JP2016006195A - 接着用組成物 - Google Patents

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亮 菅原
研二 梅村
Kenji Umemura
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Abstract

【課題】高い接着性を有するとともにホルムアルデヒドが放散されにくい接着用組成物を提供する。【解決手段】加熱・加圧により硬化される接着用組成物である。前記接着用組成物は、分子内にカルボキシル基を複数有する多価カルボン酸と、フラン化合物とを含有して成る。【選択図】なし

Description

本発明は、接着剤の原料として使用することができる接着用組成物に関するものである。
近年、地球温暖化等の環境問題に対する関心が高まるにつれ、プラスチック分野においては、石油由来の材料に代替するものとして、低エミッションかつカーボンニュートラルな植物由来の分解物を重合して得られる樹脂に注目が集まってきている。中でも、植物由来の分解物の一種である乳酸を重合して得られたポリ乳酸は、結晶性を有し、他の植物由来樹脂と比較して物性の高い樹脂の一つであり、大量生産も可能で生産コストも比較的低い。しかし、ポリ乳酸は熱可塑性樹脂であり、汎用の石油由来の熱可塑性樹脂(PE、PP、ABS等)に比較すると、耐熱性と機械的特性が低いために、広く普及するには至っていない。また、ポリ乳酸は石油系の熱硬化性樹脂接着剤を代替できるような物性を有していない。
元来、木質用接着剤としては、バイオマス由来が中心でカゼインや大豆グルー、ニカワ等が用いられていたが、物性等が劣りユリア、メラミン、フェノール等の石油由来熱硬化性樹脂接着剤に置き換わっていった。これらの接着剤により、木質もしくは草本植物の繊維、小片、単板などの要素片が接着され、合板、パーティクルボードや繊維板等の木質ボードが製造されている。また、無機繊維、小片などの要素片が接着され無機質ボードが製造されている。
一般の木質用接着剤(ユリア、メラミン、フェノール)は石油由来で、ホルムアルデヒドを硬化剤としている。水性であることが接着剤としての要件となっている。これらの接着剤はホルムアルデヒドの放散が問題となっており、低減策が施されているが、完全にホルムアルデヒドの放散を抑制することはできない。ホルムアルデヒドを放散しない石油由来のイソシアネート系の接着剤も開発されているが、水分との反応や金属との結合等が課題となっており広くは普及していない。
一方、木材や樹皮等に含まれるポリフェノール類であるタンニンやリグニンは、製材やパルプ利用において廃棄物となるため、これを有効利用しようという試みが古くからなされてきた。例えば、タンニンやリグニンは化学構造がフェノール樹脂に類似していることから、フェノール樹脂と同様にタンニンやリグニンをホルムアルデヒドと反応させ縮合させて接着剤として用いることが検討されてきた(特許文献1参照)。さらに、フェノール樹脂のメチロール基とタンニンやリグニンとの反応を期待して、フェノール樹脂にタンニンやリグニンを添加し、タンニンやリグニンをフェノール樹脂の高分子骨格の中に取り込む検討もなされてきた(非特許文献1、2参照)。
タンニンやリグニンを有効利用しようという他の試みとして、タンニンやリグニンのフェノール性水酸基とポリイソシアネートを反応させてウレタン樹脂とすること等が検討されている(非特許文献2参照)。
しかしながら、タンニンやリグニン等をホルムアルデヒドを用いて反応させる場合、残留したホルムアルデヒドや加水分解によって発生したホルムアルデヒドが放散されるという問題があった。また、タンニンやリグニンの反応性が従来のフェノール樹脂よりも低いため、物性と生産性が劣り、上記の技術は広く実用化されていないのが現状である。
こうしたなか、粉末化や小片化した植物由来物と多価カルボン酸、または粉末化や小片化した植物由来物と多価カルボン酸、糖類を必須成分とした組成物を成形用組成物や木材接着用組成物とすること等が検討されている(特許文献2参照)。しかしながら、成形用組成物として保形性を持たせるために粉末化や小片化した植物由来物を必須成分としていた。接着剤としても植物小片等の接着を想定しているため、粉末化や小片化した植物由来物を必須成分としていた。しかし、小片でない植物板材や無機材の接着には適当な構成ではなかった。
また、多価カルボン酸のアンモニウム塩等のアミンと糖類等の炭水化物によるメイラード反応物を含む接着剤とすること等が検討されている(特許文献3参照)。これはアミンと糖類等のメイラード反応によるものであって、安価な多価カルボン酸がそのまま使えるというものではなかった。そのほか、特許文献4にはセメント硬化遅延を目的にしたものが記載されており、特許文献5には、ポリオール、エポキシの反応を主体するものが記載されており、いずれも多価カルボン酸と糖の反応によるものではなかった。
特許3796604号公報 WO2010/001988号公報 特表2009−503193号公報 特開平10−45992号公報 特開2006−28528号公報
「木質新素材ハンドブック」技報堂出版p.361 「ウッドケミカルスの新展開」シーエムシー出版p.225(2007)
本発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、高い接着性を有するとともにホルムアルデヒドが放散されにくい接着用組成物を提供することを課題としている。
本発明に係る接着用組成物は、加熱・加圧により硬化される接着用組成物であって、多価カルボン酸を含有して成ることを特徴とするものである。
前記接着用組成物は、さらにフラン化合物と糖類とから選択される一つ又は両方を含有することが好ましい。
前記接着用組成物は、少なくとも前記多価カルボン酸が水に溶解された水溶液又は水に分散された水分散液であることが好ましい。
前記接着用組成物は、さらに、増粘剤を含有することが好ましい。
前記接着用組成物は、さらに、リン酸塩を含有することが好ましい。
前記接着用組成物は、さらに、有機チタン化合物、有機スズ化合物とから選択される一つ又は両方を含有することが好ましい。
前記接着用組成物は、さらに、パラトルエンスルホン酸を含有することが好ましい。
前記接着用組成物は、前記多価カルボン酸の沸点が150℃以下であることが好ましい。
前記接着用組成物は、前記多価カルボン酸が、無水マレイン酸とシュウ酸から選択される一つ又は両方であることが好ましい。
前記接着用組成物は、前記多価カルボン酸の分子量が300以上であることが好ましい。
前記接着用組成物は、前記多価カルボン酸が、ポリマレイン酸、ポリアクリル酸から選択される一つ又は両方であることが好ましい。
前記接着用組成物は、前記フラン化合物が、フルフラール、ヒドロキシメチルフルフラール、フルフリルアルコールの群から選択される少なくとも一つであることが好ましい。
前記接着用組成物は、前記増粘剤が、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、無機粉末、植物粉末の群から選択される少なくとも一つであることが好ましい。
前記接着用組成物は、前記リン酸塩が、リン酸水素塩とリン酸二水素塩から選択される一つ又は両方であることが好ましい。
本発明に係る接着用組成物は少なくとも多価カルボン酸とフラン化合物とを含み、加熱・加圧により硬化される接着用組成物であって、前記接着用組成物は、前記多価カルボン酸と糖類と前記フラン化合物の合計を100質量部とした場合に、前記多価カルボン酸が20質量部以上80質量部以下、前記糖類が0質量部以上80質量部以下、前記フラン化合物が20質量部以上80質量部以下の構成比を有し、前記多価カルボン酸と前記糖類と前記フラン化合物の合計100質量部に対して、増粘剤が0質量部以上50質量部以下、リン酸塩が0質量部以上10質量部以下の含有量である。
本発明に係る接着用組成物を用いた好ましいボードは、前記接着用組成物が塗布もしくは散布された木質もしくは草本植物の繊維、小片、単板などの要素片が加熱・加圧されることによって硬化されて成る。
本発明に係る接着用組成物を用いた好ましいボードは、前記接着用組成物が塗布もしくは散布された無機質の繊維、小片などの要素片が加熱・加圧されることによって硬化されて成る。
本発明の接着用組成物は、高い接着性を有するとともにホルムアルデヒドが放散されにくいものである。
以下、本発明を実施するための形態を説明する。
本発明の接着用組成物は、必須成分として多価カルボン酸を含有し、その他必要に応じてフラン化合物と糖類とから選択される一つ又は両方とを含有するものである。また、本発明は、必須成分として多価カルボン酸を含有し、その他必要に応じてフラン化合物と糖類とから選択される一つ又は両方とを含有し、さらに、必要に応じて、粉末化又は小片化された植物由来物を除く他の成分を含有していても良い。また、本発明は、必須成分として多価カルボン酸を含有し、その他必要に応じてフラン化合物と糖類とから選択される一つ又は両方のみから構成されるものであっても良い。尚、上記の植物由来物とは、草木等の木部・樹皮・種子・葉などから得られるものを意味し、市場で入手可能な植物粉末(例えば、樹皮粉末)やリサイクル材等を粉砕して得られたチップ等を例示することができる。
必須成分である多価カルボン酸としては、複数のカルボキシル基を有している化合物であれば、特に限定されなく、文献によってはポリカルボン酸と表記される場合もある。
多価カルボン酸としては、例えばクエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、シュウ酸、アジピン酸、マロン酸、フタル酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、マロン酸、イタコン酸、グルタル酸ペンタン二酸、グルコン酸、グルタコン酸、ペンテン二酸などが挙げられる。また、多価カルボン酸としては、無水物も使用できる。このうち、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、グルコン酸、セバシン酸、イタコン酸などは、植物を原料として製造しており、その他のものも製造可能なものが多い。植物を原料とした場合、化石資源の使用が抑制できるため、環境へ負担をかけず接着用組成物を得ることができる。多価カルボン酸としては、上記の化合物を一種又は複数を組み合わせて用いることができる。
多価カルボン酸としてはその沸点が150℃以下であることが好ましい。多価カルボン酸と糖類やフラン化合物との変性とエステル化反応が多価カルボン酸の沸点付近の温度で促進されるため、沸点が150℃以下である多価カルボン酸を含有する接着用組成物とすることで、低い温度での加熱においても高い接着性が発現する。この場合、多価カルボン酸は無水マレイン酸とシュウ酸から選択される一つ又は両方を用いることができる。TG−DTAによる測定を行うと、無水マレイン酸は沸点130℃、シュウ酸は沸点140℃であり、これらを含有する接着用組成物は低い温度での加熱においても高い接着性が発現する。
多価カルボン酸としてはその分子量が300以上であることが好ましい。上記に示した多価カルボン酸はその多くの分子量が300未満であり、水に溶解させた場合や溶融した場合の粘度が低い。このとき、被着材が木質もしくは草本植物の繊維、小片、単板などの要素片である場合であっても、被着材内部にしみ込みにくくし、被着材表面に残留する接着用組成物を減少しにくくし、接着性を低下しにくくすることが考えられる。また、被着材にしみ込まない場合でも、接着用組成物の粘度が低下することにより、被着材表面からの流出量が増加しにくくし、接着性を低下しにくくすることが考えられる。また、多価カルボン酸の分子量を300以上とすると、粘度が上がり、被着材へのしみ込みや被着材からの流出を抑制し、加熱・加圧により高い接着性が発現するものである。
この場合、多価カルボン酸はポリマレイン酸、ポリアクリル酸から選択される一つ又は両方を用いることができる。ポリマレイン酸は分子量が500〜数万程度のもの、ポリアクリル酸は数平均分子量が5000〜50万程度のものが市販されており、これらを含有する接着用組成物は被着材へのしみ込みや被着材からの流出を抑制し、加熱・加圧により高い接着性が発現する。
また、本発明において、フラン化合物と糖類とから選択される一つ又は両方を用いるのが好ましい。
フラン化合物は糖類や木質系材料の加熱により生成する成分に多く含まれ、フラン環を有する化合物である。フラン化合物としては、例えば、フルフラール、ヒドロキシメチルフルフラール、フルフリルアルコールなどが挙げられる。フラン化合物としては、上記の化合物を一種又は複数を組み合わせて用いることができる。上記のように、フラン化合物がフルフラール、ヒドロキシメチルフルフラール、フルフリルアルコールの群から選択される少なくとも一つを用いると、加熱・加圧により接着用組成物の高い接着性が発現する。フルフラール、ヒドロキシメチルフルフラール、フルフリルアルコールは糖類や木質系材料の加熱により生成する成分に多く含まれるもので、接着用組成物の変性物がエステル化反応して高分子の硬化物を形成しやすくなり、優れた接着性が発現する。
糖類とは、単糖類、オリゴ糖類または多糖類を意味する。単糖類としては、例えばフルクトース、リボース、アラビノース、ラムノース、キシルロース、デオキシリボース等が挙げられ、オリゴ糖としては、例えばマルトース、トレハロース、ツラノース等の二糖類や、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、マンナンオリゴ糖、スタキオース等が挙げられ、多糖類としては、例えばデンプン、アガロース、アルギン酸、グルコマンナン、イヌリン、キチン、キトサン、ヒアルロン酸、グリコーゲン、セルロース等が挙げられる。糖類としては、上記の化合物を一種又は複数を組み合わせて用いることができる。
上記の多価カルボン酸と、フラン化合物と糖類との少なくとも一方を含有する接着用組成物は、加熱により変性した後、エステル化反応して高分子が形成すると考えられる。これにより優れた接着性が発現され、硬化物が得られるものである。
上記のような接着用組成物は、多価カルボン酸と、フラン化合物と糖類とから選択される一つ又は両方が水に溶解された水溶液又は水に分散された水分散液であることが好ましい。多価カルボン酸とフラン化合物及び糖類は水への溶解性が高く、飽和状態以上の濃度とした場合に水分散液となる。上記の接着用組成物を水溶液または水分散液とすることで、被着材への塗布、散布が容易になると共に、有機溶媒を用いないことから、人体への安全性が高い。また、多価カルボン酸とフラン化合物や糖類が相溶状態にあることで、多価カルボン酸とフラン化合物や糖類の変性、およびエステル化反応が促進され、高分子の硬化物を形成し、優れた接着性が発現するものである。
上記の接着用組成物は上記の成分の他に、さらに、増粘剤を含有するのが好ましい。多価カルボン酸とフラン化合物や糖類とを主成分とする接着用組成物が加熱され、変性・反応して高分子の硬化物を形成する過程で粘度が低下する場合がある。このとき、被着材が木質もしくは草本植物の繊維、小片、単板などの要素片である場合であっても、被着材内部にしみ込みにくくし、被着材表面に残留する接着用組成物を減少しにくくし、接着性が低下しにくくすることが考えられる。また、被着材にしみ込まない場合でも、接着用組成物の粘度が低下することにより、被着材表面からの流出量が増加しにくくし、接着性が低下しにくくすることが考えられる。そこで、接着用組成物に増粘剤を含有させることで、被着材へのしみ込みや被着材からの流出を抑制し、加熱・加圧により高い接着性が発現するものである。
増粘剤としては、例えば無機系、有機系に大別できる。無機系増粘剤としては、クレイ、タルク、シリカ(非晶質二酸化珪素粉末)などが挙げられる。有機系増粘剤としては、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコールや植物粉末として小麦粉、コーンスターチ、上新粉、クルミ粉、ヤシ粉等が挙げられる。増粘剤としては、上記の化合物を一種又は複数を組み合わせて用いることができる。このように増粘剤としてカルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、無機粉末、植物粉末の群から選択される少なくとも一つを用いると、これらの増粘剤は加熱においても増粘効果を保持するため、被着材からの流出、および被着材へのしみ込みを抑制しやすくなり、加熱・加圧により高い接着性が発現する。
また、上記の接着用組成物は上記の成分の他に、リン酸塩、有機チタン化合物、有機スズ化合物、パラトルエンスルホン酸等の反応を促進させる効果のある添加剤を含有するのが好ましい。リン酸塩の添加により、上記エステル化反応が促進され、加熱・加圧により高い接着性が発現する。リン酸塩としては、例えばリン酸アンモニウム塩、リン酸ナトリウム塩、リン酸カリウム塩、リン酸カルシウム塩などがあり、それらのリン酸塩、一水素塩、二水素塩などが挙げられる。リン酸塩としては、上記の化合物を一種又は複数を組み合わせて用いることができる。リン酸塩がリン酸水素塩、リン酸二水素塩から選択される少なくとも一つである場合、リン酸水素塩やリン酸二水素塩は食品添加物としても使われるため安全性が高いと共に、反応の促進効果が高いものであり、このため接着用組成物の安全性が向上し、加熱・加圧により高い接着性が発現する。
上記の接着用組成物は上記の成分の他に、さらに、有機チタン化合物、有機スズ化合物とから選択される一つ又は両方を含有するのが好ましい。有機チタン化合物、有機スズ化合物とから選択される一つ又は両方の添加により、上記エステル化反応が促進され、加熱・加圧により高い接着性が発現する。有機チタン化合物としては、テトラメチルチタネート、テトラエチルチタネート、テトラプロピルチタネート、テトラブトキシチタネート等が挙げられる。有機スズ化合物として、たとえばジカルボン酸ジブチルスズ、ジ酢酸ジブチルスズ、ジラウリン酸ジブチルスズ、ジイソオクタン酸ジブチルスズ、マレイン酸ジブチルスズ、混合されたジカルボン酸ジブチルスズ等のジガルボン酸ジアルキルスズ、また、ジカルボン酸ジオクチルスズ、たとえばジラウリン酸ジオクチルスズ等の長鎖脂肪酸エステルを有するジガルボン酸ジアルキルスズや、酸化トリブチルスズ等のトリアルキルスズアルコキシドや、モノブチルスズジヒドロキシクロライド及び二酸化モノブチルスズ等のモノアルキルスズ化合物や、酢酸スズ、シュウ酸スズ等のスズ塩などが挙げられる。
上記の接着用組成物は上記の成分の他に、さらに、パラトルエンスルホン酸を含有するのが好ましい。パラトルエンスルホン酸の添加により、酸触媒効果によりエステル化反応が促進され、加熱・加圧により高い接着性が発現する。
上記の接着用組成物において、多価カルボン酸とフラン化合物と糖類の合計を100質量部とした場合に、多価カルボン酸が10質量部以上100質量部以下、フラン化合物が0質量部以上90質量部以下、糖類が0質量部以上90質量部以下の構成比(含有比)を有するのが好ましい。より詳しくは、接着用組成物が多価カルボン酸とフラン化合物との二成分で構成される場合は、多価カルボン酸が10質量部以上100質量部未満、フラン化合物が0質量部より多くて90質量部以下、さらに好ましくは多価カルボン酸が20質量部以上80質量部以下、フラン化合物が20質量部以上80質量部以下の構成比であることが好ましい。接着用組成物が多価カルボン酸と糖類との二成分で構成される場合は、多価カルボン酸が10質量部以上100質量部未満、糖類が0質量部より多くて90質量部以下の構成比、さらに好ましくは多価カルボン酸が20質量部以上80質量部以下、糖類が20質量部以上80質量部以下であることが好ましい。接着用組成物が多価カルボン酸とフラン化合物と糖類との三成分で構成される場合は、多価カルボン酸が10質量部以上100質量部未満、フラン化合物が0質量部より多くて80質量部以下、糖類が0質量部より多くて90質量部以下、さらに好ましくは多価カルボン酸が20質量部以上80質量部以下、フラン化合物が20質量部以上80質量部以下、糖類が20質量部以上80質量部以下の構成比であることが好ましい。
多価カルボン酸の構成比が10質量部以上であれば、フラン化合物と糖類との反応に寄与するカルボキシル基が少なくなり過ぎず、硬化しやすくなって、高い接着性を得られるという点で優れる。
尚、被着材が木質要素片である場合、木質要素片中には糖類を含有している。このため、接着用組成物は多価カルボン酸の構成比100質量部、つまり糖類とフラン化合物の合計が0質量部となっても接着性が発現する。さらに高い接着性を得る必要がある場合には、多価カルボン酸を必須とし、フラン化合物と糖類の少なくとも一方を併用するのが好ましい。
また、多価カルボン酸の構成比が20質量部以上であれば、フラン化合物と糖類との反応に寄与しないカルボキシル基が存在しても、木質要素片中の糖類と反応して木質要素片中の水酸基量が減少するため、成形後の耐水性が向上するという点に優れてより好ましい。多価カルボン酸の構成比が80質量部以下であれば、多価カルボン酸と木質要素片中の糖類との反応より、相対的にフラン化合物と糖類との反応が増加し、形成される高分子の硬化物が増加して接着性が向上するという点に優れてより好ましい。
フラン化合物を使用する場合、フラン化合物は多価カルボン酸とのエステル化により高分子を形成すると共に、多価カルボン酸を触媒としてフラン化合物同士で縮合し高分子を形成すると考えられるため、高い接着性を得られるという点で優れる。フラン化合物の構成比が20質量部以上であれば、硬化物が増加して高い接着性を得られるという点に優れてより好ましい。
また、フラン化合物の構成比が90質量部以下であれば、高い接着性を得られるという点で優れる。フラン化合物の構成比が80質量部以下であれば、多価カルボン酸の構成比が相対的に多くなり、フラン化合物との反応に寄与しないカルボキシル基が存在しても、木質要素片中の糖類と反応して木質要素片中の水酸基量が減少するため、成形後の耐水性が向上するという点に優れてより好ましい。
糖類を使用する場合、糖類は多価カルボン酸により変性した後、エステル化により高分子を形成するため、高い接着性を得られるという点で優れる。糖類の構成比が20質量部以上であれば、相対的に安価な材料であるという点に優れてより好ましい。
また、糖類の構成比が90質量部以下であれば、高い接着性を得られるという点で優れる。糖類の構成比が80質量部以下であれば、多価カルボン酸の構成比が相対的に多くなり、糖類との反応に寄与しないカルボキシル基が存在しても、木質要素片中の糖類と反応して木質要素片中の水酸基量が減少するため、成形後の耐水性が向上するという点に優れてより好ましい。
また、接着用組成物を上記のような水溶液又は水分散液とする場合、水の配合量は被着材の形状や表面性状などにより適宜設定され、限定されない。水溶液又は水分散液の接着用組成物は、好ましくは、多価カルボン酸とフラン化合物と糖類の合計100質量部に対して、水を15質量部以上500質量部以下の配合とする。水の配合量が15質量部以上では、水が少なすぎることなく、均一な接着用組成物を得やすいものである。また、水の配合量が25質量部以上では、より均一な接着用組成物を得やすいものであり、より好ましい。
一方、水の配合量が500質量部以下では、水が多すぎることなく、接着用組成物の過浸透が生じにくくなると共に接着用組成物の加熱硬化の際、蒸発により温度上昇が遅くなりにくく、硬化が充分となりやすい。また、水の配合量が400質量部以下では、接着用組成物がより過浸透になりにくく、硬化も充分となりやすく、より好ましい。
また、上記の接着用組成物において、増粘剤の配合量は被着材の形状や表面性状などにより適宜設定され、限定されない。好ましくは、増粘剤の配合量は、多価カルボン酸とフラン化合物と糖類の合計100質量部に対して0質量部よりも多く、50質量部以下とする。増粘剤の配合量が0質量部よりも多いと、接着用組成物を増粘させることができ、接着用組成物の過浸透が生じにくくなる。また、増粘剤の配合量が10質量部以上では、接着用組成物がより過浸透になりにくく、より好ましい。一方、増粘剤の配合量が50質量部以下では、その他の成分の配合割合が低下せず、接着用組成物の接着性が低下しにくくなる。増粘剤の配合量が30質量部以下では、その他の成分の配合割合が低下せず、接着用組成物の接着性がより低下しにくくなり、より好ましい。
また、上記の接着用組成物において、リン酸塩の配合量は被着材の形状や表面性状などにより適宜設定され、限定されない。好ましくは、多価カルボン酸とフラン化合物と糖類の合計100質量部に対して0質量部よりも多く、10質量部以下とする。リン酸塩の配合量が0質量部よりも多いと、接着用組成物の反応を促進させることができ、接着用組成物を速く硬化しやすくなる。一方、リン酸塩の配合量が10質量部以下では、接着用組成物が過剰に速く硬化することが少なく、取り扱い性に優れるものである。
また、上記の接着用組成物において、有機チタン化合物、有機スズ化合物の配合量は被着材の形状や表面性状などにより適宜設定され、限定されない。好ましくは、有機チタン化合物、有機スズ化合物の配合量は、多価カルボン酸とフラン化合物と糖類の合計100質量部に対して0質量部よりも多く、1質量部以下とする。有機チタン化合物、有機スズ化合物、パラトルエンスルホン酸の配合量が0質量部よりも多いと、接着用組成物の反応を促進させることができ、接着用組成物を早く硬化しやすくなる。一方、有機チタン化合物、有機スズ化合物の配合量が1質量部以下では、接着用組成物が過剰に速く硬化することが少ないため、取り扱い上、便利な接着用組成物が得られる。ここで、上記の化合物を一種又は複数を組み合わせて用いることができる。
また、上記の接着用組成物において、パラトルエンスルホン酸の配合量は被着材の形状や表面性状などにより適宜設定され、限定されない。好ましくは、パラトルエンスルホン酸の配合量は、多価カルボン酸とフラン化合物と糖類の合計100質量部に対して0質量部よりも多く、10質量部未満とする。パラトルエンスルホン酸の配合量が0質量部よりも多いと、接着用組成物の反応を促進させることができ、接着用組成物を早く硬化しやすくなる。一方、パラトルエンスルホン酸の配合量が10質量部未満では、接着用組成物が過剰に速く硬化することが少ないため、取り扱い上、便利な接着用組成物が得られる。パラトルエンスルホン酸の配合量が10質量部以上では、接着用組成物が過剰に速く硬化するため、可使時間が短くなり取り扱いが困難になるだけでなく、物性向上もない。ここで、上記の化合物を一種又は複数を組み合わせて用いることができる。
本発明のボードは、前記接着用組成物が塗布もしくは散布された木質もしくは草本植物の繊維、小片、単板などの要素片が加熱・加圧されることによって、前記接着用組成物が硬化されると共にこの硬化により前記要素片が接着された木質ボードである。例えば、木質の要素片である木材から切削から得られる挽き板、単板、木質ストランド、木質チップ、木質繊維などや植物繊維などを含めて木質要素片と呼ばれ、その木質要素片を接着剤により接着したものが、集成材、合板、パーティクルボード、繊維板、MDFなどの木質ボードである。この接着剤として上記接着用組成物を用いると、接着用組成物が高分子の硬化物を形成し、優れた接着性が発現する。
木質要素片は水酸基を多く有しており、親水性が高く、この接着用組成物との親和性が高い。また、この木質要素片中の水酸基と多価カルボン酸とエステル化反応することにより、接着性が向上すると共に、木質要素片中の水酸基量が減少するため、成形後の耐水性が向上する。さらに、反応系内に有機溶剤やホルムアルデヒドを含まず、また、分解によってホルムアルデヒドが発生する第3級アミン等を含んでいないため、接着剤由来の有機溶剤やホルムアルデヒドの放散を抑制しやすくなる。
また、本発明のボードは、前記接着用組成物が塗布もしくは散布された無機質の繊維、小片などの要素片が加熱・加圧されることによって、前記接着用組成物が硬化されると共にこの硬化により前記要素片が接着された無機質ボードである。例えば、無機質の要素片であるロックウールやグラスウールを接着剤により接着したものが、ロックウールボードやグラスウールボードなどの無機質ボードである。この接着剤として上記接着用組成物を用いると、接着用組成物が高分子の硬化物を形成し、優れた接着性が発現する。
上記木質ボード、無機質ボードの成形において、接着用組成物の塗布量、塗布方法、成形圧力、成形温度、成形時間などは、被着材である要素片の種類、形状や表面性、ボードの厚さなどにより適宜設定され、限定されない。塗布量は既存の接着剤と同様に少なすぎると、接着力が低下するが、多すぎても接着層が厚くなりすぎて、界面接着性が低下する。従って、乾燥した要素片100質量部に対して接着用組成物は5質量部以上30質量部以下で配合するのが好ましく、これにより、接着力が低下しにくく、界面接着性も低下しにくくなる。より好ましい接着用組成物の配合量の下限値は要素片100質量部に対して8質量部以上であり、これにより、より接着力が低下しにくくなる。また、より好ましい接着用組成物の配合量の上限値は要素片100質量部に対して25質量部以下であり、これにより、より界面接着性が低下しにくくなる。
また、塗布方法は被着材が面材の場合はロールや刷毛等で塗布する、またはスプレー等で水溶液を散布する、粉体を散布するなどが挙げられる。また、被着材が繊維、小片等の場合は、プレー等で水溶液を散布する、粉体を散布するほかに、水溶液中に含浸するなどが挙げられる。
また、成形圧力、成形温度、成形時間なども要素片の種類、形状や表面性、ボードの厚さなどにより適宜設定されるが、成形温度に関しては140℃以上220℃以下であることが好ましい。成形温度が220℃以下では多価カルボン酸の揮発が急激に進行しにくく、また被着材の劣化も進行しにくいため、ボードとしての物性が低下しにくい。また、成形温度が140℃以上であればと、反応速度が低下しにくい、硬化が充分となりやすい。より好ましい成形温度の上限値は、200℃以下であり、これにより、多価カルボン酸の揮発がより急激に進行しにくく、被着材の劣化もより進行しにくい。より好ましい成形温度の下限値は、160℃以上であり、これにより、より反応速度が低下しにくく、硬化が充分となりやすい。
成形圧力に関しては0.5MPa以上4MPa以下であることが好ましい。成形圧力が0.5MPa以上であれば、接着用組成物と被着材とを充分に圧着することができてボードの強度を向上させやすい。成形圧力が4MPa以下であれば、成形圧力が大きすぎず、ボードの破壊が起こりにくいものである。より好ましい成形圧力の上限値は、3MPa以下であり、これにより、接着用組成物と被着材とを充分に圧着することができてボードの強度をより向上させやすい。より好ましい成形圧力の下限値は、0.7MPa以上であり、これにより、ボードの破壊がより起こりにくいものである。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。尚、「部」は質量部を示す。
[参考例1〜4、実施例5〜6、参考例7〜11、実施例12〜13、参考例14〜18、比較例1〜3 (ステンレスブロックを接着)]
<参考例1>
多価カルボン酸として25部のリンゴ酸(品名:リンゴ酸、メーカー:和光純薬)と、糖類として75部のスクロース(品名:スクロース、メーカー:和光純薬)とを混合して粉末の接着用組成物を調製した。この接着用組成物をJIS A 5905の剥離強さ試験に用いる鋼(ステンレス)ブロック1つの50mm×50mm平面に単位面積あたり132g/mで散布し、対となる鋼(ステンレス)ブロックを上記散布面に重ねて置き、乾燥器にて200℃,60分加熱した。接着面にかかる圧力は0.0013MPaとした。この処理によって接着された2個の鋼(ステンレス)ブロックについて、JIS A 5905の方法に準じて剥離強さを測定した。また、25℃水に24時間浸漬した後、および、煮沸水に4時間浸漬した後、接着状態を保持しているか、を判定すると共に、浸漬後のサンプルを105℃で4時間乾燥した後の重量残存率を計測した。さらに、JIS A 5905の方法に準じてホルムアルデヒド放散量を測定し、検出限界以下のものは無、検出されるものは有とした。接着用組成物の配合、接着条件、および結果を表1に示す。
<参考例2>
多価カルボン酸として50部のクエン酸(品名:クエン酸、メーカー:和光純薬)と、糖類として50部のスクロース(品名:スクロース、メーカー:和光純薬)とを混合して得た粉末を水61部に溶解させ水溶液とした。この水溶液を接着用組成物として、JIS
A 5905の剥離強さ試験に用いる鋼(ステンレス)ブロック1つの50mm×50mm平面に単位面積あたり132g/m塗布した。尚、この塗布量は液体中の不揮発分(固形分)の質量である。この後は、参考例1と同様に2個の鋼(ステンレス)ブロックを接着し、上記と同様の測定を行った。接着用組成物の配合、接着条件、および結果を表1に示す。
<参考例3>
多価カルボン酸として25部のリンゴ酸(品名:リンゴ酸、メーカー:和光純薬)と、糖類として75部のスクロース(品名:スクロース、メーカー:和光純薬)とを混合して得た粉末を水30部に溶解させ水溶液とした後、増粘剤として26部の小麦粉(品名:赤玉、メーカー:日清製粉)を配合して水分散液とした。この水分散液を接着用組成物とした以外は、参考例2と同様に2個の鋼(ステンレス)ブロックを接着し、上記と同様の測定を行った。接着用組成物の配合、接着条件、および結果を表1に示す。
<参考例4>
多価カルボン酸として75部のリンゴ酸(品名:リンゴ酸、メーカー:和光純薬)と、糖類として25部のスクロース(品名:スクロース、メーカー:和光純薬)とを混合して得た粉末を水30部に溶解させ水溶液とした後、増粘剤として26部の小麦粉(品名:赤玉、メーカー:日清製粉)を配合して水分散液とした。この水分散液を接着用組成物とした以外は、参考例2と同様に2個の鋼(ステンレス)ブロックを接着し、上記と同様の測定を行った。接着用組成物の配合、接着条件、および結果を表1に示す。
<実施例5>
糖類の代わりに、フラン化合物としてフルフリルアルコール(品名:フルフリルアルコール、メーカー:和光純薬)を75部配合した以外は、参考例3と同様にし、上記と同様の測定を行った。接着用組成物の配合、接着条件、および結果を表1に示す。
<実施例6>
多価カルボン酸として25部のリンゴ酸(品名:リンゴ酸、メーカー:和光純薬)と、糖類として50部のスクロース(品名:スクロース、メーカー:和光純薬)と、フラン化合物として25部のフルフリルアルコール(品名:フルフリルアルコール、メーカー:和光純薬)とを混合して得た粉末を水30部に溶解させ水溶液とした後、増粘剤として26部の小麦粉(品名:赤玉、メーカー:日清製粉)を配合して水分散液とした。この水分散液を接着用組成物して用いた以外は、参考例2と同様にし、上記と同様の測定を行った。接着用組成物の配合、接着条件、および結果を表1に示す。
<参考例7>
多価カルボン酸として50部のクエン酸(品名:クエン酸、メーカー:和光純薬)と、糖類として50部のスクロース(品名:スクロース、メーカー:和光純薬)を混合して得た粉末を水30部に溶解させ水溶液とした後、増粘剤として26部の小麦粉(品名:赤玉、メーカー:日清製粉)とリン酸水素二ナトリウム10部とを添加して水分散液とした。この水分散液を接着用組成物して用いた以外は、参考例2と同様にし、上記と同様の測定を行った。接着用組成物の配合、接着条件、および結果を表1に示す。
<比較例1>
多価カルボン酸を配合せずに、糖類のスクロース(品名:スクロース、メーカー:和光純薬)粉末の100部を接着用組成物とした以外は、参考例1と同様に2個の鋼(ステンレス)ブロックを接着し、上記と同様の測定を行った。接着用組成物の配合、接着条件、および結果を表1に示す。
<比較例2>
ポリ乳酸エマルジョン(品番:PL−1000、メーカー:ミヨシ油脂)を希釈してポリ乳酸の不揮発分:100、水分:100となるよう調製した水分散液を接着用組成物とした以外は、参考例2と同様に2個の鋼(ステンレス)ブロックを接着し、上記と同様の測定を行った。接着用組成物の配合、接着条件、および結果を表1に示す。
<比較例3>
フェノール樹脂接着剤(品番:PL3725、メーカー:群栄化学)を希釈して質量比でフェノール樹脂の不揮発分:100、水分:100となるよう調製した水分散液を接着用組成物とした以外は、参考例2と同様に2個の鋼(ステンレス)ブロックを接着し、上記と同様の測定を行った。接着用組成物の配合、接着条件、および結果を表1に示す。
Figure 2016006195
上記のように、参考例1〜3は金属ブロックを接着し、比較例より高い接着強さとなった。
比較例1は接着強さが低く、耐水性も低かったが、これは多価カルボン酸を含有しておらず、接着成分としての変性が行なわれなかったと考えられる。参考例1では多価カルボン酸が含有することによって接着強さも向上した、また、参考例2では接着用組成物を液体とすることで、反応が促進され接着性、耐水性、耐熱水性が向上したと考えられる。また、参考例3、参考例4では増粘剤を添加したことで、接着面からの流出が抑制され、接着性、耐水性、耐熱水性がさらに向上したと考えられる。また、参考例1から4において多価カルボン酸の比率は広い範囲で、接着可能である。実施例5では糖類を用いず、フラン化合物を用い、実施例6では糖類とフラン化合物とを併用し、また参考例7では増粘剤、リン酸塩を配合にすることによって反応が促進され接着性、耐水性、耐熱水性が向上したと考えられる。接着剤製品であり、植物原料由来である比較例2は、常態での接着強さは比較的高いものの、耐水性、耐熱水性は低かった。接着剤製品である比較例3は、接着性、耐水性、耐熱水性は高いが、植物原料由来で無いと共に、ホルムアルデヒド放散が確認され、実施例との差異が見られた。
[参考例8〜11、実施例12〜13、参考例14〜19、比較例4〜6 (ケナフ繊維を接着してケナフ繊維ボードで比較)]
<参考例8>
多価カルボン酸として50部のクエン酸(品名:クエン酸、メーカー:和光純薬)と、糖類として50部のマルトース(品名:マルトース、メーカー:和光純薬)とを混合して得た粉末を水400部に溶解させ水溶液とした。この水溶液を接着用組成物とした。また、ケナフ茎部の外皮部分となる靱皮から得られたケナフ繊維束(平均長さ40mm、平均径82μm)を用いて作成した繊維マット(単位面積あたりの質量650g/m)に上記接着用組成物を含浸し、乾燥した時の重量比率が植物繊維マット:750、接着用組成物の不揮発分(固形部):250となるよう、絞りにより調整した。この後、接着用組成物を含浸した繊維マットを乾燥器にて100℃,10分乾燥した後、2枚重ねて熱盤温度200℃、圧力2MPaで10分間プレス成形し繊維ボードを作成した。本参考例で得られたボードについて、JIS A 5905に準じて剥離強さ、吸水厚さ膨張率を測定した。接着用組成物の配合、接着、ボード成形条件、および結果を表2に示す。
<参考例9>
多価カルボン酸として50部のリンゴ酸(品名:リンゴ酸、メーカー:和光純薬)と、糖類として50部のスクロース(品名:スクロース、メーカー:和光純薬)とを混合して得た粉末を水400部に溶解させ水溶液とした。この液体を接着用組成物とした以外は、参考例8と同様に繊維ボードを作成し、上記と同様の測定を行った。接着用組成物の配合、接着、ボード成形条件、および結果を表2に示す。
<参考例10>
多価カルボン酸として50部のシュウ酸(和光純薬)と、糖類として50部のスクロース(品名:スクロース、メーカー:和光純薬)とを混合して得た粉末を水400部に溶解させ水溶液とした。この液体を接着用組成物として用い、成形温度を180℃とした以外は、参考例8と同様に繊維ボードを作成し、上記と同様の測定を行った。接着用組成物の配合、接着、ボード成形条件、および結果を表2に示す。
<参考例11>
多価カルボン酸として50部の無水マレイン酸(品名:無水マレイン酸、メーカー:和光純薬)と、糖類:スクロース(品名:スクロース、メーカー:和光純薬)を50部混合した粉末を水400部に溶解させ水溶液とした。この液体を接着用組成物として、成形温度を180℃とした以外は、参考例8と同様に繊維ボードを作成し、上記と同様の測定を行った。接着用組成物の配合、接着、ボード成形条件、および結果を表2に示す。
<実施例12>
多価カルボン酸として25部のリンゴ酸(品名:リンゴ酸、メーカー:和光純薬)と、フラン化合物として75部のフルフリルアルコール(品名:フルフリルアルコール、メーカー:和光純薬)とを水400部に溶解させ水溶液とした。この液体を接着用組成物として、成形温度を180℃とした以外は、参考例8と同様に繊維ボードを作成し、上記と同様の測定を行った。接着用組成物の配合、接着、ボード成形条件、および結果を表2に示す。
<実施例13>
多価カルボン酸として25部のリンゴ酸(品名:リンゴ酸、メーカー:和光純薬)と、糖類として50部のスクロース(品名:スクロース、メーカー:和光純薬)と、フラン化合物として25部のフルフリルアルコール(品名:フルフリルアルコール、メーカー:和光純薬)とを水400部に溶解させ水溶液とした。この水溶液を接着用組成物として、成形温度を160℃とした以外は、参考例8と同様に繊維ボードを作成し、上記と同様の測定を行った。接着用組成物の配合、接着、ボード成形条件、および結果を表2に示す。
<参考例14>
多価カルボン酸として100部のリンゴ酸(品名:リンゴ酸、メーカー:和光純薬)の粉末を水400部に溶解させ水溶液とした。この液体を接着用組成物とした以外は、参考例8と同様に繊維ボードを作成し、上記と同様の測定を行った。接着用組成物の配合、接着、ボード成形条件、および結果を表2に示す。
<参考例15>
多価カルボン酸として100部のリンゴ酸(品名:リンゴ酸、メーカー:和光純薬)の粉末を水400部に溶解させ水溶液とした。この液体にリン酸塩として8部のリン酸水素二ナトリウムを配合して水分散液とした。これを接着用組成物とした以外は、参考例8と同様に繊維ボードを作成し、上記と同様の測定を行った。接着用組成物の配合、接着、ボード成形条件、および結果を表2に示す。
<参考例16>
多価カルボン酸として100部の無水マレイン酸(品名:無水マレイン酸、メーカー:和光純薬)の粉末を水400部に溶解させ水溶液とした。この液体を接着用組成物とした以外は、参考例8と同様に繊維ボードを作成し、上記と同様の測定を行った。接着用組成物の配合、接着、ボード成形条件、および結果を表3に示す。
<参考例17>
参考例16において、リン酸塩として10部のリン酸水素二ナトリウムを配合して水分散液とした。この水分散液を接着用組成物して用いた以外は、参考例16と同様にし、上記と同様の測定を行った。接着用組成物の配合、接着条件、および結果を表3に示す。
<参考例18>
参考例17において、成形温度を160℃とした以外は、参考例8と同様に繊維ボードを作成し、上記と同様の測定を行った。接着用組成物の配合、接着、ボード成形条件、および結果を表3に示す。
<参考例19>
多価カルボン酸として75部の無水マレイン酸(品名:無水マレイン酸、メーカー:和光純薬)と、糖類:スクロース(品名:スクロース、メーカー:和光純薬)を25重量部混合した粉末を水400部に溶解させ水溶液とした。この液体にリン酸塩として10部のリン酸水素二ナトリウムを配合して水分散液とした。この水分散液を接着用組成物として、成形温度を180℃とした以外は、参考例8と同様に繊維ボードを作成し、上記と同様の測定を行った。接着用組成物の配合、接着、ボード成形条件、および結果を表3に示す。
<参考例20>
参考例11において、多価カルボン酸として分子量2000のポリマレイン酸(品名:ノンポール、メーカー:日油)を用いた以外は、参考例11と同様に繊維ボードを作成し、上記と同様に測定を行った。接着用組成物の配合、接着、ボードの成形条件、および結果を表4に示す。
<参考例21>
参考例11において、多価カルボン酸として分子量500000のポリアクリル酸(品名:アロン、メーカー:東亞合成)を用いた以外は、参考例11と同様に繊維ボードを作成し、上記と同様に測定を行った。接着用組成物の配合、接着、ボードの成形条件、および結果を表4に示す。
<参考例22>
参考例9において、有機チタン化合物として0.3部のテトラキス(2−エチルヘキシルオキシ)チタン(品番:TOT、メーカー:日本曹達)を配合して水分散液とした。この水分散液を接着用組成物として用いた以外は、参考例9と同様にし、上記と同様の測定を行った。接着用組成物の配合、接着条件、および結果を表4に示す。
<参考例23>
参考例16において、有機スズ化合物として0.9部のジ−n−オクチルスズオキサイド(品番:Doto、メーカー:北興化学工業)を配合して水分散液とした。この水分散液を接着用組成物として用いた以外は、参考例15と同様にし、上記と同様の測定を行った。接着用組成物の配合、接着条件、および結果を表4に示す。
<実施例24>
実施例13において、0.9部のパラトルエンスルホン酸(品名:パラトルエンスルホン酸、メーカー:和光純薬)を配合して水分散液とした。この水分散液を接着用組成物として用いた以外は、実施例13と同様にし、上記と同様に測定を行った。接着用組成物の配合、接着条件、および結果を表4に示す。
<比較例4>
糖類として100部のスクロース(品名:スクロース、メーカー:和光純薬)の粉末を水400重量部に溶解させ水溶液とした。この液体を接着用組成物とした以外は、参考例8と同様に繊維ボードを作成し、上記と同様の測定を行った。接着用組成物の配合、接着、ボード成形条件、および結果を表3に示す。
<比較例5>
ポリ乳酸エマルジョン(品番:PL−1000、メーカー:ミヨシ油脂)を希釈して質量比でポリ乳酸の不揮発分:100、水分:400となるよう調製し水分散液とした。この液体を接着用組成物とした以外は、参考例8と同様に繊維ボードを作成し、上記と同様の測定を行った。接着用組成物の配合、接着、ボード成形条件、および結果を表3に示す。
<比較例6>
水溶性アクリル樹脂接着剤(品番:940L、メーカー:BASF)を希釈して質量比で水溶性アクリル樹脂の不揮発分:100、水分:400となるよう調製し水分散液とした。この液体を接着用組成物とした以外は、参考例8と同様に繊維ボードを作成し、上記と同様の測定を行った。接着用組成物の配合、接着、ボード成形条件、および結果を表3に示す。
Figure 2016006195
Figure 2016006195
上記のように、参考例8〜11、実施例12〜13、参考例14〜19は繊維同士を接着し繊維ボードが作成可能であった。比較例4は接着強さが低く、耐水性も低かったが、これは多価カルボン酸を含有しておらず、接着成分としての変性が行なわれなかったと考えられる。参考例8、9では糖類と多価カルボン酸が含有することによって接着強さも向上した。参考例10、11では多価カルボン酸をシュウ酸、無水マレイン酸とすることで、参考例8、9より低い温度でも接着した。実施例12では糖類を用いず、フラン化合物を用い、実施例13では糖類とフラン化合物とを併用し、繊維同士を接着し繊維ボードが作成可能であった。
参考例14では配合を変え多価カルボン酸を多くすることで耐水性が向上した。参考例15ではリン酸塩を添加することで、より低い温度でも接着した。参考例16では多価カルボン酸を無水マレイン酸とすることで、参考例14より低い温度でも接着した。参考例17、参考例18では多価カルボン酸を無水マレイン酸として、リン酸塩を配合にすることによって、低い温度でも接着し反応が促進され接着性、耐水性、耐熱水性が向上したと考えられる。参考例19ではリン酸塩を配合にすることによって、低い温度でも接着した。
Figure 2016006195
参考例20では多価カルボン酸を分子量2000のポリマレイン酸とすることで、参考例11より剥離強さが向上した。また、参考例21では多価カルボン酸を分子量500000のポリアクリル酸とすることで、参考例11より剥離強さが向上した。被着材へのしみ込みや被着材からの流出を抑制し、加熱・加圧により高い接着性が発現したと考えられる。
参考例22では有機チタン化合物を添加することで、参考例9より接着性、耐水性が向上した。参考例23では有機スズ化合物を添加することで、参考例15より接着性、耐水性が向上した。実施例24ではパラトルエンスルホン酸を添加することで、参考例15より接着性、耐水性が向上した。いずれも反応が促進され接着性、耐水性が向上したと考えられる。
接着剤製品であり、植物原料由来である比較例5は、常態での接着強さは高いレベルには無く、耐水性は低かった。接着剤製品である比較例6は、植物原料由来で無く、接着性、耐水性は低いレベルではない程度であった。
[参考例25〜33、実施例34〜35、比較例7〜9(単板を接着して合板で比較)]
<参考例25>
多価カルボン酸として75部のリンゴ酸(品名:リンゴ酸、メーカー:和光純薬)と、糖類として25部のスクロース(品名:スクロース、メーカー:和光純薬)とを混合して得た粉末を接着用組成物として合板を作成した。厚さ2.5mmのスギ単板(含水率5質量%)を使用し、接着用組成物はスギ単板の片面の単位面積あたり132g/m散布した。接着用組成物を散布したスギ単板を5枚積層し、温度200℃、圧力0.8MPaで10分間加熱圧締することにより、厚さ11.5mm、密度500kg/mの合板を作成した。本参考例で得られた合板について、JIS A 5905に準じて剥離強さ、吸水試験を行い、剥離の有無と厚さ膨張率を測定した。また、50mm角のサンプルを煮沸水に4時間浸漬した後、剥離の有無を判定すると共に、断面の剥離部分の長さを測定し、全接着長さ中の何%が剥がれているかを求めた。接着用組成物の配合、接着、ボード成形条件、および結果を表5に示す。
<参考例26>
多価カルボン酸として50部のクエン酸(品名:クエン酸、メーカー:和光純薬)と、糖類として50部のスクロース(品名:スクロース、メーカー:和光純薬)とを混合した粉末に水30部を加えて水分散液とした。この水分散液を接着用組成物として、スギ単板の片面に単位面積あたり132g/mの塗布量でロールで塗布した以外は、参考例20と同様に合板を作成し、上記と同様の測定を行った。尚、この塗布量は水分散液中の不揮発分(固形分)の質量である。接着用組成物の配合、接着、ボード成形条件、および結果を表5に示す。
<参考例27>
多価カルボン酸として50部のクエン酸(品名:クエン酸、メーカー:和光純薬)と、糖類として50部のスクロース(品名:スクロース、メーカー:和光純薬)とを混合して得た粉末に、水30部と増粘剤として45部のポリビニルアルコールとを加えて水分散液とした。この水分散液を接着用組成物として、成形温度を180℃とした以外は、参考例20と同様に合板を作成し、上記と同様の測定を行った。接着用組成物の配合、接着、ボード成形条件、および結果を表5に示す。
<参考例28>
多価カルボン酸として12部のリンゴ酸(品名:リンゴ酸、メーカー:和光純薬)と、糖類として88部のスクロース(品名:スクロース、メーカー:和光純薬)とを混合して得た粉末に、水30部と増粘剤として26部のタルクとを加えて水分散液とした。この水分散液を接着用組成物とした以外は、参考例20と同様に合板を作成し、上記と同様の測定を行った。接着用組成物の配合、接着、ボード成形条件、および結果を表5に示す。
<参考例29>
多価カルボン酸として50部のリンゴ酸(品名:リンゴ酸、メーカー:和光純薬)と、糖類として50部のスクロース(品名:スクロース、メーカー:和光純薬)とを混合して得た粉末に、水30部と増粘剤として26部の小麦粉(品名:赤玉、メーカー:日清製粉)とを加えて水分散液とした。この水分散液を接着用組成物とした以外は、参考例20と同様に合板を作成し、上記と同様の測定を行った。接着用組成物の配合、接着、ボード成形条件、および結果を表5に示す。
<参考例30>
多価カルボン酸として25部の無水マレイン酸(品名:無水マレイン酸、メーカー:和光純薬)と、糖類として75部のスクロース(品名:スクロース、メーカー:和光純薬)とを混合して得た粉末に、水30部と増粘剤として26部の小麦粉(品名:赤玉、メーカー:日清製粉)とを加えて水分散液とした。この水分散液を接着用組成物とした以外は、参考例20と同様に合板を作成し、上記と同様の測定を行った。接着用組成物の配合、接着、ボード成形条件、および結果を表5に示す。
<参考例31>
多価カルボン酸として25部の無水マレイン酸(品名:無水マレイン酸、メーカー:和光純薬)と、糖類として75部のスクロース(品名:スクロース、メーカー:和光純薬)とを混合して得た粉末に、水30部と増粘剤として26部の小麦粉(品名:赤玉、メーカー:日清製粉)とを加えて水分散液したものを接着用組成物として、成形温度を160℃とした以外は、参考例20と同様に合板を作成し、上記と同様の測定を行った。接着用組成物の配合、接着、ボード成形条件、および結果を表5に示す。
<参考例32>
多価カルボン酸として25部の無水マレイン酸(品名:無水マレイン酸、メーカー:和光純薬)と、糖類として75部のスクロース(品名:スクロース、メーカー:和光純薬)とを混合して得た粉末に、水30部と、増粘剤として26部の小麦粉(品名:赤玉、メーカー:日清製粉)と、8部のリン酸水素二ナトリウムとを添加したものを接着用組成物とした。これを厚さ2.5mmのカエデ単板(含水率5質量%)に使用し、成形温度を160℃とした以外は、参考例20と同様に合板を作成し、同様に測定を行った。接着用組成物の配合、接着、ボード成形条件、および結果を表6に示す。
<参考例33>
多価カルボン酸として100部の無水マレイン酸(品名:無水マレイン酸、メーカー:和光純薬)粉末に、水30部と増粘剤として26部の小麦粉(品名:赤玉、メーカー:日清製粉)とリン酸塩として8部のリン酸水素二ナトリウムを配合して水分散液としたものを接着用組成物として、成形温度を160℃とした以外は、参考例20と同様に合板を作成し、上記と同様の測定を行った。接着用組成物の配合、接着、ボード成形条件、および結果を表6に示す。
<実施例34>
多価カルボン酸として75部のリンゴ酸(品名:リンゴ酸、メーカー:和光純薬)と、フラン化合物として25部のフルフリルアルコール(品名:フルフリルアルコール、メーカー:和光純薬)とを水30部と増粘剤として26部の小麦粉(品名:赤玉、メーカー:日清製粉)とを配合して水分散液とした。この水分散液を接着用組成物とした以外は、参考例20と同様に合板を作成し、上記と同様の測定を行った。接着用組成物の配合、接着、ボード成形条件、および結果を表6に示す。
<実施例35>
多価カルボン酸として50部のリンゴ酸(品名:リンゴ酸、メーカー:和光純薬)と、フラン化合物として50部のフルフリルアルコール(品名:フルフリルアルコール、メーカー:和光純薬)とを水30部と増粘剤として26部の小麦粉(品名:赤玉、メーカー:日清製粉)とを配合して水分散液とした。この水分散液を接着用組成物とした以外は、参考例20と同様に合板を作成し、上記と同様の測定を行った。接着用組成物の配合、接着、ボード成形条件、および結果を表6に示す。
<比較例7>
糖類として100部のスクロース(品名:スクロース、メーカー:和光純薬)を接着用組成物とした以外は、参考例20と同様に合板を作成し、上記と同様の測定を行った。接着用組成物の配合、接着、ボード成形条件、および結果を表6に示す。
<比較例8>
ポリ乳酸エマルジョン(品番:PL−1000、メーカー:ミヨシ油脂)を希釈して質量比でポリ乳酸の不揮発分:100、水分:100となるよう調製し水分散液とした。この液体を接着用組成物とした以外は、参考例20と同様に合板を作成し、上記と同様の測定を行った。接着用組成物の配合、接着、ボード成形条件、および結果を表6に示す。
<比較例9>
ユリアメラミン樹脂接着剤(品番:PWP−731、メーカー:オーシカ)を希釈して質量比でユリアメラミン樹脂の不揮発分:100、水分:60となるよう調製し水分散液とした。この液体を接着用組成物とした以外は、参考例20と同様に合板を作成し、上記と同様の測定を行った。接着用組成物の配合、接着、ボード成形条件、および結果を表6に示す。
Figure 2016006195
Figure 2016006195
上記のように、参考例20〜23、実施例24、参考例25〜30は単板同士を接着し合板が作成可能であった。比較例7は接着性が低く、合板として作成できなかった。これは多価カルボン酸を含有しておらず、接着成分としての変性が行なわれなかったと考えられる。参考例20、参考例21では接着するものの接着性、耐水性、耐熱水性が少し低かった。増粘剤の添加がなく、単板に接着成分が多くしみ込んだためと考えられる。参考例22〜23、実施例24、参考例25〜30では増粘剤を添加したことで、単板への接着成分のしみ込みや流出が抑制され、接着性、耐水性、耐熱水性がさらに向上したと考えられる。多価カルボン酸、増粘剤、リン酸塩の種類、配合によって成形温度や接着性、耐水性、耐熱水性が向上し、実施例24では煮沸においても剥離しない配合とすることができる。参考例28では参考例20から配合を変え、多価カルボン酸を多くし、リン酸塩を配合にすることによって、低い温度でも接着性が向上した。参考例29、参考例30では糖類の変わりにフラン化合物を用いることで接着し、参考例20、参考例21より接着性、耐水性、耐熱水性が向上した。接着剤製品であり、植物原料由来である比較例8は、常態での接着強さは高いレベルには無く、耐水性は低かった。また接着剤製品である比較例9は、植物原料由来で無く、接着性、耐水性は高いものの、煮沸においても全く剥離しない、とはならなかった。
[参考例36〜42 (広葉樹繊維を接着して広葉樹繊維ボードで比較)]
<参考例36>
多価カルボン酸として50部のクエン酸(品名:クエン酸、メーカー:和光純薬)と、糖類として50部のスクロース(品名:スクロース、メーカー:和光純薬)とを混合して得た粉末を水100部に溶解させ水溶液とした。この水溶液を接着用組成物とした。また、広葉樹木質部から得られた広葉樹繊維(平均長さ3mm)にブレンダ中にスプレーガンを用いて接着用組成物を噴霧し、乾燥した時の重量比率が広葉樹繊維:1000、接着用組成物の不揮発分(固形部):200となるようした。この後、接着用組成物を噴霧した広葉樹繊維を乾燥器にて80℃,20分乾燥した後、マット状に重ねて熱盤温度190℃、圧力2MPaで5分間プレス成形し厚さ2mm、密度800kg/mの繊維ボードを作成した。本参考例で得られたボードについて、JIS A 5905に準じて剥離強さ、吸水厚さ膨張率を測定した。接着用組成物の配合、接着、ボード成形条件、および結果を表7に示す。
<参考例37>
成形時間を3分とした以外は、参考例36と同様に繊維ボードを作成し、上記と同様の測定を行った。接着用組成物の配合、接着、ボード成形条件、および結果を表7に示す。
<参考例38>
多価カルボン酸として50部のクエン酸(品名:クエン酸、メーカー:和光純薬)と、糖類として50部のスクロース(品名:スクロース、メーカー:和光純薬)とを混合して得た粉末を水100部に溶解させ水溶液とした。さらに0.5部のパラトルエンスルホン酸(品名:パラトルエンスルホン酸、メーカー:和光純薬)を溶解させた水溶液を接着用組成物とした。また、広葉樹木質部から得られた広葉樹繊維(平均長さ3mm)にブレンダ中にスプレーガンを用いて接着用組成物を噴霧し、乾燥した時の重量比率が広葉樹繊維:1000、接着用組成物の不揮発分(固形部):200となるようした。この後、接着用組成物を噴霧した広葉樹繊維を乾燥器にて80℃,20分乾燥した後、マット状に重ねて熱盤温度190℃、圧力2MPaで3分間プレス成形し厚さ2mm、密度800kg/mの繊維ボードを作成した。本参考例で得られたボードについて、JIS A 5905に準じて剥離強さ、吸水厚さ膨張率を測定した。接着用組成物の配合、接着、ボード成形条件、および結果を表7に示す。
<参考例39>
パラトルエンスルホン酸の添加部数を1部とした以外は、参考例38と同様に繊維ボードを作成し、上記と同様の測定を行った。接着用組成物の配合、接着、ボード成形条件、および結果を表7に示す。
<参考例40>
パラトルエンスルホン酸の添加部数を2部とした以外は、参考例38と同様に繊維ボードを作成し、上記と同様の測定を行った。接着用組成物の配合、接着、ボード成形条件、および結果を表7に示す。
<参考例41>
パラトルエンスルホン酸の添加部数を5部とした以外は、参考例38と同様に繊維ボードを作成し、上記と同様の測定を行った。接着用組成物の配合、接着、ボード成形条件、および結果を表7に示す。
<参考例42>
パラトルエンスルホン酸の添加部数を10部とした以外は、参考例38と同様に繊維ボードを作成し、上記と同様の測定を行った。接着用組成物の配合、接着、ボード成形条件、および結果を表7に示す。
Figure 2016006195
上記のように、参考例36〜42は繊維同士を接着し繊維ボードが作成可能であった。参考例36、37ではパラトルエンスルホン酸を添加せずに成形し、5分成形の参考例36では物性が高くなったが、3分成形の参考例37では物性が低下した。参考例37に比べて、パラトルエンスルホン酸を添加した参考例36〜42では3分成形でも物性が向上し、参考例36〜41では5分成形の参考例36と同等以上の物性が得られた。パラトルエンスルホン酸を添加することで、反応が促進され接着性、耐水性が向上したと考えられる。パラトルエンスルホン酸を10部添加の参考例42では物性の低下が見られ、10部以上の添加が過剰であると考えられる。
上記実施例の結果から、入手が容易で安価な材料を用いて、化石製品を使用せず非常に簡単な工程で接着用組成物や木質ボードを得ることができることがわかった。

Claims (15)

  1. 加熱・加圧により硬化される接着用組成物であって、分子内にカルボキシル基を複数有する多価カルボン酸と、フラン化合物とを含有して成ることを特徴とする接着用組成物。
  2. 前記フラン化合物が、フルフラール、ヒドロキシメチルフルフラール、フルフリルアルコールの群から選択される少なくとも一つであることを特徴とする請求項1に記載の接着用組成物。
  3. さらに糖類を含有して成ることを特徴とする請求項1又は2に記載の接着用組成物。
  4. さらに、パラトルエンスルホン酸を含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の接着用組成物。
  5. 少なくとも前記多価カルボン酸が水に溶解された水溶液又は水に分散された水分散液であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の接着用組成物。
  6. さらに、増粘剤を含有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の接着用組成物。
  7. 前記増粘剤が、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、無機粉末、植物粉末の群から選択される少なくとも一つであることを特徴とする請求項6に記載の接着用組成物。
  8. さらに、リン酸塩を含有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の接着用組成物。
  9. 前記リン酸塩が、リン酸水素塩とリン酸二水素塩から選択される一つ又は両方であることを特徴とする請求項8に記載の接着用組成物。
  10. さらに、有機チタン化合物、有機スズ化合物とから選択される一つ又は両方を含有することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の接着用組成物。
  11. 前記多価カルボン酸の沸点が150℃以下であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の接着用組成物。
  12. 前記多価カルボン酸が、無水マレイン酸とシュウ酸から選択される一つ又は両方であることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一項に記載の接着用組成物。
  13. 前記多価カルボン酸の分子量が300以上であることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか一項に記載の接着用組成物。
  14. 前記多価カルボン酸が、ポリマレイン酸、ポリアクリル酸から選択される一つ又は両方であることを特徴とする請求項1乃至13のいずれか一項に記載の接着用組成物。
  15. 少なくとも多価カルボン酸とフラン化合物とを含み、加熱・加圧により硬化される接着用組成物であって、前記接着用組成物は、前記多価カルボン酸と糖類と前記フラン化合物の合計を100質量部とした場合に、前記多価カルボン酸が20質量部以上80質量部以下、前記糖類が0質量部以上80質量部以下、前記フラン化合物が20質量部以上80質量部以下の構成比を有し、前記多価カルボン酸と前記糖類と前記フラン化合物の合計100質量部に対して、増粘剤が0質量部以上50質量部以下、リン酸塩が0質量部以上10質量部以下の含有量であることを特徴とする、接着用組成物。
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