JPWO2013021852A1 - 内燃機関 - Google Patents

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Abstract

本発明は、電磁波を利用して混合気の燃焼を促進させる内燃機関において、電磁波を利用して効果的に火炎の伝播速度を向上させることを課題とする。本発明は、燃焼室が形成された内燃機関本体と、前記燃焼室において、混合気に点火する点火装置とを備え、前記点火装置により混合気に点火して該混合気を燃焼させる燃焼サイクルが繰り返し行われる内燃機関であって、放射アンテナから燃焼室へ電磁波を放射する電磁波放射装置と、燃焼室における火炎の伝播中に火炎の伝播状況を推測する推測動作を行う火炎伝播推測部と、推測動作の推測結果に基づいて電磁波放射装置を制御する制御手段とを備えている内燃機関である。

Description

本発明は、電磁波を利用して混合気の燃焼を促進させる内燃機関に関するものである。
従来から、電磁波を利用して混合気の燃焼を促進させる内燃機関が知られている。例えば特開2007−113570号公報には、この種の内燃機関が開示されている。
特開2007−113570号公報に記載の内燃機関は、混合気の着火前や着火後に燃焼室にマイクロ波を放射して、プラズマ放電を起こす点火装置を備えている。点火装置は、高圧場においてプラズマが生成されるように、点火プラグの放電を用いて局所的なプラズマを作り、このプラズマをマイクロ波により成長させる。局所的なプラズマは、陽極端子の先端部とグランド端子部との間の放電ギャップに生成される。
特開2007−113570号公報
ところで、従来の内燃機関では、混合気が着火した後に、電磁波放射装置が燃焼室へ電磁波を放射することで、火炎の伝播速度を向上させるようにしている。しかし、何に基づいて電磁波放射装置を制御したら、火炎の伝播速度を効果的に向上させることができるかについて考えられていない。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、電磁波を利用して混合気の燃焼を促進させる内燃機関において、電磁波を利用して効果的に火炎の伝播速度を向上させることにある。
第1の発明は、燃焼室が形成された内燃機関本体と、前記燃焼室において混合気に点火する点火装置とを備え、前記点火装置により混合気に点火して該混合気を燃焼させる燃焼サイクルが繰り返し行われる内燃機関であって、前記放射アンテナから前記燃焼室へ電磁波を放射する電磁波放射装置と、前記燃焼室における火炎の伝播中に火炎の伝播状況を推測する推測動作を行う火炎伝播推測手段と、前記推測動作の推測結果に基づいて前記電磁波放射装置を制御する制御手段とを備えている。
第1の発明では、燃焼室における火炎の伝播中に、火炎の伝播状況を推測する推測動作が行われる。そして、推測動作の推測結果に基づいて、電磁波放射装置が制御される。第1の発明では、火炎の伝播中に推測した火炎の伝播状況を考慮して、電磁波放射装置が制御される。
第2の発明は、第1の発明において、前記制御手段が、1回の燃焼サイクルにおける火炎の伝播中に、同じ燃焼サイクルに行われた推測動作の推測結果に基づいて前記電磁波放射装置を制御して、該電磁波放射装置に燃焼室へ電磁波を放射させる。
第2の発明では、1回の燃焼サイクルにおける火炎の伝播中に、推測動作が行われ、その推測動作の推測結果に基づいて、電磁波放射装置が燃焼室へ電磁波を放射する。第2の発明では、推測動作の推測結果が、推測動作を行った燃焼サイクルの火炎の伝播速度の向上に活用される。
第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記制御手段が、前記推測動作の際に前記放射アンテナから前記燃焼室へ電磁波を放射するように、前記電磁波放射装置を制御し、前記火炎伝播推測手段は、前記推測動作として、前記放射アンテナにおいて反射された電磁波の状態に基づいて、前記燃焼室における火炎の伝播状況を推測する動作を行う。
第3の発明では、放射アンテナにおいて反射された電磁波(以下、「反射波」という。)の状態に基づいて、燃焼室における火炎の伝播状況が推測される。ここで、放射アンテナから電磁波を放射中に、その放射アンテナの設置位置を火炎が通過すれば、その放射アンテナにおける反射波の状態(例えば、強度)が変化する。放射アンテナの設置位置を火炎が通過したか否かが、その放射アンテナにおける反射波の状態より判断できる。第3の発明では、このような知見に基づいて、放射アンテナにおける反射波の状態に基づいて、燃焼室における火炎の伝播状況を推測している。
第4の発明は、第3の発明において、前記電磁波放射装置は、1つの燃焼室に対して、前記放射アンテナを複数有し、前記燃焼室では、前記点火装置が混合気に点火する位置に対して、互いに異なる方向に複数の放射アンテナが配置され、前記制御手段は、前記推測動作の際に前記複数の放射アンテナから前記燃焼室へ電磁波を放射するように前記電磁波放射装置を制御し、前記火炎伝播推測手段は、前記推測動作として、前記複数の放射アンテナの各々において反射された電磁波の状態に基づいて、前記燃焼室における火炎の伝播状況を推測する動作を行う。
第4の発明では、設置箇所を火炎が通過したか否かを判定するために電磁波が放射される放射アンテナが、複数設けられている。複数の放射アンテナは、点火装置が混合気に点火する位置に対して、互いに異なる方向に設けられている。第4の発明によれば、燃焼室における火炎の伝播状況を二次元的に把握可能である。
第5の発明は、第2の発明において、前記電磁波放射装置は、1つの燃焼室に対して、前記放射アンテナを複数有し、前記燃焼室では、前記点火装置が混合気に点火する点火位置に対して、互いに異なる方向に複数の放射アンテナが配置され、前記制御手段は、前記推測動作の推測結果に基づいて、前記燃焼室において火炎の通過タイミングが相対的に遅くなる領域に設置された放射アンテナから電磁波が放射されるように前記電磁波放射装置を制御する。
第5の発明では、推測動作の推測結果に基づいて、燃焼室において火炎の通過タイミングが相対的に遅くなる領域に設置された放射アンテナから電磁波が放射されるように、電磁波放射装置が制御される。複数の放射アンテナのうち、火炎の伝播速度を向上させる必要性が高い領域に設置された放射アンテナから電磁波が放射される。
第6の発明は、第2の発明において、前記電磁波放射装置が、1つの燃焼室に対して、前記放射アンテナを複数有し、前記燃焼室では、前記点火装置が混合気に点火する点火位置に対して、互いに異なる方向に複数の放射アンテナが配置され、前記火炎伝播推測手段は、前記推測動作として、前記放射アンテナにおいて反射された電磁波の状態に基づいて、該放射アンテナの設置箇所を火炎が通過するタイミングを推測する動作を行い、前記制御手段は、前記推測動作の推測結果に基づいて、設置箇所における火炎の通過タイミングが推測された放射アンテナとは異なる放射アンテナであってその設置箇所を火炎がまだ通過していない放射アンテナから電磁波を放射するタイミングを決定する。
第6の発明では、その設置箇所を火炎がまだ通過していない放射アンテナから電磁波を放射するタイミングが、他の放射アンテナの設置箇所を火炎が通過したタイミングに基づいて決定される。
本発明では、火炎の伝播中に推測した火炎の伝播状況を考慮して、電磁波放射装置が制御される。ここで、燃焼室では、点火装置による混合気の点火位置から見た火炎の伝播方向に応じて、燃焼室壁面までの火炎の距離が異なる。つまり、火炎の伝播方向に応じて、火炎の進み具合が異なる。例えば、タンブルにより点火位置から火炎核が流される場合は、火炎核が流された側ほど、火炎の位置が燃焼室壁面に近くなる。このような場合、火炎が流された側の反対側ほど、多くの未燃ガスが発生するおそれがある。火炎の伝播状況によれば、火炎の伝播速度を向上させる必要性が高い領域が分かる。本発明では、火炎の伝播速度を向上させる必要性が高い領域を考慮して、電磁波放射装置を制御することが可能である。そのため、電磁波を利用して効果的に火炎の伝播速度を向上させることができる。
また、第3の発明では、放射アンテナにおける反射波の状態に基づいて、燃焼室における火炎の伝播状況が推測される。火炎の伝播速度を向上させるための電磁波放射装置を利用して、火炎の伝播状況が推測される。従って、燃焼室における火炎の伝播状況を推測するために内燃機関の構成が複雑化することを抑制することができる。
また、第5の発明では、複数の放射アンテナのうち、火炎の伝播速度を向上させる必要性が高い領域に設置された放射アンテナから電磁波が放射される。従って、火炎の伝播速度を向上させる必要性が高い領域に対して電磁波のエネルギーを集中させることができるので、電磁波を利用して効果的に火炎の伝播速度を向上させて、内燃機関の燃費を向上させることができる。
実施形態に係る内燃機関の縦断面図である。 実施形態に係る内燃機関の燃焼室の天井面の正面図である。 実施形態に係る点火装置及び電磁波放射装置のブロック図である。 実施形態に係る放射アンテナの概略構成図である。 実施形態に係る燃焼室における火炎の伝播状況の一例を表す図である。 その他の実施形態に係る放射アンテナの概略構成図である。 その他の実施形態に係る受信アンテナの概略構成図である。 その他の実施形態に係る受信アンテナが設けられた絶縁体の横断面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
本実施形態は、本発明に係る内燃機関10である。内燃機関10は、ピストン23が往復動するレシプロタイプの内燃機関である。内燃機関10は、内燃機関本体11と点火装置12と電磁波放射装置13と制御装置35とを備えている。内燃機関10では、点火装置12により混合気に点火して混合気を燃焼させる燃焼サイクルが繰り返し行われる。
−内燃機関本体−
内燃機関本体11は、図1に示すように、シリンダブロック21とシリンダヘッド22とピストン23とを備えている。シリンダブロック21には、横断面が円形のシリンダ24が複数形成されている。各シリンダ24内には、ピストン23が往復自在に設けられている。ピストン23は、コネクティングロッドを介して、クランクシャフトに連結されている(図示省略)。クランクシャフトは、シリンダブロック21に回転自在に支持されている。各シリンダ24内においてシリンダ24の軸方向にピストン23が往復運動すると、コネクティングロッドがピストン23の往復運動をクランクシャフトの回転運動に変換する。
シリンダヘッド22は、ガスケット18を挟んで、シリンダブロック21上に載置されている。シリンダヘッド22は、シリンダ24、ピストン23及びガスケット18と共に、円形断面の燃焼室20を区画する区画部材を構成している。燃焼室20の直径は、例えば、電磁波放射装置13が燃焼室20へ放射するマイクロ波の波長の半分程度である。
シリンダヘッド22には、各シリンダ24に対して、点火装置12の一部を構成する点火プラグ40が1つずつ設けられている。図2に示すように、点火プラグ40では、燃焼室20に露出する先端部が、燃焼室20の天井面51(シリンダヘッド22における燃焼室20に露出する面)の中心部に位置している。点火プラグ40の先端部の外周は、その軸方向から見て円形である。点火プラグ40の先端部には、中心電極40a及び接地電極40bが設けられている。中心電極40aの先端と接地電極40bの先端部との間には、放電ギャップが形成されている。
シリンダヘッド22には、各シリンダ24に対して、吸気ポート25及び排気ポート26が形成されている。吸気ポート25には、吸気ポート25の吸気側開口25aを開閉する吸気バルブ27と、燃料を噴射するインジェクター29とが設けられている。一方、排気ポート26には、排気ポート26の排気側開口26aを開閉する排気バルブ28が設けられている。なお、内燃機関10は、燃焼室20において強いタンブル流が形成されるように吸気ポート25が設計されている。
−点火装置−
点火装置12は、燃焼室20毎に設けられている。図3に示すように、各点火装置12は、高電圧パルスを出力する点火コイル14と、点火コイル14から出力された高電圧パルスが供給される点火プラグ40とを備えている。
点火コイル14は、直流電源(図示省略)に接続されている。点火コイル14は、制御装置35から点火信号を受けると、直流電源から印加された電圧を昇圧し、昇圧後の高電圧パルスを点火プラグ40の中心電極40aに出力する。点火プラグ40では、高電圧パルスが中心電極40aに印加されると、放電ギャップにおいて絶縁破壊が生じてスパーク放電が生じる。スパーク放電の放電経路には、放電プラズマが生成される。中心電極40aには、高電圧パルスとしてマイナスの電圧が印加される。
なお、点火装置12は、放電プラズマに電気エネルギーを供給して放電プラズマを拡大させるプラズマ拡大部を備えていてもよい。プラズマ拡大部は、例えば、放電プラズマに高周波(例えばマイクロ波)のエネルギーを供給することによりスパーク放電を拡大させる。プラズマ拡大部によれば、希薄な混合気に対して着火の安定性を向上させることができる。プラズマ拡大部として、電磁波放射装置13を利用してもよい。
−電磁波放射装置−
電磁波放射装置13は、図3に示すように、電磁波発生装置31と電磁波切替器32と放射アンテナ16とを備えている。電磁波放射装置13では、電磁波発生装置31と電磁波切替器32が1つずつ設けられ、燃焼室20毎に放射アンテナ16が設けられている。
電磁波発生装置31は、制御装置35から電磁波駆動信号を受けると、所定のデューティー比でマイクロ波パルスを繰り返し出力する。電磁波駆動信号はパルス信号である。電磁波発生装置31は、電磁波駆動信号のパルス幅の時間に亘って、マイクロ波パルスを繰り返し出力する。電磁波発生装置31では、半導体発振器がマイクロ波パルスを生成する。なお、半導体発振器の代わりに、マグネトロン等の他の発振器を使用してもよい。
電磁波切替器32は、1つの入力端子と、放射アンテナ16毎に設けられた複数の出力端子とを備えている。入力端子は、電磁波発生装置31に接続されている。各出力端子は、対応する放射アンテナ16に接続されている。電磁波切替器32は、制御装置35により制御されて、複数の放射アンテナ16の間で、電磁波発生装置31から出力されたマイクロ波の供給先を切り替える。
放射アンテナ16は、各燃焼室20に複数設けられている。各燃焼室20では、複数の放射アンテナ16が燃焼室20の天井面51に設けられている。複数の放射アンテナ16は、点火装置12が混合気に点火する位置(点火プラグ40の放電ギャップの位置)に対して、互いに異なる方向に設けられている。
具体的に、各燃焼室20には、4つの放射アンテナ16が設けられている。各燃焼室20では、吸気側開口25a及び排気側開口26aのうち、隣り合う2つの開口25a,26aの間の開口間領域58の外側部に、放射アンテナ16がそれぞれ設けられている。各燃焼室20では、排気側開口26aの間の開口間領域58aに第1放射アンテナ16aが設けられている。吸気側開口25aと排気側開口26aとの間の開口間領域58b,58cの片方に、第2放射アンテナ16b、もう片方に第3放射アンテナ16cが設けられている。吸気側開口25aの間の開口間領域58dに第4放射アンテナ16dが設けられている。
各放射アンテナ16は、図1に示すように、燃焼室20の天井面51から突出している。各放射アンテナ16は、図4に示すように、螺旋状に形成され、絶縁体65内に埋設されている。各放射アンテナ16の長さは、その放射アンテナ16におけるマイクロ波の波長の4分の1である。各放射アンテナ16は、シリンダヘッド22に埋設されたマイクロ波の伝送線路33を介して、電磁波切替器32の出力端子に電気的に接続されている。
本実施形態では、放射アンテナ16が設けられた絶縁体65に、接地電極66が埋設されている。接地電極66は、リング状に形成されている。接地電極66の内側には、伝送線路33が挿通されている。接地電極66は、放射アンテナ16に近接して配置されている。本実施形態では、接地電極66を設けることにより、放射アンテナ16から燃焼室20へ放射されるマイクロ波のエネルギーを増大させている。
以上の構成により、電磁波放射装置13は、各燃焼室20に対して、4つの放射アンテナ16から燃焼室20へマイクロ波を放射することが可能である。電磁波放射装置13は、4つの放射アンテナ16から同時にマイクロ波を放射することはできないが、マイクロ波が供給される放射アンテナ16を電磁波切替器32により高速に切り替えることで、1回の燃焼サイクルにおける火炎の伝播中に、4つの放射アンテナ16からマイクロ波を放射することが可能である。
なお、電磁波放射装置13に、1つの燃焼室20に設けた放射アンテナ16と同じ数だけ電磁波発生装置31を設けてもよい。その場合、各放射アンテナ16に対して、電磁波発生装置31が接続される。電磁波放射装置13は、複数の電磁波発生装置31から同時にマイクロ波を出力させることで、複数の放射アンテナ16から燃焼室20へマイクロ波を同時に放射することが可能になる。
−制御装置−
制御装置35は、各燃焼室20に対して、1回の燃焼サイクルに、点火動作と第1放射動作と推測動作と第2放射動作とを行う。点火動作は、点火装置12に対して、混合気への点火を指示する動作である。第1放射動作及び第2放射動作は、電磁波放射装置13に対して、マイクロ波の放射を指示する動作である。推測動作は、第1放射動作を利用して火炎の伝播状況を推測する動作である。
制御装置35は、図3に示すように、点火制御部61と火炎伝播推測部62と電磁波制御部63とを備えている。制御装置35では、点火制御部61が点火動作を行い、火炎伝播推測部62が推測動作を行い、電磁波制御部63が第1放射動作及び第2放射動作を行う。
なお、火炎伝播推測部62は、燃焼室20における火炎の伝播中に火炎の伝播状況を推測する推測動作を行う火炎伝播推測手段を構成している。電磁波制御部63は、推測動作の推測結果に基づいて電磁波放射装置13を制御する制御手段を構成している。
具体的に、点火動作は、ピストン23が圧縮上死点の手前に位置する点火タイミングに行われる。点火制御部61は、点火動作として点火信号を点火装置12に出力する。点火装置12は、点火信号を受けると、上述したように、点火プラグ40の放電ギャップにおいてスパーク放電が生じる。混合気は、スパーク放電により着火する。混合気が着火すると、燃焼室20の中心部の混合気の着火位置から、シリンダ24の壁面へ向かって火炎が広がる。
第1放射動作は、混合気が着火した後に、例えば火炎伝播の後半期間に行われる。電磁波制御部63は、第1放射動作として、電磁波発生装置31に電磁波駆動信号を出力する。電磁波発生装置31は、電磁波駆動信号を受けると、その電磁波駆動信号のパルス幅の時間に亘ってマイクロ波パルスを繰り返し出力する。
なお、第1放射動作は、後述する推測動作の終了タイミングに終了する。電磁波駆動信号のパルス幅は、後述する推測動作の終了タイミングにより変化する。
また、電磁波制御部63は、第1放射動作に同期して、電磁波発生装置31がマイクロ波パルスを繰り返し出力するマイクロ波出力期間に亘って、火炎伝播中の燃焼室20の4つの放射アンテナ16からマイクロ波が順番に放射されるように、電磁波切替器32を制御する切替動作を行う。電磁波制御部63は、マイクロ波出力期間に、4つの放射アンテナ16の間でマイクロ波の供給先を一巡させるサイクルが繰り返し行われるように、切替動作を行う。
推測動作は、第1放射動作に連動して行われる。火炎伝播推測部62には、放射アンテナ16毎に設けられた方向性結合器17がそれぞれ接続されている。各方向性結合器17は、電磁波切替器32の各出力端子と各放射アンテナ16とを結ぶ伝送線路33に設けられている。火炎伝播推測部62には、各方向性結合器17を通じて、各放射アンテナ16において反射されたマイクロ波(以下、「反射波」という。)が入力される。
火炎伝播推測部62は、各方向性結合器17から入力される反射波の強度を検出する。そして、火炎伝播推測部62は、反射波の強度が所定の判定値以下になる場合に、その反射波が反射された放射アンテナ16の設置箇所を火炎Fが通過したと判定する。例えば、図5に示すような火炎Fの伝播状況であれば、第1放射アンテナ16aに対応する方向性結合器17aから入力された反射波の強度が判定値以下になり、それ以外の放射アンテナ16b,16c,16dに対応する方向性結合器17b,17c,17dから入力された反射波の強度が判定値を上回る。
なお、火炎伝播推測部62は、反射波の強度の低下量が所定の判定値を上回る場合に、その反射波が反射された放射アンテナ16の設置箇所を火炎が通過したと判定してもよい。また、内燃機関本体11の運転状態に応じて判定値を変動させてもよい。また、火炎伝播推測部62は、4つの方向性結合器17から入力された反射波の強度のパターンに応じて、設置箇所を火炎が通過した放射アンテナ16を検出してもよい。
火炎伝播推測部62は、4つの放射アンテナ16のうち、所定数(例えば、3つ)の放射アンテナ16での反射波の強度が判定値以下になる場合に、推測動作を終了させる。さらに、火炎伝播推測部62は、推測動作の終了タイミングに、電磁波制御部63での第1放射動作を終了させる。
第2放射動作は、推測動作の直後に行われる。電磁波制御部63には、火炎伝播推測部62から推測動作の推測結果が入力される。電磁波制御部63には、推測動作の終了時点において反射波の強度が判定値を上回る放射アンテナ16(以下、「火炎未到達の放射アンテナ16」という。)の情報が、推測動作の推測結果として入力される。
電磁波制御部63は、第2放射動作として、電磁波駆動信号を出力する動作と、マイクロ波の供給先を火炎未到達の放射アンテナ16に切り替えるための切替信号を出力する動作との2つの動作を行う。その結果、4つの放射アンテナ16のうち、火炎未到達の放射アンテナ16だけからマイクロ波パルスが繰り返し放射される。火炎未到達の放射アンテナ16の近傍には、燃焼室20において電界強度が相対的に強い強電界領域が形成される。火炎未到達の放射アンテナ16の設置箇所を通過する火炎の伝播速度は、強電界領域から電界のエネルギーを受けて増大する。
マイクロ波のエネルギーが大きい場合には、強電界領域においてマイクロ波プラズマが生成される。マイクロ波プラズマの生成領域では活性種(例えば、OHラジカル)が生成される。強電界領域を通過する火炎の伝播速度は、活性種により増大する。
なお、火炎未到達の放射アンテナ16が複数ある場合は、第2放射動作の期間に亘って、複数の火炎未到達の放射アンテナ16の間でマイクロ波の供給先が切り替えられる。
また、電磁波制御部63は、推測動作の推測結果に基づいて、第2放射動作の開始タイミングを決定してもよい。つまり、推測動作の推測結果に基づいて、設置箇所における火炎の通過タイミングが推測された放射アンテナ16とは異なる放射アンテナ16であってその設置箇所を火炎がまだ通過していない放射アンテナ16からマイクロ波を放射するタイミングが決定される。電磁波制御部63は、推測動作の終了タイミング(設置箇所を火炎が通過した放射アンテナ16が3つになるタイミング)を基準に、第2放射動作の開始タイミングを決定する。電磁波制御部63は、推測動作の終了タイミングを第2放射動作の開始タイミングに決定する。なお、推測動作の終了タイミングの所定時間後を第2放射動作の開始タイミングとしてもよい。
−実施形態の効果−
本実施形態では、火炎の伝播中に推測した火炎の伝播状況を考慮して、電磁波放射装置13が制御される。ここで、燃焼室20では、点火装置12による混合気の点火位置(放電ギャップ)から見た火炎の伝播方向に応じて、燃焼室20壁面(シリンダ24の内壁面)までの火炎の距離が異なる。強いタンブルにより放電ギャップから火炎核が排気側開口26a側へ流される場合は、排気側開口26a側ほど、火炎の位置が燃焼室20壁面に近くなる。このような場合、吸気側開口25a側ほど、多くの未燃ガスが発生するおそれがある。火炎の伝播状況によれば、火炎の伝播速度を向上させる必要性が高い領域が分かる。本実施形態では、火炎の伝播速度を向上させる必要性が高い領域を考慮して、電磁波放射装置13が制御される。そのため、マイクロ波を利用して効果的に火炎の伝播速度を向上させることができる。
また、本実施形態では、1回の燃焼サイクルにおける火炎の伝播中に、推測動作が行われ、その推測動作の推測結果に基づいて、電磁波放射装置13が燃焼室20へ電磁波を放射する。本実施形態では、推測動作の推測結果が、推測動作を行った燃焼サイクルの火炎の伝播速度の向上に活用される。
また、本実施形態では、放射アンテナ16における反射波の状態に基づいて、燃焼室20における火炎の伝播状況が推測される。火炎の伝播速度を向上させるための電磁波放射装置13の一部を利用して、火炎の伝播状況が推測される。従って、燃焼室20における火炎の伝播状況を推測するために内燃機関10の構成が複雑化することを抑制することができる。
また、本実施形態では、複数の放射アンテナ16のうち、火炎の伝播速度を向上させる必要性が高い領域に設置された放射アンテナ16からマイクロ波が放射される。従って、火炎の伝播速度を向上させる必要性が高い領域に対してマイクロ波のエネルギーを集中させることができるので、マイクロ波を利用して効果的に火炎の伝播速度を向上させて、内燃機関10の燃費を向上させることができる。
−実施形態の変形例−
実施形態の変形例では、火炎伝播推測部62が、全ての放射アンテナ16について、設置箇所を火炎が通過するタイミングを推測する。各放射アンテナ16の設置箇所を火炎が通過するタイミングの違いにより、燃焼室20における火炎の伝播状況が二次元的に推測される。
電磁波制御部63は、4つの放射アンテナ16のうち、相対的に火炎の伝播が遅い領域の放射アンテナ16ほど長い時間マイクロ波が放射されるように、電磁波放射装置13を制御する動作を第2放射動作として行う。この場合、放射アンテナ16の設置箇所を火炎が通過後にマイクロ波が放射され、火炎の後方から放射されたマイクロ波により、火炎の伝播が促進される。
−その他の実施形態−
前記実施形態は、以下のように構成してもよい。
前記実施形態において、火炎伝播推測部62が、反射波の位相の変化量に基づいて、その反射波が反射された放射アンテナ16の設置箇所を火炎が通過したか否かを判定してもよい。火炎伝播推測部62は、反射波の位相の変化量が所定の判定値以上になる場合に、その反射波が反射された放射アンテナ16の設置箇所を火炎が通過したと判定する。
また、前記実施形態において、内燃機関本体11における運転状態(例えば、負荷、回転数、負荷と回転数の組合せ)が大きく変化しない安定期間は、その安定期間の初期に行った推測動作の結果を、電磁波放射装置13の制御に継続的に利用してもよい。例えば、安定期間の初期に行った推測動作によって、排気側開口26a側ほど火炎の伝播が遅いことが分かった場合は、安定期間に亘って、第2放射動作の際に排気側開口26aの間の第1放射アンテナ16aだけからマイクロ波が放射される。従って、安定期間の初期以外の第1放射動作を省略することができる。
また、前記実施形態において、火炎伝播推測部62が、光学的手段により燃焼室20における火炎伝播の状況を推測してもよい。また、火炎伝播推測部62は、吸気ポート25における吸入空気量などの内燃機関本体11の運転状態に基づいて、燃焼室20における火炎伝播の状況を推測してもよい。
また、前記実施形態では、伝送線路33を中心に放射アンテナ16を螺旋状に形成していたが、図6に示すように、絶縁体65を縦方向に切断した断面に沿って螺旋状に形成してもよい。この場合、螺旋の中心軸を燃焼室20の径方向に一致させてもよい。
また、前記実施形態において、図4の螺旋状の放射アンテナ16の外側に、図7及び図8に示すように、螺旋状の受信アンテナ52を設けてもよい。受信アンテナ52は、放射アンテナ16とは電気的に接続されていない、放射アンテナ16から放射されるマイクロ波が共振するアンテナである。受信アンテナ52は、放射アンテナ16と共に絶縁体65に埋設されている。
以上説明したように、本発明は、電磁波を利用して燃焼室における混合気の燃焼を促進させる内燃機関について有用である。
10 内燃機関
11 内燃機関本体
12 点火装置
13 電磁波放射装置
16 放射アンテナ
20 燃焼室
35 制御装置
62 火炎伝播推測部(火炎伝播推測手段)
63 電磁波制御部(制御手段)

Claims (6)

  1. 燃焼室が形成された内燃機関本体と、
    前記燃焼室において混合気に点火する点火装置とを備え、
    前記点火装置により混合気に点火して該混合気を燃焼させる燃焼サイクルが繰り返し行われる内燃機関であって、
    放射アンテナから前記燃焼室へ電磁波を放射する電磁波放射装置と、
    前記燃焼室における火炎の伝播中に火炎の伝播状況を推測する推測動作を行う火炎伝播推測手段と、
    前記推測動作の推測結果に基づいて前記電磁波放射装置を制御する制御手段とを備えている
    ことを特徴とする内燃機関。
  2. 請求項1において、
    前記制御手段は、1回の燃焼サイクルにおける火炎の伝播中に、同じ燃焼サイクルに行われた推測動作の推測結果に基づいて前記電磁波放射装置を制御して、該電磁波放射装置に燃焼室へ電磁波を放射させる
    ことを特徴とする内燃機関。
  3. 請求項1又は2において、
    前記制御手段は、前記推測動作の際に前記放射アンテナから前記燃焼室へ電磁波を放射するように、前記電磁波放射装置を制御し、
    前記火炎伝播推測手段は、前記推測動作として、前記放射アンテナにおいて反射された電磁波の状態に基づいて、前記燃焼室における火炎の伝播状況を推測する動作を行う
    ことを特徴とする内燃機関。
  4. 請求項3において、
    前記電磁波放射装置は、1つの燃焼室に対して、前記放射アンテナを複数有し、
    前記燃焼室では、前記点火装置が混合気に点火する位置に対して、互いに異なる方向に複数の放射アンテナが配置され、
    前記制御手段は、前記推測動作の際に前記複数の放射アンテナから前記燃焼室へ電磁波を放射するように前記電磁波放射装置を制御し、
    前記火炎伝播推測手段は、前記推測動作として、前記複数の放射アンテナの各々において反射された電磁波の状態に基づいて、前記燃焼室における火炎の伝播状況を推測する動作を行う
    ことを特徴とする内燃機関。
  5. 請求項2において、
    前記電磁波放射装置は、1つの燃焼室に対して、前記放射アンテナを複数有し、
    前記燃焼室では、前記点火装置が混合気に点火する点火位置に対して、互いに異なる方向に複数の放射アンテナが配置され、
    前記制御手段は、前記推測動作の推測結果に基づいて、前記燃焼室において火炎の通過タイミングが相対的に遅くなる領域に設置された放射アンテナから電磁波が放射されるように前記電磁波放射装置を制御する
    ことを特徴とする内燃機関。
  6. 請求項2において、
    前記電磁波放射装置は、1つの燃焼室に対して、前記放射アンテナを複数有し、
    前記燃焼室では、前記点火装置が混合気に点火する点火位置に対して、互いに異なる方向に複数の放射アンテナが配置され、
    前記火炎伝播推測手段は、前記推測動作として、前記放射アンテナにおいて反射された電磁波の状態に基づいて、該放射アンテナの設置箇所を火炎が通過するタイミングを推測する動作を行い、
    前記制御手段は、前記推測動作の推測結果に基づいて、設置箇所における火炎の通過タイミングが推測された放射アンテナとは異なる放射アンテナであってその設置箇所を火炎がまだ通過していない放射アンテナから電磁波を放射するタイミングを決定する
    ことを特徴とする内燃機関。
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