JPWO2013105374A1 - 狭帯域バンドパスフィルター - Google Patents

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Abstract

【課題】製造コストが安く、大面積化が可能であり、屈曲時や高温高湿時の膜の耐久性に優れる光学フィルムを得ること。【解決手段】有機ポリマーを含む誘電多層膜を有する、狭帯域バンドパスフィルターにより達成される。【選択図】図1

Description

本発明は、有機ポリマーを含む誘電多層膜を有する狭帯域バンドパスフィルターに関する。
今後の世界の人口増や環境問題を考慮し、農業にハイテクを導入することで、安定な食糧生産につなげるいわゆる農業の工業化が注目されてきている。環境制御や自動化などハイテクを利用した植物の周年生産システムである植物工場では、植物栽培の環境をコンピューターにより制御することで、天候に左右されることなく、人手を必要とせずに作物を自動的に生産する試みが行われている。最近の研究によると、植物栽培には、植物種や植物の成長過程で、それぞれ成長促進の為に最適な光源波長分布があることが分かってきており、白色光を植物に照射するよりも、ある特定色を照射するほうが有利であり、例えば、光合成促進には640nm〜690nmの赤色光、葉の正常な形成促進には420nm〜470nmの青色光といった、バンドエッジが立った狭帯域の光が最適とされている。
これらの植物栽培の人工光源としてLEDを用いるケースが増えている。この理由としては、小型軽量、低消費電力で、熱放射が少なく、現在工業的に広く用いられている赤色LED(660nm)、青色LED(450nm)を利用できるという特長が寄与しているとされている。植物の成長促進として、LEDの各色光源を使い分けることは、確かにユニークな視点ではあるが、多数のLEDチップを基板に取り付ける必要があること、LED制御用の回路システムや電源システムが必要である。このため、LEDの利用には制限があり、作付面積が大規模である場合や、さらに人工光源を必要としない屋外のビニールハウスへの対応には難がある。また、LED材料によって透過波長域が決定されるために植物種に併せて光源波長を任意に設計できる自由度も限られている。
これに鑑み、太陽光を利用する大規模なビニールハウスや、安価な白色光源を用いる場合において、光学フィルターを用いて、特定光のみ植物に照射するシステムが提案されている。これに用いる光学フィルターとして、前述の特性から、いわゆるバンドパスフィルターが有効であると考えられる。
特許文献1には酸化タリウムとシリカの無機材料を積層させた狭帯域光学フィルターが開示されている。
特許2001−215325号公報
しかしながら、特許文献1に開示されているフィルターは、スパッタ装置を用いてフィルターを製造するものであり、大面積化がコスト的に困難であること、また無機材料のリジッドな膜で形成されており、屈曲時や高温高湿時の膜の耐久性に難がある。
したがって、本発明の目的は、製造コストが安く、大面積化が可能であり、屈曲時や高温高湿時の膜の耐久性に優れる光学フィルムを得ることである。
本発明の上記課題は有機ポリマーを含む誘電多層膜を有することを特徴とする、狭帯域バンドパスフィルターにより達成される。
分光透過率曲線における狭帯域パスバンドを説明する図である。 試料4の狭帯域バンドパスフィルターの分光透過率曲線を示す図である。 試料5の狭帯域バンドパスフィルターの分光透過率曲線を示す図である。 試料6の狭帯域バンドパスフィルターの分光透過率曲線を示す図である。 試料9の狭帯域バンドパスフィルターの分光透過率曲線を示す図である。 試料10の狭帯域バンドパスフィルターの分光透過率曲線を示す図である。 試料15の狭帯域バンドパスフィルターの分光透過率曲線を示す図である。
本発明は、有機ポリマーを含む誘電多層膜を有する狭帯域バンドパスフィルターである。すなわち、本発明のフィルターは、分光透過率曲線において、有機ポリマーを含む誘電多層膜に由来する狭帯域パスバンドが形成されていることを特徴とする。
ポリマー材料を用いることによる、本発明の作用としては以下があげられる。(1)無機材料のスパッタ積層膜に比較して膜自体の屈曲時および高温高湿時の物理的耐久性が大幅に改善される。(2)溶融延伸や重層塗布といった大面積化に適する製造方法が可能である。このため、製造コストが安く、大幅なコスト低減が図れる。(3)ポリマー材料を含む誘電膜を多層積層したことで、相対標準偏差で数%程度生じる膜厚のゆらぎが逆に誤差拡散として作用し、ロバストの高い狭帯域パスバンド形成が可能である。また、誘電多層膜を用いることにより、着色染料や顔料といった一般的な光調整材料では実現できない、バンドエッジが立ったシャープな透過波長域ウィンドーを設計できる。すなわち、透過波長の設計自由度が高い。
以下、本発明を詳細に説明する。
(狭帯域パスバンド)
本発明において、狭帯域パスバンドは以下の様に定義する。図1の分光透過率曲線において、透過率80%以上のトップと、透過率20%以下のボトムを有するバンドに着目し、λ0を透過率80%の波長の平均波長(すなわち、透過率80%の波長を波長λおよびλとすると、λ0=(λ+λ)/2(nm))、Δλを透過率20%の波長幅(すなわち、透過率20%の波長を波長λおよびλ(λ>λ)とすると、Δλ=λ−λ(nm))とすると、Δλ/λ0×100≦15%を満たすバンドを狭帯域パスバンドと定義する。Δλ/λ0×100の値は小さいほど好ましく、10%以下であることが好ましく、6%以下であることがより好ましい。なお、Δλ/λ0×100の値は小さいほど好ましいため、Δλ/λ0×100の値は小さければ小さいほど好ましいが、通常0.5%以上である。
本発明においては、目的に応じて、狭帯域パスバンドの数を設定することができ、狭帯域パスバンドは1つに限られず、2以上存在してもよい。
(誘電体型狭帯域バンドパスフィルター)
一般に狭帯域バンドパスフィルターの構成として、Mを金属、Dを誘電体とした場合、(1)MDM型、(2)DMD型、(3)誘電体型の3タイプがあることが知られている。本発明の誘電体型狭帯域パスバンドフィルターは、前記(3)に属するものであり、(1)、(2)とは異なりバンド形成に寄与する構成層中に耐久性に劣る金属膜を用いないことが特徴である。
誘電体型狭帯域バンドパスフィルターは、高屈折率膜および低屈折率膜が隣接した構造を少なくとも1つ有する。ここで「高屈折率膜」および「低屈折率膜」なる用語は、隣接した2層の屈折率差を比較した場合に、屈折率が高い方の屈折率膜を高屈折率膜とし、低い方の屈折率膜を低屈折率膜とすることを意味する。したがって、「高屈折率膜」および「低屈折率膜」なる用語は、光学反射フィルムを構成する各屈折率膜において、隣接する2つの屈折率膜に着目した場合に、各屈折率膜が同じ屈折率を有する形態以外のあらゆる形態を含むものである。
誘電体型狭帯域バンドバスフィルターの誘電多層膜に含まれる好適な構成例としては以下が挙げられる。
Figure 2013105374
ここで、例えば、(Hは、Hの層構成がm回繰り返して積層され、また、sHはHがs回繰り返して積層されていることを指す。
また、H、H、HおよびHはそれぞれ高屈折率膜を示し、L、L、LおよびLは、低屈折率膜を示す。ここで、H、H、HおよびHは、膜厚、膜構成において、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。同様に、L、L、LおよびLは、膜厚、膜構成において、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。好適には、フィルターの分光透過率曲線の狭帯域パスバンドにおける最大透過率波長λ[nm]に対して、高屈折率膜および低屈折率膜の光学膜厚は、λ/4±50%(ここで、「λ/4±50%」とは「(λ/4−λ/4×0.5)以上(λ/4+λ/4×0.5)以下」」の意である)である。なお、実際の積層体での各屈折率膜の膜厚(物理膜厚)と、光学膜厚との関係は、光学膜厚[nm]=屈折率×物理膜厚[nm]である。
設定波長において狭帯域パスバンドを形成させるには、λ/4のλを設定波長に置き、高屈折率膜と低屈折率膜とも、光学膜厚をこのλ/4を中心に設定すればよい。好適には、各屈折率膜の光学膜厚がλ/4±50%((λ/4−λ/4×0.5)以上(λ/4+λ/4×0.5)以下)となるように設計する。
上記膜構成1〜4において、mおよびnは、1以上の整数である。また、sは2以上の整数であるが、sは2が一般的である。パスバンドの幅を調整するには、前記m、nの数を調整すればよい。m、nが小さい程、パスバンドの幅は広くなる。m、nの上限は特に制限されるものではないが、通常100以下である。また、sの上限は特に制限されるものではないが、通常10以下である。
複数の波長領域にパスバンドを設ける場合は、上記膜構成のいずれかを設定波長に応じて設け、複数キャビティーの積層構造にすればよい。この際、各パスバンドに対応する積層構造の膜構成は同一であってもよいし、異なっていてもよい。
また、ストップバンドの幅を広げるには、前記(HL)を同じ光学膜厚の繰り返しでは無く、例えば、3〜30%ずつ光学膜厚をずらしながら積層させればよい。これらの多層膜構造は光学シミュレーション(FTG Software Associates Film DESIGN Version 2.23.3700)を用いれば設計可能である。ストップバンドの幅はλ/4を1種のみ用いた場合、30〜100nm程度であるため、ある程度広いほうがよい。
また、青色光の波長域である400nm以上500nm以下、または赤色光の波長域である630nm以上700nm以下の領域に狭帯域パスバンドを形成させることも上記考え方に基づき設計可能である。これらの設計手法は、“Thin−Film Optical Filters Fourth Edition”Taylor and Francis Group.LLC 2010,pp302〜401に詳細な記載がある。
これらの構成のうち、本発明のフィルターにおいては、誘電多層膜が、下記式(1):
Figure 2013105374
で示される層構成を含むことが特に好ましい。ここで、H、H、およびHは、(λ/4−λ/4×0.5)以上(λ/4+λ/4×0.5)以下の光学膜厚を有する誘電多層膜の高屈折率膜を示し、L、およびLは、(λ/4−λ/4×0.5)以上(λ/4+λ/4×0.5)以下の光学膜厚を有する誘電多層膜の低屈折率膜を示し、ここで、λは、フィルターの分光透過率曲線の狭帯域パスバンドにおける最大透過率波長を表わす。m、nは1以上の整数であり、sは2以上の整数であり、(Hおよび(Lとは、それぞれ(H)をm回、および(L)をn回繰り返して積層するという意味であり、sHはキャビティー層である。ここで、m、n、およびsの具体的範囲および好適な範囲は上述したとおりである。かような構成とすることで、屈曲時および高温高湿時の耐久性が向上する。これは塗膜の材料種やパス長による水や酸素の透過性の低下と、さらに異なる弾性と延性を有する材料を混合したことによる応力緩和性の向上によるものと考えられる。また、透過する光量を考慮すると、ある程度パス部分が広いほうが好ましいが、sLよりもsHを用いることで、パス部分が広いバンドを設計可能であること、また、構成層の末端は他の有機膜(例えばフィルム支持体)と接する場合が多く、その際、低屈折率膜と接するよりも高屈折率膜と接する方が、必要層数減の観点から有利である。
フィルターの最表面を構成する層は、透過性の観点からHであることが好ましく、rH(rは2以上の整数である)であることがより好ましい。
本発明の誘電体型狭域帯バンドパスフィルターにおいて、高屈折率膜および低屈折率膜の総数の上限としては、200層以下であることが好ましい。より好ましくは100層以下であり、さらに好ましくは40層以下である。
高屈折率膜の好ましい屈折率範囲は1.70〜2.50であり、1.8〜2.1であることがより好ましく、さらに好ましくは1.90〜2.1である。また、低屈折率膜の好ましい屈折率範囲は1.10〜1.60であり、1.30〜1.55であることがより好ましく、1.3〜1.45であることがさらに好ましい。また、高屈折率膜と低屈折率膜の好ましい屈折率差は、0.1以上であり、より好ましくは0.3〜0.7である。屈折率差がかような範囲であると、誘電多層膜の層数が適当で、生産性が向上し、また、製造ばらつきによる変動の影響を受けにくく、パスバンド形成が安定する。なお、高屈折率膜と低屈折率膜とを複数有する場合には、全ての屈折率膜が上記屈折率および屈折率差の要件を満たすことが好ましい。ただし、最表層や最下層に関しては、この限りではない。屈折率差に上限はないが、実質的には1.40程度が限界である。なお、上記屈折率差は、高屈折率膜、低屈折率膜の屈折率を下記の方法に従って求め、両者の差分を屈折率差とする。
(必要により基材を用いて)各屈折率膜を単膜で作製し、このサンプルを10cm×10cmに断裁した後、下記の方法に従って屈折率を求める。分光光度計として、U−4000型(日立製作所社製)を用いて、各サンプルの測定面とは反対側の面(裏面)を粗面化処理した後、黒色のスプレーで光吸収処理を行って裏面での光の反射を防止して、5度正反射の条件にて可視光領域(400nm〜700nm)の反射率を25点測定して平均値を求め、その測定結果より平均屈折率を求める。
(光遮蔽手段)
本発明の狭帯域バンドパスフィルターにおいては、さらに、光遮蔽手段を用いることができる。さらなる光遮蔽手段を組み合わせることで、目的とする波長域以外の光を効果的に遮蔽でき、目的の波長域を効果的に透過させることができる。この場合、該光遮蔽手段は、狭帯域パスバンドが形成されている波長域以外の波長域の光を遮蔽する手段であることが好ましく、かような光遮蔽手段であれば特に限定されるものではない。あるいは、光遮蔽手段により、全体の光量を調節することもできる。好適には、光遮蔽手段は可視光遮蔽層である。
また、光遮蔽手段を設けることで、屈曲時および耐湿耐熱時の耐久性が向上する。これは、材質の異なる材料の混合で弾性と延性が混合された構造になることによって応力が緩和されたことによるものと考えられる。
光遮蔽手段としては、分光透過率曲線において狭帯域パスバンドを形成させる誘電多層膜によって達成されてもよいし、狭帯域パスバンドを形成させる誘電多層膜以外に光遮蔽層(狭帯域パスバンドを形成させる誘電多層膜以外の誘電多層膜を含む)を別途設けてもよい。
他の光遮蔽層としては、狭帯域パスバンドを形成する誘電多層膜以外の誘電多層膜(以下、単に「他の誘電多層膜」とも称する)を用いることができる。他の誘電多層膜としては、高屈折率膜と低屈折率膜を同じ光学膜厚で繰り返した積層構造や、例えば5%ずつ光学膜厚をずらしながら高屈折率膜と低屈折率膜とを繰り返し積層させた積層構造を併用して用いることができる。かような誘電多層膜は上記狭帯域パスバンドを形成する誘電多層膜を構成する材料と同じ材料を用いることができるので、生産性の点で好ましい。
また、誘電多層膜を用いる以外の手段として、光吸収/反射材料を含む層を設けることができる。光吸収や反射材料をバインダー中に担持してもよい。好ましいバインダーとしては、ポリビニルブチラール系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂、またはポリビニルアルコール樹脂が挙げられる。具体的には可塑性ポリビニルブチラール〔積水化学工業社製、三菱モンサント社製等〕、エチレン−酢酸ビニル共重合体〔デュポン社製、武田薬品工業社製、デュラミン〕、変性エチレン−酢酸ビニル共重合体〔東ソー社製、メルセンG〕等である。また、光吸収、反射材料としては、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化カドミウム、アンチモンドープ酸化錫(ATO)、フッ素ドープ酸化錫(FTO)、錫ドープ酸化インジウム(ITO)及びアルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)を好ましく用いることができ、特に好ましいのは、ATO、ITOである。光吸収/反射材料の含有量は、層の全質量に対して1〜60%であることが好ましい。また、光吸収/反射材料とバインダーとの含有体積比は、1:0.5〜5であることが好ましい。なお、光吸収/反射材料を含む層には紫外線吸収剤、抗酸化剤、帯電防止剤、熱安定剤、滑剤、充填剤、着色、接着調整剤等を適宜添加配合してもよい。光吸収/反射材料を含む層の厚みは0.1〜50μmが好ましく、1〜20μmがより好ましい。
(誘電多層膜材料)
本発明の誘電体型狭帯域バンドパスフィルターは、有機ポリマーを含む誘電多層膜を含むことを特徴とする。誘電多層膜に含まれる有機ポリマーには特に制限はなく、誘電多層膜を形成できるポリマーであれば特に制限されない。
例えば、有機ポリマーとしては、特表2002−509279号公報に記載の有機ポリマーを用いることができる。具体例としては、ポリエチレンナフタレート(PEN)およびその異性体(例えば、2,6−、1,4−、1,5−、2,7−および2,3−PEN)、ポリアルキレンテレフタレート(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、およびポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート)、ポリイミド(例えば、ポリアクリルイミド)、ポリエーテルイミド、アタクチックポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアルキルメタクリレート(例えば、ポリイソブチルメタクリレート、ポリプロピルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、およびポリメチルメタクリレート)、ポリアルキルアクリレート(例えば、ポリブチルアクリレート、およびポリメチルアクリレート)、セルロース誘導体(例えば、エチルセルロース、アセチルセルロース、セルロースプロピオネート、アセチルセルロースブチレート、および硝酸セルロース)、ポリアルキレンポリマー(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリイソブチレン、およびポリ(4−メチル)ペンテン)、フッ素化ポリマー(例えば、パーフルオロアルコキシ樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化エチレンプロピレンコポリマー、ポリフッ化ビニリデン、およびポリクロロトリフルオロエチレン)、塩素化ポリマー(例えば、ポリ塩化ビニリデンおよびポリ塩化ビニル)、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリエーテルアミド、アイオノマー樹脂、エラストマー(例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレンおよびネオプレン)、およびポリウレタンが挙げられる。コポリマー、例えば、PENのコポリマー[例えば、(a)テレフタル酸もしくはそのエステル、(b)イソフタル酸もしくはそのエステル、(c)フタル酸もしくはそのエステル、(d)アルカングリコール、(e)シクロアルカングリコール(例えば、シクロヘキサンジメタノールジオール)、(f)アルカンジカルボン酸、および/または(g)シクロアルカンジカルボン酸(例えば、シクロヘキサンジカルボン酸)と2,6−、1,4−、1,5−、2,7−、および/または2,3−ナフタレンジカルボン酸またはそれらのエステルとのコポリマー]、ポリアルキレンテレフタレートのコポリマー[例えば、(a)ナフタレンジカルボン酸もしくはそのエステル、(b)イソフタル酸もしくはそのエステル、(c)フタル酸もしくはそのエステル、(d)アルカングリコール、(e)シクロアルカングリコール(例えば、シクロヘキサンジメタノールジオール)、(f)アルカンジカルボン酸、および/または(g)シクロアルカンジカルボン酸(例えば、シクロヘキサンジカルボン酸)と、テレフタル酸もしくはそのエステルとのコポリマー]、並びにスチレンコポリマー(例えば、スチレン−ブタジエンコポリマー、およびスチレン−アクリロニトリルコポリマー)、4,4−ビ安息香酸およびエチレングリコールも適している。さらに、各層はそれぞれ、2種またはそれ以上の上記のポリマーまたはコポリマーのブレンド(例えば、SPSとアタクチックポリスチレンとのブレンド)を包含してよい。
上記ポリマーを、米国特許第6049419号に記載のように、ポリマーの溶融押出しおよび延伸により、誘電多層膜を形成することができる。本発明において、高屈折率膜および低屈折率膜を形成するポリマーの好ましい組み合わせとしては、PEN/PMMA、PEN/ポリフッ化ビニリデン、PEN/PETが挙げられる。
また、有機ポリマーとして、特開2010−184493号に記載のポリマーを用いてもよい。具体的には、ポリエステル(以下、ポリエステルAとする)と、エチレングリコール、スピログリコールおよびブチレングリコールの少なくとも3種のジオール由来の残基を含んでいるポリエステル(以下、ポリエステルBとする)とを、用いることができる。ポリエステルAは、ジカルボン酸成分とジオール成分とが重縮合して得られる構造を有するものであれば特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンジフェニルレートなどが挙げられる。ポリエステルAは共重合体であってもよい。ここで、共重合ポリエステルとは、ジカルボン酸成分とジオール成分が合わせて少なくとも3種以上用いて重縮合して得られる構造を有する。ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、シクロヘキサンジカルボン酸とそれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。グリコール成分としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタジオール、ジエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、イソソルベート、1,4−シクロヘキサンジメタノール、スピログリコール、およびこれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。ポリエステルAは、ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートであることが好ましい。
上記ポリエステルBは、エチレングリコール、スピログリコールおよびブチレングリコールの少なくとも3種のジオール由来の残基を含んでいる。典型的な例としては、エチレングリコール、スピログリコールおよびブチレングリコールを用いて共重合して得られる構造を有した共重合ポリエステルや該3種のジオールを用いて重合して得られる構造を有したポリエステルをブレンドして得られるポリエステルがある。この構成だと成形加工がしやすくかつ層間剥離もしにくいために好ましい。また、ポリエステルBが、テレフタル酸/シクロヘキサンジカルボン酸の少なくとも2種のジカルボン酸由来の残基を含むポリエステルであることが好ましい。このようなポリエステルには、テレフタル酸/シクロヘキサンジカルボン酸を共重合したコポリエステル、またはテレフタル酸残基を含むポリエステルとシクロヘキサンジカルボン酸残基を含むポリエステルをブレンドして得られるものがある。シクロヘキサンジカルボン酸残基を含んだポリエステルは、A層の面内平均屈折率とB層の面内平均屈折率の差が大きくなり、高反射率なものが得られる。また、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートとのガラス転移温度差が小さいため、成形時に過延伸になることがなりにくく、かつ層間剥離もしにくいために好ましい。
その他、ポリマーとして水溶性高分子を用いることも好ましい。水溶性高分子は、有機溶剤を用いないため、環境負荷が少なく、また、柔軟性が高いため、屈曲時の膜の耐久性が向上するため好ましい。水溶性高分子としては、例えば、ポリビニルアルコール類、ポリビニルピロリドン類、ポリアクリル酸、アクリル酸−アクリルニトリル共重合体、アクリル酸カリウム−アクリルニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、若しくはアクリル酸−アクリル酸エステル共重合体などのアクリル系樹脂、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、若しくはスチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体などのスチレンアクリル酸樹脂、スチレン−スチレンスルホン酸ナトリウム共重合体、スチレン−2−ヒドロキシエチルアクリレート共重合体、スチレン−2−ヒドロキシエチルアクリレート−スチレンスルホン酸カリウム共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体などの酢酸ビニル系共重合体及びそれらの塩などの合成水溶性高分子;ゼラチン、増粘多糖類などの天然水溶性高分子などが挙げられる。これらの中で、特に好ましい例としては、製造時のハンドリングと膜の柔軟性の点から、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン類及びそれを含有する共重合体、ゼラチン、増粘多糖類(特にセルロース類)が挙げられる。これらの水溶性高分子は、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用して用いてもよい。
好ましく用いられるポリビニルアルコールには、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のポリビニルアルコールの他に、変性ポリビニルアルコールも含まれる。変性ポリビニルアルコールとしては、カチオン変性ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、ノニオン変性ポリビニルアルコール、ビニルアルコール系ポリマーが挙げられる。
酢酸ビニルを加水分解して得られるポリビニルアルコールは、平均重合度が1,000以上のものが好ましく用いられ、特に平均重合度が1,500〜5,000のものが好ましく用いられる。また、ケン化度は、70〜100モル%のものが好ましく、80〜99.5モル%のものが特に好ましい。
カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開昭61−10483号に記載されているような、第一〜三級アミノ基や第四級アンモニウム基を上記ポリビニルアルコールの主鎖または側鎖中に有するポリビニルアルコールであり、カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体をケン化することにより得られる。
カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、トリメチル−(2−アクリルアミド−2,2−ジメチルエチル)アンモニウムクロライド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3,3−ジメチルプロピル)アンモニウムクロライド、N−ビニルイミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾール、N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、ヒドロキシルエチルトリメチルアンモニウムクロライド、トリメチル−(2−メタクリルアミドプロピル)アンモニウムクロライド、N−(1,1−ジメチル−3−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド等が挙げられる。カチオン変性ポリビニルアルコールのカチオン変性基含有単量体の比率は、酢酸ビニルに対して0.1〜10モル%、好ましくは0.2〜5モル%である。
アニオン変性ポリビニルアルコールは、例えば、特開平1−206088号に記載されているようなアニオン性基を有するポリビニルアルコール、特開昭61−237681号および同63−307979号に記載されているような、ビニルアルコールと水溶性基を有するビニル化合物との共重合体及び特開平7−285265号に記載されているような水溶性基を有する変性ポリビニルアルコールが挙げられる。
また、ノニオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開平7−9758号に記載されているようなポリアルキレンオキサイド基をビニルアルコールの一部に付加したポリビニルアルコール誘導体、特開平8−25795号に記載されている疎水性基を有するビニル化合物とビニルアルコールとのブロック共重合体、シラノール基を有するシラノール変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル基やカルボニル基、カルボキシル基などの反応性基を有する反応性基変性ポリビニルアルコール等が挙げられる。またビニルアルコール系ポリマーとして、エクセバール(商品名:(株)クラレ製)やニチゴーGポリマー(商品名:日本合成化学工業(株)製)などが挙げられる。ポリビニルアルコールは、重合度や変性の種類違いなど二種類以上を併用することもできる。
ゼラチンとしては、石灰処理ゼラチンのほか、酸処理ゼラチンを使用してもよく、さらにゼラチンの加水分解物、ゼラチンの酵素分解物を用いることもできる。
増粘多糖類としては、例えば、一般に知られている天然単純多糖類、天然複合多糖類、合成単純多糖類及び合成複合多糖類に挙げることができ、これら多糖類の詳細については、「生化学事典(第2版),東京化学同人出版」、「食品工業」第31巻(1988)21頁等を参照することができる。
本明細書でいう増粘多糖類とは、糖類の重合体であり分子内に水素結合基を多数有するもので、温度により分子間の水素結合力の違いにより、低温時の粘度と高温時の粘度差が大きな特性を備えた多糖類であり、さらに金属酸化物微粒子を添加すると、低温時にその金属酸化物微粒子との水素結合によると思われる粘度上昇を起こすものであり、その粘度上昇幅は、添加することにより40℃における粘度が1.0mPa・s以上の上昇を生じる多糖類であり、好ましくは5.0mPa・s以上であり、更に好ましくは10.0mPa・s以上の粘度上昇能を備えた多糖類である。
増粘多糖類としては、例えば、β1−4グルカン(例えば、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース等)、ガラクタン(例えば、アガロース、アガロペクチン等)、ガラクトマンノグリカン(例えば、ローカストビーンガム、グアラン等)、キシログルカン(例えば、タマリンドガム等)、グルコマンノグリカン(例えば、蒟蒻マンナン、木材由来グルコマンナン、キサンタンガム等)、ガラクトグルコマンノグリカン(例えば、針葉樹材由来グリカン)、アラビノガラクトグリカン(例えば、大豆由来グリカン、微生物由来グリカン等)、グルコラムノグリカン(例えば、ジェランガム等)、グリコサミノグリカン(例えば、ヒアルロン酸、ケラタン硫酸等)、アルギン酸及びアルギン酸塩、寒天、κ−カラギーナン、λ−カラギーナン、ι−カラギーナン、ファーセレラン等の紅藻類に由来する天然高分子多糖類等が挙げられる。特に後述するように金属酸化物粒子を含有する場合には、金属酸化微粒子の分散安定性を低下させない観点から、好ましくは、その構成単位がカルボン酸基やスルホン酸基を有しないものが好ましい。その様な多糖類としては、例えば、L−アラビトース、D−リボース、2−デオキシリボース、D−キシロースなどのペントース、D−グルコース、D−フルクトース、D−マンノース、D−ガラクトースなどのヘキソースのみからなる多糖類であることが好ましい。具体的には、主鎖がグルコースであり、側鎖がキシロースであるキシログルカンとして知られるタマリンドシードガムや、主鎖がマンノースで側鎖がガラクトースであるガラクトマンナンとして知られるグアーガム、ローカストビーンガム、タラガムや、主鎖がガラクトースで側鎖がアラビノースであるアラビノガラクタンを好ましく使用することができる。
また、二種類以上の増粘多糖類を併用してもよい。
水溶性高分子の重量平均分子量は、1,000以上200,000以下が好ましい。さらには、3,000以上40,000以下がより好ましい。本明細書において、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて下記測定条件下で測定した値を採用する。
Figure 2013105374
本発明においては、バインダーである水溶性高分子を硬化させるため、硬化剤を使用してもよい。
硬化剤としては、水溶性高分子と硬化反応を起こすものであれば特に制限はないが、水溶性高分子がポリビニルアルコールの場合には、ホウ酸及びその塩が好ましい。硬化剤は、その他にも公知のものが使用でき、一般的には水溶性高分子と反応し得る基を有する化合物あるいは水溶性高分子が有する異なる基同士の反応を促進するような化合物であり、水溶性高分子の種類に応じて適宜選択して用いられる。硬化剤の具体例としては、例えば、エポキシ系硬化剤(ジグリシジルエチルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ジグリシジルシクロヘキサン、N,N−ジグリシジル−4−グリシジルオキシアニリン、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル等)、アルデヒド系硬化剤(ホルムアルデヒド、グリオキザール等)、活性ハロゲン系硬化剤(2,4−ジクロロ−4−ヒドロキシ−1,3,5−s−トリアジン等)、活性ビニル系化合物(1,3,5−トリス−アクリロイル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン、ビスビニルスルホニルメチルエーテル等)、アルミニウム明礬等が挙げられる。
水溶性高分子がゼラチンの場合には、例えば、ビニルスルホン化合物、尿素−ホルマリン縮合物、メラニン−ホルマリン縮合物、エポキシ系化合物、アジリジン系化合物、活性オレフィン類、イソシアネート系化合物などの有機硬膜剤、クロム、アルミニウム、ジルコニウムなどの無機多価金属塩類などを挙げることができる。
有機ポリマーの含有量は、積層膜を形成させる観点からは屈折率膜の全質量に対して、10質量%以上であることが好ましく、25質量%以上であることが好ましい(上限は100質量%)。
(金属酸化物粒子)
狭帯域パスバンドを形成する誘電多層膜はさらに金属酸化物粒子を含有することが好ましい。金属酸化物粒子を含有することにより、各屈折率膜間の屈折率差を大きくでき、積層数が低減され、薄膜とすることができる。また、応力緩和が働き膜物性(屈曲時および高温高湿時の屈曲性)が向上する等の利点がある。金属酸化物粒子は、誘電多層膜を構成するいずれかの膜に含有させればよいが、好適な形態は、少なくとも高屈折率膜が金属酸化物粒子を含み、より好適な形態は高屈折率膜および低屈折率膜のいずれもが金属酸化物粒子を含む形態である。
金属酸化物粒子としては、例えば、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、二酸化ケイ素(合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ)、アルミナ、コロイダルアルミナ、チタン酸鉛、鉛丹、黄鉛、亜鉛黄、酸化クロム、酸化第二鉄、鉄黒、酸化銅、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化イットリウム、酸化ニオブ、酸化ユーロピウム、酸化ランタン、ジルコン、酸化スズ、等を挙げることができる。
金属酸化物粒子は、平均粒径が100nm以下であり、4〜50nm、より好ましくは4〜30nmであることが好ましい。金属酸化物粒子の平均粒径は、粒子そのものあるいは層の断面や表面に現れた粒子を電子顕微鏡で観察し、1,000個の任意の粒子の粒径を測定し、その単純平均値(個数平均)として求められる。ここで個々の粒子の粒径は、その投影面積に等しい円を仮定したときの直径で表したものである。
各屈折率膜における金属酸化物粒子の含有量は、屈折率膜の全質量に対して、20〜90質量%であることが好ましく、40〜75質量%であることがより好ましい。
金属酸化物粒子としては、二酸化チタン、二酸化ケイ素、及びアルミナから選ばれた固体微粒子を用いることが好ましい。
低屈折率膜においては、金属酸化物粒子として二酸化ケイ素(シリカ)を用いることが好ましく、酸性のコロイダルシリカゾルを用いることが特に好ましい。
〔二酸化ケイ素〕
本発明で用いることのできる二酸化ケイ素(シリカ)としては、通常の湿式法で合成されたシリカ、コロイダルシリカ或いは気相法で合成されたシリカ等が好ましく用いられるが、本発明において特に好ましく用いられる微粒子シリカとしては、コロイダルシリカまたは気相法で合成された微粒子シリカが好ましい。
金属酸化物粒子は、カチオン性ポリマーと混合する前の微粒子分散液が一次粒子まで分散された状態であるのが好ましい。
例えば、上記気相法微粒子シリカの場合、一次粒子の状態で分散された金属酸化物微粒子の一次粒子の平均粒径(塗設前の分散液状態での粒径)は、100nm以下のものが好ましく、より好ましくは4〜50nm、最も好ましくは4〜20nmである。
最も好ましく用いられる、一次粒子の平均粒径が4〜20nmである気相法により合成されたシリカとしては、例えば、日本アエロジル社製のアエロジルが市販されている。この気相法微粒子シリカは、水中に、例えば、三田村理研工業株式会社製のジェットストリームインダクターミキサーなどにより、容易に吸引分散することで、比較的容易に一次粒子まで分散することができる。
該気相法シリカとして現在市販されているものとしては日本アエロジル社の各種のアエロジルが該当する。
本発明で好ましく用いられるコロイダルシリカは、珪酸ナトリウムの酸等による複分解やイオン交換樹脂層を通過させて得られるシリカゾルを加熱熟成して得られるものである。例えば、特開昭57−14091号公報、特開昭60−219083号公報、特開昭60−219084号公報、特開昭61−20792号公報、特開昭61−188183号公報、特開昭63−17807号公報、特開平4−93284号公報、特開平5−278324号公報、特開平6−92011号公報、特開平6−183134号公報、特開平6−297830号公報、特開平7−81214号公報、特開平7−101142号公報、特開平7−179029号公報、特開平7−137431号公報、および国際公開第94/26530号パンフレットなどに記載されているものである。このようなコロイダルシリカは合成品を用いてもよいし、市販品を用いてもよい。市販品としては、日産化学工業(株)から販売されているスノーテックスシリーズ(スノーテックス20、スノーテックス30、スノーテックス40、スノーテックスO、スノーテックスOS、スノーテックスOXS、スノーテックスXS、スノーテックスO−40、スノーテックスC、スノーテックスN、スノーテックスS、スノーテックス20L、スノーテックスOL)が挙げられる。
コロイダルシリカの好ましい平均粒径(個数平均;直径)は通常は5〜100nmであるが特に7〜30nmの平均粒子径が好ましい。
気相法により合成されたシリカ及びコロイダルシリカは、その表面をカチオン変成されたものであってもよく、また、Al、Ca、Mg及びBa等で処理された物であってもよい。
高屈折率膜に含有される金属酸化物としては、TiO、ZnO、ZrOが好ましく、高屈折率膜を形成するための後述の金属酸化物粒子含有組成物の安定性の観点ではTiOがより好ましく、二酸化チタンゾルがより好ましい。また、TiOの中でも特にアナターゼ型よりルチル型の方が、触媒活性が低いために高屈折率膜や隣接した層の耐候性が高くなり、さらに屈折率が高いことから好ましい。
〔二酸化チタン〕
以下、二酸化チタンゾルの好適な一製造方法について説明する。
ルチル型微粒子二酸化チタンの製造方法における第1の工程は、二酸化チタン水和物をアルカリ金属の水酸化物及びアルカリ土類金属の水酸化物からなる群から選択される少なくとも1種の塩基性化合物で処理する工程(工程1)である。
二酸化チタン水和物は、硫酸チタン、塩化チタン等の水溶性チタン化合物の加水分解によって得ることができる。加水分解の方法は特に限定されず、公知の方法を適用することができる。なかでも、硫酸チタンの熱加水分解によって得られたものであることが好ましい。
上記工程(1)は、例えば、上記二酸化チタン水和物の水性懸濁液に、上記塩基性化合物を添加し、所定温度の条件下において、所定時間処理する(反応させる)ことにより行うことができる。
上記二酸化チタン水和物を水性懸濁液とする方法は特に限定されず、水に上記二酸化チタン水和物を添加して攪拌することによって行うことができる。懸濁液の濃度は特に限定されないが、例えば、TiO濃度が懸濁液中に30〜150g/Lとなる濃度であることが好ましい。上記範囲内とすることによって、反応(処理)を効率よく進行させることができる。
上記工程(1)において使用するアルカリ金属の水酸化物及びアルカリ土類金属の水酸化物からなる群から選択される少なくとも1種の塩基性化合物としては特に限定されず、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等を挙げることができる。上記工程(1)における上記塩基性化合物の添加量は、反応(処理)懸濁液中の塩基性化合物濃度で30〜300g/Lであることが好ましい。
上記工程(1)は、60〜120℃の反応(処理)温度で行うことが好ましい。反応(処理)時間は、反応(処理)温度によって異なるが、2〜10時間であることが好ましい。反応(処理)は、二酸化チタン水和物の懸濁液に、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムの水溶液を添加することによって行うことが好ましい。反応(処理)後、反応(処理)混合物を冷却し、必要に応じて塩酸等の無機酸で中和した後、濾過、水洗することによって微粒子二酸化チタン水和物を得ることができる。
また、第2の工程(工程(2))として、工程(1)によって得られた化合物をカルボン酸基含有化合物及び無機酸で処理してもよい。ルチル型微粒子二酸化チタンの製造において上記工程(1)によって得られた化合物を無機酸で処理する方法は公知の方法であるが、無機酸に加えてカルボン酸基含有化合物を使用して、粒子径を調整することができる。
上記カルボン酸基含有化合物は、−COOH基を有する有機化合物である。上記カルボン酸基含有化合物としては、2以上、より好ましくは2以上4以下のカルボン酸基を有するポリカルボン酸であることが好ましい。上記ポリカルボン酸は、金属原子への配位能を有することから、配位によって微粒子間の凝集を抑制し、これによって好適にルチル型微粒子二酸化チタンを得ることができるものと推測される。
上記カルボン酸基含有化合物としては特に限定されず、例えば、蓚酸、マロン酸、琥珀酸、グルタル酸、アジピン酸、プロピルマロン酸、マレイン酸等のジカルボン酸;リンゴ酸、酒石酸、クエン酸等のヒドロキシ多価カルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、ヘミメリト酸、トリメリト酸等の芳香族ポリカルボン酸;エチレンジアミン四酢酸等を挙げることができる。これらのなかから、2種以上の化合物を同時に併用するものであってもよい。
なお、上記カルボン酸基含有化合物の全部又は一部は、−COOH基を有する有機化合物の中和物(例えば、−COONa基等を有する有機化合物)であってもよい。
上記無機酸としては特に限定されず、例えば、塩酸、硫酸、硝酸等を挙げることができる。上記無機酸は、反応(処理)用液中の濃度が0.5〜2.5モル/L、より好ましくは0.8〜1.4モル/Lになるように加えるとよい。
上記工程(2)は、上記工程(1)によって得られた化合物を純水中に懸濁させ、攪拌下、必要に応じて加熱して行うことが好ましい。カルボン酸基含有化合物及び無機酸の添加は同時であっても順次添加するものであってもよいが、順次添加することが好ましい。
添加は、カルボン酸基含有化合物添加後に無機酸を添加するものであっても、無機酸添加後にカルボン酸基含有化合物を添加するものであってもよい。
例えば、上記工程(1)によって得られた化合物の懸濁液中にカルボキシル基含有化合物を添加し、加熱を開始し、液温が60℃以上、好ましくは90℃以上になったところで無機酸を添加し、液温を維持しつつ、好ましくは15分〜5時間、より好ましくは2〜3時間攪拌する方法(方法1);上記工程(1)によって得られた化合物の懸濁液中を加熱し、液温が60℃以上、好ましくは90℃以上になったところで無機酸を添加し、無機酸添加から10〜15分後にカルボン酸基含有化合物を添加し、液温を維持しつつ、好ましくは15分〜5時間、より好ましくは2〜3時間攪拌する方法(方法2)等を挙げることができる。これらの方法によって行うことにより、好適な微粒子状のルチル型二酸化チタンを得ることができる。
上記工程(2)を上記方法1によって行う場合、上記カルボン酸基含有化合物は、TiO100モル%に対し0.25〜1.5モル%使用するものであることが好ましく、0.4〜0.8モル%の割合で使用することがより好ましい。カルボン酸基含有化合物の添加量が0.25モル%より少ない場合は粒子成長が進んでしまい目的とする粒子サイズの粒子が得られないおそれがあり、カルボン酸基含有化合物の添加量が1.5モル%より多い場合は粒子のルチル化が進まずアナタースの粒子ができてしまうおそれがある。
上記工程(2)を上記方法2によって行う場合、上記カルボン酸基含有化合物は、TiO100モル%に対し1.6〜4.0モル%使用するものであることが好ましく、2.0〜2.4モル%の割合で使用することがより好ましい。
カルボン酸基含有化合物の添加量が1.6モル%より少ない場合は粒子成長が進んでしまい目的とする粒子サイズの粒子が得られないおそれがあり、カルボン酸基含有化合物の添加量が4.0モル%より多い場合は粒子のルチル化が進まずアナタースの粒子ができてしまうおそれがあり、カルボン酸基含有化合物の添加量が4.0モル%を超えても効果は良好なものとならず、経済的に不利である。また、上記カルボン酸基含有化合物の添加を無機酸添加から10分未満で行うと、ルチル化が進まず、アナタース型の粒子ができてしまうおそれがあり、無機酸添加から15分を超えて行うと、粒子成長が進みすぎ、目的とする粒子サイズの粒子が得られない場合がある。
上記工程(2)においては、反応(処理)終了後冷却し、さらにpH5.0〜pH10.0になるように中和することが好ましい。上記中和は、水酸化ナトリウム水溶液やアンモニア水等のアルカリ性化合物によって行うことができる。中和後に濾過、水洗することによって目的のルチル型微粒子二酸化チタンを分離することができる。
また、その他の二酸化チタン微粒子の製造方法として、「酸化チタン−物性と応用技術」(清野学 pp255〜258(2000年)技報堂出版株式会社)等に記載の公知の方法を用いることができる。
さらに、酸化チタン粒子を含めた金属酸化物粒子のその他の製造方法としては、特開2000−053421号公報(分散安定化剤としてアルキルシリケートを配合してなり、該アルキルシリケート中のケイ素をSiOに換算した量と酸化チタン中のチタンをTiOに換算した量との重量比(SiO/TiO)が0.7〜10である酸化チタンゾル)、特開2000−063119号公報(TiO−ZrO−SnOの複合体コロイド粒子を核としてその表面を、WO−SnO−SiOの複合酸化物コロイド粒子で被覆したゾル)等に記載された事項を参照することができる。
さらに、酸化チタン粒子を含ケイ素の水和酸化物で被覆してもよい。含ケイ素の水和化合物の被覆量は、3〜30質量%、好ましくは3〜10質量%、より好ましくは3〜8質量%である。被覆量が30質量%以下であると、高屈折率膜の所望の屈折率化が得られ、被覆量が3%以上であると粒子を安定に形成することができるからである。
酸化チタン粒子を含ケイ素の水和酸化物で被覆する方法としては、従来公知の方法により製造することができ、例えば、特開平10−158015号公報(ルチル型酸化チタンへのSi/Al水和酸化物処理;チタン酸ケーキのアルカリ領域での解膠後酸化チタンの表面にケイ素及び/又はアルミニウムの含水酸化物を析出させて表面処理する酸化チタンゾルの製造方法)、特開2000−204301号公報(ルチル型酸化チタンにSiとZrおよび/またはAlの酸化物との複合酸化物を被覆したゾル。水熱処理。)、特開2007−246351号公報(含水酸化チタンを解膠して得られる酸化チタンのヒドロゾルへ、安定剤として式R SiX4−n(式中RはC−Cアルキル基、グリシジルオキシ置換C−Cアルキル基またはC−Cアルケニル基、Xはアルコキシ基、nは1または2である。)のオルガノアルコキシシランまたは酸化チタンに対して錯化作用を有する化合物を添加、アルカリ領域でケイ酸ナトリウムまたはシリカゾルの溶液へ添加・pH調整・熟成することにより、ケイ素の含水酸化物で被覆された酸化チタンヒドロゾルを製造する方法)等に記載された事項を参照にすることができる。また、含水酸化チタンなどの酸化チタンを一塩基酸またはその塩で解膠処理して得られる酸性域のpHで安定した酸化チタンゾルと、分散安定化剤としてのアルキルシリケートを常法により混合し、中性化する方法(特開2000−053421号);過酸化水素および金属スズを、2〜3のH/Snモル比に保持しつつ同時にまたは交互にチタン塩(例えば、四塩化チタン)等の混合物水溶液に添加し、チタンを含む塩基性塩水溶液を生成し、該塩基性塩水溶液を0.1〜100時間かけて50〜100℃の温度で保持して酸化チタンを含む複合体コロイドの凝集体を生成させ、次いで、該凝集体スラリー中の電解質を除去し、酸化チタンを含む複合体コロイド粒子の安定な水性ゾルを製造する;ケイ酸塩(例えば、ケイ酸ナトリウム水溶液)等を含有する水溶液を調製し、水溶液中に存在する陽イオンを除去することで、二酸化ケイ素を含む複合体コロイド粒子の安定な水性ゾルが製造する;得られた酸化チタンを含む複合体水性ゾルを金属酸化物TiOに換算して100重量部と、得られた二酸化ケイ素を含む複合体水性ゾルを金属酸化物SiOに換算して2〜100重量部とを混合し、陰イオンを除去後、80℃で1時間加熱熟成する方法(特開2000−063119号);含水チタン酸のゲルまたはゾルに過酸化水素を加えて含水チタン酸を溶解し、得られたペルオキソチタン酸水溶液に、ケイ素化合物等を添加し加熱し、ルチル型構造をとる複合固溶体酸化物からなるコア粒子の分散液が得られ、次いで、該コア粒子の分散液にケイ素化合物等を添加した後、加熱しコア粒子表面に被覆層を形成し、複合酸化物粒子が分散されたゾルを得て、さらに、加熱する方法が挙げられる。
酸化チタン粒子の体積平均粒径は、30nm以下であることが好ましく、1〜30nmであることがより好ましく、5〜15nmであるのがさらに好ましい。体積平均粒径が30nm以下であれば、ヘイズが少なく可視光透過性に優れる観点で好ましい。
ここでいう体積平均粒径とは、媒体中に分散された一次粒子または二次粒子の体積平均粒径であり、レーザー回折/散乱法、動的光散乱法等により測定できる。
具体的には、粒子そのものあるいは屈折率膜の断面や表面に現れた粒子を電子顕微鏡で観察し、1,000個の任意の粒子の粒径を測定し、それぞれd1、d2・・・di・・・dkの粒径を持つ粒子がそれぞれn1、n2・・・ni・・・nk個存在する金属酸化物粒子の集団において、粒子1個当りの体積をviとした場合に、体積平均粒径mv={Σ(vi・di)}/{Σ(vi)}で表される体積で重み付けされた平均粒径を算出する。
また、本発明においては、コロイダルシリカ複合エマルジョンも低屈折率膜において、金属酸化物として用いることができる。本発明に好ましく用いられるコロイダルシリカ複合エマルジョンは、粒子の中心部が重合体或いは共重合体等を主成分としてなり、特開昭59−71316号公報、特開昭60−127371号公報に記載されているコロイダルシリカの存在下でエチレン性不飽和結合を有するモノマーを従来公知の乳化重合法で重合して得られる。該複合体エマルジョンに適用されるコロイダルシリカの粒子径としては40nm未満のものが好ましい。
この複合エマルジョンの調製に用いられるコロイダルシリカとしては、通常2〜100nmの一次粒子のものが挙げられる。エチレン性モノマーとしては、例えば炭素数が1〜18個のアルキル基、アリール基、或いはアリル基を有する(メタ)アクリル酸エステル、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、アクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、エチレン、ブタジエン等のラテックス業界で公知の材料が挙げられ、必要に応じて更にコロイダルシリカとの相溶性をより良くするためにビニルトリメトオキシシラン、ビニルトリエトオキシシラン、γ−メタクリロオキシプロピルトリメトオキシシラン等の如きビニルシランが、また、エマルジョンの分散安定に(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、クロトン酸等のアニオン性モノマーが助剤的に使われる。なお、エチレン性モノマーは必要に応じて2種類以上を併用することができる。
また、乳化重合におけるエチレン性モノマー/コロイダルシリカの比率は固形分比率で100/1〜200であることが好ましい。
本発明に使用されるコロイダルシリカ複合体エマルジョンの中でより好ましいものとしては、ガラス転移点が−30〜30℃の範囲のものが挙げられる。
また、組成的に好ましいものとしては、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等のエチレン性モノマーが挙げられ、特に好ましいものとしては(メタ)アクリル酸エステルとスチレンの共重合体、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと(メタ)アクリル酸アラルキルエステルの共重合体、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと(メタ)アクリル酸アリールエステル共重合体が挙げられる。
乳化重合で使われる乳化剤としては、例えばアルキルアリルポリエーテルスルホン酸ソーダ塩、ラウリルスルホン酸ソーダ塩、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ塩、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硝酸ソーダ塩、アルキルアリルスルホサクシネートソーダ塩、スルホプロピルマレイン酸モノアルキルエステルソーダ塩等が挙げられる。
(その他添加剤)
誘電多層膜を形成する各屈折率膜には、必要に応じて各種の添加剤を含有させることが出来る。
具体的には、アニオン、カチオンまたはノニオンの各種界面活性剤;ポリカルボン酸アンモニウム塩、アリルエーテルコポリマー、ベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、グラフト化合物系分散剤、ポリエチレングリコール型ノニオン系分散剤などの分散剤;酢酸塩、プロピオン酸塩、またはクエン酸塩等の有機酸塩;一塩基性有機酸エステル、多塩基性有機酸エステル等の有機エステル可塑剤、有機リン酸可塑剤、有機亜リン酸可塑剤等のリン酸可塑剤等の可塑剤;特開昭57−74193号公報、同57−87988号公報及び同62−261476号公報に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192号公報、同57−87989号公報、同60−72785号公報、同61−146591号公報、特開平1−95091号公報および同3−13376号公報等に記載されている退色防止剤;特開昭59−42993号公報、同59−52689号公報、同62−280069号公報、同61−242871号公報および特開平4−219266号公報等に記載されている蛍光増白剤;硫酸、リン酸、酢酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のpH調整剤;消泡剤;ジエチレングリコール等の潤滑剤;防腐剤;帯電防止剤;マット剤等の公知の各種添加剤を含有していてもよい。
(フィルム支持体(基材))
本発明では必要によりフィルム支持体に上記誘電多層膜を積層させることができる。本発明に用いられるフィルム支持体としては、種々の樹脂フィルムを用いることができ、ポリオレフィンフィルム(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリ塩化ビニル、3酢酸セルロース等を用いることができ、好ましくはポリエステルフィルムである。ポリエステルフィルム(以降ポリエステルと称す)としては、特に限定されるものではないが、ジカルボン酸成分とジオール成分を主要な構成成分とするフィルム形成性を有するポリエステルであることが好ましい。主要な構成成分のジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルエタンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルチオエーテルジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸などを挙げることができる。また、ジオール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビスフェノールフルオレンジヒドロキシエチルエーテル、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ハイドロキノン、シクロヘキサンジオールなどを挙げることができる。これらを主要な構成成分とするポリエステルの中でも透明性、機械的強度、寸法安定性などの点から、ジカルボン酸成分として、テレフタル酸や2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジオール成分として、エチレングリコールや1,4−シクロヘキサンジメタノールを主要な構成成分とするポリエステルが好ましい。中でも、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートを主要な構成成分とするポリエステルや、テレフタル酸と2,6−ナフタレンジカルボン酸とエチレングリコールからなる共重合ポリエステル、およびこれらのポリエステルの二種以上の混合物を主要な構成成分とするポリエステルが好ましい。
本発明に用いられるフィルム支持体の厚みは、10〜300μm、特に20〜150μmであることが好ましい。また、本発明のフィルム支持体は、2枚重ねたものであっても良く、この場合、その種類が同じでも異なってもよい。
(その他の機能性層)
本発明に係るフィルターにおいては、必要に応じて、さらなる機能の付加を目的として、機能性層を設けることが好ましい。また、機能性を設けることで屈曲時の耐久性が向上するという利点もある。機能性層としては、特に限定されるものではないが、導電性層、帯電防止層、ガスバリア層、易接着層(接着層)、防汚層、消臭層、流滴層、易滑層、ハードコート層、耐摩耗性層、反射防止層、電磁波シールド層、紫外線吸収層、赤外線吸収層、印刷層、蛍光発光層、ホログラム層、剥離層、粘着層、接着層、合わせガラスに利用される中間膜層、断熱層、熱線反射層、放熱層などが挙げられる。
紫外線吸収層に用いられる紫外線吸収剤としては、例えば、特開昭57−74193号公報、同57−87988号公報及び同62−261476号公報に記載の紫外線吸収剤を用いることができる。
機能性層の厚みは0.1μm〜50μmが好ましく、1〜20μmがより好ましい。
<ハードコート層>
本発明のフィルターは、耐擦過性を高めるための表面保護層として、ハードコート層を含むことが好ましい。具体的には、基材の誘電多層膜を有する側とは逆側の最上層に、熱や紫外線などで硬化する樹脂を含むハードコート層を積層することが好ましい。
ハードコート層で使用される硬化樹脂としては、熱硬化型樹脂や紫外線硬化型樹脂が挙げられるが、成形が容易なことから、紫外線硬化型樹脂が好ましく、その中でも鉛筆硬度が少なくとも2Hのものがより好ましい。かような硬化樹脂は、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。
このような紫外線硬化型樹脂としては、例えば、多価アルコールを有するアクリル酸またはメタクリル酸エステルのような多官能性のアクリレート樹脂、ならびにジイソシアネートおよび多価アルコールを有するアクリル酸やメタクリル酸から合成されるような多官能性のウレタンアクリレート樹脂などを挙げることができる。さらにアクリレート系の官能基を有するポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂またはポリチオールポリエン樹脂等も好適に使用することができる。
また、これらの樹脂の反応性希釈剤として、比較的低粘度である1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メ夕)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等の2官能以上のモノマーやオリゴマー、ならびに、N−ビニルピロリドン、エチルアクリレート、プロピルアクリレート等のアクリル酸エステル類、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、イソオクチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ノニルフェニルメタクリレート等のメタクリル酸エステル類、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、およびそのカプロラクトン変成物などの誘導体、スチレン、α−メチルスチレンまたはアクリル酸等の単官能モノマー等を用いることができる。これら反応性希釈剤は、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。
さらにまた、これらの樹脂の光増感剤(ラジカル重合開始剤)として、ペンゾイン、べンゾインメチルエーテル、べンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、べンジルメチルケタールなどのべンゾインとそのアルキルエーテル類;アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどのアセトフェノン類;メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−アミルアントラキノンなどのアントラキノン類;チオキサントン、2,4―ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタールなどのケタール類;ベンゾフェノン、4,4−ビスメチルアミノべンゾフェノンなどのベンゾフェノン類およびアゾ化合物等を用いることができる。これらは単独でもまたは2種以上組み合わせても使用することができる。加えて、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミンなどの第3級アミン;2−ジメチルアミノエチル安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸エチルなどの安息香酸誘導体等の光開始助剤などと組み合わせて使用することができる。これらラジカル重合開始剤の使用量は、樹脂の重合性成分100質量部に対して0.5〜20質量部、好ましくは1〜15質量部である。
なお、上述の硬化樹脂には、必要に応じて公知の一般的な塗料添加剤を配合してもよい。例えば、レベリングや表面スリップ性等を付与するシリコーン系やフッ素系の塗料添加剤は、硬化膜表面の傷つき防止性に効果があることに加え、活性エネルギー線として紫外線を利用する場合に、該塗料添加剤が空気界面へブリードすることによって、酸素による樹脂の硬化阻害を低下させることができ、低照射強度条件下においても有効な硬化度合を得ることができる。
また、ハードコート層は無機微粒子を含有することが好ましい。好ましい無機微粒子としては、チタン、シリカ、ジルコニウム、アルミニウム、マグネシウム、アンチモン、亜鉛または錫などの金属を含む無機化合物の微粒子が挙げられる。この無機微粒子の平均粒径は、可視光線の透過性を確保することから、1000nm以下が好ましく、10〜500nmの範囲にあるものがより好ましい。また、無機微粒子は、ハードコート層を形成する硬化樹脂との結合カが高いほうがハードコート層からの脱落を抑制できることから、単官能または多官能のアクリレートなどの光重合反応性を有する感光性基を表面に導入しているものが好ましい。
ハードコート層の厚みは0.1μm〜50μmが好ましく、1〜20μmがより好ましい。0.1μm以上であればハードコート性が向上する傾向にあり、逆に50μm以下であれば透明性が向上する傾向にある。
ハードコート層の形成方法は特に制限されず、例えば、上記各成分を含むハードコート層用塗布液を調製した後、塗布液をワイヤーバー等により塗布し、熱および/またはUVで塗布液を硬化させ、ハードコート層を形成する方法などが挙げられる。
(用途)
本発明のフィルターは、種々の用途に用いることができる。例えば、装飾を目的とした着色カラーフィルム、光源色の色を変調させるカラーフィルター、可視光や赤外光の反射ミラー、白色LEDや蛍光灯や有機EL照明用のカラーフィルター等が挙げられるが、特に植物成長促進の為に光源の光を変調させる農業用に用いることが好ましい。上述したように、光合成促進には640nm〜690nmの赤色光、葉の正常な形成促進には420nm〜470nmの青色光といった、バンドエッジが立った狭帯域の光が最適とされている。従来のLED材料の場合、材料依存的に透過波長領域が決定されるため、所望の波長を透過するようには設計できないが、本発明のフィルターにおいては、目的の設定波長にあわせてフィルターを形成させることが可能であるため、特に植物成長促進用途で用いることができる。したがって、400nm〜500nmの青色光領域または、630〜700nmの赤色光領域に、最大透過率を示す狭帯域バンドパスフィルターが好適である。
また、本発明の狭帯域バンドパスフィルターを、ビニールハウス等に取り付けることによって、植物の成長が促進される。すなわち、本発明は、上記狭帯域バンドパスフィルターを用いて、植物の成長を促進させる植物の成長促進方法をも包含する。植物種、成長を促進させたい植物部位によって、目的波長は適宜設定される。
(フィルターの製造方法)
本発明の狭帯域バンドパスフィルターの製造方法について特に制限はなく、いずれの誘電多層膜の製造方法も用いることができる。
好適な形態としては、(1)基材上に高屈折率膜と低屈折率膜とを交互に塗布、乾燥して積層体を形成する方法、(2)押し出しにより積層体を形成後、該積層体を延伸してフィルムを形成する方法が挙げられる。
上記(1)の方法は、具体的には以下の形態が挙げられる;(1)基材上に、高屈折率膜塗布液を塗布し乾燥して高屈折率膜を形成した後、低屈折率膜塗布液を塗布し乾燥して低屈折率膜を形成し、フィルムを形成する方法;(2)基材上に、低屈折率膜塗布液を塗布し乾燥して低屈折率膜を形成した後、高屈折率膜塗布液を塗布し乾燥して高屈折率膜を形成し、フィルムを形成する方法;(3)基材上に、高屈折率膜塗布液と、低屈折率膜塗布液とを交互に逐次重層塗布・乾燥して、高屈折率膜、および低屈折率膜を含むフィルムを形成する方法;(4)基材上に、高屈折率膜塗布液と、低屈折率膜塗布液とを同時重層塗布し、乾燥して、高屈折率膜、および低屈折率膜を含むフィルムを形成する方法;などが挙げられる。中でも、生産効率性の観点から(4)の同時重層塗布であることが好ましい。本発明に係る屈折率膜においては、各層塗布液を調製して同時重層により積層を行うためのバインダーとしては、ポリビニルアルコール等の合成高分子、ゼラチン、増粘多糖類等の水溶性高分子を好適に用いることができる。
〔重層塗布の製造方法〕
特に水溶性高分子を有機ポリマーとして含有する場合に好適である。高屈折率膜、および低屈折率膜を含む複数の構成層を、公知の塗布方式から適宜選択して、支持体上に水系で同時重層塗布した後、セット、乾燥して製造することができる。塗布方式としては、例えば、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティング法、スプレーコーティング法、カーテン塗布方法、あるいは米国特許第2,761,419号、同第2,761,791号公報に記載のホッパーを使用するスライドビード塗布方法、エクストルージョンコート法等が好ましく用いられる。
屈折率膜が水溶性高分子および金属酸化物粒子を含有する場合、重層塗布により積層体を形成するため、各膜塗布液において水溶性高分子と金属酸化物粒子の質量比(F/B)が0.3〜10の範囲であることが好ましく、より好ましくは0.5〜5である。
また、同時重層塗布からゾルゲル転移してセットするまでの時間を5分以内、好ましくは2分以内にすることが好ましい。また、45秒以上の時間をとることが好ましい。
セット時間の調整は金属酸化物粒子の濃度や他の成分等により粘度を調整する、またバインダー質量比率を調整したり、ゼラチン、ペクチン、寒天、カラギーナン、ジェランガム等の各種公知のゲル化剤を添加、調整等により行うことができる。
ここでセットとは、例えば、冷風等を塗膜に当てて温度を下げるなどの手段により、塗膜組成物の粘度を高め、各層間及び各層内の物質流動性を低下させたり、またゲル化する工程のことを意味するが、具体的には、塗布からセットまでの時間は、5〜10℃の冷風を塗布膜に表面から当てて、表面に指を押し付けたときに指に何もつかなくなった時間を言うものとする。
冷風を用いる場合の温度条件としては、25℃以下が好ましく、10℃以下であることがさらに好ましい。また、塗布膜が冷風に晒される時間は、塗布搬送速度にもよるが、10秒以上120秒以下であることが好ましい。
同時重層塗布を行う際の各塗布液を調製するための溶媒は、特に制限されないが、水、有機溶媒、またはその混合溶媒が好ましい。本発明においては、樹脂バインダーとしてポリビニルアルコールを主に用いるために、水系溶媒を用いることができる。水系溶媒は、有機溶媒を用いる場合と比較して、大規模な生産設備を必要とすることがないため、生産性の点で好ましく、また環境保全の点でも好ましい。
前記有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−ブタノールなどのアルコール類、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどのエステル類、ジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルなどのエーテル類、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド類、アセトン、メチルエチルケトン、アセチルアセトン、シクロヘキサノンなどのケトン類などが挙げられる。これら有機溶媒は、単独でもまたは2種以上混合して用いてもよい。環境面、操作の簡便性などから、塗布液の溶媒としては、特に水、または水とメタノール、エタノール、もしくは酢酸エチルとの混合溶媒が好ましく、水がより好ましい。
同時重層塗布を行う際の各塗布液の粘度としては、スライドビード塗布方式を用いる場合には、25〜60℃の温度範囲で5〜100mPa・sの範囲が好ましく、さらに好ましくは10〜50mPa・sの範囲である。また、カーテン塗布方式を用いる場合には、5〜1200mPa・sの範囲が好ましく、さらに好ましくは25〜500mPa・sの範囲である。
また、塗布液の15℃における粘度としては、100mPa・s以上が好ましく、100〜30,000mPa・sがより好ましく、さらに好ましくは3,000〜30,000mPa・sであり、最も好ましいのは10,000〜30,000mPa・sである。
塗布および乾燥方法としては、塗布液を30℃以上に加温して、塗布を行った後、形成した塗膜の温度を1〜15℃に一旦冷却し、10℃以上で乾燥することが好ましく、より好ましくは、乾燥条件として、湿球温度5〜50℃、膜面温度10〜50℃の範囲の条件で行うことである。また、塗布直後の冷却方式としては、形成された塗膜均一性の観点から、水平セット方式で行うことが好ましい。
上記(2)における押出し工程は、米国特許第6049419号に記載の方法を用いることができる。すなわち、高屈折率膜材料のポリマーおよびその他の添加剤(高屈折率膜形成用組成物)ならびに低屈折膜材料のポリマーおよびその他の添加剤(低屈折率膜形成用組成物)を同時押出し法を用いて高屈折率膜および低屈折率膜を形成することができる。
一実施形態として、各屈折率膜材料を85〜300℃で押出しに適当な粘度になるように溶融させ、必要に応じて各種添加剤を添加し、両方のポリマーを交互に二層になるように押出し機によって押し出すことができる。次に、押し出された積層膜を、冷却ドラム等により冷却固化し、積層体を得る。
その後、この積層体を加熱してから二方向に延伸し、狭帯域バンドフィルターを得ることができる。
延伸方法としては、前述の冷却ドラムから剥離され、得られた未延伸フィルムを複数のロール群および/または赤外線ヒーター等の加熱装置を介してガラス転移温度(Tg)−50℃からTg+100℃の範囲内に加熱し、フィルム搬送方向(長手方向ともいう)に、一段または多段縦延伸することが好ましい。次に、上記のようにして得られた延伸されたフィルムを、フィルム搬送方向に直交する方向(幅手方向ともいう)に延伸することも好ましい。フィルムを幅手方向に延伸するには、テンター装置を用いることが好ましい。
フィルム搬送方向またはフィルム搬送方向に直交する方向に延伸する場合は、フィルムの複屈折性制御の点から、1.1〜4倍の倍率で延伸することが好ましく、より好ましくは1.5〜2.5倍の範囲である。
また、延伸に引き続き熱加工することもできる。熱加工は、Tg−100℃〜Tg+50℃の範囲内で通常0.5〜300秒間搬送しながら行うことが好ましい。
熱加工手段は特に制限なく、一般的に熱風、赤外線、加熱ロール、マイクロ波等で行うことができるが、簡便さの点で、熱風で行うことが好ましい。フィルムの加熱は段階的に高くしていくことが好ましい。
熱加工されたフィルムは通常Tg以下まで冷却され、フィルム両端のクリップ把持部分をカットし巻き取られる。また冷却は、最終熱加工温度からTgまでを、毎秒100℃以下の冷却速度で徐冷することが好ましい。
冷却する手段は特に限定はなく、従来公知の手段で行えるが、特に複数の温度領域で順次冷却しながらこれらの処理を行うことがフィルムの寸法安定性向上の点で好ましい。尚、冷却速度は、最終熱加工温度をT1、フィルムが最終熱加工温度からTgに達するまでの時間をtとしたとき、(T1−Tg)/tで求めた値である。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが本発明はこれにより限定されるものではない。
実施例1
(試料1:比較例1)
50μm厚みのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(A4300:両面易接着層、東洋紡株式会社製、以下PETフィルムと略す)上に、公知のスパッタ法を用いて銀、MgFをPET/銀(40nm)/(MgF(143.5nm))/銀(40nm)の順に積層した、MDM型の狭帯域バンドパスフィルター(Δλ/λ0×100=11%、最大透過率波長λ=550nmを作製した。銀の屈折率は0.135であり、MgFの屈折率は1.38であることから、比較例1の狭帯域バンドパスフィルターにおける各屈折率層の光学膜厚は、(λ/4−96%)〜(λ/4+44%)の範囲であった。λ/4−96%は、λ/4−λ/4×96/100を意味する。以下、同様である。
なお、以下実施例および比較例において、層構成の材料に次いで記載した括弧内の数値は各屈折率膜の物理膜厚の値である。
(試料2:比較例2)
PETフィルム上に、公知のスパッタ法を用いて、銀、TiO、SiO、MgFを、PET/TiO(76nm)/(SiO(100nm)/TiO(64nm))/MgF(164nm)/銀(70nm)/MgF(192nm)/(TiO(56nm)/SiO(86nm))/TiO(78nm)/SiO(130nm)の順に積層した、DMD型の狭帯域バンドパスフィルター(Δλ/λ0×100=4%、最大透過率波長λ=550nm)を作製した。TiOの屈折率は2.6であり、SiOの屈折率は1.5であることから、比較例2の狭帯域バンドパスフィルターにおける各屈折率層の光学膜厚は、(λ/4−93%)〜(λ/4+93%)の範囲であった。
(試料3:比較例3)
PETフィルム上に、公知のスパッタ法を用いて、Ta,SiOを、PET/(Ta(70nm)/SiO(106nm))/Ta(70nm)/SiO(212nm)/Ta(70nm)/(SiO(106nm)/Ta(70nm))/SiO(212nm)の順に積層した、誘電多層膜が無機物からなる誘電体型の狭帯域バンドパスフィルター(Δλ/λ0×100=1.3%、最大透過率波長λ=643nm)を作製した。Taの屈折率は2.3であることから、比較例3の狭帯域バンドパスフィルターにおける各屈折率層の光学膜厚は、(λ/4−1%)〜λ/4の範囲であった。
(試料4:実施例1)
米国特許第6049419号に記載の溶融押し出し方法に従い、ポリエチレンナフタレート(PEN)とポリメチルメタクリレート(PMMA)を、(PMMA(116nm)/PEN(102nm))50/(PMMA(100nm)/PEN(88nm))25/PMMA(183nm=91.5nm×2)/(PEN(80nm)/PMMA(91nm)25/PEN(80nm)/(PMMA(83m)/PEN(73nm)50の順に積層した後、縦2倍、横2倍に延伸し、25μmのPETフィルムと張り合わせ、誘電多層膜が有機物を含む誘電体型の狭帯域バンドパスフィルター(図2、Δλ/λ0×100=1.6%、最大透過率波長λ=574nm)を作製した。実施例1の狭帯域バンドパスフィルターの構成は、(L50[(L25/2L/(H25/H](L50である([]内層構成2、m=n=25、s=2)。ここで、Lは低屈折率膜を、Hは高屈折率膜を示す(X,Yは整数)。以下、実施例において同様である。PMMAの屈折率は1.7、PENの屈折率は1.5であることから、実施例1の狭帯域バンドパスフィルターにおける各屈折率層の光学膜厚は、(λ/4−24%)〜(λ/4+37%)の範囲であった。
(試料5:実施例2)
試料4と同様にし、(PMMA(117nm)/PEN(103nm))25/(PMMA(108nm)/PEN(96nm))25/(PMMA(100nm)/PEN(88nm))25/(PMMA(92nm)/PEN(81nm))25/(PMMA(83nm)/PEN(74nm))24/PMMA(83nm)/PEN(150nm)/(PMMA(75nm)/PEN(66nm))25の順に積層し、25μmのPETフィルムと張り合わせ、誘電多層膜が有機物を含む誘電体型の狭帯域バンドパスフィルター(図3、Δλ/λ0×100=4.2%、最大透過率波長λ=475nm)を作製した。実施例2の狭帯域バンドパスフィルターの構成は、(L25/(L25/(L25/(L25[(L24/L/2H/L/(H24/Hである]([]内層構成2、m=n=24、s=2)。実施例2の狭帯域バンドパスフィルターにおける各屈折率層の光学膜厚は、(λ/4−67%)〜(λ/4+43%)の範囲であった。
(試料6:実施例3)
試料4と同様にし、(PMMA(117nm)/PEN(103nm))25/PMMA(217nm)/PEN(96nm)/(PMMA(108nm)/PEN(96nm))24/(PMMA(100nm)/PEN(88nm))25/PMMA(183nm)/PEN(81nm)/(PMMA(92nm)/PEN(81nm))24/(PMMA(83nm)/PEN(74nm))25/(PMMA(75nm)/PEN(66nm))25の順に積層し、25μmのPETフィルムと張り合わせ、誘電多層膜が有機物を含む誘電体型の狭帯域バンドパスフィルター(図4、(1)Δλ/λ0×100=1.8%、1つ目の最大透過率波長λ=574nm、(2)Δλ/λ0×100=2.3%、2つ目の最大透過率波長λ=673nm)を作製した。実施例3の狭帯域バンドパスフィルターの構成は、[(L25/2L/(H24/H][(L25/2L/(H24/H](L25/(L25である([]内層構成2、m=25、n=24、s=2)。実施例3の狭帯域バンドパスフィルターにおける各屈折率層の光学膜厚は、λ=574nmに対しては、(λ/4−31%)〜(λ/4+39%)の範囲であり、λ=673nmに対しては、(λ/4−41%)〜(λ/4+18%)の範囲であった。
(試料7:実施例4)
試料6のPMMAをポリエチレンテレフタレート(固有粘度0.65、融点255℃、東レ社製F20S)、PENをポリエチレンテレフタレート共重合体(固有粘度0.72、シクロヘキサンジカルボン酸成分29mol%、スピログリコール成分20mol%の共重合)とPBT(トレコン1401−X06、東レ社製)(ポリエチレンテレフタレート共重合体:PBT=1:0.2(質量比))に変更した以外は試料6と同様にして、誘電多層膜が有機ポリマーを含む誘電体型の狭帯域バンドパスフィルター((1)Δλ/λ0×100=1.8%、1つ目の最大透過率波長λ=574nm、(2)Δλ/λ0×100=2.3%、2つ目の最大透過率波長λ=673nm)を作製した。ポリエチレンテレフタレートの屈折率は1.7、ポリエチレンテレフタレート共重合体+PBTの屈折率は1.5であることから、実施例4の狭帯域バンドパスフィルターにおける各屈折率層の光学膜厚は、λ=574nmに対しては、(λ/4−31%)〜(λ/4+39%)の範囲であり、λ=673nmに対しては、(λ/4−41%)〜(λ/4+18%)の範囲であった。
(試料8:実施例5)
試料6のPMMAをF系ポリマーであるビニリデンフロライド(DYNEON THVP 2030GX,DYNEON,LLC製)に変更した以外は試料6と同様にして、誘電多層膜が有機ポリマーを含む誘電体型の狭帯域バンドパスフィルター((1)Δλ/λ0×100=1.8%、1つ目の最大透過率波長λ=574nm、(2)Δλ/λ0×100=2.3%、2つ目の最大透過率波長λ=673nm)を作製した。ビニリデンフロライドの屈折率は1.7であることから、実施例5の狭帯域バンドパスフィルターにおける各屈折率層の光学膜厚は、λ=574nmに対しては、(λ/4−31%)〜(λ/4+39%)の範囲であり、λ=673nmに対しては、(λ/4−41%)〜(λ/4+18%)の範囲であった。
(試料9:実施例6)
(低屈折率膜用塗布液の調製)
純水500質量部に、撹拌しながら水溶性樹脂PVA224(株式会社クラレ製、ケン化度88%、重合度1000)10.0質量部を添加し、さらに水溶性樹脂R1130(クラレ株式会社製、シラノール変性ポリビニルアルコール)5.0質量部、次いで水溶性樹脂ニチゴーGポリマーAZF8035W(日本合成化学工業株式会社製)2.0質量部を添加し、混合しながら70℃に昇温溶解することで、水溶性樹脂の水溶液を得た。
次いで、平均粒径が5nmのシリカ微粒子を含む10質量%酸性シリカゾル(スノーテックス(登録商標)OXS、日産化学工業株式会社製)350質量部中に上記水溶性樹脂水溶液の全量を加え混合した。さらにアニオン系活性剤として、ラピゾールA30(日本油脂株式会社製)を0.3質量部添加し、1時間撹拌後、純水で1000.0gに仕上げることで低屈折率膜用塗布液を調製した。
<酸化チタンゾル水系分散液の調製>
酸化チタン水和物を水に懸濁させた水性懸濁液(TiO濃度 100g/L)10Lに、水酸化ナトリウム水溶液(濃度10モル/L)を30L撹拌下で添加し、90℃に昇温し、5時間熟成した後、塩酸で中和し、濾過・水洗した。なお、上記反応(処理)において、酸化チタン水和物は公知の手法に従い、硫酸チタン水溶液を熱加水分解して得られたものを用いた。
塩基で処理した酸化チタン水和物を、TiO濃度が20g/Lになるよう純水に懸濁させ、撹拌下、クエン酸をTiO量に対し0.4モル%加え昇温した。液温が95℃になったところで、濃塩酸を塩酸濃度30g/Lになるように加え、液温を維持しつつ3時間撹拌した。
得られた酸化チタンゾル液のpHおよびゼータ電位を測定したところ、pHは1.4、ゼータ電位は+40mVであった。さらに、マルバーン社製ゼータサイザーナノにより粒径測定を行ったところ、平均粒径は35nm、単分散度は16%であった。また、酸化チタンゾル液を105℃で3時間乾燥させて粒子紛体を得て、日本電子データム株式会社製、JDX−3530型を用いてX線回折の測定を行い、ルチル型粒子であることを確認した。また、体積平均粒径は10nmであった。
この体積平均粒径が10nmであるルチル型酸化チタン微粒子を含む20.0質量%二酸化チタンゾル水系分散液1kgに、純水1kgを添加し、10.0質量%酸化チタンゾル水系分散液を得た。
<ケイ酸水溶液の調製>
SiO濃度が2.0質量%であるケイ酸水溶液を調製した。
<シリカ変性酸化チタンゾル水系分散液の調製>
上記の10.0質量%酸化チタンゾル水系分散液0.5kgに純水2kgを加えた後、90℃に加熱した。次いで、上記ケイ酸水溶液1.3kgを徐々に添加し、オートクレーブ中、175℃で18時間加熱処理を行った。その後、さらに濃縮することにより、ルチル型構造を有する二酸化チタンであり被覆層がSiOであるシリカ変性二酸化チタンゾルを20.0質量%の濃度で含む、シリカ変性二酸化チタンゾル水系分散液を得た。
(高屈折率膜用塗布液の調製)
上記で得られた20.0質量%のシリカ変性酸化チタン粒子ゾル水系分散液289質量部、1.92質量%のクエン酸水溶液105質量部、10質量%のアリルエーテルコポリマー(AKM−0531、日油株式会社製)水溶液20質量部、および3質量%のホウ酸水溶液90質量部を混合して、シリカ変性酸化チタンゾル分散液を調製した。
次いで、シリカ変性酸化チタンゾル分散液を撹拌しながら、純水20質量部、およびポリビニルアルコール(PVA217、クラレ株式会社製)の5.0質量%水溶液335質量部を添加した。さらに、アニオン性界面活性剤(ラピゾールA30、日油株式会社製)の1質量%水溶液を20質量部添加し、最後に純水で全量を1000質量部とし、高屈折率膜用塗布液を調製した。
(光学フィルムの形成)
塗布装置は、21層同時塗布可能なスライドホッパー塗布装置を用いた。30cm×30cmサイズで50μm厚みのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(A4300:両面易接着層、東洋紡株式会社製)上に、上記で調製した低屈折率膜用塗布液および高屈折率膜用塗布液を、45℃に保温しながら、PET/(高屈折率膜(78nm)/低屈折率膜(119nm))/高屈折率膜(119nm)/低屈折率膜(238nm)/(高屈折率膜(78nm)/低屈折率膜(119nm))/高屈折率膜78nm)/低屈折率膜(238nm)の層構成に成る様に同時重層塗布した。その直後、膜面が15℃以下となる条件で冷風を1分間吹き付けてセットさせた後、80℃の温風を吹き付けて乾燥させて、誘電多層膜が有機ポリマーと金属酸化物とを含む誘電体型の狭帯域バンドパスフィルター(図5、Δλ/λ0×100=3.8%、設定波長λ=666nm)を作製した。実施例6の狭帯域バンドパスフィルターの構成は、[(H/H/2L/H/(L/L]L([]内は、上記層構成3に対応、m=n=5、s=2)である。高屈折率膜の屈折率は1.9、低屈折率膜の屈折率は1.4であることから、実施例6の狭帯域バンドパスフィルターにおける各屈折率層の光学膜厚は、(λ/4−11%)〜(λ/4+36%)の範囲であった。
(試料10:実施例7)
試料9と同様にし、層構成をPET/(低屈折率膜(119nm)/高屈折率膜(78nm)/低屈折率膜(119nm)/高屈折率膜(157nm)/低屈折率膜(119nm)/(高屈折率膜(78nm)/低屈折率膜(119nm))/高屈折率膜(157nm)とする以外は同様にして、誘電多層膜が有機ポリマーと金属酸化物とを含み、高屈折率膜のキャビティーを有する誘電体型の狭帯域バンドパスフィルター(図6、Δλ/λ0×100=5.1%、設定波長λ=625nm透過)を作製した。実施例7の狭帯域バンドパスフィルターの構成は、L[(H/2H/(L)]2H([]内は、上記層構成1に対応、m=n=5、s=2)である。実施例7の狭帯域バンドパスフィルターにおける各屈折率層の光学膜厚は、(λ/4−5%)〜(λ/4+7%)の範囲であった。
(試料11:実施例8)
試料10の誘電多層膜が形成されている面とは反対側のPETフィルム上に、体積比でATO(アンチモンドープ酸化スズ)/PVA224=4/6となる混合物層を乾燥膜厚で8μm塗設して可視光遮蔽層を設けた以外は試料10と同様にして試料11を作製した。
(試料12:実施例9)
試料10の誘電多層膜が形成されている面とは反対側のPETフィルム上に、PVA224、紫外線吸収材であるTINUVIN−P(チバ・ジャパン株式会社製)、TINUVIN326(チバ・ジャパン株式会社製)とを体積比で80/15/5含む乾燥膜厚3μmの機能性膜(紫外線吸収層)を設けて試料12を作製した。
(試料13:実施例10)
メチルエチルケトン溶媒 90質量部にUV硬化型ハードコート材(UV−7600B、日本合成化学工業株式会社製)7.5質量部を添加し、次いで光重合開始剤(イルガキュア(登録商標)184、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)0.5質量部を添加し、撹拌混合した。次いで、ATO粉末(超微粒子ATO、住友金属鉱山株式会社製)2質量部を添加し、ホモジナイザーで高速撹拌することで、ハードコート層用塗布液を作製した。
試料10のPETフィルムの誘電多層膜がある側とは逆側のPETフィルム表面に、上記ハードコート層用塗布液を乾燥膜厚3μmになる様にワイヤーバーにより塗布し、70℃で3分間熱風乾燥した。その後、大気下で、アイグラフィックス社製のUV硬化装置(高圧水銀ランプ使用)にて、400mJ/cmの照射量で硬化を行うことにより、赤外光遮断性のハードコート層を形成し、試料13を作製した。
(試料14:比較例4)
PETフィルム上に、公知のスパッタ法を用いて、Ta,SiOを、PET/(SiO(110nm)/Ta(64.5nm)/SiO(110nm)/Ta(129nm)/SiO(110nm)/(Ta(64.5nm)/SiO(110nm))/Ta(129nm)の順に積層した、誘電多層膜が無機物からなる狭帯域バンドパスフィルター(Δλ/λ0×100=5.1%、最大透過率波長λ=625nm)を作製した。比較例4の狭帯域バンドパスフィルターの構成は、L[(H/2H/(L)]2H([]内は、上記層構成1に対応、m=n=5、s=2)である。比較例4の狭帯域バンドパスフィルターにおける各屈折率層の光学膜厚は、(λ/4−5%)〜(λ/4+6%)の範囲であった。
(試料15:実施例11)
層構成をPET/(低屈折率膜(119nm)/高屈折率膜(78nm)/低屈折率膜(119nm)/高屈折率膜(180nm)/低屈折率膜(119nm)/(高屈折率膜(78nm)/低屈折率膜(119nm))/高屈折率膜(180nm)とする以外は実施例10と同様にして、誘電多層膜が有機ポリマーと金属酸化物とを含み、高屈折率膜のキャビティーを有する誘電体型の狭帯域バンドパスフィルター(図7、Δλ/λ0=3.0%、設定波長λ=649nm透過)を作製した。実施例10の狭帯域バンドパスフィルターにおける各屈折率層の光学膜厚は、(λ/4−9%)〜(λ/4+5%)の範囲であった。
(透過率の測定)
分光光度計(日立製作所社製 U−4000型)に透過ユニットを付け、ブランク測定でベースライン補正したのち、誘電多層膜の面側を測定面にして、400〜700nmの領域で、0.5nm間隔で600点の透過率を測定し、狭帯域パスバンドの波長と透過率を求めた。
(耐久性の評価)
<曲げ試験>
上記作製した各試料について、JIS K5600−5−1(1999)に準拠した屈曲試験法に基づき、屈曲試験機タイプ1(井元製作所社製、型式IMC−AOF2、マンドレル径φ20mm)を用いて、300回の屈曲試験を行った。屈曲試験前後での狭帯域パスバンドの波長における透過率比(屈曲試験前の透過率(%)に対する屈曲試験後の透過率(%))を求めた。透過率比の値が小さいほど、屈曲時の柔軟性に優れていることを表す。
<強制劣化後の曲げ試験>上記作製した各試料について、温度60℃、相対湿度85%に設定したサーモ装置に投入し、強制劣化前後での狭帯域パスバンドの波長における透過率比(強制劣化試験前の透過率(%)に対する耐湿耐熱試験後の透過率(%))を求めた。透過率比の値が小さいほど、高温高湿時の柔軟性に優れていることを表す。
Figure 2013105374
表2に耐久性評価結果を示す。本発明を満たす構成が、曲げ試験、強制劣化試験とも、狭帯域パスバンドにおける波長の透過率低下が少なく、耐久性に優れていることが判る。
本出願は、2012年1月13日に出願された日本特許出願番号2012−005083号に基づいており、その開示内容は、参照され、全体として、組み入れられている。

Claims (8)

  1. 有機ポリマーを含む誘電多層膜を有する、誘電体型狭帯域バンドパスフィルター。
  2. 前記誘電多層膜が、金属酸化物粒子を含む、請求項1に記載の狭帯域バンドパスフィルター。
  3. 前記誘電多層膜が、下記(1)で示される層構成を含む、請求項1または2に記載の狭帯域バンドパスフィルター:
    Figure 2013105374
    この際、H、H、およびHは、(λ/4−λ/4×0.5)以上(λ/4+λ/4×0.5)以下の光学膜厚を有する誘電多層膜の高屈折率膜を示し、L、およびLは、(λ/4−λ/4×0.5)以上(λ/4+λ/4×0.5)以下の光学膜厚を有する誘電多層膜の低屈折率膜を示し、ここで、λは、フィルターの分光透過率曲線の狭帯域パスバンドにおける最大透過率波長を表わし、m、nは1以上の整数であり、sは2以上の整数であり、(Hおよび(Lとは、それぞれ(H)をm回、および(L)をn回繰り返して積層するという意味であり、sHはキャビティー層である。
  4. さらに光遮蔽手段、または前記誘電多層膜とは異なる機能性層を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の誘電体型狭帯域バンドパスフィルター。
  5. 前記機能性層がハードコート層である、請求項4に記載の狭帯域バンドパスフィルター。
  6. 最大透過率を示す波長が400nm以上500nm以下の領域に存在する、または最大透過率を示す波長が630nm以上700nm以下の領域に存在する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の狭帯域バンドパスフィルター。
  7. 植物成長促進用である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の狭帯域バンドパスフィルター。
  8. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の狭帯域バンドパスフィルターを用いて、植物の成長を促進させる、植物の成長促進方法。
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