JPWO2014119452A1 - 蒸着ユニットおよび蒸着装置 - Google Patents

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Abstract

蒸着ユニット(1)は、蒸着源(10)と第1の制限板ユニット(20)および第2の制限板ユニット(30)を少なくとも有する複数段の制限板ユニットと蒸着マスク(40)とをこの順に備え、第1の制限板ユニット(20)は複数の第1の制限板(22)を備え、第2の制限板ユニット(30)は複数の第2の制限板(32)を備え、Z軸方向から見たときに第2の制限板(32)が、Y軸方向に交差する方向に延設されている。

Description

本発明は、被成膜基板に所定パターンの蒸着膜を形成するための蒸着ユニットおよび蒸着装置に関する。
近年、様々な商品や分野でフラットパネルディスプレイが活用されており、フラットパネルディスプレイのさらなる大型化、高画質化、低消費電力化が求められている。
そのような状況下、有機材料の電界発光(エレクトロルミネッセンス;以下、「EL」と記す)を利用した有機EL素子を備えた有機EL表示装置は、全固体型で、低電圧駆動、高速応答性、自発光性等の点で優れたフラットパネルディスプレイとして、高い注目を浴びている。
有機EL表示装置は、例えば、アクティブマトリクス方式の場合、TFT(薄膜トランジスタ)が設けられたガラス基板等からなる基板上に、TFTに電気的に接続された薄膜状の有機EL素子が設けられた構成を有している。
フルカラーの有機EL表示装置では、一般的に、赤(R)、緑(G)、青(B)の各色の有機EL素子が、サブ画素として基板上に配列形成されており、TFTを用いて、これら有機EL素子を選択的に所望の輝度で発光させることにより画像表示を行う。
したがって、このような有機EL表示装置を製造するためには、少なくとも、各色に発光する有機発光材料からなる発光層を、有機EL素子毎に所定パターンで形成する必要がある。
このような発光層を所定パターンで形成する方法としては、例えば、真空蒸着法、インクジェット法、レーザ転写法等が知られている。例えば、低分子型有機EL表示装置(OLED)では、主に真空蒸着法が、発光層のパターニングに用いられている。
真空蒸着法では、所定パターンの開口が形成された蒸着マスク(シャドウマスクとも称される)が使用される。そして、蒸着源からの蒸着粒子(蒸着材料、成膜材料)を、蒸着マスクの開口を通して被蒸着面に蒸着させることにより、所定パターンの薄膜が形成される。このとき、蒸着は、発光層の色毎に行われる(これを「塗り分け蒸着」という)。
真空蒸着法は、被成膜基板と蒸着マスクとを固定もしくは順次移動させて密着させることにより成膜する方法と、被成膜基板と蒸着用のマスクとを離間させて走査しながら成膜するスキャン蒸着法とに大別される。
前者の方法では、被成膜基板と同等の大きさの蒸着マスクが使用される。しかしながら、被成膜基板と同等の大きさの蒸着マスクを使用すると、基板の大型化に伴い、蒸着マスクも大型化する。したがって、被成膜基板が大きくなれば、それに伴い、蒸着マスクの自重撓みや伸びにより、被成膜基板と蒸着マスクとの間に隙間が生じ易くなる。そのため、大型基板では、高精度なパターニングを行うのが難しく、蒸着位置のズレや混色が発生し、高精細化を実現することが困難である。
また、被成膜基板が大きくなれば、蒸着マスクのみならず、蒸着マスク等を保持するフレーム等も巨大になり、その重量も増加する。このため、被成膜基板が大きくなると、蒸着マスクやフレーム等の取り扱いが困難になり、生産性や安全性に支障をきたすおそれがある。また、蒸着装置そのものや、それに付随する装置も同様に巨大化、複雑化するため、装置設計が困難になり、設置コストも高額になる。
このため、実情、前者の方法では、例えば60インチサイズを超えるような大型基板に対しては、量産レベルで塗り分け蒸着することができない。
そこで、近年、被成膜基板よりも小さな蒸着マスクを用いて走査しながら蒸着を行うスキャン蒸着法が注目されている。
このようなスキャン蒸着法では、例えば帯状の蒸着マスクを使用し、蒸着マスクと蒸着源とを一体化する等して、被成膜基板と、蒸着マスクおよび蒸着源との少なくとも一方を相対移動させながら被成膜基板全面に蒸着粒子を蒸着する。
このため、スキャン蒸着法では、被成膜基板と同等の大きさの蒸着マスクを用いる必要がなく、大型の蒸着マスクを用いる場合に特有の上述の問題を改善することができる。
しかしながら、その一方で、スキャン蒸着法では、被成膜基板と、蒸着マスクおよび蒸着源との少なくとも一方を相対移動させるため、被成膜基板と蒸着マスクとの間に隙間が設けられる。
蒸着マスクを用いた真空蒸着法では、蒸着材料を加熱して蒸発または昇華させて蒸着源から蒸着粒子として射出(飛散)させることにより蒸着が行われる。このため、蒸着すべき蒸着領域に対して蒸着粒子を適切に導くことができなければ、蒸着領域の外側の部分に蒸着材料が付着し、蒸着ボケ(パターンボケ)が生じる。
スキャン蒸着法では、被成膜基板と蒸着マスクとの間の隙間を維持しながら走査を行うため、蒸着マスクの開口を斜めに通過する蒸着粒子の一部が蒸着領域(蒸着マスクの開口と対向する領域)の外側の部分に付着し、走査方向に対して垂直な方向に蒸着ボケが発生し易い。
発光層等は画素の発光領域として機能する。このため、蒸着ボケが、隣接する画素の異なる色の発光領域に及ぶと、混色やデバイス特性の劣化を招く。従って、蒸着ボケは極力小さくすることが望ましい。
そこで、近年、蒸着ボケを低減させる方法として、蒸着流(蒸着粒子の流れ)を制限する制限板(制御板)を設けることで蒸着流の指向性を高め、これにより蒸着粒子を蒸着領域に適切に導く方法が提案されている(例えば特許文献1等)。
図14は、特許文献1に記載の蒸着装置の概略構成を示す斜視図である。
例えば、特許文献1には、蒸着源301の一側に、蒸着源301と蒸着マスク302との間の空間を複数の蒸着空間に区画する複数の遮断壁311を制限板として備えた遮断壁アセンブリ310を設けることが開示されている。特許文献1によれば、上記遮断壁311によって蒸着範囲が制限されることで、蒸着パターンが広がることなく、高精細なパターン蒸着を行うことができる。
日本国公開特許公報「特開2010−270396号公報(2010年12月2日公開)」
しかしながら、蒸着速度が高くなると(つまり、高レート時には)、このような方法を用いても蒸着ボケを解消することはできない。
図15の(a)・(b)は、蒸着源301と蒸着マスク302との間に、走査方向に垂直な方向に沿って、一般的な制限板320を複数設けた場合における、蒸着速度の違いによる蒸着流の違いを模式的に示す図である。なお、図15の(a)は、蒸着速度が相対的に低い場合(低レート時)を示し、図15の(b)は、蒸着速度が相対的に高い場合(高レート時)を示す。また、図16は、高レート時に制限板320を通過した蒸着粒子401を模式的に示す要部平面図である。
例えば蒸着源301の射出口301aに特殊なノズルを使用しない限り、蒸着源301から射出されて飛散する蒸着粒子401(蒸着流)は、等方的な分布を示す。
このため、図15の(a)・(b)に示すように、蒸着源301と蒸着マスク302との間に制限板320を設けたとしても、走査方向に垂直な方向(X軸方向)に対して浅い角度で蒸着マスク302を通過した蒸着粒子401が、被成膜基板200に形成される蒸着膜402の蒸着ボケを引き起こす原因となる。
制限板320は、浅い角度成分の蒸着粒子401をカットし、深い角度成分の蒸着粒子401のみを取り出すことで蒸着流を制限し、指向性を向上させる機能を担う。
制限板320間の制限板開口321を通過した蒸着粒子401は、図15の(a)に示すように、蒸着速度が低い場合(低レート時)には、指向性をある程度保持したまま蒸着マスク302を通過するので、蒸着ボケを解消することができる。
しかしながら、図15の(b)に示すように、高レート時には、蒸着粒子401の運動エネルギーが高いため、蒸着粒子401間の衝突・散乱確率が高まる。この結果、図16に示すように、制限板320により制限(制御)された蒸着流が、制限板開口321を通過後に再度等方的な分布となり、蒸着ボケが発生する。
すなわち、従来の制限板320では、高レート時のような高い運動エネルギーを有する蒸着流を制御することができない。このことが、蒸着ボケの原因となっている。
そして、蒸着ボケが大きくなればなるほど、画素内の不均一発光や隣接画素への混色等が発生し、画質面で大きな問題を引き起こす。
同じことが、特許文献1に記載の蒸着装置にも言える。高レート時に衝突・散乱することによりX軸に対して浅い角度で遮断壁アセンブリ310を通過した蒸着粒子401は、X軸に対して浅い角度のまま蒸着マスク302を通過する。このため、特許文献1に記載の蒸着装置も、高レート時に発生する蒸着ボケを抑制することができない。
なお、高レート時の蒸着ボケを抑制するため、制限板320(例えば、遮断壁311)の間隔を小さくすると、制限板320の開口率が急激に低下するので、蒸着材料の利用効率が低下する。
一方、高レート時の蒸着ボケを抑制するため、制限板320(例えば、遮断壁311)と蒸着マスク302との間の距離を近づけようとすると、制限板320のZ軸方向(被成膜基板200の法線方向)の長さが長くなる。
しかしながら、Z軸方向の長さが長い制限板320を使用すると、蒸着粒子401の衝突・散乱が複数回生じることで、本来であれば蒸着ボケにならない蒸着成分までカットしてしまうことになる。この結果、材料利用効率が著しく低下し、収率が低下し、生産性が著しく悪くなる。また、制限板320の重量や熱膨張量が大きくなるので、蒸着ボケの幅にバラツキが生じることになる。
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、蒸着ボケを起こす蒸着流のみを効率的にカットすることで、材料利用効率を低下させることなく蒸着ボケを低減させることができる蒸着ユニットおよび蒸着装置を提供することにある。
上記の課題を解決するために、本発明の一態様にかかる蒸着ユニットは、蒸着マスクと、上記蒸着マスクに向かって蒸着粒子を射出する蒸着源と、上記蒸着マスクと蒸着源との間に設けられ、上記蒸着粒子の通過角度を制限する第1の制限板ユニットおよび第2の制限板ユニットを少なくとも有する複数段の制限板ユニットとを備え、上記第1の制限板ユニットは、上記蒸着マスクの主面に垂直な方向から見たときに、第1の方向に互いに離間し、かつ、互いに平行に設けられた、複数の第1の制限板からなる第1の制限板列を備え、上記第2の制限板ユニットは、上記第1の制限板ユニットと蒸着マスクとの間に設けられており、かつ、複数の第2の制限板を備え、上記蒸着マスクの主面に垂直な方向から見たときに、上記第2の制限板が、上記第1の方向に垂直な第2の方向に交差する方向に延設されている。
また、本発明の一態様にかかる蒸着装置は、上記蒸着ユニットと、上記蒸着ユニットにおける蒸着マスクと被成膜基板とを対向配置した状態で、上記蒸着ユニットおよび上記被成膜基板のうち一方を、上記第2の方向が走査方向となるように相対移動させる移動装置とを備え、上記蒸着マスクの上記第2の方向の幅は、上記第2の方向における被成膜基板の幅よりも小さく、上記第2の方向に沿って走査しながら、上記蒸着源から出射された蒸着粒子を、上記複数段の制限板ユニットおよび上記蒸着マスクの開口部を介して上記被成膜基板に蒸着させる。
本発明の一態様によれば、蒸着源から射出された蒸着粒子による、等方分布を有する蒸着流は、まず、第1の制限板によって指向性の悪い蒸着成分がカット(捕捉)され、指向性の高い分布に制御される。制御された蒸着流は、蒸着速度が高い場合(つまり、高レート時)に、その高い運動エネルギーに起因して生じる蒸着粒子間の衝突・散乱のため、第1の制限板間の開口領域を通過後に、指向性が悪くなるが、第2の制限板によって再度指向性の悪い蒸着成分がカットされることで、指向性の高い分布に制御され、指向性が高い状態を維持して蒸着マスクを通過する。このため、蒸着ボケを抑制することができ、蒸着ボケが極めて少ない、高精細な蒸着膜パターンを形成することができる。
また、上記蒸着ユニットは、蒸着経路に複数段の制限板ユニットを備えていることで、蒸着流の分布に応じて、蒸着ボケを起こす蒸着流の分布のみを、効率的にカットすることができる。このため、被成膜基板の法線方向である、蒸着マスクの主面に垂直な方向における制限板の長さを長くした場合のように制限板でロスする材料を低減することができる。
したがって、上記蒸着ユニットおよび蒸着装置によれば、高レート時の蒸着ボケを抑制することができるとともに、従来よりも、材料利用効率を向上させることができ、収率および生産性を向上させることができる。
実施の形態1にかかる蒸着装置における蒸着ユニットの要部の概略構成を、被成膜基板と併せて示す斜視図である。 実施の形態1にかかる蒸着装置において、蒸着マスクの主面に垂直な方向から見たときの第1の制限板および第2の制限板を、高レート時に第1の制限板を通過した蒸着粒子と併せて模式的に示す要部平面図である。 第1の制限板を、隙間を介してZ軸方向に2段設けた場合の蒸着流の一例を示す断面図である。 実施の形態1にかかる蒸着装置における第1の制限板ユニットおよび第2の制限板ユニットの概略構成の一例を示す斜視図である。 実施の形態1にかかる蒸着装置における第2の制限板ユニットの概略構成の他の一例を示す斜視図である。 実施の形態1にかかる蒸着装置における要部の概略構成を模式的に示す断面図である。 実施の形態1にかかる制限板ユニットの他の概略構成を示す要部平面図である。 実施の形態2にかかる蒸着装置における蒸着ユニットの要部の概略構成を、被成膜基板と併せて示す斜視図である。 実施の形態2にかかる蒸着装置において、蒸着マスクの主面に垂直な方向から見たときの第1の制限板および第2の制限板を、高レート時に第1の制限板を通過した蒸着粒子と併せて模式的に示す要部平面図である。 (a)〜(l)は、実施の形態2にかかる制限板ユニットの他の概略構成を示す要部平面図である。 (a)〜(c)は、実施の形態2にかかる制限板ユニットにおける第2の制限板の他のパターン例を示す平面図である。 実施の形態3にかかる蒸着装置における蒸着ユニットの要部の概略構成を、被成膜基板と併せて示す斜視図である。 実施の形態3にかかる制限板ユニットの概略構成を示す要部平面図である。 特許文献1に記載の蒸着装置の概略構成を示す斜視図である。 (a)・(b)は、蒸着源と蒸着マスクとの間に、走査方向に垂直な方向に沿って、一般的な制限板を複数設けた場合における、蒸着速度の違いによる蒸着流の違いを模式的に示す図であり、(a)は低レート時を示し、(b)は高レート時を示す。 高レート時に、図15の(b)に示す制限板を通過した蒸着粒子を模式的に示す要部平面図である。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
〔実施の形態1〕
本発明の実施の一形態について図1〜図7に基づいて説明すれば以下の通りである。
<蒸着ユニットの要部の概略構成>
図1は、本実施の形態にかかる蒸着装置100(図6参照)における蒸着ユニット1の要部の概略構成を、被成膜基板200と併せて示す斜視図である。
なお、以下、説明の便宜上、被成膜基板200の走査方向に沿った水平方向軸をY軸とし、被成膜基板200の走査方向に垂直な方向に沿った水平方向軸をX軸とし、被成膜基板200の被蒸着面201(被成膜面)の法線方向であり、該被蒸着面201に直交する蒸着軸線が延びる方向である、X軸およびY軸に垂直な垂直方向軸(上下方向軸)をZ軸として説明する。また、説明の便宜上、特に言及しない限りは、Z軸方向の矢印の側(図1の紙面の上側)を「上側」として説明する。
図1に示すように、本実施の形態にかかる蒸着ユニット1は、蒸着源10と、蒸着マスク40と、蒸着源10と蒸着マスク40との間に設けられ、蒸着粒子401の通過角度を制限する、第1の制限板ユニット20および第2の制限板ユニット30とを備えている。
蒸着源10、第1の制限板ユニット20、第2の制限板ユニット30、蒸着マスク40は、Z軸方向に沿って蒸着源10側からこの順に、例えば互いに一定の空隙を有して(つまり、一定距離離間して)対向配置されている。
蒸着装置100は、スキャン蒸着方式を用いた蒸着装置である。このため、蒸着装置100では、蒸着マスク40と被成膜基板200との間に一定の空隙を設けた状態で、被成膜基板200および蒸着ユニット1の少なくとも一方を相対移動(走査)させる。
このため、蒸着源10、第1の制限板ユニット20、第2の制限板ユニット30、および蒸着マスク40は、互いにその相対的な位置が固定されている。したがって、これら蒸着源10、第1の制限板ユニット20、第2の制限板ユニット30、および蒸着マスク40は、例えば図6に示すホルダ50のように、同一のホルダ等の図示しない保持部材によって保持されていてもよく、一体化されていてもよい。
(蒸着源10)
蒸着源10は、例えば、内部に蒸着材料を収容する容器である。蒸着源10は、容器内部に蒸着材料を直接収容する容器であってもよく、ロードロック式の配管を有し、外部から蒸着材料が供給されるように形成されていてもよい。
蒸着源10は、図1に示すように、例えば矩形状に形成されている。蒸着源10は、その上面(すなわち、第1の制限板ユニット20との対向面)に、蒸着粒子401を射出させる複数の射出口11(貫通口、ノズル)を有している。これら射出口11は、X軸方向(第1の方向、走査方向に垂直な方向)に一定ピッチで配されている。
蒸着源10は、蒸着材料を加熱して蒸発(蒸着材料が液体材料である場合)または昇華(蒸着材料が固体材料である場合)させることで気体状の蒸着粒子401を発生させる。蒸着源10は、このように気体にした蒸着材料を、蒸着粒子401として、射出口11から第1の制限板ユニット20に向かって射出する。
なお、図1では、蒸着源10が複数の射出口11を有している場合を例に挙げて図示しているが、射出口11の数は特に限定されるものではなく、少なくとも1つ形成されていればよい。
また、射出口11は、図1に示すようにX軸方向に一次元状(すなわち、ライン状)に配列されていてもよく、二次元状(すなわち、面状(タイル状))に配列されていても構わない。
(蒸着マスク40)
蒸着マスク40は、その主面(面積が最大である面)であるマスク面がXY平面と平行な板状物である。スキャン蒸着を行う場合、蒸着マスク40には、被成膜基板200よりも少なくともY軸方向のサイズが小さな蒸着マスクが使用される。
蒸着マスク40の主面には、蒸着時に蒸着粒子401を通過させるための複数のマスク開口41(開口部、貫通口)が設けられている。マスク開口41は、被成膜基板200における、目的とする蒸着領域以外の領域に蒸着粒子401が付着しないように、上記蒸着領域の一部のパターンに対応して設けられている。マスク開口41を通過した蒸着粒子401のみが被成膜基板200に到達し、被成膜基板200に、マスク開口41に対応したパターンの蒸着膜402(図6参照)が形成される。
なお、上記蒸着材料が有機EL表示装置における発光層の材料である場合、有機EL蒸着プロセスにおける発光層の蒸着は、発光層の色毎に行われる。
(第1の制限板ユニット20および第2の制限板ユニット30の要部の概略構成)
前述したように、第1の制限板ユニット20および第2の制限板ユニット30は、蒸着源10と蒸着マスク40との間に、Z軸方向に沿って、蒸着源10側からこの順に配されている。
第1の制限板ユニット20は、複数の第1の制限板22からなる第1の制限板列21を備えている。また、第2の制限板ユニット30は、複数の第2の制限板32からなる第2の制限板列31を備えている。
蒸着源10から射出された蒸着粒子401は、第1の制限板22間を通った後、第2の制限板32間を通り、蒸着マスク40に形成されたマスク開口41を通過して、被成膜基板200に蒸着される。
第1の制限板ユニット20および第2の制限板ユニット30は、これら第1の制限板ユニット20および第2の制限板ユニット30に入射した蒸着粒子401を、その入射角度に応じて選択的に捕捉する。
第1の制限板ユニット20は、例えば、第1の制限板22に衝突した蒸着粒子401の少なくとも一部を捕捉することで、蒸着源10から射出された蒸着粒子401に対し、第1の制限板22の配設方向(つまり、X軸方向および斜め方向)への蒸着粒子401の移動を制限する。
一方、第2の制限板ユニット30は、例えば、第2の制限板32に衝突した蒸着粒子401の少なくとも一部を捕捉することで、第1の制限板22を通過した蒸着粒子401に対し、第2の制限板32の配設方向(つまり、Y軸方向および斜め方向)への蒸着粒子401の移動を制限する。
これにより、第1の制限板ユニット20および第2の制限板ユニット30は、蒸着マスク40のマスク開口41に入射する蒸着粒子401の入射角を一定範囲内に制限し、被成膜基板200に対する斜め方向からの蒸着粒子401の付着を防止する。
なお、本実施の形態では、第1の制限板22は、それぞれ、同一寸法の板状部材で形成されている。また、第2の制限板32も、それぞれ、同一寸法の板状部材で形成されている。但し、第1の制限板22と第2の制限板32とは、同じ寸法を有している必要はない。
第1の制限板22と第2の制限板32とは、同一YZ面で平行にならないように設置されており、蒸着マスク40の主面に垂直な方向から見たときに互いに異なる方向に延設されている。
第1の制限板22は、蒸着マスク40の主面に垂直な方向から見たときに、それぞれY軸に平行に延設されており、それぞれ同一ピッチでX軸方向に互いに平行に複数配列されている。これにより、蒸着マスク40の主面に垂直な方向(つまり、Z軸に平行な方向)から見たとき、X軸方向に隣り合う第1の制限板22間に、それぞれ、開口領域として、制限板開口23が1つ形成されている。
なお、本実施の形態では、第1の制限板22は、蒸着源10の射出口11が、各制限板開口23に対応するように配置されている。射出口11のX軸方向位置は、隣り合う第1の制限板22のX軸方向の中央位置に位置している。また、制限板開口23のピッチは、マスク開口41のピッチよりも大きく形成されており、蒸着マスク40の主面に垂直な方向から見たとき、X軸方向に隣り合う第1の制限板22間には、複数のマスク開口41が配されている。
一方、第2の制限板32は、蒸着マスク40の主面に垂直な方向から見たときに、それぞれX軸に平行に延設されており、それぞれ同一ピッチで互いに平行にY軸方向(第2の方向、走査方向)に複数配列されている。これにより、蒸着マスク40の主面に垂直な方向から見たとき、Y軸方向に隣り合う第2の制限板32間に、それぞれ、開口領域として、制限板開口33が1つ形成されている。
第1の制限板22は、YZ平面が主面となっている。一方、第2の制限板32は、XZ平面が主面となっている。
第1の制限板22および第2の制限板32は、それぞれ、蒸着マスク40の主面に対して垂直となるように配されている。つまり、第1の制限板22および第2の制限板32は、それぞれ、その主面である表裏面が、被成膜基板200の被蒸着面201に垂直な方向を向くように配されている。このため、第1の制限板22は、それぞれの主面がX軸方向に隣り合うように配されており、第2の制限板32は、それぞれの主面がY軸方向に隣り合うように配されている。
本実施の形態では、第1の制限板22および第2の制限板32は、それぞれ、例えば長方形状に形成されている。第1の制限板22および第2の制限板32は、それぞれ、その短軸がZ軸方向に平行になるように垂直に配されている。このため、第1の制限板22は、その長軸がY軸方向に平行に配されており、第2の制限板32は、その長軸がX軸方向に平行に配されている。
<蒸着ボケの抑制効果>
次に、上記蒸着ユニット1による蒸着ボケの抑制効果について、図1〜図3を参照して以下に説明する。
図2は、蒸着マスク40の主面に垂直な方向から見たときの第1の制限板22および第2の制限板32を、高レート時に第1の制限板22を通過した蒸着粒子401と併せて模式的に示す要部平面図である。
図1および図2に示すように、本実施の形態では、第1の制限板22と第2の制限板32の軸方向が垂直になるように第1の制限板22と第2の制限板32とを配設したことで、蒸着マスク40の主面に垂直な方向から見たときに、第2の制限板32が、Y軸方向に非平行であり、Y軸方向に対して交差する方向に延設されている。より厳密には、蒸着マスク40の主面に垂直な方向から見たときの第2の制限板32の端面32aが、第1の制限板列21における、蒸着マスク40の主面に垂直な方向から見たときの第1の制限板22の端面22aおよび第1の制限板22間の制限板開口33と交差している。なお、ここで、蒸着マスク40の主面に垂直な方向から見たときの第1の制限板22の端面22aとは、第1の制限板22における主面以外の面のうち、蒸着マスク40の主面に垂直な方向から見たときの面(例えば、図1における第1の制限板22の上面または下面)を示す。同様に、蒸着マスク40の主面に垂直な方向から見たときの第2の制限板32の端面32aとは、第2の制限板32における主面以外の面のうち、蒸着マスク40の主面に垂直な方向から見たときの面(例えば、図1における第2の制限板32の上面または下面)を示す。
蒸着源10の射出口11から射出された蒸着粒子401は、蒸着流として等方的に広がる。このように等方分布を有する蒸着流は、まず、図1に示すように、第1の制限板22によって指向性の悪い蒸着成分がカット(捕捉)され、指向性の高い分布に制御される。
制御された蒸着流は、蒸着速度が高い場合、その高い運動エネルギーに起因して生じる蒸着粒子401間の衝突・散乱のため、第1の制限板22間の制限板開口23を通過後に、指向性が悪くなる。
指向性が悪くなった蒸着流は、図2に示すように、第2の制限板32によって再度指向性の悪い蒸着成分がカットされ、指向性の高い分布に制御される。
指向性が高い状態を維持した蒸着流は、蒸着マスク40のマスク開口41を通過し、被成膜基板200に蒸着される。
なお、このとき、本実施の形態では、被成膜基板200をY軸方向に走査することで、蒸着膜402の塗り分け層を形成することができる。
このように、本実施の形態によれば、第2の制限板32の端面32aが、第1の制限板列21における第1の制限板22の端面22aおよび第1の制限板22間の制限板開口33のうち少なくとも一方と交差するように、第1の制限板22の軸方向と第2の制限板32の軸方向とを垂直にしている。これにより、第1の制限板22で指向性を向上させた蒸着流が、制限板開口23を通過後に指向性が悪く(いわゆる等方的な分布化)なったとしても、第2の制限板32で、指向性の悪い蒸着成分をカットすることができる。
このため、第2の制限板ユニット30を通過した蒸着粒子401は、高指向性を保持した状態で蒸着マスク40のマスク開口41を通過し、被成膜基板200に蒸着される。このため、蒸着ボケを抑制することができ、蒸着ボケが極めて少ない、高精細な蒸着膜パターンを形成することができる。
このため、例えば上記被成膜基板200が有機EL基板である場合、蒸着ボケが大幅に抑制されるため、例えば、混色が生じないように発光領域間の非発光領域の幅を大きくする必要がなくなる。よって、高輝度で高精細な表示を実現することができる有機EL表示装置を製造することができる。また、例えば有機EL表示装置の輝度を高めるために発光層の電流密度を高くする必要がなくなるので、長寿命を実現でき、信頼性が向上する。
これに対し、蒸着源10と蒸着マスク40との間に第1の制限板22のみが設けられている場合、蒸着ボケの幅を小さくするためには、第1の制限板22のX軸方向の間隔を小さくするか、または、第1の制限板22の長さを長くする必要がある。
しかしながら、第1の制限板22のX軸方向の間隔を小さくすると、複数の第1の制限板22の開口率が急激に低下するので、蒸着材料の利用効率が低下する。一方、第1の制限板22と蒸着マスク40との間の距離を近づけるために第1の制限板22のZ軸方向の長さを長くすると、第1の制限板22の重量や熱膨張量が大きくなるので、蒸着ボケの幅にバラツキが生じる。また、このように第1の制限板22のZ軸方向の長さを長くすると、蒸着粒子の衝突・散乱が複数回生じることで、本来であれば蒸着ボケにならない蒸着成分までカットしてしまうことになる。
しかしながら、本実施の形態によれば、蒸着ユニット1が、Z軸方向に複数段の制限板ユニットを備えていることで、蒸着流の分布に応じて、蒸着ボケを起こす蒸着流の分布のみを、効率的にカットすることができる。このため、制限板のZ軸方向(被成膜基板200の法線方向)の長さを長くした場合のように制限板でロスする材料を低減することができる。
なお、Z軸方向に複数段の制限板ユニットを設ける場合、例えば、第1の制限板22を、Z軸方向に複数段設けることが考えられる。
図3は、第1の制限板22を、隙間28を介してZ軸方向に2段設けた場合の蒸着流の一例を示す断面図である。なお、ここでは、説明の便宜上、下段側の第1の制限板22を第1の制限板22Aと記し、第1の制限板22A間の制限板開口23を制限板開口23Aと記す。また、上段側の第1の制限板22を第1の制限板22Bと記し、第1の制限板22B間の制限板開口23を制限板開口23Aと記す。
しかしながら、図3に示すように、第1の制限板22を2段設けた場合、下段側(つまり上流側)の第1の制限板22A間の制限板開口23Aを斜めに出射した蒸着粒子401が、隙間28を通過して、該制限板開口23Aの真上に位置する制限板開口23B以外の制限板開口23Bを通過して、マスク開口41に入射する場合がある。
このときに下段側の制限板開口23Aを通過した蒸着粒子401の飛散の様子を蒸着マスク40の主面に垂直な方向から見ると、図16に示す状態と同じになる。
また、図3に示すように、第1の制限板22を2段設けた場合、指向性の高い蒸着成分や、粒子間の散乱衝突を繰り返すことで指向性の高い成分に変化する指向性の悪い蒸着成分までもカットしてしまう割合が高くなる。このため、蒸着レートが低くなったり、材料利用効率が低下したりする懸念がある。
しかしながら、図2に示すように、第1の制限板22の上方(つまり、下流側)に、蒸着マスク40の主面に垂直な方向から見て第1の制限板22もしくは制限板開口23に交差するようにY軸方向に非平行に配設された第2の制限板32を設けることで、指向性の悪い蒸着粒子401を効果的にカットすることができる。
このように、蒸着レートが高くなると、蒸着流の広がりが大きくなるので、蒸着流の広がりを立体的に絞らなければ、蒸着ボケを解消することはできない。本実施の形態によれば、蒸着ユニット1が、上述したように、第1の制限板ユニット20とは軸方向が異なる第2の制限板ユニットを、第1の制限板ユニット20の下流方向に備えていることで、蒸着流の広がりを立体的に絞ることができる。このため、高レート時のような高い運動エネルギーを有する蒸着流を制御することができる。
したがって、本実施の形態によれば、高レート時の蒸着ボケを抑制することができるとともに、従来よりも、材料利用効率を向上させることができ、収率および生産性を向上させることができる。
また、本実施の形態によれば、上述したように、蒸着ユニット1が、Z軸方向に複数段の制限板ユニットを備えているとともに、各制限板ユニットが、複数の制限板を備えていることで、あらゆる基板サイズ、パターンサイズ、材料等に、容易に対応することができる。
なお、第1の制限板22および第2の制限板32は、斜めの蒸着成分をカットするため、加熱しないか、図示しない熱交換器により冷却される。このため、第1の制限板22および第2の制限板32は、蒸着源10の射出口11よりも低い温度(より厳密には、蒸着材料が気体になる蒸着粒子発生温度よりも低い温度)になっている。
このため、第1の制限板ユニット20および第2の制限板ユニット30には、必要に応じて、第1の制限板22および第2の制限板32を冷却する、図示しない冷却機構が設けられていてもよい。これにより、被成膜基板200の法線方向に完全に平行にならない不要な蒸着粒子401が、第1の制限板22および第2の制限板32により冷却され、固化される。これにより、第1の制限板22および第2の制限板32で、不要な蒸着粒子401を容易に捕捉することができ、蒸着粒子401の進行方向を、被成膜基板200の法線方向に近づけることができる。
<第1の制限板ユニット20および第2の制限板ユニット30の全体構成>
図4は、第1の制限板ユニット20および第2の制限板ユニット30の概略構成の一例を示す斜視図である。
第1の制限板22は、それぞれ、X軸方向と平行な一対の第1の保持部材24とY軸方向と平行な一対の第2の保持部材25とで構成される枠状の保持体26に、例えば溶接等の方法で一体的に保持されている。
同様に、第2の制限板32は、それぞれ、X軸方向と平行な一対の第1保持部材34とY軸方向と平行な一対の第2保持部材35とで構成される枠状の保持体36に、例えば溶接等の方法で一体的に保持されている。
但し、これら第1の制限板22および第2の制限板32の相対的位置や姿勢を一定に維持することができれば、これら第1の制限板22および第2の制限板32を保持する方法は、上記の方法に限定されない。
図5は、第2の制限板ユニット30の概略構成の他の一例を示す斜視図である。
図5に示すように、第2の制限板ユニット30は、互いに離間して設けられた複数の第2の制限板32を有し、隣り合う第2の制限板32間にそれぞれ制限板開口33が設けられた、ブロック状のユニットであってもよい。
図5に示すように第2の制限板ユニット30をブロック状に形成することで、第2の制限板ユニット30への冷却機構の組み込みおよび位置合わせが容易となるとともに、交換作業が容易となる等の利点がある。
なお、図5では、第2の制限板ユニット30がブロック状である場合を例に挙げて説明したが、第2の制限板ユニット30と同様に、第1の制限板ユニット20もブロック状に形成されていてもよいことは、言うまでもない。
<第1の制限板ユニット20および第2の制限板ユニット30の配置>
なお、図1では、蒸着源10、第1の制限板ユニット20、第2の制限板ユニット30、蒸着マスク40が、Z軸方向に互いに一定距離離間して設けられている場合を例に挙げて図示した。
このように蒸着源10、第1の制限板ユニット20、第2の制限板ユニット30、蒸着マスク40が、Z軸方向に互いに一定距離離間して設けられていることで、放熱効果、並びに、隣り合う制限板ユニットに挟まれた空間を所定の真空度に容易に維持することができるという効果が得られる。
しかしながら、これら蒸着源10、第1の制限板ユニット20、第2の制限板ユニット30、蒸着マスク40は、Z軸方向に隣り合う、それらの一部、あるいは、全部が、互いに接触(例えば一体化)して設けられていても構わない。
これら蒸着源10、第1の制限板ユニット20、第2の制限板ユニット30、蒸着マスク40を、互いに離間または接触させた場合の効果は一長一短である。したがって、所望の効果が得られるように、その配置を適宜選択・設定すればよい。
本実施の形態では、上述したように蒸着源10と蒸着マスク40との間に、第1の制限板ユニット20および第2の制限板ユニット30が設けられていることで、その配置によって、以下の効果を得ることができる。
(第1の制限板22の上端部と第2の制限板32の下端部とが密着している場合)
この場合、第1の制限板22を通過後の低指向性の蒸着粒子401を確実に捕捉することができ、蒸着ボケが発生し難いという利点がある。
また、第1の制限板22と第2の制限板32とをピンアライメント等で極めて正確に位置合わせすることができるという利点がある。
さらに、例えば第1の制限板22に冷却機構が設けられている場合、第2の制限板32に別途冷却機構を設けなくても、第2の制限板32を、第1の制限板22に設けられた冷却機構を用いて冷却することができるという利点がある。このため、簡素な構成で、捕捉した蒸着粒子401の再蒸発を防ぐことができる。
しかしながら、この場合、第1の制限板22を通過後、即座に低指向性の蒸着粒子401を捕捉する。低指向性の蒸着粒子401のなかには、被成膜基板200への到達までに散乱を繰り返して高指向性化するものもある。このため、この場合、このように被成膜基板200への到達までに散乱を繰り返して高指向性化する蒸着粒子401を利用できなくなる。
(第1の制限板22の上端部と第2の制限板32の下端部とが密着していない場合)
この場合、第1の制限板22を通過後に低指向性化した蒸着粒子401が高指向性化する機会を活かすことができる。このため、材料利用効率の低下を抑制することができるという利点がある。
しかしながら、その反面、例えば高レート時における運動エネルギーが極めて高く、指向性の低下が極めて大きい場合、第1の制限板22を通過後の低指向性の蒸着粒子401が、第1の制限板22と第2の制限板32との間隙を縫って被成膜基板200に到達し、蒸着ボケを発生させるおそれがある。
(第2の制限板32の上端部と蒸着マスク40とが密着している場合)
この場合、第2の制限板32と蒸着マスク40とをピンアライメント等で極めて正確に位置合わせすることができる。このため、第2の制限板32の上端部と蒸着マスク40とが密着していない場合と比べて、第2の制限板32と蒸着マスク40との位置合わせが容易であるという利点がある。
一方で、一般的に蒸着マスク40は薄いため、第2の制限板32の上端部と蒸着マスク40とを密着させるときに、蒸着マスク40に損傷が生じる可能性があるという懸念がある。また、第2の制限板32の熱履歴が蒸着マスク40に伝わることで、第2の制限板32の温度履歴によっては、蒸着マスク40の精度低下を招くおそれがある。
(第2の制限板32の上端部と蒸着マスク40とが密着していない場合)
この場合、蒸着マスク40に損傷が生じる懸念はなく、蒸着マスク40の精度低下は起こらない。
なお、第1の制限板22とは異なり、第2の制限板32のZ軸方向の長さは、長ければ長いほど低指向性の蒸着粒子401を捕捉することができ、蒸着ボケの防止効果が高まる。
しかしながら、その一方で、第2の制限板32のZ軸方向の長さを長くし過ぎると、第2の制限板32が真空チャンバ等の蒸着室に占める割合が大きくなる。このため、第2の制限板32に付着する蒸着粒子401の量が増大することで、コンタミネーションや再蒸発が懸念され、発光特性が低下するおそれがある。
また、第2の制限板32と、第1の制限板22および蒸着マスク40の少なくとも一方とを密着させると、一つの空間が形成されてしまうことから、第2の制限板32の長さによっては、上記空間の真空度を高めることが困難になり、却って粒子間散乱が増強され易くなるおそれがある。この傾向は、第2の制限板32がZ軸方向に長ければ長いほど顕著になる。特に、第2の制限板32が第1の制限板22と蒸着マスク40との両者に密着している場合、上記問題を招来し易くなる。このため、Z軸方向に長い第2の制限板32を用いる場合には、第2の制限板32と第1の制限板22および蒸着マスク40とは、ある程度離間して設けられていることが望ましい。
<蒸着装置の概略構成>
次に、図6を参照して、上記蒸着ユニット1を用いた蒸着装置100の一例について説明する。
図6は、本実施の形態にかかる蒸着装置100における要部の概略構成を模式的に示す断面図である。なお、図6は、本実施の形態にかかる蒸着装置100におけるX軸方向に平行な断面を示している。
図6に示すように、本実施の形態にかかる蒸着装置100は、真空チャンバ101(成膜チャンバ)、基板ホルダ102(基板保持部材)、基板移動装置103、蒸着ユニット1、蒸着ユニット移動装置104、イメージセンサ105等のアライメント観測手段、および、図示しないシャッタや、蒸着装置100を駆動制御するための図示しない制御回路等を備えている。
そのうち、基板ホルダ102、基板移動装置103、蒸着ユニット1、蒸着ユニット移動装置104は、真空チャンバ101内に設けられている。
なお、真空チャンバ101には、蒸着時に該真空チャンバ101内を真空状態に保つために、該真空チャンバ101に設けられた図示しない排気口を介して真空チャンバ101内を真空排気する図示しない真空ポンプが設けられている。
<基板ホルダ102>
基板ホルダ102は、被成膜基板200を保持する基板保持部材である。基板ホルダ102は、TFT基板等からなる被成膜基板200を、その被蒸着面201が、蒸着ユニット1における蒸着マスク40に面するように保持する。
被成膜基板200と蒸着マスク40とは、一定距離離間して対向配置されており、被成膜基板200と蒸着マスク40との間には、一定の高さの空隙が設けられている。
基板ホルダ102には、例えば静電チャック等が使用されることが好ましい。被成膜基板200が基板ホルダ102に静電チャック等の手法で固定されていることで、被成膜基板200は、自重による撓みがない状態で基板ホルダ102に保持される。
<基板移動装置103および蒸着ユニット移動装置104>
本実施の形態では、基板移動装置103および蒸着ユニット移動装置104の少なくとも一方により、被成膜基板200と、蒸着ユニット1とを、Y軸方向が走査方向となるように相対的に移動させてスキャン蒸着を行う。
基板移動装置103は、例えば図示しないモータを備え、図示しないモータ駆動制御部によってモータを駆動させることで、基板ホルダ102に保持された被成膜基板200を移動させる。
また、蒸着ユニット移動装置104は、例えば図示しないモータを備え、図示しないモータ駆動制御部によってモータを駆動させることで、蒸着ユニット1を、被成膜基板200に対して相対移動させる。
また、これら基板移動装置103および蒸着ユニット移動装置104は、例えば図示しないモータを駆動させることにより、蒸着マスク40の非開口領域に設けられたアライメントマーカ42および被成膜基板200における非蒸着領域に設けられたアライメントマーカ202により、蒸着マスク40と被成膜基板200との位置ズレが解消されるように位置補正を行う。
これら基板移動装置103および蒸着ユニット移動装置104は、例えば、ローラ式の移動装置であってもよく、油圧式の移動装置であってもよい。
これら基板移動装置103および蒸着ユニット移動装置104は、例えば、ステッピングモータ(パルスモータ)等のモータ(XYθ駆動モータ)、コロ、およびギヤ等で構成される駆動部と、モータ駆動制御部等の駆動制御部とを備え、駆動制御部により駆動部を駆動させることで、被成膜基板200または蒸着ユニット1を移動させるものであってもよい。また、これら基板移動装置103および蒸着ユニット移動装置104は、XYZステージ等からなる駆動部を備え、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向の何れの方向にも移動自在に設けられていてもよい。
但し、被成膜基板200および蒸着ユニット1は、その少なくとも一方が相対移動可能に設けられていればよい。言い換えれば、基板移動装置103および蒸着ユニット移動装置104は、その少なくとも一方が設けられていればよい。
例えば被成膜基板200が移動可能に設けられている場合、蒸着ユニット1は、真空チャンバ101の内壁に固定されていてもよい。逆に、蒸着ユニット1が移動可能に設けられている場合、基板ホルダ102は、真空チャンバ101の内壁に固定されていても構わない。
<蒸着ユニット1>
蒸着ユニット1は、蒸着源10、第1の制限板ユニット20、第2の制限板ユニット30、蒸着マスク40、ホルダ50、防着板60、および図示しないシャッタ等を備えている。なお、蒸着源10、第1の制限板ユニット20、第2の制限板ユニット30、蒸着マスク40については、既に説明したため、ここでは、その説明を省略する。
(ホルダ50)
ホルダ50は、蒸着源10、第1の制限板ユニット20、第2の制限板ユニット30、蒸着マスク40を保持する保持部材である。
ホルダ50には、例えば、第1の制限板ユニット20および第2の制限板ユニット30を支持するために、それぞれに対応して、例えば一対のスライド装置51や支持部材52が備えられている。
スライド装置51は、ホルダ50のX軸方向両端部にそれぞれ対向して配設される。また、支持部材52は、各スライド装置51の対向面側に設けられている。これら支持部材52は、互いに対向した状態でZ軸方向やX軸方向にスライド変位可能であり、スライド装置51や図示しない制限板制御装置との協働によって、その動きが制御されている。
また、第1の制限板ユニット20は、例えば、前述したように枠状の保持体26を備えている。第2の制限板ユニット30は、例えば、前述したように枠状の保持体36を備えている。
枠状の保持体26におけるX軸方向の両端部には、支持部材52に脱着可能に設けられた支持部27がそれぞれ設けられている。また、枠状の保持体36におけるX軸方向の両端部には、支持部材52に着脱可能に設けられた支持部37がそれぞれ設けられている。これにより、第1の制限板ユニット20および第2の制限板ユニット30はホルダ50から着脱が可能であり、これら第1の制限板ユニット20および第2の制限板ユニット30に堆積した蒸着材料を定期的に回収することができるようになっている。
なお、蒸着材料は加熱すれば溶融または蒸発するため、加熱処理することによって容易に回収することができる。蒸着マスク40は、その開口幅や平面度等、求められる寸法精度が高いため、歪みを招くおそれがあり、加熱処理を行うことができない。しかしながら、第1の制限板ユニット20および第2の制限板ユニット30には、蒸着マスク40ほどの高度な寸法精度は求められないため、加熱処理が可能であり、堆積した蒸着材料を簡単に回収することができる。従って、高い材料の利用効率を確保することができる。
また、蒸着ユニット1には、例えばホルダ50に、蒸着マスク40にテンションをかけるテンション機構53が設けられていることが望ましい。これにより、蒸着マスク40にテンションをかけた状態で蒸着マスク40を水平に保持することができ、蒸着マスク40と、蒸着源10、第1の制限板ユニット20、および第2の制限板ユニット30との相対的な位置関係を固定することができる。
<防着板60>
上記蒸着装置100において、蒸着源10から飛散した蒸着粒子401は、蒸着マスク40内に飛散するように調整されており、蒸着マスク40外に飛散する蒸着粒子は、防着板60(遮蔽板)等で適宜除去される構成としてもよい。
<シャッタ>
被成膜基板200の方向に蒸着粒子を飛来させないときには、図示しないシャッタを用いて、蒸着粒子401の蒸着マスク40への到達を制御することが望ましい。
このため、例えば蒸着源10と第1の制限板ユニット20との間には、蒸着粒子401の蒸着マスク40への到達を制御するために、必要に応じて、図示しないシャッタが、蒸着OFF(オフ)信号もしくは蒸着ON(オン)信号に基づいて進退可能(挿抜可能)に設けられていてもよい。
蒸着源10と第1の制限板ユニット20との間にシャッタを適宜差し挟むことで、蒸着を行わない非蒸着領域への蒸着を防止することができる。なお、シャッタは、蒸着源10と一体的に設けられていてもよく、蒸着源10とは別に設けられていても構わない。
<変形例>
(第2の制限板ユニット30)
図7は、本実施の形態にかかる制限板ユニットの他の概略構成を示す要部平面図であり、蒸着マスク40の主面に垂直な方向から見たときの第1の制限板22および第2の制限板32を、高レート時に第1の制限板22を通過した蒸着粒子401と併せて模式的に示している。
上述したように、第1の制限板22を通過後に等方化した蒸着流は、第2の制限板32によってカットされ、指向性を有した状態で蒸着マスク40のマスク開口41を通過し、被成膜基板200に蒸着されることで蒸着ボケを抑制することができる。
図1および図6では、第2の制限板32がX軸方向に連続している場合を例に挙げて説明したが、第2の制限板32は、X軸方向に断続して形成されていてもよい。すなわち、不連続であってもよい。この場合、不連続箇所を、X軸における特定の位置で合わせる必要はなく、不連続箇所の長さも合わせる必要はない。不連続箇所の位置は、例えば、使用する蒸着源10の射出口11の配置(ノズル分布)や蒸着分布に合わせて適宜決定すればよい。
第2の制限板32がX軸方向に連続して設ける場合、第2の制限板32の配設を容易に行うことができるという利点がある。一方で、上述したように第2の制限板32をX軸方向に断続して形成することで、小型の部品の組合せで第2の制限板32を構成できるので、制限板交換等のメンテナンスやノズル分布・蒸着分布に応じた細かな調整が可能となるという利点がある。
(蒸着ユニットの配置方向)
図1では、蒸着源10が被成膜基板200の下方に配されており、被成膜基板200が、その被蒸着面201が下方を向いている状態で、蒸着源10から蒸着粒子401を上方に向かって射出して被成膜基板200に蒸着(アップデポジション)させる場合を例に挙げて示している。
しかしながら、上記蒸着方法はこれに限定されるものではなく、蒸着源10を、被成膜基板200の上方に設け、蒸着源10から蒸着粒子401を下方に向かって射出して被成膜基板200に蒸着(ダウンデポジション)させてもよい。
したがって、この場合、蒸着源10、第1の制限板ユニット20、第2の制限板ユニット30、蒸着マスク40、被成膜基板200の配置は、図1および図6に示す例とは逆になる。
また、蒸着源10は、例えば、横方向に向けて蒸着粒子401を射出する機構を有し、被成膜基板200の被蒸着面201側が蒸着源10側を向いて垂直方向に立てられている状態で、蒸着粒子401を横方向に射出して被成膜基板200に蒸着(サイドデポジション)させてもよい。この場合、蒸着源10、第1の制限板ユニット20、第2の制限板ユニット30、蒸着マスク40、被成膜基板200の配置は、図1および図6に示す例を、左右の何れかの方向に90度回転させた配置となる。
(その他の変形例)
なお、本実施の形態では、第1の制限板22および第2の制限板32が蒸着マスク40の主面に垂直に設けられている場合を例に挙げて説明したが、第1の制限板22および第2の制限板32の主面がZ軸方向に対して傾斜して設けられていても構わない。
しかしながら、配置が容易であり、かつ、指向性が高い蒸着粒子をカットするおそれがないことから、上記第1の制限板22および第2の制限板32は、それぞれ、蒸着マスク40の主面に垂直に設けられていることが好ましい。
〔実施の形態2〕
本実施の形態について図8ないし図11の(a)〜(c)に基づいて説明すれば、以下の通りである。
なお、本実施の形態では、主に、実施の形態1との相違点について説明するものとし、実施の形態1で用いた構成要素と同一の機能を有する構成要素には同一の番号を付し、その説明を省略する。
蒸着粒子401の衝突・散乱による指向性の低下が軽微な場合においては、実施の形態1に示す第2の制限板ユニット30を配置することで、十分蒸着ボケを抑制することができる。
しかしながら、指向性の低下が極めて大きい場合、実施の形態1に示す第2の制限板ユニット30では、蒸着ボケの抑制が十分とは言い難い。
これは、蒸着粒子401は、指向性が低下するほどX軸に漸近して飛ぶ傾向があり、実施の形態1に示す第2の制限板ユニット30では、X軸に漸近するような蒸着粒子401をカットすることができないためである。
このため、指向性の低下が極めて大きい場合、指向性が低い蒸着粒子401を第2の制限板32で捕捉するには、第2の制限板32がX軸に漸近するように設けられていることが望ましい。
図8は、本実施の形態にかかる蒸着装置100における蒸着ユニット1の要部の概略構成を、被成膜基板200と併せて示す斜視図である。また、図9は、蒸着マスク40の主面に垂直な方向から見たときの第1の制限板22および第2の制限板32を、高レート時に第1の制限板22を通過した蒸着粒子401と併せて模式的に示す要部平面図である。
図8および図9に示すように、本実施の形態にかかる蒸着ユニット1は、蒸着マスク40の主面に垂直な方向から見たときに、第2の制限板32、より厳密には、第2の制限板32の端面32aが、屈曲形状を有しているとともに、それぞれ同一ピッチでX軸方向に互いに平行に複数配列されており、X軸方向に隣り合う第2の制限板32間に屈曲形状を有する制限板開口33が形成されている点を除けば、実施の形態1にかかる蒸着ユニット1と同様の構成を有している。
本実施の形態にかかる蒸着ユニット1は、実施の形態1同様、第1の制限板22と第2の制限板32とが、同一YZ面で平行にならないように設置されており、蒸着マスク40の主面に垂直な方向から見たときに、第2の制限板32が、Y軸方向に非平行であり、Y軸方向に対して交差する方向に延設されている。
このため、本実施の形態でも、第1の制限板ユニット20を通過後に等方化した蒸着流を第2の制限板ユニット30でカットすることができる。このため、指向性を有した状態で蒸着マスク40のマスク開口41を通過した蒸着粒子401が被成膜基板200に蒸着されるので、蒸着ボケを抑制することができる。
しかしながら、本実施の形態では、第2の制限板32が屈曲していることで、第2の制限板32が、X軸方向に漸近してY軸方向に連続して設けられている。
このため、X軸方向に漸近している蒸着粒子401についてもカットすることができ、第1の制限板22の軸方向と第2の制限板32の軸方向とを垂直にするだけでは対応できない、より高レートで運動エネルギーの高い蒸着流に対しても、その飛散を制限することができる。このため、蒸着粒子401の衝突・散乱による指向性の低下が極めて大きい場合であっても、蒸着ボケを抑制することができる。
<変形例>
図10の(a)〜(l)は、本実施の形態にかかる制限板ユニットの他の概略構成を示す要部平面図であり、それぞれ、蒸着マスク40の主面に垂直な方向から見たときの第1の制限板22および第2の制限板32を模式的に示している。
図8および図9では、屈曲形状を有する第2の制限板32の一例として、第2の制限板32が、蒸着マスク40の主面に垂直な方向から見たときに、>形状(つまり、走査方向に垂直な方向に開口するV字状)を有している場合を例に挙げて図示した。
しかしながら、屈曲点の数は、図8および図9に示すように1つである必要はなく、図10の(a)・(b)に示すように複数設けられていてもよい。したがって、第2の制限板32は、それぞれがジグザグ形状を有していてもよく、複数の制限板32が、ジグザグ状に配置されていてもよい。
屈曲点の数が多いほど、第2の制限板32でカットされる指向性の悪い蒸着成分(蒸着粒子401)が多くなるため、蒸着ボケがより改善される。
また、図9および図10の(a)・(b)では、第1の制限板22間の制限板開口23上にのみ第2の制限板32が設けられている場合を例に挙げて図示したが、第2の制限板32は、実施の形態1にかかる第2の制限板32同様、例えば図10の(c)に示すように、複数の第1の制限板22を跨ぐようにX軸方向に連続して設けられていてもよい。この場合、例えば、第2の制限板32が、第1の制限板列21の端部にのみ屈曲点を有するように、複数の第1の制限板22を跨いで第1の制限板列21の全域に渡って形成されていてもよい。
また、第2の制限板32は、図10の(d)および図10の(e)に示すように、蒸着マスク40の主面に垂直な方向から見たときに、第1の制限板22の真上にのみ設けられていてもよい。このとき、第2の制限板32は、例えば図10の(d)に示すように、蒸着マスク40の主面に垂直な方向から見て、例えば第1の制限板22の端から端まで設けられていてもよく、あるいは、部分的に設けられていてもよい。例えば、第2の制限板32は、第1の制限板22における、或る領域にのみ設けられていてもよい。
例えば、射出口11の近傍上方は、蒸着密度が高く、蒸着粒子401の衝突が多いので、指向性が悪くなり易い。一方、射出口11から遠ざかると、蒸着密度が低くなるため、指向性が悪くなり難い。
このため、第2の制限板32は、例えば、図10の(e)に示すように、第1の制限板22の真上における、射出口11の上方の近傍部分(例えば、蒸着マスク40の主面に垂直な方向から見たときに、X軸方向に並ぶ帯状の射出口11列が第1の制限板22と交差(重畳)する領域、あるいは、該領域とその近傍部分の領域)にのみ設けられていてもよい。なお、射出口11は、第1の制限板22間の制限板開口23の中心部分に設けられることから、この場合、第2の制限板32は、例えば、図10の(e)に示すように、第1の制限板22の中心部分の領域にのみ設けられていてもよい。
なお、図10の(f)に示すように、第2の制限板32が、第1の制限板22間の制限板開口23上における、射出口11の上方の近傍部分のみ設けられていてもよいことは言うまでもないし、第2の制限板32が、図10の(e)に示す部分と図10の(f)に示す部分の両方の部分にのみ設けられていてもよいことは、なおさら言うまでもない。すなわち、第2の制限板32は、図10の(e)および図10の(f)に示すように射出口11の近傍の上方部分にのみ設けられていてもよい。
さらに言えば、第2の制限板32は、例えば、図10の(e)および図10の(g)に示すように、第1の制限板32上に、第2の制限板32が部分的に集中して設けられている領域と、第2の制限板32が設けられていないかあるいは配設間隔が大きい領域とがあってもよく、配設間隔に疎密があってもよい。
このように、第2の制限板ユニット30は、蒸着マスク40の主面に垂直な方向から見たときに、第2の制限板32の端面32aが、第1の制限板列21における第1の制限板22の端面22aおよび第1の制限板22間の制限板開口23の少なくとも一方と交差していればよい。すなわち、蒸着マスク40の主面に垂直な方向から見たときに、上記第2の制限板32(第2の制限板32の端面32a)が、第1の制限板22の端面22aの延設方向および第1の制限板22間の制限板開口23の延設方向(開口長方向)であるY軸方向に交差する方向に延設されていればよい。
そのようなパターンのなかでも、第1の制限板22間の制限板開口23を、X軸方向とは異なる方向に分断するように、蒸着マスク40の主面に垂直な方向から見たときに、第2の制限板32の端面32aが、少なくとも、第1の制限板22間の制限板開口23と交差していることが、より望ましい。
なお、図9および図10の(a)〜(f)では、X軸に対して第2の制限板32の屈曲線が対称である場合を例に挙げて図示したが、本実施の形態は、これに限定されるものではない。例えば、図10の(g)に示すように、屈曲線の長さにばらつきがあってもよい。また、後述するように屈曲線の角度(屈曲角度)にばらつきがあってもよい。
図11の(a)〜(c)は、第2の制限板32の他のパターン例を示す平面図である。
図11の(a)は、第2の制限板32の他のパターンとして、屈曲点毎に屈曲角度が異なる場合を例に挙げて示している。また、図11の(b)・(c)は、他のパターンにおける第2の制限板32の屈曲角度と蒸着粒子401の指向性との関係を示している。
なお、図11の(a)中、A°、B°、C°で示す、第2の制限板32の屈曲角度の関係は、図11の(a)に示すように、B°>A°>C°である。
第2の制限板32は、それぞれ図11の(a)に示す形状を有していてもよく、複数の第2の制限板が、図11の(a)に示す形状に配置されていてもよい。
上記屈曲角度は、蒸着源10における射出口11の配置(ノズル分布)や蒸着分布に応じて決定すればよい。
上述したように、蒸着粒子401の飛び方は、指向性が低下するほどX軸に漸近する。逆に指向性が高い場合は、Y軸に漸近して蒸着粒子401が飛ぶ。したがって、指向性の低下が極めて大きい場合、指向性が低い蒸着粒子401を第2の制限板32で捕捉するには、屈曲線がX軸に漸近すればするほど望ましい。一方、指向性が高いほど、第2の制限板32のX軸に対する角度を大きくする(つまり、X軸に対して90度に近づける)ことができる。
このため、例えば、指向性があまり悪くならない領域では屈曲角度を相対的に大きくし、指向性が悪くなる領域では屈曲角度を相対的に小さくする等すればよい。
前述したように、射出口11の近傍上方は指向性が悪くなり易く、射出口11から遠ざかると指向性が悪くなり難い。このため、例えば図11の(b)・(c)に示すように、蒸着マスク40の主面に垂直な方向から見たときに、一点鎖線で示す、相対的に射出口11に近い領域P1(例えば制限板開口23の中心部の上方の領域)では屈曲角度を相対的に小さくし、二点鎖線で示す、相対的に射出口11から遠い領域P2・P3(例えば制限板開口23のY軸方向両端部側の上方の領域)では、屈曲角度を相対的に大きくしてもよい。また、図11の(c)に示すように、蒸着マスク40の主面に垂直な方向から見たときに、射出口11から遠ざかるほど(つまり、射出口11そのものあるいは射出口11の中心から、Y軸方向に遠ざかるほど)屈曲角度が大きくなるように第2の制限板32を設計もしくは配置してもよい。
なお、上記第2の制限板32は、領域P1〜P3で一体的に設けられて入れもよく、それぞれ個別に設けられていてもよい。また、領域P1〜P3の第2の制限板32をそれぞれ個別に設ける場合、第2の制限板32は、それ自体が屈曲形状を有していてもよく、平坦状の第2の制限板32を組み合わせることで、蒸着マスク40の主面に垂直な方向から見たときに、複数の第2の制限板32がジグザグ状に配置された構成を有していてもよい。このことは、上記説明において、「屈折角度」を、「配設密度」と読み替える一方、「屈折角度を(相対的に)大きく」を「配設密度を(相対的に)低く」と読み替え、「屈折角度を(相対的に)小さく」を「配設密度を(相対的に)高く」と読み替えることができることを意味する。
つまり、図11の(b)に示す構成は、蒸着マスク40の主面に垂直な方向から見たときに、相対的に射出口11に近い領域P1では第2の制限板32の配設密度を相対的に高くし、相対的に射出口11から遠い領域P2・P3では、配設密度を相対的に低くすると見ることができる。また、図11の(c)に示す構成は、蒸着マスク40の主面に垂直な方向から見たときに、射出口11から遠ざかるほど配設密度が低くなるように第2の制限板32を配置すると見ることができる。
このような構成とすることで、指向性が高い蒸着粒子401はカットしないか、もしくはカットを抑制し、指向性が悪い、X軸方向に漸近して飛散するような蒸着粒子401を、効率良くカットすることができる。
なお、図11の(b)では、第2の制限板32が、第1の制限板22間の制限板開口23内に屈曲点を有している場合を例に挙げて図示したが、屈曲点は、制限板開口23外、例えば、第1の制限板22の端面22a上にあってもよいことは、言うまでもない。また、上記屈曲点が制限板開口23内にあるか否かに拘らず、第2の制限板32が、複数の第1の制限板22を跨いで設けられていてもよいことも、言うまでもない。
このように、蒸着マスク40の主面に垂直な方向から見たときに、第2の制限板32の端面32aは、屈曲点の位置によって、異なる屈曲角度を有していてもよい。
また、第2の制限板32は、図10の(h)・(i)に示すように、交差して設けられていてもよい。なお、この場合にも、図10の(h)・(i)に示すように、第2の制限板ユニット30は、蒸着マスク40の主面に垂直な方向から見たときに、第2の制限板32の端面32aが、第1の制限板列21における第1の制限板22の端面22aおよび第1の制限板22間の制限板開口23の少なくとも一方と交差していればよい。
図10の(h)・(i)に示すように、第2の制限板32がそれぞれ交差部を有するように形成されていることで、第2の制限板32でカットされる指向性の悪い蒸着成分が多くなるため、蒸着ボケがさらに改善される。
また、第2の制限板32は、図10の(j)に示すように、それぞれY軸方向に離間して互いに非平行に配されていてもよい。このように、第2の制限板32は、連続体を形成していなくてもよい。この場合にも、蒸着マスク40の主面に垂直な方向から見たときに、第2の制限板32を、X軸に漸近するように設けることで、第1の制限板ユニット20を通過した指向性が低い蒸着粒子401を、第2の制限板32で効率的に捕捉することができる。
この場合、小型の部品の組合せで第2の制限板32を構成できるので、制限板交換等のメンテナンスやノズル分布・蒸着分布に応じた細かな調整が可能となる。
また、第2の制限板32は、湾曲していてもよいし、波打っていてもよい。このようにすることで、第2の制限板32を形成するための材料選択性を広げることができる。
また、図10の(k)・(l)に示すように、第2の制限板32は、X軸に漸近するように設けられていれば、それぞれY軸方向に離間して互いに平行に配されていてもよい。このとき、図10の(k)に示すように全ての第2の制限板32が平行に配されている必要は必ずしもない。例えば、図10の(l)に示すように、1つの第2の制限板列31内(すなわち、同じ第2の制限板列31内)では第2の制限板32が互いに平行に配されているけれども、X軸方向に隣り合う第2の制限板列31間では、互いに異なる方向に第2の制限板32が配されていてもよい。つまり、或る第2の制限板列31と該第2の制限板列31に隣り合う第2の制限板列31とで第2の制限板32の向きが互いに一致している必要は必ずしもない。また、図10の(k)・(l)に示すように、1つの第2の制限板列31内の第2の制限板32のピッチは、一定であってもよく、部分的に異なっていてもよい。何れの場合にも上述した効果が得られることは、言うまでもない。
また、上述したように第2の制限板32のピッチを変更する場合、前述したように、蒸着マスク40の主面に垂直な方向から見たときに、第2の制限板32の配設密度が、相対的に射出口11に近い領域では相対的に高く、相対的に射出口11から遠い領域では相対的に低くなるように、第2の制限板32のピッチを、相対的に射出口11に近い領域では相対的に小さく、相対的に射出口11から遠い領域では相対的に大きく設計してもよい。
実施の形態1も含め、第2の制限板32の配設密度を上述したように設定することで、指向性が高い蒸着粒子401はカットしないか、もしくはカットを抑制し、指向性が悪い蒸着粒子401を、効率良くカットすることができる。
〔実施の形態3〕
本実施の形態について図12および図13に基づいて説明すれば、以下の通りである。
なお、本実施の形態では、主に、実施の形態1、2との相違点について説明するものとし、実施の形態1、2で用いた構成要素と同一の機能を有する構成要素には同一の番号を付し、その説明を省略する。
図12は、本実施の形態にかかる蒸着装置100における蒸着ユニット1の要部の概略構成を、被成膜基板200と併せて示す斜視図である。
また、図13は、本実施の形態にかかる制限板ユニットの概略構成を示す要部平面図であり、蒸着マスク40の主面に垂直な方向から見たときの第1の制限板22、第2の制限板32、第3の制限板72を模式的に示している。
図12および図13に示すように、本実施の形態にかかる蒸着ユニット1は、第2の制限板ユニット30と蒸着マスク40との間に、第2の制限板ユニット30を通過した蒸着粒子401の通過角度を制限する第3の制限板ユニット70をさらに有している点を除けば、実施の形態1にかかる蒸着ユニット1と同様の構成を有している。
なお、図12および図13では、実施の形態1にかかる蒸着ユニット1において、第2の制限板ユニット30と蒸着マスク40との間に第3の制限板ユニット70が設けられている場合を例に挙げて図示しているが、実施の形態2にかかる蒸着ユニット1において、第2の制限板ユニット30と蒸着マスク40との間に第3の制限板ユニット70が設けられていてもよいことは、言うまでもない。
第3の制限板ユニット70は、複数の第3の制限板72からなる第3の制限板列71A・71Bを備えている。
第3の制限板列71A・71Bは、それぞれ、X軸に沿って配設されており、第3の制限板列71Aと第3の制限板列71Bとは、Y軸方向に互いに離間して設けられている。
これら第3の制限板列71A・71Bにおいて、第3の制限板72は、それぞれ同一ピッチでX軸方向に複数配列されている。これにより、蒸着マスク40の主面に垂直な方向から見たとき、X軸方向に隣り合う第3の制限板72間に、開口領域として、制限板開口73が1つ形成されている。
制限板開口73のピッチは、マスク開口41のピッチよりも大きく形成されており、蒸着マスク40の主面に垂直な方向から見たとき、X軸方向に隣り合う第3の制限板72間には、複数のマスク開口41が配されている。
第1の制限板22および第3の制限板72は、それぞれ、YZ平面が主面となっている。一方、第2の制限板32は、XZ平面が主面となっている。
第3の制限板72は、それぞれ、蒸着マスク40の主面に対して垂直となるように配されている。このため、第3の制限板72は、それぞれ、その主面である表裏面が、被成膜基板200の被蒸着面201に垂直な方向を向くように配されており、それぞれの主面がX軸方向に隣り合うように配されている。
第3の制限板72は、第2の制限板32と同一YZ面で平行にならないように設置されている。
なお、本実施の形態では、第3の制限板72は、それぞれ、同一寸法の板状部材で形成されている。但し、第3の制限板72が第1の制限板22および第2の制限板32と同じ寸法を有している必要はない。なお、本実施の形態では、第3の制限板72は、それぞれ、例えば矩形状に形成されているものとしたが、第3の制限板72の形状は、これに限定されるものではなく、例えば、第1の制限板22と同様に、長方形形状に形成されていてもよい。
本実施の形態によれば、蒸着源10から射出された蒸着粒子401は、第1の制限板ユニット20を通過した後、第2の制限板ユニット30を通過し、その後、第3の制限板ユニット70を通過して蒸着マスク40に形成されたマスク開口41に入射し、被成膜基板200に蒸着される。
第3の制限板ユニット70は、該第3の制限板ユニット70に入射した蒸着粒子401を、第1の制限板ユニット20および第2の制限板ユニット30と同様に、その入射角度に応じて選択的に捕捉する。
したがって、第1の制限板22および第2の制限板32と同様に、第3の制限板72も、斜めの蒸着成分をカットするため、加熱しないか、図示しない熱交換器により冷却される。このため、第3の制限板72も、蒸着源10の射出口11よりも低い温度(より厳密には、蒸着材料が気体になる蒸着粒子発生温度よりも低い温度)になっている。
このため、第3の制限板ユニット70には、必要に応じて、第3の制限板72を冷却する、図示しない冷却機構が設けられていてもよい。
なお、第3の制限板72の固定には、第1の制限板22および第2の制限板32の固定と同様の方法を用いることができる。すなわち、本実施の形態でも、図4〜図6に示す第1の制限板22および第2の制限板32の固定方法と、同様の方法を用いることができる。
<効果>
本実施の形態によれば、第2の制限板ユニット30で指向性の低下が軽微な蒸着成分がカットされた蒸着流が、第3の制限板ユニット70に入射する。その際、指向性が低下してしまった蒸着成分を第3の制限板72でカットすることができる。また第2の制限板32でカットしきれなかった指向性の悪い蒸着成分も上記第3の制限板72でカットできる。
一方、第2の制限板32でカットしきれなかった指向性の悪い蒸着成分のうち、粒子間の衝突散乱を繰り返して指向性の高い成分に変化した蒸着成分は、第3の制限板72でカットされずに、蒸着膜402として利用することができる。
また、上述したように、第2の制限板ユニット30の下流側にさらに第3の制限板ユニット70を設けることで、それぞれの制限板ユニットに機能を分離できるので、第2の制限板32を、複雑な形状もしくは配置に設計する必要がない。
また、上述したように、制限板ユニットを複数段設けること、特に、上述したように、第1の制限板ユニット20と蒸着マスク40との間に制限板ユニットを複数段設けることで、蒸着ボケを抑止できる一方で材料利用効率が低下したり、あるいは、材料利用効率を低下させないために蒸着ボケの抑止を犠牲にしたりする必要がなく、蒸着ボケの防止と材料利用効率の向上とを、容易かつ確実に両立することができる。
また、本実施の形態によれば、第2の制限板ユニット30の下流側に上記第3の制限板ユニット70を設けることで、X軸に漸近あるいは完全に平行な蒸着成分も含めて、指向性の悪い蒸着成分をカットすることができる。すなわち、本実施の形態によれば、上述したように第3の制限板72を完全にY軸に平行とすることで、X軸に完全に平行な蒸着成分までもカットすることができる。
このように、複数段で構成される制限板ユニットのうち、最も蒸着マスク40に近い、最上段(言い換えれば、最も下流側)に、Y軸に平行な第3の制限板72を有する第3の制限板ユニット70を設けることで、指向性の悪い蒸着成分を、最後の最後に除去した状態で、蒸着粒子401を、蒸着マスク40のマスク開口41に入射させることができる。
<変形例>
なお、本実施の形態では、図13に示すように、第3の制限板72を第1の制限板22に重畳して設置する場合を例に挙げて図示したが、本実施の形態は、これに限定されるものではない。
但し、第3の制限板ユニット70においては、第1の制限板ユニット20および第2の制限板ユニット30により指向性の悪い蒸着成分がカットされていることで、指向性の高い蒸着成分が多く通過する。このため、第1の制限板22間の制限板開口23に第3の制限板72を設置すると、第1の制限板ユニット20および第2の制限板ユニット30で制御された指向性の高い蒸着成分までも第3の制限板72でカットしてしまうおそれがある。このため、第3の制限板72は、第1の制限板22上に設置することが望ましい。
また、本実施の形態では、図12に示すように、蒸着源10、第1の制限板ユニット20、第2の制限板ユニット30、第3の制限板ユニット70、蒸着マスク40が、互いに離間して設けられている場合を例に挙げて図示したが、これら蒸着源10、第1の制限板ユニット20、第2の制限板ユニット30、第3の制限板ユニット70、蒸着マスク40は、互いに離間して設けられていてもよく、互いに接触または一体化して設けられていてもよい。なお、この場合のメリット・デメリットとしては、実施の形態1に記載のメリット・デメリットと同様である。
また、本実施の形態では、制限板ユニットが3段設けられている場合を例に挙げて説明したが、制限板ユニットは、4段以上設けられていても構わない。この場合にも、各制限板の形状・配置が一致している必要はなく、想定される蒸着分布に応じて適切な配置をすればよい。
〔まとめ〕
本発明の態様1にかかる蒸着ユニット1は、蒸着マスク40と、上記蒸着マスク40に向かって蒸着粒子401を射出する蒸着源10と、上記蒸着マスク40と蒸着源10との間に設けられ、上記蒸着粒子401の通過角度を制限する第1の制限板ユニット20および第2の制限板ユニット30を少なくとも有する複数段の制限板ユニットとを備え、上記第1の制限板ユニット20は、上記蒸着マスク40の主面に垂直な方向(Z軸方向)から見たときに、第1の方向(X軸方向)に互いに離間し、かつ、互いに平行に設けられた、複数の第1の制限板22からなる第1の制限板列21を備え、上記第2の制限板ユニット30は、上記第1の制限板ユニット20と蒸着マスク40との間に設けられており、かつ、複数の第2の制限板32を備え、上記蒸着マスク40の主面に垂直な方向から見たときに、上記第2の制限板32が、上記第1の方向に垂直な第2の方向(Y軸方向)に交差する方向に延設されている。
これにより、上記蒸着ユニット1は、上記第2の制限板32の端面32aが、上記第1の制限板例21における、上記第1の制限板22の端面22aおよび上記第1の制限板22間の開口領域(制限板開口23)のうち少なくとも一方と交差している。
上記の構成によれば、第1の制限板22で指向性を向上させた蒸着流が、第1の制限板22間の開口領域(制限板開口23)通過後に指向性が悪く(いわゆる等方的な分布化)なったとしても、第2の制限板32で、指向性の悪い蒸着成分(蒸着粒子401)をカットすることができる。
このため、第2の制限板ユニット30を通過した蒸着粒子401は、高指向性を保持した状態で蒸着マスク40を通過し、被成膜基板200に蒸着される。このため、蒸着ボケを抑制することができ、蒸着ボケが極めて少ない、高精細な蒸着膜パターンを形成することができる。
また、上記蒸着ユニット1は、蒸着経路(Z軸方向)に複数段の制限板ユニットを備えていることで、蒸着流の分布に応じて、蒸着ボケを起こす蒸着流の分布のみを、効率的にカットすることができる。このため、蒸着マスク40の主面に垂直な方向における制限板の長さを長くした場合のように制限板でロスする材料を低減することができる。
したがって、上記蒸着ユニット1によれば、高レート時の蒸着ボケを抑制することができるとともに、従来よりも、材料利用効率を向上させることができ、収率および生産性を向上させることができる。
本発明の態様2にかかる蒸着ユニット1は、上記態様1において、上記第1の制限板22および第2の制限板32が、それぞれ、上記蒸着マスク40の主面に垂直に設けられていることが好ましい。
この場合、上記第1の制限板22および第2の制限板32の配置が容易であり、かつ、指向性が高い蒸着粒子をカットするおそれがない。
また、本発明の態様3にかかる蒸着ユニット1は、上記態様1または2において、上記蒸着マスク40の主面に垂直な方向から見たときに、上記第1の制限板22と第2の制限板32とは、互いの端面が互いに直交する方向に延設されていることが好ましい。
つまり、上記第2の制限板ユニット30は、上記蒸着マスク40の主面に垂直な方向から見たときに、上記第1の方向に垂直な第2の方向に互いに離間して設けられた、上記複数の第2の制限板32からなる第2の制限板列31を備えていることが好ましい。
上記の構成によれば、上記第2の制限板32の配設が容易であり、かつ、第1の制限板22で指向性を向上させた蒸着流が、第1の制限板22間の開口領域(制限板開口23)を通過後に指向性が悪くなったとしても、第2の制限板32で、指向性の悪い蒸着成分をカットすることができる。
また、本発明の態様4にかかる蒸着ユニット1は、上記態様1または2において、上記第2の制限板32が、上記蒸着マスク40の主面に垂直な方向から見たときに、上記第1の方向に漸近するように形成されていることが好ましい。
すなわち、上記第2の制限板32は、上記蒸着マスク40の主面に垂直な方向から見たときに、個々の第2の制限板32全体が上記第1の方向に漸近するように配置されていてもよく、上記第2の制限板32の屈曲線が、上記第1の方向に漸近するように形成されていてもよい。
蒸着粒子401は、指向性が低下するほどX軸に漸近して飛ぶ傾向がある。このため、指向性の低下が極めて大きい場合、指向性が低い蒸着粒子401を第2の制限板32で捕捉するには、第2の制限板32が、上記蒸着マスク40の主面に垂直な方向から見たときに、上記第1の方向に漸近するように形成されていることが好ましい。
上記構成とすることで、上記第1の方向に漸近している蒸着粒子401についてもカットすることができ、より高レートで運動エネルギーの高い蒸着流に対しても、その飛散を制限することができる。このため、蒸着粒子401の衝突・散乱による指向性の低下が極めて大きい場合であっても、蒸着ボケを抑制することができる。
また、本発明の態様5にかかる蒸着ユニット1は、上記態様4において、上記蒸着マスク40の主面に垂直な方向から見たときに、上記第2の制限板32が、屈曲点を少なくとも1つ有していることが好ましい。
このように第2の制限板32が屈曲していることで、第2の制限板32が、上記第1の方向に漸近して上記第2の方向に連続して設けられる。
このため、より高レートで運動エネルギーの高い蒸着流に対しても、その飛散を制限することができる。このため、蒸着粒子401の衝突・散乱による指向性の低下が極めて大きい場合であっても、蒸着ボケを抑制することができる。
また、本発明の態様6にかかる蒸着ユニット1は、上記態様5において、上記蒸着マスク40の主面に垂直な方向から見たときに、上記第2の制限板32の端面が、屈曲点を複数有していることが好ましい。
すなわち、上記第2の制限板32は、例えばジグザグ形状に形成されていてもよい。
屈曲点の数が多いほど、第2の制限板32でカットされる指向性の悪い蒸着成分(蒸着粒子401)が多くなるため、蒸着ボケをより一層改善することができる。
また、本発明の態様5または6にかかる上記蒸着ユニット1は、上記蒸着マスク40の主面に垂直な方向から見たときに、上記第2の制限板32が、上記蒸着源10の射出口11の近傍にのみ設けられている構成を有していてもよい。
したがって、例えば、本発明の態様7にかかる蒸着ユニット1は、上記態様5または6において、上記蒸着マスク40の主面に垂直な方向から見たときに、上記第2の方向に沿って並設された、上記蒸着源10の射出口11の列に重畳する領域にのみ設けられている構成を有していてもよい。
また、本発明の態様8にかかる蒸着ユニット1は、上記態様5〜7の何れかにおいて、上記蒸着マスク40の主面に垂直な方向から見たときに、上記蒸着源10の射出口11が上記第1の制限板22間の制限板開口23の中心部分に設けられており、上記第2の制限板32が、上記第1の制限板22の中心部分の領域にのみ設けられている構成を有していてもよい。
また、本発明の態様9にかかる蒸着ユニット1は、上記態様6において、上記蒸着マスク40の主面に垂直な方向から見たときに、上記蒸着源10の射出口11に相対的に近い領域(例えば制限板開口23の中心部の上方の領域P1)では上記第2の制限板32の屈曲角度が相対的に小さく、上記射出口11から相対的に遠い領域(例えば制限板開口23のY軸方向両端部側の上方の領域P2・P3)では、上記第2の制限板32の屈曲角度が相対的に大きいことが好ましい。
また、本発明の態様10にかかる蒸着ユニット1は、上記態様9において、上記第2の制限板32の屈曲角度は、上記蒸着マスク40の主面に垂直な方向から見たときに、上記蒸着源10の射出口11から遠ざかるほど大きくなることが好ましい。
射出口11の近傍上方は、蒸着密度が高く、蒸着粒子401の衝突が多いので、指向性が悪くなり易い。一方、射出口11から遠ざかると、蒸着密度が低くなるため、指向性が悪くなり難い。
このため、態様7〜10の構成によれば、指向性が高い蒸着粒子401はカットしないか、もしくはカットを抑制し、指向性が悪い、X軸方向に漸近して飛散するような蒸着粒子401を、効率良くカットすることができる。
また、本発明の態様11にかかる蒸着ユニット1は、上記態様4において、上記蒸着マスク40の主面に垂直な方向から見たときに、上記第2の制限板32が互いに交差していることが好ましい。
上記の構成によれば第2の制限板32でカットされる指向性の悪い蒸着成分が多くなるため、蒸着ボケをさらに改善することができる。
また、本発明の態様12にかかる蒸着ユニット1は、上記態様1〜11の何れかにおいて、上記第2の制限板は、上記蒸着マスクの主面に垂直な方向から見たときに、それぞれ、上記複数の第1の制限板を跨ぐように上記第1の方向に連続して設けられていることが好ましい。
上記蒸着ユニットによれば、上記第2の制限板を容易に配設することができる。
また、本発明の態様13にかかる蒸着ユニット1は、上記態様1〜12の何れかにおいて、上記第2の制限板32が、上記蒸着マスク40の主面に垂直な方向から見たときに、上記第1の方向および第2の方向に複数設けられていることが好ましい。
上記の構成によれば、小型の部品の組合せで第2の制限板32を構成できるので、制限板交換等のメンテナンスやノズル分布・蒸着分布に応じた細かな調整が可能となる。
また、本発明の態様14にかかる蒸着ユニット1は、上記態様1〜13の何れかにおいて、上記第1の制限板22と第2の制限板32とが互いに離間して設けられていることが好ましい。
上記の構成によれば、第1の制限板22を通過後に低指向性化した蒸着粒子401が高指向性化する機会を活かすことができる。このため、材料利用効率の低下を抑制することができ。
また、本発明の態様15にかかる蒸着ユニット1は、上記態様1〜14の何れかにおいて、上記第1の制限板22と第2の制限板32とが互いに接触して設けられていることが好ましい。
上記の構成によれば、第1の制限板22を通過後の低指向性の蒸着粒子401を確実に捕捉することができ、蒸着ボケが発生し難いという利点がある。また、第1の制限板22と第2の制限板32とをピンアライメント等で極めて正確に位置合わせすることができる。さらに、例えば第1の制限板22に冷却機構が設けられている場合、第2の制限板32に別途冷却機構を設けなくても、第2の制限板32を、第1の制限板22に設けられた冷却機構を用いて冷却することができる。このため、簡素な構成で、捕捉した蒸着粒子401の再蒸発を防ぐことができる。
また、本発明の態様16にかかる蒸着ユニット1は、上記態様1〜15の何れかにおいて、上記複数段の制限板ユニットは、上記第2の制限板ユニット30と蒸着マスク40との間に、上記第2の制限板ユニット30を通過した蒸着粒子401の通過角度を制限する第3の制限板ユニット70をさらに有しており、上記第3の制限板ユニット70は、上記蒸着マスク40の主面に垂直な方向から見たときに、少なくとも、第1の方向に互いに離間し、かつ、互いに平行に設けられた、複数の第3の制限板72からなる第3の制限板列71を備えていることが好ましい。
上記の構成によれば、上記第2の制限板ユニット30で指向性の低下が軽微な蒸着成分がカットされた蒸着流が上記第3の制限板ユニット70に入射する際に、指向性が低下してしまった蒸着成分を、上記第3の制限板72でカットすることができる。また第2の制限板32でカットしきれなかった指向性の悪い蒸着成分も上記第3の制限板72でカットできる。
一方、上記第2の制限板32でカットしきれなかった指向性の悪い蒸着成分のうち、蒸着粒子間の衝突散乱を繰り返して指向性の高い成分に変化した蒸着成分は、上記第3の制限板72でカットされずに、蒸着膜402として利用することができる。
また、上記第2の制限板ユニット30の下流側にさらに上記第3の制限板ユニット70を設けることで、それぞれの制限板ユニットに機能を分離できるので、第2の制限板32を、複雑な形状もしくは配置に設計することなく、X軸に漸近あるいは完全に平行な蒸着成分も含めて、指向性の悪い蒸着成分をカットすることができる。このため、蒸着ボケの防止と材料利用効率の向上とを、容易かつ確実に両立することができる。
また、本発明の態様17にかかる蒸着ユニット1は、上記態様1〜16の何れかにおいて、上記蒸着マスク40の主面に垂直な方向から見たときに、上記蒸着源10の射出口11に相対的に近い領域(例えば制限板開口23の中心部の上方の領域P1)では上記第2の制限板32の配設密度が相対的に高く、上記射出口11から相対的に遠い領域(例えば制限板開口23のY軸方向両端部側の上方の領域P2・P3)では、上記第2の制限板32の配設密度が相対的に低いことが好ましい。
また、本発明の態様18にかかる蒸着ユニット1は、上記態様17において、上記第2の制限板32の配設密度は、上記蒸着マスク40の主面に垂直な方向から見たときに、上記蒸着源10の射出口11から遠ざかるほど低くなることが好ましい。
態様17または18の構成によれば、指向性が高い蒸着粒子401はカットしないか、もしくはカットを抑制し、指向性が悪い、X軸方向に漸近して飛散するような蒸着粒子401を、効率良くカットすることができる。
また、本発明の態様19にかかる蒸着装置100は、上記態様1〜18の何れかの蒸着ユニット1と、上記蒸着ユニット1における蒸着マスク40と被成膜基板200とを対向配置した状態で、上記蒸着ユニット1および上記被成膜基板200のうち一方を、上記第2の方向が走査方向となるように相対移動させる移動装置(基板移動装置103または蒸着ユニット移動装置104)とを備え、上記蒸着マスク40の上記第2の方向の幅は、上記第2の方向における被成膜基板200の幅よりも小さく、上記第2の方向に沿って走査しながら、上記蒸着源10から出射された蒸着粒子401を、上記複数段の制限板ユニットおよび上記蒸着マスク40の開口部を介して上記被成膜基板200に蒸着させる。
このため、上記蒸着装置100によれば、高レート時の蒸着ボケを抑制することができるとともに、従来よりも、材料利用効率を向上させることができ、収率および生産性を向上させることができる。
本発明は上述した各実施の形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施の形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施の形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施の形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
本発明は、被成膜基板と蒸着ユニットとを相対的に移動させて走査しながら蒸着を行う、スキャニング方式を用いたスキャン蒸着に使用される蒸着ユニット、および、そのような蒸着ユニットを用いて所定のパターンを成膜する蒸着装置に好適に利用することができる。特に、本発明の蒸着ユニットおよび蒸着装置は、例えば、有機EL表示装置における有機層の塗り分け形成等の成膜プロセスに用いられる、有機EL表示装置の製造装置並びに製造方法等に好適に用いることができる。
1 蒸着ユニット
10 蒸着源
11 射出口
20 第1の制限板ユニット
21 第1の制限板列
22,22A,22B 第1の制限板
22a 端面
23,23A,23B 制限板開口(開口領域)
24 第1の保持部材
25 第2の保持部材
26 保持体
27 支持部
28 隙間
30 第2の制限板ユニット
31 第2の制限板列
32 第2の制限板
32a 端面
33 制限板開口(開口領域)
34 第1保持部材
35 第2保持部材
36 保持体
37 支持部
40 蒸着マスク
41 マスク開口
42 アライメントマーカ
50 ホルダ
51 スライド装置
52 支持部材
53 テンション機構
60 防着板
70 第3の制限板ユニット
71,71A,71B 第3の制限板列
72 第3の制限板
73 制限板開口(開口領域)
100 蒸着装置
101 真空チャンバ
102 基板ホルダ
103 基板移動装置
104 蒸着ユニット移動装置
105 イメージセンサ
200 被成膜基板
201 被蒸着面
202 アライメントマーカ
401 蒸着粒子
402 蒸着膜

Claims (15)

  1. 蒸着マスクと、
    上記蒸着マスクに向かって蒸着粒子を射出する蒸着源と、
    上記蒸着マスクと蒸着源との間に設けられ、上記蒸着粒子の通過角度を制限する第1の制限板ユニットおよび第2の制限板ユニットを少なくとも有する複数段の制限板ユニットとを備え、
    上記第1の制限板ユニットは、上記蒸着マスクの主面に垂直な方向から見たときに、第1の方向に互いに離間し、かつ、互いに平行に設けられた、複数の第1の制限板からなる第1の制限板列を備え、
    上記第2の制限板ユニットは、上記第1の制限板ユニットと蒸着マスクとの間に設けられており、かつ、複数の第2の制限板を備え、
    上記蒸着マスクの主面に垂直な方向から見たときに、上記第2の制限板が、上記第1の方向に垂直な第2の方向に交差する方向に延設されていることを特徴とする蒸着ユニット。
  2. 上記第1の制限板および第2の制限板は、それぞれ、上記蒸着マスクの主面に垂直に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の蒸着ユニット。
  3. 上記蒸着マスクの主面に垂直な方向から見たときに、上記第1の制限板と第2の制限板とは、互いの端面が互いに直交する方向に延設されていることを特徴とする請求項1または2に記載の蒸着ユニット。
  4. 上記第2の制限板は、上記蒸着マスクの主面に垂直な方向から見たときに、上記第1の方向に漸近するように形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の蒸着ユニット。
  5. 上記蒸着マスクの主面に垂直な方向から見たときに、上記第2の制限板が、屈曲点を少なくとも1つ有していることを特徴とする請求項4に記載の蒸着ユニット。
  6. 上記蒸着マスクの主面に垂直な方向から見たときに、上記第2の制限板の端面が、屈曲点を複数有していることを特徴とする請求項5に記載の蒸着ユニット。
  7. 上記蒸着マスクの主面に垂直な方向から見たときに、上記蒸着源の射出口に相対的に近い領域では上記第2の制限板の屈曲角度が相対的に小さく、上記射出口から相対的に遠い領域では、上記第2の制限板の屈曲角度が相対的に大きいことを特徴とする請求項6に記載の蒸着ユニット。
  8. 上記蒸着マスクの主面に垂直な方向から見たときに、上記第2の制限板が互いに交差していることを特徴とする請求項4に記載の蒸着ユニット。
  9. 上記第2の制限板は、上記蒸着マスクの主面に垂直な方向から見たときに、それぞれ、上記複数の第1の制限板を跨ぐように上記第1の方向に連続して設けられていることを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の蒸着ユニット。
  10. 上記第2の制限板は、上記蒸着マスクの主面に垂直な方向から見たときに、上記第1の方向および第2の方向に複数設けられていることを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載の蒸着ユニット。
  11. 上記第1の制限板と第2の制限板とが互いに離間して設けられていることを特徴とする請求項1〜10の何れか1項に記載の蒸着ユニット。
  12. 上記第1の制限板と第2の制限板とが互いに接触して設けられていることを特徴とする請求項1〜10の何れか1項に記載の蒸着ユニット。
  13. 上記複数段の制限板ユニットは、上記第2の制限板ユニットと蒸着マスクとの間に、上記第2の制限板ユニットを通過した蒸着粒子の通過角度を制限する第3の制限板ユニットをさらに有しており、
    上記第3の制限板ユニットは、上記蒸着マスクの主面に垂直な方向から見たときに、少なくとも、第1の方向に互いに離間し、かつ、互いに平行に設けられた、複数の第3の制限板からなる第3の制限板列を備えていることを特徴とする請求項1〜12の何れか1項に記載の蒸着ユニット。
  14. 上記蒸着マスクの主面に垂直な方向から見たときに、上記蒸着源の射出口に相対的に近い領域では上記第2の制限板の配設密度が相対的に高く、上記射出口から相対的に遠い領域では、上記第2の制限板の配設密度が相対的に低いことを特徴とする請求項1〜13の何れか1項に記載の蒸着ユニット。
  15. 請求項1〜14の何れか1項に記載の蒸着ユニットと、
    上記蒸着ユニットにおける蒸着マスクと被成膜基板とを対向配置した状態で、上記蒸着ユニットおよび上記被成膜基板のうち一方を、上記第2の方向が走査方向となるように相対移動させる移動装置とを備え、
    上記蒸着マスクの上記第2の方向の幅は、上記第2の方向における被成膜基板の幅よりも小さく、
    上記第2の方向に沿って走査しながら、上記蒸着源から出射された蒸着粒子を、上記複数段の制限板ユニットおよび上記蒸着マスクの開口部を介して上記被成膜基板に蒸着させることを特徴とする蒸着装置。
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