JPWO2014103283A1 - 情報記録媒体用ガラス基板の製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明の一局面は、所定の波長幅を有する検査光を、ガラス基板に照射することにより、測定される光学値に基づいて、前記ガラス基板の合否を判定する検査工程を備えることを特徴とする情報記録媒体用ガラス基板の製造方法である。

Description

本発明は、情報記録媒体用ガラス基板の製造方法に関する。
磁気、光及び光磁気等を利用することによって、情報を情報記録媒体に記録する情報記録装置が知られている。このような情報記録装置としては、代表的なものとして、例えば、ハードディスクドライブ(HDD)装置等が挙げられる。HDD装置は、金属磁性膜等の記録層を基板上に形成した磁気ディスク(ハードディスク:HD)を情報記録媒体として用い、その磁気ディスクに磁気ヘッドで磁気的に情報を記録し(書き込み)、記録した情報を再生する(読み出す)装置である。このような情報記録媒体の基材、いわゆるサブストレートとしては、ガラス基板が好適に用いられている。
また、HDD装置は、磁気ディスクに情報を記録したり、読み出したりする際、磁気ヘッドを磁気ディスクに接触することなく、磁気ディスクに対し浮上させておくものである。そして、磁気ヘッドの浮上量を低減させることによって、記録密度の向上が図れることが知られている。
また、近年は、垂直磁気記録方式による磁気ディスクの記録密度の高密度化が図られている。例えば、HDD装置においては、2.5インチの磁気ディスク1枚で、記録容量が500GB以上を実現できる磁気ディスクが求められている。すなわち、磁気ディスクの面記録密度が、630Gbit/平方インチ以上の記録密度を有することが求められている。そして、この要求を満たすためにも、磁気ヘッドの浮上量が数nm程度と、非常に小さい値にまで減少している。このため、情報記録媒体にガラス基板の異物欠陥等に基づく欠陥があると、前記磁気ヘッドの浮上が不安定になり、磁気ヘッドと磁気ディスクとが衝突してしまう、いわゆるヘッドクラッシュとよばれる現象が発生することがある。また、ヘッドクラッシュを起こさない場合であっても、磁気ヘッドの浮上安定性に影響することがある。これらのことから、磁気ヘッドの浮上量をより低減させて、記録密度をより高めるためには、情報記録媒体用ガラス基板に欠陥が少ないこと等が求められる。また、情報記録媒体用ガラス基板として許容できる表面の欠陥の大きさもより小さくなってきている。このため、情報記録媒体用ガラス基板の、欠陥の数や大きさ等を検査する欠陥検査が、重要になってきている。
そこで、情報記録媒体用ガラス基板の製造方法において、最終検査工程として、単一波長のレーザ光を用いた表面検査装置を用いて、全数検査をしている。具体的には、特定波長のレーザ光を、ガラス基板に照射し、ガラス基板の表面で反射及び散乱された光を検知し、その検知結果に基づいて、欠陥の数や大きさ等を検査する方法である。より具体的には、例えば、特許文献1に記載の方法等が挙げられる。
そこで、異物欠陥等の欠陥を検査する方法としては、例えば、特許文献1に記載の方法等が挙げられる。
特許文献1には、製造された磁気ディスク用ガラス基板を検査する検査工程を含む磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、前記検査工程において、前記磁気ディスク用ガラス基板上の欠陥の大きさと数とで決められた複数の判定基準に基づいて磁気ディスク用ガラス基板の合否を判定する磁気ディスク用ガラス基板の製造方法が記載されている。また、特許文献1には、前記検査工程として、磁気ディスク用ガラス基板の表面に対して、レーザ光を照射し、そのときの反射及び散乱された光を検知する方法が記載されている。
特許文献1によれば、欠陥の個数のみで良否判定を行う場合よりも精度の良い判定が可能となることが開示されている。
特開2010−73243号公報
本発明は、情報記録媒体にした際における問題の発生を充分に抑制できる情報記録媒体用ガラス基板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一局面は、所定の波長幅を有する検査光を、ガラス基板に照射することにより、測定される光学値に基づいて、前記ガラス基板の合否を判定する検査工程を備えることを特徴とする情報記録媒体用ガラス基板の製造方法である。
本発明の目的、特徴、局面、及び利点は、以下の詳細な記載と添付図面とによって、より明白となる。
図1は、本発明の一実施形態に係る情報記録媒体用ガラス基板の製造方法における反射検査工程の一例を説明するための概略断面図である。 図2は、本発明の一実施形態における検査工程での検査範囲と、AFMによる検査での検査範囲の相違について説明するための概略図である。 図3は、本発明の一実施形態における検査工程での検査範囲について説明するための概略図である。 図4は、本発明の一実施形態に係る情報記録媒体用ガラス基板の製造方法における透過検査工程の一例を説明するための概略断面図である。 図5は、本発明の一実施形態に係る情報記録媒体用ガラス基板の製造方法における研磨工程で用いる研磨装置の一例を示す概略断面図である。 図6は、本発明の一実施形態に係る情報記録媒体用ガラス基板の製造方法で用いられるガラス素板を示す上面図である。 図7は、本発明の一実施形態に係る情報記録媒体用ガラス基板の製造方法により製造された情報記録媒体用ガラス基板を用いた情報記録媒体の一例である磁気ディスクを示す一部断面斜視図である。 図8は、本発明の一実施形態に係る情報記録媒体用ガラス基板の製造方法における反射検査工程での合格品を測定した際の、波長と反射率との関係の一例を示すグラフである。 図9は、本発明の一実施形態に係る情報記録媒体用ガラス基板の製造方法における反射検査工程での不合格品を測定した際の、波長と反射率との関係の一例を示すグラフである。 図10は、本発明の一実施形態に係る情報記録媒体用ガラス基板の製造方法における透過検査工程での、合格品、不合格品、及び対照用ガラス基板の各全光線透過率の一例を示すグラフである。
本発明者の検討によれば、特許文献1に記載の方法により得られたガラス基板は、ガラス基板の状態での評価では、良品と判断されているにもかかわらず、そのガラス基板表面に記録層を形成させて情報記録媒体にすると、電磁変換特性が低下する等の問題が発生し、不良と判断される場合があった。
本発明者のさらなる検討によれば、ガラス基板の状態での評価では、良品と判断されているにもかかわらず、そのガラス基板表面に記録層を形成させて情報記録媒体にした際に、問題が発生した情報記録媒体は、その表面を、高輝度(HID)ランプ等の明るい光源で斜光検査した際に、問題が発生していない情報記録媒体とは異なる色の見え方をしていることが判明した。
この色の異なる箇所を、原子間力顕微鏡(AFM)で観察したところ、他の箇所とは異なる凹凸構造となっていて、その箇所の表面粗さRaも大きいことがわかった。このような箇所の存在が、情報記録媒体にした際に発生する問題の原因であると推察した。
このような箇所の有無は、単一波長のレーザ光を用いた表面検査装置を用いて、全数検査をしても検出が困難である。一方で、AFMを用いて、ガラス基板の全面を、全数検査することで発見することは可能である。しかしながら、AFMでの検査は、非常に長い時間を要し、現実的ではない。
また、ガラス基板の表面粗さRaが、ガラス基板の表面上に、記録層として金属磁性膜等を形成して情報記録媒体を製造した際、得られた情報記録媒体の磁性膜特性に大きく影響を与えることが知られている。通常、ガラス基板の表面粗さRaは、長時間かかってしまうAFMによる検査を、抜き取り検査として行っている。具体的には、製造したガラス基板を、数バッチ(約100枚/バッチ)毎に、数枚抜き取り、AFM観察により評価している。
これらのことから、AFMによる検査のような長時間かかる検査以外の方法で、ガラス基板の表面粗さRaに起因する不具合を検出できる方法が求められている。
以下、本発明に係る実施形態について説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
本実施形態に係る情報記録媒体用ガラス基板の製造方法は、所定の波長幅を有する検査光を、ガラス基板に照射することにより、測定される光学値に基づいて、前記ガラス基板の合否を判定する検査工程を備える。また、本実施形態に係る情報記録媒体用ガラス基板の製造方法は、前記検査工程を備えていれば、特に限定されない。具体的には、本実施形態に係る情報記録媒体用ガラス基板の製造方法は、前記検査工程を備えていること以外、従来公知の製造方法と同様である製造方法等が挙げられる。また、この検査工程は、研磨工程等を施した後のガラス基板に対して、検査する工程であることが好ましく、従来の一般的な情報記録媒体用ガラス基板の製造方法における最終工程として、この検査工程を実施することが好ましい。
ここで、本実施形態に係る情報記録媒体用ガラス基板の製造方法における検査工程について、説明する。
前記検査工程は、上述したように、所定の波長幅を有する検査光を、ガラス基板に照射することにより、測定される光学値に基づいて、前記ガラス基板の合否を判定する工程であれば、特に限定されない。具体的には、前記検査工程は、所定の波長幅を有する検査光をガラス基板に照射したときの反射率に基づいて、前記ガラス基板の合否を判定する反射検査工程や、所定の波長幅を有する検査光をガラス基板に照射したときの透過率に基づいて、前記ガラス基板の合否を判定する透過検査工程等が挙げられる。
まず、反射検査工程について、説明する。
反射検査工程は、例えば、AFMによる観察で欠陥が確認されないガラス基板を用いて測定された反射率との差分に基づいて、ガラス基板の合否を判定する工程等が挙げられる。具体的には、以下のような工程を備えるもの等が挙げられる。
まず、複数のガラス基板をAFMにより観察し、AFMによる観察で欠陥が確認されないガラス基板を選別する。この際、AFMによる観察は、長時間を要するが、ガラス基板のできるだけ広い範囲、例えば、全面を観察することが好ましい。少なくとも、情報記録媒体を製造した際、記録領域になる部分は全面観察することが好ましい。一方で、AFMで全面を観察することは困難であるので、可能な限り多く、かつ、分散した箇所を測定することが好ましい。そして、このAFMによる観察で欠陥が確認されないガラス基板を対照用ガラス基板として予め準備する。
次に、この対照用ガラス基板に、前記検査光を照射して、前記対照用ガラス基板で反射された反射光を検出することにより、反射率を測定する。この得られた反射率を対照値として取得する。
次に、検査対象であるガラス基板に対して、上記と同様の方法により、反射率を測定する。この得られた反射率を光学値として取得する。
そして、検査対象であるガラス基板を用いて測定された光学値と前記対照値との差分を算出する。この差分に基づいて、検査対象であるガラス基板の合否を判定する。例えば、この差分を検査光の波長毎に算出し、その差分の最大値に基づいて、ガラス基板の合否を判定する。また、検査光を予め分光して、その波長毎の反射率を測定してもよい。また、合否の基準としては、求められる製品の品質等に応じて、適宜決定すればよい。検査対象であるガラス基板を用いて測定された光学値は、AFMによる観察により欠陥が確認されない基板に基づく対照値に近ければ近いほどよく、前記差分は、0%に近いほど好ましい。これらの観点から、合否の基準としては、例えば、差分の絶対値の最大値が、0.2%以内であれば、合格とし、0.2%を越えるようであれば、不合格とすること等が挙げられる。
また、この反射検査工程は、例えば、分光光度計を用いて行う方法等が挙げられる。具体的には、分光光度計の測定部で、前記対照値や光学値を測定し、その測定した値を、分光光度計の記憶部に記憶させ、分光光度計の処理部で、これらの値に基づく合否を判定する等の方法が挙げられる。
また、本実施形態に係る製造方法は、ガラス基板の検査において、従来から用いられていた、単一波長のレーザ光による光学散乱測定機を用いた検査も、本実施形態に係る反射検査工程等の検査工程とともに行うことが好ましい。そうすることによって、単一波長のレーザ光による光学散乱測定機を用いた検査で合格となったガラス基板のみに対して、本実施形態に係る検査工程を施せばよく、効率良く検査することができる。すなわち、情報記録媒体用ガラス基板を効率良く製造することができる。また、この場合、この反射検査工程を実施するための分光光度計を、この光学散乱測定機とは別に備えていてもよいし、光学散乱測定機に組み込んでもよい。
また、この反射検査工程における反射率の測定方法は、ガラス基板に検査光を照射した際の反射光の反射率を測定することができる方法であれば、特に限定されない。具体的には、図1に示す方法等が挙げられる。なお、図1は、本実施形態に係る情報記録媒体用ガラス基板の製造方法における反射検査工程の一例を説明するための概略断面図である。
まず、図1に示すように、回転ローラ5によって支持されたガラス基板10に対して、光学照射装置1から出射された検査光3を照射する。そして、照射された検査光3の、ガラス基板10で反射した反射光4を光学検出装置2で検出する。そうすることによって、反射光4の変化を、光学検出装置2で検出することができる。この検出結果を解析することによって、各波長における反射率を測定することができる。すなわち、光学検出装置2で検出した反射光の強度を、波長毎に解析することによって、各波長における反射率を測定することができる。なお、反射率は、反射光の強度を、照射した検査光の強度で除した値である。
また、反射検査工程における検査光は、図1に示すように、ガラス基板に照射されたときのスポット径が、ガラス基板から検査光がはみ出さない範囲で、大きいほうが好ましい。具体的には、検査光の、ガラス基板に照射されたときのスポット径R(mm)が、下記式(1)の関係を満たすことが好ましい。
(r1−r2)/2−2 ≦ R ≦ (r1−r2)/2−0.2 (1)
ここで、上記式(1)中、r1が、前記ガラス基板の外径(mm)を示し、r2が、前記ガラス基板の内径(mm)を示す。
このような関係を満たすと、検査光のスポット径が、ガラス基板の円周方向の幅より少し小さいものとなり、ガラス基板をはみださない範囲で比較的広い範囲に検査光を照射して、一度に検査することができる。具体的には、図2に示すように、本実施形態における検査工程では、一度の検査で、ガラス基板の円周方向の幅より少し小さい検査範囲21を測定することができる。なお、図2は、本実施形態における検査工程での検査範囲と、AFMによる検査での検査範囲の相違について説明するための概略図である。これに対して、AFMによる観察は、非常に狭い検査範囲22でしか一度には観察できない。具体的には、AFMによる観察は、1μm×1μmの範囲を、約3分間かかる。これに対して、本実施形態に係る検査工程では、AFMによる検査と異なり、ガラス基板の広い範囲を検査対象とすることができる。具体的には、上記式(1)の関係を満たすような検査光で検査すると、AFMによる検査より非常に少ない回数、例えば、図3に示すように、8回程度で、ガラス基板のほぼ全面を検査することができる。なお、図3は、本実施形態における検査工程での検査範囲について説明するための概略図である。
以上のことから、このようなスポット径の検査光を用いることで、ほぼ全面を容易に検査できるので、本実施形態に係る製造方法は、情報記録媒体にした際における問題の発生がより抑制された情報記録媒体用ガラス基板を得やすくなる。
また、反射検査工程における検査光は、測定された反射率が、単一波長の光を用いて検査した場合では検知されず、AFMによる検査であれば検知することができる欠陥の有無で異なる値となるような光であれば、特に限定されない。具体的には、波長380〜500nmの光を含む、波長幅を有する光であることが好ましい。この範囲が好ましい理由としては、まず、検査光の波長が短いほど、単一波長の光を用いて検査した場合では検知されず、AFMによる検査であれば検知することができる欠陥を検出しやすい傾向があることによります。一方で、検査光の波長が短すぎると、検査対象であるガラス基板に検査光を照射した際、ガラス基板の表面での反射が少なくなり、むしろガラス基板を透過するようになる傾向がある。検査光がガラス基板を透過した場合、好適な検査が行えないことになる。よって、上記範囲内の波長幅を有する検査光であれば、検査光がガラス基板を透過しない範囲で、AFMによる検査であれば検知することができた欠陥、例えば、凹凸構造の異なる箇所を好適に検出することができる。よって、このような検査光であれば、反射検査工程で、AFMによる検査であれば検知することができる欠陥をより多く検出でき、検出精度がより高くなる。
また、光学照射装置1は、検査光3を照射することができるものであれば、特に限定されない。具体的には、光学照射装置1は、波長380〜500nmの光を含む、波長幅を有する検査光を照射できる装置であることが好ましい。さらに、光学照射装置1は、上記式(1)に示す関係を満たすスポット径を実現できる検査光を照射できる装置であることが好ましい。また、光学検出装置2は、反射光4を検出することができるものであれば、特に限定されない。具体的には、光学検出装置2は、反射光4の強度を測定できるもの等が挙げられる。
また、反射検査工程における検査光は、ガラス基板への入射角が、30〜60°であることが好ましく、40〜50°であることがより好ましい。検査光の、ガラス基板への入射角としては、例えば、45°程度で行うことがさらに好ましい。なお、入射角は、ガラス基板表面の垂線からの角度である。このような範囲であると、反射率が好適に得られる。入射角が小さすぎると、透過光が増え、反射光の強度が弱くなる傾向があり、入射角が大きすぎると、反射光がガラス基板近傍を通過することになり、反射光を測定しにくくなる。また、ガラス基板の状態にかかわらず、反射する傾向がある。
次に、透過検査工程について説明する。
透過検査工程は、具体的には、反射検査工程と同様、AFMによる観察で欠陥が確認されないガラス基板を用いたときとの差に基づいて、ガラス基板の合否を判定する工程等が挙げられる。より具体的には、以下のような工程等が挙げられる。
まず、反射検査工程の場合と同様、AFMによる観察で欠陥が観察されないガラス基板を対照用ガラス基板として予め準備する。
次に、この対照用ガラス基板に、前記検査光を照射して、前記照射用ガラス基板を透過した透過光を検出することにより、透過率を測定する。この得られた透過率を対照値として取得する。
次に、検査対象であるガラス基板に対して、上記と同様の方法により、透過率を測定する。この得られた透過率を光学値として取得する。
そして、反射検査工程と同様、検査対象であるガラス基板を用いて測定された光学値と前記対照値との差分を算出し、この差分に基づいて、検査対象であるガラス基板の合否を判定する。また、合否の基準としては、反射検査工程と同様、求められる製品の品質等に応じて、適宜決定すればよく、例えば、差分の絶対値が、0.4%内であれば、合格とし、0.4%を越えるようであれば、不合格とすること等が挙げられる。
また、この透過検査工程における透過率の測定方法は、ガラス基板に検査光を照射した際の透過光の透過率を測定することができる方法であれば、特に限定されない。具体的には、図4に示す方法等が挙げられる。なお、図4は、本実施形態に係る情報記録媒体用ガラス基板の製造方法における透過検査工程の一例を説明するための概略図である。
まず、図4に示すように、回転ローラ5によって支持されたガラス基板10に対して、光学照射装置6から出射された検査光8を照射する。そして、照射された検査光8の、ガラス基板10を透過した透過光9を光学検出装置7で検出する。そうすることによって、透過光9の強度を、光学検出装置7で検出することができる。この検出結果を解析することによって、透過率を測定することができる。なお、透過率は、透過光の強度を、照射した検査光の強度で除した値である。また、透過検査工程としては、例えば、この光学照射装置の出力及び光学検出装置の入力に基づき、これらの装置を制御する制御装置等によって、前記対照値及び光学値を測定し、この測定した対照値及び光学値に基づいて、ガラス基板の合否を判定する方法等が挙げられる。
また、前記透過率は、全光線透過率であることが好ましい。すなわち、透過検査工程における検査光は、広い波長幅を有する光であることが好ましく、全光線であることがより好ましく、具体的には、LED白色光等が挙げられる。全光線を検査光として用いることにより、反射や散乱の影響を受けにくくなり、透過光の強度が強くなり、より精度の高い検査ができる。また、光学検出装置が、広い波長幅で検出できるものであることが好ましい。このような透過率に基づいて判定することによって、得られた光学値として、単一波長の光を用いて検査した場合では検知されず、AFMによる検査であれば検知することができた欠陥の有無で異なる値を好適に得ることができ、より精度の高い検査ができる。このことから、情報記録媒体にした際における問題の発生がより抑制された情報記録媒体用ガラス基板が得られる。
また、透過検査工程における検査光は、そのスポット径が、上記式(1)を満たすことが好ましい。これにより、反射検査工程の場合と同様、ガラス基板の広い範囲を検査対象とすることができる。
また、光学照射装置6は、検査光8を照射することができるものであれば、特に限定されない。具体的には、光学照射装置6は、LED白色光等の全光線を照射できる装置であることが好ましい。さらに、光学照射装置6は、上記式(1)に示す関係を満たすスポット径を実現できる検査光を照射できる装置であることが好ましい。また、光学検出装置7は、透過光9を検出することができるものであれば、特に限定されない。具体的には、光学検出装置7は、上述したような、広い波長幅で検出できるものであることが好ましい。
また、本実施形態に係る製造方法は、ガラス基板の検査において、従来から用いられていた、単一波長のレーザ光による光学散乱測定機を用いた検査も、本実施形態に係る透過検査工程等の検査工程とともに行うことが好ましい。そうすることによって、単一波長のレーザ光による光学散乱測定機を用いた検査で合格となったガラス基板のみに対して、本実施形態に係る検査工程を施せばよく、効率良く検査することができる。すなわち、情報記録媒体用ガラス基板を効率良く製造することができる。さらに、本実施形態に係る製造方法は、検査工程として、上記反射検査工程と透過検査工程との両方を行うことが好ましい。そうすることによって、より精度の高い検査となる。
また、本実施形態に係る情報記録媒体用ガラス基板の製造方法は、上述したように、前記検査工程を備えていればよく、他の工程としては、特に限定されない。前記検査工程は、研磨工程が施されたガラス基板に対して、検査する工程であることが好ましいので、本実施形態に係る情報記録媒体用ガラス基板の製造方法は、研磨工程を備えることが好ましい。
前記研磨工程は、前記検査工程で合格と判定されるガラス基板が得られるように研磨する工程であることが好ましい。この研磨工程としては、具体的には、研磨工程で得られたガラス基板を、前記検査工程で検査し、その検査結果に基づいて、これ以降に行う研磨工程の研磨条件を調整して、検査工程で合格となるガラス基板が得られるように研磨する工程等が挙げられる。そうすることによって、情報記録媒体にした際における問題の発生を充分に抑制できる情報記録媒体用ガラス基板を好適に製造することができる。
また、前記研磨工程は、具体的には、情報記録媒体用ガラス基板の製造方法における研磨工程であって、上記のような研磨が行えるように研磨条件を調整したものが挙げられる。また、前記研磨工程は、1回研磨であってもよいが、例えば、粗研磨工程と精密研磨工程との複数回の工程を行うものであってもよい。また、精密研磨工程も、1回であってもよいが、2回以上行ってもよい。具体的には、例えば、以下のような研磨工程が挙げられる。
前記粗研磨工程(1次研磨工程)は、ガラス素板の表面に粗研磨を施す工程である。例えば、後述するラッピング工程が施されたガラス素板や、成形により得られたガラス素板の表面に粗研磨を施す工程である。この粗研磨は、傷や歪みの除去を目的とするもので、後述する研磨装置を用いて実施する。なお、前記粗研磨工程で研磨する表面は、ガラス素板の面方向に平行な面、すなわち主表面である。
まず、粗研磨工程で用いる研磨装置は、ガラス基板の製造に用いる研磨装置であれば、特に限定されない。具体的には、図5に示すような研磨装置11が挙げられる。なお、図5は、本実施形態に係る情報記録媒体用ガラス基板の製造方法における研磨工程で用いる研磨装置の一例を示す概略断面図である。
図5に示すような研磨装置11は、ガラス素板の主表面の両面を、同時に研磨可能な装置である。また、この研磨装置11は、装置本体部(研磨本体部)11aと、装置本体部11aに研磨液(研磨スラリー)を供給する研磨液供給部11bとを備えている。
装置本体部11aは、互いに対向して配置される2枚の定盤12,13を備えている。それぞれの定盤の位置関係は、上下に限定されないが、例えば、2枚の定盤のうち、上側に配置される定盤を、上定盤12とし、下側に配置される定盤を、下定盤13と称する。すなわち、装置本体部11aは、円盤状の上定盤12と円盤状の下定盤13とを備えており、それらが互いに平行になるように上下に間隔を隔てて配置されている。そして、円盤状の上定盤12と円盤状の下定盤13とが、互いに逆方向に回転する。
この円盤状の上定盤12と円盤状の下定盤13との対向するそれぞれの面に、ガラス素板30の表裏の両面を研磨するための研磨パッド15が貼り付けられている。
また、円盤状の上定盤12と円盤状の下定盤13との間には、回転可能な複数のキャリア14が設けられている。このキャリア14は、複数の素板保持用孔51が形成されており、この素板保持用孔51にガラス素板30をはめ込んで配置することができる。キャリア14としては、例えば、素板保持用孔51が100個形成されていて、100枚のガラス素板30をはめ込んで配置できるように構成されていてもよい。そうすると、1回の処理(1バッチ)で100枚のガラス素板を処理できる。
研磨パッド15を介して定盤12,13に挟まれているキャリア14は、ガラス素板30を保持した状態で、自転しながら、定盤12,13の回転中心に対して下定盤13と同じ方向に公転する。なお、円盤状の上定盤12と円盤状の下定盤13とは、別駆動で動作することができる。このように動作している研磨装置11において、研磨液16を、上定盤12とガラス素板30との間、及び下定盤13とガラス素板30との間に、それぞれ供給することによって、ガラス素板30の研磨を行うことができる。
また、研磨液供給部11bは、液貯留部110と液回収部120とを備えている。液貯留部110は、液貯留部本体110aと、液貯留部本体110aから装置本体部11aに延ばされた吐出口110eを有する液供給管110bとを備えている。液回収部120は、液回収部本体120aと、液回収部本体120aから装置本体部11aに延ばされた液回収管120bと、液回収部本体120aから研磨液供給部11bに延ばされた液戻し管120cとを備えている。
そして、液貯留部本体110aに入れられた研磨液16は、液供給管110bの吐出口110eから装置本体部11aに供給され、装置本体部11aから液回収管120bを介して液回収部本体120aに回収される。また、回収された研磨液16は、液戻し管120cを介して液貯留部110に戻され、再度、装置本体部11aに供給可能とされている。
ここで、研磨によって発生するガラス屑が回収された研磨液に混入するため、図示しないフィルタを液回収部120に備えて前記ガラス屑を除去することが、表面に発生するキズを低減するという観点から望ましい。
ここでは回収した研磨液を再度利用する循環使用としたが、研磨した研磨液を回収せずにかけ流しとして使用することもできる。
ここで用いる研磨パッドとしては、粗研磨工程に用いることができる研磨パッドであれば、特に限定されない。具体的には、硬質研磨パッド等が挙げられる。
また、ここで用いる研磨液は、研磨剤を水に分散させた状態の液体、すなわち、スラリー液である。そして、この研磨剤としては、例えば、CeOを含有する研磨剤等が挙げられる。
次に、精密研磨工程について説明する。
前記精密研磨工程は、前記粗研磨工程で得られた平坦平滑な主表面を維持しつつ、例えば、主表面の表面粗さ(Rmax)が0.3nm程度以下である平滑な鏡面に仕上げる鏡面研磨処理である。
また、精密研磨工程は、前記検査工程で測定される測定値の平均値が、0.04nm以下となるガラス基板が得られるような研磨条件に調整された研磨工程であることが好ましい。具体的には、研磨パッド、研磨液、及び研磨圧力等の加工条件を調整する。
この精密研磨工程は、例えば、上記粗研磨工程で使用したものと同様の研磨装置を用い、研磨パッドを硬質研磨パッドから軟質研磨パッドに取り替えて行われる。なお、前記精密研磨工程で研磨する表面は、前記粗研磨工程で研磨する表面と同様、主表面である。なお、軟質研磨パッドとしては、例えば、スエードパッド等が挙げられる。スエードパッドとは、表面部(研磨層)が、軟質発泡ポリウレタン等の軟質発泡樹脂で構成されるスエードタイプの軟質発泡樹脂パッドである。また、スエードパッドは、気泡が表面(パッド面)に開放されており、気泡を仕切る壁が軟らかいものが相対的に多い研磨パッドである。
また、精密研磨工程で用いる研磨剤としては、粗研磨工程で用いた研磨剤より、研磨性が低くても、傷の発生がより少なくなる研磨剤が用いられる。具体的には、例えば、粗研磨工程で用いた研磨剤より、粒子径が低いシリカ系の砥粒(コロイダルシリカ)を含む研磨剤等が挙げられる。このシリカ系の砥粒の平均粒子径としては、20nm程度であることが好ましい。そして、本実施形態では、このコロイダルシリカを含む研磨剤が用いられる。
そして、前記研磨剤を含む研磨液(スラリー液)をガラス素板に供給し、研磨パッドとガラス素板とを相対的に摺動させて、ガラス素板の表面を鏡面研磨する。なお、スラリー液は、例えば、上記研磨装置11の研磨液供給部11bによって循環使用してもよい。
スラリー液を循環使用する場合は、前記粗研磨工程と同様に、研磨によって発生するガラス屑が回収された研磨液に混入するため、図示しないフィルタを液回収部120に備えて前記ガラス屑を除去することが、表面に発生するきずを低減するという観点から望ましい。
また、本実施形態に係る情報記録媒体用ガラス基板の製造方法は、前記検査工程以外に、一般的な製造方法における各工程等を備えていてもよい。具体的には、情報記録媒体用ガラス基板の製造方法は、例えば、円盤加工工程、熱処理工程(アニール工程)、研削工程(ラッピング工程)、内外研磨工程、端面研磨工程、化学強化工程、研磨工程(ポリッシング工程)、洗浄工程(研磨後洗浄工程)、及び検査工程等を備える方法が挙げられる。そして、前記各工程を、この順番で行うものであってもよいし、順番を入れ替えたものであってもよい。また、これらの工程の全てを行わなくてもよいし、これら以外の工程を備える方法であってもよい。例えば、研削工程を行わない方法であってもよいし、研磨工程の後に化学強化工程を行う方法であってもよい。また、研磨工程の途中で、化学強化工程を行ってもよい。具体的には、研磨工程として、粗研磨工程と、精密研磨工程とを備える場合、粗研磨工程と精密研磨工程との間に、化学強化工程を行ってもよい。また、検査工程は、前記検査工程を行うものであり、研磨工程は、前記研磨工程を行うものである。
前記円盤加工工程は、原料ガラスを、図6に示すような、内周及び外周が同心円となるように、中心部に貫通孔30aが形成された円盤状のガラス素板30に加工する工程である。具体的には、原料ガラスを、溶融炉で溶融して、溶融ガラスとするガラス溶融工程と、溶融ガラスを円盤状のガラス素板に形成するプレス工程と、形成された円盤状のガラス素板の中心部に貫通孔30aを形成するコアリング加工を施し、図6に示すような、円盤状のガラス素板30に加工するコアリング加工工程等を備える。なお、図6は、本実施形態に係る情報記録媒体用ガラス基板の製造方法で用いられるガラス素板を示す上面図である。
前記ガラス溶融工程は、原料ガラスを、溶融炉で溶融して、溶融ガラスとすることができれば、特に限定されない。原料ガラスとしては、特に限定されず、例えば、SiO、NaO、及びCaOを主成分とするソーダライムガラス、SiO、Al、及びR O(式中、Rは、K、Na、又はLiを示す。)で表される酸化物を主成分とするアルミノシリケートガラス、ボロシリケートガラス、LiO−SiO系ガラス、LiO−Al−SiO系ガラス、RO−Al−SiO系ガラス(式中、Rは、Mg、Ca、Sr、又はBaを示す。)等が挙げられる。より具体的には、例えば、ガラス組成が、SiOが55〜75質量%、Alが5〜18質量%、LiOが1〜10質量%、NaOが3〜15質量%、KOが0.1〜5質量%、MgOが0.1〜5質量%、CaOが0.1〜5質量%であるもの等が挙げられる。これらの中でも、アルミノシリケートガラス、及びボロシリケートガラスが、耐衝撃性や耐振動性に優れる点で好ましい。また、原料ガラスの溶融方法としては、特に限定されず、通常は上記ガラス素材を公知の温度、時間にて高温で溶融する方法を採用することができる。
前記成形工程は、溶融ガラスを円盤状のガラス素板に形成することができれば、特に限定されない。具体的には、溶融ガラスをプレス成形により、円盤状のガラス素板を形成するプレス工程等が挙げられる。また、前記成形工程は、プレス工程に限らず、例えば、ダウンドロー法やフロート法等で形成したシートガラスを研削砥石で切り出して、円盤状のガラス素板を作製する工程であってもよい。なお、フロート法とは、例えば、ガラス素材を溶融させた溶融液を、溶融したスズの上に流し、そのまま固化させる方法である。得られたガラス素板は、一方の面がガラスの自由表面であり、他方の面が、ガラスとスズとの界面であるため、平滑性の高い、例えば、算術平均粗さRaが0.001μm以下の鏡面を備えたものとなる。また、ガラス素板の厚みとしては、例えば、0.95mmのものが挙げられる。なお、ガラス素板やガラス基板の表面粗さ、例えばRaやRmaxは、一般的な表面粗さ測定機を用いて測定することができる。
また、前記コアリング加工工程は、前記成形工程で形成された円盤状のガラス素板の中心部に貫通孔30aを形成するコアリング加工を施す工程である。そうすることによって、図5に示すような、中心部に貫通孔30aが形成された円盤状のガラス素板30が得られる。コアリング加工は、ガラス素板の中心部に貫通孔を形成する穴あけ加工であれば、特に限定されない。例えば、カッター部にダイヤモンド砥石等を備えたコアドリルや、円筒状のダイヤモンドドリル等で研削することで、ガラス素板の中心部に貫通孔を形成させる方法等が挙げられる。そうすることで、ガラス素板の中心部に貫通孔を形成され、平面視で円環状のガラス素板が得られる。
前記円盤加工工程によって、例えば、外径r1が2.5インチ(約64mm)、1.8インチ(約46mm)、1インチ(約25mm)、0.8インチ(約20mm)、3.5インチ(約89mm)等で、厚みが2mm、1mm、0.63mm等の円盤状のガラス素板が得られる。また、外径r1が2.5インチ(約64mm)のときは、例えば、内径r2が0.8インチ(約20mm)等に加工される。また、円盤状のガラス素板の厚みは、本実施形態に係る製造方法により得られるガラス基板の基板厚みが0.3〜2.2mmとなる厚みであることが好ましい。このような厚みであれば、落下衝撃による割れの発生を抑制することができる。なお、基板厚みは、基板上の点対称となる任意の数箇所で測定した厚みの平均値である。
前記熱処理工程(アニール工程)は、前記ガラス素板の形状を整えるための工程である。具体的には、ガラス基板熱処理用セッタに、ガラス素板を載置した状態で、加熱炉に収納し、前記ガラス素板を熱処理する工程等が挙げられる。
前記研削工程(ラッピング工程)は、前記ガラス素板を所定の板厚に加工する工程である。具体的には、例えば、ガラス素板の両面を研削(ラッピング)加工する工程等が挙げられる。そうすることによって、ガラス素板の平行度、平坦度及び厚みを調整する。また、このラッピング工程は、1回であってもよいし、2回以上であってもよい。例えば、2回行う場合、1回目のラッピング工程(第1ラッピング工程)で、ガラス素板の平行度、平坦度及び厚みを予備調整し、2回目のラッピング工程(第2ラッピング工程)で、ガラス素板の平行度、平坦度及び厚みを微調整する。また、研削工程を2回行う場合、第1ラッピング工程と第2ラッピング工程とを連続で行ってもよいが、これらの工程の間に、後述する、内外研削工程、及び端面研磨工程を行ってもよい。
また、研削工程で用いる研削装置は、情報記録媒体用ガラス基板の製造方法における研削工程で用いる研削装置として用いることができるものであれば、特に限定されない。具体的には、前記研磨工程で用いる研磨装置と同様のものであって、研磨パッドの代わりに、固定砥粒としてダイヤモンドを使用した樹脂シート(研削シート)を用いたものが挙げられる。また、前記第1ラッピング工程としては、ガラス素板の表面全体が略均一の表面粗さとなるようにした工程等が挙げられる。
また、前記第2ラッピング工程としては、大きなうねり、欠け、ひび等の欠陥を除去したガラス素板が得られるようにした工程等が挙げられる。
前記内外研削工程は、ガラス素板の外周端面及び内周端面を研削する工程である。具体的には、鼓状のダイヤモンド砥石等の研削砥石により、ガラス素板の外周端面および内周端面を研削する工程等が挙げられる。
前記端面研磨工程は、ガラス素板の外周端面及び内周端面を研磨する工程である。具体的には、前記内外研削工程を施したガラス素板を複数枚、例えば、100枚程度積み重ねて積層し、その状態で外周端面及び内周端面の研磨加工を、ダイヤモンド砥石等を備えた端面研磨機を用いて研磨する工程等が挙げられる。また、外周端面は、さらに、ブラシ研磨による鏡面研磨を行ってもよい。その際、研磨砥粒としては、例えば、一般的な酸化セリウム砥粒を含むスラリーを用いる。
前記化学強化工程は、特に限定されず、具体的には、ガラス素板を化学強化液(強化処理液)に浸漬して、ガラス素板に化学強化層を形成する工程等が挙げられる。このような工程を施すことによって、ガラス素板の表面、例えば、ガラス素板表面から5μmの領域に化学強化層を形成することができる。そして、化学強化層を形成することで耐衝撃性、耐振動性及び耐熱性等を向上させることができる。
より詳しくは、化学強化工程は、加熱された化学強化処理液にガラス素板を浸漬させることによって、ガラス素板に含まれるリチウムイオンやナトリウムイオン等のアルカリ金属イオンをそれよりイオン半径の大きなカリウムイオン等のアルカリ金属イオンに置換するイオン交換法によって行われる。イオン半径の違いによって生じる歪みにより、イオン交換された領域に圧縮応力が発生し、ガラス素板の表面が強化される。すなわち、この化学強化工程により、ガラス素板に強化層が好適に形成されると考えられる。
化学強化処理液としては、磁気情報記録媒体用ガラス基板の製造方法における化学強化工程で用いられる化学強化処理液であれば、特に限定されない。具体的には、例えば、カリウムイオンを含む溶融液、及びカリウムイオンやナトリウムイオンを含む溶融液等が挙げられる。
これらの溶融液としては、例えば、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、炭酸カリウム、及び炭酸ナトリウム等を溶融させて得られた溶融液等が挙げられる。この中でも、硝酸カリウムを溶融させて得られた溶融液と硝酸ナトリウムを溶融させて得られた溶融液とを組み合わせて用いることが、融点が低く、ガラス素板の変形を防止する観点から好ましい。その際、硝酸カリウムを溶融させて得られた溶融液と硝酸ナトリウムを溶融させて得られた溶融液とを、ほぼ同量ずつの混合させた混合液であることが好ましい。
また、化学強化工程の具体例には、例えば、硝酸カリウム70質量%と硝酸ナトリウム30質量%とを混合し、300℃に加熱した混合溶融液に、ガラス素板を30分浸漬させる工程等が挙げられる。
前記洗浄工程は、ガラス素板を洗浄する工程である。洗浄工程は、各工程の後に適宜行うことが好ましい。また、前記洗浄工程のうち、前記研磨工程により研磨されたガラス基板を洗浄する最終洗浄工程としては、例えば、スクラブ洗浄が挙げられる。スクラブ洗浄とは、湿式の物理洗浄方法であり、ガラス基板の表面に洗浄液を供給しながら、スクラブ部材をガラス基板に押圧した状態で、スクラブ部材とガラス基板とを相対的に移動させる方法である。そうすることで、ガラス基板の表面上の汚れをこすり取ることができる。また、このスクラブ洗浄を行う装置(スクラブ洗浄装置)としては、情報記録媒体用ガラス基板をスクラブ洗浄できる装置であれば、特に限定されない。具体的には、スクラブ部材が円筒形のロールスクラブであるロールスクラブ洗浄装置や、スクラブ部材がカップ型のカップスクラブ洗浄装置等が挙げられる。
また、この最終洗浄工程等の洗浄工程を施す前のガラス素板やガラス基板は、表面への異物が付着されることを防止するために、ガラス素板やガラス基板を液体と接触させておくことが好ましい。
また、最終洗浄工程としては、スクラブ洗浄をした後、超音波による洗浄を行うことが好ましい。
また、最終洗浄後は、ガラス基板を乾燥させる。その乾燥方法としては、例えば、IPA蒸気による乾燥、スピン乾燥、及び温水乾燥等が挙げられる。
本実施形態に係る情報記録媒体用ガラス基板の製造方法は、例えば、この最終洗浄後のガラス基板に対して、前記検査工程を行う。
次に、本実施形態に係る情報記録媒体用ガラス基板の製造方法により製造された情報記録媒体用ガラス基板を用いた磁気記録媒体について説明する。
図7は、本実施形態に係る情報記録媒体用ガラス基板の製造方法により製造された情報記録媒体用ガラス基板を用いた磁気記録媒体の一例である磁気ディスクを示す一部断面斜視図である。この磁気ディスクDは、円形の情報記録媒体用ガラス基板101の主表面に形成された磁性膜102を備えている。磁性膜102の形成には、公知の常套手段による形成方法が用いられる。例えば、磁性粒子を分散させた熱硬化性樹脂を情報記録媒体用ガラス基板101上にスピンコートすることによって磁性膜102を形成する形成方法(スピンコート法)や、情報記録媒体用ガラス基板101上にスパッタリングによって磁性膜102を形成する形成方法(スパッタリング法)や、情報記録媒体用ガラス基板101上に無電解めっきによって磁性膜102を形成する形成方法(無電解めっき法)等が挙げられる。磁性膜102の膜厚は、スピンコート法による場合では、約0.3〜1.2μm程度であり、スパッタリング法による場合では、約0.04〜0.08μm程度であり、無電解めっき法による場合では、約0.05〜0.1μm程度である。薄膜化および高密度化の観点から、スパッタリング法による膜形成が好ましく、また、無電解めっき法による膜形成が好ましい。
磁性膜102に用いる磁性材料は、公知の任意の材料を用いることができ、特に限定されない。磁性材料は、例えば、高い保持力を得るために結晶異方性の高いCoを基本とし、残留磁束密度を調整する目的でNiやCrを加えたCo系合金等が好ましい。より具体的には、Coを主成分とするCoPt、CoCr、CoNi、CoNiCr、CoCrTa、CoPtCr、CoNiPt、CoNiCrPt、CoNiCrTa、CoCrPtTa、CoCrPtB、CoCrPtSiO等が挙げられる。磁性膜102は、ノイズの低減を図るために、非磁性膜(例えば、Cr、CrMo、CrV等)で分割された多層構成(例えば、CoPtCr/CrMo/CoPtCr、CoCrPtTa/CrMo/CoCrPtTa等)であってもよい。磁性膜102に用いる磁性材料は、上記磁性材料の他、フェライト系や鉄−希土類系であってもよく、また、SiO、BN等からなる非磁性膜中にFe、Co、FeCo、CoNiPt等の磁性粒子を分散した構造のグラニュラー等であってもよい。また、磁性膜102への記録には、内面型および垂直型のいずれかの記録形式が用いられてよい。
また、磁気ヘッドの滑りをよくするために、磁性膜102の表面には、潤滑剤が薄くコーティングされてもよい。潤滑剤として、例えば液体潤滑剤であるパーフロロポリエーテル(PFPE)をフレオン系などの溶媒で希釈したものが挙げられる。
さらに必要により磁性膜102に対し下地層や保護層が設けられてもよい。磁気ディスクDにおける下地層は、磁性膜102に応じて適宜に選択される。下地層の材料として、例えば、Cr、Mo、Ta、Ti、W、V、B、Al、Ni等の非磁性金属から選ばれる少なくとも一種以上の材料が挙げられる。例えば、Coを主成分とする磁性膜102の場合には、下地層の材料は、磁気特性向上等の観点からCr単体やCr合金であることが好ましい。また、下地層は、単層とは限らず、同一または異種の層を積層した複数層構造であってもよい。このような複数層構造の下地層は、例えば、Cr/Cr、Cr/CrMo、Cr/CrV、NiAl/Cr、NiAl/CrMo、NiAl/CrV等の多層下地層が挙げられる。磁性膜102の摩耗や腐食を防止する保護層として、例えば、Cr層、Cr合金層、カーボン層、水素化カーボン層、ジルコニア層、シリカ層等が挙げられる。これら保護層は、下地層および磁性膜102と共にインライン型スパッタ装置で連続して形成することができる。また、これら保護層は、単層としてもよく、あるいは、同一または異種の層からなる複数層構成であってもよい。なお、上記保護層上に、あるいは、上記保護層に代えて、他の保護層が形成されてもよい。例えば、上記保護層に代えて、Cr層の上にSiO層が形成されてもよい。このようなSiO層は、Cr層の上にテトラアルコキシシランをアルコール系の溶媒で希釈した中に、コロイダルシリカ微粒子を分散して塗布し、さらに焼成することによって形成される。
このような本実施形態における情報記録媒体用ガラス基板101を基体とした磁気記録媒体は、情報記録媒体用ガラス基板101が上述した組成により形成されるので、情報の記録再生を長期に亘り高い信頼性で行うことができる。
なお、上述では、本実施形態における情報記録媒体用ガラス基板101を磁気記録媒体(磁気ディスク)に用いた場合について説明したが、これに限定されるものではなく、本実施形態における情報記録媒体用ガラス基板101は、光磁気ディスクや光ディスク等にも用いることが可能である。
本明細書は、上述したように、様々な態様の技術を開示しているが、そのうち主な技術を以下に纏める。
本発明の一局面は、所定の波長幅を有する検査光を、ガラス基板に照射することにより、測定される光学値に基づいて、前記ガラス基板の合否を判定する検査工程を備えることを特徴とする情報記録媒体用ガラス基板の製造方法である。
このような構成によれば、所定の波長幅を有する検査光を、ガラス基板に照射することにより、測定される光学値は、単一波長の光を用いて検査した場合では検知されず、AFMによる検査であれば検知することができた欠陥の有無で異なる値が得られる。この光学値に基づいて、ガラス基板の合否を判定するので、AFMによる検査のような長時間かかる検査以外の方法で、単一波長の光を用いた検査の場合では検知されない欠陥の有無で合否を判定することができる。よって、従来の検査方法であれば、ガラス基板の状態での評価では、良品と判断されているにもかかわらず、そのガラス基板表面に記録層を形成させて情報記録媒体にした際に問題が発生するようなガラス基板を、情報記録媒体にする前のガラス基板の状態で不良と判断することができる。また、AFMによる検査と異なり、検査光を照射して行う検査であるので、ガラス基板の広い範囲を検査対象とすることができ、例えば、全面検査等も可能である。このような検査工程で、ガラス基板の合否を判定するので、情報記録媒体にした際における問題の発生が抑制された情報記録媒体用ガラス基板が得られる。
以上のことから、情報記録媒体にした際における問題の発生を充分に抑制できる情報記録媒体用ガラス基板の製造方法を提供することができる。
また、前記情報記録媒体用ガラス基板の製造方法において、前記検査工程が、原子間力顕微鏡による観察で欠陥が確認されないガラス基板を対照用ガラス基板として予め準備する工程と、前記対照用ガラス基板に、前記検査光を照射することにより測定される光学値を対照値として取得する工程と、検査対象物であるガラス基板に、前記検査光を照射することにより測定される光学値を取得する工程と、前記光学値と前記対照値との差分に基づいて、前記ガラス基板の合否を判定する工程とを備えることが好ましい。
このような構成によれば、前記検査工程が、原子間力顕微鏡(AFM)による観察で欠陥が確認されないガラス基板、すなわち、AFMによる検査で合格と判断されたガラス基板を用いて得られた光学値と、検査対象であるガラス基板を用いて得られた光学値との差で評価するので、AFMによる検査のような長時間かかる検査以外の方法で、より精度の高い検査ができる。このことから、情報記録媒体にした際における問題の発生がより抑制された情報記録媒体用ガラス基板が得られる。
また、前記情報記録媒体用ガラス基板の製造方法において、前記検査工程が、前記ガラス基板に前記検査光を照射したときの反射率を、前記光学値として用いて、前記ガラス基板を検査する反射検査工程と、前記ガラス基板に前記検査光を照射したときの透過率を、前記光学値として用いて、前記ガラス基板を検査する透過検査工程との少なくとも一方を備えることが好ましい。
このような構成によれば、検査光を照射したときの反射率や透過率を検知することで、検査することができるので、簡便に検査することができる。よって、情報記録媒体にした際における問題の発生がより抑制された情報記録媒体用ガラス基板を効率良く得られる。また、反射検査工程及び透過検査工程の両方を行うと、AFMによる検査のような長時間かかる検査以外の方法で、より精度の高い検査ができる。
また、前記情報記録媒体用ガラス基板の製造方法において、前記反射検査工程における前記検査光が、波長380〜500nmの光を含むことが好ましい。
このような構成によれば、この波長380〜500nmの光を検査光として用い反射検査工程を行うことによって、得られた光学値として、単一波長の光を用いて検査した場合では検知されず、AFMによる検査であれば検知することができた欠陥の有無で異なる値が充分に得られる。すなわち、この波長範囲を有する検査光であれば、検査光がガラス基板を透過しない範囲で、AFMによる検査であれば検知することができた欠陥、例えば、凹凸構造の異なる箇所を好適に検出することができる。よって、情報記録媒体にした際における問題の発生がより抑制された情報記録媒体用ガラス基板を効率良く得られる。
また、前記情報記録媒体用ガラス基板の製造方法において、前記反射検査工程における、前記検査光の前記ガラス基板への入射角が、30〜60°であることが好ましい。
このような構成によれば、反射検査工程における反射率を好適に得ることができる。
また、前記情報記録媒体用ガラス基板の製造方法において、前記透過率が、全光線透過率であることが好ましい。
このような構成によれば、前記検査工程で、判定の基準として用いる透過率として、全光線透過率を用いることによって、得られた光学値として、単一波長の光を用いて検査した場合では検知されず、AFMによる検査であれば検知することができた欠陥の有無で異なる値を好適に得ることができ、より精度の高い検査ができる。このことから、情報記録媒体にした際における問題の発生がより抑制された情報記録媒体用ガラス基板が得られる。
また、前記情報記録媒体用ガラス基板の製造方法において、前記検査光の、前記ガラス基板に照射されたときのスポット径R(mm)が、下記式(1)の関係を満たすことが好ましい。
(r1−r2)/2−2 ≦ R ≦ (r1−r2)/2−0.2 (1)
(上記式(1)中、r1が、前記ガラス基板の外径(mm)を示し、r2が、前記ガラス基板の内径(mm)を示す。)
このような構成によれば、前記検査光のスポット径が、ガラス基板の円周方向の幅より少し小さいものとなり、ガラス基板をはみださない範囲で比較的広い範囲に検査光を照射して、一度に検査することができるので、AFMによる検査と異なり、ガラス基板の広い範囲を検査対象とすることができる。また、AFMによる検査より非常に少ない回数、例えば、8回程度で、ガラス基板のほぼ全面を検査することができる。このような検査工程で、ガラス基板の合否を判定するので、情報記録媒体にした際における問題の発生がより抑制された情報記録媒体用ガラス基板が得られる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
まず、原料ガラスを溶融させ、公知の方法より、得られた溶融ガラスをプレス成形して円盤状のガラス素板(ブランクス)を得た。得られたガラス素板に対して、公知の方法により、熱処理工程、粗研磨工程、化学強化工程、精密研磨工程、洗浄工程を施し、ガラス基板を複数枚製造した。
[実施例1]
製造した複数枚のガラス基板全てに対して、単一波長のレーザ光を用いた表面検査装置(システム精工株式会社製のSSI−640)を用いて、異物欠陥や凹み等の欠陥の個数を測定した。そして、検出された、異物欠陥や凹み等の欠陥の個数により、合否判定を行った。具体的には、まず、製造した複数枚のガラス基板を待機させ、順次、取り出し、取り出したガラス基板に、He−Neレーザ光(波長633nm)を照射した。その照射した光の反射光及び散乱光の信号強度を処理することにより、ガラス基板の合否判定をして、合格品と不合格品とに分別した。合否判定の基準は、従来のガラス基板の製造方法における検査工程と同程度である。
上記のようなSSIによる全数検査を合格したガラス基板に対して、分光光度計による反射率評価を行った。すなわち、検査工程として、前記反射検査工程を行った。
まず、AFMによる検査で、欠陥が確認できないガラス基板を、参照用ガラス基板として、予め用意した。具体的には、ガラス基板の両面全面をAFM観察することにより、ガラス基板の表面粗さRaを測定し、そのRaが規格内であるガラス基板を予め用意した。
次に、この参照用ガラス基板に対して、ランプ光を、波長380〜780nmの各波長毎に分光し、その光を、ガラス基板への入射角が45°となるように照射した際の、それぞれの波長における反射率を測定した。
そして、製造した複数枚のガラス基板を待機させ、順次、取り出し、その取り出したガラス基板にも、参照用ガラス基板に対する場合と同様の方法で波長毎の反射率を測定した。
その後、測定対象であるガラス基板を用いて得られた反射率と参照用ガラス基板を用いて得られた反射率との差分を算出した。そして、この差分の絶対値の最大値が、0.2%以内であれば、合格品と判定し、0.2%を超えるようであれば、不合格品と判定した。
なお、合格品及び不合格品を測定した際の、波長と反射率との関係は、例えば、図8及び図9に示すようなものとなる。合格品の場合、図8に示すように、測定対象であるガラス基板を用いて得られた反射率と参照用ガラス基板を用いて得られた反射率との差分の絶対値が、いずれの波長においても、0.2%以下であることがわかる。また、不合格品の場合、図9に示すように、測定対象であるガラス基板を用いて得られた反射率と参照用ガラス基板を用いて得られた反射率との差分の絶対値が、例えば、波長390nm等において、0.2%を超えることがわかる。なお、図8は、本実施形態に係る情報記録媒体用ガラス基板の製造方法における反射検査工程での合格品を測定した際の、波長と反射率との関係の一例を示すグラフである。また、図9は、本実施形態に係る情報記録媒体用ガラス基板の製造方法における反射検査工程での不合格品を測定した際の、波長と反射率との関係の一例を示すグラフである。図8及び図9において、横軸は、検査光の波長(nm)を示す。縦軸は、測定対象であるガラス基板を用いて得られた反射率と参照用ガラス基板を用いて得られた反射率との差分(%)を示す。
このような反射検査工程を施して、合格となったガラス基板は、その後、情報記録媒体にした際に、不合格品となった確率は、0.003%であった。具体的には、100000枚(1000バッチ)のガラス基板の中で、3枚の異常が発見された。
[実施例2]
まず、製造した複数枚のガラス基板全てに対して、実施例1における、SSIによる検査を行った。そして、このSSIによる全数検査を合格したガラス基板に対して、全光線透過率による評価を行った。すなわち、検査工程として、前記透過検査工程を行った。
まず、AFMによる検査で、欠陥が確認できないガラス基板を、参照用ガラス基板として、予め用意した。具体的には、ガラス基板の両面全面をAFM観察することにより、ガラス基板の表面粗さRaを測定し、そのRaが規格内であるガラス基板を予め用意した。
次に、この参照用ガラス基板に対して、LED白色光を照射した際の透過率を測定した。そして、製造した複数枚のガラス基板を待機させ、順次、取り出し、その取り出したガラス基板にも、参照用ガラス基板に対する場合と同様の方法で透過率を測定した。
その後、測定対象であるガラス基板を用いて得られた透過率と参照用ガラス基板を用いて得られた透過率との差分を算出した。そして、この差分が、0.4%以内であれば、合格品と判定し、0.4%を超えるようであれば、不合格品と判定した。
なお、合格品及び不合格品を測定した際の全光線透過率は、例えば、図10に示すようなものとなる。図10に示すように、合格品の場合、測定対象であるガラス基板を用いて得られた反射率と参照用ガラス基板を用いて得られた反射率との差分が、0.4%以下であることがわかる。また、不合格品の場合、この差分が、0.4%を超えていることがわかる。なお、図10は、実施形態に係る情報記録媒体用ガラス基板の製造方法における透過検査工程での、合格品、不合格品、及び対照用ガラス基板の各全光線透過率の一例を示すグラフである。横軸は、合格品、不合格品、及び対照用ガラス基板を示し、縦軸は、それぞれのガラス基板を用いて得られた全光線透過率(%)を示す。
このような反射検査工程を施して、合格となったガラス基板は、その後、情報記録媒体にした際に、不合格品となった確率は、0.001%であった。具体的には、100000枚(1000バッチ)のガラス基板の中で、1枚の異常が発見された。
[実施例3]
まず、製造した複数枚のガラス基板全てに対して、実施例1における、SSIによる検査を行った。そして、このSSIによる全数検査を合格したガラス基板に対して、実施例1における反射検査工程を施した。さらに、実施例1における反射検査工程で合格と判定されたガラス基板に対して、実施例2における透過検査工程を施した。
このように、反射検査工程と透過検査工程とを施して、両方合格となったガラス基板は、その後、情報記録媒体にした際に、不合格品となった確率は、0%であった。具体的には、100000枚(1000バッチ)のガラス基板の中で、異常が発見されなかった。
[比較例]
製造した複数枚のガラス基板全てに対して、実施例1における、SSIによる検査を行った。
このような、単一波長のレーザ光を用いた表面検査装置を用いた検査を施して、合格となったガラス基板は、その後、情報記録媒体にした際に、不合格品となった確率は、0.01%であった。具体的には、100000枚(1000バッチ)のガラス基板の中で、10枚の異常が発見された。
[考察]
以上のことから、本実施形態に係る検査工程、具体的には、反射検査工程や透過検査工程を施して、その検査で合格となった場合(実施例1〜3)は、情報記録媒体にした際に不合格となる確率が、従来の検査で合格となった場合(比較例)より、充分に低いことがわかった。このことから、本実施形態に係るガラス基板の製造方法は、前記検査工程を備えているので、情報記録媒体にした際における問題の発生を充分に抑制できる。
また、反射検査工程で不合格となったガラス基板を詳細に検討すると、異常を示した箇所をAFMで観察すると、Raが5Åであった。これは、参照用ガラス基板では、Raが2Åであるのに対して、Raが高く、このことが原因であると考えられる。また、異常を示した箇所は、凹凸周期が約400nmであった。
また、図9に示すように、検査光の波長が短い領域、例えば、380〜500nmの領域等で、測定対象であるガラス基板を用いて得られた反射率と参照用ガラス基板を用いて得られた反射率との差分が大きくなることがわかった。そして、検査光の波長が短すぎる領域、例えば、380nmより短い領域等では、前記差分が急激に小さくなることがわかった。このことから、反射検査工程で用いる検査光の波長範囲が、380〜500nmであることが好ましいことがわかった。また、このような波長範囲であれば、上記のように凹凸周期が約400nmと周期が短い欠陥を好適に検査できることがわかった。
また、透過検査工程で不合格となったガラス基板を詳細に検討すると、異常を示した箇所をAFMで観察すると、Raが6Åであった。これは、参照用ガラス基板では、Raが2Åであるのに対して、Raが高く、このことが原因であると考えられる。また、異常を示した箇所は、凹凸周期が約200nmであった。このような周期の狭い凹凸が形成されているので、無反射構造のような働きを発揮し、透過率が上昇したものと考えられる。このような箇所では、無反射構造のように働くので、反射検査工程では検出しにくく、これをも検出できるので、透過検査工程を施したほうが、情報記録媒体にした際に不合格となる確率が低くなったと考えられる。
また、凹凸周期が比較的大きい場合には、透過率があまり上昇せず、透過検査工程で不合格とならない場合があると考えられる。このため、反射検査工程及び透過検査工程の両方を施したほうが、情報記録媒体にした際に不合格となる確率がより低くなったと考えられる。
本発明によれば、情報記録媒体にした際における問題の発生を充分に抑制できる情報記録媒体用ガラス基板の製造方法が提供される。
1、6 光学照射装置
2、7 光学検出装置
3、8 検査光
4 反射光
5 回転ローラ
9 透過光
10 ガラス基板
11 研磨装置
11a 装置本体部
11b 研磨液供給部
12 上定盤
13 下定盤
14 キャリア
15 研磨パッド
16 研磨液
21、22 検査範囲
30 ガラス素板
30a 貫通孔
51 素板保持用孔
101 情報記録媒体用ガラス基板
102 磁性膜
110 液貯留部
110a 液貯留部本体
110b 液供給管
110e 吐出口
120 液回収部
120a 液回収部本体
120b 液回収管
120c 液戻し管

Claims (7)

  1. 所定の波長幅を有する検査光を、ガラス基板に照射することにより、測定される光学値に基づいて、前記ガラス基板の合否を判定する検査工程を備えることを特徴とする情報記録媒体用ガラス基板の製造方法。
  2. 前記検査工程が、
    原子間力顕微鏡による観察で欠陥が確認されないガラス基板を対照用ガラス基板として予め準備する工程と、
    前記対照用ガラス基板に、前記検査光を照射することにより測定される光学値を対照値として取得する工程と、
    検査対象物であるガラス基板に、前記検査光を照射することにより測定される光学値を取得する工程と、
    前記光学値と前記対照値との差分に基づいて、前記ガラス基板の合否を判定する工程とを備える請求項1に記載の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法。
  3. 前記検査工程が、前記ガラス基板に前記検査光を照射したときの反射率を、前記光学値として用いて、前記ガラス基板を検査する反射検査工程と、前記ガラス基板に前記検査光を照射したときの透過率を、前記光学値として用いて、前記ガラス基板を検査する透過検査工程との少なくとも一方を備える請求項1又は請求項2に記載の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法。
  4. 前記反射検査工程における前記検査光が、波長380〜500nmの光を含む請求項3に記載の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法。
  5. 前記反射検査工程における、前記検査光の前記ガラス基板への入射角が、30〜60°である請求項3又は請求項4に記載の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法。
  6. 前記透過率が、全光線透過率である請求項3に記載の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法。
  7. 前記検査光の、前記ガラス基板に照射されたときのスポット径R(mm)が、下記式(1)の関係を満たす請求項1〜6のいずれか1項に記載の情報記録媒体用ガラス基板の製造方法。
    (r1−r2)/2−2 ≦ R ≦ (r1−r2)/2−0.2 (1)
    (上記式(1)中、r1が、前記ガラス基板の外径(mm)を示し、r2が、前記ガラス基板の内径(mm)を示す。)
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