JPWO2013191164A1 - ガラス基体の表面処理方法、およびガラス基体 - Google Patents

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Abstract

ガラスを高温に加熱することなく、かつヘリウム、アルゴン等のプラズマ形成ガスの雰囲気でなくても、アルカリ低濃度領域を十分に厚く形成できる方法を提供する。第1の電極と第2の電極との間に、一対の主面を有し、組成においてアルカリ酸化物を含有するガラスからなるガラス基体を、一方の主面が前記第1の電極に対して離間し、かつ他方の主面が前記第2の電極に接触するように配置し、前記第1の電極を正極とし前記第2の電極を負極とするように直流電圧を印加してコロナ放電を発生させ、前記ガラス基体の前記第1の電極に近い正極側表層部において、アルカリイオンを含む陽イオンの少なくとも1種を、前記第2の電極に接する負極側に向って移動させる。

Description

本発明は、ガラス基体の表面処理方法およびガラス基体に係り、より詳しくは、アルカリ酸化物の含有割合が高いガラス基体の表面処理方法、および表面処理されたガラス基体に関する。また、本発明は、ガラス基体の表面を処理し、アルカリイオン等の含有割合が低い領域のパターンを形成する方法、およびアルカリイオン等の含有割合が低い領域のパターンを有するガラス基体に関する。
従来から、アルカリ酸化物およびアルカリ土類酸化物を含むガラスは、加工・成形の容易性等から種々の用途に使用されているが、ガラス表面にアルカリイオンやアルカリ土類イオンが溶出するおそれがある。ガラス表面にアルカリイオン等が溶出すると、ガラスの白化等の変色いわゆるヤケや、反射防止膜のようなコーティングの劣化が生じやすく、またエレクトロニクスの分野では、半導体を汚染するおそれがある。そのため、ガラス表面に、アルカリイオン等が実質的に存在しないか、あるいはアルカリイオン等の含有割合が低い脱アルカリ層を形成することが求められている。
また近年、ガラス表面のアルカリ成分をパターン状にイオン交換して屈折率差を形成する光導波路において、前記脱アルカリ層をパターン状に形成することが求められている。すなわち、ガラス転移点以下の温度でイオン交換を行う場合、脱アルカリ層がガラス表面から深くまで形成されているほど、この部位のイオン交換量が小さくなるため、所定の深さの脱アルカリ層をパターン状に形成することで、ガラス表面の屈折率を部位によって変えることができる。
なお、本明細書において、「パターン」は、所定の平面形状の複数の部位が所定の配列で存在することを意味するものとする。
また、イオンの含有割合を「濃度」ともいい、アルカリイオン等の含有割合が低い領域を「アルカリ低濃度領域」という。
ガラス表面からのアルカリイオン等の溶出を防止する方法として、アルカリ酸化物およびアルカリ土類酸化物の含有量の合計が所定量(15質量%)以下のガラスシートを、一対の電極間に各電極との間に所定の距離をおいて配置して、電極間にコロナ放電を発生させ、電極間に生じた電界の効果により、ガラスシートの表面にアルカリイオンが実質的に存在しない脱アルカリ層を形成する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、特許文献2には、水素イオン生成極である陽極とアルカリイオンの酸化物受容体である陰極とを、それぞれガラス基体の表面に密接させ、加熱しながら水素含有雰囲気で電極間に直流を印加して、ガラス基体からアルカリイオンを除去する方法が提示されている。
しかしながら、特許文献1に記載された方法では、形成できる脱アルカリ層の厚さが薄く(通常0.5μm未満)、十分な厚さの脱アルカリ層を形成できなかった。また、ガラスシートを高温(少なくとも450℃)に加熱する必要があるため、ガラスが変形するおそれがあるばかりでなく、処理装置の部材を耐熱化する必要があった。さらに、ヘリウム、アルゴン等のプラズマ形成ガスの雰囲気での処理を必要としていた。
また、特許文献2に記載された方法では、陽極および陰極をいずれもガラス基体の表面に密接させて配置しているため、絶縁破壊が生じやすく、また、ガラス基体を高温(400〜1200℃)に加熱する必要があるため、ガラスが変形するおそれがあった。
さらに、特許文献1の方法および特許文献2の方法のいずれにおいても、脱アルカリ層を微細なピッチのパターン状に形成することはできなかった。
またさらに、ガラス表面に脱アルカリ層を形成する方法としては、特許文献1や特許文献2の方法のような電気的な方法だけでなく、化学的なウェットプロセスや物理的に加熱する方法等も提案されているが、これらの方法によっても微細パターンの脱アルカリ層を形成できないのが現状であった。
特表平7−507762号公報 特開平5−279087号公報 特公昭52−38853号公報
Appl. Phys. Lett. 90 (2007) 061102.
本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、ガラスを高温に加熱することなく、かつヘリウム、アルゴン等のプラズマ形成ガスの雰囲気でなくても、アルカリ低濃度領域を十分に厚く形成できる方法、およびアルカリ低濃度領域が十分に厚く形成されたガラス基体の提供を目的とする。
また本発明は、ガラス基体に対して、アルカリイオン等の濃度が低いアルカリ低濃度領域を十分に厚く、かつパターン状に形成できる方法、および十分な厚さを有するアルカリ低濃度領域がパターン状に形成されたガラス基体の提供を目的とする。
本発明のガラス基体の表面処理方法の第1の態様は、第1の電極と第2の電極との間に、一対の主面を有し、化学組成においてアルカリ酸化物を含有するガラスからなるガラス基体を、一方の主面が前記第1の電極に対して離間し、かつ他方の主面が前記第2の電極に接触するように配置する。そして、前記第1の電極を正極または負極とし前記第2の電極を反対の極とするように直流電圧を印加してコロナ放電を発生させ、前記ガラス基体の正極に近い正極側表層部において、アルカリイオンを含む陽イオンの少なくとも1種を、負極に近い側に向って移動させることを特徴とする。
第1の態様の表面処理方法において、前記第1の電極を正極とし前記第2の電極を負極とするように直流電圧を印加してコロナ放電を発生させ、前記ガラス基体の前記第1の電極に近い正極側表層部において、アルカリイオンを含む陽イオンの少なくとも1種を、前記第2の電極に接する負極側に向って移動させることが好ましい。また、前記正極は前記負極より小さい電極面積を有することが好ましい。そして、前記正極はワイヤ状の電極であり、このワイヤ状電極を前記ガラス基体の前記一方の主面に平行に配置できる。また、前記正極は針状の電極であり、この針状電極を前記ガラス基体の前記一方の主面に対して垂直に配置できる。
本発明のガラス基体の表面処理方法の第2の態様は、一対の主面を有し、化学組成においてアルカリ酸化物を含有するガラス基体の一方の主面に、絶縁材料からなり、所定のパターンの透孔部または極薄部を有するマスクを配設する工程と、コロナ放電を発生させる工程を備える。コロナ放電を発生させる工程では、前記マスクが配設された前記ガラス基体を、第1の電極と第2の電極との間に、前記マスクの表面が前記第1の電極から離間し、かつ前記ガラス基体の他方の主面が前記第2の電極に接触するように配置する。その後、前記第1の電極を正極とし前記第2の電極を負極とするように直流電圧を印加してコロナ放電を発生させる。そして、前記コロナ放電を発生させる工程で、前記ガラス基体の前記第1の電極に近い正極側表層部の、前記マスクの前記透孔部または極薄部に対応する領域で、アルカリイオンを含む陽イオンの少なくとも1種を前記第2の電極に接する負極側に向って移動させる。これにより、前記陽イオンの少なくとも1種の濃度が他の領域より低いアルカリ低濃度領域を、前記マスクの前記透孔部または極薄部のパターンに対応するパターンで形成することを特徴とする。
第2の態様の表面処理方法において、前記マスクは、表面に所定のピッチの凹凸パターンが形成された樹脂層であることができる。また、前記マスクは、複数の貫通孔が所定のパターンで形成された樹脂フィルムであることができる。さらに、前記第1の電極は、前記第2の電極より小さい電極面積を有することが好ましい。そして、前記第1の電極はワイヤ状の電極であり、このワイヤ状電極を前記ガラス基体の前記一方の主面に平行に配置することが好ましい。
第1の態様および第2の態様の表面処理方法において、前記第2の電極と前記ガラス基体とを一体とし、前記第1の電極に対して平行に運動させることができる。そして、前記運動は、直線運動、往復直線運動、回転運動、揺動から選ばれる少なくとも1種の運動を含むことができる。
本発明のガラス基体の表面処理方法の第3の態様は、互いに所定の間隔をおいて同じ向きにかつ所定の配列で配置された複数本の針状電極からなる第1の電極を有する。そして、この第1の電極と、第2の電極との間に、一対の主面を有し化学組成においてアルカリ酸化物を含有するガラス基体を、前記主面の一方が、前記第1の電極を構成する前記針状電極に対して垂直でかつその先端部から離間し、前記主面の他方が前記第2の電極に接触するように配置する工程を備える。また、前記第1の電極を正極とし前記第2の電極を負極とするように直流電圧を印加して、コロナ放電を発生させる工程を備える。そして、前記コロナ放電を発生させる工程で、前記ガラス基体の前記第1の電極に近い正極側表層部の、前記各針状電極の先端部に対向する領域で、アルカリイオンを含む陽イオンの少なくとも1種を前記第2の電極に接する負極側に向って移動させる。これにより、前記陽イオンの少なくとも1種の含有割合が他の領域より低いアルカリ低濃度領域を、前記針状電極の配列に対応するパターンで形成することを特徴とする。
第3の態様の表面処理方法において、前記針状電極の先端部の角度である先端角は、5〜25°であることが好ましい。また、前記第2の電極は、溶融金属からなる電極とできる。
第1の態様、第2の態様および第3の態様の表面処理方法において、前記第1の電極と前記第2の電極との間は、空気または窒素を主体とする雰囲気に保持されることが好ましい。また、前記第1の電極と前記第2の電極との間は、水素イオンを生成する気体を含有する雰囲気に保持されることができる。そして、前記水素イオンを生成する気体は水素ガスであることができる。また、前記ガラス基体の温度は常温〜400℃が好ましい。さらに、前記ガラス基体は、アルカリ酸化物とアルカリ土類酸化物を合計で15質量%を超える割合で含有するガラスからなることが好ましい。
本発明のガラス基体は、一対の主面を有し、その組成においてアルカリ酸化物とアルカリ土類酸化物を合計で15質量%を超える割合で含有するガラスからなるガラス基体であり、前記主面の一方の側の表層部に、アルカリイオンの少なくとも1種の含有割合が他の領域より低いアルカリ低濃度領域を有することを特徴とする。
本発明のガラス基体において、前記アルカリ低濃度領域の厚さは、0μmを超えかつ10μm以下であることが好ましい。また、前記アルカリ低濃度領域は、所定のパターンで形成されていることができる。そして、前記アルカリ低濃度領域は、厚さが異なる複数の領域を有し、各領域は、前記ガラス基体の面方向に所定のパターンで形成されていることができる。さらに、前記アルカリ低濃度領域は、他の領域より高いプロトン濃度を有することができる。
本発明の第1の態様、第2の態様および第3の態様の表面処理方法によれば、第1の電極を正極とし第2の電極を負極とすることで、第1の電極と第2の電極との間に十分に高い電圧を印加できるので、ガラス基体の温度を、ガラスや処理部材の変形や劣化のおそれがない温度として、ガラス基体の表層に十分に厚いアルカリ低濃度領域を形成できる。また、第1の電極と第2の電極との間の雰囲気を、プラズマ形成ガスであるヘリウム、アルゴン等の雰囲気にしなくても、空気または窒素雰囲気でのコロナ放電による処理が可能である。
本発明の第2の態様の表面処理方法によれば、ガラス基体の一方の主面に、透孔部または極薄部が所定のパターンで形成された、絶縁材料からなるマスクを配設する。そして、このマスクから離間して配置された第1の電極を正極とし、ガラス基体の他方の主面に接して配置された第2の電極を負極とする直流電圧を印加して、コロナ放電を生起することで、ガラス基体の正極側表層部の前記マスクの透孔部または極薄部に対応する領域で、アルカリイオンを含む陽イオンの少なくとも1種を、負極側に向って移動させることができる。ガラス基体の正極側表層部においても、前記マスクの透孔部や極薄部以外のマスク本体部に接する領域では、前記アルカリイオン等の負極側に向っての移動がなく、あるいは移動するイオン量および移動距離が極めて少ないので、前記アルカリイオン等の濃度が他の領域より低いアルカリ低濃度領域は形成されないか、あるいは表面から極めて浅く、すなわち極めて薄い厚さにしか形成されない。したがって、ガラス基体の正極側表層部に、前記アルカリ低濃度領域を、前記マスクの透孔部または極薄部のパターンに対応するパターン状に形成できる。
本発明の第3の態様の表面処理方法によれば、第1の電極は、互いに所定の間隔をおいて同じ向きにかつ所定の配列で配置された複数本の針状電極から構成される。そして、被処理物であるガラス基体の一方の主面から、針状電極の先端部が離間するように配置された第1の電極を正極とし、ガラス基体の他方の主面に接して配置された第2の電極を負極とする直流電圧を印加する。これにより、コロナ放電を生起することで、ガラス基体の正極側表層部において、各針状電極の先端部の直下の領域のような、各々の針状電極に最も近接して対向する所定の領域で、アルカリイオンを含む陽イオンの少なくとも1種を、負極側に向って移動させることができる。ガラス基体の正極側表層部においても、各針状電極の先端部の対向直下から離れた領域では、前記アルカリイオン等の負極側に向っての移動がほとんどないので、前記アルカリイオン等の濃度が他の領域より低いアルカリ低濃度領域はほとんど形成されない。したがって、ガラス基体の正極側表層部に、前記アルカリ低濃度領域を、針状電極の配列に対応するパターン状に形成できる。
本発明のガラス基体によれば、アルカリ酸化物およびアルカリ土類酸化物の濃度の合計が15質量%を超えるガラスからなる基体において、表層部にアルカリイオンの濃度が他の領域より低いアルカリ低濃度領域を有しているので、ガラス表面へのアルカリイオン等の溶出が防止される。したがって、ガラスのヤケやコーティングの劣化が防止される。また、特にエレクトロニクスの分野では、半導体の汚染等の問題が発生するおそれがない。
さらに、本発明のガラス基体によれば、アルカリ酸化物を含有するガラスからなる基体において、表層部にアルカリイオンの濃度が他の領域より低いアルカリ低濃度領域のパターンが形成されているので、ガラス表面の化学強化レベルを任意の部位で変えることができる。したがって、このガラス基体を用いることで、強化レベルの異なる複数の領域がそれぞれパターン状に形成された化学強化ガラスを得ることができる。
本発明の第1の実施形態に使用される表面処理装置の一例を示し、図1(a)は概略構成を示す正面図であり、図1(b)は、ガラス基板に対する第1の電極の配置を示す上面図である。 本発明の第1の実施形態に使用される表面処理装置の別の例を示し、図2(a)は概略構成を示す正面図であり、図2(b)は、ガラス基板に対する第1の電極の配置を示す上面図である。 本発明の第2の実施形態で使用されるマスクの一例を示す断面図である。 本発明の第2の実施形態で使用されるマスクの別の例を示す平面図である。 図3に示されるマスクを使用して第2の実施形態で表面処理を行った場合に、ガラス基体に形成されるアルカリ低濃度領域のパターンを示す断面図である。 図4に示されるマスクを使用して第2の実施形態で表面処理を行った場合に、ガラス基体に形成されるアルカリ低濃度領域のパターンを示す断面図である。 図2の表面処理装置を使用して第3の実施形態で表面処理を行った場合に、ガラス基体に形成されるアルカリ低濃度領域のパターンを示す断面図である。 実施例6において、ガラス基板の下面への析出物層の形成を示す断面図である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
なお、本発明において、「コロナ放電」とは、正極である第1の電極と負極である第2の電極との間に、必要かつ十分な大きさの直流電圧を印加することにより、被処理物であるガラス基体から離間して配置された第1の電極の周りに不均一な電界が生じることによって起こる、持続的な放電をいう。前記した必要かつ十分な大きさの直流電圧をコロナ放電開始電圧という。なお、この放電は、電極間に存在する気体の電離が局所的に限られた局部放電または部分放電である。また、この放電は多数のストリーマの集合体であり、前記電圧を維持している間、継続して発生する。電圧を上げると、コロナ放電は第2の電極に向かって進展し、1つのストリーマが第2の電極に接近ないし到着すると、火花放電へと瞬時のうちに移行する。本発明では、基本的に、火花放電には移行しない持続的なコロナ放電を行わせるものとする。
また、本発明において、「アルカリイオンを含む陽イオン」は、基体を構成するガラスの組成に含まれるアルカリイオンおよびアルカリ土類イオンを意味し、水素イオンであるプロトンは含まないものとする。すなわち、基体を構成するガラスが、その組成において、アルカリ酸化物とともにアルカリ土類酸化物を含有する場合は、電極間で発生させたコロナ放電によって、ガラス基体中に含有されるアルカリ土類イオンは、アルカリイオンとともに負極側に向って移動する。したがって、本発明において、コロナ放電によりガラス基体中を負極側に向って移動させる「アルカリイオンを含む陽イオンの少なくとも1種」は、基体を構成するガラスの組成に含まれるアルカリイオンを必ず含み、かつアルカリイオン土類イオンを含む場合もある1種以上のイオンを示す。
[ガラス基体の表面処理方法]
(第1の実施形態)
本発明の表面処理方法の第1の実施形態では、まず、第1の電極と第2の電極との間に、一対の主面を有しアルカリ酸化物を含有するガラスからなる基体を、このガラス基体の一方の主面が第1の電極に対して離間し、かつ他方の主面が第2の電極に接触するように配置する。そして、第1の電極を正極とし第2の電極を負極とするような直流電圧を印加して、電極間にコロナ放電を発生させ、発生したコロナ放電により、ガラス基体の第1の電極に近い正極側表層部において、アルカリイオンを含む陽イオンの少なくとも1種を、第2の電極に接する負極側に向けて、ガラス基体中を移動させる。このようなアルカリイオン等の陽イオンの移動により、正極側表層部において、アルカリイオン等の陽イオンの濃度が減少し、アルカリイオンの濃度が他の領域より低いアルカリ低濃度領域が、ガラス基体の正極側表層部に形成される。
なお、基体を構成するガラスに、アルカリイオンとともにアルカリ土類イオンが含有されている場合、ガラス基体の正極側表層部において、アルカリイオンだけでなくアルカリ土類イオンも負極側に向って移動するため、ガラス基体の正極側表層部に形成されるアルカリ低濃度領域においては、アルカリイオンの濃度だけでなく、アルカリ土類イオンの濃度も他の領域より低くなる。しかし、単位時間当たりの移動距離は、アルカリ土類イオンに比べてアルカリイオンが大きくなるので、移動する陽イオンは代表的にはアルカリイオンであるとし、アルカリ低濃度領域の形成に関して記載するものとする。アルカリ土類イオンの低濃度領域の形成に関しても、アルカリ低濃度領域の形成と同様なことがいえる。後述する第2の実施形態および第3の実施形態においても同様である。
また、ガラス基体がその組成において複数種のアルカリ酸化物を含む場合、複数種のアルカリイオンはいずれも負極側に向けて移動する結果、いずれのアルカリイオン濃度も他の領域より低い領域がガラス基体の表層部に形成される。しかし、ナトリウムイオンが最も移動しやすく、かつガラス基体の表面からの溶出等による問題が生じやすいので、第1の実施形態においてコロナ放電によって移動させるアルカリイオンの主たるものは、ナトリウムイオンであり、ナトリウムイオンの低濃度領域を形成する。後述する第2の実施形態および第3の実施形態においても同様である。
第1の実施形態の表面処理方法においては、ガラス基体の主面から離間して配置された第1の電極を負極とし、ガラス基体の主面に接するように配置された第2の電極を正極とするように直流電圧を印加して、コロナ放電を発生させることもできる。そして、ガラス基体の正極である第2の電極に近い側の表層部において、アルカリイオンを含む陽イオンの少なくとも1種を、負極である第1の電極に近い側に向って移動させることができる。ただし、このような態様では、前記した第1の電極を正極とし第2の電極を負極とする態様に比べて陽イオンの移動速度が遅いため、アルカリ低濃度領域の形成に時間がかかる。
以下、第1の電極を正極とし第2の電極を負極とする表面処理方法について、構成する要素を説明する。第1の電極を負極とし第2の電極を正極とする場合は、第1の電極と第2の電極の極性を反対にするだけで、その他の要素は同様に構成できる。
<被処理物であるガラス基体>
第1の実施形態により処理されるガラス基体は、化学組成においてアルカリ酸化物を有するガラスから構成される。ガラスの組成は、少なくとも1種のアルカリ酸化物を有するものであれば特に限定されないが、表面処理の容易性の観点から、アルカリ酸化物およびアルカリ土類酸化物を合計で15質量%を超える割合で含有するものが好ましい。
そのようなガラスとしては、酸化物基準の質量%表示で、SiOを50〜80%、Alを0.5〜25%、Bを0〜10%、NaOを10〜16%、KOを0〜8%、LiOを0〜16%、CaOを0〜10%、MgOを0〜12%、その他SrO、BaO、ZrO、ZnO、SnOなどを合計で10%未満含有するガラスを挙げることができる。以下、このガラスを構成する各成分について記載する。なお、%はいずれも質量%を表す。
SiOはガラスの骨格を構成する成分である。SiOの含有割合が50%未満では、ガラスとしての安定性が低下する、または耐候性が低下するおそれがある。SiOの含有割合は60%以上であることが好ましい。より好ましくは62%以上、特に好ましくは63%以上である。
SiOの含有割合が80%超では、ガラスの粘性が増大し、溶融性が著しく低下するおそれがある。SiOの含有割合は、より好ましくは76%以下、さらに好ましくは74%以下である。
Alはイオンの移動速度を向上させる成分である。Alの含有割合が0.5%未満では、イオンの移動速度が低下するおそれがある。Alの含有割合は、より好ましくは1%以上、さらに好ましくは2.5%以上、特に好ましくは4%以上、最も好ましくは6%以上である。
Alの含有割合が25%超では、ガラスの粘性が高くなり、均質な溶融が困難になるおそれがある。Alの含有割合は、20%以下であることが好ましい。より好ましくは16%以下、特に好ましくは14%以下である。
は必須成分ではないが、高温での溶融性またはガラス強度の向上のために含有してもよい成分である。Bを含有する場合、その含有割合は0.5%以上がより好ましく、さらに好ましくは1%以上である。
また、Bの含有割合は10%以下である。Bは、アルカリ成分との共存により蒸発しやすくなるため、均質なガラスを得にくくなるおそれがある。Bの含有割合は、より好ましくは6%以下、さらに好ましくは1.5%以下である。ガラスの均質性を特に改善するためには、Bは含有しないことが好ましい。
NaOはガラスの溶融性を向上させる成分であり、コロナ放電によって移動する主たるイオンであるナトリウムイオンを有する。NaOの含有割合が10%未満では、コロナ放電による陽イオンの移動効果が得られにくい。NaOの含有割合は、より好ましくは11%以上、特に好ましくは12%以上である。
NaOの含有割合は16%以下である。16%超では、ガラス転移点Tgしたがって歪点が低くなり、耐熱性が劣る、または耐候性が低下するおそれがある。NaOの含有割合は、より好ましくは15%以下、さらに好ましくは14%以下、特に好ましくは13%以下である。
Oは必須成分ではないが、ガラスの溶融性を向上させる成分であるとともに、コロナ放電によって移動しやすい成分であるため、含有してもよい。KOを含有する場合、その含有割合は1%以上であることが好ましく、さらに好ましくは3%以上である。
また、KOの含有割合は8%以下である。KOの含有割合が8%超では、耐候性が低下するおそれがある。より好ましくは5%以下である。
LiOもKOと同様に必須成分ではないが、ガラスの溶融性を向上させる成分であるとともに、コロナ放電によって移動しやすい成分であるため、含有してもよい。LiOを含有する場合、その含有割合は1%以上であることが好ましく、さらに好ましくは3%以上である。
また、LiOの含有量は16%以下である。LiOの含有割合が16%超では、歪点が低くなりすぎるおそれがある。LiOの含有割合は、より好ましくは14%以下、特に好ましくは12%以下である。
アルカリ土類酸化物は、ガラスの溶融性を向上させる成分であるとともに、Tg(ガラス転移点)の調節に有効な成分である。
アルカリ土類酸化物のうちで、MgOは必須成分ではないが、ガラスのヤング率を上げて強度を向上させ、溶解性を向上させる成分である。MgOを1%以上含有することが好ましい。MgOの含有割合は、より好ましくは3%以上、特に好ましくは5%以上である。
また、MgOの含有割合は12%以下である。MgOの含有割合が12%超では、ガラスの安定性が損なわれるおそれがある。MgOの含有割合は、より好ましくは10%以下、特に好ましくは8%以下である。
CaOは必須成分ではないが、CaOを含有する場合、その含有割合は典型的には0.05%以上である。また、CaOの含有割合は10%以下である。CaOの含有割合が10%超では、コロナ放電によるアルカリイオンの移動量が低下するおそれがある。CaOの含有割合は、より好ましくは6%以下、さらに好ましくは2%以下、特に好ましくは0.5%以下である。
アルカリ酸化物とアルカリ土類酸化物の含有割合の合計は、ガラスの溶融性を向上させ、かつTgの調節による安定したコロナ放電のために、15%以上とする。アルカリ酸化物とアルカリ土類酸化物の含有割合の合計は、より好ましくは17%以上、特に好ましくは20%以上である。
第1の実施形態で処理される基体を構成するガラスは、本発明の目的を損なわない範囲で、その他の成分を含有してもよい。そのような成分を含有する場合、それらの成分の含有割合の合計は10%以下であることが好ましく、より好ましくは5%以下である。実質的に以上の成分からなることが特に好ましい。以下、上記その他成分について例示的に説明する。
SrOは必要に応じて含有してもよいが、MgOやCaOに比べてガラスの比重を大きくするので、材料の軽量化の観点からは、その含有割合は1%未満であることが好ましい。SrOの含有割合は、より好ましくは0.5%未満、特に好ましくは0.2%未満である。
BaOはアルカリ土類酸化物の中でガラスの比重を大きくする作用が最も大きいので、材料の軽量化の観点からは、含有しないか、あるいは含有する場合であっても、その含有割合は1%未満が好ましい。BaOの含有割合は、より好ましくは0.5%未満、特に好ましくは0.2%未満である。
SrOとBaOを含有する場合、それらの含有割合の合計は1%未満が好ましい。SrOとBaOの含有割合の合計は、より好ましくは0.5%未満、特に好ましくは0.2%未満である。
ZrOは必須成分ではないが、ガラスの耐薬品性向上のために含有してもよい成分である。ZrOを含有する場合、その含有割合は0.1%以上であることがより好ましく、さらに好ましくは0.3%以上、特に好ましくは1.5%以上である。
ZnOはガラスの高温での溶融性を向上するために、例えば2%まで含有してもよい場合があるが、好ましくは1%以下である。ガラスをフロート法で製造する場合などには、0.5%以下にすることが好ましい。ZnOの含有割合が0.5%超では、フロート成形時に還元し製品欠点となるおそれがある。典型的にはZnOは含有しない。
SnOを含有する場合、その含有割合は0.5%未満が好ましい。SnOの含有割合が0.5%以上の場合には、ガラスの安定性が損なわれるおそれがある。SnOの含有割合は、より好ましくは0.1%未満、特に好ましくは0.05%未満である。
さらに、これらの各成分を含有するガラスは、溶融の際の清澄剤として、SO、塩化物、フッ化物などを適宜含有してもよい。
このようなガラスから構成されるガラス基体の形状は、互いに平行な一対の主面を有する形状であれば特に限定されない。一対の主面が平坦な平面である平板状のものでも、一対の主面が曲面である曲板状のものでもよい。以下、これら平板状または曲板状のガラス基体をガラス基板といい、ガラス基板の表面処理について説明する。後述する第2の実施形態および第3の実施形態においても同様である。
<第1の電極および第2の電極>
第1の実施形態においては、例えば直流電源に接続される第1の電極と第2の電極を、所定の間隔をおいて対向して配置し、これらの電極間に前記ガラス基板を以下に示すように配置する。すなわち、ガラス基板の一方の主面、例えば上面は第1の電極に対して所定の距離だけ離間し、かつ他方の主面、例えば下面は第2の電極に接触するように、ガラス基板を配置する。そして、第1の電極を正極とし第2の電極を負極とするような直流電圧を印加し、電極間にコロナ放電を発生させる。
ガラス基板の上面と正極である第1の電極との距離は、第1の電極の形状や印加電圧等によっても異なるが、前記距離が大きいほど、放電電流が小さくコロナ放電が弱くなるため、0mmより大きくし、かつ30mm以下が好ましい。さらには、距離が近いほど、放電電流は放物的に大きくなってコロナ放電が強くなるため、0mmより大きく、かつ10mm以下がより好ましい。
ここで、正極である第1の電極は、負極である第2の電極より電極面積が小さいことが好ましい。なお、「電極面積」とは、正極である第1の電極については、被処理物であるガラス基板の主面への投影面積をいい、負極である第2の電極については、ガラス基板の主面に接触する面積をいう。第1の電極が、後述するように、複数本のワイヤ状または針状の電極の集合体である場合、「電極面積」は、各ワイヤ状電極または各針状電極についての前記「電極面積」の合計をいう。これらの「電極面積」についての記載は、後述する第2の実施形態および第3の実施形態においても同様に適用される。
正極である第1の電極としては、ワイヤ状の電極、または、先端に尖鋭部を有する針状の電極を使用できる。これらワイヤ状電極および針状電極は、1本を単独で使用してもよいし、複数本が互いに所定の間隔をおいて配置された、つまり所定のピッチで配置されたこれらの集合体を、第1の電極としてもよい。このように、複数本のワイヤ状電極または針状電極を所定の間隔をおいて配置したものを、第1の電極とすることで、ガラス基板表面の均一な処理が可能となる。
第1の実施形態の表面処理方法に用いられる装置の例を、図1および図2に示す。図1(a)および図2(a)は、表面処理装置1の構成を概略的に示す正面図であり、図1(b)および図2(b)は、ガラス基板に対する第1の電極の配置を説明するための上面図である。図1に示す表面処理装置1においては、正極である第1の電極2としてワイヤ状電極2aが設けられている。また、図2に示す表面処理装置1においては、第1の電極2として針状電極2bが設けられている。なお、これらの図において、符号3は負極である第2の電極を示し、符号4は被処理物であるガラス基板を示す。また、符号5は直流電源を示し、符号6は回路を流れる電流をモニタするための電流計を示す。
図1に示す表面処理装置1において、正極である第1の電極2であるワイヤ状電極2aは、コロナ放電の発生しやすさの観点から、細い方がよいが、強度と取り扱い易さの点で、ワイヤ状電極2aの直径は0.03〜0.1mmが好ましい。また、ワイヤ状電極2aは、ガラス基板4の上面に平行に配置することが好ましい。第1の電極2として複数本のワイヤ状電極2aを用いる場合、各ワイヤ状電極2aは、図1(b)に示すように、0mmより大きく、ガラス基板4とワイヤ状電極2aとの距離と同程度の間隔dをおいて互いに平行に、かつガラス基板4の上面に平行な平面上に配置することが、ガラス基板表面を均一に処理する上で好ましい。後述するように、ガラス基板4をワイヤ状電極2aに対して平行に運動させる場合は、ガラス基板4が平行運動することで処理ムラが緩和されるので、各ワイヤ状電極2aの間隔はより大きくできる。
さらに、第1の電極2として1本のワイヤ状電極2aを単独で配置する場合には、ガラス基板4の表面を均一に処理し、正極側表層部に形成されるアルカリ低濃度領域におけるアルカリイオンの濃度の分布を均一化するために、ガラス基板4と一体とした第2の電極3を、第1の電極2であるワイヤ状電極2aに対して相対的に運動させることが好ましい。具体的には、負極である第2の電極3を、ガラス基板4を載せた状態で、ワイヤ状電極2aの配設方向に対して直交する方向に運動させることが好ましい。この運動は、直線運動や往復直線運動であることがより好ましいが、回転運動や揺動であってもよい。
さらに、広く利用されているコロトロン・スコロトロンと呼ばれるコロナ放電を利用した帯電器と同様に、円筒型ないし角形のケーシングを設けることが好ましい。グリッド電極を設けてもよい。前記ケーシング、およびグリッド電極の作用で、コロナ放電のイオンの流れを制御でき、ガラス基板への処理均一性と処理効率を向上できる。
図2に示す表面処理装置1において、正極である第1の電極2である針状電極2bは、根元部の直径が0.1〜2mmであることが好ましく、針状電極2bの先端尖鋭部をガラス基板4の上面に向け、上面に垂直に配置することが好ましい。第1の電極2として複数本の針状電極2bを用いる場合、各針状電極2bは、互いに平行でガラス基板4の上面に垂直とし、かつ先端部がガラス基板4の上面から等しい距離となるように配置することが好ましい。また、各針状電極2bの配設位置は、図2(b)に示すように、0mmよりも大きく、かつガラス基板4と針状電極2bとの距離と同程度の間隔dで、千鳥状または碁盤状等の均等配置が、ガラス基板4表面を均一に処理するうえで好ましい。ガラス基板4が針状電極2bに対して平行に運動する場合は、ガラス基板4が運動することで処理ムラが緩和されるので、各針状電極2bの間隔はより大きくできる。
針状電極2bの先端部の角度である先端角は鋭角であるほど、直下の電界強度が大きくなるので、針状電極2bの先端角を調整することで、第1の電極2近傍の電界強度を調整できる。針状電極2bの先端角は、1〜15度が好ましく、1〜9度がより好ましい。
ワイヤ状電極2aおよび針状電極2bにおいては、表面に、金、白金、その他貴金属等の耐食性の導電性膜を設けると、電界強度の均一性が良好となり、かつ電極としての耐久性が向上する。
図1および図2に示す表面処理装置1において、負極である第2の電極3は、平板状や曲板状など、被処理物であるガラス基板4の下面に合わせた形状を有するものが好ましい。また、孔あき部を有するメッシュ状のものなど、ガラス基板4と面内で均一に接触するものでもよい。
このような第2の電極3を、ガラス基板4の下面に接触するように配置することで、ガラス基板4への導電性が向上するため、印加電圧を高くできる。第2の電極3においては、ガラス基板4との接触する面に、ITO等の導電膜を設けることで、さらに導電性を向上できる。
次に、第1の実施形態における表面処理の条件であるガラス基板の温度、処理雰囲気などについて説明する。
<ガラス基板の温度>
ガラス基板の温度は、常温から400℃が好ましい。ガラス基板のガラス転移点Tgは約550℃であるので、ガラス基板の温度は、常温から(Tg−150℃)の温度が好ましい。
400℃以下の温度とすることで、ガラス基板の変形や処理部材の劣化を引き起こすことなく、十分な厚さのアルカリ低濃度領域を、ガラス基板の表層部に形成できる。また、前記温度範囲では、Tgよりも温度が低く、粘性が十分に大きい固体状態を呈するため、ガラス基板中のアルカリイオンが動き過ぎるということがなく、アルカリイオンの移動方向が電界方向である負極側に向う方向に限定されるので、コロナ放電による表面処理の効率が高い。ガラス基板の温度は、100〜300℃がより好ましい。ただし、Tgが400℃以下の場合、ガラス基板の温度は、さらに低い温度がより好ましい。
<印加電圧>
第1の電極と第2の電極との間に印加する直流電圧は、第1の電極を正極とし第2の電極を負極として、これらの電極間にコロナ放電を発生させる電圧であり、より具体的には正極である第1の電極からコロナ放電を発生させる電圧である。この印加電圧は、第1の電極の形状や被処理物であるガラス基板の温度によっても変わるが、3〜12kVの範囲とする。印加電圧が3kV未満ではコロナ放電が発生しにくい。印加電圧が12kVを超えると、アーク放電が生じやすくなり、コロナ放電を継続するのが難しい。
第1の実施形態において、このような直流電圧の印加により被処理物であるガラス基体を流れる電流は、電子の移動による電流と、アルカリイオンを含む陽イオンの移動による電流の両者を含むものである。表面処理過程でガラス基板を流れる電流は、0.01〜0.5mAの範囲であり、単位面積当たりの電気量は、10〜500mC/cmの範囲であることが好ましい。
<処理雰囲気>
被処理物であるガラス基板が配置された、正極である第1の電極と負極である第2の電極との間は、空気または窒素を主体とする雰囲気に保持できる。ここで、「空気または窒素を主体とする雰囲気」とは、空気または窒素の含有割合が雰囲気ガス全体の50体積%を超える気体状態をいう。
前記したように、負極である第2の電極はガラス基板の主面、例えば下面に接触するように配置され、第2の電極とガラス基板との間の導電性が向上されているので、ヘリウムやアルゴンのようなプラズマ形成ガスの雰囲気にする必要がない。すなわち、空気または窒素を主体とする雰囲気で、第1の電極の周りにコロナ放電を発生させて、ガラス基板の表面を処理できる。
また、正極である第1の電極と負極である第2の電極との間は、水素イオンつまりプロトンを生成する気体を含有する雰囲気に保持できる。水素イオンを生成する気体としては、水素ガスが例示される。水素ガス以外に空気または窒素を含有できる。水素ガスの含有割合は、例えば雰囲気ガス全体の1〜100体積%とすることができ、2〜10体積%が好ましい。水素イオンを生成する気体、例えば水素ガスの含有割合が1体積%未満である場合には、添加の効果が得られにくい。水素イオンを生成する気体を含有する雰囲気で処理を行うことで、ガラス基板の表層部に形成されるアルカリ低濃度領域に、プロトンを注入できる。そして、注入されたプロトンは、ガラス組成のアルカリイオンが移動した後の部位に入りこんで結合するため、アルカリイオンの負極側へ向けての移動速度を上げることができるうえに、移動したアルカリイオンの戻りを防止できる。
このように、第1の実施形態の表面処理方法においては、被処理物であるガラス基板の例えば上面に対して、正極であるワイヤ状または針状の第1の電極を離間して配置するとともに、負極である第2の電極をガラス基板の例えば下面に接触して配置し、第1の電極からコロナ放電が発生するような直流電圧を電極間に印加し、電圧印加で生じる電界により、ガラス中のアルカリイオンを含む陽イオンを移動させる処理を行っている。そして、第2の電極がガラス基板の下面に接触して配置されることで、ガラス基板から第2の電極への導電性が確保されており、正極である第1の電極と負極である第2の電極との間に高い電圧を印加でき、ガラス基板の温度を、ガラスや処理部材の変形や劣化のおそれがない400℃以下の温度に保持して処理を行い、ガラス基板の表層部に十分な厚さのアルカリ低濃度領域を形成できる。
(第2の実施形態)
本発明の表面処理方法の第2の実施形態では、第1の実施形態と相違する点について説明する。
第2の実施形態では、まず、アルカリ酸化物を含有するガラスからなり、一対の主面を有するガラス基板の一方の主面に、絶縁材料から構成され、所定のパターンの透孔部または極薄部を有するマスクを配設する。次いで、このマスクが配設されたガラス基板を、第1の電極と第2の電極との間に、マスクの表面が第1の電極に対して離間して配置され、かつガラス基板の他方の主面が第2の電極に接触するようにして配置する。そして、第1の電極を正極とし第2の電極を負極とするような直流電圧を印加して、電極間にコロナ放電を発生させ、発生したコロナ放電により、第1の電極に近いガラス基板の正極側表層部の、前記マスクの透孔部または極薄部に対応または対向する領域において、アルカリイオンを含む陽イオンの少なくとも1種を、第2の電極に接する負極側に向って移動させる。
こうして、マスクの透孔部または極薄部に対応する領域で、アルカリイオン等の陽イオンの濃度が処理前より減少することにより、濃度が他の領域より低くなったアルカリ低濃度領域が形成される。そして、マスクの透孔部以外または極薄部以外の本体部に接する領域では、前記アルカリイオン等の負極側に向っての移動がなく、あるいは移動するイオンの量および移動距離が極めて少ないので、前記アルカリ低濃度領域は形成されないか、あるいは表面から極めて浅く、すなわち極めて厚さが薄くしか形成されない。したがって、ガラス基板の正極側表層部に、前記マスクの透孔部または極薄部のパターンに対応するパターンのアルカリ低濃度領域を形成できる。
<被処理物であるガラス基板>
第2の実施形態により処理されるガラス基板は、第1の実施形態により処理されるガラス基板と同様のものである。
<マスク>
ガラス基板の主面に配設されるマスクは、絶縁性の材料からなり、所定のパターンの透孔部または極薄部を有する。マスクに形成された透孔部または極薄部のパターンは限定されない。すなわち、透孔部や極薄部の平面形状、配列等は限定されない。なお、マスクの透孔部は、マスク本体を貫通して形成された孔部等をいい、極薄部は貫通した孔とはなっていないが、厚さが他の部分に比べて極めて薄い、例えば厚さが1/10以下である部分をいう。
マスクを構成する材料は、コロナ放電により正極である第1の電極から負極である第2の電極に向かって発生する放電を遮蔽する観点から、絶縁材料である。
本発明の実施形態で使用されるマスクとしては、例えば、図3に示すように、ガラス基板4の主面に、所定のピッチPのL/S(Line and Space)パターン状に形成されたアゾベンゼン樹脂からなるマスク7が挙げられる。このマスク7は、ガラス基板4の主面に形成されたアゾベンゼン樹脂層に所定のパターンでレーザービーム等を照射することで、層表面に所定のピッチPの凹凸パターンを形成することにより得られる。
アゾベンゼン樹脂層の表面への凹凸パターンの形成は、以下の機構による。すなわち、アゾベンゼン樹脂は、アゾベンゼン骨格をもつ樹脂であり、アゾベンゼン樹脂からなる層は、レーザービーム等の光のパターンが照射されることで、層の表面部分で光の強弱に感応して光の強い部分から弱い部分へと高分子鎖の移動が生じる結果、表面に凹凸パターンが形成される。なお、アゾベンゼン樹脂層の表面に形成された凹凸パターンにおいて、凹部がマスク7の極薄部となり、この極薄部が所定のピッチPで配列されたL/Sパターン状のマスク7が得られる。
アゾベンゼン樹脂層の表面に形成された凹凸の高低差に相当するマスク7の膜厚Aは、0.1〜5μmの範囲にできる。また、凹部のピッチに相当する極薄部のピッチPは、0.3〜10μmの範囲にできる。
このように、マスク材料としてアゾベンゼン樹脂を使用することで、前記した膜厚AおよびピッチPの微細パターンを有するマスク7を得ることができる。そして、そのようなマスク7を使用することで、ガラス基板4の正極側表層部にアルカリ低濃度領域を微細なパターンで形成できる。
また、マスクを構成する絶縁材料としては、アゾベンゼン樹脂以外に、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂などの高分子材料も使用できる。例えば、アクリル樹脂からなるマスクは、ガラス基板の主面に形成された紫外線硬化型アクリル樹脂、例えば、電気化学工業社製の商品名がOP−3010Pの層に、所定のパターンで紫外線を照射することにより、層表面に所定のピッチPの凹凸パターンを形成することにより得られる。また、フォトレジスト、例えば、東京応化工業社のg線用レジストである商品名がOPR−800を用いて、同様にマスクを形成することもできる。これらの高分子材料により形成されたマスクにおいて、膜厚AおよびピッチPは、前記アゾベンゼン樹脂からなるマスクと同様な範囲とすることが好ましい。そして、これらの高分子材料からなるマスクを使用することで、ガラス基板4の正極側表層部にアルカリ低濃度領域を微細なパターンで形成できる。
また、図4に示すように、樹脂フィルム8に円孔等の孔部9が所定のパターンで形成された、孔明きパターンを有するマスク10を使用できる。樹脂フィルム8を構成する絶縁材料としては、耐熱性や耐腐食性の観点からフッ素樹脂が好ましいが、これに限定されない。マスク10としての機能の点から、樹脂フィルム8の厚さは0.1〜1mmが好ましい。また、孔部9の直径Dおよび配列パターンは、形成すべきアルカリ低濃度領域のパターンの径および配列に合わせて調整でき、特に限定されない。アルカリ低濃度領域のパターン形成の容易性の点から、孔部9の直径Dは0.1〜30mmの範囲が好ましい。また、孔明きパターンである孔部9の配列パターンとしては、例えば、各孔部9が六角形の中心および頂点の位置を占めるように配列された、所定のピッチPの千鳥状の配列パターンが挙げられる。
このような樹脂フィルム8からなるマスク10を使用した場合は、ガラス基板の正極側表層部において、孔部9に対応する領域においてのみ、アルカリイオン等を負極側に向けて移動させてアルカリ低濃度領域を形成できる。したがって、マスク10の孔部9に対応するパターンのアルカリ低濃度領域を形成できる。
<第1の電極および第2の電極>
第2の実施形態においては、例えば直流電源に接続される第1の電極と第2の電極を、所定の間隔をおいて対向して配置し、これらの電極間に、前記マスクが配設されたガラス基板を以下に示すように配置する。すなわち、ガラス基板の一方の主面、例えば上面は第1の電極に対して離間し、この面に配設されたマスクが第1の電極に所定の間隔をおいて対向するようにし、かつ他方の主面、例えば下面は第2の電極に接触するようにして、ガラス基板を配置する。そして、第1の電極を正極とし第2の電極を負極とするような直流電圧を印加し、電極間にコロナ放電を発生させる。
マスクの表面である上面と正極である第1の電極との距離は、第1の電極の形状や印加電圧等によっても異なるが、前記距離が大きいほど、放電電流が小さくコロナ放電が弱くなるため、0mmより大きくし、かつ30mm以下が好ましい。さらには、距離が近いほど、放電電流は放物的に大きくなってコロナ放電が強くなるため、0mmより大きく、かつ10mm以下がより好ましい。
そして、第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様の第1の電極および第2の電極であればよく、電極の配置についても同様であればよい。また、ガラス基板の主面全体を均一に処理する方法も同様であればよい。さらに、第2の実施形態における表面処理の条件であるガラス基板の温度、処理雰囲気などについても、第1の実施形態と同様であればよい。
第2の実施形態の表面処理方法においては、被処理物であるガラス基板の、例えば上面に、所定のパターンの透孔部または極薄部を有する絶縁材料からなるマスクを配設し、このマスクに対して、正極であるワイヤ状電極等の第1の電極を離間して配置するとともに、負極である第2の電極をガラス基板の例えば下面に、接触して配置する。そして、第1の電極からコロナ放電が発生するような直流電圧を電極間に印加することで、電圧印加で生じる電界により、前記マスクの透孔部または極薄部に対応する領域において、ガラス中のアルカリイオンを含む陽イオンを負極側に移動させ、アルカリ低濃度領域を形成しているので、マスクの透孔部または極薄部のパターンに対応するパターンでアルカリ低濃度領域が形成される。
また、第2の電極がガラス基板の下面に接触して配置されることで、ガラス基板から第2の電極への導電性が確保されており、正極である第1の電極と負極である第2の電極との間に高い電圧を印加できるので、ガラス基板の温度を、ガラスや処理部材の変形や劣化のおそれがない400℃以下の温度に保持して処理を行うことができ、ガラス基板の表層部に十分な厚さのアルカリ低濃度領域を、所定のパターンで形成できる。
(第3の実施形態)
本発明の表面処理方法の第3の実施形態では、第1の電極として、複数本の針状電極を互いに所定の間隔をおいて同じ向き、すなわち平行に、かつ所定の配列で配置したものを用いる。このような第1の電極と第2の電極との間に、一対の主面を有しアルカリ酸化物を含有するガラスからなる基板を、このガラス基板の一方の主面が、第1の電極を構成する各針状電極に対して垂直でかつ針状電極の先端部から離間するようにし、他方の主面が第2の電極に接触するように配置する。そして、第1の電極を正極とし第2の電極を負極とするような直流電圧を印加して、電極間にコロナ放電を発生させ、発生したコロナ放電により、ガラス基板の正極である第1の電極に近い正極側表層部の、各針状電極の先端部に対向する領域において、アルカリイオンを含む陽イオンの少なくとも1種を、第2の電極に接する負極側に向けて移動させる。なお、針状電極の先端部に対向する領域は、例えば針状電極の先端部の直下の領域のような、先端部に最も近接する領域をいう。以下、この領域を対向直下の領域ということがある。
こうして、各針状電極の先端部の対向直下の領域で、アルカリイオン等の陽イオンの濃度が処理前より減少することにより、この領域に濃度が他の領域より低くなったアルカリ低濃度領域が形成される。そして、ガラス基板の正極側表層部においても、各針状電極の先端部の対向直下を外れる領域では、前記アルカリイオン等の負極側に向っての移動がなく、あるいは移動するイオン量および移動距離が極めて少なく、前記アルカリ低濃度領域はほとんど形成されないので、ガラス基板の正極側表層部に、針状電極の配列に対応するパターン状の前記アルカリ低濃度領域が形成される。
<被処理物であるガラス基板>
第3の実施形態により処理されるガラス基板は、第1の実施形態および第2の実施形態により処理されるガラス基板と同様のものである。
<第1の電極および第2の電極>
第3の実施形態においては、複数本の針状電極が互いに所定の間隔をおいて平行で同じ向きに所定の配列で配置された集合体である第1の電極と、例えば平板状の第2の電極とを、所定の間隔をおいて対向して配置し、これらの電極間に、前記ガラス基板を以下に示すように配置する。すなわち、ガラス基板の一方の主面、例えば上面は、第1の電極である針状電極の先端部に対して所定の間隔をおいて対向するようにし、かつ他方の主面、例えば下面は第2の電極に接触するようにして、ガラス基板を配置する。そして、第1の電極を正極とし第2の電極を負極とするような直流電圧を印加し、電極間にコロナ放電を発生させる。
第3の実施形態の表面処理方法に用いられる装置は、第1の実施形態で用いられる図2に示す装置と同様に構成できる。
図2に示す表面処理装置1において、正極である第1の電極2を構成する各針状電極2bの表面に、金、白金、その他の貴金属等の耐食性の導電性膜を設けると、電界強度の均一性が良好となり、かつ電極としての耐久性が向上する。針状電極2bの根元部の直径は、0.1〜2mmが好ましい。針状電極2bの先端部の角度である先端角は5〜25°が好ましく、7〜15°がより好ましい。針状電極2bの直径および先端角を上記範囲とすることで、針状電極2bの先端部近傍の電界強度が十分に大きなものとできる。針状電極2bの先端角が大きすぎると、コロナ放電が生じにくくなる。反対に針状電極2bの先端角が小さすぎると、低電圧でもアーク放電しやすくなり、安定したコロナ放電状態を維持できない。
第3の実施形態に用いられる表面処理装置1では、このような針状電極2bの複数本が、互いに平行でそれぞれ先端部をガラス基板4の上面に向け、かつガラス基板4の上面に垂直で、先端部がガラス基板4の上面から等しい距離となるように配置されている。複数本の針状電極2bの配列は、特に限定されず、例えば図2(b)に示すような、六角形の中心および頂点の位置を占めるような千鳥状の配列や、碁盤目状等の配列等が例示される。なお、複数本の針状電極2bの配列は、等間隔でなくてもよい。
ガラス基板4の正極側表層部において、各針状電極2bの先端部の対向直下領域でのみアルカリイオン等を負極側に向って移動させて、アルカリ低濃度領域のパターンを形成するために、各針状電極2bの配列間隔dは、1mm以上が好ましく、針状電極2bの先端部とガラス基板4との距離は0.1〜15mmが好ましい。より具体的には、各針状電極2bの配列間隔dが10mm程度の場合、針状電極2bの先端部とガラス基板4との距離は1〜15mmの範囲とできる。前記距離が10mmを超えると表面処理に要する時間が長くなるので、処理時間の短縮の観点からは、距離は1〜10mmが好ましい。なお、前記したように、各針状電極2bの配列間隔dは、必ずしも全てにおいて等しくなくてもよい。
第3の実施形態に用いられる表面処理装置1において、負極である第2の電極3は、平板状や曲板状など、被処理物であるガラス基板4の下面に合わせた形状を有するものが好ましい。また、孔あき部を有するメッシュ状のものなど、ガラス基板4と面内で均一に接触するものでもよい。
このような第2の電極3を、ガラス基板4の下面に接触するように配置することで、ガラス基板4への導電性が向上するため、印加電圧を高くできる。第2の電極3と接触するガラス基板4の表面に、ITO等の導電膜を設けることで、さらに導電性を向上できる。
第2の電極3は、固体の導電材料は勿論のこと、溶融金属からなる電極でもよい。溶融金属としては、低融点であるため、In−Sn合金が特に好ましい。
次に、第3の実施形態における表面処理の条件であるガラス基板の温度、処理雰囲気などについて説明する。
<表面処理の条件>
ガラス基板の温度は、第1の実施形態および第2の実施形態と同様であればよい。
第1の電極と第2の電極との間に印加する直流電圧は、針状電極の先端角や被処理物であるガラス基板の温度によっても変わるが、3〜12kVの範囲とする。印加電圧が3kV未満ではコロナ放電が発生しにくい。印加電圧が12kVを超えると、アーク放電が生じやすくなり、コロナ放電を継続するのが難しい。
第3の実施形態において、このような直流電圧の印加により被処理物であるガラス基板を流れる電流は、電子の移動による電流と、アルカリイオンを含む陽イオンの移動による電流の両者を含むものである。表面処理過程でガラス基板を流れる単位面積あたりの電流は、ガラス組成、処理雰囲気、電極間距離にもよるが、アルカリ酸化物およびアルカリ土類酸化物を合計で15質量%を超える割合で含有するガラスで、空気雰囲気、針状電極先端とガラス基板との距離が5mmの場合、1μA/cm〜100μA/cmの範囲が好ましい。処理時間120分の場合は、単位面積当たりの電気量は、約7mC/cm〜720mC/cmとなる。
被処理物であるガラス基板が配置された、正極である第1の電極と負極である第2の電極との間は、空気、窒素またはアルゴン等の希ガスを主体とする雰囲気に保持する。ここで、「空気、窒素または希ガスを主体とする雰囲気」とは、空気、窒素または希ガスの含有割合が、雰囲気ガス全体の50体積%を超える気体状態をいう。雰囲気ガス全体の50体積%を超える気体(空気または窒素または希ガス)以外のガスの種類は特に限定されない。すなわち、アルゴン等の希ガスは、主体ガスとして雰囲気に含まれていてもよいし、主体ガス以外のガスとして、空気または窒素を主体する雰囲気に含まれていてもよい。
前記したように、負極である第2の電極はガラス基板の主面に接触するように配置され、第2の電極とガラス基板との間の導電性が高められている。空気、窒素または希ガスを主体とする雰囲気で、第1の電極の周りにコロナ放電を発生させて、ガラス基板の表面を処理できる。
また、第1の実施形態および第2の実施形態と同様に、正極である第1の電極と負極である第2の電極との間は、水素イオンを生成する気体を含有する雰囲気に保持できる。
このように、第3の実施形態の表面処理方法においては、正極である第1の電極として、複数本の針状電極を所定の間隔をおいて平行に、かつ所定の配列で配置した集合体を使用し、このような第1の電極と負極である第2の電極との間に、被処理物であるガラス基板を、一方の主面は第1の電極から離間し、他方の主面は第2の電極に接触するように配置する。そして、第1の電極からコロナ放電が発生するような直流電圧を電極間に印加することで、電圧印加で生じる電界により、前記針状電極の先端部に対するガラス基板の対向直下の領域において、ガラス中のアルカリイオンを含む陽イオンを負極側に移動させて、アルカリ低濃度領域を形成しているので、針状電極の配列に対応する同じパターンでアルカリ低濃度領域が形成される。
[表面処理により得られるガラス基板]
(第1の実施形態により得られるガラス基板)
第1の実施形態の表面処理によって、被処理物であるガラス基板の第1の電極に近い正極側表層部において、アルカリイオンを含む陽イオンの少なくとも1種が、第2の電極に接する負極側に向けて移動し、アルカリイオンの少なくとも1種の濃度が他の領域より低いアルカリ低濃度領域が形成される。
前記したように、通常アルカリ低濃度領域は、ナトリウムイオンの濃度が他の領域より低い領域とでき、具体的には、ナトリウムイオンの濃度が、モル基準で例えば500ppm以下である領域を、アルカリ低濃度領域とできる。ここで、ナトリウムイオンの濃度は、例えば、ToF−SIMS(飛行時間型二次イオン質量分析)により測定した値とする。このような、ナトリウムイオンの濃度の範囲や濃度の測定方法については、パターン状に形成されたアルカリ低濃度領域についても同様のことがいえる。
第1の実施形態により得られるガラス基板では、このようなアルカリ低濃度領域は、0μmを超えかつ10μm以下の厚さを有する。すなわち、ガラス基板の一方の主面から10μmの深さまでの領域が、ナトリウムイオンの濃度がモル基準で500ppm以下のアルカリ低濃度領域となる。
また、このような表面処理済みのガラス基板において、前記アルカリ低濃度領域は、他の領域より高いプロトン濃度を有する。すなわち、前記したように、表面処理の雰囲気を、空気または窒素を主体としかつ水素ガスのようなプロトン供給ガスを含有する雰囲気とすることで、アルカリ低濃度領域にプロトンを注入し、プロトン濃度を高めることができる。プロトン濃度は、アルカリイオン量にもよるが、モル基準で例えば40000ppm以上に高めることができる。そして、このようなプロトン濃度が高められたアルカリ低濃度領域においては、移動したアルカリイオンの戻りがないので、低いアルカリイオン濃度が保たれる。
(第2の実施形態により得られるガラス基板)
第2の実施形態の表面処理によって、被処理物であるガラス基板の第1の電極に近い正極側表層部における、前記マスクの透孔部または極薄部に対応する領域で、アルカリイオンを含む陽イオンの少なくとも1種が、第2の電極に接する負極側に向って移動し、アルカリイオンの少なくとも1種の濃度が処理前より減少して他の領域より低くなったアルカリ低濃度領域が形成される。そして、前記マスクの透孔部または極薄部以外のマスク本体に接する領域では、前記アルカリイオン等の負極側に向っての移動がないか、あるいは移動するイオンの量および移動距離が極めて少ないので、アルカリ低濃度領域は形成されないか、あるいは極めて浅くしか形成されない。したがって、第2の実施形態の表面処理によっては、マスクの透孔部または極薄部のパターンに対応するパターンのアルカリ低濃度領域が、一方の主面側の表層部に形成されたガラス基板が得られる。以下、ガラス基板に形成されたアルカリ低濃度領域のパターンについて、さらに説明する。
所定のピッチPのL/Sパターン状に形成されたアゾベンゼン樹脂からなる図3のマスク7を使用した場合は、図5に示すように、ガラス基板4のマスク形成側の表層部において、マスク7の厚さの変化に対応して、マスク7の極薄部と同じピッチPで厚さが周期的かつ連続的に変化するアルカリ低濃度領域11が形成される。より具体的には、マスク7の厚さが最大の部位に接する領域では、ガラス基板4表面からアルカリ低濃度領域11の底部境界部までの深さに相当するアルカリ低濃度領域11の厚さが最小であり、例えば0μmとなる。マスク7の厚さが最小でほぼ0μmの極薄部に対応する領域では、アルカリ低濃度領域11の厚さが最大で、例えば0.45μmとなる。このように、厚さが連続的に変化するアルカリ低濃度領域11が形成される。このように、ガラス基板4の一方の主面側の表層部において、マスク7の厚さが所定の値以下の表面凹部である極薄部に対応する領域に、十分な厚さBを有するアルカリ低濃度領域11が形成され、その他の領域ではアルカリ低濃度領域11の厚さが薄く形成される結果、厚さの異なるアルカリ低濃度領域11がそれぞれパターン状に形成されたガラス基板4が得られる。
また、図4に示す、円孔等の孔部9が所定のパターンで形成された樹脂フィルム8からなるマスク10を使用した場合は、図6に示すように、ガラス基板4のマスク形成側の表層部において、マスク10の透孔部である孔部9に対応する領域でのみアルカリ低濃度領域11が形成されるので、マスク10の孔部9のパターンと略同じパターンのアルカリ低濃度領域11が形成される。
このように第2の実施形態により得られるガラス基板において、パターン状に形成されたアルカリ低濃度領域11は、0μmを超えかつ10μm以下の厚さを有する。すなわち、ガラス基板4の一方の主面から10μmの深さまでの領域で、ナトリウムイオンの濃度がモル基準で500ppm以下となっているアルカリ低濃度領域11が、面方向にパターン状に形成されたガラス基板が得られる。
また、このように表面処理済みのガラス基板において、前記アルカリ低濃度領域11は、他の領域より高いプロトン濃度を有することができる。すなわち、前記したように、表面処理の雰囲気を、空気または窒素を主体としかつ水素ガスのようなプロトン供給ガスを含有する雰囲気とすることで、アルカリ低濃度領域11にプロトンを注入し、プロトン濃度を高めることができる。プロトン濃度は、アルカリイオン量にもよるが、モル基準で例えば40000ppm以上に高めることができる。そして、このようなプロトン濃度が高められたアルカリ低濃度領域11のパターンを有するガラス基板においては、移動したアルカリイオンの戻りがないので、パターン状のアルカリ低濃度領域11において、低いアルカリイオン濃度が保たれる。
なお、前記したアゾベンゼン樹脂からなるマスク7、および樹脂フィルム8からなるマスク10の厚みや、極薄部または孔部9のピッチは、前記した範囲に限定されず、これらの範囲を超えた場合もアルカリ低濃度領域11のパターンを形成できる。
(第3の実施形態により得られるガラス基板)
第3の実施形態の表面処理によって、被処理物であるガラス基板の正極側表層部の、前記針状電極の先端部に対応する対向直下の領域において、アルカリイオンを含む陽イオンの少なくとも1種が、第2の電極に接する負極側に向って移動し、アルカリイオンの少なくとも1種の濃度が処理前より減少して他の領域より低くなったアルカリ低濃度領域が形成される。そして、前記針状電極の先端部の対向直下を外れた領域においては、前記アルカリイオン等の負極側に向っての移動がほとんどないので、アルカリ低濃度領域はほとんど形成されない。したがって、第3の実施形態の表面処理により、針状電極の配列に対応するパターンのアルカリ低濃度領域が、一方の主面側の表層部に形成されたガラス基板が得られる。以下、ガラス基板に形成されたアルカリ低濃度領域のパターンについて、さらに説明する。
図7に示すように、ガラス基板4の正極側の表層部において、針状電極2bの先端部に対向する対向直下領域で、アルカリイオンを含む陽イオンの少なくとも1種が、第2の電極に接する負極側に向って移動し、平面形状が針状電極2bの先端の直下の点を中心とする円形状のアルカリ低濃度領域11が、針状電極2bの配列と同じ配列パターンで形成される。
このように第3の実施形態により得られるガラス基板4において、パターン状に形成されたアルカリ低濃度領域11は、0.5〜15μmの厚さを有する。すなわち、ガラス基板4の一方の主面から0.5〜15μmの深さまでの領域で、ナトリウムイオンの濃度がモル基準で500ppm以下となっている平面円形のアルカリ低濃度領域11が、針状電極2bの配列と同じ配列パターン、例えば千鳥状の配列パターンで形成されたガラス基板が得られる。
また、このように表面処理済みのガラス基板において、前記アルカリ低濃度領域11は、他の領域より高いプロトン濃度とできる。すなわち、前記したように、表面処理の雰囲気を、空気、窒素または希ガスを主体としかつ水素ガスのようなプロトン供給ガスを含有する雰囲気とすることで、アルカリ低濃度領域11にプロトンを注入し、プロトン濃度を高めることができる。プロトン濃度は、アルカリイオン量にもよるが、モル基準で例えば40000ppm以上に高めることができる。そして、このようなプロトン濃度が高められたアルカリ低濃度領域11のパターンを有するガラス基板4においては、移動したアルカリイオンの戻りがないので、パターン状のアルカリ低濃度領域11において、低いアルカリイオン濃度が保たれる。
以下、本発明の実施例について具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
酸化物基準の質量%表示で、SiOを70%、Alを2%、NaOを13%、CaOを10%、MgOを4%、KO、Fe、SOを合計で1%未満含有するソーダライムガラスからなる、主面が長辺300mm×短辺100mmの矩形で厚さが1mmの基板を、図1に示す表面処理装置1の正極である第1の電極2と負極である第2の電極3との間に配置し、コロナ放電による表面処理を行った。
なお、この表面処理装置1において、第2の電極3は接地された平板状電極であり、電極材料はタングステン、電極サイズは300mm×100mmである。この第2の電極3の上に同じ大きさの前記ガラス基板4を載せ、水平に配置した。第1の電極2は、電極材料がタングステンの直径0.5mmのワイヤ状電極2aの1本により構成し、これを、ガラス基板4の長辺に平行に配置した。また、ワイヤ状電極2aとガラス基板4の上面との距離は5mmとした。そして、ガラス基板4を載せた第2の電極3を、水平面上でワイヤ状電極2aの配設方向と直交する方向に、5mm/秒の速度で100mmのストロークで往復動させた。さらに、第1の電極2であるワイヤ状電極2aと第2の電極3との間は、大気雰囲気とした。
こうして、ガラス基板4を200℃に加熱しつつ、直流電源5によりワイヤ状電極2aと第2の電極3との間に6kVの電圧を印加し、この状態で900分間処理を継続した。なお、表面処理中、ワイヤ状電極2aおよび第2の電極3と直流電源5とを接続する回路に設置された電流計6で電流値を測定したところ、0.4mAで一定であった。そして、ガラス基板4の処理面積30000mm全体を流れた電気量は36クーロンであり、単位面積当たりの電気量は、120mC/cmであった。
900分間表面処理を行った後、ガラス基板4の上面付近の組成変化を、飛行時間型二次イオン質量分析により測定したところ、表面から550nmの深さまで、ナトリウムオンの濃度がモル基準で500ppm以下のアルカリ低濃度領域が形成されていることがわかった。なお、飛行時間型二次イオン質量分析(ToF−SIMS)において、空間分解能であるピクセルサイズはXY方向150nm、ガラス中のZ方向22nmとした。
実施例2
実施例1で使用した基板と同じ組成を有する、主面が72.8mm×72.8mmの矩形で厚さ1mmのソーダライムガラスの基板を、図2に示す表面処理装置の正極である第1の電極2と負極である第2の電極3の間に配置し、表面処理を行った。
なお、この表面処理装置において、負極である第2の電極は、接地された平板状電極であり、電極材料はステンレス、電極サイズは72.8mm×72.8mmである。この第2の電極3の上に前記ガラス基板4を載置し、水平に配置した。また、根元の直径1mmの針状電極2bの138本を、10mmの間隔dで千鳥状に配置したものを、第1の電極2とし、このような第1の電極2を、各針状電極2bの先端部を前記ガラス基板4に向けて、ガラス基板4の主面に垂直になるように配置した。なお、針状電極2bは、炭素鋼からなる針状体の上に、スパッタ法で厚さ0.05μmのクロムを下地コートした後、厚さ1μmの白金をコートしたものを使用した。また、各針状電極2bとガラス基板4の上面との距離は1mmとした。
そして、このような第1の電極2と前記第2の電極3とを直流電源5に接続した。また、第1の電極2と第2の電極3との間は、5体積%の水素ガスと95体積%の窒素ガスとからなる混合ガス雰囲気とした。さらに、このように構成された表面処理装置1の第1の電極2と第2の電極3およびガラス基板4を、加熱炉により200℃に加熱した。
こうして、直流電源5により第1の電極2と第2の電極3との間に3kVの電圧を印加し、この状態で130分間処理を継続した。なお、表面処理中、第1の電極2および第2の電極3と直流電源5とを接続する回路に設置された電流計6で電流値を測定したところ、最高0.3mAで平均電流値は0.25mAであった。そして、ガラス基板4の処理面積5308mm全体を流れた電気量は15クーロンであり、単位面積当たりの電気量は282.6mC/cmであった。
130分間表面処理を行った後、ガラス基板4の上面付近の組成変化を、実施例1と同様にToF−SIMSにより測定したところ、表面から2.5μmの深さまで、ナトリウムオンの濃度がモル基準で500ppm以下のアルカリ低濃度領域が形成されていることがわかった。
実施例3
実施例1で使用した基板と同じ組成を有する、主面が25mm×25mmの矩形で厚さ1mmのソーダライムガラスの基板の一方の主面に、アゾベンゼン樹脂を含む塗布液をスピンコート法により塗布し、乾燥した。なお、アゾベンゼン樹脂を含む塗布液は、株式会社トリケミカル研究所製の商品名がポリアミンである側鎖型アゾベンゼンポリマーの粉末0.1gをシクロヘキサノン0.9gに混合・分散して調製した。
次いで、得られた塗布膜にレーザー光を照射して表面に畝状の凹凸を形成した。こうして、膜厚が最大の表面凸部と最小の表面凹部との膜厚差が1μmで、ピッチが4μmのL/Sパターンを有するマスクを形成した。
次いで、こうして主面にマスクが形成されたガラス基板を、図1に示す表面処理装置1の正極である第1の電極2と負極である第2の電極3との間に、マスクの表面が第1の電極2と対向するように配置し、コロナ放電による表面処理を行った。以下、主面にマスクが形成されたガラス基板をマスク付きのガラス基板という。
この表面処理装置1において、第2の電極3は接地された平板状電極であり、電極材料はステンレス、電極サイズは20mm×20mmである。この第2の電極3の上に前記マスク付きのガラス基板4を載せ、水平に配置した。第1の電極2は、電極材料がタンタルである直径0.5mmの1本のワイヤ状電極2aにより構成し、これを、ガラス基板4の長辺に平行に配置した。また、このワイヤ状電極2aとマスク11の上面との距離は5mmとし、第1の電極2であるワイヤ状電極2aと第2の電極3との間は、大気雰囲気とした。
こうして、ガラス基板4を135℃に加熱しつつ、直流電源5によりワイヤ状電極2aと第2の電極3との間に6kVの電圧を印加し、この状態で24時間処理を継続した。なお、表面処理中、ワイヤ状電極2aおよび第2の電極3と直流電源5とを接続する回路に設置された電流計6で電流値を測定したところ、5μAで一定であった。そして、ガラス基板4の処理面積400mm全体を流れた電気量は432mCであり、単位面積当たりの電気量は、108mC/cmであった。
24時間表面処理を行った後、マスク付きのガラス基板4の上面付近の組成変化を、実施例1と同様にToF−SIMSにより測定したところ、ナトリウムオンの濃度がモル基準で500ppm以下のアルカリ低濃度領域が、以下に示すようにパターン状に形成されていることがわかった。すなわち、マスクの厚さの連続的かつ周期的な変化に応じて、マスクの厚さが最大1μmの部位に接するガラス基板の領域では、アルカリ低濃度領域の厚さが最小0nmとなり、マスクの厚さが最小ほぼ0μmの部位に対応する領域では、アルカリ低濃度領域の厚さが最大450nmとなるように、マスクと同じピッチ4μmで厚さが周期的に変化するアルカリ低濃度領域パターンが形成されていることがわかった。
実施例4
実施例1で使用した基板と同じ組成を有する、主面が25mm×25mmの矩形で厚さ1mmのソーダライムガラスの基板の一方の主面に接するように、所定のパターンで形成された多数の孔明きの円孔パターンを有する、日東電工株式会社製で商品名がニトフロンの厚さ0.13mmである片面接着処理フッ素樹脂フィルムからなるマスクを配置した。なお、このマスクにおいて、円孔パターンは、直径5mmの多数の円孔が10mmのピッチで千鳥状に配列されたパターンとなっている。
次いで、こうして主面にフッ素樹脂フィルムからなるマスクが配置されたガラス基板を、図1に示す表面処理装置1の正極である第1の電極2と負極である第2の電極3との間に、マスクの上面が正極である第1の電極2と対向するように配置し、コロナ放電による表面処理を行った。
なお、この表面処理装置1において、第2の電極3は接地された平板状電極であり、電極材料はステンレス、電極サイズは20mm×20mmである。この第2の電極3の上に前記マスクが配置されたガラス基板4を載せ、水平に配置した。第1の電極2は、直径0.5mmの電極材料が白金である1本のワイヤ状電極2aにより構成し、これを、ガラス基板4の長辺に平行に、マスクの上面からの距離を10mmとして配置した。そして、ガラス基板4を載せた第2の電極3を、水平面上でワイヤ状電極2aの配設方向と直交する方向に、5mm/秒の速度で100mmのストロークで往復運動させた。第1の電極2であるワイヤ状電極2aと第2の電極3との間は、大気雰囲気とした。
こうして、ガラス基板4を200℃に加熱しつつ、直流電源5によりワイヤ状電極2aと第2の電極3との間に6kVの電圧を印加し、この状態で24時間処理を継続した。なお、表面処理中、ワイヤ状電極2aおよび第2の電極3と直流電源5とを接続する回路に設置された電流計6で電流値を測定したところ、5μAで一定であった。そして、ガラス基板4の処理面積400mm全体を流れた電気量は432mCであり、単位面積当たりの電気量は、108mC/cmであった。
24時間表面処理を行った後、第2の電極3と接したガラス基板4の下面の状態を肉眼で観察したところ、マスクの円孔パターンと同じパターンの白色円形パターンが認められた。すなわち、ガラス基板4の下面において、マスクの円孔に対応する直下の位置に、円孔と同じサイズで平面形状が円形の白色析出物層が見られ、ガラス基板4の下面全体では、この円形の白色析出物層が、マスクの円孔パターンと同じ千鳥状に配置されていた。そして、この析出物の化学組成を分析したところ、炭酸ナトリウムであることがわかった。
この炭酸ナトリウムの析出は、以下のことを示している。すなわち、ガラス基板4の第1の電極2に近い上面付近から第2の電極3に近い下面側へのナトリウムイオンの移動により、ガラス基板4の下面にナトリウムイオンの高濃度領域が露出して形成され、この高濃度領域においてナトリウムイオンが空気中の二酸化炭素と反応した結果、前記炭酸ナトリウムが生じたものである。
このように、ガラス基板4の下面に、マスクの円孔パターンと同一パターンの白色析出物層が形成されたことから、ガラス基板4の正極側表層部でマスクの孔部に対応する領域では、ナトリウムイオンの第2の電極3側への移動が生じるが、孔部以外のマスク本体部では、ナトリウムイオンの移動がほとんど生じておらず、その結果マスクの円孔パターンと同じパターンのアルカリ低濃度領域が形成されたことがわかった。
実施例5
アルミノシリケートガラスをベースとした旭硝子社製の商品名がDragontrailである化学強化ガラスの、主面が100mm×100mmの矩形で厚さ1mmの基板を用意し、その一方の主面に、直径5mmの多数の円孔が10mmのピッチで千鳥状に配列された、円孔パターンを有する、日東電工株式会社製の商品名がニトフロンである厚さ0.13mmの片面接着処理フッ素樹脂フィルムからなるマスクを配置した。
次いで、こうして主面にフッ素樹脂フィルムからなるマスクが配置されたガラス基板を、図1に示す表面処理装置1の正極である第1の電極2と負極である第2の電極3との間に、マスクの上面が第1の電極2と対向するように配置し、コロナ放電による表面処理を行った。
なお、この表面処理装置1において、第2の電極3は接地された平板状電極であり、電極材料はアルミニウムで電極サイズは90mm×90mmである。この第2の電極3の上に前記マスクが配置されたガラス基板4を載せ、水平に配置した。第1の電極2は、電極材料が白金である直径50μmのワイヤ状電極2aの3本を、電極間距離が10mmとなるように配置して構成し、これらを、ガラス基板4の長辺に平行に配置した。また、これらのワイヤ状電極2aとマスクの上面との距離は10mmとした。そして、ガラス基板4を載せた第2の電極3を、水平面上でワイヤ状電極2aの配設方向と直交する方向に、5mm/秒の速度で100mmのストロークで往復運動させた。さらに、第1の電極2であるワイヤ状電極2aと第2の電極3との間は、大気雰囲気とした。
こうして、ガラス基板4を200℃に加熱しつつ、直流電源5により第1の電極2と第2の電極3との間に6kVの電圧を印加し、この状態で24時間処理を継続した。なお、表面処理中、第1の電極2および第2の電極3と直流電源5とを接続する回路に設置された電流計6で電流値を測定したところ、100μAで一定であった。そして、ガラス基板4の処理面積8100mm全体を流れた電気量は8.64Cであり、単位面積当たりの電気量は、107mC/cmであった。また、ガラス基板4上にマスクを配置せず、その他は実施例5と同一の条件で表面処理を行った場合の電流値は、400μAであり、マスクを配置した場合は回路を流れる電流値が大幅に低下することがわかった。
24時間表面処理を行った後、第2の電極3と接したガラス基板4の下面の状態を肉眼で観察したところ、実施例4と同様の白色析出物層が観察され、析出物の分析により炭酸ナトリウムであることがわかった。
このように、実施例5でも実施例4と同様にアルカリ低濃度領域が形成された。
実施例6
実施例1で使用した基板と同じ組成を有するソーダライムガラスの、主面が100mm×100mmの矩形で厚さ1mmである基板を、図2に示す表面処理装置1の正極である第1の電極2と負極である第2の電極3との間に配置し、表面処理を行った。
なお、この表面処理装置1において、負極である第2の電極3は、接地された平板状電極であり、電極材料が炭素で電極サイズは98mm×98mmである。この第2の電極3の上に前記ガラス基板4を載置し、水平に配置した。また、根元の直径1mmで先端部の角度が9°の針状電極2bの130本を、10mmの間隔dで千鳥状に配置したものを第1の電極2とし、このような第1の電極2を、各々の針状電極2bの先端部を前記ガラス基板4に向けて、ガラス基板4の主面に垂直になるように配置した。なお、針状電極2bは、ステンレス鋼からなる針状体の上に、スパッタ法で厚さ0.05μmのクロムを下地コートした後、厚さ1μmの白金をコートしたものを使用した。また、各針状電極2bとガラス基板4の上面との距離は3mmとした。
そして、このような第1の電極2と前記第2の電極3とを直流電源5に接続した。また、第1の電極2と第2の電極3との間は、5体積%の水素ガスと95体積%の窒素ガスとからなる混合ガス雰囲気とした。さらに、このように構成された表面処理装置1の第1の電極2と第2の電極3およびガラス基板4を、加熱炉により200℃に加熱した。
こうして、直流電源5により第1の電極2と第2の電極3との間に3kVの電圧を印加し、この状態で120分間処理を継続した。なお、表面処理中、第1の電極2および第2の電極3と直流電源5とを接続する回路に設置された電流計6で電流値を測定し、針状電極1本当たりの電流値を求めたところ、最高30μA/本で平均電流値は20μA/本であった。そして、ガラス基板4の処理面積100cm全体を流れた電気量は約180Cであり、単位面積当たりの電気量は約1.8C/cmであった。
120分間表面処理を行った後、第2の電極3と接したガラス基板4の下面の状態を肉眼で観察したところ、図8に示すように、第1の電極である針状電極2bの配列と同じ配列の白色円形パターンが認められた。すなわち、ガラス基板4の下面において、針状電極2bの先端部の直下に対応する位置に平面形状が略円形の白色析出物層12が見られ、ガラス基板4の下面全体では、この円形の白色析出物層12が、針状電極2bの配列と同じ千鳥状に配列されていた。そして、この析出物の化学組成を分析したところ、炭酸ナトリウムであることがわかった。
この炭酸ナトリウムの析出は、以下のことを示している。すなわち、ガラス基板4の針状電極2bの先端部の対向直下領域において、針状電極2bに近い上面付近から第2の電極に近い下面側へのナトリウムイオンの移動により、ガラス基板4の下面にナトリウムイオンの高濃度領域が露出して形成され、この高濃度領域においてナトリウムイオンが空気中の二酸化炭素と反応した結果、前記炭酸ナトリウムが生じたものである。
このように、ガラス基板4の下面に、針状電極2bの配列と同じ千鳥状に配列された白色析出物層12のパターンが形成されたことから、以下のことがわかった。すなわち、ガラス基板4の正極側表層部において、針状電極2bの先端部の対向直下領域では、ナトリウムイオンの第2の電極側への移動が生じるが、この領域の周りのような、針状電極2bの先端部の対向直下を外れた領域では、ナトリウムイオンの移動がほとんど生じないため、針状電極2bの配列と同じ配列を有するアルカリ低濃度領域のパターンが形成されたことがわかった。
本発明によれば、ガラス基板の表層部に十分に厚いアルカリ低濃度領域を形成できる。したがって、ガラス表面へのアルカリイオン等の溶出を防止し、ガラスのヤケやコーティングの劣化、半導体の汚染等を防止でき、信頼性の高いガラス基板を提供できる。
また、本発明によれば、ガラス基板の表層部に十分に厚いアルカリ低濃度領域をパターン状に形成できる。したがって、例えばガラス表面の化学強化レベルを任意の部位で変えることが可能なガラス基板を提供できる。
1…表面処理装置、2…第1の電極、2a…ワイヤ状電極、2b…針状電極、3…第2の電極、4…ガラス基板、5…直流電源、7,10…マスク、11…アルカリ低濃度領域。

Claims (25)

  1. 第1の電極と第2の電極との間に、一対の主面を有し、化学組成においてアルカリ酸化物を含有するガラスからなるガラス基体を、一方の主面が前記第1の電極に対して離間し、かつ他方の主面が前記第2の電極に接触するように配置し、前記第1の電極を正極または負極とし前記第2の電極を反対の極とするように直流電圧を印加してコロナ放電を発生させ、前記ガラス基体の正極に近い正極側表層部において、アルカリイオンを含む陽イオンの少なくとも1種を、負極に近い側に向って移動させることを特徴とするガラス基体の表面処理方法。
  2. 前記第1の電極を正極とし前記第2の電極を負極とするように直流電圧を印加してコロナ放電を発生させ、前記ガラス基体の前記第1の電極に近い正極側表層部において、アルカリイオンを含む陽イオンの少なくとも1種を、前記第2の電極に接する負極側に向って移動させることを特徴とする請求項1に記載のガラス基体の表面処理方法。
  3. 前記正極は前記負極より小さい電極面積を有する、請求項1または2に記載のガラス基体の表面処理方法。
  4. 前記正極はワイヤ状の電極であり、このワイヤ状電極を前記ガラス基体の前記一方の主面に平行に配置する、請求項3に記載のガラス基体の表面処理方法。
  5. 前記正極は針状の電極であり、この針状電極を前記ガラス基体の前記一方の主面に対して垂直に配置する、請求項3に記載のガラス基体の表面処理方法。
  6. 一対の主面を有し、化学組成においてアルカリ酸化物を含有するガラス基体の一方の主面に、絶縁材料からなり、所定のパターンの透孔部または極薄部を有するマスクを配設する工程と、
    前記マスクが配設された前記ガラス基体を、第1の電極と第2の電極との間に、前記マスクの表面が前記第1の電極から離間し、かつ前記ガラス基体の他方の主面が前記第2の電極に接触するように配置した後、前記第1の電極を正極とし前記第2の電極を負極とするように直流電圧を印加してコロナ放電を発生させる工程と
    を備え、
    前記コロナ放電を発生させる工程で、前記ガラス基体の前記第1の電極に近い正極側表層部の、前記マスクの前記透孔部または極薄部に対応する領域で、アルカリイオンを含む陽イオンの少なくとも1種を前記第2の電極に接する負極側に向って移動させ、前記陽イオンの少なくとも1種の含有割合が他の領域より低いアルカリ低濃度領域を、前記マスクの前記透孔部または極薄部のパターンに対応するパターンで形成することを特徴とするガラス基体の表面処理方法。
  7. 前記マスクは、表面に所定のピッチの凹凸パターンが形成された樹脂層である請求項6に記載のガラス基体の表面処理方法。
  8. 前記マスクは、複数の貫通孔が所定のパターンで形成された樹脂フィルムである請求項6に記載のガラス基体の表面処理方法。
  9. 前記第1の電極は、前記第2の電極より小さい電極面積を有する請求項6〜8のいずれか1項に記載のガラス基体の表面処理方法。
  10. 前記第1の電極はワイヤ状の電極であり、このワイヤ状電極を前記ガラス基体の前記一方の主面に平行に配置する請求項9に記載のガラス基体の表面処理方法。
  11. 前記第2の電極と前記ガラス基体とを一体とし、前記第1の電極に対して平行に運動させる、請求項2〜10のいずれか1項に記載のガラス基体の表面処理方法。
  12. 前記運動は、直線運動、往復直線運動、回転運動、揺動から選ばれる少なくとも1種の運動を含む請求項11に記載のガラス基体の表面処理方法。
  13. 互いに所定の間隔をおいて同じ向きにかつ所定の配列で配置された複数本の針状電極からなる第1の電極と、第2の電極との間に、一対の主面を有し化学組成においてアルカリ酸化物を含有するガラス基体を、前記主面の一方が、前記第1の電極を構成する前記針状電極に対して垂直でかつその先端部から離間し、前記主面の他方が前記第2の電極に接触するように配置する工程と、
    前記第1の電極を正極とし前記第2の電極を負極とするように直流電圧を印加して、コロナ放電を発生させる工程と
    を備え、
    前記コロナ放電を発生させる工程で、前記ガラス基体の前記第1の電極に近い正極側表層部の、前記各針状電極の先端部に対向する領域で、アルカリイオンを含む陽イオンの少なくとも1種を前記第2の電極に接する負極側に向って移動させ、前記陽イオンの少なくとも1種の含有割合が他の領域より低いアルカリ低濃度領域を、前記針状電極の配列に対応するパターンで形成することを特徴とするガラス基体の表面処理方法。
  14. 前記針状電極の先端部の角度である先端角は5〜25°である、請求項13に記載のガラス基体の表面処理方法。
  15. 前記第2の電極は、溶融金属からなる電極である請求項13または14に記載のガラスの表面処理方法。
  16. 前記第1の電極と前記第2の電極との間は、空気または窒素を主体とする雰囲気に保持される、請求項1〜15のいずれか1項に記載のガラス基体の表面処理方法。
  17. 前記第1の電極と前記第2の電極との間は、水素イオンを生成する気体を含有する雰囲気に保持される、請求項1〜15のいずれか1項に記載のガラス基体の表面処理方法。
  18. 前記水素イオンを生成する気体は水素ガスである、請求項17に記載のガラスの表面処理方法。
  19. 前記ガラス基体の温度は常温〜400℃である、請求項1〜18のいずれか1項に記載のガラスの表面処理方法。
  20. 前記ガラス基体は、アルカリ酸化物とアルカリ土類酸化物を合計で15質量%を超える割合で含有するガラスからなる、請求項1〜19のいずれか1項に記載のガラスの表面処理方法。
  21. 一対の主面を有し、その組成においてアルカリ酸化物とアルカリ土類酸化物を合計で15質量%を超える割合で含有するガラスからなるガラス基体であり、
    前記主面の一方の側の表層部に、アルカリイオンの少なくとも1種の含有割合が他の領域より低いアルカリ低濃度領域を有することを特徴とするガラス基体。
  22. 前記アルカリ低濃度領域の厚さは、0μmを超えかつ10μm以下である、請求項21に記載のガラス基体。
  23. 前記アルカリ低濃度領域は、所定のパターンで形成されている請求項21に記載のガラス基体。
  24. 前記アルカリ低濃度領域は、厚さが異なる複数の領域を有し、各領域は、前記ガラス基体の面方向に所定のパターンで形成されている請求項23に記載のガラス基体。
  25. 前記アルカリ低濃度領域は、他の領域より高いプロトン濃度を有する請求項21〜24のいずれか1項に記載のガラス基体。
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