JPWO2013132870A1 - 有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法、及び、有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法、及び、有機エレクトロルミネッセンス素子 Download PDF

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Abstract

有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法に関する。防湿性基材1の表面を粗化する粗化工程;粗化された防湿性基材1の表面に樹脂基材2を設けて複合基材3を形成する複合基材形成工程;複合基材3の表面に有機発光積層体7を形成する発光積層体形成工程;樹脂基材2よりも平面視において大きい封止基材8で有機発光積層体7を封止する封止工程;を有する工程により製造する。光取り出し性に優れ、水分の浸入を効果的に抑制し、劣化を低減した信頼性の高い有機エレクトロルミネッセンス素子を得ることができる。

Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法、及び、有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
近年、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下「有機EL素子」ともいう)が照明パネルなどの用途に応用されている。有機EL素子としては、透光性の第1電極(陽極)と、発光層を含む複数の層により構成される有機層と、第2電極(陰極)とが、この順で透光性基板の表面に積層形成されたものが知られている。有機EL素子では、陽極と陰極の間に電圧を印加することによって、発光層で発した光が透光性の電極及び基板を通して外部に取り出される。
特開2002−373777号公報
有機EL素子では、一般的に、発光層の光は基板での吸収や層界面での全反射などによって光量が減少するため、外部に取り出される光は理論上の発光量よりも少なくなる。例えば、ガラスを基板材料に使用した場合、通常、ガラスは有機層よりも屈折率が低いために、この界面で全反射が発生し、光取り出し効率が低下する。そのため、有機EL素子においては、高輝度化のために光取り出し効率を高めることが課題の一つとなっている。その方策として、屈折率をより近づけるために高屈折率ガラスを用いることが考えられる。しかしながら、高屈折率ガラスは高価である上、物性が脆いというデメリットがある。また、その他の方策の一つとして、光取り出し性を高めるために、光取り出し側の電極とガラス基板との間にプラスチック基材を設けることが知られている(例えば、特許文献1参照)。光取り出し側にプラスチック基材を配置することにより、基板と電極との界面における全反射が低減されて、光をより多く外部に取り出すことが可能になる。
ところで、有機EL素子においては、発光層が水分によって劣化しやすいため、素子内部に水分を浸入させないようにすることが重要である。水分によって発光層が劣化すると、発光不良等の原因となり、有機EL素子の信頼性を低下させてしまう。特に、光取り出し性を高める基材として、プラスチックなど、水分の透過性が比較的高い材料を用いた場合は、この材料を介しての内部への水分の侵入が問題となる。
特許文献1においては、プラスチック基材に発光層を含む積層体を形成したあと、このプラスチック基材をガラス基板に接着し、全体を封止するようにしている。この場合、プラスチック基材は防湿性の基材に囲まれるため、プラスチック基材を介しての水分の浸入は抑制される。しかしながら、この方法では、プラスチック基材に積層体を個別に形成して素子を作製する必要があり製造が煩雑になるおそれがある。また、積層体が形成されたプラスチック基材をガラス基板に貼着した場合、全体の厚みが厚くなりやすく薄型化が図れないおそれがある。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、製造が容易であり、光取り出し性に優れ、水分の浸入を効果的に抑制し、劣化を低減した信頼性の高い有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することを目的とするものである。
本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法は、
防湿性基材の表面を粗化する粗化工程と、
粗化された前記防湿性基材の表面に樹脂基材を設けて複合基材を形成する複合基材形成工程と、
前記複合基材の表面に有機発光積層体を形成する発光積層体形成工程と、
前記樹脂基材よりも平面視において大きい封止基材で前記有機発光積層体を封止する封止工程と、を有する工程により製造することを特徴とするものである。
上記の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法では、前記防湿性基材の表面を掘り込んで凹部を形成する凹部形成工程を備え、
前記複合基材形成工程にて、前記凹部に前記樹脂基材を埋め込むことにより前記複合基材を形成することが好ましい。
上記の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法では、前記粗化工程にて、前記防湿性基材の表面に保護体を設けて粗化することが好ましい。
上記の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法では、前記粗化工程にて、前記防湿性基材の表面に粒子を衝突させることにより粗化を行うことが好ましい。
上記の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法では、前記凹部形成工程にて、前記防湿性基材の表面に粒子を衝突させることにより前記凹部を形成することが好ましい。
上記の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法では、前記粗化工程と前記凹部形成工程とを同時に行うことが好ましい。
上記の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法では、複合基材形成工程後の前記複合基材の表面に、前記樹脂基材と前記防湿性基材との境界部分を跨いで電極層を形成する工程、又は、前記封止工程前の前記封止基材の表面に、前記封止工程の際に前記有機発光積層体の電極と電気的に接続されるように電極層を形成する工程、により構成される電極層形成工程を有することが好ましい。
上記の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法では、前記電極層の形成を印刷により行うことが好ましい。
本発明に係る有機エレクトロルミネッセンス素子は、
防湿性基材と樹脂基材とにより構成される複合基材における前記樹脂基材の表面に、有機発光積層体が形成された有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
前記樹脂基材は、前記防湿性基材の粗化された表面に形成されており、
前記有機発光積層体は、前記樹脂基材よりも平面視において大きい封止基材で封止されていることを特徴とするものである。
上記の有機エレクトロルミネッセンス素子では、前記樹脂基材は、前記防湿性基材に埋め込まれていることが好ましい。
上記の有機エレクトロルミネッセンス素子では、電極層が、前記防湿性基材と前記樹脂基材との境界部分を跨いで複合基材の表面に、又は、前記封止基材の表面に、形成されていることが好ましい。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法によれば、光取り出し性に優れ、水分の浸入を効果的に抑制し、劣化を低減した信頼性の高い有機エレクトロルミネッセンス素子を容易に製造することができる。また、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子によれば、製造が容易であり、光取り出し性に優れ、水分の浸入を効果的に抑制し、劣化を低減した信頼性の高い有機エレクトロルミネッセンス素子を得ることができる。
有機エレクトロルミネッセンス素子の実施の形態の一例を示し、(a)は断面図、(b)は平面図である。 (a)〜(e)は、複合基材の製造工程の一例を示す斜視図であり、防湿性基材に凹部を形成する様子を示している。 (a)〜(g)は、防湿性基材の表面を粗化する工程の一例を示す断面図である。 (a)〜(f)は、防湿性基材の表面を粗化する工程の他の一例を示す断面図である。 (a)〜(e)は、複合基材の製造工程の一例を示す斜視図であり、防湿性基材と樹脂基材とを貼り合わせる様子を示している。 (a)〜(e)は、複合基材の製造工程の一例を示す斜視図であり、電極層を形成する様子を示している。 (a)〜(f)は、有機エレクトロルミネッセンス素子の製造工程の一例を示す平面図である。 (a)〜(c)は、有機エレクトロルミネッセンス素子の一例を説明する断面図である。 有機エレクトロルミネッセンス素子の実施の形態の一例を示す断面図である。 有機エレクトロルミネッセンス素子の実施の形態の一例を示す断面図である。 (a)〜(c)は、有機エレクトロルミネッセンス素子の製造工程の一例を示す平面図である。 (a)及び(b)は、電極層形成工程の一例を示す斜視図である。 有機エレクトロルミネッセンス素子の実施の形態の一例を示す断面図である。 (a)〜(c)は、電極層形成工程の一例を示す斜視図である。 有機エレクトロルミネッセンス素子の実施の形態の一例を示す断面図である。 有機エレクトロルミネッセンス素子の実施の形態の一例を示す断面図である。 有機エレクトロルミネッセンス素子の参考例を示す断面図である。
<実施形態1>
図1は、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)の実施の形態の一例を示している。この有機EL素子は、防湿性基材1と樹脂基材2とにより構成される複合基材3が、有機発光積層体7を形成するための基材として用いられている。そして、複合基材3における樹脂基材2の表面に、第1電極13、有機層14及び第2電極15をこの順で有する有機発光積層体7が設けられている。有機発光積層体7は、封止接着層9によって複合基材3に接着される封止基材8により封止されている。複合基材3と封止基材8とに挟まれた領域が、封止領域となる。封止領域の外部から内部にかけては、第1電極13と導通する電極層6(第1電極層6a)及び第2電極15と導通する電極層6(第2電極層6b)が延出して形成されている。電極層6は、外部の電気配線と繋がる電極端子として機能することができるものである。
なお、図1(a)では、素子構成を分かりやすくするため、右側に第1電極層6aが形成される端部を示し、左側に第2電極層6bが形成される端部を示している。また、図1(b)は、有機EL素子を封止基材8側から見た様子を示しており、基板の構成を分かりやすくするために、樹脂基材2の外縁を破線で示している。
図1の有機EL素子では、樹脂基材2は防湿性基材1に埋め込まれている。そして、防湿性基材1と樹脂基材2との界面に光取り出し構造4が形成されている。また、有機発光積層体7は、平面視(複合基材3の表面に垂直な方向から見た場合)において樹脂基材2よりも大きい封止基材8で封止されている。封止基材8は、端部においては樹脂基材2を間に介さずに防湿性基材1(複合基材3)に接着されている。図1(a)では、封止基材8の両側端部が、樹脂基材2の両側端部よりも外側に配置している。すなわち、図1(b)のように平面視した場合には、封止基材8の外周端部が、樹脂基材2の外周端部よりも外側に配置するようになり、樹脂基材2が、樹脂基材2よりも大きい封止基材8によって覆われている。
ここで、図1の有機EL素子と対比するために、図17に、有機EL素子の参考例を示す。この有機EL素子では、透明なガラス基板などで構成される防湿性基材1の表面に、第1電極13、発光層を含む有機層14及び第2電極15をこの順で有する有機発光積層体7が形成されている。有機発光積層体7は、封止接着層9により接着される封止基材8によって封止され、外界から遮断されている。封止領域の外側には、第1電極13及び第2電極15のそれぞれと導通する電極端子19が形成されている。なお、第1電極13及び電極端子19は、透明な導電層10がパターン状に設けられることにより、形成されている。
図17のような有機EL素子では、光取り出し効率を高めるために、防湿性基材1の代わりに、ガラスとプラスチックとの複合基材を基板材料として用いることが考えられる。しかしながら、その場合、プラスチックの部分から内部に水分が浸入しやすくなる。
一方、図1に示される有機EL素子では、樹脂基材2が外部に露出しないので、水分の浸入を高く抑制することができる。
[有機EL素子の製造]
図1の有機EL素子の製造方法について説明する。
本形態の有機EL素子は、凹部形成工程、粗化工程、複合基材形成工程、発光積層体形成工程、及び、封止工程を有する工程により製造することができる。凹部形成工程は、防湿性基材1の表面を掘り込んで凹部5を形成する工程である。粗化工程は、防湿性基材1の表面を粗化する工程である。複合基材形成工程は、防湿性基材1の表面に樹脂基材2を設けて複合基材3を形成する工程である。発光積層体形成工程は、複合基材3の表面に有機発光積層体7を形成する工程である。封止工程は、前記樹脂基材2よりも平面視において大きい封止基材8で有機発光積層体7を封止する工程である。
本形態では、複合基材形成工程にて、凹部5に樹脂基材2を埋め込むことにより複合基材3を形成している。樹脂基材2として成形物を用いる場合、樹脂基材2を凹部5に挿入して防湿性基材1に貼り付けることにより複合基材3を形成することができる。
本形態では、電極層形成工程をさらに有している。本形態の電極層形成工程は、複合基材形成工程後の複合基材3の表面に、樹脂基材2と防湿性基材1との境界部分を跨いで電極層6を形成する工程である。
図2〜図7は、有機EL素子の製造方法の一例を示している。図2では、凹部形成工程の一例が示されている。図3では、粗化工程の一例が示されている。図4では、粗化工程の他の一例が示されている。図5では、複合基材形成工程の一例が示されている。図6では、電極層形成工程の一例が示されている。図7では、製造される有機EL素子の途中状態が示されている。本形態では、複数の有機EL素子が連結した有機EL素子連結体を形成した後に、個別化して有機EL素子を得る方法を説明する。有機EL素子連結体を作製する方法の場合、複数の有機EL素子を同時に作製することができ、製造効率を向上することができる。以下、各工程を順に説明する。
[凹部形成工程]
図2に示すように、凹部形成工程では、まず、平板状の防湿性基材1を準備する。このとき、図2(a)に示すように、防湿性基材1は、複数積み上げられた防湿性基材マガジン20から1枚を取り出して掘り込み工程に送ることができる。
防湿性基材1としては、防湿性があり、光透過性を有する透明な基材を用いることができる。防湿性基材1としてガラス基板を用いることが好ましい。防湿性基材1をガラス基板で構成した場合、ガラスは水分の透過性が低いので、封止領域の内部に水分が浸入することを抑制することができる。ガラスとしては、無アルカリガラス、ソーダガラスなどが挙げられる。本形態では、ガラス基板に有機発光積層体7を直接成膜しないので、高価な無アルカリガラスを用いなくてもよく、安価なソーダガラスを用いることができる。また、一般的なフロート法で製造されたガラスを用いることができる。フロート法で製造されたガラスであれば、表面粗さに問題がなく、高価な研磨剤を用いて研磨しなくてもよい。ソーダガラスを用いる場合、不純物を除去して色を無色にし、気泡やひずみを抑えた光学ガラスが適している。光学ガラスとしては、例えば、白ソーダガラスが例示される。白ソーダガラスは、例えば、松浪硝子工業社製のものを用いることができる。防湿性基材1の寸法としては、例えば、730×920×0.7mm(短辺×長辺×厚み)の矩形状の板状のものを用いることができるが、これに限定されるものではない。
なお、防湿性基材1に可撓性のあるフレキシブルな基材を用いてもよい。例えば、フレキシブルガラスや防湿性樹脂が例示される。防湿性基材1が可撓性を有する場合、フレキシブルな有機EL素子を得ることが可能になる。
次に、図2(b)に示すように、防湿性基材1の表面における凹部5を形成する領域以外の領域をマスク30で覆う。これがマスクがけの工程となる。マスク30としては、一般的なレジスト材料やパターンマスク(遮蔽材)などを用いることができる。例えば、ドライフィルムレジストを用いることができる。特にサンドブラストにより凹部5を形成する場合は、サンドブラスト用ドライフィルムレジストを用いることができる。サンドブラスト用ドライフィルムレジストとしては、レジスト層の一方の面にリリースフィルムが設けられ他方の面にキャリアフィルムが設けられた三層構造のものを用いることができる。このようなサンドブラスト用ドライフィルムレジストは、三菱製紙株式会社製のものが市販で入手可能である。図2(b)及び(c)では、マスク30が設けられた部分をドットで示している。
マスク30には、凹部5に対応する位置にマスク穴30aが設けられている。図2(b)では、マスク30は、複数(4個)の同形状のマスク穴30aが縦横に配列するパターンになっている。なお、マスクパターンはこれに限定されるものではなく、例えば、縦3個及び横3個の合計9個で、又は、縦4個及び横4個の合計16個で、あるいはそれ以上の個数でマスク穴30aが形成されていてもよい。また、縦2個及び横3個など、縦横で個数を変えてマスク穴30aが形成されていてもよい。また、1個の有機EL素子を形成する場合には、1個のマスク穴30aが設けられていてもよい。
次に、図2(c)に示すように、マスク穴30aから露出する防湿性基材1の表面を掘り込んで凹部5を形成する。防湿性基材1の掘り込みは、凹部5を掘り込んで形成するための適宜の方法を用いて行うことができる。例えば、サンドブラスト、エッチングなどが挙げられる。凹部形成工程においては、防湿性基材1の表面に粒子を衝突させることにより凹部5を形成することが好ましい。それにより、簡単に凹部5を形成することができる。また、凹部5の形成と同時に防湿性基材1の表面を粗化することが容易になる。凹部5を形成した後は、マスク30を除去する。これにより、図2(d)に示すように、複数の凹部5を有する防湿性基材1が得られる。
ここで、凹部形成工程において、凹部5の表面(底面)を粗化することが好ましい。その場合、凹部形成工程と粗化工程とを同時に行うことになる。それにより、簡単に効率よく凹部5を形成するとともに粗化を行うことができる。凹部5の表面は、防湿性基材1と樹脂基材2との界面部分となるが、この部分が粗化されることにより、簡単に光取り出し構造4を形成することができる。光取り出し構造4は、いわば防湿性基材1の粗化面によって形成されている。すなわち、表面が粗化されると微細な凹凸が形成され、この微細な凹凸が光を散乱させるために、素子の視野角依存性を改善することができる。もちろん、後述するように凹部形成工程とは別に、粗化工程を設けるようにしてもよい。
図2(c)では、ノズル31から、粗化を行う粒子としてサンド(砂)を噴射して防湿性基材1の表面を削りとって凹部5を形成するサンドブラスト法が示されている。サンドブラスト法は一般的なエッチング法に比べ、加工速度が速く、安価に行うことができる。このように、掘り込み方法の好ましい一例は、サンドブラストで行う方法である。サンドブラストで行った場合、防湿性基材1の表面(ガラス表面)が荒れやすくなる。防湿性基材1の表面が荒れると、微細な表面凹凸が形成されることになる。それにより、簡単に防湿性基材1の表面(凹部5の底面)に光取り出し構造4を形成することができる。また、微細な表面凹凸により、樹脂基材2を貼り合わせる際に、樹脂基材2と防湿性基材1との間に気体を空孔としてかみこませることができ、空孔による光散乱構造を光取り出し構造4として形成することができる。また、気体の空孔による光取り出し構造4を形成すると、この部分における屈折率を低下させることができ、光取り出し性を高めることができる。かみこませる気体は不活性な気体が好ましく、例えば、窒素などを用いることができる。
また、エッチングで掘り込んで凹部5を形成してもよい。エッチングとしてはフッ酸などによる方法が挙げられる。エッチングでは、凹部5の表面を滑らかな平滑面にすることができる。
凹部5の形成を、サンドブラスト法とエッチング法を組み合わせて行うことがさらに好ましい。例えば、サンドブラストで粗く掘り込んだ後に、フッ酸などのエッチング剤でエッチングする方法を用いることができる。この方法では、加工速度が速くなるとともに、表面粗さの調整を行うことができる。したがって、凹部5を効率よく形成することができる。
凹部5の深さは、樹脂基材2の厚みと同じかそれよりも大きくすることができる。それにより、樹脂基材2の表面が防湿性基材1の表面と同じかそれよりも内部側に配置するように、樹脂基材2を防湿性基材1に埋め込むことができる。例えば、厚みが0.05mmの樹脂基材2を用いる場合、凹部5の深さは、0.05mmか、それよりもやや大きい深さにすることができる。
なお、凹部5を有する防湿性基材1は、防湿性基材1を形成するための流動性を有する材料を金型に流し込んで、加熱成型することによっても得られる。加熱成型では、凹部5を有する防湿性基材1を速く得ることができる。ただし、一般に掘り込みによって凹部5を形成する方が、加熱成型によって凹部5を形成するより歪が発生しづらく、光学特性や寸法精度の点から、方法として好ましいものである。また、加熱成型に比べ、金型が必要とならないため製造コストが安価になりやすく、凹部5の形状(寸法)を簡単に変更することができるといった有利な点もある。そのため、本形態では、掘り込みによって凹部5を形成する方法を用いている。
以上の工程により作製された凹部5を有する防湿性基材1は、複数が積み上げられて、掘り込み加工後の防湿性基材マガジン21として格納することができ、次の工程に備えることができる。
[粗化工程]
防湿性基材1の表面の粗化は、前述の通り、凹部5の形成と同時に行うことができるが、凹部5の形成とは別に、粗化工程を設けるようにしてもよい。それにより、精度高く表面の粗化を行うことができる。本形態では、粗化工程をさらに行う場合、凹部5の形成の後、凹部5の表面(底部)に対して粗化を行うことができる。なお、凹部5の形成と同時に粗化を行う場合、以下で説明する粗化工程は行わなくてもよい。
図3は、粗化工程の一例を示している。図3では、表面層40として接着剤を防湿性基材1の表面に設け、その上に、防湿性基材1が削られないように保護する保護体41を接着させ、その上から粒子42を噴き付けて粗化する方法を示している。すなわち、粗化工程においては、防湿性基材1の表面に保護体41を設けて粗化を行っている。保護体41を設けることにより、ランダムな凹凸の粗化面を形成することができ、光取り出し性を高めることができる。また、図3の方法では、防湿性基材1の表面に粒子42を衝突させることにより粗化を行っている。粒子42の衝突により粗化を行う場合、簡単に光取り出し性の高い粗化面を形成することができる。粗化としては、フォトマスクを施してフッ酸によりエッチングする方法も挙げられるが、図3の方法の方が、表面層40によるマスク処理が簡素で加工レートが速いため、容易に低コストで粗化を行うことができる。また、等方性加工のフッ酸エッチングに比べて、加工面が異方性を持ちやすくなるため、より高いアスペクト比を有する構造を形成しやすい。また、保護体41をシードとして用いて散布する場合、シードの散布に起因するランダム構造を形成しやすい。そのため、光取り出し性の高い構造を容易に得ることが可能になる。
粗化にあたっては、まず、図3(a)で示す防湿性基材1の表面(凹部5の底面)に、図3(b)で示すように、接着剤を塗布して接着性の表面層40を形成する。接着剤としては、密着力が高く、均一に成膜でき、塗布膜が保護体41を接着させる性能を有するものを用いることができる。例えば、紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂などを好ましく用いることができ、具体的にはエポキシ樹脂やシリコーン樹脂などが例示されるが、これに限定されるものではない。接着剤の塗布後、紫外線硬化樹脂を用いた場合には紫外線を照射し、また、熱硬化樹脂を用いた場合には加熱して、塗布膜を構成する樹脂を半硬化(いわゆるBステージ化)することが好ましい。半硬化状態の樹脂では、粘着力を有するとともに保持性を有する膜を形成することができる。接着剤の塗布は、適宜のコート装置43を用いて行うことができる。例えば、スリットコータや、スピンコータ、スプレーコータなどを用いることができる。図3(b)ではスリットコータを用いた例を示している。また、シート状の接着剤を防湿性基材1の表面に貼り付けて表面層40を形成してもよい。表面層40は、後の工程で粒子42の衝突によって削られる層となる。
次に、図3(c)に示すように、保護体41を散布装置44によって散布して、接着性の表面層40に接着させる。保護体41は、粒子42の衝突によって削られない材料を用いるようにする。それにより、粒子42の衝突時に防湿性基材1の表面を保護して防湿性基材1が部分的に削られないようにして、粗化面を形成することができる。保護体41は粒子状の物質であってよい。それにより、凹凸の細かい粗化面を形成することができる。また、粒子状の保護体41を用いた場合、粗化された面には点状に凸部を形成することができる。
保護体41は、ブラストを行う粒子42よりも硬度の高い材料で構成されていることが好ましい。例えば、粒子42がアルミナ(Al、硬度12)である場合、保護体41としてSiC又はダイヤモンド(硬度13)を用いることができる。また、粒子42がジルコニア(硬度11)である場合、保護体41としてアルミナ(Al、硬度12)を用いることができる。保護体41としてアルミナを用いた場合には、防湿性基材1の粗化後に、保護体41を除去せずに残存させて、保護体41を散乱体として機能させることも可能である。保護体41の粒子径は、特に限定されるものではないが、1〜50μmの範囲であることが好ましく、5〜30μmの範囲であることがより好ましい。散布装置44としては、スプレーコータを好ましく用いることができる。スプレーコータを用いる場合、散布条件を設定することが容易になる。散布する際に、保護体41の密度をコントロールすることで、粗化面によって形成される光散乱構造のアスペクト比と散乱頻度を制御することが可能になる。
次いで、図3(d)に示すように、半硬化していた表面層40を紫外線や熱などの硬化条件で硬化させて、完全に硬化させる。紫外線で硬化させる場合には、表面層40側から紫外線を照射すると、保護体41の陰に隠れている部分が硬化しない可能性があるため、防湿性基材1の表面層40とは反対側から紫外線を照射することが好ましい。表面層40を構成する接着剤が本硬化することにより、保護体41が表面層40に強固に結合する。そのため、粒子42の噴き付けによって保護体41が吹き飛んだりすることを抑制することができる。保護体41は一部が表面層40に埋め込まれていることが好ましい。それにより、表面層40から脱落することなく保護体41を表面層40に保持することができる。散布装置44の射出力を適宜に調整することによって、保護体41の一部を表面層40に埋め込ませることができる。
そして、図3(e)に示すように、噴付け装置45により、表面層40の表面に粒子42を噴き付ける。粒子42の噴き付けは、いわゆるサンドブラスト法により行うことができる。それにより、ブラストノズルから粒子42を連続的に排出して噴き付けを行うことができる。また、高い圧力で粒子42の噴き付けを行うことができ、防湿性基材1の削り性を高めることができる。粒子42は、保護体41よりも硬度が低いものを用いるようにすることが好ましいが、さらに防湿性基材1よりも硬度の高い材料を用いることが好ましい。それにより、防湿性基材1を効率よく削ることができる。防湿性基材1がガラスで構成されている場合には、粒子42はガラスよりも硬度が高いものが好ましい。粒子42としては、前述したように、アルミナ、ジルコニアなどを用いることができる。粒子42の粒子径は、特に限定されるものではないが、1〜30μmの範囲であることが好ましく、1〜20μmの範囲であることがより好ましい。粒子42の粒子径は、保護体41の粒子径よりも小さいことが好ましい。それにより、防湿性基材1をより削りやすくすることができる。例えば、粒子42の粒子径は、保護体41の粒子径の半分以下であってもよい。
粒子42の噴き付けにより粒子42が表面層40に衝突し、表面層40の保護体41が付着していない部分が削られる。そして、粒子42がさらに衝突すると、表面層40はさらに削られてなくなり、削られた部分の深さは防湿性基材1の表面に到達し、さらに防湿性基材1が削られていく。このようにして、粒子42の衝突を行うことによって、保護体41が設けられていない部分において、部分的に防湿性基材1を削ることができる。
図3(f)は、粒子42の衝突により、防湿性基材1が削られた様子を示している。保護体41が散乱作用を有するような場合には、保護体41を除去せずに、図3(f)に示すような保護体41が付着した防湿性基材1をそのまま次の工程に用いることができる。この場合、光取り出し構造4は、防湿性基材1の表面の凹凸と保護体41とによって構成されるといってよい。例えば、保護体41がアルミナである場合には、保護体41を除去しなくてもよい。保護体41を除去しない場合、工程を簡略化することができ、製造がより容易になる。
図3(g)は、保護体41及び表面層40が除去された防湿性基材1が示されている。保護体41及び表面層40が光学的に有利に働かないものであれば、保護体41と表面層40とを除去することが好ましい。例えば、表面層40を溶剤で溶かして洗浄することによって、保護体41と表面層40とを除去することができる。この防湿性基材1では、表面の凹凸によって光取り出し構造4が形成される。
図3の方法のように、粒子42の衝突によって防湿性基材1を削ると、高アスペクト比の散乱構造を形成することができ、光取り出し性を高めることができる。
図4は、粗化工程の他の一例を示している。図4では、保護体41を含有する表面層40を防湿性基材1の表面に設け、その上から粒子42を噴き付けて粗化する方法を示している。すなわち、粗化工程においては、防湿性基材1の表面に保護体41を設けて粗化を行っている。保護体41を設けることにより、ランダムな凹凸の粗化面を形成することができ、光取り出し性を高めることができる。また、図4の方法では、防湿性基材1の表面に粒子42を衝突させることにより粗化を行っている。粒子42の衝突により粗化を行う場合、簡単に光取り出し性の高い粗化面を形成することができる。保護体41は粒子状の物質であってよい。図4の方法では、粒子42をあらかじめ表面層40の材料に含ませることで、図3の方法よりも簡単に保護体41を防湿性基材1の表面に設けることができる。ただし、保護体41の密度などを調整するには、図3の方が有利な場合がある。散布装置44の散布条件により保護体41の密度を容易に調整できるからである。
図4の方法でも、表面層40によるマスク処理が簡素で加工レートが速いため、容易に低コストで粗化を行うことができる。また、等方性加工のフッ酸エッチングに比べて、加工面が異方性を持ちやすくなるため、より高いアスペクト比を有する構造を形成しやすい。そのため、光取り出し性の高い構造を容易に得ることが可能になる。
粗化にあたっては、まず、図4(a)で示す防湿性基材1の表面(凹部5の底面)に、図4(b)で示すように、コート剤を塗布して表面層40を形成する。コート剤には、粒子状の保護体41が分散されている。コート剤としては、密着力が高く、均一に成膜できる性能を有するものを用いることができる。例えば、紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂などを好ましく用いることができ、具体的にはエポキシ樹脂やシリコーン樹脂などが例示されるが、これに限定されるものではない。コート剤の塗布後、紫外線硬化樹脂を用いた場合には紫外線を照射し、また、熱硬化樹脂を用いた場合には加熱して、塗布膜を構成する樹脂を硬化させる。この場合の硬化は、完全硬化であってよい。コート剤の塗布は、適宜のコート装置43を用いて行うことができる。例えば、スリットコータや、スピンコータ、スプレーコータなどを用いることができる。図4(b)ではスリットコータを用いた例を示している。また、保護体41を含有するシート状の接着剤を防湿性基材1の表面に貼り付けて表面層40を形成してもよい。表面層40を構成する接着剤が本硬化することにより、保護体41が表面層40に強固に結合する。そのため、粒子42の噴き付けによって保護体41が吹き飛んだりすることを抑制することができる。表面層40の硬化により、図4(c)で示すように、保護体41が分散して配置された表面層40が形成される。
そして、図4(d)に示すように、噴付け装置45により、表面層40の表面に粒子42を噴き付ける。粒子42の噴き付けは、いわゆるサンドブラスト法により行うことができる。保護体41及び粒子42の材料としては、図3で説明したものと同様のものを用いることができる。すなわち、粒子42として、保護体41よりも硬度の低いものを用いることができる。また、粒子42の粒子径は、保護体41の粒子径よりも小さいことが好ましい。
粒子42の噴き付けにより粒子42が表面層40に衝突し、表面層40の保護体41が設けられていない部分が削られる。そして、粒子42がさらに衝突すると、表面層40はさらに削られてなくなり、削られた部分の深さは防湿性基材1の表面に到達し、さらに防湿性基材1が削られていく。このようにして、粒子42の衝突を行うことによって、保護体41が設けられていない部分において、部分的に防湿性基材1を削ることができる。
図4(e)は、粒子42の衝突により、防湿性基材1が削られた様子を示している。保護体41が散乱作用を有するような場合には、保護体41を除去せずに、図4(e)に示すような保護体41が付着した防湿性基材1をそのまま次の工程に用いることができる。この場合、光取り出し構造4は、防湿性基材1の表面の凹凸と保護体41とによって構成されるといってよい。例えば、保護体41がアルミナである場合には、保護体41を除去しなくてもよい。保護体41を除去しない場合、工程を簡略化することができ、製造がより容易になる。
図4(f)は、保護体41及び表面層40が除去された防湿性基材1が示されている。保護体41及び表面層40が光学的に有利に働かないものであれば、保護体41と表面層40とを除去することが好ましい。例えば、表面層40を溶剤で溶かして洗浄することによって、保護体41と表面層40とを除去することができる。この防湿性基材1では、表面の凹凸によって光取り出し構造4が形成される。
図3又は図4の方法で表面が粗化された防湿性基材1は、複合基材3を形成する材料として使用することができる。
なお、凹部形成工程をサンドブラスト法で行い、図3又は図4に示すように粗化工程もサンドブラスト法で行う場合、凹部形成工程で行うサンドブラスト法と粗化工程で行うサンドブラスト法とを同様の条件(材料、装置)で行うことが好ましい。この場合、例えば、サンドブラスト法の途中で保護体41及び表面層40を設けるようにすることができる。その場合、凹部形成工程と粗化工程とを連続して行うことができるため、製造が容易になる。
[複合基材形成工程]
複合基材形成工程では、まず、図5(a)に示すように、長尺の樹脂基材2がロール状に巻き上げられたロール体22を準備する。ロール体22は、通常、製品検査によって、汚れや傷の有無が確認される。ロール体22としては、樹脂を圧延により押し延ばしたものを用いることができる。
樹脂基材2としては、可撓性のある基材を用いることが好ましい。可撓性があることにより、ロール体22から長尺の樹脂基材2を送り出しながら、順次に複合基材3の凹部5に樹脂基材2を嵌め込んで複合基材3を製造することができ、複合基材3の製造を効率よく容易に行うことができる。また、可撓性の防湿性基材1と可撓性の樹脂基材2とを用いて可撓性を有する複合基材3を得た場合、フレキシブルな有機EL素子を得ることが可能になる。
樹脂基材2は、例えば、プラスチック材により構成することができる。プラスチック材は、プラスチックの原料となる合成樹脂が成形されて硬化した成形体(シート、フィルムなど)を用いることができる。プラスチック基材としては、PET(ポリエチレンテレフタラート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)などのプラスチック材料により形成されたものが例示される。成形は圧延成形であってよい。圧延成形の場合、光取り出し性の高い樹脂基材2を得ることがより可能になる。
樹脂基材2の屈折率は、第1電極13と同程度であることが好ましい。樹脂基材2の屈折率が第1電極13の屈折率に近づくことにより、屈折率差による全反射を抑制することができる。例えば、樹脂基材2の屈折率と第1電極13との屈折率差を1以下にすることができる。屈折率差を小さくするために、高屈折率プラスチック材により樹脂基材2を構成することもできる。
ロール体22としては、樹脂基材2の両面に保護フィルム23、24が貼り付けられているものが好ましい。保護フィルム23、24が表面に設けられることにより、汚れが付着したり、傷がついたりするのを低減できる。
また、樹脂基材2の表面に導電層10が設けられたものをロール体22として用いるようにしてもよい。導電層10は、第1電極13、第1電極引き出し部11、第2電極引き出し部12を構成するための透明導電層である(図6参照)。導電層10は、例えば、薄膜金属や透明金属酸化物層(ITO等)などによって構成される。あらかじめ導電層10が設けられた樹脂基材2を用いることにより、製造効率を向上することができる。このとき、導電層10は、第1電極13及び第1電極引き出し部11を構成する領域と、第2電極引き出し部12を構成する領域とが分離されたパターンで設けられていることが好ましい。それにより、あとの工程で導電層10を除去するなどしてパターン形成する必要がなくなり、製造効率を向上することができる。導電層10はスパッタにより形成することができる。ロール状の樹脂基材2があらかじめ導電層10を有する場合、保護フィルム24は、導電層10の外側に貼り付けられていることが好ましい。
本形態では、樹脂基材2として、パターン形成された導電層10が片面に設けられるとともに、両面が保護フィルム23、24で保護された樹脂基材2を用いることができる。導電層10があらかじめ設けられる場合、保護フィルム24を導電層10が設けられる側に配置し、保護フィルム23を導電層10が設けられる側とは反対側に配置することができる。このような樹脂基材2として、保護フィルム23、24により両面が保護された導電膜付きPENフィルムを用いることができる。PENフィルムのロール体22は、例えば、厚み0.05mm、幅730mm、長さ50m巻のものが例示されるが、これに限定されるものではない。
そして、図5(b)に示すように、ロール体22から、一体化されている長尺の樹脂基材2を送り出し、下面側(導電層10が形成されていない側)の保護フィルム23を剥離して除去した後、樹脂基材2を打ち抜き加工により切断して個別の樹脂基材2を得る。図5(b)では、打ち抜き加工は、シートパンチャー32で行っている。このとき、導電層10が表面に設けられている場合は、導電層10のパターンピッチに合わせて打ち抜き、打ち抜き後の導電層10のパターンが素子一個分の所望のパターン形状になるようにする。打ち抜かれた樹脂基材2は、防湿性基材1の凹部5の寸法とほぼ同じ寸法になる。なお、保護フィルム23を剥がした後の樹脂基材2の表面は、洗浄してもよいが、光学的に問題がなければ洗浄しなくてもよい。また、保護フィルム23は打ち抜き後に剥離してもよいが、打ち抜き後に剥離する場合、1枚ずつフィルムを剥離する剥離工程を設けることができる。
次に、図5(c)で示すように、図5(d)で示す凹部加工後の防湿性基材マガジン21から凹部5を有する防湿性基材1を取り出し、樹脂基材2を凹部5に挿入して貼り合わせる。樹脂基材2の貼り合わせは、貼り付け装置33を用いて行うことができる。この貼り付け装置33は、載置台34に防湿性基材1を載置して固定し、樹脂基材2の表面(上面)を吸引などで付着させて支持し、樹脂基材2を浮遊した状態で移動させて、防湿性基材1の凹部5に挿入した後、吸引をストップして支持を解除するものである。このような貼り付け装置33としては、例えば、クライムプロダクツ社製のものを使用することができる。気泡の混入を抑えるために、減圧雰囲気の条件下で貼り合わせてもよい。また、ロール状のツールで貼り合わせてもよい。貼り合わせには接着剤を用いることができる。また、熱圧着により貼り合わせてもよい。貼り合わせは、樹脂基材2の表面に保護フィルム24が設けられたまま行うことが好ましい。それにより、導電層10や樹脂基材2の表面に異物が付着したり傷が付いたりすることを抑制することができる。
ここで、ロール体22として、保護フィルム23は切断されずに一体化されたまま、保護フィルム24と樹脂基材2とがあらかじめ個別に切断されたもの(プリカット品)を用いることもできる。すなわち、タックシール状の樹脂基材2である。その場合、一体化している保護フィルム23から、保護フィルム24で保護された樹脂基材2を剥がして、そのまま凹部5に挿入して樹脂基材2を防湿性基材1に貼り合わせることができる。この場合も、導電層10はあらかじめ形成されていてもよい。また、プリカットは導電層10のパターンピッチに合わせて行われていることが好ましい。
また、樹脂基材2の切断をレーザーにより行ってもよい。レーザーにより切断する場合、切断された端面を精度よく加工することができる。レーザーで切断する場合は、レーザー出力の調整により、下面の保護フィルム23を除去せずに残して、上面の保護フィルム24と樹脂基材2とを切断することが可能である。その場合、タックシール状の樹脂基材2を得ることができる。その後は、一体化している保護フィルム23から、保護フィルム24で保護された樹脂基材2を剥がして、そのまま凹部5に挿入して樹脂基材2を防湿性基材1に貼り合わせることができる。この場合も、導電層10はあらかじめ形成されていてもよい。また、レーザーによる切断は導電層10のパターンピッチに合わせて行うようにする。レーザー加工では、打ち抜き加工と同様に、下面の保護フィルム23を剥がした後にレーザーを照射して全体を個別化することもできるが、下面の保護フィルム23を切断せずに一体化したまま残す方が、異物の混入確率を低減することができるので好ましい。
以上の工程により、図5(e)に示すように、防湿性基材1の凹部5に樹脂基材2が埋め込まれ、防湿性基材1と樹脂基材2とにより構成される複合基材3が形成される。ただし、樹脂基材2の表面には保護フィルム24が貼り付けられた状態となっている。なお、複合基材3は、この状態で保管することも可能である。保護フィルム24が貼り付けられていると、表面に傷がついたり異物が混入したりすることを低減できる。
[電極層形成工程の準備]
図5(e)の後、図6(a)に示すように、保護フィルム24を樹脂基材2から剥離する。すると、導電層10が樹脂基材2表面に形成されたロール体22を用いた場合は、図6(b)に示すように、第1電極13を形成するための導電層10が露出する。ここで、保護フィルム24を接着していた接着剤の後残りが生じたりして悪影響を及ぼす場合、この接着剤を除去するために洗浄することができる。洗浄は、保護フィルム24を剥がした側の表面のみに行ってもよい。図6(b)の形態では、導電層10は、第1電極13を含むH型の領域と、そのH型の領域の隙間に配置される二つのI型の領域に分離されたパターン形状になっている。
ここで、樹脂基材2が防湿性基材1に埋め込まれた複合基材3としては、図8(a)〜(c)に示す状態が例示される。
図8(a)は、樹脂基材2の表面2aが防湿性基材1の表面1aと厚み方向で略同じ位置になった複合基材3の例である。すなわち、複合基材3の表面はほぼ面一になっており、その表面に導電層10が形成されている。図8(b)及び図8(c)は、樹脂基材2の表面2aが防湿性基材1の表面1aよりも厚み方向で内部側の位置になった複合基材3の例である。図8(b)では、樹脂基材2は全体が防湿性基材1に埋め込まれ、導電層10の表面10aは、防湿性基材1の表面1aと厚み方向で略同じ位置になっている。なお、導電層10の表面10aは、防湿性基材1の表面1aよりも厚み方向で外部側の位置になっていてもよい。図8(c)では、樹脂基材2は全体が防湿性基材1にさらに埋め込まれ、導電層10の表面10aは、防湿性基材1の表面1aよりも厚み方向で内部側の位置になっている。電極層6及び有機発光積層体7を良好に形成するためには、図8(a)及び(b)のように、導電層10の表面10aが防湿性基材1の表面1aと同じかそれよりも外部側に配置し、導電層10が複合基材3に埋め込まれないようにすることができる。ただし、薄型化を図るためには、図8(c)のように、凹部5の側面が露出するまで導電層10を有する樹脂基材2が凹部5に埋め込まれた形態も、好ましく用いることができる。
図1の有機EL素子は、図8(a)のような、樹脂基材2の表面と防湿性基材1の表面とが厚み方向で同じ位置になった複合基材3を用いて形成した例を示している。もちろん、図8(b)及び図8(c)のような複合基材3を用いて、有機EL素子を形成してもよい。
図6(c)に示すように、保護フィルム24の剥離後は、複合基材3の検査を行う。検査は、外観検査機35で行うことができる。検査は樹脂基材2の表面の検査と、樹脂基材2と防湿性基材1との界面の状態の検査とを行うものであってよい。その場合、焦点距離の設定を変えた2台のカメラで観察すれば、効率的に検査を行うことができる。
検査としては、異物の混入がないか、気泡が入っていないかなどを行う。気泡は、見た目の問題であるため、肉眼で確認可能な程度の大きさでなければよい。例えば、複合基材3の表面に垂直な方向から見て気泡を円に見立てたときに、直径0.2mm以上の大きさのものが混入している場合に不良であると判定することができる。また、肉眼で確認できない大きさの微細な気泡が混入されている方が、前述のようにかえって光取り出し性が向上する場合がある。
また、異物は、光取り出し性に影響があるため、その有無を検査するようにする。特に、樹脂基材2の表面の異物は、有機発光積層体7にとって極めて有害であるため、その有無を厳密に検査するようにする。例えば、数μm以上(例えば3μmなど)のものが混入している場合に不良であると判定することができる。
外観検査に合格した複合基材3は、次の電極層形成工程に送られる。
[電極層形成工程]
電極層形成工程では、まず、あらかじめ電極層6を形成する面の表面改質を行うことが好ましい。表面改質は、インクの濡れ性を改善するための処理である。表面改質は、VUVやプラズマを照射することによって行うことができる。そして、表面改質された表面に電極層6を形成する。その際、図6(d)に示すように、電極層6は、樹脂基材2と防湿性基材1との境界部分を跨ぐように形成する。
電極層6の形成は、印刷、めっき、スパッタ、イオンプレーティングなどによって行うことができる。このうち、電極層6の形成を印刷により行うことが好ましい。印刷によれば簡単に効率よく電極層6を形成することができる。印刷としてはインクジェット印刷が好ましい。インクジェット印刷では、簡単に精度よくパターン状の電極層6を形成することができる。もちろん、インクジェット印刷以外の印刷であってもよい。スパッタは成膜速度が遅いため、製造に時間を要する場合がある。イオンプレーティングは、成膜速度は速いものの、樹脂基材2の表面に成膜した場合にガス放出によるパターンボケを起こしやすくなる。また、めっきは、成膜速度が速いが、印刷に比べれば遅く、また、めっき工程が煩雑になり成膜が簡単にできなくなるおそれがある。それに対し、印刷によれば簡単に厚みのある電極層6を形成することができる。また、印刷では、厚みのある層を簡単に形成することができるので、樹脂基材2と防湿性基材1との境界部分において電極層6が分断されることを抑制することができる。すなわち、電極層6の厚みが薄いと、その後の加熱処理などにより、樹脂基材2と防湿性基材1との熱膨張係数差で電極層6が破断するおそれがあるが、印刷によれば簡単に電極層6の厚みを厚くすることができるので、電極層6の破断を抑制することができる。電極層6が分断されないようにするために、電極層6の厚みは、例えば、1μm以上にすることが好ましい。また、薄型化の観点から、電極層6の厚みは、100μm以下であってよいが、これに限定されるものではない。
電極層6を形成する材料は、適宜の導電材料を用いることができる。電極層6は、防湿性基材1と樹脂基材2の境界部分を跨いでおり、上記のように、破断される力が加わりやすいため、硬質の材料で形成することが好ましい。印刷の場合、銀ナノペースト(ナノサイズの銀粒子がペースト状になったもの)を用いることができるが、これに限定されるものではない。
図6(d)は、インクジェットプリンタ36により電極層6を印刷して形成する様子を示している。このとき、樹脂基材2と防湿性基材1との境界部分を跨いで電極層6を形成するようにする。電極層6は、第1電極13及び第2電極15の電極端子として機能するために、複数(少なくとも二つ)形成することが好ましい。
樹脂基材2の表面に導電層10が設けられている場合、電極層6は導電層10と接触するように形成する。その際、第1電極13及び第1電極引き出し部11を構成する導電層10と接触する第1電極層6aと、第2電極引き出し部12を構成する導電層10と接触する第2電極層6bとを形成するようにする。電極層6の厚みは、導電層10の厚みよりも厚くすることができる。それにより、導電性が向上するとともに、有機発光積層体7を封止する際に、有機発光積層体7の側方を電極層6で囲んだり、有機発光積層体7の外周を電極層6で取り囲んだりすることができ、より水分が浸入しにくい構造を形成することが可能である(図1参照)。
電極層6は、導電性があるとともに、水分の透過性の低い材料で形成することが好ましい。例えば、金属材料が好ましく用いられる。また、電極層6は、導電層10よりも電気抵抗が低いことが好ましい。その場合、電極層6が通電を補助する補助電極としての機能を発揮することができ、電極に対する通電性を向上することができる。特に、面状の発光を得る場合には、通電が良好でないと面内において発光ムラが生じるおそれがあるが、通電性の高い電極層6を形成することにより、面内の発光をより均一に近づけることができる。
なお、樹脂基材2の表面に導電層10をあらかじめ設けていない場合は、この電極層形成工程の際に、第1電極13、第1電極引き出し部11及び第2電極引き出し部12を形成することができる。例えば、透明な導電層10を樹脂基材2の表面に、全面に又はパターン状に形成した後、電極層6を周端部の適宜の箇所に設けるようにしてもよい。
また、樹脂基材2の表面に導電層10をあらかじめ設けていない場合は、導電層10と電極層6とが兼用されていてもよい。すなわち、導電層10が、樹脂基材2と防湿性基材1との境界部分を跨いで防湿性基材1の端部に延出されて、電極端子として機能するものである。この場合、導電層10の一部により構成される電極層6は透明な層となる。また、この場合、導電層10を樹脂基材2の露出表面全体を覆うように形成し、防湿性基材1の表面に、第2電極引き出し部12を構成するための導電層10の分離部分を形成するようにしてもよい。
電極層6の形成の後、焼成することが好ましい。焼成により、電極層6の硬度を向上させることができる。焼成は、オーブン、ホットプレートなどで行うことができる。焼成の温度は樹脂基材2の耐熱温度よりも低い温度であることが好ましい。例えば、PENの場合、焼成温度を200℃以下にすることができる。低温焼成可能な材料としては銀ナノ粒子インクなどが挙げられる。めっきやスパッタで電極層6を形成する場合には、アニーリングすることが好ましい。アニーリング温度は、樹脂基材2の耐熱温度よりも低い温度であることが好ましい。めっきの材料としては、例えばニッケルなどがガラスとプラスチックの両方に密着することができるので、好ましい。また、シード層をスパッタや印刷で形成し、その表面をめっき処理するなど、複数の成膜方法で電極層6を形成してもよい。その場合も、印刷法が含まれるようにすれば、厚みのある電極層6を形成しやすくなる。
以上のように、電極層6が積層形成され、図6(e)に示すような、電極層6が表面に形成された複合基材3が得られる。この複合基材3は、次工程に送られる。
[発光積層体形成工程、及び、封止工程]
図7(a)〜(f)は、有機EL素子を形成する途中状態について、防湿性基材1の表面と垂直な方向から見た様子を示している。図7では、有機EL素子が個別化される際に分断される分断線16の内部の領域を示している。このうち、図7(a)〜(c)は、上記で説明した各工程後の状態を示している。すなわち、図7(a)は、凹部形成工程及び粗化工程によって、凹部5が形成されるとともに凹部5の底部が粗化された防湿性基材1を示している。図7(b)は、複合基材形成工程によって導電層10を有する樹脂基材2が防湿性基材1の凹部5に挿入された複合基材3を示している。図7(c)は、電極層形成工程によって、導電層10の端部に電極層6が形成された複合基材3を示している。図7(c)の状態の後、有機発光積層体7を積層形成する。
有機発光積層体7の形成は、通常の積層プロセスを用いて行うことができる。まず、図7(d)に示すように、導電層10の中央領域である第1電極13の表面に、有機層14を積層して形成する。有機層14は、蒸着や塗布により、有機層14を構成する各層を順次に積層することにより形成することができる。有機層14は、発光を生じさせる機能を有する層であり、ホール注入層、ホール輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層、中間層などから適宜選ばれる複数の層によって構成されるものである。有機層14は、第2電極15が積層されたときに、第2電極15が第1電極13に接触しないようなパターンで積層する。
次に、図7(e)に示すように、有機層14の表面に第2電極15を積層する。このとき、第2電極15は、第1電極13、第1電極引き出し部11及び第1電極層6aとは接触しないようにするとともに、第2電極引き出し部12の表面にも積層させるようにする。また、第2電極15を第2電極層6bと接触させるように形成してもよい。それにより、第2電極15と第2電極層6bとの間で通電性が確保され、電極に対する通電補助機能を高めることができる。こうして、有機発光積層体7が複合基材3の表面に形成される。
そして、図7(f)に示すように、平面視において樹脂基材2よりも大きい領域に、封止用の接着剤を設け、封止基材8を封止接着層9で接着する。図7(f)では、封止接着層9が設けられる領域をドットで示している。このとき、電極層6の端部が封止基材8により封止された領域(封止領域)からはみ出して外部に露出するようにする。それにより、電極層6が電極端子として機能することができる。封止用の接着剤は防湿性と絶縁性を有する接着剤を用いるようにする。
封止基材8は、水分の透過性が低い基板材料を用いて形成されたものを使用することができる。例えば、ガラス基板や、金属基材などを用いることができる。封止基材8には、有機発光積層体7を収容するための凹部を有してもよいが、有していなくてもよい。凹部を有していない場合、封止基材8の平坦な面を複合基材3に対向させて封止することが可能になり、また、板状の基材をそのまま用いることができるので、素子の作製が容易になる。
また、封止基材8として、防湿性基材1と同様に、一体化された連続する基材を用いることも好ましい。封止基材8が一体化されていると、複数の素子を同時に封止できるため、製造効率が向上する。
このようにして、複合基材3と封止基材8とが封止接着層9で接着されて、個々の有機発光積層体7が封止され、有機EL素子連結体が製造される。最後に、各有機EL素子の境界部分である分断線16において、防湿性基材1を切断して分離することにより、有機EL素子を個別化することができる。このとき、封止基材8として一体化されたものを用いている場合には、封止接着層9が設けられた外縁において封止基材8を切断して分離することができる。また、分断線16の位置において、防湿性基材1と同時に封止基材8を切断してもよい。このとき、防湿性基材1と封止基材8とが同質の材料(例えばガラス)で形成されていると、切断を容易に行うことができる。
以上により、図1に示すような有機EL素子を得ることができる。
[有機EL素子]
図1の有機EL素子においては、上述のように、有機発光積層体7は、樹脂基材2の表面に形成されている。防湿性基材1及び樹脂基材2は透明な光透過性の基材であり、また、有機発光積層体7の第1電極13は透明な光透過性の電極である。通常、第1電極13は陽極を構成し、第2電極15は陰極を構成するが、その逆であってもよい。また、第2電極15は光反射性の電極であってよい。その場合、有機層14で生じた光を第2電極15で反射させて外部に取り出すことが可能になる。あるいは、第2電極15を光透過性の電極にし、第2電極15の有機層14とは反対側に反射層を設けるようにしてもよい。
本形態では、防湿性基材1に埋め込まれた樹脂基材2の表面に有機発光積層体7が設けられており、有機層14で生じた光は、第1電極13及び樹脂基材2を通って防湿性基材1に入り、その後、防湿性基材1から外部に出射することになる。そのため、樹脂基材2を光が通過することによって、光を外部側へより多く取り出すことができる。発光層において発光した光は直接又は反射して基板に到達するが、この界面における屈折率差が大きいと全反射によって光を多く取り出せなくなる。ここで、防湿性基材1の表面に第1電極13を直接設けた場合は、屈折率差が大きくなり、外部に取り出す光は少なくなってしまう。そこで、本形態では、基材を防湿性基材1と樹脂基材2との複合基材3で構成し、第1電極13の光取り出し側に、第1電極13の屈折率に近い樹脂基材2を配置するようにしている。そのため、第1電極13と複合基材3との屈折率差を緩和することができ、全反射を抑制して光取り出し性を高めることができるものである。
また、本形態では、防湿性基材1と樹脂基材2との界面に光取り出し構造4が形成されている。そして、光取り出し構造4は、防湿性基材1の樹脂基材2との界面が粗化されていることによって形成されている。表面が粗化されて微細な表面凹凸が防湿性基材1に設けられている場合、この微細な凹凸によって光が散乱されて光の進行が変わるため、全反射する方向に入射する光の方向を変更させて光をより多く取り出すことができる。また、気泡が混入することにより光取り出し構造4が形成された場合、屈折率を低くして、より光を多く取り出すことができる。
なお、樹脂基材2と防湿性基材1との界面に、他の光取り出し構造がさらに設けられていてもよい。例えば、樹脂基材2の防湿性基材1側の表面に、光散乱粒子を有する光散乱層が形成されることにより、光取り出し構造を形成することができる。また、光取り出し構造を防湿性基材1及び樹脂基材2とは別の層として形成してもよい。
有機EL素子では、第1電極13と第2電極15とに電圧を印加し、有機層14において正孔と電子を結合させて発光を生じさせる。そのため、第1電極13及び第2電極15のそれぞれと導通する電極端子を封止領域よりも外部に引き出して設ける必要がある。電極端子は、外部電極と電気的に接続するための端子である。図1の形態においては、各電極から引き出した電極引き出し部11、12と接触するように電極層6が設けられ、この電極層6が封止領域から外部に延出することにより、電極端子を構成するようにしている。
本形態では、第1電極13、第1電極引き出し部11及び第2電極引き出し部12は、同じ導電層10から構成されている。導電層10の中央領域が、第1電極13を構成し、導電層10の端部領域が、第1電極引き出し部11及び第2電極引き出し部12を構成している。第1電極引き出し部11は、第1電極13を構成する導電層10が樹脂基材2の端部表面に引き出されて形成されている。この第1電極引き出し部11は、樹脂基材2の端部表面で第1電極層6aと接触している。本形態では、第1電極引き出し部11の表面に第1電極層6aが積層されている。第1電極層6aは、防湿性基材1の端部に向かって延出し、封止領域よりも外側にはみ出して形成されており、それにより、第1電極13に対応する電極端子として機能することができる。また、第2電極引き出し部12は、第1電極13を形成するための導電層10の一部が第1電極13から分離されるとともに、樹脂基材2の端部表面に引き出されて形成されている。第2電極引き出し部12は、樹脂基材2の端部表面で第2電極層6bと接触している。本形態では、第2電極引き出し部12の表面に第2電極層6bが積層されている。第2電極層6bは、防湿性基材1の端部に向かって延出し、封止領域よりも外側にはみ出して形成されており、それにより、第2電極15に対応する電極端子として機能することができる。
本形態では、樹脂基材2よりも面積の大きい封止基材8が複合基材3の有機発光積層体7側の表面に接着されることにより、有機発光積層体7は外部空間から遮断されて封止されている。そして、樹脂基材2は、平面視において封止領域よりも小さくなるため、外部に露出しなくなり、外部空間から遮断されている。すなわち、樹脂基材2における有機発光積層体7と反対側の表面は、防湿性基材1によって覆われて外部空間から遮断されている。また、樹脂基材2は側面(外周端面)が表面からとび出さないように防湿性基材1の凹部5に埋め込まれており、樹脂基材2の側面は、防湿性基材1に覆われて外部空間から遮断されている。また、樹脂基材2における有機発光積層体7側の表面は、平面視において全ての領域が封止領域の内部に入って封止されており、外部空間から遮断されている。したがって、樹脂基材2は全体として外部に露出しなくなっている。そのため、水分の浸入を抑制することができ、有機EL素子の劣化を抑制することができる。
有機EL素子では、有機発光積層体7は、封止接着層9によって複合基材3に接着される封止基材8により封止されるものであるが、複合基材3が樹脂基材2を有する場合には、樹脂基材2を介しての水分の浸入が問題となる。すなわち、樹脂基材2が外部に露出していると、この外部の露出部分から樹脂基材2の内部に水分が浸入し、浸入した水分は樹脂基材2を通って有機発光積層体7に到達するおそれがある。有機発光積層体7が水分に晒されると、素子が劣化するおそれがある。そこで、本形態の有機EL素子では、樹脂基材2を防湿性基材1に埋め込み、さらに樹脂基材2よりも大きい封止基材8で被覆して有機発光積層体7を封止するようにしている。それにより、樹脂基材2が外部に露出しなくなるので、外部からの水分の浸入を抑制することができる。なお、封止接着層9は、封止基材8の少なくとも端部(外周部)に設けるようにすることができる。それにより、樹脂基材2が外部に露出することを抑制することができる。
また、樹脂基材2は、防湿性基材1に埋め込まれているため、防湿性基材1の全面に樹脂基材2を設ける場合に比べて、基材の厚みを薄くすることができる。そのため、有機EL素子の厚みを薄くすることができ、薄型の素子を簡単に形成することができる。また、樹脂基材2を埋め込んで複合基材3を形成することにより、効率よく有機EL素子を製造することができる。
なお、図1の形態の有機EL素子は、上記で説明した製造方法によって製造されるものに限定されるものではない。例えば、流動性を有する樹脂組成物を用い、この樹脂組成物を防湿性基材1の凹部5に流し込んで固化させて樹脂基材2を形成することにより、複合基材3を得るようにしてもよい。この場合も、樹脂基材2を有機発光積層体7の光取り出し側に配置するとともに樹脂基材2を外部に露出しないようにできるので、光取り出し性を高めることができるとともに、水分の浸入を抑制することができる。ただし、光取り出し性の高い基材を得るためには、成形された樹脂基材2を防湿性基材1に貼り合わせて複合基材3を形成する方が好ましい。
また、有機EL素子は、電極層6が導電層10を兼ねるものであってもよい。この場合、電極層6は透明な光透過性の層となる。電極層6が導電層10を兼ねる形態は、上記で説明した製造方法において、導電層10があらかじめ形成されていない樹脂基材2を用いることにより製造することができる。そして、電極層形成工程の際に、樹脂基材2の表面に電極層6(導電層10)を、第1電極13と電極引き出し部とを設けるパターンで形成するようにすればよい。この場合、電極層6は、樹脂基材2の中央領域に設けられるとともに、封止領域の内部から外部に延出して樹脂基材2と防湿性基材1との境界部分を跨いで形成される。この場合も、樹脂基材2を有機発光積層体7の光取り出し側に配置するとともに樹脂基材2を外部に露出しないようにできるので、光取り出し性を高めることができるとともに、水分の浸入を抑制することができる。ただし、電極層6の通電性の向上と、導電層10の透明性の確保のためには、電極層6と導電層10とは別の材料で形成される方が好ましい。
また、図1の形態の有機EL素子では、平面視における樹脂基材2の領域内に導電層10が形成されており、防湿性基材1の表面に導電層10が形成されていないが、導電層10は防湿性基材1の表面に形成されていてもよい。そのような有機EL素子は、上記で説明した製造方法において、導電層10があらかじめ形成されていない樹脂基材2を用いることにより製造することができる。そして、電極層形成工程の際に、樹脂基材2の表面に、導電層10及び電極層6を、この順で、あるいはこれとは逆順で、順次に形成して、第1電極13と電極引き出し部とを設けるパターンになるように導電層10を形成すればよい。この場合も、樹脂基材2を光取り出し側に配置するとともに樹脂基材2を外部に露出しないようにできるので、光取り出し性を高めることができるとともに、水分の浸入を抑制することができる。
<実施形態2>
図9は、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)の実施の形態の一例を示している。この有機EL素子は、複合基材3の構造が異なる以外は、図1の形態と同様の構成を有する。すなわち、防湿性基材1と樹脂基材2とにより構成される複合基材3が、有機発光積層体7を形成するための基材として用いられている。また、防湿性基材1と樹脂基材2との界面には光取り出し構造4が形成されている。また、複合基材3における樹脂基材2の表面に、第1電極13、有機層14及び第2電極15をこの順で有する有機発光積層体7が設けられている。有機発光積層体7は、封止接着層9によって複合基材3に接着される封止基材8により封止されている。封止基材8は、平面視において樹脂基材2よりも大きい。なお、図9では、素子構成を分かりやすくするため、右側に第1電極層6aが形成される端部を示し、左側に第2電極層6bが形成される端部を示している。
図9の形態では、図1の形態とは異なり、防湿性基材1には凹部5が形成されておらず、樹脂基材2は防湿性基材1に埋め込まれていない。防湿性基材1には表面の粗化によって光取り出し構造4が設けられている。そして、防湿性基材1の粗化された表面に樹脂基材2が設けられている。すなわち、光取り出し構造4の上に樹脂基材2が形成されている。図9の場合も、防湿性基材1と樹脂基材2との界面に光取り出し構造4が設けられることで、光取り出し性を高めることができる。
[有機EL素子の製造]
図9の有機EL素子の製造方法について説明する。
本形態の有機EL素子は、粗化工程、複合基材形成工程、発光積層体形成工程、及び、封止工程を有する工程により製造することができる。粗化工程は、防湿性基材1の表面を粗化する工程である。複合基材形成工程は、防湿性基材1の表面に樹脂基材2を設けることにより複合基材3を形成する工程である。発光積層体形成工程は、複合基材3の表面に有機発光積層体7を形成する工程である。封止工程は、前記樹脂基材2よりも平面視において大きい封止基材8で有機発光積層体7を封止する工程である。
粗化工程は、図3及び図4で説明した粗化の方法と同様の方法により行うことができる。本形態では、凹部5を形成しなくてもよいので、掘り込まれていない防湿性基材1の表面に直接、保護体41を設け、粒子42を噴き付けることで、粗化を行うことができる。粗化は、防湿性基材1の表面全体で行ってもよいし、樹脂基材2が設けられる部分で行ってもよい。図9では、防湿性基材1の表面は中央部が部分的に粗化され、樹脂基材2が設けられる部分が粗化面となっている。このように樹脂基材2を設ける部分のみを粗化するようにすると、効率よく光取り出し構造4を形成することができる。また、電極層6など、防湿性基材1の表面に形成される層が分断されたりすることなく、良好に安定した層を形成することができる。
図9の例では、防湿性基材1の粗化された部分に樹脂基材2を貼り合わせることにより複合基材3を形成することができる。防湿性基材1と樹脂基材2との貼り合せ(複合基材3の形成)、及び、電極層6の形成は、図5及び図6で説明した方法と同様の方法により行うことができる。また、発光積層体の形成及び封止は、図7で説明した方法と同様の方法により行うことができる。
[有機EL素子]
図9の有機EL素子では、図1の有機EL素子と同様に、防湿性基材1と樹脂基材2との複合基材3により基材を構成するので、光取り出し性を高めることができる。また、防湿性基材1の表面には、粗化により光取り出し構造4が設けられているために、光取り出し性をさらに高めることができる。
本形態では、樹脂基材2よりも面積の大きい封止基材8が複合基材3の有機発光積層体7側の表面に接着されることにより、有機発光積層体7は外部空間から遮断されて封止されている。そして、樹脂基材2は、平面視において封止領域よりも小さくなるため、外部に露出しなくなり、外部空間から遮断されている。すなわち、樹脂基材2における有機発光積層体7と反対側の表面は、防湿性基材1によって覆われて外部空間から遮断されている。また、樹脂基材2の側面は、電極層6及び封止接着層9によって被覆されており、外部空間から遮断されている。また、樹脂基材2における有機発光積層体7側の表面は、平面視において全ての領域が封止領域の内部に入って封止されており、外部空間から遮断されている。したがって、樹脂基材2は全体として外部に露出しなくなっている。そのため、水分の浸入を抑制することができ、有機EL素子の劣化を抑制することができる。
図9の形態は、防湿性基材1に凹部5が設けられていないため、図1の形態に比べて簡単に有機EL素子を製造することができることに利点がある。ただし、水分の浸入をより高く抑制するためには、凹部5に樹脂基材2を埋め込むようにした図1の有機EL素子の方が有利である。また、図1の有機EL素子では、樹脂基材2の表面と防湿性基材1の表面との位置が揃うので、電極層6の段切れなどを起こりにくくさせることができ、接続信頼性を高めることができるという利点もある。また、図1の有機EL素子は、樹脂基材2が埋め込まれているので、薄型化に有利である。
<実施形態3>
図10は、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)の実施の形態の一例を示している。この有機EL素子は、封止の構造及び電極層6の構造が異なる以外は、図1の形態と同様の構成を有する。すなわち、防湿性基材1と樹脂基材2とにより構成される複合基材3が、有機発光積層体7を形成するための基材として用いられている。また、樹脂基材2は防湿性基材1に埋め込まれている。また、防湿性基材1と樹脂基材2との界面には光取り出し構造4が形成されている。また、複合基材3における樹脂基材2の表面に、第1電極13、有機層14及び第2電極15をこの順で有する有機発光積層体7が設けられている。有機発光積層体7は、封止接着層9によって複合基材3に接着される封止基材8により封止されている。封止基材8は、平面視において樹脂基材2よりも大きい。なお、図10では、素子構成を分かりやすくするため、右側に第1電極層6aが形成される端部を示し、左側に第2電極層6bが形成される端部を示している。
図10の形態では、図1の形態とは異なり、電極層6は、封止基材8における複合基材3側の表面に形成されており、電極層6と複合基材3との間には封止接着層9が設けられている。この電極層6は、封止領域の外部から内部に延出して形成されている。電極層6は、第1電極13と導通する第1電極層6aと、第2電極15と導通する第2電極層6bとにより構成されている。電極層6は、外部の電気配線と繋がる電極端子として機能することができるものである。電極層6と第1電極引き出し部11との間、及び、電極層6と第2電極引き出し部12との間には、各電極引き出し部と電極層6とを電気的に接続する電極接続層17が形成されている。電極接続層17が形成されることにより、電極層6と各電極引き出し部との間の通電性が良好になる。
また、図10の形態では、封止基材8は、複合基材3(防湿性基材1)よりも平面視において大きく形成されている。それにより、封止基材8の端部表面に形成された電極層6が外部に露出している。この電極層6は、封止基材8の光取り出し側の面で露出している。また、封止基材8は、端部においては樹脂基材2を間に介さずに防湿性基材1(複合基材3)に接着されている。
[有機EL素子の製造]
図10の有機EL素子の製造方法について説明する。
本形態の有機EL素子は、凹部形成工程、粗化工程、複合基材形成工程、発光積層体形成工程、及び、封止工程を有する工程により製造することができる。凹部形成工程は、防湿性基材1の表面を掘り込んで凹部5を形成する工程である。粗化工程は、防湿性基材1の表面を粗化する工程である。複合基材形成工程は、防湿性基材1の表面に樹脂基材2を設けることにより複合基材3を形成する工程である。発光積層体形成工程は、複合基材3の表面に有機発光積層体7を形成する工程である。封止工程は、前記樹脂基材2よりも平面視において大きい封止基材8で有機発光積層体7を封止する工程である。
本形態では、図1の形態と同様に、凹部形成工程と粗化工程とが同時に行われてもよいし、別々に行われてもよい。凹部形成工程と粗化工程とが同時に行われる場合、製造が簡単になる。凹部形成工程と粗化工程とが別々に行われる場合、粗化によって光取り出し性の高い光取り出し構造4を形成することができる。図10では、防湿性基材1は凹部5を有し、樹脂基材2は凹部5に埋め込まれている。そのため、水分の浸入を高く抑制することができる。
本形態では、電極層形成工程をさらに有している。本形態の電極層形成工程は、封止工程前の封止基材8の表面に、封止工程の際に有機発光積層体7の電極(第1電極13及び第2電極15)と電気的に接続されるように電極層6(第1電極層6a及び第2電極層6b)を形成する工程である。
図11及び図12は、図10で示される有機EL素子の製造方法の一例を示している。本形態においても、まず、複合基材3を作製するが、複合基材3の作製は、図1の形態と同様の方法により行うことができる。すなわち、図11(a)に示すように、凹部形成工程及び粗化工程により防湿性基材1に、粗化面を有する凹部5を形成した後、図11(b)に示すように、複合基材形成工程によって、樹脂基材2が防湿性基材1の凹部5に挿入された複合基材3を形成する。その際、凹部5を形成した後に、図3又は図4と同様の方法で凹部5の底面を粗化するようにしてもよい。樹脂基材2の表面には導電層10が設けられていてよい。
そして、本形態では、図11(b)の状態の後、有機発光積層体7を積層形成する。有機発光積層体7の形成は、図1の形態と同様の方法により行うことができる。それにより、図11(c)に示すように、複合基材3の表面に有機発光積層体7が形成される。
図12は、電極層6を形成する様子を示している。本形態では、封止前に、電極層6を封止基材8の表面に形成する。電極層6は、封止基材8の有機発光積層体7側の表面8aに設けられる。電極層6の形成は、図12(a)に示すような、平坦な表面の封止基材8の表面に、図12(b)に示すように適宜のパターンで電極層6を形成することにより行うことができる。電極層6の形成は、図1の形態と同様の方法を用いることができる。すなわち、印刷法などが使用できる。このとき、封止工程により封止基材8が複合基材3に接着された際に、電極層6が有機発光積層体7の電極と電気的に接続されるように、封止基材8の端部における各電極引き出し部に対応する位置に電極層6を分離して形成するようにする。第1電極引き出し部11aに対応する位置の電極層6からは、第1電極層6aが形成され、第2電極引き出し部12に対応する位置の電極層6からは、第2電極層6bが形成される。なお、図12では、素子1個分の封止基材8に電極層6を形成する様子を示しているが、図1の形態で説明したのと同様に、複数の素子分(例えば4個分)の大きさの封止基材8を用いるようにしてもよい。それにより、複数の素子を同時に封止することができる。
そして、複合基材3における樹脂基材2よりも大きい領域に封止用の接着剤を設け、電極層6が表面に形成された封止基材8を、電極層6側の面を複合基材3側に対向させて封止接着層9で接着する。このとき、通電性が確保できるよう、電極層6の表面と電極引き出し部とを対向させて配置し、この部分には接着剤が配置されないようにして接着する。好ましくは、電極接続層17を形成するための導電材料を各電極引き出し部の表面(電極層6に挟まれる部分)に設けておくようにする。電極接続層17の材料がない場合、封止用の接着剤が電極層6と電極引き出し部との間に介入して通電性が確保できなかったり、通電性が悪化したりするおそれがある。しかしながら、電極接続層17の材料を設けることにより、通電性をより高く確保することが可能になる。
電極接続層17の材料としては、導電性ペーストを用いることができる。導電性ペーストは流動性を有するため簡単に電極引き出し部の表面に設けることができる。また、導電性ペーストは硬化するため電極引き出し部と電極層6との間の通電性を良好に確保することができる。導電性ペーストとしては、銀ペーストを用いることができる。例えば、低アウトガスの低温硬化銀ペーストを好ましく用いることができる。銀ペーストは、HenKel社のQMIなどが市販で入手可能である。ペーストの硬化は封止剤の硬化と同時に行えばよい。
また、封止用の接着剤を設けるよりも前に、先に導電性ペーストを塗布し、複合基材3と封止基材8とを導電性ペーストの硬化により接着した後、封止剤をサイドフィル法を用いて、複合基材3と封止基材8との間に流し込んで充填してもよい。サイドフィル法としては、減圧雰囲気で基板外周に樹脂を塗布し、真空圧力で内部に浸透させる方法を用いることができる。この方法によれば、導電性ペーストの硬化の際のアウトガスの排出性を高めることができ、また、素子への印刷用マスク接触や封止剤のボイド発生などを抑制することができる。封止用装置としては、液晶ディスプレイ用の封止装置を使用することができる。
以上により、図10の形態の有機EL素子を製造することができる。
本形態では、図1の形態のように、防湿性基材1と樹脂基材2との境界部分を跨いで電極層6を形成しないので、断線を防いで電極層6を形成することができる。したがって、導通性を向上させることが可能である。ただし、電極層6によって構成される電極端子(外部電極)が発光面側(封止基材8の防湿性基材1側)に配置されてしまうので、電気接続が容易ではなくなるおそれがあるため、電気接続性においては、図1の形態の方が有利である。
<実施形態4>
図13は、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)の実施の形態の一例を示している。この有機EL素子は、封止の構造及び電極層6の構造が異なる以外は、図1の形態と同様の構成を有する。すなわち、防湿性基材1と樹脂基材2とにより構成される複合基材3が、有機発光積層体7を形成するための基材として用いられている。また、樹脂基材2は防湿性基材1に埋め込まれている。また、防湿性基材1と樹脂基材2との界面には光取り出し構造4が形成されている。また、複合基材3における樹脂基材2の表面に、第1電極13、有機層14及び第2電極15をこの順で有する有機発光積層体7が設けられている。有機発光積層体7は、封止接着層9によって複合基材3に接着される封止基材8により封止されている。封止基材8は、平面視において樹脂基材2よりも大きい。なお、図13では、素子構成を分かりやすくするため、右側に第1電極層6aが形成される端部を示し、左側に第2電極層6bが形成される端部を示している。
図13の形態では、図1及び図10の形態とは異なり、電極層6は、封止基材8における複合基材3側とは反対側の表面8bに形成され、さらに、封止基材8に形成された貫通孔18に充填されて形成されている。電極層6は、第1電極13と導通する第1電極層6aと、第2電極15と導通する第2電極層6bとにより構成されている。電極層6は、外部の電気配線と繋がる電極端子として機能することができるものである。貫通孔18に設けられた電極層6(貫通電極6c)と、第1電極引き出し部11及び第2電極引き出し部12との間には、各電極引き出し部と電極層6とを電気的に接続する電極接続層17が形成されている。電極接続層17が形成されることにより、貫通電極6c(電極層6)と各電極引き出し部との間の通電性が良好になる。
また、図13の形態では、封止基材8は、複合基材3(防湿性基材1)と平面視において略同じ大きさで形成されている。封止基材8の外部側の表面に形成された電極層6は端部にまで延びている。この電極層6は封止基材8の光取り出し側とは反対側の面で露出している。そのため、図10の形態よりも、外部との電気接続が容易となる。また、封止基材8は、端部においては樹脂基材2を間に介さずに防湿性基材1(複合基材3)に接着されている。
[有機EL素子の製造]
図13の有機EL素子の製造方法について説明する。
本形態の有機EL素子は、凹部形成工程、粗化工程、複合基材形成工程、発光積層体形成工程、及び、封止工程を有する工程により製造することができる。凹部形成工程は、防湿性基材1の表面を掘り込んで凹部5を形成する工程である。粗化工程は、防湿性基材1の表面を粗化する工程である。複合基材形成工程は、防湿性基材1の表面に樹脂基材2を設けることにより複合基材3を形成する工程である。発光積層体形成工程は、複合基材3の表面に有機発光積層体7を形成する工程である。封止工程は、前記樹脂基材2よりも平面視において大きい封止基材8で有機発光積層体7を封止する工程である。
本形態では、図1の形態と同様に、凹部形成工程と粗化工程とが同時に行われてもよいし、別々に行われてもよい。凹部形成工程と粗化工程とが同時に行われる場合、製造が簡単になる。凹部形成工程と粗化工程とが別々に行われる場合、粗化によって光取り出し性の高い光取り出し構造4を形成することができる。図13では、防湿性基材1は凹部5を有し、樹脂基材2は凹部5に埋め込まれている。そのため、水分の浸入を高く抑制することができる。
本形態では、電極層形成工程をさらに有している。本形態の電極層形成工程は、封止工程前の封止基材8の表面に、封止工程の際に有機発光積層体7の電極(第1電極13及び第2電極15)と電気的に接続されるように電極層6(第1電極層6a及び第2電極層6b)を形成する工程である。
本形態においても、まず、複合基材3を作製した後、有機発光積層体7を形成するが、複合基材3の作製、及び、有機発光積層体7の積層は、図10の形態と同様の方法により行うことができる。すなわち、図11(a)に示すように、防湿性基材1に凹部5を形成し、図11(b)に示すように、凹部5に樹脂基材2を挿入し、図11(c)に示すように、複合基材3の表面に有機発光積層体7を形成する。具体的な手法は、図1の形態と同様であってよい。また、凹部5の形成の後に、表面を粗化する工程をさらに設けてもよい。
図14は、電極層6を形成する様子を示している。本形態では、封止前に、電極層6を封止基材8の表面及び貫通孔18に形成する。このとき、電極層6を形成する封止基材8の面は、図10の形態とは反対側の面である。すなわち、図10の形態では有機発光積層体7側となる面8aに電極層6を設けるのに対し、図13の形態では、有機発光積層体7とは反対側となる面8bに電極層6を設けるようにする。電極層6の形成にあたっては、まず、図14(a)に示すような、平坦な表面の封止基材8に、図14(b)に示すように適宜のパターンで貫通孔18を形成する。この例では、第1電極引き出し部11及び第2電極引き出し部12に対応する位置に、矩形状の貫通孔18を複数設けている。
貫通孔18の形成は、防湿性基材1の凹部5を形成する方法と同様の方法により行うことができる。例えば、サンドブラスト法を用いることができる。サンドブラスト法によれば簡単に貫通孔18を形成することができる。なお、エッチングなどによって貫通孔18を形成してもよい。またカッティングにより切り出して貫通孔18を形成してもよい。貫通孔18を形成するにあたっては、封止工程により封止基材8が複合基材3に接着された際に、電極層6が有機発光積層体7の電極と電気的に接続されるように、各電極引き出し部に対応する位置に貫通孔18を分離して形成するようにする。
本形態では、封止基材8として、薄い材料を用いることが好ましい。封止基材8が薄いと貫通孔18の作製が容易になる。また、封止基材8が薄いと貫通孔18に電極層6を充填しやすくなる。薄い封止基材8としては、薄い板ガラスを用いることができる。封止基材8の厚みは、10〜2000μmであってよいが、これに限定されるものではない。板ガラスとして、例えば、薄板ガラス(日本電気硝子製:50μm)などを用いることができる。
次に、図14(c)に示すように、貫通孔18を含んだ領域に適宜のパターンで電極層6を形成する。電極層6の形成は、図1の形態と同様の方法を用いることができる。すなわち、印刷法などが使用できる。封止基材8の厚みが薄い場合、印刷によって、電極層6を貫通孔18に充填させることができる。なお、印刷以外の方法で電極層6を形成してももちろんよい。特に厚みが厚くなる場合は、印刷で貫通孔18に電極層6を充填するのが困難になるおそれがあるので、塗布などで電極層6を形成してもよい。
第1電極引き出し部11に対応する位置の貫通孔18に設けられた電極層6からは、第1電極層6aが形成され、第2電極引き出し部12に対応する位置の貫通孔18に設けられた電極層6からは、第2電極層6bが形成される。なお、図14では、素子1個分の封止基材8に貫通孔18及び電極層6を形成する様子を示しているが、図1の形態で説明したのと同様に、複数の素子分(例えば4個分)の大きさの封止基材8を用いるようにしてもよい。それにより、複数の素子を同時に封止することができる。
そして、複合基材3における樹脂基材2よりも大きい領域に封止用の接着剤を設け、電極層6が貫通孔18に充填された封止基材8を、電極層6を設けた側と反対側の面(貫通電極6cが露出する面)を複合基材3側に対向させて封止接着層9で接着する。このとき、通電性が確保できるよう、貫通電極6c(電極層6)の表面と電極引き出し部とを対向させて配置し、この部分には接着剤が配置されないようにして接着する。好ましくは、電極接続層17を形成するための導電材料を各電極引き出し部の表面(電極層6に挟まれる部分)に設けておくようにする。電極接続層17の材料がない場合、封止用の接着剤が電極層6と電極引き出し部との間に介入して通電性が確保できなかったり、通電性が悪化したりするおそれがある。しかしながら、電極接続層17の材料を設けることにより、通電性をより高く確保することが可能になる。
電極接続層17の材料としては、導電性ペーストを用いることができる。導電性ペーストは、図10の形態と同様のものを用いることができる。ペーストの硬化は封止剤の硬化と同時に行えばよい。
また、封止用の接着剤を設けるよりも前に、先に導電性ペーストを塗布し、複合基材3と封止基材8とを導電性ペーストの硬化により接着した後、封止剤をサイドフィル法を用いて、複合基材3と封止基材8との間に流し込んで充填してもよい。サイドフィル法としては、減圧雰囲気で基板外周に樹脂を塗布し、真空圧力で内部に浸透させる方法を用いることができる。この方法によれば、導電性ペーストの硬化の際のアウトガスの排出性を高めることができ、また、素子への印刷用マスク接触や封止剤のボイド発生などを抑制することができる。封止用装置としては、液晶ディスプレイ用の封止装置を使用することができる。
以上により、図13の形態の有機EL素子を製造することができる。
本形態では、図1の形態のように、防湿性基材1と樹脂基材2との境界部分を跨いで電極層6を形成しないので、断線を防いで電極層6を形成することができる。したがって、導通性を向上させることが可能である。また、電極引き出し部は封止基材8の外側の面に形成されており、側方に電極引き出し部を延ばして設けなくてもよいので、外周部の非発光領域を小さくすることができ、発光面積割合がより大きい有機EL素子を得ることができる。ただし、貫通孔18を形成する工程など、工程数が増加するおそれがあるため、製造性においては、図1の形態の方が有利な点がある。
<実施形態5>
図15は、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)の実施の形態の一例を示している。この有機EL素子は、複合基材3の構造が異なる以外は、図10の形態と同様の構成を有する。すなわち、防湿性基材1と樹脂基材2とにより構成される複合基材3が、有機発光積層体7を形成するための基材として用いられている。また、防湿性基材1と樹脂基材2との界面には光取り出し構造4が形成されている。また、複合基材3における樹脂基材2の表面に、第1電極13、有機層14及び第2電極15をこの順で有する有機発光積層体7が設けられている。有機発光積層体7は、封止接着層9によって複合基材3に接着される封止基材8により封止されている。封止基材8は、平面視において樹脂基材2よりも大きい。また、電極層6は、封止基材8の表面に形成されている。電極層6と第1電極引き出し部11との間、及び、電極層6と第2電極引き出し部12との間には、各電極引き出し部と電極層6とを電気的に接続する電極接続層17が形成されている。
図15の形態では、図10の形態とは異なり、防湿性基材1には凹部5が形成されておらず、樹脂基材2は防湿性基材1に埋め込まれていない。防湿性基材1には表面の粗化によって光取り出し構造4が設けられている。そして、防湿性基材1の粗化された表面に樹脂基材2が設けられている。すなわち、光取り出し構造4の上に樹脂基材2が形成されている。図15の場合も、防湿性基材1と樹脂基材2との界面に光取り出し構造4が設けられることで、光取り出し性を高めることができる。
複合基材3は、図9で説明したものと同様のものを用いることができる。封止基材8及び電極層6は図10で説明したものと同様のものを用いることができる。図15の有機EL素子は、図9に示される複合基材3と、図10で示される封止基材8とを組み合わせた変形例であると言える。各材料及び構成は、図9及び図10のものと同様であってよい。有機EL素子の製造は、複合基材3側は、図9の有機EL素子の製造と同様であり、封止基材8側は、図10の有機EL素子と同様である。
<実施形態6>
図16は、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)の実施の形態の一例を示している。この有機EL素子は、複合基材3の構造が異なる以外は、図13の形態と同様の構成を有する。すなわち、防湿性基材1と樹脂基材2とにより構成される複合基材3が、有機発光積層体7を形成するための基材として用いられている。また、防湿性基材1と樹脂基材2との界面には光取り出し構造4が形成されている。また、複合基材3における樹脂基材2の表面に、第1電極13、有機層14及び第2電極15をこの順で有する有機発光積層体7が設けられている。有機発光積層体7は、封止接着層9によって複合基材3に接着される封止基材8により封止されている。封止基材8は、平面視において樹脂基材2よりも大きい。また、電極層6は、封止基材8の表面に形成されている。電極層6と第1電極引き出し部11との間、及び、電極層6と第2電極引き出し部12との間には、各電極引き出し部と電極層6とを電気的に接続する電極接続層17が形成されている。
図16の形態では、図13の形態とは異なり、防湿性基材1には凹部5が形成されておらず、樹脂基材2は防湿性基材1に埋め込まれていない。防湿性基材1には表面の粗化によって光取り出し構造4が設けられている。そして、防湿性基材1の粗化された表面に樹脂基材2が設けられている。すなわち、光取り出し構造4の上に樹脂基材2が形成されている。図16の場合も、防湿性基材1と樹脂基材2との界面に光取り出し構造4が設けられることで、光取り出し性を高めることができる。
複合基材3は、図9で説明したものと同様のものを用いることができる。封止基材8及び電極層6は図13で説明したものと同様のものを用いることができる。図16の有機EL素子は、図9に示される複合基材3と、図13で示される封止基材8とを組み合わせた変形例であると言える。各材料及び構成は、図9及び図13のものと同様であってよい。有機EL素子の製造は、複合基材3側は、図9の有機EL素子の製造と同様であり、封止基材8側は、図13の有機EL素子と同様である。
<複合基材構造>
上記に説明したように、複合基材3は、有機EL素子に好適に用いられるものであるが、有機EL素子以外の有機電気素子を封止する基材としても利用することができる。有機電気素子としては、有機半導体素子、有機太陽電池、有機表示装置(ディスプレイ)などが挙げられる。そして、これらの素子を作製する際に、防湿性基材1の凹部5に樹脂基材2が埋め込まれた複合基材3や、さらに電極層6がその表面に形成された複合基材3(電極付き複合基材)を複合基材構造として用いることができる。
電極付き複合基材は、図6(e)及び図7(c)にその一例が示されている。この電極付き複合基材は、防湿性基材1と樹脂基材2とにより構成される複合基材3における樹脂基材2側の表面に、電極層6が設けられたものである。樹脂基材2は、防湿性基材1に埋め込まれている。電極層6は、樹脂基材2と防湿性基材1との境界部分を跨いで形成されている。
電極付き複合基材においては、図6(e)に示すように、樹脂基材2の表面に導電層10が設けられていてもよい。また、上記で説明したように、電極層6が導電層10を兼ねるものであってもよい。また、導電層10が設けられていなくてもよい。
この電極付き複合基材を用い、有機電気素子を構成する有機積層体を樹脂基材2表面に形成した後、上記有機EL素子と同様の方法により、樹脂基材2よりも大きい封止基材8で積層体を封止すれば、有機電気素子を構成することができる。この場合も、樹脂基材2からの水分の浸入を抑制できる有機電気素子を得ることができる。例えば、有機積層体を特定の材質の樹脂基材2に形成することが好ましいときに利用することができる。
電極付き複合基材は、上記の有機EL素子の製造における複合基材3の作製方法を利用することにより製造することができる。すなわち、図2〜図6、並びに、図7(a)〜(c)で示すように、凹部形成工程、粗化工程、複合基材形成工程、及び、電極層形成工程を有する工程により製造することができる。凹部形成工程は、防湿性基材1の表面を掘り込んで凹部5を形成する工程である。粗化工程は防湿性基材1の表面を粗化する工程である。目的とする有機電気素子において防湿性基材1の表面の粗化が必要でないときは、粗化工程は行わなくてもよい。複合基材形成工程は、防湿性基材1の表面に樹脂基材2を設けて複合基材3を形成する工程である。防湿性基材1が凹部5を有する場合、凹部5に樹脂基材2を埋め込むことにより複合基材3を形成することができる。電極層形成工程は、複合基材3の表面に、樹脂基材2と防湿性基材1との境界部分を跨いで電極層6を形成する工程である。材料及び方法は、上記の有機EL素子の製造の場合と同様であってよい。これにより、樹脂基材2からの水分の浸入を効果的に抑制する有機電気素子を形成するための複合基材3を、容易に製造することができる。
複合基材構造は、樹脂基材2よりも平面視において大きい封止基材8が防湿性基材1に接着された構造であることが好ましい一形態である。この場合、防湿性基材1と樹脂基材2とにより構成される複合基材3における樹脂基材2の表面に、有機積層体が形成された有機電気素子を得ることができる。防湿性基材1に凹部5が設けられている場合、有機電気素子では、樹脂基材2が防湿性基材1に埋め込まれ、有機積層体は、樹脂基材2よりも平面視において大きい封止基材8で封止されることになる。そのため水分の浸入が高く抑制される。この有機電気素子における電極層6は、複合基材3の表面に形成されるものであってもよいし、封止基材8の表面に形成されるものであってもよいし、あるいは、封止基材8の貫通孔18に形成されるものであってもよい。
1 防湿性基材
2 樹脂基材
3 複合基材
4 光取り出し構造
5 凹部
6 電極層
7 有機発光積層体
8 封止基材
9 封止接着層
10 導電層
11 第1電極引き出し部
12 第2電極引き出し部
13 第1電極
14 有機層
15 第2電極
16 分断線
17 電極接続層
18 貫通孔
40 表面層
41 保護体
42 粒子

Claims (11)

  1. 防湿性基材の表面を粗化する粗化工程と、
    粗化された前記防湿性基材の表面に樹脂基材を設けて複合基材を形成する複合基材形成工程と、
    前記複合基材の表面に有機発光積層体を形成する発光積層体形成工程と、
    前記樹脂基材よりも平面視において大きい封止基材で前記有機発光積層体を封止する封止工程と、を有する工程により製造することを特徴とする、有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  2. 前記防湿性基材の表面を掘り込んで凹部を形成する凹部形成工程を備え、
    前記複合基材形成工程にて、前記凹部に前記樹脂基材を埋め込むことにより前記複合基材を形成することを特徴とする、請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  3. 前記粗化工程にて、前記防湿性基材の表面に保護体を設けて粗化することを特徴とする、請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  4. 前記粗化工程にて、前記防湿性基材の表面に粒子を衝突させることにより粗化を行うことを特徴とする、請求項1又は3に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  5. 前記凹部形成工程にて、前記防湿性基材の表面に粒子を衝突させることにより前記凹部を形成することを特徴とする、請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  6. 前記粗化工程と前記凹部形成工程とを同時に行うことを特徴とする、請求項2又は5に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  7. 複合基材形成工程後の前記複合基材の表面に、前記樹脂基材と前記防湿性基材との境界部分を跨いで電極層を形成する工程、又は、
    前記封止工程前の前記封止基材の表面に、前記封止工程の際に前記有機発光積層体の電極と電気的に接続されるように電極層を形成する工程、により構成される電極層形成工程を有することを特徴とする、請求項1、2、3又は5に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  8. 前記電極層の形成を印刷により行うことを特徴とする、請求項7に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  9. 防湿性基材と樹脂基材とにより構成される複合基材における前記樹脂基材の表面に、有機発光積層体が形成された有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
    前記樹脂基材は、前記防湿性基材の粗化された表面に形成されており、
    前記有機発光積層体は、前記樹脂基材よりも平面視において大きい封止基材で封止されていることを特徴とする、有機エレクトロルミネッセンス素子。
  10. 前記樹脂基材は、前記防湿性基材に埋め込まれていることを特徴とする、請求項9に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  11. 電極層が、前記防湿性基材と前記樹脂基材との境界部分を跨いで複合基材の表面に、又は、前記封止基材の表面に、形成されていることを特徴とする、請求項9又は10に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
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