JPWO2014132419A1 - 金及び銀の溶離方法及びそれを用いた金及び銀の回収方法 - Google Patents

金及び銀の溶離方法及びそれを用いた金及び銀の回収方法 Download PDF

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Abstract

硫化金属鉱に含まれる金を効率良く活性炭に吸着させ、当該活性炭に吸着している金及び銀を効率的に溶離する。アニオンとして塩化物イオン及び/又は臭化物イオンを含み、カチオンとして銅及び鉄を含む酸性浸出液を用いて、含金・銀硫化金属鉱から金を酸性浸出液に加温浸出する工程と、酸性浸出液中の少なくとも金及び銀を活性炭に吸着させる工程と、少なくとも金及び銀が吸着した活性炭に対し、pH7未満に保持したチオ硫酸塩水溶液を用いて金と銀とを溶離させる工程とを備えた金及び銀の溶離方法。

Description

本発明は、金及び銀の溶離方法及びそれを用いた金及び銀の回収方法に関する。
金及び銀は非常に価値の高い金属であり、天然鉱脈中には単体微粒子として存在し、黄鉄鉱や黄銅鉱、その他硫化金属鉱に副産物として微量含まれる。回収方法は、例えば特許文献1等に開示されており、乾式法及び湿式法でそれぞれ検討されている。湿式法の場合、浸出により金や銀を液に溶解した後に活性炭に吸着させる。回収された活性炭から金及び銀を回収するときは、活性炭を焼却して回収する方法、又は、溶液に金を溶離して回収する方法が行われている。
また、金及び銀の両方を含むシアン化物溶液の金及び銀の両方を吸着させた活性炭から、金を優先的に溶離する方法として、苛性ソーダ水溶液に硫化ナトリウムを混合した溶液で溶離する方法が知られている(特許文献2)。
金は、金鉱脈ではなくとも黄鉄鉱や黄銅鉱、その他硫化金属鉱に副産物として微量含まれることも多く、金はその主成分を製錬する際に分離され、別途金属金に製錬される場合が多い。
硫化金属鉱に副産物として含まれる金、例えば黄銅鉱の場合、一般的には、金は乾式銅製錬工程でアノードへ移行し、次いで電解精製工程では電解スライム中に濃縮する。電解スライム中の金は、湿式製錬法(特許文献3、4)や乾式製錬法によって金属金として回収される。
近年、環境負荷や精鉱中の不純物を考慮して、乾式法を用いずに精鉱を湿式法で処理する製錬技術が研究されており、貴金属を溶かすために十分な酸化電位を有する強力な酸で金を浸出する方法が提案されている(特許文献5)。特許文献5に記載の方法では、酸性ハロゲン化物溶液を用いて金を浸出した場合、ハロゲン化物が金などの貴金属と安定な錯体を形成するが、シアン化物よりも弱い配位子であることが示されている(特許文献5の明細書の段落0017)。また、貴金属を含有する溶液は、活性炭にこれを吸着して回収できることが示され、さらに活性炭を燃焼するか、シアン化物溶液で溶離し、その溶離液を電解採取により貴金属を回収する方法が示されている(特許文献5の明細書の段落0019)。また、金の吸着剤としては、リグニン誘導体を原料とする吸着剤も知られている(特許文献6)。
特開平6−145828号公報 米国特許第2579531号明細書 特開平9−316561号公報 特開2001−316735号公報 特開2006−512484号公報 特開2005−305329号公報
活性炭中の金及び銀の溶離には、シアン溶液を溶離液に用いると、溶離速度や回収率のいずれも良好となることが知られている。しかしながら、シアン溶液は毒性を有するため、使用方法には規制が多い。そこで、シアン溶液を用いずに、活性炭中の金及び銀を効率良く溶離して回収する方法の実現が待ち望まれている。
また、シアンを用いないで、金を高効率で浸出できる方法の一案である酸による浸出法は、金が不活性であるため強力な酸化剤が必要であり、浸出にコストがかかる。加えて含金硫化金属鉱中の金を浸出するには、主成分の硫化金属鉱を十分に浸出して、金及び浸出液が十分に接触できるようにしておく必要がある。そのようにして初生硫化銅鉱や黄鉄鉱中の金を溶解しても、シアンを用いた場合と比較して、溶液中に浸出される金の濃度はかなり低くなる。
そのため、酸浸出した場合でも、その後工程で吸着法や溶媒抽出法により金をさらに濃縮する必要がある。吸着法では吸着材として活性炭が知られるが、金単体で吸着している金の溶離には、シアンを使用する必要がある。シアンを用いない場合は、活性炭を焼却して金を回収することとなり、溶離した場合と比べコスト高となる。また、特許文献6に示すような吸着材はコスト高になる、もしくは繰り返し使用することが出来ない等の問題があり実用化されていない。
溶媒抽出に供する場合では抽出、セットリング、逆抽出の設備が必要となり、また金濃度は極めて低いのに対し金以外の不純物が多いことから金の選択的抽出率が問題であり、より簡便に操作できる吸着法が好ましい。
本発明者は上記課題を解決するために研究を重ねたところ、硫化金属鉱の浸出をハロゲン浴で行い、主成分金属と共に金・銀を浸出し、その金・銀浸出液を活性炭に吸着した後に、所定のpHに保持したチオ硫酸塩水溶液を用いて溶離させることで、硫化金属鉱に含まれる金を効率良く活性炭に吸着させ、当該活性炭に吸着している金及び銀を効率的に溶離することができることを見出した。
以上の知見を背景にして完成した本発明は一側面において、アニオンとして塩化物イオン及び/又は臭化物イオンを含み、カチオンとして銅及び鉄を含む酸性浸出液を用いて、含金・銀硫化金属鉱から金及び銀を前記酸性浸出液に加温浸出する工程と、前記酸性浸出液中の少なくとも金及び銀を活性炭に吸着させる工程と、少なくとも金及び銀が吸着した活性炭に対し、pH7未満に保持したチオ硫酸塩水溶液を用いて金と銀とを溶離させる工程とを備えた金及び銀の溶離方法である。
本発明の金及び銀の溶離方法は一実施形態において、前記チオ硫酸塩水溶液のpHが4以上7未満に保持されている。
本発明の金及び銀の溶離方法は別の一実施形態において、前記チオ硫酸塩水溶液が20〜90℃に保持されている。
本発明の金及び銀の溶離方法は別の一実施形態において、前記チオ硫酸塩水溶液が60〜90℃に保持することで、前記活性炭に吸着した金を選択的に溶離して分離する。
本発明の金及び銀の溶離方法は更に別の一実施形態において、前記チオ硫酸塩水溶液が20〜50℃に保持することで、前記活性炭に吸着した銀を選択的に溶離して分離する。
本発明の金及び銀の溶離方法は更に別の一実施形態において、前記チオ硫酸塩水溶液がチオ硫酸ナトリウム水溶液である。
本発明の金及び銀の溶離方法は更に別の一実施形態において、前記含金・銀硫化金属鉱が、輝銅鉱、斑銅鉱、銅藍、黄銅鉱、黄鉄鉱、硫砒銅鉱、及び、硫砒鉄鉱からなる群から選択された少なくとも一種を含む精鉱である。
本発明の金及び銀の溶離方法は更に別の一実施形態において、前記含金・銀硫化金属鉱が、前記精鉱から酸性浸出液を用いて主成分金属である銅、鉄、又は、ヒ素を80%以上浸出した後に固液分離することで得られた金を含む浸出残渣である。
本発明の金及び銀の溶離方法は更に別の一実施形態において、前記酸性浸出液が、40〜200g/Lの塩化物イオン、20〜100g/Lの臭化物イオン、5〜25g/Lの銅、及び、0.01〜10g/Lの鉄を含み、pHが0〜1.9である。
本発明の金及び銀の溶離方法は更に別の一実施形態において、前記加温浸出を60〜100℃で行う。
本発明は別の一側面において、本発明の金及び銀の溶離方法で得られた金及び銀を含むチオ硫酸塩水溶液から金及び銀を回収する方法である。
本発明によれば、硫化金属鉱に含まれる金を効率良く活性炭に吸着させ、当該活性炭に吸着している金及び銀を効率的に溶離することができる。
本発明の実施形態に係る金及び銀の溶離方法のフローチャートである。 実施例2で得られた通液時間に対する活性炭へのAg吸着量を示すグラフである。 実施例3で得られた溶離時間に対する液中Au濃度を示すグラフである。 実施例3で得られた溶離時間に対する液中Ag濃度を示すグラフである。 実施例4で得られた金の液中濃度を示すグラフである。 実施例4で得られた銀の液中濃度を示すグラフである。
図1に本発明の実施形態に係る金及び銀の溶離方法のフローチャートを示す。本発明に係る金及び銀の溶離方法は、アニオンとして塩化物イオン及び/又は臭化物イオンを含み、カチオンとして銅及び鉄を含む酸性浸出液を用いて、含金・銀硫化金属鉱から金及び銀を酸性浸出液に加温浸出する工程と、酸性浸出液中の少なくとも金及び銀を活性炭に吸着させる工程と、少なくとも金及び銀が吸着した活性炭に対し、pH7未満に保持したチオ硫酸塩水溶液を用いて金と銀とを溶離させる工程とを備える。
金は、輝銅鉱、斑銅鉱、銅藍、黄銅鉱、黄鉄鉱、硫砒銅鉱、硫砒鉄鉱等の硫化金属鉱に単体として極微量含まれることが多い。このため、これを回収するには、まず硫化金属鉱を破砕後に浮遊選鉱法により精鉱とすることで濃縮することが好ましい。また、この精鉱から酸性浸出液を用いて主成分金属である銅、鉄、又は、ヒ素を80%以上浸出した後に固液分離すれば、浸出残渣に金をさらに濃縮することも可能であり、処理効率が良好となる。
この硫化金属鉱に含まれた金、又は、より好ましい形態として上述の精鉱あるいは主要金属成分を浸出した後の浸出残渣に濃縮された金を浸出する方法としては、王水等の強酸化性の酸で浸出する方法、シアンで浸出する方法等が公知であるが、いずれも環境負荷や安全性の面で問題がある。特にシアン浸出は、シアンの毒性の高さから使用が制限されることも珍しく無いため、回避される手法である。
強酸化性の酸で浸出した場合は、溶解した金をさらに濃縮する際に適当な方法がなく、よく知られた吸着材である活性炭や機能性樹脂等の吸着材に金を吸着すると溶離に問題があり、吸着材ごと焼却して回収することになればコストが著しく上昇する。この溶離が不調な理由として、金が強酸で浸出された時のハロゲン化錯体は、活性炭に吸着された際に単体まで還元されることが原因であるといわれている。
ところが、金を特殊な条件下で浸出するとポリスルフィド錯体となることが下記の非特許文献1に記載されている。
(非特許文献1)M. E. Berndt, T. Buttram, D. Earley III, W. E. Seyfried Jr., Geochimica et Cosmochimica Acta, 58,(2), 587-594, 1994
金のポリスルフィド錯体はハロゲン錯体より安定であり、吸着材に吸着されても容易に単体の金まで還元されない。
これに対し、本発明では非特許文献1に見られるような特殊な条件を必要とせず、金を活性炭に吸着され易いポリスルフィド型錯体で浸出し、しかも活性炭に吸着した金はチオ硫酸塩水溶液で容易に溶離して回収される。
本発明においては、まず、アニオンとして塩化物イオン及び/又は臭化物イオンを含み、カチオンとして銅及び鉄を含む酸性浸出液を用いて、含金・銀硫化金属鉱から金を酸性浸出液に加温浸出する。浸出温度は60〜100℃が好ましい。酸性浸出液のpHは0〜1.9であるのが好ましい。浸出温度及び浸出液のpHがこのような範囲であれば、金の浸出がより良好となる。
酸性浸出液は、塩化物イオンと臭化物イオンとをそれぞれ20〜200g/L、及び、銅と鉄とをそれぞれ0.01〜30g/L含むのが好ましい。さらに、酸性浸出液は、40〜200g/Lの塩化物イオン、20〜100g/Lの臭化物イオン、5〜25g/Lの銅、及び、0.01〜10g/Lの鉄を含むのがより好ましい。酸性浸出液の組成をこのように限定することで、酸に溶け難い黄銅鉱や硫砒銅鉱等を良好に溶解させることができる。また、臭素が含まれている場合、溶解した金がAu(I)で安定化されるという効果がある。
上記加温浸出工程により酸性浸出液に硫化金属鉱を溶解させて有価金属を浸出させる。微量含まれる金及び銀は、主要金属と一緒に浸出される。必要があれば固液分離後その残渣に含まれる金及び銀を同じくこの組成の酸性液で浸出する。
次に、酸性浸出液中の金及び銀を活性炭に接触させて吸着させる。金及び銀の活性炭への接触はバッチ回分式もしくは活性炭を充填した吸着塔に酸性浸出液を連続通水することで行ってもよい。
活性炭に金及び銀を吸着した後、溶離を容易為らしめるために金の形態はポリスルフィド錯体として吸着することが必要であるが、そのためには浸出時にS(−II)の存在が必須であり、本発明の場合は各種硫化金属種がこれに該当する。
活性炭は、ヤシガラ活性炭、コークス活性炭等各種あるものの、いずれの原料に由来するものでも良い。
本発明では、溶離液としてpH7未満に保持したチオ硫酸ナトリウム水溶液を用いる。チオ硫酸塩としては、例えば、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸カリウム等が挙げられ、特にチオ硫酸ナトリウムを用いるのが金及び銀の溶離に有効である。チオ硫酸ナトリウムはpH7未満の場合、一部は分解され硫黄を生成する。
チオ硫酸塩水溶液は、活性炭中の金と銀とを溶離し、且つ、溶離した銀を硫化銀として沈殿させる。沈殿した硫化銀は、溶離液から回収し、化学還元法等で処理することで、単体の銀を回収することができる。
一方、金は、チオ硫酸塩水溶液によって溶離されるが、硫化物を形成しない金属であるため、溶離液中に溶離したままとなっている。金も必要であれば当該溶離液から化学還元法、もしくは溶媒抽出−電解採取法等を用いて単体の金として回収することができる。
活性炭からの金及び銀の溶離は、溶離する金及び銀イオン量に対して、チオ硫酸イオンの濃度を調整することが好ましい。特に、銀イオンを沈殿させる際に、硫黄が必要となるため、相当量のチオ硫酸イオンの分解が望まれる。分解しすぎた場合、硫黄が活性炭に吸着して金及び銀の溶離の妨げになる。具体的には、チオ硫酸塩水溶液のチオ硫酸イオンの濃度は、0.01〜1.0mol/Lとすることができる。また、チオ硫酸イオンの濃度0.5mol/Lで溶離効果は飽和している。当然、活性炭に吸着されている金や銀の量により必要なチオ硫酸量は変化するが、上述のように溶離が不十分であっても金や銀を逸損する訳ではない。大過剰なチオ硫酸の添加は活性炭の表面を硫黄が被覆して溶離を阻害するため現実的なチオ硫酸の濃度は0.01〜0.5mol/Lである。
溶離液に用いるチオ硫酸塩水溶液はpH7未満、好ましくはpH4以上7未満、より好ましくはpH4.5以上6未満に保持する。チオ硫酸ナトリウム水溶液をpH7未満に保持することで、チオ硫酸イオンの分解による硫黄の生成が促進され、溶離された銀が良好に硫化物を形成して沈殿する。
溶離温度は、チオ硫酸イオン濃度に対して調整することが望ましい。20〜90℃にすることでチオ硫酸イオンの分解は促進される。金及び銀の両方の溶離を妨害しないために、チオ硫酸イオンが低濃度の場合、硫黄の活性炭への吸着を防ぐため、低温条件での溶離が好ましい。また、常温に近ければ、活性炭に吸着した金及び銀から、選択的に銀を溶離して分離することが可能となる。このような観点からは、溶離温度は、さらに20〜50℃に調整するのがより好ましい。一方、金及び銀の分離成績の向上の観点からは、より高い温度が好ましく、具体的には、60〜90℃がより好ましい。このようにチオ硫酸塩水溶液を60〜90℃に保持することで、活性炭に吸着した金を選択的に溶離して分離することができる。
金及び銀が吸着した活性炭から、上述のように選択的に銀を溶離した後、当該活性炭から続けて残りの金を溶離することができる。具体的には、金及び銀が吸着した活性炭を、20〜50℃に保持したpH7未満のチオ硫酸塩水溶液(溶離液)に浸漬して銀を選択的に溶離させる。続いて、溶離した銀成分を含む溶離液の上澄みを回収する。次に、溶離液を加熱して60〜90℃に保持し、残りの金を活性炭から溶離して同様に回収する。これにより、金及び銀が吸着した活性炭から銀及び金を良好に分離して回収することができる。
さらに、金及び銀が吸着した活性炭から、上述のように選択的に金を溶離した後、当該活性炭から続けて残りの銀を溶離することができる。具体的には、金及び銀が吸着した活性炭を、60〜90℃に保持したpH7未満のチオ硫酸塩水溶液(溶離液)に浸漬して金を選択的に溶離させる。続いて、溶離した金成分を含む溶離液の上澄みを回収する。次に、溶離液を冷却して20〜50℃に保持し、残りの銀を活性炭から溶離して同様に回収する。これにより、金及び銀が吸着した活性炭から銀及び金を良好に分離して回収することができる。
また、本発明の活性炭は、銀や金の溶離後も、繰り返し銀や金の吸着に使用することが可能であり、コスト面で有利である。
上述の本発明の分離方法によれば、チオ硫酸塩水溶液を溶離液に用いてpHを設定するという簡易な操作で、活性炭に吸着した金及び銀を効率的に溶離することができる。
以下に本発明の実施例を示すが、これらの実施例は本発明及びその利点をよりよく理解するために提供するものであり、発明が限定されることを意図するものではない。
(実施例1)
金を含む硫化金属精鉱(Cu:17質量%、Fe:27質量%、S:25質量%、Au:90ppm、主要鉱種は黄銅鉱及びピロタイトFe1-xS)を、浸出液に対し35g/Lとなるよう秤量した。浸出液は、Cl-:180g/L、Br-:20g/L、Cu2+:18g/L、Fe3+:2g/L含有し、pHは1.5とした。浸出液を85℃に加温し、空気を1分当たり0.1L吹き込みながら攪拌した。こうして得た金濃度が2mg/L以上の浸出液をヤシ殻由来活性炭(太平化学産業社製ヤシコールMC)を充填したカラムに通し、金を活性炭に吸着させた。カラム通過後の浸出液の金濃度は0.1mg/L未満であった。
カラム中の活性炭の金濃度が7000g/ton程度となったところでカラムから取り出した。金の吸着量を灰吹き法とICP−AESにより定量したところ、7500g/tonであった。
(実施例2)
銀を含む硫化金属精鉱(Cu:17質量%、Fe:27質量%、S:25質量%、Ag:0.03質量%、主要鉱種は黄銅鉱及びピロタイトFe1-xS)を、浸出液に対し35g/Lとなるよう秤量した。浸出液は、Cl-:180g/L、Br-:20g/L、Cu2+:18g/L、Fe3+:2g/L含有し、pHは1.0とした。浸出液を65℃に加温し、空気を1分当たり0.1L吹き込みながら攪拌した。こうして得た銀濃度が10mg/L以上の浸出液をヤシ殻由来活性炭(太平化学産業社製ヤシコールMC)を充填したカラムにバッチ式で通し、銀を活性炭に吸着させた。カラム通過後の浸出液の銀濃度は0.1mg/L未満であった。
所定の通液時間ごとに活性炭へのAgの吸着量(mg)を灰吹き法とICP−AESにより定量した。図2に、実施例2で得られた通液時間に対する活性炭へのAg吸着量に係るグラフを示す。
(実施例3)
精鉱から金浸出した浸出液から金吸着した活性炭(ヤシ殻由来活性炭:太平化学産業社製ヤシコール 粒状炭)を準備した。活性炭中のAu品位は9000g/tonであり、Ag品位は1400g/tonであった。溶離液としては、pH=4の0.1Mチオ硫酸ナトリウム溶液を用いた。溶離液の温度は常温(20〜30℃)及び80℃とした。この溶離液中に上述の活性炭を浸漬して攪拌した。試験開始から一時間毎にサンプリングを行い、溶離液中の金及び銀の濃度を測定した。測定はICP測定により行った。得られた金及び銀の液中濃度の結果を図3及び図4にそれぞれ示す。図3に示すように、80℃で溶離した場合、金が銀に対して活性炭からより多く良好に溶離していることがわかる。また、80℃で溶離した場合、溶離6時間で液中Au濃度は160mg/L、Ag濃度は<1mg/Lであった。80℃で溶離することにより、金及び銀を分離できるだけでなく、Auの溶離速度も向上した。一方、図4に示すように、常温で溶離した場合、銀が金に対して活性炭からより多く良好に溶離していることがわかる。また、常温で溶離した場合、溶離6時間で液中Au濃度は20mg/L、Ag濃度は25mg/Lであった。銀に関しては活性炭中の銀を全量溶離したことになる。
(実施例4)
精鉱から金浸出した浸出液から金吸着した活性炭(ヤシ殻由来活性炭:太平化学産業社製ヤシコール 粒状炭)を準備した。活性炭中のAu品位は9000g/tonであり、Ag品位は1400g/tonであった。溶離液としては、pH=4、6、8の0.1Mチオ硫酸ナトリウム溶液をそれぞれ用いた。溶離液の温度は80℃とした。この溶離液中に上述の活性炭を浸漬して攪拌した。試験開始から一時間毎にサンプリングを行い、溶離液中の金及び銀の濃度を測定した。測定はICP測定により行った。得られた金及び銀の液中濃度の結果を図5及び図6にそれぞれ示す。図5及び6に示すように、pHが8である溶離液で溶離した場合は、金及び銀のいずれも溶離が不良であった。
本発明の金及び銀の溶離方法は更に別の一実施形態において、前記酸性浸出液が、塩化物イオンを含む場合は40〜200g/Lの塩化物イオン、臭化物イオンを含む場合は20〜100g/Lの臭化物イオン、5〜25g/Lの銅、及び、0.01〜10g/Lの鉄を含み、pHが0〜1.9である。

Claims (11)

  1. アニオンとして塩化物イオン及び/又は臭化物イオンを含み、カチオンとして銅及び鉄を含む酸性浸出液を用いて、含金・銀硫化金属鉱から金及び銀を前記酸性浸出液に加温浸出する工程と、
    前記酸性浸出液中の少なくとも金及び銀を活性炭に吸着させる工程と、
    少なくとも金及び銀が吸着した活性炭に対し、pH7未満に保持したチオ硫酸塩水溶液を用いて金と銀とを溶離させる工程と、
    を備えた金及び銀の溶離方法。
  2. 前記チオ硫酸塩水溶液のpHが4以上7未満に保持されている請求項1に記載の金及び銀の溶離方法。
  3. 前記チオ硫酸塩水溶液が20〜90℃に保持されている請求項1又は2に記載の金及び銀の溶離方法。
  4. 前記チオ硫酸塩水溶液を60〜90℃に保持することで、前記活性炭に吸着した金を選択的に溶離して分離する請求項3に記載の金及び銀の溶離方法。
  5. 前記チオ硫酸塩水溶液を20〜50℃に保持することで、前記活性炭に吸着した銀を選択的に溶離して分離する請求項3に記載の金及び銀の溶離方法。
  6. 前記チオ硫酸塩水溶液がチオ硫酸ナトリウム水溶液である請求項1〜5のいずれかに記載の金及び銀の溶離方法。
  7. 前記含金・銀硫化金属鉱が、輝銅鉱、斑銅鉱、銅藍、黄銅鉱、黄鉄鉱、硫砒銅鉱、及び、硫砒鉄鉱からなる群から選択された少なくとも一種を含む精鉱である請求項1〜6のいずれかに記載の金及び銀の溶離方法。
  8. 前記含金・銀硫化金属鉱が、前記精鉱から酸性浸出液を用いて主成分金属である銅、鉄、又は、ヒ素を80%以上浸出した後に固液分離することで得られた金を含む浸出残渣である請求項7に記載の金及び銀の溶離方法。
  9. 前記酸性浸出液が、40〜200g/Lの塩化物イオン、20〜100g/Lの臭化物イオン、5〜25g/Lの銅、及び、0.01〜10g/Lの鉄を含み、pHが0〜1.9である請求項1〜8のいずれかに記載の金及び銀の溶離方法。
  10. 前記加温浸出を60〜100℃で行う請求項1〜9のいずれかに記載の金及び銀の溶離方法。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の金及び銀の溶離方法で得られた金及び銀を含むチオ硫酸塩水溶液から金及び銀を回収する方法。
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