JPWO2012133808A1 - 変速装置の制御装置および制御方法 - Google Patents

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Abstract

第2速、第3速または第4速を形成するために同時係合される2つのクラッチ等の一方は、当該2つのクラッチ等の同時係合中に他の1つのクラッチまたはブレーキを係合させる異常が発生した際に係合が維持される異常時係合要素として予め定められ、当該2つのクラッチ等の他方は、当該異常が発生した際に滑らせる異常時滑り要素として予め定められており、2つのクラッチ等の同時係合中には、異常時係合要素に供給される油圧(目標油圧)が異常時滑り要素に供給される油圧(目標油圧)よりも高く設定される(ステップS140およびS150)。

Description

本発明は、少なくとも3つ以上の摩擦係合要素を含むと共に、当該3つ以上の摩擦係合要素の中の2つ以上を同時係合させて複数の変速段を形成可能な変速装置の制御装置および制御方法に関する。
従来、この種の変速装置の制御装置として、入力軸に入力される入力トルクと、同時係合される2つの摩擦係合要素のトルク分担比とに基づいて当該2つの摩擦係合要素による伝達トルクを算出すると共に、2つの摩擦係合要素に滑りが生じないように両者のトルク容量が上記伝達トルクに安全率を加味したトルク容量となるように当該2つの摩擦係合要素に供給される油圧を設定するものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。この変速装置では、2つの摩擦係合要素の同時係合中に他の摩擦係合要素を係合させる異常が発生した際に、3つの摩擦係合要素におけるトルク分担比が変わって当該3つの摩擦係合要素のうちの何れか1つが限界トルク未満となる。これにより、当該1つの摩擦係合要素に滑りが生じ、それにより複数の変速段の何れかが形成されることから、変速装置による動力の伝達を継続することが可能となる。なお、複数(3つ以上)の摩擦係合要素を含むと共に、当該複数の摩擦係合要素の中の3つを同時係合させて複数の変速段を形成可能な変速装置としては、特許文献2に記載されたものが知られている。
国際公開第2009/084294号 特開2009−079711号公報
しかしながら、上記従来の変速装置のように、入力トルクと2つの摩擦係合要素のトルク分担比とに基づく伝達トルクと滑りを生じさせないための安全率とから同時係合される2つの摩擦係合要素に供給される油圧を設定した場合、2つの摩擦係合要素の同時係合中に他の摩擦係合要素を係合させる異常が発生した際に3つの摩擦係合要素の何れが滑るか不明となる。このため、従来の変速装置では、上記異常の発生に伴って滑りを生じた摩擦係合要素によっては、異常発生時に形成される変速段が不適正なものとなってしまうおそれもある。
そこで、本発明は、2つ以上の摩擦係合要素の同時係合中に当該2つ以上の摩擦係合要素以外の少なくとも1つの摩擦係合要素を係合させる異常が発生した際に変速装置をより適正な状態にすることを主目的とする。
本発明の変速装置の制御装置および制御方法は、上記主目的を達成するために以下の手段を採っている。
本発明の変速装置の制御装置は、
少なくとも3つ以上の摩擦係合要素を有すると共に前記3つ以上の摩擦係合要素の中の2つ以上を同時係合させて複数の変速段を形成可能な変速機構と、それぞれ対応する摩擦係合要素への油圧を目標油圧に基づいて調圧する複数の調圧バルブとを含む変速装置の制御装置において、
同時係合される2つ以上の摩擦係合要素の一部を、該2つ以上の摩擦係合要素の同時係合中にそれら以外の少なくとも1つの摩擦係合要素が係合する異常の発生時に係合が維持される異常時係合要素として決定すると共に、前記2つ以上の摩擦係合要素の中の前記一部以外を、前記異常の発生時に滑らせる異常時滑り要素として決定する決定手段と、
前記変速機構の入力トルクと予め定められたトルク分担比とに基づいて、前記2つ以上の摩擦係合要素の係合により前記変速段を形成している状態で、該2つ以上の摩擦係合要素に滑りを生じさせることなく、かつ前記異常発生時に前記異常時係合要素に滑りが生じるように前記2つ以上の摩擦係合要素に対応した調圧バルブの目標油圧を設定する目標油圧設定手段と、
を備え、
前記決定手段は、前記2つ以上の摩擦係合要素の同時係合によって形成される変速段よりも高速側の変速段が形成されるように前記異常時係合要素と前記異常時滑り要素とを決定することを特徴とする。
この変速装置の制御装置は、3つ以上(M個)の摩擦係合要素を有する変速装置を制御するものであり、変速段を形成するために同時係合される2つ以上(N個:2≦N<M)の摩擦係合要素の一部(n個:1≦n≦N−1)を、当該2つ以上の摩擦係合要素の同時係合中にそれら以外の少なくとも1つの摩擦係合要素(m個:1≦m≦M−N)が係合する異常の発生時に係合が維持される異常時係合要素として決定すると共に、上記2つ以上の摩擦係合要素の中の上記一部以外(n′個:1≦n′≦N−n)の摩擦係合要素を、当該異常の発生時に滑らせる異常時滑り要素として決定する。そして、この制御装置は、2つ以上の摩擦係合要素の係合により変速段を形成している状態で、当該2つ以上の摩擦係合要素に滑りを生じさせることなく、かつ異常発生時に異常時係合要素に滑りが生じるように同時係合される2つ以上の摩擦係合要素に対応した調圧バルブの目標油圧を設定する。これにより、2つ以上の摩擦係合要素の同時係合中に当該2つ以上の摩擦係合要素以外の少なくとも1つの摩擦係合要素を係合させる異常の発生時に、異常時滑り要素を速やかに滑らせると共に異常時係合要素の係合をより確実に維持することが可能となるので、上記異常の発生後には、異常時係合要素と上記2つ以上の摩擦係合要素以外の少なくとも1つの摩擦係合要素との同時係合による変速段をより確実に形成することができる。従って、本発明によれば、2つ以上の摩擦係合要素の同時係合中に当該2つ以上の摩擦係合要素以外の少なくとも1つの摩擦係合要素を係合させる異常が発生した際に変速装置をより適正な状態にすることが可能となる。そして、この制御装置のように、2つ以上の摩擦係合要素の同時係合によって形成される変速段よりも高速側の変速段が形成されるように異常時係合要素と異常時滑り要素とを決定すれば、上記異常の発生時にダウンシフトが行われること、すなわち変速装置の出力部材に制動トルクが出力されてしまうことを抑制し、変速装置と連結される原動機の吹き上がりを良好に抑制することができる。
また、前記決定手段は、前記異常の発生時に、前記異常時係合要素と前記2つ以上の摩擦係合要素以外の少なくとも1つの摩擦係合要素とによって前記2つ以上の摩擦係合要素の同時係合によって形成される変速段よりも1段高速側の変速段が形成されるように前記異常時係合要素と前記異常時滑り要素とを決定するものであってもよい。これにより、上記異常の発生時に変速段が低速側(ダウンシフト側)に変更されないようにして、変速装置と連結される原動機の吹き上がりを良好に抑制することができる。
更に、前記2つ以上の摩擦係合要素の同時係合により最高変速段が形成されている状態での前記異常の発生時に、前記異常時係合要素と前記2つ以上の摩擦係合要素以外の少なくとも1つの摩擦係合要素とによって前記最高変速段よりも1段低速側の変速段が形成されるように前記異常時係合要素と前記異常時滑り要素とを決定するものであってもよい。これにより、上記異常が発生した際に変速段がより低速側、すなわち2段以上低速側(ダウンシフト側)の変速段へと変更されてしまわないようにして、変速装置と連結される原動機の吹き上がりを抑制することができる。
また、前記目標油圧設定手段は、前記入力トルクと前記変速段に応じて予め定められた前記異常時滑り要素のトルク分担比とに基づく分担トルクに応じた油圧が該異常時滑り要素に供給されると共に、前記入力トルクと前記変速段に応じて予め定められた前記異常時係合要素のトルク分担比とに基づく分担トルクに応じた油圧を前記異常時滑り要素の前記分担トルクに基づいて嵩上げした油圧が該異常時係合要素に供給されるように前記2つ以上の摩擦係合要素に対応した調圧バルブの目標油圧を設定するものであってもよい。これにより、2つ以上の摩擦係合要素の同時係合中に、当該2つ以上の摩擦係合要素すなわち異常時係合要素と異常時滑り要素とに供給される油圧をより適正に設定することが可能となる。
本発明の他の変速装置の制御装置は、
少なくとも3つ以上の摩擦係合要素を有すると共に前記3つ以上の摩擦係合要素の中の2つ以上を同時係合させて複数の変速段を形成可能な変速機構と、それぞれ対応する摩擦係合要素への油圧を目標油圧に基づいて調圧する複数の調圧バルブとを含む変速装置の制御装置において、
同時係合される2つ以上の摩擦係合要素の一部を、該2つ以上の摩擦係合要素の同時係合中にそれら以外の少なくとも1つの摩擦係合要素が係合する異常の発生時に係合が維持される異常時係合要素として決定すると共に、前記2つ以上の摩擦係合要素の中の前記一部以外を、前記異常の発生時に滑らせる異常時滑り要素として決定する決定手段と、 前記変速機構の入力トルクと予め定められたトルク分担比とに基づいて、前記2つ以上の摩擦係合要素の係合により前記変速段を形成している状態で、該2つ以上の摩擦係合要素に滑りを生じさせることなく、かつ前記異常発生時に前記異常時係合要素に滑りが生じるように前記2つ以上の摩擦係合要素に対応した調圧バルブの目標油圧を設定する目標油圧設定手段と、
を備え、
前記決定手段は、前記2つ以上の摩擦係合要素の同時係合によって形成される変速段よりも所定段以上低速側の変速段が形成されないように前記異常時係合要素と前記異常時滑り要素とを決定することを特徴とする。
この変速装置の制御装置は、3つ以上(M個)の摩擦係合要素を有する変速装置を制御するものであり、変速段を形成するために同時係合される2つ以上(N個:2≦N<M)の摩擦係合要素の一部(n個:1≦n≦N−1)を、当該2つ以上の摩擦係合要素の同時係合中にそれら以外の少なくとも1つの摩擦係合要素(m個:1≦m≦M−N)が係合する異常の発生時に係合が維持される異常時係合要素として決定すると共に、上記2つ以上の摩擦係合要素の中の上記一部以外(n′個:1≦n′≦N−n)の摩擦係合要素を、当該異常の発生時に滑らせる異常時滑り要素として決定する。そして、この制御装置は、変速機構の入力トルクと予め定められたトルク分担比とに基づいて、2つ以上の摩擦係合要素の係合により変速段を形成している状態で、当該2つ以上の摩擦係合要素に滑りを生じさせることなく、かつ異常発生時に異常時係合要素に滑りが生じるように同時係合される2つ以上の摩擦係合要素に対応した調圧バルブの目標油圧を設定する。これにより、2つ以上の摩擦係合要素の同時係合中に当該2つ以上の摩擦係合要素以外の少なくとも1つの摩擦係合要素を係合させる異常の発生時に、異常時滑り要素を速やかに滑らせると共に異常時係合要素の係合をより確実に維持することが可能となるので、上記異常の発生後には、異常時係合要素と上記2つ以上の摩擦係合要素以外の少なくとも1つの摩擦係合要素との同時係合による変速段をより確実に形成することができる。従って、本発明によれば、2つ以上の摩擦係合要素の同時係合中に当該2つ以上の摩擦係合要素以外の少なくとも1つの摩擦係合要素を係合させる異常が発生した際に変速装置をより適正な状態にすることが可能となる。そして、この制御装置のように、2つ以上の摩擦係合要素の同時係合によって形成される変速段よりも所定段以上低速側の変速段が形成されないように異常時係合要素と異常時滑り要素とを決定すれば、上記異常の発生時に例えば第4速から第2速、あるいは第6速から第4速またはそれ以下といったような急激なダウンシフトが行われてしまうこと、すなわち変速装置の出力部材に高い制動トルクが出力されてしまうことを抑制し、変速装置と連結される原動機の吹き上がりを良好に抑制することができる。
また、前記決定手段は、前記異常の発生時に、前記異常時係合要素と前記2つ以上の摩擦係合要素以外の少なくとも1つの摩擦係合要素とによって前記2つ以上の摩擦係合要素の同時係合によって形成される変速段よりも高速側の変速段が形成されるように前記異常時係合要素と前記異常時滑り要素とを決定するものであってもよい。これにより、上記異常の発生時に変速段が低速側(ダウンシフト側)に変更されないようにして、変速装置と連結される原動機の吹き上がりを良好に抑制することができる。
更に、前記2つ以上の摩擦係合要素の同時係合により最高変速段が形成されている状態での前記異常の発生時に、前記異常時係合要素と前記2つ以上の摩擦係合要素以外の少なくとも1つの摩擦係合要素とによって前記最高変速段よりも1段低速側の変速段が形成されるように前記異常時係合要素と前記異常時滑り要素とを決定するものであってもよい。これにより、上記異常が発生した際に変速段がより低速側、すなわち2段以上低速側(ダウンシフト側)の変速段へと変更されてしまわないようにして、変速装置と連結される原動機の吹き上がりを抑制することができる。
また、前記目標油圧設定手段は、前記入力トルクと前記変速段に応じて予め定められた前記異常時滑り要素のトルク分担比とに基づく分担トルクに応じた油圧が該異常時滑り要素に供給されると共に、前記入力トルクと前記変速段に応じて予め定められた前記異常時係合要素のトルク分担比とに基づく分担トルクに応じた油圧を前記異常時滑り要素の前記分担トルクに基づいて嵩上げした油圧が該異常時係合要素に供給されるように前記2つ以上の摩擦係合要素に対応した調圧バルブの目標油圧を設定するものであってもよい。これにより、2つ以上の摩擦係合要素の同時係合中に、当該2つ以上の摩擦係合要素すなわち異常時係合要素と異常時滑り要素とに供給される油圧をより適正に設定することが可能となる。
本発明の変速装置の制御方法は、
少なくとも3つ以上の摩擦係合要素を有すると共に前記3つ以上の摩擦係合要素の中の2つ以上を同時係合させて複数の変速段を形成可能な変速機構と、それぞれ対応する摩擦係合要素への油圧を目標油圧に基づいて調圧する複数の調圧バルブとを含む変速装置の制御方法において、
(a)同時係合される2つ以上の摩擦係合要素の一部を、該2つ以上の摩擦係合要素の同時係合中にそれら以外の少なくとも1つの摩擦係合要素が係合する異常の発生時に係合が維持される異常時係合要素として決定すると共に、前記2つ以上の摩擦係合要素の中の前記一部以外を、前記異常の発生時に滑らせる異常時滑り要素として決定するステップと、
(b)前記変速機構の入力トルクと予め定められたトルク分担比とに基づいて、前記2つ以上の摩擦係合要素に滑りを生じさせることなく前記異常時係合要素に供給される油圧が前記異常時滑り要素に供給される油圧よりも高くなるように該2つ以上の摩擦係合要素に対応した調圧バルブの目標油圧を設定するステップと、
を含み、
ステップ(a)は、前記2つ以上の摩擦係合要素の同時係合によって形成される変速段よりも高速側の変速段が形成されるように前記異常時係合要素と前記異常時滑り要素とを決定することを特徴とする。
この方法によれば、2つ以上の摩擦係合要素の同時係合中に当該2つ以上の摩擦係合要素以外の少なくとも1つの摩擦係合要素を係合させる異常が発生した際に変速装置をより適正な状態にすることが可能となる。そして、この方法のように、2つ以上の摩擦係合要素の同時係合によって形成される変速段よりも高速側の変速段が形成されるように異常時係合要素と異常時滑り要素とを決定すれば、上記異常の発生時にダウンシフトが行われてしまうこと、すなわち変速装置の出力部材に制動トルクが出力されてしまうことを抑制し、変速装置と連結される原動機の吹き上がりを良好に抑制することができる。
本発明による他の変速装置の制御方法は、
少なくとも3つ以上の摩擦係合要素を有すると共に前記3つ以上の摩擦係合要素の中の2つ以上を同時係合させて複数の変速段を形成可能な変速機構と、それぞれ対応する摩擦係合要素への油圧を目標油圧に基づいて調圧する複数の調圧バルブとを含む変速装置の制御方法において、
(a)同時係合される2つ以上の摩擦係合要素の一部を、該2つ以上の摩擦係合要素の同時係合中にそれら以外の少なくとも1つの摩擦係合要素が係合する異常の発生時に係合が維持される異常時係合要素として決定すると共に、前記2つ以上の摩擦係合要素の中の前記一部以外を、前記異常の発生時に滑らせる異常時滑り要素として決定するステップと、
(b)前記変速機構の入力トルクと予め定められたトルク分担比とに基づいて、前記2つ以上の摩擦係合要素に滑りを生じさせることなく前記異常時係合要素に供給される油圧が前記異常時滑り要素に供給される油圧よりも高くなるように該2つ以上の摩擦係合要素に対応した調圧バルブの目標油圧を設定するステップと、
を含み、
ステップ(a)は、前記2つ以上の摩擦係合要素の同時係合によって形成される変速段よりも所定段以上低速側の変速段が形成されないように前記異常時係合要素と前記異常時滑り要素とを決定することを特徴とする。
この方法によれば、2つ以上の摩擦係合要素の同時係合中に当該2つ以上の摩擦係合要素以外の少なくとも1つの摩擦係合要素を係合させる異常が発生した際に変速装置をより適正な状態にすることが可能となる。そして、この方法のように、2つ以上の摩擦係合要素の同時係合によって形成される変速段よりも所定段以上低速側の変速段が形成されないように異常時係合要素と異常時滑り要素とを決定すれば、上記異常の発生時に例えば第4速から第2速、あるいは第6速から第4速またはそれ以下といったような急激なダウンシフトが行われてしまうこと、すなわち変速装置の出力部材に制動トルクが出力されてしまうことを抑制し、変速装置と連結される原動機の吹き上がりを良好に抑制することができる。
本発明の実施例に係る変速装置の制御装置により制御される自動変速機30を含む動力伝達装置20を搭載した車両である自動車10の概略構成図である。 動力伝達装置20の概略構成図である。 自動変速機30の各変速段とクラッチおよびブレーキの作動状態との関係を表した作動表である。 自動変速機30を構成する回転要素間における回転数の関係を例示する共線図である。 動力伝達装置20の油圧制御装置50を示す系統図である。 動力伝達装置20の変速ECU21により実行される油圧制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。 トルク分担比マップの一例を示す説明図である。 2つのクラッチ等が同時係合されている状態で他の1つのクラッチまたはブレーキを係合させる異常が発生したときの異常時滑り要素と異常時係合要素とのスリップ限界トルクを例示する説明図である。 変形例に係る自動変速機110の概略構成図である。 自動変速機110の各変速段とクラッチおよびブレーキの作動状態との関係を表した作動表である。 自動変速機110を構成する回転要素間における回転数の関係を例示する共線図である。 自動変速機110の各変速段における異常時係合要素と異常時滑り要素とを例示する図表である。
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の実施例に係る変速装置である自動変速機30を含む動力伝達装置20を搭載した車両である自動車10の概略構成図であり、図2は、動力伝達装置20の概略構成図である。図1に示す自動車10は、ガソリンや軽油といった炭化水素系の燃料と空気との混合気の爆発燃焼により動力を出力する内燃機関である原動機としてのエンジン12と、エンジン12を制御するエンジン用電子制御ユニット(以下、「エンジンECU」という)14と、図示しない電子制御式油圧ブレーキユニットを制御するブレーキ用電子制御ユニット(以下、「ブレーキECU」という)15と、流体伝動装置(発進装置)23や有段の変速機構である自動変速機30、これらに作動油(作動流体)を給排する油圧制御装置50、これらを制御する変速用電子制御ユニット(以下、「変速ECU」という)21等を有し、エンジン12のクランクシャフト16に接続されると共にエンジン12からの動力を左右の駆動輪DWに伝達する動力伝達装置20とを備える。エンジンECU14、ブレーキECU15および変速ECU21は、何れも図示しないCPUを中心とするマイクロコンピュータとして構成されており、CPUの他に各種プログラムを記憶するROM、データを一時的に記憶するRAM、入出力ポートおよび通信ポート(何れも図示せず)等を有する。そして、エンジンECU14、ブレーキECU15および変速ECU21は、バスライン等を介して相互に接続されており、これらのECU間では制御に必要なデータのやり取りが随時実行される。
エンジンECU14には、アクセルペダル91の踏み込み量(操作量)を検出するアクセルペダルポジションセンサ92からのアクセル開度Accや車速センサ99からの車速V、クランクシャフト16の回転を検出する図示しないクランクシャフトポジションセンサといった各種センサ等からの信号、ブレーキECU15や変速ECU21からの信号等が入力され、エンジンECU14は、これらの信号に基づいて何れも図示しない電子制御式スロットルバルブや燃料噴射弁、点火プラグ等を制御する。ブレーキECU15には、ブレーキペダル93が踏み込まれたときにマスタシリンダ圧センサ94により検出されるマスタシリンダ圧や車速センサ99からの車速V、図示しない各種センサ等からの信号、エンジンECU14や変速ECU21からの信号等が入力され、ブレーキECU15は、これらの信号に基づいて図示しないブレーキアクチュエータ(油圧アクチュエータ)等を制御する。動力伝達装置20の変速ECU21は、トランスミッションケース22の内部に収容される。変速ECU21には、複数のシフトレンジの中から所望のシフトレンジを選択するためのシフトレバー95の操作位置を検出するシフトレンジセンサ96からのシフトレンジSRや車速センサ99からの車速V、図示しない各種センサ等からの信号、エンジンECU14やブレーキECU15からの信号等が入力され、変速ECU21は、これらの信号に基づいて流体伝動装置23や自動変速機30等を制御する。
動力伝達装置20は、トランスミッションケース22の内部に収容される流体伝動装置23や、油圧発生源としてのオイルポンプ29、自動変速機30等を含む。流体伝動装置23は、ロックアップクラッチ付きの流体式トルクコンバータとして構成されており、図2に示すように、フロントカバー18を介してエンジン12のクランクシャフト16に接続されるポンプインペラ24や、タービンハブを介して自動変速機30のインプットシャフト(動力入力部材)31に固定されるタービンランナ25、ポンプインペラ24およびタービンランナ25の内側に配置されてタービンランナ25からポンプインペラ24への作動油(ATF)の流れを整流するステータ26、ステータ26の回転方向を一方向に制限するワンウェイクラッチ27、図示しないダンパ機構を有するロックアップクラッチ28等を含む。流体伝動装置23は、ポンプインペラ24とタービンランナ25との回転速度差が大きいときにはステータ26の作用によりトルク増幅機として機能し、両者の回転速度差が小さくなると流体継手として機能する。ロックアップクラッチ28は、フロントカバー18と自動変速機30のインプットシャフト31とを直結するロックアップと当該ロックアップの解除とを実行可能なものである。そして、自動車10の発進後、所定のロックアップオン条件が成立すると、ロックアップクラッチ28によりフロントカバー18と自動変速機30のインプットシャフト31とが直結(ロックアップ)され、エンジン12からの動力がインプットシャフト31に機械的かつ直接的に伝達されるようになる。この際、インプットシャフト31に伝達されるトルクの変動は、図示しないダンパ機構により吸収される。
油圧発生源としてのオイルポンプ29は、ポンプボディとポンプカバーとからなるポンプアッセンブリと、ハブを介して流体伝動装置23のポンプインペラ24に接続された外歯ギヤとを備えるギヤポンプとして構成されており、油圧制御装置50に接続される。エンジン12が運転されているときには、当該エンジン12からの動力により外歯ギヤが回転し、それによりオイルポンプ29によってストレーナを介してオイルパン(何れも図示省略)に貯留されている作動油が吸引されると共に当該オイルポンプ29から吐出される。従って、エンジン12の運転中には、オイルポンプ29により流体伝動装置23や自動変速機30により要求される油圧を発生させたり、各種軸受などの潤滑部分に作動油を供給したりすることができる。
自動変速機30は、4段変速式変速機として構成されており、図2に示すように、ラビニヨ式遊星歯車機構32と、入力側から出力側までの動力伝達経路を変更するための複数の油圧式摩擦係合要素であるクラッチC1,C2およびC3と2つのブレーキB1およびB3とワンウェイクラッチF2とを含む。ラビニヨ式遊星歯車機構32は、外歯歯車である2つのサンギヤ33a,33bと、自動変速機30のアウトプットシャフト(動力出力部材)37に固定された内歯歯車であるリングギヤ34と、サンギヤ33aに噛合する複数のショートピニオンギヤ35aと、サンギヤ33bおよび複数のショートピニオンギヤ35aに噛合すると共にリングギヤ34に噛合する複数のロングピニオンギヤ35bと、互いに連結された複数のショートピニオンギヤ35aおよび複数のロングピニオンギヤ35bを自転かつ公転自在に保持すると共にワンウェイクラッチF2を介してトランスミッションケース22に支持されたキャリア36とを有する。そして、自動変速機30のアウトプットシャフト37は、ギヤ機構38および差動機構39を介して駆動輪DWに接続される。
クラッチC1は、インプットシャフト31とラビニヨ式遊星歯車機構32のサンギヤ33aとを締結すると共に両者の締結を解除することができる油圧クラッチである。クラッチC2は、インプットシャフト31とラビニヨ式遊星歯車機構32のキャリア36とを締結すると共に両者の締結を解除することができる油圧クラッチである。クラッチC3は、インプットシャフト31とラビニヨ式遊星歯車機構32のサンギヤ33bとを締結すると共に両者の締結を解除することができる油圧クラッチである。ブレーキB1は、ラビニヨ式遊星歯車機構32のサンギヤ33bをトランスミッションケース22に固定すると共にサンギヤ33bのトランスミッションケース22に対する固定を解除することができる油圧クラッチである。ブレーキB3は、ラビニヨ式遊星歯車機構32のキャリア36をトランスミッションケース22に固定すると共にキャリア36のトランスミッションケース22に対する固定を解除することができる油圧クラッチである。これらのクラッチC1〜C3、ブレーキB1およびB3は、油圧制御装置50による作動油の給排を受けて動作する。図3に、自動変速機30の各変速段とクラッチC1〜C3、ブレーキB1およびB3ならびにワンウェイクラッチF2の作動状態との関係を表した作動表を示し、図4に自動変速機30を構成する回転要素間における回転数の関係を例示する共線図を示す。自動変速機30は、クラッチC1〜C3、ブレーキB1およびB3を図3の作動表に示す状態にすることで前進1〜4速の変速段と後進1段の変速段とを提供する。
図5は、上述のロックアップクラッチ28を含む流体伝動装置23や自動変速機30に対して作動油を給排する油圧制御装置50を示す系統図である。油圧制御装置50は、エンジン12からの動力により駆動されてオイルパンから作動油を吸引して吐出する上述のオイルポンプ29に接続されるものであり、図5に示すように、オイルポンプ29から吐出された作動油を流体伝動装置23および自動変速機30(発進装置および変速機構)に必要な油圧に調圧してライン圧(元圧)PLを生成するプライマリレギュレータバルブ51や、シフトレバー95の操作位置に応じてプライマリレギュレータバルブ51からのライン圧PLの供給先を切り替えるマニュアルバルブ52、マニュアルバルブ52(プライマリレギュレータバルブ51)からのライン圧PLを調圧してクラッチC1へのC1ソレノイド圧Pslc1を生成するC1リニアソレノイドバルブ(調圧バルブ)SLC1、マニュアルバルブ52(プライマリレギュレータバルブ51)からのライン圧PLを調圧してクラッチC2へのC2ソレノイド圧Pslc2を生成するC2リニアソレノイドバルブ(調圧バルブ)SLC2、マニュアルバルブ52(プライマリレギュレータバルブ51)からのライン圧PLを調圧してブレーキB1へのB1ソレノイド圧Pslb1を生成するB1リニアソレノイドバルブ(調圧バルブ)SLB1を含む。なお、流体伝動装置23および自動変速機30に必要な油圧は、自動変速機30の状態(変速中か否か)、原動機としてのエンジン12のトルク、車速、スロットル開度、油温等から算出される。
更に、実施例の油圧制御装置50は、C2リニアソレノイドバルブSLC2からのC2ソレノイド圧Pslc2をクラッチC2とブレーキB3とに選択的に供給可能とする切替バルブ53と、リニアソレノイドバルブSLC1,SLC2およびSLB1の出力ポートに接続されると共にC1ソレノイド圧Pslc1、C2ソレノイド圧Pslc2およびB1ソレノイド圧Pslb1の中の最大圧力Pmaxを出力するシャトルバルブ(最大圧選択バルブ)54を含む。
プライマリレギュレータバルブ51は、上述のシャトルバルブ54からの最大圧力Pmaxを信号圧として入力し、当該最大圧力Pmaxに応じたライン圧PLを生成する。ただし、プライマリレギュレータバルブ51は、オイルポンプ29側(例えばライン圧PLを調圧して一定の油圧を出力するモジュレータバルブ)からの作動油をアクセル開度Accあるいはスロットルバルブの開度に応じて調圧して制御圧を出力する図示しないリニアソレノイドバルブからの制御圧により駆動されるものであってもよい。
マニュアルバルブ52は、シフトレバー95と連動して軸方向に摺動可能なスプールや、ライン圧PLが供給される入力ポート、C1リニアソレノイドバルブSLC1、C2リニアソレノイドバルブSLC2およびB1リニアソレノイドバルブSLB1の入力ポートと油路を介して連通するドライブレンジ出力ポート、クラッチC3の油圧入口と油路を介して連通するリバースレンジ出力ポート等を有する。運転者により前進走行シフトレンジ(ドライブレンジ等)が選択されているときには、マニュアルバルブ52のスプールにより入力ポートがドライブレンジ出力ポートのみと連通され、これにより、C1リニアソレノイドバルブSLC1、C2リニアソレノイドバルブSLC2およびB1リニアソレノイドバルブSLB1にライン圧PLが供給される。また、運転者によりリバース走行用のリバースレンジが選択されたときには、マニュアルバルブ52のスプールにより入力ポートがリバースレンジ出力ポートのみと連通され、これにより、クラッチC3にライン圧PLが供給される。更に、運転者によりパーキングレンジやニュートラルレンジが選択されたときには、マニュアルバルブ52のスプールにより入力ポートとドライブレンジ出力ポートおよびリバースレンジ出力ポートとの連通が遮断される。
C1リニアソレノイドバルブSLC1は、マニュアルバルブ52からのライン圧PLを図示しない補機バッテリから印加される電流値に応じて調圧してクラッチC1に供給されるC1ソレノイド圧Pslc1を生成する常開型リニアソレノイドバルブである。C2リニアソレノイドバルブSLC2は、マニュアルバルブ52からのライン圧PLを図示しない補機バッテリから印加される電流値に応じて調圧してクラッチC2に供給されるC2ソレノイド圧Pslc2を生成する常開型リニアソレノイドバルブである。B1リニアソレノイドバルブSLB1は、マニュアルバルブ52からのライン圧PLを図示しない補機バッテリから印加される電流値に応じて調圧してブレーキB1に供給されるB1ソレノイド圧Pslb1を生成する常閉型リニアソレノイドバルブである。実施例では、コスト面や設計の容易さといった観点から、リニアソレノイドバルブSLC1,SLC2およびSLB1として、同一サイズかつ同一の最高出力圧を有するものが採用されている。そして、リニアソレノイドバルブSLC1,SLC2およびSLB1(それぞれに印加される電流)は、予め定められた図示しない変速線図から取得されるアクセル開度Acc(あるいはスロットルバルブの開度)および車速Vに対応した変速段がクラッチC1−C3およびブレーキB1の係脱により形成されるように変速ECU21によって制御される。
次に、図6から図8を参照しながら、クラッチC1およびC2ならびにブレーキB1のうちの何れか2つが同時係合されているとき、すなわち自動変速機30の第2速、第3速および第4速の何れかが形成されているときに同時係合される2つクラッチ等に対応したリニアソレノイドバルブを制御する手順について説明する。図6は、クラッチC1およびC2ならびにブレーキB1のうちの何れか2つが同時係合されているときに変速ECU21により所定時間おきに繰り返し実行される油圧制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。
図6のルーチンの開始に際して、変速ECU21の図示しないCPUは、自動変速機30の現変速段γや、自動変速機30のインプットシャフト31に入力される入力トルクすなわちエンジン12から出力されているトルクの推定値であるエンジントルクTeといった制御に必要なデータの入力処理を実行する(ステップS100)。現変速段γは、上述の変速線図から取得されるアクセル開度Accおよび車速Vに対応したものであり、ここでは、上述のように第2速、第3速および第4速の何れかとなるが、以下、簡単のために、適宜、現変速段γをクラッチC1およびC2の同時係合により形成される第3速として本ルーチンを説明する。また、エンジントルクTeは、エンジンECU14により例えばエンジン12の回転数や図示しないエアフローメータにより検出されるエンジン12の吸入空気量あるいはスロットルバルブの開度、予め定められたマップあるいは計算式に基づいて計算されるものであり、エンジンECU14から通信により入力される。
ステップS100のデータ入力処理の後、変速ECU21は、入力した現変速段γに基づいて同時係合されている2つのクラッチ等のトルク分担比を取得する(ステップS110)。トルク分担比は、ある変速段の形成に際して係合されるクラッチやブレーキにより伝達されるべきトルクのエンジントルクTe(入力トルク)に対する比を示すものである。実施例では、自動変速機30の変速段ごとに当該変速段の形成に際して係合されるクラッチやブレーキのトルク分担比を規定した図7に例示するようなトルク分担比マップが予め作成されており(ただし、図7における“R1c1”等は、それぞれ正の実数である)、ステップS110では、当該トルク分担比マップから現変速段γを形成する2つのクラッチ等のトルク分担比(現変速段γが第3速である場合、クラッチC1のトルク分担比R3c1およびクラッチC2のトルク分担比R3c2)が取得される。更に、変速ECU21は、ステップS110にて取得したトルク分担比のそれぞれをエンジントルクTeに乗じることにより、同時係合されている2つのクラッチ等の分担トルクを計算する(ステップS120)。すなわち、現変速段γが第3速である場合には、クラッチC1の分担トルクTc1は、Tc1=Te×R3c1となり、クラッチC2の分担トルクTc2は、Tc2=Te×R3c2となる。
次いで、変速ECU21は、その時点で同時係合されている2つのクラッチ等の一方を当該2つのクラッチ等の同時係合中にリニアソレノイドバルブの開固着や通電異常等に起因して他の1つのクラッチまたはブレーキにライン圧PLが直接供給されることにより当該他の1つのブレーキ等を係合させるといった異常が発生した際に係合が維持される異常時係合要素として定めると共に、当該2つのクラッチ等の他方を当該異常が発生した際に滑らせる異常時滑り要素として定める(ステップS130)。実施例では、自動変速機30の第2速、第3速および第4速について、同時係合されている2つのクラッチ等のうち、現変速段γよりも1段高速側の変速段が形成されるときに上記異常の発生により係合する他の1つのクラッチまたはブレーキと同時係合される一方が異常時係合要素として予め定められると共に、他方が異常時滑り要素として予め定められている。また、現変速段γが最高変速段すなわち第4速である場合には、第4速よりも1段低速側の第3速の形成時に他の1つのクラッチC1と同時係合されるクラッチC2が異常時係合要素として予め定められ、ブレーキB1が異常時滑り要素として予め定められている。これにより、可能な範囲内で(最高変速段の形成時を除いて)現変速段γに対応した2つのクラッチ等の同時係合によって形成される変速段よりも高速側(1段高速側)の変速段が形成され、かつ当該2つのクラッチ等の同時係合によって形成される変速段よりも2段以上低速側の変速段が形成されないように異常時係合要素と異常時滑り要素とが決定されることになる。
従って、実施例のステップS130では、現変速段γがクラッチC1およびブレーキB1の同時係合により形成される第2速である場合には、第2速よりも1段高速側の第3速の形成時に他の1つのクラッチC2と同時係合されるクラッチC1が異常時係合要素として定められると共にブレーキB1が異常時滑り要素として定められる。また、現変速段γがクラッチC1およびC2の同時係合により形成される第3速である場合、第3速よりも1段高速側の第4速の形成時に他の1つのブレーキB1と同時係合されるクラッチC2が異常時係合要素として定められると共にクラッチC1が異常時滑り要素として定められる。また、更に、現変速段γがクラッチC2およびブレーキB1の同時係合により形成される第4速である場合には、第4速よりも1段低速側の第3速の形成時に他の1つのクラッチC1と同時係合されるクラッチC2が異常時係合要素として定められ、ブレーキB1が異常時滑り要素として定められる。
こうして異常時係合要素と異常時滑り要素とを決定すると、変速ECU21は、異常時滑り要素に供給される油圧の目標油圧(目標値)を設定する(ステップS140)。すなわち、現変速段γが第3速である場合、変速ECU21は、ステップS140にて、異常時滑り要素であるクラッチC1にC1ソレノイド圧Pslc1を供給するC1リニアソレノイドバルブSLC1の目標油圧Pslc1*を設定する。異常時滑り要素についての目標油圧は、ステップS120にて設定された異常時滑り要素の分担トルクと予め定められた安全率αとの積(現変速段γが第3速である場合、Tc1×α)を異常時滑り要素(現変速段γが第3速である場合、クラッチC1)の諸元等に応じた油圧に換算することにより設定される。
更に、変速ECU21は、ステップS140にて設定した異常時滑り要素の目標油圧を考慮しながら異常時係合要素に供給される油圧の目標油圧(目標値)を設定する(ステップS150)。すなわち、現変速段γが第3速である場合、変速ECU21は、ステップS150にて、異常時係合要素であるクラッチC2にC2ソレノイド圧Pslc2を供給するC2リニアソレノイドバルブSLC2の目標油圧Pslc2*を設定する。異常時係合要素についての目標油圧は、ステップS120にて設定された異常時係合要素の分担トルクと予め定められた安全率αとの積と、異常時滑り要素の分担トルクと安全率αとの積に予め定められた係数kを乗じた値と、予め定められたマージンTmの和(現変速段γが第3速である場合、Tc2×α+Tc1×α×k+Tm)を異常時係合要素(現変速段γが第3速である場合、クラッチC2)の諸元等に応じた油圧に換算することにより設定される。これにより、現変速段γが第3速である場合、異常時係合要素であるクラッチC2に対応したC2リニアソレノイドバルブSLC2の目標油圧Pslc2*は、異常時滑り要素であるクラッチC1に対応したC1リニアソレノイドバルブSLC1の目標油圧Pslc1*よりも高く設定されることになる。
そして、変速ECU21は、異常時滑り要素に供給される油圧(現変速段γが第3速である場合、クラッチC1に供給されるC1ソレノイド圧Pslc1)がステップS140にて設定された目標油圧(Pslc1*)になると共に異常時係合要素に供給される油圧(現変速段γが第3速である場合、クラッチC2に供給されるC2ソレノイド圧Pslc2)がステップS150にて設定された目標油圧(Pslc2*)になるように同時係合される2つのクラッチ等に対応したリニアソレノイドバルブ(C1リニアソレノイドバルブSLC1およびC2リニアソレノイドバルブSLC2)を制御し(ステップS160)、再度ステップS100以降の処理を実行する。これにより、現変速段γが第3速である場合、異常時滑り要素であるクラッチC1には、自動変速機30の入力トルクであるエンジントルクTeと予め定められたトルク分担比R3c1とに基づく分担トルクTc1に応じた油圧が供給され、異常時係合要素であるクラッチC2には、エンジントルクTeと予め定められたトルク分担比R3c2とに基づく分担トルクTc2に応じた油圧をクラッチC1の分担トルクTc1に基づいて嵩上げした油圧が供給されることになる。
ここで、実施例の自動変速機30では、図8に示すようにクラッチC1およびC2の同時係合により自動変速機30の第3速が形成された状態で他の1つのブレーキB1を係合させる異常が発生したときに、クラッチC2の滑りを生じさせるスリップ限界トルク(同図における二点鎖線参照)が当該異常の発生時にクラッチC1の滑りを生じさせるスリップ限界トルク(同図における一転鎖線参照)よりも低くなる。このような特性を有する自動変速機30において、上述のように、異常時滑り要素であるクラッチC1に上記分担トルクTc1に応じた油圧を供給すると共に、異常時係合要素であるクラッチC2に上記分担トルクTc2に応じた油圧を異常時滑り要素であるクラッチC1の分担トルクTc1に基づいて嵩上げした油圧を供給すれば、クラッチC1のスリップ限界トルクを同図において一転鎖線で示すものに維持しつつ、クラッチC2のスリップ限界トルクを図8において太い実線で示すようにクラッチC1のスリップ限界トルクよりも高くすることができる。なお、ステップS150にて異常時係合要素への目標油圧の設定に際して用いられるマージンは、図8に示すように、クラッチC1のスリップ限界トルクのバラツキ(同図における点線参照)と、クラッチC1の分担トルクTc1に基づいて嵩上げした油圧をクラッチC2に供給したときの当該クラッチC2のスリップ限界トルクのバラツキ(同図における点線参照)とを考慮して定められる。
以上説明したように、実施例の動力伝達装置20に含まれる自動変速機30では、第2速、第3速または第4速(最高変速段)を形成するために同時係合される2つのクラッチ等の一方が、当該2つのクラッチ等の同時係合中に他の1つのクラッチまたはブレーキを係合させる異常が発生した際に係合が維持される異常時係合要素として予め定められており、当該2つのクラッチ等の他方は、当該異常が発生した際に滑らせる異常時滑り要素として予め定められている。そして、2つのクラッチ等の同時係合中には、異常時係合要素に供給される油圧(目標油圧)が異常時滑り要素に供給される油圧(目標油圧)よりも高く設定される(図6のステップS140およびS150)。すなわち、2つのクラッチ等の同時係合中には、当該2つのクラッチ等に滑りを生じさせることなく、かつ異常発生時に異常時係合要素に滑りが生じるように当該2つのクラッチ等に対応したリニアソレノイドバルブの目標油圧が設定される。これにより、2つのクラッチ等の同時係合中に他の1つのクラッチまたはブレーキを係合させる異常が発生した際に、異常時滑り要素を速やかに滑らせると共に異常時係合要素の係合をより確実に維持することが可能となるので、上記異常の発生後には、異常時係合要素と他の1つのクラッチまたはブレーキとの同時係合による変速段をより確実に形成することができる。従って、実施例の動力伝達装置20では、2つのクラッチ等の同時係合中に他の1つのクラッチまたはブレーキを係合させる異常が発生した際に自動変速機30をより適正な状態にすることが可能となる。
また、2つのクラッチ等の同時係合により自動変速機30の第2速または第3速が形成されている状態で他の1つのクラッチまたはブレーキを係合させる異常が発生した際に、異常時係合要素と他の1つのクラッチまたはブレーキとにより当該2つのクラッチ等の同時係合によって形成される変速段(第2速または第3速)よりも1段高速側の変速段(第3速または第4速)が形成されるようにすることで、上記異常の発生時に変速段が低速側(ダウンシフト側)に変更されてしまうこと、すなわち自動変速機30のアウトプットシャフト37に制動トルクが出力されてしまうことを抑制して、自動変速機30と連結されるエンジン12の吹き上がりを良好に抑制することができる。すなわち、上記実施例において、現変速段γが第3速である場合、クラッチC2を異常時係合要素とすると共にクラッチC1を異常時滑り要素とすることで、仮にライン圧PLが直接供給されることによってブレーキB1が係合する異常が発生したとしても、クラッチC2およびブレーキB1の同時係合によって現変速段γよりも1段高速側の第4速を形成し、クラッチC1およびブレーキB1の同時係合によって現変速段γよりも1段低速側の第2速が形成されてしまうことを抑制することができる。更に、クラッチC2とブレーキB1との同時係合により自動変速機30の最高変速段である第4速が形成されている状態でクラッチC1を係合させる異常が発生した際には、異常時係合要素であるクラッチC2と他の1つのクラッチC1とにより最高変速段よりも1段低速側の第3速が形成されるようにすることで、上記異常の発生時に変速段がより低速側(ダウンシフト側)に変更されること、すなわち自動変速機30のアウトプットシャフト37に高い制動トルクが出力されてしまうことを抑制して、自動変速機30と連結されるエンジン12の吹き上がりを抑制することができる。すなわち、上記実施例において、現変速段γが第4速である場合、クラッチC2を異常時係合要素とすると共にブレーキB1を異常時滑り要素とすることで、仮にライン圧PLが直接供給されることによってクラッチC1が係合する異常が発生したとしても、クラッチC1およびクラッチC2の同時係合によって現変速段γよりも1段低速側の第3速を形成し、クラッチC1およびブレーキB1の同時係合によって現変速段γよりも2段低速側の第2速が形成されてしまうことを抑制することができる。
このように、上記実施例では、可能な範囲内で(最高変速段の形成時を除いて)現変速段γに対応した2つのクラッチ等の同時係合によって形成される変速段よりも高速側(実施例では、1段高速側)の変速段が形成され、かつ当該2つのクラッチ等の同時係合によって形成される変速段よりも所定段以上低速側(実施例では、2段以上低速側)の変速段が形成されないように異常時係合要素と異常時滑り要素とが決定される(ステップS130)。これにより、上記異常の発生時に、第4速から第2速といったような急激なダウンシフトが行われてしまうことを抑制し、自動変速機30と連結されるエンジン12の吹き上がりを良好に抑制することが可能となる。
そして、上記実施例では、2つのクラッチ等の同時係合中に、自動変速機30の入力トルクであるエンジントルクTeと変速段に応じて予め定められた異常時滑り要素のトルク分担比とに基づく分担トルクに応じた油圧が異常時滑り要素に供給されると共に、エンジントルクTeと変速段に応じて予め定められた異常時係合要素のトルク分担比とに基づく分担トルクに応じた油圧を異常時滑り要素の分担トルクに基づいて嵩上げした油圧が異常時係合要素に供給される。これにより、2つのクラッチ等の同時係合中に、異常時係合要素のスリップ限界トルクが異常時滑り要素のスリップ限界トルクよりも高くなるように当該2つのクラッチ等に供給される油圧をより適正に設定することが可能となる。
なお、上述の自動変速機30は、3つ以上(5つ)のクラッチやブレーキの中の何れか2つを同時係合させて複数の変速段を形成するものであるが、本発明の適用対象は、これに限られるものではない。すなわち、本発明は、複数のクラッチやブレーキの中の3つ以上を同時係合させて複数の変速段を形成する変速装置に適用されてもよい。このような変速機の一例である変形例に係る自動変速機110を図9に示す。
図10に示す自動変速機110は、図示しない発進装置を介して原動機としてのエンジンに接続される入力軸114、減速用複式(ラビニヨ式)プラネタリギヤ115、変速用複式(ラビニヨ式)プラネタリギヤ116、図示しない差動機構等を介して駆動輪に連結される出力軸117、クラッチC−1,C−2,C−3,C−4,C−5,C−6、ブレーキB−1,B−2、およびワンウェイクラッチF−1等を含む。減速用複式プラネタリギヤ115は、互いに噛合するロングピニオンギヤ120とピニオンギヤ121とを回転可能に支承する減速共通キャリアC0C1と、ロングピニオンギヤ120と噛合する第1サンギヤS0と、ピニオンギヤ121と噛合する第2サンギヤS1と、ロングピニオンギヤ120と噛合する減速共通リングギヤR0R1とを有する。変速用複式プラネタリギヤ116は、互いに噛合するロングピニオンギヤ124とピニオンギヤ125とを回転可能に支承する変速共通キャリアC2C3と、ロングピニオンギヤ124と噛合する第3サンギヤS2と、ピニオンギヤ125と噛合する第4サンギヤS3と、ロングピニオンギヤ124と噛合する変速共通リングギヤR2R3とを有する。
減速用複式プラネタリギヤ115の第1サンギヤS0は、クラッチC−5を介して入力軸114と連結可能とされ、第2サンギヤS1は、トランスミッションケース112に固定されている。また、減速共通キャリアC0C1は、クラッチC−6を介して入力軸114に連結可能とされている。変速用複式プラネタリギヤ116の第3サンギヤS2は、クラッチC−4を介して減速用複式プラネタリギヤ115の減速共通キャリアC0C1に選択的に連結され、クラッチC−3を介して減速共通リングギヤR0R1に選択的に連結されると共に、ブレーキB−1を介して選択的に固定される。変速共通キャリアC2C3は、クラッチC−2を介して入力軸114に選択的に連結されると共に、ブレーキB−2を介して選択的に固定され、ブレーキB−2と並列に配置されたワンウェイクラッチF−1を介してトランスミッションケース112に連結されて逆転を阻止されている。第4サンギヤS3は、クラッチC−1を介して減速共通リングギヤR0R1に選択的に連結される。変速共通リングギヤR2R3は出力軸117に直結されている。
図10に、自動変速機110の各変速段とクラッチC−1〜C−6、ブレーキB−1およびB−2ならびにワンウェイクラッチF−1の作動状態との関係を表した作動表を示し、図11に、自動変速機110を構成する回転要素間における回転数の関係を例示する共線図を示す。自動変速機110は、クラッチC−1〜C−6、ブレーキB−1およびB−2を図10の作動表に示す状態にすること、すなわち複数(3つ以上)のクラッチC−1〜C−6、ブレーキB1およびB−2の中の何れか3つを同時係合させることにより、前進10段(第1速〜第7速、変速段OD1,OD2およびOD3)の変速段と後進4段までの変速段とを提供する。なお、図10において、「○」は「係合」を示し、「●」は「エンジンブレーキ時に係合されること」を示し、「(○)」は、「変速に備えて油圧が供給されるがクラッチによりトルクが伝達されないこと」を示す。
上述のように構成される自動変速機110では、図6に類する油圧制御ルーチンが実行される際に、上記ステップS130に相当する処理において、図12に示すようにして現変速段γにおける異常時係合要素と異常時滑り要素とが決定される。これにより、例えば現変速段γが第6速である場合、クラッチC−2およびC−6を異常時係合要素とすると共に、クラッチC−1を異常時滑り要素とすることで、仮にライン圧PLが直接供給されることによってクラッチC−3が係合する異常が発生したとしても、クラッチC−2,C−3およびC−6の同時係合によって現変速段γよりも2段高速側の変速段OD1を形成し、クラッチC−1,C−3およびC−6の同時係合によって現変速段γよりも2段低速側の第4速が形成されてしまうことを抑制することができる。このように、自動変速機110においても、可能な範囲内で(最高変速段の形成時を除いて)3つのクラッチ等の同時係合によって形成される変速段よりも高速側(1段以上高速側)の変速段が形成され、かつ2つのクラッチ等の同時係合によって形成される変速段よりも2段以上低速側の変速段が形成されないように異常時係合要素と異常時滑り要素とを決定することで、上述のような異常の発生時に例えば第6速から第4速といったような急激なダウンシフトが行われてしまうこと、すなわち自動変速機30のアウトプットシャフト37に高い制動トルクが出力されてしまうことを抑制し、自動変速機110と連結される原動機としてのエンジンの吹き上がりを良好に抑制することが可能となる。
なお、2つ以上のクラッチ等(摩擦係合要素)の同時係合中にそれら以外の少なくとも1つのクラッチ等(摩擦係合要素)が係合してしまう異常は、上述のような、2つ以上のクラッチ等の同時係合中にリニアソレノイドバルブの開固着や通電異常等に起因して他の少なくとも1つのクラッチ等にライン圧PLが直接供給されることにより当該少なくとも1つのクラッチ等が係合する異常に限られるものではない。すなわち、本発明が対象とする異常は、2つ以上のクラッチ等(摩擦係合要素)の同時係合中にそれら以外の少なくとも1つのクラッチ等(摩擦係合要素)が係合してしまうものであれば、例えばライン圧以外の油圧の供給により当該1つのクラッチ等が係合してしまう異常といったような如何なるものであってもよい。また、変速装置の構成や変速段数によっては、可能な範囲内で(最高変速段の形成時を除いて)現変速段に対応した2つのクラッチ等の同時係合によって形成される変速段よりも2段以上高速側の変速段が形成されるように常時係合要素と異常時滑り要素とを決定したり、当該2つのクラッチ等の同時係合によって形成される変速段よりも例えば3段以上低速側の変速段が形成されないように異常時係合要素と異常時滑り要素とを決定したりしてもよい。
ここで、実施例の主要な要素と発明の概要の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。すなわち、上記実施例では、クラッチC1およびC2ならびにブレーキB1を有すると共にクラッチC1およびC2ならびにブレーキB1の中の何れか2つを同時係合させて第2速、第3速および第4速を形成可能な自動変速機30が「変速機構」に相当し、それぞれ目標油圧に基づいてライン圧PLを調圧してクラッチC1およびC2ならびにブレーキB1の中の対応するものに油圧を供給するC1リニアソレノイドバルブSLC1、C2リニアソレノイドバルブSLC2およびB1リニアソレノイドバルブSLB1が「調圧バルブ」に相当し、図6のステップS130およびステップS140の処理を実行する変速ECU21が「決定手段」に相当し、図6のステップS150の処理を実行する変速ECU21が「目標油圧設定手段」に相当する。ただし、実施例等の主要な要素と発明の概要の欄に記載された発明の主要な要素との対応関係は、実施例等が発明の概要の欄に記載された発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、発明の概要の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。すなわち、実施例等はあくまで発明の概要の欄に記載された発明の具体的な一例に過ぎず、発明の概要の欄に記載された発明の解釈は、その欄の記載に基づいて行なわれるべきものである。
以上、実施例を用いて本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な変更をなし得ることはいうまでもない。
本発明は、変速装置の製造産業において利用可能である。

Claims (10)

  1. 少なくとも3つ以上の摩擦係合要素を有すると共に前記3つ以上の摩擦係合要素の中の2つ以上を同時係合させて複数の変速段を形成可能な変速機構と、それぞれ対応する摩擦係合要素への油圧を目標油圧に基づいて調圧する複数の調圧バルブとを含む変速装置の制御装置において、
    同時係合される2つ以上の摩擦係合要素の一部を、該2つ以上の摩擦係合要素の同時係合中にそれら以外の少なくとも1つの摩擦係合要素が係合する異常の発生時に係合が維持される異常時係合要素として決定すると共に、前記2つ以上の摩擦係合要素の中の前記一部以外を、前記異常の発生時に滑らせる異常時滑り要素として決定する決定手段と、
    前記変速機構の入力トルクと予め定められたトルク分担比とに基づいて、前記2つ以上の摩擦係合要素の係合により前記変速段を形成している状態で、該2つ以上の摩擦係合要素に滑りを生じさせることなく、かつ前記異常発生時に前記異常時係合要素に滑りが生じるように前記2つ以上の摩擦係合要素に対応した調圧バルブの目標油圧を設定する目標油圧設定手段と、
    を備え、
    前記決定手段は、前記2つ以上の摩擦係合要素の同時係合によって形成される変速段よりも高速側の変速段が形成されるように前記異常時係合要素と前記異常時滑り要素とを決定することを特徴とする変速装置の制御装置。
  2. 請求項1に記載の変速装置の制御装置において、
    前記決定手段は、前記異常の発生時に、前記異常時係合要素と前記2つ以上の摩擦係合要素以外の少なくとも1つの摩擦係合要素とによって前記2つ以上の摩擦係合要素の同時係合によって形成される変速段よりも1段高速側の変速段が形成されるように前記異常時係合要素と前記異常時滑り要素とを決定することを特徴とする変速装置の制御装置。
  3. 請求項1または2に記載の変速装置の制御装置において、
    前記決定手段は、前記2つ以上の摩擦係合要素の同時係合により最高変速段が形成されている状態での前記異常の発生時に、前記異常時係合要素と前記2つ以上の摩擦係合要素以外の少なくとも1つの摩擦係合要素とによって前記最高変速段よりも1段低速側の変速段が形成されるように前記異常時係合要素と前記異常時滑り要素とを決定することを特徴とする変速装置の制御装置。
  4. 請求項1から3の何れか一項に記載の変速装置の制御装置において、
    前記目標油圧設定手段は、前記入力トルクと前記変速段に応じて予め定められた前記異常時滑り要素のトルク分担比とに基づく分担トルクに応じた油圧が該異常時滑り要素に供給されると共に、前記入力トルクと前記変速段に応じて予め定められた前記異常時係合要素のトルク分担比とに基づく分担トルクに応じた油圧を前記異常時滑り要素の前記分担トルクに基づいて嵩上げした油圧が該異常時係合要素に供給されるように前記2つ以上の摩擦係合要素に対応した調圧バルブの目標油圧を設定することを特徴とする変速装置の制御装置。
  5. 少なくとも3つ以上の摩擦係合要素を有すると共に前記3つ以上の摩擦係合要素の中の2つ以上を同時係合させて複数の変速段を形成可能な変速機構と、それぞれ対応する摩擦係合要素への油圧を目標油圧に基づいて調圧する複数の調圧バルブとを含む変速装置の制御装置において、
    同時係合される2つ以上の摩擦係合要素の一部を、該2つ以上の摩擦係合要素の同時係合中にそれら以外の少なくとも1つの摩擦係合要素が係合する異常の発生時に係合が維持される異常時係合要素として決定すると共に、前記2つ以上の摩擦係合要素の中の前記一部以外を、前記異常の発生時に滑らせる異常時滑り要素として決定する決定手段と、
    前記変速機構の入力トルクと予め定められたトルク分担比とに基づいて、前記2つ以上の摩擦係合要素の係合により前記変速段を形成している状態で、該2つ以上の摩擦係合要素に滑りを生じさせることなく、かつ前記異常発生時に前記異常時係合要素に滑りが生じるように前記2つ以上の摩擦係合要素に対応した調圧バルブの目標油圧を設定する目標油圧設定手段と、
    を備え、
    前記決定手段は、前記2つ以上の摩擦係合要素の同時係合によって形成される変速段よりも所定段以上低速側の変速段が形成されないように前記異常時係合要素と前記異常時滑り要素とを決定することを特徴とする変速装置の制御装置。
  6. 請求項5に記載の変速装置の制御装置において、
    前記決定手段は、前記異常の発生時に、前記異常時係合要素と前記2つ以上の摩擦係合要素以外の少なくとも1つの摩擦係合要素とによって前記2つ以上の摩擦係合要素の同時係合によって形成される変速段よりも高速側の変速段が形成されるように前記異常時係合要素と前記異常時滑り要素とを決定することを特徴とする変速装置の制御装置。
  7. 請求項5または6に記載の変速装置の制御装置において、
    前記決定手段は、前記2つ以上の摩擦係合要素の同時係合により最高変速段が形成されている状態での前記異常の発生時に、前記異常時係合要素と前記2つ以上の摩擦係合要素以外の少なくとも1つの摩擦係合要素とによって前記最高変速段よりも1段低速側の変速段が形成されるように前記異常時係合要素と前記異常時滑り要素とを決定することを特徴とする変速装置の制御装置。
  8. 請求項5から7の何れか一項に記載の変速装置の制御装置において、
    前記目標油圧設定手段は、前記入力トルクと前記変速段に応じて予め定められた前記異常時滑り要素のトルク分担比とに基づく分担トルクに応じた油圧が該異常時滑り要素に供給されると共に、前記入力トルクと前記変速段に応じて予め定められた前記異常時係合要素のトルク分担比とに基づく分担トルクに応じた油圧を前記異常時滑り要素の前記分担トルクに基づいて嵩上げした油圧が該異常時係合要素に供給されるように前記2つ以上の摩擦係合要素に対応した調圧バルブの目標油圧を設定することを特徴とする変速装置の制御装置。
  9. 少なくとも3つ以上の摩擦係合要素を有すると共に前記3つ以上の摩擦係合要素の中の2つ以上を同時係合させて複数の変速段を形成可能な変速機構と、それぞれ対応する摩擦係合要素への油圧を目標油圧に基づいて調圧する複数の調圧バルブとを含む変速装置の制御方法において、
    (a)同時係合される2つ以上の摩擦係合要素の一部を、該2つ以上の摩擦係合要素の同時係合中にそれら以外の少なくとも1つの摩擦係合要素が係合する異常の発生時に係合が維持される異常時係合要素として決定すると共に、前記2つ以上の摩擦係合要素の中の前記一部以外を、前記異常の発生時に滑らせる異常時滑り要素として決定するステップと、
    (b)前記変速機構の入力トルクと予め定められたトルク分担比とに基づいて、前記2つ以上の摩擦係合要素の係合により前記変速段を形成している状態で、該2つ以上の摩擦係合要素に滑りを生じさせることなく、かつ前記異常発生時に前記異常時係合要素に滑りが生じるように前記2つ以上の摩擦係合要素に対応した調圧バルブの目標油圧を設定するステップと、
    を含み、
    ステップ(a)は、前記2つ以上の摩擦係合要素の同時係合によって形成される変速段よりも高速側の変速段が形成されるように前記異常時係合要素と前記異常時滑り要素とを決定することを特徴とする変速装置の制御方法。
  10. 少なくとも3つ以上の摩擦係合要素を有すると共に前記3つ以上の摩擦係合要素の中の2つ以上を同時係合させて複数の変速段を形成可能な変速機構と、それぞれ対応する摩擦係合要素への油圧を目標油圧に基づいて調圧する複数の調圧バルブとを含む変速装置の制御方法において、
    (a)同時係合される2つ以上の摩擦係合要素の一部を、該2つ以上の摩擦係合要素の同時係合中にそれら以外の少なくとも1つの摩擦係合要素が係合する異常の発生時に係合が維持される異常時係合要素として決定すると共に、前記2つ以上の摩擦係合要素の中の前記一部以外を、前記異常の発生時に滑らせる異常時滑り要素として決定するステップと、
    (b)前記2つ以上の摩擦係合要素の係合により前記変速段を形成している状態で、該2つ以上の摩擦係合要素に滑りを生じさせることなく、かつ前記異常発生時に前記異常時係合要素に滑りが生じるように前記2つ以上の摩擦係合要素に対応した調圧バルブの目標油圧を設定するステップと、
    を含み、
    ステップ(a)は、前記2つ以上の摩擦係合要素の同時係合によって形成される変速段よりも所定段以上低速側の変速段が形成されないように前記異常時係合要素と前記異常時滑り要素とを決定することを特徴とする変速装置の制御方法。
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