JPWO2013183385A1 - 信号品質評価装置、信号品質評価方法、再生装置 - Google Patents
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Abstract
Description
特にBDレベルの高密度記録となると、ビット検出方法としてパーシャルレスポンス最尤(PRML)検出とよばれる手法が用いる方法が一般的となってきている。
また、最尤検出とは、二つの信号列間にパスメトリックとよばれる距離を定義して、実際の信号と想定されるビット系列から予想される信号との間の距離を調べて、その距離が最も近くなるようなビット系列を検出する方法である。なお、ここで、パスメトリックとは、同じ時刻での2つの信号の振幅差の二乗を全時刻にわたって加算した距離として定義される距離である。また、この距離を最小とするビット系列の探索には、ビタビ検出をもちいる。
これらを組み合わせたパーシャルレスポンス最尤検出は、記録媒体のビット情報から得られた信号をイコライザとよばれるフィルタでパーシャルレスポンスの過程となるように調整し、得られた再生信号と想定されるビット系列のパーシャルレスポンスとの間のパスメトリックを調べて、その距離が最も近くなるようなビット系列を検出する方法である。
例えば上記の特許文献1,2,3,4等で、従来の光ディスクの高密度記録時にもPRMLのエラーレートと良好な相関をもつ信号品質評価方法が示されている。
そのいずれにおいても、実際に使用されるPRMLのクラスにおいて、統計的にエラー発生頻度の高い幾つかのエラーパターンを抽出し、その各々に対し指標値を求め、それらを統合して指標値を構成している。
これは、エラーパターン毎に、メトリック差分の分布(分布平均値および分散)が異なるため、単一の分布として取り扱う事が出来ない理由による。
具体的には光学的振幅伝達関数(MTF)の高域カットオフのため、短マーク再生信号振幅は極度に低下し、最短マークだけでなく、二番目に短いマークの再生信号振幅もほとんど得られない。
従来は、PRMLの最尤復号でのエラーパターンは、ビット単位か、高々最短マークの1ビットシフトで理解できていた。すなわち、信号品質を表現するのに、これらのエラーパターンだけを考慮することで充分であった。
ところが、BD相当で40GBを超えるような超高密度記録条件では、上記の状況のため、PRMLの最尤復号でのエラーパターンとしては、記録マーク、スペースの極性反転をも含む、ブロック的な誤りが新たに多く発生するようになっている。そして全体のエラーレートでこれらのエラーパターンの寄与が支配的にもなっている。ブロック的なエラーパターンは、エラー伝搬的性質を持つので、場合によっては10クロック区間以上の、非常に長い区間にわたってエラーが発生することもある。
このことから、例えば最短マークの1ビットシフト等のエラーパターンのみを検出して評価値を生成しても、実際のエラーレートを反映しているとはいいにくい評価値となってしまう。
本開示の再生装置は、以上に加えて、記録媒体からビット情報の再生信号を再生する再生部と、上記再生信号についてパーシャルレスポンス等化及び最尤復号によるPRML復号処理を行って2値化データを復号する復号部とを備える。
従来の信号品質評価では、考慮されていたエラーパターンは孤立のエラーのみであり、その長さは、高々PRMLの最尤復号、いわゆるビタビ検出の拘束長(PRML拘束長)以下のものであった。本開示では、高密度記録の再生信号において支配的になったブロック的なエラーパターンに対応するため、PRML復号処理の拘束長よりも長いエラーパターン検出を行い、信号評価に用いるようにする。
<1.再生装置構成>
<2.メトリック差分を用いた指標値生成の一例>
<3.信号品質評価部の構成及び動作>
<4.変形例>
図1は実施の形態に係る信号品質評価装置(信号品質評価部10)を備えた再生装置1の構成例を示している。
この場合の再生信号1は、記録媒体の一例としての光ディスク90からの信号再生を行うとともに、その再生信号品質評価のための指標値Pqを求める構成とされる。
また再生装置1は、再生信号(RF信号)について処理を行うAGC(Automatic gain Control)部4、波形等化部5、A/D変換部6、PLL(Phase Locked Loop)部7を備える。
また再生装置1は、PRML復号処理を行うために、PR(Partial Response)等化部8及び最尤復号部9を備え、さらに信号品質評価部10、光ディスクコントローラ部15を備える。
特に本実施の形態では、記録線密度46.65nm/bit以上の記録媒体からの再生信号についても、適切な再生信号評価を行う指標が得られるようにしている。
プリアンプ部3は、再生信号を所定のゲインで増幅してAGC部4に出力する。
AGC部4は、プリアンプ部3からの再生信号の振幅を、A/D変換部6からの出力に基づいて増幅又は減衰させて調整し、波形等化部5へ出力する。
波形等化部5は、再生信号の高域を遮断するLPF(Low Pass Filter)特性と、再生信号の低域を遮断するHPF(High Pass Filter)特性とを有しており、再生信号波形を必要な特性に整形してA/D変換部6に出力する。
PLL部7は、A/D変換部6からの出力に基づいて、PLL処理により波形等化後の再生信号に同期される再生クロックを生成する。A/D変換部6におけるサンプリングは、PLL回路7で生成される再生クロックのタイミングで行われる。なお図示は省略しているが、再生クロックは、PRML復号のためPR等化部8や最尤復号部9、さらには信号品質評価部10、光ディスクコントローラ部15でも用いられる。
PR等化部8は、チャネルレスポンスを、例えばPR(1,2,2,1)、PR(1,2,2,2,1)などのターゲットレスポンスに等化する。即ちデジタル再生信号に対して高域雑音の抑制及び意図的な符号間干渉の付加を行う。
特に本例においては、例えば光ディスクとしてBD相当40GB以上の高密度記録を想定する。その場合、PR等化部8としては、例えばPR(1,2,3,3,3,2,1)のターゲットレスポンスとする。PRML復号処理の拘束長は7となる。
このPR等化部8によって等化処理が施された再生信号RF(EQ)は、最尤復号部9に供給される共に、信号品質評価部10にも供給される。
ビタビ検出は、所定の長さの連続ビットを単位として構成される複数のステートと、それらの間の遷移によって表されるブランチで構成されるビタビ検出器が用いられ、全ての可能なビット系列の中から、効率よく所望のビット系列を検出するように構成されている。
実際の回路では、各ステートに対してパスメトリックレジスタとよばれるそのステートにいたるまでのパーシャルレスポンス系列と信号のパスメトリックを記憶するレジスタ、および、パスメモリレジスタとよばれるそのステートにいたるまでのビット系列の流れ(パスメモリ)を記憶するレジスタの2つのレジスタが用意され、また、各ブランチに対してはブランチメトリックユニットとよばれるそのビットにおけるパーシャルレスポンス系列と信号のパスメトリックを計算する演算ユニットが用意されている。
さらに、上記のパスメトリックを最小にするようなパスを選択するには、この各ステートにおいて到達する2つ以下のブランチが有するパスメトリックの大小を比較しながら、パスメトリックの小さいパスを順次選択することで実現できる。この選択情報をパスメモリレジスタに転送することで、各ステートに到達するパスをビット系列で表現する情報が記憶される。パスメモリレジスタの値は、順次更新されながら最終的にパスメトリックを最小にするようなビット系列に収束していくので、その結果を出力する。
光ディスクコントローラ部15では、2値化データについてデコード処理、エラー訂正処理等を行って光ディスク90からの再生データを復調する。
信号品質評価部10は、詳細は後述するが、PR等化部8によって等化処理が施された再生信号RF(EQ)、及び2値化データDDを入力して、再生信号品質評価のための指標値Pqを生成し、指標値Pqを光ディスクコントローラ部15に出力する。光ディスクコントローラ部15では、指標値Pqにより、再生信号品質の評価を行うことができる。
信号品質評価部10の構成の説明に先立ち、信号品質評価部10で行うメトリック差分を用いた指標値Pq生成方式について説明する。なお、以下説明していく手法は、本実施の形態に適用できる一例に過ぎず、本開示の技術が当該方式に限定されるものではない。
なお、ここでは図示及び説明の簡略化のため、PR(1,2,2,1)の場合で示している。
この図2A、図2Bにおいて、縦軸の「+3,+2,+1,0,−1,−2,−3」の各値は、PR(1,2,2,1)において想定される各基準レベルの値を示している。
ここで、図示する最尤パスPaと第2パスPbとは、最終的に再生信号RF(EQ)との比較が行われる2つのパスであるとみることができる。つまりは、最尤パスPaに対するパスメトリックの値と、第2パスPbに対するパスメトリックの値が比較され、より値の小さい方のパスが生き残りパスとして選択されるというものである。
なお、パスメトリックとは、この図2で言えば、図中黒丸により示す各サンプリングタイミングで得られる再生信号RF(EQ)の各サンプリング値に対する、最尤パスPa(或いは第2パスPb)における対応するサンプリングタイミングで得られるそれぞれの値とのユークリッド距離の和、すなわちブランチメトリックの和である。
これに対し、図2Bでは、図2Aの場合よりも最尤パスPaと再生信号RF(EQ)とのユークリッド距離が拡大して、第2パスPbと再生信号RF(EQ)のユークリッド距離が近づく関係となっている。つまりこの場合、最尤パスPaに対するパスメトリックの値は図2Aの場合よりも大きくなり、逆に第2パスPbに対するパスメトリックの値がより小さくなることで、この場合の検出パスとしての最尤パスPaの確からしさは低下する。換言すれば、この場合は他方の第2パスPbの確からしさが増すこととなって、この第2パスPbが最尤のパスである可能性が高くなる。従って最尤パスPaとしての検出パスは、第2パスPbとして示されるパスに対して誤検出されたパスである可能性が高くなる。
また、逆に最尤パスPaに対するパスメトリックの値がより大きくなって、第2パスPbに対するパスメトリックの値が小さくなる程、最尤パスPaとしての検出パスは誤りである可能性が高いと判断することができる。
PRMLの手法が採られる場合の検出精度(再生信号品質)は、このようにして最尤パスPaに対するパスメトリックの値と、第2パスPbに対するパスメトリックの値との差、すなわちメトリック差分を求めることで見積もることができる。
すなわち、この場合のメトリック差分MDは、第2パスPbに対するパスメトリックの値から、最尤パスPaに対するパスメトリックの値を減算した値として定義される。
先の図2より、このようにして最尤パスPaと再生信号RFが完全に一致するということは、この場合の第2パスPbに対するパスメトリックは、最尤パスPaと第2パスPbとのユークリッド距離となることがわかる。従って上記のようなメトリック差分MDの最大値としては、最尤パスPaと第2パスPbとのユークリッド距離の値となる。
一般的には、このような最尤パスPaに対するパスメトリックの値と第2パスPbに対するパスメトリックの値との差分としてのメトリック差分の値について、例えばその分散値などの統計的な情報を得ることで、エラーレートを見積もるようにされていた。
一例を挙げれば、第2パスのビット系列のパターンが、最尤パスのビット系列のパターンに対してエッジが1ビット分シフトするなどの1ビットエラーや、最短マークである2Tマークの消滅などによる2ビットエラーなどが挙げられる。
しかしながら近年、光ディスクの高記録密度化が進むにつれて、実際のエラーとして現れ得るエラーパターンが単一でなく、複数のパターンがエラーに寄与するようになってきている。
そこで従前より、実際に使用されるPRMLのクラスにおいて、統計的にエラー発生頻度の高い幾つかのエラーパターンを抽出し、その各々に対し指標値を求め、それらを統合して指標値を構成している。
これは、エラーパターン毎に、メトリック差分の分布(分布平均値および分散)が異なるため、単一の分布として取り扱う事が出来ない理由による。
この図3においては、例えば3つのエラーパターンPTk(kは1〜3)が実際のエラー発生に主に寄与するものとし、それらのメトリック差分MDの分布の例を示している。
例えば、図中MD1として示す分布は、最尤パスPaのビット系列と第2パスPbのビット系列とで相違しているビット数が1ビット分となる所謂1ビットエラーに該当するエラーパターンPT1についてのメトリック差分MDの分布であるとする。また、MD2として示す分布は例えば最短マークシフト等による2ビットエラーに該当するエラーパター
ンPT2についてのメトリック差分MDの分布、さらにMD3は3ビットエラーに該当するエラーパターンPT3についてのメトリック差分MDの分布などとして例示できる。
なお、図中「MD全体」と示す分布は、これら3つの分布MD1〜MD3についての重ね合わせを示している。
ここで、これら最尤パスPaと第2パスPbとのユークリッド距離は、各パスが辿る値どうしの差の2乗を求めた上で、それらの和を求めることで計算できる。
従ってこの際、各エラーパターンkでのユークリッド距離「dk 2」は、最尤パスPa、第2パスPbにおける同じサンプリングタイミングでの値をそれぞれPAi、PBiとすると、
ここでは、エラーパターンPT1での最尤パスPaと第2パスPbとのユークリッド距離をユークリッド距離d1 2とし、エラーパターンPT2、エラーパターンPT3での最尤パスPaと第2パスPbとのユークリッド距離を、それぞれユークリッド距離d2 2、ユークリッド距離d3 2と表記している。
そして、このメトリック差分MDの値が「0」となる部分を超える(下回る)部分は、実際に検出エラーとなる部分を示し、PRMLにおいてこの部分は観測不能な部分となる。つまり、このようにメトリック差分MDの値が「0」を超えて負の値となるということは、最尤パスPaに対するパスメトリックの値よりも第2パスPbに対するパスメトリックの値の方が小さくなることを意味するが、PRMLの検出手法では、これまでの説明から理解されるようにパスメトリックの値が最小となるパスを最尤パスとして検出するので、このようにメトリック差分MDの値が負の値となることはあり得ない。従って、この検出エラーとなる部分は、実際に観測することが不可能となるものである。
図4Aは、或るエラーパターンPTkでのメトリック差分MDの分布(MDk)を示している。
なお、この図も図3と同様に縦軸にはサンプルの頻度、横軸にはメトリック差分MDの値をとっている。
この図に示されるように、メトリック差分MDの値について所定の閾値(Th_k)を設定し、これを下回るメトリック差分MDの値の出現頻度(Fk)を求めることで、エラーレートを見積もるものとする。
すなわち、例えば信号品質が悪化したとして、ビットエラーレートbERが上昇したとすると、そのときの分布MDkは、例えば次の図4Aに示すようにして裾野が比較的広がったような分布とされるが、これに伴っては、上記した出現頻度Fk(図中Fkの部分の面積)としても増加する傾向となる。つまり、ビットエラーレートbERの上昇に伴い、出現頻度Fkも上昇する。
また一方、図4Aの場合よりも良好な信号品質とされビットエラーレートbERが低下する場合には、例えば図4Bに示されるように分布MDkはより先鋭な形状となる。この場合には出現頻度Fkとしても減少し、従ってビットエラーレートbERの低下に応じて出現頻度Fkの値は低下することがわかる。
このように閾値Th_kを下回るメトリック差分MDの値の出現頻度Fkにより、ビットエラーレートbERと相関する指標が得られる。
特定のエラーパターンのメトリック差分の分布を利用する手法としては、他にも、例えば上記特許文献4に開示されている手法などもある。
以下説明していく本実施の形態の信号品質評価部10では、これらの手法を利用して指標値Pqを算出できる。
信号品質評価部10の構成例を図5に示す。
信号品質評価部10は、エラーパターン検出部20(20−1、20−2・・・20−n)、遅延補償部21、メトリック差分演算部22(22−1、22−2・・・22−n)、分布演算部23(23−1、23−2・・・23−n)、指標値演算部24を備える。
特定エラーパターンとは、その再生系において統計的にエラー発生頻度の高いとされるエラーパターンである。
例えば上述のように本実施の形態では、PR(1,2,3,3,3,2,1)としており、PR等化部8及び最尤復号部9で行われるPRML復号処理における拘束長は7である。この場合に、エラーパターン検出部20で検出する、拘束長より長いビットパターンである特定エラーパターンとしては、次のエラーパターンPTa,PTb,PTcとする。
PTb:ビット反転が起きる箇所を「1」で示したときに、「1011110111101」となる13ビットのパターン
PTc:ビット反転が起きる箇所を「1」で示したときに、「10111100111101」となる14ビットのパターン
なお、以上においてビット反転が起きる箇所とは、正解パターンと誤りパターンにおいて「1」「0」が異なっている箇所のことである。そして正解パターンと誤りパターンでは、「1」の箇所のうちの一部が異なるのではなく、全ての「1」の箇所が異なるビットパターンとなる。
従って支配的なエラーパターンとして使用する特定エラーパターンが1つであれば、エラーパターン検出部20は1つ(例えばエラーパターン検出部20−1のみ)でよい。また支配的なエラーパターンが2つであって指標値算出に使用する特定エラーパターンが2つであれば、エラーパターン検出部20は2つ(例えばエラーパターン検出部20−1、20−2)設ければよい。その意味で、「n」は選択した特定エラーパターンの数となる。
メトリック差分演算部22、分布演算部23も、それぞれエラーパターン検出部20に対応して設けられるため、その「n」の意味は同様となる。
そしてエラーパターン検出部20−1がエラーパターンPTaを検出し、エラーパターン検出部20−2がエラーパターンPTbを検出し、エラーパターン検出部20−3がエラーパターンPTcを検出する動作を行う。
エラーパターン検出部20では、まず2値化データDDとしての入力ビット列を、シフトレジスタ31で受けて、特定エラーパターンと同じクロック区間のデータを取り込む。例えば8ビットの特定エラーパターンPTaを検出対象とする場合、8クロック区間のデータを取り込む。そしてそのクロック区間のデータを排他的論理和演算部33に出力する(出力X1)。
またエラーパターン発生部32は、特定エラーパターンを出力する。例えば特定エラーパターンPTaとして「10111101」の8ビットパターンを排他的論理和演算部33に出力する(出力X2)。
つまりシフトレジスタ31から排他的論理和演算部33に供給された8ビットのビットパターンと、特定エラーパターンPTaにおいて「1」が立っている箇所のビット反転がなされた8ビットのビットパターンは、特定エラーパターンPTaに該当するエラーが起こる可能性のある最尤パスと第2パスの関係にある。但しその関係となるのは、排他的論理和演算結果の8ビットパターンがランレングス制限を満たしている場合である。ランレングス制限を満たしていなければ、そもそも誤検出のビット系列となり得ないからである。
従って、排他的論理和演算結果がランレングス制限を満たしている場合、エラーパターンが検出されたことになり、その場合、ランレングス制限確認部34から検出フラグFdetが出力される。
例えば特定エラーパターンPTbを検出するエラーパターン検出部20−2では、シフトレジスタ31で13クロック区間の2値化データDDを排他的論理和演算部33に供給する。またエラーパターン発生部32は、特定エラーパターンPTbとして「1011110111101」となる13ビットのパターンを排他的論理和演算部33に供給する。そしてこれらの排他的論理和演算結果がランレングス制限を満たしていれば検出フラグFdetが出力される。
各メトリック差分演算部22には、それぞれ対応するエラーパターン検出部20での検出フラグFdetと、遅延補償部21を介した再生信号RF(EQ)が供給される。
そしてこのメトリック差分演算部22では、特定エラーパターンが検出された際の再生信号RF(EQ)についてメトリック差分を求める。
なお、先の(数2)からもわかるように、メトリック差分の演算には、再生信号RF(EQ)とともに、最尤パスと第2パスの情報が必要であるが、各メトリック差分演算部22では、再生信号RF(EQ)と検出フラグFdetの情報から最尤パスと第2パスを求めることができる。例えばメトリック差分演算部22−1では、エラーパターン検出部20−1での8クロック区間「10111101」の特定エラーパターンPTaの検出フラグFdetが供給される。その場合、当該区間の再生信号RF(EQ)で、「1」の箇所のビットをすべて反転させた関係にあるビット列が、最尤パスと第2パスとなるためである。
指標値演算部24は、各分布演算部23(23−1、23−2・・・23−n)で求められた各特定エラーパターンについての分布を用いて総合的な指標値Pqを算出し、図1の光ディスクコントローラ部15へ出力する。
つまり分布演算部23及び指標値演算部24では、メトリック差分演算部22で求められたメトリック差分の分布を用いて再生信号品質の指標値を生成する指標値Pqを生成する処理が行われる。具体的な処理は、図2,図3で説明したような処理でも良いし、例えば特許文献4に記載された処理でもよく、各種の例が考えられる。
この場合において、特に本例では、検出対象の特定エラーパターンとして、上述の特定エラーパターンPTa、PTb、PTcを採用する。
この理由について説明する。
このような超高密度記録を行った場合には、チャネルの周波数特性、特に高域成分の顕著な劣化がおこり、再生信号の符号関干渉が非常に強まるため、より拘束長が長く、かつチャネルの周波数特性に適合したPRMLクラスを新たに導入しなければ、十分な再生性能を確保できない。
このとき、支配的なエラーパターンも再生チャネルの周波数特性、及びPRMLのクラス変更に伴い、従前の条件と変化する。
具体的には光学的振幅伝達関数(MTF)の高域カットオフのため、短マーク再生信号振幅は極度に低下し、最短マークだけでなく、二番目に短いマークの再生信号振幅もほとんど得られない。
ブロック的なエラーパターンは、エラー伝搬的性質を持つので、場合によっては10クロック区間以上の、非常に長い区間にわたってエラーが発生することもある。
破線で示した記録データパターン(正解パターン)に対して、実際には実線に示したように14クロック区間で誤った2値化データDDが検出されてしまっている。
エラーが発生している部分のビットパターンを図の下部に示しているが、この場合記録されたビット情報(つまり正解パターン)は「10001100001100」であるのに対し、検出されたビット情報(誤りが発生したパターン)は「00110000110001」となっている。
この場合、正解パターンと誤りが発生したパターンにおいてビット反転が起きている箇所を「1」で表すと、「10111100111101」となる。つまり、上述の特定エラーパターンPTcに対応するエラー発生の例であり、正解パターンと誤りが発生したパターンを比較してわかるように、位相シフトだけでなく極性反転のようなエラーも伴っている。
そこで本実施の形態では、BD相当40GB以上の高密度記録において支配的になったブロック的なエラーパターンを考慮し、新たにビタビ拘束長よりも長いエラーパターン検出を行い、信号評価に組み込む。
図8Aに特定エラーパターンPTa、PTb、PTcと、その具体的なパターン例を示している。
図8Aにおいて、「ビット誤り」として示している行の太枠内が、特定エラーパターンPTa、PTb、PTcに該当する。つまり正解パターンと誤りパターンでビット反転が生じる箇所を「1」としたパターンである。
特定エラーパターンPTaは「10111101」であるが、これに相当する正解パターンと誤りパターンの一例が「10001100」と「00110001」である。
特定エラーパターンPTbは「1011110111101」であるが、これに相当する正解パターンと誤りパターンの一例が「1000110001100」と「0011000110001」である。
特定エラーパターンPTcは「10111100111101」であるが、これに相当する正解パターンと誤りパターンの一例が「10001100001100」と「00110000110001」、つまり図7に例示したパターンである。
ここで記録線密度をBD換算で44GBとした場合のビットエラーのパターン毎の発生頻度を調べたところ、図8Bのようになった。
即ち特定エラーパターンPTaは53.7%、特定エラーパターンPTbは17.1%、特定エラーパターンPTcは7.6%、他のパターンが21.5%となった。
つまり3つの特定エラーパターンPTa、PTb、PTcで、全体のエラー数のほぼ8割がカバーされるという、支配的な状況となった。この場合、特定エラーパターンPTa、PTb、PTcの検出に基づいて指標値Pqを算出することで、その値はビットエラーレートと高い相関性を持つ、精度の高いものといえる。
図9,図10の各図は、光学シミュレーションモデルでの信号品質評価値とビットエラーレートの相関を示している。横軸は指標値、縦軸はビットエラーレート(bER)であり、算出された指標値を黒塗り三角、黒塗り四角でプロットしている。図中のTHで示される実線は、ガウシャンノイズを仮定した場合での、指標値とビットエラーレートの関係の理論値である。
図9A、図10Aは、従前の拘束長より短い特定エラーパターンに、新たな特定エラーパターンPTa,PTb,PTcすべてを加えた実施の形態に相当するもので、各分布に対し、例えば特許文献4で示した場合と同様の演算を行って評価値を得た場合である。図9B、図10Bは比較例として、従前の特定エラーパターンのみで評価値を求めた場合である
なお、従前の特定エラーパターンの例を図11に示しておく。エラーパターンPTd1はエッジシフトとしてのビットエラーに対応するパターン、エラーパターンPTd2は連続2Tシフトのビットエラーに対応するパターンである。
図10は従前の光ディスクをはるかに超えるBD換算40GBの超高線密度条件の場合であり、7tapのPRMLである、PR(1,2,3,3,3,2,1)MLで検出を行っている。この条件では、図10Bの比較例の結果は、指標値Pqが理論値と大きく乖離しており、実機条件の様々な信号劣化要因によって指標値とエラーレート相関がばらつく事が予想され、指標の精度が大きく悪化している。
一方で図10Aのように実施の形態では、この線密度条件においても、指標値Pqは、従前の光ディスク条件と同等の理論値との一致がみられており、実機条件でも高い精度(対エラーレート相関)が期待できる。
以上実施の形態を説明してきたが、実施の形態としては各種変形例が考えられる。
まず、検出対象の特定エラーパターンとしては、上述の特定エラーパターンPTa,PTb,PTcのすべてを用いなくてもよい。
またPRML拘束長より長いビットパターンである特定エラーパターン(PTa,PTb,PTc等)を第1の特定エラーパターンとしたときに、PRML拘束長より短いビットパターンである第2の特定エラーパターン(例えば図11のPTd1、PTd2等)を組み合わせて用いてもよい。
従って信号品質評価部10の具体例として以下の構成例が考えられる。なお以下で言う「演算処理系統」とは、エラーパターン検出部20、メトリック差分演算部、分布演算部23の処理系、つまり1つの特定エラーパターンに対応した処理系を示す。上述の実施の形態の図5では、n個の演算処理系統を有するものとして示したが、以下はその具体例となる。
例2:演算処理系統を1つ設け(n=1)、特定エラーパターンPTbを用いて指標値Pqを算出する構成例
例3:演算処理系統を1つ設け(n=1)、特定エラーパターンPTcを用いて指標値Pqを算出する構成例
例4:演算処理系統を2つ設け(n=2)、特定エラーパターンPTaとPTbを用いて指標値Pqを算出する構成例
例5:演算処理系統を2つ設け(n=2)、特定エラーパターンPTaとPTbを用いて指標値Pqを算出する構成例
例6:演算処理系統を2つ設け(n=2)、特定エラーパターンPTbとPTcを用いて指標値Pqを算出する構成例
例7:演算処理系統を3つ設け(n=3)、特定エラーパターンPTa、PTb、PTcを用いて指標値Pqを算出する構成例
例9:演算処理系統を3以上設け(n≧3)、第1の特定エラーパターンとしての2つの特定エラーパターンと、1又は複数の第2の特定エラーパターンを用いて指標値Pqを算出する構成例
例10:演算処理系統を4以上設け(n≧4)、第1の特定エラーパターンとしての3つの特定エラーパターンと、1又は複数の第2の特定エラーパターンを用いて指標値Pqを算出する構成例
例えばBD相当40GB以上の記録線密度において有効な(つまりエラーが十分低くでき、実用可能な)PRクラスであれば、上述の特定エラーパターンPTa,PTb,PTcのパターンが支配的であるため、他のPRクラスを採用する場合でも本開示の技術は有効である。
また、拘束長より長い特定エラーパターンとして、上記の特定エラーパターンPT1,PT2,PT3以外のパターンも考えられる。高密度記録に応じて選択するPRクラスや周波数特性などに応じて、ブロック的なエラーに対応する長区間(拘束長を越える区間)の特定エラーパターンが選定されればよい。
(1)ビット情報の再生信号についてパーシャルレスポンス等化及び最尤復号によるPRML復号処理を行って得られた2値化データを入力し、PRML復号処理の拘束長より長いビットパターンである1又は複数の特定エラーパターンを検出するエラーパターン検出部と、
上記エラーパターン検出部で検出された特定エラーパターンについて、メトリック差分を算出するメトリック差分演算部と、
上記メトリック差分演算部で求められたメトリック差分の分布を用いて再生信号品質の指標値を生成する指標値生成部と、
を備えた信号品質評価装置。
(2)上記拘束長が7である場合、
上記特定エラーパターンの少なくとも1つは、
ビット反転が起きる箇所を「1」で示したときに、「10111101」となる8ビットのパターンである上記(1)に記載の信号品質評価装置。
(3)上記拘束長が7である場合、
上記特定エラーパターンの少なくとも1つは、
ビット反転が起きる箇所を「1」で示したときに、「1011110111101」となる13ビットのパターンである上記(1)又は(2)に記載の信号品質評価装置。
(4)上記拘束長が7である場合、
上記特定エラーパターンの少なくとも1つは、
ビット反転が起きる箇所を「1」で示したときに、「10111100111101」となる14ビットのパターンである上記(1)乃至(3)に記載の信号品質評価装置。
(5)上記拘束長より長いビットパターンである1又は複数の特定エラーパターンを第1の特定エラーパターンとしたときに、
上記エラーパターン検出部は、上記第1の特定エラーパターンに加えて、上記拘束長より短いビットパターンである1又は複数の第2の特定エラーパターンの検出も行い、
上記メトリック差分演算部は、上記エラーパターン検出部で検出された第1及び第2の特定エラーパターンについて、それぞれメトリック差分を算出する上記(1)乃至(4)に記載の信号品質評価装置。
(6)上記ビット情報の再生信号は、記録線密度が44.65nm/bit以上でビット情報が記録された記録媒体から再生された信号である上記(1)乃至(5)に記載の信号品質評価装置。
Claims (8)
- ビット情報の再生信号についてパーシャルレスポンス等化及び最尤復号によるPRML復号処理を行って得られた2値化データを入力し、PRML復号処理の拘束長より長いビットパターンである1又は複数の特定エラーパターンを検出するエラーパターン検出部と、
上記エラーパターン検出部で検出された特定エラーパターンについて、メトリック差分を算出するメトリック差分演算部と、
上記メトリック差分演算部で求められたメトリック差分の分布を用いて再生信号品質の指標値を生成する指標値生成部と、
を備えた信号品質評価装置。 - 上記拘束長が7である場合、
上記特定エラーパターンの少なくとも1つは、
ビット反転が起きる箇所を「1」で示したときに、「10111101」となる8ビットのパターンである請求項1に記載の信号品質評価装置。 - 上記拘束長が7である場合、
上記特定エラーパターンの少なくとも1つは、
ビット反転が起きる箇所を「1」で示したときに、「1011110111101」となる13ビットのパターンである請求項1に記載の信号品質評価装置。 - 上記拘束長が7である場合、
上記特定エラーパターンの少なくとも1つは、
ビット反転が起きる箇所を「1」で示したときに、「10111100111101」となる14ビットのパターンである請求項1に記載の信号品質評価装置。 - 上記拘束長より長いビットパターンである1又は複数の特定エラーパターンを第1の特定エラーパターンとしたときに、
上記エラーパターン検出部は、上記第1の特定エラーパターンに加えて、上記拘束長より短いビットパターンである1又は複数の第2の特定エラーパターンの検出も行い、
上記メトリック差分演算部は、上記エラーパターン検出部で検出された第1及び第2の特定エラーパターンについて、それぞれメトリック差分を算出する請求項1に記載の信号品質評価装置。 - 上記ビット情報の再生信号は、記録線密度が44.65nm/bit以上でビット情報が記録された記録媒体から再生された信号である請求項1に記載の信号品質評価装置。
- ビット情報の再生信号についてパーシャルレスポンス等化及び最尤復号によるPRML復号処理を行って得られた2値化データを入力し、PRML復号処理の拘束長より長いビットパターンである1又は複数の特定エラーパターンを検出し、
検出された上記特定エラーパターンについて、メトリック差分を算出し、
上記メトリック差分の分布を用いて再生信号品質の指標値を生成する信号品質評価方法。 - 記録媒体からビット情報の再生信号を再生する再生部と、
上記再生信号についてパーシャルレスポンス等化及び最尤復号によるPRML復号処理を行って2値化データを復号する復号部と、
上記2値化データを入力し、PRML復号処理の拘束長より長いビットパターンである1又は複数の特定エラーパターンを検出するエラーパターン検出部と、
上記エラーパターン検出部で検出された特定エラーパターンについて、メトリック差分を算出するメトリック差分演算部と、
上記メトリック差分演算部で求められたメトリック差分の分布を用いて再生信号品質の指標値を生成する指標値生成部と、
を備えた再生装置。
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