JP6764219B2 - グッド緩衝液に対して安定なアマドリアーゼ - Google Patents

グッド緩衝液に対して安定なアマドリアーゼ Download PDF

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Description

本発明は、糖尿病の診断用酵素として、また、糖尿病マーカーの測定キットに有利に利用され得るグッド緩衝液に対して安定なアマドリアーゼ、その遺伝子及び組換え体DNA並びに製造方法に関する。
糖化タンパク質は、グルコースなどのアルドース(アルデヒド基を潜在的に有する単糖及びその誘導体)のアルデヒド基と、タンパク質のアミノ基が非酵素的に共有結合を形成し、アマドリ転移することにより生成したものである。タンパク質のアミノ基としてはアミノ末端のαアミノ基、タンパク質中のリシン残基側鎖のεアミノ基が挙げられる。生体内で生じる糖化タンパク質としては血液中のヘモグロビンが糖化された糖化ヘモグロビン、アルブミンが糖化された糖化アルブミンなどが知られている。
これら生体内で生じる糖化タンパク質の中でも、糖尿病の臨床診断分野において、糖尿病患者の診断や症状管理のための重要な血糖コントロールマーカーとして、糖化ヘモグロビン(HbA1c)が注目されている。血液中のHbA1c濃度は過去の一定期間の平均血糖値を反映しており、その測定値は糖尿病の症状の診断や管理において重要な指標となっている。
このHbA1cを迅速かつ簡便に測定する方法として、アマドリアーゼを用いる酵素的方法、すなわち、HbA1cをプロテアーゼ等で分解し、そのβ鎖アミノ末端より遊離させたα−フルクトシルバリルヒスチジン(以降「αFVH」と表す。)若しくはα−フルクトシルバリン(以降「αFV」と表す。)を定量する方法が提案されている(例えば、特許文献1〜7参照。)。実際には、HbA1cからαFVを切り出す方法では、夾雑物等による影響が大きく、正確な測定値が得られないという課題があり、より正確な測定値を得る目的から、特に現在ではαFVHを測る方法が主流となっている。
アマドリアーゼは、酸素の存在下で、イミノ2酢酸若しくはその誘導体(「アマドリ化合物」ともいう)を酸化して、グリオキシル酸又はα−ケトアルデヒド、アミノ酸又はペプチド及び過酸化水素を生成する反応を触媒する。
アマドリアーゼは、細菌、酵母、真菌から見出されているが、特にHbA1cの測定に有用である、αFVH及び/又はαFVに対する酵素活性を有するアマドリアーゼとしては、例えば、コニオカエタ(Coniochaeta)属、ユーペニシリウム(Eupenicillium)属、ピレノケータ(Pyrenochaeta)属、アルスリニウム(Arthrinium)属、カーブラリア(Curvularia)属、ネオコスモスポラ(Neocosmospora)属、クリプトコッカス(Cryptococcus)属、フェオスフェリア(Phaeosphaeria)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、エメリセラ(Emericella)属、ウロクラディウム(Ulocladium)属、ペニシリウム(Penicillium)属、フザリウム(Fusarium)属、アカエトミエラ(Achaetomiella)属、アカエトミウム(Achaetomium)属、シエラビア(Thielavia)属、カエトミウム(Chaetomium)属、ゲラシノスポラ(Gelasinospora)属、ミクロアスカス(Microascus)属、レプトスフェリア(Leptosphaeria)属、オフィオボラス(Ophiobolus)属、プレオスポラ(Pleospora)属、コニオケチジウム(Coniochaetidium)属、ピチア(Pichia)属、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属、アグロバクテリウム(Agrobacterium)属、アルスロバクター(Arthrobacter)属由来のアマドリアーゼが報告されている(例えば、特許文献1、6〜15、非特許文献1〜11参照。)。なお、上記報告例の中で、アマドリアーゼは、文献によってはケトアミンオキシダーゼやフルクトシルアミノ酸オキシダーゼ、フルクトシルペプチドオキシダーゼ、フルクトシルアミンオキシダーゼ等の表現で記載されている場合もある。
HbA1cを測定する際に、測定用の試薬組成物中にはアマドリアーゼが過剰に含有されていることが知られている。例えば、終濃度0.36μMのHbA1cを測定する際に、アマドリアーゼは1.4kU/L、すなわち1分間当たり1.4mMの基質を反応させることができる濃度を用いている(特許文献16参照。)。アマドリアーゼを用いたHbA1cの測定は、自動分析装置を用いた手法が主流となっており、そのアマドリアーゼの基質との反応時間は5分〜25分程度で測定を行うことが多い。アマドリアーゼを過剰量で含有させる理由は、上記のような短時間の測定時間の中で基質に対し十分に反応させるためであり、また、アマドリアーゼの反応性や安定性に大きな負の影響を与え得る物質が測定用組成物中に共存する場合には、この影響への対策として、アマドリアーゼを過剰に配合せざるを得ないためである。
測定用組成物にはリン酸緩衝液やクエン酸緩衝液等が使用されることがある。しかしながらHbA1c測定キットでは、リン酸やクエン酸は血液中のカルシウムと反応し、沈殿物を生じさせるという問題がある。
公知の文献中に各種アマドリアーゼの液状における安定性に関する開示がみられる:Coniochaeta sp. NISL 9330株由来アマドリアーゼを含んだ溶液に、5mMのエチレンジアミン4酢酸及び3%のグリシンを添加した際は、30℃、7日間後において79%の残存活性を維持していることが特許文献17に示されている。特許文献17では、安定化剤を使用しない場合、20mMのトリス-塩酸緩衝液(pH 8.0)にConiochaeta sp. NISL 9330株由来アマドリアーゼを添加し、30℃、7日間保存した後の酵素活性が1%まで低下したことが報告されている。また、Fusarium oxysporum IFO-9972株由来フルクトシルアミノ酸オキシダーゼを含んだ溶液に、3%のL−アラニン、3%のグリシン又は3%のザルコシンを添加した際は、37℃、2日間後において100%の残存活性を維持していることが特許文献18に示されている。特許文献18では、安定化剤を使用しない場合、150mMのトリス−HCl緩衝液(pH 8.5)及びFusarium oxysporum IFO-9972株由来フルクトシルアミノ酸オキシダーゼを含んだ溶液を、37℃、2日間保存した後の相対感度は30%に低下したことが記載されている。特許文献19は、ACES、ADA、フルクトシルアミノ酸オキシダーゼを含む組成物における、ハロゲン酸化物の有無による測定への影響を記載している。記載されている組成物は安定化剤を含むものである。
しかしながら、グッド緩衝液に対して安定なアマドリアーゼ、例えばグッド緩衝液の存在下で熱安定なアマドリアーゼに関する報告はされていない。
国際公開第2004/104203号 国際公開第2005/49857号 特開2001−95598号公報 特公平05−33997号公報 特開平11−127895号公報 国際公開第97/13872号 特開2011−229526号公報 特開2003−235585号公報 特開2004−275013号公報 特開2004−275063号公報 特開2010−35469号公報 特開2010−57474号公報 国際公開第2010/41715号 国際公開第2010/41419号 国際公開第2011/15325号 国際公開第2012/020744号 特開2006−325547号公報 特開2009−000128号公報 国際公開第2012/173185号
Biochem. Biophys. Res. Commun. 311, 104-11, 2003 Biotechnol. Bioeng. 106, 358-66, 2010 J. Biosci. Bioeng. 102, 241-3, 2006 Eur. J. Biochem. 242, 499-505, 1996 Arch.Microbiol.178,344-50, 2002 Mar.Biotechnol.6,625-32, 2004 Biosci. Biotechnol. Biochem.59, 487-91, 1995 Appl. Microbiol. Biotechnol. 74, 813-819, 2007 Biosci. Biotechnol. Biochem. 66, 1256-61, 2002 Biosci. Biotechnol. Biochem. 66, 2323-29, 2002 Biotechnol. Letters 27, 27-32, 2005
上述のように従来、アマドリアーゼは、測定時間中に基質に対し十分に反応するよう過剰量で使用されてきた。本発明者は、従来より利用されているアマドリアーゼ(FPOX)がリン酸のようなアニオンに対して高い安定性を示す一方で、HEPESやTES等のグッド緩衝液に対して安定性が低いことを今回新たに見出した。よって、従来のアマドリアーゼよりも、グッド緩衝液の存在下で安定な酵素を作製すれば、生化学検査に広く使用されているグッド緩衝剤の使用が容易となり、酵素及びキットの流通や反応における利便性や、キットに処方するアマドリアーゼや安定化剤の量の低減による低コスト化に貢献することができる。したがって本発明が解決しようとする課題は、従来のアマドリアーゼと比較してグッド緩衝液の存在下でも安定なアマドリアーゼを提供すること、例えばグッド緩衝液の存在下でも熱安定性の高いアマドリアーゼを提供すること、並びにグッド緩衝液存在下でも、HbA1c又はそれに由来する糖化ペプチドの定量が可能な試薬組成物を提供することにある。
酵素に、グッド緩衝液の存在下での安定性をアマドリアーゼに付与するための情報がほとんど開示されていない中で、本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、アマドリアーゼに特定のアミノ酸残基の置換を導入することにより、また、グッド緩衝液の存在下でも活性が残存するアマドリアーゼを試薬組成物に含有することにより、上記課題を解決し得ることを見出した。
すなわち、本発明は以下を包含する。
[1] (i)アマドリアーゼのアミノ酸配列を、配列番号1記載のアミノ酸配列とアライメントしたときに、配列番号1に示すアミノ酸配列における288位、290位、及び311位からなる群より選択される位置に対応する位置において1以上のアミノ酸置換を有し、アマドリアーゼ活性を有し、配列番号1、6又は9のアミノ酸配列と70%以上の配列同一性を有するアマドリアーゼ、
(ii)前記(i)のアマドリアーゼにおいて、配列番号1に示すアミノ酸配列における288位、290位及び311位に対応する位置以外の位置における1又は数個のアミノ酸が置換、欠失又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつアマドリアーゼ活性を有するアマドリアーゼ、或いは
(iii)前記(i)のアマドリアーゼにおいて、当該アマドリアーゼの全長アミノ酸配列が配列番号1、6又は9のアミノ酸配列と70%以上の配列同一性を有し、配列番号1の第10位〜32位、36〜41位、49〜52位、54〜58位、63〜65位、73〜75位、84〜86位、88〜90位、120〜122位、145〜150位、156〜162位、164〜170位、180〜182位、202〜205位、207〜211位、214〜224位、227〜230位、236〜241位、243〜248位、258〜261位、266〜268位、270〜273位、275〜287位、295〜297位、306〜308位、310〜316位、324〜329位、332〜334位、341〜344位、346〜355位、357〜363位、370〜383位、385〜387位、389〜394位、405〜410位及び423〜431位のアミノ酸配列からなる相同性領域におけるアミノ酸配列と当該アマドリアーゼの対応する位置の相同性領域におけるアミノ酸配列とが90%以上の配列同一性を有し、かつアマドリアーゼ活性を有するアマドリアーゼ。
[2] アマドリアーゼのアミノ酸配列を、配列番号1記載のアミノ酸配列とアライメントしたときに、配列番号1に示すアミノ酸配列における288位に対応する位置のアミノ酸がアスパラギン、アラニン、若しくはグルタミンである、配列番号1に示すアミノ酸配列における290位に対応する位置のアミノ酸がグルタミンである、及び配列番号1に示すアミノ酸配列における311位に対応する位置のアミノ酸がグルタミン、アスパラギン、若しくはアラニンである、からなる群より選択されるアミノ酸置換を1以上有する、1に記載のアマドリアーゼ。
[3] アマドリアーゼ活性を有し、配列番号1記載のアミノ酸配列とアライメントしたときに、
(i)配列番号1に示すアミノ酸配列における288位に対応する位置のアミノ酸がアスパラギン、アラニン、若しくはグルタミンであり、かつ、配列番号1に示すアミノ酸配列における290位に対応する位置のアミノ酸がグルタミンである、
(ii)配列番号1に示すアミノ酸配列における288位に対応する位置のアミノ酸がアスパラギン、アラニン、若しくはグルタミンであり、かつ、配列番号1に示すアミノ酸配列における311位に対応する位置のアミノ酸がグルタミン、アスパラギン、若しくはアラニンである、又は
(iii)配列番号1に示すアミノ酸配列における290位に対応する位置のアミノ酸がグルタミンであり、かつ、配列番号1に示すアミノ酸配列における311位に対応する位置のアミノ酸がグルタミン、アスパラギン、若しくはアラニンである、1又は2に記載のアマドリアーゼ。
[4] アマドリアーゼ活性を有し、配列番号1記載のアミノ酸配列とアライメントしたときに、配列番号1に示すアミノ酸配列における288位に対応する位置のアミノ酸がアスパラギン、アラニン、若しくはグルタミンであり、配列番号1に示すアミノ酸配列における290位に対応する位置のアミノ酸がグルタミンであり、かつ、配列番号1に示すアミノ酸配列における311位に対応する位置のアミノ酸がグルタミン、アスパラギン、若しくはアラニンである、1〜3のいずれかに記載のアマドリアーゼ。
[5] 前記アマドリアーゼが、コニオカエタ(Coniochaeta)属、ユーペニシリウム(Eupenicillium)属、ピレノケータ(Pyrenochaeta)属、アルスリニウム(Arthrinium)属、カーブラリア(Curvularia)属、ネオコスモスポラ(Neocosmospora)属、クリプトコッカス(Cryptococcus)属、フェオスフェリア(Phaeosphaeria)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、エメリセラ(Emericella)属、ウロクラディウム(Ulocladium)属、ペニシリウム(Penicillium)属、フザリウム(Fusarium)属、アカエトミエラ(Achaetomiella)属、アカエトミウム(Achaetomium)属、シエラビア(Thielavia)属、カエトミウム(Chaetomium)属、ゲラシノスポラ(Gelasinospora)属、ミクロアスカス(Microascus)属、レプトスフェリア(Leptosphaeria)属、オフィオボラス(Ophiobolus)属、プレオスポラ(Pleospora)属、コニオケチジウム(Coniochaetidium)属、ピチア(Pichia)属、デバリオマイセス(Debaryomyces)属、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属、アグロバクテリウム(Agrobacterium)属、又はアルスロバクター(Arthrobacter)属由来である、1〜4のいずれかに記載のアマドリアーゼ。
[6] 配列番号1、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12又は配列番号13に示すアミノ酸配列を有し、かつ1〜4のいずれかに規定したアミノ酸置換を有する、1〜4のいずれかに記載のアマドリアーゼ。
[7] 1〜6のいずれかに記載のアミノ酸配列をコードするアマドリアーゼ遺伝子。
[8] 以下の工程:
(i)7に記載の遺伝子が形質導入された宿主細胞を培養する工程;
(ii)宿主細胞に含まれるアマドリアーゼ遺伝子を発現させる工程;及び
(iii)培養物からアマドリアーゼを単離する工程を含む、アマドリアーゼを製造する方法。
[9] 1〜6のいずれかに記載のアマドリアーゼ、並びに、アセトアミドグリシン、ACES(N-(2-アセトアミド)-2-アミノエタンスルホン酸)、ADA(N-(2-アセトアミド)イミノ二酢酸)、BES(N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2-アミノエタンスルホン酸)、Bicin(N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)グリシン)、Bis−Tris(ビス(2-ヒドロキシエチル)イミノトリス(ヒドロキシメチル)メタン)、コラミン塩酸、EPPS(4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンプロパンスルホン酸)、グリシンアミド、HEPES(4-2-ヒドロキシエチル-1-ピペラジンエタンスルホン酸)、HEPPSO(N-(ヒドロキシエチル)ピペラジン-N'-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸)、MES(2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸)、MOPS(3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸)、MOPSO(2-ヒドロキシ-3-モルホリノプロパンスルホン酸)、PIPES(ピペラジン-N,N'-ビス(2-エタンスルホン酸))、POPSO(ピペラジン-1,4-ビス(2-ヒドロキシプロパンスルホン酸))、TAPS(N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル-3-アミノプロパンスルホン酸)、TAPSO(3-[N-トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ]-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸)、TES(N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル-2-アミノエタンスルホン酸)、トリシン(N-トリス(ヒドロキシメチル)メチルグリシン)、AMPSO(N-(1,1-ジメチル-2-ヒドロキシエチル)-3-アミノ-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸)、CABS(4-(シクロヘキシルアミノ)-1-ブタンスルホン酸)、CAPS(N-シクロヘキシル-3-アミノプロパンスルホン酸)、CHES(N-シクロヘキシル-2-アミノエタンスルホン酸)、CAPSO(N-シクロヘキシル-2-ヒドロキシル-3-アミノプロパンスルホン酸)、DIPSO(3-(N,N-ビス[2-ヒドロキシエチル]アミノ)-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸)及びこれらの混合物からなる群より選択されるグッド緩衝剤を含む、ヘモグロビンA1c測定用試薬キット。
[10] 1〜6のいずれかに記載のアマドリアーゼ又は9に記載のキットを用いる、糖化ヘモグロビンの測定方法。
本発明は、糖尿病の診断用酵素として、また、糖尿病マーカーの測定キットに利用されるグッド緩衝液の存在下で安定なアマドリアーゼ、例えばグッド緩衝液の存在下で熱安定性の高いアマドリアーゼ及びそれをコードする遺伝子等を提供する。このアマドリアーゼを用いると、グッド緩衝液の存在下でも糖化ヘモグロビンの測定を行うことができる。また、従来よりも高温環境での測定が可能となり、さらに測定試薬の長期保存安定性も向上する。
各種公知のアマドリアーゼのアミノ酸配列のアライメントである。 図1−1の続きである。 図1−2の続きである。 図1−3の続きである。 図1−4の続きである。
以下、本発明を詳細に説明する。
(糖化タンパク質、ヘモグロビンA1c)
本発明における糖化タンパク質とは、非酵素的に糖化されたタンパク質を指す。糖化タンパク質は生体内、外を問わず存在し、生体内に存在する例としては、血液中の糖化ヘモグロビン、糖化アルブミンなどがあり、糖化ヘモグロビンの中でもヘモグロビンのβ鎖アミノ末端のバリンが糖化された糖化ヘモグロビンを特にヘモグロビンA1c(HbA1c)と言う。生体外に存在する例としては、タンパク質やペプチドと糖が共存する液状調味料などの飲食品や輸液などがある。
(糖化ペプチド、フルクトシルペプチド)
本発明における糖化ペプチドとは、糖化タンパク質由来の非酵素的に糖化されたペプチドを指し、ペプチドが直接非酵素的に糖化されたものや、プロテアーゼ等により糖化タンパク質が分解された結果生じたものや糖化タンパク質を構成する(ポリ)ペプチドが糖化されたものが含まれる。糖化ペプチドをフルクトシルペプチドと表記することもある。糖化タンパク質において、糖化を受けるペプチド側のアミノ基としては、アミノ末端のα−アミノ基、ペプチド内部のリシン残基側鎖のε−アミノ基などが挙げられるが、本発明における糖化ペプチドとは、より具体的には、α−糖化ペプチド(α−フルクトシルペプチド)である。α−糖化ペプチドは、N末端のα−アミノ酸が糖化された糖化タンパク質から何らかの手段、例えば、プロテアーゼによる限定分解などにより遊離させて形成される。例えば、対象の糖化タンパク質がヘモグロビンA1c(HbA1c)である場合、該当するα−糖化ペプチドは、N末端が糖化されているHbA1cのβ鎖から切り出される糖化されたペプチドを指す。146残基のアミノ酸により構成されているHbA1cのβ鎖もまたα−糖化ペプチドに該当する(αF146P)。
ある実施形態において本発明のアマドリアーゼが作用する測定物質(基質)は、HbA1c、より具体的にはHbA1cのβ鎖である。別の実施形態において本発明のアマドリアーゼが作用する測定物質はHbA1cのβ鎖から切り出されるα−糖化ペプチド、例えばαFV〜αF128P、αFV〜αF64P、αFV〜αF32P、αFV〜αF16P、例えばαF6P(α−フルクトシルバリルヒスチジルロイシルスレオニルプロリルグルタミン酸)である。別の実施形態において本発明のアマドリアーゼが作用する測定物質はαFVH(α−フルクトシルバリルヒスチジン)又はαFV(α−フルクトシルバリン)である。
(アマドリアーゼ)
アマドリアーゼは、ケトアミンオキシダーゼ、フルクトシルアミノ酸オキシダーゼ、フルクトシルペプチドオキシダーゼ、フルクトシルアミンオキシダーゼ等とも称され、酸素の存在下で、イミノ2酢酸又はその誘導体(アマドリ化合物)を酸化して、グリオキシル酸又はα−ケトアルデヒド、アミノ酸又はペプチド及び過酸化水素を生成する反応を触媒する酵素のことをいう。本明細書ではこの酵素活性をアマドリアーゼ活性、糖化基質に対する活性又は糖化ペプチドに対する酸化活性とよぶことがある。アマドリアーゼは、自然界に広く分布しており、微生物や、動物又は植物起源の酵素を探索することにより、得ることができる。微生物においては、例えば、糸状菌、酵母又は細菌等から得ることができる。
本発明のアマドリアーゼの一態様は、配列番号1に示されるアミノ酸配列を有するConiochaeta属由来のアマドリアーゼ又は配列番号6に示されるアミノ酸配列を有するCurvularia clavata由来のアマドリアーゼに基づき作製された、グッド緩衝液の存在下で安定なアマドリアーゼの変異体、特にグッド緩衝液の存在下で熱安定性の高いアマドリアーゼ変異体である。別の実施形態では、本発明のアマドリアーゼは、配列番号9に示されるアミノ酸配列を有するPhaeosphaeria nodorum由来のケトアミンオキシダーゼ(PnFX) に基づき作製される。このような変異体の例としては、配列番号1、6又は9と高い配列同一性(例えば、70%以上、好ましくは、75%以上、好ましくは、80%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、さらに好ましくは97%以上、最も好ましくは99%以上)を有するアミノ酸配列を有するアマドリアーゼ及び配列番号1のアミノ酸配列において、1から数個のアミノ酸が改変若しくは変異、又は、欠失、置換、付加及び/若しくは挿入されたアミノ酸配列を有するアマドリアーゼを挙げることができる。
なお、本発明のアマドリアーゼは例えば、Eupenicillium属、Pyrenochaeta属、Arthrinium属、Curvularia属、Neocosmospora属、Cryptococcus属、Phaeosphaeria属、Aspergillus属、Emericella属、Ulocladium属、Penicillium属、Fusarium属、Achaetomiella属、Achaetomium属、Thielavia属、Chaetomium属、Gelasinospora属、Microascus属、Leptosphaeria属、Ophiobolus属、Pleospora属、Coniochaetidium属、Pichia属、Corynebacterium属、Agrobacterium属、Arthrobacter属などの生物種に由来するアマドリアーゼに基づき作製されたものでもよい。これらの中でもグッド緩衝液の存在下で安定であり、かつ/又はアミノ酸配列が上記のように配列番号1と高い配列同一性を有するものが好ましい。
グッド緩衝液の存在下で安定なアマドリアーゼの変異体(改変体)は、アマドリアーゼのアミノ酸配列において少なくとも1つのアミノ酸残基を置換する、付加する、又は欠失させることによって得ることができる。
グッド緩衝液の存在下での安定性の向上をもたらすアミノ酸の置換として、配列番号1に示すアミノ酸配列における以下の位置のアミノ酸に対応する位置のアミノ酸の置換が挙げられる。
(1)288位のアルギニンに対応する位置のアミノ酸の置換、例えば、アスパラギン、アラニン、又はグルタミンへの置換。
(2)290位のリシンに対応する位置のアミノ酸の置換、例えば、グルタミンへの置換。
(3)311位のリシンに対応する位置のアミノ酸の置換、例えば、グルタミン、アラニン又はアスパラギンへの置換。
グッド緩衝液の存在下での安定性が向上したアマドリアーゼの変異体は、上記アミノ酸置換を少なくとも1つ有していればよく、複数のアミノ酸置換を有していてもよい。例えば、上記アミノ酸置換の1、2、又は3つを有している。
その中でも、以下のアミノ酸の位置に対応するアミノ酸の置換を有している変異体が好ましい。
(1)−(2) 288位のアルギニンに対応する位置のアミノ酸の置換、及び290位のリシンに対応する位置のアミノ酸の置換、例えば、288位のアルギニンに対応する位置のアミノ酸のアスパラギン、アラニン、又はグルタミンへの置換及び290位のリシンに対応する位置のアミノ酸のグルタミンへの置換を有する変異体。
(1)−(3) 288位のアルギニンに対応する位置のアミノ酸の置換、及び311位のリシンに対応する位置のアミノ酸の置換、例えば、288位のアルギニンに対応する位置のアミノ酸のアスパラギン、アラニン、又はグルタミンへの置換及び311位のリシンに対応する位置のアミノ酸のグルタミン、アスパラギン、又はアラニンへの置換を有する変異体。
(2)−(3) 290位のリシンに対応する位置のアミノ酸の置換及び311位のリシンに対応する位置のアミノ酸の置換、例えば、290位のリシンに対応する位置のアミノ酸のグルタミンへの置換及び311位のリシンに対応する位置のアミノ酸のグルタミン、アスパラギン、又はアラニンへの置換を有する変異体。
(1)−(2)−(3) 288位のアルギニンに対応する位置のアミノ酸の置換、290位のリシンに対応する位置のアミノ酸の置換及び311位のリシンに対応する位置のアミノ酸の置換、例えば、288位のアルギニンに対応する位置のアミノ酸のアスパラギン、アラニン、又はグルタミンへの置換、290位のリシンに対応する位置のアミノ酸のグルタミンへの置換及び311位のリシンに対応する位置のアミノ酸のグルタミン、アスパラギン、又はアラニンへの置換を有する変異体。
本発明のグッド緩衝液の存在下で安定性の優れたアマドリアーゼ変異体は、上記のアミノ酸置換を、配列番号1のアミノ酸配列における位置に対応する位置において有し得る。また、本発明のグッド緩衝液の存在下での安定性の向上したアマドリアーゼ変異体は、それらの置換アミノ酸以外の位置で、さらに1又は数個(例えば1〜15個、例えば1〜10個、例えば1〜5個、例えば1〜3個、例えば1個)のアミノ酸が欠失、挿入、付加及び/又は置換されていてもよい。さらに本発明は、上記のグッド緩衝液の存在下での安定性の向上をもたらすアミノ酸の置換の他に、基質特異性、界面活性剤耐性、デヒドロゲナーゼ活性等の他の性質を変化又は向上させるアミノ酸の置換変異を有し、配列番号1に示すアミノ酸配列における前記置換したアミノ酸以外のアミノ酸を除いた部分のアミノ酸配列に対して、70%以上、75%以上、80%以上、90%以上、さらに好ましくは95%以上、さらに好ましくは97%以上、特に好ましくは99%以上のアミノ酸配列同一性を有し、アマドリアーゼ活性を有し、グッド緩衝液の存在下での安定性の向上したアマドリアーゼ変異体を包含する。
なお、配列番号1に示されるアミノ酸配列を有するアマドリアーゼは、国際公開2007/125779号においてpKK223-3-CFP-T7と称する組換え体プラスミド(寄託番号:FERM BP-10593)を保持する大腸菌が生産するConiochaeta属由来のアマドリアーゼ(CFP-T7)であり、先に出願人が見出した熱安定性の優れた改変型アマドリアーゼである。このCFP-T7は、天然型のConiochaeta属由来のアマドリアーゼに対し、272位、302位及び388位に人為的な変異を順次導入することにより獲得した3重変異体である。
上記のアミノ酸置換において、アミノ酸の位置は配列番号1に示されるConiochaeta属由来のアマドリアーゼのアミノ酸配列における位置を表しているが、他の生物種由来のアマドリアーゼのアミノ酸配列においては、配列番号1に示されるアミノ酸配列における位置に対応する位置のアミノ酸が置換されている。「対応する位置」の意味については後述する。
(さらなる置換)
(アマドリアーゼの基質特異性を変化させるアミノ酸置換について)
本発明者は、アマドリアーゼのアミノ酸残基を置換することによりその基質特異性を変化させることができることを以前に報告した(例えば国際公開2013/162035号を参照のこと。参照によりその全内容を本明細書に組み入れる)。本発明のアマドリアーゼは、場合により、さらにこのようなアミノ酸置換を有してもよい。
アマドリアーゼの基質特異性を変化させるアミノ酸の置換として、配列番号1に示すアミノ酸配列における以下の位置のアミノ酸に対応する位置のアミノ酸の置換が挙げられる。
(a)62位のアルギニン
(b)63位のロイシン
(c)102位のグルタミン酸
(d)106位のアスパラギン酸
(e)110位のグルタミン
(f)113位のアラニン
(g)355位のアラニン
(h)419位のアラニン
(i)68位のアスパラギン酸
(j)356位のアラニン
場合により62位のアルギニンに対応する位置のアミノ酸は、アラニン、アスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、バリン、ロイシン、イソロイシン、システイン、セリン、スレオニン、プロリンへと置換されてもよい。場合により63位のロイシンに対応する位置のアミノ酸は、ヒスチジン又はアラニンへと置換されてもよい。場合により102位のグルタミン酸に対応する位置のアミノ酸は、リシンへと置換されてもよい。場合により106位のアスパラギン酸に対応する位置のアミノ酸は、アラニン、リシン、又はアルギニンへと置換されてもよい。場合により110位のグルタミンに対応する位置のアミノ酸はロイシン又はチロシンへと置換されてもよい。場合により113位のアラニンに対応する位置のアミノ酸はリシン又はアルギニンへと置換されてもよい。場合により355位のアラニンに対応する位置のアミノ酸はセリンへと置換されてもよい。場合により419位のアラニンに対応する位置のアミノ酸はリシンへと置換されてもよい。場合により68位のアスパラギン酸に対応する位置のアミノ酸はアスパラギンへと置換されてもよい。場合により356位のアラニンに対応する位置のアミノ酸はスレオニンへと置換されてもよい。
本明細書では、これらの位置(62/63/68/102/106/110/113/355/419/356)への置換をアマドリアーゼの基質特異性を変化させるアミノ酸置換と呼ぶことがある。
(アマドリアーゼのカチオン性界面活性剤耐性を向上させるアミノ酸置換について)
本発明者らは、アマドリアーゼのアミノ酸残基を置換することによりそのカチオン性界面活性剤耐性を向上させることができることを確認している(特願2013-221515号及びPCT/JP2014/071036号明細書参照、これらは参照によりその全内容を本明細書に組み入れるものとする)。
アマドリアーゼのカチオン性界面活性剤耐性を向上させるアミノ酸の置換として、配列番号1に示すアミノ酸配列における以下の位置のアミノ酸に対応する位置のアミノ酸の置換が挙げられる。
(i)262位のアスパラギン、
(ii)257位のバリン、
(iii)249位のグルタミン酸
(iv)253位のグルタミン酸、
(v)337位のグルタミン、
(vi)340位のグルタミン酸、
(vii)232位のアスパラギン酸、
(viii)129位のアスパラギン酸、
(ix)132位のアスパラギン酸、
(x)133位のグルタミン酸、
(xi)44位のグルタミン酸、
(xii)256位のグリシン、
(xiii)231位のグルタミン酸、及び
(xiv)81位のグルタミン酸
場合により262位のアスパラギンに対応する位置のアミノ酸はヒスチジンへと置換されてもよい。場合により257位のバリンに対応する位置のアミノ酸はシステイン、セリン、スレオニンへと置換されてもよい。場合により249位のグルタミン酸に対応する位置のアミノ酸はリシン、アルギニンへと置換されてもよい。場合により253位のグルタミン酸に対応する位置のアミノ酸はリシン、アルギニンへと置換されてもよい。場合により337位のグルタミンに対応する位置のアミノ酸はリシン、アルギニンへと置換されてもよい。場合により340位のグルタミン酸に対応する位置のアミノ酸はプロリンへと置換されてもよい。場合により232位のアスパラギン酸に対応する位置のアミノ酸はリシン、アルギニンへと置換されてもよい。場合により129位のアスパラギン酸に対応する位置のアミノ酸はリシン、アルギニンへと置換されてもよい。場合により132位のアスパラギン酸に対応する位置のアミノ酸はリシン、アルギニンへと置換されてもよい。場合により133位のグルタミン酸に対応する位置のアミノ酸はアラニン、メチオニン、リシン、アルギニンへと置換されてもよい。場合により44位のグルタミン酸に対応する位置のアミノ酸はプロリンへと置換されてもよい。場合により256位のグリシンに対応する位置のアミノ酸はリシン、アルギニンへと置換されてもよい。場合により231位のグルタミン酸に対応する位置のアミノ酸はリシン、アルギニンへと置換されてもよい。場合により81位のグルタミン酸に対応する位置のアミノ酸はリシン、アルギニンへと置換されてもよい。
本明細書では、これらの位置(262/257/249/253/337/340/232/129/132/133/44/256/231/81)への置換をアマドリアーゼのカチオン性界面活性剤耐性を向上させるアミノ酸置換と呼ぶことがある。
(アマドリアーゼのデヒドロゲナーゼ活性の向上/オキシダーゼ活性の低減をもたらす置換)
本発明者らは、アマドリアーゼのアミノ酸残基を置換することによりそのデヒドロゲナーゼ活性を向上及び/又はオキシダーゼ活性を低減させることができることを確認している。例えば特願2014-217405号明細書を参照のこと(参照によりその全内容を本明細書に組み入れるものとする)。
アマドリアーゼのデヒドロゲナーゼ活性の向上及び/又はオキシダーゼ活性の低減をもたらすアミノ酸の置換として、配列番号1に示すアミノ酸配列における以下の位置のアミノ酸に対応する位置のアミノ酸の置換が挙げられる。
(1)280位のシステインの置換、例えば、グルタミン、セリン、スレオニン及びアスパラギンからなる群より選択される極性アミノ酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、リシン、アルギニン及びヒスチジンからなる群より選択される荷電アミノ酸、又はメチオニン、プロリン、フェニルアラニン、チロシン及びトリプトファンからなる群より選択されるアミノ酸への置換。
(2)267位のフェニルアラニンの置換、例えばチロシンへの置換。
(3)269位のフェニルアラニンの置換、例えばチロシンへの置換。
(4)54位のアスパラギン酸の置換、例えばアスパラギン、アラニン、グルタミン、ヒスチジン、グリシン又はバリンへの置換。
(5)241位のチロシンの置換、例えばグルタミン、リシン、グルタミン酸、アスパラギン、アスパラギン酸、アルギニン又はヒスチジンへの置換。
本明細書においてこれらの位置(280/267/269/54/241)への置換をアマドリアーゼのデヒドロゲナーゼ活性の向上及び/又はオキシダーゼ活性の低減をもたらすアミノ酸の置換と呼ぶことがある。
(アマドリアーゼのアニオン性界面活性剤耐性を向上させるアミノ酸置換について)
本発明者らは、アマドリアーゼのアミノ酸残基を置換することによりそのアニオン性界面活性剤耐性を向上させることができることを確認している。例えば特願2014-227548号明細書を参照のこと。この文献は参照によりその全内容を本明細書に組み入れるものとする。
アマドリアーゼのアニオン性界面活性剤耐性の向上をもたらすアミノ酸の置換として、配列番号1に示すアミノ酸配列における以下の位置のアミノ酸に対応する位置のアミノ酸の置換が挙げられる。本明細書では、これらの位置への置換を、アマドリアーゼのアニオン性界面活性剤に対する耐性を向上させるアミノ酸置換と呼ぶことがある。
(1)80位のリシン、
(2)71位のメチオニン、
(3)175位のグルタミン酸、
(4)172位のフェニルアラニン、
(5)279位のバリン、
(6)12位のバリン、
(7)9位のアルギニン、
(8)77位のグルタミン、
(9)30位のセリン、
(10)28位のバリン、
(11)13位のバリン、
(12)3位のセリン、
(13)4位のアスパラギン
場合により80位のリシンに対応する位置のアミノ酸は、アルギニン若しくはヒスチジンへと置換されていてもよい。場合により71位のメチオニンに対応する位置のアミノ酸は、ロイシン、イソロイシン、アラニン、グリシン、バリン若しくはシステインへと置換されていてもよい。場合により175位のグルタミン酸に対応する位置のアミノ酸は、アルギニン、ヒスチジン若しくはリシンへと置換されていてもよい。場合により172位のフェニルアラニンに対応する位置のアミノ酸は、グルタミン酸若しくはアスパラギン酸へと置換されていてもよい。場合により279位のバリンに対応する位置のアミノ酸は、イソロイシン若しくはシステインへと置換されていてもよい。場合により12位のバリンに対応する位置のアミノ酸は、例えばイソロイシン、ロイシン、システイン若しくはメチオニンへと置換されていてもよい。場合により9位のアルギニンに対応する位置のアミノ酸は、スレオニン、セリン、アスパラギン若しくはグルタミンへと置換されていてもよい。場合により77位のグルタミンに対応する位置のアミノ酸は、アスパラギン酸、若しくはグルタミン酸へと置換されていてもよい。場合により30位のセリンに対応する位置のアミノ酸は、アラニン、バリン、ロイシン若しくはイソロイシンへと置換されていてもよい。場合により28位のバリンに対応する位置のアミノ酸は、ロイシン、イソロイシン、アラニン若しくはシステインへと置換されていてもよい。場合により13位のバリンに対応する位置のアミノ酸は、イソロイシン、ロイシン、システイン若しくはメチオニンへと置換されていてもよい。場合により3位のセリンに対応する位置のアミノ酸は、スレオニンへと置換されていてもよい。場合により4位のアスパラギンに対応する位置のアミノ酸は、プロリンへと置換されていてもよい。
本明細書においてこれらの位置(80/71/175/172/279/12/9/77/30/28/13/3/4)への置換をアマドリアーゼのアマドリアーゼのアニオン性界面活性剤耐性を向上させるアミノ酸置換と呼ぶことがある。
(アマドリアーゼをコードする遺伝子の取得)
これらのアマドリアーゼをコードする本発明の遺伝子(以下、単に「アマドリアーゼ遺伝子」ともいう。)を得るには、通常一般的に用いられている遺伝子のクローニング方法が用いられる。例えば、アマドリアーゼ生産能を有する微生物菌体や種々の細胞から常法、例えば、Current Protocols in Molecular Biology(WILEY Interscience,1989)記載の方法により、染色体DNA又はmRNAを抽出することができる。さらにmRNAを鋳型としてcDNAを合成することができる。このようにして得られた染色体DNA又はcDNAを用いて、染色体DNA又はcDNAのライブラリーを作製することができる。
次いで、上記アマドリアーゼのアミノ酸配列に基づき、適当なプローブDNAを合成して、これを用いて染色体DNA又はcDNAのライブラリーからアマドリアーゼ遺伝子を選抜する方法、あるいは、上記アミノ酸配列に基づき、適当なプライマーDNAを作製して、5’RACE法や3’RACE法などの適当なポリメラーゼ連鎖反応(PCR法)により、アマドリアーゼをコードする目的の遺伝子断片を含むDNAを増幅させ、これらのDNA断片を連結させて、目的のアマドリアーゼ遺伝子の全長を含むDNAを得ることができる。
このようにして得られたアマドリアーゼをコードする遺伝子の好ましい一例として、Coniochaeta属由来のアマドリアーゼ遺伝子(特開2003-235585号公報)の例などが挙げられる。
これらのアマドリアーゼ遺伝子は、常法通り各種ベクターに連結されていることが、取扱い上好ましい。例えば、Coniochaeta sp. NISL 9330株由来のアマドリアーゼ遺伝子をコードするDNAがpKK223-3 Vector(GEヘルスケア社製)に挿入された組換え体プラスミドpKK223-3-CFP(特開2003-235585号公報)が挙げられる。
(ベクター)
本発明において用いることのできるベクターとしては、上記プラスミドに限定されることなくそれ以外の、例えば、バクテリオファージ、コスミド等の当業者に公知の任意のベクターを用いることができる。具体的には、例えば、pBluescriptII SK+(STRATAGENE社製)等が好ましい。
(アマドリアーゼ遺伝子の変異処理)
アマドリアーゼ遺伝子の変異処理は、企図する変異形態に応じた、公知の任意の方法で行うことができる。すなわち、アマドリアーゼ遺伝子あるいは当該遺伝子の組み込まれた組換え体DNAと変異原となる薬剤とを接触・作用させる方法;紫外線照射法;遺伝子工学的手法;又はタンパク質工学的手法を駆使する方法等を広く用いることができる。
上記変異処理に用いられる変異原となる薬剤としては、例えば、ヒドロキシルアミン、N−メチル−N’−ニトロ−N−ニトロソグアニジン、亜硝酸、亜硫酸、ヒドラジン、蟻酸又は5−ブロモウラシル等を挙げることができる。
上記接触・作用の諸条件は、用いる薬剤の種類等に応じた条件をとることが可能であり、現実に所望の変異をアマドリアーゼ遺伝子において惹起することができる限り特に限定されない。通常、好ましくは0.5〜12Mの上記薬剤濃度において、20〜80℃の反応温度下で10分間以上、好ましくは10〜180分間接触・作用させることで、所望の変異を惹起可能である。紫外線照射を行う場合においても、上記の通り常法に従い行うことができる(現代化学、p24〜30、1989年6月号)。
タンパク質工学的手法を駆使する方法としては、一般的に、Site-Specific Mutagenesisとして知られる手法を用いることができる。例えば、Kramer法(Nucleic Acids Res.,12,9441(1984):Methods Enzymol.,154,350(1987):Gene,37,73(1985))、Eckstein法(Nucleic Acids Res.,13,8749(1985):Nucleic Acids Res.,13,8765(1985):Nucleic Acids Res,14,9679(1986))、Kunkel法(Proc. Natl. Acid. Sci. U.S.A.,82,488(1985):Methods Enzymol.,154,367(1987))等が挙げられる。DNA中の塩基配列を変換する具体的な方法としては、例えば市販のキット(Transformer Mutagenesis Kit;Clonetech社, EXOIII/Mung Bean Deletion Kit;Stratagene製, Quick Change Site Directed Mutagenesis Kit;Stratagene製など)の利用が挙げられる。
また、一般的なPCR法(ポリメラーゼチェインリアクション、Polymerase Chain Reaction)として知られる手法を用いることもできる(Technique,1,11(1989))。なお、上記遺伝子改変法の他に、有機合成法又は酵素合成法により、直接所望の改変アマドリアーゼ遺伝子を合成することもできる。
上記方法により得られるアマドリアーゼ遺伝子のDNA塩基配列の決定若しくは確認を行う場合には、例えば、マルチキャピラリーDNA解析システムCEQ2000(ベックマン・コールター社製)等を用いることにより行うことができる。
(形質転換・形質導入)
上述の如くして得られたアマドリアーゼ遺伝子を、常法により、バクテリオファージ、コスミド、又は原核細胞若しくは真核細胞の形質転換に用いられるプラスミド等のベクターに組み込み、各々のベクターに対応する宿主を常法により、形質転換又は形質導入をすることができる。例えば、得られた組換え体DNAを用いて、任意の宿主、例えば、エッシェリシア属に属する微生物、具体例としては大腸菌K-12株、好ましくは大腸菌JM109株、大腸菌DH5α株(ともにタカラバイオ社製)や大腸菌B株、好ましくは大腸菌BL21株(ニッポンジーン社製)等を形質転換又はそれらに形質導入してそれぞれの菌株を得ることができる。
(アミノ酸配列の同一性)
アミノ酸配列の同一性又は類似性は、GENETYX Ver.11(ゼネティックス社製)のマキシマムマッチングやサーチホモロジー等のプログラム又はDNASIS Pro(日立ソリューションズ社製)のマキシマムマッチングやマルチプルアライメント等のプログラムにより計算することができる。アミノ酸配列同一性を計算するために、2以上のアマドリアーゼをアライメントしたときに、該2以上のアマドリアーゼにおいて同一であるアミノ酸の位置を調べることができる。こうした情報を基に、アミノ酸配列中の同一領域を決定できる。
また、2以上のアマドリアーゼにおいて類似であるアミノ酸の位置を調べることもできる。例えばCLUSTALWを用いて複数のアミノ酸配列をアライメントすることができ、この場合、アルゴリズムとしてBlosum62を使用し、複数のアミノ酸配列をアライメントしたときに類似と判断されるアミノ酸を類似アミノ酸と呼ぶことがある。本発明の変異体において、アミノ酸置換はこのような類似アミノ酸の間の置換によるものであり得る。こうしたアライメントにより、複数のアミノ酸配列について、アミノ酸配列が同一である領域及び類似アミノ酸によって占められる位置を調べることができる。こうした情報を基に、アミノ酸配列中の相同性領域(保存領域)を決定できる。
本明細書において「相同性領域」とは、2以上のアマドリアーゼをアライメントしたときに、ある基準となるアマドリアーゼと比較対象のアマドリアーゼの対応する位置におけるアミノ酸が同一であるか又は類似アミノ酸からなる領域であって、連続する3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、9以上又は10以上のアミノ酸からなる領域をいう。例えば、図1では全長アミノ酸配列の配列同一性が74%以上であるアマドリアーゼをアライメントした。このうち、配列番号1で示されるConiochaeta sp.アマドリアーゼを基準として第10位〜32位は同一又は類似アミノ酸からなり、よって相同性領域に該当する。同様に、配列番号1で示されるConiochaeta sp.アマドリアーゼを基準として36〜41位、49〜52位、54〜58位、63〜65位、73〜75位、84〜86位、88〜90位、120〜122位、145〜150位、156〜162位、164〜170位、180〜182位、202〜205位、207〜211位、214〜224位、227〜230位、236〜241位、243〜248位、258〜261位、266〜268位、270〜273位、275〜287位、295〜297位、306〜308位、310〜316位、324〜329位、332〜334位、341〜344位、346〜355位、357〜363位、370〜383位、385〜387位、389〜394位、405〜410位及び423〜431位は相同性領域に該当しうる。
好ましくは、アマドリアーゼの相同性領域は、配列番号1で示されるConiochaeta sp.アマドリアーゼを基準として、第11位〜32位、36〜41位、50〜52位、54〜58位、84〜86位、88〜90位、145〜150位、157〜168位、202〜205位、207〜212位、215〜225位、236〜248位、258〜261位、266〜268位、270〜273位、275〜287位、347〜354位、357〜363位、370〜383位、385〜387位、及び405〜410位のアミノ酸配列からなる領域である。
さらに好ましくは、アマドリアーゼの相同性領域は、配列番号1で示されるConiochaeta sp.アマドリアーゼを基準として第11〜18位、20〜32位、50〜52位、54〜58位、266〜268位、270〜273位、277〜286位、及び370〜383位のアミノ酸配列からなる領域である。
本発明のアマドリアーゼ変異体は、配列番号1に示されるアミノ酸配列を有するアマドリアーゼとアライメントしたときに50%以上、好ましくは60%以上、好ましくは70%以上、好ましくは75%以上、好ましくは80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、最も好ましくは99%以上の全長アミノ酸配列同一性を有し、グッド緩衝剤の存在下で熱安定性を有する。さらに、本発明のアマドリアーゼ変異体の相同性領域におけるアミノ酸配列は、配列番号1における相同性領域のアミノ酸配列と80%、好ましくは85%、好ましくは90%、好ましくは95%、好ましくは98%、さらに好ましくは99%以上の配列同一性を有する。図1では全長アミノ酸配列の配列同一性が74%以上であるアマドリアーゼをアライメントしたが、このうち、配列番号1で示されるConiochaeta sp.アマドリアーゼを基準として比較すると図1に示す他のアマドリアーゼとの相同性領域におけるアミノ酸配列同一性は90%以上である。
(アミノ酸配列における対応する位置の特定)
本明細書において、ある基準となるアミノ酸配列中の特定の位置のアミノ酸が別の類似するアミノ酸配列中の特定の位置のアミノ酸と対応する場合、これを対応するアミノ酸といい、そのアミノ酸の位置を対応する位置という。本明細書では便宜上、配列番号1に示すConiochaeta属由来のアマドリアーゼのアミノ酸配列を基準として説明する。この場合、アミノ酸配列における「対応する位置」とは、配列番号1に示すConiochaeta属由来のアマドリアーゼのアミノ酸配列の特定の位置に対応する他の生物種由来のアマドリアーゼのアミノ酸配列における位置をいう。
アミノ酸配列における「対応する位置」を特定する方法としては、例えばリップマン−パーソン法等の公知のアルゴリズムを用いてアミノ酸配列を比較し、各アマドリアーゼのアミノ酸配列中に存在する保存アミノ酸残基に最大の同一性を与えることにより行うことができる。アマドリアーゼのアミノ酸配列をこのような方法で整列させることにより、アミノ酸配列中にある挿入、欠失にかかわらず、相同アミノ酸残基の各アマドリアーゼ配列における配列中の位置を決めることが可能である。相同位置は、三次元構造中で同位置に存在すると考えられ、対象となるアマドリアーゼの特異的機能に関して類似した効果を有することが推定できる。
図1に種々の公知の生物種由来のアマドリアーゼの配列を例示する。配列番号1で示されるアミノ酸配列を最上段に示す。図1に示される各種配列は、いずれも配列番号1の配列と70%以上の同一性を有し、公知のアルゴリズムを用いて整列させた。図中に、本発明の変異体における変異点を示す。図1からConiochaeta属由来のアマドリアーゼのアミノ酸配列の特定の位置のアミノ酸に対応する他の生物種由来のアマドリアーゼのアミノ酸配列における位置を知ることができる。図1には、Coniochaeta属由来のアマドリアーゼ(配列番号1)、Eupenicillium terrenum由来のアマドリアーゼ(配列番号3)、Pyrenochaeta sp.由来のケトアミンオキシダーゼ(配列番号4)、Arthrinium sp.由来のケトアミンオキシダーゼ(配列番号5)、Curvularia clavata由来のケトアミンオキシダーゼ(配列番号6)、Neocosmospora vasinfecta由来のケトアミンオキシダーゼ(配列番号7)、Cryptococcus neoformans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼ(配列番号8)、Phaeosphaeria nodorum由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼ(配列番号9)、Aspergillus nidulans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼ(配列番号10)、Emericella nidulans由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼ(配列番号11)、Ulocladium sp.由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼ(配列番号12)及びPenicillium janthinellum由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼ(配列番号13)のアミノ酸配列を示してある。
(置換箇所に対応する位置のアミノ酸)
本発明において「配列番号1記載のアミノ酸配列の288位のアルギニンに対応する位置のアミノ酸」とは、確定したアマドリアーゼのアミノ酸配列を、配列番号1に示されるConiochaeta属由来のアマドリアーゼのアミノ酸配列と比較した場合に、配列番号1のアマドリアーゼの288位のアルギニンに対応する位置のアミノ酸を意味する。これは上記の「アミノ酸配列における対応する位置」を特定する方法でアミノ酸配列を整列させた図1より特定することができる。
すなわち、Eupenicillium terrenum由来のアマドリアーゼでは288位のアルギニン、Pyrenochaeta sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは286位のアルギニン、Arthrinium sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは288位のアルギニン、Curvularia clavata由来のケトアミンオキシダーゼでは286位のアルギニン、Neocosmospora vasinfecta由来のケトアミンオキシダーゼでは288位のアルギニン、Cryptococcus neoformans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは288位のアルギニン、Phaeosphaeria nodorum由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは284位のアルギニン、Aspergillus nidulans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは288位のヒスチジン、Emericella nidulans由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは288位のヒスチジン、Ulocladium sp.由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは286位のアルギニン、Penicillium janthinellum由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは288位のアルギニンである。
本発明において「配列番号1記載のアミノ酸配列の290位のリシンに対応する位置のアミノ酸」とは、確定したアマドリアーゼのアミノ酸配列を、配列番号1に示されるConiochaeta属由来のアマドリアーゼのアミノ酸配列と比較した場合に、配列番号1のアマドリアーゼの290位のリシンに対応する位置のアミノ酸を意味する。これは上記の「アミノ酸配列における対応する位置」を特定する方法でアミノ酸配列を整列させた図1より特定することができる。
すなわち、Eupenicillium terrenum由来のアマドリアーゼでは290位のリシン、Pyrenochaeta sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは288位のリシン、Arthrinium sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは291位のグルタミン酸、Curvularia clavata由来のケトアミンオキシダーゼでは288位のリシン、Neocosmospora vasinfecta由来のケトアミンオキシダーゼでは290位のリシン、Cryptococcus neoformans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは290位のリシン、Phaeosphaeria nodorum由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは286位のリシン、Aspergillus nidulans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは290位のリシン、Emericella nidulans由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは290位のリシン、Ulocladium sp.由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは288位のリシン、Penicillium janthinellum由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは290位のリシンである。
本発明において「配列番号1記載のアミノ酸配列の311位のリシンに対応する位置のアミノ酸」とは、確定したアマドリアーゼのアミノ酸配列を、配列番号1に示されるConiochaeta属由来のアマドリアーゼのアミノ酸配列と比較した場合に、配列番号1のアマドリアーゼの311位のリシンに対応する位置のアミノ酸を意味する。これも上記の方法でアミノ酸配列を整列させた図1より特定することができる。
すなわちEupenicillium terrenum由来のアマドリアーゼでは311位のリシン、Pyrenochaeta sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは309位のリシン、Arthrinium sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは312位のリシン、Curvularia clavata由来のケトアミンオキシダーゼでは309位のリシン、Neocosmospora vasinfecta由来のケトアミンオキシダーゼでは311位のリシン、Cryptococcus neoformans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは311位のリシン、Phaeosphaeria nodorum由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは307位のリシン、Aspergillus nidulans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは311位のリシン、Emericella nidulans由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは311位のリシン、Ulocladium sp.由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは309位のリシン、Penicillium janthinellum由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは311位のリシンである。
(アニオン性界面活性剤耐性向上変異の対応位置)
なお、「配列番号1記載のアミノ酸配列の80位のリシンに対応する位置のアミノ酸」とは、確定したアマドリアーゼのアミノ酸配列を、配列番号1に示されるConiochaeta属由来のアマドリアーゼのアミノ酸配列と比較した場合に、配列番号1のアマドリアーゼの80位のリシンに対応する位置のアミノ酸を意味する。
すなわち、Eupenicillium terrenum由来のアマドリアーゼでは80位のグルタミン、Pyrenochaeta sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは80位のアルギニン、Arthrinium sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは80位のシステイン、Curvularia clavata由来のケトアミンオキシダーゼでは80位のアルギニン、Neocosmospora vasinfecta由来のケトアミンオキシダーゼでは80位のアルギニン、Cryptococcus neoformans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは80位のアルギニン、Phaeosphaeria nodorum由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは80位のアスパラギン、Aspergillus nidulans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは79位のリシン、Emericella nidulans由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは79位のリシン、Ulocladium sp.由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは80位のスレオニン、Penicillium janthinellum由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは80位のリシンである。
また、「配列番号1記載のアミノ酸配列の71位のメチオニンに対応する位置のアミノ酸」とは、確定したアマドリアーゼのアミノ酸配列を、配列番号1に示されるコニオカエタ属由来のアマドリアーゼのアミノ酸配列と比較した場合に、配列番号1のアマドリアーゼの71位のメチオニンに対応する位置のアミノ酸を意味する。
すなわち、「配列番号1記載のアミノ酸配列の71位のメチオニンに対応する位置のアミノ酸」は、Eupenicillium terrenum由来のアマドリアーゼ、Pyrenochaeta sp.由来のケトアミンオキシダーゼ、Arthrinium sp.由来のケトアミンオキシダーゼ、Curvularia clavata由来のケトアミンオキシダーゼ、Neocosmospora vasinfecta由来のケトアミンオキシダーゼ、Cryptococcus neoformans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼ、Phaeosphaeria nodorum由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼ、Ulocladium sp.由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼ、Penicillium janthinellum由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは71位のロイシン、Aspergillus nidulans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼ及びEmericella nidulans由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは70位のロイシンである。
さらに、「配列番号1記載のアミノ酸配列の175位のグルタミン酸に対応する位置のアミノ酸」とは、確定したアマドリアーゼのアミノ酸配列を、配列番号1に示されるConiochaeta属由来のアマドリアーゼのアミノ酸配列と比較した場合に、配列番号1のアマドリアーゼの175位のグルタミン酸に対応する位置のアミノ酸を意味する。
すなわち、Eupenicillium terrenum由来のアマドリアーゼでは175位のアスパラギン酸、Pyrenochaeta sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは175位のリシン、Arthrinium sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは175位のアルギニン、Curvularia clavata由来のケトアミンオキシダーゼでは175位のアラニン、Neocosmospora vasinfecta由来のケトアミンオキシダーゼでは175位のアルギニン、Cryptococcus neoformans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは175位のグルタミン酸、Phaeosphaeria nodorum由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは173位のアスパラギン酸、Aspergillus nidulans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは174位のグルタミン酸、Emericella nidulans由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは174位のグルタミン酸、Ulocladium sp.由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは175位のアスパラギン酸、Penicillium janthinellum由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは175位のセリンである。
さらに、「配列番号1記載のアミノ酸配列の172位のフェニルアラニンに対応する位置のアミノ酸」とは、確定したアマドリアーゼのアミノ酸配列を、配列番号1に示されるConiochaeta属由来のアマドリアーゼのアミノ酸配列と比較した場合に、配列番号1のアマドリアーゼの172位のフェニルアラニンに対応する位置のアミノ酸を意味する。
すなわち、Eupenicillium terrenum由来のアマドリアーゼでは172位のフェニルアラニン、Pyrenochaeta sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは172位のチロシン、Arthrinium sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは172位のグルタミン酸、Curvularia clavata由来のケトアミンオキシダーゼでは172位のチロシン、Neocosmospora vasinfecta由来のケトアミンオキシダーゼでは172位のグルタミン酸、Cryptococcus neoformans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは172位のバリン、Phaeosphaeria nodorum由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは170位のチロシン、Aspergillus nidulans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは171位のフェニルアラニン、Emericella nidulans由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは171位のフェニルアラニン、Ulocladium sp.由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは172位のフェニルアラニン、Penicillium janthinellum由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは172位のフェニルアラニンである。
さらに、「配列番号1記載のアミノ酸配列の279位のバリンに対応する位置のアミノ酸」とは、確定したアマドリアーゼのアミノ酸配列を、配列番号1に示されるConiochaeta属由来のアマドリアーゼのアミノ酸配列と比較した場合に、配列番号1のアマドリアーゼの279位のバリンに対応する位置のアミノ酸を意味する。
すなわち、Eupenicillium terrenum由来のアマドリアーゼでは279位のバリン、Pyrenochaeta sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは277位のバリン、Arthrinium sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは279位のバリン、Curvularia clavata由来のケトアミンオキシダーゼでは277位のバリン、Neocosmospora vasinfecta由来のケトアミンオキシダーゼでは279位のバリン、Cryptococcus neoformans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは279位のバリン、Phaeosphaeria nodorum由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは275位のバリン、Aspergillus nidulans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは279位のバリン、Emericella nidulans由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは279位のバリン、Ulocladium sp.由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは277位のバリン、Penicillium janthinellum由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは279位のバリンである。
さらに、「配列番号1記載のアミノ酸配列の12位のバリンに対応する位置のアミノ酸」とは、確定したアマドリアーゼのアミノ酸配列を、配列番号1に示されるConiochaeta属由来のアマドリアーゼのアミノ酸配列と比較した場合に、配列番号1のアマドリアーゼの12位のバリンに対応する位置のアミノ酸を意味する。
すなわち、Eupenicillium terrenum由来のアマドリアーゼでは12位のバリン、Pyrenochaeta sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは12位のバリン、Arthrinium sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは12位のバリン、Curvularia clavata由来のケトアミンオキシダーゼでは12位のバリン、Neocosmospora vasinfecta由来のケトアミンオキシダーゼでは12位のイソロイシン、Cryptococcus neoformans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは12位のバリン、Phaeosphaeria nodorum由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは12位のバリン、Aspergillus nidulans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは11位のバリン、Emericella nidulans由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは11位のバリン、Ulocladium sp.由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは12位のバリン、Penicillium janthinellum由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは12位のイソロイシンである。
なお、「配列番号1記載のアミノ酸配列の9位のアルギニンに対応する位置のアミノ酸」とは、確定したアマドリアーゼのアミノ酸配列を、配列番号1に示されるConiochaeta属由来のアマドリアーゼのアミノ酸配列と比較した場合に、配列番号1のアマドリアーゼの9位のアルギニンに対応する位置のアミノ酸を意味する。
すなわち、Eupenicillium terrenum由来のアマドリアーゼでは9位のリシン、Pyrenochaeta sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは9位のスレオニン、Arthrinium sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは9位のリシン、Curvularia clavata由来のケトアミンオキシダーゼでは9位のセリン、Neocosmospora vasinfecta由来のケトアミンオキシダーゼでは9位のスレオニン、Cryptococcus neoformans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは9位のリシン、Phaeosphaeria nodorum由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは9位のセリン、Aspergillus nidulans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは8位のリシン、Emericella nidulans由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは8位のリシン、Ulocladium sp.由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは9位のセリン、Penicillium janthinellum由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは9位のリシンである。
さらに、「配列番号1記載のアミノ酸配列の77位のグルタミンに対応する位置のアミノ酸」とは、確定したアマドリアーゼのアミノ酸配列を、配列番号1に示されるConiochaeta属由来のアマドリアーゼのアミノ酸配列と比較した場合に、配列番号1のアマドリアーゼの77位のグルタミンに対応する位置のアミノ酸を意味する。
すなわち、Eupenicillium terrenum由来のアマドリアーゼでは77位のアスパラギン酸、Pyrenochaeta sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは77位のグルタミン酸、Arthrinium sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは77位のアスパラギン酸、Curvularia clavata由来のケトアミンオキシダーゼでは77位のグルタミン、Neocosmospora vasinfecta由来のケトアミンオキシダーゼでは77位のアスパラギン酸、Cryptococcus neoformans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは77位のアスパラギン酸、Phaeosphaeria nodorum由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは77位のグルタミン、Aspergillus nidulans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは76位のアスパラギン酸、Emericella nidulans由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは76位のアスパラギン酸、Ulocladium sp.由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは77位のグルタミン、Penicillium janthinellum由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは77位のアスパラギン酸である。
さらに「配列番号1記載のアミノ酸配列の30位のセリンに対応する位置のアミノ酸」とは、確定したアマドリアーゼのアミノ酸配列を、配列番号1に示されるConiochaeta属由来のアマドリアーゼのアミノ酸配列と比較した場合に、配列番号1記載のアミノ酸配列の30位のセリンに対応する位置のアミノ酸を意味する。
すなわち、Eupenicillium terrenum由来のアマドリアーゼでは30位のセリン、Pyrenochaeta sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは30位のセリン、Arthrinium sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは30位のセリン、Curvularia clavata由来のケトアミンオキシダーゼでは30位のセリン、Neocosmospora vasinfecta由来のケトアミンオキシダーゼでは30位のアラニン、Cryptococcus neoformans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは30位のアラニン、Phaeosphaeria nodorum由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは30位のセリン、Aspergillus nidulans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは29位のアラニン、Emericella nidulans由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは29位のアラニン、Ulocladium sp.由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは30位のセリン、Penicillium janthinellum由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは30位のセリンである。
さらに「配列番号1記載のアミノ酸配列の28位のバリンに対応する位置のアミノ酸」とは、確定したアマドリアーゼのアミノ酸配列を、配列番号1に示されるConiochaeta属由来のアマドリアーゼのアミノ酸配列と比較した場合に、配列番号1記載のアミノ酸配列の28位のバリンに対応する位置のアミノ酸を意味する。
すなわち、Eupenicillium terrenum由来のアマドリアーゼでは28位のイソロイシン、Pyrenochaeta sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは28位のロイシン、Arthrinium sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは28位のロイシン、Curvularia clavata由来のケトアミンオキシダーゼでは28位のバリン、Neocosmospora vasinfecta由来のケトアミンオキシダーゼでは28位のロイシン、Cryptococcus neoformans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは28位のロイシン、Phaeosphaeria nodorum由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは28位のバリン、Aspergillus nidulans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは27位のロイシン、Emericella nidulans由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは27位のロイシン、Ulocladium sp.由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは28位のバリン、Penicillium janthinellum由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは28位のイソロイシンである。
さらに「配列番号1記載のアミノ酸配列の3位のセリンに対応する位置のアミノ酸」とは、確定したアマドリアーゼのアミノ酸配列を、配列番号1に示されるConiochaeta属由来のアマドリアーゼのアミノ酸配列と比較した場合に、配列番号1のアマドリアーゼの3位のセリンに対応する位置のアミノ酸を意味する。
すなわち、Eupenicillium terrenum由来のアマドリアーゼでは3位のヒスチジン、Pyrenochaeta sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは3位のアラニン、Arthrinium sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは3位のアラニン、Curvularia clavata由来のケトアミンオキシダーゼでは3位のプロリン、Neocosmospora vasinfecta由来のケトアミンオキシダーゼでは3位のスレオニン、Cryptococcus neoformans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは3位のプロリン、Phaeosphaeria nodorum由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは3位のプロリン、Aspergillus nidulans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは3位のプロリン、Emericella nidulans由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは3位のプロリン、Ulocladium sp.由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは3位のプロリン、Penicillium janthinellum由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは3位のヒスチジンである。
さらに「配列番号1記載のアミノ酸配列の4位のアスパラギンに対応する位置のアミノ酸」とは、確定したアマドリアーゼのアミノ酸配列を、配列番号1に示されるConiochaeta属由来のアマドリアーゼのアミノ酸配列と比較した場合に、配列番号1のアマドリアーゼの4位のアスパラギンに対応する位置のアミノ酸を意味する。
すなわち、Eupenicillium terrenum由来のアマドリアーゼでは4位のセリン、Pyrenochaeta sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは4位のセリン、Arthrinium sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは4位のセリン、Curvularia clavata由来のケトアミンオキシダーゼでは4位のセリン、Neocosmospora vasinfecta由来のケトアミンオキシダーゼでは4位のプロリン、Cryptococcus neoformans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは4位のセリン、Phaeosphaeria nodorum由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは4位のセリン、Ulocladium sp.由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは4位のアスパラギン、Penicillium janthinellum由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは4位のセリンである。なお、図1より、Aspergillus nidulans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼ及びEmericella nidulans由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは、配列番号1のアマドリアーゼの4位のアスパラギンに対応する位置のアミノ酸が欠失している。しかしながら、Aspergillus nidulans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼ及びEmericella nidulans由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼにおいて、配列番号1のアマドリアーゼの4位のアスパラギンに対応する位置(欠失位置)にアミノ酸を挿入することは可能である。本明細書では便宜上、配列番号1のアマドリアーゼの4位のアスパラギンに対応する位置のアミノ酸が欠失している場合、当該欠失位置へのアミノ酸の挿入も、配列番号1のアマドリアーゼの4位のアスパラギンに対応する位置へのアミノ酸置換に含めるものとする。
さらに「配列番号1記載のアミノ酸配列の13位のバリンに対応する位置のアミノ酸」とは、確定したアマドリアーゼのアミノ酸配列を、配列番号1に示されるConiochaeta属由来のアマドリアーゼのアミノ酸配列と比較した場合に、配列番号1のアマドリアーゼの13位のバリンに対応する位置のアミノ酸を意味する。
すなわち、Eupenicillium terrenum由来のアマドリアーゼでは13位のバリン、Pyrenochaeta sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは13位のバリン、Arthrinium sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは13位のバリン、Curvularia clavata由来のケトアミンオキシダーゼでは13位のバリン、Neocosmospora vasinfecta由来のケトアミンオキシダーゼでは13位のイソロイシン、Cryptococcus neoformans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは13位のイソロイシン、Phaeosphaeria nodorum由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは13位のバリン、Aspergillus nidulans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは12位のバリン、Emericella nidulans由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは12位のバリン、Ulocladium sp.由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは13位のバリン、Penicillium janthinellum由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは13位のバリンである。
(デヒドロゲナーゼ活性向上/オキシダーゼ活性低減変異の対応位置)
なお、本明細書において「配列番号1記載のアミノ酸配列の280位のシステインに対応する位置のアミノ酸」とは、確定したアマドリアーゼのアミノ酸配列を、配列番号1に示されるConiochaeta属由来のアマドリアーゼのアミノ酸配列と比較した場合に、配列番号1のアマドリアーゼの280位のシステインに対応する位置のアミノ酸を意味する。
すなわち、Eupenicillium terrenum由来のアマドリアーゼでは280位のシステイン、Pyrenochaeta sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは278位のシステイン、Arthrinium sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは280位のシステイン、Curvularia clavata由来のケトアミンオキシダーゼでは278位のシステイン、Neocosmospora vasinfecta由来のケトアミンオキシダーゼでは280位のシステイン、Cryptococcus neoformans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは280位のシステイン、Phaeosphaeria nodorum由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは276位のシステイン、Aspergillus nidulans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは280位のシステイン、Emericella nidulans由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは280位のシステイン、Ulocladium sp.由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは278位のシステイン、Penicillium janthinellum由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは280位のシステインである。
また、「配列番号1記載のアミノ酸配列の267位のフェニルアラニンに対応する位置のアミノ酸」とは、確定したアマドリアーゼのアミノ酸配列を、配列番号1に示されるConiochaeta属由来のアマドリアーゼのアミノ酸配列と比較した場合に、配列番号1のアマドリアーゼの267位のフェニルアラニンに対応する位置のアミノ酸を意味する。
すなわち、Eupenicillium terrenum由来のアマドリアーゼでは267位のフェニルアラニン、Pyrenochaeta sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは265位のフェニルアラニン、Arthrinium sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは267位のフェニルアラニン、Curvularia clavata由来のケトアミンオキシダーゼでは265位のフェニルアラニン、Neocosmospora vasinfecta由来のケトアミンオキシダーゼでは267位のフェニルアラニン、Cryptococcus neoformans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは267位のフェニルアラニン、Phaeosphaeria nodorum由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは263位のフェニルアラニン、Aspergillus nidulans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは267位のフェニルアラニン、Emericella nidulans由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは267位のフェニルアラニン、Ulocladium sp.由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは265位のフェニルアラニン、Penicillium janthinellum由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは267位のフェニルアラニンである。
また、「配列番号1記載のアミノ酸配列の269位のフェニルアラニンに対応する位置のアミノ酸」とは、確定したアマドリアーゼのアミノ酸配列を、配列番号1に示されるConiochaeta属由来のアマドリアーゼのアミノ酸配列と比較した場合に、配列番号1記載のアミノ酸配列の269位のフェニルアラニンに対応する位置のアミノ酸を意味する。
すなわち、Eupenicillium terrenum由来のアマドリアーゼでは269位のフェニルアラニン、Pyrenochaeta sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは267位のフェニルアラニン、Arthrinium sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは269位のフェニルアラニン、Curvularia clavata由来のケトアミンオキシダーゼでは267位のフェニルアラニン、Neocosmospora vasinfecta由来のケトアミンオキシダーゼでは269位のフェニルアラニン、Cryptococcus neoformans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは269位のフェニルアラニン、Phaeosphaeria nodorum由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは265位のフェニルアラニン、Aspergillus nidulans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは269位のフェニルアラニン、Emericella nidulans由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは269位のイソロイシン、Ulocladium sp.由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは267位のフェニルアラニン、Penicillium janthinellum由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは269位のフェニルアラニンである。
また、「配列番号1記載のアミノ酸配列の54位のアスパラギン酸に対応する位置のアミノ酸」とは、確定したアマドリアーゼのアミノ酸配列を、配列番号1に示されるConiochaeta属由来のアマドリアーゼのアミノ酸配列と比較した場合に、配列番号1記載のアミノ酸配列の54位のアスパラギン酸に対応する位置のアミノ酸を意味する。
すなわち、Eupenicillium terrenum由来のアマドリアーゼでは54位のアスパラギン酸、Pyrenochaeta sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは54位のアスパラギン酸、Arthrinium sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは54位のアスパラギン酸、Curvularia clavata由来のケトアミンオキシダーゼでは54位のアスパラギン酸、Neocosmospora vasinfecta由来のケトアミンオキシダーゼでは54位のアスパラギン酸、Cryptococcus neoformans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは54位のアスパラギン酸、Phaeosphaeria nodorum由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは54位のアスパラギン酸、Aspergillus nidulans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは53位のアスパラギン酸、Emericella nidulans由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは53位のアスパラギン酸、Ulocladium sp.由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは54位のアスパラギン酸、Penicillium janthinellum由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは54位のアスパラギン酸である。
さらに、「配列番号1記載のアミノ酸配列の241位のチロシンに対応する位置のアミノ酸」とは、確定したアマドリアーゼのアミノ酸配列を、配列番号1に示されるConiochaeta属由来のアマドリアーゼのアミノ酸配列と比較した場合に、配列番号1のアマドリアーゼの241位のチロシンに対応する位置のアミノ酸を意味する。
すなわち、Eupenicillium terrenum由来のアマドリアーゼでは241位のフェニルアラニン、Pyrenochaeta sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは239位のチロシン、Arthrinium sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは241位のチロシン、Curvularia clavata由来のケトアミンオキシダーゼでは239位のチロシン、Neocosmospora vasinfecta由来のケトアミンオキシダーゼでは241位のチロシン、Cryptococcus neoformans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは241位のチロシン、Phaeosphaeria nodorum由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは237位のチロシン、Aspergillus nidulans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは241位のフェニルアラニン、Emericella nidulans由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは241位のフェニルアラニン、Ulocladium sp.由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは239位のチロシン、Penicillium janthinellum由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは241位のフェニルアラニンである。
(基質特異性改変変異の対応位置)
本明細書において「配列番号1記載のアミノ酸配列の62位のアルギニンに対応する位置のアミノ酸」とは、確定したアマドリアーゼのアミノ酸配列を、配列番号1に示されるコニオカエタ属由来のアマドリアーゼのアミノ酸配列と比較した場合に、配列番号1のアマドリアーゼの62位のアルギニンに対応する位置のアミノ酸を意味する。
すなわち、Eupenicillium terrenum由来のアマドリアーゼ、Pyrenochaeta sp.由来のケトアミンオキシダーゼ、Arthrinium sp.由来のケトアミンオキシダーゼ、Curvularia clavata由来のケトアミンオキシダーゼ、Neocosmospora vasinfecta由来のケトアミンオキシダーゼ、Cryptococcus neoformans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼ、Ulocladium sp.由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼ、Penicillium janthinellum由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは62位のアルギニン、Phaeosphaeria nodorum由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは62位のセリン、Emericella nidulans由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは61位のアルギニン、Aspergillus nidulans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは61位のアルギニンである。
また、「配列番号1記載のアミノ酸配列の63位のロイシンに対応する位置のアミノ酸」とは、確定したアマドリアーゼのアミノ酸配列を、配列番号1に示されるコニオカエタ属由来のアマドリアーゼのアミノ酸配列と比較した場合に、配列番号1のアマドリアーゼの63位のロイシンに対応する位置のアミノ酸を意味する。
すなわち、Eupenicillium terrenum由来のアマドリアーゼ、Pyrenochaeta sp.由来のケトアミンオキシダーゼ、Arthrinium sp.由来のケトアミンオキシダーゼ、Curvularia clavata由来のケトアミンオキシダーゼ、Neocosmospora vasinfecta由来のケトアミンオキシダーゼ、Phaeosphaeria nodorum由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼ、Ulocladium sp.由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼ、Penicillium janthinellum由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは63位のロイシン、Cryptococcus neoformans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは63位のイソロイシン、Aspergillus nidulans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼ、Emericella nidulans由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは62位のロイシンである。
また、「配列番号1記載のアミノ酸配列の102位のグルタミン酸に対応する位置のアミノ酸」とは、確定したアマドリアーゼのアミノ酸配列を、配列番号1に示されるコニオカエタ属由来のアマドリアーゼのアミノ酸配列と比較した場合に、配列番号1のアマドリアーゼの102位のグルタミン酸に対応する位置のアミノ酸を意味する。
すなわちEupenicillium terrenum由来のアマドリアーゼ、Curvularia clavata由来のケトアミンオキシダーゼ、Neocosmospora vasinfecta由来のケトアミンオキシダーゼ、Cryptococcus neoformans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼ、Penicillium janthinellum由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは102位のグルタミン酸、Pyrenochaeta sp.由来のケトアミンオキシダーゼ、Arthrinium sp.由来のケトアミンオキシダーゼ、Phaeosphaeria nodorum由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼ、Ulocladium sp.由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは102位のリシン、Emericella nidulans由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼ、Aspergillus nidulans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは101位のグルタミン酸である。
また、「配列番号1記載のアミノ酸配列の106位のアスパラギン酸に対応する位置のアミノ酸」とは、確定したアマドリアーゼのアミノ酸配列を、配列番号1に示されるコニオカエタ属由来のアマドリアーゼのアミノ酸配列と比較した場合に、配列番号1のアマドリアーゼの106位のアスパラギン酸に対応する位置のアミノ酸を意味する。
すなわち、Eupenicillium terrenum由来のアマドリアーゼでは106位のアスパラギン、Pyrenochaeta sp.由来のケトアミンオキシダーゼ、Curvularia clavata由来のケトアミンオキシダーゼ、Phaeosphaeria nodorum由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼ、Ulocladium sp.由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは106位のアスパラギン酸、Arthrinium sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは106位のアラニン、Neocosmospora vasinfecta由来のケトアミンオキシダーゼでは106位のグリシン、Cryptococcus neoformans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼ、Penicillium janthinellum由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは106位のセリン、Emericella nidulans由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは105位のリシン、Aspergillus nidulans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは105位のグリシンである。
また、「配列番号1記載のアミノ酸配列の110位のグルタミンに対応する位置のアミノ酸」とは、確定したアマドリアーゼのアミノ酸配列を、配列番号1に示されるコニオカエタ属由来のアマドリアーゼのアミノ酸配列と比較した場合に、配列番号1のアマドリアーゼの110位のグルタミンに対応する位置のアミノ酸を意味する。
すなわち、Eupenicillium terrenum由来のアマドリアーゼ、Penicillium janthinellum由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは110位のリシン、Pyrenochaeta sp.由来のケトアミンオキシダーゼ、Curvularia clavata由来のケトアミンオキシダーゼ、Ulocladium sp.由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは110位のアラニン、Arthrinium sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは110位のグルタミン、Neocosmospora vasinfecta由来のケトアミンオキシダーゼでは110位のグルタミン酸、Cryptococcus neoformans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは110位のセリン、Phaeosphaeria nodorum由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは110位のグリシン、Emericella nidulans由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは109位のアルギニン、Aspergillus nidulans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは、109位のリシンである。
また、「配列番号1記載のアミノ酸配列の113位のアラニンに対応する位置のアミノ酸」とは、確定したアマドリアーゼのアミノ酸配列を、配列番号1に示されるコニオカエタ属由来のアマドリアーゼのアミノ酸配列と比較した場合に、配列番号1のアマドリアーゼの113位のアラニンに対応する位置のアミノ酸を意味する。
すなわち、Eupenicillium terrenum由来のアマドリアーゼ、Pyrenochaeta sp.由来のケトアミンオキシダーゼ、Arthrinium sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは113位のスレオニン、Curvularia clavata由来のケトアミンオキシダーゼ、Cryptococcus neoformans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼ、Phaeosphaeria nodorum由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼ、Ulocladium sp.由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは113位のアラニン、Neocosmospora vasinfecta由来のケトアミンオキシダーゼでは113位のリシン、Aspergillus nidulans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼ、Emericella nidulans由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは112位のセリン、Penicillium janthinellum由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは113位のアスパラギン酸である。
また、「配列番号1記載のアミノ酸配列の355位のアラニンに対応する位置のアミノ酸」とは、確定したアマドリアーゼのアミノ酸配列を、配列番号1に示されるコニオカエタ属由来のアマドリアーゼのアミノ酸配列と比較した場合に、配列番号1のアマドリアーゼの355位のアラニンに対応する位置のアミノ酸を意味する。
すなわち、Eupenicillium terrenum由来のアマドリアーゼ、Cryptococcus neoformans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼ、Aspergillus nidulans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼ、Emericella nidulans由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼ、Penicillium janthinellum由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは355位のアラニン、Pyrenochaeta sp.由来のケトアミンオキシダーゼ、Curvularia clavata由来のケトアミンオキシダーゼ、Ulocladium sp.由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは353位のアラニン、Arthrinium sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは356位のアラニン、Neocosmospora vasinfecta由来のケトアミンオキシダーゼでは355位のセリン、Phaeosphaeria nodorum由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは351位のアラニンである。
また、「配列番号1記載のアミノ酸配列の419位のアラニンに対応する位置のアミノ酸」とは、確定したアマドリアーゼのアミノ酸配列を、配列番号1に示されるコニオカエタ属由来のアマドリアーゼのアミノ酸配列と比較した場合に、配列番号1のアマドリアーゼの419位のアラニンに対応する位置のアミノ酸を意味する。
すなわち、Eupenicillium terrenum由来のアマドリアーゼでは419位のグリシン、Pyrenochaeta sp.由来のケトアミンオキシダーゼ、Curvularia clavata由来のケトアミンオキシダーゼ、Ulocladium sp.由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは418位のアラニン、Arthrinium sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは421位のアラニン、Neocosmospora vasinfecta由来のケトアミンオキシダーゼ、Cryptococcus neoformans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼ、Emericella nidulans由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは420位のアラニン、Phaeosphaeria nodorum由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは416位のセリン、Penicillium janthinellum由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは419位のセリン、Aspergillus nidulans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは420位のアラニンである。
また、「配列番号1記載のアミノ酸配列の68位のアスパラギン酸に対応する位置のアミノ酸」とは、確定したアマドリアーゼのアミノ酸配列を、配列番号1に示されるコニオカエタ属由来のアマドリアーゼのアミノ酸配列と比較した場合に、配列番号1のアマドリアーゼの68位のアスパラギン酸に対応する位置のアミノ酸を意味する。
すなわち、Eupenicillium terrenum由来のアマドリアーゼ、Pyrenochaeta sp.由来のケトアミンオキシダーゼ、Arthrinium sp.由来のケトアミンオキシダーゼ、Curvularia clavata由来のケトアミンオキシダーゼ、Neocosmospora vasinfecta由来のケトアミンオキシダーゼ、Cryptococcus neoformans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼ、Phaeosphaeria nodorum由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼ、Ulocladium sp.由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼ、Penicillium janthinellum由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは68位のアスパラギン酸、Emericella nidulans由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼ及びAspergillus nidulans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは67位のアスパラギン酸である。
また、「配列番号1記載のアミノ酸配列の356位のアラニンに対応する位置のアミノ酸」とは、確定したアマドリアーゼのアミノ酸配列を、配列番号1に示されるコニオカエタ属由来のアマドリアーゼのアミノ酸配列と比較した場合に、配列番号1のアマドリアーゼの356位のアラニンに対応する位置のアミノ酸を意味する。
すなわち、Eupenicillium terrenum由来のアマドリアーゼでは356位のアスパラギン、Pyrenochaeta sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは354位のアラニン、Arthrinium sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは357位のアラニン、Curvularia clavata由来のケトアミンオキシダーゼでは354位のアラニン、Neocosmospora vasinfecta由来のケトアミンオキシダーゼでは356位のアラニン、Cryptococcus neoformans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは356位のアスパラギン、Phaeosphaeria nodorum由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは352位のアラニン、Aspergillus nidulans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは356位のアスパラギン、Emericella nidulans由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは356位のアスパラギン、Ulocladium sp.由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは354位のアラニン、Penicillium janthinellum由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは356位のアスパラギンである。
(カチオン性界面活性剤耐性向上変異の対応位置)
なお、本明細書において、「配列番号1記載のアミノ酸配列の44位のグルタミン酸に対応する位置のアミノ酸」とは、確定したアマドリアーゼのアミノ酸配列を、配列番号1に示されるConiochaeta属由来のアマドリアーゼのアミノ酸配列と比較した場合に、配列番号1のアマドリアーゼの44位のグルタミン酸に対応する位置のアミノ酸を意味する。これにより、上記の「対応する位置のアミノ酸残基」を特定する方法でアミノ酸配列を整列させた図1により特定することができる。
すなわち、Eupenicillium terrenum由来のアマドリアーゼでは44位のリシン、Pyrenochaeta sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは44位のプロリン、Arthrinium sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは44位のプロリン、Curvularia clavata由来のケトアミンオキシダーゼでは44位のプロリン、Neocosmospora vasinfecta由来のケトアミンオキシダーゼでは44位のプロリン、Cryptococcus neoformans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは44位のロイシン、Phaeosphaeria nodorum由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは44位のプロリン、Aspergillus nidulans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは43位のプロリン、Emericella nidulans由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは43位のプロリン、Ulocladium sp.由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは44位のプロリン、Penicillium janthinellum由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは44位のプロリンである。
また、「配列番号1記載のアミノ酸配列の81位のグルタミン酸に対応する位置のアミノ酸」とは、確定したアマドリアーゼのアミノ酸配列を、配列番号1に示されるConiochaeta属由来のアマドリアーゼのアミノ酸配列と比較した場合に、配列番号1のアマドリアーゼの81位のグルタミン酸に対応する位置のアミノ酸を意味する。
すなわち、Eupenicillium terrenum由来のアマドリアーゼでは81位のアスパラギン、Pyrenochaeta sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは81位のグルタミン酸、Arthrinium sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは81位のヒスチジン、Curvularia clavata由来のケトアミンオキシダーゼでは81位のグルタミン酸、Neocosmospora vasinfecta由来のケトアミンオキシダーゼでは81位のアスパラギン、Cryptococcus neoformans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは81位のアスパラギン、Phaeosphaeria nodorum由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは81位のグルタミン酸、Aspergillus nidulans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは80位のアスパラギン、Emericella nidulans由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは80位のアスパラギン、Ulocladium sp.由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは81位のグルタミン酸、Penicillium janthinellum由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは81位のアスパラギンである。
また、「配列番号1記載のアミノ酸配列の133位のグルタミン酸に対応する位置のアミノ酸」とは、確定したアマドリアーゼのアミノ酸配列を、配列番号1に示されるConiochaeta属由来のアマドリアーゼのアミノ酸配列と比較した場合に、配列番号1記載のアミノ酸配列の133位のグルタミン酸に対応する位置のアミノ酸を意味する。
すなわち、Eupenicillium terrenum由来のアマドリアーゼでは133位のグルタミン酸、Pyrenochaeta sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは133位のグルタミン酸、Arthrinium sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは133位のアラニン、Curvularia clavata由来のケトアミンオキシダーゼでは133位のグルタミン酸、Neocosmospora vasinfecta由来のケトアミンオキシダーゼでは133位のアラニン、Cryptococcus neoformans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは133位のグルタミン酸、Phaeosphaeria nodorum由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは131位のグルタミン酸、Aspergillus nidulans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは132位のグルタミン酸、Emericella nidulans由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは132位のグルタミン酸、Ulocladium sp.由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは133位のリシン、Penicillium janthinellum由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは133位のアスパラギン酸である。
また、「配列番号1記載のアミノ酸配列の253位のグルタミン酸に対応する位置のアミノ酸」とは、確定したアマドリアーゼのアミノ酸配列を、配列番号1に示されるConiochaeta属由来のアマドリアーゼのアミノ酸配列と比較した場合に、配列番号1記載のアミノ酸配列の253位のグルタミン酸に対応する位置のアミノ酸を意味する。
すなわち、Eupenicillium terrenum由来のアマドリアーゼでは253位のアラニン、Pyrenochaeta sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは251位のアラニン、Arthrinium sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは253位のグルタミン酸、Curvularia clavata由来のケトアミンオキシダーゼでは251位のグルタミン酸、Neocosmospora vasinfecta由来のケトアミンオキシダーゼでは253位のバリン、Cryptococcus neoformans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは253位のグルタミン酸、Phaeosphaeria nodorum由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは249位のアルギニン、Aspergillus nidulans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは253位のアラニン、Emericella nidulans由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは253位のアラニン、Ulocladium sp.由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは251位のグルタミン酸、Penicillium janthinellum由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは253位のグルタミンである。
さらに、「配列番号1記載のアミノ酸配列の256位のグリシンに対応する位置のアミノ酸」とは、確定したアマドリアーゼのアミノ酸配列を、配列番号1に示されるConiochaeta属由来のアマドリアーゼのアミノ酸配列と比較した場合に、配列番号1のアマドリアーゼの256位のグリシンに対応する位置のアミノ酸を意味する。
すなわち、Eupenicillium terrenum由来のアマドリアーゼでは256位のアスパラギン、Pyrenochaeta sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは254位のアスパラギン酸、Arthrinium sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは256位のグリシン、Curvularia clavata由来のケトアミンオキシダーゼでは254位のアスパラギン、Neocosmospora vasinfecta由来のケトアミンオキシダーゼでは256位のグリシン、Cryptococcus neoformans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは256位のグルタミン酸、Phaeosphaeria nodorum由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは252位のアスパラギン、Aspergillus nidulans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは256位のアスパラギン、Emericella nidulans由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは256位のアスパラギン、Ulocladium sp.由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは254位のアスパラギン、Penicillium janthinellum由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは256位のアスパラギン酸である。
さらに、「配列番号1記載のアミノ酸配列の257位のバリンに対応する位置のアミノ酸」とは、確定したアマドリアーゼのアミノ酸配列を、配列番号1に示されるConiochaeta属由来のアマドリアーゼのアミノ酸配列と比較した場合に、配列番号1のアマドリアーゼの257位のバリンに対応する位置のアミノ酸を意味する。
すなわち、Eupenicillium terrenum由来のアマドリアーゼでは257位のバリン、Pyrenochaeta sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは255位のスレオニン、Arthrinium sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは257位のシステイン、Curvularia clavata由来のケトアミンオキシダーゼでは255位のバリン、Neocosmospora vasinfecta由来のケトアミンオキシダーゼでは257位のシステイン、Cryptococcus neoformans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは257位のシステイン、Phaeosphaeria nodorum由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは253位のセリン、Aspergillus nidulans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは257位のスレオニン、Emericella nidulans由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは257位のスレオニン、Ulocladium sp.由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは255位のバリン、Penicillium janthinellum由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは257位のバリンである。
さらに、「配列番号1記載のアミノ酸配列の262位のアスパラギンに対応する位置のアミノ酸」とは、確定したアマドリアーゼのアミノ酸配列を、配列番号1に示されるConiochaeta属由来のアマドリアーゼのアミノ酸配列と比較した場合に、配列番号1のアマドリアーゼの262位のアスパラギンに対応する位置のアミノ酸を意味する。
すなわち、Eupenicillium terrenum由来のアマドリアーゼでは262位のアスパラギン酸、Pyrenochaeta sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは260位のアスパラギン、Arthrinium sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは262位のヒスチジン、Curvularia clavata由来のケトアミンオキシダーゼでは260位のアスパラギン、Neocosmospora vasinfecta由来のケトアミンオキシダーゼでは262位のヒスチジン、Cryptococcus neoformans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは262位のアスパラギン、Phaeosphaeria nodorum由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは258位のアスパラギン、Aspergillus nidulans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは262位のアスパラギン酸、Emericella nidulans由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは262位のアスパラギン酸、Ulocladium sp.由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは260位のアスパラギン、Penicillium janthinellum由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは262位のアスパラギン酸である。
さらに、「配列番号1記載のアミノ酸配列の337位のグルタミンに対応する位置のアミノ酸」とは、確定したアマドリアーゼのアミノ酸配列を、配列番号1に示されるConiochaeta属由来のアマドリアーゼのアミノ酸配列と比較した場合に、配列番号1のアマドリアーゼの337位のグルタミンに対応する位置のアミノ酸を意味する。
すなわち、Eupenicillium terrenum由来のアマドリアーゼでは337位のリシン、Pyrenochaeta sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは335位のリシン、Arthrinium sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは338位のグルタミン、Curvularia clavata由来のケトアミンオキシダーゼでは335位のスレオニン、Neocosmospora vasinfecta由来のケトアミンオキシダーゼでは337位のリシン、Cryptococcus neoformans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは337位のリシン、Phaeosphaeria nodorum由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは333位のリシン、Aspergillus nidulans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは337位のアスパラギン、Emericella nidulans由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは337位のアスパラギン、Ulocladium sp.由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは335位のスレオニン、Penicillium janthinellum由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは337位のリシンである。
さらに、「配列番号1記載のアミノ酸配列の340位のグルタミン酸に対応する位置のアミノ酸」とは、確定したアマドリアーゼのアミノ酸配列を、配列番号1に示されるConiochaeta属由来のアマドリアーゼのアミノ酸配列と比較した場合に、配列番号1のアマドリアーゼの340位のグルタミン酸に対応する位置のアミノ酸を意味する。
すなわち、Eupenicillium terrenum由来のアマドリアーゼでは340位のグルタミン酸、Pyrenochaeta sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは338位のグルタミン酸、Arthrinium sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは341位のグルタミン酸、Curvularia clavata由来のケトアミンオキシダーゼでは338位のグルタミン酸、Neocosmospora vasinfecta由来のケトアミンオキシダーゼでは340位のプロリン、Cryptococcus neoformans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは340位のグルタミン酸、Phaeosphaeria nodorum由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは336位のリシン、Aspergillus nidulans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは340位のグルタミン酸、Emericella nidulans由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは340位のグルタミン酸、Ulocladium sp.由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは338位のグルタミン酸、Penicillium janthinellum由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは340位のグルタミン酸である。
さらに、「配列番号1記載のアミノ酸配列の129位のアスパラギン酸に対応する位置のアミノ酸」とは、確定したアマドリアーゼのアミノ酸配列を、配列番号1に示されるConiochaeta属由来のアマドリアーゼのアミノ酸配列と比較した場合に、配列番号1のアマドリアーゼの129位のアスパラギン酸に対応する位置のアミノ酸を意味する。
すなわち、Eupenicillium terrenum由来のアマドリアーゼでは129位のグルタミン酸、Pyrenochaeta sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは129位のアスパラギン酸、Arthrinium sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは129位のアスパラギン酸、Curvularia clavata由来のケトアミンオキシダーゼでは129位のアスパラギン酸、Neocosmospora vasinfecta由来のケトアミンオキシダーゼでは129位のアスパラギン酸、Cryptococcus neoformans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは129位のセリン、Phaeosphaeria nodorum由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは127位のアスパラギン酸、Aspergillus nidulans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは128位のグルタミン酸、Emericella nidulans由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは128位のグルタミン酸、Ulocladium sp.由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは129位のアスパラギン酸、Penicillium janthinellum由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは129位のグルタミン酸である。
さらに、「配列番号1記載のアミノ酸配列の132位のアスパラギン酸に対応する位置のアミノ酸」とは、確定したアマドリアーゼのアミノ酸配列を、配列番号1に示されるConiochaeta属由来のアマドリアーゼのアミノ酸配列と比較した場合に、配列番号1のアマドリアーゼの132位のアスパラギン酸に対応する位置のアミノ酸を意味する。
すなわち、Eupenicillium terrenum由来のアマドリアーゼでは132位のアスパラギン酸、Pyrenochaeta sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは132位のアスパラギン酸、Arthrinium sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは132位のアスパラギン酸、Curvularia clavata由来のケトアミンオキシダーゼでは132位のアスパラギン酸、Neocosmospora vasinfecta由来のケトアミンオキシダーゼでは132位のグルタミン酸、Cryptococcus neoformans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは132位のアスパラギン酸、Phaeosphaeria nodorum由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは130位のアスパラギン酸、Aspergillus nidulans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは131位のアスパラギン酸、Emericella nidulans由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは131位のアスパラギン酸、Ulocladium sp.由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは132位のアスパラギン酸、Penicillium janthinellum由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは132位のアスパラギン酸である。
さらに、「配列番号1記載のアミノ酸配列の231位のグルタミン酸に対応する位置のアミノ酸」とは、確定したアマドリアーゼのアミノ酸配列を、配列番号1に示されるConiochaeta属由来のアマドリアーゼのアミノ酸配列と比較した場合に、配列番号1のアマドリアーゼの231位のグルタミン酸に対応する位置のアミノ酸を意味する。
すなわち、Eupenicillium terrenum由来のアマドリアーゼでは231位のグルタミン酸、Pyrenochaeta sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは229位のグルタミン酸、Arthrinium sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは231位のグルタミン酸、Curvularia clavata由来のケトアミンオキシダーゼでは229位のグルタミン酸、Neocosmospora vasinfecta由来のケトアミンオキシダーゼでは231位のグルタミン酸、Cryptococcus neoformans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは231位のグルタミン酸、Phaeosphaeria nodorum由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは227位のヒスチジン、Aspergillus nidulans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは231位のグルタミン酸、Emericella nidulans由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは231位のグルタミン酸、Ulocladium sp.由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは229位のグルタミン、Penicillium janthinellum由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは231位のグルタミン酸である。
さらに、「配列番号1記載のアミノ酸配列の232位のアスパラギン酸に対応する位置のアミノ酸」とは、確定したアマドリアーゼのアミノ酸配列を、配列番号1に示されるConiochaeta属由来のアマドリアーゼのアミノ酸配列と比較した場合に、配列番号1のアマドリアーゼの232位のアスパラギン酸に対応する位置のアミノ酸を意味する。
すなわち、Eupenicillium terrenum由来のアマドリアーゼでは232位のアスパラギン酸、Pyrenochaeta sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは230位のアスパラギン酸、Arthrinium sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは232位のグルタミン酸、Curvularia clavata由来のケトアミンオキシダーゼでは230位のアスパラギン酸、Neocosmospora vasinfecta由来のケトアミンオキシダーゼでは232位のグルタミン酸、Cryptococcus neoformans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは232位のグリシン、Phaeosphaeria nodorum由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは228位のグルタミン酸、Aspergillus nidulans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは232位のグルタミン酸、Emericella nidulans由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは232位のグルタミン酸、Ulocladium sp.由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは230位のアスパラギン酸、Penicillium janthinellum由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは232位のアスパラギン酸である。
さらに、「配列番号1記載のアミノ酸配列の249位のグルタミン酸に対応する位置のアミノ酸」とは、確定したアマドリアーゼのアミノ酸配列を、配列番号1に示されるConiochaeta属由来のアマドリアーゼのアミノ酸配列と比較した場合に、配列番号1のアマドリアーゼの249位のグルタミン酸に対応する位置のアミノ酸を意味する。
すなわち、Eupenicillium terrenum由来のアマドリアーゼでは249位のリシン、Pyrenochaeta sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは247位のリシン、Arthrinium sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは249位のヒスチジン、Curvularia clavata由来のケトアミンオキシダーゼでは247位のグルタミン酸、Neocosmospora vasinfecta由来のケトアミンオキシダーゼでは249位のグルタミン酸、Cryptococcus neoformans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは249位のグルタミン酸、Phaeosphaeria nodorum由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは245位のグルタミン酸、Aspergillus nidulans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは249位のアラニン、Emericella nidulans由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは249位のアラニン、Ulocladium sp.由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは247位のセリン、Penicillium janthinellum由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは249位のグルタミンである。
これらは、上記の方法でアミノ酸配列を整列させた図1より特定することができる。
(本発明のアマドリアーゼの生産)
上記のようにして得られたグッド緩衝剤の存在下での熱安定性の優れたアマドリアーゼの生産能を有する菌株を用いて、当該アマドリアーゼを生産するには、この菌株を通常の固体培養法で培養してもよいが、可能な限り液体培養法を採用して培養するのが好ましい。
また、上記菌株を培養する培地としては、例えば、酵母エキス、トリプトン、ペプトン、肉エキス、コーンスティープリカー又は大豆若しくは小麦ふすまの浸出液等の1種以上の窒素源に、塩化ナトリウム、リン酸第1カリウム、リン酸第2カリウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化第2鉄、硫酸第2鉄又は硫酸マンガン等の無機塩類の1種以上を添加し、さらに必要により糖質原料、ビタミン等を適宜添加したものが用いられる。
なお、培地の初発pHは、pH7〜9に調整するのが適当である。
また、培養は任意の条件を用いることができるが、例えば、20〜42℃の培養温度、好ましくは30℃前後の培養温度で4〜24時間、さらに好ましくは30℃前後の培養温度で8〜16時間、通気攪拌深部培養、振盪培養、静置培養等により実施することができる。
培養終了後、該培養物よりアマドリアーゼを採取するには、通常の酵素採取手段を用いて得ることができる。例えば、常法により菌体を、超音波破壊処理、磨砕処理等するか、又はリゾチーム等の溶菌酵素を用いて本酵素を抽出するか、又はトルエン等の存在下で振盪若しくは放置して溶菌を行わせ、本酵素を菌体外に排出させることができる。そして、この溶液を濾過、遠心分離等して固形部分を除去し、必要によりストレプトマイシン硫酸塩、プロタミン硫酸塩又は硫酸マンガン等により核酸を除去したのち、これに硫安、アルコール、アセトン等を添加して分画し、沈澱物を採取し、アマドリアーゼの粗酵素を得る。
上記アマドリアーゼの粗酵素よりさらにアマドリアーゼ精製酵素標品を得るには、例えば、セファデックス、スーパーデックス若しくはウルトロゲル等を用いるゲル濾過法;イオン交換体を用いる吸着溶出法;ポリアクリルアミドゲル等を用いる電気泳動法;ヒドロキシアパタイトを用いる吸着溶出法;蔗糖密度勾配遠心法等の沈降法;アフィニティクロマトグラフィー法;分子ふるい膜若しくは中空糸膜等を用いる分画法等を適宜選択し、又はこれらを組み合わせて実施することにより、精製されたアマドリアーゼ酵素標品を得ることができる。このようにして、所望のグッド緩衝剤の存在下での熱安定性が向上したアマドリアーゼを得ることができる。
(本発明のアマドリアーゼを含むキット)
本発明はアマドリアーゼ及び緩衝剤を含む糖化ヘモグロビン測定用キットを提供する。アマドリアーゼと緩衝剤とは、キット中に同一又は別個の成分として含まれ得る。一般に、同一の成分としてアマドリアーゼと緩衝剤とがキット中に含まれる場合、緩衝剤はアマドリアーゼを失活させない濃度で含まれるのが好ましい。別個の成分としてアマドリアーゼと緩衝剤とがキット中に含まれる場合、緩衝剤は測定時における終濃度よりも高濃度のストック溶液を用いてもよい。このストック溶液を適宜希釈して、測定に用いる溶液を調製する。
本発明のアマドリアーゼ及び緩衝剤を含むキットは、さらにαFVH測定用試薬、αFVHを切り出すためのプロテアーゼ又はペプチダーゼ、その他公知の安定化剤や界面活性剤を含み得る。αFVHを測定するための各種キットに用いられている技術を、本発明のアマドリアーゼ及び緩衝剤を含むキットの製造に適宜用いることができる。すなわち本発明は、適当なアマドリアーゼ及び緩衝剤を用意するステップを含む、アマドリアーゼ及び緩衝剤を含むキットの製造方法を提供する。
本発明のキットに含まれる変異体アマドリアーゼは好ましくは、緩衝剤の存在下で53〜58℃、10分間の熱処理後の残存活性(%)が、本発明の変異を導入していないアマドリアーゼの緩衝剤存在下での前記熱処理後の残存活性(%)と比較して1.5倍以上、2倍以上、3倍以上、4倍以上、5倍以上、10倍以上、20倍以上、30倍以上、40倍以上、50倍以上、60倍以上、70倍以上、80倍以上、90倍以上、100倍以上、110倍以上、120倍以上、例えば130倍以上である。残存活性については下記に説明する。
本発明のキットに含まれるアマドリアーゼは、好ましくは測定時における終濃度として、110μg/ml以下、例えば100μg/ml以下、70μg/ml以下、又は50μg/ml以下である。
本発明のキットに含まれるアマドリアーゼは、配列番号1、6又は9に示されるアミノ酸配列を有するアマドリアーゼ又はこれに基づき作製された、グッド緩衝剤の存在下での安定性が向上した変異体であり得る。該変異体は、配列番号1、6又は9と例えば、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、97%以上、又は99%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するか、或いは配列番号1、6又は9のアミノ酸配列において、1から数個のアミノ酸が改変若しくは変異、又は、欠失、置換、付加及び/若しくは挿入されたアミノ酸配列を有し得る。
また本発明の組成物又はキットに含まれるアマドリアーゼは、例えばEupenicillium属、Pyrenochaeta属、Arthrinium属、Curvularia属、Neocosmospora属、Cryptococcus属、Phaeosphaeria属、Aspergillus属、Emericella属、Ulocladium属、Penicillium属、Fusarium属、Achaetomiella属、Achaetomium属、Thielavia属、Chaetomium属、Gelasinospora属、Microascus属、Leptosphaeria属、Ophiobolus属、Pleospora属、Coniochaetidium属、Pichia属、Corynebacterium属、Agrobacterium属、Arthrobacter属などのの生物種に由来するアマドリアーゼに基づき作製されたものでもよい。これらの中でもグッド緩衝剤の存在下で安定、特に熱安定であり、かつ/又はアミノ酸配列が上記のように配列番号1、6又は9と高い配列同一性を有するものが好ましい。こうした変異体は、場合により配列番号1に示すアミノ酸配列の288位のアルギニン、290位のリシン、及び311位のリシンよりなる群から選択されるアミノ酸に対応する位置で1又はそれ以上のアミノ酸置換を有しうる。当業者であれば、本明細書の記載及び後述する試験法等により、あるアマドリアーゼ又はその変異体が本発明のキットに使用可能か、すなわち所望の安定性を有するか調べることができる。
(緩衝剤)
本発明のキット又は組成物には、アマドリアーゼの活性が失活しない範囲であるpH5.0〜pH10.0、好ましくはpH6.0〜pH8.0の範囲で緩衝能を有する緩衝剤又は緩衝液を適宜加えてよい。本明細書において緩衝剤というとき、特に断らない限り、この用語は1以上の緩衝剤を包含するものとする。緩衝液とは溶液のpHを一定範囲に保つ緩衝作用(緩衝能)のある溶液のことをいい、緩衝剤とは溶液に緩衝作用を付与する物質をいう。緩衝剤は、弱酸を例にとると、弱酸とその塩から構成され、この場合、当該塩を共役塩と呼ぶ。ある緩衝剤についての濃度は、当該緩衝剤のベースとなる化合物の単独形態とその共役塩の形態とを合計したベース化合物についての濃度をいう。例えば100mMのグッド緩衝剤というとき、これは終濃度として溶液に含まれるグッド緩衝剤化合物及びその共役塩を合計したグッド緩衝剤化合物濃度が100mMであることをいう。
本発明のキット又は組成物に用いることのできる緩衝剤としては、例えば、グッド緩衝剤、リン酸及び/又はその塩を含むリン酸緩衝剤、例えばリン酸カリウム緩衝剤又はリン酸ナトリウム緩衝剤、有機酸緩衝剤及び/又はその塩を含む有機酸緩衝剤、例えばトリカルボン酸緩衝剤及び/又はその塩を含むトリカルボン酸緩衝剤、例えばクエン酸及び/又はその塩を含むクエン酸緩衝剤、ホウ酸及び/又はその塩を含むホウ酸緩衝剤、モノカルボン酸緩衝剤及び/又はその塩を含むモノカルボン酸緩衝剤、例えば酢酸緩衝剤及び/又はその塩を含む酢酸緩衝剤等の緩衝剤、並びにそれらの混合物が挙げられる。
グッド緩衝剤(グッドバッファーともいう)は、一般にはNorman Goodらによって提唱された生化学実験に適した種々の緩衝剤等を指す。Goodらは1966年に12種類の緩衝剤を提唱した(Goodら、(1966)、Biochemistry 5 (2): 467-477)。その後、他にも緩衝剤が追加され、以下の20種が提唱されている:アセトアミドグリシン、ACES(N-(2-アセトアミド)-2-アミノエタンスルホン酸)、ADA(N-(2-アセトアミド)イミノ二酢酸、BES(N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2-アミノエタンスルホン酸)、Bicin(N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)グリシン)、Bis−Tris(ビス(2-ヒドロキシエチル)イミノトリス(ヒドロキシメチル)メタン)、コラミン塩酸、EPPS(4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンプロパンスルホン酸)、HEPPSと呼ぶこともある)、グリシンアミド、HEPES(4-2-ヒドロキシエチル-1-ピペラジンエタンスルホン酸)、HEPPSO(N-(ヒドロキシエチル)ピペラジン-N'-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸)、MES(2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸)、MOPS(3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸)、MOPSO(2-ヒドロキシ-3-モルホリノプロパンスルホン酸)、PIPES(ピペラジン-N,N'-ビス(2-エタンスルホン酸))、POPSO(ピペラジン-1,4-ビス(2-ヒドロキシプロパンスルホン酸))、TAPS(N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル-3-アミノプロパンスルホン酸)、TAPSO(3-[N-トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ]-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸)、TES(N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル-2-アミノエタンスルホン酸)、及びトリシン(N-トリス(ヒドロキシメチル)メチルグリシン)(Goodら, (1972) Methods Enzymol. 24: 53-68;Goodら(1980) Anal. Biochem. 104 (2): 300-310)。上記の他にも、必ずしもGoodらによって提唱されたものではないが、AMPSO(N-(1,1-ジメチル-2-ヒドロキシエチル)-3-アミノ-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸)、CABS(4-(シクロヘキシルアミノ)-1-ブタンスルホン酸)、CAPS(N-シクロヘキシル-3-アミノプロパンスルホン酸)、CHES(N-シクロヘキシル-2-アミノエタンスルホン酸)、CAPSO(N-シクロヘキシル-2-ヒドロキシル-3-アミノプロパンスルホン酸)、及びDIPSO(3-(N,N-ビス[2-ヒドロキシエチル]アミノ)-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸)などの化合物もpKa等が評価され、いわゆるグッド緩衝剤として一般に受け入れられている。本明細書においてグッド緩衝剤というとき、この用語は、アセトアミドグリシン、ACES、ADA、BES、Bicin、Bis−Tris、コラミン塩酸、EPPS、グリシンアミド、HEPES、HEPPSO、MES、MOPS、MOPSO、PIPES、POPSO、TAPS、TAPSO、TES、トリシン、AMPSO、CABS、CAPS、CHES、CAPSO、DIPSO及びこれらの混合物を包含するものとする。
塩としてはベース化合物のナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩及びアンモニウム塩が挙げられるがこれに限らない。
本発明の緩衝剤は、適当な濃度で本発明のキット又は組成物に用いることができる。通常、本発明のキット又は組成物に添加する本発明の緩衝剤の量は、測定溶液での終濃度に基づいて算出することができる。ある実施形態において測定溶液における本発明の緩衝剤の終濃度は、好ましくは当該測定溶液に生じうるpH変化を緩衝するのに十分な濃度である。本発明の緩衝剤の終濃度は、例えば1mM以上、5mM以上、10mM以上、20mM以上、例えば50mM以上、1M以下、500mM以下、400mM以下、300mM以下、200mM以下、100mM以下、例えば1mM〜1M、5mM〜500mM、10mM〜300mM、例えば50mM〜100mMであり得る。
本発明の緩衝剤としてHEPES緩衝剤又はTES緩衝剤を用いる場合、その濃度は10mM〜500mM、例えば20mM〜300mM、例えば50mM〜200mMであり得る。本発明の緩衝剤はそのpKaを考慮し、目的のpHを達成するために複数を適宜組み合わせてよい。組み合わせはHEPES緩衝剤とTES緩衝剤との組み合わせのようにグッド緩衝剤同士の態様に限られず、グッド緩衝剤と他の緩衝剤とを組み合わせてもよい。
(界面活性剤)
本発明の組成物は界面活性剤を含み得る。界面活性剤としては、本発明のHbA1cの測定方法を可能とする界面活性剤であれば特に制限は無く、非イオン性界面活性剤やイオン性の界面活性剤、例えば、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられるが、特にカチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤が好ましい。本明細書において界面活性剤というとき、特に断らない限り、この表現は1以上の界面活性剤を包含するものとする。
非イオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、脂肪酸ソルビタンエステル、アルキルポリグルコシド、脂肪酸ジエタノールアミド、アルキルモノグリセリルエーテルなどが挙げられる。
カチオン性界面活性剤としてはアルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、ホスホニウム塩、イミダゾリウム塩、イソキノニウム塩などが挙げられるがこれに限らない。カチオン性界面活性剤としては、第四級アンモニウム塩、ピリジニウム塩やホスホニウム塩が挙げられるがこれに限らない。
カチオン性界面活性剤の対となる陰イオンZ-は例えばCl-、Br-、I-等でありうる。
アニオン性界面活性剤としては、直鎖状アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、例えばドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、アルファーオレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、α−スルホ脂肪酸エステル塩及び天然脂肪酸のアルカリ金属塩などが挙げられるがこれに限らない。
両性界面活性剤としては、例えば、アルキルジメチルアミンオキシド、アルキルカルボキシベタインなどが挙げられる。
(本発明のアマドリアーゼの緩衝剤の存在下での安定性の向上)
上記のような手段で得られる本発明のアマドリアーゼは、遺伝子改変等により、そのアミノ酸配列に変異を生じた結果、改変前のものと比較して緩衝剤の存在下での安定性が向上していることを特徴とする。具体的には、改変前のアマドリアーゼの活性と比較して、改変アマドリアーゼは、本明細書中に記載の活性測定方法及び緩衝剤の存在下での安定性評価方法に記載した反応条件下で、所定の緩衝剤を添加してから、53℃、10分の熱処理後の残存活性が、向上していることを特徴とする。ここで、残存活性(%)とは、熱処理前の活性を100とした場合の熱処理後の活性の割合をパーセンテージ(%)で表したものである。
本発明の改変アマドリアーゼの残存活性の向上度合は限定されないが、例えば、本発明の変異を導入する前のアマドリアーゼの緩衝剤存在下での53℃、10分の熱処理後の残存活性を基準として(1倍として)、本発明の変異を導入したアマドリアーゼについて緩衝剤存在下での53℃、10分の熱処理後の残存活性が好ましくは1.5倍以上、2倍以上、3倍以上、4倍以上、5倍以上、10倍以上、20倍以上、30倍以上、40倍以上、50倍以上、60倍以上、70倍以上、80倍以上、90倍以上、100倍以上、110倍以上、120倍以上、例えば130倍以上である改変アマドリアーゼが本発明に包含される。熱処理温度は上記に代えて50〜60℃、例えば53〜58℃、例えば54℃、55℃、56℃、57℃、又は58℃であり得る。
例えば、本発明に包含される、大腸菌JM109(pKK223-3-CFP-T7-R288N)株が生産する本発明のアマドリアーゼを、0.1M HEPES緩衝剤の存在下で、53℃、10分間の熱処理に供すると、本発明の変異を導入する前のアマドリアーゼであるCFP-T7の残存活性が0.6%であるのに対し、本発明の変異導入後のアマドリアーゼは残存活性が約24.7%である。これは41倍以上の残存活性の向上に当たる。このように緩衝剤存在下での安定性が向上したアマドリアーゼは、該酵素含有製品等における保存性が著しく向上し、また、測定反応を広範な条件で可能とし、産業上非常に有利である。
(アマドリアーゼ活性の測定方法)
アマドリアーゼの活性の測定方法としては、種々の方法を用いることができるが、一例として、以下に、本発明で用いるアマドリアーゼ活性の測定方法について説明する。
(本発明におけるアマドリアーゼ活性の測定方法)
本発明におけるアマドリアーゼの酵素活性の測定方法としては、酵素の反応により生成する過酸化水素量を測定する方法や酵素反応により消費する酸素量を測定する方法などが主な測定方法として挙げられる。以下に、一例として、過酸化水素量を測定する方法について示す。
以下、本発明におけるアマドリアーゼの活性測定には、断りのない限り、フルクトシルバリンを基質として用いる。なお、酵素力価は、フルクトシルバリンを基質として測定したとき、1分間に1μmolの過酸化水素を生成する酵素量を1Uと定義する。フルクトシルバリン等の糖化アミノ酸、及びフルクトシルバリルヒスチジン等の糖化ペプチドは、阪上らの方法に基づき合成、精製することができる(特開2001-95598号参照)。
A.試薬の調製
(1)試薬1:POD−4−AA溶液
4.0kUのパーオキシダーゼ(キッコーマン社製)、100mgの4−アミノアンチピリン(東京化成工業社製)を0.1Mのリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)に溶解し、1Lに定容する。
(2)試薬2:TOOS溶液
500mgのTOOS(N-エチル-N-(2-ヒドロキシ-3-スルホプロピル)-m-トルイジンナトリウム、同仁化学社製)をイオン交換水に溶解し、100mlに定容する。
(3)試薬3:基質溶液(150mM;終濃度 5mM)
フルクトシルバリン417mgをイオン交換水に溶解して10mlに定容する。
B.測定法
2.7mlの試薬1,100μlの試薬2、及び100μlの試薬3を混和し、37℃で5分間予備加温する。その後、酵素液を100μl加えてよく混ぜた後、分光光度計(U−3900、日立ハイテクノロジーズ社製)により、555nmにおける吸光度を測定する。測定値は、555nmにおける1分後から3分後の1分間あたりの吸光度変化とする。なお対照液は、100μlの試薬3の代わりに100μlのイオン交換水を加える以外は前記と同様に調製する。37℃、1分当たりに生成される過酸化水素のマイクロモル数を酵素液中の活性単位(U)とし、下記の式に従って算出する。
活性(U/ml)= {(ΔAs−ΔA)×3.0×df}÷(39.2×0.5×0.1)
ΔAs : 反応液の1分間あたりの吸光度変化
ΔA : 対照液の1分間あたりの吸光度変化
39.2: 反応により生成されるキノンイミン色素の
ミリモル吸光係数(mM−1・cm−1
0.5 : 1molの過酸化水素による生成されるキノンイミン色素のmol数
df : 希釈係数
(緩衝剤存在下での熱安定性評価方法)
上記の活性測定方法において、種々の緩衝剤の存在下で熱処理を行った後のアマドリアーゼの残存活性測定を行うことで、緩衝剤存在下でのアマドリアーゼの熱安定性を評価することができる。例えば、アマドリアーゼ粗酵素液を約0.5U/mlとなるように、0.1M HEPES緩衝液(pH7.0)、TES緩衝液(pH7.0)、又はリン酸緩衝液(pH7.0)で希釈し、53℃にて10分間加温する。上記の活性測定方法を用いて加熱前と加熱後のサンプルの酵素活性を測定し、加熱前の活性を100とした場合の加熱後の活性の割合、すなわち、残存活性(%)を求めることにより、緩衝剤存在下での熱安定性を評価する。
以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明の技術的範囲は、それらの例により何ら限定されるものではない。
[実施例1]
(緩衝剤存在下での熱安定性向上型変異について)
(1)組換え体プラスミドpKK223-3-CFP-T7 DNAの調製
CFP-T7遺伝子(配列番号2)を含む組換え体プラスミドを有する大腸菌JM109(pKK223-3-CFP-T7)株(国際公開2007/125779号参照)を、LB-amp培地[1%(W/V) バクトトリプトン、0.5%(W/V) ペプトン、0.5%(W/V) NaCl、50μg/ml Ampicilin]2.5mlに接種して、37℃で20時間振とう培養し、培養物を得た。
この培養物を7,000rpmで、5分間遠心分離することにより集菌して菌体を得た。次いで、この菌体よりQIAGEN tip-100(キアゲン社製)を用いて組換え体プラスミドpKK223-3-CFP-T7を抽出して精製し、組換え体プラスミドpKK223-3-CFP-T7のDNA2.5μgを得た。
(2)組換え体プラスミドpKK223-3-CFP-T7 DNAの部位特異的改変操作
得られた組換え体プラスミドpKK223-3-CFP-T7 DNAを鋳型として、配列番号15、19の合成オリゴヌクレオチド、KOD-Plus-(東洋紡績社製)を用い、以下の条件でPCR反応を行った。
すなわち、10×KOD-Plus-緩衝液を5μl、dNTPが各2mMになるよう調製されたdNTPs混合溶液を5μl、25mMのMgSO4溶液を2μl、鋳型となるpKK223-3-CFP-T7 DNAを50ng、上記合成オリゴヌクレオチドをそれぞれ15pmol、KOD-Plus-を1Unit加えて、滅菌水により全量を50μlとした。調製した反応液をサーマルサイクラー(エッペンドルフ社製)を用いて、94℃で2分間インキュベートし、続いて、「94℃、15秒」−「50℃、30秒」−「68℃、6分」のサイクルを30回繰り返した。
反応液の一部を1.0%アガロースゲルで電気泳動し、約6,000bpのDNAが特異的に増幅されていることを確認した。こうして得られたDNAを制限酵素DpnI(NEW ENGLAND BIOLABS社製)で処理し、残存している鋳型DNAを切断した後、大腸菌JM109を形質転換し、LB-amp寒天培地に展開した。生育したコロニーをLB-amp培地に接種して振とう培養し、上記(1)と同様の方法でプラスミドDNAを単離した。該プラスミド中のアマドリアーゼをコードするDNAの塩基配列を、マルチキャピラリーDNA解析システムApplied Biosystems 3130xlジェネティックアナライザ(Life Technologies社製)を用いて決定し、その結果、配列番号1記載のアミノ酸配列の288位のアルギニンがアスパラギンに置換された改変型アマドリアーゼをコードする組換え体プラスミド(pKK223-3-CFP-T7-R288N)を得た。
続いて、配列番号1記載のアミノ酸配列の288位のアルギニンをアスパラギン酸に置換するために、組換え体プラスミドpKK223-3-CFP-T7 DNAを鋳型として、配列番号16、19の合成オリゴヌクレオチド、KOD-Plus-を用い、上記と同様の条件でPCR反応、大腸菌JM109の形質転換及び生育コロニーが保持するプラスミドDNA中のアマドリアーゼをコードするDNAの塩基配列決定を行った。その結果、配列番号1記載のアミノ酸配列の288位のアルギニンがアスパラギン酸に置換された改変型アマドリアーゼをコードする組換え体プラスミド(pKK223-3-CFP-T7-R288D)を得た。
続いて、配列番号1記載のアミノ酸配列の288位のアルギニンをアラニンに置換するために、組換え体プラスミドpKK223-3-CFP-T7 DNAを鋳型として、配列番号17、19の合成オリゴヌクレオチド、KOD-Plus-を用い、上記と同様の条件でPCR反応、大腸菌JM109の形質転換及び生育コロニーが保持するプラスミドDNA中のアマドリアーゼをコードするDNAの塩基配列決定を行った。その結果、配列番号1記載のアミノ酸配列の288位のアルギニンがアラニンに置換された改変型アマドリアーゼをコードする組換え体プラスミド(pKK223-3-CFP-T7-R288A)を得た。
続いて、配列番号1記載のアミノ酸配列の288位のアルギニンをグルタミンに置換するために、組換え体プラスミドpKK223-3-CFP-T7 DNAを鋳型として、配列番号18、19の合成オリゴヌクレオチド、KOD-Plus-を用い、上記と同様の条件でPCR反応、大腸菌JM109の形質転換及び生育コロニーが保持するプラスミドDNA中のアマドリアーゼをコードするDNAの塩基配列決定を行った。その結果、配列番号1記載のアミノ酸配列の288位のアルギニンがグルタミンに置換された改変型アマドリアーゼをコードする組換え体プラスミド(pKK223-3-CFP-T7-R288Q)を得た。
続いて、配列番号1記載のアミノ酸配列の290位のリシンをグルタミンに置換するために、組換え体プラスミドpKK223-3-CFP-T7 DNAを鋳型として、配列番号20、23の合成オリゴヌクレオチド、KOD-Plus-を用い、上記と同様の条件でPCR反応、大腸菌JM109の形質転換及び生育コロニーが保持するプラスミドDNA中のアマドリアーゼをコードするDNAの塩基配列決定を行った。その結果、配列番号1記載のアミノ酸配列の290位のリシンがグルタミンに置換された改変型アマドリアーゼをコードする組換え体プラスミド(pKK223-3-CFP-T7-K290Q)を得た。
続いて、配列番号1記載のアミノ酸配列の290位のリシンをアスパラギンに置換するために、組換え体プラスミドpKK223-3-CFP-T7 DNAを鋳型として、配列番号21、23の合成オリゴヌクレオチド、KOD-Plus-を用い、上記と同様の条件でPCR反応、大腸菌JM109の形質転換及び生育コロニーが保持するプラスミドDNA中のアマドリアーゼをコードするDNAの塩基配列決定を行った。その結果、配列番号1記載のアミノ酸配列の290位のリシンがアスパラギンに置換された改変型アマドリアーゼをコードする組換え体プラスミド(pKK223-3-CFP-T7-K290N)を得た。
続いて、配列番号1記載のアミノ酸配列の290位のリシンをアラニンに置換するために、組換え体プラスミドpKK223-3-CFP-T7 DNAを鋳型として、配列番号22、23の合成オリゴヌクレオチド、KOD-Plus-を用い、上記と同様の条件でPCR反応、大腸菌JM109の形質転換及び生育コロニーが保持するプラスミドDNA中のアマドリアーゼをコードするDNAの塩基配列決定を行った。その結果、配列番号1記載のアミノ酸配列の290位のリシンがアラニンに置換された改変型アマドリアーゼをコードする組換え体プラスミド(pKK223-3-CFP-T7-K290A)を得た。
続いて、配列番号1記載のアミノ酸配列の311位のリシンをグルタミンに置換するために、組換え体プラスミドpKK223-3-CFP-T7 DNAを鋳型として、配列番号24、27の合成オリゴヌクレオチド、KOD-Plus-を用い、上記と同様の条件でPCR反応、大腸菌JM109の形質転換及び生育コロニーが保持するプラスミドDNA中のアマドリアーゼをコードするDNAの塩基配列決定を行った。その結果、配列番号1記載のアミノ酸配列の311位のリシンがグルタミンに置換された改変型アマドリアーゼをコードする組換え体プラスミド(pKK223-3-CFP-T7-K311Q)を得た。
続いて、配列番号1記載のアミノ酸配列の311位のリシンをアラニンに置換するために、組換え体プラスミドpKK223-3-CFP-T7 DNAを鋳型として、配列番号25、27の合成オリゴヌクレオチド、KOD-Plus-を用い、上記と同様の条件でPCR反応、大腸菌JM109の形質転換及び生育コロニーが保持するプラスミドDNA中のアマドリアーゼをコードするDNAの塩基配列決定を行った。その結果、配列番号1記載のアミノ酸配列の311位のリシンがアラニンに置換された改変型アマドリアーゼをコードする組換え体プラスミド(pKK223-3-CFP-T7-K311A)を得た。
続いて、配列番号1記載のアミノ酸配列の311位のリシンをアスパラギンに置換するために、組換え体プラスミドpKK223-3-CFP-T7 DNAを鋳型として、配列番号26、27の合成オリゴヌクレオチド、KOD-Plus-を用い、上記と同様の条件でPCR反応、大腸菌JM109の形質転換及び生育コロニーが保持するプラスミドDNA中のアマドリアーゼをコードするDNAの塩基配列決定を行った。その結果、配列番号1記載のアミノ酸配列の311位のリシンがアスパラギンに置換された改変型アマドリアーゼをコードする組換え体プラスミド(pKK223-3-CFP-T7-K311N)を得た。
(3)各種改変型アマドリアーゼの生産
上記の手順により得られた上記組換え体プラスミドを保持するそれぞれの大腸菌JM109株を、0.1mMのIPTGを添加したLB-amp培地3mlにおいて、30℃で16時間培養した。その後、各菌体をpH7.0の0.01Mリン酸緩衝液で洗浄、超音波破砕、15,000rpmで10分間遠心分離し、各粗酵素液1.5mlを調製した。
(4)各種改変型アマドリアーゼの緩衝剤存在下での熱安定性評価
このようにして調製した各粗酵素液をサンプルとし、上記の緩衝剤存在下での熱安定性評価方法に従って、各種改変型アマドリアーゼの熱安定性評価を行った。緩衝液として、0.1M HEPES緩衝液(pH7.0)又はリン酸緩衝液(pH7.0)を用いた。結果を表1に示す。
表1において、CFP-T7は、大腸菌JM109(pKK223-3-CFP-T7)株由来のアマドリアーゼを示す。なお、本実施例ではCFP-T7を変異元酵素としたため、表中に記載の「アミノ酸変異」の記載には、CFP-T7に既に導入済みの各種変異点は含めていない。
Figure 0006764219
表1に示す通り、0.1MのHEPES存在下での熱処理後のCFP-T7の残存活性は0.6%となった。これに対し、部位特異的変異導入により得られた変異体では、残存活性が有意に向上し、顕著なものでは変異導入前のCFP-T7の残存活性と比較して40倍以上の残存活性の向上が見られた。したがって、配列番号1における288位、290位及び311位が、緩衝剤存在下でのアマドリアーゼの熱安定性を向上させる変異点であることが確認された。
また、上記の条件で、ただし緩衝剤として0.1M HEPES緩衝液(pH7.0)の代わりにTES緩衝液(pH7.0)を使用した場合も、変異なしのCFP-T7が7.2%の残存活性まで低減したのに対して、CFP-T7/R288N変異体は39.5%の活性が残存し、CFP-T7/K290Q変異体は14.3%の活性が残存し、CFP-T7/K311Q変異体は24.9%の活性が残存し、CFP-T7/K311A変異体は14.7%の活性が残存した。したがって、配列番号1における288位、290位及び311位が、TES緩衝剤存在下においても、アマドリアーゼの熱安定性を向上させる変異点であることが確認された。グッド緩衝液であるHEPES緩衝剤とTES緩衝剤において、熱安定性向上効果が示されたこれらの変異体は、その他のグッド緩衝剤においても、さらには複数種の緩衝剤を混合した緩衝剤を用いた場合においても、同様に熱安定性向上効果を示すと考えられる。
[実施例2]
(安定性向上型変異の蓄積)
実施例1で見出された安定性向上変異の知見に基づき、これらを組み合わせて変異を蓄積させることにより、さらにグッド緩衝剤存在下での熱安定性を高めたアマドリアーゼを取得することを目的として、2重変異体及び3重変異体を作製した。
実施例1と同様にして、pKK223-3-CFP-T7-R288N DNAを鋳型とし、配列番号23、28の合成オリゴヌクレオチドを使用して、288位のアルギニンがアスパラギンに、及び290位のリシンがグルタミンに置換された改変型アマドリアーゼをコードする組換え体プラスミド(pKK223-3-CFP-T7-R288N/K290Q)を得た。
実施例1と同様にして、pKK223-3-CFP-T7-R288N DNAを鋳型とし、配列番号24、27の合成オリゴヌクレオチドを使用して、288位のアルギニンがアスパラギンに、及び311位のリシンがグルタミンに置換された改変型アマドリアーゼをコードする組換え体プラスミド(pKK223-3-CFP-T7-R288N/K311Q)を得た。
実施例1と同様にして、pKK223-3-CFP-T7-K290Q DNAを鋳型とし、配列番号24、27の合成オリゴヌクレオチドを使用して、290位のリシンがグルタミンに、及び311位のリシンがグルタミンに置換された改変型アマドリアーゼをコードする組換え体プラスミド(pKK223-3-CFP-T7-K290Q/K311Q)を得た。
さらに上記と同様にして、pKK223-3-CFP-T7-R288N/K290Q DNAを鋳型とし、配列番号24、27の合成オリゴヌクレオチドを使用して、288位のアルギニンがアスパラギンに、290位のリシンがグルタミンに、及び311位のリシンがグルタミンに置換された改変型アマドリアーゼをコードする組換え体プラスミド(pKK223-3-CFP-T7-R288N/K290Q/K311Q)を得た。
これらのプラスミドで大腸菌を形質転換し、得られた改変型アマドリアーゼ生産能を有する大腸菌JM109(pKK223-3-CFP-T7)株、JM109(pKK223-3-CFP-T7-R288N/K290Q)株、JM109(pKK223-3-CFP-T7-R288N/K311Q)株、JM109(pKK223-3-CFP-T7-K290Q/K311Q)株、JM109(pKK223-3-CFP-T7-R288N/K290Q/K311Q)株を、上記の方法で培養して、各種改変型アマドリアーゼの粗酵素液を調製した。得られた各粗酵素液をサンプルとし、上記の緩衝剤存在下での熱安定性評価方法に従って、各種改変型アマドリアーゼの熱安定性評価を行った。緩衝液として、0.1M HEPES緩衝液(pH7.0)、TES緩衝液(pH7.0)、又はリン酸緩衝液(pH7.0)を用いた。結果を表2に示す。
Figure 0006764219
表2に示すとおり、作製した二重変異体及び三重変異体はいずれも、0.1MのHEPES存在下で、及び0.1MのTES存在下での熱処理後の残存活性が有意に向上した。特に三重変異体CFP-T7-R288N/K290Q/K311Qでは、変異導入前のCFP-T7と比較して130倍以上の残存活性の向上が見られた。よって実施例1で確認された本発明の変異点を適宜組み合わせることによって、一層優れたグッド緩衝剤存在下での熱安定性を有するアマドリアーゼが作出され得ることが明らかとなった。
[実施例3]
(Curvularia clavata由来ケトアミンオキシダーゼについて)
配列番号6はCurvularia clavata由来ケトアミンオキシダーゼ(以降CcFXと称する)のアミノ酸配列である(国際公開第2004/104203号)。配列番号6のアミノ酸配列をコードする遺伝子(配列番号14)を定法である遺伝子断片のPCRによる全合成によりcDNAを全合成することで取得した(終止コドンTAAを含む)。このとき、配列番号14の5´末端、3´末端にはそれぞれEcoRIサイトとHindIIIサイトを付加した。また、クローニングした遺伝子配列から予想されるアミノ酸配列全長は図1のCcFXの配列と一致していることを確認した。続いて、取得した配列番号14の遺伝子を大腸菌で発現させるために、以下の手順を行った。まず、上記で全合成した遺伝子をEcoRIサイトとHindIIIサイトの2種類の制限酵素(タカラバイオ社製)で処理し、pKK-223-3 Vector(GEヘルスケア社製)のEcoRI-HindIIIサイトに挿入することで、組換え体プラスミドpKK223-3-CcFXを取得し、上記と同様の条件で大腸菌JM109株を形質転換し、大腸菌JM109(pKK223-3-CcFX)株を得た。
次に、CcFXに、グッド緩衝剤存在下での熱安定性を向上させる変異を導入した。具体的にはConiochaeta属由来アマドリアーゼ(CFP-T7)における288位及び290位にそれぞれ対応する位置であるCcFXの286位及び288位に変異を導入した。
具体的にはpKK223-3ベクターにCcFX遺伝子が挿入されたプラスミドDNAを鋳型として、グッド緩衝剤存在下での熱安定性向上型変異の蓄積を行った。CFP-T7遺伝子の代わりにCcFX遺伝子を用いた以外は、手順は上記と同様に行った。合成オリゴヌクレオチド(配列番号29、30、31)、KOD-Plus-(東洋紡績社製)を用い、実施例1(2)と同様の条件でPCR反応、大腸菌JM109株の形質転換及び生育コロニーが保持するプラスミドDNA中のアマドリアーゼをコードするDNAの塩基配列決定を行った。
これにより、286位のアルギニンがアスパラギンに置換された変異体pKK223-3-CcFX-R286N及び286位のアルギニンがアスパラギンに置換され、288位のリシンがグルタミンに置換された変異体pKK223-3-CcFX-R286N/K288Qを得た。
次に実施例1(3)に記載の手順で改変型アマドリアーゼを生産した。続いて、上記の緩衝剤存在下での熱安定性評価方法に従って、各種改変型アマドリアーゼの熱安定性評価を行った。緩衝液として、0.1M HEPES緩衝液(pH7.0)、TES緩衝液(pH7.0)、又はリン酸緩衝液(pH7.0)を用いた。ただし、熱処理条件に関しては、53℃の代わりに58℃にて10分間、アマドリアーゼを熱処理し、緩衝液として0.1M HEPES緩衝液(pH7.0)、TES緩衝液(pH7.0)、又はリン酸緩衝液(pH7.0)を用いた。結果を表3に示す。
Figure 0006764219
表3に示す通り、0.1MのHEPES存在下での熱処理後のCcFXの残存活性は37.5%となった。これに対し、部位特異的変異導入により得られた変異体では、残存活性が有意に向上し、CcFX-R286N変異体では68.9%の残存活性が見られた。CcFX-R286N/K288Q変異体では83.6%の残存活性が見られた。また0.1MのTES存在下での熱処理後のCcFXの残存活性は20.8%となった。これに対し、CcFX-R286N変異体では52.1%の残存活性が見られた。またCcFX-R286N/K288Q変異体では71.3%の残存活性が見られた。
このように、CFP-T7についてグッド緩衝剤での熱安定性向上が確認された変異を、CcFXの対応する位置に導入したところ、上記のとおり同様のグッド緩衝剤での熱安定性向上が確認された。したがって、この変異導入の効果は特定の種に由来するアマドリアーゼに限定されるものではなく、対応する位置に変異を導入することで各種のアマドリアーゼについてもグッド緩衝剤存在下での熱安定性を向上させる効果がある。また変異の累積的効果も示された。
なおConiochaeta属由来アマドリアーゼとCurvularia clavata由来ケトアミンオキシダーゼは約80%のアミノ酸配列同一性を有する。よってConiochaeta属由来アマドリアーゼ又はCurvularia clavata由来ケトアミンオキシダーゼと80%以上のアミノ酸配列同一性を有する他の種由来のアマドリアーゼについても、上記位置に対応する位置に変異を導入することでグッド緩衝剤での熱安定性を向上させることができると考えられる。
また、CFP-T7の288位ではアスパラギン、アラニン又はグルタミンへの置換によりグッド緩衝剤存在下での熱安定性の向上が見られ、CcFXの286位ではアスパラギンへの置換によりグッド緩衝剤存在下での熱安定性の向上が見られた。このことから、CcFXについても、286位をアラニン又はグルタミンに置換することによりグッド緩衝剤での熱安定性が向上すると考えられる。他の各種のアマドリアーゼについても同様である。
[実施例4]
(Phaeosphaeria nodorum由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼについて)
配列番号9はPhaeosphaeria nodorum由来フルクトシルペプチドオキシダーゼ(以降PnFXと称する)のアミノ酸配列である(Biotechnology and Bioengineering, 106, 358-366, 2010)。配列番号9のアミノ酸配列をコードする遺伝子(配列番号32)を定法である遺伝子断片のPCRによる全合成によりcDNAを全合成することで取得した(終止コドンTAAを含む)。このとき、配列番号32の5´末端、3´末端にはそれぞれEcoRIサイトとHindIIIサイトを付加した。また、クローニングした遺伝子配列から予想されるアミノ酸配列全長は図1のPnFXの配列と一致していることを確認した。続いて、取得した配列番号32の遺伝子を大腸菌で発現させるために、以下の手順を行った。まず、上記で全合成した遺伝子をEcoRIサイトとHindIIIサイトの2種類の制限酵素で処理し、pKK-223-3 VectorのEcoRI-HindIIIサイトに挿入することで、組換え体プラスミドpKK223-3-PnFXを取得し、上記と同様の条件で大腸菌JM109株を形質転換し、大腸菌JM109(pKK223-3-PnFX)株を得た。
次に、PnFXにグッド緩衝剤存在下で熱安定性を向上させる変異を導入した。具体的にはConiochaeta属由来アマドリアーゼ(CFP-T7)における288位及び290位に対応する位置であるPnFXの284位及び286位に変異を導入した。
具体的には実施例1と同様にして、pKK223-3-PnFX DNAを鋳型とし、配列番号33、35の合成オリゴヌクレオチドを使用して、284位のアルギニンがアスパラギンに置換された改変型アマドリアーゼをコードする組換え体プラスミド(pKK223-3-PnFX-R284N)を得た。
実施例1と同様にして、pKK223-3-PnFX-R284N DNAを鋳型とし、配列番号34、35の合成オリゴヌクレオチドを使用して、284位のアルギニンがアスパラギンに、及び286位のリシンがグルタミンに置換された改変型アマドリアーゼをコードする組換え体プラスミド(pKK223-3-PnFX-R284N/K286Q)を得た。
次に実施例1(3)に記載の手順で改変型アマドリアーゼを生産した。続いて、上記の緩衝剤存在下での熱安定性評価方法に従って、各種改変型アマドリアーゼの熱安定性評価を行った。緩衝液として、0.1M HEPES緩衝液(pH7.0)又はリン酸緩衝液(pH7.0)を用い、熱処理条件に関しては、53℃の代わりに55℃にて10分間、アマドリアーゼを熱処理し改変型アマドリアーゼの熱安定性評価を行った。結果を表4に示す。
Figure 0006764219
表4に示す通り、0.1MのHEPES存在下での熱処理後のPnFXの残存活性は0.0%となった。すなわちPnFXはHEPESの存在下で安定性が低いことを見いだした。これに対し、部位特異的変異導入により得られた変異体では、残存活性が有意に向上し、PnFX-R284N変異体では0.7%の残存活性が見られた。この熱処理条件下での未変異PnFXの残存活性が0.1%であったとするならばPnFX-R284N変異体では残存活性は7倍向上したこととなる。したがって、PnFX-R284N変異体は、本発明の変異を導入していないPnFXと比較して、少なくとも7倍以上、0.1MのHEPES存在下での熱処理後の残存活性が向上したこととなる。また、PnFX-R284N/K286Q変異体は、本発明の変異を導入していないPnFXと比較して、少なくとも47倍以上、0.1MのHEPES存在下での熱処理後の残存活性が向上したこととなる。
このように、CFP-T7についてグッド緩衝剤での熱安定性向上が確認された変異を、PnFXの対応する位置に導入したところ、上記のとおり同様のグッド緩衝剤での熱安定性向上が確認された。したがって、この変異導入の効果は特定の種に由来するアマドリアーゼに限定されるものではなく、対応する位置に変異を導入することで各種のアマドリアーゼについてもグッド緩衝剤での熱安定性を向上させる効果がある。また変異の累積的効果も示された。
なおConiochaeta属由来アマドリアーゼとPhaeosphaeria nodorum由来フルクトシルペプチドオキシダーゼは約75%のアミノ酸配列同一性を有する。よってConiochaeta属由来アマドリアーゼ又はPhaeosphaeria nodorum由来フルクトシルペプチドオキシダーゼと75%以上のアミノ酸配列同一性を有する他の種由来のアマドリアーゼについても、上記位置に対応する位置に変異を導入することでグッド緩衝剤での熱安定性を向上させることができると考えられる。
また、CFP-T7の288位ではアスパラギン、アラニン又はグルタミンへの置換によりグッド緩衝剤存在下での熱安定性の向上が見られ、PnFXの284位ではアスパラギンへの置換によりグッド緩衝剤存在下での熱安定性の向上が見られた。このことから、PnFXについても、284位をアラニン又はグルタミンに置換することによりグッド緩衝剤での熱安定性が向上すると考えられる。他の各種のアマドリアーゼについても同様である。
本発明のこれらの変異点は、単独変異及び累積的変異として有効であるのみならず、既に知られている各種公知の変異と組み合わせ、また、本発明の変異同士を組み合わせることによって、実用上の利点を有する変異体を創出することに貢献することが期待される。
「配列の簡単な説明」
配列番号1 CFP-T7のアミノ酸配列
配列番号2 CFP-T7の遺伝子配列
配列番号3 Eupenicillium terrenum由来のアマドリアーゼ
配列番号4 Pyrenochaeta sp.由来のケトアミンオキシダーゼ
配列番号5 Arthrinium sp.由来のケトアミンオキシダーゼ
配列番号6 Curvularia clavata由来のケトアミンオキシダーゼ
配列番号7 Neocosmospora vasinfecta由来のケトアミンオキシダーゼ
配列番号8 Cryptococcus neoformans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼ
配列番号9 Phaeosphaeria nodorum由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼ
配列番号10 Aspergillus nidulans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼ
配列番号11 Emericella nidulans由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼ
配列番号12 Ulocladium sp.由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼ
配列番号13 Penicillium janthinellum由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼ
配列番号14 Curvularia clavata由来のケトアミンオキシダーゼの遺伝子配列
配列番号15 R288N-Fw
配列番号16 R288D-Fw
配列番号17 R288A-Fw
配列番号18 R288Q-Fw
配列番号19 R288X-Rv
配列番号20 K290Q-Fw
配列番号21 K290N-Fw
配列番号22 K290A-Fw
配列番号23 K290X-Rv
配列番号24 K311Q-Fw
配列番号25 K311A-Fw
配列番号26 K311N-Fw
配列番号27 K311X-Rv
配列番号28 R288N/K290Q-Fw
配列番号29 CcR286N-Fw
配列番号30 CcR286N/K288Q-Fw
配列番号31 CcK288Q-Rv
配列番号32 Phaeosphaeria nodorum由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼの遺伝子配列
配列番号33 PnR284N-Fw
配列番号34 PnR284N/K286Q-Fw
配列番号35 PnK286Q-Rv
本明細書で引用した全ての刊行物、特許及び特許出願をそのまま参考として本明細書にとり入れるものとする。

Claims (9)

  1. (i)アマドリアーゼのアミノ酸配列を、配列番号1記載のアミノ酸配列とアライメントしたときに、配列番号1に示すアミノ酸配列における288位、290位、及び311位からなる群より選択される位置に対応する位置において1以上のアミノ酸置換を有し、アマドリアーゼ活性を有し、配列番号1、6又は9のアミノ酸配列と70%以上の全長アミノ酸配列同一性を有する改変アマドリアーゼであって、配列番号1の第10位〜32位、36〜41位、49〜52位、54〜58位、63〜65位、73〜75位、84〜86位、88〜90位、120〜122位、145〜150位、156〜162位、164〜170位、180〜182位、202〜205位、207〜211位、214〜224位、227〜230位、236〜241位、243〜248位、258〜261位、266〜268位、270〜273位、275〜287位、295〜297位、306〜308位、310〜316位、324〜329位、332〜334位、341〜344位、346〜355位、357〜363位、370〜383位、385〜387位、389〜394位、405〜410位及び423〜431位のアミノ酸配列からなる相同性領域におけるアミノ酸配列と当該改変アマドリアーゼの対応するそれぞれの位置からなる相同性領域におけるアミノ酸配列とが90%以上の配列同一性を有する、改変アマドリアーゼ、
    (ii)配列番号1のアミノ酸配列を有し、ただし、配列番号1に示すアミノ酸配列における288位、290位、及び311位からなる群より選択される位置に対応する位置において1以上のアミノ酸置換を有し、配列番号1に示すアミノ酸配列における288位、290位及び311位に対応する位置以外の位置における1又は数個のアミノ酸が置換、欠失又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつアマドリアーゼ活性を有する改変アマドリアーゼ、
    (iii)配列番号1のアミノ酸配列と90%以上の全長アミノ酸配列同一性を有し、ただし、配列番号1に示すアミノ酸配列における288位、290位、及び311位からなる群より選択される位置に対応する位置において1以上のアミノ酸置換を有し、かつアマドリアーゼ活性を有する改変アマドリアーゼ、
    (iv)配列番号6のアミノ酸配列と90%以上の全長アミノ酸配列同一性を有し、ただし、配列番号1に示すアミノ酸配列における288位、290位、及び311位からなる群より選択される位置に対応する位置において1以上のアミノ酸置換を有し、かつアマドリアーゼ活性を有する改変アマドリアーゼ、或いは
    (v)配列番号9のアミノ酸配列と90%以上の全長アミノ酸配列同一性を有し、ただし、配列番号1に示すアミノ酸配列における288位、290位、及び311位からなる群より選択される位置に対応する位置において1以上のアミノ酸置換を有し、かつアマドリアーゼ活性を有する改変アマドリアーゼ、
    ここで、上記(i)〜(v)において、前記配列番号1に示すアミノ酸配列における288位、290位、及び311位からなる群より選択される位置に対応する位置における1以上のアミノ酸置換が、配列番号1の290位に対応する位置におけるアミノ酸置換である場合、当該配列番号1の290位に対応する位置におけるアミノ酸置換はグルタミンへのアミノ酸置換であり、配列番号1の288位に対応する位置におけるアミノ酸置換である場合、当該配列番号1の288位に対応する位置におけるアミノ酸置換はアスパラギン、アラニン、若しくはグルタミンへのアミノ酸置換であり、配列番号1の311位に対応する位置におけるアミノ酸置換である場合、当該配列番号1の311位に対応する位置におけるアミノ酸置換はグルタミン、アスパラギン、若しくはアラニンへの置換である、前記改変アマドリアーゼ。
  2. アマドリアーゼ活性を有し、配列番号1記載のアミノ酸配列とアライメントしたときに、
    (i)配列番号1に示すアミノ酸配列における288位に対応する位置のアミノ酸がアスパラギン、アラニン、若しくはグルタミンであり、かつ、配列番号1に示すアミノ酸配列における290位に対応する位置のアミノ酸がグルタミンである、
    (ii)配列番号1に示すアミノ酸配列における288位に対応する位置のアミノ酸がアスパラギン、アラニン、若しくはグルタミンであり、かつ、配列番号1に示すアミノ酸配列における311位に対応する位置のアミノ酸がグルタミン、アスパラギン、若しくはアラニンである、又は
    (iii)配列番号1に示すアミノ酸配列における290位に対応する位置のアミノ酸がグルタミンであり、かつ、配列番号1に示すアミノ酸配列における311位に対応する位置のアミノ酸がグルタミン、アスパラギン、若しくはアラニンである、請求項1に記載のアマドリアーゼ。
  3. アマドリアーゼ活性を有し、配列番号1記載のアミノ酸配列とアライメントしたときに、配列番号1に示すアミノ酸配列における288位に対応する位置のアミノ酸がアスパラギン、アラニン、若しくはグルタミンであり、配列番号1に示すアミノ酸配列における290位に対応する位置のアミノ酸がグルタミンであり、かつ、配列番号1に示すアミノ酸配列における311位に対応する位置のアミノ酸がグルタミン、アスパラギン、若しくはアラニンである、請求項1又は2に記載のアマドリアーゼ。
  4. 前記アマドリアーゼが、コニオカエタ(Coniochaeta)属、ユーペニシリウム(Eupenicillium)属、ピレノケータ(Pyrenochaeta)属、アルスリニウム(Arthrinium)属、カーブラリア(Curvularia)属、ネオコスモスポラ(Neocosmospora)属、クリプトコッカス(Cryptococcus)属、フェオスフェリア(Phaeosphaeria)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、エメリセラ(Emericella)属、ウロクラディウム(Ulocladium)属、又はペニシリウム(Penicillium)属由来である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のアマドリアーゼ。
  5. 配列番号1、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12又は配列番号13に示すアミノ酸配列を有し、かつ請求項1〜のいずれかに規定したアミノ酸置換を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のアマドリアーゼ。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のアミノ酸配列をコードするアマドリアーゼ遺伝子。
  7. 以下の工程:
    (i)請求項6に記載の遺伝子が形質導入された宿主細胞を培養する工程;
    (ii)宿主細胞に含まれるアマドリアーゼ遺伝子を発現させる工程;及び
    (iii)培養物からアマドリアーゼを単離する工程を含む、アマドリアーゼを製造する方法。
  8. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のアマドリアーゼ、並びに、アセトアミドグリシン、ACES(N-(2-アセトアミド)-2-アミノエタンスルホン酸)、ADA(N-(2-アセトアミド)イミノ二酢酸)、BES(N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2-アミノエタンスルホン酸)、Bicin(N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)グリシン)、Bis−Tris(ビス(2-ヒドロキシエチル)イミノトリス(ヒドロキシメチル)メタン)、コラミン塩酸、EPPS(4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンプロパンスルホン酸)、グリシンアミド、HEPES(4-2-ヒドロキシエチル-1-ピペラジンエタンスルホン酸)、HEPPSO(N-(ヒドロキシエチル)ピペラジン-N'-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸)、MES(2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸)、MOPS(3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸)、MOPSO(2-ヒドロキシ-3-モルホリノプロパンスルホン酸)、PIPES(ピペラジン-N,N'-ビス(2-エタンスルホン酸))、POPSO(ピペラジン-1,4-ビス(2-ヒドロキシプロパンスルホン酸))、TAPS(N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル-3-アミノプロパンスルホン酸)、TAPSO(3-[N-トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ]-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸)、TES(N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル-2-アミノエタンスルホン酸)、トリシン(N-トリス(ヒドロキシメチル)メチルグリシン)、AMPSO(N-(1,1-ジメチル-2-ヒドロキシエチル)-3-アミノ-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸)、CABS(4-(シクロヘキシルアミノ)-1-ブタンスルホン酸)、CAPS(N-シクロヘキシル-3-アミノプロパンスルホン酸)、CHES(N-シクロヘキシル-2-アミノエタンスルホン酸)、CAPSO(N-シクロヘキシル-2-ヒドロキシル-3-アミノプロパンスルホン酸)、DIPSO(3-(N,N-ビス[2-ヒドロキシエチル]アミノ)-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸)及びこれらの混合物からなる群より選択されるグッド緩衝剤を含む、ヘモグロビンA1c測定用試薬キット。
  9. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のアマドリアーゼ又は請求項8に記載のキットを用いる、糖化ヘモグロビンの測定方法。
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