JPWO2012032922A1 - 燃料電池セパレータ - Google Patents

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Abstract

黒鉛粉末、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、硬化促進剤および内部離型剤を含む組成物を成形してなる成形体の表面をレーザで照射して得られ、下記(1)〜(6)の特性を備える燃料電池セパレータ。これによれば、ガス供給排出用流路となる溝を表面に設けてなる燃料電池セパレータの導電性および親水性を向上できるとともに、溶出性を低減することができる。(1)表面のレーザ照射による残渣が、面積比で5%以下(2)表面の算術平均粗さRa0.80〜1.50μm(3)表面の静的接触角15〜60°(4)表面の接触抵抗3〜7mΩ・cm2(5)イオン交換水:セパレータ=9:1(質量比)の条件で、セパレータをイオン交換水に90℃で168時間浸漬した後の導電率1.2μS/cm以下(6)90℃のイオン交換水および150℃のイオン交換水のそれぞれに2000時間浸漬したときの表面粗さの変化が、浸漬前に対して0.3μm以内

Description

本発明は、燃料電池セパレータに関する。
燃料電池セパレータは、各単位セルに導電性を持たせる役割、並びに単位セルに供給される燃料および空気(酸素)の通路を確保するとともに、それらの分離境界壁としての役割を果たすものである。
このため、セパレータには、高導電性、高ガス不浸透性、化学的安定性、耐熱性および親水性などの諸特性が要求される。
これらの諸特性のうち、導電性や親水性を高めるための手法として、特許文献1〜6に開示された方法などが知られている。
例えば、特許文献1および2には、ブラスト処理によって表面を親水化したセパレータが開示されている。
しかし、特許文献1,2では、ブラストのみによって親水化処理していることから、セパレータ表面に存在する離型剤や樹脂成分が十分に除去できない。このため、セパレータ同士を接着する際や、セパレータにフッ素樹脂系のガスケット材を成形する際の加熱処理によって離型剤や樹脂成分に含まれる揮発分等が滲み出し、セパレータ表面を汚染するという問題があった。
特許文献3には、表面をブラスト処理した後にプラズマ処理して親水基を導入したセパレータが開示されている。
しかし、特許文献3の手法によってセパレータ表面に導入された親水基は、セパレータ同士を接着する際や、セパレータにフッ素樹脂系のガスケット材を成形する際の加熱処理によって消失してしまうという問題や、特許文献3の方法では、特許文献1,2の場合と同様に、離型剤や樹脂成分に含まれる揮発分等が滲み出し、セパレータ表面を汚染するという問題があった。
特許文献4には、表面にYAGレーザを照射して樹脂層を炭化させた、導電性に優れたセパレータが開示されている。
しかし、YAGレーザによる処理では、レーザスポットの中心部の樹脂は炭化されるが、スポットの周辺部には樹脂が残留する結果、接触抵抗を十分に低減し得ないという問題や、残留した樹脂成分が発電中に溶出するという問題があった。
特許文献5には、表面に出力3〜15W、パルス幅50μsのレーザを照射して表面に親水基を導入したセパレータが開示されている。
しかし、この処理では、用いるレーザのパルス幅が長いため、ピークパワーが低く、セパレータの表面を処理するのに時間がかかり過ぎて加工中にセパレータが加熱される結果、セパレータに反りが発生するという問題があった。
特許文献6には、セパレータのガス流路溝の内面に赤外線レーザを照射して溝の内面に親水基を導入したセパレータが開示されている。
しかし、このセパレータでは、ガス拡散電極と接する面がレーザ処理されていないため、燃料電池発電時に空気極で生成した水が、ガス拡散電極を通って燃料極へ拡散する際に電極とセパレータとの間で詰まりを起こすという問題があった。
特許第4257544号公報 特開2005−197222号公報 特開2006−331673号公報 特開2004−335121号公報 特許第4148984号公報 特開2009−152176号公報
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、ガス供給排出用流路となる溝を表面に設けてなる燃料電池セパレータにおいて、高い導電性および高い親水性を有するとともに、溶出性の低い燃料電池セパレータを提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、所定の出力およびパルス幅の条件で表面をレーザ処理することで、高い導電性および親水性を有するとともに、溶出性の低い燃料電池セパレータが得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
1. 黒鉛粉末、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、硬化促進剤および内部離型剤を含む組成物を成形してなる成形体の表面をレーザで照射して得られ、下記(1)〜(6)の特性を備えることを特徴とする燃料電池セパレータ、
(1)表面のレーザ照射による残渣が、面積比で5%以下
(2)表面の算術平均粗さRa0.80〜1.50μm
(3)表面の静的接触角15〜60°
(4)表面の接触抵抗3〜7mΩ・cm2
(5)イオン交換水:セパレータ=9:1(質量比)の条件で、セパレータをイオン交換水に90℃で168時間浸漬した後の導電率1.2μS/cm以下
(6)90℃のイオン交換水および150℃のイオン交換水のそれぞれに2000時間浸漬したときの表面粗さの変化が、浸漬前に対して0.3μm以内
2. 表面局部山頂の平均間隔Sが、30〜50μmである1の燃料電池セパレータ、
3. 反りが、100μm以下である1または2の燃料電池セパレータ、
4. 前記レーザの照射後の表面を全反射赤外吸光法(ATR)で分析して得られた赤外吸収スペクトルに、エポキシ樹脂およびフェノール樹脂に帰属する吸収帯が存在しない1〜3のいずれかの燃料電池セパレータ、
5. 前記レーザの照射が、ラップ率5〜50%で行われる1〜4のいずれかの燃料電池セパレータ、
6. 前記レーザのエネルギー分布が、フラットトップである1〜5のいずれかの燃料電池セパレータ、
7. 前記レーザが赤外線レーザである1〜6のいずれかの燃料電池セパレータ
を提供する。
本発明によれば、高い導電性および親水性を有するとともに、溶出性の低い燃料電池セパレータを提供することができる。
燃料電池セパレータ表面を、全反射赤外吸光法(ATR)で分析して得られた赤外吸収スペクトル図であり、上段が実施例1で得られた燃料電池セパレータの測定結果を、中段が実施例5で得られた燃料電池セパレータの測定結果を、下段が比較例1で得られた燃料電池セパレータの測定結果を示している。 比較例8の燃料電池セパレータの表面のデジタル画像である。不定形な矩形状塊の表面で、灰色様の被覆物がレーザ照射後の残渣である。光学顕微鏡下ではこの灰色様被覆物は薄茶色〜茶色を呈している。 比較例8の燃料電池セパレータの表面のデジタル画像を画像処理し、茶色領域を抽出、二値化したものである。 実施例4の燃料電池セパレータの表面のデジタル画像である。不定形な矩形状塊の表面には、灰色様の被覆物(レーザ照射後の残渣)はほとんど見られない。 実施例4の燃料電池セパレータの表面のデジタル画像を画像処理し、茶色領域を抽出、二値化したものである。
以下、本発明についてさらに詳しく説明する。
本発明に係る燃料電池セパレータは、黒鉛粉末、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、硬化促進剤および内部離型剤を含む組成物を成形してなる成形体の表面をレーザで照射して得られ、下記(1)〜(6)の特性を備えるものである。
(1)表面のレーザ照射による残渣が、面積比で5%以下
(2)表面の算術平均粗さRa0.80〜1.50μm
(3)表面の静的接触角15〜60°
(4)表面の接触抵抗3〜7mΩ・cm2
(5)イオン交換水:セパレータ=9:1(質量比)の条件で、セパレータをイオン交換水に90℃で168時間浸漬した後の導電率1.2μS/cm以下
(6)90℃のイオン交換水および150℃のイオン交換水のそれぞれに2000時間浸漬したときの表面粗さの変化が、浸漬前に対して0.3μm以内
本発明に用いるレーザの種類としては、出力100〜200W、パルス幅30〜200nsの条件で発振できるものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、YAGレーザ、炭酸ガスレーザ、エキシマレーザ、ファイバーレーザなどが挙げられる。これらの中でも、焦点深度、集光性、発信機の寿命の点からファイバーレーザが好ましい。
また、レーザの波長は特に限定されるものではなく、赤外線、可視光線、紫外線、X線等の各種波長のレーザを用いることができるが、本発明においては、特に赤外線レーザが好適である。この場合、赤外線レーザの波長は、0.810〜1.095μm程度が好ましい。
レーザの照射条件は、上述のとおり、出力100〜200W、パルス幅30〜200nsである。出力が100W未満であると、セパレータ最表層の樹脂成分を除去することが困難となり、200Wを超えると加工中にセパレータが加熱されて反りが発生し、その結果、接触抵抗が高くなる虞がある。
一方、パルス幅が30ns未満であると、パルスエネルギーが高くなりすぎて、加工中にセパレータが加熱されて反りが発生する虞があり、パルス幅が200nsを超えるとパルスエネルギーが低く加工に時間がかるため、加工中のセパレータの蓄熱により、この場合も反りが発生する虞がある。反りの発生をより低減することを考慮すると、パルス幅は30〜150nsが好ましく、30〜120nsがより好ましく、30〜60nsがより一層好ましい。
また、本発明に用いられるレーザは、プロファイラーで測定したときのエネルギー分布がフラットトップであることが好ましい。
エネルギー分布がガウスモードであると、レーザスポットの中心部と外周部とのエネルギー密度に差があるため、表面を均一に処理することが難しく、粗さムラが発生したり、樹脂成分が残留したりする虞があるが、フラットトップにはこれらの欠点がない。
さらに、レーザ照射のスポットのラップ率は5〜50%が好ましく、30〜40%がより好ましい。ラップ率が5%未満であると、セパレータの表層の樹脂の除去が不十分となって導電性や親水性が低下する場合があり、ラップ率が50%を超えると、照射部を深く削ってしまう場合がある。
以上のような条件のレーザ照射処理によって得られる本発明の燃料電池セパレータは、レーザの照射後の表面を全反射赤外吸光法(ATR)で分析して得られた赤外吸収スペクトルに、エポキシ樹脂およびフェノール樹脂に帰属する吸収帯が存在しない(確認できない)程度まで、表層の樹脂成分が除去されているうえに、上記特許文献4で見られるような、レーザ照射後の表面の残渣(樹脂組成物が炭化・分解して表面に残った部分)が、目視にて極めて少ないか、全く見られないものであり、上述した(1)〜(6)の特性を備えている。ここで、上記表面の残渣は、軽く触れた程度ではセパレータ表面から分離しないものであるが、長時間稼動する燃料電池の環境下では表面から脱落する虞がある。そして、この残渣が面積比で5%超あると、残渣が脱落することにより、セパレータの表面粗さが大きくなり、電極とセパレータとの接触面積が小さくなって、接触抵抗が高くなる虞がある。加えて、残渣から樹脂成分の分解物や可溶成分が発電中に溶出する虞もある。
セパレータ表面の残渣はない(0%)方が好ましいが、レーザの過剰な照射は必要なく、より好ましくは3%以下、特に2%以下である。
また、上記表面の算術平均粗さRaが0.80μm未満であると、最表層に残留した樹脂成分の影響で導電性や親水性が低下し、また、Raが1.50μmを超えると、親水性は向上するものの、セパレータ表面から黒鉛粉が脱落し易くなり、その結果、セパレータ表面の導電性が低下して、電極とセパレータとの接触抵抗が高くなる虞がある。
より好ましいRaは、0.9〜1.4μm、特に、1.0〜1.3μmである。
なお、この場合、セパレータの局部山頂の平均間隔Sは、30〜50μmが好ましく、35〜45μmがより好ましい。上記の算術平均粗さRaを上述した範囲とし、さらに局部山頂の平均間隔Sをこの範囲とすることで、セパレータ表面の親水性をより高めることができる。
さらに、本発明の燃料電池セパレータにおいて、接触抵抗をより低減することを考慮すると、後に詳述する手法で測定した反りは、100μm以下であることが好ましく、80μm以下であることがより好ましく、70μm以下であることがより一層好ましい。
この点、上述した本発明のレーザ照射条件で処理した場合、上記範囲を満たすような反りの小さいセパレータを容易に得ることができる。
そして、本発明の燃料電池セパレータは、静的接触角15〜60°、かつ、接触抵抗3〜7mΩ・cm2という高い親水性および導電性を備えているものであるが、より親水性および導電性を高めるという点から、静的接触角15〜58°、特に、20〜56°、かつ、接触抵抗4〜7mΩ・cm2であることが好ましいが、本発明の表面処理条件を用いることで、これらの範囲を満たす燃料電池セパレータを容易に得ることができる。
また、本発明の燃料電池セパレータは、イオン交換水:セパレータ=9:1(質量比)の条件で、セパレータをイオン交換水に90℃で168時間浸漬した後の導電率が1.2μS/cm以下であり、さらに、90℃のイオン交換水および150℃のイオン交換水のそれぞれに2000時間浸漬したときの表面粗さの変化が浸漬前に対して0.3μm、場合によっては0.2μm以内という、溶出や黒鉛微小粒子の脱落等の少ないものである。
さらに、本発明の燃料電池セパレータのガラス転移点は、140〜165℃であることが好ましく、150〜165℃であることがより好ましい。140℃以上であれば、セパレータの反りは、その厚みによらずスタックを組む際の許容できる範囲内に収まり、耐熱性も十分である。一方、165℃以下であれば、樹脂成分の架橋密度が適度であるため、セパレータが適度な柔軟性を有し、燃料電池スタック積層時のセパレータの破損を効果的に防止できる。
本発明の燃料電池セパレータの製造に用いる黒鉛材料は、例えば、天然黒鉛、針状コークスを焼成した人造黒鉛、塊状コークスを焼成した人造黒鉛、電極を粉砕したもの、石炭系ピッチ、石油系ピッチ、コークス、活性炭、ガラス状カーボン、アセチレンブラック、ケッチェンブラックなどが挙げられる。これらはそれぞれ単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
黒鉛材料の平均粒径(d=50)は、特に限定されるものではないが、黒鉛粒子間の空隙を適度に保ち、黒鉛粒子同士の接触面積をより大きくし、かつ、樹脂消失後の凹凸の発生を抑制して導電性を高める(接触抵抗を低下させる)ことを考慮すると、10〜130μmが好ましく、20〜110μmがより好ましく、20〜70μmがより一層好ましく、30〜60μmがさらに好ましい。
すなわち、黒鉛粒子の平均粒径が10μm以上であれば、セパレータにレーザを照射した際に、セパレータ表層の樹脂を消失させてセパレータ表面の導電性を向上させることができるとともに、セパレータ内部の黒鉛粒子同士の接触面積を十分に保てるため、セパレータの厚み方向の導電性をも改善し得る。
また、平均粒径が130μm以下であれば、黒鉛粒子間の空隙が適度であるため、セパレータ表面上の黒鉛粒子間の空隙に充填されていた樹脂がレーザ照射により消失しても、セパレータ表面に大きな凹凸が形成されることはなく、その結果、セパレータ表面の接触抵抗が高くなってセパレータ自体の導電性が悪化することもない。
さらに、平均粒径(d=50)が10〜130μmの範囲に調整された黒鉛粉末を含む組成物を成形してなる燃料電池セパレータであれば、レーザ照射することによって、その表層の黒鉛粒子間の樹脂を消失させることにより、セパレータの表面粗さを前述した算術平均粗さRa、および局部山頂の平均間隔Sに調整できるので、その結果、親水性に優れるとともに、接触抵抗の低いセパレータとすることができる。
本発明の燃料電池セパレータの親水性向上の効果、および接触抵抗低減の効果を、より一層高めるためには、使用する黒鉛材料の平均粒径(d=50)が10〜130μmの範囲であれば、粒径5μm以下の微粉の含有量が5%以下、かつ、粒径200μm以上の粗粉の含有量が3%以下であるものがより好ましく、さらには、平均粒径(d=50)が30〜60μmの範囲であれば、粒径5μm以下の微粉の含有量が3%以下、かつ、粒径200μm以上の粗粉が1%以下であるものが一層好ましい。
また、エポキシ樹脂としては、エポキシ基を有するものであれば特に制限されず、例えばo−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、臭素化エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂などが挙げられる。これらの中でも、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂が好ましく、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂がより好ましい。
得られる燃料電池セパレータの耐熱性をより高めるためには、エポキシ樹脂のエポキシ当量は、180〜210g/eqが好ましく、185〜205g/eqがより好ましく、190〜200g/eqがより一層好ましい。
さらに、得られる燃料電池セパレータの耐熱性をより高めるとともに、成形加工性を良好にするためには、エポキシ樹脂の150℃におけるICI粘度は、0.15〜0.80Pa・sが好ましく、0.17〜0.75Pa・sがより好ましく、0.24〜0.70Pa・sがより一層好ましい。この範囲のICI粘度のエポキシ樹脂を用いることで、樹脂の分子量が適性になるため、得られる燃料電池セパレータの耐熱性が良好になるとともに、樹脂の流動性が良好であるため成形時の圧力が低くできる等、成形加工性も良好になる。
フェノール樹脂としては、ノボラック型フェノール樹脂、クレゾール型フェノール樹脂、アルキル変性フェノール樹脂が挙げられる。これらはそれぞれ単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
本発明の燃料電池セパレータにおいて、フェノール樹脂はエポキシ樹脂の硬化剤として作用する。フェノール樹脂の水酸基当量としては、特に限定されるものではないが、得られるセパレータの耐熱性をより高めるためには、水酸基当量103〜106g/eqが好ましい。
さらに、得られる燃料電池セパレータの耐熱性をより高めるとともに、成形加工性を良好にするためには、フェノール樹脂の150℃におけるICI粘度は、0.15〜0.70Pa・sが好ましく、0.20〜0.60Pa・sがより好ましく、0.30〜0.50Pa・sがより一層好ましい。この範囲のICI粘度のフェノール樹脂を用いることにより、樹脂の分子量が適正になり、得られる燃料電池セパレータの耐熱性が良好になるとともに、樹脂の流動性が良好であるため成形時の圧力が低くできる等、成形加工性も良好になる。
硬化促進剤としては、エポキシ基と硬化剤との反応を促進するものであれば特に制限されず、トリフェニルホスフィン(TPP)、テトラフェニルホスフィン、ジアザビシクロウンデセン(DBU)、ジメチルベンジルアミン(BDMA)、2−メチルイミダゾール、2−メチル−4−イミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾールなどが挙げられ、これらはそれぞれ単独で、または2種以上を組合せて用いることができる。
内部離型剤としても、特に限定されるものではなく、従来、セパレータの成形に用いられている各種内部離型剤が挙げられる。例えば、ステアリン酸系ワックス、アマイド系ワックス、モンタン酸系ワックス、カルナバワックス、ポリエチレンワックス等が挙げられ、これらはそれぞれ単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
黒鉛粉末、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、硬化促進剤および内部離型剤を含む組成物(以下、燃料電池セパレータ用組成物という)中における、エポキシ樹脂およびフェノール樹脂の総含有量は、特に限定されるものではないが、黒鉛粉末100質量部に対して10〜30質量部、特に、15〜25質量部であることが好ましい。
また、燃料電池セパレータ用組成物中における内部離型剤の含有量としては、特に限定されるものではないが、黒鉛粉末100質量部に対して0.1〜1.5質量部、特に0.3〜1.0質量部であることが好ましい。内部離型剤の含有量が0.1質量部未満では離型不良を招く虞があり、1.5質量部を超えると、熱硬化性樹脂の硬化を妨げるなどの問題が生じる虞がある
上記燃料電池セパレータ用組成物中において、エポキシ樹脂、フェノール樹脂および硬化促進剤は、バインダー成分を構成する。
この場合、エポキシ樹脂とフェノール樹脂との混合物100質量部に対して、硬化促進剤を0.98〜1.02質量部配合することが好ましい。硬化促進剤の配合量が0.98質量部未満であると、バインダー成分の硬化反応が遅くなったり、硬化反応が不十分になったりする虞があり、1.02質量部を超えると、バインダー成分の硬化反応が過敏になるためポットライフが短くなる虞がある。
また、エポキシ樹脂に対してフェノール樹脂を0.98〜1.02水酸基当量配合することが好ましい。フェノール樹脂が0.98水酸基当量未満になると、未反応のエポキシ樹脂が残存し、発電中に未反応成分が溶出する虞があり、1.02水酸基当量を超えると、未反応のフェノール樹脂が残存し、発電中に未反応成分が溶出する虞がある。
本発明の燃料電池セパレータは、上記燃料電池セパレータ用組成物を調製し、この組成物を成形した後、その表面を上述したレーザ照射処理して得ることができる。この場合、組成物の調製方法および成形体の成形方法としては、従来公知の種々の方法を用いることができる。
組成物の調製は、例えば、上述のバインダー成分樹脂、黒鉛材料および内部離型剤のそれぞれを任意の順序で所定割合混合して調製すればよい。この際、混合機としては、例えば、プラネタリミキサ、リボンブレンダ、レディゲミキサ、ヘンシェルミキサ、ロッキングミキサ、ナウターミキサ等を用いることができる。
成形体の成形方法としては、射出成形、トランスファー成形、圧縮成形、押出成形、シート成形等を採用することができる。成形時に金型を使用する際は、成形体の表面の一方の面または両面にガス供給排出用流路となる溝を形成できる、燃料電池セパレータ作製用の金型を使用するとよい。
以上で説明した本発明の固体高分子型燃料電池セパレータは、極めて高い親水性を有するとともに、接触抵抗が低く抑えられているから、このセパレータを備えた燃料電池は、長期に亘って安定した発電効率を維持することができるものである。また、本発明のセパレータは、表面処理による残渣が極めて少ないので、溶出性が非常に低く、燃料電池の性能を低下させることがないものである。
一般的に固体高分子型燃料電池は、固体高分子膜を挟む一対の電極と、これらの電極を挟んでガス供給排出用流路を形成する一対のセパレータとから構成される単位セルが多数並設されてなるものであるが、これら複数個のセパレータの一部または全部として本発明の固体高分子型燃料電池セパレータを用いることができる。
以下、実施例および比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
以下の実施例における各物性は以下の方法によって測定した。なお、以下の説明において、
[1]平均粒径
粒度分布測定装置(日機装(株)製)により測定した。
[2]表面特性(Ra、RSm、S値)
プローブ先端径5μmの表面粗さ計(型番サーフコム14000、(株)東京精密製)を用いて、JIS B0601 2001に準拠した方法により測定した。
[3]接触抵抗
(1)カーボンペーパー+セパレータサンプル
作製した各セパレータサンプルを2枚重ね合わせ、その上下にカーボンペーパー(TGP−H060、東レ(株)製)を配置し、さらにその上下に銅電極を配置し、上下方向に1MPaの面圧をかけ、4端子法により電圧を測定した。
(2)カーボンペーパー
カーボンペーパーの上下に銅電極を配置し、上下方向に1MPaの面圧をかけ、4端子法により電圧を測定した。
(3)接触抵抗算出方法
上記(1),(2)で求めた各電圧値よりセパレータサンプルとカーボンペーパーとの電圧降下を求め、下記式により接触抵抗を算出した。
接触抵抗=(電圧降下×接触面積)/電流
[4]接触角
接触角計(協和界面化学(株)製、CA−DT・A型)により測定した。
[5]赤外線吸光分析
作製した各セパレータのレーザ照射処理面を、フーリエ変換赤外分光装置(サーモフィッシャー製 Nicolet is10 FT−IR)にて、スキャン回数32回の条件で、全反射赤外吸光法により測定した。
[6]反り
JIS B 7517に準じ、圧縮成形して得られた200mm角のセパレータを定盤上に置き、ハイトゲージを用いて最大値と最小値を測定し、これらの差を反りとした。
[7]溶出性試験
イオン交換水:セパレータ=9:1(質量比)の条件で、90℃、168時間、セパレータを浸漬して得られた抽出水の導電率を25〜30℃で測定した。
[8]浸漬後の粗さ測定
(1)イオン交換水:セパレータ=9:1(質量比)の条件で、90℃、2000時間、浸漬した後のセパレータの表面粗さを測定した。
(2)イオン交換水:セパレータ=9:1(質量比)の条件で、150℃、の2000時間、浸漬した後のセパレータの表面粗さを測定した。
[9]セパレータ表面の残渣が占める面積の確認
光学顕微鏡(型番:LEXT OLS4000、光源:落射用白色LED、オリンパス(株)製)を用いて、セパレータのレーザ照射処理面を倍率1000倍に拡大し、レーザ照射処理面の任意の5箇所からそれぞれ258μm四方のカラーデジタル画像を得た。得られたカラーデジタル画像それぞれについて、CIE1976(L*a*b*)表色系でL値が48〜75、a値が8〜10、b値が10〜15の茶色領域(残渣部分)を色抽出、二値化変換し、その面積を計測して、画像全体に占める茶色領域の面積比を百分率で求めた。画像それぞれの面積比を平均して、セパレータ表面の残渣が占める面積とした。
[10]ガラス転移点
熱分析装置(セイコーインスツルメンツ社製、TMA6100)を使用し、昇温速度1℃/min、荷重5gの条件で測定を行い、得られた熱膨張係数の変曲点をガラス転移点とした。
[11]ICI粘度
コーン/プレートタイプのICI粘度計を用いて150℃における溶融粘度を測定した。ICI粘度計の測定コーンを試料粘度に応じて選択し、樹脂試料をセットし、90秒後にコーンを回転させ、コーン回転開始から30秒後に、粘度計の指示値を読み取った。
[実施例1〜5,比較例1〜3]
針状コークスを焼成して得られた人造黒鉛粉末(平均粒径:粒度分布d50にて60μm)100質量部、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ当量:210g/eq、ICI粘度:0.7Pa・s)16質量部とノボラック型フェノール樹脂(水酸基当量:104g/eq、ICI粘度:0.7Pa・s)8質量部と2−ヘプタデシルイミダゾール0.24質量部とからなるバインダー成分樹脂、および内部離型剤であるカルナバワックス0.5質量部をヘンシェルミキサ内に投入し、1000rpmで3分間混合して燃料電池セパレータ用組成物を調製した。
得られた燃料電池セパレータ用組成物を燃料電池セパレータ作製用の金型に投入し、金型温度185℃、成形圧力20MPa、成形時間30秒の条件により圧縮成形し、200mm×200mm、厚さ2mmの成形体を得た。得られた成形体のガス供給排出用流路となる溝が設けられた面に、波長1.06μm、出力200W、パルス幅60nsの出力条件により、表1に示した各ラップ率でファイバーレーザを照射し、燃料電池セパレータを得た。
Figure 2012032922
表1に示されるように、ラップ率5〜50%の条件でレーザを照射して得られた実施例1〜5の燃料電池セパレータでは、照射表面の算術平均粗さRaが0.80〜1.50μm、局部山頂の平均間隔Sが30〜50μmに粗面化されており、かつ、セパレータ表面の樹脂の特性吸収が確認できない程度まで樹脂が除去されているので、4〜7mΩ・cm2の低い接触抵抗と、15〜60°の低い接触角という、高い導電性と親水性を有していることがわかる。
一方、ラップ率0%以下の条件でレーザを照射して得られた比較例1,2の燃料電池セパレータでは、照射表面の算術平均粗さRaが0.80μm以下であり、セパレータ表面に樹脂成分が残存しているため、接触抵抗が10mΩ・cm2と高く、また、接触角も70°以上と高い値であることがわかる。
また、ラップ率60%の条件でレーザを照射して得られた比較例3の燃料電池セパレータでは、実施例1〜5と同程度に照射表面の樹脂成分が除去されており、接触角も15°と高い親水性を有しているが、照射表面の表面粗さRaが1.8と高い値を示している。このことは、セパレータ表面から黒鉛粉が脱落し易くなっており、その結果、電極とセパレータとの接触面積が小さくなって接触抵抗が高くなったものと考えられる。
さらに、実施例1〜5および比較例1〜2で得られた燃料電池セパレータでは、セパレータ表面の残渣が全て5%以下であって目視では表面に樹脂が炭化されてできたような残渣は確認できないため、溶出が少なく、熱水浸漬後の粗さの変化が小さいことがわかる。
なお、実施例4で得られた燃料電池セパレータの表面のデジタル画像を図4に、それを画像処理し、茶色領域を抽出、二値化した画像を図5に示す。
一方、比較例3で得られた燃料電池セパレータでは、セパレータ表面の残渣が12%と高いため、溶出は少ないものの、熱水浸漬によって黒鉛粉が脱落し、粗さの変化が大きいことがわかる。
[実施例6〜10,比較例4〜6]
実施例1と同様の燃料電池セパレータ用組成物を調製し、これを同条件で成形して得られた成形体の表面に、波長1.06μmのファイバーレーザを、ラップ率35%の条件で、表2に示したレーザ出力条件にて照射して燃料電池セパレータを得た。
[比較例7,8]
実施例1と同様の燃料電池セパレータ用組成物を調製し、これを同条件で成形して得られた成形体の表面に、波長1.06μmのYAGレーザを、ラップ率35%の条件で、表2に示したレーザ出力条件により照射して燃料電池セパレータを得た。
Figure 2012032922
表2に示されるように、実施例6〜10の条件でファイバーレーザを照射して得られた燃料電池セパレータは、反りが100μm以下であり、かつ、セパレータ表面の樹脂の特性吸収が確認できない程度まで樹脂が除去されているので、3〜7mΩ・cm2の低い接触抵抗と、15〜60°の低い接触角という、高い導電性と親水性を有していることがわかる。また、このセパレータは、表面の残渣が3%以下であり、目視にて表面に樹脂の炭化物等の残渣が確認できない程少ないので、90℃のイオン交換水に168時間浸漬させたときの導電率が1.5μS/cm以下と、化学的安定性に優れ、90℃および150℃のイオン交換水に2000時間浸漬させた後であっても、表面粗さの変化が殆ど生じず、安定であることがわかる。
一方、比較例4の条件でファイバーレーザを照射したセパレータは、パルス幅が20nsとパルスエネルギーが高いので、加工中にセパレータが加熱されて反りが生じ、その結果、接触抵抗が高くなっていることがわかる。
比較例5の条件でファイバーレーザを照射したセパレータは、パルス幅が250nsとパルスエネルギーが低いので、加工に時間がかかって加工中にセパレータが蓄熱されて反りが生じ、その結果、接触抵抗が高くなっていることがわかる。
比較例6の条件でファイバーレーザを照射したセパレータは、250Wと高出力であるため、加工中にセパレータが加熱されて反りが生じ、その結果、接触抵抗が高くなっていることがわかる。
比較例7の条件でYAGレーザを照射したセパレータは、レーザビームのエネルギー分布がガウスモードとなるため、残渣が9%であり、目視にてセパレータ表面に樹脂の炭化物等が残留していることが確認でき、90℃のイオン交換水に168時間浸漬させたときの導電率が3.2μS/cmと、溶出が多いことがわかる。また、このセパレータをさらに2000時間浸漬すると、セパレータ表面から、樹脂の残渣が脱落し、表面粗さRaが1.0μmから1.5μmに増大していることがわかる。
比較例8の条件でYAGレーザを照射したセパレータは、パルス幅が50μsとパルスエネルギーが低いので、加工に時間がかかって加工中にセパレータが蓄熱されて反りが生じ、その結果、接触抵抗が高くなっていることがわかる。また、この場合も、図2,3に示されるように、セパレータ表面に樹脂の炭化物等の残渣が38%と多く存在し、90℃のイオン交換水に168時間浸漬させた後の導電率が4.2μS/cmと、溶出が多く、90℃のイオン交換水に2000時間浸漬させた後の表面粗さの変化も大きいことがわかる。
[実施例11]
黒鉛粉末を、人造黒鉛粉末(平均粒径10μm(d50))に変更した以外は、実施例1と同様にして燃料電池セパレータ用組成物を調製し、成形体を得た。
得られた成形体のガス供給排出用流路となる溝が設けられた面に、実施例3と同様の条件でレーザを照射し、燃料電池セパレータを得た。
[実施例12]
黒鉛粉末を、天然黒鉛粉末(平均粒径30μm(d50))に変更した以外は、実施例11と同様にして燃料電池セパレータを得た。
[実施例13]
黒鉛粉末を、人造黒鉛粉末(平均粒径50μm(d50))に変更した以外は、実施例11と同様にして燃料電池セパレータを得た。
[実施例14]
黒鉛粉末を、人造黒鉛粉末(平均粒径130μm(d50)に変更した以外は、実施例11と同様にして燃料電池セパレータを得た。
Figure 2012032922
表3に示されるように、平均粒径(d50)が10〜130μmの黒鉛粉末を使用して得られた実施例11〜14の燃料電池セパレータは、照射表面の算術平均粗さRaが0.82〜1.50μm、局部山頂の平均間隔Sが38〜50μmに粗面化され、かつ、セパレータ表面の樹脂の特性吸収が確認できない程度まで樹脂が除去されているので、接触抵抗が3〜7mΩ・cm2と低く、高い導電性を有していることがわかる。
[実施例15]
エポキシ樹脂をフェノールノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ当量:183g/eq、ICI粘度:0.35Pa・s)15質量部に、ノボラック型フェノール樹脂の配合量を9質量部にそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様にして燃料電池セパレータ用組成物を調製し、成形体を得た。
得られた成形体のガス供給排出用流路となる溝が設けられた面に、実施例3と同様の条件でレーザを照射し、燃料電池セパレータを得た。
[実施例16]
エポキシ樹脂をフェノールノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ当量:194g/eq、ICI粘度:0.53Pa・s)に変更した以外は、実施例15と同様にして燃料電池セパレータを得た。
[実施例17]
エポキシ樹脂をo-クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ当量:199g/eq、ICI粘度:0.29Pa・s)に変更した以外は、実施例15と同様にして燃料電池セパレータを得た。
[実施例18]
エポキシ樹脂をo-クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ当量:210g/eq、ICI粘度:0.8Pa・s)16質量部に、ノボラック型フェノール樹脂の配合量を8質量部にそれぞれ変更した以外は、実施例15と同様にして燃料電池セパレータを得た。
Figure 2012032922
表4に示されるように、エポキシ当量180〜210g/eq、ICI粘度0.15〜0.80Pa・sのエポキシ樹脂を使用して得られた実施例15〜18の燃料電池セパレータは、そのガラス転移点が150〜165℃であるため、レーザを照射した後の反りが40〜70μmと低い値に抑えられており、接触抵抗が3〜5mΩ・cm2と低く、高導電性を有していることがわかる。
[実施例19]
フェノール樹脂をノボラック型フェノール樹脂(水酸基当量:103g/eq、ICI粘度:0.16Pa・s)に変更した以外は、実施例1と同様にして燃料電池セパレータ用組成物を調製し、成形体を得た。
得られた成形体のガス供給排出用流路となる溝が設けられた面に、実施例3と同様の条件でレーザを照射し、燃料電池セパレータを得た。
[実施例20]
フェノール樹脂をノボラック型フェノール樹脂(水酸基当量:104g/eq、ICI粘度:0.22Pa・s)に変更した以外は、実施例19と同様にして、燃料電池セパレータを得た。
[実施例21]
フェノール樹脂をノボラック型フェノール樹脂(水酸基当量:105g/eq、ICI粘度:0.55Pa・s)に、エポキシ樹脂の配合量を16質量部にそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様にして燃料電池セパレータ用組成物を調製し、成形体を得た。
得られた成形体のガス供給排出用流路となる溝が設けられた面に、実施例3と同様の条件でレーザを照射し、燃料電池セパレータを得た。
[実施例22]
フェノール樹脂をノボラック型フェノール樹脂(水酸基当量:106g/eq、ICI粘度:0.67Pa・s)に変更した以外は、実施例21と同様にして燃料電池セパレータを得た。
Figure 2012032922
表5に示されるように、水酸基当量103〜106g/eq、ICI粘度0.15〜0.70Pa・sのフェノール樹脂を使用して得られた実施例19〜22の燃料電池セパレータは、そのガラス転移点が155〜165℃であるため、レーザを照射した後の反りが40〜70μmと低い値に抑えられており、接触抵抗が3〜5mΩ・cm2と低く、高い導電性を有していることがわかる。

Claims (7)

  1. 黒鉛粉末、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、硬化促進剤および内部離型剤を含む組成物を成形してなる成形体の表面をレーザで照射して得られ、下記(1)〜(6)の特性を備えることを特徴とする燃料電池セパレータ。
    (1)表面のレーザ照射による残渣が、面積比で5%以下
    (2)表面の算術平均粗さRa0.80〜1.50μm
    (3)表面の静的接触角15〜60°
    (4)表面の接触抵抗3〜7mΩ・cm2
    (5)イオン交換水:セパレータ=9:1(質量比)の条件で、セパレータをイオン交換水に90℃で168時間浸漬した後の導電率1.2μS/cm以下
    (6)90℃のイオン交換水および150℃のイオン交換水のそれぞれに2000時間浸漬したときの表面粗さの変化が、浸漬前に対して0.3μm以内
  2. 表面局部山頂の平均間隔Sが、30〜50μmである請求項1記載の燃料電池セパレータ。
  3. 反りが、100μm以下である請求項1または2記載の燃料電池セパレータ。
  4. 前記レーザの照射後の表面を全反射赤外吸光法(ATR)で分析して得られた赤外吸収スペクトルに、エポキシ樹脂およびフェノール樹脂に帰属する吸収帯が存在しない請求項1〜3のいずれか1項記載の燃料電池セパレータ。
  5. 前記レーザの照射が、ラップ率5〜50%で行われる請求項1〜4のいずれか1項記載の燃料電池セパレータ。
  6. 前記レーザのエネルギー分布が、フラットトップである請求項1〜5のいずれか1項記載の燃料電池セパレータ。
  7. 前記レーザが赤外線レーザである請求項1〜6のいずれか1項記載の燃料電池セパレータ。
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