JPWO2013089006A1 - グリシジルアミン系エポキシ化合物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

工業的に有用なグリシジルアミン系エポキシ化合物を、効率的に製造する方法を提供する。下記一般式(1)で示されるフェノキシアニリンとエピクロロヒドリンとを、フェノール類、有機酸、無機酸、水から選ばれる化合物の存在下で、0〜60℃にて反応させる、下記一般式(2)で示されるグリシジルアミン系エポキシ化合物を製造する。

Description

本発明は、工業的に有用なグリシジルアミン系エポキシ化合物の製造方法に関する。
エポキシ化合物は、有機化学分野および高分子化学分野で広く用いられている化合物であり、ファインケミカル、医農薬原料および樹脂原料、さらには電子情報材料や光学材料など、工業用途として多岐にわたる分野で有用な化合物である。
さらに多官能のエポキシ化合物は、種々の硬化剤で硬化させることにより、一般的に機械的性質、耐水性、耐薬品性、耐熱性および電気特性に優れた硬化物となり、接着剤、塗料、積層板および複合材料などの広い分野に利用されている。なかでもグリシジルアミン系エポキシ化合物は、低粘度であり、かつ高耐熱特性を有するため、宇宙・航空機用複合材料や耐熱性接着剤、半導体封止材などへも用途を広げている。
発明者らは、種々の硬化剤で硬化させることにより、機械的性質、耐薬品性、耐熱性、および電気特性に優れる、新規なグリシジルアミン系エポキシ化合物とその製造方法を提案した(特許文献1)。
しかしながら、特許文献1に記載されたグリシジルアミン系エポキシ化合物の製造方法で、フェノキシアニリンとエピクロロヒドリンとを、アルコールを含む溶媒中で反応させると、付加反応が完結するまでに長時間を要することがあった。反応時間を短縮させるために、反応温度を上げると、二量体が生じ、化学純度が低下し、粘度が上昇するという問題があった。さらに、グリシジルアミン系エポキシ化合物を含む反応系中にアルコールがあると、水洗して塩を除く際の分液性が悪化するため、アルコールを留去して除く必要があり、アルコールの留去に時間がかかるため必ずしも工業的に有利な方法ではなかった。また、得られたグリシジルアミン系エポキシ化合物は、化学純度が低い、すなわち不純物を多く含有していた。このため、不純物に起因するオリゴマー化が経時に進み、貯蔵安定性が悪いという問題があった。また、一方で、グリシジルアミン系エポキシ化合物を高純度化するために、一般的な減圧蒸留法で精製しようとすると、蒸留中の加熱により、グリシジルアミン系エポキシ化合物が熱分解等を起こすため、収率良く精製することが困難であった。
従って、高純度なグリシジルアミン系エポキシ化合物を、短時間で、しかも大スケールで生産する製造方法が求められていた。
国際公開第2010/047244号
本発明の目的は、工業的に有用なグリシジルアミン系エポキシ化合物を効率的に製造する方法を提供することにある。
本発明者らは、上記従来技術の現状に鑑み、鋭意検討した結果、下記一般式(1)
Figure 2013089006
で示されるフェノキシアニリンとエピクロロヒドリンとを、フェノール類、有機酸、無機酸、水から選ばれる化合物の存在下で、0〜60℃にて反応させることを含む、下記一般式(2)
Figure 2013089006
で示されるグリシジルアミン系エポキシ化合物を製造する方法を見出した。
このグリシジルアミン系エポキシ化合物は、好ましくは化学純度が95%以上であり、E型粘度計を使用して測定した40℃の粘度が好ましくは0.30Pa・s以下である。
さらに、前記フェノール類、有機酸、無機酸、水から選ばれる化合物は、フェノキシアニリンに対し0.01〜20重量倍になるように使用することが好ましい。
本発明のグリシジルアミン系エポキシ化合物の製造方法によれば、従来の方法に比べて低温でフェノキシアニリンとエピクロロヒドリンとの付加反応を行うため、短時間で目的温度に達し、製造に掛かる時間を短縮することができる。また溶媒の使用量を節約することができ経済的に有利である。
さらに付加反応工程で、特許文献1のように、溶媒にアルコールを用いた場合、グリシジルアミン系エポキシ化合物を精製するとき、塩等の不純物との分液性を悪化させるため、蒸留精製の前にアルコールを除去する必要があるが、本発明のグリシジルアミン系エポキシ化合物の製造方法では、アルコールを除去する必要がなく、製造時間に掛かる時間が短縮される。また、留去したアルコール等の廃棄物が発生することがない。
本発明の製造方法で得られるグリシジルアミン系エポキシ化合物は、化学純度が高く、貯蔵安定性が優れる。この高純度グリシジルアミン系エポキシ化合物と硬化剤を含有してなる樹脂組成物を硬化させることにより、高強度、高弾性率、高接着性、高靭性並びに耐熱性、耐候性、耐溶剤性および耐衝撃性などに優れた高機能なグリシジルアミン系エポキシ樹脂硬化物が得られる。また、このグリシジルアミン系エポキシ化合物と通常のエポキシ樹脂を混合してアミンで硬化させると、例えば、接着剤や塗料などに使用できる硬化物が得られる。
本発明の製造方法で得られるグリシジルアミン系エポキシ化合物は、化学純度が好ましくは95%以上と、純度が高いため、精製する必要が無い。従って、精製の際に生じるロスが無いため、収率が良い。
また本発明で得られるグリシジルアミン系エポキシ化合物は、E型粘度計を使用して測定した40℃の粘度が好ましくは0.30Pa・s以下と、粘度が低いため充填剤を高充填することができ、経済的に有利である。
本発明のグリシジルアミン系エポキシ化合物は、ファインケミカル、医農薬原料、樹脂原料、さらには電子情報材料、光学材料など、工業用途として多岐にわたる分野で有用である。
以下に、本発明のグリシジルアミン系エポキシ化合物の製造方法について詳細に記載する。
本発明のグリシジルアミン系エポキシ化合物の製造方法は、フェノキシアニリンとエピクロロヒドリンとを反応させ、フェノキシ−N,N−ビス(2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル)アニリンを得る付加反応工程と、得られたフェノキシ−N,N−ビス(2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル)アニリンとアルカリとを反応させグリシジルアミン系エポキシ化合物を得る環化反応工程とからなる。
本発明の製造方法は、付加反応工程において下記一般式(1)で示されるフェノキシアニリンとエピクロロヒドリンとを、フェノール類、有機酸、無機酸、水から選ばれる化合物の存在下で、0〜60℃にて反応させることを特徴とする。
Figure 2013089006
上記一般式(1)で示されるフェノキシアニリンとして、2−フェノキシアニリン、3−フェノキシアニリン、4−フェノキシアニリンが挙げられる。なかでも4−フェノキシアニリンが好ましい。
本発明では、付加反応の溶媒としてフェノール類、有機酸、無機酸、水から選ばれる少なくとも一つの極性化合物を使用する。溶媒は、これらの中から2種類以上の化合物を組み合わせてもよい。
フェノール類としては、例えばフェノール、クレゾール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,3−ジメチルフェノール、2,4−ジメチルフェノール、2,5−ジメチルフェノール、2,6−ジメチルフェノール、3,4−ジメチルフェノール、3,5−ジメチルフェノール、ビスフェノールA、アルキルフェノール類等が挙げられる。
有機酸としては、例えば蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、ピバル酸、吉草酸、イソ吉草酸、カプロン酸、2−エチル酪酸、カプリル酸、2−エチルヘキサン酸、オレイン酸、無水酢酸、プロピオン酸無水物、酪酸無水物、クエン酸、乳酸、シュウ酸、オクチル酸、ナフテン酸、ネオデカン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグリノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸、トウハク酸、リンデル酸、ツズ酸、マッコウ酸、ミリストオレイン酸、ゾーマリン酸、ペトロセリン酸、オレイン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、鯨油酸、エルシン酸、サメ油酸、リノール酸、ヒラゴ酸、エレオステアリン酸、ブニカ酸、トリコサン酸、リノレン酸、モロクチ酸、パリナリン酸、アラキドン酸、イワシ酸、ヒラガシラ酸、ニシン酸等が挙げられる。中でも蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸が好ましく、更に好ましくは酢酸が用いられる。
無機酸としては、例えば塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸、フッ化水素酸等が挙げられる。中でも塩酸が好ましい。水としては、特に限定されないが、一般的な工業用水を用いることができる。すなわち、河川水、地下水、湖沼水、海水、かん水等を水源とし、沈殿、凝析、ろ過、蒸留、イオン交換、限外ろ過、逆浸透法等で精製した水である。
フェノール類、有機酸、無機酸、水から選ばれる極性化合物は、フェノキシアニリンの重量に対し、好ましくは0.01〜20重量倍、より好ましくは0.05〜10重量倍、更に好ましくは0.1〜5重量倍を使用するとよい。フェノール類、有機酸、無機酸、水から選ばれる化合物からなる極性溶媒の使用量が、フェノキシアニリンに対して0.01重量倍以上とすると、速やかに付加反応が完結し好ましい。また、20重量倍以下であれば、フェノール類、有機酸、無機酸、水から選ばれる化合物を、中和や留去にて容易に除くことができ好ましい。
本発明の付加反応工程では、フェノキシアニリンとエピクロロヒドリンとの反応を阻害しない限り、フェノール類、有機酸、無機酸、水から選ばれる化合物以外の他の化合物を加えても良い。他の化合物の種類としては、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、エーテル、エステル、ケトン、窒素化合物、硫黄化合物が挙げられる。
炭化水素としては、例えばヘキサン、2−メチルペンタン、2,2−ジメチルブタン、2,3−ジメチルブタン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、ノナン、トリメチルヘキサン、デカン、ドデカン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン、メシチレン、シクロヘキシルベンゼン、ジエチルベンゼン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンおよびエチルシクロヘキサン等を挙げることが出来る。
ハロゲン化炭化水素としては、例えば塩化メチル、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、塩化エチル、1,1―ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1,2−テトラクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、ペンタクロロエタン、ヘキサクロロエタン、塩化プロピル、塩化イソプロピル、1,2−ジクロロプロパン、1,2,3−トリクロロプロパン、塩化ブチル、塩化sec−ブチル、塩化イソブチル、塩化tert−ブチル、1−クロロペンタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、p−ジクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン、o−クロロトルエン、p−クロロトルエン、1−クロロナフタレン、塩素化ナフタレン、臭化メチル、ブロモホルム、臭化エチル、1,2−ジブロモエタン、1,1,2,2−テトラブロモエタン、臭化プロピル、臭化イソプロピル、ブロモベンゼン、o−ジブロモベンゼン、1−ブロモナフタレン、フルオロベンゼン、ベンゾトリフルオリド、ヘキサフルオロベンゼン、クロロブロモメタン、トリクロロフルオロメタン、1−ブロモ−2−クロロエタン、1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン、1,1,2,2−テトラクロロ−1,2−ジフルオロエタン等を挙げることが出来る。
エーテルとしては、例えばジエチルエーテル、ジ−n−プロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジヘキシルエーテル、アニソール、フェネトール、ジフェニルエーテル、ジオキサン、トリオキサン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルおよびジエチレングリコールジブチルエーテル等を挙げることが出来る。
エステルとしては、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、ギ酸イソブチル、ギ酸ペンチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸ペンチル、酢酸イソペンチル、3−メトキシブチルアセタート、酢酸sec−ヘキシル、2−エチルブチルアセタート、2−エチルヘキシルアセタート、酢酸シクロヘキシル、酢酸ベンジル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸イソペンチル、イソ酪酸メチル、安息香酸メチル、エチレングリコールモノアセタート、二酢酸エチレン、エチレングリコールエステル、炭酸ジエチル等を挙げることが出来る。
ケトンとしては、アセトン、2−ブタノン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、2−ヘキサノン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、ジイソブチルケトン、アセチルアセトン、アセトニルアセトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン等を挙げることが出来る。
窒素化合物としては、例えばニトロメタン、ニトロエタン、1−ニトロプロパン、2−ニトロプロパン、ニトロベンゼン、アセトニトリル、プロピオニトリル、スクシノニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、バレロニトリル、ベンゾニトリル、α−トルニトリル、ピリジン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、2,4−ルチジン、2,6−ルチジン、キノリン、イソキノリン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等を挙げることが出来る。
硫黄化合物としては、例えば二硫化炭素、ジメチルスルフィド、ジエチルスルフィド、チオフェン、テトラヒドロチオフェン、ジメチルスルホキシド、スルホラン等を挙げることが出来る。
上述した他の化合物のうち、特に、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン、メシチレンおよびジエチルベンゼンが好ましく用いられる。これら他の化合物は、1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。他の化合物は、フェノキシアニリンに対し、好ましくは10重量倍以下、より好ましくは5重量倍以下の量を使用することができる。他の化合物の使用量をこのような範囲にすることで、他の化合物を含む溶媒の除去に必要なエネルギーが少なくなり、廃棄物も少なくなるため、経済的である。
原料の仕込み順序および方法としては、フェノキシアニリンまたはフェノキシアニリンを含む溶液に、エピクロロヒドリンまたはエピクロロヒドリンを含む溶液を添加しても良いし、逆にエピクロロヒドリンまたはエピクロロヒドリンを含む溶液にフェノキシアニリンまたはフェノキシアニリンを含む溶液を添加しても良い。急激な発熱や反応暴走を防ぐために、添加する原料を、時間をかけて連続的にまたは分割して間欠的に添加するなど反応速度に合わせて、添加速度を制御することが好ましい。添加に要する時間は、0.5〜6時間が好ましく選ばれる。
本発明における付加反応工程の反応時間は、原料添加終了後、撹拌下で、通常0.5〜60時間である。本発明では、反応液中に含まれる下記一般式(3)で示されるフェノキシ−N−(2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル)アニリン、すなわちモノクロロヒドリン体の残存量が最小になった時点を、反応終了の目安にすることができる。
Figure 2013089006
反応終了の時点としては、反応液中に含まれるフェノキシ−N−(2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル)アニリンの含有量として5%(HPLC area%)以下が好ましく、さらに好ましくは2%以下(HPLC area%)であるときにすると良い。フェノキシ−N−(2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル)アニリンの量が5%以下であれば、二量体の生成が抑制され、高純度かつ低粘度のグリシジルアミン系エポキシ化合物が得られる。また付加反応工程の終点において、フェノキシ−N,N−ビス(2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル)アニリンの量が、好ましくは80%(HPLC area%)以上、より好ましくは85%(HPLC area%)以上であると良い。なお、フェノキシ−N−(2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル)アニリンおよびフェノキシ−N,N−ビス(2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル)アニリンの含有量は、後述するグリシジルアミン系エポキシ化合物の化学純度と同じ分析方法で測定することができる。
本発明において、付加反応温度は0〜60℃、好ましくは10〜50℃、更に好ましくは20〜40℃である。付加反応温度が0℃未満であると、反応終了までに長時間を必要とし、60℃を超えると得られるグリシジルアミン系エポキシ化合物の化学純度が低下し粘度が高くなる。
本発明の環化反応工程では、付加反応で得られたフェノキシ−N,N−ビス(2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル)アニリンをアルカリにより環化反応させることにより、下記一般式(2)で示されるグリシジルアミン系エポキシ化合物を調製する。
Figure 2013089006
環化反応工程使用するアルカリとしては、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、ナトリウムn−プロポキシド、カリウムn−プロポキシド、ナトリウムイソプロポキシド、カリウムイソプロポキシド、ナトリウムn−ブトキシド、カリウムn−ブトキシド、ナトリウムtert−ブトキシド、カリウムtert−ブトキシド、ナトリウムtert−アミラート、カリウムtert−アミラート、ナトリウムn−ヘキシラート、カリウムn−ヘキシラートおよびテトラメチルアンモニウムヒドロキシドなどが例示される。中でも、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましく用いられる。これらアルカリは、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、アルカリは、そのものを付加反応で得られた溶液に投入しても良いが、水またはアルコール溶液として滴下しても良い。
アルカリの使用量は、フェノキシ−N,N−ビス(2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル)アニリン、すなわちジクロロヒドリン体に対し、1〜10モル倍にすることが好ましい。
環化反応は、第四級アンモニウム塩および/または第四級ホスホニウム塩の共存下で行うことが好ましい。これらの塩を添加し共存させることにより、反応が促進され、グリシジルアミン系エポキシ化合物の収率が向上する。
第四級アンモニウム塩としては、テトラメチルアンモニウム、トリメチル−エチルアンモニウム、ジメチルジエチルアンモニウム、トリエチル−メチルアンモニウム、トリプロピル−メチルアンモニウム、トリブチル−メチルアンモニウム、トリオクチル−メチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、トリメチル−プロピルアンモニウム、トリメチルフェニルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム、ベンジルトリエチルアンモニウム、ジアリルジメチルアンモニウム、n−オクチルトリメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウム、セチルジメチルエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラn−ブチルアンモニウム、β−メチルコリンおよびフェニルトリメチルアンモニウム等の臭化塩、塩化塩、ヨウ化塩、硫酸水素塩および水酸化物等を挙げることができる。特に好ましくは、トリオクチル−メチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム、ベンジルトリエチルアンモニウム、テトラn−ブチルアンモニウムの臭化塩、塩化塩、硫酸水素塩および水酸化物である。
また第四級ホスホニウム塩としては、テトラメチルホスホニウム、トリメチル−エチルホスホニウム、ジメチルジエチルホスホニウム、トリエチル−メチルホスホニウム、トリプロピル−メチルホスホニウム、トリブチル−メチルホスホニウム、トリオクチル−メチルホスホニウム、テトラエチルホスホニウム、トリメチル−プロピルホスホニウム、トリメチルフェニルホスホニウム、ベンジルトリメチルホスホニウム、ジアリルジメチルホスホニウム、n−オクチルトリメチルホスホニウム、ステアリルトリメチルホスホニウム、セチルジメチルエチルホスホニウム、テトラプロピルホスホニウム、テトラn−ブチルホスホニウム、フェニルトリメチルホスホニウム、メチルトリフェニルホスホニウム、エチルトリフェニルホスホニウムおよびテトラフェニルホスホニウム等の臭化塩、塩化塩、ヨウ化塩、硫酸水素塩および水酸化物等を挙げることができる。
第四級アンモニウム塩および/または第四級ホスホニウム塩の添加量は、触媒量でよく、フェノキシアニリンに対して0.001〜0.5モル倍が好ましい。
環化反応工程において、反応温度は、好ましくは0〜90℃であり、より好ましくは10〜70℃である。また、反応時間は、アルカリ化合物の添加終了後、好ましくは0.5〜10時間である。
環化反応工程において、付加反応工程で得られた溶液にアルカリ、第四級アンモニウム塩および/または第四級ホスホニウム塩を添加するだけでもよいし、新たに溶媒を追加して使用することもできる。環化反応工程で追加する溶媒としては、アルコール系溶媒、炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒およびエステル系溶媒が好ましく用いられる。
アルコール系溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、1−プロパノール、1−ブタノール、1−ペンタノールおよび1−ヘキサノールなどの1級アルコール類、イソプロパノール、2−ブタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−ヘキサノール、シクロヘキサノール、2−ヘプタノールおよび3−ヘプタノールなどの2級アルコール類、tert−ブタノール、tert−ペンタノール、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコール、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルおよびトリプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテルが挙げられる。
炭化水素系溶媒としては、例えばヘキサン、2−メチルペンタン、2,2−ジメチルブタン、2,3−ジメチルブタン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、ノナン、トリメチルヘキサン、デカン、ドデカン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン、メシチレン、シクロヘキシルベンゼン、ジエチルベンゼン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンおよびエチルシクロヘキサンなどが挙げられる。
エーテル系溶媒としては、例えばジイソピルエーテル、ジブチルエーテル、ジヘキシルエーテル、アニソール、フェネトール、ジフェニルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルおよびジエチレングリコールジブチルエーテルなどが挙げられる。
また、エステル系溶媒としては、例えば酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチルおよび酢酸イソブチルなどが挙げられる。
中でも好ましく用いられる溶媒は、メタノール、エタノール、1−プロパノール、1−ブタノール、イソプロパノール、2−ブタノール、tert−ブタノール、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン、メシチレンおよびジエチルベンゼンである。
環化反応工程における溶媒の使用量は、フェノキシアニリンに対して好ましくは0.1〜20重量倍であり、より好ましくは、1〜10重量倍である。
本発明において目的物であるグリシジルアミン系エポキシ化合物の単離は、(1)反応溶媒の留去、(2)疎水性溶媒による抽出、(3)抽出溶媒の留去、(4)蒸留および(5)晶析などの一般的な単位操作の組み合わせにより達成できる。
例えば、環化反応後の液にトルエンなどの有機溶媒を加え、本発明の目的物を油層に抽出し、水層を分離除去する。さらに、得られた油層を水洗することにより、油層に溶け込んでいる塩を完全に除去することが好ましい。有機溶媒の使用量は、本発明の目的物に対して、好ましくは0.2〜50重量倍であり、より好ましくは1〜20重量倍である。
また、得られた油層から晶析により、目的物であるグリシジルアミン系エポキシ化合物を単離すると高純度化することが容易である。晶析方法としては、冷却晶析、濃縮晶析および貧溶媒晶析などが例示される。
抽出溶媒の留去、蒸留に際しては、薄膜蒸留装置を用いても良い。薄膜蒸留装置としては、遠心式分子蒸留装置、流下膜式分子蒸留装置等が挙げられる。留去した溶媒等は、再利用しても良い。
本発明の製造方法を用いて得られたグリシジルアミン系エポキシ化合物は、化学純度が好ましくは95%以上、より好ましくは97%以上である。グリシジルアミン系エポキシ化合物の化学純度が95%未満であると、貯蔵安定性が低くなり、硬化剤により硬化させた樹脂硬化物が所望の性能を有しない虞がある。本明細書において、グリシジルアミン系エポキシ化合物の化学純度は、高速液体クロマトグラフィーを使用し、後述する方法により測定したときのグリシジルアミン系エポキシ化合物のピーク面積の分率(HPLC area%)である。
さらに、グリシジルアミン系エポキシ化合物中の二量体の含有量が好ましくは2.2%以下である。本明細書における二量体とは下記一般式(4)、一般式(5)で示される化合物をいう。
Figure 2013089006
Figure 2013089006
二量体の含有量を上述した範囲内にすることにより、高純度かつ低粘度のグリシジルアミン系エポキシ化合物が得られる。またグリシジルアミン系エポキシ化合物中に含まれる上記一般式(4)、一般式(5)で示される二量体の含有量は、グリシジルアミン系エポキシ化合物の化学純度を測定する高速液体クロマトグラフィー法における、溶出時間53〜57分に検出される化合物の量(HPLC area%)として求められる。
本発明の製造方法を用いて得られたグリシジルアミン系エポキシ化合物は、E型粘度計を使用し測定した40℃の粘度が、好ましくは0.30Pa・s以下、より好ましくは0.28Pa・s以下である。グリシジルアミン系エポキシ化合物の粘度が0.30Pa・sを超えると、充填材を高充填することができず経済的に不利である。本明細書において、グリシジルアミン系エポキシ化合物の粘度は、E型粘度計を使用し、後述する方法により40℃で測定したときの粘度である。
以下、実施例により具体的に説明するが、本発明は実施例のみに制限されるものではない。なお、本明細書において得られるグリシジルアミン系エポキシ化合物の分析値は、次の方法により測定した。
(化学純度)
以下の条件の液体クロマトグラフィー(島津製作所製CLASS−VP)により、グリシジルアミン系エポキシ化合物のピーク面積の分率(HPLC area%)を測定し、化学純度とした。また、フェノキシ−N−(2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル)アニリンおよびグリシジルアミン系エポキシ化合物の二量体の含有量も、同じ分析条件で測定した。グリシジルアミン系エポキシ化合物の二量体の含有量は、溶出時間53〜57分に検出される化合物のピーク面積の分率(HPLC area%)により測定した。
・カラム: YMC―Pack ODS−AM303 4.6φ×250mm
・カラム温度: 40℃
・移動相: 0.1%(v/v)リン酸水溶液を組成(A)、メタノールを組成(B)とし、下記のグラジエントに示した組成(A/B)で変化させた。
・グラジエント
時間(分) 組成(A/B)
0 90/10
5 90/10
55 10/90
65 10/90
65.1 90/10
・流量: 1ml/min
・注入量: 3μl
・検出: UV 254nm
・分析時間: 80分
・分析サンプル調製:サンプル0.02gを秤量し、メタノール約50mlに希釈
ただし、上記の分析条件に基づく分析結果と同じ結果が得られる限り、この分析条件に限定されるものではない。
(粘度)
以下の条件でグリシジルアミン系エポキシ化合物のE型粘度計を使用した40℃の粘度を測定した。
・粘度計: RE80U(東機産業(株)製)、ローターコードNo.1
・温度: 40℃
・回転数: 20rpm
ただし、上記の分析条件に基づく分析結果と同じ結果が得られる限り、この分析条件に限定されるものではない。
(エポキシ当量)
グリシジルアミン系エポキシ化合物のエポキシ当量は、塩酸−ジオキサン法にて測定した。具体的にはグリシジルアミン系エポキシ化合物に、メタノールと0.2N塩酸のジオキサン溶液を加え、30分間撹拌し反応させた。得られた反応液に、指示薬としてフェノールフタレイン溶液を加え、0.1N水酸化ナトリウム水溶液で中和滴定した。別途行ったブランク滴定の滴定量と、中和滴定の滴定量の差から、塩酸と反応したエポキシ基の当量を求め、得られた当量でグリシジルアミン系エポキシ化合物の重量を除した値をエポキシ当量(g/eq)とした。
以下の実施例および比較例において、「○○重量倍/4−フェノキシアニリン」という記載は、その添加量が4−フェノキシアニリン重量の○○重量倍であることを意味する。また「○○モル倍/4−フェノキシアニリン」という記載は、その添加量が4−フェノキシアニリンのモル量の○○モル倍であることを意味する。
(実施例1)
温度計、滴下漏斗、冷却管および攪拌機を取り付けた四つ口フラスコに、エピクロロヒドリンを210.3g(6.0モル倍/4−フェノキシアニリン)、4−フェノキシアニリン70.12g(0.38mol)仕込んだ。窒素パージを行いながら酢酸17.4g(0.25重量倍/4−フェノキシアニリン)を30分かけて滴下した。温度を40℃まで上げて9時間撹拌しながら熟成することにより付加反応を実施し、4−フェノキシ−N,N−ビス(2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル)アニリンを生成させた。付加反応終了時点の反応液中にフェノキシ−N−(2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル)アニリンは検出されなかった。続いて硫酸水素テトラブチルアンモニウム3.91g(0.03モル倍/4−フェノキシアニリン)を添加し、続いて48%水酸化ナトリウム水溶液126.7g(3.0モル倍/4−フェノキシアニリン)を1時間で滴下してさらに4時間撹拌しながら熟成し、環化反応を行った。
環化反応が終わった後、151.9gの水で洗浄を行い、有機層にさらに112.1gの水を添加して洗浄を行った。有機層からエピクロロヒドリンを減圧下で除き、4−フェノキシ−N,N−ジグリシジルアニリン112.2g(重量収率(4−フェノキシアニリン基準):99.7%)を得た。得られたエポキシ化合物の化学純度を、HPLCを使用して前述した方法で測定したところ98%(HPLC area%)であった。また、溶出時間53〜57分に検出される二量体は0.1%(HPLC area%)、エポキシ当量は159g/eq、E型粘度計を使用し40℃で測定した粘度が0.26Pa・sであった。
(実施例2)
実施例1において、酢酸を35%塩酸17.4g(0.25重量倍/4−フェノキシアニリン)へ、付加反応時間を9時間から21時間に変更したこと以外は、実施例1と同様に実施した。4−フェノキシ−N,N−ジグリシジルアニリンを主成分とする褐色の粘性液体が111.7g(重量収率(4−フェノキシアニリン基準):98.7%)を得た。付加反応終了時点の反応液中に含まれるフェノキシ−N−(2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル)アニリンの量は、0.3%(HPLC area%)であった。このエポキシ化合物の化学純度を、HPLCを使用して前述した方法で測定したところ97%(HPLC area%)であった。また、溶出時間53〜57分に検出される二量体は0.5%(HPLC area%)、エポキシ当量が159g/eq、E型粘度計を使用し40℃で測定した粘度が0.25Pa・sであった。
(実施例3)
温度計、滴下漏斗、冷却管および攪拌機を取り付けた四つ口フラスコに、エピクロロヒドリンを210.2g(6.0モル倍/4−フェノキシアニリン)、イオン交換水17.6g(0.25重量倍/4−フェノキシアニリン)、4−フェノキシアニリン70.61g(0.38mol)仕込んだ。温度を40℃まで上げて46時間撹拌しながら熟成することにより付加反応を実施し、4−フェノキシ−N,N−ビス(2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル)アニリンを生成させた。付加反応終了時点の反応液中にフェノキシ−N−(2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル)アニリンは検出されなかった。続いて硫酸水素テトラブチルアンモニウム3.91g(0.03モル倍/4−フェノキシアニリン)を添加し、続いて48%水酸化ナトリウム水溶液95.9g(3.0モル倍/4−フェノキシアニリン)を1時間で滴下してさらに4時間撹拌しながら熟成し、環化反応を行った。
環化反応が終わった後、112.3gの水で洗浄を行い、有機層にさらに117.1gの水を添加して洗浄を行った。有機層からエピクロロヒドリンを減圧下で除き、4−フェノキシ−N,N−ジグリシジルアニリン112.6g(重量収率(4−フェノキシアニリン基準):99.3%)を得た。エポキシ化合物の化学純度を、HPLCを使用して前述の方法で測定したところ97%(HPLC area%)であった。また、溶出時間53〜57分に検出される二量体は1.2%(HPLC area%)、エポキシ当量は158g/eq、E型粘度計を使用し40℃で測定した粘度が0.27Pa・sであった。
(実施例4)
実施例3において、付加反応工程での反応温度を40℃から60℃へ、反応時間を46時間から12時間に変更したこと以外は、実施例3と同様に実施した。4−フェノキシ−N,N−ジグリシジルアニリンを主成分とする褐色の粘性液体が111.0g(重量収率(4−フェノキシアニリン基準):99.2%)を得た。付加反応終了時点の反応液中にフェノキシ−N−(2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル)アニリンは、検出されなかった。このエポキシ化合物の化学純度を、HPLCを使用して前述した方法で測定したところ96%(HPLC area%)であった。また、溶出時間53〜57分に検出される二量体は2.0%(HPLC area%)、エポキシ当量が160g/eq、E型粘度計を使用し40℃で測定した粘度が0.29Pa・sであった。
(実施例5)
実施例4において、イオン交換水の添加量を17.6g(0.25重量倍/4−フェノキシアニリン)から70.1g(1.0重量倍/4−フェノキシアニリン)に変更した以外は、実施例4と同様に実験した。4−フェノキシ−N,N−ジグリシジルアニリンを主成分とする褐色の粘性液体が111.8g(重量収率(4−フェノキシアニリン基準):99.8%)を得た。付加反応終了時点の反応液中に含まれるフェノキシ−N−(2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル)アニリンの量は、0.1%(HPLC area%)であった。このエポキシ化合物の化学純度を、HPLCを使用して前述した方法で測定したところ95%(HPLC area%)であった。また、溶出時間53〜57分に検出される二量体は2.2%(HPLC area%)、エポキシ当量が159g/eq、E型粘度計を使用し40℃で測定した粘度が0.26Pa・sであった。
(比較例1)
温度計、滴下漏斗、冷却管および攪拌機を取り付けた四つ口フラスコに、エピクロロヒドリンを210.0g(6.0モル倍/4−フェノキシアニリン)、2−プロパノール175.1g(2.5重量倍/4−フェノキシアニリン)、4−フェノキシアニリン70.46g(0.38mol)を仕込んだ。温度を60℃まで上げて15時間撹拌しながら熟成することにより付加反応を実施し、4−フェノキシ−N,N−ビス(2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル)アニリンを生成させた。付加反応終了時点の反応液中に含まれるフェノキシ−N−(2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル)アニリン量は、8.0%(HPLC area%)であった。付加反応液から2−プロパノールと残存エピクロロヒドリンの一部247.4gを減圧下留去した。濃縮物にトルエン140.3g(2.0重量倍/4−フェノキシアニリン)と硫酸水素テトラブチルアンモニウム3.86g(0.03モル倍/4−フェノキシアニリン)を添加し、続いて48%水酸化ナトリウム水溶液95.2g(3.0モル倍/4−フェノキシアニリン)を30℃の温度で30分かけて滴下し、さらに30℃の温度で4時間撹拌しながら熟成し、環化反応を行った。
環化反応が終わった後、112.6gの水で洗浄を行い、有機層にさらに103.2gのイオン交換水と、メタノール34.2gを添加して洗浄を行った。有機層からトルエンとエピクロロヒドリンを減圧下で除き、4−フェノキシ−N,N−ジグリシジルアニリン108.5g(重量収率(4−フェノキシアニリン基準):96.0%)を得た。
得られたエポキシ化合物の化学純度を、HPLCを使用して前述した方法で測定したところ92%(HPLC area%)であった。また、溶出時間53〜57分に検出される二量体は1.3%(HPLC area%)、エポキシ当量は167g/eq、E型粘度計を使用し40℃で測定した粘度が0.24Pa・sであった。
(比較例2)
比較例1において、付加反応温度を60℃から80℃に変更した以外は、比較例1と同様に実験した。4−フェノキシ−N,N−ジグリシジルアニリン111.4g(重量収率(4−フェノキシアニリン基準):99.3%)を得た。付加反応終了時点の反応液中に含まれるフェノキシ−N−(2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル)アニリンは、0.2%(HPLC area%)であった。得られたエポキシ化合物の化学純度を、HPLCを使用して前述した方法で測定したところ95%(HPLC area%)であった。また、溶出時間53〜57分に検出される二量体は2.4%(HPLC area%)、エポキシ当量は162g/eq、E型粘度計を使用し40℃で測定した粘度が0.31Pa・sであった。
(比較例3)
温度計、滴下漏斗、冷却管および攪拌機を取り付けた四つ口フラスコに、エピクロロヒドリンを209.7g(6.0モル倍/4−フェノキシアニリン)、イオン交換水17.7g(0.25重量倍/4−フェノキシアニリン)、4−フェノキシアニリン70.49g(0.38mol)仕込んだ。温度を80℃まで上げて6時間撹拌しながら熟成することにより付加反応を実施し、4−フェノキシ−N,N−ビス(2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル)アニリンを生成させた。付加反応終了時点の反応液中に含まれるフェノキシ−N−(2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル)アニリン量は、0.2%(HPLC area%)であった。得られた付加反応液に硫酸水素テトラブチルアンモニウム3.92g(0.03モル倍/4−フェノキシアニリン)を添加し、続いて48%水酸化ナトリウム96.6g(3.0モル倍/4−フェノキシアニリン)を30℃の温度で30分かけて滴下し、さらに30℃の温度で4時間撹拌しながら熟成し、環化反応を行った。
環化反応が終わった後、115.7gのイオン交換水で洗浄を行い、有機層にさらに115.1gのイオン交換水を添加して洗浄を行った。有機層からエピクロロヒドリンを減圧下で除き、4−フェノキシ−N,N−ジグリシジルアニリン112.4g(重量収率(4−フェノキシアニリン基準):99.3%)を得た。HPLCを使用して前述した方法で測定したところ94%(HPLC area%)であった。また、溶出時間53〜57分に検出される二量体は3.2%(HPLC area%)、エポキシ当量は165g/eq、E粘度計を使用し40℃で測定した粘度は、0.32Pa・s(40℃)であった。
(比較例4)
比較例3において、付加反応工程でイオン交換水を添加しなかったこと、反応時間を6時間から9時間にした以外は、比較例3と同様に実験した。4−フェノキシ−N,N−ジグリシジルアニリンを主成分とする褐色の粘性液体が111.7g得られた(重量収率(4−フェノキシアニリン基準):98.4%)。付加反応終了時点の反応液中にフェノキシ−N−(2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル)アニリンは、検出されなかった。このエポキシ化合物の化学純度を、HPLCを使用して前述した方法で測定したところ93%(HPLC area%)であった。また、溶出時間53〜57分に検出される二量体は4.6%(HPLC area%)、エポキシ当量が168g/eq、E型粘度計を使用し40℃で測定した粘度が0.37Pa・sであった。
(比較例5)
温度計、滴下漏斗、冷却管および攪拌機を取り付けた四つ口フラスコに、エピクロロヒドリンを212.7g(6.0モル倍/4−フェノキシアニリン)、2−プロパノール17.6g(0.25重量倍/4−フェノキシアニリン)、4−フェノキシアニリン70.4g(0.38mol)仕込んだ。温度を40℃まで上げて12時間撹拌しながら熟成することにより付加反応を実施し、4−フェノキシ−N,N−ビス(2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル)アニリンを生成させた。付加反応終了時点の反応液中に含まれるフェノキシ−N−(2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル)アニリン量は、15.8%(HPLC area%)であった。続いて硫酸水素テトラブチルアンモニウム3.87g(0.03モル倍/4−フェノキシアニリン)を添加し、続いて48%水酸化ナトリウム水溶液97.0g(3.0モル倍/4−フェノキシアニリン)を1時間で滴下し、さらに4時間撹拌しながら熟成し、環化反応を行った。
環化反応が終わった後、112.1gの水で洗浄を行い、有機層にさらに112.3gの水を添加して洗浄を行った。有機層からエピクロロヒドリンを減圧下で除き、4−フェノキシ−N,N−ジグリシジルアニリン100.2g(重量収率(4−フェノキシアニリン基準):88.6%)を得た。エポキシ化合物の化学純度を、HPLCを使用して前述した方法で測定したところ83%(HPLC area%)であった。また、溶出時間53〜57分に検出される二量体は0.9%(HPLC area%)、エポキシ当量は185g/eq、E粘度計を使用し40℃で測定した粘度は、0.28Pa・sであった。
実施例、比較例の実験条件と、品質の一覧を表1に示す。
Figure 2013089006

Claims (3)

  1. 下記一般式(1)
    Figure 2013089006
    で示されるフェノキシアニリンとエピクロロヒドリンとを、フェノール類、有機酸、無機酸、水から選ばれる化合物の存在下で、0〜60℃にて反応させる、下記一般式(2)
    Figure 2013089006
    で示されるグリシジルアミン系エポキシ化合物の製造方法。
  2. 前記一般式(2)で示されるグリシジルアミン系エポキシ化合物が、化学純度が95%以上であり、E型粘度計を使用して測定した40℃の粘度が0.30Pa・s以下である請求項1記載のグリシジルアミン系エポキシ化合物の製造方法。
  3. 前記フェノール類、有機酸、無機酸、水から選ばれる化合物を、前記フェノキシアニリンに対して0.01〜20重量倍使用する請求項1または2に記載のグリシジルアミン系エポキシ化合物の製造方法。
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