JPWO2014129579A1 - 洗浄殺菌方法 - Google Patents

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Abstract

医療用器具、動物用医療器具、食肉加工用具及び調理用具を含む対象物の洗浄殺菌方法であって、前記対象物をアルカリ性電解水で、第1所定時間の間、超音波洗浄あるいは攪拌洗浄するアルカリ性電解水洗浄工程と、前記アルカリ性電解水洗浄工程の後、前記対象物を酸性電解水に、第2所定時間の間、撹拌洗浄あるいは浸漬する酸性電解水洗浄工程と、を有する。

Description

本発明は、医療用鋼製用具、光学医療用機器、医療用合成樹脂製用具を含む医療用器具、動物用医療器具、食肉加工用具、及び調理用具といった対象物に付着したものの洗浄殺菌方法に関する。具体的には、対象物に付着した生体由来の血液をはじめとする有機物の洗浄、対象物に付着した微生物、ウイルス、及びプリオン(PrPsc)をはじめとする伝播(感染)性アミロイドの洗浄、対象物に付着した有機物の分解、対象物に付着したプリオン(PrPsc)をはじめとする伝播(感染)性アミロイドの伝播及び凝集抑制、対象物に付着した微生物の殺菌、対象物に付着したウイルスの不活化方法に関する。さらに具体的には、セラミックス製あるいは金属製の人工関節や、金属製の髄内釘、固定ピン、固定プレート、ネジ等の骨折治療用デバイス等、体内挿入医療用具の製造工程で付着する工業用油や有機物の洗浄除去、及び、表面に付着した微生物の洗浄、消毒、殺菌、滅菌、ウイルスの不活化方法に関する。また、さらに具体的には、水、アルカリ性電解水に対する超音波の照射によるヒドロキシルラジカルの生成とその反応による汚染物の洗浄、消毒、殺菌、滅菌、ウイルスの不活化、プリオン(PrPsc)及び伝播(感染)性アミロイドの伝播及び凝集抑制方法に関する。
内視鏡や内視鏡に付属するカメラやその他の周辺機器などを洗浄及び殺菌するための方法について、下記特許文献1にその一例が提案されている。下記特許文献1に記載の洗浄殺菌方法は、両側に電極を具備する隔膜で区画された電解槽のアルカリ電解水生成槽を洗浄槽とし、洗浄槽に挿入した内視鏡カメラ機器等を水による超音波洗浄で予備洗浄し、次いで電解槽に供給された塩化ナトリウム水溶液を電解することにより生成されるアルカリ性電解水で超音波洗浄した後に、アルカリ性電解水生成槽内のアルカリ性電解水を排水して、酸性電解水生成槽内の酸性電解水を該アルカリ性電解水生成槽内に移送して洗浄殺菌し、更に水で洗浄した後に洗浄槽内に温風を送給して乾燥するものである。また、下記特許文献1では、アルカリ性電解水により超音波洗浄した内視鏡カメラ機器等を、水で濯ぎ洗浄してから酸性電解水で洗浄殺菌することも開示されている。
なお、本願において「洗浄」とは、対象物に付着した汚染物を対象物から除去することをいう。また、「汚染物」とは、生体由来の血液や体液、脂肪、プリオン(PrPsc)及び伝播(感染)性アミロイド、などのタンパク質や細胞組織などの有機物、微生物、ウイルス等をいう。また、「消毒」とは、対象物に付着した微生物あるいはウイルスを、減少させることをいう。また、「殺菌」とは、病原微生物を分解、死滅させることをいう。また、「滅菌」とは、対象物に付着した病原微生物を、処理前の10−6個まで減少させることをいう。また、「不活化」とは、ウイルスの感染性を失わせ、プリオン(PrPsc)や伝播(感染)性アミロイドの伝播(感染)及び凝集を抑制することをいう。
日本国特許第4359284号公報
上記特許文献1に記載の洗浄殺菌方法は、一般的なタンパク質汚れやプリオン(PrPsc)を落とすのには効果的であるけれども、プリオン(PrPsc)や伝播(感染)性アミロイドの伝播性を失わせ、凝集を抑制する不活化には十分な効果を発揮できないものであった。また、洗浄後のプリオン(PrPsc)や伝播(感染)性アミロイドが再び凝集し伝播(感染)する力を失わせる不活化にも十分な効果が発揮できないものであった。
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、プリオン(PrPsc)や伝播(感染)性アミロイドのタンパク質汚れを落として分解し、洗浄液中に含まれる分解したアミロイドが再び凝集し、伝播性を持つことを抑制し、機器や用具に付着する力を失わせることが可能な医療用器具、動物用医療器具、食肉加工用具及び調理用具を含む対象物のウイルスとプリオン及び伝播(感染)性アミロイドの不活化方法を提供することにある。
上記課題を解決するために本発明に係る洗浄殺菌方法は、医療用器具、動物用医療器具、食肉加工用具、及び調理用具を含む対象物の洗浄殺菌方法であって、前記対象物をアルカリ性電解水で第1所定時間の間、超音波洗浄あるいは攪拌洗浄するアルカリ性電解水洗浄工程と、前記アルカリ性電解水洗浄工程の後、前記対象物を酸性電解水で、第2所定時間の間、浸漬あるいは撹拌洗浄する酸性電解水洗浄工程と、を有する。
本発明によれば、アルカリ性電解水及び酸性電解水を用いて、それぞれに適した所定時間洗浄を行うので、プリオン(PrPsc)やアミロイドといった伝播(感染)性タンパク質汚れを落とし、凝集力を失わせることが可能となり、プリオン(PrPsc)およびアミロイドの伝播(感染)を防止することができる。また、本発明に係る洗浄殺菌方法によれば、高温高圧環境下に対象物である医療用器具、動物用医療器具、食肉加工用具、調理用具を晒さなくとも十分な洗浄効果が得られ、プリオン(PrPsc)およびアミロイドの伝播(感染)を防止することができるため、高温高圧環境下に耐えられない医療用器具、動物用医療器具、食肉加工用具、及び調理用具に対しても使用することができる。
また本発明に係る洗浄殺菌方法では、前記第1所定時間は、前記第2所定時間よりも長い時間であることも好ましい。
この好ましい態様では、第1所定時間を充分に確保することで、アルカリ性電解水による超音波洗浄あるいは攪拌洗浄の効果を確実に発揮させることができ、プリオン(PrPsc)などの伝播(感染)性アミロイドの伝播(感染)性の不活化により凝集を抑制することができる。その結果、その後に酸性電解水に浸漬させる時間を短縮することができ、光学精密医療器具への酸性電解水の影響や、金属製対象物への塩化物の影響を減少させることができる。
また、本発明に係る洗浄殺菌方法では、前記酸性電解水洗浄工程において、酸性電解水を攪拌することも好ましい。
この好ましい態様では、酸性電解水を攪拌することにより洗浄殺菌やウイルス不活化の効率がより向上し、プリオン(PrPsc)や伝播(感染)性アミロイドによる伝播(感染)性を失わせながらも、対象物を酸性電解水に浸漬させる時間をさらに短縮することができ光学精密医療器具への酸性電解水の影響や、金属製対象物への塩化物の影響を減少させることが可能となる。
また、本発明に係る洗浄殺菌方法では、前記酸性電解水洗浄工程の後、前記対象物を水で洗浄する水洗浄工程と、前記水洗浄工程の後、前記対象物に紫外線を照射する紫外線照射工程と、を有することも好ましい。
この好ましい様態では、酸性電解水洗浄工程の後、水洗浄工程によって酸性電解水あるいは酸性電解水により生じた生成物を除去することで、光学精密医療器具への酸性電解水の影響や、金属製対象物への塩化物の影響を減少させるとともに、紫外線照射工程によって空気に混入した浮遊菌を防止し、洗浄後の状態を保つことが可能となる。
また本発明に係る洗浄殺菌工程の前に、前記対象物を水で第3所定時間の間、超音波洗浄あるいは攪拌洗浄する水洗浄工程をさらに有することも好ましい。
この好ましい態様では、対象物を水で超音波洗浄あるいは攪拌洗浄することにより、その後のアルカリ性電解水洗浄工程及び酸性電解水洗浄工程に要する時間を短縮し、キャビテーションによる光学精密医療用具への損傷を抑制することが可能となる。
また、本発明に係る洗浄殺菌方法では、前記アルカリ性電解水及び前記酸性電解水は、電解槽に供給された塩化ナトリウム水溶液又は塩化カリウム水溶液を電解することによって得られるものであることも好ましい。
この好ましい態様では、塩化ナトリウム水溶液又は塩化カリウム水溶液を電解してアルカリ性電解水及び酸性電解水を得ることにより、より洗浄性の高いアルカリ性電解水及び酸性電解水を洗浄に用いることができる。
また、塩化ナトリウム水溶液あるいは塩化カリウム水溶液に、塩化ナトリウムあるいは塩化カリウムの10〜50%程度の炭酸ナトリウムあるいは炭酸カリウムを加えて電解すると、炭酸ナトリウムと炭酸カリウムにより生じる炭酸イオンのバッファー効果で酸性電解水ではpHの低下が抑制され、アルカリ性電解水ではナトリウムイオンあるいはカリウムイオンの増加によってpH値が大きくなり、全体としてアルカリ性側に寄り、電気分解による塩素ガス生成を抑えることができるため、作業環境保全の面からも好ましい。
本発明によれば、プリオンや伝播(感染)性アミロイド等のタンパク質汚れを落とすとともに、ウイルス、プリオン及び伝播(感染)性アミロイドを不活化することが可能な医療用器具、動物用医療用具、食肉加工用具、調理用具の洗浄殺菌、方法を提供することができる。
ラジカル種の生成結果を示す図。 RT−QUICK(リアルタイムクイック)法で確認した結果を示す図。 RT−QUICK(リアルタイムクイック)法で確認した結果を示す図。 RT−QUICK(リアルタイムクイック)法で確認した結果を示す図。 RT−QUICK(リアルタイムクイック)法で確認した結果を示す図。 RT−QUICK(リアルタイムクイック)法で確認した結果を示す図。 RT−QUICK(リアルタイムクイック)法で確認した結果を示す図。 RT−QUICK(リアルタイムクイック)法で確認した結果を示す図。 RT−QUICK(リアルタイムクイック)法で確認した結果を示す図。 RT−QUICK(リアルタイムクイック)法で確認した結果を示す図。 RT―QUICK(リアルタイムクイック)法でNaOH濃度によるヒトプリオン(PrPsc)不活化の評価結果を示す図。 RT―QUICK(リアルタイムクイック)法でNaOH濃度によるヒトプリオン(PrPsc)不活化の評価結果を示す図。 RT―QUICK(リアルタイムクイック)法でNaOH濃度によるヒトプリオン(PrPsc)不活化の評価結果を示す図。 RT―QUICK(リアルタイムクイック)法でNaOH濃度によるヒトプリオン(PrPsc)不活化の評価結果を示す図。 RT―QUICK(リアルタイムクイック)法でNaOH濃度によるヒトプリオン(PrPsc)不活化の評価結果を示す図。 RT―QUICK(リアルタイムクイック)法でNaOH濃度によるヒトプリオン(PrPsc)不活化の評価結果を示す図。 RT―QUICK(リアルタイムクイック)法でNaOH濃度によるヒトプリオン(PrPsc)不活化の評価結果を示す図。 RT―QUICK(リアルタイムクイック)法でNaOH濃度によるヒトプリオン(PrPsc)不活化の評価結果を示す図。 RT―QUICK(リアルタイムクイック)法でNaOH濃度によるヒトプリオン(PrPsc)不活化の評価結果を示す図。 RT―QUICK(リアルタイムクイック)法でNaOH濃度によるヒトプリオン(PrPsc)不活化の評価結果を示す図。 RT―QUICK(リアルタイムクイック)法でNaOH濃度によるヒトプリオン(PrPsc)不活化の評価結果を示す図。 RT―QUICK(リアルタイムクイック)法でNaOH濃度によるヒトプリオン(PrPsc)不活化の評価結果を示す図。 RT―QUICK(リアルタイムクイック)法でNaOH濃度によるヒトプリオン(PrPsc)不活化の評価結果を示す図。 RT―QUICK(リアルタイムクイック)法でNaOH濃度によるヒトプリオン(PrPsc)不活化の評価結果を示す図。 RT―QUICK(リアルタイムクイック)法でNaOH濃度によるヒトプリオン(PrPsc)不活化の評価結果を示す図。 RT―QUICK(リアルタイムクイック)法でNaOH濃度によるヒトプリオン(PrPsc)不活化の評価結果を示す図。 RT―QUICK(リアルタイムクイック)法でNaOH濃度によるヒトプリオン(PrPsc)不活化の評価結果を示す図。 RT―QUICK(リアルタイムクイック)法でNaOH濃度によるヒトプリオン(PrPsc)不活化の評価結果を示す図。 RT―QUICK(リアルタイムクイック)法でNaOH濃度によるヒトプリオン(PrPsc)不活化の評価結果を示す図。 RT―QUICK(リアルタイムクイック)法でNaOH濃度によるヒトプリオン(PrPsc)不活化の評価結果を示す図。
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
本発明の実施形態を説明するのに先立って、プリオン(PrPsc)等のアミロイド線維の伝播(感染)性について説明する。生体中のタンパク質は、特有の3次元の構造を形成することにより、その機能性を発揮している。
タンパク質は、同じアミノ酸成分と配列が3次元的に異なるα構造とβ構造をとり得る。α構造によって機能を発揮するタンパク質は、β構造に変化した場合、その機能を失う。β構造はα構造よりも自由エネルギーが低く、α構造のタンパク質は、より低いエネルギーの状態のβ構造をとって安定する。そのため、α構造で機能を発揮するタンパク質は、その構造を維持する機能を持つ。例えば、2組のチオールのカップリングで得られる共有結合のジスルフィド結合(disulfide bond)もその1つである。
多くの疾患の原因といわれるアミロイド線維の形成について以下説明する。まず、所定のタンパク質のα構造がβ構造に転換する(反応1)。α構造がβ構造に転換すると、分子内の疎水構造の中にあった疎水アミノ酸がタンパク質分子表面に露出する(反応2)。疎水アミノ酸がタンパク質分子表面に露出することにより、エントロピーが増大するとともに、露出した疎水アミノ酸どうしは、疎水・疎水相互反応、dipolar−dipolar相互反応、electrostatic相互作用をする。これら相互作用により、疎水アミノ酸を含むβstrandどうしが分子軸の垂直方向に重なり、βsheetを形成し、さらにβsheetどうしが互いに水素結合等の相互作用によって接着する(反応3)。このようにして、アミロイド前駆タンパク質が凝集すると考えられている。
さらに、アミロイド前駆タンパク質が凝集するとアミロイド化と呼ばれる繊維化が始まると考えられている。重水素交換の試験結果から、結合したアミロイドの水素結合は次第に強くなることが示されており、その結合強度は結晶相当になる(反応4)。このように結晶化したアミロイドは、正常なアミロイド前駆タンパク質のα構造をβ構造へと転換させる。これが即ちseeding(播種)であり、一般的に“プリオン(PrPsc)が感染する”と表現されている現象であり、細菌類の感染とは異なる現象である。
結晶化反応のseed現象反応は自由エネルギー(G)を減少させる方向に向かう可逆反応であり、Gibbsの反応として知られている。以下がその反応式である。
△G=△E+△PV−△ST (式1)
G:自由エネルギー
S:エントロピー
T:温度
E:エンタルピー
P:圧力
V:体積
結晶化の駆動力は、(式1)に基づくが、1粒子あたりのエントロピー(s)は、以下の(式2)で求められる。
s=S/N=∂μ(T,P)/∂T (式2)
s:1粒子あたりのエントロピー
S:エントロピー
N:総粒子数
δ:偏微分記号
μ:化学ポテンシャル
(反応2)のエントロピー増大と(式2)の反応の結果、(式1)の自由エネルギーが低下方向へ反応が進むことから、βstrand化と結晶化の駆動力が説明できる。
当該タンパクがα構造からβ構造に変化し、繊維化するまでの反応過程は、アミロイド形成に共通する駆動力による反応であり、seedingによりこの過程が促進される。すなわち、アミロイド化するタンパク質はseedingによってアミロイド前駆タンパク質をアミロイド化することにおいて、感染性があるといえる。
生体内ではプリオン(PrPsc)以外のアミロイドには感染性がないと考えられていたが最近パーキンソン病の原因アミロイドとされるαシヌクレインが感染することが報告された。Science 16 November 2012: Vol. 338 no. 6109 pp. 949−953
プリオン(PrPsc)は他のアミロイドより水素結合が強固であり、プロテア−ゼによって分解され難い。そのため食べ物に付着して消化器より侵入したプリオン(PrPsc)が消化器で分解されずに、体内に吸収されseedとなって感染すると考えられる。しかし、他のアミロイドも分解されずに体内に侵入した場合、例えば手術時の手術器具や使い捨て以外の医療用器具から、感染する可能性が高い。
プリオン(PrPsc)の不活化に有効な方法としては、プリオン(PrPsc)に汚染された対象物を焼却(従来方法1)、134℃のオートクレーブで1時間(従来方法2)、3% SDS溶液100℃で10分煮沸(従来方法3)、7M 塩酸グアニジン溶液に室温で2時間浸漬(従来方法4)、3M グアニジンチオシアネート溶液に室温で2時間浸漬(従来方法5)、3M トリクロロ酢酸溶液に室温で2時間浸漬(従来方法6)、60% ギ酸溶液に室温で2時間浸漬(従来方法7)、50% フェノール溶液に室温で2時間浸漬(従来方法8)、1% 次亜塩素酸ナトリウム溶液に室温で2時間浸漬、1Nの水酸化ナトリウムに室温で1時間浸漬(従来方法9)などがある。しかし、何れの方法によってもプリオン(PrPsc)の不活化を要する器具の損傷を免れない。
本実施形態の洗浄殺菌方法は、従来方法1〜9の各方法とは異なり、高圧高温あるいは高濃度の薬剤に耐えられないような医療用器具に対しても使用することができ、プリオン(PrPsc)や伝播(感染)性アミロイドの洗浄除去とアミロイド化(seeding)による伝播(感染)の活性を失わせることを可能とする洗浄殺菌方法である。具体的には、洗浄の対象となる医療用器具、食肉加工用具、調理用具等の対象物をアルカリ性電解水で超音波洗浄あるいは攪拌洗浄するアルカリ性電解水洗浄工程と、アルカリ性電解水洗浄工程の後、対象物を酸性電解水に浸漬して撹拌する酸性電解水洗浄工程と、を有するものである。また、必要に応じて、アルカリ性電解水洗浄工程前に、対象物を水(浄化処理された水であり、飲用に適する水、蒸留水、純水、フィルターを通した水でもよい)で超音波洗浄あるいは攪拌洗浄する水洗浄工程を有してもよい。
第1工程(水洗浄工程)において、水道水(浄化処理された水であり、飲用に適する水、蒸留水、純水、フィルターを通した水でもよい)に超音波照射をしながら、あるいは、水道水を攪拌しながら対象物を洗浄する。この第1工程は、対象物に大量の汚染物が付着している場合等に、後述する第2工程の洗浄効率を高めることを目的として行われる。対象物への汚染物の付着が比較的軽微である場合には、第1工程を省略してもよい。
第1工程(水洗浄工程)の洗浄時間は、好ましくは1〜3分であり、より好ましくは3〜5分であり、さらに好ましくは5〜10分である。第1工程の洗浄時間が、3分以上であることにより、洗浄効果がより高くなる傾向にある。また、第1工程の洗浄時間が、3分程度にすることで、洗浄効率がより高くなる傾向にある。また、第1工程の洗浄時間は、対象物の量と対象物の汚染度合に応じて変更することが好ましい。
第2工程において、アルカリ性電解水に超音波照射をしながら、あるいは、アルカリ性電解水を攪拌しながら、対象物を好ましくは3分間洗浄する。この第2工程は、対象物に付着した汚染物を洗浄除去し、プリオン(PrPsc)と伝播(感染)性アミロイドやウイルスの不活化を目的として行われる。アルカリ電解水への超音波照射によりヒドロキシルラジカルが生成し、汚染物である微生物の細胞壁や、プリオン(PrPsc)や伝播(感染)性アミロイドの不活化と凝集抑制、ウイルスを分解し、不活化させ、汚染物である生体由来の脂肪などの有機物を分解する。
第2工程(アルカリ性電解水洗浄工程)の洗浄時間は、好ましくは1〜3分であり、より好ましくは3〜5分であり、さらに好ましくは5〜20分である。第2工程の洗浄時間が、3分以上であることにより、洗浄効果がより高くなる傾向にある。また、第2工程の洗浄時間が、3分程度であることにより、洗浄効率がより高くなる傾向にある。また、第2工程の洗浄時間は、洗浄対象物の量と対象物の汚染度合に応じて変更することが好ましい。
アルカリ性電解水のpHとしては、pH11.5〜12程度が好ましい。プリオン(PrPsc)及び伝搬(感染)性アミロイドの伝搬(感染)性と凝集の抑制効果は、水酸基イオンの濃度に依存するので、このようなアルカリ性電解水を用いることにより、プリオン(PrPsc)及び伝搬(感染)性アミロイドの伝搬(感染)性の不活化と凝集抑制効果により洗浄効果がより向上するとともに、生体由来の有機物の分解による洗浄除去効果が向上する。
なお、第2工程(アルカリ性電解水洗浄工程)の前に、隔膜で隔てられた電解装置に塩化ナトリウム水溶液又は塩化カリウム水溶液を入れて電気分解を行い、陽極側に酸性の溶液(酸性電解水)を得ると共に、陰極側にはアルカリ性の溶液(アルカリ性電解水)を得る。
第2工程で使用したアルカリ性電解水を洗浄槽から排出した後、続く第3工程では、対象物を浸漬した水(浄化処理された水であり、飲用に適する水、蒸留水、純水、フィルターを通した水でもよい)に超音波照射をしながら、あるいは、水を攪拌しながら、対象物を好ましくは1分間洗浄する。この第3工程は、第2工程の後、残留汚染物や分解汚染物の再付着を防止し、第1及び第2工程では除去することができなかった残留汚染物を対象物から剥離させ、除去し、水によってアルカリ性電解水成分をすすぐことを目的として行われる。なお、第3工程は必要に応じて適宜行う工程であり、行わなくともよい。
その後、第4工程(酸性電解水洗浄工程)において、酸性電解水を撹拌しながら対象物の種類と汚染付着物の量に応じて、好ましくは3分間以上洗浄する。第4工程は、抗酸菌及び芽胞菌など外界からの影響に対して強い抵抗力を持つ細菌等に対する洗浄、消毒、殺菌効果を十分に得るため、酸性電解水の撹拌による洗浄、消毒、殺菌、滅菌、プリオン(PrPsc)及び伝播(感染)性アミロイドの伝播性失活と凝集抑制とウイルスの不活化を目的として行われるものである。酸性電解水中のHOCl(分子状次亜塩素酸)は細菌の細胞壁と形質膜を透過し、細菌内部の酵素や核酸を酸化させ、細胞は死滅するといわれている。
第4工程(酸性電解水洗浄工程)の洗浄時間は、好ましくは1〜3分であり、より好ましくは3〜5分であり、さらに好ましくは5〜10分である。第4工程の洗浄時間が、3分以上であることにより、洗浄効果がより高くなる傾向にある。また、第4工程の洗浄時間が、3分程度であることにより、効率的な洗浄ができる。
酸性電解水のpHとしては、pH2.5程度が好ましい。このような酸性電解水を用いることにより、洗浄効果がより向上する傾向にある。作業環境に配慮し、塩素ガスの生成量を抑えるには、pH2.5〜3.5とすることがより好ましい。
その後、第5工程(水洗浄工程)において、対象物を浸漬した水道水(浄化処理された水であり、飲用に適する水、蒸留水、純水、フィルターを通した水でもよい)に超音波照射をしながら、あるいは、同時にその水道水を攪拌しながら、対象物を1分間洗浄する。この第5工程は、第4工程で使用した酸性電解水や分解残留物を対象物から剥離させ、除去し、対象物の清浄性を高めることを目的としている。金属製対象物の場合、第5工程の時間を第4工程時間より長くすることが望ましい。
その後、第6工程(紫外線照射工程)において、フィルター等を通した清浄な空気を供給して対象物を乾燥させながら、対象物に紫外線を照射する。この第6工程により、空気に混入した浮遊菌を防止し、洗浄後の状態を保つことが可能となる。
本実施形態の場合、第2工程(アルカリ性電解水洗浄工程)を行う時間は、第4工程(酸性電解水洗浄工程)を行う時間よりも長い時間であることが好ましい。例えば、アルカリ電解水による洗浄は、洗浄対象物の素材や量、付着汚染物の量に応じて、3〜20分の間の時間であることが好ましく、酸性電解水による洗浄は、洗浄対象物の素材や量、付着汚染物の量に応じて、1分〜20分の間の時間であることが好ましい。これにより、アルカリ性電解水による超音波洗浄、酸性電解水による攪拌洗浄の効果を確実に発揮させ、プリオン(PrPsc)や伝播(感染)性アミロイドを不活化させ、その伝播(感染)と凝集を防止することができる。
また、本実施形態では、第1工程及び第3工程、第5工程で使用された水と第2工程で使用されたアルカリ性電解水と第4工程で使用された酸性電解水とを混合し、その混合した廃液を電気分解する工程を有することも好ましい態様である。これによって、対象物から洗い流された細菌の殺菌とウイルスの不活化、プリオンや伝播(感染)性アミロイドの不活化及び凝集抑制が期待できる。
また、第4工程(酸性電解水洗浄工程)を除く他の工程においては、対象物の汚染度合や汚染物の付着度合い、また、内視鏡用カメラあるいは内視鏡本体といった対象物の種類に応じて、超音波洗浄か撹拌洗浄、あるいはそれら両方を同時に行う洗浄方法を選択することができる。ただし、超音波洗浄の際に生じるキャビテーションは、金属製対象物や内視鏡や内視鏡用カメラなどの光学精密医療器具を損傷させるおそれがある。したがって、超音波洗浄を選択する場合は、洗浄対象物の形状や、表面及び内腔汚染物の付着強度に応じて間欠的あるいは連続的に超音波を照射することが望ましい。さらに、超音波の照射時間は、対象物の形状や、対象物が規定する洗浄条件に応じて、第1工程洗浄時間の10〜30%とすることが望ましい。
ここで、第4工程(酸性電解水洗浄工程)を除く他の工程において、超音波洗浄を行わず撹拌洗浄のみで洗浄した場合と、超音波洗浄及び撹拌洗浄を同時に行って洗浄した場合とで、対象物から菌を除去するのに要した時間を評価した。詳細には、黄色ブドウ球菌、大腸菌、緑膿菌及び非結核性抗酸菌が同程度に付着した複数の試験体を用意し、それぞれの試験体を撹拌洗浄のみで洗浄した場合と、超音波洗浄及び撹拌洗浄を同時に行って洗浄した場合とで、各菌が実用レベルまで除去されるのに要した時間を評価した。表1に評価結果を示す。時間は第2工程と第4工程それぞれに要する時間であり、第1工程は3分、第3と第5工程は1分である。
第4工程(酸性電解水洗浄工程)を除く他の工程において、超音波洗浄及び撹拌洗浄を同時に行って洗浄した場合(超音波あり)では、超音波洗浄を行わず撹拌洗浄のみで洗浄した場合(超音波無し)に比べて、各工程に要する時間を概ね短縮できることを確認した。
また、超音波を照射した超純水、塩化ナトリウム水溶液及びアルカリ電解水の混合溶液から生成されたラジカル種の比較データを図1に示す。詳細には、(a)800μLの超純水と200μLの890mM DMPO溶液の混合溶液、(b)800μLの4%塩化ナトリウム水溶液と200μLの890mM DMPO溶液の混合溶液、(c)800μLのアルカリ電解水(pH=11.6)と200μLの890mM DMPO溶液の混合溶液、の3種類の混合溶液を容量1500μLのマイクロテストチューブにそれぞれ封入するとともに、超音波を10分間照射し、生成されたラジカル種を比較した結果である。
図1に示すように、超音波を照射した全ての混合溶液において、ラジカル種が生成されたことを確認できたが、特にアルカリ電解水の混合溶液において、多くのラジカル種が生成されたことを確認できた。ラジカル種のなかでも、ヒドロキシラジカルは特に反応速度が速く、酸化反応を促進させる反応中間体として知られている。また、ヒドロキシラジカルは、タンパク変性、酵素失活反応を引き起こすことが知られている。したがって、第2工程のように、アルカリ性電解水を用いた洗浄を行う工程では、アルカリ性電解水に超音波を照射することで、特に高い洗浄効果や、プリオン及び伝播(感染)性アミロイドの不活化及び凝集抑制効果を得ることが可能となる。
(実施例)
実施例として、プリオン(PrPsc)を付着させた針を、上述した本実施形態の洗浄殺菌方法に則って洗浄後、マウスの脳実質にステンレス針を差し込み、発症死亡までの生存期間を計測した。対照として、洗浄しない針をマウスの脳実質に差し込み、発症死亡までの生存期間を計測した。本実施例に用いる洗浄によるプリオン伝播(感染)検証プログラムを各ステップごとに説明する。
(ステップ1)ステンレス針(径0.2mm)をプリオン(PrPsc)病発症脳(Fukuoka−1株 LD50/g=107.9)の50%脳乳剤に10分間暴露し、室温で1時間乾燥させる。
(ステップ2)ステップ1で作成したプリオン(PrPsc)汚染針を、そのまま洗浄せずにマウス脳内に直接接種(深さ5mm、3秒間)する。
(ステップ3)ステップ1で作成したプリオン(PrPsc)汚染針を、水道水で20分間超音波洗浄し、マウス脳内に直接接種(深さ5mm、3秒間)する。
(ステップ4)ステップ1で作成したプリオン(PrPsc)汚染針を、アルカリ性電解液で20分間超音波洗浄し、マウス脳内に直接接種(深さ5mm、3秒間)する。
(ステップ5)のプリオン(PrPsc)汚染針を酸性電解水中に入れ撹拌しながら、10分間洗浄し、マウス脳内に直接接種(深さ5mm、3秒間)する。
検体グループ1では、ステップ1及びステップ2を行い、プリオン(PrPsc)汚染針を洗浄せずに、マウス脳内に接種した。検体グループ2では、ステップ1及びステップ3を行い、プリオン(PrPsc)汚染針を水道水で20分間超音波洗浄後、針をマウス脳内に接種した。検体グループ3では、ステップ1,3,4を行い、プリオン(PrPsc)汚染針を水道水で20分間の超音波洗浄後、アルカリ性電解水で20分間超音波洗浄し、針をマウス脳内に接種した。検体グループ4では、ステップ1,3,4,5を行い、プリオン(PrPsc)汚染針を水道水で20分間の超音波洗浄後、アルカリ性電解水で20分間超音波洗浄、さらに酸性電解水で10分間浸漬後、針をマウス脳内に接種した。それぞれの洗浄効果を表2に示す。
検体グループ3の結果から、プリオン(PrPsc)付着針の水と超音波およびアルカリ性電解水と超音波の洗浄によって、マウス4匹中3匹が発症しなかった。検体グループ4の結果から、プリオン(PrPsc)付着針のアルカリ性電解水と超音波、酸性電解水の撹拌洗浄によって、5匹中5匹が発症しなかった。
更に、プリオン(PrPsc)付着針を洗浄した後の洗浄液に含まれるプリオン(PrPsc)を想定して、プリオン(PrPsc)の感染実験を行った。超音波洗浄や浸漬、攪拌によって針からはがれおちたプリオン(PrPsc)は、溶液中に混入するが、seeding活性の有無については不明であった。そこで、洗浄後の排液に含まれるプリオン(PrPsc)の感染性について検証した。
(比較実験)プリオン(PrPsc)汚染針6本を洗浄した後の生理食塩水10mmlを、10,000g,1h遠心濃縮後、1mLに溶解し、0.02mLを、マウス脳内に直接接種(深さ5mm、3秒間)する。
(ステップ6)ステップ4で用いた、プリオン(PrPsc)汚染針6本を洗浄した後のアルカリ性電解水10mLを、10,000g,1h遠心濃縮後、1mLに溶解し、0.02mLを、マウス脳内に直接接種(深さ5mm、3秒間)する。
(ステップ7)ステップ5で用いた、プリオン(PrPsc)汚染針6本を洗浄した後の酸性電解水10mLを、10,000g,1h遠心濃縮後、1mLに溶解し、0.02mLを、マウス脳内に直接接種(深さ5mm、3秒間)する。
検体グループ5は(比較実験)を行った。検体グループ6では、ステップ1及びステップ6を行い、検体グループ7では、ステップ1及びステップ7を行った。表3に、プリオン(PrPsc)に汚染された針を洗浄した後の廃液による感染評価試験の結果を示す。
このように、プリオン(PrPsc)の付着した針を洗浄した後のアルカリ性電解水と酸性電解水の排液を針に塗布し、それぞれマウス脳内への接種実験を行ったところ、感染率の低下が確認された。
これらの結果から、針に付着したプリオン(PrPsc)の性状に変化が起き、針表面から剥離したことに加え、酸性電解水、アルカリ電解水にさらされたことによって、プリオン(PrPsc)の感染性に変化が生じた可能性が示唆されている。
プリオン(PrPsc)の感染とは、Seeding(播種)である。Seedingを推進するのは、プリオン(PrPsc)分子がα構造からβ構造に変わることと、重合化にともなう分子連結によるエントロピ減少による自由エネルギーの低下である。
アミロイドを形成するamyloidogenicタンパク質のアミロイド中心(core)には荷電したアミノ酸があって、正常な(natural)な状態ではタンパク質の疎水環境に囲まれているがα構造からβ構造に変わること、親水環境になり、静電気相互作用し、アミロイド化(βsheet化)が起き、線維化へと進む。しかし、酸性、特に水素イオンリッチな強酸性の環境下では、AspとGluが、正の電荷を持つ水素イオンによって負の荷電を失うことが知られている(Nature 1996 382:180−182)。
OH−リッチなアルカリ環境下では、負に荷電したOHイオン電子がアミロイドを形成するアミノ酸分子の周囲を取り囲み、正電荷を持つアミノ酸表面の電荷が変化し、結合の機能を失うためにプリオン(PrPsc)の重合化が阻害される。
したがって、アルカリ性電解水、酸性電解水、酸性電解水中の残留塩素濃度20〜80ppmの環境にさらすことでプリオン(PrPsc)のSeedingが起きないため、感染性は失われる。RT−QUICK(リアルタイムクイック)法で確認した結果を図2に示す。ステンレスワイヤーにプリオン(PrPsc)を付着させ、洗浄効果をRT−QUICK(リアルタイムクイック)法で確認した。図2Aは、何も吸着させていないワイヤーに対して行なったRT−QUICK法の結果を示す図である。図2B〜Eは、ホモジネートを吸着させたワイヤーに対して行なったRT−QUICK法の結果を示す図である。図2F〜Iは、本実施形態の洗浄殺菌方法により洗浄した後の、脳ホモジネートを吸着させたワイヤーに対して行なったRT−QUICK法の結果を示す図である。
また、RT―QUICK(リアルタイムクイック)法でNaOH濃度によるヒトプリオン(PrPsc)不活化の評価結果を図3A〜Tに示す。図3A〜Tにおいて、「sCJD」は、「sporadic Creutfeldt Jakob disease(孤発性クロイツフェルト・ヤコブ病)」である。表の縦軸はThT蛍光強度を示し、横軸はサイクル数を示す。Brain Homogenateは、脳乳剤である。「0 N NaOH」は、「0規定 水酸化ナトリウム」を示し、「0.01N NaOH」は、「0.01規定 水酸化ナトリウム pH 11.3」を示し、「0.1N NaOH」は、「0.1規定 水酸化ナトリウム pH 12.6」を示し、「1N NaOH」は、「1規定 水酸化ナトリウム pH 13.2」を示す。「SD50/g Brain」は、「SD50はStandard Deviation(標準偏差)であり、50%致死量」を示している。
細菌類の場合:残留塩素を含む水素イオン(H+)リッチな酸性電解水環境では、その酸化能により病原菌細菌の細胞膜を形成する陰性電荷リン脂質の結合平衡が破れ、細胞膜が破壊され、内部の細胞質が流出し、細菌は生命を維持できなくなる。細菌は殺菌され、感染性を失う。
表4には、塩化ナトリウムを添加し電気分解して得られたアルカリ性電解水と酸性電解水で洗浄した際の殺菌効果を示した。
H+引き抜きによる酸化反応は、ウイルスの細胞壁、DNA、RNAに作用し、ウイルスを不活化させる。

Claims (6)

  1. 医療用器具、動物用医療器具、食肉加工用具及び調理用具を含む対象物の洗浄殺菌方法であって、
    前記対象物をアルカリ性電解水で、第1所定時間の間、超音波洗浄あるいは攪拌洗浄するアルカリ性電解水洗浄工程と、前記アルカリ性電解水洗浄工程の後、前記対象物を酸性電解水で、第2所定時間の間、撹拌洗浄あるいは浸漬する酸性電解水洗浄工程と、を有する、洗浄殺菌方法。
  2. 前記第1所定時間は、前記第2所定時間よりも長い時間である、請求項1に記載の洗浄殺菌方法。
  3. 前記酸性電解水洗浄工程において、酸性電解水を攪拌する、請求項1又は2に記載の洗浄殺菌方法。
  4. 前記酸性電解水洗浄工程の後、前記対象物を水で洗浄する水洗浄工程と、前記水洗浄工程の後、前記対象物に紫外線を照射する紫外線照射工程と、を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の洗浄殺菌方法。
  5. 前記アルカリ性電解水洗浄工程の前に、前記対象物を水で、第3所定時間の間、超音波洗浄あるいは攪拌洗浄する水洗浄工程をさらに有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の洗浄殺菌方法。
  6. 前記アルカリ性電解水及び前記酸性電解水は、電解槽に供給された塩化ナトリウム水溶液又は塩化カリウム水溶液を電解することによって得られるものである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の洗浄殺菌方法。
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