以下に本発明の実施の形態を説明するが、これらは例示的に示されるもので、本発明の技術思想から逸脱しない限り種々の変形が可能なことはいうまでもない。
本発明の2液型硬化性組成物は、エポキシ樹脂及び液状錫系硬化触媒を含むA剤と、架橋性珪素基含有有機重合体及びエポキシ樹脂用硬化剤を含むB剤とからなる2液型硬化性組成物であって、前記液状錫系硬化触媒が、ジオクチル錫オキサイド及びジオクチル錫カルボキシレートからなる群から選択される1種以上の錫化合物と、前記式(1)で示されるアルコキシシラン化合物とを反応させてなる反応生成物であり、前記架橋性珪素基含有有機重合体100質量部に対して、前記エポキシ樹脂の配合量が10〜200質量部、前記液状錫系硬化触媒の配合量が0.1〜20質量部、前記エポキシ樹脂用硬化剤の配合量が1〜60質量部であることを特徴とする。
前記エポキシ樹脂としては、従来公知のものを広く使用でき特に制限はないが、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂やこれらを水添したエポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ウレタン結合を有するウレタン変性エポキシ樹脂、フッ素化エポキシ樹脂、ゴム変性エポキシ樹脂(例えば、ポリブタジエン、SBR、NBR、CTBNのいずれかのゴムで変性したエポキシ樹脂等)、テトラブロモビスフェノールAのグリシジルエーテル等の難燃型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、単独で用いてもよく2種以上併用してもよい。
これらエポキシ樹脂の中では、作業性や硬化性、接着強度、被着体汎用性、耐水性、耐久性等のバランスの点から、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂やこれらを水添したエポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ウレタン結合を有するウレタン変性エポキシ樹脂、フッ素化エポキシ樹脂、ゴム変性エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールAのグリシジルエーテル等の難燃型エポキシ樹脂が好ましく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂やこれらを水添したエポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ウレタン結合を有するウレタン変性エポキシ樹脂、ゴム変性エポキシ樹脂がより好ましい。
前記エポキシ樹脂の分子量は特に制限はないが、数平均分子量300〜1000が好ましく、350〜600がより好ましい。
本発明の硬化性組成物において前記エポキシ樹脂の配合割合は、前記架橋性珪素基含有有機重合体100質量部に対して、前記エポキシ樹脂の配合量が10〜200質量部であり、20〜150質量部が好ましく、50〜120質量部がより好ましい。
前記液状錫系硬化触媒は、ジオクチル錫オキサイド及びジオクチル錫カルボキシレートからなる群から選択される1種以上の錫化合物と、下記式(1)で示されるアルコキシシラン化合物とを反応させてなる反応生成物である。
R1R2 aSi(OR3)3−a ・・・(1)
前記式(1)において、R1はフェニル基、ビニル基、炭素数6〜20のアルキル基、グリシドキシアルキル基、エポキシシクロアルキル基であり、液状錫系硬化触媒の安定性が向上する点から、フェニル基、ビニル基、又は炭素数6〜20のアルキル基であることが好ましく、フェニル基又はビニル基がより好ましく、フェニル基が特に好ましい。
R2はメチル基又はフェニル基であり、R1及びR2が共にフェニル基であることが硬化速度を速めることができより好適である。aは0又は1である(但しR1が炭素数6〜20のアルキル基の場合はaは0である)。
R3は炭素数1〜4の1価の炭化水素基および1価のハロゲン化炭化水素基からなる群から選択される基であり、メチル基又はエチル基が好ましく、複数のR3は同じであっても異なっていても良い。
前記アルコキシシラン化合物としては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ基含有シラン類;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルイソプロポキシシラン等のビニル基含有シラン類;ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン等の炭素数6〜20のアルキル基を有するアルキルシラン類;フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリプロポキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等のフェニル基含有シラン類等が挙げられ、フェニル基含有シラン類、ビニル基含有シラン類及び炭素数6〜20のアルキル基を有するアルキルシラン類が好ましく、フェニル基含有シラン類、及びビニル基含有シラン類がより好ましく、ジフェニルジアルコキシシランが硬化速度の点で特に好ましい。
前記ジオクチル錫カルボキシレートは、公知のジオクチル錫カルボキシレートを使用可能であり、特に制限はないが、下記式(2)で示される構造を有するものが好ましい。
前記式(2)において、nは1〜4であり、R11及びR12はそれぞれ1価の有機基であり、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルケニル基、シクロアルキニル基、アリール基、アラルキル基等が挙げられ、アルキル基又はアルケニル基が好ましい。R11及びR12の炭素数は特に制限はないが、1〜21が好ましく、1〜17がより好ましく、1〜11がさらに好ましい。
前記ジオクチル錫カルボキシレートは市販のジオクチル錫カルボキシレートを用いてもよく、またジオクチル錫オキシドと、モノカルボン酸及びモノカルボン酸無水物からなる群より選ばれる少なくとも1つの有機酸とを反応させて得られる反応生成物を用いてもよい。また、ジオクチル錫オキシドと有機酸と前記式(1)で示されるアルコキシシラン化合物とを同時に添加し、本発明の液状錫系硬化触媒である反応生成物を得てもよい。
前記モノカルボン酸としては、飽和カルボン酸及び/又は不飽和カルボン酸を用いることができるが、炭素数2〜22の飽和脂肪酸、炭素数2〜22の不飽和脂肪酸、炭素数7〜22の芳香族カルボン酸又はナフテン酸が好ましく、炭素数2〜22の飽和脂肪酸が特に好ましい。同様に、モノカルボン酸無水物としては、飽和カルボン酸無水物及び/又は不飽和カルボン酸無水物を用いることができるが、炭素数2〜22の飽和脂肪酸無水物、炭素数2〜22の不飽和脂肪酸無水物、炭素数7〜22の芳香族カルボン酸無水物が好ましい。
本発明において、前記ジオクチル錫オキサイド及びジオクチル錫カルボキシレートからなる群から選択される1種以上の錫化合物と、下記式(1)で示されるアルコキシシラン化合物との反応条件は特に制限はないが、前記アルコキシシラン化合物のOR3基1モルに対して前記錫化合物の錫原子を0.20〜1.40モル、好ましくは0.25〜1.10の範囲で反応させるものが好適である。0.20モル未満であると、室温条件及び低温条件において十分な硬化速度が得られない可能性がある。また、十分な深部硬化性も得られない可能性がある。更に硬化触媒を硬化性組成物に用いた時、得られる硬化物のゴム硬度が高くなり、硬化物の皮膜の伸びが小さくなる傾向があるので好ましくない。1.40モルを超えると、ジオクチル錫オキサイドとアルコキシシラン化合物との溶解が困難となり、溶解しても液状錫系硬化触媒の安定性が低下する傾向がある。また、この硬化触媒を硬化性組成物に用いた時、特に低温条件において重合体(A)との相溶性が低下する傾向があり、低温条件において十分な硬化速度が得られない可能性があるので好ましくない。
該反応の温度条件は特に制限はないが、70℃〜140℃で加熱することが好ましく、80℃〜120℃で加熱することがより好適である。反応温度を70℃以上とすることにより反応速度を速めることができる。また、反応温度を140℃以下とすることにより、熱分解やゲル化等の副反応を防ぐことができる。反応時間も特に制限はないが、1時間〜5時間が好ましく、1時間〜3時間がより好ましい。該反応により常温(例えば23℃)で液状である液状錫系硬化触媒が得られる。
前記錫化合物とアルコキシシラン化合物との反応は、ジオクチル錫オキサイド及びジオクチル錫カルボキシレートからなる群から選択される1種又は2種以上の錫化合物とアルコキシシラン化合物とを反応させてもよく、ジオクチル錫オキサイドと有機酸とアルコキシシラン化合物とを反応させてよい。なお、ジオクチル錫カルボキシレートとアルコキシシラン化合物との反応において副生するカルボン酸エステルは、除去してもしなくてもよいが、除去して用いることが好ましい。該副生したカルボン酸エステルを除去することにより、本発明の液状錫系硬化触媒を用いた硬化性組成物の硬化速度をより速めることができる。
前記液状錫系硬化触媒は、希釈剤や可塑剤等の他の配合物質をさらに含有していてもよく、特に希釈剤を含有することが好ましい。希釈剤等の他の配合物質を添加する時期は特に制限はなく、前記錫化合物とアルコキシシラン化合物との反応の前後いずれでもよいが、前記希釈剤を反応前もしくは反応時に添加することが好ましい。該希釈剤を配合することにより、液状錫系硬化触媒の安定性を向上させることができる。該希釈剤としては後述する希釈剤が好適に用いられる。また、該反応において前記アルコキシシラン化合物は1種でもよく2種以上組み合わせて用いてもよい。
本発明の硬化性組成物において前記液状錫系硬化触媒の配合割合は、前記架橋性珪素基含有有機重合体100質量部に対して、前記液状錫系硬化触媒の配合量が0.1〜20質量部であり、0.5〜10質量部が好ましく、1〜8質量部がより好ましい。
前記架橋性珪素基含有有機重合体としては、各種の主鎖骨格を持つものを使用することができるが、1分子中に平均して0.8個以上の架橋性珪素基を有し且つ主鎖がポリシロキサンでない有機重合体が好適である。
具体的には、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン、ポリオキシテトラメチレン、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体、ポリオキシプロピレン−ポリオキシブチレン共重合体等のポリオキシアルキレン系重合体;エチレン−プロピレン系共重合体、ポリイソブチレン、イソブチレンとイソプレン等との共重合体、ポリクロロプレン、ポリイソプレン、イソプレンあるいはブタジエンとアクリロニトリルおよび/またはスチレン等との共重合体、ポリブタジエン、イソプレンあるいはブタジエンとアクリロニトリル及びスチレン等との共重合体、これらのポリオレフィン系重合体に水素添加して得られる水添ポリオレフィン系重合体等の炭化水素系重合体;アジピン酸等の2塩基酸とグリコールとの縮合、または、ラクトン類の開環重合で得られるポリエステル系重合体;エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等のモノマーをラジカル重合して得られる(メタ)アクリル酸エステル系重合体;(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン等のモノマーをラジカル重合して得られるビニル系重合体;前記有機重合体中でのビニルモノマーを重合して得られるグラフト重合体;ポリサルファイド系重合体;ε−カプロラクタムの開環重合によるナイロン6、ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸の縮重合によるナイロン6・6、ヘキサメチレンジアミンとセバシン酸の縮重合によるナイロン6・10、ε−アミノウンデカン酸の縮重合によるナイロン11、ε−アミノラウロラクタムの開環重合によるナイロ
ン12、上記のナイロンのうち2成分以上の成分を有する共重合ナイロン等のポリアミド系重合体;たとえばビスフェノールAと塩化カルボニルより縮重合して製造されるポリカーボネート系重合体、ジアリルフタレート系重合体等が例示される。
さらに、ポリイソブチレン、水添ポリイソプレン、水添ポリブタジエン等の飽和炭化水素系重合体や、ポリオキシアルキレン系重合体、(メタ)アクリル酸エステル系重合体は比較的ガラス転移温度が低く、得られる硬化物が耐寒性に優れることから好ましい。また、ポリオキシアルキレン系重合体および(メタ)アクリル酸エステル系重合体は、透湿性が高く1液型組成物にした場合に深部硬化性に優れることから特に好ましい。
本発明に用いる(A)有機系重合体の架橋性珪素基は、珪素原子に結合した水酸基又は加水分解性基を有し、シロキサン結合を形成することにより架橋しうる基である。前記架橋性珪素基としては、例えば、下記一般式(3)で示される基が好適である。
前記式(3)中、R21は、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基またはR21 3SiO−(R21は、前記と同じ)で示されるトリオルガノシロキシ基を示し、R21が2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。Xは水酸基または加水分解性基を示し、Xが2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。dは0、1、2または3を、eは0、1または2を、それぞれ示す。またp個の下記一般式(4)におけるeは同一である必要はない。pは0〜19の整数を示す。但し、d+(eの和)≧1を満足するものとする。
該加水分解性基や水酸基は1個の珪素原子に1〜3個の範囲で結合することができ、d+(eの和)は1〜5の範囲が好ましい。加水分解性基や水酸基が架橋性珪素基中に2個以上結合する場合には、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。
架橋性珪素基を形成する珪素原子は1個でもよく、2個以上であってもよいが、シロキサン結合等により連結された珪素原子の場合には、20個程度あってもよい。
前記架橋性珪素基としては、下記一般式(5)で示される架橋性珪素基が、入手が容易である点から好ましい。
前記式(5)中、R21、Xは前記におなじ、dは1、2又は3の整数である。硬化性を考慮し、十分な硬化速度を有する硬化性組成物を得るには、前記式(5)においてdは2以上が好ましく、3がより好ましい。
上記R21の具体例としては、たとえばメチル基、エチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基等のアリール基、ベンジル基等のアラルキル基や、R21 3SiO−で示されるトリオルガノシロキシ基等があげられる。これらの中ではメチル基が好ましい。
上記Xで示される加水分解性基としては、特に限定されず、従来公知の加水分解性基であればよい。具体的には、たとえば水素原子、ハロゲン原子、アルコキシル基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基等があげられる。これらの中では、水素原子、アルコキシル基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基およびアルケニルオキシ基が好ましく、アルコキシル基、アミド基、アミノオキシ基がさらに好ましい。加水分解性が穏やかで取扱やすいという観点からアルコキシル基が特に好ましい。アルコキシル基の中では炭素数の少ないものの方が反応性が高く、メトキシ基>エトキシ基>プロポキシ基の順のように炭素数が多くなるほどに反応性が低くなる。目的や用途に応じて選択できるが通常メトキシ基やエトキシ基が使用される。
架橋性珪素基の具体的な構造としては、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基等のトリアルコキシシリル基[−Si(OR)3]、メチルジメトキシシリル基、メチルジエトキシシリル基等のジアルコキシシリル基[−SiR21(OR)2]があげられる。ここでRはメチル基やエチル基のようなアルキル基である。
また、架橋性珪素基は1種で使用しても良く、2種以上併用してもかまわない。架橋性珪素基は、主鎖または側鎖あるいはいずれにも存在しうる。
架橋性珪素基を形成する珪素原子は1個以上であるが、シロキサン結合などにより連結された珪素原子の場合には、20個以下であることが好ましい。
架橋性珪素基を有する有機重合体は直鎖状、または分岐を有してもよく、その数平均分子量はGPCにおけるポリスチレン換算において500〜100,000程度、より好ましくは1,000〜50,000であり、特に好ましくは3,000〜30,000である。数平均分子量が500未満では、硬化物の伸び特性の点で不都合な傾向があり、100,000を越えると、高粘度となる為に作業性の点で不都合な傾向がある。
高強度、高伸びで、低弾性率を示すゴム状硬化物を得るためには、有機重合体に含有される架橋性珪素基は重合体1分子中に平均して0.8個以上、好ましくは1.1〜5個存在するのがよい。分子中に含まれる架橋性珪素基の数が平均して0.8個未満になると、硬化性が不充分になり、良好なゴム弾性挙動を発現しにくくなる。架橋性珪素基は、有機重合体分子鎖の主鎖の末端あるいは側鎖の末端にあってもよいし、また、両方にあってもよい。特に、架橋性珪素基が分子鎖の主鎖の末端にのみあるときは、最終的に形成される硬化物に含まれる有機重合体成分の有効網目長が長くなるため、高強度、高伸びで、低弾性率を示すゴム状硬化物が得られやすくなる。
前記ポリオキシアルキレン系重合体は、本質的に下記一般式(6)で示される繰り返し単位を有する重合体である。
−R22−O− ・・・(6)
前記一般式(6)中、R22は炭素数1〜14の直鎖状もしくは分岐アルキレン基であり、炭素数1〜14の、さらには2〜4の、直鎖状もしくは分岐アルキレン基が好ましい。
一般式(6)で示される繰り返し単位の具体例としては、
−CH2O−、−CH2CH2O−、−CH2CH(CH3)O−、−CH2CH(C2H5)O−、−CH2C(CH3)2O−、−CH2CH2CH2CH2O−
等が挙げられる。ポリオキシアルキレン系重合体の主鎖骨格は、1種類だけの繰り返し単位からなってもよいし、2種類以上の繰り返し単位からなってもよい。特にシーリング材等に使用される場合には、プロピレンオキシド重合体を主成分とする重合体から成るものが非晶質であることや比較的低粘度である点から好ましい。
ポリオキシアルキレン系重合体の合成法としては、たとえばKOHのようなアルカリ触媒による重合法、たとえば特開昭61−197631号、同61−215622号、同61−215623号に示されるような有機アルミニウム化合物とポルフィリンとを反応させて得られる、有機アルミ−ポルフィリン錯体触媒による重合法、たとえば特公昭46−27250号および特公昭59−15336号などに示される複金属シアン化物錯体触媒による重合法等があげられるが、特に限定されるものではない。有機アルミ−ポルフィリン錯体触媒による重合法や複金属シアン化物錯体触媒による重合法によれば数平均分子量6,000以上、Mw/Mnが1.6以下の高分子量で分子量分布が狭いポリオキシアルキレン系重合体を得ることができる。
上記ポリオキシアルキレン系重合体の主鎖骨格中にはウレタン結合成分等の他の成分を含んでいてもよい。ウレタン結合成分としては、たとえばトルエン(トリレン)ジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族系ポリイソシアネート;イソフォロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族系ポリイソシアネートと水酸基を有するポリオキシアルキレン系重合体との反応から得られるものをあげることができる。
ポリオキシアルキレン系重合体への架橋性珪素基の導入は、分子中に不飽和基、水酸基、エポキシ基やイソシアネート基等の官能基を有するポリオキシアルキレン系重合体に、この官能基に対して反応性を示す官能基および架橋性珪素基を有する化合物を反応させることにより行うことができる(以下、高分子反応法という)。
高分子反応法の具体例として、不飽和基含有ポリオキシアルキレン系重合体に架橋性珪素基を有するヒドロシランや架橋性珪素基を有するメルカプト化合物を作用させてヒドロシリル化やメルカプト化し、架橋性珪素基を有するポリオキシアルキレン系重合体を得る方法をあげることができる。不飽和基含有ポリオキシアルキレン系重合体は水酸基等の官能基を有する有機重合体に、この官能基に対して反応性を示す活性基および不飽和基を有する有機化合物を反応させ、不飽和基を有するポリオキシアルキレン系重合体を得ることができる。
また、高分子反応法の他の具体例として、末端に水酸基を有するポリオキシアルキレン系重合体とイソシアネート基および架橋性珪素基を有する化合物を反応させる方法や末端にイソシアネート基を有するポリオキシアルキレン系重合体と水酸基やアミノ基等の活性水素基および架橋性珪素基を有する化合物を反応させる方法をあげることができる。イソシアネート化合物を使用すると、容易に架橋性珪素基を有するポリオキシアルキレン系重合体を得ることができる。
架橋性珪素基を有するポリオキシアルキレン系重合体の具体例としては、特公昭45−36319号、同46−12154号、特開昭50−156599号、同54−6096号、同55−13767号、同57−164123号、特公平3−2450号、特開2005−213446号、同2005−306891号、国際公開特許WO2007−040143号、米国特許3,632,557、同4,345,053、同4,960,844等の各公報に提案されているものをあげることができる。
上記の架橋性珪素基を有するポリオキシアルキレン系重合体は、単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
前記飽和炭化水素系重合体は芳香環以外の炭素−炭素不飽和結合を実質的に含有しない重合体であり、その骨格をなす重合体は、(1)エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレンなどのような炭素数2〜6のオレフィン系化合物を主モノマーとして重合させるか、(2)ブタジエン、イソプレンなどのようなジエン系化合物を単独重合させ、あるいは、上記オレフィン系化合物とを共重合させた後、水素添加するなどの方法により得ることができるが、イソブチレン系重合体や水添ポリブタジエン系重合体は、末端に官能基を導入しやすく、分子量を制御しやすく、また、末端官能基の数を多くすることができるので好ましく、イソブチレン系重合体が特に好ましい。
主鎖骨格が飽和炭化水素系重合体であるものは、耐熱性、耐候性、耐久性、及び湿気遮断性に優れる特徴を有する。
イソブチレン系重合体は、単量体単位のすべてがイソブチレン単位から形成されていてもよいし、他単量体との共重合体でもよいが、ゴム特性の面からイソブチレンに由来する繰り返し単位を50質量%以上含有するものが好ましく、80質量%以上含有するものがより好ましく、90〜99質量%含有するものが特に好ましい。
飽和炭化水素系重合体の合成法としては、従来、各種重合方法が報告されているが、特に近年多くのいわゆるリビング重合が開発されている。飽和炭化水素系重合体、特にイソブチレン系重合体の場合、Kennedyらによって見出されたイニファー重合(J. P. Kennedyら、J. Polymer Sci., Polymer Chem. Ed. 1997年、15巻、2843頁)を用いることにより容易に製造することが可能であり、分子量500〜100,000程度を、分子量分布1.5以下で重合でき、分子末端に各種官能基を導入できることが知られている。
架橋性珪素基を有する飽和炭化水素系重合体の製法としては、たとえば、特公平4−69659号、特公平7−108928号、特開昭63−254149号、特開昭64−22904号、特開平1−197509号、特許公報第2539445号、特許公報第2873395号、特開平7−53882号の各明細書などに記載されているが、特にこれらに限定されるものではない。
上記の架橋性珪素基を有する飽和炭化水素系重合体は、単独で使用してもよいし2種以上併用してもよい。
前記(メタ)アクリル酸エステル系重合体の主鎖を構成する(メタ)アクリル酸エステル系モノマーとしては特に限定されず、各種のものを用いることができる。例えば、(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ペンチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸n−ヘプチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー;(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、テトラメチルピペリジニル(メタ)アクリレート、ペンタメチルピペリジニル(メタ)アクリレート等の脂環式(メタ)アクリル酸エステル系モノマー;(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸トルイル、(メタ)アクリル酸ベンジル、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル化o−フェニルフェノール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェニルチオエチル(メタ)アクリレート等の芳香族(メタ)アクリル酸エステル系モノマー;(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸3−メトキシブチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−アミノエチル等の(メタ)アクリル酸エステル系モノマー;γ−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)ジメトキシメチルシラン、メタクリロイルオキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロイルオキシメチルトリエトキシシラン、メタクリロイルオキシメチルジメトキシメチルシラン、メタクリロイルオキシメチルジエトキシメチルシラン等のシリル基含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー;(メタ)アクリル酸のエチレンオキサイド付加物等の(メタ)アクリル酸の誘導体;(メタ)アクリル酸トリフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−トリフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロエチル、(メタ)アクリル酸トリフルオロメチル、(メタ)アクリル酸ビス(トリフルオロメチル)メチル、(メタ)アクリル酸2−トリフルオロメチル−2−パーフルオロエチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロデシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキサデシルエチル等のフッ素含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー等が挙げられる。
前記(メタ)アクリル酸エステル系重合体では、(メタ)アクリル酸エステル系モノマーとともに、以下のビニル系モノマーを共重合することもできる。該ビニル系モノマーを例示すると、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、クロルスチレン、スチレンスルホン酸及びその塩等のスチレン系モノマー;パーフルオロエチレン、パーフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン等のフッ素含有ビニルモノマー;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等の珪素含有ビニル系モノマー;無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸のモノアルキルエステル及びジアルキルエステル;フマル酸、フマル酸のモノアルキルエステル及びジアルキルエステル;マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、ヘキシルマレイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド系モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル基含有ビニル系モノマー;アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド基含有ビニル系モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニル等のビニルエステル類;エチレン、プロピレン等のアルケン類;ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、塩化アリル、アリルアルコール等が挙げられる。
これらは、単独で用いても良いし、複数を共重合させても構わない。なかでも、生成物の物性等から、(メタ)アクリル酸系モノマーからなる重合体が好ましい。より好ましくは、1種又は2種以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーを用い、必要に応じて他の(メタ)アクリル酸モノマーを併用した(メタ)アクリル酸エステル系重合体であり、シリル基含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマーを併用することにより、(メタ)アクリル酸エステル系重合体(A)中の珪素基の数を制御することができる。接着性が良いことから特に好ましくはメタクリル酸エステルモノマーからなるメタクリル酸エステル系重合体である。また、低粘度化、柔軟性付与、粘着性付与を行う場合には、アクリル酸エステルモノマーを適時使用することが好適である。なお、本願明細書において、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸および/あるいはメタクリル酸を表す。
本発明において、(メタ)アクリル酸エステル系重合体を得る方法は、特に限定されず、公知の重合法(例えば、特開昭63−112642号、特開2007−230947号、特開2001−40037号、特開2003−313397号等の記載の合成法)を利用することができ、ラジカル重合反応を用いたラジカル重合法が好ましい。ラジカル重合法としては、重合開始剤を用いて所定の単量体単位を共重合させるラジカル重合法(フリーラジカル重合法)や、末端などの制御された位置に反応性シリル基を導入することが可能な制御ラジカル重合法が挙げられる。但し、重合開始剤としてアゾ系化合物、過酸化物などを用いる通常のフリーラジカル重合法で得られる重合体は、分子量分布の値が一般に2以上と大きく、粘度が高くなるという問題を有している。従って、分子量分布が狭く、粘度の低い(メタ)アクリル酸エステル系重合体であって、高い割合で分子鎖末端に架橋性官能基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体を得るためには、制御ラジカル重合法を用いることが好適である。
制御ラジカル重合法としては、特定の官能基を有する連鎖移動剤を用いたフリーラジカル重合法やリビングラジカル重合法が挙げられ、付加−開裂移動反応(Reversible Addition-Fragmentation chain Transfer;RAFT)重合法、遷移金属錯体を用いたラジカル重合法(Transition-Metal-Mediated Living Radical Polymerization)等のリビングラジカル重合法がより好ましい。また、反応性シリル基を有するチオール化合物を用いた反応や、反応性シリル基を有するチオール化合物及びメタロセン化合物を用いた反応(特開2001−40037号公報)も好適である。
上記の架橋性珪素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体は、単独で使用してもよいし2種以上併用してもよい。
これらの架橋性珪素基を有する有機重合体は、単独で使用してもよいし2種以上併用してもよい。具体的には、架橋性珪素基を有するポリオキシアルキレン系重合体、架橋性珪素基を有する飽和炭化水素系重合体、及び架橋性珪素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体、からなる群から選択される2種以上をブレンドしてなる有機重合体も使用できる。
架橋性珪素基を有するポリオキシアルキレン系重合体と架橋性珪素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体をブレンドしてなる有機重合体の製造方法は、特開昭59−122541号、特開昭63−112642号、特開平6−172631号、特開平11−116763号公報等に提案されているが、特にこれらに限定されるものではない。
好ましい具体例は、架橋性珪素基を有し分子鎖が実質的に、下記一般式(7):
−CH2−C(R25)(COOR26)− ・・・(7)
(式中、R25は水素原子またはメチル基、R26は炭素数1〜5のアルキル基を示す)で表される(メタ)アクリル酸エステル単量体単位と、下記一般式(8):
−CH2−C(R25)(COOR27)− ・・・(8)
(式中、R25は前記に同じ、R27は炭素数6以上のアルキル基を示す)で表される(メタ)アクリル酸エステル単量体単位からなる共重合体に、架橋性珪素基を有するポリオキシアルキレン系重合体をブレンドして製造する方法である。
前記一般式(7)のR26としては、たとえばメチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基等の炭素数1〜5、好ましくは1〜4、さらに好ましくは1〜2のアルキル基があげられる。なお、R26のアルキル基は単独でもよく、2種以上混合していてもよい。
前記一般式(8)のR27としては、たとえば2−エチルヘキシル基、ラウリル基、トリデシル基、セチル基、ステアリル基、ベヘニル基等の炭素数6以上、通常は7〜30、好ましくは8〜20の長鎖のアルキル基があげられる。なお、R27のアルキル基はR26の場合と同様、単独でもよく、2種以上混合したものであってもよい。
該(メタ)アクリル酸エステル系共重合体の分子鎖は実質的に式(7)及び式(8)の単量体単位からなるが、ここでいう「実質的に」とは該共重合体中に存在する式(7)及び式(8)の単量体単位の合計が50質量%をこえることを意味する。式(7)及び式(8)の単量体単位の合計は好ましくは70質量%以上である。
また式(7)の単量体単位と式(8)の単量体単位の存在比は、質量比で95:5〜40:60が好ましく、90:10〜60:40がさらに好ましい。
該共重合体に含有されていてもよい式(7)及び式(8)以外の単量体単位(以下、他の単量体単位とも称する)としては、たとえばアクリル酸、メタクリル酸等のα,β−不飽和カルボン酸;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等のアミド基、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等のエポキシ基、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、アミノエチルビニルエーテル等のアミノ基を含む単量体;その他アクリロニトリル、スチレン、α−メチルスチレン、アルキルビニルエーテル、塩化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、エチレン等に起因する単量体単位があげられる。
架橋性珪素基を有するポリオキシアルキレン系重合体と架橋性珪素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体をブレンドしてなる有機重合体の製造方法に用いられる架橋性珪素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体として、例えば、特開昭63−112642号公報記載の架橋性珪素基を有し、分子鎖が実質的に(1)炭素数1〜8のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体単位と、(2)炭素数10以上のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体単位を含有する(メタ)アクリル酸エステル系共重合体等の公知の(メタ)アクリル酸エステル系共重合体も使用可能である。
前記(メタ)アクリル酸エステル系重合体の数平均分子量は、600〜10,000が好ましく、600〜5,000がより好ましく、1,000〜4,500がさらに好ましい。数平均分子量を該範囲とすることにより、架橋性珪素基を有するポリオキシアルキレン系重合体との相溶性を向上させることができる。前記(メタ)アクリル酸エステル系重合体は、単独で使用しても良く、2種以上併用しても良い。
前記架橋性珪素基を有するポリオキシアルキレン系重合体と前記架橋性珪素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体との配合比には特に制限はないが、前記(メタ)アクリル酸エステル系重合体と前記ポリオキシアルキレン系重合体との合計100質量部に対して、前記(メタ)アクリル酸エステル系重合体を10〜60質量部の範囲内であることが好ましく、より好ましくは20〜50質量部の範囲内であり、さらに好ましくは25〜45質量部の範囲内である。前記(メタ)アクリル酸エステル系重合体が60質量部より多いと粘度が高くなり、作業性が悪化するため好ましくない。
架橋性珪素基を有する飽和炭化水素系重合体と架橋性珪素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系共重合体をブレンドしてなる有機重合体は、特開平1−168764号、特開2000−186176号公報等に提案されているが、特にこれらに限定されるものではない。
さらに、架橋性珪素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系共重合体をブレンドしてなる有機重合体の製造方法としては、他にも、架橋性珪素基を有する有機重合体の存在下で(メタ)アクリル酸エステル系単量体の重合を行う方法が利用できる。この製造方法は、特開昭59−78223号、特開昭59−168014号、特開昭60−228516号、特開昭60−228517号等の各公報に具体的に開示されているが、これらに限定されるものではない。
2種以上の重合体をブレンドして使用するときは、架橋性珪素基を有するポリオキシアルキレン系重合体100質量部に対し、架橋性珪素基を有する飽和炭化水素系重合体、及び/又は架橋性珪素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体を10〜200質量部使用することが好ましく、20〜80質量部使用することがさらに好ましい。
前記エポキシ樹脂用硬化剤としては、公知のエポキシ樹脂用の硬化剤を広く使用可能であり特に制限はないが、例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ヘキサメチレンジアミン、メチルペンタメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、グアニジン、オレイルアミン、等の脂肪族アミン類;メンセンジアミン、イソホロンジアミン、ノルボルナンジアミン、ピペリジン、N,N’−ジメチルピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ポリシクロヘキシルポリアミン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7(DBU)等の脂環族アミン類;メタフェニレンジアミン、4、4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン等の芳香族アミン類;m−キシリレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の脂肪芳香族アミン類;3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン(ATU)、モルホリン、N−メチルモルホリン、ポリオキシプロピレンジアミン、ポリオキシプロピレントリアミン、ポリオキシエチレンジアミン等のエーテル結合を有するアミン類;ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の水酸基含有アミン類;テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、ドデシル無水コハク酸等の酸無水物類;ダイマー酸にジエチレントリアミンやトリエチレンテトラミン等のポリアミンを反応させて得られるポリアミド、ダイマー酸以外のポリカルボン酸を使ったポリアミド等のポリアミドアミン類;2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類;ジシアンジアミド;ポリオキシプロピレン系ジアミン,ポリオキシプロピレン系トリアミン等のポリオキシプロピレン系アミン類;フェノール類;上記アミン類にエポキシ化合物を反応させて得られるエポキシ変性アミン、上記アミン類にホルマリン、フェノール類を反応させて得られるマンニッヒ変性アミン、マイケル付加変性アミン、ケチミンといった変性アミン類;2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールの2−エチルヘキサン酸塩等のアミン塩等が挙げられる。これらエポキシ樹脂用硬化剤の中では、硬化性や物性バランスの点から、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールやポリオキシプロピレン系ジアミンが好ましい。これらの硬化剤は、単独で用いてもよく2種以上併用してもよい。
本発明の硬化性組成物において前記エポキシ樹脂用硬化剤の配合割合は、前記架橋性珪素基含有有機重合体100質量部に対して、前記エポキシ樹脂用硬化剤の配合量が1〜60質量部であり、2〜50質量部が好ましく、4〜40質量部がより好ましい。
本発明の硬化性組成物は、前記した成分に加えて、必要に応じて、他の硬化触媒、充填剤、希釈剤、水、紫外線吸収剤、酸化防止剤、老化防止剤、接着性付与剤、物性調整剤、可塑剤、揺変剤、脱水剤(保存安定性改良剤)、難燃剤、粘着付与剤、垂れ防止剤、着色剤、ラジカル重合開始剤などの物質を配合してもよく、また相溶する他の重合体をブレンドしてもよい。
前記他の硬化触媒としては、硬化性組成物の性能に影響を与えない範囲で、公知の硬化触媒を広く用いることができ、特に制限はないが、例えば、有機金属化合物やアミン類等が挙げられ、特にシラノール縮合触媒を用いることが好ましい。前記シラノール縮合触媒としては、テトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネート等のチタン酸エステル類;アルミニウムトリスアセチルアセトナート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート等の有機アルミニウム化合物類;ジブチル錫ジアセチルアセトナート、ジブチル錫ジエチルアセトアセテート、ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、チタンテトラアセチルアセトナート等のキレート化合物類;ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジエチルヘキサノエート、ジブチル錫ジオクテート、ジブチル錫ジメチルマレート、ジブチル錫ジエチルマレート、ジブチル錫ジブチルマレート、ジブチル錫ジイソオクチルマレート、ジブチル錫ジトリデシルマレート、ジブチル錫ジベンジルマレート、ジブチル錫マレエート、ジオクチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジステアレート、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジエチルマレート、ジオクチル錫ジイソオクチルマレート等のジアルキル錫ジカルボキシレート類;ジブチル錫オキシドやジオクチル錫オキシド等のジアルキル錫オキシドと、ジオクチルフタレート、ジイソデシルフタレート、メチルマレエート等のエステル化合物との反応生成物;およびこれらジアルキル錫化合物のオキシ誘導体(スタノキサン化合物)等の4価のスズ化合物類;オクチル酸錫、ナフテン酸錫、ステアリン酸錫、フェルザチック酸スズ等の2価のスズ化合物類;あるいはこれらとラウリルアミン等のアミン系化合物との反応生成物および混合物;モノブチル錫トリスオクトエートやモノブチル錫トリイソプロポキシド等のモノブチル錫化合物やモノオクチル錫化合物等のモノアルキル錫類;オクチル酸鉛及びナフテン酸鉛等の有機酸鉛;オクチル酸ビスマス、ネオデカン酸ビスマス及びロジン酸ビスマス等の有機酸ビスマス;シラノール縮合触媒として公知のその他の酸性触媒及び塩基性触媒等が挙げられる。
前記希釈剤を配合することにより、粘度等の物性を調整することができる。前記希釈剤としては、公知の希釈剤を広く用いることができ、特に制限はないが、例えば、ノルマルパラフィン、イソパラフィン等の飽和炭化水素系溶剤,リニアレンダイマー(出光興産株式会社商品名)等のα−オレフィン誘導体,トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤,エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、オクタノール、デカノール、ダイアセトンアルコール等のアルコール系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、酢酸セロソルブ等のエステル系溶剤,クエン酸アセチルトリエチル等のクエン酸エステル系溶剤,メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤等の各種溶剤が挙げられる。
本発明の硬化性組成物の安全性、希釈効果の双方を考慮すると、希釈剤としては飽和炭化水素系溶剤が好適であり、ノルマルパラフィン、イソパラフィンがより好適である。ノルマルパラフィン、イソパラフィンの炭素数は10〜16であることが好ましい。具体的にはN−11(ノルマルパラフィン、JX日鉱日石エネルギー(株)製、炭素数11、引火点68℃)、N−12(ノルマルパラフィン、JX日鉱日石エネルギー(株)製、炭素数12、引火点85℃)、IPソルベント2028(イソパラフィン、出光興産(株)製、炭素数10から16、引火点86℃)等が挙げられる。
前記充填剤としては、ヒュームシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、含水ケイ酸およびカーボンブラックの如き補強性充填剤;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイソウ土、焼成クレー、クレー、タルク、カオリン、酸化チタン、酸化カルシウム、ベントナイト、有機ベントナイト、酸化第二鉄、酸化亜鉛、活性亜鉛華、ガラスバルーン、シラスバルーン、有機バルーン、有機繊維および無機繊維等の如き充填剤等が使用できる。
これら充填剤の使用により強度の高い硬化物を得たい場合には、主にヒュームシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、含水ケイ酸およびカーボンブラック、表面処理微細炭酸カルシウム、焼成クレー、クレー、および活性亜鉛華等から選ばれる充填剤を架橋性珪素基含有有機重合体100質量部に対し、1〜200質量部の範囲で使用すれば好ましい結果が得られる。また、低強度で伸びが大である硬化物を得たい場合には、主に酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、酸化第二鉄、酸化亜鉛、およびシラスバルーン等から選ばれる充填剤を同重合体100質量部に対し5〜500質量部の範囲で使用すれば好ましい結果が得られる。これら充填剤は1種類のみで使用してもよいし、2種類以上混合使用してもよい。
前記酸化防止剤は、硬化性組成物の酸化を防止して、耐候性、耐熱性を改善するために使用されるものであり、例えば、ヒンダードアミン系やヒンダードフェノール系の酸化防止剤等が挙げられる。
前記紫外線吸収剤は、硬化性組成物の光劣化を防止して、耐候性を改善するために使用されるものであり、例えば、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系等の紫外線吸収剤等が挙げられる。
老化防止剤は、硬化性組成物の熱劣化を防止して、耐熱性を改善するために使用されるものであり、例えば、アミン−ケトン系等の老化防止剤、芳香族第二級アミン系老化防止剤、ベンズイミダゾール系老化防止剤、チオウレア系老化防止剤、亜リン酸系老化防止剤等が挙げられる。
前記可塑剤は硬化後の伸び物性を高めたり、硬さを調整して低モジュラス化を可能とする目的で添加される。前記可塑剤としては、その種類は特に限定されないが、例えば、ジイソウンデシルフタレートなどの如きフタル酸エステル類;アジピン酸ジオクチルなどの如き脂肪族二塩基酸エステル類;ジエチレングリコールジベンゾエートなどの如きグリコールエステル類;オレイン酸ブチルなどの如き脂肪族エステル類;リン酸トリクレジルなどの如きリン酸エステル類;エポキシ化大豆油などの如きエポキシ可塑剤類;ポリエステル系可塑剤;ポリプロピレングリコールの誘導体などのポリエーテル類;テトラエチレングリコールジエチルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリ−α−メチルスチレンなどのポリスチレン系オリゴマー類;ポリブタジエンなどの炭化水素系オリゴマー類;塩素化パラフィン類;UP−1080(東亞合成(株)製)、UP−1110(東亞合成(株)製)、UP−1061(東亞合成(株)製)などの如きアクリル系可塑剤類;UP−2000(東亞合成(株)製)、UHE−2012(東亞合成(株)製)などの如き水酸基含有アクリル系可塑剤類;UC−3510(東亞合成(株)製)などの如きカルボキシル基含有アクリルポリマー類;UG−4000(東亞合成(株)製)などの如きエポキシ基含有アクリルポリマー類;US−6110(東亞合成(株)製)、US−6120(東亞合成(株)製)などの如き0.8個未満、好ましくは0.4個未満のシリル基を有するアクリルポリマー類;0.8個未満、好ましくは0.4個未満のシリル基を有するオキシアルキレン樹脂などが例示される。
前記揺変剤としては、例えば、コロイダルシリカ、石綿粉等の無機揺変剤、有機ベントナイト、変性ポリエステルポリオール、脂肪酸アマイド等の有機揺変剤、水添ヒマシ油誘導体、脂肪酸アマイドワックス、ステアリル酸アルミニウム、ステアリル酸バリウム等が挙げられる。
前記脱水剤は保存中における水分を除去する目的で添加される。前記脱水剤として、例えば、ゼオライト、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛等が挙げられる。
前記難燃剤としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物;赤リン、ポリリン酸アンモニウム等のリン系難燃剤;三酸化アンチモン等の金属酸化物系難燃剤;臭素系難燃剤;塩素系難燃剤等が挙げられる。
接着性付与剤としては、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、1,3−ジアミノイソプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基含有シラン類;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ基含有シラン類;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等のメルカプト基含有シラン類;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン等のビニル型不飽和基含有シラン類;γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等の塩素原子含有シラン類;γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン等のイソシアネート含有シラン類;メチルジメトキシシラン、トリメトキシシラン、メチルジエトキシシラン等のハイドロシラン類等が具体的に例示されうるが、これらに限定されるものではない。
接着性付与剤は、あまりに多く添加すると、硬化物のモジュラスが高くなり、少なすぎると接着性が低下することから、架橋性珪素基含有有機重合体100質量部に対して0.1から15質量部添加することが好ましく、さらには0.5から10質量部添加することが好ましい。
粘着付与剤は被着体へのぬれ性の改善や、はく離強度を高める上で好ましい。石油樹脂系、ロジン・ロジンエステル系、アクリル樹脂系、テルペン樹脂、水添テルペン樹脂やそのフェノール樹脂共重合体、フェノール・フェノールノボラック樹脂系等の粘着付与樹脂が例示されうるが、これらに限定されるものではない。
本発明の硬化性組成物は大気中の湿気により常温で硬化することが可能であり、常温湿気硬化型硬化性組成物として好適に用いられるが、必要に応じて、適宜、加熱により硬化を促進させてもよい。
本発明の硬化性組成物は、接着剤、シーリング材、粘着材、コーティング材、ポッティング材、塗料、パテ材及びプライマー等として用いることができる。本発明の硬化性組成物は、接着性、貯蔵安定性、硬化性に優れているため、特に、接着剤に用いることが好ましいが、その他各種建築物用、自動車用、土木用、電気・電子分野用等に使用することができる。
以下に実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、これらの実施例は例示的に示されるもので限定的に解釈されるべきでないことはいうまでもない。
(製造例1〜12)
表1に示す配合割合にて各材料を冷却管を取り付けたフラスコ内に仕込み、窒素雰囲気化、100℃で2時間攪拌し、23℃で液状である錫系硬化触媒B1〜B12を得た。
表1において、各配合物質の配合量は質量部で示される。各配合物質の詳細は下記の通りである。
*1)ジオクチル錫オキサイド:商品名「ネオスタンU−800P」、日東化成(株)製。
*2)ジフェニルジメトキシシラン:商品名「信越シリコーンKBM−202SS」、信越化学工業(株)製。
*3)フェニルメチルジメトキシシラン:商品名「信越シリコーンKBM−102」、信越化学工業(株)製。
*4)フェニルトリメトキシシラン:商品名「信越シリコーンKBM−103」、信越化学工業(株)製。
*5)ビニルトリメトキシシラン:商品名「信越シリコーンKBM−1003」、信越化学工業(株)製。
*6)デシルトリメトキシシラン:商品名「信越シリコーンKBM−3103C」、信越化学工業(株)製。
*10)3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、商品名「信越シリコーンKBM−403」、信越化学工業(株)製。
*17)ビニルトリエトキシシラン:商品名「信越シリコーンKBE−1003」、信越化学工業(株)製。
(製造例13)
温度計、還流冷却器および攪拌機を備えた四つ口フラスコにジオクチル錫オキサイド(ネオスタンU−800P)30.0g(0.08mol)、無水酢酸4.1g(0.04mol)およびトルエン200gを仕込み、112℃で2時間反応させジオクチル錫カルボキシレートとした後、減圧下でトルエンを留去した。ついでジフェニルジメトキシシラン(信越シリコーンKBM−202SS)10.0g(0.04mol)を仕込み120℃で3時間撹拌、反応させた後、生成した酢酸メチルを留去し、淡黄色透明の錫系硬化触媒B13を得た。
(合成例1)
ポリオキシプロピレンジオールにナトリウムメトキシド(NaOMe)のメタノール溶液を添加してメタノールを留去し、更に塩化アリルを添加して末端の水酸基をアリル基に変換した。未反応の塩化アリルを減圧脱揮により除去し、さらに生成した金属塩を水により抽出除去して、末端にアリル基を有するポリオキシプロピレンを得た。得られたアリル基末端ポリオキシプロピレンに対し、白金ビニルシロキサン錯体のイソプロパノール溶液を添加し、トリメトキシシランを反応させ、PPG(ポリプロピレングリコール)換算の数平均分子量が約25000、1分子当たり1.5個の末端トリメトキシシリル基を有するポリオキシプロピレン系重合体P1を得た。
(合成例2)
合成例1で用いたポリオキシプロピレンジオールより分子量が小さいポリオキシプロピレンジオールにナトリウムメトキシド(NaOMe)のメタノール溶液を添加してメタノールを留去し、更に塩化アリルを添加して末端の水酸基をアリル基に変換した。未反応の塩化アリルを減圧脱揮により除去し、さらに生成した金属塩を水により抽出除去して、末端にアリル基を有するポリオキシプロピレンを得た。得られたアリル基末端ポリオキシプロピレンに対し、白金ビニルシロキサン錯体のイソプロパノール溶液を添加し、トリメトキシシランを反応させ、PPG換算の数平均分子量が約15000、1分子当たり1.5個の末端トリメトキシシリル基を有するポリオキシプロピレン系重合体P2を得た。
(合成例3)
フラスコに溶剤である酢酸エチル40質量部、メチルメタクリレート59質量部、2−エチルヘキシルメタクリレート25質量部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン22質量部、及び金属触媒としてルテノセンジクロライド0.1質量部を仕込み窒素ガスを導入しながら80℃に加熱した。ついで、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン8質量部をフラスコ内に添加し80℃で6時間反応を行った。室温に冷却後、ベンゾキノン溶液(95%THF溶液)を20質量部添加して重合を停止した。溶剤および未反応物を留去し、ポリスチレン換算の質量平均分子量が約6000であり、Mw/Mnが1.6であり、Tgが61.2℃であるトリメトキシシリル基を有するアクリル酸エステル系重合体P3を得た。
(実施例1〜10)
表2に示す配合割にて各配合物質を混合し、25℃で脱気撹拌し、A剤及びB剤を調製した。得られたA剤及びB剤に対して下記測定を行った。結果を表3に示した。
1)タックフリータイム(TFT)
JIS A1439 5.19により、A剤及びB剤を混合した直後の硬化性組成物の指触乾燥時間を測定した(測定条件:23℃50%RH)。
2)貯蔵安定性試験
A剤調製後、23℃50%RHで24時間静置した後、A剤の粘度をJIS K6833に準拠しBH型回転粘度計を用いて測定し、該粘度を初期粘度とした(測定条件:23℃50%RH)。
A剤をガラス瓶に充填し、50℃に調整した熱風循環式乾燥機内に放置した。50℃で4週間経過後、23℃50%RHで24時間静置した後、前述と同様に粘度を測定した。貯蔵後の粘度と初期粘度から増粘率を算出し、下記評価基準にて評価した。
○:増粘率が0.5倍以上2倍未満、×:増粘率が0.5倍未満もしくは2倍以上。
3)引張せん断接着強さ
得られたA剤及びB剤を用いて引張せん断接着強さを測定した。接着条件及び測定条件は以下の通りである。
・被着体:5mm厚軟鋼板 25mm×100mm。
・接着条件
A剤及びB剤を重量比1:1となるよう測り取り、真空遊星攪拌機を用いて自転500rpm、公転1000rpm×2分間の条件で混合した。被着体表面に混合物を塗布して薄く伸ばし、温度23℃、相対湿度50%の条件で貼り合わせ、接着層の厚さが0.1mmとなるよう幅30mmの目玉クリップで2カ所圧締した。貼り合わせ面積は12.5mm×25mmとなるようにした。貼り合わせた被着体を温度23℃、相対湿度50%の条件で24時間放置し、引張せん断試験の試験体とした。
・測定条件
得られた試験体について、試験速度50mm/分、23℃における引張せん断接着強さを測定した。
表2において、各配合物質の配合量はgで示される。錫系硬化触媒B1〜4はそれぞれ製造例1〜4で得られた錫系硬化触媒B1〜4であり、重合体P1は合成例1で得られた重合体P1であり、配合物質の詳細は下記の通りである。
*7)ビスフェノールA型エポキシ樹脂:商品名「jER828」、三菱化学(株)製、数平均分子量約370。
*8)水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂:商品名「アデカレジンEP−4080E」、(株)ADEKA製、数平均分子量約350。
*9)ポリエチレングリコール骨格エポキシ樹脂:商品名「アデカレジンED−506」
、(株)ADEKA製、エチレングリコールジグリシジルエーテル、数平均分子量約620。
*10)KBM−403:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、商品名「信越シリコーンKBM−403」、信越化学工業(株)製。
*11)SAT200:主鎖がポリオキシプロピレンで分子末端にジメトキシシリル基を有するポリマー、商品名「サイリルSAT200」、(株)カネカ製。
*13)EH30:2,4,6−トリスジメチルアミノメチルフェノール、商品名「バーサミンEH−30」、コグニスジャパン(株)製。
*14)KBM−603:N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、商品名「信越シリコーンKBM−603」、信越化学工業(株)製。
(実施例11〜20)
表4に示した如く配合物質を変更した以外は実施例1と同様の方法によりA剤及びB剤を得た。得られたA剤及びB剤に対し、実施例1と同様の方法により各測定を行った。結果を表5に示した。
表4において、各配合物質の配合量はgで示される。錫系硬化触媒B5〜8はそれぞれ製造例5〜8で得られた錫系硬化触媒B5〜8であり、各配合物質の詳細は表2と同じである。
(実施例21〜25)
表6に示した如く配合物質を変更した以外は実施例1と同様の方法によりA剤及びB剤を得た。得られたA剤及びB剤に対し、実施例1と同様の方法により各測定を行った。結果を表7に示した。
表6において、各配合物質の配合量はgで示される。錫系硬化触媒B9及び10はそれぞれ製造例9及び10で得られた錫系硬化触媒B9及び10であり、各配合物質の詳細は表2と同じである。
(実施例26〜32)
表8に示した如く配合物質を変更した以外は実施例1と同様の方法によりA剤及びB剤を得た。得られたA剤及びB剤に対し、実施例1と同様の方法により各測定を行った。結果を表9に示した。
表8において、各配合物質の配合量はgで示され、重合体P3の配合量は固形分で示される。錫系硬化触媒B1、B11〜B13はそれぞれ製造例1,11〜13で得られた錫系硬化触媒B1、B11〜B13であり、重合体P1〜P3はそれぞれ合成例1〜3で得られた重合体P1〜P3であり、各配合物質の詳細は表2と同じである。その他の配合物質の詳細は下記の通りである。
*18)MA440:主鎖がポリオキシプロピレンで分子末端にメチルジメトキシシリル基を有するポリマーと、主鎖がポリメタクリル酸エステルの共重合体で分子中にメチルジメトキシシリル基を有するポリマーとの混合物、商品名「サイリルMA440」、(株)カネカ製。
*19)XMAP SA120S:メチルジメトキシシリル基を有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体、商品名「XMAP SA120S」、(株)カネカ製。
*20)EP505S:プロセスオイルを33質量%含有する、主鎖がポリイソブチレンで分子末端にメチルジメトキシシリル基を有するポリマー、商品名「エピオンEP505S」、(株)カネカ製。
(比較例1〜4)
表10に示した如く配合物質を変更した以外は実施例1と同様の方法によりA剤及びB剤を得た。得られたA剤及びB剤に対し、実施例1と同様の方法により各測定を行った。結果を表11に示した。
表10において、各配合物質の配合量はgで示される。各配合物質の詳細は表2と同じであり、他の配合物質の詳細は下記の通りである。
*15)U810:ジオクチル錫ジラウレート、商品名「ネオスタンU−810」、日東化成(株)製。
*16)S−1:ジオクチル錫塩と正珪酸エチルとの反応生成物、商品名「ネオスタンS−1」、日東化成(株)製。
(比較例5〜12)
表12に示した如く配合物質を変更した以外は実施例1と同様の方法によりA剤及びB剤を得た。得られたA剤及びB剤に対し、実施例1と同様の方法により各測定を行った。結果を表13に示した。
表12において、各配合物質の配合量はgで示される。各配合物質の詳細は表2、8及び10と同じである。
表2〜9に示した如く、実施例1〜32では、貯蔵安定性に優れると共に硬化速度が速く速硬化性を有する硬化性組成物が得られた。また、本発明の硬化性組成物は優れた接着性能を示した。