JPWO2013035249A1 - 光学フィルムの製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、原料のアクリル系樹脂とセルロースエステル系樹脂との混合樹脂を溶媒に溶解したドープをダイスより流出して無端ベルト支持体の上にドープ膜を流延し、流延膜を形成する流延部と、前記流延膜を前記無端ベルト支持体より剥離した後に延伸する延伸部と、乾燥する乾燥部と、巻き取りをする巻き取り部とを少なくとも有する溶液流延製造装置により、光学フィルムを製造する光学フィルムの製造方法において、前記流延部は、前記ドープ膜又は前記流延膜の両端部に、前記ドープを構成している前記セルロースエステル樹脂の質量比よりも多い質量比で前記セルロースエステル系樹脂を含む端部補強溶液を供給する端部補強溶液供給手段を有し、前記端部補強溶液供給手段より前記両端部に前記端部補強溶液を供給しながら流延することを特徴とする光学フィルムの製造方法に関する。

Description

本発明は、光学フィルムの製造方法に関する。更に詳しくは、溶液流延製膜法により光学フィルムを製造する時、樹脂を溶媒に溶解したドープをノズルから無端支持体上に流延し、形成された流延膜を無端支持体から剥離するとき、流延膜の端部の無端支持体上への残り、端部の亀裂発生等を防止した光学フィルムの製造方法に関する。
近年、光学フィルムが使用されている液晶テレビやプラズマディスプレイ(PDP)、有機ELディスプレイ等種々の表示装置が開発されてきている。液晶表示装置に用いられる光学フィルムとして、例えば偏光板の偏光フィルムは、延伸ポリビニルアルコールフィルムから成る偏光子の片面または両面にセルロースエステルフィルムが保護膜として積層されている。この様な光学フィルムでは、光学的な欠陥がなく、平滑な表面であることが要求される。特に、モニターやTVの大型化や高精細化が進み、これらの要求品質は、ますます厳しくなってきている。
又、表示装置は街頭や店頭に設置される大型ディスプレイとしての利用や、デジタルサイネージと呼ばれる表示機器を用いた公共の場における広告用ディスプレイへの利用等が挙げられる。
この様な用途においては、屋外での利用が想定され、光学フィルムの吸湿による劣化が問題となるために、セルロースエステル系樹脂とアクリル系樹脂を混合した光学フィルムの検討が進められている。
近年は、表示装置も薄く、軽量化することが求められている。これに伴い、これらの表示装置に使用される光学フィルムの品質はいっそう厳しくなり、液晶ディスプレイの部材コスト低減、生産性の点から、光学フィルムはより幅広化、薄膜化、長尺化、高速化が進められている。
光学フィルムの製造方法の1つに溶液流延製膜法がある。この方法は、樹脂を溶媒に溶かして、その溶液(ドープ)を流延ダイのドープ流出口から金属製の無端支持体上に流延し、無端支持体上で所定量の溶媒を蒸発させた後、無端支持体から剥離し、さらに必要に応じて延伸して、光学フィルムを作製する方法である。
又、無端支持体上の流延膜は、無端支持体上で所定の濃度まで乾燥されるが、流延膜端部が、流延膜中央部分に比べ乾燥され硬くなるため、無端支持体から流延膜を剥がす際、流延膜の端部に裂け目が発生することがある。この様な裂け目が一旦出来ると、搬送張力によって裂けは進行し、破断に至る。
特にセルロースエステル系樹脂とアクリル系樹脂を混合し溶媒に溶解したドープを使用し、無端支持体上の流延膜が薄膜、広幅で無端支持体の移動速度が高速の場合は、流延膜の端部に裂け目が発生することがある。
このような問題を解決するために、原料樹脂を溶解する溶剤をドープ流出口の両端部から流延膜の端部に流下することで、流延膜の端部の乾燥による皮膜の形成を防止する方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、特許文献1にはセルロースエステル系樹脂とアクリル系樹脂を混合し溶媒に溶解したドープを使用し、広幅、薄膜、無端支持体の移動速度が高速の場合、無端支持体から流延膜を剥がす時の流延膜の端部にひび割れ、裂けの防止については精査されておらず、無端支持体から流延膜を剥がす時の流延膜の端部にひび割れ、裂けの防止を防止する方法は見出されておらず、検討が望まれていた。
特開2010−179475号公報
本発明は、上記状況に鑑みなされたものであり、その目的は、セルロースエステル系樹脂とアクリル系樹脂を混合し溶媒に溶解したドープを使用し、無端支持体の上に形成した広幅、薄膜の流延膜を、高速で移動する無端支持体から剥がす時に、流延膜の端部に裂け目の発生を防止した光学フィルムの製造方法を提供することにある。
本発明の上記目的は下記の構成により達成することが出来る。
すなわち、本発明の一局面は、
原料のアクリル系樹脂とセルロースエステル系樹脂との混合樹脂を溶媒に溶解したドープをダイスより流出して無端ベルト支持体の上にドープ膜を流延し、流延膜を形成する流延部と、
前記流延膜を前記無端ベルト支持体より剥離した後に延伸する延伸部と、乾燥する乾燥部と、巻き取りをする巻き取り部とを少なくとも有する溶液流延製造装置により、光学フィルムを製造する光学フィルムの製造方法において、
前記流延部は、前記ドープ膜又は前記流延膜の両端部に、前記ドープを構成している前記セルロースエステル系樹脂の質量比よりも多い質量比で前記セルロースエステル系樹脂を含む端部補強溶液を供給する端部補強溶液供給手段を有し、
前記端部補強溶液供給手段より前記両端部に前記端部補強溶液を供給しながら流延することを特徴とする光学フィルムの製造方法である。
このような構成により、セルロースエステル系樹脂とアクリル系樹脂を混合し溶媒に溶解したドープを使用し、無端支持体の上に形成した広幅、薄膜の流延膜を、高速で移動する無端支持体から剥がす時に、流延膜の端部に裂け目の発生を防止した光学フィルムの製造方法を提供することが出来る。
図1は、ドープ膜の両端部に端部補強溶液を供給する溶液流延方式による光学フィルムの製造装置の模式図である。 図2は、流延膜の両端部に端部補強溶液を供給する溶液流延方式による光学フィルムの製造装置の模式図である。 図3は、図1のTで示される部分の拡大概略図である。 図4は、端部補強溶液供給ノズルの先端の概略平面図である。
本発明者が、溶液流延方式による光学フィルムの製造で、セルロースエステル系樹脂とアクリル系樹脂を混合し溶媒に溶解したドープを使用し、無端支持体の上に形成した広幅、薄膜の流延膜を、高速で移動する無端支持体から剥がす時に発生する流延膜の端部に裂け目が何故発生するのかを検討した結果、次ぎのことが判った。
1.流延膜を金属製の無端支持体から剥離する時、流延膜の両端部に引っ張り応力が集中し、それに加え、金属製の無端支持体からの剥離力も、長手方向の位置によっても差があり(表面粗さや、汚れ具合いの違いによるもの)、剥離し難い場所では、高い応力が流延膜の両端部に掛かってしまうことで裂け目が発生する。
2.アクリル系樹脂を混合することで、セルロースエステル系樹脂単独よりも流延膜が脆く(靱性が低く)なっているため、金属製の無端支持体から剥離する時の応力に耐えられず裂け目が発生する。
3.流延膜の両端にセルロースエステル系樹脂の良溶媒を供給する方法でも、アクリル系樹脂を混合することで脆くなった物性を変えることは出来ず、金属製の無端支持体から剥離する時の応力に耐えられず、裂け目が発生する。
そこで、セルロースエステル系樹脂とアクリル系樹脂を混合し溶媒に溶解したドープを使用し,広幅、薄膜の流延膜を金属製の無端支持体より剥がす時に流延膜の端部に発生する裂け目防止するためには、金属製の無端支持体より剥がす時の応力に耐えられる靱性を流延膜の端部に付与することが効果的であることが判った。
更に、流延膜の端部に靱性を付与する方法を検討した結果、流延膜の端部にドープを構成している樹脂材料の内、セルロースエステル系樹脂を多く含む端部補強溶液を供給することが効果的であることが判り、本発明に至った次第である。
本発明の実施の形態を図1、図2を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
なお、図面において、1a、1bは製造装置、101は流延部、101aは無端鏡面帯、及び/又は状金属流延ベルト支持体(無端ベルト支持体)、101bはダイス、101cは減圧室、101dは端部補強溶液供給手段、101d1は端部補強溶液供給ノズル、101d2は端部補強溶液タンク、101d3は端部補強溶液供給ポンプ、101d4は端部補強溶液供給管、101eはドープ膜、101fは流延膜、102は第1乾燥部、103は延伸部、104は第2乾燥部、105はナーリング形成部、106は回収部を示す。
図1は、ドープ膜の両端部に端部補強溶液を供給する溶液流延方式による光学フィルムの製造装置の模式図である。
溶液流延方式は、原料の樹脂を溶媒に溶解し、これに必要に応じて可塑剤、紫外線吸収剤、劣化防止剤、滑り剤、剥離促進剤等の各種の添加剤を加えて調製したアクリル系樹脂とセルロースエステル系樹脂との混合樹脂を溶媒に溶解したドープを、無限移行する無端の金属支持体(例えばベルトあるいはドラム)の上に、ダイスより吐出し、流延した後、無端支持体上である程度まで溶媒を除去した後、無端支持体から剥離し、次いで各種の搬送手段により乾燥部を通過させて溶媒を除去し巻取り軸に巻き取り製造する方法である。
図中、1aは溶液流延方式による光学フィルムの製造装置を示す。製造装置1aは、流延部101と、第1乾燥部102と延伸部103と、第2乾燥部104と、ナーリング形成部105と回収部106とを有している。
流延部101は、2つの支持ロール101hと、支持ロール101iに巻回されエンドレスで走行(図中の矢印方向)する無端鏡面帯状金属流延ベルト支持体(以下、無端ベルト支持体という)101aと、ダイス101bと、減圧室101cと、端部補強溶液供給手段101dとを有している。無端ベルト支持体101aの移動速度は、生産性、フィルム平面性等を考慮し、20m/minから200m/minであることが好ましい。
端部補強溶液供給手段101dは、端部補強溶液供給ノズル101d1と、端部補強溶液供給ポンプ101d3を有する、端部補強溶液タンク101d2と、端部補強溶液供給管101d4とを有している。尚、端部補強溶液供給ノズル101dはドープ膜101e(図3参照)の両端部に端部補強溶液を供給する様に2本が配設されている。
端部補強溶液供給ノズル101d1には、端部補強溶液タンク101d2から端部補強溶液供給ポンプ101d3により供給量が調整された端部補強溶液が端部補強溶液供給管101d4を介して端部補強溶液供給ノズル101d1に供給されドープ膜101eの端部に端部補強溶液を供給する様になっている。端部とはドープ膜101e(図3参照)の端辺から幅手方向に10mm程度の範囲を言う。
端部補強溶液供給ノズル101d1の先端とドープ膜101e(図3参照)の端部の表面までの距離は、離れ過ぎると、端部補強溶液が流れている間に、溶剤蒸発による端部補強溶液濃度上昇が大きくなり、増粘することで均一に端部に濡れ広がらなかったり、溶剤の蒸発で端部補強溶液流路の温度低下による水コンデンス等を招く。一方、距離が近過ぎても、端部補強溶液の流量変動が直接端部に濡れ広がる量の変動につながることで均一性が低下するため、流量変動が均一化される程度のバッファ分の距離は必要になる。これら等を考慮し、端部補強溶液供給ノズル101d1の先端とドープ膜101e(図3参照)の端部の表面までの距離は、2mmから20mmが好ましい。
端部補強溶液供給ポンプ101d3としては、ギヤポンプ、プランジャーポンプ、ダイヤフラム、モーノポンプ等市販されている一般的なポンプの使用が可能である。
ダイス101bは、ドープを貯めたドープタンク101b1からドープ供給ポンプ101b3により供給量が調整されたドープを供給管101b2を介して供給され、ドープ膜101e(図3参照)を無端ベルト支持体101aの上に流延する様になっている。
減圧室101cは無端ベルト支持体101aの走行方向に対してダイス101bの上流側に配設されており、内部を減圧にすることでダイス101bから流出するドープ膜101e(図3参照)が無端ベルト支持体101a上に安定に着地することを可能にしている。
101gは無端ベルト支持体101aに流延され形成され流延膜101fを剥離する剥離ロールを示す。尚、本実施形態では剥離された流延膜を便宜上未延伸フィルム2という。
流延膜101fを無端ベルト支持体101aより剥がす時、流延膜101fの残留溶媒量が高い場合は流延膜が柔らかいため剥離時に平面性を損ねやすく、また、剥離直後の搬送でも、搬送張力によるツレやスジが発生し易いため、経済速度と品質との兼ね合いを考慮し、10質量%から90質量%が好ましい。残留溶媒量は、以下に示す方法で測定した値を示す。
残留溶媒量の測定方法
無端ベルト支持体から剥がした流延膜を密閉容器に入れて風袋ごと質量を測定、その後、流延膜を120℃で2時間完全に乾燥させた後、再度質量を測定し、下記式から求める。
残留溶媒量(%)=100×(流延膜の加熱処理前質量−流延膜の加熱処理後質量)/(流延膜の加熱処理後質量)
第1乾燥工程102は、乾燥風取り入れ口102cと、排出口102bと、未延伸フィルム2を搬送する上下で一組で、複数組から構成されている搬送ロール102dとを有する乾燥箱102aと、未延伸フィルム2の両端部を切除するスリッター102eを有している。尚、乾燥風取り入れ口102cと、排出口102bとは逆であっても構わない。
第1乾燥工程102で延伸工程103に入る前の未延伸フィルム2に含まれる溶剤量の調整が行うことが可能となっており、必要に応じて適宜設置が可能となっている。
延伸工程103は、MD(Machine Direction)延伸部(不図示)、及びTD(Transverse Direction)延伸部(不図示)と、延伸フィルム2aの両端部を切除するスリッター103aとを有し、これにより、第1乾燥工程102から搬送されてくる未延伸フィルム2が延伸され、延伸フィルム2aが形成される様になっている。
第2乾燥工程104は、乾燥風取り入れ口104cと、排出口104bと、延伸フィルム2aを搬送する上下で一組で、複数組から構成されている搬送ロール104dとを有する乾燥箱(104a)を有している。尚、乾燥風取り入れ口104cと、排出口104bとは逆であっても構わない。
回収部106は延伸フィルム2aを巻取る巻取り機(不図示)を有しており、巻取り長さに対応し巻取り張力を制御しながら、延伸フィルム2aを巻取り軸に巻取る様になっている。尚、回収部106で巻取る前に、必要に応じて両端部にナーリングを形成するナーリング部を設けても構わない。
本図に示すように、流延部101で、原料の樹脂を溶媒に溶解し、これに必要に応じて可塑剤、紫外線吸収剤、劣化防止剤、滑り剤、剥離促進剤等の各種の添加剤を加えて調製したドープを、ダイス101bから流出するドープ膜の両端に端部補強溶液供給ノズル101dより端部補強液を吐出し、エンドレスで走行(図中の矢印方向)する無端ベルト支持体101aの上に、流延し形成した両端が補強された流延膜を無端ベルト支持体上である程度まで溶媒を除去した後、無端ベルト支持体から剥離し、次いで各種の搬送手段により乾燥部、延伸部103を通過させて必要に応じて両端部にナーリングを形成した後に、回収部106で巻取り軸に巻取ることで光学フィルムが製造される。巻取り軸に巻取られた光学フィルムの長さは、2000mから8000mが好ましい。幅は、1000mmから3500mmが好ましい。厚さは、10μmから120μmが好ましい。
図2は、流延膜の両端部に端部補強溶液を供給する溶液流延方式による光学フィルムの製造装置の模式図である。
図中、1bは溶液流延方式による光学フィルムの製造装置を示す。他の符号は図1と同義である。図1に示される製造装置1aとの違いは、端部補強溶液供給手段101dの端部補強溶液供給ノズル101d1の位置が、流延膜101fの端部に端部補強溶液を供給出来る位置に配設されていることのみであり、他は全て図1に示される製造装置1aと同じである。端部とは流延膜101fの端辺から幅手方向に10mmの範囲を言う。尚、端部補強溶液供給ノズル101dは流延膜101fの両端部に端部補強溶液を供給する様に2本が配設されている。
端部補強溶液供給ノズル101d1の先端と流延膜101fの端部の表面までの距離は、離れ過ぎると、端部補強溶液が流れている間に、溶剤蒸発による端部補強溶液濃度上昇が大きくなり、増粘することで均一に流延膜に濡れ広がらなかったり、溶剤の蒸発で端部補強溶液流路の温度低下による水コンデンス等を招く。一方、距離が近過ぎても、端部補強溶液の流量変動が直接流延膜に濡れ広がる量の変動につながることで均一性が低下するため、流量変動が均一化される程度のバッファ分の距離は必要になる。これら等を考慮し、2mmから20mmが好ましい。
流延膜101fの両端部に端部補強溶液を供給する場合、端部補強溶液供給ノズル101d1を流延工程101に配設する位置は、端部補強溶液供給ノズル101d1から流延膜101fの両端部に供給された端部補強溶液が、無端ベルト支持体101aより流延膜101fを剥がすときに障害とならない程度に端部補強溶液の溶媒が除去される位置(端部に必要とする靭性が付与される位置)であれば特に限定はない。
本実施形態は、図1、図2に示される溶液流延方式による光学フィルムの製造方法に関し、更に詳しくは、無端ベルト支持体上に原料のアクリル系樹脂とセルロースエステル系樹脂との混合樹脂を溶媒に溶解したドープを流延し、形成された流延膜を無端ベルト支持体より剥がす時に、流延膜に裂け目が発生することを防止した光学フィルムの製造方法に関するものである。
図3は図1のTで示される部分の拡大概略図である。図3(a)は図1のTで示される端部補強溶液供給ノズルの配設位置を示す拡大概略図である。図3(b)は図3(a)に示される端部補強溶液供給ノズル側からの拡大概略正面図である。
図中、101eはダイス101bから膜状に吐出するドープから形成されたドープ膜を示す。端部補強溶液供給ノズル101d1の配設する位置は、ダイス101bから吐出されたドープ膜101eが無端ベルト支持体101aに着地する迄の間で、端部補強溶液を供給出来れば特に限定はない。例えば、ドープ膜101eの両端部に端部補強溶液を供給する場合は、端部補強溶液供給ノズル101d1をダイス101bの内部に組み込んでも良いし、ダイス101bの外側に配設しても構わない。本図は、ダイス101bの外側に配設した場合を示す。
本図は、ドープ膜101eの両端部に端部補強溶液を供給する場合で、ダイス101bの外側に2本の端部補強溶液供給ノズル101dを配設した場合を示している。2本の端部補強溶液供給ノズル101d1は、各々が独立した端部補強溶液タンク101d2(図1参照)と、端部補強溶液供給管101d4(図1参照)とを有してもよいし、端部補強溶液タンク101d2(図1参照)を1つとして端部補強溶液供給管101d4(図1参照)を分岐して2本の端部補強溶液供給ノズル101d1に端部補強溶液を供給する方式であってもよく、必要に応じて選択することが可能となっている。
尚、図2に示す流延膜の両端部に端部補強溶液を供給する場合も本図と同じ構成となっている。
図4は端部補強溶液供給ノズルの先端の概略平面図である。
図4(a)に示される端部補強溶液供給ノズル101d1の先端は、単一の管で形成されている場合を示す。Uは端部補強溶液供給ノズル101d1の先端の内径を示す。内径Uは、大き過ぎると途中で溶剤分が蒸発して溶液濃度が変わってしまい、小さすぎると液が詰まって流れ難くなる等を考慮し、1mmから10mmが好ましい。
図4(b)に示される端部補強溶液供給ノズル101d1の先端は、複数の細管で形成されている場合を示す。Wは細管の内径を示す。内径Wは、溶液が管内に滞留せず一定流量を維持できること等を考慮し、0.5mmから3.0mmが好ましい。細管の数は、3本から10本が好ましい。
端部補強溶液供給ノズル101d1の先端の形状は、端部補強溶液の巾広がらない様にするため、注射針の形状、ドープ膜又は流延膜に向かって巾を絞り徐々に絞り込んだ雨どい状の形状、シャープペンシルの先端のような円形配管を絞り込んだ形状、円形等が挙げられ、これらの中で円形が特に好ましい。又、端部補強溶液供給ノズル101d1の先端は、細い先端が円形のノズルを多数本組み合わせた形状にしてもよい。
端部補強溶液供給ノズル101d1からの端部補強溶液の供給量は、少量過ぎると、流延膜の端部の強度を上げる効果が小さく、多過ぎると流延膜の端部が厚膜になり過ぎて無端ベルトが1周する間に、剥離できる残溶まで乾燥することができないことがある等を考慮し、0.2ml/minから50ml/minであることが好ましい。
(端部補強溶液)
本実施形態において、端部補強溶液は、ドープを構成している前記セルロースエステル系樹脂の質量比よりも多い質量比で前記セルロースエステル系樹脂を含むように調製される。具体的には、例えば、端部補強溶液は質量比で40%以上のセルロースエステル系樹脂を含有することが好ましい。
端部補強溶液には質量比でセルロースエステル系樹脂を45%から100%含有していることが好ましい。
セルロースエステル系樹脂を使用することで、ドープから形成された流延膜の端部と、端部に形成された端部補強溶液による薄い樹脂層が一体化して端部を形成するために、無端ベルト支持体から流延膜を剥がす時に両端部に掛かる応力に負けない靭性が流延膜の両端部に付与され、両端部の裂け目の発生を防止することが可能となる。
セルロースエステル系樹脂としては、アシル基の総置換度(T)が2.0から3.0、炭素数が3から7のアシル基の置換度が1.2から3.0であり、炭素数3から7のアシル基の置換度は、2.0から3.0であることが好ましい。即ち、本実施形態のセルロースエステル系樹脂は炭素数が3から7のアシル基により置換されたセルロースエステル樹脂であり、具体的には、プロピオニル、ブチリル等が好ましく用いられるが、特にプロピオニル基が好ましく用いられる。
端部補強溶液に使用する溶媒は、ドープの調製に使用した溶媒が挙げられる。
端部補強溶液の粘度は、配管内の送液流動性や、ドープ膜の端部又は流延膜端部に供給された際に適度に濡れ広がること等を考慮し、5mPa・s(25℃)から500mPa・s(25℃)が好ましい。尚、粘度は、B型粘度計と総称される、BROOKFIELD社製、モデルLVTで温度25℃で測定した値を示す。
図1から図4に示す様に、アクリル系樹脂とセルロースエステル系樹脂との混合樹脂を溶媒に溶解したドープを使用して、ドープ膜又は流延膜の両端部にドープを構成しているセルロースエステル系樹脂の質量比よりも多く前記セルロースエステル系樹脂を含む端部補強溶液を供給しながら光学用フィルムを製造することで以下に示す効果が得られた。
1.剥離および剥離直後の膜残留溶媒量が高くて未延伸フィルムが柔らかいときに、未延伸フィルムの両端部の強度が高いことから搬送での斜行が低減、またツレ、シワも減少し、リターデーションなどの光学特性の幅手、長手ばらつきが大幅に減少した。
2.流延膜を無端ベルト支持体から剥がす時、端部に裂け目が発生することを防止することが出来、安定した薄膜、広幅の光学フィルムの製造が可能となった。
3.剥離後の初めのスリッターで、スリットしたトリムの帯電が減衰しやすくなり、帯電で貼りついてトラブルを起こすことがなくなった。
次に本実施形態の光学フィルムの製造方法に係わる材料に付き説明する。
〈アクリル系樹脂〉
本実施形態の光学フィルムの製造方法に係わるアクリル系樹脂には、メタクリル樹脂も含まれる。アクリル系樹脂としては特に制限されるものではないが、メチルメタクリレート単位50質量%から99質量%、およびこれと共重合可能な他の単量体単位1質量%から50質量%であるものが好ましい。
共重合可能な他の単量体としては、アルキル数の炭素数が2から18のアルキルメタクリレート、アルキル数の炭素数が1から18のアルキルアクリレート、アクリル酸、メタクリル酸等のα,β−不飽和酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和基含有二価カルボン酸、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のα,β−不飽和ニトリル、無水マレイン酸、マレイミド、N−置換マレイミド、グルタル酸無水物等が挙げられ、これらは単独で、あるいは2種以上の単量体を併用して用いることが出来る。
これらの中でも、共重合体の耐熱分解性や流動性の観点から、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、s−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等が好ましく、メチルアクリレートやn−ブチルアクリレートが特に好ましく用いられる。
本実施形態の光学フィルムの製造方法に係わるアクリル系樹脂は、特に光学フィルムとしての脆性の改善及びセルロースエステル系樹脂と相溶した際の透明性の改善の観点で、重量平均分子量(Mw)が80000以上である。アクリル系樹脂の重量平均分子量(Mw)が80000を下回ると、十分な脆性の改善が得られず、セルロースエステル系樹脂との相溶性が劣化する。アクリル系樹脂の重量平均分子量(Mw)は、80000から1000000の範囲内であることが更に好ましく、100000から600000の範囲内であることが特に好ましく、150000から400000の範囲であることが最も好ましい。アクリル系樹脂の重量平均分子量(Mw)の上限値は特に限定されるものではないが、製造上の観点から1000000以下とされることが好ましい形態である。
本実施形態の光学フィルムの製造方法に係わるアクリル系樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定することができる。測定条件は以下の通りである。
溶媒 :メチレンクロライド
カラム :Shodex K806、K805、K803G
(昭和電工(株)製を3本接続して使用した)
カラム温度:25℃
試料濃度 :0.1質量%
検出器 :RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ :L6000(日立製作所(株)製)
流量 :1.0ml/min
校正曲線 :標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=2,800,000から500迄の13サンプルによる校正曲線を使用した。13サンプルは、ほぼ等間隔に用いることが好ましい。
本実施形態におけるアクリル系樹脂の製造方法としては、特に制限は無く、懸濁重合、乳化重合、塊状重合、あるいは溶液重合等の公知の方法のいずれを用いても良い。ここで、重合開始剤としては、通常のパーオキサイド系およびアゾ系のものを用いることが出来、また、レドックス系とすることも出来る。重合温度については、懸濁または乳化重合では30℃から100℃、塊状又は溶液重合では80℃から160℃で行うことが出来る。得られた共重合体の還元粘度を制御するために、アルキルメルカプタン等を連鎖移動剤として用いて重合を実施することも出来る。
本実施形態の光学フィルムの製造方法に係わるアクリル系樹脂としては、市販のものも使用することができる。例えば、デルペット60N、80N(旭化成ケミカルズ(株)製)、ダイヤナールBR52、BR80、BR83、BR85、BR88、BR85(三菱レイヨン(株)製)、KT75(電気化学工業(株)製)等が挙げられる。アクリル系樹脂は2種以上を併用することもできる。
〈セルロースエステル系樹脂〉
本実施形態の光学フィルムの製造方法に係わるセルロースエステル系樹脂は、特に脆性の改善やアクリル系樹脂と相溶させたときに透明性の観点から、アシル基の総置換度(T)が2.0から3.0、炭素数が3から7のアシル基の置換度が1.2から3.0であり、炭素数3から7のアシル基の置換度は、2.0から3.0であることが好ましい。即ち、本実施形態のセルロースエステル系樹脂は炭素数が3から7のアシル基により置換されたセルロースエステル樹脂であり、具体的には、プロピオニル、ブチリル等が好ましく用いられるが、特にプロピオニル基が好ましく用いられる。
セルロースエステル系樹脂の、アシル基の総置換度が2.0を下回る場合、即ち、セルロースエステル分子の2,3,6位の水酸基の残度が1.0を上回る場合には、アクリル樹脂とアクリル樹脂が十分に相溶せず光学フィルムとして用いる場合にヘーズが問題となる。また、アシル基の総置換度が2.0以上であっても、炭素数が3から7のアシル基の置換度が1.2を下回る場合は、やはり十分な相溶性が得られないか、脆性が低下することとなる。例えば、アシル基の総置換度が2.0以上の場合であっても、炭素数2のアシル基、即ちアセチル基の置換度が高く、炭素数3から7のアシル基の置換度が1.2を下回る場合は、相溶性が低下しヘーズが上昇する。また、アシル基の総置換度が2.0以上の場合であっても、炭素数8以上のアシル基の置換度が高く、炭素数3から7のアシル基の置換度が1.2を下回る場合は、脆性が劣化し、所望の特性が得られない。
本実施形態の光学フィルムの製造方法に係わるセルロースエステル樹脂のアシル置換度は、総置換度(T)が2.0から3.0であり、炭素数が3から7のアシル基の置換度が1.2から3.0であれば問題ないが、炭素数が3から7以外のアシル基、即ち、アセチル基や炭素数が8以上のアシル基の置換度の総計が1.3以下とされることが好ましい。
又、セルロースエステル系樹脂のアシル基の総置換度(T)は、2.5から3.0の範囲であることが更に好ましい。
本実施形態において前記アシル基は、脂肪族アシル基であっても、芳香族アシル基であってもよい。脂肪族アシル基の場合は、直鎖であっても分岐していても良く、さらに置換基を有してもよい。本実施形態におけるアシル基の炭素数は、アシル基の置換基を包含するものである。
本実施形態の光学フィルムの製造方法に係わるセルロースエステル系樹脂が、芳香族アシル基を置換基として有する場合、芳香族環に置換する置換基Xの数は0個から5個であることが好ましい。この場合も、置換基を含めた炭素数が3から7であるアシル基の置換度が1.2から3.0となるように留意が必要である。例えば、ベンゾイル基は炭素数が7になる為、炭素を含む置換基を有する場合は、ベンゾイル基としての炭素数は8以上となり、炭素数が3から7のアシル基には含まれないこととなる。
更に、芳香族環に置換する置換基の数が2個以上の時、互いに同じでも異なっていてもよいが、また、互いに連結して縮合多環化合物(例えばナフタレン、インデン、インダン、フェナントレン、キノリン、イソキノリン、クロメン、クロマン、フタラジン、アクリジン、インドール、インドリンなど)を形成してもよい。
上記のようなセルロースエステル樹脂においては、炭素数3から7の脂肪族アシル基の少なくとも1種を有する構造を有することが、本実施形態に使用するセルロースエステル系樹脂に用いる構造として用いられる。
本実施形態の光学フィルムの製造方法に係わるセルロースエステル系樹脂の置換度は、アシル基の総置換度(T)が2.0から3.0、炭素数が3から7のアシル基の置換度が1.2から3.0である。
又、炭素数が3から7のアシル基以外、即ちアセチル基と炭素数が8以上のアシル基の置換度の総和が1.3以下であることが好ましい構造である。
本実施形態に使用するセルロースエステル系樹脂としては、特にセルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートベンゾエート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレートから選ばれる少なくとも一種であることが好ましく、即ち、炭素原子数3または4のアシル基を置換基として有するものが好ましい。
これらの中で特に好ましいセルロースエステル系樹脂は、セルロースアセテートプロピオネートやセルロースプロピオネートである。
アシル基で置換されていない部分は通常水酸基として存在しているものである。これらは公知の方法で合成することが出来る。
尚、アセチル基の置換度や他のアシル基の置換度は、ASTM−D817−96に規定の方法により求めたものである。
本実施形態の光学フィルムの製造方法に係わるセルロースエステル系樹脂の重量平均分子量(Mw)は、特にアクリル系樹脂との相溶性、脆性の改善の観点から75000以上であり、75000から300000の範囲であることが好ましく、100000から240000の範囲内であることが更に好ましく、160000から240000のものが特に好ましい。セルロースエステル系樹脂の重要平均分子量(Mw)が75000を下回る場合は、耐熱性や脆性の改善効果が十分ではなくなる。本実施形態では2種以上のセルロースエステル系樹脂を混合して用いることもできる。
本実施形態の光学フィルムの製造方法に係わる、ドープ中のアクリル系樹脂とセルロースエステル系樹脂の質量比は、セルロースエステル系樹脂の性能、耐湿性等を考慮し、95:5から30:70の質量比で、且つ相溶状態で含有されるが、好ましくは95:5から50:50であり、更に好ましくは90:10から60:40である。
本実施形態の光学フィルムの製造方法に係わる、ドープ中のアクリル系樹脂とセルロースエステル系樹脂とが相溶状態で含有される必要がある。アクリル系樹脂とセルロースエステル系樹脂とを相溶させることで製造される光学フィルムとして必要とされる物性や品質を相互に補うことにより達成している。
アクリル系樹脂とセルロースエステル系樹脂とが相溶状態となっているかどうかは、例えばガラス転移温度Tgにより判断することが可能である。
例えば、両者の樹脂のガラス転移温度が異なる場合、両者の樹脂を混合したときは、各々の樹脂のガラス転移温度が存在するため混合物のガラス転移温度は2つ以上存在するが、両者の樹脂が相溶したときは、各々の樹脂固有のガラス転移温度が消失し、1つのガラス転移温度となって相溶した樹脂のガラス転移温度となる。
尚、ここでいうガラス転移温度とは、示差走査熱量測定器(Perkin Elmer社製DSC−7型)を用いて、昇温速度20℃/分で測定し、JIS K7121(1987)に従い求めた中間点ガラス転移温度(Tmg)とする。
アクリル系樹脂とセルロースエステル系樹脂は、それぞれ非結晶性樹脂であることが好ましく、何れか一方が結晶性高分子、あるいは部分的に結晶性を有する高分子であってもよいが、本実施形態においてアクリル系樹脂とセルロースエステル系樹脂が相溶することで、非結晶性樹脂となることが好ましい。
本実施形態に使用するアクリル系樹脂の重量平均分子量(Mw)やセルロースエステル系樹脂の重量平均分子量(Mw)や置換度は、両者の樹脂の溶媒に対して溶解性の差を用いて、分別した後に、それぞれ測定することにより得られる。樹脂を分別する際には、いずれか一方にのみ溶解する溶媒中に相溶された樹脂を添加することで、溶解する樹脂を抽出して分別することができ、このとき加熱操作や環流を行ってもよい。これらの溶媒の組み合わせを2工程以上組み合わせて、樹脂を分別してもよい。溶解した樹脂と、不溶物として残った樹脂を濾別し、抽出物を含む溶液については、溶媒を蒸発させて乾燥させる操作によって樹脂を分別することができる。これらの分別した樹脂は、高分子の一般の構造解析によって特定することができる。
本実施形態の光学フィルムの製造に係わるドープ中に、アクリル系樹脂やセルロースエステル系樹脂以外の樹脂を含有する場合も同様の方法で分別することができる。
又、相溶された樹脂の重量平均分子量(Mw)がそれぞれ異なる場合は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって、高分子量物は早期に溶離され、低分子量物であるほど長い時間を経て溶離されるために、容易に分別可能であるとともに分子量を測定することも可能である。
又、相溶した樹脂をGPCによって分子量測定を行うと同時に、時間毎に溶離された樹脂溶液を分取して溶媒を留去し乾燥した樹脂を、構造解析を定量的に行うことで、異なる分子量の分画毎の樹脂組成を検出することで、相溶されている樹脂をそれぞれ特定することができる。事前に溶媒への溶解性の差で分取した樹脂を、各々GPCによって分子量分布を測定することで、相溶されていた樹脂をそれぞれ検出することも出来る。
又、本実施形態において、「アクリル系樹脂やセルロースエステル系樹脂を相溶状態で含有する」とは、各々の樹脂(ポリマー)を混合することで、結果として相溶された状態となることを意味しており、モノマー、ダイマー、あるいはオリゴマー等のアクリル系樹脂の前駆体をセルロースエステル系樹脂に混合させた後に重合させることにより混合樹脂とされた状態は含まれないものとする。
例えば、モノマー、ダイマー、あるいはオリゴマー等のアクリル系樹脂の前駆体をセルロースエステル系樹脂に混合させた後に重合されることにより混合樹脂を得る工程は、重合反応が複雑であり、この方法で作成した樹脂は、反応の制御が困難であり、分子量の調整も困難となる。また、このような方法で樹脂を合成した場合は、グラフト重合、架橋反応や環化反応が生じることが多く、溶媒に溶解しいケースや、加熱により溶融できなくなることが多く、混合樹脂中におけるアクリル系樹脂を溶離して重量平均分子量(Mw)を測定することも困難である為、物性をコントロールすることが難しく光学フィルムを安定に製造する樹脂として用いることは出来ない。
本実施形態の光学フィルムの製造に係わるドープは、製造される光学フィルムとしての機能を損なわない限りは、アクリル系樹脂、セルロースエステル系樹脂以外の樹脂や添加剤を含有して構成されていても良い。
アクリル系樹脂、セルロースエステル系樹脂以外の樹脂を含有する場合、添加される樹脂が相溶状態であっても、溶解せずに混合されていてもよい。
本実施形態の光学フィルムの製造により製造された光学フィルムにおけるアクリル系樹脂とセルロースエステル系樹脂の総質量は、光学フィルムの55質量%以上であることが好ましく、更に好ましくは60質量%以上であり、特に好ましくは、70質量%以上である。
アクリル系樹脂とセルロースエステル系樹脂以外の樹脂や添加剤を用いる際には、本実施形態の光学フィルムの製造により製造された光学フィルムの機能を損なわない範囲で添加量を調整することが好ましい。
〈アクリル粒子〉
本実施形態の光学フィルムの製造に係わるドープには、アクリル粒子を含有することが好ましい。アクリル粒子とは、アクリル系樹脂及びセルロースエステル系樹脂を相溶状態で含有する光学フィルム中に粒子の状態(非相溶状態ともいう)で存在するアクリル成分を表す。
本実施形態に用いられるアクリル粒子は特に限定されるものではないが、国際公開第2009−047924号に記載のアクリル粒子であることが好ましい。又、市販品の例としては、例えば、三菱レイヨン社製(メタブレンW−341(C2))、鐘淵化学工業社製(カネエース)、呉羽化学工業社製(パラロイド)ロームアンドハース社製(アクリロイド)、ガンツ化成工業社製(スタフィロイド)、クラレ社製(パラペットSA)、綜研化学(株)製(ケミスノーMR−2G(C3)、MS−300X(C4))などが挙げられ、これらは、単独ないし2種以上を用いることができる。
本実施形態においてアクリル系樹脂に、アクリル粒子を配合する方法には、特に制限はなく、アクリル系樹脂とその他の任意成分を予めブレンドした後、通常200℃から350℃において、アクリル粒子を添加しながら一軸または二軸押出機により均一に溶融混練する方法が好ましく用いられる。
また、アクリル粒子を予め分散した溶液を、アクリル系樹脂、及びセルロースエステル系樹脂を溶解したドープに添加して混合する方法や、アクリル粒子及びその他の任意の添加剤を溶解、混合した溶液をアクリル系樹脂、及びセルロースエステル系樹脂を溶解したドープにインライン添加する等の方法を用いることが出来る。アクリル粒子の添加量としては、光学フィルムを構成する樹脂の総質量に対して、0.5質量%から30質量%を含有することが好ましく、1.0質量%から15質量%の範囲で含有することが更に好ましい。
〈その他の添加剤〉
本実施形態の光学フィルムの製造に係わるドープにおいては、組成物の流動性や柔軟性を向上するために、可塑剤を併用することも可能である。可塑剤としては、フタル酸エステル系、脂肪酸エステル系、トリメリット酸エステル系、リン酸エステル系、ポリエステル系、あるいはエポキシ系等が挙げられる。
この中で、ポリエステル系とフタル酸エステル系の可塑剤が好ましく用いられる。ポリエステル系可塑剤は、フタル酸ジオクチルなどのフタル酸エステル系の可塑剤に比べて非移行性や耐抽出性に優れるが、可塑化効果や相溶性にはやや劣る。
従って、用途に応じてこれらの可塑剤を選択、あるいは併用することによって、広範囲の用途に適用出来る。
ポリエステル系可塑剤は、一価ないし四価のカルボン酸と一価ないし六価のアルコールとの反応物であるが、主に二価カルボン酸とグリコールとを反応させて得られたものが用いられる。代表的な二価カルボン酸としては、グルタル酸、イタコン酸、アジピン酸、フタル酸、アゼライン酸、セバシン酸などが挙げられる。
特に、アジピン酸、フタル酸などを用いると可塑化特性に優れたものが得られる。グリコールとしてはエチレン、プロピレン、1,3−ブチレン、1,4−ブチレン、1,6−ヘキサメチレン、ネオペンチレン、ジエチレン、トリエチレン、ジプロピレンなどのグリコールが挙げられる。これらの二価カルボン酸およびグリコールはそれぞれ単独で、あるいは混合して使用してもよい。
このエステル系の可塑剤はエステル、オリゴエステル、ポリエステルの型のいずれでもよく、分子量は100から10000の範囲が良いが、好ましくは600から3000の範囲が、可塑化効果が大きい。
又、可塑剤の粘度は分子構造や分子量と相関があるが、アジピン酸系可塑剤の場合相溶性、可塑化効率の関係から200MPa・s(25℃)から5000MPa・s(25℃)の範囲が良い。更に、いくつかのポリエステル系可塑剤を併用してもかまわない。
可塑剤は本実施形態の光学フィルムの製造により製造された光学フィルム100質量部に対して、0.5質量部から30質量部を添加するのが好ましい。可塑剤の添加量が30質量部を越えると、表面がべとつくので、実用上好ましくない。
本実施形態の光学フィルムの製造に係わるドープは、紫外線吸収剤を含有することも好ましく、用いられる紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系、2−ヒドロキシベンゾフェノン系またはサリチル酸フェニルエステル系のもの等が挙げられる。例えば、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール等のトリアゾール類、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン類を例示することが出来る。
ここで、紫外線吸収剤のうちでも、分子量が400以上の紫外線吸収剤は、高沸点で揮発しにくく、高温成形時にも飛散し難いため、比較的少量の添加で効果的に耐候性を改良することが出来る。
分子量が400以上の紫外線吸収剤としては、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2−ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]等のベンゾトリアゾール系、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート等のヒンダードアミン系、さらには2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、1−[2−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等の分子内にヒンダードフェノールとヒンダードアミンの構造を共に有するハイブリッド系のものが挙げられ、これらは単独で、あるいは2種以上を併用して使用することができる。これらのうちでも、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2−ベンゾトリアゾールや2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]が特に好ましい。
更に、本実施形態の光学フィルムの製造に係わるドープには、成形加工時の熱分解性や熱着色性を改良するために各種の酸化防止剤を添加することもできる。また帯電防止剤を加えて、光学フィルムに帯電防止性能を与えることも可能である。
本実施形態の光学フィルムの製造に係わるドープには、リン系難燃剤を配合した難燃アクリル系樹脂組成物を用いても良い。
ここで用いられるリン系難燃剤としては、赤リン、トリアリールリン酸エステル、ジアリールリン酸エステル、モノアリールリン酸エステル、アリールホスホン酸化合物、アリールホスフィンオキシド化合物、縮合アリールリン酸エステル、ハロゲン化アルキルリン酸エステル、含ハロゲン縮合リン酸エステル、含ハロゲン縮合ホスホン酸エステル、含ハロゲン亜リン酸エステル等から選ばれる1種、あるいは2種以上の混合物を挙げることが出来る。
具体的な例としては、トリフェニルホスフェート、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキシド、フェニルホスホン酸、トリス(β−クロロエチル)ホスフェート、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート等が挙げられる。
(有機溶媒)
本実施形態の光学用フィルムの製造方法に係わるドープを調製するのに有用な有機溶媒は、アクリル系樹脂、セルロースエステル系樹脂、その他の添加剤を同時に溶解するものであれば制限なく用いることが出来る。例えば、塩素系有機溶媒としては、塩化メチレン、非塩素系有機溶媒としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、アセトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、シクロヘキサノン、ギ酸エチル、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−ヘキサフルオロ−1−プロパノール、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、ニトロエタン等を挙げることが出来、塩化メチレン、酢酸メチル、酢酸エチル、アセトンを好ましく使用し得る。
ドープには、上記有機溶媒の他に、1質量%から40質量%の炭素原子数1から4の直鎖または分岐鎖状の脂肪族アルコールを含有させることが好ましい。ドープ中のアルコールの比率が高くなるとウェブがゲル化し、金属支持体からの剥離が容易になり、また、アルコールの割合が少ない時は非塩素系有機溶媒系でのアクリル系樹脂、セルロースエステル系樹脂の溶解を促進する役割もある。
炭素原子数1から4の直鎖または分岐鎖状の脂肪族アルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノールを挙げることが出来る。これらの内ドープの安定性、沸点も比較的低く、乾燥性もよいこと等からエタノールが好ましい。
特に、メチレンクロライド、及び炭素数1から4の直鎖または分岐鎖状の脂肪族アルコールを含有する溶媒に、アクリル樹脂(A)と、セルロースエステル樹脂(B)と、アクリル粒子(C)の3種を、少なくとも計15質量%から45質量%溶解させたドープ組成物であることが好ましい。
本明細書は、上述したように様々な態様の技術を開示しているが、そのうち主な技術を以下に纏める。
本発明の一局面は、
原料のアクリル系樹脂とセルロースエステル系樹脂との混合樹脂を溶媒に溶解したドープをダイスより流出して無端ベルト支持体の上にドープ膜を流延し、流延膜を形成する流延部と、
前記流延膜を前記無端ベルト支持体より剥離した後に延伸する延伸部と、乾燥する乾燥部と、巻き取りをする巻き取り部とを少なくとも有する溶液流延製造装置により、光学フィルムを製造する光学フィルムの製造方法において、
前記流延部は、前記ドープ膜又は前記流延膜の両端部に、前記ドープを構成している前記セルロースエステル系樹脂の質量比よりも多い質量比で前記セルロースエステル系樹脂を含む端部補強溶液を供給する端部補強溶液供給手段を有し、
前記端部補強溶液供給手段より前記両端部に前記端部補強溶液を供給しながら流延することを特徴とする光学フィルムの製造方法である。
このような構成により、セルロースエステル系樹脂とアクリル系樹脂を混合し溶媒に溶解したドープを使用して光学フィルムを製造する際に、流延膜の端部に強度を上げることができる。よって、セルロースエステル系樹脂とアクリル系樹脂を混合し溶媒に溶解したドープを使用し、無端支持体の上に形成した広幅、薄膜の流延膜を、高速で移動する無端支持体から剥がす時に、流延膜の端部に裂け目の発生を防止した光学フィルムの製造方法を提供することが出来る。
さらに、前記光学フィルムの製造方法において、前記端部補強溶液の供給量が、0.2ml/minから50ml/minであることが好ましい。
このような供給量で端部補強溶液を供給することにより、流延膜の端部に強度を上げる効果がより確実に得られ、かつ、流延膜の端部が厚膜になりすぎるといった事態も抑えることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
(ドープの調製)
ダイヤナールBR85(三菱レイヨン(株)製 Mw280000)
85質量部
セルロースエステル樹脂
(セルロースアセテートプロピオネート アシル基総置換度2.75、
アセチル基置換度0.19、プロピオニル基置換度2.56、
Mw=200000) 15質量部
メチレンクロライド 300質量部
エタノール 40質量部
上記組成物を、60℃で攪拌しながら十分に溶解し、ドープ液を調製した。
(端部補強溶液の調製)
表1に示す樹脂A、樹脂Bを表1に示す樹脂質量比で混合した混合樹脂10質量部を、メチレンクロライド100質量部に60℃で攪拌しながら十分に溶解し、端部補強溶液を調製しNo.1−aから1−eとした。
調製した端部補強溶液の粘度(25℃)は、BROOKFIELD社製のモデルLVTで測定した値を示す。
Figure 2013035249
*1:セルロースエステル樹脂:ドープに使用したセルロースエステルと同じもの
*2:アクリル樹脂:ダイヤナールBR88(三菱レイヨン社製) Mw480000
*3:ノルボルネン樹脂(アートンG JSR社製)
〔光学フィルム試料No.101から105の作製〕
図1に示す製造装置を使用し、調製したドープ液を、温度22℃、100m/minで回転移動する無端ベルト支持体上にダイスより吐出したドープ膜の両端部約6mmに調製した端部補強溶液No.1−aから1−eを、図4(a)に示す内径7mmの端部補強溶液供給ノズルを使用し、下記に示す条件で供給しながら、無端ベルト支持体上で、流延膜の残留溶剤量が50質量%になるまで溶媒を蒸発させ、フィルム巾1m巾当たりの換算値として剥離張力100N/mで無端ベルト支持体上から剥離し未延伸フィルムを得た。剥離した未延伸フィルムを40℃で溶媒を蒸発させ、両端部をスリットし、その後、延伸部で、MD方向にMD延伸率110%で延伸、TD方向にTD延伸率170%で延伸しながら、150℃の乾燥温度で乾燥させた。延伸後、120℃の第2乾燥部を多数のロールで移送させながら乾燥を終了させ、延伸フィルムの両端部10mmに高さ5μmのナーリングを設けた後、回収部で巻軸に巻取り速度110m/minで、フィルム巾1m巾当たりの換算値として、初期張力220N/m、終張力110N/mで内径11インチの巻軸に巻き取り、幅2500mm、厚さ20μmの光学フィルムを巻取り長さ7800mのロール体として20本連続製造し、試料No.101から105とした。巻取った光学フィルムの残留溶媒量は、0.02%であった。
MDの延伸率は、以下の方法で計算で求めた値を示す。
MD延伸率=100×(巻取り速度−無端ベルト搬送速度)/無端ベルト搬送速度
TDの延伸率は、以下の方法で計算で求めた値を示す。
TD延伸率=100×(テンター出フィルム巾−テンター入りフィルム巾)/テンター入りフィルム巾
残留溶剤量の測定は、以下に示すガスクロマトグラフ質量分析法にて、加熱条件120℃、30分で分析を行った。
分析装置メーカー名:Agilent Technologies
装置の型式:HP 5890 Series II (GC)
HP 7694 (HS:Head Space)
カラム種類:DB−624 内径0.25mm×容量30ml
(端部補強溶液供給条件)
端部補強溶液の供給量:10ml/min
端部補強溶液供給ノズル先端とドープ膜端部との距離:15mm
〔光学フィルム試料No.106から110の作製〕
図2に示す製造装置を使用し、端部補強溶液を流延膜の両端部10mmに端部補強溶液を供給した他は全て試料No.101と同じ条件で光学フィルムのロール体を製造し試料No.106から110とした。尚、流延膜の両端部に端部補強溶液を供給する位置はドープ膜が無端ベルト支持体に着地した位置から15mm離れた位置とした。
〔光学フィルム比較試料No.111の作製〕
試料No.101を製造する時に端部補強溶液の代わりに、メチレンクロライドを使用した他は全て同じ条件で光学フィルムのロール体を製造し比較試料No.111とした。
〔光学フィルム比較試料No.112の作製〕
試料No.106を製造する時に端部補強溶液の代わりに、メチレンクロライドを使用した他は全て同じ条件で光学フィルムのロール体を製造し比較試料No.112とした。
評価
製造した光学フィルムNo.101から112に付き、無端ベルト支持体から流延膜を剥がした後、両端部を切除する迄の間に裂けの発生の有無を目視で観察した結果を表2に示す。
Figure 2013035249
本発明に係る試料No.101から103と試料No.106から108は、フィルムのエッジ部の裂けは皆無であったが、セルロースエステル樹脂とアクリル樹脂との質量比を15:85とした端部補強樹脂溶液を使用した試料No.104、109、ノルボルネン樹脂を供給した試料No.105と試料No.110および溶剤のみ供給した試料No.111、112のエッジには、ほぼ連続して10mm前後の裂けが発生しており、製膜条件の変更等でフィルムにショックが掛れば簡単に全巾裂けて破断してしまうような危険な状態であった。
実施例2
実施例1で作成した試料No.101を作成する時、端部補強溶液の供給量を表3に示す様に変えた他は、全て同じ条件で光学フィルムを製造し試料No.201から206とした。
評価
製造した試料No.201から206に付き、無端ベルト支持体から流延膜を剥がした後、両端部を切除する迄の間に破断の発生の有無、ヒビ割れの有無を目視で観察した結果を表3に示す。
Figure 2013035249
端部補強溶液の供給量が、0.2ml/minから50ml/minの範囲で製造した試料No.202から205は何れも裂けの発生がなく、優れた性能を示した。
端部補強溶液の供給量を0.1ml/minとして製造した試料No.201は、裂けの発生はないが、製造に影響がない程度の僅かなひび割れ発生した。
端部補強溶液の供給量を60ml/minとして製造した試料No.206は、破断、ヒビ割れの発生はないが、流延膜の両端部が広い範囲に渡って厚膜となったためベルト1周で十分乾燥されず、結果、ベルトからの剥離位置が両端部がより下流にずれて、剥離フィルムにツレ、シワを招いたが、生産には影響ない微弱なレベルであった。
この出願は、2011年9月8日に出願された日本国特許出願特願2011−195753を基礎とするものであり、その内容は、本願に含まれるものである。
本発明を表現するために、前述において図面等を参照しながら実施形態を通して本発明を適切かつ十分に説明したが、当業者であれば前述の実施形態を変更及び/又は改良することは容易になし得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態又は改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態又は当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。
本発明は、光学フィルムの製造方法に関する技術分野において、広範な産業上の利用可能性を有する。

Claims (2)

  1. 原料のアクリル系樹脂とセルロースエステル系樹脂との混合樹脂を溶媒に溶解したドープをダイスより流出して無端ベルト支持体の上にドープ膜を流延し、流延膜を形成する流延部と、
    前記流延膜を前記無端ベルト支持体より剥離した後に延伸する延伸部と、乾燥する乾燥部と、巻き取りをする巻き取り部とを少なくとも有する溶液流延製造装置により、光学フィルムを製造する光学フィルムの製造方法において、
    前記流延部は、前記ドープ膜又は前記流延膜の両端部に、前記ドープを構成している前記セルロースエステル系樹脂の質量比よりも多い質量比で前記セルロースエステル系樹脂を含む端部補強溶液を供給する端部補強溶液供給手段を有し、
    前記端部補強溶液供給手段より前記両端部に前記端部補強溶液を供給しながら流延することを特徴とする光学フィルムの製造方法。
  2. 前記端部補強溶液の供給量が、0.2ml/minから50ml/minであることを特徴とする請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。
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