JPWO2012043601A1 - アマドリアーゼ改変体 - Google Patents
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Abstract
本発明は防腐剤への耐性が向上しているアマドリアーゼを提供し、本発明のアマドリアーゼはコニオカエタ(Coniochaeta)属由来のアマドリアーゼの97位、302位、および360位よりなる群から選択されるアミノ酸に対応する位置で1つまたはそれ以上のアミノ酸残基の置換を有するアマドリアーゼ。具体的には、97位に対応する位置のアミノ酸がセリン、アスパラギン、アラニンに、302位に対応する位置のアミノ酸がトリプトファンに、360位に対応する位置のアミノ酸がセリンに置換されている。
Description
本発明は、防腐剤耐性が向上したアマドリアーゼ、その遺伝子および組換え体DNA、並びに防腐剤耐性が向上したアマドリアーゼの製造法に関する。
糖化タンパク質は、グルコースなどのアルドース(アルデヒド基を潜在的に有する単糖およびその誘導体)のアルデヒド基と、タンパク質のアミノ基が非酵素的に共有結合を形成し、アマドリ転移することにより生成したものである。タンパク質のアミノ基としてはアミノ末端のαアミノ基、タンパク質中のリジン残基側鎖のεアミノ基が挙げられる。生体内で生じる糖化タンパク質としては血液中のヘモグロビンが糖化された糖化ヘモグロビン、アルブミンが糖化された糖化アルブミンなどが知られている。
これら生体内で生じる糖化タンパク質の中でも、糖尿病の臨床診断分野において、糖尿病患者の診断や症状管理のための重要な血糖コントロールマーカーとして、糖化ヘモグロビン(HbA1c)が注目されている。血液中のHbA1c濃度は過去の一定期間の平均血糖値を反映しており、その測定値は糖尿病の症状の診断や管理において重要な指標となっている。
このHbA1cを迅速かつ簡便に測定する方法として、アマドリアーゼを用いる酵素的方法、すなわち、HbA1cをプロテアーゼ等で分解し、そのβ鎖アミノ末端より遊離させたα−フルクトシルバリルヒスチジン(以降αFVHと表す)、もしくはα−フルクトシルバリン(以降αFVと表す)を定量する方法が提案されている(例えば、特許文献1〜6参照。)。実際には、HbA1cからαFVを切り出す方法では、夾雑物等による影響が大きいと考えられ、特に現在ではαFVHを測る方法が主流となっている。
アマドリアーゼは、酸素の存在下で、イミノ2酢酸若しくはその誘導体(「アマドリ化合物」とも言う)を酸化して、グリオキシル酸若しくはα−ケトアルデヒド、アミノ酸若しくはペプチド、および過酸化水素を生成する反応を触媒する。
アマドリアーゼは、細菌、酵母、真菌から見出されているが、特にHbA1cの測定に有用である、αFVHおよび/またはαFVに対する酵素活性を有するアマドリアーゼとしては、例えば、コニオカエタ(Coniochaeta)属、ユーペニシリウム(Eupenicillium)属、アルスリニウム(Arthrinium)属、カーブラリア(Curvularia)属、レプトスフェリア(Leptosphaeria)属、ネオコスモスポラ(Neocosmospora)属、オフィオボラス(Ophiobolus)属、プレオスポラ(Pleospora)属、ピレノケータ(Pyrenochaeta)属、クリプトコッカス(Cryptococcus)属、フェオスフェリア(Phaeosphaeria)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、ウロクラディウム(Ulocladium)属、ペニシリウム(Penicillium)属、アクレモニウム(Acremonium)属、デバリオマイセス(Debaryomyces)属由来のアマドリアーゼが報告されている(例えば、特許文献1、5、7〜11、非特許文献1〜5参照。)。さらに、熱安定性及び/またはプロテアーゼ耐性が向上した改変型アマドリアーゼも報告されている(例えば、特許文献12、非特許文献6参照。)。なお、上記報告例の中で、アマドリアーゼは、文献によってはケトアミンオキシダーゼやフルクトシルアミノ酸オキシダーゼ、フルクトシルペプチドオキシダーゼ、フルクトシルアミンオキシダーゼ等の表現で記載されている場合もある。
上述のような各種起源のアマドリアーゼを用いてHbA1c測定を行う際には、測定のために好ましい力価および濃度のアマドリアーゼと、その他に必要な各種成分(発色系の場合の発色剤や、pH調製剤、安定剤、前処理用の酵素剤、反応停止剤、等)を好ましい量で含む「キット」(検査薬、臨床検査試薬、試薬キット等ともいう)を調製し、それを使用するのが通常的である。そのようなキットには、粉末または凍結乾燥状態の試薬を提供して使用者が使用時に溶解して用いるタイプの製品もあれば、より簡便に、溶液状態で流通されるタイプの製品もあるが、近年の生化学検査用のキットにおいては、溶液状態で提供されるタイプのものが主流となっている。
液状のキットは、そのまま直ちに測定に使える簡便性や、使用者の溶解操作ミスによる組成のブレ等を回避できるメリットを有する一方で、試薬を保存している間の微生物の増殖(微生物汚染)が起こりやすいという問題を有している。このため、一般に、液状のキットには、微生物の増殖を抑制する目的で防腐剤が添加される場合が多い。例えば、このような目的で用いられる防腐剤としては、各種のイソチアゾリン系化合物の防腐剤が用いられることが多い。これらのイソチアゾリン系化合物としては、2−メチルイソチアゾン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン等が挙げられ、これらの成分を含有する市販のイソチアゾリン系化合物の防腐剤としては、例えば、プロクリン(スペルコ社製、シグマアルドリッチジャパン社販売)、アクチサイド(ソー・ジャパン社製)等が挙げられる。
しかし、従来知られた各種のアマドリアーゼは、これらのイソチアゾリン系化合物の防腐剤に対する耐性が低く、これらの防腐剤と共存することにより不安定化されてしまうことが知られていることから、これらイソチアゾリン系化合物の防腐剤を含む臨床化学検査用試薬キットにおいて好適に使用できるアマドリアーゼが求められている。
Eur. J. Biochem. 242, 499−505, 1996
Biochem. Biophys. Res. Commun. 311, 104−11, 2003
Arch. Microbiol. 178, 344−50, 2002
J. Biosci. Bioeng. 102, 241−3, 2006
Biotechnol. Bioeng. 106, 358−66, 2010
Appl. Microbiol. Biotechnol. 78, 775−81, 2008
本発明が解決しようとする課題は、イソチアゾリン系化合物の防腐剤を含む臨床化学検査用試薬キットにおいて好適に使用できる、防腐剤耐性に優れたアマドリアーゼを提供することである。
本発明者は、前記課題解決のために鋭意研究を重ねた結果、コニオカエタ属由来のアマドリアーゼにおける特定のアミノ酸残基を特定のアミノ酸残基に置換することにより、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)配列番号1、配列番号3または配列番号9に示すアミノ酸配列に1または数個のアミノ酸の欠失、挿入、付加、および/または置換がなされたアミノ酸配列を有し、それぞれ、配列番号1、配列番号3または配列番号9に示すアミノ酸配列を有するアマドリアーゼと比較して、イソチアゾリン系化合物の防腐剤への耐性が向上しているアマドリアーゼ。
(2)配列番号1、配列番号3または配列番号9に示すアミノ酸配列の以下(a)から(c)よりなる群から選択されるアミノ酸に対応する位置で1つまたはそれ以上のアミノ酸残基の置換を有し、前記置換を行う前のアマドリアーゼと比較して、イソチアゾリン系化合物の防腐剤への耐性が向上していることを特徴とするアマドリアーゼ:
(a)配列番号1、配列番号3または配列番号9に示すアミノ酸配列の97位のシステイン;
(b)配列番号9に示すアミノ酸配列の302位のメチオニン;および
(c)配列番号1、配列番号3または配列番号9に示すアミノ酸配列の360位のシステイン。
(a)配列番号1、配列番号3または配列番号9に示すアミノ酸配列の97位のシステイン;
(b)配列番号9に示すアミノ酸配列の302位のメチオニン;および
(c)配列番号1、配列番号3または配列番号9に示すアミノ酸配列の360位のシステイン。
(3)配列番号1、配列番号3または配列番号9に示すアミノ酸の以下(d)から(f)よりなる群から選択される1つまたはそれ以上のアミノ酸に対応する位置のアミノ酸が、以下(d)から(f)の各々に記載される置換後のアミノ酸残基へと置換されたアマドリアーゼ:
(d)配列番号1、配列番号3または配列番号9に示すアミノ酸配列の97位のシステインがセリンに置換されている;
(e)配列番号9に示すアミノ酸配列の302位のメチオニンがトリプトファンに置換されている;
(f)配列番号1、配列番号3または配列番号9に示すアミノ酸配列の360位のシステインがセリンに置換されている。
(d)配列番号1、配列番号3または配列番号9に示すアミノ酸配列の97位のシステインがセリンに置換されている;
(e)配列番号9に示すアミノ酸配列の302位のメチオニンがトリプトファンに置換されている;
(f)配列番号1、配列番号3または配列番号9に示すアミノ酸配列の360位のシステインがセリンに置換されている。
(4)以下の(g)または(h)で表されるアマドリアーゼ活性を有する親タンパク質を構成するアミノ酸配列において97位のシステイン残基がセリン、アスパラギン、アラニンのいずれかに置換されたことを特徴とする改変タンパク質であるアマドリアーゼ:
(g)配列番号1、配列番号3または配列番号9に示すアミノ酸配列からなり、かつアマドリアーゼ活性を有するタンパク質;および
(h)(g)のアミノ酸配列において、97位のシステイン残基以外のアミノ酸の1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸からなり、かつアマドリアーゼ活性を有するタンパク質。
(g)配列番号1、配列番号3または配列番号9に示すアミノ酸配列からなり、かつアマドリアーゼ活性を有するタンパク質;および
(h)(g)のアミノ酸配列において、97位のシステイン残基以外のアミノ酸の1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸からなり、かつアマドリアーゼ活性を有するタンパク質。
(5)上記(1)から(4)のいずれかに記載のアミノ酸配列をコードするアマドリアーゼ遺伝子。
(6)上記(5)記載のアマドリアーゼ遺伝子を含む組換えベクター。
(7)上記(6)記載の組換えベクターを含む宿主細胞。
(8)アマドリアーゼを製造する方法であり、以下の工程を含む方法:
(i)上記(7)記載の宿主細胞を培養する工程;
(ii)宿主細胞に含まれるアマドリアーゼ遺伝子を発現させる工程;および
(iii)培養物からアマドリアーゼを単離する工程。
(i)上記(7)記載の宿主細胞を培養する工程;
(ii)宿主細胞に含まれるアマドリアーゼ遺伝子を発現させる工程;および
(iii)培養物からアマドリアーゼを単離する工程。
(9)上記(1)〜(4)のいずれかに記載のアマドリアーゼを含む、糖化ヘモグロビンの測定に用いるためのキット。
本明細書は本願の優先権の基礎である日本国特許出願2010-218534号の明細書および/または図面に記載される内容を包含する。
本発明によれば、イソチアゾリン系化合物の防腐剤を含む臨床化学検査用試薬キットにおいても不安定化されにくく、糖尿病の診断用酵素として、また、糖尿病マーカーの測定キットに有利に利用できる、防腐剤耐性に優れたアマドリアーゼを提供することが可能である。
以下、本発明を詳細に説明する。
(アマドリアーゼ)
アマドリアーゼは、ケトアミンオキシダーゼ、フルクトシルアミノ酸オキシダーゼ、フルクトシルペプチドオキシダーゼ、フルクトシルアミンオキシダーゼともいい、酸素の存在下で、イミノ2酢酸若しくはその誘導体(アマドリ化合物)を酸化して、グリオキシル酸若しくはα−ケトアルデヒド、アミノ酸若しくはペプチド、および過酸化水素を生成する反応を触媒する酵素のことをいう。アマドリアーゼは、自然界に広く分布しており、微生物や、動物若しくは植物起源の酵素を探索することにより、得ることができる。微生物においては、例えば、糸状菌、酵母、若しくは細菌等から得ることができる。
アマドリアーゼは、ケトアミンオキシダーゼ、フルクトシルアミノ酸オキシダーゼ、フルクトシルペプチドオキシダーゼ、フルクトシルアミンオキシダーゼともいい、酸素の存在下で、イミノ2酢酸若しくはその誘導体(アマドリ化合物)を酸化して、グリオキシル酸若しくはα−ケトアルデヒド、アミノ酸若しくはペプチド、および過酸化水素を生成する反応を触媒する酵素のことをいう。アマドリアーゼは、自然界に広く分布しており、微生物や、動物若しくは植物起源の酵素を探索することにより、得ることができる。微生物においては、例えば、糸状菌、酵母、若しくは細菌等から得ることができる。
本発明のアマドリアーゼは、配列番号1、配列番号3または配列番号9に示されるアミノ酸配列を有するアマドリアーゼに基づき作製された、イソチアゾリン系化合物の防腐剤への耐性が向上したアマドリアーゼの改変体である。このような変異体の例としては、配列番号1、配列番号3または配列番号9と高い配列同一性(例えば、75%以上、好ましくは、80%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上)を有するアミノ酸配列を有するアマドリアーゼ、および、配列番号1、配列番号3または配列番号9のアミノ酸配列において、1から数個のアミノ酸が改変若しくは変異、または、欠失、置換、付加および/または挿入されたアミノ酸配列を有するアマドリアーゼを挙げることができる。なお、請求の範囲に記載された、基質特異性および/またはアミノ酸配列に関する条件を満たす限り、例えば、ユーペニシリウム属、アルスリニウム属、カーブラリア属、レプトスフェリア属、ネオコスモスポラ属、オフィオボラス属、プレオスポラ属、ピレノケータ属、アスペルギルス属、クリプトコッカス属、フェオスフェリア属、ウロクラディウム属、アクレモニウム属、デバリオマイセス属またはペニシリウム属のような、他の生物種に由来するアマドリアーゼに基づき作製されたものでも良い。
図1は、各種公知のアマドリアーゼのアミノ酸配列における相同性を例示するアライメントを示す図である。なお、図中の略語は各種アマドリアーゼの由来微生物名を示し、具体的には以下の通りである;「Co」Coniochaeta sp.;「Et」Eupenicillium terrenum;「Py」Pyrenochaeta sp.;「Ar」Arthrinium sp.;「Cc」Curvularia clavata;「Nv」Neocosmospora vasinfecta;「Cn」Cryptococcus neoformans;「Pn」Phaeosphaeria nodorum;「An」Aspergillus nidulans;「Ul」Ulocladium sp.;「Pj」Penicillium janthinellum。
(アマドリアーゼをコードする遺伝子の取得)
これらのアマドリアーゼをコードする本発明の遺伝子(以下、単に「アマドリアーゼ遺伝子」ともいう)を得るには、通常一般的に用いられている遺伝子のクローニング方法が用いられる。例えば、アマドリアーゼ生産能を有する微生物菌体や種々の細胞から常法、例えば、Current Protocols in Molecular Biology(WILEY Interscience,1989)記載の方法により、染色体DNAまたはmRNAを抽出することができる。さらにmRNAを鋳型としてcDNAを合成することができる。このようにして得られた染色体DNAまたはcDNAを用いて、染色体DNAまたはcDNAのライブラリーを作製することができる。
これらのアマドリアーゼをコードする本発明の遺伝子(以下、単に「アマドリアーゼ遺伝子」ともいう)を得るには、通常一般的に用いられている遺伝子のクローニング方法が用いられる。例えば、アマドリアーゼ生産能を有する微生物菌体や種々の細胞から常法、例えば、Current Protocols in Molecular Biology(WILEY Interscience,1989)記載の方法により、染色体DNAまたはmRNAを抽出することができる。さらにmRNAを鋳型としてcDNAを合成することができる。このようにして得られた染色体DNAまたはcDNAを用いて、染色体DNAまたはcDNAのライブラリーを作製することができる。
次いで、上記アマドリアーゼのアミノ酸配列に基づき、適当なプローブDNAを合成して、これを用いて染色体DNAまたはcDNAのライブラリーからアマドリアーゼ遺伝子を選抜する方法、あるいは、上記アミノ酸配列に基づき、適当なプライマーDNAを作製して、5’RACE法や3’RACE法などの適当なポリメラーゼ連鎖反応(Polymerase Chain Reaction、PCR法)により、アマドリアーゼをコードする目的の遺伝子断片を含むDNAを増幅させ、これらのDNA断片を連結させて、目的のアマドリアーゼ遺伝子の全長を含むDNAを得ることができる。
このようにして得られたアマドリアーゼをコードする遺伝子の好ましい一例として、コニオカエタ属由来のアマドリアーゼ遺伝子(特許文献7参照)が挙げられる。さらに、好ましい一例としては、アミノ酸置換を導入することにより耐熱性及び/またはプロテアーゼ耐性が向上したコニオカエタ属由来のアマドリアーゼ遺伝子(特許文献12、非特許文献6参照)なども挙げられる。
これらのアマドリアーゼ遺伝子は、常法通り各種ベクターに連結されていることが、取扱い上好ましい。例えば、Coniochaeta sp. NISL 9330株由来のアマドリアーゼ遺伝子をコードするDNAを含む組換え体プラスミドpKK223−3−CFP−T7(特許文献12,非特許文献6参照。)から、QIAGEN(キアゲン社製)を用いることにより、アマドリアーゼ遺伝子をコードするDNAを、抽出、精製して得ることができる。なお、プラスミドpKK223−3−CFP−T7は、2006年3月31日付けで日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6(郵便番号305-8566)所在の独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに寄託され、受託番号 FERM BP−10593が付与されている。
(ベクター)
本発明において用いることのできるベクターとしては、上記プラスミドに限定されることなく、それ以外の、例えば、バクテリオファージ、コスミド等の当業者に公知の任意のベクターを用いることができる。具体的には、例えば、pKK223−3(ファルマシア社製)等が好ましい。
本発明において用いることのできるベクターとしては、上記プラスミドに限定されることなく、それ以外の、例えば、バクテリオファージ、コスミド等の当業者に公知の任意のベクターを用いることができる。具体的には、例えば、pKK223−3(ファルマシア社製)等が好ましい。
(アマドリアーゼ遺伝子の変異処理)
アマドリアーゼ遺伝子の変異処理は、企図する変異形態に応じた、公知の任意の方法で行うことができる。すなわち、アマドリアーゼ遺伝子あるいは当該遺伝子の組み込まれた組換え体DNAと変異原となる薬剤とを接触・作用させる方法;紫外線照射法;遺伝子工学的手法;または蛋白質工学的手法を駆使する方法等を広く用いることができる。
アマドリアーゼ遺伝子の変異処理は、企図する変異形態に応じた、公知の任意の方法で行うことができる。すなわち、アマドリアーゼ遺伝子あるいは当該遺伝子の組み込まれた組換え体DNAと変異原となる薬剤とを接触・作用させる方法;紫外線照射法;遺伝子工学的手法;または蛋白質工学的手法を駆使する方法等を広く用いることができる。
上記変異処理に用いられる変異原となる薬剤としては、例えば、ヒドロキシルアミン、N−メチル−N’−ニトロ−N−ニトロソグアニジン、亜硝酸、亜硫酸、ヒドラジン、蟻酸、若しくは5−ブロモウラシル等を挙げることができる。
この接触・作用の諸条件は、用いる薬剤の種類等に応じた条件を採ることが可能であり、現実に所望の変異をアマドリアーゼ遺伝子において惹起することができる限り特に限定されない。通常、好ましくは0.5〜12Mの上記薬剤濃度において、20〜80℃の反応温度下で10分間以上、好ましくは10〜180分間接触・作用させることで、所望の変異を惹起可能である。紫外線照射を行う場合においても、上記の通り常法に従い行うことができる(現代化学、24〜30、1989年6月号)。
蛋白質工学的手法を駆使する方法としては、一般的に、Site−Specific Mutagenesisとして知られる手法を用いることができる。例えば、Kramer法(Nucleic Acids Res., 12, 9441 (1984): Methods Enzymol., 154, 350 (1987): Gene, 37, 73 (1985))、Eckstein法(Nucleic Acids Res., 13, 8749 (1985): Nucleic Acids Res., 13, 8765 (1985): Nucleic Acids Res, 14, 9679 (1986))、Kunkel法(Proc. Natl. Acid. Sci. U.S.A., 82, 488 (1985): Methods Enzymol., 154, 367 (1987))等が挙げられる。
また、一般的なPCR法として知られる手法を用いることもできる(Technique, 1, 11(1989)参照)。なお、上記遺伝子改変法の他に、有機合成法または酵素合成法により、直接所望の改変アマドリアーゼ遺伝子を合成することもできる。
上記方法により得られるアマドリアーゼ遺伝子のDNA塩基配列の決定若しくは確認を行う場合には、例えば、マルチキャピラリーDNA解析システムCEQ2000(ベックマン・コールター社製)等を用いることにより行うことができる。
(形質転換・形質導入)
上述のように得られたアマドリアーゼ遺伝子を、常法により、バクテリオファージ、コスミド、または原核細胞若しくは真核細胞の形質転換に用いられるプラスミド等のベクターに組み込み、各々のベクターに対応する宿主を常法により、形質転換または形質導入をすることができる。例えば、宿主として、エッシェリシア属に属する微生物、例えば得られた組換え体DNAを用いて、例えば、大腸菌K−12株、好ましくは大腸菌JM109株、大腸菌DH5α株(ともにタカラバイオ社製)等を形質転換またはそれらに形質導入してそれぞれの菌株を得る。
上述のように得られたアマドリアーゼ遺伝子を、常法により、バクテリオファージ、コスミド、または原核細胞若しくは真核細胞の形質転換に用いられるプラスミド等のベクターに組み込み、各々のベクターに対応する宿主を常法により、形質転換または形質導入をすることができる。例えば、宿主として、エッシェリシア属に属する微生物、例えば得られた組換え体DNAを用いて、例えば、大腸菌K−12株、好ましくは大腸菌JM109株、大腸菌DH5α株(ともにタカラバイオ社製)等を形質転換またはそれらに形質導入してそれぞれの菌株を得る。
例えば、このようにして得られた防腐剤に対して高い耐性を示すアマドリアーゼを生産する形質転換体の一例として、JM109(pKK223−3−CFP−T9−C97S)株を挙げることができる。
(アミノ酸配列の相同性)
アミノ酸配列の相同性は、GENETYX−Mac (Software Development社製)のマキシマムマッチングやサーチホモロジー等のプログラム、またはDNASIS Pro(日立ソフト社製)のマキシマムマッチングやマルチプルアライメント等のプログラムにより計算することができる。
アミノ酸配列の相同性は、GENETYX−Mac (Software Development社製)のマキシマムマッチングやサーチホモロジー等のプログラム、またはDNASIS Pro(日立ソフト社製)のマキシマムマッチングやマルチプルアライメント等のプログラムにより計算することができる。
(アミノ酸に対応する位置の特定)
「配列番号1の特定のアミノ酸に対応する位置」とは、配列番号1に示すアマドリアーゼのアミノ酸配列の該特定のアミノ酸の位置に対応する他の生物種由来のアマドリアーゼのアミノ酸配列における位置をいう。
「配列番号1の特定のアミノ酸に対応する位置」とは、配列番号1に示すアマドリアーゼのアミノ酸配列の該特定のアミノ酸の位置に対応する他の生物種由来のアマドリアーゼのアミノ酸配列における位置をいう。
「アミノ酸に対応する位置」を特定する方法としては、例えばリップマン−パーソン法等の公知のアルゴリズムを用いてアミノ酸配列を比較し、各アマドリアーゼのアミノ酸配列中に存在する保存アミノ酸残基に最大の相同性を与えることにより行うことができる。アマドリアーゼのアミノ酸配列をこのような方法で整列させアラインメントを行い比較することにより、アミノ酸配列中にある挿入、欠失にかかわらず、相同アミノ酸残基の各アマドリアーゼ配列における配列中の位置を決めることが可能である。対応する相同位置は、三次元構造中で同位置に存在すると考えられ、対象となるアマドリアーゼの特異的機能に関して類似した効果を有することが推定できる。図1に種々の生物種由来のアマドリアーゼの配列のアラインメントを示す。図1からコニオカエタ属由来のアマドリアーゼ等、ある生物種のアマドリアーゼのアミノ酸配列の特定の位置のアミノ酸に対応する他の生物種由来のアマドリアーゼのアミノ酸配列における位置を知ることができる。図1には、コニオカエタ属由来のアマドリアーゼ、Eupenicillium terrenum由来のアマドリアーゼ、Pyrenochaeta sp.由来のケトアミンオキシダーゼ、Arthrinium sp.由来のケトアミンオキシダーゼ、Curvularia clavata由来のケトアミンオキシダーゼ、Neocosmospora vasinfecta由来のケトアミンオキシダーゼ、Cryptococcus neoformans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼ、Phaeosphaeria nodorum由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼ、Aspergillus nidulans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼ、Ulocladium sp.由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼおよびPenicillium janthinellum由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼのアミノ酸配列を示してある。
なお、本発明において、「配列番号1、配列番号3または配列番号9に示すアミノ酸配列の97位のシステインに対応する位置」のアミノ酸とは、確定したアマドリアーゼのアミノ酸配列を、配列番号1もしくは配列番号3に示されるConiochaeta属由来のアマドリアーゼのアミノ酸配列、または配列番号9に示されるEupenicillium属由来のアマドリアーゼと比較した場合に、配列番号1、配列番号3または配列番号9のアマドリアーゼの97位のシステインに対応するアミノ酸を意味するものである。これにより、上記の「対応する位置のアミノ酸残基」を特定する方法でアミノ酸配列を整列させて特定することができる。
すなわち、Eupenicillium terrenum由来のアマドリアーゼでは97位のシステイン、Pyrenochaeta sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは97位のシステイン、Arthrinium sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは97位のシステイン、Curvularia clavata由来のケトアミンオキシダーゼでは97位のシステイン、Neocosmospora vasinfecta由来のケトアミンオキシダーゼでは97位のシステイン、Cryptococcus neoformans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは97位のシステイン、Phaeosphaeria nodorum由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは97位のシステイン、Aspergillus nidulans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは96位のバリン、Ulocladium sp.由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは97位のシステイン、Penicillium janthinellum由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは97位のシステイン、Penicillium chrysogenum由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは97位のシステインである。図1中に矢印で示される「C97」は図1に示す生物由来のアマドリアーゼにおける、「配列番号1、配列番号3または配列番号9に示すアミノ酸配列の97位のシステインに対応する位置」のアミノ酸を示す。
なお、本発明において、「配列番号9に示すアミノ酸配列の302位のメチオニンに対応する位置」のアミノ酸とは、確定したアマドリアーゼのアミノ酸配列を、配列番号9に示されるEupenicillium属由来のアマドリアーゼのアミノ酸配列と比較した場合に、配列番号9のアマドリアーゼの302位のメチオニンに対応するアミノ酸を意味するものである。これにより、上記の「対応する位置のアミノ酸残基」を特定する方法でアミノ酸配列を整列させて特定することができる。
すなわち、Coniochaeta sp.由来のアマドリアーゼでは302位のヒスチジン、Pyrenochaeta sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは300位のアルギニン、Arthrinium sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは303位のアルギニン、Curvularia clavata由来のケトアミンオキシダーゼでは300位のアルギニン、Neocosmospora vasinfecta由来のケトアミンオキシダーゼでは302位のプロリン、Cryptococcus neoformans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは302位のヒスチジン、Phaeosphaeria nodorum由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは298位のアルギニン、Aspergillus nidulans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは302位のプロリン、Ulocladium sp.由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは300位のアルギニン、Penicillium janthinellum由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは302位のロイシン、Penicillium chrysogenum由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは302位のロイシンである。図1中に矢印で示される「M302」は図1に示す生物由来のアマドリアーゼにおける、「配列番号9に示すアミノ酸配列の302位のメチオニンに対応する位置」のアミノ酸を示す。
なお、本発明において、「配列番号1、配列番号3または配列番号9に示すアミノ酸配列の360位のシステインに対応する位置」のアミノ酸とは、確定したアマドリアーゼのアミノ酸配列を、配列番号1もしくは配列番号3に示されるConiochaeta属由来のアマドリアーゼのアミノ酸配列、または配列番号9に示されるEupenicillium属由来のアマドリアーゼと比較した場合に、配列番号1、配列番号3または配列番号9のアマドリアーゼの360位のシステインに対応するアミノ酸を意味するものである。これにより、上記の「対応する位置のアミノ酸残基」を特定する方法でアミノ酸配列を整列させて特定することができる。
すなわち、Eupenicillium terrenum由来のアマドリアーゼでは360位のシステイン、Pyrenochaeta sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは358位のシステイン、Arthrinium sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは361位のシステイン、Curvularia clavata由来のケトアミンオキシダーゼでは358位のシステイン、Neocosmospora vasinfecta由来のケトアミンオキシダーゼでは360位のシステイン、Cryptococcus neoformans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは360位のシステイン、Phaeosphaeria nodorum由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは356位のシステイン、Aspergillus nidulans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは360位のシステイン、Ulocladium sp.由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは358位のシステイン、Penicillium janthinellum由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは360位のシステイン、Penicillium chrysogenum由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは360位のシステインである。図1中に矢印で示される「C360」は図1に示す生物由来のアマドリアーゼにおける、「配列番号1、配列番号3または配列番号9に示すアミノ酸配列の360位のシステインに対応する位置」のアミノ酸を示す。
本発明のイソチアゾリン系化合物の防腐剤への耐性が向上しているアマドリアーゼは、アマドリアーゼのアミノ酸配列において1または数個のアミノ酸が改変若しくは変異、または、欠失、置換、付加および/または挿入されたアミノ酸配列を有する。ここで、「1または数個」とは、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2個または1個をいう。該アミノ酸の改変若しくは変異、または、欠失、置換、付加および/または挿入により、防腐剤耐性向上がもたらされる。
イソチアゾリン系化合物の防腐剤への耐性が向上しているアマドリアーゼは、例えば、配列番号1、配列番号3または配列番号9に示すアマドリアーゼのアミノ酸配列において、アミノ酸を改変若しくは変異、または、欠失、置換、付加および/または挿入することにより得られる。
アミノ酸の改変若しくは変異、または、欠失、置換、付加および/または挿入として、配列番号1、配列番号3または配列番号9に示すアマドリアーゼのアミノ酸配列の97位のアミノ酸に対応する位置のアミノ酸、302位のアミノ酸に対応する位置のアミノ酸、および360位のアミノ酸に対応する位置のアミノ酸の置換が挙げられる。具体的には、配列番号1、配列番号3または配列番号9に示すアマドリアーゼのアミノ酸配列の97位のシステインに対応する位置のアミノ酸の置換、配列番号9に示すアマドリアーゼのアミノ酸配列の302位のメチオニンに対応する位置のアミノ酸の置換、配列番号1、配列番号3または配列番号9に示すアマドリアーゼのアミノ酸配列の360位のシステインに対応する位置のアミノ酸の置換が挙げられる。さらに、具体的には配列番号1、配列番号3または配列番号9に示すアマドリアーゼのアミノ酸配列の97位のシステインに対応する位置のアミノ酸のセリン、アスパラギンまたはアラニンへの置換、配列番号9に示すアマドリアーゼのアミノ酸配列の302位のメチオニンに対応する位置のアミノ酸のトリプトファンへの置換、配列番号1、配列番号3または配列番号9に示すアマドリアーゼのアミノ酸配列の360位のシステインに対応する位置のアミノ酸のセリンへの置換が挙げられる。ここで、特定のアミノ酸配列の特定のアミノ酸に対応する位置のアミノ酸は上で定義したとおりの意味を有し、該定義に従い各種生物由来のアマドリアーゼのアミノ酸において、それぞれ特定の配列の特定のアミノ酸に対応する位置のアミノ酸を同定することができる。例えば、配列番号1、配列番号3および配列番号9に示すアミノ酸配列の97位のアミノ酸はいずれもシステインであるが、この97位のシステインに対応する位置のアミノ酸はAspergillus nidulans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼのアミノ酸配列(配列番号37)では96位のバリンである(図1の「C97」)。従って、本発明のイソチアゾリン系化合物の防腐剤への耐性が向上しているアマドリアーゼがAspergillus nidulans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼを改変して得られるものである場合、96位のバリンがセリン、アスパラギンまたはアラニンへ置換される。
本発明のイソチアゾリン系化合物の防腐剤への耐性が向上しているアマドリアーゼ変異体は、上記のイソチアゾリン系化合物の防腐剤への耐性の向上をもたらすアミノ酸の置換を有し、それらの置換アミノ酸以外の位置で、さらに1または数個(例えば1〜10個、好ましくは1〜5個、さらに好ましくは1〜3個、特に好ましくは1個)のアミノ酸が欠失、挿入、付加および/または置換されたアミノ酸配列からなり、アマドリアーゼ活性を有し、イソチアゾリン系化合物の防腐剤への耐性が向上しているアマドリアーゼ変異体を包含する。さらに、上記のイソチアゾリン系化合物の防腐剤への耐性の向上をもたらすアミノ酸を除いた部分のアミノ酸配列に対して、90%以上、さらに好ましくは95%以上、さらに好ましくは97%以上、特に好ましくは99%以上のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、アマドリアーゼ活性を有し、イソチアゾリン系化合物の防腐剤への耐性が向上したアマドリアーゼ変異体を包含する。
なお、本発明において、例えば、第97位のシステイン(C)がセリン(S)へ置換された変異をC97Sと表す。
(本発明のアマドリアーゼの生産)
上記のようにして得られた防腐剤耐性が向上したアマドリアーゼの生産能を有する菌株を用いて、当該アマドリアーゼを生産するには、この菌株を通常の固体培養法で培養してもよいが、可能な限り液体培養法を採用して培養するのが好ましい。
上記のようにして得られた防腐剤耐性が向上したアマドリアーゼの生産能を有する菌株を用いて、当該アマドリアーゼを生産するには、この菌株を通常の固体培養法で培養してもよいが、可能な限り液体培養法を採用して培養するのが好ましい。
また、上記菌株を培養する培地としては、例えば、酵母エキス、トリプトン、ペプトン、肉エキス、コーンスティープリカーあるいは大豆若しくは小麦ふすまの浸出液等の1種以上の窒素源に、塩化ナトリウム、リン酸2水素カリウム、リン酸水素2カリウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化第2鉄、硫酸第2鉄あるいは硫酸マンガン等の無機塩類の1種以上を添加し、さらに必要により糖質原料、ビタミン等を適宜添加したものが用いられる。
なお、培地の初発pHは、pH7〜9に調整するのが適当である。
培養は、20〜42℃の培養温度、好ましくは37℃前後の培養温度で4〜24時間、さらに好ましくは37℃前後の培養温度で4〜8時間、通気攪拌深部培養、振盪培養、静置培養等により実施するのが好ましい。
培養終了後、該培養物よりアマドリアーゼを採取するには、通常の酵素採取手段を用いて得ることができる。例えば、常法により菌体を、超音波破壊処理、磨砕処理等するか、またはリゾチーム等の溶菌酵素を用いて本酵素を抽出するか、またはトルエン等の存在下で振盪若しくは放置して溶菌を行わせ、本酵素を菌体外に排出させることができる。そして、この溶液を濾過、遠心分離等して固形部分を除去し、必要によりストレプトマイシン硫酸塩、プロタミン硫酸塩、若しくは硫酸マンガン等により核酸を除去したのち、これに硫安、アルコール、アセトン等を添加して分画し、沈澱物を採取し、アマドリアーゼの粗酵素を得る。
上記アマドリアーゼの粗酵素よりさらにアマドリアーゼ精製酵素標品を得るには、例えば、セファデックス、スーパーデックス若しくはウルトロゲル等を用いるゲル濾過法;イオン交換体を用いる吸着溶出法;ポリアクリルアミドゲル等を用いる電気泳動法;ヒドロキシアパタイトを用いる吸着溶出法;蔗糖密度勾配遠心法等の沈降法;アフィニティクロマトグラフィー法;分子ふるい膜若しくは中空糸膜等を用いる分画法等を適宜選択し、またはこれらを組み合わせて実施することにより、精製されたアマドリアーゼ酵素標品を得ることができる。このようにして、所望の防腐剤耐性が向上したアマドリアーゼを得ることができる。
(本発明のアマドリアーゼにおける防腐剤耐性の向上)
上記のような手段で得られる本発明のアマドリアーゼは、遺伝子改変等により、そのアミノ酸配列に変異を生じた結果、改変前のものと比較してイソチアゾリン系化合物の防腐剤に対する耐性が向上していることを特徴とする。具体的には、本発明における「イソチアゾリン系化合物の防腐剤への耐性が向上している」度合は、本発明のアマドリアーゼ(すなわち、所定の位置に相当する位置のアミノ酸が置換されたアマドリアーゼ改変体)と、前記のアミノ酸の置換を導入する前のアマドリアーゼとを、イソチアゾリン系化合物の防腐剤を含有する適当な緩衝液中等にそれぞれ添加し、一定温度で一定時間処理した後の残存活性率(%)の比較により評価される。
上記のような手段で得られる本発明のアマドリアーゼは、遺伝子改変等により、そのアミノ酸配列に変異を生じた結果、改変前のものと比較してイソチアゾリン系化合物の防腐剤に対する耐性が向上していることを特徴とする。具体的には、本発明における「イソチアゾリン系化合物の防腐剤への耐性が向上している」度合は、本発明のアマドリアーゼ(すなわち、所定の位置に相当する位置のアミノ酸が置換されたアマドリアーゼ改変体)と、前記のアミノ酸の置換を導入する前のアマドリアーゼとを、イソチアゾリン系化合物の防腐剤を含有する適当な緩衝液中等にそれぞれ添加し、一定温度で一定時間処理した後の残存活性率(%)の比較により評価される。
本発明のアマドリアーゼの残存活性率(a)は、イソチアゾリン系化合物の防腐剤を含有しない緩衝液中で一定温度、一定時間処理した後の活性値に対する、イソチアゾリン系化合物の防腐剤を含有する緩衝液中で一定温度、一定時間処理した後の活性値の割合である。同様に、本発明のアマドリアーゼに特徴的な置換を導入する前のアマドリアーゼの残存活性率(b)は、イソチアゾリン系化合物の防腐剤を含有しない緩衝液中で一定温度、一定時間処理した後の活性値に対する、イソチアゾリン系化合物の防腐剤を含有する緩衝液中で一定温度、一定時間処理した後の活性値の割合である。両者が(a)>(b)を満たすアマドリアーゼの状態を、「イソチアゾリン系化合物の防腐剤への耐性が向上している」という。
糖化ヘモグロビンの測定キットにおいて、測定試薬中での微生物の増殖を抑制する目的で添加される場合が多いイソチアゾリン系化合物の防腐剤への耐性が高いアマドリアーゼを用いれば、試薬中でアマドリアーゼが不安定化する度合が少なく、試薬の安定性を向上させ得ることが期待されるため、本発明のアマドリアーゼのイソチアゾリン系化合物の防腐剤への耐性は高いほど好ましい。具体的には、所定の条件下での本発明のアマドリアーゼの残存活性率(a)は、同条件下で、本発明のアマドリアーゼに特徴的な置換を導入する前のアマドリアーゼに関して得られる残存活性率(b)に対して、(a)>(b)の関係を満たし、好ましくは、(a)/(b)が1.2以上、より好ましくは、1.5以上、さらに好ましくは2以上、最も好ましくは3以上であることが好ましい。
さらに、イソチアゾリン系化合物の防腐剤への耐性は、上述の(a)の数値自体から評価することもできる。例えば、(a)は、50%以上、好ましくは、60%以上、より好ましくは、70%以上、さらに好ましくは80%以上、最も好ましくは90%以上であることが好ましい。このように高い残存活性率を有するアマドリアーゼを用いることにより、従来のアマドリアーゼを用いた場合と比較して、イソチアゾリン系化合物の防腐剤による不安定化の影響を良好に回避できる。
本発明のアマドリアーゼが耐性を有する対象とするイソチアゾリン系化合物の防腐剤の種類には、糖化ヘモグロビンの測定キットに使用される各種の防腐剤を含み得る。例えば、このような用途に用いられることが多いイソチアゾリン系化合物の防腐剤としては、2−メチルイソチアゾン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン等が挙げられる。一般に市販されているイソチアゾリン系化合物の防腐剤の例としては、プロクリン150(スペルコ社製、シグマアルドリッチジャパン社販売)、プロクリン200(スペルコ社製、シグマアルドリッチジャパン社販売)、プロクリン300(スペルコ社製、シグマアルドリッチジャパン社販売)、MIT(ロシュ社製、シグマ社製)、アクチサイドMBS(ソー・ジャパン社製)、アクチサイドB20(N)(ソー・ジャパン社製)等が挙げられる。
本発明のアマドリアーゼが耐性を有する対象とするイソチアゾリン系化合物の防腐剤の濃度は、糖化ヘモグロビンの測定キットに使用され得る範囲の各種濃度であり得る。防腐剤の種類や使用する酵素の種類や試薬のpH、その他成分等の種類や濃度により、実際に配合される防腐剤の最適濃度は変化し得るが、一般的に診断薬等を長期保存するために実用される濃度範囲として、好ましくは0.001〜1%(v/v)、より好ましくは0.01〜0.1%(v/v)、さらに好ましくは0.02〜0.05%(v/v)が挙げられる。
防腐剤と共に一定時間処理する時間の長さおよび処理温度は、実際に保存する条件等を考慮して任意の条件を設定すれば良いが、例えば、加速(苛酷)試験の一例として、0.001〜1%(v/v)の濃度の防腐剤存在下で、37℃、60分間保存、または50℃、10分間保存後に、残存活性率を求める方法が挙げられる。あるいは、冷蔵もしくは室温にて長期保存し、残存活性率を求める方法等も挙げられる。
防腐剤耐性を測定する際の、防腐剤との共存処理に供するアマドリアーゼの濃度は特に限定されないが、通常の診断試薬に使用される濃度を想定して、好ましくは0.01〜50U/ml、より好ましくは0.05〜10U/ml、最も好ましくは0.1〜1U/mlである。防腐剤との共存処理の際に用いる適当な緩衝液としては、アマドリアーゼが作用するpH範囲で十分な緩衝能を持つよう、その種類と濃度を選べば特に限定されないが、例えば、50mM トリス緩衝液(pH8.0)、または、50mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.5)等を選択することができる。さらに、診断用試薬に配合されるであろう各種成分を想定して、界面活性剤、塩類、キレート剤などを含んでいてもよい。
(本発明のアマドリアーゼの親タンパク質)
本発明のアマドリアーゼは、特定部位のアミノ酸を置換することによる改変を受けることにより、改変前のアマドリアーゼ(すなわち、「親タンパク質」)と比較して防腐剤耐性が向上していることを特徴とする。
本発明のアマドリアーゼは、特定部位のアミノ酸を置換することによる改変を受けることにより、改変前のアマドリアーゼ(すなわち、「親タンパク質」)と比較して防腐剤耐性が向上していることを特徴とする。
本発明のアマドリアーゼを得るために用いる「親タンパク質」としては、前述の各種公知のアマドリアーゼを任意に用いることができ、さらに、これらの親タンパク質は必ずしも天然型である必要はなく、別途酵素の実用性を高める目的で、何らかの変異が既に導入されたものに対し、付加的に本発明の変異を導入しても構わない。こうした複数の変異を含むものであっても、本発明の特定部位のアミノ酸の置換を導入することにより、導入前の親タンパク質と比較して防腐剤耐性が向上している限り、本発明のアマドリアーゼに含まれる。
酵素の実用性を高める目的で、何らかの変異が別途導入されているアマドリアーゼ親タンパク質の好ましい例としては、CFP−T7またはCFP−T9、あるいはEFP−T5等が挙げられる(国際公開第2007/125779号、Appl. Microbiol. Biotechnol. 78, 775−81, 2008 Table 1、2参照)。これらの親タンパク質においては、耐熱性および/またはプロテアーゼ耐性が向上しており、ここにさらに本発明の変異を導入することによって、防腐剤耐性を付与することができ、一層アマドリアーゼの実用性を高めることが可能となる。また、CnFx(Cryptococcus neoformans B-3501A: GENE ID: 4934641 CNBB5450 hypothetical protein)やPcFPOX等も挙げられる。CFP−T7は天然のConiochaeta属由来アマドリアーゼのアミノ酸配列(配列番号29)に対してN272D/H302R/H388Yのアミノ酸置換を有し(配列番号1)、CFP−T9は天然のConiochaeta属由来アマドリアーゼのアミノ酸配列(配列番号29)に対してG184D/F265L/N272D/H302R/H388Yのアミノ酸置換を有し(配列番号3)、EFP−T5は天然のEupenicillium属由来アマドリアーゼのアミノ酸配列(配列番号30)に対してG184D/N272D/H388Yのアミノ酸置換を有する(配列番号9)。また、CnFxは天然のクリプトコッカス・ネオフォルマンス由来フルクトシルアミノ酸オキシダーゼのアミノ酸配列(配列番号35)のC末端から34アミノ酸を除いた配列を有する。さらに、PcFPOXはペニシリウム・クリソゲナム由来フルクトシルアミノ酸オキシダーゼのアミノ酸配列(配列番号19)を有する。該配列はペニシリウム・ヤンシネラムの配列(配列番号39)に対してL69W/T142Aの置換を有する配列である。
(アマドリアーゼ活性の測定方法)
アマドリアーゼの活性の測定方法としては、種々の方法を用いることができるが、一例として、以下に、本発明で用いるアマドリアーゼ活性の測定方法について説明する。
アマドリアーゼの活性の測定方法としては、種々の方法を用いることができるが、一例として、以下に、本発明で用いるアマドリアーゼ活性の測定方法について説明する。
本発明におけるアマドリアーゼの酵素活性の測定方法としては、酵素の反応により生成する過酸化水素量を測定する方法や、酵素反応により消費する酸素量を測定する方法などが主な測定方法として挙げられる。以下に、一例として、過酸化水素量を測定する方法について示す。
本発明におけるアマドリアーゼの活性測定には、断りのない限り、αFVHまたはαFVを基質として用いる。また、アマドリアーゼの種類によっては、これらの基質への作用性に比較してε−フルクトシルリジン(εFK)に作用しやすい傾向を有するものもあり、そのような酵素においては、εFKを基質として用いることもできる。なお、酵素力価は、αFVH、もしくはεFK、またはαFVを基質として測定した時、1分間に1μmolの過酸化水素を生成する酵素量を1Uと定義する。
εFK、αFV等の糖化アミノ酸、およびαFVH等の糖化ペプチドは、例えば、阪上らの方法に基づき合成、精製したものを用いることができる(特開2001−95598号公報参照)。
A.:試薬の調製
(1)試薬1:パーオキシダーゼ、4−アミノアンチピリン溶液
5.0kUのパーオキシダーゼ(キッコーマン社製)、100mgの4−アミノアンチピリン(東京化成社製)を0.1Mのリン酸ナトリウム緩衝液(pH8.0)に溶解し、1000mlに定容する。
(1)試薬1:パーオキシダーゼ、4−アミノアンチピリン溶液
5.0kUのパーオキシダーゼ(キッコーマン社製)、100mgの4−アミノアンチピリン(東京化成社製)を0.1Mのリン酸ナトリウム緩衝液(pH8.0)に溶解し、1000mlに定容する。
(2)試薬2:TOOS溶液
500mgのTOOS(同仁化学研究所製)をイオン交換水に溶解し、100mlに定容する。
500mgのTOOS(同仁化学研究所製)をイオン交換水に溶解し、100mlに定容する。
(3)試薬3:基質溶液(150mM; 終濃度5mM)
αFVH 625mg、またはεFK 462mgまたはαFV 419mgをイオン交換水に溶解し、10mlに定容する。
αFVH 625mg、またはεFK 462mgまたはαFV 419mgをイオン交換水に溶解し、10mlに定容する。
B:活性測定法
2.7mlの試薬1、100μlの試薬2、および100μlの酵素液(測定上好適な酵素濃度範囲となるよう、任意の緩衝液にて調製)を混和し、37℃で5分間予備加温する。その後、試薬3を100μl加えて良く混合した後、分光光度計(U−3010A、日立ハイテクノロジーズ社製)により、555nmにおける吸光度を測定する。測定値は、555nmにおける1分後から2分後の1分間あたりの吸光度変化とする。なお、対照液は、100μlの試薬3の代わりに100μlのイオン交換水を加える以外は前記と同様にしたものである。これを予め作製しておいた過酸化水素の標準溶液を試薬3の代わりに、また酵素液の代わりにイオン交換水を用い、その生成色素量との関係を調べたグラフを用意する。このグラフを用いて、37℃、1分当たりに生成される過酸化水素のマイクロモル数を計算し、この数値を酵素液中の活性単位とする。
2.7mlの試薬1、100μlの試薬2、および100μlの酵素液(測定上好適な酵素濃度範囲となるよう、任意の緩衝液にて調製)を混和し、37℃で5分間予備加温する。その後、試薬3を100μl加えて良く混合した後、分光光度計(U−3010A、日立ハイテクノロジーズ社製)により、555nmにおける吸光度を測定する。測定値は、555nmにおける1分後から2分後の1分間あたりの吸光度変化とする。なお、対照液は、100μlの試薬3の代わりに100μlのイオン交換水を加える以外は前記と同様にしたものである。これを予め作製しておいた過酸化水素の標準溶液を試薬3の代わりに、また酵素液の代わりにイオン交換水を用い、その生成色素量との関係を調べたグラフを用意する。このグラフを用いて、37℃、1分当たりに生成される過酸化水素のマイクロモル数を計算し、この数値を酵素液中の活性単位とする。
以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明の技術的範囲は、それらの例により何ら限定されるものではない。
(1)組換え体プラスミドpKK223−3−CFP−T7 DNAの調製
まず、本発明のアマドリアーゼ改変体を作製するための親タンパク質(CFP−T7)を発現するために、親タンパク発現用のプラスミドDNAを以下のように調製した。
まず、本発明のアマドリアーゼ改変体を作製するための親タンパク質(CFP−T7)を発現するために、親タンパク発現用のプラスミドDNAを以下のように調製した。
Coniochaeta属由来アマドリアーゼ遺伝子(配列番号2)の組換え体プラスミドを有する大腸菌JM109(pKK223−3−CFP−T7)株(国際公開第2007/125779号参照)を、3mlのLB−amp培地[1%(w/v)バクトトリプトン、0.5%(w/v)ペプトン、0.5%(w/v)NaCl、50μg/ml アンピシリン]に接種して、37℃で16時間振とう培養し、培養物を得た。
この培養物を10,000×gで、1分間遠心分離することにより集菌して菌体を得た。この菌体より、GenElute Plasmid Mini−Prep Kit(シグマアルドリッチ社製)を用いて組換え体プラスミドpKK223−3−CFP−T7を抽出して精製し、2.5μgの組換え体プラスミドpKK223−3−CFP−T7 DNAを得た。
Coniochaeta属由来アマドリアーゼの発現プラスミドpKK223−3−CFP−T7は、Appl. Microbiol. Biotechnol. 78, 775−81, 2008 Table 1に記載されている。本発現プラスミドのサイズは、約6.0Kbpであり、pKK223−3のEcoRIサイトに、N272D/H302R/H388Yのアミノ酸置換を有するConiochaeta属由来アマドリアーゼをコードするDNA断片を含む。その塩基配列を配列番号2に、また、この塩基配列から推定されるアマドリアーゼのアミノ酸配列を、配列番号1に示す。
(2)組換え体プラスミドpKK223−3−CFP−T7 DNAの部位特異的改変操作
得られた組換え体プラスミドpKK223−3−CFP−T7 DNAを鋳型として、配列番号5、6の合成オリゴヌクレオチド、KOD−Plus−(東洋紡績社製)を用い、以下の条件でPCR反応を行った。
得られた組換え体プラスミドpKK223−3−CFP−T7 DNAを鋳型として、配列番号5、6の合成オリゴヌクレオチド、KOD−Plus−(東洋紡績社製)を用い、以下の条件でPCR反応を行った。
すなわち、10×KOD−Plus−緩衝液を5μl、dNTPが各2mMになるよう調製されたdNTPs混合溶液を5μl、25mMのMgSO4溶液を2μl、鋳型となるpKK223−3−CFP−T7 DNAを50ng、上記合成オリゴヌクレオチドをそれぞれ15pmol、および、1UnitのKOD−Plus−を加えて、滅菌水により全量を50μlとした。調製した反応液をサーマルサイクラー(エッペンドルフ社製)を用いて、94℃で2分間インキュベートし、続いて、「94℃、15秒」−「50℃、30秒」−「68℃、6分」のサイクルを30回繰り返した。
反応液の一部を1.0%アガロースゲルで電気泳動し、約6,000bpのDNAが特異的に増幅されていることを確認した。こうして得られたDNAを制限酵素DpnI(New England Biolabs社製)で処理し、残存している鋳型DNAを切断した後、大腸菌JM109を形質転換し、LB−amp寒天培地に展開した。生育したコロニーをLB−amp培地に接種して振とう培養し、上記(1)と同様の方法でプラスミドDNAを単離した。該プラスミド中のアマドリアーゼをコードするDNAの塩基配列を、マルチキャピラリーDNA解析システムCEQ2000(ベックマン・コールター社製)を用いて決定し、配列番号1記載のアミノ酸配列の360位のシステインがセリンに置換された改変型アマドリアーゼをコードする組換え体プラスミド(pKK223−3−CFP−T7−C360S)を得た。
(3)アマドリアーゼ改変体の生産
上記の手順により得られた上記組換え体プラスミド(pKK223−3−CFP−T7−C360S)および、改変前のアマドリアーゼをコードする組換え体プラスミド(pKK223−3−CFP−T7)を保持する大腸菌JM109株を、0.1mMのIPTGを添加したLB−amp培地3mlにおいて、30℃で16時間培養した。得られた各培養菌体を20mMのHEPES−NaOH緩衝液(pH7.0)で洗浄した後、同緩衝液に懸濁して超音波破砕処理を行い、20,000×gで10分間遠心分離して、基質特異性確認のための酵素液0.6mlを調製した。
上記の手順により得られた上記組換え体プラスミド(pKK223−3−CFP−T7−C360S)および、改変前のアマドリアーゼをコードする組換え体プラスミド(pKK223−3−CFP−T7)を保持する大腸菌JM109株を、0.1mMのIPTGを添加したLB−amp培地3mlにおいて、30℃で16時間培養した。得られた各培養菌体を20mMのHEPES−NaOH緩衝液(pH7.0)で洗浄した後、同緩衝液に懸濁して超音波破砕処理を行い、20,000×gで10分間遠心分離して、基質特異性確認のための酵素液0.6mlを調製した。
(4)アマドリアーゼ改変体の防腐剤耐性評価
こうして得られたアマドリアーゼ改変体(CFP−T7−C360S)および改変前のアマドリアーゼ(CFP−T7)にそれぞれ、防腐剤として0.01%(v/v)のプロクリン300(シグマアルドリッチ社製)を添加し、37℃、1時間処理した後に、残存酵素活性率(%)を測定した。その結果、改変前のアマドリアーゼ(CFP−T7)の残存活性率が15.4%であったのに対し、本発明のアマドリアーゼ(CFP−T7−C360S)では82.4%と、残存活性率として67%増加、残存活性率の比としては約5.4倍に向上し、本発明のアマドリアーゼにおける防腐剤耐性が顕著に増加していることが確認された。なお、CFP−T7とCFP−T7−C360Sの間で、各基質に対するKm値にはほとんど差が見られず、防腐剤耐性を付与する変異による基質反応性への影響はほとんどみられないことがわかった。
こうして得られたアマドリアーゼ改変体(CFP−T7−C360S)および改変前のアマドリアーゼ(CFP−T7)にそれぞれ、防腐剤として0.01%(v/v)のプロクリン300(シグマアルドリッチ社製)を添加し、37℃、1時間処理した後に、残存酵素活性率(%)を測定した。その結果、改変前のアマドリアーゼ(CFP−T7)の残存活性率が15.4%であったのに対し、本発明のアマドリアーゼ(CFP−T7−C360S)では82.4%と、残存活性率として67%増加、残存活性率の比としては約5.4倍に向上し、本発明のアマドリアーゼにおける防腐剤耐性が顕著に増加していることが確認された。なお、CFP−T7とCFP−T7−C360Sの間で、各基質に対するKm値にはほとんど差が見られず、防腐剤耐性を付与する変異による基質反応性への影響はほとんどみられないことがわかった。
(1)組換え体プラスミドpKK223−3−CFP−T9 DNAの調製
本発明のアマドリアーゼ改変体を作製するために、実施例1とは別の親タンパク質(CFP−T9)を発現するために、親タンパク発現用のプラスミドDNAを以下のように調製した。
本発明のアマドリアーゼ改変体を作製するために、実施例1とは別の親タンパク質(CFP−T9)を発現するために、親タンパク発現用のプラスミドDNAを以下のように調製した。
Coniochaeta属由来アマドリアーゼ遺伝子(配列番号4)の組換え体プラスミドを有する大腸菌JM109(pKK223−3−CFP−T9)株(国際公開第2007/125779号参照)を、3mlのLB−amp培地[1%(w/v)バクトトリプトン、0.5%(w/v)ペプトン、0.5%(w/v)NaCl、50μg/ml アンピシリン]に接種して、37℃で16時間振とう培養し、培養物を得た。
この培養物を10,000×gで、1分間遠心分離することにより集菌して菌体を得た。この菌体より、GenElute Plasmid Mini−Prep Kit(シグマアルドリッチ社製)を用いて組換え体プラスミドpKK223−3−CFP−T9を抽出して精製し、2.5μgの組換え体プラスミドpKK223−3−CFP−T9 DNAを得た。
Coniochaeta属由来アマドリアーゼの発現プラスミドpKK223−3−CFP−T9は、非特許文献6 Table 1に記載されている。本発現プラスミドのサイズは、約6.0kbpであり、pKK223−3のEcoRIサイトに、G184D/F265L/N272D/H302R/H388Yのアミノ酸置換を有するConiochaeta属由来アマドリアーゼをコードするDNA断片を含む。その塩基配列を配列番号4に、また、この塩基配列から推定されるアマドリアーゼのアミノ酸配列を、配列番号3に示す。
(2)組換え体プラスミドpKK223−3−CFP−T9 DNAの部位特異的改変操作
得られた組換え体プラスミドpKK223−3−CFP−T9 DNAを鋳型として、配列番号7、8の合成オリゴヌクレオチド、KOD−Plus−(東洋紡績社製)を用い、以下の条件でPCR反応を行った。
得られた組換え体プラスミドpKK223−3−CFP−T9 DNAを鋳型として、配列番号7、8の合成オリゴヌクレオチド、KOD−Plus−(東洋紡績社製)を用い、以下の条件でPCR反応を行った。
すなわち、10×KOD−Plus−緩衝液を5μl、dNTPが各2mMになるよう調製されたdNTPs混合溶液を5μl、25mMのMgSO4溶液を2μl、鋳型となるpKK223−3−CFP−T9 DNAを50ng、上記合成オリゴヌクレオチドをそれぞれ15pmol、KOD−Plus−を1Unit加えて、滅菌水により全量を50μlとした。調製した反応液をサーマルサイクラー(エッペンドルフ社製)を用いて、94℃で2分間インキュベートし、続いて、「94℃、15秒」−「50℃、30秒」−「68℃、6分」のサイクルを30回繰り返した。
反応液の一部を1.0%アガロースゲルで電気泳動し、約6,000bpのDNAが特異的に増幅されていることを確認した。こうして得られたDNAを制限酵素DpnI(New England Biolabs社製)で処理し、残存している鋳型DNAを切断した後、大腸菌JM109を形質転換し、LB−amp寒天培地に展開した。生育したコロニーをLB−amp培地に接種して振とう培養し、上記(1)と同様の方法でプラスミドDNAを単離した。該プラスミド中のアマドリアーゼをコードするDNAの塩基配列を、マルチキャピラリーDNA解析システムCEQ2000(ベックマン・コールター社製)を用いて決定し、配列番号1記載のアミノ酸配列の97位のシステインがセリンに置換された改変型アマドリアーゼをコードする組換え体プラスミド(pKK223−3−CFP−T9−C97S)を得た。
(3)アマドリアーゼ改変体の生産
上記の手順により得られた上記組換え体プラスミド(pKK223−3−CFP−T9−C97S)および、改変前のアマドリアーゼをコードする組換え体プラスミド(pKK223−3−CFP−T9)を保持する大腸菌JM109株を、0.1mMのIPTGを添加したLB−amp培地3mlにおいて、30℃で16時間培養した。得られた各培養菌体を20mMのHEPES−NaOH緩衝液(pH7.0)で洗浄した後、同緩衝液に懸濁して超音波破砕処理を行い、20,000×gで10分間遠心分離して、基質特異性確認のための酵素液8mlを調製した。
上記の手順により得られた上記組換え体プラスミド(pKK223−3−CFP−T9−C97S)および、改変前のアマドリアーゼをコードする組換え体プラスミド(pKK223−3−CFP−T9)を保持する大腸菌JM109株を、0.1mMのIPTGを添加したLB−amp培地3mlにおいて、30℃で16時間培養した。得られた各培養菌体を20mMのHEPES−NaOH緩衝液(pH7.0)で洗浄した後、同緩衝液に懸濁して超音波破砕処理を行い、20,000×gで10分間遠心分離して、基質特異性確認のための酵素液8mlを調製した。
調製した粗酵素液を20mM HEPES−NaOH緩衝液(pH7.0)で平衡化した4mlのQ Sepharose Fast Flow樹脂(GEヘルスケア社製)に吸着させ、次に80mlの同緩衝液で樹脂を洗浄し、続いて100mM NaClを含む20mM HEPES−NaOH緩衝液(pH7.0)で樹脂に吸着していたタンパク質を溶出させ、アマドリアーゼ活性を示す画分を回収した。
得られたアマドリアーゼ活性を示す画分を、Amicon Ultra−15, 30K NMWL(ミリポア社製)で濃縮した。その後、150mM NaClを含む20mM HEPES−NaOH緩衝(pH7.0)で平衡化したHiLoad 26/60 Superdex 200pg(GEヘルスケア社製)にアプライし、同緩衝液で溶出させ、アマドリアーゼ活性を示す画分を回収し、野生型及び改変型アマドリアーゼの精製標品を得た。
(4)アマドリアーゼ改変体の防腐剤耐性評価
こうして得られたアマドリアーゼ改変体(CFP−T9−C97S)および改変前のアマドリアーゼ(CFP−T9)にそれぞれ、防腐剤として0.005%(v/v)のプロクリン300(シグマアルドリッチ社製)を添加し、37℃、1時間処理した後に、残存酵素活性率(%)を測定した。その結果、改変前のアマドリアーゼ(CFP−T9)の残存活性率が32.7%であったのに対し、本発明のアマドリアーゼ(CFP−T9−C97S)では50.9%と、残存活性率として18%増加、残存活性率の比としては約1.6倍に向上し、本発明のアマドリアーゼにおける防腐剤耐性が顕著に増加していることが確認された。なお、CFP−T9とCFP−T9−C97Sの間で、各基質に対するKm値、Kcat値にはほとんど差が見られず、防腐剤耐性を付与する変異による基質反応性への影響はほとんどみられないことがわかった。
こうして得られたアマドリアーゼ改変体(CFP−T9−C97S)および改変前のアマドリアーゼ(CFP−T9)にそれぞれ、防腐剤として0.005%(v/v)のプロクリン300(シグマアルドリッチ社製)を添加し、37℃、1時間処理した後に、残存酵素活性率(%)を測定した。その結果、改変前のアマドリアーゼ(CFP−T9)の残存活性率が32.7%であったのに対し、本発明のアマドリアーゼ(CFP−T9−C97S)では50.9%と、残存活性率として18%増加、残存活性率の比としては約1.6倍に向上し、本発明のアマドリアーゼにおける防腐剤耐性が顕著に増加していることが確認された。なお、CFP−T9とCFP−T9−C97Sの間で、各基質に対するKm値、Kcat値にはほとんど差が見られず、防腐剤耐性を付与する変異による基質反応性への影響はほとんどみられないことがわかった。
(1)組換え体プラスミドpUTE100k’−EFP−T5 DNAの調製
本発明のアマドリアーゼ改変体を作製するために、実施例1、実施例2とは別の親タンパク質(EFP−T5)を発現するために、親タンパク発現用のプラスミドDNAを以下のように調製した。
本発明のアマドリアーゼ改変体を作製するために、実施例1、実施例2とは別の親タンパク質(EFP−T5)を発現するために、親タンパク発現用のプラスミドDNAを以下のように調製した。
Eupenicillium属由来アマドリアーゼ遺伝子(配列番号10)の組換え体プラスミドを有する大腸菌JM109(pUTE100k’−EFP−T5)株(国際公開第2007/125779号参照)を、3mlのLB−amp培地[1%(w/v)バクトトリプトン、0.5%(w/v)ペプトン、0.5%(w/v)NaCl、50μg/ml アンピシリン]に接種して、37℃で16時間振とう培養し、培養物を得た。
この培養物を10,000×gで、1分間遠心分離することにより集菌して菌体を得た。この菌体より、GenElute Plasmid Mini−Prep Kit(シグマアルドリッチ社製)を用いて組換え体プラスミドpUTE100k’−EFP−T5を抽出して精製し、2.5μgの組換え体プラスミドpUTE100k’−EFP−T5 DNAを得た。
Eupenicillium属由来アマドリアーゼの発現プラスミドpUTE100k’−EFP−T5は、特許文献12 Table 3に記載されている。本発現プラスミドのサイズは、約6.0Kbpであり、pUTE100k’のHpaIサイトに、G184D/N272D/H388Yのアミノ酸置換を有するEupenicillium属由来アマドリアーゼをコードするDNA断片を含む。その塩基配列を配列番号10に、また、この塩基配列から推定されるアマドリアーゼのアミノ酸配列を、配列番号9に示す。
(2)組換え体プラスミドpUTE100k’−EFP−T5 DNAの部位特異的改変操作
得られた組換え体プラスミドpUTE100k’−EFP−T5 DNAを鋳型として、配列番号11、12の合成オリゴヌクレオチド、KOD−Plus−(東洋紡績社製)を用い、以下の条件でPCR反応を行った。
得られた組換え体プラスミドpUTE100k’−EFP−T5 DNAを鋳型として、配列番号11、12の合成オリゴヌクレオチド、KOD−Plus−(東洋紡績社製)を用い、以下の条件でPCR反応を行った。
すなわち、10×KOD−Plus−緩衝液を5μl、dNTPが各2mMになるよう調製されたdNTPs混合溶液を5μl、25mMのMgSO4溶液を2μl、鋳型となるpUTE100k’−EFP−T5 DNAを50ng、上記合成オリゴヌクレオチドをそれぞれ15pmol、KOD−Plus−を1Unit加えて、滅菌水により全量を50μlとした。調製した反応液をサーマルサイクラー(エッペンドルフ社製)を用いて、94℃で2分間インキュベートし、続いて、「94℃、15秒」−「50℃、30秒」−「68℃、6分」のサイクルを30回繰り返した。
反応液の一部を1.0%アガロースゲルで電気泳動し、約6,000bpのDNAが特異的に増幅されていることを確認した。こうして得られたDNAを制限酵素DpnI(New England Biolabs社製)で処理し、残存している鋳型DNAを切断した後、大腸菌JM109を形質転換し、LB−amp寒天培地に展開した。生育したコロニーをLB−amp培地に接種して振とう培養し、上記(1)と同様の方法でプラスミドDNAを単離した。該プラスミド中のアマドリアーゼをコードするDNAの塩基配列を、マルチキャピラリーDNA解析システムCEQ2000(ベックマン・コールター社製)を用いて決定し、配列番号9記載のアミノ酸配列の302位のメチオニンがトリプトファンに置換された改変型アマドリアーゼをコードする組換え体プラスミド(pUTE100k’−EFP−T5−M302W)を得た。
さらに、pUTE100k’−EFP−T5 DNAを鋳型として、配列番号13、14の合成オリゴヌクレオチド、KOD−Plus−(東洋紡績社製)を用い、上記と同様の操作を行うことにより、配列番号9記載のアミノ酸配列の97位のシステインがセリンに置換された改変型アマドリアーゼをコードする組換え体プラスミド(pUTE100k’−EFP−T5−C97S)を得た。
(3)アマドリアーゼ改変体の生産
実施例2(3)と同様の方法により、アマドリアーゼ改変体を生産、取得した。
実施例2(3)と同様の方法により、アマドリアーゼ改変体を生産、取得した。
(4)アマドリアーゼ改変体の防腐剤耐性評価
こうして得られたアマドリアーゼ改変体(EFP−T5−M302W、およびEFP−T5−C97S)および改変前のアマドリアーゼ(EFP−T5)にそれぞれ、防腐剤として0.005%(v/v)のプロクリン300(シグマアルドリッチ社製)を添加し、30℃、1時間処理した後に、残存酵素活性率(%)を測定した。その結果、改変前のアマドリアーゼ(EFP−T5)の残存活性率が55.8%であったのに対し、本発明のアマドリアーゼ(EFP−T5−M302W)では68.5%、(EFP−T5−C97S)では89.2%と、残存活性率として、それぞれ12.7%、33.4%増加、残存活性率の比としては約1.2倍、約1.6倍に向上し、本発明のアマドリアーゼにおける防腐剤耐性が顕著に増加していることが確認された。なお、EFP−T5とEFP−T5−M302W、及びEFP−T5−C97Sの間で、各基質に対するKm値、Kcat値にはほとんど差が見られず、防腐剤耐性を付与する変異による基質反応性への影響はほとんどみられないことがわかった。
こうして得られたアマドリアーゼ改変体(EFP−T5−M302W、およびEFP−T5−C97S)および改変前のアマドリアーゼ(EFP−T5)にそれぞれ、防腐剤として0.005%(v/v)のプロクリン300(シグマアルドリッチ社製)を添加し、30℃、1時間処理した後に、残存酵素活性率(%)を測定した。その結果、改変前のアマドリアーゼ(EFP−T5)の残存活性率が55.8%であったのに対し、本発明のアマドリアーゼ(EFP−T5−M302W)では68.5%、(EFP−T5−C97S)では89.2%と、残存活性率として、それぞれ12.7%、33.4%増加、残存活性率の比としては約1.2倍、約1.6倍に向上し、本発明のアマドリアーゼにおける防腐剤耐性が顕著に増加していることが確認された。なお、EFP−T5とEFP−T5−M302W、及びEFP−T5−C97Sの間で、各基質に対するKm値、Kcat値にはほとんど差が見られず、防腐剤耐性を付与する変異による基質反応性への影響はほとんどみられないことがわかった。
(1)組換え体プラスミドpET22b−CnFX DNAの調製
本発明のアマドリアーゼ改変体を作製するために、実施例1、実施例2、実施例3とは別の親タンパク質(CnFX)を発現するために、親タンパク発現用のプラスミドDNAを以下のように調製した。
本発明のアマドリアーゼ改変体を作製するために、実施例1、実施例2、実施例3とは別の親タンパク質(CnFX)を発現するために、親タンパク発現用のプラスミドDNAを以下のように調製した。
既知のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼのアミノ酸配列をもとに、ゲノムデータベース(http://www.genome.jp/tools/blast/)より検索したクリプトコッカス・ネオフォルマンス由来フルクトシルアミノ酸オキシダーゼ(Cryptococcus neoformans B-3501A: GENE ID: 4934641 CNBB5450 hypothetical protein)について、C末端から34アミノ酸(配列番号35のアミノ酸配列の444位以降のアミノ酸)を除いた、配列番号15で示す443アミノ酸を大腸菌で発現させることを試みた。そこで、配列番号15のアミノ酸配列をコードし、且つ大腸菌発現用にコドンを最適化した、配列番号16で示す1332bpの遺伝子(終止コドンTGAを含む)を、定法である遺伝子断片のPCRによる全合成によりcDNAを全合成することで取得した。このとき、配列番号16の5’末端、3’末端にはそれぞれNdeIサイトとBamHIサイトを付加した。また、クローニングした遺伝子配列から予想されるアミノ酸配列は図1のクリプトコッカス・ネオフォルマンス由来フルクトシルアミノ酸オキシダーゼのアミノ酸配列(配列番号35)のC末端から34アミノ酸を除いた配列と一致していることを確認した。
(2)組換え体プラスミドpET22b−CnFX DNAの部位特異的改変操作
続いて、取得した配列番号16の遺伝子を大腸菌で発現させるために、以下の手順を行った。まず、上記で全合成した遺伝子をNdeIとBamHI(タカラバイオ社製)の2種類の制限酵素で処理し、pET−22b(+)Vector(ノバジェン社製)のNdeI−BamHIサイトに挿入することで、組換え体プラスミドpET22b−CnFXを取得し、大腸菌BL21(DE3)に形質転換した。次に、防腐剤耐性を向上させるための点変異を導入することを目的として、組換え体プラスミドpET22b−PcFPOXを鋳型にして、配列番号17、18の合成オリゴヌクレオチド、KOD−Plus−(東洋紡績社製)を用い、上記と同様の条件でPCR反応、大腸菌BL21(DE3)の形質転換および生育コロニーが保持するプラスミドDNA中のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼをコードするDNAの塩基配列決定を行った。その結果、配列番号15記載のアミノ酸配列の97位のシステインがセリンに置換されたクリプトコッカス・ネオフォルマンス由来フルクトシルアミノ酸オキシダーゼ遺伝子をコードする組換え体プラスミド(pET22b−CnFX−C97S)を得た。
続いて、取得した配列番号16の遺伝子を大腸菌で発現させるために、以下の手順を行った。まず、上記で全合成した遺伝子をNdeIとBamHI(タカラバイオ社製)の2種類の制限酵素で処理し、pET−22b(+)Vector(ノバジェン社製)のNdeI−BamHIサイトに挿入することで、組換え体プラスミドpET22b−CnFXを取得し、大腸菌BL21(DE3)に形質転換した。次に、防腐剤耐性を向上させるための点変異を導入することを目的として、組換え体プラスミドpET22b−PcFPOXを鋳型にして、配列番号17、18の合成オリゴヌクレオチド、KOD−Plus−(東洋紡績社製)を用い、上記と同様の条件でPCR反応、大腸菌BL21(DE3)の形質転換および生育コロニーが保持するプラスミドDNA中のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼをコードするDNAの塩基配列決定を行った。その結果、配列番号15記載のアミノ酸配列の97位のシステインがセリンに置換されたクリプトコッカス・ネオフォルマンス由来フルクトシルアミノ酸オキシダーゼ遺伝子をコードする組換え体プラスミド(pET22b−CnFX−C97S)を得た。
(3)アマドリアーゼ改変体の生産
上記で得られた組換え体プラスミドpET22b−CnFXおよびpET22b−CnFX−C97Sを保持する大腸菌BL21(DE3)を、Overnight Express Autoinduction System 1(ノバジェン社製)の試薬を加えたLB−amp培地において30℃で18時間振とう培養した。得られた各培養菌体を20mMのHEPES−NaOH緩衝液(pH7.0)で洗浄した後、同緩衝液に懸濁して超音波破砕処理を行い、20,000×gで10分間遠心分離して酵素液0.6mlを調製した。
上記で得られた組換え体プラスミドpET22b−CnFXおよびpET22b−CnFX−C97Sを保持する大腸菌BL21(DE3)を、Overnight Express Autoinduction System 1(ノバジェン社製)の試薬を加えたLB−amp培地において30℃で18時間振とう培養した。得られた各培養菌体を20mMのHEPES−NaOH緩衝液(pH7.0)で洗浄した後、同緩衝液に懸濁して超音波破砕処理を行い、20,000×gで10分間遠心分離して酵素液0.6mlを調製した。
(4)アマドリアーゼ改変体の防腐剤耐性評価
こうして得られたアマドリアーゼ改変体(CnFX−C97S)および改変前のアマドリアーゼ(CnFX)にそれぞれ、防腐剤として0.010%(v/v)のプロクリン300(シグマアルドリッチ社製)を添加し、30℃、1時間処理した後に、残存酵素活性率(%)を測定した。その結果、改変前のアマドリアーゼ(CnFX)の残存活性率が53.0%であったのに対し、本発明のアマドリアーゼ(CnFX−C97S)では67.1%と、残存活性率として、14.1%増加、残存活性率の比としては約1.3倍に向上し、本発明のアマドリアーゼにおける防腐剤耐性が顕著に増加していることが確認された。なお、CnFXとCnFX−C97Sの間で、各基質に対するKm値、Kcat値にはほとんど差が見られず、防腐剤耐性を付与する変異による基質反応性への影響はほとんどみられないことがわかった。
こうして得られたアマドリアーゼ改変体(CnFX−C97S)および改変前のアマドリアーゼ(CnFX)にそれぞれ、防腐剤として0.010%(v/v)のプロクリン300(シグマアルドリッチ社製)を添加し、30℃、1時間処理した後に、残存酵素活性率(%)を測定した。その結果、改変前のアマドリアーゼ(CnFX)の残存活性率が53.0%であったのに対し、本発明のアマドリアーゼ(CnFX−C97S)では67.1%と、残存活性率として、14.1%増加、残存活性率の比としては約1.3倍に向上し、本発明のアマドリアーゼにおける防腐剤耐性が顕著に増加していることが確認された。なお、CnFXとCnFX−C97Sの間で、各基質に対するKm値、Kcat値にはほとんど差が見られず、防腐剤耐性を付与する変異による基質反応性への影響はほとんどみられないことがわかった。
(1)組換え体プラスミドpET22−PcFPOX DNAの調製
本発明のアマドリアーゼ改変体を作製するために、実施例1〜4とは別の親タンパク質(PcFPOX)を発現するために、親タンパク発現用のプラスミドDNAを以下のように調製した。
本発明のアマドリアーゼ改変体を作製するために、実施例1〜4とは別の親タンパク質(PcFPOX)を発現するために、親タンパク発現用のプラスミドDNAを以下のように調製した。
(ペニシリウム・クリソゲナムNBRC9251株からの全RNAの抽出)
ペニシリウム・クリソゲナムNBRC9251株を、液体培地(0.4%イーストエキストラクト、1.0%マルツエキストラクト、0.1%トリプトン、0.1%リン酸2水素1カリウム、0.05%硫酸マグネシウム、2.0%グルコース、pH6.5)において、30℃で24時間培養し、上記と同様の手順で全RNAを調製した。
ペニシリウム・クリソゲナムNBRC9251株を、液体培地(0.4%イーストエキストラクト、1.0%マルツエキストラクト、0.1%トリプトン、0.1%リン酸2水素1カリウム、0.05%硫酸マグネシウム、2.0%グルコース、pH6.5)において、30℃で24時間培養し、上記と同様の手順で全RNAを調製した。
(ペニシリウム・クリソゲナム由来フルクトシルアミノ酸オキシダーゼcDNAのクローニング)
得られた全RNA1μgを用いて、PrimeScript PT−PCR kit (タカラバイオ社製)により、付属のプロトコールに従ってRT−PCRを行った。このとき、逆転写反応ではKit付属のOligo dT Primerを用い、その後のPCR反応では配列番号21、22 に示した合成オリゴヌクレオチドを用いた。その結果、約1300bpのcDNA断片が特異的に増幅した。次に、この増幅したcDNA断片についてシーケンス解析を行った結果、配列番号20に示した1317bpからなる塩基配列であることがわかった。また、配列番号20より予想されるアミノ酸配列(配列番号19)は、図1で記載したペニシリウム・ヤンシネラムの配列(配列番号39)の69番目のロイシンがトリプトファンに、142番目のスレオニンがアラニンに置換されたものと一致していた。
得られた全RNA1μgを用いて、PrimeScript PT−PCR kit (タカラバイオ社製)により、付属のプロトコールに従ってRT−PCRを行った。このとき、逆転写反応ではKit付属のOligo dT Primerを用い、その後のPCR反応では配列番号21、22 に示した合成オリゴヌクレオチドを用いた。その結果、約1300bpのcDNA断片が特異的に増幅した。次に、この増幅したcDNA断片についてシーケンス解析を行った結果、配列番号20に示した1317bpからなる塩基配列であることがわかった。また、配列番号20より予想されるアミノ酸配列(配列番号19)は、図1で記載したペニシリウム・ヤンシネラムの配列(配列番号39)の69番目のロイシンがトリプトファンに、142番目のスレオニンがアラニンに置換されたものと一致していた。
(ペニシリウム・クリソゲナム由来フルクトシルアミノ酸オキシダーゼ遺伝子の大腸菌での発現)
続いて、ペニシリウム・クリソゲナム由来フルクトシルアミノ酸オキシダーゼを大腸菌で発現させるために、以下の手順を行った。まず、上記でクローニングしてきたcDNA断片は配列番号21、22に示した合成ヌクレオチド由来のNdeIサイトとBamHIサイトをそれぞれ5´末端と3´末端に有しているため、クローニングしてきたcDNA断片をNdeIとBamHI(タカラバイオ社製)の2種類の制限酵素で処理し、pET−22b(+)Vector(ノバジェン社製)のNdeI−BamHIサイトに挿入することで、組換え体プラスミドpET22b−PcFPOX´を取得した。
続いて、ペニシリウム・クリソゲナム由来フルクトシルアミノ酸オキシダーゼを大腸菌で発現させるために、以下の手順を行った。まず、上記でクローニングしてきたcDNA断片は配列番号21、22に示した合成ヌクレオチド由来のNdeIサイトとBamHIサイトをそれぞれ5´末端と3´末端に有しているため、クローニングしてきたcDNA断片をNdeIとBamHI(タカラバイオ社製)の2種類の制限酵素で処理し、pET−22b(+)Vector(ノバジェン社製)のNdeI−BamHIサイトに挿入することで、組換え体プラスミドpET22b−PcFPOX´を取得した。
次に、ペニシリウム・クリソゲナム由来フルクトシルアミノ酸オキシダーゼにフルクトシルペプチドオキシダーゼ活性を付与するために、組換え体プラスミドpET22b−PcFPOX´を鋳型にして、配列番号23、24の合成オリゴヌクレオチド、KOD−Plus−(東洋紡績社製)を用い、上記と同様の条件でPCR反応、大腸菌の形質転換および生育コロニーが保持するプラスミドDNA中のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼをコードするDNAの塩基配列決定を行った。その結果、配列番号19記載のアミノ酸配列の60位のセリンがグリシンに置換されたペニシリウム・クリソゲナム由来フルクトシルアミノ酸オキシダーゼ遺伝子をコードする組換え体プラスミド(pET22b−PcFPOX)を取得した。そして、この得られた組換え体プラスミドpET22b−PcFPOXを大腸菌BL21(DE3)に形質転換することで、ペニシリウム・クリソゲナム由来フルクトシルアミノ酸オキシダーゼを産生する大腸菌を取得した。
上記で得られたペニシリウム・クリソゲナム由来フルクトシルアミノ酸オキシダーゼを産生する大腸菌BL21(DE3)を、Overnight Express Autoinduction System 1(ノバジェン社製)の試薬を加えたLB−amp培地において30℃で18時間振とう培養した。得られた各培養菌体をBugBuster Protein Extraction Reagent(ノバジェン社製)を用いて溶菌した後、20,000×gで10分間遠心分離することでPcFPOXの粗酵素液を得た。この粗酵素液を用いて、上記のB:活性測定法により、αFVに対する酵素活性を測定したところ、0.090U/mlであった。ただし、このときの活性測定の試薬1はpH7.5に調整したものを使用した。
(2)組換え体プラスミドpET22−PcFPOX DNAの部位特異的改変操作
続いて、防腐剤耐性を向上させるための点変異を導入することを目的として、組換え体プラスミドpET22b−PcFPOX(60位のセリンがグリシンに置換された変異を含む)を鋳型にして、配列番号25、26の合成オリゴヌクレオチド、KOD−Plus−(東洋紡績社製)を用い、上記と同様の条件でPCR反応、大腸菌BL21(DE3)の形質転換および生育コロニーが保持するプラスミドDNA中のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼをコードするDNAの塩基配列決定を行った。その結果、配列番号19記載のアミノ酸配列の60位のセリンがグリシンに置換され、且つ97位のシステインがセリンに置換されたペニシリウム・クリソゲナム由来フルクトシルアミノ酸オキシダーゼ遺伝子をコードする組換え体プラスミド(pET22b−PcFPOX−C97S)を得た。
続いて、防腐剤耐性を向上させるための点変異を導入することを目的として、組換え体プラスミドpET22b−PcFPOX(60位のセリンがグリシンに置換された変異を含む)を鋳型にして、配列番号25、26の合成オリゴヌクレオチド、KOD−Plus−(東洋紡績社製)を用い、上記と同様の条件でPCR反応、大腸菌BL21(DE3)の形質転換および生育コロニーが保持するプラスミドDNA中のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼをコードするDNAの塩基配列決定を行った。その結果、配列番号19記載のアミノ酸配列の60位のセリンがグリシンに置換され、且つ97位のシステインがセリンに置換されたペニシリウム・クリソゲナム由来フルクトシルアミノ酸オキシダーゼ遺伝子をコードする組換え体プラスミド(pET22b−PcFPOX−C97S)を得た。
(3)アマドリアーゼ改変体の生産
実施例4(3)と同様の方法により、アマドリアーゼ改変体を生産、取得した。
実施例4(3)と同様の方法により、アマドリアーゼ改変体を生産、取得した。
(4)アマドリアーゼ改変体の防腐剤耐性評価
こうして得られたアマドリアーゼ改変体(PcFPOX−C97S)および改変前のアマドリアーゼ(PcFPOX)にそれぞれ、防腐剤として0.010%(v/v)のプロクリン300(シグマアルドリッチ社製)を添加し、30℃、1時間処理した後に、残存酵素活性率(%)を測定した。その結果、改変前のアマドリアーゼ(PcFPOX)の残存活性率が22.3%であったのに対し、本発明のアマドリアーゼ(PcFPOX−C97S)では88.8%と、残存活性率として、66.5%増加、残存活性率の比としては約4.0倍に向上し、本発明のアマドリアーゼにおける防腐剤耐性が顕著に増加していることが確認された。なお、PcFPOXとPcFPOX−C97Sの間で、各基質に対するKm値、Kcat値にはほとんど差が見られず、防腐剤耐性を付与する変異による基質反応性への影響はほとんどみられないことがわかった。
こうして得られたアマドリアーゼ改変体(PcFPOX−C97S)および改変前のアマドリアーゼ(PcFPOX)にそれぞれ、防腐剤として0.010%(v/v)のプロクリン300(シグマアルドリッチ社製)を添加し、30℃、1時間処理した後に、残存酵素活性率(%)を測定した。その結果、改変前のアマドリアーゼ(PcFPOX)の残存活性率が22.3%であったのに対し、本発明のアマドリアーゼ(PcFPOX−C97S)では88.8%と、残存活性率として、66.5%増加、残存活性率の比としては約4.0倍に向上し、本発明のアマドリアーゼにおける防腐剤耐性が顕著に増加していることが確認された。なお、PcFPOXとPcFPOX−C97Sの間で、各基質に対するKm値、Kcat値にはほとんど差が見られず、防腐剤耐性を付与する変異による基質反応性への影響はほとんどみられないことがわかった。
(1)組換え体プラスミドpKK223−3−CFP−T9 DNAの調製
実施例2(1)と同様の方法により、組換え体プラスミドpKK223−3−CFP−T9 DNAを得た。
実施例2(1)と同様の方法により、組換え体プラスミドpKK223−3−CFP−T9 DNAを得た。
(2)組換え体プラスミドpKK223−3−CFP−T9 DNAの部位特異的改変操作
得られた組換え体プラスミドpKK223−3−CFP−T9 DNAを鋳型として、配列番号27、8の合成オリゴヌクレオチド、KOD−Plus−(東洋紡績社製)を用い、以下の条件でPCR反応を行った。
得られた組換え体プラスミドpKK223−3−CFP−T9 DNAを鋳型として、配列番号27、8の合成オリゴヌクレオチド、KOD−Plus−(東洋紡績社製)を用い、以下の条件でPCR反応を行った。
すなわち、10×KOD−Plus−緩衝液を5μl、dNTPが各2mMになるよう調製されたdNTPs混合溶液を5μl、25mMのMgSO4溶液を2μl、鋳型となるpKK223−3−CFP−T9 DNAを50ng、上記合成オリゴヌクレオチドをそれぞれ15pmol、KOD−Plus−を1Unit加えて、滅菌水により全量を50μlとした。調製した反応液をサーマルサイクラー(エッペンドルフ社製)を用いて、94℃で2分間インキュベートし、続いて、「94℃、15秒」−「50℃、30秒」−「68℃、6分」のサイクルを30回繰り返した。
反応液の一部を1.0%アガロースゲルで電気泳動し、約6,000bpのDNAが特異的に増幅されていることを確認した。こうして得られたDNAを制限酵素DpnI(New England Biolabs社製)で処理し、残存している鋳型DNAを切断した後、大腸菌JM109を形質転換し、LB−amp寒天培地に展開した。生育したコロニーをLB−amp培地に接種して振とう培養し、上記(1)と同様の方法でプラスミドDNAを単離した。該プラスミド中のアマドリアーゼをコードするDNAの塩基配列を、マルチキャピラリーDNA解析システムCEQ2000(ベックマン・コールター社製)を用いて決定し、配列番号3記載のアミノ酸配列の97位のシステインがアスパラギンに置換された改変型アマドリアーゼをコードする組換え体プラスミド(pKK223−3−CFP−T9−C97N)を得た。
さらに、pKK223−3−CFP−T9 DNAを鋳型として、配列番号28、8の合成オリゴヌクレオチド、KOD−Plus−(東洋紡績社製)を用い、上記と同様の操作を行うことにより、配列番号3記載のアミノ酸配列の97位のシステインがアラニンに置換された改変型アマドリアーゼをコードする組換え体プラスミド(pKK223−3−CFP−T9−C97A)を得た。
(3)アマドリアーゼ改変体の生産
実施例2(3)と同様の方法により、アマドリアーゼ改変体を生産、取得した。
実施例2(3)と同様の方法により、アマドリアーゼ改変体を生産、取得した。
(4)アマドリアーゼ改変体の防腐剤耐性評価
こうして得られたアマドリアーゼ改変体(CFP−T9−C97N、およびCFP−T9−C97A)および改変前のアマドリアーゼ(CFP−T9)にそれぞれ、防腐剤として0.025%(v/v)のプロクリン300(シグマアルドリッチ社製)を添加し、30℃、1時間処理した後に、残存酵素活性率(%)を測定した。その結果、改変前のアマドリアーゼ(CFP−T9)の残存活性率が77.8%であったのに対し、本発明のアマドリアーゼ(CFP−T9−C97N)では97.5%、本発明のアマドリアーゼ(CFP−T9−C97A)では83.1%と、残存活性率としてそれぞれ19.7%、5.3%増加、残存活性率の比としては、それぞれ約1.3、1.1倍に向上し、本発明のアマドリアーゼにおける防腐剤耐性が顕著に増加していることが確認された。なお、CFP−T9とCFP−T9−C97NおよびCFP−T9−C97Aの間で、各基質に対するKm値、Kcat値にはほとんど差が見られず、防腐剤耐性を付与する変異による基質反応性への影響はほとんどみられないことがわかった。
こうして得られたアマドリアーゼ改変体(CFP−T9−C97N、およびCFP−T9−C97A)および改変前のアマドリアーゼ(CFP−T9)にそれぞれ、防腐剤として0.025%(v/v)のプロクリン300(シグマアルドリッチ社製)を添加し、30℃、1時間処理した後に、残存酵素活性率(%)を測定した。その結果、改変前のアマドリアーゼ(CFP−T9)の残存活性率が77.8%であったのに対し、本発明のアマドリアーゼ(CFP−T9−C97N)では97.5%、本発明のアマドリアーゼ(CFP−T9−C97A)では83.1%と、残存活性率としてそれぞれ19.7%、5.3%増加、残存活性率の比としては、それぞれ約1.3、1.1倍に向上し、本発明のアマドリアーゼにおける防腐剤耐性が顕著に増加していることが確認された。なお、CFP−T9とCFP−T9−C97NおよびCFP−T9−C97Aの間で、各基質に対するKm値、Kcat値にはほとんど差が見られず、防腐剤耐性を付与する変異による基質反応性への影響はほとんどみられないことがわかった。
本明細書で引用した全ての刊行物、特許および特許出願をそのまま参考として本明細書にとり入れるものとする。
Claims (9)
- 配列番号1、配列番号3または配列番号9に示すアミノ酸配列に1または数個のアミノ酸の欠失、挿入、付加、および/または置換がなされたアミノ酸配列を有し、それぞれ、配列番号1、配列番号3または配列番号9に示すアミノ酸配列を有するアマドリアーゼと比較して、イソチアゾリン系化合物の防腐剤への耐性が向上しているアマドリアーゼ。
- 配列番号1、配列番号3または配列番号9に示すアミノ酸配列の以下(a)から(c)よりなる群から選択されるアミノ酸に対応する位置で1つまたはそれ以上のアミノ酸残基の置換を有し、前記置換を行う前のアマドリアーゼと比較して、イソチアゾリン系化合物の防腐剤への耐性が向上していることを特徴とするアマドリアーゼ:
(a)配列番号1、配列番号3または配列番号9に示すアミノ酸配列の97位のシステイン;
(b)配列番号9に示すアミノ酸配列の302位のメチオニン;および
(c)配列番号1、配列番号3または配列番号9に示すアミノ酸配列の360位のシステイン。 - 配列番号1、配列番号3または配列番号9に示すアミノ酸の以下(d)から(f)よりなる群から選択される1つまたはそれ以上のアミノ酸に対応する位置のアミノ酸が、以下(d)から(f)の各々に記載される置換後のアミノ酸残基へと置換されたアマドリアーゼ:
(d)配列番号1、配列番号3または配列番号9に示すアミノ酸配列の97位のシステインがセリン、アスパラギン、アラニンのいずれかに置換されている;
(e)配列番号9に示すアミノ酸配列の302位のメチオニンがトリプトファンに置換されている;および
(f)配列番号1、配列番号3または配列番号9に示すアミノ酸配列の360位のシステインがセリンに置換されている。 - 以下の(g)または(h)で表されるアマドリアーゼ活性を有する親タンパク質を構成するアミノ酸配列において97位のシステイン残基がセリン、アスパラギン、アラニンのいずれかに置換されたことを特徴とする改変タンパク質であるアマドリアーゼ:
(g)配列番号1、配列番号3または配列番号9に示すアミノ酸配列からなり、かつアマドリアーゼ活性を有するタンパク質;および
(h)(g)のアミノ酸配列において、97位のシステイン残基以外のアミノ酸の1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸からなり、かつアマドリアーゼ活性を有するタンパク質。 - 請求項1から請求項4のいずれかに記載のアミノ酸配列をコードするアマドリアーゼ遺伝子。
- 請求項5記載のアマドリアーゼ遺伝子を含む組換えベクター。
- 請求項6記載の組換えベクターを含む宿主細胞。
- アマドリアーゼを製造する方法であり、以下の工程を含む方法:
(i)請求項7記載の宿主細胞を培養する工程;
(ii)宿主細胞に含まれるアマドリアーゼ遺伝子を発現させる工程;および
(iii)培養物からアマドリアーゼを単離する工程。 - 請求項1から請求項4のいずれかに記載のアマドリアーゼを含む、糖化ヘモグロビンの測定に用いるためのキット。
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