JPWO2014049939A1 - 転舵制御装置 - Google Patents

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Abstract

ピニオン角指令値補正部(33)が、転舵指令角(θpcmd)と該転舵指令角(θpcmd)に基づいて発生する転舵角との乖離を低減させるための補正角(θcal)を設定するとともに設定した補正角(θcal)に基づいて転舵指令角(θpcmd)を補正して補正後指令角(θpcmdco)とする低速補正処理および中速補正処理を行う。そして、ピニオン角指令値補正部(33)が、補正した補正後指令角(θpcmdco)およびピニオン絶対角算出部(42)が算出したピニオン絶対角(θp)に基づいて前輪(3FL、3FR)を転舵する。その際、ピニオン角指令値補正部(33)が、低速補正処理および中速補正処理は、操舵中であると判定した場合には、操舵中でないと判定した場合と比較して、単位時間当たりの補正角(θcal)の変化量(補正角速度(Δθcal))を大きくする。

Description

本発明は、ステアリングホイールと操向輪とが機械的に分離され、ステアリングホイールの操舵状態に基づいて操向輪を転舵する転舵制御装置に関する。
従来、この種の技術としては、例えば、特許文献1に記載の従来技術がある。
この従来技術では、ステアリングホイールの操舵角に基づいて転舵指令角を算出する。続いて、この従来技術では、操向輪の転舵角を推定する。そして、この従来技術では、算出した転舵指令角と、推定した転舵角とに基づいて操向輪を転舵するようになっている。
特開2011−5933号公報
しかしながら、上記従来技術では、算出した転舵指令角と、推定した転舵角とに基づいて操向輪を転舵するようになっていた。それゆえ、上記従来技術では、推定した転舵角の誤差が大きい場合には、操向輪を適切に転舵することが困難となる可能性があった。そのため、上記従来技術では、転舵指令角から実際の転舵角が乖離する可能性があった。
本発明は、上記のような点に着目し、転舵指令角と実際の転舵角との乖離をより適切に低減可能とすることを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の一実施形態では、ステアリングホイールの操舵角の絶対角に基づいて転舵指令角を算出する。続いて、本発明の一実施形態では、転舵指令角と該転舵指令角に基づいて発生する転舵角との乖離を低減させるための補正角を設定するとともに設定した補正角に基づいて転舵指令角を補正して補正後指令角とする転舵指令角補正を行う。また、本発明の一実施形態では、操向輪の転舵に応じて変化する変化量に基づいて操向輪の操舵角を推定する。そして、本発明の一実施形態では、補正した補正後指令角および推定した転舵角に基づいて操向輪を転舵する。その際、本発明の一実施形態では、転舵指令角補正は、操舵中であると判定した場合には、操舵中でないと判定した場合と比較して、単位時間当たりの補正角の変化量を大きくする。
本発明の一態様では、例えば、運転者が操舵中でなく、補正による転舵指令角の変化、つまり、転舵角の変化に運転者が気づき易い場合には、運転者が操舵中である場合と比較して、単位時間当たりの補正角の変化量を低減する。それゆえ、補正による転舵指令角の変化が運転者に気づかれることを防止できる。また、例えば、運転者が操舵中であり、補正による転舵指令角の変化、つまり、転舵角の変化に運転者が気づき難い場合には、操舵中でない場合と比較して、単位時間当たりの補正角の変化量を増大する。それゆえ、転舵指令角と実際の転舵角との乖離をより高速に低減できる。これにより、本発明の一態様では、転舵角の指令値である転舵指令角と実際の転舵角との乖離をより適切に低減できる。
車両用操舵装置2を適用した車両1の全体構成図である。 極対数が3のレゾルバの電気角と機械角との関係を表すグラフである。 車両用操舵装置2の制御ブロック図である。 ピニオン角指令値補正部33の制御ブロック図である。 ざっくり補正部33cの制御ブロック図である。 高精度補正部33dの制御ブロック図である。 反力コントローラ30の制御ブロック図である。 補正処理実施済フラグ設定処理を表すフローチャートである。 補正処理実行判定処理を表すフローチャートである。 低速補正処理を表すフローチャートである。 操舵角速度の絶対値と補正角速度の絶対値との関係を示す図である。 中速補正処理を表すフローチャートである。 高速補正処理を表すフローチャートである。 低速中立補正角、中速中立補正角と配分比率(1−GFB)との関係を示す図である。 低速中立補正角、中速中立補正角と配分比率(1−GFB)との関係を示す図である。
次に、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
本実施形態は、本発明を、車両1の車両用操舵装置2に適用したものである。
(全体構成)
最初に、車両用操舵装置2の構成を説明する。
図1は、車両用操舵装置2を適用した車両1の全体構成図である。
図1に示すように、車両1は、前輪3FL、3FRと後輪4RL、4RRのうち、前輪3FL、3FRを転舵を行う操向輪とする。車両用操舵装置2は、ステアリングホイール5と前輪3FL、3FRとが機械的に分離され、ステアリングホイール5の操舵状態に基づいて前輪3FL、3FRを転舵する転舵制御を行うステアバイワイヤシステムである。また、車両用操舵装置2は、操舵角に対する転舵角の比である舵角比を可変に制御する。
(操舵側機構2a)
車両用操舵装置2は、操舵側機構2aと、転舵機構2bと、バックアップ機構2cと、制御機構2dと、を備える。
操舵側機構2aは、運転者が操舵を行うステアリングホイール5と、ステアリングホイール5に連結したステアリングシャフト6と、ステアリングホイール5の操舵角を検出する操舵絶対角センサ7と、を備える。操舵絶対角センサ7は、操舵角として、ステアリングホイール5の操舵角の絶対角を検出する。操舵角の絶対角としては、例えば、操舵角の中立位置からの変位角の累積値がある。操舵角は、ステアリングホイール5を右方向に回転させる方向を正方向とし、左方向に回転させる方向を負方向とする。
また、操舵側機構2aは、ステアリングホイール5の操舵トルクを検出する操舵トルクセンサ8を備える。操舵トルクは、ステアリングホイール5を右方向に回転させる方向を正方向とし、左方向に回転させる方向を負方向とする。さらに、操舵側機構2aは、ステアリングホイール5にステアリングシャフト6を介して接続され、ステアリングシャフト6を経由してステアリングホイール5に操舵反力を付与する反力モータ9を備える。また、操舵側機構2aは、反力モータ9の回転角を検出する反力モータ回転角センサ10を備える。反力モータ回転角センサ10としては、例えば、反力モータ9の回転角に応じて周期的に変化するアナログ信号を出力するレゾルバがある。
(転舵機構2b)
転舵機構2bは、前輪3FL、3FRを転舵駆動する転舵モータ11と、転舵モータ11の回転角(相対角(後述))を検出する転舵モータ角センサ12と、を備える。転舵モータ角センサ12としては、例えば、反力モータ回転角センサ10と同様に、転舵モータ11の回転角に応じて周期的に変化するアナログ信号を出力する、つまり、前輪3FL、3FRの転舵に応じて変化する変化量を出力するレゾルバがある。
また、転舵機構2bは、転舵モータ11のモータシャフト13の端部に接続したピニオン14と、ピニオン14と噛合するラックギヤ15を備えるステアリングラック16と、を備える。さらに、転舵機構2bは、ステアリングラック16に入力された軸方向の力を前輪3FL、3FRに転舵力として伝達するタイロッド17を備える。また、転舵機構2bは、ステアリングラック16に入力された軸方向の力を路面から前輪3FL、3FRに作用する転舵反力として検出する転舵反力センサ18を備える。
(レゾルバ)
ここで、転舵モータ角センサ12に用いるレゾルバについて説明する。
図2は、極対数が3のレゾルバの電気角と機械角との関係を表すグラフである。
図2に示すように、極対数が3のレゾルバは、電気角360degの範囲で機械角120degの範囲を検出することが可能となっている。ここで、図2では、機械角0degのときに電気角0degを対応させているため、電気角0deg、180deg、360degは、レゾルバの検出値(アナログ信号)としてはそれぞれ0deg、60deg、120degを示す。
また、極対数が3のレゾルバは、機械角120degの範囲を検出可能であるため、例えば、機械角が−720deg〜720degの範囲は、極対数が3のレゾルバでは12周期分となる。すなわち、極対数が3のレゾルバは、機械角−720degから−600degが1周期、−600degから−480degが2周期、−480degから−360degが3周期、−360degから−240degが4周期、−240degから−120degが5周期、−120degから0degが6周期となる。また、機械角0degから120degが7周期、120degから240degが8周期、240degから360degが9周期、360degから480degが10周期、480degから600degが11周期、600degから720degが12周期となる。このため、例えば、レゾルバの検出値(アナログ信号)が60degのときは、機械角は−660deg、−540deg、−420deg、−300deg、−180deg、−60deg、60deg、180deg、300deg、420deg、540deg、660degのいずれかであることが分かるだけである。すなわち、極対数が3のレゾルバは、機械角120degの範囲で検出可能であるが、センサ値が−660deg、−540deg、−420deg、−300deg、−180deg、−60deg、60deg、180deg、300deg、420deg、540deg、660degのいずれの角度であるかは検出できない。以下では、レゾルバの検出値(アナログ信号)が表す0deg〜120degの範囲内の機械角を相対角と呼ぶ。
(バックアップ機構2c)
図1に戻り、バックアップ機構2cは、ステアリングホイール5と前輪3FL、3FRとを機械的に締結・分離可能なクラッチ19と、クラッチ19を介してステアリングホイール5の操舵トルクを伝達するピニオンシャフト20と、を備える。また、バックアップ機構2cは、ピニオンシャフト20の端部に接続するとともに、ステアリングラック16のラックギヤ15と噛合されるピニオン21を備える。
(制御機構2d)
制御機構2dは、車両1の車速を検出する車速センサ22と、ヨーレートを検出するヨーレートセンサ23と、転舵電流を検出する転舵電流検出部24と、を備える。また、制御機構2dは、反力モータ9とクラッチ19を制御する反力コントローラ30と、転舵モータ11とクラッチ19を制御する転舵コントローラ40と、を備える。なお、反力コントローラ30と転舵コントローラ40とは、FlexRayシステムの通信回路25によって互いに通信可能に接続され、それぞれが入力した情報を共有可能な構成となっている。FlexRayシステムとしては、例えば、車載通信ネットワークのシステムがある。
反力コントローラ30は、反力モータ9の制御、クラッチ19の制御、転舵指令角(後述)の算出、ステアリングホイール5の操舵角(絶対角)の算出等を行っている。
具体的には、反力コントローラ30は、操舵絶対角センサ7が検出した操舵角(絶対角)と、反力モータ回転角センサ10が検出した反力モータ9の回転角と、転舵反力センサ18が検出した転舵反力とを取得する。また、反力コントローラ30は、車速センサ22が検出した車速と、反力モータ9が検出した反力モータモニタ値とを取得する。反力モータモニタ値としては、例えば、反力モータ9の駆動電流や温度等がある。そして、反力コントローラ30は、転舵反力センサ18が検出した転舵反力に基づいてステアリングホイール5へ付与する操舵反力(以下、操舵反力指令値とも呼ぶ)を算出する。続いて、反力コントローラ30は、算出した操舵反力指令値に基づいて反力モータ9を制御する。これにより、反力コントローラ30は、ステアリングホイール5の操舵反力を制御する。
また、反力コントローラ30は、イグニッションスイッチがオフ状態となった場合等、転舵制御を実行できなくなった場合には、ステアリングホイール5と前輪3FL、3FRとを機械的に締結させる指令(以下、締結指令とも呼ぶ)をクラッチ19に出力する。また、反力コントローラ30は、イグニッションスイッチがオン状態となった場合等、転舵制御が開始された場合には、ステアリングホイール5と前輪3FL、3FRとを機械的に分離させる指令(以下、開放指令とも呼ぶ)をクラッチ19に出力する。
さらに、反力コントローラ30は、操舵絶対角センサ7が検出した操舵角(絶対角)と、車速センサ22が検出した車速とに基づいてピニオン21へ付与する転舵角(以下、転舵指令角とも呼ぶ)を算出する。転舵指令角の算出方法としては、例えば、可変舵角比マップを参照して、車速Vに応じた舵角比を設定し、設定した舵角比と操舵角(絶対角)との乗算結果を転舵指令角とする方法がある。可変舵角比マップとしては、例えば、車速Vが0である場合に舵角比を最大値とし、車速Vが高くなるほど舵角比を低くするマップがある。続いて、反力コントローラ30は、算出した転舵指令角を補正する。続いて、反力コントローラ30は、補正した転舵指令角(以下、補正後指令角とも呼ぶ)を転舵コントローラ40に出力する。また、反力コントローラ30は、操舵絶対角センサ7が検出した操舵角(絶対角)と反力モータ回転角センサ10が検出した反力モータ9の回転角(絶対角)とに基づいてステアリングホイール5の操舵角を算出する。続いて、反力コントローラ30は、算出した操舵角(絶対角)を転舵コントローラ40に出力する。
転舵コントローラ40は、転舵モータ11の制御、クラッチ19の制御、ピニオン21の回転角の絶対角(以下、ピニオン絶対角とも呼ぶ)の算出等を行っている。
具体的には、転舵コントローラ40は、操舵トルクセンサ8が検出したステアリングホイール5の操舵トルクと、転舵モータ11が検出した転舵モータモニタ値と、転舵モータ角センサ12が検出した転舵モータ11の回転角(以下、転舵モータ角とも呼ぶ)と、転舵電流検出部24が検出した転舵電流とを取得する。また、転舵コントローラ40は、反力コントローラ30が算出した操舵角(絶対角)および転舵指令角を取得する。転舵モータモニタ値としては、例えば、転舵モータ11の駆動電流や温度等がある。続いて、転舵コントローラ40は、反力コントローラ30が算出した操舵角(絶対角)と、転舵モータ角センサ12が検出した転舵モータ角(相対角)とに基づいてピニオン絶対角を算出する。続いて、転舵コントローラ40は、算出したピニオン絶対角と反力コントローラ30が算出した転舵指令角との偏差に応じた転舵モータ駆動電流を転舵モータ11に出力する。これにより、転舵コントローラ40は、ピニオン絶対角、つまり、前輪3FL、3FRの転舵角を制御する。
また、転舵コントローラ40は、転舵モータモニタ値や、反力モータモニタ値が異常を表す値になった場合には、クラッチ19に締結指令を出力する。その際、転舵コントローラ40は、操舵トルクセンサ8が検出したステアリングホイール5の操舵トルクに基づいて、運転者の操舵トルクを補助するように転舵モータ11を駆動制御する。
(制御ブロック)
次に、車両用操舵装置2の制御ブロックを説明する。
図3は、車両用操舵装置2の制御ブロック図である。図3では、反力コントローラ30についてはステアリングホイール5の操舵角(絶対角)の算出、転舵コントローラ40については転舵モータ11の制御、ピニオン絶対角の算出について記載している。
(反力コントローラ30(操舵角(絶対角の算出)))
反力コントローラ30は、操舵絶対角算出部31と、ピニオン角指令値算出部32と、ピニオン角指令値補正部33と、記憶部34と、を備える。
操舵絶対角算出部31は、操舵角精度向上処理を実行する。操舵角精度向上処理では、操舵絶対角センサ7が検出した操舵角(絶対角)θhabsと、反力モータ回転角センサ10が検出した反力モータ9の回転角θhmotとを取得する。そして、操舵角精度向上処理では、操舵絶対角算出部31は、取得した操舵角(絶対角)θhabsと反力モータ9の回転角θhmotとに基づいて操舵角(絶対角)θhを算出する。
なお、本実施形態では、操舵絶対角センサ7が検出した操舵角(絶対角)θhabsと、反力モータ回転角センサ10が検出した反力モータ9の回転角θhmotとに基づいて操舵角(絶対角)θhを算出する例を示したが、他の構成を採用することもできる。例えば、操舵絶対角センサ7が検出した操舵角(絶対角)θhabsの精度が十分に高い場合には、操舵角(絶対角)θhabsをそのまま操舵角(絶対角)θhとする構成としてもよい。
ピニオン角指令値算出部32は、転舵指令角算出処理を実行する。転舵指令角算出処理では、ピニオン角指令値算出部32は、車速センサ22が検出した車速Vと、操舵絶対角算出部31が算出した操舵角(絶対角)θhとを取得する。そして、転舵指令角算出処理では、ピニオン角指令値算出部32は、取得した車速Vと操舵角(絶対角)θhとに基づいて転舵指令角θpcmdを算出する。
図4は、ピニオン角指令値補正部33の制御ブロック図である。また、図5は、ざっくり補正部33cの制御ブロック図である。さらに、図6は、高精度補正部33dの制御ブロック図である。
ピニオン角指令値補正部33は、A/D(Analog to Digital)変換回路、D/A(Digital to Analog)変換回路、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、およびRAM(Random Access Memory)等から構成した集積回路を備える。ROMは、各種処理を実現する1または2以上のプログラムを記憶している。CPUは、ROMが記憶している1または2以上のプログラムに従って各種処理(補正処理実施済フラグ設定処理、補正処理実行判定処理)を実行する。そして、CPUは、図4に示すように、補正処理実施済フラグ設定処理を実行する補正処理実施済フラグ設定部33aと、補正処理実行判定処理を実行する補正処理実行判定部33bと、を実現する。補正処理実行判定部33bは、ざっくり補正部33cと、高精度補正部33dと、を備える。ざっくり補正部33cは、図5に示すように、直進判定部33eと、補正角速度算出部33fと、補正角算出部33gと、を備える。また、高精度補正部33dは、図6に示すように、直進判定部33hと、補正角速度算出部33iと、補正角算出部33jと、を備える。補正処理実施済フラグ設定処理および補正処理実行判定処理の詳細な内容については後述する。
記憶部34は、転舵制御の終了時に、操舵絶対角算出部31が算出した操舵角(絶対角)θhと転舵モータ角センサ12が検出した転舵モータ角θmとを不揮発性メモリに記憶する。これにより、記憶部34は、イグニッションスイッチがオフ状態となり、偏差記憶部41への電源供給が停止しても、前回の転舵制御の終了時の操舵角(絶対角)θh(以下、θhzとも呼ぶ)および転舵モータ角θm(以下、θmzとも呼ぶ)を保持する。
(転舵コントローラ40(転舵モータ11の制御))
図3に戻り、転舵コントローラ40は、偏差記憶部41と、ピニオン絶対角算出部42と、転舵角制御部43と、電流制御ドライバ44と、バックアップモード切替部45と、を備える。
偏差記憶部41は、転舵制御の終了時に、操舵絶対角算出部31が算出した操舵角(絶対角)θhとピニオン絶対角算出部42が算出したピニオン絶対角θpとの偏差(以下、ピニオン角−操舵角偏差とも呼ぶ)θphを算出する。そして、偏差記憶部41は、算出したピニオン角−操舵角偏差θphを不揮発性メモリに記憶する。これにより、偏差記憶部41は、イグニッションスイッチがオフ状態となり、偏差記憶部41への電源供給が停止しても、前回の転舵制御の終了時のピニオン角−操舵角偏差θphを保持する。
ピニオン絶対角算出部42は、操舵絶対角算出部31が算出した操舵角(絶対角)θhと、転舵モータ角センサ12が検出した転舵モータ角(相対角)θmと、偏差記憶部41が記憶しているピニオン角−操舵角偏差θphとを取得する。そして、ピニオン絶対角算出部42は、取得した操舵角(絶対角)θhと転舵モータ角(相対角)θmとピニオン角−操舵角偏差θphとに基づいてピニオン絶対角θpを算出する。
転舵角制御部43は、ピニオン角指令値補正部33が算出した補正後指令角θpcmdco(後述)と、ピニオン絶対角算出部42が算出したピニオン絶対角θpとを取得する。そして、転舵角制御部43は、取得した補正後指令角θpcmdcoとピニオン絶対角θpとの偏差に応じた電流指令値Ipcmdを算出する。
電流制御ドライバ44は、転舵角制御部43が算出した電流指令値Ipcmdと転舵モータ11の転舵モータモニタ値である駆動実電流Iprealとを取得する。そして、電流制御ドライバ44は、取得した電流指令値Ipcmdに駆動実電流Iprealが一致するように、転舵モータ11に供給する駆動電流Ipdriを制御する。
バックアップモード切替部45は、ピニオン絶対角算出部42が算出したピニオン絶対角θpを取得する。そして、バックアップモード切替部45は、ピニオン絶対角算出部42からピニオン絶対角θpを取得不可であった場合には、電流指令値Ipcmdの算出停止指令を転舵角制御部43に出力し、クラッチ19に締結指令を出力する。
(反力コントローラ30(反力モータ9の制御))
図7は、反力コントローラ30の制御ブロック図である。図7では、反力コントローラ30における反力モータ9の制御について記載している。
反力コントローラ30は、操舵角反力算出部35と、電流反力算出部36と、配分比率設定部37と、反力制御部38と、電流制御ドライバ39と、を備える。
操舵角反力算出部35は、操舵絶対角算出部31が算出した操舵角(絶対角)θh、および車速センサ22が検出した車速Vに基づき、下記(1)式に従って操舵反力の指令値(以下、操舵角反力指令値とも呼ぶ)TFFを算出する。ここで、下記(1)式では、予め設定した路面状態や車両状態において、ステアリングホイール5と前輪3FL、3FRとを機械的に接続した操舵機構を備える車両1の運動方程式を基に導出した数式である。
TFF=(Ks+Css)/(JrS2+(Cr+Cs)s+Ks)・k・V/(1+A・V2)・θ+Ks(Jrs2+Crs)/(JrS2+(Cr+Cs)s+Ks)・θ ………(1)
但し、Ksはピニオン剛性、Csはピニオン粘性、Jrはラック慣性、Crはラック粘性、k、Aは予め設定した定数である。
電流反力算出部36は、転舵電流検出部24が検出した転舵電流に基づき、下記(2)式に従って操舵反力の指令値(以下、電流反力指令値とも呼ぶ)TFBを算出する。ここで、下記(2)式では、まず、転舵電流と、転舵電流を基に転舵モータ11の出力トルクを算出するためのトルク定数[Nm/A]と、転舵モータ11のモータトルクを伝達するためのモータギヤ比とを乗算する。続いて、下記(2)式では、乗算結果を転舵モータ11のピニオンギヤのピニオン半径[m]で除算し、除算結果に、転舵モータ11の出力トルクが伝達される際の効率を乗算し、乗算結果を電流反力指令値TFBとして算出する。
電流反力指令値TFB=転舵電流×モータギヤ比×トルク定数[Nm/A]/ピニオン半径[m]×効率 ………(2)
なお、本実施形態では、転舵電流を検出し、検出した転舵電流に基づいて操舵反力の指令値(電流反力指令値)を算出する例を示したが、他の構成を採用することもできる。例えば、前輪3FL、3FR(操向輪)に作用するタイヤ横力Fdによって変動する車両の状態量を検出し、検出した車両の状態量に基づいて操舵反力の指令値(以下、状態量反力指令値とも呼ぶ)を算出する構成としてもよい。タイヤ横力Fdによって変動する車両の状態量としては、例えば、車両の横方向加速度、車両のヨーレートがある。
配分比率設定部37は、操舵角反力算出部35が算出した操舵角反力指令値TFFと、電流反力算出部36が算出した電流反力指令値TFBとを取得する。続いて、配分比率設定部37は、取得した操舵角反力指令値TFFおよび電流反力指令値TFBに基づき、下記(3)式に従って操舵反力の指令値(配分後指令値)を算出する。ここで、下記(3)式は、電流反力指令値TFBと操舵角反力指令値TFFとをGFB:(1−GFB)の割合で合算する数式である。
配分後指令値=電流反力指令値TFB×GFB+操舵角反力指令値TFF×(1−GFB) ………(3)
このように、本実施形態の配分比率設定部37は、電流反力指令値TFBおよび操舵角反力指令値TFFに基づいて配分後指令値を算出する。ここで、電流反力指令値TFBは、前輪3FL、3FRに作用するタイヤ横力Fdの影響を反映するため、路面状態の変化や車両状態の変化に応じて変化する。これに対し、操舵角反力指令値TFFは、タイヤ横力Fdの影響を反映しないため、路面状態の変化等にかかわらず滑らかに変化する。それゆえ、配分比率設定部37は、電流反力指令値TFBに加え、操舵角反力指令値TFFに基づいて配分後指令値を算出することで、より適切な配分後指令値を算出できる。そのため、本実施形態の配分比率設定部37は、電流反力指令値TFBに基づいて、反力モータ9を駆動することで、より適切な操舵反力を付与できる。
ここで、配分比率GFBの設定方法としては、配分比率設定部37は、ピニオン角指令値補正部33が転舵指令角を補正する低速補正処理(後述)または中速補正処理(後述)を実行中であるか否かを判定する。そして、配分比率設定部37は、低速補正処理または中速補正処理を実行中であると判定した場合には、配分比率GFBを0.7とする。一方、配分比率設定部37は、低速補正処理または中速補正処理を実行中でないと判定した場合には、配分比率GFBを0.5とする。これにより、配分比率設定部37は、低速補正処理または中速補正処理を実行中である場合には、低速補正処理または中速補正処理を実行中でない場合と比較して、操舵角反力指令値TFFの配分比率(1−GFB)を低減させる。
反力制御部38は、配分比率設定部37が算出した配分後指令値を取得する。そして、転舵角制御部43は、取得した配分後指令値に応じた電流指令値Ifcmdを算出する。
電流制御ドライバ39は、反力制御部38が算出した電流指令値Ifcmdと転舵モータ11の転舵モータモニタ値である駆動実電流(転舵電流)Ifrealとを取得する。そして、電流制御ドライバ44は、取得した電流指令値Ifcmdに駆動実電流(転舵電流)Ifrealが一致するように、反力モータ9に供給する駆動電流Ifdriを制御する。
(補正処理実施済フラグ設定処理)
次に、補正処理実施済フラグ設定部33aが実行する補正処理実施済フラグ設定処理の詳細について説明する。補正処理実施済フラグ設定処理は、イグニッションスイッチがオフ状態からオン状態となった場合、つまり、転舵制御が開始された場合に実行される割り込み処理である。補正処理実施済フラグ設定処理では、低速補正処理(後述)および中速補正処理(後述)を実施済みとするか否か判定する。これにより、補正処理実施済フラグ設定処理では、低速補正処理および中速補正処理を実行するか否かを判定する。
図8は、補正処理実施済フラグ設定処理を表すフローチャートである。
図8に示すように、ステップS101では、補正処理実施済フラグ設定部33aは、イグニッションスイッチがオン状態であるか否かを判定する。そして、補正処理実施済フラグ設定部33aは、イグニッションスイッチがオン状態であると判定した場合には(Yes)ステップS102に移行する。一方、補正処理実施済フラグ設定部33aは、イグニッションスイッチがオフ状態であると判定した場合には(No)この判定を再度実行する。
続いてステップS102に移行して、補正処理実施済フラグ設定部33aは、操舵絶対角算出部31から操舵角(絶対角)θhを取得する。続いて、補正処理実施済フラグ設定部33aは、転舵モータ角センサ12から転舵モータ角(相対角)θmを取得する。
続いてステップS103に移行して、補正処理実施済フラグ設定部33aは、記憶部34が記憶している操舵角(絶対角)θhz、つまり、前回の転舵制御の終了時に操舵絶対角算出部31が算出した操舵角(絶対角)θhzを取得する。続いて、補正処理実施済フラグ設定部33aは、記憶部34が記憶している転舵モータ角θmz、つまり、前回の転舵制御の終了時に転舵モータ角センサ12が取得した転舵モータ角θmzを取得する。
続いてステップS104に移行して、補正処理実施済フラグ設定部33aは、イグニッションがオフ状態であるときに、ステアリングホイール5の操舵が行われたか否かを判定する。具体的には、補正処理実施済フラグ設定部33aは、前記ステップS101、S102で取得した操舵角(絶対値)θh、θhz、転舵モータ角θm、θmzに基づき、判定式|θh−θhz|<θhthおよび|θm−θmz|<θmthが成立するか否かを判定する。閾値θth、θmthとしては、例えば、10.0deg、10.0degがある。そして、補正処理実施済フラグ設定部33aは、上記判定式が成立すると判定した場合には(Yes)、イグニッションがオフ状態であるときに、ステアリングホイール5の操舵が行われていないと判定し、ステップS105に移行する。一方、補正処理実施済フラグ設定部33aは、上記判定式が成立しないと判定した場合には(No)、イグニッションがオフ状態であるときに、ステアリングホイール5の操舵が行われたと判定し、ステップS106に移行する。
前記ステップS105では、補正処理実施済フラグ設定部33aは、低速補正処理を実施済みか否かを表すフラグ(以下、低速補正処理実施済フラグとも呼ぶ)、および中速補正処理を実施済みか否かを表すフラグ(以下、中速補正処理実施済フラグとも呼ぶ)を1のセット状態とした後、この演算処理を終了する。低速補正処理実施済フラグでは、1のセット状態は低速補正処理を実施済みであることを表し、0のリセット状態は低速補正処理を未実施であることを表す。また、中速補正処理実施済フラグでは、1のセット状態は中速補正処理を実施済みであることを表し、0のリセット状態は中速補正処理を未実施であることを表す。これにより、補正処理実施済フラグ設定部33aは、低速補正処理および中速補正処理を省略し、高速補正処理のみを実施する。
このように、本実施形態では、ピニオン角指令値補正部33が、転舵制御の開始時に前回の転舵制御の終了時の操舵角(絶対角)θhzと操舵絶対角センサ7が検出した操舵角(絶対角)θhとの差が閾値θth以下であり且つ前回の転舵制御の終了時の転舵モータ角θmzと転舵モータ角センサ12が検出した転舵モータ角θmとの差が設定値θmzth以下であると判定した場合には、低速補正処理および中速補正処理を省略し、高速補正処理のみを行う構成とした。それゆえ、本実施形態では、前回の転舵制御の終了時の操舵角(絶対角)θhzと新しい転舵制御の開始時の操舵角(絶対角)θhとの差が閾値θth以下であり且つ前回の転舵制御の終了時の転舵モータ角θmzと新しい転舵制御の開始時の転舵モータ角θmとの差が設定値θmzth以下であると判定した場合に、低速補正処理および中速補正処理を省略する。これにより、本実施形態では、転舵制御の終了後から転舵制御の開始前の間にステアリングホイール5の操舵が行われておらず、転舵指令角θpcmdと実際の転舵角との乖離が十分に小さい場合に、比較的精度の低い低速補正処理および中速補正処理が実行されてしまい、該乖離が増大することを防止できる。
一方、前記ステップS106では、補正処理実施済フラグ設定部33aは、低速補正処理実施済フラグおよび中速補正処理実施済フラグを0のリセット状態とした後、この演算処理を終了する。これにより、補正処理実施済フラグ設定部33aは、低速補正処理、中速補正処理、高速補正処理(後述)を順に実行する。
(補正処理実行判定処理)
次に、補正処理実行判定部33bが実行する補正処理実行判定処理の詳細について説明する。補正処理実行判定処理は、補正処理実施済フラグ設定処理の終了後に実行される処理である。補正処理実行判定処理では、補正処理実施済フラグ設定処理の処理結果等に基づいて、低速補正処理、中速補正処理および高速補正処理を実行する。
図9は、補正処理実行判定処理を表すフローチャートである。
図9に示すように、ステップS201では、補正処理実行判定部33bは、車速センサ22が検出した車速V、ヨーレートセンサ23が検出したヨーレートγ、操舵絶対角算出部31が算出した操舵角(絶対角)θhおよびピニオン絶対角算出部42が算出したピニオン絶対角θpを取得する。続いて、補正処理実行判定部33bは、取得した操舵角(絶対角)θhに基づいて操舵角速度dθh/dtを算出する。続いて、補正処理実行判定部33bは、補正処理実行判定部33bは、車速V、ヨーレートγ、操舵角(絶対角)θhおよびピニオン絶対角θpを取得できたか否かを判定する。そして、補正処理実行判定部33bは、車速V、ヨーレートγ、操舵角(絶対角)θhおよびピニオン絶対角θpを取得できたと判定した場合には(Yes)ステップS202に移行する。一方、補正処理実行判定部33bは、車速V、ヨーレートγ、操舵角(絶対角)θhおよびピニオン絶対角θpを取得できていないと判定した場合には(No)ステップS222に移行する。
前記ステップS202では、補正処理実行判定部33b(直進判定部33h)は、前記ステップS201で取得した車速V、ヨーレートγ、操舵角(絶対角)θhおよびピニオン絶対角θpに基づいて高速補正処理実行条件を満たすか否かを判定する。高速補正処理実行条件としては、例えば、車両1が高速で直進走行を行っていると判定可能な条件がある。具体的には、車速Vが40km/h以上であり、ヨーレートγの絶対値が0.2deg/s以下であり、操舵角速度dθh/dtの絶対値が20deg/s以下である、という条件がある。そして、直進判定部33hは、高速補正処理実行条件を満たすと判定した場合には(Yes)ステップS203に移行する。一方、直進判定部33hは、高速補正処理実行条件を満たさないと判定した場合には(No)前記ステップS207に移行する。
前記ステップS203では、直進判定部33hは、車両1が高速で直進走行を行っている時間を計測するための変数値(以下、高速直進タイマ値とも呼ぶ)をカウントアップする。カウントアップする数値としては、例えば、前記ステップS201、S202、S203、S204(後述)の一連のフローの実行に要する時間(例えば、5msec)がある。なお、直進判定部33hは、前記ステップS201、S202、S203、S204の一連のフローの最初の実行時には高速直進タイマ値を0に初期化する。
続いてステップS204に移行して、直進判定部33hは、車両1が高速で直進走行を継続して200msec以上行っているか否かを判定する。具体的には、直進判定部33hは、高速直進タイマ値が200msec以上であるか否かを判定する。そして、直進判定部33hは、高速直進タイマ値が200msec以上であると判定した場合には(Yes)、車両1が高速で直進走行を継続して200msec以上行っていると判定し、ステップS205に移行する。一方、直進判定部33hは、高速直進タイマ値が200msec未満であると判定した場合には(No)、車両1が高速で直進走行で200msec以上行っていないと判定し、前記ステップS201に移行する。
前記ステップS205では、補正処理実行判定部33b(高精度補正部33d、補正角速度算出部33i、補正角算出部33j)は、転舵指令角θpcmdと該転舵指令角θpcmdに基づいて発生する転舵角との乖離が低減するように転舵指令角θpcmdを補正するための高速補正処理を実行する。高速補正処理の詳細な内容については後述する。
続いてステップS206に移行して、補正処理実行判定部33bは、高速補正処理を実施済みか否かを表すフラグ(以下、高速補正処理実施済フラグとも呼ぶ)を1のセット状態とする。高速補正処理実施済フラグでは、1のセット状態は低速補正処理を実施済みであることを表し、0のリセット状態は低速補正処理を未実施であることを表す。なお、補正処理実行判定部33bは、この演算処理の開始時に、高速補正処理実施済フラグを0のリセット状態とする。続いて、補正処理実行判定部33bは、高速直進タイマ値を0に初期化した後、前記ステップS201に移行する。
一方、前記ステップS207では、補正処理実行判定部33bは、高速補正処理が未実施であるか否かを判定する。具体的には、補正処理実行判定部33bは、高速補正処理実施済フラグが0のリセット状態であるか否かを判定する。そして、補正処理実行判定部33bは、高速補正処理実施済フラグが0のリセット状態であると判定した場合には(Yes)、高速補正処理が未実施であると判定し、ステップS208に移行する。一方、補正処理実行判定部33bは、高速補正処理実施済フラグが1のセット状態であると判定した場合には(No)、高速補正処理が実施済みであると判定し、前記ステップS201に移行する。これにより、補正処理実行判定部33bは、高速補正処理が実施済みである場合には、低速補正処理および中速補正処理の実施を省略する。
前記ステップS208では、補正処理実行判定部33bは、中速補正処理が未実施であるか否かを判定する。具体的には、補正処理実行判定部33bは、中速補正処理実施済フラグが0のリセット状態であるか否かを判定する。そして、補正処理実行判定部33bは、中速補正処理実施済フラグが0のリセット状態であると判定した場合には(Yes)、中速補正処理が未実施であると判定し、ステップS209に移行する。一方、補正処理実行判定部33bは、中速補正処理実施済フラグが1のセット状態であると判定した場合には(No)、中速補正処理が実施済みであると判定し、ステップS201に移行する。これにより、補正処理実行判定部33bは、中速補正処理が実施済みである場合には、低速補正処理および中速補正処理が実施されないようにする。
前記ステップS209では、補正処理実行判定部33b(直進判定部33e)は、前記ステップS201で取得した車速V、ヨーレートγ、操舵角(絶対角)θhおよびピニオン絶対角θpに基づいて中速補正処理実行条件を満たすか否かを判定する。中速補正処理実行条件としては、例えば、車両1が中速で直進走行を行っていると判定可能な条件がある。具体的には、車速が20km/h以上で且つ40km/h未満であり、ヨーレートの絶対値が0.3deg/s以下であり、操舵角速度の絶対値が20deg/s以下である、という条件がある。そして、直進判定部33eは、中速補正処理実行条件を満たすと判定した場合には(Yes)ステップS210に移行する。一方、直進判定部33eは、中速補正処理実行条件を満たさないと判定した場合には(No)ステップS215に移行する。
前記ステップS210では、直進判定部33eは、車両1が中速で直進走行を行っている時間を計測するための変数値(以下、中速直進タイマ値とも呼ぶ)をカウントアップする。カウントアップする数値としては、例えば、前記ステップS201、S202、S207、S208、S209、S210、S211(後述)の一連のフローの実行に要する時間(例えば、5msec)がある。なお、直進判定部33eは、前記ステップS201、S202、S207、S208、S209、S210、S211の一連のフローの最初の実行時には中速直進タイマ値を0に初期化する。
続いてステップS211に移行して、直進判定部33eは、車両1が中速で直進走行を継続して200msec以上行っているか否かを判定する。具体的には、直進判定部33eは、中速直進タイマ値が200msec以上であるか否かを判定する。そして、直進判定部33eは、中速直進タイマ値が200msec以上であると判定した場合には(Yes)、車両1が中速で直進走行を継続して200msec以上行っていると判定し、ステップS212に移行する。一方、直進判定部33eは、中速直進タイマ値が200msec未満であると判定した場合には(No)、車両1が中速で直進走行で200msec以上行っていないと判定し、前記ステップS201に移行する。
前記ステップS212では、直進判定部33eは、ピニオン絶対角算出部42が算出したピニオン絶対角θpを中速中立補正角θcorrectmidとする。中速中立補正角θcorrectmidとしては、例えば、車両1が中速で直進走行を行っているときに、ピニオン絶対角算出部42が算出したピニオン絶対角θpがある。ここで、車両1が中速で直進走行を行っている場合には、ピニオン絶対角算出部42が算出するピニオン絶対角θpは0となるはずである。しかしながら、ピニオン絶対角算出部42が算出したピニオン絶対角θpと実際のピニオン絶対角との間に乖離がある場合には、ピニオン絶対角算出部42が算出したピニオン絶対角θpは0から外れた値(正値または負値)となる。
続いてステップS213に移行して、補正処理実行判定部33b(ざっくり補正部33c、補正角速度算出部33f、補正角算出部33g)は、前記ステップS212で算出した中速中立補正角θcorrectmidに基づき、転舵指令角θpcmdと該転舵指令角θpcmdに基づいて発生する転舵角との乖離が低減するように転舵指令角θpcmdを補正するための中速補正処理を実行する。中速補正処理の詳細な内容については後述する。
続いてステップS214に移行して、補正処理実行判定部33bは、中速補正処理実施済フラグを1のセット状態とした後、前記ステップS201に移行する。
前記ステップS215では、補正処理実行判定部33bは、低速補正処理が未実施であるか否かを判定する。具体的には、補正処理実行判定部33bは、低速補正処理実施済フラグが0のリセット状態であるか否かを判定する。そして、補正処理実行判定部33bは、低速補正処理実施済フラグが0のリセット状態であると判定した場合には(Yes)、低速補正処理が未実施であると判定し、ステップS216に移行する。一方、補正処理実行判定部33bは、低速補正処理実施済フラグが1のセット状態であると判定した場合には(No)、低速補正処理が実施済みであると判定し、ステップS201に移行する。これにより、補正処理実行判定部33bは、低速補正処理が実施済みである場合には、低速補正処理が実施されないようにする。
前記ステップS216では、補正処理実行判定部33bは、前記ステップS201で取得した車速V、ヨーレートγ、操舵角(絶対角)θhおよびピニオン絶対角θpに基づいて低速補正処理実行条件を満たすか否かを判定する。低速補正処理実行条件としては、例えば、車両1が低速で直進走行を行っていると判定可能な条件がある。具体的には、車速Vが5km/h以上で且つ20km/h以下であり、ヨーレートγの絶対値が0.4deg/s以下であり、操舵角速度の絶対値が20deg/s以下である、という条件がある。そして、補正処理実行判定部33bは、低速補正処理実行条件を満たすと判定した場合には(Yes)ステップS217に移行する。一方、補正処理実行判定部33bは、低速補正処理実行条件を満たさないと判定した場合には(No)前記ステップS201に移行する。
前記ステップS217では、補正処理実行判定部33b(ざっくり補正部33c、直進判定部33e)は、車両1が低速で直進走行を行っている時間を計測するための変数値(以下、低速直進タイマ値とも呼ぶ)をカウントアップする。カウントアップする数値としては、例えば、前記ステップS201、S202、S207、S208、S209、S215、S216、S217、S218(後述)の一連のフローの実行に要する時間(例えば、5msec)がある。なお、直進判定部33eは、前記ステップS201、S202、S207、S208、S209、S215、S216、S217、S218の一連のフローの最初の実行時には低速直進タイマ値を0に初期化する。
続いてステップS218に移行して、直進判定部33eは、車両1が低速で直進走行を継続して200msec以上行っているか否かを判定する。具体的には、直進判定部33eは、低速直進タイマ値が200msec以上であるか否かを判定する。そして、直進判定部33eは、低速直進タイマ値が200msec以上であると判定した場合には(Yes)、車両1が低速で直進走行を継続して200msec以上行っていると判定し、ステップS219に移行する。一方、直進判定部33eは、低速直進タイマ値が200msec未満であると判定した場合には(No)、車両1が低速で直進走行で200msec以上行っていないと判定し、前記ステップS201に移行する。
前記ステップS219では、直進判定部33eは、ピニオン絶対角算出部42が算出したピニオン絶対角θpを低速中立補正角θcorrectlowとする。低速中立補正角θcorrectlowとしては、例えば、車両1が低速で直進走行を行っているときに、ピニオン絶対角算出部42が算出したピニオン絶対角θpがある。ここで、車両1が低速で直進走行を行っている場合には、ピニオン絶対角算出部42が算出するピニオン絶対角θpは0となるはずである。しかしながら、ピニオン絶対角算出部42が算出したピニオン絶対角θpと実際のピニオン絶対角との間に乖離がある場合には、ピニオン絶対角算出部42が算出したピニオン絶対角θpは0から外れた値(正値または負値)となる。
続いてステップS220に移行して、補正処理実行判定部33b(ざっくり補正部33c、補正角速度算出部33f、補正角算出部33g)は、前記ステップS219で算出した低速中立補正角θcorrectlowに基づき、転舵指令角θpcmdと該転舵指令角θpcmdに基づいて発生する転舵角との乖離が低減するように転舵指令角θpcmdを補正するための低速補正処理を実行する。低速補正処理の詳細な内容については後述する。
続いてステップS221に移行して、補正処理実行判定部33bは、低速補正処理実施済フラグを1のセット状態とした後、前記ステップS201に移行する。
一方、前記ステップS222では、補正処理実行判定部33bは、低速補正処理、中速補正処理および高速補正処理を実行不可であると判定した後、この演算処理を終了する。
(低速補正処理)
次に、補正処理実行判定部33bが実行する低速補正処理の詳細について説明する。低速補正処理は、補正処理実行判定処理のステップS220で実行される処理である。
図10は、低速補正処理を表すフローチャートである。
図10に示すように、ステップS301では、補正処理実行判定部33b(ざっくり補正部33c)は、補正処理実行判定処理で低速中立補正角θcorrectlowが設定されたか否かを判定する。そして、ざっくり補正部33cは、低速中立補正角θcorrectlowが設定されたと判定した場合には(Yes)ステップS302に移行する。一方、ざっくり補正部33cは、低速中立補正角θcorrectlowが設定されていないと判定した場合には(No)この判定を再度実行する。
図11は、操舵角速度の絶対値と補正角速度の絶対値との関係を示す図である。
前記ステップS302では、ざっくり補正部33c(補正角速度算出部33f)は、図11の制御マップを参照して、前記ステップS201で算出した操舵角速度dθh/dtの絶対値に応じた補正角速度Δθcalの絶対値を算出する。補正角速度Δθcalとしては、例えば、ピニオン角指令値算出部32が算出した転舵指令角θpcmdと該転舵指令角θpcmdに基づいて発生する転舵角との乖離を低減させるための補正角θcalの単位時間当たりの変化量がある。図11の制御マップでは、操舵角速度dθh/dtの絶対値が0である場合に補正角速度Δθcalの絶対値を予め設定した第1設定補正角速度(>0)とする。また、図11の制御マップでは、操舵角速度dθh/dtの絶対値が0より大きく且つ予め設定した設定操舵角速度(>0)未満の範囲にある場合に操舵角速度dθh/dtの絶対値が大きくなるほど補正角速度Δθcalの絶対値を大きくする。さらに、図11の制御マップでは、操舵角速度dθh/dtの絶対値が設定値以上である場合に補正角速度Δθcalの絶対値を予め設定した第2設定補正角速度(>第1設定補正角速度)とする。例えば、補正角速度算出部33fは、操舵中であるか否かを判定する。具体的には、補正角速度算出部33fは、前記ステップS201で算出した操舵角速度dθh/dtが0であるか否かを判定する。そして、補正角速度算出部33fは、操舵角速度dθh/dtが0であると判定した場合には、操舵中でないと判定する。続いて、補正角速度算出部33fは、操舵中でないと判定した場合には、第1設定補正角速度を補正角速度Δθcalの絶対値として設定する。一方、補正角速度算出部33fは、操舵角速度dθh/dtが0でないと判定した場合には、操舵中であると判定する。続いて、補正角速度算出部33fは、操舵中であると判定した場合には、図11の制御マップを参照して、操舵角速度dθh/dtの絶対値に応じた補正角速度Δθcalの絶対値を算出する。これにより、補正角速度算出部33fは、高速補正処理において、操舵中でないと判定した場合と比較して、単位時間当たりの補正角の変化量(補正角速度Δθcal)を大きくする。
続いて、ざっくり補正部33c(補正角算出部33g)は、算出した補正角速度Δθcalの絶対値に基づいて補正角速度Δθcalを算出する。補正角速度Δθcalの算出方法としては、例えば、転舵指令角θpcmdと該転舵指令角θpcmdに基づいて発生する転舵角との乖離が小さくなる方向に補正後の転舵指令角θpcmd(補正後指令角θpcmdco)が変化するように、補正角速度Δθcalの絶対値に+1または−1を乗算したものを補正角速度Δθcalとする方法がある。この場合、補正角速度算出部33fは、例えば、低速中立補正角θcorrectlowが正値である場合には補正角速度Δθcalの絶対値に+1を乗算したものを補正角速度Δθcalとし、低速中立補正角θcorrectlowが負値である場合には補正角速度Δθcalの絶対値に−1を乗算したものを補正角速度Δθcalとする。続いて、ざっくり補正部33c(補正角算出部33g)は、補正角θcalに補正角速度Δθcalを加算する。なお、ピニオン角指令値算出部32は、前記ステップS302、S303(後述)、S304(後述)の一連のフローの最初の実行時には補正角θcalを0に初期化する。
続いてステップS303に移行して、補正処理実行判定部33bは、ピニオン角指令値算出部32が算出した転舵指令角θpcmdに前記ステップS302で算出した補正角θcalを加算し、加算結果を補正後指令角θpcmdcoとする。続いて、補正処理実行判定部33bは、補正後指令角θpcmdcoを転舵角制御部43に出力する。
続いてステップS304に移行して、ざっくり補正部33cは、前記ステップS301で設定した低速中立補正角θcorrectlowに基づく転舵指令角θpcmdの補正が完了したか否かを判定する。具体的には、ざっくり補正部33cは、前記ステップS302で算出した補正角θcalの絶対値が低速中立補正角θcorrectlowの絶対値以上であるか否かを判定する。そして、ざっくり補正部33cは、補正角θcalの絶対値が低速中立補正角θcorrectlowの絶対値以上であると判定した場合には(Yes)この演算処理を終了する。一方、ざっくり補正部33cは、補正角θcalの絶対値が低速中立補正角θcorrectlowの絶対値未満であると判定した場合には(No)前記ステップS302に移行する。
(中速補正処理)
次に、補正処理実行判定部33bが実行する中速補正処理の詳細について説明する。中速補正処理は、補正処理実行判定処理のステップS213で実行される処理である。
図12は、中速補正処理を表すフローチャートである。
図12に示すように、ステップS401では、補正処理実行判定部33b(ざっくり補正部33c)は、補正処理実行判定処理で中速中立補正角θcorrectmidが設定されたか否かを判定する。そして、ざっくり補正部33cは、中速中立補正角θcorrectmidが設定されたと判定した場合には(Yes)ステップS402に移行する。一方、ざっくり補正部33cは、中速中立補正角θcorrectmidが設定されていないと判定した場合には(No)この判定を再度実行する。
前記ステップS402では、ざっくり補正部33c(補正角速度算出部33f)は、図11の制御マップを参照して、前記ステップS201で算出した操舵角速度dθh/dtの絶対値に応じた補正角速度Δθcalの絶対値を算出する。補正角速度Δθcalの算出方法としては、例えば、転舵指令角θpcmdと該転舵指令角θpcmdに基づいて発生する転舵角との乖離が小さくなる方向に補正後指令角θpcmdcoが変化するように、補正角速度Δθcalの絶対値に+1または−1を乗算したものを補正角速度Δθcalとする方法がある。この場合、補正角速度算出部33fは、例えば、中速中立補正角θcorrectmidが正値である場合には補正角速度Δθcalの絶対値に+1を乗算したものを補正角速度Δθcalとし、中速中立補正角θcorrectmidが負値である場合には補正角速度Δθcalの絶対値に−1を乗算したものを補正角速度Δθcalとする。続いて、ざっくり補正部33c(補正角算出部33g)は、補正角θcalに転舵指令角θpcmdを加算する。なお、補正処理実行判定部33bは、前記ステップS402、S403(後述)、S404(後述)の一連のフローの最初の実行時に低速補正処理(ステップS302)で最後に算出した補正角θcalを初期値として用いる。また、補正処理実行判定部33bは、低速補正処理を実行していない場合には、前記ステップS402、S403(後述)、S404(後述)の一連のフローの最初の実行時に補正角θcalを0に初期化する。
続いてステップS403に移行して、補正処理実行判定部33bは、ピニオン角指令値算出部32が算出した転舵指令角θpcmdに前記ステップS402で算出した補正角θcalを加算し、加算結果を補正後指令角θpcmdcoとする。続いて、補正処理実行判定部33bは、補正後指令角θpcmdcoを転舵角制御部43に出力する。
続いてステップS404に移行して、ざっくり補正部33cは、前記ステップS401で取得した中速中立補正角θcorrectmidに基づく転舵指令角θpcmdの補正が完了したか否かを判定する。具体的には、ざっくり補正部33cは、前記ステップS402で算出した補正角θcalの絶対値が中速中立補正角θcorrectmidの絶対値以上であるか否かを判定する。そして、ざっくり補正部33cは、補正角θcalの絶対値が中速中立補正角θcorrectmidの絶対値以上であると判定した場合には(Yes)この演算処理を終了する。一方、ざっくり補正部33cは、補正角θcalの絶対値が中速中立補正角θcorrectmidの絶対値未満であると判定した場合には(No)前記ステップS402に移行する。
(高速補正処理)
次に、補正処理実行判定部33bが実行する高速補正処理の詳細について説明する。高速補正処理は、補正処理実行判定処理のステップS218で実行される処理である。
図13は、高速補正処理を表すフローチャートである。
図13に示すように、ステップS501では、高精度補正部33d(補正角速度算出部33i)は、操舵中であるか否かを判定する。具体的には、補正角速度算出部33iは、前記ステップS201で算出した操舵角速度dθh/dtが0であるか否かを判定する。そして、補正角速度算出部33iは、操舵角速度dθh/dtが0であると判定した場合には、操舵中でないと判定する。続いて、補正角速度算出部33iは、操舵中でないと判定した場合には、ピニオン角指令値算出部32が算出した転舵指令角θpcmdに基づいて補正角速度Δθcalを算出する。補正角速度Δθcalの算出方法としては、例えば、ピニオン角指令値算出部32が算出した転舵指令角θpcmdに予め設定したゲインを乗算し、乗算結果を補正角速度Δθcalとする方法がある。これにより、単位時間当たりの補正角の変化量(補正角速度Δθcal)を比較的容易に算出できる。ここで、ゲインは、高速補正処理で算出される補正角速度Δθcalが図11の制御マップの第1設定補正角速度よりも小さい値となるように設定する。ゲインとしては、例えば、2-11=0.000048828125を採用することができる。これにより、高速補正処理では、低速補正処理および中速補正処理と比較して、単位時間当たりの補正角の変化量(補正角速度Δθcal)を小さくする。一方、補正角速度算出部33iは、操舵角速度dθh/dtが0でないと判定した場合には、操舵中であると判定する。続いて、補正角速度算出部33iは、操舵中であると判定した場合には、補正角速度Δθcalを0とする。これにより、補正角速度算出部33iは、高速補正処理において、操舵中でないと判定した場合にのみ、つまり、車両1が直進走行時にのみ(旋回走行時以外)、補正角θcalを徐々に変化させる。
なお、本実施形態では、補正角速度算出部33iが、操舵操作中でない場合にのみ補正角θcalを算出する例を示したが、他の構成を採用することもできる。例えば、補正角速度算出部33iが、操舵中である場合にも補正角θcalを算出する構成としてもよい。
続いて、高精度補正部33d(補正角算出部33g)は、補正角θcalに転舵指令角θpcmdを加算する。なお、補正処理実行判定部33bは、前記ステップS501、S502(後述)の一連のフローの最初の実行時に中速補正処理(ステップS402)で最後に算出した補正角θcalを初期値として用いる。また、補正処理実行判定部33bは、中速補正処理を実行していない場合には、前記ステップS501、S502(後述)の一連のフローの最初の実行時に低速補正処理(ステップS302)で最後に算出した補正角θcalを初期値として用いる。さらに、補正処理実行判定部33bは、低速補正処理および中速補正処理のいずれも実行していない場合には、前記ステップS501、S502(後述)の一連のフローの最初の実行時に補正角θcalを0に初期化する。
続いてステップS502に移行して、補正処理実行判定部33bは、ピニオン角指令値算出部32が算出した転舵指令角θpcmdに前記ステップS501で算出した補正角θcalを加算し、加算結果を補正後指令角θpcmdcoとする。続いて、補正処理実行判定部33bは、補正後指令角θpcmdcoを転舵角制御部43に出力する。
(動作その他)
次に、車両用操舵装置2の動作について説明する。
イグニッションスイッチがオフ状態、つまり、クラッチ19が締結状態であるときに、運転者が、イグニッションスイッチをオン状態にしたとする。すると、転舵コントローラ40が、クラッチ19に開放指令を出力する。続いて、クラッチ19が、開放指令が出力されるとクラッチ19を開放状態とする。ここで、イグニッションスイッチがオフ状態のときに、運転者が、ステアリングホイール5を1.0deg以上操舵して、前輪3FL、3FRを10.0deg以上転舵していたとする。すると、ピニオン角指令値補正部33が、低速補正処理実施済フラグおよび中速補正処理実施済フラグを0のリセット状態とする(図8のステップS101、S102、S103、S104「No」、S106)。続いて、運転者が、アクセルペダル(不図示)を踏み込み、車両1の車速Vが5km/h以上で且つ20km/h未満になったとする。また、車両1が直進走行を行っており、ヨーレートγの絶対値が0.4deg/s以下であり、操舵角速度dθh/dtの絶対値が20deg/s以下であったとする。すると、ピニオン角指令値補正部33が、低速補正処理実行条件を満たすと判定する(図9のステップS201「Yes」、S202「No」、S207「Yes」、S208「Yes」、S209「No」、S215「Yes」、S216「Yes」)。そして、低速補正処理実行条件が満たされた状態が200msec以上継続すると、つまり、車両1が200msec以上継続して低速で直進走行を行うと、ピニオン角指令値補正部33が、ピニオン絶対角算出部42が算出したピニオン絶対角θpを低速中立補正角θcorrectlowとする(図9のステップS217、S218「Yes」、S219)。
続いて、ピニオン角指令値補正部33が、図11の制御マップを参照して、比較的絶対値が大きい補正角速度Δθcalを算出する(図10のステップS301「Yes」、S302)。その際、ピニオン角指令値補正部33が、操舵中であると判定した場合には、操舵中でないと判定した場合と比較して、単位時間当たりの補正角θcalの変化量(補正角速度Δθcal)を大きくする。また、ピニオン角指令値補正部33は、転舵指令角θpcmdと該転舵指令角θpcmdに基づいて発生する転舵角との乖離が小さくなる方向に補正後指令角θpcmdcoが変化するように、補正角速度Δθcalの絶対値に+1または−1を乗算したものを補正角速度Δθcalとする。ここで、例えば、低速中立補正角θcorrectlowが正値(例えば、6deg)であったとする。この場合、ピニオン角指令値補正部33は、補正角速度Δθcalの絶対値に+1を乗算したものを補正角速度Δθcalとする。これにより、補正角速度Δθcalは正値となる。続いて、ピニオン角指令値補正部33は、算出した補正角速度Δθcal(>0)を補正角θcal(初期値0)に加算する(図10のステップS302)。続いて、ピニオン角指令値補正部33は、算出した補正角θcal(>0)をピニオン角指令値算出部32が算出した転舵指令角θpcmdに加算し、加算結果を補正後指令角θpcmdcoとする(図10のステップS303)。それゆえ、補正後指令角θpcmdcoが増大する。続いて、ピニオン角指令値補正部33は、算出した補正後指令角θpcmdcoを転舵角制御部43に出力する(図10のステップS303)。これにより、転舵角制御部43が、ピニオン絶対角算出部42が算出したピニオン絶対角θpと、ピニオン角指令値補正部33が算出した補正後指令角θpcmdcoとの偏差に応じた電流指令値Ipcmdを算出する。続いて、電流制御ドライバ44が、算出した電流指令値Ipcmdに駆動実電流Iprealが一致するように、転舵モータ11に供給する駆動電流Ipdriを制御する。また、転舵モータ11が、ピニオン絶対角θpを制御し、ピニオン絶対角θp(転舵角)が増大する。これに対し、運転者が、ステアリングホイール5を左方向に転舵すると、転舵指令角θpcmdが低減し、ピニオン絶対角θp(転舵角)が低減して、車両1が直進走行を継続する。そして、上記フローを繰り返すことで、車両1が直進走行を継続しつつ、転舵指令角θpcmdと実際の転舵角との乖離が低減される。
また、車両1の車速Vが20km/h以上で且つ40km/h未満になったとする。また、車両1が直進走行を行っており、ヨーレートγの絶対値が0.3deg/s以下であり、操舵角速度dθh/dtの絶対値が20deg/s以下であったとする。すると、ピニオン角指令値補正部33は、中速補正処理実行条件を満たすと判定する(図9のステップS209「Yes」)。そして、中速補正処理実行条件が満たされた状態が200msec以上継続すると、つまり、車両1が200msec以上継続して中速で直進走行を行うと、ピニオン角指令値補正部33が、ピニオン絶対角算出部42が算出したピニオン絶対角θpを中速中立補正角θcorrectmidとする(図9のステップS210、S211「Yes」、S212)。
続いて、ピニオン角指令値補正部33が、図11の制御マップを参照して、比較的絶対値が大きい補正角速度Δθcalを算出する(図12のステップS401「Yes」、S402)。その際、ピニオン角指令値補正部33が、操舵中であると判定した場合には、操舵中でないと判定した場合と比較して、単位時間当たりの補正角θcalの変化量(補正角速度Δθcal)を大きくする。また、ピニオン角指令値補正部33は、転舵指令角θpcmdと該転舵指令角θpcmdに基づいて発生する転舵角との乖離が小さくなる方向に補正後指令角θpcmdcoが変化するように、補正角速度Δθcalの絶対値に+1または−1を乗算したものを補正角速度Δθcalとする。ここで、例えば、中速中立補正角θcorrectmidが正値(例えば、3deg)であったとする。すると、ピニオン角指令値補正部33は、補正角速度Δθcalの絶対値に+1を乗算したものを補正角速度Δθcalとする。これにより、補正角速度Δθcalは正値となる。続いて、ピニオン角指令値補正部33は、算出した補正角速度Δθcal(>0)を補正角θcal(低速補正処理終了時の補正角θcal。例えば、正値とする。)に加算する(図12のステップS402)。続いて、ピニオン角指令値補正部33は、算出した補正角θcal(>0)をピニオン角指令値算出部32が算出した転舵指令角θpcmdに加算し、加算結果を補正後指令角θpcmdcoとする(図12のステップS403)。それゆえ、補正後指令角θpcmdcoが増大する。続いて、ピニオン角指令値補正部33は、算出した補正後指令角θpcmdcoを転舵角制御部43に出力する(図12のステップS403)。これにより、転舵角制御部43が、ピニオン絶対角算出部42が算出したピニオン絶対角θpと、ピニオン角指令値補正部33が算出した補正後指令角θpcmdcoとの偏差に応じた電流指令値Ipcmdを算出する。続いて、電流制御ドライバ44が、算出した電流指令値Ipcmdに駆動実電流Iprealが一致するように、転舵モータ11に供給する駆動電流Ipdriを制御する。また、転舵モータ11が、ピニオン絶対角θpを制御し、ピニオン絶対角θp(転舵角)が増大する。これに対し、運転者が、ステアリングホイール5を左方向に転舵すると、転舵指令角θpcmdが低減し、ピニオン絶対角θp(転舵角)が低減して、車両1が直進走行を継続する。そして、上記フローを繰り返すことで、低速補正処理の実行時と同様に、車両1が直進走行を継続しつつ、転舵指令角θpcmdと実際の転舵角との乖離が低減される。
このように、本実施形態では、ピニオン角指令値補正部33が、低速補正処理および中速補正処理において、操舵中であると判定した場合には、操舵中でないと判定した場合と比較して、単位時間当たりの補正角θcalの変化量(補正角速度Δθcal)を大きくする構成とした。それゆえ、本実施形態では、例えば、運転者が操舵中でなく、補正による転舵指令角θpcmdの変化、つまり、転舵角の変化に運転者が気づき易い場合には、運転者が操舵中である場合と比較して、単位時間当たりの補正角の変化量(補正角速度Δθcal)を低減する。そのため、本実施形態では、補正による転舵指令角θpcmdの変化が運転者に気づかれることを防止できる。また、本実施形態では、例えば、運転者が操舵中であり、補正による転舵指令角θpcmdの変化、つまり、転舵角の変化に運転者が気づき難い場合には、操舵中でない場合と比較して、単位時間当たりの補正角θcalの変化量を増大する。そのため、本実施形態では、転舵指令角θpcmdと実際の転舵角との乖離をより高速に低減できる。これにより、本実施形態では、転舵角の指令値である転舵指令角θpcmdと実際の転舵角との乖離をより適切に低減できる。
また同時に、低速補正処理または中速補正処理を実行中、操舵角反力算出部35が、操舵絶対角算出部31が算出した操舵角(絶対角)θh、および車速センサ22が検出した車速Vに基づいて操舵角反力指令値TFFを算出する。また、電流反力算出部36が、転舵電流検出部24が検出した転舵電流に基づいて電流反力指令値TFBを算出する。続いて、配分比率設定部37が、算出した操舵角反力指令値TFFおよび電流反力指令値TFBに基づいて配分後指令値を算出する。その際、配分比率設定部37は、低速補正処理または中速補正処理を実行中であると判定し、配分比率GFBを0.7とする。これにより、配分比率設定部37が、電流反力指令値TFBと操舵角反力指令値TFFとを0.7:0.3の割合で合算して配分後指令値を算出する。続いて、転舵角制御部43が、配分比率設定部37が算出した配分後指令値に応じた電流指令値Ifcmdを算出する。続いて、電流制御ドライバ39が、算出した電流指令値Ifcmdに駆動実電流(転舵電流)Ifrealが一致するように、反力モータ9に供給する駆動電流Ifdriを制御する。そして、反力モータ9が、ステアリングホイール5に付与する操舵反力を制御する。
さらに、車両1の車速Vが40km/h以上になったとする。また、車両1が直進走行を行っており、ヨーレートγの絶対値が0.2deg/s以下であり、操舵角速度dθh/dtの絶対値が20deg/s以下であったとする。すると、ピニオン角指令値補正部33は、高速補正処理実行条件を満たすと判定する(図9のステップS202「Yes」)。そして、高速補正処理実行条件が満たされた状態が200msec以上継続すると、つまり、車両1が200msec以上継続して高速で直進走行を行うと、ピニオン角指令値補正部33が、ピニオン角指令値算出部32が算出した転舵指令角θpcmdに基づいて補正角速度Δθcalを算出する(図13のステップS501)。その際、ピニオン角指令値補正部33が、ピニオン角指令値算出部32が算出した転舵指令角θpcmdに予め設定したゲイン(例えば、2-11=0.000048828125)を乗算し、乗算結果を補正角速度Δθcalとする。これにより、ピニオン角指令値補正部33が、高速補正処理において、低速補正処理および中速補正処理と比較して、単位時間当たりの補正角の変化量(補正角速度Δθcal)を小さくする。ここで、例えば、転舵指令角θpcmdが正値(例えば、1deg)であったとする。すると、ピニオン角指令値補正部33は、転舵指令角θpcmd(1deg)にゲイン(2-11)を乗算したものを補正角速度Δθcalとする。これにより、補正角速度Δθcalは正値(2-11)となる。続いて、ピニオン角指令値補正部33は、算出した補正角速度Δθcal(2-11)を補正角θcal(中速補正処理終了時の補正角θcal。例えば、正値とする。)に加算する(図13のステップS501)。続いて、ピニオン角指令値補正部33は、算出した補正角θcal(>0)をピニオン角指令値算出部32が算出した転舵指令角θpcmdに加算し、加算結果を補正後指令角θpcmdcoとする(図13のステップS502)。それゆえ、補正後指令角θpcmdcoが増大する。続いて、ピニオン角指令値補正部33は、算出した補正後指令角θpcmdcoを転舵角制御部43に出力する(図13のステップS502)。これにより、転舵角制御部43が、ピニオン絶対角算出部42が算出したピニオン絶対角θpと、ピニオン角指令値補正部33が算出した補正後指令角θpcmdcoとの偏差に応じた電流指令値Ipcmdを算出する。続いて、電流制御ドライバ44が、算出した電流指令値Ipcmdに駆動実電流Iprealが一致するように、転舵モータ11に供給する駆動電流Ipdriを制御する。また、転舵モータ11が、ピニオン絶対角θpを制御し、ピニオン絶対角θp(転舵角)が増大する。これに対し、運転者が、ステアリングホイール5を左方向に転舵すると、転舵指令角θpcmdが低減し、ピニオン絶対角θp(転舵角)が低減して、車両1が直進走行を継続する。そして、上記フローを繰り返すことで、低速補正処理の実行時と同様に、車両1が直進走行を継続しつつ、転舵指令角θpcmdと実際の転舵角との乖離が低減される。
また同時に、低速補正処理または中速補正処理の完了後、高速補正処理を実行中、操舵角反力算出部35が、操舵絶対角算出部31が算出した操舵角(絶対角)θh、および車速センサ22が検出した車速Vに基づいて操舵角反力指令値TFFを算出する。また、電流反力算出部36が、転舵電流検出部24が検出した転舵電流に基づいて電流反力指令値TFBを算出する。続いて、配分比率設定部37が、算出した操舵角反力指令値TFFおよび電流反力指令値TFBに基づいて配分後指令値を算出する。その際、配分比率設定部37は、低速補正処理または中速補正処理を実行中でないと判定し、配分比率GFBを0.5とする。これにより、配分比率設定部37が、電流反力指令値TFBと操舵角反力指令値TFFとを0.5:0.5の割合で合算して配分後指令値を算出する。続いて、転舵角制御部43が、配分比率設定部37が算出した配分後指令値に応じた電流指令値Ifcmdを算出する。続いて、電流制御ドライバ39が、算出した電流指令値Ifcmdに駆動実電流(転舵電流)Ifrealが一致するように、反力モータ9に供給する駆動電流Ifdriを制御する。そして、反力モータ9が、ステアリングホイール5に付与する操舵反力を制御する。
このように、本実施形態では、ピニオン角指令値補正部33が、高速補正処理において、低速補正処理および中速補正処理と比較して、単位時間当たりの補正角の変化量(補正角速度Δθcal)を小さくする構成とした。それゆえ、本実施形態では、単位時間当たりの補正角の変化量(補正角速度Δθcal)が低速補正処理および中速補正処理より小さい高速補正処理を行う。そのため、本実施形態では、転舵指令角θpcmdと該転舵指令角θpcmdに基づいて発生する転舵角との乖離を緩やかに低減でき、該乖離をより高精度に低減できる。これにより、本実施形態では、転舵指令角θpcmdと実際の転舵角との乖離をより適切に低減できる。
また、本実施形態では、高速補正処理は、低速補正処理および中速補正処理と比較して、単位時間当たりの補正角θcalの変化量(補正角速度Δθcal)が小さくする構成とした。それゆえ、本実施形態では、まず、単位時間当たりの補正角の変化量(補正角速度Δθcal)が高速補正処理より大きい低速補正処理および中速補正処理を行う。そのため、本実施形態では、転舵指令角θpcmdと実際の転舵角との乖離をより高速に低減できる。続いて、本実施形態では、単位時間当たりの補正角の変化量(補正角速度Δθcal)が低速補正処理および中速補正処理より小さい高速補正処理を行う。そのため、本実施形態では、転舵指令角θpcmdと実際の転舵角との乖離を緩やかに低減でき、転舵指令角θpcmdと実際の転舵角との乖離をより高精度に低減できる。これにより、本実施形態では、転舵指令角θpcmdと実際の転舵角との乖離をより適切に低減できる。
さらに、本実施形態では、低速補正処理および中速補正処理のいずれかを実行中である場合には、低速補正処理および中速補正処理のいずれも実行中でない場合と比較して、操舵角反力指令値TFFの配分比率(1−GFB)を低減させる(0.3とする)構成とした。そのため、本実施形態では、例えば、低速補正処理および中速補正処理のいずれかを実行中であり、低速補正処理および中速補正処理を完了していない場合には、低速補正処理および中速補正処理のいずれも実行中でない場合(完了している場合)と比較して、操舵角反力指令値TFFの配分比率(1−GFB)を低減させる。それゆえ、本実施形態では、例えば、転舵角(絶対角)θpの中立位置と操舵角(絶対角)θhの中立位置との間に乖離があり、転舵角(絶対角)θpが0degのときに操舵角(絶対角)θhが0deg以外(例えば、5deg)となったとしても、配分後指令値の増大を抑制できる。これにより、直進走行中に操舵反力が付与されて運転者に違和感を与える可能性を低減することができる。
本実施形態では、図1の前輪3FL、3FRが操向輪を構成する。以下同様に、図1のステアリングホイール5がステアリングホイールを構成する。さらに、図1、図3の操舵絶対角センサ7、図3の操舵絶対角算出部31が操舵角取得部を構成する。さらに、図1、図3の反力コントローラ30、図3のピニオン角指令値算出部32が指令角算出部を構成する。また、低速補正処理および中速補正処理が補正後指令角、第1転舵指令角補正および第1転舵角補正を構成する。さらに、図1、図3の反力コントローラ30、図3のピニオン角指令値補正部33、図7のステップS104、図8のステップS205、S213、S220が転舵指令角補正部を構成する。また、転舵モータ角センサ12が信号出力部を構成する。さらに、図1、図3の転舵コントローラ40、図3のピニオン絶対角算出部42が転舵角推定部を構成する。さらに、図1、図3の転舵モータ11、転舵コントローラ40、転舵角制御部43、電流制御ドライバ44が転舵制御部を構成する。また、図1、図3の反力コントローラ30、図3のピニオン角指令値補正部33、図10のステップS302が操舵判定部を構成する。さらに、高速補正処理が第2転舵指令角補正および第2転舵角補正を構成する。さらに、図1の転舵モータ11が転舵モータを構成する。また、図1の転舵モータ角センサ12が回転角取得部を構成する。また、図1、図3の反力コントローラ30、図3の記憶部34が記憶部を構成する。さらに、図1、図7の反力コントローラ30、図7の操舵角反力算出部35が操舵角反力指令値算出部を構成する。また、図1、図7の転舵電流検出部24が状態量検出部を構成する。さらに、図1、図7の反力コントローラ30、図7の電流反力算出部36が状態量反力指令値算出部を構成する。また、図1、図7の反力コントローラ30、図7の配分比率設定部37が配分後指令値算出部、直進走行判定部および中立補正角取得部を構成する。さらに、図1、図7の反力モータ9が反力モータを構成する。また、図1、図7の反力コントローラ30、図7の反力制御部38、電流制御ドライバ39が反力制御部を構成する。さらに、図1の車速センサ22が車速検出部を構成する。
(本実施形態の効果)
本実施形態は、次のような効果を奏する。
(1)ピニオン角指令値補正部33が、転舵指令角θpcmdと該転舵指令角θpcmdに基づいて発生する転舵角との乖離を低減させるための補正角θcalを設定するとともに設定した補正角θcalに基づいて転舵指令角θpcmdを補正して補正後指令角θpcmdcoとする低速補正処理および中速補正処理を行う。そして、ピニオン角指令値補正部33が、補正した補正後指令角θpcmdcoおよびピニオン絶対角算出部42が算出したピニオン絶対角θpに基づいて前輪3FL、3FRを転舵する。その際、ピニオン角指令値補正部33が、低速補正処理および中速補正処理は、操舵中であると判定した場合には、操舵中でないと判定した場合と比較して、単位時間当たりの補正角θcalの変化量(補正角速度Δθcal)を大きくする。
このような構成によれば、例えば、運転者が操舵中でなく、補正による転舵指令角θpcmdの変化、つまり、転舵角の変化に運転者が気づき易い場合には、運転者が操舵中である場合と比較して、単位時間当たりの補正角の変化量(補正角速度Δθcal)を低減する。それゆえ、補正による転舵指令角θpcmdの変化が運転者に気づかれることを防止できる。また、例えば、運転者が操舵中であり、補正による転舵指令角θpcmdの変化、つまり、転舵角の変化に運転者が気づき難い場合には、操舵中でない場合と比較して、単位時間当たりの補正角θcalの変化量を増大する。それゆえ、転舵指令角θpcmdと実際の転舵角との乖離をより高速に低減できる。これにより、転舵角の指令値である転舵指令角θpcmdと実際の転舵角との乖離をより適切に低減できる。
(2)ピニオン角指令値補正部33が、低速補正処理および中速補正処理が終了した後、転舵指令角θpcmdと該転舵指令角θpcmdに基づいて発生する転舵角との乖離を低減させるための補正角θcalを設定するとともに設定した補正角に基づいて転舵指令角θpcmdを補正して補正後指令角θpcmdcoとする高速補正処理を行う。その際、ピニオン角指令値補正部33が、高速補正処理は、低速補正処理および中速補正処理と比較して単位時間当たりの補正角の変化量(補正角速度Δθcal)を小さくする。
このような構成によれば、単位時間当たりの補正角の変化量(補正角速度Δθcal)が低速補正処理および中速補正処理より小さい高速補正処理を行う。それゆえ、転舵指令角θpcmdと該転舵指令角θpcmdに基づいて発生する転舵角との乖離を緩やかに低減でき、該乖離をより高精度に低減できる。これにより、転舵指令角θpcmdと実際の転舵角との乖離をより適切に低減できる。
(3)高速補正処理は、転舵指令角θpcmdに設定値(ゲイン=2-11)を乗算して単位時間当たりの補正角の変化量(補正角速度Δθcal)を算出する。
このような構成によれば、単位時間当たりの補正角の変化量(補正角速度Δθcal)を比較的容易に算出できる。
(4)ピニオン角指令値補正部33が、転舵指令角θpcmdと該転舵指令角θpcmdに基づいて発生する転舵角との乖離を低減させるための補正角θcalを設定するとともに設定した補正角に基づいて転舵指令角θpcmdを補正して補正後指令角θpcmdcoとする低速補正処理、中速補正処理および高速補正処理を順に行う。そして、ピニオン角指令値補正部33が、補正した転舵指令角(補正後指令角θpcmdco)および操舵絶対角算出部31が算出した操舵角(絶対角)θhに基づいて前輪3FL、3FRを転舵する。その際、高速補正処理は、低速補正処理および中速補正処理と比較して、単位時間当たりの補正角θcalの変化量(補正角速度Δθcal)を小さくする。
このような構成によれば、まず、単位時間当たりの補正角の変化量(補正角速度Δθcal)が高速補正処理より大きい低速補正処理および中速補正処理を行う。それゆえ、転舵指令角θpcmdと実際の転舵角との乖離をより高速に低減できる。続いて、単位時間当たりの補正角の変化量(補正角速度Δθcal)が低速補正処理および中速補正処理より小さい高速補正処理を行う。それゆえ、転舵指令角θpcmdと実際の転舵角との乖離を緩やかに低減でき、転舵指令角θpcmdと実際の転舵角との乖離をより高精度に低減できる。これにより、転舵指令角θpcmdと実際の転舵角との乖離をより適切に低減できる。
(5)ピニオン角指令値補正部33が、転舵制御の開始時に前回の転舵制御の終了時の操舵角(絶対角)θhzと操舵絶対角センサ7が検出した操舵角(絶対角)θhとの差が閾値θth以下であり且つ前回の転舵制御の終了時の転舵モータ角θmzと転舵モータ角センサ12が検出した転舵モータ角θmとの差が設定値θmzth以下であると判定した場合には、低速補正処理および中速補正処理を省略し、高速補正処理のみを行う。
このような構成によれば、前回の転舵制御の終了時の操舵角(絶対角)θhzと新しい転舵制御の開始時の操舵角(絶対角)θhとの差が閾値θth以下であり且つ前回の転舵制御の終了時の転舵モータ角θmzと新しい転舵制御の開始時の転舵モータ角θmとの差が設定値θmzth以下であると判定した場合に、低速補正処理および中速補正処理を省略する。これにより、転舵制御の終了後から転舵制御の開始前の間にステアリングホイール5の操舵が行われておらず、転舵指令角θpcmdと実際の転舵角との乖離が十分に小さい場合に、比較的精度の低い低速補正処理および中速補正処理が実行されてしまい、該乖離が増大することを防止できる。
(6)配分比率設定部37が、電流反力指令値TFBと操舵角反力指令値TFFとを予め設定した配分比率GFB:(1−GFB)で配分して、操舵反力の指令値である配分後指令値を算出する。そして、反力制御部38および電流制御ドライバ39が、算出した配分後指令値に基づいて反力モータ9を駆動する。その際、配分比率設定部37が、低速補正処理および中速補正処理のいずれかを実行中である場合には、低速補正処理および中速補正処理のいずれも実行中でない場合と比較して、操舵角反力指令値TFFの配分比率(1−GFB)を低減させる。
このような構成によれば、例えば、低速補正処理および中速補正処理のいずれかを実行中であり、低速補正処理および中速補正処理のいずれかを完了していない場合には、低速補正処理および中速補正処理のいずれも実行中でない場合(完了している場合)と比較して、操舵角反力指令値TFFの配分比率(1−GFB)を低減させる。それゆえ、例えば、転舵角(絶対角)θpの中立位置と操舵角(絶対角)θhの中立位置との間に乖離があり、転舵角(絶対角)θpが0degのときに操舵角(絶対角)θhが0deg以外(例えば、5deg)となったとしても、配分後指令値の増大を抑制できる。これにより、直進走行中に操舵反力が付与されて運転者に違和感を与える可能性を低減することができる。
(7)転舵電流検出部24が、転舵モータ11を駆動する電流である転舵電流を検出する。続いて、前記状態量反力指令値算出部は、転舵電流検出部24が検出した転舵電流に基づいて操舵反力の指令値である状態量反力指令値(電流反力指令値)を算出する。
このような構成によれば、状態量反力指令値を比較的容易に算出できる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図面を参照して説明する。
なお、上記各実施形態と同様な構成等については同一の符号を使用する。
本実施形態は、低速中立補正処理または中速中立補正処理を実行中でない場合には、車速Vが低いほど操舵角反力指令値TFFの配分比率(1−GFB)を増大させる構成となっている。また、本実施形態は、低速中立補正処理または中速中立補正処理を実行中である場合には、車速Vが低いほど操舵角反力指令値TFFの配分比率(1−GFB)の低減量を増大させる構成となっている。具体的には、本実施形態は、第1実施形態とは、配分比率設定部37における、電流反力指令値TFBと操舵角反力指令値TFFとの配分比率GFB:(1−GFB)の設定方法が異なる。
図14は、低速中立補正角、中速中立補正角と配分比率(1−GFB)との関係を示す図である。
配分比率(1−GFB)の設定方法としては、配分比率設定部37は、ピニオン角指令値補正部33が低速補正処理または中速補正処理を実行中であるか否かを判定する。そして、配分比率設定部37は、低速補正処理または中速補正処理を実行中でないと判定した場合には、図14の制御マップを参照して、前記ステップS201で取得した車速Vに応じた配分比率GFBを算出する。図14の制御マップでは、低速補正処理または中速補正処理を実行中でないと判定した場合には、車速Vが0である場合に配分比率GFBを予め設定した設定値(例えば、0.2)とする。また、図14の制御マップでは、低速補正処理または中速補正処理を実行中でないと判定した場合には、車速Vが0より大きい場合には、車速Vが大きくなるほど配分比率GFBを大きくする。これにより、図14の制御マップでは、低速中立補正処理または中速中立補正処理を実行中でない場合には、車速Vが低いほど操舵角反力指令値TFFの配分比率(1−GFB)を増大させる。一方、配分比率設定部37は、低速補正処理または中速補正処理を実行中であると判定した場合には、低速補正処理または中速補正処理を実行中でないと判定した場合と同様に、図14の制御マップを参照して、前記ステップS201で取得した車速Vに応じた配分比率GFBを算出する。図14の制御マップでは、低速補正処理または中速補正処理を実行中であると判定した場合には、車速Vが0である場合に配分比率GFBを予め定めた設定値(例えば、0.7)とする。また、図14の制御マップでは、低速補正処理または中速補正処理を実行中であると判定した場合には、車速Vが0より大きい場合には、車速Vが大きくなるほど配分比率GFBを大きくする。ここで、図14の制御マップでは、低速中立補正処理または中速中立補正処理を実行中である場合には、低速中立補正処理または中速中立補正処理を実行中でない場合と比較して、車速Vの増大に対する配分比率GFBの増大量を小さくする。これにより、配分比率設定部37は、低速中立補正処理または中速中立補正処理を実行中である場合には、低速中立補正処理または中速中立補正処理を実行中でない場合と比較して、車速Vが低いほど、操舵角反力指令値TFFの配分比率(1−GFB)の低減量を増大させる。
(本実施形態の効果)
本実施形態は、第1実施形態の(1)〜(7)の効果に加え次のような効果を奏する。
(1)配分比率設定部37は、低速中立補正処理または中速中立補正処理を実行中でない場合には、車速Vが低いほど操舵角反力指令値TFFの配分比率(1−GFB)を増大させる。また、配分比率設定部37は、低速中立補正処理または中速中立補正処理を実行中である場合には、低速中立補正処理または中速中立補正処理を実行中でない場合と比較して、操舵角反力指令値TFFの配分比率(1−GFB)を低減させる。その際、配分比率設定部37は、低速中立補正処理または中速中立補正処理を実行中である場合には、車速Vが低いほど操舵角反力指令値TFFの配分比率(1−GFB)の低減量を増大させる。
このような構成によれば、低速中立補正処理または中速中立補正処理を実行していない場合には、車速Vが低く、電流反力指令値TFBの算出精度が低い場合ほど、操舵角反力指令値TFFの配分比率(1−GFB)を増大する。これにより、配分後指令値の算出精度の低下を抑制できる。また、低速中立補正処理または中速中立補正処理を実行している場合には、車速Vが低く、転舵角の中立位置と操舵角の中立位置との間の乖離が大きい場合ほど、操舵角反力指令値TFFの配分比率(1−GFB)の低減量を増大する。これにより、直進走行時に付与する操舵反力をより適切に低減できる。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について図面を参照して説明する。
なお、上記各実施形態と同様な構成等については同一の符号を使用する。
本実施形態は、低速中立補正処理または中速中立補正処理を実行中である場合には、低速中立補正角θcorrectlowまたは中速中立補正角θcorrectmidの絶対値が大きいほど、操舵角反力指令値TFFの配分比率(1−GFB)の低減量を増大させる構成となっている。具体的には、本実施形態は、第1実施形態とは、配分比率設定部37における、電流反力指令値TFBと操舵角反力指令値TFFとの配分比率GFB:(1−GFB)の設定方法が異なる。
図15は、低速中立補正角、中速中立補正角と配分比率(1−GFB)との関係を示す図である。
配分比率(1−GFB)の設定方法としては、配分比率設定部37は、ピニオン角指令値補正部33が低速補正処理または中速補正処理を実行中であるか否かを判定する。そして、配分比率設定部37は、低速補正処理および中速補正処理のいずれも実行中でないと判定した場合には、図15に示すように、配分比率GFBを予め設定した設定値(例えば、0.5)とする。一方、配分比率設定部37は、低速補正処理または中速補正処理を実行中であると判定した場合には、図15の制御マップを参照して、前記ステップS219で算出した低速中立補正角θcorrectlowの絶対値または前記ステップS212で算出した中速中立補正角θcorrectmidの絶対値に応じた配分比率GFBを算出する。図15の制御マップでは、低速中立補正角θcorrectlowまたは中速中立補正角θcorrectmidの絶対値が0である場合に配分比率GFBを予め設定した設定値(0.5)とする。また、図15の制御マップでは、低速中立補正角θcorrectlowまたは中速中立補正角θcorrectmidの絶対値が0より大きい場合には、低速中立補正角θcorrectlowまたは中速中立補正角θcorrectmidの絶対値が大きくなるほど配分比率GFBを大きくする。これにより、配分比率設定部37は、低速中立補正処理または中速中立補正処理を実行中である場合には、低速中立補正処理または中速中立補正処理を実行中でない場合と比較して、低速中立補正角θcorrectlowまたは中速中立補正角θcorrectmidの絶対値が大きいほど、操舵角反力指令値TFFの配分比率(1−GFB)の低減量を増大させる。
(本実施形態の効果)
本実施形態は、第1実施形態の(1)〜(7)の効果に加え次のような効果を奏する。
(1)配分比率設定部37は、低速中立補正処理または中速中立補正処理を実行中である場合には、低速中立補正角θcorrectlowまたは中速中立補正角θcorrectmidの絶対値が大きいほど操舵角反力指令値TFFの配分比率(1−GFB)の低減量を増大させる。
このような構成によれば、低速中立補正処理または中速中立補正処理を実行している場合には、低速中立補正角θcorrectlowまたは中速中立補正角θcorrectmidの絶対値、つまり、直進走行時における操舵角(絶対角)θhの絶対値が大きく、操舵角反力指令値TFFの絶対値が大きい場合ほど、操舵角反力指令値TFFの配分比率(1−GFB)の低減量を増大する。これにより、直進走行時に付与する操舵反力をより適切に低減できる。
以上、本願が優先権を主張する日本国特許出願2012−216168(2012年9月28日出願)、日本国特許出願2012−216169(2012年9月28日出願)、日本国特許出願2012−216170(2012年9月28日出願)の全内容は、参照により本開示の一部をなす。
ここでは、限られた数の実施形態を参照しながら説明したが、権利範囲はそれらに限定されるものではなく、上記の開示に基づく各実施形態の改変は当業者にとって自明なことである。
3FL、3FR 前輪(操向輪)
5 ステアリングホイール(ステアリングホイール)
7 操舵絶対角センサ(操舵角取得部)
9 反力モータ(反力モータ)
11 転舵モータ(転舵制御部、転舵モータ)
12 転舵モータ角センサ(信号出力部、回転角取得部)
22 車速センサ(車速検出部)
24 転舵電流検出部(状態量検出部)
30 反力コントローラ(指令角算出部、転舵指令角補正部、操舵判定部、記憶部、操舵角反力指令値算出部、状態量反力指令値算出部、配分後指令値算出部、直進走行判定部、中立補正角取得部、反力制御部)
31 操舵絶対角算出部(操舵角取得部)32 ピニオン角指令値算出部(指令角算出部)
33 ピニオン角指令値補正部(転舵指令角補正部、操舵判定部)
34 記憶部(記憶部)
35 操舵角反力算出部(操舵角反力指令値算出部)
36 電流判定算出部(状態量反力指令値算出部)
37 配分比率設定部(配分後指令値算出部、直進走行判定部、中立補正角取得部)
38 反力制御部(反力制御部)
39 電流制御ドライバ(反力制御部)
40 転舵コントローラ(転舵角推定部、転舵制御部)
42 ピニオン絶対角算出部(転舵角推定部)
43 転舵角サーボ(転舵制御部)
44 電流制御ドライバ(転舵制御部)
44、転舵モータ11(転舵制御部)
ステップS104、ステップS205、S213、S220(転舵指令角補正部)
ステップS302(操舵判定部)
低速補正処理、中速補正処理(補正後指令角、第1転舵指令角補正、第1転舵角補正)
高速補正処理(第2転舵指令角補正、第2転舵角補正)
【0002】
ールの操舵角に基づいて転舵指令角を算出する。また、操向輪の転舵に応じて変化する信号に基づいて操向輪の操舵角を推定する。さらに、車両が直進走行を行っていると判定したときに、推定した転舵角を取得する。続いて、取得した転舵角の方向に転舵指令角を徐々に変化させるための補正角を設定するとともに設定された補正角を転舵指令角に加算して補正後指令角を算出する転舵指令角補正を行う。続いて、算出した補正後指令角および推定した転舵角に基づいて操向輪を転舵する。その際、本発明の一実施形態では、運転者が操舵中であると判定した場合には、運転者が操舵中でないと判定した場合と比較して、単位時間当たりの補正角の変化量を大きくする。
発明の効果
[0006]
本発明の一態様では、例えば、運転者が操舵中でなく、補正による転舵指令角の変化、つまり、転舵角の変化に運転者が気づき易い場合には、運転者が操舵中である場合と比較して、単位時間当たりの補正角の変化量を低減する。それゆえ、補正による転舵指令角の変化が運転者に気づかれることを防止できる。また、例えば、運転者が操舵中であり、補正による転舵指令角の変化、つまり、転舵角の変化に運転者が気づき難い場合には、操舵中でない場合と比較して、単位時間当たりの補正角の変化量を増大する。それゆえ、転舵指令角と実際の転舵角との乖離をより高速に低減できる。これにより、本発明の一態様では、転舵角の指令値である転舵指令角と実際の転舵角との乖離をより適切に低減できる。
図面の簡単な説明
[0007]
[図1]車両用操舵装置2を適用した車両1の全体構成図である。
[図2]極対数が3のレゾルバの電気角と機械角との関係を表すグラフである。
[図3]車両用操舵装置2の制御ブロック図である。
[図4]ピニオン角指令値補正部33の制御ブロック図である。
[図5]ざっくり補正部33cの制御ブロック図である。
[図6]高精度補正部33dの制御ブロック図である。

Claims (10)

  1. 操向輪と機械的に分離されたステアリングホイールと、
    前記ステアリングホイールの操舵角の絶対角を取得する操舵角取得部と、
    前記操舵角取得部が取得した操舵角の絶対角に基づいて転舵指令角を算出する指令角算出部と、
    前記指令角算出部が算出した転舵指令角と該転舵指令角に基づいて発生する転舵角との乖離を低減させるための補正角を設定するとともに設定した補正角に基づいて前記指令角算出部が算出した転舵指令角を補正して補正後指令角とする転舵指令角補正を行う転舵指令角補正部と、
    前記操向輪の転舵に応じて変化する変化量を検出する変化量検出部と、
    前記変化量検出部が検出した変化量に基づいて前記操向輪の転舵角を推定する転舵角推定部と、
    前記転舵指令角補正部が補正した補正後指令角および前記転舵角推定部が推定した転舵角に基づいて前記操向輪を転舵する転舵制御を行う転舵制御部と、
    操舵中であるか否かを判定する操舵判定部と、を備え、
    前記転舵指令角補正は、前記操舵判定部が操舵中であると判定した場合には、前記操舵判定部が操舵中でないと判定した場合と比較して、単位時間当たりの補正角の変化量を大きくすることを特徴とする転舵制御装置。
  2. 前記転舵指令角補正部は、前記転舵指令角補正である第1転舵指令角補正が終了した後、前記指令角算出部が算出した転舵指令角と該転舵指令角に基づいて発生する転舵角との乖離を低減させるための補正角を設定するとともに設定した補正角に基づいて前記指令角算出部が算出した転舵指令角を補正して補正後指令角とする第2転舵指令角補正を行い、
    前記第2転舵指令角補正は、前記第1転舵指令角補正と比較して単位時間当たりの補正角の変化量が小さいことを特徴とする請求項1に記載の転舵制御装置。
  3. 前記第2転舵指令角補正は、前記指令角算出部が算出した転舵指令角に設定値を乗算して単位時間当たりの補正角の変化量を算出することを特徴とする請求項2に記載の転舵制御装置。
  4. 操向輪と機械的に分離されたステアリングホイールと、
    前記ステアリングホイールの操舵角の絶対角を取得する操舵角取得部と、
    前記操舵角取得部が取得した操舵角の絶対角に基づいて転舵指令角を算出する指令角算出部と、
    前記指令角算出部が算出した転舵指令角と該転舵指令角に基づいて発生する転舵角との乖離を低減させるための補正角を設定するとともに設定した補正角に基づいて前記指令角算出部が算出した転舵指令角を補正して補正後指令角とする第1転舵角補正および第2転舵角補正を順に行う転舵指令角補正部と、
    前記操向輪の転舵に応じて変化する変化量を検出する変化量検出部と、
    前記変化量検出部が検出した変化量に基づいて前記操向輪の転舵角を推定する転舵角推定部と、
    前記転舵指令角補正部が補正した補正後指令角および前記転舵角推定部が推定した転舵角に基づいて前記操向輪を転舵する転舵制御を行う転舵制御部と、を備え、
    前記第2転舵角補正は、前記第1転舵角補正と比較して、単位時間当たりの前記補正角の変化量が小さいことを特徴とする転舵制御装置。
  5. 前記操向輪を転舵駆動する転舵モータと、
    前記転舵モータの回転角を取得する回転角取得部と、
    前記転舵制御の終了時に前記操舵角取得部が取得した操舵角および前記回転角取得部が取得した回転角を記憶する記憶部と、を備え、
    前記転舵指令角補正部は、前記転舵制御の開始時に前記記憶部が記憶している前回の前記転舵制御の終了時の操舵角と前記操舵角取得部が取得した操舵角との差が設定値以下であり且つ前記記憶部が記憶している前回の前記転舵制御の終了時の回転角と前記回転角取得部が取得した転舵角との差が設定値以下であると判定した場合には、前記第1転舵角補正を省略し、前記第2転舵角補正のみを行うことを特徴とする請求項4に記載の転舵制御装置。
  6. 操向輪と機械的に分離されたステアリングホイールと、
    前記ステアリングホイールの操舵角の絶対角を取得する操舵角取得部と、
    前記操舵角取得部が取得した操舵角の絶対角に基づいて転舵指令角を算出する指令角算出部と、
    前記指令角算出部が算出した転舵指令角と該転舵指令角に基づいて発生する転舵角との乖離を低減させるための補正角を設定するとともに設定した補正角に基づいて前記指令角算出部が算出した転舵指令角を補正して補正後指令角とする転舵指令角補正を行う転舵指令角補正部と、
    前記操向輪の転舵に応じて変化する変化量を出力する変化量検出部と、
    前記変化量検出部が検出した変化量に基づいて前記操向輪の転舵角を推定する転舵角推定部と、
    前記操向輪を転舵する転舵モータと、
    前記転舵指令角補正部が補正した補正後指令角および前記転舵角推定部が推定した転舵角に基づいて前記転舵モータを駆動する転舵制御部と、
    前記操舵角取得部が取得した操舵角に基づいて操舵反力の指令値である操舵角反力指令値を算出する操舵角反力指令値算出部と、
    前記操向輪に作用するタイヤ横力によって変動する車両の状態量を検出する状態量検出部と、
    前記状態量検出部が検出した前記車両の状態量に基づいて操舵反力の指令値である状態量反力指令値を算出する状態量反力指令値算出部と、
    前記操舵角反力指令値算出部が算出した操舵角反力指令値と前記状態量反力指令値算出部が算出した状態量反力指令値とを予め設定した配分比率で配分して、操舵反力の指令値である配分後指令値を算出する配分後指令値算出部と、
    前記ステアリングホイールに操舵反力を付与する反力モータと、
    前記配分後指令値算出部が算出した配分後指令値に基づいて前記反力モータを駆動する反力制御部と、を備え、
    前記配分後指令値算出部は、前記転舵指令角補正を実行中である場合には、前記転舵指令角補正を実行中でない場合と比較して、前記操舵角反力指令値算出部が算出した操舵角反力指令値の配分比率を低減させることを特徴とする転舵制御装置。
  7. 前記状態量検出部は、前記転舵モータを駆動する電流である転舵電流を検出し、
    前記状態量反力指令値算出部は、前記状態量検出部が検出した転舵電流に基づいて前記状態量反力指令値を算出することを特徴とする請求項6に記載の転舵制御装置。
  8. 車速を検出する車速検出部を備え、
    前記配分後指令値算出部は、前記転舵指令角補正を実行中でない場合には、前記車速検出部が検出した車速が低いほど前記操舵角反力指令値算出部が算出した操舵角反力指令値の配分比率を増大させるとともに、前記転舵指令角補正を実行中である場合には、前記車速検出部が検出した車速が低いほど前記操舵角反力指令値算出部が算出した操舵角反力指令値の配分比率の低減量を増大させることを特徴とする請求項6または7に記載の転舵制御装置。
  9. 直進走行中であるか否かを判定する直進走行判定部と、
    前記直進走行判定部が直進走行中であると判定した場合に前記転舵角推定部が推定した転舵角である中立補正角を取得する中立補正角取得部と、を備え、
    前記配分後指令値算出部は、前記転舵指令角補正を実行中である場合には、前記中立補正角取得部が取得した中立補正角の絶対値が大きいほど前記操舵角反力指令値算出部が算出した操舵角反力指令値の配分比率の低減量を増大させることを特徴とする請求項6または7に記載の転舵制御装置。
  10. 前記変化量検出部は、前記操向輪の転舵に応じて周期的に変化する信号を前記変化量として出力することを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の転舵制御装置。
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