JPWO2012026481A1 - 非加熱型香味吸引器及び香味カートリッジの製造方法 - Google Patents

Abstract

本発明の非加熱型香味吸引器は、中空円筒形状なし、前端に外気導入口（１６）及び後端に吸口端（４）をそれぞれ備えたホルダ（２）と、このホルダ（２）内を外気導入口（１６）から吸口端（４）に向け、ホルダ（２）の軸線に沿って延びる香味カートリッジ（３０）とを有し、香味カートリッジ（３０）は粒状のたばこ材料を含む香味発生材料（３２）を内蔵し、この香味発生材料（３２）は所定の要求圧縮状態に維持されている（図１）。

Description

本発明は、着火を要することなく、ユーザの吸引によりユーザにたばこ等の香味成分を提供する非加熱型香味吸引器及び香味カートリッジの製造方法に関する。

シガレットは古くから嗜好品として多くのユーザに愛用されているが、近年、シガレットの燃焼により生じる副流煙及びその臭気がユーザ以外の周囲の人々にとって迷惑になるという問題がある。

このような問題を解決するため、無煙たばことして、以下の特許文献１は非加熱型の香味吸引器を開示する。詳しくは、この香味吸引器は、たばこ原料及びバインダから形成された通気性のたばこ成形物と、このたばこ成形物を収容するホルダ容器とを含み、このホルダ容器は中空の円筒形状をなし、開口した両端を有する（特許文献１）。

一方、以下の特許文献２は別の香味吸引器を開示し、この香味吸引器は中空円筒状のホルダ容器と、このホルダ容器内に収容された香味カートリッジとを含む。この香味カートリッジは中空円筒状の多孔構造体と、この多孔構造体に保持されたニコチン及び芳香物質とを有する

上述した特許文献１，２の香味吸引器は何れも、着火されることなく、ユーザがたばこ成形物又は香味カートリッジを通過した空気を吸い込むことで、この空気に含まれたたばこ特有の香味成分をユーザに提供する。

特開昭６４−６０３６４号公報 特開平２−１７１１７４号公報

上述した特許文献１の香味吸引器の場合、たばこ成形物中のたばこ原料と空気との接触面積は少なく、それ故、たばこ原料から空気に放出される香味成分の量は少ない。
一方、特許文献２の香味吸引器の場合、多孔構造体は空気に対して大きな接触面積を有しているので、多孔構造体から空気に放出される香味の量は特許文献１の香味吸引器に比べて多い。

しかしながら、特許文献２の香味吸引器のようなタイプでも、たばこに類似した香味成分を放出させるため、たばこ原料を使用することができる。この場合、たばこ原料が前述したたばこ成形物の形態であると、上述の特許文献１の香味吸引器の場合と同様に、香味成分の放出量は少なくなる。このため、たばこ原料からの香味成分の抽出、抽出された香味と成分の多孔構造体への含浸が必要となり、これら抽出及び含浸は香味吸引器の製造を複雑にする。

更に、特許文献２の香味吸引器は、多孔構造体の下流に空気流路を含み、この空気流路は比較的狭小で且つ長い。このため、ユーザの吸引時、空気流路内を流れる空気の流速は比較的速くなり、このような空気の流れは空気流路から吸込み音を発生させる。更には、空気流路の形態によっては、吸込み音が空気流路内にて反響し、ユーザに違和感を与える。

特に、上述の香味カートリッジのように、たばこ原料を通過した後の空気の内部流路が長い場合、吸込み音の発生や反響は顕著なものになる。
本発明の目的は、たばこ原料からの香味成分の放出効率を十分に確保でき、また、吸込み音を効果的に抑制することができる非加熱型香味吸引器を提供することにある。

上述した特許文献１の非加熱型香味吸引器によれば、たばこ成形物がたばこ原料をバインダにより固めて成形されたものであるので、そのたばこ原料と空気との接触面積が少なく、それ故、たばこ原料から空気への香味の放出効率は悪い。

この点、特許文献２の香味吸引器によれば、芳香物質を含有する多孔構造体は空気に対して大きな接触面積を有しているので、多孔構造体からの香味の放出効率は特許文献１の香味吸引器に比べて優れている。

しかしながら、特許文献２の香味吸引器の場合、たばこに類似した香味を発現させるためにたばこ原料を使用すると、たばこ原料を多量のバインダにより固めて成形する必要が生じ、上述の特許文献１と同様に、香味の放出効率が悪くなってしまう。そのため、たばこ原料から香味成分を抽出し多孔構造体に含浸させるという別の工程が必要である。

更に、多孔構造体を通過した後、その下流側には比較的狭小且つ長い空気流路が存在していることから、空気流路内を流れる空気の流速は比較的速くなる。このため、このような空気流路内での空気の流れは吸込み音を発生させる一方、空気流路の形態によっては吸込み音が空気流路内にて反響し、ユーザに違和感を与えてしまう。

本発明の目的は、香味発生材料からのたばこの香味成分の放出効率を十分に確保する一方、吸込み音を効果的に抑制することができる非加熱型香味吸引器及び香味カートリッジの製造方法を提供することにある。

上述の目的は本発明の非加熱型香味吸引器によって達成され、この香味吸引器は、
軸線を有する中空のホルダであって、前端、吸口端としての後端、外気導入口、内部に規定され、前記外気導入口から取り入れた外気を前記吸口端まで導く流路とを含む、ホルダと、
前記ホルダ内に配置され、前記ホルダ内を前記前端から前記吸口端に向け、前記軸線に沿って延びる通気性を有した香味カートリッジであって、前記流路を前記香味カートリッジから前記吸口端まで延びる下流域と、前記外気導入口に連通する前記香味カートリッジ側の上流域とに区分する、香味カートリッジと
を備え、
前記香味カートリッジは、
枠と、
前記枠内に充填され、着火されずに香味成分を放出する粒状の香味発生材料であって、たばこ葉を裁刻又は粉砕して得られた粒状のたばこを含む、香味発生材料と、
前記香味カートリッジの通気性を確保しつつ、前記香味発生材料を圧縮状態に維持する圧縮装置と
を含む。

上述の香味吸引器によれば、ユーザが吸引ホルダの吸口端から吸気したとき、空気は香味カートリッジ内をその全体に亘って一様に通過する。この際、空気は香味カートリッジ内の香味発生材料との良好な接触により、香味発生材料から放出されたたばこの香味成分を含むことができる。それ故、ユーザに吸い込まれる空気にはたばこの香味成分が含まれていることから、ユーザはたばこの香味を効果的に味わうことができる。

また、香味発生材料は圧縮状態に維持されているので、香味発生材料は、前述した吸込み音を減衰させる吸音壁としても働き、吸込み音の発生を効果的に抑制する。
具体的には、圧縮装置は、香味発生材料を軸線と直交する方向に圧縮する一対の圧縮要素を含み、圧縮要素は香味カートリッジの通気性を担保する複数の通気口を有する。この場合、香味発生材料の圧縮方向でみて、一方の圧縮要素の通気口は他方の圧縮要素の通気口に部分的にオーバラップしているのが好ましい。

更に好ましくは、香味発生材料は、圧縮後における香味発生材料の流路抵抗を表す下式、
（（１−空隙率＾２）／空隙率＾３）×（充填部高さ／断面積）の値が０．００５以上となるべく充填されている。

香味カートリッジは、香味発生材料を包み込む通気性パウチを更に含んでいるか、又は、香味発生材料が枠内に直接に充填されている場合、香味カートリッジは、圧縮要素の前記通気口を覆う通気要素を更に含む。
通気性パウチ及び通気要素は０．５ｍｍＨ_２Ｏ以上の圧力損失を有しているのが好ましい。

本発明は、上述の香味カートリッジを製造する方法もまた提供し、この方法や、本発明の他の目的及び香味吸引器の詳細な構造は後述の説明から明らかとなる。

本発明の非加熱型香味吸引器は、香味カートリッジからのたばこの香味成分を効果的に放出させる一方、吸込み音の発生をも抑制可能である。

第１実施例の香味吸引器を示す断面図である。 図１中のII-II線に沿う香味吸引器の断面図である。 図１の香味カートリッジを示す斜視図である。 香味カートリッジの断面図である。 香味カートリッジの製造手順を（ａ）〜（ｇ）の順序で示す図である。 第２実施例の香味カートリッジの製造手順を（ａ）〜（ｅ）の順序で示す図である。 試験吸引器を示した断面図である。 図７の吸引器に使用された圧縮プレートの平面図である。 別の圧縮プレートの平面図である。 更に別の圧縮プレートの平面図である。 図７の試験吸引器に使用される測定装置を示した概略図である。 パフ回数とニコチンの送出量との関係を示したグラフである。 別の試験吸引器を示した断面図である。 流路抵抗を示す変数値と吸込み音との関係を示したグラフである。 香味発生材料の圧縮率と回復時間との関係を示したグラフである。 １つの変形例の香味吸引器を示す断面図である。 １つの変形例の香味吸引器を示す断面図である。 図１７中のVIII-VIII線に沿う吸引器の断面図である。 １つの変形例の香味吸引器を示す断面図である。 図１９中のX-X線に沿う吸引器の断面図である。 １つの変形例の香味吸引器を示す断面図である。 図２１中のXII-XII線に沿う吸引器の断面図である。 １つの変形例の香味吸引器を示す断面図である。 １つの変形例の香味吸引器を示す側面図である。 １つの変形例の香味吸引器を示す側面図である。 図２５中の矢視Ａ方向から視た香味カートリッジの正面図である。 １つの変形例の香味吸引器を示す断面図である。 １つの変形例の香味吸引器を示す断面図である。 図２８中のXIX-XIX線に沿う断面図である。 １つの変形例の香味吸引器を示す断面図である。 １つの変形例の香味吸引器を示す断面図である。 １つの変形例の香味吸引器を示す断面図である。 １つの変形例の香味吸引器を示す断面図である。 図３３中のXIV-XXIV線に沿う吸引器の断面図である。 １つの変形例の香味吸引器を示す断面図である。 １つの変形例の香味カートリッジの平面図である。 図３６に示された香味カートリッジを備えた香味吸引器の水平断面図である。 図３７の香味吸引器の縦断面図である。 １つの変形例の香味カートリッジを示す平面図である。 １つの変形例の香味カートリッジを示す平面図である。 １つの変形例の香味カートリッジを示す正面図である。 １つの変形例の香味カートリッジの平面図である。 １つの変形例の香味カートリッジ断面図である。 １つの変形例の香味カートリッジの平面図である。

図１を参照すれば、第１実施例に係る非加熱型香味吸引器１（以下、単に吸引器と称する）は合成樹脂製のホルダ２を備えている。このホルダ２は中空の円筒形状をなし、開口した後端及び前端を有する。後端は吸口端４を形成し、前端はその上側の半分のみにて開口されている。この開口は半円形の外気導入口１６を形成する。それ故、ホルダ２内には外気導入口１６から吸口端４に至る流路が形成されている。

ホルダ２の内径は４〜１４ｍｍの範囲にあることが望ましい。また、ホルダ２は楕円の断面形状を有することもでき、この場合、楕円の長径もまた４〜１４ｍｍの範囲にあるのが望ましい。
ホルダ２の内周面からは半円形の仕切り壁６が突出されている。この仕切り壁６はホルダ２の軸線方向でみて、ホルダ２の中央よりも吸口端４側に位置付けられている。このような仕切り壁６は、ホルダ２の横断面の約半分に相当する半円形の領域を閉塞する。

更に、図２から明らかなように、ホルダ２の内周面には一対の長手方向溝８が形成されている。これら長手方向溝８はホルダ２の軸線を挟み且つホルダ２の直径方向に互いに離間して配置され、仕切り壁６の突出端からホルダ２の前端までホルダ２の軸線と平行に延びている。

ホルダ２内には香味カートリッジ３０が配置されている。この香味カートリッジ３０はホルダ２の前端から仕切り壁６までホルダ２の軸線上を延び、一対の長手方向溝８に嵌め込まれた一対の側縁を有する。即ち、香味カートリッジ３０はホルダ２に支持されている。詳しくは、香味カートリッジ３０は板状をなし、ホルダ２の内径より若干大きい幅、つまり、一対の長手溝８の底間の距離にほぼ等しい幅を有する。

本実施例の場合、香味カートリッジ３０及び仕切り壁６は、ホルダ２内の流路を上流域１２及び下流域１４に区分する。上流域１２はホルダ２の前端側に位置付けられ、ホルダ２の軸線方向でみて外気導入口１６から仕切り壁６まで延び、一方、ホルダ２の径方向に関しては、ホルダ２の半円の内周面と香味カートリッジ３０とによって区画されている。それ故、上流域１２は半円形状の流路断面を有する。

一方、下流域１４は、ホルダ２の前端から吸口端４まで延び、フロント流路１４ｆ及びリア流路１４ｒを有する。詳しくは、フロント流路１４ｆは、ホルダ２の前端から仕切り壁１６まで延び、上流域１２との間にて香味カートリッジ３０を挟み込んでいる。それ故、フロント流路１４ｆは、上流域１２と同様に半円形状の流路断面を有する。この結果、香味カートリッジ３０は上流域１２及びフロント流路１４ｆに露出する矩形の露出面積をそれぞれ有し、これら露出面積はホルダ２の横断面積よりも十分に広い。なお、リア流路１４ｒは円形の流路断面を有し、仕切り壁１６から吸口端４まで延びている。

図３及び図４に示されるように、香味カートリッジ３０は矩形の枠３４と、この枠３４内に直接に充填された香味発生材料３２とを含む。この香味発生材料３２は主として粒状たばこを有し、この粒状たばこは、たばこ葉を裁刻又は粉砕して形成され、０．２〜２．０ｍｍの粒径を有する。

好ましくは、香味発生材料３２はアルカリ金属又はアルカリ土類金属の炭酸塩又は炭酸水素塩等の添加剤を更に含むことができ、この添加剤は粒状たばこからの香味成分の放出を促す。例えば、添加剤が炭酸カリウムである場合、炭酸カルシウムは、粒状たばこの乾燥重量に対し、１〜１０重量％の割合で添加されているのが望ましい。

上述した香味発生材料３２はバインダを含んでいないので、香味発生材料３２中の粒状たばこは空気に対して十分な接触面積を有する。それ故、香味発生材料３２は、粒状たばこが加熱されなくても、粒状たばこから十分な香味成分を放出することができる。なお、香味発生材料３２は、粒状たばこ以外に他の香料を含むこともでき、この他の香料は粒状たばこの香気成分とは異なる香気成分を放出する。

それ故、枠３４はポリプロピレン(PP)等の汎用の樹脂によって形成可能であるが、粒状たばこや他の香料の香味成分が付着し難い方が望ましい。例えば、枠３４の材料にはエチレンービニルアルコール共重合体(EVOH:商標)が好適するが、紙もまた使用可能である。

更に、香味カートリッジ３０は、一対の圧縮要素、即ち、圧縮プレート３６を含み、これら圧縮プレート３６は枠３４の上下の蓋を形成し、前述した香味発生材料３２を所定の要求圧縮状態に維持する。ここでの要求圧縮状態については後述する。また、圧縮プレート３６もまた香味発生材料３２に直接接触するので、圧縮プレート３６もまた枠３４と同様な材料から形成されているのが好ましい。

更に、各圧縮プレート３６には複数の通気口３７が形成されており、これら通気口３７は圧縮プレート３６の存在に拘わりなく、香味カートリッジ３０の通気性を担保する。詳しくは、香味カートリッジ３０の縦断面でみて、一方の圧縮プレート３６の通気口３７は、他方の圧縮プレート３６の通気口３７と少なくとも部分的にオーバラップしているのが好ましい（図４参照）。
上述したように通気口３７は香味カートリッジ３０の通気性を担保するもの、香味発生材料が主として粒状たばこであるから、この粒状たばこが通気口３７を通じて零れ落ちて、要求圧縮状態の維持が困難になり、通気口３７の存在は好ましいものではない。

それ故、本実施例の場合、各通気口３７は通気要素として通気性シート３９で覆われており、この通気性シート３９は０．５ｍｍH_２O以上の圧力損失を有する。具体的には、通気性シート３９は不織布やメッシュシート等によって形成され、接着剤により圧縮プレート３６に貼り付け可能であるが、より好ましく、通気性シート３９が圧縮プレート３６と同一の材料で形成され又はコーティングされていれば、圧縮プレート３６に熱溶着又は超音波用溶着によって貼り付け可能となる。

図５は、上述の香味カートリッジ３０の製造装置及びその製造手順を概略的に示す。
製造装置４０は支持台４２を備え、支持台４２上に枠３４が通気性シート３９を既に備えた下側の圧縮プレート３６を介して配置される（図５（ａ））。このとき、枠３４及び下側の圧縮プレート３６は既に相互に結合された状態にある。なお、図５中、通気性シート３９は省略されている。

製造装置４０は、ガイドフレーム４４及びプッシャ４６を更に備えている。ガイドフレーム４４は、枠３４の内面形状に合致する内面形状を有する。それ故、ガイドフレーム４４が枠３４上に配置されたとき、ガイドフレーム４４は枠３４の延長部分を形成する（図５（ｂ））。
一方、プッシャ４６は、ガイドフレーム４４内に嵌合可能な大きさを有し、ガイドフレーム４４及び枠３４内を上下方向に移動可能である（図５（ｅ））。

香味カートリッジ３０の製造にあたっては、先ず、予め所定の量に計量された香味発生材料３２がガイドフレーム４４内を通じて枠３４内に充填される（図５（ｂ））。このとき、香味発生材料３２の充填高さは枠３４よりも上方、即ち、ガイドフレーム４４内に位置付けられている（図５（ｃ））。この後、香味発生材料３２の表面は必要に応じて平らにされる（図５（ｄ））。

このような状態で、プッシャ４６がガイドフレーム４４の上方からガイドフレーム４４内に挿入され、プッシャ４６は香味発生材料３２を枠３４内にて前述した要求圧縮状態よりも過度な過度圧縮状態まで圧縮する。この後、プッシャ４６及びガイドフレーム４４が枠３４の上方に規定された休止位置までそれぞれ復帰されると、直ちに枠３４の上面に、通気性シート３９を既に備えた上側の圧縮プレート３６が取り付けられ、この時点で、香味カートリッジ３０の製造が完了する（図５（ｅ））。

上述したプッシャ４６による香味発生材料３２の要求圧縮状態は、香味発生材料３２に１５０〜２５００ｍｇ／ｃｃの範囲の嵩密度を提供する。具体的には、圧縮後の香味発生材料３２の嵩密度は、圧縮前の香味発生材料３２の嵩密度に比べて１．５〜５倍である。例えば、枠３４の開口面積が１００〜１０００ｍｍ^２、そして、枠３４の高さが１〜６ｍｍである場合、香味発生材料３２の充填量は１００〜１０００ｍｇである。このような充填量にて香味発生材料３２が充填されれば、香味発生材料３２は枠３４内、即ち、香味カートリッジ３０内にて、十分な通気性を有しつつ、所定の要求圧縮状態に維持され、この結果、枠３4内での香味発生材料３２の片寄りは確実に防止される。

上側の圧縮プレート３６が取り付けられるとき、プッシャ４６による香味発生材料３２の圧縮が解放されているので、香味発生材料３２は過度圧縮状態から膨脹するが、過度圧縮状態と要求圧縮状態の中間の圧縮状態にあって、香味発生材料３２の表面と上側の圧縮プレート３６との間には隙間が確保されている。

それ故、上側の圧縮プレート３６の取り付け時、この圧縮プレート３６と枠３４との間への香味発生材料３２の噛込みは確実に阻止される。そして、上側の圧縮プレート３６の取り付け後でも、香味発生材料３２の膨脹は更に継続されるが、ここの膨脹は、香味発生材料３２が上側の圧縮プレート３６に達した時点で阻止される。この結果、香味発生材料３２は要求圧縮状態に維持される。

なお、図５の製造装置４０の説明からな明らかなように、下側の圧縮プレート３６は枠３４と一体に形成されていてもよい。
更に、図５の製造装置４０は、香気発生材料３２の圧縮解放後、香味発生材料３２の膨脹を抑制するためにサクション機構を更に含むことができる。具体的には、サクション機構は複数のサクションノズル（図示しない）を有する。これらサクションノズルは下側の圧縮プレート３６の通気口３７に位置付けられる一方、サクション源に接続されている。サクションノズルは枠３４内の空気を吸引し、このような空気の吸引は香味発生材料３２を下側の圧縮プレートに３６に向けて引き付け、香味発生材料３２の膨脹を抑制する。この場合、枠３４への上側の圧縮プレート３６の取り付けに時間的な余裕が生じる。

上述した第１実施例の香味吸引器１によれば、ユーザがホルダ２の吸口端４から吸気したとき、図１中の矢印で示されるように、外部の空気はホルダ２の外気導入口１６から上流域１２内に一旦流入し、この後、上流域１２の全域から香味カートリッジ３０内をホルダ２の径方向に通過し、下流域１４に至る。即ち、空気はホルダ２の軸線方向に沿う香味カートリッジ３０の広い面の全域に亘って、香味カートリッジ３０内一様に通過する。

それ故、空気は香味カートリッジ３０内の香味発生材料３２（粒状たばこ）に良好に接触でき、これにより、空気は粒状たばこから放出された香味成分を効果的に含むことができる。この後、下流域１４に流入した香味成分を含む空気は吸口端４に向けて導かれ、ユーザの口腔内に至る。
従って、ユーザに吸い込まれる空気にはたばこの香味成分が十分含まれていることから、ユーザはたばこの香味を効果的に味わうことができる。

ところで、前述したようにユーザが香味吸引器１を通じて吸気したとき、ホルダ２内の空気の流れが吸込み音を発生させてしまうことがある。しかしながら、本発明の香味吸引器１は吸込み音の発生を効果的に抑制することができる。
詳しくは、香味カートリッジ３０内の香味発生材料３２は上述した要求圧縮状態に維持されているので、香味発生材料３２は吸込み音を減衰させる吸音壁としても働き、吸込み音の発生を効果的に阻止する。

更に、香味カートリッジ３０は長手方向溝８にしっかりと嵌合された状態でホルダ２内に支持されているから、香味カートリッジ３０と長手方向溝８との間を通過するような空気の回り込みが阻止され、このような空気の回り込みに起因する音漏れをも確実に防止される。
更に、香味吸引器１は、通常のシガレットと同様な大きさ且つ形状を有することができるので、ユーザは通常のシガレットと同じような吸引感覚にて香味吸引器１を使用することができる。

図６は第２実施例の香味吸引器１に適用される香味カートリッジ３０及びその製造装置を概略的に示す。
香味カートリッジ３０は、香味発生材料３２を包み込む通気性パウチ８６を更に含み、これら香味発生材料３２及び通気性パウチ８６は、香味パック８７を形成する。通気性パウチ８６は前述した通気性シート３９と同様に不織布から形成され、０．５ｍｍH_２O以上の圧力損失を有する。

第２実施例の場合、圧縮プレート３６は通気性シート３９を備えている必要はない。
図６に示された製造装置４０は以下の手順にて香味カートリッジ３０を製造する。
先ず、枠３４が支持台４２上に配置され（図６（ａ））、枠３４内に製造された香味パック８７が収容される（図６（ｂ））。この後、香味パック８７はプッシャ４６により過度圧縮状態まで圧縮される（図６（ｃ））。プッシャ４６による香味パック８７の圧縮が解放された後、上側の圧縮プレート３６が枠３４に取り付けられ（図６（ｄ））、この時点、香味カートリッジ３０の製造が完了し（図６（ｅ））、香味パック８７の香味発生材料３２は要求圧縮状態に維持される。

第２実施例の香味パック８７もまた、第１実施例の圧縮された香味発生材料３２と同様に吸音効果を発揮する。
香味パック８７、即ち、香味発生材料３２の吸音効果を検証するため、図７に示される試験吸引器８８が準備された。

試験吸引器８８の仕様は以下の通りである。
通気性パウチ８６の材料：ポリオレフィンの不織布（廣瀬製紙株式会社製 HOP-30H）
なお、HOP-30H中の数字は目付(ｇ／ｍｍ^２)を示す。
通気性パウチ８６のサイズ：:１１ｍｍ×５０ｍｍ
香味発生材料３２：０．２ｍｍ〜１．１８ｍｍの篩で選別された粒状たばこ（国産バーレー種、
嵩密度＝１４２ｍｇ／ｃｃ、見掛け密度＝５５０ｍｇ/ｃｃ
香味発生材料３２の充填量：２００ｍｇ，３００ｍｇ
枠３４の内部サイズ：１０ｍｍ×５０ｍｍ、
枠３４の有効深さＤ（上下の圧縮プレート３６間の距離）：２ｍｍ，３ｍｍ，４ｍｍ
上下の圧縮プレート３６ａのサイズ:長さＬ＝５０ｍｍ、幅Ｗ＝１０ｍｍ
各圧縮プレート３６ａの通気口３７のサイズ及び個数、配置：直径７ｍｍの４つの円孔、ピッチ１０ｍｍ

以下の表１は、吸込み音に関し、図７の試験装置を複数の評価員が繰り返して吸引試験した結果を示す。

表１の結果から明らかなように、香味発生材料３２の充填量が同一の場合、枠の有効容積（枠３４及び一対の圧縮プレート３６ａで囲まれた容積）が小さい程、つまり、香味発生材料３２が圧縮されていればいる程、吸込み音は気にならない。このことは、香味発生材料３２の圧縮が吸込み音の軽減に有効であることを示す。

次に、香味発生材料３２から空気へのたばこ成分（ニコチン）の送出に及ぼす圧縮プレート３６の通気口３７の影響について検証した。
先ず、この検証のために、図９及び図１０に示される圧縮プレート３６ｂ，３６ｃが新たに準備された。圧縮プレート３６ｂは５つの通気口３７を有する点のみで、圧縮プレート３６ａとは異なる。圧縮プレート３６ｃは円孔の通気口に代えて、長孔の通気口３７を有する。この場合、個々の通気孔３７のサイズは２．４ｍｍ×１４．６ｍｍであり、そして、通気孔３７は、圧縮プレート３６の中央域に２×２の配列で分布されている。

図７の試験吸引器８８は、使用される圧縮プレート３６の組合せにより、試験吸引器８８ａ，８８ｂ，８８ｃに分けられ、これら試験吸引器８８ａ，８８ｂ，８８ｃにおける圧縮プレート３６の組合せは以下の通りである。

試験吸引器８８ａ，８８ｂ，８８ｃには有効深さＤが２ｍｍの枠３４が使用され、この枠３４内に香味パック８７が収容された。この場合、香味パック８７の香味発生材料３２は、粒状たばこ及び添加剤としての粉状の炭酸カリウムの混合物であり、混合物の重量は２００ｍｇである。粒状たばこは、国産のバーレー種の葉たばこを粉砕した後、０．５ｍｍ〜１．１８ｍｍの篩で選別して得られた。

更に、香味発生材料３２から空気へのたばこ成分、即ち、ニコチンの送出量を測定するため、図１１に示される測定装置８９が使用された。
測定装置８９は、エタノールを２０ｍｌ含むインピンジャ９１を備える。具体的には、インピンジャ９１には木下理化工業株式会社製の木下式ガス吸収洗浄瓶（標準型５０ｍｌ）が使用された。インピンジャ９１はその内部にフィルタ粒子（１００〜２００μｍ）を有する一方、その内部から導出された吸引管９３及び送出管９５をそれぞれ有する。

吸引管９３には、試験吸引器８８におけるホルダ２の吸口端４が接続され、一方、送出管９５には電磁弁９７、マスフローコントローラ(ＭＦＣ)９９を経て吸引ポンプ１０１に接続されている。更に、電磁弁９７にはバルブコントローラ(ＶＣ)１０３が電気的に接続され、このバルブコントローラ１０３は電磁弁９７の開閉作動を制御する。

具体的には、バルブコントローラ１０３による開閉作動により、電磁弁９７はパフサイクルを繰り返す。ここで、パフサイクルは、吸引ポンプ１０１とインピンジャ９１との間を４秒間接続する吸引期間と、この後、インピンジャ９１を大気に１１秒間開放する休止期間とを含む。なお、マスフローコントローラ９９の流量は３３００ｃｃ／ｍｉｎに設定されている。

そして、インピンジャ９１の吸引管９３に試験吸引器８８ａ，８８ｂ，８８ｃの１つが接続され、室温２２℃、湿度６０％の環境下にて、前述のパフサイクルが５０回繰り返された。この結果、香味パック８７から吸引空気に送出されたニコチンがインピンジャ９１中のエタノール中に捕集された。

この後、インピンジャ９１からニコチンを捕集したエタノールが取り出され、取り出されたエタノールはガスクロマトグラフ質量分析計で分析され、試験吸引器８８から１つのパフサイク
ル（１パフ）当たりにおけるニコチンの送出量が測定された。

更に、上述の捕集及び分析測定は繰り返して実施され、試験吸引器８８に対する測定プロセスはパフサイクルが所定回数に達した時点で終了した。
このような測定プロセスは各試験吸引器８８に対して実施され、その測定結果は図１２に示されている。

図１２から明らかなように、試験吸引器８８ａ，８８ｂ，８８ｃの測定結果に差異は殆ど見られない。試験吸引器８８ａのように、上下の圧縮プレート３６の通気口３７は香味パック８７を挟んで対称に配置されるのが一般的である。しかしながら、試験吸引器８８ｂ，８８ｃのように上下の圧縮プレート３６の通気口３７が非対称に配置されていても、ニコチンの送出量やパフ回数の増加に伴う送出量の変化に関し、試験吸引器８８ａと試験吸引器８８ｂ，８８ｃとの間に差は生じない。

ここで、上述した通気口３７の非対称配置は、上下の圧縮プレート３６による香味パック８７（香味発生材料３２）の圧縮面が非対称になることを意味することから、香味発生材料３２に加わる圧力が分散される。このような圧力の分散は香味発生材料３２を要求圧縮状態に維持するうえで好適する。

しかしながら、香味発生材料３２内での空気の流れを考えたとき、通気口３７の完全な非対称配置は、香味発生材料３２内に空気の流れが生じない領域を増加せることにもなり、
空気へのたばこ成分の送出を悪化させることにもなる。それ故、前述したように上下の通気口３７は部分的にオーバラップすべく配置されているのが好適する。

次に、前述した香味発生材料３２の圧縮による吸音効果を検証するため、図１３に示される試験吸引器１０５が準備された。
吸引試験器１０５は軸線を有し、この軸線に沿って並ぶ上流部材１０７、メッシュ部材１０９、枠３４、メッシュ部材１１１、下流部材１１３及び吸口部材１１５を備え、これらは複数の連結ボルト・ナット１１７により一体的に結合されている。

詳しくは、上流部材１０７及び下流部材１１３はステンレス鋼からなる厚み２ｍｍのシートであって、その中央域に円形の開口１１９を有する。この開口１１９の直径は枠３４の内径と同一の大きさを有する。
メッシュ部材１０９，１１１は、０．１ｍｍの径を有するステンレス鋼のワイヤによって形成され、１００メッシュの開口度を有する。それ故、メッシュ部材１０９，１１１の圧力損失は限りなく零に近い。なお、メッシュ部材１０９，１１１は香味カートリッジ３０の圧縮プレート３６に相当する。

枠３４には大きさが異なる複数の枠が準備されるが、これら枠３４には異なる３つの充填量にて粒状たばこが充填される。即ち、メッシュ部材１０９，１１１、枠３４及び粒状たばこは香味カートリッジ３０を形成するが、香味カートリッジ３０は粒状たばこの充填量の相違により、３つの香味カートリッジ３０ａ，３０ｂ，３０ｃに分けられ、これら香味カートリッジ３０ａ，３０ｂ，３０ｃの充填量はそれぞれ、１００ｍｇ，２００ｍｇ，３００ｍｇである。

吸口部材１１５はテフロン（登録商標）からなり、吸口端４を有する。この吸口端４の内径及び外径はそれぞれ６ｍｍ，８ｍｍである。
香味カートリッジ３０ａが取り付けられた試験吸引器１０５を使用し、複数の試験員による吸引試験が実施され、この際、試験員から５０ｃｍ離れて位置にて、複数の評価員が試験吸引器１０５からの吸込み音の発生や香味カートリッジ３０内での粒状たばこの片寄りに関して評価した。ここでの評価結果は以下の表３に示されている。

また、香味カートリッジ３０ｂ，３０ｃが取り付けられた試験吸引器１０５に対しても同様な評価が実施され、これらの評価結果は以下の表４，５にそれぞれ示されている。

表３〜表５中、吸込み音の評価に関し、O,Δ,Xのそれぞれは、「気にならない」、「やや気になる」、「気になる」を表す。
また、粒状たばこの片寄りは、以下のようにして評価された。
評価員は試験吸引器１０５を横向きの姿勢にして状態で、試験吸引器１０５よりも２ｃｍ上方の位置から試験吸引器１０５を１０回タッピンクし、枠３４内に隙間、即ち、粒状たばこの片寄りが発生しているか否かを確認した。表３〜表５中、Oは、「片寄り無し」、Xは「片寄り有り」をそれぞれ表す。

なお、吸込み音及び片寄りの評価に関し、表３〜表５中の空白は未評価を表す。
更に、表３〜表５には、各条件下での粒状たばこの圧縮状態が圧縮率として示されている。ここで、圧縮率は、下記から求められる。
圧縮率（％）＝(１−枠内の充填容積／粒状たばこの自然な充填体積)×１００
粒状たばこの自然な充填体積＝充填重量／嵩密度
なお、圧縮率に関し、表３〜表５中の空白は非圧縮を示す。

表３〜表５は、粒状たばこの充填重量が何れであっても、粒状たばこが圧縮されていれば、枠３４内での粒状たばこの片寄りが確実に防止され、そして、圧縮率が高くなればなる程、吸込み音も気にならないことを示す。
更に、表３〜表５は、圧縮率が同様な条件下では、枠３４の内径が小さい程、つまり、通気口３７の総面積（開口１１９の面積）が小さい程、吸込み音の発生がより抑制されることを示す。

吸込み音及び片寄りの評価に関し、表３〜表５中に示された「＊」は、粒状たばこに片寄りが発生していなくても、吸込み音の抑制が不十分であることを示す。それ故、実際の香味吸引器の設計にあっては、吸込み音及び片寄りを共に考慮しなければならない。

この点に関して更に検討する。
粒状たばこの充填層は流路抵抗を有するが、この流路抵抗が大きくなればなるほど、充填層は吸込み音の反射及び吸収により優れたものになると考えられる。充填層の流路抵抗は、コゼニー・カルマンの式で表されることが知られており、以下の式で代表することができる。

流路抵抗＝（（１−空隙率＾２）／空隙率＾３）Ｘ（充填高さ／断面積）Ｘ定数……(1)
空隙率＝（枠内の充填体積−充填した粒状たばこ自体の体積）／枠内の充填体積
粒状たばこ自体の体積＝充填重量／見掛け密度

(1)式中の（（１−空隙率＾２）／空隙率＾３）Ｘ（充填高さ／断面積）[l/mm]を変数項としてみたとき、この変数項と吸込み音との関係について検討したところ、図１４に示される結果が得られた。図１４中のO,Δ,Xのそれぞれは、吸込み音に関し、「気にならない」、「やや気になる」、「気になる」を表す。図１４から変数項が０．００５以上であれば、吸込み音を確実に抑制できることが分かる。

次に、前述した通気性シート３９や通気性パウチ８６が有する圧力損失と吸込み音の抑制効果との関係について検討した。
ここで検討には、図１３の試験吸引器１０５と、この試験吸引器１０５のメッシュ部材１０９，１１１と枠３４との間に異なる圧力損失を有した不織布を配置した試験吸引器が使用された。以下の表６は、複数種の不織布と圧力損失との関係を示す。

表６中の不織布は何れも、廣瀬製紙株式会社製のポリオレフィン不織布である。
なお、不織布の圧力損失は以下のように評価された。

ここでは、空の香味カートリッジが含む試験吸引器が準備され、この香味カートリッジは内径２０ｍｍ、高さ５ｍｍの枠と、この枠の上下に張り付けられた不織布とを含む。このような試験吸引器は１L／ｍｉｎの流量で吸引され、この際の水柱差が測定された。ここでの測定結果は２枚の不織布が有する圧力損失を示すことかから、表６中の圧力損失は測定結果の１／２で示されている。詳しくは、表６中の圧力損失は、０．０５ｍ／ｓの線速度にて評価された１枚の不織布の水柱圧（ｍｍＨ_２Ｏ）である。

以下の表７は、図１５の試験吸引器１０５と同様な試験吸引器を使用し、不織布の吸込み音抑制効果を評価した結果を示す。

表７中のO, Δ,Xの意味は前述した通りであり、Φは枠の内径を表す。
表７から明らかなように、不織布が少なくとも０．５ｍｍＨ_２Ｏ以上の圧力損失を有していれば、不織布は吸込み音の抑制効果を十分に発揮する。ここで、不織布の材質は特に指定れるべきものではない。

一方、前述した香料カートリッジ３０の製造に関し、香味発生材料３２（香味パック８７）の過度圧縮状態について検証した。
ここでの検証のための香味パックが準備され、この香味パックは、１１ｍｍＸ５０ｍｍのサイズを有し、３００ｍｇの香味発生材料３２及びHOP-30Hの通気性パウチを含む。

香味パックは１ｍｍ／ｓの等速圧縮にて、所定の高さまで圧縮され、この圧縮状態を５ｓｅｃ維持して圧縮が解放された後、香味パックの高さの変化が測定された。図１５は、香味パックを各圧縮率と、香味パックの圧縮後、香味パックの高さが香味パックの初期高さの７５％まで復元されるのに要した回復時間との関係を示す。ここで、圧縮率は下記で表される。
圧縮率（％）＝(１−香味パックの圧縮高さ／香味パックの初期高さ) Ｘ １００

要求圧縮状態と上側の圧縮プレート３６の取り付けに要する時間を考慮すると、香味パックは十分な過度圧縮状態まで圧縮されなければならないが、図１５から明らかなように、過度圧縮状態が余りにも過激になり過ぎると、香味パックの回復時間が長期に亘ってしまうことに留意しなければならない。

一方、前述した(1)式の変数値による吸込み音の抑制効果を期待するには、圧縮率が凡そ２５％以上の要求圧縮状態が要求される。このことを考慮すれば、図１５の回復時間は、過度圧縮状態から要求圧縮状態に復帰するまでの時間を表す。
それ故、上側の圧縮プレート３６の取り付けに要する時間を勘案すれば、過度圧縮状態は５０％以上の圧縮率を要求するが、８０％を超えた圧縮率になると、粒状たばこの破砕を招くことになる。それ故、過度圧縮状態は、５０％以上且つ８０％以下の圧縮率であるのが好ましい。

本発明は上述の第１及び第２実施例の香味吸引器に制約されるものではなく、種々の変更が可能であり、香味吸引器の変形例を以下に説明する。なお、これら変形例の香味吸引器の香味カートリッジ３０は、第１実施例又は第２実施例の何れものタイプであってよい。

図１６に示される香味吸引器１は、略Ｔ字形状をなした香味カートリッジ３０を含む。即ち、香味カートリッジ３０は一端に両側に張り出した張出部５０を有する。この張出部５０はホルダ２の前端に位置付けられ、ホルダ２の直径と略等しい幅を有する。

一方、ホルダ２の長手方向溝８はホルダ２の前端にて折曲され、この折曲部はホルダ２の外周面に開口し、張出部５０の受け入れを可能にする。この場合、ユーザは張出部５０にて香味カートリッジ３０を挟むことで、香味カートリッジ３０の取り扱いが容易となり、ホルダ２に対する香味カートリッジ３０の脱着が容易となる。

図１７及び図１８に示された香味吸引器１のホルダ２は、一対の長手方向溝８に代えて一対のガイドスロット５２を含む。これらガイドスロット５２はホルダ２の軸線を挟んでホルダ２の直径方向に互いに離間し、ホルダ２の前端壁から仕切り壁６に亘って互いに平行に延び、ホルダ２の外部と内部とを連通させる。

この場合、香味カートリッジ３０はホルダ２の直径と略等しい幅を有することができる。それ故、香味カートリッジ３０の両側縁が一対のガイドスロット５２にそれぞれ差し込まれたとき、枠３４の両側面はホルダ２の外周壁の一部を形成する（図１８参照）。このような香味カートリッジ３０は、香味カートリッジ３０がホルダ２内に配置されているか否かをユーザに容易に確認させるうえで役立つ。

図１９及び図２０に示された香味吸引器の場合、各長手方向溝８はその前端及び後端に香味カートリッジ３０に対するフロント押さえ面５４及びリア押さえ面５５をそれぞれ有する。フロント押さえ面５４は、長手方向溝８の上側の溝壁を凹ませることで提供され、押さえ面５５は、長手方向溝８の後端を仕切り壁６内に延長させることで提供されている。

一方、香味カートリッジ３０の枠３４はその前端縁にフロント押さえ面５４に対応する一対の突起５６を有し、これら突起５６は枠３４から突出し、枠３４の幅方向に互いに離間している。香味カートリッジ３０がホルダ２の長手方向溝８に差し込まれたとき、枠３４の後端はリア押さえ面５５にて押し付けられる一方、枠３４の突起５６はフロント押さえ面５４にて押し付けされる。この結果、枠３４、即ち、香味カートリッジ３０はホルダ２内にてしっかりと保持される。

図２１及び図２２に示された香味吸引器１の場合、フロント押さえ面５４及び突起５６は互い協働して楔構造を提供する。このような楔構造は、ホルダ２内での枠３４、即ち、香味カートリッジ３０の支持をより一層確実なものとする。

図２３に示された香味吸引器１は、その全体が楔形をなした香味カートリッジ３０を含む。詳しくは、香味カートリッジ３０はその幅が後端側に向かうに連れて減少する。一方、ホルダ２の一対の長手方向溝８の底壁間の距離は香味カートリッジ３０の楔形状に合わせて、前端から後端、即ち、仕切り壁６に向かって徐々に減少されている。

図２４に示された香味吸引器の香味カートリッジ３０は前端から後端に向けて徐々に減少された厚みを有する。一方、ホルダ２の一対の長手方向溝８の溝幅もまた、香味カートリッジ３０の厚みに合わせ、その前端から後端に向けて減少されている。それ故、香味カートリッジ３０がホルダ２内に完全に差し込まれたとき、香味カートリッジ３０の両側縁は一対の長手方向溝８に完全に密着し、香味カートリッジ３０がホルダ２内でばたつくことはない。

図２５及び図２６に示された香味吸引器の香味カートリッジ３０はその両側縁の上面のみに楔面５８を有する。これら楔面５８の厚みは香味カートリッジ３０の前端側から後端に向けて徐々に薄くなっている。この結果、香味カートリッジ３０はその両側縁を除き、ホルダ２の軸線と平行な上面を有することができる。このような変形例の香味吸引器は、香味カートリッジ３０内のたばこ材料の充填量を減らすことなく、ホルダ２内での確実な香味カートリッジ３０の保持を保証する。

図２７に示された香味吸引器１は、外気導入口１６に配置された通気性のフィルタ６０を更に含む。このフィルタ６０は、ユーザの吸気時、ホルダ２の上流域１２内を流れる空気の吸込み音を吸収する一方、空気に含まれる不純物を除去するうえで役立つ。なお、このフィルタ６０は、上流域１２の全域を占有していてもよい。

図２８及び図２９に示された香味吸引器１のホルダ２は外気導入口１６以外に、外気導入口６２，６３を更に含む。の外気導入口６２はホルダ２の外部と下流域１４とを直接に連通させる。一方、外気導入口６３は、下流域１４に対応するホルダ２の周壁に分布されている。具体的には、外気導入口６３はホルダ２の軸線方向に互いに間隔を存して配置され、ホルダ２の外部と下流域１４とを直接に連通させる。

ユーザが吸気したとき、外部の空気は、外気導入口１６、６２，６３からホルダ２内にそれぞれ流入する。外気導入口６２、６３からの空気の流入は上流域１２内の流れる空気の速度を低下させ、この結果、上流域１２内での吸込み音の発生は効果的に抑制される。

図３０に示された香味吸引器１のホルダ２は、上流域１２に対応したホルダ２の周壁に複数の外気導入口６４を有する。これら外気導入口６４はホルダ２の軸線方向に互いに間隔を存して形成され、ホルダ２の外部と上流域１２とを直接に連通させる。この場合にも、外気導入口６４から上流域１２内への空気の流入は、上流域１２内を流れる空気の速度を抑制する結果、吸込み音の発生が効果的に抑制される。

図３１に示された香味吸引器１の香味カートリッジ３０は、図３０の香味カートリッジと対比したとき、上流域１２の全域を占めるべく配置されている点で相違する。この場合、香味カートリッジ３０は上流域１２と同様な半円筒形状をなし、上流域１２を区画するホルダ２の内周面と接触する。

このような香味吸引器の香味カートリッジ３０は下流域１４の断面積の増大を可能にする。この結果、下流域１４を流れる空気の流速が減速されるから、吸気による吸込み音が抑制される。なお、香味カートリッジ３０が上流域１２の全域を占めていることから、香味カートリッジ３０を通過する空気の流れもまた高速になることもなく、よって、上流域１２でも吸込み音が発生しないことは言うまでもない。

図３２に示された香味吸引器１の香味カートリッジ３０は連通孔６６を更に有する。この連通孔６６は枠３４の後端に形成され、上流域１２と下流域１４とを互いに連通させている。このような連通孔６６は、香味カートリッジ３０を通過することなく、上流域１２から下流域１４への空気の流入を許容することから、下流域１４を流れる空気量、つまり、空気の流速を低下させ、下流域１４での吸込み音の発生が同様に抑制される。また、図示されていないが、連通孔６６は枠３４の前端に形成されてもよく、この場合、上流域１２を流れる空気量、つまり、空気の流速が低下され、上流域１２での吸込み音の発生が効果的に抑制される。

図３３及び図３４に示された香味吸引器１は開閉式のホルダ２を備える。ホルダ２は、アッパハーフパイプ７０及びロアハーフパイプ７１を含む。アッパハーフパイプ７０は上流域１２、仕切り壁６、下流域１４の一部及び外気導入口１６を有する。ロアハーフパイプ７１は下流区域１４の残部を有する。

一方、アッパ及びロアハーフパイプ７０，７１はホルダ２の軸線に沿って延びる一対ずつのアッパ開口縁及びロア開口縁を有し、対応するアッパ及びロア開口縁が重ね合わされたき、これらアッパ及びロア開口縁は互いに協働して前述した長手方向溝８を形成する。詳しくは、アッパ開口縁は長手方向溝８の一部を形成する切欠を有し、ロア開口縁は長手方向溝８の残部を形成する切欠を有する。

更に、アッパ及びロアハープ７０，７１の前端同士はセルフヒンジ７２を介して互いに接続されている。アッパハーフパイプ７０がセルフヒンジ７２の回りにロアハーフパイプ７１に対して回動されたとき、ホルダ２は開閉される。図２３中、開位置にあるホルダ２のアッパハーフパイプ７０は２点鎖線で示されている。

例えば、アッパハーフパイプ７０の開口縁の後端部には例えば凸部７４が形成され、一方、ロアハープパイプ７１の開口縁には凸部７４に対応して凹部７３が形成されている。ホルダ２が閉位置にあるとき、即ち、アッパハープパイプ７０及びロアハーフパイプ７１の開口縁同士が互い突き当てられているとき、凸部７４が凹部７３に嵌り込む。このような凹部７３及び凸部７４の係合は、ホルダ２が不用意に開くのを防ぎ、ホルダ２を閉状態に安定して維持するうえで役立つ。

一方、ホルダ２が閉位置にあるとき、図３４に示されるように、香味カートリッジ３０はアッパハープパイプ７０とロアハープパイプ７１との間に挟み込まれた状態で、その枠３４の両側縁が対応する長手方向溝８にそれぞれ嵌め合わされている。それ故、香味カートリッジ３０はホルダ２内にて移動不能に保持され、香味カートリッジ３０がホルダ２内にてがたつくことはない。なお、前述したようにホルダ２は開閉可能であるので、香味カートリッジ３０の交換は容易である。

図３５に示された香味吸引器１のホルダ２は、一対の長手方向溝８に代えて一対のレスト面７６を有する。これらレスト面７６はホルダ２内にて上流域１２に向けられ、ホルダ２の軸線に沿って互いに水平に延びている。

即ち、上流域１２を形成するホルダ２のアッパ半周面は下流域区１４のフロント流路１４ｆを形成するホルダ２のロア半周面よりも大きな曲率半径を有し、レスト面７６上に香味カートリッジ３０が配置されたとき、香味カートリッジ３０の両側縁はレスト面７６と吸引ホルダ２のアッパ半周面との間に挟み込まれる。つまり、アッパ半周面は香味カートリッジ３０をレスト面７６に押さえ付ける役割をはたし、この結果、香味カートリッジ３０はホルダ２内に確実に保持される。

図３６に示された香味カートリッジ９０の枠９１は、前述の枠３４と同じ形態であるが、その内部に２つのリブ９２を有する点で、枠３４とは相違する。リブ９２は枠９１内を３つの領域を区画する。これら領域は香味カートリッジ９０の長手方向に並び、香味発生材料９３ａ、９３ｂ、９３ｃをそれぞれ収容する。これら香味発生材料９３ａ、９３ｂ、９３ｃは互いに接触せず、異なる香味成分を放出可能である。更には、香味発生材料９３ａ、９３ｂ、９３ｃはたばこ原料の香味成分以外の香味成分を放出するものであってもよい。

図３７及び図３８に示されるように、香味カートリッジ９０がホルダ２内に配置されたとき、香味発生材料９３ａ、９３ｂ、９３ｃはホルダ２の軸線に沿って並ぶ。ユーザが吸口端４から吸気したとき、ホルダ２の上流域１２内を流れる空気の一部は香味発生材料９３ａ，９３ｂ，９３ｃの何れか通過し、下流域１４のフロント流路１４ｆ内にて混合される。つまり、このような混合空気は香味発生材料９３ａ，９３ｂ，９３ｃの香味成分をそれぞれ含み、そして、下流域１４のリア流路１４ｒを経て吸口端４に達する。この結果、ユーザは３種類の香味発生材料９３ａ，９３ｂ，９３ｃの香味成分を同時に味わうことができる。また、香味発生原意の組み合わせはユーザの嗜好に合わせて変更可能である。

図３９に示された香味カートリッジ９４の枠９５は枠９１の約半分の長さを有する。それ故、異なる香味発生材料９３ａ、９３ｂを保持した２つの香味カートリッジ９４が用意され、これら香味カートリッジ９４はホルダ２内にタンデムにして配置される。この場合にも、ユーザは複数の香味発生材料の香味成分を味わうことができる。

図４０に示された香味カートリッジ９０の枠９１は１つのリブ９２を有する。このリブ９２は枠９１内の中央を枠９１の軸線に沿って延び、枠９１内を上下の２つの領域に区画する。それ故、この香味カートリッジ９０もまた香味発生材料９３ａ、９３ｂを互いに接触させることなく収容できる。この場合、香味発生材料９３ａ、９３ｂは枠９１の軸線に沿って並行に配置されている。

更に、図４１に示される香味カートリッジ９６は円筒状のスリーブ９８を含み、このスリーブ９８はその内部にリブ９２を有する。このリブ９２はスリーブ９８内をその軸線に沿って延び、スリーブ９８内を左右の２つの領域に区画する。このような香味カートリッジ９６でも２種類の香味発生材料９３ａ、９３ｂを互いに接触させることなく収容することができる。

上述の香味カートリッジの保管中、香味カートリッジには香味発生材料９３に含まれる香味成分の揮発を阻止することが要求される。それ故、図４２に示される香味カートリッジ９０は非通気性の包材１００を更に含むことができる。この包材１００は、香味発生材料９３ａ，９３ｂ，９３ｃを枠９１とともに開封可能に密封している。図４３に示された香味発生材料９３は枠９１からの露出面のみが引き剥がし可能なシールフィルム１０２により気密に覆われている。

なお、シールフィルム１０２は各香味発生材料９３ａ、９３ｂ、９３ｃを個別に覆うものであってもよい。
また、図４４に示された２つの香味カートリッジ９４は個々に香味発生材料を含み、それぞれ非通気性の包材１０４により個別にピロー包装されている。それ故、保管中、１つの香味カートリッジ９４の香味発生材料の香味成分が他の香味カートリッジ９４の香味発生材料を劣化させることもない。なお、香味カートリッジ９４はピロー包装に限らず、ブリスター包装、開閉シールにより密閉されていてもよい。

１ 香味吸引器
２ ホルダ
４ 吸口端
６ 仕切り壁
８ 長手方向溝
１２ 上流域
１４ 下流域
１６ 外気導入口
３０ 香味カートリッジ
３２ 香味発生材料
３４ 枠
３６ 圧縮プレート
３７ 通気口
３９ 通気性シート
４０ 製造装置
４２ 支持台
４４ 投入ガイド
４６ プッシャ
５０ 張出部
５２ ガイドスロット
５４、５５ 押さえ面（押圧面）
５６ 突起
５８ 楔面
６０ フィルタ
６２ 外気導入口（空気取り入れ孔）
６３ 外気導入口（空気取り入れ孔）
６４ 外気導入口（空気取り入れ孔）
６６ 連通孔
７０ アッパハーフパイプ
７１ ロアハーフパイプ
７２ セルフヒンジ
７３ 凹部
７４ 凸部
７６ レスト面
８６ 通気性パウチ
８７ 香味パック
８９ 測定装置
９０ 香味カートリッジ
９１ 枠
９２ リブ
９３ 香味発生材料
９４ 香味カートリッジ
９５ 枠
９６ 香味カートリッジ
９８ スリーブ
１００ 包材
１０２ シールフィルム
１０４ 包材

Claims (13)

1. 軸線を有する中空のホルダであって、前端、吸口端としての後端、外気導入口、内部に規定され、前記外気導入口から取り入れた外気を前記吸口端まで導く流路とを含む、ホルダと、
   前記ホルダ内に配置され、前記ホルダ内を前記前端から前記吸口端に向け、前記軸線に沿って延びる通気性を有した香味カートリッジであって、前記流路を前記香味カートリッジから前記吸口端まで延びる下流域と、前記外気導入口に連通する前記香味カートリッジ側の上流域とに区分する、香味カートリッジと
   を備え、
   前記香味カートリッジは、
   枠と、
   前記枠内に充填され、着火されずに香味成分を放出する粒状の香味発生材料であって、たばこ葉を裁刻又は粉砕して得られた粒状のたばこを含む、香味発生材料と、
   前記香味カートリッジの通気性を確保しつつ、前記香味発生材料を圧縮状態に維持する圧縮装置と
   を含むことを特徴とする非加熱型香味吸引器。
2. 前記圧縮装置は、前記香味発生材料を前記軸線と直交する方向に圧縮する一対の圧縮要素を含み、各圧縮要素は前記香味カートリッジの通気性を担保する複数の通気口を有することを特徴とする請求項１に記載の非加熱型香味吸引器。
3. 前記香味発生材料の圧縮方向でみて、一方の圧縮要素の通気口は他方の圧縮要素の通気口に部分的にオーバラップしていることを特徴とする請求項２に記載の非加熱型香味吸引器。
4. 前記香味発生材料は、圧縮後における前記香味発生材料の流路抵抗を表す下式、
   （（１−空隙率＾２）／空隙率＾３）×（充填部高さ／断面積）の値が０．００５以上となるべく充填されていることを特徴とする請求項３に記載の非加熱型香味吸引器。
5. 前記香味カートリッジは、前記香味発生材料を包み込む通気性パウチを更に含むことを特徴とする請求項２に記載の非加熱型香味吸引器。
6. 前記通気性パウチは０．５ｍｍＨ_２Ｏ以上の圧力損失を有することを特徴とする請求項５に記載の非加熱型香味吸引器。
7. 前記香味発生材料は前記枠内に直接に充填され、
   前記香味カートリッジは、前記圧縮要素の前記通気口を覆う通気要素を更に含むことを特徴とする請求項２に記載の非加熱型香味吸引器。
8. 前記通気要素は０．５ｍｍＨ_２Ｏ以上の圧力損失を有することを特徴とする請求項７に記載の非加熱型香味吸引器。
9. 前記香味カートリッジは、異なる種類の香味発生材料を収容するために、複数の独立した収容領域を更に含むことを特徴とする請求項１に記載の非加熱型香味吸引器。
10. 前記香味カートリッジは、前記収容領域を開閉可能且つ気密に覆う包材を更に含むことを特徴とする請求項９に記載の非加熱型香味吸引器。
11. 非加熱型香味吸引器の香味カートリッジを製造する方法において、前記香味カートリッジは、枠と、この枠内に充填され、着火されずに香味成分を放出する粒状の香味発生材料であって、たばこ葉を裁刻又は粉砕して得られた粒状のたばこを含む、香味発生材料と、香味カートリッジの通気性を確保しつつ、前記香味発生材料を所定の要求圧縮状態に維持する蓋とを含む、前記方法は、以下の工程を備える、
    前記枠内に前記香味発生材料を所定の量だけ充填し、
    前記枠内の前記香味発生材料をプッシャにより圧縮し、
    前記枠に前記蓋を固定して、前記香味発生材料を前記要求圧縮状態に維持する、
    前記圧縮工程は、
    前記要求圧縮状態よりも過度な過度圧縮状態まで前記香味発生材料を圧縮する過度圧縮プロセスを含み、
    前記過度圧縮プロセスは、前記過度圧縮状態が解放されてから前記蓋の固定までの間に前記香味発生材料が前記要求圧縮状態と前記過度圧縮状態の中間の圧縮状態を提供し、この中間の圧縮状態は、前記蓋の固定後、前記要求圧縮状態への前記香味発生材料の膨脹を許容する、
    ことを特徴とする香味カートリッジの製造方法。
12. 前記過度圧縮プロセスは、前記香味発生材料を５０％以上且つ８０％以下の過度圧縮状態まで香味発生材料を圧縮することを特徴とする請求項１１に記載の香味カートリッジの製造方法。
13. 前記充填及び圧縮工程は、前記枠内への前記香味発生材料の充填及び前記枠内への前記プッシャの進入を案内するガイドフレームを使用し、このガイドフレームは前記枠の延長部材を形成することを特徴とする請求項１１に記載の香味カートリッジの製造方法。
    

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