのスパッタリングターゲットとして有用である。

Claims (6)

  1. ターゲット内に50μm以上の大きさをもつポアが0.25mm当たり10個以下であることを特徴とするスパッタリング用シリサイドターゲット。
  2. ターゲット内に1μm以上の大きさをもつポアが0.01mm当たり20個以下であることを特徴とする請求項1記載のスパッタリグ用シリサイドターゲット。
  3. 球形のシリサイド相が0.01mm当たり90%以上占有することを特徴とする請求項1又は2記載のシリサイドターゲット。
  4. ターゲットの相対密度が98%以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のシリサイドターゲット。
  5. ターゲット材がTaSi(x>2.0)からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のスパッタリグ用シリサイドターゲット。
  6. 金属粉末とシリコン粉末を混合し、これを加熱合成して金属シリサイド粉末とした後、該金属シリサイド粉末を機械的に微粉砕し、次にこの微細金属シリサイド粉末と微細シリコン粉末とを所定のモル比となるように均一混合し、この混合粉末をシリコンが溶融する温度でホットプレスして焼結することを特徴とするスパッタリグ用シリサイドターゲットの製造方法。
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