JP2018168021A - セメントの品質または製造条件の予測方法 - Google Patents

セメントの品質または製造条件の予測方法 Download PDF

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諒一 末松
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大亮 黒川
宙 平尾
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宙 平尾
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Abstract

【課題】予測の誤差を早期に判断し、予測の精度を改善するニューラルネットワークを用いたセメントの品質または製造条件の予測方法を提供する。【解決手段】監視データの実測値と評価データの実測値の組み合わせである学習データを複数用いて学習を行ったニューラルネットワークを用いたセメントの品質または製造条件の予測方法であって、定期的に、評価データの推測値と該推測値に対応する実測値の差の絶対値を算出し、該絶対値が、特定の平均2乗誤差に1.3を乗じた数値以上である場合が連続し、かつ、連続している各々の絶対値と上記平均2乗誤差の比(絶対値/平均2乗誤差)を累計した数値に、上記絶対値を算出する定期的間隔(日)を乗じた値が12.0(日)以上となった場合、ニューラルネットワークの再学習を行い、得られたニューラルネットワークを、新たなニューラルネットワークとして用いるセメントの品質または製造条件の予測方法。【選択図】図1

Description

本発明は、ニューラルネットワークを用いたセメントの品質または製造条件の予測方法に関する。
硬化前の流動性、作業性や、硬化後の種々の化学的、物理的特性等、セメントには多くの品質が求められている。
重要な品質項目として、例えば、「JIS R 5201(セメントの物理試験方法)」に準拠した材齢28日におけるモルタルの圧縮強さ等が挙げられる。しかし、上記モルタルの圧縮強さ等の材齢を要素とする品質項目は、品質試験結果が判明するまでに長期の時間を要するため、品質試験結果を確認した後にセメントを出荷することが困難であるという問題があった。
このため、セメントの製造現場では、セメントクリンカーの組成(化学組成や鉱物組成)やセメントの粉末度等の製造工程での品質管理項目を設定し、材齢を要素とする品質項目が所定の管理基準値を満足するように、それら製造工程での品質管理項目に、経験に基づいた管理基準値を設定している。
しかし、製造工程での品質管理項目を指標としたセメントの品質管理方法は、限られた代替指標による間接的管理であることから、管理精度にある程度のあいまいさを有していることは避けられず、過剰に安全側に管理基準を設定せざるを得ない方法である。
そこで、そのような過剰に安全側に設定した品質管理傾向から生じる過剰スペックの製品の発生を抑制しながら、所定の品質の製品を安定的に製造し、さらに、品質規格を外れた異常品の製造を防止するため、上記製造工程での品質管理項目の情報に加えて、セメント製造に関する種々のその他の情報を活用して、より高精度にセメントの品質を予測する技術が種々提案されている。
ニューラルネットワークの学習プロセスを含むセメントの品質予測方法として、例えば、特許文献1には、監視データの実測値を入力するための入力層と、評価データの推測値を出力するための出力層を有するニューラルネットワークを用いたセメントの品質または製造方法の予測方法であって、学習データとモニターデータを用いて、σ<σとなるような、十分に大きい学習回数でニューラルネットワークの学習を行った後に、学習回数を減らしながらニューラルネットワークの学習をσ≧σとなるまで繰り返し、学習後の解析度判定値が予め定めた設定値未満である場合に、ニューラルネットワークの入力層に、セメント製造における監視データの実測値を入力して、学習後のニューラルネットワークの出力層から、セメントの品質または製造条件の評価に関連する評価データの推測値を出力する、セメントの品質または製造条件の予測方法が記載されている。該予測方法によれば、短時間でかつ高い精度でセメントの品質または製造条件を予測することができる。
特許第5323290号公報
セメント製造において、ニューラルネットワークを用いたセメントの品質または製造条件の予測を継続的に行う場合、セメントの原料や製造条件が変化する等によって、予測に用いられる監視データの種類が適切なものではなくなる場合がある。監視データの種類が適切なものではなくなった場合、予測結果に基づいてセメントの製造条件の最適化を行うことができなくなる可能性がある。
そこで、本発明の目的は、監視データの種類が適切なものではなくなったことを原因とする予測の誤差を早期に判断し、迅速に予測の精度を改善することができるニューラルネットワークを用いたセメントの品質または製造条件の予測方法を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、監視データの実測値と評価データの実測値の組み合わせである学習データを複数用いて学習を行った学習済みのニューラルネットワークを用いたセメントの品質または製造条件の予測方法であって、定期的間隔で、評価データの推測値と実測値の差の絶対値を算出し、該絶対値が、特定の平均2乗誤差(σ)に1.3を乗じた数値以上である場合が連続し、かつ、連続した複数の絶対値の各々と上記平均2乗誤差(σ)の比(絶対値/平均2乗誤差(σ))の合計の値に、上記定期的間隔(日)を乗じて得られる値が、12(日)以上となった場合、ニューラルネットワークの再学習を行い、得られたニューラルネットワークを、新たな学習済みのニューラルネットワークとして用いるセメントの品質または製造条件の予測方法によれば、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[7]を提供するものである。
[1] セメント製造における監視データの実測値を入力するための入力層、及び、セメントの品質または製造条件の評価に関連する評価データの推測値を出力するための出力層を有するニューラルネットワークを用いて、セメントの品質または製造条件を予測するための方法であって、上記ニューラルネットワークは、上記監視データの実測値と上記評価データの実測値の組み合わせである学習データを複数用いて、予め学習を行った学習済みのニューラルネットワークであり、上記学習済みのニューラルネットワークを用いた、上記入力層への上記監視データの実測値の入力、および、上記出力層からの上記評価データの推測値の出力を行ないつつ、定期的間隔で、上記評価データにおける推測値と実測値との差の絶対値を算出し、上記絶対値が、上記学習データを構成する監視データの実測値を上記学習済みのニューラルネットワークの入力層に入力して得られた評価データの推測値と、上記学習データを構成する評価データの実測値との平均2乗誤差(σ)に、1.3を乗じた数値以上である場合が、上記定期的間隔の中で連続し、かつ、これら連続した複数の絶対値の各々と上記平均2乗誤差(σ)との比(絶対値/平均2乗誤差(σ))の合計の値に、上記定期的間隔(日)を乗じて得られる値が、12(日)以上となった場合に、上記学習済みのニューラルネットワークの再学習を行い、得られたニューラルネットワークを、新たな学習済みのニューラルネットワークとして用いることを特徴とするセメントの品質または製造条件の予測方法。
[2] ニューラルネットワークの再学習を、上記絶対値が、上記平均2乗誤差(σ)に2.0を乗じた数値以上であることが二回続いた場合に行う前記[1]に記載のセメントの品質または製造条件の予測方法。
[3] 上記学習済みのニューラルネットワークが、
(A)学習回数の初期設定を行う工程と、
(B)上記学習データを複数用いて、ニューラルネットワークの学習を、前工程で設定された学習回数行う工程と、
(C)学習データの監視データの実測値を、直近の工程(B)における学習で得られたニューラルネットワークの入力層に入力して得られた評価データの推測値と学習データの評価データの実測値との平均2乗誤差(σ)、及び、ニューラルネットワークの学習結果の信頼性を確認するための監視データの実測値と評価データの実測値の組み合わせであるモニターデータの中の監視データの実測値を、直近の工程(B)における学習で得られたニューラルネットワークの入力層に入力して得られた評価データの推測値とモニターデータの中の評価データの実測値との平均2乗誤差(σ)を算出し、算出されたσとσの関係がσ≧σである場合、工程(D)を実施し、算出されたσとσの関係がσ<σである場合、工程(E)を実施する工程と、
(D)直近の工程(A)で設定された学習回数および再設定された直近のニューラルネットワークの学習回数のいずれの学習回数よりも大きい学習回数を新たな学習回数として再設定し、再度工程(B)〜(C)を実施する工程と、
(E)直近のニューラルネットワークの学習で実施された学習回数を減らした学習回数を、新たな学習回数として再設定する工程と、
(F)直近の工程(B)で用いられた学習データを用いて、ニューラルネットワークの学習を直近の工程(E)で設定された学習回数行う工程と、
(G)学習データの監視データの実測値を、直近の工程(F)における学習で得られたニューラルネットワークの入力層に入力して得られた評価データの推測値と学習データの評価データの実測値との平均2乗誤差(σ)、及び、モニターデータの中の監視データの実測値を、直近の工程(F)における学習で得られたニューラルネットワークの入力層に入力して得られた評価データの推測値とモニターデータの中の評価データの実測値との平均2乗誤差(σ)を算出し、算出されたσとσの関係がσ≧σである場合、工程(I)を実施し、算出されたσとσの関係がσ<σである場合、工程(H)を実施する工程と、
(H)直近の工程(F)におけるニューラルネットワークの学習回数が予め定めた数値を超えている場合、再度工程(E)〜(G)を実施し、直近の工程(F)におけるニューラルネットワークの学習回数が予め定めた数値以下の場合、工程(J)を実施する工程と、
(I)下記式(1)を用いて解析度判定値を算出し、該解析度判定値が予め定めた第一の設定値以上である場合、工程(J)を実施し、上記解析度判定値が予め定めた第一の設定値未満である場合、ニューラルネットワークの学習を終了し、学習済みのニューラルネットワークを得る工程と、
(J)工程(A)を実施した回数の大きさについての判定を行い、該回数が予め設定した回数以下である場合、学習条件の初期化を行って、再度工程(A)〜(I)を行い、該回数が予め設定した回数を超える場合、ニューラルネットワークの学習を終了する工程、を含む学習方法によって得られたものである前記[1]又は[2]に記載のセメントの品質または製造条件の予測方法。
Figure 2018168021
(上記式(1)中、学習データの平均2乗誤差(σ)とは、学習データの監視データの実測値を学習後のニューラルネットワークの入力層に入力して得られた評価データの推測値と学習データの評価データの実測値との平均2乗誤差(σ)である。評価データの推測値の平均値とは、学習データの監視データの実測値を学習後のニューラルネットワークの入力層に入力して得られた評価データの推測値の平均値である。)
[4] 上記学習方法を行った後、
(K)工程(J)において、工程(A)を実施した回数が予め設定した回数を超える場合、工程(I)において算出した全ての解析度判定値のうち、最も小さい解析度判定値が予め定めた第二の設定値未満である場合、最も小さい解析度判定値を得ることができた工程(I)におけるニューラルネットワークを、学習済みのニューラルネットワークとして得た後、工程(L)を実施し、最も小さい解析度判定値が予め定めた第二の設定値以上である場合、セメントの品質または製造条件を予測することはできないと判断して予測を終了する工程と、
(L)工程(I)において算出した全ての解析度判定値のうち、最も小さい解析度判定値を得ることができた工程(I)において、学習データとして使用した監視データの実測値と評価データの実測値の組み合わせについて無相関検定を行い、5%の有意水準で有意であると判断された監視データの種類が2種以上である場合、5%の有意水準で有意であると判断された監視データの全種類を座標軸とする座標空間に学習データとして使用した監視データの実測値をプロットし、座標空間において、プロットされた監視データ同士を結ぶことで形成される監視データの全てを包含する領域であって、該領域が最大となるように監視データ同士を結ぶことで形成される領域を、予測可能監視データ領域として設定した後、工程(M)を実施し、5%の有意水準で有意であると判断された監視データが0または1種類である場合、セメントの品質または製造条件を予測することはできないと判断して予測を終了する工程と、
(M)セメント製造における監視データの実測値が、上記予測可能監視データ領域に含まれるかどうかを判定し、セメント製造における監視データの実測値が、上記予測可能監視データ領域に含まれる場合、工程(K)で得た学習済みのニューラルネットワークの入力層に、セメント製造における監視データの実測値を入力して、上記ニューラルネットワークの出力層から、セメントの品質または製造条件の評価に関連する評価データの推測値を出力してセメントの品質または製造条件を予測し、セメント製造における監視データの実測値が、上記予測可能監視データ領域に含まれない場合、セメントの品質または製造条件を予測することはできないと判断して予測を終了する工程、を実施する前記[3]に記載のセメントの品質または製造条件の予測方法。
[5] 上記監視データと上記評価データの組み合わせが、
(i)上記監視データが、セメントクリンカーの原料に関するデータ、セメントクリンカーの焼成条件に関するデータ、セメントの粉砕条件に関するデータ、及びセメントクリンカーに関するデータの中から選ばれる一種以上のデータであり、かつ、上記評価データが、セメントクリンカーの原料に関するデータ、セメントクリンカーの焼成条件に関するデータ、セメントの粉砕条件に関するデータ、セメントクリンカーに関するデータ、及びセメントに関するデータの中から選ばれる一種以上のデータである組み合わせ、または、
(ii)上記監視データが、セメントクリンカーの原料に関するデータ、セメントクリンカーの焼成条件に関するデータ、セメントの粉砕条件に関するデータ、セメントクリンカーに関するデータ、セメントに関するデータ、及び混合材に関するデータの中から選ばれる一種以上のデータであり、かつ、上記評価データが、セメントと水を混練してなる組成物の物性に関するデータである組み合わせ、
である前記[1]〜[4]のいずれかに記載のセメントの品質または製造条件の予測方法。
[6] 上記セメントがポルトランドセメントであり、上記監視データと上記評価データの組み合わせが、(ii)上記監視データが、セメントに関するデータであり、かつ、上記評価データが、セメントと水を混練してなる組成物の物性に関するデータである組み合わせであり、上記監視データである、セメントに関するデータは、ポルトランドセメントのブレーン比表面積、ふるい試験残分量、湿式f.CaO、鉱物組成、及び化学組成の中から選ばれる一種以上であり、上記評価データである、セメントと水を混練してなる組成物の物性に関するデータは、モルタルの圧縮強さ、曲げ強度、流動性、水和熱、及び凝結時間の中から選ばれる一種以上である前記[5]に記載のセメントの品質または製造条件の予測方法。
[7] 上記監視データが、任意に選択した1種以上の監視データからなる監視データ集合体を、2種以上用意し、該2種以上の監視データ集合体の各々について、
監視データの実測値と評価データの実測値の組み合わせである選択データを複数用いて、上記学習済みのニューラルネットワークとは異なる未学習のニューラルネットワークの学習を行い、得られたニューラルネットワークの入力層に、選択データの監視データの実測値を入力して得られた評価データの推測値と、選択データの評価データの実測値との平均2乗誤差を算出し、
平均2乗誤差の数値が最も小さかった選択データにおける監視データである前記[1]〜[6]のいずれかに記載のセメントの品質または製造条件の予測方法。
本発明のセメントの品質または製造条件の予測方法によれば、監視データの種類が適切なものではなくなったことを原因とする予測の誤差を早期に判断し、迅速に予測の精度を改善することができる。
ニューラルネットワークの学習方法の一例を示すフロー図である。 工程(L)において設定された予測可能監視データ領域を示す図である。
本発明の予測方法は、セメント製造における監視データの実測値を入力するための入力層、及び、セメントの品質または製造条件の評価に関連する評価データの推測値を出力するための出力層を有するニューラルネットワークを用いて、セメントの品質または製造条件を予測するための方法であって、上記ニューラルネットワークは、上記監視データの実測値と上記評価データの実測値の組み合わせである学習データを複数用いて、予め学習を行った学習済みのニューラルネットワークであり、上記学習済みのニューラルネットワークを用いた、上記入力層への上記監視データの実測値の入力、および、上記出力層からの上記評価データの推測値の出力を行ないつつ、定期的間隔で、上記評価データにおける推測値と実測値との差の絶対値を算出し、上記絶対値が、上記学習データを構成する監視データの実測値を上記学習済みのニューラルネットワークの入力層に入力して得られた評価データの推測値と、上記学習データを構成する評価データの実測値との平均2乗誤差(σ)に、1.3を乗じた数値以上である場合が、上記定期的間隔の中で連続し、かつ、これら連続した複数の絶対値の各々と上記平均2乗誤差(σ)との比(絶対値/平均2乗誤差(σ))の合計の値に、上記定期的間隔(日)を乗じて得られる値が、12(日)以上となった場合に、上記学習済みのニューラルネットワークの再学習を行い、得られたニューラルネットワークを、新たな学習済みのニューラルネットワークとして用いるものである。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明で用いられる学習済みのニューラルネットワークとは、セメント製造における監視データの実測値とセメントの品質または製造条件の評価に関連する評価データの実測値の組み合わせである学習データを複数用いて学習を行ったものである。
本発明で用いられるニューラルネットワークは、特に限定されるものではなく、入力層と出力層の間に中間層を有する階層型のニューラルネットワークであってもよい。
ニューラルネットワークの学習や学習済みのニューラルネットワークを用いたセメントの品質または製造条件の予測に用いられる監視データと評価データの組み合わせとしては、以下の(i)または(ii)が挙げられる。
(i)上記監視データがセメントクリンカーの原料に関するデータ、セメントクリンカーの焼成条件に関するデータ、セメントの粉砕条件に関するデータ、及びセメントクリンカーに関するデータの中から選ばれる一種以上のデータであり、かつ、上記評価データが、セメントクリンカーの原料に関するデータ、セメントクリンカーの焼成条件に関するデータ、セメントの粉砕条件に関するデータ、セメントクリンカーに関するデータ、及びセメントに関するデータの中から選ばれる一種以上のデータである組み合わせ
(ii)上記監視データが、セメントクリンカーの原料に関するデータ、セメントクリンカーの焼成条件に関するデータ、セメントの粉砕条件に関するデータ、セメントクリンカーに関するデータ、セメントに関するデータ、及び混合材に関するデータの中から選ばれる一種以上のデータであり、かつ、上記評価データが、セメントと水を混練してなる組成物の物性に関するデータである組み合わせ
前記(i)の組み合わせにおける監視データの一つである「セメントクリンカーの原料に関するデータ」は、セメントクリンカーの調合原料の化学組成、水硬率、ふるい試験残分量、ブレーン比表面積(粉末度)、強熱減量;キルンへの投入時から所定の時間前の時点(例えば、5時間前の1つの時点や、3時間前、4時間前、5時間前、及び6時間前の4つの時点のような複数の時点)のセメントクリンカーの原料(搬送中に向流する空気流によって微粒分等が抜き取られたセメントクリンカーの調合原料。以後、セメントクリンカーの窯入原料と称す。)の化学組成、水硬率、供給量;廃棄物のような特殊な原料からなるセメントクリンカーの副原料の供給量、調合原料のブレンディングサイロの貯留量(残量)、調合原料のストレージサイロの貯留量(残量)、原料ミルと調合原料のブレンディングサイロの間に位置するサイクロンの電流値(サイクロンの回転数を表し、サイクロンを通過する原料の速度と相関関係があるもの);セメントクリンカーの窯入原料と副原料を混合してなる原料の化学組成、水硬率、ブレーン比表面積、ふるい試験残分量、脱炭酸率、水分量、等が挙げられる。これらのデータは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いられる。
ここで、セメントクリンカーの原料(調合原料または窯入原料)の化学組成とは、セメントクリンカーの原料中のSiO、Al、Fe、CaO、MgO、SO、NaO、KO、NaOeq(全アルカリ)、TiO、P、MnO、Cl、Cr、Zn、Pb、Cu、Ni、V、As、Zr、Mo、Sr、Ba、F等の含有率である。
前記(i)の組み合わせにおける監視データの一つである「セメントクリンカーの焼成条件に関するデータ」は、セメントクリンカーの原料の挿入量、キルンの窯入CFW、キルン回転数、落口温度、焼成帯温度、セメントクリンカー温度、キルン平均トルク、O濃度、NO濃度、クリンカークーラー温度、プレヒーターのガスの流量(プレヒーターの温度と相関関係があるもの)等が挙げられる。これらのデータは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いられる。
前記(i)の組み合わせにおける監視データの一つである「セメントの粉砕条件に関するデータ」は、粉砕温度、仕上ミル内の散水量、セパレーター風量、石膏の種類、石膏の添加量、セメントクリンカーの投入量、仕上ミルの回転数、仕上ミルから排出される粉体の温度、仕上ミルから排出される粉体の量、仕上ミルから排出されない粉体の量、被粉砕性等が挙げられる。
前記(i)の組み合わせにおける監視データの一つである「セメントクリンカーに関するデータ」は、セメントクリンカーの鉱物組成、各鉱物の結晶学的性質(格子定数や結晶子径など)、2種以上の鉱物組成の比、化学組成、湿式f.CaO(フリーライム)、容量、容重等が挙げられる。これらのデータは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いられる。
ここで、セメントクリンカーの鉱物組成とは、3CaO・SiO(CS)、2CaO・SiO(CS)、3CaO・Al(CA)、4CaO・Al・Fe(CAF)、f.CaO、f.MgO等の含有率である。また「2種以上の鉱物組成の比」としては、例えば、CS/CSの比が挙げられる。
なお、セメントクリンカーの鉱物組成は、例えばXRD−リートベルト法によって得ることができる。
セメントクリンカーの化学組成とは、セメントクリンカー中のSiO、Al、Fe、CaO、MgO、SO、NaO、KO、NaOeq(全アルカリ)、TiO、P、MnO、Cl、Cr、Zn、Pb、Cu、Ni、V、As、Zr、Mo、Sr、Ba、F等の含有率である。
前記(i)の組み合わせにおいて、監視データとして、セメントクリンカーの原料に関するデータ、セメントクリンカーの焼成条件に関するデータ、セメントの粉砕条件に関するデータ、及びセメントクリンカーに関するデータの中から選ばれるいずれか一種のデータのみを用いてもよいが、これら4種のデータのうちの2種以上(複数)のデータを用いることが、評価データの予測の精度を高める観点から、好ましい。
前記(i)の組み合わせにおける評価データである「セメントクリンカーの原料に関するデータ」、「セメントクリンカーの焼成条件に関するデータ」、「セメントの粉砕条件に関するデータ」、及び「セメントクリンカーに関するデータ」は、各々、上述した監視データである「セメントクリンカーの原料に関するデータ」、「セメントクリンカーの焼成条件に関するデータ」、「セメントの粉砕条件に関するデータ」、及び「セメントクリンカーに関するデータ」と同様である。
また、上述した「セメントクリンカーの原料に関するデータ」、「セメントクリンカーの焼成条件に関するデータ」、「セメントの粉砕条件に関するデータ」、及び「セメントクリンカーに関するデータ」は監視データを兼ねることができる。
前記(i)の組み合わせにおける評価データの一つである「セメントに関するデータ」は、ブレーン比表面積、ふるい試験残分量、石膏の半水化率、色調等が挙げられる。
前記(ii)の組み合わせにおける監視データである「セメントクリンカーの原料に関するデータ」、「セメントクリンカーの焼成条件に関するデータ」、「セメントの粉砕条件に関するデータ」、「セメントクリンカーに関するデータ」は、各々、前記(i)の組み合わせにおける監視データである「セメントクリンカーの原料に関するデータ」、「セメントクリンカーの焼成条件に関するデータ」、「セメントの粉砕条件に関するデータ」、「セメントクリンカーに関するデータ」と同様である。
前記(ii)の組み合わせにおける監視データである「セメントに関するデータ」は、セメントの化学組成、鉱物組成、各鉱物の結晶学的性質(格子定数や結晶子径など)、湿式f.CaO、強熱減量、ブレーン比表面積、粒度分布、ふるい試験残分量(31μmふるい試験残分量、32μmふるい試験残分量等)、石膏の半水化率、色調、及び密度;上記セメントが混合セメントの場合における、混合セメントに含まれるポルトランドセメント(基材セメント)のブレーン比表面積、ふるい試験残分量、密度、湿式f.CaO、鉱物組成、化学組成、石膏の半水化率、色調、混合セメントの鉱物組成、及び混合材の含有率、等が挙げられる。なお、前記セメントとしては、例えば、(1)「日本工業規格(以降「JIS」と称す) R 5210(ポルトランドセメント)」に規定される各種ポルトランドセメントや、(2)前記各種ポルトランドセメントと、高炉スラグ粉末、焼成頁岩粉末、フライアッシュ、石灰石粉末、シリカフュームから選ばれる一種以上の混合材を混合してなる各種混合セメントや、(3)「JIS R 5214(エコセメント)」に規定されるエコセメント等が挙げられる。前記混合セメントとしては、例えば、「JIS R 5211(高炉セメント)」に規定される高炉セメントや、「JIS R 5213(フライアッシュセメント)」に規定されるフライアッシュセメントや、前記フライアッシュセメントよりもフライアッシュの含有率が大きい(フライアッシュの含有率が30質量%を越え60質量%以下)セメント等が挙げられる。なお、本明細書において、ポルトランドセメントとフライアッシュを混合した混合セメントを、以降「フライアッシュ混合セメント」と称す。
また、前記(ii)の組み合わせにおける監視データである「混合材に関するデータ」としては、セメント(例えば、混合セメント)に含まれる混合材のブレーン比表面積、ふるい試験残分量(45μmふるい試験残分量等)、密度、化学組成、強熱減量、及びガラス化率等が挙げられる。
これらのデータは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いられる。
ここで、セメント(各種ポルトランドセメント、混合セメント等)の化学組成とは、セメント原料(セメントが混合材を含む場合は、混合材を含むセメント原料)中のSiO、Al、Fe、CaO、MgO、SO、NaO、KO、NaOeq(全アルカリ)、TiO、P、MnO、Cl、Cr、Zn、Pb、Cu、Ni、V、As、Zr、Mo、Sr、Ba、F等の量や割合(含有率)である。
セメント(各種ポルトランドセメント)の鉱物組成とは、3CaO・SiO(CS)、2CaO・SiO(CS)、3CaO・Al(CA)、4CaO・Al・Fe(CAF)、f.CaO、f.MgO、CaCO、石膏(例えば、二水石膏、半水石膏)、カルサイト等の量や割合(含有率)である。
混合セメントの鉱物組成とは、3CaO・SiO(CS)、2CaO・SiO(CS)、3CaO・Al(CA)、4CaO・Al・Fe(CAF)、f.CaO、f.MgO、CaCO、石膏(例えば、二水石膏、半水石膏)、カルサイト、ムライト、マグネタイト、石英、ガラス等の量や割合(含有率)である。前記混合セメントの鉱物組成は、例えばXRD−リートベルト法によって得ることができる。
なお、セメントの化学組成及び鉱物組成のデータは、前記(i)の組み合わせにおける評価データである「セメントクリンカーに関するデータ」を利用してもよい。
混合材の化学組成とは、混合材中のSiO、Al、Fe、CaO、MgO、SO、NaO、KO、NaOeq(全アルカリ)、TiO、P、MnO、Cl、Cr、Zn、Pb、Cu、Ni、V、As、Zr、Mo、Sr、Ba、F等の量や割合(含有率)である。
色調(色調L値、色調a値、色調b値)は、「JIS Z 8722(色の測定方法−反射及び透過物体色)」の方法等による測定値である。
前記(ii)の組み合わせにおける評価データである「セメントと水を混練してなる組成物の物性」は、モルタルの圧縮強さ、曲げ強度、流動性(フロー値)、水和熱、凝結時間、乾燥収縮率、安定性、水中膨張、耐硫酸塩性、中性化、ASR抵抗等が挙げられる。
上記(ii)の組み合わせにおける評価データのセメントと水を混練してなる組成物の物性のうち、モルタルの圧縮強さ、曲げ強度、流動性(フロー値)、水和熱、または凝結時間を、より高い精度で予測することができる、好ましい監視データの組み合わせは、セメントクリンカーの原料に関するデータのうち、セメントクリンカーの調合原料の化学組成、水硬率、ふるい試験残分量、ブレーン比表面積、強熱減量;セメントクリンカーの焼成条件に関するデータのうち、キルンの窯入CFW、キルン回転数、落口温度、焼成帯温度、セメントクリンカー温度、キルン平均トルク、O濃度、NO濃度、クリンカークーラー温度、プレヒーターのガスの流量;セメントの粉砕条件に関するデータのうち、粉砕温度、仕上ミル内の散水量、セパレーター風量、石膏の添加量、セメントクリンカーの投入量、仕上ミルの回転数、仕上ミルから排出される粉体の温度、仕上ミルから排出される粉体の量、仕上げミルから排出されない粉体の量、被粉砕性;セメントクリンカーに関するデータのうち、セメントクリンカーの鉱物組成、各鉱物の結晶学的性質、2種以上の鉱物組成の比、化学組成、容量;セメントに関するデータのうち、セメントの化学組成、鉱物組成、各鉱物の結晶学的性質、湿式f.CaO、強熱減量、ブレーン比表面積、粒度分布、ふるい試験残分量、密度、色調L値、色調a値、色調b値、混合材の含有率;混合材に関するデータのうち、混合材のブレーン比表面積、ふるい試験残分量、密度の中から選ばれる一種以上である。
上記監視データの中でも、より好ましい監視データの組み合わせとしては、以下の(a)〜(b)が挙げられる。
(a)予測の対象となるセメントがポルトランドセメントであり、かつ、監視データの組み合わせが、セメント(ポルトランドセメント)に関するデータのうち、セメントのブレーン比表面積、ふるい試験残分量(31μmふるい試験残分量、32μmふるい試験残分量)、湿式f.CaO、鉱物組成(CS、CS、CA、CAF、二水石膏、半水石膏、f.CaO、f.MgO、CaCOの量)、及び化学組成(MgO、NaO、KO、NaOeq(全アルカリ)、P、TiOの量)の中から選ばれる1種以上であるもの
(b)予測の対象となるセメントがフライアッシュ混合セメント(混合セメント)であり、かつ、監視データの組み合わせが、セメント(混合セメント:フライアッシュ混合セメント)に関するデータのうち、セメント(混合セメント:フライアッシュ混合セメント)に含まれるポルトラントセメント(基材セメント)のブレーン比表面積、密度;セメント(混合セメント:フライアッシュ混合セメント)のブレーン比表面積、密度、混合材(フライアッシュ)の含有率であり、混合材(フライアッシュ)に関するデータのうち、混合材(フライアッシュ)のブレーン比表面積、ふるい試験残分量(45μmふるい試験残分量)、及び密度の中から選ばれる1種以上であるもの
本発明のセメントの品質または製造条件の予測方法において、対象となるセメントは、特に限定されず、例えば、(1)「JIS R 5210(ポルトランドセメント)」に規定される普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント等の各種ポルトランドセメントや、(2)前記各種ポルトランドセメントと、高炉スラグ粉末、焼成頁岩粉末、フライアッシュ、石灰石粉末、シリカフュームから選ばれる一種以上の混合材を混合してなる各種混合セメント(例えば、「JIS R 5211(高炉セメント)」に規定される高炉セメントや、フライアッシュ混合セメント等)、(3)「JIS R 5214(エコセメント)」に規定されるエコセメント等が挙げられる。
ポルトランドセメントの製造工程は、原料工程、焼成工程、仕上工程の3工程に大別される。原料工程は、石灰石、粘土、珪石、酸化鉄原料などのセメント原料を適当な割合で調合して、原料ミルで微粉砕し、ポルトランドセメントクリンカーの調合原料を得る工程である。焼成工程は、ポルトランドセメントクリンカーの調合原料をサスペンションプレヒーター等を経由してロータリーキルンに供給し、充分に焼成した後、冷却して、ポルトランドセメントクリンカーを得る工程である。仕上工程は、得られたポルトランドセメントクリンカーに適当な量の石膏などを加え、仕上ミルで微粉砕して、ポルトランドセメントを得る工程である。
本発明において、複数の種類の監視データの中から特定の種類の監視データを選択し、選択した監視データを、ニューラルネットワークの学習や学習済みのニューラルネットワークを用いた予測に用いることで、評価データの予測の精度をより高めることできる。
なお、特定の種類の監視データ(評価データの予測の精度をより高めることできる、1種又は2種以上の監視データの組み合わせ)は、予測の対象となる評価データの種類によって異なるものである。
特定の種類の監視データは、予測の対象となる評価データと相関性の高いものを選択することが好ましい。これらはセメント製造において経験的に知られているものを任意に選択してもよいが、以下の選択方法を用いて選択してもよい。
特定の種類の監視データを選択する方法としては、例えば、任意に選択した1種以上の監視データからなる監視データ集合体を、2種以上用意し、該2種以上の監視データ集合体の各々について、ニューラルネットワークの学習および学習済みのニューラルネットワークを用いた予測に用いるのに好適な監視データを選択するための、監視データの実測値と評価データの実測値の組み合わせ(以下、「選択データ」ともいう。)を複数用いて、本発明で用いられる学習済みのニューラルネットワークとは異なる未学習のニューラルネットワークの学習を行い、得られたニューラルネットワークの入力層に、選択データの監視データの実測値を入力して得られた評価データの推測値と、選択データの評価データの実測値との平均2乗誤差(RMSE:Root Mean Squared Error)を算出し、平均2乗誤差の数値が最も小さかった選択データにおける監視データを、ニューラルネットワークの学習および学習済みのニューラルネットワークを用いた予測に用いる監視データとして選択する方法が挙げられる。
任意に選択した1種以上の監視データとは、上述したセメントクリンカーの原料に関するデータ、セメントクリンカーの焼成条件に関するデータ、セメントの粉砕条件に関するデータ、セメントクリンカーに関するデータ、セメントに関するデータ、及び混合材に関するデータとして列挙されたものの中から任意に選択した1種以上(好ましくは4種以上、より好ましくは5種以上、特に好ましくは6種以上)のデータである。
任意に選択した1種以上の監視データからなる監視データ集合体を、2種以上(好ましくは3種以上、より好ましくは4種以上)用意し、該2種以上の監視データ集合体の各々について、集合体における監視データの実測値と評価データの実測値の組み合わせである選択データを複数用いて、未学習のニューラルネットワークの学習を行う。
具体的には、選択用の複数のサンプルを用意し、該サンプルの監視データ(任意に選択した1種以上の監視データ)の実測値、及び予測の対象となる評価データの実測値を測定して、これらを選択データとして用いる。該選択データのうち、監視データの実測値をニューラルネットワークの入力層に入力して、出力層から出力された評価データの推測値と、該評価データの推測値に対応する選択データの評価データの実測値を比較評価して、ニューラルネットワークを修正することを、任意の学習回数行うことで、ニューラルネットワークの学習が行われる。
選択用のサンプルの数は、より高い精度で予測を行うことができる監視データを選択できる観点から、好ましくは10以上、より好ましくは20以上、さらに好ましくは30以上、特に好ましくは40以上である。サンプル数の上限は、特に限定されるものではないが、作業性の観点から、例えば、10,000である。
上記ニューラルネットワークの学習回数は、特に限定されるものではないが、好ましくは100〜2,000回、より好ましくは200〜1,500回である。
本発明において、学習済みのニューラルネットワークを得ることができる学習方法としては、例えば、以下の工程(A)〜(J)を含む学習方法が挙げられる。
以下、ニューラルネットワークの学習方法について、図1を参照しながら詳しく説明する。
[工程(A)]
工程(A)では、学習回数の初期設定を実施する。設定される学習回数は、特に限定されるものではないが、好ましくは、ニューラルネットワークの過学習(オーバーラーニング)が発生する程度に、十分に大きな回数である。具体的には、通常5千〜100万回、好ましくは1万〜10万回である。
工程(A)では、ニューラルネットワークの過学習が発生する学習回数、具体的にはσ<σ(詳しくは後述する)となるような学習回数を設定することが好ましいが、後の工程において、学習回数の増減が行われるため、工程(A)において最初に設定される学習回数は、ニューラルネットワークの学習に通常行われる学習回数を用いても問題ない。
工程(A)終了後、工程(B)を実施する。
[工程(B)]
工程(B)では、学習用の監視データの実測値と評価データの実測値の組み合わせ(以下、「学習データ」ともいう。)を複数用いて、ニューラルネットワークの学習を、前工程で設定された学習回数行う。上記組み合わせの数は、例えば、5以上、好ましくは7以上である。上記組み合わせの数の上限は、特に限定されないが、例えば、1,000である。
ここで、「前工程で設定された学習回数」とは、工程(A)において設定される学習回数、または、工程(D)において再設定された新たな学習回数であって、直近の工程(工程(A)または工程(D))で設定された学習回数である。
具体的には、学習用の複数のサンプルを用意し、該サンプルの監視データの実測値、及び目的とする評価データの実測値を測定して、これらを学習データとして用いる。該学習データのうち、監視データの実測値をニューラルネットワークの入力層に入力して、出力層から出力された評価データの推測値と、該評価データの推測値に対応する学習データの評価データの実測値を比較評価してニューラルネットワークの修正することを、設定された学習回数行うことで、ニューラルネットワークの学習が行われる。
学習用のサンプルの数は、より高い精度で予測を行う観点から、好ましくは10以上、より好ましくは20以上である。サンプル数の上限は、特に限定されるものではないが、作業性の観点から、例えば、10,000である。
なお、学習回数を変更して、ニューラルネットワークの再学習を行う際には、前回の学習の結果得られたニューラルネットワークは初期化され、再度学習が行われる。
工程(B)終了後、工程(C)を実施する。
[工程(C)]
工程(C)では、σとσを算出する。σとσの大小関係から、工程(B)における学習がニューラルネットワークの過学習が発生する程度に十分に大きな回数行われたか否かを判断することができる。
具体的には、学習データの監視データの実測値を、直近の工程(B)における学習で得られたニューラルネットワークの入力層に入力して得られた評価データの推測値と学習データの評価データの実測値との平均2乗誤差(σ)を算出する。次いで、モニターデータの監視データの実測値を、直近の工程(B)における学習で得られたニューラルネットワークの入力層に入力して得られた評価データの推測値とモニターデータの評価データの実測値との平均2乗誤差(σ)を算出する。その後、算出されたσとσの数値を比較することで、ニューラルネットワークの学習が十分に大きな回数で行われたか判断することができる。
ここで、モニターデータとは、学習データを得るために用いられたサンプルとは別のサンプルから得られた、監視データの実測値及び評価データの実測値の組み合わせであり、ニューラルネットワークの学習結果の信頼性を確認するためのデータである。
モニターデータ(監視データの実測値及び評価データの実測値の組み合わせ)のサンプルの数は、作業性の観点から、学習データのサンプル数の好ましくは5〜50%、より好ましくは10〜30%である。
工程(C)で算出されたσとσの関係が、σ≧σである場合(図1の過学習判定における「No」)、直近に行った工程(B)の学習回数は、十分に大きな回数ではないと判断することができる。この場合、工程(D)を実施する。工程(C)で算出されたσとσの関係が、σ<σである場合(図1の過学習判定における「Yes」)、直近に行った工程(B)の学習回数は、十分に大きな回数であったと判断することができる。この場合、工程(E)を実施する。
[工程(D)]
工程(D)では、直近の工程(A)で設定された学習回数および再設定された直近のニューラルネットワークの学習回数のいずれの学習回数よりも大きい学習回数を新たな学習回数として再設定する(例えば、直近の工程(B)で実施された学習回数に2.0を乗じた数を新たな学習回数として設定する。)。新たな学習回数を再設定した後、再度工程(B)〜(C)を実施する。
[工程(E)]
工程(E)では、直近のニューラルネットワークの学習で実施された学習回数を減らした学習回数を、新たな学習回数として再設定する(例えば、直近の工程(B)または工程(F)で実施された学習回数に0.95を乗じた数を新たな学習回数として設定する。)。
なお、直近のニューラルネットワークの学習とは、より近い過去に実施された学習を指す。具体的には、工程(B)もしくは後述の工程(F)のうち、より近い過去に実施された学習を指す。
工程(E)終了後、工程(F)を実施する。
[工程(F)]
工程(F)では、直近の工程(B)で用いられた学習データを用いて、ニューラルネットワークの学習を直近の工程(E)で設定された学習回数行う。
工程(F)で実施する内容は、ニューラルネットワークの学習を工程(E)において新たに設定された学習回数行う以外は、工程(B)と同じである。
工程(F)終了後、工程(G)を実施する。
[工程(G)]
工程(G)では、直近の工程(F)における学習で得られたニューラルネットワークを用いて終了判定を行う。具体的には学習データの監視データの実測値を、直近の工程(F)における学習で得られたニューラルネットワークの入力層に入力して得られた評価データの推測値と学習データの評価データの実測値との平均2乗誤差(σ)、及び、モニターデータの中の監視データの実測値を、直近の工程(F)における学習で得られたニューラルネットワークの入力層に入力して得られた評価データの推測値とモニターデータの中の評価データの実測値との平均2乗誤差(σ)を算出し、算出されたσとσの関係が、σ≧σである場合(図1の終了判定における「Yes」)、直近に行った工程(F)の学習回数は、もはや十分に大きな回数ではないと判断することができる。この場合、後述する工程(I)を実施する。算出されたσとσの関係がσ<σである場合(図1の終了判定における「No」)、直近に行った工程(F)の学習回数は、いまだ十分に大きな回数であったと判断することができる。この場合、後述する工程(H)を実施する。
[工程(H)]
工程(H)では、直近の工程(F)におけるニューラルネットワークの学習回数が予め定めた数値を超えていたかどうかの判定を行う。工程(H)は、工程(E)から工程(G)を無限に繰り返すことを回避するために行われる。工程(H)において直近に行った工程(F)におけるニューラルネットワークの学習回数が予め定めた数値を超えていた場合(図1における「Yes」)は、再度工程(E)〜(G)を実施する。工程(H)において直近に行った工程(F)の学習回数が予め定めた数値以下場合(図1における「No」)は、後述の工程(J)を実施する。
なお、上記予め定めた数値とは、特に限定されず、例えば、工程(E)で設定された学習回数の100分の1の数値以下、もしくは、1以下または0以下等が挙げられる。
[工程(I)]
工程(I)では解析度判定値が予め定めた第一の設定値未満であるか否かによって、解析度の判定を行うことができる。解析度判定値は下記式(1)を用いて算出される。
Figure 2018168021
上記式(1)中、学習データの平均2乗誤差(σ)とは、直近の工程(G)で用いた平均2乗誤差(σ)と同じである。評価データの推測値の平均値とは、学習データの監視データの実測値を、直近の工程(F)にて得られたニューラルネットワークの入力層に入力して得られた評価データの推測値の平均値である。
解析度の判定を行うことで学習を行ったニューラルネットワークを用いて、セメントの品質等の予測を高い精度で行うことができるか否かを判断することができる。
解析度判定値が予め定めた第一の設定値未満(図1の第一の解析度判定における「Yes」)であれば、解析は十分であると判断され、ニューラルネットワークの学習は終了する。
解析は十分であると判断された学習済みのニューラルネットワークは、本発明の予測方法に用いられる。
具体的には、学習済みのニューラルネットワークの入力層に、セメント製造における監視データの実測値を入力して、学習済みのニューラルネットワークの出力層から、セメントの品質または製造条件の評価に関連する評価データの推測値を出力することで、セメントの品質または製造条件を予測することができる。
解析度判定値が予め定めた第一の設定値以上(図1の第一の解析度判定における「No」)であれば、学習データを用いて学習を行ったニューラルネットワークをそのまま用いて、セメントの品質等の予測を高い精度で行うことはできないと判断され、ニューラルネットワークの学習を終了する。なお、本工程において、セメントの品質等の予測を高い精度で行うことはできないと判断されたニューラルネットワークであっても、後述の工程(K)〜(M)を実施することで、セメントの品質または製造条件を予測することができる。
予め定めた第一の設定値は、特に限定されないが、より高い精度で予測を行う観点から、好ましくは6%以下、より好ましくは5%以下、特に好ましくは3%以下の値である。
なお、工程(A)〜(I)は、工程(I)において解析度判定値が予め定めた第一の設定値未満となるか、あるいは、工程(J)において該回数が予め設定した回数を超えるまで繰り返される。工程(I)を実施するたびに得られる、解析度判定値及び学習済みのニューラルネットワークは、後述する工程(K)において使用される。
[工程(J)]
工程(J)では、工程(A)を実施した回数が予め設定した数値以下であるかどうかの判定を実施する。判定を実施することによって、工程(A)から工程(I)を無限に繰り返すことを回避することができる。
工程(J)において、工程(A)を実施した回数が予め設定した回数以下(図1の回数判定における「Yes」)である場合、学習条件の初期化を行って、再度工程(A)〜(I)を行い、該回数が予め設定した回数を超える場合(図1の回数判定における「No」)、ニューラルネットワークの学習を終了する。ニューラルネットワークの学習を終了した後、後述の工程(K)〜(M)を実施してもよい。
予め設定した回数は、特に限定されないが、通常、5回以上である。予め設定した回数の上限は、工程(A)から工程(I)を多大に繰り返すことを防ぐ観点から、好ましくは100回以下である。
学習条件の初期化の方法としては、例えば、ニューラルネットワークを構成するユニットの閾値やユニットを結合している重みをランダムで変更した上で、学習データを再入力する方法、学習データを得るためのサンプルの数を増やす、使用する監視データの種類を変更する、又は不適切な学習データを除外する等を行った上で、新たな学習データを入力する方法等が挙げられる。
上述した工程(I)において、セメントの品質等の予測を高い精度で行うことはできないと判断されたニューラルネットワークであっても、以下の工程(K)〜(M)を実施することで、セメントの品質または製造条件を予測することができる場合がある。
[工程(K)]
工程(K)では、工程(J)において、工程(A)を実施した回数が予め設定した回数を超える場合において、工程(I)において算出した全ての解析度判定値のうち、最も小さい解析度判定値が予め定めた第二の設定値未満であるか否かによって、工程(I)において、セメントの品質等の予測を高い精度で行うことはできないと判断されたニューラルネットワークであっても、後述する工程(L)〜(M)を実施することによって、セメントの品質等の予測を高い精度で行うことができるか否かを判断することができる。
最も小さい解析度判定値が予め定めた第二の設定値未満(図1の第二の解析度判定における「Yes」)である場合、最も小さい解析度判定値を得ることができた工程(I)におけるニューラルネットワークを、学習済みのニューラルネットワークとして得た後、工程(L)を実施する。
最も小さい解析度判定値が予め定めた第二の設定値以上(図1の第二の解析度判定における「No」)であれば、学習データを用いて学習を行ったニューラルネットワークを用いて、セメントの品質等の次の予測を高い精度で行うことはできないと判断して予測を終了する。
予め定めた第二の設定値は、上記第一の設定値よりも大きいものである。また、上限は、より高い精度で予測を行う観点から、好ましくは30%以下、より好ましくは20%である。
[工程(L)]
工程(L)では、工程(M)で用いられる予測可能監視データ領域を設定する。
最初に、工程(I)において算出した全ての解析度判定値のうち、最も小さい解析度判定値を得ることができた工程(I)において、学習データとして使用した監視データの実測値と評価データの実測値の組み合わせについて無相関検定を実施する。無相関検定において5%の有意水準で有意であると判断された監視データの種類が2種以上である場合(図1の無相関検定における「Yes」)、5%の有意水準で有意であると判断された監視データの全種類を座標軸とする座標空間を作成する。
例えば、5%の有意水準で有意であると判断された監視データが、セメントの全アルカリ量とセメントのCSの量の二種類である場合、セメントの全アルカリ量x軸とし、セメントのCSの量をy軸とする座標空間を作成する。
次いで、学習データとして使用した監視データの実測値のうち、5%の有意水準で有意であると判断された種類の監視データの実測値を全て、座標空間にプロットし、座標空間においてプロットされた監視データ同士を結ぶことで予測可能監視データ領域を設定する。該予測可能監視データ領域は、プロットされた監視データの全てを包含する領域であって、該領域が最大となるように監視データ同士を結ぶことで形成される領域である(図2参照)。予測可能監視データ領域を設定した後、工程(M)を実施する。
5%の有意水準で有意であると判断された監視データが0または1種類である場合(図1の無相関検定における「No」)、セメントの品質または製造条件を予測することはできないと判断して予測を終了する。
[工程(M)]
工程(M)では、セメント製造における監視データの実測値(実際のセメント製造において得られる監視データの実測値であって、学習済みのニューラルネットワークを用いたセメントの品質等の予測に使用されるもの)と工程(L)で設定した予測可能監視データ領域を用いて、セメント製造における監視データの実測値と工程(K)で得た学習済みのニューラルネットワーク(工程(I)において、セメントの品質等の予測を高い精度で行うことはできないと判断されたニューラルネットワーク)によって、セメントの品質等の予測を高い精度で行うことができるか否かを判定することができる。
セメント製造における監視データの実測値が、工程(L)で設定した予測可能監視データ領域に含まれる場合(図1の座標判定における「Yes」)、セメントの品質等の予測を高い精度で行うことができると判断し、工程(K)で得た学習済みのニューラルネットワークの入力層に、セメント製造における監視データの実測値を入力して、上記ニューラルネットワークの出力層から、セメントの品質または製造条件の評価に関連する評価データの推測値を出力することで、セメントの品質または製造条件を予測することができる。
セメント製造における監視データの実測値が、上記予測可能監視データ領域に含まれない場合(図1の座標判定における「No」)、セメントの品質または製造条件を予測することはできないと判断して予測を終了する。この場合、セメント製造の制御システムにおいて、メール等を用いて管理者に警告を発生するようにしてもよい。警告を受けた管理者は、セメント製造における監視データの実測値を改めて入手する、または、学習済みのニューラルネットワークを初期化して、改めてニューラルネットワークの学習を行うことで、継続的に高い精度で予測を行うことができる。
なお、セメント製造における監視データが、工程(L)で作成された座標空間の座標軸として用いられていない種類の監視データの実測値(無相関検定において5%の有意水準で有意であると判断されなかった監視データの種類)を含む場合、当該の座標軸として用いられていない種類の監視データからは、監視データの実測値に何ら制限は与えない。
上記工程(A)〜(M)を実施することで、学習データの数が少ない等の、従来のニューラルネットワークの学習プロセスを含む予測方法では困難であった条件においても、高い精度でセメントの品質または製造条件を予測することができる。
本発明では、予測の精度を高く維持する観点から、定期的間隔で、評価データの推測値と該推測値に対応する実測値の差の絶対値(乖離の大きさ)を算出し、該絶対値が、学習データを構成する監視データの実測値を上記学習済みのニューラルネットワークの入力層に入力して得られた評価データの推測値と、学習データを構成する評価データの実測値との平均2乗誤差(σ)に、1.3を乗じた数値以上(好ましくは1.5を乗じた数値以上、より好ましくは2.0を乗じた数値以上)である場合が連続し、かつ、これら連続した複数の絶対値の各々と上記平均2乗誤差(σ)との比(絶対値/平均2乗誤差(σ))の合計の値に、上記定期的間隔(日)を乗じて得られる値が、12(日)以上(好ましくは15(日)以上、より好ましくは20(日)以上、特に好ましくは25(日)以上)となった場合、ニューラルネットワークの再学習を行う。
平均2乗誤差(σ)に乗じる数値は、予測の精度を高くする観点から、好ましくは5.0以下、より好ましくは4.0以下、特に好ましくは3.0以下である。
上記累計した数値に、上記絶対値を算出する定期的間隔(日)を乗じた値は、予測の精度を高くする観点から、好ましくは50(日)以下、より好ましくは40(日)以下、特に好ましくは30(日)以下である。
具体的には、定期的間隔で算出した上記絶対値が上記平均二乗誤差(σ)に1.3を乗じた数値以上である場合が連続(二回以上発生)した場合、これら連続した複数の絶対値の各々と上記平均2乗誤差(σ)との比(絶対値/平均2乗誤差(σ))を合計していき、合計した数値(累計した数値)に、上記絶対値を算出する定期的間隔(日)を乗じた値が12(日)以上となった場合、セメントの品質等の予測を高い精度で行うことはできないと判断して、ニューラルネットワークの再学習を行う。
中でも、予測の精度を高く維持し、かつ、再学習を過度に行わない観点から、上記絶対値が、上記平均2乗誤差(σ)に2.0を乗じた数値以上であることが二回続いた場合に行うことが好ましい。
累計した数値に、上記絶対値を算出する定期的間隔(日)を乗じた値が12(日)以上となる前に、定期的に算出した絶対値が上記平均二乗誤差(σ)に1.3を乗じた数値未満となった場合、ニューラルネットワークの再学習は行わない。
ニューラルネットワークの再学習の方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、学習条件の初期化を行って、再度工程(A)〜(M)を実施する方法等が挙げられる。
学習条件の初期化の方法としては、例えば、ニューラルネットワークを構成するユニットの閾値やユニットを結合している重みをランダムで変更した上で、学習データを再入力する方法、学習データを得るためのサンプルの数を増やす、使用する監視データの種類を変更する、又は不適切な学習データを除外する等を行った上で、新たな学習データを入力する方法等が挙げられる。
なお、監視データの種類を変更する場合、上述した監視データを選択する方法等を用いて、監視データの種類を定めてもよい。
再学習によって得られた学習済みのニューラルネットワークは、新たな学習済みのニューラルネットワークとして、本発明の予測方法に用いられる。
定期的に評価データの推測値と、該推測値に対応する実測値の差の絶対値を算出する間隔は、特に限定されるものではなく、評価データの推測値の種類によって適宜定めればよいが、好ましくは0.5〜7日、より好ましくは1〜6日、特に好ましくは2〜5日である。
本発明のセメントの品質または製造条件の予測方法によれば、ニューラルネットワークを用いることによって、セメント製造における監視データの実測値を入力するだけで、セメントクリンカーの鉱物組成や、セメントと水を混練してなる組成物(例えば、モルタル)の圧縮強さ等の評価データの推測値を、1時間以内に得ることができる。
また、得られた評価データの推測値に基づいて、セメント製造途中においてセメントの品質異常を早期に察知し、原料工程、焼成工程及び仕上工程における諸条件の最適化を行うことにより、適正な品質のセメントを製造することができる。
具体的には、セメントクリンカーの鉱物組成の推測値に異常が認められた場合、原料の調合、焼成条件の調整等を行うことで、セメントクリンカーの鉱物組成を目的のものにすることができる。
また、評価データの推測値に基いて、セメントの製造工程の管理目標値を修正することも可能である。
例えば、モルタルの圧縮強さが目標値に達しないと予測される場合、学習に用いた監視データ(因子)とモルタルの圧縮強さの関係を解析して、最適なセメントの製造工程の管理目標値を確認することで、セメントの品質を目的のものにすることができる。
また、セメント製造における監視データの実測値が特定の数値範囲外である場合(過度に大きい、または、小さい場合)、異常が発生しているものとして、該監視データの実測値を用いた予測を行わない、あるいは、予測によって得られた評価データの推測値を用いて、原料工程等における諸条件の最適化や、上述した絶対値の算出を行わないようにしてもよい。このような場合、セメント製造の制御システムにおいて、メール等を用いて管理者に警告を発するようにしてもよい。
上記特定の数値範囲は任意に設定することができる。例えば、学習データとして用いた監視データの実測値の最大値を上限値にし、かつ、最小値を下限値にしてもよい。
また、評価データの推測値が特定の数値範囲外である場合(過度に大きい、または、小さい場合)、異常が発生しているものとして、ニューラルネットワークを用いた予測を終了し、セメント製造の制御システムにおいて、メール等を用いて管理者に警告を発するようにしてもよい。
上記特定の数値範囲は任意に設定することができる。例えば、学習データとして用いた評価データの実測値の最大値を上限値にし、かつ、最小値を下限値にしてもよい。
さらに、セメントの製造工程を制御するコンピュータと、本発明のセメントの品質または製造条件の予測方法を実施するために用いるコンピュータを接続することによって、評価データに基づいて監視データを人為的に変動させるための制御システムを自動化することもできる。
本発明において、ニューラルネットワークによる演算を行うためのソフトウェアとしては、例えば、OLSOFT社製の「Neural Network Library」(商品名)等が挙げられる。
なお、本明細書中、「特定の値以上」、「特定の値以下」、「特定の値を超える」、及び、「特定の値未満」の各語は、特定の値を基準にして、2つの区分に分けるために便宜上、用いたものであるので、本発明において、各々、「特定の値を超える」、「特定の値未満」、「特定の値以上」、及び「特定の値以下」の語に置き換えることができるものとする。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
選択用および学習用のサンプルとしてサンプリング時間の異なる352個の普通ポルトランドセメントについて、「JIS R 5201(セメントの物理試験方法)」に準じて、材齢28日におけるモルタルの圧縮強さを測定して、学習データにおける評価データの実測値とした。
また、セメントに関するデータとして、上記352個の普通ポルトランドセメントのブレーン比表面積、32μmふるい試験残分量、鉱物組成(CS、CS、CA、及びCAFの含有率)、及び化学組成(全アルカリ(NaO+0.658×KO)の含有率)を測定して、学習データ等における監視データの実測値とした。
なお、実施例1における普通ポルトランドセメントは、「JIS R 5210(ポルトランドセメント)」に規定される普通ポルトランドセメントである。
また、モニター用のサンプルとして、前記352個のサンプルとはサンプリング時間の異なる103個の普通ポルトランドセメントを用いて、材齢28日におけるモルタルの圧縮強さを学習データと同様に測定して、モニターデータ(評価データの実測値)とした。
さらに、上記103個の普通ポルトランドセメントのブレーン比表面積、32μmふるい試験残分量、鉱物組成(CS、CS、CA、及びCAFの含有率)、及び化学組成(全アルカリ(NaO+0.658×KO)の含有率)を学習データと同様に測定して、モニターデータ(監視データの実測値)とした。
上記学習データを用いて、ニューラルネットワークの学習を行った。ニューラルネットワークとしては、入力層、中間層及び出力層を有する階層型のニューラルネットワークを用いた。
ニューラルネットワークの学習は、最初に上記学習データとモニターデータを用いて10000回行った。得られたニューラルネットワークを用いて、σとσを算出したところ、σとσの関係はσ<σであった。
その後、ニューラルネットワークを初期化し、上記学習データとモニターデータを用いて、ニューラルネットワークの学習を前記学習回数に0.95を乗じた数の学習回数(端数切捨て)行うことを、学習後のニューラルネットワークを用いて算出されたσとσの関係がσ≧σとなるまで繰り返した。σとσの関係がσ≧σとなった後、解析度判定値を算出したところ、2.24%であり、予め定めた第一の設定値である6%未満であった。そこで、得られたニューラルネットワークを学習済みのニューラルネットワークとした。
学習データの監視データの実測値を上記学習済みニューラルネットワークの入力層に入力して得られた評価データの推測値と学習データの評価データの実測値との平均2乗誤差(σ)を算出したところ、1.7N/mmであった。
セメント工場で継続的に行われているセメントの製造において、4日ごとに、セメントに関するデータ(普通ポルトランドセメントのブレーン比表面積、32μmふるい試験残分量、鉱物組成(CS、CS、CA、及びCAFの含有率)、及び化学組成(全アルカリ(NaO+0.658×KO)の含有率)を測定し、これらを監視データの実測値として、上記学習済みのニューラルネットワークの入力層に入力して、評価データの推測値(材齢28日におけるモルタルの圧縮強さ)を得た。また、該推測値に対応する評価データの実測値を測定した。
予測を行うごとに、評価データの推測値と実測値の差の絶対値を算出したところ、5回目(20日目)と、6回目(24日目)において、算出された絶対値(5回目:5.6、6回目:5.3)が、平均2乗誤差(σ)に1.3を乗じた数値(2.2)以上であり、かつ、各々の算出された絶対値と平均2乗誤差(σ)の比(絶対値/平均2乗誤差(σ))を累計した数値に4日を乗じた数値((5.6/1.7+5.3/1.7)×4=25.64)は12.0(日)以上であった。
そこで、学習用及びモニター用のサンプルとして用いた455個の普通ポルトランドセメント中のMgOの含有率を測定し、得られた数値を、上述した学習データ及びモニターデータにおける監視データの実測値に追加して、ニューラルネットワークの再学習を行い、新たな学習済みのニューラルネットワークを得た。
7回目(28日目)以降は、新たな学習済みのニューラルネットワークおよび新たな監視データ(MgOの含有率を加えたもの)を用いて、評価データの推測値(材齢28日におけるモルタルの圧縮強さ)を得た。
7〜17回目において算出した評価データの推測値と実測値の差の絶対値の平均値は1.1N/mmであった。
[比較例1]
ニューラルネットワークの再学習を行わず、最初に得られた学習済みのニューラルネットワークを用いて評価データの推測値を得る以外は、実施例1と同様にして、評価データの推測値(材齢28日におけるモルタルの圧縮強さ)を得た。
なお、1〜6回目において算出した評価データの推測値は、実施例1における1〜6回目において算出した評価データの推測値と同じである。
また、7〜16回目において算出した評価データの推測値と実測値の差の絶対値の平均値は1.7N/mmであった。
結果を表1に示す。
Figure 2018168021
[比較例2]
選択用および学習用のサンプルとしてサンプリング時間の異なる273個の普通ポルトランドセメントについて、「JIS R 5201(セメントの物理試験方法)」に準じて、材齢28日におけるモルタルの圧縮強さを測定して、学習データにおける評価データの実測値とした。
また、セメントに関するデータとして、上記273個の普通ポルトランドセメントのブレーン比表面積、32μmふるい試験残分量、鉱物組成(CS、CS、CA、及びCAFの含有率)、及び化学組成(全アルカリ(NaO+0.658×KO)、及び、Pの含有率)、湿式f・CaOを測定して、学習データ等における監視データの実測値とした。
なお、比較例2における普通ポルトランドセメントは、「JIS R 5210(ポルトランドセメント)」に規定される普通ポルトランドセメントである。
また、モニター用のサンプルとして、前記273個のサンプルとはサンプリング時間の異なる80個の普通ポルトランドセメントを用いて、材齢28日におけるモルタルの圧縮強さを学習データと同様に測定して、モニターデータ(評価データの実測値)とした。
さらに、上記80個の普通ポルトランドセメントのブレーン比表面積、32μmふるい試験残分量、鉱物組成(CS、CS、CA、及びCAFの含有率)、及び化学組成(全アルカリ(NaO+0.658×KO)、及び、Pの含有率)、湿式f・CaOを学習データと同様に測定して、モニターデータ(監視データの実測値)とした。
上記学習データを用いて、ニューラルネットワークの学習を行った。ニューラルネットワークとしては、入力層、中間層及び出力層を有する階層型のニューラルネットワークを用いた。
ニューラルネットワークの学習は、最初に上記学習データとモニターデータを用いて10000回行った。得られたニューラルネットワークを用いて、σとσを算出したところ、σとσの関係はσ<σであった。
その後、ニューラルネットワークを初期化し、上記学習データとモニターデータを用いて、ニューラルネットワークの学習を前記学習回数に0.95を乗じた数の学習回数(端数切捨て)行うことを、学習後のニューラルネットワークを用いて算出されたσとσの関係がσ≧σとなるまで繰り返した。σとσの関係がσ≧σとなった後、解析度判定値を算出したところ、2.24%であり、予め定めた第一の設定値である6%未満であった。そこで、得られたニューラルネットワークを学習済みのニューラルネットワークとした。
学習データの監視データの実測値を上記学習済みニューラルネットワークの入力層に入力して得られた評価データの推測値と学習データの評価データの実測値との平均2乗誤差(σ)を算出したところ、1.7N/mmであった。
セメント工場で継続的に行われているセメントの製造において、3.5日ごとに、セメントに関するデータ(普通ポルトランドセメントのブレーン比表面積、32μmふるい試験残分量、鉱物組成(CS、CS、CA、及びCAFの含有率)、及び化学組成(全アルカリ(NaO+0.658×KO)、及び、Pの含有率)、湿式f・CaO)を測定し、これらを監視データの実測値として、上記学習済みのニューラルネットワークの入力層に入力して、評価データの推測値(材齢28日におけるモルタルの圧縮強さ)を得た。また、該推測値に対応する評価データの実測値を測定した。
予測を行うごとに、評価データの推測値と実測値の差の絶対値を算出したところ、5回目(7月13日)において、算出された絶対値(3.8)が、平均2乗誤差(σ)に1.3を乗じた数値(2.2)以上であった。
そこで、学習用及びモニター用のサンプルとして用いた353個の普通ポルトランドセメント中のTiOの含有率を測定し、得られた数値を上述した学習データ及びモニターデータにおける監視データの実測値に追加し、かつ、上述した学習データ及びモニターデータにおける監視データの実測値から、湿式f・CaOを除外して、ニューラルネットワークの再学習を行い、新たな学習済みのニューラルネットワークを得た。
6回目(7月17日)以降は、新たな学習済みのニューラルネットワークおよび新たな監視データ(TiOの含有率を加え、かつ、湿式f・CaOを除外したもの)を用いて、評価データの推測値(材齢28日におけるモルタルの圧縮強さ)を得た。
6〜16回目において算出した評価データの推測値と実測値の差の絶対値の平均値は1.8N/mmであった。
[比較例3]
ニューラルネットワークの再学習を行わず、最初に得られた学習済みのニューラルネットワークを用いて評価データの推測値を得る以外は、比較例2と同様にして、評価データの推測値(材齢28日におけるモルタルの圧縮強さ)を得た。
なお、1〜5回目において算出した評価データの推測値は、比較例2における1〜5回目において算出した評価データの推測値と同じである。
6〜16回目において算出した評価データの推測値と実測値の差の絶対値の平均値は0.9N/mmであった。
結果を表2に示す。
Figure 2018168021
実施例1において、7〜17回目(ニューラルネットワークの再学習を行った後)において算出した評価データの推測値と実測値の差の絶対値の平均値(1.1N/mm)は、比較例1において、7〜17回目において算出した評価データの推測値と実測値の差の絶対値の平均値(1.7N/mm)よりも小さいことがわかる。
このことから、推測値と実測値の乖離の大きさは、実施例1よりも比較例1の方が大きく、実施例1は比較例1よりも、予測の精度が高いことがわかる。
また、比較例2は、5回目において、算出された絶対値(3.8)が、平均2乗誤差(σ)に1.3を乗じた数値(2.2)以上と大きいことから、監視データの種類を変更したうえで、ニューラルネットワークの再学習を行ったものである。比較例2において、6〜16回目において算出した評価データの推測値と実測値の差の絶対値の平均値(1.8N/mm)は、比較例3において、6〜16回目において算出した評価データの推測値と実測値の差の絶対値の平均値(0.9N/mm)よりも大きいことがわかる。このことから、算出された絶対値が、平均2乗誤差(σ)に1.3を乗じた数値以上であることが連続しない場合(1回のみである場合)において、ニューラルネットワークの再学習を行っても、予測の精度が高くならないことがわかる。

Claims (7)

  1. セメント製造における監視データの実測値を入力するための入力層、及び、セメントの品質または製造条件の評価に関連する評価データの推測値を出力するための出力層を有するニューラルネットワークを用いて、セメントの品質または製造条件を予測するための方法であって、
    上記ニューラルネットワークは、上記監視データの実測値と上記評価データの実測値の組み合わせである学習データを複数用いて、予め学習を行った学習済みのニューラルネットワークであり、
    上記学習済みのニューラルネットワークを用いた、上記入力層への上記監視データの実測値の入力、および、上記出力層からの上記評価データの推測値の出力を行ないつつ、定期的間隔で、上記評価データにおける推測値と実測値との差の絶対値を算出し、
    上記絶対値が、上記学習データを構成する監視データの実測値を上記学習済みのニューラルネットワークの入力層に入力して得られた評価データの推測値と、上記学習データを構成する評価データの実測値との平均2乗誤差(σ)に、1.3を乗じた数値以上である場合が、上記定期的間隔の中で連続し、かつ、これら連続した複数の絶対値の各々と上記平均2乗誤差(σ)との比(絶対値/平均2乗誤差(σ))の合計の値に、上記定期的間隔(日)を乗じて得られる値が、12(日)以上となった場合に、上記学習済みのニューラルネットワークの再学習を行い、得られたニューラルネットワークを、新たな学習済みのニューラルネットワークとして用いることを特徴とするセメントの品質または製造条件の予測方法。
  2. ニューラルネットワークの再学習を、上記絶対値が、上記平均2乗誤差(σ)に2.0を乗じた数値以上であることが二回続いた場合に行う請求項1に記載のセメントの品質または製造条件の予測方法。
  3. 上記学習済みのニューラルネットワークが、
    (A)学習回数の初期設定を行う工程と、
    (B)上記学習データを複数用いて、ニューラルネットワークの学習を、前工程で設定された学習回数行う工程と、
    (C)学習データの監視データの実測値を、直近の工程(B)における学習で得られたニューラルネットワークの入力層に入力して得られた評価データの推測値と学習データの評価データの実測値との平均2乗誤差(σ)、及び、ニューラルネットワークの学習結果の信頼性を確認するための監視データの実測値と評価データの実測値の組み合わせであるモニターデータの中の監視データの実測値を、直近の工程(B)における学習で得られたニューラルネットワークの入力層に入力して得られた評価データの推測値とモニターデータの中の評価データの実測値との平均2乗誤差(σ)を算出し、算出されたσとσの関係がσ≧σである場合、工程(D)を実施し、算出されたσとσの関係がσ<σである場合、工程(E)を実施する工程と、
    (D)直近の工程(A)で設定された学習回数および再設定された直近のニューラルネットワークの学習回数のいずれの学習回数よりも大きい学習回数を新たな学習回数として再設定し、再度工程(B)〜(C)を実施する工程と、
    (E)直近のニューラルネットワークの学習で実施された学習回数を減らした学習回数を、新たな学習回数として再設定する工程と、
    (F)直近の工程(B)で用いられた学習データを用いて、ニューラルネットワークの学習を直近の工程(E)で設定された学習回数行う工程と、
    (G)学習データの監視データの実測値を、直近の工程(F)における学習で得られたニューラルネットワークの入力層に入力して得られた評価データの推測値と学習データの評価データの実測値との平均2乗誤差(σ)、及び、モニターデータの中の監視データの実測値を、直近の工程(F)における学習で得られたニューラルネットワークの入力層に入力して得られた評価データの推測値とモニターデータの中の評価データの実測値との平均2乗誤差(σ)を算出し、算出されたσとσの関係がσ≧σである場合、工程(I)を実施し、算出されたσとσの関係がσ<σである場合、工程(H)を実施する工程と、
    (H)直近の工程(F)におけるニューラルネットワークの学習回数が予め定めた数値を超えている場合、再度工程(E)〜(G)を実施し、直近の工程(F)におけるニューラルネットワークの学習回数が予め定めた数値以下の場合、工程(J)を実施する工程と、
    (I)下記式(1)を用いて解析度判定値を算出し、該解析度判定値が予め定めた第一の設定値以上である場合、工程(J)を実施し、上記解析度判定値が予め定めた第一の設定値未満である場合、ニューラルネットワークの学習を終了し、学習済みのニューラルネットワークを得る工程と、
    (J)工程(A)を実施した回数の大きさについての判定を行い、該回数が予め設定した回数以下である場合、学習条件の初期化を行って、再度工程(A)〜(I)を行い、該回数が予め設定した回数を超える場合、ニューラルネットワークの学習を終了する工程、を含む学習方法によって得られたものである請求項1又は2に記載のセメントの品質または製造条件の予測方法。
    Figure 2018168021
    (上記式(1)中、学習データの平均2乗誤差(σ)とは、学習データの監視データの実測値を学習後のニューラルネットワークの入力層に入力して得られた評価データの推測値と学習データの評価データの実測値との平均2乗誤差(σ)である。評価データの推測値の平均値とは、学習データの監視データの実測値を学習後のニューラルネットワークの入力層に入力して得られた評価データの推測値の平均値である。)
  4. 上記学習方法を行った後、
    (K)工程(J)において、工程(A)を実施した回数が予め設定した回数を超える場合、工程(I)において算出した全ての解析度判定値のうち、最も小さい解析度判定値が予め定めた第二の設定値未満である場合、最も小さい解析度判定値を得ることができた工程(I)におけるニューラルネットワークを、学習済みのニューラルネットワークとして得た後、工程(L)を実施し、最も小さい解析度判定値が予め定めた第二の設定値以上である場合、セメントの品質または製造条件を予測することはできないと判断して予測を終了する工程と、
    (L)工程(I)において算出した全ての解析度判定値のうち、最も小さい解析度判定値を得ることができた工程(I)において、学習データとして使用した監視データの実測値と評価データの実測値の組み合わせについて無相関検定を行い、5%の有意水準で有意であると判断された監視データの種類が2種以上である場合、5%の有意水準で有意であると判断された監視データの全種類を座標軸とする座標空間に学習データとして使用した監視データの実測値をプロットし、座標空間において、プロットされた監視データ同士を結ぶことで形成される監視データの全てを包含する領域であって、該領域が最大となるように監視データ同士を結ぶことで形成される領域を、予測可能監視データ領域として設定した後、工程(M)を実施し、5%の有意水準で有意であると判断された監視データが0または1種類である場合、セメントの品質または製造条件を予測することはできないと判断して予測を終了する工程と、
    (M)セメント製造における監視データの実測値が、上記予測可能監視データ領域に含まれるかどうかを判定し、セメント製造における監視データの実測値が、上記予測可能監視データ領域に含まれる場合、工程(K)で得た学習済みのニューラルネットワークの入力層に、セメント製造における監視データの実測値を入力して、上記ニューラルネットワークの出力層から、セメントの品質または製造条件の評価に関連する評価データの推測値を出力してセメントの品質または製造条件を予測し、セメント製造における監視データの実測値が、上記予測可能監視データ領域に含まれない場合、セメントの品質または製造条件を予測することはできないと判断して予測を終了する工程、を実施する請求項3に記載のセメントの品質または製造条件の予測方法。
  5. 上記監視データと上記評価データの組み合わせが、
    (i)上記監視データが、セメントクリンカーの原料に関するデータ、セメントクリンカーの焼成条件に関するデータ、セメントの粉砕条件に関するデータ、及びセメントクリンカーに関するデータの中から選ばれる一種以上のデータであり、かつ、上記評価データが、セメントクリンカーの原料に関するデータ、セメントクリンカーの焼成条件に関するデータ、セメントの粉砕条件に関するデータ、セメントクリンカーに関するデータ、及びセメントに関するデータの中から選ばれる一種以上のデータである組み合わせ、または、
    (ii)上記監視データが、セメントクリンカーの原料に関するデータ、セメントクリンカーの焼成条件に関するデータ、セメントの粉砕条件に関するデータ、セメントクリンカーに関するデータ、セメントに関するデータ、及び混合材に関するデータの中から選ばれる一種以上のデータであり、かつ、上記評価データが、セメントと水を混練してなる組成物の物性に関するデータである組み合わせ、
    である請求項1〜4のいずれか1項に記載のセメントの品質または製造条件の予測方法。
  6. 上記セメントがポルトランドセメントであり、上記監視データと上記評価データの組み合わせが、(ii)上記監視データが、セメントに関するデータであり、かつ、上記評価データが、セメントと水を混練してなる組成物の物性に関するデータである組み合わせであり、上記監視データである、セメントに関するデータは、ポルトランドセメントのブレーン比表面積、ふるい試験残分量、湿式f.CaO、鉱物組成、及び化学組成の中から選ばれる一種以上であり、上記評価データである、セメントと水を混練してなる組成物の物性に関するデータは、モルタルの圧縮強さ、曲げ強度、流動性、水和熱、及び凝結時間の中から選ばれる一種以上である請求項5に記載のセメントの品質または製造条件の予測方法。
  7. 上記監視データが、
    任意に選択した1種以上の監視データからなる監視データ集合体を、2種以上用意し、該2種以上の監視データ集合体の各々について、
    監視データの実測値と評価データの実測値の組み合わせである選択データを複数用いて、上記学習済みのニューラルネットワークとは異なる未学習のニューラルネットワークの学習を行い、得られたニューラルネットワークの入力層に、選択データの監視データの実測値を入力して得られた評価データの推測値と、選択データの評価データの実測値との平均2乗誤差を算出し、
    平均2乗誤差の数値が最も小さかった選択データにおける監視データである請求項1〜6のいずれか1項に記載のセメントの品質または製造条件の予測方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN115436239A (zh) * 2022-11-07 2022-12-06 四川亿欣新材料有限公司 一种碳酸钙颗粒度检测方法

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