JPWO2013018707A1 - 加熱・加圧により硬化する縮合型タンニン含有組成物 - Google Patents
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Abstract
簡易な工程・設備によって、低エネルギーでバイオマス材料を得ることができる組成物、当該組成物から得られる成形体、およびその製造方法を提供することを課題とする。
本発明に係る組成物は、加熱・加圧により硬化する組成物であって、粉末化または小片化されたエレメントを含むこと、縮合型タンニンを8重量%以上、単糖およびオリゴ糖からなる群より選択される糖類を8重量%以上含むことを特徴とする。前記糖類としては、スクロース、グルコース、フルクトース、マルトース、キシロースまたはラクトースが好ましい。前記組成物は、さらに酸触媒を含むことが好ましい。
本発明に係る組成物は、加熱・加圧により硬化する組成物であって、粉末化または小片化されたエレメントを含むこと、縮合型タンニンを8重量%以上、単糖およびオリゴ糖からなる群より選択される糖類を8重量%以上含むことを特徴とする。前記糖類としては、スクロース、グルコース、フルクトース、マルトース、キシロースまたはラクトースが好ましい。前記組成物は、さらに酸触媒を含むことが好ましい。
Description
本発明は、成形体や接着剤の原料として使用することができる組成物であって、化石資源を必要としない組成物、および、この組成物からなる成形体、並びに成形体を製造する方法に関する。
近年、地球温暖化の防止や化石資源の消費抑制のため、化石資源から製造される樹脂に代わり、生物資源から製造される、いわゆるバイオプラスチックの開発が活発になっている。これまでポリ乳酸をはじめとした様々な原料が検討されてきたが、十分な性能を確保するためには、化石資源由来の化合物による化学修飾、毒物・劇物に相当する薬剤の使用などが必須であった。このような開発手法では、環境負荷を低減した材料は製造できたとしても、安全かつ100%生物資源から成るバイオプラスチックの製造は難しかった。
例えば、非特許文献1に示すように、木材接着の分野では樹皮等に含まれる縮合型タンニンを接着剤の原料として利用する研究が数多く行われてきた。これは、タンニンがフラボノイド構造を有しており、ホルムアルデヒドに対して反応性に富むことを利用したものである。すでに、タンニンとホルムアルデヒド化合物、またはタンニンとホルムアルデヒド系樹脂の初期縮合物による接着技術が確立されており、過去には実用化もされてきた。しかし、ホルムアルデヒドの利用は人体や環境への負荷が大きく、シックハウスの原因となるために、近年ではその使用を控える傾向にある。このため、新たにヘキサメチレンテトラミンなどのアミン系化合物による硬化方法が提案され、積極的な研究が進められている。
前述のように、タンニンの硬化方法としてホルムアルデヒド系化合物やアミン系化合物の利用が提案されてきたが、これら化合物は化石資源を由来とした物質である。したがって、これまでのタンニン樹脂は100%バイオマス由来とは言えず、化石資源由来物質によって補完されたものであった。また、ホルムアルデヒド系化合物は劇物である場合が多く、アミン系化合物も有害物質である場合が多い。そのため、環境や人体に対する影響が懸念され、これらを使用する限りタンニン樹脂の安全性の向上には限界がある。今後の地球環境や化石資源の有限性を考えると、タンニンの硬化方法として安全性が高くバイオマス由来の物質のみで硬化させることが切望される。
本発明者は、これまでにも、化石資源由来物質を使用せずに、プラスチック様の成形体や木質成形体を得る研究を行ってきた(特許文献1)。特許文献1に係る発明は、加熱・加圧により硬化する組成物であって、粉末化または小片化された植物由来物(a)とポリカルボン酸(b)を主成分とし、任意で糖類(c)を含む。なお、本発明者は、特許文献1の実施例10において、ポリカルボン酸が、タンニン以外の成分と反応していることを実証している。
特許文献1に係る発明は、化石資源由来物質を使用せずに、プラスチック様成形体を得ることができる点で優れているが、植物由来物以外の非化石資源由来物質を主成分として使用できないため、汎用性の点で問題がある。工業的規模で実用化するためには、植物由来物以外の非化石資源由来物質を原料として用いた場合にも、加熱・加圧のみでプラスチック様成形体を得ることができることが望ましい。
A. Pizzi: J. Adhesion Sci. Technol., 20(8), 829-846 (2006)
したがって、本発明は、簡易な工程・設備によってバイオマス材料を製造できる組成物であって、化石資源由来物質を必要とせず、且つ、植物由来物をエレメント(支持基材)とする場合でも、非植物由来物をエレメントとする場合にも硬化可能である組成物を提供すること、当該組成物から製造されるプラスチック状成形体、およびその製造方法を提供することを課題とする。
本発明者は、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、縮合型タンニンと、単糖およびオリゴ糖から選択される糖類が反応することを突き止め、縮合型タンニンと前記糖類を添加すれば、エレメント(基材)が植物由来物であっても、非植物由来物であっても、加熱・加圧により硬化し、プラスチック様の成形体や木質成形体となることを見出した。また、縮合型タンニンを多く含む物質、例えばアカシア樹皮粉末を用いた場合でも、単糖およびオリゴ糖から選択される糖類を加えて加熱・加圧することにより、硬化することを確認し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、加熱・加圧により硬化する組成物であって、粉末化または小片化されたエレメントを含むこと、縮合型タンニンを8重量%以上、単糖およびオリゴ糖からなる群より選択される糖類を8重量%以上含むことを特徴とする。
本発明に係る組成物は、化石資源を必要としないため、環境に優しく、加熱・加圧するだけで硬化するため、容易にバイオマス成形体を作ることができる。また、組成物は接着剤原料として使用することもできる。
本発明者はさらに硬化を促進させるための添加物について検討を行った結果、酸触媒を添加することにより、硬化を促進させることに成功した。
したがって、本発明に係る組成物は、さらに酸触媒を含むことが好ましい。
したがって、本発明に係る組成物は、さらに酸触媒を含むことが好ましい。
本発明によれば、化石資源を使用しなくてよいため、環境へ負担をかけずプラスチック状の成形体や木質成形体を得ることができる。また、シックハウス症候群を引き起こす恐れのあるホルムアルデヒド系化合物等を使用する必要がないため、人体への安全性が高い。また、製造工程が簡単であり、植物由来物以外をエレメントとした場合にも、成形体を製造できるため、汎用性が高い。
本発明に係る組成物は、必須成分として縮合型タンニンを含む。縮合型タンニンは、カテコール型タンニンとも呼ばれ、ポリフェノールの一種であるカテキン類が互いに分子間でC-C結合によって結ばれ、大きな分子となったものである。縮合型タンニンの例として、アカシア科樹皮部に多く含まれるワットルタンニン(Wattle Tannin)や、ケブラチョ木質部に多く含まれるケブラチョタンニン(Quebracho Tannin)が挙げられる。本発明において好ましい縮合型タンニンは、ワットルタンニンである。
本発明に係る組成物は、縮合型タンニンを8重量%以上含む。より好ましい含有率は、10〜50重量%であり、特に好ましくは15〜40重量%、さらに好ましくは20〜35重量%である。前記縮合型タンニンは、単離された成分として添加されてもよく、エレメント(例えば、植物由来物)に含まれる形で添加されてもよい。すなわち、アカシア樹皮の如く、それ自体が縮合型タンニンを十分に含む物質をエレメントとして用いる場合は、組成物全体で縮合型タンニンが8重量%以上であれば、新たに縮合型タンニンを加えるかどうかは任意で選択すればよいが、縮合型タンニンを含有しない物質あるいは含有量の少ない物質をエレメントとして用いる場合は、縮合型タンニンをさらに添加し、組成物中の縮合型タンニンの濃度を8重量%以上にする必要がある。
本発明に係る組成物は、必須成分として、単糖およびオリゴ糖からなる群より選択される糖類(以下、本明細書中において、単糖/オリゴ糖とも表記する)を含む。単糖としては、例えばフルクトース、グルコース、リボース、アラビノース、ラムノース、キシルロース、キシロース、デオキシリボース等が挙げられ、オリゴ糖としては、例えばスクロース、マルトース、ラクトース、トレハロース、ツラノース等の二糖類や、ラフィノース等の三糖類が挙げられる。本発明において、好ましい糖類として、フルクトース、グルコース、スクロース(ショ糖)、マルトース、キシロース、ラクトースが挙げられる。特に好ましい糖類は、フルクトース、グルコース、スクロース、キシロースである。
本発明に係る組成物は、単糖およびオリゴ糖からなる群より選択される糖類を8重量%以上含む。より好ましい含有率は、10〜50重量%であり、特に好ましくは13〜35重量%、さらに好ましくは15〜30重量%である。上述した縮合型タンニンと同様、前記糖類は、単離された成分として添加されてもよく、エレメントに含まれる形で添加されてもよい。例えば、エレメントとして、バガス(サトウキビなどの搾りかす)のように、最初からスクロースを多く含むものを用いる場合は、組成物全体で前記糖類が8重量%以上であれば、新たに前記糖類を加えるかどうかは任意で選択すればよいが、単糖やオリゴ糖を含有しない物質あるいは含有量の少ない物質を原料として用いる場合は、前記糖類をさらに添加し、組成物中の前記糖類の濃度を8重量%以上にする必要がある。
本発明に係る組成物は、さらに触媒として酸を含むことが好ましい。この酸触媒は、有機酸でも、無機酸でもよく、例えば、カルボン酸類(蟻酸、酢酸、クエン酸、イタコン酸、安息香酸等)、リン酸類、鉱酸類(塩酸・硫酸等)、スルホン酸類、ルイス酸類(塩化アルミニウム等)が使用できる。酸触媒は、酸の形態で添加されても、塩の形態で添加されてもよい。好ましい酸触媒として、カルボン酸類やリン酸類およびそれらの塩が挙げられ、特に好ましい酸触媒として、クエン酸、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウムが挙げられる。
前記酸触媒は、組成物中の含有率が0.5重量%以上となるように添加されることが好ましい。触媒機能には上限があるため、多量に添加する必要はない。ただし、酸触媒が組成物中の縮合型タンニン以外の物質と反応する場合はこの限りではない。触媒としてより好ましい含有率は、1.0〜10重量%であり、特に好ましくは1.3〜5.0重量%、さらに好ましくは1.5〜3.0重量%である。
なお、本発明に係る組成物は、酸触媒としてポリカルボン酸(クエン酸、イタコン酸等)を含んでもよいが、特許文献1に開示されている組成物とは異なり、ポリカルボン酸を主成分とするものではないため、組成物中に含まれるポリカルボン酸が少量(例えば、7重量%未満、5重量%未満または3重量%未満等)であっても、十分な硬化促進効果が得られる。また、酸触媒としてポリカルボン酸以外の酸を用いた場合も、十分な硬化促進効果が得られる。
なお、本発明に係る組成物は、酸触媒としてポリカルボン酸(クエン酸、イタコン酸等)を含んでもよいが、特許文献1に開示されている組成物とは異なり、ポリカルボン酸を主成分とするものではないため、組成物中に含まれるポリカルボン酸が少量(例えば、7重量%未満、5重量%未満または3重量%未満等)であっても、十分な硬化促進効果が得られる。また、酸触媒としてポリカルボン酸以外の酸を用いた場合も、十分な硬化促進効果が得られる。
本発明に係る組成物に含まれるエレメントは、化石資源に由来しない物質であることが好ましい。前記エレメントとして、植物由来物や、炭酸カルシウム等の無機物質が挙げられる。
本発明において、植物由来物とは、草木等の木部・樹皮・種子・葉などから得られるものを意味し、市場で入手可能な植物粉末(例えば樹皮粉末)やファイバーであってもよく、また、リサイクル材等を粉砕して得られたチップであってもよい。また、一種類の植物に由来する物であってもよく、複数種の植物に由来する物の混合物であってもよい。また、ろ紙などのように、一度植物原料から加工された製品であっても、植物由来物として用いることができる。本発明における植物由来物は、粉末状(粒状を含む)であっても、小片状(繊維状等を含む)であってもよいが、大きいほど、硬化させるのに、より長い時間、より高温・高圧が必要となる。
植物由来物以外のエレメントとしては、前記炭酸カルシウムの他に、例えば、珪酸、珪酸塩、クレー、タルク、金属粉、金属酸化物が挙げられる。
前記エレメントは、最大長さが10mm以下、厚さ1mm以下とされていることが好ましい。好ましい一例として、小片は30メッシュの篩をパスしたもの、粉末は60メッシュの篩をパスしたものを挙げることができる。加熱・加圧時間を短くしたい場合は、粉末状のエレメントを用いることが好ましい。
小片状のエレメントを硬化させたい場合、縮合型タンニンおよび単糖/オリゴ糖(任意で酸触媒)を溶媒(水等)に溶解または分散させて、この液と小片状のエレメントを混和して(必要に応じて乾燥し)、加圧することにより、より大きなサイズのエレメントを硬化させやすくなる。
小片状のエレメントを硬化させたい場合、縮合型タンニンおよび単糖/オリゴ糖(任意で酸触媒)を溶媒(水等)に溶解または分散させて、この液と小片状のエレメントを混和して(必要に応じて乾燥し)、加圧することにより、より大きなサイズのエレメントを硬化させやすくなる。
本発明にかかる組成物中の縮合型タンニンと単糖/オリゴ糖の重量比は、縮合型タンニン1に対し、単糖/オリゴ糖が0.2〜5.0の範囲内にあることが好ましい。この範囲を外れると硬化しにくくなり、また硬化しても強度や耐水性が弱くなる。より好ましい縮合型タンニンと単糖/オリゴ糖の重量比は1.0:0.3〜3.5であり、特に好ましい重量比は1.0:0.4〜3.0、さらに好ましい重量比は、1.0:0.5〜2.0である。
本発明に係る組成物は、上述した各構成成分 (エレメント、縮合型タンニン、単糖/オリゴ糖、酸触媒)以外の他の成分を含むことができるが、その含有率は15重量%以下であることが好ましく、10重量%以下であることがより好ましく、5重量%以下であることが特に好ましい。
なお、各構成成分(エレメント、縮合型タンニン、単糖/オリゴ糖、酸触媒)に関し、先行する段落において、具体的な種類や化合物名、重量%、重量比を述べてきたが、本発明に係る組成物には、これらを適宜組み合わせて得られる組成物が含まれる。また、各構成成分について複数の重量%範囲または重量比範囲を記載してきたが、これらの上限値及び下限値は適宜組み合わせ可能である。
前記組成物は、成形用組成物や木材用接着剤の原料として有用である。前記成形用組成物から成形体を製造するには、組成物を型に入れ、160℃〜250℃に加熱し、5kgf/cm2〜70kgf/cm2(約0.5MPa〜7MPa)で加圧すればよい。また、前記組成物を使用して合板を製造するには、組成物を、合板用の単板の間に介在させ、160℃〜250℃に加熱し、5kgf/cm2〜50kgf/cm2(約0.5MPa〜5MPa)で加圧すればよい。加熱温度は適宜調節可能であるが、180℃〜220℃が好適である。圧力も適宜調節可能であるが、前記組成物を成形用組成物として使用し、成形体を製造する場合は、特に30〜50kgf/cm2(約3MPa〜5MPa)が好適であり、前記組成物を接着剤として使用し、合板を製造する場合は、特に10〜20kgf/cm2(約1MPa〜2MPa)が好適である。加熱された組成物を加圧する時間は、組成物の量、エレメントのサイズ、酸触媒の有無、希望する製品強度、加熱温度、圧力等によって適切な時間が異なるため、これらを考慮し適宜調節すればよい。一般に、加圧時間を長くすることによって、より強度の高い製品が得られるため、30秒以上とすることが好ましく、1分以上がより好ましく、5分以上が特に好ましい。一方、加圧時間の増加による製品強度の増加には上限があるため、長すぎる加圧時間は製造コスト等の点から望ましくない。一般に、加圧時間は20分以内(製品によっては、10分以内)で十分である。 なお、上記温度、圧力、時間は適宜組み合わせ可能であり、数値範囲の上限値および下限値も適宜組み合わせ可能である。
本発明に係る組成物から成形体を製造するために、射出成形法、押出成形法、圧縮成形法、トランスファ成形法といった各種成形加工法を利用することも可能である。縮合型タンニン、単糖/オリゴ糖および酸触媒はいずれも高温下では溶融し、流動可能となる。そのため、組成物を構成する他の成分についても、高温下で溶融し、流動可能となる成分を用いれば、通常使用されている各種成形機を利用して、成形体を製造することができる。射出成形は、加熱溶融させた材料を金型内に射出注入し、冷却・固化させる事によって、成形品を得る方法である。押出成形は、材料を圧縮してダイスと呼ばれる金型から押し出し、必要な形状の断面を形成する方法である。この際、材料は、加熱された状態で加圧されることにため、前記材料として本発明に係る組成物を用いれば、加熱・加圧により硬化し、プラスチック様成形体が得られる。
また、本発明によれば、パーティクルボードのような成形体(硬化体)を製造することも可能である。本発明によりパーティクルボードを製造する場合、小片化されたエレメント(例えば、最大長さ50mm以下、厚さ10mm以下に小片化されたエレメント)に、縮合型タンニンと単糖/オリゴ糖(任意で酸触媒)を一緒に含む溶液を添加して(必要に応じて乾燥し)、加熱・加圧するか、またはこれらを別々に含む溶液を添加して(必要に応じて乾燥し)、加熱・加圧すればよい。縮合型タンニンと単糖/オリゴ糖(任意で酸触媒)の均一な混合、工程の簡略化の点からは、これらを一緒に含む溶液を使用することが好ましい。
上記パーティクルボードの製造方法において、各成分の添加量は、酸触媒を添加しない場合は、小片化されたエレメント100重量部に対し、縮合型タンニンが1.5〜20重量部(より好ましくは2.0〜15重量部)、単糖/オリゴ糖が5〜25重量部(より好ましくは5.0〜15重量部)となるように前記溶液を添加することが好ましい(前記重量部は固形分換算した重量部を意味する)。酸触媒を添加する場合は、小片化されたエレメント100重量部に対し、縮合型タンニンが1.5〜10重量部(より好ましくは2.0〜7.0重量部)、単糖/オリゴ糖が5〜25重量部(より好ましくは5.0〜15重量部)、酸触媒が1.5〜10重量部(より好ましくは2.0〜7.0重量部)となるように添加することが好ましい(前記重量部は固形分換算した重量部を意味する)。なお、各成分について複数の重量部範囲を記載しているが、これら、及びこれらの上限値及び下限値は適宜組み合わせ可能である。 一般に、小片状のエレメントは、粉末状のエレメントと比べて硬化しにくいため、酸触媒を併用するほうが好ましい。
なお、エレメントとして、バガスのように、スクロース等をあらかじめ多く含む植物を用いる場合は、単糖/オリゴ糖の添加量を少なくするか、加えなくてもよい。
小片化されたエレメントに、前記溶液を添加する適切な方法として、前記エレメントに前記溶液を噴霧する方法が挙げられる。
小片化されたエレメントに、前記溶液を添加する適切な方法として、前記エレメントに前記溶液を噴霧する方法が挙げられる。
なお、本発明によりパーティクルボードのような成形体を製造する場合、一般に熱板(熱盤)を用いた上下プレスにより加熱・加圧を行う。通常、パーティクルボードの厚みはディスタンスバー(上下の熱板の間隔を規制する厚さ規制治具)を用いて制御するため、プレス機の設定圧力とエレメントに実際にかかる圧力は一致しない。そのため、設定圧力は、エレメントが十分に圧縮される圧力以上とすればよい。具体的には、従来法によるパーティクルボードの製造と同程度の圧力(4MPa〜7MPa[約40〜70kgf/cm2]程度)でよく、従来法と同様、成形するボードの目標密度等によって適宜調節すればよい。また、熱板プレス時の温度は上記と同様160℃〜250℃が適切であり、180℃〜220℃がより好ましい。プレス時間は、製造したい製品に合わせて適宜調節すればよい。上記と同様、一般に、加圧時間を長くすることによって、より強度の高い製品が得られるが、製品強度の増加には上限があるため、長すぎる加圧時間は望ましくない。通常、30秒〜20分が適切であり、1分〜10分がより好ましい。
なお、上記温度、圧力、時間は適宜組み合わせ可能であり、数値範囲の上限値および下限値も適宜組み合わせ可能である。
なお、上記温度、圧力、時間は適宜組み合わせ可能であり、数値範囲の上限値および下限値も適宜組み合わせ可能である。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
実験に使用した材料、組成物の調製方法、成形体の作成方法、耐水性評価方法は以下の通りである。
[原料]
・タンニン:それぞれ粉末で、粒度は100メッシュパス
タンニン酸ME(ワットルタンニン、富士化学工業(株)製)
タンニン酸KT(ケブラチョタンニン、富士化学工業(株)製)
タンニン酸(加水分解型タンニン、富士化学工業(株)製)
・糖
単糖:グルコース、フルクトース、キシロース
二糖:スクロース、マルトース、ラクトース、
多糖:デキストリン
・エレメント(基材):それぞれ粉末で、粒度60メッシュパス
(1)植物由来物
アカシア樹皮粉末、アカシア木粉、セルロースろ紙粉末、
スギ樹皮粉末、籾殻粉末、竹粉末
(2)非植物由来物
炭酸カルシウム粉末
・酸触媒
クエン酸、リン酸二水素ナトリウム
実験に使用した材料、組成物の調製方法、成形体の作成方法、耐水性評価方法は以下の通りである。
[原料]
・タンニン:それぞれ粉末で、粒度は100メッシュパス
タンニン酸ME(ワットルタンニン、富士化学工業(株)製)
タンニン酸KT(ケブラチョタンニン、富士化学工業(株)製)
タンニン酸(加水分解型タンニン、富士化学工業(株)製)
・糖
単糖:グルコース、フルクトース、キシロース
二糖:スクロース、マルトース、ラクトース、
多糖:デキストリン
・エレメント(基材):それぞれ粉末で、粒度60メッシュパス
(1)植物由来物
アカシア樹皮粉末、アカシア木粉、セルロースろ紙粉末、
スギ樹皮粉末、籾殻粉末、竹粉末
(2)非植物由来物
炭酸カルシウム粉末
・酸触媒
クエン酸、リン酸二水素ナトリウム
[組成物の調製]
(1) エレメントとして、縮合型タンニンを少量しか含まない(全く含まない場合を含む)植物由来物、または縮合型タンニンを含まない非植物由来物を用いる場合は、タンニン、糖類、および場合によっては酸触媒を使用して、粉末状の組成物を調製した。
(2) エレメントとして、アカシア樹皮粉末を用いる場合は、縮合型タンニンを添加することなく、糖類、および場合によっては酸触媒を使用して、粉末状の組成物を調製した。
上記アカシア樹皮粉末(製品名:コシタイトP 販売元:株式会社コシイウッドソリューションズ)の組成は、縮合型タンニン30.0重量%、リグニン44.7重量%、ホロセルロース20.3重量%、灰分5.0重量%である。
(1) エレメントとして、縮合型タンニンを少量しか含まない(全く含まない場合を含む)植物由来物、または縮合型タンニンを含まない非植物由来物を用いる場合は、タンニン、糖類、および場合によっては酸触媒を使用して、粉末状の組成物を調製した。
(2) エレメントとして、アカシア樹皮粉末を用いる場合は、縮合型タンニンを添加することなく、糖類、および場合によっては酸触媒を使用して、粉末状の組成物を調製した。
上記アカシア樹皮粉末(製品名:コシタイトP 販売元:株式会社コシイウッドソリューションズ)の組成は、縮合型タンニン30.0重量%、リグニン44.7重量%、ホロセルロース20.3重量%、灰分5.0重量%である。
[組成物の調製方法]
(1) 粉末混合 粉末状態で混合する場合、全ての成分を60メッシュパスとし、ポリカップに入れて振盪撹拌した。
(2) 湿潤混合 エレメントと他の成分(糖類、場合によってはタンニン、酸触媒)をより均一に混合するために、前記他の成分を温水に溶かし、この水溶液とエレメントとを混合した後、オーブンで加熱して水分を除去した。
(1) 粉末混合 粉末状態で混合する場合、全ての成分を60メッシュパスとし、ポリカップに入れて振盪撹拌した。
(2) 湿潤混合 エレメントと他の成分(糖類、場合によってはタンニン、酸触媒)をより均一に混合するために、前記他の成分を温水に溶かし、この水溶液とエレメントとを混合した後、オーブンで加熱して水分を除去した。
[加熱・加圧処理]
調製した粉末状の組成物を、円柱状の金型(内径7cm/高さ3cm)に充填し、ホットプレスにて所定の条件で熱圧し、成形体を作製した。
調製した粉末状の組成物を、円柱状の金型(内径7cm/高さ3cm)に充填し、ホットプレスにて所定の条件で熱圧し、成形体を作製した。
[耐水性評価方法]
作成した成形体を、沸騰水中で4時間煮沸処理後、約105℃で乾燥させて、煮沸前後の成形体の重量から重量減少率を算出した。重量減少率が小さいほど、耐水性が高い。
作成した成形体を、沸騰水中で4時間煮沸処理後、約105℃で乾燥させて、煮沸前後の成形体の重量から重量減少率を算出した。重量減少率が小さいほど、耐水性が高い。
[実施例1] 硬化実験
セルロースろ紙粉末(ほぼ100%セルロースからなる)をエレメントとして使用し、縮合型タンニンであるワットルタンニン(表中では、タンニン酸MEと表記)と、オリゴ糖(スクロース)を含む組成物を調製した(試料1)。また、セルロースろ紙粉末に、縮合型タンニンではなく、リグニンとスクロースを添加して、組成物を調製した(試料2)。また、セルロースろ紙粉末に、縮合型タンニンのみを添加した組成物を調製した(試料3)。さらに、アカシア木粉(縮合型タンニンをほとんど含まない)に、加水分解型タンニンであるタンニン酸(五倍子タンニン)とスクロースを添加した組成物を調製した(試料4)。
これらの組成物を、表1に示す条件にて加熱・加圧して成形体を作成し、耐水性を評価した。結果を表1に示す。
セルロースろ紙粉末(ほぼ100%セルロースからなる)をエレメントとして使用し、縮合型タンニンであるワットルタンニン(表中では、タンニン酸MEと表記)と、オリゴ糖(スクロース)を含む組成物を調製した(試料1)。また、セルロースろ紙粉末に、縮合型タンニンではなく、リグニンとスクロースを添加して、組成物を調製した(試料2)。また、セルロースろ紙粉末に、縮合型タンニンのみを添加した組成物を調製した(試料3)。さらに、アカシア木粉(縮合型タンニンをほとんど含まない)に、加水分解型タンニンであるタンニン酸(五倍子タンニン)とスクロースを添加した組成物を調製した(試料4)。
これらの組成物を、表1に示す条件にて加熱・加圧して成形体を作成し、耐水性を評価した。結果を表1に示す。
表1に示すように、セルロースろ紙粉末にワットルタンニンとスクロースを添加した組成物(試料1)は、加熱・加圧により硬化した(黒色のプラスチック様成形体が得られた)。また、4時間の煮沸処理後の重量減少率は10%程度であり、耐水性に優れていた。これに対し、タンニンを含まない組成物(試料2)、スクロースを含まない組成物(試料3)、縮合型タンニンではなく加水分解型タンニンを含む組成物(試料4)はいずれも、加熱・加圧しても脆い成形体しか得られず、煮沸処理すると、形状を保てなかった。
このことから、縮合型タンニンと糖の反応によりエレメントが硬化すると考えられる。
このことから、縮合型タンニンと糖の反応によりエレメントが硬化すると考えられる。
[実施例2] 縮合型タンニンと単糖/オリゴ糖の重量比の検討
セルロースろ紙粉末、ワットルタンニンおよびスクロースを用いて、混合比率が異なる複数の組成物を調製し、表2に示す条件にて成形体を作成し、耐水性を評価した。結果を表2に示す。表中に記載されている、縮合型タンニンとスクロースの比は、重量比である。
セルロースろ紙粉末、ワットルタンニンおよびスクロースを用いて、混合比率が異なる複数の組成物を調製し、表2に示す条件にて成形体を作成し、耐水性を評価した。結果を表2に示す。表中に記載されている、縮合型タンニンとスクロースの比は、重量比である。
表2に示すように、縮合型タンニン1.0に対し、スクロースの重量比が0.2〜5.0の範囲にある組成物はいずれも、加熱・加圧により硬化し、プラスチック様成形体が得られた。特に重量比が、縮合型タンニン1.0:スクロース0.5〜1.0の組成物が耐水性に優れていた。
[実施例3] 縮合型タンニンと単糖/オリゴ糖の含有率の検討
セルロースろ紙粉末、ワットルタンニンおよびスクロースを用いて、ワットルタンニンまたはスクロースの含有率が、10重量%もしくは50重量%となるように組成物を調製し、表3に示す条件にて熱圧し、耐水性を評価した。結果を表3に示す。
セルロースろ紙粉末、ワットルタンニンおよびスクロースを用いて、ワットルタンニンまたはスクロースの含有率が、10重量%もしくは50重量%となるように組成物を調製し、表3に示す条件にて熱圧し、耐水性を評価した。結果を表3に示す。
表3に示すように、いずれの組成物も加熱・加圧により硬化し、プラスチック様成形体となった。また、煮沸処理後の重量減少率はいずれも25%以下であった。このことから、ワットルタンニンまたはスクロースの含有率を10〜50重量%の間で変動させても、プラスチック様成形体が得られることが分かった。
[実施例4] 植物由来エレメントの種類の変更
様々な植物由来エレメント(いずれも主成分はリグノセルロースであり、縮合型タンニンや単糖/オリゴ糖はほとんど含まない)と、縮合型タンニン、スクロースを用いて、表4に示す組成の試料を調製し、表4に示す条件にて成形体を作成し、耐水性を評価した。縮合型タンニンとしては、ワットルタンニン(タンニン酸ME)またはケブラチョタンニン(タンニン酸KT)を使用した。結果を表4に示す。
様々な植物由来エレメント(いずれも主成分はリグノセルロースであり、縮合型タンニンや単糖/オリゴ糖はほとんど含まない)と、縮合型タンニン、スクロースを用いて、表4に示す組成の試料を調製し、表4に示す条件にて成形体を作成し、耐水性を評価した。縮合型タンニンとしては、ワットルタンニン(タンニン酸ME)またはケブラチョタンニン(タンニン酸KT)を使用した。結果を表4に示す。
表4に示すように、いずれの植物由来エレメントを含む組成物も、加熱・加圧により硬化し、プラスチック様成形体が得られた。特に、縮合型タンニンとしてワットルタンニンを用いた場合(試料14〜17,19)、エレメントにかかわらず、煮沸処理後の重量減少率は10%台となり、高い耐水性を示した。縮合型タンニンとしてケブラチョタンニンを用いた組成物(試料13,18)は、ワットルタンニンを用いた場合より耐水性が低い結果となった。
本実施例から、籾殻粉末や竹粉末を原料としても、耐水性に優れた成形体が容易に得られることが分かった。したがって、本発明によれば、農産廃棄物を利用して、プラスチック様成形体を製造することが可能である。
本実施例から、籾殻粉末や竹粉末を原料としても、耐水性に優れた成形体が容易に得られることが分かった。したがって、本発明によれば、農産廃棄物を利用して、プラスチック様成形体を製造することが可能である。
[実施例5] 縮合型タンニンを含むエレメントの使用
縮合型タンニンを多く含むアカシア樹皮粉末をエレメントとして使用した場合、スクロースの添加のみで硬化するかどうかを確認するために、アカシア樹皮粉末とスクロースを用いて、混合比率が異なる複数の組成物を調製し、表5に示す条件にて成形体を作成し、耐水性を評価した。結果を表5に示す。
縮合型タンニンを多く含むアカシア樹皮粉末をエレメントとして使用した場合、スクロースの添加のみで硬化するかどうかを確認するために、アカシア樹皮粉末とスクロースを用いて、混合比率が異なる複数の組成物を調製し、表5に示す条件にて成形体を作成し、耐水性を評価した。結果を表5に示す。
表5から分かるように、アカシア樹皮粉末(縮合型タンニンを30重量%含有)を使用した場合、スクロースのみを添加した組成物であっても、加熱・加圧により硬化し、プラスチック様成形体となった。このことから、縮合型タンニンをあらかじめ含むエレメントを使用する場合、エレメント中の縮合型タンニンを硬化反応に利用できることが分かった。なお、組成物中の縮合型タンニンの含有率が16.7重量%の場合(試料22)、重量減量率は約27%となったが、縮合型タンニンの含有率が20重量%以上の場合(試料20,試料21)、重量減少率は10%前後になった。
表6に示すように、アカシア樹皮とスクロースを、加熱温度160℃、180℃、200℃で、加圧した場合、いずれの組成物からも成形体が得られた。
但し、160℃の熱圧条件下で得られた成形体(試料23)は、煮沸処理中に分解した。180℃および200℃の熱圧条件下で得られた成形体は、プラスチック状であり、4時間の煮沸処理後も形状を維持した。煮沸処理後の重量変化率は、温度180℃(試料24)では約30%であり、温度200℃では、湿潤混合の場合(試料21)約10%であり、粉末混合の場合(試料25)約15%であった。
このことから、短い時間で耐水性の高い成形体を得たい場合、加熱温度を180℃以上にすることが好ましく、200℃がより好ましいことが分かった。また、混合方法は粉末混合より湿潤混合のほうが好ましいことが分かった。試料21から得られた成形体は、黒色で、厚みが約0.28cm、重量が約12.5gであり、密度約1.15g/cm3で丈夫であった。また、試料21と同様の条件で短冊状試験片(約8cm×約1cm×厚さ0.3〜0.4cm)を作成し、曲げ試験を行った結果、曲げ強度40MPa、曲げヤング率6.5GPaの値が得られた。
但し、160℃の熱圧条件下で得られた成形体(試料23)は、煮沸処理中に分解した。180℃および200℃の熱圧条件下で得られた成形体は、プラスチック状であり、4時間の煮沸処理後も形状を維持した。煮沸処理後の重量変化率は、温度180℃(試料24)では約30%であり、温度200℃では、湿潤混合の場合(試料21)約10%であり、粉末混合の場合(試料25)約15%であった。
このことから、短い時間で耐水性の高い成形体を得たい場合、加熱温度を180℃以上にすることが好ましく、200℃がより好ましいことが分かった。また、混合方法は粉末混合より湿潤混合のほうが好ましいことが分かった。試料21から得られた成形体は、黒色で、厚みが約0.28cm、重量が約12.5gであり、密度約1.15g/cm3で丈夫であった。また、試料21と同様の条件で短冊状試験片(約8cm×約1cm×厚さ0.3〜0.4cm)を作成し、曲げ試験を行った結果、曲げ強度40MPa、曲げヤング率6.5GPaの値が得られた。
表7から分かるように、糖として単糖(フルクトース、グルコース)と二糖(マルトース、ラクトース、スクロース)を用いた場合は、いずれの組成物も硬化し、プラスチック様成形体が得られた。これに対し、多糖(デキストリン)を用いた場合は、加熱・加圧を行っても、脆い成形体しか得られず、プラスチック様成形体を得ることはできなかった。
また、単糖と二糖の中でも、特にグルコース、フルクトース、スクロースを使用した際に、耐水性に優れた成形体が得られた。
また、単糖と二糖の中でも、特にグルコース、フルクトース、スクロースを使用した際に、耐水性に優れた成形体が得られた。
[実施例8] 酸触媒(リン酸二水素ナトリウム)の添加
セルロースろ紙粉末、縮合型タンニン(ワットルタンニンまたはケブラチョタンニン)およびスクロースを用いた組成物について、酸触媒(リン酸二水素ナトリウム)を添加し、その効果を確認した。結果を表8に示す。
セルロースろ紙粉末、縮合型タンニン(ワットルタンニンまたはケブラチョタンニン)およびスクロースを用いた組成物について、酸触媒(リン酸二水素ナトリウム)を添加し、その効果を確認した。結果を表8に示す。
表8に示すように、熱圧時間を5分間とした場合、酸触媒無しの試料31は、十分に硬化せず、煮沸処理中に崩壊したが、酸触媒を0.2g添加した試料32からは、耐水性のあるプラスチック様成形体が得られた。また、煮沸処理後の重量減少率も10%台であり、酸触媒無しで10分間熱圧した試料33に近い耐水性を示した。また、ケブラチョタンニンを用いた試料34は、熱圧時間10分でも、35%を超える重量減少率を示したが、これに酸触媒を0.2g添加した組成物(試料35)は、重量減少率が10%台まで減少した。
本実施例から、酸触媒を加えることにより、熱圧時間を半減できることが明らかになった。また、耐水性に優れた成形体が得られにくい場合も、酸触媒の添加により耐水性を向上できることが明らかになった。
本実施例から、酸触媒を加えることにより、熱圧時間を半減できることが明らかになった。また、耐水性に優れた成形体が得られにくい場合も、酸触媒の添加により耐水性を向上できることが明らかになった。
[実施例9] 酸触媒(クエン酸)の添加、添加量の検討、および無機エレメントの使用
エレメントとして、セルロースろ紙粉末もしくはアカシア樹皮粉末、または無機エレメントである炭酸カルシウム粉末を用いた組成物について、酸触媒(クエン酸)を添加し、その効果を確認した。結果を表9に示す。
エレメントとして、セルロースろ紙粉末もしくはアカシア樹皮粉末、または無機エレメントである炭酸カルシウム粉末を用いた組成物について、酸触媒(クエン酸)を添加し、その効果を確認した。結果を表9に示す。
表9-1に示すように、熱圧時間を5分間とした場合、酸触媒無しの試料36は、十分に硬化せず、煮沸処理中に崩壊したが、これに酸触媒を0.2g添加した組成物(試料37)は、耐水性のあるプラスチック様成形体となり、煮沸処理後の重量減少率は10%台であった。また、試料37と比べて、ワットルタンニンの含有率が低い組成物(試料38)でも、煮沸処理後の重量減少率は10%台となった。このことから、酸触媒としてクエン酸を用いた場合も、リン酸触媒の場合と同様、硬化反応が促進され、熱圧時間を半減できることが明らかとなった。
さらに、ケブラチョタンニンを使用した組成物(試料39)も、熱圧時間10分で十分に硬化し、耐水性に優れた成形体を得ることができた。
さらに、ケブラチョタンニンを使用した組成物(試料39)も、熱圧時間10分で十分に硬化し、耐水性に優れた成形体を得ることができた。
また、試料38と比べて、酸触媒の添加量を10倍とした組成物(試料40)、酸触媒の添加量が5倍であり、ワットルタンニンの添加量が2分の1である組成物(試料41)も、煮沸処理後の重量減少率は10%台であった。
したがって、クエン酸の量を増加しても、耐水性能に著しい差は見られず、クエン酸を少量添加するだけで、十分な硬化促進作用が得られることが分かる。
したがって、クエン酸の量を増加しても、耐水性能に著しい差は見られず、クエン酸を少量添加するだけで、十分な硬化促進作用が得られることが分かる。
また、表9-2に示すように、エレメントとしてアカシア樹皮粉末を用いて、縮合型タンニンを添加せず、スクロースと酸触媒を添加して調製した組成物について、加熱・加圧実験を行った場合にも、耐水性の高いプラスチック様成形体が得られた。酸触媒を0.2g添加し、熱圧時間を10分とした組成物(試料42)では、煮沸処理後の重量減少率は7%台であり、熱圧時間を5分に短縮した場合(試料43)にも、重量減少率は10%台となった。
これに対し、酸触媒を添加しない組成物(試料45)では、熱圧時間5分では、重量減少率が60%以上となり、短時間で耐水性の高い成形体を得ることはできなかった。
このことから、縮合型タンニンをあらかじめ含むエレメントを用いた場合にも、酸触媒によって、硬化反応が促進されること、および、熱圧時間を半減できることが明らかになった。
また、試料42と比べて、酸触媒の添加量を10倍とし、湿潤混合にて調製した組成物(試料44)は、試料42と同様、煮沸処理後の重量減少率が7%台であった。したがって、エレメントがアカシア樹皮の場合も、クエン酸の量の増加により、耐水性能に著しい差は見られず、クエン酸を少量添加するだけで、十分な硬化促進作用が得られることが分かる。
これに対し、酸触媒を添加しない組成物(試料45)では、熱圧時間5分では、重量減少率が60%以上となり、短時間で耐水性の高い成形体を得ることはできなかった。
このことから、縮合型タンニンをあらかじめ含むエレメントを用いた場合にも、酸触媒によって、硬化反応が促進されること、および、熱圧時間を半減できることが明らかになった。
また、試料42と比べて、酸触媒の添加量を10倍とし、湿潤混合にて調製した組成物(試料44)は、試料42と同様、煮沸処理後の重量減少率が7%台であった。したがって、エレメントがアカシア樹皮の場合も、クエン酸の量の増加により、耐水性能に著しい差は見られず、クエン酸を少量添加するだけで、十分な硬化促進作用が得られることが分かる。
また、エレメントとして、炭酸カルシウム粉末を用いた組成物(試料46)も、加熱・加圧により硬化してプラスチック様成形体となり、煮沸処理後の重量減少率は10%台であった。このことから、エレメントが植物由来物以外の物質であっても、加熱・加圧処理によりプラスチック様成形体が得られることが分かった。
上記リン酸二水素ナトリウムおよびクエン酸は、わずかな量で優れた効果を発揮すること、量を増加しても著しい効果の差が観察されないことから、酸自身が縮合型タンニンや糖と反応しているわけではなく、触媒として働いていることが分かる。
本発明者は、上述した特許文献1(WO2010/001988)において、クエン酸と植物由来物からなる組成物が加熱・加圧により硬化することを確認しているが、同時に、特許文献1の実施例10において、アカシア樹皮から抽出したタンニンと、クエン酸の混合物を加熱・加圧しても硬化がおこらず、クエン酸がタンニン以外の成分と反応していることを確認している。したがって、本発明の組成物と特許文献1の組成物において、酸は全く異なる役割を果たしていることが分かる。
本発明者は、上述した特許文献1(WO2010/001988)において、クエン酸と植物由来物からなる組成物が加熱・加圧により硬化することを確認しているが、同時に、特許文献1の実施例10において、アカシア樹皮から抽出したタンニンと、クエン酸の混合物を加熱・加圧しても硬化がおこらず、クエン酸がタンニン以外の成分と反応していることを確認している。したがって、本発明の組成物と特許文献1の組成物において、酸は全く異なる役割を果たしていることが分かる。
また、本発明者は、特許文献1の実施例11において、ろ紙粉末10g、クエン酸粉末2.5g、糖粉末5gを混合して組成物を調製し、これを金型に充填し、ホットプレス(200℃、4MPa、10分)を行い、成形体の作製を試みている。特許文献1の実施例11の組成物(縮合型タンニンを含まない組成物)に、縮合型タンニンを添加することにより、得られる成形体の耐水性が向上するかどうかを確認するために、ろ紙粉末、クエン酸粉末および糖粉末(スクロースまたはキシロース)を基本として、縮合型タンニン(ワットルタンニン)粉末を添加した試料と添加していない試料を作製した。その後、それぞれの試料を金型に充填し、ホットプレスを行い、得られた成形体の耐水性を試験した。結果を表10に示す。
また、上記実験において、クエン酸の量を減らした場合、耐水性がどのように変化するか検討した。具体的には、クエン酸の量を2.5gから0.4gに減らして同じ実験を行った。また、クエン酸の代わりにリン酸二水素ナトリウムを添加して同じ実験を行った。結果を表11に示す。
表11に示すように、クエン酸の量が0.4gである場合、縮合型タンニンを含まない組成物(試料51,54)から得られた成形体は、クエン酸の量が2.5gである組成物(表10の試料47,49)から得られた成形体と比べ、耐水性が著しく低下した。このことから、特許文献1に開示された組成物(試料47,49)では、クエン酸は触媒としてではなく、硬化反応の基質として働いていると考えられる。
これに対し、クエン酸の量が0.4gであっても、縮合型タンニンを含む組成物(試料52,55)から得られた成形体は、クエン酸の量が2.5gである組成物(表10の試料48,50)から得られた成形体と比べて、同程度の重量減少率を示した。このことから、縮合型タンニンを含む組成物は、クエン酸が少量であっても十分硬化することが分かり、クエン酸は触媒として働いていると考えられる。
また、クエン酸0.4gをリン酸二水素ナトリウム0.4gに変更した組成物(試料53,56)から得られた成形体は、試料52および試料55から得られた成形体よりさらに重量減少率が低くかった。このことから、縮合型タンニンを含む組成物では、触媒として働く酸は、クエン酸等のポリカルボン酸に限られないこと、および、リン酸二水素ナトリウムが優れた酸触媒として機能することが分かる。
これに対し、クエン酸の量が0.4gであっても、縮合型タンニンを含む組成物(試料52,55)から得られた成形体は、クエン酸の量が2.5gである組成物(表10の試料48,50)から得られた成形体と比べて、同程度の重量減少率を示した。このことから、縮合型タンニンを含む組成物は、クエン酸が少量であっても十分硬化することが分かり、クエン酸は触媒として働いていると考えられる。
また、クエン酸0.4gをリン酸二水素ナトリウム0.4gに変更した組成物(試料53,56)から得られた成形体は、試料52および試料55から得られた成形体よりさらに重量減少率が低くかった。このことから、縮合型タンニンを含む組成物では、触媒として働く酸は、クエン酸等のポリカルボン酸に限られないこと、および、リン酸二水素ナトリウムが優れた酸触媒として機能することが分かる。
[実施例10] 接着剤としての使用
本発明にかかる組成物を用いて木材同士の接着を行った。気乾状態の南洋材単板(30×30×0.16cm)を使用し、アカシア樹皮粉末とスクロース粉末(60メッシュパス)を重量比7:3の割合で混合し、3プライ合板を作成した。接着剤となる混合物は、篩を用いて均一に単板に散布塗布した。一接着層当たりの塗布量は200g/m2とした。熱圧条件は、圧締圧力1MPa、圧締温度200℃、圧締時間10分とした。得られた合板をJASに基づき、引張せん断試験片による常態強度試験および温冷水浸漬試験にかけた。結果を表12に示す。
本発明にかかる組成物を用いて木材同士の接着を行った。気乾状態の南洋材単板(30×30×0.16cm)を使用し、アカシア樹皮粉末とスクロース粉末(60メッシュパス)を重量比7:3の割合で混合し、3プライ合板を作成した。接着剤となる混合物は、篩を用いて均一に単板に散布塗布した。一接着層当たりの塗布量は200g/m2とした。熱圧条件は、圧締圧力1MPa、圧締温度200℃、圧締時間10分とした。得られた合板をJASに基づき、引張せん断試験片による常態強度試験および温冷水浸漬試験にかけた。結果を表12に示す。
本実施例で使用した組成物は、100%バイオマス由来成分からなるが、常態強度、耐水強度とも良好な値を示し、接着剤として使用できることが確認できた。
[実施例11] パーティクルボードの製造
これまでの実施例では、成形体を製造する際に、金型を用いてホットプレスを行ってきたが、本実施例では、金型を用いず、熱板プレスによる成形体(硬化体)の作製を試みた。現在、パーティクルボードを製造するにあたっては、合成樹脂接着剤を噴霧した木材の小片を成形(フォーミング)し、プレス台に置いて上下プレスを行うことにより、パーティクルボードを製造している。合成樹脂接着剤の代わりに縮合型タンニンと単糖/オリゴ糖を使用してパーティクルボードを製造することができれば、ホルムアルデヒド等の有害物質を含まないパーティクルボードの製造ができるため、非常に有用と考えられる。また、縮合型タンニンと単糖/オリゴ糖を溶媒に溶解して噴霧することにより、木材パーティクルにこれらを均一に分配することができ、且つ、通常のパーティクルボードの製造と全く同じ設備で製造できるため、実用性が期待できる。以下、従来のパーティクルボードの製造と同じ手順によるパーティクルボードの製造例を示す。
これまでの実施例では、成形体を製造する際に、金型を用いてホットプレスを行ってきたが、本実施例では、金型を用いず、熱板プレスによる成形体(硬化体)の作製を試みた。現在、パーティクルボードを製造するにあたっては、合成樹脂接着剤を噴霧した木材の小片を成形(フォーミング)し、プレス台に置いて上下プレスを行うことにより、パーティクルボードを製造している。合成樹脂接着剤の代わりに縮合型タンニンと単糖/オリゴ糖を使用してパーティクルボードを製造することができれば、ホルムアルデヒド等の有害物質を含まないパーティクルボードの製造ができるため、非常に有用と考えられる。また、縮合型タンニンと単糖/オリゴ糖を溶媒に溶解して噴霧することにより、木材パーティクルにこれらを均一に分配することができ、且つ、通常のパーティクルボードの製造と全く同じ設備で製造できるため、実用性が期待できる。以下、従来のパーティクルボードの製造と同じ手順によるパーティクルボードの製造例を示す。
[酸触媒無し]
まず、タンニン酸ME25.5g、スクロース25.5g(重量比1:1)を50gの水に溶解した水溶液を調製した。この水溶液を接着剤とし、乾燥木材パーティクル(原料はリサイクル材:厚さ0.3〜0.8mm 幅1〜30mm 長さ5〜30mm程度のパーティクルを用いた)に噴霧塗布した。ここでの接着剤塗布量は、全乾パーティクル重量に対して固形分で20%である(すなわち、木材パーティクル:タンニン酸ME:スクロース=100:10:10)。その後、水分を蒸発させるために40℃のオーブン中で20時間乾燥させた。
その後、30×30cmの成形ボックスでマットを成形し、200℃の温度で10分間熱板プレスを行った。圧締には0.9cmのディスタンスバーを用いて厚さを制御し、プレス機の設定圧力は6.6MPaとした。目標ボード寸法は30cm×30cm×0.9cm、目標密度は0.8g/cm3である。
上記ホットプレスにより、パーティクルボードを製造することができた。このボードについて、JISA5908に準拠して、曲げ強度、曲げヤング率、はく離強度、24時間吸水厚さ膨潤率を測定した。曲げ強度は17.06MPa、曲げヤング率は3.83GPa、はく離強度は0.73MPa、24時間吸水厚さ膨潤率は57.0%となった。
まず、タンニン酸ME25.5g、スクロース25.5g(重量比1:1)を50gの水に溶解した水溶液を調製した。この水溶液を接着剤とし、乾燥木材パーティクル(原料はリサイクル材:厚さ0.3〜0.8mm 幅1〜30mm 長さ5〜30mm程度のパーティクルを用いた)に噴霧塗布した。ここでの接着剤塗布量は、全乾パーティクル重量に対して固形分で20%である(すなわち、木材パーティクル:タンニン酸ME:スクロース=100:10:10)。その後、水分を蒸発させるために40℃のオーブン中で20時間乾燥させた。
その後、30×30cmの成形ボックスでマットを成形し、200℃の温度で10分間熱板プレスを行った。圧締には0.9cmのディスタンスバーを用いて厚さを制御し、プレス機の設定圧力は6.6MPaとした。目標ボード寸法は30cm×30cm×0.9cm、目標密度は0.8g/cm3である。
上記ホットプレスにより、パーティクルボードを製造することができた。このボードについて、JISA5908に準拠して、曲げ強度、曲げヤング率、はく離強度、24時間吸水厚さ膨潤率を測定した。曲げ強度は17.06MPa、曲げヤング率は3.83GPa、はく離強度は0.73MPa、24時間吸水厚さ膨潤率は57.0%となった。
[酸触媒有り]
まず、タンニン酸ME6.25g、スクロース37.5g、クエン酸6.25g(重量比1:6:1)を50gの水に溶解した水溶液を調製した。この水溶液を接着剤とし、乾燥木材パーティクル(原料はリサイクル材:厚さ0.3〜0.8mm 幅1〜30mm 長さ5〜30mm程度のパーティクルを用いた)に噴霧塗布した。ここでの接着剤塗布量は、全乾パーティクル重量に対して固形分で20%である(すなわち、木材パーティクル:タンニン酸ME:スクロース:クエン酸=100:2.5:15:2.5)。その後、水分を蒸発させるために40℃のオーブン中で20時間乾燥させた。
その後、30×30cmの成形ボックスでマットを成形し、200℃の温度で10分間熱板プレスを行った。圧締には0.9cmのディスタンスバーを用いて厚さを制御し、プレス機の設定圧力は6.6MPaとした。目標ボード寸法は30cm×30cm×0.9cm、目標密度は0.8g/cm3である。
上記ホットプレスにより、パーティクルボードを製造することができた。このボードについて、JISA5908に準拠して、曲げ強度、曲げヤング率、はく離強度、24時間吸水厚さ膨潤率を測定した。曲げ強度は24.4MPa、曲げヤング率は4.07GPa、はく離強度は1.6MPa、24時間吸水厚さ膨潤率は14.9%となった。
まず、タンニン酸ME6.25g、スクロース37.5g、クエン酸6.25g(重量比1:6:1)を50gの水に溶解した水溶液を調製した。この水溶液を接着剤とし、乾燥木材パーティクル(原料はリサイクル材:厚さ0.3〜0.8mm 幅1〜30mm 長さ5〜30mm程度のパーティクルを用いた)に噴霧塗布した。ここでの接着剤塗布量は、全乾パーティクル重量に対して固形分で20%である(すなわち、木材パーティクル:タンニン酸ME:スクロース:クエン酸=100:2.5:15:2.5)。その後、水分を蒸発させるために40℃のオーブン中で20時間乾燥させた。
その後、30×30cmの成形ボックスでマットを成形し、200℃の温度で10分間熱板プレスを行った。圧締には0.9cmのディスタンスバーを用いて厚さを制御し、プレス機の設定圧力は6.6MPaとした。目標ボード寸法は30cm×30cm×0.9cm、目標密度は0.8g/cm3である。
上記ホットプレスにより、パーティクルボードを製造することができた。このボードについて、JISA5908に準拠して、曲げ強度、曲げヤング率、はく離強度、24時間吸水厚さ膨潤率を測定した。曲げ強度は24.4MPa、曲げヤング率は4.07GPa、はく離強度は1.6MPa、24時間吸水厚さ膨潤率は14.9%となった。
実施例11の結果から、パーティクルボードの製造に関しても、縮合型タンニンと単糖/オリゴ糖のみを添加するより、酸触媒を併用したほうが、優れた物性を有するパーティクルボードを得やすいことが分かった。
なお、エレメントとしてバガス(サトウキビなどの搾りかす)のように、最初から単糖やオリゴ糖を含むものを使用すれば、縮合型タンニン(必要に応じて酸触媒)のみや、より少量の糖類の添加で、優れた物性を有するボードが製造可能と考えられる。バガスは農産廃棄物であるため、従来からその有効利用法が模索されている。バガスを使用してホットプレス法でボードを製造することも試みられているが、バガスだけでは十分な物性が得られず、接着剤を用いても接着不良を起こすことが報告されている。これは、接着剤(ホルムアルデヒド系)がバガスに残存するスクロースによって、硬化阻害を起こすためと考えられているが、本発明では、逆に、残存するスクロースが反応すると考えられるため、バガスのように、既存のホルムアルデヒド系接着剤で硬化させることは困難とされていた原料であっても有効活用できる。したがって、本発明によれば、バガスのような農産廃棄物を木質系ボード用の原料として利用でき、しかもホルムアルデヒド系の接着剤を用いなくてよいため、安全性が高く、農産廃棄物の有効利用に資すると考えられる。
各実施例の結果から、本発明によれば、生物資源由来物質のみから耐水性に優れた樹脂ができることが明らかになり、100%生物由来のバイオプラスチックへの応用が期待できる。本発明では、化石資源由来物質を使用する従来技術と異なり、縮合型タンニンの硬化にスクロースなど、植物から得られる糖類が使用できる。また、酸触媒として使用できるクエン酸についても、グルコースの発酵によって得られる天然物である。リン酸二水素ナトリウムは化石資源由来ではあるが、食品添加物として利用されているので安全性が高い。このように、天然物あるいは安全性の高い物質によって縮合型タンニンを硬化する技術が見出されたので、人体や環境に優しい100%天然物によるタンニン樹脂の製造が可能となる。
また、縮合型タンニンは樹皮に多く含まれているものの、その用途は乏しく農産廃棄物として処分されることが多いが、本発明では、アカシア樹皮にスクロース等の糖類を加えて熱圧すると耐水性に優れた成形体が得られることを見出しており、農産廃棄物を簡易な手法で材料化できることを示した。また、アカシア樹皮にサトウキビの搾りかすであるバガスを組み合わせることで、それぞれの成分として含まれる縮合型タンニンと単糖/オリゴ糖との反応が期待でき、原料特性を活かした新たなリグノセルロース材料を開発することも可能である。
また、本発明は縮合型タンニンの新しい硬化方法に関するものであるため、既存の樹脂材料への応用が見込まれ、特に、木材用接着剤やバイオプラスチックへの応用が可能である。
また、縮合型タンニンは樹皮に多く含まれているものの、その用途は乏しく農産廃棄物として処分されることが多いが、本発明では、アカシア樹皮にスクロース等の糖類を加えて熱圧すると耐水性に優れた成形体が得られることを見出しており、農産廃棄物を簡易な手法で材料化できることを示した。また、アカシア樹皮にサトウキビの搾りかすであるバガスを組み合わせることで、それぞれの成分として含まれる縮合型タンニンと単糖/オリゴ糖との反応が期待でき、原料特性を活かした新たなリグノセルロース材料を開発することも可能である。
また、本発明は縮合型タンニンの新しい硬化方法に関するものであるため、既存の樹脂材料への応用が見込まれ、特に、木材用接着剤やバイオプラスチックへの応用が可能である。
本発明によれば、入手が容易で安価な材料を用いて、化石資源を使用せず、非常に簡単な工程で、耐水性の高いプラスチック様の成形体や木質成形体を得ることができることから、バイオプラスチックへの応用が期待できる。既存のバイオプラスチックと比べても、化石資源を一切使用せず、化学合成などの処理も行わずにプラスチック状の硬化物が得られることから、環境性や作業性、安全性の点に優れている。
特に、エレメントとして植物由来物を用いて製造した成形体は、廃棄物も生分解性があると考えられるため、環境に優しいバイオマス材料として活用できる。また、本発明の組成物は、抗菌性を有する縮合型タンニンを含むため、食品用トレー等に好適と考えられる。
特に、エレメントとして植物由来物を用いて製造した成形体は、廃棄物も生分解性があると考えられるため、環境に優しいバイオマス材料として活用できる。また、本発明の組成物は、抗菌性を有する縮合型タンニンを含むため、食品用トレー等に好適と考えられる。
Claims (12)
- 加熱・加圧により硬化する組成物であって、
粉末化または小片化されたエレメントを含むこと、
縮合型タンニンを8重量%以上、単糖およびオリゴ糖からなる群より選択される糖類を8重量%以上含むこと
を特徴とする組成物。 - 前記縮合型タンニンを10〜50重量%、前記糖類を10〜50重量%含むことを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
- さらに、酸触媒を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の組成物。
- 前記縮合型タンニンがワットルタンニンであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
- 前記糖類が、スクロース、グルコース、フルクトース、マルトース、キシロースおよびラクトースからなる群より選択されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
- 前記酸触媒が、カルボン酸類、リン酸類、およびそれらの塩からなる群より選択されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
- 成形用組成物であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物。
- 木材接着用組成物であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物を加熱・加圧することによって得られた成形体。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物を、型に入れ、160℃〜250℃に加熱し、5kgf/cm2〜70kgf/cm2で加圧することを特徴とする、成形体の製造方法。
- 小片化されたエレメントに、縮合型タンニンと、単糖およびオリゴ糖からなる群より選択される糖類とを含む溶液を添加し、加熱・加圧する工程を含むこと
を特徴とする成形体の製造方法。 - さらに、前記溶液が酸触媒を含むことを特徴とする、請求項11に記載の成形体の製造方法。
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