JPWO2012164874A1 - 植物育成構造及び植物育成用土壌 - Google Patents

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Abstract

砂を撥水コーティングすることで形成された撥水砂(1)と、撥水砂の中で根(2b)を伸ばして育成する植物(2a)を有し、撥水砂内に複数に分散して点在した保水層(3)を有し、根が伸長によって少なくとも一つ以上の保水層に到達するよう構成している。

Description

本発明は、撥水効果を有する砂を用いた水耕栽培に使用可能な植物育成構造及び植物育成用土壌に関するものである。
地球環境レベルで土壌を人類にとって望ましいものにするために改良を行う土壌改良技術に関して、食糧危機の観点から農作物が育ち易く、生産効率を向上できるように土壌構造を改良する試みが行われている。特に、砂漠化した土地において、不足しがちな水分を保持するための工夫として、現地に多く存在する砂自身を撥水コーティングしたものを活用する土壌改良に関する考案があった。
従来の土壌改良の一例としては、保水剤を有する土壌上に保水剤を含有しない土壌層を介して疎水性粒子からなる疎水層を有するものが考案されている(例えば、特許文献1参照)。図8Aに示すように、保水剤を有する保水剤層50の上に通常土壌51を設け、その上に水分蒸発を防ぐため疎水層52を構成している。また、図8Bに示すように、図8Aの構成の最上部に通常土壌51を設ける、或いは保水剤層50の上に疎水層52を有し、その上に通常土壌51を有する構成も記載されている。通常土壌51の厚みは10〜100mmである。そして、図8Cに示すように、疎水層52の内部に疎水層52を貫通して部分的に疎水性を有しない通常土壌51を有する構成もあった。保水剤層50の上に疎水層52を設けて蒸発防止でき、さらに疎水層52の上に通常土壌層51があることで、疎水層52を太陽光又は風から守ることができる構成である。
特許第3057304号公報
しかしながら、前述した構成の土壌構造にも課題がある。
特許文献1の方法では、疎水層52が存在するために、地表面30から水を注いだ場合に、保水剤層50にまで水分が到達し難い欠点を基本的に有する。特許文献1では、図8Cに示したように、疎水層52の内部に、又は、疎水層52を貫通して、部分的に疎水性を有しない通常土壌51を有しており、例えば、植物を植える用途に用いた場合に、その土壌表面に植物を植える限定された部分のみ疎水性を除くことが効果的な場合がある。この場合には、地表面30から水を注いだ場合も、極めて速く土壌に水が浸透し、疎水層52を通過、或いは回避して保水剤に水が到達して保持されることが可能である。
しかし、この場合にも、通常土壌51又は保水剤層50へ、植物が必要とする適切な量の水分のみを到達させて保持するのは困難で、給水する量の正確なコントロールが必要となる欠点がある。給水が多過ぎても通常土壌51に無駄に吸収され、或いは過剰な水分が保水剤層50上に維持されるために、食物に適切に空気が供給されずに、根腐れが生じる可能性がある。逆に、疎水層52を貫通する水分量コントロールが不十分なために例えば、水分が不足すると、植物は適切には生育しないと言う欠点がある。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、必要最低限の水分を供給でき、植物の根への空気供給も可能な植物育成構造及び植物育成用土壌を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明は以下のように構成する。
本発明の1つの態様によれば、砂の表面を撥水コーティングした撥水砂で構成される撥水砂層と、
前記撥水砂層の内部に、前記撥水砂層の深さ方向に点在して配置されかつ水分を保持可能な複数の保水層と、
前記撥水砂層内に根を有し、前記根が前記複数の保水層の間を繋ぐように、前記保水層に接触している植物とを備える、植物育成構造を提供する。
本発明の別の態様によれば、砂の表面を撥水コーティングした撥水砂で構成される撥水砂層と、
前記撥水砂層の内部に、前記撥水砂層の深さ方向に点在して配置されかつ水分を保持可能な複数の保水層とを有する土壌であり、
前記保水層は、前記撥水砂層内の植物の根が前記複数の保水層の間を繋ぐように伸びて接触し、前記撥水砂層の外部から前記植物に供給されて前記植物の前記根を伝って移動した水分を、前記保水層で保持される、植物育成用土壌を提供する。
これらの概括的かつ特定の態様は、システム、方法、並びに、システム及び方法の任意の組み合わせにより実現してもよい。
本発明の前記発明にかかる植物育成構造及び植物育成用土壌によれば、生育速度が異なる個々の植物に個別対応して、必要最低限の水分を供給でき、植物の根への空気供給も可能となる。その結果、高効率で高品質な水耕栽培を可能とすることができる。
本発明のこれらと他の目的と特徴は、添付された図面についての実施形態に関連した次の記述から明らかになる。この図面においては、
図1Aは、本発明の第1実施形態における植物育成構造の構成において、水分を供給した後の状態を示す断面図、 図1Bは、図1Aの状態よりも植物の根が伸びた状態における、本発明の第1実施形態における植物育成構造の構成を示す断面図、 図1Cは、図1Bの状態よりも植物の根が伸びた状態における、本発明の第1実施形態における植物育成構造の構成を示す断面図、 図1Dは、本発明の第1実施形態における植物育成構造の構成において、水分を供給する前の状態を示す断面図、 図1Eは、本発明の第1実施形態の変形例における植物育成構造の構成において、水分を供給する前の状態を示す断面図、 図1Fは、図1Eの本発明の第1実施形態の変形例における植物育成構造の構成において、水分を供給した後の状態を示す断面図、 図2Aは、本発明の第1実施形態の変形例における植物育成構造の断面円弧状の保水層構成を示した断面図、 図2Bは、本発明の第1実施形態とその変形例との組み合わせにおける植物育成構造の保水層構成を示した断面図、 図3は、本発明の第1実施形態の別の変形例における植物育成構造の層状の保水層構成を示した断面図、 図4は、本発明の第1実施形態における植物育成構造の基本原理の説明のための実験装置を示した図、 図5Aは、本発明の第1実施形態における植物育成構造の基本原理の説明のための実験装置を示した図、 図5Bは、本発明の第1実施形態における植物育成構造の基本原理の説明のための実験装置を示した図、 図5Cは、本発明の第1実施形態における植物育成構造の基本原理の説明のための実験装置を示した図、 図6は、本発明の第1実施形態における植物育成構造の基本原理説明のための実験装置を示した断面図、 図7Aは、本発明の第1実施形態における植物育成構造の植物を使用した評価結果に関する実施例を示す説明図、 図7Bは、本発明の第1実施形態における植物育成構造の植物を使用した評価結果に関する実施例を示す説明図、 図7Cは、本発明の第1実施形態における植物育成構造の植物を使用した評価結果に関する実施例を示す説明図、 図7Dは、従来の水補給のイメージ図、 図7Eは、本発明の前記態様の特徴の一つである「必要最低限の水分を供給でき、植物の根への空気供給も可能とすること。」を補足説明するための、本発明の水補給のイメージ図、 図8Aは、従来の撥水砂を使用して保水、及び水分の蒸発防止をする土壌の構成を示した図、 図8Bは、従来の撥水砂を使用して保水、及び水分の蒸発防止をする土壌の構成を示した図、 図8Cは、従来の撥水砂を使用して保水、及び水分の蒸発防止をする土壌の構成を示した図である。
以下に、本発明にかかる実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
以下、図面を参照して本発明における実施形態を詳細に説明する前に、本発明の種々の態様について説明する。
本発明の第1態様によれば、砂の表面を撥水コーティングした撥水砂で構成される撥水砂層と、
前記撥水砂層の内部に、前記撥水砂層の深さ方向に点在して配置されかつ水分を保持可能な複数の保水層と、
前記撥水砂層内に根を有し、前記根が前記複数の保水層の間を繋ぐように、前記保水層に接触している植物とを備える、植物育成構造を提供する。
前記第1態様によれば、生育速度が異なる個々の植物に個別対応して、必要最低限の水分を供給でき、植物の根への空気供給も可能となる。その結果、高効率で高品質な水耕栽培を可能とすることができる。
本発明の第2態様によれば、前記複数の保水層のうち、前記植物の前記根が接触している前記保水層には、前記撥水砂層の外部から前記植物に供給されて前記植物の前記根を伝って移動した水分が保持されている、第1の態様に記載の植物育成構造を提供する。
前記第2態様によれば、生育速度が異なる個々の植物に個別対応して、必要最低限の水分を供給でき、植物の根への空気供給も可能となる。水分を供給しない時間帯でも保水層には水分が保持されているので、植物の根への空気供給との両立も可能であり、その結果、高効率で高品質な水耕栽培を可能とすることができる。
本発明の第3態様によれば、前記保水層には、肥料となる成分が含まれている、第1又は2の態様に記載の植物育成構造を提供する。
前記第3態様によれば、植物の生育速度に対応して、必要最低限の、水分と肥料とを植物に供給でき、植物の根への空気供給も可能とすることができる。その結果、高効率で高品質な水耕栽培を可能とすることができる。
本発明の第4態様によれば、前記保水層の前記水分には、肥料となる成分が含まれている、第1〜3のいずれか1つの態様に記載の植物育成構造を提供する。
前記第4態様によれば、植物の生育速度に対応して、必要最低限の、水分と肥料とを植物に供給でき、植物の根への空気供給も可能とすることができる。その結果、高効率で高品質な水耕栽培を可能とすることができる。
本発明の第5態様によれば、前記保水層は、撥水コーティングしていない砂で構成されている、第1〜4のいずれか1つの態様に記載の植物育成構造を提供する。
前記第5態様によれば、保水層を撥水コーティングしていない砂で構成することにより、保水機能(言い換えれば、吸水機能)を有して、保水機能を発揮することができる。
本発明の第6態様によれば、前記各保水層が、前記深さ方向に対して、下向き凸の円弧状に形成されている、第1〜5のいずれか1つの態様に記載の植物育成構造を提供する。
前記第6態様によれば、植物を複数ある場合、個々の植物に対して、平面的に概略同心円状に伸長する根への対応が可能で有り、かつ、根の生育方向がランダムで予想ができない場合にも、根が保水層を確実に通過するので、有効である。
本発明の第7態様によれば、前記保水層が、前記深さ方向に対して、点在する層状に形成されている、第1〜5のいずれか1つの態様に記載の植物育成構造を提供する。
前記第7態様によれば、根が保水層を確実に通過して伸長することが可能となる。
本発明の第8態様によれば、前記撥水砂層の表面の前記植物を植えた部分に、水分供給用の凹部を有している、第1〜7のいずれか1つの態様に記載の植物育成構造を提供する。
前記第8態様によれば、水分供給用の凹部を有しているので、凹部内に水分を一時的に保持しやすくすることができる。すなわち、例えば、給水時に、例えばジョウロなどで凹部、或いは接地にめがけて給水することにより、凹部内に水分を安定して保持しやすくすることができる。さらに、例えば、植物の葉等の上部に水を散水すれば、葉から茎に沿って凹部に水分が集めることが容易に実現でき、凹部内に水分を安定して保持しやすくすることができる。
本発明の第9態様によれば、前記撥水砂層は、前記砂の表面を撥水コーティングした前記撥水砂に加えて、撥水コーティングしていない砂を混合して構成されている、第1〜8のいずれか1つの態様に記載の植物育成構造を提供する。
前記第9態様によれば、前記撥水砂層は、前記砂の表面を撥水コーティングした前記撥水砂に加えて、撥水コーティングしていない砂を混合して構成しても、撥水砂のみを使用する場合と同様の効果が得られる。
本発明の第10態様によれば、砂の表面を撥水コーティングした撥水砂で構成される撥水砂層と、
前記撥水砂層の内部に、前記撥水砂層の深さ方向に点在して配置されかつ水分を保持可能な複数の保水層とを有する土壌であり、
前記保水層は、前記撥水砂層内の植物の根が前記複数の保水層の間を繋ぐように伸びて接触し、前記撥水砂層の外部から前記植物に供給されて前記植物の前記根を伝って移動した水分を、前記保水層で保持される、植物育成用土壌を提供する。
前記第10態様によれば、生育速度が異なる個々の植物に個別対応して、必要最低限の水分を供給でき、植物の根への空気供給も可能となる。その結果、高効率で高品質な水耕栽培を可能とすることができる。
本発明の第11態様によれば、前記撥水砂層は、前記砂の表面を撥水コーティングした前記撥水砂に加えて、撥水コーティングしていない砂を混合して構成されている、第10の態様に記載の植物育成用土壌を提供する。
前記第11態様によれば、撥水砂層は、前記砂の表面を撥水コーティングした前記撥水砂に加えて、撥水コーティングしていない砂を混合して構成しても、撥水砂のみを使用する場合と同様の効果が得られる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(第1実施形態)
図1A〜図1Dは、本発明の第1実施形態における、水分及び肥料供給装置(又は、水分供給装置)としても機能する植物育成構造の構成を示した図である。
図1A〜図1Dにおいて、植物育成構造は、撥水砂層1と、保水層3と、植物2aとを備えて構成している。植物2aとしては、撥水砂層1の中で根2bを伸ばして育成するものなら任意のものでよく、例えば、大根又は人参などの根菜などが例示できる。撥水砂層1と保水層3とで植物育成用土壌を構成している。
撥水砂層1は、砂を撥水コーティングすることで形成されている。植物2aを植えた部分には、水分供給用の凹部1bを形成して、水分31を一時的に保持しやすくするのが好ましい(図1D参照)。撥水コーティング砂である撥水砂は、水を通し難いだけではなく、砂の群の表面を水分が転がる傾向がある。砂の群では、その表面が完全に水平の場合が実質上少ないためである。そこで、水分供給用の凹部1bを形成して、水分31を安定に保持しやすくするのと同時に、給水時(水をまくとき)にも好都合である。すなわち、給水時に、例えばジョウロなどで凹部1b、或いは接地2c(後述する図2Aに示している)にめがけて給水するのが、効率の良い給水方法である。が、さらに植物2aの葉等の上部に水を散水すれば、葉から茎に沿って凹部1bに水分が集めることが容易に実現できるので、好ましい。
また、水分供給用の凹部1bを単に凹部として形成したままにするのではなく、その凹部1b内に水分を保持可能な砂、例えば、撥水コーティングされていない通常砂(撥水コーティングしていない砂)3Zを入れて、保水機能を持たせるようにしてもよい(図1E及び図1F参照)。このようにすれば、水分が風等で転がって逃げたり、蒸発したりするのを防止することができる。なお、通常砂に水分が吸着したままであるため、その上部の根の根腐れの懸念、又は、その部分に残った水分とか肥料が、肝心の根に行かずに効率が悪いと言う側面も考えられる。そこで、このように凹部1bに通常砂3Zを入れることにより、水分が長時間にわたり残留したり、根2bへの水分供給が進まない場合には、前述のように凹部1bに通常砂3Zを入れず、凹部1bに水分をそのまま供給する方法が良い場合も有る。このため、通常砂3Zの水はけの度合、根2bでの給水速度、又は、植物2aが必要とする水分量に応じて、凹部1bに通常砂3Zを入れるか否かを適切に選択することが必要である。場合によっては、凹部1bへの通常砂3Zを入れる量を加減したり、凹部1bへ入れた通常砂3Zの上面が凹の形状となっている状態であることが好ましい場合もある。
保水層3は、保水機能(言い換えれば、吸水機能)を有して、撥水砂層1内に、撥水砂層1の深さ方向に、複数に分散して点在(混在とは異なる。)している。図1A〜図1Dでは、黒い保水層3は既に水分を保持している保水層3であり、薄い保水層3は、水分を保持可能な保水層3である。保水層3の配置箇所は任意であり、例えばランダムに配置したとしても、地表面30から撥水砂層1内にしみ込んだ水分を保水層3で少量ながら保持することができる。この結果、その保水層3の少量の水分を目掛けて、或いは植物2a本来の性質として主に鉛直下方に向け伸長しつつも広がりも有して、植物2aの根2bが育成していくことになる。すると、植物2aの根2bが保水層3に到達して接触するため、複数の保水層3の間を繋ぐようになる。このため、保水層3の配置箇所としては、その深さ方向に点在さえしておれば、特に、限定されることはない。なお、植物2aの根2bは、撥水砂層1に配置されている保水層3のうち、少なくとも2つの保水層3の間を繋ぐように配置されていれば良い。また、植物2aの根2bは、撥水砂層1に配置されている全ての保水層3の間を繋ぐように配置されていても良い。保水層3は、単に撥水コーティングしていない砂のみから構成して保水機能を持たせる場合、粘土質も含めた一般的な土から構成して保水機能を持たせる場合、撥水砂を含めて、これらが混合されて構成して保水機能を持たせる場合、保水性を有するポリマー材料等で構成して保水機能を持たせる場合、さらに植物の生育に必要な肥料を含ませて構成して保水機能を持たせる場合、又は、これらの場合の任意の場合を組み合わせて構成して保水機能を持たせる場合などが考えられる。
保水層3に、植物2aの根2bが伸長によって到達すると、植物2aの撥水砂層1の外に面する部分(例えば、地表面30)に供給された水分31が、根2bの表面に沿って撥水砂層1中を保水層3まで給水路4に示すように移動し、保水層3で保水されることになる。多数の保水層3のうち、水分が移動して保持されている保水層3は、黒く塗りつぶしている(符号の3Aを参照)。保水層3としては、2〜3日程度、水分を保持していることが好ましい。保水層3で保水された水分は、当該保水層3に接触している根2bにより吸水される。なお、このように植物2aの根2bにより給水路4を構成することができるのは、植物2aの根2bの表面は親水性であることを利用するものである。
図2Aには、保水層3が、根2bの伸長方向と垂直な方向に、深さ方向で下向き凸の円弧状の保水層3Bとして構成されている。保水層3Bを、地上表面に露出している植物2aの接地部2cを概略中心とした、縦断面として円弧状に構成することで、植物2aの根2bが垂直下方(深さ方向の下向き)に伸長していくと同時に、水平方向への広がりも考慮して、保水層3が根2bの生育に応じて、根2bが保水層3Bを通過する確率が高まる構成である。図2Aでは、深さ方向で深くなるにつれて、円弧状の保水層3Bが徐々に大きくなるように配置されているが、これに限られるものではない。このように、深さ方向で深くなるにつれて円弧状の保水層3Bが徐々に大きくなるように配置すれば、植物2aの根2bが深さ方向で深くなるにつれて大きく広がって伸びても、保水層3Bに接触する可能性を高めることができる。
図2Bは、図1Aの撥水砂層1内に、撥水砂層1の深さ方向に、複数に分散して点在した保水層3と、図2Aの根2bの伸長方向と垂直な方向に、深さ方向で下向き凸の円弧状の保水層3Bとを組み合わせた例である。保水層3と保水層3Bとの両方の機能を有するものである。
また、図3には、保水層3が、根2bの伸長と垂直方向(深さ方向)にかつ水平方向に、点在した層状の保水層3Cとして構成している。図3では、図2Aと異なり、複数の植物2a(具体的には、図3の左側の植物2aのみならず、右側の植物2a)にも対応できる構成である。つまり、図2Aの構成では、単一の植物2a、或いは、複数の植物2aの間隔が広いために複数の植物2aの各々の根2aが近接することなく生育する場合には有効である。しかしながら、図3のように、比較的近傍に複数の植物2aが存在する際には、点在する層状の保水層3Cが実用的な構成となるためである。すなわち、層状の保水層3Cを根2bの伸長と垂直方向(深さ方向)にかつ水平方向に点在して配置することにより、複数の植物2aの根2bがそれぞれ独立した保水層3Cに接触することができて、それぞれの根2bがそれぞれの保水層3Cから水を十分に吸収することができる。これに対して、例えば、図2Aのように水平方向に点在せず1つの保水層3Bの場合には、その保水層3Bに先に接触した根2bは水を十分に吸収できるが、当該保水層3Bに後で接触した根2bは水を十分に吸収できない可能性がある。図3の保水層3Cでは、このような不具合を防止することができる。図3では、深さ方向で深くなるにつれて保水層3Cの厚さを大きくして、植物2aの根2bが深さ方向で深くなるにつれて多くの水を十分に吸収しやすくしている。
図1A〜図3のかかる第1実施形態の構成によれば、植物2aの根2bが伸長によって少なくとも一つ以上の保水層3,3B,3Cに到達すると、植物2aの撥水砂層1の外に面する部分(例えば、地表面30)に供給された水分が、根2bの表面に沿って撥水砂層1中を保水層3,3B,3Cまで給水路4に示すように移動する。保水層3,3B,3Cに水分が到達すると、その水分が保水層3,3B,3Cで蓄えられる。植物2aの根2bは、保水層3,3B,3Cに蓄えられた水分を吸収して育成される。
そして、植物2aが育成し、根2bも成長し、深さ方向の下方に配置された又は水平方向の横方向に配置された次の保水層3,3B,3Cまで到達し、同様に、例えば地表面30に供給された水分が根2bの給水路4を介して保水層3,3B,3Cで蓄えられ、その蓄えられた水分を根2bが吸収することが繰り返される。この結果、植物2aの育成に伴い、根2bが、複数の保水層3,3B,3Cの間を繋ぐように、保水層3,3B,3Cに接触していくことになる。このようにして、根2bの伸長に応じて、必要な水分を保水層3,3B,3Cに貯蔵し、その水分によって植物2aが根2bを介して吸収できる。つまり、必要最小限の水分供給により(植物2aが必要とする適切な量の水分のみを、地表面30側から保水層3,3B,3Cを介して根2bに到達させることにより)、植物2aを育成できる。そして、水分を供給した後は、撥水砂層1は、気化した水分を通過する機能があるため、根2bの表面に沿って流れていた水分の内、保水層3,3B,3Cに保水されずに根2bに残留した水分に関しては、すぐに撥水砂層1を経由して蒸発して消滅する。逆に、根2bには、撥水砂層1を経由して、撥水砂層1の外に面する部分から空気が供給されるため、根2bが必要とする空気供給も可能である。
特に、複数の植物2aを育成する際に、個々の植物2aの成長速度は異なるケースが多いが、そのような場合にも、個々の根2bの伸長に応じて、根2bが接触する保水層3,3B,3Cの数が増加し、適切な水分を根2bに供給することを実現できるメリットは、実用上、大変に有用である。
なお、図3に示した点在する層状の保水層3Cに関して、各保水層3Cが横につながり、連続した層状となることでも、ほぼ同様な効果が得られる。
従来の水耕栽培において、植物が必要とする水分と肥料の量に対して、根の存在しない培地にまで水分と肥料とを供給してしまっている無駄な供給に関する課題、及び水分と肥料が植物の根の周辺に過剰に残存することによる根への空気供給不足となる課題があった。
これに対して、第1実施形態では、生育速度が異なる個々の植物2aに個別に対応して、必要最低限の、水分、又は、水分と肥料とを植物2aに供給でき、植物2aの根2bへの空気供給も可能とすることができる。その結果、高効率で高品質な水耕栽培を可能とすることができる。
そして、図2Aに示した保水層3Bの構成の場合、個々の植物2aに対して、平面的に概略同心円状に伸長する根2bへの対応が可能で有り、かつ、図1の構成と異なり、根2bの生育方向がランダムで予想ができない場合にも、根2bが保水層3を確実に通過するので、有効である。
さらに、図3に示した保水層3Cの構成の場合、複数の植物2aに対して、図2Aの構成と同様に、根2bが保水層3を確実に通過して伸長することが可能な点が特徴である。
なお、保水層3,3B,3Cには、予め肥料を内蔵していることでも、同様な効果が得られる。
逆に、保水層3,3B,3Cに供給する水分に、肥料となる成分を含めることで、同様な効果が実行できる。この場合には、さらに、保水層3,3B,3Cを、撥水コーティングしていない通常砂にて構成することでも、同様な効果が得られる。
或いは、保水層3,3B,3Cを、通常砂の内に保水剤を含めた構成でも同様な効果が得られる。
また、保水層3,3B,3Cに肥料となる成分を含めることでも、同様な効果が得られる。供給する水分に、肥料となる成分が無くても、水分により保水層3,3B,3C自身が肥料の機能を有することになるためである。
最近では、植物に与える水分又は肥料を適切に最小限に制御することが、十分な水分又は肥料を与える場合よりも、植物の育成が促進されたり、栄養価の高いものが生育できたりする研究も有る。そのためには、植物の育成状況に応じた水分又は肥料の供給量の精度良い制御が課題である。このような課題に対して、第1実施形態を使用することにより、植物の周辺土壌への水分又は肥料の無駄な供給が無くなり、水分又は肥料の定量的な供給の精度も高めることが可能となる。特に、植物の根の周辺に、必要な量の水分又は肥料のみを供給できるため、水分又は肥料の供給量の制御を容易にかつ正確に行うことができる。その理由は、本発明の第1実施形態によれば、従来のように周囲の土壌を経由して水分又は肥料が無駄に制限なく通過することがなくなること、根を経由して十分に供給された後には無駄な水分又は肥料は根に沿って流れ込まないため、必要な供給量を検知し易くなり、その結果、フィードバックして供給量を制御可能となるからである。
なお、砂に撥水コーティングする際の表面処理化合物として、クロロシラン系化合物を使用する場合には、単分子での表面処理が可能で、重複による表面形状の変化等がなく、通常の土壌と同様な植物2aの育成が可能である。
なお、図1A〜図3のかかる第1実施形態の構成の植物育成用土壌の製作に関して説明する。ここでは、保水層3、3B、3Cの材料として撥水コーティングしていない砂、つまり、通常砂を使用する場合を例にしている。通常砂は、水分により締め固まる性質を有するのが一般的である。水分を含んだ通常砂は、図1Aの保水層3のような球に近い形、図2Aの保水層3Bのような円弧状の形、又は、図3の保水層3Cのような矩形状の形に、締め固めることができる。そこで、図2A及び図3の植物育成用土壌の製作に際しては、下方から上方へ順に、それぞれ層状に、撥水砂の撥水砂層1と、水分を含んで所定の形状に締め固めた通常砂による保水層3B又は3Cとを交互に配置することにより、撥水砂層1と保水層3B又は3Cとが交互に層状に構成された植物育成用土壌を製作できる。
一方、図1Aの保水層3のように球に近い形状の場合には、あらかじめ撥水砂の中に、球状に締め固めた保水層3を混ぜておけば、上述のように下方から上方に層状に製作しなくても、保水層3を複数有する撥水砂を、保水層3を含む撥水砂層1として配置すればよく、簡単に植物育成用土壌を提供できることが可能となる。
ここで、通常砂を使用しないで水分を保持できる保水層3の一例として、肥料を使用することが有望である。肥料の場合、通常砂と異なり、水分が無くても締め固まって固体としての性質があるものが多い。粒状よりも粒の大きい塊の固形の肥料の場合、置き肥として緩行性のものが多く、植物育成用土壌の製作時には、撥水砂の中にあらかじめ固形の肥料として混入して、混ぜることのみにより、撥水砂層1内で肥料が容易に分散するため、図1Aの保水層3のような球に近い形での植物育成用土壌の製作が可能である。つまり、固形の肥料を保水層3として使用する場合は、最も容易で効率的でかつ実用的な植物育成用土壌の製作方法の一つと言える。このような方法で製作された植物育成用土壌は、図1Aにおいて、保水層3が肥料で構成されている場合に相当する。
次に、本発明の第1実施形態における植物育成構造の基本原理説明のための実験について、説明する。図4〜図6には、基本原理説明のための実験装置を示している。
図4〜図5Cには、逆円錘形状の容器20内に、撥水砂層1を設けて、その撥水砂層1の内部に、通常砂(撥水コーティングしていない砂)を使った保水層3を1つ設け、撥水砂層1内を経由して、撥水砂層1の表面と保水層3とを接続するように1本の根2bを設置している。逆円錘形状の容器20としては、ここでは、化学用品のガラス製ロートを使用した。また、根2bは、観葉植物であるポトスの根を使用した。また、保水層3は、水分により色が変化することが観察できるように、逆円錘形状の容器20の内面に接するように設けてあった。撥水砂層1中の根2bの長さは約10cmであった。実験としては、最初に、撥水砂層1の上表面において、根2bに位置する部分に、10ccの水滴21を置いた。その後、根2bの表面沿いに水滴21が保水層3へ移動したことを、保水層3である通常砂の色変化で確認した。なお、図4〜図5Cの根2bにおいて、水分が移動している部分は、黒く塗りつぶしている。
この結果、透水しない撥水砂層1であるが、数分で水分の移動が確認できた。通常は、十数cm水柱程度の水侵入圧を有しており、また後述するように、撥水コーティングした砂に通常砂を約3分の1以下混合した場合にでも、水分の滴下では水分が撥水砂層1内に移動又は侵入することは困難である。水分の滴下から6分後に、保水層3に小さな色変化、つまり、水分の到達が確認された。その後、保水層3で、徐々に色変化した部分が拡大していき、開始から約30分にて明確に確認できる程度にまで、根2bの表面沿いに保水層3への水分移動が観察できた。その後も実験を継続した結果、約3時間後に撥水砂層1の上表面に滴下した水分21は全て消滅した。蒸発速度から鑑み、全ての水分21が保水層3に向けて移動したと考えられる。開始から約4時間半後には、設置した保水層3の全ての領域が変色したことを確認できた。なお、根2bに沿って水分が移動する様を、模式図的に、図5A、図5B、図5Cの順に示した。図5A〜5Cに至るには、上述のように6分の時間が経過している。
なお、その3日後には、保水層3の水分は全て蒸発して消滅していた。保水層3には通常砂を使用していたことと、撥水砂層1中は液状の水分透過は困難であるが、撥水砂層1中を気化した水分等のガスは容易に通過することが予想されており、実際の植物栽培の際には保水層3にはポリマー材料等を使用した保水剤を使用する、或いは、保水層3に蒸発を防止する構成が望まれることも判明した。しかしながら、根2bの周辺の水分が早期に蒸発し易いことは逆に、植物2aの育成に必要な空気を根2bに供給できることになり、培地として撥水砂層1を使用する効果は非常に大きい。根腐れ等の生じる心配は無い。なお、本実験では、容器20の内壁がガラスのため親水性であることから、水分がガラス内壁表面に沿って移動する可能性があるので、撥水砂層1と内壁間を水分がショートカットして移動しないように配慮した構成となっている。
図6には、本発明の前記態様の基本原理の説明のための他の実験装置を示している。図4の実験では、保水層3による水分の吸引作用が働いて水分が移動したことも想定された。しかし、実用上は、保水層3に依存しない、或いは、保水層3に根2bが到達しない期間においても、水分を根2bに供給する必要がある。しかも、根2bは鉛直下向き(深さ方向の下向き)に伸長するだけではなく、特に、根2bにある細かい根、つまり根2bの表面から根毛(こんもう)と呼ばれる、ごく細かい毛状の突出物が出ているが、根毛の伸長方向は全方向と言える。そこで、図6の実験装置では、保水層3を有せず、しかも水分移動が鉛直下向き以外にも可能か否かを確かめる構成とした。仕切板22により段差を設けた撥水砂層1をプラスチック容器23内に設け、根2bを高い位置表面24aと低い位置の表面24bにそれぞれ出るように設けて、かつ、段差を維持するプラスチック製仕切板22の下方を迂回した構成とした。つまり、高い位置の撥水砂層1の上表面24aにおいて、根2b付近に滴下された水分21は、撥水砂層1中を根2bに沿って移動して、低い位置の撥水砂層1の上表面24bにまで到達できるか否かを実験した。なお、段差は3cm程度であるが、根2bは高い位置から7cm程度低下してから段差の下を経由して、低い位置の方へ約4cm上昇しており、根2bの撥水砂層1と接する部分の全長は約15cmであった。
この結果、水分の滴下から約15分後に、低位置の撥水砂層1の上表面24bの根2bに水分がしみてきていることを僅かであるが、目視で確認できた。その後、2時間後に低位置に水分が水滴となるまで増加していた。実験開始から6時間後には、高い位置の水分21は全て消滅した。なお、本実験では、容器内壁がプラスチックのため撥水性はないことから、水分がプラスチック容器の内壁表面に沿って移動する可能性があるので、撥水砂層1と内壁間を水分がショートカットして移動しないように配慮した構成となっている。保水層3を有しなくとも、また、鉛直方向下向きに限定せず、水分は撥水砂層1中を根2bに沿って移動可能であることが確認された。
この際、水分の滴下から約15分間の根2bに沿った水分の移動の様子は、前述の図5Aから図5B、図5Cと同様であるので、模式図は省略している。
なお、撥水砂層1としては、平均粒径約150μmの豊浦砂に、クロロシラン系のフッ素含有材料により撥水コーティングを行い、純水による接触角測定では約130度以上のものを使用しているが、この種類の砂、粒径、又は、表面処理化合物の種類に依存せずに、同様の効果が得られる。なお、例えば、クロロシラン系材料、又は、アルコキシシラン系材料などを用いて撥水コーティングを行っても良い。
なお、撥水砂層1としては、砂の表面に撥水コーティングを行った撥水砂のみを使用しているが、撥水コーティングを行っていない砂を所定の質量比で撥水砂と混合している場合にも、撥水砂のみを使用する場合と同様の効果が得られる。
例えば、平均粒径約150μmの豊浦砂に撥水コーティングを行った撥水砂の、撥水コーティングを行っていない砂への質量混合率(%)を変えた場合に、質量混合率がゼロ%時に−31.8cmであった水侵入圧(cm)が、質量混合率が25%時に−23.7cmであり、質量混合率が50%時に−13.2cmであるとの報告がある。そして、質量混合率が75%時には+7.0cmであり、質量混合率が100%時に+12.0cmであった。通常の土壌の場合には水を吸収するので、水侵入圧は負圧であり、撥水砂の場合には十分な圧力を加えないと浸潤が発生しないため、侵入圧は正圧となる。撥水コーティングを行っていない砂が質量混合率で少なくとも25%程度混合している場合にも、撥水性能を示すことを意味しており、撥水コーティングを行っていない砂が質量混合率で50%混合した場合には、水を吸収するようになることを示している。これらの結果から近似して、撥水コーティングしていない砂が質量混合率で30〜35%程度以下しか混合していない場合、つまり、撥水コーティングしていない砂が全体の質量の約3分の1以下の質量だけ混合している場合には、撥水性能を有する撥水砂層1を形成できる。つまり、撥水砂層1としては、砂の表面に撥水コーティングを行った撥水砂のみを使用しているが、撥水コーティングを行っていない砂を約3分の1以下の質量比で混合している場合にも、同様の効果が得られる。
なお、この質量混合率は、撥水コーティング材料又はコーティング量、砂の粒径等にも依存するため、一定ではない。
図7Aに本発明の第1実施形態における植物育成構造の植物を使用した評価結果に関する実施例1を示した。図7Aは、実際に、植物2aの例としてニンニク5aを用いて、複数層の保水層3の砂を有する構成にて実験を行った構成を示した図である。内壁を撥水コーティングを行ったガラス製の200ccメスシリンダ25内に、160〜200ccの間を通常砂による保水層(第1保水層)3を設け、その下の150〜160ccの間に水平に撥水砂層1による層(第1撥水砂)を設けて、その下の140〜150ccの間に通常砂による保水層(第2保水層)3を設けた。以下、140ccより下方110ccまでにも同様に、撥水砂(第2撥水砂)1と保水層(第3保水層)3と撥水砂(第3撥水砂)1との層を交互に設けており、110cc以下は全て通常砂による保水層(第4保水層)3を設置した。最上段の160〜200ccの保水層(第1保水層)3には、発根を確認したニンニク5aを2個、発根した根5bを下に向けて、最先端部が170ccラインに位置するように置いた。なお、ニンニク5aを通常砂による保水層3内に埋め込んでいる理由は、実際の栽培の際にも同様に行うことと、根5bが伸長する際に、土壌の抵抗による反作用で、ニンニク5aの本体が土壌から浮き出してしまうことを防止するためである。
図7Bには、図7Aに示した構成における評価結果を時間経過毎に示した。実験開始から約3日後に(図7Bの(c)参照)、140〜150ccの間に設けた通常砂のよる第2保水層3が水分により色変化が確認された。根5bは水分の無い第1撥水砂層1の中を伸長して、第2保水層3にまで到達した後、給水、或いは最上段の第1保水層3の水分が根5bに沿って第1撥水砂層1の中を移動したといえる。なお、容器25の内壁は撥水コーティングしてあった上、内壁に沿って水分が移動した形跡はなかった。より深い保水層3にまで多段で構成した状況での本発明の前記態様の効果を検証するには、より長期間の栽培による評価が必要である。
図7Cには、発根後の8日後のニンニク5aの根5bを示している。その後、発芽したが、肥料を与えておらず、図7Aでの構成における実験は、8日後で完了した。最長の根5bの中には、120〜130ccの間に設けた第3保水層3にまで到達しそうな長さにまで成長したものもあるように観察されるが、撥水砂層1、或いは水分を含んで固くなった保水層3の中では実際には、根5bは曲がって生育しているようである。
図7D及び図7Eには、本発明の前記態様の特徴の一つである「必要最低限の水分と肥料を供給でき、植物の根への空気供給も可能とすること。」を補足説明する図を示している。図7Dは、従来の水補給のイメージ図であり、図7Eは本発明の前記態様の水補給のイメージ図を示している。
図7Dの従来の場合には、全ての砂が通常砂26であるため、水補給は根がまだ伸張していない領域、或いは、将来も生育しない領域にまで、無駄に水分供給してしまっていた。
それに対して、図7Eの本発明の前記態様の水補給の場合には、全て撥水砂層1中に、分散して保水層(通常砂)3がある構成の場合、水補給は根2bの伸張した範囲内のみとなり、かつその根2bの成長度から算出される必要最小量の水分量となるように予測して設定した保水層3に、水分が供給される。図7D及び図7Eでは、通常砂26及び保水層3などにおいて、水分が存在する部分は、黒く塗りつぶしている。
通常、根2bへは、水、或いは、水性の肥料の供給以外に、空気の供給が必須であるが、通常砂26の場合は比較的水はけが良いので、水分が砂中を通過させることを利用しているケースが多い。特に、水耕栽培の中でも、砂を培地として使用する場合(砂栽培とも呼ばれている)、水を繰り返し流すことが必要で、フィルタリング後に循環させたりして、多くの非効率的な手段が実施されている。しかしながら、本発明の第1実施形態においては、水補給は必要最低限のみであり、同時に根2bへの空気供給も撥水砂層1経由で非常にスムーズに実施できる点がメリットとして大きいことが分かる。
なお、ニンニク5aは酸性土壌を嫌うので、植える場所に苦土石灰(くどせっかい)を全面散布して耕すことが多い。そこで、図7Aの実験に際しても、炭酸カルシウムを最上段の通常砂の第1保水層3に混入して実施しているが、発根後の根2bの生育への影響は特に観察されていない。撥水砂層1の撥水コーティングにクロロシラン系化合物を使用しているため、若干の塩酸成分の残留による酸性化の可能性も懸念されたためである。
なお、前記様々な実施形態又は変形例のうちの任意の実施形態又は変形例を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
以上、本発明を様々な実施形態及び変形例に基づいて説明してきたが、本発明は、前記の様々な実施形態及び変形例に限定されないのはもちろんである。
本発明は、添付図面を参照しながら実施形態に関連して充分に記載されているが、この技術の熟練した人々にとっては種々の変形又は修正は明白である。そのような変形又は修正は、添付した請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。
本発明の前記態様にかかる植物育成構造及び植物育成用土壌は、砂を撥水コーティングすることで形成された撥水砂と、撥水砂の中で根を伸ばして育成する植物を有し、撥水砂内に複数に分散して点在(混在とは違う)した保水層を有し、根が伸長によって少なくとも一つ以上の保水層に到達するよう構成している。よって、植物の撥水砂の外に面する部分に供給された水分及び肥料が、根に沿って撥水砂中を移動し、保水層に到達することにより、根の伸長に応じて、必要な水分及び肥料を保水層に貯蔵し、その水分及び肥料によって植物が根を介して水分を吸収できるようにしている。その結果、生育速度が異なる個々の植物に個別対応して、必要最小限の水分と肥料の供給により植物を育成できると共に、水分と肥料が移動していないときには根の周辺には撥水砂から空気が供給されるので、植物育成構造及び植物育成用土壌としても有用である。本発明にかかる植物育成構造及び植物育成用土壌は、根が発育する任意の植物に対して、必要最低限の水分と肥料とを供給でき、植物の根への空気供給も可能である。

Claims (11)

  1. 砂の表面を撥水コーティングした撥水砂で構成される撥水砂層と、
    前記撥水砂層の内部に、前記撥水砂層の深さ方向に点在して配置されかつ水分を保持可能な複数の保水層と、
    前記撥水砂層内に根を有し、前記根が前記複数の保水層の間を繋ぐように、前記保水層に接触している植物とを備える、植物育成構造。
  2. 前記複数の保水層のうち、前記植物の前記根が接触している前記保水層には、前記撥水砂層の外部から前記植物に供給されて前記植物の前記根を伝って移動した水分が保持されている、請求項1に記載の植物育成構造。
  3. 前記保水層には、肥料となる成分が含まれている、請求項1又は2に記載の植物育成構造。
  4. 前記保水層の前記水分には、肥料となる成分が含まれている、請求項1〜3のいずれか1つに記載の植物育成構造。
  5. 前記保水層は、撥水コーティングしていない砂で構成されている、請求項1〜4のいずれか1つに記載の植物育成構造。
  6. 前記各保水層が、前記深さ方向に対して、下向き凸の円弧状に形成されている、請求項1〜5のいずれか1つに記載の植物育成構造。
  7. 前記保水層が、前記深さ方向に対して、点在する層状に形成されている、請求項1〜5のいずれか1つに記載の植物育成構造。
  8. 前記撥水砂層の表面の前記植物を植えた部分に、水分供給用の凹部を有している、請求項1〜7のいずれか1つに記載の植物育成構造。
  9. 前記撥水砂層は、前記砂の表面を撥水コーティングした前記撥水砂に加えて、撥水コーティングしていない砂を混合して構成されている、請求項1〜8のいずれか1つに記載の植物育成構造。
  10. 砂の表面を撥水コーティングした撥水砂で構成される撥水砂層と、
    前記撥水砂層の内部に、前記撥水砂層の深さ方向に点在して配置されかつ水分を保持可能な複数の保水層とを有する土壌であり、
    前記保水層は、前記撥水砂層内の植物の根が前記複数の保水層の間を繋ぐように伸びて接触し、前記撥水砂層の外部から前記植物に供給されて前記植物の前記根を伝って移動した水分を、前記保水層で保持される、植物育成用土壌。
  11. 前記撥水砂層は、前記砂の表面を撥水コーティングした前記撥水砂に加えて、撥水コーティングしていない砂を混合して構成されている、請求項10に記載の植物育成用土壌。
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