JP7194525B2 - 表面処理方法、表面処理剤、及び基板上に領域選択的に製膜する方法 - Google Patents
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Description
基板上に原子層レベルで薄膜を形成する方法として原子層成長法(ALD(Atomic Layer Deposition)法;以下、単に「ALD法」ともいう。)が知られている。ALD法は、一般的なCVD(Chemical Vapor Deposition)法と比較して高い段差被覆性(ステップカバレッジ)と膜厚制御性を併せ持つことが知られている。
ALD法では、原料ガスを供給している間に1層あるいは数層の原料ガスの成分だけが基板表面に吸着され、余分な原料ガスは成長に寄与しない、成長の自己制御機能(セルフリミット機能)を利用する。
例えば、基板上にAl2O3膜を形成する場合、TMA(TriMethyl Aluminum)からなる原料ガスとOを含む酸化ガスが用いられる。また、基板上に窒化膜を形成する場合、酸化ガスの代わりに窒化ガスが用いられる。
これに伴い、ALD法による基板上の領域選択的な製膜方法に好適に適用し得るように基板表面が領域選択的に改質された基板が求められてきている。
製膜方法において、ALD法を利用することにより、パターニングの原子層レベルの膜厚制御、ステップカバレッジ及び微細化が期待される。
上記表面を、シリル化剤(A)及び含窒素複素環化合物(B)を含む表面処理剤に曝露することを含み、
上記表面が、2以上の領域を含み、
2以上の上記領域のうちの隣接する領域に関して、互いに材質が異なり、
上記シリル化剤と2以上の上記領域との反応によって、2以上の上記領域のうちの隣接する領域に関して、水の接触角を互いに異ならせる、表面処理方法である。
表面処理された上記基板の表面に、原子層成長法により膜を形成することとを含み、
上記膜の材料の堆積量を領域選択的に異ならせる、上記基板上の領域選択的製膜方法である。
本発明の表面処理剤は、上記表面処理方法を提供することができる。
本発明の基板上の領域選択的製膜方法は、原子層レベルの膜厚制御が可能でステップカバレッジに優れる膜を基板上に領域選択的に製膜することができる。
第1の態様に係る表面処理方法は、基板の表面に対する表面処理方法であって、
上記表面を、シリル化剤(A)及び含窒素複素環化合物(B)を含む表面処理剤に曝露することを含み、
上記表面が、2以上の領域を含み、
2以上の上記領域のうちの隣接する領域に関して、互いに材質が異なり、
上記シリル化剤と2以上の上記領域との反応によって、2以上の上記領域のうちの隣接する領域に関して、水の接触角を互いに異ならせる。
「基板の表面」とは、基板自体の表面のほか、基板上に設けられた無機パターン及び有機パターンの表面、並びにパターン化されていない無機層又は有機層の表面が挙げられる。
このような膜や層としては、特に限定されないが、半導体デバイスの作製過程において形成される無機物の膜や層等が例示される。
第1の態様に係る表面処理方法は、基板表面が2以上の領域を含み、上記2以上の領域のうちの隣接する領域が、互いに材質が相違する。
上記2以上の領域間において、他方の領域よりも水の接触角(好ましくは、疎水性)が小さくなる傾向にある領域としては、W、Co、Al、Ni、Ru、Cu、TiN及びTaNよりなる群から選択される少なくとも1種を含む領域が挙げられる。
ここで、第1の領域及び第2の領域は、それぞれ複数の領域に分割されていてもされていなくてもよい。
第1の領域及び第2の領域の例としては、例えば、基板自体の表面を第1の領域とし、基板の表面に形成した無機層の表面を第2の領域とする態様、基板の表面に形成した第1の無機層の表面を第1の領域とし、基板の表面に形成した第2の無機層の表面を第2の領域する態様等が挙げられる。なお、これらの無機層の形成に代えて有機層を形成した態様等も同様に挙げられ得る。
基板自体の表面を第1の領域とし、基板の表面に形成した無機層の表面を第2の領域とする態様としては、基板表面における材質が異なる2以上の隣接する領域間において選択的に疎水性向上して水の接触角の差を向上する観点から、Si基板、SiN基板、Ox基板、TiN基板、TaN基板、Ge基板及びSiGe基板よりなる群から選択される少なくとも1種の基板の表面を第1の領域とし、上記基板の表面に形成した、W、Co、Al、Ni、Ru、Cu、TiN及びTaNよりなる群から選択される少なくとも1種を含む無機層の表面を第2の領域とする態様が好ましい。
また、基板の表面に形成した第1の無機層の表面を第1の領域とし、基板の表面に形成した第2の無機層の表面を第2の領域する態様としては、基板表面における材質が異なる2以上の隣接する領域間において選択的に疎水性向上して水の接触角の差を向上する観点から、任意の基板(例えば、Si基板)の表面に形成した、SiN、Ox、TiN、TaN、Ge及びSiGeよりなる群から選択される少なくとも1種を含む第1の無機層の表面を第1の領域とし、上記基板の表面に形成した、W、Co、Al、Ni、Ru、Cu、TiN及びTaNよりなる群から選択される少なくとも1種を含む第2の無機層の表面を第2の領域とする態様が好ましい。
上記2以上の領域のうちの1つの領域を第1の領域とし、それに隣接する領域を第2の領域とし、更に第2の領域に隣接する領域を第3の領域とする場合、第1の領域と第2の領域とでは材質が相違し、第2の領域と第3の領域とでは材質が相違する。
ここで、第1の領域と第3の領域とが隣接する場合には、第1の領域と第3の領域とでは材質が相違する。
第1の領域と第3の領域とが隣接しない場合には、第1の領域と第3の領域とでは材質が相違していても相違していなくてもよい。
また、第1の領域、第2の領域及び第3の領域は、それぞれ複数の領域に分割されていてもされていなくてもよい。
第1の領域、第2の領域及び第3の領域の例としては、例えば、基板自体の表面を第1の領域とし、基板の表面に形成した第1の無機層の表面を第2の領域とし、基板の表面に形成した第2の無機層の表面を第3の領域とする態様等が挙げられる。なお、これらの無機層の形成に代えて有機層を形成した態様等も同様に挙げられ得る。また第2の無機層と第3の無機層のいずれか一方のみを有機層に変えて形成したような無機層及び有機層の双方を含むような態様等も同様に挙げられ得る。
基板表面における材質が異なる2以上の隣接する領域間において選択的に疎水性向上して水の接触角の差を向上する観点から、任意の基板(例えば、Si基板)自体の表面を第1の領域とし、上記基板の表面に形成した、SiN、Ox、TiN、TaN、Ge及びSiGeよりなる群から選択される少なくとも1種を含む第1の無機層の表面を第2の領域とし、上記基板の表面に形成した、W、Co、Al、Ni、Ru、Cu、TiN及びTaNよりなる群から選択される少なくとも1種を含む第2の無機層の表面を第3の領域とする態様が好ましい。
第4以上の領域が存在する場合についても同様の考え方が適用し得る。
材質が相違する領域数の上限値としては本発明の効果が損なわれない限り特に制限はないが、例えば、7以下又は6以下であり、典型的には5以下である。
基板の表面を表面処理剤に曝露させる方法としては、溶剤を含んでいてもよい表面処理剤(典型的には液状の表面処理剤)を、例えば浸漬法、又はスピンコート法、ロールコート法及びドクターブレード法などの塗布法等の手段によって基板の表面に適用(例えば、塗布)して曝露する方法が挙げられる。
曝露温度としては、例えば、10℃以上90℃以下、好ましくは20℃以上80℃以下、より好ましくは30℃以上70℃以下、更に好ましくは40℃以上60℃以下である。
上記曝露時間としては、基板表面における材質が異なる2以上の隣接する領域間における選択的な疎水性向上の観点から、20秒以上が好ましく、1分以上がより好ましく、10分以上が更に好ましい。
上記曝露時間の上限値としては特に制限はないが、例えば、6時間以下等であり、典型的には2時間以下である。
上記曝露後に必要に応じ洗浄(例えば、水、活性剤リンス等による洗浄)及び/又は乾燥(窒素ブロー等による洗浄)を行ってもよい。
例えば、無機パターン又は有機パターンを備える基板表面の洗浄液による洗浄処理としては、従来、無機パターン又は有機パターンの洗浄処理に使用されてきた洗浄液をそのまま採用することができ、無機パターンについてはSPM(硫酸・過酸化水素水)、APM(アンモニア・過酸化水素水)等が挙げられ、有機パターンについては水、活性剤リンス等が挙げられる。
また、乾燥後の処理基板に対して、必要に応じて、100℃以上300℃以下の加熱処理を追加で行ってもよい。
表面処理剤に曝露した後の基板表面の水に対する接触角は、例えば、5°以上140°以下とすることができる。
基板表面の材質、シリル化剤(A)及び含窒素複素環化合物(B)の種類及び使用量、並びに曝露条件等を制御することにより、水に対する接触角は50°以上とすることができ、60°以上が好ましく、70°以上がより好ましく、90°以上が更に好ましく、100°以上が特に好ましく、101°以上が最も好ましい。
上記接触角の上限値としては特に制限はないが、例えば、140°以下、典型的には130°以下である。
上記2以上の隣接する領域間における水の接触角の差としては、本発明の効果を損なわない限り特に制限はなく、例えば、10°以上が挙げられ、上記2以上の隣接する領域間における選択的な疎水性向上の観点から、上記水の接触角差は20°以上が好ましく、30°以上がより好ましく、40°以上が更に好ましい。
上記接触角差の上限値としては、本発明の効果を損なわない限り特に制限はなく、例えば、80°以下又は70°以下であり、典型的には60°以下である。
続いて、第1の態様に係る表面処理方法において用いられる表面処理剤について説明する。
本態様において表面処理剤は、シリル化剤(A)及び含窒素複素環化合物(B)を含む。
以下、各成分について説明する。
シリル化剤(A)は、基板の表面をシリル化し、基板の表面の疎水性を大きくするための成分である。
シリル化剤(A)としては、特に限定されず、従来公知のあらゆるシリル化剤を用いることができる。このようなシリル化剤としては、例えば、ケイ素原子に結合する疎水性基を有するアルコキシモノシラン化合物、ケイ素原子に結合する疎水性基と、ケイ素原子に結合する脱離基とを有する化合物(より詳細には例えば、後述する一般式(2)で表される化合物等)を用いることができる。
ケイ素原子に結合する疎水性基を有するアルコキシモノシラン化合物は、ケイ素原子を1つ有し、上記ケイ素原子に結合する少なくとも1つの疎水性基を有し、かつ上記ケイ素原子に結合する少なくとも1つのアルコキシ基を有する化合物を意味する。
シリル化剤(A)として、ケイ素原子に結合する疎水性基を有するアルコキシモノシラン化合物を用いることにより、疎水性基を有するアルコキシモノシラン化合物を基板の表面に結合させることができる。アルコキシモノシラン化合物が基板に結合することにより、基板表面にアルコキシモノシラン化合物に由来する単分子膜が形成され得る。かかる単分子膜は、基板の面方向にシロキサン結合のネットワークが形成されている自己組織化単分子膜(self-assembled monolayer;SAM)であることが好ましい。単分子膜、及び自己組織化単分子膜については詳細に後述する。
上記鎖状脂肪族炭化水素基は、水素原子の一部又は全部がハロゲン原子(フッ素原子等)により置換されていてもよく、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよいが、水素原子の一部又は全部がフッ素原子により置換されていてもよい直鎖状の脂肪族炭化水素基であることが好ましい。
R1 nSiX4-n ・・・(1)
(上記一般式中、R1は、各々独立に1価の有機基であり、R1のうちの少なくとも1つは、水素原子の一部又は全部がフッ素原子により置換されていてもよい、炭素原子数3以上20以下の鎖状脂肪族炭化水素基であり、Xはアルコキシ基であり、nは1以上3以下の整数である。)
R1に係る1価の有機基としては、アルキル基、芳香族炭化水素基、アミノ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基等が挙げられる。
上記アルキル基としては、炭素原子数1以上20以下(好ましくは炭素原子数1以上8以下)の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、n-プロピル基、及びイソプロピル基がより好ましい。
上記芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、アンスリル基、及びフェナンスレニル基が好ましく、フェニル基、及びナフチル基がより好ましく、フェニル基が特に好ましい。
上記モノアルキルアミノ基又はジアルキルアミノ基に含まれるアルキル基は、鎖中に窒素原子、酸素原子又はカルボニル基を含んでいてもよく、直鎖アルキル基であっても分岐鎖アルキル基であってもよい。モノアルキルアミノ基又はジアルキルアミノ基に含まれるアルキル基の炭素原子数は特に限定されず、1以上20以下が好ましく、1以上10以下がより好ましく、1以上6以下が特に好ましい。
かかる鎖状脂肪族炭化水素基の炭素原子数は、前述の通り、炭素原子数6以上18以下がより好ましく、7以上12以下が更に好ましく、8以上11以下が特に好ましく、8以上10以下が最も好ましい。
かかる鎖状脂肪族炭化水素基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよく、直鎖状が好ましい。
上記の、水素原子の一部又は全部がフッ素原子により置換されていてもよい、鎖状脂肪族炭化水素基の好適な例としては、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、及びn-オクタデシル基等の直鎖アルキル基と、これらの直鎖アルキル基上の水素原子がフッ素置換されたフッ素化直鎖アルキル基とが挙げられる。
これらの中では、特に加水分解、縮合時の制御の観点から、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基又はブトキシ基が好ましい。
また、上記アルコキシモノシラン化合物が、トリアルコキシモノシラン化合物であることが好ましい。
このようなアルコキシモノシラン化合物の具体例としては、プロピルトリメトキシシラン、3,3,3-トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、n-ヘキシルトリメトキシシラン、n-オクチルトリメトキシシラン、n-ドデシルトリメトキシシラン、n-オクタデシルトリメトキシシラン等が挙げられ、n-ヘキシルトリメトキシシラン、n-オクチルトリメトキシシラン、n-ドデシルトリメトキシシラン又はn-オクタデシルトリメトキシシランが好ましく、n-オクチルトリメトキシシラン、n-ドデシルトリメトキシシラン又はn-オクタデシルトリメトキシシランがより好ましい。
特に高度な疎水性向上の観点からは、単分子膜において、基板の面方向にシロキサン結合のネットワークが形成されていることが好ましい。かかる単分子膜は、所謂自己組織化単分子膜である。自己組織化単分子膜においては、アルコキシモノシラン化合物に由来する残基が密に含まれ、当該残基同士がシロキサン結合により結合しているため、単分子膜が基板表面に強固に結合し得る。その結果、特に高度な疎水性向上が発現し得る。
かかる自己組織化単分子膜は、前述の通り、トリアルコキシモノシラン化合物及び/又はジアルコキシモノシラン化合物をシリル化剤(A)として用いることにより形成できる。
なお、上記疎水性の単分子膜の膜厚としては、例えば、20nm以下とすることができ、好ましくは10nm以下、より好ましくは5nm以下、更に好ましくは3nm以下とすることができる。下限値としては本発明の効果を損なわない限り特に制限はないが、例えば、0.1nm以上であり、典型的には0.5nm以上である。
本態様において用いられるシリル化剤の一例として以下の一般式(2)で表される化合物が挙げられる。
この脱離基としては、例えば、一般式(2)におけるケイ素原子に結合する窒素原子を有する含窒素基やハロゲン基、一般式(2)におけるケイ素原子に結合する酸素原子を有するアシルオキシ基やスルホキシ基若しくはそれらの誘導体、水素原子、アジド基が例示される。
このような化合物を用いた場合、化合物が基板に展開された後に、分子間でのネットワークを形成しやすくなると考えられる。
このような寄与もあり、いったん基板上で結合した後は、加熱しても除去されづらくなる傾向がある。これにより、後に示すような、表面処理された基板を原子層成長法等の高温プロセスに付した場合であっても、安定的にシリル化部位が保たれる。
このような化合物を用いた場合、化合物中に含まれる2つの窒素原子のそれぞれが、基板上の官能基に対して化学的結合を形成しうる。すなわち、1のケイ素原子の結合手の2つが基板に結合をすることが可能となり、基板間でより堅固な結合が形成できる。
更に、このように堅固な結合の形成が可能となることにより、いったん基板上で結合した後は、加熱しても除去されづらくなる傾向がある。これにより、後に示すような、表面処理された基板を原子層成長法等の高温プロセスに付した場合であっても、安定的にシリル化部位が保たれる。
また、以下定義するように、一般式(3-a)中のR4及びR6は、一般式(3)のR5と同様に含窒素基であってもよく、用途に応じて、シリル化剤と基板との相互作用を増強してもよい。
環状シラザン化合物としては、2,2,5,5-テトラメチル-2,5-ジシラ-1-アザシクロペンタン、2,2,6,6-テトラメチル-2,6-ジシラ-1-アザシクロヘキサン等の環状ジシラザン化合物;2,2,4,4,6,6-ヘキサメチルシクロトリシラザン、2,4,6-トリメチル-2,4,6-トリビニルシクロトリシラザン等の環状トリシラザン化合物;2,2,4,4,6,6,8,8-オクタメチルシクロテトラシラザン等の環状テトラシラザン化合物;等が挙げられる。
このような環状シラザン化合物の中でも、1のケイ素原子に対して、2以上の含窒素基が結合した部分構造を有する化合物を好適に用いることできる。この場合、前述の一般式(3-a)と同様に、シリル化剤と基板間でより堅固な結合が形成することができ、いったん基板上で結合した後は、加熱しても除去されづらくなる傾向がある。これにより、後に示すような、表面処理された基板を原子層成長法等の高温プロセスに付した場合であっても、安定的にシリル化部位が保たれる結果を与える。
上述の化合物以外でも、以下の一般式(7)、(8)又は(9)で表される化合物をシリル化剤として用いることができる。
(上記一般式(7)中、R19及びR20は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、トリアルキルシリル基を表し、R19及びR20の少なくとも1つは、トリアルキルシリル基を表し、またR21は水素原子の一部又は全部がフッ素原子により置換されていてもよい、炭素原子数1以上10以下の脂肪族炭化水素基を表す。)
上記表面処理剤におけるシリル化剤(A)の含有量の上限値としては本発明の効果を損なわない限り特に制限はないが、例えば、30質量%以下、15質量%以下、10質量%以下であり、典型的には8質量%以下である。
表面処理剤は、含窒素複素環化合物(B)を含む。
表面処理剤が含窒素複素環化合物(B)を含むことにより、シリル化剤によるシリル化反応、上記アルコキシモノシラン化合物の加水分解ないし縮合、基板表面への結合を促進することができ、基板表面に存在する水酸基から水素を引き抜くことにより当該基板表面を活性化することができ、その結果、基板表面における材質が異なる2以上の隣接する領域間において疎水性が選択的に向上し得る。
含窒素複素環化合物(B)は、環中に、酸素原子、硫黄原子等の窒素原子以外のヘテロ原子を含んでいてもよい。含窒素複素環化合物(B)は、典型的にはケイ素原子をその構造中に含まない化合物を採用することができる。
含窒素複素環化合物(B)は、表面疎水化の観点から、芳香性を有する含窒素複素環を含む化合物であることが好ましい。
多価の連結基の中では、環同士の立体障害が小さい点から2価の連結基が好ましい。2価の連結基の具体例としては、炭素原子数1以上6以下のアルキレン基、-CO-、-CS-、-O-、-S-、-NH-、-N=N-、-CO-O-、-CO-NH-、-CO-S-、-CS-O-、-CS-S-、-CO-NH-CO-、-NH-CO-NH-、-SO-、及び-SO2-等が挙げられる。
2以上の複数の環が多価の連結基により結合した化合物に含まれる環の数は、均一な表面処理剤を調製しやすい点から、4以下が好ましく、3以下がより好ましく、2が最も好ましい。なお、例えばナフタレン環のような縮合環については、環の数を2とする。
2以上の複数の環が縮合した含窒素複素環化合物に含まれる環の数は、均一な表面処理剤を調製しやすい点から、4以下が好ましく、3以下が好ましく、2が最も好ましい。
含窒素複素環化合物(B)が、複素環上に複数の置換基を有してもよい。置換基の数が複数である場合、複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
これらの置換基が、脂肪族炭化水素環や芳香族炭化水素環等を含む場合、これらの環は更に、含窒素複素環化合物(B)が有してもよい置換基と同様の置換基を有していてもよい。
上記表面処理剤における上記含窒素複素環化合物(B)の含有量の上限値としては本発明の効果を損なわない限り特に制限はないが、例えば、30質量%以下、15質量%以下、10質量%以下であり、典型的には5質量%以下である。
表面処理剤が溶剤を含有することにより、浸漬法、スピンコート法等による基板の表面処理が容易性の観点から、表面処理剤は、溶剤を含有することが好ましい。
ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、ビス(2-ヒドロキシエチル)スルホン、テトラメチレンスルホン等のスルホン類;
N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジエチルアセトアミド等のアミド類;
N-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドン、N-プロピル-2-ピロリドン、N-ヒドロキシメチル-2-ピロリドン、N-ヒドロキシエチル-2-ピロリドン等のラクタム類;
1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、1,3-ジエチル-2-イミダゾリジノン、1,3-ジイソプロピル-2-イミダゾリジノン等のイミダゾリジノン類;
ジメチルグリコール、ジメチルジグリコール、ジメチルトリグリコール、メチルエチルジグリコール、ジエチルグリコール、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル等のジアルキルグリコールエーテル類;
メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、sec-ブタノール、tert-ブタノール、n-ペンタノール、イソペンタノール、2-メチルブタノ-ル、sec-ペンタノール、tert-ペンタノール、3-メトキシブタノール、3-メチル-3-メトキシブタノール、n-へキサノール、2-メチルペンタノール、sec-へキサノール、2-エチルブタノール、sec-へプタノール、3-へプタノール、n-オクタノール、2-エチルへキサノール、sec-オクタノール、n-ノニルアルコール、2,6-ジメチル-4-へプタノール、n-デカノール、sec-ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、sec-テトラデシルアルコール、sec-へプタデシルアルコール、フエノール、シクロへキサノール、メチルシクロへキサノール、3,3,5-トリメチルシクロへキサノール、べンジルアルコール、フェニルメチルカルビノール、ジアセトンアルコール、クレゾール等のモノアルコール系溶媒;
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、エチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;
ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジイソアミルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン等の他のエーテル類;
メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン等のケトン類;
2-ヒドロキシプロピオン酸メチル、2-ヒドロキシプロピオン酸エチル等の乳酸アルキルエステル類;2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2-ヒドロキシ-3-メチルブタン酸メチル、3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシ-1-ブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルプロピオネート、酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸i-プロピル、酢酸n-ブチル、酢酸i-ブチル、酢酸n-ペンチル、酢酸n-ヘキシル、酢酸n-ヘプチル、酢酸n-オクチル、ぎ酸n-ペンチル、酢酸i-ペンチル、プロピオン酸n-ブチル、酪酸エチル、酪酸n-プロピル、酪酸i-プロピル、酪酸n-ブチル、n-オクタン酸メチル、デカン酸メチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸n-プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2-オキソブタン酸エチル、アジピン酸ジメチル、プロピレングリコールジアセテート等の他のエステル類;
β-プロピロラクトン、γ-ブチロラクトン、δ-ペンチロラクトン等のラクトン類;
n-ヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタン、n-ノナン、メチルオクタン、n-デカン、n-ウンデカン、n-ドデカン、2,2,4,6,6-ペンタメチルヘプタン、2,2,4,4,6,8,8-ヘプタメチルノナン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の直鎖状、分岐鎖状、又は環状の脂肪族炭化水素類;
ベンゼン、トルエン、キシレン、1,3,5-トリメチルベンゼン、ナフタレン等の芳香族炭化水素類;
p-メンタン、ジフェニルメンタン、リモネン、テルピネン、ボルナン、ノルボルナン、ピナン等のテルペン類;等が挙げられる。これらの溶剤は、単独又は2種以上を混合して使用することができる。
溶剤としては、シリル化剤(A)及び含窒素複素環化合物(B)の両方を溶解させ、かつ基板表面における材質が異なる2以上の隣接する領域間における疎水性向上の選択性の観点から、誘電率1以上25以下の溶剤であることが好ましく、誘電率2以上20以下の溶剤であることがより好ましく、誘電率3以上15以下の溶剤であることが更に好ましく、誘電率4以上10以下の溶剤であることが特に好ましく、誘電率5以上8以下の溶剤であることが最も好ましい。
次に、第1の態様に係る表面処理方法を用いた基板上への領域選択的製膜方法について説明する。
本態様において、基板上への領域選択的製膜方法は、
上記第1の態様に係る表面処理方法により上記基板の上記表面を処理することと、
表面処理された上記基板の表面に、ALD法により膜を形成することとを含み、
上記膜の材料の堆積量を領域選択的に異ならせる。
具体的には、上記2以上の領域間における水の接触角(好ましくは、疎水性)が、他方の領域よりも大きくなった領域には、ALD法による膜形成材料が、基板表面上の上記領域に吸着(好ましくは化学吸着)し難くなり、上記2以上の領域間において膜形成材料の堆積量に差異が生じる結果、基板上の領域選択的に膜形成材料の堆積量が相違することが好ましい。
上記化学吸着としては、水酸基との化学吸着等が挙げられる。
上記2以上の領域間において、他方の領域よりも水の接触角(好ましくは、疎水性)が小さくなる傾向にある領域としては、W、Co、Al、Ni、Ru、Cu、TiN及びTaNよりなる群から選択される少なくとも1種を含む領域が挙げられる。
ALD法による膜形成方法としては特に制限はないが、少なくとも2つの気相反応物質(以下単に「前駆体ガス」という。)を用いた吸着(好ましくは化学吸着)による薄膜形成方法であることが好ましい。
具体的には、下記工程(a)及び(b)を含み、所望の膜厚が得られるまで下記工程(a)及び(b)を少なくとも1回(1サイクル)繰り返す方法等が挙げられる。
(a)上記第1の態様に係る方法による表面処理された基板を、第1前駆体ガスのパルスに曝露する工程、及び
(b)上記工程(a)に次いで、基板を第2前駆体ガスのパルスに曝露する工程。
上記工程(b)の後、プラズマ処理工程、第2前駆体ガス及びその反応物をキャリアガス等により除去ないしパージする工程等を含んでいてもいなくてもよい。
キャリアガスとしては、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス等の不活性ガスが挙げられる。
上記単原子層の膜厚としては、例えば、5nm以下とすることができ、好ましくは3nm以下とすることができ、より好ましくは1nm以下とすることができ、更に好ましくは0.5nm以下とすることができる。
(表面処理剤の調製)
溶剤3-メチル-3-メトキシ-1-ブチルアセテート(MMBA)に、シリル化剤(A)であるn-オクチルトリメトキシシランを7.8質量%、下記表1に記載の含窒素複素環化合物(B)(以下、単に「化合物(B)」ともいう。)を1.0質量%で均一に混合して実施例1~4及び比較例1の表面処理剤を調製した。
得られた実施例1~4及び比較例1の表面処理剤を用いて、以下の方法にしたがって、窒化ケイ素基板(SiN)、シリコン熱酸化膜基板(Ox)及びタングステン基板(W)の表面処理を行った。
具体的には、各基板を濃度0.5質量%のHF水溶液に25℃で1分間浸漬させて前処理を行った。上記前処理後、基板をイオン交換蒸留水で1分間洗浄した。水洗後の基板を窒素気流により乾燥させた。
乾燥後の各基板を上記各表面処理剤に60℃10分間浸漬させて、基板の表面処理を行った。表面処理後の基板を、イソプロパノールで1分間洗浄した後、イオン交換蒸留水による洗浄を1分間行った。洗浄された基板を、窒素気流により乾燥させて、表面処理された基板を得た。
上記HF前処理後の各基板、上記表面処理後の各基板について水の接触角を測定した。
水の接触角の測定は、Dropmaster700(協和界面科学株式会社製)を用い、表面処理された基板の表面に純水液滴(2.0μL)を滴下して、滴下2秒後における接触角として測定した。結果を下記表1に示す。なお、表1における接触角差(°)は、前者の基板の処理後の水の接触角から、後者の基板の処理後の水の接触角の値を減じた値である。
シリル化剤(A)とともに化合物(B)を含有する実施例1、2の表面処理剤を用いた方が、ALD法を用いた基板表面の領域選択的な製膜に好適に適用し得るといえる。
(表面処理剤の調製)
溶剤3-メチル-3-メトキシ-1-ブチルアセテートに、下記表2に記載の各シリル化剤(A)を7.8質量%と、化合物(B)としてイミダゾールを1.0質量%で均一に混合して実施例3~7の表面処理剤を調製した。
得られた実施例3~7の表面処理剤を用いて、実施例1、2及び比較例1と同様に、HF水溶液による前処理後、SiN基板、Ox基板、W基板、及び窒化チタン基板(TiN)の表面処理を行い、上記HF前処理後の各基板、上記表面処理後の各基板について水の接触角を測定した。
水の接触角の測定は上記と同様に行った。結果を下記表2に示す。なお、表2における接触角差(°)は、前者の基板の処理後の水の接触角から、後者の基板の処理後の水の接触角の値を減じた値である。
一方、各種シリル化剤(A)及びイミダゾールを含む実施例3~7の表面処理剤で表面処理後は、例えば、表2の接触角差欄に示す基板間において、水接触角差が大きいことが分かる。
この結果から、シリル化剤(A)及び化合物(B)を含有する表面処理剤を用いた複数の異なる領域を含む基板が、ALD法を用いた基板表面の領域選択的な製膜に好適に適用し得るといえる。
特に、直鎖状アルキル基の炭素原子数が8、11である実施例5、6の表面処理剤を用いた場合に、W基板と、SiN基板、Ox基板又はTiN基板との水接触角差が特に大きい傾向にあるといえる。
(表面処理剤の調製)
下記各種溶剤に、シリル化剤(A)としてn-オクチルトリメトキシシランを7.8質量%と、化合物(B)としてイミダゾールを1.0質量%で均一に混合して表面処理剤を調製した。
イソプロピルアルコール(IPA)
メチルエチルケトン(MEK)
酢酸エチル
3-メチル-3-メトキシブタノール(MMB)
プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)
ジエチレングリコールモノメチルエーテル(MDG)
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)
3-メチル-3-メトキシ-1-ブチルアセテート(MMBA)
得られた表面処理剤を用いて、実施例1、2及び比較例1と同様に、HF水溶液による前処理後、Ox基板及びW基板の表面処理を行い、上記表面処理後の各基板について水の接触角を測定した。
水の接触角の測定は上記と同様に行った。その後、Ox基板及びW基板間の水接触角差と、各溶剤の誘電率との関係を図1に纏めた。
具体的には、材質が異なる基板表面間の疎水性向上の選択性の観点から、3-メチル-3-メトキシ-1-ブチルアセテート、酢酸エチル又はプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが特に好ましいことが分かる。
(表面処理剤の調製)
溶剤3-メチル-3-メトキシ-1-ブチルアセテートに、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)を5.0質量%で均一に混合して比較例2の表面処理剤を調製した。
化合物(B)としてイミダゾールを3.5質量%で更に混合すること以外は比較例2と同様にして実施例9の表面処理剤を調製した。
HMDS5.0質量%の代わりにn-オクチルトリメトキシシラン5.0質量%を均一に混合すること以外は比較例2と同様にして比較例3の表面処理剤を調製した。
化合物(B)としてイミダゾールを3.5質量%で更に混合すること以外は比較例3と同様にして実施例10の表面処理剤を調製した。
得られた実施例9及び10並びに比較例2及び3の表面処理剤を用いて、実施例1、2及び比較例1と同様に、HF水溶液による前処理後、Si基板、SiN基板、Ox基板、W基板、コバルト基板(Co)、窒化チタン基板(TiN)及び窒化タンタル基板(TaN)の表面処理を行い、上記HF前処理後の各基板、上記表面処理後の各基板について水の接触角を測定した。
水の接触角の測定は上記と同様に行った。結果を下記表3及び4に示す。また、下表4及び6に、材質の異なる基板間の水の接触角の差を示す。なお、表4及び表6における接触角差(°)は、前者の基板の処理後の水の接触角から、後者の基板の処理後の水の接触角の値を減じた値である。
シリル化剤(A)とともに化合物(B)を含有する実施例9の表面処理剤を用いた方が、ALD法を用いた基板表面の領域選択的な製膜に好適に適用し得るといえる。
シリル化剤(A)とともに化合物(B)を含有する実施例10の表面処理剤を用いた方が、ALD法を用いた基板表面の領域選択的な製膜に好適に適用し得るといえる。
(表面処理剤の調製)
溶剤3-メチル-3-メトキシ-1-ブチルアセテートに、従来のシリル化剤HMDSを5.0質量%と、イミダゾールを3.5質量%で均一に混合して実施例4の表面処理剤を調製した。
得られた実施例11の表面処理剤を用いて、以下の方法にしたがって、Si基板、SiN基板、Ox基板、W基板の表面処理を行った。
具体的には、各基板を濃度0.5質量%のHF水溶液に25℃で1分間浸漬させて前処理を行った。上記前処理後、基板をイオン交換蒸留水で1分間洗浄した。水洗後の基板を窒素気流により乾燥させた。
乾燥後の各基板を上記各表面処理剤に下記表5に示した時間25℃にて浸漬させて、基板の表面処理を行い、各基板について各浸漬時間の水接触角を測定した。水の接触角の測定は上記と同様に行った。結果を下記表7に示す。
(表面処理剤)
溶剤3-メチル-3-メトキシ-1-ブチルアセテート91.5gに、HMDSを5.0質量%と、イミダゾールを3.5質量%で均一に混合して実施例12の表面処理剤を調製した。
HMDS5.0質量%の代わりにテトラメチルジシラザン(TMDS)5.0質量%で均一に混合すること以外は実施例12と同様にして実施例13の表面処理剤を調製した。
HMDS5.0質量%の代わりにビス(ジメチルアミン)ジメチルシラン(BDMADMS)5.0質量%で均一に混合すること以外は実施例12と同様にして実施例14の表面処理剤を調製した。
得られた実施例12~14の表面処理剤を用いて、以下の方法にしたがって、SiN基板、Ox基板、Co基板及びTiN基板の表面処理を行った。
具体的には、各基板を濃度0.5質量%のHF水溶液に25℃で1分間浸漬させて前処理を行った。上記前処理後、基板をイオン交換蒸留水で1分間洗浄した。水洗後の基板を窒素気流により乾燥させた。
乾燥後の各基板を上記各表面処理剤に60℃10分間浸漬させて、基板の表面処理を行った。表面処理後の基板を、イソプロパノールで1分間洗浄した後、イオン交換蒸留水による洗浄を1分間行った。洗浄された基板を、窒素気流により乾燥させて、表面処理された基板を得た。水の接触角の測定は上記と同様に行った。結果を下記表8に示す。
得られた実施例12~実施例14の表面処理剤を用いて、以下の方法にしたがって、SiN基板及びOx基板上での耐熱性評価を行った。
具体的には、上記各表面処理剤に時間1分及び温度25℃にて浸漬させて、SiN基板とOx基板の表面処理を行った。その後、窒素雰囲気下、ホットプレートで300℃ベークし、各基板について各ベーク時間経過時における水接触角を測定した。結果を表9に示す。
Claims (9)
- 基板の表面に対する表面処理方法であって、
前記表面を、シリル化剤(A)、含窒素複素環化合物(B)及び溶剤を含む表面処理剤に曝露することを含み、
前記溶剤の誘電率が、4以上10以下であり、
前記表面が、2以上の領域を含み、
2以上の前記領域のうちの隣接する領域に関して、互いに材質が異なり、
前記シリル化剤と2以上の前記領域との反応によって、2以上の前記領域のうちの隣接する領域に関して、水の接触角を互いに異ならせる、表面処理方法。 - 前記含窒素複素環化合物(B)が、置換基を有していてもよいイミダゾール、置換基を有していてもよいトリアゾール、及び置換基を有していてもよいテトラゾールからなる群より選択される1種以上である、請求項1に記載の表面処理方法。
- 前記シリル化剤(A)が、ケイ素原子に結合する疎水性基を有するアルコキシモノシラン化合物である、請求項1又は2に記載の表面処理方法。
- 前記アルコキシモノシラン化合物が、トリアルコキシモノシラン化合物である、請求項3に記載の表面処理方法。
- 前記アルコキシモノシラン化合物が有する前記疎水性基が、炭素原子数3以上20以下の鎖状脂肪族炭化水素基である、請求項3又は4に記載の表面処理方法。
- 前記シリル化剤(A)が、ケイ素原子に結合する疎水性基と、ケイ素原子に結合する脱離基とを有する化合物である、請求項1又は2に記載の表面処理方法。
- 前記表面処理剤への曝露後の前記表面において、2以上の前記領域のうちの隣接する領域に関して水の接触角が20°以上異なる、請求項1~6のいずれか1項に記載の表面処理方法。
- 請求項1~7のいずれか1項に記載の表面処理方法により前記基板の前記表面を処理することと、
表面処理された前記基板の表面に、原子層成長法により膜を形成することとを含み、
前記膜の材料の堆積量を領域選択的に異ならせる、前記基板表面の領域選択的製膜方法。 - 請求項1~7のいずれか1項に記載の表面処理方法において用いられる表面処理剤であって、シリル化剤(A)及び含窒素複素環化合物(B)を含む表面処理剤。
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