JP2015100345A - アマドリアーゼ含有組成物の安定化方法、アマドリアーゼ含有組成物の製造方法、熱安定性が向上したアマドリアーゼ含有組成物及びこれを用いた糖化ヘモグロビン測定用組成物 - Google Patents

アマドリアーゼ含有組成物の安定化方法、アマドリアーゼ含有組成物の製造方法、熱安定性が向上したアマドリアーゼ含有組成物及びこれを用いた糖化ヘモグロビン測定用組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】アマドリアーゼ含有組成物の熱安定性を向上する方法、熱安定性が向上したアマドリアーゼ含有組成物及びこれを用いた糖化ヘモグロビン測定用組成物を提供する。
【解決手段】特定の配列における288位のアルギニン、290位のリジン、311位のリジン、および、312位のヒスチジンに対応する位置、または特定の配列における286位のアルギニン、288位のリジン、309位のリジン、および、310位のヒスチジンに対応する位置のアミノ酸を共通に有するアマドリアーゼに対して、1種類以上のジカルボン酸、トリカルボン酸もしくはリン酸またはこれらの塩を共存させることにより得られるアマドリアーゼ含有組成物。
【効果】熱安定性、保存安定性等に優れたアマドリアーゼ含有組成物および糖化ヘモグロビン測定用組成物を提供できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、アマドリアーゼ含有組成物の安定化方法、アマドリアーゼ含有組成物の製造方法、熱安定性が向上したアマドリアーゼ含有組成物及びこれを用いた糖化ヘモグロビン測定用組成物に関する。
糖化タンパク質は、グルコースなどのアルドース(アルデヒド基を潜在的に有する単糖およびその誘導体)のアルデヒド基と、タンパク質のアミノ基が非酵素的に共有結合を形成し、アマドリ転移することにより生成したものである。タンパク質のアミノ基としてはアミノ末端のαアミノ基、タンパク質中のリジン残基側鎖のεアミノ基が挙げられる。生体内で生じる糖化タンパク質としては血液中のヘモグロビンが糖化された糖化ヘモグロビン、アルブミンが糖化された糖化アルブミンなどが知られている。
これら生体内で生じる糖化タンパク質の中でも、糖尿病の臨床診断分野において、糖尿病患者の診断や症状管理のための重要な血糖コントロールマーカーとして、糖化ヘモグロビン(HbA1c)が注目されている。血液中のHbA1c濃度は過去の一定期間の平均血糖値を反映しており、その測定値は糖尿病の症状の診断や管理において重要な指標となっている。
このHbA1cを迅速かつ簡便に測定する方法として、アマドリアーゼを用いる酵素的方法、すなわち、HbA1cをプロテアーゼ等で分解し、そのβ鎖アミノ末端より遊離させたα−フルクトシルバリルヒスチジン(以降「αFVH」と表す。)またはα−フルクトシルバリン(以降「αFV」と表す。)を定量する方法が提案されている(例えば、特許文献1〜7参照。)。実際には、より正確な測定値を得る目的から、特に現在ではαFVHを測る方法が主流となっている。
アマドリアーゼは、酸素の存在下で、イミノ2酢酸またはその誘導体(「アマドリ化合物」ともいう)を酸化して、グリオキシル酸またはα−ケトアルデヒド、アミノ酸またはペプチドおよび過酸化水素を生成する反応を触媒する。
アマドリアーゼは、細菌、酵母、真菌から見出されているが、特にHbA1cの測定に有用である、αFVHおよび/またはαFVに対する酵素活性を有するアマドリアーゼとしては、例えば、コニオカエタ(Coniochaeta)属、ユーペニシリウム(Eupenicillium)属、ピレノケータ(Pyrenochaeta)属、アルスリニウム(Arthrinium)属、カーブラリア(Curvularia)属、ネオコスモスポラ(Neocosmospora)属、クリプトコッカス(Cryptococcus)属、フェオスフェリア(Phaeosphaeria)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、エメリセラ(Emericella)属、ウロクラディウム(Ulocladium)属、ペニシリウム(Penicillium)属、フザリウム(Fusarium)属、アカエトミエラ(Achaetomiella)属、アカエトミウム(Achaetomium)属、シエラビア(Thielavia)属、カエトミウム(Chaetomium)属、ゲラシノスポラ(Gelasinospora)属、ミクロアスカス(Microascus)属、レプトスフェリア(Leptosphaeria)属、オフィオボラス(Ophiobolus)属、プレオスポラ(Pleospora)属、コニオケチジウム(Coniochaetidium)属、ピチア(Pichia)属、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属、アグロバクテリウム(Agrobacterium)属、アルスロバクター(Arthrobacter)属由来のアマドリアーゼが報告されている(例えば、特許文献1、6〜15、非特許文献1〜11参照。)。なお、上記報告例の中で、アマドリアーゼは、文献によってはケトアミンオキシダーゼやフルクトシルアミノ酸オキシダーゼ、フルクトシルペプチドオキシダーゼ、フルクトシルアミンオキシダーゼ等の表現で記載されている場合もある。
糖化ヘモグロビンを測定する目的で、アマドリアーゼを含有する測定用組成物や測定用キットを製造するにあたり、その保存性を向上させるという観点から、アマドリアーゼ含有組成物の熱安定性を向上させることが求められている。熱安定性を向上させることにより、長期保存が可能になり、あるいは、常温流通が可能になり、また、高温環境下での流通や使用が可能になることが期待される。
従来、アマドリアーゼの熱安定性を向上させるための技術としては、アマドリアーゼの数個のアミノ酸を置換することにより熱安定性を向上させる手法が挙げられる。具体的には、変異型Coniochaeta sp. NISL 9330株由来アマドリアーゼおよび変異型Eupenicillium terrenum ATCC18547株由来アマドリアーゼ、変異型Aspergillus nidulans株由来フルクトシルアミノ酸オキシダーゼ、変異型Phaeosphaeria nodorum株由来フルクトシルペプチドオキシダーゼが報告されている(例えば、特許文献16、17参照。)。中でも、特許文献16において開示されている大腸菌JM109(pKK223−3−CFP−T32)株が生産する変異型アマドリアーゼは、従来のアマドリアーゼと比較して非常に優れた熱安定性を示し、60℃、30分間の熱処理においても81%の残存活性を維持することが示されている。また、特許文献17において開示されているPhaeosphaeria nodorum株由来変異型フルクトシルペプチドオキシダーゼIE353−F282Yは、50℃、10分間の熱処理において92%の残存活性を維持することが示されている。また、変異を導入することなくある程度の熱安定性を有する天然型アマドリアーゼもいくつか見いだされている。具体的には、Neocosmospora vasinfecta NBRC7590株由来の真核型ケトアミンオキシダーゼは、45℃、30分間の熱処理で80%の残存活性を示している(例えば、特許文献9参照。)。Curvularia clavata YH923株由来の真核型ケトアミンオキシダーゼは、50℃、30分間の熱処理で80%の残存活性を示している(例えば、特許文献9参照。)。また、Phaeosphaeria nodorum株由来フルクトシルペプチドオキシダーゼは、50℃、10分間の熱処理で75%の残存活性を示している(例えば、特許文献17参照。)。さらに、アマドリアーゼそのものに対する改変ではなく、アマドリアーゼと共存させてその安定性を向上させるという観点からの検討もなされている。具体的には、Coniochaeta sp. NISL 9330株由来アマドリアーゼを含んだ溶液に、5mMのエチレンジアミン4酢酸および3%のグリシンを添加した際は、30℃、7日間保存後において79%の残存活性を維持していることが示されている(例えば、特許文献18参照。)。また、Fusarium oxysporum IFO−9972株由来フルクトシルアミノ酸オキシダーゼを含んだ溶液に、3%のL−アラニン、3%のグリシンまたは3%のザルコシンを添加した際は、37℃、2日間保存後において100%の残存活性を維持していることが示されている(例えば、特許文献19参照。)。
しかしながら、アマドリアーゼ含有組成物の熱安定性を向上させる方法にはさらなる知見が求められているのが現状である。
国際公開第2004/104203号 国際公開第2005/49857号 特開2001−95598号公報 特公平05−33997号公報 特開平11−127895号公報 国際公開第97/13872号 特開2011−229526号公報 特開2003−235585号公報 特開2004−275013号公報 特開2004−275063号公報 特開2010−35469号公報 特開2010−57474号公報 国際公開第2010/41715号 国際公開第2010/41419号 国際公開第2011/15325号 国際公開第2013/100006号 特開2010−115189号公報 特開2006−325547号公報 特開2009−000128号公報
Biochem. Biophys. Res. Commun. 311, 104−11, 2003 Biotechnol. Bioeng. 106, 358−66, 2010 J. Biosci. Bioeng. 102, 241−3, 2006 Eur. J. Biochem. 242, 499−505, 1996 Arch.Microbiol.178,344−50,2002 Mar.Biotechnol.6,625−32,2004 Biosci. Biotechnol. Biochem.59, 487−91,1995 Appl. Microbiol. Biotechnol. 74, 813−819, 2007 Biosci. Biotechnol. Biochem. 66, 1256−61, 2002 Biosci. Biotechnol. Biochem. 66, 2323−29, 2002 Biotechnol. Letters 27, 27−32,2005
本発明が解決しようとする課題は、アマドリアーゼ含有組成物の安定化方法、アマドリアーゼ含有組成物の製造方法、熱安定性が向上したアマドリアーゼ含有組成物及びこれを用いた糖化ヘモグロビン測定用組成物を提供することにある。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、特定のモチーフを有する複数のアマドリアーゼに対して、ある種のアニオンを共存させることにより得られるアマドリアーゼ含有組成物が前記アニオンを共存させない場合と比較して、熱安定性が向上することを見出した。そして、このような特定のアニオンを共存させたアマドリアーゼ含有組成物を用いることにより、熱安定性が向上した糖化ヘモグロビン測定用組成物を提供し得ることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
(1)配列番号1と80%の同一性を有するアミノ酸配列を有し、配列番号1における
(a)288位のアミノ酸に対応する位置のアミノ酸がアルギニンまたはヒスチジンであり、
(b)290位のアミノ酸に対応する位置のアミノ酸がリジンであり、
(c)311位のアミノ酸に対応する位置のアミノ酸がリジンであり、
(d)312位のアミノ酸に対応する位置のアミノ酸がヒスチジンである
アマドリアーゼを含む組成物に5mM以上のアニオンを共存させることを特徴とする、アマドリアーゼ含有組成物の熱安定性を向上させる方法。
(2)配列番号14と80%の同一性を有するアミノ酸配列を有し、配列番号14における
(e)286位のアミノ酸に対応する位置のアミノ酸がアルギニンまたはヒスチジンであり、
(f)288位のアミノ酸に対応する位置のアミノ酸がリジンであり、
(g)309位のアミノ酸に対応する位置のアミノ酸がリジンであり、
(h)310位のアミノ酸に対応する位置のアミノ酸がヒスチジンである
アマドリアーゼを含む組成物に5mM以上のアニオンを共存させることを特徴とする、アマドリアーゼ含有組成物の熱安定性を向上させる方法。
(3)アマドリアーゼが糖化ジペプチドに作用するアマドリアーゼである上記(1)または(2)記載のアマドリアーゼ含有組成物の熱安定性を向上させる方法。
(4)アニオンが1種類以上のジカルボン酸、トリカルボン酸もしくはリン酸またはこれらの塩である上記(3)記載のアマドリアーゼ含有組成物の熱安定性を向上させる方法。
(5)配列番号1と80%の同一性を有するアミノ酸配列を有し、配列番号1における
(a)288位のアミノ酸に対応する位置のアミノ酸がアルギニンまたはヒスチジンであり、
(b)290位のアミノ酸に対応する位置のアミノ酸がリジンであり、
(c)311位のアミノ酸に対応する位置のアミノ酸がリジンであり、
(d)312位のアミノ酸に対応する位置のアミノ酸がヒスチジンである
アマドリアーゼを含む組成物に5mM以上のアニオンを共存させる工程を経て得られる、熱安定性が向上したアマドリアーゼ含有組成物の製造方法。
(6)配列番号14と80%の同一性を有するアミノ酸配列を有し、配列番号14における
(e)286位のアミノ酸に対応する位置のアミノ酸がアルギニンまたはヒスチジンであり、
(f)288位のアミノ酸に対応する位置のアミノ酸がリジンであり、
(g)309位のアミノ酸に対応する位置のアミノ酸がリジンであり、
(h)310位のアミノ酸に対応する位置のアミノ酸がヒスチジンである
アマドリアーゼを含む組成物に5mM以上のアニオンを共存させる工程を経て得られる、熱安定性が向上したアマドリアーゼ含有組成物の製造方法。
(7)アマドリアーゼが糖化ジペプチドに作用するアマドリアーゼである上記(5)または(6)記載のアマドリアーゼ含有組成物の製造方法。
(8)アニオンが1種類以上のジカルボン酸、トリカルボン酸もしくはリン酸またはこれらの塩である上記(7)記載のアマドリアーゼ含有組成物の製造方法。
(9)配列番号1と80%の同一性を有するアミノ酸配列を有し、配列番号1における
(a)288位のアミノ酸に対応する位置のアミノ酸がアルギニンまたはヒスチジンであり、
(b)290位のアミノ酸に対応する位置のアミノ酸がリジンであり、
(c)311位のアミノ酸に対応する位置のアミノ酸がリジンであり、
(d)312位のアミノ酸に対応する位置のアミノ酸がヒスチジンである
アマドリアーゼを含む組成物に5mM以上のアニオンを共存させる工程を経て得られる、熱安定性が向上したアマドリアーゼ含有組成物。
(10)
配列番号14と80%の同一性を有するアミノ酸配列を有し、配列番号14における
(e)286位のアミノ酸に対応する位置のアミノ酸がアルギニンまたはヒスチジンであり、
(f)288位のアミノ酸に対応する位置のアミノ酸がリジンであり、
(g)309位のアミノ酸に対応する位置のアミノ酸がリジンであり、
(h)310位のアミノ酸に対応する位置のアミノ酸がヒスチジンである
アマドリアーゼを含む組成物に5mM以上のアニオンを共存させる工程を経て得られる、熱安定性が向上したアマドリアーゼ含有組成物。
(11)1種類以上のジカルボン酸、トリカルボン酸もしくはリン酸またはこれらの塩を含有する上記(9)または(10)に記載の組成物。
(12)リンゴ酸、クエン酸もしくはリン酸またはこれらの塩のいずれか1つの化合物を含有する上記(11)記載の組成物。
(13)上記(9)〜(12)記載のアマドリアーゼ組成物を含む糖化ヘモグロビン測定用試薬。
(14)上記(9)〜(12)記載のアマドリアーゼ組成物を含む糖化ヘモグロビン測定用キット。
本発明によれば、熱安定性が向上したアマドリアーゼ含有組成物及びこれを用いた糖化ヘモグロビン測定用組成物を提供することができる。
本発明のアマドリアーゼ含有組成物は、常温流通や長距離輸送等、酵素が処方されたキットが過酷な温度条件にさらされることを想定した場合、あるいは、製造工程において加熱処理等を施すことが想定される酵素センサーとしての用途等を考えた場合等において、これまでに提案されたアマドリアーゼ含有組成物よりも、さらに優れた耐熱性、保存性を有することが期待され、糖化ヘモグロビン測定用組成物およびキットの流通において、また、センサー等の用途開発において、多大に貢献することが期待される。
各種公知のアマドリアーゼのアミノ酸配列のアライメントである。 Coniochaeta属由来のアマドリアーゼとAspergillus属由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼのアミノ酸配列のアライメントの一部である。
以下、本発明を詳細に説明する。
(アマドリアーゼ)
アマドリアーゼは、ケトアミンオキシダーゼ、フルクトシルアミノ酸オキシダーゼ、フルクトシルペプチドオキシダーゼ、フルクトシルアミンオキシダーゼ等とも称され、酸素の存在下で、イミノ2酢酸またはその誘導体(アマドリ化合物)を酸化して、グリオキシル酸またはα−ケトアルデヒド、アミノ酸またはペプチドおよび過酸化水素を生成する反応を触媒する酵素のことをいう。アマドリアーゼは、自然界に広く分布しており、微生物や、動物または植物起源の酵素を探索することにより、得ることができる。微生物においては、例えば、糸状菌、酵母または細菌等から得ることができる。
本発明に用いるアマドリアーゼの種類は、限定されるものではなく、各種公知のアマドリアーゼを含み得るが、特定の4か所の対応する位置のアミノ酸残基が特定の残基であることを特徴とする。具体的には、本発明に用いるアマドリアーゼは、配列番号1に記載のアマドリアーゼにおける対応する4か所の位置において、下記のアミノ酸を有することを特徴とする:
(i)288位のアミノ酸に対応する位置のアミノ酸がアルギニンまたはヒスチジンであり、
(ii)290位のアミノ酸に対応する位置のアミノ酸がリジンであり、
(iii)311位のアミノ酸に対応する位置のアミノ酸がリジンであり、
(iv)312位のアミノ酸に対応する位置のアミノ酸がヒスチジンである。
または、本発明に用いるアマドリアーゼは、配列番号14に記載のアマドリアーゼにおける対応する4か所の位置において、下記のアミノ酸を有することを特徴とする:
(v)286位のアミノ酸に対応する位置のアミノ酸がアルギニンまたはヒスチジンであり、
(vi)288位のアミノ酸に対応する位置のアミノ酸がリジンであり、
(vii)309位のアミノ酸に対応する位置のアミノ酸がリジンであり、
(viii)310位のアミノ酸に対応する位置のアミノ酸がヒスチジンである。
一態様において、本発明に用いるアマドリアーゼは、配列番号1または配列番号14に示されるアミノ酸配と高い配列同一性(例えば、75%以上、好ましくは、80%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、さらに好ましくは97%以上、最も好ましくは99%以上)を有するアミノ酸配列を有するアマドリアーゼ、および、配列番号1または配列番号14に示されるアミノ酸配列において、1から数個のアミノ酸が改変もしくは変異、または、欠失、置換、付加および/または挿入されたアミノ酸配列を有するアマドリアーゼを含む。
本発明のアマドリアーゼは、例えば、Eupenicillium属、Pyrenochaeta属、Arthrinium属、Curvularia属、Neocosmospora属、Cryptococcus属、Phaeosphaeria属、Aspergillus属、Emericella属、Ulocladium属、Penicillium属、Fusarium属、Achaetomiella属、Achaetomium属、Thielavia属、Chaetomium属、Gelasinospora属、Microascus属、Leptosphaeria属、Ophiobolus属、Pleospora属、Coniochaetidium属、Pichia属、Corynebacterium属、Agrobacterium属、Arthrobacter属などのの生物種に由来するアマドリアーゼに基づき作製されたものでもよいし、上記以外の生物種に由来し、上述の4か所の対応する特定の位置に特定のアミノ酸残基を有するものでもよい。
(特定モチーフ)
なお、本明細書中においては、上述の4か所の対応する特定の位置に特定のアミノ酸残基を有する構造を「特定モチーフ」と称し、上述の4か所の対応する特定の位置に特定のアミノ酸残基を有することを「特定モチーフを有する」と称する場合がある。
本発明に用いるために好ましいアマドリアーゼは、上述の特定モチーフを有することを特徴とする。上述の特定モチーフを有するアマドリアーゼに、後述する特定のアニオンを共存させることにより、熱安定性が向上したアマドリアーゼ含有組成物が得られる。
なお、配列番号1に示されるアミノ酸配列を有するアマドリアーゼは、特開2013−176351号において、pKK223−3−CFP−T7と称する組換え体プラスミド(寄託番号:FERM BP−10593)を保持する大腸菌が生産するConiochaeta属由来のアマドリアーゼ(CFP−T7)に対し、基質特異性改善型変異(E98A、G103H、S154N、G263M)と熱安定性向上型変異(G184D、カルボシル基3アミノ酸欠失(ΔPTS1))を導入したConiochaeta属由来アマドリアーゼのアミノ酸配列であり、配列番号2の遺伝子にコードされている。なお、このCFP−T7は、天然型のConiochaeta属由来のアマドリアーゼに対し、272位、302位および388位に人為的な変異を順次導入することにより獲得した3重変異体である(国際公開2007/125779号参照)。そして、当該アマドリアーゼの288位のアミノ酸に対応する位置のアミノ酸はアルギニンであり、290位のアミノ酸に対応する位置のアミノ酸はリジンであり、311位のアミノ酸に対応する位置のアミノ酸はリジンであり、312位のアミノ酸に対応する位置のアミノ酸はヒスチジンである。
また、配列番号14に示されるアミノ酸配列を有するアマドリアーゼは、国際公開2004/104203号において、pPOSFOD923と称する組み換えプラスミドを保持する大腸菌が生産するCurvularia clavata由来ケトアミンオキシダーゼ(CcFX)のアミノ酸配列である。そして、当該アマドリアーゼの286位のアミノ酸に対応する位置のアミノ酸はアルギニンであり、288位のアミノ酸に対応する位置のアミノ酸はリジンであり、309位のアミノ酸に対応する位置のアミノ酸はリジンであり、310位のアミノ酸に対応する位置のアミノ酸はヒスチジンである。
上記の2つのアマドリアーゼにおけるアミノ酸の位置を示す番号は、配列番号1または配列番号14に示されるアマドリアーゼのアミノ酸配列における位置を表しているが、他の生物種由来のアマドリアーゼのアミノ酸配列においては、配列番号1に示されるアミノ酸配列における位置に対応する位置のアミノ酸が置換されている。「対応する位置」の意味については後述する。
なお、本明細書において、配列番号1または配列番号14を例示しているが、これは、本発明の効果が配列番号1または配列番号14で示されるアマドリアーゼに限定的であることや、あるいは、これらの配列とは異なるアマドリアーゼに対する効果よりも顕著に大きいことを示すものではない。本発明の効果は、特定モチーフを有する各種のアマドリアーゼに共通的にみられるものであるから、アマドリアーゼ活性を有し、特定モチーフを有するアマドリアーゼ全般が、本発明に包含される。例えば、本明細書中に例示する配列番号1と配列番号14のアマドリアーゼの間のアミノ酸の同一性は80%である。このような同一性の程度を有する複数のアマドリアーゼにおいて、本発明の効果が確認されていることからも、本発明の効果が、配列番号1あるいは配列番号14との同一性が同等程度以上である各種アマドリアーゼについても当然に発揮されるとの蓋然性が高いことが理解される。
本発明に使用できるアマドリアーゼは、上述の通り、特定モチーフを有することを特徴とし、それ以外の位置において、任意の各種変異等を含んでいても良い。例えば、それらの各種変異の中には、耐熱性向上や基質特異性向上、生産性向上等に寄与する変異が含まれ得るが、特段に人為的な変異を導入していない天然型酵素を用いる場合であれ、何らかの変異等を人為的に導入している場合であれ、本発明の効果が発揮され、その熱安定性が向上している限り、いかなるアマドリアーゼも、本発明に用いることができる。本発明に使用できるアマドリアーゼは、公知の各種文献等に記載の方法で入手・製造できるほか、市販品に関しては適宜購入することもできる。
(アミノ酸配列の同一性)
アミノ酸配列の同一性は、GENETYX Ver.11(ゼネティックス社製)のマキシマムマッチングやサーチホモロジー等のプログラムまたはDNASIS Pro(日立ソフト社製)のマキシマムマッチングやマルチプルアライメント等のプログラムにより計算することができる。
(アミノ酸に対応する位置の特定)
「アミノ酸に対応する位置」とは、配列番号1または配列番号14に示すアマドリアーゼのアミノ酸配列の特定の位置のアミノ酸に対応する他の生物種由来のアマドリアーゼのアミノ酸配列における位置をいう。
「アミノ酸に対応する位置」を特定する方法としては、例えばリップマン−パーソン法等の公知のアルゴリズムを用いてアミノ酸配列を比較し、各アマドリアーゼのアミノ酸配列中に存在する保存アミノ酸残基に最大の同一性を与えることにより行うことができる。アマドリアーゼのアミノ酸配列をこのような方法で整列させることにより、アミノ酸配列中にある挿入、欠失にかかわらず、相同アミノ酸残基の各アマドリアーゼ配列における配列中の位置を決めることが可能である。相同位置は、三次元構造中で同位置に存在すると考えられ、対象となるアマドリアーゼの特異的機能に関して類似した効果を有することが推定できる。
図1に種々の公知の生物種由来のアマドリアーゼの配列を例示する。配列番号1で示されるアミノ酸配列を最上段に示す。また、配列番号14で示されるアミノ酸配列を上から5段目に示す。
図1に示される各種配列は、いずれも配列番号1の配列と70%以上の同一性を有し、公知のアルゴリズムを用いて整列させた。図中に、本発明の変異体における変異点を示す。なお、配列番号14の配列を基準にしても、対応する位置は変わらない。図1からConiochaeta属由来のアマドリアーゼのアミノ酸配列の特定の位置のアミノ酸に対応する他の生物種由来のアマドリアーゼのアミノ酸配列における位置を知ることができる 。図1には、Coniochaeta属由来のアマドリアーゼ(配列番号1)、Eupenicillium terrenum由来のアマドリアーゼ(配列番号11)、Pyrenochaeta sp.由来のケトアミンオキシダーゼ(配列番号12)、Arthrinium sp.由来のケトアミンオキシダーゼ(配列番号13)、Curvularia clavata由来のケトアミンオキシダーゼ(配列番号14)、Neocosmospora vasinfecta由来のケトアミンオキシダーゼ(配列番号15)、Cryptococcus neoformans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼ(配列番号16)、Phaeosphaeria nodorum由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼ(配列番号17)、Aspergillus nidulans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼ(配列番号18)、Ulocladium sp.由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼ(配列番号19)およびPenicillium crysogenum由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼ(配列番号20)のアミノ酸配列を示してある。
(対応する位置)
なお、本発明において、「配列番号1における288位のアルギニンに対応する位置」、または「配列番号14における286位のアルギニンに対応する位置」とは、確定したアマドリアーゼのアミノ酸配列を、配列番号1または配列番号14に示されるアマドリアーゼのアミノ酸配列と比較した場合に、配列番号1のアマドリアーゼの288位のアルギニン、または配列番号14のアマドリアーゼの286位のアルギニンに対応するアミノ酸を意味するものである。これにより、上記の「対応する位置のアミノ酸残基」を特定する方法でアミノ酸配列を整列させた図1により特定することができる。
すなわち、Eupenicillium terrenum由来のアマドリアーゼでは288位のアルギニン、Pyrenochaeta sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは286位のアルギニン、Arthrinium sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは288位のアルギニン、Neocosmospora vasinfecta由来のケトアミンオキシダーゼでは288位のアルギニン、Cryptococcus neoformans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは288位のアルギニン、Phaeosphaeria nodorum由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは284位のアルギニン、Aspergillus nidulans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは288位のヒスチジン、Ulocladium sp.由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは286位のアルギニン、Penicillium crysogenum由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは288位のアルギニンである。
また、「配列番号1における290位のリジンに対応する位置」または「配列番号14における288位のリジンに対応する位置」とは、確定したアマドリアーゼのアミノ酸配列を、配列番号1または配列番号14に示されるアマドリアーゼのアミノ酸配列と比較した場合に、配列番号1のアマドリアーゼの290位のリジンまたは配列番号14のアマドリアーゼの288位のリジンに対応するアミノ酸を意味するものである。これにより、上記の「対応する位置のアミノ酸残基」を特定する方法でアミノ酸配列を整列させた図1により特定することができる。
すなわち、Eupenicillium terrenum由来のアマドリアーゼでは290位のリジン、Pyrenochaeta sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは288位のリジン、Arthrinium sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは291位のグルタミン酸、Neocosmospora vasinfecta由来のケトアミンオキシダーゼでは290位のリジン、Cryptococcus neoformans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは290位のリジン、Phaeosphaeria nodorum由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは286位のリジン、Aspergillus nidulans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは290位のリジン、Ulocladium sp.由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは288位のリジン、Penicillium crysogenum由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは290位のリジンである。
また、「配列番号1における311位のリジンに対応する位置」または「配列番号14における309位のリジンに対応する位置」とは、確定したアマドリアーゼのアミノ酸配列を、配列番号1または配列番号14に示されるアマドリアーゼのアミノ酸配列と比較した場合に、配列番号1のアマドリアーゼの311位のリジンまたは配列番号14のアマドリアーゼの309位のリジンに対応するアミノ酸を意味するものである。これにより、上記の「対応する位置のアミノ酸残基」を特定する方法でアミノ酸配列を整列させた図1により特定することができる。
すなわち、Eupenicillium terrenum由来のアマドリアーゼでは311位のリジン、Pyrenochaeta sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは309位のリジン、Arthrinium sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは312位のリジン、Neocosmospora vasinfecta由来のケトアミンオキシダーゼでは311位のリジン、Cryptococcus neoformans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは311位のリジン、Phaeosphaeria nodorum由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは307位のリジン、Aspergillus nidulans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは311位のリジン、Ulocladium sp.由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは309位のリジン、Penicillium crysogenum由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは311位のリジンである。
また、「配列番号1における312位のヒスチジンに対応する位置」または「配列番号14における310位のヒスチジンに対応する位置」とは、確定したアマドリアーゼのアミノ酸配列を、配列番号1または配列番号14に示されるアマドリアーゼのアミノ酸配列と比較した場合に、配列番号1のアマドリアーゼの312位のヒスチジンまたは配列番号14のアマドリアーゼの310位のヒスチジンに対応するアミノ酸を意味するものである。これにより、上記の「対応する位置のアミノ酸残基」を特定する方法でアミノ酸配列を整列させた図1により特定することができる。
すなわち、Eupenicillium terrenum由来のアマドリアーゼでは312位のヒスチジン、Pyrenochaeta sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは310位のヒスチジン、Arthrinium sp.由来のケトアミンオキシダーゼでは313位のヒスチジン、Neocosmospora vasinfecta由来のケトアミンオキシダーゼでは312位のヒスチジン、Cryptococcus neoformans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは312位のヒスチジン、Phaeosphaeria nodorum由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼでは308位のヒスチジン、Aspergillus nidulans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは312位のヒスチジン、Ulocladium sp.由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは310位のヒスチジン、Penicillium crysogenum由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼでは312位のヒスチジンである。
(熱安定性向上成分)
本発明は、上述の特定モチーフを有する任意のアマドリアーゼに対し、アニオンを共存させることにより、アマドリアーゼ含有組成物の熱安定性を向上できることを特徴とする。これまでに、アマドリアーゼ自体を改変して熱安定性を向上させる試みや、あるいは、天然型の状態で比較的熱安定性が高いアマドリアーゼを探索する試みが多く行われてきた一方で、各種アマドリアーゼに対して効果的な熱安定性向上成分や、組成物として熱安定性が向上しているアマドリアーゼ含有組成物の知見は乏しかった。本発明は、特定の1変異体に限定的な知見ではなく、特定モチーフという着想によって、一定の同一性を有する複数のアマドリアーゼに共通の効果を奏する熱安定性向上成分として、アニオンが有効であることを見出した。
本発明において、特定モチーフを有するアマドリアーゼと共存させるアニオンの濃度は、アマドリアーゼ含有組成物中、2mM〜10M、好ましくは5mM〜5M、より好ましくは10mM〜5M、20mM〜5M、30mM〜5M、さらに好ましくは40mM〜1M、特に好ましくは50mM〜1M、100mM〜1M、200mM〜1Mであることを特徴とする。このような濃度でアニオンを共存させることにより、共存させない場合と比較して、アマドリアーゼ含有組成物の熱安定性を良好に向上させることができる。
(アニオンの種類)
上記のアニオンを、単独で、あるいは複数種組み合わせて、本発明に使用することができる。これらのアニオンを共存させることにより、特定モチーフを有する各種アマドリアーゼの熱安定性を向上させることができる。本発明におけるアニオンとしては、本発明のアマドリアーゼ含有組成物の熱安定性を向上させるものであれば特に制限は無く、例えば、カルボキシル基含有化合物、ハロゲン化合物、リン酸塩、硝酸塩、硫酸塩、タンパク質、ペプチド、アミノ酸などが挙げられるが、特に、本発明に用いる好ましいアニオンは、1種類以上のジカルボン酸、トリカルボン酸もしくはリン酸またはこれらの塩である。
また、本発明に用いるジカルボン酸は、本発明のアマドリアーゼ含有組成物の熱安定性を向上させるものであれば特に制限は無いが、例えば、一態様において、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、リンゴ酸、酒石酸、タルトロン酸、オキサロ酢酸、マレイン酸、ムコン酸、メサコン酸、メコン酸、3−3’ジメチルグルタル酸等がこのましいジカルボン酸として例示される。また、一態様において、本発明に用いる好ましいトリカルボン酸としては、クエン酸、イソクエン酸、アコニット酸、トリメシン酸、1,2,3−プロパントリカルボン酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸等が挙げられる。さらに、一態様において、本発明に用いる好ましいジカルボン酸塩、トリカルボン酸塩またはリン酸塩としては、リン酸カリウム塩、リン酸ナトリウム塩等が挙げられる。
(アマドリアーゼ及びアニオンを共存させたアマドリアーゼ含有組成物)
上述のアニオンを各種任意の特定モチーフを有するアマドリアーゼと共存させることにより、熱安定性が向上したアマドリアーゼ含有組成物及が得られる。
本発明において、アニオンとアマドリアーゼを共存させる方法は、限定されるものではないが、例えば、溶液中で両成分を混合する方法が挙げられる。
本発明のアマドリアーゼ及びアニオンを含むアマドリアーゼ含有組成物には、本発明の効果を妨げない限り、その他の各種目的で混合される任意の成分が添加されていてもよい。例えば、pH調整剤(緩衝剤)、界面活性剤による影響を低減する安定化剤等が挙げられる。
(アマドリアーゼ及びアニオンを共存させた糖化ヘモグロビン測定用組成物)
上述のアマドリアーゼ含有組成物に、その他の糖化ヘモグロビン測定試薬、糖化ヘモグロビン測定用キットに必要とされる各種成分をさらに組み合わせて、糖化ヘモグロビン測定用組成物を得ることができる。
例えば、本発明のアマドリアーゼ含有組成物に対し、αFVH測定用試薬、αFVHを切り出すためのプロテアーゼまたはペプチダーゼ、その他公知の安定化剤や緩衝溶液を組み合わせて、糖化ヘモグロビン測定用組成物を製造できる。
(本発明のアニオンを共存させることによる、熱安定性の向上)
本発明において、アニオンを共存させることによるアマドリアーゼの熱安定性の向上とは、アニオンを共存させないものと比較した場合に、55℃、10分間の熱処理後の熱安定性が向上していることをいう。具体的には、アニオンを共存させないものと比較して、本明細書中に記載の活性測定方法および熱安定性評価方法に記載した反応条件下で、55℃、10分間の熱処理後の残存活性(%)が、本発明の変異を導入する前と比較して3%以上、好ましくは10%以上、より好ましくは20%以上、さらに好ましくは30%以上、最も好ましくは40%以上向上していることを特徴とする。
あるいは、一態様において、アニオンを共存させることによるアマドリアーゼの熱安定性が向上しているとは、アニオンを共存させることによるアマドリアーゼの残存活性(%)を、アニオンを共存させないもの残存活性(%)で割ることにより得られる値(残存活性比率)が、1より大きい、好ましくは2より大きい、より好ましくは3.1より大きい、4より大きい、さらに好ましくは5より大きい、6より大きいことをいう。
アマドリアーゼの活性測定および残存活性測定方法については後述する。
(アマドリアーゼ含有組成物中のアマドリアーゼの濃度)
本発明における、アマドリアーゼ含有組成物中のアマドリアーゼの濃度は、限定されるものではないが、例えば、保存中あるいは糖化ヘモグロビン測定時における終濃度として、アニオン10mM当たり0.01μg/ml〜1000μg/ml、好ましくは0.1μg/ml〜500μg/ml、より好ましくは0.5μg/ml〜200μg/mlである。ここで、測定時における終濃度、とは最終的に成分を希釈して糖化ヘモグロビン測定を行うときの濃度をいう。したがってキット中では、測定時における終濃度よりも高濃度のストック溶液を用いてもよい。
(緩衝剤)
本発明のキット又は組成物には、アマドリアーゼの活性が失活しない範囲であるpH5.0〜pH10.0、好ましくはpH6.0〜pH8.0の範囲で緩衝剤または緩衝液を適宜加えて良い。緩衝液とは溶液のpHを一定範囲に保つ緩衝作用(緩衝能)のある溶液のことをいい、緩衝剤とは溶液に緩衝作用を付与する物質をいう。緩衝剤は、弱酸を例にとると、弱酸とその塩から構成され、この場合、当該塩を共役塩と呼ぶ。
本発明のキット(組成物)に用いることのできる緩衝剤(緩衝液)としては、例えば、ホウ酸及び/又はその塩を含むホウ酸緩衝剤、トリス塩酸緩衝剤、リン酸及び/又はその塩を含むリン酸緩衝剤、例えばリン酸カリウム緩衝剤又はリン酸ナトリウム緩衝剤、クエン酸及び/又はその塩を含むクエン酸緩衝剤等の緩衝剤が挙げられる。また、本発明のキット等に用いることのできる緩衝剤としては、ACES(N−(2−アセトアミド)−2−アミノエタンスルホン酸)、BES(N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸)、Bicin(N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン)、Bis−Tris(ビス(2−ヒドロキシエチル)イミノトリス(ヒドロキシメチル)メタン)、CHES(N−シクロヘキシル−2−アミノエタンスルホン酸)、EPPS(4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンプロパンスルホン酸)、HEPES(4−2−ヒドロキシエチル−1−ピペラジンエタンスルホン酸)、HEPPSO(N−(ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸)、MES(2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸)、MOPS(3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸)、MOPSO(2−ヒドロキシ−3−モルホリノプロパンスルホン酸)、PIPES(ピペラジン−N,N′−ビス(2−エタンスルホン酸))、POPSO(ピペラジン−1,4−ビス(2−ヒドロキシプロパンスルホン酸))、TAPS(N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−3−アミノプロパンスルホン酸)、TAPSO(3−[N−トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ]−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸)、TES(N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸)、トリシン(N−トリス(ヒドロキシメチル)メチルグリシン)及び/又はそれらの塩等を含むグッド緩衝剤が挙げられる。また、フタル酸及び/又はその塩を含むフタル酸緩衝剤、マレイン酸及び/又はその塩を含むマレイン酸緩衝剤、グルタル酸及び/又はその塩を含むグルタル酸緩衝剤等のジカルボン酸をベースとした緩衝剤も挙げることができる。これらのうち1種のみを適用しても良いし、2種以上を用いても良い。塩としてはベース化合物のナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩及びアンモニウム塩が挙げられるがこれらに限らない。
本発明の緩衝剤は、適当な濃度で本発明のキットまたは組成物に用いることができる。通常、本発明のキットまたは組成物に添加する本発明の緩衝剤の量は、測定溶液での終濃度に基づいて算出することができる。ある実施形態において、測定溶液における本発明の緩衝剤の終濃度は、好ましくは当該測定溶液に生じうるpH変化を緩衝するのに十分な濃度である。例えば、本発明の緩衝剤としてHEPES緩衝剤を用いる場合、その濃度は200mM〜1M、例えば200mM〜500mMであり得る。なお、組成物に用いる本発明の緩衝剤の量は、組成物に安定化剤も添加する場合、当該安定化剤の量に応じて変化しうる。
(アマドリアーゼ活性の測定方法)
本発明におけるアマドリアーゼの酵素活性の測定方法としては、酵素の反応により生成する過酸化水素量を測定する方法や酵素反応により消費する酸素量を測定する方法などが主な測定方法として挙げられる。以下に、一例として、過酸化水素量を測定する方法について示す。
以下、本発明におけるアマドリアーゼの活性測定には、断りのない限り、フルクトシルバリンを基質として用いる。なお、酵素力価は、フルクトシルバリンを基質として測定したとき、1分間に1μmolの過酸化水素を生成する酵素量を1Uと定義する。フルクトシルバリン等の糖化アミノ酸、およびフルクトシルバリルヒスチジン等の糖化ペプチドは、阪上らの方法に基づき合成、精製することができる(特開2001−95598号参照)。
A.試薬の調製
(1)試薬1:POD−4−AA溶液
4.0kUのパーオキシダーゼ(キッコーマンバイオケミファ社製)、100mgの4−アミノアンチピリン(東京化成社製)を0.1Mのリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)に溶解し、1Lに定容する。
(2)試薬2:TOOS溶液
500mgのTOOS(N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−m−トルイジンナトリウム、同仁化学社製)をイオン交換水に溶解し、100mlに定容する。
(3)試薬3:基質溶液(150mM;終濃度 5mM)
フルクトシルバリン417mgをイオン交換水に溶解して10mlに定容する。
B.測定法
2.7mlの試薬1、100μlの試薬2、および100μlの酵素液を混和し、37℃で5分間予備加温する。その後、試薬3を100μl加えて良く混ぜた後、分光光度計(U−3010A、日立ハイテクノロジーズ社製)により、555nmにおける吸光度の経時変化を観測し、555nmにおける吸光度の1分間あたりの変化量(ΔAs)を測定した。なお、対照液は、100μlの試薬3の代わりに100μlのイオン交換水を加える以外は前記と同様にして、555nmにおける吸光度の1分間あたりの変化量(ΔA0)を測定した。37℃で1分間あたりに生成される過酸化水素のマイクロモル数を酵素液中の活性単位(U)とし、下記の式に従って算出する。

活性(U/ml)= {(ΔAs−ΔA0)×3.0×df}÷(39.2×0.5×0.1)

ΔAs : 反応液の1分間あたりの吸光度変化
ΔA : 対照液の1分間あたりの吸光度変化
39.2: 反応により生成されるキノンイミン色素の
ミリモル吸光係数(mM−1・cm−1
0.5 : 1molの過酸化水素による生成されるキノンイミン色素のmol数
df : 希釈係数
(熱安定性測定方法)
1M HEPES緩衝液(pH7.0)を用いて、500mM HEPES緩衝液に約0.5U/mlのアマドリアーゼ粗酵素液、またはアマドリアーゼ精製標品が含まれる溶液を600μl調製し、この希釈溶液100μlを55℃にて10分間加温する。上述のB.の方法を用いて加熱前と加熱後のサンプルの酵素活性を測定し、加熱前の活性を100とした場合の残加熱後の活性の割合、すなわち、残存活性(%)を求めることにより、熱安定性を評価する。
(安定化剤評価方法)
上記の熱安定性測定方法において、種々の安定化剤をさらに添加してアマドリアーゼの残存活性の測定を行うことにより、当該安定化剤の作用を評価することができる。具体的には、例えば、「5mMの添加成分を安定化剤として評価する」とは、上述の熱安定性測定法において、添加成分を共存させない状態で55℃にて10分間加温した際の残存活性(%)を1とした場合の、終濃度5mMの添加成分を共存させた状態で加温した際の残存活性(%)の割合を比率として算出し、その値を評価することをいう。
「添加成分が安定化剤として効果がある」ということは、上記の比率が、1より大きい、好ましくは2より大きい、より好ましくは3.1より大きい、4より大きい、さらに好ましくは5より大きい、6より大きいことをいう。
一態様において、安定化剤評価の際の熱処理条件は、安定化剤の効果を比較しやすい条件を個別に選択することができる。例えば、もともと比較的熱処理による活性の減少が見られにくいアマドリアーゼの場合は、より厳しい熱処理条件を採用することによって、安定化剤の効果を観察しやすくなることが想定される。例えば、一態様において、安定化剤候補成分を共存させない場合において、熱処理後の残存活性が約8〜20%となる熱処理条件を採用することができる。
評価対象である安定化剤が緩衝作用をも有する化合物である場合、緩衝剤を溶液に緩衝能を付与するのに十分な濃度で使用しつつ(例えば、HEPES(pH 7.0)を500mMにて使用)、安定化剤を低濃度で(すなわち、溶液のpHを変化させるには十分でない低濃度で)用いることができる。
「溶液に緩衝能を付与するのに十分な濃度」とは、当該溶液に添加する他の試薬に起因するpH変動が生じずpHが一定の範囲(例えばpH5〜10、pH6〜8)に保たれる濃度をいう。「溶液に緩衝能を付与するには十分でない濃度」とは、当該溶液に他の試薬を添加するとpH変動が生じpHが一定範囲から逸脱する濃度をいう。これらの濃度は溶液に添加される他の試薬の種類及び量に応じて変化するが、当業者であれば慣用法により該濃度を適宜決定することができる。他の条件及び手順は上記の熱安定性測定方法と同様とする。
以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明の技術的範囲は、それらの例により何ら限定されるものではない。
(Coniochaeta属由来のアマドリアーゼに対する本発明の熱安定性向上効果の確認)
(1)組換え体プラスミドpKK223−3−CFP−T9−98A/103H/154N/263M/265F/ΔPTS1 DNAの調製およびアマドリアーゼの生産
配列番号1は基質特異性改善型変異(E98A、G103H、S154N、G263M)と熱安定性向上型変異(G184D、N272D、H302R、H388Y、カルボシル基3アミノ酸欠失(ΔPTS1))を導入したConiochaeta属由来アマドリアーゼのアミノ酸配列であり、配列番号2の遺伝子にコードされている(特開2013−176351号参照、以下、CFP−T9−98A/103H/154N/263M/265F/ΔPTS1)。このCFP−T9−98A/103H/154N/263M/265F/ΔPTS1遺伝子(配列番号2)を含む組換え体プラスミドを有する大腸菌JM109(pKK223−3−CFP−T9−98A/103H/154N/263M/265F/ΔPTS1)株(特開2013−176351号参照)を、LB−amp培地[1%(W/V) バクトトリプトン、0.5%(W/V) ペプトン、0.5%(W/V) NaCl、50μg/ml Ampicilin]2.5mlに接種して、37℃で20時間振とう培養し、培養物を得た。
次いで、前記培養物を7,000rpmで、5分間遠心分離することにより集菌して菌体を得た。次いで、QIAGEN tip−100(キアゲン社製)を用いて組換え体プラスミドpKK223−3−CFP−T9−98A/103H/154N/263M/265F/ΔPTS1を抽出して精製し、組換え体プラスミドpKK223−3−CFP−T9−98A/103H/154N/263M/265F/ΔPTS1のDNA2.5μgを得た。
得られた上記組換え体プラスミドを保持する大腸菌JM109株を、0.1mMのIPTGを添加したLB−amp培地3mlにおいて、30℃で16時間培養した。その後、菌体をpH7.0の0.01Mリン酸緩衝液で洗浄、超音波破砕、15,000rpmで10分間遠心分離し、アマドリアーゼ粗酵素液1.5mlを調製した。本アマドリアーゼは、本発明の特定モチーフを有するアマドリアーゼの一例である。
(2)各添加成分の共存下におけるアマドリアーゼの熱安定性評価
上記のように得られたアマドリアーゼの粗酵素液をサンプルとし、上述の「アマドリアーゼ活性の測定方法」、「熱安定性評価方法」、「安定化剤評価方法」に従って、種々の添加成分を共存させた場合のアマドリアーゼの熱安定性評価を行った。
1M HEPES緩衝液(pH7.0)300μlに、終濃度の30倍濃度の添加成分含有溶液または超純水を20μl加えて、アマドリアーゼ粗酵素液、またはアマドリアーゼ精製標品を約0.5U/mlとなるように混合し、総体積が600μlとなるように超純水を混合した。このうち、100μlを55℃にて10分間加温し、上述のB.の方法を用いて加熱前と加熱後のサンプルの酵素活性を測定し、上述の熱安定性評価方法に従って、残存活性(%)を求めることにより、熱安定性を評価した。さらに、添加成分含有溶液の代わりに超純水を混合した場合を基準として、上述の安定化剤評価方法に従って、各種添加成分が安定化剤となり得るか否かの評価を行った。
なお、安定化効果を評価する対象の各種の成分を添加して、その熱安定化効果を評価する際に、各種の成分を添加することによりpHが変化し、pHの違いによる安定性の差異が熱安定性の評価に影響することを防ぐ目的で、添加成分を共存させてもpHが変化しないように、緩衝液として500mM HEPES(pH7.0)を用い、実際に、各種の添加成分を共存させた時にもpHは7.0に維持されていることを確認した後、熱処理を行った。上記のように、CFP−T9−98A/103H/154N/263M/265F/ΔPTS1粗酵素液に対し、種々の安定化効果評価対象の各種の成分を共存させ、上記の熱安定性測定法に従って、熱安定性評価を行った。結果の一部を表1〜5に示す。なお、表1〜5における「比率」は、添加成分を共存させなかった場合の残存活性(%)を1とした場合の、添加成分を共存させた場合の残存活性(%)の相対値である。表1はリン酸を添加した場合、表2はクエン酸を添加した場合、表3はリンゴ酸を添加した場合、表4は酢酸を添加した場合、表5はMESを添加した場合の熱安定性評価の結果を示す。
Figure 2015100345
表1に示す通り、本実施例の条件下では、リン酸を添加した際に、リン酸を添加しない場合と比較して、添加濃度依存的に、CFP−T9−98A/103H/154N/263M/265F/ΔPTS1の残存活性が高い、すなわち、熱安定性が向上していることが明らかとなった。以上のことから、リン酸には、アマドリアーゼの熱安定性を向上させる効果があることが示された。
Figure 2015100345
同様に、表2に示す通り、本実施例の条件下では、クエン酸を添加した際に、クエン酸を添加しない場合と比較して、添加濃度依存的に、CFP−T9−98A/103H/154N/263M/265F/ΔPTS1の残存活性が高い、すなわち、熱安定性が向上していることが明らかとなった。以上のことから、クエン酸には、アマドリアーゼの熱安定性を向上させる効果があることが示された。
Figure 2015100345
同様に、表3に示す通り、本実施例の条件下では、リンゴ酸を添加した際に、リンゴ酸を添加しない場合と比較して、添加濃度依存的に、CFP−T9−98A/103H/154N/263M/265F/ΔPTS1の残存活性が高い、すなわち、熱安定性が向上していることが明らかとなった。以上のことから、リンゴ酸には、アマドリアーゼの熱安定性を向上させる効果があることが示された。
Figure 2015100345
Figure 2015100345
一方、表4、5に示す通り、酢酸とMESでは50mMという濃度で共存させた場合でも、CFP−T9−98A/103H/154N/263M/265F/ΔPTS1の熱安定性を向上させることができなかった。以上より、ジカルボン酸、トリカルボン酸もしくはリン酸またはこれらの塩には、アマドリアーゼの熱安定性を向上させる効果があることが確認された。
(人為的に特定モチーフの一部を欠損させた変異体における本発明の熱安定性向上効果の確認)
次に、実施例1で見出されたCFP−T9−98A/103H/154N/263M/265F/ΔPTS1に対する本発明の安定化剤の効果が、特定モチーフを有することに起因するものであることを確認する目的で、4つのアミノ酸からなる特定モチーフ(R/H288,K290、K311、H312)のアミノ酸を1つずつ、別のアミノ酸へと置換する変異を導入させた改変型アマドリアーゼを作製し、その効果を確認した。具体的には、下記の手順により、各変異体を作製した。
(1)組換え体プラスミドpKK223−3−CFP−T9−98A/103H/154N/263M/265F/ΔPTS1 DNAの部位特異的改変操作
得られた組換え体プラスミドpKK223−3−CFP−T9−98A/103H/154N/263M/265F/ΔPTS1 DNAを鋳型として、配列番号3、4の合成オリゴヌクレオチド、KOD−Plus−(東洋紡績社製)を用い、以下の条件でPCR反応を行った。
すなわち、10×KOD−Plus−緩衝液を5μl、dNTPが各2mMになるよう調製されたdNTPs混合溶液を5μl、25mMのMgSO溶液を2μl、鋳型となるpKK223−3−CFP−T9−98A/103H/154N/263M/265F/ΔPTS1 DNAを50ng、上記合成オリゴヌクレオチドをそれぞれ15pmol、KOD−Plus−を1Unit加えて、滅菌水により全量を50μlとした。調製した反応液をサーマルサイクラー(エッペンドルフ社製)を用いて、94℃で2分間インキュベートし、続いて、「94℃、15秒」−「50℃、30秒」−「68℃、6分」のサイクルを30回繰り返した。
反応液の一部を1.0%アガロースゲルで電気泳動し、約6,000bpのDNAが特異的に増幅されていることを確認した。こうして得られたDNAを制限酵素DpnI(NEW ENGLAND BIOLABS社製)で処理し、残存している鋳型DNAを切断した後、大腸菌JM109を形質転換し、LB−amp寒天培地に展開した。生育したコロニーをLB−amp培地に接種して振とう培養し、実施例1と同様の方法でプラスミドDNAを単離した。該プラスミド中のアマドリアーゼをコードするDNAの塩基配列を、マルチキャピラリーDNA解析システムApplied Biosystems 3130xlジェネティックアナライザ(Life Technologies社製)を用いて決定し、その結果、配列番号1記載のアミノ酸配列の288位のアルギニンがアスパラギンに置換された改変型アマドリアーゼをコードする組換え体プラスミド(pKK223−3−CFP−T9−98A/103H/154N/263M/265F/ΔPTS1−288N)を得た。
続いて、配列番号1記載のアミノ酸配列の290位のリジンをグルタミンに置換するために、組換え体プラスミドpKK223−3−CFP−T9−98A/103H/154N/263M/265F/ΔPTS1 DNAを鋳型として、配列番号5、6の合成オリゴヌクレオチド、KOD−Plus−(東洋紡績社製)を用い、上記と同様の条件でPCR反応、大腸菌JM109の形質転換および生育コロニーが保持するプラスミドDNA中のアマドリアーゼをコードするDNAの塩基配列決定を行った。その結果、配列番号1記載のアミノ酸配列の290位のリジンがグルタミンに置換された改変型アマドリアーゼをコードする組換え体プラスミド(pKK223−3−CFP−T9−98A/103H/154N/263M/265F/ΔPTS1−290Q)を得た。
続いて、配列番号1記載のアミノ酸配列の311位のリジンをグルタミンに置換するために、組換え体プラスミドpKK223−3−CFP−T9−98A/103H/154N/263M/265F/ΔPTS1 DNAを鋳型として、配列番号7、8の合成オリゴヌクレオチド、KOD−Plus−(東洋紡績社製)を用い、上記と同様の条件でPCR反応、大腸菌JM109の形質転換および生育コロニーが保持するプラスミドDNA中のアマドリアーゼをコードするDNAの塩基配列決定を行った。その結果、配列番号1記載のアミノ酸配列の311位のリジンがグルタミンに置換された改変型アマドリアーゼをコードする組換え体プラスミド(pKK223−3−CFP−T9−98A/103H/154N/263M/265F/ΔPTS1−311Q)を得た。
続いて、配列番号1記載のアミノ酸配列の312位のヒスチジンをアスパラギンに置換するために、組換え体プラスミドpKK223−3−CFP−T9−98A/103H/154N/263M/265F/ΔPTS1 DNAを鋳型として、配列番号9、10の合成オリゴヌクレオチド、KOD−Plus−(東洋紡績社製)を用い、上記と同様の条件でPCR反応、大腸菌JM109の形質転換および生育コロニーが保持するプラスミドDNA中のアマドリアーゼをコードするDNAの塩基配列決定を行った。その結果、配列番号1記載のアミノ酸配列の312位のヒスチジンがアスパラギンに置換された改変型アマドリアーゼをコードする組換え体プラスミド(pKK223−3−CFP−T9−98A/103H/154N/263M/265F/ΔPTS1−312N)を得た。
(2)安定化剤添加時における各種改変型アマドリアーゼの熱安定性評価
上記のようにして得られた各種の改変型アマドリアーゼ生産能を有する大腸菌JM109(pKK223−3−CFP−T9−98A/103H/154N/263M/265F/ΔPTS1−288N)株、大腸菌JM109(pKK223−3−CFP−T9−98A/103H/154N/263M/265F/ΔPTS1−290Q)株、大腸菌JM109(pKK223−3−CFP−T9−98A/103H/154N/263M/265F/ΔPTS1−311Q)株、大腸菌JM109(pKK223−3−CFP−T9−98A/103H/154N/263M/265F/ΔPTS1−312N)株を、実施例1記載の方法で培養して、各種改変型アマドリアーゼの粗酵素液1.5mlを調製した。得られた各粗酵素液をサンプルとし、実施例1に準じた熱安定性測定方法に従って、種々の酸を添加した際のアマドリアーゼの熱安定性を評価した。ただし、CFP−T9−98A/103H/154N/263M/265F/ΔPTS1−312Nをサンプルとしたのみ、熱処理を52℃にて10分間加温で行った。安定化剤に関しては、結果の一部を表6〜8に示す。
なお、本実施例では、大腸菌JM109(pKK223−3−CFP−T9−98A/103H/154N/263M/265F/ΔPTS1)株由来のアマドリアーゼであるCFP−T9−98A/103H/154N/263M/265F/ΔPTS1を変異元酵素としたため、表中に記載の「変異」の記載には、CFP−T9−98A/103H/154N/263M/265F/ΔPTS1に既に導入済みの各種変異点は含めず、上記変異元酵素が有している特定モチーフの4つのアミノ酸のうち、各1か所を変異させた、その変異箇所のみを記載する。また、表中の「比率」は、添加成分を共存させなかった場合の残存活性(%)を1とした場合の、添加成分を共存させた場合の残存活性(%)の相対値である。
Figure 2015100345
表6に示す通り、本実施例の条件下では、CFP−T9−98A/103H/154N/263M/265F/ΔPTS1の残存活性は安定化剤添加なしを1とした場合、50mMのリン酸を添加した際に、7.4となるのに対し、モチーフを欠損させた各変異体は大幅に安定化剤の効果が減少した。例えば、T9−98A/103H/154N/263M/265F/ΔPTS1−288Nの残存活性の比率は安定化剤添加なしを1とした場合、50mMのリン酸を添加した際に、1.2となり、ほとんど安定化剤の効果はないことが示された。
Figure 2015100345
表7に示す通り、本実施例の条件下では、CFP−T9−98A/103H/154N/263M/265F/ΔPTS1の残存活性は安定化剤添加なしを1とした場合、50mMのクエン酸を添加した際に、6.0となるのに対し、モチーフを欠損させた各変異体は大幅に安定化剤の効果が減少した。例えば、T9−98A/103H/154N/263M/265F/ΔPTS1−288Nの残存活性の比率は安定化剤添加なしを1とした場合、50mMのクエン酸を添加した際に、1.4となり、ほとんど安定化剤の効果はないことが示された。
Figure 2015100345
表8に示す通り、本実施例の条件下では、CFP−T9−98A/103H/154N/263M/265F/ΔPTS1の残存活性は安定化剤添加なしを1とした場合、50mMのリンゴ酸を添加した際に、3.2となるのに対し、モチーフを欠損させた各変異体は大幅に安定化剤の効果が減少した。例えば、T9−98A/103H/154N/263M/265F/ΔPTS1−288Nの残存活性の比率は安定化剤添加なしを1とした場合、50mMのリンゴ酸を添加した際に、1.1となり、ほとんど安定化剤の効果はないことが示された。
以上のことから、R288、K290、K311、H312の4つのアミノ酸に1つでも変異を導入した場合には、リン酸、クエン酸、リンゴ酸による安定化効果は減少することが示された。すなわち、R288、K290、K311、H312からなる特定モチーフを有するアマドリアーゼに特有の効果として、リン酸、クエン酸、リンゴ酸を添加した際の熱安定性向上効果が確認された。
(Curvularia clavata由来のケトアミンオキシダーゼにおける本発明の熱安定性向上効果の確認)
実施例1、2に示したConiochaeta属由来アマドリアーゼにおけるR288、K290、K311、H312からなる特定モチーフに相当する同様の特定モチーフを共通に有する別種のアマドリアーゼについても本発明の効果が奏されることを確認する目的で、別種の他のアマドリアーゼの一例として、同様の特定モチーフを共通に有するCurvularia clavata由来のケトアミンオキシダーゼ(CcFX)に対し、上記の安定化剤による熱安定性向上効果を確認した。
(1)Curvularia clavata由来のケトアミンオキシダーゼの生産
配列番号14はCcFXのアミノ酸配列であり、配列番号14で示される440アミノ酸をコードし、且つ、大腸菌発現用にコドンを最適化した、配列番号21で示す1323bpの遺伝子(終止コドンTAAを含む)を、定法である遺伝子断片のPCRによる全合成により、cDNAを全合成することによって取得した。このとき、配列番号21の5´末端、3´末端にはそれぞれEcoRIサイトとHindIIIサイトを付加した。また、クローニングした遺伝子配列から予想されたアミノ酸配列全長は図1のCurvularia clavata由来のケトアミンオキシダーゼの配列と一致していることを確認した。
続いて、取得した配列番号21に示される遺伝子を大腸菌で発現させるために、以下の手順を行った。まず、上記で全合成した遺伝子をEcoRIサイトとHindIII(タカラバイオ社製)の2種類の制限酵素で処理し、pKK223−3 Vector(アマシャム・バイオテク社製)のEcoRI−HindIIIサイトに挿入することで、組換え体プラスミドpKK223−3−CcFXを取得し、実施例1と同様の条件でJM109株を形質転換し、大腸菌JM109(pKK223−3−CcFX)株を得た。
上記のようにして得られたCurvularia clavata由来のケトアミンオキシダーゼ生産能を有する大腸菌JM109(pKK223−3−CcFX)株を実施例1の方法で培養して、粗酵素液1.5mlを調製した。得られた粗酵素液をサンプルとし、実施例1に準じた活性測定方法に従ってケトアミンオキシダーゼの活性を確認した。
(2)各安定化剤添加時におけるアマドリアーゼの熱安定性評価
安定化剤は実施例1および実施例2と同様のものを用い、実施例1および2と同様に、各安定化剤添加時におけるアマドリアーゼの熱安定性評価を行った。本実施例においては、安定化剤を添加しない場合の残存活性を約8〜20%とするために、熱処理条件を60℃、10分加温とした。各種安定化剤を添加した際に、pHの変化を防ぐ目的から、緩衝液は500mM HEPES(pH7.0)を用い、安定化剤を添加した際のpHは実際に7.0を示すことを確認後に、熱処理を行った。結果の一部を表9〜11に示す。本発明の効果の傾向を参照する目的で、実施例1に示したCFP−T9−98A/103H/154N/263M/265F/ΔPTS1の結果も並べて示す。表中の「比率」は、添加成分を共存させなかった場合の残存活性(%)を1とした場合の、添加成分を共存させた場合の残存活性(%)の相対値である。
Figure 2015100345
安定化剤を添加しない場合、Curvularia属由来アマドリアーゼの60℃、10分加温後の残存活性は、8.4%であったのに対し、50mMリン酸を共存させた際の残存活性は、46.5%に向上した。すなわち、CFP−T9−98A/103H/154N/263M/265F/ΔPTS1と同様、CcFXに対しても、リン酸を添加した際の熱安定性向上効果が示された。
Figure 2015100345
安定化剤を添加しない場合、Curvularia属由来アマドリアーゼの60℃、10分加温後の残存活性は、8.4%であったのに対し、50mMクエン酸を共存させた際の残存活性は、53.1%に向上した。すなわち、CFP−T9−98A/103H/154N/263M/265F/ΔPTS1と同様、CcFXに対しても、クエン酸を添加した際の熱安定性向上効果が示された。
したがって、ジカルボン酸、トリカルボン酸もしくはリン酸またはこれらの塩には、Coniochaeta属由来アマドリアーゼに限定されず、R/H288、K290、K311、H312からなる特定モチーフに相当する特定モチーフを共通して有する別種のアマドリアーゼの熱安定性を向上させる効果があることが確認された。
CFP−T9−98A/103H/154N/263M/265F/ΔPTS1とCcFXのアミノ酸配列同一性は80%であり、このような相同性を有する同種の酵素において、本発明の効果が共に確認されたことから、CFP−T9−98A/103H/154N/263M/265F/ΔPTS1と80%のアミノ酸配列同一性を有し、または、CcFXと80%のアミノ酸配列同一性を有し、かつ、Coniochaeta属由来アマドリアーゼのR288、K290、K311、H312からなるモチーフに相当するモチーフを持つアマドリアーゼは、本発明の効果を有するアマドリアーゼに包含される蓋然性が高い。
(Aspergillus oryzae RIB40由来フルクトシルアミノ酸オキシダーゼにおける本発明の熱安定性向上効果の確認)
Coniochaeta属由来アマドリアーゼのR288、K290、K311、H312からなる特定モチーフに相当する特定モチーフを持たないアマドリアーゼにおいては、本発明の効果が発揮されないか否かを確認する目的で、特定モチーフを持たないアマドリアーゼの一例として、Aspergillus oryzae RIB40由来フルクトシルアミノ酸オキシダーゼ(FAOAo2)に対し、上記の安定化剤による熱安定性向上効果を確認した。
図2にConiochaeta属由来アマドリアーゼとAspergillus属由来アマドリアーゼ(FAOAo2)の配列の一部を示す。配列番号1で示されるアミノ酸配列を1段目、配列番号22で示されるアミノ酸配列を2段目に示す。これらの配列は33%以上の同一性を有し、公知のアルゴリズムを用いて整列させた。図中に、本発明の変異体における変異点を示す。
図2に示す通り、FAOAo2は、Coniochaeta属由来アマドリアーゼのR/H288、K290、K311、H312からなる特定モチーフのうち、K290、K311のみを共通に有している。すなわち、特定モチーフを構成する4アミノ酸のうち、2箇所を有し、2箇所を欠くアマドリアーゼである。
(1)Aspergillus oryzae RIB40由来フルクトシルアミノ酸オキシダーゼの生産
配列番号22はFAOAo2のアミノ酸配列であり、配列番号22のアミノ酸配列をコードする遺伝子(配列番号23)を挿入した組換え体プラスミド(以降pUC19−FAOAo2と称する)を大腸菌DH5αで発現させることにより、FAOAo2が生産されることが示されている(国際公開第2008/108385号公報参照)。
上記FAOAo2生産能を有する大腸菌DH5α(pUC19−FAOAo2)を、終濃度0.1mMとなるようにIPTGを添加したLB−amp培地に植菌し、25℃で16時間培養した。得られた各培養菌体を10mM Tris−HCl緩衝液(pH8.5)で洗浄した後、同緩衝液に菌体を懸濁して超音波破砕処理を行い、20,000×gで10分間遠心分離し、粗酵素液を調製した。
調製した粗酵素液を10mM Tris−HCl緩衝液(pH8.5)で平衡化したQ Sepharose Fast Flow樹脂(GEヘルスケア社製)に吸着させ、次に50mM NaClを含む10mM Tris−HCl緩衝液(pH8.5)で樹脂を洗浄し、続いて100mM NaClを含む10mM Tris−HCl緩衝液(pH8.5)で樹脂に吸着していたFAOAo2を溶出させ回収した。
得られたFAOAo2粗酵素液を、150mM NaClを含む20mM MES−NaOH緩衝液(pH7.0)で平衡化したHiLoad 26/600 Superdex 200カラムにアプライして同緩衝液でFAOAo2を溶出させ、アマドリアーゼ活性を示す画分を回収した。得られた画分をSDS−PAGEにより分析し、他の夾雑タンパク質を含まない純度まで精製されていることを確認し、FAOAo2の精製標品とした。
(2)各安定化剤添加時におけるアマドリアーゼの熱安定性評価
安定化剤は実施例1〜3と同様のものを用い、実施例1〜3と同様に、各安定化剤添加時におけるアマドリアーゼの熱安定性評価を行った。ただし、安定化剤を添加しない場合の残存活性を約10〜20%とするために、熱処理を52℃、10分加温で行った。各種安定化剤を添加した際に、pHの変化を防ぐ目的から、緩衝液は500mM HEPES(pH7.0)を用い、安定化剤を添加した際のpHは実際に7.0を示すことを確認後に、熱処理を行った。結果の一部を表12〜14に示す。本発明の効果の傾向を参照する目的で、実施例1に示したCFP−T9−98A/103H/154N/263M/265F/ΔPTS1の結果も並べて示す。表中の「比率」は、添加成分を共存させなかった場合の残存活性(%)を1とした場合の、添加成分を共存させた場合の残存活性(%)の相対値である。
Figure 2015100345
安定化剤を添加しない場合、Aspergillus属由来アマドリアーゼの52℃、10分加温後の残存活性は、15.5%であったのに対し、50mMリン酸を共存させた際の残存活性は、44.0%に向上した。しかし、CFP−T9−98A/103H/154N/263M/265F/ΔPTS1とは異なり、その向上の程度は十分なものとはいえず、FAOAo2に対しては、リン酸を添加した際の熱安定性向上効果は十分に発揮されないことがわかった。
Figure 2015100345
安定化剤を添加しない場合、Aspergillus属由来アマドリアーゼの52℃、10分加温後の残存活性は、15.5%であったのに対し、50mMクエン酸を共存させた際の残存活性は、44.8%に向上した。しかし、CFP−T9−98A/103H/154N/263M/265F/ΔPTS1とは異なり、その向上の程度は十分なものとはいえず、FAOAo2に対しては、クエン酸を添加した際の熱安定性向上効果は十分に発揮されないことがわかった。
配列番号1. CFP−T9−98A/103H/154N/263M/265F/ΔPTS1のアミノ酸配列
配列番号2. CFP−T9−98A/103H/154N/263M/265F/ΔPTS1の遺伝子配列
配列番号3. R288N導入プライマーFw
配列番号4. R288N導入プライマーRv
配列番号5. K290Q導入プライマーFw
配列番号6. K290Q導入プライマーRv
配列番号7. K311Q導入プライマーFw
配列番号8. K311Q導入プライマーFw
配列番号9. H312N導入プライマーFw
配列番号10. H312N導入プライマーRv
配列番号11. Eupenicillium terrenum由来のアマドリアーゼ
配列番号12. Pyrenochaeta sp.由来のケトアミンオキシダーゼ
配列番号13. Arthrinium sp.由来のケトアミンオキシダーゼ
配列番号14. Curvularia clavata由来のケトアミンオキシダーゼ
配列番号15. Neocosmospora vasinfecta由来のケトアミンオキシダーゼ
配列番号16. Cryptococcus neoformans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼ
配列番号17. Phaeosphaeria nodorum由来のフルクトシルペプチドオキシダーゼ
配列番号18. Aspergillus nidulans由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼ
配列番号19. Ulocladium sp.由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼ
配列番号20. Penicillium crysogenum由来のフルクトシルアミノ酸オキシダーゼ
配列番号21. Curvularia clavata由来のケトアミンオキシダーゼの遺伝子
配列番号22. Aspergillus oryzae RIB40由来フルクトシルアミノ酸オキシダーゼ
配列番号23. Aspergillus oryzae RIB40由来フルクトシルアミノ酸オキシダーゼの遺伝子

Claims (14)

  1. 配列番号1と80%の同一性を有するアミノ酸配列を有し、配列番号1における
    (a)288位のアミノ酸に対応する位置のアミノ酸がアルギニンまたはヒスチジンであり、
    (b)290位のアミノ酸に対応する位置のアミノ酸がリジンであり、
    (c)311位のアミノ酸に対応する位置のアミノ酸がリジンであり、
    (d)312位のアミノ酸に対応する位置のアミノ酸がヒスチジンである
    アマドリアーゼを含む組成物に5mM以上のアニオンを共存させることを特徴とする、アマドリアーゼ含有組成物の熱安定性を向上させる方法。
  2. 配列番号14と80%の同一性を有するアミノ酸配列を有し、配列番号14における
    (e)286位のアミノ酸に対応する位置のアミノ酸がアルギニンまたはヒスチジンであり、
    (f)288位のアミノ酸に対応する位置のアミノ酸がリジンであり、
    (g)309位のアミノ酸に対応する位置のアミノ酸がリジンであり、
    (h)310位のアミノ酸に対応する位置のアミノ酸がヒスチジンである
    アマドリアーゼを含む組成物に5mM以上のアニオンを共存させることを特徴とする、アマドリアーゼ含有組成物の熱安定性を向上させる方法。
  3. アマドリアーゼが糖化ジペプチドに作用するアマドリアーゼである請求項1または請求項2記載のアマドリアーゼ含有組成物の熱安定性を向上させる方法。
  4. アニオンが1種類以上のジカルボン酸、トリカルボン酸もしくはリン酸またはこれらの塩である請求項3記載のアマドリアーゼ含有組成物の熱安定性を向上させる方法。
  5. 配列番号1と80%の同一性を有するアミノ酸配列を有し、配列番号1における
    (a)288位のアミノ酸に対応する位置のアミノ酸がアルギニンまたはヒスチジンであり、
    (b)290位のアミノ酸に対応する位置のアミノ酸がリジンであり、
    (c)311位のアミノ酸に対応する位置のアミノ酸がリジンであり、
    (d)312位のアミノ酸に対応する位置のアミノ酸がヒスチジンである
    アマドリアーゼを含む組成物に5mM以上のアニオンを共存させる工程を経て得られる、熱安定性が向上したアマドリアーゼ含有組成物の製造方法。
  6. 配列番号14と80%の同一性を有するアミノ酸配列を有し、配列番号14における
    (e)286位のアミノ酸に対応する位置のアミノ酸がアルギニンまたはヒスチジンであり、
    (f)288位のアミノ酸に対応する位置のアミノ酸がリジンであり、
    (g)309位のアミノ酸に対応する位置のアミノ酸がリジンであり、
    (h)310位のアミノ酸に対応する位置のアミノ酸がヒスチジンである
    アマドリアーゼを含む組成物に5mM以上のアニオンを共存させる工程を経て得られる、熱安定性が向上したアマドリアーゼ含有組成物の製造方法。
  7. アマドリアーゼが糖化ジペプチドに作用するアマドリアーゼである請求項5または請求項6記載のアマドリアーゼ含有組成物の製造方法。
  8. アニオンが1種類以上のジカルボン酸、トリカルボン酸もしくはリン酸またはこれらの塩である請求項7記載のアマドリアーゼ含有組成物の製造方法。
  9. 配列番号1と80%の同一性を有するアミノ酸配列を有し、配列番号1における
    (a)288位のアミノ酸に対応する位置のアミノ酸がアルギニンまたはヒスチジンであり、
    (b)290位のアミノ酸に対応する位置のアミノ酸がリジンであり、
    (c)311位のアミノ酸に対応する位置のアミノ酸がリジンであり、
    (d)312位のアミノ酸に対応する位置のアミノ酸がヒスチジンである
    アマドリアーゼを含む組成物に5mM以上のアニオンを共存させる工程を経て得られる、熱安定性が向上したアマドリアーゼ含有組成物。
  10. 配列番号14と80%の同一性を有するアミノ酸配列を有し、配列番号14における
    (e)286位のアミノ酸に対応する位置のアミノ酸がアルギニンまたはヒスチジンであり、
    (f)288位のアミノ酸に対応する位置のアミノ酸がリジンであり、
    (g)309位のアミノ酸に対応する位置のアミノ酸がリジンであり、
    (h)310位のアミノ酸に対応する位置のアミノ酸がヒスチジンである
    アマドリアーゼを含む組成物に5mM以上のアニオンを共存させる工程を経て得られる、熱安定性が向上したアマドリアーゼ含有組成物。
  11. 1種類以上のジカルボン酸、トリカルボン酸もしくはリン酸またはこれらの塩を含有する請求項9または請求項10に記載の組成物。
  12. リンゴ酸、クエン酸もしくはリン酸またはこれらの塩のいずれか1つの化合物を含有する請求項11記載の組成物。
  13. 請求項9〜請求項12記載のアマドリアーゼ組成物を含む糖化ヘモグロビン測定用試薬。
  14. 請求項9〜請求項12記載のアマドリアーゼ組成物を含む糖化ヘモグロビン測定用キット。
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