JP2009120656A - タンニン系接着剤、それを用いた木質系複合材料およびこの木質系複合材料の製造方法 - Google Patents

タンニン系接着剤、それを用いた木質系複合材料およびこの木質系複合材料の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】接着強度および耐水性に優れ、反応速度が適度に遅延され、低粘度で取り扱いやすいタンニン系接着剤、該タンニン系接着剤を用いた実用強度等に優れた木質系複合材料とその製造方法を提供する。
【解決手段】タンニン系接着剤を、変性されていてもよいタンニンと硬化剤とを含み、水酸化カリウムによりpH調整されたものとし、また、木質系複合材料を、複数の木質系成形材料が上記タンニン系接着剤によって互いに接着されているものとし、さらに、この木質系複合材料を、木質系成形材料と上記タンニン系接着剤との混和物によって木質マットを形成し、この木質マットに高温水蒸気を浸透させながら木質マットを加熱及び加圧してタンニン系接着剤を硬化させることにより得るものとする。
【選択図】なし

Description

本発明は、タンニン系接着剤、それを用いた木質系複合材料およびこの木質系複合材料の製造方法に関する。
木質系成形材料として木材を破砕した細長い木質チップを得たのち、この木質チップに接着剤を付着させ、木質チップをその長手方向に略揃えて配向させてマット状に積層して木質マットを形成し、この木質マットを加熱加圧することによって、木質系複合材料を得る方法が知られている。得られる木質系複合材料は、木質チップを配向させることによって曲げ強度が高くなる(例えば、特許文献1参照)。
上記のように木質チップが接着剤で結合されてなる木質系複合材料としては、例えば、単板積層材(LVL)、パーティクルボード、ミディアムデンシティーファイバーボード(MDF)、ハードボード等が挙げられる。
しかしながら、従来の上記木質系複合材料は、使用される木質チップが植物資源からなり再生可能な資源材料であるものの、木質チップを結合させるための接着剤には、再生可能な天然資源ではない、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、イソシアネート樹脂などの石油系材料が主原料として一般的に用いられている。したがって、得られる木質系複合材料は、循環型材料とは言えない。
このような問題を解決する方法として、例えば、使用済みの廃木材を、リサイクル使用するために破砕機で破砕されて分級された細長い木質チップと、天然成分であるタンニンを主成分とする接着剤(以下、「タンニン系接着剤」と記す)を混和し、このタンニン系接着剤を加熱して硬化し、硬化した接着剤で木質チップ同士を結合させて再生可能な資源を原料とする天然型資源からなる木質系複合材料を得る方法が知られ(例えば、特許文献2参照)、この木質系複合材料には実用上十分な強度を持たせることが可能であるものの、タンニンはフェノール性水酸基が多数結合した親水性の高い構造のものであるため、接着剤として用いた場合には、かかる高親水性構造を有する接着層への水分の吸着や膨潤が起こり、接着層の強度が低下しやすいという欠点があるため、タンニン系接着剤を用いた木質系複合材料は、湿潤環境や屋外などの耐水性の要求される場合における用途の制約されるのを免れなかった。
また、一般的に、タンニンは水溶液状態でpH4〜7程度の液性を示し、水溶液をそのまま加熱するのみで硬化し、反応を促進させるには、酸性下でホルムアルデヒドを混合させており、タンニンのこの硬化反応を利用して木質系複合材料を製造するには、原材料となる木質系成形材料、例えば木材を破砕した木質チップ等の表面に、ホルムアルデヒドなどのアルデヒド系化合物を混合させた液状タンニン系接着剤を付着させた木質チップにより得られる木質マットを成形金型中で加熱加圧してタンニンを硬化させればよいが、ホルムアルデヒドなどのアルデヒド系化合物は反応性が高すぎるので、可使時間が短くて取扱いにくく、可使時間を超えたものは得られる木質系複合材料の曲げ強度が不十分であったり、バラツキが出たりする惧れがあり、実用的な強度の低い場合があるという問題がある。
その一方、タンニン系接着剤を水酸化ナトリウムでpH調整してアルカリ性に調製されたものも提案されているが、このような接着剤は粘度が高く、高粘性の接着剤の液を送給する配管等の供給系に負荷がかかりすぎるなど、取り扱いにくいという問題がある。
特開昭63−107507号公報 特許第3515099号公報
本発明の課題は、従来のタンニン系接着剤の問題点に鑑み、接着強度および耐水性に優れ、反応速度が適度に遅延され、低粘度で取り扱いやすいタンニン系接着剤、該タンニン系接着剤を用いた実用強度に優れた木質系複合材料、およびその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、タンニン系接着剤を、変性されていてもよいタンニンと硬化剤とを含み、水酸化カリウムによりpH調整されたものとすることにより、上記課題が達成されることを見出し、この知見に基づいて本発明をなすに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、変性されていてもよいタンニン及び硬化剤を含むタンニン系接着剤であって、水酸化カリウムによりpH調整されたものであることを特徴とするタンニン系接着剤が提供される。

また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、pHが7より大きく13以下であることを特徴とするタンニン系接着剤が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1または2の発明において、変性されていてもよいタンニンがタンニンであることを特徴とするタンニン系接着剤が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明において、硬化剤が第三級アミンまたは、アルデヒド基を有する化合物もしくはその代替物であることを特徴とするタンニン系接着剤が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1〜4のいずれかの発明において、硬化剤が第三級アミンであることを特徴とするタンニン系接着剤が提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、第5の発明において、第三級アミンがヘキサメチレンテトラミンであることを特徴とするタンニン系接着剤が提供される。
また、本発明の第7の発明によれば、第1〜6のいずれかの発明において、硬化剤の含有割合が変性されていてもよいタンニン100質量部に対し、1〜20質量部であることを特徴とするタンニン系接着剤が提供される。
また、本発明の第8の発明によれば、複数の木質系成形材料が第1〜7のいずれかの発明のタンニン系接着剤によって互いに接着されていることを特徴とする木質系複合材料が提供される。
また、本発明の第9の発明によれば、第8の発明において、木質系成形材料が、木質チップであることを特徴とする木質系複合材料が提供される。
また、本発明の第10の発明によれば、木質系成形材料と第1〜7のいずれかの発明のタンニン系接着剤との混和物によって木質マットを形成し、この木質マットに高温水蒸気を浸透させながら木質マットを加熱及び加圧してタンニン系接着剤を硬化させることを特徴とする木質系複合材料の製造方法が提供される。
また、本発明の第11の発明によれば、第10の発明において、木質系成形材料に第1〜7のいずれかの発明のタンニン系接着剤をスプレー塗布することによって混和物とすることを特徴とする製造方法が提供される。
また、本発明の第12の発明によれば、第10または11の発明において、木質系成形材料が、木質チップであることを特徴とする製造方法が提供される。
本発明の接着剤は、接着強度および耐水性に優れ、反応速度が適度に遅延され、低粘度で取り扱いやすいなどの利点を有する。
したがって、本発明の接着剤は、木質系成形材料の接着剤として用いることで、十分な実用強度および耐水性を有する木質系複合材料を作業性よく得ることができるという利点を有する。
また、本発明の木質系複合材料によれば、複数の木質系成形材料が、本発明の接着剤によって互いに接着され、天然資源を主原料としているので、再生可能になる。
また、本発明の木質系複合材料の製法によれば、木質系成形材料と、本発明の接着剤との混和物によって木質マットを形成し、この木質マットに高温水蒸気を浸透させながら木質マットを加熱及び加圧してタンニン系接着剤を硬化させるようにしたので、木質系複合材料が厚肉であってもプレスサイクルを短くでき、生産性を向上させることができる。
本発明の接着剤において主組成成分として用いられるタンニンは、木材からの抽出物であり、木質系成形材料との親和性が良く、適度な粘着性を有し、更に、硬化すると高強度になる。
タンニンが抽出される木材は特に限定されないが、ラジアータパインやミモザ(別称:ワットル、アカシア)、ケブラチョから採取される縮合型タンニンが好ましい。これらのタンニンは単独で用いても2種類以上を併用してもよい。
タンニンを抽出する樹木の樹齢は特に限定されるものではないが、例えばミモザの場合には樹齢8〜10年のものが接着剤としての性能や生産性から好ましい。生産地についても特に限定されるものではないが、例えばミモザの場合には南米やアフリカ産のものが好ましく、ケブラチョの場合には南米産のものが好ましい。
タンニンには糖などの不純物が混入していても特に問題にはならないが、高強度の木質系複合材料を得ようとする場合には、不純物は少ない方がよい。タンニンの純度は例えばStiasny Value(以下、「SV」と記す)で評価することができ、SVは好ましくは50以上、より好ましくは70以上である。
なお、上記SVは、例えば以下のようにして求めることができる。
すなわち、予め乾燥した試料(樹皮抽出物、或いは標準カテキン)を、容量25mlの丸底フラスコに約100mg秤取り、蒸留水10ml、37%ホルムアルデヒド水溶液2ml、塩酸(10規定)1mlをこの順に添加した後、フラスコを加熱し、30分間沸騰させる。加熱後直ちに、予め質量を測定したガラスフィルターで試料を一気にろ過し、熱水、メタノールで順次洗浄する。ガラスフィルターを105℃のオーブンで一晩乾燥させ、質量を測定して残渣質量を算出し、以下の式を用いて算出する。なお、値の補正のために、標準カテキンのSVも測定する。
SV=(残渣質量/試料質量)×(104.1/標準カテキンのSV)×100
タンニンは、木材から抽出したままのものを用いてもよいが、接着剤としての性能や粘度等で改質の必要がある場合には変性して改質した変性タンニンとして用いてもよい。以下、タンニンや変性タンニンを総称して(変性)タンニンということもある。
(変性)タンニンは、粉体のまま取り扱ってもよいが、取扱いやすさや接着剤に用いて得られる木質系複合材料の性能等を考慮すると水に溶解又は分散させ液状で使用することが好ましい。この場合、(変性)タンニン濃度は20質量%〜70質量%が好ましい。粘度については10,000cps以下が好ましく、木質系成形材料との混和を接着剤のスプレー塗布によって行う場合には2,000cps以下が取扱い易く好ましい。
本発明の接着剤において用いられる硬化剤は、(変性)タンニンと混合すること、及び必要に応じて加熱することにより硬化作用を呈するものであれば特に制限されず、このようなものとしては、例えば第三級アミン、アルデヒド基を有する化合物、その代替物、メチロール基を有する化合物、エポキシ基を有する化合物、イソシアネート基を有する化合物、アミノ樹脂等が挙げられる。これらは単独で用いても2種類以上を併用してもよいが、中でも第三級アミンが、それを含む本発明接着剤を用いて得られる木質系複合材料について、それを強度及び耐水性に優れたものとしうるので好ましい。
第三級アミンとしては、例えばトリエチルアミン、トリエチルテトラミン、トリブチルアミン、ジエチレントリアミン、ヘキサメチレンテトラミン、ジエチルアミノプロピルアミン等の脂肪族第三級アミン、ベンジルジメチルアミン、ジメチルアミノメチルフェノール、ジメチルアニリン等の芳香族第三級アミン等が挙げられる。
これらの第三級アミンは単独で用いても2種類以上を併用してもよいが、ヘキサメチレンテトラミンを用いるのが、後述の木質複合材料を高強度なものとすることができ、生産性にすぐれ、有害な揮発性物質が発生せず、さらに材料コストが安価であるので、好ましい。
ヘキサメチレンテトラミンは粉体状のものでもペレット状のものでもどちらでもよい。
アルデヒド基を有する化合物としては、例えばホルムアルデヒド、グリオキサール、グルタルアルデヒド、アジプアルデヒド、マレアルデヒド、フマルアルデヒド、フタルアルデヒド、イソフタルアルデヒド、テレフタルアルデヒド等が挙げられ、また、アルデヒド基を有する化合物の代替物としては、例えばパラホルムアルデヒド、オキサゾリジン等が挙げられる。
これらは単独で用いても2種類以上を併用してもよいが、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒドを用いるのが、後述の木質複合材料を高強度なものとすることができ、生産性にすぐれ、さらに材料コストが安価であるので、好ましい。
メチロール基を有する化合物は、メチロール基を有する脂肪族化合物、メチロール基を有する脂環式化合物、メチロール基を有する芳香族化合物に大別されるが、タンニンとの反応性の高さからメチロール基を有する脂肪族化合物が好ましい。
メチロール基を有する脂肪族化合物としては、多官能性化合物が好ましく、例えばトリスヒドロキシメチルアミノメタン(2−ヒドロキシメチル−2−アミノ−1,3プロパンジオール)、ジヒドロキシメチルアミノメタン(2−メチル−2−アミノ−1,3プロパンジオール)、トリスヒドロキシメチルニトロメタン(2−ヒドロキシメチル−2−ニトロ−1,3プロパンジオール)、ジヒドロキシメチルニトロメタン(2−メチル−2−ニトロ−1,3プロパンジオール)等が挙げられる。
これらのメチロール基を有する脂肪族化合物は単独で用いても2種類以上を併用してもよいが、トリスヒドロキシメチルニトロメタンを用いるのが、後述の木質複合材料を高強度なものとすることができ、生産性にすぐれ、有害な揮発性物質が発生せず、さらに材料コストが安価であるので、好ましい。
トリスヒドロキシメチルニトロメタンは粉体状のものでもペレット状のものでもどちらでもよい。
エポキシ基を有する化合物としては、多官能性化合物が好ましく、例えば、グリセロールポリグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ペンタエリトリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
これらのエポキシ基を有する化合物は単独で用いても2種類以上を併用してもよい。
イソシアネート基を有する化合物としては、多官能性化合物が好ましく、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(ポリメリックMDI)、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、αジメチルベンジルイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等が挙げられる。
これらのイソシアネート基を有する化合物は単独で用いても2種類以上を併用してもよいが、ポリメリックMDIを用いるのが、後述の木質複合材料を高強度なものとすることができ、生産性にすぐれ、有害な揮発性物質が発生せず、さらに材料コストが安価であるので、好ましい。
アミノ樹脂としては、例えば、ユリア樹脂(尿素樹脂)、メラミン樹脂、メラミン・ユリア共縮合樹脂等が挙げられる。
これらのアミノ樹脂は単独で用いても2種類以上を併用してもよい
本発明の接着剤において、硬化剤の含有割合は、(変性)タンニン100質量部に対し、好ましくは1〜20質量部、より好ましくは3〜10質量部である。この割合が1質量部未満では(変性)タンニンの硬化が進行しにくく実用上十分な接着強度が発現しない惧れがあるし、また、20質量部を超えても硬化反応が早すぎてプレス機投入前に硬化してしまう惧れがあり、また経済的でなくなることとなる。
本発明の接着剤は、pHが水酸化カリウムを用いてアルカリ性に調整されたものであり、pHが7より大きく13以下、中でも7より大きく12以下であるのが好ましい。
タンニンの水溶液は通常pH4〜7程度であるが、タンニン水溶液は、pHを調整することでタンニン系接着剤の反応性や物性を調整することができる。
本発明の接着剤においてpHをアルカリ性にすることによって、接着剤の反応速度を適度に遅延させることができ、接着剤の取り扱いがしやすくなり、また、接着剤を木質系成形材料に供して得られる木質複合材料について、その生産性と性能の向上に資するものとなる。これは、例えば、接着剤のpHが酸性の場合には、反応が早すぎてプレス機投入前に硬化してしまうことがあるのに対し、pHがアルカリ性であることから適度な反応速度となるために、接着剤配合後、プレス機に投入するまでには接着剤の硬化は起こらず、プレス機で加熱加圧した時に初めて硬化することに如実に示される。
また、接着剤のpHが酸性の場合には、硬化剤に第三級アミンを用いてなる接着剤を加熱硬化させる時に第三級アミンの過剰な分解が起こり有害な揮発性物質が発生する惧れがあるが、pHをアルカリ性にすることによって、接着剤を加熱硬化させる時に第三級アミンの過剰な分解が抑えられるので有害な揮発性物質が発生しにくくなる。
また、pHをアルカリ性にすることで硬化剤との反応性が向上し、タンニンとの架橋反応が効率よく進行し、その結果、タンニン系接着剤の強度や耐水性が向上し、しかもプレス時における木質系成形材料中のヘミセルロースの加水分解、ひいてはそれによる木質系成形材料の軟化が更に促進される。この軟化作用によって、低いプレス圧力でも木質チップの圧密が可能となり、製品の厚さ方向の密度を均一にすることができ、耐水性が良くなり、さらに、プレス時の圧力を下げることができるので好ましい。更にその結果として強度や耐水性などの製品性能が良くなる。
もっとも、pHが13より大きくなり、アルカリ性が強くなりすぎると、取り扱いに注意する必要があるし、また、木材成分(例えば、ヘミセルロース)が軟化を通り越して一部分解して変性し、木質複合材料が黒く着色する惧れがあるので好ましくない。
タンニンが水溶液として供される場合、そのpHは硬化剤と混合する前に水酸化カリウムを用いて予め調整しておくことが好ましい。
また、本発明の接着剤は、必要に応じ、所期の目的を損なわない範囲で、この種接着剤に通常用いられる各種添加剤を含有させてもよい。この添加剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、酢酸ビニルエマルション、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリルエマルション等の水溶性高分子;トルエン、キシレン、メタノール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール等の有機溶剤;フタル酸エステル等の可塑剤;造膜剤;クレー、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、タルク、マイカ、ケイ酸粉末等の体質顔料;小麦粉、コーンスターチ、木粉、ヤシ殻粉等の充填剤または増量剤;酸化チタン等の着色顔料;染料;増粘剤;粘性改質剤;分散剤;乳化剤;尿素等の湿潤剤;消泡剤;凍結防止剤;防腐剤;防かび剤;防虫剤;防錆剤;その他改質のための試薬等を挙げることができる。さらに、本発明の接着剤には、強度の補強、粘性、機械的特性等を改善するために、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂等やそのプレポリマー、そして澱粉、キトサン、リグニン、レゾルシノール等を含有させてもよい。
本発明の接着剤は、木材チップ、ベニア等の木質材料を相互に接着して、木質パネル等の木質系複合材料を製造する用途に供することができ、揮発性物質の低減された木質系複合材料を得ることができる。前記木質系複合材料としては、例えばインシュレーションボード、パーティクルボード、ハードボード、配向性ボード(OSB)、ウェハーボード、中密度繊維板(MDF)等のいわゆる木質ボード類、合板、単板積層材(LVL)、集成材、突き板化粧板等を挙げることができる。
本発明の木質系複合材料は、複数の木質系成形材料が上記タンニン系接着剤によって互いに接着されていることで特徴付けられるものである。
本発明の木質系複合材料は、木質系成形材料と上記タンニン系接着剤との混和物によって木質マットを形成し、この木質マットに高温水蒸気を浸透させながら木質マットを加熱及び加圧してタンニン系接着剤を硬化させることによって製造することができる。
木質系成形材料としては、特に限定されないが、木質チップが好ましい。
上記木質チップの形状については特に限定されず、例えば、ブロック状、平板状、ストランド状、フレーク状、チップ、木粉、ファイバーなどが挙げられる。
木質系成形材料の原料材の樹種としては、スギ、ヒノキ、マツ、スプルース、ファーなどの針葉樹類や、シラカバ、アピトン、センゴンラウト、アスペンなどの広葉樹類が挙げられるが、これらの樹木だけでなく竹、コウリャンといった植物材料をも含めることができる。
原料材の形態としては、上記樹種の丸太、間伐材等の生材料、工場や住宅建築現場で発生する端材、部材輸送後に廃棄される廃パレット材、建築解体時に発生する解体廃材等が挙げられる。特に、解体廃材、廃パレット材、間伐材、製材時に発生する端材、燃料や製紙用原料として使用される木質材料等のリサイクル材が好ましい。
上記原料材を木質チップに加工する方法としては、ハンマーミル、表面に刃物のついたロールを回転させて木材を破砕する一軸破砕機、回転刃がかみ合った構造の二軸もしくは多軸破砕機等の破砕機が使用されるが、ベニア加工をしたものを割り箸状に切断してスチックにするロータリーカッター、丸太などを回転刃で切削してストランドにするフレーカー等も使用できる。特に原料としてリサイクル材料を使用する場合、異物が混入しやすいので回転刃の耐久性を考慮して、破砕機が好ましい。
上記の方法で得られた木質チップはサイズのバラツキがあるので、分級工程によって所定のサイズに揃えるのが好ましい。
この際の分級方法としては、ローラースクリーン方式、振動メッシュ方式、風選方式等があり、必要に応じて使い分ければよい。
上記木質チップの大きさは特に限定されないが、強度・弾性率が必要な場合には長さを20mm以上150mm以下とするのが好ましい。長さが短すぎると製品の強度・弾性率が低くなってしまうし、また、長すぎても強度ばらつきが大きくなってしまう惧れがある。
また、木質系成形材料は、予め含水率を一定範囲に調整しておくことが好ましい。すなわち、含水率を一定にすることで生産時の成形品の品質バラツキがなくなる。
木質系成形材料の含水率は、0〜14質量%に調整することが好ましく、さらにタンニン系接着剤を水溶液として使用する場合には0〜10質量%に調整することが好ましい。タンニン系接着剤を水溶液として使用する場合、含水率が10質量%を超えると製造直後の木質複合材料の含水率が高くなってしまい、出荷するまでに長期間の養生を必要とする惧れがある。
含水率が調整された木質系成形材料は、上記接着剤と混和されるが、接着剤の混和量は、木質系成形材料の密度、形状、表面状態にもよるが、通常、木質系成形材料の質量に対して、タンニンの固形分で換算して1〜20質量%とすることが好ましい。
上記木質系成形材料と接着剤との混和手段としては、木質系成形材料と接着剤をヘンシェルミキサー(ヘンシェル社製、高速混合機)のような高速ミキサーに投入して混和して混和物とする方法が挙げられ、また、接着剤が液体の場合には、例えばコンベア上やドラムブレンダー内等で木質系成形材料に対し、スプレー等の塗布手段を用いることにより、木質系成形材料の表面に接着剤を付着させた混和物とする。
このようにして得られた混和物を積層して加熱及び加圧すれば、均一で安定した強度の木質系複合材料が得られる。木質系成形材料が板材やブロック状の部材の場合は、刷毛塗りやローラー塗りによって混合することもできる。
上記木質系成形材料と接着剤との混和物は、木質系成形材料が積層された木質マットに形成される。具体的には、接着剤が付着した木質系成形材料即ち混和物が成形金型の中に投入されて木質マットにされる。なお、木質系成形材料を一方向に配向させる必要がある場合には、一定間隔に分割されたフォーミング型や、オリエンテッドストランドボード(OSB)等の製造で用いられるディスクオリエンター等の配向積層装置が用いられる。
そして、上記木質マットは加熱しながらプレス成形することで、接着剤が硬化し木質系複合材料となる。
本発明にかかる木質系複合材料の製造方法は、上記のようにして木質マットを形成し、この木質マットに高温水蒸気を浸透させながら木質マットを加熱及び加圧してタンニン系接着剤を硬化させることを特徴としている。
すなわち、木質マットの内部に高温水蒸気を浸透させながら加熱及び加圧するプレス装置、例えば一般的な蒸気プレス装置の加圧盤の間に配置して加圧及び加熱成形することが好ましい。加熱と加圧とは同時に行ってもよいし、加圧をした後に加熱をしてもよいし、加熱した後に加圧してもよい。高温水蒸気を木質マットの内部に浸透させる方法としては、特に限定されないが、高温水蒸気を木質マットに噴射する方法が一般的である。噴射は、木質マットが蒸気プレス機の加圧盤の間に配置されている間であれば、どのタイミングで噴射してもよい。加熱温度は100℃〜250℃が好ましく、それゆえ高温水蒸気の温度は100℃〜250℃が好ましい。また、加圧板による加圧圧力は、1〜10MPaが好ましい。また、加熱・加圧処理は、接着剤が硬化する時間だけ行えばよい。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこの例によって何ら限定されるものではない。
実施例1
タンニンとして、SV82のミモザタンニンを使用し、タンニン系接着剤を以下のようにして調製した。まず、タンニンの粉体を約40℃の温水に濃度45質量%になるように溶解させた。その後、濃度48質量%の水酸化カリウム水溶液でpH10に調整した。そこへ、あらかじめ10:5.5(水溶液ベース)の割合で混合しておいたスチレン(メタ)アクリル酸エステル共重合体エマルジョン(昭和高分子社製 商品名「ポリゾールAP−3760N」 ガラス転移温度12℃ 不揮発分50%)とヘキサメチレンテトラミンの40質量%水溶液の混合液を用い、タンニン水溶液100質量部に対して混合液が15.5質量部になるように配合し、接着剤を調製した。
このタンニン系接着剤について、その調製後の経過時間に対する、粘度と液温の関係をグラフで図1に示す。これより、このタンニン系接着剤は、粘度が早期に500cpsより低くなるため、取り扱いやすいことが分かる。
比較例1
実施例1における水酸化カリウム水溶液に代えて水酸化ナトリウム水溶液を用いたこと以外は実施例と同様にしてタンニン系接着剤を調製した。
このタンニン系接着剤について、その調製後の経過時間に対する、粘度と液温の関係をグラフで図2に示す。これより、このタンニン系接着剤は、上記実施例のものより高粘度のものであり、500cpsより低粘度化するまでに1時間弱程の時間がかかり、取り扱いにくいことが分かる。
本発明の接着剤は、接着強度および耐水性に優れ、反応速度が適度に遅延され、低粘度で取り扱いやすいので、木質系成形材料の接着剤として用いることで、十分な実用強度および耐水性を有する木質系複合材料を作業性よく得ることができるし、また、本発明の木質系複合材料によれば、複数の木質系成形材料が、本発明の接着剤によって互いに接着され、天然資源を主原料としているので、再生可能になるし、また、本発明の木質系複合材料の製法によれば、木質系成形材料と、本発明の接着剤との混和物によって木質マットを形成し、この木質マットに高温水蒸気を浸透させながら木質マットを加熱及び加圧してタンニン系接着剤を硬化させるため、木質系複合材料が厚肉であってもプレスサイクルを短かくでき、生産性を向上させうるので、産業上大いに有用である。
実施例1のタンニン系接着剤について、その調製後の経過時間に対する、粘度と液温の関係を示すグラフ。 比較例1のタンニン系接着剤について、その調製後の経過時間に対する、粘度と液温の関係を示すグラフ。

Claims (12)

  1. 変性されていてもよいタンニン及び硬化剤を含むタンニン系接着剤であって、水酸化カリウムによりpH調整されたものであることを特徴とするタンニン系接着剤。
  2. pHが7より大きく13以下であることを特徴とする請求項1に記載のタンニン系接着剤。
  3. 変性されていてもよいタンニンがタンニンであることを特徴とする請求項1または2に記載のタンニン系接着剤。
  4. 硬化剤が第三級アミンまたは、アルデヒド基を有する化合物もしくはその代替物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のタンニン系接着剤。
  5. 硬化剤が第三級アミンであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のタンニン系接着剤。
  6. 第三級アミンがヘキサメチレンテトラミンであることを特徴とする請求項5に記載のタンニン系接着剤。
  7. 硬化剤の含有割合が変性されていてもよいタンニン100質量部に対し、1〜20質量部であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のタンニン系接着剤。
  8. 複数の木質系成形材料が請求項1〜7のいずれかに記載のタンニン系接着剤によって互いに接着されていることを特徴とする木質系複合材料。
  9. 木質系成形材料が、木質チップであることを特徴とする請求項8に記載の木質系複合材料。
  10. 木質系成形材料と請求項1〜7のいずれかに記載のタンニン系接着剤との混和物によって木質マットを形成し、この木質マットに高温水蒸気を浸透させながら木質マットを加熱及び加圧してタンニン系接着剤を硬化させることを特徴とする木質系複合材料の製造方法。
  11. 木質系成形材料に請求項1〜7のいずれかに記載のタンニン系接着剤をスプレー塗布することによって混和物とすることを特徴とする請求項10に記載の製造方法。
  12. 木質系成形材料が、木質チップであることを特徴とする請求項10または11に記載の製造方法。
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