JPWO2012029930A1 - ホウ酸スズ系ガラス及び封着部品 - Google Patents

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Abstract

低融点であり、また被封着材料との熱的特性差が小さく、フィラーなどの添加剤を配合しなくても、封着時のクラック等の発生が抑制された封着材料を得られるホウ酸スズ系ガラスを提供する。SnOを62〜73質量%、B2O3を19〜25質量%、P2O5を0.1〜7質量%、ZnOを0〜6質量%、CaOを0〜3質量%、SrOを0〜7質量%、Al2O3を0〜4質量%の組成を有することを特徴とするホウ酸スズ系ガラス。

Description

本発明は、ホウ酸スズ系ガラスに係り、特にアルミナ、ソーダライムガラスなどの被封着材料の封着材料として好適に用いられるホウ酸スズ系ガラス及び封着部品に関する。
ガラス、セラミックス、金属等の各種材料や、半導体素子等の電子部品を封止する封着材料として、ガラスを主成分とする封着材料が用いられている。
特に電子部品を封着する場合には、被封着材料の熱による損傷を防ぐため、封着温度を可能な限り低くすることが求められる。このため、封着材料としては、より低融点を有するものが求められている。
また、封着材料と被封着材料との間の熱的特性差が大きいと、温度変化に伴って両者の間に熱応力が生じ、封着材料や被封着材料にクラック等が生じるおそれがある。このため、封着材料は、被封着材料と熱的特性が近似していることが求められる。
低融点の封着用ガラスとして、例えば特許文献1には、「SnO、B及びPを主成分とし、モル%表示でSnO 30〜80%、B 5〜60%、P 5〜24%の組成を有することを特徴とするホウリン酸スズ系ガラス」が開示されている。
又、特許文献2には、蛍光体複合材料に用いられるSnO−P系ガラスについて開示されており、その比較例である例10には、モル%表示でSnO 73%、P 19.4%、B 10%の組成を有するガラスについて記載されている。
日本特許第3845853号 日本特開2010−229002号
しかしながら、特許文献1(実施例参照)に記載のホウリン酸スズ系ガラスでは、熱膨張係数が94×10−7〜103×10−7/℃であり、被封着材料として汎用されている各種材料(例えばソーダライムガラス、アルミナ)と比較して、熱膨張係数差が過大となる。
特に、プラズマディスプレイパネル(PDP)用のソーダライムガラス基板には熱膨張係数の小さいものが用いられる傾向にあり(例えば、PDP用に汎用されているソーダライムガラスの熱膨張係数は85×10−7/℃)、このため、封着材料を徐冷して固着する際に、両者の熱的特性の差異に伴う熱応力により、封着材料等にクラックが生じるおそれがある。
また、特許文献2に記載のガラスでは、例えば例10(比較例)のガラスは特許文献1で開示されている組成範囲にあり、熱膨張係数が94×10−7〜103×10−7/℃であると推定できる。さらに特許文献1の実施例から、SnO含有量が増すほど、熱膨張係数は高い傾向にある。特許文献2に記載のSnO含有量はSnO含有量が72モル%以上であり、さらに熱膨脹係数を下げる効果があるBおよびZnOを合わせても5モル%以下であるため、熱膨脹係数は103×10−7/℃を大きく上回ると考えられる。したがって特許文献1の場合以上に、各種材料(例えばソーダライムガラス、アルミナ)と比較して、熱膨張係数差が過大となり、封着材料を徐冷して固着する際に、両者の熱的特性の差異に伴う熱応力により、封着材料等にクラックが生じるおそれはより深刻となる。
一方、封着材料と被封着材料との熱的特性差異を低減するため、ガラス粉末にアルミナ粉末等のフィラーを配合して、封着材料全体としての熱膨張係数を低減することが行われている。
しかしながら、ガラス粉末に対するフィラーの配合比率が高まると、ガラスの流動性が低下して、封着が困難となるおそれがある。また、この場合、ガラスへの侵入光がフィラーによって散乱されて、封着材料としての透明性が損なわれるおそれもあり、透明性が必要とされる発光ダイオードの発光部位などの封着には使用できないものとなるおそれがある。
本発明は、上記した課題を解決するためになされたものであって、低融点であり、また被封着材料との熱的特性差、より具体的には熱膨張係数の差が小さく、かつガラス転移点の温度が所定範囲内にあり、フィラーなどの添加剤を配合しなくても、封着時のクラック等の発生が抑制された封着材料を得られるホウ酸スズ系ガラス、及び封着部品を提供することを目的としている。
すなわち、本発明のホウ酸スズ系ガラスは、酸化物換算の質量%表示でSnOを62〜73%、Bを19〜25%、Pを0.1〜7%、ZnOを0〜6%、CaOを0〜3%、SrOを0〜7%、Alを0〜4%の組成を有することを特徴とする。
上記した数値範囲を示す「〜」とは、特段の定めがない限り、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含む意味で使用され、以下本明細書において「〜」は、同様の意味をもって使用される。
また、前記ホウ酸スズ系ガラスは、質量比でP/Bが0.10〜0.35を満たすことが好ましい。また、前記ホウ酸スズ系ガラスは、酸化物換算の質量比でP/(B+SnO)が0.01〜0.10を満たすことが好ましい。また、前記ホウ酸スズ系ガラスは、50〜250℃での熱膨張係数は、90×10−7/℃未満であることが、好ましく、50×10−7/℃以上、90×10−7/℃未満であることがより好ましい。また、前記ホウ酸スズ系ガラスは、ガラス転移温度(Tg)が370℃以下であることが好ましく、300℃以上、370℃以下であることがより好ましい。また、結晶化ピーク温度(Tc)とガラス転移温度(Tg)との差が150℃以上であることが好ましい。
本発明のホウ酸スズ系ガラスは、主成分としてSnO及びBを含有し、かつ酸化物換算の質量%表示でPを0.1〜7%含み、50〜250℃における熱膨張係数が90×10−7/℃未満であることを特徴とする。50〜250℃での熱膨張係数は、50×10−7/℃以上、90×10−7/℃未満であることが好ましい。
前記ホウ酸スズ系ガラスは、酸化物換算の質量%表示でSnOを62〜72%、Bを19〜25%、ZnOを0〜6%、CaOを0〜3%、SrOを0〜7%、Alを0〜4%の組成を有することが好ましい。
また、本発明の封着部品は、ソーダライムガラス又はアルミナからなる被封着部材の表面又は接合部を、前記ホウ酸スズ系ガラスで封着してなることを特徴とする。
本発明によれば、低温での封着が可能であり、また被封着材料との熱的特性差が小さいため、フィラー等の添加剤を添加しなくても、温度変化に伴うクラック等の発生が抑制された封着材料が得られるホウ酸スズ系ガラス、及びこれを用いた封着部品を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。
本発明の一の実施形態に係るホウ酸スズ系ガラスは、SnO及びBを主成分とし、酸化物換算の質量%表示でSnOを62〜73%、Bを19〜25%、Pを0.1〜7%、ZnOを0〜6%、CaOを0〜3%、SrOを0〜7%、Alを0〜4%の組成を有する。
このようなホウ酸スズ系ガラスによれば、各成分の含有量を所定の範囲内とすることで、封着材料として用いる従来のガラスよりも、熱膨張係数を低減することができる。このため、被封着材料として汎用されている、アルミナやソーダライムガラス等との熱膨張係数の差を低減することができ、フィラー等を添加しなくても、封着時の温度変化に伴うクラック等の発生が抑制された封着材料を得ることができる。
ホウ酸スズ系ガラスの各成分について説明する。なお、本明細書において、各成分の含有量は、酸化物換算の質量%表示で表記する。
SnOは、Bおよび/またはPと対になってガラスの主骨格(ネットワークフォーマ)となる成分であり、必須成分である。ホウ酸スズ系ガラスにおけるSnOの含有量は62質量%以上である。
SnOが62質量%未満であると、ガラス転移温度(Tg)が過度に高くなり、封止温度が高くなる。より低温で封止可能な封着材料を得る観点からは、ホウ酸スズ系ガラスにおけるSnOの含有量は、65質量%以上であることが好ましく、66.5質量%以上であることがより好ましい。
一方、ホウ酸スズ系ガラスにおけるSnOの含有量は73質量%以下である。
SnOが73質量%を超えると、ガラスが不安定となり、耐水性、耐候性が低下するようになる。また、熱膨張係数が過度に高くなり被封着部材との熱膨張係数の差が大きくなる。より安定性、耐候性に優れたものとする観点から、SnOの含有量は70質量%以下が好ましく、68質量%以下がより好ましい。
は、ガラスの主骨格(ネットワークフォーマ)となる成分であり、必須成分である。ホウ酸スズ系ガラスにおけるBの含有量は19質量%以上である。Bの含有量が19質量%未満であると、安定なガラスを得るのが難しく、ガラス化が困難となるおそれがある。より安定性に優れたものとする観点から、Bの含有量は、20質量%以上であることが好ましく、21質量%以上であることがより好ましい。
一方、ホウ酸スズ系ガラスにおけるBの含有量は25質量%以下である。
の含有量が25質量%を超えると、ガラス転移温度(Tg)が高くなり、封止温度が高くなる。より低温で封止可能な封着材料を得る観点から、Bの含有量は、24質量%以下であることが好ましく、23質量%以下がより好ましい。
はガラスの結晶化を抑制して安定性を向上させるとともに、耐候性を向上させる成分であり、必須成分である。ホウ酸スズ系ガラスにおけるPの含有量は0.1質量%以上である。Pの含有量が0.1質量%未満であると、耐水性、耐候性が低下するおそれがある。また、ガラスが結晶化し易くなるおそれもある。
より耐候性に優れたものとする観点からは、Pの含有量は3質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましい。
一方、ホウ酸スズ系ガラスにおけるPの含有量は7質量%以下である。
の含有量が7質量%を超えると、ガラスが分相し易くなり、均質なガラスを得られなくなるおそれがある。また、ガラスの熱膨張係数が過度に高くなるおそれがある。
より分相しにくく、均質なガラスを得る観点から、ホウ酸スズ系ガラスのPの含有量は、6.5質量%以下が好ましく、6.0質量%以下がより好ましい。
Alは、ガラスの安定性を高めて耐候性を向上させる成分である。ホウ酸スズ系ガラスにおけるAlの含有量は4質量%以下である。
Alの含有量が4質量%を超えると、ガラス転移温度(Tg)が過度に高くなり、封止温度が高くなるおそれがある。より低温で封止可能な封着材料を得る観点から、Alの含有量は、3質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましい。
ZnOは、ガラスの安定性を高めて耐水性、耐候性を向上させるとともに、熱膨張係数を低減する成分である。ホウ酸スズ系ガラスにおけるZnOの含有量は6質量%以下である。ZnOの含有量が6質量%を超えると、ガラス転移温度(Tg)が過度に高くなり、封止温度が高くなるおそれがある。
より低温で封止可能な封着材料を得る観点から、ZnOの含有量は、5質量%以下が好ましく、4質量%以下がより好ましい。
CaOは、ガラス内でのSnイオン(Sn2+)の拡散を抑えてガラスの結晶化を抑制するものである。ホウ酸スズ系ガラスにおけるCaOの含有量は3質量%以下である。
CaOの含有量が3質量%を超えると、ガラス転移温度(Tg)が過度に高くなり、封止温度が高くなるおそれがある。より低温で封止可能な封着材料を得る観点から、CaOの含有量は、2質量%以下が好ましい。
SrOは、ガラス内でのSnイオン(Sn2+)の拡散を抑えてガラスの結晶化を抑制するものである。ホウ酸スズ系ガラスにおけるSrOの含有量は7質量%以下である。SrOの含有量が7質量%を超えると、ガラス転移温度(Tg)が過度に高くなり、封止温度が高くなるおそれがある。より低温で封止可能な封着材料を得る観点から、SrOの含有量は、5質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましい。
ホウ酸スズ系ガラスに含まれるPの含有量とBの含有量との比率P/Bは、質量比で0.10〜0.35であることが好ましい。
/Bの質量比が0.35を超えると、P−O−P結合部位の存在が過多となり、融液中の成分がクラスタリング(clustering)する割合が高くなるため、ガラスが分相し易くなり、均質なガラスを得られなくなるおそれがある。上記したクラスタリングするとは、PO四面体ユニットが局所的に複数個連結した状態を示し、以下においても同様である。一方、P/Bが0.10未満であると、耐水性、耐候性が低下するおそれがある。
ホウ酸スズ系ガラスに含まれるPの含有量と(B+SnO)の含有量との比率、すなわちP/(B+SnO)は、質量比で0.01〜0.10であることが好ましい。P/(B+SnO)の質量比が0.10を超えると、熱膨張係数が過度に高くなるおそれがある。また、P−O−P結合部位の存在が過多となり、融液中の成分がクラスタリングする割合が高くなるため、ガラスが分相し易くなり、均質なガラスを得られなくなるおそれもある。均質なガラスを得やすくするためには、P/(B+SnO)は0.08以下がより好ましい。
一方、P/(B+SnO)の質量比が0.01未満であると、耐水性、耐候性が低下するおそれがある。耐水性をより高めるためには、P/(B+SnO)は0.05以上であることがより好ましい。
ホウ酸スズ系ガラスのガラス粉末は、通常、溶融法によって上記組成を有するガラスを製造した後、このガラスを粉砕することによって製造することができる。粉砕方法は、特に限定されるものではなく、乾式粉砕でもよいし湿式粉砕でもよい。湿式粉砕の場合には溶媒として水を用いることが好ましい。また粉砕にはロールミル、ボールミル、ジェットミル等の粉砕機を適宜用いることができる。ガラスは粉砕後、必要に応じて乾燥し、分級してもよい。
ホウ酸スズ系ガラスの、50〜250℃での熱膨張係数は、50×10−7/℃以上90×10−7/℃未満であることが好ましい。50〜250℃での熱膨張係数が90×10−7/℃以上であるか、または50×10−7/℃より小さいと、被封着材料として一般に汎用されている、アルミナ、ソーダライムガラスなどの各種材料(すなわち、被封着材料)との熱膨張係数差が大きくなり、これら被封着材料との間に熱応力が生じ易くなるため、クラック等が生じ易くなるおそれがある。なお、上記したソーダライムガラスとは、一般的に謂われる広義のソーダライムガラスであり、SiO、NaO及びCaOを主成分として含む組成のソーダライムシリケートガラスを指す。かかるソーダライムガラスとしては、Al、KO、アルカリ土類酸化物、その他目的に応じて適宜加えられる成分を含んでもよい。以下、本明細書においてソーダライムガラスとは、上記したソーダライムガラスを意味する。
ホウ酸スズ系ガラスの50〜250℃での熱膨張係数の上限は、より好ましくは87×10−7/℃以下であり、さらに好ましくは85×10−7/℃以下であり、最も好ましくは82×10−7/℃以下である。また、ホウ酸スズ系ガラスの、50〜250℃での熱膨張係数の下限は、より好ましくは60×10−7/℃以上である。
ホウ酸スズ系ガラスのガラス転移温度(Tg)は、300〜370℃であることが好ましい。
ホウ酸スズ系ガラスのガラス転移温度(Tg)が370℃を超えると、封着に要する温度(すなわち、封止温度)が過度に高くなり、封着の際の熱処理によって、被封着材料である電子部品等の損傷を招くおそれがある。より低温で封止可能な封着材料を得る観点から、ホウ酸スズ系ガラスのガラス転移温度(Tg)は、360℃以下であることが好ましい。
一方、ホウ酸スズ系ガラスのガラス転移温度(Tg)が300℃未満であると、ガラスが不安定となり、耐候性が低下するおそれがある。ホウ酸スズ系ガラスのガラス転移温度(Tg)は、より好ましくは320℃以上であり、さらに好ましくは340℃以上である。
示差熱分析装置(DTA)により測定される、結晶化ピーク温度(Tc)とガラス転移温度(Tg)との差は150℃以上であることが好ましい。
結晶化ピーク温度(Tc)とガラス転移温度(Tg)との差が150℃未満であると、封着可能な温度域が狭すぎて、効率的な生産が困難となるおそれがある。
結晶化ピーク温度(Tc)とガラス転移温度(Tg)との差が上記範囲内であることにより、アモルファス状態を得られる温度域が広くなり、広範な温度域で、熱処理による封着を安定して行うことが可能となる。
結晶化ピーク温度(Tc)とガラス転移温度(Tg)との差は、より好ましくは160℃以上、さらに好ましくは165℃以上、最も好ましくは170℃以上である。
なお、示差熱分析装置(DTA)による測定で結晶化ピーク温度(Tc)が検出されない場合は、アモルファス状態を得られる温度範囲はさらに広くなり、より広範な温度域で、熱処理による封着を安定して行うことが可能となる。結晶化ピーク温度(Tc)が検出されないことは、温度差が無限大(∞)であると解釈することが可能であり、この場合には、結晶化ピーク温度(Tc)とガラス転移温度(Tg)の温度差に、特に上限はない。
このようにして得られたホウ酸スズ系ガラスは、ガラスの流動性、透明性を損なわない範囲で、アルミナ粉末、ジルコニア粉末等のフィラーや、必要に応じてその他の成分を所定の質量割合で配合し、混合することによって調製した組成物として用いることも可能である。
以下、本発明の別の実施形態について説明する。
本実施形態に係るホウ酸スズ系ガラスは、主成分としてSnO及びBを含有し、かつ酸化物換算の質量%表示でPを0.1〜7%含み、50〜250℃における熱膨張係数が90×10−7/℃未満である。
このようなホウ酸スズ系ガラスによれば、熱膨張係数を所定の範囲内とすることで、封着材料として用いる従来のガラスよりも、アルミナ、ソーダライムガラス等の被封着材料との熱的特性差を低減することができる。このため、フィラーを添加しなくても、上述した各種材料を封着する時のクラック等の発生が抑制された封着材料を得ることができる。
50〜250℃での熱膨張係数が90×10−7/℃以上であると、被封着材料として一般に汎用されている、アルミナ、ソーダライムガラスなどの各種材料(すなわち、被封着材料)との熱的特性差が大きくなり、これら被封着材料との間に熱応力が生じ易くなるため、クラック等が生じ易くなるおそれがある。ホウ酸スズ系ガラスの50〜250℃での熱膨張係数の上限は、より好ましくは87×10−7/℃以下であり、さらに好ましくは85×10−7/℃以下であり、最も好ましくは82×10−7/℃以下である。
ホウ酸スズ系ガラスの、50〜250℃での熱膨張係数は、50×10−7/℃以上であることが好ましい。50〜250℃での熱膨張係数が50×10−7/℃より小さいと、被封着材料として一般に汎用されている、アルミナ、ソーダライムガラスなどの各種材料(被封着材料)との熱膨張係数差が大きくなり、これら被封着材料との間に熱応力が生じ易くなるため、クラック等が生じ易くなるおそれがある。
ホウ酸スズ系ガラスの50〜250℃での熱膨張係数の下限は、より好ましくは60×10−7/℃以上である。
以下に、本実施形態に係るホウ酸スズ系ガラスの各成分について説明する。
ホウ酸スズ系ガラスに含まれるPの含有量と(B+SnO)の含有量との比率、すなわちP/(B+SnO)は、質量比で0.01〜0.10であることが好ましい。P/(B+SnO)の質量比が0.10を超えると、熱膨張係数が過度に高くなるおそれがある。また、P−O−P結合部位の存在が過多となり、融液中の成分がクラスタリングする割合が高くなるため、ガラスが分相し易くなり、均質なガラスを得られなくなるおそれもある。均質なガラスを得やすくするためには、P/(B+SnO)は0.08以下がより好ましい。
一方、P/(B+SnO)の質量比が0.01未満であると、耐水性、耐候性が低下するおそれがある。耐水性をより高めるためには、P/(B+SnO)は0.05以上であることがより好ましい。
SnOは、Bおよび/またはPと対になってガラスの主骨格(ネットワークフォーマ)となる成分であり、必須成分である。ホウ酸スズ系ガラスにおけるSnOの含有量は62質量%以上であることが好ましい。
SnOが62質量%未満であると、ガラス転移温度(Tg)が過度に高くなり、封止温度が高くなる。より低温で封止可能な封着材料を得る観点からは、ホウ酸スズ系ガラスにおけるSnOの含有量は、65質量%以上であることが好ましく、66.5質量%以上であることがより好ましい。
一方、ホウ酸スズ系ガラスにおけるSnOの含有量は72質量%以下であることが好ましい。
SnOが72質量%を超えると、ガラスが不安定となり、耐水性、耐候性が低下するようになる。また、熱膨張係数が高くなり被封着部材との熱膨張係数の差が大きくなる。より安定性、耐候性に優れたものとする観点から、SnOの含有量は70質量%以下が好ましく、68質量%以下がより好ましい。
は、ガラスの主骨格(ネットワークフォーマ)となる成分であり、必須成分である。ホウ酸スズ系ガラスにおけるBの含有量は19質量%以上であることが好ましい。Bの含有量が19質量%未満であると、安定なガラスを得るのが難しく、ガラス化が困難となるおそれがある。より安定性に優れたものとする観点から、Bの含有量は、20質量%以上であることが好ましく、21質量%以上であることがより好ましい。
一方、ホウ酸スズ系ガラスにおけるBの含有量は25質量%以下であることが好ましい。
の含有量が25質量%を超えると、ガラス転移温度(Tg)が高くなり、封止温度が高くなる。より低温で封止可能な封着材料を得る観点から、Bの含有量は、24質量%以下であることが好ましく、23質量%以下がより好ましい。
はガラスの結晶化を抑制して安定性を向上させるとともに、耐候性を向上させる成分であり、必須成分である。ホウ酸スズ系ガラスにおけるPの含有量は0.1質量%以上である。Pの含有量が0.1質量%未満であると、耐水性、耐候性が低下するおそれがある。また、ガラスが結晶化し易くなるおそれもある。
より耐候性に優れたものとする観点からは、Pの含有量は3質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましい。
一方、ホウ酸スズ系ガラスにおけるPの含有量は7質量%以下である。
の含有量が7質量%を超えると、ガラスが分相し易くなり、均質なガラスを得られなくなるおそれがある。また、ガラスの熱膨張係数が過度に高くなるおそれがある。
より分相しにくく、均質なガラスを得る観点から、ホウ酸スズ系ガラスのPの含有量は、6.5質量%以下が好ましく、6.0質量%以下がより好ましい。
Alは、ガラスの安定性を高めて耐候性を向上させる成分である。ホウ酸スズ系ガラスにおけるAlの含有量は4質量%以下であることが好ましい。
Alの含有量が4質量%を超えると、ガラス転移温度(Tg)が過度に高くなり、封止温度が高くなるおそれがある。より低温で封止可能な封着材料を得る観点から、Alの含有量は、3質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましい。
ZnOは、ガラスの安定性を高めて耐水性、耐候性を向上させるとともに、熱膨張係数を低減する成分である。ホウ酸スズ系ガラスにおけるZnOの含有量は6質量%以下であることが好ましい。ZnOの含有量が6質量%を超えると、ガラス転移温度(Tg)が過度に高くなり、封止温度が高くなるおそれがある。
より低温で封止可能な封着材料を得る観点から、ZnOの含有量は、5質量%以下が好ましく、4質量%以下がより好ましい。
CaOは、ガラス内でのSnイオン(Sn2+)の拡散を抑えてガラスの結晶化を抑制するものである。ホウ酸スズ系ガラスにおけるCaOの含有量は3質量%以下であることが好ましい。
CaOの含有量が3質量%を超えると、ガラス転移温度(Tg)が過度に高くなり、封止温度が高くなるおそれがある。より低温で封止可能な封着材料を得る観点から、CaOの含有量は、2質量%以下が好ましい。
SrOは、ガラス内でのSnイオン(Sn2+)の拡散を抑えてガラスの結晶化を抑制するものである。ホウ酸スズ系ガラスにおけるSrOの含有量は7質量%以下であることが好ましい。SrOの含有量が7質量%を超えると、ガラス転移温度(Tg)が過度に高くなり、封止温度が高くなるおそれがある。より低温で封止可能な封着材料を得る観点から、SrOの含有量は、5質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましい。
ホウ酸スズ系ガラスのガラス粉末は、通常、溶融法によって上記組成を有するガラスを製造した後、このガラスを粉砕することによって製造することができる。粉砕方法は、特に限定されるものではなく、乾式粉砕でもよいし湿式粉砕でもよい。湿式粉砕の場合には溶媒として水を用いることが好ましい。また粉砕にはロールミル、ボールミル、ジェットミル等の粉砕機を適宜用いることができる。ガラスは粉砕後、必要に応じて乾燥し、分級してもよい。
ホウ酸スズ系ガラスのガラス転移温度(Tg)は、300〜370℃であることが好ましい。ホウ酸スズ系ガラスのガラス転移温度(Tg)が370℃を超えると、封着に要する温度(すなわち、封止温度)が過度に高くなり、封着の際の熱処理によって、被封着材料である電子部品等の損傷を招くおそれがある。より低温で封止可能な封着材料を得る観点から、ホウ酸スズ系ガラスのガラス転移温度(Tg)は、360℃以下であることが好ましい。
一方、ホウ酸スズ系ガラスのガラス転移温度(Tg)が300℃未満であると、ガラスが不安定となり、耐候性が低下するおそれがある。ホウ酸スズ系ガラスのガラス転移温度(Tg)は、より好ましくは320℃以上であり、さらに好ましくは340℃以上である。
示差熱分析装置(DTA)により測定される、結晶化ピーク温度(Tc)とガラス転移温度(Tg)との差は150℃以上であることが好ましい。
結晶化ピーク温度(Tc)とガラス転移温度(Tg)との差が150℃未満であると、封着可能な温度域が狭すぎて、効率的な生産が困難となるおそれがある。
結晶化ピーク温度(Tc)とガラス転移温度(Tg)との差が上記範囲内であることにより、アモルファス状態を得られる温度域が広くなり、広範な温度域で、熱処理による封着を安定して行うことが可能となる。
結晶化ピーク温度(Tc)とガラス転移温度(Tg)との差は、より好ましくは160℃以上、さらに好ましくは165℃以上、最も好ましくは170℃以上である。
前述したように、示差熱分析装置(DTA)による測定で結晶化ピーク温度(Tc)が検出されない場合は、アモルファス状態を得られる温度範囲はさらに広くなり、より広範な温度域で、熱処理による封着を安定して行うことが可能となる。結晶化ピーク温度(Tc)が検出されないことは、温度差が無限大(∞)であると解釈することが可能であり、この場合には、結晶化ピーク温度(Tc)とガラス転移温度(Tg)の温度差に、特に上限はない。
このようにして得られたホウ酸スズ系ガラスは、ガラスの流動性、透明性を損なわない範囲で、アルミナ粉末、ジルコニア粉末等のフィラーや、必要に応じてその他の成分を所定の質量割合で配合し、混合することによって調製した組成物として用いることも可能である。
このようにして得られた本発明のホウ酸スズ系ガラスは、ソーダライムガラスやアルミナ等の一般的な基板材料の封着の他、発光ダイオード素子(LED)等の電子部品の封着に用いることが可能であり、またレーザー光を用いて封着する封着材料として用いることも可能である。さらに、太陽電池の電極用バインダーとして用いることも可能である。
本発明の封着部品は、上述したソーダライムガラス又はアルミナからなる被封着部材の表面又は接合部を、本発明のホウ酸スズ系ガラスで封着してなるものである。
本発明の封着部品によれば、被封着材料との熱的特性差が小さいホウ酸スズ系ガラスを封着材として用いることで、クラックや反り等の不具合が少なく、被封着材料を高い気密性で封着することができる。
実施例1〜20、比較例1〜4
混合後のガラスが表1〜3のガラス組成となるように、原料化合物である酸化第一錫、ピロリン酸錫、メタリン酸亜鉛、メタリン酸カルシウム、メタリン酸アルミニウム、無水ホウ酸及び炭酸ストロンチウムを調合・混合した。混合された原料を石英ルツボに入れて1100℃で40分間加熱溶融後、溶融ガラスをカーボン型に流し出し冷却した。
なお、原料化合物の調合・混合から、加熱溶融後の冷却までの操作は、全て、乾燥した窒素雰囲気としたグローブボックス内(露点温度:−60〜−100℃)で実施した。
得られた各実施例及び比較例のガラスについて、以下に示す方法で、ガラス転移温度(Tg)、結晶化ピーク温度(Tc)、屈伏点(Tf)、熱膨張係数(α)の測定、及び耐候性、失透の有無の評価を行った。
なお、ガラス転移温度(Tg)の測定後、屈伏点(Tf)及び平均熱膨張係数(α)の測定、及び耐候性の評価で加工作業に供する各実施例および比較例のガラスについて、それぞれのガラス転移温度(Tg)より15〜25℃高い温度で約1時間のアニール処理を行った。結果を表1〜3に示す。
なお、表3において、「/」は、ガラス転移点(Tg)等が測定不能(比較例1〜3で「/」と表記した欄)であるか、または未測定であることを示す。
(1)ガラス転移温度(Tg)
ガラス転移温度は以下に示す方法により測定した。
すなわち、各実施例及び比較例のガラスをそれぞれ、アルミナ製乳鉢で粉砕して、ガラス粉末を得た。得られたそれぞれのガラス粉末100mgをアルミナパンに充填し、示差熱分析装置(セイコーインスツル社製、商品名「EXSTAR6000TG/DTA」)により、10℃/分の速度で昇温してガラス転移温度(Tg)(単位:℃)を測定した。
(2)結晶化ピーク温度(Tc)
結晶化ピーク温度(Tc)は以下に示す方法により測定した。
すなわち、各実施例及び比較例のガラスを粉砕して得たガラス粉末をそれぞれ、ガラス転移温度(Tg)の測定で用いたのと同様の示差熱分析装置を用いて、10℃/分の速度で昇温して、結晶化の発熱ピークの温度(単位:℃)を測定した。
(3)屈伏点(Tf)
屈伏点(Tf)は以下に示す方法により測定した。
すわなち、各実施例及び比較例のガラスをそれぞれ、直径5mm、長さ20mmの円柱状に加工し、水平示差検出式熱膨張計(ブルカーエイエックスエス社製、商品名:TD5010)を用いて、10℃/分の速度で昇温して屈伏点(Tf)(単位:℃)を測定した。
(4)平均熱膨張係数(α)
平均熱膨張係数(α)は、以下に示す方法により測定した。
すなわち、各実施例及び比較例のガラスのそれぞれについて、上記の水平示差検出式熱膨張計により昇温速度10℃/分の条件で伸びの量を測定し、50〜250℃までの平均熱膨張係数(単位:/℃)を算出した。
(5)耐候性
耐候性は、以下に示す方法により評価した。
すなわち、各実施例及び比較例のガラスを、それぞれ大きさ約20mm×20mm、厚さ2mmのガラスブロックとし、両面を鏡面研磨したものを、温度80℃、相対湿度80%に設定された恒温恒湿槽内に保持し、適宜取り出して、460nmの分光透過率を分光光度計(パーキンエルマー社製、製品名「ラムダ950」)を用いて測定し、分光透過率の初期値T0に対する、経過時間後の分光透過率T1の割合を、[(T1/T0)×100(%)]の式に基づいて算出した。算出した値が90%以下になる時間を「耐候性[時間]」として、表1〜3に表記した。
(6)失透の有無
ガラス作製後の失透の有無は、以下の方法により評価した。
すなわち、混合後のガラスが表1〜3のガラス組成となるように、酸化第一錫、ピロリン酸錫、メタリン酸亜鉛、メタリン酸カルシウム、メタリン酸アルミニウム、無水ホウ酸および炭酸ストロンチウムを調合・混合した。
混合された原料化合物を、石英ルツボに入れて1100℃で40分間加熱溶融後、溶融ガラスをカーボン型に流し出し、冷却して固化するまでの間の結晶の析出の有無を目視で確認した。結晶の析出が確認されなかったものを「○」、一部又は全体に結晶の析出による白濁(分相)が確認されたものを「×」として、表1〜表3に表記した。
Figure 2012029930
Figure 2012029930
Figure 2012029930
表1〜3から明らかなように、実施例1〜20の特定組成からなるホウ酸スズ系ガラスについては、90×10−7/℃未満の熱膨張係数を示し、被封着材料である前述したソーダライムガラス(83×10−7/℃〜85×10−7/℃)やアルミナ(73×10−7/℃〜81×10−7/℃)等との熱膨張係数差が小さく、これら被封着材料に封着したときクラックが生じにくいことがわかる。また、実施例1〜20のガラス粉末は、屈伏点が400℃以下と低いため、低温での封着が可能である。
一方、Pが7質量%を超えて含有される比較例1〜3のホウ酸スズ系ガラスは、ガラス化するときに分相が生じ、安定なガラス状態を得ることができなかった。
また、Pを22質量%含有する比較例4のホウ酸スズ系ガラスは、熱膨張係数が103×10−7/℃であり、前述したソーダライムガラスやアルミナとの熱膨張係数差が大きく、これら被封着材料に封着したときのクラックが生じやすいことがわかる。
(実施例21)
実施例6に記載のガラス粉末と、MnO 42質量%、CuO 26質量%、Fe15質量%、Al 8質量%、SiO 5質量%の組成を有し、平均粒径が1.2μmのレーザー吸収材とを用意した。
上記したガラス粉末95質量%と、上記したレーザー吸収材5質量%とを混合して封着材料を作製した。
次に、ソーダライムガラス(熱膨張係数:87×10−7/℃)からなる2枚のガラス基板(寸法:100mm×100mm×0.55mm厚)を用意し、一方のガラス基板上に封着材料を分散塗布し、他方のガラス基板を積層した。
次いで、封着材料の塗布層を形成して積層したソーダライムガラス基板を、レーザー照射装置のサンプルホルダ上に配置した。
封着材料の塗布層に、波長808nm、出力密度0.56kW/cm、ビーム形状が直径1.5mmの円形のレーザー光を、走査速度3mm/秒の速度で封着材料を塗布した位置に照射して、封着材料層を形成した。
得られた封着材料層の状態をSEMで確認したところ、封着材料層全体が良好にガラス化し、2枚のガラス基板がともに密着していることが確認された。
(参考例1〜2)
出力密度を0.85kW/cmに変更したこと以外は、実施例21と同様にして、レーザー照射を行った。(参考例1)
また、出力密度を0.56kW/cm、1.13kW/cm、1.70kW/cm、2.26kW/cmの順に変化させながら、波長808nm、ビーム形状が直径1.5mmの円形のレーザー光を、封着材料を塗布した位置に定点照射した。なお、レーザー光の照射時間は、出力密度毎に、10秒ずつ照射した。(参考例2)
得られた各封着材料層の状態をSEMで確認したところ、出力密度0.85kW/cmで照射して得られた参考例1の封着材料層は、概ね良好にガラス化しており、2枚のガラス基板がともに接着したものの、一部に結晶化していることが確認された。
また、出力密度を0.56kW/cmから2.26kW/cmまで変化させて照射して得られた参考例2の封着材料層では、レーザー照射領域全体で結晶化しており、基板を接着させることができなかった。
なお、上述した実施例21および参考例1、2では、レーザー照射による封着(レーザー封着)を行った例のみを記載したが、本発明のホウ酸スズ系ガラスでは、このようなレーザー照射による封着に限定されず、例えば一般的な電気炉を用いて、温度条件を最適化することでも封着することができる。
本発明によれば、低融点であり、被封着材料との熱膨張係数の差が小さく、かつガラス転移点の温度が被封着材料との封着に好適な所定範囲内にあり、フィラーなどの添加剤を配合しなくても、封着時のクラック等の発生が抑制された封着材料用のホウ酸スズ系ガラスを得ることができ、プラズマディスプレイパネル用のソーダライムガラス基板の周辺の封着用、あるいは発光ダイオード素子等の電子部品の封着用、あるいはその他のソーダライムガラス基板やアルミナ基板の封着用として有用である。
なお、2010年9月3日に出願された日本特許出願2010−198255号、および2010年9月3日に出願された日本特許出願2010−198256号の明細書、特許請求の範囲及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の開示として取り入れるものである。

Claims (18)

  1. 酸化物換算の質量%表示でSnOを62〜73%、Bを19〜25%、Pを0.1〜7%、ZnOを0〜6%、CaOを0〜3%、SrOを0〜7%、Alを0〜4%の組成を有することを特徴とするホウ酸スズ系ガラス。
  2. 酸化物換算の質量比でP/Bが0.10〜0.35を満たすことを特徴とする請求項1に記載のホウ酸スズ系ガラス。
  3. 酸化物換算の質量比でP/(B+SnO)が0.01〜0.10を満たすことを特徴とする請求項1又は2に記載のホウ酸スズ系ガラス。
  4. 50〜250℃での熱膨張係数が、90×10−7/℃未満であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のホウ酸スズ系ガラス。
  5. 50〜250℃での熱膨張係数が、50×10−7/℃以上、90×10−7/℃未満であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のホウ酸スズ系ガラス。
  6. ガラス転移温度(Tg)が370℃以下であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のホウ酸スズ系ガラス。
  7. ガラス転移温度(Tg)が300℃以上、370℃以下であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のホウ酸スズ系ガラス。
  8. 結晶化ピーク温度(Tc)とガラス転移温度(Tg)との差が150℃以上であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のホウ酸スズ系ガラス。
  9. 主成分としてSnO及びBを含有し、かつ酸化物換算の質量%表示でPを0.1〜7%含み、50〜250℃における熱膨張係数が90×10−7/℃未満であることを特徴とするホウ酸スズ系ガラス。
  10. 50〜250℃での熱膨張係数が、50×10−7/℃以上、90×10−7/℃未満であることを特徴とする請求項9に記載のホウ酸スズ系ガラス。
  11. ガラス転移温度(Tg)が370℃以下であることを特徴とする請求項9又は10に記載のホウ酸スズ系ガラス。
  12. ガラス転移温度(Tg)が300℃以上、370℃以下であることを特徴とする請求項9乃至11のいずれか1項に記載のホウ酸スズ系ガラス。
  13. 結晶化ピーク温度(Tc)とガラス転移温度(Tg)との差が150℃以上であることを特徴とする請求項9乃至12のいずれか1項に記載のホウ酸スズ系ガラス。
  14. 酸化物換算の質量比でP/(B+SnO)が0.01〜0.10を満たすことを特徴とする請求項9乃至13のいずれか1項に記載のホウ酸スズ系ガラス。
  15. 酸化物換算の質量比でP/(B+SnO)が0.05〜0.08を満たすことを特徴とする請求項9乃至14のいずれか1項に記載のホウ酸スズ系ガラス。
  16. 酸化物換算の質量%表示でSnOを62〜72%、Bを19〜25%、ZnOを0〜6%、CaOを0〜3%、SrOを0〜7%、Alを0〜4%の組成を有することを特徴とする請求項9乃至15のいずれか1項に記載のホウ酸スズ系ガラス。
  17. 酸化物換算の質量%表示でSnOを65〜70%、Bを20〜24%、Pを3〜6.5%、ZnOを0〜5%、CaOを0〜3%、SrOを0〜5%、Alを0〜2%の組成を有することを特徴とする請求項9乃至16のいずれか1項に記載のホウ酸スズ系ガラス。
  18. ソーダライムガラス又はアルミナからなる被封着部材の表面又は接合部を、請求項1乃至17のいずれか1項に記載のホウ酸スズ系ガラスで封着してなることを特徴とする封着部品。
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