JPWO2012070510A1 - 心筋梗塞のリスク検査法 - Google Patents

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Abstract

確度が高く臨床上有用な心筋梗塞のリスク検査法(易罹患性の判定法)、それに使用する試薬及びキットを提供することを課題とする。被検者から採取された核酸検体について、以下の(1)〜(5)のいずれかの遺伝子多型、即ち、(1)ALMS1遺伝子においてグルタミン酸リピートをコードする領域の多型; (2)米国バイオテクノロジー情報センター(NCBI)のSNPデータベースにおける登録番号rs2037814で特定される一塩基多型;(3)米国バイオテクノロジー情報センター(NCBI)のSNPデータベースにおける登録番号rs7598901で特定される一塩基多型;(4)米国バイオテクノロジー情報センター(NCBI)のSNPデータベースにおける登録番号rs1052161で特定される一塩基多型;(5)米国バイオテクノロジー情報センター(NCBI)のSNPデータベースにおける登録番号rs6706562で特定される一塩基多型を検出するステップを含む、心筋梗塞のリスク検査法が提供される。

Description

本発明は心筋梗塞のリスク検査法、該リスク検査法に利用される試薬及びキットに関する。本出願は、2010年11月22日に出願された日本国特許出願第2010−259925号に基づく優先権を主張するものであり、当該特許出願の全内容は参照により援用される。
心筋梗塞は欧米諸国において最も死亡率の高い疾患であり、たとえ致死的ではないにしても、心不全や狭心症・難治性不整脈を合併し患者の生活の質を著しく低下させるため、これを予防することが重要であることは言うまでもない。心筋梗塞の発症には環境因子のみならず遺伝的因子が大きな影響を及ぼす。心筋梗塞感受性遺伝子を同定できれば、心筋梗塞の予防に多大な貢献をする。これまでに、心筋梗塞との関連が認められる遺伝子座が見出されている(例えば非特許文献1を参照)。また、いくつかの候補遺伝子(アンギオテンシン変換酵素遺伝子、血小板糖タンパクIIIa遺伝子、第7血液凝固因子因子)が同定されている。遺伝子多型を心筋梗塞の診断に利用する試みも行われている。例えば、男性ではコネキシン37遺伝子の多型、NADH/NADPHオキシダーゼp22フォックス遺伝子の多型、女性ではプラスミノーゲン活性化因子インヒビター1遺伝子の多型、ストロメライシン1遺伝子の多型が心筋梗塞発症と強い関連を有することが報告されるとともに、これらの多型が心筋梗塞の診断に有用であることが示されている(特許文献1、非特許文献2)。尚、本願発明者らの研究グループは先の特許出願(特許文献3)において心筋梗塞と強い関連を認める遺伝子多型を報告した。
特開2004−24036号公報 国際公開第2010/010697号パンフレット
Am J Hum Genet 74: 262, 2004 New Engl J Med 347: 1916-23, 2002
本発明は、確度が高く臨床上有用な心筋梗塞のリスク検査法(易罹患性の判定法)、それに使用する試薬及びキットを提供することを課題とする。
生活習慣病の感受性遺伝子は、一般に、疾患発症への寄与があまり高くなく(オッズ比<2)、しかも複数存在するため、その同定は容易でない。さらに、集団での出現頻度が比較的高い遺伝子変異が疾患発症に関与する(common disease common variant hypothesis)とは限らず、出現頻度は低いものの、疾患発症リスクが高い変異も発見されている(common disease rare variant hypothesis)。従って、生活習慣病の感受性遺伝子の同定は、質・量ともに優れた大規模集団を対象として、候補遺伝子関連解析、ゲノムワイド連鎖解析(GWLS)及び大規模ゲノムワイド関連解析(GWAS)を駆使した多面的なアプローチをする必要がある。
本発明者らは、以上の視点に立ち、冠動脈疾患罹患同胞対を対象として、全染色体領域をカバーする660,000SNPsを測定可能したゲノムワイド連鎖解析(GWLS)を実施することにより、心筋梗塞に特異的な連鎖領域を2番染色体に見出した。次に、当該連鎖領域について高密度SNP関連解析(症例−対照関連解析)を実施した。その結果、ALMS1遺伝子近傍に位置する一群のSNPが有意に関連していることが判明し、心筋梗塞感受性領域の存在が示された。続いて、ALMS1領域の再シークエンス、及びALMS1領域の一部の多型について大規模関連解析を実施した。この解析によって、ALMS1領域に存在する、グルタミン酸リピートをコードする領域の多型(グルタミン酸リピート多型)が最も低いP値を示し、心筋梗塞リスクマーカーとして最も有用であること、及びALMS1領域の連鎖不平衡にあるSNP群(新規SNPを含む)が心筋梗塞感受性領域であることが示された。本発明は主として以上の成果に基づき完成されたものであり、以下の通りである。
[1]被検者から採取された核酸検体について、以下の(1)〜(5)のいずれかの遺伝子多型を検出するステップを含む、心筋梗塞のリスク検査法:
(1)ALMS1遺伝子においてグルタミン酸リピートをコードする領域の多型;
(2)米国バイオテクノロジー情報センター(NCBI)のSNPデータベースにおける登録番号rs2037814で特定される一塩基多型;
(3)米国バイオテクノロジー情報センター(NCBI)のSNPデータベースにおける登録番号rs7598901で特定される一塩基多型;
(4)米国バイオテクノロジー情報センター(NCBI)のSNPデータベースにおける登録番号rs1052161で特定される一塩基多型;
(5)米国バイオテクノロジー情報センター(NCBI)のSNPデータベースにおける登録番号rs6706562で特定される一塩基多型。
[2]心筋梗塞が若年性心筋梗塞である、[1]に記載の心筋梗塞のリスク検査法。
[3](1)の多型については以下の(1-a)〜(1-f)のいずれかの基準、(2)の多型については以下の(2-a)〜(2-c)のいずれかの基準、(3)の多型については以下の(3-a)〜(3-c)のいずれかの基準、(4)の多型については以下の(4-a)〜(4-c)のいずれかの基準、(5)の多型については以下の(5-a)〜(5-c)のいずれかの基準、に従いリスクを判定することを特徴とする、[1]又は[2]に記載のリスク検査法:
(1-a) リピート数が9〜14のアレルが検出されるとリスクが高い;
(1-b) リピート数が14のアレルが検出されるとリスクが高い;
(1-c) リピート数が9〜14以外のアレルのホモ接合体のリスク < リピート数9〜14のアレルとリピート数が9〜14以外のアレルとのヘテロ接合体のリスク,リピート数が9〜14のアレルのホモ接合体のリスク;
(1-d) リピート数が9〜14以外のアレルのホモ接合体のリスク < リピート数が9〜14のアレルとリピート数が9〜14以外のアレルとのヘテロ接合体のリスク < リピート数が9〜14のアレルのホモ接合体のリスク;
(1-e) リピート数が14以外のアレルのホモ接合体のリスク < リピート数14のアレルとリピート数が14以外のアレルとのヘテロ接合体のリスク,リピート数が14のアレルのホモ接合体のリスク;
(1-f) リピート数が14以外のアレルのホモ接合体のリスク < リピート数が14のアレルとリピート数が14以外のアレルとのヘテロ接合体のリスク < リピート数が14のアレルのホモ接合体のリスク;
(2-a) 塩基がTのアレルが検出されればリスクが高い;
(2-b) G/G型のリスク <T/G型のリスク,T/T型のリスク;
(2-c) G/G型のリスク < T/G型のリスク < T/T型のリスク;
(3-a) 塩基がCのアレルが検出されればリスクが高い;
(3-b) T/T型のリスク <C/T型のリスク,C/C型のリスク;
(3-c) T/T型のリスク < C/T型のリスク < C/C型のリスク;
(4-a) 塩基がGのアレルが検出されればリスクが高い;
(4-b) A/A型のリスク <G/A型のリスク,G/G型のリスク;
(4-c) A/A型のリスク < G/A型のリスク < G/G型のリスク;
(5-a) 塩基がCのアレルが検出されればリスクが高い;
(5-b) G/G型のリスク < C/G型のリスク,C/C型のリスク;
(5-c) G/G型のリスク < C/G型のリスク < C/C型のリスク。
[4]以下の(i)〜(v)のいずれかの核酸を含む、心筋梗塞のリスク検査用試薬:
(i)ALMS1遺伝子においてグルタミン酸リピートをコードする領域の多型を検出するための核酸であって、前記多型部位を含む一定領域に相補的な配列を含み、前記領域に対して特異的にハイブリダイズする核酸;
(ii)米国バイオテクノロジー情報センター(NCBI)のSNPデータベースにおける登録番号rs2037814で特定される一塩基多型を検出するための核酸であって、前記多型部位を含む一定領域に相補的な配列を含み、前記領域に対して特異的にハイブリダイズする核酸;
(iii)米国バイオテクノロジー情報センター(NCBI)のSNPデータベースにおける登録番号rs7598901で特定される一塩基多型を検出するための核酸であって、前記多型部位を含む一定領域に相補的な配列を含み、前記領域に対して特異的にハイブリダイズする核酸;
(iv)米国バイオテクノロジー情報センター(NCBI)のSNPデータベースにおける登録番号rs1052161で特定される一塩基多型を検出するための核酸であって、前記多型部位を含む一定領域に相補的な配列を含み、前記領域に対して特異的にハイブリダイズする核酸;
(v)米国バイオテクノロジー情報センター(NCBI)のSNPデータベースにおける登録番号rs6706562で特定される一塩基多型を検出するための核酸であって、前記多型部位を含む一定領域に相補的な配列を含み、前記領域に対して特異的にハイブリダイズする核酸。
[5][4]に記載の試薬を含む、心筋梗塞のリスク検査用キット。
本研究のフローチャート。 罹患同胞対連鎖解析及び高密度SNP関連解析の結果。 ALMS1領域にあるSNPsの連鎖不平衡マップ。 グルタミン酸リピート多型の位置。13番目以降に存在するグルタミン酸(E)のリピート数(連続する個数)に多型がある。今回の解析ではリピート数9〜22のアレルが検出された。主なアレルは、リピート数14と17であった(図6を参照)。 グルタミン酸リピート多型とrs番号の関係。図示したrs番号は全てグルタミン酸リピート多型を登録したものである。 グルタミン酸リピート多型の頻度。 ALMS1領域に存在するグルタミン酸リピート多型の大規模関連解析結果。リピート数が14以下をリスクアレルとした。RAF(Risk Allele Frequency)は、リスクアレルの出現頻度を示す。MI:心筋梗塞患者、OR:オッズ比、CI:信頼区間。 ALMS1領域に存在するグルタミン酸リピート多型の大規模関連解析結果。リピート数が14をリスクアレルとした。RAF(Risk Allele Frequency)は、リスクアレルの出現頻度を示す。MI:心筋梗塞患者、OR:オッズ比、CI:信頼区間。 ALMS1領域に存在する3多型の大規模関連解析結果。MI:心筋梗塞患者、OR:オッズ比、CI:信頼区間。 グルタミン酸リピート多型(Eリピート多型)、ALMS1領域の連鎖不平衡ブロックにあるSNP群の中で有意に低いP値を示すrs10191517多型及びrs6720094多型、並びにrs2037814多型、rs7598901多型及びrs1052161多型の連鎖不平衡解析結果。 rs6706562多型とグルタミン酸リピート多型の連鎖不平衡解析結果。
(心筋梗塞のリスク検査法)
本発明の第1の局面は心筋梗塞のリスク検査法に関する。本発明において「心筋梗塞のリスク」とは、心筋梗塞を生ずるおそれの程度(易罹患性)をいう。従って、本発明のリスク検査法によれば、心筋梗塞の易罹患性を判定・評価することが可能である。好ましい一態様として本発明は、若年性の心筋梗塞のリスク判定・評価に利用される。「若年性の心筋梗塞」とは、男性は50歳未満、女性は55歳未満で発症を認める心筋梗塞をいう。従って、当該態様の場合は、男性は50歳未満、女性は55歳未満の者が本発明の被検者となる。
本発明のリスク検査法では、被検者から採取された核酸検体について、特定の遺伝子多型を検出し、検出結果に基づきリスクを判定・評価する。検出対象の遺伝子多型の詳細は後述する。
まず、被検者から採取された核酸検体を用意する。本発明では、心筋梗塞のリスク判定を必要とする者(被検者)に由来する核酸検体を使用する。核酸検体は、被検者の血液、唾液、リンパ液、尿、汗、皮膚細胞、粘膜細胞、毛髪等から公知の抽出方法、精製方法を用いて調製することができる。検出対象の多型部位を含むものであれば任意の長さのゲノムDNAを核酸検体として用いることができる。また、多型部位に対応する領域を含むmRNA又はその相補的DNA(cDNA)を核酸検体として用いることにしてもよい。この場合には、例えば、検出対象の多型部位を含むゲノムDNAの転写産物であるmRNAを被検者の血液等から抽出、精製した後、逆転写によりcDNAを調製する。当該cDNAの塩基配列を解析することによりゲノムDNAの多型部分の配列を決定することができる。
被検者は特に限定されない。即ち、心筋梗塞のリスク判定が必要な者に対して広く本発明を適用することができる。例えば、心筋梗塞の患者、心筋梗塞に罹患していることが疑われる者、又は健常者が被検者となる。前二者についての判定結果はより適切な治療方針の決定に役立ち、治療効果の向上、患者のQOL(Quality of Life、生活の質)の向上を促す。一方、健常者についての判定結果は心筋梗塞の予防や早期診断に役立つ。即ち、リスクが高いとの情報に基づいて予防的措置や生活習慣の改善等を図れば、心筋梗塞の発生可能性(罹患可能性)を低下させることができる。また、リスクが高いとの情報は心筋梗塞の検診を受診させる契機となり、これによって心筋梗塞の早期診断(早期発見)が可能となる。尚、ここでの「健常者」とは、本発明のリスク検査法を適用する時点において、心筋梗塞に罹患しているとの判断が行われていない者のことをいう。
本発明の適用範囲は日本人に限られない。即ち、日本人以外のモンゴロイドやその他の人種(コーカサイド等)に対しても本発明を適用可能である。但し、遺伝的に近い集団(例えば日本人集団に対して中国人集団や韓国人集団は近い)では多型の種類・頻度が同様の傾向を示すことが多いという事実を考慮すると、本発明における被検者は好ましくはモンゴロイド(日本人、中国人、韓国人など)であり、更に好ましくは日本人である。
本発明では以下の(1)〜(5)のいずれかの多型を検出する。
(1)ALMS1遺伝子においてグルタミン酸リピート(グルタミン酸の繰り返し)をコードする領域の多型(以下、「グルタミン酸リピート多型」とも呼ぶ)
(2)rs2037814で特定される一塩基多型(以下、「rs2037814多型」とも呼ぶ)
(3)rs7598901で特定される一塩基多型(以下、「rs7598901多型」とも呼ぶ)
(4)rs1052161で特定される一塩基多型(以下、「rs1052161多型」とも呼ぶ)
(5)rs6706562で特定される一塩基多型(以下、「rs6706562多型」とも呼ぶ)
(2)〜(5)におけるrs番号は、米国バイオテクノロジー情報センター(NCBI)のSNPデータベースでの登録番号である。尚、同データベースでの以下のレコード、即ち、rs72319667、rs66480235、rs72293473、rs72445008、rs36223922、rs66908601、rs3074417、rs72325073、rs61156725、rs70965731、rs55889738、rs13009043、rs72525315、rs13009604及びrs13009609は全てグルタミン酸リピート多型を登録したものである。
上記多型は全て第2染色体上に存在する。各多型について、(i)染色体上の位置、(ii)ALMS1 mRNAでの対応位置、及び(iii)ALMS1タンパク質での対応位置(アミノ酸番号)を以下に示す。尚、(i)染色体上の位置はdbSNP(BUILD132)を用い、rs番号から特定した。また、(ii)mRNAでの対応位置はデータベースアクセッション番号NM_015120より、(iii)ALMS1タンパク質での対応位置はデータベースアクセッション番号NP_055935より特定した。また、ALMS1 mRNAの全長の配列を配列番号1に、コード領域の配列を配列番号2にそれぞれ示す。同様にALMS1タンパク質のアミノ酸配列を配列番号3に示す。
グルタミン酸リピート多型:(i)73613033〜73613083;(ii)148〜198;(iii)13〜29(リピート数17)
rs2037814多型:(i)73675669;(ii)2129;(iii)673
rs7598901多型:(i)73675844;(ii)2304;(iii)731
rs1052161多型:(i)73828538;(ii)12203;(iii)4031
rs6706562多型:(i)73548787;(ii)該当なし;(iii)該当なし
上記多型は全て一つの連鎖不平衡ブロックの中に存在し、互いに強い連鎖不平衡の関係にある。尚、本発明において用語「多型を検出する」は、用語「多型を解析する」又は用語「アレルを検出する」と置換可能である。多型の検出によって多型位置の状態(即ち、塩基の種類)が明らかとなる。
好ましくは、大規模関連解析によって最も有用であることが判明したグルタミン酸リピート多型(後述の実施例を参照)を検出対象にする。当該態様によれば信頼度の一層高いリスク検査が可能となる。
ところで、ALMS1遺伝子は、Alstrom症候群の原因遺伝子として同定されたものである。Alstrom症候群は、網膜色素変性症、難聴、肥満及び糖尿病を主徴とする。Alstrom症候群の症状ないし病態として、他に黒色表皮腫、脊柱側弯症、拡張型心筋症、肝疾患、肺線維症、腎不全、高脂血症、甲状腺機能不全などが報告されている。ALMS1遺伝子については複数の多型の存在が報告されているが、これらの多型が特定の疾患に関連するとの報告はない。尚、白色英国人を対象とした解析が行われ、ALMS1遺伝子の多型rs1881245、rs3820700及びrs1320374が2型糖尿病の発症に関与しないとの結論が示されている(Patel, S., J. Minton, et al. (2006). "Common variations in the ALMS1 gene do not contribute to susceptibility to type 2 diabetes in a large white UK population." Diabetologia 49(6): 1209-1213)。
本発明では多型の検出結果、即ち検出されたアレルの種類又はアレルの組合せ(遺伝子型)を基にリスクを判定する。ここでの判定は、その判定基準から明らかな通り、医師や検査技師など専門知識を有する者の判断によらずとも自動的/機械的に行うことができる。
後述の実施例に示す通り、グルタミン酸リピート多型では、リピート数9〜14がリスクアレルであることが判明した。また、リピート数14もリスクアレルであることが判明した。同様にrs2037814多型についてはT(チミン)がリスクアレル、rs7598901多型についてはC(シトシン)がリスクアレル、rs1052161多型についてはG(グアニン)がリスクアレル、rs6706562多型についてはC(シトシン)がリスクアレルであることが判明した。そこで、例えば以下の基準に従ってリスクを判定・評価する。
<グルタミン酸リピート多型に関する基準>
(1-a) リピート数が9〜14のアレルが検出されるとリスクが高い
(1-b) リピート数が14のアレルが検出されるとリスクが高い
<rs2037814多型に関する基準>
(2-a) 塩基がTのアレルが検出されればリスクが高い
<rs7598901多型に関する基準>
(3-a) 塩基がCのアレルが検出されればリスクが高い
<rs1052161多型に関する基準>
(4-a) 塩基がGのアレルが検出されればリスクが高い
<rs6706562多型に関する基準>
(5-a) 塩基がCのアレルが検出されればリスクが高い
本発明の好ましい一態様では、多型の検出結果より、遺伝子型(アレルの組合せ)を決定する。具体的には、グルタミン酸リピート多型の場合は各アレルのリピート数を決定する。rs2037814多型の場合はT/T型(多型位置の塩基がTのアレルのホモ接合型)、T/G型(多型位置の塩基がTのアレルと多型位置の塩基がGのアレルのヘテロ接合体)及びGG型(多型位置の塩基がGのアレルのホモ接合型)のいずれであるかを決定する。同様にrs7598901多型の場合はC/C型(多型位置の塩基がCのアレルのホモ接合型)、C/T型(多型位置の塩基がCのアレルと多型位置の塩基がTのアレルのヘテロ接合体)、T/T型(多型位置の塩基がTのアレルのホモ接合型)のいずれであるかを、rs1052161多型の場合はG/G型(多型位置の塩基がGのアレルのホモ接合型)、G/A型(多型位置の塩基がGのアレルと多型位置の塩基がAのアレルのヘテロ接合体)、A/A型(多型位置の塩基がAのアレルのホモ接合体)のいずれであるかを、rs6706562多型の場合はC/C型(多型位置の塩基がCのアレルのホモ接合型)、C/G型(多型位置の塩基がCのアレルと多型位置の塩基がGのアレルのヘテロ接合体)、G/G型(多型位置の塩基がGのアレルのホモ接合型)のいずれであるかを決定する。遺伝子型を用いれば、より確度の高い判定・評価が可能になる。尚、検出対象の各多型は、付加(Additive)モデル解析(後述の実施例を参照)及び優性(dominant)モデル解析(データ示さず)において心筋梗塞群と対照群との間に有意差を認めるものである。この事実に鑑み、遺伝子型を用いたリスク判定・評価においては、例えば、以下の基準を採用することができる。
<グルタミン酸リピート多型に関する基準>
(1-c) リピート数が9〜14以外のアレルのホモ接合体のリスク < リピート数9〜14のアレルとリピート数が9〜14以外のアレルとのヘテロ接合体のリスク,リピート数が9〜14のアレルのホモ接合体のリスク
(1-d) リピート数が9〜14以外のアレルのホモ接合体のリスク < リピート数が9〜14のアレルとリピート数が9〜14以外のアレルとのヘテロ接合体のリスク < リピート数が9〜14のアレルのホモ接合体のリスク
(1-e) リピート数が14以外のアレルのホモ接合体のリスク < リピート数14のアレルとリピート数が14以外のアレルとのヘテロ接合体のリスク,リピート数が14のアレルのホモ接合体のリスク
(1-f) リピート数が14以外のアレルのホモ接合体のリスク < リピート数が14のアレルとリピート数が14以外のアレルとのヘテロ接合体のリスク < リピート数が14のアレルのホモ接合体のリスク
<rs2037814多型に関する基準>
(2-b) G/G型のリスク <T/G型のリスク,T/T型のリスク
(2-c) G/G型のリスク < T/G型のリスク < T/T型のリスク
<rs7598901多型に関する基準>
(3-b) T/T型のリスク <C/T型のリスク,C/C型のリスク
(3-c) T/T型のリスク < C/T型のリスク < C/C型のリスク
<rs1052161多型に関する基準>
(4-b) A/A型のリスク <G/A型のリスク,G/G型のリスク
(4-c) A/A型のリスク < G/A型のリスク < G/G型のリスク
<rs6706562多型に関する基準>
(5-b) G/G型のリスク < C/G型のリスク,C/C型のリスク
(5-c) G/G型のリスク < C/G型のリスク < C/C型のリスク
多型の検出法(解析法)は特に限定されるものではなく例えばアレル特異的プライマー(及びプローブ)を用い、PCR法による増幅、及び増幅産物の多型を蛍光又は発光によって検出する方法や、PCR(polymerase chain reaction)法を利用したPCR-RFLP(restriction fragment length polymorphism:制限酵素断片長多型)法、PCR-SSCP(single strand conformation polymorphism:単鎖高次構造多型)法(Orita,M. et al., Proc. Natl. Acad. Sci., U.S.A., 86, 2766-2770(1989)等)、PCR-SSO(specific sequence oligonucleotide:特異的配列オリゴヌクレオチド)法、PCR-SSO法とドットハイブリダイゼーション法を組み合わせたASO(allele specific oligonucleotide:アレル特異的オリゴヌクレオチド)ハイブリダイゼーション法(Saiki, Nature, 324, 163-166(1986)等)、TaqMan(登録商標、Roche Molecular Systems社)-PCR法(Livak, KJ, Genet Anal,14,143(1999),Morris, T. et al., J. Clin. Microbiol.,34,2933(1996))、Invader(登録商標、Third Wave Technologies社)法(Lyamichev V et al., Nat Biotechnol,17,292(1999))、FRET(Fluorescence Resonance Energy Transfer)を利用した方法(Heller, Academic Press Inc, pp. 245-256(1985)、Cardullo et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 85, 8790-8794(1988)、国際公開第99/28500号パンフレット、特開2004-121232号公報など)、ASP-PCR(Allele Specific Primer-PCR)法(国際公開第01/042498号公報など)、プライマー伸長法を用いたMALDI-TOF/MS(matrix)法(Haff LA, Smirnov IP, Genome Res 7,378(1997))、RCA(rolling cycle amplification)法(Lizardi PM et al., Nat Genet 19,225(1998))、DNAチップ又はマイクロアレイを用いた方法(Wang DG et al., Science 280,1077(1998)等)、プライマー伸長法、サザンブロットハイブリダイゼーション法、ドットハイブリダイゼーション法(Southern,E., J. Mol. Biol. 98, 503-517(1975))等、公知の方法を採用できる。さらに、検出対象の多型部位を直接シークエンスすることにしてもよい。尚、これらの方法を任意に組み合わせて多型を検出してもよい。また、PCR法又はPCR法を応用した方法などの核酸増幅法により核酸試料を予め増幅(核酸試料の一部領域の増幅を含む)した後、上記いずれかの検出方法を適用することもできる。
多数の核酸検体を検出する場合にはアレル特異的PCR法、アレル特異的ハイブリダイゼーション法、TaqMan-PCR法、Invader法、FRETを利用した方法、ASP-PCR法、プライマー伸長法を用いたMALDI-TOF/MS(matrix)法、RCA(rolling cycle amplification)法、又はDNAチップ又はマイクロアレイを用いた方法等、多数の検体を比較的短時間で検出可能な検出法を用いることが特に好ましい。
以上の方法では、各方法に応じたプローブやプライマー等の核酸(本発明において「多型検出用核酸」ともいう)が使用される。プローブとして利用される多型検出用核酸の例としては、検出対象の多型位置を含む染色体領域(部分染色体領域)に特異的にハイブリダイズする核酸を挙げることができる。例えば、検出対象の多型がグルタミン酸リピート多型であれば、ALMS1遺伝子の翻訳開始位置である開始コドン(配列番号1の112番塩基)から37塩基下流(配列番号1の148番塩基)より始まるグルタミン酸リピート配列部位に関して、9回のグルタミン酸リピート配列を含む染色体領域を標的としたプローブ、10回のグルタミン酸リピート配列を含む染色体領域を標的としたプローブ、11回のグルタミン酸リピート配列を含む染色体領域を標的としたプローブ、・・・、22回のグルタミン酸リピート配列を含む染色体領域を標的としたプローブ(これらの中の一つ以上。好ましくは全てのプローブ)を設計すればよい。ここでの「部分染色体領域」の長さは、例えば16〜500塩基長、好ましくは18〜200塩基長である。また、当該核酸は好ましくは部分染色体領域に相補的な配列を有するが、特異的なハイブリダイゼーションに支障のない限り、多少のミスマッチがあってもよい。ミスマッチの程度としては、1〜数個、好ましくは1〜5個、更に好ましくは1〜3個である。ここでの「特異的なハイブリダイゼーション」とは、核酸プローブによる検出の際に通常採用されるハイブリダイゼーション条件(好ましくはストリンジェントな条件)の下、標的の核酸(部分染色体領域)に対してハイブリダイズする一方で、他の核酸との間にクロスハイブリダイゼーションを有意に生じないことを意味する。尚、当業者であれば例えばMolecular Cloning(Third Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York)を参考にしてハイブリダイゼーション条件を容易に設定可能である。
プライマーとして利用される多型検出用核酸の例としては、検出対象の多型位置を含む一定領域(染色体の一部の領域)に相補的な配列を有し、当該多型部分を含むDNAフラグメントを特異的に増幅できるように設計された核酸を挙げることができる。プライマーとして利用される多型検出用核酸の他の例として、検出対象の多型部位がリスクアレルのものである場合にのみ当該多型部位を含むDNAフラグメントを特異的に増幅するように設計された核酸セットを挙げることができる。より具体的には、検出対象の多型部位を含むDNAフラグメントを特異的に増幅するように設計された核酸セットであって、多型部位がリスクアレルのものであるアンチセンス鎖の当該多型部位を含む一定領域(染色体の一部の領域)に対して特異的にハイブリダイズするセンスプライマーと、センス鎖の一部領域(多型部位の近傍領域)に対して特異的にハイブリダイズするアンチセンスプライマーとからなる核酸セットを例示することができる。ここで、増幅されるDNAフラグメントの長さはその検出に適した範囲で適宜設定され例えば15〜1000塩基長、好ましくは20〜500塩基長、更に好ましくは30〜200塩基長である。尚、プローブの場合と同様、プライマーとして利用される多型核酸用核酸についても、増幅対象(鋳型)に特異的にハイブリダイズし、目的のDNAフラグメントを増幅することができる限り、鋳型となる配列に対して多少のミスマッチがあってもよい。ミスマッチの程度としては、1〜数個、好ましくは1〜3個、更に好ましくは1〜2個である。
多型検出用核酸(プローブ、プライマー)には、検出法に応じて適宜DNA、RNA、ペプチド核酸(PNA:Peptide nucleic acid:)等が用いられる。多型検出用核酸の塩基長はその機能が発揮される長さであればよく、プローブとして用いられる場合の塩基長の例としては16〜500塩基長、好ましくは18〜200塩基長である。他方、プライマーとして用いられる場合の塩基長の例としては10〜50塩基長、好ましくは15〜40塩基長、更に好ましくは15〜30塩基長である。
多型検出用核酸(プローブ、プライマー)はホスホジエステル法など公知の方法によって合成することができる。尚、多型検出用核酸の設計、合成等に関しては成書(例えばMolecular Cloning,Third Edition,Cold Spring Harbor Laboratory Press, New YorkやCurrent protocols in molecular biology(edited by Frederick M. Ausubel et al., 1987))を参考にすることができる。
本発明における多型検出用核酸を予め標識物質で標識しておくことができる。このような標識化核酸を用いることにより例えば、増幅産物の標識量を指標として多型を検出することができる。また、多型を構成する各遺伝子型の遺伝子における部分DNA領域をそれぞれ特異的に増幅するように設計された2種類のプライマーを互いに異なる標識物質で標識しておけば、増幅産物から検出される標識物質及び標識量によって核酸試料の遺伝子型を判別できる。このような標識化プライマーを用いた検出方法の具体例としては、多型を構成する各遺伝子型のセンス鎖にそれぞれ特異的にハイブリダイズする2種類の核酸プライマー(アレル特異的センスプライマー)をフルオレセインイソチオシアネートとテキサスレッドでそれぞれ標識し、これら標識化プライマーとアンチセンス鎖に特異的にハイブリダイズするアンチセンスプライマーとを用いて多型部位を含む部分DNA領域を増幅し、得られた増幅産物における各蛍光物質の標識量を測定して多型を検出する方法を挙げることができる。尚、ここでのアンチセンスプライマーを例えばビオチンで標識しておけば、ビオチンとアビジンとの特異的な結合を利用して増幅産物の分離を行うことができる。
多型検出用核酸の標識に用いられる標識物質としては7-AAD、Alexa Fluor(登録商標)488、Alexa Fluor(登録商標)350、Alexa Fluor(登録商標)546、Alexa Fluor(登録商標)555、Alexa Fluor(登録商標)568、Alexa Fluor(登録商標)594、Alexa Fluor(登録商標)633、Alexa Fluor(登録商標)647、CyTM 2、DsRED、EGFP、EYFP、FITC、PerCPTM、R-Phycoerythrin、Propidium Iodide、AMCA、DAPI、ECFP、MethylCoumarin、Allophycocyanin(APC)、CyTM 3、CyTM 5、Rhodamine-123、Tetramethylrhodamine、テキサスレッド(Texas Red(登録商標))、PE、PE-CyTM5、PE-CyTM5.5、PE-CyTM7、APC-CyTM7、オレゴングリーン(Oregon Green)、カルボキシフルオレセイン、カルボキシフルオレセインジアセテート、量子ドットなどの蛍光色素、32P、131I、125Iなどの放射性同位元素、ビオチンを例示でき、標識方法としてはアルカリフォスファターゼ及びT4ポリヌクレオチドキナーゼを用いた5'末端標識法、T4 DNAポリメラーゼやKlenow断片を用いた3'末端標識法、ニックトランスレーション法、ランダムプライマー法(Molecular Cloning,Third Edition,Chapter 9,Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York)などを例示できる。
以上の多型検出用核酸を不溶性支持体に固定化した状態で用いることもできる。固定化に使用する不溶性支持体をチップ状、ビーズ状などに加工しておけば、これら固定化核酸を用いて多型の検出をより簡便に行うことができる。
グルタミン酸リピート多型(グルタミン酸の数が変化する)、rs2037814多型(バリン又はグリシンとなる)、rs1052161多型(アルギニン又はリジンとなる)はアミノ酸の変化を伴う。このようなアミノ酸の変化を伴う多型については、遺伝子発現産物であるペプチドないしタンパク質を用いて多型の検出を行うことにしてもよい。この場合、多型部位に対応するアミノ酸を含んでいる限り、発現産物の大きさ(長さ)は特に限定されない。遺伝子発現産物を用いた検出方法としては、多型部位のアミノ酸を直接検出する方法、又は立体構造の変化を利用して免疫学的に分析する方法などが挙げられる。前者としては、例えば、周知のアミノ酸配列分析法(エドマン法を利用した方法)を用いることができる。後者としては、多型を構成するいずれかの遺伝子型を有する遺伝子の発現産物に特異的な結合活性を有する抗体を用いた、ELISA法(酵素結合免疫吸着定量法)、ラジオイムノアッセイ、免疫沈降法、免疫拡散法等などを用いることができる。
標的(多型を構成するいずれかの遺伝子型を有する遺伝子の発現産物)に対する抗体は免疫学的手法、ファージディスプレイ法、リボソームディスプレイ法などを利用して調製することができる。標的に対する抗体はポリクローナルであってもモノクローナルであってもよい。免疫学的手法によるポリクローナル抗体の調製は次の手順で行うことができる。標的(又はその一部)を調製し、これを用いてウサギ等の動物に免疫を施す。標的(又はその一部)としては、生体材料から調製したもの(天然抗原)又は組換え抗原を用いることができる。免疫惹起作用を増強するために、キャリアタンパク質を結合させた抗原を用いてもよい。キャリアタンパク質としてはKLH(Keyhole Limpet Hemocyanin)、BSA(Bovine Serum Albumin)、OVA(Ovalbumin)などが使用される。キャリアタンパク質の結合にはカルボジイミド法、グルタールアルデヒド法、ジアゾ縮合法、MBS(マレイミドベンゾイルオキシコハク酸イミド)法などを使用できる。一方、CD46(又はその一部)を、GST、βガラクトシダーゼ、マルトース結合タンパク、又はヒスチジン(His)タグ等との融合タンパク質として発現させた抗原を用いることもできる。このような融合タンパク質は、汎用的な方法により簡便に精製することができる。
必要に応じて免疫を繰り返し、十分に抗体価が上昇した時点で採血し、遠心処理などによって血清を得る。得られた抗血清をアフィニティー精製し、ポリクローナル抗体とする。一方、モノクローナル抗体については次の手順で調製することができる。まず、上記と同様の手順で免疫操作を実施する。必要に応じて免疫を繰り返し、十分に抗体価が上昇した時点で免疫動物から抗体産生細胞を摘出する。次に、得られた抗体産生細胞と骨髄腫細胞とを融合してハイブリドーマを得る。続いて、このハイブリドーマをモノクローナル化した後、目的タンパク質に対して高い特異性を有する抗体を産生するクローンを選択する。選択されたクローンの培養液を精製することによって目的の抗体が得られる。一方、ハイブリドーマを所望数以上に増殖させた後、これを動物(例えばマウス)の腹腔内に移植し、腹水内で増殖させて腹水を精製することにより目的の抗体を取得することもできる。上記培養液の精製又は腹水の精製には、プロテインG、プロテインA等を用いたアフィニティークロマトグラフィーが好適に用いられる。また、抗原を固相化したアフィニティークロマトグラフィーを用いることもできる。更には、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、硫安分画、及び遠心分離等の方法を用いることもできる。これらの方法は単独ないし任意に組み合わされて用いられる。
以上の方法で得られたポリクローナル又はモノクローナル抗体は必要に応じて標識化される。標識物質としては7-AAD、Alexa Fluor(登録商標)488、Alexa Fluor(登録商標)350、Alexa Fluor(登録商標)546、Alexa Fluor(登録商標)555、Alexa Fluor(登録商標)568、Alexa Fluor(登録商標)594、Alexa Fluor(登録商標)633、Alexa Fluor(登録商標)647、CyTM 2、DsRED、EGFP、EYFP、FITC、PerCPTM、R-Phycoerythrin、Propidium Iodide、AMCA、DAPI、ECFP、MethylCoumarin、Allophycocyanin(APC)、CyTM 3、CyTM 5、Rhodamine-123、Tetramethylrhodamine、テキサスレッド(Texas Red(登録商標))、PE、PE-CyTM5、PE-CyTM5.5、PE-CyTM7、APC-CyTM7、オレゴングリーン(Oregon Green)、カルボキシフルオレセイン、カルボキシフルオレセインジアセテート、量子ドットなどの蛍光色素、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、マイクロペルオキシダーゼ、アルカリ性ホスファターゼ、β−D−ガラクトシダーゼ等の酵素、ルミノール、アクリジン色素等の化学又は生物発光化合物、32P、131I、125Iなどの放射性同位元素、ビオチンを例示できる。
(心筋梗塞のリスク検査用試薬及びキット)
本発明の他の局面は、心筋梗塞のリスク検査に用いられる試薬及びキットを提供する。本発明の試薬は、検出対象の多型(グルタミン酸リピート多型、rs2037814多型、rs7598901多型、rs1052161多型又はrs6706562多型)を検出するための核酸(多型検出用核酸)からなる。
本発明の試薬である多型検出用核酸は、それが適用される検出法(上述したアレル特異的核酸等を用いたPCR法を利用する方法、PCR-RFLP法、PCR-SSCP、TaqMan(登録商標)-PCR法、Invader(登録商標)法等)に応じて適宜設計される。多型検出用核酸の詳細については既述の通りであるが、キットの成分として特に有効であるグルタミン酸リピート多型検出用核酸(又はグルタミン酸リピート多型検出用核酸のセット)の具体例を以下に示す。
(1)グルタミン酸リピート数が9であるALMS1遺伝子のグルタミン酸リピート多型部位を含む部分DNA領域に相補的な配列を有する非標識又は標識核酸
(2)グルタミン酸リピート数が10であるALMS1遺伝子のグルタミン酸リピート多型部位を含む部分DNA領域に相補的な配列を有する非標識又は標識核酸
(3)グルタミン酸リピート数が11であるALMS1遺伝子のグルタミン酸リピート多型部位を含む部分DNA領域に相補的な配列を有する非標識又は標識核酸
(4)グルタミン酸リピート数が12であるALMS1遺伝子のグルタミン酸リピート多型部位を含む部分DNA領域に相補的な配列を有する非標識又は標識核酸
(5)グルタミン酸リピート数が13であるALMS1遺伝子のグルタミン酸リピート多型部位を含む部分DNA領域に相補的な配列を有する非標識又は標識核酸
(6)グルタミン酸リピート数が14であるALMS1遺伝子のグルタミン酸リピート多型部位を含む部分DNA領域に相補的な配列を有する非標識又は標識核酸
(7)グルタミン酸リピート数が15であるALMS1遺伝子のグルタミン酸リピート多型部位を含む部分DNA領域に相補的な配列を有する非標識又は標識核酸
(8)グルタミン酸リピート数が16であるALMS1遺伝子のグルタミン酸リピート多型部位を含む部分DNA領域に相補的な配列を有する非標識又は標識核酸
(9)グルタミン酸リピート数が17であるALMS1遺伝子のグルタミン酸リピート多型部位を含む部分DNA領域に相補的な配列を有する非標識又は標識核酸
(10)グルタミン酸リピート数が18であるALMS1遺伝子のグルタミン酸リピート多型部位を含む部分DNA領域に相補的な配列を有する非標識又は標識核酸
(11)グルタミン酸リピート数が19であるALMS1遺伝子のグルタミン酸リピート多型部位を含む部分DNA領域に相補的な配列を有する非標識又は標識核酸
(12)グルタミン酸リピート数が20であるALMS1遺伝子のグルタミン酸リピート多型部位を含む部分DNA領域に相補的な配列を有する非標識又は標識核酸
(13)グルタミン酸リピート数が21であるALMS1遺伝子のグルタミン酸リピート多型部位を含む部分DNA領域に相補的な配列を有する非標識又は標識核酸
(14)グルタミン酸リピート数が22であるALMS1遺伝子のグルタミン酸リピート多型部位を含む部分DNA領域に相補的な配列を有する非標識又は標識核酸
(15)(1)〜(14)からなる群より選択される2以上の核酸の組み合わせ
(16)グルタミン酸リピート多型領域のリピート数が9である場合にのみ、該多型部位を含むDNAフラグメントを特異的に増幅するように設計された核酸セット
(17)グルタミン酸リピート多型領域のリピート数が10である場合にのみ、該多型部位を含むDNAフラグメントを特異的に増幅するように設計された核酸セット
(18)グルタミン酸リピート多型領域のリピート数が11である場合にのみ、該多型部位を含むDNAフラグメントを特異的に増幅するように設計された核酸セット
(19)グルタミン酸リピート多型領域のリピート数が12である場合にのみ、該多型部位を含むDNAフラグメントを特異的に増幅するように設計された核酸セット
(20)グルタミン酸リピート多型領域のリピート数が13である場合にのみ、該多型部位を含むDNAフラグメントを特異的に増幅するように設計された核酸セット
(21)グルタミン酸リピート多型領域のリピート数が14である場合にのみ、該多型部位を含むDNAフラグメントを特異的に増幅するように設計された核酸セット
(22)グルタミン酸リピート多型領域のリピート数が15である場合にのみ、該多型部位を含むDNAフラグメントを特異的に増幅するように設計された核酸セット
(23)グルタミン酸リピート多型領域のリピート数が16である場合にのみ、該多型部位を含むDNAフラグメントを特異的に増幅するように設計された核酸セット
(24)グルタミン酸リピート多型領域のリピート数が17である場合にのみ、該多型部位を含むDNAフラグメントを特異的に増幅するように設計された核酸セット
(25)グルタミン酸リピート多型領域のリピート数が18である場合にのみ、該多型部位を含むDNAフラグメントを特異的に増幅するように設計された核酸セット
(26)グルタミン酸リピート多型領域のリピート数が19である場合にのみ、該多型部位を含むDNAフラグメントを特異的に増幅するように設計された核酸セット
(27)グルタミン酸リピート多型領域のリピート数が20である場合にのみ、該多型部位を含むDNAフラグメントを特異的に増幅するように設計された核酸セット
(28)グルタミン酸リピート多型領域のリピート数が21である場合にのみ、該多型部位を含むDNAフラグメントを特異的に増幅するように設計された核酸セット
(29)グルタミン酸リピート多型領域のリピート数が22である場合にのみ、該多型部位を含むDNAフラグメントを特異的に増幅するように設計された核酸セット
(30)(16)〜(30)からなる群より選択される2以上の核酸セットの組み合わせ
(31)グルタミン酸リピート多型領域を含むDNAフラグメントを特異的に増幅するように設計された核酸セットであって、グルタミン酸リピート多型領域のリピート数が9である当該多型部位を含む染色体領域(部分染色体領域)、グルタミン酸リピート多型領域のリピート数が10である当該多型部位を含む染色体領域(部分染色体領域)、グルタミン酸リピート多型領域のリピート数が11である当該多型部位を含む染色体領域(部分染色体領域)、グルタミン酸リピート多型領域のリピート数が12である当該多型部位を含む染色体領域(部分染色体領域)、グルタミン酸リピート多型領域のリピート数が13である当該多型部位を含む染色体領域(部分染色体領域)、グルタミン酸リピート多型領域のリピート数が14である当該多型部位を含む染色体領域(部分染色体領域)、グルタミン酸リピート多型領域のリピート数が15である当該多型部位を含む染色体領域(部分染色体領域)、グルタミン酸リピート多型領域のリピート数が16である当該多型部位を含む染色体領域(部分染色体領域)、グルタミン酸リピート多型領域のリピート数が17である当該多型部位を含む染色体領域(部分染色体領域)、グルタミン酸リピート多型領域のリピート数が18である当該多型部位を含む染色体領域(部分染色体領域)、グルタミン酸リピート多型領域のリピート数が19である当該多型部位を含む染色体領域(部分染色体領域)、グルタミン酸リピート多型領域のリピート数が20である当該多型部位を含む染色体領域(部分染色体領域)、グルタミン酸リピート多型領域のリピート数が21である当該多型部位を含む染色体領域(部分染色体領域)、グルタミン酸リピート多型領域のリピート数が22である当該多型部位を含む染色体領域(部分染色体領域)に対して、特異的にハイブリダイズするセンスプライマーと、当該部分染色体領域の近傍領域に対して特異的にハイブリダイズするアンチセンスプライマーと、からなる核酸セット
本発明のキットには、本発明の試薬(多型検出用核酸)が含まれる。多型検出用核酸を使用する際(即ち多型検出の際)に必要な試薬(DNAポリメラーゼ、制限酵素、緩衝液、発色試薬など)や容器、器具等を本発明のキットに含めてもよい。尚、通常、本発明のキットには取り扱い説明書が添付される。
致死率の高い生活習慣病である心筋梗塞の発症に関与する遺伝要因、即ち心筋梗塞感受性遺伝子、及び心筋梗塞感受性遺伝子多型を同定することを目的とし、以下の検討を行った(図1)。
1.罹患同胞対を用いた連鎖解析
227対457名(心筋梗塞患者312名、冠動脈狭窄患者145名。男性361名。)の日本人冠動脈疾患罹患同胞対を用いてゲノムワイド連鎖解析を行った。ゲノムワイド連鎖解析では、全染色体領域をカバーする660,000SNPsを測定可能なHuman660W-QUADの全ゲノムDNA解析用チップ(ILLUMINA)を用い、アレル共有度から多点LOD(log odds)値を求めた。この結果、心筋梗塞に特異的な領域として2p13.2が同定された(図2、上)。
2.連鎖領域高密度SNP関連解析及びSNPを用いた連鎖解析
日本人冠動脈疾患罹患同胞対(457名)及び心筋梗塞弧発例(156名(男性107名))並びに対照(502名(男性340名))を用い、ゲノムワイド連鎖解析で高いLOD値が得られた心筋梗塞に特異的な2p13.2領域を対象に高密度SNP関連解析を行った。具体的には、3072個のSNPを選択し、ピークから1LOD下がる範囲(約24Mb)をIllumina Golden Gate Assayを用いて関連解析した。高密度SNP関連解析(アレル検定)の結果、ALMS1遺伝子近傍の領域に存在する多型群(rs6546820、rs10191517、rs7560272、rs7604588、rs6718864、rs6706179、rs7573719、rs6720094、rs6740173、rs6748040、rs6546829、rs1881246、rs12996463、rs2178154、rs1528169、rs1406105、rs6749680、rs1246105、rs780395、rs1246096、rs3820700、rs7598660、rs11685372、rs6744697、rs13008860、rs17349804、rs7566315、rs2948441、rs4852937、rs7570014、rs4241256、rs4852940、rs2421588、rs4852951、rs4852959、rs2421669、rs2421581、rs4511748、rs2421574、rs7608328、rs2947845、rs1815028、rs4852978、rs2006997、rs7210、rs11126416、rs2272178、rs12624267、rs2421559、rs2272051、rs2462127、rs3813229、rs6546875又はrs1036113)が有意に低いP値を示した(図2、中と下)。これらのSNPは連鎖不平衡ブロックにあり、当該領域に心筋梗塞感受性遺伝子が存在することを示唆した(図3)。
<3072 SNPsの選択基準>
(i)MAF(Minor Allele Frequency:マイナーアレル頻度)>0.1のSNPsを選択する。
(ii)RNAが登録されており、SNPが疎な部分にはMAF>0.05まで域値を下げてSNP追加する。
(iii)隣り合うSNPの間隔が2Kb以下の場合、片方を削除する。
(iv)RNAが登録されていない領域は、SNP密度を下げる。
3.グルタミン酸リピート配列の大規模関連解析
高密度SNP関連解析において有意に低いP値を示したALMS1領域について、心筋梗塞症例を用いてタンパク質コード領域のリシークエンスを行うことによって、ALMS1アミノ酸配列の13番目のグルタミン酸(E)が9個から22個の連続になる、グルタミン酸リピート多型を新規に特定した(図4)。rs72319667, rs66480235, rs72293473, rs72445008, rs36223922, rs66908601, rs3074417, rs72325073, rs61156725, rs70965731, rs55889738, rs13009043, rs72525315, rs13009604, rs13009609の15個のSNPは、すべて同じリピート多型を登録したものである(図5)。このグルタミン酸リピート多型の頻度を調べたところ、グルタミン酸(E)の連続が14個になるもの又は17個になるものが主であった(図6)。日本人心筋梗塞症例564名、対照(地域一般住民)5,993名を用いて、グルタミン酸(E)の連続が9個から14個のアレルと15個から22個のアレルに分け(リスクアレル: ≦14リピート)、付加(Additive)モデルで解析を行った場合のオッズ比は1.37(グルタミン酸(E)の連続が9個から14個のアレルを1つ有する場合のリスクが、9個から14個のアレルを1つも有しない場合のリスクの1.37倍)、P値は3.06×10-6であった。この結果、グルタミン酸(E)の連続が9個から14個のアレルが有意かつ強く心筋梗塞と関連していることが明らかとなった。一方、心筋梗塞例を若年発症者306名(男性は50歳以下、女性は55歳以下)に絞り、改めて解析を行った。付加(Additive)モデルで解析した場合のオッズ比は1.49、P値は7.42×10-6であった。この結果、グルタミン酸リピート多型は、若年発症心筋梗塞とより強く関連していることが明らかとなった(図7)。また、グルタミン酸の連続が14個のアレルとそれ以外のアレルに分け(リスクアレル: 14リピート)、付加(Additive)モデルで解析を行った場合にも、オッズ比は1.47、P値は1.63×10-5となり、グルタミン酸(E)の連続が14個のアレルであることも、同様にリスク要因であることが示された(図8)。
4.ALMS1領域3多型の大規模関連解析
日本人心筋梗塞例305名(男性は50歳以下、女性は55歳以下)と対照(地域一般住民)5,985名を用い、グルタミン酸リピート多型、ALMS1領域の連鎖不平衡ブロックにあるSNP群の中で有意に低いP値を示すrs10191517多型及びrs6720094多型の3多型について大規模関連解析したところ、グルタミン酸リピート多型が最も有意に低いP値を示していた(図9)。このことは、ALMS1領域の中でもグルタミン酸リピート多型が心筋梗塞の罹患性の判定におけるリスクマーカーとして特に有用であることを示す。
5.ALMS1領域のリシークエンス、連鎖不平衡解析
ALMS1領域のリシークエンスにより、先の特許出願(国際公開第2010/010697号パンフレット)に示した、ALMS1領域の連鎖不平衡ブロックにある多型群に加えて、rs2037814, rs7598901, rs1052161がこの連鎖不平衡ブロック内にあり、かつグルタミン酸リピート多型と連鎖不平衡にある多型として新しく発見された(図10)。これらの多型も心筋梗塞のリスクマーカーとして有用である。
6.高密度3,072SNPsとの連鎖不平衡解析
本研究で発見されたグルタミン酸リピート多型と、ALMS1領域の高密度3,072SNPsとの連鎖不平衡解析を行った。その結果、先の特許出願(国際公開第2010/010697号パンフレット)で示した、ALMS1領域の連鎖不平衡にある多型群(rs6546820、rs10191517、rs7560272、rs7604588、rs6718864、rs6706179、rs7573719、rs6720094、rs6740173、rs6748040、rs6546829、rs1881246、rs12996463、rs2178154、rs1528169、rs1406105、rs6749680、rs1246105、rs780395、rs1246096、rs3820700、rs7598660、rs11685372、rs6744697、rs13008860、rs17349804、rs7566315、rs2948441、rs4852937、rs7570014、rs4241256、rs4852940、rs2421588、rs4852951、rs4852959、rs2421669、rs2421581、rs4511748、rs2421574、rs7608328、rs2947845、rs1815028、rs4852978、rs2006997、rs7210、rs11126416、rs2272178、rs12624267、rs2421559、rs2272051、rs2462127、rs3813229、rs6546875又はrs1036113)、及びALMS1領域のリシークエンスで新しく発見された多型rs2037814, rs7598901, rs1052161以外に、rs6706562が同じ連鎖不平衡ブロック内にあり、かつグルタミン酸リピート多型と連鎖不平衡にある多型として新しく発見された(リスクアレル≦14リピート: r2 = 0.658, リスクアレル14リピート: r2 = 0.626, 図11)。
本発明のリスク検査法は、心筋梗塞に関して確度が高く臨床上有用なリスク情報(発生可能性に関する情報)を与える。リスク情報は、心筋梗塞の発生可能性の低下、心筋梗塞の予防や早期診断、より適切な治療方針の決定、治療効果の向上、患者のQOL(Quality of Life:生活の質)の向上などに役立つ。また、無駄な医療行為を未然に防止することによる医療経済への貢献も期待される。本発明のリスク検査法は、若年性の心筋梗塞に対するリスクを評価する上で特に有用である。本発明で検出対象となる5個の多型(グルタミン酸リピート多型、rs2037814多型、rs7598901多型、rs1052161多型、rs6706562多型)は連鎖不平衡にある。これらの多型と連鎖不平衡にある多型も心筋梗塞のリスクマーカーとして有用である。
この発明は、上記発明の実施の形態及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
本明細書の中で明示した論文、公開特許公報、及び特許公報などの内容は、その全ての内容を援用によって引用することとする。

Claims (5)

  1. 被検者から採取された核酸検体について、以下の(1)〜(5)のいずれかの遺伝子多型を検出するステップを含む、心筋梗塞のリスク検査法:
    (1)ALMS1遺伝子においてグルタミン酸リピートをコードする領域の多型;
    (2)米国バイオテクノロジー情報センター(NCBI)のSNPデータベースにおける登録番号rs2037814で特定される一塩基多型;
    (3)米国バイオテクノロジー情報センター(NCBI)のSNPデータベースにおける登録番号rs7598901で特定される一塩基多型;
    (4)米国バイオテクノロジー情報センター(NCBI)のSNPデータベースにおける登録番号rs1052161で特定される一塩基多型;
    (5)米国バイオテクノロジー情報センター(NCBI)のSNPデータベースにおける登録番号rs6706562で特定される一塩基多型。
  2. 心筋梗塞が若年性心筋梗塞である、請求項1に記載の心筋梗塞のリスク検査法。
  3. (1)の多型については以下の(1-a)〜(1-f)のいずれかの基準、(2)の多型については以下の(2-a)〜(2-c)のいずれかの基準、(3)の多型については以下の(3-a)〜(3-c)のいずれかの基準、(4)の多型については以下の(4-a)〜(4-c)のいずれかの基準、(5)の多型については以下の(5-a)〜(5-c)のいずれかの基準、に従いリスクを判定することを特徴とする、請求項1又は2に記載のリスク検査法:
    (1-a) リピート数が9〜14のアレルが検出されるとリスクが高い;
    (1-b) リピート数が14のアレルが検出されるとリスクが高い;
    (1-c) リピート数が9〜14以外のアレルのホモ接合体のリスク < リピート数9〜14のアレルとリピート数が9〜14以外のアレルとのヘテロ接合体のリスク,リピート数が9〜14のアレルのホモ接合体のリスク;
    (1-d) リピート数が9〜14以外のアレルのホモ接合体のリスク < リピート数が9〜14のアレルとリピート数が9〜14以外のアレルとのヘテロ接合体のリスク < リピート数が9〜14のアレルのホモ接合体のリスク;
    (1-e) リピート数が14以外のアレルのホモ接合体のリスク < リピート数14のアレルとリピート数が14以外のアレルとのヘテロ接合体のリスク,リピート数が14のアレルのホモ接合体のリスク;
    (1-f) リピート数が14以外のアレルのホモ接合体のリスク < リピート数が14のアレルとリピート数が14以外のアレルとのヘテロ接合体のリスク < リピート数が14のアレルのホモ接合体のリスク;
    (2-a) 塩基がTのアレルが検出されればリスクが高い;
    (2-b) G/G型のリスク <T/G型のリスク,T/T型のリスク;
    (2-c) G/G型のリスク < T/G型のリスク < T/T型のリスク;
    (3-a) 塩基がCのアレルが検出されればリスクが高い;
    (3-b) T/T型のリスク <C/T型のリスク,C/C型のリスク;
    (3-c) T/T型のリスク < C/T型のリスク < C/C型のリスク;
    (4-a) 塩基がGのアレルが検出されればリスクが高い;
    (4-b) A/A型のリスク <G/A型のリスク,G/G型のリスク;
    (4-c) A/A型のリスク < G/A型のリスク < G/G型のリスク;
    (5-a) 塩基がCのアレルが検出されればリスクが高い;
    (5-b) G/G型のリスク < C/G型のリスク,C/C型のリスク;
    (5-c) G/G型のリスク < C/G型のリスク < C/C型のリスク。
  4. 以下の(i)〜(v)のいずれかの核酸を含む、心筋梗塞のリスク検査用試薬:
    (i)ALMS1遺伝子においてグルタミン酸リピートをコードする領域の多型を検出するための核酸であって、前記多型部位を含む一定領域に相補的な配列を含み、前記領域に対して特異的にハイブリダイズする核酸;
    (ii)米国バイオテクノロジー情報センター(NCBI)のSNPデータベースにおける登録番号rs2037814で特定される一塩基多型を検出するための核酸であって、前記多型部位を含む一定領域に相補的な配列を含み、前記領域に対して特異的にハイブリダイズする核酸;
    (iii)米国バイオテクノロジー情報センター(NCBI)のSNPデータベースにおける登録番号rs7598901で特定される一塩基多型を検出するための核酸であって、前記多型部位を含む一定領域に相補的な配列を含み、前記領域に対して特異的にハイブリダイズする核酸;
    (iv)米国バイオテクノロジー情報センター(NCBI)のSNPデータベースにおける登録番号rs1052161で特定される一塩基多型を検出するための核酸であって、前記多型部位を含む一定領域に相補的な配列を含み、前記領域に対して特異的にハイブリダイズする核酸;
    (v)米国バイオテクノロジー情報センター(NCBI)のSNPデータベースにおける登録番号rs6706562で特定される一塩基多型を検出するための核酸であって、前記多型部位を含む一定領域に相補的な配列を含み、前記領域に対して特異的にハイブリダイズする核酸。
  5. 請求項4に記載の試薬を含む、心筋梗塞のリスク検査用キット。
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JPN6011069540; 宮田聖子, 他: 'ゲノム疫学研究と臨床への展開 循環器分野における個別化医療への展開-心筋梗塞感受性遺伝子の探索-' 最新医学 第62巻, 9月増刊号, 200709, p.2265-2275 *

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