JPWO2014129265A1 - 重合性基を有する3級窒素原子含有ラクトン重合体とその製造方法 - Google Patents

重合性基を有する3級窒素原子含有ラクトン重合体とその製造方法 Download PDF

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Abstract

各種機能性高分子材料の原料モノマーとして有用な新規な重合性基を有する3級窒素原子含有ラクトン重合体を提供する。本発明の重合性基を有する3級窒素原子含有ラクトン重合体は、下記式(1)【化1】[式中、R1は2価の炭化水素基等を示し、R2は水素原子又は炭化水素基等を示す。A1は下記式(2)又は(3)【化2】(式中、R3、R4は炭化水素基等を示す。R5は炭化水素基等を示す)で表される基、又は含窒素芳香族複素環式基を示す。A2は炭素数2〜9の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基を示す。nは1〜50の整数を示す]で表される化合物(A)に、ポリイソシアネート化合物(B)及びヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート化合物(C)を反応させて得られるラクトン重合体である。【選択図】なし

Description

本発明は、重合性基を有する3級窒素原子含有ラクトン重合体とその製造方法、前記重合性基を有する3級窒素原子含有ラクトン重合体を含有する硬化性組成物、前記重合性基を有する3級窒素原子含有ラクトン重合体の原料として有用な工業製品としての3級窒素原子含有ラクトン重合体、及び3級窒素原子含有ラクトン重合体の製造方法に関する。前記重合性基を有する3級窒素原子含有ラクトン重合体は、種々の高分子材料(例えば、界面活性剤、分散剤、分散体、接着剤、コーティング材料、硬化樹脂等)の原料モノマーとして有用である。
従来、アミノ基を含有するラクトン重合体は、塗料の顔料分散性や金属との密着性を向上させる材料として利用されている。例えば、該アミノ基を含有するラクトン重合体を樹脂に直接反応させて取り込ませたり、該アミノ基を含有するラクトン重合体に重合性の二重結合を導入して他のアクリルモノマーと共重合させることが知られている。より具体的には、アミノ基を含有するラクトン重合体として、アルカノールアミンを出発原料とし、これにε−カプロラクトンを開環付加重合させて得られる化合物が知られている。
また、アミノ基を含有するラクトン重合体の末端に重合性の二重結合を導入し、他のアクリルモノマーと共重合させる方法として、例えば、特開平4−149219号公報には、N,N−ジメチルアミノエタノール等のアルカノールアミンにβ−メチル−δ−バレロラクトンを付加することによりアミノ基を含有するポリカプロラクトンを得、該アミノ基を含有するポリカプロラクトンへアクリル基を導入する方法が記載されている。なお、この文献には、アルカノールアミンを出発物質として用い、ラクトンとしてε−カプロラクトンを用いる場合には、顔料分散性や顔料分散安定製等の性能を向上させるためにはε−カプロラクトンの重合度を大きくする必要があるが、ε−カプロラクトンの重合度が3〜5以上になると結晶化する傾向にあり、重合度が10程度になるとロウ状になり取扱性に問題があり、さらに樹脂中に導入しても結晶化の可能性があるため所望性能を得る上で問題があると記載されている。
一方、特公平3-12053号公報には、触媒の存在下で、ε−カプロラクトンを有機ジアミンと反応させて、アミノ基を含有するポリカプロラクトン重合体を得る方法が提案されている。
特開平4−149219号公報 特公平3-12053号公報
前記のように、一般に、ε−カプロラクトンを付加重合させる際、ε−カプロラクトンの重合度が高くなると結晶化しやすくなる。したがって、重合度の低いε−カプロラクトン付加重合物が合成できれば、結晶化を抑制でき、かつ樹脂に導入した際の結晶化の可能性も低くなる。しかしながら、重合度の低い1〜2程度のε−カプロラクトン付加重合物を得る場合には、一般に原料(未反応の開始剤)が生成物中に残り、重合度の低いε−カプロラクトン付加重合物を樹脂中に導入しても、原料特有の臭いを発したり、顔料分散性、分散安定性等の樹脂性能を低下させるおそれがある。
本発明の目的は、各種機能性高分子材料の原料モノマーとして有用な新規な重合性基を有する3級窒素原子含有ラクトン重合体とその工業的に効率のよい製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、前記重合性基を有する3級窒素原子含有ラクトン重合体を含有する硬化性組成物を提供することにある。
本発明の他の目的は、前記重合性基を有する3級窒素原子含有ラクトン重合体の原料として有用な工業製品としての3級窒素原子含有ラクトン重合体を提供することにある。
さらに、本発明の別の目的は、残存未反応原料を低減できる3級窒素原子含有ラクトン重合体の効率的な製造方法を提供することにある。
本発明者らは上記も目的を達成するため鋭意検討した結果、分子内に3級窒素原子(3級アミン構造等)及び1級若しくは2級アミン構造を有するアミン化合物とラクトンモノマーとを触媒の非存在下で反応させると、3級窒素原子(3級アミン又は含窒素芳香族複素環を構成する窒素原子)を有するラクトン付加物が得られること、また重合度が低いにも関わらず、原料残渣(未反応のアミン化合物)含有量が極めて低いラクトン付加物を合成できることを見出した。また、前記アミン化合物とラクトンモノマーとを反応させて得られる3級窒素原子を有するラクトン付加物の末端に重合性の二重結合を導入することで、3級窒素原子を有するアクリルモノマーが得られることを見出した。本発明は、これらの知見に基づき、さらに検討を重ねて完成したものである。
すなわち、本発明は、下記式(1)
Figure 2014129265
[式中、R1は置換基を有していてもよい2価の炭化水素基を示し、R2は水素原子又は置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。R1を構成する炭素原子とR2は、互いに結合して、式中に示される窒素原子とともに環を形成していてもよい。A1は下記式(2)又は(3)
Figure 2014129265
(式中、R3、R4は、同一又は異なって、置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。R3及びR4は、互いに結合して、隣接する窒素原子とともに環を形成していてもよい。R5は置換基を有していてもよい炭化水素基を示す)
で表される基、又は含窒素芳香族複素環式基を示す。A2は炭素数2〜9の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基を示す。nは1〜50の整数を示す。nが2以上の場合、n個のA2は同一でもよく異なっていてもよい]
で表される化合物(A)に、ポリイソシアネート化合物(B)及びヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート化合物(C)を反応させて得られる重合性基を有する3級窒素原子含有ラクトン重合体を提供する。
本発明は、また、下記式(1)
Figure 2014129265
[式中、R1は置換基を有していてもよい2価の炭化水素基を示し、R2は水素原子又は置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。R1を構成する炭素原子とR2は、互いに結合して、式中に示される窒素原子とともに環を形成していてもよい。A1は下記式(2)又は(3)
Figure 2014129265
(式中、R3、R4は、同一又は異なって、置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。R3及びR4は、互いに結合して、隣接する窒素原子とともに環を形成していてもよい。R5は置換基を有していてもよい炭化水素基を示す)
で表される基、又は含窒素芳香族複素環式基を示す。A2は炭素数2〜9の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基を示す。nは1〜50の整数を示す。nが2以上の場合、n個のA2は同一でもよく異なっていてもよい]
で表される化合物(A)に、分子内にヒドロキシル基に対して反応性を有する官能基を有するとともに(メタ)アクリロイル基を有する化合物(D)を反応させて得られる重合性基を有する3級窒素原子含有ラクトン重合体を提供する。
前記分子内にヒドロキシル基に対して反応性を有する官能基を有するとともに(メタ)アクリロイル基を有する化合物(D)としては、(D1)(メタ)アクリル酸ハライド、(D2)(メタ)アクリル酸エステル、(D3)(メタ)アクリル酸無水物、又は(D4)分子内にイソシアネート基と(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する化合物であるのが好ましい。
本発明は、さらに、下記式(1)
Figure 2014129265
[式中、R1は置換基を有していてもよい2価の炭化水素基を示し、R2は水素原子又は置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。R1を構成する炭素原子とR2は、互いに結合して、式中に示される窒素原子とともに環を形成していてもよい。A1は下記式(2)又は(3)
Figure 2014129265
(式中、R3、R4は、同一又は異なって、置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。R3及びR4は、互いに結合して、隣接する窒素原子とともに環を形成していてもよい。R5は置換基を有していてもよい炭化水素基を示す)
で表される基、又は含窒素芳香族複素環式基を示す。A2は炭素数2〜9の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基を示す。nは1〜50の整数を示す。nが2以上の場合、n個のA2は同一でもよく異なっていてもよい]
で表される化合物(A)に、ポリイソシアネート化合物(B)及びヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート化合物(C)を反応させることを特徴とする重合性基を有する3級窒素原子含有ラクトン重合体の製造方法を提供する。
本発明は、さらにまた、下記式(1)
Figure 2014129265
[式中、R1は置換基を有していてもよい2価の炭化水素基を示し、R2は水素原子又は置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。R1を構成する炭素原子とR2は、互いに結合して、式中に示される窒素原子とともに環を形成していてもよい。A1は下記式(2)又は(3)
Figure 2014129265
(式中、R3、R4は、同一又は異なって、置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。R3及びR4は、互いに結合して、隣接する窒素原子とともに環を形成していてもよい。R5は置換基を有していてもよい炭化水素基を示す)
で表される基、又は含窒素芳香族複素環式基を示す。A2は炭素数2〜9の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基を示す。nは1〜50の整数を示す。nが2以上の場合、n個のA2は同一でもよく異なっていてもよい]
で表される化合物(A)に、分子内にヒドロキシル基に対して反応性を有する官能基を有するとともに(メタ)アクリロイル基を有する化合物(D)を反応させることを特徴とする重合性基を有する3級窒素原子含有ラクトン重合体の製造方法を提供する。
本発明は、また、前記の重合性基を有する3級窒素原子含有ラクトン重合体を含有する硬化性組成物を提供する。
この硬化性組成物においては、前記重合性基を有する3級窒素原子含有ラクトン重合体以外のアミン化合物の含有量が、前記重合性基を有する3級窒素原子含有ラクトン重合体の10重量%以下であることが好ましい。
本発明は、さらに、下記式(1)
Figure 2014129265
[式中、R1は置換基を有していてもよい2価の炭化水素基を示し、R2は水素原子又は置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。R1を構成する炭素原子とR2は、互いに結合して、式中に示される窒素原子とともに環を形成していてもよい。A1は下記式(2)又は(3)
Figure 2014129265
(式中、R3、R4は、同一又は異なって、置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。R3及びR4は、互いに結合して、隣接する窒素原子とともに環を形成していてもよい。R5は置換基を有していてもよい炭化水素基を示す)
で表される基、又は含窒素芳香族複素環式基を示す。A2は炭素数2〜9の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基を示す。nは1〜50の整数を示す。nが2以上の場合、n個のA2は同一でもよく異なっていてもよい]
で表される化合物(A)を90重量%以上含む工業製品としての3級窒素原子含有ラクトン重合体であって、不純物としての下記式(4)
Figure 2014129265
(式中、R1、R2、A1は前記に同じ)
で表されるアミン化合物の含有量が1重量%以下である工業製品としての3級窒素原子含有ラクトン重合体を提供する。
前記工業製品としての3級窒素原子含有ラクトン重合体は、25℃において液状であるのが好ましい。
本発明は、さらにまた、下記式(4)
Figure 2014129265
[式中、R1は置換基を有していてもよい2価の炭化水素基を示し、R2は水素原子又は置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。R1を構成する炭素原子とR2は、互いに結合して、式中に示される窒素原子とともに環を形成していてもよい。A1は下記式(2)又は(3)
Figure 2014129265
(式中、R3、R4は、同一又は異なって、置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。R3及びR4は、互いに結合して、隣接する窒素原子とともに環を形成していてもよい。R5は置換基を有していてもよい炭化水素基を示す)
で表される基、又は含窒素芳香族複素環式基を示す]
で表されるアミン化合物に、下記式(5)
Figure 2014129265
(A2は炭素数2〜9の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基を示す)
で表されるラクトンを、触媒の非存在下で反応させて、下記式(1)
Figure 2014129265
(式中、R1、R2、A1、A2は前記に同じ。nは1〜50の整数を示す。nが2以上の場合、n個のA2は同一でもよく異なっていてもよい)
で表される化合物(A)を得ることを特徴とする3級窒素原子含有ラクトン重合体の製造方法を提供する。
本発明の重合性基を有する3級窒素原子含有ラクトン重合体は、分子内に3級窒素原子(3級アミン又は含窒素芳香族複素環を構成する窒素原子)を有するとともに(メタ)アクリロイル基を有するので、共重合モノマーとして使用することにより、側鎖末端に3級窒素原子を含む基を有するポリマーに誘導できる。このようなポリマーは、顔料や金属に対する密着性が高く、分散性に優れ、水界面との親和性が高いため、例えば、界面活性剤、分散剤、分散体、接着剤、コーティング剤、硬化樹脂等として用いることができる。
本発明の重合性基を有する3級窒素原子含有ラクトン重合体の製造方法によれば、前記重合性基を有する3級窒素原子含有ラクトン重合体を工業的に効率よく製造できる。
本発明の工業製品としての3級窒素原子含有ラクトン重合体は、未反応原料(アミン化合物)の含有量が低いので、不快なアミン臭が少なく、取扱性に優れるとともに、該3級窒素原子含有ラクトン重合体から誘導される製品(高分子材料等)の物性や特性を損なわない。
本発明の3級窒素原子含有ラクトン重合体の製造方法によれば、重合度の低いラクトン重合体を得る場合であっても、残存するアミン化合物(未反応原料)の量を低減でき、不快臭の少ない3級窒素原子含有ラクトン重合体製品を得ることができる。
図1は、実施例1で得られたラクトン重合体の1H−NMRスペクトルを示す図である。 図2は、比較例1で得られたラクトン重合体の1H−NMRスペクトルを示す図である。
[重合性基を有する3級窒素原子含有ラクトン重合体]
本発明の第1の重合性基を有する3級窒素原子含有ラクトン重合体(「重合性基を有する3級窒素原子含有ラクトン重合体−1」と称する場合がある)は、前記式(1)で表される化合物(A)に、ポリイソシアネート化合物(B)及びヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート化合物(C)を反応させて得られる重合反応性化合物である。また、本発明の第2の重合性基を有する3級窒素原子含有ラクトン重合体(「重合性基を有する3級窒素原子含有ラクトン重合体−2」と称する場合がある)は、前記式(1)で表される化合物(A)に、分子内にヒドロキシル基に対して反応性を有する官能基を有するとともに(メタ)アクリロイル基を有する化合物(D)を反応させて得られる重合反応性化合物である。
前記第1の重合性基を有する3級窒素原子含有ラクトン重合体と第2の重合性基を有する3級窒素原子含有ラクトン重合体は、分子内に式(1)で表される化合物(A)に由来する構造部を有し且つ末端に(メタ)アクリロイル基を有する点で共通する化合物である。このような化合物は、分子内に3級窒素原子(3級アミン又は含窒素芳香族複素環を構成する窒素原子)を有するとともに(メタ)アクリロイル基を有するので、他のモノマーと共重合することにより、側鎖末端に3級窒素原子を含む基を有するポリマーに誘導できる。該ポリマーは、顔料や金属に対する密着性が高く、分散性に優れ、水界面との親和性が高いため、種々の機能性材料として使用できる。
[式(1)で表される化合物(A)(3級窒素原子含有ラクトン重合体)]
前記式(1)において、R1は置換基を有していてもよい2価の炭化水素基を示す。2価の炭化水素基としては、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、オクタメチレン、デカメチレン基等の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基等の2価の脂肪族炭化水素基(例えば、炭素数1〜10の2価の脂肪族炭化水素基);シクロペンチレン、シクロペンチリデン、シクロへキシレン、シクロヘキシリデン基等の2価の脂環式炭化水素基(例えば、炭素数3〜12の2価の脂環式炭化水素基);フェニレン、ナフチレン基等の2価の芳香族炭化水素基(例えば、炭素数6〜14の2価の芳香族炭化水素基);これらが2以上結合した2価の基などが挙げられる。これらの中でも、炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基、特に、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基が好ましい。
前記2価の炭化水素基が有していてもよい置換基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル基等のアルキル基(例えば、炭素数1〜6のアルキル基);アリル基等のアルケニル基(例えば、炭素数2〜6のアルケニル基);シクロペンチル、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基(例えば、炭素数3〜12のシクロアルキル基);フェニル、ナフチル基等の芳香族炭化水素基(例えば、炭素数6〜14の芳香族炭化水素基);フッ素、塩素、臭素原子等のハロゲン原子;メトキシ、エトキシ、プロポキシ基等のアルコキシ基(例えば、炭素数1〜6のアルコキシ基)などが挙げられる。
前記式(1)において、R2は水素原子又は置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。前記炭化水素基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシル基等の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基等の脂肪族炭化水素基(例えば、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基);シクロペンチル、シクロヘキシル基等の脂環式炭化水素基(例えば、炭素数3〜12の脂環式炭化水素基);フェニル、ナフチル基等の芳香族炭化水素基(例えば、炭素数6〜14の芳香族炭化水素基);これらが2以上結合した炭化水素基が挙げられる。R2としては、特に、水素原子、又は炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が好ましい。
前記R2において、炭化水素基が有していてもよい置換基としては、例えば、フッ素、塩素、臭素原子等のハロゲン原子;メトキシ、エトキシ、プロポキシ基等のアルコキシ基(例えば、炭素数1〜6のアルコキシ基)などが挙げられる。
前記R1を構成する炭素原子とR2は、互いに結合して、R1及びR2に隣接する窒素原子[式(1)中に示される窒素原子]とともに環を形成していてもよい。このような環として、例えば、例えば、ピロリジン環、ピペラジン環、モルホリン環等の3〜6員の含窒素複素環などが挙げられる。
前記式(1)において、A1は前記式(2)又は(3)で表される基、又は含窒素芳香族複素環式基を示す。
式(2)中、R3、R4は、同一又は異なって、置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。R3、R4における置換基を有していてもよい炭化水素基としては、前記R2における置換基を有していてもよい炭化水素基と同様のものが挙げられる。
前記R3及びR4は、互いに結合して、隣接する窒素原子とともに環を形成していてもよい。このような環として、例えば、ピロリジン環、ピペラジン環、モルホリン環等の3〜6員の含窒素複素環などが挙げられる。
前記式(3)中、R5は置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。該置換基を有していてもよい炭化水素基としては、前記R2における置換基を有していてもよい炭化水素基と同様のものが挙げられる。
前記A1における含窒素芳香族複素環式基の「含窒素芳香族複素環」としては、例えば、ピリジン環、キノリン環、イソキノリン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、キノキサリン環などが挙げられる。
式(1)において、A2は炭素数2〜9の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基を示す。炭素数2〜9の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基としては、例えば、エチレン、プロピレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、2−メチルテトラメチレン、ヘキサメチレン、オクタメチレン基などが挙げられる。
式(1)において、nは1〜50の整数を示す。nが2以上の場合、n個のA2は同一でもよく異なっていてもよい。
前記式(1)で表される化合物(A)は1種単独でも2種以上の組み合わせであってもよい。
前記式(1)で表される化合物(A)は、前記式(4)で表されるアミン化合物に、前記式(5)で表されるラクトンを、触媒の非存在下又は存在下で反応(開環付加重合)させることにより製造できる。
なお、本明細書では、式(1)においてn=1である場合も便宜上「ラクトン重合体」と称する。式(4)におけるR1、R2、A1、式(5)におけるA2は前記と同じ意味である。
前記式(4)で表されるアミン化合物は、分子内に少なくとも1つの3級窒素原子(3級アミン又は含窒素芳香族複素環を構成する窒素原子)と、少なくとも1つの1級又は2級窒素原子(1級アミン又は2級アミンを構成する窒素原子)とを有する化合物である。
式(4)で表される化合物の代表的な例として、例えば、N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン[=3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルアミン]、N,N−ジエチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジプロピル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジブチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジメチル−1,2−エタンジアミン、N,N−ジエチル−1,2−エタンジアミン、N,N−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、N,N−ジメチル−1,5−ペンタンジアミン、N,N−ジメチル−1,6−ヘキサンジアミン、N,N−ジメチル−N′−メチル−1,3−プロパンジアミン、4−(3−アミノプロピル)モルホリン、4−(2−アミノエチル)モルホリン、4−(3−アミノプロピル)ピペリジン、4−(2−アミノエチル)ピペリジン、4−(3−アミノプロピル)ピロリジン、4−(2−アミノエチル)ピロリジン、1−(3−アミノプロピル)−4−メチルピペラジン、1−(2−アミノエチル)−4−メチルピペラジン、4−(3−アミノプロピル)−1−メチルピペリジン、4−(2−アミノエチル)−1−メチルピペリジン、4−(N,N−ジメチルアミノ)ピペリジン、4−(N,N−ジメチルアミノメチル)ピペリジン、2−アミノピリジン、3−アミノピリジン、4−アミノピリジン、4−アミノメチルピリジン、4−(2−アミノエチル)ピリジン、4−(3−アミノプロピル)ピリジンなどが挙げられる。
前記式(4)で表されるアミン化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
式(5)で表されるラクトンの代表的な例として、β−プロピオラクトン、3−メチル−β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン(GBL)、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、3−メチル−δ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、δ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン、3−メチル−ε−カプロラクトン、4−メチル−ε−カプロラクトン、3,3,5−トリメチル−ε−カプロラクトン等の炭素数3〜10のラクトンなどが挙げられる。これらのラクトンの中でも、バレロラクトン類、カプロラクトン類等の炭素数4〜8のラクトンが好ましく、特に、工業性や経済性などの点から、ε−カプロラクトンなどのカプロラクトン類が好ましい。
前記式(5)で表されるラクトンは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記製造方法によれば、ラクトン化合物としてε−カプロラクトンを用いる場合であっても、未反応のアミンを多く残すことなく、重合度の低いラクトン重合体(ポリラクトン)を効率よく製造できる。
式(4)で表されるアミン化合物と式(5)で表されるラクトンの比率は、所望する式(1)で表される化合物(A)の重合度に応じて適宜選択できる。通常、式(5)で表されるラクトンの使用量は、式(4)で表されるアミン化合物1モルに対して、例えば、1〜100モル、好ましくは1.5〜100モル、さらに好ましくは2〜50モルである。また、例えば、式(1)においてn=2である化合物[ラクトンの重合度(付加モル数)=2]を目的とする場合には、式(5)で表されるラクトンの使用量は、式(4)で表されるアミン化合物1モルに対して、例えば、1.5〜2.5モル、好ましくは1.75〜2.25モルである。
上記反応は触媒の存在下で行ってもよいが、触媒非存在下で行うのが好ましい。触媒の非存在下で反応を行うと、特に、重合度の低いラクトン重合体を得る場合であっても、残存する式(4)で表されるアミン化合物(未反応原料)の量を低減でき、不快臭の少ないポリラクトン製品を得ることができる。例えば、式(1)で表される化合物(A)の含有量が90重量%以上(好ましくは95重量%以上、さらに好ましくは98重量%以上)であって、且つ式(4)で表されるアミン化合物の含有量が1.0重量%以下(好ましくは0.5重量%以下、さらに好ましくは0.2重量%以下)である工業製品としての3級窒素原子含有ラクトン重合体(ポリラクトン製品)を得ることができる。
本発明において、工業製品としての3級窒素原子含有ラクトン重合体(ポリラクトン製品)は、25℃において液状であることが好ましい。例えば、工業製品としての3級窒素原子含有ラクトン重合体(ポリラクトン製品)の25℃における粘度は、好ましくは2000mPa・s以下(例えば、2000〜20mPa・s)、より好ましくは1000〜50mPa・s、さらに好ましくは800〜100mPa・sである。
なお、上記反応において触媒(重合触媒)を用いる場合、該触媒としては、ラクトンの開環重合に用いられる公知の触媒を用いることができる。例えば、種々の有機又は無機の金属化合物などが使用でき、具体的には、反応性の点から、有機チタン系化合物(例えば、テトラエチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネートなどのテトラC1-6アルキルチタネートなど)、有機スズ系化合物(例えば、ジブチルスズオキシド、ジブチルスズラウレート、オクチル酸第一スズ、モノ−n−ブチルスズ脂肪酸塩など)、ハロゲン化スズ系化合物(塩化第一スズ、臭化第一スズ、ヨウ化第一スズなどのハロゲン化第一スズなど)などを使用できる。これらの触媒の使用量は、出発原料の総量[式(4)で表されるアミン化合物と式(5)で表されるラクトンの合計量]に対して、例えば、0.1〜1000ppm(重量基準)、好ましくは1〜500ppm、さらに好ましくは10〜300ppm程度である。触媒の使用量が少なすぎると、反応速度が遅くなる。逆に、触媒の使用量が多すぎると、反応速度は速くなるが、副生成物の生成量が多くなり、また生成物が着色しやすい。
本発明では、重合度が低くても未反応のアミン化合物を少なくするという観点から、触媒を用いないことが望ましく、用いたとしても、式(4)で表されるアミン化合物と式(5)で表されるラクトンの合計量に対して、0.1重量%未満、特に0.05重量%未満、とりわけ0.01重量%未満であることが望ましい。
式(4)で表されるアミン化合物と式(5)で表されるラクトンとを反応させる際の反応温度は、例えば50〜230℃、好ましくは60〜200℃、さらに好ましくは75〜180℃である。反応温度が低すぎると、反応速度が遅くなる。一方、反応温度が高すぎると、ラクトンの付加反応以外の副反応(例えば、ラクトン重合体におけるラクトンモノマーの分解、環状ラクトンダイマーの生成など)が起こりやすく、目的のヒドロキシル基末端を有するポリエステルの収率が低下しやすい。また、目的物の着色も起こりやすい。反応(攪拌)時間は、例えば、1〜72時間、好ましくは2〜48時間、さらに好ましくは3〜36時間(5〜30時間)程度である。
なお、反応温度を段階的に変化させて反応を行うこともできる。例えば、50〜140℃の温度で、反応混合物のアミン価が例えば250KOHmg/g以下(好ましくは200KOHmg/g以下、さらに好ましくは170KOHmg/g以下)になるまで反応させた後、140℃より高く230℃以下の温度で、式(5)で表されるラクトンの含有量が反応混合物全体に対して例えば3重量%以下(好ましくは1.5重量%以下、さらに好ましくは1重量%以下)になるまで反応させると、未反応の式(4)で表されるアミン化合物の量を低減しつつ、所望の重合度のポリラクトン(特に、重合度の低いポリラクトン)を効率よく得ることができる。
反応(開環付加重合)は無溶媒下で行ってもよく、溶媒の存在下で行ってもよい。溶媒の存在下で反応を行うと、反応終了後の系内の粘度を低下させる効果が得られ、且つ、反応中の温度コントロールが容易となる。前記溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン等の炭化水素や、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトンなどの活性水素をもたない不活性な溶媒を使用することが好ましい。一方、エステル結合を有する溶媒を使用すると、反応中に原料ラクトンのエステル基とエステル交換を起こし、3級窒素原子含有ラクトン重合体以外の副生物が生成しやすくなるため好ましくない。
反応(開環付加重合)は、窒素雰囲気下、アルゴン雰囲気下等の不活性雰囲気下で行うことが好ましい。空気雰囲気下で行うと、得られる3級窒素原子含有ラクトン重合体が着色しやすくなる。また、反応はバッチ式、セミバッチ式、連続式等の何れの方法でも行うことができる。
反応終了後、反応生成物は、必要に応じて、例えば、濾過、濃縮、蒸留、抽出、晶析、再結晶、吸着、カラムクロマトグラフィー等の分離精製手段やこれらを組み合わせた手段により分離精製することができる。
このようにして、式(1)で表される化合物(A)(3級窒素原子含有ラクトン重合体)を得ることができる。式(1)で表される化合物(A)の中でも、誘導体化したり樹脂中に導入しても該誘導体や樹脂が結晶化しにくいという点から、ラクトンの平均付加モル数[式(1)中のnの平均値]は、好ましくは1〜10、より好ましくは1.2〜5、さらに好ましくは1.5〜3である。
式(1)で表される化合物(A)(3級窒素原子含有ラクトン重合体)は、分子内に3級窒素原子(3級アミン又は含窒素芳香族複素環を構成する窒素原子)を有するため、例えば樹脂中に導入することにより、該樹脂の顔料や金属等に対する密着性、分散性、さらには水界面との親和性を向上できる。3級窒素原子を含む3級アミン構造部や含窒素芳香族複素環構造部は、一般的な有機構造部、例えばポリカプロラクトン部位よりも極性(塩基性)が強く、この極性により顔料や金属表面、さらには水界面などとの親和性を高める。また、末端付近に存在するアミド結合[式(4)においてR1とR2に結合している窒素原子から形成されたアミド結合]も極性を高め得る。
式(1)で表される化合物(A)(3級窒素原子含有ラクトン重合体)は、末端の水酸基を利用することにより樹脂中に導入できる。例えば、エポキシ基、酸無水物基、イソシアネート基、メラミン構造を有する化合物と反応させることにより樹脂中に導入できる。より具体的には、多官能アルコールと多官能イソシアネートからポリウレタン樹脂を製造する際、前記式(1)で表される化合物(A)を適宜な量使用することにより(必要に応じて多官能イソシアネートの量を調整する)、末端に3級アミン構造や含窒素芳香族複素環構造を有するポリウレタン樹脂を得ることができる。
また、ポリアクリレート樹脂においては、あらかじめ水酸基を導入して合成されたポリアクリルポリオールと硬化剤(一般に多官能イソシアネート類またはメラミン類)とから硬化樹脂を得る場合においても、前記式(1)で表される化合物(A)を適宜な量添加したり、予め硬化剤に式(1)で表される化合物(A)を添加しておくことにより、末端に3級アミン構造や含窒素芳香族複素環構造を有するポリアクリレート樹脂を得ることができる。
さらに、エポキシ樹脂においては、エポキシ化合物を硬化させてエポキシ樹脂を製造する際(硬化剤として酸無水物等を用いてもよい)、前記式(1)で表される化合物(A)を適宜な量使用することにより(必要に応じて硬化剤の量を調整する)、末端に3級アミン構造や含窒素芳香族複素環構造を有するエポキシ樹脂を得ることができる。
なお、脂肪族アミン類は硬化触媒として使用されることが多いが、前記式(1)で表される化合物(A)を用いることで、触媒としての脂肪族アミン類の使用量を低減したり、無触媒下で硬化させることも可能となり、低分子量化合物残渣により起こりうる揮発成分の問題、重量減少などの問題等を解決できる。
このようにして式(1)で表される化合物(A)を導入した樹脂(高分子材料)は、界面活性剤、顔料や金属を分散させるための分散剤、顔料や金属を分散させる分散体、密着性を改善された接着剤、コーティング材料、硬化樹脂に使用される。そして、これらの分散剤、分散体、接着剤、コーティング材料、硬化樹脂は、式(1)で表される化合物(A)の導入により、低分子量のアミン触媒を含まないか或いは極少量に低減されたものとすることができる。
さらに、前記式(1)で表される化合物(A)(3級窒素原子含有ラクトン重合体)は、前記のように、本発明の重合性基を有する3級窒素原子含有ラクトン重合体の原料として利用される。
[ポリイソシアネート化合物(B)]
本発明において、ポリイソシアネート化合物(B)としては、分子内に2以上のイソシアネート基を有する化合物であればよく、例えば、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、これらの混合物、付加物(ポリイソシアネートと低分子多価アルコールとの付加体、ポリイソシアネートとポリアミンとの付加体など)、変性物、重合物などの公知のポリイソシアネートを使用できる。
ポリイソシアネート化合物(B)の具体例として、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)[例えば、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−TDI)等]、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)[例えば、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4′−MDI)、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(2,4′−MDI)等]、フェニレンジイソシアネート(例えば、1,4−フェニレンジイソシアネート等)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、トリフェニルメタントリイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHDI)、リジンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアナートメチル(NBDI)などの脂肪族ジイソシアネート;トランスシクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(H6XDI;水添XDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI;水添MDI)、H6TDI(水添TDI)などの脂環式ポリイソシアネート;これらのカルボジイミド変性ポリイソシアネート;これらのイソシアヌレート変性ポリイソシアネートなどが挙げられる。
ポリイソシアネート化合物(B)として、上記各種ジイソシアネート化合物の3量体を用いることも好ましい。このような化合物として、具体的には、IPDIイソシアヌレート3量体、HDIイソシアヌレート3量体、TDIイソシアヌレート3量体、HDIとTDIとの混合イソシアヌレート3量体等のイソシアヌレート型ポリイソシアネートが挙げられる。
[ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート化合物(C)]
本発明において、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート化合物(C)としては、分子内にヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステル化合物であればよく、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等);トリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、グリセロールメタクリレートアクリレート等の多価アルコール部分(メタ)アクリレート又はそのカプロラクトン変性物などが挙げられる。
[重合性基を有する3級窒素原子含有ラクトン重合体−1の製造]
前記重合性基を有する3級窒素原子含有ラクトン重合体−1は、前記式(1)で表される化合物(A)に、ポリイソシアネート化合物(B)及びヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート化合物(C)を反応させることにより製造できる。
反応の順序としては、まず、式(1)で表される化合物(A)とポリイソシアネート化合物(B)とを反応させた後、この反応生成物にヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート化合物(C)を反応させてもよく、逆に、まず、ポリイソシアネート化合物(B)とヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート化合物(C)とを反応させた後、この反応生成物に式(1)で表される化合物(A)を反応させてもよい。
各成分の使用割合としては、式(1)で表される化合物(A)の水酸基とヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート化合物(C)の水酸基の合計モル数が、ポリイソシアネート化合物(B)のイソシアネート基のモル数に対して、1.0〜1.2モル倍程度であることが好ましい。
式(1)で表される化合物(A)とヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート化合物(C)との割合(モル比)は、例えば、前者/後者=1/9〜9/1、好ましくは前者/後者=3/7〜7/3、さらに好ましくは前者/後者=4/6〜6/4である。
反応は溶媒の存在下又は非存在下のいずれで行ってもよい。溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン等の炭化水素;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン;アセトニトリル等のニトリルなどの活性水素をもたない不活性な溶媒を使用することが好ましい。
反応速度を速くするため触媒を用いてもよい。該触媒としては、例えば、ジブチルスズジラウレート、オクチル酸スズ、塩化スズ等のウレタン化触媒を用いることができる。触媒の使用量は、原料の総量[式(1)で表される化合物(A)とポリイソシアネート化合物(B)とヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート化合物(C)の合計量]に対して、例えば、0.1〜1000ppm(重量基準)、好ましくは1〜500ppm、さらに好ましくは10〜300ppm程度である。触媒の使用量が少なすぎると、反応速度が遅くなる。逆に、触媒の使用量が多すぎると、生成物の物性に悪影響を及ぼすおそれがある。
また、反応中に重合することを防止するため、重合禁止剤を用いてもよい。重合禁止剤としては、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、tert−ブチルヒドロキノン、カテコール、p−tert−ブチルカテコール等のフェノール類;ベンゾキノン、2,5−ジフェニル−p−ベンゾキノン等のキノン類;ニトロベンゼン、m−ジニトロベンゼン、2−メチル−2−ニトロソプロパン等のニトロ化合物又はニトロソ化合物;ジチオベンゾイルスルフィド等のスルフィド類などが挙げられる。これらの重合禁止剤の量は、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート化合物(C)の量に対して、例えば、0.1〜1000ppm(重量基準)、好ましくは1〜500ppm、さらに好ましくは10〜300ppm程度である。
反応温度は、例えば、40〜130℃、好ましくは50〜100℃である。反応温度が低すぎると実用上充分な反応速度が得られないことがあり、反応温度が高すぎると、副反応が生じるおそれがある。反応は、通常、反応混合物(反応液)中の残存NCO濃度が0.1重量%以下になるまで行う。残存NCO濃度は、ガスクロマトグラフィー、滴定法等の公知の方法により測定できる。反応はバッチ式、セミバッチ式、連続式等の何れの方法でも行うことができる。
反応終了後、反応生成物は、必要に応じて、例えば、濾過、濃縮、蒸留、抽出、晶析、再結晶、吸着、カラムクロマトグラフィー等の分離精製手段やこれらを組み合わせた手段により分離精製することができる。
[分子内にヒドロキシル基に対して反応性を有する官能基を有するとともに(メタ)アクリロイル基を有する化合物(D)]
本発明において、分子内にヒドロキシル基に対して反応性を有する官能基を有するとともに(メタ)アクリロイル基を有する化合物(D)としては、例えば、(D1)(メタ)アクリル酸ハライド、(D2)(メタ)アクリル酸エステル、(D3)(メタ)アクリル酸無水物、(D4)分子内にイソシアネート基と(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する化合物などを使用できる。
(メタ)アクリル酸ハライド(D1)としては、例えば、(メタ)アクリル酸クロリド、(メタ)アクリル酸ブロミドなどが例示できる。(メタ)アクリル酸エステル(D2)としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸C1-10アルキルエステル、(メタ)アクリル酸フェニル等の(メタ)アクリル酸C6-15アリールエステル、(メタ)アクリル酸ベンジル等の(メタ)アクリル酸C7-16アラルキルエステルなどが挙げられる。(メタ)アクリル酸無水物(D3)としては、アクリル酸無水物、メタクリル酸無水物が挙げられる。
また、分子内にイソシアネート基と(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する化合物(D4)としては、例えば、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルイソシアネート、4−(メタ)アクリロイルオキシブチルイソシアネート等の(メタ)アクリロイルオキシアルキルイソシアネートなどが挙げられる。
[重合性基を有する3級窒素原子含有ラクトン重合体−2の製造]
前記重合性基を有する3級窒素原子含有ラクトン重合体−2は、前記式(1)で表される化合物(A)に、前記分子内にヒドロキシル基に対して反応性を有する官能基を有するとともに(メタ)アクリロイル基を有する化合物(D)を反応させることにより製造できる。
前記化合物(D)の使用量は、化合物(D)の種類によっても異なるが、式(1)で表される化合物(A)1モルに対して、例えば、0.9〜2モル、好ましくは1〜1.5モルである。
反応は溶媒の存在下又は非存在下のいずれで行ってもよい。溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン等の炭化水素;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン;アセトニトリル等のニトリルなどの活性水素をもたない不活性な溶媒を使用することが好ましい。
化合物(D)として、(メタ)アクリル酸ハライド(D1)を用いる場合には、系内に塩基を添加するのが好ましい。塩基としては、例えば、トリエチルアミン等の3級アミン、ピリジン等の含窒素芳香族複素環式化合物、無機塩基などが挙げられる。塩基の使用量は、(メタ)アクリル酸ハライド(D1)1モルに対して、例えば、1〜2モル、好ましくは1〜1.5程度である。
また、化合物(D)として、分子内にイソシアネート基と(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する化合物(D4)を用いる場合には、系内に触媒を添加するのが好ましい。該触媒としては、例えば、ジブチルスズジラウレート、オクチル酸スズ、塩化スズ等のウレタン化触媒を用いることができる。触媒の使用量は、原料の総量[式(1)で表される化合物(A)と化合物(D4)の合計量]に対して、例えば、0.1〜1000ppm(重量基準)、好ましくは1〜500ppm、さらに好ましくは10〜300ppm程度である。触媒の使用量が少なすぎると、反応速度が遅くなる。逆に、触媒の使用量が多すぎると、生成物の物性に悪影響を及ぼすおそれがある。
式(1)で表される化合物(A)と化合物(D)との反応において、重合を防止するため、系内に重合禁止剤を添加してもよい。重合禁止剤としては、前記例示のものを挙げることができる。重合禁止剤の量は、化合物(D)の量に対して、例えば、0.1〜1000ppm(重量基準)、好ましくは1〜500ppm、さらに好ましくは10〜300ppm程度である。
反応温度は、化合物(D)の種類に応じて適宜選択できるが、通常、−10℃〜150℃の範囲である。反応温度が低すぎると実用上充分な反応速度が得られないことがあり、反応温度が高すぎると、副反応が生じるおそれがある。反応はバッチ式、セミバッチ式、連続式等の何れの方法でも行うことができる。
反応終了後、反応生成物は、必要に応じて、例えば、濾過、濃縮、蒸留、抽出、晶析、再結晶、吸着、カラムクロマトグラフィー等の分離精製手段やこれらを組み合わせた手段により分離精製することができる。
[重合性基を有する3級窒素原子含有ラクトン重合体を含有する硬化性組成物]
本発明の重合性基を有する3級窒素原子含有ラクトン重合体は、前記のように、分子内に3級窒素原子(3級アミン又は含窒素芳香族複素環を構成する窒素原子)を有するとともに(メタ)アクリロイル基を有するので、他のモノマー(例えば、アクリル系モノマーやアクリル系モノマーと共重合可能なモノマー等)と共重合することにより、側鎖末端に3級窒素原子を含む基を有するポリマー(アクリル系樹脂等)に誘導できる。こうして得られるポリマー(樹脂)は、顔料や金属に対する密着性が高く、分散性に優れ、水界面との親和性が高いため、例えば、界面活性剤、分散剤、分散体、接着剤、コーティング剤、硬化樹脂等の種々の機能性材料として使用できる。
特に、前記本発明の製造方法(触媒を用いない方法)で製造された3級窒素原子含有ラクトン重合体を原料として合成した重合性基を有する3級窒素原子含有ラクトン重合体から誘導される樹脂は、結晶化を防止するためラクトン重合度の低いものを使用した場合であっても、原料由来のアミン臭がなく、所望の物性が発現される。
本発明の硬化性組成物は、前記本発明の重合性基を有する3級窒素原子含有ラクトン重合体を少なくとも含有する。この硬化性組成物は、必要に応じて、他の成分、例えば、モノマー(アクリル系モノマー、該アクリル系モノマーと共重合可能なモノマーなどのラジカル重合性モノマー等)、ポリマー(樹脂)、硬化触媒、硬化剤、硬化促進剤、有機溶剤、各種添加剤(酸化防止剤、顔料、染料、増粘剤、フィラー、界面活性剤等)等を含んでいてもよい。
前記有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸メトキシエチルなどのエステル系溶剤;ジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエーテル、ジオキサンなどのエーテル系溶剤;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶剤;ペンタン、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素系溶剤;塩化メチレン、クロロベンゼン、クロロホルムなどのハロゲン系溶剤;イソプロパノール、ブタノールなどのアルコール系溶剤などが挙げられる。これらの有機溶剤の配合量は、組成物全体に対して、0〜30重量%が好ましい。
また、前記本発明の重合性基を有する3級窒素原子含有ラクトン重合体は3級窒素原子(3級アミン又は含窒素芳香族複素環を構成する窒素原子)を有しているため、他の3級アミン等(例えば、揮発しやすい低分子量の3級アミン等)を用いなくても、3級アミン又は含窒素芳香族複素環式化合物と同様な機能を発現する。そのため、本発明の硬化性組成物においては、前記重合性基を有する3級窒素原子含有ラクトン重合体以外のアミン化合物の含有量を、前記重合性基を有する3級窒素原子含有ラクトン重合体の10重量%以下(好ましくは5重量%以下、さらに好ましくは1重量%以下)とすることができる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
実施例1[3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルアミンのラクトン開環付加重合物(3級窒素原子含有ラクトン重合体)の合成]
撹拌機、温度計、窒素ガス導入管及びコンデンサーのついた4つ口セパラブルフラスコに、3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルアミン123.68g(1.21モル)、ε−カプロラクトン276.32g(2.42モル)[3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルアミン1モルに対して2モル]を仕込み、120℃で、反応液のアミン価が170KOHmg/gになるまで反応させ、その後、160℃に昇温し、残存するε−カプロラクトンがGC分析にて1重量%(反応液全体に対して)を切るまで反応させ、常温(25℃)で液状のラクトン重合体(3級窒素原子含有ラクトン重合体)を得た。なお、残存する3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルアミンは0.1重量%(反応液全体に対して)以下であった。3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルアミン1モルに対するε−カプロラクトンの付加モル数は平均2モルであった。図1に、得られたラクトン重合体の1H−NMRスペクトル(溶媒:重クロロホルム)を示す。
比較例1[2−(N,N−ジメチルアミノ)エタノールのラクトン開環付加重合物の合成]
撹拌機、温度計、窒素ガス導入管及びコンデンサーのついた4つ口セパラブルフラスコに、2−(N,N−ジメチルアミノ)エタノール112.33g、ε−カプロラクトン286.67g[2−(N,N−ジメチルアミノ)エタノール1モルに対して2モル]を仕込み、80℃で、15時間反応させた後、160℃で18時間反応させ、常温(25℃)で液状のラクトン重合体を得た。またNMR解析により2−(N,N−ジメチルアミノ)エタノールが19重量%(反応液全体に対して)残存しており、さらに2−(N,N−ジメチルアミノ)エタノール1モルに対するε−カプロラクトンの付加モル数は平均2.8モルであった。図2に、得られたラクトン重合体の1H−NMRスペクトルを示す(溶媒:重クロロホルム)。
実施例2(重合反応性ポリラクトン化合物の合成−1)
撹拌機、温度計、混気ガス導入管及びコンデンサーのついた4つ口セパラブルフラスコにHDIヌレート(商品名「タケネートD−170N」、三井武田ケミカル(株)製)、NCO%=20.1%)26.89g、実施例1で合成した3級窒素原子含有ラクトン重合体14.18g、メトキノン0.050g、ジブチル錫ジラウレート(DBTDL)(商品名「ネオスタンU−100」、日東化成(株)製)0.020gを仕込み、反応系内温度を70℃にした後、残存イソシアネート基が1.7重量%(反応液全体に対して)となった時点でε−カプロラクトン変性アクリレートモノマー(商品名「プラクセルFA5」、(株)ダイセル製)58.93gを加え、更に、残存イソシアネート基が0.1重量%(反応液全体に対して)以下になるまで反応を行い、重合反応性ポリラクトン化合物(ウレタンアクリレート)を得た。
実施例3(重合反応性ポリラクトン化合物の合成−2)
攪拌機、冷却器、温度計及び滴下ロートを備えたガラス製反応容器を窒素置換し、実施例1で合成した3級窒素原子含有ラクトン重合体42.4g(0.12モル)、アセトニトリル90g、トリエチルアミン19.4g(0.19モル)を入れた。攪拌しつつ氷浴で冷却し、2℃まで冷却し、さらにメタクリル酸クロライド18.8g(0.18モル)を30分かけて滴下ロートより滴下した。滴下終了後、液温を5℃に保ちつつNMRにおいて水酸基の消失を確認するまで攪拌を行った。反応液を氷冷し液温を15℃以下に保ちつつ、トルエン90gを加え、ついで水90gを30分かけて加えた。有機層を分離し、メトキノン0.4gを添加した後、減圧濃縮し、さらに減圧蒸留することにより、実施例1の3級窒素原子含有ラクトン重合体にアクリロイル基が導入された生成物が得られた。
実施例4(重合反応性ポリラクトン化合物の合成−3)
攪拌装置、還流管をつけた1Lフラスコ中に、希釈剤として、トルエンを437g、実施例1で合成した3級窒素原子含有ラクトン重合体を33.0g(0.10モル)、重合禁止剤として、メトキノンを0.05g及び反応触媒として、ジブチル錫ジラウレートを0.05g仕込み、攪拌混合し25℃とした。次いで、(メタ)アクリロイル基含有イソシアネート化合物として、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工(株)製:カレンズMOI)を15.5g(0.10モル)仕込み、80℃の温度で24時間反応させることにより、実施例1の3級窒素原子含有ラクトン重合体にアクリロイル基が導入された生成物が得られた。なお反応の終点はNCO(%)を測定し確認した。
本発明の重合性基を有する3級窒素原子含有ラクトン重合体は、例えば、界面活性剤、分散剤、分散体、接着剤、コーティング剤、硬化樹脂等として有用である。

Claims (10)

  1. 下記式(1)
    Figure 2014129265
    [式中、R1は置換基を有していてもよい2価の炭化水素基を示し、R2は水素原子又は置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。R1を構成する炭素原子とR2は、互いに結合して、式中に示される窒素原子とともに環を形成していてもよい。A1は下記式(2)又は(3)
    Figure 2014129265
    (式中、R3、R4は、同一又は異なって、置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。R3及びR4は、互いに結合して、隣接する窒素原子とともに環を形成していてもよい。R5は置換基を有していてもよい炭化水素基を示す)
    で表される基、又は含窒素芳香族複素環式基を示す。A2は炭素数2〜9の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基を示す。nは1〜50の整数を示す。nが2以上の場合、n個のA2は同一でもよく異なっていてもよい]
    で表される化合物(A)に、ポリイソシアネート化合物(B)及びヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート化合物(C)を反応させて得られる重合性基を有する3級窒素原子含有ラクトン重合体。
  2. 下記式(1)
    Figure 2014129265
    [式中、R1は置換基を有していてもよい2価の炭化水素基を示し、R2は水素原子又は置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。R1を構成する炭素原子とR2は、互いに結合して、式中に示される窒素原子とともに環を形成していてもよい。A1は下記式(2)又は(3)
    Figure 2014129265
    (式中、R3、R4は、同一又は異なって、置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。R3及びR4は、互いに結合して、隣接する窒素原子とともに環を形成していてもよい。R5は置換基を有していてもよい炭化水素基を示す)
    で表される基、又は含窒素芳香族複素環式基を示す。A2は炭素数2〜9の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基を示す。nは1〜50の整数を示す。nが2以上の場合、n個のA2は同一でもよく異なっていてもよい]
    で表される化合物(A)に、分子内にヒドロキシル基に対して反応性を有する官能基を有するとともに(メタ)アクリロイル基を有する化合物(D)を反応させて得られる重合性基を有する3級窒素原子含有ラクトン重合体。
  3. 前記分子内にヒドロキシル基に対して反応性を有する官能基を有するとともに(メタ)アクリロイル基を有する化合物(D)が、(D1)(メタ)アクリル酸ハライド、(D2)(メタ)アクリル酸エステル、(D3)(メタ)アクリル酸無水物、又は(D4)分子内にイソシアネート基と(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する化合物である請求項2記載の重合性基を有する3級窒素原子含有ラクトン重合体。
  4. 下記式(1)
    Figure 2014129265
    [式中、R1は置換基を有していてもよい2価の炭化水素基を示し、R2は水素原子又は置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。R1を構成する炭素原子とR2は、互いに結合して、式中に示される窒素原子とともに環を形成していてもよい。A1は下記式(2)又は(3)
    Figure 2014129265
    (式中、R3、R4は、同一又は異なって、置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。R3及びR4は、互いに結合して、隣接する窒素原子とともに環を形成していてもよい。R5は置換基を有していてもよい炭化水素基を示す)
    で表される基、又は含窒素芳香族複素環式基を示す。A2は炭素数2〜9の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基を示す。nは1〜50の整数を示す。nが2以上の場合、n個のA2は同一でもよく異なっていてもよい]
    で表される化合物(A)に、ポリイソシアネート化合物(B)及びヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート化合物(C)を反応させることを特徴とする重合性基を有する3級窒素原子含有ラクトン重合体の製造方法。
  5. 下記式(1)
    Figure 2014129265
    [式中、R1は置換基を有していてもよい2価の炭化水素基を示し、R2は水素原子又は置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。R1を構成する炭素原子とR2は、互いに結合して、式中に示される窒素原子とともに環を形成していてもよい。A1は下記式(2)又は(3)
    Figure 2014129265
    (式中、R3、R4は、同一又は異なって、置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。R3及びR4は、互いに結合して、隣接する窒素原子とともに環を形成していてもよい。R5は置換基を有していてもよい炭化水素基を示す)
    で表される基、又は含窒素芳香族複素環式基を示す。A2は炭素数2〜9の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基を示す。nは1〜50の整数を示す。nが2以上の場合、n個のA2は同一でもよく異なっていてもよい]
    で表される化合物(A)に、分子内にヒドロキシル基に対して反応性を有する官能基を有するとともに(メタ)アクリロイル基を有する化合物(D)を反応させることを特徴とする重合性基を有する3級窒素原子含有ラクトン重合体の製造方法。
  6. 請求項1〜3の何れか1項に記載の重合性基を有する3級窒素原子含有ラクトン重合体を含有する硬化性組成物。
  7. 前記重合性基を有する3級窒素原子含有ラクトン重合体以外のアミン化合物の含有量が、前記重合性基を有する3級窒素原子含有ラクトン重合体の10重量%以下である請求項6記載の硬化性組成物。
  8. 下記式(1)
    Figure 2014129265
    [式中、R1は置換基を有していてもよい2価の炭化水素基を示し、R2は水素原子又は置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。R1を構成する炭素原子とR2は、互いに結合して、式中に示される窒素原子とともに環を形成していてもよい。A1は下記式(2)又は(3)
    Figure 2014129265
    (式中、R3、R4は、同一又は異なって、置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。R3及びR4は、互いに結合して、隣接する窒素原子とともに環を形成していてもよい。R5は置換基を有していてもよい炭化水素基を示す)
    で表される基、又は含窒素芳香族複素環式基を示す。A2は炭素数2〜9の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基を示す。nは1〜50の整数を示す。nが2以上の場合、n個のA2は同一でもよく異なっていてもよい]
    で表される化合物(A)を90重量%以上含む工業製品としての末端3級アミンラクトン重合体であって、不純物としての下記式(4)
    Figure 2014129265
    (式中、R1、R2、A1は前記に同じ)
    で表されるアミン化合物の含有量が1重量%以下である工業製品としての3級窒素原子含有ラクトン重合体。
  9. 25℃において液状である請求項8記載の工業製品としての3級窒素原子含有ラクトン重合体。
  10. 下記式(4)
    Figure 2014129265
    [式中、R1は置換基を有していてもよい2価の炭化水素基を示し、R2は水素原子又は置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。R1を構成する炭素原子とR2は、互いに結合して、式中に示される窒素原子とともに環を形成していてもよい。A1は下記式(2)又は(3)
    Figure 2014129265
    (式中、R3、R4は、同一又は異なって、置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。R3及びR4は、互いに結合して、隣接する窒素原子とともに環を形成していてもよい。R5は置換基を有していてもよい炭化水素基を示す)
    で表される基、又は含窒素芳香族複素環式基を示す]
    で表されるアミン化合物に、下記式(5)
    Figure 2014129265
    (A2は炭素数2〜9の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基を示す)
    で表されるラクトンを、触媒の非存在下で反応させて、下記式(1)
    Figure 2014129265
    (式中、R1、R2、A1、A2は前記に同じ。nは1〜50の整数を示す。nが2以上の場合、n個のA2は同一でもよく異なっていてもよい)
    で表される化合物(A)を得ることを特徴とする3級窒素原子含有ラクトン重合体の製造方法。
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