JP6725238B2 - 外圧式中空糸膜モジュールおよびその製造方法 - Google Patents

外圧式中空糸膜モジュールおよびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、外圧式中空糸膜モジュールおよびその製造方法に関するものであり、特に、純水製造装置で清澄化された原水からエンドトキシン除去を行うろ過装置に好適に用いられる外圧式中空糸膜モジュールおよびその製造方法に関するものである。
近年、製薬会社において使用する用水の製造には、超ろ過法(逆浸透膜、分子量6000以上の物質を除去できる限外ろ過膜、又はこれらの膜を組み合わせた製造システムにより水を精製する方法)が普及してきた結果、より信頼性が高く(リークする危険性の低い)、ランニングコストの安い(設計ろ過流量が高く設定できる)限外ろ過膜モジュールが求められている。
一般に、本用途に使用される中空糸状限外ろ過膜モジュールは、外径0.1mm〜2mm、分画分子量6000以下の中空糸膜を数百〜数千本束ねて長さ200〜1200mmの筒状のハウジングに収納し、その両端部を樹脂でハウジング内壁に接着固定している。中空糸膜の両端部は開口しており、原水を中空糸膜の中空部に導き、中空糸膜の外表面に導かれたろ過液はハウジング側面に設けられたノズルから排出される。これは内圧クロスフローろ過方式又は内圧全ろ過方式であり、定期的にシステム全体を熱水殺菌することでシステム内の菌の繁殖を防ぎ、中空糸膜のろ過流量の低下を抑えている。
通常、中空糸膜モジュールは、比較的ろ過流量を大きく設定することが可能だが、ろ過流量を大きく設定すればするほど内圧式中空糸膜モジュールの構造上、ろ過液がハウジング側面の排出用ノズルに集中し、排出用ノズル付近の中空糸膜に吸引力が働いて破断傾向が高まり、中空糸膜が破断しやすくなるという問題があった。
中空糸膜モジュールのろ過流量を上げるため、中空糸膜そのものをより細く成形して、ハウジング内への充填本数を増やしたり、中空糸膜の肉厚をより薄くすることでろ過抵抗を下げてろ過能力を向上させようとすると、中空糸膜の破断強度も低下するためより破断しやすくなる。従って、内圧クロスフローろ過方式又は内圧全ろ過方式を用いてろ過流量を上げるのは限界があった。
また、中空糸膜モジュールのろ過流量を上げるため、特許文献1に記載のような外圧式中空糸膜モジュールを用いることが考えられる。
国際公開第2005/030375号
しかしながら、特許文献1に記載のような外圧式の中空糸膜モジュールを用いた場合、高いろ過流量で運転を試みると、ハウジング内への原水の流入によって中空糸膜の両端部近傍が振動し、これにより中空糸膜が破断するという問題がある。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、中空糸膜の破断を抑えつつ、ろ過流量の増能力化を可能とする外圧式中空糸膜モジュール及びその製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明者は、上記課題を解決するため、比較的低い破断強度の中空糸膜を用いて製作しても破断発生率を劇的に抑制可能な外圧式中空糸膜ろ過モジュールの構造を見出し、本発明に至った。すなわち、本発明は下記のとおりである。
本発明の外圧式中空糸膜モジュールは、一方の端部が閉塞され他方の端部が開口された複数の中空糸膜を束ねた中空糸膜束と、側面に少なくとも1つのノズルを有した筒状体であり、中空糸膜の閉塞された端部および中空糸膜の開口された端部がそれぞれ筒状体の長手方向の両端側に向くように、中空糸膜束を収容するハウジングと、中空糸膜の開口された端部側において、中空糸膜同士、および中空糸膜束とハウジング内壁とを接着固定した第1の接着固定部と、中空糸膜の閉塞された端部側において、中空糸膜同士、および中空糸膜束とハウジング内壁とを接着固定し、中空糸膜束の外周においてハウジングの長手方向に少なくとも1つの平行な貫通孔を有する第2の接着固定部と、第1の接着固定部から第2の接着固定部に向かって少なくとも所定の長さの端部領域、および第2の接着固定部から第1の接着固定部に向かって少なくとも所定の長さの端部領域の少なくとも一方において、中空糸膜束の外周面に密着した状態でその外周面を全周囲に亘って覆う保護部材とを備えたことを特徴とする。
また、上記本発明の外圧式中空糸膜モジュールにおいては、保護部材の内周の長さをL、中空糸膜の外径をd、保護部材に接触している中空糸膜の本数をmとしたとき、md/Lは0.95以上であることが好ましい。
また、上記本発明の外圧式中空糸膜モジュールにおいて、貫通孔は、中空糸膜束の外周面に隣接するように配置されていることが好ましい。
また、上記本発明の外圧式中空糸膜モジュールにおいては、貫通孔の開口面積の和をA、開口された側の中空糸膜の中空部の総開口面積の和をBとしたとき、A/Bは0.05以上1以下であることが好ましい。
また、上記本発明の外圧式中空糸膜モジュールにおいて、保護部材は、中空糸膜束の閉塞された側の端部領域および中空糸膜束の開口された側の端部領域の少なくとも一方にのみ設けることができる。
また、上記本発明の外圧式中空糸膜モジュールにおいて、上記少なくとも1つのノズルは、ハウジングの少なくとも一方の端の近傍に形成され、保護部材は、ノズルが形成された一端部側の端部領域に設けることができる。
また、上記本発明の外圧式中空糸膜モジュールにおいて、保護部材は、ノズルのハウジング内側面側の開口よりもハウジングの長手方向の中央位置側に延伸されて設けることが好ましい。
また、上記本発明の外圧式中空糸膜モジュールにおいては、保護部材として、ネット状の部材を筒状に形成したものを用いることができる。
また、上記本発明の外圧式中空糸膜モジュールにおいては、保護部材として、シート状の部材を筒状に形成したものを用いることができる。
本発明の外圧式中空糸膜モジュールの製造方法は、上記本発明の外圧式中空糸膜モジュールの製造方法であって、保護部材で包んだ中空糸膜束をハウジング内に挿入した後、保護部材で包まれた中空糸膜束の外周面の外側に複数の柱状部材を挿入することによって中空糸膜束の外周面と保護部材とを密着させた状態とすることを特徴とする。
また、上記本発明の外圧式中空糸膜モジュールの製造方法においては、中空糸膜束の外周面と保護部材とを密着させた状態とした後、ハウジング内にポッティング材を注入することによって第2の接着固定部を形成し、第2の接着固定部が形成された後、柱状部材を取り除くことによって貫通孔を形成することができる。
また、上記本発明の外圧式中空糸膜モジュールの製造方法においては、柱状部材の長手方向に直交する方向の断面形状が、円形または楕円形であることが好ましい。
また、上記本発明の外圧式中空糸膜モジュールの製造方法においては、柱状部材の先端部分がテーパー形状であることが好ましい。
本発明の外圧式中空糸膜モジュールによれば、中空糸膜束の一方の端部に形成された第1の接着固定部から他方の端部に形成された第2の接着固定部に向かって少なくとも所定の長さの端部領域、および第2の接着固定部から第1の接着固定部に向かって少なくとも所定の長さの端部領域の少なくとも一方において、中空糸膜束の外周面に密着した状態でその外周面を全周囲に亘って覆う保護部材を設ける。これにより、高いろ過流量で長期間運転しても、接着固定部の境界近傍での中空糸膜の振動などを抑制することができ、中空糸膜の破断を抑制しつつ、ろ過流量の増能力化が可能となる。
本発明の中空糸膜モジュールの一実施形態の概略構成を示す図 図1に示す中空糸膜モジュールのC−D線断面図 本発明の中空糸膜モジュールの一実施形態における保護部材の概略構成を示す図 図1に示す中空糸膜モジュールのA−B線断面図
以下、本発明の中空糸膜モジュールの一実施形態について図面を参照しながら説明する。本実施形態の中空糸膜モジュールは、上下水道、食品工業、一般工業、医療、理化学といった様々な分野で利用されるものであり、特に、医薬食品業界の無菌水製造装置における最終ろ過膜モジュールとして好適に利用されるものである。図1は、本実施形態の中空糸膜モジュールの概略構成を示す図である。なお、図1においては、その上下方向を矢印で示している。また、以下、図1に示す上下方向を中空糸膜モジュール1の上下方向として説明する。
図1に示されるように、本実施形態の中空糸膜モジュール1は、複数の中空糸膜2が束ねられた中空糸膜束3と、中空糸膜束3を収容する筒状のハウジング5とを備えるものである。なお、図1においては、ハウジング5および後述するキャップ10,11については、手前半分を取り除いた断面図を示している。
中空糸膜2としては、逆浸透膜、ナノ濾過膜、限外ろ過膜、及び精密ろ過膜を用いることが出来る。中空糸膜の素材は特に限定されず、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアクリロニトリル、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4−メチルペンテン)、エチレン−ビニルアルコール共重合体、セルロース、酢酸セルロース、ポリフッ化ビニリデン、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、およびポリテトラフルオロエチレン等が挙げられ、また、これらの複合素材も使用できる。
また、中空糸膜の形状としては、内径が50μm〜3000μmであることが好ましく、より好ましくは500〜2000μmである。また、内径/外径比が0.3〜0.8のものが好適に使用される。
ハウジング5の両端開口には、配管が接続される管路10a,11aが形成された配管接続用のキャップ10,11がそれぞれ設けられており、配管接続用のキャップ10,11はクランプ13によってハウジング5に固定装着されている。キャップ10,11のハウジング5側の端面とハウジング5のキャップ10,11側の端面には環状の溝が形成されており、この溝によってサニタリーガスケット12が挟まれている。このサニタリーガスケット12によりハウジング両端とキャップ10,11の間がシールされる。
ハウジング5は、第1ノズル51aと一体成型された第1筒状部材51と、第2ノズル52aと一体成型された第2筒状部材52と、第1筒状部材51と第2筒状部材52との間に配される直管状の第3筒状部材53とが互いに接合されて構成されている。第1ノズル51aと第2ノズル52aとは、それぞれハウジング5の端部の側部に設けられ、ハウジング5の長手方向に直交する方向に突き出すように設けられている。第2ノズル52aは、外圧ろ過処理の過程において濃縮水が排出されるノズルである。第1ノズル51aは、本実施形態の中空糸膜モジュール1では特に使用されないため、その開口は封止されている。
本実施形態の中空糸膜モジュール1は、その長手方向が鉛直方向となるように立設され、第1ノズル51aが鉛直方向下側に配置され、第2ノズル52aが鉛直方向上側に配置されるように設置される。
また、中空糸膜束3の両端部には、図1に示すように、第1整流筒6および第2整流筒7がそれぞれ装着されている。
第1整流筒6および第2整流筒7は筒状に形成されたものであり、第1整流筒6は、下側の第1ノズル51aのハウジング5の内側面側の開口と中空糸膜束3との間に設けられ、第2整流筒7は、上側の第2ノズル52aのハウジング5の内側面側の開口と中空糸膜束3との間に設けられ、それぞれ中空糸膜束3の外周を囲むように設けられている。
第1整流筒6および第2整流筒7は、第1ノズル51aおよび第2ノズル52aの近傍において、中空糸膜束3とハウジング5の内壁との間隔を保持するために設けられたものである。
第1整流筒6および第2整流筒7には、図1に示すように、それぞれ複数の貫通穴30が設けられている。第1整流筒6の貫通穴30は、第1ノズル51aのハウジング5の内側面側の開口に対向する領域以外の領域に形成し、開口に対向する領域には形成しないようにすることが望ましい。また、第2整流筒7の貫通穴30は、第2ノズル52aのハウジング5の内側面側の開口に対向する領域以外に領域に形成し、開口に対向する領域には形成しないようにすることが望ましい。
第1整流筒6はフランジ6aを備えており、そのフランジ6aを第1筒状部材51と第3筒状部材53の接合部分で挟むことによって、第1整流筒6が位置決めされる。第1整流筒6の下側端部は、後述する接着固定部20(本発明の第2の接着固定部に相当する)内で接着固定される。同様に、第2整流筒7はフランジ7aを備えており、そのフランジ7aを第2筒状部材52と第3筒状部材53の接合部分で挟むことによって、第2整流筒7が位置決めされる。第1整流筒7の上側端部は、後述する接着固定部21(本発明の第1の接着固定部に相当する)内で接着固定される。
中空糸膜束3の両端部には、各中空糸膜2同士および中空糸膜束3とハウジング5の内壁とをポッティング材によって接着固定する接着固定部20,21が形成されている。ハウジング5の内壁には環状凹凸部5aが形成されており、この環状凹凸部5aの溝にポッティング材が流れ込むことによって、接着固定部20,21の側面に環状凹凸構造が形成される。このようにハウジング5の内壁に環状凹凸部5aを形成することによって、ハウジング5と接着固定部20,21との接着面積を広くすることができ、より高い接着力を得ることができる。
ポッティング材としては、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、ウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、オレフィン系ポリマー、シリコン樹脂、およびフッ素含有樹脂等の高分子材料が好ましく、これらの高分子材料のいずれかでもよいし、複数の高分子材料を組み合わせて用いるようにしてもよい。ウレタン樹脂は比較的短時間で反応が完結するので特に好ましい。また、これらのポッティング材で構成された接着固定部20,21は、ろ過時に加圧によって生ずる一次側と二次側の差圧に耐え得る耐圧性を有することが必要であり、そのためには適度な硬さを有していることが望ましい。一方、物理洗浄時の流体の流れによる中空糸膜2の破断をより長期間確実に防止するために、適度な柔らかさを有したポッティング材を使用することが望ましい。従って、使用上必要充分な耐圧性を付与し、かつ、確実に膜破断を防止するためには、使用温度範囲で硬度70D〜50Aの特性を有するポッティング材を使用することが好ましい。尚、ここで言う硬度は、ショア硬度計を実質的に平滑な面を有する資料面に押し当てた時に、10秒後に示した値をいう。この値が70D超えると上記の膜破断が起こる場合があり、また、50A未満では耐圧性が不足する場合がある。
中空糸膜束3の両端部に形成された接着固定部20と接着固定部21との間の中空糸膜2の外側には被処理液が流れ込む領域5b(以下、外側領域という)が形成される。
また、図1に示すように、中空糸膜モジュール1を鉛直方向に立設した場合に下側に位置する接着固定部20には、複数の貫通孔20aが形成されている。図2は、図1に示す中空糸膜モジュール1のC−D線断面図である。
貫通孔20aは、ハウジング5の長手方向に平行に形成されており、上述した外側領域5bと外側領域5bとは接着固定部20を挟んで反対側の外部領域5cとを連通させる孔である。本実施形態においては、複数の貫通孔20aは、図2に示すように、後述する保護部材8とハウジング5の内壁との間の接着固定部20内に設けられ、中空糸膜束3の外周面に隣接するように配置されている。
そして、各中空糸膜2の貫通孔20aが設けられた側の中空部は閉塞されており、各中空糸膜2の貫通孔20aが形成された側とは反対側の中空部は開口されている。ろ過処理が行われる際には、キャップ11の管路11aから被処理水が流入し、その被処理水が貫通孔20aを通過して外側領域5bに供給される。そして、外側領域5bに供給された被処理液が各中空糸膜2の外表面から染み込み、各中空糸膜2の中空部を通過したろ過液が、キャップ10の管路10aから流出され、濃縮水が第2ノズル52aから流出される。
また、中空糸膜モジュール1は、中空糸膜束3の外周面を包みこむように設けられた筒状の保護部材8を備えている。図3は、ハウジング5内に設けられた保護部材8の外観を示すものである。なお、図3においては、図1に示す中空糸膜束3および第1および第2整流筒6,7は図示省略している。また、図1においては、保護部材8を図示省略している。
図3に示すように、本実施形態においては、中空糸膜束3の外周面の略全体を包み込むように保護部材8が設けられている。本実施形態で用いられる保護部材8は、図3に示すようなネット状の部材を筒状に形成したものであり、可撓性を有するものである。ネット状の保護部材8の材質としては、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、FEP(テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(4.6フッ化))、ETFE(テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン(4フッ化))、ポリスルホン等の耐熱性を有する材質を用いることが望ましい。保護部材8の両端は、それぞれ接着固定部20,21内に位置し、接着固定部20,21によって固定されている。
そして、保護部材8は、中空糸膜束3の少なくとも両端部において、中空糸膜束3の外周面に密着した状態で設けられている。上記両端部とは、具体的には、貫通孔20aが形成された側の接着固定部20と外側領域5bとの境界20bとその境界20bから外側領域5b側に所定の長さL1だけ延伸した領域とを含む第1端部領域R1と、第2ノズル52aが形成された一端部側の接着固定部21と外側領域5bとの境界21bとその境界21bから外側領域5b側に所定の長さL2だけ延伸した領域とを含む第2端部領域R2である。
第1端部領域R1における境界20bからの長さL1については、5cm以上であることが望ましい。また、本実施形態の中空糸膜モジュール1においては、上述したように第2ノズル52aから濃縮液が排出されるが、濃縮液が第2ノズル52aから排出される際、第2ノズル52a付近の中空糸膜2に吸引力が働いて破断傾向が高まり、中空糸膜2が破断しやすくなる場合がある。したがって、第2端部領域R2における境界21bからの長さL2については、図4に示すように、第2端部領域R2の下端が、第2ノズル52aのハウジング5内側面側の開口の下端よりも下側に位置する長さとすることが望ましい。これにより第2ノズル52aから濃縮液が排出される際に発生する吸引力に起因する第2ノズル52a付近の中空糸膜2の変形を抑制することができ、中空糸膜2の破断をより抑制することができる。
保護部材8と中空糸膜束3の外周面とを密着させる方法としては、具体的には、保護部材8で包んだ中空糸膜束3をハウジング5内に挿入した後、保護部材8で包まれた中空糸膜束3の外周面の外側の適所に、複数の柱状部材を挿入することによって中空糸膜束3の外周面と保護部材8とを密着させた状態とすることができる。これにより、簡易な方法によって中空糸膜束3の外周面と保護部材8とを密着させることができる。
そして、中空糸膜束3の外周面と保護部材8とを密着させた状態とした後、ハウジング5の両端部にポッティング材を注入することによって接着固定部20,21が形成される。第2ノズル52aが形成された上側の接着固定部21内の柱状部材については、そのまま接着固定部21内に残されたままとされる。図4は、図1に示す中空糸膜モジュール1のA−B線断面図を示すものであり、図4における21aが柱状部材である。
また、反対側の接着固定部20内の柱状部材については、接着固定部21が形成された後に取り除かれ、これにより上述した複数の貫通孔20aが形成される。これにより複数の貫通孔20aを簡易な方法によって形成することができる。
上側の接着固定部21内の柱状部材21aの長さについては、接着固定部21の厚みと同等以上であることが必要であり、図3に示す接着固定部21の厚みL3の1倍以上1.1倍以下に制御することが好ましい。
また、下側の接着固定部20内に設置される柱状部材については、上述したように接着完了後に抜き取り、貫通孔20aを形成するため、接着固定部20の厚みL4以上の長さであることが望ましい。
なお、柱状部材は、図2および図4に示すように、中空糸膜束3の外周面に対してほぼ均等な間隔で配置することが望ましい。また、柱状部材の太さと本数を制御することで保護部材8内部の中空糸膜2の本数を制御できる。
柱状部材の先端部分は、たとえば錐状にするなどして長さ方向についてテーパー形状に形成することが望ましい。このように柱状部材21aの先端部分をテーパー形状にすることによって、柱状部材21aを保護部材8の外周部とハウジング5の内壁との間に挿入しやすくなり、かつ貫通孔20a形成時の抜取性を良くすることができる。
柱状部材の断面形状は特に限定されるものではなく、円形、楕円形、四角形、六角形、扇形等の多角形や板状が例として挙げられるが、柱状部材が保護部材8に接触したときに保護部材8に損傷を与える恐れのない円形または楕円形であることが好ましい。
また、柱状部材は、ハウジング5内への挿入時に保護部材8を傷つけず、かつ接着固定部20からの抜き取り時の作業性を考慮して太さを決定すればよく、具体的には3mm〜保護部材8の内径の範囲から任意に決定される。なお、柱状部材の「太さ」とは、長さ方向においてその断面積が最も大きい部分の円相当直径を意味する。
柱状部材の材質としては、高分子材料、無機材料、および金属材料等を用いることができ、特に限定されないが、上側の接着固定部21に挿入する柱状部材21aの材質としては、接着固定部21を構成するポッティング材と接着力を有し、かつ、該ポッティング材と同等又はそれ以上の引張弾性率を有するものが好ましい。一方、下側の接着固定部20に挿入する柱状部材は、ポッティング材との接着力が弱い材質で形成し、かつ、剥離可能な構造としておくことが好ましい。具体的には、柱状部材の長さ方向の断面形状が円形または楕円形状であることが好ましい。
ここで、上述したように、本実施形態の中空糸膜モジュール1では、両端部で接着固定される中空糸膜束3は保護部材8で保護されており、かつ少なくとも上述した第1端部領域R1および第2端部領域R2において、中空糸膜束3の最外周に配置された中空糸膜2と保護部材8が、密着した状態で接着固定されていることが重要である。
本発明では、保護部材8の内周の長さをL、保護部材8に接触している中空糸膜2の本数をm、保護部材8内に充填される中空糸膜2の外径をdとしたとき、md/Lを密着率と定義し、md/L≧0.90の状態を密着した状態と定義する。ただし、密着率が高いほど好ましく、md/L≧0.95であることがさらに好ましい。尚、中空糸膜2の外径に比べて保護部材の内径が十分大きい場合、理論上、保護部材8に接触可能な最外周部の中空糸膜2の最大本数をMとすると、L≒Mdが成り立つので、md/L≒md/Md=m/Mの近似式が成立する。
また、保護部材8と中空糸膜2とが接触しているとは、中空糸膜束3の最外周部に配置された中空糸膜2と保護部材8とが、接着固定部20,21の厚み方向(中空糸膜2の長手方向)について少なくとも1点以上で接触していることをいう。
また、上記実施形態の中空糸膜モジュール1においては、複数の貫通孔20aの開口面積の和をA、開口された側(図1における接着固定部21側)の中空糸膜の中空部の総開口面積の和をBとしたとき、A/Bが1.0より大きくなると保護部材8の外側に配置される貫通孔20aが、下端部の接着固定部20の内側の膜充填可能領域を減じてしまうため好ましくない。また、A/Bが0.05未満では必要水量を中空糸膜モジュール1内部に供給するために入側供給圧を高くしなければならなくなり、その結果、接着強度を高めるなどの別途対策が必要になるため好ましくない。そのため、A/Bは0.05以上1.0以下が好ましい。さらに、下端部の接着固定部20の内側の膜充填可能領域を確保しつつ中空糸膜モジュール1内部に抵抗なく原水を供給するためには、A/Bは0.08以上0.6以下とすることがより好ましい。
次に、上記実施形態の外圧式中空糸膜モジュール1の製造方法について、詳細に説明する。
まず、所定の本数の中空糸膜2を束として整え、中空糸膜束3を作製する。続いて、中空糸膜束3の各中空糸膜2の一端部の開口を封止物で目止めして封止する。封止物としては、たとえば石膏が用いられるが、その他の材料を用いてもよい。
次に、第3筒状部材53の両端に対して、第1筒状部材51および第2筒状部材52が接合されてハウジング5が形成されるとともに、第1整流筒6および第2整流筒7が取り付けられてモジュールケース本体が形成される。そして、一端部の開口が封止された中空糸膜束3の外周面を保護部材8で包み、その保護部材8で包んだ中空糸膜束3をハウジング5内に挿入する。なお、この際、中空糸膜束3の中空部が封止された側が、第2筒状部材52側に位置するように挿入される。
そして、その後、保護部材8で包まれた中空糸膜束3の外周面と第1および第2整流筒6,7との間に複数の柱状部材を挿入することによって中空糸膜束3の外周面と保護部材8とを密着させた状態とする。
次いで、中空糸膜束3の外周面と保護部材8とを密着させた状態とした後、ハウジング5の両端に接着固定部形成用容器を取り付け、ハウジング5の両端部にポッティング材を注入することによって接着固定部20,21を形成する。そして、接着固定部20,21が形成された後、接着固定部20側の柱状部材を取り除くことによって複数の貫通孔20aを形成する。なお、第1筒状部材52側の中空糸膜束3の中空部は、ポッティング材によって閉塞される。
中空糸膜束3とハウジング5とを接着固定するには、中空糸膜束3が収容されたハウジング5を水平方向に回転させながら接着する遠心接着、またはハウジング5の長手方向を鉛直方向に配置し、ポッティング材をハウジング5の下端から注入する静置接着にて行うことができる。遠心接着は、中空糸膜束3の両端を同時に接着することができる反面、多額の設備投資や高速で回転させるための電力が必要となる。一方、静置接着は、片側ずつ接着する必要があるため接着に必要な時間は増加するものの、大型の設備投資の必要がなく、簡素な治具で実施できる。なお、ポッティング材が硬化した後、必要に応じて高温での完全硬化を実施しても良い。
次に、ケーシング5内のポッティング材が硬化したことを確認した後、接着固定部形成用容器が取り除かれ、第2筒状部材52側の接着固定部21の端部を切断することによって、中空糸膜束3の中空部を開口させる。
最後に、中空糸膜束3が接着固定されたハウジング5の両端部のそれぞれに、配管接続用のキャップ10,11がサニタリーガスケット12を介して装着され、クランプ13によって締結固定された後、リーク検査、試運転等を実施し、規定通りに製造できていることを確認して中空糸膜モジュール1が完成する。
なお、上記実施形態の中空糸膜モジュール1においては、ネット状の保護部材8を用いて、中空糸膜束3の外周面の略全体を包むようにしたが、ネット状の部材に限らず、シート状の部材を筒状に形成したものを保護部材として用いるようにしてもよい。ただし、このようにシート状の部材からなる保護部材を用いる場合には、ろ過効率の低下を招かないように、中空糸膜束3の外周面の略全体ではなく、中空糸膜束3の両端部のみ、または中空糸膜束3の一端部のみに設けることが望ましい。具体的には、上述した第1端部領域R1および第2端部領域R2のみ、第1端部領域R1のみ、または第2端部領域R2のみにシート状の保護部材を設けることが望ましい。
また、シート状の部材は、可撓性を有するものであり、その材質としては、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド系樹脂、およびフッ素ゴム等の耐熱性を有する材質を用いることが望ましい。
次に、本発明の外圧式中空糸膜モジュールの実施例および比較例について説明する。下表1は、実施例1〜実施例6および比較例1〜比較例3の各中空糸膜モジュールの製造条件およびろ過耐久性試験の結果を示したものである。
(実施例1)
以下、実施例1の中空糸膜モジュールの製造工程を説明する。
片端の中空部を封止したPS製中空糸膜(旭化成製)2970本を束ねて中空糸膜束3を形成し、内径80mmの筒状に成型されたPFA製保護ネット(保護部材8に相当するものである)に挿入した後、該保護ネットに挿入された中空糸膜束3を内径83mmの第1および第2整流筒6,7が内側に装着された第1および第2筒状部材51,52を有するハウジング5内に挿入した。第1および第2筒状部材51,52は、それぞれ内径23mmの第1および第2ノズル51a,52aを有している。実施例1で用いた中空糸膜2は、分画分子量6000、内径0.75mm、外径1.35mmである。
そして、中空糸膜束3の中空部が開口した側の保護ネットと第1整流筒6の間に、外径11mmのポリエチレン製の円柱棒(柱状部材に相当するものである)を5本挿入して設置した。円柱棒は、保護ネットの外周面の周方向について、略均等な間隔で分布するように挿入して配置した。
また、中空糸膜束3の中空部を接着前に封止した側の保護ネットと第2整流筒7の間に、外径11mmの円柱棒5本を挿入して設置した。この円柱棒としては、予めポッティング材を型に流延して硬化させて成型したものを用いた。円柱棒は、保護ネットの外周面の周方向について、略均等な間隔で分布するように挿入して配置した。
次いで、ポッティング材導入用チューブを取り付けた接着固定部形成用容器をハウジング5の両端部に固定し、第1および第2ノズル51a,52aの中心軸を鉛直下方向に対して45°の向きにするとともに、ハウジング5を水平にして遠心用フレームに固定し、ハウジング5を水平方向に回転させることによって、ポッティング材をハウジング5の第1および第2筒状部材51,52内に注入した。ポッティング材としては、2液性硬化型エポキシ樹脂を用いた。ポッティング材の硬化反応が進行して流動化が停止した時点で遠心機の回転を停止して取り出し、オーブン中で90℃に加熱してキュアーした。
その後、ハウジング5の端部を切断することによって接着前の段階で封止した側の中空糸膜束3の中空部を開口させ、一方、反対側のポリエチレン製円柱棒を取り外して貫通孔20aを形成した。尚、実施例1の中空糸膜モジュールの膜有効長は1mであり、A/Bは0.36である。次いで、サニタリーガスケット12を介してキャップ10、10をクランプ13によって固定した後、中空部が開口した側を上側にして中空糸膜モジュールをろ過装置に取り付け、以下のろ過耐久性試験を行った。
下側の接着固定部20に設けられた5箇所の貫通孔20aから清浄水を合計3.5m/hの流量で供給し、上側の接着固定部21内の中空糸膜束3の中空部からろ過水を3.1m/hで排出し、上側側面の第2ノズル52aから濃縮液を0.4m/hで排出させる運転を行った。下側側面の第1ノズル51aはブラインドプレートを装着して封止した。1日1回、1回5分程度のリークチェック作業以外は連続的に上記の運転を実施した。
1年間の運転後でも中空糸膜2の破断によるリークは発生しなかった。
この試験の終了後、第1整流筒6より1cm程度上側の位置で切断した後、第1筒状部材51を接着固定部20から剥離除去し、さらに第1整流筒6を接着固定部20との界面部で切り取った後、中空糸膜2をむしり取って中空糸膜束3の最外周部の中空糸膜2と保護ネットの密着状態を詳細に観察した。中空糸膜束3の最外周部の中空糸膜2の本数Mを計測し、そのうち保護ネットと接触している中空糸膜2の本数mを計測した結果、密着率m/Mが0.97であった。
(実施例2)
実施例2では、保護ネットの代わりに中空糸膜束3の両端部(第1端部領域R1および第2端部領域R2)のみを厚さ0.1mmのPVA製シートで包んで中空糸膜束3に密着させたこと以外は、実施例1と同様に製作した中空糸膜モジュールをろ過装置に取り付け、実施例1と同様の運転条件でろ過耐久性試験を行った。
1年間の運転後でも中空糸膜2の破断によるリークは発生しなかった。
この試験の終了後、実施例1と同様にして、中空糸膜束3の最外周部の中空糸膜2とPVA製シートの密着状態を詳細に観察した。中空糸膜束3の最外周部の中空糸膜2の本数Mを計測し、そのうちPVA製シートと接触している中空糸膜2の本数mを計測した結果、密着率m/Mが0.99であった。
(実施例3)
実施例3では、ポッティング材による接着前において中空部が開口した側の保護ネットと第1整流筒6の間に外径5mmのポリエチレン製円柱棒5本を挿入して設置したこと以外は、実施例1と同様にしてモジュールを製作した。このモジュールのA/B=0.075であった。
この中空糸膜モジュールを用いて実施例1と同様にろ過耐久性試験を行ったところ、8ヶ月間の運転後で中空糸膜2の破断によるリークは確認されなかった。
この試験の終了後、実施例1と同様にして、中空糸膜束3の最外周部の中空糸膜2と保護ネットの密着状態を詳細に観察した。中空糸膜束3の最外周部の中空糸本数Mを計測し、そのうち保護ネットと接触している中空糸膜2の本数mを計測した結果、密着率m/Mが0.95であった。
(実施例4)
実施例4では、ポッティング材による接着前に中空部が開口した側の保護ネットと第1整流筒6の間に外径5mmのポリエチレン製円柱棒5本を挿入し、ポリエチレン製円柱棒5本をランダムに配置することによって密着率を意図的に減じたこと以外は、実施例1と同様にしてモジュールを製作した。このモジュールのA/Bは0.075であった。
このモジュールを用いて実施例1と同様にろ過耐久性試験を行ったところ、2ヶ月間の運転後で中空糸膜2の破断によるリークが確認された。
この試験の終了後、第2整流筒7より5cm程度下側の位置で切断し、リーク箇所を確認した結果、中空糸膜束3の最外周部の6本の中空糸が、接着固定部21と外側領域5bとの境界部で破断しているのを確認した。
この後、中空糸膜2をむしり取って中空糸膜束3の最外周部の中空糸膜2と保護ネットの密着状態を詳細に観察した。中空糸膜束3の最外周部の中空糸本数Mを計測し、そのうち保護ネットと密着している中空糸膜2の本数mを計測した結果、密着率m/Mが0.93であった。
(実施例5)
実施例5では、ポッティング材による接着前に中空部が開口した側の保護ネットと第1整流筒6の間に外径3mmのポリエチレン製円柱棒5本を挿入し、ポリエチレン製円柱棒5本をランダムに配置することによって密着率を意図的に減じ、A/Bが0.05未満となるようにしたこと以外は、実施例1と同様にしてモジュールを製作した。このモジュールのA/Bは0.027であった。
このモジュールを用いて実施例1と同様にろ過耐久性試験を行ったところ、2ヶ月間の運転後で中空糸膜2の破断によるリークが確認された。
この試験の終了後、第2整流筒7より5cm程度下側の位置で切断し、リーク箇所を確認した結果、中空糸膜束3の最外周部の8本の中空糸が、接着固定部21と外側領域5bとの境界部で破断しているのを確認した。
この後、中空糸膜2をむしり取って中空糸膜束3の最外周部の中空糸膜2と保護ネットの密着状態を詳細に観察した。中空糸膜束3の最外周部の中空糸本数Mを計測し、そのうち保護ネットと密着している中空糸膜2の本数mを計測した結果、密着率m/Mが0.92であった。
(実施例6)
実施例6では、保護ネットの代わりに中空糸膜束3の両端部(第1端部領域R1および第2端部領域R2)のみを厚さ0.1mmのPVA製シートで包み、且つ第1端部領域R1における境界20bからの長さL1と第2端部領域R2における境界21bからの長さL2が5mm以下になるようにして中空糸膜束3に密着させたこと以外は、実施例2と同様にしてモジュールを製作した。
このモジュールを用いて実施例1と同様にろ過耐久性試験を行ったところ、10日間の運転後で中空糸膜2の破断によるリークが確認された。
この試験の終了後、第1整流筒6より5cm程度上側の位置と第2整流筒7より5cm程度下側の位置で切断し、リーク箇所を確認した結果、中空糸膜束3の最外周部の9本の中空糸が破断しているのを確認した。
この後、実施例1と同様にして、中空糸膜束3の最外周部の中空糸膜2とPVA製シートの密着状態を詳細に観察した。中空糸膜束3の最外周部の中空糸膜2の本数Mを計測し、そのうちPVA製シートと接触している中空糸膜2の本数mを計測した結果、密着率m/Mはともに0.99であった。
(比較例1)
比較例1では、保護ネットを使わずに実施例1と同様にして中空糸膜モジュールを製作した。
この中空糸膜モジュールを用いて実施例1と同様にろ過耐久性試験を行ったところ、1ヶ月間の運転後で中空糸膜2の破断によるリークが確認された。
この試験の終了後、第1整流筒6より5cm程度上側の位置で切断し、中空糸膜モジュールの接着固定部20の内側で切断し、リーク箇所を確認した結果、下側の接着固定部20の中空糸膜束3の最外周部に位置する中空糸膜25本と上側の接着固定部21の最外周部に位置する中空糸膜11本が、接着固定部20,21と外側領域5bとの境界部で破断しているのを確認した。
(比較例2)
比較例2では、ポッティング材による接着前に中空部が開口した側の保護ネットの内側の中空糸膜束3の端部に外径11mmのポリエチレン製円柱棒5本を均等に分布するように挿入して配置したこと以外は、実施例1と同様にしてモジュールを製作した。
この中空糸膜モジュールを用いて実施例1と同様にろ過耐久性試験を行ったところ、1ヶ月間の運転後で中空糸膜2の破断によるリークが確認された。
この試験の終了後、第1整流筒6より5cm程度上側の位置で切断し、リーク箇所を確認した結果、貫通孔20a周辺の12本の中空糸膜が、接着固定部20と外側領域5bとの境界部で破断しているのを確認した。
この後、中空糸膜2をむしり取って中空糸膜束3の最外周部の中空糸膜と保護ネットの密着状態を詳細に観察した。中空糸膜束3の最外周部の中空糸膜2の本数Mを計測し、そのうち保護ネットと接触している中空糸膜2の本数mを計測した結果、密着率m/Mが0.92であった。
(比較例3)
中空糸膜2の本数を2380本に減じて、保護ネットと中空糸膜束3の最外周部の中空糸膜2との密着率を意図的に小さくなるようにしたこと以外は、実施例1と同様にしてモジュールを製作した。このモジュールのA/Bは0.45であった。
この中空糸膜モジュールを用いて実施例1と同様にろ過耐久試験を行ったところ、1
ヶ月の運転で中空糸膜2の破断によるリークが確認された。なお、比較例3では20%中空糸膜本数を減じたので、中空糸膜2への負荷を実施例1と同じにするため、下側の接着固定部20に設けられた5箇所の貫通孔20aから清浄水を合計2.8m/hの流量で供給し、上側の接着固定部21内の中空糸膜束3の中空部からろ過水を2.5m/hで排出し、上側側面の第2ノズル52aからは濃縮液を0.3m/hで排出されるよう調整して運転を行った。
この試験の終了後、第1整流筒6より5cm程度上側の位置で切断し、リーク箇所を確認した結果、中空糸膜束3の最外周部の中空糸膜のうち保護ネットに接触していない13本の中空糸膜2が、接着固定部20と外側領域5bとの境界部で破断しているのを確認した。
この後、中空糸膜2をむしり取って中空糸膜束3の最外周部の中空糸膜2と保護ネットの密着状態を詳細に観察した。中空糸膜束3の最外周部の中空糸膜の本数Mを計測し、そのうち保護ネットと接触している中空糸膜2の本数mを計測した結果、密着率m/Mが0.76であった。
1 中空糸膜モジュール
3 中空糸膜束
5 ハウジング
5a 環状凹凸部
5b 外側領域
5c 外部領域
6 第1整流筒
6a フランジ
7 第2整流筒
7a フランジ
8 保護部材
10,11 キャップ
10a,11a 管路
12 Oリング
13 クランプ
20,21 接着固定部
20a 貫通孔
21a 柱状部材
30 貫通穴
51 第1筒状部材
51a 第1ノズル
52 第2筒状部材
52a 第2ノズル
53 第3筒状部材

Claims (14)

  1. 一方の端部が閉塞され他方の端部が開口された複数の中空糸膜を束ねた中空糸膜束と、
    側面に少なくとも1つのノズルを有した筒状体であり、前記中空糸膜の閉塞された端部
    および前記中空糸膜の開口された端部がそれぞれ前記筒状体の長手方向の両端側に向くよ
    うに、前記中空糸膜束を収容するハウジングと、
    前記中空糸膜の開口された端部側において、前記中空糸膜同士、および前記中空糸膜束
    と前記ハウジング内壁とを接着固定した第1の接着固定部と、
    前記中空糸膜の閉塞された端部側において、前記中空糸膜同士、および前記中空糸膜束
    と前記ハウジング内壁とを接着固定し、前記中空糸膜束の外周において前記ハウジングの
    長手方向に平行な少なくとも1つの貫通孔を有する第2の接着固定部と、
    前記第1の接着固定部から前記第2の接着固定部に向かって少なくとも所定の長さの端
    部領域、および前記第2の接着固定部から前記第1の接着固定部に向かって少なくとも所
    定の長さの端部領域の少なくとも一方において、前記中空糸膜束の外周面に密着した状態
    で該外周面を全周囲に亘って覆う保護部材とを備え、
    前記貫通孔が、前記中空糸膜束の外周面に隣接するように配置され、
    前記保護部材が、前記中空糸膜束と前記貫通孔との間において、前記中空糸膜束と前記
    貫通孔に接するように設けられている外圧式中空糸膜モジュール。
  2. 前記保護部材の内周の長さをL、前記中空糸膜の外径をd、前記保護部材に接触している前記中空糸膜の本数をmとしたとき、md/Lが0.95以上であることを特徴とする請求項1記載の外圧式中空糸膜モジュール。
  3. 前記貫通孔の開口面積の和をA、開口された側の前記中空糸膜の中空部の総開口面積の
    和をBとしたとき、
    A/Bが0.05以上1以下であることを特徴とする請求項1または2記載の外圧式中空糸膜モジュール。
  4. 前記少なくとも1つのノズルが、前記ハウジングの少なくとも一方の端の近傍に形成さ
    れ、
    前記保護部材が、前記ノズルが形成された一端部側の端部領域に設けられることを特徴
    とする請求項1からいずれか1項記載の外圧式中空糸膜モジュール。
  5. 前記保護部材が、前記ノズルの前記ハウジング内側面側の開口よりも前記ハウジングの
    長手方向の中央位置側に延伸されて設けられていることを特徴とする請求項記載の外圧
    式中空糸膜モジュール。
  6. 前記保護部材が、ネット状の部材を筒状に形成したものであることを特徴とする請求項
    1からいずれか1項記載の外圧式中空糸膜モジュール。
  7. 前記保護部材が、シート状の部材を筒状に形成したものであることを特徴とする請求項
    1からいずれか1項記載の外圧式中空糸膜モジュール。
  8. 前記貫通孔と前記中空糸膜束とに接する前記保護部材の部分が、その他の部分よりも前
    記中空糸膜束の中心軸に近い位置に配置されている請求項1から7いずれか1項記載の外圧式中空糸膜モジュ
    ール。
  9. 一方の端部が閉塞され他方の端部が開口された複数の中空糸膜を束ねた中空糸膜束と、
    側面に少なくとも1つのノズルを有した筒状体であり、前記中空糸膜の閉塞された端部
    および前記中空糸膜の開口された端部がそれぞれ前記筒状体の長手方向の両端側に向くよ
    うに、前記中空糸膜束を収容するハウジングと、
    前記中空糸膜の開口された端部側において、前記中空糸膜同士、および前記中空糸膜束
    と前記ハウジング内壁とを接着固定した第1の接着固定部と、
    前記中空糸膜の閉塞された端部側において、前記中空糸膜同士、および前記中空糸膜束
    と前記ハウジング内壁とを接着固定し、前記中空糸膜束の外周において前記ハウジングの
    長手方向に平行な少なくとも1つの貫通孔を有する第2の接着固定部と、
    前記第1の接着固定部から前記第2の接着固定部に向かって少なくとも所定の長さの端
    部領域、および前記第2の接着固定部から前記第1の接着固定部に向かって少なくとも所
    定の長さの端部領域の少なくとも一方において、前記中空糸膜束の外周面に密着した状態
    で該外周面を全周囲に亘って覆う保護部材とを備え、
    前記第1の接着固定部が、前記中空糸膜束の外周において前記ハウジングの長手方向に
    平行な少なくとも1本の柱状部材を有し、
    前記柱状部材が、前記中空糸膜束の外周面に隣接するように配置され、
    前記保護部材が、前記中空糸膜束と前記柱状部材との間において、前記中空糸膜束と前
    記柱状部材に接するように設けられていることを特徴とする外圧式中空糸膜モジュール。
  10. 前記柱状部材と前記中空糸膜束とに接する前記保護部材の部分が、その他の部分よりも
    前記中空糸膜束の中心軸に近い位置に配置されている請求項記載の外圧式中空糸膜モ
    ジュール。
  11. 一方の端部が閉塞され他方の端部が開口された複数の中空糸膜を束ねた中空糸膜束と、
    側面に少なくとも1つのノズルを有した筒状体であり、前記中空糸膜の閉塞された端部
    および前記中空糸膜の開口された端部がそれぞれ前記筒状体の長手方向の両端側に向くよ
    うに、前記中空糸膜束を収容するハウジングと、
    前記中空糸膜の開口された端部側において、前記中空糸膜同士、および前記中空糸膜束
    と前記ハウジング内壁とを接着固定した第1の接着固定部と、
    前記中空糸膜の閉塞された端部側において、前記中空糸膜同士、および前記中空糸膜束
    と前記ハウジング内壁とを接着固定し、前記中空糸膜束の外周において前記ハウジングの
    長手方向に平行な少なくとも1つの貫通孔を有する第2の接着固定部と、
    前記第1の接着固定部から前記第2の接着固定部に向かって少なくとも所定の長さの端
    部領域、および前記第2の接着固定部から前記第1の接着固定部に向かって少なくとも所
    定の長さの端部領域の少なくとも一方において、前記中空糸膜束の外周面に密着した状態
    で該外周面を全周囲に亘って覆う保護部材とを備えた外圧式中空糸膜モジュールの製造方法であって、
    前記保護部材で包んだ前記中空糸膜束を前記ハウジング内に挿入した後、前記保護部材
    で包まれた中空糸膜束の外周面の外側に複数の柱状部材を挿入することによって前記中空
    糸膜束の外周面と前記保護部材とを密着させた状態とし、
    前記保護部材の内周の長さをL、前記中空糸膜の外径をd、前記保護部材に接触している前記中空糸膜の本数をmとしたとき、md/Lが0.95以上であることを特徴とする外圧式中空糸膜モジュールの製造方法。
  12. 前記中空糸膜束の外周面と前記保護部材とを密着させた状態とした後、前記ハウジング
    内にポッティング材を注入することによって前記第2の接着固定部を形成し、該第2の接
    着固定部が形成された後、前記柱状部材を取り除くことによって前記貫通孔を形成するこ
    とを特徴とする請求項1記載の外圧式中空糸膜モジュールの製造方法。
  13. 前記柱状部材の長手方向に直交する方向の断面形状が、円形または楕円形であることを
    特徴とする請求項1または1記載の外圧式中空糸膜モジュールの製造方法。
  14. 前記柱状部材の先端部分がテーパー形状であることを特徴とする請求項1から1
    ずれか1項記載の外圧式中空糸膜モジュールの製造方法。
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