JPWO2014126005A1 - データセンタの冷却機構 - Google Patents
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Abstract
Description
このようなデータセンタの室内空間は、メンテナンス時を除いて人がいる時間が極めて短く、換気量も少ないため潜熱負荷が低い一方、放熱機器からの放熱量が多大であるため顕熱負荷が高く、また室内全域に負荷が存在した状態となっている。
そして現状では、前記冷却機構として、冷却装置によって生成された冷気を、送風装置を用いて放熱機器に送り込むような構成が主流となっている(例えば特許文献1参照)。
しかしながらこのような方式の冷却機構においては、送風量が膨大であり、送風距離が長いため送風機の消費電力が多大となっていること、送風のための大きなスペースが必要であること、広い空間を一律に冷却しようとするため温度ムラが生じること等の問題があった。
なお漏電等によってデータセンタにおいて火災が発生したときには、スプリンクラー等により放水が行われることとなるため、出火付近のみならず、他の機器までもが使用不可能になってしまい、膨大なデータが消失してしまうといった問題もあった。
また、エバポレーティブコンデンサの凝縮温度が所定の温度より高い場合、室内空間の温度が所定の温度になる様に可変速ターボ型の圧縮機を制御して効率よく運転することができる。またエバポレーティブコンデンサは、クーリングタワーで冷却した冷却水を使用して行うシェルチュ−ブコンデンサや空冷式コンデンサと比較して、それぞれ5℃及び10℃程度凝縮温度を低くできる。このことは冷凍機が消費する電力を減少させるだけでなく、冷凍機が稼働する期間も短縮することができるきわめて大きな省エネの要素である。
また可変速ターボ型の圧縮機は、運転を停止しても圧縮機内を自由に冷媒ガスが通過することができるので、凝縮温度による発停に係る他の制御が単純なものになる。
またデータセンタの室内空間内の熱は、外気を導入することなく、配管内の冷媒により効果的に外部に排出されるため、室内空間への粉塵の侵入や水滴の発生を効果的に防止することができる。
またカスケードコンデンサ以降の二次冷却サイクルに二次冷媒として、価格が安く安定して入手でき熱運搬性能が高く自然にやさしい炭酸ガスを利用することにより、設備コストを下げて効率の良い冷却機構を実現することができる。
またカスケードコンデンサ以降の二次冷却サイクルに二次冷媒として、価格が安く安定して入手でき熱運搬性能が高く自然にやさしい炭酸ガスを利用することにより、設備コストを下げて効率の良い冷却機構を実現することができる。
本発明のデータセンタDの冷却機構1(以下、単に冷却機構1と称する)は、データセンタD室外に、エバポレーティブコンデンサ12及び受液器を配置し、一方、データセンタDの室内空間Sに蒸発器17を配置し、前記蒸発器17における冷媒の蒸発によって生成された冷気A1により、室内空間S(放熱機器R)の冷却を行うとともに、前記エバポレーティブコンデンサ12によって冷媒の凝縮が行われるように構成されているものである。
そして以下に示す基本となる実施例(図1、2)で説明する冷却機構1は、エバポレーティブコンデンサ12の凝縮温度が所定の温度よりも高温の場合には、圧縮機11を機能させて冷媒を循環させる運転を行い、一方、凝縮温度が所定の温度よりも低温の場合には、圧縮機11を機能させることなく冷媒を循環させる運転をすることができるように構成されている。
以下、冷却機構1の構成を異ならせた実施例毎に説明を行う。
まず請求項3で定義するとともに図1に示す実施例について説明すると、この実施例で示す冷却機構1は、ヒートポンプユニット10における冷媒の流路を、一次冷却サイクル10Aと二次冷却サイクル10Bとし、これらのサイクルを循環する冷媒が、カスケードコンデンサ19において熱交換されるとともに、冷却され液化した二次冷媒が、蒸発器17を通過して冷気A1が生成されるようにしたものである。そして後述する低圧受液器15とエバポレーティブコンデンサ12との間に具えられる圧縮機11を可変速ターボ型としたものである。
前記一次冷却サイクル10Aは、圧縮機11、凝縮器としてのエバポレーティブコンデンサ12、高圧受液器13、液面制御機構14、低圧受液器15、カスケードコンデンサ19が往復管路によって循環可能に繋がれたループ回路として形成されるものであり、フロン、アンモニア、炭酸ガス等を冷媒とするものである。なお前記高圧受液器13は冷媒のバッファとして機能するものであるが、エバポレーティブコンデンサ12と液面制御機構14との間を直接、管路で結ぶようにし、この管路を実質的に高圧受液器13として機能させるようにしてもよい。
そしてデータセンタDの室内空間Sには、放熱機器Rが設置されるものであり、この実施例では一例として、室内空間Sの上部に蒸発器17が設置される。なお蒸発器17の設置個所は室内空間Sの上部に限定されるものではなく、放熱機器Rや室内空間Sの形態に応じて適宜の個所に設置されるものとする。
更にこのような一次冷却サイクル10A及び二次冷却サイクル10Bは、適宜の制御装置によって制御されるものであり、一例として適宜のセンサによってカスケードコンデンサ19付近の二次冷媒の圧力を検出し、その検出値に応じて、目的の制御を行うべく圧縮機11、エバポレーティブコンデンサ12のファン等の運転状態等の制御が行われる。また二次冷媒の温度を検出し、その検出値に応じて、目的の制御を行うべく圧縮機11、エバポレーティブコンデンサ12のファン等の運転状態等の制御が行われる。
またこの実施例では、放熱機器RはIT機器が適宜のラックに収容された状態とされるものであり、各IT機器にはファンが具えられていることを考慮し、例えば図1に示すように対向した放熱機器Rの排気方向を対向させるとともに、放熱機器Rの吸気側面の上方にのみ蒸発器17及び隔壁18を設けるようにした。
(1)エバポレーティブコンデンサの凝縮温度が所定の温度よりも高温の場合
まず凝縮温度が所定の温度よりも高温の場合(一例として暖気A2の温度が30℃であり、25℃の冷気A1を生成するときに、凝縮温度が20℃以上の場合)には、圧縮機11を機能させて冷媒を循環させる運転が行われる。
そして圧縮機11を起動すると、カスケードコンデンサ19で蒸発する冷媒(20℃以下)は圧縮されてエバポレーティブコンデンサ12に入り凝縮・液化(20℃以上)し、高圧受液器13に流下する。高圧受液器13に貯められた冷媒液は、液面制御機構14によって低圧受液器15の液面を一定に保つように高圧受液器13から低圧受液器15に適宜供給される。低圧受液器15は、液分離機の役割も持っていて気体の冷媒ガスを圧縮機11に送ることによりカスケードコンデンサ19に送る冷媒液の温度を蒸発温度に近い温度(20℃以下)まで低下させる。低圧受液器15に蓄えられた冷媒液はカスケードコンデンサ19に送り込まれて蒸発し、気液混相状態となり低圧受液器15に戻り、気体状態の冷媒だけが圧縮機11の方に戻される。
一方、カスケードコンデンサ19で冷却された二次冷媒は凝縮液化して受液器19Aに流下して液ポンプ16に吸引・吐出され、蒸発器17に達して、一部蒸発して液ガス混合状態で受液器19Aに戻り、ガス状の気体のみカスケードコンデンサ19に吸引されて冷却され凝縮液化して再び受液器19Aに戻る。
蒸発器17では、周囲の空気を冷却して冷気A1を生成し、逆煙突効果により冷気A1を下方に押し流す自然循環流を発生させ、室内空間S内の上部空間にある温度の高い暖気A2を吸い込む。
このようにエバポレーティブコンデンサ12の凝縮温度が所定の温度よりも高温の場合には、可変速ターボ型の圧縮機11を運転して低圧受液器15の温度( 殆ど蒸発温度と同じ) を20℃以下にする。このとき、受液器19Aの温度と、低圧受液器15の温度との差は極僅かとなるように制御される。
そして冷気A1は放熱機器Rから放射される熱を吸収して暖気A2となり、室内空間S内を上昇してゆく。この際、隔壁18が対向する空間が、暖気A2の上昇経路を形成しているため、暖気A2は、冷気A1や室内空間S内の雰囲気によって阻害されることなく、円滑に天井付近に到達することができる。
次いで天井付近に位置する暖気A2は、隔壁18内における冷気A1の下降に伴って隔壁18の上部開口部から吸い込まれ、やがて蒸発器17に接して冷気A1となる。このように隔壁18には、天井付近に位置する最も温度の高い状態の暖気A2が導入されるため、冷却機構1による冷却効果を最大限に発揮することが可能とされる。
次にエバポレーティブコンデンサ12の凝縮温度が所定の温度よりも低温の場合(一例として暖気A2の温度が30℃であり、25℃の冷気A1を生成するときに、エバポレーティブコンデンサ12の凝縮温度が20℃未満の場合)には、可変速ターボ型の圧縮機11を機能させることなく冷媒を循環させる運転が行われる。
すなわちこの場合、動力が停止された可変速ターボ型の圧縮機11は圧縮機として機能することなく、単なる冷媒の流路として機能することとなる。また圧縮機11が機能していないため冷媒の圧力が高圧とならず、液面制御機構14は実質的に高圧受液器13と低圧受液器15との間の液ヘッド差を設定する作用を担う。これにより、液ヘッド差に応じた流量が設定されて、いわば流量調整弁として機能することとなる。
そしてカスケードコンデンサ19から圧縮機11を通過した気体状態の冷媒は、エバポレーティブコンデンサ12において熱を放出して凝縮(20℃未満)し、液相状態となり高圧受液器13に流下する。次いで液相状態の冷媒は液面制御機構14を通って低圧受液器15に送られ、自然循環によりカスケードコンデンサ19に圧送され、一部が蒸発して再び低圧受液器15に戻り、気液が分離されて気体の冷媒ガスだけエバポレーティブコンデンサ12に戻る。
一方、カスケードコンデンサ19で冷却された二次冷媒は凝縮液化して受液器19Aに流下して液ポンプ16に吸引・吐出され蒸発器17に達して、一部蒸発して液ガス混合状態で受液器19Aに戻り、ガス状の気体のみカスケードコンデンサ19に吸引されて冷却され凝縮液化して再び受液器19Aに戻る。
そして、蒸発器17で冷却された空気(冷気A1)は、前述のように逆煙突効果により室内空間S内を自然に循環して目的の冷却を果たすことになる。
因みに日本国内の東京以南の地域においても、25℃の冷気A1を生成する場合には、夏季以外の季節はこのような可変速ターボ型の圧縮機11を機能させない運転を行うことが可能であり、前述の圧縮機11を機能させる運転を行う必要があるのは、年間90日程度である。
なお隔壁18による自然循環の生起については、前述の圧縮機11を機能させる運転と同様であるので、ここでの記載は省略する。
次いでこの実施例で示す冷却機構1は請求項4で定義するとともに図2に示すように、低圧受液器15とエバポレーティブコンデンサ12との間に具えられる圧縮機11を容積型としたものである。
そして圧縮機11を機能させて冷媒を循環させる運転と、圧縮機11を機能させることなく冷媒を循環させる運転との切換を、冷媒のバイパス管路152を用いて行うものである。
なお図2に示す冷却機構1は、図1に示す冷却機構1と基本構成を同一とするものであるため、ここでは構成が異なる部分についてのみ説明を行うものとする。
具体的には、冷媒が容積型の圧縮機11を回避して循環することのできるようなバイパス管路152が設けらるれものであり、冷媒の流路を選択するためのバルブV1〜V4が具えられている(バルブV1、V2のみでも可)。
(1)エバポレーティブコンデンサの凝縮温度が所定の温度よりも高温の場合
まずエバポレーティブコンデンサ12の凝縮温度が所定の温度よりも高温の場合(一例として暖気A2の温度が30℃であり、25℃の冷気A1を生成するときに、エバポレーティブコンデンサの凝縮温度が20℃以上の場合)には、圧縮機11を機能させて冷媒を循環させる運転が行われる。
具体的には、バルブV1、V3を閉鎖し、バルブV2、V4を開放することにより、冷媒が圧縮機11を通過する流路を選択する。
そして圧縮機11を起動すると、圧縮機11に吸い込まれた気体状態の冷媒(圧力相当飽和温度(20℃以下))は圧縮された後、凝縮する。すなわち冷媒はエバポレーティブコンデンサ12において熱を放出して凝縮・液化するものであり、その後、高圧受液器13に流下し、液面制御機構14を通って低圧受液器15に流入する。低圧受液器15の圧力は圧縮機11の吸入圧力とほぼ同じ圧力で、蒸発圧力( 20℃相当飽和圧力) ともほぼ同じである。低圧受液器15に蓄えられた冷媒液は、カスケードコンデンサ19に送られ、一部蒸発したのち低圧受液器15に戻り、液とガスに分離され、ガスだけが圧縮機11に戻る。なお二次冷却サイクル10B及び蒸発器17の機能等は前述の実施例と同じであるのでここでの説明は省略する。
次にエバポレーティブコンデンサ12の凝縮温度が所定の温度よりも低温の場合(一例として暖気A2の温度が30℃であり、25℃の冷気A1を生成するときに、エバポレーティブコンデンサ12の凝縮気温が20℃未満の場合)には、圧縮機11を機能させることなく冷媒を循環させる運転が行われる。
具体的には、圧縮機11を停止するとともにバルブV1、V3を開放し、バルブV2、V4を閉鎖することにより、冷媒が圧縮機11を通過しない流路を選択する。
そしてカスケードコンデンサ19からバイパス管路152を通過した気体状態の冷媒は、エバポレーティブコンデンサ12において熱を放出して凝縮・液化して高圧受液器13に流下する。高圧受液器13に貯まった冷媒液は、液面制御機構14を通って低圧受液器15に入り、次いでカスケードコンデンサ19に達し、一部が蒸発して気液混合状態となって低圧受液器15に戻り、気体状態の冷媒ガスだけエバポレーティブコンデンサ12に戻る。
なお二次冷却サイクル10B及び蒸発器17の機能等は前述の実施例と同じであるのでここでの説明は省略する。
このようにエバポレーティブコンデンサ12の凝縮温度が所定の温度よりも低温の場合には、圧縮機11を機能させなくてもエバポレーティブコンデンサ12において冷媒が20℃以下で凝縮するため、圧縮機11を運転することなくデータセンタDの室内空間Sの冷却を行うことが可能となるものである。
また冷媒として炭酸ガスが採用されるため、データセンタDの室内空間S内に位置する配管部分に、噴出バルブV5を設けることにより、火災が発生した場合には、室内空間Sに炭酸ガスを充満させることにより速やかに鎮火させることができ、出火機器以外の損傷を回避することができる。
そしてこの実施例で示す冷却機構1によれば、COPの良い運転を実現することができる。また二次冷却サイクル10Bには圧縮機11が用いられないため、油の混入等による蒸発器17の性能低下を回避することができる。更に消火機能を使うときも冷凍機油による汚染を心配しなくてよい。
本発明は上述した二種の実施例を基本となる実施例とするものであるが、本発明の技術的思想に基づいて、以下に示すような実施例を採ることも可能である。なお以下の実施例では前記噴出バルブV5の説明は省略しているが、基本となる実施例と同様に噴出バルブV5を設けるようにしてもよい。
まず、高緯度に位置する国または日本国内であれば北海道のような寒冷地の場合、一年を通じて圧縮機11を使用することなく、エバポレーティブコンデンサ12の作用のみによってデータセンタDの冷却を行うことも可能であり、このような運転に特化した構成を採ることができる。
具体的には図4に示すように、データセンタD室外に、エバポレーティブコンデンサ12及び低圧受液器15を配置し、一方、データセンタDの室内空間Sに蒸発器17を配置し、前記蒸発器17における冷媒の蒸発によって生じる冷気A1によって室内空間Sの冷却を行うとともに、前記エバポレーティブコンデンサ12によって冷媒の凝縮が行われるような構成を採ることができるものである。なお低圧受液器15から蒸発器17への冷媒の供給は液ポンプ16によって行われるものとする。
そしてこのような構成が採られた場合、年間を通じてエバポレーティブコンデンサ12によって冷媒の凝縮が行われるため、冷却機構1を消費電力を抑えた低コストで運用することが可能となるとともに、イニシャルコストを低減することができる。
具体的には図5に示すように、図4に示したエバポレーティブコンデンサ12、低圧受液器15及び蒸発器17を具えて成る第一冷却サイクル10Cと、圧縮機11、コンデンサ12a(エバポレーティブ)及び蒸発器17を具えて成る第二冷却サイクル10Dとを並列状態に配置した形態を採るものである。なお第二冷却サイクル10Dにおけるコンデンサ12aと蒸発器17とを結ぶ管路における蒸発器17寄りの部位には膨張弁17bが設けられる。
そしてこのような構成が採られた場合、通常時は第一冷却サイクル10Cのみによって運転を行い、第一冷却サイクル10Cだけでは冷却を賄えなくなったときに、圧縮機11を具えた第二冷却サイクル10Dを稼働させることにより、室内空間S内の温度上昇を確実に防ぐことができる。更に、第二冷却サイクル10Dと同時に第一冷却サイクル10Cを稼働させることにより、圧縮機11の負荷を軽減して消費電力の削減を図ることができる。
なお図5に示した冷却機構1においては前記隔壁18が採用されていないが、放熱器Rの蒸発器17側の上方部は、蒸発器17の筐体によって塞がれる状態とされており、蒸発器17の放熱部に触れた暖気A2は冷却されて冷気A1となって放熱機器Rの側方に沿って下降し、放熱機器Rの冷却に供されて暖気A2となるものであり、この暖気A2が再び蒸発器17に導びかれるような自然循環が生起されることとなる。
そしてこのような構成が採られた場合、受液器19A内での二次冷媒の凝縮は、一次冷却サイクル10Aまたはエバポレーティブコンデンサ12Bのいずれか一方または双方によって行うことが可能となる。
またこのような構成が採られた場合、通常時は一次冷却サイクル10Aを停止して、エバポレーティブコンデンサ12Bのみによって二次冷媒の凝縮を行う運転を行い、エバポレーティブコンデンサ12Bだけでは冷却を賄えなくなったときに、圧縮機11を具えた一次冷却サイクル10Aを稼働させることにより、室内空間S内の温度上昇を確実に防ぐことができる。更に、一次冷却サイクル10Aと同時にエバポレーティブコンデンサ12Bを稼働させることにより、圧縮機11の負荷を軽減して消費電力の削減を図ることができる。
そしてこのような構成が採られた場合、図6に示された装置構成と同様に、受液器19B内での二次冷媒の凝縮は、一次冷却サイクル10A(カスケードコンデンサ19)またはエバポレーティブコンデンサ12Bのいずれか一方または双方によって行うことが可能となることに加え、次のような効果が得られる。
すなわち、二次冷媒として炭酸ガスを用いるような場合に、カスケードコンデンサ19の構成要素であるプレートクーラの耐圧性が低いような場合であっても、二次冷媒の凝縮は密閉された受液器19Bに内蔵されたカスケードコンデンサ19において行われるため、見かけ上の圧力差が少なくなり、凝縮を安全且つ安定して行うことが可能となる。
10 ヒートポンプユニット
10A 一次冷却サイクル
10B 二次冷却サイクル
10C 第一冷却サイクル
10D 第二冷却サイクル
11 圧縮機
12 エバポレーティブコンデンサ
12a コンデンサ
13 高圧受液器
14 液面制御機構
15 低圧受液器
16 液ポンプ
17 蒸発器
17a 流量調整弁
17b 膨張弁
18 隔壁
18a 伸縮部
19 カスケードコンデンサ
19A 受液器
19B 受液器
152 バイパス管路
A1 冷気
A2 暖気
D データセンタ
R 放熱機器
S 室内空間
V1 バルブ
V2 バルブ
V3 バルブ
V4 バルブ
V5 噴出バルブ
このようなデータセンタの室内空間は、メンテナンス時を除いて人がいる時間が極めて短く、換気量も少ないため潜熱負荷が低い一方、放熱機器からの放熱量が多大であるため顕熱負荷が高く、また室内全域に負荷が存在した状態となっている。
そして現状では、前記冷却機構として、冷却装置によって生成された冷気を、送風装置を用いて放熱機器に送り込むような構成が主流となっている(例えば特許文献1参照)。
しかしながらこのような方式の冷却機構においては、送風量が膨大であり、送風距離が長いため送風機の消費電力が多大となっていること、送風のための大きなスペースが必要であること、広い空間を一律に冷却しようとするため温度ムラが生じること等の問題があった。
なお漏電等によってデータセンタにおいて火災が発生したときには、スプリンクラー等により放水が行われることとなるため、出火付近のみならず、他の機器までもが使用不可能になってしまい、膨大なデータが消失してしまうといった問題もあった。
また、エバポレーティブコンデンサの凝縮温度が所定の温度よりも低温の場合には、可変速ターボ型の圧縮機を機能させることなく冷媒を循環させる運転を行うことにより、可変速ターボ型の圧縮機における消費電力を要することなく凝縮器において冷媒からの放熱及び冷媒の凝縮が十分に行われる。この結果ランニングコストを著しく低減することができる。
また、エバポレーティブコンデンサの凝縮温度が所定の温度より高い場合、室内空間の温度が所定の温度になる様に可変速ターボ型の圧縮機を制御して効率よく運転することができる。またエバポレーティブコンデンサは、クーリングタワーで冷却した冷却水を使用して行うシェルチュ−ブコンデンサや空冷式コンデンサと比較して、それぞれ5℃及び10℃程度凝縮温度を低くできる。このことは冷凍機が消費する電力を減少させるだけでなく、冷凍機が稼働する期間も短縮することができるきわめて大きな省エネの要素である。
また可変速ターボ型の圧縮機は、運転を停止しても圧縮機内を自由に冷媒ガスが通過することができるので、凝縮温度による発停に係る他の制御が単純なものになる。
またデータセンタの室内空間内の熱は、外気を導入することなく、配管内の冷媒により効果的に外部に排出されるため、室内空間への粉塵の侵入や水滴の発生を効果的に防止することができる。
またカスケードコンデンサ以降の二次冷却サイクルに二次冷媒として、価格が安く安定して入手でき熱運搬性能が高く自然にやさしい炭酸ガスを利用することにより、設備コストを下げて効率の良い冷却機構を実現することができる。
更にまた、通常時は一次冷却サイクルを停止して、二次冷却サイクルにおける受液器に接続されたエバポレーティブコンデンサのみによって冷媒の凝縮を行う運転を行い、このエバポレーティブコンデンサだけでは冷却を賄えなくなったときに、圧縮機を具えた一次冷却サイクルを稼働させることにより、室内空間内の温度上昇を確実に防ぐことができる。更に、一次冷却サイクルと同時にエバポレーティブコンデンサを稼働させることにより、圧縮機の負荷を軽減して消費電力の削減を図ることができる。
本発明のデータセンタDの冷却機構1(以下、単に冷却機構1と称する)は、データセンタD室外に、エバポレーティブコンデンサ12及び受液器を配置し、一方、データセンタDの室内空間Sに蒸発器17を配置し、前記蒸発器17における冷媒の蒸発によって生成された冷気A1により、室内空間S(放熱機器R)の冷却を行うとともに、前記エバポレーティブコンデンサ12によって冷媒の凝縮が行われるように構成されているものである。
そして図1、2に示す冷却機構1は、エバポレーティブコンデンサ12の凝縮温度が所定の温度よりも高温の場合には、圧縮機11を機能させて冷媒を循環させる運転を行い、一方、凝縮温度が所定の温度よりも低温の場合には、圧縮機11を機能させることなく冷媒を循環させる運転をすることができるように構成されている。
以下、冷却機構1の構成を異ならせた装置毎に説明を行う。
まず請求項1で定義するとともに図1に示す基本となる構成について説明すると、冷却機構1は、ヒートポンプユニット10における冷媒の流路を、一次冷却サイクル10Aと二次冷却サイクル10Bとし、これらのサイクルを循環する冷媒が、カスケードコンデンサ19において熱交換されるとともに、冷却され液化した二次冷媒が、蒸発器17を通過して冷気A1が生成されるようにしたものである。そして後述する低圧受液器15とエバポレーティブコンデンサ12との間に具えられる圧縮機11を可変速ターボ型としたものである。
前記一次冷却サイクル10Aは、圧縮機11、凝縮器としてのエバポレーティブコンデンサ12、高圧受液器13、液面制御機構14、低圧受液器15、カスケードコンデンサ19が往復管路によって循環可能に繋がれたループ回路として形成されるものであり、フロン、アンモニア、炭酸ガス等を冷媒とするものである。なお前記高圧受液器13は冷媒のバッファとして機能するものであるが、エバポレーティブコンデンサ12と液面制御機構14との間を直接、管路で結ぶようにし、この管路を実質的に高圧受液器13として機能させるようにしてもよい。
そしてデータセンタDの室内空間Sには、放熱機器Rが設置されるものであり、この構成では一例として、室内空間Sの上部に蒸発器17が設置される。なお蒸発器17の設置個所は室内空間Sの上部に限定されるものではなく、放熱機器Rや室内空間Sの形態に応じて適宜の個所に設置されるものとする。
更にこのような一次冷却サイクル10A及び二次冷却サイクル10Bは、適宜の制御装置によって制御されるものであり、一例として適宜のセンサによってカスケードコンデンサ19付近の二次冷媒の圧力を検出し、その検出値に応じて、目的の制御を行うべく圧縮機11、エバポレーティブコンデンサ12のファン等の運転状態等の制御が行われる。また二次冷媒の温度を検出し、その検出値に応じて、目的の制御を行うべく圧縮機11、エバポレーティブコンデンサ12のファン等の運転状態等の制御が行われる。
またこの構成では、放熱機器RはIT機器が適宜のラックに収容された状態とされるものであり、各IT機器にはファンが具えられていることを考慮し、例えば図1に示すように対向した放熱機器Rの排気方向を対向させるとともに、放熱機器Rの吸気側面の上方にのみ蒸発器17及び隔壁18を設けるようにした。
(1)エバポレーティブコンデンサの凝縮温度が所定の温度よりも高温の場合
まず凝縮温度が所定の温度よりも高温の場合(一例として暖気A2の温度が30℃であり、25℃の冷気A1を生成するときに、凝縮温度が20℃以上の場合)には、圧縮機11を機能させて冷媒を循環させる運転が行われる。
そして圧縮機11を起動すると、カスケードコンデンサ19で蒸発する冷媒(20℃以下)は圧縮されてエバポレーティブコンデンサ12に入り凝縮・液化(20℃以上)し、高圧受液器13に流下する。高圧受液器13に貯められた冷媒液は、液面制御機構14によって低圧受液器15の液面を一定に保つように高圧受液器13から低圧受液器15に適宜供給される。低圧受液器15は、液分離機の役割も持っていて気体の冷媒ガスを圧縮機11に送ることによりカスケードコンデンサ19に送る冷媒液の温度を蒸発温度に近い温度(20℃以下)まで低下させる。低圧受液器15に蓄えられた冷媒液はカスケードコンデンサ19に送り込まれて蒸発し、気液混相状態となり低圧受液器15に戻り、気体状態の冷媒だけが圧縮機11の方に戻される。
一方、カスケードコンデンサ19で冷却された二次冷媒は凝縮液化して受液器19Aに流下して液ポンプ16に吸引・吐出され、蒸発器17に達して、一部蒸発して液ガス混合状態で受液器19Aに戻り、ガス状の気体のみカスケードコンデンサ19に吸引されて冷却され凝縮液化して再び受液器19Aに戻る。
蒸発器17では、周囲の空気を冷却して冷気A1を生成し、逆煙突効果により冷気A1を下方に押し流す自然循環流を発生させ、室内空間S内の上部空間にある温度の高い暖気A2を吸い込む。
このようにエバポレーティブコンデンサ12の凝縮温度が所定の温度よりも高温の場合には、可変速ターボ型の圧縮機11を運転して低圧受液器15の温度( 殆ど蒸発温度と同じ) を20℃以下にする。このとき、受液器19Aの温度と、低圧受液器15の温度との差は極僅かとなるように制御される。
そして冷気A1は放熱機器Rから放射される熱を吸収して暖気A2となり、室内空間S内を上昇してゆく。この際、隔壁18が対向する空間が、暖気A2の上昇経路を形成しているため、暖気A2は、冷気A1や室内空間S内の雰囲気によって阻害されることなく、円滑に天井付近に到達することができる。
次いで天井付近に位置する暖気A2は、隔壁18内における冷気A1の下降に伴って隔壁18の上部開口部から吸い込まれ、やがて蒸発器17に接して冷気A1となる。このように隔壁18には、天井付近に位置する最も温度の高い状態の暖気A2が導入されるため、冷却機構1による冷却効果を最大限に発揮することが可能とされる。
次にエバポレーティブコンデンサ12の凝縮温度が所定の温度よりも低温の場合(一例として暖気A2の温度が30℃であり、25℃の冷気A1を生成するときに、エバポレーティブコンデンサ12の凝縮温度が20℃未満の場合)には、可変速ターボ型の圧縮機11を機能させることなく冷媒を循環させる運転が行われる。
すなわちこの場合、動力が停止された可変速ターボ型の圧縮機11は圧縮機として機能することなく、単なる冷媒の流路として機能することとなる。また圧縮機11が機能していないため冷媒の圧力が高圧とならず、液面制御機構14は実質的に高圧受液器13と低圧受液器15との間の液ヘッド差を設定する作用を担う。これにより、液ヘッド差に応じた流量が設定されて、いわば流量調整弁として機能することとなる。
そしてカスケードコンデンサ19から圧縮機11を通過した気体状態の冷媒は、エバポレーティブコンデンサ12において熱を放出して凝縮(20℃未満)し、液相状態となり高圧受液器13に流下する。次いで液相状態の冷媒は液面制御機構14を通って低圧受液器15に送られ、自然循環によりカスケードコンデンサ19に圧送され、一部が蒸発して再び低圧受液器15に戻り、気液が分離されて気体の冷媒ガスだけエバポレーティブコンデンサ12に戻る。
一方、カスケードコンデンサ19で冷却された二次冷媒は凝縮液化して受液器19Aに流下して液ポンプ16に吸引・吐出され蒸発器17に達して、一部蒸発して液ガス混合状態で受液器19Aに戻り、ガス状の気体のみカスケードコンデンサ19に吸引されて冷却され凝縮液化して再び受液器19Aに戻る。
そして、蒸発器17で冷却された空気(冷気A1)は、前述のように逆煙突効果により室内空間S内を自然に循環して目的の冷却を果たすことになる。
因みに日本国内の東京以南の地域においても、25℃の冷気A1を生成する場合には、夏季以外の季節はこのような可変速ターボ型の圧縮機11を機能させない運転を行うことが可能であり、前述の圧縮機11を機能させる運転を行う必要があるのは、年間90日程度である。
なお隔壁18による自然循環の生起については、前述の圧縮機11を機能させる運転と同様であるので、ここでの記載は省略する。
そしてこのような構成が採られた場合、受液器19A内での二次冷媒の凝縮は、一次冷却サイクル10Aまたはエバポレーティブコンデンサ12Bのいずれか一方または双方によって行うことが可能となる。
またこのような構成が採られた場合、通常時は一次冷却サイクル10Aを停止して、エバポレーティブコンデンサ12Bのみによって二次冷媒の凝縮を行う運転を行い、エバポレーティブコンデンサ12Bだけでは冷却を賄えなくなったときに、圧縮機11を具えた一次冷却サイクル10Aを稼働させることにより、室内空間S内の温度上昇を確実に防ぐことができる。更に、一次冷却サイクル10Aと同時にエバポレーティブコンデンサ12Bを稼働させることにより、圧縮機11の負荷を軽減して消費電力の削減を図ることができる。
次いでこの参考例で示す冷却機構1は図2に示すように、低圧受液器15とエバポレーティブコンデンサ12との間に具えられる圧縮機11を容積型としたものである。
そして圧縮機11を機能させて冷媒を循環させる運転と、圧縮機11を機能させることなく冷媒を循環させる運転との切換を、冷媒のバイパス管路152を用いて行うものである。
なお図2に示す冷却機構1は、図1に示す冷却機構1と基本構成を同一とするものであるため、ここでは構成が異なる部分についてのみ説明を行うものとする。
具体的には、冷媒が容積型の圧縮機11を回避して循環することのできるようなバイパス管路152が設けられるれものであり、冷媒の流路を選択するためのバルブV1〜V4が具えられている(バルブV1、V2のみでも可)。
(1)エバポレーティブコンデンサの凝縮温度が所定の温度よりも高温の場合
まずエバポレーティブコンデンサ12の凝縮温度が所定の温度よりも高温の場合(一例として暖気A2の温度が30℃であり、25℃の冷気A1を生成するときに、エバポレーティブコンデンサの凝縮温度が20℃以上の場合)には、圧縮機11を機能させて冷媒を循環させる運転が行われる。
具体的には、バルブV1、V3を閉鎖し、バルブV2、V4を開放することにより、冷媒が圧縮機11を通過する流路を選択する。
そして圧縮機11を起動すると、圧縮機11に吸い込まれた気体状態の冷媒(圧力相当飽和温度(20℃以下))は圧縮された後、凝縮する。すなわち冷媒はエバポレーティブコンデンサ12において熱を放出して凝縮・液化するものであり、その後、高圧受液器13に流下し、液面制御機構14を通って低圧受液器15に流入する。低圧受液器15の圧力は圧縮機11の吸入圧力とほぼ同じ圧力で、蒸発圧力( 20℃相当飽和圧力) ともほぼ同じである。低圧受液器15に蓄えられた冷媒液は、カスケードコンデンサ19に送られ、一部蒸発したのち低圧受液器15に戻り、液とガスに分離され、ガスだけが圧縮機11に戻る。なお二次冷却サイクル10B及び蒸発器17の機能等は前述の実施例と同じであるのでここでの説明は省略する。
次にエバポレーティブコンデンサ12の凝縮温度が所定の温度よりも低温の場合(一例として暖気A2の温度が30℃であり、25℃の冷気A1を生成するときに、エバポレーティブコンデンサ12の凝縮気温が20℃未満の場合)には、圧縮機11を機能させることなく冷媒を循環させる運転が行われる。
具体的には、圧縮機11を停止するとともにバルブV1、V3を開放し、バルブV2、V4を閉鎖することにより、冷媒が圧縮機11を通過しない流路を選択する。
そしてカスケードコンデンサ19からバイパス管路152を通過した気体状態の冷媒は、エバポレーティブコンデンサ12において熱を放出して凝縮・液化して高圧受液器13に流下する。高圧受液器13に貯まった冷媒液は、液面制御機構14を通って低圧受液器15に入り、次いでカスケードコンデンサ19に達し、一部が蒸発して気液混合状態となって低圧受液器15に戻り、気体状態の冷媒ガスだけエバポレーティブコンデンサ12に戻る。
なお二次冷却サイクル10B及び蒸発器17の機能等は前述の実施例と同じであるのでここでの説明は省略する。
このようにエバポレーティブコンデンサ12の凝縮温度が所定の温度よりも低温の場合には、圧縮機11を機能させなくてもエバポレーティブコンデンサ12において冷媒が20℃以下で凝縮するため、圧縮機11を運転することなくデータセンタDの室内空間Sの冷却を行うことが可能となるものである。
また冷媒として炭酸ガスが採用されるため、データセンタDの室内空間S内に位置する配管部分に、噴出バルブV5を設けることにより、火災が発生した場合には、室内空間Sに炭酸ガスを充満させることにより速やかに鎮火させることができ、出火機器以外の損傷を回避することができる。
そして上述した基本となる構成及び参考例で示す冷却機構1によれば、COPの良い運転を実現することができる。また二次冷却サイクル10Bには圧縮機11が用いられないため、油の混入等による蒸発器17の性能低下を回避することができる。更に消火機能を使うときも冷凍機油による汚染を心配しなくてよい。
また本発明の技術的思想に基づいて、以下に示すような構成を採ることも可能である。なお以下の構成では前記噴出バルブV5の説明は省略しているが、基本となる構成と同様に噴出バルブV5を設けるようにしてもよい。
まず、高緯度に位置する国または日本国内であれば北海道のような寒冷地の場合、一年を通じて圧縮機11を使用することなく、エバポレーティブコンデンサ12の作用のみによってデータセンタDの冷却を行うことも可能であり、このような運転に特化した構成を採ることができる。
具体的には図4に示すように、データセンタD室外に、エバポレーティブコンデンサ12及び低圧受液器15を配置し、一方、データセンタDの室内空間Sに蒸発器17を配置し、前記蒸発器17における冷媒の蒸発によって生じる冷気A1によって室内空間Sの冷却を行うとともに、前記エバポレーティブコンデンサ12によって冷媒の凝縮が行われるような構成を採ることができるものである。なお低圧受液器15から蒸発器17への冷媒の供給は液ポンプ16によって行われるものとする。
そしてこのような構成が採られた場合、年間を通じてエバポレーティブコンデンサ12によって冷媒の凝縮が行われるため、冷却機構1を消費電力を抑えた低コストで運用することが可能となるとともに、イニシャルコストを低減することができる。
具体的には図5に示すように、図4に示したエバポレーティブコンデンサ12、低圧受液器15及び蒸発器17を具えて成る第一冷却サイクル10Cと、圧縮機11、コンデンサ12a(エバポレーティブ)及び蒸発器17を具えて成る第二冷却サイクル10Dとを並列状態に配置した形態を採るものである。なお第二冷却サイクル10Dにおけるコンデンサ12aと蒸発器17とを結ぶ管路における蒸発器17寄りの部位には膨張弁17bが設けられる。
そしてこのような構成が採られた場合、通常時は第一冷却サイクル10Cのみによって運転を行い、第一冷却サイクル10Cだけでは冷却を賄えなくなったときに、圧縮機11を具えた第二冷却サイクル10Dを稼働させることにより、室内空間S内の温度上昇を確実に防ぐことができる。更に、第二冷却サイクル10Dと同時に第一冷却サイクル10Cを稼働させることにより、圧縮機11の負荷を軽減して消費電力の削減を図ることができる。
なお図5に示した冷却機構1においては前記隔壁18が採用されていないが、放熱機器Rの蒸発器17側の上方部は、蒸発器17の筐体によって塞がれる状態とされており、蒸発器17の放熱部に触れた暖気A2は冷却されて冷気A1となって放熱機器Rの側方に沿って下降し、放熱機器Rの冷却に供されて暖気A2となるものであり、この暖気A2が再び蒸発器17に導びかれるような自然循環が生起されることとなる。
そしてこのような構成が採られた場合、図6に示された装置構成と同様に、受液器19B内での二次冷媒の凝縮は、一次冷却サイクル10A(カスケードコンデンサ19)またはエバポレーティブコンデンサ12Bのいずれか一方または双方によって行うことが可能となることに加え、次のような効果が得られる。
すなわち、二次冷媒として炭酸ガスを用いるような場合に、カスケードコンデンサ19の構成要素であるプレートクーラの耐圧性が低いような場合であっても、二次冷媒の凝縮は密閉された受液器19Bに内蔵されたカスケードコンデンサ19において行われるため、見かけ上の圧力差が少なくなり、凝縮を安全且つ安定して行うことが可能となる。
10 ヒートポンプユニット
10A 一次冷却サイクル
10B 二次冷却サイクル
10C 第一冷却サイクル
10D 第二冷却サイクル
11 圧縮機
12 エバポレーティブコンデンサ
12a コンデンサ
12B エバポレーティブコンデンサ
13 高圧受液器
14 液面制御機構
15 低圧受液器
16 液ポンプ
17 蒸発器
17a 流量調整弁
17b 膨張弁
18 隔壁
18a 伸縮部
19 カスケードコンデンサ
19A 受液器
19B 受液器
152 バイパス管路
A1 冷気
A2 暖気
D データセンタ
R 放熱機器
S 室内空間
V1 バルブ
V2 バルブ
V3 バルブ
V4 バルブ
V5 噴出バルブ
Claims (9)
- データセンタ室外に、エバポレーティブコンデンサ及び受液器を配置し、一方、データセンタの室内空間に蒸発器を配置し、前記蒸発器における冷媒の蒸発によって室内空間の冷却を行うとともに、前記エバポレーティブコンデンサによって冷媒の凝縮が行われるように構成されていることを特徴とするデータセンタの冷却機構。
- 前記エバポレーティブコンデンサ、受液器及び蒸発器を具えて成る第一の冷却サイクルと、圧縮機、コンデンサー及び蒸発器を具えて成る第二の冷却サイクルとを、並列状態に配置して成ることを特徴とする請求項1記載のデータセンタの冷却機構。
- データセンタ室外に、可変速ターボ型の圧縮機、エバポレーティブコンデンサ、高圧受液器、液面制御機構、低圧受液器、カスケードコンデンサを具えて成る一次冷却サイクルを配置し、更に、データセンタの室内空間に配置した蒸発器と、受液器、液ポンプとを配管で繋いでループ回路とし、蒸発器下流で前記カスケードコンデンサにおいて二次冷媒としての炭酸ガスが凝縮される二次冷却サイクルを配置して成り、前記一次冷却サイクルは、エバポレーティブコンデンサの凝縮温度が所定の温度以下の時に、前記圧縮機を機能させることなく一次冷媒を循環させ、カスケードコンデンサにおいて凝縮された二次冷却サイクルにおける二次冷媒により、室内空間の冷却を行うように構成されていることを特徴とする請求項1記載のデータセンタの冷却機構。
- データセンタ室外に、容積型の圧縮機、エバポレーティブコンデンサ、高圧受液器、液面制御機構、低圧受液器、カスケードコンデンサ具えるとともに、前記圧縮機を迂回するバイパス管路を設けて成る一次冷却サイクルを配置し、更に、データセンタの室内空間に配置した蒸発器と、受液器、液ポンプとを配管で繋いでループ回路とし、蒸発器下流で前記カスケードコンデンサにおいて二次冷媒としての炭酸ガスが凝縮される二次冷却サイクルを配置して成り、前記一次冷却サイクルは、エバポレーティブコンデンサの凝縮温度が所定の温度以下の時に、圧縮機を停止するとともに、この圧縮機を回避するバイパス管路を開放することにより、前記圧縮機を機能させることなく一次冷媒を循環させ、カスケードコンデンサにおいて凝縮された二次冷却サイクルにおける二次冷媒により、室内空間の冷却を行うように構成されていることを特徴とする請求項1記載のデータセンタの冷却機構。
- 前記二次冷却サイクルにおける受液器に対してエバポレーティブコンデンサを接続したことを特徴とする請求項3または4記載のデータセンタの冷却機構。
- 前記カスケードコンデンサを二次冷却サイクルにおける受液器に内蔵したことを特徴とする請求項5記載のデータセンタの冷却機構。
- 前記冷媒を室内空間に噴出することができるように構成されていることを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6記載のデータセンタの冷却機構。
- 前記蒸発器は逆煙突効果を発揮する形態の縦型の隔壁で囲われており、蒸発器近傍の空気を冷却することにより、ファンを使用することなくデータセンタ室内空間の上部にある高温空気を効率よく蒸発器に向けて引き込み、冷却した後、下方に吐き出す構造が具えられていることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6または7記載のデータセンタの冷却機構。
- 前記隔壁の下部には伸縮部が具えられていることを特徴とする請求項8記載のデータセンタの冷却機構。
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