JPWO2013179702A1 - セメントの品質または製造条件の予測方法 - Google Patents
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Abstract
Description
特に、近年のセメント製造では、セメント原料または焼成用燃料としての産業廃棄物の使用量が増加しており、セメントの品質が変動する機会が多くなっていると考えられる。このため、出荷するセメントの品質の異常を未然に防止するために、セメントの品質管理の重要性が高まっている。
また、特許文献2には、セメント製造プラントの運転において、品質管理情報として収集した、セメント中のクリンカー構成鉱物及び添加材の量の情報、クリンカー構成鉱物の結晶構造の情報、クリンカーの少量成分の量の情報、およびセメントの粉末度及び45μm残分の情報を、過去に蓄積されているそれらの情報及びモルタル圧縮強さ実測データの間の重回帰分析を基に求めたモルタル圧縮強さの推定式に適用することにより、モルタル圧縮強さを推定するセメントの品質推定方法が記載されている。
一方、セメントの製造条件の中には、キルンへの投入直前のクリンカー原料の水硬率のように、プレヒータのガスの流量等の複数の要因が複雑に関係し、予測が困難なものがある。
そこで、様々な要因を考慮に入れた上で、短時間でかつ高い精度でセメントの品質または製造条件を予測しうる方法が必要となっている。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[7]を提供するものである。
[1] 入力層及び出力層を有するニューラルネットワークを用いたセメントの品質または製造条件の予測方法であって、上記入力層は、セメント製造における監視データの実測値を入力するためのものであり、上記出力層は、セメントの品質または製造条件の評価に関連する評価データの推測値を出力するためのものであり、上記監視データと上記評価データの組み合わせが、(i)上記監視データが、クリンカー原料に関するデータ、焼成条件に関するデータ、粉砕条件に関するデータ、及びクリンカーに関するデータの中から選ばれる一種以上のデータであり、かつ、上記評価データが、クリンカー原料に関するデータ、焼成条件に関するデータ、粉砕条件に関するデータ、クリンカーに関するデータ、セメントに関するデータである組み合わせ、または、(ii)上記監視データが、クリンカー原料に関するデータ、焼成条件に関するデータ、粉砕条件に関するデータ、クリンカーに関するデータ、及びセメントに関するデータであり、かつ、上記評価データが、セメント含有水硬性組成物の物性に関するデータである組み合わせ、であり、(A)学習回数の初期設定を行う工程と、(B)監視データの実測値と評価データの実測値の組み合わせである学習データを複数用いて、ニューラルネットワークの学習を設定された学習回数行う工程と、(C)学習データの監視データの実測値を、直近の工程(B)において学習が行われたニューラルネットワークの入力層に入力して得られた評価データの推測値と学習データの評価データの実測値との平均2乗誤差(σL)、及び、ニューラルネットワークの学習結果の信頼性を確認するための監視データの実測値と評価データの実測値の組み合わせであるモニターデータの中の監視データの実測値を、直近の工程(B)において学習が行われたニューラルネットワークの入力層に入力して得られた評価データの推測値とモニターデータの中の評価データの実測値との平均2乗誤差(σM)を算出し、算出されたσLとσMの関係がσL≧σMである場合、工程(D)を実施し、算出されたσLとσMの関係がσL<σMである場合、工程(E)を実施する工程と、(D)設定された学習回数を増やして、新たな学習回数として再設定し、再度工程(B)〜(C)を実施する工程と、(E)直近のニューラルネットワークの学習で実施された学習回数を減らした学習回数を、新たな学習回数として再設定する工程と、(F)工程(B)で用いられた学習データを用いて、ニューラルネットワークの学習を設定された学習回数行う工程と、(G)学習データの監視データの実測値を、直近の工程(F)において学習が行われたニューラルネットワークの入力層に入力して得られた評価データの推測値と学習データの評価データの実測値との平均2乗誤差(σL)、及び、モニターデータの中の監視データの実測値を、直近の工程(F)において学習が行われたニューラルネットワークの入力層に入力して得られた評価データの推測値とモニターデータの中の評価データの実測値との平均2乗誤差(σM)を算出し、算出されたσLとσMの関係がσL≧σMである場合、工程(I)を実施し、算出されたσLとσMの関係がσL<σMである場合、工程(H)を実施する工程と、(H)直近に行った工程(F)におけるニューラルネットワークの学習回数が予め定めた数値を超えている場合、再度工程(E)〜(G)を実施し、直近に行った工程(F)におけるニューラルネットワークの学習回数が予め定めた数値以下の場合、工程(K)を実施する工程と、(I)下記式(1)を用いて解析度判定値を算出し、該解析度判定値が予め定めた設定値未満である場合、上記入力層に、セメント製造における監視データの実測値を入力して、上記出力層から、セメントの品質または製造条件の評価に関連する評価データの推測値を出力する工程と、(K)学習条件の初期化を行って、再度工程(A)〜(K)を実施する工程と、を含むことを特徴とするセメントの品質または製造条件の予測方法。
[2] (J)上記工程(K)の前に、工程(A)を実施した回数の大きさについての判定を行い、該回数が予め設定した回数以下である場合、学習条件の初期化を行って、再度工程(A)〜(I)を行い、該回数が予め設定した回数を超える場合、ニューラルネットワークの学習を終了する工程を含む前記[1]に記載のセメントの品質または製造条件の予測方法。
[3] 上記解析度判定値の予め定めた設定値が6%以下の値である前記[1]または[2]に記載のセメントの品質または製造条件の予測方法。
[4] 上記ニューラルネットワークが、上記入力層と上記出力層の間に中間層を有する階層型のニューラルネットワークである前記[1]〜[3]のいずれかに記載のセメントの品質または製造条件の予測方法。
[5] 上記監視データと上記評価データの組み合わせが、監視データはクリンカー原料に関するデータ、焼成条件に関するデータ、及びクリンカーに関するデータであり、かつ、評価データはクリンカーに関するデータであり、監視データの、上記クリンカー原料に関するデータとは、クリンカー原料の化学組成であり、上記焼成条件に関するデータとはキルン落口温度、キルン焼成帯温度、及びキルン平均トルクであり、上記クリンカーに関するデータとは、クリンカーの化学組成、及び、容重であり、評価データの、クリンカーに関するデータとは湿式f.CaO(フリーライム)である、前記[1]〜[4]のいずれかに記載のセメントの品質または製造条件の予測方法。
[6] 上記監視データと上記評価データの組み合わせが、監視データは焼成条件に関するデータ、及びセメントに関するデータであり、かつ、評価データはセメント含有水硬性組成物の物性に関するデータであり、監視データの、上記焼成条件に関するデータとは、キルン落口温度、及びクーラー温度であり、セメントに関するデータとは、セメントのブレーン比表面積、残分量、湿式f.CaO、鉱物組成、及び化学組成であり、評価データの、上記セメント含有水硬性組成物の物性に関するデータはモルタルの圧縮強度である、前記[1]〜[4]のいずれかに記載のセメントの品質または製造条件の予測方法。
[7] 上記監視データの値を人為的に変動させて得られた上記評価データの推測値に基づいて、セメントの製造条件を最適化する前記[1]〜[6]のいずれかに記載のセメントの品質または製造条件の予測方法。
[8] 上記評価データの推測値と、該推測値に対応する実測値の乖離の大きさを定期的に点検し、その点検結果に基づいて、上記ニューラルネットワークを更新する前記[1]〜[7]のいずれかに記載のセメントの品質または製造条件の予測方法。
また、得られた推測値を基にリアルタイムで製造条件を管理することが可能であり、セメントの品質安定化の向上またはセメントの製造条件の最適化を図ることができる。
さらに、ニューラルネットワークを定期的に更新することによって、予測の精度の向上を図ることができる。
本発明の予測方法は、セメント製造における監視データの実測値を入力するための入力層と、セメントの品質または製造条件の評価に関連する評価データの推測値を出力するための出力層を有するニューラルネットワークを用いて、セメントの品質または製造条件を予測する方法である。
本発明のニューラルネットワークは、入力層と出力層の間に中間層を有する階層型のニューラルネットワークであってもよい。
上記監視データと上記評価データの組み合わせとしては、以下の(i)または(ii)が挙げられる。
(i)上記監視データがクリンカー原料に関するデータ、焼成条件に関するデータ、粉砕条件に関するデータ、及びクリンカーに関するデータの中から選ばれる一種以上のデータであり、かつ、上記評価データが、クリンカー原料に関するデータ、焼成条件に関するデータ、粉砕条件に関するデータ、クリンカーに関するデータ、セメントに関するデータである組み合わせ
(ii)上記監視データが、クリンカー原料に関するデータ、焼成条件に関するデータ、粉砕条件に関するデータ、クリンカーに関するデータ、及びセメントに関するデータであり、かつ、上記評価データが、セメント含有水硬性組成物の物性に関するデータである組み合わせ
ここで、クリンカー原料の化学組成とは、クリンカー原料中のSiO2、Al2O3、Fe2O3、CaO、MgO、SO3、Na2O、K2O、Na2Oeq(全アルカリ)、TiO2、P2O5、MnO、Cl、Cr、Zn、Pb、Cu、Ni、V、As、Zr、Mo、Sr、Ba、F等の含有率である。
前記(i)の組み合わせにおける監視データの一つである「粉砕条件に関するデータ」は、粉砕温度、散水量、セパレーター風量、石膏添加量、クリンカー投入量、ミルの回転数、ミルから排出される粉体の温度、ミルから排出される粉体の量、ミルから排出されない粉体の量、被粉砕性等が挙げられる。
前記(i)の組み合わせにおける監視データの一つである「クリンカーに関するデータ」は、クリンカーの鉱物組成、各鉱物の結晶学的性質(格子定数や結晶子径など)、2種以上の鉱物組成の比、化学組成、湿式f.CaO(フリーライム)、容重等が挙げられる。これらのデータは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いられる。
なお、クリンカーの鉱物組成は、例えばリートベルト法によって得ることができる。
クリンカーの化学組成とは、クリンカー中のSiO2、Al2O3、Fe2O3、CaO、MgO、SO3、Na2O、K2O、Na2Oeq(全アルカリ)、TiO2、P2O5、MnO、Cl、Cr、Zn、Pb、Cu、Ni、V、As、Zr、Mo、Sr、Ba、F等の含有率である。
前記(i)の組み合わせにおいて、監視データとして、クリンカー原料に関するデータ、焼成条件に関するデータ、粉砕条件に関するデータ、及びクリンカーに関するデータの中から選ばれるいずれか一種のデータのみを用いてもよいが、これら4種のデータのうちの2種以上(複数)のデータを用いることが、評価データの予測の精度を高める観点から、好ましい。
また、上述した「クリンカー原料及びセメント原料に関するデータ」、「焼成条件に関するデータ」、及び「粉砕条件に関するデータ」は監視データを兼ねることができる。
前記(i)の組み合わせにおける評価データの一つである「セメントに関するデータ」は、ブレーン比表面積、残分、石膏の半水化率、色調L値、色調b値、色調a値等が挙げられる。
例えば、表4に示される評価データの一つである「クリンカーに関するデータ」のうち、「湿式f.CaO(フリーライム)」を高い精度で予測するための、監視データと評価データの組み合わせとしては、好ましくは、監視データは、「クリンカー原料に関するデータ」のうち「クリンカー原料の化学組成」、「クリンカー原料の水硬率」、「残分量」、「ブレーン比表面積」、「強熱減量」、「キルンへの投入時から所定の時間前の時点(例えば、5時間前の1つの時点や、3時間前、4時間前、5時間前、及び6時間前の4つの時点のような複数の時点)のクリンカー主原料(例えば、普通ポルトランドセメント用クリンカー原料のような通常の調合原料)の化学組成」、「キルンへの投入時から所定の時間前の時点(例えば、5時間前の1つの時点や、3時間前、4時間前、5時間前、及び6時間前の4つの時点のような複数の時点)のクリンカー主原料(例えば、普通ポルトランドセメント用クリンカー原料のような通常の調合原料)の水硬率」、「クリンカー主原料の供給量」、「廃棄物のような特殊な原料からなるクリンカー副原料の供給量」、「ブレンディングサイロの貯留量(残量)」、「原料ストレージサイロの貯留量(残量)」、「原料ミルとブレンディングサイロの間に位置するサイクロンの電流値(サイクロンの回転数を表し、サイクロンを通過する原料の速度と相関関係があるもの)」、「キルンに投入する直前の化学組成」、「キルンに投入する直前の水硬率」、「キルンに投入する直前のブレーン比表面積」、「キルンに投入する直前の残分量」、「キルンに投入する直前の脱炭酸率」、「キルンに投入する直前の水分量」であり、「焼成条件に関するデータ」のうち、「キルンの窯入CFW」、「回転数」、「落口温度」、「焼成帯温度」、「クリンカー温度」、「キルン平均トルク」、「O2濃度」、「NOX濃度」、「クーラー温度」、及び「プレヒーターのガスの流量(プレヒーターの温度と相関関係があるもの)」であり、「粉砕条件に関するデータ」のうち、「石膏投入量」、「クリンカー投入量」、「ミルの回転数」、「ミルから排出される粉体の温度」、「ミルから排出される粉体の量」、「ミルから排出されない粉体の量」、「被粉砕性」であり、「クリンカーに関するデータ」のうち、「クリンカーの鉱物組成」、「各鉱物の結晶学的性質」、「2種以上の鉱物組成の比」、「化学組成」、「容量」であり、評価データは、「クリンカーに関するデータ」のうち、「湿式f.CaO(フリーライム)」である。
より好ましくは、監視データは、「クリンカーに関するデータ」のうち、「化学組成」、「容重」であり、「焼成条件に関するデータ」のうち、「落口温度」、「キルン焼成帯温度」、「キルン平均トルク」であり、「クリンカー原料に関するデータ」のうち、「クリンカー原料の化学組成」であり、評価データは、「クリンカーに関するデータ」のうち、「湿式f.CaO(フリーライム)」である。
前記(ii)の組み合わせにおける監視データである「セメントに関するデータ」は、セメントの化学組成、セメントの鉱物組成、各鉱物の結晶学的性質(格子定数や結晶子径など)、湿式f.CaO、強熱減量、ブレーン比表面積、粒度分布、残分量、色調L値、色調a値、色調b値等が挙げられる。
これらのデータは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いられる。
ここで、セメントの化学組成とは、セメント原料中のSiO2、Al2O3、Fe2O3、CaO、MgO、SO3、Na2O、K2O、Na2Oeq(全アルカリ)、TiO2、P2O5、MnO、Cl、Cr、Zn、Pb、Cu、Ni、V、As、Zr、Mo、Sr、Ba、F等の含有率である。
セメントの鉱物組成とは、3CaO・SiO2(C3S)、2CaO・SiO2(C2S)、3CaO・Al2O3(C3A)、4CaO・Al2O3・Fe2O3(C4AF)、f.CaO、f.MgO、石膏、カルサイト等の含有率である。
なお、セメントの化学組成及び鉱物組成のデータは、前記(i)の組み合わせにおける評価データである「クリンカーに関するデータ」を利用してもよい。
前記(ii)の組み合わせにおける評価データである「セメント含有水硬性組成物の物性」は、モルタルの圧縮強度、曲げ強度、流動性(フロー値)、水和熱、凝結時間、乾燥収縮率、安定性、水中膨張、耐硫酸塩性、中性化、ASR抵抗等が挙げられる。
また、評価データの「セメント含有水硬性組成物の物性に関するデータ」のうち、「モルタルの圧縮強度」を高い精度で予測するための、監視データと評価データの組み合わせとしては、好ましくは、監視データは、「クリンカー原料に関するデータ」のうち「クリンカー原料の化学組成」、「クリンカー原料の水硬率」、「残分量」、「ブレーン比表面積」、「強熱
減量」であり、「焼成条件に関するデータ」のうち、「キルンの窯入CFW」、「回転数」、「落口温度」、「焼成帯温度」、「クリンカー温度」、「キルン平均トルク」、「O2濃度」、「NOX濃度」、「クーラー温度」、「プレヒーターのガスの流量(プレヒーターの温度と相関関係があるもの)」であり、「粉砕条件に関するデータ」のうち、「粉砕温度」、「散水量」、「セパレーター風量」、「石膏投入量」、「クリンカー投入量」、「ミルの回転数」、「ミルから排出される粉体の温度」、「ミルから排出される粉体の量」、「ミルから排出されない粉体の量」、「被粉砕性」であり、「クリンカーに関するデータ」のうち、「クリンカーの鉱物組成」、「各鉱物の結晶学的性質」、「2種以上の鉱物組成の比」、「化学組成」、「容量」であり、「セメントに関するデータ」のうち、「セメントの化学組成」、「セメントの鉱物組成」、「各鉱物の結晶学的性質(格子定数や結晶子径など)」、「湿式f.CaO」、「強熱減量」、「ブレーン比表面積」、「粒度分布」、「残分量」、「色調L値」、「色調a値」、「色調b値」であり、評価データは、「セメント含有水硬性組成物の物性に関するデータ」のうち、「モルタルの圧縮強度」である。
より好ましくは、監視データは、「セメントに関するデータ」のうち、「ブレーン比表面積」、「32μm残分量」、「湿式f.CaO」、「各鉱物の量」、「化学組成(MgO、SO3、a2O、K2O、P2O5)」であり、「焼成条件に関するデータ」のうち、「落口温度」、「クーラー温度」であり、評価データは、「セメント含有水硬性組成物の物性に関するデータ」のうち、「モルタルの圧縮強度」である。
ポルトランドセメントの製造工程は、原料調製工程、焼成工程、仕上げ工程の3工程に大別される。原料調製工程は、石灰石、粘土、珪石、酸化鉄原料などのセメント原料を適当な割合で調合して、原料ミルで微粉砕し、原料混合物を得る工程である。焼成工程は、原料混合物をサスペンションプレヒーター等を経由してロータリーキルンに供給し、充分に焼成した後、冷却して、クリンカーを得る工程である。仕上げ工程は、クリンカーに適当な量の石膏などを加え、セメントミルで微粉砕して、ポルトランドセメントを得る工程である。
クリンカーはキルン落ち口にできる限り近く、かつ、クリンカーが十分に冷却されている場所(通常はクリンカクーラーの中途)から採取することが好ましい。なお、クリンカーの平均的な品質データを把握するために、1kg以上のクリンカーを採取し縮分により代表試料を得ることが好ましい。セメントはセメントミル出口からサンプリングすることが好ましい。なお、セメントの風化を避けるために、サンプリングからできる限り時間を空けずに分析することが好ましい。
評価データの変動を把握するためには、監視データ用の試料の採集間隔はできるだけ短い方が好ましい。しかしながら、採取間隔を短くすると、労力等が増大する。したがって、実用的には、採取間隔は、好ましくは15分間〜1時間である。
本発明において、監視データ(例えば、セメントの鉱物組成)の値を人為的に変動させて得られた評価データの推測値(例えば、凝結時間)に基づいて、セメントの製造条件を最適化することができる。
図1は、ニューラルネットワークの学習方法の一例である。
以下、ニューラルネットワークの学習方法について詳しく説明する。
[工程(A)]
工程(A)において、学習回数の初期設定を実施する。設定される学習回数は、特に限定されるものではないが、好ましくは、ニューラルネットワークの過学習(オーバーラーニング)が発生する程度に、十分に大きな回数である。具体的には、通常5千〜100万回、好ましくは1万〜10万回である。
工程(A)では、ニューラルネットワークの過学習が発生する学習回数、具体的にはσL<σM(詳しくは後述する)となるような学習回数を設定することが好ましいが、後の工程において、学習回数の増減が行われるため、工程(A)において最初に設定される学習回数は、ニューラルネットワークの学習に通常行われる学習回数を用いても問題ない。
工程(A)終了後、工程(B)を実施する。
工程(B)では、学習用の監視データの実測値と評価データの実測値の組み合わせ(以下、「学習データ」ともいう。)を複数用いて、ニューラルネットワークの学習を設定された学習回数行う。上記組み合わせの数は、例えば、10以上である。上記組み合わせの数の上限は、特に限定されないが、例えば、1000である。
具体的には、学習用の複数のサンプルを用意し、該サンプルの監視データの実測値、及び目的とする評価データの実測値を測定して、これらを学習データとして用いる。該学習データのうち、監視データの実測値をニューラルネットワークの入力層に入力して、出力層から出力された評価データの推測値と、該評価データの推測値に対応する学習データの評価データの実測値を比較評価してニューラルネットワークの修正することを、設定された学習回数行うことで、ニューラルネットワークの学習が行われる。
なお、学習回数を変更して、ニューラルネットワークの再学習を行う際には、前回の学習の結果得られたニューラルネットワークは初期化され、再度学習が行われる。
工程(B)終了後、工程(C)を実施する。
工程(C)では、σLとσMが算出される。σLとσMの大小関係から、学習がニューラルネットワークの過学習が発生する程度に十分に大きな回数行われたか否かを判断することができる。
具体的には、学習データの監視データの実測値を、直近の工程(B)において学習が行われたニューラルネットワークの入力層に入力して得られた評価データの推測値と学習データの評価データの実測値との平均2乗誤差(σL)を算出する。次いで、モニターデータの監視データの実測値を直近の工程(B)において学習が行われたニューラルネットワークの入力層に入力して得られた評価データの推測値とモニターデータの評価データの実測値との平均2乗誤差(σM)を算出する。その後、算出されたσLとσMの数値を比較することで、ニューラルネットワークの学習が十分に大きな回数で行われたか判断することができる。
ここで、モニターデータとは、学習データを得るために用いられたサンプルとは別のサンプルから得られた、監視データの実測値及び評価データの実測値の組み合わせであり、ニューラルネットワークの信頼性を確認するためのデータである。
モニターデータ(監視データの実測値及び評価データの実測値の組み合わせ)の数は、学習データの数の好ましくは5〜50%、より好ましくは10〜30%である。
工程(C)で算出されたσLとσMの関係が、σL≧σMである場合(図1の過学習判定における「No」)、直近に行った工程(B)の学習回数は、十分に大きな回数ではないと判断することができる。この場合、工程(D)を実施する。工程(C)で算出されたσLとσMの関係が、σL<σMである場合(図1の過学習判定における「Yes」)、直近に行った工程(B)の学習回数は、十分に大きな回数であったと判断することができる。この場合、工程(E)を実施する。
工程(D)では、設定された学習回数を増やして、新たな学習回数として再設定する(例えば、直近の工程(B)で実施された学習回数に2.0を乗じた数を新たな学習回数として設定する。)。新たな学習回数を再設定した後、再度工程(B)〜(C)を実施する。
工程(E)では、直近のニューラルネットワークの学習で実施された学習回数を減らした学習回数を、新たな学習回数として再設定する(例えば、直近の工程(B)または工程(F)で実施された学習回数に0.95を乗じた数を新たな学習回数として設定する。)。
なお、直近のニューラルネットワークの学習とは、より近い過去に実施された学習を指す。具体的には、工程(B)もしくは後述の工程(F)のうち、より近い過去に実施された学習を指す。
工程(E)終了後、工程(F)を実施する。
工程(F)では、工程(B)で用いられた学習データを複数用いて、ニューラルネットワークの学習を設定された学習回数行う。
上記学習回数は、直近の工程(E)において新たに設定された学習回数である。工程(F)で実施する内容は、ニューラルネットワークの学習を工程(E)において新たに設定された学習回数行う以外は、工程(B)と同じである。
工程(F)終了後、工程(G)を実施する。
工程(G)では、直近の工程(F)において得られたニューラルネットワークを用いて終了判定を行う。具体的には学習データの監視データの実測値を、直近の工程(F)において学習が行われたニューラルネットワークの入力層に入力して得られた評価データの推測値と学習データの評価データの実測値との平均2乗誤差(σL)、及び、モニターデータの中の監視データの実測値を、直近の工程(F)において学習が行われたニューラルネットワークの入力層に入力して得られた評価データの推測値とモニターデータの中の評価データの実測値との平均2乗誤差(σM)を算出し、算出されたσLとσMの関係が、σL≧σMである場合(図1の終了判定における「Yes」)、直近に行った工程(F)の学習回数は、もはや十分に大きな回数ではないと判断することができる。この場合、後述する工程(I)を実施する。算出されたσLとσMの関係がσL<σMである場合(図1の終了判定における「No」)、直近に行った工程(F)の学習回数は、いまだ十分に大きな回数であったと判断することができる。この場合、後述する工程(H)を実施する。
工程(H)では、直近に行った工程(F)におけるニューラルネットワークの学習回数が予め定めた数値を超えていたかどうかの判定を実施する。工程(H)は、工程(E)から工程(G)を無限に繰り返すことを回避するために行われる。工程(H)において直近に行った工程(F)におけるニューラルネットワークの学習回数が予め定めた数値を超えていた場合(図1における「Yes」)は、再度工程(E)〜(G)を実施する。工程(H)において直近に行った工程(F)の学習回数が予め定めた数値以下場合(図1における「No」)は、後述の工程(J)または(K)を実施する。
なお、上記予め定めた数値とは、特に限定されず、例えば、工程(E)で設定された学習回数の100分の1の数値以下、もしくは、1以下または0以下等が挙げられる。
工程(I)では解析度判定値が予め定めた設定値未満であるか否かによって、解析度の判定を行うことができる。解析度判定値は下記式(1)を用いて算出される。
該解析度判定を行うことで学習を行ったニューラルネットワークを用いて、セメントの品質等の予測を高い精度で行うことができるか否かを判断することができる。
解析度判定値が予め定めた設定値未満(図1の解析度判定における「Yes」)であれば、解析は十分であると判断され、ニューラルネットワークの学習は終了する。得られた学習済みのニューラルネットワークは本発明の予測方法に用いられる。解析度判定値が予め定めた設定値以上(図1の解析度判定における「No」)であれば、学習データを用いて学習を行ったニューラルネットワークを用いて、セメントの品質等の予測を高い精度で行うことはできないと判断されるため、工程(J)または(K)を実施する。
予め定めた設定値は、特に限定されないが、好ましくは6%以下、より好ましくは5%以下、特に好ましくは3%以下の値である。
工程(A)から工程(I)が無限に行われることを防ぐ目的で、後述する工程(K)の前において、工程(A)を実施した回数の大きさを判定する工程(J)を設けてもよい。回数の判定は、工程(A)の実施回数が予め設定した回数を超えたか否かを判定するものである。例えば、工程(A)の実施回数が予め設定した回数(例えば、5回)を超えた場合(図1の回数判定における「Yes」)、使用した学習データから解析は不能であると判断し、ニューラルネットワークの学習を終了する。工程(A)の実施回数が予め設定した回数以下である場合、工程(K)を実施する。
工程(K)では学習条件の初期化を行う。
学習条件の初期化の方法としては、例えば、ニューラルネットワークを構成するユニットの閾値やユニットを結合している重みをランダムで変更した上で、学習データを再入力する方法、学習データを得るためのサンプルの数を増やす、使用する監視データの種類を増やす、又は不適切な学習データを除外する等を行った上で、新たな学習データを入力する方法等が挙げられる。
学習条件の初期化を行った後、再び工程(A)〜(K)を行う。
本発明において、ニューラルネットワークの学習は、最初に十分に大きな学習回数(σL<σMとなる程度の学習回数)で学習を行った後、学習回数を減らしながら、ニューラルネットワークの学習をσL≧σMとなるまで繰り返すものである。該方法によれば、学習データにおいて評価データが不足している場合等の要因によって、σL、σMの数値にばらつきがある場合であっても、該ばらつきを修正することができ、ニューラルネットワークの学習を適切に行うことができる。
また、得られた評価データの推測値に基づいて、セメント製造途中においてセメントの品質異常を早期に察知し、原料調製工程、焼成工程及び仕上げ工程における諸条件の最適化を行うことにより、適正な品質のセメントを製造することができる。
具体的には、クリンカーの鉱物組成の推測値に異常が認められた場合、原料の調合、焼成条件の調整等を行うことで、クリンカーの鉱物組成を目的のものにすることができる。
また、評価データの推測値に基いて、製造上の目標を修正することも可能である。
例えば、モルタルの圧縮強度が目標値に達しないと予測される場合、学習に用いた監視データ(因子)とモルタルの圧縮強度の関係を解析して、最適なセメントの処方を確認することで、セメントの品質を目的のものにすることができる。
さらに、セメント製造を制御するコンピュータと、本発明のセメントの品質または製造条件の予測方法を実施するために用いるコンピュータを接続することによって、評価データに基づいて監視データを人為的に変動させるための制御システムを自動化することもできる。
本発明において、ニューラルネットワークによる演算を行うためのソフトウェアとしては、例えば、OLSOFT社製の「Neural Network Library」(商品名)等が挙げられる。
[A.セメント含有水硬性組成物の物性に関するデータ予測]
[実施例1]
学習用のサンプルとしてサンプリング時間の異なる28個のセメントを、「JIS R 5201」に準じて混練し、3日間養生後、7日間養生後および28日間養生後の各時点におけるモルタルの圧縮強度を測定して、学習データ(評価データの実測値)とした。
また、上記28個のセメントのブレーン比表面積、32μm残分量、湿式f.CaO、各鉱物の量、及び化学組成(MgO、SO3、Na2O、K2O、P2O5)、キルン落口温度、クーラー温度を測定して、学習データ(監視データの実測値)とした。なお、各鉱物の量は、粉末X線回折装置にて、測定範囲:2θ=10〜65°の範囲で測定を行い、リ−トベルト解析ソフトによって計算されたC3S、C2S、C4AF、C3A、石膏類、カルサイトの量である(なお、以降の実施例における各鉱物の量もこれと同じである)。
また、モニター用のサンプルとして、前記28個のサンプルとはサンプリング時間の異なる2個のセメントを用いて、3日間養生後、7日間養生後および28日間養生後の各時点におけるモルタルの圧縮強度を学習データと同様に測定して、モニターデータ(評価データの実測値)とした。さらに、上記2個のセメントのブレーン比表面積、32μm残分量、湿式f.CaO、各鉱物の量、及び化学組成(MgO、SO3、Na2O、K2O、P2O5)、キルン落口温度、クーラー温度を学習データと同様に測定して、モニターデータ(監視データの実測値)とした。
上記学習データを用いて、ニューラルネットワークの学習を行った。
ニューラルネットワークの学習は、最初に上記学習データとモニターデータを用いて1万回行った。得られたニューラルネットワークを用いて、σLとσMを算出したところ、σLとσMの関係はσL<σMであった。
その後、ニューラルネットワークを初期化し、上記学習データとモニターデータを用いて、ニューラルネットワークの学習を前記学習回数に0.95を乗じた数の学習回数行うことを、学習後のニューラルネットワークを用いて算出されたσLとσMの関係がσL≧σMとなるまで繰り返した。
上記学習を、解析度判定値が2%未満になるまで行った。
ニューラルネットワークとしては、入力層、中間層及び出力層を有する階層型のニューラルネットワークを用いた。
学習終了後、上記学習データ及びモニターデータの監視データの実測値に基づいて、3日間養生後、7日間養生後および28日間養生後のモルタルの圧縮強度を予測した。その結果を図2〜図4に示す。
一方、上記で得られたニューラルネットワークに、セメントAのブレーン比表面積、32μm残分量、湿式f.CaO、各鉱物の量、及び化学組成(MgO、SO3、Na2O、K2O、P2O5)、キルン落口温度、クーラー温度を入力して得られた3日間養生後、7日間養生後および28日間養生後のモルタル圧縮強度の推測値は、それぞれ、31.8N/mm2、43.7N/mm2、58.0N/mm2であり、実測値と推測値はほぼ一致した。
特開2005−214891号公報の実施例の方法に従って、モルタルの圧縮強度の試験を行った。
具体的には、実施例1で用いられたサンプルデータのクリンカーを採取・縮分し、振動ミルによって細かく粉砕して、粉末X線回折用のサンプルを作製した。
このサンプルを、粉末X線回折装置にて、測定範囲:2θ=10〜65°の範囲で測定した。
得られたX線回折プロファイルを、リートベルト解析ソフトによって計算し、各クリンカー鉱物の結晶情報のパラメータを得た。
上記解析によって得られたパラメータのうち、各鉱物の量、格子定数(a,b,c,βなど)または格子体積により、少量・微量成分によるクリンカー鉱物の結晶情報の変化を捉え、重回帰分析により求めた重回帰式を用いてセメントの品質の予測を行った。
セメントの品質として、モルタルの圧縮強度を予測する場合に用いられる上記重回帰式の好ましい一例を以下に示す。
ここで、係数A〜Eは、A=0.6、B=0.3、C=0.6、D=2、E=60である。
ここで、係数A〜Cは、A=−1、B=−80、C=32である。
ここで、係数A〜Gは、A=−2、B=4、C=0.6、D=−80、E=−0.2、F=−2、G=47である。
材齢3日、材齢7日、材齢28日のモルタルの圧縮強度の推測値と実測値のグラフを図5〜図7に示す。
図5〜図7に示すように、特開2005−214891号の方法では、推測値と実測値の相関係数(R2)が低く、推測値の精度も低くなると考えられる。
実施例1で用いた学習データ及びモニターデータを用いて、ニューラルネットワークの学習を行った。
ニューラルネットワークの学習は、学習後のニューラルネットワークを用いて算出されたσLとσMの関係がσL≧σMとなるまで学習回数を1回から順に増加させた。その結果、1回目の学習においてσL≧σMとなり学習を終了した。
ニューラルネットワークとしては、入力層、中間層及び出力層を有する階層型のニューラルネットワークを用いた。
学習終了後、上記学習データ及びモニターデータの監視データの実測値に基づいて、3日間養生後、7日間養生後および28日間養生後のモルタルの圧縮強度を予測した。その結果を図8〜図10に示す。
一方、上記で得られたニューラルネットワークに、セメントAのブレーン比表面積、32μm残分量、湿式f.CaO、各鉱物の量、及び化学組成(MgO、SO3、Na2O、K2O、P2O5)、キルン落口温度、クーラー温度を入力して得られた3日間養生後、7日間養生後および28日間養生後のモルタル圧縮強度の推測値は、それぞれ、38.3N/mm2、48.6N/mm2、68.3N/mm2であり、実測値と推測値の差が実施例よりも大きかった。
学習用のサンプルとしてサンプリング時間の異なる28個のセメントを、「JIS R 5201」に準じて混練し、3日間養生後、7日間養生後および28日間養生後の各時点におけるモルタルの圧縮強度を測定して、学習データ(評価データの実測値)とした。
また、上記28個のセメントのブレーン比表面積、32μm残分量、湿式f.CaO、及び化学組成(MgO、SO3、Na2O、K2O、P2O5)、クリンカー主原料の供給量、ブレンディングサイロの貯蓄量(残量)、原料ストレージサイロの貯蓄量(残量)を測定して、学習データ(監視データの実測値)とした。
また、モニター用のサンプルとして、前記28個のサンプルとはサンプリング時間の異なる2個のセメントを用いて、3日間養生後、7日間養生後および28日間養生後の各時点におけるモルタルの圧縮強度を学習データと同様に測定して、モニターデータ(評価データの実測値)とした。さらに、上記2個のセメントのブレーン比表面積、32μm残分量、湿式f.CaO、及び化学組成(MgO、SO3、Na2O、K2O、P2O5)、クリンカー主原料の供給量、ブレンディングサイロの貯蓄量(残量)、原料ストレージサイロの貯蓄量(残量)を学習データと同様に測定して、モニターデータ(監視データの実測値)とした。
上記学習データを用いて、ニューラルネットワークの学習を行った。
ニューラルネットワークの学習は、最初に上記学習データとモニターデータを用いて1万回行った。得られたニューラルネットワークを用いて、σLとσMを算出したところ、σLとσMの関係はσL<σMであった。
その後、ニューラルネットワークを初期化し、上記学習データとモニターデータを用いて、ニューラルネットワークの学習を前記学習回数に0.95を乗じた数の学習回数行うことを、学習後のニューラルネットワークを用いて算出されたσLとσMの関係がσL≧σMとなるまで繰り返した。
上記学習を、解析度判定値が2%未満になるまで行った。
ニューラルネットワークとしては、入力層、中間層及び出力層を有する階層型のニューラルネットワークを用いた。
学習終了後、上記学習データ及びモニターデータの監視データの実測値に基づいて、3日間養生後、7日間養生後および28日間養生後のモルタルの圧縮強度を予測した。その結果を図11〜図13に示す。
一方、上記で得られたニューラルネットワークに、セメントAのブレーン比表面積、32μm残分量、湿式f.CaO、各鉱物の量、及び化学組成(MgO、SO3、Na2O、K2O、P2O5)、キルン落口温度、クーラー温度を入力して得られた3日間養生後、7日間養生後および28日間養生後のモルタル圧縮強度の推測値は、それぞれ、35.2N/mm2、40.4N/mm2、66.0N/mm2であった。
学習用のサンプルとしてサンプリング時間の異なる20個のセメントを、高性能減水剤を用いたセメントの流動性試験(JIS A1171−2000で規定されている鋼製のスランプコーンおよび突き棒、500mm×500mmのアクリル平板、JIS R5201−1997で規定されているさじおよびモルタル標準砂を使用した。)を実施して、学習データ(評価データの実測値)とした。なお、流動性の測定は、混練直後及び30分経過後に行った。
また、上記20個のセメントのブレーン比表面積、32μm残分量、湿式f.CaO、及び各鉱物の量、及び化学組成(MgO、SO3、Na2O、K2O、P2O5)、クリンカーの粉砕温度、散水量を測定して、学習データ(監視データの実測値)とした。なお、各鉱物の量は、実施例1と同様にして算出した。
また、モニター用のサンプルとして、前記20個のサンプルとはサンプリング時間の異なる2個のセメントを用いて、混練直後及び30分経過後の流動性を学習データと同様に測定して、モニターデータ(評価データの実測値)とした。さらに、上記2個のセメントのブレーン比表面積、32μm残分量、湿式f.CaO、各鉱物の量、及び化学組成(MgO、SO3、Na2O、K2O、P2O5)、クリンカーの粉砕温度、散水量を学習データと同様に測定して、モニターデータ(監視データの実測値)とした。
上記学習データを用いて、ニューラルネットワークの学習を行った。
ニューラルネットワークの学習は、最初に上記学習データとモニターデータを用いて1万回行った。得られたニューラルネットワークを用いて、σLとσMを算出したところ、σLとσMの関係はσL<σMであった。
その後、ニューラルネットワークを初期化し、上記学習データとモニターデータを用いて、ニューラルネットワークの学習を前記学習回数に0.95を乗じた数の学習回数行うことを、学習後のニューラルネットワークを用いて算出されたσLとσMの関係がσL≧σMとなるまで繰り返した。
上記学習を、解析度判定値が2%未満になるまで行った。
ニューラルネットワークとしては、入力層、中間層及び出力層を有する階層型のニューラルネットワークを用いた。
学習終了後、上記学習データ及びモニターデータの監視データの実測値に基づいて、混練直後及び30分経過後の各時点の流動性を予測した。その結果を図14及び図15に示す。
一方、上記で得られたニューラルネットワークに、セメントAのブレーン比表面積、32μm残分量、湿式f.CaO、各鉱物の量、及び化学組成(MgO、SO3、Na2O、K2O、P2O5)、キルン落口温度、クーラー温度を入力して得られた混練直後の流動性は、263mmであり、実測値と推測値はほぼ一致した。
学習用のサンプルとしてサンプリング時間の異なる22個のセメントを「JIS R 5203」に従って、7日後、および28日後の水和熱を測定して、学習データ(評価データの実測値)とした。
また、上記22個のセメントのブレーン比表面積、32μm残分量、湿式f.CaO、各鉱物の量、及び化学組成(MgO、SO3、Na2O、K2O、P2O5)、キルン落口温度を測定して、学習データ(監視データの実測値)とした。なお、各鉱物の量は、実施例1と同様にして算出した。
また、モニター用のサンプルとして、前記22個のサンプルとはサンプリング時間の異なる2個のセメントを用いて、7日後、および28日後の水和熱を学習データと同様に測定して、モニターデータ(評価データの実測値)とした。さらに、上記2個のセメントのブレーン比表面積、32μm残分量、湿式f.CaO、各鉱物の量、及び化学組成(MgO、SO3、Na2O、K2O、P2O5)、キルン落口温度を学習データと同様に測定して、モニターデータ(監視データの実測値)とした。
上記学習データを用いて、ニューラルネットワークの学習を行った。
ニューラルネットワークの学習は、最初に上記学習データとモニターデータを用いて1万回行った。得られたニューラルネットワークを用いて、σLとσMを算出したところ、σLとσMの関係はσL<σMであった。
その後、ニューラルネットワークを初期化し、上記学習データとモニターデータを用いて、ニューラルネットワークの学習を前記学習回数に0.95を乗じた数の学習回数行うことを、学習後のニューラルネットワークを用いて算出されたσLとσMの関係がσL≧σMとなるまで繰り返した。
上記学習を、解析度判定値が2%未満になるまで行った。
ニューラルネットワークとしては、入力層、中間層及び出力層を有する階層型のニューラルネットワークを用いた。
学習終了後、上記学習データ及びモニターデータの監視データの実測値に基づいて、7日後、および28日後の水和熱を予測した。その結果を図16及び図17に示す。
学習用のサンプルとしてサンプリング時間の異なる20個のセメントの凝結時間の始発・終結を「JIS R 5201」に準じて測定して、学習データ(評価データの実測値)とした。
また、上記20個のセメントのブレーン比表面積、32μm残分量、湿式f.CaO、各鉱物の量、及び化学組成(MgO、SO3、Na2O、K2O、P2O5)、キルン落口温度を測定して、学習データ(監視データの実測値)とした。なお、各鉱物の量は、実施例1と同様にして算出した。
また、モニター用のサンプルとして、前記20個のサンプルとはサンプリング時間の異なる2個のセメントを用いて、凝結時間の始発・終結を学習データと同様に測定して、モニターデータ(評価データの実測値)とした。さらに、上記2個のセメントのブレーン比表面積、32μm残分量、湿式f.CaO、各鉱物の量、及び化学組成(MgO、SO3、Na2O、K2O、P2O5)、キルン落口温度を学習データと同様に測定して、モニターデータ(監視データの実測値)とした。
上記学習データを用いて、ニューラルネットワークの学習を行った。
ニューラルネットワークの学習は、最初に上記学習データとモニターデータを用いて1万回行った。得られたニューラルネットワークを用いて、σLとσMを算出したところ、σLとσMの関係はσL<σMであった。
その後、ニューラルネットワークを初期化し、上記学習データとモニターデータを用いて、ニューラルネットワークの学習を前記学習回数に0.95を乗じた数の学習回数行うことを、学習後のニューラルネットワークを用いて算出されたσLとσMの関係がσL≧σMとなるまで繰り返した。
上記学習を、解析度判定値が2%未満になるまで行った。
ニューラルネットワークとしては、入力層、中間層及び出力層を有する階層型のニューラルネットワークを用いた。
学習終了後、上記学習データ及びモニターデータの監視データの実測値に基づいて、凝結時間(始発及び終結)を予測した。その結果を図18及び図19に示す。
[実施例6]
学習用のサンプルとしてサンプリング時間の異なる116個のクリンカーを、その鉱物組成に基づいて、クリンカー中のフリーライム(f.CaO)の含有率(%)を算出して、学習データ(評価データの実測値)とした。なお、各鉱物の量は、実施例1と同様にして算出した。
また、上記116個のクリンカーのキルンへの投入直前のクリンカー原料の化学組成、容重、キルン落口温度、キルン焼成帯温度、キルン平均トルク、及び、上記クリンカーの化学組成を、学習データ(監視データの実測値)とした。
また、モニター用のサンプルとして、前記116個のサンプルとはサンプリング時間の異なる5個のクリンカーを用いて、クリンカー中のフリーライム(f.CaO)の含有率(%)を学習データと同様に算出して、モニターデータ(評価データの実測値)とした。さらに、上記5個のクリンカーのキルンへの投入直前のクリンカー原料の化学組成、容重、キルン落口温度、キルン焼成帯温度、キルン平均トルク、及び、上記クリンカーの化学組成を、モニターデータ(監視データの実測値)とした。
なお、上記学習データ及びモニターデータにおいて、クリンカー原料の化学組成とは、SiO2、Al2O3、Fe2O3、CaO、MgO、SO3、Na2O、K2O、Na2Oeq、TiO2、P2O5、MnO、Cl、T−Cr、Zn、Pb、Cu、Ni、V、As、Zr、Mo、Sr、Ba、Fの含有量である。クリンカーの化学組成とは、SiO2、Al2O3、Fe2O3、CaO、MgO、SO3、Na2O、K2O、Na2Oeq、TiO2、P2O5、MnO、Cl、T−Cr、Zn、Pb、Cu、Ni、V、As、Zr、Mo、Sr、Ba、Fの含有量である。
上記学習データを用いて、ニューラルネットワークの学習を行った。
ニューラルネットワークの学習は、最初に上記学習データとモニターデータを用いて1万回行った。得られたニューラルネットワークを用いて、σLとσMを算出したところ、σLとσMの関係はσL<σMであった。
その後、ニューラルネットワークを初期化し、上記学習データとモニターデータを用いて、ニューラルネットワークの学習を前記学習回数に0.95を乗じた数の学習回数行うことを、学習後のニューラルネットワークを用いて算出されたσLとσMの関係がσL≧σMとなるまで繰り返した。
上記学習を、解析度判定値が3%未満になるまで行った。
ニューラルネットワークとしては、入力層、中間層及び出力層を有する階層型のニューラルネットワークを用いた。
学習終了後、上記学習データ及びモニターデータの監視データの実測値に基づいて、クリンカー中のフリーライム(f.CaO)の含有率(%)を予測した。その結果を図20に示す。
一方、上記で得られたニューラルネットワークに、クリンカーAのキルンへの投入直前のクリンカー原料の化学組成、容重、キルン落口温度、キルン焼成帯温度、キルン平均トルク、及び、上記クリンカーの化学組成を入力して得られたクリンカー中のフリーライム(f.CaO)の含有率(%)は、0.42%であり、実測値と推測値はほぼ一致した。
実施例5で用いた学習データ及びモニターデータを用いて、ニューラルネットワークの学習を行った。
ニューラルネットワークの学習は、学習後のニューラルネットワークを用いて算出されたσLとσMの関係がσL≧σMとなるまで学習回数を1回から順に増加させた。その結果、1回目の学習においてσL≧σMとなり学習を終了した。
ニューラルネットワークとしては、入力層、中間層及び出力層を有する階層型のニューラルネットワークを用いた。
学習終了後、上記学習データ及びモニターデータの監視データの実測値に基づいて、クリンカー中のフリーライム(f.CaO)の含有率(%)を予測した。その結果を図21に示す。
一方、上記で得られたニューラルネットワークに、クリンカーAのキルンへの投入直前のクリンカー原料の化学組成、容重、キルン落口温度、キルン焼成帯温度、キルン平均トルク、及び、上記クリンカーの化学組成を入力して得られたクリンカー中のフリーライム(f.CaO)の含有率(%)は、1.2%であり、実測値と推測値の差は実施例よりも大きかった。
学習用のサンプルとしてサンプリング時間の異なる116個のクリンカーを、その鉱物組成に基づいて、クリンカー中のフリーライム(f.CaO)の含有率(%)を算出して、学習データ(評価データの実測値)とした。なお、各鉱物の量は、実施例1と同様にして算出した。
また、上記116個のクリンカーのキルンへの投入直前のクリンカー原料の化学組成、容重、粉砕温度、散水量、セパレーター風量、及びキルン平均トルクを、学習データ(監視データの実測値)とした。
また、モニター用のサンプルとして、前記116個のサンプルとはサンプリング時間の異なる5個のクリンカーを用いて、クリンカー中のフリーライム(f.CaO)の含有率(%)を学習データと同様に算出して、モニターデータ(評価データの実測値)とした。さらに、上記5個のクリンカーのキルンへの投入直前のクリンカー原料の化学組成、容重、粉砕温度、散水量、セパレーター風量、及びキルン平均トルクを、モニターデータ(監視データの実測値)とした。
なお、上記学習データ及びモニターデータにおいて、クリンカー原料の化学組成とは、実施例5と同様である。
上記学習データを用いて、ニューラルネットワークの学習を行った。
ニューラルネットワークの学習は、最初に上記学習データとモニターデータを用いて1万回行った。得られたニューラルネットワークを用いて、σLとσMを算出したところ、σLとσMの関係はσL<σMであった。
その後、ニューラルネットワークを初期化し、上記学習データとモニターデータを用いて、ニューラルネットワークの学習を前記学習回数に0.95を乗じた数の学習回数行うことを、学習後のニューラルネットワークを用いて算出されたσLとσMの関係がσL≧σMとなるまで繰り返した。
上記学習を、解析度判定値が3%未満になるまで行った。
ニューラルネットワークとしては、入力層、中間層及び出力層を有する階層型のニューラルネットワークを用いた。
学習終了後、上記学習データ及びモニターデータの監視データの実測値に基づいて、クリンカー中のフリーライム(f.CaO)の含有率(%)を予測した。その結果を図22に示す。
一方、上記で得られたニューラルネットワークに、クリンカーAのキルンへの投入直前のクリンカー原料の化学組成、容重、粉砕温度、散水量、セパレーター風量、及びキルン平均トルクを、入力して得られたクリンカー中のフリーライム(f.CaO)の含有率(%)は、0.89%であった。
学習用のサンプルとしてサンプリング時間の異なる47個のセメントを、その鉱物組成に基づいて、セメント中の石膏の半水化率(%)を算出して、学習データ(評価データの実測値)とした。なお、各鉱物の量は、実施例1と同様にして算出した。
また、上記47個のセメントのクリンカーの投入量、クリンカーの容重、クリンカーの鉱物組成、石膏の添加量、散水量、ミルの回転数、及び、ミルから排出される粉体の温度を、学習データ(監視データの実測値)とした。
また、モニター用のサンプルとして、前記47個のサンプルとはサンプリング時間の異なる3個のセメントを用いて、セメント中の石膏の半水化率(%)を算出して、モニターデータ(評価データの実測値)とした。さらに、上記3個のセメントのクリンカーの投入量、クリンカーの容重、クリンカーの鉱物組成、石膏の添加量、散水量、ミルの回転数、及び、ミルから排出される粉体の温度を、モニターデータ(監視データの実測値)とした。
上記学習データを用いて、ニューラルネットワークの学習を行った。
ニューラルネットワークの学習は、最初に上記学習データとモニターデータを用いて1万回行った。得られたニューラルネットワークを用いて、σLとσMを算出したところ、σLとσMの関係はσL<σMであった。
その後、ニューラルネットワークを初期化し、上記学習データとモニターデータを用いて、ニューラルネットワークの学習を前記学習回数に0.95を乗じた数の学習回数行うことを、学習後のニューラルネットワークを用いて算出されたσLとσMの関係がσL≧σMとなるまで繰り返した。
上記学習を、解析度判定値が3%未満になるまで行った。
ニューラルネットワークとしては、入力層、中間層及び出力層を有する階層型のニューラルネットワークを用いた。
学習終了後、上記学習データ及びモニターデータの監視データの実測値に基づいて、セメント中の石膏の半水化率(%)を予測した。その結果を図23に示す。
一方、上記で得られたニューラルネットワークに、クリンカーの投入量、クリンカーの容重、クリンカーの鉱物組成、石膏の添加量、散水量、ミルの回転数、及び、ミルから排出される粉体の温度を入力して得られたセメント中の石膏の半水化率(%)は、63%であり、実測値と推測値はほぼ一致した。
学習用のサンプルとしてサンプリング時間の異なる200個のクリンカーの各鉱物の量を測定した。なお、各鉱物の量は、実施例1と同様にして算出した。その結果より、C3S/C2S比、及び、C4AF/C3A比を実際に測定して、学習データ(評価データの実測値)とした。
また、上記200個のクリンカー原料の化学組成、キルンの焼成帯温度、キルン落口温度、及び、クーラー温度等を学習データ(監視データの実測値)とした。なお、クリンカー原料の化学組成とは、SiO2、Al2O3、Fe2O3、CaO、MgO、SO3、Na2O、K2O、TiO2、P2O5、MnOの含有量である。
また、モニター用のサンプルとして、前記200個のサンプルとはサンプリング時間の異なる5個のクリンカーの各鉱物の量を学習用データと同様にして測定した。その結果より、C3S/C2S比、及び、C4AF/C3A比を実際に測定して、モニターデータ(評価データの実測値)とした。さらに、上記5個のクリンカーの原料の化学組成、キルンの焼成帯温度、キルン落口温度、及び、クーラー温度等を学習データ同様に測定して、モニターデータ(監視データの実測値)とした。
上記学習データを用いて、ニューラルネットワークの学習を行った。
ニューラルネットワークの学習は、最初に上記学習データとモニターデータを用いて1万回行った。得られたニューラルネットワークを用いて、σLとσMを算出したところ、σLとσMの関係はσL<σMであった。
その後、ニューラルネットワークを初期化し、上記学習データとモニターデータを用いて、ニューラルネットワークの学習を前記学習回数に0.95を乗じた数の学習回数行うことを、学習後のニューラルネットワークを用いて算出されたσLとσMの関係がσL≧σMとなるまで繰り返した。
上記学習を、解析度判定値が3%未満になるまで行った。
学習終了後、上記学習データ及びモニターデータの監視データの実測値に基づいて、C3S/C2S比、及び、C4AF/C3A比を予測した。その結果を図24(C3S/C2S比)及び図25(C4AF/C3A比)に示す。
[実施例10]
学習用のサンプルとしてキルンへの投入直前の、サンプリング時間の異なる40個のクリンカー原料を、その鉱物組成に基づいて水硬率を算出して、学習データ(評価データの実測値)とした。なお、各鉱物の量は、実施例1と同様にして算出した。
また、上記40個のクリンカー原料のサンプリング時から3時間前、4時間前、5時間前、及び6時間前の各時点における原料ミル内のクリンカー主原料(調合原料)の水硬率、クリンカー主原料の供給量、3種のクリンカー副原料(廃棄物)の各供給量、ブレンディングサイロの残量、原料ストレージサイロの残量、原料ミルとブレンディングサイロの間に位置するサイクロンの電流値、プレヒーターのガスの流量、クリンカー原料のブレーン比表面積(粉末度)、及びクリンカー原料の強熱減量を、学習データ(監視データの実測値)とした。
また、モニター用のサンプルとして、前記40個のサンプルとはサンプリング時間の異なる3個のクリンカー原料を用いて、水硬率を学習用データと同様にして算出して、モニターデータ(評価データの実測値)とした。さらに、上記3個のクリンカー原料のサンプリング時から3時間前、4時間前、5時間前、及び6時間前の各時点における原料ミル内のクリンカー主原料(調合原料)の水硬率、クリンカー主原料の供給量、3種のクリンカー副原料(廃棄物)の各供給量、ブレンディングサイロの残量、原料ストレージサイロの残量、原料ミルとブレンディングサイロの間に位置するサイクロンの電流値、プレヒーターのガスの流量、クリンカー原料のブレーン比表面積(粉末度)、及び、クリンカー原料の強熱減量を、モニターデータ(監視データの実測値)とした。
上記学習データを用いて、ニューラルネットワークの学習を行った。
ニューラルネットワークの学習は、最初に上記学習データとモニターデータを用いて1万回行った。得られたニューラルネットワークを用いて、σLとσMを算出したところ、σLとσMの関係はσL<σMであった。
その後、ニューラルネットワークを初期化し、上記学習データとモニターデータを用いて、ニューラルネットワークの学習を前記学習回数に0.95を乗じた数の学習回数行うことを、学習後のニューラルネットワークを用いて算出されたσLとσMの関係がσL≧σMとなるまで繰り返した。
上記学習を、解析度判定値が3%未満になるまで行った。
ニューラルネットワークとしては、中間層を有する階層型のニューラルネットワークを用いた。
学習終了後、上記学習データ及びモニターデータの監視データの実測値に基づいて、キルンへの投入直前のクリンカー原料の水硬率を予測した。その結果を図26に示す。
Claims (8)
- 入力層及び出力層を有するニューラルネットワークを用いたセメントの品質または製造条件の予測方法であって、
上記入力層は、セメント製造における監視データの実測値を入力するためのものであり、上記出力層は、セメントの品質または製造条件の評価に関連する評価データの推測値を出力するためのものであり、
上記監視データと上記評価データの組み合わせが、
(i)上記監視データが、クリンカー原料に関するデータ、焼成条件に関するデータ、粉砕条件に関するデータ、及びクリンカーに関するデータの中から選ばれる一種以上のデータであり、かつ、上記評価データが、クリンカー原料に関するデータ、焼成条件に関するデータ、粉砕条件に関するデータ、クリンカーに関するデータ、セメントに関するデータである組み合わせ、または、
(ii)上記監視データが、クリンカー原料に関するデータ、焼成条件に関するデータ、粉砕条件に関するデータ、クリンカーに関するデータ、及びセメントに関するデータであり、かつ、上記評価データが、セメント含有水硬性組成物の物性に関するデータである組み合わせ、であり、
(A)学習回数の初期設定を行う工程と、
(B)監視データの実測値と評価データの実測値の組み合わせである学習データを複数用いて、ニューラルネットワークの学習を設定された学習回数行う工程と、
(C)学習データの監視データの実測値を、直近の工程(B)において学習が行われたニューラルネットワークの入力層に入力して得られた評価データの推測値と学習データの評価データの実測値との平均2乗誤差(σL)、及び、ニューラルネットワークの学習結果の信頼性を確認するための監視データの実測値と評価データの実測値の組み合わせであるモニターデータの中の監視データの実測値を、直近の工程(B)において学習が行われたニューラルネットワークの入力層に入力して得られた評価データの推測値とモニターデータの中の評価データの実測値との平均2乗誤差(σM)を算出し、算出されたσLとσMの関係がσL≧σMである場合、工程(D)を実施し、算出されたσLとσMの関係がσL<σMである場合、工程(E)を実施する工程と、
(D)設定された学習回数を増やして、新たな学習回数として再設定し、再度工程(B)〜(C)を実施する工程と、
(E)直近のニューラルネットワークの学習で実施された学習回数を減らした学習回数を、新たな学習回数として再設定する工程と、
(F)工程(B)で用いられた学習データを用いて、ニューラルネットワークの学習を設定された学習回数行う工程と、
(G)学習データの監視データの実測値を、直近の工程(F)において学習が行われたニューラルネットワークの入力層に入力して得られた評価データの推測値と学習データの評価データの実測値との平均2乗誤差(σL)、及び、モニターデータの中の監視データの実測値を、直近の工程(F)において学習が行われたニューラルネットワークの入力層に入力して得られた評価データの推測値とモニターデータの中の評価データの実測値との平均2乗誤差(σM)を算出し、算出されたσLとσMの関係がσL≧σMである場合、工程(I)を実施し、算出されたσLとσMの関係がσL<σMである場合、工程(H)を実施する工程と、
(H)直近に行った工程(F)におけるニューラルネットワークの学習回数が予め定めた数値を超えている場合、再度工程(E)〜(G)を実施し、直近に行った工程(F)におけるニューラルネットワークの学習回数が予め定めた数値以下の場合、工程(K)を実施する工程と、
(I)下記式(1)を用いて解析度判定値を算出し、該解析度判定値が予め定めた設定値未満である場合、上記入力層に、セメント製造における監視データの実測値を入力して、上記出力層から、セメントの品質または製造条件の評価に関連する評価データの推測値を出力し、解析度判定値が予め定めた設定値以上である場合、工程(K)を実施する工程と、
(K)学習条件の初期化を行って、再度工程(A)〜(K)を実施する工程と、
を含むことを特徴とするセメントの品質または製造条件の予測方法。
- (J)上記工程(K)の前に、工程(A)を実施した回数の大きさについての判定を行い、該回数が予め設定した回数以下である場合、学習条件の初期化を行って、再度工程(A)〜(I)を行い、該回数が予め設定した回数を超える場合、ニューラルネットワークの学習を終了する工程を含む請求項1に記載のセメントの品質または製造条件の予測方法。
- 上記解析度判定値の予め定めた設定値が6%以下の値である請求項1または2に記載のセメントの品質または製造条件の予測方法。
- 上記ニューラルネットワークが、上記入力層と上記出力層の間に中間層を有する階層型のニューラルネットワークである請求項1〜3のいずれか1項に記載のセメントの品質または製造条件の予測方法。
- 上記監視データと上記評価データの組み合わせが、監視データはクリンカー原料に関するデータ、焼成条件に関するデータ、及びクリンカーに関するデータであり、かつ、評価データはクリンカーに関するデータであり、
監視データの、上記クリンカー原料に関するデータとは、クリンカー原料の化学組成であり、上記焼成条件に関するデータとはキルン落口温度、キルン焼成帯温度、及びキルン平均トルクであり、上記クリンカーに関するデータとは、クリンカーの化学組成、及び、容重であり、評価データの、クリンカーに関するデータとは湿式f.CaO(フリーライム)である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のセメントの品質または製造条件の予測方法。 - 上記監視データと上記評価データの組み合わせが、監視データは焼成条件に関するデータ、及びセメントに関するデータであり、かつ、評価データはセメント含有水硬性組成物の物性に関するデータであり、
監視データの、上記焼成条件に関するデータとは、キルン落口温度、及びクーラー温度であり、セメントに関するデータとは、セメントのブレーン比表面積、残分量、湿式f.CaO、鉱物組成、及び化学組成であり、評価データの、上記セメント含有水硬性組成物の物性に関するデータはモルタルの圧縮強度である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のセメントの品質または製造条件の予測方法。 - 上記監視データの値を人為的に変動させて得られた上記評価データの推測値に基づいて、セメントの製造条件を最適化する請求項1〜6のいずれか1項に記載のセメントの品質または製造条件の予測方法。
- 上記評価データの推測値と、該推測値に対応する実測値の乖離の大きさを定期的に点検し、その点検結果に基づいて、上記ニューラルネットワークを更新する請求項1〜7のいずれか1項に記載のセメントの品質または製造条件の予測方法。
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