JPWO2012063455A1 - 植物健康診断方法および植物健康診断装置 - Google Patents

植物健康診断方法および植物健康診断装置 Download PDF

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Abstract

大規模な植物栽培現場において、害虫等が発生した初期の植物個体の初期障害を検出することができる植物健康診断方法および植物健康診断装置を提供する。植物体のクロロフィルから発光されるクロロフィル蛍光に基づいて植物の健康状態を診断する方法であって、クロロフィル蛍光の強度の経時変化曲線において、クロロフィル蛍光の強度が最大となる極大点p以降に生じる最初の極小点s、および、極小点s以降に生じる最初の極大点mを求め、極小点s、および、極小点s以降に生じる最初の極大点mにおけるクロロフィル蛍光の強度をS、Mと定義し、SとMの値を比較して、植物の状態を評価する。クロロフィル蛍光強度(S、M)の値を比較して外観では目視で確認できない植物の状態を検出できるので、植物個体の状態を早期に診断することができる。

Description

本発明は、植物健康診断方法および植物健康診断装置に関する。さらに詳しくは、トマトサビダニなどの害虫等による植物の生理機能に対する初期障害を検出し、早期防除を行うことで安定した収穫量および品質を維持する植物健康診断方法および植物健康診断装置に関する。
従来から、植物の栽培現場においては、生産者等は栽培している植物の健康状態を確認するため目視で植物の葉等を観察し、害虫等による被害が発生した場合には、障害を受けている部分(例えば、葉など)を除去していた。
一方、近年では、植物を大規模に栽培する栽培方法が主流となっており、その栽培面積も増加している。このように、栽培面積が大きくなると、生産者等は従来と同様の手法(目視観察による障害部位の除去等)を用いて、栽培する植物群落全体の健康状態を管理することは困難である。
そこで、植物の健康状態を目視観察を行わずに植物の生理機能から植物の状態を診断する技術が提案されている。
例えば、植物の健康状態と密接に関連している光合成機能を評価することにより植物の健康状態を管理する技術がある。かかる技術は、クロロフィルで吸収した光エネルギーで光合成の光化学反応を駆動させ、このときクロロフィルが発光するクロロフィル蛍光を計測することにより、植物における光合成機能を定量的に評価する技術であり、クロロフィル蛍光を画像で計測することからクロロフィル蛍光画像計測法と呼ばれている。このクロロフィル蛍光画像計測法では、光合成に重要となるクロロフィルが発するクロロフィル蛍光を計測しているので、光合成反応の直接的な診断が可能である。このことから、植物の生理機能障害、言い換えれば、外観では目視できない障害の診断が可能である。
このクロロフィル蛍光画像計測法を用いた植物の健康状態を診断する技術が、例えば、特許文献1や特許文献2に開示されている。
特許文献1では、レーザー光を植物に照射して植物の葉から放出されるレーザー励起蛍光を測定することによって、植物の生育状態を診断する技術が開示されている。
特許文献1には、レーザー光を照射した葉から放出される所定の波長のクロロフィル蛍光を測定し、かかる測定値を、予め設定しておいた健康な状態の植物の基準値および枯死等した生育限界を示す基準値と比較することにより、対象植物の健康状態を診断できる旨が記載されている。
また、特許文献2には、レーザー光を照射した葉から放出される所定の波長のクロロフィル蛍光を測定し、予め作成した健康な状態の植物のクロロフィル濃度とクロロフィル蛍光との関係を示す検量線に基づいて、かかる測定値から対象植物に含有されるクロロフィル量を推定し、植物の健康状態を診断する旨が記載されている。
ところで、近年の大規模栽培方法では、単一の植物を大規模に栽培するため、一の植物個体に害虫等が発生すると、急速に隣接する他の植物個体にも拡大してしまう。すると、少しの対応の遅れで栽培している植物群落全体に害虫等の発生が拡大してしまうおそれがある。栽培している植物に害虫等が発生してしまうと、その植物から得られる果実等は、健康な植物個体から得られるものに比べて、その収穫量が減少し、品質も低下するので生産者等にとって多大な損害が発生する。
とくに、サビダニの一種であるトマトサビダニは、施設栽培では一年中発生する一般的な害虫であり、茎や葉が枯れ、果実は鮫肌状となるという被害が発生する。しかも、このトマトサビダニは、繁殖能力が異常に高く、数日のうちに隣接する他の植物個体へ急速に広まるので、被害を抑えるためには、早期発見が重要となる。
しかし、この害虫が発生した初期の段階では、その葉等に枯死等の障害は現れないため、被害を外観上確認できない。被害が外観上確認できるようになるのは、ある程度被害が拡大した段階、つまり、一の植物個体に留まらず隣接する他の植物個体にまでトマトサビダニの発生が拡大した段階である。
一方、トマトサビダニは、農薬に対する感受性が高いため、発生初期の植物個体を検出できれば、この植物個体に対して少量の農薬を散布することにより容易に防除できる。つまり、トマトサビダニによる障害を抑える上では、発生を早期に検出し防除することが、非常に重要となる。同様に、繁殖能力が高く数日のうちに隣接する他の植物個体へ急速に広まる他の害虫であって、農薬に対して感受性の高いものに対しても同様のことがいえる。
かかる防除をする上で、害虫等が発生している植物個体の検出に前述した特許文献1や特許文献2の技術を採用することもできるが、これらの技術では、枯死等した植物個体を検出することはできるものの、害虫等が発生した初期の段階の植物個体を検出することはできない。
現状では、害虫等が発生した初期の段階の植物個体の初期段階の障害を検出できる診断方法は開発されておらず、大規模な栽培面積を有する植物栽培方法にも対応できる植物の早期健康診断方法の開発が望まれている。
特開2001−299090号公報 特開2002−214141号公報
本発明は上記事情に鑑み、害虫等が発生した初期の植物個体の初期障害を検出することができる植物健康診断方法および植物健康診断装置を提供することを目的とする。
第1発明の植物健康診断方法は、植物体のクロロフィルから発光されるクロロフィル蛍光に基づいて植物の健康状態を診断する方法であって、前記クロロフィル蛍光の強度の経時変化曲線において、クロロフィル蛍光の強度が最大となる極大点以降に生じる最初の極小点、および、該極小点以降に生じる最初の極大点を求め、該極小点、および、該極小点以降に生じる最初の極大点におけるクロロフィル蛍光の強度をS、Mと定義し、該Sと該Mの値を比較して、植物の状態を評価することを特徴とする。
第2発明の植物健康診断方法は、第1発明において、前記クロロフィル蛍光の強度の経時変化曲線において、クロロフィル蛍光の強度が最大となる極大点を求め、前記クロロフィル蛍光の強度が最大となる極大点におけるクロロフィル蛍光の強度をPと定義し、該Pと前記Sの値を比較して、植物の状態を評価することを特徴とする。
第3発明の植物健康診断方法は、第1発明または第2発明において、前記植物の状態のうち、該植物の光合成機能を評価することを特徴とする。
第4発明の植物健康診断装置は、植物体のクロロフィルから発光されるクロロフィル蛍光に基づいて植物の健康状態を診断する装置であって、前記クロロフィル蛍光の強度を測定する蛍光測定手段と、該蛍光測定手段により測定されたクロロフィル蛍光の強度に基づいて、植物の状態を評価し得る解析手段と、を備えており、該解析手段は、前記蛍光測定手段により測定されたクロロフィル蛍光の強度の経時変化曲線において、クロロフィル蛍光の強度が最大となる極大点以降に生じる最初の極小点、および、該極小点以降に生じる最初の極大点を求め、該極小点、および、該極小点以降に生じる最初の極大点におけるクロロフィル蛍光の強度をS、Mと定義し、該Sと該Mの値を比較して、植物の状態を評価し得るものであることを特徴とする。
第5発明の植物健康診断装置は、第4発明において、前記解析手段は、前記蛍光測定手段により測定されたクロロフィル蛍光の強度の経時変化曲線において、クロロフィル蛍光の強度が最大となる極大点を求め、該極大点におけるクロロフィル蛍光の強度をPと定義し、該Pと前記Sの値を比較して、植物の状態を評価し得るものであることを特徴とする。
第6発明の植物健康診断装置は、第4発明または第5発明において、前記蛍光測定手段が、前記クロロフィル蛍光の強度を画像として測定するものであって、前記解析手段が、前記測定されたクロロフィル蛍光の強度の画像に基づいて、前記M/Sの値および/または前記P/Sの値によって構成されるM/S画像および/またはP/S画像を作成し、該画像化されたM/S画像および/またはP/S画像に基づいて、植物の状態を評価し得ることを特徴とする。
第1発明によれば、植物個体のクロロフィル蛍光の強度の経時変化曲線に基づいて、クロロフィル蛍光強度(M、S)を比較して植物の状態を評価すれば、外観では確認することができない植物の状態を検出できるので、植物個体の状態を早期に診断することができる。しかも、害虫等が発生した初期の段階の植物個体を検出できるので、かかる植物個体に対してスポット的に少量の農薬を散布等することにより、かかる害虫等を早期に防除でき、害虫等が植物群落全体に蔓延するのを防止できる。また、植物個体の各部位のクロロフィル蛍光強度(M、S)を比較すれば、茎部と葉部を判別できる。すると、茎径に基づいて、植物個体の成長の状態を把握できるので、かかる植物個体に対して適切な処置をすることができる。よって、植物生産現場においては、植物群落全体として安定した大きさの植物を生産することができるので、その果実等も安定して収穫できる。
第2発明によれば、植物個体のクロロフィル蛍光の強度の経時変化曲線に基づいて、クロロフィル蛍光強度(P、S)を比較して植物の状態を評価すれば、外観では確認することができない植物の状態を検出できる。しかも、植物個体のクロロフィル蛍光の強度の経時変化曲線において確実に算出できるクロロフィル蛍光の強度が最大となる極大点に基づいて、植物個体の茎部を確実に把握することができる。すると、茎径に基づいて、植物個体の成長の状態を把握できるので、かかる植物個体に対して適切な処置をすることができる。よって、植物生産現場においては、植物群落全体として安定した大きさの植物を生産することができるので、その果実等も安定して収穫できる。
第3発明によれば、植物の生理機能である光合成機能の僅かな違いを評価するので、より確実に植物の状態を評価することができる。
第4発明によれば、解析手段において蛍光測定手段により測定されたクロロフィル蛍光から測定した植物体の部位のクロロフィル蛍光の強度の経時変化曲線が作成される。しかも、解析手段では、この経時変化曲線に基づいて、クロロフィル蛍光強度(M,S)を比較して植物の状態が診断されるので、外観では確認することができない植物の状態を検出できるので、植物個体の状態を早期に診断することができる。すると、害虫等が発生した初期の段階の植物個体を検出できるので、かかる植物個体に対してスポット的に少量の農薬を散布等することにより、かかる害虫等を早期に防除でき、害虫等が植物群落全体に蔓延するのを防止できる。また、植物個体の各部位のクロロフィル蛍光強度(M、S)を比較すれば、茎部と葉部を判別できる。すると、茎径に基づいて、植物個体の成長の状態を把握できるので、かかる植物個体に対して適切な処置をすることができる。よって、植物生産現場においては、植物群落全体として安定した大きさの植物を生産することができるので、その果実等も安定して収穫できる。
第5発明によれば、蛍光測定手段により測定されたクロロフィル蛍光から解析手段を用いることにより測定した部位のクロロフィル蛍光の強度の経時変化曲線を作成できる。解析手段では、植物個体のクロロフィル蛍光の強度の経時変化曲線に基づいて、クロロフィル蛍光強度(P、S)を比較して植物の状態を評価できる。すると、外観では確認することができない植物の状態を検出できる。しかも、植物個体のクロロフィル蛍光の強度の経時変化曲線におけるクロロフィル蛍光の強度が最大となる極大点は確実に算出されるので、茎部と葉部を判別できる。すると、茎径に基づいて、植物個体の成長の状態を把握できるので、かかる植物個体に対して適切な処置をすることができる。よって、植物生産現場においては、植物群落全体として安定した大きさの植物を生産することができるので、その果実等も安定して収穫できる。
第6発明によれば、画像として測定されたクロロフィル蛍光に基づいて、この画像を構成する画素単位で算出された各M/Sの値または/およびP/Sの値を用いてクロロフィル蛍光画像を構成した画像(M/S画像または/およびP/S画像)を作成することができる。すると、直接人の目で見て確認した場合に把握することができない、植物個体の状態を、M/S画像または/およびP/S画像により把握することができる。
(A)は植物体に光を照射した後のクロロフィル蛍光強度の経時変化曲線の概念図である。 本実施形態の植物診断装置の概念図である。 植物体に光を照射した後のクロロフィル蛍光強度の経時変化曲線の概念図であり、(A)は健康な部位の経時変化曲線の概念図であり、(B)はクロロフィル量の低下や熱放散経路の活性化などの生理機能障害が起こっている部位の経時変化曲線の概念図であり、(C)は障害により光合成の光化学反応系が阻害されている部位の経時変化曲線の概念図である。 本実施形態の装置により得られたM/S画像の説明概念図であり、(A)は可視画像の概念図であり、(B)は(A)と同じ領域のM/S画像の概念図である。 品種間の光合成機能を評価した実験結果を示した図である。 同一の植物個体における茎部と葉部との光合成機能を評価した実験結果を示した図である。 葉における光合成機能を評価するための予備実験結果(光合成阻害剤投与試験)を示した図である。 葉における光合成機能を評価するための予備実験結果(物理的傷害試験)を示した図である。 葉における光合成機能を評価するための予備実験結果(生理障害試験)を示した図である。
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
まず、本発明の植物診断装置および植物診断方法について簡単に説明する。
植物が健康であるか否かを表す重要な指標として、植物が有する光合成機能の健全度があげられる。植物が光合成を行うためには、まず、クロロフィルで吸収した光エネルギーで光化学反応を駆動させることから始まるが、吸収した光エネルギー全てが光合成に用いられるのではない。一部はクロロフィル蛍光として放出される。このクロロフィル蛍光の強度(以下、クロロフィル蛍光強度という)を正確に計測し、数値評価することにより、外観上、目視では確認することができない植物体内における生理機能、具体的には光合成機能を正確に把握することができる。言い換えれば、このクロロフィル蛍光強度を正確に計測し、数値化して評価すれば、植物を破壊することなく、かつ植物に接触することもなく、目視では把握できない植物の僅かな状態の変化を検出することができるのである。
つぎに、本発明の植物診断装置について説明する。
本発明の植物診断装置は、クロロフィル蛍光に基づいて植物の健康状態を診断する装置であって、測定されたクロロフィル蛍光強度から特定のパラメータを算出し、数値化することにより、植物の状態を早期に検出できるようにしたことに特徴を有している。
具体的には、植物の健康状態(例えば、光合成機能が健全に作用している状態の植物体など)を数値化すれば、植物の成長不良や機能不全などといった状態を早期に検出できることに特徴を有している。
図2に示すように、本発明の植物診断装置は、植物体に一定強度の励起光を照射したときにクロロフィルが発するクロロフィル蛍光を測定する蛍光測定手段と、この蛍光測定手段により測定されたクロロフィル蛍光強度を解析し、この解析結果から植物の状態を数値化して評価する解析手段とを備えている。
なお、クロロフィル蛍光の測定は,例えば、日没後1時間以上経過した後の暗条件下で行われるのが好ましい。この場合、微弱な光をクロロフィル蛍光の励起光として用いても、光合成機能を評価することができるからである。
(蛍光測定手段の説明)
蛍光測定手段は、励起光を吸収したクロロフィルが発するクロロフィル蛍光を測定することができる受光部を備えている。この受光部は、クロロフィル蛍光の経時変化を検出することができるものであればとくに限定されない。例えば、CCDカメラや光センサ等を採用することができる。
(受光部の例)
受光部としてCCDカメラを使用すれば、クロロフィル蛍光の発光現象を画像として測定することができるので、一度の測定で多数点を対象とした測定ができるという利点が得られる。
また、受光部に高感度のCCDカメラを使用すると、クロロフィルが発する微弱なクロロフィル蛍光の発光を検出できる。しかも、このような微弱なクロロフィル蛍光の僅かな強度変化をも検出することもできるので好ましい。
つまり、植物体に照射される励起光の光強度が弱い(例えばPPFD(光合成有効光量子束密度:Photosynthetic Photon Flux Density)が10μmol m−2 s−1程度)場合には、かかる励起光により励起されたクロロフィル蛍光強度は極めて弱くなるが、かかる微弱なクロロフィル蛍光をも確実に測定できるのである。
なお、クロロフィル蛍光を測定する間隔、具体的には、クロロフィル蛍光強度の測定における時間分解能(強度測定間隔)は、後述するクロロフィル蛍光強度の経時変化曲線を形成でき、かつ、かかる経時変化曲線における極大点および極小点を決定できる程度の時間分解能であればとくに限定されない。
例えば、クロロフィル蛍光の画像を0.06秒毎に測定すれば、クロロフィル蛍光強度の経時変化曲線から、クロロフィル蛍光の強度が最大となる極大点p、この極大点p以降に生じる最初の極小点s、および、この極小点s以降に生じる最初の極大点mを決定でき、後述するP/Sの値およびM/Sの値を算出することができる。
(解析手段の説明)
解析手段は、蛍光測定手段により測定されたクロロフィル蛍光から植物の健康状態を診断することができるものである。解析手段には、受光部により測定されたクロロフィル蛍光の測定データがケーブルや無線通信装置等を介して送信されており、この送信されたクロロフィル蛍光の測定データを解析することができる解析部が設けられている。
(解析部の説明)
解析部は、受光部から送信されたクロロフィル蛍光の測定データを受信し、この測定データからクロロフィル蛍光強度を算出することができるものであればとくに限定されない。
例えば、受光部としてCCDカメラを使用した場合、クロロフィル蛍光は画像データとして測定されるので、この画像データから各部位のクロロフィル蛍光強度を算出できる解析プログラム等を有するものが好適である。
また、受光部がクロロフィル蛍光を画像として測定する場合、解析部において、この測定されたクロロフィル蛍光の画像(以下、クロロフィル蛍光強度画像という)を構成する画素単位でクロロフィル蛍光強度を算出し、算出されたクロロフィル蛍光強度の経時変化を解析すれば、画素レベルの極めて小さい領域の植物体の生体情報を得ることができるので、より詳細に植物個体の健康状態を評価することができる。
なお、植物中のクロロフィル分子は、ミクロレベルであるので、植物個体を対象とした測定において、上記CCDカメラで取得される画像を構成する1画素の大きさに相当する植物体領域には、多数のクロロフィル分子が存在する。よって、画素単位レベルのクロロフィル蛍光からクロロフィル蛍光強度を算出しても、植物体の健康状態を把握することができるレベルのクロロフィル蛍光強度を得ることができる。
また、ノイズ等の影響により、画素単位でのクロロフィル蛍光強度の算出が不適切な値となる場合には、複数の画素のクロロフィル蛍光強度の平均値(例えば一辺5画素で、25画素分のクロロフィル蛍光強度の平均値)を算出することもできる。
この場合、画素単位にクロロフィル蛍光強度を求めて診断を行う場合に比べて、空間分解能は低くなるものの、解析スピードが速くなるとともに、シグナル/ノイズ比(S/N比)が高くなるので、簡易的、かつ、迅速に、信頼性の高い植物診断が可能となる。上記方法を使用した場合には、栽培されている植物個体数が膨大である大規模施設栽培等において、多数の植物体の健康状態を把握する場合には極めて有効である。
そして、解析部は、上記のごとき算出されたクロロフィル蛍光強度を、測定時間の時系列に沿ってプロットし、クロロフィル蛍光強度の経時変化曲線を作成する機能を有している。この経時変化曲線は、インダクションカーブとよばれるが、このインダクションカーブの詳細については後述する。
解析部は、このインダクションカーブにおいて、クロロフィル蛍光強度が最大となる極大点p、この極大点p以降に生じる最初の極小点s、および、この極小点s以降に生じる最初の極大点mを決定し、これら極値点のクロロフィル蛍光強度(P、S、M)を算出する機能を有している。そして、このクロロフィル蛍光強度(P、S、M)に基づいて、P/Sの値および/またはM/Sの値を算出する機能を有している。
以上のごとき構成であるから、本実施形態の植物診断装置では、蛍光測定手段の受光部により植物個体が発するクロロフィル蛍光を測定することができ、測定されたクロロフィル蛍光から解析手段の解析部によって測定した部位のインダクションカーブを作成できる。しかも、このインダクションカーブに基づいて、クロロフィル蛍光強度(P,S、M)を比較したP/Sの値および/またはM/Sの値を算出することができる。
すると、インダクションカーブが作成された各部位(例えば、葉毎または葉の先端部と基端部など)のP/Sの値および/またはM/Sの値に基づいて、植物個体の健康状態を診断することができる。言い換えれば、P/SおよびM/Sというパラメータを用いることによって、植物個体における各部位の光合成機能の状態を評価することができる。すると、P/Sの値および/またはM/Sの値に基づけば、(1)品種が異なる植物体を区別することができ、(2)植物個体内の異なる部位(例えば、葉部と茎部など)を区別することができ、(3)病害虫による障害をも把握することができるのである。
(1)品種の判別
形状が似ているが品種が異なるトマトA、Bの場合、両トマトを測定して算出されたM/Sの値およびP/Sの値に基づけば、トマトAとトマトBを確実に区別することができる。すると、同一の圃場内で品種が異なる植物を混在して栽培する場合でも、品種ごとの植物の状態を評価することができる。
(2)部位判別
同一の植物個体内において、葉部と茎部では、それぞれの光合成機能がわずかに異なるが、同一の植物個体を測定して算出されたM/Sの値およびP/Sの値に基づけば、葉部と茎部を区別することができる。すると、植物個体ごとの茎部の太さ(茎径)を計測することができる。植物における茎の太さ(茎径)は、不健康な植物個体の茎径は健康な植物個体の茎径に比べて小さいなど植物の生育状態を診断する上で重要な指標となる。このため、M/Sの値およびP/Sの値に基づいて、茎径を把握すれば、植物個体の健康状態を評価することができる。
(3)病害虫障害検出
植物個体において、この植物個体の各葉から算出されたP/Sの値に基づけば、P/Sの値が他の葉に比べて小さく算出される葉や葉の一部を検出することができる。このP/Sの値が小さく算出された葉や葉の一部は、光合成機能が他の健康な葉に比べて低下しており、生理障害が生じていることを示しているので、かかる葉や葉の一部において何らかの障害が起こっていること(例えば、P/Sの値の低下した葉では、葉に害虫等が発生しているなど)を検出できるのである。つまり、算出されたP/Sの値を比較することにより、植物個体において、病害虫等による被害状況の全体像を把握することができる。
一方、目視では一様に健康な状態に見える葉において、この葉から算出されたM/Sの値に基づけば、他の部位に比べ、M/Sの値が小さく算出される部位を検出することができる。このM/Sの値が小さく算出された部位は、光合成機能が他の健康な植物体部位または植物個体に比べて低下していることを示しているので、健康に見える葉でも、何らかの障害が起こっていること(例えば、M/Sの値の低下した部位では、葉の裏側に害虫等が発生しているなど)を検出できるのである。つまり、算出されたM/Sの値を比較することにより、目視では把握しにくい植物個体の状態変化を評価(診断)できる。
しかも、M/Sの値を用いれば、P/Sの値を用いた場合に比べてより小さな光合成機能の変化をも検出することができるので、ある程度障害が進行した状態のみならず、植物個体に発生した病害虫等を早期に検出・診断することができるのである。
(P、SおよびMの決定方法の説明)
上述したように、本発明の装置では、インダクションカーブに基づくクロロフィル蛍光強度P、クロロフィル蛍光強度Sおよびクロロフィル蛍光強度M(それぞれを以下、単にP、S、Mとする)を利用して植物の健康状態を診断している。この植物の健康状態の診断に利用しているP、SおよびMをどのようにして決定するか、以下、具体的に説明する。
上述したようにインダクションカーブは、クロロフィル蛍光強度を測定時間の時系列に沿ってプロットすることによって作成された経時変化曲線である。この経時変化曲線は、その形状が山と谷を複数有する曲線で形成されたものである。図1に示すように、健康な植物体を測定することによって作成されたインダクションカーブは、少なくも2つのピーク(山)を有する曲線で形成されている。このインダクションカーブを形成する2つのピーク(山)のうち最大のピークの頂上(ピークトップ)を極大点p、この最大のピーク以降に生じる2番目に大きいピークの頂上(ピークトップ)を極大点m、そしてかかる2つのピーク(山)が重なる谷を極小点sとする。すると、極大点p、極小点sおよび極大点mにおいて、極大点pのクロロフィル蛍光強度がP、極小点sのクロロフィル蛍光強度がS、そして極大点mのクロロフィル蛍光強度がMとなる。
ピークトップと谷の算出方法は、上述した2つのピークトップおよび2つのピーク間の谷を決定することができる方法であれば特に限定されないが、例えば、以下の方法を採用することができる。
一般にクロロフィル蛍光強度はノイズを含む場合があるので、ノイズを除去することによって平滑処理した経時変化曲線(いわゆるスムージング処理した経時変化曲線)におけるピークトップを極大点pおよび極大点m、そして2つのピーク間の最小となる値を極小点sとしてもよい。この平滑処理は、様々な処理方法を採用することができる。例えば、移動平均法によるものや、フーリエ変換法、多項式適合法などを採用することができるが、これらに限定されず、ノイズを除去することができる平滑処理を行うことができる方法であれば採用することができる。
また、測定されたクロロフィル蛍光強度の生データに基づいて作成されたインダクションカーブにおける各ピークにおける最大となる値を極大点pおよび極大点m、そして2つのピーク間の最小となる値を極小点sとしてもよい。
さらに、ピークトップの近傍における複数のクロロフィル蛍光強度の平均値を極大点pおよび極大点m、そして2つのピーク間の谷の近傍における複数のクロロフィル蛍光強度の平均値を極小点sとしてもよい。
(不健康な植物体の極大点p、極小点s、極大点mの出現時点の特定方法の説明)
一般的に、上述した蛍光測定手段および解析手段により得られるクロロフィル蛍光に基づくインダクションカーブは、品種、季節、作型(定植からの期間)、直近の天候等により変化する。このため、インダクションカーブに基づいて算出されるP/Sの値またはM/Sの値も変化する。
したがって、植物の健康状態を診断する際には、診断の基準となる健康な植物個体のP/Sの値またはM/Sの値を規定する必要がある。具体的には、多数の植物個体および/または植物個体部位を対象とした測定を行い、得られたクロロフィル蛍光に基づき、各P/Sの値またはM/Sの値の平均値および/または分散等を求めれば、その値を基準となる健康な植物個体および/または植物体部位の値(以下、基準値とする)とすることができる。
ところで、1年を通じて適切に管理された栽培条件下で植物を栽培すれば、一般に健康な植物体を栽培することができる。この成長した健康な植物体のクロロフィル蛍光を測定し、測定によって得られたクロロフィル蛍光に基づいてインダクションカーブを作成する。このインダクションカーブは、図1に示すようなインダクションカーブを作成できるので、P、SおよびMの出現時点を容易に特定することができる。すると、このP、SおよびMからP/Sの値またはM/Sの値を算出することがき、上記基準値との比較で植物の健康状態を診断できる。
一方、同じ栽培環境で栽培した植物であっても、測定時期によって、その植物群の一部の植物体においては、他の健康な植物体に比べて不健康な植物体が生じる可能性がある。このような不健康な植物体から得られたクロロフィル蛍光に基づいて作成したインダクションカーブでは、かかるインダクションカーブに基づいてP、SおよびMの出現時点を特定することが困難な場合ある。すると、P/Sの値またはM/Sの値を算出することが困難となるので、上記基準値と比較して植物の健康状態を診断できない。
このような不健康な植物のクロロフィル蛍光を測定することによって作成されたインダクションカーブにおけるP、SおよびMの出現時点は、以下の方法によって特定することができる。
(植物個体内の健康な部位のインダクションカーブに基づく特定方法)
クロロフィル蛍光を画像として測定すれば、画素単位のインダクションカーブを作成することができる。このインダクションカーブは、その形状を画素(ピクセル)レベルで解析することができるので、同一の植物個体内において、健康な部位のインダクションカーブと不健康な部位のインダクションカーブを同じ画像に基づいて作成することができる。すると、この健康な部位のインダクションカーブに基づいて、不健康な部位のインダクションカーブにおけるP、SおよびMの出現時点を特定することができる。
(測定時期の過去または未来の健康な植物体のインダクションカーブに基づく特定方法)
また、ある測定時期における測定対象数が少ない場合には、その測定時期における作成したインダクションカーブからP、SおよびMの出現時点を特定できない場合がある。このような測定時期(以下、測定不能時期という)では、測定不能時期の過去または未来で作成した健康な植物体のインダクションカーブに基づいて、測定不能時期の植物体のインダクションカーブにおけるP、SおよびMの出現時点を特定することができる。例えば、同一個体群または同一個体における以下測定不能時期の数日または数週間前後に作成した健康な植物体のインダクションカーブに基づいて、測定不能時期の植物体のインダクションカーブにおけるP、SおよびMの出現時点を特定することができる。
さらに、同一個体群または同一個体において、植物体の成長度合い、例えば、成長中の植物体と結実中の植物体では、過去または未来の健康な植物体のインダクションカーブに基づくP、SおよびMの出現時点を用いることができない場合がある。このような場合であっても、同様の成長度合いの過去に作成された健康な植物体のインダクションカーブに基づいて、測定不能時期の植物体のインダクションカーブにおけるP、SおよびMの出現時点を特定することができる。例えば、2011年に測定不能時期が生じた場合、2010年における同様の成長度合いの測定時期に作成された健康な植物体のインダクションカーブに基づいて、測定不能時期の植物体のインダクションカーブにおけるP、SおよびMの出現時点を特定することができる。
また、上述したような測定不能時期の過去の植物体から作成された健康な植物体のインダクションカーブに基づいて特定したP、SおよびMの出現時点を用いることができない場合がある。例えば、測定不能時期の栽培環境が、例年に比べて猛暑のような場合がある。このような場合は、測定不能時期と同様の栽培環境を有する栽培環境で栽培された過去の健康な植物体のインダクションカーブに基づいて、測定不能時期の植物体のインダクションカーブにおけるP、SおよびMの出現時点を特定することができる。
(任意の出現時点の特定方法)
また、上述した方法でもP、SおよびMの出現時点を特定することができない場合は、栽培植物と近縁種の健康な植物体のインダクションカーブに基づいてP、SおよびMの出現時点を設定することも可能である。また、必要に応じて経験則等に基づいて人為的にP、SおよびMの出現時点を設定することも可能である。例えば、励起光を植物体に照射する場合、照射開始から0.1〜10秒のクロロフィル蛍光強度の値をP、Pの出現時点から0.1〜10秒のクロロフィル蛍光強度の値をS、そしてSの出現時点から0.1〜20秒のクロロフィル蛍光強度の値をMと設定することができる。
また、かかる値を算出する方法は、1回の画像計測の対象領域となる植物体部位の中から、病害虫等(病原菌や害虫による作物の被害等)によって光合成機能が他の部位よりも低下している部位を抽出する際にも用いることができる。
(P/Sの値の説明)
また、解析部は、インダクションカーブにおける、上述した極値点のクロロフィル蛍光強度(P、S、M)を算出し、このクロロフィル蛍光強度のうち、クロロフィル蛍光強度(P、S)に基づいて、クロロフィル蛍光強度(P,S)を比較したP/Sの値を算出する機能を有していてもよい。
この場合、P/Sの値に基づけば、植物個体の葉部と茎部の判別、水ストレスによる光合成機能不全の検出、比較的進行した病虫害を検知することができる。
さらに、植物のクロロフィル蛍光を画像等で測定している場合には、P/Sの値の分布等に基づいて、植物個体の茎径を測定することができるので、植物個体の成長度を評価することができる。
つまり、インダクションカーブにおいて確実に決定することができる極大点pに基づいて、植物個体の茎部を確実に把握することができるので、植物個体の成長の状態を把握でき、かかる植物個体に対して適切な処置をすることができる。
例えば、成長が遅れている植物個体は、その茎径が健康な植物個体の茎径に比べて小さく計測される場合があるので、かかる植物個体に対して追肥等の処置をすることができる。
具体的には、成長が遅れている植物個体は、そのインダクションカーブの形状が健康な植物個体のインダクションカーブの形状に比べて、極大点pおよび極小点s以降に生じる最初の極大点mにおけるクロロフィル蛍光強度(P、M)はほとんど変化しないが、極大点p以降に生じる最初の極小点sにおけるクロロフィル蛍光強度(S)の値がわずかに大きくなった形状となる。このように、クロロフィル蛍光強度(S)の値がわずかに変化する場合であっても、P/Sの値を算出することによって、植物個体の茎径を確実に測定することができる。言い換えれば、P/Sの値は、クロロフィル蛍光強度(P)の値からクロロフィル蛍光強度(S)の値への低下率の減少に基づき、かつ、クロロフィル蛍光強度(P、S、M)のうち最も小さいクロロフィル蛍光強度(S)を分母として算出する。すると、例えばクロロフィル蛍光強度(P)の値を分子とし、クロロフィル蛍光強度(S)の値とクロロフィル蛍光強度(M)の値の平均値を分母とするような算出方法に比べて、より小さいクロロフィル蛍光強度(S)が分母となる。このため、P/Sの値を用いることによって、より確実に、しかも、感度よく、成長が遅れている植物個体、つまり、健康状態の悪化を数値評価することができるのである。
例えば、植物体のクロロフィル蛍光を画像データとして測定する。そして、解析部で測定した画像データからP/Sの値を算出する。このP/Sの値に基づいて画像形成部で植物体のP/S画像を形成する。ここで、植物体の葉部のP/Sの値は、植物体の茎部のP/Sの値に比べて、大きく算出される。すると、葉部のP/Sの値と茎部のP/Sの値に基づいてP/S画像の色彩を調整すれば、植物体のP/S画像から茎部の画像のみを抽出することができる。そうすると、この抽出した茎部から茎の太さ(茎径)を計測することができる。
従って、植物生産現場においては、植物群落全体として安定した生育状態の植物を育成することができるので、その結果として、果実等の生産物の品質および収穫量を安定させることができる。
(M/Sの値およびP/Sの値を同時に用いる場合の説明)
なお、解析部には、M/Sの値およびP/Sの値の両方の値を算出する機能を有しておいてもよい。すると、同一の測定時期において、M/Sの値およびP/Sの値の両者の値を同時に算出することができる。つまり、一回の測定において、M/SおよびP/Sという2つのパラメータを同時に用いることができるので、植物個体の健康状態の診断をより高精度に行うことができる。
例えば、後述するように、植物体のクロロフィル蛍光を画像データとして測定することによってM/S画像およびP/S画像を同時に形成することができる。すると、P/S画像では、植物個体において、病害虫(例えば、トマトサビダニなど)によって障害を受けた葉を検出することができる。このため、P/S画像では、植物個体において、病害虫等による被害状況の全体像を把握することができる。また、M/S画像では、植物個体の葉において、人の目で確認することが困難な病害虫による初期段階の障害を検出することができる。つまり、M/S画像では、植物個体において、P/S画像では検出することが困難な病害虫による初期段階の障害を受けた葉をも検出できるのである。このため、M/S画像では、植物個体において、病害虫による障害の進行速度の予測が可能となる。
したがって、M/Sの値およびP/Sの値は、同一の光合成反応系の機能情報から得られた数値情報であり、M/SおよびP/Sという両パラメータを同時に用いることによって、植物の健康上関連性の高い情報を得ることができるので、詳細な植物診断が可能となる。
また、植物個体の健康状態をある程度把握する目的であれば、M/Sの値を算出する機能を設けずに、P/Sの値だけを算出する機能を有していてもよい。
(長波長透過部材の説明)
なお、蛍光測定手段には、クロロフィル蛍光のみを選択的に透過することができる長波長透過部材が受光部に取りつけられていることが好適である。
この場合、クロロフィル蛍光のみを選択的に透過させて受光部(CCDカメラ等)でクロロフィル蛍光のみを測定できる。長波長透過部材としては、例えば680nm以降の光を透過させることができる光学フィルタ(例えばロングパスフィルタ)が挙げられる。このロングパスフィルタは、683nmよりも長波長側に最大発光強度を有するクロロフィル蛍光を選択的に透過させることができるという利点が得られる。
また、受光部に赤外領域に感度を有するもの(例えば、赤外線領域を測定できるCCDカメラなど)を使用した場合であれば、683nmよりも長波長側に最大発光強度を有するクロロフィル蛍光を感度よく測定できるという利点が得られる。
(照射手段の説明)
また、図2に示すように、本実施形態の植物診断装置には、クロロフィルを励起させることができる励起光を植物体に対して照射する照射手段を設けてもよい。
かかる照射手段を設けることにより、クロロフィル蛍光を測定するときに所望のタイミングで植物体に対して励起光を照射することができるから、所望のタイミングで葉部にクロロフィル蛍光を放出させることができる。
なお、クロロフィルは、励起状態となってからクロロフィル蛍光を発光するまでに要する時間は、0.01秒弱と極めて短時間である。よって、後述する制御手段により照射手段と蛍光測定手段とを連動させることができれば、励起光の照射によって発せられるクロロフィル蛍光を、その発光開始時点から確実に測定できるという利点が得られる。よって、クロロフィルが発するクロロフィル蛍光を正確に測定する上では、本実施形態の植物診断装置に、上記蛍光測定手段と上記照射手段を制御するための制御手段を設けることが好ましい(図2参照)。
(制御手段の例示)
上述した制御手段は、その機能等はとくに限定されないが、照射手段に対して励起光照射開始を指示する信号を送信すると同時に、蛍光測定手段に対してもクロロフィル蛍光測定開始を指示する信号を送信する機能を有するものを採用することができる。すると、かかる制御手段によって、蛍光測定手段と照射手段とが連動して作動するように制御することができるので、蛍光測定手段によりクロロフィル蛍光の発光をその発光開始時から、確実に測定できる。
なお、制御手段が、蛍光測定手段によりクロロフィル蛍光測定開始の信号を後述する解析手段の記憶部にも送信して、その信号の受信時刻等を記憶部が記憶するようにしておけば、解析部でクロロフィル蛍光強度の経時変化曲線を算出するときに、測定開始時刻を把握することができるので好ましい。
(光源の説明)
照射手段の光源としては、クロロフィルを励起させることができるものであればとくにに限定されない。例えば、450nm付近に最大発光強度を有する青色光を植物に対して照射できる青色LEDを採用すれば、クロロフィル蛍光を測定するときに、この青色励起光の反射光と683nmよりも長波長側に最大発光強度を有するクロロフィル蛍光とを比較的容易に区別できるので好ましい。また、前記長波長透過部材を採用することで、上記青色励起光の反射光は、この長波長透過部材によりカットされるので、確実にクロロフィル蛍光のみを測定できるという利点が得られる。
なお、この照射手段は、植物個体の伸長方向(地面に対して垂直方向)の先端部、つまり、植物個体の茎頂の成長点付近の部位に励起光を照射できるように配設するのが好ましい。植物の成長点付近の部位は、直近の環境条件および植物個体の健康状態の影響を受けて形成された植物体部位であるため、植物個体の健康状態が反映されやすいからである。
例えば、光源を、植物個体の茎頂の成長点付近の部位に励起光の照射ができるように伸長方向とほぼ平行かつ茎頂の成長点付近の部位に対して対向した状態に配置する。すると、光源から照射される励起光を、茎頂の成長点付近の植物部位に照射することができる。具体的には、光源として、複数の青色LEDを同一平面に配設した面状のパネル光源を照射手段として使用すれば、茎頂の成長点付近の植物部位に対して広範囲かつ可能な限り略均一に励起光を照射することができる。
また、植物の伸長方向に対してほぼ平行に配設された光源は、上下に昇降可能な昇降機構を有しているのが好ましい。この場合、光源を昇降させることにより、茎頂の成長点付近の植物部位だけでなく、植物個体全体に励起光を照射することができる。
(記憶部の説明)
また、解析手段は、測定されたクロロフィル蛍光を記憶することができる記憶部を設けることが好ましい。例えば、記憶部として、植物個体毎に測定されたクロロフィル蛍光のデータを記憶し保存できるハードディスク等を採用することができる。この場合、植物の状態を診断するための基礎データとなるクロロフィル蛍光データを必要に応じて再解析や参照等することができる。
(画像形成部の説明)
さらに、CCDカメラ等によりクロロフィル蛍光を画像データとして測定する場合には、解析手段が、画像を構成する画素単位でM/Sの値および/またはP/Sの値を算出し、算出された各M/Sの値および/または各P/Sの値を用いて画像を構成したクロロフィル蛍光パラメータ画像(以下、M/S画像、P/S画像という)を作成する画像形成部を備えているのが好ましい。
この場合、M/S画像では、とくに外観上、目視では確認できない植物個体の状態を把握することができ、P/S画像では、植物個体の状態を把握できるほか、植物個体の成長度を把握することができる。
なお、P/Sの値とM/Sの値は、上述したように同一の光合成反応系の機能情報から得られた数値情報であり、P/Sの値とM/Sの値に基づいて得られる植物の状態のわずかな変化は、植物の健康上関連性の高いものである。つまり、M/Sの値に変えてP/Sの値を植物の健康状態の診断に使用しても、M/Sの値に基づく植物の健康状態の診断と同様の診断を行うことができる。
以下では、P/Sの値とM/Sの値のうち、M/Sの値に基づいて植物の健康状態の診断した場合を代表して説明する。
具体的には、病虫害等の発生初期段階にある植物個体の葉においては、外観上、目視では病虫害等が発生していない葉と区別できないので、葉を一枚一枚詳細に確認しない限り、病虫害等を検知することができない(図4(A)参照)。
一方、画像形成部に、M/S画像を表示できるディスプレー等を設けておけば、害虫による障害を受けている部位のM/Sの値が、健康な部位に比べて値が小さい値を示す部位として表示されるので、病虫害等によって障害をうけている植物体部位の分布をディスプレー上で確認することができる。言い換えれば、葉を直接人の目で見て確認した場合では検知することができない病虫害等の発生を、M/S画像であれば検知することができるのである(図4(B)参照)。
すると、病虫害等が発生した部位を容易に特定することができ、しかも、後述する初期段階の障害の発生も把握することができるので、この病虫害等が発生した部位に対して、スポット的にごく少量の農薬を散布することにより、早期に病害虫を防除できる。
例えば、図4(A)に示すように、植物の葉の一部分(図4において点線で囲った部分)に病虫害等が発生していても、その発生初期段階では、その影響は目視できる障害(以下、可視障害という)として現れないので、目視では、病虫害等の発生初期段階にある葉と健康な葉とを区別することができない。とくに害虫が葉の裏側で発生している場合には、目視での検知はより困難になる。
一方、図4(B)に示すように、かかる植物の葉のM/S画像では、目視では全てほぼ同じ状態にあるものとして見えていた葉のうち、葉(L2)、葉(L3)および葉(L5)において、病虫害等により障害を受けた初期段階の部分(図4において点線で囲った部分)が、他の部分と異なる状態(図4(B)において示した黒色部分R)として検出されるので、病虫害等を発生初期段階にて検知することができる。
なお、画像形成部では、M/Sの値に応じて、画像上の各ピクセルの色を変更してもよい。例えば、健康な部位のM/Sの値を基準とし、各部位のM/Sの値が小さくなるにつれて(後述するように障害の程度によりM/Sの値は小さくなる)、色彩等を変化させてもよい。こうすることで、ディスプレー等の上で、健康な部位と障害を受けた部位を容易に判別することができる。しかも、障害のレベルを色彩で判別することができるので、その部位が初期段階の障害を受けているのか否かを判断し易くなるので好ましい。
つぎに、上述した植物診断装置の解析部における植物体の健康状態の診断方法について説明する。
解析部では、受光部で測定されたクロロフィル蛍光に基づいて植物の健康状態が診断される。
具体的には、クロロフィル蛍光強度の経時変化曲線(インダクションカーブ)から算出されるクロロフィル蛍光強度(S、M)を比較したM/Sの値に基づいて、植物個体において、外観上、目視では確認することができない植物の生理機能(具体的には、光合成機能)を数値評価している。すると、植物個体の健康状態の変化を早期に検知することができる。
さらに詳しくは、クロロフィル蛍光強度の経時変化曲線(インダクションカーブ)において、その形状は、光合成機能の状態により変化するが、本発明の方法では、この変化のうち、僅かな変化まで正確に数値化することができるので、植物個体の状態を正確に診断することができるのである。
また、解析部では、クロロフィル蛍光強度の経時変化曲線(インダクションカーブ)から算出されるクロロフィル蛍光強度(P、S)を比較したP/Sの値に基づいて、植物個体における生理機能(具体的には、光合成機能)を数値評価することもできる。すると、植物のクロロフィル蛍光を画像等で測定している場合には、P/S画像からP/Sの値の分布等に基づいて、植物個体の茎径を測定することができるので、植物個体の成長度を評価することができる。よって、植物生産現場においては、植物群落全体として安定した大きさの植物を生産することができるので、その果実等も安定して収穫できる。
また、解析部でP/Sの値を算出し、健康な植物体または植物体の部位のP/Sの値を基準とすれば、植物体が病害虫により障害を受けているか否かを診断することができる。
上述したようにM/Sの値に変えてP/Sの値を植物の健康状態の診断に使用しても、M/Sの値に基づく植物の健康状態の診断と同様の診断を行うことができる。
そこで、以下では、P/Sの値とM/Sの値のうち、M/Sの値を代表して詳細に説明する。
上述したように、受光部で測定されたクロロフィル蛍光の測定データ(例えば、CCDカメラにより測定されたクロロフィル蛍光画像データ等)は、解析手段に送信される。解析手段に設けられた解析部では、この送信されたクロロフィル蛍光のデータに基づいて、以下の処理を行う。
解析部では、受光部で測定されたクロロフィル蛍光を受信すると、受信したクロロフィル蛍光からクロロフィル蛍光強度が算出される。そして、受光部がクロロフィル蛍光を測定した測定時間に対応させて算出されたクロロフィル蛍光強度が時間軸に沿ってプロットされ、クロロフィル蛍光強度の変化曲線である経時変化曲線(インダクションカーブ)が作成される(図1参照)。
インダクションカーブが作成されると、解析部によって、このインダクションカーブにおける特徴的な極値点である、クロロフィル蛍光の強度が最大となる極大点p、この極大点p以降に生じる最初の極小点s、および、この極小点s以降に生じる最初の極大点mが決定され、各極値点におけるクロロフィル蛍光強度(P、S、M)が算出される。
そして、これらの極値点のうち極大点mと極小点sのそれぞれのクロロフィル蛍光強度(M、S)に基づいて、クロロフィル蛍光強度Sとクロロフィル蛍光強度Mの値が比較される。具体的には、クロロフィル蛍光強度Mの値をクロロフィル蛍光強度Sで除したM/Sの値が算出される。
すると、算出されたM/Sの値に基づいて、植物の健康状態を評価することができる。
具体的には、植物葉の例では、ある個葉の葉面における算出されたM/Sの値の分布に基づいて、障害を受けている部位と健康な部位とを判別することができる。
以下、M/Sの値に基づいて障害を受けている部位と健康な部位とを判別することができる原理について説明する。
植物の葉に病害虫(例えばサビダニの一種であるトマトサビダニ)が発生した場合、害虫は直接的または間接的(害虫が排出等する分泌物等)に葉にダメージを与える。これらの害虫自体の大きさは、植物体に対して極めて小さいが、光合成器官に対しては確実に障害を与える。その障害として、例えば、光合成反応における電子伝達系の阻害が挙げられる。光合成反応系のうち電子伝達系が阻害されると、これに連動して行われる光合成反応の光化学系I(PSI)以降のNADPHの生成やチラコイド膜内外のH勾配を駆動力とするATPの生成等といった機能も低下していく。つまり、光合成反応の最初の反応系の機能が低下することにより、その後の反応系も影響を受けてその機能は低下する。
ここで、解析部によって作成されるインダクションカーブは、植物で行われる光合成反応に対応していることが知られている。例えば、クロロフィル蛍光強度が最大値をとる極大点pから極大点p以降に生じる最初の極小点sまでの過程は、主に、光合成電子伝達によって誘導された、吸収した光エネルギーを熱として放散する経路の活性化の影響を受けている。また、極小点s以降に生じる最初の極大点m以降の過程は、チラコノイド膜を介した高エネルギー状態の生成および光合成反応系の活性化などを反映している。
すると、病虫害等により障害を受けた部位のクロロフィル蛍光から算出されるインダクションカーブは、上記のごとき光合成反応系の機能低下により、クロロフィル蛍光強度が最大値をとる極大点p以降の形状が健康な部位に比べて大きく変化する。
これを、図3に基づいて説明する。なお図3は、健康な部位、初期の障害が起こっている部位(以下、単に初期障害部位という)、そして障害により光合成機能が著しく低下した状態の部位(以下、終期障害部位という)に相当するそれぞれのインダクションカーブ(図3の曲線A、曲線B、曲線C)の概念図を示したものである。
なお、各曲線は、その形状の違いを強調するために、各曲線のクロロフィル蛍光強度が最大値をとる極大点pのクロロフィル蛍光強度Pの値で正規化(pの値が等しくなるように補正)してある。
図3の曲線Aに示すように、健康な部位に相当するインダクションカーブでは、クロロフィル蛍光の強度が最大となる極大点p以降に生じる最初の極小点s、および、極小点s以降に生じる最初の極大点mが明確に形成されている。
しかし、図3の曲線Bに示すように、上記のごとき葉に害虫が発生した初期の段階では、光合成反応系に対する障害も小さいので、その機能はある程度維持される。そのため、極大点p以降に生じる最初の極小点s、および、極小点s以降に生じる最初の極大点mにおけるクロロフィル蛍光強度(S,M)は、健康な部位に比べ大きくなる。これは、光合成反応系の機能低下により、健康な状態であれば光合成反応系の活性化により消費されるはずの光エネルギーが、クロロフィル蛍光として発光されるためである。
そして、図3の曲線Cに示すように、さらに病虫害が進行し、光合成機能が著しく低下するような状態になると、極大点p以降に生じる最初の極小点s、および、極小点s以降に生じる最初の極大点mが確認しづらい状態となる。
よって、この特徴的な極値点である、極大点p以降に生じる最初の極小点s、および、極小点s以降に生じる最初の極大点mを決定し、それぞれのクロロフィル蛍光強度(S,M)を使用すれば、光合成機能の状態を数値化して評価することができるのである。例えば、上述した図3の曲線Bに示すような、病虫害による初期障害部位を検出することができるのである。
従って、上述した原理に基づいて、解析部でM/Sの値を算出し、健康な部位(例えば、大多数の部分の葉は健康な状態であるため、計測された全てのM/Sの値の平均値を算出することで、この値を健康な部位の値と見なせる)のM/Sの値を基準とすれば、病虫害により障害を受け始めたばかりの初期障害部位を特定することができるのである。
つまり、光合成機能が害虫等によって障害を受け始めた初期の段階の部位と、健康な部位とのインダクションカーブを比較すると、クロロフィル蛍光強度が最大値をとる極大点p以降のカーブの形状に明確な違いが検出される。この特徴的な形状の違いは、M/Sの値として数値化できるので、このM/Sの値を比較すれば、本発明の方法により、光合成機能のわずかな変化をも検出することができるのである。
なお、植物体表面に外部から照射される励起光の光強度が同じであれば、インダクションカーブにおけるクロロフィル蛍光強度(P、S、M)を算出し、それぞれのクロロフィル蛍光強度(いわゆる絶対値)自体、ならびに、それらの差分等に基づいて、光合成機能を評価することも可能である。
しかし、植物個体を対象とした測定を行う場合には、すべての植物体表面に常に一定強度の励起光が照射されるわけではない。そこで、本発明のように、クロロフィル蛍光強度(S,M)を比較したM/Sの値に基づけば、照射された励起光の光強度にかかわらず、植物個体の各部位の光合成機能を正確に評価することができるのである。
(葉部と茎部の判別方法の説明)
本発明の方法では、光合成機能の僅かな違いをも検出することができるので、植物の部位の違いによる光合成機能の相違も検出することができる。
具体的には、植物において、光合成を行う主たる器官である葉部と、光合成器官としてはほとんど機能しない茎部とでは、両者とも緑色でクロロフィルを含有しているにもかかわらず、その光合成機能は大きく異なるので、M/Sの値に基づけば、植物個体における葉部と茎部の判別ができる。
例えば、植物体のクロロフィル蛍光を画像データとして測定する。そして、解析部で測定した画像データからM/Sの値を算出する。このM/Sの値に基づいて画像形成部で植物体のM/S画像を形成する。ここで、植物体の葉部のM/Sの値は、植物体の茎部のM/Sの値に比べて、大きく算出される。すると、葉部のM/Sの値と茎部のM/Sの値に基づいてM/S画像の色彩を調整すれば、植物体のM/S画像から茎部の画像のみを抽出することができる。そうすると、この抽出した茎部から茎の太さ(茎径)を計測することができる。
植物個体において葉部と茎部を判別することができれば、画像データを利用することで、茎部の径の大きさ(茎径)を簡便に測定することができるので、植物の生育状態を評価することができる。例えば、成長段階でおいて、所定の基準値以下の茎径であれば、かかる植物個体に対して肥料等を多めに与える等の対応をとることができる。すると、植物栽培現場において、植物群落全体として安定した大きさの植物を育成することができるので、その結果として、果実等の生産物の品質および収穫量が安定するので好ましい。
(その他)
なお、作成されたインダクションカーブからクロロフィル蛍光の強度が最大となる極大点p以降に生じる最初の極小点s、および、極小点s以降に生じる最初の極大点mが算出され難い場合には、極大点p以降の最初の変曲点を極小点sとし、この極小点s以降の最初の変曲点を極大点mとして算出すれば、上述と同様の効果を得ることができる。
また、クロロフィル蛍光強度を測定時間の時系列に沿ってプロットしたときに、クロロフィル蛍光強度が最大となる時点(つまり、インダクションカーブにおけるPの出願時点)以降において、隣接するプロット間を直線で結んだ場合、その傾きが最小となる最初の時点をSとし、このS以降において隣接するプロット間を直線で結んだ傾きが最小となる最初の時点をMの出現時点としてもよい。この場合、作成したインダクションカーブにおいて、P以降の最初の極小点やこの極小点以降の最初の極大点を特定しにくい場合(つまり、インダクションカーブにおけるピーク(山)と谷の差が小さい場合)に、SおよびMの出現時点を特定することができるという利点がある。
(ノイズ除去の説明)
また、解析部では、受光部で測定されたクロロフィル蛍光の測定データを受信し、受信したクロロフィル蛍光の測定データからクロロフィル蛍光強度が算出され、インダクションカーブが作成されるが、このとき、受光部で測定されたクロロフィル蛍光の測定データから算出されるクロロフィル蛍光強度が小さければ、作成されるインダクションカーブにはより大きなノイズが含まれる可能性がある。かかるノイズを除去する上では、クロロフィル蛍光強度の経時変化を出力する際に、蛍光強度の移動平均を利用して、インダクションカーブを作成するのが好ましい。この場合、移動平均を求めることによりノイズを除去することができるので、さらに正確に上記極値点および変曲点を決定することができる。
(SPAコンセプトに基づく診断)
本実施形態の植物診断装置および植物診断方法を使用すれば、クロロフィル蛍光という植物の生体情報をCCDカメラ等といったクロロフィル蛍光を測定できるセンサを用いて、植物個体を破壊することなく、かつ、植物個体に接触することもなく、植物個体の健康状態を診断することができる。つまり、実験室レベルで、植物個体から葉等を採取し、化学的分析方法等によりクロロフィル濃度等を測定し、これに基づいて植物個体の生体情報を計測するのではなく、各種センサを用いることにより非破壊かつ非接触で植物個体の生体情報に基づいて植物の状態を診断し、その診断結果に基づいて、植物体の生育環境を適切に制御するという、Speaking Plant Approach(SPA)を実現することができる。
よって、本実施形態の植物診断装置によれば、植物の生育状態の診断が不可欠である栽培現場、とくに大規模栽培において、植物の状態を診断するために、植物個体をそれぞれ破壊して計測する必要なく、かつ、植物個体それぞれに接触して計測する必要もないので、より一層効率よく植物の状態を診断することができる。
本発明の植物診断装置および植物診断方法の有効性を確認した。
実験では、暗条件下におかれた植物体に対してクロロフィルを励起させるための励起光を光源から照射したときに、クロロフィルが発するクロロフィル蛍光を受光部で測定し、測定したクロロフィル蛍光の測定データに基づいて以下の評価(1)〜(3)を実施した。
(1)品種間における光合成機能の差異の検知
(2)同一個体の異なる部位における光合成機能の差異の検知
(3)害虫による障害の早期診断の可能性
の実験を行い本発明の装置および方法の有効性の確認をした。
なお、本実験では、複数の植物個体から得られたクロロフィル蛍光の平均値を基に上記評価を行った。
実験に使用した装置および条件は、以下のとおりである。
光源には、青色LEDを格子状に約3cm間隔で横幅約65cm、縦幅約65cmの板状部材に配設した青色LEDパネル((株)セネコム社製、型番:SE-LP60)を使用した。そして、この青色LEDパネルを、植物個体の伸長方向とほぼ平行かつ茎頂の成長点付近の部位に対して対向するように配置し、かつ、茎頂の成長点付近の部位から約60cmとなる距離から植物に対して励起光を照射した。
なお、青色LEDパネルに使用される青色LEDは、約25℃で450nm付近に最大強度を有する青色励起光(PPFD:約15〜200μmolm−2−1:光源面からの距離が30〜60cmの距離にある平面上に照射される光強度)を放射するものを使用した。
受光部には、CCDカメラ(Allied Vision Technologies GmbH社製、型番:Stingray F145B ASG)を使用した。このCCDカメラを、茎頂の成長点付近の部位から約60cm離れた位置に配置し、上記光源から照射された青色励起光により励起されたクロロフィル蛍光を測定した。
なお、CCDカメラのレンズ前面には、クロロフィル蛍光を選択的に透過することができる長波長透過部材(ロングパスフィルタ(富士フィルム(株)社製、型番:SC-66))を使用した。これは、光源から照射された青色励起光の一部が反射光としてCCDカメラで測定されるのを防止するためである。
また、CCDカメラは、シャッタースピードを0.06秒、フレームレートを15枚/秒とした。
さらに、上記CCDカメラによって測定されたクロロフィル蛍光の画像の輝度値からクロロフィル蛍光の強度を後述する解析手段により正確に算出するために、CCDカメラによって測定された画像の輝度と光強度の関係を確認した。その結果、両者は高い直線性(計測された画像[256階調]の平均輝度値が0〜220の範囲においてR=0.996)があることが確認された。
なお、実験は、太陽光の影響を排除するため、植物が暗条件下におかれる夜間に行った。
上記光源と上記受光部とは制御手段によって両者が連動して作動するように制御した。この制御手段には、青色LEDパネル、CCDカメラおよび後述する解析手段にケーブルを介して信号を送信するプログラムを有するものを使用した。このプログラムは、以下の装置に信号を送信する機能を有している。
(I)青色LEDパネルには、励起光を照射する照射開始信号を送信し、開始から約100秒後に照射を終了する信号を送信する。
(II)CCDカメラには、上記照射開始信号と同時に測定開始信号を送信するとともに、そのシャッタースピードが0.06秒、フレームレートが15枚/秒とする信号を送信する。
(III)この測定されたクロロフィル蛍光の画像データを後述する解析手段に送信する。
解析手段として、ノート型PC(レノボ・ジャパン(株)社製、型番:ThinkPad R61e)を使用した。
このノート型PCは、ハードディスク(HD)を有するものを使用した。記憶部として、このHDを使用した。また、このPCには、植物個体毎に複数の測定されたクロロフィル蛍光の画像データをHD内に格納することができるようなプログラムがインストールされているものを使用した。
また、このPCには、Visual Basic 6.0(Microsoft社製)を用いて自作したクロロフィル蛍光強度等を算出できるクロロフィル蛍光画像処理プログラムをインストールして解析に使用した。
このクロロフィル蛍光画像処理プログラムは、以下の機能を有するものである。
(I)任意にHD内に個別に記憶されている植物個体の複数枚の画像データから一の代表の画像データを選択し、この画像データについて解析するための領域を指定すれば、自動的に他の全ての画像データにおいて、代表画像で指定した領域と同じ領域についてクロロフィル蛍光強度を算出し、各クロロフィル蛍光強度の平均値を算出する。
なお、クロロフィル蛍光画像データのうちで、最も平均輝度が大きい画像を抽出し、所定の閾値を用い、その画像内における植物体の領域を自動的に決定する機能を有してもよい。
(II)そして、指定された領域におけるインダクションカーブを作成する。
(III)作成したインダクションカーブから、クロロフィル蛍光の強度が最大となる極大点p、極大点p以降に生じる最初の極小点s、および、極小点s以降に生じる最初の極大点m(それぞれの極値点を以下単に、極大点p、極小点sおよび極大点mとする)を算出し、それぞれぞれのクロロフィル蛍光強度(P、S、M)に基づいて、M/Sの値または/およびP/Sの値を算出する。
(IV)算出されたM/Sの値または/およびP/Sの値に基づいてM/S画像または/およびP/S画像を作成する。
なお、インダクションカーブの作成には、クロロフィル蛍光画像処理プログラムによって、ノイズを除去した。
また、インダクションカーブからクロロフィル蛍光強度が最大となる極大点p、極大点p以降に生じる最初の極小点sおよび極小点s以降に生じる最初の極大点mを算出するときに、各極値点を算出し難い場合には、極大点p以降の最初の変曲点を極小点sとし、この極小点s以降の最初の変曲点を極大点mとして算出した。
なお、上述したように本発明の評価に当たり複数の植物個体を測定するため、本発明の装置を測定対象とする植物個体に対して容易に所定の配置とすることができる台車を自作した。この台車は、栽培ベッドに平行して床面上に配設されたレール上を移動することができるものである。この台車の台座に連結した上下に高さ調整が可能な昇降部材にCCDカメラおよび青色LEDパネルを配設した。
(1)品種間における光合成機能の差異の検知
トマト2品種(富丸ムーチョおよび麗夏)を対象として、本発明の装置で算出したM/Sの値およびP/Sの値に基づいて、品種間の僅かな光合成機能の違いを検出することができることを確認した。
なお、インダクションカーブは、クロロフィルに照射される励起光の光強度の強弱の影響を排除するために、各インダクションカーブのうちクロロフィル蛍光強度が最大値をとる極大点pのクロロフィル蛍光強度Pが1となるようにインダクションカーブを正規化した。以下では、この方法で正規化したインダクションカーブを、正規化インダクションカーブとよぶ。
(総クロロフィル含量の比較)
まず、トマト(富丸ムーチョ)の12個体、トマト(麗夏)の7個体を対象に、両者の単位葉面積当たりの総クロロフィル含量(Porra et al.(1989)の方法)を測定した。なお、かかる方法は、植物個体から葉を採取し、採取した葉を破砕し、所定の有機溶媒にて目的とするクロロフィルを抽出し、分光光度計により算出した。
その結果、トマト(富丸ムーチョ)の平均値は、43.6μg/cmであり、トマト(麗夏)の平均値は、37.2μg/cmであり、両者には、有意な差があった(P<0.01)。
このことは、トマト(富丸ムーチョ)は、トマト(麗夏)に比べてクロロフィル含量が大きく、クロロフィルによってより多くの光を吸収することができると考えられるので、トマト(富丸ムーチョ)が、トマト(麗夏)より光合成機能が高い可能性が推認された。
(本発明の装置の比較)
そこで、本発明の装置によって、両品種間の光合成機能の差異を確認した。
まず、両品種のそれぞれ10個体を対象として、本発明の装置によって各個体のインダクションカーブを作成し、品種毎に正規化したインダクションカーブを作成した。
図5(A)に示すように、正規化した両者のインダクションカーブにおいて、極大点p以降に生じる最初の極小点sから極小点s以降に生じる最初の極大点mにかけての形状に差異が検出された。つまり、本発明の装置によって作成したインダクションカーブの形状の違いから両品種間において光合成機能に違いがあることを確認できた。
(M/Sの値およびP/Sの値の比較)
つぎに、両品種のインダクションカーブを用いてM/Sの値およびP/Sの値を算出し、両品種間でその平均値を比較した。
図5(B)に示すように、トマト(麗夏)のM/Sの値(0.94)と、トマト(富丸ムーチョ)のM/Sの値(0.91)には、有意な差が確認された(P<0.01)。
また、同様に両品種のP/Sの値について評価した。
図5(C)に示すように、トマト(富丸ムーチョ)のP/Sの値と、トマト(麗夏)のP/Sの値には、有意差は認められなかったものの、トマト(富丸ムーチョ)の値が大となる(P<0.10)。
よって、本発明の装置は、M/Sの値またはP/Sの値を用いることで、両品種間の光合成機能の差異を検出できることが確認できた。
(クロロフィルa/b比の比較)
つぎに、従来、光合成機能を評価するための数値指標のひとつとして使用されてきたクロロフィルa/b比に基づいて、両品種間の光合成機能の差異を検出できるか否かを検証した。
クロロフィルa/b比は、上述した総クロロフィル含量と同様の方法を用いて算出した(Porra et al.(1989)の方法)。
トマト(富丸ムーチョ)の12個体、トマト(麗夏)の7個体を対象として、両者の単位葉面積当たりのクロロフィルa/b比を算出した。
その結果、トマト(富丸ムーチョ)のクロロフィルa/b比の平均値と、トマト(麗夏)のクロロフィルa/b比の平均値には、有意な差は確認されなかった。
つまり、光合成機能のうち、特に集光能力の数値指標であるクロロフィルa/b比に基づいては、両品種間の光合成機能の差違を検出することはできなかった。
(光−光合成曲線の比較)
また、光強度を変化させてCO2吸収速度(光合成速度)を測定することにより得られる光−光合成曲線に基づいて光合成機能を評価する従来の手法により、両品種間の光合成機能の差違を検出できるか否かを検証した。
トマト(富丸ムーチョ)およびトマト(麗夏)それぞれ6個体を対象として、光−光合成曲線を測定した。この光−光合成曲線は、光合成速度の状態を測定する装置として用いられている携帯型光合成蒸散測定装置(LI-COR社製、型番:LI-6400)を使用して作成した。測定条件として、植物体の上層にある葉を対象として、PPFD:0,50,250,500,1000μmol m−2 s−1における光合成速度を測定した。
その結果、トマト(富丸ムーチョ)の平均化した光−光合成曲線と、トマト(麗夏)の平均化した光−光合成曲線には、明確な違いは確認されなかった。
つまり、光合成速度の違いにより光合成機能の状態を把握することができる光−光合成曲線に基づいては、両品種間の光合成機能の差違を検出することはできなかった。
以上の結果から、従来から光合機能の状態を測定するために用いられている方法および装置では検出することができない品種間のわずかな光合成機能の違いを、本発明の装置を使用することによって検出できたことを確認した。
つまり、本発明の装置によって算出されたM/Sの値またはP/Sの値に基づくことにより、品種間のわずかな光合成機能の差異を明確に検出できたことを確認した。
しかも、本発明の装置では、従来の方法による光合成機能測定に要する時間に比べて、その測定時間は約20秒間という短時間で測定することができ、その解析も完全自動化が可能であるので、より迅速にかつより正確に光合成機能の差違を検出できることが確認できた。
(2)同一個体の異なる部位における光合成機能の差異
同一の植物個体における部位(茎部と葉部)間での光合成機能の差違を、本発明の装置で算出したM/Sの値およびP/Sの値に基づいて検出することができることを確認した。
なお、インダクションカーブは、クロロフィルに照射される励起光の光強度の強弱の影響を排除するために、各インダクションカーブのうちクロロフィル蛍光強度が最大値をとる極大点pのクロロフィル蛍光強度Pが1となるように正規化した。この正規化インダクションカーブを用いることで、それぞれの形状の違いを容易に把握することができた。
(本発明の装置の比較)
まず、トマト(麗夏)の2個体を測定対象とし、本発明の装置によって、各個体の測定されたクロロフィル蛍光の画像データを用いて、まず、クロロフィル蛍光画像処理プログラムを用いて葉部(3箇所)と茎部(3箇所)の領域を指定して、部位箇所毎にインダクションカーブを作成した。つぎに、茎部の各インダクションカーブおよび葉部の各インダクションカーブを平均化したインダクションカーブを作成した。
図6(A)に示すように、両部位の正規化したインダクションカーブにおいて、極大点p以降に生じる最初の極小点sから極小点s以降に生じる最初の極大点mにかけての形状に明確な違いが確認できた。つまり、本発明の装置によって作成したインダクションカーブの形状の違いから、同一個体内の部位間において光合成機能に違いがあることを確認した。
(M/Sの値およびP/Sの値の比較)
つぎに、両部位の各インダクションカーブを用いてM/Sの値およびP/Sの値を算出し、その平均値を両部位間で比較した。
図6(B)に示すように、茎部のM/Sの値(0.95)と、葉部のM/Sの値(1.17)には、有意な差が確認された(P<0.01)。
また、同様に両部位のP/Sの値について評価した。
図6(C)に示すように、茎部のP/Sの値(1.16)と、葉部のP/Sの値(1.27)には、有意な差が確認された(P<0.01)。
よって、本発明の装置は、M/Sの値またはP/Sの値に基づいて、同一植物個体内の部位間の光合成機能の差異を検出できることが確認できた。
(Fv/Fm値の比較)
つぎに、従来、主に、光合成電子伝達収率を計測するために使用されてきたパルス振幅変調(PAM:Pulse Amplitude Modulathion)クロロフィル蛍光測定法によって、両部位間の光合成機能の違いを検出できるか否かを検証した。
パルス振幅変調クロロフィル蛍光測定法を用いたクロロフィル蛍光計測装置としては、携帯型クロロフィル蛍光計測装置(Walz社製、型番:MINI-PAM)を使用した。
トマト(麗夏)の10個体を対象として、携帯型クロロフィル蛍光計測装置(MINI-PAM)を使用して茎部と葉部の各10個体のFv/Fm値を算出し、茎部と葉部のそれぞれの平均値を算出した。
その結果、トマト(麗夏)の茎部のFv/Fm値の平均値と、葉部のFv/Fm値の平均値には、有意な差は確認されなかった。
つまり、光合成活性度(光合成電子伝達系において、吸収した光エネルギーのうちで光合成光化学反応に利用されるエネルギーの最大値)、言い換えれば、光合成能力の違いにより光合成機能の状態を把握することができるとされていたFv/Fm値に基づいては、同一の植物個体内における部位間の光合成機能の相違を検出することはできなかった。
以上の結果から、光合成反応系の能力の高さを表す指標として広く用いられている蛍光パラメータであるFv/Fmを使用して検出することができなかった同一の植物個体における茎部と葉部のわずかな光合成機能の相違を、本発明の装置を使用することによって検出できたことを確認した。
つまり、主として光合成を行う光合成器官として機能する葉部と、光合成器官としてはほとんど機能しない茎部との僅かな光合成機能の相違を、本発明の装置によって検出することができたことから、本発明の装置を用いて植物個体における茎部と葉部の判別をすることができることを確認できた。
(3)害虫による障害の早期診断の可能性
実際の栽培植物における害虫による傷害の早期診断の可能性を確認(以下、本試験という)する前に、まず、人為的に傷害を形成した葉および自然に生じた生理障害をもつ葉において、本発明の装置を使用することによって、早期診断が可能か否かの確認を予備実験で確認した。
(I)予備実験
人為的な障害として、(a)光合成阻害剤投与試験、(b)物理的傷害試験を行い、自然に生じた生理障害を検出するために(c)生理障害試験を行い、本試験によって障害の早期診断が可能か否かを検証した。
予備実験では、本発明の装置によって、葉の表面からCCDカメラにより撮影した。そして、撮影された画像についてクロロフィル蛍光画像を形成し、このクロロフィル蛍光画像から画素単位で各M/Sの値および各P/Sの値を算出した。
なお、予備実験の対象として、温室内に定植したトマト(TY桃太郎さくら)の葉を用いた。実験に用いた葉は、安定した光合成を行う時期にある成熟した健康な個体の葉であって、可視傷害がないことを確認した。
また、本発明の装置によって、M/S画像およびP/S画像は、基準となる健康な部位のM/Sの値およびP/Sの値と同程度の値では青くなり、この基準よりも小さくなるにつれて(つまり、光合成機能障害の程度が大きくなるにつれて)算出されたM/Sの値およびP/Sの値は青色から黄色、黄色から赤色となるように色彩を付して作成した。なお、図7〜9に示した図は白黒であるので障害の部位を矢印で示した。
(a)光合成阻害剤投与試験
植物細胞に対して光合成阻害剤を使用することによって細胞の光合成機能に障害を発現させた葉を用いた。かかる光合機能障害を本発明の装置で算出したM/Sの値に基づいて作成したM/S画像およびP/S画像によって検出することができるか否かを検証した。
実験には、光合成電子伝達を阻害する光合成阻害剤(タケダ園芸株式会社製、型番:DCMU[3-(3, 4-ジクロロフェニル)-1, 1-ジメチル尿素]を3%含んだダイロン)を用いた。そして、この光合成阻害剤の粉末1gを100mlの水道水で希釈して光合成阻害水溶液に調製した。この光合成阻害水溶液に上記トマトの葉の葉柄を浸して所定の時間静置し、かかる光合成阻害水溶液を葉柄から葉に吸収させた。所定の時間が経過した後の葉は、目視では健康な葉と区別することは困難であるが、葉柄から光合成阻害剤を吸わせたので葉の細胞内部では光合成機能に障害が発生した状態となっていた。
その結果、図7のP/S画像に示すように、P/S画像において、葉の基部の光合成機能が著しく低下した領域(図7のP/S画像の矢印で示した部位)を明確に検出できた。
一方、図7のM/S画像に示すように、M/S画像では、葉の基部に加えて、葉の先端部に至るまで葉脈沿いに光合成機能が展開しつつあること(図7のM/S画像の矢印で示した部位)を検出できた。
つまり、P/S画像では明確な光合成機能の障害を検出することができ、M/S画像では初期の光合成機能の障害、言い換えれば、P/S画像の場合よりもより広範囲の初期の障害を検出することが可能であることが確認できた。
(b)物理的傷害試験
植物細胞に対して物理的に傷害を生じさせることによって細胞の光合成機能に障害が発生した葉を用いた。かかる光合機能障害を本発明の装置で算出したM/Sの値に基づいて作成したM/S画像およびP/S画像によって検出することができるか否かを検証した。
図8の葉の裏面の矢印で示したように、健康な葉の裏面に人為的に傷をつけ、葉の裏面が病害虫による食害を受けた状態を再現した。かかる葉は、葉の表面において、目視では傷害を確認できない状態であった。
その結果、図8のP/S画像に示すように、P/S画像において、葉の裏面に形成した傷害領域(図8のP/S画像の矢印で示した部位)を明確に検出できた。
一方、図8のM/S画像に示すように、M/S画像では、葉の裏面に形成した傷害領域を検出することは困難であった。
つまり、光合成機能を失った植物細胞(病害虫による末期の症状に相当する)に対しては、M/S画像で検出することが困難であるが、P/S画像では明確に検出できることが確認できた。言い換えれば、本発明の装置を使用することにより、病害虫によって葉の裏面が食害を受けた状態の葉を検出できることが確認できた。
(c)生理障害試験
植物細胞の生理障害を有する葉を用いた。かかる生理障害を本発明の装置で算出したM/Sの値に基づいて作成したM/S画像およびP/S画像によって検出することができるか否かを検証した。
図9の葉の表面および裏面の矢印で示したように、スポット状に生じた生理障害を有する葉を用いた。このスポット状に形成された生理障害の部位は、中心部が障害を有することを目視で確認することができたが、かかる障害部位の周辺については、目視で健康な部位と区別することは困難であった。
その結果、図9のP/S画像およびM/S画像に示すように、P/S画像およびM/S画像において、スポット状に生じた生理障害の周辺部を検出できた(図9のP/S画像およびM/S画像の矢印で示した部位)を検出できた。とくに、M/S画像では、P/S画像に比べてより広い範囲の生理障害を検出できた。具体的には、M/S画像では、P/S画像によって検出することができた生理障害の周辺部のさらに周辺部までに検出することができた。つまり、P/S画像およびM/S画像によって、初期の生理障害を検出することができ、とくにM/S画像ではP/S画像よりもさらに初期の生理障害を検出できる可能性があることが確認できた。
以上の予備実験の結果から、本発明の装置を使用することによって、害虫による障害の早期診断が可能であることを確認した。
つまり、植物細胞の光合成機能または生理機能が何らかの障害(例えば、病害虫など)により影響をうけた場合、健康な植物細胞との僅かな光合成機能または生理機能の相違を、本発明の装置によって検出することができたことから、本発明の装置を用いて害虫による障害の早期診断が可能であることを確認できた。とくに、初期の障害を広範囲に検出するにはM/S画像が有効であり、明確な障害を検出するにはP/S画像が有効であることが確認できた。
上述した予備実験結果に基づいて、以下の本試験を行った。
(II)本試験
実際の栽培トマトにおいて発生したトマトサビダニによる障害に対して早期診断が可能か否かについて検証した。その結果、トマト(麗夏)に発生したトマトサビダニによる障害を対象として、本発明の装置で算出したM/Sの値に基づいて作成したM/S画像によって、トマトサビダニによるトマト(麗夏)へ初期の障害を早期に検出することができることを確認した。
本発明の装置によって、CCDカメラにより測定された各クロロフィル蛍光画像から画素単位で各M/Sの値を算出し、健康な植物個体の葉部のM/Sの値を基準として、M/S画像を作成した。なお、健康な個体は、人の目でトマトサビダニの発生がないことを確認するとともに、安定した光合成を行う時期にある成熟した健康な葉部を上記基準とした。
また、本発明の装置によって、M/S画像は、基準となる健康な部位のM/Sの値と同程度の値では青くなり、この基準よりも小さくなるにつれて(つまり、トマトサビダニにより光合成機能が障害を受けるにつれて)算出されたM/Sの値は赤くなるように色彩を付して作成した。
健康なトマト(麗夏)の6個体と、トマトサビダニが葉部や茎部等に発生していたトマト(麗夏)の6個体を測定対象として、本発明の装置によってM/S画像を形成した。
トマトサビダニが発生しているトマト(麗夏)個体のうち、トマトサビダニによる障害の初期段階にある葉部の表面は、目視では、健康な葉部との外観上の違いを認識することはできなかった。
このトマトサビダニ障害初期段階にある植物体のM/S画像において、トマトサビダニが発生していた部分を赤く検出することができた。
この赤く検出された部分とトマトサビダニが少数発生していた葉の裏側の部分とを比較すると、両部分は、葉においてほぼ同一の位置であることが確認できた。つまり、葉の裏側に発生しているトマトサビダニによる、葉の表面に可視障害としては現れないトマト(麗夏)に対する初期の光合成機能障害を検出することができた。
なお、健康なトマト(麗夏)の本発明の装置によって形成されたM/S画像には、上記のごとき赤色で検出された部位が確認されなかった。
以上の結果から、植物個体において、外観上、目視では確認することが困難であったトマトサビダニの発生初期段階の障害部位を、本発明の装置を使用することによって把握できることを確認できた。
言い換えれば、本発明の装置によって、同一の植物個体の部位(葉部)内における光合成機能のわずかな差異をも検出することができたことを確認することができた。
なお、本発明の装置では、上述と同様にしてP/Sの値を算出し、P/S画像も形成した。その結果、目視では確認することが困難であったトマトサビダニの発生した植物個体のうち、比較的小さな領域に生じたトマトサビダニによる障害を受けた部位を赤く検出することができたことを確認した。
本発明の植物健康診断方法および植物健康診断装置は、大規模な植物栽培現場において、植物の健康状態を診断することに適している。
m 極小点s以降に生じる最初の極大点
M 極小点s以降に生じる最初の極大点mにおけるクロロフィル蛍光強度
p インダクションカーブにおけるクロロフィル蛍光の強度が最大となる極大点
P インダクションカーブにおけるクロロフィル蛍光の強度が最大となる極大点pにおけるクロロフィル蛍光強度
s クロロフィル蛍光の強度が最大となる極大点p以降に生じる最初の極小点
S クロロフィル蛍光の強度が最大となる極大点p以降に生じる最初の極小点sにおけるクロロフィル蛍光強度
【0003】
なるのは、ある程度被害が拡大した段階、つまり、一の植物個体に留まらず隣接する他の植物個体にまでトマトサビダニの発生が拡大した段階である。
一方、トマトサビダニは、農薬に対する感受性が高いため、発生初期の植物個体を検出できれば、この植物個体に対して少量の農薬を散布することにより容易に防除できる。つまり、トマトサビダニによる障害を抑える上では、発生を早期に検出し防除することが、非常に重要となる。同様に、繁殖能力が高く数日のうちに隣接する他の植物個体へ急速に広まる他の害虫であって、農薬に対して感受性の高いものに対しても同様のことがいえる。
[0009]
かかる防除をする上で、害虫等が発生している植物個体の検出に前述した特許文献1や特許文献2の技術を採用することもできるが、これらの技術では、枯死等した植物個体を検出することはできるものの、害虫等が発生した初期の段階の植物個体を検出することはできない。
[0010]
現状では、害虫等が発生した初期の段階の植物個体の初期段階の障害を検出できる診断方法は開発されておらず、大規模な栽培面積を有する植物栽培方法にも対応できる植物の早期健康診断方法の開発が望まれている。
先行技術文献
特許文献
[0011]
特許文献1:特開2001−299090号公報
特許文献2:特開2002−214141号公報
発明の概要
発明が解決しようとする課題
[0012]
本発明は上記事情に鑑み、害虫等が発生した初期の植物個体の初期障害を検出することができる植物健康診断方法および植物健康診断装置を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
[0013]
【0004】
第1発明の植物健康診断方法は、植物体のクロロフィルから発光されるクロロフィル蛍光に基づいて植物の健康状態を診断する方法であって、前記クロロフィル蛍光の強度の経時変化曲線において、クロロフィル蛍光の強度が最大となる極大点以降に生じる最初の極小点、および、該極小点以降に生じる最初の極大点を求め、該極小点、および、該極小点以降に生じる最初の極大点におけるクロロフィル蛍光の強度をS、Mと定義し、該Sと該Mの値からM/Sの値を求め、該M/Sの値を用いて、植物体の健康な部位または健康な植物個体のM/Sの値を基準とすることによって、前記植物体における光合成機能障害の初期状態を評価することを特徴とする。
第2発明の植物健康診断方法は、第1発明において、前記クロロフィル蛍光の強度の経時変化曲線において、クロロフィル蛍光の強度が最大となる極大点を求め、前記クロロフィル蛍光の強度が最大となる極大点におけるクロロフィル蛍光の強度をPと定義し、該Pと前記Sの値からP/Sの値を求め、該P/Sの値を用いて、植物体の健康な部位または健康な植物個体のP/Sの値を基準とすることによって、前記植物体における光合成機能障害の初期状態を評価することを特徴とする。
第3発明の植物健康診断方法は、第1および2発明において、前記光合成機能障害の初期状態は、目視検知不能な状態であることを特徴とする。
第4発明の植物健康診断装置は、植物体のクロロフィルから発光されるクロロフィル蛍光に基づいて植物の健康状態を診断する装置であって、前記クロロフィル蛍光の強度を測定する蛍光測定手段と、該蛍光測定手段により測定されたクロロフィル蛍光の強度に基づいて、植物の状態を評価し得る解析手段と、を備えており、該解析手段は、前記蛍光測定手段により測定されたクロロフィル蛍光の強度の経時変化曲線において、クロロフィル蛍光の強度が最大となる極大点以降に生じる最初の極小点、および、該極小点以降に生じる最初の極大点を求め、該極小点、および、該極小点以降に生じる最初の極大点におけるクロロフィル蛍光の強度をS、Mと定義し、該Sと該Mの値からM/Sの値を求め、該M/Sの値を用いて、植物体の健康な部位または健康な植物個体のM/Sの値を基準とすることによって、前記植物体における光合成機能障害の初期状態を評価し得るものであることを特徴とする。
第5発明の植物健康診断装置は、第4発明において、前記解析手段は、前記蛍光測定手段により測定されたクロロフィル蛍光の強度の経時変化曲線において、クロロフ
【0005】
ィル蛍光の強度が最大となる極大点を求め、該極大点におけるクロロフィル蛍光の強度をPと定義し、該Pと前記Sの値からP/Sの値を求め、該P/Sの値を用いて、植物体の健康な部位または健康な植物個体のP/Sの値を基準とすることによって、前記植物体における光合成機能障害の初期状態を評価し得るものであることを特徴とする。
第6発明の植物健康診断装置は、第4または第5発明において、前記蛍光測定手段が、前記クロロフィル蛍光の強度を画像として測定するものであって、前記解析手段が、前記測定されたクロロフィル蛍光の強度の画像に基づいて、前記M/Sの値および/または前記P/Sの値によって構成されるM/S画像および/またはP/S画像を作成し、該画像化されたM/S画像および/またはP/S画像を用いて、植物体の健康な部位または健康な植物個体のM/S画像および/またはP/S画像を基準とすることによって、前記植物体における光合成機能障害の初期状態を評価し得ることを特徴とする。
第7発明の植物健康診断装置は、第4、第5および6発明において、前記光合成機能障害の初期状態は、目視検知不能な状態であることを特徴とする。
第8発明の植物健康診断方法は、植物体のクロロフィルから発光されるクロロフィル蛍光に基づいて植物の健康状態を診断する方法であって、前記クロロフィル蛍光の強度の経時変化曲線において、クロロフィル蛍光の強度が最大となる極大点以降に生じる最初の極小点、および、該極小点以降に生じる最初の極大点を求め、該極小点、および、該極小点以降に生じる最初の極大点におけるクロロフィル蛍光の強度をS、Mと定義し、該Sと該Mの値からM/Sの値を求め、該M/Sの値を用いて、植物の葉部と茎部を判別し、該判別された茎部の茎径に基いて植物の生育状態を診断することを特徴とする。
第9発明の植物健康診断方法は、第8発明において、前記クロロフィル蛍光の強度の経時変化曲線において、クロロフィル蛍光の強度が最大となる極大点を求め、前記クロロフィル蛍光の強度が最大となる極大点におけるクロロフィル蛍光の強度をPと定義し、該Pと前記Sの値からP/Sの値を求め、該P/Sの値を用いて、植物の葉部と茎部を判別し、該判別された茎部の茎径に基いて植物の生育状態を診断することを特徴とする。
【0006】
発明の効果
[0014]
第1発明によれば、植物個体のクロロフィル蛍光の強度の経時変化曲線に基づいて、クロロフィル蛍光強度(M、S)を算出し、算出されたクロロフィル蛍光強度(M、S)に基づいてM/Sの値を算出する。そして、このM/Sの値に基づいて、植物の状態を評価すれば、外観では確認することができない植物の状態(例えば、植物の状態変化や差異など)を検出できるので、植物個体の状態(例えば、植物個体の生育状態の変化など)を早期に診断することができる。しかも、害虫等が発生した初期の段階の植物個体を検出できるので、かかる植物個体に対してスポット的に少量の農薬を散布等することにより、かかる害虫等を早期に防除でき、害虫等が植物群落全体に蔓延するのを防止できる。また、植物個体の各部位のクロロフィル蛍光強度(M、S)を算出し、算出されたクロロフィル蛍光強度(M、S)に基づいてM/Sの値を算出する。そして、このM/Sの値に基づけば、茎部と葉部を判別できる。すると、茎径に基づいて、植物個体の成長の状態を把握できるので、かかる植物個体に対して適切な処置をすることができる。よって、植物生産現場においては、植物群落全体として安定した大きさの植物を生産することができるので、その果実等も安定して収穫できる。さらに、M/Sの値に基づいて、植物の光合成機能を評価すれば、光合成機能の僅かな違いを区別できるので、より確実に植物の状態を評価することができる。
第2発明によれば、植物個体のクロロフィル蛍光の強度の経時変化曲線に基づいてクロロフィル蛍光強度(P、S)を算出し、算出されたクロロフィル蛍光強度(P、S)に基づいてP/Sの値を算出する。そして、このP/Sの値に基づいて、植物の状態を評価すれば、外観では確認することができない植物の状態を検出できる。しかも、植物個体のクロロフィル蛍光の強度の経時変化曲線において確実に算出できるクロロフィル蛍光の強度が最大となる極大点に基づいて、植物個体の茎部を確実に把握することができる。すると、茎径に基づいて、植物個体の成長の状態を把握できるので、かかる植物個体に対して適切な処置をすることができる。よって、植物生産現場においては、植物群落全体として安定した大きさの植物を生産することができるので、その果実等も安定して収穫できる。
第3発明によれば、目視では把握しにくい植物個体の状態変化をより確実に評価す
【0007】
ることができる。
第4発明によれば、解析手段において蛍光測定手段により測定されたクロロフィル蛍光から測定した植物体の部位のクロロフィル蛍光の強度の経時変化曲線が作成される。しかも、解析手段では、この経時変化曲線に基づいて、クロロフィル蛍光強度(M,S)を算出され、算出されたクロロフィル蛍光強度(M、S)に基づいてM/Sの値を算出される。そして、このM/Sの値に基づいて、植物の状態が診断されるので、外観では確認することができない植物の状態(例えば、植物の状態変化や差異など)を検出できるので、植物個体の状態(例えば、植物個体の生育状態の変化など)を早期に診断することができる。すると、害虫等が発生した初期の段階の植物個体を検出できるので、かかる植物個体に対してスポット的に少量の農薬を散布等することにより、かかる害虫等を早期に防除でき、害虫等が植物群落全体に蔓延するのを防止できる。また、植物個体の各部位のクロロフィル蛍光強度(M、S)を算出され、算出されたクロロフィル蛍光強度(M、S)に基づいてM/Sの値を算出される。そして、このM/Sの値に基づけば、茎部と葉部を判別できる。すると、茎径に基づいて、植物個体の成長の状態を把握できるので、かかる植物個体に対して適切な処置をすることができる。よって、植物生産現場においては、植物群落全体として安定した大きさの植物を生産することができるので、その果実等も安定して収穫できる。さらに、M/Sの値に基づいて、植物の光合成機能を評価すれば、より確実に植物の状態を評価することができる。
第5発明によれば、解析手段において蛍光測定手段により測定されたクロロフィル蛍光から測定した植物体の部位のクロロフィル蛍光の強度の経時変化曲線が作成される。しかも、解析手段では、この経時変化曲線に基づいて、クロロフィル蛍光強度(P、S)を算出され、算出されたクロロフィル蛍光強度(P、S)に基づいてP/Sの値を算出される。そして、このP/Sの値に基づいて、植物の状態を評価されるので、外観では確認することができない植物の状態を検出できる。しかも、植物個体のクロロフィル蛍光の強度の経時変化曲線におけるクロロフィル蛍光の強度が最大となる極大点Pは確実に算出されるので、茎部と葉部を判別できる。すると、茎径に基づいて、植物個体の成長の状態を把握できるので、かかる植物個体に対して適切な処置をすることができる。よって、植物生産現場においては、植物群落全体として安定した大きさの植物を生産することができるので、その果実等も安定して収穫できる。
第6発明によれば、画像として測定されたクロロフィル蛍光に基づいて、この画像を構成する画素単位で算出された各M/Sの値または/およびP/Sの値を用いてクロロフィル蛍光画像を構成した画像(M/S画像または/およびP/S画像)を作成することができる。すると、直接人の目で見て確認した場合に把握することができない、植物個体の状態を、M/S画像または/およびP/S画像により把握することができる。
第7発明によれば、目視では把握しにくい植物個体の状態変化をより確実に評価することができる。
第8発明によれば、植物個体のクロロフィル蛍光の強度の経時変化曲線に基づいて、クロロフィル蛍光強度(M、S)を算出し、算出されたクロロフィル蛍光強度(M、S)に基づいてM/Sの値を算出する。そして、このM/Sの値に基づいて、植物の状態を評価すれば、外観では確認することができない植物の状態(例えば、植物の状態変化や差異など)を検出できるので、植物個体の状態(例えば、植物個体の生育状態の変化など)を早期に診断することができる。しかも、植物個体の各部位のクロロフィル蛍光強度(M、S)を算出し、算出されたクロロフィル蛍光強度(M、S)に基づいてM/Sの値を算出する。そして、このM/Sの値に基づけば、茎部と葉部を判別できる。すると、茎径に基づいて、植物個体の成長の状態を把握できるので、かかる植物個体に対して適切な処置をすることができる。つまり、植物の葉部と茎部を判別するので、植物個体ごとの茎部の太さ(茎径)を計測することができる。すると、植物の生育状態を診断する上で重要な指標となる茎部の太さ(茎径)を把握できるので、植物個体の健康状態を評価することができる。したがって、植物生産現場においては、植物群落全体として安定した大きさの植物を生産することができるので、その果実等も安定して収穫できる。
第9発明によれば、植物個体のクロロフィル蛍光の強度の経時変化曲線に基づいてクロロフィル蛍光強度(P、S)を算出し、算出されたクロロフィル蛍光強度(P、S)に基づいてP/Sの値を算出する。そして、このP/Sの値に基づいて、植物の状態を評価すれば、外観では確認することができない植物の状態を検出できる。しかも、植物個体のクロロフィル蛍光の強度の経時変化曲線において確実に算出できるクロロフィル蛍光の強度が最大となる極大点に基づいて、植物個体の茎部を確実に把握することができる。つまり、植物の葉部と茎部を判別するので、植物個体ごとの茎部の太さ(茎径)を計測することができる。すると、茎径に基づいて、植物個体の成長の状態を把握できるので、かかる植物個体に対して適切な処置をすることができる。よって、植物生産現場においては、植物群落全体として安定した大きさの植物を生産することができるので、その果実等も安定して収穫できる。
図面の簡単な説明
[0015]
[図1](A)は植物体に光を照射した後のクロロフィル蛍光強度の経時変化曲線の概念図である。
[図2]本実施形態の植物診断装置の概念図である。
[図3]植物体に光を照射した後のクロロフィル蛍光強度の経時変化曲線の概念図であり、(A)は健康な部位の経時変化曲線の概念図であり、(B)はクロロフィル量の低下や熱放散経路の活性化などの生理機能障害が起こっている部位の経時変化曲線の概念図であり、(C)は障害により光合成の光化学反応系が阻害されている部位の経時変化曲線の概念図である。
[図4]本実施形態の装置により得られたM/S画像の説明概念図であり、(A)は可視画像の概念図であり、(B)は(A)と同じ領域のM/S画像の概念図である。
[図5]品種間の光合成機能を評価した実験結果を示した図である。
[図6]同一の植物個体における茎部と葉部との光合成機能を評価した実験結果を示した図である。
[図7]葉における光合成機能を評価するための予備実験結果(光合成阻害剤投与試験)を示した図である。
[図8]葉における光合成機能を評価するための予備実験結果(物理的傷害試験)を示した図である。
[図9]葉における光合成機能を評価するための予備実験結果(生理障害試験)を示した図である。

Claims (6)

  1. 植物体のクロロフィルから発光されるクロロフィル蛍光に基づいて植物の健康状態を診断する方法であって、
    前記クロロフィル蛍光の強度の経時変化曲線において、クロロフィル蛍光の強度が最大となる極大点以降に生じる最初の極小点、および、該極小点以降に生じる最初の極大点を求め、
    該極小点、および、該極小点以降に生じる最初の極大点におけるクロロフィル蛍光の強度をS、Mと定義し、
    該Sと該Mの値を比較して、植物の状態を評価する
    ことを特徴とする植物健康診断方法。
  2. 前記クロロフィル蛍光の強度の経時変化曲線において、クロロフィル蛍光の強度が最大となる極大点を求め、
    前記クロロフィル蛍光の強度が最大となる極大点におけるクロロフィル蛍光の強度をPと定義し、
    該Pと前記Sの値を比較して、植物の状態を評価する
    ことを特徴とする請求項1記載の植物健康診断方法。
  3. 前記植物の状態のうち、該植物の光合成機能を評価する
    ことを特徴とする請求項1または2記載の植物健康診断方法。
  4. 植物体のクロロフィルから発光されるクロロフィル蛍光に基づいて植物の健康状態を診断する装置であって、
    前記クロロフィル蛍光の強度を測定する蛍光測定手段と、
    該蛍光測定手段により測定されたクロロフィル蛍光の強度に基づいて、植物の状態を評価し得る解析手段と、を備えており、
    該解析手段は、
    前記蛍光測定手段により測定されたクロロフィル蛍光の強度の経時変化曲線において、クロロフィル蛍光の強度が最大となる極大点以降に生じる最初の極小点、および、該極小点以降に生じる最初の極大点を求め、
    該極小点、および、該極小点以降に生じる最初の極大点におけるクロロフィル蛍光の強度をS、Mと定義し、
    該Sと該Mの値を比較して、植物の状態を評価し得るものである
    ことを特徴とする植物健康診断装置。
  5. 前記解析手段は、
    前記蛍光測定手段により測定されたクロロフィル蛍光の強度の経時変化曲線において、クロロフィル蛍光の強度が最大となる極大点を求め、
    該極大点におけるクロロフィル蛍光の強度をPと定義し、
    該Pと前記Sの値を比較して、植物の状態を評価し得るものである
    ことを特徴とする請求項4記載の植物健康診断装置。
  6. 前記蛍光測定手段が、
    前記クロロフィル蛍光の強度を画像として測定するものであって、
    前記解析手段が、
    前記測定されたクロロフィル蛍光の強度の画像に基づいて、前記M/Sの値および/または前記P/Sの値によって構成されるM/S画像および/またはP/S画像を作成し、
    該画像化されたM/S画像および/またはP/S画像に基づいて、
    植物の状態を評価し得る
    ことを特徴とする請求項4または5記載の植物健康診断装置。
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