JPWO2014034688A1 - 基板表面の改質方法、改質膜、及び基板表面の改質に用いられる被覆溶液 - Google Patents

基板表面の改質方法、改質膜、及び基板表面の改質に用いられる被覆溶液 Download PDF

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まい 菅原
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Abstract

基板の材質によらず、良好に基板表面を改質できるシリル化剤による基板表面の改質方法を提供すること。また、基板の材質によらず基板表面に良好に密着し、所望する程度に表面改質された基板を与える改質膜を提供すること。さらに、シリル化剤により形成されるシラン化合物層をその表面に良好に固着できる被覆膜を、基板表面に形成できる、被覆溶液を提供すること。基板の表面を加水分解により水酸基を生成し得る金属化合物により処理した後、前述の金属化合物により処理された基板の表面をシリル化剤により処理する。

Description

本発明は、基板表面の改質方法、改質膜、及び基板表面の改質に用いられる被覆溶液に関する。
従来から、種々の基板について、基板表面の、基板表面に接触させる材料との親和性等の性質を調整する目的等で、様々な改質剤による基板表面の改質が行われている。このような基板表面の改質では、取り扱いが容易であることや、改質効果が高いことから、改質の目的に応じて、種々の化学構造のシリル化剤が使用されている。
シリル化剤を用いる基板の表面改質方法としては、例えば、基板表面の重合体材料に対する密着性を改良する目的で、少なくとも1つのアルキルシリル部分を有するオルガノシランをシリル化剤として用いて、基板表面を処理する方法が提案されている(特許文献1)。
特表平11−511900号公報
しかし、特許文献1に記載されるように、シリル化剤により基板表面を処理する場合、タングステン基板、窒化チタン基板、窒化ケイ素基板、銅基板、及び金基板等の基板を用いる場合に、基板表面が所望する程度に基板表面が改質されない問題がある。このため、基板の材質によらず、良好に基板表面を改質できる、シリル化剤による基板表面の改質方法が求められている。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、基板の材質によらず、良好に基板表面を改質できるシリル化剤による基板表面の改質方法を提供することを目的とする。また、本発明は、基板の材質によらず基板表面に良好に密着し、所望する程度に表面改質された基板を与える改質膜を提供することを目的とする。さらに、本発明は、シリル化剤により形成されるシラン化合物層をその表面に良好に固着できる被覆膜を基板表面に形成できる、被覆溶液を提供することを目的とする。
本発明者らは、基板の表面を加水分解により水酸基を生成し得る金属化合物により処理した後、前述の金属化合物により処理された基板の表面をシリル化剤により処理することにより、基板の材質によらず、基板表面が良好に改質されることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の第1の態様は、
基板の表面を、加水分解により水酸基を生成し得る金属化合物により処理する工程と、
前記金属化合物により処理された前記基板の表面を、シリル化剤により処理する工程と、
を含む、基板表面の改質方法である。
本発明の第2の態様は、
基板の表面に加水分解により水酸基を生成し得る金属化合物を塗布して形成される金属化合物層と、前記金属化合物層の表面にシリル化剤を塗布して形成されるシラン化合物層と、からなる改質膜である。
本発明の第3の態様は、第1の態様に係る基板表面の改質方法において、基板の表面の処理に使用する、加水分解により水酸基を生成し得る金属化合物を含有する被覆溶液である。
本発明によれば、基板の材質によらず、良好に基板表面を改質できる、シリル化剤による基板表面の改質方法を提供することができる。また、本発明によれば、基板の材質によらず基板表面に良好に密着し、所望する程度に表面改質された基板を与える改質膜を提供することができる。さらに、本発明は、シリル化剤により形成されるシラン化合物層をその表面に良好に固着できる被覆膜を基板表面に形成できる、被覆溶液を提供することができる。
≪基板表面の改質方法≫
第1の態様に係る基板表面の改質方法は、基板の表面を、加水分解により水酸基を生成し得る金属化合物により処理する工程である第一工程と、前述の金属化合物により処理された基板の表面を、シリル化剤により処理する工程である第二工程と、を含む。以下、第一工程及び第二工程について順に説明する。
[第一工程]
第一工程では、基板の表面を、加水分解により水酸基を生成し得る金属化合物により処理する。以下、基板、基板の表面処理に使用される金属化合物、及び基板表面の処理方法について説明する。
〔基板〕
基板の材質は、特に限定されず、種々の無機基板及び有機基板から選択される。特に、第1の態様に係る方法によれば、タングステン基板、窒化チタン基板、窒化ケイ素基板、銅基板、及び金基板のような、従来知られる方法では表面改質が困難な基板についても、良好に表面改質することができる。
〔金属化合物〕
加水分解により水酸基を生成し得る金属化合物(以下、水酸基生成性金属化合物とも記す)に含まれる金属原子は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。水酸基生成性金属化合物に含まれる金属原子の例としては、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、ニオブ、ケイ素、ホウ素、ランタニド、イットリウム、バリウム、コバルト、鉄、ジルコニウム、及びタンタル等が挙げられる。これらの金属原子の中では、チタン及びケイ素が好ましく、ケイ素がより好ましい。
水酸基生成性金属化合物に含まれる金属原子の数は、1でも、2以上でもよく、1が好ましい。水酸基生成性金属化合物が複数の金属原子を含む場合、複数の金属原子は、同種であってもよく、異種であってもよい。
水酸基生成性金属化合物において、加水分解により水酸基を生成し得る官能基(以下、加水分解性基とも記す)は、金属原子に直接結合していることが望ましい。
水酸基生成性金属化合物に含まれる加水分解性基の数は、金属原子1つに対して、2以上が好ましく、2〜4がより好ましく、4が特に好ましい。水酸基生成性金属化合物が2以上の加水分解性基を有する場合、加水分解により生成する水酸基間の縮合反応によって、水酸基生成金属化合物の縮合物からなる強固な被覆膜が形成されやすい。
好適な加水分解性基の例としては、アルコキシ基、イソシアネート基、及びハロゲン原子等が挙げられる。アルコキシ基としては、炭素数1〜5の、直鎖又は分岐鎖状の脂肪族アルコキシ基が好ましい。好適なアルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、及びn−ブトキシ基等が挙げられる。ハロゲン原子としては、塩素原子、フッ素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が好ましく、塩素原子がより好ましい。
上記の加水分解性基の中では、容易に加水分解されやすく、水酸基生成性金属化合物同士の反応により基板表面に皮膜を形成しやすいことから、イソシアネート基及びハロゲン原子が好ましく、イソシアネート基がより好ましい。
水酸基生成性金属化合物において、加水分解性基とともに、水素原子又は有機基が金属原子に結合していてもよい。有機基としては、炭素数1〜5の、直鎖又は分岐鎖状のアルキル基が好ましい。炭素数1〜5のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、及びtert−ペンチル基が挙げられる。
また、一酸化炭素を配位子とする金属錯体である金属カルボニルも、水酸基生成性金属化合物として挙げられる。金属カルボニルの例としては、ペンタカルボニル鉄(Fe(CO))や、その多核クラスターが挙げられる。
以下に、水酸基生成性金属化合物の好適な例について説明する。水酸基生成性金属化合物の好適な例としては、下記一般式(1)で表される化合物が挙げられる。
m−nMX・・・(1)
式(1)中、Mは、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、ニオブ、ケイ素、ホウ素、ランタニド、イットリウム、バリウム、コバルト、鉄、ジルコニウム、及びタンタルからなる群より選択される金属原子である。Rは、炭素数1〜5の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基である。Xは、炭素数1〜5の直鎖又は分岐鎖状のアルコキシ基、イソシアネート基、及びハロゲン原子からなる群より選択される基である。mは、金属原子Mの価数である。nは2以上m以下の整数である。
一般式(1)において、Xが炭素数1〜5の直鎖又は分岐鎖状のアルコキシ基である場合の水酸基生成性金属化合物の具体例としては、チタンテトラ−n−ブトキシド、ジルコニウムテトラ−n−プロポキシド、アルミニウムトリ−n−ブトキシド、ニオブペンタ−n−ブトキシド、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、及びホウ素トリエトキシド等の希土類金属の金属アルコキシド;ランタニドトリイソプロポキシド、及びイットリウムトリイソプロポキシド等の希土類金属の金属アルコキシドが挙げられる。
以上説明した、2以上のアルコキシ基を有する水酸基生成性金属化合物の加水分解縮合物もまた、アルコキシ基を有し、基板表面に塗布可能であれば、水酸基生成性金属化合物として使用できる。
一般式(1)において、Xがイソシアネート基である場合の水酸基生成性金属化合物の具体例としては、テトライソシアネートシラン、チタンテトライソシアネート、ジルコニウムテトライソシアネート、及びアルミニウムトリイソシアネート等が挙げられる。
一般式(1)において、Xがハロゲン原子である場合、Xとしては、塩素原子、フッ素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が好ましく、塩素原子がより好ましい。一般式(1)において、Xがハロゲン原子である場合の水酸基生成性金属化合物の具体例としては、テトラクロロチタン、テトラクロロシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、エチルトリクロロシラン、ジエチルジクロロシラン、及び塩化コバルト(II)等が挙げられる。
これらの中でも、特に加水分解に対して高活性であり、加熱処理を行わずとも容易に、水酸基生成金属化合物の縮合物からなる被膜を、基板表面に形成できることから、下記一般式(2)で表されるケイ素化合物が好ましい。
4−nSiX・・・(2)
式(2)中、Rは、炭素数1〜5の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基である。Xは、イソシアネート基、及びハロゲン原子からなる群より選択される基である。nは2以上4以下の整数である。一般式(2)において、Xはイソシアネート基であるのが好ましく、nは4であるのが好ましい。
以上説明した金属化合物は、一種を単独で使用してもよく、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
〔処理方法〕
水酸基生成性金属化合物により基板の表面を処理する方法は、基板表面に水酸基生成金属化合物を塗布可能であって、水酸基生成性金属化合物に加水分解反応を生じさせることができる方法であれば特に限定されない。水酸基生成性金属化合物の加水分解は、空気中の水分によっても進行するが、必要に応じて、水酸基生成性金属化合物の加水分解を促進させる目的で、基板表面に水酸基生成性金属化合物を塗布した後、基板表面に水を噴霧又は塗布してもよい。
水酸基生成性金属化合物を基板表面に塗布する方法は特に限定されない。水酸基生成性金属化合物を基板表面に塗布する方法としては、水酸基生成性金属化合物の有機溶媒溶液を基板表面に塗布する方法が好ましい。溶液として水酸基生成性金属化合物を用いることにより、水酸基生成性金属化合物を基板表面に均一に塗布しやすい。また、溶液として水酸基生成性金属化合物を用いると、基板表面に塗布される水酸基生成性金属化合物の量を、形成される塗布膜の厚さを調整することにより、容易に調整できる。
水酸基生成性金属化合物による基板表面の処理は、基板表面に、加水分解された水酸基生成性金属化合物同士が反応して被膜が形成されればよいが、前述の被膜が形成される際、基板表面が、未処理の状態に対して親水化されているのが好ましい。基板表面が親水化されているか否かは、処理前後の基板表面の水の接触角を測定する等公知の手法により基板表面の親水性の程度を測定したりすることにより確認できる。基板表面が親水化されている状態では、水酸基生成性金属化合物により形成される被膜の表面に水酸基がある程度多量に存在するため、後述する第二工程で、シリル化剤が水酸基生成性金属化合物により形成される被膜の表面に結合しやすい。
水酸基生成性金属化合物を溶解させる有機溶媒としては、水酸基生成性金属化合物に含まれる加水分解性基や、水酸基生成金属化合物が加水分解されて生成する水酸基との反応性を有する官能基(例えば、水酸基)を持たない有機溶媒を使用することができる。
水酸基生成性金属化合物を溶解させる有機溶媒の例としては、スルホキシド類、スルホン類、アミド類、ラクタム類、イミアゾリジノン類、アルキレングリコールジアルキルエーテル類、ポリアルキレングリコールジアルキルエーテル類、アルキレングリコールアルキルエーテルアセテート類、ポリアルキレングリコールアルキルエーテルアセテート類、エーテル類、ケトン類、エステル類、ラクトン類、直鎖状、分岐鎖状、又は環状の脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、及びテルペン類が挙げられる。水酸基生成性金属化合物を溶解させる有機溶媒の好適な具体例としては、デカン、デセン等の鎖状脂肪族炭化水素、p−メンタン等の環状脂肪族炭化水素、p−シメン等の芳香族炭化水素が挙げられる。これらの有機溶媒は、単独又は2種以上を混合して使用することができる。
これらの中では、疎水性が高く、水酸基生成性金属化合物の有機溶媒溶液を保管する段階での、水酸基生成性金属化合物中の加水分解性基と、空気中の水分との反応を抑制しやすいため、直鎖状、分岐鎖状、又は環状の炭化水素類が好ましい。
水酸基生成性金属化合物の有機溶媒溶液を基板表面に塗布する場合の、有機溶媒溶液中の水酸基生成性金属化合物の濃度は、所望する膜厚で、有機溶媒溶液の塗布膜を基板表面に形成可能であれば特に限定されない。有機溶媒溶液中の水酸基生成性金属化合物の濃度は、典型的には、0.01〜50質量%が好ましく、0.3〜10質量%がより好ましい。
基板表面に水酸基生成性金属化合物の有機溶媒溶液を基板表面に塗布する方法は、特に限定されず、周知の塗布方法を適用できる。好適な塗布方法の例としては、スプレー法、スピンコート法、ディップコート法、ロールコート法等が挙げられる。
なお、タングステン基板や、銅基板のような表面に自然酸化膜が形成される基板では、水酸基生成性金属化合物による処理の前に、基板表面の自然酸化膜を除去してもよい。
以上、説明した方法により、水酸基生成性金属化合物によりその表面を処理された基板は、処理後に公知の乾燥工程により基板表面が乾燥された状態、又は、乾燥せず、基板表面が濡れた状態で、以下に説明する第二工程に供されてもよい。基板表面での水酸基生成性金属化合物による膜の形成は、空気中の水分のみでも十分に進行するが、基板表面を水に濡れた状態とすることで、より確実に進行する。このため、水酸基生成性金属化合物による処理後に基板表面が水に濡れた状態である場合、基板表面が濡れた状態で基板を第二工程に供することにより、基板表面での水酸基生成性金属化合物による膜の形成をより確実なものとすることができる。
[第二工程]
シリル化工程では、加水分解により水酸基を生成し得る金属化合物により処理された基板の表面を、さらにシリル化剤により処理する。以下、基板表面の改質、シリル化剤、及びシリル化剤による基板表面の処理方法について説明する。
〔基板表面の改質〕
第二工程におけるシリル化剤による処理によって、基板表面が改質される。改質される基板表面の性質は特に限定されず、処理に使用されるシリル化剤の種類によって決定される。
基板表面の改質の具体例としては、撥水化や親水化のような基板表面の水への親和性の調整、四級アンモニウム基を含む正帯電性のシリル化剤や、カルボキシキル基やスルホ基を含む負帯電性のシリル化剤を用いる処理による基板表面への静電気的性質の付与、カルボキシル基、アミノ基、水酸基、及びメルカプト基等の反応性の高い官能基を含むシリル化剤を用いる処理による、基板表面への種々の化学物質への反応性の付与等が挙げられる。
上記の基板表面の改質の中では、撥水化が特に好ましい。表面に微細なパターンが形成された基板について、その表面を撥水化できれば、パターンのパターン倒れが抑制されるからである。
近年、半導体デバイスの高集積化、微細化の傾向が高まり、パターンの微細化・高アスペクト比化が進んでいる。しかしながらその一方で、いわゆるパターン倒れの問題が生じるようになっている。このパターン倒れは、基板上に多数のパターンを並列して形成させる際、隣接するパターン同士がもたれ合うように近接し、場合によってはパターンが基部から折損したりするという現象のことである。このようなパターン倒れが生じると、所望の製品が得られないため、製品の歩留まりや信頼性の低下を引き起こすことになる。
ここでいう「パターン」とは、半導体の製造工程である、リソグラフィー工程(露光・現像工程)で基板上に形成される「レジストパターン」と、リソグラフィー工程後の基板のエッチング工程で形成される、「無機パターン」の両方を含む。本発明に係る基板表面の改質方法は、これらのパターンの内、「無機パターン」の処理により効果的である。
このパターン倒れは、パターン形成後の純水等によるリンス処理において、リンス液が乾燥する際、そのリンス液の表面張力により発生することが分かっている。つまり、乾燥過程でリンス液が除去される際に、パターン間にリンス液の表面張力に基づく応力が働き、パターン倒れが生じることになる。
ここで、リンス後の乾燥過程でパターン間に働く力Fは、以下の式(I)のように表される。ただし、γはリンス液の表面張力を表し、θはリンス液の接触角を表し、Aはパターンのアスペクト比を表し、Dはパターン側壁間の距離を表す。
F=2γ・cosθ・A/D・・・(I)
従って、パターンの表面を撥水化し、リンス液の接触角を高める(cosθを小さくする)ことができれば、リンス後の乾燥過程でパターン間に働く力を低減することができ、パターン倒れを防止することができる。
また、パターンのアスペクト比が大きくなればなるほどパターン間に働く力Fも大きくなるため、撥水化によるパターン倒れの抑制の効果も大きくなる傾向がある。
〔シリル化剤〕
シリル化剤の種類は、基板表面の性質を所望する性質に改質できるものであれば、特に限定されず、従来から、種々の材料の改質に使用されているシリル化剤から適宜選択して使用される。以下、上記の改質の中でも、好適な改質である、基板表面の撥水化に使用されるシリル化剤について説明する。
基板表面の撥水化に使用されるシリル化剤は、基板表面に対する、所望する撥水化効果が得られるものであれば特に限定されず、従来から、種々の材料の撥水化剤として使用されているシリル化剤から適宜選択して使用することができる。好適なシリル化剤としては、以下の一般式(3)〜(10)で表されるシリル化剤や、環状シラザン化合物が挙げられる。以下、一般式(3)〜(10)で表されるシリル化剤と、環状シラザン化合物とについて順に説明する。
(一般式(3)で表されるシリル化剤)
Figure 2014034688
一般式(3)中、R、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、又は有機基を表す。R、R及びRの炭素数の合計は1以上である。Rは、水素原子、又は飽和又は不飽和の鎖状炭化水素基を表す。Rは、水素原子、飽和又は不飽和の鎖状炭化水素基、飽和又は不飽和の非芳香族環状炭化水素基、又は非芳香族複素環基を表す。R及びRは、互いに結合して窒素原子を有する非芳香族複素環を形成してもよい。
、R及びRがハロゲン原子である場合、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、及びフッ素原子が好ましい。
、R及びRが有機基である場合に、有機基は、炭素原子の他に、ヘテロ原子を含んでいてもよい。有機基が含んでいてもよいヘテロ原子の種類は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。有機基が含んでいてもよいヘテロ原子としては、N、O、及びSが好ましい。R、R及びRが有機基である場合に、有機基に含まれる、炭素原子の数と、ヘテロ原子の数との合計は、R、R及びRの炭素数の合計は1以上である限り特に限定されない。R、R及びRが有機基である場合に、有機基に含まれる、炭素原子の数と、ヘテロ原子の数との合計は、1〜10が好ましく、1〜8がより好ましく、1〜3が特に好ましい。R、R及びRが有機基である場合に、有機基としては、飽和又は不飽和の鎖状炭化水素基、アラルキル基、及び芳香族炭化水素基が好ましい。飽和又は不飽和の鎖状炭化水素基の好適な例としては、メチル基、エチル基、ビニル基、n−プロピル基、イソプロピル基、アリル基、1−プロペニル基、イソプロペニル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、3−ブテニル基、n−ペンチル基、ソペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、及びn−デシル基等が挙げられる。これらの鎖状炭化水素基の中では、メチル基、エチル基、ビニル基、n−プロピル基、及びアリル基がより好ましく、メチル基、エチル基、及びビニル基が特に好ましい。アラルキル基の好適な例としては、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、α−ナフチルメチル基、及びβ−ナフチルメチル基が挙げられる。芳香族炭化水素基の好適な例としては、フェニル基、α−ナフチル基、及びβ−ナフチル基が挙げられる。
が飽和又は不飽和の鎖状炭化水素基である場合に、飽和又は不飽和の鎖状炭化水素基の炭素数は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。Rが飽和又は不飽和の鎖状炭化水素基である場合に、飽和又は不飽和の鎖状炭化水素基の炭素数は、1〜10が好ましく、1〜8がより好ましく、1〜3が特に好ましい。Rが飽和又は不飽和の鎖状炭化水素基である場合の、好適な例は、R、R及びRについて、好適な基として挙げられる飽和又は不飽和の鎖状炭化水素基と同様である。
が飽和又は不飽和の鎖状炭化水素基である場合に、飽和又は不飽和の鎖状炭化水素基は、Rと同様である。Rが飽和又は不飽和の環状炭化水素基である場合に、飽和又は不飽和の環状炭化水素基の炭素数は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。Rが飽和又は不飽和の非芳香族環状炭化水素基である場合に、飽和又は不飽和の非芳香族環状炭化水素基の炭素数は、3〜10が好ましく、3〜6がより好ましく、5又は6が特に好ましい。Rが飽和又は環状炭化水素基である場合の好適な例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、及びシクロオクチル基が挙げられる。Rが非芳香族複素環基である場合に、非芳香族複素環基に含まれるヘテロ原子は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。Rが非芳香族複素環基である場合に、非芳香族複素環基に含まれる好適なヘテロ原子としては、N、O、及びSが挙げられる。Rが非芳香族複素環基である場合に、非芳香族複素環基に含まれる、炭素原子の数と、ヘテロ原子の数との合計は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。Rが非芳香族複素環基である場合に、非芳香族複素環基に含まれる、炭素原子の数と、ヘテロ原子の数との合計は、3〜10が好ましく、3〜6がより好ましく、5又は6が特に好ましい。Rが非芳香族複素環基である場合の、好適な例としては、ピロリジン−1−イル基、ピペリジン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、モルホリン−1−イル基、及びチオモルホリン−1−イル基が挙げられる。
及びRが互いに結合して形成される非芳香族複素環基に含まれる原子数は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。R及びRが互いに結合して形成される非芳香族複素環基は、3員環から10員環が好ましく、5員環又は6員環がより好ましい。R及びRが互いに結合して形成される非芳香族複素環基に含まれる、炭素原子の他のヘテロ原子の種類は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。R及びRが互いに結合して形成される非芳香族複素環基に含まれる、好適なヘテロ原子としては、N、O、及びSが挙げられる。R及びRが互いに結合して形成される非芳香族複素環の好適な例としては、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、及びチオモルホリンが挙げられる。
一般式(3)で表されるシリル化剤の具体例としては、N,N−ジメチルアミノトリメチルシラン、N,N−ジメチルアミノジメチルシラン、N,N−ジメチルアミノモノメチルシラン、N,N−ジエチルアミノトリメチルシラン、t−ブチルアミノトリメチルシラン、アリルアミノトリメチルシラン、トリメチルシリルアセタミド、N,N−ジメチルアミノジメチルビニルシラン、N,N−ジメチルアミノジメチルプロピルシラン、N,N−ジメチルアミノジメチルオクチルシラン、N,N−ジメチルアミノジメチルフェニルエチルシラン、N,N−ジメチルアミノジメチルフェニルシラン、N,N−ジメチルアミノジメチル−t−ブチルシラン、N,N−ジメチルアミノトリエチルシラン、及びトリメチルシラナミン等が挙げられる。
(一般式(4)で表されるシリル化剤)
Figure 2014034688
一般式(4)中、R、R及びRは、上記一般式(3)と同様である。Rは、水素原子、メチル基、トリメチルシリル基、又はジメチルシリル基を表す。R、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は有機基を表す。R、R及びRの炭素数の合計は1以上である。
、R、及びRが有機基である場合、有機基は、R、R及びRが有機基である場合の有機基と同様である。
一般式(4)で表されるシリル化剤の具体例としては、ヘキサメチルジシラザン、N−メチルヘキサメチルジシラザン、1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、1,3−ジメチルジシラザン、1,3−ジ−n−オクチル−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、1,3−ジビニル−1,1,3,3,−テトラメチルジシラザン、トリス(ジメチルシリル)アミン、トリス(トリメチルシリル)アミン、1−エチル−1,1,3,3,3−ペンタメチルジシラザン、1−ビニル−1,1,3,3,3−ペンタメチルジシラザン、1−プロピル−1,1,−3,3,3−ペンタメチルジシラザン、1−フェニルエチル−1,1,3,3,3−ペンタメチルジシラザン、1−tert−ブチル−1,1,3,3,3−ペンタメチルジシラザン、1−フェニル−1,1,3,3,3−ペンタメチルジシラザン、及び1,1,1−トリメチル−3,3,3−トリエチルジシラザン等が挙げられる。
(一般式(5)で表されるシリル化剤)
Figure 2014034688
一般式(5)中、R、R及びRは、上記一般式(3)と同様である。Yは、O、CHR11、CHOR11、CR1111、又はNR12を表す。R10及びR11はそれぞれ独立に水素原子、飽和又は不飽和の鎖状炭化水素基、飽和又は不飽和の非芳香族環状炭化水素基、トリアルキルシリル基、トリアルキルシロキシ基、アルコキシ基、フェニル基、フェニルエチル基、又はアセチル基を表す。R12は、水素原子、アルキル基、又はトリアルキルシリル基を表す。
10及びR11が、飽和又は不飽和の鎖状炭化水素基であるか、飽和又は不飽和の非芳香族環状炭化水素基である場合、飽和又は不飽和の鎖状炭化水素基と、飽和又は不飽和の非芳香族環状炭化水素基とは、一般式(3)におけるRが、飽和又は不飽和の鎖状炭化水素基であるか、飽和又は不飽和の非芳香族環状炭化水素基である場合と同様である。
10及びR11が、トリアルキルシリル基、トリアルキルシロキシキ、又はアルコキシ基である場合、これらの基に含まれるアルキル基の炭素数は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。これらの基に含まれるアルキル基の炭素数は、1〜10が好ましく、1〜8がより好ましく、1〜3が特に好ましい。これらの基に含まれるアルキル基の好適な例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、及びn−デシル基等が挙げられる。これらのアルキル基の中では、メチル基、エチル基、及びn−プロピル基がより好ましく、メチル基及びエチル基が特に好ましい。
12が、アルキル基又はトリアルキルシリル基である場合、アルキル基又はトリアルキルシリル基に含まれるアルキル基の炭素数は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。アルキル基又はトリアルキルシリル基に含まれるアルキル基の炭素数は、1〜10が好ましく、1〜8がより好ましく、1〜3が特に好ましい。アルキル基又はトリアルキルシリル基に含まれるアルキル基の好適な例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、及びn−デシル基等が挙げられる。これらのアルキル基の中では、メチル基、エチル基、及びn−プロピル基がより好ましく、メチル基及びエチル基が特に好ましい。
一般式(5)で表されるシリル化剤の具体例としては、トリメチルシリルアセテート、ジメチルシリルアセテート、モノメチルシリルアセテート、トリメチルシリルプロピオネート、トリメチルシリルブチレート、及びトリメチルシリル−2−ブテノエート等が挙げられる。
(一般式(6)で表されるシリル化剤)
Figure 2014034688
一般式(6)中、R、R及びRは、上記一般式(3)と同様である。Rは、上記一般式(4)と同様である。R13は、水素原子、飽和又は不飽和の鎖状炭化水素基、トリフルオロメチル基、又はトリアルキルシリルアミノ基を表す。
13が、飽和又は不飽和の鎖状炭化水素基である場合、飽和又は不飽和の鎖状炭化水素基は、一般式(3)におけるRが、飽和又は不飽和の鎖状炭化水素基である場合と同様である。
13がトリアルキルシリルアミノ基である場合に、トリアルキルシリルアミノ基に含まれるアルキル基は、一般式(5)におけるR10及びR11が、トリアルキルシリル基、トリアルキルシロキシキ、又はアルコキシ基である場合に、これらの基に含まれるアルキル基と同様である。
一般式(6)で表されるシリル化剤の具体例としては、N,N’−ビス(トリメチルシリル)尿素、N−トリメチルシリルアセトアミド、N−メチル−N−トリメチルシリルトリフルオロアセトアミド、及びN,N−ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド等が挙げられる。
(一般式(7)で表されるシリル化剤)
Figure 2014034688
一般式(7)中、R14はトリアルキルシリル基を表す。R15及びR16は、それぞれ独立に水素原子又は有機基を表す。
14がトリアルキルシリル基である場合に、トリアルキルシリル基に含まれるアルキル基は、一般式(5)におけるR10及びR11が、トリアルキルシリル基、トリアルキルシロキシキ、又はアルコキシ基である場合に、これらの基に含まれるアルキル基と同様である。
15及びR16が有機基である場合に、有機基は、一般式(3)におけるR、R及びRが有機基である場合の有機基と同様である。
一般式(7)で表されるシリル化剤の具体例としては、2−トリメチルシロキシペンタ−2−エン−4−オン等が挙げられる。
(一般式(8)で表されるシリル化剤)
Figure 2014034688
一般式(8)中、R、R及びRは、上記一般式(3)と同様である。R17は、飽和又は不飽和の鎖状炭化水素基、飽和又は不飽和の非芳香族環状炭化水素基、又は非芳香族複素環基を表す。R18は、−SiRを表す。pは、0又は1である。
pが0である場合、R17としての飽和又は不飽和の鎖状炭化水素基、飽和又は不飽和の非芳香族環状炭化水素基、又は非芳香族複素環基は、一般式(3)におけるRと同様である。pが1である場合、R17としての有機基は、一般式(3)におけるR、R及びRが有機基である場合の有機基から、1つの水素原子が除かれた2価基である。
一般式(8)で表されるシリル化剤の具体例としては、1,2−ビス(ジメチルクロロシリル)エタン、及びt−ブチルジメチルクロロシラン等が挙げられる。
(一般式(9)で表されるシリル化剤)
19 Si[N(CH4−q・・・(9)
一般式(9)中、R19は、それぞれ独立に、水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよい、炭素数1〜18の鎖状炭化水素基である。qは1又は2である。
一般式(9)において、R19の炭素数は、2〜18が好ましく、8〜18がより好ましい。
19がフッ素原子で置換されていない、鎖状飽和炭化水素基である場合の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、アミル基、イソアミル基、tert−アミル基、ヘキシル基、2−ヘキシル基、3−ヘキシル基、ヘプチル基、2−ヘプチル基、3−ヘプチル基、イソヘプチル基、tert−ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、tert−オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、及びオクタデシル基等が挙げられる。
19がフッ素原子で置換されていない、鎖状不飽和炭化水素基である場合の例としては、ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1,3−ブタジエニル基、1−エチルビニル基、1−メチル−1−プロペニル基、1−メチル−2−プロペニル基、4−ペンテニル基、1,3−ペンタジエニル基、2,4−ペンタジエニル基、3−メチル−1−ブテニル基、5−ヘキセニル基、2,4−ヘキサジエニル基、6−ヘプテニル基、7−オクテニル基、8−ノネニル基、9−デセニル基、10−ウンデセニル基、11−ドデセニル基、12−トリデセニル基、13−テトラデセニル基、14−ペンタデセニル基、15−ヘキサデセニル基、16−ヘプタデセニル基、17−オクタデセニル基、エチニル基、プロパルギル基、1−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1−ペンチニル基、2−ペンチニル基、3−ペンチニル基、4−ペンチニル基、1−ヘキシニル基、2−ヘキシニル基、3−ヘキシニル基、4−ヘキシニル基、5−ヘキシニル基、6−ヘプチニル基、7−オクチニル基、8−ノニニル基、9−デシニル基、10−ウンデシニル基、11−ドデシニル基、12−トリデシニル基、13−テトラデシニル基、14−ペンタデシニル基、15−ヘキサデシニル基、16−ヘプタデシニル基、及び17−オクタデシニル基等が挙げられる。
19がフッ素原子で置換されている、鎖状炭化水素基である場合、フッ素原子の置換数、及び置換位置は、特に限定されない。鎖状炭化水素基におけるフッ素原子の置換数は、鎖状炭化水素基が有する水素原子の数の50%以上が好ましく、70%以上がより好ましく、80%以上が特に好ましい。
19としては、優れた撥水化の効果を得やすいことから、水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよい、炭素数1〜18の直鎖炭化水素基が好ましい。また、R19としては、シリル化剤の保存安定性の点で、水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよい、炭素数1〜18の直鎖飽和炭化水素基(炭素数1〜18のアルキル基)がより好ましい。
一般式(9)においてqは、1又は2であり、1が好ましい。
(一般式(10)で表されるシリル化剤)
20 [N(CH3−rSi−R22−SiR21 [N(CH3−s・・・(10)
一般式(10)中、R20及びR21はそれぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖アルキル基である。R22は炭素数1〜16の直鎖又は分岐鎖アルキレン基である。r及びsはそれぞれ独立に0〜2の整数である。
20及びR21は、それぞれ、同一であってもよく異なっていてもよい。R20及びR21としては、水素原子、又は炭素数1〜3の直鎖又は分岐鎖アルキル基が好ましく、水素原子、又はメチル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
20及びR21が、炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖アルキル基である場合の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、及びイソブチル基が挙げられる。
一般式(10)で表される化合物は、R22として炭素数1〜16の直鎖又は分岐鎖アルキレン基を含む。R22である直鎖又は分岐鎖アルキレン基の炭素数は、1〜10が好ましく、2〜8がより好ましい。なお、直鎖アルキレン基とは、メチレン基、又はα,ω−直鎖アルキレン基であり、分岐鎖アルキレン基は、メチレン基、及びα,ω−直鎖アルキレン基以外のアルキレン基である。R22は、直鎖アルキレン基であるのが好ましい。
22が、炭素数1〜16の直鎖又は分岐鎖アルキレン基である場合の例としては、メチレン基、1,2−エチレン基、1,1−エチレン基、プロパン−1,3−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、プロパン−1,1−ジイル基、プロパン−2,2−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ブタン−1,3−ジイル基、ブタン−1,2−ジイル基、ブタン−1,1−ジイル基、ブタン−2,2−ジイル基、ブタン−2,3−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ペンタン−1,4−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基、ヘプタン−1,7−ジイル基、オクタン−1,8−ジイル基、2−エチルヘキサン−1,6−ジイル基、ノナン−1,9−ジイル基、デカン−1,10−ジイル基、ウンデカン−1,11−ジイル基、ドデカン−1,12−ジイル基、トリデカン−1,13−ジイル基、テトラデカン−1,14−ジイル基、ペンタデカン−1,15−ジイル基、及びヘキサデカン−1,16−ジイル基等が挙げられる。
一般式(10)で表される化合物において、s及びrはそれぞれ独立に0〜2の整数である。式(10)で表される化合物について、合成及び入手が容易であることから、s及びrは1又は2であるのが好ましく、2であるのがより好ましい。
(環状シラザン化合物)
シリル化剤としては、環状シラザン化合物も好ましい。以下、環状シラザン化合物について説明する。
環状シラザン化合物としては、2,2,5,5−テトラメチル−2,5−ジシラ−1−アザシクロペンタン、2,2,6,6−テトラメチル−2,6−ジシラ−1−アザシクロヘキサン等の環状ジシラザン化合物;2,2,4,4,6,6−ヘキサメチルシクロトリシラザン、2,4,6−トリメチル−2,4,6−トリビニルシクロトリシラザン等の環状トリシラザン化合物;2,2,4,4,6,6,8,8−オクタメチルシクロテトラシラザン等の環状テトラシラザン化合物;等が挙げられる。
これらの中でも、環状ジシラザン化合物が好ましく、2,2,5,5−テトラメチル−2,5−ジシラ−1−アザシクロペンタン及び2,2,6,6−テトラメチル−2,6−ジシラ−1−アザシクロヘキサンがより好ましい。環状ジシラザン化合物としては、2,2,5,5−テトラメチル−2,5−ジシラ−1−アザシクロペンタンのような5員環構造のものや、2,2,6,6−テトラメチル−2,6−ジシラ−1−アザシクロヘキサンのような6員環構造のものがあるが、5員環構造であることがより好ましい。
〔処理方法〕
基板表面をシリル化剤により処理する方法としては、従来公知の方法を特に制限なく使用することができる。例えば、シリル化剤を気化させて蒸気とし、その蒸気を基板表面に接触させる方法、シリル化剤を含む表面処理剤を、スプレー法、スピンコート法、ディップコート法、ロールコート法等により基板表面に接触させる方法等が挙げられる。
上記の方法の中では、基板表面を均一に処理しやすいことから、シリル化剤を含む表面処理剤を基板表面に接触させる方法が好ましい。シリル化剤を含む表面処理剤は、シリル化剤とともに有機溶媒を含むのが好ましい。表面処理剤に含有させる有機溶媒としては、表面処理剤と反応しない、表面処理剤に対して不活性な有機溶媒を特に限定することなくしようすることができる。
シリル化剤を含む表面処理剤に配合する有機溶媒の具体例としては、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、ビス(2−ヒドロキシエチル)スルホン、テトラメチレンスルホン等のスルホン類;N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド等のアミド類;N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−プロピル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシメチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン等のラクタム類;1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジエチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジイソプロピル−2−イミダゾリジノン等のイミダゾリジノン類;エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールジアルキルエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の(ポリ)アルキレングリコールアルキルエーテルアセテート類;テトラヒドロフラン等の他のエーテル類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等のケトン類;2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル等の乳酸アルキルエステル類;3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸−i−プロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸−i−ブチル、ぎ酸−n−ペンチル、酢酸−i−ペンチル、プロピオン酸−n−ブチル、酪酸エチル、酪酸−n−プロピル、酪酸−i−プロピル、酪酸−n−ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸−n−プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸エチル等の他のエステル類;β−プロピロラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−ペンチロラクトン等のラクトン類;n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、メチルオクタン、n−デカン、n−ウンデカン、n−ドデカン、2,2,4,6,6−ペンタメチルヘプタン、2,2,4,4,6,8,8−ヘプタメチルノナン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の直鎖状、分岐鎖状、又は環状の炭化水素類;ベンゼン、トルエン、ナフタレン、1,3,5−トリメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;p−メンタン、ジフェニルメンタン、リモネン、テルピネン、ボルナン、ノルボルナン、ピナン等のテルペン類;等が挙げられる。これらの有機溶媒は、単独又は2種以上を混合して使用することができる。
基板表面がシリル化剤により処理された後、必要に応じて、基板表面に残存する、水、又は有機溶媒を除去するのが好ましい。水、又は有機溶媒を除去する方法は特に限定されず、例えば、基板表面に、窒素や、乾燥空気等の気体を吹き付ける方法や、除去される溶媒の沸点に応じて、基板を適当な温度に加熱する方法等が挙げられる。
≪改質膜≫
本発明の第2の態様は、基板の表面に加水分解により水酸基を生成し得る金属化合物を塗布して形成される金属化合物層と、金属化合物層の表面にシリル化剤を塗布して形成されるシラン化合物層と、からなる改質膜である。改質膜の形成方法は特に限定されないが、このましくは、第1の態様に係る基板表面の改質方法によって、上記の改質膜が形成される。
基板の材質によっては、シリル化剤を基板の表面に塗布しても、シリル化剤により形成されるシラン化合物層が基板表面に十分に固着せず、所望する程度に基板表面を改質できないことがある。しかし、第2の態様に係る改質膜は、水酸基を有する金属化合物層により基板の表面を被覆する水酸基を有する金属化合物層と、金属化合物層の水酸基とシリル化剤を反応させて、金属化合物層の表面に形成されるシラン化合物層とからなり、シラン化合物層は金属化合物層の表面に良好に固着され、金属化合物層は基板表面に良好に固着されている。このため、基板が、その表面に第2の態様に係る改質膜を備えると、基板表面の性質を消耗する程度に改質することができる。
第1の態様に係る基板表面の改質方法について説明した通り、基板表面の改質としては、撥水化が好ましい。このため、第2の態様に係る改質膜は、シラン化合物層が、撥水化剤をシリル化剤として用いて形成されたものであるのが好ましい。
≪被覆溶液≫
本発明の第3の態様は、第1の態様に係る基板表面の改質方法において、基板の表面の処理に使用される、加水分解により水酸基を生成し得る金属化合物を含有する被覆溶液である。
第1の態様係る基板表面の改質方法について説明した通り、加水分解により水酸基を生成し得る金属化合物(水酸基生成性金属化合物)を含む溶液を被覆溶液として用いて、被覆溶液を基板表面に塗布することにより、加水分解により生成する水酸基間の縮合反応によって、基板表面に、水酸基生成金属化合物の縮合物からなる強固な被覆膜を形成することができる。
水酸基生成金属化合物の縮合物からなる被覆膜はその表面に水酸基を有する。このため、基板表面に、水酸基生成金属化合物の縮合物からなる強固な被覆膜が形成されると、シリル化剤を水酸基と反応させることによって、金属化合物層である被覆膜を介して、基板表面にシリル化剤により形成されるシラン化合物層を良好に固着させることができる。
従って、第3の態様に係る被覆溶液を基板表面のシリル化剤による改質の前段階の処理に用いると、基板の種類によらず、シリル化剤により基板表面の改質を良好に行うことができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
[参考例1]
タングステン基板の表面を濃度1質量%のアンモニア水に60秒間接触させた後、基板の表面をイオン交換蒸留水により60秒間洗浄して、タングステン基板表面の自然酸化膜を除去した。次いで、基板表面に付着する水をイソプロパノールにより置換した。その後、濃度5質量%のテトライソシアネートシランのn−デカン溶液に、基板を、浸漬させた。テトライソシアネートシランのn−デカン溶液を基板表面に60秒間接触させることにより、基板表面でテトライソシアネートシランの加水分解物を縮合させて、基板表面に被膜を形成した。次いで、基板表面に残存するn−デカンを、イソプロパノールに置換した後、イオン交換蒸留水により基板を60秒間洗浄した。洗浄後、基板表面に窒素をブローして、基板表面を乾燥させた。
Dropmaster700(協和界面科学株式会社製)を用い、上記の方法に従って表面処理された基板表面に純水液滴(1.8μL)を滴下して、滴下10秒後における接触角を測定した。また、未処理の基板の水の接触角を、表面処理された基板表面における水の接触角の測定と同様の方法により測定した。
その結果、未処理のタングステン基板の水の接触角は39.3°であり、テトライソシアネートシランによる表面処理後のタングステン基板の水の接触角は5.7°であった。
参考例1の結果から、テトライソシアネートシランによる処理により、タングステン基板の表面が親水化されることが分かる。
[実施例1〜4]
タングステン基板の表面を濃度1質量%のアンモニア水に60秒間接触させた後、基板の表面をイオン交換蒸留水により60秒間洗浄して、タングステン基板表面の自然酸化膜を除去した。次いで、基板表面に付着する水をイソプロパノールにより置換した。その後、濃度5質量%のテトライソシアネートシランのn−デカン溶液に、基板を、浸漬させた。テトライソシアネートシランのn−デカン溶液を基板表面に60秒間接触させることにより、基板表面でテトライソシアネートシランの加水分解物を縮合させて、基板表面に被膜を形成した。次いで、表1に記載のシリル化剤を濃度5質量%で含む、シリル化剤のn−デカン溶液に、テトライソシアネートシランにより処理された基板を浸漬させ、基板を60秒間静置して、シリル化剤による処理を行った。シリル化剤により処理された基板表面に残存するn−デカンを、イソプロパノールに置換した後、イオン交換蒸留水により基板を60秒間洗浄した。洗浄後、基板表面に窒素をブローして、基板表面を乾燥させた。
Dropmaster700(協和界面科学株式会社製)を用い、上記の方法に従って表面処理された基板表面に純水液滴(1.8μL)を滴下して、滴下10秒後における接触角を測定した。水の接触角の測定結果を表1に示す。
[比較例1〜4]
濃度5質量%のテトライソシアネートシランのn−デカン溶液による処理を行わないことの他は、実施例1〜4と同様に基板表面の処理を行った。シリル化剤は、表1に記載されるものを用いた。表面処理された基板表面の水の接触角を、実施例1〜4と同様に測定した。水の接触角の測定結果を表1に記す。
[実施例5及び6]
基板の材質を表1に記載の材質に変えることと、アンモニア水による処理を行わないこととの他は、実施例1〜4と同様に基板表面の処理を行った。シリル化剤は、表1に記載されるものを用いた。未処理の基板表面と、表面処理された基板表面の水の接触角を、実施例1〜4と同様に測定した。水の接触角の測定結果を表1に記す。
Figure 2014034688
実施例1〜6によれば、加水分解により水酸基を生成し得る金属化合物としてテトライソシアネートシランを用いて基板表面を処理した後に、撥水化剤であるシリル化剤による処理を行うことにより、タングステン(W)、銅(Cu)、及び金(Au)のような、シリル化剤による直接処理による表面改質が困難な基板であっても、表面が良好に撥水化されていることが分かる。
一方、比較例1〜4によれば、タングステン基板を、加水分解により水酸基を生成し得る金属化合物による処理を行わず、直接シリル化剤により処理する場合、基板表面が良好に撥水化されないことが分かる。
[実施例7〜9]
濃度5質量%のテトライソシアネートシランのn−デカン溶液を、同濃度のテトライソシアネートシランの表2に記載の種類の溶媒の溶液に変えることと、濃度5質量%のシリル化剤のn−デカン溶液を、濃度10質量%のシリル化剤のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液に変えることとの他は、実施例2と同様にしてタングステン基板の表面を処理した。実施例7〜9では、実施例2と同じシリル化剤を用いた。なお、処理後のタングステン基板について、実施例2と同様にして水の接触角を測定した。接触角の測定結果を表2に記す。
Figure 2014034688
表2によれば、加水分解により水酸基を生成し得る金属化合物を溶解させる溶媒種として種々の溶媒を用いて、タングステン基板を良好に改質できることが分かる。
〔実施例10〕
パターン付のTiN基板に対して、実施例2と同様にして、濃度5質量%のテトライソシアネートシランのn−デカン溶液による処理と、シリル化剤を濃度5質量%で含む、シリル化剤のn−デカン溶液による処理とを行った。TiN基板上のパターンは、幅50nm、ピッチ100nm、深さ700nm、アスペクト比14のパターンであった。また、TiN基板上のパターンは、公知の方法で作成された。シリル化剤により処理された基板表面に残存するn−デカンを、イソプロパノールに置換した後、イオン交換蒸留水により基板を60秒間リンスした。リンス後、スピンドライにより、基板表面を乾燥させた。乾燥されたパターン付のTiN基板の表面を走査型電子顕微鏡(商品名:S−4700、株式会社日立ハイテクノロジーズ製)で観察したところ、パターン倒れは確認されなかった。
実施例10から、パターン付基板の表面を、加水分解により水酸基を生成し得る金属化合物により処理した後、シリル化剤により撥水化処理すると、基板表面が良好に撥水化されるため、パターン形成後の純水等によるリンス処理に起因するパターン倒れの発生が顕著に抑制されることが分かる。
〔比較例5〕
濃度5質量%のテトライソシアネートシランのn−デカン溶液による処理と、シリル化剤を濃度5質量%で含む、シリル化剤のn−デカン溶液による処理とを、実施例2に記載の処方から比較例2に記載の処方に変えて行うことの他は、実施例10と同様に、パターン付のTiN基板に対する、撥水化処理と、イオン交換水によるリンスとを行った。リンス後に、スピンドライにより乾燥された基板の表面を走査型電子顕微鏡(商品名:S−4700、株式会社日立ハイテクノロジーズ製)で観察したところ、パターン倒れが確認された。
比較例5から、パターン付基板の表面をシリル化剤により撥水化する際に、撥水化処理の前に加水分解により水酸基を生成し得る金属化合物で基板表面を処理しない場合、基板表面が良好に撥水化されないため、パターン形成後の純水等によるリンス処理に起因するパターン倒れが発生しやすいことが分かる。

Claims (6)

  1. 基板の表面を、加水分解により水酸基を生成し得る金属化合物により処理する工程と、
    前記金属化合物により処理された前記基板の表面を、シリル化剤により処理する工程と、
    を含む、基板表面の改質方法。
  2. 前記基板の表面を、前記金属化合物により処理する工程が、前記基板の親水化処理工程である請求項1に記載の基板表面の改質方法。
  3. 前記金属化合物により処理された前記基板の表面を、シリル化剤により処理する工程が、前記基板の撥水化処理工程である請求項1に記載の基板表面の改質方法。
  4. 基板の表面に加水分解により水酸基を生成し得る金属化合物を塗布して形成される金属化合物層と、前記金属化合物層の表面にシリル化剤を塗布して形成されるシラン化合物層と、からなる改質膜。
  5. 前記シリル化剤が撥水化剤である、請求項4に記載の改質膜。
  6. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の前記基板表面の改質方法において前記基板の表面の処理に使用する、加水分解により水酸基を生成し得る金属化合物を含有する被覆溶液。
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