JPWO2012042951A1 - アトルバスタチン含有医薬錠剤 - Google Patents

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Abstract

アトルバスタチンの口腔内における不快な味の低減(服用コンプライアンス)し、かつ消化管内における速やかな分散性・溶出性を有する医薬錠剤、とりわけ口腔内崩壊錠を提供する。本発明の医薬錠剤は、アトルバスタチン又はその製薬学的に許容される塩、及びグリチルリチン酸又はその製薬学的に許容される塩を含有してなる。

Description

本発明は、アトルバスタチン又はその製薬学的に許容される塩を含有し、アトルバスタチンの苦味を低減し、かつ速やかな薬物の溶出性を有する医薬錠剤に関する。詳細には、本発明は、アトルバスタチン又はその製薬学的に許容される塩、およびグリチルリチン酸又はその製薬学的に許容される塩を含有し、アトルバスタチンの苦味を低減し、かつ速やかな薬物の分散性・溶出性を有する口腔内崩壊錠に関するものである。
3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−コエンザイムA(HMG−CoA)のメバロン酸塩への転化は、コレステロールの生合成経路における早期の律速過程である。この過程は、酵素のHMG−CoAレダクターゼによって触媒される。スタチンは、HMG−CoAレダクターゼがこの転化を触媒するのを抑制する。したがって、スタチンは総じて強力な脂質低下剤である。
現在、アトルバスタチンカルシウム水和物はLipitor(登録商標)として販売されており、これは化学名[R−(R*,R*)]−2−(4−フルオロフェニル)−β,δ−ジヒドロキシ−5−(1−メチルエチル)−3−フェニル−4−[(フェニルアミノ)カルボニル]−1H−ピロール−1−ヘプタン酸カルシウム塩(2:1)三水和物と次式を有する。
Figure 2012042951
アトルバスタチンとその製薬学的に許容される塩は、HMG−CoAレダクターゼの選択的で競合的な抑制剤である。アトルバスタチンカルシウムは、強力な脂質低下化合物であり、このため脂質低下剤及び/又はコレステロール低下剤として有用であり、同時に、骨粗しょう症、良性の前立腺肥大(BPH)、及びアルツハイマー病の治療に有用である。
アトルバスタチン又はその製薬学的に許容される塩を含有する製剤を厳格な製薬要件および規格に適合できるようにするために、アトルバスタチン又はその製薬学的に許容される塩を純粋な結晶型で製造する必要がある。更に、アトルバスタチン又はその製薬学的に許容される塩の製造方法は、大規模生産に従うものであることが必要とされる。また、製品が敏速に濾過でき、そして容易に乾燥される形態であることが望ましい。最終的には、製品が特殊な保存条件を必要とせずに長期間安定であることが経済的に望ましい。これまでにアトルバスタチン又はその製薬学的に許容される塩の様々な結晶型が開示されている(特許文献1、2)。
一方で、アトルバスタチンは難溶性の薬物であることから、イン・ビトロにおける分散性・溶出性が悪くバイオアベイラビリティ低下の問題となる。このような問題を改善させるための手段として、結晶を非晶質形態に変化させる方法が挙げられる。
例えば、非晶質アトルバスタチンの改良された製造方法を提供することを目的に、アトルバスタチン及び場合により賦形剤を非ヒドロキシル溶媒に溶解して溶液を形成し、そして溶媒を凍結乾燥して、アモルファスのアトルバスタチンを得ることを含むアモルファスのアトルバスタチンを形成する方法(特許文献3)や、ヒドロキシル基含有溶媒を含む溶液中にアトルバスタチンを溶解させ、該溶液から該ヒドロキシル基含有溶媒を急速に蒸発させて非晶質アトルバスタチンを生成させることを含む、非晶質アトルバスタチンの製造方法(特許文献4)が開示されている。
また、揮発性有機溶媒の使用を含まない非晶質アトルバスタチンを製造するための方法、及び非晶質アトルバスタチンを含有する安定な医薬組成物を得ることを目的に、非晶質アトルバスタチンと一つ又はそれより多い任意成分である医薬的に需要可能な賦形剤との固体分散物を含んでなる固体医薬組成物であって、非晶質アトルバスタチン或いはその医薬的に需要可能な複合体、塩、溶媒和物又は水和物及び溶融加工可能なポリマーを含んでなる固体医薬組成物が開示されている(特許文献5)。
更に、非晶質体のアトルバスタチンを安定化させるために、ある特定の温度で熱処理する方法が開示されている(特許文献6)。
また、アトルバスタチン又はその製薬学的に許容される塩は強い苦味を有する薬物である。薬物の不快な味の隠蔽、口腔内での吸収回避などの目的のために、薬物或いは薬物を含んでなる組成物に口腔内で一定時間薬物放出を抑制するコーティングなどの処理がなされる場合がある。コーティングは一般的に水不溶性の高分子等を用いるため、薬物の分散性・溶出性は低下する問題がある。従い、コーティングに代わる技術についても、検討する余地がある。該技術の一例として、例えば、薬物および糖類を含有する口腔内崩壊錠において、苦味を有する薬物および/または流動性の劣る薬物と、製剤用担体とからなる、噴霧乾燥されてなる、平均粒子径約50〜約250μm、かつ見掛け比重約0.5〜約1.2の薬物含有粒子を配合することを特徴とする口腔内崩壊錠に関する技術が知られており、このとき製剤用担体として、水不溶性高分子物質の他に、糖類も例示されている(特許文献7)。しかし、アトルバスタチンを適用する場合、薬物溶出性の観点から、更なる改善の余地がある。
一方、グリチルリチン酸は、別名グリチルリチンとも言われ、甘草(カンゾウ)の根茎または根から抽出したグリチルリチン酸水溶液を酸性にして得られる白色〜微黄色の結晶性の粉末(塩)で、無臭、特有の甘みがあるので、甘味剤や矯味剤として使用されている。また、グリチルリチン酸自体が抗炎症作用を有することも知られている。
また、グリチルリチン酸二カリウムを、難溶性薬物であるイブプロフェン粉末の表面に付着または被覆すると、水中での分散性が向上されることや、また天然の界面活性剤として難溶性薬物の溶解性を改善する作用を有することが開示されている(特許文献8)。
他方、顆粒剤、細粒剤、散剤等の経口粒子状医薬組成物は、錠剤やカプセル剤よりもサイズが小さいため、錠剤、カプセル剤の嚥下が困難な患者でも服用が容易な剤形である。しかし、経口投与用粒子状医薬組成物は、そのサイズが小さいため比表面積が増加することにより、服用後薬物が口腔内で速やかに放出されてしまい、種々の問題を引き起こす。例えば、薬物が不快な味を有する場合、口腔内で速やかに放出された薬物が患者に強い不快感を与え、服用コンプライアンスを著しく低下させることがある。
当該問題を回避するため、経口粒子状医薬組成物においては、一定時間口腔内で薬物放出を抑制あるいは低減することが必要となる。例えば、薬物が不快な味を有する場合には、口腔内に経口粒子状医薬組成物が存在する一定時間の間、薬物の放出を低減する手段等を採用することができる。
近年、口腔内崩壊錠は水なしでも服用することが出来、かつ嚥下困難な患者でも服用が比較的容易になることから、患者が薬を服用する際の利便性を高めた剤形として注目されている。
該口腔内崩壊錠に関する技術として、例えば、成形性の低い糖類に対し、成形性の高い糖類を結合剤として噴霧し被覆および/または造粒することを特徴とし、錠剤強度をさらに必要とするときには、加湿乾燥されてなる口腔内崩壊錠(特許文献9)、薬物、稀釈剤、および薬物と稀釈剤より相対的に融点の低い糖類を含有してなり、融点の低い糖類が錠剤中に均一に配合され、薬物および/または稀釈剤粒子を、融点の低い糖類の溶融固化物により架橋を形成してなる口腔内崩壊錠(特許文献10)、また、薬物、α化度が30%以上60%以下である加工したデンプン類、及び糖類を含有してなる口腔内崩壊錠(特許文献11)等が知られている。
これらの口腔内崩壊錠に、例えば苦味を有する薬物が適用される場合、例えば、結晶セルロースからなる核に対し、薬物溶液を噴霧して薬物含有粒子を調製した後、該粒子に適切な高分子物質でフィルムコーティングを施す方法が採用される。被覆する高分子物質の種類や打錠する際の圧力によっては、フィルムが断裂し、薬物が漏出するため、口腔内における薬物の苦味を抑制することは技術的に非常に難しい。逆に、被覆されたフィルムの打錠による破断を回避するために低圧で打錠した際には、製造工程、輸送工程におけるハンドリングに適した錠剤硬度が得られないなどの問題が懸念される。
不快な味を抑制する方法としてアクリル酸系高分子の使用が知られている。
薬物を含有する核と、2種類の水溶性成分である、不溶化促進剤および不溶化物質を含有する中間層と、最外層に内部への水浸入速度を制御する水浸入制御層を含有する経口投与用時限放出型粒子状医薬組成物が知られており、水浸入制御層に用いる素材としてアクリル酸系高分子が例示されている(特許文献12)。しかしながら、選択される薬物または基剤によっては、初期薬物溶出を低減し、かつその後の速やかな薬物放出性を達成するためには更なる改善の余地がある。
上記状況下、アトルバスタチンの苦味を低減し、かつ速やかな薬物の分散性・溶出性を有する医薬錠剤、とりわけ口腔内崩壊錠に関する技術開発は、いまなお必要である。
日本特許第3296564号明細書 日本特許第3965155号明細書 国際公開第WO2006/046109号パンフレット 国際公開第WO2004/110407号パンフレット 国際公開第WO2006/059224号パンフレット 国際公開第WO2007/034316号パンフレット 国際公開第WO02/02083号パンフレット 特開2000−264838号公報 国際公開第WO95/20380号パンフレット 国際公開第WO02/92057号パンフレット 国際公開第WO2008/032767号パンフレット 国際公開第WO2005/105045号パンフレット
本発明は、アトルバスタチンの苦味を低減し、かつ速やかな薬物の分散性・溶出性を有する医薬錠剤、とりわけ口腔内崩壊錠を提供するものである。
また、本発明は、アトルバスタチンの口腔内における不快な味を低減することにより服用コンプライアンスを改善し、かつ消化管内における速やかな薬物の分散性・溶出性を有する医薬錠剤、とりわけ口腔内崩壊錠を提供するものである。
本発明者らは、アトルバスタチンの苦味隠蔽を目的として、アトルバスタチンと製剤用担体としての糖類との噴霧乾燥品を調製し、医薬錠剤を製したところ、該錠剤からのアトルバスタチンの溶出が、現在販売されている錠剤に比し、同等と判断するには、更なる改善の余地があることを知った。
上記状況下、本発明者らは、アトルバスタチンの分散性と溶出性に着目して鋭意検討した結果、これまで甘味剤あるいは矯味剤として、医薬品添加物に含まれるグリチルリチン酸二カリウムが、意外にもアトルバスタチンの分散性及び溶出性をも改善することを知見して、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、
[1]アトルバスタチン又はその製薬学的に許容される塩、及びグリチルリチン酸又はその製薬学的に許容される塩を含有してなる、医薬錠剤、
[2]グリチルリチン酸又はその製薬学的に許容される塩が、グリチルリチン酸二(ジ)カリウム、グリチルリチン酸モノナトリウム、グリチルリチン酸二(ジ)ナトリウム、グリチルリチン酸三(トリ)ナトリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウム、グリチルリチン酸二(ジ)アンモニウムからなる群より選択される1種または2種以上である、[1]の医薬錠剤、
[3]グリチルリチン酸又はその製薬学的に許容される塩の配合量が、アトルバスタチン1重量部に対して0.001重量部以上4重量部以下、または製剤全量において0.0005重量/重量%以上20重量/重量%以下である、[1]または[2]の医薬錠剤、
[4]炭酸塩または炭酸水素塩を更に含有する、[1]〜[3]の医薬錠剤、
[5]炭酸塩または炭酸水素塩が、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、および炭酸マグネシウムからなる群より選択される1種または2種以上である、[4]の医薬錠剤、
[6]炭酸塩または炭酸水素塩の配合量が、製剤全体の重量に対して、1重量/重量%以上100重量/重量%以下である、[4]または[5]の医薬錠剤、
[7]更に、成形性の高い糖類を結合剤として含有する、[1]〜[6]の医薬錠剤、
[8]成形性の高い糖類が、マルトース、マルチトール、ソルビトール、トレハロース、および乳糖果糖からなる群より選択される1種または2種以上である、[7]の医薬錠剤、
[9]成形性の高い糖類の配合量が、製剤全体の2重量/重量%以上20重量/重量%以下である、[7]または[8]の医薬錠剤、
[10]圧縮成形後に、加湿乾燥して得られる、[1]〜[9]の医薬錠剤、
[11]医薬錠剤が、口腔内崩壊錠である、[1]〜[10]の医薬錠剤
に関する。
本発明によれば、(1)アトルバスタチンの口腔内での苦味を低減することができる、(2)不快な味を有するアトルバスタチンについて、口腔内における不快な味の隠蔽を施した際に、消化管内における速やかな溶出性を達成することができる、(3)服用コンプライアンスと吸収の遅延の防止を達成することができる、などの効果が得られる、薬物の分散性・溶出性の改善された医薬錠剤、あるいは口腔内崩壊錠を提供することができる。
グリチルリチン酸二カリウムを含む口腔内崩壊錠(実施例1〜3)および含まない口腔内崩壊錠(比較例1)について、液置換溶出試験を実施して得られた溶出プロファイルである。 グリチルリチン酸二カリウムを含む口腔内崩壊錠(実施例4〜7)および含まない口腔内崩壊錠(比較例2)について、液置換溶出試験を実施して得られた溶出プロファイルである。 グリチルリチン酸モノアンモニウムを含む口腔内崩壊錠(実施例8)および含まない口腔内崩壊錠(比較例3)について、液置換溶出試験を実施して得られた溶出プロファイルである。 グリチルリチン酸二カリウムを含む口腔内崩壊錠(実施例9〜10)および含まない口腔内崩壊錠(比較例4)について、液置換溶出試験を実施して得られた溶出プロファイルである。 グリチルリチン酸二カリウムの共存下または不在下において、JP1液中のアトルバスタチンカルシウム三水和物の粒度分布を測定した結果を示すグラフである。 JP1液中にアトルバスタチンカルシウム三水和物(比較例6)とグリチルリチン酸又はその製薬学的に許容される塩(実施例12〜21)を添加した際の溶解度を測定した結果を示すグラフである。
以下、本発明の医薬錠剤を説明する。
本明細書において「速やかな分散性・溶出性」とは、第十五改正日本薬局方 一般試験法 溶出試験法 パドル法 溶出試験第1液(JP1)300mLを用いてパドル法(50rpm)を開始し、30分の時点で、第十五改正日本薬局方 一般試験法 溶出試験法 パドル法 溶出試験第2液(JP2)の5倍濃縮液600mLを追加する液置換溶出試験において、JP1を用いた試験開始後、5分後の薬物溶出率(JP1:D5min)が30%を超えること(他の態様として40%以上)と規定する。
本明細書において「不快な味」とは、服用時に不快感をもたらす味を意味し、具体的には苦味、渋味、えぐ味、酸味、辛味、収斂味等が挙げられる。
本明細書において「口腔内を想定した試験液」とは、pH6.8リン酸緩衝液(第一五改正日本薬局方 一般試験法 溶出試験法 パドル法 溶出試験第2液(JP2))を意味する。
本発明の医薬錠剤(とりわけ口腔内崩壊錠)は、アトルバスタチン又はその製薬学的に許容される塩、及びグリチルリチン酸又はその製薬学的に許容される塩を含有してなる、速やかな薬物分散性・溶出性を有する製剤である。
本発明に用いられるアトルバスタチン又はその製薬学的に許容される塩は、米国特許第5,273,995号に開示されたアトルバスタチンカルシウム水和物、化学名[R−(R*,R*)]−2−(4−フルオロフェニル)−β,δ−ジヒドロキシ−5−(1−メチルエチル)−3−フェニル−4−[(フェニルアミノ)カルボニル]−1H−ピロール−1−ヘプタン酸カルシウム塩(2:1)3水和物が含まれる。アトルバスタチンカルシウム水和物は、以下の式:
Figure 2012042951

により表される、リピトール(Lipitor)(登録商標)として現在販売されている。アトルバスタチン又はその製薬学的に許容される塩は、HMG−CoAレダクターゼの選択的で競合的な阻害剤である。製薬学的に許容される塩としては、例えばアルカリ金属及びアルカリ土類金属のような金属塩、又は有機アミンのようなアミン塩を挙げることができる。他の態様として、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、鉄、亜鉛、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、珪酸マグネシウム、アルミン酸マグネシウム、水酸化マグネシウムアルミニウムとの塩を挙げることができる。更なる態様として、カルシウムとの塩を挙げることができる。アトルバスタチンカルシウムは、強力な脂質低下性化合物であり、このため脂質低下剤及び/又はコレステロール低下剤として有用であり、同時に、骨粗鬆症、良性の前立腺肥大症(BPH)、及びアルツハイマー病の治療に有用である。また、結晶性形態のアトルバスタチンは、例えばI、II、IV、V、VI、VII、VIII、IX、X、XI、XII、XIII、XIV、XV、XVI、XVII、XVIII、およびXIX型が挙げられ、他の態様としてI型が挙げられる。「I型結晶」は、日本特許第3296564号に開示された結晶性形態Iのアトルバスタチン水和物である。
アトルバスタチン又はその製薬学的に許容される塩の配合量は、医薬的に予防または治療上有効な量であれば特に制限されないが、例えば1日当たり約2.5mg以上約80mg以下、他の態様として約5mg以上約500mg以下、更なる態様として約2.5mg以上約80mg以下である。又は1日につき体重1kg当たり約0.1mg以上約8.0mg以下の成人投与レベルで患者に投与される。他の態様としては1日当たりの投与量は、約0.1mg/kg以上約2.0mg/kg以下の範囲にある。配合量は、効力又は適用によって、5mg以上80mg以下、他の態様としては5mg以上100mg以下に変化又は調節することが出来る。一般に、治療は化合物の最適の投与量より低い量で開始される。その後、投与量は、状況に応じて最適の作用に達するまで漸増される。必要に応じて、1日当たりの全投与量を分割して1日複数回投与することも出来る。
また、薬物の配合割合は、通常薬物の種類、用途(適応症)、年齢(又は体重)に応じ適宜選択されるが、治療学的に有効な量あるいは予防学的に有効な量であれば特に制限されない。例えば、本発明の「医薬錠剤」又は医薬品製剤当たり0.5重量/重量%以上90重量/重量%以下であり、他の態様としては0.5重量/重量%以上80重量/重量%以下であり、更なる態様としては0.5重量/重量%以上70重量/重量%以下である。
本発明に用いられるアトルバスタチン又はその製薬学的に許容される塩としては、医薬製剤(製剤化)を製造する際、アトルバスタチンと製剤用担体とを含む組成物とする態様を含めて採用される。製剤用担体としては、例えば、マルトース(好ましくはアメ粉(マルトース83%以上含有):医薬品添加物規格1998)、グルコース、マルチトール、ソルビトール、トレハロース等の糖類が挙げられる。他の態様として、マルトースが挙げられる。組成物としては、例えば、噴霧乾燥法、被覆および/または造粒法等により、製造することができる。具体的には、噴霧乾燥法としては、例えば、アトルバスタチンと糖類との溶解または懸濁液を噴霧乾燥する方法が挙げられる。また、被覆および/または造粒法としては、アトルバスタチンまたはアトルバスタチンと製剤用担体との溶解または懸濁液を他の添加剤(例えば、賦形剤)に対し、被覆および/または造粒する方法が挙げられる。
以下に、溶解または懸濁液の調製工程と噴霧乾燥工程について調製方法を詳述する。
溶解または懸濁液の調製工程では、アトルバスタチンと製剤用担体とを、医薬的に許容されうる溶媒に溶解または懸濁させて、噴霧乾燥用の溶解または懸濁液を調製する方法であれば特に制限されない。他の態様としては、製剤用担体を医薬的に許容されうる溶媒に溶解または懸濁させて、これにアトルバスタチンを懸濁させて、噴霧乾燥用の溶解または懸濁液を調製する方法であれば特に制限されない。ここで用いられる溶媒は、製薬学的に許容され得る溶媒であれば特に制限されない。かかる溶媒としては、例えば水、有機溶媒等が挙げられる。有機溶媒としては、例えばアルコール類(例:メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールなど)、ハロゲン化アルカン類(例:ジクロロメタン、クロロホルム、クロロエタン、トリクロロエタン、四塩化炭素など)、ケトン類(例:アセトン、メチルエチルケトンなど)、ニトリル類(例:アセトニトリルなど)、炭化水素類(例:n−ヘキサン、シクロヘキサンなど)などが挙げられる。これらの有機溶媒は、1種または2種類以上適宜の割合で混合して用いてもよく、水との適当な比率の混合液を用いてもよい。これら溶媒のうち、有機溶媒を用いた場合、製剤中に有機溶媒が残留することが懸念されるので、なかでも水、アルコール類が好ましく、特に水が好ましい。溶解または懸濁液は、自体公知の方法により調製することができる。かかる方法としては、例えば、プロペラ型撹拌機あるいはタービン型撹拌機などのミキサーによる方法、コロイドミル法、ホモジナイザー法、超音波照射法などが挙げられる。溶解または懸濁液の固形物濃度としては、スプレードライヤー中で噴霧・乾燥できる範囲、すなわち約30〜約70重量/重量%であり、他の態様としては約40〜約70重量/重量%であり、更なる態様としては約50〜約65重量/重量%である。このとき、固形物濃度が下限以下の場合、粒子径が小さくなり苦味を十分に隠蔽することができず、また固形物濃度が上限以上の場合、噴霧液が移送管につまり噴霧乾燥することが困難である。本発明に用いられる製剤用担体には、適宜他の添加剤を添加することができる。
上記調製工程で得られる溶解または懸濁液は、ノズルを用いてスプレードライヤーの乾燥室内へ噴霧され、極めて短時間に微粒化液滴内の水または有機溶媒が揮発することにより、噴霧乾燥工程が行われ、原薬SD(スプレードライ)品が得られる。ノズルとしては、二流体ノズル型、多流体ノズル型、圧力ノズル型、回転ディスク型などが挙げられる。なかでも、回転ディスク型が好ましい。かかる条件は、上記のように調製された溶解または懸濁液が噴霧される条件であれば特に制限されない。またかかる条件は、個々の薬物粒子製剤や用いるスプレードライヤーに応じて適宜選択することができる。例えば、吸気温度は、使用する溶媒により適宜調整されるが、水系の場合、通常70〜200℃であり、好ましくは約80〜150℃である。噴霧液量は、装置のスケールにより適宜調整されるが、例えば実験室用スケール(チャンバー径0.8m)レベルでは、通常10〜50g/min、好ましくは20〜40g/minであり、実生産用スケール(チャンバー径3.2m)レベルでは、通常0.5〜2kg/minであり、好ましくは0.6〜1.2kg/minである。本発明において、好適な平均粒子径を有する原薬SD品を製造するためには、固形物濃度と関連し、特に回転ディスク型のディスクの回転数が重要である。かかる回転ディスクタイプの回転数は、調製しようとする原薬SD品の粒子径にもよるが、通常約5000〜約15000rpmであり、好ましくは約6000〜約12000rpmである。原薬SD品は必要であれば加温し、減圧下で原薬SD品中の水分または溶媒の除去を完全に行うこともできる。本発明において原薬SD品の平均粒子径は、口腔内でのザラツキ感が軽減される範囲であれば特に制限されないが、通常平均粒子径として約50〜約250μmであり、好ましくは約50〜約150μmである。
本発明に用いられる製剤用担体の配合量としては、製剤全体としてのアトルバスタチンの苦味の程度(甘味剤を含む態様を含む)、あるいは流動性の程度により適宜調整することができるが、通常アトルバスタチン又はその製薬学的に許容される塩1重量部に対して0.05〜3重量部(〜:「以上」・「以下」を意味する。以下、同じ)であり、他の態様としては0.1〜1重量部であり、更なる態様としては0.2〜1重量部である。
本発明に用いられるグリチルリチン酸又はその製薬学的に許容される塩としては、例えば、グリチルリチン酸、グリチルリチン酸二(ジ)カリウム、グリチルリチン酸モノナトリウム、グリチルリチン酸二(ジ)ナトリウム、グリチルリチン酸三(トリ)ナトリウムなどのアルカリ金属塩、グリチルリチン酸モノアンモニウム、グリチルリチン酸二(ジ)アンモニウムなどのアンモニウム塩などがあげられる。他の態様としては、グリチルリチン酸二(ジ)カリウム、グリチルリチン酸モノナトリウム、グリチルリチン酸二(ジ)ナトリウム、グリチルリチン酸三(トリ)ナトリウムなどのアルカリ金属塩、グリチルリチン酸モノアンモニウム、グリチルリチン酸二(ジ)アンモニウムなどのアンモニウム塩があげられる。これらは1種または2種以上を組合せて使用することができる。
配合量は、アトルバスタチンの分散性・溶出性を改善し、速やかな薬物の分散性・溶出性を達成する量であれば特に限定されない。具体的には、例えば、アトルバスタチン1重量部に対して0.001重量部以上〜4重量部以下であり、他の態様として、製剤全量において0.0005重量/重量%以上20重量/重量%以下が挙げられる。
配合方法としては、アトルバスタチン又はその製薬学的に許容される塩に対しグリチルリチン酸又はその製薬学的に許容される塩が単一製剤中、すなわち、錠剤(口腔内崩壊錠を含む)中に配合される態様であれば特に制限されない。具体的には、例えば、アトルバスタチンに直接グリチルリチン酸又はその製薬学的に許容される塩を配合する方法、アトルバスタチンと製剤用担体の糖類に、グリチルリチン酸又はその製薬学的に許容される塩を配合する方法、アトルバスタチンと製剤用担体の糖類との噴霧乾燥品に、グリチルリチン酸又はその製薬学的に許容される塩を配合する方法等が挙げられる。
本発明の医薬錠剤は、通常医薬品として規定される製剤であれば、特に制限されない。例えば、錠剤、口腔内崩壊錠が挙げられる。
本発明の医薬錠剤を製造する方法としては、錠剤が得られる方法であれば特に制限されず、通常の方法でよい。例えば、薬局方(例えば日本薬局方、米国薬局方、欧州薬局方)に規定された方法が採用される。具体的には、例えば、(1)各成分(アトルバスタチン、例えば糖類などの製剤用担体、グリチルリチン酸またはその製薬学的に許容される塩、さらに所望により、賦形剤、結合剤、甘味剤・矯味剤、崩壊剤、分散剤、安定化剤、滑沢剤等)を直接混合して打錠する方法、(2)(i)アトルバスタチンと製剤用担体の糖類とを、例えば、溶媒に溶解または懸濁して、該液を噴霧乾燥して予め粉体とする方法、あるいは(ii)アトルバスタチンに対し、製剤用担体の糖類を被覆および/または造粒して予め粉体とした後、残りの成分を混合して打錠する方法等が、挙げられる。
本発明の口腔内崩壊錠としては、水を服用することなく口腔内で崩壊・溶解する錠剤(口腔内崩壊錠)が得られる成分からなる錠剤であれば特に制限されない。具体的には、例えば、水溶性物質が挙げられる。水溶性物質としては、例えば、糖類(例えば、糖(例えば、乳糖、ブドウ糖、白糖、マルトース(好ましくはアメ粉(マルトース83%以上含有))、トレハロース、乳糖果糖)、糖アルコール(例えば、マンニトール、キシリトール、マルチトール、ソルビトール、エリスリトール))、炭酸塩(例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム)、炭酸水素塩(例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム)、水溶性高分子(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロシキプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース)が挙げられる。水溶性物質は1種または2種以上を組合せて使用することができる。糖類を配合する場合の態様としては、国際公開第WO95/20380号パンフレット(米国対応特許第5576014号明細書)において定義した「成形性の低い糖類」および「成形性の高い糖類」のカテゴリーに分類したとき、「成形性の低い糖類」を含む配合物に、「成形性の高い糖類」を結合剤溶液として、噴霧して被覆および/または造粒してなる造粒物として用いられる態様を採用することができる。
本明細書において「成形性」とは、圧縮成形したときその形状を維持する能力を意味する。その指標として、例えば「成形性の低い糖類」では、例えば糖類150mgを直径8mmの杵を用いて打錠圧10〜50kg/cmで打錠したとき、錠剤の硬度が0〜2kpを示すもの、また「成形性の高い」糖類では、同様に錠剤の硬度が2kp以上を示すものである。
「成形性の低い糖類」としては、医薬的に許容され、成形性は低いが口腔内で速やかに溶解するものであれば特に制限されない。かかる糖類として、例えば、乳糖、マンニトール、ブドウ糖、白糖、キシリトール、エリスリトール等が挙げられるが、他の態様としては乳糖またはマンニトールである。かかる糖類は、1種または2種以上を組合せて用いることができる。糖類の配合量は、本発明の口腔内崩壊錠が口腔内で速やかに崩壊し、溶解する量であれば特に制限されない。また配合量は、薬物の用量あるいは錠剤の大きさとの関係において適宜調整されるが、通常30〜95重量/重量%であり、他の態様としては50〜90重量/重量%である。
「成形性の高い糖類」としては、医薬的に許容され、本発明の口腔内崩壊錠としたとき、その形状が維持できる程度の形成力を有するものであれば特に制限されない。かかる糖類としては、例えば、マルトース、マルチトール、ソルビトール、トレハロース、乳糖果糖等が挙げられるが、他の態様としてはマルトースまたはマルチトールである。糖類は、1種または2種以上を組合せて用いることができる。糖類の配合量は、「成形性の低い糖類」に対し通常1〜25重量/重量%であり、他の態様としては2〜20重量/重量%であるか、もしくは製剤全体の2〜20重量/重量%である。
本発明に用いられる「炭酸塩または炭酸水素塩」としては、製薬学的に許容され、アトルバスタチンの初期薬物溶出量を低減し、その後の速やかな薬物放出を維持しつつ、圧縮成形後も薬物溶出速度の変化を抑制または低減可能か、アトルバスタチンの口腔内における不快な味を隠蔽することにより服用コンプライアンスを改善した際の、消化管内における速やかな分散性・溶出性を達成する物質であれば特に制限されない。
具体的には、例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸マグネシウム等が挙げられる。他の態様として、炭酸カルシウムが挙げられる。
これらの炭酸塩または炭酸水素塩は、1種または2種以上を適宜・適量組み合わせて用いることができる。
「炭酸塩または炭酸水素塩」は、経口投与されるとき、相異する別個の医薬製剤として同時に、またはある一定時間をおいて投与される態様、あるいは単一製剤として、医薬錠剤あるいは口腔内崩壊錠に含まれる態様として含有される態様であれば特に制限されない。例えば、偏在する態様、あるいは均一に配合される態様が挙げられる。
「炭酸塩または炭酸水素塩」の配合量は、製剤全体の重量に対して、1重量/重量%以上100重量/重量%以下が挙げられる。また、「炭酸塩または炭酸水素塩」の配合量は、賦形剤、例えば、先述の「成形性の低い糖類」(特にはマンニトール)の重量に対して、9%以上100%以下の量で含有させることができる。また、賦形剤、例えば、先述の「成形性の低い糖類」(特にはマンニトール)の通常の使用量に対して、置換率として10%以上100%以下の量で含有させることもできる。
また、「炭酸塩または炭酸水素塩」と「成形性の高い糖類」とを組合せて使用する態様も採用することができる。
本発明の医薬品製剤については、口腔内崩壊錠の他、中間体の粒子を配合して、各種医薬品製剤とすることができる。口腔内崩壊錠以外の医薬品製剤としては、例えば、散剤、細粒剤、ドライシロップ剤、錠剤等が挙げられる。
本発明において、「口腔内崩壊錠」とは、水を摂取せずに錠剤を服用した場合、口腔内で実質的に唾液のみにより2分以内、他の態様として1分以内、更なる態様として45秒以内に崩壊する錠剤、その他錠剤に類する製剤を意味する。
本発明の口腔内崩壊錠としては、例えば、国際公開第WO95/20380号パンフレット(米国対応特許第5576014号明細書)、国際公開第WO2002/92057号パンフレット(米国対応特許出願公開第2003/099701号明細書)、米国特許第4305502号明細書、米国特許第4371516号明細書、特許第2807346号(米国対応特許第5466464号明細書)、特開平5-271054号公報(欧州対応特許第553777号明細書)、特開平10-182436号公報(米国対応特許第5958453号明細書)、特許第3412694号(米国対応特許第5223264号明細書)、国際公開WO98/02185パンフレット(米国対応特許第6287596号明細書)、及び国際公開第WO2008/032767号パンフレット(米国対応特許出願公開第2008/0085309号明細書)に記載の公知の口腔内崩壊錠にも適用でき、該公報に記載の口腔内崩壊錠基剤を用い、該公報記載の方法に従い、口腔内崩壊錠とすることができる。
本発明の医薬錠剤あるいは口腔内崩壊錠には、医薬的に許容され、添加物として使用される各種添加剤が配合されてもよい。かかる添加剤としては、例えば、賦形剤(稀釈剤あるいは増量剤)、崩壊剤、結合剤、酸味料、発泡剤、甘味料、香料、滑沢剤、着色剤、安定化剤などが挙げられる。
賦形剤としては、例えば、乳糖、ブドウ糖、白糖、マルトース(好ましくはアメ粉(マルトース83%以上含有))、トレハロース、乳糖果糖等の糖類、例えば、マンニトール、キシリトール、マルチトール、ソルビトール、エリスリトール等の糖アルコール、結晶セルロース等が挙げられる。
崩壊剤としては、例えば、コーンスターチなどのデンプン類、カルメロースカルシウム、部分アルファー化デンプン、クロスポビドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースなどが挙げられる。
結合剤としては、例えば、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アラビアゴム末、ゼラチン、プルランなどが挙げられる。
酸味料としては、例えば、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸などが挙げられる。
発泡剤では、例えば、重曹などが挙げられる。
甘味剤としては、例えば、サッカリンナトリウム、アスパルテーム、ステビア、ソーマチンなどが挙げられる。
香料としては、例えば、レモン、レモンライム、オレンジ、メントールなどが挙げられる。
滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ショ糖脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、タルク、ステアリン酸などが挙げられる。
着色剤としては、例えば、食用黄色5号、食用赤色2号、食用青色2号などの食用色素、食用レーキ色素、ベンガラなどが挙げられる。
安定化剤としては、アトルバスタチンを安定化する物質が各種検討の上選択される。
医薬添加剤は、1種または2種以上を組合せて、適宜適量使用することができる。
口腔内崩壊錠を製造する方法としては、水を服用することなく口腔内で崩壊・溶解する錠剤(口腔内崩壊錠)が得られる方法であれば特に制限されない。
例えば、国際公開第WO95/20380号パンフレット(米国対応特許第5576014号明細書)に記載された方法に基づき説明する。
例えば、アトルバスタチン、またはアトルバスタチンと例えば糖類などの製剤用担体とからなる粉体に、グリチルリチン酸又はその製薬学的に許容される塩を配合して、更に所望により、「成形性の低い糖類」を配合する。かかる配合物に対し、「成形性の高い糖類」を結合剤として噴霧して、被覆及び/または造粒して、該造粒物を圧縮成形することにより調製することができる。
圧縮工程に続いて、加湿・乾燥する工程を採用することができる。当該工程を採用することにより、噴霧工程で、非晶質化した糖類が、乾燥工程で、非晶質状態から結晶状態に変化することにより、錠剤硬度が高まるのである。
「加湿」は、含まれる成分の見掛けの臨界相対湿度により決定されるが、通常成分の臨界相対湿度以上に加湿する。例えば、湿度として30RH%以上100RH%以下であり、他の態様として50RH%以上90RH%以下である。このときの温度は15℃以上50℃以下であり、他の態様として20℃以上40℃以下である。処理時間は1分以上72時間以下であり、他の態様として1時間以上36時間以下であり、更に他の態様とし12時間以上24時間以下である。「乾燥」は、加湿により吸収した水分を除去する工程であれば特に制限されない。例えば、乾燥時の温度として、10℃以上100℃以下を設定でき、他の態様として20℃以上60℃以下を設定でき、更なる態様として25℃以上40℃以下を設定することができる。処理時間は、0.5時間以上6時間以下と設定でき、他の態様として1時間以上4時間以下と設定することができる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
参考例:
アトルバスタチンカルシウム三水和物は日本特許第3296564号明細書(WO97/03959)の実施例に従って製造された結晶性形態Iのアトルバスタチンを用いた。
評価方法:
(溶出試験(液置換溶出試験))
溶出試験方法としては、口腔内崩壊錠の水なし服用を想定し、ヒトにおける薬物動態(PK)を予測可能な溶出試験法として、以下の方法を設定した。すなわち、試験状態としては、第十五改正日本薬局方 一般試験法 溶出試験法 パドル法 溶出試験第1液(JP1)を用いて、試験液の量300mL、パドルの回転数50rpmで開始し、30分経過した時点で、溶出試験第2液(JP2)の5倍濃縮液600mLを追加した。
判定基準は、JP1を用いた試験開始後、5分後の薬物溶出率(D5min)が30%を超えるとき、「速やかな分散性・溶出性を有する」と規定した。
(イヌ試験)
イヌ試験では、口腔内崩壊錠の水なし服用を想定し、試験製剤投与前30分より投与後120分まで飲水を禁止した。ただし、試験製剤を投与するには少量の水(5mL)を服用させた。一晩絶食させたイヌに試験製剤を経口投与した後、経時的に血液を採取した。血漿中濃度を測定し、最高血中濃度(Cmax)を決定した。なお、健常人を想定し、胃内酸性イヌで評価した。
実施例1:
アトルバスタチンカルシウム三水和物(ファイザー社製、以下同じ)271g、炭酸カルシウム3704g、マルトース50g、スクラロース250g、フレーバー調製品150gを流動層造粒装置(Glatt社製GPCG-5/15、以下同じ)を用いて、マルトース水溶液(マルトース400gを含む)1600gで造粒し、口腔内崩壊錠用の造粒物を調製した。この造粒物965gとグリチルリチン酸二カリウム25gとステアリン酸マグネシウム10gを混合し、ロータリー打錠機(畑鉄工所製X20、以下同じ)を用いて打錠し加湿乾燥処理(25〜30℃/40〜62%RH/18時間)を行って、本発明の医薬錠剤(口腔内崩壊錠)を製した。
実施例2:
アトルバスタチンカルシウム三水和物325.2g、炭酸カルシウム4384.8g、マルトース60g、スクラロース300g、フレーバー調製品180gを流動層造粒装置を用いて、マルトース水溶液(マルトース480gを含む)1920gで造粒し、口腔内崩壊錠用の造粒物を調製した。この造粒物5454.4gとグリチルリチン酸二カリウム142.8gとフマル酸ステアリルナトリウム114.2gを混合し、ロータリー打錠機を用いて打錠し加湿乾燥処理(25〜30℃/40〜62%RH/18時間)を行って、本発明の医薬錠剤(口腔内崩壊錠)を製した。
実施例3:
アトルバスタチンカルシウム三水和物600g、マルトース600gを含む水懸濁液3200gをスプレードライヤー(大川原化工機株式会社製スプレードライヤーCBD-12)にて噴霧乾燥し、原薬SD(spray dry)品を得た。原薬SD品367.2g、マンニトール2859.4g、炭酸カルシウム953.7g、マルトース51g、スクラロース170g、フレーバー調製品153gを流動層造粒装置(Glatt社製GPCG-5/15、5型)を用いて、マルトース水溶液(マルトース408gを含む)1632gで造粒し、口腔内崩壊錠用の造粒物を調製した。この造粒物4689.8gとグリチルリチン酸二カリウム80.3gとステアリン酸マグネシウム48.2gを混合し、ロータリー打錠機を用いて打錠し加湿乾燥処理(25〜30℃/40〜62%RH/18時間)を行って、本発明の医薬錠剤(口腔内崩壊錠)を製した。
比較例1:
アトルバスタチンカルシウム三水和物325.2g、炭酸カルシウム4444.8g、マルトース60g、スクラロース300g、フレーバー調製品180gを流動層造粒装置を用いて、マルトース水溶液(マルトース480gを含む)1920gで造粒し、口腔内崩壊錠用の造粒物を調製した。この造粒物1351gとステアリン酸マグネシウム14gを混合し、ロータリー打錠機を用いて打錠し加湿乾燥処理(25〜30℃/40〜62%RH/18時間)を行って、比較用の医薬錠剤(口腔内崩壊錠)を製した。
Figure 2012042951
実験例1:
実施例1〜3で調製した本発明の医薬錠剤(口腔内崩壊錠)と、比較例1で調製した比較用の医薬錠剤(口腔内崩壊錠)に関して、先述した評価方法に従って、in vitro試験である溶出試験(液置換溶出試験)を実施した。また、実施例1の本発明の医薬錠剤(口腔内崩壊錠)と、比較例1の比較用の医薬錠剤(口腔内崩壊錠)に関して、in vivo試験であるイヌ試験を実施した。
in vitro溶出試験の結果を表2及び図1に、in vivoイヌ試験の結果を表2に示す。
表2に示すD5mim、D15mim、D30mim、D45mimは、それぞれ、溶出試験開始後、5分、15分、30分、45分後の薬物溶出率である。なお、JP1を用いた試験開始から30分経過した時点で、JP2の5倍濃縮液600mLを追加したが、JP2濃縮液の前記追加は、D30mimの測定を行った後に実施した。
グリチルリチン酸二カリウムの添加によって、溶出性(液置換法、5分値)が大きく改善された。イヌにおける吸収性評価実験においてもCmax(ng/mL)の値が上昇し吸収改善が達成された。この結果は、グリチルリチン酸二カリウムの添加で、アトルバスタチン自体のぬれ性・分散性改善効果により、溶解性(初期の溶出)が改善されて吸収改善に寄与したことを示唆するものである。
Figure 2012042951
実施例4〜7、比較例2:
炭酸カルシウム646.5gを、流動層造粒装置を用いて、マルトース水溶液(マルトース64.5gを含む)322.5gで造粒し、炭酸カルシウム造粒品を得た。
表3に処方を、表4に仕込み量を示す。グリチルリチン酸またはグリチルリチン酸二カリウムを秤量し乳鉢に入れた(比較例2以外)。乳鉢へ純水0.4mLを入れて良く混ぜた後、アトルバスタチンカルシウム三水和物0.3252gを秤量し乳鉢に入れて良く混ぜた。さらに炭酸カルシウム造粒品を秤量し乳鉢に入れて良く混ぜた。これを40℃/30%RHの条件下で1時間以上乾燥させた。乾燥品を乳棒で粉砕した後、ステアリン酸マグネシウムを添加し混合した。この混合品200mgを秤量し、オートグラフ(島津製作所製、AGS-20KNG、以下同じ)を用いて直径7.5mmの杵で打錠し加湿乾燥処理(25〜30℃/40〜62%RH/18時間)を行って、本発明の医薬錠剤(口腔内崩壊錠)および比較用の医薬錠剤(口腔内崩壊錠)を製した。
Figure 2012042951
Figure 2012042951
実験例2:
実施例4〜7で調製した本発明の医薬錠剤(口腔内崩壊錠)と、比較例2で調製した比較用の医薬錠剤(口腔内崩壊錠)に関して、先述した評価方法に従って、in vitro試験である溶出試験(液置換溶出試験)を実施した。
in vitro溶出試験の結果を表5及び図2に示す。
表5に示すD5mim、D15mim、D30mim、D45mimは、それぞれ、溶出試験開始後、5分、15分、30分、45分後の薬物溶出率である。なお、JP1を用いた試験開始から30分経過した時点で、JP2の5倍濃縮液600mLを追加したが、JP2濃縮液の前記追加は、D30mimの測定を行った後に実施した。
グリチルリチン酸二カリウムの添加によって、溶出性(液置換法、5分値)が大きく改善された。この結果は、グリチルリチン酸二カリウムの添加で、アトルバスタチン自体のぬれ性・分散性改善効果により、溶解性(初期の溶出)が改善されて吸収改善に寄与したことを示唆するものである。
Figure 2012042951
実施例8、比較例3:
表6に処方を、表7に仕込み量を示す。アトルバスタチンカルシウム三水和物、グリチルリチン酸モノアンモニウム、炭酸カルシウム造粒品(実施例4〜7にて製造したものと同一)、ステアリン酸マグネシウムを秤量しプラスチックボトルに入れ、1分以上よく混ぜた。この混合品200mgを秤量し、オートグラフを用いて直径7.5mmの杵で打錠し加湿乾燥処理(25〜30℃/40〜62%RH/18時間)を行って、本発明の医薬錠剤(口腔内崩壊錠)および比較用の医薬錠剤(口腔内崩壊錠)を製した。
Figure 2012042951
Figure 2012042951
実験例3:
実施例8で調製した本発明の医薬錠剤(口腔内崩壊錠)と、比較例3で調製した比較用の医薬錠剤(口腔内崩壊錠)に関して、先述した評価方法に一部従い、in vitro試験である溶出試験(液置換溶出試験)を実施した。
in vitro溶出試験の結果を表8及び図3に示す。
表5に示すD5mim、D15mim、D30mimは、それぞれ、JP1を用いた試験開始後、5分、15分、30分後の薬物溶出率である。
グリチルリチン酸モノアンモニウムの添加によって、溶出性(液置換法、5分値)が大きく改善された。この結果は、グリチルリチン酸モノアンモニウムの添加で、アトルバスタチン自体のぬれ性・分散性改善効果により、溶解性(初期の溶出)が改善されて吸収改善に寄与したことを示唆するものである。
Figure 2012042951
実施例9〜10、比較例4:
マンニトール(ROQUETTE社製、製品名PEARLITOL 50C)557.8gおよびマルトース(林原商事製、製品名サンマルトS)6.5gの混合物を、流動層造粒装置を用いて、マルトース水溶液(マルトース 51.6gを含む)258gで造粒し、口腔内崩壊錠用の造粒物を調製した。
表9に処方を示す。アトルバスタチンカルシウム三水和物、グリチルリチン酸二カリウム、マンニトール造粒品、炭酸カルシウム造粒品(実施例4〜7にて製造したものと同一)、スクラロース、フマル酸ステアリルナトリウムを秤量し薬包紙で作った袋に入れ、1分以上よく混ぜた。この混合品をオートグラフを用いて直径9mmの杵で打錠し、加湿乾燥処理(25〜30℃/40〜62%RH/18時間)を行って、本発明の医薬錠剤(口腔内崩壊錠)および比較用の医薬錠剤(口腔内崩壊錠)を製した。
Figure 2012042951
実験例4:
実施例9〜10で調製した本発明の医薬錠剤(口腔内崩壊錠)と、比較例4で調製した比較用の医薬錠剤(口腔内崩壊錠)に関して、先述した評価方法に従い、in vitro試験である溶出試験(液置換溶出試験)を実施した。
in vitro溶出試験の結果を表10及び図4に示す。
表10に示すD5mim、D15mim、D30mim、D45mimは、それぞれ、溶出試験開始後、5分、15分、30分、45分後の薬物溶出率である。なお、JP1を用いた試験開始から30分経過した時点で、JP2の5倍濃縮液600mLを追加したが、JP2濃縮液の前記追加は、D30mimの測定を行った後に実施した。
グリチルリチン酸二カリウムの添加によって、溶出性(液置換法、5分値)が大きく改善された。この結果は、グリチルリチン酸二カリウムの添加で、アトルバスタチン自体のぬれ性・分散性改善効果により、溶解性(初期の溶出)が改善されて吸収改善に寄与したことを示唆するものである。
Figure 2012042951
実施例11、比較例5:
表11に処方を示す。処方量のアトルバスタチンカルシウム三水和物、グリチルリチン酸二カリウムの粉をメスフラスコに量り込み、JP1液50mLを加えて撹拌後30分静置した後、再度攪拌しながらレーザー回折式粒度分布測定装置SALD-2000A(島津)を用い、粒子径を測定した。
Figure 2012042951
粒度分布測定の結果を図5に示す。実施例11及び比較例5のメディアン径はそれぞれ、7.716μm、35.35μmであった。また、前記溶液は、攪拌後に数分静置すると実施例11が均一に白濁していたのに対し、比較例5は白濁し、粒子が沈殿していた。この結果は、グリチルリチン酸二カリウムの添加で、アトルバスタチン自体の分散性が改善されたことを示唆している。このことが溶出改善に寄与していると考察できる。
実施例12〜21、比較例6:
表12に処方および仕込み量を示す。処方量のアトルバスタチンカルシウム三水和物、グリチルリチン酸、グリチルリチン酸二カリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウムを10mLスピッツ管に量りこみ、JP1溶液10mLを加え、1時間撹拌し、上澄みをフィルター(GEヘルスケア製 GD/X シリンジフィルター (PVDF),25mm)で濾過した溶液の濃度を測定した。
Figure 2012042951
実施例12〜21で調製した懸濁液と比較例6で調製した懸濁液に関して溶解度を測定した。
溶解度の結果を表13及び図6に示す。この結果は、溶解性(初期の溶出)が改善されて吸収改善に寄与したことを示唆するものである。
Figure 2012042951
本発明によれば、アトルバスタチンの口腔内における不快な味を低減することにより服用コンプライアンスを改善し、かつ消化管内における速やかな分散性・溶出性を有する医薬錠剤、とりわけ口腔内崩壊錠を提供することができる。
以上、本発明を特定の態様に沿って説明したが、当業者に自明の変形や改良は本発明の範囲に含まれる。

Claims (11)

  1. アトルバスタチン又はその製薬学的に許容される塩、及びグリチルリチン酸又はその製薬学的に許容される塩を含有してなる、医薬錠剤。
  2. グリチルリチン酸又はその製薬学的に許容される塩が、グリチルリチン酸二カリウム、グリチルリチン酸モノナトリウム、グリチルリチン酸二ナトリウム、グリチルリチン酸三ナトリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウム、グリチルリチン酸二アンモニウムからなる群より選択される1種または2種以上である、請求項1に記載の医薬錠剤。
  3. グリチルリチン酸又はその製薬学的に許容される塩の配合量が、アトルバスタチン1重量部に対して0.001重量部以上4重量部以下、または製剤全量において0.0005重量/重量%以上20重量/重量%以下である、請求項1または2に記載の医薬錠剤。
  4. 炭酸塩または炭酸水素塩を更に含有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の医薬錠剤。
  5. 炭酸塩または炭酸水素塩が、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、および炭酸マグネシウムからなる群より選択される1種または2種以上である、請求項4に記載の医薬錠剤。
  6. 炭酸塩または炭酸水素塩の配合量が、製剤全体の重量に対して、1重量/重量%以上100重量/重量%以下である、請求項4または5に記載の医薬錠剤。
  7. 更に、成形性の高い糖類を結合剤として含有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の医薬錠剤。
  8. 成形性の高い糖類が、マルトース、マルチトール、ソルビトール、トレハロース、および乳糖果糖からなる群より選択される1種または2種以上である、請求項7に記載の医薬錠剤。
  9. 成形性の高い糖類の配合量が、製剤全体の2重量/重量%以上〜20重量/重量%以下である、請求項7または8に記載の医薬錠剤。
  10. 圧縮成形後に、加湿乾燥して得られる、請求項1〜9のいずれか一項に記載の医薬錠剤。
  11. 医薬錠剤が、口腔内崩壊錠である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の医薬錠剤。
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