JPWO2013035799A1 - ペリオスチンの特定領域に結合する抗体及びこれを用いたペリオスチンの測定方法 - Google Patents

ペリオスチンの特定領域に結合する抗体及びこれを用いたペリオスチンの測定方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、試料に含まれるペリオスチンの測定における、正確性が改善された測定方法及び測定試薬、並びに測定の正確性の改善方法、並びに正確性が改善された肺線維症又は間質性肺炎の検査方法を提供する。本発明の抗体は、ペリオスチン又はその分解物のEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域に結合するものである。また、本発明のペリオスチンの測定方法及び測定試薬、並びにペリオスチン測定の正確性の改善方法は、ペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域を検出することを特徴とするものである。また、本発明の肺線維症又は間質性肺炎の検査方法は、a) 被験者由来の試料におけるペリオスチンの量又は濃度を測定する工程であって、ペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域を検出することを含む工程、及びb) 被検者由来の試料におけるペリオスチンの量又は濃度と、肺線維症又は間質性肺炎のいずれにも罹患していない生体由来の試料におけるペリオスチンの量又は濃度とを比較する工程、を含むものである。

Description

本発明は、アレルギー疾患や他の疾患のマーカーとなりうるペリオスチン(骨芽細胞特異因子2又はOSF2とも呼ばれる)の特定領域に結合する抗体、この抗体を用いる試料に含まれるペリオスチンの測定方法、測定試薬及び正確性の改善方法、並びに肺線維症又は間質性肺炎の検査方法に関するものである。
本発明は、臨床検査、臨床病理学、免疫学及び医学などの生命科学分野、並びに分析化学などの化学分野等において有用なものである。
ペリオスチンは、細胞外マトリックスタンパク質であり、そのN末端側よりC末端側にかけて順に、EMI領域、R1領域、R2領域、R3領域、R4領域及びC末端領域よりなるものであるが、本発明者の一人である出原は、このペリオスチン遺伝子の発現レベルの測定がアレルギー性疾患の検査方法として有用であることを見出して、アレルギー疾患の検査方法の発明を完成させた(特許文献1及び非特許文献1参照。)。
また、出原は、このペリオスチン遺伝子の発現レベルの測定が特発性間質性肺炎の検査方法としても有用であることを見出した(特許文献2参照。)。
なお、他に、OSF2(ペリオスチン)に対するポリクローナル抗体、モノクローナル抗体及びこれらの抗体を用いる診断方法等が開示され(特許文献3参照。)、Osf2/Cbfa1と命名される新規造骨細胞特異的転写因子を測定するのに抗OSF2(ペリオスチン)抗体を用いた免疫測定法が開示され(特許文献4参照。)、ヒトペリオスチンに対して特異的に結合する精製抗体及びこの抗体を用いる乳癌の骨への転移等を調べる診断アッセイ法等が開示され(特許文献5参照。)、そして、抗細胞接着活性を有するペリオスチンに対する抗体及びこの抗体を用いるペリオスチンの定量方法等が開示されている(特許文献6参照。)。
しかしながら、このように種々の疾患の検査に有用なペリオスチンの測定においては、健常者や他の疾患の罹患者との鑑別のため、測定の感度及び特異度等の正確性の改善が望まれていた。
国際公開第02/052006号パンフレット 国際公開第09/148184号パンフレット 特開平5−268982号公報 特表2002−502250号公報 特表2005−500059号公報 国際公開第07/077934号パンフレット
G.Takayamaら,J.Allergy Clin.Immunol.,118巻,98〜104頁,2006年発行
前述した、試料に含まれるペリオスチンの抗原抗体反応を利用した測定においては、その正確性は十分なものではなかった。
このため、試料に含まれるペリオスチンの測定値を疾患の検査に利用しようとする場合、この疾患の診断を誤らせる可能性があった。
従って、試料に含まれるペリオスチンの抗原抗体反応を利用した測定においては、健常者や他の疾患の罹患者との鑑別のため、更なる正確性の改善が望まれていた。
これに対して、本発明の課題は、試料に含まれるペリオスチンの抗原抗体反応等を利用した測定における、正確性が改善された測定方法及び測定試薬を提供すること、並びに測定の正確性の改善方法、並びに正確性が改善された肺線維症又は間質性肺炎の検査方法を提供することである。
本発明者らは、試料に含まれるペリオスチンの測定について検討を重ねたところ、ペリオスチンの特定の領域を検出することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の発明よりなる。
(1)ペリオスチン又はその分解物のEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域に結合する抗体。
(2)ペリオスチンの分解物に結合する抗体である、上記(1)に記載の抗体。
(3)ペリオスチンの多量体に結合しない抗体である、上記(1)又は(2)に記載の抗体。
(4)抗体がモノクローナル抗体である、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の抗体。
(5)抗体の重鎖可変領域のアミノ酸配列が、配列番号16で表されるアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域のアミノ酸配列が、配列番号18で表されるアミノ酸配列を含むものである、上記(4)に記載の抗体。
(6)受託番号がNITE BP-1281であるハイブリドーマSS16A株、受託番号がNITE BP-1282であるハイブリドーマSS18A株、受託番号がNITE BP-1283であるハイブリドーマSS19C株、受託番号がNITE BP-1068であるハイブリドーマSS19D株、受託番号がNITE BP-1284であるハイブリドーマSS20A株、受託番号がNITE BP-1285であるハイブリドーマSS25A株及び受託番号がNITE BP-1286であるハイブリドーマSS27A株からなる群から選ばれるいずれかのハイブリドーマにより産生されるモノクローナル抗体。
(7)試料に含まれるペリオスチンの測定方法であって、ペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域を検出することを特徴とする、前記方法。
(8)上記(1)〜(6)のいずれかに記載の抗体を使用することを特徴とする、上記(7)に記載の方法。
(9)ペリオスチンがペリオスチン分解物である、上記(7)又は(8)に記載の方法。
(10)ペリオスチンが多量体ではない、上記(7)〜(9)のいずれかに記載の方法。
(11)ペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域に特異的に結合する物質を含む、試料に含まれるペリオスチン又はその分解物の測定試薬。
(12)前記物質が上記(1)〜(6)のいずれかに記載の抗体である、上記(11)に記載の試薬。
(13)ペリオスチンがペリオスチン分解物である、上記(11)又は(12)に記載の試薬。
(14)ペリオスチンが多量体ではない、上記(11)〜(13)のいずれかに記載の試薬。
(15)試料に含まれるペリオスチンの量又は濃度の測定において、ペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域を検出することを特徴とする、ペリオスチン測定の正確性の改善方法。
(16)上記(1)〜(6)のいずれかに記載の抗体を使用することを特徴とする、上記(15)に記載の方法。
(17)ペリオスチンがペリオスチン分解物である、上記(15)又は(16)に記載の方法。
(18)ペリオスチンが多量体ではない、上記(15)〜(17)のいずれかに記載の方法。
(19)次の工程を含む、肺線維症又は間質性肺炎の検査方法。
a) 被検者由来の試料におけるペリオスチンの量又は濃度を測定する工程であって、ペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域を検出することを含む工程
b) 被検者由来の試料におけるペリオスチンの量又は濃度と、肺線維症又は間質性肺炎のいずれにも罹患していない生体由来の試料におけるペリオスチンの量又は濃度とを比較する工程
(20)上記(1)〜(6)のいずれかに記載の抗体を使用することを特徴とする、上記(19)に記載の方法。
(21)ペリオスチンがペリオスチン分解物である、上記(19)又は(20)に記載の方法。
(22)ペリオスチンが多量体ではない、上記(19)〜(21)のいずれかに記載の方法。
本発明のペリオスチン又はその分解物のEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域に結合する抗体(以下、「抗ペリオスチン特定領域抗体」ということがある。)は、ペリオスチンの又はその分解物のEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域に結合することができるという特異性を有する抗体である。
そして、この抗体は、ペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域を検出することに使用することができる抗体である。
また、この抗体は、ペリオスチンの分解物に結合することができる抗体である。
なお、本発明の抗体(抗ペリオスチン特定領域抗体)のうち、ペリオスチンの多量体に結合しない抗体は、ペリオスチン又はその分解物のEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域に結合することができ、かつペリオスチンの多量体には結合しないという特異性を有する抗体である。
そして、この抗体は、ペリオスチンの分解物に結合することができ、かつペリオスチンの多量体には結合しない抗体である。
更に、本発明のペリオスチンの測定方法、ペリオスチンの測定試薬、ペリオスチン測定の正確性の改善方法、及び肺線維症又は間質性肺炎の検査方法は、試料に含まれるペリオスチンの測定において、ペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域を検出することにより、その測定の感度〔その測定における罹患者群での陽性率(真の陽性率)〕、又は特異度〔その測定における非罹患者群での陰性率(真の陰性率;すなわち、1−偽陽性率)〕等を向上させ、測定の正確性を改善することができるものである。
これにより、本発明のペリオスチンの測定方法、ペリオスチンの測定試薬、ペリオスチン測定の正確性の改善方法、及び肺線維症又は間質性肺炎の検査方法は、正確なペリオスチンの測定値を得ることができ、健常者や他の疾患の罹患者との鑑別を向上させ、診断を誤らせることを防ぐことができるものである。
調製し、取得したペリオスチン及び部分ペリオスチンを模式的に示した図である。 調製した、ペリオスチン、部分ペリオスチン(R1・R2領域)、部分ペリオスチン(R2領域)、部分ペリオスチン(R1・R2・R3領域)、及び部分ペリオスチン(C末端領域)をSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法で確認した結果(ゲル)を示した写真である。 調製した、部分ペリオスチン(R4領域)、及び部分ペリオスチン(EMI領域)をSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法及びウエスタンブロッティング法で確認した結果(ポリビニルジフルオライド膜)を示した写真である。 取得した抗ペリオスチンモノクローナル抗体がペリオスチンのどの領域を認識しているかの確認結果を示した図である。 取得した抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19B株由来以外)のペリオスチンの一量体、多量体及び分解物との反応性を確認した結果(ポリビニルジフルオライド膜)を示した写真である。 取得した抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19B株由来)のペリオスチンの一量体、多量体及び分解物との反応性を確認した結果(ポリビニルジフルオライド膜)を示した写真である。 取得した抗ペリオスチンモノクローナル抗体のペリオスチンの一量体、多量体及び分解物との反応性を確認した結果をまとめた図である。 健常者の血清中のペリオスチンを免疫沈降、電気泳動及びウエスタンブロッティングの処理により確認した結果(ポリビニルジフルオライド膜)を示した写真である。 肺線維症罹患者の血清中のペリオスチンを免疫沈降、電気泳動及びウエスタンブロッティングの処理により確認した結果(ポリビニルジフルオライド膜)を示した写真である。 ヒト血清中のペリオスチンの測定結果を示したグラフである。 ヒト血清中のペリオスチンの測定結果のROC曲線を示したグラフである。 ヒト血清中のペリオスチンの測定に用いた固相化抗体及び標識抗体がペリオスチンのどの領域を認識しているか等を模式的に示した図である。 ヒト血清中のペリオスチンの測定結果を示したグラフである。 ヒト血清中のペリオスチンの測定結果を示したグラフである。 ヒト血清中のペリオスチンの測定結果を示したグラフである。 ヒト血清中のペリオスチンの測定結果を示したグラフである。 ヒト血清中のペリオスチンの測定結果を示したグラフである。 ヒト血清中のペリオスチンの測定結果をまとめた図である。 試料中のペリオスチン測定の検量線を示したグラフである。 試料中のペリオスチン測定の検量線を示したグラフである。 試料中のペリオスチン測定の検量線を示したグラフである。 試料中のペリオスチン測定の検量線を示したグラフである。 試料中のペリオスチン測定の検量線を示したグラフである。 試料中のペリオスチン測定の検量線を示したグラフである。 試料中のペリオスチン測定の検量線を示したグラフである。 取得した抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A株由来、SS19A株由来、SS19D株由来、SS25A株由来及びSS27A株由来)のペリオスチンの一量体、多量体及び分解物との反応性を確認した結果(ポリビニルジフルオライド膜)を示した写真である。 ヒト血清中のペリオスチンの測定結果のROC曲線を示したグラフである。 ヒト血清中のペリオスチンの測定結果をまとめた図である。
以下、本発明を詳細に説明する。以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこの実施の形態のみに限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、様々な形態で実施をすることができる。
本明細書において引用された全ての刊行物、例えば先行技術文献、公開公報、特許公報その他の特許文献は、参照として本明細書に組み込まれる。また、本明細書は、本願の優先権主張の基礎となる2011年9月6日に出願された日本国特許出願(特願2011-194323号)及び2012年3月29日に出願された日本国特許出願(特願2012-077774号)の明細書、特許請求の範囲及び図面に記載の内容を包含する。
〔1〕抗ペリオスチン特定領域抗体
1.抗体
本発明における抗体は、ペリオスチン又はその分解物のEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域に結合する抗体(抗ペリオスチン特定領域抗体)である。
すなわち、本発明の抗ペリオスチン特定領域抗体は、試料に含まれるペリオスチンの抗原抗体反応を利用した測定に使用することにより、測定の正確性を改善することができるものである。
なお、本発明において、抗ペリオスチン特定領域抗体は、ペリオスチン又はその分解物のEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域に結合することができる抗体であれば特に限定はない。
この抗ペリオスチン特定領域抗体としては、例えば、ペリオスチン又はその分解物のEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域に結合することができるモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、抗血清、抗体の断片〔Fab及びF(ab’)など〕、又は一本鎖抗体(scFv)等を挙げることができる。
なお、この抗ペリオスチン特定領域抗体は、遺伝子組み換え技術等により免疫原を免疫する動物とは異なる動物種のアミノ酸配列に変化させた抗体(キメラ抗体、ヒト化抗体、又は完全ヒト化抗体等)であってもよい。
そして、抗ペリオスチン特定領域抗体としては、モノクローナル抗体であることが好ましい。
また、本発明においては、2種以上の、抗ペリオスチン特定領域抗体を用いてもよい。
本発明の抗ペリオスチン特定領域抗体は、ペリオスチンの分解物(「ペリオスチン分解物」とも称する)に結合する抗体である。
本発明において、ペリオスチン分解物とは、配列番号2で表されるアミノ酸配列を有するペリオスチンから、少なくとも配列番号14で表されるアミノ酸配列を有するC末端領域が欠損したポリペプチドを意味する。
また、本発明のペリオスチン分解物には、例えば、配列番号2で表されるアミノ酸配列を有するペリオスチンから、少なくとも配列番号14で表されるアミノ酸配列を有するC末端領域が欠損し、かつ配列番号12で表されるアミノ酸配列を有するR4領域の全部又は一部が欠損したポリペプチドが含まれる。
また、本発明のペリオスチン分解物には、例えば、配列番号2で表されるアミノ酸配列を有するペリオスチンから、少なくとも配列番号14で表されるアミノ酸配列を有するC末端領域が欠損し、かつ配列番号12で表されるアミノ酸配列を有するR4領域の全部が欠損し、かつ配列番号10で表されるアミノ酸配列を有するR3領域の一部が欠損したポリペプチドも含まれる。
本発明のペリオスチン分解物は、本発明者らが初めて見出したポリペプチドである。ペリオスチン分解物は、例えば、生体由来の試料に含まれるポリペプチドを本発明の抗体を用いて免疫学的手法により検出することにより、その存在を明確に確認することができる(図5、図9、図26等)。
ペリオスチン分解物としては、例えば、その分子量が約4万Da(約40kDa)のものなどを挙げることができるが、これに限定されない。また、ペリオスチン分解物は、生体由来の試料に含まれるものが好ましい。
本発明の抗ペリオスチン特定領域抗体は、ペリオスチン又はその分解物のEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域に結合し、かつペリオスチンの2量体、3量体、4量体又はそれ以上のペリオスチンの多量体に結合しない抗体であることが好ましい。
すなわち、本発明における、ペリオスチン又はその分解物のEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域に結合し、かつペリオスチンの多量体に結合しない抗ペリオスチン特定領域抗体は、測定の正確性の改善度が更に高いため好ましい。
2.免疫原
本発明における抗ペリオスチン特定領域抗体を産生させるための免疫原について、以下説明を行う。
本発明における抗ペリオスチン特定領域抗体を産生させるための免疫原として、ペリオスチンの全部又は一部を用いることができる。
すなわち、ヒト等由来のペリオスチン、又は遺伝子組み換え操作により得たペリオスチン等のペリオスチンの全部又は一部を用いることができる。
なお、この抗ペリオスチン特定領域抗体を産生させるための免疫原としては、ペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域及び/又はR3領域の全部又は一部であることが好ましい。
また、前記のペリオスチンの多量体には結合しない抗ペリオスチン特定領域抗体を産生させるための免疫原としては、ペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域及び/又はR3領域の全部又は一部であることが好ましい。
前記のペリオスチンの全部又は一部を免疫原とすることにより、本発明における抗ペリオスチン特定領域抗体を取得することができる。
なお、この抗ペリオスチン特定領域抗体を産生させるための免疫原は、ペリオスチンのアミノ酸配列の全部又は一部のアミノ酸配列に1ないし数個(通常1〜8個、好ましくは1〜6個)のアミノ酸残基の欠失、置換、挿入、付加、又は修飾を施すことにより得られるアミノ酸配列を含むペプチド又はタンパク質等であってもよい。
また、抗体は、3個のアミノ酸からなるアミノ酸配列を認識できるとの報告(F.Hudeczら,J.Immunol.Methods,147巻,201〜210頁,1992年発行)がある。
よって、本発明における抗ペリオスチン特定領域抗体の免疫原のアミノ酸配列の最小単位としては、ペリオスチンのアミノ酸配列の全部若しくは一部のアミノ酸配列、又はこれらのアミノ酸配列の全部若しくは一部のアミノ酸配列に1ないし数個(通常1〜8個、好ましくは1〜6個)のアミノ酸残基の欠失、置換、挿入、付加若しくは修飾を施すことにより得られるアミノ酸配列の内、連続する3つのアミノ酸残基よりなるアミノ酸配列を考えることができるので、これらの連続する3つのアミノ酸残基よりなるアミノ酸配列からなるトリペプチド、又はこれに他のアミノ酸若しくはペプチドが付加したもの等を、本発明における抗ペリオスチン特定領域抗体の免疫原の最小単位として考えることができる。
前記の免疫原としての、ペリオスチンのアミノ酸配列の全部若しくは一部のアミノ酸配列を含むペプチド又はタンパク質等、又はペリオスチンのアミノ酸配列の全部若しくは一部のアミノ酸配列に1ないし数個(通常1〜8個、好ましくは1〜6個)のアミノ酸残基の欠失、置換、挿入、付加若しくは修飾を施すことにより得られるアミノ酸配列を含むペプチド又はタンパク質等は、ヒト等の体液、細胞、組織もしくは臓器等より、公知の方法等により抽出、精製等して、取得することができる。
なお、本発明において、ペリオスチンのアミノ酸配列の全部若しくは一部のアミノ酸配列を含むペプチド又はタンパク質を取得する方法としては特に限定はなく、如何なる方法によるものでもよく、例えば、公知の方法により取得することができる。
例えば、ペリオスチンを取得する方法として、次の方法(“G.Takayamaら,J.Allergy Clin.Immunol.,118巻,1号,713〜723頁,2006年発行”)等を挙げることができる。
(a) まず、ペリオスチン(ポリヌクレオチドの塩基配列:核酸データベースGenBankのAccession NumberD13666(配列番号1);アミノ酸配列:核酸データベースGenBankのAccession NumberBAA02837(配列番号2))にV5/Hisタグを付加させたリコンビナントペリオスチンタンパク質を昆虫細胞であるS2細胞において発現させた上で精製する。
(b) すなわち、具体的には、S2細胞の形質転換体は次のように調製する。
pMT/Bip/V5−HisAプラスミド(Invitrogen社、米国カリフォルニア州Carlsbad)にペリオスチンの上記部分をコードするcDNAを挿入して、これをpMT/Bip/periostin−V5−HisAとする。
S2細胞にpMT/Bip/periostin−V5−HisA及びハイグロマイシン耐性遺伝子を発現するプラスミドであるpAcHygro(Invitrogen社、米国カリフォルニア州Carlsbad)を公知の方法で共導入し、形質転換させる。
ハイグロマイシンにより形質転換体を選択し、安定形質転換体を得る。
そして、S2細胞の形質転換体では、カルボキシ末端にV5エピトープ/Hisタグの結合したペリオスチンを発現させる。
(c) S2リコンビナントペリオスチンタンパク質の精製は次のように行う。
ペリオスチン遺伝子安定形質転換体S2細胞の培地に硫酸銅を加えることにより、S2リコンビナントペリオスチンタンパク質の発現を誘導する。
これにより、S2リコンビナントペリオスチンタンパク質は培養上清中に発現分泌される。
この培養上清をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)に透析した後、ニッケルレジン(Ni−NTA Agarose、Qiagen社、ドイツ国Hilden)と混合して、S2リコンビナントペリオスチンタンパク質をレジンに結合させる。
レジンを洗浄して夾雑物を取り除き、イミダゾール含有緩衝液にてS2リコンビナントペリオスチンタンパク質を溶出させる。
溶出されたS2リコンビナントペリオスチンタンパク質をPBS等に透析し、精製されたペリオスチンタンパク質を取得する。
また、ペリオスチンは、次の方法によっても取得することができる。
すなわち、ペリオスチンのcDNAを、GEX−KGベクター(“KL.Guanら,Anal.Biochem.,192巻,262〜267頁,1991年発行”)に組み込んで、大腸菌BL21にトランスフェクションする。
これをアンピシリン入りLB培地にて培養し、菌体よりグルタチオンセファロース4B(GE Healthcare社、Little Chalfont、英国)により、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)を付加したペリオスチンを精製する。
これにトロンビンにてGSTを切断し、GSTを付加しないペリオスチンを取得する。
これをブラッドフォード法にて定量して、その量(濃度)が明確となったペリオスチンを取得することができる。
更に、ペリオスチンは、例えば、“I.Takayamaら,J.Biochem.,146巻,5号,713〜723頁,2009年発行”などに記載された方法等によっても取得することができる。ペリオスチンのアミノ酸配列は、前記の通り配列番号2で表し、当該アミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドの塩基配列は配列番号1で表す。
なお、ペリオスチンのEMI領域は、例えば、“I.Kiiら,J.Biol.Chem.,285巻,3号,2028〜2039頁,2010年発行”、又は“T.Maruhashiら,J.Biol.Chem.,285巻,17号,13294〜13303頁,2010年発行”などに記載された方法等により取得することができる。ペリオスチンのEMI領域のアミノ酸配列は配列番号4で表し、当該アミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドの塩基配列は配列番号3で表す。
また、ペリオスチンのR1領域、R2領域又はR3領域はそれぞれ、“I.Takayamaら,J.Biochem,146巻,5号,713〜723頁,2009年発行”などに記載された方法等により取得することができる。ペリオスチンのR1領域、R2領域及びR3領域のアミノ酸配列はそれぞれ、配列番号6、8及び10で表し、当該アミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドの塩基配列はそれぞれ、配列番号5、7及び9で表す。また、ペリオスチンのR4領域及びC末端領域のアミノ酸配列はそれぞれ、配列番号12及び14で表し、当該アミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドの塩基配列はそれぞれ、配列番号11及び13で表す。
なお、前記の免疫原は、液相法及び固相法等のペプチド合成の方法により合成することができ、更にペプチド自動合成装置を用いてもよく、日本生化学会編「生化学実験講座1 タンパク質の化学IV」,東京化学同人,1975年、泉屋ら「ペプチド合成の基礎と実験」,丸善,1985年、日本生化学会編「続生化学実験講座2 タンパク質の化学 下」,東京化学同人,1987年等に記載された方法に従い合成することができ、前記のアミノ酸配列に、欠失、置換、挿入又は付加を施した変異体を作製することも容易である。
また、非天然型アミノ酸の導入、各アミノ酸残基の化学修飾やシステイン残基を導入することにより分子内を環化させて構造を安定化させる等の修飾を施してもよい。
更に、前記の免疫原は、対応する核酸塩基配列を持つDNA又はRNAより遺伝子工学技術を用いて調製してもよく、日本生化学会編「続生化学実験講座1 遺伝子研究法I」,東京化学同人,1986年、日本生化学会編「続生化学実験講座1 遺伝子研究法II」,東京化学同人,1986年、日本生化学会編「続生化学実験講座1 遺伝子研究法III」,東京化学同人,1987年等を参照して調製すればよい。
ところで、免疫原が低分子物質の場合には、免疫原に担体(キャリア)を結合させたものを動物等に免疫するのが一般的ではあるが、アミノ酸数5のペプチドを免疫原としてこれに対する特異抗体を産生させたとの報告(木山ら,「日本薬学会第112回年会講演要旨集3」,122頁,1992年発行)もあるので、担体を使用することは必須ではない。
なお、抗体を産生させる際に担体(キャリア)を使用する場合の担体としては、スカシガイのヘモシアニン(KLH)、ウシ血清アルブミン(BSA)、ニワトリ血清アルブミン、ポリ−L−リシン、ポリアラニルリシン、ジパルミチルリシン、破傷風トキソイド又は多糖類等の担体として公知なものを用いることができる。
免疫原と担体の結合法は、グルタルアルデヒド法、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド法、マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシサクシニミドエステル法、ビスジアゾ化ベンジジン法又はN−サクシミジル−3−(2−ピリジルジチオ)プロピオン酸法等の公知の結合法を用いることができる。
また、ニトロセルロース粒子、ポリビニルピロリドン又はリポソーム等の担体に免疫原を吸着させたものを免疫原とすることもできる。
3.ポリクローナル抗体である抗ペリオスチン特定領域抗体の調製方法
ペリオスチン又はその分解物のEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域に結合することができるポリクローナル抗体、すなわち、ポリクローナル抗体である抗ペリオスチン特定領域抗体は、以下の操作により調製することができる。
このポリクローナル抗体である抗ペリオスチン特定領域抗体の産生用の免疫原としては、前記の免疫原を用いることができる。
前記の免疫原、又は前記の免疫原と担体(キャリア)の結合物を、哺乳動物(マウス、モルモット、ハムスター、ウサギ、ラット、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ウマ、ロバ、若しくはラクダなど)又は鳥類(ニワトリ、アヒル、若しくはダチョウなど)等に免疫する。
なお、前記の免疫原、又は前記の免疫原と担体の結合物を免疫する免疫動物としては、その体内でのペリオスチンの生産に関わる遺伝子を不活性化又は欠損させた、すなわちペリオスチンの生産に関わる遺伝子をノックアウトした動物がより好ましい。
その理由は、その動物の体内で生産されたペリオスチンが、ペリオスチンなどの免疫原等の免疫により体内に産生した抗ペリオスチン特定領域抗体と結合してしまうことにより、抗ペリオスチン特定領域抗体の抗体活性が低下してしまう可能性が、前記のノックアウト動物においては低いからである。
また、前記のノックアウト動物においては、その動物の体内でペリオスチンが生産されないため、免疫されたペリオスチンを異物と認識し易く、よって抗体の産生が高くなるためである。
このペリオスチンの生産に関わる遺伝子を不活性化又は欠損させた動物としては、例えば、ペリオスチンについてのノックアウトマウス(“H.Riosら,Molecular and Cellular Biology,25巻,24号,11131〜11144頁,2005年発行”)等を挙げることができる。
ところで、前記の免疫原、又は前記の免疫原と担体の結合物の免疫量は、免疫原、担体、免疫動物の種類、免疫注射部位等により決められるものであるが、マウスの場合には一匹当り一回につき0.1μg〜5mgの前記免疫原、又は前記免疫原と担体の結合物を免疫注射するのが好ましい。
なお、この前記の免疫原、又は前記の免疫原と担体の結合物は、アジュバントと添加混合して免疫注射することが好ましい。
アジュバントとしては、フロイント完全アジュバント、フロイント不完全アジュバント、水酸化アルミニウムアジュバント、化学合成アジュバント又は百日咳菌アジュバント等の公知のものを用いることができる。
免疫注射は、皮下、静脈内、腹腔内又は背部等の部位に行えばよい。
初回免疫後、1〜2週間間隔で皮下、静脈内、腹腔内又は背部等の部位に、前記の免疫原、又は前記の免疫原と担体の結合物を追加免疫注射する。
この追加免疫注射の回数としては、2〜6回が一般的である。
この場合も、前記の免疫原、又は前記の免疫原と担体の結合物は、アジュバントを添加混合して追加免疫注射することが好ましい。
初回免疫の後、免疫動物の血清中の抗体価の測定をELISA法等により繰り返し行い、抗体価がプラトーに達したら全採血を行い、血清を分離して抗体を含む抗血清を得る。
この抗血清を、硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウム等による塩析法、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過法又はアフィニティークロマトグラフィー等の方法、あるいはこれらの方法を組み合わせて抗体の精製を行い、ポリクローナル抗体を得る。
なお、ここで得られたポリクローナル抗体は、ペリオスチン又はその分解物のEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域に結合することができるポリクローナル抗体(ポリクローナル抗体である抗ペリオスチン特定領域抗体)と、ペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域のいずれにも結合しないポリクローナル抗体を含むものである。
よって、例えば、分離のため、ペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域及び/又はR3領域のアミノ酸配列を含むタンパク質又はペプチドをリガンドとして固相に固定化したアフィニティークロマトグラフィーのカラム等に、得られたポリクローナル抗体を通し、接触させる。
これにより、ポリクローナル抗体である抗ペリオスチン特定領域抗体は、このカラム等のリガンド(ペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域及び/又はR3領域のアミノ酸配列を含むタンパク質又はペプチド)を介して固相に結合し、捕集される。
これに対して、ペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域のいずれにも結合しないポリクローナル抗体は、このカラム等のリガンド(ペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域又はR3領域のアミノ酸配列を含むタンパク質及び/又はペプチド)に結合することなく、このカラム等を素通りする。
このカラム等のリガンド(ペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域及び/又はR3領域のアミノ酸配列を含むタンパク質又はペプチド)に結合した、ポリクローナル抗体である抗ペリオスチン特定領域抗体を、塩濃度又はpH等を変化させることによりリガンドから分離させ、これを捕集することにより、ポリクローナル抗体である抗ペリオスチン特定領域抗体を取得することができる。
得られたポリクローナル抗体である抗ペリオスチン特定領域抗体は、ペリオスチンの分解物に結合することができる抗体である。
なお、「ペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域及び/又はR3領域の全部又は一部」を免疫原として用いる場合は、ペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域のいずれにも結合しないポリクローナル抗体を分離する処理は必要としない。
また、「ペリオスチン又はその分解物のEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域に結合し、かつペリオスチンの多量体に結合しないポリクローナル抗体(ポリクローナル抗体である、ペリオスチンの多量体に結合しない抗ペリオスチン特定領域抗体)」の取得であるが、例えば、まず前記の通りにして、ポリクローナル抗体である抗ペリオスチン特定領域抗体を得る。
なお、ここで得られたポリクローナル抗体である抗ペリオスチン特定領域抗体は、「ポリクローナル抗体である、ペリオスチンの多量体に結合しない抗ペリオスチン特定領域抗体」と、「ポリクローナル抗体である、ペリオスチンの多量体に結合する抗ペリオスチン特定領域抗体」とを含むものである。
次に、分離のため、ペリオスチンの多量体をリガンドとして固相に固定化したアフィニティークロマトグラフィーのカラム等に、得られたポリクローナル抗体である抗ペリオスチン特定領域抗体を通し、接触させる。
これにより、「ポリクローナル抗体である、ペリオスチンの多量体に結合する抗ペリオスチン特定領域抗体」は、このカラム等のリガンド(ペリオスチンの多量体)を介して固相に結合する。
これに対して、「ポリクローナル抗体である、ペリオスチンの多量体に結合しない抗ペリオスチン特定領域抗体」は、このカラム等のリガンド(ペリオスチンの多量体)に結合することなく、このカラム等を素通りするので、これを捕集することにより、「ポリクローナル抗体である、ペリオスチンの多量体に結合しない抗ペリオスチン特定領域抗体」を取得することができる。
或いは、分離のため、ペリオスチンの多量体をリガンドとして固定化した固相担体等に、得られたポリクローナル抗体である抗ペリオスチン特定領域抗体を接触させ、その後、この固相担体を分離することにより、「ポリクローナル抗体である、ペリオスチンの多量体に結合する抗ペリオスチン特定領域抗体」を除去することができる。そして、これにより、残存物より、「ポリクローナル抗体である、ペリオスチンの多量体に結合しない抗ペリオスチン特定領域抗体」を取得することができる。
なお、得られた「ポリクローナル抗体である、ペリオスチンの多量体に結合しない抗ペリオスチン特定領域抗体」は、ペリオスチンの分解物に結合することができ、かつペリオスチンの多量体には結合しない抗体である。
ところで、免疫原と担体の結合物を用いて動物等に免疫した場合には、得られたポリクローナル抗体中に、この担体に対する抗体が存在するので、このような担体に対する抗体の除去処理を行うことが好ましい。
この除去処理方法としては、担体を、得られたポリクローナル抗体の溶液中に添加して生成した凝集物を取り除くか、担体を不溶化固相に固定化してアフィニティークロマトグラフィーにより除去する方法等を用いることができる。
4.モノクローナル抗体である抗ペリオスチン特定領域抗体の調製方法
ペリオスチン又はその分解物のEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域に結合することができるモノクローナル抗体、すなわち、モノクローナル抗体である抗ペリオスチン特定領域抗体は、以下の操作により調製することができる。
このモノクローナル抗体は、ケラーらの細胞融合法(G.Koehlerら,Nature,256巻,495〜497頁,1975年発行)によるハイブリドーマ、又はエプスタン−バーウイルス等のウイルスによる腫瘍化細胞等の抗体産生細胞により得ることができる。
更に、抗体遺伝子のcDNAライブラリーから、マカフェティーらのファージディスプレイ法(M.McCaffertyら,Nature,348巻,552〜554頁,1990年発行)を用いてモノクローナル抗体を作製することも可能である。
なお、例えば、細胞融合法によるモノクローナル抗体の調製は、下記の操作により行うことができる。
(1) まず、前記の免疫原、又は前記の免疫原と担体の結合物を、哺乳動物(マウス、ハムスター、ラット、又はラビットなど、例えば近交系マウスのBALB/c)又は鳥類(ニワトリなど)等に免疫する。
なお、前記の免疫原、又は前記の免疫原と担体の結合物を免疫する免疫動物としては、その体内でのペリオスチンの生産に関わる遺伝子を不活性化又は欠損させた、すなわちペリオスチンの生産に関わる遺伝子をノックアウトした動物がより好ましい。
その理由は、その動物の体内で生産されたペリオスチンが、ペリオスチンなどの免疫原等の免疫により体内に産生した抗ペリオスチン特定領域抗体と結合してしまうことにより、抗ペリオスチン特定領域抗体の抗体活性が低下してしまう可能性が、前記のノックアウト動物においては低いからである。
また、前記のノックアウト動物においては、その動物の体内でペリオスチンが生産されないため、免疫されたペリオスチンを異物と認識し易く、よって抗体の産生が高くなるためである。
このペリオスチンの生産に関わる遺伝子を不活性化又は欠損させた動物としては、例えば、ペリオスチンについてのノックアウトマウス(“H.Riosら,Mol.Cell.Biol.,25巻,24号,11131〜11144頁,2005年発行”)等を挙げることができる。
ところで、前記の免疫原、又は前記の免疫原と担体の結合物の免疫量は、免疫動物の種類、免疫注射部位等により適宜決められるものであるが、例えば、マウスの場合には一匹当り一回につき0.1μg〜5mgの前記の免疫原、又は前記の免疫原と担体の結合物を免疫注射するのが好ましい。
なお、前記の免疫原、又は前記の免疫原と担体の結合物は、アジュバントを添加混合して免疫注射することが好ましい。
アジュバントとしては、フロイント完全アジュバント、フロイント不完全アジュバント、水酸化アルミニウムアジュバント、化学合成アジュバント又は百日咳菌アジュバント等の公知なものを用いることができる。
免疫注射は、皮下、静脈内、腹腔内、足蹠又は背部等の部位に行えばよい。
(2) 初回免疫後、1〜2週間間隔で皮下、静脈内、腹腔内、足蹠又は背部等の部位に、前記の免疫原、又は前記の免疫原と担体の結合物を追加免疫注射する。
この追加免疫注射の回数としては2〜6回が一般的である。
この場合も前記の免疫原、又は前記の免疫原と担体の結合物は、アジュバントを添加混合して追加免疫注射することが好ましい。
(3) 初回免疫の後、免疫動物の血清中の抗体価の測定をELISA法等により繰り返し行い、抗体価がプラトーに達したら、前記の免疫原、又は前記の免疫原と担体の結合物を生理食塩水(0.9%塩化ナトリウム水溶液)に溶解したものを静脈内又は腹腔内に注射し、最終免疫とする。
(4) この最終免疫の3〜5日後に、免疫動物の脾細胞、リンパ節細胞又は末梢リンパ球等の抗体産生能を有する細胞を取得する。
(5) この免疫動物より得られた抗体産生能を有する細胞と哺乳動物等(マウス、ヌードマウス、ラットなど)の骨髄腫細胞(ミエローマ細胞)とを細胞融合させるのであるが、ミエローマ細胞としてはヒポキサンチン・グアニン・ホスホリボシル・トランスフェラーゼ(HGPRT)又はチミジンキナーゼ(TK)等の酵素を欠損した細胞株のものが好ましく、例えば、BALB/cマウス由来のHGPRT欠損細胞株である、P3−X63−Ag8株(ATCC TIB9)、P3−X63−Ag8−U1株(癌研究リサーチソースバンク(JCRB)9085)、P3−NS1−1−Ag4−1株(JCRB 0009)、P3−X63−Ag8・653株(JCRB 0028)又はSP2/O−Ag−14株(JCRB 0029)等を用いることができる。
細胞融合は、各種分子量のポリエチレングリコール(PEG)、リポソームもしくはセンダイウイルス(HVJ)等の融合促進剤を用いて行うか、又は電気融合法により行うことができる。
ミエローマ細胞がHGPRT欠損株又はTK欠損株のものである場合には、ヒポキサンチン・アミノプテリン・チミジンを含む選別用培地(HAT培地)を用いることにより、抗体産生能を有する細胞とミエローマ細胞の融合細胞(ハイブリドーマ)のみを選択的に培養し、増殖させることができる。
(6) このようにして得られたハイブリドーマの培養上清を、ヒト又は他の動物(ヒトのペリオスチンの測定に用いる場合にはヒト由来のものが好ましい)のペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域及び/又はR3領域よりなるタンパク質又はペプチド等を用いてELISA法やウエスタンブロット法などの免疫学的測定法等により測定することにより、「ペリオスチン又はその分解物のEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域に結合することができるモノクローナル抗体(モノクローナル抗体である抗ペリオスチン特定領域抗体)」を産生するハイブリドーマを選択することができる。
(7) このハイブリドーマ選択方法と限界希釈法等の公知のクローニングの方法を組み合わせて行うことにより、本発明における、モノクローナル抗体である抗ペリオスチン特定領域抗体の産生細胞株を単離して得ることができる。
(8) このモノクローナル抗体産生細胞株を適当な培地で培養して、その培養上清から本発明における、モノクローナル抗体である抗ペリオスチン特定領域抗体を得ることができるが、培地としては無血清培地又は低濃度血清培地等を用いてもよく、この場合は抗体の精製が容易となる点で好ましく、DMEM培地、RPMI1640培地又はASF培地103等の培地を用いることができる。
また、このモノクローナル抗体産生細胞株を、これに適合性がありプリスタン等であらかじめ刺激した哺乳動物の腹腔内に注入し、一定期間の後、腹腔にたまった腹水より本発明における、モノクローナル抗体である抗ペリオスチン特定領域抗体を得ることもできる。
(9) このようにして得られた、モノクローナル抗体である抗ペリオスチン特定領域抗体は、硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウムなどによる塩析法、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過法又はアフィニティークロマトグラフィーなどの方法、あるいはこれらの方法を組み合わせること等により、精製された、モノクローナル抗体である抗ペリオスチン特定領域抗体を得ることができる。
なお、得られたモノクローナル抗体である抗ペリオスチン特定領域抗体は、ペリオスチンの分解物に結合することができる抗体である。
(10)なお、前記(6)の通り、得られたハイブリドーマの培養上清を、ヒト又は他の動物のペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域及び/又はR3領域よりなるタンパク質又はペプチド等を用いてELISA法やウエスタンブロット法などの免疫学的測定法等により測定することにより、モノクローナル抗体である抗ペリオスチン特定領域抗体を産生するハイブリドーマを選択することができるが、これに加え更に、ペリオスチンの多量体を用いてELISA法やウエスタンブロット法などの免疫学的測定法等により測定することにより、「ペリオスチン又はその分解物のEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域に結合することができ、かつペリオスチンの多量体に結合しないモノクローナル抗体(モノクローナル抗体である、ペリオスチンの多量体に結合しない抗ペリオスチン特定領域抗体)」を産生するハイブリドーマを選択することができる。
(11) この「モノクローナル抗体である、ペリオスチンの多量体に結合しない抗ペリオスチン特定領域抗体」を産生するハイブリドーマより、前記(7)〜(9)のようにして、「モノクローナル抗体である、ペリオスチンの多量体に結合しない抗ペリオスチン特定領域抗体」を得ることができる。
なお、得られた「モノクローナル抗体である、ペリオスチンの多量体に結合しない抗ペリオスチン特定領域抗体」は、ペリオスチンの分解物に結合することができ、かつペリオスチンの多量体には結合しない抗体である。
本発明におけるモノクローナル抗体としては、例えば、抗体の重鎖可変領域のアミノ酸配列が配列番号16で表されるアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域のアミノ酸配列が配列番号18で表されるアミノ酸配列を含む、モノクローナル抗体が挙げられる。
また、別の態様において、本発明におけるモノクローナル抗体としては、例えば、受託番号がNITE BP-1281であるハイブリドーマSS16A株、受託番号がNITE BP-1282であるハイブリドーマSS18A株、受託番号がNITE BP-1283であるハイブリドーマSS19C株、受託番号がNITE BP-1068であるハイブリドーマSS19D株、受託番号がNITE BP-1284であるハイブリドーマSS20A株、受託番号がNITE BP-1285であるハイブリドーマSS25A株及び受託番号がNITE BP-1286であるハイブリドーマSS27A株からなる群から選ばれるいずれかのハイブリドーマにより産生されるモノクローナル抗体が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
〔2〕.ペリオスチンの測定方法
1.総論
本発明のペリオスチンの測定方法は、試料に含まれるペリオスチンの測定方法であって、ペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域を検出することを特徴とするものである。
ペリオスチンは、そのN末端側よりC末端側にかけて順に、EMI領域、R1領域、R2領域、R3領域、R4領域及びC末端領域より構成されるものであるが、これらの内、EMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域を検出することを、本発明のペリオスチンの測定方法は特徴とするものである。
また、本発明の測定方法は、試料に含まれるペリオスチン分解物の測定方法であってもよい。より具体的には、ペリオスチン分解物のEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域を検出することを特徴とする、試料に含まれるペリオスチン分解物の測定方法であってもよい。
また別の態様において、本発明の測定方法は、多量体ではないペリオスチンの測定方法であってもよい。本発明において、多量体ではないペリオスチンの測定方法とは、多量体であるペリオスチンを検出(又は測定)しない方法を意味する。より具体的には、本発明の測定方法は、試料に含まれるペリオスチン又はペリオスチン分解物の測定方法であって、ペリオスチン又はペリオスチン分解物のEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域を検出し、かつペリオスチンの多量体は検出(又は測定)しないことを特徴とする、試料に含まれるペリオスチン又はペリオスチン分解物の測定方法であってもよい。
本発明のペリオスチンの測定方法は、試料に含まれるペリオスチンの測定において、ペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域を検出することにより、ペリオスチン測定の正確性を改善することができる測定方法である。
本発明のペリオスチンの測定方法において、「ペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域を検出する」とは、ペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域について、その存在を見出すこと、又はその存在量を見出すことをいう。
そして、この「ペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域を検出する」ことについて、より具体的に説明すると、抗原と抗体、糖とレクチン、ヌクレオチド鎖とそれに特異的な物質、リガンドとレセプター等の特異的な親和性を有する物質間の反応を利用して試料中に含まれるペリオスチンを測定する場合に、ペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域に特異的に結合することができる物質(特異的結合物質)を使用すること等により、ペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域にこの特異的結合物質が結合すること等ができ、そしてこれによってペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域について、その存在を見出すこと、又はその存在量を見出すことができる。すなわち、ペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域を検出することができる。
例えば、この特異的結合物質が抗体の場合、ペリオスチン又はその分解物のEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域に結合することができる抗体(抗ペリオスチン特定領域抗体)を使用すること等により、ペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域について、その存在を見出すこと、又はその存在量を見出すことができる。すなわち、ペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域を検出することができる。
本発明のペリオスチンの測定方法は、ペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域又はR3領域のいずれか一つを検出するものであってもよいし、或いはペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域又はR3領域の二つ以上のものを検出するものであってもよい。
本発明のペリオスチンの測定方法としては、試料に含まれるペリオスチンを抗原抗体反応を利用して測定する測定方法であって、ペリオスチン又はその分解物のEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域に結合する抗体(抗ペリオスチン特定領域抗体)を使用するものであることが好ましい。
この抗ペリオスチン特定領域抗体としては、上記「〔1〕抗ペリオスチン特定領域抗体」の項に記載された抗体、例えば、以下の抗体を使用することができる。
(i) ペリオスチン又はその分解物のEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域に結合する抗体、
(ii) ペリオスチンの分解物に結合する抗体、
(iii) ペリオスチン又はその分解物のEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域に結合する抗体であって、ペリオスチンの多量体に結合しない抗体、
(iv) ペリオスチンの分解物に結合し、ペリオスチンの多量体に結合しない抗体、
(v) ペリオスチン又はその分解物のEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域に結合するモノクローナル抗体、
(vi) ペリオスチンの分解物に結合するモノクローナル抗体、
(vii) ペリオスチン又はその分解物のEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域に結合するモノクローナル抗体であって、ペリオスチンの多量体に結合しない前記抗体、
(viii) 抗体の重鎖可変領域のアミノ酸配列が配列番号16で表されるアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域のアミノ酸配列が配列番号18で表されるアミノ酸配列を含む、モノクローナル抗体、
(ix) 受託番号がNITE BP-1281であるハイブリドーマSS16A株、受託番号がNITE BP-1282であるハイブリドーマSS18A株、受託番号がNITE BP-1283であるハイブリドーマSS19C株、受託番号がNITE BP-1068であるハイブリドーマSS19D株、受託番号がNITE BP-1284であるハイブリドーマSS20A株、受託番号がNITE BP-1285であるハイブリドーマSS25A株及び受託番号がNITE BP-1286であるハイブリドーマSS27A株からなる群から選ばれるいずれかのハイブリドーマにより産生されるモノクローナル抗体。
また、本発明のペリオスチンの測定方法において、例えば、ペリオスチン一分子に二分子の抗体を抗原抗体反応させる場合、これらの抗体のいずれもが抗ペリオスチン特定領域抗体である必要がある。
例えば、酵素標識抗体と固相化抗体を用いるELISA法のサンドイッチ法においては、試料に含まれていたペリオスチンに結合させる酵素標識抗体及び固相化抗体のいずれもが、この抗ペリオスチン特定領域抗体である必要がある。
ところで、本発明における抗ペリオスチン特定領域抗体のうち、ペリオスチンの多量体に結合しない抗ペリオスチン特定領域抗体を、試料に含まれるペリオスチンを抗原抗体反応を利用して測定する測定方法に使用すると、測定の正確性の改善度が更に高いために好ましいが、本発明のペリオスチンの測定方法において、例えば、ペリオスチン一分子に二分子の抗体を抗原抗体反応させる場合、一方の抗体がペリオスチンの多量体に結合しない抗ペリオスチン特定領域抗体であるときは、他方の抗体は必ずしもペリオスチンの多量体に結合しない抗ペリオスチン特定領域抗体である必要は無く、抗ペリオスチン特定領域抗体であればよい。
例えば、酵素標識抗体と固相化抗体を用いるELISA法のサンドイッチ法においては、試料に含まれていたペリオスチンに結合させる酵素標識抗体又は固相化抗体のいずれかがペリオスチンの多量体に結合しない抗ペリオスチン特定領域抗体である場合、他方の抗体は必ずしもペリオスチンの多量体に結合しない抗ペリオスチン特定領域抗体である必要は無く、抗ペリオスチン特定領域抗体であればよい。
ところで、前記の抗ペリオスチン特定領域抗体は、1種類のものだけではなく、複数種類のものを同時に使用してもよい。
なお、この抗ペリオスチン特定領域抗体の詳細については、前記の「〔1〕抗ペリオスチン特定領域抗体」の項に記載した通りである。
なお、本発明のペリオスチンの測定方法は、測定の正確性を改善することができるものであり、疾患の罹患の有無又はその程度(病状等)の検査のための測定において好適である。
また、本発明のペリオスチンの測定方法は、癌又は肺疾患の罹患の有無又はその程度(病状等)の検査のための測定において、より好適である。
そして、本発明のペリオスチンの測定方法は、胆管細胞癌、肺線維症又は間質性肺炎の罹患の有無又はその程度(病状等)の検査のための測定において、更に好適である。
そして、本発明のペリオスチンの測定方法は、肺線維症又は間質性肺炎の罹患の有無又はその程度(病状等)の検査のための測定において、より更に好適である。
そして、本発明のペリオスチンの測定方法は、間質性肺炎の罹患の有無又はその程度(病状等)の検査のための測定において、特に好適である。
2.抗原抗体反応を利用した測定方法
本発明のペリオスチンの測定方法としては、試料に含まれるペリオスチンを抗原抗体反応を利用して測定する測定方法であって、抗ペリオスチン特定領域抗体を使用するものが好ましいが、この抗ペリオスチン特定領域抗体を使用するものであれば、特にその測定原理に限定されるものではなく、所期の効果を奏するものである。
この試料に含まれるペリオスチンを抗原抗体反応を利用して測定する測定方法としては、例えば、酵素免疫測定法(ELISA、EIA)、蛍光免疫測定法(FIA)、放射免疫測定法(RIA)、発光免疫測定法(LIA)、酵素抗体法、蛍光抗体法、イムノクロマトグラフィー法、免疫比濁法、ラテックス比濁法、ラテックス凝集反応測定法、赤血球凝集反応法、粒子凝集反応法、特開平9−229936号公報及び特開平10−132819号公報などに記載された測定対象物質(被検物質)に対する特異的結合物質が固定され、これで被覆された面を有する担体、及び測定対象物質(被検物質)に対する特異的結合物質が固定された粒子を用いる測定法、又はDahlbeackらが示したELSA法(Enzyme−linked Ligandsorbent Assay)(Thromb.Haemost.,79巻,767〜772頁,1998年発行;国際公開第98/23963号パンフレット)等を挙げることができる。
そして、本発明のペリオスチンの測定方法における測定には、サンドイッチ法、競合法又は均一系法(ホモジニアス系法)等のいずれの手法をも、適用することができる。
また、本発明のペリオスチンの測定方法における測定は、用手法により行ってもよく、又は分析装置等の装置を用いて行ってもよい。
3.試料
本発明における試料としては、血液、血清、血漿、尿、精液、髄液、唾液、腹水若しくは羊水などの体液;あるいは血管若しくは肝臓などの臓器、組織又は細胞などの抽出液等、ペリオスチンが含まれる可能性のある生体試料等の試料であれば対象となる。
なお、測定に用いる試料の形態は、液体であることが好ましいので、もし試料が液体でない場合には、抽出処理又は可溶化処理等の前処理を既知の方法に従って行い、液体試料としてもよい。
また、必要に応じて、試料は濃縮処理を行ってもよい。
また、試料は、その測定の前に、希釈液を添加することにより希釈処理を行ってもよい。
例えば、試料を抗ペリオスチン特定領域抗体と接触させ、結合させる前に、試料に希釈液を添加することにより希釈処理を行ってもよい。
この希釈液として、各種水系溶媒を用いることができる。
例えば、水、生理食塩水又はトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝液〔Tris緩衝液〕、リン酸緩衝液若しくはリン酸緩衝生理食塩水などの各種緩衝液等の水系溶媒を用いることができる。
なお、この緩衝液のpHについては、pH5〜pH10の範囲にあることが好ましい。
また、試料が血液(全血)である場合、この全血試料を、水又は界面活性剤を含有する水系溶媒等の低張液と混合し、赤血球を破裂させる処理を行うことが、その後の測定を支障なく行う上で、好ましい。
4.測定対象物質
本発明において、測定対象物質はペリオスチンである。
このペリオスチンには、ペリオスチンの一量体、ペリオスチンの二量体、三量体、四量体又はそれ以上のペリオスチンの多量体、又はペリオスチンの分解物(例えば、分子量約40KDaのペリオスチンの分解物など)等が含まれるが、いずれも本発明における測定対象物質となるものである。
なお、本発明における測定対象物質であるペリオスチンとしては、前記のペリオスチンの一量体又はペリオスチンの分解物が好適である。
すなわち、言い換えると、ペリオスチンの多量体以外のペリオスチン(本明細書において「多量体ではないペリオスチン」とも称する。)が測定対象物質として好適である。
また、本発明における測定対象物質であるペリオスチンとして、前記のペリオスチンの分解物が特に好適である。
すなわち、言い換えると、ペリオスチンの一量体及びペリオスチンの多量体以外のペリオスチンが測定対象物質として特に好適である。
5.標識抗体を用いた免疫学的測定方法
本発明のペリオスチンの測定方法における測定を、酵素免疫測定法、蛍光免疫測定法、放射免疫測定法又は発光免疫測定法等の標識抗体を用いた免疫学的測定方法、すなわち標識抗体を用いる抗原抗体反応を利用した測定方法により実施する場合には、サンドイッチ法又は競合法等により行うことができるが、サンドイッチ法により実施する時には、試料に含まれていたペリオスチンに結合させる固相化抗体及び標識抗体のいずれの抗体もが抗ペリオスチン特定領域抗体である必要がある。
また、前記の通りサンドイッチ法により測定を行う際に、酵素標識抗体又は固相化抗体のいずれかがペリオスチンの多量体に結合しない抗ペリオスチン特定領域抗体である場合には、他方の抗体は必ずしもペリオスチンの多量体に結合しない抗ペリオスチン特定領域抗体である必要は無く、抗ペリオスチン特定領域抗体であればよい。
この標識抗体を用いた免疫学的測定方法において用いる固相担体としては、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリビニルトルエン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ナイロン、ポリメタクリレート、ポリアクリルアミド、ラテックス、リポソーム、ゼラチン、アガロース、セルロース、セファロース、ガラス、金属、セラミックス又は磁性体等の材質よりなるマイクロカプセル、ビーズ、マイクロプレート(マイクロタイタープレート)、試験管、スティック又は試験片等の形状の固相担体を用いることができる。
なお、前記の抗ペリオスチン特定領域抗体等の抗体と固相担体とを物理的吸着法、化学的結合法又はこれらの併用等の公知の方法により吸着、結合させて抗体を固相担体に固定化することができる。
物理的吸着法による場合は、公知の方法に従い、抗ペリオスチン特定領域抗体等の抗体と固相担体を緩衝液などの溶液中で混合し接触させたり、又は緩衝液などに溶解した抗ペリオスチン特定領域抗体等の抗体と固相担体を接触させたりすること等により行うことができる。
また、化学的結合法により行う場合は、日本臨床病理学会編「臨床病理臨時増刊特集第53号 臨床検査のためのイムノアッセイ−技術と応用−」,臨床病理刊行会,1983年発行;日本生化学会編「新生化学実験講座1 タンパク質IV」,東京化学同人,1991年発行等に記載の公知の方法に従い、抗ペリオスチン特定領域抗体等の抗体と固相担体をグルタルアルデヒド、カルボジイミド、イミドエステル又はマレイミド等の二価性の架橋試薬と混合、接触させ、抗ペリオスチン特定領域抗体等の抗体と固相担体のそれぞれのアミノ基、カルボキシル基、チオール基、アルデヒド基又は水酸基等と反応させること等により行うことができる。
また、更に非特異的反応や固相担体の自然凝集等を抑制するために処理を行う必要があれば、抗ペリオスチン特定領域抗体等の抗体を固定化させた固相担体の表面又は内壁面に、ウシ血清アルブミン(BSA)、ヒト血清アルブミン(HSA)、カゼイン、ゼラチン、卵白アルブミンもしくはその塩などのタンパク質、界面活性剤又は脱脂粉乳等を接触させ被覆させること等の公知の方法により処理して、固相担体のブロッキング処理(マスキング処理)を行ってもよい。
標識物質としては、酵素免疫測定法の場合には、パーオキシダーゼ(POD)、アルカリホスファターゼ(ALP)、β−ガラクトシダーゼ、ウレアーゼ、カタラーゼ、グルコースオキシダーゼ、乳酸脱水素酵素又はアミラーゼ等を用いることができる。
また、蛍光免疫測定法の場合には、フルオレセインイソチオシアネート、テトラメチルローダミンイソチオシアネート、置換ローダミンイソチオシアネート又はジクロロトリアジンイソチオシアネート等を用いることができる。
そして、放射免疫測定法の場合には、トリチウム、ヨウ素125又はヨウ素131等を用いることができる。
また、発光免疫測定法においては、NADH−FMNH−ルシフェラーゼ系、ルミノール−過酸化水素−POD系、アクリジニウムエステル系又はジオキセタン化合物系等を用いることができる。
抗ペリオスチン特定領域抗体等の抗体と酵素等の標識物質との結合法は、日本臨床病理学会編「臨床病理臨時増刊特集第53号 臨床検査のためのイムノアッセイ−技術と応用−」,臨床病理刊行会,1983年発行;日本生化学会編「新生化学実験講座1 タンパク質IV」,東京化学同人,1991年発行等に記載の公知の方法に従い、抗ペリオスチン特定領域抗体等の抗体と標識物質をグルタルアルデヒド、カルボジイミド、イミドエステル又はマレイミド等の二価性の架橋試薬と混合、接触させ、抗ペリオスチン特定領域抗体等の抗体と標識物質のそれぞれのアミノ基、カルボキシル基、チオール基、アルデヒド基又は水酸基等と反応させることにより結合を行うことができる。
測定の操作法は公知の方法等(日本臨床病理学会編「臨床病理臨時増刊特集第53号 臨床検査のためのイムノアッセイ−技術と応用−」,臨床病理刊行会,1983年発行;石川榮治ら編「酵素免疫測定法」,第3版,医学書院,1987年発行;北川常廣ら編「蛋白質核酸酵素別冊No.31 酵素免疫測定法」,共立出版,1987年発行)により行うことができる。
例えば、固相化抗体と試料を反応させ、同時に標識抗体を反応させるか、又は洗浄の後に標識抗体を反応させることにより、「固相担体=固相化抗体=ペリオスチン=標識抗体」の複合体を形成させる。
そして、未結合の標識抗体を洗浄分離して、「固相化抗体=ペリオスチン」を介して固相担体に結合した標識抗体の量又は未結合の標識抗体の量より試料に含まれていたペリオスチンの量(濃度)のみを測定することができる。
具体的には、酵素免疫測定法の場合は、例えば抗体に標識した酵素に、その至適条件下で基質を反応させ、その酵素反応生成物の量を光学的方法等により測定する。
また、蛍光免疫測定法の場合には蛍光物質標識による蛍光強度等を、放射免疫測定法の場合には放射性物質標識による放射線量等を測定する。
そして、発光免疫測定法の場合は発光反応系による発光量等を測定する。
6.凝集反応法による免疫学的測定方法
本発明のペリオスチンの測定方法における測定を、免疫比濁法、ラテックス比濁法、ラテックス凝集反応法、赤血球凝集反応法又は粒子凝集反応法等の免疫複合体凝集物の生成を、その透過光や散乱光を光学的方法により測るか、又は目視的に測る測定方法により実施する場合には、すなわち、抗原抗体反応による複合体の凝集物の生成を測る測定方法(凝集反応法)により実施する場合には、試料に含まれていたペリオスチンに結合させる抗体が抗ペリオスチン特定領域抗体である必要がある。
なお、前記の凝集反応法により測定を行う場合、前記の抗ペリオスチン特定領域抗体は、ペリオスチンの多量体に結合しない抗ペリオスチン特定領域抗体であってよく、正確性の改善度が高いので好ましい。
また、前記の凝集反応法により測定を行う場合、溶媒として、リン酸緩衝液、グリシン緩衝液、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝液〔Tris緩衝液〕又はグッド緩衝液等を用いることができ、更にポリエチレングリコール等の反応促進剤や非特異的反応抑制剤を含ませてもよい。
抗ペリオスチン特定領域抗体等の抗体を固相担体に固定化させて用いる場合には、固相担体としては、ポリスチレン、スチレン−スチレンスルホン酸塩共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体、ポリアクロレイン、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−グリシジル(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、メタクリル酸重合体、アクリル酸重合体、ラテックス、ゼラチン、リポソーム、マイクロカプセル、赤血球、シリカ、アルミナ、カーボンブラック、金属化合物、金属、セラミックス又は磁性体等の材質よりなる粒子を使用することができる。
抗ペリオスチン特定領域抗体等の抗体を固相担体に固定化させる方法としては、物理的吸着法、化学的結合法又はこれらの併用等の公知の方法により行うことができる。
物理的吸着法による場合は、公知の方法に従い、抗ペリオスチン特定領域抗体等の抗体と固相担体を緩衝液等の溶液中で混合し接触させたり、又は緩衝液等に溶解した抗ペリオスチン特定領域抗体等の抗体と固相担体を接触させたりすること等により行うことができる。
また、化学的結合法により行う場合は、日本臨床病理学会編「臨床病理臨時増刊特集第53号 臨床検査のためのイムノアッセイ−技術と応用−」,臨床病理刊行会,1983年発行;日本生化学会編「新生化学実験講座1 タンパク質IV」,東京化学同人,1991年発行等に記載の公知の方法に従い、抗ペリオスチン特定領域抗体等の抗体と固相担体をグルタルアルデヒド、カルボジイミド、イミドエステル又はマレイミド等の二価性の架橋試薬と混合、接触させ、抗ペリオスチン特定領域抗体等の抗体と固相担体のそれぞれのアミノ基、カルボキシル基、チオール基、アルデヒド基又は水酸基等と反応させること等により行うことができる。
また、更に非特異的反応や固相担体の自然凝集等を抑制するために処理を行う必要があれば、抗ペリオスチン特定領域抗体等の抗体を固定化させた固相担体の表面又は内壁面に、ウシ血清アルブミン(BSA)、ヒト血清アルブミン(HSA)、カゼイン、ゼラチン、卵白アルブミン若しくはその塩などのタンパク質、界面活性剤又は脱脂粉乳等を接触させ被覆させること等の公知の方法により処理して、固相担体のブロッキング処理(マスキング処理)を行ってもよい。
なお、ラテックス比濁法を測定原理とする場合、固相担体として用いるラテックス粒子の粒径については、特に制限はないものの、ラテックス粒子が測定対象物質(ペリオスチン)を介して結合し、凝集塊を生成する程度、及びこの生成した凝集塊の測定の容易さ等の理由より、ラテックス粒子の粒径は、その平均粒径が、0.04〜1μmであることが好ましい。
また、ラテックス比濁法を測定原理とする場合、抗ペリオスチン特定領域抗体等の抗体を固定化させたラテックス粒子を含ませる濃度については、試料中のペリオスチンの濃度、抗ペリオスチン特定領域抗体等の抗体のラテックス粒子表面上での分布密度、ラテックス粒子の粒径、試料と測定試薬の混合比率等の各種条件により最適な濃度は異なるので一概にいうことはできない。
しかし、通常は、試料と測定試薬が混合され、ラテックス粒子に固定化された「抗ペリオスチン特定領域抗体等の抗体」と試料に含まれていた「ペリオスチン」との抗原抗体反応が行われる測定反応時に、「抗ペリオスチン特定領域抗体等の抗体」を固定化させたラテックス粒子の濃度が、反応混合液中において0.005〜1%(w/v)となるようにするのが一般的であり、この場合、反応混合液中においてこのような濃度になるような濃度の「抗ペリオスチン特定領域抗体等の抗体を固定化させたラテックス粒子」を測定試薬に含ませる。
また、ラテックス凝集反応法、赤血球凝集反応法又は粒子凝集反応法等の間接凝集反応法を測定原理とする場合、固相担体として用いる粒子の粒径については、特に制限はないものの、その平均粒子径が0.01〜100μmの範囲内にあることが好ましく、0.5〜10μmの範囲内にあることがより好ましい。そして、これらの粒子の比重は、1〜10の範囲内にあることが好ましく、1〜2の範囲内にあることがより好ましい。
なお、ラテックス凝集反応法、赤血球凝集反応法又は粒子凝集反応法等の間接凝集反応法を測定原理とする場合の測定に使用する容器としては、例えば、ガラス、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル又はポリメタクリレートなどからなる、試験管、マイクロプレート(マイクロタイタープレート)又はトレイ等を挙げることができる。
これらの容器の溶液収容部分(マイクロプレートのウェル等)の底面は、U型、V型又はUV型等の底面中央から周辺にかけて傾斜を持つ形状であることが好ましい。
測定の操作法は公知の方法等により行うことができるが、例えば、光学的方法により測定する場合には、試料と抗ペリオスチン特定領域抗体等の抗体、又は試料と「固相担体に固定化させた抗ペリオスチン特定領域抗体等の抗体」を反応させ、エンドポイント法又はレート法により、透過光や散乱光を測定する。
また、目視的に測定する場合には、プレートやマイクロプレート等の前記容器中で、試料と「固相担体に固定化させた抗ペリオスチン特定領域抗体等の抗体」を反応させ、凝集の状態を目視的に測定する。
なお、この目視的に測定する代わりにマイクロプレートリーダー等の機器を用いて測定を行ってもよい。
測定の操作法の例を以下挙げる。
例えば、まず、「抗ペリオスチン特定領域抗体を固定化した固相担体」を含有する測定試薬、又は「抗ペリオスチン特定領域抗体を固定化した固相担体」を含有する測定試薬及び「水系溶媒」を含有する測定試薬等を調製し、準備する。
次に、例えば、「抗ペリオスチン特定領域抗体を固定化した固相担体」を含有する測定試薬と、試料とを混合し、これにより、「抗ペリオスチン特定領域抗体を固定化した固相担体」と試料とを接触させる。
これにより、「抗ペリオスチン特定領域抗体を固定化した固相担体」の「抗ペリオスチン特定領域抗体」と、試料に含まれていた「ペリオスチン」との、抗原抗体反応を行わせる。
そして、これより生成した、「抗ペリオスチン特定領域抗体を固定化した固相担体」(抗ペリオスチン特定領域抗体=固相担体=抗ペリオスチン特定領域抗体)と「ペリオスチン」との複合体凝集物(…〔ペリオスチン〕−〔抗ペリオスチン特定領域抗体=固相担体=抗ペリオスチン特定領域抗体〕−〔ペリオスチン〕−〔抗ペリオスチン特定領域抗体=固相担体=抗ペリオスチン特定領域抗体〕−〔ペリオスチン〕…)を測定する。
この生成した複合体凝集物の測定は、この複合体凝集物が存在する測定反応時の反応混合液の透過光又は散乱光などの吸光度等の測定を、エンドポイント法又はレート法等により行うことにより、実施する。
そして、試料を測定して得た吸光度等の測定値を、標準物質(ペリオスチンの濃度が既知の試料)を測定して得た吸光度等の測定値と比較して、試料中に含まれていたペリオスチンの濃度(定量値)を算出する。
なお、透過光又は散乱光などの吸光度等の測定は、透過光を測定しても、又は散乱光を測定してもよく、そして、1波長測定であっても、又は2波長測定(2つの波長による差又は比)であってもよい。
なお、測定波長は、340nmから1,000nmの中から選ばれるのが一般的である。
なお、本発明におけるペリオスチンの測定は、用手法により行ってもよいし、又は測定装置等の装置を用いて行ってもよい。
測定装置は、汎用自動分析装置であっても、専用の測定装置(専用機)であってもよい。
また、本発明におけるペリオスチンの測定は、1ステップ法(1試薬法)により行ってもよいし、又は2ステップ法(2試薬法)等の複数の操作ステップにより行う方法によって実施してもよい。
なお、以下、ラテックス比濁法を測定原理とする方法によりペリオスチンの測定を行う場合を例にとって、より具体的に説明を行う。
(1) まず、ペリオスチンの測定試薬として、以下のものを調製し、準備する。
第1試薬:
緩衝液(水系溶媒)
第2試薬:
「抗ペリオスチン特定領域抗体を固定化したラテックス粒子」を含有する緩衝液
(2) 血清等の試料の一定量と前記の第1試薬の一定量を混合し、一定温度下で一定時間静置する。
なお、試料と第1試薬の混合比率(量比)は、適宜選択すればよい。
また、前記の静置時の温度は、室温(1℃〜30℃)又は微温(30℃〜40℃)の範囲内の一定温度であることが好ましい。(例えば、37℃等)
(3) 一定時間後、前記の試料と第1試薬との混合液に、前記の第2試薬の一定量を添加、混合し、反応混合液として、一定温度下で一定時間静置する。
これにより、「抗ペリオスチン特定領域抗体を固定化したラテックス粒子」と試料とを接触させる。
なお、第2試薬の添加量は、適宜選択すればよい。
また、前記の静置時の温度は、室温(1℃〜30℃)又は微温(30℃〜40℃)の範囲内の一定温度であることが好ましい。(例えば、37℃等)
そして、前記の静置の時間は、1分以上、かつ10分以下の一定時間であることが好ましく、3分以上、かつ5分以下の一定時間であることがより好ましい。
試料と第1試薬との混合液への第2試薬の添加、混合により、ラテックス粒子に固定化した抗ペリオスチン特定領域抗体と、試料に含まれていたペリオスチンとの抗原抗体反応を行わせる。
そして、この抗原抗体反応により、「…〔ペリオスチン〕−〔抗ペリオスチン特定領域抗体=ラテックス粒子=抗ペリオスチン特定領域抗体〕−〔ペリオスチン〕−〔抗ペリオスチン特定領域抗体=ラテックス粒子=抗ペリオスチン特定領域抗体〕−〔ペリオスチン〕…」等の架橋が形成され、ペリオスチンを介した、「抗ペリオスチン特定領域抗体を固定化したラテックス粒子」同士の複合体凝集物が生成する。
(4) そして、分析装置又は分光光度計等において、反応混合液に光を照射して、生成したラテックス粒子同士の複合体凝集物により生じるシグナルである適当な波長の透過光強度の減少(吸光度の増加)又は散乱光強度の増加を測定することにより、生成した前記複合体凝集物の量、すなわち、試料に含まれていたペリオスチンの量を求める。
(5) そして、「試料の測定を行って得た測定値〔透過光強度の減少(吸光度の増加)又は散乱光強度の増加の値〕」と、「標準液又は標準血清等の標準物質〔濃度既知のペリオスチンを含む試料〕の測定を行って得た測定値〔透過光強度の減少(吸光度の増加)又は散乱光強度の増加の値〕」とを比較することにより、測定を行った試料に含まれるペリオスチンの量(濃度)の算出を行う。
7.測定時の他の成分
本発明のペリオスチンの測定方法においては、溶媒として、各種の水系溶媒を用いることができる。
この水系溶媒としては、例えば、精製水、生理食塩水、又は、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝液〔Tris緩衝液〕、リン酸緩衝液若しくはリン酸緩衝生理食塩水などの各種緩衝液等を挙げることができる。
この緩衝液のpHについては、適宜適当なpHを選択して用いればよく、特に制限はないものの、通常は、pH3〜pH12の範囲内のpHを選択して用いることが一般的である。
また、本発明のペリオスチンの測定方法においては、前記の抗ペリオスチン特定領域抗体等の抗体、前記の抗ペリオスチン特定領域抗体等の抗体を固定化した固相担体、及び/又は前記の抗ペリオスチン特定領域抗体等の抗体と酵素などの標識物質を結合させた標識抗体等の試薬成分の他に、ウシ血清アルブミン(BSA)、ヒト血清アルブミン(HSA)、カゼイン若しくはその塩などのタンパク質;各種塩類;各種糖類;脱脂粉乳;正常ウサギ血清などの各種動物血清;アジ化ナトリウムもしくは抗生物質などの各種防腐剤;活性化物質;反応促進物質;ポリエチレングリコールなどの感度増加物質;非特異的反応抑制物質;又は、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤若しくは陰イオン性界面活性剤などの各種界面活性剤等の1種又は2種以上を適宜用いてもよい。
そして、これらを測定に用いる際の濃度は特に限定されるものではないが、0.001〜10%(W/V)が好ましく、特に0.01〜5%(W/V)が好ましい。
なお、前記の界面活性剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、デカグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンフィトステロール、フィトスタノール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油、硬化ヒマシ油若しくはポリオキシエチレンラノリンなどの非イオン性界面活性剤;酢酸ベタインなどの両性界面活性剤;又は、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩若しくはポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩などの陰イオン性界面活性剤等を挙げることができる。
〔3〕.ペリオスチン又はその分解物の測定試薬
1.総論
本発明のペリオスチン又はその分解物の測定試薬は、試料に含まれるペリオスチン又はその分解物の測定試薬であって、ペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域を検出することを特徴とするものである。
ペリオスチンは、そのN末端側よりC末端側にかけて順に、EMI領域、R1領域、R2領域、R3領域、R4領域及びC末端領域より構成されるものであるが、これらの内、EMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域を検出することを、本発明のペリオスチン又はその分解物の測定試薬は特徴とするものである。
また、別の態様において、本発明のペリオスチン又はその分解物の測定試薬は、ペリオスチン又はその分解物のEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域に特異的に結合する物質(特異的結合物質)を含む。本発明において、特異的結合物質は、ペリオスチン又はその分解物のEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域に特異的に結合する物質を意味し、そのような物質としては、レクチン、ヌクレオチド鎖に特異的に結合する物質(例えばアプタマー)、抗体又はその断片、レセプター、その他各領域に特異的に結合するポリペプチド又はオリゴペプチドなどが挙げられる。特異的結合物質が抗体である場合、そのような抗体としては、例えば、上記「〔2〕.ペリオスチンの測定方法 1.総論」の項に記載された(i)〜(ix)の抗体が挙げられるが、これらに限定されない。また、特異的結合物質がポリペプチド又はオリゴペプチドである場合、そのようなペプチドとしては、例えば、ペプチドファージディスプレイライブラリーから取得したペプチドが挙げられる。
また、本発明の測定試薬は、試料に含まれるペリオスチン分解物の測定試薬であってもよい。より具体的には、ペリオスチン分解物のEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域に特異的に結合する物質を含む、試料に含まれるペリオスチン分解物の測定試薬であってもよい。
また別の態様において、本発明の測定試薬は、多量体ではないペリオスチンの測定試薬であってもよい。本発明において、多量体ではないペリオスチンの測定試薬とは、多量体であるペリオスチンを検出(又は測定)しない試薬を意味する。より具体的には、本発明の測定試薬は、試料に含まれるペリオスチン又はペリオスチン分解物の測定試薬であって、ペリオスチン又はペリオスチン分解物のEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域に特異的に結合し、かつペリオスチンの多量体には結合しない物質を含む、試料に含まれるペリオスチン又はペリオスチン分解物の測定試薬であってもよい。
各領域に特異的に結合する物質(特異的結合物質)の説明については上記の通りである。
本発明のペリオスチン又はその分解物の測定試薬は、試料に含まれるペリオスチン又はその分解物の測定において、ペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域を検出することにより、ペリオスチン測定の正確性を改善することができる測定試薬である。
本発明のペリオスチン又はその分解物の測定試薬において、「ペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域を検出する」とは、ペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域について、その存在を見出すこと、又はその存在量を見出すことをいう。
そして、この「ペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域を検出する」ことについて、より具体的に説明すると、抗原と抗体、糖とレクチン、ヌクレオチド鎖とそれに特異的な物質、リガンドとレセプター等の特異的な親和性を有する物質間の反応を利用して試料中に含まれるペリオスチン又はその分解物を測定する場合に、ペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域に特異的に結合することができる特異的結合物質を使用すること等により、ペリオスチン又はその分解物のEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域について、その存在を見出すこと、又はその存在量を見出すことができる。すなわち、ペリオスチン又はその分解物のEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域を検出することができる。
例えば、この特異的結合物質が抗体の場合、ペリオスチン又はその分解物のEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域に結合することができる抗体(抗ペリオスチン特定領域抗体)を使用すること等により、ペリオスチン又はその分解物のEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域について、その存在を見出すこと、又はその存在量を見出すことができる。すなわち、ペリオスチン又はその分解物のEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域を検出することができる。
ところで、本発明のペリオスチン又はその分解物の測定試薬は、ペリオスチン又はその分解物のEMI領域、R1領域、R2領域又はR3領域のいずれか一つを検出するものであってもよいし、或いはペリオスチン又はその分解物のEMI領域、R1領域、R2領域又はR3領域の二つ以上のものを検出するものであってもよい。
本発明のペリオスチン又はその分解物の測定試薬としては、試料に含まれるペリオスチン又はその分解物を抗原抗体反応を利用して測定する測定試薬であって、ペリオスチン又はその分解物のEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域に結合する抗体(抗ペリオスチン特定領域抗体)を含有するものであることが好ましい。
この抗ペリオスチン特定領域抗体としては、例えば、上記「〔2〕.ペリオスチンの測定方法 1.総論」の項に記載された(i)〜(ix)の抗体が挙げられるが、これらに限定されない。
また、本発明のペリオスチン又はその分解物の測定試薬において、この測定試薬を用いて試料に含まれるペリオスチンを測定するのに、例えば、ペリオスチン一分子に二分子の抗体を抗原抗体反応させる場合、これらの抗体のいずれもが抗ペリオスチン特定領域抗体である必要がある。
例えば、このペリオスチンの測定が、酵素標識抗体と固相化抗体を用いるELISA法のサンドイッチ法による場合には、試料に含まれていたペリオスチンに結合させる酵素標識抗体及び固相化抗体のいずれもが、この抗ペリオスチン特定領域抗体である必要がある。
ところで、本発明における抗ペリオスチン特定領域抗体のうち、ペリオスチンの多量体に結合しない抗ペリオスチン特定領域抗体を、試料に含まれるペリオスチンを抗原抗体反応を利用して測定する測定試薬に含有させると、測定の正確性の改善度が更に高いために好ましいが、本発明のペリオスチン又はその分解物の測定試薬を用いたペリオスチンの測定において、例えば、ペリオスチン一分子に二分子の抗体を抗原抗体反応させる場合、一方の抗体がペリオスチンの多量体に結合しない抗ペリオスチン特定領域抗体であるときは、他方の抗体は必ずしもペリオスチンの多量体に結合しない抗ペリオスチン特定領域抗体である必要は無く、抗ペリオスチン特定領域抗体であればよい。
例えば、このペリオスチンの測定が、酵素標識抗体と固相化抗体を用いるELISA法のサンドイッチ法による場合には、試料に含まれていたペリオスチンに結合させる酵素標識抗体又は固相化抗体のいずれかがペリオスチンの多量体に結合しない抗ペリオスチン特定領域抗体である場合、他方の抗体は必ずしもペリオスチンの多量体に結合しない抗ペリオスチン特定領域抗体である必要は無く、抗ペリオスチン特定領域抗体であればよい。
ところで、前記の抗ペリオスチン特定領域抗体は、1種類のものだけではなく、複数種類のものを含有させてもよい。
なお、この抗ペリオスチン特定領域抗体の詳細については、前記の「〔1〕抗ペリオスチン特定領域抗体」の項に記載した通りである。
なお、本発明のペリオスチン又はその分解物の測定試薬は、測定の正確性を改善することができるものであり、疾患の罹患の有無又はその程度(病状等)の検査のための測定において好適である。
また、本発明のペリオスチン又はその分解物の測定試薬は、癌又は肺疾患の罹患の有無又はその程度(病状等)の検査のための測定において、より好適である。
そして、本発明のペリオスチン又はその分解物の測定試薬は、胆管細胞癌、肺線維症又は間質性肺炎の罹患の有無又はその程度(病状等)の検査のための測定において、更に好適である。
そして、本発明のペリオスチン又はその分解物の測定試薬は、肺線維症又は間質性肺炎の罹患の有無又はその程度(病状等)の検査のための測定において、より更に好適である。
そして、本発明のペリオスチン又はその分解物の測定試薬は、間質性肺炎の罹患の有無又はその程度(病状等)の検査のための測定において、特に好適である。
2.試料
本発明における試料については、前記「〔2〕.ペリオスチンの測定方法」の「3.試料」に記載した通りである。
3.測定対象物質
本発明における測定対象物質については、前記「〔2〕.ペリオスチンの測定方法」の「4.測定対象物質」に記載した通りである。
4.抗原抗体反応を利用した測定試薬
本発明のペリオスチン又はその分解物の測定試薬としては、試料に含まれるペリオスチン又はその分解物を抗原抗体反応を利用して測定する測定試薬であって、抗ペリオスチン特定領域抗体を含有するものが好ましいが、この抗ペリオスチン特定領域抗体を含有するものであれば、特にそのペリオスチン測定の測定原理に限定されるものではなく、所期の効果を奏するものである。
本発明のペリオスチン又はその分解物の測定試薬の測定原理としては、例えば、酵素免疫測定法(ELISA、EIA)、蛍光免疫測定法(FIA)、放射免疫測定法(RIA)、発光免疫測定法(LIA)、酵素抗体法、蛍光抗体法、イムノクロマトグラフィー法、免疫比濁法、ラテックス比濁法、ラテックス凝集反応測定法、赤血球凝集反応法、粒子凝集反応法、特開平9−229936号公報及び特開平10−132819号公報などに記載された測定対象物質(被検物質)に対する特異的結合物質が固定され、これで被覆された面を有する担体、及び測定対象物質(被検物質)に対する特異的結合物質が固定された粒子を用いる測定法、又はDahlbeackらが示したELSA法(Enzyme−linked Ligandsorbent Assay)(Thromb.Haemost.,79巻,767〜772頁,1998年発行;国際公開第98/23963号パンフレット)等を挙げることができる。
そして、本発明のペリオスチン又はその分解物の測定試薬による測定は、サンドイッチ法、競合法又は均一系法(ホモジニアス系法)等のいずれの手法をも、適用することができる。
また、本発明のペリオスチン又はその分解物の測定試薬による測定は、用手法により行ってもよいし、又は分析装置等の装置を用いて行ってもよい。
本発明のペリオスチン又はその分解物の測定試薬は、一つの測定試薬よりなるものであってよい。
この場合、抗ペリオスチン特定領域抗体は、その一つの測定試薬に含有される。
また、本発明のペリオスチン又はその分解物の測定試薬は、二つ以上の測定試薬より構成されるものであってよい。
この場合、抗ペリオスチン特定領域抗体は、二つ以上の測定試薬の内の一つの測定試薬に含有されるものであってもよく、また、二つ以上の測定試薬に含有されるものであってもよい。
例えば、本発明のペリオスチン又はその分解物の測定試薬が、第1試薬及び第2試薬の二つの測定試薬より構成されるものである場合、抗ペリオスチン特定領域抗体は、第1試薬にのみ含有させてもよく、また、第2試薬にのみ含有させてもよく、更には、第1試薬と第2試薬の両方に含有させてもよい。
なお、本発明のペリオスチン又はその分解物の測定試薬の溶媒としては、各種の水系溶媒を用いることができる。
この水系溶媒としては、例えば、水、若しくは生理食塩水等を挙げることができ、又は、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝液〔Tris緩衝液〕、リン酸緩衝液、若しくはリン酸緩衝生理食塩水などの各種緩衝液等を挙げることができる。
この緩衝液のpHについては、適宜適当なpHを選択して用いればよく、特に制限はないものの、通常は、pH5〜pH10の範囲内のpHを選択して用いることが一般的である。
また、本発明のペリオスチン又はその分解物の測定試薬には、抗ペリオスチン特定領域抗体等の他に、ウシ血清アルブミン(BSA)、ヒト血清アルブミン(HSA)、カゼイン若しくはその塩などのタンパク質;カルシウムイオンなどの各種金属イオン;カルシウム塩などの各種塩類;各種糖類;脱脂粉乳;正常ウサギ血清などの各種動物血清;アジ化ナトリウム若しくは抗生物質などの各種防腐剤;活性化物質;反応促進物質;ポリエチレングリコールなどの感度増加物質;非特異的反応抑制物質;又は、非イオン性界面活性剤、両イオン性界面活性剤若しくは陰イオン性界面活性剤などの各種界面活性剤等の1種又は2種以上を適宜含有させてもよい。
なお、これらを本発明のペリオスチン又はその分解物の測定試薬に含有させる際の濃度は特に限定されるものではないが、0.001〜10%(W/V)が好ましく、特に0.01〜5%(W/V)が好ましい。
そして、前記の界面活性剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、デカグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンフィトステロール、フィトスタノール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油、硬化ヒマシ油若しくはポリオキシエチレンラノリンなどの非イオン性界面活性剤;酢酸ベタインなどの両性界面活性剤;又は、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩若しくはポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩などの陰イオン性界面活性剤等を挙げることができる。
なお、本発明のペリオスチン又はその分解物の測定試薬は、そのもの単独にて、販売し、又は試料に含まれるペリオスチン又はその分解物の測定に使用することができる。
また、本発明のペリオスチン又はその分解物の測定試薬は、他の試薬と組み合わせて、販売し、又は試料に含まれるペリオスチン又はその分解物の測定に使用することもできる。
前記の他の試薬としては、例えば、緩衝液、試料希釈液、試薬希釈液、標識物質を含有する試薬、発色などのシグナルを生成する物質を含有する試薬、又は校正(キャリブレーション)を行うための物質を含有する試薬等を挙げることができる。
なお、本発明のペリオスチン又はその分解物の測定試薬は、水系溶媒を含有する第1試薬と、抗ペリオスチン特定領域抗体を含有する第2試薬とを含む、ペリオスチンの測定試薬であってもよい。
また、本発明のペリオスチン又はその分解物の測定試薬は、測定試薬キットであることが好ましい。
5.標識抗体を用いた免疫学的測定方法を測定原理とする測定試薬
本発明のペリオスチン又はその分解物の測定試薬が、酵素免疫測定法、蛍光免疫測定法、放射免疫測定法又は発光免疫測定法等の標識抗体を用いた免疫学的測定方法、すなわち標識抗体を用いる抗原抗体反応を利用した測定方法を測定原理とする場合には、サンドイッチ法又は競合法等により行うことができるが、サンドイッチ法により実施する時には、試料に含まれていたペリオスチンに結合させる固相化抗体及び標識抗体のいずれの抗体もが抗ペリオスチン特定領域抗体である必要がある。
また、前記の通りサンドイッチ法により測定を行う際に、標識抗体又は固相化抗体のいずれかがペリオスチンの多量体に結合しない抗ペリオスチン特定領域抗体である場合には、他方の抗体は必ずしもペリオスチンの多量体に結合しない抗ペリオスチン特定領域抗体である必要は無く、抗ペリオスチン特定領域抗体であればよい。
なお、標識抗体を用いる抗原抗体反応を利用した測定方法を測定原理とする本発明のペリオスチン又はその分解物の測定試薬に関し、その標識抗体を用いる抗原抗体反応を利用した測定方法の詳細については、前記「〔2〕.ペリオスチンの測定方法」の「5.標識抗体を用いた免疫学的測定方法」に記載した通りである。
6.凝集反応法による免疫学的測定方法を測定原理とする測定試薬
本発明のペリオスチン又はその分解物の測定試薬が、免疫比濁法、ラテックス比濁法、ラテックス凝集反応法、赤血球凝集反応法又は粒子凝集反応法等の免疫複合体凝集物の生成を、その透過光や散乱光を光学的方法により測るか、又は目視的に測る測定方法により実施する場合には、すなわち、抗原抗体反応による複合体の凝集物の生成を測る測定方法(凝集反応法)を測定原理とする場合には、試料に含まれていたペリオスチンに結合させる抗体が抗ペリオスチン特定領域抗体である必要がある。
なお、前記の凝集反応法を測定原理とする場合、前記の抗ペリオスチン特定領域抗体は、ペリオスチンの多量体に結合しない抗ペリオスチン特定領域抗体であってよく、正確性の改善度が高いので好ましい。
また、前記の凝集反応法を測定原理とする場合、本発明のペリオスチン又はその分解物の測定試薬は、「抗ペリオスチン特定領域抗体」又は「抗ペリオスチン特定領域抗体を固定化した固相担体」を含有する。
なお、本発明のペリオスチン又はその分解物の測定試薬が二つの測定試薬より構成される場合、「抗ペリオスチン特定領域抗体」又は「抗ペリオスチン特定領域抗体を固定化した固相担体」は、第2試薬に含有させることが好ましい。
そして、本発明のペリオスチン又はその分解物の測定試薬が二つ以上の測定試薬より構成されるものである場合、「抗ペリオスチン特定領域抗体」又は「抗ペリオスチン特定領域抗体を固定化した固相担体」を含有する試薬以外の試薬、すなわち、「抗ペリオスチン特定領域抗体」も「抗ペリオスチン特定領域抗体を固定化した固相担体」も含有しない試薬は、例えば前記の水系溶媒を含有する試薬等であってよい。
なお、例えば、ラテックス比濁法を測定原理とする場合、固相担体として用いるラテックス粒子の粒径については、特に制限はないものの、ラテックス粒子が測定対象物質(ペリオスチン)を介して結合し、凝集塊を生成する程度、及びこの生成した凝集塊の測定の容易さ等の理由より、ラテックス粒子の粒径は、その平均粒径が、0.04〜1μmであることが好ましい。
また、ラテックス比濁法を測定原理とする場合、抗ペリオスチン特定領域抗体等の抗体を固定化させたラテックス粒子を含ませる濃度については、試料に含まれるペリオスチンの濃度、抗ペリオスチン特定領域抗体等の抗体のラテックス粒子表面上での分布密度、ラテックス粒子の粒径、試料と測定試薬の混合比率等の各種条件により最適な濃度は異なるので一概にいうことはできない。
しかし、通常は、試料と測定試薬が混合され、ラテックス粒子に固定化された「抗ペリオスチン特定領域抗体等の抗体」と試料に含まれていた「ペリオスチン」との抗原抗体反応が行われる測定反応時に、「抗ペリオスチン特定領域抗体等の抗体」を固定化させたラテックス粒子の濃度が、反応混合液中において0.005〜1%(w/v)となるようにするのが一般的であり、この場合、反応混合液中においてこのような濃度になるような濃度の「抗ペリオスチン特定領域抗体等の抗体を固定化させたラテックス粒子」を測定試薬に含ませる。
また、ラテックス凝集反応法、赤血球凝集反応法又は粒子凝集反応法等の間接凝集反応法を測定原理とする場合、固相担体として用いる粒子の粒径については、特に制限はないものの、その平均粒子径が0.01〜100μmの範囲内にあることが好ましく、0.5〜10μmの範囲内にあることがより好ましい。そして、これらの粒子の比重は、1〜10の範囲内にあることが好ましく、1〜2の範囲内にあることがより好ましい。
なお、ラテックス凝集反応法、赤血球凝集反応法又は粒子凝集反応法等の間接凝集反応法を測定原理とする場合の測定に使用する容器としては、例えば、ガラス、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル又はポリメタクリレートなどからなる、試験管、マイクロプレート(マイクロタイタープレート)又はトレイ等を挙げることができる。
これらの容器の溶液収容部分(マイクロプレートのウェル等)の底面は、U型、V型又はUV型等の底面中央から周辺にかけて傾斜を持つ形状であることが好ましい。
また、本発明のペリオスチン又はその分解物の測定試薬は、水系溶媒を含有する第1試薬と、抗ペリオスチン特定領域抗体を固定化した固相担体を含有する第2試薬とを含む、ペリオスチン又はその分解物の測定試薬であってもよい。
なお、本発明のペリオスチン又はその分解物の測定試薬においては、固相担体がラテックス粒子であることが好ましい。
なお、抗原抗体反応による複合体の凝集物の生成を測る測定方法を測定原理とする本発明のペリオスチン又はその分解物の測定試薬に関し、その抗原抗体反応による複合体の凝集物の生成を測る測定方法の詳細については、前記「〔2〕.ペリオスチンの測定方法」の「6.凝集反応法による免疫学的測定方法」に記載した通りである。
〔4〕ペリオスチン測定の正確性の改善方法
1.総論
本発明のペリオスチン測定の正確性の改善方法は、試料に含まれるペリオスチンの量又は濃度の測定において、ペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域を検出することを特徴とするものである。
ペリオスチンは、そのN末端側よりC末端側にかけて順に、EMI領域、R1領域、R2領域、R3領域、R4領域及びC末端領域より構成されるものであるが、これらの内、EMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域を検出することを、本発明のペリオスチン測定の正確性の改善方法は特徴とするものである。
また、本発明の改善方法は、試料に含まれるペリオスチン分解物の量又は濃度の測定において、ペリオスチン分解物のEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域を検出することを特徴とするものであってもよい。
また別の態様において、本発明の改善方法は、多量体ではないペリオスチンの量又は濃度の測定において、ペリオスチン又はペリオスチン分解物のEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域を検出し、かつペリオスチンの多量体は検出(又は測定)しないことを特徴とするものであってもよい。
この本発明のペリオスチン測定の正確性の改善方法は、試料に含まれるペリオスチンの量又は濃度の測定において、ペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域を検出することにより、ペリオスチン測定の正確性を改善することができる方法である。
本発明のペリオスチン測定の正確性の改善方法において、「ペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域を検出する」とは、ペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域について、その存在を見出すこと、又はその存在量を見出すことをいう。
そして、この「ペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域を検出する」ことについて、より具体的に説明すると、抗原と抗体、糖とレクチン、ヌクレオチド鎖とそれに特異的な物質、リガンドとレセプター等の特異的な親和性を有する物質間の反応を利用して試料中に含まれるペリオスチンを測定する場合に、ペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域に特異的に結合することができる特異的結合物質を使用すること等により、ペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域にこの特異的結合物質が結合すること等ができ、そしてこれによってペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域について、その存在を見出すこと、又はその存在量を見出すことができる。すなわち、ペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域を検出することができる。
例えば、この特異的結合物質が抗体の場合、ペリオスチン又はその分解物のEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域に結合することができる抗体(抗ペリオスチン特定領域抗体)を使用すること等により、ペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域にこの抗ペリオスチン特定領域抗体が結合すること等ができ、そしてこれによってペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域について、その存在を見出すこと、又はその存在量を見出すことができる。すなわち、ペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域を検出することができる。
ところで、本発明のペリオスチン測定の正確性の改善方法においては、ペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域又はR3領域のいずれか一つを検出するものであってもよいし、或いはペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域又はR3領域の二つ以上のものを検出するものであってもよい。
本発明のペリオスチン測定の正確性の改善方法としては、試料に含まれるペリオスチンの抗原抗体反応を利用した測定において、ペリオスチン又はその分解物のEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域に結合する抗体(抗ペリオスチン特定領域抗体)を使用するものであることが好ましい。
この抗ペリオスチン特定領域抗体としては、例えば、上記「〔2〕.ペリオスチンの測定方法 1.総論」の項に記載された(i)〜(ix)の抗体が挙げられるが、これらに限定されない。
また、本発明のペリオスチン測定の正確性の改善方法において、試料に含まれるペリオスチンを測定するのに、例えば、ペリオスチン一分子に二分子の抗体を抗原抗体反応させる場合、これらの抗体のいずれもが抗ペリオスチン特定領域抗体である必要がある。
例えば、このペリオスチンの測定が、酵素標識抗体と固相化抗体を用いるELISA法のサンドイッチ法による場合には、試料に含まれていたペリオスチンに結合させる酵素標識抗体及び固相化抗体のいずれもが、この抗ペリオスチン特定領域抗体である必要がある。
ところで、本発明における抗ペリオスチン特定領域抗体のうち、ペリオスチンの多量体に結合しない抗ペリオスチン特定領域抗体を、試料に含まれるペリオスチンの抗原抗体反応を利用した測定に使用すると、測定の正確性の改善度が更に高いために好ましいが、本発明のペリオスチン測定の正確性の改善方法において、例えば、ペリオスチン一分子に二分子の抗体を抗原抗体反応させる場合、一方の抗体がペリオスチンの多量体に結合しない抗ペリオスチン特定領域抗体であるときは、他方の抗体は必ずしもペリオスチンの多量体に結合しない抗ペリオスチン特定領域抗体である必要は無く、抗ペリオスチン特定領域抗体であればよい。
例えば、このペリオスチンの測定が、酵素標識抗体と固相化抗体を用いるELISA法のサンドイッチ法による場合には、試料に含まれていたペリオスチンに結合させる酵素標識抗体又は固相化抗体のいずれかがペリオスチンの多量体に結合しない抗ペリオスチン特定領域抗体である場合、他方の抗体は必ずしもペリオスチンの多量体に結合しない抗ペリオスチン特定領域抗体である必要は無く、抗ペリオスチン特定領域抗体であればよい。
ところで、前記の抗ペリオスチン特定領域抗体は、1種類のものだけではなく、複数種類のものを同時に使用してもよい。
なお、この抗ペリオスチン特定領域抗体の詳細については、前記の「〔1〕抗ペリオスチン特定領域抗体」の項に記載した通りである。
なお、本発明のペリオスチン測定の正確性の改善方法は、ペリオスチン測定の正確性を改善することができるものであり、疾患の罹患の有無又はその程度(病状等)の検査のための測定において好適である。
また、本発明のペリオスチン測定の正確性の改善方法は、癌又は肺疾患の罹患の有無又はその程度(病状等)の検査のための測定において、より好適である。
そして、本発明のペリオスチン測定の正確性の改善方法は、胆管細胞癌、肺線維症又は間質性肺炎の罹患の有無又はその程度(病状等)の検査のための測定において、更に好適である。
そして、本発明のペリオスチン測定の正確性の改善方法は、肺線維症又は間質性肺炎の罹患の有無又はその程度(病状等)の検査のための測定において、より更に好適である。
そして、本発明のペリオスチン測定の正確性の改善方法は、間質性肺炎の罹患の有無又はその程度(病状等)の検査のための測定において、特に好適である。
2.試料
本発明における試料については、前記「〔2〕.ペリオスチンの測定方法」の「3.試料」に記載した通りである。
3.測定対象物質
本発明における測定対象物質については、前記「〔2〕.ペリオスチンの測定方法」の「4.測定対象物質」に記載した通りである。
4.抗原抗体反応を利用した測定
本発明のペリオスチン測定の正確性の改善方法としては、試料に含まれるペリオスチンの抗原抗体反応を利用した測定において、抗ペリオスチン特定領域抗体を使用するものが好ましいが、この抗ペリオスチン特定領域抗体を使用するものであれば、特にその測定原理に限定されるものではなく、所期の効果を奏するものである。
本発明のペリオスチン測定の正確性の改善方法におけるペリオスチン測定の測定原理としては、例えば、酵素免疫測定法(ELISA、EIA)、蛍光免疫測定法(FIA)、放射免疫測定法(RIA)、発光免疫測定法(LIA)、酵素抗体法、蛍光抗体法、イムノクロマトグラフィー法、免疫比濁法、ラテックス比濁法、ラテックス凝集反応測定法、赤血球凝集反応法、粒子凝集反応法、特開平9−229936号公報及び特開平10−132819号公報などに記載された測定対象物質(被検物質)に対する特異的結合物質が固定され、これで被覆された面を有する担体、及び測定対象物質(被検物質)に対する特異的結合物質が固定された粒子を用いる測定法、又はDahlbeackらが示したELSA法(Enzyme−linked Ligandsorbent Assay)(Thromb.Haemost.,79巻,767〜772頁,1998年発行;国際公開第98/23963号パンフレット)等を挙げることができる。
そして、本発明のペリオスチン測定の正確性の改善方法におけるペリオスチン測定は、サンドイッチ法、競合法又は均一系法(ホモジニアス系法)等のいずれの手法をも、適用することができる。
また、本発明のペリオスチン測定の正確性の改善方法におけるペリオスチン測定は、用手法により行ってもよいし、又は分析装置等の装置を用いて行ってもよい。
本発明のペリオスチン測定の正確性の改善方法におけるペリオスチン測定は、一つの測定試薬のみを使用するもの(1試薬法、又は1ステップ法)であってよい。
この場合、抗ペリオスチン特定領域抗体は、その一つの測定試薬に含有される。
また、本発明のペリオスチン測定の正確性の改善方法におけるペリオスチン測定は、二つ以上の測定試薬を使用するもの(多試薬法、又は多ステップ法)であってもよい。
この場合、抗ペリオスチン特定領域抗体は、二つ以上の測定試薬の内の一つの測定試薬に含有されるものであってもよく、また、二つ以上の測定試薬に含有されるものであってもよい。
例えば、本発明のペリオスチン測定の正確性の改善方法におけるペリオスチン測定が、第1試薬及び第2試薬の二つの測定試薬を使用するものである場合、抗ペリオスチン特定領域抗体は、第1試薬にのみ含有させてもよく、また、第2試薬にのみ含有させてもよく、更には、第1試薬と第2試薬の両方に含有させてもよい。
なお、本発明のペリオスチン測定の正確性の改善方法におけるペリオスチン測定に使用する溶媒としては、前記の各種の水系溶媒を用いることができる。
なお、本発明のペリオスチン測定の正確性の改善方法におけるペリオスチン測定に関し、標識抗体を用いる抗原抗体反応を利用した測定方法の詳細については、前記「〔2〕.ペリオスチンの測定方法」の「5.標識抗体を用いた免疫学的測定方法」に記載した通りである。
また、本発明のペリオスチン測定の正確性の改善方法におけるペリオスチン測定に関し、抗原抗体反応による複合体の凝集物の生成を測る測定方法の詳細については、前記「〔2〕.ペリオスチンの測定方法」の「6.凝集反応法による免疫学的測定方法」に記載した通りである。
そして、本発明のペリオスチン測定の正確性の改善方法におけるペリオスチン測定に関し、「測定時の他の成分」の詳細については、前記「〔2〕.ペリオスチンの測定方法」の「7.測定時の他の成分」に記載した通りである。
〔5〕.肺線維症又は間質性肺炎の検査方法
1.総論
本発明の肺線維症又は間質性肺炎の検査方法は、次の工程を含むものである。
a) 被検者由来の試料におけるペリオスチンの量又は濃度を測定する工程であって、ペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域を検出することを含む工程
b) 被検者由来の試料におけるペリオスチンの量又は濃度と、肺線維症又は間質性肺炎のいずれにも罹患していない生体由来の試料におけるペリオスチンの量又は濃度とを比較する工程
ペリオスチンは、そのN末端側よりC末端側にかけて順に、EMI領域、R1領域、R2領域、R3領域、R4領域及びC末端領域より構成されるものであるが、本発明の肺線維症又は間質性肺炎の検査方法においては、試料に含まれるペリオスチンを測定するに当たり、これらの内、EMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域を検出する工程を含む。
更に、本発明の肺線維症又は間質性肺炎の検査方法においては、被検者由来の試料におけるペリオスチンの量又は濃度と、肺線維症又は間質性肺炎のいずれにも罹患していない生体由来の試料におけるペリオスチンの量又は濃度とを比較する工程を含む。
この本発明の肺線維症又は間質性肺炎の検査方法は、試料に含まれるペリオスチンの測定において、ペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域を検出することにより、その測定の感度、又は特異度等を向上させ、測定の正確性を改善することができる検査方法である。
これにより、本発明の肺線維症又は間質性肺炎の検査方法は、正確なペリオスチンの測定値を得ることができ、健常者や他の疾患の罹患者との鑑別を向上させ、診断を誤らせることを防ぐことができる検査方法である。
また、本発明の検査方法は、被検者由来の試料におけるペリオスチン分解物を測定する工程を含むものであってもよい。より具体的には、本発明の検査方法は次の工程を含むものであってもよい。
a) 被検者由来の試料におけるペリオスチン分解物の量又は濃度を測定する工程であって、ペリオスチン分解物のEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域を検出することを含む工程
b) 被検者由来の試料におけるペリオスチン分解物の量又は濃度と、肺線維症又は間質性肺炎のいずれにも罹患していない生体由来の試料におけるペリオスチン分解物の量又は濃度とを比較する工程
また別の態様において、本発明の検査方法は、多量体ではないペリオスチンを検出(又は測定)することを含むものであってもよい。より具体的には、本発明の検査方法は次の工程を含むものであってもよい。
a) 被検者由来の試料におけるペリオスチン又はペリオスチン分解物の量又は濃度を測定する工程であって、ペリオスチン又はペリオスチン分解物のEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域を検出し、かつペリオスチンの多量体を検出しない工程
b) 被検者由来の試料におけるペリオスチン又はペリオスチン分解物の量又は濃度と、肺線維症又は間質性肺炎のいずれにも罹患していない生体由来の試料におけるペリオスチン又はペリオスチン分解物の量又は濃度とを比較する工程
本発明の肺線維症又は間質性肺炎の検査方法において、「ペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域を検出する」とは、ペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域について、その存在を見出すこと、又はその存在量を見出すことをいう。
そして、この「ペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域を検出する」ことについて、より具体的に説明すると、抗原と抗体、糖とレクチン、ヌクレオチド鎖とそれに特異的な物質、リガンドとレセプター等の特異的な親和性を有する物質間の反応を利用して試料中に含まれるペリオスチンを測定する場合に、ペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域に特異的に結合することができる特異的結合物質を使用すること等により、ペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域にこの特異的結合物質が結合すること等ができ、そしてこれによってペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域について、その存在を見出すこと、又はその存在量を見出すことができる。すなわち、ペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域を検出することができる。
例えば、この特異的結合物質が抗体の場合、ペリオスチン又はその分解物のEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域に結合することができる抗体(抗ペリオスチン特定領域抗体)を使用すること等により、ペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域にこの抗ペリオスチン特定領域抗体が結合すること等ができ、そしてこれによってペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域について、その存在を見出すこと、又はその存在量を見出すことができる。すなわち、ペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域を検出することができる。
ところで、本発明の肺線維症又は間質性肺炎の検査方法においては、ペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域又はR3領域のいずれか一つを検出するものであってもよいし、或いはペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域又はR3領域の二つ以上のものを検出するものであってもよい。
本発明の肺線維症又は間質性肺炎の検査方法としては、試料に含まれるペリオスチンの抗原抗体反応を利用した測定において、ペリオスチン又はその分解物のEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域に結合する抗体(抗ペリオスチン特定領域抗体)を使用するものであることが好ましい。
この抗ペリオスチン特定領域抗体としては、例えば、上記「〔2〕.ペリオスチンの測定方法 1.総論」の項に記載された(i)〜(ix)の抗体が挙げられるが、これらに限定されない。
また、本発明の肺線維症又は間質性肺炎の検査方法において、試料に含まれるペリオスチンを測定するのに、例えば、ペリオスチン一分子に二分子の抗体を抗原抗体反応させる場合、これらの抗体のいずれもが抗ペリオスチン特定領域抗体である必要がある。
例えば、このペリオスチンの測定が、酵素標識抗体と固相化抗体を用いるELISA法のサンドイッチ法による場合には、試料に含まれていたペリオスチンに結合させる酵素標識抗体及び固相化抗体のいずれもが、この抗ペリオスチン特定領域抗体である必要がある。
ところで、本発明における抗ペリオスチン特定領域抗体のうち、ペリオスチンの多量体に結合しない抗ペリオスチン特定領域抗体を、試料に含まれるペリオスチンの抗原抗体反応を利用した測定に使用すると、測定の正確性の改善度が更に高いために好ましいが、本発明の肺線維症又は間質性肺炎の検査方法において、例えば、ペリオスチン一分子に二分子の抗体を抗原抗体反応させる場合、一方の抗体がペリオスチンの多量体に結合しない抗ペリオスチン特定領域抗体であるときは、他方の抗体は必ずしもペリオスチンの多量体に結合しない抗ペリオスチン特定領域抗体である必要は無く、抗ペリオスチン特定領域抗体であればよい。
例えば、このペリオスチンの測定が、酵素標識抗体と固相化抗体を用いるELISA法のサンドイッチ法による場合には、試料に含まれていたペリオスチンに結合させる酵素標識抗体又は固相化抗体のいずれかがペリオスチンの多量体に結合しない抗ペリオスチン特定領域抗体である場合、他方の抗体は必ずしもペリオスチンの多量体に結合しない抗ペリオスチン特定領域抗体である必要は無く、抗ペリオスチン特定領域抗体であればよい。
ところで、前記の抗ペリオスチン特定領域抗体は、1種類のものだけではなく、複数種類のものを同時に使用してもよい。
なお、この抗ペリオスチン特定領域抗体の詳細については、前記の「〔1〕抗ペリオスチン特定領域抗体」の項に記載した通りである。
なお、本発明の肺線維症又は間質性肺炎の検査方法は、肺線維症又は間質性肺炎の罹患の有無又はその程度(病状等)の検査において好適である。
また、本発明の肺線維症又は間質性肺炎の検査方法は、肺線維症の罹患の有無又はその程度(病状等)の検査において、特に好適である。
そして、本発明の肺線維症又は間質性肺炎の検査方法は、間質性肺炎の罹患の有無又はその程度(病状等)の検査において、特に好適である。
2.試料
本発明における試料については、前記「〔2〕.ペリオスチンの測定方法」の「3.試料」に記載した通りである。
3.測定対象物質
本発明における測定対象物質については、前記「〔2〕.ペリオスチンの測定方法」の「4.測定対象物質」に記載した通りである。
4.抗原抗体反応を利用した測定
本発明の肺線維症又は間質性肺炎の検査方法としては、試料に含まれるペリオスチンを抗原抗体反応を利用して測定することによる肺線維症又は間質性肺炎の検査方法であって、抗ペリオスチン特定領域抗体を使用するものが好ましいが、この抗ペリオスチン特定領域抗体を使用するものであれば、特にその測定原理に限定されるものではなく、所期の効果を奏するものである。
本発明の肺線維症又は間質性肺炎の検査方法におけるペリオスチン測定の測定原理としては、例えば、酵素免疫測定法(ELISA、EIA)、蛍光免疫測定法(FIA)、放射免疫測定法(RIA)、発光免疫測定法(LIA)、酵素抗体法、蛍光抗体法、イムノクロマトグラフィー法、免疫比濁法、ラテックス比濁法、ラテックス凝集反応測定法、赤血球凝集反応法、粒子凝集反応法、特開平9−229936号公報及び特開平10−132819号公報などに記載された測定対象物質(被検物質)に対する特異的結合物質が固定され、これで被覆された面を有する担体、及び測定対象物質(被検物質)に対する特異的結合物質が固定された粒子を用いる測定法、又はDahlbeackらが示したELSA法(Enzyme−linked Ligandsorbent Assay)(Thromb.Haemost.,79巻,767〜772頁,1998年発行;国際公開第98/23963号パンフレット)等を挙げることができる。
そして、本発明の肺線維症又は間質性肺炎の検査方法におけるペリオスチン測定は、サンドイッチ法、競合法又は均一系法(ホモジニアス系法)等のいずれの手法をも、適用することができる。
また、本発明の肺線維症又は間質性肺炎の検査方法におけるペリオスチン測定は、用手法により行ってもよいし、又は分析装置等の装置を用いて行ってもよい。
本発明の肺線維症又は間質性肺炎の検査方法におけるペリオスチン測定は、一つの測定試薬のみを使用するもの(1試薬法、又は1ステップ法)であってよい。
この場合、抗ペリオスチン特定領域抗体は、その一つの測定試薬に含有される。
また、本発明の肺線維症又は間質性肺炎の検査方法におけるペリオスチン測定は、二つ以上の測定試薬を使用するもの(多試薬法、又は多ステップ法)であってもよい。
この場合、抗ペリオスチン特定領域抗体は、二つ以上の測定試薬の内の一つの測定試薬に含有されるものであってもよく、また、二つ以上の測定試薬に含有されるものであってもよい。
例えば、本発明の肺線維症又は間質性肺炎の検査方法におけるペリオスチン測定が、第1試薬及び第2試薬の二つの測定試薬を使用するものである場合、抗ペリオスチン特定領域抗体は、第1試薬にのみ含有させてもよく、また、第2試薬にのみ含有させてもよく、更には、第1試薬と第2試薬の両方に含有させてもよい。
なお、本発明の肺線維症又は間質性肺炎の検査方法におけるペリオスチン測定に使用する溶媒としては、前記の各種の水系溶媒を用いることができる。
なお、本発明の肺線維症又は間質性肺炎の検査方法におけるペリオスチン測定に関し、標識抗体を用いる抗原抗体反応を利用した測定方法の詳細については、前記「〔2〕.ペリオスチンの測定方法」の「5.標識抗体を用いた免疫学的測定方法」に記載した通りである。
また、本発明の肺線維症又は間質性肺炎の検査方法におけるペリオスチン測定に関し、抗原抗体反応による複合体の凝集物の生成を測る測定方法の詳細については、前記「〔2〕.ペリオスチンの測定方法」の「6.凝集反応法による免疫学的測定方法」に記載した通りである。
そして、本発明の肺線維症又は間質性肺炎の検査方法におけるペリオスチン測定に関し、「測定時の他の成分」の詳細については、前記「〔2〕.ペリオスチンの測定方法」の「7.測定時の他の成分」に記載した通りである。
5.ペリオスチンの量又は濃度の比較
本発明の肺線維症又は間質性肺炎の検査方法においては、試料に含まれるペリオスチンを、前記の通り、ペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域を検出することにより測定し、そして、被検者由来の試料におけるペリオスチンの量又は濃度と、肺線維症又は間質性肺炎のいずれにも罹患していない生体由来の試料におけるペリオスチンの量又は濃度とを比較する。
すなわち、本発明の肺線維症又は間質性肺炎の検査方法においては、ペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域を検出することにより測定を行った被検者由来の試料におけるペリオスチンの量又は濃度と、肺線維症又は間質性肺炎のいずれにも罹患していない生体由来の試料について、ペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域を検出することにより測定を行ったペリオスチンの量又は濃度とを、比較する。
なお、試料に含まれるペリオスチンを測定するに当たり、ペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域を検出することの詳細については、前記の通りである。
前記の被検者由来の試料におけるペリオスチンの量又は濃度と、肺線維症又は間質性肺炎のいずれにも罹患していない生体由来の試料におけるペリオスチンの量又は濃度とを比較することであるが、肺線維症又は間質性肺炎のいずれにも罹患していない生体由来の試料におけるペリオスチンの量又は濃度に比べて、当該被検者由来の試料におけるペリオスチンの量又は濃度が高い場合には、当該被検者が肺線維症又は間質性肺炎に罹患している可能性が高いことを示している。
また、被検者由来の試料におけるペリオスチンの量又は濃度の上昇は、当該被検者の肺線維症又は間質性肺炎の病状が憎悪している可能性が高いことを示している。
例えば、被検者由来の試料におけるペリオスチンの量又は濃度が、肺線維症又は間質性肺炎のいずれにも罹患していない生体由来の試料(対照試料)におけるペリオスチンの量又は濃度と比較して高い場合、例えば、約20%以上、約30%以上、約40%以上、約50%以上、約60%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上、約95%以上、または約100%以上高い場合に肺線維症又は間質性肺炎に罹患している可能性が高いと判断できる。
ここで、(i)被検者由来の試料におけるペリオスチンの量又は濃度と(ii)肺線維症又は間質性肺炎のいずれにも罹患していない生体由来の試料(対照試料)におけるペリオスチンの量又は濃度との差は、肺線維症又は間質性肺炎の検出または診断の臨界値となるものであり、例えば次のように設定しても良い。
先ず、2例以上の肺線維症又は間質性肺炎患者由来の試料におけるペリオスチンの量又は濃度を測定し、その平均値(A)を求める。このとき、対象となる患者の例数は2例以上であり、例えば、5例以上、10例以上、50例以上、または100例以上である。一方、2例以上の対照試料におけるペリオスチンの量又は濃度を測定し、その平均値(B)を求める。このとき、対象となる対照試料の例数は2例以上であり、例えば、5例以上、10例以上、50例以上、または100例以上である。そして、求めた平均値AおよびBから[(A−B)/B]×100(%)を計算して、肺線維症又は間質性肺炎患者由来の生体試料におけるペリオスチンの量又は濃度の平均値が対照試料におけるペリオスチンの量又は濃度の平均値と比較して何%高いかを求める。このようにして求めた値を、(i)被検者由来の試料におけるペリオスチンの量又は濃度と(ii)対照試料におけるペリオスチンの量又は濃度との差(臨界値)として設定する。すなわち、(i)の場合のペリオスチンの量又は濃度が、(ii)の場合のペリオスチンの量又は濃度と比較して求めた差以上に高い場合(例えば、統計的に有意に高い場合)に、肺線維症又は間質性肺炎に罹患している可能性が高いと判断できる。
また、本発明の肺線維症又は間質性肺炎の検査方法では、試料におけるペリオスチンの量又は濃度の測定値を平均値(A)および(B)に組み入れて、対象となる患者の例数および対象となる健常者等(健常者、肺線維症又は間質性肺炎のいずれにも罹患していない者など)の例数を増やすのが好ましい。例数を増やすことにより、肺線維症又は間質性肺炎の検出または診断の精度を高めることができる。また、求めた対照試料におけるペリオスチンの量又は濃度の平均値(B)を、「(ii)対照試料におけるペリオスチンの量又は濃度」としても良い。
本発明の別のいくつかの態様によれば、測定した被検者由来の試料におけるペリオスチンの量又は濃度が、所定タンパク質量以上であるときに、肺線維症又は間質性肺炎に罹患している可能性が高いと判断するようにしてもよい。
そして、肺線維症又は間質性肺炎に罹患している可能性が高いと判断するための「所定タンパク質量」は、例えば、次のように求めることができる。先ず、2例以上の肺線維症又は間質性肺炎患者由来の試料におけるペリオスチンの量又は濃度を測定する。このとき、対象となる患者の例数は2例以上であり、例えば、5例以上、10例以上、50例以上、または100例以上である。一方、2例以上の対照試料におけるペリオスチンの量又は濃度も測定する。このとき、対象となる対照試料の例数は2例以上であり、例えば、5例以上、10例以上、50例以上、または100例以上である。そして、肺線維症又は間質性肺炎患者由来の試料群と対照試料群の両方を含む全体から、肺線維症又は間質性肺炎患者由来の試料群を抽出しうる、ペリオスチンの量又は濃度の至適閾値(cut−off値)を、統計処理により求める。統計処理としては、
例えば、Receiver−Operating−Characteristics(ROC)曲線を用いた解析等が挙げられる。
以下、本発明を実施例等により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例等により限定されるものではない。
〔参考例1〕(ペリオスチン及び部分ペリオスチンの調製)
抗体のエピトープの特定等のため、次のペリオスチン及び部分ペリオスチン(ペリオスチンの部分よりなるもの)を調製した。
(1)ペリオスチンの調製
ペリオスチン(ヌクレオチド配列:核酸データベースGenBankのAccession NumberD13666のヌクレオチド配列、アミノ酸配列:核酸データベースGenBankのAccession NumberBAA02837のアミノ酸配列)にV5/Hisタグを付加させたリコンビナントペリオスチンタンパク質を昆虫細胞であるS2細胞において発現させた上で精製した。
具体的には、S2細胞の形質転換体は次のように調製した。
pMT/Bip/V5−HisAプラスミド(Invitrogen社、米国カリフォルニア州Carlsbad)にペリオスチンの上記部分をコードするcDNAを挿入して、これをpMT/Bip/periostin−V5−HisAとした。
次に、S2細胞にこのpMT/Bip/periostin−V5−HisA及びハイグロマイシン耐性遺伝子を発現するプラスミドであるpAcHygro(Invitrogen社、米国カリフォルニア州Carlsbad)を公知の方法で共導入し、形質転換した。
次に、ハイグロマイシンにより形質転換体を選択し、安定形質転換体を得た。
そして、S2細胞の形質転換体では、カルボキシ末端にV5/Hisタグの結合したペリオスチンを発現させた。
そして、このC末端に6個のヒスチジンが結合したS2リコンビナントペリオスチンタンパク質の精製は次のように行った。
まず、ペリオスチン遺伝子安定形質転換体S2細胞の培地に硫酸銅を加えることにより、S2リコンビナントペリオスチンタンパク質の発現を誘導した。
これにより、S2リコンビナントペリオスチンタンパク質は培養上清中に発現分泌された。
次に、この培養上清をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)〔137mMの塩化ナトリウム、2.68mMの塩化カリウム、1.47mMのリン酸二水素カリウム、及び8.04mMのリン酸水素二ナトリウムを含有する水溶液(pH7.4)〕に透析した後、ニッケルレジン(Ni−NTA Agarose、Qiagen社、ドイツ国Hilden)と混合して、S2リコンビナントペリオスチンタンパク質をレジンに結合させた。
次に、レジンを洗浄して夾雑物を取り除き、イミダゾール含有緩衝液にてS2リコンビナントペリオスチンタンパク質を溶出することにより、ペリオスチンを取得した。
なお、作成したプラスミドのDNAの配列を確認し、組み込まれた配列が目的通りのものであることを確認した。
(2)ペリオスチンのR1領域及びR2領域よりなる部分ペリオスチンの調製
公知の文献(I.Takayamaら,J.Biochem.,146巻,5号,713〜723頁,2009年発行等)の記載に従い、C末端に6個のヒスチジン残基が結合した、ペリオスチンのR1領域及びR2領域よりなる部分ペリオスチンを、調製し、取得した。(以下、これを「部分ペリオスチン(R1・R2領域)」という)
なお、作成したプラスミドのDNAの配列を確認し、組み込まれた配列が目的通りのものであることを確認した。
(3)ペリオスチンのR2領域よりなる部分ペリオスチンの調製
公知の文献(I.Takayamaら,J.Biochem.,146巻,5号,713〜723頁,2009年発行等)の記載に従い、C末端に6個のヒスチジン残基が結合した、ペリオスチンのR2領域よりなる部分ペリオスチンを、調製し、取得した。(以下、これを「部分ペリオスチン(R2領域)」という)
なお、作成したプラスミドのDNAの配列を確認し、組み込まれた配列が目的通りのものであることを確認した。
(4)ペリオスチンのR1領域、R2領域及びR3領域よりなる部分ペリオスチンの調製
公知の文献(I.Takayamaら,J.Biochem.,146巻,5号,713〜723頁,2009年発行等)の記載に従い、C末端に6個のヒスチジン残基が結合した、ペリオスチンのR1領域、R2領域及びR3領域よりなる部分ペリオスチンを、調製し、取得した。(以下、これを「部分ペリオスチン(R1・R2・R3領域)」という)
なお、作成したプラスミドのDNAの配列を確認し、組み込まれた配列が目的通りのものであることを確認した。
(5)ペリオスチンのR4領域よりなる部分ペリオスチンの調製
公知の文献(I.Takayamaら,J.Biochem.,146巻,5号,713〜723頁,2009年発行等)の記載に従い、C末端に6個のヒスチジン残基が結合した、ペリオスチンのR4領域よりなる部分ペリオスチンを、調製し、取得した。(以下、これを「部分ペリオスチン(R4領域)」という)
なお、作成したプラスミドのDNAの配列を確認し、組み込まれた配列が目的通りのものであることを確認した。
(6)ペリオスチンのEMI領域よりなる部分ペリオスチンの調製
公知の文献(I.Takayamaら,J.Biochem.,146巻,5号,713〜723頁,2009年発行等)の記載に従い、C末端に6個のヒスチジン残基が結合した、ペリオスチンのEMI領域よりなる部分ペリオスチンを、調製し、取得した。(以下、これを「部分ペリオスチン(EMI領域)」という)
なお、作成したプラスミドのDNAの配列を確認し、組み込まれた配列が目的通りのものであることを確認した。
(7)ペリオスチンのC末端領域よりなる部分ペリオスチンの調製
公知の文献(I.Takayamaら,J.Biochem.,146巻,5号,713〜723頁,2009年発行等)の記載に従い、C末端に6個のヒスチジン残基が結合した、ペリオスチンのC末端領域よりなる部分ペリオスチンを、調製し、取得した。(以下、これを「部分ペリオスチン(C末端領域)」という)
なお、作成したプラスミドのDNAの配列を確認し、組み込まれた配列が目的通りのものであることを確認した。
なお、前記のペリオスチン、部分ペリオスチン(R1・R2領域)、部分ペリオスチン(R2領域)、部分ペリオスチン(R1・R2・R3領域)、部分ペリオスチン(R4領域)、部分ペリオスチン(EMI領域)、及び部分ペリオスチン(C末端領域)を図1に模式的に示した。
〔参考例2〕(調製したペリオスチン及び部分ペリオスチンの確認)
I.ペリオスチン、部分ペリオスチン(R1・R2領域)、部分ペリオスチン(R2領域)、部分ペリオスチン(R1・R2・R3領域)、及び部分ペリオスチン(C末端領域)の確認
前記参考例1で調製したペリオスチン、部分ペリオスチン(R1・R2領域)、部分ペリオスチン(R2領域)、部分ペリオスチン(R1・R2・R3領域)、及び部分ペリオスチン(C末端領域)を、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法で確認した。
1.試薬
次の(1)〜(11)の試薬をそれぞれ調製した。
(1)アクリルアミド溶液
アクリルアミド29.2g及びN,N’−メチレンビスアクリルアミド0.8gを純水に添加、混合した後100mLとして、アクリルアミド溶液〔30%アクリルアミド保存液〕を調製した。
(2)SDS−1.5Mトリス溶液
トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン〔Tris〕18.2g及びドデシル硫酸ナトリウム〔SDS〕0.4gを純水に添加、混合し、塩酸でpH8.8に調整した後100mLとして、SDS−1.5Mトリス溶液〔0.4%SDS−1.5Mトリス塩酸緩衝液〕を調製した。
(3)SDS−0.5Mトリス溶液
トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン〔Tris〕6.1g及びドデシル硫酸ナトリウム〔SDS〕0.4gを純水に添加、混合し、塩酸でpH6.8に調整した後100mLとして、SDS−0.5Mトリス溶液〔0.4%SDS−0.5Mトリス塩酸緩衝液〕を調製した。
(4)過硫酸アンモニウム溶液
過硫酸アンモニウム100mgを純水に添加、混合した後1mLとして、過硫酸アンモニウム溶液〔10%過硫酸アンモニウム水溶液〕を調製した。
(5)TEMED溶液
N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(ナカライテスク社、日本国京都府)を使用した。
(6)泳動槽用緩衝液
トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン〔Tris〕1.5g、ドデシル硫酸ナトリウム〔SDS〕0.5g、及びグリシン7.2gを純水に添加、混合した後500mLとして、泳動槽用緩衝液〔0.1%SDS−192mMグリシン−25mMトリス緩衝液〕を調製した。
(7)SYPRO Ruby固定液
メタノール10mL、及び酢酸7mLを、純水83mLと混合して、SYPRO Ruby固定液を調製した。
(8)SYPRO Ruby染色液
SYPRO Ruby染色液は、Molecular Probes社(Eugene、オレゴン州、米国)のSYPRO Ruby protein gel stainを使用した。
(9)SYPRO Ruby脱色液
メタノール10mL、及び酢酸7mLを、純水83mLと混合して、SYPRO Ruby脱色液を調製した。
(10)試料処理液
ドデシル硫酸ナトリウム〔SDS〕0.4g、2−メルカプトエタノール1.2mL、1Mのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン〔Tris〕−塩酸緩衝液(pH6.8)の1mL、及びグリセリン2mLを純水に添加、混合した後10mLとして、試料処理液〔4%SDS−12%2−メルカプトエタノール−20%グリセリン−100mMトリス緩衝液〕を調製した。
2.試料
前記参考例1の(1)〜(4)及び(7)で調製した、次のペリオスチン及び部分ペリオスチンをそれぞれ試料とした。また、次の分子量マーカーも試料とした。
(a)ペリオスチン
(b)部分ペリオスチン(R1・R2領域)
(c)部分ペリオスチン(R2領域)
(d)部分ペリオスチン(R1・R2・R3領域)
(e)部分ペリオスチン(C末端領域)
(f)分子量マーカー〔Precision Plus Protein All Blue Standardsマーカー;マーカー分子量 10KDa、15KDa、20KDa、25KDa、37KDa、50KDa、75KDa、100KDa、150KDa及び250KDa;BIO−RAD Laboratories社、Hercules、カリフォルニア州、米国〕
3.電気泳動
前記1で調製した試薬を使用し、前記2の試料のそれぞれについて、次の操作によりSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法での電気泳動を行った。
(1)前記1の(1)、(2)、(4)、(5)で調製した試薬及び純水を用いて、アクリルアミド濃度が13.5%の分離ゲル溶液を調製した。
この分離ゲル溶液を、組み立てたガラスプレートに注入した後、純水を上に重層し、そしてゲル化反応を30分間行わせた。
(2)前記1の(1)、(3)、(4)、(5)で調製した試薬及び純水を用いて、アクリルアミド濃度が1.3%の濃縮ゲル溶液を調製した。
前記(1)のガラスプレートより純水を捨て、ここにこの濃縮ゲル溶液を少量注入し洗浄した後、濃縮ゲル溶液を注入した。そして、ここにサンプルコウムを挿入し、そしてゲル化反応を30分間行わせた。
(3) 前記2の(a)〜(e)の試料のそれぞれについて、前記1の(10)の試料処理液と1:1の量比で混合し、100℃で10分間処理した。
(4) 下部泳動槽に前記1の(6)の泳動槽用緩衝液を入れた。次に、前記(2)のゲルよりサンプルコウムを抜き洗浄した後、泳動槽にセットした。そして次に、上部泳動槽に前記1の(6)の泳動槽用緩衝液を入れた。
(5) 前記(3)の処理を行った各試料の20μL及び前記2の(f)の分子量マーカーの試料5μLのそれぞれについて、前記(4)のゲルのコウム穴に注入した。
なお、このゲルに注入した前記(3)の処理を行った試料及び前記2の(f)の分子量マーカーの試料であるが、レーン(a)に前記の「ペリオスチン」を、その右側のレーン(b)に前記の「部分ペリオスチン(R1・R2領域)」を、その右側のレーン(c)に前記の「部分ペリオスチン(R2領域)」を、その右側のレーン(d)に前記の「部分ペリオスチン(R1・R2・R3領域)」を、その右側のレーン(e)に前記の「部分ペリオスチン(C末端領域)」を、そしてレーン(a)の左側のレーンに前記の「分子量マーカー」を注入した。
(6) 次に、30mAの電流で60分間泳動を行った。
(7) 前記(6)の泳動を終了した後、ゲルをガラスプレートより出し、前記1の(7)のSYPRO Ruby固定液に浸漬し、30分間ゆっくり振とうして固定を行った。
(8) 前記(7)で固定を行ったゲルを、前記1の(8)のSYPRO Ruby染色液に浸漬し、3時間ゆっくり振とうして染色を行った。
(9) 前記(8)で染色を行ったゲルを、前記1の(9)のSYPRO Ruby脱色液に浸漬し、30分間ゆっくり振とうして、脱色を行った。
(10) 前記(9)で脱色したゲルを撮影した。
4.結果
前記3の(10)で撮影したゲルを図2に示した。
このゲルの電気泳動像において、前記参考例1の(1)〜(4)及び(7)で調製した、「ペリオスチン」(「(a)」と表記したレーン)、「部分ペリオスチン(R1・R2領域)」(「(b)」と表記したレーン)、「部分ペリオスチン(R2領域)」(「(c)」と表記したレーン)、「部分ペリオスチン(R1・R2・R3領域)」(「(d)」と表記したレーン)及び「部分ペリオスチン(C末端領域)」(「(e)」と表記したレーン)のそれぞれが、相当する分子量の位置にバンドを存在させていることが分かる。(矢印で示したバンド。)
すなわち、「ペリオスチン」、「部分ペリオスチン(R1・R2領域)」、「部分ペリオスチン(R2領域)」、「部分ペリオスチン(R1・R2・R3領域)」及び「部分ペリオスチン(C末端領域)」をそれぞれ調製できていることが確認できた。
II.部分ペリオスチン(R4領域)、及び部分ペリオスチン(EMI領域)の確認
前記参考例1で調製した部分ペリオスチン(R4領域)、及び部分ペリオスチン(EMI領域)を、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法及びウエスタンブロッティング法で確認した。
〔1〕SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法
1.試薬
次の(1)〜(4)の試薬をそれぞれ調製した。
(1)SDS−ポリアクリルアミドゲル
Funakoshi Easy−Gel(III) プリキャスト・ゲル(15%)(フナコシ社、日本国東京都)を使用した。
(2)泳動槽用緩衝液
前記Iの1の(6)の記載の通りに調製を行い、泳動槽用緩衝液〔0.1%SDS−192mMグリシン−25mMトリス緩衝液〕を調製した。
(3)試料処理液
前記Iの1の(10)の記載の通りに調製を行い、試料処理液〔4%SDS−12%2−メルカプトエタノール−20%グリセリン−100mMトリス緩衝液〕を調製した。
2.試料
前記参考例1の(1)、(5)及び(6)で調製した、次のペリオスチン及び部分ペリオスチンをそれぞれ試料とした。
また、公知の文献(I.Takayamaら,J.Biochem.,146巻,5号,713〜723頁,2009年発行等)の記載に従い、ペリオスチンのC末端領域のエクソン17、エクソン18及びエクソン21を欠くペリオスチンであって、そのC末端に6個のヒスチジン残基が結合したペリオスチン(部分ペリオスチン)を、調製し(以下、これを「部分ペリオスチン(Δ17・18・21)」という)、これも試料とした。〔なお、作成したプラスミドのDNAの配列を確認し、組み込まれた配列が目的通りのものであることを確認した。〕
更に、次の分子量マーカーも試料とした。
(a)部分ペリオスチン(EMI領域)
(b)部分ペリオスチン(R4領域)
(c)ペリオスチン
(d)部分ペリオスチン(Δ17・18・21)
(e)分子量マーカー〔Precision Plus Protein All Blue Standardsマーカー;マーカー分子量 10KDa、15KDa、20KDa、25KDa、37KDa、50KDa、75KDa、100KDa、150KDa及び250KDa;BIO−RAD Laboratories社、Hercules、カリフォルニア州、米国〕
3.電気泳動
前記1で調製した試薬を使用し、前記2の試料のそれぞれについて、次の操作によりSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法での電気泳動を行って、ペリオスチン及び部分ペリオスチン等の各々をその分子量に従って位置させたゲルを取得した。
(1) 前記2の(a)〜(d)の試料のそれぞれについて、前記1の(3)の試料処理液と1:1の量比で混合した後、100℃で10分間、煮沸処理を行った。
(2) 下部泳動槽に前記1の(2)の泳動槽用緩衝液を入れた。次に、前記1の(1)のSDS−ポリアクリルアミドゲルを泳動槽にセットした。そして次に、上部泳動槽に前記1の(2)の泳動槽用緩衝液を入れた。
(3) 前記(1)の処理を行った各試料の20μL及び前記2の(e)の分子量マーカーの試料の5μLそれぞれについて、前記(2)のゲルのコウム穴に注入した。
なお、このゲルに注入した前記(1)の処理を行った試料及び前記2の(e)の分子量マーカーの試料であるが、レーン(a)に前記の「部分ペリオスチン(EMI領域)」を、その右側のレーン(b)に前記の「部分ペリオスチン(R4領域)」を、その右側のレーン(c)に前記の「ペリオスチン」を、その右側のレーン(d)に前記の「部分ペリオスチン(Δ17・18・21)」を、そしてレーン(a)の左側のレーン(e)に前記の「分子量マーカー」を注入した。
(4) 次に、30mAの電流で60分間泳動を行った。
(5) 前記(4)の泳動を終了した後、ゲルをガラスプレートより取り出した。
〔2〕ウエスタンブロッティング法
1.ウエスタンブロッティング
(1) 前記〔1〕の3で取得したゲルの転写を、トランスブロットSDセル(BIO−RAD Laboratories社、Hercules、カリフォルニア州、米国)を用いて、その使用説明書に従い、セミドライ方式で行った。
まず、前記〔1〕の3で取得したゲルを転写用装置上に置いた。
次に、このゲルの上に、9cm×9cmのポリビニルジフルオライド膜(BIO−RAD Laboratories社、Hercules、カリフォルニア州、米国)を重ね、48mMトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン〔Tris〕、39mMグリシン、0.0375%(W/V)ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)及び20%(V/V)メタノールよりなる転写用緩衝液を用いて、電流200mAで2時間転写を行い、前記のペリオスチン又は部分ペリオスチンを前記ゲルより前記ポリビニルジフルオライド膜に転写した。
(2) ペリオスチン又は部分ペリオスチンの転写を行った前記ポリビニルジフルオライド膜をブロッキング液〔0.5%のカゼイン、100mMの塩化ナトリウム、及び0.1%のアジ化ナトリウムを含有する50mMのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝液[Tris緩衝液](pH8.0)〕の20mLに25℃で2時間浸漬して、ブロッキングを行った。
(3) 次に、これを洗浄液〔0.05%ツイーン20(Tween20)を含むリン酸緩衝生理食塩水〕の20mL中で10分間振とう洗浄を行った。この操作を3回行った。
(4) 前記のペリオスチン又は部分ペリオスチンのヒスチジン−タグに対するラット由来の抗体を20mLのリン酸緩衝生理食塩水に100μg溶解し、この溶液に前記(3)の操作を行ったポリビニルジフルオライド膜を室温で18時間浸漬して反応させた。
(5) 前記(4)の操作を行ったポリビニルジフルオライド膜を、20mLの洗浄液中で10分間振とう洗浄を行った。これを3回行った。
(6) 次に、パーオキシダーゼ標識抗ラットIgG抗体(GE Healthcare社、Little Chalfont、英国)を、PBSで2000倍希釈をして、20mLの溶液を調製し、これに前記(5)のポリビニルジフルオライド膜を室温で1時間浸漬して反応させた。
(7) このポリビニルジフルオライド膜を、20mLの洗浄液中で10分間振とう洗浄を行った。この操作を3回行った。
(8) ECL Western Blotting Detection Reagents(GE Healthcare社、Little Chalfont、英国)の2mLに、前記(7)のそれぞれのポリビニルジフルオライド膜を室温で1分間浸漬して発光させた。
(9) 前記(8)で発光させたポリビニルジフルオライド膜を撮影した。
2.結果
前記1の(9)で撮影したポリビニルジフルオライド膜を図3に示した。
このポリビニルジフルオライド膜のウエスタンブロッティング像において、前記参考例1の(1)、(5)及び(6)で調製した、「ペリオスチン」(「(c)」と表記したレーン)、「部分ペリオスチン(EMI領域)」(「(a)」と表記したレーン)及び「部分ペリオスチン(R4領域)」(「(b)」と表記したレーン)、並びに前記〔1〕の2の「部分ペリオスチン(Δ17・18・21)」(「(d)」と表記したレーン)のそれぞれが、相当する分子量の位置にバンドを存在させていることが分かる。(矢印で示したバンド。)
すなわち、「ペリオスチン」、「部分ペリオスチン(EMI領域)」、「部分ペリオスチン(R4領域)」及び「部分ペリオスチン(Δ17・18・21)」をそれぞれ調製できていることが確認できた。
〔実施例1〕(抗ペリオスチンモノクローナル抗体の調製−1回目)
以下の手順により、抗ペリオスチンモノクローナル抗体の調製を行った。(1回目)
(1) 前記参考例1の(1)で調製したペリオスチン溶液1容量に対して、化学合成アジュバントとしてのTiter Max Gold(フナコシ社、日本国東京都)を1容量の割合で混合した。
(2) 次に、雌ラットの足蹠に免疫原として、10〜50μgの前記のペリオスチン溶液とTiter Max Goldとの混合物を皮下注射し、10日〜2週間後、再度ラットの足蹠に免疫原として、10〜50μgの前記のペリオスチン溶液とTiter Max Goldとの混合物を皮下注射した。
なお、ここで、ラットは、Wistarラット〔雌、6〜8週齢〕(日本チャールズリバー社、日本国神奈川県横浜市)を用いた。
(3) 最終免疫より3〜4日後に、免疫したラットの膝窩、鼠径、腸骨リンパ節内の細胞と、ミエローマ細胞(Sp2/O細胞)を1対1から10対1の割合で混合し、一般的な方法でポリエチレングリコール(PEG1500、Roche社、スイス国)を加えて細胞融合させ、生育したハイブリドーマコロニーを選別した。
具体的には、細胞融合は次のように行った。
混合した前記リンパ節細胞とミエローマ細胞(Sp2/O細胞)を遠心して上清を除き、室温でポリエチレングリコール(PEG1500、Roche社、スイス国)1mLに1分間かけて懸濁した後、37℃で1分間撹拌した。
血清不含培地1mLを1分間かけて加え、その後、血清不含培地10mLを1分間かけて加えた。
細胞を数回洗浄した後、ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジン含有培地に懸濁して96穴マイクロタイタープレートに分注して、37℃において5%CO存在下で培養した。
生育したモノクローナル抗体産生細胞株(融合細胞株)の選別の方法としては、細胞融合から7〜14日後、免疫原に使用した前記のペリオスチンを固相化し、融合細胞培養上清を一次抗体としたELISA法の系にて行った。
このELISA法は具体的には、次のように行った。
1μg/mLの前記のペリオスチンを96穴マイクロタイタープレートに分注し、数時間固相化させた。
この固相化溶液を洗浄した後、融合細胞培養上清を各ウェルに加え、1時間室温にて静置した。
融合細胞培養上清を洗浄して、二次抗体としてペルオキシダーゼ標識ヤギ抗ラットIgG抗体(GE Healthcare社、Little Chalfont、英国)を加え1時間室温に静置した。
この二次抗体を洗浄後、ABTSペルオキシダーゼ基質(KPL社、メリーランド州Gaithersburg、米国)を加えて発色させ、405nmの吸光度を測定した。
生育した融合細胞株の中から一つのクローンを確立し、SS16A株と命名した。
(4) この選別したモノクローナル抗体産生細胞株からIgGを次のように精製した。
このモノクローナル抗体産生細胞株を、GIT培地(日本製薬社、日本国東京都)を用いてCOインキュベータ内37℃で培養した。
培養後、上清中のIgGをプロテインGカラム(GE Healthcare社、Little Chalfont、英国)に結合させた。
結合させたIgGを、50mMクエン酸水溶液(pH2.6)で溶出した。
溶出液4容量に対して、1Mトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝液〔Tris緩衝液〕1容量を添加し、精製IgGとして、ラット抗ペリオスチンモノクローナル抗体を前記のモノクローナル抗体産生細胞株より取得した。
すなわち、SS16A株のモノクローナル抗体産生細胞株からラット抗ペリオスチンモノクローナル抗体(以下、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS16A)」という)を得ることができた。
〔実施例2〕(抗ペリオスチンモノクローナル抗体の調製−2回目)
前記実施例1とは別の時に、前記実施例1の(1)〜(4)の記載の通りに操作を行い、再度、抗ペリオスチンモノクローナル抗体の調製を行った。(2回目)
その結果、生育した融合細胞株の中から一つのクローンを確立し、SS17B株と命名した。
そして、SS17B株のモノクローナル抗体産生細胞株からラット抗ペリオスチンモノクローナル抗体(以下、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」という)を得ることができた。
〔実施例3〕(抗ペリオスチンモノクローナル抗体の調製−3回目)
前記実施例1及び実施例2とは別の時に、前記実施例1の(1)〜(4)の記載の通りに操作を行い、三たび、抗ペリオスチンモノクローナル抗体の調製を行った。(3回目)
その結果、生育した融合細胞株の中から一つのクローンを確立し、SS18A株と命名した。
そして、SS18A株のモノクローナル抗体産生細胞株からラット抗ペリオスチンモノクローナル抗体(以下、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」という)を得ることができた。
〔実施例4〕(抗ペリオスチンモノクローナル抗体の調製−4回目)
前記実施例1、実施例2及び実施例3とは別の時に、以下の手順により、抗ペリオスチンモノクローナル抗体の調製を行った。(4回目)
(1) 前記参考例1の(1)で調製したペリオスチン溶液1容量に対して、化学合成アジュバントとしてのTiter Max Gold(フナコシ社、日本国東京都)を1容量の割合で混合した。
(2) 次に、マウスの腹腔内に免疫原として、10〜50μgの前記のペリオスチン溶液とTiter Max Goldとの混合物を注射し、10日〜2週間後、再度マウスの腹腔内に免疫原として、10〜50μgの前記のペリオスチン溶液とTiter Max Goldとの混合物を注射した。
なお、ここで、マウスは、Riosらの文献(H.Riosら,Molecular and Cellular Biology,25巻,24号,11131〜11144頁,2005年発行)の記載に従って得たペリオスチンノックアウトマウス(BALB/c)を用いた。
(3) 最終免疫より3〜4日後に、免疫したマウスの脾臓の細胞と、ミエローマ細胞(Sp2/O細胞)を1対1から10対1の割合で混合し、一般的な方法でポリエチレングリコール(PEG1500、Roche社、スイス国)を加えて細胞融合させ、生育したハイブリドーマコロニーを選別した。
具体的には、細胞融合は次のように行った。
混合した前記リンパ節細胞とミエローマ細胞(Sp2/O細胞)を遠心して上清を除き、室温でポリエチレングリコール(PEG1500、Roche社、スイス国)1mLに1分間かけて懸濁した後、37℃で1分間撹拌した。
血清不含培地1mLを1分間かけて加え、その後、血清不含培地10mLを1分間かけて加えた。
細胞を数回洗浄した後、ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジン含有培地に懸濁して96穴マイクロタイタープレートに分注して、37℃において5%CO存在下で培養した。
生育したモノクローナル抗体産生細胞株(融合細胞株)の選別の方法としては、細胞融合から7〜14日後、免疫原に使用した前記のペリオスチンを固相化し、融合細胞培養上清を一次抗体としたELISA法の系にて行った。
このELISA法は具体的には、次のように行った。
1μg/mLの前記のペリオスチンを96穴マイクロタイタープレートに分注し、数時間固相化させた。
この固相化溶液を洗浄した後、融合細胞培養上清を各ウェルに加え、1時間室温にて静置した。
融合細胞培養上清を洗浄して、二次抗体としてペルオキシダーゼ標識ヒツジ抗マウスIgG抗体(GE Healthcare社、Little Chalfont、英国)を加え1時間室温に静置した。
この二次抗体を洗浄後、ABTSペルオキシダーゼ基質(KPL社、メリーランド州Gaithersburg、米国)を加えて発色させ、405nmの吸光度を測定した。
生育した融合細胞株の中から4つのクローンを確立し、それぞれSS19A株、SS19B株、SS19C株、そしてSS19D株と命名した。
(4) この選別したモノクローナル抗体産生細胞株からIgGを次のように精製した。
このモノクローナル抗体産生細胞株を、GIT培地(日本製薬社、日本国東京都)を用いてCOインキュベータ内37℃で培養した。
培養後、上清中のIgGをプロテインGカラム(GE Healthcare社、Little Chalfont、英国)に結合させた。
結合させたIgGを、50mMクエン酸水溶液(pH2.6)で溶出した。
溶出液4容量に対して、1Mトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン〔Tris〕緩衝液1容量を添加し、精製IgGとして、マウス抗ペリオスチンモノクローナル抗体を前記のモノクローナル抗体産生細胞株より取得した。
そして、SS19A株のモノクローナル抗体産生細胞株からマウス抗ペリオスチンモノクローナル抗体(以下、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19A)」という)を、SS19B株のモノクローナル抗体産生細胞株からマウス抗ペリオスチンモノクローナル抗体(以下、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19B)」という)を、SS19C株のモノクローナル抗体産生細胞株からマウス抗ペリオスチンモノクローナル抗体(以下、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」という)を、更にSS19D株のモノクローナル抗体産生細胞株からマウス抗ペリオスチンモノクローナル抗体(以下、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19D)」という)をそれぞれ得ることができた。
これらの抗体の代表例として、抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19D)の重鎖可変領域のアミノ酸配列を配列番号16で表し、このアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドの塩基配列を配列番号15で表す。また、当該抗体の軽鎖可変領域のアミノ酸配列を、配列番号18で表し、このアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドの塩基配列を配列番号17で表す。
すなわち、本発明の抗体には、抗体の重鎖可変領域のアミノ酸配列が配列番号16で表されるアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域のアミノ酸配列が配列番号18で表されるアミノ酸配列を含む、モノクローナル抗体が含まれる。
〔実施例5〕(抗ペリオスチンモノクローナル抗体の調製−5回目)
前記実施例1、実施例2、実施例3及び実施例4とは別の時に、前記実施例4の(1)〜(4)の記載の通りに操作を行い、抗ペリオスチンモノクローナル抗体の調製を行った。(5回目)
その結果、生育した融合細胞株の中から一つのクローンを確立し、SS20A株と命名した。
そして、SS20A株のモノクローナル抗体産生細胞株からマウス抗ペリオスチンモノクローナル抗体(以下、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS20A)」という)を得ることができた。
〔実施例6〕(抗ペリオスチンモノクローナル抗体の調製−6回目)
前記実施例1、実施例2、実施例3、実施例4及び実施例5とは別の時に、前記実施例1の(1)〜(4)の記載の通りに操作を行い、抗ペリオスチンモノクローナル抗体の調製を行った。(6回目)
その結果、生育した融合細胞株の中から一つのクローンを確立し、SS21A株と命名した。
そして、SS21A株のモノクローナル抗体産生細胞株からラット抗ペリオスチンモノクローナル抗体(以下、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS21A)」という)を得ることができた。
〔実施例7〕(抗ペリオスチンモノクローナル抗体の認識部位の確認)
前記実施例1、実施例2、実施例3、実施例4、実施例5及び実施例6において取得した抗ペリオスチンモノクローナル抗体のそれぞれについて、ペリオスチンのどの領域を認識しているかの確認を行った。
1.測定
(1) 前記参考例1の(1)〜(7)で調製したペリオスチン又は部分ペリオスチン〔下記の(a)〜(g)〕のそれぞれをリン酸緩衝生理食塩水により5μg/mLの濃度となるように調製したもの、又は対照としてのリン酸緩衝生理食塩水を、各々96穴マイクロタイタープレート(Thermo Fisher Scientific Inc社、イリノイ州、米国)のウェルに50μL注入し、5℃で18時間静置し、前記のペリオスチン又は部分ペリオスチンを前記マイクロタイタープレートのウェルに固相化した。
(a) 「ペリオスチン」
(b) 「部分ペリオスチン(R1・R2領域)」
(c) 「部分ペリオスチン(R2領域)」
(d) 「部分ペリオスチン(R1・R2・R3領域)」
(e) 「部分ペリオスチン(R4領域)」
(f) 「部分ペリオスチン(EMI領域)」
(g) 「部分ペリオスチン(C末端領域)」
(2) 次に、前記(1)のマイクロタイタープレートの各ウェルを洗浄液〔0.05%のTween20を含有するトリス緩衝液(TBS)〕で3回洗浄した。
(3) 次に、前記実施例1、実施例2、実施例3、実施例4、実施例5及び実施例6で取得した抗ペリオスチンモノクローナル抗体〔下記の(i)〜(ix)〕のそれぞれを、前記(2)で洗浄を行ったマイクロタイタープレートのウェルに50μL注入し、25℃で1時間静置し、前記マイクロタイタープレートのウェルに固相化されたペリオスチン又は部分ペリオスチンのそれぞれと、前記の各抗ペリオスチンモノクローナル抗体とをそれぞれ反応させた。
(i) 「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS16A)」
(ii) 「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」
(iii) 「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」
(iv) 「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19A)」
(v) 「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19B)」
(vi) 「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」
(vii) 「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19D)」
(viii) 「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS20A)」
(ix) 「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS21A)」
(4) 次に、前記(3)のマイクロタイタープレートの各ウェルを前記の洗浄液で3回洗浄した。
(5) 次に、前記(4)で洗浄を行ったマイクロタイタープレートの各ウェルに、リン酸緩衝生理食塩水によって2000倍希釈したPOD標識抗ラットIgG抗体(GE Healthcare社、Little Chalfont、英国)又はPOD標識抗マウスIgG抗体(GE Healthcare社、Little Chalfont、英国)を50μL注入し、25℃で1時間静置し、反応を行わせた。
なお、このPOD標識抗IgG抗体をマイクロタイタープレートのウェルに注入することであるが、このPOD標識抗IgG抗体が「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS16A)」、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」、又は「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS21A)」である場合には、前記のマイクロタイタープレートのウェルには前記POD標識抗ラットIgG抗体を注入した。
また、このPOD標識抗IgG抗体が「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19A)」、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19B)」、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19D)」、又は「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS20A)」である場合には、前記のマイクロタイタープレートのウェルには前記POD標識抗マウスIgG抗体を注入した。
(6) 次に、前記(5)のマイクロタイタープレートの各ウェルを前記の洗浄液で3回洗浄した。
(7) 次に、Peroxidase Substrate Solution A(KPL社、米国)とPeroxidase Substrate Solution B(KPL社、米国)とを1:1で混合して調製した発色基質液の50μLを、前記(6)で洗浄を行ったマイクロタイタープレートの各ウェルに注入し、25℃にて10分間静置し、反応を行わせ、発色させた。
(8) 次に、前記(7)のマイクロタイタープレートの各ウェルについて、分光光度計を用いて405nmにおける吸光度を測定した。
この吸光度の測定結果より、前記の各々の抗ペリオスチンモノクローナル抗体において、マイクロタイタープレートに固相化したそれぞれのペリオスチン又は部分ペリオスチン毎に、得られた吸光度の測定値と対照のウェル(ペリオスチン又は部分ペリオスチンに代えてリン酸緩衝生理食塩水を注入したウェル)の吸光度の測定値との吸光度差が0.2以上の場合に、前記の抗ペリオスチンモノクローナル抗体がマイクロタイタープレートのウェルに固相化されたペリオスチン又は部分ペリオスチンに結合していると判断した。
すなわち、前記の吸光度差が0.2以上の場合に、前記の抗ペリオスチンモノクローナル抗体がマイクロタイタープレートのウェルに固相化されたペリオスチン又は部分ペリオスチンのいずれかの領域を認識していると判断した。
2.結果
(1) 前記1における測定の結果を図4に示した。
この図において、前記の抗ペリオスチンモノクローナル抗体と、前記のペリオスチン又は部分ペリオスチンとを反応させて測定した結果、前記の吸光度差が0.2以上の場合、すなわち、前記の抗ペリオスチンモノクローナル抗体が前記のペリオスチン又は部分ペリオスチンに結合していると判断できた場合の組合せについては、「○」を示した。
また、この測定結果に基づき、前記の各抗ペリオスチンモノクローナル抗体が、ペリオスチンのどの領域を認識しているかを判断した結果をこの図の右端の欄に示した。
(2) この測定結果より、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS16A)」は、前記のペリオスチン及び部分ペリオスチンの内、「ペリオスチン」及び「部分ペリオスチン(R1・R2・R3領域)」のみに結合し、「部分ペリオスチン(R1・R2領域)」、「部分ペリオスチン(R2領域)」、「部分ペリオスチン(R4領域)」、「部分ペリオスチン(EMI領域)」及び「部分ペリオスチン(C末端領域)」のいずれにも結合していないことが分かる。
このことより、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS16A)」は、ペリオスチンのR3領域を抗原認識部(エピトープ)として認識していることが確かめられた。
(3) また、この測定結果より、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」は、前記のペリオスチン及び部分ペリオスチンの内、「ペリオスチン」及び「部分ペリオスチン(R4領域)」のみに結合し、「部分ペリオスチン(R1・R2領域)」、「部分ペリオスチン(R2領域)」、「部分ペリオスチン(R1・R2・R3領域)」、「部分ペリオスチン(EMI領域)」及び「部分ペリオスチン(C末端領域)」のいずれにも結合していないことが分かる。
このことより、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」は、ペリオスチンのR4領域を抗原認識部(エピトープ)として認識していることが確かめられた。
(4) そして、この測定結果より、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」は、前記のペリオスチン及び部分ペリオスチンの内、「ペリオスチン」、「部分ペリオスチン(R1・R2領域)」及び「部分ペリオスチン(R1・R2・R3領域)」のみに結合し、「部分ペリオスチン(R2領域)」、「部分ペリオスチン(R4領域)」、「部分ペリオスチン(EMI領域)」及び「部分ペリオスチン(C末端領域)」のいずれにも結合していないことが分かる。
このことより、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」は、ペリオスチンのR1領域を抗原認識部(エピトープ)として認識していることが確かめられた。
(5) 更に、この測定結果より、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19A)」は、前記のペリオスチン及び部分ペリオスチンの内、「ペリオスチン」及び「部分ペリオスチン(R4領域)」のみに結合し、「部分ペリオスチン(R1・R2領域)」、「部分ペリオスチン(R2領域)」、「部分ペリオスチン(R1・R2・R3領域)」、「部分ペリオスチン(EMI領域)」及び「部分ペリオスチン(C末端領域)」のいずれにも結合していないことが分かる。
このことより、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19A)」は、ペリオスチンのR4領域を抗原認識部(エピトープ)として認識していることが確かめられた。
(6) また、この測定結果より、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19B)」は、前記のペリオスチン及び部分ペリオスチンの内、「ペリオスチン」及び「部分ペリオスチン(C末端領域)」のみに結合し、「部分ペリオスチン(R1・R2領域)」、「部分ペリオスチン(R2領域)」、「部分ペリオスチン(R1・R2・R3領域)」、「部分ペリオスチン(R4領域)」及び「部分ペリオスチン(EMI領域)」のいずれにも結合していないことが分かる。
このことより、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19B)」は、ペリオスチンのC末端領域を抗原認識部(エピトープ)として認識していることが確かめられた。
(7) そして、この測定結果より、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」は、前記のペリオスチン及び部分ペリオスチンの内、「ペリオスチン」、「部分ペリオスチン(R1・R2領域)」、「部分ペリオスチン(R2領域)」及び「部分ペリオスチン(R1・R2・R3領域)」のみに結合し、「部分ペリオスチン(R4領域)」、「部分ペリオスチン(EMI領域)」及び「部分ペリオスチン(C末端領域)」のいずれにも結合していないことが分かる。
このことより、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」は、ペリオスチンのR2領域を抗原認識部(エピトープ)として認識していることが確かめられた。
(8) 更に、この測定結果より、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19D)」は、前記のペリオスチン及び部分ペリオスチンの内、「ペリオスチン」及び「部分ペリオスチン(R1・R2・R3領域)」のみに結合し、「部分ペリオスチン(R1・R2領域)」、「部分ペリオスチン(R2領域)」、「部分ペリオスチン(R4領域)」、「部分ペリオスチン(EMI領域)」及び「部分ペリオスチン(C末端領域)」のいずれにも結合していないことが分かる。
このことより、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19D)」は、ペリオスチンのR3領域を抗原認識部(エピトープ)として認識していることが確かめられた。
(9) また、この測定結果より、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS20A)」は、前記のペリオスチン及び部分ペリオスチンの内、「ペリオスチン」及び「部分ペリオスチン(EMI領域)」のみに結合し、「部分ペリオスチン(R1・R2領域)」、「部分ペリオスチン(R2領域)」、「部分ペリオスチン(R1・R2・R3領域)」、「部分ペリオスチン(R4領域)」及び「部分ペリオスチン(C末端領域)」のいずれにも結合していないことが分かる。
このことより、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS20A)」は、ペリオスチンのEMI領域を抗原認識部(エピトープ)として認識していることが確かめられた。
(10) そして、この測定結果より、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS21A)」は、前記のペリオスチン及び部分ペリオスチンの内、「ペリオスチン」及び「部分ペリオスチン(C末端領域)」のみに結合し、「部分ペリオスチン(R1・R2領域)」、「部分ペリオスチン(R2領域)」、「部分ペリオスチン(R1・R2・R3領域)」、「部分ペリオスチン(R4領域)」及び「部分ペリオスチン(EMI領域)」のいずれにも結合していないことが分かる。
このことより、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS21A)」は、ペリオスチンのC末端領域を抗原認識部(エピトープ)として認識していることが確かめられた。
〔実施例8〕(抗ペリオスチンモノクローナル抗体の反応性の確認)
前記実施例1、実施例2、実施例3、実施例4、実施例5及び実施例6において取得した抗ペリオスチンモノクローナル抗体の各々について、ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物それぞれとの反応性を確認した。
〔1〕SS19B株由来以外の抗ペリオスチンモノクローナル抗体
「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS16A)」、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19A)」、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19D)」、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS20A)」及び「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS21A)」の各々について、ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物それぞれとの反応性を以下の通り確かめた。
1.免疫沈降処理
(1) 前記実施例1、実施例2、実施例3、実施例4、実施例5及び実施例6において取得した下の(a)〜(h)の抗ペリオスチンモノクローナル抗体の5μgを、1種類ずつ個別に1.5mL容量のチューブに入れた。
(a) 「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS16A)」
(b) 「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」
(c) 「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」
(d) 「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19A)」
(e) 「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」
(f) 「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19D)」
(g) 「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS20A)」
(h) 「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS21A)」
(2) 次に、前記(1)のチューブのそれぞれに、20μLのProtein G Sepharose(GE Healthcare社、Little Chalfont、英国)及び1mLのリン酸緩衝生理食塩水を加えた。
この後、このチューブを、5℃で1時間回転させ、前記の各抗ペリオスチンモノクローナル抗体を前記のProtein G Sepharoseに結合させた。
(3) 次に、前記(2)のチューブについて遠心分離操作を行った。
上清を除いた後、このチューブの中の「抗ペリオスチンモノクローナル抗体が結合したProtein G Sepharose」の20μLに、1mLのブロッキング液〔0.5%のカゼイン、100mMの塩化ナトリウム、及び0.1%のアジ化ナトリウムを含有する50mMのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝液[Tris緩衝液](pH8.0)〕を加えた。
この後、このチューブを、5℃で2時間回転させ、抗ペリオスチンモノクローナル抗体が結合していないProtein G Sepharoseの表面をブロッキングした。
(4) 次に、前記(3)のチューブについて遠心分離操作を行った。
上清を除いた後、このチューブの中の「抗ペリオスチンモノクローナル抗体が結合したProtein G Sepharose」の20μLに、前記のブロッキング液により100ng/mLとなるように希釈した前記参考例2のIIの〔1〕の2の「部分ペリオスチン(Δ17・18・21)」の1mLを加えた。
なお、この「部分ペリオスチン(Δ17・18・21)」は、別途確認した結果、ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物をそれぞれ含むことが分かっている。(以下、この「部分ペリオスチン(Δ17・18・21)」を、「ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物の混合物」ということがある。)
この後、このチューブを、5℃で18時間回転させ、「Protein G Sepharoseに結合した抗ペリオスチンモノクローナル抗体」に、前記の「ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物の混合物」に含まれていたペリオスチンの一量体、多量体及び分解物のそれぞれを接触させた。
ここで、このProtein G Sepharoseに結合した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体」は、この抗体(当該抗体)が認識するペリオスチンの一量体、多量体又は分解物のいずれか一つ以上と結合する。
(5) 次に、前記(4)のチューブについて遠心分離操作を行った。
上清を除いた後、リン酸緩衝生理食塩水によりチューブの中のProtein G Sepharoseを洗浄することにより、Protein G Sepharoseに結合している「抗ペリオスチンモノクローナル抗体」に結合しなかった遊離のペリオスチンの一量体、多量体及び分解物(すなわち、この「抗ペリオスチンモノクローナル抗体」が認識せず結合しなかったペリオスチンの一量体、多量体又は分解物)を全て除去した。
以上の操作により、「Protein G Sepharoseに結合した前記抗ペリオスチンモノクローナル抗体と、この抗体(当該抗体)が認識し結合するペリオスチンの一量体、多量体又は分解物との結合物」、すなわち『「Protein G Sepharose」−「抗ペリオスチンモノクローナル抗体」−「当該抗ペリオスチンモノクローナル抗体が認識し結合するペリオスチンの一量体、多量体又は分解物」の結合物』をそれぞれ調製した。
2.SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法
(1)試薬
次の(a)〜(c)の試薬をそれぞれ調製した。
(a)SDS−ポリアクリルアミドゲル
Funakoshi Easy−Gel(III) プリキャスト・ゲル(10%)(フナコシ社、日本国東京都)を使用した。
(b)泳動槽用緩衝液
前記参考例2のIの1の(6)の記載の通りに調製を行い、泳動槽用緩衝液〔0.1%SDS−192mMグリシン−25mMトリス緩衝液〕を調製した。
(c)試料処理液
ドデシル硫酸ナトリウム〔SDS〕0.1g、2−メルカプトエタノール0.1mL、1Mのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン〔Tris〕−塩酸緩衝液(pH6.8)の0.5mL、及びグリセリン2mLを純水に添加、混合した後10mLとして、試料処理液〔1%SDS−1%2−メルカプトエタノール−20%グリセリン−50mMトリス緩衝液〕を調製した。
(2)試料
前記1の(5)の処理を行った後の各々のチューブの中の、『「Protein G Sepharose」−「抗ペリオスチンモノクローナル抗体」−「当該抗ペリオスチンモノクローナル抗体が認識し結合するペリオスチンの一量体、多量体又は分解物」の結合物』を、それぞれ試料とした。
また、分子量マーカー〔Precision Plus Protein All Blue Standardsマーカー;マーカー分子量 10KDa、15KDa、20KDa、25KDa、37KDa、50KDa、75KDa、100KDa、150KDa及び250KDa;BIO−RAD Laboratories社、Hercules、カリフォルニア州、米国〕も試料とした。
(3)電気泳動
前記(1)で調製した試薬を使用し、前記(2)の試料のそれぞれについて、次の操作によりSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法での電気泳動を行った。
(a) 前記(2)の各々のチューブの中の『「Protein G Sepharose」−「抗ペリオスチンモノクローナル抗体」−「当該抗ペリオスチンモノクローナル抗体が認識し結合するペリオスチンの一量体、多量体又は分解物」の結合物』の試料のそれぞれについて、この各試料の20μLに前記(1)の(c)の試料処理液の13μLを加え、混合した後、100℃で5分間、煮沸処理を行った。
なお、前記の各々の試料中の『「Protein G Sepharose」−「抗ペリオスチンモノクローナル抗体」−「当該抗ペリオスチンモノクローナル抗体が認識し結合するペリオスチンの一量体、多量体又は分解物」の結合物』は、ここで試料処理液と混合されることにより、「Protein G Sepharose」、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体」、そして「当該抗ペリオスチンモノクローナル抗体が認識し結合するペリオスチンの一量体、多量体又は分解物」にそれぞれ解離する。
すなわち、この添加された試料処理液との混合により、「Protein G Sepharose」と、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体」と、「当該抗ペリオスチンモノクローナル抗体が認識し結合するペリオスチンの一量体、多量体又は分解物」は、それぞれ遊離状態のものとなった。
(b) 下部泳動槽に前記(1)の(b)の泳動槽用緩衝液を入れた。次に、前記(1)の(a)のSDS−ポリアクリルアミドゲルを泳動槽にセットした。そして次に、上部泳動槽に前記(1)の(b)の泳動槽用緩衝液を入れた。
(c) 前記(a)の処理を行った試料それぞれについて、遠心分離処理を行った後、その上清10μLを前記(b)のゲルのコウム穴に注入した。(遠心分離処理後、その上清を取得することにより、「Protein G Sepharose」が除去される。そして、この上清中には、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体」、及び「当該抗ペリオスチンモノクローナル抗体が認識し結合するペリオスチンの一量体、多量体又は分解物」が含まれる。)
また、前記(2)の分子量マーカーの試料の5μLを前記(b)のゲルのコウム穴に注入した。
なお、このゲルに注入した前記の上清及び分子量マーカーであるが、向かって左側のレーンより、次の(i)〜(ix)の分子量マーカー、及び各々の『「抗ペリオスチンモノクローナル抗体」、及び「当該抗ペリオスチンモノクローナル抗体が認識し結合するペリオスチンの一量体、多量体又は分解物」を含む上清』を順に注入した。
(i) 分子量マーカー
(ii) 『「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS16A)」、及び「当該抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS16A)が認識し結合するペリオスチンの一量体、多量体又は分解物」を含む上清』
(iii) 『「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」、及び「当該抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)が認識し結合するペリオスチンの一量体、多量体又は分解物」を含む上清』
(iv) 『「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」、及び「当該抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)が認識し結合するペリオスチンの一量体、多量体又は分解物」を含む上清』
(v) 『「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19A)」、及び「当該抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19A)が認識し結合するペリオスチンの一量体、多量体又は分解物」を含む上清』
(vi) 『「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」、及び「当該抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)が認識し結合するペリオスチンの一量体、多量体又は分解物」を含む上清』
(vii) 『「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19D)」、及び「当該抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19D)が認識し結合するペリオスチンの一量体、多量体又は分解物」を含む上清』
(viii) 『「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS20A)」、及び「当該抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS20A)が認識し結合するペリオスチンの一量体、多量体又は分解物」を含む上清』
(ix) 『「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS21A)」、及び「当該抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS21A)が認識し結合するペリオスチンの一量体、多量体又は分解物」を含む上清』
また、このゲルの右端のレーンを、試料を注入しない陰性対照のレーンとした。
(d) 次に、20mAの電流で90分間泳動を行った。
(e) 前記(d)の泳動を終了した後、ゲルをガラスプレートより取り出した。
以上の操作により、前記の各々の抗ペリオスチンモノクローナル抗体毎に、この抗体(当該抗体)が認識し結合したペリオスチンの一量体、多量体又は分解物を、その分子量に従ってゲル中に位置させ、このゲルを取得した。
3.ウエスタンブロッティング法
(1) 前記2の(3)の(e)で取得したゲルの転写を、トランスブロットSDセル(BIO−RAD Laboratories社、Hercules、カリフォルニア州、米国)を用いて、その使用説明書に従い、セミドライ方式で行った。
まず、前記2の(3)の(e)で取得したゲルを転写用装置上に置いた。
次に、このゲルの上に、9cm×9cmのポリビニルジフルオライド膜(BIO−RAD Laboratories社、Hercules、カリフォルニア州、米国)を重ね、48mMトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン〔Tris〕、39mMグリシン、0.0375%(W/V)ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)及び20%(V/V)メタノールよりなる転写用緩衝液を用いて、電流200mAで2時間転写を行い、その分子量に従ってゲル中に位置している前記の「抗ペリオスチンモノクローナル抗体が認識し結合するペリオスチンの一量体、多量体又は分解物」等のタンパク質を前記ゲルより前記ポリビニルジフルオライド膜に転写した。
(2) この各々の「抗ペリオスチンモノクローナル抗体が認識し結合するペリオスチンの一量体、多量体又は分解物」等のタンパク質の転写を行ったポリビニルジフルオライド膜を、ブロッキング液〔0.5%のカゼイン、100mMの塩化ナトリウム、及び0.1%のアジ化ナトリウムを含有する50mMのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝液[Tris緩衝液](pH8.0)〕の20mLに25℃で2時間浸漬して、ブロッキングを行った。
(3) 次に、このポリビニルジフルオライド膜を洗浄液(0.05%ツイーン20(Tween20)を含むリン酸緩衝生理食塩水)の20mL中で10分間振とう洗浄を行った。この操作を3回行った。
(4) 実施例2で取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」について、Sulfo−NHS−LC−Biotin(Thermo Fisher Scientific Inc社、イリノイ州、米国;商品コード番号:21335)を用いてビオチン標識処理を行い、ビオチンで標識した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」を得た。(この「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」は、後述するように、ペリオスチンの一量体及び多量体を認識し結合することができるものである。)
また、実施例4で取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」について、Sulfo−NHS−LC−Biotin(Thermo Fisher Scientific Inc社、イリノイ州、米国;商品コード番号:21335)を用いてビオチン標識処理を行い、ビオチンで標識した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」を得た。(この「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」は、後述するように、ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物を認識し結合することができるものである。)
標識抗体希釈液(アジ化ナトリウム含有)〔0.5%のカゼイン、100mMの塩化ナトリウム、及び0.1%のアジ化ナトリウムを含有する50mMのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝液[Tris緩衝液](pH8.0)〕によりそれぞれ5μg/mLとなるように、前記のビオチンで標識した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」とビオチンで標識した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」を希釈し、これらのビオチン標識抗体の混合液を調製した。
このビオチン標識抗体の混合液に前記(3)の洗浄処理を行ったポリビニルジフルオライド膜を室温で一晩浸漬して反応させた。
これにより、ポリビニルジフルオライド膜に転写された、前記の各々の「抗ペリオスチンモノクローナル抗体が認識し結合するペリオスチンの一量体、多量体又は分解物」と、前記のビオチン標識「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」及びビオチン標識「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」とを反応させた。
(5) 前記(4)の操作を行ったポリビニルジフルオライド膜を、20mLの前記洗浄液中で5分間振とう洗浄を行った。これを3回行った。
(6) 次に、パーオキシダーゼ標識ストレプトアビジン(Stereospecific Detection Technologies社、ドイツ国)を、標識抗体希釈液〔0.5%のカゼイン、及び100mMの塩化ナトリウムを含有する50mMのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝液[Tris緩衝液](pH8.0)〕により15000倍に希釈し調製したPOD標識ストレプトアビジン溶液に、前記(5)のポリビニルジフルオライド膜を室温で90分間浸漬して反応させた。
(7) 前記(6)の操作を行ったポリビニルジフルオライド膜を、20mLの前記洗浄液中で5分間振とう洗浄を行った。この操作を3回行った。
(8) 0.025%の3,3’−ジアミノベンジジン四塩酸塩及び0.01%過酸化水素を含むリン酸緩衝生理食塩水の20mLに、前記(7)のポリビニルジフルオライド膜を室温で15分間浸漬して発色させた。
これにより、このポリビニルジフルオライド膜において、前記の各々の抗ペリオスチンモノクローナル抗体が認識し結合したペリオスチンの一量体、多量体又は分解物の分子量に応じた位置に、発色を生じさせた。
(9) 前記(8)で発色させたポリビニルジフルオライド膜を撮影した。
このポリビニルジフルオライド膜上の発色の有無及びその発色した位置(分子量)より、前記の各々の抗ペリオスチンモノクローナル抗体について、ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物のそれぞれとの反応性を確認した。
4.結果
(1) 前記3の(9)で撮影したポリビニルジフルオライド膜を図5に示した。
この図において、左側のレーンより順に、分子量マーカーのレーン(「MM」と表記)、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS16A)」が認識し結合したペリオスチンのレーン(「16A」と表記)、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」が認識し結合したペリオスチンのレーン(「17B」と表記)、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」が認識し結合したペリオスチンのレーン(「18A」と表記)、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19A)」が認識し結合したペリオスチンのレーン(「19A」と表記)、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」が認識し結合したペリオスチンのレーン(「19C」と表記)、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19D)」が認識し結合したペリオスチンのレーン(「19D」と表記)、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS20A)」が認識し結合したペリオスチンのレーン(「20A」と表記)、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS21A)」が認識し結合したペリオスチンのレーン(「21A」と表記)、及び陰性対照のレーン(「(−)」と表記)を表す。
また、この図において、150KDaと250KDaの分子量マーカーの間に位置する太いバンドはその分子量よりペリオスチンの多量体(その分子量からペリオスチンの三量体と推測される)を表し、75KDaの分子量マーカーの近辺から高分子量側にかけて見られる太いバンドはその分子量よりペリオスチンの一量体を表し、そして37KDaの分子量マーカーの近辺の太いバンドはその分子量よりペリオスチンの分解物を表す。
(2) そして、この図より、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS16A)」が認識し結合したペリオスチンのレーンにおいては、ペリオスチンの多量体、一量体及び分解物を示す位置のいずれにおいても発色が認められるので、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS16A)」はペリオスチンの多量体、一量体及び分解物のいずれをも認識し結合することが確かめられた。
(3) また、この図より、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」が認識し結合したペリオスチンのレーンにおいては、ペリオスチンの多量体及び一量体を示す位置においては発色が認められるが、ペリオスチンの分解物を示す位置においては発色が認められないので、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」はペリオスチンの多量体及び一量体を認識し結合するが、ペリオスチンの分解物は認識せず、結合しないことが確かめられた。
(4) また、この図より、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」が認識し結合したペリオスチンのレーンにおいては、ペリオスチンの多量体、一量体及び分解物を示す位置のいずれにおいても発色が認められるので、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」はペリオスチンの多量体、一量体及び分解物のいずれをも認識し結合することが確かめられた。
(5) また、この図より、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19A)」が認識し結合したペリオスチンのレーンにおいては、ペリオスチンの多量体及び一量体を示す位置においては発色が認められるが、ペリオスチンの分解物を示す位置においては発色が認められないので、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19A)」はペリオスチンの多量体及び一量体を認識し結合するが、ペリオスチンの分解物は認識せず、結合しないことが確かめられた。
(6) また、この図より、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」が認識し結合したペリオスチンのレーンにおいては、ペリオスチンの多量体、一量体及び分解物を示す位置のいずれにおいても発色が認められるので、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」はペリオスチンの多量体、一量体及び分解物のいずれをも認識し結合することが確かめられた。
(7) また、この図より、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19D)」が認識し結合したペリオスチンのレーンにおいては、ペリオスチンの一量体及び分解物を示す位置においては発色が認められるが、ペリオスチンの多量体を示す位置においては発色が認められないので、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19D)」はペリオスチンの一量体及び分解物を認識し結合するが、ペリオスチンの多量体は認識せず、結合しないことが確かめられた。
(8) また、この図より、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS20A)」が認識し結合したペリオスチンのレーンにおいては、ペリオスチンの多量体、一量体及び分解物を示す位置のいずれにおいても発色が認められるので、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS20A)」はペリオスチンの多量体、一量体及び分解物のいずれをも認識し結合することが確かめられた。
(9) また、この図より、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS21A)」が認識し結合したペリオスチンのレーンにおいては、ペリオスチンの多量体及び一量体を示す位置においては発色が認められるが、ペリオスチンの分解物を示す位置においては発色が認められないので、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS21A)」はペリオスチンの多量体及び一量体を認識し結合するが、ペリオスチンの分解物は認識せず、結合しないことが確かめられた。
(10) そして、この図の右端のレーンの陰性対照においては、何も発色が認められないことより、非特異的な結合及び発色が生じていないことが確かめられた。
〔2〕SS19B株由来の抗ペリオスチンモノクローナル抗体
「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19B)」について、ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物それぞれとの反応性を以下の通り確かめた。
1.SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法
(1)試薬
次の(a)〜(c)の試薬をそれぞれ調製した。
(a)SDS−ポリアクリルアミドゲル
Funakoshi Easy−Gel(III) プリキャスト・ゲル(10%)(フナコシ社、日本国東京都)を使用した。
(b)泳動槽用緩衝液
前記参考例2のIの1の(6)の記載の通りに調製を行い、泳動槽用緩衝液〔0.1%SDS−192mMグリシン−25mMトリス緩衝液〕を調製した。
(c)試料処理液
前記〔1〕の2の(1)の(c)の記載の通りに調製を行い、試料処理液〔1%SDS−1%2−メルカプトエタノール−20%グリセリン−50mMトリス緩衝液〕を調製した。
(2)試料
前記参考例2のIIの〔1〕の2の「部分ペリオスチン(Δ17・18・21)」、すなわち「ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物の混合物」の50ngを標準試料として用いた。
前記の通り、この「ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物の混合物」(「部分ペリオスチン(Δ17・18・21)」)は、ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物をそれぞれ含むことが分かっている。
また、分子量マーカー〔Precision Plus Protein All Blue Standardsマーカー;マーカー分子量 10KDa、15KDa、20KDa、25KDa、37KDa、50KDa、75KDa、100KDa、150KDa及び250KDa;BIO−RAD Laboratories社、Hercules、カリフォルニア州、米国〕も試料として用いた。
(3)電気泳動
前記(1)で調製した試薬を使用し、前記(2)の試料のそれぞれについて、次の操作によりSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法での電気泳動を行った。
(a) 前記(2)の「ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物の混合物」の試料について、この試料の20μLに前記(1)の(c)の試料処理液の13μLを加え、混合した後、100℃で5分間、煮沸処理を行った。
(b) 下部泳動槽に前記(1)の(b)の泳動槽用緩衝液を入れた。次に、前記(1)の(a)のSDS−ポリアクリルアミドゲルを泳動槽にセットした。そして次に、上部泳動槽に前記(1)の(b)の泳動槽用緩衝液を入れた。
(c) 前記(a)の処理を行った試料について、遠心分離処理を行った後、その上清10μLを前記(b)のゲルのコウム穴に注入した。
また、前記(2)の分子量マーカーの試料の5μLを前記(b)のゲルのコウム穴に注入した。
なお、このゲルに注入した前記の上清及び分子量マーカーであるが、向かって左側のレーンより、次の(i)〜(ii)の分子量マーカー、及び『「ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物」を含む上清』を順に注入した。
(i) 分子量マーカー
(ii) 『「ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物」を含む上清』
(d) 次に、20mAの電流で90分間泳動を行った。
(e) 前記(d)の泳動を終了した後、ゲルをガラスプレートより取り出した。
以上の操作により、ペリオスチンの一量体、多量体又は分解物を、その分子量に従ってゲル中に位置させ、このゲルを取得した。
2.ウエスタンブロッティング法
(1) 実施例4で取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19B)」をSulfo−NHS−LC−Biotin(Thermo Fisher Scientific Inc社、イリノイ州、米国;商品コード番号:21335)を用いてビオチン標識処理を行い、得られたビオチンで標識した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19B)」を前記の標識抗体希釈液(アジ化ナトリウム含有)により5μg/mLとなるように希釈し、ビオチンで標識した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19B)」の溶解液を調製した。
(2) 前記〔1〕の3の(4)におけるビオチンで標識した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」とビオチンで標識した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」との混合液に代えて、前記(1)のビオチンで標識した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19B)」の溶解液を使用すること以外は、前記〔1〕の3の(1)〜(9)の記載の通りに操作を行った。
これにより、その分子量に従ってゲル中に位置しているペリオスチンの一量体、多量体及び分解物を、前記1の(3)で取得したゲルよりこのポリビニルジフルオライド膜に転写し、そして、この転写したペリオスチンの一量体、多量体及び分解物に前記のビオチンで標識した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19B)」を接触させ、反応させ、これらの間の結合の有無を確かめた。
そして、このウエスタンブロッティング法により、発色させたポリビニルジフルオライド膜を取得した。
このポリビニルジフルオライド膜上の発色の有無及びその発色した位置(分子量)より、前記の「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19B)」のペリオスチンの一量体、多量体及び分解物それぞれとの反応性を確認した。
3.結果
(1) 前記2で得たポリビニルジフルオライド膜を図6に示した。
この図において、左側のレーンより順に、分子量マーカーのレーン(「MM」と表記)、そして次に「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19B)」が認識し結合したペリオスチンのレーン(「19B」と表記)を表す。
また、この図において、150KDaの分子量マーカーのより高分子側の太いバンドはその分子量よりペリオスチンの多量体を表し、75KDaの分子量マーカーのより高分子側の太いバンドはその分子量よりペリオスチンの一量体を表す。
(2) そして、この図では、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19B)」を反応させたペリオスチン(一量体、多量体及び分解物)のレーンにおいては、ペリオスチンの多量体及び一量体を示す位置においてはそれぞれ発色が認められる。
しかし、前記のペリオスチンの一量体を表すバンドよりも低分子量側には発色(バンド)は認められない。すなわち、ペリオスチンの分解物を示す位置においては発色は認められない。
よって、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19B)」はペリオスチンの多量体及び一量体を認識し結合するが、ペリオスチンの分解物は認識せず、結合しないことが確かめられた。
〔3〕まとめ
前記実施例1、実施例2、実施例3、実施例4、実施例5及び実施例6において取得した各々の抗ペリオスチンモノクローナル抗体について、ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物それぞれとの反応性をまとめたものを図7に示す。
この図で、前記の各抗ペリオスチンモノクローナル抗体において、ペリオスチンの一量体、多量体又は分解物の内、認識し結合するものについては、「○」で示した。
この図より、各抗ペリオスチンモノクローナル抗体はいずれも、ペリオスチンの一量体を認識し、結合することができることが分かる。
また、この図より、次の抗ペリオスチンモノクローナル抗体は、ペリオスチンの分解物を認識できず、結合することができないことが分かる。
・ 「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」
・ 「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19A)」
・ 「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19B)」
・ 「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS21A)」
そして、この図より、次の抗ペリオスチンモノクローナル抗体は、ペリオスチンの分解物を認識し、結合することができることが分かる。
・ 「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS16A)」
・ 「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」
・ 「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」
・ 「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19D)」
・ 「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS20A)」
更に、この図より、次の抗ペリオスチンモノクローナル抗体は、ペリオスチンの分解物を認識し、結合することができ、かつ、ペリオスチンの多量体を認識できず、結合することができないことが分かる。
・ 「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19D)」
なお、この「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19D)」のモノクローナル抗体産生細胞株であるSS19D株は、独立行政法人製品評価技術基盤機構の特許微生物寄託センター(日本国千葉県木更津市かずさ鎌足二丁目5番8号)に、「受託番号:NITE P−1068」として2011年2月22日付けにて寄託されている。〔なお、この「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19D)」のモノクローナル抗体産生細胞株であるSS19D株については、独立行政法人製品評価技術基盤機構の特許微生物寄託センター(日本国千葉県木更津市かずさ鎌足二丁目5番8号)に対し、2012年2月7日付けにて国内寄託から国際寄託への移管の申請を行い、国際寄託に移管された。[移管日:2012年2月9日](受託番号:NITE BP−1068)〕
また、この「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS16A)」のモノクローナル抗体産生細胞株であるSS16A株は、独立行政法人製品評価技術基盤機構の特許微生物寄託センター(日本国千葉県木更津市かずさ鎌足二丁目5番8号)に、「受領番号:NITE AP−1281」として2012年3月16日付けにて寄託されている。この「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS16A)」のモノクローナル抗体産生細胞株であるSS16A株については、独立行政法人製品評価技術基盤機構の特許微生物寄託センター(日本国千葉県木更津市かずさ鎌足二丁目5番8号)に対し、2012年7月19日付けにて国内寄託から国際寄託への移管の申請を行い、国際寄託に移管された。[移管日:2012年7月19日](受託番号:NITE BP−1281)
そして、この「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」のモノクローナル抗体産生細胞株であるSS18A株は、独立行政法人製品評価技術基盤機構の特許微生物寄託センター(日本国千葉県木更津市かずさ鎌足二丁目5番8号)に、「受領番号:NITE AP−1282」として2012年3月16日付けにて寄託されている。この「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」のモノクローナル抗体産生細胞株であるSS18A株については、独立行政法人製品評価技術基盤機構の特許微生物寄託センター(日本国千葉県木更津市かずさ鎌足二丁目5番8号)に対し、2012年7月19日付けにて国内寄託から国際寄託への移管の申請を行い、国際寄託に移管された。[移管日:2012年7月19日](受託番号:NITE BP−1282)
また、この「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」のモノクローナル抗体産生細胞株であるSS19C株は、独立行政法人製品評価技術基盤機構の特許微生物寄託センター(日本国千葉県木更津市かずさ鎌足二丁目5番8号)に、「受領番号:NITE AP−1283」として2012年3月16日付けにて寄託されている。この「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」のモノクローナル抗体産生細胞株であるSS19C株については、独立行政法人製品評価技術基盤機構の特許微生物寄託センター(日本国千葉県木更津市かずさ鎌足二丁目5番8号)に対し、2012年7月19日付けにて国内寄託から国際寄託への移管の申請を行い、国際寄託に移管された。[移管日:2012年7月19日](受託番号:NITE BP−1283)
そして、この「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS20A)」のモノクローナル抗体産生細胞株であるSS20A株は、独立行政法人製品評価技術基盤機構の特許微生物寄託センター(日本国千葉県木更津市かずさ鎌足二丁目5番8号)に、「受領番号:NITE AP−1284」として2012年3月16日付けにて寄託されている。この「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS20A)」のモノクローナル抗体産生細胞株であるSS20A株については、独立行政法人製品評価技術基盤機構の特許微生物寄託センター(日本国千葉県木更津市かずさ鎌足二丁目5番8号)に対し、2012年7月19日付けにて国内寄託から国際寄託への移管の申請を行い、国際寄託に移管された。[移管日:2012年7月19日](受託番号:NITE BP−1284)
〔実施例9〕(ヒト血清中のペリオスチンの確認)
ヒト血清中のペリオスチンを、免疫沈降、電気泳動及びウエスタンブロッティングの処理を行うことによって確認した。
〔1〕健常者の血清
健常者の血清のペリオスチンについて、以下の通り確かめた。
1.免疫沈降処理
(1) 1.5mL容量のチューブに、ベッド容量で100μLのNHS−activated Sepharose(GE Healthcare社、Little Chalfont、英国)を入れ、遠心分離操作を行い上清を除去した。
(2) 前記(1)のチューブに1mMの塩酸を加え、NHS−activated Sepharoseを懸濁し、直後に遠心分離操作を行い上清を除去した。
(3) 0.1M炭酸ナトリウム−0.5M塩化ナトリウム溶液(pH8.3)を溶媒とする前記実施例4において取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」(ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物のいずれについても認識し結合する抗体)の85μg(タンパク質量として)を、前記(2)のチューブに入れた。
この後、このチューブを、攪拌しながら25℃で1時間保温し、前記の「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」を前記のNHS−activated Sepharoseに結合させた。
(4) 次に、前記(3)のチューブについて遠心分離操作を行った。
上清を除いた後、このチューブの中の前記「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」が結合したNHS−activated Sepharoseに、1mLのブロッキング液〔0.5M 2−アミノエタノール−0.5M塩化ナトリウム(pH8.3)〕を加えた。
この後、これらのチューブを、25℃で1時間放置し、前記の「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」が結合していないNHS−activated Sepharoseの表面をブロッキングした。
(5) 次に、前記(4)のチューブについて遠心分離操作を行った。
上清を除いた後、このチューブに1mLの20%エタノールを入れて、4℃に18時間保存した。
(6) その後、新しい1.5mL容量のチューブを用意し、ベッド容量で10μLの前記(5)の『「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」(8.5μg)が結合したNHS−activated Sepharose』を個別にそれぞれのチューブに加えた。
(7)これらのチューブに、一人の健常者の血清の25μL、50μL又は100μLを個別を加えた。
この後、これらのチューブを、5℃で18時間回転させ、『NHS−activated Sepharoseに結合した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」』に、前記の健常者の血清に含まれていたペリオスチン(一量体、多量体又は分解物)を接触させた。
(8) 次に、前記(7)のチューブ(健常者の血清量が25μL、50μL又は100μLのものの各々)について遠心分離操作を行った。
上清を除いた後、洗浄液〔10mMトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン[Tris]−150mM塩化ナトリウム−0.05%Tween20(pH8.0)〕によりチューブ中のNHS−activated Sepharoseを3回洗浄し、『NHS−activated Sepharoseに結合した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」』に結合しなかった遊離のペリオスチン(一量体、多量体又は分解物)を全て除去した。
以上の操作により、『「NHS−activated Sepharoseに結合した前記抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」と「試料(健常者の血清)に含まれていたペリオスチンの一量体、多量体又は分解物」との結合物』、すなわち『「NHS−activated Sepharose」−「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」−「試料(健常者の血清)に含まれていたペリオスチンの一量体、多量体又は分解物」の結合物』を調製した。
2.SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法
(1)試薬
次の(a)〜(h)の試薬をそれぞれ調製した。
(a)アクリルアミド溶液
前記参考例2のIの1の(1)の記載の通りに調製を行い、アクリルアミド溶液〔30%アクリルアミド保存液〕を調製した。
(b)SDS−1.5Mトリス溶液
前記参考例2のIの1の(2)の記載の通りに調製を行い、SDS−1.5Mトリス溶液〔0.4%SDS−1.5Mトリス塩酸緩衝液〕を調製した。
(c)SDS−0.5Mトリス溶液
前記参考例2のIの1の(3)の記載の通りに調製を行い、SDS−0.5Mトリス溶液〔0.4%SDS−0.5Mトリス塩酸緩衝液〕を調製した。
(d)過硫酸アンモニウム溶液
前記参考例2のIの1の(4)の記載の通りに調製を行い、過硫酸アンモニウム溶液〔10%過硫酸アンモニウム水溶液〕を調製した。
(e)TEMED溶液
前記参考例2のIの1の(5)の記載の通り、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(ナカライテスク社、日本国京都府)を使用した。
(f)泳動槽用緩衝液
前記参考例2のIの1の(6)の記載の通りに調製を行い、泳動槽用緩衝液〔0.1%SDS−192mMグリシン−25mMトリス緩衝液〕を調製した。
(g)試料処理液(還元剤含有)
ドデシル硫酸ナトリウム〔SDS〕0.4g、2−メルカプトエタノール(還元剤)1.2mL、1Mのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン〔Tris〕−塩酸緩衝液(pH6.8)の1mL、及びグリセリン2mLを純水に添加、混合した後10mLとして、試料処理液(還元剤含有)〔4%SDS−12%2−メルカプトエタノール−20%グリセリン−100mMトリス緩衝液〕を調製した。
(h)試料処理液(還元剤不含有)
ドデシル硫酸ナトリウム〔SDS〕0.4g、1Mのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン〔Tris〕−塩酸緩衝液(pH6.8)の1mL、及びグリセリン2mLを純水に添加、混合した後10mLとして、試料処理液(還元剤不含有)〔1%SDS−20%グリセリン−100mMトリス緩衝液〕を調製した。
(2)試料
前記1の(8)の処理を行った後のそれぞれのチューブ(健常者の血清量が25μL、50μL又は100μLのものの各々)の中の『「NHS−activated Sepharose」−「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」−「試料(健常者の血清)に含まれていたペリオスチンの一量体、多量体又は分解物」の結合物』を次の通りそれぞれ試料とした。
また、前記参考例2のIIの〔1〕の2の「部分ペリオスチン(Δ17・18・21)」、すなわち「ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物の混合物」の800ngを次の通り標準試料として用いた。
前記の通り、この「ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物の混合物」(「部分ペリオスチン(Δ17・18・21)」)は、ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物をそれぞれ含むことが分かっている。
更に、分子量マーカー〔Precision Plus Protein All Blue Standardsマーカー;マーカー分子量 10KDa、15KDa、20KDa、25KDa、37KDa、50KDa、75KDa、100KDa、150KDa及び250KDa;BIO−RAD Laboratories社、Hercules、カリフォルニア州、米国〕も次の通り試料とした。
(a) 『「NHS−activated Sepharose」−「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」−「試料(健常者の血清)に含まれていたペリオスチンの一量体、多量体又は分解物」の結合物』 (健常者の血清量:100μL)
(b) 『「NHS−activated Sepharose」−「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」−「試料(健常者の血清)に含まれていたペリオスチンの一量体、多量体又は分解物」の結合物』 (健常者の血清量:50μL)
(c) 『「NHS−activated Sepharose」−「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」−「試料(健常者の血清)に含まれていたペリオスチンの一量体、多量体又は分解物」の結合物』 (健常者の血清量:25μL)
(d) 標準試料(ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物の混合物)
(e) 分子量マーカー〔マーカー分子量 10KDa、15KDa、20KDa、25KDa、37KDa、50KDa、75KDa、100KDa、150KDa及び250KDa〕
(3)電気泳動
前記(1)で調製した試薬を使用し、前記(2)の試料のそれぞれについて、次の操作によりSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法での電気泳動を行った。
(a) 前記(1)の(a)、(b)、(d)及び(e)で調製した試薬及び純水を用いて、アクリルアミド濃度が7.5%の分離ゲル溶液を調製した。
この分離ゲル溶液を、組み立てたガラスプレートに注入した後、純水を上に重層し、そしてゲル化反応を30分間行わせた。
(b) 前記(1)の(a)、(c)、(d)及び(e)で調製した試薬及び純水を用いて、アクリルアミド濃度が1.3%の濃縮ゲル溶液を調製した。
前記(a)のガラスプレートより純水を捨て、ここにこの濃縮ゲル溶液を少量注入し洗浄した後、濃縮ゲル溶液を注入した。そして、ここにサンプルコウムを挿入し、そしてゲル化反応を30分間行わせた。
(c) 前記(2)の(a)〜(d)の試料のそれぞれについて、この各試料の10μLに前記(1)の(g)の試料処理液(還元剤含有)の20μLを加え、混合した後、還元剤存在下で100℃で10分間、煮沸処理を行った。
なお、前記(2)の(a)〜(c)の各々の試料中の『「NHS−activated Sepharose」−「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」−「試料(健常者の血清)に含まれていたペリオスチンの一量体、多量体又は分解物」の結合物』は、ここで試料処理液(還元剤含有)と混合されることにより、「NHS−activated Sepharose」、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」、そして「試料(健常者の血清)に含まれていたペリオスチンの一量体、多量体又は分解物」にそれぞれ解離する。
すなわち、この添加された試料処理液との混合により、「NHS−activated Sepharose」と、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」と、「試料(健常者の血清)に含まれていたペリオスチンの一量体、多量体又は分解物」は、それぞれ遊離状態のものとなった。
(d) 下部泳動槽に前記(1)の(f)の泳動槽用緩衝液を入れた。次に、前記(b)のゲルよりサンプルコウムを抜き洗浄した後、泳動槽にセットした。そして次に、上部泳動槽に前記(1)の(f)の泳動槽用緩衝液を入れた。
(e) 前記(c)の処理を行った試料それぞれについて、遠心分離処理を行った後、その上清20μLを前記(d)のゲルのコウム穴に注入した。
また、前記(2)の(e)の分子量マーカーの試料の5μLを前記(d)のゲルのコウム穴に注入した。
なお、このゲルに注入した前記の上清及び分子量マーカーであるが、向かって左側のレーンより、次の(i)〜(v)の各「試料(健常者の血清)に含まれていたペリオスチンの一量体、多量体又は分解物」の上清、標準試料(ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物の混合物)の上清、及び分子量マーカーを順に注入した。
(i) 「試料(健常者の血清)に含まれていたペリオスチンの一量体、多量体又は分解物」(健常者の血清量:100μL)の上清
(ii) 「試料(健常者の血清)に含まれていたペリオスチンの一量体、多量体又は分解物」(健常者の血清量:50μL)の上清
(iii) 「試料(健常者の血清)に含まれていたペリオスチンの一量体、多量体又は分解物」(健常者の血清量:25μL)の上清
(iv) 標準試料(ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物の混合物)の上清
(v) 分子量マーカー
(f) 次に、30mAの電流で60分間泳動を行った。
(g) 前記(f)の泳動を終了した後、ゲルをガラスプレートより取り出した。
以上の操作により、前記(c)において還元剤を存在させた場合について、前記の試料(健常者の血清)に含まれていたペリオスチン(一量体、多量体又は分解物)をその分子量に従って位置させ、このゲルを取得した。
(h) また、前記(c)において、試料処理液(還元剤含有)に代えて前記(1)の(h)の試料処理液(還元剤不含有)を用いて還元剤非存在下で処理を行うこと、そして、前記(e)において分子量マーカーの試料をゲルのコウム穴に注入することは行わず前記の上清のみをゲルのコウム穴に注入したこと以外は、前記(a)〜(g)の記載の通りに操作を行い、前記(c)において還元剤を存在させない場合について、前記の試料(健常者の血清)に含まれていたペリオスチン(一量体、多量体又は分解物)をその分子量に従って位置させ、このゲルを取得した。
3.ウエスタンブロッティング法
(1) 前記2の(3)の(g)及び(h)でそれぞれ取得したゲルについて、その転写をMini Protean II Cellキット(BIO−RAD Laboratories社、Hercules、カリフォルニア州、米国)を用いて、その使用説明書に従い、ウェット方式で行った。
まず、前記2の(3)の(g)及び(h)でそれぞれで取得したゲルを転写用装置上に置いた。
次に、これらのゲルの上に、6cm×9cmのポリビニルジフルオライド膜(Millipore社、マサチューセッツ州、米国)をそれぞれ重ね、25mMトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン〔Tris〕、39mMグリシン、0.0375%(W/V)ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)及び20%(V/V)メタノールよりなる転写用緩衝液を用いて、電流65mAで2時間転写を行い、試料(健常者の血清)に含まれていたペリオスチン(一量体、多量体又は分解物)等のゲル上のタンパク質を前記のゲルより前記ポリビニルジフルオライド膜に転写した。
(2) 試料(健常者の血清)に含まれていたペリオスチン(一量体、多量体又は分解物)等のこのゲル上のタンパク質の転写を行ったポリビニルジフルオライド膜のそれぞれを、4%スキムミルク及び0.05%Tween20を含むトリス緩衝生理食塩水〔10mMトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン[Tris]−150mM塩化ナトリウム(pH8.0)〕の50mLに室温で1時間浸漬して、ブロッキングを行った。
(3) 次に、これを洗浄液(0.05%ツイーン20(Tween20)を含むリン酸緩衝生理食塩水)の20mL中で10分間振とう洗浄を行った。この操作を3回行った。
(4) 4%スキムミルク及び0.05%Tween20を含むトリス緩衝生理食塩水〔10mMトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン[Tris]−150mM塩化ナトリウム(pH8.0)〕により1μg/mLとなるように、前記実施例4で取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」(ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物のいずれについても認識し結合する抗体)を希釈し、この抗体の溶解液を調製した。
この抗体の溶解液に前記(3)の洗浄処理を行ったそれぞれのポリビニルジフルオライド膜を4℃で一晩浸漬して反応させた。
これにより、ポリビニルジフルオライド膜に転写された、前記の試料(健常者の血清)に含まれていたペリオスチン(一量体、多量体又は分解物)と、前記の抗体溶液中の「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」とを反応させた。
(5) 前記(4)の操作を行ったそれぞれのポリビニルジフルオライド膜を、50mLの前記洗浄液中で10分間振とう洗浄を行った。これを3回行った。
(6) 次に、パーオキシダーゼ標識抗マウスIgG抗体溶液を、TrueBlot ULTRA(eBioscience社、San Diego、カリフォルニア州、米国)を、4%スキムミルクを含むトリス緩衝生理食塩水〔10mMトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン[Tris]−150mM塩化ナトリウム(pH8.0)〕により3000倍に希釈することにより調製した。
そして、このパーオキシダーゼ標識抗マウスIgG抗体溶液に、前記(4)のそれぞれのポリビニルジフルオライド膜を室温で45分間浸漬して反応させた。
(7) これらのポリビニルジフルオライド膜を、50mLの前記洗浄液中で5分間振とう洗浄を行った。この操作を3回行った。
(8) ECL Western Blotting Detection Reagents(GE Healthcare社、Little Chalfont、英国)の2mLに、前記(7)のそれぞれのポリビニルジフルオライド膜を室温で1分間浸漬して発光させた。
これにより、前記のペリオスチン(一量体、多量体又は分解物)の分子量に応じた位置に、発光を生じさせた。
(9) 前記(8)で発光させたそれぞれのポリビニルジフルオライド膜を撮影した。
これらのポリビニルジフルオライド膜上の発光の有無及びその発光した位置(分子量)より、前記の試料(健常者の血清)に含まれていたペリオスチン(一量体、多量体又は分解物)の存在を確認した。
4.結果
(1) 前記3の(9)で得たそれぞれのポリビニルジフルオライド膜の写真を図8に示した。
この図において、左側のパターンは前記の電気泳動処理時に試料処理液(還元剤含有)を用いて還元剤を存在させた場合のポリビニルジフルオライド膜を示し、右側のパターンは前記の電気泳動処理時に試料処理液(還元剤不含有)を用いて還元剤を存在させない場合のポリビニルジフルオライド膜を示す。
なお、この左側のパターンにおいて、左側のレーンより順に、前記1の(7)においてチューブに加えた健常者の血清の量が100μLの場合のレーン(「100μL」と表記)、前記1の(7)においてチューブに加えた健常者の血清の量が50μLの場合のレーン(「50μL」と表記)、前記1の(7)においてチューブに加えた健常者の血清の量が25μLの場合のレーン(「25μL」と表記)、前記2の(2)の(d)の標準試料(ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物の混合物)を試料とした場合のレーン(「標準試料」と表記)、及び前記2の(2)の(e)の分子量マーカーを試料とした場合のレーン(「MM」と表記)を表す。
そして、この左側のパターンにおいて、150KDaの分子量マーカーの近辺から高分子量側にかけて見られる太いバンドはその分子量よりペリオスチンの多量体(その分子量からペリオスチン二量体と推測される)を表し、75KDaの分子量マーカーの近辺の太いバンドはその分子量よりペリオスチンの一量体を表し、そして37KDaの分子量マーカーの近辺の太いバンドはその分子量よりペリオスチンの分解物を表す。
また、この右側のパターンにおいて、左側のレーンより順に、前記1の(7)においてチューブに加えた健常者の血清の量が100μLの場合のレーン(「100μL」と表記)、前記1の(7)においてチューブに加えた健常者の血清の量が50μLの場合のレーン(「50μL」と表記)、前記1の(7)においてチューブに加えた健常者の血清の量が25μLの場合のレーン(「25μL」と表記)、及び前記2の(2)の(d)の標準試料(ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物の混合物)を試料とした場合のレーン(「標準試料」と表記)を表す。
そして、この右側のパターンにおいて、250KDaの分子量マーカーの近辺から高分子量側にかけて見られる太いバンドはその分子量よりペリオスチンの多量体(その分子量からペリオスチンの三量体と推測される)を表し、75KDaの分子量マーカーの近辺の太いバンドはその分子量よりペリオスチンの一量体を表し、そして37KDaの分子量マーカーの近辺の太いバンドはその分子量よりペリオスチンの分解物を表す。
(2) この図の左側のパターンより、健常者の血清について、電気泳動処理時に試料処理液(還元剤含有)を用いて還元剤を存在させた場合には、いずれの血清量においても、ペリオスチンの多量体の位置及び分解物の位置の両方において発光は見られず、ペリオスチンの一量体の位置においてのみ発光が見られることが分かる。
(3) また、この図の右側のパターンより、健常者の血清について、電気泳動処理時に試料処理液(還元剤不含有)を用いて還元剤を存在させない場合には、いずれの血清量においても、ペリオスチンの一量体の位置及び分解物の位置の両方において発光は見られず、ペリオスチンの多量体の位置においてのみ発光が見られることが分かる。
〔2〕肺線維症罹患者の血清
肺線維症罹患者の血清のペリオスチンについて、以下の通り確かめた。
1.免疫沈降処理
前記〔1〕の1の(7)における「一人の健常者の血清の25μL、50μL又は100μLを個別にそれぞれのチューブに加えた」ことを、「三人の肺線維症罹患者それぞれの血清及び一人の健常者の血清の1mLを個々にそれぞれのチューブ(1.5mL容量)に加えた」ことに代えること以外は、前記〔1〕の1の(1)〜(8)の記載の通りに操作を行い、これらの肺線維症罹患者又は健常者の血清に含まれているペリオスチン(一量体、多量体又は分解物)に関し、『「NHS−activated Sepharoseに結合した前記抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」と「試料(肺線維症罹患者又は健常者の血清)に含まれていたペリオスチンの一量体、多量体又は分解物」との結合物』、すなわち『「NHS−activated Sepharose」−「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」−「試料(肺線維症罹患者又は健常者の血清)に含まれていたペリオスチンの一量体、多量体又は分解物」の結合物』をそれぞれ調製した。
2.SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法
(1)試薬
前記〔1〕の2の(1)における(a)〜(h)の記載の通りに各試薬をそれぞれ調製した。
(2)試料
前記1において調製した『「NHS−activated Sepharose」−「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」−「試料(肺線維症罹患者又は健常者の血清)に含まれていたペリオスチンの一量体、多量体又は分解物」の結合物』を次の通りそれぞれ試料とした。
また、前記参考例2のIIの〔1〕の2の「部分ペリオスチン(Δ17・18・21)」、すなわち「ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物の混合物」の800ngを次の通り標準試料として用いた。
前記の通り、この「ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物の混合物」(「部分ペリオスチン(Δ17・18・21)」)は、ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物をそれぞれ含むことが分かっている。
更に、分子量マーカー〔Precision Plus Protein All Blue Standardsマーカー;マーカー分子量 10KDa、15KDa、20KDa、25KDa、37KDa、50KDa、75KDa、100KDa、150KDa及び250KDa;BIO−RAD Laboratories社、Hercules、カリフォルニア州、米国〕も次の通り試料とした。
(a) 『「NHS−activated Sepharose」−「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」−「試料(健常者の血清)に含まれていたペリオスチンの一量体、多量体又は分解物」の結合物』
(b) 『「NHS−activated Sepharose」−「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」−「試料(一人目の肺線維症罹患者の血清)に含まれていたペリオスチンの一量体、多量体又は分解物」の結合物』
(c) 『「NHS−activated Sepharose」−「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」−「試料(二人目の肺線維症罹患者の血清)に含まれていたペリオスチンの一量体、多量体又は分解物」の結合物』
(d) 『「NHS−activated Sepharose」−「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」−「試料(三人目の肺線維症罹患者の血清)に含まれていたペリオスチンの一量体、多量体又は分解物」の結合物』
(e) 標準試料(ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物の混合物)
(f) 分子量マーカー〔マーカー分子量 10KDa、15KDa、20KDa、25KDa、37KDa、50KDa、75KDa、100KDa、150KDa及び250KDa〕
(3)電気泳動
前記(1)で調製した試薬を使用し、前記(2)の試料のそれぞれについて、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法での電気泳動を行った。
なお、この電気泳動は、次の(a)及び(b)の事項以外は前記〔1〕の2の(3)の(a)〜(g)の記載の通りに操作を行い、試料処理液(還元剤含有)を用いて還元剤を存在させた場合について、試料(肺線維症罹患者又は健常者の血清)に含まれていたペリオスチン(一量体、多量体又は分解物)をその分子量に従って位置させ、このゲルを取得した。
(a) 前記〔1〕の2の(3)の(a)における「アクリルアミド濃度が7.5%の分離ゲル溶液を調製」に代えて、「アクリルアミド濃度が9%の分離ゲル溶液を調製」としたこと。
(b) 前記〔1〕の2の(3)の(e)において(i)〜(iii)の各「試料(健常者の血清)に含まれていたペリオスチンの一量体、多量体又は分解物」の上清、(iv)の標準試料(ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物の混合物)の上清、並びに(v)の分子量マーカーの順に、向かって左側のレーンよりゲルのコウム穴に注入したことに代えて、分子量マーカー、「試料(健常者の血清)に含まれていたペリオスチンの一量体、多量体又は分解物」の上清、「試料(一人目の肺線維症罹患者の血清)に含まれていたペリオスチンの一量体、多量体又は分解物」の上清、「試料(二人目の肺線維症罹患者の血清)に含まれていたペリオスチンの一量体、多量体又は分解物」の上清、「試料(三人目の肺線維症罹患者の血清)に含まれていたペリオスチンの一量体、多量体又は分解物」の上清、並びに標準試料(ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物の混合物)の上清の順に、向かって左側のレーンよりゲルのコウム穴に注入したこと。
3.ウエスタンブロッティング法
前記〔1〕の3の(1)〜(9)の記載の通りに操作を行い、前記2でSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法により電気泳動を行い取得したゲルについて、ポリビニルジフルオライド膜に転写を行い、ペリオスチン(一量体、多量体又は分解物)の分子量に応じた位置に発光を生じさせ、このポリビニルジフルオライド膜上の発光の有無及びその発光した位置(分子量)より、前記の肺線維症罹患者及び健常者の血清に含まれるペリオスチン(一量体、多量体又は分解物)の存在を確認した。
4.結果
(1) 前記3で得たポリビニルジフルオライド膜を図9に示した。
この図において、左側のレーンより順に、前記1における試料として、分子量マーカーを試料とした場合のレーン(「MM」と表記)、健常者の血清を試料とした場合のレーン(「健常者」と表記)、一人目の肺線維症罹患者の血清を試料とした場合のレーン(「肺線維症罹患者 1」と表記)、二人目の肺線維症罹患者の血清を試料とした場合のレーン(「肺線維症罹患者 2」と表記)、三人目の肺線維症罹患者の血清を試料とした場合のレーン(「肺線維症罹患者 3」と表記)、並びに標準試料(ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物の混合物)を試料とした場合のレーン(「標準試料」と表記)を表す。
そして、この図において、150KDaの分子量マーカーの近辺の太いバンドはその分子量よりペリオスチンの多量体(その分子量からペリオスチンの二量体と推測される)を表し、75KDaの分子量マーカーの近辺の太いバンドはその分子量よりペリオスチンの一量体を表し、そして37KDaの分子量マーカーの近辺の太いバンドはその分子量よりペリオスチンの分解物を表す。
なお、この図において肺線維症罹患者の試料における各バンドの下に示した数値は、健常者の試料の対応するバンドの発光強度を1.0とした場合の肺線維症罹患者の試料の各バンドの発光強度の相対値(相対比率)を表す。
(2) この図より、健常者の血清試料について、電気泳動処理時に試料処理液(還元剤含有)を用いて還元剤を存在させた場合、ペリオスチンの一量体の位置において発光が見られること、ペリオスチンの分解物の位置において僅かな発光が見られること、及びペリオスチンの多量体の位置においては発光が見られないことが分かる。
(3) また、この図より、肺線維症罹患者の血清試料について、電気泳動処理時に試料処理液(還元剤含有)を用いて還元剤を存在させた場合、三人の肺線維症罹患者の血清試料のいずれにおいても、ペリオスチンの一量体及び分解物の位置において発光が見られること、及びペリオスチンの多量体の位置においては発光が見られないことが分かる。
(4) そして、この図に示した健常者の試料におけるバンドの発光強度を1.0とした場合の三人の肺線維症罹患者の試料の対応する各バンドの発光強度の相対値(相対比率)であるが、一量体の位置のバンドにおいては1.0〜1.5であり、肺線維症罹患者の血清試料におけるペリオスチンの一量体の量は健常者と同様であるか、又は僅かに多い範囲に留まるものであることが分かる。
また、三人の肺線維症罹患者の血清試料における前記の相対値(相対比率)は、分解物の位置のバンドにおいては2.1〜4.0であり、肺線維症罹患者の血清試料におけるペリオスチンの分解物の量は健常者の血清試料の2倍以上であり、肺線維症罹患者は健常者に比べてペリオスチンの分解物の量が顕著に多いことが分かる。
これらのことより、試料処理液(還元剤含有)を用いて還元剤存在下で電気泳動を行なった場合、前記の一連の処理により得られた各バンドのパターンにおいて、ペリオスチンの一量体及び多量体については健常者と肺線維症罹患者はほぼ同じあるが、ペリオスチンの分解物については健常者と肺線維症罹患者との間には顕著な差異があり、健常者に比較して肺線維症罹患者ではペリオスチンの分解物の量が明らかに多いことが確かめられた。
すなわち、以上の結果より、ペリオスチンの一量体及び/又は多量体を測定しても、肺線維症罹患者を健常者と分けて判別することはできないが、ペリオスチンの分解物を測定することにより、肺線維症罹患者を、健常者とは分けて判別することができることが確かめられた。
〔実施例10〕(ヒト血清中のペリオスチンの測定−1)
ヒト血清中のペリオスチンの測定を行い、本発明の抗体、測定方法、測定試薬、正確性の改善方法及び肺線維症又は間質性肺炎の検査方法の効果を確かめた。
〔1〕従来技術による測定
従来の技術により、ヒト血清中のペリオスチンの測定を以下の通り行なった。
1.試料
次の(1)〜(3)のヒト血清をそれぞれ試料とした。
(1)肺線維症罹患者(計37例)の血清
(2)間質性肺炎〔膠原病由来〕罹患者(計40例)の血清
(3)健常者(計66例)の血清
2.測定
各試料に含まれるペリオスチンの濃度を、抗ペリオスチンモノクローナル抗体を使用した酵素免疫測定法(ELISA法)により、以下の通り測定し、求めた。
(1) 前記実施例3で取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」(ペリオスチンのR1領域を認識し結合する抗体;ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物のいずれについても認識し結合する抗体)を、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)〔137mMの塩化ナトリウム、2.68mMの塩化カリウム、1.47mMのリン酸二水素カリウム、及び8.04mMのリン酸水素二ナトリウムを含有する水溶液(pH7.4)〕により2μg/mLとなるように希釈し、これを96穴マイクロタイタープレート(Thermo Fisher Scientific Inc社、イリノイ州、米国)の各ウェルに100μLずつ注入した後、25℃で18時間静置し、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」をこのマイクロタイタープレートの各ウェルに固相化した。
(2) 次に、前記(1)のマイクロタイタープレートの各ウェル中の液を除いた後、ブロッキング液〔0.5%のカゼイン、100mMの塩化ナトリウム、及び0.1%のアジ化ナトリウムを含有する50mMのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝液[Tris緩衝液](pH8.0)〕を各ウェルに250μL注入し、4℃で18時間静置した。
(3) 次に、前記(2)のマイクロタイタープレートの各ウェルを洗浄液−2〔0.05%のTween20を含有するリン酸緩衝生理食塩水(PBS)〕で3回洗浄した。
(4) 次に、前記1の(1)〜(3)の各試料それぞれについて、試料希釈液〔0.5%のカゼイン、100mMの塩化ナトリウム、及び0.1%のアジ化ナトリウムを含有する50mMのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝液[Tris緩衝液](pH8.0)〕で200倍に希釈した後、その100μLを前記(3)のマイクロタイタープレートのウェルに注入し、25℃にて18時間静置し、反応を行わせた。
これにより、試料に含まれるペリオスチンを、前記のウェルに固相化した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」に結合させた。
(5) 次に、前記(4)のマイクロタイタープレートの各ウェルを前記の洗浄液−2で5回洗浄した。
(6) 前記実施例2で取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」(ペリオスチンのR4領域を認識し結合する抗体;ペリオスチンの一量体及び多量体を認識し結合することができるものの、ペリオスチンの分解物を認識し結合することはできない抗体)にパーオキシダーゼ(POD)を結合させ標識したPOD標識抗ペリオスチンモノクローナル抗体を、前記(4)の試料希釈液で50ng/mLとなるように希釈し、その100μLを前記(5)のマイクロタイタープレートの各ウェルに注入し、25℃にて90分間静置し、反応を行わせた。
これにより、前記の固相化した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」に結合しているペリオスチンに、PODを標識した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」を結合させた。
(7) 次に、前記(6)のマイクロタイタープレートの各ウェルを前記の洗浄液−2で5回洗浄した。
(8) 次に、PODの基質液〔0.8mMの3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン(TMBZ)、2.5mMの過酸化水素、及び30mMのリン酸水素二ナトリウムを含有する20mMのクエン酸緩衝液〕の100μLを前記(7)のマイクロタイタープレートの各ウェルに注入し、25℃にて10分間静置し、反応を行わせ、発色させた。
(9) その後、前記(8)のマイクロタイタープレートの各ウェルに0.7Nの硫酸を注入し、この反応を停止させた。
(10) 次に、分光光度計を用いて、前記(9)のマイクロタイタープレートの各ウェルについて、450nmにおける吸光度の測定を行った。
(11) 前記参考例1の(1)で調製したペリオスチンを前記(4)の試料希釈液で希釈して、ペリオスチンの希釈系列を作成し、これらを標準試料とした。
次に、これらの標準試料のそれぞれについて、前記(1)〜(10)の記載の通りに測定を行い、前記の抗ペリオスチンモノクローナル抗体を使用した酵素免疫測定法(ELISA法)における「ペリオスチン濃度−吸光度」の標準曲線(検量線)を作成した。
(12) 前記(10)において測定したマイクロタイタープレートの各ウェルの吸光度を、前記(11)で作成した「ペリオスチン濃度−吸光度」の標準曲線(検量線)に当てはめ、各試料に含まれていたペリオスチンの濃度を求めた。
〔2〕本発明による測定−A
本発明により、ヒト血清中のペリオスチンの測定を以下の通り行なった。
1.試料
前記〔1〕の1の(1)〜(3)のヒト血清をそれぞれ試料とした。
2.測定
前記〔1〕の2の(6)におけるPOD標識抗ペリオスチンモノクローナル抗体の抗ペリオスチンモノクローナル抗体を、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」に代えて、前記実施例4で取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」(ペリオスチンのR2領域を認識し結合する抗体;ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物のいずれについても認識し結合する抗体)とする以外は、前記〔1〕の2の(1)〜(12)の記載の通りに測定を行い、各試料に含まれていたペリオスチンの濃度を求めた。
〔3〕本発明による測定−B
本発明により、ヒト血清中のペリオスチンの測定を以下の通り行なった。
1.試料
前記〔1〕の1の(1)〜(3)のヒト血清をそれぞれ試料とした。
2.測定
各試料に含まれるペリオスチンの濃度を、抗ペリオスチンモノクローナル抗体を使用した酵素免疫測定法(ELISA法)により、以下の通り測定し、求めた。
(1) 前記実施例5で取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS20A)」(ペリオスチンのEMI領域を認識し結合する抗体;ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物のいずれについても認識し結合する抗体)を、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)〔137mMの塩化ナトリウム、2.68mMの塩化カリウム、1.47mMのリン酸二水素カリウム、及び8.04mMのリン酸水素二ナトリウムを含有する水溶液(pH7.4)〕により2μg/mLとなるように希釈し、これを96穴マイクロタイタープレート(Thermo Fisher Scientific Inc社、イリノイ州、米国)の各ウェルに100μLずつ注入した後、25℃で18時間静置し、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS20A)」をこのマイクロタイタープレートの各ウェルに固相化した。
(2) 次に、前記(1)のマイクロタイタープレートの各ウェル中の液を除いた後、ブロッキング液〔0.5%のカゼイン、100mMの塩化ナトリウム、及び0.1%のアジ化ナトリウムを含有する50mMのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝液[Tris緩衝液](pH8.0)〕を各ウェルに250μL注入し、4℃で18時間静置した。
(3) 次に、前記(2)のマイクロタイタープレートの各ウェルを洗浄液−2〔0.05%のTween20を含有するリン酸緩衝生理食塩水(PBS)〕で3回洗浄した。
(4) 次に、前記1の各試料それぞれについて、試料希釈液〔0.5%のカゼイン、100mMの塩化ナトリウム、及び0.1%のアジ化ナトリウムを含有する50mMのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝液[Tris緩衝液](pH8.0)〕で200倍に希釈した後、その100μLを前記(3)のマイクロタイタープレートのウェルに注入し、25℃にて18時間静置し、反応を行わせた。
これにより、試料に含まれるペリオスチンを、前記のウェルに固相化した抗ペリオスチンモノクローナル抗体に結合させた。
(5) 次に、前記(4)のマイクロタイタープレートの各ウェルを前記の洗浄液−2で5回洗浄した。
(6) 前記実施例4で取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19D)」(ペリオスチンのR3領域を認識し結合する抗体;ペリオスチンの一量体及び分解物を認識し結合することができるものの、ペリオスチンの多量体を認識し結合することはできない抗体)にビオチンを結合させ標識したビオチン標識抗ペリオスチンモノクローナル抗体を、前記(4)の試料希釈液で50ng/mLとなるように希釈し、その100μLを前記(5)のマイクロタイタープレートの各ウェルに注入し、25℃にて90分間静置し、反応を行わせた。
これにより、前記の固相化した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS20A)」に結合しているペリオスチンに、ビオチンを標識した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19D)」を結合させた。
(7) 次に、前記(6)のマイクロタイタープレートの各ウェルを前記の洗浄液−2で5回洗浄した。
(8) 次に、パーオキシダーゼ(POD)を標識したストレプトアビジン(Stereospecific Detection Technologies社、ドイツ国)を、希釈液〔0.5%のカゼイン、及び100mMの塩化ナトリウムを含有する50mMのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝液[Tris緩衝液](pH8.0)〕で15,000倍希釈した後、その100μLを前記(7)のマイクロタイタープレートの各ウェルに注入し、25℃にて60分間静置し、反応を行わせた。
(9) 次に、PODの基質液〔0.8mMの3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン(TMBZ)、2.5mMの過酸化水素、及び30mMのリン酸水素二ナトリウムを含有する20mMのクエン酸緩衝液(pH3.9)〕の100μLを前記(8)のマイクロタイタープレートの各ウェルに注入し、25℃にて10分間静置し、反応を行わせ、発色させた。
(10) その後、前記(9)のマイクロタイタープレートの各ウェルに0.7Nの硫酸を注入し、この反応を停止させた。
(11) 次に、分光光度計を用いて、前記(10)のマイクロタイタープレートの各ウェルについて、450nmにおける吸光度の測定を行った。
(12) 前記参考例1の(1)で調製したペリオスチンを前記(4)の試料希釈液で希釈して、ペリオスチンの希釈系列を作成し、これらを標準試料とした。
次に、これらの標準試料のそれぞれについて、前記(1)〜(11)の記載の通りに測定を行い、前記の抗ペリオスチンモノクローナル抗体を使用した酵素免疫測定法(ELISA法)における「ペリオスチン濃度−吸光度」の標準曲線(検量線)を作成した。
(13) 前記(11)において測定したマイクロタイタープレートの各ウェルの吸光度を、前記(12)で作成した「ペリオスチン濃度−吸光度」の標準曲線(検量線)に当てはめ、各試料に含まれていたペリオスチンの濃度を求めた。
〔4〕結果
(1) 前記の〔1〕における「従来技術による測定」の測定結果、〔2〕における「本発明による測定−A」の測定結果、及び〔3〕における「本発明による測定−B」の測定結果を、それぞれ図10に示した。
(2) この図において、横軸は測定を行なった試料の区別を表し、縦軸は試料中のペリオスチン濃度の測定値(ng/mL)を表す。
そして、この図においてプロットされた各々の「○」は、それぞれの試料に含まれていたペリオスチンの濃度の測定値を表す。
なお、これらの測定における感度及び特異度の算出において、カットオフ値は、「従来技術による測定」においては82ng/mL、「本発明による測定−A」においては136ng/mL、「本発明による測定−B」においては14ng/mLに設定した。
また、この図において、横軸に平行して引かれた線は、カットオフ値を表す。
(3) 前記〔1〕における「従来技術による測定」において、肺線維症罹患者(計37例)の血清試料についての測定の感度を算出したところ62.2%であった。そして、間質性肺炎〔膠原病由来〕罹患者(計40例)の血清試料についての測定の感度を算出したところ45.0%であった。更に、測定の特異度を算出したところ95.5%であった。
(4) また、前記〔2〕における「本発明による測定−A」において、肺線維症罹患者(計37例)の血清試料についての測定の感度を算出したところ70.3%であった。そして、間質性肺炎〔膠原病由来〕罹患者(計40例)の血清試料についての測定の感度を算出したところ62.5%であった。更に、測定の特異度を算出したところ95.5%であった。
(5) また、前記〔3〕における「本発明による測定−B」において、肺線維症罹患者(計37例)の血清試料についての測定の感度を算出したところ78.4%であった。そして、間質性肺炎〔膠原病由来〕罹患者(計40例)の血清試料についての測定の感度を算出したところ72.5%であった。更に、測定の特異度を算出したところ98.5%であった。
(6) 以上のことより、ペリオスチンのR1領域を認識し結合する「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」を固相化抗体として用い、そしてペリオスチンのR4領域を認識し結合する「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」を標識抗体として用いた、前記〔1〕における「従来技術による測定」での測定結果に対して、ペリオスチンのR1領域を認識し結合する「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」を固相化抗体として用い、そしてペリオスチンのR2領域を認識し結合する「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」を標識抗体として用いた、前記〔2〕における「本発明による測定−A」での測定結果では、肺線維症罹患者(計37例)の血清試料についての測定の感度は8.1ポイント向上し、また間質性肺炎〔膠原病由来〕罹患者(計40例)の血清試料についての測定の感度は17.5ポイント向上していることが分かる。
すなわち、これらのことより、ペリオスチン又はその分解物のEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域に結合する抗体を使用し、ペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域を検出する、本発明によるペリオスチンの測定においては、測定の感度を向上させることができ、そして測定の正確性を改善することができるものであることが確かめられた。
また、これらのことより、ペリオスチンの分解物に結合する抗体を使用する、本発明によるペリオスチンの測定においては、測定の感度を向上させることができ、そして測定の正確性を改善することができるものであることが確かめられた。
また、これらのことより、本発明の肺線維症又は間質性肺炎の検査方法は、その測定の感度又は特異度等を向上させ、測定の正確性を改善し、正確なペリオスチンの測定値を得ることができるものであって、肺線維症又は間質性肺炎の罹患者と、健常者や他の疾患の罹患者との鑑別を向上させ、診断を誤らせることを防ぐことができるものであることが確かめられた。
(7) また、ペリオスチンのR1領域を認識し結合する「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」を固相化抗体として用い、そしてペリオスチンのR4領域を認識し結合する「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」を標識抗体として用いた、前記〔1〕における「従来技術による測定」での測定結果に対して、ペリオスチンのEMI領域を認識し結合する「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS20A)」を固相化抗体として用い、そしてペリオスチンのR3領域を認識し結合する「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19D)」を標識抗体として用いた、前記〔3〕における「本発明による測定−B」での測定結果では、肺線維症罹患者(計37例)の血清試料についての測定の感度は16.2ポイント向上し、間質性肺炎〔膠原病由来〕罹患者(計40例)の血清試料についての測定の感度は27.5ポイント向上し、また測定の特異度は3.0ポイント向上していることが分かる。
すなわち、これらのことより、ペリオスチン又はその分解物のEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域に結合し、かつペリオスチンの多量体に結合しない抗体を使用し、ペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域を検出する、本発明によるペリオスチンの測定においては、測定の感度を大幅に向上させることができ、また測定の特異度を向上させることができ、そして測定の正確性を改善することができるものであることが確かめられた。
また、これらのことより、ペリオスチンの分解物に結合でき、かつペリオスチンの多量体には結合しない抗体を使用する、本発明によるペリオスチンの測定においては、測定の感度を大幅に向上させることができ、また測定の特異度を向上させることができ、そして測定の正確性を改善することができるものであることが確かめられた。
また、これらのことより、ペリオスチンの分解物に結合でき、かつペリオスチンの多量体には結合しない抗体を使用する、本発明の肺線維症又は間質性肺炎の検査方法は、その測定の感度又は特異度等を大幅に向上させ、測定の正確性を改善し、正確なペリオスチンの測定値を得ることができるものであって、肺線維症又は間質性肺炎の罹患者と、健常者や他の疾患の罹患者との鑑別を更に向上させ、診断を誤らせることを防ぐことができるものであることが確かめられた。
〔実施例11〕(ヒト血清中のペリオスチンの測定結果のROC解析)
ヒト血清中のペリオスチンの測定を行い、その測定結果のROC曲線(受信者動作特性曲線;Receiver Operating Characteristic Curve)を作成し、解析を行なった。
1.試料
次の(1)及び(2)のヒト血清をそれぞれ試料とした。
(1)陽性試料(計77例)
肺線維症罹患者(計37例)の血清、及び間質性肺炎〔膠原病由来〕罹患者(計40例)の血清を、陽性試料として用いた。
(2)陰性試料(計66例)
健常者(計66例)の血清を、陰性試料として用いた。
2.測定
各試料に含まれるペリオスチンの濃度を、抗ペリオスチンモノクローナル抗体を使用した酵素免疫測定法(ELISA法)により、以下の通り測定し、求めた。
(1)従来技術による測定−a
(a) 前記実施例3で取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」(ペリオスチンのR1領域を認識し結合する抗体;ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物のいずれについても認識し結合する抗体)を、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)〔137mMの塩化ナトリウム、2.68mMの塩化カリウム、1.47mMのリン酸二水素カリウム、及び8.04mMのリン酸水素二ナトリウムを含有する水溶液(pH7.4)〕により2μg/mLとなるように希釈し、これを96穴マイクロタイタープレート(Thermo Fisher Scientific Inc社、イリノイ州、米国)の各ウェルに100μLずつ注入した後、25℃で18時間静置し、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」をこのマイクロタイタープレートの各ウェルに固相化した。
(b) 次に、前記(a)のマイクロタイタープレートの各ウェルの中の液を除いた後、ブロッキング液〔0.5%のカゼイン、100mMの塩化ナトリウム、及び0.1%のアジ化ナトリウムを含有する50mMのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝液[Tris緩衝液](pH8.0)〕を各ウェルに250μL注入し、4℃で18時間静置した。
(c) 次に、前記(b)のマイクロタイタープレートの各ウェルを洗浄液−2〔0.05%のTween20を含有するリン酸緩衝生理食塩水(PBS)〕で3回洗浄した。
(d) 次に、前記1の(1)及び(2)の各試料それぞれについて、試料希釈液〔0.5%のカゼイン、100mMの塩化ナトリウム、及び0.1%のアジ化ナトリウムを含有する50mMのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝液[Tris緩衝液](pH8.0)〕で200倍に希釈した後、その100μLを前記(c)のマイクロタイタープレートのウェルに注入し、25℃にて18時間静置し、反応を行わせた。
これにより、試料に含まれるペリオスチンを、前記のウェルに固相化した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」に結合させた。
(e) 次に、前記(d)のマイクロタイタープレートの各ウェルを前記の洗浄液−2で5回洗浄した。
(f) 前記実施例2で取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」(ペリオスチンのR4領域を認識し結合する抗体;ペリオスチンの一量体及び多量体を認識し結合することができるものの、ペリオスチンの分解物を認識し結合することはできない抗体)にビオチンを結合させ標識したビオチン標識抗ペリオスチンモノクローナル抗体を、前記(d)の試料希釈液で50ng/mLとなるように希釈し、その100μLを前記(e)のマイクロタイタープレートの各ウェルに注入し、25℃にて90分間静置し、反応を行わせた。
これにより、前記の固相化した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」に結合しているペリオスチンに、ビオチンを標識した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」を結合させた。
(g) 次に、前記(f)のマイクロタイタープレートの各ウェルを前記の洗浄液−2で5回洗浄した。
(h) 次に、パーオキシダーゼ(POD)を標識したストレプトアビジン(Stereospecific Detection Technologies社、ドイツ国)を、希釈液〔0.5%のカゼイン、及び100mMの塩化ナトリウムを含有する50mMのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝液[Tris緩衝液](pH8.0)〕で15,000倍希釈した後、その100μLを前記(g)のマイクロタイタープレートの各ウェルに注入し、25℃にて60分間静置し、反応を行わせた。
(i) 次に、PODの基質液〔0.8mMの3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン(TMBZ)、2.5mMの過酸化水素、及び30mMのリン酸水素二ナトリウムを含有する20mMのクエン酸緩衝液(pH3.9)〕の100μLを前記(h)のマイクロタイタープレートの各ウェルに注入し、25℃にて10分間静置し、反応を行わせ、発色させた。
(j) その後、前記(i)のマイクロタイタープレートの各ウェルに0.7Nの硫酸を注入し、この反応を停止させた。
(k) 次に、分光光度計を用いて、前記(j)のマイクロタイタープレートの各ウェルについて、450nmにおける吸光度の測定を行った。
(l) 前記参考例1の(1)で調製したペリオスチンを前記(d)の試料希釈液で希釈して、ペリオスチンの希釈系列を作成し、これらを標準試料とした。
次に、これらの標準試料のそれぞれについて、前記(a)〜(k)の記載の通りに測定を行い、前記の抗ペリオスチンモノクローナル抗体を使用した酵素免疫測定法(ELISA法)における「ペリオスチン濃度−吸光度」の標準曲線(検量線)を作成した。
(m) 前記(k)において測定したマイクロタイタープレートの各ウェルの吸光度を、前記(l)で作成した「ペリオスチン濃度−吸光度」の標準曲線(検量線)に当てはめ、各試料に含まれていたペリオスチンの濃度を求めた。
(n) ROC曲線の作成
前記1の(1)の陽性試料及び前記1の(2)の陰性試料それぞれについての前記(m)におけるペリオスチン濃度の測定値より、ROC曲線を作成した。
なお、このROC曲線の作成において、分布の仮定はノンパラメトリックとし、信頼水準は95%に設定した。
また、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」を固相化抗体として用い、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」を標識抗体として用いる本測定においては、前記の実施例8における検討結果及び図7より分かるように、ペリオスチンの多量体及び一量体を測定することができるものである。
(2)本発明による測定−a
前記(1)の(f)におけるビオチン標識抗ペリオスチンモノクローナル抗体の抗ペリオスチンモノクローナル抗体を、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」に代えて、前記実施例4で取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」(ペリオスチンのR2領域を認識し結合する抗体;ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物のいずれについても認識し結合する抗体)とすること以外は、前記(1)の(a)〜(n)の記載の通りに測定及び処理を行い、各試料に含まれていたペリオスチンの濃度を求め、そしてROC曲線を作成した。
なお、このROC曲線の作成において、分布の仮定はノンパラメトリックとし、信頼水準は95%に設定した。
また、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」を固相化抗体として用い、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」を標識抗体として用いる本測定においては、前記の実施例8における検討結果及び図7より分かるように、ペリオスチンの多量体、一量体及び分解物を測定することができるものである。
(3)本発明による測定−b
前記(1)の(a)におけるマイクロタイタープレートのウェルに固相化した抗ペリオスチンモノクローナル抗体の抗ペリオスチンモノクローナル抗体を、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」に代えて、前記実施例5で取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS20A)」(ペリオスチンのEMI領域を認識し結合する抗体;ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物のいずれについても認識し結合する抗体)とすること、及び前記(1)の(f)におけるビオチン標識抗ペリオスチンモノクローナル抗体の抗ペリオスチンモノクローナル抗体を、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」に代えて、前記実施例4で取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19D)」(ペリオスチンのR3領域を認識し結合する抗体;ペリオスチンの一量体及び分解物を認識し結合することができるものの、ペリオスチンの多量体を認識し結合することはできない抗体)とすることの二つのこと以外は、前記(1)の(a)〜(n)の記載の通りに測定及び処理を行い、各試料に含まれていたペリオスチンの濃度を求め、そしてROC曲線を作成した。
なお、このROC曲線の作成において、分布の仮定はノンパラメトリックとし、信頼水準は95%に設定した。
また、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS20A)」を固相化抗体として用い、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19D)」を標識抗体として用いる本測定においては、前記の実施例8における検討結果及び図7より分かるように、ペリオスチンの一量体及び分解物を測定することができるものである。
(4)従来技術による測定−b
前記(1)の(a)におけるマイクロタイタープレートのウェルに固相化した抗ペリオスチンモノクローナル抗体の抗ペリオスチンモノクローナル抗体を、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」に代えて、前記実施例4で取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19D)」(ペリオスチンのR3領域を認識し結合する抗体;ペリオスチンの一量体及び分解物を認識し結合することができるものの、ペリオスチンの多量体を認識し結合することはできない抗体)とすること以外は、前記(1)の(a)〜(n)の記載の通りに測定及び処理を行い、各試料に含まれていたペリオスチンの濃度を求め、そしてROC曲線を作成した。
なお、このROC曲線の作成において、分布の仮定はノンパラメトリックとし、信頼水準は95%に設定した。
また、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19D)」を固相化抗体として用い、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」を標識抗体として用いる本測定においては、前記の実施例8における検討結果及び図7より分かるように、ペリオスチンの一量体のみを測定することができるものである。
(5)本発明による測定−c
ペリオスチンの分解物のみを測定することができる測定系のROC曲線を計算により求め、作成した。
具体的には、前記(3)の「本発明による測定−b」における測定結果より、前記(4)の「従来技術による測定−b」における測定結果を差引いて、ROC曲線を作成した。〔すなわち、前記(3)の測定結果(ペリオスチンの一量体及び分解物を測定することができるもの)より、前記(4)の測定結果(ペリオスチンの一量体のみを測定することができるもの)を差し引いて、ペリオスチンの分解物のみを測定することができる測定系のROC曲線を作成した。〕
3.結果
(1) 前記の通り、肺線維症罹患者及び間質性肺炎〔膠原病由来〕罹患者の血清からなる陽性試料、及び健常者の血清からなる陰性試料それぞれに含まれるペリオスチンの濃度の測定結果等より作成したROC曲線の全てを図11に示した。
なお、この図の各ROC曲線の横軸はこの測定における「1−特異度」の値を表し、縦軸はこの測定における「感度」を表す。
また、この図の各ROC曲線に「AUC」として記載した値であるが、このAUCの値はROC曲線下の面積(Area Under the Curve)を表し、このAUCの値が大きい程、その測定の感度、特異度は高いものであり、すなわち測定の正確性が高いものであり、測定において好ましいものである。
以下、これらの各ROC曲線について記載する。
(2) 前記2の(1)の「従来技術による測定−a」におけるROC曲線、すなわち固相化抗体としてペリオスチンのR1領域を認識し結合する「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」を使用し、標識抗体としてペリオスチンのR4領域を認識し結合する「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」を使用し、ペリオスチンのR1領域及びR4領域を検出するものであって、そしてペリオスチンの多量体及び一量体を測定することができる測定系におけるROC曲線において、算出したAUCの値は0.850であった。
(3) また、前記2の(2)の「本発明による測定−a」におけるROC曲線、すなわち固相化抗体としてペリオスチンのR1領域を認識し結合する「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」を使用し、標識抗体としてペリオスチンのR2領域を認識し結合する「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」を使用し、ペリオスチンのR1領域及びR2領域を検出するものであって、そしてペリオスチンの多量体、一量体及び分解物を測定することができる測定系におけるROC曲線において、算出したAUCの値は0.856であった。
(4) また、前記2の(3)の「本発明による測定−b」におけるROC曲線、すなわち固相化抗体としてペリオスチンのEMI領域を認識し結合する「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS20A)」を使用し、標識抗体としてペリオスチンのR3領域を認識し結合する「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19D)」を使用し、ペリオスチンのEMI領域及びR3領域を検出するものであって、そしてペリオスチンの一量体及び分解物を測定することができる測定系におけるROC曲線において、算出したAUCの値は0.972であった。
(5) また、前記2の(4)の「従来技術による測定−b」におけるROC曲線、すなわち固相化抗体としてペリオスチンのR3領域を認識し結合する「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19D)」を使用し、標識抗体としてペリオスチンのR4領域を認識し結合する「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」を使用し、ペリオスチンのR3領域及びR4領域を検出するものであって、そしてペリオスチンの一量体のみを測定することができる測定系におけるROC曲線において、算出したAUCの値は0.681であった。
(6) また、前記2の(5)の「本発明による測定−c」におけるROC曲線、すなわち前記2の(3)の「本発明による測定−b」における測定結果より、前記2の(4)の「従来技術による測定−b」における測定結果を差引いて作成した、ペリオスチンの分解物のみを測定することができる測定系におけるROC曲線において、算出したAUCの値は0.998であった。
(7) 以上のことより、「ペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域又はR3領域」以外の領域を検出し、すなわちペリオスチンのR4領域及び/又はC末端領域を検出し、ペリオスチンの分解物を測定することができない前記2の(4)の「従来技術による測定−b」のROC曲線(AUC=0.681)及び前記2の(1)の「従来技術による測定−a」のROC曲線(AUC=0.850)に比較して、ペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域を検出するものである、すなわちペリオスチンの分解物に結合する抗体を使用する(つまり、ペリオスチンの分解物を測定することができる)ものである前記2の(2)の「本発明による測定−a」のROC曲線(AUC=0.856)、前記2の(3)の「本発明による測定−b」のROC曲線(AUC=0.972)、及び前記2の(5)の「本発明による測定−c」のROC曲線(AUC=0.998)はいずれもAUCの値が増加しており、測定の感度、特異度、つまり測定の正確性が改善していることが分かる。
特に、ペリオスチンの分解物に結合し、かつペリオスチンの多量体に結合しない抗体を使用する(つまり、ペリオスチンの分解物を測定することができるものの、ペリオスチンの多量体は測定することができない)前記2の(3)の「本発明による測定−b」のROC曲線(AUC=0.972)、及び前記2の(5)の「本発明による測定−c」のROC曲線(AUC=0.998)においては、いずれもAUCの値の増加が顕著であり、測定の感度、特異度、つまり測定の正確性が大幅に改善していることが分かる。
すなわち、これらのことより、本発明のペリオスチンの測定方法、ペリオスチンの測定試薬、及びペリオスチン測定の正確性の改善方法は、測定の感度、又は特異度等を向上させ、測定の正確性を改善することができることが確かめられた。
また、これらのことより、本発明の肺線維症又は間質性肺炎の検査方法は、その測定の感度又は特異度等を向上させ、測定の正確性を改善し、正確なペリオスチンの測定値を得ることができるものであって、肺線維症又は間質性肺炎の罹患者と、健常者や他の疾患の罹患者との鑑別を向上させ、診断を誤らせることを防ぐことができるものであることが確かめられた。
〔実施例12〕(ヒト血清中のペリオスチンの測定−2)
ヒト血清中のペリオスチンの測定を行い、本発明の抗体、測定方法、測定試薬、及び正確性の改善方法の効果を確かめた。
1.試料
次の(1)及び(2)のヒト血清をそれぞれ試料とした。
(1)陽性試料(計26例)
肺線維症罹患者(計16例)の血清、及び間質性肺炎〔膠原病由来〕罹患者(計10例)の血清を、陽性試料として用いた。
(2)陰性試料(計54例)
健常者(計54例)の血清を、陰性試料として用いた。
2.測定
各試料に含まれるペリオスチンの濃度を、抗ペリオスチンモノクローナル抗体を使用した酵素免疫測定法(ELISA法)により、以下の通り測定し、求めた。
(1)従来技術による測定−1
(a) 前記実施例3で取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」(ペリオスチンのR1領域を認識し結合する抗体;ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物のいずれについても認識し結合する抗体)を、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)〔137mMの塩化ナトリウム、2.68mMの塩化カリウム、1.47mMのリン酸二水素カリウム、及び8.04mMのリン酸水素二ナトリウムを含有する水溶液(pH7.4)〕により2μg/mLとなるように希釈し、これを96穴マイクロタイタープレート(Thermo Fisher Scientific Inc社、イリノイ州、米国)の各ウェルに100μLずつ注入した後、25℃で18時間静置し、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」をこのマイクロタイタープレートの各ウェルに固相化した。
(b) 次に、前記(a)のマイクロタイタープレートの各ウェル中の液を除いた後、ブロッキング液〔0.5%のカゼイン、100mMの塩化ナトリウム、及び0.1%のアジ化ナトリウムを含有する50mMのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝液[Tris緩衝液](pH8.0)〕を各ウェルに250μL注入し、4℃で18時間静置した。
(c) 次に、前記(b)のマイクロタイタープレートの各ウェルを洗浄液−2〔0.05%のTween20を含有するリン酸緩衝生理食塩水(PBS)〕で3回洗浄した。
(d) 次に、前記1の(1)及び(2)の各試料それぞれについて、試料希釈液〔0.5%のカゼイン、100mMの塩化ナトリウム、及び0.1%のアジ化ナトリウムを含有する50mMのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝液[Tris緩衝液](pH8.0)〕で200倍に希釈した後、その100μLを前記(c)のマイクロタイタープレートのウェルに注入し、25℃にて18時間静置し、反応を行わせた。
これにより、試料に含まれるペリオスチンを、前記のウェルに固相化した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」に結合させた。
(e) 次に、前記(d)のマイクロタイタープレートの各ウェルを前記の洗浄液−2で5回洗浄した。
(f) 前記実施例2で取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」(ペリオスチンのR4領域を認識し結合する抗体;ペリオスチンの一量体及び多量体を認識し結合することができるものの、ペリオスチンの分解物を認識し結合することはできない抗体)にビオチンを結合させ標識したビオチン標識抗ペリオスチンモノクローナル抗体を、前記(d)の試料希釈液で50ng/mLとなるように希釈し、その100μLを前記(e)のマイクロタイタープレートの各ウェルに注入し、25℃にて90分間静置し、反応を行わせた。
これにより、前記の固相化した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」に結合しているペリオスチンに、ビオチンを標識した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」を結合させた。
(g) 次に、前記(f)のマイクロタイタープレートの各ウェルを前記の洗浄液−2で5回洗浄した。
(h) 次に、パーオキシダーゼ(POD)を標識したストレプトアビジン(Stereospecific Detection Technologies社、ドイツ国)を、希釈液〔0.5%のカゼイン、及び100mMの塩化ナトリウムを含有する50mMのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝液[Tris緩衝液](pH8.0)〕で15,000倍希釈した後、その100μLを前記(g)のマイクロタイタープレートの各ウェルに注入し、25℃にて60分間静置し、反応を行わせた。
(i) 次に、PODの基質液〔0.8mMの3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン(TMBZ)、2.5mMの過酸化水素、及び30mMのリン酸水素二ナトリウムを含有する20mMのクエン酸緩衝液(pH3.9)〕の100μLを前記(h)のマイクロタイタープレートの各ウェルに注入し、25℃にて10分間静置し、反応を行わせ、発色させた。
(j) その後、前記(i)のマイクロタイタープレートの各ウェルに0.7Nの硫酸を注入し、この反応を停止させた。
(k) 次に、分光光度計を用いて、前記(j)のマイクロタイタープレートの各ウェルについて、450nmにおける吸光度の測定を行った。
(l) 前記参考例1の(1)で調製したペリオスチンを前記(d)の試料希釈液で希釈して、ペリオスチンの希釈系列を作成し、これらを標準試料とした。
次に、これらの標準試料のそれぞれについて、前記(a)〜(k)の記載の通りに測定を行い、前記の抗ペリオスチンモノクローナル抗体を使用した酵素免疫測定法(ELISA法)における「ペリオスチン濃度−吸光度」の標準曲線(検量線)を作成した。
(m) 前記(k)において測定したマイクロタイタープレートの各ウェルの吸光度を、前記(l)で作成した「ペリオスチン濃度−吸光度」の標準曲線(検量線)に当てはめ、各試料に含まれていたペリオスチンの濃度を求めた。
なお、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」を固相化抗体として用い、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」を標識抗体として用いる本測定においては、前記の実施例8における検討結果及び図7より分かるように、ペリオスチンの多量体及び一量体を測定することができるものである。
(2)本発明による測定−1
前記(1)の(f)におけるビオチン標識抗ペリオスチンモノクローナル抗体の抗ペリオスチンモノクローナル抗体を、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」に代えて、前記実施例4で取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」(ペリオスチンのR2領域を認識し結合する抗体;ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物のいずれについても認識し結合する抗体)とすること以外は、前記(1)の(a)〜(m)の記載の通りに測定及び処理を行い、各試料に含まれていたペリオスチンの濃度を求めた。
なお、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」を固相化抗体として用い、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」を標識抗体として用いる本測定においては、前記の実施例8における検討結果及び図7より分かるように、ペリオスチンの多量体、一量体及び分解物を測定することができるものである。
(3)本発明による測定−2
前記(1)の(a)におけるマイクロタイタープレートのウェルに固相化した抗ペリオスチンモノクローナル抗体の抗ペリオスチンモノクローナル抗体を、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」に代えて、前記実施例5で取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS20A)」(ペリオスチンのEMI領域を認識し結合する抗体;ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物のいずれについても認識し結合する抗体)とすること、及び前記(1)の(f)におけるビオチン標識抗ペリオスチンモノクローナル抗体の抗ペリオスチンモノクローナル抗体を、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」に代えて、前記実施例4で取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19D)」(ペリオスチンのR3領域を認識し結合する抗体;ペリオスチンの一量体及び分解物を認識し結合することができるものの、ペリオスチンの多量体を認識し結合することはできない抗体)とすることの二つのこと以外は、前記(1)の(a)〜(m)の記載の通りに測定及び処理を行い、各試料に含まれていたペリオスチンの濃度を求めた。
なお、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS20A)」を固相化抗体として用い、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19D)」を標識抗体として用いる本測定においては、前記の実施例8における検討結果及び図7より分かるように、ペリオスチンの一量体及び分解物を測定することができるものである。
(4)従来技術による測定−2
前記(1)の(a)におけるマイクロタイタープレートのウェルに固相化した抗ペリオスチンモノクローナル抗体の抗ペリオスチンモノクローナル抗体を、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」に代えて、前記実施例4で取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19D)」(ペリオスチンのR3領域を認識し結合する抗体;ペリオスチンの一量体及び分解物を認識し結合することができるものの、ペリオスチンの多量体を認識し結合することはできない抗体)とすること以外は、前記(1)の(a)〜(m)の記載の通りに測定及び処理を行い、各試料に含まれていたペリオスチンの濃度を求めた。
なお、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19D)」を固相化抗体として用い、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」を標識抗体として用いる本測定においては、前記の実施例8における検討結果及び図7より分かるように、ペリオスチンの一量体のみを測定することができるものである。
(5)従来技術による測定−3
前記(1)の(a)におけるマイクロタイタープレートのウェルに固相化した抗ペリオスチンモノクローナル抗体の抗ペリオスチンモノクローナル抗体を、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」に代えて、前記実施例4で取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19D)」(ペリオスチンのR3領域を認識し結合する抗体;ペリオスチンの一量体及び分解物を認識し結合することができるものの、ペリオスチンの多量体を認識し結合することはできない抗体)とすること、及び前記(1)の(f)におけるビオチン標識抗ペリオスチンモノクローナル抗体の抗ペリオスチンモノクローナル抗体を、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」に代えて、前記実施例4で取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19A)」(ペリオスチンのR4領域を認識し結合する抗体;ペリオスチンの一量体及び多量体を認識し結合することができるものの、ペリオスチンの分解物を認識し結合することはできない抗体)とすることの二つのこと以外は、前記(1)の(a)〜(m)の記載の通りに測定及び処理を行い、各試料に含まれていたペリオスチンの濃度を求めた。
なお、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19D)」を固相化抗体として用い、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19A)」を標識抗体として用いる本測定においては、前記の実施例8における検討結果及び図7より分かるように、ペリオスチンの一量体のみを測定することができるものである。
(6)従来技術による測定−4
前記(1)の(a)におけるマイクロタイタープレートのウェルに固相化した抗ペリオスチンモノクローナル抗体の抗ペリオスチンモノクローナル抗体を、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」に代えて、前記実施例4で取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19D)」(ペリオスチンのR3領域を認識し結合する抗体;ペリオスチンの一量体及び分解物を認識し結合することができるものの、ペリオスチンの多量体を認識し結合することはできない抗体)とすること、及び前記(1)の(f)におけるビオチン標識抗ペリオスチンモノクローナル抗体の抗ペリオスチンモノクローナル抗体を、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」に代えて、前記実施例6で取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS21A)」(ペリオスチンのC末端領域を認識し結合する抗体;ペリオスチンの一量体及び多量体を認識し結合することができるものの、ペリオスチンの分解物を認識し結合することはできない抗体)とすることの二つのこと以外は、前記(1)の(a)〜(m)の記載の通りに測定及び処理を行い、各試料に含まれていたペリオスチンの濃度を求めた。
なお、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19D)」を固相化抗体として用い、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS21A)」を標識抗体として用いる本測定においては、前記の実施例8における検討結果及び図7より分かるように、ペリオスチンの一量体のみを測定することができるものである。
(7)本発明による測定−3
前記(1)の(a)におけるマイクロタイタープレートのウェルに固相化した抗ペリオスチンモノクローナル抗体の抗ペリオスチンモノクローナル抗体を、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」に代えて、前記実施例4で取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19D)」(ペリオスチンのR3領域を認識し結合する抗体;ペリオスチンの一量体及び分解物を認識し結合することができるものの、ペリオスチンの多量体を認識し結合することはできない抗体)とすること、及び前記(1)の(f)におけるビオチン標識抗ペリオスチンモノクローナル抗体の抗ペリオスチンモノクローナル抗体を、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」に代えて、前記実施例5で取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS20A)」(ペリオスチンのEMI領域を認識し結合する抗体;ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物のいずれについても認識し結合する抗体)とすることの二つのこと以外は、前記(1)の(a)〜(m)の記載の通りに測定及び処理を行い、各試料に含まれていたペリオスチンの濃度を求めた。
なお、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19D)」を固相化抗体として用い、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS20A)」を標識抗体として用いる本測定においては、前記の実施例8における検討結果及び図7より分かるように、ペリオスチンの一量体及び分解物を測定することができるものである。
(8)本発明による測定−4
前記(1)の(a)におけるマイクロタイタープレートのウェルに固相化した抗ペリオスチンモノクローナル抗体の抗ペリオスチンモノクローナル抗体を、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」に代えて、前記実施例1で取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS16A)」(ペリオスチンのR3領域を認識し結合する抗体;ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物のいずれについても認識し結合する抗体)とすること、及び前記(1)の(f)におけるビオチン標識抗ペリオスチンモノクローナル抗体の抗ペリオスチンモノクローナル抗体を、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」に代えて、前記実施例3で取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」(ペリオスチンのR1領域を認識し結合する抗体;ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物のいずれについても認識し結合する抗体)とすることの二つのこと以外は、前記(1)の(a)〜(m)の記載の通りに測定及び処理を行い、各試料に含まれていたペリオスチンの濃度を求めた。
なお、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS16A)」を固相化抗体として用い、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」を標識抗体として用いる本測定においては、前記の実施例8における検討結果及び図7より分かるように、ペリオスチンの多量体、一量体及び分解物を測定することができるものである。
(9)従来技術による測定−5
前記(1)の(a)におけるマイクロタイタープレートのウェルに固相化した抗ペリオスチンモノクローナル抗体の抗ペリオスチンモノクローナル抗体を、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」に代えて、前記実施例4で取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19B)」(ペリオスチンのC末端領域を認識し結合する抗体;ペリオスチンの一量体及び多量体を認識し結合することができるものの、ペリオスチンの分解物を認識し結合することはできない抗体)とすること以外は、前記(1)の(a)〜(m)の記載の通りに測定及び処理を行い、各試料に含まれていたペリオスチンの濃度を求めた。
なお、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19B)」を固相化抗体として用い、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」を標識抗体として用いる本測定においては、前記の実施例8における検討結果及び図7より分かるように、ペリオスチンの多量体及び一量体を測定することができるものである。
(10)本発明による測定−5
前記(1)の(a)におけるマイクロタイタープレートのウェルに固相化した抗ペリオスチンモノクローナル抗体の抗ペリオスチンモノクローナル抗体を、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」に代えて、前記実施例4で取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」(ペリオスチンのR2領域を認識し結合する抗体;ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物のいずれについても認識し結合する抗体)とすること、及び前記(1)の(f)におけるビオチン標識抗ペリオスチンモノクローナル抗体の抗ペリオスチンモノクローナル抗体を、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」に代えて、前記実施例4で取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19D)」(ペリオスチンのR3領域を認識し結合する抗体;ペリオスチンの一量体及び分解物を認識し結合することができるものの、ペリオスチンの多量体を認識し結合することはできない抗体)とすることの二つのこと以外は、前記(1)の(a)〜(m)の記載の通りに測定及び処理を行い、各試料に含まれていたペリオスチンの濃度を求めた。
なお、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」を固相化抗体として用い、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19D)」を標識抗体として用いる本測定においては、前記の実施例8における検討結果及び図7より分かるように、ペリオスチンの一量体及び分解物を測定することができるものである。
(11)本発明による測定−6
前記(1)の(a)におけるマイクロタイタープレートのウェルに固相化した抗ペリオスチンモノクローナル抗体の抗ペリオスチンモノクローナル抗体を、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」に代えて、前記実施例5で取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS20A)」(ペリオスチンのEMI領域を認識し結合する抗体;ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物のいずれについても認識し結合する抗体)とすること、及び前記(1)の(f)におけるビオチン標識抗ペリオスチンモノクローナル抗体の抗ペリオスチンモノクローナル抗体を、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」に代えて、前記実施例4で取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」(ペリオスチンのR2領域を認識し結合する抗体;ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物のいずれについても認識し結合する抗体)とすることの二つのこと以外は、前記(1)の(a)〜(m)の記載の通りに測定及び処理を行い、各試料に含まれていたペリオスチンの濃度を求めた。
なお、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS20A)」を固相化抗体として用い、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」を標識抗体として用いる本測定においては、前記の実施例8における検討結果及び図7より分かるように、ペリオスチンの多量体、一量体及び分解物を測定することができるものである。
(12)従来技術による測定−6
前記(1)の(a)におけるマイクロタイタープレートのウェルに固相化した抗ペリオスチンモノクローナル抗体の抗ペリオスチンモノクローナル抗体を、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」に代えて、前記実施例5で取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS20A)」(ペリオスチンのEMI領域を認識し結合する抗体;ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物のいずれについても認識し結合する抗体)とすること、及び前記(1)の(f)におけるビオチン標識抗ペリオスチンモノクローナル抗体の抗ペリオスチンモノクローナル抗体を、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」に代えて、前記実施例6で取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS21A)」(ペリオスチンのC末端領域を認識し結合する抗体;ペリオスチンの一量体及び多量体を認識し結合することができるものの、ペリオスチンの分解物を認識し結合することはできない抗体)とすることの二つのこと以外は、前記(1)の(a)〜(m)の記載の通りに測定及び処理を行い、各試料に含まれていたペリオスチンの濃度を求めた。
なお、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS20A)」を固相化抗体として用い、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS21A)」を標識抗体として用いる本測定においては、前記の実施例8における検討結果及び図7より分かるように、ペリオスチンの多量体及び一量体を測定することができるものである。
(13)従来技術による測定−7
前記(1)の(f)におけるビオチン標識抗ペリオスチンモノクローナル抗体の抗ペリオスチンモノクローナル抗体を、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」に代えて、前記実施例6で取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS21A)」(ペリオスチンのC末端領域を認識し結合する抗体;ペリオスチンの一量体及び多量体を認識し結合することができるものの、ペリオスチンの分解物を認識し結合することはできない抗体)とすること以外は、前記(1)の(a)〜(m)の記載の通りに測定及び処理を行い、各試料に含まれていたペリオスチンの濃度を求めた。
なお、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」を固相化抗体として用い、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS21A)」を標識抗体として用いる本測定においては、前記の実施例8における検討結果及び図7より分かるように、ペリオスチンの多量体及び一量体を測定することができるものである。
(14) 前記の(1)〜(13)の各々におけるペリオスチンの測定において、用いた固相化抗体、及び標識抗体がそれぞれペリオスチンのどの領域を認識し、結合するか(すなわち、ペリオスチンのどの領域を検出するか)を、更にこれらの各々の測定においてペリオスチンのどの領域が認識されているかを、図12に模式的に表した。
この模式図において、ペリオスチンのEMI領域を「EMI」と表記し、R1領域を「R1」と表記し、R2領域を「R2」と表記し、R3領域を「R3」と表記し、R4領域を「R4」と表記し、そしてC末端領域を「C-ter」と表記した。
また、この模式図において、下側の「Y」のマークが結合している領域は、その測定に用いた固相化抗体が認識し、結合する(すなわち、検出する)ペリオスチンの領域を示し、そして上側の「Y」のマークが結合している領域は、その測定に用いた標識抗体が認識し、結合する(すなわち、検出する)ペリオスチンの領域を示す。
また、この模式図において、太線で囲った領域は、固相化抗体及び標識抗体のそれぞれが認識し、結合した(すなわち、検出した)領域及びこれらの領域に挟まれる領域を示す。
3.結果
(1) 前記2の(1)〜(3)における測定結果を図13に、前記2の(4)〜(6)における測定結果を図14に、前記2の(7)〜(9)における測定結果を図15に、前記2の(10)〜(12)における測定結果を図16に、そして前記2の(13)における測定結果を図17に示した。
これらの図において、横軸は測定を行なった試料の区別を表し、縦軸は試料中のペリオスチン濃度の測定値(ng/mL)を表す。
そして、この図においてプロットされた各々の「○」は、それぞれの試料に含まれていたペリオスチンの濃度の値を表す。
また、この図の下方に、それぞれの試料に含まれていたペリオスチンの濃度の測定値の平均値(ng/mL)を示した。
なお、これらの測定における感度及び特異度の算出において、カットオフ値は特異度が98%を上回りかつ感度が一番高くなる濃度に設定した。
また、この図において、横軸に平行して引かれた線は、それぞれの試料に含まれていたペリオスチンの濃度の測定値の平均値(ng/mL)のレベルを表す。
(2) また、前記2の(1)〜(13)の各々の測定における、使用した固相化抗体及び標識抗体、前記固相化抗体により検出されるペリオスチンの領域、前記標識抗体により検出されるペリオスチンの領域、当該測定により測定することができるペリオスチンが一量体、多量体又は分解物のいずれであるか、測定の感度、測定の特異度、陰性試料の測定値の平均値に対する陽性試料の測定値の平均値の比率(「陽性試料の測定値の平均値」÷「陰性試料の測定値の平均値」;すなわち、陰性試料の測定値に対する陽性試料の測定値の上昇度)、並びに「作成したROC曲線のAUCの値」を、図18に示した。
(3) この図13、図14、図15、図16、図17及び図18より、以下のことが分かる。
「ペリオスチン又はその分解物のEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域に結合する抗体」以外の抗体を使用し、ペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域のいずれも検出しない場合、つまり、ペリオスチンの分解物を測定することができない場合〔前記2の(1)、(4)、(5)、(6)、(9)、(12)、及び(13)の測定の場合〕には、「測定の感度」は7.7%〜61.5%(平均値:35.7%)であり、「測定の特異度」は98.1%であり、「陰性試料の測定値の平均値に対する陽性試料の測定値の平均値の比率」(「陽性試料の測定値の平均値」÷「陰性試料の測定値の平均値」;すなわち、陰性試料の測定値に対する陽性試料の測定値の上昇度)は1.3倍〜2.1倍(平均値:1.7倍)であり、「ROC曲線のAUCの値」は0.493〜0.902(平均値:0.738)であった。
これに対して、「ペリオスチン又はその分解物のEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域に結合する抗体」を使用し、ペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域を検出する場合、つまり、ペリオスチンの分解物を測定することができる場合〔前記2の(2)、(3)、(7)、(8)、(10)、及び(11)の測定の場合〕には、「測定の感度」は73.1%〜96.2%(平均値:80.8%)であり、「測定の特異度」は98.1%であり、「陰性試料の測定値の平均値に対する陽性試料の測定値の平均値の比率」(「陽性試料の測定値の平均値」÷「陰性試料の測定値の平均値」;すなわち、陰性試料の測定値に対する陽性試料の測定値の上昇度)は1.8倍〜7.7倍(平均値:4.8倍)であり、「ROC曲線のAUCの値」は0.912〜0.994(平均値:0.943)であった。
すなわち、この「ペリオスチン又はその分解物のEMI領域、R1領域、R2領域又はR3領域のいずれかに結合する抗体」を使用し、ペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域を検出する場合には、「ペリオスチン又はその分解物のEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域に結合する抗体」以外の抗体を使用する場合に比べて、「測定の感度」、「陰性試料の測定値の平均値に対する陽性試料の測定値の平均値の比率」(「陽性試料の測定値の平均値」÷「陰性試料の測定値の平均値」;すなわち、陰性試料の測定値に対する陽性試料の測定値の上昇度)及び「ROC曲線のAUCの値」のいずれもが増加、向上しており、測定の正確性が改善されていることが分かる。
更に、「ペリオスチン又はその分解物のEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域に結合し、かつペリオスチンの多量体に結合しない抗体」を使用し、ペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域を検出し、ペリオスチンの分解物を測定することができ、かつペリオスチンの多量体を測定しないものである場合〔前記2の(3)、(7)、及び(10)の測定の場合〕には、「測定の感度」は73.1%〜96.2%(平均値:83.4%)であり、「測定の特異度」は98.1%であり、「陰性試料の測定値の平均値に対する陽性試料の測定値の平均値の比率」(「陽性試料の測定値の平均値」÷「陰性試料の測定値の平均値」;すなわち、陰性試料の測定値に対する陽性試料の測定値の上昇度)は5.8倍〜7.7倍(平均値:7.1倍)であり、「ROC曲線のAUCの値」は0.914〜0.994(平均値:0.950)であった。
すなわち、この「ペリオスチン又はその分解物のEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域に結合し、かつペリオスチンの多量体に結合しない抗体」を使用し、ペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域を検出し、ペリオスチンの分解物を測定することができ、かつペリオスチンの多量体を測定しないものである場合には、前記の「ペリオスチン又はその分解物のEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域に結合する抗体」を使用する場合に比べて、「測定の感度」、「陰性試料の測定値の平均値に対する陽性試料の測定値の平均値の比率」(「陽性試料の測定値の平均値」÷「陰性試料の測定値の平均値」;すなわち、陰性試料の測定値に対する陽性試料の測定値の上昇度)及び「ROC曲線のAUCの値」のいずれもが更に増加、向上しており、測定の正確性が更に改善されていることが分かる。
以上のことより、本発明のペリオスチンの測定方法、ペリオスチンの測定試薬、及びペリオスチン測定の正確性の改善方法は、試料に含まれるペリオスチンの測定において、測定の感度等を向上させ、測定の正確性を改善することができるものであることが確かめられた。
また、以上のことより、本発明の肺線維症又は間質性肺炎の検査方法は、その測定の感度又は特異度等を向上させ、測定の正確性を改善し、正確なペリオスチンの測定値を得ることができるものであって、肺線維症又は間質性肺炎の罹患者と、健常者や他の疾患の罹患者との鑑別を向上させ、診断を誤らせることを防ぐことができるものであることが確かめられた。
〔実施例13〕(試料中のペリオスチンの測定)
ペリオスチン濃度が分かっている試料についてペリオスチンの測定を行い、標準曲線(検量線)を作成した。
1.試料
前記参考例2のIIの〔1〕の2の「部分ペリオスチン(Δ17・18・21)」(すなわち、「ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物の混合物」であって、ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物をそれぞれ含むことが分かっている。)を、試料希釈液〔0.5%のカゼイン、100mMの塩化ナトリウム、及び0.1%のアジ化ナトリウムを含有する50mMのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝液[Tris緩衝液](pH8.0)〕で希釈して、次の(2)〜(6)のペリオスチン濃度が分かっている標準試料をそれぞれ調製し、試料とした。
また、ペリオスチンを含有しない試料希釈液〔0.5%のカゼイン、100mMの塩化ナトリウム、及び0.1%のアジ化ナトリウムを含有する50mMのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝液[Tris緩衝液](pH8.0)〕を、次の(1)のペリオスチン濃度が0ng/mLの試料(標準試料)とした。
(1)標準試料−1 (ペリオスチン濃度:0ng/mL)
(2)標準試料−2 (ペリオスチン濃度:0.125ng/mL)
(3)標準試料−3 (ペリオスチン濃度:0.25ng/mL)
(4)標準試料−4 (ペリオスチン濃度:0.5ng/mL)
(5)標準試料−5 (ペリオスチン濃度:1.0ng/mL)
(6)標準試料−6 (ペリオスチン濃度:2.0ng/mL)
2.測定
各試料に含まれるペリオスチンの濃度を、抗ペリオスチンモノクローナル抗体を使用した酵素免疫測定法(ELISA法)により測定し、求めた。
なお、この測定は、次の(a)及び(b)の事項以外は前記実施例12の2の(1)〜(13)の記載の通りに操作を行い、下の「(1)従来技術による測定−1」〜「(13)従来技術による測定−7」のそれぞれの測定における「ペリオスチン濃度−吸光度」の標準曲線、すなわち検量線を作成した。
(a) 前記実施例12の2の(1)の(d)における試料として、前記実施例12の1の(1)及び(2)の試料に代えて、前記1の(1)〜(6)の標準試料をそれぞれ用いること
(b) 前記実施例12の2の(1)の(l)及び(m)における操作に代えて、前記実施例12の2の(1)の(k)において測定した各標準試料の吸光度より「ペリオスチン濃度−吸光度」の標準曲線(検量線)を作成したこと
(1)従来技術による測定−1
(2)本発明による測定−1
(3)本発明による測定−2
(4)従来技術による測定−2
(5)従来技術による測定−3
(6)従来技術による測定−4
(7)本発明による測定−3
(8)本発明による測定−4
(9)従来技術による測定−5
(10)本発明による測定−5
(11)本発明による測定−6
(12)従来技術による測定−6
(13)従来技術による測定−7
3.結果
(1) 前記2における測定結果を図19、図20、図21、図22、図23、図24及び図25に分けて示した。
これらの図において、横軸は試料中のペリオスチン濃度(ng/mL)を表し、縦軸は測定により得た各試料の450nmにおける吸光度(ΔOD)を表す。
(2) これらの図19、図20、図21、図22、図23、図24及び図25より、本実施例において作成した各々の標準曲線(検量線)はいずれも、試料中のペリオスチン濃度の増加に伴って、得られる吸光度が増加しており、定量性を有することが分かる。
このことより、本発明のペリオスチンの測定方法、及びペリオスチンの測定試薬は、試料中のペリオスチンを正確に測定することができるものであることが確かめられた。
〔実施例14〕(抗ペリオスチンモノクローナル抗体の調製−7回目)
前記実施例1、実施例2、実施例3、実施例4、実施例5及び実施例6とは別の時に、前記実施例1の(1)〜(4)の記載の通りに操作を行い、抗ペリオスチンモノクローナル抗体の調製を行った。(7回目)
その結果、生育した融合細胞株の中から一つのクローンを確立し、SS25A株と命名した。
そして、SS25A株のモノクローナル抗体産生細胞株からラット抗ペリオスチンモノクローナル抗体(以下、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS25A)」という)を得ることができた。
〔実施例15〕(抗ペリオスチンモノクローナル抗体の調製−8回目)
前記実施例1、実施例2、実施例3、実施例4、実施例5、実施例6及び実施例14とは別の時に、前記実施例1の(1)〜(4)の記載の通りに操作を行い、抗ペリオスチンモノクローナル抗体の調製を行った。(8回目)
その結果、生育した融合細胞株の中から一つのクローンを確立し、SS27A株と命名した。
そして、SS27A株のモノクローナル抗体産生細胞株からラット抗ペリオスチンモノクローナル抗体(以下、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS27A)」という)を得ることができた。
〔実施例16〕(抗ペリオスチンモノクローナル抗体の認識部位の確認)
前記実施例14及び実施例15において取得した抗ペリオスチンモノクローナル抗体のそれぞれについて、前記実施例7の1の(1)〜(8)の記載の通りに操作を行い、これらの抗ペリオスチンモノクローナル抗体がペリオスチンのどの領域を認識しているかの確認を行った。
この測定の結果より、前記実施例14において取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS25A)」は、前記のペリオスチン及び部分ペリオスチンの内、「ペリオスチン」、「部分ペリオスチン(R1・R2領域)」、「部分ペリオスチン(R2領域)」及び「部分ペリオスチン(R1・R2・R3領域)」のみに結合し、「部分ペリオスチン(R4領域)」、「部分ペリオスチン(EMI領域)」及び「部分ペリオスチン(C末端領域)」のいずれにも結合していないことが確かめられた。
このことより、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS25A)」は、ペリオスチンのR2領域を抗原認識部(エピトープ)として認識していることが確かめられた。
また、この測定の結果より、前記実施例15において取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS27A)」は、前記のペリオスチン及び部分ペリオスチンの内、「ペリオスチン」、「部分ペリオスチン(R1・R2領域)」及び「部分ペリオスチン(R1・R2・R3領域)」のみに結合し、「部分ペリオスチン(R2領域)」、「部分ペリオスチン(R4領域)」、「部分ペリオスチン(EMI領域)」及び「部分ペリオスチン(C末端領域)」のいずれにも結合していないことが確かめられた。
このことより、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS27A)」は、ペリオスチンのR1領域を抗原認識部(エピトープ)として認識していることが確かめられた。
〔実施例17〕(抗ペリオスチンモノクローナル抗体の反応性の確認)
前記実施例14及び実施例15において取得した抗ペリオスチンモノクローナル抗体の各々について、ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物それぞれとの反応性を確認した。
1.測定
(1) 前記実施例14において取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS25A)」、及び前記実施例15において取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS27A)」のそれぞれについて、前記実施例8の〔1〕の1〜3の記載の通りに、免疫沈降処理、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法、及びウエスタンブロッティング法の各々の操作を行った。
なお、前記実施例3において取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」、前記実施例4において取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19A)」、及び前記実施例4において取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19D)」についても、対照として、前記の各操作を行った。
また、前記のSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法、及びウエスタンブロッティング法の操作において、陰性対照のレーンは設けなかった。
(2) これらの操作により、ポリビニルジフルオライド膜に、前記の各々の抗ペリオスチンモノクローナル抗体が認識し結合したペリオスチンの一量体、多量体又は分解物の分子量に応じた位置に、発色を生じさせた。
そして、この発色させたポリビニルジフルオライド膜を撮影した。
このポリビニルジフルオライド膜上の発色の有無及びその発色した位置(分子量)より、前記の各々の抗ペリオスチンモノクローナル抗体について、ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物のそれぞれとの反応性を確認した。
2.結果
(1) 前記1の(2)において撮影したポリビニルジフルオライド膜を図26に示した。
この図において、左側のレーンより順に、分子量マーカーのレーン(「MM」と表記)、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」が認識し結合したペリオスチンのレーン(「18A」と表記)、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19A)」が認識し結合したペリオスチンのレーン(「19A」と表記)、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19D)」が認識し結合したペリオスチンのレーン(「19D」と表記)、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS25A)」が認識し結合したペリオスチンのレーン(「25A」と表記)、及び「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS27A)」が認識し結合したペリオスチンのレーン(「27A」と表記)を表す。
また、この図において、150KDaと250KDaの分子量マーカーの間に位置する太いバンドはその分子量よりペリオスチンの多量体(その分子量からペリオスチンの三量体と推測される)を表し、75KDaの分子量マーカーの近辺から高分子量側にかけて見られる太いバンドはその分子量よりペリオスチンの一量体を表し、そして37KDaの分子量マーカーの近辺の太いバンドはその分子量よりペリオスチンの分解物を表す。
(2) そして、この図より、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS25A)」が認識し結合したペリオスチンのレーンにおいては、ペリオスチンの一量体及び分解物を示す位置においては発色が認められるが、ペリオスチンの多量体を示す位置においては発色が認められないので、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS25A)」はペリオスチンの一量体及び分解物を認識し結合するが、ペリオスチンの多量体は認識せず、結合しないことが確かめられた。
また、この図より、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS27A)」が認識し結合したペリオスチンのレーンにおいては、ペリオスチンの一量体及び分解物を示す位置においては発色が認められるが、ペリオスチンの多量体を示す位置においては発色が認められないので、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS27A)」はペリオスチンの一量体及び分解物を認識し結合するが、ペリオスチンの多量体は認識せず、結合しないことが確かめられた。
すなわち、この結果より、次の抗ペリオスチンモノクローナル抗体は、ペリオスチンの分解物を認識し、結合することができ、かつ、ペリオスチンの多量体を認識できず、結合することができないことが分かる。
・ 「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS25A)」
・ 「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS27A)」
なお、この「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS25A)」のモノクローナル抗体産生細胞株であるSS25A株は、独立行政法人製品評価技術基盤機構の特許微生物寄託センター(日本国千葉県木更津市かずさ鎌足二丁目5番8号)に、「受領番号:NITE AP−1285」として2012年3月16日付けにて寄託されている。この「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS25A)」のモノクローナル抗体産生細胞株であるSS25A株については、独立行政法人製品評価技術基盤機構の特許微生物寄託センター(日本国千葉県木更津市かずさ鎌足二丁目5番8号)に対し、2012年7月19日付けにて国内寄託から国際寄託への移管の申請を行い、国際寄託に移管された。[移管日:2012年7月19日](受託番号:NITE BP−1285)
また、この「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS27A)」のモノクローナル抗体産生細胞株であるSS27A株は、独立行政法人製品評価技術基盤機構の特許微生物寄託センター(日本国千葉県木更津市かずさ鎌足二丁目5番8号)に、「受領番号:NITE AP−1286」として2012年3月16日付けにて寄託されている。この「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS27A)」のモノクローナル抗体産生細胞株であるSS27A株については、独立行政法人製品評価技術基盤機構の特許微生物寄託センター(日本国千葉県木更津市かずさ鎌足二丁目5番8号)に対し、2012年7月19日付けにて国内寄託から国際寄託への移管の申請を行い、国際寄託に移管された。[移管日:2012年7月19日](受託番号:NITE BP−1286)
(3) なお、この結果において、対照とした「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」は、ペリオスチンの多量体、一量体及び分解物を示す位置のいずれにおいても発色が認められ、このことよりペリオスチンの多量体、一量体及び分解物のいずれをも認識し結合することが確かめられた。
また、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19A)」は、ペリオスチンの多量体及び一量体を示す位置においては発色が認められるが、ペリオスチンの分解物を示す位置においては発色が認められないので、このことよりペリオスチンの多量体及び一量体を認識し結合するが、ペリオスチンの分解物は認識せず、結合しないことが確かめられた。
そして、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19D)」は、ペリオスチンの一量体及び分解物を示す位置においては発色が認められるが、ペリオスチンの多量体を示す位置においては発色が認められないので、このことよりペリオスチンの一量体及び分解物を認識し結合するが、ペリオスチンの多量体は認識せず、結合しないことが確かめられた。
これらの「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19A)」、及び「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19D)」の結果は、前記実施例8における結果と同一であり、この実施例17における操作及び結果が正確なものであることが、このことからも確かめられた。
〔実施例18〕(ヒト血清中のペリオスチンの測定及び測定結果のROC解析)
ヒト血清中のペリオスチンの測定を行い、本発明の効果を確かめ、そして、測定結果のROC曲線(受信者動作特性曲線;Receiver Operating Characteristic Curve)を作成し、解析を行なった。
〔1〕ROC解析
1.試料
次の(1)及び(2)のヒト血清をそれぞれ試料とした。
(1)陽性試料(計39例)
肺線維症罹患者(計20例)の血清、及び間質性肺炎〔膠原病由来〕罹患者(計19例)の血清を、陽性試料として用いた。
(2)陰性試料(計64例)
健常者(計64例)の血清を、陰性試料として用いた。
2.測定
各試料に含まれるペリオスチンの濃度を、抗ペリオスチンモノクローナル抗体を使用した酵素免疫測定法(ELISA法)により、以下の通り測定し、求めた。
<1>従来技術による測定
前記実施例11の2の(1)の(a)〜(n)の記載の通りに測定及び処理を行い、各試料に含まれていたペリオスチンの濃度を求め、そしてROC曲線を作成した。
なお、このROC曲線の作成において、分布の仮定はノンパラメトリックとし、信頼水準は95%に設定した。
なお、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」を固相化抗体として用い、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」を標識抗体として用いる本測定においては、前記の実施例8における検討結果及び図7より分かるように、ペリオスチンの多量体及び一量体を測定することができるものである。
<2>本発明による測定−(i)
前記実施例11の2の(1)の(a)におけるマイクロタイタープレートのウェルに固相化した抗ペリオスチンモノクローナル抗体の抗ペリオスチンモノクローナル抗体を、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」に代えて、前記実施例5で取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS20A)」(ペリオスチンのEMI領域を認識し結合する抗体;ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物のいずれについても認識し結合する抗体)とすること、及び前記(1)の(f)におけるビオチン標識抗ペリオスチンモノクローナル抗体の抗ペリオスチンモノクローナル抗体を、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」に代えて、前記実施例4で取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19D)」(ペリオスチンのR3領域を認識し結合する抗体;ペリオスチンの一量体及び分解物を認識し結合することができるものの、ペリオスチンの多量体を認識し結合することはできない抗体)とすることの二つのこと以外は、前記実施例11の2の(1)の(a)〜(n)の記載の通りに測定及び処理を行い、各試料に含まれていたペリオスチンの濃度を求め、そしてROC曲線を作成した。
なお、このROC曲線の作成において、分布の仮定はノンパラメトリックとし、信頼水準は95%に設定した。
なお、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS20A)」を固相化抗体として用い、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19D)」を標識抗体として用いる本測定においては、前記の実施例8における検討結果及び図7より分かるように、ペリオスチンの一量体及び分解物を測定することができるものである。
<3>本発明による測定−(ii)
前記実施例11の2の(1)の(a)におけるマイクロタイタープレートのウェルに固相化した抗ペリオスチンモノクローナル抗体の抗ペリオスチンモノクローナル抗体を、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」に代えて、前記実施例14で取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS25A)」(ペリオスチンのR2領域を認識し結合する抗体;ペリオスチンの一量体及び分解物を認識し結合することができるものの、ペリオスチンの多量体を認識し結合することはできない抗体)とすること、及び前記(1)の(f)におけるビオチン標識抗ペリオスチンモノクローナル抗体の抗ペリオスチンモノクローナル抗体を、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」に代えて、前記実施例5で取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS20A)」(ペリオスチンのEMI領域を認識し結合する抗体;ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物のいずれについても認識し結合する抗体)とすることの二つのこと以外は、前記実施例11の2の(1)の(a)〜(n)の記載の通りに測定及び処理を行い、各試料に含まれていたペリオスチンの濃度を求め、そしてROC曲線を作成した。
なお、このROC曲線の作成において、分布の仮定はノンパラメトリックとし、信頼水準は95%に設定した。
なお、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS25A)」を固相化抗体として用い、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS20A)」を標識抗体として用いる本測定においては、前記の実施例8における検討結果及び前記の実施例16における検討結果より分かるように、ペリオスチンの一量体及び分解物を測定することができるものである。
<4>本発明による測定−(iii)
前記実施例11の2の(1)の(a)におけるマイクロタイタープレートのウェルに固相化した抗ペリオスチンモノクローナル抗体の抗ペリオスチンモノクローナル抗体を、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」に代えて、前記実施例15で取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS27A)」(ペリオスチンのR1領域を認識し結合する抗体;ペリオスチンの一量体及び分解物を認識し結合することができるものの、ペリオスチンの多量体を認識し結合することはできない抗体)とすること、及び前記(1)の(f)におけるビオチン標識抗ペリオスチンモノクローナル抗体の抗ペリオスチンモノクローナル抗体を、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」に代えて、前記実施例5で取得した「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS20A)」(ペリオスチンのEMI領域を認識し結合する抗体;ペリオスチンの一量体、多量体及び分解物のいずれについても認識し結合する抗体)とすることの二つのこと以外は、前記実施例11の2の(1)の(a)〜(n)の記載の通りに測定及び処理を行い、各試料に含まれていたペリオスチンの濃度を求め、そしてROC曲線を作成した。
なお、このROC曲線の作成において、分布の仮定はノンパラメトリックとし、信頼水準は95%に設定した。
なお、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS27A)」を固相化抗体として用い、「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS20A)」を標識抗体として用いる本測定においては、前記の実施例8における検討結果及び前記の実施例16における検討結果より分かるように、ペリオスチンの一量体及び分解物を測定することができるものである。
3.結果
(1) 前記の通り、肺線維症罹患者及び間質性肺炎〔膠原病由来〕罹患者の血清からなる陽性試料、及び健常者の血清からなる陰性試料それぞれに含まれるペリオスチンの濃度の測定結果等より作成したROC曲線の全てを図27に示した。
なお、この図の各ROC曲線の横軸はこの測定における「1−特異度」の値を表し、縦軸はこの測定における「感度」を表す。
また、この図の各ROC曲線に「AUC」として記載した値であるが、このAUCの値はROC曲線下の面積(Area Under the Curve)を表し、このAUCの値が大きい程、その測定の感度、特異度は高いものであり、すなわち測定の正確性が高いものであり、測定において好ましいものである。
以下、これらの各ROC曲線について記載する。
(2) 前記2の<1>の「従来技術による測定」におけるROC曲線、すなわち固相化抗体としてペリオスチンのR1領域を認識し結合する「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」を使用し、標識抗体としてペリオスチンのR4領域を認識し結合する「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS17B)」を使用し、ペリオスチンのR1領域及びR4領域を検出するものであって、そしてペリオスチンの多量体及び一量体を測定することができる測定系におけるROC曲線において、算出したAUCの値は0.872であった。
(3) また、前記2の<2>の「本発明による測定−(i)」におけるROC曲線、すなわち固相化抗体としてペリオスチンのEMI領域を認識し結合する「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS20A)」を使用し、標識抗体としてペリオスチンのR3領域を認識し結合する「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19D)」を使用し、ペリオスチンのEMI領域及びR3領域を検出するものであって、そしてペリオスチンの一量体及び分解物を測定することができる測定系におけるROC曲線において、算出したAUCの値は0.984であった。
(4) また、前記2の<3>の「本発明による測定−(ii)」におけるROC曲線、すなわち固相化抗体としてペリオスチンのR2領域を認識し結合する「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS25A)」を使用し、標識抗体としてペリオスチンのEMI領域を認識し結合する「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS20A)」を使用し、ペリオスチンのR2領域及びEMI領域を検出するものであって、そしてペリオスチンの一量体及び分解物を測定することができる測定系におけるROC曲線において、算出したAUCの値は0.957であった。
(5) また、前記2の<4>の「本発明による測定−(iii)」におけるROC曲線、すなわち固相化抗体としてペリオスチンのR1領域を認識し結合する「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS27A)」を使用し、標識抗体としてペリオスチンのEMI領域を認識し結合する「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS20A)」を使用し、ペリオスチンのR1領域及びEMI領域を検出するものであって、そしてペリオスチンの一量体及び分解物を測定することができる測定系におけるROC曲線において、算出したAUCの値は0.993であった。
(6) 以上のことより、「ペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域又はR3領域」以外の領域を検出し、すなわちペリオスチンのR4領域及び/又はC末端領域を検出し、ペリオスチンの分解物を測定することができない前記2の<1>の「従来技術による測定」のROC曲線(AUC=0.872)に比較して、ペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域を検出するものであり、すなわちペリオスチンの分解物に結合するものであって、かつペリオスチンの多量体に結合しない抗体を使用する(つまり、ペリオスチンの分解物を測定することができるものの、ペリオスチンの多量体は測定することができない)前記2の<2>の「本発明による測定−(i)」のROC曲線(AUC=0.984)、前記2の<3>の「本発明による測定−(ii)」のROC曲線(AUC=0.957)、及び前記2の<4>の「本発明による測定−(iii)」のROC曲線(AUC=0.993)においては、いずれもAUCの値の増加が顕著であり、測定の感度、特異度、つまり測定の正確性が大幅に改善していることが分かる。
すなわち、これらのことより、本発明のペリオスチンの測定方法、ペリオスチンの測定試薬、及びペリオスチン測定の正確性の改善方法は、測定の感度、又は特異度等を向上させ、測定の正確性を改善することができることが確かめられた。
また、これらのことより、本発明の肺線維症又は間質性肺炎の検査方法は、その測定の感度又は特異度等を向上させ、測定の正確性を改善し、正確なペリオスチンの測定値を得ることができるものであって、肺線維症又は間質性肺炎の罹患者と、健常者や他の疾患の罹患者との鑑別を向上させ、診断を誤らせることを防ぐことができるものであることが確かめられた。
〔2〕本発明の効果(測定の感度等)の確認
1.試料
次の(1)及び(2)のヒト血清をそれぞれ試料とした。
(1)陽性試料(計39例)
前記〔1〕の1の(1)と同じ肺線維症罹患者(計20例)の血清、及び間質性肺炎〔膠原病由来〕罹患者(計19例)の血清を、陽性試料として用いた。
(2)陰性試料(計64例)
前記〔1〕の1の(2)と同じ健常者(計64例)の血清を、陰性試料として用いた。
2.測定
<1>従来技術による測定
前記〔1〕の2の<1>の記載の通りに測定及び処理を行い、各試料に含まれていたペリオスチンの濃度を求めた。
<2>本発明による測定−(i)
前記〔1〕の2の<2>の記載の通りに測定及び処理を行い、各試料に含まれていたペリオスチンの濃度を求めた。
<3>本発明による測定−(ii)
前記〔1〕の2の<3>の記載の通りに測定及び処理を行い、各試料に含まれていたペリオスチンの濃度を求めた。
<4>本発明による測定−(iii)
前記〔1〕の2の<4>の記載の通りに測定及び処理を行い、各試料に含まれていたペリオスチンの濃度を求めた。
3.結果
(1) 前記2の<1>〜<4>の各々の測定における、使用した固相化抗体及び標識抗体、前記固相化抗体により検出されるペリオスチンの領域、前記標識抗体により検出されるペリオスチンの領域、当該測定により測定することができるペリオスチンが一量体、多量体又は分解物のいずれであるか、測定の感度、測定の特異度、陰性試料の測定値の平均値に対する陽性試料の測定値の平均値の比率(「陽性試料の測定値の平均値」÷「陰性試料の測定値の平均値」;すなわち、陰性試料の測定値に対する陽性試料の測定値の上昇度)、並びに「作成したROC曲線のAUCの値」を、図28に示した。
(2) この図28より、以下のことが分かる。
「ペリオスチン又はその分解物のEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域に結合する抗体」以外の抗体を使用し、ペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域のいずれも検出しない場合、つまり、ペリオスチンの分解物を測定することができない場合〔前記2の<1>の測定の場合〕には、「測定の感度」は43.6%であり、「測定の特異度」は98.4%であり、「陰性試料の測定値の平均値に対する陽性試料の測定値の平均値の比率」(「陽性試料の測定値の平均値」÷「陰性試料の測定値の平均値」;すなわち、陰性試料の測定値に対する陽性試料の測定値の上昇度)は2.8倍であり、「ROC曲線のAUCの値」は0.872であった。
これに対して、「ペリオスチン又はその分解物のEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域に結合し、かつペリオスチンの多量体に結合しない抗体」を使用し、ペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域を検出し、ペリオスチンの分解物を測定することができ、かつペリオスチンの多量体を測定しないものである場合〔前記2の<2>、<3>、及び<4>の測定の場合〕には、「測定の感度」は71.8%〜92.3%(平均値:81.2%)であり、「測定の特異度」は98.4%であり、「陰性試料の測定値の平均値に対する陽性試料の測定値の平均値の比率」(「陽性試料の測定値の平均値」÷「陰性試料の測定値の平均値」;すなわち、陰性試料の測定値に対する陽性試料の測定値の上昇度)は3.6倍〜16.1倍(平均値:8.6倍)であり、「ROC曲線のAUCの値」は0.957〜0.993(平均値:0.978)であった。
すなわち、この「ペリオスチン又はその分解物のEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域に結合し、かつペリオスチンの多量体に結合しない抗体」を使用し、ペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域を検出し、ペリオスチンの分解物を測定することができ、かつペリオスチンの多量体を測定しないものである場合には、「ペリオスチン又はその分解物のEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域に結合する抗体」以外の抗体を使用する場合に比べて、「測定の感度」、「陰性試料の測定値の平均値に対する陽性試料の測定値の平均値の比率」(「陽性試料の測定値の平均値」÷「陰性試料の測定値の平均値」;すなわち、陰性試料の測定値に対する陽性試料の測定値の上昇度)及び「ROC曲線のAUCの値」のいずれもが大幅に増加、向上しており、測定の正確性が改善されていることが分かる。
本発明のペリオスチンの測定方法、ペリオスチンの測定試薬、及びペリオスチン測定の正確性の改善方法は、試料に含まれるペリオスチンの測定において、測定の感度等を向上させ、測定の正確性を改善することができるものであることが、以上のことからも確かめられた。
また、本発明の肺線維症又は間質性肺炎の検査方法は、その測定の感度又は特異度等を向上させ、測定の正確性を改善し、正確なペリオスチンの測定値を得ることができるものであって、肺線維症又は間質性肺炎の罹患者と、健常者や他の疾患の罹患者との鑑別を向上させ、診断を誤らせることを防ぐことができるものであることが、以上のことからも確かめられた。
「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19D)」のモノクローナル抗体産生細胞株であるSS19D株は、独立行政法人製品評価技術基盤機構の特許微生物寄託センター(日本国千葉県木更津市かずさ鎌足二丁目5番8号)に、「受託番号:NITE P−1068」として2011年2月22日付けにて寄託されている。この「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19D)」のモノクローナル抗体産生細胞株であるSS19D株については、独立行政法人製品評価技術基盤機構の特許微生物寄託センター(日本国千葉県木更津市かずさ鎌足二丁目5番8号)に対し、2012年2月7日付けにて国内寄託から国際寄託への移管の申請を行い、国際寄託に移管された。[移管日:2012年2月9日](受託番号:NITE BP−1068)
「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS16A)」のモノクローナル抗体産生細胞株であるSS16A株は、独立行政法人製品評価技術基盤機構の特許微生物寄託センター(日本国千葉県木更津市かずさ鎌足二丁目5番8号)に、「受領番号:NITE AP−1281」として2012年3月16日付けにて寄託されている。この「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS16A)」のモノクローナル抗体産生細胞株であるSS16A株については、独立行政法人製品評価技術基盤機構の特許微生物寄託センター(日本国千葉県木更津市かずさ鎌足二丁目5番8号)に対し、2012年7月19日付けにて国内寄託から国際寄託への移管の申請を行い、国際寄託に移管された。[移管日:2012年7月19日](受託番号:NITE BP−1281)
「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」のモノクローナル抗体産生細胞株であるSS18A株は、独立行政法人製品評価技術基盤機構の特許微生物寄託センター(日本国千葉県木更津市かずさ鎌足二丁目5番8号)に、「受領番号:NITE AP−1282」として2012年3月16日付けにて寄託されている。この「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS18A)」のモノクローナル抗体産生細胞株であるSS18A株については、独立行政法人製品評価技術基盤機構の特許微生物寄託センター(日本国千葉県木更津市かずさ鎌足二丁目5番8号)に対し、2012年7月19日付けにて国内寄託から国際寄託への移管の申請を行い、国際寄託に移管された。[移管日:2012年7月19日](受託番号:NITE BP−1282)
「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」のモノクローナル抗体産生細胞株であるSS19C株は、独立行政法人製品評価技術基盤機構の特許微生物寄託センター(日本国千葉県木更津市かずさ鎌足二丁目5番8号)に、「受領番号:NITE AP−1283」として2012年3月16日付けにて寄託されている。この「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS19C)」のモノクローナル抗体産生細胞株であるSS19C株については、独立行政法人製品評価技術基盤機構の特許微生物寄託センター(日本国千葉県木更津市かずさ鎌足二丁目5番8号)に対し、2012年7月19日付けにて国内寄託から国際寄託への移管の申請を行い、国際寄託に移管された。[移管日:2012年7月19日](受託番号:NITE BP−1283)
「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS20A)」のモノクローナル抗体産生細胞株であるSS20A株は、独立行政法人製品評価技術基盤機構の特許微生物寄託センター(日本国千葉県木更津市かずさ鎌足二丁目5番8号)に、「受領番号:NITE AP−1284」として2012年3月16日付けにて寄託されている。この「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS20A)」のモノクローナル抗体産生細胞株であるSS20A株については、独立行政法人製品評価技術基盤機構の特許微生物寄託センター(日本国千葉県木更津市かずさ鎌足二丁目5番8号)に対し、2012年7月19日付けにて国内寄託から国際寄託への移管の申請を行い、国際寄託に移管された。[移管日:2012年7月19日](受託番号:NITE BP−1284)
「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS25A)」のモノクローナル抗体産生細胞株であるSS25A株は、独立行政法人製品評価技術基盤機構の特許微生物寄託センター(日本国千葉県木更津市かずさ鎌足二丁目5番8号)に、「受領番号:NITE AP−1285」として2012年3月16日付けにて寄託されている。この「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS25A)」のモノクローナル抗体産生細胞株であるSS25A株については、独立行政法人製品評価技術基盤機構の特許微生物寄託センター(日本国千葉県木更津市かずさ鎌足二丁目5番8号)に対し、2012年7月19日付けにて国内寄託から国際寄託への移管の申請を行い、国際寄託に移管された。[移管日:2012年7月19日](受託番号:NITE BP−1285)
「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS27A)」のモノクローナル抗体産生細胞株であるSS27A株は、独立行政法人製品評価技術基盤機構の特許微生物寄託センター(日本国千葉県木更津市かずさ鎌足二丁目5番8号)に、「受領番号:NITE AP−1286」として2012年3月16日付けにて寄託されている。この「抗ペリオスチンモノクローナル抗体(SS27A)」のモノクローナル抗体産生細胞株であるSS27A株については、独立行政法人製品評価技術基盤機構の特許微生物寄託センター(日本国千葉県木更津市かずさ鎌足二丁目5番8号)に対し、2012年7月19日付けにて国内寄託から国際寄託への移管の申請を行い、国際寄託に移管された。[移管日:2012年7月19日](受託番号:NITE BP−1286)

Claims (22)

  1. ペリオスチン又はその分解物のEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域に結合する抗体。
  2. ペリオスチンの分解物に結合する抗体である、請求項1に記載の抗体。
  3. ペリオスチンの多量体に結合しない抗体である、請求項1又は2に記載の抗体。
  4. 抗体がモノクローナル抗体である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の抗体。
  5. 抗体の重鎖可変領域のアミノ酸配列が、配列番号16で表されるアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域のアミノ酸配列が、配列番号18で表されるアミノ酸配列を含むものである、請求項4に記載の抗体。
  6. 受託番号がNITE BP-1281であるハイブリドーマSS16A株、受託番号がNITE BP-1282であるハイブリドーマSS18A株、受託番号がNITE BP-1283であるハイブリドーマSS19C株、受託番号がNITE BP-1068であるハイブリドーマSS19D株、受託番号がNITE BP-1284であるハイブリドーマSS20A株、受託番号がNITE BP-1285であるハイブリドーマSS25A株及び受託番号がNITE BP-1286であるハイブリドーマSS27A株からなる群から選ばれるいずれかのハイブリドーマにより産生されるモノクローナル抗体。
  7. 試料に含まれるペリオスチンの測定方法であって、ペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域を検出することを特徴とする、前記方法。
  8. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の抗体を使用することを特徴とする、請求項7に記載の方法。
  9. ペリオスチンがペリオスチン分解物である、請求項7又は8に記載の方法。
  10. ペリオスチンが多量体ではない、請求項7〜9のいずれか1項に記載の方法。
  11. ペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域に特異的に結合する物質を含む、試料に含まれるペリオスチン又はその分解物の測定試薬。
  12. 前記物質が請求項1〜6のいずれか1項に記載の抗体である、請求項11に記載の試薬。
  13. ペリオスチンがペリオスチン分解物である、請求項11又は12に記載の試薬。
  14. ペリオスチンが多量体ではない、請求項11〜13のいずれか1項に記載の試薬。
  15. 試料に含まれるペリオスチンの量又は濃度の測定において、ペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域を検出することを特徴とする、ペリオスチン測定の正確性の改善方法。
  16. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の抗体を使用することを特徴とする、請求項15に記載の方法。
  17. ペリオスチンがペリオスチン分解物である、請求項15又は16に記載の方法。
  18. ペリオスチンが多量体ではない、請求項15〜17のいずれか1項に記載の方法。
  19. 次の工程を含む、肺線維症又は間質性肺炎の検査方法。
    a) 被検者由来の試料におけるペリオスチンの量又は濃度を測定する工程であって、ペリオスチンのEMI領域、R1領域、R2領域及びR3領域からなる群から選ばれる少なくとも一つの領域を検出することを含む工程
    b) 被検者由来の試料におけるペリオスチンの量又は濃度と、肺線維症又は間質性肺炎のいずれにも罹患していない生体由来の試料におけるペリオスチンの量又は濃度とを比較する工程
  20. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の抗体を使用することを特徴とする、請求項19に記載の方法。
  21. ペリオスチンがペリオスチン分解物である、請求項19又は20に記載の方法。
  22. ペリオスチンが多量体ではない、請求項19〜21のいずれか1項に記載の方法。
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