JPWO2013089178A1 - 電子機器用カバーガラス及びその製造方法、並びにタッチセンサモジュールの製造方法 - Google Patents

電子機器用カバーガラス及びその製造方法、並びにタッチセンサモジュールの製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、従来のディップ法による防汚コート面に比べて耐久性を著しく向上させることができる電子機器用カバーガラスを提供する。本発明は、一対の主表面と、該一対の主表面と隣り合う端面とを有するガラス基板1を備える電子機器用カバーガラス10であって、一対の主表面のうちの一方の主表面1Aには、プラナー方式プラズマ処理及びダウンストリーム方式プラズマ処理をこの順に行うガラス表面改質処理が施されてなるガラス被処理面が形成されている。該ガラス被処理面及び前記端面1Cには防汚コート層3が形成されている。

Description

本発明は、携帯電話機、携帯型ゲーム機、PDA(Personal Digital Assistant)、デジタルスティルカメラ、ビデオカメラ、またはスレートPC(Personal Computer)等の携帯機器の表示画面の保護、又は表示画面の保護部材に積層して設けられ更なる保護部材として用いられる電子機器用カバーガラス及びその製造方法、並びにタッチセンサモジュールの製造方法に関するものである。
従来、携帯電話機等の携帯機器の表示画面を保護するために、透明性に優れ且つ軽量なアクリル樹脂板が一般に用いられていた。近年、タッチパネル方式の携帯機器が主流を占めるようになり、このタッチパネル機能対応のため表示画面の強度向上が求められており、従来のアクリル樹脂材料に替わって、薄くても高い強度を有するガラス材料が多く使用されるようになってきている。さらに、ガラス材料は、従来のアクリル樹脂材料と比べると、機械的強度(耐加傷性、耐衝撃性)、表面平滑性、保護性(耐候性、防汚性)、見栄え・高級感など、いずれの点でも優位である。
このようなガラス材料からなるカバーガラスは、概ね次のようなプロセスで製造されている。
シート状に成形されたガラス素材を機械加工(カッティング)あるいはエッチング加工等で所定の大きさに小片化し、カバーガラス用ガラス基板を作製する。
次に、このガラス基板に対して機械加工あるいはエッチング加工により、必要な孔明け加工や外周形状加工などを行う。
次に、形状加工を終えたガラス基板に化学強化処理を行う。この化学強化処理とは、ガラス中のナトリウムNaをイオン半径の大きいカリウムKと交換させ、ガラス表面に圧縮応力層を形成する処理法である。カバーガラスは、衝撃、押圧が加わるため高い強度が必要である。
次いで、以上の化学強化処理を行ったガラス基板の表面に所望の印刷等を施す。
こうして出来上がったカバーガラスは、携帯機器に組み込まれる。利用者がタッチパネル方式の携帯機器を使用する場合、その表示画面を指で直接触れて操作するため、表示画面を保護するカバーガラスに指紋等の汚れが付着しやすい。従って、カバーガラスに指紋等の汚れが付着するのを防止ないしは抑制し、あるいは指紋等の汚れが付着しても容易に拭き取れるようにすることが望ましい。そのため、カバーガラスの表面には、通常、防汚コーティング処理が施される。このような防汚コーティグ処理に関しては、例えば特許文献1に開示がある。
特表2011−510904号公報
上記特許文献1には、蒸着法又は浸漬法により防汚コーティング処理を行う旨が開示されている。しかしながら、蒸着法又は浸漬法で防汚コーティング処理を行ったときに、ガラス基板の表面凹凸の表面性状などによっては、ガラス基板と防汚コート材料との密着性が不十分で、防汚コート層の所望の耐久性を得られない場合があった。
これに加えて、防汚コーティング処理は、上記特許文献1に示すように蒸着法が一般的である。しかしながら、防汚コーティング処理に蒸着法を用いる場合には、成膜チャンバ内で1枚ずつ処理する必要があるため、生産性が悪く、結果的に製造コストも増加するという問題がある。
また、上記特許文献1には、ディップ法(浸漬法)による防汚コーティング処理も開示されている。しかしながら、特許文献1には開示されていないが、本発明者の検討によると、ディップ法によって形成された防汚コート面は、蒸着法によって形成された防汚コート面に比べて耐久性が劣るという問題のあることが判明した。
本発明はこのような従来の問題を解決すべくなされたものであって、その目的は、従来のディップ法による防汚コート面に比べて耐久性を著しく向上させることができる電子機器用カバーガラス及びその製造方法を提供することである。また、別の目的は、蒸着法による防汚コーティング処理に比べて生産性を向上させることができる電子機器用カバーガラス及びその製造方法を提供することである。さらに、別の目的は、防汚コート面の耐久性を向上させ、且つ透明導電層等の付着安定性を向上させたガラス基板を備えるタッチセンサモジュールの製造方法を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討したところ、防汚コート面の耐久性に関して、次のような内容が判明した。防汚コート処理が施されるガラス基板の表面性状に関して、ガラス基板表面の輪郭曲線のスキューネス(Rsk:歪度)が0から比較的離れている場合、ガラス基板表面の凹凸の形状の偏りが大きく、ガラス基板に塗布された防汚コート層のガラス基板に対する付着安定性が低かった。そして、この付着安定性が防汚コート面の耐久性に影響していることが判明した。
そこで、本発明者が更に研究を重ねた結果、ガラス基板にプラナー方式プラズマ処理を施すことによって、ガラス基板表面の輪郭曲線のスキューネス(Rsk:歪度)が0へ近づくようにガラス基板表面が改質され、ガラス基板表面の凹凸の形状の偏りが小さくなることが確認された。この結果、防汚コート層のガラス基板に対する付着安定性が高まることが確認された。
しかしながら、プラナー方式プラズマ処理のみでは、防汚コート層のガラス基板に対する付着安定性が不十分であることも確認された。そこで、本発明者が更に研究を重ねた結果、プラナー方式プラズマ処理を施したガラス基板の表面にダウンストリーム方式のプラズマ処理を施すことで、ガラス基板の表面にOH基やCOOH基などの官能基が形成される。そして、この官能基と防汚コート材料との結合により、防汚コート層のガラス基板に対する付着安定性がより高まっているものと考えられる。
このように、本発明者は、プラナー方式プラズマ処理及びダウンストリーム方式プラズマ処理をその順に行うガラス表面改質処理をガラス基板に施すことにより、防汚コート層のガラス基板に対する付着安定性を十分に高めることができることを見出した。そして、本発明者は、防汚コート層のガラス基板に対する付着安定性を十分に高めることによって、防汚コート面の耐久性を向上させること、つまり、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
また、生産性の高いディップ法をコーティング処理方法に用いる場合であっても、防汚コート層のガラス基板に対する付着安定性を十分に高めることができ、防汚コート面の耐久性を向上させることが可能な点を見出した。
すなわち、本発明は以下の構成を有する。
(構成1)
一対の主表面と、該一対の主表面と隣り合う端面とを有するガラス基板を備える電子機器用カバーガラスの製造方法であって、前記ガラス基板における一対の主表面のうちの一方の主表面に、プラナー方式プラズマ処理及びダウンストリーム方式プラズマ処理をその順に行うガラス表面改質処理を施し、ガラス被処理面を形成する工程と、前記ガラス被処理面を形成する工程の後に行われ、前記ガラス被処理面に対して防汚コート層を形成する工程とを含むことを特徴とする電子機器用カバーガラスの製造方法である。
(構成2)
前記防汚コート層を形成する工程では、前記ガラス基板全体を防汚コート材に浸漬することにより、前記ガラス被処理面を含む前記ガラス基板の外面全体に防汚コート層を形成することを特徴とする構成1に記載の電子機器用カバーガラスの製造方法である。
(構成3)
前記一対の主表面のうちの他方の主表面に形成された前記防汚コート層に、表面の水の接触角を低下させる処理である防汚コート面改質処理を施し、防汚コート改質層を形成する工程を有することを特徴とする構成1又は2に記載の電子機器用カバーガラスの製造方法である。
(構成4)
前記ガラス被処理面を形成する工程の前に行われ、前記ガラス基板に印刷を施す工程をさらに含むことを特徴とする構成1乃至3のいずれかに記載の電子機器用カバーガラスの製造方法である。
(構成5)
前記印刷が施されるまで前記ガラス基板表面における印刷領域の変質を保護するための印刷領域保護層を前記ガラス基板表面に前記印刷を施す前に設け、前記印刷を施す際に前記印刷領域保護層の表面の水の接触角を低下させるために改質、又は除去することを特徴とする構成4に記載の電子機器用カバーガラスの製造方法である。
(構成6)
前記印刷を施す際に前記ガラス基板に対する印刷機あるいはその治具との接触を保護するための接触保護層を前記ガラス基板に予め設けることを特徴とする構成4又は5に記載の電子機器用カバーガラスの製造方法である。
(構成7)
一対の主表面と、該一対の主表面と隣り合う端面とを有するガラス基板を備える電子機器用カバーガラスであって、前記一対の主表面のうちの一方の主表面のRskは、0±0.3であり、前記一方の主表面には、防汚コート層が形成されており、前記防汚コート層の表面に対して、#0000のスチールウールを面圧1kg/cmで2000回摺動した場合に、前記防汚コート層の表面における水の接触角が105度以上であることを特徴とする電子機器用カバーガラスである。
(構成8)
前記防汚コート層は、前記ガラス基板の表面に付着する付着領域と、該付着領域の表面に配置された流動領域とを有することを特徴とする構成7に記載の電子機器用カバーガラスである。
(構成9)
前記防汚コート層の厚さに対する前記付着領域の厚さの割合が40%〜70%であることを特徴とする構成8に記載の電子機器用カバーガラスである。
(構成10)
前記一対の主表面のうちの他方の主表面には、前記防汚コート層に表面の水の接触角を低下させるための防汚コート面改質処理を施してなる防汚コート改質層が形成されており、前記一方の主表面に形成された前記防汚コート層の前記ガラス基板とは反対側の表面における水の接触角は、110度〜120度の範囲内であり、前記他方の主表面に形成された前記防汚コート改質層の前記ガラス基板とは反対側の表面における水の接触角は、20度以下であることを特徴とする構成7乃至9のいずれかに記載の電子機器用カバーガラスである。
(構成11)
前記一方の主表面に形成された前記防汚コート層の前記ガラス基板とは反対側の表面におけるヘキサデカンの接触角は、60度〜70度の範囲内であり、前記他方の主表面に形成された前記防汚コート改質層の前記ガラス基板とは反対側の表面におけるヘキサデカンの接触角は、10度〜20度の範囲内であることを特徴とする構成10に記載の電子機器用カバーガラスである。
(構成12)
前記一方の主表面に形成された前記防汚コート層の前記ガラス基板とは反対側の表面における動摩擦係数は、0.1〜0.3の範囲内であることを特徴とする構成7乃至11のいずれかに記載の電子機器用カバーガラスである。
(構成13)
前記防汚コート層は、末端基に水酸基を有するパーフルオロポリエーテル化合物を含有するフッ素系樹脂材料からなることを特徴とする構成7乃至12のいずれかに記載の電子機器用カバーガラスである。
(構成14)
前記防汚コート層は、重量平均分子量が2000〜5000のフッ素系樹脂材料からなることを特徴とする構成7乃至13のいずれかに記載の電子機器用カバーガラスである。
(構成15)
前記ガラス基板は、化学強化されたアルミノシリケートガラスからなることを特徴とする構成7乃至14のいずれかに記載の電子機器用カバーガラスである。
(構成16)
一対の主表面と、該一対の主表面と隣り合う端面とを有するガラス基板を備え、利用者の操作を検出するためのタッチセンサモジュールの製造方法であって、前記ガラス基板における一対の主表面のうちの一方の主表面に、プラナー方式プラズマ処理及びダウンストリーム方式プラズマ処理をその順に行うガラス表面改質処理を施したことによるガラス被処理面が形成され、前記ガラス被処理面を含む前記ガラス基板の外面全体に、防汚コート層が形成された前記ガラス基板に対して、前記一対の主表面のうちの他方の主表面に、前記防汚コート層に表面の水の接触角を低下させる防汚コート面改質処理を施してなる防汚コート改質層を形成する工程と、前記防汚コート改質層の外面に、絶縁層及び透明導電層の少なくともいずれか一方を形成する工程とを含むことを特徴とするタッチセンサモジュールの製造方法である。
本発明によれば、従来のディップ法による防汚コート面に比べて耐久性を著しく向上させることができる電子機器用カバーガラス及びその製造方法を提供することができる。
また、本発明によれば、蒸着法による防汚コーティング処理に比べて生産性を向上させることができる電子機器用カバーガラス及びその製造方法を提供することができる。
さらに、本発明によれば、防汚コート面の耐久性を向上させ、且つ透明導電層等の付着安定性を向上させたガラス基板を備えるタッチセンサモジュールの製造方法を提供することができる。
本発明に係る電子機器用カバーガラスの一実施の形態を示す概略断面図である。 本発明に係る電子機器用カバーガラスの製造方法のフローチャートである。 本発明に係る電子機器用カバーガラスの製造方法を工程順に示す概略断面図である。 カバーガラス用ガラス基板の形状の一例を示す平面図である。
以下、本発明の実施の形態を詳述するが、ここでは主に、電子機器用カバーガラスの一実施の形態である携帯機器用カバーガラスについて説明する。
図1は、本発明に係る電子機器用カバーガラスの一実施の形態である携帯機器用カバーガラスの一実施の形態を示す概略断面図である。
図1に示す本発明の一実施の形態によると、本発明に係る携帯機器用カバーガラス10は、平板状のガラス基板1を備えている。ガラス基板1は、表裏一対の主表面1A,1Bと、該一対の主表面と隣り合う端面1Cとを有している。前記一対の主表面のうちの一方の主表面1Aには、ガラス表面改質処理が施されたことによるガラス被処理面が形成されている。そして、前記ガラス被処理面及び前記端面1Cには、防汚コート層3が形成されている。
本発明における特徴的な構成の一つは、上記一方の主表面1Aにはガラス被処理面が形成されており、このガラス被処理面は、プラナー方式プラズマ処理及びダウンストリーム方式プラズマ処理をこの順に行うガラス表面改質処理が施されることにより形成されていることである。
本発明に係る携帯機器用カバーガラス10において、上述のガラス表面改質処理が施されガラス被処理面が形成されている上記一方の主表面1Aには、上記防汚コート層3が形成されている。かかる構成により、たとえば従来の特に表面処理等をガラス基板に施さずにディップ法により形成した防汚コート層と比べて、防汚コート材のガラス基板に対する付着安定性が改善され、防汚コート面の耐久性が著しく向上する。後でも説明するように、防汚コート材としてはフッ素系樹脂材料が好ましく用いられる。しかしながら、このフッ素系樹脂材料をディップ法でガラス基板に塗布した場合、ガラス基板に対する付着安定性が特に悪い。このため、このようなフッ素系樹脂材料を防汚コート材として用いてディップ法でガラス基板に塗布する場合にも、ガラス基板に対する付着安定性を改善し、防汚コート面の耐久性を著しく向上させることができる本発明は特に好適である。
なお、上記プラナー方式プラズマ処理及びダウンストリーム方式プラズマ処理をこの順に行うガラス表面改質処理の詳細は後述する。
ここで、上記防汚コート層3の材料について説明する。利用者がタッチパネル操作方式の携帯機器を使用する場合、その表示画面を指で直接触れて操作するため、表示画面に指紋等の汚れが付着しやすい。従って、表示画面に指紋等の汚れが付着するのを防止ないしは抑制し、あるいは指紋等の汚れが付着しても容易に拭き取れるようにすることが望ましい。そのためには、上記防汚コート層3の材料として、指で直接触れても(押しても)指紋等の汚れが付着するのを防止ないしは抑制し、あるいは指紋等の汚れが付着しても拭き取り易くする防汚性を有する材料を選択することが好適である。また、透明性に優れていることも重要である。本発明においては、良好な防汚性を有し、さらに透明性にも優れている材料として、たとえばフッ素系樹脂材料(例えば末端基に水酸基を有するパーフルオロポリエーテル化合物など)などの表面エネルギーを低下させる材料が好ましく挙げられる。
また、ガラス基板1における前記一対の主表面のうちの他方の主表面1Bには、前記防汚コート層3に、表面の水に対する接触角を低下させる処理である防汚コート面改質処理を施したことによる防汚コート改質層3aが形成されている。
上記ガラス被処理面が形成された一方の主表面1A及び前記端面1Cには、防汚コート層3が形成されるが、例えばディップ法によりガラス基板全体を防汚コート材に浸漬させることにより防汚コート層3を形成する場合、上記他方の主表面1Bにも防汚コート層が形成されることになる。図1の携帯機器用カバーガラス10の場合、通常、防汚コート面の耐久性を向上させたガラス基板1の上記主表面1A側を携帯機器の外側に、ガラス基板1の他方の主表面1B側を携帯機器の内側にそれぞれ向けて組み込まれる。
ここで、ガラス基板1の主表面1B側に、(必要に応じて絶縁層を介して)透明導電層を形成して、ガラス基板1と透明導電層とによって、利用者の操作に応じた信号を生成可能なタッチセンサモジュールとすることもできる。この場合、ガラス基板1の上記主表面1B側に例えばフッ素系樹脂材料からなる防汚コート層3が形成されていると、その防汚コート層3の外面においては、上記絶縁層や透明導電層の付着安定性が悪い。このため、防汚コート層3の外面に上記絶縁層や透明導電層を形成することが困難であり、タッチセンサモジュールを構成することができない。
本発明においては、ガラス基板1における上記他方の主表面1Bには、前記防汚コート層3に、表面の水に対する接触角を低下させる処理である防汚コート面改質処理を施したことによる防汚コート改質層3aを形成することで、その外面に形成する絶縁層、透明導電層の付着安定性を向上させることができる。このような防汚コート面改質処理としては、例えばプラナー方式によるヘリウム(He)プラズマ曝露処理または紫外線照射処理などの方法が挙げられる。
本発明に係る携帯機器用カバーガラス10においては、上記ガラス基板1の一方の主表面1Aに形成された前記防汚コート層3の表面(ガラス基板1とは反対側の表面)における水の接触角は、110度〜120度の範囲内であり、油、例えばヘキサデカンの接触角は、60度〜70度の範囲内であることが好ましい。水または油に対する接触角が上記の範囲内であることにより、指で直接触れても(押しても)指紋等の汚れが付着するのを防止ないしは抑制し、あるいは指紋等の汚れが付着しても拭き取り易くする良好な防汚性を発揮する。なお、上記の接触角は、防汚コート層形成後の初期接触角であるが、本発明では、上記のとおり、ガラス基板1の主表面1Aに形成された防汚コート層3の耐久性を向上できるため、たとえば後述の実施例で説明するスチールウールの摺動による耐久性試験を行っても、接触角の低下は少なく、良好な防汚性を維持することができる。
また、本発明における携帯機器用カバーガラス10においては、上記ガラス基板1の他方の主表面1Bに形成された前記防汚コート改質層3aの表面(ガラス基板1とは反対側の表面)における水の接触角は、20度以下であり、油、例えばヘキサデカンの接触角は、10度〜20度の範囲内であることが好ましい。水または油に対する接触角が上記の範囲内であることにより、防汚コート改質層3aの外面に前述の絶縁層や透明導電層を形成した場合の付着安定性を向上できる。
なお、本発明において、上記接触角は、22±2℃の雰囲気下で測定した値である。
また、本発明における携帯機器用カバーガラス10においては、上記ガラス基板1の一方の主表面1Aに形成された前記防汚コート層3の表面(ガラス基板1とは反対側の表面)における動摩擦係数は、0.1〜0.3の範囲内であり、または静摩擦係数は、0.2〜0.4の範囲内であることが好ましい。防汚コート層3の表面の動摩擦係数または静摩擦係数が上記の範囲内であることにより、防汚コート面の滑りが良く、指で触れたときの手触り感が良好であるため、本発明のカバーガラスを備えた携帯機器においては、利用者による例えばタッチパネルの操作性が良好である。
本発明においては、上記ガラス基板1を構成するガラスは、アモルファスのアルミノシリケートガラスとすることが好ましい。このようなアルミノシリケートガラスからなるガラス基板は、化学強化後の強度が高く、携帯機器用カバーガラスには好適である。このようなアルミノシリケートガラスとしては、例えば、SiO2が58〜75重量%、Al23が4〜20重量%、Li2Oが0〜10重量%、Na2Oが4〜20重量%を主成分として含有するアルミノシリケートガラスを用いることができる。
上記ガラス基板1の厚さは、最近の携帯機器の薄型化・軽量化のマーケットニーズに応える観点から例えば0.3mm〜1.5mm程度の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは0.5mm〜0.7mm程度の範囲である。
次に、以上説明したような本発明に係る電子機器用カバーガラスの一実施の形態である携帯機器用カバーガラスの製造方法について説明する。
図2は、本発明に係る携帯機器用カバーガラスの製造方法のフローチャートであり、図3は、本発明に係る携帯機器用カバーガラスの製造方法を工程順に示す概略断面図である。
本発明に係る携帯機器用カバーガラスは、以下に説明するようなプロセスで製造される。
[ガラス基板作製(ステップS0)]
通常、大きなサイズの板ガラスを機械加工等により所定の大きさにカッティング(小片化)し、カバーガラス用のガラス基板1を作製する。
例えば、ダウンドロー法やフロート法等で製造された厚さが例えば0.5mm程度の板ガラスを多数枚(例えば数十枚程度)積層(ラミネート)し、ガラス用カッターを用いて所定の大きさの小片に切断する。このように、積層状態のものを一度に切断加工すると、次の形状加工工程においても積層状態の小片を一度に形状加工できるので、生産上有利である。小片の大きさは、製品のカバーガラスの大きさに外周形状加工に必要なマージンを加えた大きさを考慮して決定する。
ここで、外形形状加工については、積層状態の切断加工に代えて、シート状ガラス素材を1枚ずつ加工してもよい。また、外形形状加工には、機械加工以外の手段として、エッチング法を適用してもよい。
なお、上記ガラス基板1のガラス組成は前記のとおりである。また、ガラス基板1の厚さは、前記のとおり、最近の携帯機器の薄型化・軽量化のマーケットニーズに応える観点から例えば0.3mm〜1.5mm程度の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは0.5mm〜0.7mm程度の範囲である。
次に、この所定の大きさの小片に加工されたガラス基板1に対して機械加工あるいはエッチング加工により、必要な孔明け加工や外周形状加工などを行う。
図4はガラス基板の形状の一例を示す平面図である。図4に示す例では、ガラス基板1は、外周端面1a、切り欠き1b、耳孔1c、およびキー操作孔1dが形成されている。このような孔明け加工および外周形状加工をサンドブラスト等で機械加工してもよいし、あるいはエッチング加工により、これら孔明け加工および外周形状加工を一括処理することもできる。特に複雑な形状加工にはエッチング加工が有利である。また、加工形状に応じて機械加工とエッチング加工を併用してもよい。さらに、エッチング加工の際の溶解パターンを適宜設定することにより、シート状ガラス素材を小片化し、この小片化と同工程で、小片を図4に示すガラス基板1の形状となるようにしてもよい。
次に、形状加工を終えたガラス基板1に対して化学強化処理を行う。
化学強化処理の方法としては、例えば、ガラス転移点の温度を超えない温度領域、例えば摂氏300度以上500度以下の温度で、イオン交換を行う低温型イオン交換法などが好ましい。化学強化処理とは、溶融させた化学強化塩とガラス基板とを接触させることにより、化学強化塩中の相対的に大きな原子半径のアルカリ金属元素と、ガラス基板中の相対的に小さな原子半径のアルカリ金属元素とをイオン交換し、ガラス基板の表層に該イオン半径の大きなアルカリ金属元素を浸透させ、ガラス基板の表面に圧縮応力を生じさせる処理のことである。化学強化塩としては、硝酸カリウムや硝酸ナトリウムなどのアルカリ金属硝酸を好ましく用いることができる。化学強化処理されたガラス基板は強度が向上し耐衝撃性に優れているので、衝撃、押圧が加わり高い強度が必要な携帯機器に用いられるカバーガラスには好適である。
次に、以上の化学強化処理を行ったガラス基板の表面に印刷を施す(印刷工程)。例えば、印刷パターンとしては、携帯電話機のカバーガラスの例を挙げると、社名や製品名のロゴ、タッチパネル等のアイコン、各種センサー窓、画面周りの縁取り、裏面の押さえパターンなど、少なくとも2層、多いものでは例えば8層構成といった多色多層構造を必要とする。カバーガラスの印刷方式の一例としては、スクリーン印刷である。
なお、印刷工程での印刷品質を上げるために、具体的には空気等との接触によるガラス基板の被印刷箇所における変質(やけ)を抑制するために、印刷領域保護層として防汚コートを予め施してもよい。また、この印刷工程においては、ガラス基板を印刷機の治具へ装填し、また治具から取り外すといった作業を印刷回数に応じて繰り返すことになるため、ガラス基板1の裏面や端面が治具と何度も接触することによるガラス基板1の傷の発生を防止するための接触保護層として防汚コートを予め施してもよい。但し、印刷に支障がないように、印刷面側の防汚コート層を印刷工程の際に除去または、該防汚コート層の表面の水の接触角を低下させるために改質処理を行うことが望ましい。
[ガラス表面改質処理(ステップS1)]
次に、上記のようにして作製したガラス基板1(図3(a)参照)に対して、ガラス表面改質処理を行う。通常、ガラス基板1の表面に形成した印刷面側は携帯機器の内側に向けて搭載されるため、この印刷面とは反対側の、つまり携帯機器の外側に向けて露出するガラス基板表面に対してガラス表面改質処理を行う。図2及び図3においては、印刷層の記載を省略しているが、たとえばガラス基板1の他方の主表面1B側に印刷層が形成されており、一方の主表面1Aにはガラス被処理面2が形成されている(図3(b)参照)。このガラス被処理面2は、プラナー方式プラズマ処理及びダウンストリーム方式プラズマ処理をこの順に行うガラス表面改質処理を施すことにより形成される。
上記プラナー方式プラズマ処理とは、ある間隔で2枚の放電電極を有し、その間隔内に被処理基板を装着し、プラズマを発生させて処理を行う形態である。この場合、プラズマ発生に使用するガスとしては、例えばHe、Ar又はN等を用いる。2枚の電極間にプラズマ発生に必要な電圧を印加し、プラズマ空間で電離されたイオンがこの空間内にて加速され、被処理基板表面に衝突する。これにより、ガラス基板表面の輪郭曲線のスキューネス(Rsk:歪度)が0へ近づくようにガラス基板表面が改質され、ガラス基板表面の凹凸の形状の偏りが小さくなる。ここで、Rskは、0±0.3の範囲が好ましく、0±0.15の範囲がより好ましい。
また、ダウンストリーム方式プラズマ処理とは、被処理基板へのガスの供給路を挟むように対向配置された2枚の電極間にプラズマ発生に必要な電圧を印加し、プラズマ化したガスを被処理基板に照射供給して処理を行う形態である。励起ガスを被処理基板表面に照射することで、基板表面に例えば水酸基やカルボキシル基等の官能基を形成し、基板表面の改質を行う。また、基板表面の有機汚染物の除去にも使用できる。この場合に使用するガスとしては、例えばNと、O又は空気との混合ガス等を用いる。
本発明においては、ガラス表面改質処理として、上記プラナー方式プラズマ処理及びダウンストリーム方式プラズマ処理をこの順に行うことで、上記ガラス被処理面2を形成することが重要である。かかるガラス表面改質処理を行うことにより、たとえば従来の特に表面処理等をガラス基板に施さずにディップ法により形成した防汚コート層と比べて、防汚コート材のガラス基板に対する付着安定性が改善され、防汚コート面の耐久性を著しく向上させることができる。ガラス表面に塗布する防汚コート材としてはフッ素系樹脂材料が好ましく用いられる。しかしながら、このフッ素系樹脂材料をディップ法でガラス基板に塗布した場合、ガラス基板に対する付着安定性が特に悪い。このため、このようなフッ素系樹脂材料を防汚コート材として用いてディップ法でガラス基板に塗布する場合にも、ガラス基板に対する付着安定性を改善し、防汚コート面の耐久性を著しく向上させることができる。
本発明においては、上記プラナー方式プラズマ処理の場合、使用する反応ガスはHe,Ar又はNが好ましく、Heがより好ましい。また、使用する反応ガスの種類によっても多少異なるが、使用電力は、200〜500Wの範囲が好ましく、300〜400Wがより好ましい。また、処理時間は、10〜250秒の範囲で処理を行うことが好ましく、30〜90秒がより好ましい。一方、上記ダウンストリーム方式プラズマ処理の場合、使用する反応ガスは、不活性ガスと空気又はOとの混合ガスが好ましく、Nと空気との混合ガスがより好ましい。また、使用する反応ガスの種類によっても多少異なるが、使用電力は、400〜1200Wの範囲が好ましく、600〜1000Wの範囲がより好ましい。また、処理時間としては、5〜60秒の範囲で処理を行うことが好適であり、10〜15秒の範囲で処理を行うことがより好適である。
本発明においては、ガラス表面改質処理として、上記プラナー方式プラズマ処理及びダウンストリーム方式プラズマ処理の両処理を行うが、この2つの処理の順序としては、上記のとおり最初に上記プラナー方式プラズマ処理を行い、続いて上記ダウンストリーム方式プラズマ処理を行う。これによって、ガラス表面形状を変化させ、その上で、ガラス表面に官能基が生成され、本発明の作用効果が発揮されるので好ましい。
[防汚コート層形成(ステップS2)]
次に、上記のようにして、一方の主表面1Aに対してガラス表面改質処理を行い、ガラス被処理面を形成したガラス基板1に防汚コート層3を形成する(図3(c)参照)。
本発明においては、上記防汚コート層3は例えばディップ法によって塗布形成することが好ましい。ディップ法は、適当な溶媒中に防汚コート材として例えば上記フッ素系樹脂を主成分として含有する塗布液中に上記ガラス基板1全体を浸漬させ、これを取り出して乾燥することによって行われる。このディップ法によれば、真空成膜装置を用いなくても、上記ガラス基板1の全面に均一な膜厚の防汚コート層3を形成することができる。
上記防汚コート層3の塗布膜厚は、特に制約されないが、例えば0.3nm〜30nmの範囲であることが好ましい。膜厚が0.3nm未満であると、耐久性が不足し、防汚機能が十分に発揮されない恐れがある。一方、膜厚が30nmを超えると、透明性が低下するので携帯機器の要請に沿わなくなる。
上記のとおり、携帯機器の表示パネルに組み込んだ際に、携帯機器の表側に露出するガラス基板1の主表面1Aには本発明のガラス表面改質処理による被処理面が形成されており、上記ディップ法によって形成された防汚コート層3の付着安定性が改善されるので、従来のディップ法による防汚コート面に比べて耐久性を著しく向上させることができる。
これに加えて、カバーガラスに対して外力が加わった際に、防汚コート層によってガラス基板表面への衝撃が緩和され、脆性材料であるガラスの強度低下の要因となるクラックがガラス基板に生じにくくなることから、カバーガラスの機械的強度を向上させることができる。つまり、化学強化されたガラス基板に防汚コート層を形成することによって、カバーガラスとしての機械的強度をより一層向上させることができる。
ところで、上記防汚コート層は、ガラス基板の表面に付着する付着領域と、付着領域の表面に配置された流動領域とを有する。付着領域は、コーティング材料の分子がガラス基板の表面にある水酸基やカルボキシル基等の官能基と強固に結合した領域である。流動領域は、コーティング材料同士の分子鎖が絡み合って状態を維持している領域である。付着領域と流動領域とは、組成が同じであり、顕微鏡写真などによる外観上は差異がない。ただし流動領域は溶剤に溶けやすく、付着領域は溶剤では容易には溶解しない。したがって、付着領域は溶剤に浸漬(例えばHFEに1分間浸漬)した際に残存する領域であり、流動領域は溶剤に浸漬させた際に溶解する領域として識別することができる。付着領域及び流動領域の膜厚は、例えばFiveLab社製エリプソメータMARY−102により測定することができる。
ここで、前記防汚コート層の厚さに対する付着領域の厚さの割合が40%〜70%であることが好ましい範囲である。付着領域の厚さの割合が40%未満であると、耐久性を発揮できなくなるためである。また付着領域の厚さの割合が70%より多くなると、滑り性を発揮できなくなるためである。さらに40%〜70%であれば、耐久性と滑り性をよりよく発揮することができる。また、付着領域の厚さの割合を40%〜70%として耐久性と滑り性をよりよく発揮するために、重量平均分子量が2000〜5000のフッ素系樹脂材料をコーティング材料として用いることがより好ましい。
この付着領域の厚さを調整するためには、具体的には、ベーク処理、紫外線照射処理、減圧による真空度調整処理などを行うことができる。
ベーク処理においては、恒温炉の中で溶媒の蒸発温度以上の温度で加熱することにより、防汚コート層を乾燥させることができる。加熱温度は、120℃〜180℃が好ましい。加熱時間は、30分〜1時間が好ましい。ここで加熱温度を高くするほど、また加熱時間を長くするほど、流動領域の厚さを減少させることができる。これとともに、熱によって、付着領域を構成するコーティング材料の分子とガラス基板の表面との結合が促進され、付着領域を拡大させることができる。
また、紫外線照射処理において、紫外線としては、その波長150から400ナノメートルの紫外線が好ましい。また、紫外線の光源としては例えば、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、又は超高圧水銀ランプ等を用いることができる。また紫外線の光源の照度は、300[cmW/cm]程度とすることができる。紫外線の照度を高くするほど、また照射時間を長くするほど、流動領域の厚さを減少させることができる。また、紫外線照射処理において、雰囲気温度を調整し、加熱処理を同時に施しても良い。これにより、付着領域を拡大させることができる。
また、真空度調整処理においては、溶媒の蒸気圧未満の気圧となるように真空度を調整することにより溶媒を蒸発させることができる。真空度を高くする(気圧を低くする)ほど、また処理時間を長くするほど、流動領域の厚さを減少させることができる。また、真空度調整処理において、雰囲気温度を調整し、加熱処理を同時に施しても良い。これにより、付着領域の拡大させることができる。
[防汚コート面改質処理(ステップS3)]
次に、上記ガラス基板1における他方の主表面1Bに形成された防汚コート層3に、表面の水の接触角を低下させる処理である防汚コート面改質処理を施し、防汚コート改質層3aを形成する(図3(d)参照)。
上記ガラス被処理面が形成された一方の主表面1A及び前記端面1Cには、防汚コート層3が形成されるが、例えばディップ法によりガラス基板全体を防汚コート材に浸漬させることにより防汚コート層3を形成する場合、上記他方の主表面1Bにも防汚コート層が形成されることになる。ここで、携帯機器の内側に向けて組み込まれるガラス基板1の主表面1B側に、例えば絶縁層、透明導電層の少なくともいずれかを形成して、携帯機器の利用者の操作を検出するためのタッチセンサモジュールとする場合がある。このような場合、本発明では、ガラス基板1における上記他方の主表面1Bに形成された前記防汚コート層3に、表面の水の接触角を低下させる処理である防汚コート面改質処理を施したことによる防汚コート改質層3aを形成することで、その外面に形成する絶縁層、透明導電層の付着安定性を向上させることができる。また、上記防汚コート改質層3aが形成されることで、ガラス基板1の上記主表面1Bに絶縁層や透明導電層が直接形成される場合よりも、これらの層の付着安定性が向上するという効果も得られる。
このような防汚コート面改質処理としては、例えばプラナー方式によるヘリウム(He)プラズマ曝露処理または紫外線照射処理などの方法が好ましく挙げられる。紫外線照射を行う場合の照射エネルギー、照射量(照射時間)などの条件、またプラズマ曝露処理する場合のプラズマエネルギー、処理時間などの条件に関しては、好ましい条件を適宜選択して実施することができる。これら紫外線照射条件またはプラズマ曝露処理条件によって、防汚コート層3に形成される防汚コート改質層3aの深さ方向における厚さを調整することは可能である。
なお、上記透明導電層は、ガラス基板1の主表面1Bに形成された防汚コート改質層3aの外面に沿って所定の厚さをもって形成される。この透明導電層の「所定の厚さ」とは、スパッタリング法により成膜される場合には、例えば100nm以下であり、印刷法により成膜される場合には、バインダーとなる透明樹脂を含めて1000nm以下である。
具体的には、上記防汚コート改質層3aの外面にスパッタリング法等を用いて透明導電層、例えばITO(Indium Tin Oxide)膜を成膜し、フォトリソグラフィ技術、またはYAG(Yttrium Aluminum Garnet)の基本波やCOレーザ等によるレーザパターニング技術を用いて透明導電層を所望のパターン形状に加工することにより形成される。また、接続部(金属配線)は、ガラス基板の印刷領域の表面にスパッタリング法等を用いて金属製の導電物質を成膜することにより金属膜を形成し、フォトリソグラフィ技術等を用いて金属膜を所望のパターン形状に加工することにより形成される。
また、上記防汚コート改質層3aの表面と透明導電層との間、上記防汚コート改質層3aの表面と接続部(金属配線)との間には、それぞれ必要に応じて絶縁層が形成される。この絶縁層は、透明性を有する絶縁性物質、例えば、SiO等の無機材料を用いて形成されることが好ましい。また、絶縁層は、例えばスパッタリング法等を用いて、厚さ50〜1000Å程度に形成されることが好ましい。
以上のようにして本実施の形態の携帯機器用カバーガラス10は製造され、携帯機器に組み込まれる。
また、本発明は、タッチセンサモジュールの製造方法についても提供するものである。すなわち、一対の主表面と、該一対の主表面と隣り合う端面とを有するガラス基板を備え、利用者の操作を検出するためのタッチセンサモジュールの製造方法であって、前記ガラス基板における一対の主表面のうちの一方の主表面に、ガラス表面改質処理を施したことによるガラス被処理面が形成され、前記ガラス被処理面には、防汚コート層が形成された前記ガラス基板に対して、前記一対の主表面のうちの他方の主表面に、前記防汚コート層に表面の水の接触角を低下させる防汚コート面改質処理を施してなる防汚コート改質層を形成する工程と、前記防汚コート改質層の外面に、絶縁層及び透明導電層の少なくともいずれか一方を形成する工程とを含むことを特徴とするタッチセンサモジュールの製造方法である。
本発明のタッチセンサモジュールの製造方法によれば、防汚コート面の耐久性を向上させ、且つ透明導電層等の付着安定性を向上させたガラス基板を備えるタッチセンサモジュールが得られる。
なお、以上の実施の形態では、浸漬法により防汚コーティング処理を行う場合を説明したが、本発明では、防汚コーティング処理方法は浸漬法に限定するものではなく、例えばスピンコート法、スプレー法、蒸着法、刷毛塗り法などにも適用することができる。
以下に実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。ここでは、本発明に係る電子機器用カバーガラスの一実施の形態である携帯機器用カバーガラスの実施例を説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
以下の(1)ガラス基板作製工程、(2)ガラス表面改質処理工程、(3)防汚コート層形成工程、(4)防汚コート面改質処理工程、を経て本実施例の携帯機器用カバーガラスを製造した。
(1)ガラス基板作製工程
まず、ダウンドロー法やフロート法で製造されたアルミノシリゲートガラスからなる厚さ0.5mmの板ガラスから所定の大きさに切り出してカバーガラス用のガラス基板を作製した。このアルミノシリケートガラスとしては、SiO:58〜75重量%、Al:4〜20重量%、LiO:3〜10重量%、NaO:4〜13重量%を含有する化学強化用ガラスを使用した。
次に、砥石(小開口径加工用)等を用いて上記ガラス基板に孔を空けると共に、例えば前述の図4に示すような外周端面の形状加工を施した。
次に、上記形状加工を終えたガラス基板に化学強化を施した。化学強化は硝酸カリウムと硝酸ナトリウムの混合した化学強化液を用意し、この化学強化溶液を380℃に加熱し、上記形状加工後の洗浄・乾燥済みのガラス基板を約4時間浸漬して化学強化処理を行なった。化学強化を終えたガラス基板を硫酸、中性洗剤、純水、純水、IPA、IPA(蒸気乾燥)の各洗浄槽に順次浸漬して、超音波洗浄し、乾燥した。
上記化学強化処理を行ったガラス基板に対して、その他方の主表面に印刷工程を実施した。すなわち、スクリーン印刷によって所定の印刷層(インキ層)を形成した。
こうして、ガラス基板を作製した。
(2)ガラス表面改質処理工程
上記で作製したガラス基板の印刷面とは反対側の主表面に対して、ガラス表面改質処理を行った。
具体的には、まず最初に、以下の条件でプラナー方式によるプラズマ処理を行った。
・反応ガス:He
・使用電力:300W
・処理時間:180秒
続いて、以下の条件でダウンストリーム方式によるプラズマ処理を行った。
・反応ガス:N(流量80リットル/分)+空気(流量80リットル/分)
・使用電力:800W
・処理時間:13秒
(3)防汚コート層形成工程
フッ素系樹脂(信越化学工業社製(商品名)KY100シリーズ)を溶剤で適当な濃度に調整した塗布液(液温25℃)を用いてディップ法により、上記ガラス表面改質処理を終えたガラス基板の全面に上記フッ素系樹脂からなる防汚コート層を塗布し、100℃で熱風乾燥した。防汚コート層の塗布膜厚は10nmとした。この防汚コート層の膜厚は、FiveLab社製エリプソメ−タMARY−102による測定値である。
上記ガラス表面改質処理を行ったガラス基板主表面に形成された防汚コート層表面における水に対する接触角(初期接触角)は115度であった。なお、接触角はJIS R3257に従って、協和界面科学社製の接触角計DM−501を使用して測定した。
(4)防汚コート面改質処理工程
上記ガラス基板の印刷面側に形成された防汚コート層に対して、以下の条件でプラナー方式によるプラズマ処理を行った。
・反応ガス:He
・印加電圧:300W
・処理時間:5秒
上記プラズマ処理前の防汚コート層表面における水に対する接触角は115度であったが、上記プラズマ処理直後の接触角は20度以下に下がった。
こうして本実施例のカバーガラスを完成した。
得られたカバーガラスについて、防汚コート層表面の静摩擦係数及び動摩擦係数をそれぞれ測定したところ、静摩擦係数は0.35であり、動摩擦係数は0.21であった。この測定条件は、荷重50gf、摺動速度50mm/秒、摺動距離50mm、先端表面材質がポリエチレンであり先端形状が湾曲状の摺動子を用いた。
さらに、得られたカバーガラスについて、主表面の表面粗さRa,Rq、歪度Rsk、及び尖度Rkuをそれぞれ測定した。なお、これらのパラメータは、JIS B0601:2001により規定されるパラメータである。例えば、これらのパラメータは、日本Veeco社製走査型プローブ顕微鏡(原子間力顕微鏡;AFM)ナノスコープで計測し、表面粗さRaについては、JIS R1683:2007で規定される方法で算出できる。本実施例においては、1μm×1μm角の測定エリアにおいて、512×128ピクセルの解像度で測定したときの値を用いることができる。この測定結果を表1に示す。なお、表1では、プラナー方式をP方式と記載し、ダウンストリーム方式をD方式と記載する。
Figure 2013089178
また、得られたカバーガラスの防汚コート層表面、つまり上記ガラス表面改質処理を行ったガラス基板主表面に形成された防汚コート層表面に対して、スチールウール(#0000)を荷重1kg(面圧1kg/cm)で摺動させ、防汚コート層表面における水に対する接触角の変動を検査した。この測定結果を表2に示す。本実施例のカバーガラスでは、2000回摺動後の接触角は110度以上を確保しており、初期接触角(115度)からの低下は小さく、防汚コート面の耐久性を著しく向上できることが確認できた。
Figure 2013089178
(実施例2)
実施例1の(2)ガラス表面改質処理工程において、プラナー方式のプラズマ処理時間を60秒としたこと以外は、実施例1と同様にしてカバーガラスを製造した。
得られたカバーガラスの防汚コート層表面について、実施例1と同様に、表面粗さ等のパラメータと接触角とを測定した。これらの結果を表1,2に示す。本実施例のカバーガラスでは、2000回摺動後の接触角は105度以上を確保しており、本実施例においても防汚コート面の耐久性を向上できることが確認できた。
(実施例3)
実施例1の(2)ガラス表面改質処理工程において、プラナー方式のプラズマ処理時間を30秒としたこと以外は、実施例1と同様にしてカバーガラスを製造した。
得られたカバーガラスの防汚コート層表面について、実施例1と同様に、表面粗さ等のパラメータと接触角とを測定した。これらの結果を表1,2に示す。本実施例のカバーガラスでは、2000回摺動後の接触角は105度以上を確保しており、本実施例においても防汚コート面の耐久性を向上できることが確認できた。
(比較例1)
実施例1の(2)ガラス表面改質処理工程を省いたこと以外は、実施例1と同様にしてカバーガラスを製造した。
得られたカバーガラスの防汚コート層表面について、実施例1と同様に、接触角を測定した。この結果を表2に示す。本比較例のカバーガラスでは、1000回摺動後の接触角は100度以下に低下していた。つまり、本発明のガラス表面改質処理を行わずに防汚コート層を形成しても防汚コート面の耐久性が十分に得られないことが確認できた。
(比較例2)
実施例1の(2)ガラス表面改質処理工程におけるダウンストリーム方式のプラズマ処理を省いたこと以外は、実施例1と同様にしてカバーガラスを製造した。
得られたカバーガラスの防汚コート層表面について、実施例1と同様に、接触角を測定した。この結果を表2に示す。本比較例のカバーガラスでは、1000回摺動後の接触角は105度以下に低下し、2000回摺動後の接触角は100度以下に低下していた。つまり、本発明のガラス表面改質処理を行わずに防汚コート層を形成しても防汚コート面の耐久性が十分に得られないことが確認できた。
(比較例3)
実施例1の(2)ガラス表面改質処理工程におけるプラナー方式のプラズマ処理を省いたこと以外は、実施例1と同様にしてカバーガラスを製造した。
得られたカバーガラスの防汚コート層表面について、実施例1と同様に、表面粗さ等のパラメータと接触角とを測定した。これらの結果を表1、表2に示す。本比較例のカバーガラスでは、1000回摺動後の接触角は100度以下に低下していた。つまり、本発明のガラス表面改質処理を行わずに防汚コート層を形成しても防汚コート面の耐久性が十分に得られないことが確認できた。
以上のように、実施例1〜3においては、ガラス基板表面の輪郭曲線のRskが0へ近づくように、また、ガラス基板表面の輪郭曲線のRkuが減少するようにガラス基板表面が改質され、ガラス基板表面の凹凸の形状の偏りが小さくなることが確認された。そして、プラナー方式プラズマ処理を施したガラス基板の表面に更にダウンストリーム方式プラズマ処理を施したガラス基板表面においては、ディップ法によって塗布された防汚コート層のガラス基板に対する付着安定性がより一層高まり、2方式のプラズマ処理を施さない場合(比較例1〜3)に対して、防汚コート面の耐久性が向上できることが確認できた。
また、上記実施例1〜3における防汚コート層の厚さに対する付着領域の厚さの割合について前記の方法で測定したところ、40%〜70%の範囲であった。
(実施例4)
次に、実施例1で作製したガラス基板における防汚コート層改質面に、SiOを主成分とする絶縁層をスパッタリング法により形成した。次に、上記絶縁層の表面に、透明電極膜を形成した。具体的には透明電極膜はITO(Indium Tin Oxide)膜をスパッタリング法により成膜し、フォトリソグラフィ技術を用いて上記透明電極膜を所望のパターン形状に加工し形成した。また、金属配線はスパッタリング法を用いて導電物質を成膜し、フォトリソグラフィ技術により導電物質膜を所望のパターン形状に加工し、タッチセンサモジュールを製造した。
本実施例のタッチセンサモジュールは、上記絶縁層および透明電極膜とカバーガラス表面との付着性は良好であり、タッチセンサモジュールとしての所望の機能を充たすものであった。
(比較例4)
実施例1において、ガラス表面改質処理を施した表面と反対の表面の防汚コート層に、プラナー方式によるプラズマ処理((4)防汚コート面改質処理)を行わずに、実施例4と同様にしてタッチセンサモジュールの製造を試みた。しかしながら、本比較例では絶縁層および透明電極膜とカバーガラス表面との付着性が悪く、絶縁層および透明電極膜の一部がカバーガラス表面に付着せずに成膜できず、タッチセンサモジュールを製造することができなかった。
1 カバーガラス用ガラス基板
1A,1B ガラス基板の主表面
1C ガラス基板の端面
2 ガラス被処理面
3 防汚コート層
3a 防汚コート改質層
10 携帯機器用カバーガラス

Claims (16)

  1. 一対の主表面と、該一対の主表面と隣り合う端面とを有するガラス基板を備える電子機器用カバーガラスの製造方法であって、
    前記ガラス基板における一対の主表面のうちの一方の主表面に、プラナー方式プラズマ処理及びダウンストリーム方式プラズマ処理をその順に行うガラス表面改質処理を施し、ガラス被処理面を形成する工程と、
    前記ガラス被処理面を形成する工程の後に行われ、前記ガラス被処理面に対して防汚コート層を形成する工程と
    を含むことを特徴とする電子機器用カバーガラスの製造方法。
  2. 前記防汚コート層を形成する工程では、前記ガラス基板全体を防汚コート材に浸漬することにより、前記ガラス被処理面を含む前記ガラス基板の外面全体に防汚コート層を形成することを特徴とする請求項1に記載の電子機器用カバーガラスの製造方法。
  3. 前記一対の主表面のうちの他方の主表面に形成された前記防汚コート層に、表面の水の接触角を低下させる処理である防汚コート面改質処理を施し、防汚コート改質層を形成する工程を有することを特徴とする請求項2に記載の電子機器用カバーガラスの製造方法。
  4. 前記ガラス被処理面を形成する工程の前に行われ、前記ガラス基板に印刷を施す工程をさらに含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電子機器用カバーガラスの製造方法。
  5. 前記印刷が施されるまで前記ガラス基板表面における印刷領域の変質を保護するための印刷領域保護層を前記ガラス基板表面に前記印刷を施す前に設け、前記印刷を施す際に前記印刷領域保護層の表面の水の接触角を低下させるために改質、又は除去することを特徴とする請求項4に記載の電子機器用カバーガラスの製造方法。
  6. 前記印刷を施す際に前記ガラス基板に対する印刷機あるいはその治具との接触を保護するための接触保護層を前記ガラス基板に予め設けることを特徴とする請求項4又は5に記載の電子機器用カバーガラスの製造方法。
  7. 一対の主表面と、該一対の主表面と隣り合う端面とを有するガラス基板を備える電子機器用カバーガラスであって、
    前記一対の主表面のうちの一方の主表面のRskは、0±0.3であり、
    前記一方の主表面には、防汚コート層が形成されており、
    前記防汚コート層の表面に対して、#0000のスチールウールを面圧1kg/cmで2000回摺動した場合に、前記防汚コート層の表面における水の接触角が105度以上であることを特徴とする電子機器用カバーガラス。
  8. 前記防汚コート層は、前記ガラス基板の表面に付着する付着領域と、該付着領域の表面に配置された流動領域とを有することを特徴とする請求項7に記載の電子機器用カバーガラス。
  9. 前記防汚コート層の厚さに対する前記付着領域の厚さの割合が40%〜70%であることを特徴とする請求項8に記載の電子機器用カバーガラス。
  10. 前記一対の主表面のうちの他方の主表面には、前記防汚コート層に表面の水の接触角を低下させるための防汚コート面改質処理を施してなる防汚コート改質層が形成されており、
    前記一方の主表面に形成された前記防汚コート層の前記ガラス基板とは反対側の表面における水の接触角は、110度〜120度の範囲内であり、前記他方の主表面に形成された前記防汚コート改質層の前記ガラス基板とは反対側の表面における水の接触角は、20度以下であることを特徴とする請求項7乃至9のいずれかに記載の電子機器用カバーガラス。
  11. 前記一方の主表面に形成された前記防汚コート層の前記ガラス基板とは反対側の表面におけるヘキサデカンの接触角は、60度〜70度の範囲内であり、前記他方の主表面に形成された前記防汚コート改質層の前記ガラス基板とは反対側の表面におけるヘキサデカンの接触角は、10度〜20度の範囲内であることを特徴とする請求項10に記載の電子機器用カバーガラス。
  12. 前記一方の主表面に形成された前記防汚コート層の前記ガラス基板とは反対側の表面における動摩擦係数は、0.1〜0.3の範囲内であることを特徴とする請求項7乃至11のいずれかに記載の電子機器用カバーガラス。
  13. 前記防汚コート層は、末端基に水酸基を有するパーフルオロポリエーテル化合物を含有するフッ素系樹脂材料からなることを特徴とする請求項7乃至12のいずれかに記載の電子機器用カバーガラス。
  14. 前記防汚コート層は、重量平均分子量が2000〜5000のフッ素系樹脂材料からなることを特徴とする請求項7乃至13のいずれかに記載の電子機器用カバーガラス。
  15. 前記ガラス基板は、化学強化されたアルミノシリケートガラスからなることを特徴とする請求項7乃至14のいずれかに記載の電子機器用カバーガラス。
  16. 一対の主表面と、該一対の主表面と隣り合う端面とを有するガラス基板を備え、利用者の操作を検出するためのタッチセンサモジュールの製造方法であって、
    前記ガラス基板における一対の主表面のうちの一方の主表面に、プラナー方式プラズマ処理及びダウンストリーム方式プラズマ処理をその順に行うガラス表面改質処理を施したことによるガラス被処理面が形成され、前記ガラス被処理面を含む前記ガラス基板の外面全体に、防汚コート層が形成された前記ガラス基板に対して、
    前記一対の主表面のうちの他方の主表面に、前記防汚コート層に表面の水の接触角を低下させる防汚コート面改質処理を施してなる防汚コート改質層を形成する工程と、
    前記防汚コート改質層の外面に、絶縁層及び透明導電層の少なくともいずれか一方を形成する工程と
    を含むことを特徴とするタッチセンサモジュールの製造方法。

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