JPWO2013146821A1 - 中空糸膜モジュール - Google Patents

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Abstract

食品、医薬品の分離、精製および連続発酵プロセスにも好適に用いることができる、優良な蒸気滅菌性を有する中空糸膜モジュールを提供すること。筒状をなし、壁面に壁面通液口を有する筒状ケースと、複数の中空糸膜からなる中空糸膜束と、中空糸膜束を保持するとともに、筒状ケースの内部で保持される集束部材と、筒状をなし、筒状ケースと中空糸膜束との間に設けられて集束部材と連結し、外周面が壁面通液口に対向する整流筒と、を備え、集束部材、筒状ケース、整流筒で囲まれてなる第1の袋路が、開口幅L1および奥行きL2についてL2/L1≦5.0を満たす。

Description

本発明は医薬品、食品の精製、連続発酵プロセスなどに用いられる、蒸気滅菌処理が可能な中空糸膜モジュールに関するものである。
従来、液体の精製などに用いられる中空糸膜は、平膜などの他の様式の膜と比較して、単位体積あたりの濾過面積を広くとれることで知られており、水処理用途のみならず、人工腎臓や食品、医薬品の分離、精製など、さまざまな分野において広く濾過手段として用いられている。中空糸膜は通常、容器内に収められて集束、固定された中空糸膜モジュールとして用いられる。
ここで、原液が医薬品、食品、連続発酵プロセスなどの溶液の場合、濾過・精製により得られる有価物はより高純度であることが要求される。そのため、使用される中空糸膜モジュール内には雑菌がいない状態での使用が開始されることが望まれる。殺菌であれば温水殺菌などの手段でよいが、有価物がより高純度であることを要求されるのであれば滅菌が必要であり、中空糸膜モジュールの滅菌方法としては、通常γ線滅菌処理などが行われてきた。しかしながら大量の液処理を行いたい場合、つまり大きな中空糸膜モジュールが用いられる場合においては、蒸気滅菌が好適に用いられる。
蒸気滅菌は、中空糸膜モジュール内に加圧した水蒸気を導入して行われる。このとき肝要なのは、滅菌すべき箇所に蒸気がきちんと接触することである。さらに、蒸気滅菌を行う際には、通常121℃以上まで中空糸膜モジュールが加熱されるため、蒸気滅菌の対象である中空糸膜モジュールそのものの耐熱性を十分に確保することも重要である。特許文献1は、耐熱性向上を意図したカートリッジ式の中空糸膜モジュールに関する公知例である。特許文献1が開示する中空糸膜モジュールは、熱による破損が特におきやすい集束部材をわざとケースと接着させないようにして、熱膨張、収縮で生じる応力を集束部材の外に逃がし、破損を抑制したものである。
また、原液が医薬品、食品、連続発酵プロセスなどの溶液の場合は、通常の水処理用途と比較して、原液中の濁質が多く含まれる場合も考慮すべきである。濁質を多く含む原液の濾過には、クロスフロー運転が可能な形式の中空糸膜モジュールを用いることが好ましいが、このとき中空糸膜モジュール内に整流筒と呼ばれる部材を設けると、中空糸膜モジュール内での偏流がおきにくくなる、膜切れを防止できる(例えば、特許文献2を参照)。
特許第4808261号公報 特公平7−79953号公報
ここで、特許文献1が開示する中空糸膜モジュールは、前述の整流筒が設けられていないため、濁質が多く含まれる原液を長期的に通液し続けると、中空糸膜モジュール内で偏流が発生しやすくなり、濁質がモジュール内に体積しやすくなる懸念があるため好ましくない。
また、特許文献1が開示する中空糸膜モジュール内に整流筒を設けた場合や、特許文献2の場合、整流筒の整流作用が発現するように整流筒を設けると、中空糸膜モジュール内には、容器の内部壁面と整流筒との間に狭い隙間が形成される。中空糸膜モジュール内に狭い隙間、特に入り口が狭く奥行きのある袋路が形成されると、蒸気滅菌時に袋路内に空気が滞留し、蒸気が袋路の最深部まで行き渡りにくくなってしまう。これにより、蒸気が行き渡りにくくなることで蒸気滅菌不良の懸念が高まることから、このような構造の中空糸膜モジュールは好ましくない。
本発明は、上述の種々の課題を解決し、食品、医薬品の分離、精製および連続発酵プロセスにも好適に用いることができる、繰り返しの蒸気滅菌処理への耐久性、優良な蒸気滅菌性を有する中空糸膜モジュールを提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる中空糸膜モジュールは、筒状をなし、壁面に壁面通液口を有する筒状ケースと、複数の中空糸膜からなる中空糸膜束と、前記中空糸膜束を保持するとともに、前記筒状ケースの内部で保持される集束部材と、筒状をなし、前記筒状ケースと前記中空糸膜束との間に設けられて前記集束部材と連結し、外周面が前記壁面通液口に対向する整流筒と、を備え、前記集束部材、前記筒状ケース、前記整流筒で囲まれてなる第1の袋路が、開口幅L1および奥行きL2についてL2/L1≦5.0を満たすことを特徴とする。
また、本発明にかかる中空糸膜モジュールは、筒状をなし、壁面に壁面通液口を有する筒状ケースと、少なくとも複数の中空糸膜からなる中空糸膜束、前記中空糸膜束を保持する集束部材、および前記集束部材の外周を保持する筒状カートリッジヘッドを有する中空糸膜カートリッジと、筒状をなし、前記筒状ケースの内部で保持されるとともに、前記筒状ケースと前記中空糸膜束との間に位置し、外周面が前記壁面通液口に対向する整流筒と、を備え、前記筒状ケースおよび前記整流筒で囲まれてなる第1の袋路が、開口幅L1および奥行きL2についてL2/L1≦5.0を満たすことを特徴とする。
また、本発明にかかる中空糸膜モジュールは、上記の発明において、前記筒状ケースおよび前記整流筒の間に配設されるシール部材をさらに備え、前記シール部材、前記筒状ケースおよび前記整流筒によって形成される第2の袋路が、開口幅L1および奥行きL2についてL2/L1≦5.0を満たすことを特徴とする。
また、本発明にかかる中空糸膜モジュールは、上記の発明において、前記集束部材の前記奥行きをなす側の端面は、前記壁面通液口の上端を通過する平面より下方に位置していることを特徴とする。
本発明によれば、クロスフロー運転を行い、蒸気滅菌処理を伴う中空糸有機膜モジュールにおいて、蒸気滅菌不良の懸念を抑制した中空糸膜モジュールを得ることが可能となる。
図1は、本発明の実施の形態1にかかる中空糸膜モジュールの一態様を示す部分断面図である。 図2は、本発明の実施の形態1にかかる中空糸膜モジュールを構成する一部材である、整流筒の一態様を示す上面図および側面図である。 図3は、図1に示す中空糸膜モジュールの要部を拡大表記した図である。 図4は、本発明の実施の形態1の変形例1−1にかかる中空糸膜モジュールを示す部分断面図である。 図5は、本発明の実施の形態1の変形例1−2にかかる中空糸膜モジュールの要部を拡大表記した図である。 図6は、本発明の実施の形態1の変形例1−3にかかる中空糸膜モジュールの要部を拡大表記した図である。 図7は、本発明の実施の形態2にかかる中空糸膜モジュールの構成を示した部分断面図である。 図8は、本発明の実施の形態2にかかる中空糸膜モジュールに用いられる中空糸膜カートリッジの一例を示した模式図である。 図9は、本発明の実施の形態2の変形例2−1にかかる中空糸膜モジュールを示す部分断面図である。 図10は、本発明の実施例の指標菌含有糸の設置箇所を説明するための図である。 図11は、本発明の実施例にかかる中空糸膜モジュールを作製する方法を説明するための図である。
以下、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。なお、以下の実施の形態により本発明が限定されるものではない。また、以下の説明において参照する各図は、本発明の内容を理解でき得る程度に形状、大きさ、および位置関係を概略的に示してあるに過ぎない。従って、本発明は各図で例示された形状、大きさ、および位置関係のみに限定されるものではない。
(実施の形態1)
(中空糸膜モジュールの構成要件について)
図1は、本実施の形態1にかかる中空糸膜モジュール1の一態様を示す部分断面図である。図2は、本実施の形態1にかかる中空糸膜モジュール1を構成する一部材である、整流筒の一態様を示す上面図(a)および側面図(b)である。図3は、図1に示す中空糸膜モジュール1の要部を拡大表記した図である。本発明の中空糸膜モジュール1は、図1に示すように、筒状ケース10と、筒状ケース10の内部に配設される複数の中空糸膜(中空糸膜束20)および整流筒30を備えている。筒状ケース10は、膜面に対して原液を平行に流すための通液口11aおよび濾過液を中空糸膜モジュール系外に排出するための通液口11bと、筒状ケースの側面(壁面)に設けられた筒状ケース壁面通液口12と、を有している。また、中空糸膜モジュール1は、中空糸膜の束(中空糸膜束20)の外周に整流筒30が、さらに整流筒30の外周に筒状ケース10の筒状ケース壁面通液口12が位置する、すなわち、整流筒30の外周面が筒状ケース壁面通液口12に対向するように中空糸膜モジュール1が成型される。さらに、中空糸膜束20は、中空糸膜束端部が閉塞するように設けられる閉塞端集束部材40aおよび中空糸膜束端部が開口するように設けられる開口端集束部材40bからなる集束部材40によって筒状ケース10内に集束、保持される。
このような構造をとることにより、中空糸膜モジュール1内に液体が導入または排出されるとき、液体の偏流が抑制される。このとき、集束部材40、筒状ケース10の内周面および整流筒30の外周面で囲まれてなる袋路S1(第1の袋路、図3参照)が、筒状ケース10と整流筒30の間の開口幅をL1[mm]、袋路S1の奥行きをL2[mm]としたときに、開口幅L1および奥行きL2についてL2/L1≦5.0を満たすことが本発明の中空糸膜モジュール1の特徴であり、L2/L1≦3.0とすることが好ましく、L2/L1≦1.5とすることがより好ましい。このような構造をとることにより、蒸気滅菌の際にも袋路S1の最深部まで水蒸気が行き渡るようになり、中空糸膜モジュール1内の蒸気滅菌性が良好となる。
筒状ケース10を、クロスフロー濾過に好適に用いられる中空糸膜モジュール1の構成部材とするためには、膜面に対して原液を平行に流す(筒状の中心軸方向に原液を流す)ための、原液の供給口および排出口が必要となり、1次側は少なくとも2つ以上の通液口(通液口11aおよび筒状ケース壁面通液口12)が必要となる。また、2次側は濾過液の排出が可能であればよいため、排出口(通液口11b)は少なくとも1つあればよい。よって、筒状ケース10は合計3つ以上の通液口を有することが必須である。
クロスフロー濾過とは、膜面に対して平行流を発生させ、原液中の濁質が膜面に堆積しにくいよう制御しながら濾過を行う方法であり、平行流の発生のため運転コストが高くなるが、中空糸膜をなるべく閉塞させずに長時間運転することを目的とした運転方法である。なお、本実施の形態1における中空糸膜モジュール1は、詰まり物質を多く含む原液を濾過する際に適した運転方法であるクロスフロー濾過においてより好適に用いられるが、処理対象となる原液を全て濾過し、濃縮液を中空糸膜モジュール外に排出しない濾過方法である全量濾過にも用いることができる。
また、中空糸膜モジュール1の1次側とは、筒状ケース10内の原液や濃縮液が通液される箇所を指し、2次側とは中空糸膜モジュールの濾過液や洗浄液が通液される箇所を指す。また、中空糸膜モジュールを接続して用いる装置系内において、中空糸膜モジュール1の1次側に連通する空間も含めて1次側と呼び、2次側に連通する空間も含めて2次側と呼ぶことがある。中空糸膜モジュール1および装置系内全体においては、1次側と2次側の間は気密かつ液密に分離するように構成されることが必要である。
筒状ケース10は、本体部10aと、本体部10aに嵌合する蓋部10bと、を備える。筒状ケース10が本体部10aおよび蓋部10bからなる構造を有することにより、製作時に中空糸膜束20を充填させやすくなり、使用前後のメンテナンスも行いやすくなる。また、本体部10aと蓋部10bとの間は、密閉可能となるように形成されていることが要求される。本体部10aと蓋部10bの間を密閉する手段として、両者の間にシール部材41などを配することが例示できるが、本体部10aと蓋部10bが密閉可能であれば、他の方法を用いて密閉してもよい。なお、筒状ケース10は、本体部10aおよび蓋部10bが一体成形されているものであっても適用可能である。また、図1中では本体部10aの一端の径をしぼって通液口11aとしているが、本体部10aの両端に蓋部10bを勘合させるようにして筒状ケース10を形成してもよい。
通液口11は、筒状ケース10の長手方向の端部または壁面に設けることができる。筒状ケース10に3つ以上の通液口を設けることが要求されるが、筒状ケース10の両端部を用いて設けられる通液口は通常2つ(通液口11a,11b)である。筒状ケース10の一方の端部に仕切りを設けて2分割し、通液口を3つにする手段も考えられるが、中空糸膜モジュール1の構造が複雑化して成型が困難となる、あるいは中空糸膜モジュール1の全体に原液が行き渡らなくなる等の不都合が生じると考えられるため、この手段は好ましくない。よって、筒状ケース10の壁面に1つ以上の通液口を設けることが好ましい。このとき、筒状ケース10の壁面に設けられた通液口を便宜上、筒状ケース壁面通液口12(以下、「壁面通液口12」)と呼ぶこととする。
なお、通液口11a,11bおよび壁面通液口12は、筒状ケース10に直接外部と連通する孔を設けて通液口としてもよく、筒状ケース10の開口している箇所に、ノズル13などに例示されるような部品を気密、液密になるように接続して用いてもよい。このとき、ノズルの形状、長さ、筒状ケースとの接続角度、ノズル13の先端の開口面積などは、中空糸膜モジュール1の使用状況に応じて任意に設定してよい。
壁面通液口12は、筒状ケース10の任意の箇所に設けてよい。中空糸膜モジュール1に原液を供給する際には、下方から上方に向かうように原液を供給することが、中空糸膜モジュール1内に気泡溜まりが出来にくくなるため好ましい。よって、筒状ケース10の壁面の貫通孔は、中空糸膜モジュール1のなるべく下方から原液を供給し、なるべく上方から原液を排出できるように勘案して位置を決めることが好ましい。本実施の形態1の中空糸膜モジュール1について上下を論じるときは、中空糸膜モジュール1を鉛直上向き(通液口11bが上向き)になるように立てた状態での上下を指すものとする。
筒状ケース10の形状は、円筒や多角筒が例示可能である。中でも、円筒状の筒状ケース10は、加工、成型のしやすさや、筒状ケース10内の液体や気体の流れが均一になりやすいなどのメリットがあるため好適に用いられる。
筒状ケース10を構成する部材は、繰り返しの蒸気滅菌処理で劣化しにくいような部材であることが好ましく、ポリスルホンに例示されるような耐熱性樹脂や、アルミニウム、ステンレス鋼などの金属、さらに、樹脂と金属の複合体や、ガラス繊維強化樹脂、炭素繊維強化樹脂などの複合材料などから適切なものを選択して使用できる。
ここで、筒状ケース10の長さは特に限定されないが、短い方がハンドリング性が良く、長い方が中空糸膜モジュール1の1本あたりの有効膜面積が大きくなる。有効膜面積とは、中空糸膜モジュール1内に充填された中空糸膜束20のうち、濾過に寄与する膜面の総面積を指す。なお、集束部材40などで周囲を被覆されている箇所は、有効膜面積には計上されない。有効膜面積は中空糸膜本数と有効膜長の積であるため、有効膜長が大きい方が、有効膜面積が大きくなる。有効膜長は、濾過に寄与する中空糸膜部位の長さを指す。中空糸膜の有効膜長の適値は、大きな有効膜面積を確保するという観点からは、20mm以上であることが好ましく、さらには30mm以上または40mm以上であってもよい。また、ハンドリング性を勘案すると、筒状ケース10の長さは2000mm以下であることが好ましく、さらには1800mm以下または1500mm以下であってもよい。筒状ケース10の長さとしては、有効膜長および、後述する集束部材厚みを勘案して、適正な値が設定される。
筒状ケース10の内径は特に限定されないが、小さい場合はハンドリング性がよく、大きい場合は充填できる中空糸膜の本数が多くなるため、中空糸膜モジュール1の1本あたりの有効膜面積が大きくなる。筒状ケース10の内径は、中空糸膜の充填本数確保する観点からは、10mm以上であることが好ましく、さらには20mm以上または30mm以上であってもよい。また、筒状ケース10の内径は、良好なハンドリング性を実現するためには、400mm以下が好ましく、さらには300mm以下または200mm以下であってもよい。
中空糸膜束20は、例えば中空糸膜を所定本数単位の小束を1つ以上形成し、筒状ケース10内壁に、集束部材40により集束、接着されて用いられる。中空糸膜束20を集束部材40で接着する方法として、中空糸膜束20の両端を筒状ケース10内に接着する両端保持と、中空糸膜束20の片端(開口端集束部材40b側)のみを筒状ケース10内に接着し、もう片端(閉塞端集束部材40a側)は端部を塞いで自由端とする片端保持が挙げられる。ここで、本実施の形態1では、中空糸膜モジュール1が、片端保持であるものとして説明する。両端保持は一般的な中空糸膜モジュールの形状としてよく見受けられるものであり、中空糸膜の両端を保持しているため、中空糸膜モジュールを強固に保持できる。一方、両端保持の中空糸膜モジュールを蒸気滅菌したとき、中空糸膜モジュールの各部材が熱によって寸法変化し、各部材は単純な寸法変化による破壊や、繰り返しの寸法変化による残留応力の蓄積に起因する破壊を起こす懸念が高くなる。一方、片端保持の中空糸膜モジュールは、蒸気滅菌の熱に伴う寸法変化が生じても、自由端において蓄積される応力の一部が緩和されるため好ましいといえる。
中空糸膜モジュールを片端保持として形成する場合、中空糸膜束の自由端を封止する方法としては、以下の方法が例示できる。所定の中空糸膜長さの倍程度の長さを有する中空糸膜を用意し、半分に折り曲げて用いる、中空糸膜束の自由端となる側の端面を、集束部材などで塞ぎ、原液が流入しないようにする、などが挙げられる。
中空糸膜束の自由端を集束部材で塞ぐ際には、複数の小束に分割すると膜揺れ効果の向上が期待され好ましい。このとき、小束の数は多いほうが、膜揺れ効果が向上しやすくなり好ましいが、多すぎると製造工程の煩雑化、小束同士が絡みやすくなり、中空糸膜同士が擦れて損傷する等の懸念も考えられる。以上のことを勘案して、小束の束は任意に決定してよい。
なお、中空糸膜モジュール1を片端保持として形成する場合、中空糸膜束20を固定する箇所は筒状ケース10の上方の端部であると、中空糸膜束20の自由端が中空糸膜モジュール1内において懸垂された状態で保持されるため好ましい。このとき、壁面通液口12を設ける位置は、筒状ケース10においてなるべく上方に、かつ、集束部材40を、後述する要求厚みどおりに設けた場合に、集束部材40によって壁面通液口12が閉塞されないように懸案した位置とすることが好ましい。
中空糸膜束20を構成する中空糸膜は、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリフッ化ビニリデン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、セルロース系樹脂およびセルローストリアセテート系樹脂などに例示されるような有機高分子化合物を含んだ中空糸膜であることが、コストおよび耐蒸気滅菌性の観点から好ましい。とりわけ、溶液による製膜が容易で物理的耐久性や耐薬品性にも優れているポリ塩化ビニル系樹脂、ポリフッ化ビニリデン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂およびポリアクリロニトリル系樹脂が好ましく、ポリフッ化ビニリデン系樹脂またはそれを主成分とする樹脂が最も好ましく用いられる。ここで主成分とは、その成分が50重量%以上、好ましくは60重量%以上含有することをいう。
さらに、ポリフッ化ビニリデン系樹脂としては、フッ化ビニリデンの単独重合体が好ましく用いられる。さらに、ポリフッ化ビニリデン系樹脂は、フッ化ビニリデンと共重合可能なビニル系単量体との共重合体も好ましく用いられる。フッ化ビニリデンと共重合可能なビニル系単量体としては、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレンおよび三塩化フッ化エチレンなどが例示される。
なお、中空糸膜束20を構成する中空糸膜は外圧式、内圧式の2種類の膜に分類することが可能である。外圧式は中空糸膜の外表が1次側となり、内圧式は中空糸膜の内表が1次側となる。外圧式中空糸膜を用いた中空糸膜モジュール1は、1次側の流路が広いため中空糸膜どうしの間に濁質が堆積しにくいというメリットがあり、一方、内圧式中空糸膜を用いた中空糸膜モジュール1は1次側の流路が狭いため、ある膜面線速度を得るためのクロスフローの流量が、外圧式の中空糸膜モジュールよりも少なくてよいというメリットがある。よって、用いる原液の性状、特に原液中の濁質濃度によって中空糸膜も外圧式、内圧式から選択することが可能である。ここで、原液中の濁質濃度が高すぎると、内圧式中空糸膜の場合は濁質により流路が閉塞されてしまう懸念があることから、本発明の中空糸膜モジュールは原液の濁質濃度が高くても適応可能な外圧式中空糸膜のほうがより好適に用いられる。また、中空糸膜モジュールが片端保持の状態で形成される場合は、中空糸膜を内圧式にすると中空糸膜内の濁質が排除できなくなってしまうため、外圧式の中空糸膜を用いることが好ましい。
中空糸膜モジュール1内に充填する中空糸膜の本数は特に限定されないが、中空糸膜モジュール1の充填率が30%以上50%以下、好ましくは35%以上48%以下となるように中空糸膜の本数を定めるとよい。外圧式中空糸膜を用いた中空糸膜モジュール1の場合は、充填率が30%未満とすると、中空糸膜モジュール1の1本あたりの膜面積が過少となるため好ましくなく、充填率が50%以上の場合は、各中空糸膜が密集しすぎて中空糸膜モジュールの蒸気滅菌がうまくいかない懸念が高まる。なお、中空糸膜モジュール1の充填率は、以下に示す式1により算出される。
Figure 2013146821
ここで、φ:中空糸膜モジュールの充填率(%)、do:中空糸膜の外径(mm)、N:中空糸膜の総本数、S:筒状ケース内側の断面積(mm)である。
集束部材40は、中空糸膜束20をまとめ、中空糸膜の内側と外側の間が気密かつ液密に分断され、かつ中空糸膜束20を少なくとも片端(開口端集束部材40b側)が開口した状態で筒状ケース10の内壁に接着、固定する部材である。また、集束部材も中空糸膜モジュールの構造部材となるため、接着対象部材との親和性のみならず、耐熱性、硬度、強度などが要求される。これらの点を考慮し、例えばポリウレタンやエポキシ、フッ素樹脂などの熱可塑性または熱硬化性樹脂などから選択することが可能である。
なお、集束部材40(開口端集束部材40b)を用いて中空糸膜束20を筒状ケース10に接着、固定する際、中空糸膜の中空部の少なくとも一端側が塞がらないようにすることが肝要である。中空糸膜の中空部が塞がれていない状態を、中空糸膜が開口状態にあるといい、開口状態である中空糸膜の端部を開口端、開口端が形成されている集束部材40の端面を開口端面と呼ぶこととする。なお、中空糸膜モジュール1が片端保持である場合には、自由端(閉塞端集束部材40a側)を封止しておくことが、中空糸膜モジュール1の1次側と2次側を気密かつ液密に分断するためには必須である。
開口端面を形成する方法としては、ポリプロピレンなどの離型性のよい素材からなる平板の上に、中空糸膜の開口した端部を密着するように当て、集束部材を中空糸膜の周囲に形成した後に平板を取り外す方法や、集束部材を中空糸膜束の端面が埋没するように形成し、後から中空糸膜束20の端面が表面に出るように集束部材を切る方法が例示できる。
なお、集束部材40に要求される厚みについては、以下に示す式2により算出可能である。式2はJIS規格「JIS B 8274」(2008年)に記載されており、用いる集束部材40の硬化物と中空糸膜束20の外径、本数などから要求厚みの値は変化する。
Figure 2013146821
ここで、t:集束部材の要求厚み(mm)、F:1.25(定数)、G:中空糸膜束外径(mm)、P:使用圧力(N/mm)、η:効率(中空糸膜の外径、本数のパラメータ)、σ:許容応力(集束部材強度のパラメータ)である。
本実施の形態1の中空糸膜モジュールは、整流部材を備えてなり、整流部材の一態様としては、図2に示す整流筒30が例示できる。整流筒30は筒状ケース10内部の偏流を抑制するためだけでなく、筒状ケース10の壁面通液口12に中空糸膜が吸い込まれることに起因する膜折れの抑制効果もある。
整流筒30は、筒状部材の壁面に貫通孔30aを設けたものである。貫通孔30aの形状は円形、楕円形、多角形、星型等が例示できるが、特に限定されない。例えば貫通孔が多角形の場合は、それぞれの頂点における角度が90°以上、好ましくは120°以上であること、および180°未満であることが好ましい。この範囲外になる頂点を有する多角形の貫通孔においては、貫通孔の頂点に中空糸膜が引っかかり、外力によって膜切れを起こす懸念等が考えられるためである。また、多角形よりも円形や楕円形のほうが好ましい。また、多角形の縁を丸める、貫通孔30aの外縁を面取りする等の手段により、膜切れの懸念を抑制してもよい。面取りは、C面取り、R面取りとすることがさらに好ましい。
整流筒30に設けられる貫通孔30aの数、および貫通孔30aの1つあたりの大きさについては特に限定されない。ただし、貫通孔30aが小さすぎると通液抵抗の増大、濁質閉塞などが懸念され、大きすぎると整流筒30の強度低下が懸念されるため、これらの要因を考慮して適切な大きさを決定することが好ましい。
また、蒸気滅菌のために、壁面通液口12から水蒸気を供給する場合、整流筒30の外表かつ、壁面通液口12から一番遠い箇所の滅菌が不十分になってしまう場合がある。これは主に、前述の当該箇所まで水蒸気が到達するよりも早く、水蒸気が整流筒30を通過して中空糸膜モジュール1の下部のほうに抜けてしまうためと考えられる。よって整流筒30は、水蒸気が壁面通液口12から供給されたときでも、前述の滅菌不良懸念箇所まで十分に水蒸気が行き渡るような構造を有していることが好ましい。整流筒30の表面のうち、壁面通液口12から供給された水蒸気が最初に当たる箇所には、貫通孔30aを設けないなどの方法が、整流筒30aの好ましい構造の例として挙げられる。
整流筒30aを形成する部材については、筒状ケース10と同様に繰り返しの蒸気滅菌処理で劣化しにくいような部材を用いればよく、耐熱性樹脂、アルミニウム、ステンレス鋼などの金属、さらに、樹脂と金属の複合体や、ガラス繊維強化樹脂、炭素繊維強化樹脂などの複合材料などから適切なものを選択して使用できる。さらに、整流筒30は独立した部材として筒状ケース10内に収めてもよく、筒状ケース10と一体となるように成型してもよい。また、整流筒30の一部が集束部材40に埋まるようにして中空糸膜モジュール1を形成し、整流筒30を保持するようにしてもよい。
ここで、整流筒30の機能を効果的に発揮せしめるための部材配置について、図3を用いて説明する。図3は図1を拡大したものである。前述の通り、整流筒30は筒状ケース10内に収められ、中空糸膜束20を囲繞するように配される。さらに、整流筒30の外周に壁面通液口12が配されるようにすることで、原液が中空糸膜モジュール1の下部から導入される場合には、筒状ケース10内に導入された原液は整流筒30に設けられた貫通孔30aを一度透過し、整流筒30の外周と筒状ケース10内周の間に形成される空間を流れて、壁面通液口12から排出されるようになり、偏流の抑制が可能となる。
ここで、図3に示したとおり整流筒30と筒状ケース10の間には原液が通液されるための流路を確保する必要があるため、整流筒30と筒状ケース10の間には隙間が設けられていることが必須となる。しかし、筒状ケース10の内周面、整流筒30の外周面および集束部材40(開口端集束部材40b)により囲まれる空間は、蒸気の供給口である壁面通液口12よりもさらに上方を向いており、なおかつこの空間は袋路S1となっている。このような袋路S1が形成されていると、壁面通液口12から蒸気を供給した際に、該袋路S1には蒸気が十分に行き渡らず、滅菌不良が生じる懸念がある。このような袋路S1は、入り口が狭く、奥行きが長いほど滅菌不良の懸念が強くなる。
図3に示すように、L2/L1≦5.0である中空糸膜モジュール1の構造が滅菌不良抑制の観点から好ましいことを、本発明の発明者は検討の末に見出した。より好ましい値の範囲はL2/L1≦3.0であり、さらに好ましい値の範囲はL2/L1≦1.5である。
上述した本実施の形態1によれば、クロスフロー運転を行い、蒸気滅菌処理を伴う中空糸膜モジュール1において、筒状ケース10の内周面、整流筒30の外周面および集束部材40(開口端集束部材40b)により囲まれる空間がL2/L1≦5.0を満たすようにしたので、蒸気滅菌不良の懸念を抑制した中空糸膜モジュールを得ることができる。
図4は、本実施の形態1の変形例1−1にかかる中空糸膜モジュール1aを示す部分断面図である。上述した中空糸膜モジュール1の袋路S1の奥行きをさらに短くするための策として、図4に示すように、筒状ケース10と整流筒30の間かつ、壁面通液口12よりもさらに上方(開口端集束部材40b側)に、シール部材42を配設してもよい。シール部材42によって袋路S2(第2の袋路)を形成して、上述した袋路S1の奥を封止することにより、滅菌不良の懸念をさらに抑制することが可能となる。
なお、シール部材41,42を配設する際は、シール部材41,42と筒状ケース10または整流筒30とのそれぞれ接する箇所に溝などのシール部材保持機構を設け、シール部材41,42の位置がずれないようにして配設する。シール部材保持機構は、本発明の効果が損なわれないものであれば形状は問われない。本発明の実施の形態を例示する図面においては、該シール部材保持機構の図示を省略しており、これ以降の図面においてもシール部材を配設するものは、同様にシール部材保持機構の図示を省略している。
図5は、本実施の形態1の変形例1−2にかかる中空糸膜モジュール1bの要部を拡大表記した図である。上述した中空糸膜モジュール1の袋路S1の奥行きをさらに短くするための他の態様として、袋路S1が形成されないようにしてもよい。変形例1−2にかかる開口端集束部材40cは、本体部10aの内部に位置する側の端部(開口端集束部材40cの本体部10aの内部に面する側の端面)が、壁面通液口12の上端を通過し、かつ筒状ケース10(本体部10a)の長手方向と直交する平面Nよりも下方に位置している。このとき、開口端集束部材40cは、本体部10aの内径に応じて延びている。
図6は、本実施の形態1の変形例1−3にかかる中空糸膜モジュール1cの要部を拡大表記した図である。変形例1−3にかかる開口端集束部材40dは、図5に示す開口端集束部材40cと同様、本体部10aの内部に位置する側の端部(開口端集束部材40dの本体部10aの内部に面する側の端面)が、壁面通液口12の上端を通過し、かつ筒状ケース10(本体部10a)の長手方向と直交する平面Nよりも下方に位置している。ここで、開口端集束部材40dは、本体部10aの内径に応じて延びるとともに、ノズル13の内壁面に沿って設けられている。
変形例1−2,1−3にかかる開口端集束部材40c,40dのように、袋路S1が形成されないようにして、蒸気滅菌不良の懸念を抑制するものであってもよい。ただし、平面Nよりも下方まで開口端集束部材40c,40dを形成させる場合、開口端集束部材40c,40dにより壁面通液口12の流路が一部閉塞され、流路抵抗が大きくなる場合がある。これに対し、壁面通液口12の流路が十分確保されるように開口端集束部材40c,40dを形成させることが好ましい。壁面通液口12の流路面積は、その中空糸膜モジュールに通液する液体の流量に応じて適宜設定すればよい。なお、変形例1−2,1−3において、本体部10aの内部に位置する側の端部は、本体部10aの内部に面する側の端面であって、奥行きL2をなす側の端面をさす。すなわち、変形例1−2,1−3では、上述した奥行きL2はマイナスの値となる。
(実施の形態2)
(カートリッジ式中空糸膜モジュールの構成要件について)
図7は、本実施の形態2にかかる中空糸膜モジュール2の構成を示した部分断面図である。図8は、本実施の形態2にかかる中空糸膜モジュール2に用いられる中空糸膜カートリッジの一例を示した模式図である。なお、図1等で上述した中空糸膜モジュール1と同じ構成要素には同じ符号を付してある。中空糸膜モジュール2は、図7に例示されるようにカートリッジ式中空糸膜モジュールの態様をとることも好ましい。カートリッジ式の中空糸膜モジュール2は、中空糸膜が集束部材400を介して筒状ケース10の内壁に接着されない状態となるので、蒸気滅菌時の熱による寸法変化、およびこれに伴い部材に蓄積される応力が緩和されやすくなり、中空糸膜モジュール2全体の耐熱性が向上するためである。また、筒状ケース10に対して劣化の早い中空糸膜部分をカートリッジ化することにより、筒状ケース10の使い回しが可能となり、中空糸膜モジュール2の1本あたりの単価を下げることも可能となる。
カートリッジ式の中空糸膜モジュール2を構成する部材は、前述の中空糸膜モジュール1と概ね同じである。ここでは、カートリッジ式の中空糸膜モジュール2の特徴となる部材および構造についてのみ述べるものとする。
中空糸膜モジュール2は、中空糸膜カートリッジ50を筒状ケース10内に保持して用いる中空糸膜モジュールである。中空糸膜カートリッジ50は、集束部材400を用いて中空糸膜束20を集束、固定する対象が筒状ケース10ではなく、筒状をなす筒状カートリッジヘッド43の内壁となる。筒状ケース10は、両端が開口した略筒状をなし、一端側に通液口11aが設けられた本体部10aと、両端が開口し、一端側で本体部10aの通液口11aと反対側の開口を覆うとともに、他端側に通液口11bが設けられた蓋部10bと、からなる。
集束部材400は、中空糸膜束端部が閉塞するように設けられる閉塞端集束部材40aおよび中空糸膜束端部が開口するように設けられる開口端集束部材40eからなる。開口端集束部材40eは、後述する筒状カートリッジヘッド43と嵌合して、本体部10aに取り付けられる。
筒状カートリッジヘッド43は、筒状ケース10に収めて用いることが可能であればその形状は特に限定されないが、中空糸膜カートリッジおよびシール部材によって中空糸膜モジュールの1次側と2次側が気密かつ液密に分断されることが要求されるため、中空糸膜カートリッジ50と筒状ケース10の間にはなるべく隙間が出来ないことが好ましい。ただし、中空糸膜カートリッジ50は筒状ケース10の本体部10aから取り出し可能であることも要求されるため、数mm程度の隙間を設けることで、筒状ケース10の破損を抑制しながら中空糸膜カートリッジ50が取り出せるようになるため好ましい。なお、筒状ケース10内にて中空糸膜カートリッジ50を保持することを考慮すると、筒状カートリッジヘッド43と筒状ケース10との保持部分の断面形状が相似形であることが好ましい。
筒状カートリッジヘッド43の素材については、筒状ケース10等と同様に、ポリスルホンに例示されるような耐熱性樹脂や、アルミニウム、ステンレス鋼などの金属、さらに、樹脂と金属の複合体や、ガラス繊維強化樹脂、炭素繊維強化樹脂などの複合材料などから適切なものを選択して使用できる。
カートリッジ式中空糸膜モジュール用の筒状ケース10は、内部に保持する中空糸膜カートリッジ50が交換可能となるような構造を有していることが要求される。これは、図7に示すように、本体部10aの通液口11aと異なる側の開口部から中空糸膜カートリッジ50を導入し、その上方に通液口11bを設けたキャップなどの部品を嵌合させる構造や、筒状ケース10が2つ以上の部品に分けられ、カートリッジが筒状ケース10内に収まるように組み立てたのち、筒状ケース10を構成する各部品間を液密に封止する構造(図示なし)などが例示できる。中でも、筒状ケース10の本体部10aの開口部から中空糸膜カートリッジ50を導入し、その上方に通液口11bを設けた蓋部10bなどの部品を嵌合させる構造が、単純なため好ましく用いられる。
中空糸膜束20については、前述の中空糸膜モジュール1に準じたものを用いて中空糸膜カートリッジ50を形成することができる。また、整流筒31は、筒状ケース10(本体部10a)の内部で保持されるとともに、筒状ケース10と中空糸膜束20との間に位置する。また、整流筒31には、上述した貫通孔30aと同様の貫通孔31aが形成され、中空糸膜カートリッジ50の筒状カートリッジヘッド43と係止するような形状をなす。例えば、図7に示すように、筒状カートリッジヘッド43と係止する側の端部が、筒状の長手方向に対して屈曲するような形状をなすことが好ましく、屈曲する方向が筒状ケース10の内壁面に向かっていることが特に好ましい。
カートリッジ式中空糸膜モジュール2において、整流筒31は、独立した部材として筒状ケース10内に収められてもよく、筒状ケース10と一体となるように成型されてもよい。ただし、中空糸膜モジュール2において、整流筒31が集束部材400(開口端集束部材40e)に埋設されないように形成されると、整流筒31が繰り返し使用できるため好ましい。
これらの部材によりカートリッジ式の中空糸膜モジュール2を形成する際にも、整流筒31は筒状ケース10内において中空糸膜束20を囲繞するように配され、整流筒31の外周に壁面通液口12が配されるようにすることも同様である。このとき、中空糸膜カートリッジ2は、図7のようにカートリッジヘッド43が整流筒31上方に乗るように配されることが、中空糸膜カートリッジ50の取り出しやすさを考慮すると好ましい。無論、中空糸膜、整流筒、壁面通液口の位置関係が前述の通りとなり、カートリッジ式の中空糸膜モジュール内において1次側と2次側が気密かつ液密に分断可能であれば、中空糸膜カートリッジの保持位置は図7の位置に限定されない。
このとき、筒状ケース10と、整流筒31とによって囲まれる空間が袋路S3(第1の袋路)を形成するため、前述のとおり、筒状ケース10と整流筒31との間の開口幅をL1[mm]、袋路S3の奥行きをL2[mm]としたときに、L2/L1≦5.0となるようにすることが、滅菌不良抑制の観点から好ましい。より好ましい値の範囲はL2/L1≦3.0であり、さらに好ましい値の範囲はL2/L1≦1.5である。なお、筒状ケース10、整流筒31および筒状カートリッジヘッド43によって袋路が形成される場合も、上述したL2/L1≦5.0の関係を満たすようにそれぞれが設けられる。
上述した本実施の形態2によれば、クロスフロー運転を行い、蒸気滅菌処理を伴う中空糸膜モジュール2において、筒状ケース10の内周面、整流筒31の外周面または筒状カートリッジヘッド43により囲まれる空間がL2/L1≦5.0を満たすようにしたので、蒸気滅菌不良の懸念を抑制した中空糸膜モジュールを得ることが可能となる。
図9は、本実施の形態2の変形例2−1にかかる中空糸膜モジュール2aを示す部分断面図である。上述した中空糸膜モジュール2の袋路S2の奥行きをさらに短くするための策として、図9に示すように、筒状ケース10と整流筒31の間かつ、壁面通液口12よりもさらに上方に、シール部材44を配設してもよい。シール部材44によって袋路S4(第2の袋路)を形成して、上述した袋路S3の奥を封止することにより、滅菌不良の懸念をさらに抑制することが可能となる。
特に、図9に示すようなカートリッジ式の中空糸膜モジュール2aにおいて、シール部材44を筒状ケース10と整流筒31の間に設けることは滅菌不良の懸念を抑制する手段として非常に有効である。図4に示すような中空糸膜モジュール1aと異なり、カートリッジ式の中空糸膜モジュール2aは、筒状ケース10と整流筒31の間に集束部材40(開口端集束部材40b)を形成して、袋路の奥行きを短くする手法が取れないためである。
上述したシール部材41,42,44の例として、O−リング、パッキン、ガスケットなどが挙げられる。これらの部材は、蒸気滅菌に対する耐性を有している素材であることが必須であり、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)や、シリコーンゴム、フッ素ゴムなどが好適な素材として例示できる。また、シール部材41,42,44は単純に当該箇所間に挟まれるように配してもよく、嵌合する箇所同士にネジ山を設けて、動きにくいようにして配してもよい。ネジ山を設ける場合は、一般的にシールテープと呼ばれる、シール用四フッ化エチレン樹脂未焼成テープをネジ山に多重に巻きつけるなどしてシール性を強化してもよい。
本実施の形態1,2にかかる中空糸膜モジュールは、上述した蒸気滅菌に限らず、温水による殺菌を行う場合であっても適用可能である。温水よる殺菌を行う場合、例えば、中空糸膜モジュールを構成する部材に、温水に対する耐性を有する素材を用いることが好ましい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
本発明の中空糸膜モジュールが優良な蒸気滅菌性を有する中空糸膜モジュールであるか否かを評価するための方法として、試作した中空糸膜モジュールに対して参考例1に記載の試験を実施した。
(参考例1)
中空糸膜モジュール内に耐熱指標菌を配備し、蒸気滅菌を実施したのちの滅菌レベルが6D以上であるかを評価する試験を実施した。滅菌レベル6Dとは中空糸膜モジュール内の生菌率を1/10にすることを指す。試験条件は以下の通りである。
耐熱指標菌:Geobacillus stearothermophilus ATCC7953を含ませたポリエステル糸(レーベンジャパン株式会社製 3−6100YT)。以下、指標菌含有糸と略記する。指標菌含有糸は50mmのポリエステル糸に10個の耐熱指標菌が含まれた糸であり、長さの調整を行わず、試験に使用している。本耐熱指標菌の熱滅菌指標はD121が1.5分である。D121とは、121℃の処理により、生菌率が1/10になるために要する時間のことである。すなわち121℃における1D処理の時間は1.5分となる。よって、本試験において後述する「滅菌処理条件がnD処理」とは、121℃、n×1.5分間保持する処理のことを言う。例えば7D処理とは121℃、10.5分の処理を行うことを意味し、10D処理とは121℃、15分の処理を行うことを意味する。
指標菌配備箇所:図10に示すように、各箇所とも指標菌含有糸21の両端に耐熱性の接着剤を塗布して、所定の箇所に貼り付けた。所定の箇所とは、以下の通りである。
・整流筒(整流筒30または整流筒31)の外表面かつ、中空糸膜モジュールの壁面通液口12の上端と高さが一致する線上(図10のA0,B0に相当)、およびその線よりもさらに上方に、その線と平行となるように引いた複数の線上(図10のA1〜A8,B1〜B8に相当)。配備箇所A1〜A8は、壁面通液口12に近い側であって、配備箇所B1〜B8は、遠い箇所である。なお、上記において、例えばAaと表記されている場合、配備箇所A0との間隔がL1のa倍である位置に貼り付けられた指標菌含有糸のことを指し、Baと表記されている場合、配備箇所B0との間隔がL1のa倍である位置に貼り付けられた指標菌含有糸のことを指している。aは整数でなくてもよい。なお、後述する実施例、比較例において、aが必ずしもa=1、2、3・・・とならないように指標菌滅菌糸が配されていないものがある。これは、中空糸膜モジュール内において、指標菌含有糸同士が接触するように配されると、蒸気滅菌性の評価結果に影響を及ぼすことが懸念されるためである。L1の値が小さい場合、指標菌含有糸同士の間隔が狭くなってしまうため、aの値の間隔は、1よりも大きくなっている。
・袋路S2〜S4のいずれかにおける最上端。シール部材42と、筒状ケース10および整流筒30とによって形成される袋路S2における最上端、もしくは、中空糸膜モジュールがカートリッジ式の場合、整流筒31の上端またはシール部材44の何れか1つの部材と、筒状ケース10および整流筒31によって形成される袋路S3,S4における最上端にも配している。この最上端は、壁面貫通口12に近い(図10のAxに相当)、および遠い(図10のBxに相当)箇所に対応している。
滅菌処理条件:滅菌処理条件は、7D処理、10D処理の2通りとした。両方とも中空糸膜モジュールの壁面通液口12から、121℃の飽和水蒸気を供給し、通液口11aの下方に設置されているスチームトラップを有効にすることで、同じく通液口11aの下方に設置されている温度計が121℃に達した後、所定の時間(7D処理は10.5分、10D処理は15分)保持した。
滅菌可否判定:中空糸膜モジュール内に配した全ての指標菌含有糸をクリーンベンチ内で中空糸膜モジュールから取り出し、指標菌含有糸を1本ずつ、滅菌した培地10mlを分注した試験管に入れて耐熱指標菌の培養を行った。培地の組成は下表1の通りであり、調製直後の培地は酸性を示すため、水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを7.0に調製した。培養は40℃にて振とうして行い、1週間培養後、耐熱性指標菌の生育の有無を目視にて判定した。目視で試験管内に耐熱性指標菌形成が見られなければ、耐熱性指標菌の生育が無いものとした。10個の指標菌を配して7D処理を行えば、水蒸気が指標菌に対して十分に接している場合には、理論上10回に1回の確率で滅菌不良が発生することから、本試験を7D処理、10D処理とも10回繰り返して実施し、滅菌可否判定を行った。なお、10D処理は通常行われている一般的な蒸気滅菌条件を想定した蒸気滅菌であり、7D処理は通常行われている一般的な蒸気滅菌条件よりも滅菌条件が困難な場合を想定した蒸気滅菌である。
Figure 2013146821
(参考例2)中空糸膜モジュールの作製(1)
以下に記載のものを用いて、図1に記載の中空糸膜モジュール1を作製した。筒状ケース10の本体部10a:SUS316製の円筒状容器。長さは1500mm、内径は150mm。本体部10aの壁面上に、端部から100mmの点を中心として、直径40mmの円形の孔を1つ設け、これを壁面通液口12とした。筒状ケース10の蓋部10b:SUS316製。筒状ケース10の、径が大きいほうの開口端側に嵌合するような大きさのもの。中空糸膜束20:PVDF製中空糸膜を4000本使用。中空糸膜は、東レ株式会社製の中空糸膜モジュール「HFU−2020」を解体し、集束部材によって集束されていない中空糸膜部分を切り出して用いた。整流筒30:ポリスルホン製で、長さ130mm、整流孔を設けた面の外径は146mmの円筒状。一端をL字状に曲げており、筒状ケースの本体部10aにおいて保持できるようにした。L字に折り曲げられた端部から50mmまでの範囲にわたり、直径4mmの貫通孔30a(図2参照)が設けられている。集束部材40:2液混合型のエポキシ樹脂である、LST868 R−14、LST868 H−14(ともにハンツマン・ジャパン株式会社製)を用いた。硬化する前のエポキシ樹脂は、後述する製造方法(図11)の説明において、便宜上Reという略号により表される。
作成の手順は以下の通りである。
1)中空糸膜束20の一端を、内径140mmの円筒状容器に入れて、2液をよく混合したエポキシ樹脂を流し込む。そのままエポキシ樹脂を硬化させて閉塞端集束部材40aを得た。
2)中空糸膜束20の、閉塞端集束部材40aを設けていない端部に、薄く速乾性の接着剤を塗布し、中空糸膜の開口端を一時的に塞いで目止め端とする。
3)中空糸膜束20を整流筒30に通し、整流筒30が中空糸膜束20を囲繞し、かつ中空糸膜束20の目止め端側の端部と、整流筒のL字に曲げられていないほうの端部(本体部10aと連結する側と異なる側の端部)を合わせるようにする。
4)筒状ケース10の本体部10a内に中空糸膜束20および整流筒30を、整流筒30の外周面と筒状ケース10の壁面通液口12と対向するように収める。
5)筒状ケース10の本体部10aを、図11のように中空糸膜モジュール作製冶具60に収めて、中空糸膜束20のみを筒状ケース10上部から押し出し、端面から数cmはみ出すようにする。
6)2液をよく混合したエポキシ樹脂Reを、中空糸膜モジュール作製冶具60の下部からゆっくり注入する。所定の量を注入したら、エポキシ樹脂Reの供給を止めて完全に硬化するまで静置する。
7)中空糸膜モジュール作製冶具60を外し、筒状ケース本体部10aからはみ出たエポキシ樹脂を切り落とし、開口端集束部材40bを得る。
8)開口端集束部材40bと対向するように筒状ケース蓋部10bを勘合させて、中空糸膜モジュール1を得る。
(参考例3)中空糸膜モジュールの作製(2)
図4に記載の中空糸膜モジュール1aを作製した。作成の概略は参考例2と同様であり、相違点について述べる。
・使用する部材として、以下のものを追加する。シール部材42:EPDM製のO−リングであり、整流筒30の外周に勘合する大きさのもの。整流筒30にも、シール部材42を配設するための溝を設けている。
・作製の手順を以下の通り変更する。参考例2の工程2)の後に、整流筒30にシール部材42を配設したのち、工程3)以降の手順どおりに中空糸膜モジュール1aを作製する。
(参考例4)中空糸膜モジュールの作製(3)
図7に記載のカートリッジ式中空糸膜モジュール2を作製した。作成の概略は参考例2と同様であり、相違点について述べる。
・使用する部材を以下の通り変更する。整流筒31:両端をL字状に折り曲げたものとし、長さを70mmとした。貫通孔の分布については変更無し(参考例2と同様)。使用する部材として、以下のものを追加する。筒状カートリッジヘッド43:ポリスルホン製で、長さ60mm、外径148mmの円筒状。
・作製の手順を以下の通り変更する。参考例2の工程2の後に、中空糸膜束20を筒状カートリッジヘッド43に通し、筒状カートリッジヘッド43が中空糸膜束20を囲繞し、かつ中空糸膜束20の目止め端側の端部と、筒状カートリッジヘッド43の一端を合わせるようにする。これを参考例2の工程5と同様に中空糸膜モジュール作製冶具60を用いて、開口端集束部材40bを有する中空糸膜カートリッジ50を得る。その後、筒状ケース本体部10a内に整流筒31を収めて保持させ、さらにその上から中空糸膜カートリッジ50を収める。中空糸膜カートリッジ50の開口端集束部材40bと対向するように蓋部10bを勘合させて、カートリッジ式中空糸膜モジュール2を得る。
(実施例1)
参考例2に記載の手順で図1に記載のような中空糸膜モジュール1を作製し、参考例1に記載の試験を実施した。筒状ケース10と整流筒30との間の開口幅L1は2.5mm、袋路S1の奥行きL2は3.75mmであり、L2/L1=1.5であった。整流筒30の表面の4箇所に予め指標菌含有糸21を配した状態で中空糸膜モジュールを作成しており、壁面通液口12に近い群2本(配備箇所A0,A1)と、壁面通液口12から遠い群2本(配備箇所B0,B1)となるように耐熱性指標菌を配した。
この中空糸膜モジュール1を滅菌したのち、中空糸膜モジュール1を解体して指標菌含有糸21を全て取り出した。これらの指標菌含有糸21から耐熱指標菌が検出されるかを調べた結果、および、中空糸膜モジュール1の滅菌可否判定について、7D処理を行ったものをまとめて表2に、10D処理を行ったものをまとめて表3に記載する。
Figure 2013146821
Figure 2013146821
表2,3とも、表中に記載されている数は、n=10で実施した試験のうち、滅菌できていた指標菌含有糸の数を表している。例えば、表2において実施例2の配備箇所A0の欄に9と書かれているのは、n=10で実施した試験のうち、10回中9回は指標菌含有糸が滅菌できており、10回中1回は指標菌滅菌糸が滅菌できていないことを意味している。また、表中の「−」については、中空糸膜モジュールの当該箇所に指標菌含有糸が設けられていないことを意味している。
表2および表3から、実施例1のような中空糸膜モジュール1は、理論通りに蒸気滅菌が出来ており、袋路の奥のほうに配した指標菌含有糸21まで十分に滅菌できていることがわかった。よって、実施例1にかかる中空糸膜モジュール1は、蒸気滅菌に適しているといえる。
(実施例2)
参考例2に記載の手順で図1に記載のような中空糸膜モジュール1を作製し、参考例1に記載の試験を実施した。筒状ケース10と整流筒30との間の開口幅L1は2.5mm、袋路S1の奥行きL2は7.5mmであり、L2/L1=3.0であった。整流筒30の表面の6箇所に予め指標菌含有糸21を配した状態で中空糸膜モジュールを作成しており、壁面通液口12に近い群3本(配備箇所A0,A1,A2)と、壁面通液口12から遠い群3本(配備箇所B0,B1,B2)となるように耐熱性指標菌を配した。
この中空糸膜モジュール1を滅菌したのち、中空糸膜モジュール1を解体して指標菌含有糸21を全て取り出した。これらの指標菌含有糸21から耐熱指標菌が検出されるかを調べた結果、および、中空糸膜モジュール1の滅菌可否判定について、7D処理を行ったものをまとめて表2に、10D処理を行ったものをまとめて表3に記載する。
表2から、実施例2のような中空糸膜モジュール1は、袋路の奥のほうに配した指標菌含有糸21において、通常行われている条件より厳しい条件下では理論上の確率には満たないものの、理論に近い確率で滅菌を行うことができ、表3から、一般的な蒸気滅菌条件によって十分に蒸気滅菌が可能であることがわかった。よって、実施例2にかかる中空糸膜モジュール1は、少なくとも一般的な条件下において十分な蒸気滅菌を行うことに適しているといえる。
(実施例3)
参考例2に記載の手順で図1に記載のような中空糸膜モジュール1を作製し、参考例1に記載の試験を実施した。筒状ケース10と整流筒30との間の開口幅L1は2.5mm、袋路S1の奥行きL2は12.5mmであり、L2/L1=5.0であった。整流筒30の表面の10箇所に予め指標菌含有糸21を配した状態で中空糸膜モジュールを作成しており、壁面通液口12に近い群5本(配備箇所A0,A1,A2,A3,A4)と、壁面通液口12から遠い群5本(配備箇所B0,B1,B2,B3,B4)となるように耐熱性指標菌を配した。
この中空糸膜モジュール1を滅菌したのち、中空糸膜モジュール1を解体して指標菌含有糸21を全て取り出した。これらの指標菌含有糸21から耐熱指標菌が検出されるかを調べた結果、および、中空糸膜モジュール1の滅菌可否判定について、7D処理を行ったものをまとめて表2に、10D処理を行ったものをまとめて表3に記載する。
表2から、実施例3のような中空糸膜モジュール1は、袋路の奥のほうに配した指標菌含有糸21において、通常行われている条件より厳しい条件下では理論上の確率には満たないものの、理論に近い確率で滅菌を行うことができ、表3から、一般的な蒸気滅菌条件によって十分に蒸気滅菌が可能であることがわかった。よって、実施例3にかかる中空糸膜モジュール1は、少なくとも一般的な条件下において十分な蒸気滅菌を行うことに適しているといえる。
(実施例4)
参考例3に記載の手順で図4に記載のような中空糸膜モジュール1aを作製し、参考例1に記載の試験を実施した。筒状ケース10と整流筒30との間の開口幅L1は2.5mm、袋路S2の奥行きL2は12.5mmであり、L2/L1=5.0であった。整流筒30の表面の10箇所と、シール部材42の表面2箇所の計12箇所に予め指標菌含有糸21を配した状態で中空糸膜モジュールを作成しており、壁面通液口12に近い群6本(配備箇所A0,A1,A2,A3,A4,Ax)と壁面通液口12から遠い群6本(配備箇所B0,B1,B2,B3,B4,Bx)となるように耐熱性指標菌を配した。
この中空糸膜モジュールを滅菌したのち、中空糸膜モジュール1aを解体して指標菌含有糸21を全て取り出した。これらの指標菌含有糸21から耐熱指標菌が検出されるかを調べた結果、および、中空糸膜モジュールの滅菌可否判定について、7D処理を行ったものをまとめて表2に、10D処理を行ったものをまとめて表3に記載する。
表2から、実施例4のような中空糸膜モジュール1aは、袋路の奥のほうに配した指標菌含有糸21において、通常行われている条件より厳しい条件下では理論上の確率には満たないものの、理論に近い確率で滅菌を行うことができ、表3から、一般的な蒸気滅菌条件によって十分に蒸気滅菌が可能であることがわかった。よって、実施例4にかかる中空糸膜モジュール1aは、少なくとも一般的な条件下において十分な蒸気滅菌を行うことに適しているといえる。
(実施例5)
参考例4に記載の手順で図7に示すようなカートリッジ式の中空糸膜モジュール2を作製し、参考例1に記載の試験を実施した。実施例5では、図9の筒状ケース10と整流筒31との間の開口幅L1は2.5mm、袋路S3の奥行きL2は12.5mmであり、L2/L1=5.0であった。整流筒31の表面の12箇所に予め指標菌含有糸21を配した状態で中空糸膜モジュールを作成しており、壁面通液口12に近い群が6本(配備箇所A0,A1,A2,A3,A4,Ax)、壁面通液口12から遠い群が6本(配備箇所B0,B1,B2,B3,B4,Bx)となるように配した。
この中空糸膜モジュール2を滅菌したのち、中空糸膜モジュール2から中空糸膜カートリッジ50、整流筒31を取り外して指標菌含有糸21を全て取り出した。これらの指標菌含有糸21から耐熱指標菌が検出されるかを調べた結果、および、中空糸膜モジュールの滅菌可否判定について、7D処理を行ったものをまとめて表2に、10D処理を行ったものをまとめて表3に記載する。
表2から、実施例5のような中空糸膜モジュール2は、袋路の奥のほうに配した指標菌含有糸21において、通常行われている条件より厳しい条件下では理論上の確率には満たないものの、理論に近い確率で滅菌を行うことができ、表3から、一般的な蒸気滅菌条件によって十分に蒸気滅菌が可能であることがわかった。よって、実施例5にかかる中空糸膜モジュール2は、少なくとも一般的な条件下において十分な蒸気滅菌を行うことに適しているといえる。
(比較例1)
参考例2に記載の手順で図1に示すような中空糸膜モジュール1を作製し、参考例1に記載の試験を実施した。比較例1では、例えば図10の筒状ケース10と整流筒30との間の開口幅L1は2.5mm、袋路S1の奥行きL2は17.5mmであり、L2/L1=7.0であった。整流筒30の表面の14箇所に予め指標菌含有糸21を配した状態で中空糸膜モジュールを作成しており、壁面通液口12に近い群が7本(配備箇所A0,A1,A2,A3,A4,A5,A6)、壁面通液口12から遠い群が7本(配備箇所B0,B1,B2,B3,B4,B5,B6)となるように配した。
この中空糸膜モジュール1を滅菌したのち、中空糸膜モジュール1を解体して指標菌含有糸21を全て取り出した。これらの指標菌含有糸21から耐熱指標菌が検出されるかを調べた結果、および、中空糸膜モジュール1の滅菌可否判定について、7D処理を行ったものをまとめて表2に、10D処理を行ったものをまとめて表3に記載する。
表2から、比較例1のような中空糸膜モジュールは、7D処理を行った場合、通常行われている条件より厳しい条件下では滅菌が不十分であり、表3から、一般的な蒸気滅菌条件である10D処理を行った場合であっても、袋路の奥のほうに配した指標菌含有糸(A6)や、壁面通液口から遠い指標菌含有糸(B6)が滅菌できていないことがわかった。よって、比較例1にかかる中空糸膜モジュールは、蒸気滅菌に不適であるといえる。
(比較例2)
参考例4に記載の手順で図7に示すようなカートリッジ式の中空糸膜モジュール2を作製し、参考例1に記載の試験を実施した。比較例2では、図10の筒状ケース(本体部10a)と整流筒31との間の開口幅L1は2.5mm、袋路S3の奥行きL2は17.5mmであり、L2/L1=7.0であった。整流筒31の表面の16箇所に予め指標菌含有糸21を配した状態で中空糸膜モジュールを作成しており、壁面通液口12に近い群が8本(配備箇所A0,A1,A2,A3,A4,A5,A6,Ax)、壁面通液口12から遠い群が8本(配備箇所B0,B1,B2,B3,B4,B5,B6,Bx)となるように配した。
この中空糸膜モジュール2を滅菌したのち、中空糸膜モジュール2から中空糸膜カートリッジ50、整流筒31を取り外して指標菌含有糸21を全て取り出した。これらの指標菌含有糸21から耐熱指標菌が検出されるかを調べた結果、および、中空糸膜モジュールの滅菌可否判定について、7D処理を行ったものをまとめて表2に、10D処理を行ったものをまとめて表3に記載する。
表2から、比較例2のような中空糸膜モジュールは、7D処理を行った場合、通常行われている条件より厳しい条件下では滅菌が不十分であり、表3から、一般的な蒸気滅菌条件である10D処理を行った場合であっても袋路の奥のほうに配した指標菌含有糸(配備箇所A6,Ax)や、壁面通液口から遠い指標菌含有糸(配備箇所B6,Bx)が滅菌できていないことがわかった。よって、比較例2にかかる中空糸膜モジュールは、蒸気滅菌に不適であるといえる。
本発明の中空糸膜モジュールは、クロスフロー運転が可能であり、優良な蒸気滅菌性を有することから、食品、医薬品の分離、精製および連続発酵プロセスにも好適に用いることができる。
1,1a,2,2a 中空糸膜モジュール
10 筒状ケース
10a 本体部
10b 蓋部
11a,11b 通液口
12 筒状ケース壁面通液口(壁面通液口)
13 ノズル
20 中空糸膜束
21 指標菌含有糸
30,31 整流筒
30a,31a 貫通孔
40,400 集束部材
40a 閉塞端集束部材
40b,40c,40d,40e 開口端集束部材
43 筒状カートリッジヘッド
41,42,44 シール部材
50 中空糸膜カートリッジ
60 中空糸膜モジュール作製冶具
S1〜S4 袋路

Claims (4)

  1. 筒状をなし、壁面に壁面通液口を有する筒状ケースと、
    複数の中空糸膜からなる中空糸膜束と、
    前記中空糸膜束を保持するとともに、前記筒状ケースの内部で保持される集束部材と、
    筒状をなし、前記筒状ケースと前記中空糸膜束との間に設けられて前記集束部材と連結し、外周面が前記壁面通液口に対向する整流筒と、
    を備え、
    前記集束部材、前記筒状ケース、前記整流筒で囲まれてなる第1の袋路が、開口幅L1および奥行きL2についてL2/L1≦5.0を満たすことを特徴とする中空糸膜モジュール。
  2. 筒状をなし、壁面に壁面通液口を有する筒状ケースと、
    少なくとも複数の中空糸膜からなる中空糸膜束、前記中空糸膜束を保持する集束部材、および前記集束部材の外周を保持する筒状カートリッジヘッドを有する中空糸膜カートリッジと、
    筒状をなし、前記筒状ケースの内部で保持されるとともに、前記筒状ケースと前記中空糸膜束との間に位置し、外周面が前記壁面通液口に対向する整流筒と、
    を備え、
    前記筒状ケースおよび前記整流筒で囲まれてなる第1の袋路が、開口幅L1および奥行きL2についてL2/L1≦5.0を満たすことを特徴とする中空糸膜モジュール。
  3. 前記筒状ケースおよび前記整流筒の間に配設されるシール部材をさらに備え、
    前記シール部材、前記筒状ケースおよび前記整流筒によって形成される第2の袋路が、開口幅L1および奥行きL2についてL2/L1≦5.0を満たすことを特徴とする請求項1または2に記載の中空糸膜モジュール。
  4. 前記集束部材の前記奥行きをなす側の端面は、前記壁面通液口の上端を通過する平面より下方に位置していることを特徴とする請求項1に記載の中空糸膜モジュール。
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