JPWO2013024758A1 - 電磁波吸収体 - Google Patents

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Abstract

従来品と比較して小型化(薄型化)や軽量化が容易であり、優れた電磁波吸収特性を発揮し得る電磁波吸収体を提供すること。樹脂製メッシュシートに、磁性体金属からなる被覆層が設けられてなる電磁波吸収体において、樹脂製メッシュシートのメッシュ数:m及び被覆層の厚さ:t(nm)が、下記式(1)及び(2)の関係を満たすように構成した。t≧m−40 ・・・(1)60≰m≰150 ・・・(2)

Description

本発明は、電磁波吸収体に係り、特に、携帯電話や携帯情報端末等の小型電子機器に好適に用いられ得る電磁波吸収体に関するものである。
近年、携帯電話、携帯情報端末やETC(Electronic Toll Collection System )車載器等の、電波を利用した電子機器(情報通信機器)が普及している。このような電子機器においては、他の電子機器の誤作動及び信号劣化の防止、並びに、人体への悪影響を防止すべく、機器から発生する不要な電磁波を吸収する電磁波吸収体(電磁波吸収材料)が広く採用されている。
電磁波吸収特性を有するものとして、従来より、磁性体金属が広く知られている。磁性体金属は、外部からの電磁波によって磁性の向きが変化するが、この変化は、高周波になるとやがて追いつかなくなる。これが抵抗となって、電磁波を熱に換えて吸収するのである。しかしながら、磁性体金属は、その表面でしか電磁波吸収効果を発揮し得ないことが知られている(表皮効果)。このため、磁性体金属のみからなる板や箔等を使用しても、要求される電磁波吸収特性を発揮させることは困難であった。
このような状況の下、特許文献1(特許第4311655号公報)や特許文献2(特許第4359185号公報)等において、各種ゴムや樹脂材料に磁性体金属粉を分散させてなる電磁波吸収体が提案されている。そのような電磁波吸収体にあっては、粉末状の磁性体金属を用いていることから、磁性体金属のみからなる板や箔等と比較して優れた電磁波吸収特性を発揮し得るものではあるものの、成形体の厚さが必然的に厚くなることから、軽量性及び加工性の点において問題を内在するものである。
一方、所定の高分子からなる基体上に、磁性体金属を物理的に蒸着してなる電磁波吸収体も、様々なものが提案されている(特許文献3及び特許文献4を参照)。しかしながら、昨今、特に携帯電話や携帯情報端末の分野においては機器の小型化が要求されているところ、電磁波吸収体に対しても、従来より小型でありながらも優れた電磁波吸収特性を発揮することが求められているのであり、新規な電磁波吸収体の開発が望まれているのである。
特許第4311655号公報 特許第4359185号公報 特許第4152856号公報 特許第4173424号公報
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決すべき課題とするところは、従来品と比較して小型化(薄型化)や軽量化が容易であり、優れた電磁波吸収特性を発揮し得る電磁波吸収体を提供することにある。
そして、本発明は、そのような課題を有利に解決するために、樹脂製メッシュシートに、磁性体金属からなる被覆層が設けられてなる電磁波吸収体にして、該樹脂製メッシュシートのメッシュ数:m及び該被覆層の厚さ:t(nm)が、下記式(1)及び(2)の関係を満たすことを特徴とする電磁波吸収体を、その要旨とするものである。
t≧m−40 ・・・(1)
60≦m≦150 ・・・(2)
なお、本発明の電磁波吸収体における好ましい態様の一つにおいては、前記磁性体金属からなる被覆層の厚さ:tが200nm以下である。
また、本発明の電磁波吸収体における好ましい態様の他の一つにおいては、マイクロストリップライン法に従って測定される3GHzにおける伝送減衰率が6dB以上である。
さらに、本発明の電磁波吸収体における別の好ましい態様の一つにおいては、前記磁性体金属がニッケル又はパーマロイである。
加えて、本発明の電磁波吸収体における望ましい態様の一つにおいては、前記樹脂製メッシュシートがポリエステル製メッシュシートである。
また、本発明の電磁波吸収体における望ましい態様の他の一つにおいては、前記樹脂製メッシュシートのメッシュ数:mと、前記被覆層を構成する磁性体金属の付着量:w(μg/cm2 )とが、下記式(3)の関係を満たす。
w≧(0.7×m)−40 ・・・(3)
このように、本発明に従う電磁波吸収体にあっては、樹脂製メッシュシートに、磁性体金属からなる被覆層が設けられてなるものであって、基体である樹脂製メッシュシートのメッシュ数:mと被覆層の厚さ:t(nm)とが、所定の関係を満たしているものである。このような構成を採用することによって、本発明の電磁波吸収体は、優れた電磁波吸収特性を発揮するのであり、機器から発生する不要な電磁波を吸収できるため、様々な電子機器において利用可能である。
また、基体として樹脂製メッシュシートを採用しているため、本発明の電磁波吸収体は、従来品と比較して小型化(薄型化)や軽量化が容易であり、また、可撓性を有することから、様々な形態で利用可能である。
ところで、本発明に従う電磁波吸収体においては、基体として、樹脂製メッシュシートが採用される。樹脂線(樹脂糸)を用いた繊維布としては、メッシュシート以外にも、例えば不織布等が知られている。しかしながら、不織布は、樹脂線(樹脂糸)が不規則に絡み合った構成であるため、ほつれやすく、引っ張りや引き裂きに弱い等の問題がある。また、不織布を基体として用いてなる電磁波吸収体は、光の透過率が低くなる恐れや、光が散乱し易くなる恐れ等があることから、例えばプラズマディスプレイ用の電磁波吸収体の如く、電磁波吸収体に対して透光性が求められる用途において、使用することが困難となる場合がある。
上述した理由より、本発明に係る電磁波吸収体においては、樹脂製メッシュシートが基体として使用される。ここで、樹脂製メッシュシートを構成する樹脂としては、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、アクリル等の合成繊維を例示することが出来るが、本発明においては、特にポリエステル(中でもポリエチレンテレフタレート)が、耐熱性等に優れることから有利に採用される。
また、メッシュ数が60メッシュ未満の樹脂製メッシュシートにあっては、ほつれやすいために加工性を悪化させる恐れがある。一方、メッシュ数が150メッシュを超える樹脂製メッシュシートの場合、メッシュを構成する樹脂線(樹脂糸)の数が増え、また、それに伴って樹脂線(樹脂糸)同士の交点の数が増えることから、電気的に連続体に近いものと、即ち、板状体や箔に近似したものとなる。このような、板状体や箔に近似したメッシュでは、前述した表皮効果の影響が大きく、メッシュ上に形成された金属層のごく表面のみしか電磁波吸収特性に寄与せず、要求される電磁波吸収特性を発揮させることが困難となる恐れがある。従って、本発明においては、基体たる樹脂製メッシュシートのメッシュ数:mは、60≦m≦150の範囲内において[下記式(2)]、更に、後述する、磁性体金属からなる被覆層の厚さ:t(nm)と所定の関係[下記式(1)]を満たすように、決定される。より好ましくは、式:t≧m−35である。加えて、後述するように、基体たる樹脂製メッシュシートのメッシュ数:mは、被覆層を構成する磁性体金属の付着量:w(μg/cm2 )との間において、下記式(3)の関係を満たすことが好ましい。なお、メッシュ数とは、1インチ当たりの経方向の樹脂線(樹脂糸)の本数を表わすものである。
t≧m−40 ・・・(1)
60≦m≦150 ・・・(2)
w≧(0.7×m)−40 ・・・(3)
さらに、メッシュシートを構成する樹脂線(樹脂糸)の線径は30μm〜90μmであることが好ましい。樹脂線(樹脂糸)の線径が30μm未満の場合には、線径が細いため樹脂糸としての取扱いが難しく、メッシュシートを効率良く製造することが困難となる場合がある。一方、線径が90μmを超えると、経糸と緯糸の交絡部の厚みが180μmを超えてしまい、薄地化の点で好ましくない。
本発明においては、磁性体金属からなる被覆層の被覆性を向上せしめるために、樹脂製メッシュシートに対してカレンダーロール加工を施すことが望ましい。かかるカレンダーロール加工によって、樹脂製メッシュシートの平滑化及び薄地化が有利に図られるからである。尚、樹脂製メッシュシートに対するカレンダーロール加工としては、従来より公知の各種手法の何れをも採用することが可能であり、例えば、2本ロールのカレンダーロール加工機を用いて、所定温度に加熱した下部ロール上にメッシュシートをセットし、上部ロールで所定圧力を加圧することにより、実施することが出来る。
上述の如き樹脂製メッシュシートに対して、必要に応じてカレンダーロール加工が施された後、その表面に、磁性体金属からなる被覆層が形成される。
ここで、本発明の電磁波吸収体における被覆層を構成する磁性体金属としては、ニッケル、鉄、及び、少なくともニッケル又は鉄を含む合金が、有利に用いられる。少なくともニッケル又は鉄を含む合金としては、Fe−Ni、Fe−Co、Fe−Cr、Fe−Si、Fe−Al、Fe−Cr−Si、Fe−Al−Cr、Fe−Al−Si、Fe−Ni−Cu−Mo、Fe−Ni−Cr、Fe−Ni−Mo、Fe−Ni−Si−B、Fe−Si−B、Co−Fe−Si−B 、Al−Ni−Cr−Fe、Si−Ni−Ce−Fe合金等を、例示することが出来る。これら磁性体金属は、単独で用いられ得ることは勿論のこと、二種以上のものを併用することも可能である。
本発明の電磁波吸収体において、上述の如き磁性体金属にて構成される被覆層の厚さ:t(nm)は、樹脂製メッシュシートのメッシュ数:mとの関係において、下記式(1)を、より好ましくは式:t≧m−35を、満たすものである。即ち、被覆層の厚さと樹脂製メッシュシートのメッシュ数とが所定の関係を有することにより、本発明の電磁波吸収体にあっては、優れた電磁波吸収特性を発揮するのである。また、被覆層の厚さ:t(nm)は、より好ましくは、生産性の観点から200nm以下とされる。尚、磁性体金属にて構成される被覆層の厚さは、蛍光X線法に従って測定されるものである。具体的には、蛍光X線法に従って測定された磁性体金属の付着量と、メッシュシートのメッシュ数及び磁性体金属の密度を用いて、計算により算出される。
t≧m−40 ・・・(1)
また、本発明の電磁波吸収体においては、前述した樹脂製メッシュシートのメッシュ数:mと、被覆層を構成する磁性体金属の付着量:w(μg/cm2 )とが、下記式(3)の関係を満たすことが好ましい。このような関係を満たすことにより、本発明の電磁波吸収体において、優れた電磁波吸収特性が確保され得る。また、被覆層を構成する磁性体金属の付着量:w(μg/cm2 )は、より好ましくは、生産性の観点から130μg/cm2 以下とされる。尚、被覆層を構成する磁性体金属の付着量は、蛍光X線法に従って測定されるものである。
w≧(0.7×m)−40 ・・・(3)
本発明において、樹脂製メッシュシート上に磁性体金属からなる被覆層を形成するに際しては、有利には、スパッタリング法、イオンプレーティング法、真空蒸着法、プラズマCVD法等の気相堆積法が採用される。それら気相堆積法の中でも、緻密な被覆層が効果的に得られるとの観点から、スパッタリング法又はイオンプレーティング法が、特に有利に採用される。
スパッタリング法としては、直流マグネトロンスパッタリング法、高周波マグネトロンスパッタリング法、イオンビームスパッタリング法等を、用いることが出来る。スパッタリング法は、一般に行なわれているDC電源によるマグネトロンスパッタリング法で可能であるが、AC電源やパルス電源によるスパッタリングを行なうことにより、スパッタリングが長期に亘って安定し、また、高出力の印加が可能となる。なお、米国のBOC社のC−MAG、独国のライボルト社、アルデンヌ社のツインマグ(デュアルマグ)によっても、本発明における被覆層を形成することが可能である。
イオンプレーティング法としては、圧力勾配型放電方式、ホローカソード放電方式、アーク放電方式等の、公知のイオンプレーティング法を採用することが可能である。
なお、気相堆積法を用いた被覆層の形成は、バッチ方式、或いはロール・ツー・ロール方式の何れにおいても可能であるが、生産性に優れ、製造コストを低く抑えることが出来るロール・ツー・ロール方式が有利に採用される。
そして、以上の如くして得られた電磁波吸収体にあっては、優れた電磁波吸収特性を発揮するのであり、機器から発生する不要な電磁波を吸収できるため、様々な電子機器において利用可能である。具体的には、マイクロストリップライン法に従って測定される3GHzにおける伝送減衰率が6dB以上と、非常に優れた電磁波吸収特性を発揮するのである。ここで、マイクロストリップライン法とは、IEC62333規格に規定されたものを意味する。また、本発明の電磁波吸収体は、従来品と比較して小型化(薄型化)や軽量化が容易であり、可撓性をも有することから、様々な形態で利用可能である。
以下に、本発明の実施例を幾つか示し、本発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には、上述の具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加え得るものであることが、理解されるべきである。
なお、以下の実施例及び比較例において、樹脂製メッシュシート上に形成した被覆層の厚さ、及び被覆層を構成する磁性体金属の付着量は、何れも、蛍光X線分析装置(株式会社リガク製、商品名:RIX1000)を用いて測定した。また、実施例及び比較例に係る電磁波吸収体の電磁波吸収特性については、IEC62333規格に準拠したマイクロストリップライン法に従って測定した。具体的には、インピーダンスが50Ωであるマイクロストリップライン上に、10cm×10cmの大きさに切り出した試料を載置し、かかる試料の上から500gの荷重をかけた。次いで、マイクロストリップライン上に、ネットワークアナライザ(アンリツ株式会社製、商品名:37269B)より0.1GHz〜3.0GHzの高周波信号を入射し、Sパラメータを測定した。測定された、試料の積載位置からの反射量:S11(dB)及び透過量:S21(dB)を用いて、下記式(A)より伝送減衰率[Rtp]を算出した。
Figure 2013024758
先ず、樹脂製メッシュシートとして、ポリエステル繊維(繊維径:55μm)からなる、メッシュ数が60であるメッシュシート(株式会社ヤマニ製、商品名:T60-55、開口率:76%)、メッシュ数が80であるメッシュシート(同社製、商品名:T80-55、開口率:68%)、メッシュ数が100であるメッシュシート(同社製、商品名:T100-55 、開口率:61%)、メッシュ数が135であるメッシュシート(同社製、商品名:T135-55 、開口率:50%)、メッシュ数が150であるメッシュシート(同社製、商品名:T150-55 、開口率:46%)、及び、メッシュ数が180であるメッシュシート(同社製、商品名:T180-55 、開口率:37%)を準備した。また、ポリプロピレン繊維(繊維径:55μm)からなる、メッシュ数が100であるメッシュシート(SEFAR社製 、商品名:PP100-149 )、及び、不織布(廣瀬製紙株式会社製、商品名:05TH-8)についても準備した。
−実施例1−
ニッケル(密度:8.908g/cm3 )をターゲット材として用いて、ポリエステル繊維メッシュシート(メッシュ数:100)の片側表面にDCマグネトロンスパッタリング法に従って被覆層を形成することにより、電磁波吸収体を作製した。具体的には、チャンバー内にArガスを導入し、チャンバー内圧力を0.2Paとして、スパッタリングを実施した。被覆層の厚さが100nmとなるように、スパッタリング時間及びスパッタ電力を調整した。得られた電磁波吸収体における磁性体金属の付着量、及び伝送減衰率を、下記表1に示す。
−実施例2−
被覆層の厚さが200nmとなるようにスパッタ条件を変更した以外は実施例1と同様にして、電磁波吸収体を作製した。得られた電磁波吸収体における磁性体金属の付着量、及び伝送減衰率を、下記表1に示す。
−実施例3−
メッシュ数が80のポリエステル繊維メッシュシートを用いた以外は実施例1と同様にして、電磁波吸収体を作製した。得られた電磁波吸収体における磁性体金属の付着量、及び伝送減衰率を、下記表1に示す。
−実施例4−
メッシュ数が60のポリエステル繊維メッシュシートを用いた以外は実施例1と同様にして、電磁波吸収体を作製した。得られた電磁波吸収体における磁性体金属の付着量、及び伝送減衰率を、下記表1に示す。
−実施例5−
メッシュ数が135のポリエステル繊維メッシュシートを用いた以外は実施例1と同様にして、電磁波吸収体を作製した。得られた電磁波吸収体における磁性体金属の付着量、及び伝送減衰率を、下記表1に示す。
−実施例6−
被覆層の厚さが70nmとなるようにスパッタ条件を変更した以外は実施例1と同様にして、電磁波吸収体を作製した。得られた電磁波吸収体における磁性体金属の付着量、及び伝送減衰率を、下記表1に示す。
−実施例7−
メッシュ数が80のポリエステル繊維メッシュシートを用いて、被覆層の厚さが70nmとなるようにスパッタ条件を変更した以外は実施例1と同様にして、電磁波吸収体を作製した。得られた電磁波吸収体における磁性体金属の付着量、及び伝送減衰率を、下記表1に示す。
−実施例8−
メッシュ数が60のポリエステル繊維メッシュシートを用いて、被覆層の厚さが70nmとなるようにスパッタ条件を変更した以外は実施例1と同様にして、電磁波吸収体を作製した。得られた電磁波吸収体における磁性体金属の付着量、及び伝送減衰率を、下記表1に示す。
−実施例9−
メッシュ数が150のポリエステル繊維メッシュシートを用いて、被覆層の厚さが200nmとなるようにスパッタ条件を変更した以外は実施例1と同様にして、電磁波吸収体を作製した。得られた電磁波吸収体における磁性体金属の付着量、及び伝送減衰率を、下記表1に示す。
−実施例10−
被覆層の形成前に、ポリエステル繊維メッシュシートに対してカレンダーロール加工を施した以外は実施例1と同様にして、電磁波吸収体を作製した。得られた電磁波吸収体における磁性体金属の付着量、及び伝送減衰率を、下記表1に示す。尚、カレンダーロール加工は、2本ロールのカレンダーロール機を用いて、150℃に加熱した金属製ロール(下部ロール)上にメッシュシートをセットし、ペーパロール(上部ロール)で所定の圧力を加圧することにより実施した。
−実施例11−
被覆層の厚さが70nmとなるようにスパッタ条件を変更した以外は実施例10と同様にして、電磁波吸収体を作製した。得られた電磁波吸収体における磁性体金属の付着量、及び伝送減衰率を、下記表1に示す。
−実施例12−
スパッタリングのターゲット材として、ニッケルに代えてパーマロイを用いた以外は実施例1と同様にして、電磁波吸収体を作製した。得られた電磁波吸収体における磁性体金属の付着量、及び伝送減衰率を、下記表1に示す。尚、用いたパーマロイの組成を以下に示す。
・ニッケル(密度:8.908g/cm3 ) :77.54mass%
・銅(密度:8.920g/cm3 ) :3.58mass%
・モリブデン(密度:10.280g/cm3 ):4.55mass%
・鉄(密度:7.874g/cm3) :残部
−実施例13−
メッシュ数が60のポリエステル繊維メッシュシートを用いた以外は実施例12と同様にして、電磁波吸収体を作製した。得られた電磁波吸収体における磁性体金属の付着量、及び伝送減衰率を、下記表1に示す。
−実施例14−
メッシュ数が135のポリエステル繊維メッシュシートを用いた以外は実施例12と同様にして、電磁波吸収体を作製した。得られた電磁波吸収体における磁性体金属の付着量、及び伝送減衰率を、下記表1に示す。
−実施例15−
被覆層の厚さが70nmとなるようにスパッタ条件を変更した以外は実施例12と同様にして、電磁波吸収体を作製した。得られた電磁波吸収体における磁性体金属の付着量、及び伝送減衰率を、下記表1に示す。
−実施例16−
メッシュ数が100のポリプロピレン繊維メッシュシートを用いた以外は実施例1と同様にして、電磁波吸収体を作製した。得られた電磁波吸収体における磁性体金属の付着量、及び伝送減衰率を、下記表1に示す。
−比較例1−
メッシュ数が180のポリエステル繊維メッシュシートを用いた以外は実施例1と同様にして、電磁波吸収体を作製した。得られた電磁波吸収体における磁性体金属の付着量、及び伝送減衰率を、下記表2に示す。
−比較例2−
メッシュ数が180のポリエステル繊維メッシュシートを用いて、被覆層の厚さが200nmとなるようにスパッタ条件を変更した以外は実施例1と同様にして、電磁波吸収体を作製した。得られた電磁波吸収体における磁性体金属の付着量、及び伝送減衰率を、下記表2に示す。
−比較例3−
メッシュ数が150のポリエステル繊維メッシュシートを用いた以外は実施例1と同様にして、電磁波吸収体を作製した。得られた電磁波吸収体における磁性体金属の付着量、及び伝送減衰率を、下記表2に示す。
−比較例4−
メッシュ数が180のポリエステル繊維メッシュシートを用いて、被覆層の厚さが70nmとなるようにスパッタ条件を変更した以外は実施例1と同様にして、電磁波吸収体を作製した。得られた電磁波吸収体における磁性体金属の付着量、及び伝送減衰率を、下記表2に示す。
−比較例5−
メッシュ数が150のポリエステル繊維メッシュシートを用いて、被覆層の厚さが70nmとなるようにスパッタ条件を変更した以外は実施例1と同様にして、電磁波吸収体を作製した。得られた電磁波吸収体における磁性体金属の付着量、及び伝送減衰率を、下記表2に示す。
−比較例6−
被覆層の厚さが50nmとなるようにスパッタ条件を変更した以外は実施例1と同様にして、電磁波吸収体を作製した。得られた電磁波吸収体における磁性体金属の付着量、及び伝送減衰率を、下記表2に示す。
−比較例7−
メッシュ数が135のポリエステル繊維メッシュシートを用いて、被覆層の厚さが70nmとなるようにスパッタ条件を変更した以外は実施例1と同様にして、電磁波吸収体を作製した。得られた電磁波吸収体における磁性体金属の付着量、及び伝送減衰率を、下記表2に示す。
−比較例8−
不織布を用いた以外は実施例1と同様にして、電磁波吸収体を作製した。得られた電磁波吸収体における磁性体金属の付着量、及び伝送減衰率を、下記表2に示す。
−比較例9−
ポリエステル繊維(繊維径:55μm)を用いて、メッシュ数が40であるメッシュシートの作製を試みた。しかしながら、シート形態を維持できるようなシートを得ることは出来なかった。
Figure 2013024758
Figure 2013024758
かかる表1及び表2からも明らかなように、本願発明に係る電磁波吸収体にあっては、マイクロストリップライン法に従って測定される3GHzにおける伝送減衰率が6dB以上であり、優れた電磁波吸収特性を有することが認められる。一方、本発明外の電磁波吸収体は、伝送減衰率が1dB未満であり、電磁波吸収特性が劣っていることが認められる。
実施例1、実施例4、実施例16及び比較例8の各々に係る電磁波吸収体について、以下の各特性を測定乃至は評価した。その結果を、下記表3に示す。
−全光線透過率の測定−
ヘーズメーター(日本電色工業株式会社製、商品名:NDH-2000)を用いて、JIS−K−7105に準じて全光線透過率を測定した。
−強度の評価−
得られた各電磁波吸収体より10cm角の試料を切り出し、かかる試料の一方の端部(上端)をクリップで固定すると共に、相対する他方の端部(下端)に、3M社製の粘着テープ(商品番号:610 )を用いて400gの錘を取り付け、かかる錘を試料によって吊すことが出来るか否かについて、目視で観察した。試料が破れることなく、錘を吊すことが出来た場合を○と、試料が破れて錘を吊すことが出来なかった場合を×と、それぞれ評価した。
−テープ剥離試験−
3M社製の粘着テープ(商品番号:610 )を電磁波吸収体の被覆層の表面に貼り付け、その後、粘着テープを電磁波吸収体から引き剥がすことにより、被覆層の剥離の程度を目視で観察した。粘着テープを貼り付けた部分の被覆層が全く剥がれない場合を○と、一部でも剥がれる場合を×と、評価した。
Figure 2013024758
かかる表3からも明らかなように、特にポリエステル繊維メッシュシートを基体として用いてなる、本願に係る電磁波吸収体にあっては、光の透過率に優れると共に、十分な強度を有し、基体と被覆層との密着性にも優れていることが、認められる。

Claims (6)

  1. 樹脂製メッシュシートに、磁性体金属からなる被覆層が設けられてなる電磁波吸収体にして、該樹脂製メッシュシートのメッシュ数:m及び該被覆層の厚さ:t(nm)が、下記式(1)及び(2)の関係を満たすことを特徴とする電磁波吸収体。
    t≧m−40 ・・・(1)
    60≦m≦150 ・・・(2)
  2. 前記磁性体金属からなる被覆層の厚さ:tが200nm以下である請求項1に記載の電磁波吸収体。
  3. マイクロストリップライン法に従って測定される3GHzにおける伝送減衰率が6dB以上である請求項1又は請求項2に記載の電磁波吸収体。
  4. 前記磁性体金属がニッケル又はパーマロイである請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の電磁波吸収体。
  5. 前記樹脂製メッシュシートがポリエステル製メッシュシートである請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の電磁波吸収体。
  6. 前記樹脂製メッシュシートのメッシュ数:mと、前記被覆層を構成する磁性体金属の付着量:w(μg/cm2 )とが、下記式(3)の関係を満たす請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の電磁波吸収体。
    w≧(0.7×m)−40 ・・・(3)
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