JPWO2013080696A1 - 有機el素子 - Google Patents

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和博 及川
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Abstract

有機EL素子(100)は、1対の電極(2、8)と、1対の電極(2、8)間に形成された3層構造以上の有機化合物層(20)とを有し、有機化合物層(20)には少なくともウェットプロセスで形成された正孔輸送層(4)と発光層(5)とが含まれる。正孔輸送層(4)には、一定の部分構造を含みかつ重量平均分子量がポリスチレン換算で50000〜200000である高分子化合物と、少なくとも1つのカルバゾール基を有する分子量5000以下の低分子化合物とが、含有されている。

Description

本発明は有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
従来から、発光型の電子ディスプレイデバイスとして、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(以下、ELDと略記する)が知られている。ELDの構成要素としては、無機エレクトロルミネッセンス素子(以下、無機EL素子ともいう)や有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子ともいう)が挙げられる。
無機EL素子は平面型光源として使用されてきたが、発光素子を駆動させるためには交流の高電圧が必要である。
一方、有機EL素子は、発光する化合物を含有する発光層を、陰極と陽極で挟んだ構成を有し、発光層に電子及び正孔を注入して、再結合させることにより励起子(エキシトン)を生成させ、このエキシトンが失活する際の光の放出(蛍光・燐光)を利用して発光する素子であり、数V〜数十V程度の電圧で発光が可能であり、さらに自己発光型であるために視野角に富み、視認性が高く、薄膜型の完全固体素子であるために省スペース、携帯性等の観点から注目されている。
有機EL素子は面光源であるという特徴も有している。
この特性を有効に活用できる用途として、照明用光源や様々なディスプレイのバックライトがある。特に近年では、需要の増加が著しい液晶フルカラーディスプレイのバックライトとして用いることが好適となっている。
有機EL素子をこのような照明用光源やディスプレイのバックライトとして使用する場合、発光色が白色またはいわゆる電球色(以下、総合して白色と称す)を呈する光源として用いることになる。
白色発光を得るためには、B(青色)/G(緑色)/R(赤色)の3層の発光層を積層したり、B/Y(黄色)のように補色関係にある2層の発光層を積層したりする方法(例えば、特許文献1参照)、多色の発光画素、例えば、青・緑・赤の3色を塗り分け、同時に発光させ、混色して白色を得る方法、色変換色素を用いて白色を得る方法(例えば、青発光材料と色変換蛍光色素の組み合わせ)、1つの素子中に発光波長の異なる複数の発光材料を調製し混色により白色を得る方法等が考えられ、これらの方法により白色発光を達成することができる。
しかし、発光色の異なる発光層を積層すると、駆動電流量の変動や連続駆動時の経時変化により発光位置がずれるために、発光色が変わってしまうという問題があった。多色の発光画素の塗り分けによる方法は、マスクの位置合わせ等製造工程が煩雑で歩留まりが悪く、色変換方式では発光効率が低いという問題がある。
これらに対し、単一の発光層に全ての発光材料を混在させることで、発光位置のずれを抑える方法がある。ただし、発光材料が混在すると、各発光材料の発光エネルギーレベルの違いによってエネルギー移動が起きてしまう。
たとえば、特許文献2では、同一層に共存する発光材料間のエネルギー移動を利用して効率を向上させる方法が開示されている。
特許文献2の技術によれば、発光色の異なる発光材料を混合しても、発光するのは一方の発光材料だけであり、白色発光を得るのには適さない。つまり、単一の発光層で好ましい白色の発光を得るためには、多層構成のときと同じ発光材料の比率では白色としての発光を得ることはできず、発光エネルギーレベルの高い発光材料に対して、発光エネルギーレベルの低い発光材料の含有量を極少量にしなければならず、蒸着によって発光層を作製しようとするのは材料比率の制御が難しい。
一方、発光層を含む有機化合物層の製造方法としては、ウェットプロセス(スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、スプレー法、印刷法等)がある。
当該ウェットプロセスは、真空プロセスを必要とせず連続生産が簡便であるという理由で、近年注目を集める製造方法となっている。ウェットプロセスにおいては、塗布液調液時の材料混合比を調製することにより、所望の組成の発光層を形成することができ、混合比が大きく異なる組成の発光層を形成する場合においても優位である。
有機化合物層の構成材料として、高分子化合物をウェットプロセスで使用することは既に広く知られており(例えば、特許文献3,4参照)、有用な技術として認識されている。特許文献5では、特定の重量平均分子量の高分子材料を用いた有機化合物層が紹介されている。
特開平7−41759号公報 特開2006−41395号公報 特開平10−308280号公報 特表2001−527102号公報 特開2004−292782号公報
これらの特許文献を参考に、ウェットプロセスの有機化合物層の材料として、高分子化合物を用いれば、極めて有用な素子を得ることができると考え、開発を検討したところ、特許文献には記載されていなかった新たな問題があることが判明した。
すなわち、高分子化合物を使用した場合であっても、ウェットプロセスで有機化合物層を積層し続ける構造を、構成するのが困難であるということである。高分子化合物による層上にこれとは別の高分子化合物による塗布液を塗布し次の層を積層すると、上層の塗布に用いた溶媒に下層の高分子化合物が一部溶け込み、層界面に凹凸が生じてしまう。かかる場合に、その凹凸によって各層の層厚が変動し、製造後の有機EL素子に電流を流したとき、電子の流れに不均一性が生じて整流比が低下し、素子が突然光らなくなる現象が現れることがある。
このような現象に対し、下層の高分子化合物の上層溶媒への溶解性を減少させるべく高分子量化を進めすぎると、発光効率や発光寿命などに影響することが示唆された。
したがって、本発明の主な目的は、高分子化合物を使用してウェットプロセスにより有機化合物層を形成した場合であっても、積層構造に起因する問題を解決し、発光効率や発光寿命などの特性を向上させることができる有機EL素子を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明によれば、
1対の電極と、
前記1対の電極間に形成された3層構造以上の有機化合物層とを有し、
前記有機化合物層には少なくともウェットプロセスで形成された正孔輸送層と発光層とが含まれる有機EL素子において、
前記正孔輸送層には、一般式(1)で表される部分構造を含みかつ重量平均分子量がポリスチレン換算で50000〜200000である高分子化合物と、少なくとも1つのカルバゾール基を有する分子量5000以下の低分子化合物とが、含有されていることを特徴とする有機EL素子が提供される。
Figure 2013080696
[一般式(1)中、「Ar」、「Ar」は、それぞれ独立して置換基を有してもよいアリーレン基を表し、それぞれ連結基を介して結合していてもよい。「Ar」、「Ar」は、それぞれ独立して置換基を有してもよいアリール基または芳香族複素環基を表す。「n1」、「n2」は0〜2の整数を表し、n1とn2が同時に0となることはない。「n3」は5〜1000の整数を表す。]
本発明によれば、高分子化合物を使用してウェットプロセスにより有機化合物層を形成した場合であっても、発光効率や発光寿命などの特性を向上させることができる。
有機EL素子の構成の一例を示す概略断面図である。
次に、図面を参照しながら本発明の好ましい実施形態について説明する。
本発明の好ましい実施形態にかかる有機EL素子は、1対の電極と、有機化合物で構成された3層構造以上の有機化合物層とを有し、有機化合物層には少なくともウェットプロセスで形成された正孔輸送層と発光層とが含まれ、主な特徴として、正孔輸送層に対し、一般式(1)で表される部分構造を含む高分子化合物と、少なくとも1つのカルバゾール基を有する低分子化合物とが、含有されている。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、正孔輸送層の正孔輸送材料としての高分子化合物を特定の分子量範囲内に限定することで、ウェットプロセスに対する製膜性が良化し、かつ外部取り出し量子効率及び寿命が向上することを見出し、本発明を成すに至った。
具体的には、該高分子化合物の重量平均分子量は、ポリスチレン換算で50,000〜200,000である。分子量がこの範囲未満では、溶媒への溶解性の高さから製膜時に他の層と混合する懸念がある。また製膜できたとしても、低い分子量では発光効率が上がらない。分子量がこの範囲より大きい場合は、合成、精製の難しさにより問題が生じる。分子量分布が大きくなると共に、不純物の残存量も増加するため、有機EL素子の発光効率、電圧、寿命は悪化する。
まずは、一般式(1)で表わされる部分構造を含む高分子化合物とカルバゾール基を有する低分子化合物とについて説明し、その後に有機EL素子を構成する有機化合物層や部材の構成などについて説明する。
《一般式(1)の部分構造を含む高分子化合物》
本発明の一般式(1)で表わされる部分構造を含む高分子化合物について説明する。
Figure 2013080696
一般式(1)において、「Ar」、「Ar」は、それぞれ独立して置換基を有してもよいアリーレン基を表す。
Ar、Arで表される置換基を有してもよいアリーレン基としては、例えばフェニレン、ジフェニレン等を表す。それらの基は低級アルキル基、あるいは低級アルコキシ基等の置換基を有していてもよい。
またArまたはArはそれぞれ結合基を介して結合していてもよい。結合基とは
Figure 2013080696
等の2価の基であり、ArまたはArが結合基を介して結合するとは、例えば結合基が−O−や−S−であると
Figure 2013080696
のように結合している状態をいう。
好ましいArまたはAr
Figure 2013080696
である。
「Ar」または「Ar」は、それぞれ独立して、置換基を有してもよいアリール基、例えばフェニル、ジフェニル等または複素環基、例えばチエニル、フリル等を表す。それらの基はアルキル基、あるいはアルコキシ基等の置換基を有していてもよい。
好ましいArまたはArは、フェニル基及びアルキル基またはアルコキシ基を置換基として有するフェニル基である。
「n1」は0〜2の整数、好ましくは0〜1の整数を表す。
「n2」は0〜2の整数、好ましくは0〜1の整数を表す。
ただし、n1とn2は同時に0ではない。
「n3」は5〜1,000の整数を表し、好ましくは10〜1,000の整数を表し、より好ましくは20〜1,000である。
一般式(1)に置換することができる置換基の例としては、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、プロパルギル基等)、芳香族炭化水素基(芳香族炭化水素環基、芳香族炭素環基、アリール基等ともいい、例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基等)、芳香族複素環基(例えば、ピリジル基、ピリミジニル基、フリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ピラジニル基、トリアゾリル基(例えば、1,2,4−トリアゾール−1−イル基、1,2,3−トリアゾール−1−イル基等)、オキサゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、チアゾリル基、イソオキサゾリル基、イソチアゾリル基、フラザニル基、チエニル基、キノリル基、ベンゾフリル基、ジベンゾフリル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾチエニル基、インドリル基、カルバゾリル基、カルボリニル基、ジアザカルバゾリル基(前記カルボリニル基のカルボリン環を構成する炭素原子の一つが窒素原子で置き換わったものを示す)、キノキサリニル基、ピリダジニル基、トリアジニル基、キナゾリニル基、フタラジニル基等)、複素環基(例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アミド基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等)、アリールスルホニル基またはヘテロアリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、フッ化炭化水素基(例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタフルオロフェニル基等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリフェニルシリル基、フェニルジエチルシリル基等)、ホスホノ基等が挙げられる。
また、これらの置換基は上記の置換基によってさらに置換されていてもよい。また、これらの置換基は複数が互いに結合して環を形成していてもよい。
本発明の化合物は、エンドキャップされていることが好ましい。エンドキャップとは、特許文献4にて詳細に説明されており、概要は以下の通りである。
エンドキャッピング剤(ポリマー成長を停止する化合物)をポリマー合成反応中に添加することによって重合を制御し、ポリマー鎖のさらなる成長を制限することが可能となる。従って、エンドキャッピング剤を過剰に加えると(例えば、重合を停止するのが望ましいステップで)、ポリマー鎖(及び/またはポリマーが分枝及び/または架橋の場合ポリマーネットワーク)のさらなる成長は実質的に抑制(例えば実質的に停止)されることとなる。すなわち、エンドキャッピング剤は、ポリマー鎖に、重合条件下で(例えば他のポリマー前駆体及び/またはポリマー鎖の他の部分との)カップリングを受けることが実質的にできない末端基を加え、この末端基がポリマー鎖をエンドキャップし、エンドキャップされなければ重合条件下でポリマー鎖が成長するであろう部位をブロックすることによって、さらなる重合の可能性を実質的に減ずる(好ましくは停止する)ように働く。本発明の化合物において、約60%〜実質的に全ての重合部位が、少なくとも一つの末端置換基によってブロックされることが好ましい。さらに好ましくは、(一つの場合において)実質的に全ての部位がブロックされる。別のさらに好ましい場合においては、約60%〜約90%のこれらの部位がブロックされる。エンドキャッピング剤の具体例については、特許文献4、特許文献5に記載された例を引用することができる。
本発明の一般式(1)で表される部分構造を含む高分子化合物としては、具体的には以下のもの(化合物(1)〜(60))が挙げられるが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
Figure 2013080696
Figure 2013080696
Figure 2013080696
Figure 2013080696
Figure 2013080696
Figure 2013080696
なお、上記nは重合度を表し、重量平均分子量が50,000〜200,000の範囲となる整数を表す。重量平均分子量がこの範囲未満では、溶媒への溶解性の高さから製膜時に他の層と混合する懸念がある。また製膜できたとしても、低い分子量では発光効率が上がらない。重量平均分子量がこの範囲より大きい場合は、合成、精製の難しさにより問題が生じる。分子量分布が大きくなると共に、不純物の残存量も増加するため、有機EL素子の発光効率、電圧、寿命は悪化する。
一般式(1)で表される部分構造を含む高分子化合物は、Makromol.Chem.,193,909頁(1992)等に記載の公知の方法で合成することができる。
《合成例1(化合物(50)の合成)》
下記スキームにより、化合物(50)を合成した。
Figure 2013080696
化合物50−1(15.0g)及び化合物50−2(18.0g)をトルエン200mlに溶解し、窒素下において、Aliquat336(1.0g)及び2mol/Lの炭酸水素ナトリウム溶液30mlを加えた。この混合物を激しく撹拌し、2時間加熱還流した後、1.0gのブロモベンゼンを加え5時間加熱した。この反応液を60℃まで冷却し、3Lのメタノールと300mlの純水の混合液中に、撹拌下ゆっくりと添加した。析出物をろ取し、メタノールと純水で繰り返し洗浄した後、真空オーブン内で60℃において10時間乾燥させ、「化合物50a(19.0g、重量平均分子量5000)」を得た。この化合物50aのスペクトル特性は、化合物(50)と一致した。
反応時間を変更した以外は同様の処理を行い、化合物50b(重量平均分子量30,000)、化合物50c(重量平均分子量55,000)、化合物50d(重量平均分子量80,000)、化合物50e(重量平均分子量250,000)を得た。
《カルバゾール基を有する低分子化合物》
カルバゾール基を有する低分子化合物としては、分子量5000以下のカルバゾール基を有する低分子化合物が用いられ、分子量4000以下であることが好ましく、分子量2000以下であることが更に好ましい。分子量が大き過ぎた場合、高分子材料特有の溶媒浸透や膨潤の問題が解消されず、上層に低分子化合物を用いた場合、溶媒と共に低分子化合物が混入してしまう問題がある。低分子化合物と高分子材料を混ぜることで、膜密度が上がり、上層の低分子化合物の混入を未然に防ぐことができる。
カルバゾール基を有する低分子化合物のLUMO(Lowest Unoccupiede Molecular Orbital)準位の絶対値は1.2以下であることが好ましく、1.0以下であることがより好ましく、0.8以下であることが更に好ましい。先行技術のポリマー材料も含め、発光層からの電子の漏れを十分に防ぐことのできる材料は未だなく、塗布の場合新たに層を設けることが困難なため、上記のLUMO準位を持つ低分子化合物を選択することにより、電子ブロック性能が付与され、層構成の簡略化(コスト低減)と電子ブロック性能の両立という新規の効果が得られる。
なお、LUMO準位などのエネルギー準位を見積もる方法としては、紫外線光電子分光法、X線光電子分光法により求められるLUMOエネルギー準位、光学的バンドギャップエネルギーから見積もる方法および分子軌道計算から見積もる方法がある。
更に、正孔輸送層(HT)に含まれる低分子化合物は発光層側界面に局在させることが理想だが、先行技術では低分子化合物と高分子材料が同一構造部分を持つ材料を用いているため、相溶性が高く、HT内に低分子化合物が分散してしまい、低分子化合物を高濃度化する必要があり、結果的に高分子材料のメリットである正孔輸送性を下げてしまう問題がある。
本発明では高分子材料とは異なる部分構造を持つ低分子化合物を用いることが好ましく、塗布時および膜乾燥時に電子ブロック低分子化合物を表面付近に局在化させることができ、正孔輸送性を損なわずに安価に電子ブロック能を付与できる点で優れている。また、ガラス転位点(Tg)の差を利用して塗布後の加熱乾燥時に相分離が成されても良い。さらに、これらの低分子化合物の部分構造は発光層など隣接層に含まれる化合物の部分構造と共通の構造をもっていることが正孔の注入輸送の観点から好ましい。
カルバゾール基を有する低分子化合物としては、下記一般式(2)で示される化合物が用いられる。
Figure 2013080696
式(2)中、「X」はNR’、O、S、CR’R’’またはSiR’R’’を表す。
「R’」、「R’’」は各々水素原子または置換基を表す。
「Ar」は芳香環を表す。
「n」は0〜8の整数を表す。
一般式(2)におけるXにおいて、R’、R’’で各々表される置換基としては、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、プロパルギル基等)、芳香族炭化水素環基(芳香族炭素環基、アリール基等ともいい、例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基等)、芳香族複素環基(例えば、ピリジル基、ピリミジニル基、フリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ピラジニル基、トリアゾリル基(例えば、1,2,4−トリアゾール−1−イル基、1,2,3−トリアゾール−1−イル基等)、オキサゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、チアゾリル基、イソオキサゾリル基、イソチアゾリル基、フラザニル基、チエニル基、キノリル基、ベンゾフリル基、ジベンゾフリル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾチエニル基、インドリル基、カルバゾリル基、カルボリニル基、ジアザカルバゾリル基(前記カルボリニル基のカルボリン環を構成する炭素原子の一つが窒素原子で置き換わったものを示す)、キノキサリニル基、ピリダジニル基、トリアジニル基、キナゾリニル基、フタラジニル基等)、複素環基(例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アミド基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等)、アリールスルホニル基又はヘテロアリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、フッ化炭化水素基(例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタフルオロフェニル基等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリフェニルシリル基、フェニルジエチルシリル基等)等が挙げられる。これらの置換基は上記の置換基によって更に置換されていてもよい。これらの置換基は複数が互いに結合して環を形成していてもよい。
中でも、XとしてはNR’又はOが好ましく、また、R’としては、芳香族炭化水素基(芳香族炭素環基、アリール基等ともいい、例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基)、又は芳香族複素環基(例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、トリアジニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、キナゾリニル基、フタラジニル基等)が特に好ましい。
上記の芳香族炭化水素基、芳香族複素環基は、各々一般式(2)のXにおいて、R’、R’’で各々表される置換基を有してもよい。
一般式(2)において、Arにより表される芳香環としては、芳香族炭化水素環又は芳香族複素環が挙げられる。また、該芳香環は単環でもよく、縮合環でもよく、更に未置換でも、一般式(2)のXにおいて、R’、R’’で各々表される置換基を有してもよい。
一般式(2)において、Arにより表される芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、ビフェニル環、ナフタレン環、アズレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピレン環、クリセン環、ナフタセン環、トリフェニレン環、o−テルフェニル環、m−テルフェニル環、p−テルフェニル環、アセナフテン環、コロネン環、フルオレン環、フルオラントレン環、ナフタセン環、ペンタセン環、ペリレン環、ペンタフェン環、ピセン環、ピレン環、ピラントレン環、アンスラアントレン環等が挙げられる。これらの環は更に、一般式(2)で表される部分構造のXにおいて、R’、R’’で各々表される置換基を有してもよい。
一般式(2)で表される部分構造において、Arにより表される芳香族複素環としては、例えば、フラン環、ジベンゾフラン環、チオフェン環、オキサゾール環、ピロール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、ベンゾイミダゾール環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、インドール環、インダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、キノキサリン環、キナゾリン環、シンノリン環、キノリン環、イソキノリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、カルバゾール環、カルボリン環、ジアザカルバゾール環(カルボリン環を構成する炭化水素環の炭素原子の一つが更に窒素原子で置換されている環を示す)等が挙げられる。
これらの環は、更に一般式(2)において、R’、R’’で各々表される置換基を有してもよい。
上記の中でも、一般式(2)において、Arにより表される芳香環として、好ましく用いられるのは、カルバゾール環、カルボリン環、ジベンゾフラン環、ベンゼン環であり、更に好ましく用いられるのは、カルバゾール環、カルボリン環、ベンゼン環であり、より好ましくは置換基を有するベンゼン環であり、特に好ましくはカルバゾリル基を有するベンゼン環が挙げられる。
また、一般式(2)において、Arにより表される芳香環としては、各々3環以上の縮合環が好ましい一態様であり、3環以上が縮合した芳香族炭化水素縮合環としては、具体的には、ナフタセン環、アントラセン環、テトラセン環、ペンタセン環、ヘキサセン環、フェナントレン環、ピレン環、ベンゾピレン環、ベンゾアズレン環、クリセン環、ベンゾクリセン環、アセナフテン環、アセナフチレン環、トリフェニレン環、コロネン環、ベンゾコロネン環、ヘキサベンゾコロネン環、フルオレン環、ベンゾフルオレン環、フルオランテン環、ペリレン環、ナフトペリレン環、ペンタベンゾペリレン環、ベンゾペリレン環、ペンタフェン環、ピセン環、ピラントレン環、コロネン環、ナフトコロネン環、オバレン環、アンスラアントレン環等が挙げられる。なお、これらの環は、更に上記の置換基を有していてもよい。
また、3環以上が縮合した芳香族複素環としては、具体的には、アクリジン環、ベンゾキノリン環、カルバゾール環、カルボリン環、フェナジン環、フェナントリジン環、フェナントロリン環、カルボリン環、サイクラジン環、キンドリン環、テペニジン環、キニンドリン環、トリフェノジチアジン環、トリフェノジオキサジン環、フェナントラジン環、アントラジン環、ペリミジン環、ジアザカルバゾール環(カルボリン環を構成する炭素原子の任意の一つが窒素原子で置き換わったものを表す)、フェナントロリン環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、ナフトフラン環、ナフトチオフェン環、ベンゾジフラン環、ベンゾジチオフェン環、ナフトジフラン環、ナフトジチオフェン環、アントラフラン環、アントラジフラン環、アントラチオフェン環、アントラジチオフェン環、チアントレン環、フェノキサチイン環、チオファントレン環(ナフトチオフェン環)等が挙げられる。なお、これらの環は更に置換基を有していてもよい。
また、一般式(2)において、nは0〜8の整数を表すが、0〜2であることが好ましく、特にXがO、Sである場合には1〜2であることが好ましい。
本発明においては、特に、ジベンゾフラン環とカルバゾール環をともに有する低分子化合物が好ましい。
また、本発明において正孔輸送層の構成物質の総質量に対する前記低分子化合物の総質量%濃度は0.05〜60質量%であることが好ましい。
正孔輸送層の構成物質の総質量に対する低分子化合物の総質量%濃度の最適な範囲は、下限値が5質量%であり、好ましくは10質量%であり、より好ましくは20質量%であり、他方、上限値は50質量%であり、好ましくは40質量%である。
この範囲より少なすぎると、低分子化合物由来の高機能化が発現せず、この範囲よりも多すぎると、高分子が主に担っている正孔輸送性が低下し、素子性能が低下する問題がある。
以下に、一般式(2)で表される低分子化合物の具体例(HL−1〜HL−38)を示すが、これらに限定されるものではない。
Figure 2013080696
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《有機EL素子の構成》
図1に示すとおり、本発明の好ましい実施形態にかかる有機EL素子100は、可撓性支持基板1を有している。可撓性支持基板1上には陽極2が形成され、陽極2上には有機化合物層20が形成され、有機化合物層20上には陰極8が形成されている。
有機化合物層20とは、陽極2と陰極8との間に設けられている有機EL素子100を構成する各層をいう。
有機化合物層20には、例えば、正孔注入層3、正孔輸送層4、発光層5、電子輸送層6、電子注入層7が含まれ、そのほかに正孔阻止層や電子注入層などが含まれてもよい。
可撓性支持基板1上の陽極2,有機化合物層20,陰極8は封止接着剤9を介して可撓性封止部材10によって封止されている。
なお、有機EL素子100のこれらの層構造(図1参照)は単に好ましい具体例を示したものであり、本発明はこれらに限定されない。
たとえば、有機EL素子100は(i)〜(ii)の層構造を有していてもよい。
(i)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
(ii)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層(電子注入層)/陰極
本発明の有機EL素子においては、青色発光材料の発光極大波長は430〜480nmにあるものが好ましく、緑色発光材料は発光極大波長が510〜550nm、赤色発光材料は発光極大波長が600〜640nmの範囲にあることが好ましく、これらを用いた表示装置であることが好ましい。また、これらの少なくとも3色の発光層を積層して白色発光層としたものであってもよいし、同一層に複数の発光色を混ぜても良い。さらに、発光層間には非発光性の中間層を有していてもよい。塗布方式で成膜する場合、コストと簡易性の問題から単一層に3色の発光材料を混ぜた白色層であることが好ましい。本発明の有機EL素子としては白色発光層であることが好ましく、これらを用いた照明装置であることが好ましい。
本発明の有機EL素子を構成する各層について説明する。
《発光層》
本発明に係る発光層は、電極または電子輸送層、正孔輸送層から注入されてくる電子及び正孔が再結合して発光する層であり、発光する部分は発光層の層内であっても発光層と隣接層との界面であってもよい。
発光層の膜厚の総和は特に制限はないが、膜の均質性や、発光時に不必要な高電圧を印加するのを防止し、かつ、駆動電流に対する発光色の安定性向上の観点から、2nm〜5μmの範囲に調整することが好ましく、さらに好ましくは2〜200nmの範囲に調整され、特に好ましくは、10〜100nmの範囲である。
本発明の有機EL素子の発光層には、発光性ドーパント(リン光発光性ドーパントや蛍光ドーパント等)化合物と、発光ホスト化合物を含有する。
(1)発光材料(発光ドーパント)
本発明に係る発光材料(発光ドーパント)としては、蛍光性化合物、リン光発光材料(リン光性化合物、リン光発光性化合物等ともいう)を用いることができるが、リン光発光材料であることが好ましい。
本発明において、リン光発光材料とは励起三重項からの発光が観測される化合物であり、具体的には室温(25℃)にてリン光発光する化合物であり、リン光量子収率が25℃において0.01以上の化合物であると定義されるが、好ましいリン光量子収率は0.1以上である。
上記リン光量子収率は第4版実験化学講座7の分光IIの398頁(1992年版、丸善)に記載の方法により測定できる。溶液中でのリン光量子収率は種々の溶媒を用いて測定できるが、本発明においてリン光発光材料を用いる場合、任意の溶媒のいずれかにおいて上記リン光量子収率(0.01以上)が達成されればよい。
リン光発光材料の発光原理としては2種挙げられ、一つはキャリアが輸送されるホスト化合物上でキャリアの再結合が起こってホスト化合物の励起状態が生成し、このエネルギーをリン光発光材料に移動させることでリン光発光材料からの発光を得るというエネルギー移動型、もう一つはリン光発光材料がキャリアトラップとなり、リン光発光材料上でキャリアの再結合が起こりリン光発光材料からの発光が得られるというキャリアトラップ型であるが、いずれの場合においても、リン光発光材料の励起状態のエネルギーはホスト化合物の励起状態のエネルギーよりも低いことが条件である。
リン光発光材料は、有機EL素子の発光層に使用される公知のものの中から適宜選択して用いることができるが、好ましくは元素の周期表で8〜10族の金属を含有する錯体系化合物であり、さらに好ましくはイリジウム化合物、オスミウム化合物、または白金化合物(白金錯体系化合物)、希土類錯体であり、中でも最も好ましいのはイリジウム化合物である。
本実施形態にかかるリン光発光材料は、少なくとも1つの青色リン光材料を含むものであり、好ましくは少なくとも1つの青色リン光材料と、当該青色リン光材料よりもバンドギャップエネルギーが低い少なくとも1つのリン光材料とを、含むものである。
以下に、本発明の一般式(3)で表されるリン光発光ドーパントについて説明する。
Figure 2013080696
一般式(3)において、「R」は置換基を表す。
「Z」は5〜7員環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。
「n1」は0〜5の整数を表す。
「B〜B」は炭素原子、窒素原子、酸素原子または硫黄原子を表し、少なくとも1つは窒素原子を表す。
「M」は元素周期表における8族〜10族の金属を表す。
「X」及び「X」は炭素原子、窒素原子または酸素原子を表し、「L」はXおよびXと共に2座の配位子を形成する原子群を表す。
「m1」は1、2または3の整数を表し、「m2」は0、1または2の整数を表すが、「m1+m2」は2または3である。
本発明に係る一般式(3)で表されるリン光性化合物は、HOMOが−5.15〜−3.50eV、LUMOが−1.25〜+1.00eVであり、好ましくはHOMOが−4.80〜−3.50eV、LUMOが−0.80〜+1.00eVである。
一般式(3)で表されるリン光性化合物において、Rで表される置換基としては、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、プロパルギル基等)、芳香族炭化水素環基(芳香族炭素環基、アリール基等ともいい、例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基等)、芳香族複素環基(例えば、ピリジル基、ピリミジニル基、フリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ピラジニル基、トリアゾリル基(例えば、1,2,4−トリアゾール−1−イル基、1,2,3−トリアゾール−1−イル基等)、オキサゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、チアゾリル基、イソオキサゾリル基、イソチアゾリル基、フラザニル基、チエニル基、キノリル基、ベンゾフリル基、ジベンゾフリル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾチエニル基、インドリル基、カルバゾリル基、カルボリニル基、ジアザカルバゾリル基(前記カルボリニル基のカルボリン環を構成する炭素原子の一つが窒素原子で置き換わったものを示す)、キノキサリニル基、ピリダジニル基、トリアジニル基、キナゾリニル基、フタラジニル基等)、複素環基(例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アミド基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等)、アリールスルホニル基又はヘテロアリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリフェニルシリル基、フェニルジエチルシリル基等)等が挙げられる。これらの置換基のうち、好ましいものはアルキル基もしくはアリール基である。
Zは、5〜7員環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。Zにより形成される5〜7員環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環、ピリミジン環、ピロール環、チオフェン環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサゾール環及びチアゾール環等が挙げられる。これらのうちで好ましいものは、ベンゼン環である。
〜Bは、炭素原子、窒素原子、酸素原子もしくは硫黄原子を表し、少なくとも一つは窒素原子を表す。これら5つの原子により形成される芳香族含窒素複素環としては単環が好ましい。例えば、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、オキサジアゾール環及びチアジアゾー環ル等が挙げられる。これらのうちで好ましいものは、ピラゾール環、イミダゾール環であり、特に好ましくはB2、B5が窒素原子であるイミダゾール環である。これらの環は上記の置換基によって更に置換されていてもよい。置換基として好ましいものはアルキル基及びアリール基であり、更に好ましくはアリール基である。
は、X、Xと共に2座の配位子を形成する原子群を表す。X−L−Xで表される2座の配位子の具体例としては、例えば、置換又は無置換のフェニルピリジン、フェニルピラゾール、フェニルイミダゾール、フェニルトリアゾール、フェニルテトラゾール、ピラザボル、ピコリン酸及びアセチルアセトン等が挙げられる。これらの基は上記の置換基によって更に置換されていてもよい。
m1は、1、2又は3の整数を表し、m2は0、1又は2の整数を表すが、m1+m2は2又は3である。中でも、m2は0である場合が好ましい。Mで表される金属としては、元素周期表の8〜10族の遷移金属元素(単に遷移金属ともいう)が用いられるが、中でもイリジウム、白金が好ましく、更に好ましくはイリジウムである。
また、B〜Bで形成される含窒素複素環がイミダゾール環の場合、前記一般式(3)は一般式(4)で表されることがより好ましい。
Figure 2013080696
一般式(4)において、「R」、「R」、「R」は置換基を表す。
「Z」は5〜7員環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。
「n1」は0〜5の整数を表す。
「M」は元素周期表における8族〜10族の金属を表す。
「X」および「X」は炭素原子、窒素原子もしくは酸素原子を表し、「L」はXおよびXとともに2座の配位子を形成する原子群を表す。
「m1」は1、2または3の整数を表し、「m2」は0、1または2の整数を表すが、「m1+m2」は2または3である。
一般式(4)において、R、R、Rで表される置換基は前記一般式(3)におけるRで表される置換基と同義である。
また、一般式(4)において、Z、M、XおよびX、L等についても前記一般式(3)におけるものと同義であり、m1、m2も一般式(3)におけるものと同義である。
また、一般式(4)のRで表される基は、芳香族炭化水素環基(芳香族炭素環基)が好ましく、なかでも置換アリール基が好ましく、置換アリール基としては一般式(5)で表される基が好ましい。
Figure 2013080696
一般式(5)中、「R」は立体パラメータ値(Es値)が−0.5以下の置換基を表し、「R」は置換基を表し、「n5」は0〜4の整数を表す。
一般式(5)中、「*」は結合位置を示す。
以下に、一般式(3)で表されるリン光性化合物の具体的な化合物(D−1〜D−133)を例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2013080696
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(2)発光ホスト化合物(発光ホスト等ともいう)
本発明において発光ホスト化合物は、発光層に含有される化合物の内で、その層中での質量比が20%以上であり、かつ室温(25℃)においてリン光発光のリン光量子収率が、0.1未満の化合物と定義される。好ましくはリン光量子収率が0.01未満である。また、発光層に含有される化合物の中で、その層中での質量比が20%以上であることが好ましい。
本発明に用いることができる発光ホストとしては、特に制限はなく、従来有機EL素子で用いられる化合物を用いることができる。代表的にはカルバゾール誘導体、トリアリールアミン誘導体、芳香族誘導体、含窒素複素環化合物、チオフェン誘導体、フラン誘導体、オリゴアリーレン化合物等の基本骨格を有するもの、または、カルボリン誘導体やジアザカルバゾール誘導体(ここで、ジアザカルバゾール誘導体とは、カルボリン誘導体のカルボリン環を構成する炭化水素環の少なくとも1つの炭素原子が窒素原子で置換されているものを表す。)等が挙げられる。
本発明に用いることができる公知の発光ホストとしては正孔輸送能、電子輸送能を有しつつ、かつ、発光の長波長化を防ぎ、なおかつ高Tg(ガラス転移温度)である化合物が好ましい。
また、本発明においては、(本発明の発光ホスト及び/または公知の発光ホスト)を単独で用いてもよく、または複数種併用して用いてもよい。
発光ホストを複数種用いることで、電荷の移動を調整することが可能であり、有機EL素子を高効率化することができる。
また、前記リン光ドーパントとして用いられる公知の化合物を複数種用いることで、異なる発光を混ぜることが可能となり、これにより任意の発光色を得ることができる。
また、本発明に用いられる発光ホストとしては、低分子化合物でも、繰り返し単位をもつ高分子化合物でもよく、ビニル基やエポキシ基のような重合性基を有する低分子化合物(重合性発光ホスト)でもよく、このような化合物を一種または複数種用いてもよい。
更に、本発明に用いられる発光ホストでは、電荷輸送の観点から正孔輸送層を構成する前述の高分子化合物または低分子化合物と共通の構造を持つことが最適である。
具体的には、発光ホストの分子内において、カルバゾール骨格、トリアリールアミン骨格、チオフェン骨格、フラン骨格、カルボリン骨格、ジアザカルバゾール骨格を有するのが好ましく、カルバゾール骨格、チオフェン骨格、フラン骨格を有するのがより好ましい。
公知の発光ホストの具体例としては、以下の文献に記載の化合物が挙げられる。
特開2001−257076号公報、同2002−308855号公報、同2001−313179号公報、同2002−319491号公報、同2001−357977号公報、同2002−334786号公報、同2002−8860号公報、同2002−334787号公報、同2002−15871号公報、同2002−334788号公報、同2002−43056号公報、同2002−334789号公報、同2002−75645号公報、同2002−338579号公報、同2002−105445号公報、同2002−343568号公報、同2002−141173号公報、同2002−352957号公報、同2002−203683号公報、同2002−363227号公報、同2002−231453号公報、同2003−3165号公報、同2002−234888号公報、同2003−27048号公報、同2002−255934号公報、同2002−260861号公報、同2002−280183号公報、同2002−299060号公報、同2002−302516号公報、同2002−305083号公報、同2002−305084号公報、同2002−308837号公報等。
次に、本発明の有機EL素子の構成層として用いられる、注入層、阻止層、正孔輸送層、電子輸送層等について説明する。
《注入層:電子注入層、正孔注入層》
注入層には、電子注入層と正孔注入層があり、上記の如く陽極と発光層または正孔輸送層の間、及び陰極と発光層または電子輸送層との間に存在させてもよい。
注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と有機層間に設けられる層のことで、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123〜166頁)に詳細に記載されており、正孔注入層(陽極バッファー層)と電子注入層(陰極バッファー層)とがある。
陽極バッファー層(正孔注入層)は、特開平9−45479号公報、同9−260062号公報、同8−288069号公報等にもその詳細が記載されており、具体例として、ポリアニリン(エメラルディン)やポリチオフェン等の導電性高分子を用いた高分子バッファー層等が挙げられる。
陰極バッファー層(電子注入層)は、特開平6−325871号公報、同9−17574号公報、同10−74586号公報等にもその詳細が記載されており、具体的にはストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属バッファー層、フッ化リチウムに代表されるアルカリ金属化合物バッファー層、フッ化マグネシウムに代表されるアルカリ土類金属化合物バッファー層、酸化アルミニウムに代表される酸化物バッファー層等が挙げられる。上記バッファー層(注入層)は極薄い膜であることが望ましく、素材にもよるがその膜厚は0.1nm〜5μmの範囲が好ましい。特に好ましくは20〜100nmである。
《阻止層:正孔阻止層、電子阻止層》
阻止層は、上記の如く有機化合物薄膜の基本構成層の他に必要に応じて設けられるものである。例えば、特開平11−204258号公報、同11−204359号公報、及び「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の237頁等に記載されている正孔阻止(ホールブロック)層がある。
正孔阻止層とは広い意味では電子輸送層の機能を有し、電子を輸送する機能を有しつつ正孔を輸送する能力が著しく小さい正孔阻止材料からなり、電子を輸送しつつ正孔を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。また、後述する電子輸送層の構成を必要に応じて、本発明に係わる正孔阻止層として用いることができる。
本発明の有機EL素子の正孔阻止層は、発光層に隣接して設けられていることが好ましい。
正孔阻止層には、前述のホスト化合物として挙げたカルバゾール誘導体、またカルボリン誘導体やジアザカルバゾール誘導体を含有することが好ましい。
また、本発明においては、複数の発光色の異なる複数の発光層を有する場合、その発光極大波長が最も短波にある発光層が、全発光層中、最も陽極に近いことが好ましいが、このような場合、該最短波層と該層の次に陽極に近い発光層との間に正孔阻止層を追加して設けることが好ましい。さらには、該位置に設けられる正孔阻止層に含有される化合物の50質量%以上が、前記最短波発光層のホスト化合物に対しそのイオン化ポテンシャルが0.3eV以上大きいことが好ましい。
一方、電子阻止層とは広い意味では正孔輸送層の機能を有し、正孔を輸送する機能を有しつつ電子を輸送する能力が著しく小さい材料からなり、正孔を輸送しつつ電子を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。また、後述する正孔輸送層の構成を必要に応じて電子阻止層として用いることができる。本発明に係る正孔阻止層、電子輸送層の膜厚としては、好ましくは3〜100nmであり、さらに好ましくは5〜30nmである。
《正孔輸送層》
正孔輸送層とは正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなり、広い意味で正孔注入層、電子阻止層も正孔輸送層に含まれる。正孔輸送層は単層または複数層設けることができる。
正孔輸送材料としては、正孔の注入または輸送、電子の障壁性のいずれかを有するものであり、有機物、無機物のいずれであってもよい。
本実施形態では、正孔輸送材料として、上記したとおり、一般式(1)で表される部分構造を含む高分子化合物や一般式(2)で表わされる低分子化合物を用いる。
正孔輸送材料として、以下の公知の化合物を併用してもよい。
例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、また導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマー等が挙げられる。
正孔輸送材料としては上記のものを使用することができるが、ポルフィリン化合物、芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物、特に芳香族第3級アミン化合物を用いてもよい。
正孔輸送層は上記正孔輸送材料を、例えば、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。正孔輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nm、さらに好ましくは10〜50nmである。この正孔輸送層は上記材料の1種または2種以上からなる一層構造であってもよい。また正孔注入層の膜厚をT1、正孔輸送層の膜厚をT2とするとT1とT2の和は30nm〜150nmが好ましく、さらに好ましくは50nm〜80nmである。また、T1とT2の和が一定の場合、T1、T2の関係はT1>T2であると、電極から発光層への正孔の注入がよりスムーズに行われ、駆動電圧が低下し、外部取り出し量子効率及び発光寿命が増加するため好ましい。
また、不純物をドープしたp性の高い正孔輸送層を用いることもできる。その例としては、特開平4−297076号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報の各公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。
《電子輸送層》
電子輸送層とは電子を輸送する機能を有する材料からなり、広い意味で電子注入層、正孔阻止層も電子輸送層に含まれる。電子輸送層は単層または複数層設けることができる。
従来、単層の電子輸送層、及び複数層とする場合は発光層に対して陰極側に隣接する電子輸送層に用いられる電子輸送材料(正孔阻止材料を兼ねる)としては、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよく、その材料としては従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができ、例えば、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体等が挙げられる。さらに上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も、電子輸送材料として用いることができる。さらにこれらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
また8−キノリノール誘導体の金属錯体、例えば、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq)、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)亜鉛(Znq)等、及びこれらの金属錯体の中心金属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、GaまたはPbに置き替わった金属錯体も、電子輸送材料として用いることができる。その他、メタルフリーもしくはメタルフタロシアニン、またはそれらの末端がアルキル基やスルホン酸基等で置換されているものも、電子輸送材料として好ましく用いることができる。また、発光層の材料として例示したジスチリルピラジン誘導体も、電子輸送材料として用いることができるし、正孔注入層、正孔輸送層と同様にn型−Si、n型−SiC等の無機半導体も電子輸送材料として用いることができる。
電子輸送層は上記電子輸送材料を、例えば、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。電子輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmである。電子輸送層は上記材料の1種または2種以上からなる一層構造であってもよい。
また、不純物をドープしたn性の高い電子輸送層を用いることもできる。その例としては、特開平4−297076号公報、同10−270172号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。
本発明においては、このようなn性の高い電子輸送層を用いることがより低消費電力の素子を作製することができるため好ましい。また整流比向上のためにフッ化アルコールを利用することが望ましい。
以下、本発明の有機EL素子の正孔輸送材料、発光ホスト、電子輸送材料等に用いられる化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 2013080696
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《陽極》
有機EL素子における陽極としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。このような電極物質の具体例としては、Au等の金属、CuI、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO、ZnO等の導電性透明材料が挙げられる。また、IDIXO(In−ZnO)等非晶質で透明導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。陽極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させ、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよく、あるいはパターン精度をあまり必要としない場合は(100μm以上程度)、上記電極物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。あるいは、有機導電性化合物のように塗布可能な物質を用いる場合には、印刷方式、コーティング方式等湿式成膜法を用いることもできる。この陽極より発光を取り出す場合には、透過率を10%より大きくすることが望ましく、また陽極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。さらに膜厚は材料にもよるが、通常は、10〜1000nmの範囲であり、好ましくは10〜200nmの範囲で選ばれる。
《陰極》
一方、陰極としては仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。これらの中で、電子注入性及び酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。陰極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することができる。また、陰極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常10nm〜5μm、好ましくは50〜200nmの範囲で選ばれる。なお、発光した光を透過させるため、有機EL素子の陽極または陰極のいずれか一方が透明または半透明であれば発光輝度が向上し好都合である。
また、陰極に上記金属を1〜20nmの膜厚で作製した後に、陽極の説明で挙げた導電性透明材料をその上に作製することで、透明または半透明の陰極を作製することができ、これを応用することで陽極と陰極の両方が透過性を有する素子を作製することができる。
《支持基板》
本発明の有機EL素子に用いることのできる支持基板(以下、基体、基板、基材、支持体等とも言う)としては、ガラス、プラスチック等の種類には特に限定はなく、また透明であっても不透明であってもよい。支持基板側から光を取り出す場合には、支持基板は透明であることが好ましい。好ましく用いられる透明な支持基板としては、ガラス、石英、透明樹脂フィルムを挙げることができる。特に好ましい支持基板は、有機EL素子にフレキシブル性を与えることが可能な樹脂フィルムである。
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートフタレート(TAC)、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類またはそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン類、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリルあるいはポリアリレート類、アートン(商品名JSR社製)あるいはアペル(商品名三井化学社製)といったシクロオレフィン系樹脂等を挙げられる。
樹脂フィルムの表面には、無機物、有機物の被膜またはその両者のハイブリッド被膜が形成されていてもよく、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された、水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が0.01g/(m・24h)以下のバリア性フィルムであることが好ましく、さらには、JIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が、10−3cm/(m・24h・atm)以下、水蒸気透過度が10−3g/(m・24h)以下の高バリア性フィルムであることが好ましく、前記の水蒸気透過度が10−5g/(m・24h)以下であることがさらに好ましい。
バリア膜を形成する材料としては、水分や酸素等素子の劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能を有する材料であればよく、例えば、酸化珪素、二酸化珪素、窒化珪素等を用いることができる。さらに該膜の脆弱性を改良するために、これら無機層と有機材料からなる層の積層構造を持たせることがより好ましい。無機層と有機層の積層順については特に制限はないが、両者を交互に複数回積層させることが好ましい。
バリア膜の形成方法については特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスタ−イオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができるが、特開2004−68143号公報に記載されているような大気圧プラズマ重合法によるものが特に好ましい。
不透明な支持基板としては、例えば、アルミ、ステンレス等の金属板、フィルムや不透明樹脂基板、セラミック製の基板等が挙げられる。
本発明の有機EL素子の発光の室温における外部取り出し効率は、1%以上であることが好ましく、より好ましくは5%以上である。ここに、外部取り出し量子効率(%)=有機EL素子外部に発光した光子数/有機EL素子に流した電子数×100である。
また、カラーフィルター等の色相改良フィルター等を併用しても、有機EL素子からの発光色を蛍光体を用いて多色へ変換する色変換フィルターを併用してもよい。色変換フィルターを用いる場合においては、有機EL素子の発光のλmaxは480nm以下が好ましい。
《封止》
本発明に用いられる封止手段としては、例えば、封止部材と電極、支持基板とを接着剤で接着する方法を挙げることができる。
封止部材としては、有機EL素子の表示領域を覆うように配置されておればよく、凹板状でも平板状でもよい。また透明性、電気絶縁性は特に問わない。
具体的には、ガラス板、ポリマー板・フィルム、金属板・フィルム等が挙げられる。ガラス板としては、特にソーダ石灰ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、石英等を挙げることができる。また、ポリマー板としては、ポリカーボネート、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルファイド、ポリサルフォン等を挙げることができる。金属板としては、ステンレス、鉄、銅、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、亜鉛、クロム、チタン、モリブテン、シリコン、ゲルマニウム及びタンタルからなる群から選ばれる一種以上の金属または合金からなるものが挙げられる。
本発明においては、素子を薄膜化できるということからポリマーフィルム、金属フィルムを好ましく使用することができる。さらには、ポリマーフィルムは、JIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が、1×10−3cm/(m・24h・atm)以下、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が1×10−3g/(m・24h)以下のものであることが好ましい。
封止部材を凹状に加工するのは、サンドブラスト加工、化学エッチング加工等が使われる。
接着剤として具体的には、アクリル酸系オリゴマー、メタクリル酸系オリゴマーの反応性ビニル基を有する光硬化及び熱硬化型接着剤、2−シアノアクリル酸エステル等の湿気硬化型等の接着剤を挙げることができる。また、エポキシ系等の熱及び化学硬化型(二液混合)を挙げることができる。また、ホットメルト型のポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィンを挙げることができる。また、カチオン硬化タイプの紫外線硬化型エポキシ樹脂接着剤を挙げることができる。
なお、有機EL素子が熱処理により劣化する場合があるので、室温から80℃までに接着硬化できるものが好ましい。また、前記接着剤中に乾燥剤を分散させておいてもよい。封止部分への接着剤の塗布は市販のディスペンサーを使ってもよいし、スクリーン印刷のように印刷してもよい。
また、有機層を挟み支持基板と対向する側の電極の外側に該電極と有機層を被覆し、支持基板と接する形で無機物、有機物の層を形成し封止膜とすることも好適にできる。この場合、該膜を形成する材料としては、水分や酸素等素子の劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能を有する材料であればよく、例えば、酸化珪素、二酸化珪素、窒化珪素等を用いることができる。さらに該膜の脆弱性を改良するために、これら無機層と有機材料からなる層の積層構造を持たせることが好ましい。これらの膜の形成方法については、特に限定はなく、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスタ−イオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができる。
封止部材と有機EL素子の表示領域との間隙には、気相及び液相では、窒素、アルゴン等の不活性気体やフッ化炭化水素、シリコンオイルのような不活性液体を注入することが好ましい。また真空とすることも可能である。また、内部に吸湿性化合物を封入することもできる。
吸湿性化合物としては、例えば、金属酸化物(例えば、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等)、硫酸塩(例えば、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸コバルト等)、金属ハロゲン化物(例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、フッ化セシウム、フッ化タンタル、臭化セリウム、臭化マグネシウム、沃化バリウム、沃化マグネシウム等)、過塩素酸類(例えば、過塩素酸バリウム、過塩素酸マグネシウム等)等が挙げられ、硫酸塩、金属ハロゲン化物及び過塩素酸類においては無水塩が好適に用いられる。
《保護膜、保護板》
有機層を挟み支持基板と対向する側の前記封止膜、あるいは前記封止用フィルムの外側に、素子の機械的強度を高めるために保護膜、あるいは保護板を設けてもよい。特に封止が前記封止膜により行われている場合には、その機械的強度は必ずしも高くないため、このような保護膜、保護板を設けることが好ましい。これに使用することができる材料としては、前記封止に用いたのと同様なガラス板、ポリマー板・フィルム、金属板・フィルム等を用いることができるが、軽量かつ薄膜化ということからポリマーフィルムを用いることが好ましい。
《光取り出し》
有機EL素子は空気よりも屈折率の高い(屈折率が1.7〜2.1程度)層の内部で発光し、発光層で発生した光のうち15%から20%程度の光しか取り出せないことが一般的に言われている。これは、臨界角以上の角度θで界面(透明基板と空気との界面)に入射する光は、全反射を起こし素子外部に取り出すことができないことや、透明電極ないし発光層と透明基板との間で光が全反射を起こし、光が透明電極ないし発光層を導波し、結果として光が素子側面方向に逃げるためである。
この光の取り出しの効率を向上させる手法としては、例えば、透明基板表面に凹凸を形成し、透明基板と空気界面での全反射を防ぐ方法(米国特許第4,774,435号明細書)、基板に集光性を持たせることにより効率を向上させる方法(特開昭63−314795号公報)、素子の側面等に反射面を形成する方法(特開平1−220394号公報)、基板と発光体の間に中間の屈折率を持つ平坦層を導入し、反射防止膜を形成する方法(特開昭62−172691号公報)、基板と発光体の間に基板よりも低屈折率を持つ平坦層を導入する方法(特開2001−202827号公報)、基板、透明電極層や発光層のいずれかの層間(含む、基板と外界間)に回折格子を形成する方法(特開平11−283751号公報)等がある。
本発明においては、これらの方法を本発明の有機EL素子と組み合わせて用いることができるが、基板と発光体の間に基板よりも低屈折率を持つ平坦層を導入する方法、あるいは基板、透明電極層や発光層のいずれかの層間(含む、基板と外界間)に回折格子を形成する方法を好適に用いることができる。
本発明はこれらの手段を組み合わせることにより、さらに高輝度あるいは耐久性に優れた素子を得ることができる。
透明電極と透明基板の間に低屈折率の媒質を光の波長よりも長い厚みで形成すると、透明電極から出てきた光は、媒質の屈折率が低いほど外部への取り出し効率が高くなる。
低屈折率層としては、例えば、エアロゲル、多孔質シリカ、フッ化マグネシウム、フッ素系ポリマー等が挙げられる。透明基板の屈折率は一般に1.5〜1.7程度であるので、低屈折率層は屈折率がおよそ1.5以下であることが好ましい。また、さらに1.35以下であることが好ましい。
また、低屈折率媒質の厚みは媒質中の波長の2倍以上となるのが望ましい。これは低屈折率媒質の厚みが、光の波長程度になってエバネッセントで染み出した電磁波が基板内に入り込む膜厚になると、低屈折率層の効果が薄れるからである。
全反射を起こす界面もしくはいずれかの媒質中に回折格子を導入する方法は、光取り出し効率の向上効果が高いという特徴がある。この方法は回折格子が1次の回折や2次の回折といった所謂ブラッグ回折により、光の向きを屈折とは異なる特定の向きに変えることができる性質を利用して、発光層から発生した光のうち層間での全反射等により外に出ることができない光を、いずれかの層間もしくは、媒質中(透明基板内や透明電極内)に回折格子を導入することで光を回折させ、光を外に取り出そうとするものである。
導入する回折格子は、二次元的な周期屈折率を持っていることが望ましい。これは発光層で発光する光はあらゆる方向にランダムに発生するので、ある方向にのみ周期的な屈折率分布を持っている一般的な1次元回折格子では、特定の方向に進む光しか回折されず、光の取り出し効率がさほど上がらない。しかしながら、屈折率分布を二次元的な分布にすることにより、あらゆる方向に進む光が回折され、光の取り出し効率が上がる。
回折格子を導入する位置としては前述の通り、いずれかの層間もしくは媒質中(透明基板内や透明電極内)でもよいが、光が発生する場所である有機発光層の近傍が望ましい。
このとき、回折格子の周期は媒質中の光の波長の約1/2〜3倍程度が好ましい。
回折格子の配列は正方形のラチス状、三角形のラチス状、ハニカムラチス状等、2次元的に配列が繰り返されることが好ましい。
《集光シート》
本発明の有機EL素子は基板の光取り出し側に、例えば、マイクロレンズアレイ状の構造を設けるように加工したり、あるいは所謂集光シートと組み合わせることにより、特定方向、例えば、素子発光面に対し正面方向に集光したりすることにより、特定方向上の輝度を高めることができる。
マイクロレンズアレイの例としては、基板の光取り出し側に一辺が30μmでその頂角が90度となるような四角錐を2次元に配列する。一辺は10μm〜100μmが好ましい。これより小さくなると回折の効果が発生して色付く、大きすぎると厚みが厚くなり好ましくない。
集光シートとしては、例えば、液晶表示装置のLEDバックライトで実用化されているものを用いることが可能である。このようなシートとして、例えば、住友スリーエム社製輝度上昇フィルム(BEF)等を用いることができる。プリズムシートの形状としては、例えば、基材に頂角90度、ピッチ50μmの△状のストライプが形成されたものであってもよいし、頂角が丸みを帯びた形状、ピッチをランダムに変化させた形状、その他の形状であってもよい。
また、発光素子からの光放射角を制御するために、光拡散板・フィルムを集光シートと併用してもよい。例えば、(株)きもと製拡散フィルム(ライトアップ)等を用いることができる。
《有機EL素子の作製方法》
本発明の有機EL素子の作製方法の一例として、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極からなる有機EL素子の作製法を説明する。
まず適当な基体上に所望の電極物質、例えば、陽極用物質からなる薄膜を1μm以下、好ましくは10〜200nmの膜厚になるように、蒸着やスパッタリング等の方法により形成させ陽極を作製する。
次に、この上に有機EL素子材料である正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層、正孔阻止層の有機化合物薄膜を形成させる。
これら各層の形成方法としては、前記の如く蒸着法、ウェットプロセス(スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、印刷法)等があるが、均質な膜が得られやすく、かつピンホールが生成しにくい等の点から、本発明においてはウェットプロセスが好ましく、中でも、スピンコート法、インクジェット法、印刷法等の塗布法による成膜が好ましい。
本発明に係る有機EL材料を溶解または分散する液媒体としては、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル等の脂肪酸エステル類、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、トルエン、キシレン、メシチレン、シクロヘキシルベンゼン等の芳香族炭化水素類、シクロヘキサン、デカリン、ドデカン等の脂肪族炭化水素類、DMF、DMSO等の有機溶媒を用いることができる。また分散方法としては、超音波、高剪断力分散やメディア分散等の分散方法により分散することができる。
これらの層を形成後、その上に陰極用物質からなる薄膜を1μm以下、好ましくは、50nm〜200nmの範囲の膜厚になるように、例えば、蒸着やスパッタリング等の方法により形成させ、陰極を設けることにより所望の有機EL素子が得られる。
また作製順序を逆にして、陰極、電子注入層、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、陽極の順に作製することも可能である。このようにして得られた多色の表示装置に、直流電圧を印加する場合には陽極を+、陰極を−の極性として電圧2〜40V程度を印加すると発光が観測できる。また交流電圧を印加してもよい。なお、印加する交流の波形は任意でよい。
《用途》
本発明の有機EL素子は、表示デバイス、ディスプレイなどの表示装置や、各種発光光源として用いることができる。発光光源として、例えば、照明装置(家庭用照明、車内照明)、時計や液晶用バックライト、看板広告、信号機、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるがこれに限定するものではないが、特に液晶表示装置のバックライト、照明用光源としての用途に有効に用いることができる。
本発明の有機EL素子においては、必要に応じ成膜時にメタルマスクやインクジェットプリンティング法等でパターニングを施してもよい。パターニングする場合は、電極のみをパターニングしてもよいし、電極と発光層をパターニングしてもよいし、素子全層をパターニングしてもよく、素子の作製においては、従来公知の方法を用いることができる。
本発明の有機EL素子や本発明に係る化合物の発光する色は、「新編色彩科学ハンドブック」(日本色彩学会編、東京大学出版会、1985)の108頁の図4.16において、分光放射輝度計CS−2000(コニカミノルタセンシング社製)で測定した結果をCIE色度座標に当てはめたときの色で決定される。
また、本発明の有機EL素子が白色素子の場合には、白色とは、2度視野角正面輝度を上記方法により測定した際に、1000cd/mでのCIE1931表色系における色度がX=0.35±0.1、Y=0.35±0.1の領域内にあることを言う。
以上の本実施形態によれば、下記のような作用・効果を奏することができる。
(i)上記のとおり、塗布型高分子材料は積層性に優れるが、高分子材料特有の溶媒浸透や膨潤の問題があり、上層に低分子化合物を用いた場合、溶媒と共に低分子化合物が混入してしまう問題がある。
これに対し、本実施形態では、正孔輸送層において低分子化合物と高分子材料とが含有されているから、正孔輸送層の膜密度が上がり、上層の低分子化合物の混入を未然に防ぐことができる。
(ii)上記のとおり、先行技術のポリマー材料も含め、発光層からの電子の漏れを十分に防ぐことのできる材料は未だなく、有機化合物層において塗布により新たに層を設けることが困難である。
これに対し、本実施形態のように、低分子化合物のLUMO準位を規定すれば、電子ブロック性能が付与され、層構成の簡略化(コスト低減)と電子ブロック性能の両立という新規の効果が得られる。
(iii)上記のとおり、正孔輸送層(HT)に混ぜる低分子の電子ブロック材料は発光層側界面に局在させることが理想だが、先行技術では低分子化合物と高分子材料が同一構造部分を持つ材料を用いているため、相溶性が高く、HT内に低分子化合物が分散してしまい、低分子化合物を高濃度化する必要があり、結果的に高分子材料のメリットである正孔輸送性を下げてしまう問題がある。
これに対し、本実施形態では、高分子材料とは異なる部分構造を持つ低分子化合物を用いることで、塗布時および膜乾燥時に電子ブロック低分子化合物を表面付近に局在化させることができ、正孔輸送性を損なわずに安価に電子ブロック能を付与できる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
《有機EL素子の作製》
(1)実施例サンプル1の作製
(1.1)ガスバリア性の可撓性フィルムの作製
可撓性フィルムとして、ポリエチレンナフタレートフィルム(帝人デュポン社製フィルム、以下、PENと略記する)の第1電極を形成する側の全面に、特開2004−68143号に記載の構成からなる大気圧プラズマ放電処理装置を用いて、連続して可撓性フィルム上に、SiOxからなる無機物のガスバリア膜を厚さ500nmとなるように形成し、酸素透過度0.001ml/m/day以下、水蒸気透過度0.001g/m/day以下のガスバリア性の可撓性フィルムを作製した。
(1.2)第1電極層の形成
準備したガスバリア性の可撓性フィルム上に厚さ120nmのITO(インジウムチンオキシド)をスパッタ法により成膜し、フォトリソグラフィー法によりパターニングを行い、第1電極層(陽極)を形成した。
なお、パターンは発光面積が50mm平方になるようなパターンとした。
(1.3)正孔注入層の形成
パターニング後のITO基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行った。この基板上に、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリスチレンスルホネート(PEDOT/PSSと略記、Bayer製、Baytron P Al 4083)を純水で70%に希釈した溶液を3000rpm、30秒でスピンコート法により製膜した後、200℃にて1時間乾燥し、膜厚30nmの正孔注入層を設けた。
(1.4)正孔輸送層の形成
この基板を、窒素ガス(グレードG1)を用いた窒素雰囲気下に移し、下記組成の正孔輸送層組成物を、1500rpm、30秒でスピンコート法により製膜した後、160℃で30分間保持し、膜厚30nmの正孔輸送層とした。
<正孔輸送層組成物>
高分子化合物…例示化合物50d(重量平均分子量80,000) 0.4質量部
低分子化合物…例示化合物HL−1 0.1質量部
クロロベンゼン 1000質量部
(1.5)発光層の形成
次いで、下記組成の発光層組成物を1500rpm、30秒でスピンコート法によりそれぞれ製膜した後、120℃で30分間保持し膜厚50nmの発光層をそれぞれ形成した。
<発光層組成物>
ホスト材料…例示化合物Host−25 22.4質量部
ドーパント材料…例示化合物D−1 2.5質量部
ドーパント材料…例示化合物D−67 0.05質量部
ドーパント材料…例示化合物D−80 0.05質量部
酢酸イソプロピル 2,000質量部
(1.6)電子輸送層の形成
続いて、20mgの化合物Aを、4mlのテトラフルオロプロパノール(TFPO)に溶解した溶液を、1500rpm、30秒でスピンコート法により製膜した後、120℃で30分間保持し、膜厚30nmの電子輸送層とした。
Figure 2013080696
(1.7)電子注入層、陰極の形成
続いて、基板を大気に曝露することなく真空蒸着装置へ取り付けた。また、モリブデン製抵抗加熱ボートにフッ化ナトリウムおよびフッ化カリウムを入れたものを真空蒸着装置に取り付け、真空槽を4×10−5Paまで減圧した後、前記ボートに通電して加熱してフッ化ナトリウムを0.02nm/秒で前記電子輸送層上に膜厚1nmの薄膜を形成し、続けて同様にフッ化カリウムを0.02nm/秒でフッ化ナトリウム上に膜厚1.5nmの電子注入層を形成した。
引き続き、アルミニウムを蒸着して厚さ100nmの陰極を形成した。
(1.8)封止および有機EL素子の作製
引き続き、市販のロールラミネート装置を用いて封止部材を接着し、実施例サンプル1(有機EL素子)を製作した。
詳しくは、封止部材として、可撓性の厚み30μmのアルミニウム箔(東洋アルミニウム株式会社製)に、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(12μm厚)をドライラミネーション用の接着剤(2液反応型のウレタン系接着剤)を用いラミネートした(接着剤層の厚み1.5μm)ものを用いた。
アルミニウム面に封止用接着剤として、熱硬化性接着剤を、ディスペンサーを使用してアルミ箔の接着面(つや面)に沿って厚み20μmで均一に塗布した。これを100Pa以下の真空下で12時間乾燥させた。さらに露点温度が−80℃以下、酸素濃度0.8ppmの窒素雰囲気下へ移動し、12時間以上乾燥させ、封止用接着剤の含水率を100ppm以下となるように調整した。
熱硬化接着剤としては下記の(A)〜(C)を混合したエポキシ系接着剤を用いた。
(A)ビスフェノールAジグリシジルエーテル(DGEBA)
(B)ジシアンジアミド(DICY)
(C)エポキシアダクト系硬化促進剤
以上のようにして、図1に記載の形態になるよう、封止基板を、取り出し電極および電極リードの接合部を覆うようにして密着・配置して、圧着ロールを用いて厚着条件、圧着ロール温度120℃、圧力0.5MPa、装置速度0.3m/minで密着封止して、実施例サンプル1(有機EL素子)を作製した。
(2)実施例サンプル2〜7の作製
実施例サンプル2〜7では、実施例サンプル1において、高分子化合物の濃度や低分子化合物の種類または濃度を、表1に記載のとおりに変更した。
それ以外は、実施例サンプル1の作製と同様にして、実施例サンプル2〜7を作製した。
(3)比較例サンプル1の作製
比較例サンプル1では、実施例サンプル1の作製において、正孔輸送層組成物を、下記の組成物に変更した。
それ以外は実施例サンプル1の作製と同様にして比較例サンプル1を作製した。
<正孔輸送層組成物>
高分子化合物…例示化合物50d(重量平均分子量80,000) 0.5質量部
クロロベンゼン 1000質量部
(4)比較例サンプル2の作製
比較例サンプル2では、実施例サンプル1の作製において、正孔輸送層組成物の高分子化合物を化合物B(分子量=80,000)に変更した。
それ以外は実施例サンプル1の作製と同様にして比較例サンプル2を作製した。
Figure 2013080696
以上の実施例サンプル1〜7と比較例サンプル1,2との組成や特性などを、表1に示す。
Figure 2013080696
《有機EL素子の評価》
実施例サンプル1〜7および比較例サンプル1,2に対し下記の各評価を行った。
(1)駆動電圧および発光効率の測定
各サンプルに対し、室温(約23〜25℃)で、2.5mA/cmの定輝度条件下による点灯を行い、分光放射輝度計CS−2000(コニカミノルタセンシング社製)を用いて、各サンプルの発光輝度を測定し、当該電流値における駆動電圧および外部発光量子効率を求めた。求めた結果を表2に示す。
表2では、比較例サンプル1の駆動電圧および発光効率を「100」として、実施例サンプル1〜7,比較例サンプル2の駆動電圧および発光効率を、それに対する相対値で示している。表2中、駆動電圧の数値が小さいほど、また、発光効率の数値が大きいほど、低電力駆動、高効率であり優れていることを示す。
(2)連続駆動安定性(半減寿命)の評価
各サンプルを半径5cmの円柱に巻きつけ、その後各サンプルを折り曲げた状態で連続駆動させ、上記分光放射輝度計CS−2000を用いて輝度を測定し、測定した輝度が半減する時間(LT50)を求めた。駆動条件は、連続駆動開始時に4000cd/mとなる電流値とした。
比較例サンプル1のLT50を「100」とした相対値を求め、これを連続駆動安定性の尺度とした。その評価結果を表2に示す。表2中、数値が大きいほど、連続駆動安定性に優れている(長寿命である)ことを表す。
併せて、連続駆動前後の電圧変化についても、比較例1の電圧変化を「100」とした相対値として表2に示す。表2中、数値が小さいほど、駆動電圧の変動量が小さいことを表わす。
(3)塗布性の評価
各サンプルに対し、室温(約23〜25℃)で、1,000cd/mの定輝度条件下による点灯を行い、発光の輝度ムラを目視評価し、下記基準の4段階でランク付けを行った。その評価結果を表2に示す。
「◎」:輝度ムラなし
「○」:輝度ムラが極僅かに確認されるレベル
「△」:輝度ムラが確認されるが0.3m以上離れると識別できないレベル
「×」:輝度ムラが確認され、0.3m以上離れても認識されるレベル
(4)半減寿命後の発光色変化の評価
上記(2)の半減寿命に至るまでの連続駆動前後の輝度測定時の発光スペクトルからCIE色度座標のx、y座標値を求め、連続駆動前後の座標間の距離を計算し色ズレの指標とした。その結果を表2に示す。
表2では、比較例サンプル1の連続駆動前後の座標間距離を「100」とした相対値で示している。表2中、値が小さいほど、連続駆動前後での色ズレが小さく、優れていることを示す。
(5)高温保存安定性(高温保存後の発光色変化)の評価
各サンプルを、85℃の高温環境下で300時間保管(保存)した。
高温処理前後での輝度を、分光放射輝度計CS−2000(コニカミノルタセンシング社製)で測定し、上記(4)と同様にして高温処理前後の色ズレを評価した。その結果を表2に示す。表2中、値が小さいほど、連続駆動前後での色ズレが小さく、優れていることを示す。
Figure 2013080696
(6)まとめ
表2に示すとおり、実施例サンプル1〜7と比較例サンプル1,2との比較から、実施例サンプル1〜7は各評価における結果が良好であった。
以上から、高分子化合物を使用してウェットプロセスにより有機化合物層を形成する場合に、発光効率や発光寿命などの特性を向上させるうえでは、一定の部分構造を含みかつ一定の重量平均分子量を有する高分子化合物と、カルバゾール基を有する低分子化合物とを、同一層中に含有させることが有用であることがわかる。
本発明は、高分子化合物を使用してウェットプロセスにより有機化合物層を形成した場合でも、発光効率や発光寿命などの特性を向上させるのに特に好適に利用することができる。
1 可撓性支持基板
2 陽極
3 正孔注入層
4 正孔輸送層
5 発光層
6 電子輸送層
7 電子注入層
8 陰極
9 封止接着剤
10 可撓性封止部材
20 有機化合物層
100 有機エレクトロルミネッセンス素子

Claims (11)

  1. 1対の電極と、
    前記1対の電極間に形成された3層構造以上の有機化合物層とを有し、
    前記有機化合物層には少なくともウェットプロセスで形成された正孔輸送層と発光層とが含まれる有機EL素子において、
    前記正孔輸送層には、一般式(1)で表される部分構造を含みかつ重量平均分子量がポリスチレン換算で50000〜200000である高分子化合物と、少なくとも1つのカルバゾール基を有する分子量5000以下の低分子化合物とが、含有されていることを特徴とする有機EL素子。
    Figure 2013080696
    [一般式(1)中、「Ar」、「Ar」は、それぞれ独立して置換基を有してもよいアリーレン基を表し、それぞれ連結基を介して結合していてもよい。「Ar」、「Ar」は、それぞれ独立して置換基を有してもよいアリール基または芳香族複素環基を表す。「n1」、「n2」は0〜2の整数を表し、n1とn2が同時に0となることはない。「n3」は5〜1000の整数を表す。]
  2. 請求項1に記載の有機EL素子において、
    前記低分子化合物がジベンゾフラン構造を有することを特徴とする有機EL素子。
  3. 請求項1に記載の有機EL素子において、
    前記低分子化合物が一般式(2)で表わされることを特徴とする有機EL素子。
    Figure 2013080696
    [一般式(2)中、「X」はNR’、O、S、CR’R’’またはSiR’R’’を表す。「R’」、「R’’」は各々水素原子または置換基を表す。「Ar」は芳香環を表す。「n」は0〜8の整数を表す。]
  4. 請求項1に記載の有機EL素子において、
    前記正孔輸送層の構成物質の総質量に対する前記低分子化合物の総質量%濃度が0.05〜60質量%であることを特徴とする有機EL素子。
  5. 請求項1に記載の有機EL素子において、
    前記低分子化合物のLUMO準位の絶対値が1.2以下であることを特徴とする有機EL素子。
  6. 請求項1に記載の有機EL素子において、
    前記正孔輸送層には、イリジウム錯体または白金錯体が含有されていることを特徴とする有機EL素子。
  7. 請求項1に記載の有機EL素子において、
    前記発光層の前記ドーパントの少なくとも1つが一般式(3)で表わされることを特徴とする有機EL素子。
    Figure 2013080696
    [一般式(3)中、「R」は置換基を表す。「Z」は5〜7員環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。「n1」は0〜5の整数を表す。「B〜B」は炭素原子、窒素原子、酸素原子または硫黄原子を表し、少なくとも1つは窒素原子を表す。「M」は元素周期表における8族〜10族の金属を表す。「X」および「X」は炭素原子、窒素原子または酸素原子を表し、「L」はXおよびXと共に2座の配位子を形成する原子群を表す。「m1」は1、2または3の整数を表し、「m2」は0、1または2の整数を表すが、「m1+m2」は2または3である。]
  8. 請求項7に記載の有機EL素子において、
    前記一般式(3)が一般式(4)で表されることを特徴とする有機EL素子。
    Figure 2013080696
    [一般式(4)中、「R」、「R」、「R」は置換基を表す。「Z」は5〜7員環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。「n1」は0〜5の整数を表す。「M」は元素周期表における8族〜10族の金属を表す。「X」および「X」は炭素原子、窒素原子もしくは酸素原子を表し、「L」はX1およびX2とともに2座の配位子を形成する原子群を表す。「m1」は1、2または3の整数を表し、「m2」は0、1または2の整数を表すが、「m1+m2」は2または3である。]
  9. 請求項8に記載の有機EL素子において、
    前記一般式(4)中、Rで表される置換基が一般式(5)で表されることを特徴とする有機EL素子。
    Figure 2013080696
    [一般式(5)中、「R」は立体パラメータ値(Es値)が−0.5以下の置換基を表す。「R」は置換基を表す。「n5」は0〜4の整数を表す。「*」は結合位置を示す。]
  10. 請求項1に記載の有機EL素子を用いたことを特徴とする表示装置。
  11. 請求項1に記載の有機EL素子を用いたことを特徴とする照明装置。
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