本明細書および添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
[第1実施形態]
<<インキュベータ10の概要>>
本発明の一実施形態である収納装置をインキュベータ10に適用した場合の第1実施形態を、図1〜図3を参照しつつ説明する。図1は、前面(+Y側)の扉が開放された状態のインキュベータ10の正面図であり、図2は、+X方向から見たインキュベータ10の側面図である。また、図3は、インキュベータ10の内部構造を説明するための透過側面図である。なお、本実施形態では、インキュベータ10の構成が容易に理解できるよう、図面においてインキュベータ10の構成の一部を適宜省略している。また、ここでは、X軸方向をインキュベータ10に対する左右の方向とし、Y軸方向をインキュベータ10に対する前後の方向とし、Z軸方向をインキュベータ10に対する上下の方向とする。
なお以下の説明において、水平方向あるいは水平と記載する場合があるが、水平方向あるいは水平は、鉛直方向に対して略90°、例えば90°±2°の範囲、より好ましくは90°±0.5°の範囲であるとする。
また同様に、以下の説明において垂直方向あるいは垂直と記載する場合があるが、垂直方向あるいは垂直は、鉛直方向に対して略0°、例えば0°±2°の範囲、より好ましくは0°±0.5°の範囲であるとする。
また以下の説明において直角と記載する場合があるが、直角とは、直角をなす2つの向きの間の角度が略90°、例えば90°±2°の範囲、より好ましくは90°±0.5°の範囲であるものとする。
同様に以下の説明において平行と記載する場合があるが、平行とは、平行な2つの向きの間の角度が略0°、例えば0°±2°の範囲、より好ましくは0°±0.5°の範囲であるものとする。
インキュベータ(収納装置)10は、細胞(検体)や微生物等の培養物を培養するための装置であり、外箱20及び内箱21を備えている。
外箱20は、いわゆるインキュベータ10の筐体であり、前面に開口部を有する略直方形状の箱である。外箱20の内側には、外箱20と同様に前面に開口部を有する形状の内箱21が、外箱20に覆われるように設けられている。また、外箱20の前面には、内箱21の開口部を開放または閉塞する前面扉25が設けられている。そして、前面扉25が閉じられた際の内箱21内に形成される空間が培養室22となる。
図2に示すように、インキュベータ10の右側の壁面には、培養室22の外から培養室22の中へと貫通する搬入出口26が設けられている。搬入出口26は、培養物を収納した容器やスタッカを培養室22内へ搬入し、または培養室22内から搬出するための開口である。この搬入出口26の近傍で外箱20の右側側面には、搬入出口26を開放または閉塞できるように搬入出扉27が取り付けられている。そして、搬入出扉27には、培養容器等が培養室22へ搬入、または搬出される時に、培養容器等に貼り付けられた電子タグやバーコード等のラベルを読み取るラベル読取装置28が設けられている。
内箱21には、図1に示すように、スタッカ等を収納するインキュベータユニット30が設けられており、インキュベータユニット30は、設置台40、収納棚41,42、搬送装置43、及び観察装置44を備えている。
図4は、インキュベータユニット30の斜視図である。内箱21の底面に載置された設置台40には、棚板45a〜45cを含む収納棚41、棚板46a〜46cを含む収納棚42、及び搬送装置43が設置されている。なお、図4では、インキュベータユニット30の各構成の関係が容易に理解できるよう、インキュベータユニット30の構成の一部を適宜省略している。
また詳細は後述するが、図3に示すように、収納棚41、42には、スタッカが載置される位置の両側に収納部1100が設けられている。
==容器100及びトレー110の構成==
図5は、培養物(培養液等の液体を含む)を収納する容器100及び容器100が載置されるトレー110の一例を示す図である。トレー110は、容器100を保持できるような穴と、凹み150,151が設けられている。なお、詳細は後述するが、凹み150,151は、トレー110が例えば図4に示された搬送装置43の搬送テーブル62に載置された際に、トレー110の位置を決めるために用いられるとともに、トレー110の水平方向の移動を抑制する。
==スタッカ200の構成==
図6は、スタッカ200(収納部材)の一例を示す図である。スタッカ200は、前面及び背面に開口部が設けられた略直方形状の箱である。そして、スタッカ200は、例えば10個のトレー110a〜110jを垂直方向に収納する。スタッカ200の底面には開口部が2箇所設けられている(開口部300のみ図示)。これらの開口部は、スタッカ200が搬送テーブル62に載置された際にスタッカ200の位置を決めるために用いられるとともに、スタッカ200の水平方向の移動を抑制する。また、スタッカ200の側面には、ガイド受機構310及び一対のスタッカガイド(第1レール部材A)1000(1000A,1000B)が取り付けられている。スタッカガイド1000A,1000Bは、スタッカ200の両側面に水平方向に沿って延伸するように取り付けられている。
ガイド受機構310は、搬送テーブル62に載置されたスタッカ200が搬送テーブル62に押し付けられるよう、スタッカ200に弾性力を付与する部材である。図7は、ガイド受機構310の分解斜視図である。ガイド受機構310は、ガイドレール350、凸状部材351、バネ352a,352b、及びボルト353a,353bを含んでいる。
ガイドレール350は、後述する搬送テーブル62側に取り付けられたガイド機構を案内するレールである。ガイドレール350の下側の中央付近には、開口部360が設けられている。
凸状部材351は、例えば凸型の形状に形成された板である。凸状部材351の凸部361は、ガイドレール350の開口部360に下側から挿入される。そして、凸状部材351は、軸部にバネ352aが挿入されたボルト353aと、軸部にバネ352bが挿入されたボルト353bとによりガイドレール350に取付けられる。この結果、凸状部材351の凸部361が上から押されると、バネ352a,352bは縮むことになる。そして、縮んだバネ352a,352bの弾性力によりガイドレール350には下向の力が加わることになるため、結果的にガイドレール350が取り付けられたスタッカ200にも下向の力が加わる。このため、例えば、スタッカ200が搬送テーブル62に載置されている際に凸状部材351が上から押されてバネ352a,352bが縮むと、スタッカ200は、搬送テーブル62に押し付けられることになる。
またスタッカガイド1000は、スタッカ200の両側面に形成されており、スタッカ200が搬送テーブル62から収納棚41、42に収納される際に、収納棚41、42に設けられた収納部1100に形成される収納部ガイドに支持及び案内される。
なおスタッカガイド1000は、スタッカ200の重心の高さとほぼ同一の高さに形成されているため、スタッカ200が収納棚41、42に収納される際に、スタッカ200の揺れや振動を効果的に抑制することができる。
スタッカガイド1000には、収納部ガイドと接触する面に、図8に示すように、例えば2個のスタッカガイド凸部(第1凸部、第2凸部)1010、1011が形成されている。これらのスタッカガイド凸部1010、1011は、スタッカ200を収納棚41、42へ収納する際の移動方向(X軸方向)に離間すると共に、この移動方向に直交する水平方向(Y軸方向)にも離間する位置に形成されている。
そして、これらのスタッカガイド凸部1010、1011は、スタッカ200が搬送テーブル62によって収納棚41、42の収納位置へ収納された状態において、収納部1100の収納部ガイドに形成されている2個の溝又は開口部(第1嵌合部、第2嵌合部)にそれぞれ嵌る。これにより、スタッカ200が収納棚41、42の所定位置に固定される。
なお、スタッカガイド凸部1010、1011は、スタッカ200を収納棚41、42へ収納する際の移動方向に沿って半円又は半楕円を描くように形成されている。このようにスタッカガイド凸部1010、1011を丸みを帯びた形状とすることにより、これらのスタッカガイド凸部1010、1011が収納部ガイドに形成されている溝に嵌る際の衝撃を抑制することができる。
==収納部1100の構成==
一方、収納棚41、42に設けられる収納部1100について、図9を参照して説明する。なお図9は収納棚41に設けられた収納部1100を示す図であるが、収納棚42に設けられる収納部1100も同様である。
収納部1100は、収納棚41、42において、スタッカ200が収納される位置の両側に設けられる壁であり、収納部ガイド(第2レール部材B)1200、案内ガイド1300を備える。
収納部1100は、スタッカ200の幅と略等しい間隔で収納棚41、42に設置されている。これにより、隣接する2つの収納部1100の間に、スタッカ200を収納する区画が形成される。つまり、スタッカ200が収納棚41、42に収納された状態において、スタッカ200の両側面に対向するように一対の収納部1100が設けられる。そしてこれら一対の収納部1100は、スタッカ200が収納棚41、42に収納された状態においてスタッカガイド1000と対向する側に水平方向に沿って延伸する収納部ガイド1200をそれぞれ有する。
収納部ガイド1200は、スタッカ200が収納される区画を挟む両側の収納部1100に形成されており、スタッカ200の両側面に取り付けられたスタッカガイド1000を支持するレールである。そして収納部ガイド1200は、収納部1100の壁面においてスタッカ200の収納方向に延伸している。このため、スタッカ200を載置した搬送テーブル62が収納棚41、42に向かって移動する際に、一対の収納部ガイド1200が一対のスタッカガイド1200を支持しつつ、スタッカ200は収納棚41、42に案内される。
本実施形態に係る収納部ガイド1200は、収納部1100の壁面においてスタッカ200の収納方向に延伸する平行な2本のレールが上下方向に配置される構造をしている。より詳細には、収納部ガイド1200は、これらの2本のレールを一体化して備えるべく、例えばコ字型の形状をしている。
収納部ガイド1200を構成する平行な2本のレールのうち、下方側のレール(以下、支持レールとも記す)は、スタッカ200が収納棚41、42に収納される際に、スタッカガイド1000を支持する。
また、収納部ガイド1200を構成する平行な2本のレールのうち、上方側のレール(以下案内レールとも記す)は、スタッカガイド1000が上記支持レールから逸脱しないように、スタッカガイド1000を案内する。収納部ガイド1200に案内レールを設けるように構成することで、スタッカ200を収納棚41、42に収納する際の揺れや振動をより効果的に抑えることが可能となる。
収納部ガイド1200の支持レールには、スタッカガイド1000と接触する側の面に溝(第1嵌合部、第2嵌合部)1220、1221が形成されている。なお溝1220、1221は、穴などの開口部であっても良い。
溝1220、1221は、スタッカ200の収納棚41、42への収納が完了した際に、それぞれ、スタッカガイド1000に形成されているスタッカガイド凸部1010、1011と対面する位置に形成されている。
そして、収納棚41、42へのスタッカ200の収納が完了した際に、スタッカガイド凸部1010、1011が溝1220、1221にそれぞれ嵌ることにより、スタッカ200が収納棚41、42の所定位置に固定される。
また収納部ガイド1200の案内レールには、ローラ取り付け部1210が形成されている。
ローラ取り付け部1210は、後述するローラを収納部ガイド1200に取り付けるための開口部である。収納部ガイド1200に取り付けられるローラは、回転自在であり、スタッカ200を収納棚41、42に収納する際に、スタッカガイド1000を支持レールに向けて弾性付勢するように作用する。これにより、スタッカガイド凸部1010、1011が溝1220、1221に嵌る際に、スタッカ200に傾斜や衝撃が生じるのを防止することができる。そしてこれにより、スタッカ200に積載された容器100内の毀損や落下、培養物のこぼれ等を防止することができる。
案内ガイド1300は、スタッカ200を搬送テーブル62から収納棚41、42へ移動する際に、スタッカガイド1000が収納部ガイド1200と衝突しないようにスタッカ200を誘導するための板である。案内ガイド1300は、平板形状をしており、スタッカ200を収納棚41、42に出し入れする方の端部に近いほど板厚が薄くなるように形成されている。スタッカ200を収納棚41、42へ収納する際に、案内ガイド1300によりスタッカ200を誘導することにより、スタッカガイド1000と収納部ガイド1200との位置ずれに伴う衝突を防止し、スタッカ200に振動や衝撃が生じるのを防止することができる。
また図9に示すように、収納棚41(収納棚42も同様)には、垂直摺動部1400が設けられている。垂直摺動部1400は直方形状の板であり、第1突起部1410及び第2突起部1420が長手方向に並ぶように形成されている。図9に示す例では、隣接する2つの収納部1100に挟まれる区画の奥側正面の収納棚41の壁面に、長手方向を縦にして2つの垂直摺動部1400が設けられている。
垂直摺動部1400は、スタッカガイド凸部1010、1011が溝1220、1221に嵌る際に、第1突起部1410及び第2突起部1420がスタッカ200の収納方向を向いた前面に接触するように形成されている。このため、スタッカ200を搬送テーブル62から収納棚41、42に移動する際に、スタッカガイド凸部1010、1011が溝1220、1221に嵌る際に、スタッカ200が、移動方向(X軸方向)に傾斜しようとする動きを抑えるように作用する。これにより、スタッカガイド凸部1010、1011が溝1220、1221に嵌る際に、スタッカ200に傾斜や衝撃が生じるのを防止することができる。そしてこれにより、スタッカ200に積載された容器100内の毀損や落下、培養物のこぼれ等を防止することができる。
図1及び図4に示す収納棚41は、観察装置44や複数のスタッカ200を収納するための棚であり、収納棚41が内箱21の左側の壁面近くに設けられるよう設置台40に取り付けられている。また、収納棚41には、3枚の棚板45a〜45cが垂直方向(Z軸方向)に取り付けられている。また上述したように、各棚板45a〜45cには、スタッカ200が載置される位置の両側に収納部1100が設けられている。
ところで、本実施形態では、収納棚41の収納スペースは、図10に示すように、区画1〜区画9までの9つの区画に区切られている。それぞれの区画は、スタッカ200や観察装置44を収納するだけの容量を有する。そして、棚板45aの収納スペースには、区画1〜区画3の3つの区画が割り当てられ、棚板45bの収納スペースには、区画4〜区画6の3つの区画が割り当てられ、棚板45cの収納スペースには、区画7〜区画9の3つの区画が割り当てられている。また、棚板45cの前面扉25側の区画7は、観察装置44が設置されている区画である。観察装置44には、培養物の観察時に、観察対象の培養物が入った容器100を載置したトレー110が設置されるため、区画7にスタッカ200が設置されることはない。このため、収納棚41の収納スペースのうち、スタッカ200が設置可能な区画は、区画1〜6,8,9である。
そして、上述した収納部1100は、このスタッカ200が設置可能な区画1〜6,8,9の両側にそれぞれ設置される。
一方、収納棚42は、収納棚41と同様に複数のスタッカ200を収納するための棚であり、収納棚42が内箱21の右側の壁面近くに設けられるよう設置台40に取り付けられている。また、収納棚42にも、3枚の棚板46a〜46cが垂直方向に取り付けられている。そして各棚板46a〜46cには、スタッカ200が載置される位置の両側に収納部1100が設けられている。なお、棚板45a〜45cのそれぞれと、棚板46a〜46cが取り付けられている高さは同じである。
そして、収納棚42の収納スペースも収納棚41と同様に、図11に示すように、区画10〜区画18までの9つの区画に区切られている。棚板46aの収納スペースには、区画10〜区画12の3つの区画が割り当てられ、棚板46bの収納スペースには、区画13〜区画15の3つの区画が割り当てられ、棚板46cの収納スペースには、区画16〜区画18の3つの区画が割り当てられている。また、スタッカ200をインキュベータ10に搬入または搬出するための搬入出口26に対向し、搬入出口26に最も近い区画15は、スタッカ200を搬入または搬出する際に、一時的にスタッカ200を設置する区画である。さらに、観察装置44が設置される区画7に対向する区画16は、観察装置44で培養物を観察する際に、その培養物が入った容器100を収容するスタッカ200を、一時的に待機させる区画である。観察用のスタッカ200の待機区画を、区画7に対向する区画16にすることにより、例えば、搬送装置43は、区画16のスタッカ200に収納される容器100を観察装置44に搬送する際の距離を短くすることができる。
収納棚42においては、スタッカ200が設置可能な区画は、区画10〜18である。そして、上述した収納部1100は、このスタッカ200が設置可能な区画10〜18の両側にそれぞれ設置される。
尚、本実施形態では収納棚41,42はそれぞれ3段の棚板が設けられているが、これに限らず例えば1段であってもよい。その場合、設置台40が棚板を兼ねるようにしてもよい。
図1に示す搬送装置43は、トレー110やスタッカ200を搬送する装置である。搬送装置43の詳細は後述するが、搬送装置43は、設置台40表面のY軸方向に沿って取り付けられたレール47の上を移動可能に取り付けられている。なお、レール47は、収納棚41と収納棚42との間の位置に取り付けられている。
観察装置44は、容器100に収納された培養物を観察する装置であり、観察台50、及びカメラ51を含んで構成される。
観察台50には、搬送装置43によって搬送された容器100が載置される。また、観察台50には、容器100がカメラ51で撮影され易くなるよう、観察台50をX軸,Y軸,Z軸のそれぞれの方向に移動させるモータが設けられている。カメラ51は、容器100の培養物の映像、画像を撮影する。
<<搬送装置43の詳細>>
ここで、搬送装置43の詳細について説明する。搬送装置43は、図12に示されるように、スライド装置60、レール部材61、及び搬送テーブル62を含んで構成される。なお、図12は、搬送装置43の斜視図である。
スライド装置60は、Y軸方向に沿ったレール47に移動可能に取り付けられている。そして、スライド装置60は、内部に設けられたモータ(Y軸用)が回転することにより、レール47の上を移動(スライド)する。また、スライド装置60には、垂直方向(Z軸方向)に沿ってレール部材61が取り付けられている。レール部材61には、搬送テーブル62がZ軸方向に移動可能に取り付けられている。そして、搬送テーブル62は、スライド装置60の内部に設けられたモータ(Z軸用)が回転することによりZ軸方向に移動(スライド)する。このため、スライド装置60及び搬送テーブル62は、搬送機構として機能する。
図13は、搬送テーブル62の斜視図であり、図14は、搬送テーブル62を+X軸方向から見た場合の透過側面図である。なお、図13においては、便宜上、一部の構成は省略されている。また、図13では、便宜上、スライド板402,403等は密着して描かれているが、各板はスライドできるよう、実際には各板の間には隙間が設けられている。
搬送テーブル62は、基板400、台401、スライド板402,403、ガイド機構404、スライダー405を含んでいる。なお、基板400及び台401が基台に相当する。
基板400は、L字型に形成された板であり、基板400の面500が水平になるよう、スライダー405にボルト450,451で取り付けられている。なお、スライダー405は、前述したレール部材61に対し、Z軸方向に移動可能に取り付けられており、スライド装置60の内部に設けられたモータ(Z軸用)が回転することによりZ軸方向に移動(スライド)する。また、基板400の面500には台401が設置されており、台401の表面には、X軸方向に沿ったレール470が取り付けられている。
スライド板402の底面に取り付けられたスライダー480は、台401のレール470の上を+X方向及び−X方向に移動可能に取り付けられている。このため、スライド板402は、搬送テーブル62の内部に設けられたモータ(X軸用)が回転することにより、台401の上を+X方向及び−X方向に移動(スライド)する。また、スライド板402の表面には、X軸方向に沿ったレール471が取り付けられている。
スライド板403(載置台)には、トレー110及びスタッカ200が選択的に載置される。また、スライド板403の底面に取り付けられたスライダー481は、レール471の上を+X方向及び−X方向に移動可能に取り付けられている。このため、スライド板403は、搬送テーブル62の内部に設けられたモータ(X軸用)が回転することにより、スライド板402の上を+X方向及び−X方向に移動(スライド)する。このため、例えばスライド板402,403は、スライド機構として機能する。
スライド板403にトレー110が載置された場合には、スライド板402、403をX軸方向に移動させることにより、収納棚41、42に収納されているスタッカ200にトレー110を収納することができる。また、スライド板403にスタッカ200が載置された場合には、スライド板402、403をX軸方向に移動させることにより、収納棚41、42にスタッカ200を収納することができる。
スライド板403の表面には、凸部410a,410bが形成されている。トレー110がスライド板403に載置される場合、図15に示すように、凸部410aには、トレー110の凹み150がはめ込まれ、凸部410bには、凹み151がはめ込まれる。一方、スタッカ200がスライド板403に載置される場合、図16に示すように、凸部410aには、スタッカ200の底面の開口部300がはめ込まれ、凸部410bには、図示しないスタッカ200の底面の開口部がはめ込まれる。この結果、トレー110やスタッカ200がスライド板403に載置された場合、それぞれの水平方向の移動が規制される。このように、スライド板403は、トレー110やスタッカ200の位置を定めるとともに、水平方向の移動を規制するような形状を有している。
また、図13及び図14に示すガイド機構404は、スタッカ200を載置したスライド板403が収納棚41、42から台401に移動してくる際に、スタッカ200側のガイド受機構310がガイド部材420に案内されるように構成されている。ガイド機構404は、ガイド部材420、及びガイドローラ421a,421bを含んでいる。
ガイド部材420の中央付近には、ガイドローラ421a,421bが取り付けられている。また、ガイド部材420は、スタッカ200が載置されたスライド板403がスライドされた際に、ガイド部材420及びガイドローラ421a,421bがスタッカ200側のガイド受機構310に案内されるよう、基板400の面501にボルト452で取り付けられている。つまり、ガイド部材420は、スライド板403がスライドされた際に、ガイドローラ421a,421bがガイド受機構310に沿って転がるような位置に取り付けられている。
==ガイド受機構310及びガイド機構404の動作==
ここで、スタッカ200側のガイド受機構310、及び搬送テーブル62側のガイド機構404の動作について、図17、図18を参照しつつ説明する。図17は、スタッカ200が搬送テーブル62に載置される前の状態を示す斜視図であり、図18は、ガイド受機構310、ガイド機構404の動作を説明するための模式図である。なお、図17,18においても、便宜上、一部の構成のみ示されている。
まず、搬送装置43は、図17に示す状態において、収納されているスタッカ200が搬送テーブル62のスライド板403に載置されるよう、スライド板402,403を水平方向に移動させる。具体的には、スライド板402,403が全くスライドされていない状態、言い換えればスライド板402,403が完全に収納された図17に示す状態(以下、この状態のスライド板の位置を所定の位置Aと言う。)から、−X方向にスライドされる。
そして、図18の上段に示すように、スタッカ200がスライド板403に載置されると、搬送装置43は、ガイド部材420がガイドレール350に沿って案内されるようにスライド板402,403を+X方向にスライドさせる。具体的には、スライド板402の底面のスライダー480が、台401に取り付けられたレール470上をスライドする。また、スライド板403底面のスライダー481が、スライド板402に取り付けられたレール471上をスライドする。なお、以下、便宜上スライダー480等を省略して説明する。
スライド板402,403が+X方向にスライドされると、図18の中段に示すように、ガイド部材420がガイドレール350内に進入し、ガイドローラ421aがガイドレール350に沿って転がり、やがて凸状部材351の凸部361に乗り上げて、凸状部材351を下向に押し始める。この結果、凸状部材351は沈み、バネ352bが徐々に縮むことになる。
その後、図18の下段に示すように、スライド板402,403が更に+X方向にスライドして収納されると、ガイドローラ421bも転がって、凸部361に乗り上げて、凸状部材351を押す。この結果、バネ352a,352bはともに縮むので、その弾性力によりボルト353a,bを介してガイドレール350が下向の力を受け、これにより、スタッカ200はスライド板403に押し付けられることになる。
なお、本実施形態では、例えば、スライド板402,403が所定の位置Aに収納された状態において、ガイドローラ421a,421bがともに凸部361に乗って、凸状部材351を押すように、ガイド受機構310、ガイド機構404が設計されていることとする。このため、スライド板403が所定の位置Aに移動された場合、スタッカ200は、スライド板403に確実に押し付けられることになる。
==スタッカガイド1000及び収納部ガイド1200の動作==
ここで、スタッカ200を収納棚41、42に収納する際の動作について、図19、図20を参照しつつ説明する。図19は、スタッカ200が収納棚41に収容されている様子を示す斜視図であり、図20は、スタッカガイド1000、収納部ガイド1200の動作を説明するための模式図である。なお、図19,20においても、便宜上、一部の構成のみ示されている。
図19に示すように、搬送テーブル62にスタッカ200が載置された状態で、スライド板402、403がX軸方向にスライドすることで、スタッカ200は、隣接する2つの収納部1100に挟まれる位置に移動する。
その際、スタッカ200は、スタッカガイド1000が収納部ガイド1200に案内されつつ水平に移動することにより、隣接する2つの収納部1100に挟まれる収納棚41、42の所定位置に収納される。
また、スタッカガイド1000と収納部ガイド1200との衝突を防止するため、収納部1100には案内ガイド1300が設けられている。スタッカ200は、案内ガイド1300によって、スタッカガイド1000が収納部ガイド1200に正しく嵌る適切な位置に誘導されつつ、収納棚41に移動する。
まずスタッカ200が、図20Aに示す位置から図20Bに示す位置に移動する際には、スタッカガイド1000が収納部ガイド1200を構成する支持レールと案内レールとの内側に入り込み、スタッカガイド1000は収納部ガイド1200の内部を摺動しながら進む。
その際、スタッカ200の進行方向前方のスタッカガイド凸部1010は、溝1221を通過するが、上述したように、スタッカガイド凸部1010と溝1221とはスタッカ200の進行方向(X軸方向)に対して直角方向(Y軸方向)に位置をずらして形成されているので、これらが嵌ることはない。
また収納部ガイド1200のローラ取り付け部1210にはローラ1230が設けられており、スタッカガイド1000が収納部ガイド1100内を摺動する際に、このローラ1230が有するばねによる弾性力によって、スタッカガイド1000は下方に押し付けられる。これにより、スタッカ200の移動時の振動や揺れを抑制することが可能となる。
なお、搬送テーブル62のスライド板402、403は、台401から離れるに従って、スライド板403上のスタッカ200の重さやスライド板402、403自体の重さによって下方への垂れが生じる。このため、スタッカ200には、進行方向(−X軸方向)前方への傾きや揺れをもたらす力が作用するが、スタッカガイド1000が収納部ガイド(支持レール)1200に支持されているので、スタッカ200はスライド板402、403の垂れの影響を受けずに済む。このため、スタッカ200の傾きや揺れを抑制することが可能となる。
次に、スタッカ200が、図20Bに示す位置から図20Cに示す位置に移動すると、スタッカガイド凸部1010が溝1220に嵌り、スタッカガイド凸部1011が溝1221に嵌る。これにより、スタッカ200は、収納棚41の所定の位置に固定される。
ここで、スタッカガイド凸部1010が溝1220に嵌り、スタッカガイド凸部1011が溝1221に嵌るタイミングにおいて、スタッカ200には、溝1220、1221の深さ相当分だけ下方に落下する力が作用する。このとき、スタッカ200には、スライド板402、403に生じる垂れによって、進行方向前方(図20の場合では−X軸方向)に傾斜するように力が作用する。
一方で、このときスタッカ200の収納方向を向いた前面は、垂直摺動部1400の第1突起部1410及び第2突起部1420に接触している。従って、スタッカ200は実際には傾斜することなく、スタッカガイド凸部1010が溝1220に嵌り、スタッカガイド凸部1011が溝1221に嵌る。
しかも上述したように、スタッカガイド凸部1010、1011は、スタッカ200の移動方向に沿って曲線となる形状になめらかに形成されており、なめらかに溝1220、1221に嵌るため、スタッカガイド凸部1010、1011が溝1220、1221に嵌る際の衝撃が防止される。
<スタッカガイドの他の構成例>
なお、スタッカガイド1000に形成されるスタッカガイド凸部1010、1011は、図21に示すように、スタッカガイドローラ1020、1021として構成されてもよい。
スタッカガイドローラ1020、1021は、回転軸を中心に回転する回転体であり、回転軸がスタッカガイド1000を貫くようにして、スタッカガイド1000に装着されている。
このように、スタッカガイドローラ1020、1021を用いることにより、スタッカガイド1000が収納部ガイド1200の内部を摺動する際の摩擦抵抗を低減させることができ、スタッカ200の移動をより円滑に行うことが可能となる。
<収納部ガイドの他の構成例>
また、収納部ガイド1200についても他の構成例が考えられる。例えば図22、図23に示すように、収納部ガイド1200の外面下部(案内レールの下部)のスタッカガイド1000が挿抜される側の端部にストッパ1240を設けると共に、収納部ガイド1200の正面奥(図22、図23の場合は、―X側の端部)を閉塞させるようにしても良い。
このストッパ1240は、例えば略長方形あるいは略平板棒状の金属製、樹脂製あるいはゴム製の弾力性を有する板であり、ストッパ1240の長手方向の一端側に板厚方向に突出する突起部が形成されている。そして、このストッパ1240は、収納部ガイド1200の外側下面部分に、突起部を上方に向けた向きで、かつ、収納部ガイド1200のスタッカガイド1000が挿抜される側の端部に突起部が位置するように装着されている。そして突起部の先端が、収納部ガイド1200の内面にわずかに突出している。
このとき、スタッカ200が図22Aに示す位置から図22Bに示す位置に移動する際には、スタッカガイド凸部1010がストッパ1240の突起部と干渉するが、ストッパ1240の弾力性により、スタッカガイド凸部1010がストッパ1240の突起部を押しのけるので、スタッカガイド1000は、収納部ガイド1200内部に進入することができる。
そしてそのままスタッカガイド1000の全体が収納部ガイド1200の内部に進入し、スタッカガイド1000の先端が収納部ガイド1200正面奥の閉塞部に突き当たると、図22Cの状態になる。
これによりスタッカガイド1000は、収納部ガイド1200の閉塞部及びストッパ1240の突起部により、収納部ガイド1200から進出不能となり、スタッカガイド1000は収納部ガイド1200において固定される。これにより、スタッカ200を収納棚41、42の所定位置に固定することができる。
このように、ストッパ1240を用いてスタッカ200を所定位置に固定するようにすることにより、溝1220、1221の掘削加工が不要となるので、収納部ガイド1200の製造を容易化することが可能となる。
なお、スタッカ200を収納棚41、42から搬出する際には、図23A,図23B,図23Cに示すように、まず搬送テーブル62によってスタッカ200を持ち上げ(図23B)、スタッカガイド1000とストッパ1240の突起部が干渉しないようにする。そしてスタッカ200を持ち上げた状態のまま、搬送テーブル62のスライド板402、403を台401に近づけるようにスライドさせることにより、スタッカ200を搬出するようにすればよい。
またもちろんスタッカ200を搬入する際にも、搬送テーブル62によってスタッカ200を持ち上げることにより、スタッカガイド凸部1010、1011がストッパ1240の突起部を乗り越えるようにしても良い。
<収納部ガイドの他の例>
また図24、図25に示すように、収納部ガイド1200は、先端にフック1251が形成されたT字ストッパ1250と共に用いられるようにしても良い。
一方、スタッカガイド1000には、上記フック1251と係合させるスタッカガイド溝1030が形成されると共に、スタッカガイド1000先端部はテーパ形状に加工されている。
スタッカ200を収納棚41、42に搬入する際には、まずスタッカ200が図24Aに示す位置から図24Bに示す位置に移動する際に、スタッカガイド1000の先端部がフック1251の先端と干渉する。このとき、スタッカガイド1000先端部はテーパ形状に加工されているため、スタッカガイド1000の先端部がフック1251を持ち上げる。
その後、図24Cに示すように、スライド板403の先端がT字ストッパ1250の下端部と接触するが、そのまま下端部を押し込みながらスライド板403が移動することで、フック1251を持ち上げた状態にする。
そして、フック1250がスタッカガイド溝1030の位置に到達した時点で、搬送テーブル62を下方に下ろす(図24D)。これにより、フック1251がスタッカガイド溝1030と係合する。これにより、スタッカ200を収納棚41、42の所定位置に固定することができる。
一方、スタッカ200を収納棚41、42から搬出する際には、まず図25Aに示すように、搬送テーブル62を上方に持ち上げ、T字ストッパ1250の下端部を押し上げる。そして図25Bに示すように、その状態のまま搬送テーブル62のスライド板403を台401側にスライドさせる。そうすると、図25Cに示すように、フック1251とスタッカガイド溝1030との係合がはずれ、図25Dに示すように、スタッカ200を収納棚41、42から搬出することができる。
尚、図示省略したがT字ストッパ1250の下端にローラを設けてもよい。これにより、スライド板403の先端とT字ストッパ1250の下端部が接触した際の摩擦力を軽減して、円滑に動作させることができるようになる。
<<インキュベータ10の動作を制御する制御装置15の概要>>
ここで、図26を参照しつつ、インキュベータ10の動作を制御する制御装置15について説明する。図26は、インキュベータ10及び制御装置15の構成を示す図であり、インキュベータ10の制御系に関連するブロックを図示している。また、図26において、他の図面と共通するブロックは適宜詳細な説明を省略する。
インキュベータ10には、ラベル読取装置28、搬送装置43、観察装置44が備えられている。
搬送装置43は、スライド板403等をX軸方向に移動させるためのX軸用のモータ80a、スライド装置60をY軸方向に移動させるためのY軸用のモータ80b、スライダー405をZ軸方向に移動されるためのZ軸用のモータ80cを備えている。また、搬送装置43には、スライド装置60や搬送テーブル62の位置情報を出力するセンサ81が含まれている。
観察装置44は、観察台50をX軸,Y軸,Z軸のそれぞれの方向に移動させるモータ85a〜85c、及びカメラ51を備えている。
制御装置15は、インキュベータ10を統括制御する装置であり、操作パネル90、記憶装置91、及びマイコン92を含んで構成される。
操作パネル90は、利用者がアイソレータ10の動作を設定するためのパネルである。操作パネル90の操作結果はマイコン92へと送信され、制御装置15は、操作結果に基づいて、インキュベータ10の各ブロックを制御する。また、操作パネル90には、操作結果や、インキュベータ10の状態(例えば、温度、湿度)や各種情報が表示される。
記憶装置91は、マイコン92が実行するプログラムデータや、各種データを記憶する。マイコン92は、記憶装置91に記憶されたプログラムデータを実行することにより、各種機能を実現する。
==マイコン92の機能ブロック==
図27は、マイコン92がプログラムデータを実行することにより、マイコン92に実現される機能ブロックを示す図である。マイコン92には、搬送装置制御部500、観察装置制御部501、ラベル読取部502、判定部503〜505、表示部506、及び停止部507が実現される。
搬送装置制御部500は、操作パネル90の操作結果(以下、操作結果)や、センサ81の出力に基づいて、モータ80a〜80cを制御する。
観察装置制御部501は、操作結果に基づいて、カメラ51及びモータ85a〜85cを制御する。
ラベル読取部502は、ラベル読取装置28に対象物(容器100、またはスタッカ200)に貼り付けられたICタグやバーコード等のラベルを読みらせる。
判定部503は、搬入指示、または搬出指示が操作結果として入力された際に、実行中のタスク(例えば、観察)の有無を判定する。
判定部504は、判定部503が、実行中のタスクが有ると判定した際に、実行中のタスクが所定時間内に終了したか否かを判定する。
判定部505は、観察装置51が、指定されたスタッカ200に収納されている容器100の全てを観察したか否かを判定する。
表示部506は、操作結果や実行中のタスク等を操作パネル90に表示する。
停止部507は、判定部504が実行中のタスクが所定時間内に終了していないと判定した場合、現在入力されている指示(搬入指示、または搬出指示)に基づく処理を停止させる。
==搬入処理の一例==
図28は、対象物(例えば、スタッカ200)を搬入する際に実行される処理の一例を示すフローチャートである。なお、制御装置15は、搬入出扉26を適宜開閉することとする。また、搬入処理は、利用者が培養室22の外の設置台(不図示)にスタッカ200を設置した後に実行される。設置台は、対象物が設置されている際には、ラベル読取装置28が対象物のラベルを読み取れる位置に設けられていることとする。また、利用者は、前述した区画に基づいて、スタッカ200の収納先を指定している。
まず、搬入指示が操作パネル90より入力されると、判定部502は、実行中のタスクが有るか否かを判定する(S100)。そして、実行中のタスクが無いと判定されると(S100:NO)、ラベル読取部502は、ラベル読取装置28にスタッカ200のラベルを読みらせる(S101)。なお、ラベル読取部502は、読み取ったラベルの情報を記憶装置91に格納する。搬送装置制御部500は、搬送テーブル62を搬入出口26まで移動し(S102)、搬送テーブル62にスタッカ200を取得させる(S103)。具体的には、搬送装置制御部500は、スライド板403を移動させ、スタッカ200をスライド板403に載置させる。そして、搬送装置制御部500は、搬送テーブル62を目標位置に移動し(S104)、スタッカ200を、指定された区画に設置する(S105)。また、搬送装置制御部500は、搬送テーブル62を指定された初期位置に戻す(S106)。
また、処理S100において、実行中のタスクが有ると判定されると(S100:YES)、判定部504は、実行中のタスクが所定時間内に終了したか否かを判定する(S107)。実行中のタスクが所定時間内に終了した場合(S107:YES)、処理S101が実行されるが、実行中のタスクが所定時間内に終了していな場合(S107:NO)、表示部506は、操作パネル90に実行中のタスクを表示する(S108)。そして、停止部507は、搬入指示に基づく搬入処理を停止する(S109)。
このような処理が実行されることにより、スタッカ200は搬入された後に、培養室22の指定された区画に収納される。また、本実施形態では、ラベル読取部502は、利用者が収納先として指定した区画と、ラベル情報とは対応付けて記憶装置91に格納する。
このため、例えば搬出処理の際に、ラベル情報が指定されることにより、区画を指定しなくても所望のスタッカ200が搬出できる。
==搬出処理の一例==
図29は、対象物(例えば、スタッカ200)を搬出する際に実行される処理の一例を示すフローチャートである。なお、制御装置15は、搬入出扉26を適宜開閉することとする。また、利用者は、例えば、搬出すべきスタッカ200をラベル情報に基づいて指定する。つまり、利用者は、搬出すべきスタッカ200のラベル情報を操作パネル90で入力する。
まず、搬出指示が操作パネル90より入力されると、判定部502は、実行中のタスクが有るか否かを判定する(S200)。そして、実行中のタスクが無いと判定されると(S200:NO)、搬送装置制御部500は、ラベル情報に基づいて搬送テーブル62を目標位置に移動させる(S201)。また、搬送装置制御部500は、搬送テーブル62を移動させ、指定されたラベルのスタッカ200を取得させる(S202)。そして、搬送装置制御部500は、搬送テーブル62を搬入出口26に移動させ(S203)、スタッカ200を培養室22の外部に搬出する(S204)。ラベル読取部502は、ラベル読取装置28にスタッカ200のラベルを読みとらせつつ、操作パネル90にラベルの情報を表示させる(S205)。この結果、利用者は、指定したラベルのスタッカ200が搬出されたか否かを判断することができる。また、処理S205において、ラベル読取部502は、読み取ったラベルの情報を記憶装置91に格納する。そして、搬送装置制御部500は、搬送テーブル62を、指定された初期位置に戻す(S206)。
また、処理S200において、実行中のタスクが有ると判定されると(S200:YES)、判定部504は、実行中のタスクが所定時間内に終了したか否かを判定する(S207)。実行中のタスクが所定時間内に終了した場合(S207:YES)、処理S201が実行されるが、実行中のタスクが所定時間内に終了していな場合(S207:NO)、表示部506は、操作パネル90に実行中のタスクを表示する(S208)。そして、停止部507は、搬出指示に基づく搬出処理を停止する(S209)。
このような処理が実行されることにより、培養室22の指定されたスタッカ200は搬出される。
==観察処理の一例==
図30は、培養物を観察する際に実行される処理の一例を示すフローチャートである。ここでは、利用者は操作パネル90を操作し、観察対象のスタッカ200を指定する。
まず、観察開始の指示が操作パネル90より入力されると、搬送装置制御部500は、指定された対象のスタッカ200を観察待機場所である区画7に移動させる(S300)。そして、搬送装置制御部500は、対象のスタッカ200から、観察対象となる容器100を観察装置44の観察台50に移動する(S301)。そして、観察装置制御部501は、観察台50に載置された対象の容器100の培養物の画像、映像を撮影し、撮影されたデータ(画像データ、映像データ)を記憶装置91に格納する(S302)。その後、搬送装置制御部500は、観察された対象の容器100をスタッカ200に戻す(S303)。判定部505は、指定された対象のスタッカ200の容器100の全てを観察したか否かを判定する(S304)。対象のスタッカ200の容器100の全ての観察が終了している場合(S304:YES)、搬送装置制御部500は、観察待機場所である区画7のスタッカ200を元の位置(元の区画)に移動する(S305)。一方、対象のスタッカ200の容器の全ての観察が終了していない場合(S304:NO)、処理S301が再度実行される。
このような処理が実行されることにより、指定されたスタッカ200に収納される容器100内の培養物を全て観察できる。そして、このように観察対象の容器100をスタッカ200ごと待機場所に搬送し、待機場所と観察台50との間で個々の容器(トレー)100を搬送/格納するので、最短距離の搬送で済み、時間短縮とともに容器100内の観察対象物(培養物)への影響も抑えられる。
なお、図30に示す観察処理では、観察開始の指示が入力されると直ちに観察処理が実行されるが、これに限られるものでは無い。例えば、図28に示した処理S100等を実行させても良い。また、マイコン92に搬出処理が実行されているか否かを判定させ、搬出処理が実行されていたら、搬出処理を一時中断させた後に図30の観察処理を実行させても良いし、搬出処理が実行された後に観察処理を実行させても良い。
以上、本実施形態のインキュベータ10について説明したが、本実施形態のインキュベータ10によれば、スタッカ200の両側面に設けた一対のスタッカガイド1000が収納部1100に設置された一対の収納部ガイド1200に支持されつつ、スタッカ200が収納棚41、42に収納される。
このため、スタッカ200が搬送テーブル62に与える重量負荷を軽減することができるので、スタッカ200を搬送する搬送テーブル62を比較的簡易な構造としても、スタッカ200の振動や揺れを防止することが可能となる。
そしてこれにより運搬テーブル62を小型化、薄型化することができるので、この運搬テーブル62がスタッカ200内にトレー110を出し入れする際に必要な作業スペースを小さくすることができる。そのため、スタッカ200内に多段に収納されるトレー110の間隔を小さくできるので、スタッカ200内の容器100の収納効率を向上することができる。これにより、インキュベータ10内により多くの容器100が収納可能となる。
このように、本実施形態のインキュベータ10によれば、液体を含む複数の容器100を収納可能なスタッカ200における容器100の収納効率を低下させることなく、スタッカ200を収納棚41、42に収納する際の揺れや振動を抑制することが可能となる。
[第2実施形態]
<<インキュベータ10の概要>>
本発明の一実施形態である収納装置をインキュベータ10に適用した場合の第2実施形態を説明する。第2実施形態の説明においては、第2実施形態のインキュベータ10に特有の構成要素や機能を中心に説明を行い、第1実施形態と同じ構成要素や機能についての説明や、重複する説明については適宜省略する。
本実施形態に係るインキュベータ10(収納装置)は、図1に示すように、細胞(検体)や微生物等の培養物を培養するための装置であり、外箱20及び内箱21を備えている。
また本実施形態に係るインキュベータ10の外箱20の右側の側面には、図31に示すように、培養室22の外から培養室22の内へと貫通する搬入出口26が設けられている。搬入出口26は、培養物を収納した容器100を収納したスタッカ200を培養室22内へ搬入し、または培養室22内から搬出するために形成される開口部である。外箱20の右側側面には、搬入出口26を開放または閉塞できるように外開き型の搬入出扉27が取り付けられている。そして、搬入出扉27には、培養容器100等が培養室22へ搬入、または搬出される時に、培養容器100等に貼り付けられた電子タグやバーコード等のラベルを読み取るラベル読取装置28が設けられている。なおこの搬入出扉27は垂直方向に設けられたヒンジ(支軸)を中心に回転し、搬入出口26の開口面に対して外側に90°±2°、好ましくは90°±0.5°の範囲に開くように構成されている。
また詳細は後述するが、搬入出扉27には、搬入出口26からスタッカ200を搬出あるいは搬入出口26にスタッカ200を搬入する際に用いる搬入出装置1500を支持するための搬入出扉ガイド(第1レール部材A’)1600が設けられている。この搬入出扉ガイド1600は搬入出扉27の内側面に設けられており、搬入出扉27を搬入出口26に対して直角に開けた際に、搬入出口26の内部に設置されている搬入出装置1500を搬入出口26の外部に引き出す方向(X軸方向)に水平方向に延伸するレールであり、搬入出口26から外部に引き出された搬入出装置1500を支持する。
また、この搬入出装置1500は、搬入出口26に最も近い区画15(図11参照)に設置されている。搬入出装置1500は、搬入出口26を挟んで対向するインキュベータ10の内部の第1位置と外部の第2位置との間をスライド可能に設置されている。
このため、インキュベータ10内の収納棚41、42に収納されているスタッカ200を、搬送装置43を用いて区画15(第1位置)に設置されている搬入出装置1500に載置し、インキュベータ10の外部から搬入出扉27を開けて、搬入出装置1500を外部へ引き出すことにより、インキュベータ10内部に収納されているスタッカ200を外部の第2位置へ搬出することができる。
また、インキュベータ10の外部の第2位置に引き出された搬入出装置1500にスタッカ200を載置し、搬入出装置1500をインキュベータ10の内部の第1位置に押し込み、搬入出扉27を閉じた後に、搬入出装置1500に載置されているスタッカ200を搬送装置43を用いて収納棚41、42に移動することで、インキュベータ10の外部から収納棚41、42にスタッカ200を搬入することができる。
==搬入出装置1500、搬入出扉27==
次に、スタッカ200をインキュベータ10に搬入あるいは搬出する際に用いられる搬入出装置(搬入出機構)1500及び搬入出扉27の構成や、スタッカ200を搬入、搬出する際の動作について図32〜図39を参照しながら説明する。
図32〜図36は、スタッカ200が搬入出口26から搬出される様子及び搬入出扉27の構成を示す図である。図37は、搬入出装置1500の構成を示す図である。図38は、スタッカ200の構成を示す図である。図39は、搬入出扉27に設けられるラベル読取装置28によって、スタッカ200内の各容器100に貼り付けられた電子タグやバーコード等のタグに記録されている識別情報を読み取る様子を示す図である。
上述したように、搬入出口26に最も近い収納棚42の区画15(第1位置)には、搬入出装置1500が設置されている。搬入出装置1500は、搬入出口26を挟んで対向するインキュベータ10の内部の第1位置と外部の第2位置との間をスライド可能に設置されている。
スタッカ200をインキュベータ10の外部に搬出する際には、まず、図32Aに示すように、搬入出扉27が閉じられている状態で、搬入出扉27に最も近い区画15(第1位置)に設置されている搬入出装置1500に、搬送装置43を用いてスタッカ200を載置する。
そして図32Bに示すように、搬入出扉27を開ける。搬入出扉27はヒンジ(支軸)1800を中心に回転するように構成されており、図32Cに示すように、搬入出口26の開口面に対して直角に開くように構成されている。
この状態で搬入出装置1500に設けられているハンドル1520を持ち、搬入出装置1500を外部(X軸方向)に引き出すと、スタッカ200を載置した搬入出装置1500がスライドレール1530に沿ってスライドし、インキュベータ10の外部の第2位置に搬出される。このようにして、スタッカ200をインキュベータ10の外部に搬出することができる。尚、ここでは搬入出装置1500を手動で移動させる例を説明したが、搬入出装置1500を第1位置と第2位置の間で自動搬送する搬送装置を設けてもよい。
インキュベータ10の内部へスタッカ200を搬入する場合には、上記搬出と逆の手順により行うことができる。
ここで、本実施形態に係る搬入出扉27が搬入出口26の開口面に対して直角に開くように構成される様子について、図33A、図33Bを参照しながら説明する。
まず、図33Aに示すように、ヒンジ1800は、回転軸1801を中心に回動する金属製の第1ヒンジ板1802と、金属製の第2ヒンジ板1803とを有して構成される。そして第1ヒンジ板1802はインキュベータ10の外箱20に固定され、第2ヒンジ板1803は搬入出扉27に固定される。
このため、搬入出扉27は、ヒンジ1800の回転軸1801を中心に、搬入出口26を開閉可能に回転する。
そして本実施形態では、第2ヒンジ板1803に略直方形のマグネット1810の第1の面が接着剤等で接着されている。このマグネット1810は、搬入出扉27が搬入出口26の開口面に対して直角に開いたときに、上記第1の面に相対する第2の面が第1ヒンジ板1802に当接するような厚さを有して構成されている。
このため、搬入出扉27と搬入出口26の開口面との角度が90°に近くなるまで搬入出扉27を開けると、マグネット1810の上記第2の面と第1ヒンジ板1802とが磁力によって吸着し、搬入出扉27を、搬入出口26の開口面に対して直角となる角度で開けたまま固定することができる。
もちろん、マグネット1810の第2の面を、第1ヒンジ板1802に接着剤等で接着しておくようにしても良い。この場合、搬入出扉27が搬入出口26の開口面に対して直角に開いたときに、上記第2の面に相対する第1の面が第2ヒンジ板1803に当接する。
このため、搬入出扉27と搬入出口26の開口面との角度が90°に近くなるまで搬入出扉27を開けると、マグネット1810の上記第1の面と第2ヒンジ板1803とが磁力によって吸着するので、搬入出扉27を、搬入出口26の開口面に対して直角となる角度で開けたまま固定することができる。
また、図34A、図34Bに示すように、略直方形の第1マグネット1811を第1ヒンジ板1802に接着剤により固定し、同様に略直方形の第2マグネット1812を第2ヒンジ板1803に接着剤により固定しておくように構成することも可能である。この場合、第1マグネット1811及び第2マグネット1812は、搬入出扉27が搬入出口26の開口面に対して直角に開いたときに、第1マグネット1811と第2マグネット1812とが当接するような厚さを有して構成される。もちろん第1マグネット1811及び第2マグネット1812は、互いに当接した際に吸引力が働くように向きを合わせて、それぞれ第1ヒンジ板1802、第2ヒンジ板1803に固定される。
このため、搬入出扉27と搬入出口26の開口面との角度が90°に近くなるまで搬入出扉27を開けると、第1マグネット1811と第2マグネット1812とが磁力によって互いに吸着するので、搬入出扉27を、搬入出口26の開口面に対して直角となる角度で開けたまま固定することができる。
あるいは、図35に示すように、外箱20と搬入出扉27との間を、伸縮自在なドアステー1820により結合しておくように構成することも可能である。
本実施形態のドアステー1820は、最小値から最大値の範囲で長さを伸縮自在に構成されており、搬入出扉27が搬入出口26の開口面に対して直角に開いたときに、長さが最大値となるように、外箱20及び搬入出扉27に固定されている。
このため、搬入出扉27と搬入出口26の開口面との角度が直角になるまで搬入出扉27を開けると、ドアステー1820の長さが最大値まで延伸するため、搬入出扉27をそれ以上開けることができない。このようにして、搬入出扉27を、搬入出口26の開口面に対して直角となる角度で開けておくことができる。
またドアステー1820は、搬入出扉27の開閉に伴って屈曲、延伸するように構成されていても良い。この場合、搬入出扉27と搬入出口26の開口面との間の角度が90°未満の鋭角の場合はドアステー1820は屈曲し、搬入出扉27を搬入出口26の開口面に対して直角に開いたときに、ドアステー1820が直線状に延伸するように、外箱20及び搬入出扉27に固定される。
以上のようにして、本実施形態の搬入出扉27は、搬入出口26の開口面に対して直角に開けておくことができる。
本実施形態に係るインキュベータ10においては、搬入出装置1500を上記第2位置へ引き出す際には、搬入出装置1500の側面に設けられている搬入出装置ガイド1510が、搬入出扉27に設けられている搬入出扉ガイド1600に支持されつつ、搬入出装置1500が搬入出扉27に案内される。搬入出装置ガイド1510が搬入出扉ガイド1600に支持される様子について、図36A及び図36Bを参照しながら説明する。
搬入出扉ガイド(第1レール部材A’)1600は、搬入出扉27の内側の側面に水平方向に沿って延伸するように設けられている。そのため、搬入出扉27を搬入出口26の開口面との角度が直角になるように開けると、搬入出扉ガイド1600は、搬入出装置1500を搬入出口26の外部に引き出す方向(X軸方向)に延伸することになる。そして、搬入出扉ガイド1600は、搬入出装置1500が搬入出口26から引き出されてきた際に、搬入出装置1500の側面に設けられている搬入出装置ガイド(第2レール部材B’)1510を下から支持する。
このため、スタッカ200を載置した搬入出装置1500が搬入出口26から外部に引き出された場合、搬入出装置ガイド1510が搬入出扉ガイド1600に乗って摺動し、スタッカ200の重みにより搬入出装置1500が下方にたわむのを搬入出扉ガイド1600が防止する。
搬入出扉ガイド1600は、図36Aに示すように、例えば断面T字型のレールにより構成される。
一方、搬入出装置ガイド1510は、図36Aに示すように、例えば断面C字型のレールにより構成される。そして搬入出装置ガイド1510は、搬入出装置1500の移動方向に対する2つの側面のうち、搬入出扉27のヒンジ1800側の側面(搬入出扉27を搬入出口26に対して直角に開けた際に搬入出扉ガイド1600が位置する側)に、搬入出装置1500の移動方向(X軸方向)に沿って延伸するように取り付けられている。
これにより、図36A、図36Bに示すように、搬入出装置1500が搬入出口26から外部に引き出される際には、断面C字型の搬入出装置ガイド1510が、断面T字型の搬入出扉ガイド1600に係合するとともに引き出し方向に摺動する。
このように、本実施形態に係るインキュベータ10においては、搬入出扉27を搬入出口26に対して直角に開けた状態において、搬入出装置ガイド1510が搬入出扉ガイド1600の延伸方向に移動する際に、搬入出装置ガイド1510と搬入出扉ガイド1600とが係合するように、搬入出扉ガイド1600及び搬入出装置ガイド1510の双方の断面形状が形成されている。
このため、スタッカ200を載置した搬入出装置1500が搬入出口26から外部に引き出された場合に、搬入出装置1500が下方にたわむのを搬入出扉ガイド1600が防止する。また、搬入出装置1500を第2位置に引きだしている際に、搬入出扉27が90°±2°の範囲を超えて開くことが防止できる。これにより、何らかの原因により搬入出扉27が90°±2°の範囲を超えて開き、搬入出装置ガイド1510が搬入出扉ガイド1600による支持を失い、搬入出装置1500が突然下方にたわむような事態を防止することが可能となる。
また、搬入出扉27と外箱20とを接合するヒンジ1800には、搬入出扉27が搬入出口26に対して90°±2°の範囲以上には開かないような規制部材、あるいは搬入出扉27を90°±2°の範囲に開いたときに安定するような規制部材を設けてもよい。これにより、搬入出装置1500を外部に引き出す際に、搬入出装置ガイド1510を搬入出扉ガイド1600にスムースに係合させることが可能になると共に、搬入出装置1500を第2位置に引きだしている際に、搬入出扉27が90°±2°の範囲を超えて開くことが防止できる。
このような規制部材は、例えば上述したようなマグネット1810や第1マグネット1811、第2マグネット1812、ドアステー1820により実現することが可能である。
次に、搬入出装置1500の構成を図37に示す。図37に示すように、搬入出装置1500は、スライドテーブル1540と、スライドレール1530と、搬入出装置ガイド1510と、ハンドル1520とを備えて構成される。そして、スライドテーブル1540には、所定位置に位置決めピン(凸部)1550と、位置決めガイド1560と、が形成されている。
スライドテーブル1540は、スタッカ200が載置される台である。スライドテーブル1540はスライドレール1530にボルト等で固定されている。またスライドテーブル1540には、ハンドル1520及び搬入出装置ガイド1510が固定されている。
スライドレール1530は、基台1533、レール1532、スライダー1531を備えて構成されている。基台1533は棚板46bの区画15(第1位置)に固定されている。レール1532は、基台1533の上にスライダー1531の移動方向(X軸方向)に沿って設置されている。スライダー1531は、レール1532の上をX軸方向に移動可能に設置されている。そしてスライダー1531には、スライドテーブル1540が固定されている。
このような構成により、スライドテーブル1540は、搬入出口26近傍のインキュベータ10内の第1位置から、インキュベータ10外の第2位置に水平方向に移動することができる。
スライドテーブル1540に設けられている位置決めピン1550は、スタッカ200をスライドテーブル1540に載置した際に、スタッカ200の底面部に形成されている位置決め溝(嵌合部)1700と嵌合する。スタッカ200の底面部に位置決め溝1700が形成されている様子を図38に示す。これにより、搬入出装置1500に載置したスタッカ200の位置ずれを防止することが可能となる。
なお、スライドテーブル1540をスライドレール1530に固定するボルト等を位置決めピン1550として利用することもできる。これにより、スライドテーブル1540の固定機能と、スタッカ200の位置ずれ防止機能と、の両機能を位置決めピン1550によって実現することが可能となる。
またスライドテーブル1540の四隅には、それぞれ位置決めガイド1560が設けられている。位置決めガイド1560は、例えば斜面を内側上向きにして直角に屈曲した三角材により構成することが可能であり、スライドテーブル1540にスタッカ200を載置する際に、スタッカ200の底面と対面する面の四隅の外側に設けられる。
スライドテーブル1540に位置決めガイド1560を設けることにより、スタッカ200をスライドテーブル1540に載置する際に、スタッカ200の底面に形成されている位置決め溝1700がスライドテーブル1540に形成されている位置決めピン1550に適切に嵌るように案内することができる。
次に、搬入出扉27に設けられるラベル読取装置28によって、スタッカ200内の各容器100に貼り付けられた電子タグやバーコード等のタグを読み取る様子を図39に示す。このタグには、各容器100を一意に識別する識別情報が記録されている。
図39に示すように、ラベル読取装置28は、リーダライタ1610と、複数のアンテナ(読取装置)1620とを備える。そして、搬入出装置1500にスタッカ200が載置された状態において、スタッカ200に多段に収容される各容器100に貼付される電子タグ111の情報をそれぞれが読み取れるように、電子タグ111の位置にそれぞれ対応する位置にアンテナ1620は設けられている。リーダライタ1610は、アンテナ1620が電子タグ111から読み取った容器の識別情報を取得し、制御装置15に送信する。
ラベル読取装置28は、スタッカ200をインキュベータ10に搬入あるいは搬出する際に、制御装置15からの指示に従い、スタッカ200内の各容器100の識別情報を電子タグ111から読み取る。
上述したように、本実施形態に係るインキュベータ10は、搬入出装置1500を第2位置に引き出した際には、搬入出扉27に設けられている搬入出扉ガイド1600によって、搬入出装置1500に設けられている搬入出装置ガイド1510を支持するように構成されているため、スタッカ200を載置して重量負荷の増した搬入出装置1500が第2位置において下方にたわむのを防止することができる。
これにより、液体を含む複数の容器100を収納可能なスタッカ200を搬入、搬出する際に、スタッカ200の振動や傾きを抑制することができる。
また、スタッカ200を載置した搬入出装置1500を第2位置に引き出した際に、スタッカ200内の各容器100の電子タグ111の位置と、搬入出扉27内の各アンテナ1620と、の位置ズレが生じないので、電子タグ111からの情報読み取り精度を向上させることが可能となる。
これにより本実施形態のインキュベータ10は、電子タグ111からの情報読み取り作業を短時間に行うことが可能となるので、より大量の培養容器100をより効率的に取り扱うことが可能となる。
また本実施形態に係るインキュベータ10は、搬入出装置1500を第1位置から第2位置に引き出す際に、搬入出装置ガイド1510と搬入出扉ガイド1600とが係合するように、搬入出扉ガイド1600及び搬入出装置ガイド1510の双方の断面形状が形成されている。
これにより、搬入出装置1500が第2位置に引き出された状態において、搬入出扉27を搬入出口26に対して直角に固定することができるので、搬入出扉27内に設けられるアンテナ1620と、スタッカ200に多段に収容される各容器100に貼付される電子タグ111と、の距離を一定に維持することができる。従って、電子タグ111からの情報読み取り精度を向上させることが可能となる。
また、本実施形態のインキュベータ10によれば、液体を含む複数の容器100を収納可能なスタッカ200を搬入、搬出する際に、スタッカの振動や傾きを抑制することが可能となる。このため、容器100内の液体のこぼれを防止することが可能となる。これにより本実施形態のインキュベータ10は、より大量の容器100をより効率的に取り扱うことが可能となる。また容器100内に細胞等の培養物を収容している場合には、振動による培養物への影響を与えないようにすることが可能となる。
また、各容器100に容器100の識別情報を記録した電子タグ111が貼付され、これら複数の容器100がスタッカ200に多段に収納され、そして、スタッカ200内の各電子タグ111に記録されている容器100の識別情報を、搬入出扉27の側面に設けられたアンテナ1620により読み取るように構成されている場合には、スタッカ200を載置した搬入出装置1500をインキュベータ10外部の第2位置に引き出した際に、スタッカ200内の各容器100の電子タグ111の位置と、搬入出扉27内の各アンテナ1620と、の位置ズレが生じないので、電子タグ111からの情報読み取り精度を向上させることが可能となる。
これにより本実施形態のインキュベータ10は、電子タグ111からの情報読み取り作業を短時間に行うことが可能となるので、より大量の培養容器100をより効率的に取り扱うことが可能となる。
なお、上記実施形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物も含まれる。
例えば、上記実施形態では、搬入出扉27に設けられる搬入出扉ガイド1600は1本であったが、複数本の搬入出扉ガイド1600を平行に搬入出扉27に設けても良い。この場合、搬入出装置1500には、各搬入出扉ガイド1600に対応して複数の搬入出装置ガイド1510を設けるようにする。このように構成することにより、スタッカ200の重みによる搬入出装置1500のたわみ量をより効果的に削減することが可能となる。
また、搬入出扉ガイド1600の形状及び搬入出装置ガイド1510の形状は、断面T字型及び断面C字型に限らず、互いに係合する様々な形状とすることができる。
また、搬入出扉ガイド1600と搬入出装置ガイド1510の間にローラを介在させても本発明の目的を達成することができる。
また電子タグ111の識別情報を読み取るラベル読取装置28は、搬入出扉27の側面以外の場所に設けるようにしても良い。例えば図32に破線で示したように、搬入出装置1500にスタッカ200が載置された状態において電子タグ111の情報を読み取れる位置、外箱20内の搬入出口26の縁の部分や棚板46bの区画15に設けても良い。これらの位置にラベル読取装置28を設けることにより、例えばラベル読取装置28と制御装置15とを接続するケーブルを、外箱20と搬入出扉27とを回動可能に接続するヒンジ部分を経由させる必要がなくなるので、外箱20への搬入出扉27の取り付けを簡単化することが可能となる。