JPWO2013014853A1 - 質量分析における安定同位体標識標的ペプチド断片の作製方法 - Google Patents
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Abstract
安価に且つ簡便に作製できる、質量分析における安定同位体標識標的ペプチド断片の作製方法を提供することを課題とする。解決手段として、1種又は2種以上の標的ペプチド断片をコードするDNAがタンデムに2以上結合したタンデム結合DNAと、濃度測定用ペプチド断片をコードするDNAとの連結体DNAを、安定同位体標識アミノ酸の存在する系で発現させることにより、安定同位体標識タンパク質を調製する工程;安定同位体標識タンパク質を、トリプシンにより断片化処理し、安定同位体標識濃度測定用ペプチド断片及び安定同位体標識標的ペプチド断片を調製する工程;液体クロマトグラフ−タンデム質量分析装置(LC/MS/MS)により、安定同位体標識濃度測定用ペプチド断片を定量する工程;安定同位体標識濃度測定用ペプチド断片の定量値から、安定同位体標識標的ペプチド断片の濃度を算出する工程;を備えた方法を用いて、質量分析における安定同位体標識標的ペプチド断片を作製する。
Description
本発明は、質量分析における安定同位体標識標的ペプチド断片の作製方法や、試料中の標的タンパク質の定量方法に関する。
近年、ヒトゲノム計画の進展により、薬剤に対する感受性の個人差を遺伝子レベルで解析して医薬の開発に応用する、薬理ゲノミクスに関する研究が盛んに行われている。薬剤に対する感受性の個人差を診断できるようになれば、試行錯誤的な投薬を実施することなく、治療の初期から適切な投薬が可能な、いわゆる個別化治療が可能となる。特に、がん治療の分野においては、従来の抗がん剤と比較して副作用の少ない分子標的薬が盛んに開発されており、臨床現場においても使用されるようになってきている(例えば、特許文献1参照)。分子標的薬は標的となるタンパク質に特異的に作用する薬剤であるため、個々の患者におけるタンパク質発現量のプロファイルを解析し、どのような標的タンパク質が高発現しているかを知ることができれば、適切な個別化治療を計画したり実施することが可能となると考えられている。
しかし、現在、臨床現場において主に使用されている検査法は、単一のタンパク質を検出することを目的としたものであり、多数の異なるタンパク質を同時に検出することはできない。さらに、上記検査法の多くは抗体を用いたものであるため、交差反応等のため特異的な定量検査を行うことが困難であり(例えば、非特許文献1、2参照)、また、タンパク質ごとに異なる抗体を使用しなければならないことから、多数のタンパク質を検出するためには莫大な手間と費用がかかる。このような問題を解決するために、最近、マイクロアレイ遺伝子発現分析法の開発が進み、様々な種類のRNA発現を一度に定量することが可能な遺伝子発現検査方法が確立されてきている(例えば、非特許文献3〜6参照)。しかし、分子標的薬の標的タンパク質の多くは細胞膜上に発現する膜タンパク質であり、膜タンパク質発現量とRNA発現量との相関性は極めて悪いことから、マイクロアレイ解析により得られたRNA発現プロファイルが、必ずしも患者のタンパク質発現プロファイルと一致するとは考えられていない。以上のことから、マイクロアレイ解析の結果に基づいて、分子標的薬による個別化治療を行うことは困難であり、実際に発現しているタンパク質を、網羅的に定量することが可能な検査方法を確立することが強く求められている。
近年、質量分析法(mass spectrometry)の進展がめざましく、種々の生物学材料の検出や測定にこの方法が応用されている。これまでに、エレクトロスプレー・イオン化法による質量分析計(mass spectrometer;MS)や、質量分析計の前に液体クロマトグラフ(liquid chromatograph;LC)部を連結した液体クロマトグラフ−質量分析計(LC/MS)や、直列に接続された2台の質量分析計からなるタンデム質量分析計(MS/MS)や、タンデム質量分析計の前に液体クロマトグラフ部を連結した液体クロマトグラフ−タンデム質量分析装置(LC/MS/MS)等、種々の機能をもつ質量分析計が開発されており、生物学材料の測定、定量に広く利用されている(例えば、特許文献2〜4参照)。
最近、安定同位体標識を用いた質量分析法が開発され、生物学材料の検出や測定に利用されている。この方法は、安定同位体で標識化したタンパク質を用いて、試料中のタンパク質を質量分析法により定量するもので、血清中におけるリュウマチ患者の診断マーカーであるC−反応性タンパク質(C-reactive protein:CRP)や哺乳類組織試料及び体液中のβアミロイドの定量に用いた例が報告されている。また、特許文献5〜7において、本発明者らは、このような質量分析法を改良し、LC/MS/MSを用いた膜タンパク質及び代謝酵素の絶対発現量を一斉定量する方法を確立している。かかる方法では、標的タンパク質に含まれる標的ペプチド断片と同一アミノ酸配列からなる安定同位体標識標的ペプチド断片を内部標準として用いることにより、トリプシン消化した生体試料中の標的ペプチド断片の絶対量を定量することができ、すなわち標的タンパク質の発現量を求めることができる。しかし、安定同位体標識ペプチド断片の合成には、1種類あたりの費用に10万円前後かかってしまうことから、コストを抑えることが課題とされていた。
Baron et al., Cancer Epidemiology, Biomarkers & Prevention, 10: 1175-1185 (2001)
Michaud et al., Nature Biotechnology, 21: 1509-1512 (2003)
Golub et al., Science 286: 531-537 (1999)
Bhattacharjae et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA98: 13790-13795 (2001)
Chen-Hsiang et al., Bioinformatics 17 (Suppl.1): S316-S322 (2001)
Ramaswamy et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 98: 15149-15154 (2001)
本発明の課題は、[1]安価に且つ簡便に作製できる、質量分析における安定同位体標識標的ペプチド断片の作製方法や、かかる安定同位体標識標的ペプチド断片を用いた試料中の標的タンパク質の定量方法を提供することにある。また、本発明の別の課題は、[2]タンパク質のトリプシンによる断片化処理を評価するための、質量分析における評価用タンパク質を提供することにある。さらに、本発明の別の課題は、[3]トリプシンによる消化率の低いタンパク質を正確に定量することができる、質量分析における標的タンパク質の定量方法を提供することにある。本発明の別の課題はまた、[4]タンパク質の定量性を改善することができる、質量分析における標的タンパク質の定量方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題[1]を解決すべく鋭意検討する中で、疾患の治療又は診断の指標となる標的タンパク質を感度よく定量できる、標的ペプチド断片を多数見いだしている。かかる標的ペプチド断片を定量するために、内部標準となる安定同位体標識標的ペプチド断片が必要となる。もし、安定同位体標識標的ペプチド断片をインビトロでタンパク質合成により発現させ、さらに精製するステップを経ずに調製することができれば、より安価で且つ簡便に安定同位体標識標的ペプチド断片を作製できると考えた。本発明者らは、特許文献6において、既知のタンパク質と同一のアミノ酸配列が存在せず、かつ質量分析計によって十分な感度を有している評価用ペプチド断片を開示している。かかる評価用ペプチド断片の用途は、質量分析計を用いたタンパク質の定量における前処理効率を評価することにあるが、安定同位体標識標的ペプチド断片の濃度を定量するための濃度測定用ペプチド断片として応用できるかどうかについて検討した。上記評価用ペプチド断片の中からQIGDPTVPSGVK(配列番号1)を濃度測定用ペプチド断片として選択し、かかる濃度測定用ペプチド断片をコードするDNAと、36種類の標的ペプチド断片をコードするDNAがタンデムに結合したタンデム結合DNAとの連結体DNAを用いて、安定同位体標識アミノ酸の存在する無細胞タンパク質合成系によって安定同位体標識タンパク質を調製し、かかる安定同位体標識タンパク質を断片化処理して調製したペプチド断片をLC/MS/MSにより測定したところ、濃度測定用ペプチド断片を定量した結果を用いて、上記安定同位体標識タンパク質を精製なしに、安定同位体標的ペプチド断片を定量できることが見いだされた。また、安定同位体標識標的ペプチド断片をLC/MS/MSにより定量したところ、少なくとも10fmolの検出感度で測定できることも見いだした。さらに無細胞タンパク質合成系によって合成される安定同位体標識タンパク質は、合成条件が最適化されていないなどの原因により完全に合成されないケースが考えられる。そこで、そのようなケースを検出するために、濃度測定用ペプチド断片(QIGDPTVPSGVK:配列番号1)を安定同位体標識タンパク質のアミノ末端側に付加するとともに、濃度測定用ペプチド断片(NVAPAGPTLK:配列番号2)をカルボキシル末端側に付加し、両末端の濃度測定用ペプチド断片の濃度をLC/MS/MSにより定量・比較することにより、安定同位体標識タンパク質が完全に合成されたことを評価する方法を検討した。安定同位体標識タンパク質の完全長が合成されたかどうかを検証するためのモデルタンパク質として、model protein 1(MP1)(配列番号49)及び、model protein 2(MP2)(配列番号50)を用いて検討したところ、合成したモデルタンパク質のうち完全に合成されたものを定量・評価できることを確認し、本発明を完成するに至った。
また本発明者らは、上記課題[2]を解決すべく鋭意検討する中で、タンパク質が完全に消化され、断片化したことを評価できる評価用タンパク質を調製することをめざしている。これまで発明者らは、その過程において、2種類の評価用ペプチド断片(QIGDPTVPSGVK[配列番号1]及びNVAPAGPTLK[配列番号2])をそれぞれ4つずつ組み込んだ配列番号6で示されるアミノ酸配列からなる評価用タンパク質(第二世代評価タンパク質)を基準として、第二世代評価タンパク質全体が消化処理された場合に、測定対象の標的タンパク質が完全に消化されたと評価できるかどうかを検討した。難消化性と予想される数多く存在する細胞膜タンパク質(以下、単に「膜タンパク質」という)のうち、ランダムに選択した12種類の膜タンパク質について消化率を解析したところ、8種類の膜タンパク質については第二世代評価タンパク質よりも消化率は低く、すなわち完全に消化されたと評価できる膜タンパク質は4種類の膜タンパク質(33%)にとどまり、評価用タンパク質の選択について改善の余地があった。本発明者らは、上記検討する過程において、特に消化率の低いNa+/Taurocholate cotransportingpolypeptide(ntcp)に着目した。かかるntcpタンパク質において、LC/MS/MSにより検出されるペプチド部位(GIYDGDLK[配列番号7])を、QIGDPTVPSGVK(配列番号1)で示されるアミノ酸配列からなる評価用ペプチド断片へ置換した評価用タンパク質(第三世代評価タンパク質)を構築し、再度検討を行ったところ、かかる第三世代評価タンパク質は、上記膜タンパク質を含む10種類の膜タンパク質のうち、7種類の膜タンパク質よりも消化率は低かった。すなわち第三世代評価タンパク質が完全消化された場合に、同様に完全に消化されたと評価できる膜タンパク質の割合は70%であることから、第三世代評価タンパク質を用いて消化効率を評価できる標的タンパク質の割合が、第二世代評価タンパク質と比べ、大幅に上昇することを見いだし、本発明を完成させた。
さらに本発明者らは、上記課題[3]を解決すべくタンパク質の消化処理方法を鋭意検討している。これまでリシルエンドペプチダーゼは、タンパク質の定量値に影響を与えることは知られていなかったが、たまたまトリプシンと併用してリシルエンドペプチダーゼを用いたところ、標的タンパク質の断片化処理効率を向上させ、それにより標的タンパク質の定量の効率を改善させる効果があることを見いだし、本発明を完成するに至った。
本発明者らはまた、上記課題[4]を解決すべく鋭意検討する中で、試料中に含まれる共雑物を除去することにより、測定対象の標的タンパク質の定量性を上昇できると考えた。共雑物を除去する方法としてSISCAPA法が知られているが、かかるStable Isotope Standards and Capture by Anti−peptide Antibodies(SISCAPA)法では、タンパク質試料を消化処理した後に抗体を用いてペプチド断片を濃縮する方法であり、使用できる抗体がペプチド断片に結合するものに限定されるため、汎用性に課題があった。タンパク質試料を消化処理する前に抗体を用いてタンパク質を濃縮することは、共雑物の持込が多いことが懸念材料であったが、試しに行って検討したところ、意外にも定量性を改善できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、(1)(a)1種又は2種以上の標的ペプチド断片をコードするDNAがタンデムに2以上結合したタンデム結合DNAと、濃度測定用ペプチド断片をコードするDNAとの連結体DNAを、安定同位体標識アミノ酸の存在する系で発現させることにより、安定同位体標識タンパク質を調製する工程;(b)安定同位体標識タンパク質を、トリプシンにより断片化処理し、安定同位体標識濃度測定用ペプチド断片及び安定同位体標識標的ペプチド断片を調製する工程;(c)液体クロマトグラフ−タンデム質量分析装置(LC/MS/MS)により、安定同位体標識濃度測定用ペプチド断片を定量する工程;(d)安定同位体標識濃度測定用ペプチド断片の定量値から、安定同位体標識標的ペプチド断片の濃度を算出する工程;の工程(a)〜(d)を備えた、質量分析における安定同位体標識標的ペプチド断片の作製方法や、(2)トリプシンによる断片化処理が、トリプシンとリシルエンドペプチダーゼとの併用による断片化処理である上記(1)記載の作製方法や、(3)濃度測定用ペプチド断片が、QIGDPTVPSGVK(配列番号1)又はNVAPAGPTLK(配列番号2)で示すアミノ酸配列からなることを特徴とする上記(1)又は(2)記載の作製方法や、(4)濃度測定用ペプチド断片をコードするDNAが、タンデム結合DNAの5’末端に連結され、且つ前記タンデム結合DNAの5’末端に連結される濃度測定用ペプチド断片とは異なるアミノ酸配列からなる濃度測定用ペプチド断片をコードするDNAが、タンデム結合DNAの3’末端に連結されていることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれか記載の作製方法や、(5)安定同位体標識タンパク質が、配列番号8で示されるアミノ酸配列からなるntcpタンパク質をコードするDNAの一部が連結体DNAに置換されたDNAを発現させることにより得られることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれか記載の作製方法に関する。
また本発明は、(6)(A)標的タンパク質に含まれる1種又は2種以上の標的ペプチド断片をコードするDNAがタンデムに2以上結合したタンデム結合DNAと、濃度測定用ペプチド断片をコードするDNAとの連結体DNAを、安定同位体標識アミノ酸の存在する系で発現させることにより、安定同位体標識タンパク質を調製する工程;(B)安定同位体標識タンパク質を、トリプシンにより断片化処理し、安定同位体標識濃度測定用ペプチド断片及び安定同位体標識標的ペプチド断片を調製する工程;(C)液体クロマトグラフ−タンデム質量分析装置(LC/MS/MS)により、安定同位体標識濃度測定用ペプチド断片を定量する工程;(D)安定同位体標識濃度測定用ペプチド断片の定量値から、安定同位体標識標的ペプチド断片の濃度を算出する工程;(E)1種又は2種以上の標的タンパク質を含む試料を、トリプシンにより断片化処理し、標的ペプチド断片を調製する工程;(F)工程(A)〜(D)で得られる濃度が既知の安定同位体標識標的ペプチド断片を内部標準として、液体クロマトグラフ−タンデム質量分析装置(LC/MS/MS)により、工程(E)で得られる標的ペプチド断片の定量を行う工程;(G)標的ペプチド断片の定量値から、標的タンパク質の濃度を算出する工程;の工程(A)〜(G)を備えた試料中の標的タンパク質の定量方法に関する。
また本発明は、(7)(A’)標的タンパク質に含まれる1種又は2種以上の標的ペプチド断片をコードするDNAがタンデムに2以上結合したタンデム結合DNAと、濃度測定用ペプチド断片をコードするDNAとの連結体DNAを、安定同位体標識アミノ酸の存在する系で発現させることにより、安定同位体標識タンパク質を調製する工程;(B’)安定同位体標識タンパク質を、トリプシンにより断片化処理し、安定同位体標識濃度測定用ペプチド断片を調製する工程;(C’)液体クロマトグラフ−タンデム質量分析装置(LC/MS/MS)により、安定同位体標識濃度測定用ペプチド断片を定量する工程;(D’)安定同位体標識濃度測定用ペプチド断片の定量値から、安定同位体標識標的タンパク質の濃度を算出する工程;(E’)1種又は2種以上の標的タンパク質を含む試料に、工程(D’)で得られる濃度が既知の安定同位体標識タンパク質を添加して、トリプシンにより断片化処理し、標的ペプチド断片、及び濃度が既知の安定同位体標識標的ペプチド断片を調製する工程;(F’)工程(E’)で得られる濃度が既知の安定同位体標識標的ペプチド断片を内部標準として、液体クロマトグラフ−タンデム質量分析装置(LC/MS/MS)により、工程(E’)で得られる標的ペプチド断片の定量を行う工程;(G’)標的ペプチド断片の定量値から、標的タンパク質の濃度を算出する工程;の工程(A’)〜(G’)を備えた試料中の標的タンパク質の定量方法に関する。
また本発明は、(8)(A’’)標的タンパク質に含まれる1種又は2種以上の標的ペプチド断片をコードするDNAがタンデムに2以上結合したタンデム結合DNAと、濃度測定用ペプチド断片をコードするDNAとの連結体DNAを、安定同位体標識アミノ酸の存在する系で発現させることにより、安定同位体標識タンパク質を調製する工程;(B’’)1種又は2種以上の標的タンパク質を含む試料に、工程(A’’)で調製された安定同位体標識タンパク質を添加して、トリプシンにより断片化処理し、標的ペプチド断片、安定同位体標識標的ペプチド断片、及び安定同位体標識濃度測定用ペプチド断片を調製する工程;(C’’)液体クロマトグラフ−タンデム質量分析装置(LC/MS/MS)により、安定同位体標識濃度測定用ペプチド断片を定量する工程;(D’’)安定同位体標識濃度測定用ペプチド断片の定量値から、安定同位体標識標的ペプチド断片の濃度を算出する工程;(E’’)工程(D’’)で得られる濃度が既知の安定同位体標識標的ペプチド断片を内部標準として、液体クロマトグラフ−タンデム質量分析装置(LC/MS/MS)により、工程(B’’)で得られる標的ペプチド断片の定量を行う工程;(F’’)標的ペプチド断片の定量値から、標的タンパク質の濃度を算出する工程;の工程(A’’)〜(F’’)を備えた試料中の標的タンパク質の定量方法に関する。
さらに本発明は、(9)標的タンパク質をトリプシンにより断片化処理する前に、該標的タンパク質に特異的に結合する抗体と接触させ、あらかじめ標的タンパク質を精製する工程(p)をさらに備えたことを特徴とする上記(6)〜(8)のいずれか記載の定量方法や、(10)トリプシンによる断片化処理が、トリプシンとリシルエンドペプチダーゼとの併用による断片化処理である上記(6)〜(9)のいずれか記載の定量方法や、(11)濃度測定用ペプチド断片が、QIGDPTVPSGVK(配列番号1)又はNVAPAGPTLK(配列番号2)で示すアミノ酸配列からなることを特徴とする上記(6)〜(10)のいずれか記載の定量方法や、(12)濃度測定用ペプチド断片をコードするDNAが、タンデム結合DNAの5’末端に連結され、且つ前記タンデム結合DNAの5’末端に連結される濃度測定用ペプチド断片とは異なるアミノ酸配列からなる濃度測定用ペプチド断片をコードするDNAが、タンデム結合DNAの3’末端に連結されていることを特徴とする上記(6)〜(11)のいずれか記載の定量方法や、(13)安定同位体標識タンパク質が、配列番号8で示されるアミノ酸配列からなるntcpタンパク質をコードするDNAの一部が連結体DNAに置換されたDNAを発現させることにより得られることを特徴とする上記(6)〜(12)のいずれか記載の定量方法に関する。
また本発明の実施の形態として、配列番号8で示されるアミノ酸配列からなるntcpタンパク質の一部が評価用ペプチド断片に置換された評価用タンパク質を挙げることができる。
また本発明の実施の形態として、(a)1種又は2種以上の標的タンパク質を含む試料を、トリプシンとリシルエンドペプチダーゼとの併用による断片化処理し、標的ペプチド断片を調製する工程;(b)安定同位体標識標的ペプチド断片を内部標準として、液体クロマトグラフ−タンデム質量分析装置(LC/MS/MS)により、標的ペプチド断片の定量を行う工程;を備えた試料中の標的タンパク質の定量方法(1)を挙げることができる。
さらに本発明の実施の形態として、[1](a)1種又は2種以上の標的タンパク質を含む試料を、該標的タンパク質に特異的に結合する抗体と接触させ、標的タンパク質を精製する工程;(b)標的タンパク質をトリプシンにより断片化処理し、標的ペプチド断片を調製する工程;(c)安定同位体標識標的ペプチド断片を内部標準として、液体クロマトグラフ−タンデム質量分析装置(LC/MS/MS)により、標的ペプチド断片の定量を行う工程;を備えた試料中の標的タンパク質の定量方法(2)や、[2]トリプシンによる断片化処理が、トリプシンとリシルエンドペプチダーゼとの併用による断片化処理である上記[1]記載の定量方法(2)を挙げることができる。
安定同位体標識標的ペプチド断片を外注すると、1種類あたり約10万円の費用がかかるのに対し、本発明の作製方法によると、1種類あたり約4000円で安定同位体標識標的ペプチド断片を合成できることから、経済的に優れている。また、本発明の作製方法により、精製するステップを経ずに安定同位体標識標的ペプチド断片を作製することができるため、簡便性にも優れている。さらに、より多くの標的タンパク質を同定・定量することができることから、これまで解析に手をつける余裕がなかったタンパク質の解析も手軽に行えるようになり、薬物動態研究の更なる発展に貢献できる。また本発明の評価用タンパク質を用いると、トリプシンによる消化処理効率が低い膜タンパク質などの標的タンパク質の多くについて、高い効率で消化処理が行われたことを確認しつつ測定作業を進めることができる。また、本発明の定量方法(1)によると、タンパク質の消化処理効率を高めることができることから、より正確に標的タンパク質を定量することができる。また、本発明の定量方法(2)によると、抗体が標的ペプチド断片に結合する抗体に限定されないため、抗体を選択する幅が広がる。さらに、本発明の定量方法(2)によると、試料中の共雑物の影響を抑えることにより、定量性を高めることができることから、低濃度の微量の標的タンパク質、例えば大きな容量の血液等に含まれる微量の標的タンパク質を定量することができる。
本発明の質量分析における安定同位体標識標的ペプチド断片の作製方法としては、(a)1種又は2種以上の標的ペプチド断片をコードするDNAがタンデムに2以上結合したタンデム結合DNAと、濃度測定用ペプチド断片をコードするDNAとの連結体DNAを、安定同位体標識アミノ酸の存在する系で発現させることにより、安定同位体標識タンパク質を調製する工程;(b)安定同位体標識タンパク質を、トリプシンにより断片化処理し、安定同位体標識濃度測定用ペプチド断片及び安定同位体標識標的ペプチド断片を調製する工程;(c)液体クロマトグラフ−タンデム質量分析装置(LC/MS/MS)により、安定同位体標識濃度測定用ペプチド断片を定量する工程;(d)安定同位体標識濃度測定用ペプチド断片の定量値から、安定同位体標識標的ペプチド断片の濃度を算出する工程;の工程(a)〜(d)を備えた方法であれば特に制限されず、ここで「質量分析における安定同位体標識標的ペプチド断片」とは、質量分析において、定量対象である標的ペプチド断片を定量するときに、測定ごとに定量値が変動することを補正するための内部標準として用いる安定同位体標識標的ペプチド断片のことをいう。また、本発明の質量分析とは、ペプチド断片試料を、イオン源を用いて気体状のイオンとし(イオン化)、分析部において、真空中で運動させ電磁気力を用いて、あるいは飛行時間差によりそれらイオンを質量電荷比に応じて分離し、検出できる質量分析計を用いた測定方法のことをいい、イオン源を用いてイオン化する方法としては、目的に応じてEI法、CI法、FD法、FAB法、MALDI法、ESI法などを使用することができ、分析部において、イオン化したペプチド断片試料を分離する方法としては、磁場偏向型、四重極型、イオントラップ型、飛行時間(TOF)型、フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴型などの方法を適宜選択することができる。また2以上の質量分析法を組み合わせたタンデム型質量分析(MS/MS)を使用することも、質量分析計へ導入前に標的タンパク質を含む試料を液体クロマトグラフ(LC)やHPLCで分離することもできまた、検出部やデータ処理方法も適宜選択することができる。
また、本発明の試料中の標的タンパク質の定量方法としては、(A)標的タンパク質に含まれる1種又は2種以上の標的ペプチド断片をコードするDNAがタンデムに2以上結合したタンデム結合DNAと、濃度測定用ペプチド断片をコードするDNAとの連結体DNAを、安定同位体標識アミノ酸の存在する系で発現させることにより、安定同位体標識タンパク質を調製する工程;(B)安定同位体標識タンパク質を、トリプシンにより断片化処理し、安定同位体標識濃度測定用ペプチド断片及び安定同位体標識標的ペプチド断片を調製する工程;(C)液体クロマトグラフ−タンデム質量分析装置(LC/MS/MS)により、安定同位体標識濃度測定用ペプチド断片を定量する工程;(D)安定同位体標識濃度測定用ペプチド断片の定量値から、安定同位体標識標的ペプチド断片の濃度を算出する工程;(E)1種又は2種以上の標的タンパク質を含む試料を、トリプシンにより断片化処理し、標的ペプチド断片を調製する工程;(F)工程(A)〜(D)で得られる濃度が既知の安定同位体標識標的ペプチド断片を内部標準として、液体クロマトグラフ−タンデム質量分析装置(LC/MS/MS)により、工程(E)で得られる標的ペプチド断片の定量を行う工程;(G)標的ペプチド断片の定量値から、標的タンパク質の濃度を算出する工程;の工程(A)〜(G)を備えた方法や、(A’)標的タンパク質に含まれる1種又は2種以上の標的ペプチド断片をコードするDNAがタンデムに2以上結合したタンデム結合DNAと、濃度測定用ペプチド断片をコードするDNAとの連結体DNAを、安定同位体標識アミノ酸の存在する系で発現させることにより、安定同位体標識タンパク質を調製する工程;(B’)安定同位体標識タンパク質を、トリプシンにより断片化処理し、安定同位体標識濃度測定用ペプチド断片を調製する工程;(C’)液体クロマトグラフ−タンデム質量分析装置(LC/MS/MS)により、安定同位体標識濃度測定用ペプチド断片を定量する工程;(D’)安定同位体標識濃度測定用ペプチド断片の定量値から、安定同位体標識標的タンパク質の濃度を算出する工程;(E’)1種又は2種以上の標的タンパク質を含む試料に、工程(D’)で得られる濃度が既知の安定同位体標識タンパク質を添加して、トリプシンにより断片化処理し、標的ペプチド断片、及び濃度が既知の安定同位体標識標的ペプチド断片を調製する工程;(F’)工程(E’)で得られる濃度が既知の安定同位体標識標的ペプチド断片を内部標準として、液体クロマトグラフ−タンデム質量分析装置(LC/MS/MS)により、工程(E’)で得られる標的ペプチド断片の定量を行う工程;(G’)標的ペプチド断片の定量値から、標的タンパク質の濃度を算出する工程;の工程(A’)〜(G’)を備えた方法や、(A’’)標的タンパク質に含まれる1種又は2種以上の標的ペプチド断片をコードするDNAがタンデムに2以上結合したタンデム結合DNAと、濃度測定用ペプチド断片をコードするDNAとの連結体DNAを、安定同位体標識アミノ酸の存在する系で発現させることにより、安定同位体標識タンパク質を調製する工程;(B’’)1種又は2種以上の標的タンパク質を含む試料に、工程(A’’)で調製された安定同位体標識タンパク質を添加して、トリプシンにより断片化処理し、標的ペプチド断片、安定同位体標識標的ペプチド断片、及び安定同位体標識濃度測定用ペプチド断片を調製する工程;(C’’)液体クロマトグラフ−タンデム質量分析装置(LC/MS/MS)により、安定同位体標識濃度測定用ペプチド断片を定量する工程;(D’’)安定同位体標識濃度測定用ペプチド断片の定量値から、安定同位体標識標的ペプチド断片の濃度を算出する工程;(E’’)工程(D’’)で得られる濃度が既知の安定同位体標識標的ペプチド断片を内部標準として、液体クロマトグラフ−タンデム質量分析装置(LC/MS/MS)により、工程(B’’)で得られる標的ペプチド断片の定量を行う工程;(F’’)標的ペプチド断片の定量値から、標的タンパク質の濃度を算出する工程;の工程(A’)〜(F’)を備えた方法であれば特に制限されないが、試料中の1種又は2種以上の標的タンパク質をトリプシンにより断片化処理する前に、該標的タンパク質に特異的に結合する抗体と接触させ、あらかじめ標的タンパク質を精製する工程(p)をさらに備えた方法が好ましく、ここで試料としては、特に制限されるものではないが、具体的に、生体から採取された細胞、組織、又は血液等を、凍結融解法、フレンチプレス、グラスビーズ、ホモジナイザー、超音波破砕装置等を用いた破砕処理や、分画遠心法、ショ糖密度勾配遠心法等による分画処理することにより得られる細胞膜画分の試料を挙げることができる。また、本発明の標的タンパク質を精製する工程(p)としては、標的タンパク質に特異的な抗体と標的タンパク質との抗体−抗原反応を利用し、アフィニティー精製する方法を備えた工程であれば特に制限されず、アフィニティー精製する方法としては、例えば、ProteinAやProteinGを共有結合させた磁性ビーズ、セファロースビーズ、アガロースビーズ等のProteinビーズに結合させた抗体を用いる免疫沈降法や、プラスチック、シリコン、ガラスなどの固相に結合させた抗体を用いるELISA法等を挙げることができ、ELISA法を好適に例示することができる。用いる抗体の種類数としては、標的タンパク質に対応する種類数であれば特に制限されない。
本発明の標的タンパク質とは、定量対象のタンパク質のことをいう。標的タンパク質としては、特に制限されないが、例えば疾患の治療又は診断の指標となるタンパク質を挙げることができ、具体的には、例えば、一般診断において診断対象となるタンパク質である、血清アミラーゼ(アクセッションナンバーP04745、P04746、P19961)、Apo−A1(アクセッションナンバーP02647)、Apo−A2(アクセッションナンバーP02652)、Apo−B(48+100)(アクセッションナンバーP04114)、Apo−B100(アクセッションナンバーP04114)、Apo−C2(アクセッションナンバーP02655)、ApoC3(アクセッションナンバーP02656)、Apo−E(アクセッションナンバーP02649)、GOT(細胞質)(アクセッションナンバーP17174)、GOT(ミトコンドリア)(アクセッションナンバーP00505)、GPT(アクセッションナンバーQ8TD30)、LDH_M(アクセッションナンバーP00338)、LDH_H(アクセッションナンバーP07195)、ALP(アクセッションナンバーP05186)、γ−GTP(アクセッションナンバーP19440、P36268、A6NGU5)、ZTT(アクセッションナンバーP01857)、CHE(アクセッションナンバーP06276)、CEA(アクセッションナンバーP06731)、PSA(アクセッションナンバーP07288)、CA125(アクセッションナンバーQ8WXI7)、CA15−3(アクセッションナンバーP15941)、CYFRA(アクセッションナンバーP08727)、PIVKA−II(アクセッションナンバーP00734)、血清HER2タンパク質(アクセッションナンバーP04626)、CRP(アクセッションナンバーP02741)、AFP(アクセッションナンバーP02771)、SCCA1(アクセッションナンバーP29508)、SCCA2(アクセッションナンバーP48594)、NSE(アクセッションナンバーP09104)、ferritin_H(アクセッションナンバーP02794)、ferritin_L(アクセッションナンバーP02792)、elastase1(アクセッションナンバーQ14237)、Pro−GRP(アクセッションナンバーP07492)、PAP(アクセッションナンバーP15309)等を挙げることができる。
上記2種以上の標的タンパク質としては、例えば、10種以上、20種以上、30種以上、35種以上、40種以上の標的タンパク質や、2〜50種、2〜40種、2〜36種、10〜50種、10〜40種、10〜36種、20〜50種、20〜40種、20〜36種、30〜50種、30〜40種、30〜36種、36種の標的タンパク質等を選択することができる。
本発明のトリプシンによる断片化処理としては、トリプシンを使用してタンパク質を断片化する処理であればよく、トリプシン処理を効率よく行うために緩衝液中で行う例を好適に挙げることができ、さらに他の酵素や化学物質などを含んでもよい。また安定同位体標識タンパク質や標的タンパク質のアルギニン残基及びリシン残基の両方の部位を効率よく切断できるという点から、トリプシンによる断片化処理が、トリプシンとリシルエンドペプチダーゼとの併用による断片化処理であることが好ましい。トリプシンの反応条件としては、例えば、30℃〜45℃において1〜36時間であることが好ましく、36〜37℃において16〜24時間であることがさらに好ましい。また、リシルエンドペプチダーゼの反応条件としては、例えば、15〜45℃において1〜36時間であることが好ましく、15〜25℃において2〜4時間であることがさらに好ましい。
本発明の1種又は2種以上の標的ペプチド断片としては、
(1)標的タンパク質のアミノ酸配列に含まれるアミノ酸配列からなるペプチド断片であること;(2)標的タンパク質に特異的なアミノ酸配列からなるペプチド断片であること;(3)各アミノ酸における溶出時間パラメータを設定し、該溶出時間パラメータに基づいて、;(i)HPLC:Agilent 1200 HPLCシステム(アジレント・テクノロジー社製);(ii)カラム:XBridge BEH130 C18、3.5μm、100x1.0mm(ウォーターズ社製);(iii)移動相:0.1%ギ酸/ミリQ水からなる移動相A、0.1%ギ酸/アセトニトリルからなる移動相B;(iv)流速:0〜60分では50μL/min、60〜90分では100μL/min;(v)濃度勾配:0分〜5分では99/1(移動相A/移動相B)、5分〜55分では99/1(移動相A/移動相B)から50/50(移動相A/移動相B)、56〜58分では100%移動相B、60〜90分では99/1(移動相A/移動相B);の条件(i)〜(v)の液体クロマトグラフィーによる予測溶出時間を算定したとき、該予測溶出時間が30〜70分の範囲内であるペプチド断片であること;の(1)〜(3)からなる必須クライテリアを満たすペプチド断片を選択する工程;及び(4)トリプトファン、チロシン、バリン、ロイシン、イソロイシン、及びフェニルアラニンから選択される疎水アミノ酸の含量が80%以下であり、且つ、上記疎水アミノ酸が10アミノ酸以上連続しないペプチド断片である場合、スコア10を付与する;(5)アミノ酸残基数が4〜30のペプチド断片である場合、スコア3を付与する;(6)タンパク質データベースのアノテーション情報において、糖鎖付加されないペプチド断片である場合、スコア10を付与する;(7)翻訳後修飾タンパク質を定量する場合を除き、翻訳後修飾部位を含まないペプチド断片である場合、スコア10を付与する;(8)1塩基多型(SNP)部位を含まないペプチド断片である場合、スコア10を付与する;(9)タンパク質分解酵素切断部がアルギニン−アルギニン、アルギニン−リジン、リジン−アルギニン、リジン−リジンではないペプチド断片である場合、スコア10を付与する;(10)タンパク質の構造が決定又は予測されている場合に、膜貫通領域を含まないペプチド断片である場合、スコア10を付与する;(11)メチオニン、システインを含まないペプチド断片である場合、スコア10を付与する;(12)トリプトファンを含まないペプチド断片である場合、スコア1を付与する;(13)グルタミン酸を含まないペプチド断片である場合、スコア1を付与する;(14)ヒスチジンを含まないペプチド断片である場合、スコア2を付与する;(15)プロリンを含むペプチド断片である場合、スコア2を付与する;の(4)〜(15)からなる選択クライテリアに基づいてスコア合計値を算定し、該スコア合計値の高いペプチド断片を優先的に選択する工程;
により選択されるペプチド断片であり、かつC末端にアルギニン残基又はリシン残基を有するペプチド断片であれば特に制限されないが、上記選択クライテリア(4)において、疎水アミノ酸の含量が50%以下であり、且つ、上記選択クライテリア(5)において、アミノ酸残基数が6〜16のペプチド断片であることがより好ましい。また、上記選択クライテリア(6)における、タンパク質データベースとしては、Protein Information Resource(PIR)、SWISS−PROT&TrEMBL、Protein Research Foundation(PRF)、NCBI Protein Database、UniProt(http://www.uniprot.org/)等の公知のタンパク質データベースであれば特に制限されないが、中でも、NCBI Protein DatabaseやUniProt(http://www.uniprot.org/)であることが好ましい。上記選択クライテリア(6)における、「タンパク質データベースのアノテーション情報において、糖鎖付加されないペプチド断片」としては、具体的には、アスパラギン−X−セリン、アスパラギン−X−スレオニン、又は、アスパラギン−X−システインの配列を含まないペプチド断片であって、上記Xがプロリン以外のアミノ酸であるペプチド断片等を好適に例示することができる。
(1)標的タンパク質のアミノ酸配列に含まれるアミノ酸配列からなるペプチド断片であること;(2)標的タンパク質に特異的なアミノ酸配列からなるペプチド断片であること;(3)各アミノ酸における溶出時間パラメータを設定し、該溶出時間パラメータに基づいて、;(i)HPLC:Agilent 1200 HPLCシステム(アジレント・テクノロジー社製);(ii)カラム:XBridge BEH130 C18、3.5μm、100x1.0mm(ウォーターズ社製);(iii)移動相:0.1%ギ酸/ミリQ水からなる移動相A、0.1%ギ酸/アセトニトリルからなる移動相B;(iv)流速:0〜60分では50μL/min、60〜90分では100μL/min;(v)濃度勾配:0分〜5分では99/1(移動相A/移動相B)、5分〜55分では99/1(移動相A/移動相B)から50/50(移動相A/移動相B)、56〜58分では100%移動相B、60〜90分では99/1(移動相A/移動相B);の条件(i)〜(v)の液体クロマトグラフィーによる予測溶出時間を算定したとき、該予測溶出時間が30〜70分の範囲内であるペプチド断片であること;の(1)〜(3)からなる必須クライテリアを満たすペプチド断片を選択する工程;及び(4)トリプトファン、チロシン、バリン、ロイシン、イソロイシン、及びフェニルアラニンから選択される疎水アミノ酸の含量が80%以下であり、且つ、上記疎水アミノ酸が10アミノ酸以上連続しないペプチド断片である場合、スコア10を付与する;(5)アミノ酸残基数が4〜30のペプチド断片である場合、スコア3を付与する;(6)タンパク質データベースのアノテーション情報において、糖鎖付加されないペプチド断片である場合、スコア10を付与する;(7)翻訳後修飾タンパク質を定量する場合を除き、翻訳後修飾部位を含まないペプチド断片である場合、スコア10を付与する;(8)1塩基多型(SNP)部位を含まないペプチド断片である場合、スコア10を付与する;(9)タンパク質分解酵素切断部がアルギニン−アルギニン、アルギニン−リジン、リジン−アルギニン、リジン−リジンではないペプチド断片である場合、スコア10を付与する;(10)タンパク質の構造が決定又は予測されている場合に、膜貫通領域を含まないペプチド断片である場合、スコア10を付与する;(11)メチオニン、システインを含まないペプチド断片である場合、スコア10を付与する;(12)トリプトファンを含まないペプチド断片である場合、スコア1を付与する;(13)グルタミン酸を含まないペプチド断片である場合、スコア1を付与する;(14)ヒスチジンを含まないペプチド断片である場合、スコア2を付与する;(15)プロリンを含むペプチド断片である場合、スコア2を付与する;の(4)〜(15)からなる選択クライテリアに基づいてスコア合計値を算定し、該スコア合計値の高いペプチド断片を優先的に選択する工程;
により選択されるペプチド断片であり、かつC末端にアルギニン残基又はリシン残基を有するペプチド断片であれば特に制限されないが、上記選択クライテリア(4)において、疎水アミノ酸の含量が50%以下であり、且つ、上記選択クライテリア(5)において、アミノ酸残基数が6〜16のペプチド断片であることがより好ましい。また、上記選択クライテリア(6)における、タンパク質データベースとしては、Protein Information Resource(PIR)、SWISS−PROT&TrEMBL、Protein Research Foundation(PRF)、NCBI Protein Database、UniProt(http://www.uniprot.org/)等の公知のタンパク質データベースであれば特に制限されないが、中でも、NCBI Protein DatabaseやUniProt(http://www.uniprot.org/)であることが好ましい。上記選択クライテリア(6)における、「タンパク質データベースのアノテーション情報において、糖鎖付加されないペプチド断片」としては、具体的には、アスパラギン−X−セリン、アスパラギン−X−スレオニン、又は、アスパラギン−X−システインの配列を含まないペプチド断片であって、上記Xがプロリン以外のアミノ酸であるペプチド断片等を好適に例示することができる。
上記必須クライテリア(3)における、各アミノ酸における溶出時間パラメータとしては、既知のアミノ酸配列からなるペプチド断片を、(i)HPLC:Agilent 1200 HPLCシステム(アジレント・テクノロジー社製);(ii)カラム:XBridge BEH130 C18、3.5μm、100x1.0mm(ウォーターズ社製);(iii)移動相:0.1%ギ酸/ミリQ水からなる移動相A、0.1%ギ酸/アセトニトリルからなる移動相B;(iv)流速:0〜60分では50μL/min、60〜90分では100μL/min;(v)濃度勾配:0分〜5分では99/1(移動相A/移動相B)、5分〜55分では99/1(移動相A/移動相B)から50/50(移動相A/移動相B)、56〜58分では100%移動相B、60〜90分では99/1(移動相A/移動相B);の(i)〜(v)の条件からなる液体クロマトグラフィーにより分離することにより得られる溶出時間データに基づいて設定されたものであれば特に制限されないが、より具体的には、例えば、アラニン(A)の溶出時間パラメータとしては−0.672を、システイン(C)の溶出時間パラメータとしては+1を、アスパラギン酸(D)の溶出時間パラメータとしては+0.769を、グルタミン酸(E)の溶出時間パラメータとしては+0.081を、フェニルアラニン(F)の溶出時間パラメータとしては+16.309を、グリシン(G)の溶出時間パラメータとしては−0.251を、ヒスチジン(H)の溶出時間パラメータとしては−2.995を、イソロイシン(I)の溶出時間パラメータとしては+7.763を、リジン(K)の溶出時間パラメータとしては−3.201を、ロイシン(L)の溶出時間パラメータとしては+10.468を、メチオニン(M)の溶出時間パラメータとしては+8.313を、アスパラギン(N)の溶出時間パラメータとしては−1を、プロリン(P)の溶出時間パラメータとしては+2.195を、グルタミン(Q)の溶出時間パラメータとしては−1を、アルギニン(R)の溶出時間パラメータとしては−0.013を、セリン(S)の溶出時間パラメータとしては−2.181を、トレオニン(T)の溶出時間パラメータとしては+4.215を、バリン(V)の溶出時間パラメータとしては+6.422を、トリプトファン(W)の溶出時間パラメータとしては+18.65を、チロシン(Y)の溶出時間パラメータとしては+7.37を好適に挙げることができる。上記(i)〜(v)の条件からなる液体クロマトグラフィーによるペプチド断片の溶出時間は、これらの各アミノ酸の溶出時間パラメータに基づいて算出することができる。
また、上記必須クライテリア(3)において、「予測溶出時間が30〜70分の範囲内であるペプチド断片」とは、上記各アミノ酸における溶出時間パラメータに基づいて、(i)HPLC:Agilent 1200 HPLCシステム(アジレント・テクノロジー社製);(ii)カラム:XBridge BEH130 C18、3.5μm、100x1.0mm(ウォーターズ社製);(iii)移動相:0.1%ギ酸/ミリQ水からなる移動相A、0.1%ギ酸/アセトニトリルからなる移動相B;(iv)流速:0〜60分では50μL/min、60〜90分では100μL/min;(v)濃度勾配:0分〜5分では99/1(移動相A/移動相B)、5分〜55分では99/1(移動相A/移動相B)から50/50(移動相A/移動相B)、56〜58分では100%移動相B、60〜90分では99/1(移動相A/移動相B);の条件(i)〜(v)の液体クロマトグラフィーによる溶出時間を算出したときに、30〜70分の範囲内で溶出されると予測されるペプチド断片を意味し、ここで「溶出時間」とは、液体クロマトグラフに導入してから流出してくるまでに掛かる時間、すなわち、液体クロマトグラフィー用カラムにおける保持時間を意味する。また、上記ペプチド断片の予測溶出時間は、30〜70分の範囲内であれば特に制限されず、例えば、30〜65分、30〜60分、35〜70分、35〜65分、35〜60分、40〜70分、40〜65分、40〜60分などであってもよいが、40〜60分であることが好ましい。
上記標的ペプチド断片としては、具体的には、例えば、一般診断において診断対象となるタンパク質を定量するための配列番号13〜48のいずれかに示されるアミノ酸配列からなるペプチド断片を挙げることができる。すなわち、血清アミラーゼ(アクセッションナンバーP04745、P04746、P19961)の部分配列である、SSDYFGNGR(配列番号13)、及びIYVSDDGK(配列番号14);Apo−A1(アクセッションナンバーP02647)の部分配列である、QGLLPVLESFK(配列番号15)及びDLATVYVDVLK(配列番号16);Apo−A2(アクセッションナンバーP02652)の部分配列である、SPELQAEAK(配列番号17);Apo−B(48+100)(アクセッションナンバーP04114)の部分配列である、IEIPLPFGGK(配列番号18)及びEFQVPTFTIPK(配列番号19);Apo−B100(アクセッションナンバーP04114)の部分配列である、NPNGYSFSIPVK(配列番号20)及びNIILPVYDK(配列番号21);Apo−C2(アクセッションナンバーP02655)の部分配列である、TYLPAVDEK(配列番号22);ApoC3(アクセッションナンバーP02656)の部分配列である、GWVTDGFSSLK(配列番号23);Apo−E(アクセッションナンバーP02649)の部分配列である、LGPLVEQGR(配列番号24);GOT(細胞質)(アクセッションナンバーP17174)の部分配列である、ITWSNPPAQGAR(配列番号25)及びLALGDDSPALK(配列番号26);GOT(ミトコンドリア)(アクセッションナンバーP00505)の部分配列である、FVTVQTISGTGALR(配列番号27);GPT(アクセッションナンバーQ8TD30)の部分配列である、ILVSGGGK(配列番号28)及びTPSSWGR(配列番号29);LDH_M(アクセッションナンバーP00338)の部分配列である、LVIITAGAR(配列番号30);LDH_H(アクセッションナンバーP07195)の部分配列である、IVVVTAGVR(配列番号31);ALP(アクセッションナンバーP05186)の部分配列である、FPFVALSK(配列番号32);γ−GTP(アクセッションナンバーP19440、P36268)の部分配列である、LFQPSIQLAR(配列番号33)及びGGLSVAVPGEIR(配列番号34);ZTT(アクセッションナンバーP01857)の部分配列である、EPQVYTLPPSR(配列番号35)及びALPAPIEK(配列番号36);CHE(アクセッションナンバーP06276)の部分配列である、NIAAFGGNPK(配列番号37)及びFWTSFFPK(配列番号38);CEA(アクセッションナンバーP06731)の部分配列である、INGIPQQHTQVLFIAK(配列番号39);PSA(アクセッションナンバーP07288)の部分配列である、HSQPWQVLVASR(配列番号40);CA125(アクセッションナンバーQ8WXI7)の部分配列である、LTSPVVTTSTR(配列番号41)及びFPDIFSVASSR(配列番号42);CA15−3(アクセッションナンバーP15941)の部分配列である、SSVPSSTEK(配列番号43)及びATTTPASK(配列番号40);CYFRA(アクセッションナンバーP08727)の部分配列である、ILGATIENSR(配列番号45);PIVKA−II(アクセッションナンバーP00734)の部分配列である、ANTFLEEVR(配列番号46);血清HER2タンパク質(アクセッションナンバーP04626)の部分配列である、VLQGLPR(配列番号47)及びGGVLIQR(配列番号48);等を例示することができる。
上記2種以上の標的ペプチド断片としては、定量対象の標的タンパク質の種類数とその種類に対応した標的ペプチド断片であればよく、例えば、10種以上、20種以上、30種以上、35種以上、40種以上の標的ペプチド断片や、2〜50種、2〜40種、2〜36種、10〜50種、10〜40種、10〜36種、20〜50種、20〜40種、20〜36種、30〜50種、30〜40種、30〜36種、36種の標的ペプチド断片等を選択することができる。
本発明のタンデム結合DNAとは、標的ペプチド断片をコードするDNAの転写方向が同一となるように連結したDNAのことをいう。本発明のタンデム結合DNAとしては、標的ペプチド断片をコードするDNAがタンデムに2以上結合したDNAであれば特に制限されず、ここで2以上結合したDNAとしては、例えば10以上、20以上、30以上、35以上、40以上結合したDNAや、2〜50、2〜40、2〜36、10〜50、10〜40、10〜36、20〜50、20〜40、20〜36、30〜50、30〜40、30〜36、36結合したDNA等を挙げることができる。標的ペプチド断片をコードするDNAは、標的ペプチド断片のアミノ酸配列情報を基に、適宜選択することができる。また、本発明のタンデム結合DNAは、標的ペプチド断片がタンデムに結合する間にリンカーDNAが挿入されるDNAであってもよく、ここでリンカーDNAとしては、標的ペプチド断片のフレームシフトが生じず、且つ終止コドンが出現しないように設計されたアミノ酸配列をコードするDNAであれば特に制限されないが、トリプシンの切断部位周辺のアミノ酸が切断効率に影響を与えることを考慮すると、標的タンパク質において、標的ペプチド断片前後のアミノ酸をコードするDNAを好適に例示することができる。また、トリプシンによる断片化処理により、標的ペプチド断片とリンカーDNA由来のペプチド断片とを切断できるようにするために、リンカーDNAの3’末端のコドンは、アルギニン残基又はリシン残基であることが好ましい。さらに、リンカーDNAの塩基数は特に制限されず、例えば3塩基、6塩基、9塩基、12塩基等を例示することができる。
本発明の濃度測定用ペプチド断片とは、安定同位体標識標的ペプチド断片の濃度を測定するために、質量分析により定量するペプチド断片のことをいう。本発明の濃度測定用ペプチド断片としては、アミノ酸残基数が3〜20のペプチド断片であって、C末端にアルギニン残基(R)又はリシン残基(K)を有し、C末端以外にはアルギニン残基又はリシン残基を有さず、天然に存在するタンパク質及びその変異体と一致しないアミノ酸配列からなる、LC/MS/MSにより検出可能であるペプチド断片であれば特に制限されないが、アミノ酸残基数は8、10又は12であって、1若しくは2のプロリン、又はグリシンを含み、且つ、ヒスチジンを含まないペプチド断片が好ましく、具体的には、QIGDPTVPSGVK(配列番号1)、NVAPAGPTLK(配列番号2)、VGAPGVPALK(配列番号3)及びDAPGSGLK(配列番号4)を挙げることができ、これらの中でもQIGDPTVPSGVK(配列番号1)やNVAPAGPTLK(配列番号2)を好適に例示することができる。本発明の濃度測定用ペプチド断片は、天然に存在するペプチド断片と区別して定量することができるため、試料に添付して使用することができる。また、本発明の濃度測定用ペプチド断片をコードするDNAは、濃度測定用ペプチド断片のアミノ酸配列情報を基に、適宜選択することができる。
本発明の連結体DNAとは、本発明のタンデム結合DNAと濃度測定用ペプチド断片をコードするDNAとが連結したDNAのことをいう。また本発明の濃度測定用ペプチド断片をコードするDNAは、タンデム結合DNAの5’末端又は3’末端のいずれかに連結されていればよいが、安定同位体標識タンパク質のタンパク質合成が完全に行われたことを評価する場合、濃度測定用ペプチド断片をコードするDNAが、タンデム結合DNAの5’末端に連結され、且つ前記タンデム結合DNAの5’末端に連結される濃度測定用ペプチド断片とは異なるアミノ酸配列からなる濃度測定用ペプチド断片をコードするDNAが、タンデム結合DNAの3’末端に連結されることが好ましく、その場合に用いる濃度測定用ペプチド断片としては、本発明の濃度測定用ペプチド断片であれば特に制限されないが、QIGDPTVPSGVK(配列番号1)及びNVAPAGPTLK(配列番号2)を好適に例示することができる。安定同位体標識タンパク質のタンパク質合成が完全に行われたことの評価は、タンデム結合DNAの5’末端に存在する濃度測定用ペプチド断片及び3’末端に存在する濃度測定用ペプチド断片の濃度を算出し、かかる濃度比率を基に行うことができる。
本発明の安定同位体標識アミノ酸としては、安定同位体元素を含むアミノ酸であればよく、例えば15N,13C,18O,及び2Hのいずれか1以上の安定同位体標識元素を含み、安定同位体で標識されたアミノ酸であれば特に制限されない。安定同位体で標識されるアミノ酸としては、20種類のL−アミノ酸(L−アラニン、L−アルギニン、L−アスパラギン酸、L−グルタミン酸、グリシン、L−ヒスチジン、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−リジン、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−プロリン、L−セリン、L−スレオニン、L−チロシン、L−バリン、L−トリプトファン、L−システイン、L−アスパラギン、L−グルタミン)であって、標的ペプチド断片に含まれるアミノ酸であれば特に制限されないが、トリプシンによる切断部位であるL−アルギニン及び/又はL−リジンが好ましい。
本発明の安定同位体標識タンパク質は、連結体DNAの他、例えば輸送シグナル配列やグルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)、ヒスチジン等のタンパク質精製のためのタグ配列をコードするDNAを備えたDNAを発現させることにより得られる、タグを含む安定同位体標識タンパク質であってもよいが、タンパク質精製のためのタグ配列をコードするDNAを含まないDNAを発現させることにより得られる安定同位体標識タンパク質が好ましい。また、本発明の安定同位体標識タンパク質としては、具体的には、配列番号8で示されるアミノ酸配列からなるntcpタンパク質をコードするDNAの一部が連結体DNAに置換されたDNAを発現させることにより得られる安定同位体標識タンパク質を挙げることができる。ここでntcpタンパク質をコードするDNAの一部としては、ntcpタンパク質において、LC/MS/MSにより定量できるアミノ酸配列をコードするDNAが好ましく、具体的にはGIYDGDLK(配列番号7)で示されるアミノ酸配列をコードするDNAを挙げることができる。
本発明の安定同位体標識タンパク質は、本発明の連結体DNAを、安定同位体標識アミノ酸の存在する系で発現させることにより調製することができ、安定同位体標識アミノ酸の存在する系としては、安定同位体標識アミノ酸の存在する無細胞タンパク質合成系や生細胞タンパク質合成系を挙げることができる。すなわち、無細胞タンパク質合成系において安定同位体標識アミノ酸に加えて安定同位体非標識アミノ酸を材料としてタンパク質を合成させることや、生細胞タンパク質合成系において本発明の連結体DNAで形質転換した細胞を安定同位体標識アミノ酸存在下で培養することにより、本発明の連結体DNAから本発明の安定同位体標識タンパク質を調製することができる。
無細胞タンパク質合成系を用いた本発明の安定同位体標識タンパク質の発現は、本発明の連結体DNAや上記安定同位体標識アミノ酸の他、安定同位体標識タンパク質合成のために必要な安定同位体非標識アミノ酸、無細胞タンパク質合成用細胞抽出液、エネルギー源(ATP、GTP、クレアチンホスフェート等の高エネルギーリン酸結合含有物)などを用いて行うことができる。温度、時間等の反応条件は、適宜最適な条件を選択して行うことができ、例えば温度は20〜40℃、好ましくは23〜37℃であり、また反応時間は1〜24時間、好ましくは10〜20時間である。上記「無細胞タンパク質合成用細胞抽出液」とは、リボソーム、tRNA等のタンパク質合成に関与する翻訳系又は転写系/翻訳系に必要な成分を含む植物細胞、動物細胞、真菌細胞、細菌細胞からの抽出液をいう。具体的には、大腸菌、小麦胚芽、ウサギ網赤血球、マウスL−細胞、エールリッヒ腹水癌細胞、HeLa細胞、CHO細胞、出芽酵母等の細胞抽出液を挙げることができる。かかる細胞抽出液の調製は、例えばPratt, J.M.ら、Transcription and trasnlation-a practical approach(1984)、pp.179-209に記載の方法に従い、上記細胞をフレンチプレス、グラスビーズ、超音波破砕装置等を用いて破砕処理し、タンパク質成分やリボソームを可溶化するための数種類の塩を含有する緩衝液を加えてホモジナイズし、遠心分離にて不溶成分を沈殿させることによって行うことができる。
また、無細胞タンパク質合成系を用いた本発明の安定同位体標識タンパク質の発現は、小麦胚芽抽出液を備えたPremium Expression Kit(セルフリーサイエンス社製)や大腸菌抽出液を備えたRTS 100, E.coli HY Kit(Roche Applied Science社製)や無細胞くんQuick(大陽日酸社製)等市販のキットを適宜使用して行ってもよい。発現させた安定同位体標識タンパク質が不溶性の場合、グアニジン塩酸塩、尿素等のタンパク質変性剤を用いて適宜可溶化させてもよい。可溶化させた後は、トリプシンによる断片化処理が阻害されないように、タンパク質変性剤の濃度を調整する。安定同位体標識タンパク質は、さらに分画遠心法、ショ糖密度勾配遠心法等による分画処理や、アフィニティーカラム、イオン交換クロマトグラフィー等を用いた精製処理により調製することもできるが、かかる分画処理や精製処理を行わないで調製する安定同位体標識タンパク質を好適に例示することができる。
他方、生細胞タンパク質合成系を用いた本発明の安定同位体標識タンパク質の発現は、生細胞に本発明の連結体DNAを導入し、かかる生細胞を栄養分や抗生物質などの他、上記安定同位体標識アミノ酸、安定同位体標識タンパク質合成のために必要な安定同位体非標識アミノ酸等を含む培養液中で培養することにより行うことができる。ここで生細胞としては、本発明の連結体DNAを発現させることができる生細胞であれば特に制限されず、例えばチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞等の哺乳類細胞株や、大腸菌、酵母細胞、昆虫細胞、植物細胞などの生細胞を挙げることができ、簡便性や費用対効果の面から考慮すると、大腸菌が好ましい。本発明の連結体DNAの発現は、遺伝子組換え技術により、それぞれの生細胞で発現できるように設計された発現ベクターへ組み込み、かかる発現ベクターを生細胞へ導入することにより行うことができる。また本発明の連結体DNAの生細胞への導入は、使用する生細胞に適した方法で行うことができ、エレクトロポレーション法、ヒートショック法、リン酸カルシウム法、リポフェクション法、DEAEデキストラン法、マイクロインジェクション法、パーティクル・ガン法、ウイルスを用いた方法や、FuGENE(登録商標) 6 Transfection Reagent(ロシュ社製)やLipofectamine 2000 Reagent(インビトロジェン社製)などの市販のトランスフェクション試薬を用いた方法などを挙げることができる。
生細胞タンパク質合成系により発現させた本発明の安定同位体標識タンパク質は、安定同位体標識タンパク質を含む生細胞を破砕処理や抽出処理することにより調製することができる。破砕処理としては、凍結融解法、フレンチプレス、グラスビーズ、ホモジナイザー、超音波破砕装置等を用いた物理的破砕処理を挙げることができる。また抽出処理としては、グアニジン塩酸塩、尿素等のタンパク質変性剤を用いた抽出処理を挙げることができる。安定同位体標識タンパク質は、さらに分画遠心法、ショ糖密度勾配遠心法等による分画処理や、アフィニティーカラム、イオン交換クロマトグラフィー等を用いた精製処理により調製することもできるが、かかる分画処理や精製処理を行わないで調製する安定同位体標識タンパク質を好適に例示することができる。
本発明の安定同位体標識濃度測定用ペプチド断片は、検量線を作成し、かかる検量線に基づいて液体クロマトグラフ−タンデム質量分析装置(LC/MS/MS)により、定量することができる。検量線の作成と検量線に基づいた定量は、以下のようにして行うことができる。
(安定同位体標識濃度測定用ペプチド断片定量のための検量線の作成)
検量線は、数段階の濃度が既知の安定同位体標識濃度測定用ペプチド断片に、内部標準として濃度が既知の濃度測定用ペプチド断片を規定量加え、LC/MS/MSを用いた質量分析を行い、各濃度の安定同位体標識濃度測定用ペプチド断片と非標識濃度測定用ペプチド断片とのMSスペクトルの面積比若しくはピーク高比を算出することにより作成することができる。安定同位体標識濃度測定用ペプチド断片の量は、質量分析計の直線的な測定範囲内であることが好ましい。なお、濃度が既知の安定同位体標識濃度測定用ペプチド断片は、安定同位元素により標識されたアミノ酸を用いてF−moc法(Amblard., et al. Methods Mol Biol.298:3-24(2005))等の適当な手段で化学合成したものを用いることができるが、本発明の作製方法により得られた濃度が既知の安定同位体標識濃度測定用ペプチド断片を用いてもよい。また、濃度が既知の濃度測定用ペプチド断片は、一般的な化学合成法により製造することができる。かかるペプチド合成法として、アミノ酸配列情報に基づいて、各アミノ酸を1個ずつ逐次結合させ鎖を延長させていくステップワイズエロゲーション法や、アミノ酸数個からなるフラグメントを予め合成し、次いで各フラグメントをカップリング反応させるフラグメント・コンデンセーション法のいずれも採用することができる。
検量線は、数段階の濃度が既知の安定同位体標識濃度測定用ペプチド断片に、内部標準として濃度が既知の濃度測定用ペプチド断片を規定量加え、LC/MS/MSを用いた質量分析を行い、各濃度の安定同位体標識濃度測定用ペプチド断片と非標識濃度測定用ペプチド断片とのMSスペクトルの面積比若しくはピーク高比を算出することにより作成することができる。安定同位体標識濃度測定用ペプチド断片の量は、質量分析計の直線的な測定範囲内であることが好ましい。なお、濃度が既知の安定同位体標識濃度測定用ペプチド断片は、安定同位元素により標識されたアミノ酸を用いてF−moc法(Amblard., et al. Methods Mol Biol.298:3-24(2005))等の適当な手段で化学合成したものを用いることができるが、本発明の作製方法により得られた濃度が既知の安定同位体標識濃度測定用ペプチド断片を用いてもよい。また、濃度が既知の濃度測定用ペプチド断片は、一般的な化学合成法により製造することができる。かかるペプチド合成法として、アミノ酸配列情報に基づいて、各アミノ酸を1個ずつ逐次結合させ鎖を延長させていくステップワイズエロゲーション法や、アミノ酸数個からなるフラグメントを予め合成し、次いで各フラグメントをカップリング反応させるフラグメント・コンデンセーション法のいずれも採用することができる。
(検量線に基づいた安定同位体標識濃度測定用ペプチド断片の定量)
安定同位体標識タンパク質を、トリプシンによる断片化処理により調製した本発明の安定同位体標識濃度測定用ペプチド断片を含むペプチド試料中に、内部標準として濃度が既知の濃度測定用ペプチド断片を規定量加え、LC/MS/MSを用いた質量分析を行い、安定同位体標識濃度測定用ペプチド断片/濃度測定用ペプチド断片のマススペクトル面積比を算出し、該面積比から、上記検量線を用いて、本発明の安定同位体標識濃度測定用ペプチド断片を定量することができる。なお、濃度が既知の濃度測定用ペプチド断片は、一般的な化学合成法により製造することができる。かかるペプチド合成法として、アミノ酸配列情報に基づいて、各アミノ酸を1個ずつ逐次結合させ鎖を延長させていくステップワイズエロゲーション法や、アミノ酸数個からなるフラグメントを予め合成し、次いで各フラグメントをカップリング反応させるフラグメント・コンデンセーション法のいずれも採用することができる。
安定同位体標識タンパク質を、トリプシンによる断片化処理により調製した本発明の安定同位体標識濃度測定用ペプチド断片を含むペプチド試料中に、内部標準として濃度が既知の濃度測定用ペプチド断片を規定量加え、LC/MS/MSを用いた質量分析を行い、安定同位体標識濃度測定用ペプチド断片/濃度測定用ペプチド断片のマススペクトル面積比を算出し、該面積比から、上記検量線を用いて、本発明の安定同位体標識濃度測定用ペプチド断片を定量することができる。なお、濃度が既知の濃度測定用ペプチド断片は、一般的な化学合成法により製造することができる。かかるペプチド合成法として、アミノ酸配列情報に基づいて、各アミノ酸を1個ずつ逐次結合させ鎖を延長させていくステップワイズエロゲーション法や、アミノ酸数個からなるフラグメントを予め合成し、次いで各フラグメントをカップリング反応させるフラグメント・コンデンセーション法のいずれも採用することができる。
安定同位体標識タンパク質の濃度は、本発明の安定同位体標識濃度測定用ペプチド断片の定量値(M)として算出することができる。また、安定同位体標識標的ペプチド断片の濃度は、安定同位体標識濃度測定用ペプチド断片の定量値(M)と安定同位体標識タンパク質に含まれる安定同位体標識標的ペプチド断片数を、式(安定同位体標識濃度測定用ペプチド断片の定量値[M])×(安定同位体標識タンパク質に含まれる安定同位体標識標的ペプチド断片数)に入力することにより算出することができる。このようにして得られた本発明の濃度が既知の安定同位体標識標的ペプチド断片は、内部標準として本発明の標的ペプチド断片の定量のために用いることができる。
本発明の標的ペプチド断片は、検量線を作成し、かかる検量線に基づいて液体クロマトグラフ−タンデム質量分析装置(LC/MS/MS)により、定量することができる。検量線の作成と検量線に基づいた定量は、以下のようにして行うことができる。
(標的ペプチド断片定量のための検量線の作成)
検量線は、数段階の濃度が既知の標的ペプチド断片に、内部標準として本発明の濃度が既知の安定同位体標識標的ペプチド断片を規定量加え、LC/MS/MSによる質量分析を行い、各濃度における標的ペプチド断片と本発明の安定同位体標識標的ペプチド断片とのMSスペクトルの面積比若しくはピーク高比を算出することにより、作成することができる。標的ペプチド断片の量は、質量分析計の直線的な測定範囲内であることが好ましい。なお、濃度が既知の標的ペプチド断片は、一般的な化学合成法により製造することができる。かかるペプチド合成法として、アミノ酸配列情報に基づいて、各アミノ酸を1個ずつ逐次結合させ鎖を延長させていくステップワイズエロゲーション法や、アミノ酸数個からなるフラグメントを予め合成し、次いで各フラグメントをカップリング反応させるフラグメント・コンデンセーション法のいずれも採用することができる。また、上記濃度が既知の標的ペプチド断片は、本発明の連結体DNAを安定同位体アミノ酸の存在しない系で発現させることによりタンパク質を調製し、かかるタンパク質をトリプシンなどで処理することにより単離することもでき、かかる標的ペプチド断片の濃度は、濃度測定用ペプチド断片の定量値に基づき算出することができる。
検量線は、数段階の濃度が既知の標的ペプチド断片に、内部標準として本発明の濃度が既知の安定同位体標識標的ペプチド断片を規定量加え、LC/MS/MSによる質量分析を行い、各濃度における標的ペプチド断片と本発明の安定同位体標識標的ペプチド断片とのMSスペクトルの面積比若しくはピーク高比を算出することにより、作成することができる。標的ペプチド断片の量は、質量分析計の直線的な測定範囲内であることが好ましい。なお、濃度が既知の標的ペプチド断片は、一般的な化学合成法により製造することができる。かかるペプチド合成法として、アミノ酸配列情報に基づいて、各アミノ酸を1個ずつ逐次結合させ鎖を延長させていくステップワイズエロゲーション法や、アミノ酸数個からなるフラグメントを予め合成し、次いで各フラグメントをカップリング反応させるフラグメント・コンデンセーション法のいずれも採用することができる。また、上記濃度が既知の標的ペプチド断片は、本発明の連結体DNAを安定同位体アミノ酸の存在しない系で発現させることによりタンパク質を調製し、かかるタンパク質をトリプシンなどで処理することにより単離することもでき、かかる標的ペプチド断片の濃度は、濃度測定用ペプチド断片の定量値に基づき算出することができる。
(検量線に基づいた標的ペプチド断片の定量)
標的タンパク質を含む試料を、トリプシンにより断片化処理により調製した本発明の標的ペプチド断片を含むペプチド試料中に、内部標準として本発明の濃度が既知の安定同位体標識標的ペプチド断片を規定量加え、LC/MS/MSを用いた質量分析を行い、標的ペプチド断片/安定同位体標識標的ペプチド断片のマススペクトル面積比を算出し、該面積比から検量線を用いて算出することにより、標的ペプチド断片を定量することができる。
標的タンパク質を含む試料を、トリプシンにより断片化処理により調製した本発明の標的ペプチド断片を含むペプチド試料中に、内部標準として本発明の濃度が既知の安定同位体標識標的ペプチド断片を規定量加え、LC/MS/MSを用いた質量分析を行い、標的ペプチド断片/安定同位体標識標的ペプチド断片のマススペクトル面積比を算出し、該面積比から検量線を用いて算出することにより、標的ペプチド断片を定量することができる。
標的タンパク質の濃度は、算出した標的ペプチド断片の定量値と標的タンパク質に含まれる標的ペプチド断片数に基づき、式(標的ペプチド断片の定量値[M])/(標的タンパク質に含まれる標的ペプチド断片数)に入力することにより算出することができる。
本発明の評価用タンパク質とは、試料中に含まれるタンパク質のトリプシンによる断片化処理を評価するために、質量分析により定量対象となるタンパク質のことをいう。ここで試料としては、特に制限されるものではないが、具体的に、生体から採取された細胞、組織、又は血液等を、凍結融解法、フレンチプレス、グラスビーズ、ホモジナイザー、超音波破砕装置等を用いた破砕処理や、分画遠心法、ショ糖密度勾配遠心法等による分画処理することにより得られる細胞膜画分の試料を挙げることができる。本発明の評価用タンパク質におけるntcpタンパク質の一部としては、ntcpタンパク質において、LC/MS/MSにより定量することができるアミノ酸配列をコードするDNAであれば特に制限されず、具体的にはGIYDGDLK(配列番号7)で示されるアミノ酸配列を挙げることができる。
本発明の評価用ペプチド断片とは、本発明の評価用タンパク質において、質量分析により定量するペプチド断片のことをいう。本発明の評価用ペプチド断片としては、アミノ酸残基数が3〜20のペプチド断片であって、C末端にアルギニン残基(R)又はリシン残基(K)を有し、C末端以外にはアルギニン残基又はリシン残基を有さず、天然に存在するタンパク質及びその変異体と一致しないアミノ酸配列からなる、LC/MS/MSにより検出可能であるペプチド断片であれば特に制限されないが、アミノ酸残基数は8、10又は12であって、1若しくは2のプロリン、又はグリシンを含み、且つ、ヒスチジンを含まないペプチド断片が好ましく、具体的には、QIGDPTVPSGVK(配列番号1)、NVAPAGPTLK(配列番号2)、VGAPGVPALK(配列番号3)及びDAPGSGLK(配列番号4)を挙げることができ、これらの中でもQIGDPTVPSGVK(配列番号1)を好適に例示することができる。なお、本発明の評価用ペプチド断片と本発明の濃度測定用ペプチド断片とは、用途は異なるため、それぞれ異なる用語で定義しているが、両ペプチド断片は、実質的には同一の範疇に含まれるペプチド断片である。
本発明の評価用タンパク質は、例えば次の方法で作製することができる。すなわち、上記評価用タンパク質のアミノ酸配列からcDNA配列を設計し、核酸オリゴ合成及びPCR等によって、cDNAを合成する。さらに、cDNAを発現ベクターに組み込み大腸菌等によってタンパク質を合成する。得られた合成タンパク質は、タグ配列を利用した精製法等の公知の条件・方法によって精製することができる。精製した評価用タンパク質は、アミノ酸分析によって正確な量(濃度)を算出することができる。
本発明の評価用タンパク質を用いると、質量分析において、試料中に含まれるタンパク質のトリプシンによる断片化処理を評価することができる。ここで試料中に含まれるタンパク質としては、例えば本発明の標的タンパク質や4F2hc、abcg5、abcg8、oatp1、mct1、bsep、bcrp、ntcp、bgt1、glut1等の膜タンパク質などを具体的に挙げることができる。本発明の評価用タンパク質を用いた評価は、例えばトリプシンによる断片化処理前の標的タンパク質を含む試料に、既知量の評価用タンパク質を加え、トリプシンによる断片化処理を行い、得られた評価用ペプチド断片をLC/MS/MSにより定量し、得られた定量値を基に行うことができる。評価用ペプチド断片の定量は、検量線を作成し、かかる検量線に基づいて行うことができる。また、トリプシンによる断片化処理前の標的タンパク質を含む試料に、本発明の評価用タンパク質とともに、本発明の安定同位体標識タンパク質を加え、トリプシンによる断片化処理を行うことにより、安定同位体標識標的ペプチド断片を調製することもできる。その場合、本発明の安定同位体標識タンパク質における濃度測定用ペプチド断片としては、評価用ペプチド断片と異なるアミノ酸配列からなるペプチド断片を選択することが好ましい。
検量線は、数段階の濃度が既知の評価用ペプチド断片に、内部標準として安定同位体標識評価用ペプチド断片を規定量加え、LC/MS/MSによる質量分析を行い、得られた各濃度における評価用ペプチド断片と安定同位体標識評価用ペプチド断片とのMSスペクトルの面積比若しくはピーク高比を算出することにより、作成することができる。評価用ペプチド断片の量は、質量分析計の直線的な測定範囲内であることが好ましい。
トリプシンによる断片化処理後、得られた評価用ペプチド断片に、内部標準として既知量の安定同位体標識評価用ペプチド断片を加え、LC/MS/MSを用いた質量分析を行い、評価用ペプチド断片/安定同位体標識評価用ペプチド断片のマススペクトル面積比を算出し、該面積比から検量線を用いて算出することにより、評価用ペプチド断片を定量することができる。
トリプシンによる消化処理前の評価用タンパク質の量(A[mol])及びトリプシンによる消化処理後の質量分析により定量された評価用ペプチド断片の定量値(B[mol])を、式(B/[A×評価用タンパク質に含まれる評価用ペプチド断片数])に入力することにより、評価値を算出することができる。評価値が0.80以上、好ましくは0.90以上、より好ましくは0.95以上の時にタンパク質のトリプシンによる断片化処理が十分行われていると評価できる。また、トリプシンによる断片化処理が十分行われたトリプシン消化時間における評価値(C)及び異なるトリプシン消化時間における評価値(D)の値を、式(消化率=D/C)へ入力することにより、消化率を算出し、かかる消化率を基に評価することもできる。ここでトリプシンによる断片化処理が十分行われたトリプシン消化時間としては、例えば16〜36時間を挙げることができ、20〜30時間が好ましく、24時間がより好ましい。消化率が0.80以上、好ましくは0.90以上、より好ましくは0.95以上の時にタンパク質のトリプシンによる断片化処理が十分行われていると評価できる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
[本発明の評価用タンパク質の構築]
質量分析において、試料中に含まれるタンパク質のトリプシンによる断片化処理を評価するために、評価用タンパク質を用いて消化率を算出する。すなわち、評価用タンパク質の消化率が100%であるとき、タンパク質はトリプシンによる消化処理過程において未消化によるロスをすることなく測定されたと評価できる。しかし、従来の評価用タンパク質を用いた場合は、消化率が100%であったとしても、タンパク質のトリプシンによる消化率が低い場合、完全に消化されていない可能性が考えられた。そこで、評価用タンパク質が完全消化された場合には、タンパク質が完全に消化されたと評価できる評価用タンパク質を作製するために、一般的に消化率が低いとされている膜タンパク質の中から新しい評価用タンパク質の選抜を行った。具体的には、以下の方法にしたがってマウス肝臓の細胞膜画分を単離した。
質量分析において、試料中に含まれるタンパク質のトリプシンによる断片化処理を評価するために、評価用タンパク質を用いて消化率を算出する。すなわち、評価用タンパク質の消化率が100%であるとき、タンパク質はトリプシンによる消化処理過程において未消化によるロスをすることなく測定されたと評価できる。しかし、従来の評価用タンパク質を用いた場合は、消化率が100%であったとしても、タンパク質のトリプシンによる消化率が低い場合、完全に消化されていない可能性が考えられた。そこで、評価用タンパク質が完全消化された場合には、タンパク質が完全に消化されたと評価できる評価用タンパク質を作製するために、一般的に消化率が低いとされている膜タンパク質の中から新しい評価用タンパク質の選抜を行った。具体的には、以下の方法にしたがってマウス肝臓の細胞膜画分を単離した。
マウス肝臓を細切し、組織湿重量の1/100量のPMSF及びプロテアーゼインヒビターを含む氷冷した低張緩衝液(10mM NaCl、1.5mM MgCl2、10mM Tris−HCl、pH7.4)を加えた。テフロン(登録商標)製ホモジナイザー(10ストローク)により組織を破砕し、30分間氷中で静置した後、再び、テフロン(登録商標)製ホモジナイザー(20ストローク)により組織を破砕した。このようにして得られた破砕組織懸濁液を全組織ライセートとした。また、上記のテフロン(登録商標)製ホモジナイザーによる組織を破砕処理後に顕微鏡で組織の破砕状況を確認し、細胞が十分に破砕されていなかった場合には、破砕組織懸濁液を窒素ガス細胞破砕器に移し、nitrogen cavitation法(450psi、15分、4℃)によって、細胞を破砕することにより全組織ライセートを調製した。
上記全組織ライセートを遠心(10,000g、10分、4℃)して上清を回収し、debris分画を取り除いた。得られた上清を、さらに超遠心(100,000g、40分、4℃)し、ペレットを回収した。このペレットを、氷冷したサスペンジョン緩衝液[250mM sucrose (8.56% sucrose)、10mM Tris−HCl、pH7.4]で懸濁した。作製した懸濁液を、38%スクロース溶液(10mM Tris−HCl、pH7.4)に重層して、超遠心(100,000g、40分、4℃)し、中間層を回収した。この中間層を、再度、超遠心(100,000g、40分、4℃)し、得られたペレットを細胞膜画分とした。回収した細胞膜画分を、氷冷したサスペンジョン緩衝液[250mM sucrose (8.56% sucrose)、10mM Tris−HCl、pH7.4]で懸濁した。
上記細胞膜画分に8M尿素溶液を添加することによりタンパク質を変性させ、その後システイン残基のSH基を保護するために、250μg/ml DTT存在下でインキュベーション(室温、30分間)する処理と、625μg/ml ヨードアセトアミド(IAA)存在下でインキュベーション(室温、60分間)する処理とを行った。その後、0.1M Tris−HCIを用いてUreaの最終濃度が1.2Mになるように混合液を調製した。かかる混合液を5本のチューブに等量分注し、トリプシン0.5μgを加えた後、37℃恒温槽中でそれぞれのチューブを1、4、8、16及び24時間インキュベーションした。トリプシン消化により得られたペプチド断片を、質量分析装置(API5000 old)を用いて定量した。コントロールとして、インビトロで発現させた大腸菌Triose Phosphate Isomerase(TPI)タンパク質(標的ペプチド断片;QIDAVLK[配列番号48])(第一世代評価タンパク質)及び配列番号6で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質(評価用ペプチド断片;QIGDPTVPSGVK[配列番号1]及びNVAPAGPTLK[配列番号2])(第二世代評価タンパク質)を用いた。図1に示すとおり、第一世代評価タンパク質よりも第二世代評価タンパク質の方が消化率は低い。
12種類の膜タンパク質(4F2hc、mrp6、abcg5、abcg8、oatp1、oatp2、mct1、bsep、bcrp、ntcp、bgt1、及びNa/K ATPase)について、トリプシンによる消化率を求めた。その結果、4種類の膜タンパク質(4F2hc、oatp1、bsep、及びNa/K ATPase)の消化率は、第二世代評価タンパク質の消化率よりも高かったが、8種類のタンパク質(mrp6、abcg5、abcg8、oatp2、mct1、bcrp、ntcp、及びbgt1)については、第二世代評価タンパク質よりも低いことが示された。その中でも、ntcpタンパク質が最もトリプシンによる消化率が低いことが示された。そこで、ntcpタンパク質(配列番号8)のトリプシン処理により産生されるペプチド断片、すなわちLC/MS/MSによる標的ペプチド断片であるGIYDGDLK(配列番号7)を、QIGDPTVPSGVK(配列番号1)で示されるアミノ酸配列からなる評価用ペプチド断片へ置換したタンパク質(配列番号5)(第三世代評価タンパク質)を構築した。かかる第三世代評価タンパク質の消化率を検証した結果、第二世代評価タンパク質よりもさらに消化率が低いことが明らかとなった(図2)。また、10種類の膜タンパク質(4F2hc、abcg5、abcg8、oatp1、mct1、bsep、bcrp、ntcp、bgt1、及びglut1)と消化率を比較した結果、第三世代評価タンパク質は、mct1、ntcp及びbgt1を除く7種類のタンパク質(4F2hc、abcg5、abcg8、oatp1、bsep、bcrp、及びglut1)と比べ消化率が低いことが示された(図3〜6)。この結果は、第二世代評価タンパク質は、12種類の膜タンパク質のうち、4種類の膜タンパク質と比べ消化率が低いのに対し、第三世代評価タンパク質は、10種類の膜タンパク質のうち、7種類の膜タンパク質と比べ消化率が低いことを示しており、第三世代評価タンパク質は、第二世代評価タンパク質よりもより多くの標的タンパク質の消化処理を評価できることが明らかとなった。
[本発明のトリプシンにより断片化処理の改良]
難消化性タンパク質である膜タンパク質のトリプシンによる消化率を高めるために、消化方法を改良することを考えた。トリプシンは、リシン(K)及びアルギニン(R)のカルボキシル基側のペプチド結合を加水分解する酵素であるが、アルギニン残基における切断効率と比較して、リシン残基における切断効率が低いと考えられていた。そこで、本実験においては、リシン残基を切断する活性を有する酵素であるリシルエンドペプチダーゼ(以下、「Lys−C」と記載する場合もある)を、トリプシンと組み合わせて用いることによって、効率的なタンパク質の分解が可能となるかどうかを検討した(図7)。
上記実施例1で調製した細胞膜画分を、トリプシン単独で消化したときの消化率と、Lys−Cによる3時間の消化後に、トリプシンで16時間消化したときの消化率とを比較した。トリプシン及びLys−Cの反応条件は以下のとおりである。
<トリプシン>
トリプシン:Sequencing Grade Modified Trypsin,Frozen(プロメガ社製)
濃度:タンパク質量の1/100量
バッファー組成:1.2M urea、0.1M Tris−HCl、0.05%ProteaseMaxTM Surfactant
温度:37℃
<Lys−C>
Lys−C:Lysyl Endopeptidase生化学用(和光純薬工業社製)
濃度:タンパク質量の1/100量
バッファー組成:1.2M urea、0.1M Tris−HCl、0.05%ProteaseMaxTM Surfactant
温度:室温(15〜25℃)
難消化性タンパク質である膜タンパク質のトリプシンによる消化率を高めるために、消化方法を改良することを考えた。トリプシンは、リシン(K)及びアルギニン(R)のカルボキシル基側のペプチド結合を加水分解する酵素であるが、アルギニン残基における切断効率と比較して、リシン残基における切断効率が低いと考えられていた。そこで、本実験においては、リシン残基を切断する活性を有する酵素であるリシルエンドペプチダーゼ(以下、「Lys−C」と記載する場合もある)を、トリプシンと組み合わせて用いることによって、効率的なタンパク質の分解が可能となるかどうかを検討した(図7)。
上記実施例1で調製した細胞膜画分を、トリプシン単独で消化したときの消化率と、Lys−Cによる3時間の消化後に、トリプシンで16時間消化したときの消化率とを比較した。トリプシン及びLys−Cの反応条件は以下のとおりである。
<トリプシン>
トリプシン:Sequencing Grade Modified Trypsin,Frozen(プロメガ社製)
濃度:タンパク質量の1/100量
バッファー組成:1.2M urea、0.1M Tris−HCl、0.05%ProteaseMaxTM Surfactant
温度:37℃
<Lys−C>
Lys−C:Lysyl Endopeptidase生化学用(和光純薬工業社製)
濃度:タンパク質量の1/100量
バッファー組成:1.2M urea、0.1M Tris−HCl、0.05%ProteaseMaxTM Surfactant
温度:室温(15〜25℃)
結果を図8及び9にそれぞれ示す。図8及び9に示されるように、ntcpタンパク質及びmct1タンパク質の両方のタンパク質の消化率は、トリプシン単独と比較して、Lys−C消化後にトリプシンで消化した場合に、大幅に上昇することが明らかとなった。次に、トリプシン単独で16時間消化した場合と、Lys−Cによる3時間の消化後にトリプシンで消化した場合の、4F2hc、mrp6、abcg5、abcg8、oatp1、mct1、bsep、ntcp、glut1、bgt1、及びNa/K ATPaseのLC/MS/MSによる定量値の違いを検討した。図10に結果を示すように、ntcpは、トリプシン単独で消化した場合の定量値が3.72であるのに対し、Lys−C消化後にトリプシンで消化した場合の定量値は26.2であり、7倍もの差が認められた。以上のことから、トリプシンでの消化を行う前に、Lys−Cで消化を行うことにより、効率よく断片化処理を行うことができ、より正確な定量値を得ることが可能となることが明らかとなった。
[本発明の標的タンパク質を含む試料の調製方法の改良]
細胞膜画分には夾雑物が多く含まれているため、このことがトリプシンによる消化率を低下させる原因であると考えられた。夾雑物を除く方法として、SISCAPA法が知られている。SISCAPA法は、タンパク質試料を消化処理して得られたペプチド断片を、ペプチド断片を認識する抗体を用いてアフィニティー精製を行うことにより、濃縮する方法である(図11、左)。SISCAPA法を行うと、質量分析前のタンパク質試料に含まれる夾雑物を少なくすることができるため、検出されるペプチド断片のピーク強度を上昇させることができるが、標的ペプチド断片に対する抗体がその都度必要となるため、簡便性の面で問題があった。タンパク質を認識する抗体で濃縮できれば、標的ペプチド断片を認識する抗体に限定されないため、使用できる抗体の幅が広くなると考えた。そこで、消化処理する前のタンパク質試料に対して、タンパク質を認識する抗体を用いてアフィニティー精製する方法を検討した(図11、右)。
細胞膜画分には夾雑物が多く含まれているため、このことがトリプシンによる消化率を低下させる原因であると考えられた。夾雑物を除く方法として、SISCAPA法が知られている。SISCAPA法は、タンパク質試料を消化処理して得られたペプチド断片を、ペプチド断片を認識する抗体を用いてアフィニティー精製を行うことにより、濃縮する方法である(図11、左)。SISCAPA法を行うと、質量分析前のタンパク質試料に含まれる夾雑物を少なくすることができるため、検出されるペプチド断片のピーク強度を上昇させることができるが、標的ペプチド断片に対する抗体がその都度必要となるため、簡便性の面で問題があった。タンパク質を認識する抗体で濃縮できれば、標的ペプチド断片を認識する抗体に限定されないため、使用できる抗体の幅が広くなると考えた。そこで、消化処理する前のタンパク質試料に対して、タンパク質を認識する抗体を用いてアフィニティー精製する方法を検討した(図11、右)。
ヒト肺がん細胞株(H1975)を回収した後、組織湿重量の1/100量のPMSF及びプロテアーゼインヒビターを含む氷冷した低張緩衝液(137mM NaCl、8.10mM Na2HPO4・12H2O、2.68mM KCl、1.47mM KH2PO4)に懸濁し、その後上記実施例1の方法にしたがって細胞膜画分を調製した。かかる細胞膜画分に対して、抗EGFR抗体を用いたアフィニティー精製を行った。以下に詳しい方法を述べる。キット(PathScan(R)Total EGFReceptor SandwichELISA Kit #7250[Cell Signaling Technology社製])の、抗EGFR抗体が固相化されたマイクロウェルストリッププレートに、上で調製した細胞膜画分を加えた。そのプレートを37℃、2時間インキュベーションした。その後ウェルの溶液を捨て洗浄を行い、アフィニティー精製を行った。
アフィニティー精製によりEGFRタンパク質を濃縮した後、上記実施例2におけるトリプシンによる消化処理によりペプチド断片試料を得た。標的ペプチド断片は、EGFRが有するELIIEFSK(配列番号9)(EGFR all[963−970])、並びにEGFRの2つのバリアントがそれぞれ有するITDFGR(配列番号10)(EGFR mut[L858R])及びITDFGLAK(配列番号11)(EGFR WT[L858])を選択した。かかる3種類の標的ペプチド断片をLC/MS/MSにより定量した(図12)。EGFRタンパク質を濃縮した場合の試料と、非濃縮の場合の試料とを比較した結果、EGFRタンパク質を濃縮したことによりEGFR all(963−970)、EGFR mut(L858R)及びEGFR WT(L858)のピーク強度は、それぞれ13.6倍、7.9倍及び16.0倍に上昇していることが明らかになった。また、上記ペプチド断片を含む試料と血清(human serum,fro, human male AB plasma,sterile−filtered H4522[Sigma−Aldrich社製])とを混合し、かかる混合液をELISAにより解析したところ、LC/MS/MSの結果と矛盾しないことがわかった(図12)。これらの結果から、EGFRタンパク質を濃縮したことにより夾雑タンパク質を除去することができ、その結果イオンサプレッションを低減させることによりピーク強度が上昇したことが考えられる。
[本発明の安定同位体標識タンパク質の調製]
質量分析による標的タンパク質の定量解析を網羅的に行う場合、内部標準として使用する安定同位体標識標的ペプチド断片は、定量する標的ペプチド断片に応じた数だけ必要となる。安定同位体標識標的ペプチド断片は、外注することが一般的だが、1種類あたりの費用に10万円前後かかってしまうことから、コストの面で問題があった。そこで、より安価で且つ簡便に安定同位体標識標的ペプチド断片を作製する方法を検討した。安定同位体標識標的ペプチド断片の調製は以下の方法にしたがって行った。なお、図13に方法の概要を示す。
質量分析による標的タンパク質の定量解析を網羅的に行う場合、内部標準として使用する安定同位体標識標的ペプチド断片は、定量する標的ペプチド断片に応じた数だけ必要となる。安定同位体標識標的ペプチド断片は、外注することが一般的だが、1種類あたりの費用に10万円前後かかってしまうことから、コストの面で問題があった。そこで、より安価で且つ簡便に安定同位体標識標的ペプチド断片を作製する方法を検討した。安定同位体標識標的ペプチド断片の調製は以下の方法にしたがって行った。なお、図13に方法の概要を示す。
一般診断マーカーを検出する36種類の標的ペプチド断片をコードするDNAがタンデムに連結されたタンデム結合DNAの5’末端へ、濃度測定用ペプチド断片(QIGDPTVPSGVK:配列番号1)をコードするDNAを連結させた連結体DNAを合成した。かかる連結体DNAをpET−vectorへ挿入し、大腸菌抽出液(無細胞くんQuick[大陽日酸社製])とエネルギーとしてのATP及び安定同位体標識したリジン、アルギニンを含む反応溶液中で、30℃で16時間のインキュベートを行うことで、安定同位体標識タンパク質を発現させた。安定同位体タンパク質を含む反応溶液を8M Urea存在下で可溶化処理を行った後、その一部をSDS−PAGEによって分画を行った後、CBB R−250による検出により、安定同位体標識タンパク質が発現していることを確認した。上記可溶化処理を行った溶液を、0.5M Tris−HCl(pH8.5)でUreaの最終濃度が1.2Mになるように調整した後、タンパク質量の1/100量のトリプシンを添加し、37℃で16時間のインキュベートを行うことで安定同位体標識標的ペプチド断片を調製した。濃度測定用ペプチド断片の絶対量は、安定同位体標識タンパク質の絶対量に等しいので、濃度測定用ペプチド断片の濃度をLC-MS/MSによる絶対定量法により測定することで安定同位体標識タンパク質の濃度を算出した。
[安定同位体標識標的ペプチド断片の検出感度]
2020fmolの安定同位体標識タンパク質を含む上記可溶性画分に対して、上記実施例2におけるトリプシンによる消化処理を行った後、LC/MS/MSにより安定同位体標識ペプチド断片の検出感度を測定した。結果を図14に示す。得られた36種類のペプチド断片のピークエリア(counts)に、「10fmol/2020fmol」を乗じると、すべてのペプチド断片において、検出可能な1000counts以上を示したことから、10fmolのペプチド断片を十分検出できる感度であることが明らかになった。
2020fmolの安定同位体標識タンパク質を含む上記可溶性画分に対して、上記実施例2におけるトリプシンによる消化処理を行った後、LC/MS/MSにより安定同位体標識ペプチド断片の検出感度を測定した。結果を図14に示す。得られた36種類のペプチド断片のピークエリア(counts)に、「10fmol/2020fmol」を乗じると、すべてのペプチド断片において、検出可能な1000counts以上を示したことから、10fmolのペプチド断片を十分検出できる感度であることが明らかになった。
以下に、消化処理により得られた36種類のペプチド断片を示す。
SSDYFGNGR(配列番号12):血清アミラーゼ
IYVSDDGK(配列番号13):血清アミラーゼ
QGLLPVLESFK(配列番号14):Apo−A1
DLATVYVDVLK(配列番号15):Apo−A1
SPELQAEAK(配列番号16):Apo−A2
IEIPLPFGGK(配列番号17):Apo−B(48+100)
EFQVPTFTIPK(配列番号18):Apo−B(48+100)
NPNGYSFSIPVK(配列番号19):Apo−B100
NIILPVYDK(配列番号20):Apo−B100
TYLPAVDEK(配列番号21):Apo−C2
GWVTDGFSSLK(配列番号22):Apo−C3
LGPLVEQGR(配列番号23):Apo−E
ITWSNPPAQGAR(配列番号24):GOT 細胞質
LALGDDSPALK(配列番号25):GOT 細胞質
FVTVQTISGTGALR(配列番号26):GOT ミトコンドリア
ILVSGGGK(配列番号27):GPT
TPSSWGR(配列番号28):GPT
LVIITAGAR(配列番号29):LDH Mサブユニット
IVVVTAGVR(配列番号30):LDH Hサブユニット
FPFVALSK(配列番号31):ALP
LFQPSIQLAR(配列番号32):γ−GTP
GGLSVAVPGEIR(配列番号33):γ−GTP
EPQVYTLPPSR(配列番号34):ZTT
ALPAPIEK(配列番号35):ZTT
NIAAFGGNPK(配列番号36):CHE
FWTSFFPK(配列番号37):CHE
INGIPQQHTQVLFIAK(配列番号38):CEA
HSQPWQVLVASR(配列番号39):PSA
LTSPVVTTSTR(配列番号40):CA125
FPDIFSVASSR(配列番号41):CA125
SSVPSSTEK(配列番号42):CA15−3
ATTTPASK(配列番号43):CA15−3
ILGATIENSR(配列番号44):CYFRA
ANTFLEEVR(配列番号45):PIVKA−II
VLQGLPR(配列番号46):HER2
GGVLIQR(配列番号47):HER2
SSDYFGNGR(配列番号12):血清アミラーゼ
IYVSDDGK(配列番号13):血清アミラーゼ
QGLLPVLESFK(配列番号14):Apo−A1
DLATVYVDVLK(配列番号15):Apo−A1
SPELQAEAK(配列番号16):Apo−A2
IEIPLPFGGK(配列番号17):Apo−B(48+100)
EFQVPTFTIPK(配列番号18):Apo−B(48+100)
NPNGYSFSIPVK(配列番号19):Apo−B100
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TYLPAVDEK(配列番号21):Apo−C2
GWVTDGFSSLK(配列番号22):Apo−C3
LGPLVEQGR(配列番号23):Apo−E
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LALGDDSPALK(配列番号25):GOT 細胞質
FVTVQTISGTGALR(配列番号26):GOT ミトコンドリア
ILVSGGGK(配列番号27):GPT
TPSSWGR(配列番号28):GPT
LVIITAGAR(配列番号29):LDH Mサブユニット
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FPFVALSK(配列番号31):ALP
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[本発明の安定同位体標識タンパク質の完全長が合成されたことを評価する方法]
上記実施例4に記載の方法により作製された安定同位体標識タンパク質やそれを構成する各安定同位体標識標的ペプチド断片の濃度は、濃度測定用ペプチド断片の濃度として定量しているが、これは安定同位体標識タンパク質が完全に合成されることを前提としている。なんらかの原因で安定同位体標識タンパク質が完全に合成されないケースも考えられるので、そのようなケースを検出する方法の検討を行った。すなわち、濃度測定用ペプチド断片を安定同位体標識タンパク質のアミノ末端側に加えてカルボキシル末端側に付加し、両末端の濃度測定用ペプチド断片の濃度を測定し、かかる両末端の濃度測定用ペプチド断片の濃度を比較することにより、安定同位体標識タンパク質が完全に合成されたかどうかを評価できるかどうかを検討した(図15)。まず、安定同位体標識タンパク質の完全長が合成されたかどうかを検証するためのモデルタンパク質として、MP1(配列番号49)及びMP2(配列番号50)を設計した。MP1は、標的ペプチド断片がタンデムに連結したタンデム結合タンパク質(配列番号51)のアミノ末端に、濃度測定用ペプチド断片(QIGDPTVPSGVK:配列番号1)(以下、「濃度測定用ペプチド断片A」という)が付加し、且つかかるタンデム結合タンパク質のカルボキシル末端に、濃度測定用ペプチド断片(NVAPAGPTLK:配列番号2)(以下、「濃度測定用ペプチド断片B」という)が付加したものである。また、MP2は、標的ペプチド断片がタンデムに連結したタンデム結合タンパク質(配列番号52)のアミノ末端に、濃度測定用ペプチド断片Aが付加し、且つかかるタンデム結合タンパク質のカルボキシル末端に、濃度測定用ペプチド断片Bが付加したものである。続いてかかる2種類のタンパク質(MP1及びMP2)を発現させるために、タンデム結合タンパク質をコードするタンデム結合DNAの5’末端に濃度測定用ペプチド断片Aを連結させ、かつ、タンデム結合DNAの3’末端に濃度測定用ペプチド断片BをコードするDNAを連結させた連結体DNAを合成した。合成した連結体DNAをpET−vectorへ挿入し、大腸菌抽出液(無細胞くんQuick[大陽日酸社製])とエネルギーとしてのATPを含む反応溶液中で、30℃で16時間のインキュベートを行うことで、タンパク質を合成した。なお、今回は、安定同位体標識モデルタンパク質が完全に合成されたかどうかを評価することに着目して解析を行ったので、タンパク質の合成は、安定同位体標識アミノ酸非存在下で行った。
上記実施例4に記載の方法により作製された安定同位体標識タンパク質やそれを構成する各安定同位体標識標的ペプチド断片の濃度は、濃度測定用ペプチド断片の濃度として定量しているが、これは安定同位体標識タンパク質が完全に合成されることを前提としている。なんらかの原因で安定同位体標識タンパク質が完全に合成されないケースも考えられるので、そのようなケースを検出する方法の検討を行った。すなわち、濃度測定用ペプチド断片を安定同位体標識タンパク質のアミノ末端側に加えてカルボキシル末端側に付加し、両末端の濃度測定用ペプチド断片の濃度を測定し、かかる両末端の濃度測定用ペプチド断片の濃度を比較することにより、安定同位体標識タンパク質が完全に合成されたかどうかを評価できるかどうかを検討した(図15)。まず、安定同位体標識タンパク質の完全長が合成されたかどうかを検証するためのモデルタンパク質として、MP1(配列番号49)及びMP2(配列番号50)を設計した。MP1は、標的ペプチド断片がタンデムに連結したタンデム結合タンパク質(配列番号51)のアミノ末端に、濃度測定用ペプチド断片(QIGDPTVPSGVK:配列番号1)(以下、「濃度測定用ペプチド断片A」という)が付加し、且つかかるタンデム結合タンパク質のカルボキシル末端に、濃度測定用ペプチド断片(NVAPAGPTLK:配列番号2)(以下、「濃度測定用ペプチド断片B」という)が付加したものである。また、MP2は、標的ペプチド断片がタンデムに連結したタンデム結合タンパク質(配列番号52)のアミノ末端に、濃度測定用ペプチド断片Aが付加し、且つかかるタンデム結合タンパク質のカルボキシル末端に、濃度測定用ペプチド断片Bが付加したものである。続いてかかる2種類のタンパク質(MP1及びMP2)を発現させるために、タンデム結合タンパク質をコードするタンデム結合DNAの5’末端に濃度測定用ペプチド断片Aを連結させ、かつ、タンデム結合DNAの3’末端に濃度測定用ペプチド断片BをコードするDNAを連結させた連結体DNAを合成した。合成した連結体DNAをpET−vectorへ挿入し、大腸菌抽出液(無細胞くんQuick[大陽日酸社製])とエネルギーとしてのATPを含む反応溶液中で、30℃で16時間のインキュベートを行うことで、タンパク質を合成した。なお、今回は、安定同位体標識モデルタンパク質が完全に合成されたかどうかを評価することに着目して解析を行ったので、タンパク質の合成は、安定同位体標識アミノ酸非存在下で行った。
合成した2種類のタンパク質(MP1及びMP2)を、8M Urea存在下で可溶化処理を行った後、0.5M Tris−HCl(pH8.5)でUreaの最終濃度が1.2Mになるように調整した後、タンパク質量の1/100量のトリプシンを添加し、37℃で16時間のインキュベートを行うことで標的ペプチド断片並びに濃度測定用ペプチド断片A及びBを調製した。濃度既知(500fmol)の安定同位体標識濃度測定用ペプチド断片A及びBを内部標準として用い、濃度測定用ペプチド断片A及びBの濃度をLC/MS/MSにより定量し、得られた濃度測定用ペプチド断片A及びBの定量値(表1、図16)を、式(濃度測定用ペプチド断片Bの定量値/濃度測定用ペプチド断片Aの定量値)に代入することにより、完全に合成されたモデルタンパク質の割合(図15、表1の「完全長の比率」)を算出した。その結果を表1に示す。モデルタンパク質としてMP2を用いた場合、「完全長の比率」は0.87であった。すなわち、合成されたMP2のうち、87%が完全長のものであると評価することができた。他方、モデルタンパク質としてMP1を用いた場合、「完全長の比率」は0.23であった。すなわち、合成されたMP1のうち、23%が完全長のものであると評価することができた。
以上の結果から、濃度測定用ペプチド断片を安定同位体標識タンパク質のアミノ末端側及びカルボキシル末端側に付加し、両末端の濃度測定用ペプチド断片の濃度を測定することにより、安定同位体標識タンパク質のタンパク質合成が完全に行われたことを評価できることが明らかとなった。例えば、合成した安定同位体標識タンパク質が、上記MP2の結果で示すように大部分が完全長である場合、完全長のものを精製するステップを経ずに安定同位体標識タンパク質を調製することができる。また、合成した安定同位体標識タンパク質が、上記MP1の結果で示すように完全長のものの割合が少ない場合、タンパク質の合成条件を検討することや、カルボキシル末端にHATタグなどのタグを付加し、完全長の安定同位体標識タンパク質を精製するなどの対策を講じて、安定同位体標識タンパク質を調製することができる。
濃度測定用ペプチド断片A及びBの定量値は、平均(Mean)±標準偏差(SEM)(n=4)で示す。
Claims (13)
- 以下の工程(a)〜(d)を備えた、質量分析における安定同位体標識標的ペプチド断片の作製方法。
(a)1種又は2種以上の標的ペプチド断片をコードするDNAがタンデムに2以上結合したタンデム結合DNAと、濃度測定用ペプチド断片をコードするDNAとの連結体DNAを、安定同位体標識アミノ酸の存在する系で発現させることにより、安定同位体標識タンパク質を調製する工程;
(b)安定同位体標識タンパク質を、トリプシンにより断片化処理し、安定同位体標識濃度測定用ペプチド断片及び安定同位体標識標的ペプチド断片を調製する工程;
(c)液体クロマトグラフ−タンデム質量分析装置(LC/MS/MS)により、安定同位体標識濃度測定用ペプチド断片を定量する工程;
(d)安定同位体標識濃度測定用ペプチド断片の定量値から、安定同位体標識標的ペプチド断片の濃度を算出する工程; - トリプシンによる断片化処理が、トリプシンとリシルエンドペプチダーゼとの併用による断片化処理である請求項1記載の作製方法。
- 濃度測定用ペプチド断片が、QIGDPTVPSGVK(配列番号1)又はNVAPAGPTLK(配列番号2)で示すアミノ酸配列からなることを特徴とする請求項1又は2記載の作製方法。
- 濃度測定用ペプチド断片をコードするDNAが、タンデム結合DNAの5’末端に連結され、且つ前記タンデム結合DNAの5’末端に連結される濃度測定用ペプチド断片とは異なるアミノ酸配列からなる濃度測定用ペプチド断片をコードするDNAが、タンデム結合DNAの3’末端に連結されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の作製方法。
- 安定同位体標識タンパク質が、配列番号8で示されるアミノ酸配列からなるntcpタンパク質をコードするDNAの一部が連結体DNAに置換されたDNAを発現させることにより得られることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の作製方法。
- 以下の工程(A)〜(G)を備えた試料中の標的タンパク質の定量方法。
(A)標的タンパク質に含まれる1種又は2種以上の標的ペプチド断片をコードするDNAがタンデムに2以上結合したタンデム結合DNAと、濃度測定用ペプチド断片をコードするDNAとの連結体DNAを、安定同位体標識アミノ酸の存在する系で発現させることにより、安定同位体標識タンパク質を調製する工程;
(B)安定同位体標識タンパク質を、トリプシンにより断片化処理し、安定同位体標識濃度測定用ペプチド断片及び安定同位体標識標的ペプチド断片を調製する工程;
(C)液体クロマトグラフ−タンデム質量分析装置(LC/MS/MS)により、安定同位体標識濃度測定用ペプチド断片を定量する工程;
(D)安定同位体標識濃度測定用ペプチド断片の定量値から、安定同位体標識標的ペプチド断片の濃度を算出する工程;
(E)1種又は2種以上の標的タンパク質を含む試料を、トリプシンにより断片化処理し、標的ペプチド断片を調製する工程;
(F)工程(A)〜(D)で得られる濃度が既知の安定同位体標識標的ペプチド断片を内部標準として、液体クロマトグラフ−タンデム質量分析装置(LC/MS/MS)により、工程(E)で得られる標的ペプチド断片の定量を行う工程;
(G)標的ペプチド断片の定量値から、標的タンパク質の濃度を算出する工程; - 以下の工程(A’)〜(G’)を備えた試料中の標的タンパク質の定量方法。
(A’)標的タンパク質に含まれる1種又は2種以上の標的ペプチド断片をコードするDNAがタンデムに2以上結合したタンデム結合DNAと、濃度測定用ペプチド断片をコードするDNAとの連結体DNAを、安定同位体標識アミノ酸の存在する系で発現させることにより、安定同位体標識タンパク質を調製する工程;
(B’)安定同位体標識タンパク質を、トリプシンにより断片化処理し、安定同位体標識濃度測定用ペプチド断片を調製する工程;
(C’)液体クロマトグラフ−タンデム質量分析装置(LC/MS/MS)により、安定同位体標識濃度測定用ペプチド断片を定量する工程;
(D’)安定同位体標識濃度測定用ペプチド断片の定量値から、安定同位体標識標的タンパク質の濃度を算出する工程;
(E’)1種又は2種以上の標的タンパク質を含む試料に、工程(D’)で得られる濃度が既知の安定同位体標識タンパク質を添加して、トリプシンにより断片化処理し、標的ペプチド断片、及び濃度が既知の安定同位体標識標的ペプチド断片を調製する工程;
(F’)工程(E’)で得られる濃度が既知の安定同位体標識標的ペプチド断片を内部標準として、液体クロマトグラフ−タンデム質量分析装置(LC/MS/MS)により、工程(E’)で得られる標的ペプチド断片の定量を行う工程;
(G’)標的ペプチド断片の定量値から、標的タンパク質の濃度を算出する工程; - 以下の工程(A’’)〜(F’’)を備えた試料中の標的タンパク質の定量方法。
(A’’)標的タンパク質に含まれる1種又は2種以上の標的ペプチド断片をコードするDNAがタンデムに2以上結合したタンデム結合DNAと、濃度測定用ペプチド断片をコードするDNAとの連結体DNAを、安定同位体標識アミノ酸の存在する系で発現させることにより、安定同位体標識タンパク質を調製する工程;
(B’’)1種又は2種以上の標的タンパク質を含む試料に、工程(A’’)で調製された安定同位体標識タンパク質を添加して、トリプシンにより断片化処理し、標的ペプチド断片、安定同位体標識標的ペプチド断片、及び安定同位体標識濃度測定用ペプチド断片を調製する工程;
(C’’)液体クロマトグラフ−タンデム質量分析装置(LC/MS/MS)により、安定同位体標識濃度測定用ペプチド断片を定量する工程;
(D’’)安定同位体標識濃度測定用ペプチド断片の定量値から、安定同位体標識標的ペプチド断片の濃度を算出する工程;
(E’’)工程(D’’)で得られる濃度が既知の安定同位体標識標的ペプチド断片を内部標準として、液体クロマトグラフ−タンデム質量分析装置(LC/MS/MS)により、工程(B’’)で得られる標的ペプチド断片の定量を行う工程;
(F’’)標的ペプチド断片の定量値から、標的タンパク質の濃度を算出する工程; - 標的タンパク質をトリプシンにより断片化処理する前に、該標的タンパク質に特異的に結合する抗体と接触させ、あらかじめ標的タンパク質を精製する工程(p)をさらに備えたことを特徴とする請求項6〜8のいずれか記載の定量方法。
- トリプシンによる断片化処理が、トリプシンとリシルエンドペプチダーゼとの併用による断片化処理である請求項6〜9のいずれか記載の定量方法。
- 濃度測定用ペプチド断片が、QIGDPTVPSGVK(配列番号1)又はNVAPAGPTLK(配列番号2)で示すアミノ酸配列からなることを特徴とする請求項6〜10のいずれか記載の定量方法。
- 濃度測定用ペプチド断片をコードするDNAが、タンデム結合DNAの5’末端に連結され、且つ前記タンデム結合DNAの5’末端に連結される濃度測定用ペプチド断片とは異なるアミノ酸配列からなる濃度測定用ペプチド断片をコードするDNAが、タンデム結合DNAの3’末端に連結されていることを特徴とする請求項6〜11のいずれか記載の定量方法。
- 安定同位体標識タンパク質が、配列番号8で示されるアミノ酸配列からなるntcpタンパク質をコードするDNAの一部が連結体DNAに置換されたDNAを発現させることにより得られることを特徴とする請求項6〜12のいずれか記載の定量方法。
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BEYNON,R.J. 他: ""Multiplexed absolute quantification in proteomics using artifitial QCAT proteins of concatenated s", NATURE METHODS, vol. Volume 2, Number 8, JPN6014054444, 21 July 2005 (2005-07-21), pages 587 - 589, ISSN: 0002973115 * |
GERBER S A ET AL: "Absolute quantification of proteins and phosphoproteins from cell lysates by tandem MS", PNAS, vol. 100, no. 12, JPN6012036644, 10 June 2003 (2003-06-10), US, pages 6940 - 6945, XP002360986, ISSN: 0002973114, DOI: 10.1073/pnas.0832254100 * |
酒井 他3名: "LC−MS/MSを用いた絶対定量法の評価用リコンビナントリファレンスタンパク質の発現と精製", 第128年会日本薬学会YOKOHAMA2008要旨集4, JPN6010010564, 5 March 2008 (2008-03-05), ISSN: 0002973113 * |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2019507341A (ja) * | 2016-02-04 | 2019-03-14 | オンコバイオロジクス,インコーポレイティド | タンパク質のアミノ酸配列の同定及び分析方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
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EP2735871A1 (en) | 2014-05-28 |
US9163276B2 (en) | 2015-10-20 |
JP5682986B2 (ja) | 2015-03-11 |
US20140255966A1 (en) | 2014-09-11 |
WO2013014853A1 (ja) | 2013-01-31 |
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EP2735871A4 (en) | 2015-03-11 |
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