JPWO2013035545A1 - 研磨砥粒およびその製造方法、研磨スラリー並びにガラス製品の製造方法 - Google Patents

研磨砥粒およびその製造方法、研磨スラリー並びにガラス製品の製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、少ない酸化セリウムの使用量で、高い研磨速度で被研磨物を研磨することができる研磨砥粒および研磨スラリーを提供することを目的とする。本発明は、母相粒子に酸化セリウムが被覆された研磨砥粒に関する。

Description

本発明は、研磨砥粒およびその製造方法、研磨スラリー並びにガラス製品の製造方法に関する。
ハードディスクドライブ向けの磁気ディスク、液晶用ガラス、半導体基板またはフォトマスクなどのガラス製品の製造における研磨工程では、生産性を向上するために、種々の手段による研磨速度の向上が検討されている。
例えば、特許文献1には、セリア結晶微小粒子またはセリア−ジルコニア固溶体結晶微粒子を含む研磨スラリーに添加剤を加えることで研磨速度を向上することができ、かつ良好なガラス基板表面性状が得られることが示されている。
特許文献2には、一次粒子径3〜60μmの炭酸セリウムを原料に用いて製造した酸化セリウム粒子を研磨剤に含有することにより、傷なく高速な研磨が可能な研磨材が得られることが示されている。
また、特許文献3には、セリウムとジルコニウムとを含む複合酸化物を研磨液組成物に用いて研磨対象基板を研磨することで、研磨対象基板におけるスクラッチの発生を抑制することができ、かつ高速な研磨が可能であることが示されている。
国際公開第2010/038617号 日本国特開第2010−30041号公報 日本国特開第2010−16064号公報
前記のとおり、ハードディスクドライブ向けの磁気ディスク、液晶用ガラス、半導体基板またはフォトマスクなどのガラス製品の製造における研磨工程においては、研磨速度が高いことから主に酸化セリウムが使用されている。しかしながら、セリウムは採掘可能な地域が限られることから安定的な供給に難があり、近年価格の高騰が起きている。
したがって、本発明は、少ない酸化セリウムの使用量で、高い研磨速度で被研磨物を研磨することができる研磨砥粒および研磨スラリーを提供することを目的とする。
本発明者らは、母相粒子に酸化セリウムが被覆された研磨砥粒を被研磨物の研磨に用いることにより、少ない酸化セリウムの使用量で、高い研磨速度で被研磨物を研磨することができることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下の通りである。
1.母相粒子に酸化セリウムが被覆された研磨砥粒。
2.前記母相粒子が硫酸、塩酸、硝酸、スルファミン酸、リン酸、シュウ酸、酒石酸、クエン酸、ギ酸、グリコール酸、酢酸、アスコルビン酸、過酸化水素、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムから選ばれる少なくとも1種の水溶液に溶解性である前項1に記載の研磨砥粒。
3.前記母相粒子が酸化マンガンおよび酸化亜鉛からなる群より選ばれる少なくとも1種の酸化物を含む前項1または2に記載の研磨砥粒。
4.前記母相粒子に被覆された酸化セリウムが母相粒子に対して0.1質量%〜25質量%である前項1〜3のいずれか1に記載の研磨砥粒。
5.前記母相粒子に被覆された酸化セリウムが母相粒子に対して0.1質量%〜20質量%である前項1〜4のいずれか1に記載の研磨砥粒。
6.比表面積が0.1〜20m/gである前項1〜5のいずれか1に記載の研磨砥粒。
7.前項1〜6のいずれか1に記載の研磨砥粒を含む研磨スラリー。
8.以下の(1)〜(3)の工程を順次含む、母相粒子に酸化セリウムが被覆された研磨砥粒の製造方法。
(1)セリウム化合物を水に溶解させて、セリウム源水溶液を得る工程
(2)工程(1)で得られたセリウム源水溶液を母相粒子に被覆し、セリウム源水溶液により被覆された母相粒子を得る工程
(3)工程(2)で得られたセリウム源水溶液で被覆された母相粒子を焼成し、酸化セリウムにより被覆された母相粒子を得る工程
9.前記工程(2)においてセリウム源水溶液を母相粒子に噴霧し、セリウム源水溶液により被覆された母相粒子を得る前項8に記載の研磨砥粒の製造方法。
10.前記セリウム化合物が酢酸セリウム、硝酸セリウム、水酸化セリウム、硫酸セリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種である前項8または9に記載の研磨砥粒の製造方法。
11.前項1〜6のいずれか1に記載の研磨砥粒または前項7に記載の研磨スラリーを用いてガラスを研磨する工程を含むガラス製品の製造方法。
本発明の研磨砥粒および研磨スラリーによれば、多量の酸化セリウムを用いることなく、高い研磨速度で被研磨物を研磨することができる。
図1は、酸化マンガンのX線プロファイルを示す。
以下、本発明に関して詳細に説明する。
〔研磨砥粒〕
本発明の研磨砥粒は、母相粒子に酸化セリウムが被覆された研磨砥粒であり、母相粒子、および該母相粒子を被覆する酸化セリウムを含む。
母相粒子としては、例えば、酸化マンガン(Mn、Mn、MnO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化鉄(Fe、Fe)、酸化銅(CuO、CuO)、酸化アルミニウム(Al)、シリカ(SiO)、酸化クロム(Cr、CrO)および酸化ジルコニウム(ZrO)が挙げられる。これらの母相粒子は一般に市販されているものを使用することができる。
母相粒子に被覆する酸化セリウムは、被研磨物への付着性が高く、容易に溶解させることもできないため、研磨後の洗浄性が悪いという欠点がある。したがって、研磨後の洗浄性を向上させる観点から、これらの中でも、硫酸、塩酸、硝酸、スルファミン酸、リン酸、シュウ酸、酒石酸、クエン酸、ギ酸、グリコール酸、酢酸、アスコルビン酸、過酸化水素、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムから選ばれる少なくとも1種の水溶液に溶解性であるものを母相粒子とすることが好ましい。
硫酸、塩酸、硝酸、スルファミン酸、リン酸、シュウ酸、酒石酸、クエン酸、ギ酸、グリコール酸、酢酸、アスコルビン酸、過酸化水素、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムから選ばれる少なくとも1種の水溶液に溶解性である母相粒子としては、例えば、酸化マンガン(Mn、Mn、MnO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化鉄(Fe、Fe)および酸化銅(CuO、CuO)が挙げられる。
より具体的には、酸化マンガン(Mn、Mn、MnO)は塩酸、硫酸、硝酸、アスコルビン酸、過酸化水素等により溶解することができる。
酸化亜鉛(ZnO)は塩酸、硝酸、硫酸等により溶解することができる。
酸化鉄(Fe、Fe)は塩酸、硝酸、硫酸等により溶解することができる。
酸化銅(CuO、CuO)は塩酸、硝酸、硫酸等により溶解することができる。
これらの母相粒子は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、これらの中でも、酸化マンガンまたは酸化亜鉛がより好ましい。酸化マンガンまたは酸化亜鉛は、酸、アルカリ、酸化剤または還元剤に対して高い溶解性があるため、母相粒子に酸化マンガンまたは酸化亜鉛を用いることで、被研磨物に影響を与えることなく、酸、アルカリ、酸化剤または還元剤を含む洗浄液により高い洗浄効果を得ることができる。
ここで、「溶解性がある」とは、室温にて1時間、硫酸、塩酸、硝酸、スルファミン酸、リン酸、シュウ酸、酒石酸、クエン酸、ギ酸、グリコール酸、酢酸、アスコルビン酸、過酸化水素、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムから選ばれる1種を0.01〜2モル%含有する水溶液に、0.1〜1質量%の母相粒子を溶解させたときに、溶出量が90質量%以上となることをいう。母相粒子の溶解性については、実施例において後述する溶解試験に準じて試験することができる。
母相粒子として、硫酸、塩酸、硝酸、スルファミン酸、リン酸、シュウ酸、酒石酸、クエン酸、ギ酸、グリコール酸、酢酸、過酸化水素、アスコルビン酸、過酸化水素、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムから選ばれる少なくとも1種の水溶液に溶解性であるものを用い、研磨後の洗浄工程において、硫酸、塩酸、硝酸、スルファミン酸、リン酸、シュウ酸、酒石酸、クエン酸、ギ酸、グリコール酸、酢酸、過酸化水素、アスコルビン酸、過酸化水素、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムから選ばれる少なくとも1種を含む洗浄液により被研磨物を洗浄することで、被研磨物に影響を与えることなく、高い洗浄効果を得ることができる。
酸化セリウムによる母相粒子の被覆量は、酸化セリウム換算で、0.1〜25質量%が好ましく、0.1〜20質量%がより好ましく、1〜10質量%がさらに好ましく、1〜5質量%が特に好ましい。被覆量が0.1質量%以上であると研磨速度向上の効果が得られ、25質量%以下であるとセリウム使用量を減らすことができ、20質量%以下であるとセリウム使用量をより減らすことができる。
母相粒子を酸化セリウムにより被覆した研磨砥粒の比表面積は、0.1〜20m/gが好ましく、0.5〜15m/gがより好ましく、1〜10m/gがさらに好ましい。研磨砥粒の比表面積が0.1m/g以上であると粗大粒による研磨傷を抑制でき、20m/g以下であると十分な研磨速度を得ることができる。研磨砥粒の比表面積は、実施例において後述する方法により測定する。
〔研磨砥粒の製造方法〕
本発明の研磨砥粒は、以下の(1)〜(3)の工程を順次含む製造方法により製造することができる。
(1)セリウム化合物を水に溶解させてセリウム源水溶液を得る工程
(2)工程(1)で得られたセリウム源水溶液を母相粒子に被覆し、セリウム源水溶液により被覆された母相粒子を得る工程
(3)工程(2)で得られたセリウム源水溶液で被覆された母相粒子を焼成し、酸化セリウムにより被覆された母相粒子を得る工程
以下、工程毎に説明する。
(1)セリウム化合物を水に溶解させて、セリウム源水溶液を得る工程
セリウム化合物としては、酢酸セリウム、硝酸セリウム、水酸化セリウムまたは硫酸セリウムが、入手性および水への溶解度の点から好ましい。これらのセリウム化合物は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
セリウム源水溶液におけるセリウム化合物の濃度は、母相粒子に被覆したい酸化セリウムの量と、後述する工程(2)において母相粒子に被覆するセリウム源水溶液の量とを勘案して、適宜調整すればよい。セリウム源水溶液におけるセリウム化合物の濃度を、セリウム化合物の溶解度以下となるように設定すると、後述する工程(2)において、セリウム源水溶液を母相粒子へ均一に被覆できるため好ましい。
後述する工程(2)において、セリウム源水溶液を母相粒子に噴霧することによりセリウム源水溶液を母相粒子に被覆する場合、セリウム源水溶液におけるセリウム化合物の濃度は、5〜60質量%とすることが好ましく、10〜60質量%とすることがより好ましい。
工程(2)において、セリウム源水溶液に母相粒子を浸漬することによりセリウム源水溶液を母相粒子に被覆する場合、セリウム源水溶液におけるセリウム化合物の濃度は、1〜40質量%とすることが好ましく、1〜20質量%とすることがより好ましい。
工程(2)において、セリウム源水溶液に母相粒子を塗布することによりセリウム源水溶液を母相粒子に被覆する場合、セリウム源水溶液におけるセリウム化合物の濃度は、1〜60質量%とすることが好ましく、1〜40質量%とすることがより好ましい。
(2)工程(1)で得られたセリウム源水溶液を母相粒子に被覆し、セリウム源水溶液により被覆された母相粒子を得る工程
工程(2)は、工程(1)で得られたセリウム源水溶液により母相粒子を被覆し、水を媒体としてセリウム化合物を母相粒子の表面に析出させる工程である。
セリウム源水溶液を母相粒子に被覆する方法としては、例えば、噴霧、浸漬または塗布が挙げられる。これらの中でも、噴霧は乾燥工程が不要であり、工業的な観点から好ましい。
(2−1)噴霧
噴霧による場合、例えば、霧吹き、噴霧機等により母相粒子にセリウム源水溶液を吹きつけて、母相粒子にセリウム源水溶液を被覆する。このとき、噴霧毎に母相粒子を攪拌することにより、均一にセリウム源水溶液により母相粒子を被覆することができる。
具体的な方法としては、例えば、母相粒子をビニール袋に入れて、セリウム源水溶液を霧吹きで噴霧する方法が挙げられる。
また、例えば、ロータリーキルンにより、熱乾燥するとともにロータリー機で母相粒子を攪拌しながらセリウム源水溶液を噴霧してもよく、工業的にも有利である。
母相粒子へのセリウム源水溶液の噴霧量は、母相粒子に対して0.1〜40質量%とするのが好ましく、5〜30質量%とするのがより好ましく、10〜25質量%とするのが更に好ましい。
噴霧量が0.1質量%以上であると水溶液が母相粒子全体に行きわたり、均一な被覆が出来る。40質量%以下であるとペースト状または液状にならず、そのまま焼成工程に持って行けるため、乾燥工程が省略できて好ましい。
噴霧条件は、通常0〜200℃とすることが好ましい。
(2−2)浸漬
浸漬による場合、セリウム源水溶液中に母相粒子を浸漬させてセリウム源水溶液を母相粒子に被覆する。セリウム源水溶液に浸漬させる母相粒子の量は、水溶液に対して、通常1〜60質量%とすることが好ましく、10〜50質量%とすることがより好ましい。
セリウム源水溶液に浸漬させる母相粒子の量を1質量%以上とすることにより、蒸発させる水の量を減らすことができ、60質量%以下とすることにより均一にセリウム化合物を被覆することができる。
浸漬条件は、通常0〜90℃において、0.1〜24時間とすることが好ましい。
浸漬によりセリウム源水溶液を母相粒子に被覆した後、乾燥することにより、母相粒子の表面にセリウム化合物を析出させることができる。なお、乾燥条件は、通常80〜200℃において、2〜24時間とすることが好ましい。
浸漬により被覆する場合、セリウム源水溶液に母相粒子を浸漬させて乾燥させた後の母相粒子へのセリウム化合物の被覆量は、母相粒子に対して1〜50質量%とするのが好ましく、5〜50質量%とするのがより好ましく、5〜30質量%とするのが更に好ましい。
被覆量が1質量%以上であるとセリウム化合物が母相粒子全体に行きわたり、均一な被覆が出来る。50質量%以下であると酸化セリウムが単独で析出することがない。
(2−3)塗布
塗布による場合、例えば、転動造粒装置等により母相粒子にセリウム源水溶液を塗布して、セリウム源水溶液により母相粒子を被覆する。
母相粒子へのセリウム源水溶液の塗布量は、母相粒子に対して1〜100質量%とするのが好ましく、5〜80質量%とするのがより好ましく、10〜60質量%とするのが更に好ましい。
塗布量が1質量%以上100質量%以下であると水溶液が母相粒子全体に行きわたり、均一な被覆が出来る。
塗布条件は、通常0〜90℃とすることが好ましい。
(3)工程(2)で得られたセリウム源水溶液で被覆された母相粒子を焼成し、酸化セリウムにより被覆された母相粒子を得る工程
工程(3)は、工程(2)で得られたセリウム源水溶液で被覆された母相粒子を焼成し、セリウム化合物を酸化させることにより、酸化セリウムにより被覆された母相粒子を得る工程である。
焼成温度は、300〜1000℃が好ましく、400〜1000℃がより好ましく、400〜800℃が更に好ましい。焼成温度を300℃以上とすることにより、セリウム化合物を分解して酸化セリウムを析出することができ、1000℃以下とすることにより粒成長による粗大粒の生成を抑制して、傷の少ない研磨砥粒を作製することができる。
焼成雰囲気は大気下とすることが、コストの点から好ましい。また、焼成時間は、通常2〜72時間とすることが好ましい。
焼成物を分級することにより、粗大粒を除去してもよい。分級する方法としては、例えば、ふるいまたは分級機等の公知の方法が挙げられる。
本発明における研磨砥粒は前記(1)〜(3)の工程により製造することができるが、各工程への影響を及ぼさない限り、他の工程を行ってもよい。他の工程としては、例えば、前記した乾燥または分級工程等が挙げられる。なお、本発明における研磨砥粒は前記(1)〜(3)の工程の1または2以上を有さない方法で製造してもよい。
(研磨スラリー)
本発明の研磨砥粒を、例えば、水等の分散媒に分散させて、研磨スラリーとすることができる。研磨スラリーにおける研磨砥粒濃度は0.1〜40質量%が好ましく、1〜30質量%がより好ましく、1〜20質量%が更に好ましい。研磨砥粒濃度が0.1質量%以上であると十分な研磨速度を出すことができ、40質量%以下であることで効率よく研磨をすることができる。
分散媒としては、例えば、水およびアルコールが挙げられる。アルコールとしては、例えばメタノール、エタノール、2−プロパノールおよびエチレングリコール等が挙げられる。
スラリーには分散剤を添加してもよい。分散剤としては、公知のものを使用することができるが、例えば、クエン酸ソーダ、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸アンモニウム、ポリアクリル酸−マレイン酸共重合体、ピリジンカルボン酸およびカルボキシメチルセルロース等が好適に挙げられる。
研磨スラリーは分散処理をしてもよい。分散処理には公知の方法を使用することができ、例えば、ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、ボールミル、ビーズミルおよび湿式ジェットミル等が挙げられる。
研磨スラリーのpHは2〜12が好ましく、5〜12がより好ましく、5〜11が更に好ましい。pHが2以上であることで、砥粒を溶解させることなく研磨することができ、12以下であることで被研磨物に影響を与えることなく研磨することができる。
研磨スラリーの体積基準メディアン径(D50)は、0.1〜20μmが好ましく、0.5〜20μmがより好ましく、0.5〜10μmが更に好ましい。研磨スラリーのメディアン径は実施例において後述する方法により測定する。
研磨スラリーのメディアン径が0.1μm以上であることで十分な研磨速度を出すことができ、20μm以下であることで研磨傷を抑制することができる。
〔ガラス製品の製造方法〕
(研磨工程)
本発明のガラス製品の製造方法は、母相粒子に酸化セリウムが被覆された研磨砥粒または該研磨砥粒を含む研磨スラリーを用いてガラスを研磨する研磨工程を含む。
本発明における研磨の方法は特に限定されないが、例えば、ガラスと研磨布とを接触させ、研磨砥粒または研磨スラリーを供給しながら、研磨布とガラスとを相対的に移動させて、ガラスを鏡面状に研磨することが好ましい。研磨布としては、例えば、ウレタン製研磨パッドが挙げられる。
(洗浄工程)
洗浄工程はガラス製品によって適切に選択されるべきであるが、例えば、磁気ディスク用ガラス基板の製造においては以下のような洗浄工程が例示される。
本発明のガラス製品の製造方法は、硫酸、塩酸、硝酸、スルファミン酸、リン酸、シュウ酸、酒石酸、クエン酸、ギ酸、グリコール酸、酢酸、アスコルビン酸、過酸化水素、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムから選ばれる少なくとも1種を含む洗浄液(以下、本発明に用いる洗浄液ともいう)を用いて、ガラスに付着した研磨砥粒または研磨スラリーを洗浄する工程を含むことが好ましい。
前記研磨工程において、研磨砥粒の母相粒子として、硫酸、塩酸、硝酸、スルファミン酸、リン酸、シュウ酸、酒石酸、クエン酸、ギ酸、グリコール酸、酢酸、アスコルビン酸、過酸化水素、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムから選ばれる少なくとも1種の水溶液に溶解性であるものを用いた場合、硫酸、塩酸、硝酸、スルファミン酸、リン酸、シュウ酸、酒石酸、クエン酸、ギ酸、グリコール酸、酢酸、アスコルビン酸、過酸化水素、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムから選ばれる少なくとも1種を含む洗浄液によりガラスを洗浄することで、ガラスに影響を与えることなく、優れた洗浄効果を得ることができる。
本発明に用いる洗浄液における硫酸、塩酸、硝酸、スルファミン酸、リン酸、シュウ酸、酒石酸、クエン酸、ギ酸、グリコール酸、酢酸、アスコルビン酸、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムから選ばれる少なくとも1の含有量は合計で、0.001〜2モル%であることが好ましく、0.01〜1モル%であることがより好ましい。
洗浄液における硫酸、塩酸、硝酸、スルファミン酸、リン酸、シュウ酸、酒石酸、クエン酸、ギ酸、グリコール酸、酢酸、アスコルビン酸、過酸化水素、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムから選ばれる少なくとも1種の含有量を合計で0.001モル%以上とすることにより、溶出量を維持しやすい。また、2モル%以下とすることにより、ガラスへの影響を抑えることができる。
本発明に用いる洗浄液は、洗浄補助剤を含むことが好ましい。洗浄補助剤としては、例えば、表面張力を下げるための界面活性剤、およびpHを安定的に保持する為の緩衝効果のある酸が挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、アセチレンジオールなどのノニオン性界面活性剤およびポリアクリル酸ナトリウムなどのアニオン界面活性剤などが挙げられる。
また、pHを安定的に保持する為の緩衝効果のある酸としては、例えば、pKaが2〜5にあり、1つ以上のカルボン酸を有する酸が挙げられる。具体的には、例えば、緩衝効果が期待できる酸としてクエン酸が挙げられるが、それ以外にも数多くの有機酸が使用可能である。
本発明に用いる洗浄液は、溶媒として水を含むことが好ましい。水としては、例えば、脱イオン水、超純水、電荷イオン水、水素水およびオゾン水などが挙げられる。なお、水は、本発明に用いる洗浄液の流動性を制御する機能を有するので、その含有量は洗浄速度等の目標とする洗浄特性に合わせて適宜設定することができるが、通常55〜98質量%とすることが好ましい。
洗浄工程では、前記洗浄液をガラスに直接接触させて洗浄することが好ましい。洗浄液をガラスに直接接触させる方法としては、例えば、洗浄液を洗浄槽に満たし、その中にガラスを入れるディップ式洗浄、ノズルからガラスに洗浄液を噴射する方法、およびポリビニルアルコール製のスポンジを用いるスクラブ洗浄などが挙げられる。本発明に用いる洗浄液は上記のいずれの方法にも適応できるが、より効率的な洗浄ができることから、超音波洗浄を併用したディップ式洗浄が好ましい。
洗浄工程において、洗浄液とガラスとを接触させる時間は、30秒間以上であることが好ましい。30秒間以上とすることにより、十分な洗浄効果を得ることができる。
洗浄工程において、洗浄液の温度は室温でもよく、40〜80℃程度に加温して使用してもよいが、80℃以下とすることが好ましい。洗浄液の温度を80℃以下とすることにより、洗浄液に含まれる酸、アルカリ、酸化剤または還元剤が熱分解を起こすのを防ぐことができる。また、装置の構成上、洗浄液が100℃に近い温度になると、水の蒸発によるpHコントロールが難しくなることから、80℃以下とすることが好ましい。
前記洗浄工程後に、水またはアルカリ洗剤を用いた洗浄を行うと、より効果的である。また、前記洗浄工程の前に水を用いた洗浄を組み合わせてもよい。
(その他の工程)
本発明のガラス製品の製造方法は、ガラス製品が磁気ディスク用ガラス基板、高品質な液晶ディスプレイ用ガラス基板である場合などにはその他の工程として、前記洗浄工程の後に、ガラスの主表面を、コロイダルシリカ砥粒を含むスラリーを用いて研磨する仕上げ研磨工程を含むことが好ましい。
本発明の製造方法により製造されるガラス製品としては、例えば、ハードディスクドライブ向けの磁気ディスク基板、半導体基板、フォトマスク基板およびディスプレイ基板などのガラス基板、レンズ並びにCCD向けブルーフィルタガラスおよびカバーガラスなどが挙げられる。本発明の製造方法により製造される磁気ディスク用ガラス基板の主表面に磁気記録層を形成することにより磁気ディスクを製造することができる。
以下、本発明を実施例によって説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
(1)研磨砥粒および研磨スラリーの調製
[例1]
ガラス製タンクに蒸留水2L、グリシン(関東化学社製、試薬)37.5gを溶解させ、攪拌しながら投げ込みヒーターで水温を50℃に保った。そこへ、マンガン(関東化学社製、試薬)200gをゆっくり投入し、目開き150μmのふるいによりろ過した。得られた溶液を80℃で一晩乾燥し、大気下で700℃、8時間焼成して酸化物を得た。
得られた酸化物は酸化マンガン(Mn)であった。得られた酸化マンガンのX線プロファイルを、TTR−III(リガク社製)により測定した。その結果を図1に示す。
また、得られた酸化マンガンの比表面積を、ASAP2020(島津社製)により測定した。その結果を表1に示す。
得られた酸化マンガン20gと蒸留水378gと分散剤(ライオン社製、ポリティA−550)2gを混合し、ホモジナイザーを15分間かけて、研磨スラリーとした。研磨スラリーにおける砥粒濃度は5質量%とし、分散剤濃度は0.5質量%とした。
得られた研磨スラリーの体積基準メディアン径(D50)をMT3300EXII(日機装社製)により測定した結果、およびpHを表1に示す。
[例2]
例1で得られた酸化マンガン30gをビニール袋の中に入れ、16.9質量%の酢酸セリウム一水和物(関東化学社製、試薬)水溶液6.9gを霧吹きにより噴霧した。噴霧量は酸化マンガンに対して23質量%であり、酸化セリウム換算で2質量%とした。
その後、大気下で700℃、8時間焼成した。得られた酸化物はCeOが被覆されたMnであった。得られた酸化セリウムが被覆された酸化マンガンのX線プロファイルを例1と同様に解析した。その結果を図1に示す。図1に示すように、Mn以外に28.4°にCeOに帰属されるピークが見られ、酸化セリウムが析出していることが確認された。
また、得られた酸化セリウムが被覆された酸化マンガンの比表面積を例1と同様に測定した。その結果を表1に示す。
得られた酸化セリウムで被覆された酸化マンガン20g、蒸留水378gおよび分散剤(ライオン社製、ポリティA−550)2gを混合し、ホモジナイザーを15分間かけて、研磨スラリーとした。研磨スラリーにおける砥粒濃度は5質量%とし、分散剤濃度は0.5質量%とした。
得られた研磨スラリーの体積基準メディアン径(D50)を例1と同様に測定した結果、およびpHを表1に示す。
[例3]
大気下で700℃、8時間焼成した酸化亜鉛(高純度化学社製、試薬)20gと蒸留水378gと分散剤(ライオン社製、ポリティA−550)2gを混合し、ホモジナイザーを15分間かけて、研磨スラリーとした。研磨スラリーにおける砥粒濃度は5質量%とし、分散剤濃度は0.5質量%とした。
得られた研磨スラリーの体積基準メディアン径(D50)を例1と同様に測定した結果、およびpHを表1に示す。
[例4]
例3と同様の酸化亜鉛30gを5.4質量%の酢酸セリウム一水和物(関東化学社製、試薬)水溶液5.4gを霧吹きにより噴霧した。噴霧量は酸化亜鉛に対して18質量%であり、酸化セリウム換算で0.5質量%となる。その後、大気下で700℃、8時間焼成した。得られた酸化物はCeOが被覆されたZnOであった。
得られた酸化セリウムで被覆された酸化亜鉛20gと蒸留水378gと分散剤(ライオン社製、ポリティA−550)2gを混合し、ホモジナイザーを15分間かけて、研磨スラリーとした。研磨スラリーにおける砥粒濃度は5質量%とし、分散剤濃度は0.5質量%とした。
得られた研磨スラリーの体積基準メディアン径(D50)を例1と同様に測定した結果、およびpHを表1に示す。
[例5]
例1で得られた酸化マンガン50gと9.7質量%の酢酸セリウム一水和物(関東化学社製、試薬)水溶液100gとをなす型フラスコに入れ、エバポレーターによりフラスコを回転させながら乾燥した。酢酸セリウム一水和物水溶液量は酸化マンガンに対して200質量%であり、酸化セリウム換算で10質量%とした。その後、大気下で700℃、8時間焼成した。得られた酸化物はCeOが被覆されたMnであった。
得られた酸化セリウムで被覆された酸化マンガン20gと蒸留水378gと分散剤(ライオン社製、ポリティA−550)2gを混合し、ホモジナイザーを15分間かけて、研磨スラリーとした。研磨スラリーにおける砥粒濃度は5質量%とし、分散剤濃度は0.5質量%とした。
得られた研磨スラリーの体積基準メディアン径(D50)を例1と同様に測定した結果、およびpHを表1に示す。
[例6]
例1で得られた酸化マンガン50gと13.0質量%の酢酸セリウム一水和物(関東化学社製、試薬)水溶液150gとをなす型フラスコに入れ、エバポレーターによりフラスコを回転させながら乾燥した。酢酸セリウム一水和物水溶液量は酸化マンガンに対して300質量%であり、酸化セリウム換算で20質量%とした。その後、大気下で700℃、8時間焼成した。得られた酸化物はCeOが被覆されたMnであった。
得られた酸化セリウムで被覆された酸化マンガン20gと蒸留水378gと分散剤(ライオン社製、ポリティA−550)2gを混合し、ホモジナイザーを15分間かけて、研磨スラリーとした。研磨スラリーにおける砥粒濃度は5質量%とし、分散剤濃度は0.5質量%とした。
得られた研磨スラリーの体積基準メディアン径(D50)を例1と同様に測定した結果、およびpHを表1に示す。
[例7]
大気下で700℃、8時間焼成した酸化亜鉛(高純度化学社製、試薬)50gと9.7質量%の酢酸セリウム一水和物(関東化学社製、試薬)水溶液100gとをなす型フラスコに入れエバポレーターによりフラスコを回転させながら乾燥した。酢酸セリウム一水和物水溶液量は酸化亜鉛に対して200質量%であり、酸化セリウム換算で10質量%となる。その後、大気下で700℃、8時間焼成した。得られた酸化物はCeOが被覆されたZnOであった。
得られた酸化セリウムで被覆された酸化亜鉛20gと蒸留水378gと分散剤(ライオン社製、ポリティA−550)2gを混合し、ホモジナイザーを15分間かけて、研磨スラリーとした。研磨スラリーにおける砥粒濃度は5質量%とし、分散剤濃度は0.5質量%とした。
得られた研磨スラリーの体積基準メディアン径(D50)を例1と同様に測定した結果、およびpHを表1に示す。
[例8]
大気下で700℃、8時間焼成した酸化亜鉛(高純度化学社製、試薬)50gと13.0質量%の酢酸セリウム一水和物(関東化学社製、試薬)水溶液150gとをなす型フラスコに入れエバポレーターによりフラスコを回転させながら乾燥した。酢酸セリウム一水和物水溶液量は酸化亜鉛に対して300質量%であり、酸化セリウム換算で20質量%となる。その後、大気下で700℃、8時間焼成した。得られた酸化物はCeO2が被覆されたZnOであった。
得られた酸化セリウムで被覆された酸化亜鉛20gと蒸留水378gと分散剤(ライオン社製、ポリティA−550)2gを混合し、ホモジナイザーを15分間かけて、研磨スラリーとした。研磨スラリーにおける砥粒濃度は5質量%とし、分散剤濃度は0.5質量%とした。
得られた研磨スラリーの体積基準メディアン径(D50)を例1と同様に測定した結果、およびpHを表1に示す。
Figure 2013035545
(2)溶解試験
1モル/Lの硫酸30mLと過酸化水素0.3gと、(1)の例2で得られた酸化セリウムで被覆された酸化マンガン、例4で得られた酸化セリウムで被覆された酸化亜鉛、または酸化セリウム(製品名A10、昭和電工社製)を30mgとを遠沈管に投入し、室温にて1時間回転架台で撹拌した。
撹拌後、遠心分離機(装置名:5220、久保田商事社製)を用いて、3500rpmで10分間遠心分離し、上澄みを除去、さらに蒸留水を投入して同じように遠心分離、上澄みの除去をおこなった。その後、80℃の恒温槽で3時間乾燥させた。乾燥後、各研磨砥粒の残留量を測定した。この値から、水溶液に溶解した研磨砥粒の割合(溶出量)を求めた。
すなわち、研磨砥粒の各種水溶液への溶出量は、研磨砥粒の各水溶液への添加量から、残留量を引いた値とし、百分率(%)にて表記した。その結果を表2に示す。
Figure 2013035545
表2に示すように、酸化マンガンまたは酸化亜鉛を母相粒子とし、該母相粒子を酸化セリウムで被覆して得られた研磨砥粒は、酸化セリウムと比較して、洗浄液に対する高い溶解性を示した。
この結果から、酸、アルカリ、酸化剤または還元剤を含む洗浄液に対して高い溶解性を示す酸化マンガン、酸化亜鉛を母相粒子とし、該母相粒子を酸化セリウムで被覆した研磨砥粒は、洗浄液による洗浄効果が高いことが示唆された。
(3)研磨試験
(1)で得られた例1〜8の研磨スラリーを用いて研磨試験を行った。実施例1では例2の研磨スラリー、実施例2では例4の研磨スラリー、比較例1では例1の研磨スラリー、比較例2では例3の研磨スラリー、実施例3では例5の研磨スラリー、実施例4では例6の研磨スラリー、実施例5では例7の研磨スラリー、実施例6では例8の研磨スラリーを用いた。
被研磨物にはガラスを用い、研磨圧は12kPaとし、定盤回転数は40rpmとした。研磨機として12B片面研磨機(スピードファム社製)を用い、研磨パッドとしてFX8H−101U(フジボウ社製)を用いた。
研磨スラリーは100ml/分間で循環させ、20分間の研磨を行った。研磨前後の重量差から研磨速度(μm/分間)を算出した。その結果を表3に示す。
Figure 2013035545
表3に示すように、酸化セリウムで母相粒子を被覆した研磨砥粒を含む研磨スラリーによりガラスを研磨した場合、母相粒子のみからなる研磨砥粒を含む研磨スラリーと比較して、研磨速度が高くなることが分かった。
また、酸化セリウムによる母相粒子の被覆量は酸化セリウム換算で0.1〜25質量%とすることが好ましいことが分かった。
本発明を特定の態様を用いて詳細に説明したが、本発明の意図と範囲を離れることなく様々な変更および変形が可能であることは、当業者にとって明らかである。なお本出願は、2011年9月9日付で出願された日本特許出願(特願2011−197379)に基づいており、その全体が引用により援用される。
本発明の研磨砥粒および研磨スラリーは、ハードディスクドライブ向けの磁気ディスク基板、半導体基板、フォトマスク基板およびディスプレイ基板などのガラス基板、レンズ並びにCCD向けブルーフィルタガラスおよびカバーガラスなどのガラス製品の製造における研磨工程に利用することができる。

Claims (11)

  1. 母相粒子に酸化セリウムが被覆された研磨砥粒。
  2. 前記母相粒子が硫酸、塩酸、硝酸、スルファミン酸、リン酸、シュウ酸、酒石酸、クエン酸、ギ酸、グリコール酸、酢酸、アスコルビン酸、過酸化水素、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムから選ばれる少なくとも1種の水溶液に溶解性である請求項1に記載の研磨砥粒。
  3. 前記母相粒子が酸化マンガンおよび酸化亜鉛からなる群より選ばれる少なくとも1種の酸化物を含む請求項1または2に記載の研磨砥粒。
  4. 前記母相粒子に被覆された酸化セリウムが母相粒子に対して0.1質量%〜25質量%である請求項1〜3のいずれか1項に記載の研磨砥粒。
  5. 前記母相粒子に被覆された酸化セリウムが母相粒子に対して0.1質量%〜20質量%である請求項1〜4のいずれか1項に記載の研磨砥粒。
  6. 比表面積が0.1〜20m/gである請求項1〜5のいずれか1項に記載の研磨砥粒。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の研磨砥粒を含む研磨スラリー。
  8. 以下の(1)〜(3)の工程を順次含む、母相粒子に酸化セリウムが被覆された研磨砥粒の製造方法。
    (1)セリウム化合物を水に溶解させて、セリウム源水溶液を得る工程
    (2)工程(1)で得られたセリウム源水溶液を母相粒子に被覆し、セリウム源水溶液により被覆された母相粒子を得る工程
    (3)工程(2)で得られたセリウム源水溶液で被覆された母相粒子を焼成し、酸化セリウムにより被覆された母相粒子を得る工程
  9. 前記工程(2)においてセリウム源水溶液を母相粒子に噴霧し、セリウム源水溶液により被覆された母相粒子を得る請求項8に記載の研磨砥粒の製造方法。
  10. 前記セリウム化合物が酢酸セリウム、硝酸セリウム、水酸化セリウム、硫酸セリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項8または9に記載の研磨砥粒の製造方法。
  11. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の研磨砥粒または請求項7に記載の研磨スラリーを用いてガラスを研磨する工程を含むガラス製品の製造方法。
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