JPWO2013047710A1 - 光触媒構造体、光触媒構造体の製造方法及び空気清浄装置 - Google Patents

光触媒構造体、光触媒構造体の製造方法及び空気清浄装置 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2013047710A1
JPWO2013047710A1 JP2013506024A JP2013506024A JPWO2013047710A1 JP WO2013047710 A1 JPWO2013047710 A1 JP WO2013047710A1 JP 2013506024 A JP2013506024 A JP 2013506024A JP 2013506024 A JP2013506024 A JP 2013506024A JP WO2013047710 A1 JPWO2013047710 A1 JP WO2013047710A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
water
photocatalyst
photocatalyst structure
air
gel
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2013506024A
Other languages
English (en)
Inventor
敏男 高柳
敏男 高柳
浩美 高柳
浩美 高柳
豪 平田
豪 平田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
TAKAYANAGI CORPORATION
Original Assignee
TAKAYANAGI CORPORATION
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by TAKAYANAGI CORPORATION filed Critical TAKAYANAGI CORPORATION
Priority to JP2013506024A priority Critical patent/JPWO2013047710A1/ja
Publication of JPWO2013047710A1 publication Critical patent/JPWO2013047710A1/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01JCHEMICAL OR PHYSICAL PROCESSES, e.g. CATALYSIS OR COLLOID CHEMISTRY; THEIR RELEVANT APPARATUS
    • B01J35/00Catalysts, in general, characterised by their form or physical properties
    • B01J35/30Catalysts, in general, characterised by their form or physical properties characterised by their physical properties
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61LMETHODS OR APPARATUS FOR STERILISING MATERIALS OR OBJECTS IN GENERAL; DISINFECTION, STERILISATION OR DEODORISATION OF AIR; CHEMICAL ASPECTS OF BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES; MATERIALS FOR BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES
    • A61L9/00Disinfection, sterilisation or deodorisation of air
    • A61L9/16Disinfection, sterilisation or deodorisation of air using physical phenomena
    • A61L9/18Radiation
    • A61L9/20Ultraviolet radiation
    • A61L9/205Ultraviolet radiation using a photocatalyst or photosensitiser
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01JCHEMICAL OR PHYSICAL PROCESSES, e.g. CATALYSIS OR COLLOID CHEMISTRY; THEIR RELEVANT APPARATUS
    • B01J21/00Catalysts comprising the elements, oxides, or hydroxides of magnesium, boron, aluminium, carbon, silicon, titanium, zirconium, or hafnium
    • B01J21/06Silicon, titanium, zirconium or hafnium; Oxides or hydroxides thereof
    • B01J21/063Titanium; Oxides or hydroxides thereof
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01JCHEMICAL OR PHYSICAL PROCESSES, e.g. CATALYSIS OR COLLOID CHEMISTRY; THEIR RELEVANT APPARATUS
    • B01J35/00Catalysts, in general, characterised by their form or physical properties
    • B01J35/30Catalysts, in general, characterised by their form or physical properties characterised by their physical properties
    • B01J35/39Photocatalytic properties

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Solid-Sorbent Or Filter-Aiding Compositions (AREA)
  • Catalysts (AREA)
  • Disinfection, Sterilisation Or Deodorisation Of Air (AREA)

Abstract

光触媒構造体は、多数の空隙が形成されたスポンジ状の光触媒層を備え、前記光触媒層は、光触媒、吸水性ポリマー、および、水溶性のバインダを含む。空気清浄装置は、前記光触媒構造体と、前記光触媒構造体を配置させた第1の基板と、光源と、前記光源を配置させた第2の基板とを備え、前記光触媒構造体は、前記光源に対向するように配置される。光触媒が均一に分散し、多数の空隙が形成された光触媒層を備えることにより、良好な光分解性能を有する光触媒構造体が提供でき、さらに、前記光触媒構造体を備えることで、好適な空気清浄機能を発揮する空気清浄装置を提供することができる。

Description

本発明は、光触媒作用を示す光触媒構造体、及びこの光触媒構造体を用いた空気清浄装置並びに光触媒構造体の製造方法に関し、特に、空気中の汚臭物質や雑菌等を除去して空気を浄化するための、光触媒構造体、光触媒構造体の製造方法及び空気清浄装置に関する。
空気の汚臭物質には、食物から発生する、あるいはタバコ副流煙として発生するアンモニアや、建材などから発生するVOC(揮発性有機物質。例えば、アセトアルデヒド)などがある。空気清浄装置は、一般的には、居住空間や車内などの所謂、準閉鎖空間内の空気汚臭物質を清浄化する。空気清浄装置は、このような一般的な空気環境のみならず、例えば、約1.5mの密閉空間を有する仮設トイレにおける、強力な汚臭物質が連続的に発生する劣悪な環境を処理する場合がある。
近年、酸化チタンを中心とした光触媒を利用した消臭、抗菌および防汚作用が注目されている。このような光触媒の作用は、光触媒に入射した光により生成した電子及び正孔が光触媒表面にある酸素や水と反応して活性酸素種であるスーパーオキサイドアニオン(・O )及びOHラジカル(・OH)を発生させることによるものである。
すなわち、光触媒表面に生成した活性酸素スーパーオキサイドアニオン(・O )及びOHラジカルの強力な酸化反応によって、水中の有機化学物質の分解除去をはじめ、空気中の悪臭物質の分解、防菌・防黴などさまざまな分野の環境浄化を行うことができる。特に、OH(ヒドロキシ)ラジカルは、いわゆる活性酸素と呼ばれる分子種のなかでは最も反応性が高く、酸化チタンに光と水が供給されると発生し続けて、継続的に光触媒反応を行うといわれている。
このような光触媒を固定・坦持する光触媒構造体を製造する場合、光触媒を部材(基材)表面に直接付着することが難しいため、光触媒をバインダと一緒に混合・混練した後、各種部材の表面に塗布して、あるいは、シート状に形成して、光触媒構造体とするのが、一般的なその製造方法である。しかし、光触媒作用を有効に発現させるためには、光触媒(粒子)の少なくとも一部分は、部材(基材)表面から露出して、光源からの光を受容可能な状態に無ければならないが、上記の様な方法で製造すると、多くの光触媒がバインダの内部に埋没してしまい、その結果、光触媒を有効利用できず、不経済であった。
そこで、光触媒構造体の形成方法として、光触媒をバインダなしで部材表面に塗布する方法も提案されている(特許文献1)が、この方法で製造しても、有効に利用される光触媒は、やはり、部材(基材)表面に露出したものに制限されることから、部材の表面積を増やさなければならず、経済的・効率的に十分なものとはいえなかった。
一方、上記光触媒を利用して空気を浄化するための空気清浄装置としては、一般的に、ケーシング内に、少なくとも、光触媒を固定・坦持した光触媒構造体と光源ランプとを備えるものが提案されている(特許文献2、3)。これらの装置では、光触媒構造体は、主にフィルタ型であって、部材内に空気を通過させて浄化することを目的とするもので、例えば、光触媒を固定・坦持したハニカム体や不織布等から構成されている(特許文献2)。また、例えば、多数の軽量粉体表面に光触媒を固定・坦持させて光触媒構造体とし、有効な表面積を増加させる試み等もなされている(特許文献3)。
しかしながら、上記フィルタ型の空気清浄装置の場合は、光触媒作用の効率化のためには、光触媒構造体の表面積をより大きくしたり、部材の数や光源(ブラックライト)の数を多くしたり、嵩張るフィルタ類を設置しなければならず、また、特許文献3のような態様の場合は、軽量粉体を覆うための多量の光触媒や、光触媒を坦持した軽量粉体(光触媒構造体)の乱舞を制御するための動力などを必要とし、構造が大型化したり複雑化せざるをえなかった。
このように、光触媒を利用した従来の空気清浄装置は、全体として、空気浄化効率が低いことが大きな問題であり、効率をより高めるためには、光触媒構造体の表面積を増やし、各部材の点数を増やさなければならず、その結果、必然的に装置が大型化してしまい、経済的にも空間配置的にも問題があった。つまり、少なくとも、仮設トイレ内等の狭く劣悪な環境下での空気の清浄化に適するものではなかった。
特開2005−007216号公報 特開平08−121827号公報 国際公開第2004/045660号
本発明の目的は、上述した問題に鑑みてなされたものであり、小型でも光触媒作用の効率が良好な光触媒構造体及び光触媒構造体の製造方法を提供することであり、また、上記光触媒構造体を備えることで、居住空間や車内などの所謂、準閉鎖空間はもとより、仮設トイレ内等の劣悪な環境下の空気でさえ、短時間に効率良く清浄化することが出来る、低コストでコンパクトな改良型空気清浄装置を提供することである。
上記目的を達成するために、本発明の第1の観点に係る光触媒構造体は、多数の空隙が形成されたスポンジ状の光触媒層を備え、前記光触媒層は、光触媒、吸水性ポリマー、および、水溶性のバインダを含むことを特徴とするものである。
前記光触媒は、酸化チタンであってもよく、前記吸水性ポリマーは、(1)アクリル酸又はその塩、アクリル酸エステル及びアクリルアミドから選ばれる単量体を含んで構成される架橋されたアクリル系ポリマー、(2)イソブチレン−無水マレイン酸共重合体の架橋体、並びに、(3)ポリオキシエチレン架橋体から選ばれる1種以上であってもよい。
前記吸水性ポリマーは、アクリル酸又はその塩、アクリル酸エステル及びアクリルアミドから選ばれる単量体を含んで構成される架橋されたアクリル系ポリマーであってもよい。
前記水溶性のバインダは、ポリビニルアルコール系又は酢酸ビニル樹脂系バインダであってもよい。
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点に係る空気清浄装置は、本発明の第1の観点に係る光触媒構造体と、前記光触媒構造体を配置させた第1の基板と、光源と、前記光源を配置させた第2の基板とを備え、前記光触媒構造体は、前記光源に対向するように配置されることを特徴とするものである。
前記空気清浄装置は、さらに、吸水して膨潤した含水ゲルを備えるものであってもよい。
前記含水ゲルは、ゲルの形態が維持可能な程度に吸水しているものであってもよい。
前記含水ゲルは、収納容器に収納されているものであってもよい。
前記空気洗浄装置は、空気を取り込む第1の開口と、空気を排出する第2の開口とを有するハウジングを備え、前記ハウジング内には、前記第1の基板に配置された前記光触媒構造体と、前記第2の基板に配置された前記光源である発光素子とを、前記第1の開口と第2の開口とを結んだ軸に対して平行に対向させ、かつ、前記第1の基板または前記第2の基板の、少なくともいずれか一方の背面側に、前記含水ゲルを収納した前記収納容器を配置するものであってもよい。
前記収納容器は、前記含水ゲルを収納する、メッシュシートからなる内側容器と、該内側容器を収納する、穴あきプラスチックからなる外側容器とを含むものであってもよい。
前記外側容器は、上下2個重ねた組を2つ、前記第1の基板または前記第2の基板の背面に、並列させているものであってもよい。
前記外側容器を配置する側の前記第1または第2の基板の上端は、前記2個重ねた上側容器の上端より低いものであってもよい。
前記含水ゲルは、金属イオンを含む水溶液を吸水したものであってもよい。
前記含水ゲルは、乾燥した場合、水を吸水させることで再生して再利用可能なものであってもよい。
上記目的を達成するために、本発明の第3の観点に係る光触媒構造体の製造方法は、本発明の第1の観点に係る光触媒構造体の製造方法であって、光触媒と、水溶性のバインダを混合、攪拌させ、第1の混合物を作製する工程と、前記第1の混合物と、吸水性ポリマーとを混合させ、第2の混合物を作製する工程と、前記第2の混合物を成形する工程と、成形された前記第2の混合物を乾燥させる工程と、を備えることを特徴とするものである。
前記光触媒は、酸化チタンであってもよく、前記吸水性ポリマーは、(1)アクリル酸又はその塩、アクリル酸エステル及びアクリルアミドから選ばれる単量体を含んで構成される架橋されたアクリル系ポリマー、(2)イソブチレン−無水マレイン酸共重合体の架橋体、並びに、(3)ポリオキシエチレン架橋体から選ばれる1種以上であってもよい。
前記水溶性のバインダは、ポリビニルアルコール系又は酢酸ビニル樹脂系バインダであってもよい。
前記吸水性ポリマーを混合させる工程では、更に水を添加することを含むものであってもよい。
なお、本願では、空気の「清浄」とは、空気中の汚臭物質や雑菌等の有害物の分解・除去・吸着等による空気の浄化を含むものである。
本発明によれば、光触媒が均一に分散し、多数の空隙が形成された光触媒層を備えることにより、良好な光分解性能を有する光触媒構造体が提供でき、そのための前記光触媒構造体の製造方法を提供することができる。さらに、前記光触媒構造体を備えることで、好適な空気清浄機能を発揮する空気清浄装置を提供することができる。
実施形態に係る光触媒構造体を模式的に示す断面図である。 実施形態に係る光触媒構造体の表面を示す画像である。 実施形態に係る空気清浄装置の側面図である。 実施形態に係る空気清浄装置の平面図である。 光触媒構造体のたばこの煙に対する消臭効果の実験結果を示す図である。 光触媒構造体のアンモニアに対する消臭効果の実験結果を示す図である。 タイプ1のゲルを模式的に示す概念図である。 タイプ2のゲルを模式的に示す概念図で、タイプ3からタイプ1への移行状態のものである。 本実施形態に係る、タイプ3の含水ゲルの概念図である。 実施形態に係る含水ゲルのメッシュ状内側容器の画像である。 実施形態に係る含水ゲルのプラスチック製外側容器の画像である。 実施形態に係る改良型空気清浄装置のハウジング上部から見た正面図である。 実施形態に係る改良型空気清浄装置のハウジング上部から見た正面図における、気流の流れ(A、B,C、C’)を示す図である。 実施形態に係る改良型空気清浄装置の含水ゲル収納容器側から見た側面図である。
本発明の実施形態に係る光触媒構造体、光触媒構造体の製造方法及び空気清浄装置の実施の形態について図を用いて説明する。
(1)光触媒構造体
光触媒構造体10は、図1及び図2に示すように、光触媒層11と、基板12と、を備える。
図1に示すように、光触媒層11には光触媒11aが分散されている。光触媒11aとしては、例えば、酸化チタンが好ましく、可視光応答型、紫外線応答型の酸化チタン(二酸化チタン)やそれらの混合物等を用いることもできる。また、光触媒層11は、後述する方法により製造される結果、図1及び図2に示すように表面に微少な凹凸が形成され、更に内部には多数の空隙11bが形成される。光触媒構造体11は、例えば15cm×15cm、高さ4mmに形成する。光触媒構造体11の大きさや形状は、用いる用途、要求される性能、この光触媒構造体11を用いた空気清浄装置20(後述)の大きさ等により、適宜変更することが可能である。
支持基板12としては、例えば、コルク材、ベニヤ、合板、紙、フィルム、金網等を用いることができる。なお、光触媒層11に接触する面に空気が存在すると、光触媒層11の光分解性能を向上させることができるため、より高い光分解性能が求められる場合は、支持基板12としてはコルク材を用いることが好ましい。この支持基板12を省略し、光触媒層11のみとすることも可能である。なお、ステンレス等からなる金網を支持基板12として用いると、光触媒層11の両面から光を照射することができ、更に光触媒層11が金網で保持されるため、シート状の形状を保持しやすくなり、好ましい。この場合、金網の一方の面に光触媒層11を形成してもよいし、金網の両面に光触媒層11を形成してもよい。
このように、光触媒層11がスポンジ状に形成され、多数の空隙11bを備えることにより、光触媒層に含有される光触媒11aが空気と接触する面積を大きくすることができ、その結果、以下のように、光触媒の光分解効率を高めることができる(後述の実験例、参照)。
(1)汚臭や細菌などを含んだ空気と光触媒11aとが接触する面積が格段に大きくなり、光触媒の光分解効率を高めることが可能となる。また、(2)周囲の湿気が高ければ、空気中の汚臭や細菌などと共に、光触媒作用に重要な水分を空気中からトラップできるため、光触媒反応がより効率的に行われて、消臭や殺菌等の効率が向上する。そして、(3)光分解効率が向上することにより、光触媒構造体10のサイズを小さくすることができ、空気清浄装置20をコンパクトなサイズとすることが可能となる。
上述した実施形態では、光触媒構造体はシート状に形成される例を挙げて説明したが、これに限られず、シート以外の形状、例えば、ハニカム体等の立体的形状や、繊維状等に成形してもよい。
(2)光触媒構造体の製造方法
次に、光触媒構造体10の製造方法を説明する。
まず、可視光又は紫外線応答型の酸化チタンの粉末を水溶性のバインダに添加し、攪拌、混合させ、混合液を作製する。水溶性のバインダとしては、特に制限はないが、例えばペースト状酢酸ビニル樹脂系エマルジョンボンド、ポリビニルアルコール(PVAL)系の液状のりであってもよい。PVAL系のバインダでは、酢酸ビニル系と比較し、ベトツキが少なく、流動性が高いため、基板上に塗布しやすく製造時の作業が容易となるため、好ましい。
次に、吸水性ポリマーを混合液に添加し、ミキサー等で攪拌、混合する。この際、適宜水を追加してもよい。吸水性ポリマーとしては、特に制限はないが、水性ゲルの吸水性や安定性の観点から、(1)アクリル酸又はその塩、アクリル酸エステル及びアクリルアミドから選ばれる単量体を含んで構成される架橋されたアクリル系ポリマー、(2)イソブチレン−無水マレイン酸共重合体の架橋体、並びに、(3)ポリオキシエチレン架橋体から選ばれる1種以上が好ましい。さらに、アクリル酸塩系(アクリル酸重合体部分ナトリウム塩架橋物、ポリアクリル酸重合体部分カルシウム塩架橋物)等の、側鎖に親水基を有する高分子鎖を架橋した分子構造をもつアクリル系ポリマーであってもよい。
例えば、酸化チタンと水溶性の酢酸ビニル樹脂系エマルジョンボンドと、吸水性ポリマーとをミキサー等で混ぜ合わせると吸水性ポリマーが水を吸収しはじめ、ゲル状に膨潤する。エマルジョン中に共存している酸化チタン粉末は、ゲルの内外に付着し、混練される。
続いて、吸水性ポリマーを混合させた混合液を基板上に塗布し、混合液の上からプレスする、又は混合液を二対のロール間に通すことにより、例えばシート状に成形する。
上述したように、支持基板12としては、コルク材が適するが、ベニヤ、合板、紙、フィルム等を用いてもよい。また、基板を、例えば鉄、銅、ステンレス、アルミ等の金属を用いた板とすることにより、シートを基板から剥離させてもよい。
続いて、シート状に成形された混合液を、室温で自然乾燥させる。乾燥させるとゲル内外から水分が蒸発する際、ゲル中に混練された酸化チタン粉末は、ゲルの内外に残存する。更に乾燥が進むとこの吸水性ポリマー混合ゲルは、小さくなり、弾力性を維持したスポンジ構造体となる。
この際、乾燥効率をあげ、吸水ポリマーが吸収している水分を強制的に蒸発させた方が効果的にスポンジ状の構造となるため、天日乾燥や熱風乾燥とするのが好ましい。基板を金属製の物とした場合は、乾燥後、基板から剥離させる。この様にして、光触媒構造体が製造される。
上記の製造方法によれば、光触媒を水溶性のバインダと混合させ、更に吸水性ポリマーを添加した後に、水分を蒸発させる工程を行うことから、混練工程、乾燥工程等が簡単で、安全であり、コストをかけることなく、光触媒11aを含む光触媒層11を、空隙11bを有する多孔性のスポンジ状に形成することができる。これにより、光触媒11aが空気と接触する面積を大きくすることができ、光触媒構造体10の光分解効率を高めることができる(後述の実験例、参照)。
上述した実施形態では、光触媒構造体はシート状に形成される例を挙げて説明したが、これに限られず、シート以外の形状、例えば、ハニカム体等の立体的形状や、繊維状等に成形してもよい。
(3)光触媒構造体を備える空気清浄装置
次に、上記光触媒構造体を備える空気清浄装置の実施態様について説明する。
<<空気清浄装置>>
図3Aにあるように、例えば、空気清浄装置20は、光触媒構造体10と、光触媒構造体のための支持基板21と、光源としてのLED(Light Emitting Diode)22と、光源を配置させて光触媒構造体に対向させるための対向基板23と、を備える。
支持基板21と、対向基板23とは、それぞれ金属板から形成され、支持基板21と対向基板23の四隅には、図3Bに示すように例えばボルト等からなる柱部24が設けられてもよい。柱部24によって、支持基板21と対向基板23とは図3Aに示すように所定距離離間して配置される。
光源22は、LEDであってもよく、例えば紫外線ピーク波長375nm、強度が0.38mw/1cmのダイオードを用いる。このLED22は、図3Bに示すように、例えば15cm×15cmの基材に42個程度配置されている。LED22は、対向基板23の光触媒構造体10と対向する面に配置され、図示しない電源に接続される。ある実施形態では、LED22と光触媒構造体10とは1mm程度離間して配置される。なお、光触媒構造体10に分散させる光触媒11aの応答する光が可視光であるか、紫外線であるかにより、LED22は適宜変更することが可能である。
上記の空気清浄装置20では、LEDを用いる場合を例に挙げたが、これに限られず、用いる光触媒の性質に応じて、ブラックライト等の他の光源を用いることができる。また、光触媒構造体や光源の数や配置方法、光源と光触媒構造体とを離間させる距離、紫外線の強度等は適宜変更することが可能である。さらに、上述した実施形態では、光触媒構造体はシート状に形成される例を挙げて説明したが、これに限られず、シート以外の形状に成形してもよい。本発明は上述した実施形態に限られず、様々な変更、及び応用が可能である。
<<実験例>>空気清浄装置(実験1〜13)
上記光触媒構造体を備える空気清浄装置の実施態様での、空気清浄に関する実験結果を以下に示す。なお、以下の各実験では、臭気の測定は、GASTECH CO.,LTD製のにおいモニタ(GT300−VOCモデル)を用いた。ここで、においモニタ値とは、新鮮な空気を1として、空気中の炭化水素系化合物などの濃度の変化をにおいの度合として数値化されたものであり、例えば、公衆トイレは一般的に10〜40、下水口20〜40、喫煙室30〜90の数値を示す。
<閉鎖型仮設トイレでの消臭実験> 実験1〜3、表1
実験では、1つの実施態様として、紫外線型の酸化チタン、水溶性のバインダ、及び、吸水性ポリマーを表1の実験1〜3に示す分量で、上記の製造方法で光触媒構造体を製造し、これらの光触媒構造体を用いた空気清浄装置を作製した。紫外線型の酸化チタンとしては、石原産業(株)製ST−21の二酸化チタン、水溶性のバインダとしては、酢酸ビニル樹脂系エマルジョンボンド(コニシ株式会社製)を用い、吸水性ポリマーとしては、アクリル酸重合体部分ナトリウム塩架橋物(ケニス株式会社)を用いた。また、空気清浄装置は17cm×17cm、高さ37mm程度のコンパクトな大きさとした。空気清浄装置には光源としてLEDを用い、LEDとして、紫外線ピーク波長375nm、強度が0.38mW/cmのダイオード42個を15cm×15cmの基板に7cm幅に配置させた。また、光触媒構造体とLEDとの距離を1mm程度となるように配置した。光触媒構造体は、15cm×15cm、高さ4mmのサイズに形成した。
この空気清浄装置を、気温33.5℃下に設置した空間容積が1.5mの閉鎖型仮設トイレ(においモニタ値は、22.5)にセットした。上記空気清浄装置の運転を開始してから2時間経過後に、この仮設トイレ内の臭いを、上記においモニタによって測定した。
<閉鎖型仮設トイレでの消臭実験> 実験4、5、表2
(吸水性ポリマーが無添加の場合)
実験4、5では、表2の分量(吸水性ポリマーは無添加)で、その他は上記表1(実験1〜3)と同様の製造方法で光触媒構造体を作製した。つまり、実験4、5では、実験1〜3と同様に光触媒として紫外線型の酸化チタン粉末を、バインダとして酢酸ビニル樹脂系エマルジョンボンドを、用い、それぞれ、二酸化チタン粉末を、50g、5gとし、光触媒構造体の施工面積が、2338cm、300cmとなるように、作製した。仮設トイレでの実験条件は、上記実験1〜3と同様である。なお、実験4、5ではいずれも、強度5mw/cmのブラックライト1本を5mm程度離間させて照射した。
表2に示す実験4では、紫外線を照射しても光触媒層は青色に発色せず、光触媒が機能していない状態であった。また、実験5では、紫外線照射により光触媒層が青色に発色し、光触媒が機能している状態であることは確認できたが、酸化チタンの光分解効率が低かった。
上記実験1〜5の結果を、施工面積あたりの酸化チタンの含量と、においモニタ値との関係でまとめると、以下のようになる。
酸化チタン含量/施工面積 においモニタ値
(mg/cm
実験1 1.87 1
実験2 3.69 1
実験3 5.56 1
実験4(比較例) 21.39 5
実験5(比較例) 16.67 10
この結果から、実験前、仮設トイレ内のにおいモニタが、22.5であったのに対して、吸水性ポリマーを添加しない比較例(実験4、5)では、消臭効果はさほど無かったのに対して、本願の各実施態様の光触媒構造体(実験1〜3)では、いずれの場合でも、仮設トイレ内のにおいモニタ値が、1(新鮮な空気レベル)を示した。つまり、上記光触媒構造体を備えた空気清浄装置によって、2時間程度で、仮設トイレ内の悪臭を無臭にするという、従来にない格別な効果が得られた。
この効果は、光触媒構造体に形成される多数の空隙によって、光触媒と、空気とが接する面積が大幅に増加し、格段に光分解効率を向上させているものと推察される。つまり、本発明に係る実施態様では、より少ない酸化チタンの量で、より小さな施工面積で、より高い光分解効率を得ることができ、これにより、生産コストを下げ、よりコンパクトなサイズの空気清浄装置とすることができる。
<閉鎖型仮設トイレでの消臭実験> 実験6、表3
(可視光応答型酸化チタンを使用した場合)
次に、実験6は、光触媒として可視光型の酸化チタンを用いた場合の実験結果である。実験6では、白金化合物で表面処理した可視光応答型酸化チタン粉体(石原産業(株)、MPT−623)を用いて実験1〜3と同様の方法で製造した光触媒構造体と、10000Luxの可視光を照射する9W LEDとを備える、空気清浄装置を作成した。実験条件は、表1と同様である。表3に示すように、2時間経過後の測定で、仮設トイレのにおいモニタ値は1となった(表3、参照)。
このように、紫外線型酸化チタンと同様に、可視光型酸化チタンにおいても、本願発明に係る光触媒構造体を製造して、本願発明に係る空気清浄装置を作成すれば、臭気の強い仮設トイレでも、無臭にすることができる。
<閉鎖型仮設トイレでの消臭実験> 実験7、8、表4
(他の吸水性ポリマーを用いた場合)
次に、吸水性ポリマーとして、ポリアクリル酸重合体部分カルシウム塩架橋物を用いた実験7、8の結果を表4に示す。ここでは、メビオール株式会社製のポリアクリル酸重合体部分カルシウム塩架橋物からなる吸水性ポリマーを用い、2g添加した。酸化チタン、バインダ、については実験1〜3と同じであり、施工面積も同じ225cmとした。この光触媒構造体を実験1〜3と同様に仮設トイレにセットし、強度1mw/1cmの20Wブラックライトを照射したところ、においモニタ値は1を示した。これにより、吸水性ポリマーとしてポリアクリル酸重合体部分カルシウム塩架橋物を用いても同様に、臭気の強い仮設トイレを無臭にすることができた。
<閉鎖型仮設トイレでの消臭実験> 実験9、表5
(他の水溶性バインダを用いた場合)
次に、水溶性バインダとして、PVAL系のバインダ(株式会社ミツエ製の液状のりADMIGHT)を用いて実験した。バインダをPVAL系とした以外は、実験1〜3と同じ条件とした。この光触媒構造体に、紫外線ピーク波長375nm、強度が0.38mW/1cmのダイオードを照射したところ、においモニタ値はやはり1を示した。これにより、PVAL系のバインダを用いても同様の効果があることが示された。
PVAL系のバインダは、酢酸ビニル系と比較し、ベトツキが少なく、流動性が高いため、基板上に塗布しやすく製造時の作業が容易となり、また、乾燥時間の短縮を図ることができ、より好ましい態様である。
<閉鎖型仮設トイレでの消臭実験> 実験10、11、表6
(水溶性でないバインダを用いた場合)
次に、バインダとして、水溶性でない、アクリル酸系のバインダを用いて実験をした。実験10では、コニシ株式会社製のアクリルエマルジョン系接着剤FL−200を、実験11では、セメダイン株式会社のアクリル酸系接着剤EM341を用いた。バインダ以外については、いずれも実験1〜3と同様とした。
実験10、11のいずれも、混合液にべとつきが発生して、形成後の乾燥に1週間以上を要した上、更に紫外線を照射しても発色せず、光触媒が機能しなかった。従って、アクリル酸系のバインダを用いた場合、光触媒構造体を製造することはできなかった。
次に、本実施態様の空気清浄装置の消臭効果について、たばこの煙、および、アンモニア水を用いて実験を行った。
<たばこの煙に対する消臭効果> 実験12、図4
今回の消臭実験は、32.4Lのプラスチック製の密閉容器に、たばこ2本分の煙を充満させて行った。光触媒構造体を作製するために用いた材料は実験1〜3と同様であり、酢酸ビニル系のボンド79g、酸化チタン6g、吸水性ポリマー6gとし、施工面積を570cmとした。また、光触媒構造体にはピーク波長360nm、強度5mW/cmのブラックライトを照射した。
図4に示すように、本発明の光触媒構造体を用いた場合のにおいモニタ値は、実験前、97という高値であったが、30分経過後は60、1時間経過後は35、1.5時間経過後は15、2時間経過後は7と、経時的に低下していった。一方、本発明の光触媒構造体を用いない場合のにおいモニタ値は、当初は97、30分経過後は97、1時間経過後は96、1.5時間経過後は94、2時間経過後は92と、ほぼ横ばい状態であった。
以上のことから、本実施態様の空気清浄装置には、たばこの煙に対しても消臭効果が確実にあることがわかった。
<アンモニアに対する消臭効果> 実験13、図5
この消臭実験では、たばこの煙を用いた消臭実験と同様に、32.4Lのプラスチック製の密閉容器内に、濃度2500ppmのアンモニアを充満させ、光触媒構造体にはピーク波長360nm、強度5mW/cmのブラックライトを照射した。本実験で、光触媒構造体を作製するために用いた材料は、実験1〜3と同様であり、酢酸ビニル系のボンド79g、酸化チタン6g、吸水性ポリマー(アクリル酸重合体部分ナトリウム塩架橋物)6gとし、施工面積を570cmとした。
図5に示すように、本発明の光触媒構造体を用いた場合のにおいモニタ値は、実験前、83という高値であったが、30分経過後は52、1時間経過後は26、1.5時間経過後は4、そして、2時間経過後は1と激減し、無臭レベルにまで低下した。一方、本発明の光触媒構造体を用いない場合のにおいモニタ値は、当初は83、30分経過後は83、1時間経過後は82、1.5時間経過後は80、2時間経過後には80という状態で、ほとんど変化しなかった。
以上のことから、本実施態様の空気清浄装置には、明らかにアンモニアの消臭効果があることがわかった。アンモニアはトイレのにおいの原因物質の一つであることから、本実施態様の光触媒構造体を備えた空気清浄装置が、仮設トイレの消臭に効果があることが裏付けられた。
(4)含水ゲルを更に備える改良型空気清浄装置
次に、(3)の空気清浄装置に含水ゲルを加えたことにより、その空気清浄効率が格段に向上した改良型空気清浄装置について、説明する。
<<改良型空気清浄装置>>
改良型空気清浄装置は、例えば、図9Aに示されるように、ハウジング40内に、光触媒構造体10、光触媒構造体10を支持する支持基板21、光触媒構造体支持基板21に対向するLED(光源)22、LED(光源)22を支持する対向基板23を備え、さらに、含水ゲル32とその収納容器33とを、備える構成である。ハウジング40は、ファン9の近傍に、空気取込み口35を備え、かつその反対側に空気排出口36を備えている。LED(光源)22を支持する対向基板23と、含水ゲル収納容器33とは、光触媒構造体10を支持する支持基板21の両側に、互いに対向して配置されている。なお、これに代えて、光触媒構造体10を支持する支持基板21とLED(光源)22を支持する対向基板23とを入れ換える配置としたり、光触媒構造体10を支持する支持基板21とLED(光源)22を支持する対向基板23とを、含水ゲルの容器を挟んで両側に、それぞれ配置してもよい。
含水ゲル収納容器33は、例えば、図7の様なメッシュシート等から形成された内側容器33aと、図8の様な穴あきプラスチックで構成された外側容器33bとからなる。含水ゲル32を収納した内側容器33aを、外側容器33b内に納め、それを、光触媒構造体10の支持基板21の背面21b側に隣接するように配置し、吸引ファン9により通風させる。
図9A、9Bにあるように、支持基板21は、好ましくは、通風により含水ゲル32から蒸発した水分(湿気)を含む空気が、含水ゲルの収納容器33(33a、33b)側からLED22側へ過剰に流動しないようにするために、隔壁としての役割を果たすように配置してもよい。また、別途、支持基板21と収納容器33との間に、隔壁を設けてもよい。
図9Bに示すように、上記改良型空気清浄装置30の運転が開始されると、ファン9によって空気取込み口35から空気が入り、内部で分流されて空気排出口36付近で合流する、気流が生じる。この気流は、主に、光触媒構造体10とLED6との間を通過する空気の流れAと含水ゲル収納容器33側を通過する空気の流れBと、からなるが、それに加えて、後に説明するように、含水ゲル収納容器33側から光触媒構造体10への空気の流れCなども生じる。
ある実施形態では、装置内の支持基板21には、石原産業株式会社製の可視光応答型酸化チタンで、白金化合物で表面処理したMPT−623の粉末を使ってシート化した160cmの面積の光触媒構造体10を、使用している。その対向支持基板23には、2w LEDが、42個、配置された9.5cm×14.5cmのLED基板が、取り付けられている。これらのLEDは、15000Luxの可視光を光触媒構造体10に照射する。
装置内には、空気を吸い込むために、12VのDC吸引ファン9が、含水ゲル収納容器33のセット位置から0.5cm〜2cm程度離した距離に、設けられていてもよい。装置外の空気は、ファン9の回転と同時に改良型空気清浄装置30内に吸い込まれ、例えば風速は、2m/sec〜3m/sec前後である。
含水ゲル32は、まず、内側収納容器33aに収納され、これがさらに外側収納容器33bに収納される。内側収納容器33aは、図7に示されるように、例えば、熱可塑性樹脂等のポリアミド、ポリプロピレン及びポリエチレン等のメッシュシートから作成されたかごである。外側収納容器は、例えば、図8の様に、多数の穴33b1が開けられている穴あきプラスチック容器(市販のイノマタ化学株式会社製のポリスチレン製深角容器(7.4cm×11.3cm×9.8cm))である。含水ゲル32をこのようなメッシュシートの内側収納容器31に収納する理由は、含水ゲルを、プラスチック製の外側収納容器32に直接収納すると、容器32の内壁に接した含水ゲル32の形状が潰れてしまうからである。
ある実施態様では、上記内側収納容器33aには、吸水量が自重に対して20倍の含水ゲル32(480g分)が収納される。外側収納容器33bは、好ましくは、支持基板21の背面21b側の隣接した位置に、2個ずつ重ねた組を2組1列に配置される(図9A、9B、10、参照)。この場合、例えば、4個のゲル外側収納容器33bの重量は、1920gで、容器の総表面積は1452cmになる。
<含水ゲルの作成方法>
本発明に係る「含水ゲル」は、吸水性樹脂1の粉体が、吸水により、その形態を保持可能な程度に水を含んで膨潤したゲルであって、容器内に重ねて収納しても、ゲル間に、適度な空気の隙間が確保されている状態のもの(タイプ3、下記参照)を、いう(図6A、参照)。以下にその作成方法について述べる。
まず、吸水性樹脂としては、特に制限はないが、水性ゲルの吸水性や安定性の観点から、(1)アクリル酸又はその塩、アクリル酸エステル及びアクリルアミドから選ばれる単量体を含んで構成される架橋されたアクリル系ポリマー、(2)イソブチレン−無水マレイン酸共重合体の架橋体、並びに、(3)ポリオキシエチレン架橋体から選ばれる1種以上が好ましい。
一般的に市販されている吸水性樹脂としては、例えば、アクリル酸塩系の、ポリアクリル酸重合体部分ナトリウム塩架橋物、ポリアクリル酸重合体部分カルシウム塩架橋物等の側鎖に親水其を有する高分子鎖を架橋した分子構造をもつ吸水性樹脂等があり、その形状は通常、粉体又は粒状である。そこで、実験を始める前に、吸水前の本来の吸水性樹脂の粒径分布を調べてみた。30メッシュから150メッシュのステンレス金網で篩いを作成し、例として、以下の吸水実験で用いる、アクリル酸重合体部分ナトリウム塩架橋物樹脂(ケニス株式会社、400g)の粒度分布を調べた。なお、下記において、例えば、「30#on」は、30メッシュの金網をパスしない場合、「150#pass」は、150メッシュの金網をパスする場合を、それぞれ意味している。
(吸水性樹脂の粒径分布、ふるい分け実験) 予備実験、表7
上記の結果、開口0.288mm(50金網メッシュ)以上をパスしない比較的大きなサイズが、重量割合(wt%)で全体の72%以上を占めていたことから、特にふるい分けすることなく、以後の実験を進めることとした。
<<実験例>> 含水ゲル実験14〜20、改良型空気清浄装置関連実験21〜24
上記したように、吸水性樹脂をふるい分けせずに、吸水実験や含水ゲル32の作成を行うこととしたため、以下の実験では、粒径サイズによって吸水速度が異なることに、留意して吸水させた。つまり、吸水性樹脂1は粉体又は粒状であり、上記予備実験の場合、サイズが比較的大きいもので0.6mm、小さいもので0.1mm前後である。例えば、篩いで分別した30#on(0.560mm)と150#on(0.104mm)の吸水性樹脂で、樹脂量の40倍の水を吸収する吸水速度を比較すると、30#on樹脂で1.168cc/sec、150#on樹脂で4.516cc/secと、その値に4倍以上の違いがあった。
そこで、吸水性樹脂をふるい分けせずに含水ゲルを作成する場合には、水又は金属イオン等を含有する水を入れる容器を、底の深さが、例えば4〜5cm程度で浅く、しかも間口(例えば、22x31cm)の広い正方皿とすることが好ましく、さらに、正方皿内全体に、均一になるように吸水性樹脂1を投入するとよい。この様に吸水を行えば、吸収速度の違いによるバラツキが少なく、良好な吸水度の含水ゲル32を得ることができる。
<吸水量と吸水ゲルの形態との関係> 実験14、表8
吸水性樹脂1としては、粉末状または粒状の形状をしたアクリル酸重合体部分ナトリウム塩架橋物(ケニス株式会社)を使用し、水2は精製水を使用した。自重に対する吸水量とゲルの形態の観察結果を以下に示す。
※1:(タイプ1)多量の吸水によりゲルが崩れて寒天状になり、水の浸み出しの可能性が大きい。
※2:(タイプ2)タイプ3からタイプ1への移行段階
※3:(タイプ3)含水ゲル32
※4:(タイプ4)樹脂投入速度よりも樹脂の吸水速度が速いケースでは吸水性が不均一なゲルとなり得る。
実験14の実験条件での、自重に対する吸水度を段階的に増加させた場合のゲルの形態変化をまとめると以下のようになる(図6A〜図6C、参照)。
(a)吸水が自重の約100倍以上の場合、個々のゲルが膨潤しすぎて形状が全体的に崩れた状態の、寒天状ゲルとなってしまう(図6A、参照)(タイプ1)。
(b)吸水が自重の約80〜約90倍の場合、膨潤したゲル中の水の存在が明らかにわかり、容器に収納する等して多少の圧力を加えると水が浸み出してゲルが変形してしまう(図6B、参照)(タイプ2)。
(c)吸水が自重の約12〜約70倍の場合、吸水性樹脂が、吸水により、その形態を保持可能な程度に膨潤したゲルであって、容器内に収納しても、ゲル間に隙間が確保されている状態である(図6C、参照)。吸水により適度に水分を含みつつ、ゲルの形状が維持されて、ゲル間に隙間が確保されるため、吸着剤として好ましい態様である(含水ゲル32、以下、含水ゲルともいう。)(タイプ3)。
(d)吸水が自重(樹脂量)の約10倍以下の場合、吸水性の差が大きく、膨潤が不均一な状態のゲルとなりやすい(タイプ4)。
含水ゲル32が吸着剤として機能し得るためには、吸着性能を有することが必須であるが、これに加え、水溶液が浸み出さずかつゲルの形態が維持されていることも必要である。
つまり、本願でいう「含水ゲル」(32)は、上記タイプ3の、吸水性樹脂が、吸水により、その形態を保持可能な程度に膨潤したゲルであって、容器内に収納してもゲル間に、隙間が確保されているため、吸着剤として好ましい態様である。なお、含水ゲル32(単に、含水ゲルともいう)の吸水(含水)の度合いは、上記タイプ3の特性を満たすように、用いる吸水性樹脂の種類によって、適宜調製することができる。
<含水ゲルの防かび実験> 実験15、表9
実験14で得られた含水ゲル32を使用中又は保存中に黒カビ等が発生する恐れがある。その対策としては、銀イオン、銅イオン等を含有させた水溶液を用いるのが最も好ましい。200mlボトルを使用し、密閉して放置試験の結果、吸水用として水道水を使用した場合は、含水ゲル32は一週間程度で黒カビが発生したが、上記のような抗菌性金属イオン水を使用した場合は、2カ月間以上経過してもカビの発生は観察されなかった。
※1:水道水を自重の30倍吸水した含水ゲル
※2:銀イオン0.1ppm水溶液を自重の30倍吸水した含水ゲル
※3:銀イオン0.25ppm水溶液を自重の30倍吸水した含水ゲル
※4:銀イオン100ppm水溶液を自重の30倍吸水した含水ゲル
<含水ゲルの持続的消臭効果> 実験16、17、表10、11
次に、上記方法で作成した、含水ゲルの消臭作用に関する実験結果を以下に示す。
この実験では、吸水性樹脂1から製造した含水ゲル32を用いて、粒状白鷺WH2C8/32ヤシガラ活性炭(日本エンバイロケミカルズ株式会社)と比較した。使用した実験箱は、縦45cm、横45cm、高さ60cmのガラス板で作成し、容積は121.5Lである。収納容器は、50#ステンレス金網製の15cm×2.5cm×15.5cm(容積581.25cm,表面積617cm)のものを用いた。ヤシガラ活性炭量240gまたは、吸水倍率30倍の含水ゲル377gを収納容器に入れて、実験箱内にセットした。実験箱内の床に、汚臭物質の1つでもあるアンモニア水をアンモニア濃度が1400ppmになるように滴下した。実験は、含水ゲルやヤシガラ活性炭を交換せずに、1日1回3時間の実験を4日間続けて行った。実験箱内のにおいモニタ値の測定には、上記各実験と同様のにおいモニタを用いた。
(実験16)ヤシガラ活性炭の消臭効果(比較例)
(実験17)含水ゲルの消臭効果
実験16のヤシガラ活性炭の場合(比較例)は、1日目はほぼ順調に消臭効果を示しているように見られたが、2日目以降、使用時間が経過しても消臭効果が少なく、消臭機能が低下しているのに対して、実験17の含水ゲルの場合は、使用して1時間でかなりの消臭効果を示し、かつ、2日目以降も消臭機能の低下が見られないことから、含水ゲルの消臭効率及び消臭機能の持続性は、ヤシガラ活性炭に比べて顕著に大きいということがいえる。
<タイプ1〜4の吸水ゲルでの消臭効果の比較> 実験18(正方皿)、表12
次に、自重に対する吸水が4倍から180倍の場合の吸水ゲル(タイプ1〜4、上記実験14参照)の消臭効果実験を行った。吸水して膨潤したゲルの収納容器として正方皿を使用し、表面積が700cmにするように吸水ゲルを敷きつめた。用いた実験箱は、前述と同じである。今回の実験では、空試験(比較実験)として吸水ゲルを施工しないケースを用意した。実験箱にアンモニア濃度1400ppmを滴下した後、各経過時間での、においモニタ値の結果を以下に示す。
(実験18)
自重に対する吸水が100〜180倍(タイプ1)
自重に対する吸水が80倍 (タイプ2)
自重に対する吸水が20〜60倍 (タイプ3)
自重に対する吸水が4倍 (タイプ4)
前記の吸水実験で、タイプ1からタイプ2として分類される、吸水が自重の80倍、100倍のゲルは、明らかに水の浸み出しが確認され、特に、タイプ1と分類される180倍ゲルは、正方皿でも変形しやすく、顕著に多量の水が流れ出た。消臭効果については、空試験に比較して180倍ゲルも多少の消臭効果は認められるがその効果は小さい。全体としては、吸水の程度が低いほど、即効性の消臭効果が見られた。なお、今回の実験で最も吸水度の低いゲル(自重の4倍、タイプ4)では、最速の消臭効果が得られたが、吸水度が低く直ぐ乾燥してしまうので、上記実験17の様に、継続して使用する場合は、この様な効果は得られない。
<施工面積と消臭効果の比較> 実験19(正方皿)、表13
次に吸水が自重の20倍の含水ゲル32(タイプ3)を用いて、施工面積を380cmから1785cmまで、段階的に増加させて、その消臭効果を見る実験を行った。実験箱は上記と同じであるが、アンモニア水の滴下を2500ppmの高濃度とした。なお、含水ゲル32の比較用に水道水を正方皿に満たしたものを、空試験(施工面積612cm)として用いた。結果を、以下に示す。
(実験19)
上記実験19の結果(表13)により、含水ゲルの施工面積(380cm〜1785cm)をふやすほど消臭効果が上がることが確認された。
<吸水性樹脂の違いと消臭効果> 実験20(正方皿)、表14
次に、吸水性樹脂として、テスト品(1)ケニス株式会社製のアクリル酸重合体部分ナトリウム塩架橋物と、テスト品(2)メビオール株式会社製のポリアクリル酸重合体部分カルシウム塩架橋物を用いて、消臭効果を比較した。吸水倍率は自重の20倍とし、施工面積は1190cm、アンモニア水の滴下は2500ppmでおこなった。経過時間毎のにおいモニタ値の結果を、表14に示す。
(実験20)
以上の結果から、吸水性樹脂として(イ)ポリアクリル酸重合体部分カルシウム塩架橋物を用いても、短時間で(ア)アクリル酸重合体部分ナトリウム塩架橋物と同様に、においモニタ値が、清浄な空気のレベル(1)にまでに浄化する効果を得ることができた。
<<改良型空気清浄装置の即効的消臭効果>> 実験24、表15
光触媒構造体と含水ゲルを備える改良型空気清浄装置30に関して、その効果を調べる実験を行った(実験21〜24)。表15の含水ゲル入り収納容器「4個セット」とは、実験14等の製造方法に従い、自重に対して吸水倍率20倍の含水ゲル32を作り、4つの収納容器33に収納して(図10)、改良型空気清浄装置30内に設置したことを意味する(図9A、9B)。なお、含水ゲルの吸水には精製水を用いている。
実験16、17で使用した121.5L容積の実験箱内に改良型空気清浄装置30を置いて、下記の条件で実験した。濃度500ppmのアンモニア水を実験箱内に滴下した後、ファン9を運転し、経時的に実験箱内の臭気を、においモニタで計測した。ここで、「LED電源ON状態」とは、LEDが照射されて、光触媒構造体10が光触媒機能を発揮する条件下にあること、そして、「LED電源OFF状態」とは、LEDが照射されず、光触媒構造体10が、光触媒機能を発揮しない条件下にあることを、それぞれ意味している。
先の実施例の、光触媒構造体を備える空気洗浄装置では、約2時間経過後に清浄な空気レベルになるとの消臭効果が得られていたが、今回の改良型空気清浄装置の実施例では、一段と短い時間で格別な消臭効果が得られており、以下には、11分経過後のにおいモニタ値を示す。
(実験21〜24)
上記実験によれば、光触媒構造体10(LED・ON状態)と含水ゲル32とを併用した改良型空気清浄装置30は(実験4)、わずか11分間の運転で、アンモニアが充満した空気(においモニタ値84)を、清浄な空気と同等のレベル(においモニタ値1)まで消臭・清浄することができるという、驚異的な空気洗浄効果を示した。
一方、11分間という短時間での実験で、含水ゲル32単独の場合(実験3)はレベル13に低下したが、光触媒構造体10(LED・ON状態)単独の場合(実験2)は、レベル63に留まっていた。
以上の結果から、改良型空気清浄装置においては、(1)含水ゲルは、その含水性やゲル間に隙間を有することにより、より短時間で臭気等をトラップすることができるという、優れた吸着力を有し、一方、(2)光触媒構造体10は、短時間では消臭効果は小さいが、前述の光触媒構造体10を備える空気清浄装置の実験(実験1〜13)より、2時間程度経過すれば、継続的に空気を清浄できる性能がある。
そして、(3)光触媒構造体10(LED・ON状態)と含水ゲル32とを併用した場合(実験24、においモニタ値:1)は、光触媒構造体(LED・ON状態)単独の場合(実験22、においモニタ値:63)より効果があるのはもちろんのこと、含水ゲル単独の場合(実験23、においモニタ値:13)よりさらに効果が顕著で、11分という短い時間で清浄な空気のレベルまで浄化された。この点は、繰り返して実験を行っても同様の結果であった。
また、含水ゲル単独(実験23など)の場合、空気はある程度消臭されても、アンモニアの実験ではアンモニア臭が、たばこの煙の実験ではその臭いが、含水ゲルに残存して、ゲル自体に臭いが残ってしまうが、光触媒構造体10と含水ゲル32を併用させた改良型空気清浄装置(実験24など)の場合には、含水ゲル32に上記臭気が残存することがなく、良好であった。これは、以下に述べる、含水ゲル32を再生して再利用するためにも重要な効果である。
以上のことから、本発明に係る光触媒構造体10と含水ゲル32とを併用させた改良型空気清浄装置30の空気清浄効果は、予想以上に大きなものであることが判明した。
光触媒構造体と含水ゲルとを併置した改良型空気清浄装置での、この格別な効果は、光触媒構造体と含水ゲルの各々単独の効果の和だけではなく、以下に述べるように、両者を併用することによる、何らかの複合的効果あるいは相乗的効果が存在するためと思われる。
上記の改良型空気清浄装置30のハウジング40内は、隔壁(又は支持基板21)によって、光触媒構造体10側の区画37と含水ゲルの収納容器33側の区画38とに区画されている(図9B)。図9B、図10に示すように、ハウジング40の上部を空気が流通する(気流C、C’)ように、この隔壁の上端bは、収納容器33の上端aより若干低く(本実施態様では5mm程度)、プラスチック容器の一番高い位置の穴の上端cより高く設定されている。改良型空気清浄装置30の運転を開始すると、ファン9により装置内に流れてきた空気は、隔壁によって、主に、区画37側を流れる気流Aと、区画38側を流れる気流Bに分流されるが、それだけではなく、区画37と区画38の間に亘って流れる別のタイプの気流が、実際に観察された。図9Bでは、これを気流C、C’として示している。
そして、上記実験21〜24において、改良型空気清浄装置の、含水ゲル容器側の区画38は、ファンにより含水ゲルの水分が蒸発することによって、湿度が約90%に上昇していた。なお、実験箱内で装置外の湿度は約68%であった。
以上の結果を総合的に勘案すると、光触媒構造体と含水ゲルとを備えるこの改良型空気清浄装置30が予想外の空気清浄効果を示す理由として、以下の1)、2)に加え、さらに、3)〜5)等の作用機序が考えられる(図9B、参照)。
1)気流Aに関する、光触媒構造体による消臭効果
2)気流Bに関する、形態を保持する程度に吸水した含水ゲルによる消臭効果
3)気流Cと光触媒構造体による消臭効果
図9Bに示すように、前述の気流A、気流Bの他に、含水ゲル容器側区画38から光触媒構造体側区画37への気流C(例えば、0.3〜1.0m/s程度)が観察されている。この気流Cは、ファン9により含水ゲル32から水分が蒸発して含水ゲル容器側区画38が高湿度となって、光触媒構造体側区画37との間に湿度の濃度勾配(不均一性)が生じ、この湿度の濃度勾配(不均一性)を緩和させる方向に空気が移動するために、生じていると思われる。気流Cによって、含水ゲル収納容器側区画38の多湿な空気とそれにトラップされた汚臭物質等が、区画38から区画37に流れ込むことによって、光触媒作用のための水分と、水分にトラップされた汚臭物質等が、一緒に効率よく光触媒構造体側へと運ばれる。さらに、本願に係る光触媒構造体は、多孔性であるスポンジ状の吸水性ポリマーからなることから、この多数の空隙に存在する光触媒にも、汚臭物質と光触媒作用に必要な水分が一緒に継続的に運ばれることになり、その結果、光触媒反応がより効率的に行われて、汚臭物質がより有効に分解されると推察される。
4)気流C’の効果
図9Bに示すように、光触媒構造体側区画37の空気が含水ゲル容器側区画38に流れる、気流C’も観察されている。気流C’によって、区画38側の光触媒により生成された活性酸素種が含水ゲル容器区画37にも供給され得、これによって、空気の消臭効果が増すことも考えられる。
5)その他の効果
実験23の、含水ゲル単独の消臭実験の場合、空気はある程度消臭されてもゲル自体が臭くなってしまうが、実験24の、光触媒構造体10と含水ゲル32を併用させた場合は、ゲルは無臭のままであった。このことは、吸着体であるゲル自体を下記のように再生して再利用する際にも好ましい現象である。この想定外の効果は、例えば、気流C’により運ばれる活性酸素種等によるものとも考えられる。
<<防菌・殺菌における、光触媒構造体と含水ゲルの併用効果>> 実験25
改良型空気清浄装置30を、20年間使用している古いプレハブ(2.1m×5.0m×2m、容積:21m)内の片隅に設置して、24時間連続運転前後の内壁合板の一般細菌の有無について、サン化学株式会社製のサンコリの判定法で調べた。その結果、改良型空気清浄装置30を設置しない場合は、5枚の合板を用いた検査で、24時間後に、3枚から一般細菌の陽性反応が確認されたが、改良型空気清浄装置30を設置した場合は、24時間運転後の検査で、空気清浄装置の設置場所から3.5m離れた位置の5枚の合板を用いた検査で全て陰性であった。このことから、光触媒構造体10と含水ゲル32とを備える、改良型空気清浄装置30は、空気の除菌・防菌効果も併せ持つことが判明した。
<<含水ゲルの再生方法>> 実験26、表16
含水ゲル32は、以下のようにして再生させて、何度も使用することが出来る。一ヶ月程度使用した含水ゲル32を、50℃の雰囲気中で強制的に脱水・乾燥させ、7カ月間保存したものを用いて、含水ゲルの再生実験を行った。このような保存物を、実験19の表面積1190cmで実施した方法で吸水させると、吸水倍率20倍の再生含水ゲルを得ることができた。新品の吸水性樹脂を吸水させて得られる含水ゲルと比較して、外見上は全く区別がつかないのはもちろんのこと、その吸着性能も以下の通り、同程度である。実際に、改良型空気清浄装置30を長期に使用する場合、この含水ゲルが乾燥してしまった場合には、再度吸水させることにより、何度も再生させて使用することができる。
(実験26)
上述の説明は、本発明の原理の単なる代表例である。本発明の多くの変更態様と変形態様は、上述の教示に鑑みて実施可能である。本発明の好ましい実施態様を開示してきたが、当業者は、幾つかの変更態様が本発明の範囲に入ることを認めるであろう。したがって、添付される請求項の範囲において、本発明を、特に説明されたものと異なる態様で実施されることがわかる。その理由のために、添付の請求項を、本発明の真の範囲と内容を判断するために検討すべきである。
本出願は、2011年9月28日に日本国に出願された特願2011−212696号に基づく優先権を主張するものであり、その開示の全ての内容をここに援用する。
本発明に係る光触媒構造体及び光触媒構造体の製造方法は、良好な光触媒機能を有する構造体とその製造方法として、様々な分野で利用可能である。また、本発明に係る光触媒構造体を備える空気清浄装置は、空気の消臭、殺菌などの機能が良好な空気清浄装置として利用することができる。
9・・・ファン
10・・・光触媒構造体
11・・・光触媒層
11a・・・光触媒
11b・・・空隙
12・・・支持基板
20・・・空気清浄装置
21・・・支持基板
22・・・光源(LED)
23・・・対向基板
24・・・柱部
30・・・改良型空気清浄装置
32・・・含水ゲル
33・・・含水ゲル収納容器
33a・・・内側容器
33b・・・外側容器
33b1・・・穴
35・・・空気取込口
36・・・空気排出口
37・・・含水ゲル収納容器側区画
38・・・光触媒構造体側区画
40・・・ハウジング

Claims (18)

  1. 多数の空隙が形成されたスポンジ状の光触媒層を備え、
    前記光触媒層は、光触媒、吸水性ポリマー、および、水溶性のバインダを含むことを特徴とする、光触媒構造体。
  2. 前記光触媒は、酸化チタンであり、前記吸水性ポリマーは、(1)アクリル酸またはその塩、アクリル酸エステル及びアクリルアミドから選ばれる単量体を含んで構成される架橋されたアクリル系ポリマー、(2)イソブチレン−無水マレイン酸共重合体の架橋体、並びに、(3)ポリオキシエチレン架橋体から選ばれる1種以上である、請求項1に記載の光触媒構造体。
  3. 前記吸水性ポリマーは、アクリル酸又はその塩、アクリル酸エステル及びアクリルアミドから選ばれる単量体を含んで構成される架橋されたアクリル系ポリマーである、請求項2に記載の光触媒構造体。
  4. 前記水溶性のバインダは、ポリビニルアルコール系又は酢酸ビニル樹脂系バインダである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光触媒構造体。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の光触媒構造体と、前記光触媒構造体を配置させた第1の基板と、光源と、前記光源を配置させた第2の基板とを備え、前記光触媒構造体は、前記光源に対向するように配置されることを特徴とする、空気清浄装置。
  6. さらに、吸水して膨潤した含水ゲルを備える、請求項5に記載の空気清浄装置。
  7. 前記含水ゲルは、ゲルの形態が維持可能な程度に吸水しているものである、請求項6に記載の空気清浄装置。
  8. 前記含水ゲルは、収納容器に収納されているものである、請求項6または7に記載の空気清浄装置。
  9. 空気を取り込む第1の開口と、空気を排出する第2の開口とを有するハウジングを備え、前記ハウジング内には、前記第1の基板に配置された前記光触媒構造体と、前記第2の基板に配置された前記光源である発光素子とを、前記第1の開口と前記第2の開口とを結んだ軸に対して平行に対向させ、かつ、前記第1の基板または前記第2の基板の、少なくともいずれか一方の背面側に、前記含水ゲルを収納した前記収納容器を配置する、請求項8に記載の空気清浄装置。
  10. 前記収納容器は、前記含水ゲルを収納する、メッシュシートからなる内側容器と、該内側容器を収納する、穴あきプラスチックからなる外側容器とを含む、請求項8または9に記載の空気清浄装置。
  11. 前記外側容器は、上下2個重ねた組を2つ、前記第1の基板または前記第2の基板の背面に、並列させている、請求項10に記載の空気清浄装置。
  12. 前記外側容器を配置する側の前記第1または第2の基板の上端は、前記2個重ねた上側容器の上端より低い、請求項11に記載の空気清浄装置。
  13. 前記含水ゲルは、金属イオンを含む水溶液を吸水したものである、請求項6〜12のいずれか1項に記載の空気清浄装置。
  14. 前記含水ゲルは、乾燥した場合、吸水させることにより再生して再利用可能である、請求項6〜13のいずれか1項に記載の空気清浄装置。
  15. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の光触媒構造体の製造方法であって、
    光触媒と、水溶性のバインダを混合、攪拌させ、第1の混合物を作製する工程と、
    前記第1の混合物と、吸水性ポリマーとを混合させ、第2の混合物を作製する工程と、
    前記第2の混合物を成形する工程と、
    成形された前記第2の混合物を乾燥させる工程と、
    を備えることを特徴とする光触媒構造体の製造方法。
  16. 前記光触媒は、酸化チタンであり、前記吸水性ポリマーは、(1)アクリル酸またはその塩、アクリル酸エステル及びアクリルアミドから選ばれる単量体を含んで構成される架橋されたアクリル系ポリマー、(2)イソブチレン−無水マレイン酸共重合体の架橋体、並びに、(3)ポリオキシエチレン架橋体から選ばれる1種以上である、請求項15に記載の光触媒構造体の製造方法。
  17. 前記水溶性のバインダは、ポリビニルアルコール系又は酢酸ビニル樹脂系バインダである、請求項15または16に記載の光触媒構造体の製造方法。
  18. 前記吸水性ポリマーを混合させる工程では、更に水を添加することを含む、請求項15〜17のいずれか1項に記載の光触媒構造体の製造方法。
JP2013506024A 2011-09-28 2012-09-27 光触媒構造体、光触媒構造体の製造方法及び空気清浄装置 Pending JPWO2013047710A1 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013506024A JPWO2013047710A1 (ja) 2011-09-28 2012-09-27 光触媒構造体、光触媒構造体の製造方法及び空気清浄装置

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011212696 2011-09-28
JP2011212696 2011-09-28
JP2013506024A JPWO2013047710A1 (ja) 2011-09-28 2012-09-27 光触媒構造体、光触媒構造体の製造方法及び空気清浄装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPWO2013047710A1 true JPWO2013047710A1 (ja) 2015-03-26

Family

ID=47995737

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013506024A Pending JPWO2013047710A1 (ja) 2011-09-28 2012-09-27 光触媒構造体、光触媒構造体の製造方法及び空気清浄装置

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JPWO2013047710A1 (ja)
WO (1) WO2013047710A1 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
PL223973B1 (pl) * 2013-05-31 2016-11-30 Phu Dytrych Spółka Z Ograniczoną Odpowiedzialnością Urządzenie do fotokatalitycznego usuwania lotnych zanieczyszczeń organicznych, nieorganicznych oraz mikroorganizmów zwłaszcza z układu klimatyzacji pojazdów mechanicznych
KR20190090959A (ko) 2018-01-26 2019-08-05 서울바이오시스 주식회사 유체 처리 장치
JP7002636B2 (ja) * 2018-03-28 2022-01-20 富士フイルム株式会社 光触媒粒子付き基材、通気性シートおよびマスク

Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0745132A (ja) * 1993-07-29 1995-02-14 Toyo Chem Co Ltd 止水テープおよびその製造方法
JPH07284634A (ja) * 1994-04-21 1995-10-31 Fuji Electric Co Ltd 有害ガス除去装置
WO1997038048A1 (fr) * 1996-04-05 1997-10-16 Kaneka Corporation Composition a base de resine polyolefinique hydratee, particules preexpansees produites a partir de cette composition, procede de production de celle-ci et moulages expanses
JPH11279446A (ja) * 1998-03-27 1999-10-12 Tokushu Paper Mfg Co Ltd 光触媒塗料及びその製造方法、並びにその塗料を使用した光触媒脱臭紙
JP2000295955A (ja) * 1999-04-13 2000-10-24 Ryobi Ltd 釣り用容器
JP2002369868A (ja) * 2001-06-15 2002-12-24 Yoshiki Matsui 空気清浄装置
US20040018125A1 (en) * 2002-07-23 2004-01-29 Yang Chien Ou Sterilizing photo catalyst device of air conditioner
JP2006341250A (ja) * 2000-12-28 2006-12-21 Showa Denko Kk 高活性光触媒
US20080178738A1 (en) * 2007-01-29 2008-07-31 Foamex L.P. Absorbent and/or filter materials comprising open cell foams coated with photocatalytic titanium dioxide, and methods of making and using the same

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5829846A (ja) * 1981-08-17 1983-02-22 Kuraray Co Ltd 吸水性複合体
US7491778B2 (en) * 1998-11-13 2009-02-17 Neptco Jv Llc Superabsorbent water-resistant coatings
JP2000295954A (ja) * 1999-04-13 2000-10-24 Ryobi Ltd 釣り用餌箱
JP2004047261A (ja) * 2002-07-11 2004-02-12 Nippon Zeon Co Ltd 光電極、光電極の製造方法および太陽電池
JP5111270B2 (ja) * 2008-07-11 2013-01-09 太陽工業株式会社 光触媒シートの製造方法

Patent Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0745132A (ja) * 1993-07-29 1995-02-14 Toyo Chem Co Ltd 止水テープおよびその製造方法
JPH07284634A (ja) * 1994-04-21 1995-10-31 Fuji Electric Co Ltd 有害ガス除去装置
WO1997038048A1 (fr) * 1996-04-05 1997-10-16 Kaneka Corporation Composition a base de resine polyolefinique hydratee, particules preexpansees produites a partir de cette composition, procede de production de celle-ci et moulages expanses
JPH11279446A (ja) * 1998-03-27 1999-10-12 Tokushu Paper Mfg Co Ltd 光触媒塗料及びその製造方法、並びにその塗料を使用した光触媒脱臭紙
JP2000295955A (ja) * 1999-04-13 2000-10-24 Ryobi Ltd 釣り用容器
JP2006341250A (ja) * 2000-12-28 2006-12-21 Showa Denko Kk 高活性光触媒
JP2002369868A (ja) * 2001-06-15 2002-12-24 Yoshiki Matsui 空気清浄装置
US20040018125A1 (en) * 2002-07-23 2004-01-29 Yang Chien Ou Sterilizing photo catalyst device of air conditioner
US20080178738A1 (en) * 2007-01-29 2008-07-31 Foamex L.P. Absorbent and/or filter materials comprising open cell foams coated with photocatalytic titanium dioxide, and methods of making and using the same

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
JPN6014028814; "Binders for Nonwoven Applications" , 201301, Dow Chemical Company *

Also Published As

Publication number Publication date
WO2013047710A1 (ja) 2013-04-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8071081B2 (en) Reduction of airborne malodors using hydrogen peroxide and a catalyst-coated media
CN105180272B (zh) 一种空气净化装置
CN201260930Y (zh) 高效空气净化机
WO2013047710A1 (ja) 光触媒構造体、光触媒構造体の製造方法及び空気清浄装置
JPH03106420A (ja) 光触媒による脱臭方法
JP2007275292A (ja) 消臭フィルタ及び消臭装置
CN1625417A (zh) 空气中恶臭物质的除去或减少方法
JP4030234B2 (ja) 空気浄化方法
JP4697598B2 (ja) オゾン脱臭装置
JP2001314491A (ja) 空気清浄フィルター
JP3745857B2 (ja) 脱臭剤、それを用いた脱臭フィルタおよび脱臭装置
JP2000107276A (ja) 空気浄化装置
JP2004041277A (ja) 脱臭フィルター
JP2003181285A (ja) 空気浄化用吸着材及び空気浄化装置
JP2000210372A (ja) 空気浄化膜及び消臭フィルタ
JPH11262340A (ja) 家畜ふん尿用脱臭装置
JP2002028412A (ja) 光触媒フィルター
JP4395648B2 (ja) 微粒子状酸化チタン含有粉末イオン交換樹脂吸着体の製法及びこれを用いた空気又は水の清浄方法及びその装置
JP2001096169A (ja) 光触媒
JP2002000710A (ja) 消臭装置
JP2010240630A (ja) 脱臭装置
US20080213372A1 (en) Gel and Apparatus for Cleaning and Deodorizing Fluids
JP2007033017A (ja) 光触媒空気循環装置
JP2000262604A (ja) 脱臭剤および脱臭シート
JP2003088759A (ja) 低温酸化触媒フィルター

Legal Events

Date Code Title Description
A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20141111