JPWO2012014795A1 - 新規ret融合体の検出法 - Google Patents
新規ret融合体の検出法 Download PDFInfo
- Publication number
- JPWO2012014795A1 JPWO2012014795A1 JP2012526465A JP2012526465A JPWO2012014795A1 JP WO2012014795 A1 JPWO2012014795 A1 JP WO2012014795A1 JP 2012526465 A JP2012526465 A JP 2012526465A JP 2012526465 A JP2012526465 A JP 2012526465A JP WO2012014795 A1 JPWO2012014795 A1 JP WO2012014795A1
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- seq
- polypeptide
- gene
- amino acid
- kif5b
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12Q—MEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
- C12Q1/00—Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions
- C12Q1/68—Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions involving nucleic acids
- C12Q1/6876—Nucleic acid products used in the analysis of nucleic acids, e.g. primers or probes
- C12Q1/6883—Nucleic acid products used in the analysis of nucleic acids, e.g. primers or probes for diseases caused by alterations of genetic material
- C12Q1/6886—Nucleic acid products used in the analysis of nucleic acids, e.g. primers or probes for diseases caused by alterations of genetic material for cancer
-
- G—PHYSICS
- G01—MEASURING; TESTING
- G01N—INVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
- G01N33/00—Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
- G01N33/48—Biological material, e.g. blood, urine; Haemocytometers
- G01N33/50—Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing
- G01N33/53—Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor
- G01N33/574—Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor for cancer
- G01N33/57484—Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor for cancer involving compounds serving as markers for tumor, cancer, neoplasia, e.g. cellular determinants, receptors, heat shock/stress proteins, A-protein, oligosaccharides, metabolites
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12Q—MEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
- C12Q2525/00—Reactions involving modified oligonucleotides, nucleic acids, or nucleotides
- C12Q2525/10—Modifications characterised by
- C12Q2525/155—Modifications characterised by incorporating/generating a new priming site
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12Q—MEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
- C12Q2600/00—Oligonucleotides characterized by their use
- C12Q2600/118—Prognosis of disease development
Landscapes
- Health & Medical Sciences (AREA)
- Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Immunology (AREA)
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
- Analytical Chemistry (AREA)
- Pathology (AREA)
- Molecular Biology (AREA)
- Genetics & Genomics (AREA)
- Wood Science & Technology (AREA)
- Zoology (AREA)
- General Health & Medical Sciences (AREA)
- Physics & Mathematics (AREA)
- Oncology (AREA)
- Biotechnology (AREA)
- Microbiology (AREA)
- Hospice & Palliative Care (AREA)
- Biochemistry (AREA)
- Urology & Nephrology (AREA)
- Cell Biology (AREA)
- Biomedical Technology (AREA)
- Hematology (AREA)
- General Engineering & Computer Science (AREA)
- Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
- Biophysics (AREA)
- Food Science & Technology (AREA)
- Medicinal Chemistry (AREA)
- General Physics & Mathematics (AREA)
- Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
- Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)
Abstract
【課題】癌の新たな原因遺伝子であるポリヌクレオチドを解明し、これにより、当該ポリヌクレオチド又はそれがコードするポリペプチドの検出方法、及びそのためのキット及びプライマーセットを提供することを課題とする。【解決手段】癌患者の一部に存在している、KIF5B遺伝子の一部とRET遺伝子の一部との融合遺伝子が癌の原因遺伝子であることを見出し、当該遺伝子であるポリヌクレオチド及びそれがコードするポリペプチドの検出方法を構築した。前記検出方法では、KIF5B遺伝子の一部とRET遺伝子の一部との融合遺伝子、あるいは、それがコードする融合タンパク質を検出する。前記プライマーセット又は検出用キットは、KIF5Bをコードする部分から設計されるセンスプライマーと、RETをコードする部分から設計されるアンチセンスプライマーとを含む。【選択図】なし
Description
本発明は、RETキナーゼ領域を含む新規の融合遺伝子又は該融合遺伝子によってコードされる融合タンパク質の検出方法に関する。
レアレンジドデュアリングトランスフォーメーション(rearranged during transformation;RET)遺伝子は染色体10番長腕のセントロメア付近に存在し、21個のエキソンからなる。コードする蛋白質は容体型チロシンキナーゼであり、中央部に細胞膜貫通領域を有し、そのカルボキシル末端側にチロシンキナーゼ領域、アミノ末端側に細胞外領域を有する。カルボキシル末端のスプライシングの違いにより1072アミノ酸(RET9)、1106アミノ酸(RET43)、1114アミノ酸(RET51)の3種類の蛋白質が存在することが知られている(非特許文献1)。RETはリガンド/GFR複合体を介して二量体を形成することで自己のチロシンをリン酸化し活性化する(非特許文献1)。
甲状腺乳頭癌において、RET遺伝子が染色体内逆位もしくは染色体間転座により他の遺伝子(H4、ELE1など)と融合し、癌化能を持った融合型チロシンキナーゼRET/PTCが発現していることが報告されている(非特許文献2)。これらの融合はRETのチロシンキナーゼ領域のアミノ末端側で生じており、RETは細胞外領域及び細胞膜貫通領域を失い、融合パートナーとの融合蛋白質を形成している。融合パートナー分子の多くは複合体形成ドメインを有していることから、融合体自身も複合体を形成していると考えられており、この複合体形成がRETのチロシンキナーゼ活性の恒常的な自己リン酸化を引き起こし、細胞内シグナルが異常に活性化され癌化及び細胞増殖を惹き起こしていると考えられている(非特許文献2)。実際に、RET/PTC融合遺伝子をマウス正常細胞NIH3T3細胞に導入すると癌細胞様に形質転換すること、さらにはRETキナーゼ抑制化合物がRET/PTC融合遺伝子を発現した甲状腺癌細胞株の細胞増殖を抑制できることから、RET/PTC融合体が甲状腺癌の治療標的分子となる可能性が示唆されている(非特許文献3−5)。これまでに10種類以上のRET/PTC融合遺伝子が甲状腺癌において存在する事が報告されているが、肺癌でRET融合遺伝子が存在しているとの報告は無い。
キネシンファミリープロテイン5B(Kinesin family protein 5B;KIF5B)遺伝子は染色体10番短腕に存在し26個のエキソンからなる。KIF5Bは、細胞内の微小管輸送に関わるモーター蛋白質複合体の構成分子の一つであり、微小管に沿って移動する特性を有し細胞内物質輸送に関与していることが知られている(非特許文献6)。
これまでにKIF5Bと容体型チロシンキナーゼPDGFRαとの融合蛋白質が過好酸球増加症患者において発現しているとの報告がなされている(非特許文献7)。また、非小細胞肺癌において、KIF5Bと容体型チロシンキナーゼであるアナプラスチックリンフォーマキナーゼ(Anaplastic Lymphoma Kinase)との融合蛋白質が存在すると報告されている(非特許文献8)が、KIF5BとRETが融合しているとの報告はなされていない。
トレンド・イン・ジェネティクス(TRENDS in Genetics),(英国),2006年,22巻,p.627−636
ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・エンドクリノロジー(European journal of endoclinology),(英国),2006年,155巻,p.645−653
キャンサー・リサーチ(CANCER RESEARCH),(米国),2002年,62巻,p.7284−7290
ジャーナル・オブ・クリニカル・エンドクリノロジー・アンド・メタボリズム(The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism),(米国),2006年,91巻,p.4070−4076
ザ・ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(THE JOURNAL OF BIOLOGICAL CHEMISTRY),(米国),2007年,282巻,p.29230−29340
ネイチャー・レビューズ・モレキュラー・セル・バイオロジー(NATURE REVIEWS Molecular cell Biology),(英国),2009年,10巻,p.877−884
リューケミア(Leukemia),(英国),2006年,20巻,p.827−832
クリニカル・キャンサー・リサーチ(CLINICAL CANCER RESEARCH),(米国),2009年,15巻,p.3143−3149
癌の新たな原因遺伝子であるポリヌクレオチドを解明し、これにより、当該ポリヌクレオチド又はそれがコードするポリペプチドの検出方法、及びそのためのキット及びプライマーセットを提供することを課題とする。
本発明者は、肺癌患者から得た検体から、KIF5B遺伝子の一部と、キナーゼであるRET遺伝子の一部とが融合した新規の融合遺伝子を単離同定し(実施例1)、これらの融合遺伝子が肺癌患者検体に存在すること(実施例2)、また、これらの融合遺伝子が腫瘍形成能を有し、癌の原因遺伝子であることを見出した(実施例3、4及び6)。本発明者は、これらの知見から、これらの融合遺伝子およびそれにコードされる融合タンパク質の検出方法を構築し(実施例2及び実施例5)、そのためのキット及びプライマーセットを提供し、これらの融合遺伝子又はそれにコードされる融合タンパク質を検出することにより、RET阻害薬物治療の対象となる癌患者を選別することを可能とした。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[9]に関する。
[1]被験者から得た試料中の、下記に記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド又は該ポリペプチドの存在を検出する工程を含むことを特徴とする、キネシンファミリープロテイン5B(Kinesin family protein 5B;KIF5B)遺伝子とリアレンジドデュアリングトランスフォーメーション(rearranged during transformation;RET)遺伝子との融合遺伝子又は該融合遺伝子によってコードされる融合蛋白質の検出方法:
配列番号2若しくは配列番号4で表されるアミノ酸配列との同一性が90%以上であるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド。
[2]前記ポリペプチドが、配列番号2若しくは配列番号4で表されるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、又は、配列番号2若しくは配列番号4で表されるアミノ酸配列において、1〜10個のアミノ酸が欠失、置換、及び/若しくは挿入されたアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチドである、[1]の方法。
[3]前記ポリペプチドが、配列番号2若しくは配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチドである、[1]又は[2]の方法。
[4]下記に記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを特異的に増幅できるように設計したセンスプライマー及びアンチセンスプライマーを含む、KIF5B遺伝子とRET遺伝子との融合遺伝子の検出用キット:
配列番号2若しくは配列番号4で表されるアミノ酸配列との同一性が90%以上であるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド。
[5]前記ポリペプチドが、配列番号2若しくは配列番号4で表されるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、又は、配列番号2若しくは配列番号4で表されるアミノ酸配列において、1〜10個のアミノ酸が欠失、置換、及び/若しくは挿入されたアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチドである、[4]に記載のキット。
[6]前記ポリペプチドが、配列番号2若しくは配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチドである、[4]又は[5]に記載のキット。
[7]KIF5B遺伝子をコードする部分から設計されるセンスプライマー及びRET遺伝子をコードする部分から設計されるアンチセンスプライマーを含む、KIF5B遺伝子とRET遺伝子との融合遺伝子を検出するためのプライマーセットであって、前記[1]〜[3]のいずれかに記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドにストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸分子からなるアンチセンスプライマー及び該ポリヌクレオチドの相補鎖にストリンジェントな条件でハイブリダイズする核酸分子からなるセンスプライマーを含む、プライマーセット。
[8]配列番号1の塩基番号1から1725間の任意の連続する少なくとも16塩基のオリゴヌクレオチドからなるセンスプライマー及び配列番号1の塩基番号1726から2808間の任意の連続する少なくとも16塩基のオリゴヌクレオチドに対して相補的であるオリゴヌクレオチドからなるアンチセンスプライマーのプライマーセットであって、センスプライマーとアンチセンスセンスプライマーにより増幅される増幅産物の大きさが1kb以下である前記プライマーセット又はその相補鎖からなるプライマーセット。
[9]配列番号3の塩基番号1から1725間の任意の連続する少なくとも16塩基のオリゴヌクレオチドからなるセンスプライマー及び配列番号3の塩基番号1726から2934間の任意の連続する少なくとも16塩基のオリゴヌクレオチドに対して相補的であるオリゴヌクレオチドからなるアンチセンスプライマーのプライマーセットであって、センスプライマーとアンチセンスセンスプライマーにより増幅される増幅産物の大きさが1kb以下である前記プライマーセット又はその相補鎖からなるプライマーセット。
[1]被験者から得た試料中の、下記に記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド又は該ポリペプチドの存在を検出する工程を含むことを特徴とする、キネシンファミリープロテイン5B(Kinesin family protein 5B;KIF5B)遺伝子とリアレンジドデュアリングトランスフォーメーション(rearranged during transformation;RET)遺伝子との融合遺伝子又は該融合遺伝子によってコードされる融合蛋白質の検出方法:
配列番号2若しくは配列番号4で表されるアミノ酸配列との同一性が90%以上であるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド。
[2]前記ポリペプチドが、配列番号2若しくは配列番号4で表されるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、又は、配列番号2若しくは配列番号4で表されるアミノ酸配列において、1〜10個のアミノ酸が欠失、置換、及び/若しくは挿入されたアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチドである、[1]の方法。
[3]前記ポリペプチドが、配列番号2若しくは配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチドである、[1]又は[2]の方法。
[4]下記に記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを特異的に増幅できるように設計したセンスプライマー及びアンチセンスプライマーを含む、KIF5B遺伝子とRET遺伝子との融合遺伝子の検出用キット:
配列番号2若しくは配列番号4で表されるアミノ酸配列との同一性が90%以上であるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド。
[5]前記ポリペプチドが、配列番号2若しくは配列番号4で表されるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、又は、配列番号2若しくは配列番号4で表されるアミノ酸配列において、1〜10個のアミノ酸が欠失、置換、及び/若しくは挿入されたアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチドである、[4]に記載のキット。
[6]前記ポリペプチドが、配列番号2若しくは配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチドである、[4]又は[5]に記載のキット。
[7]KIF5B遺伝子をコードする部分から設計されるセンスプライマー及びRET遺伝子をコードする部分から設計されるアンチセンスプライマーを含む、KIF5B遺伝子とRET遺伝子との融合遺伝子を検出するためのプライマーセットであって、前記[1]〜[3]のいずれかに記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドにストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸分子からなるアンチセンスプライマー及び該ポリヌクレオチドの相補鎖にストリンジェントな条件でハイブリダイズする核酸分子からなるセンスプライマーを含む、プライマーセット。
[8]配列番号1の塩基番号1から1725間の任意の連続する少なくとも16塩基のオリゴヌクレオチドからなるセンスプライマー及び配列番号1の塩基番号1726から2808間の任意の連続する少なくとも16塩基のオリゴヌクレオチドに対して相補的であるオリゴヌクレオチドからなるアンチセンスプライマーのプライマーセットであって、センスプライマーとアンチセンスセンスプライマーにより増幅される増幅産物の大きさが1kb以下である前記プライマーセット又はその相補鎖からなるプライマーセット。
[9]配列番号3の塩基番号1から1725間の任意の連続する少なくとも16塩基のオリゴヌクレオチドからなるセンスプライマー及び配列番号3の塩基番号1726から2934間の任意の連続する少なくとも16塩基のオリゴヌクレオチドに対して相補的であるオリゴヌクレオチドからなるアンチセンスプライマーのプライマーセットであって、センスプライマーとアンチセンスセンスプライマーにより増幅される増幅産物の大きさが1kb以下である前記プライマーセット又はその相補鎖からなるプライマーセット。
また、本発明は、
下記工程を含むことを特徴とするRETキナーゼ領域を含む融合遺伝子陽性の癌(特には肺癌)の存在の検出方法;
被験者から得た試料中の、下記(1)乃至(3)に記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの存在を検出する工程、
(1)配列番号2若しくは配列番号4で表されるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、又は、配列番号2若しくは配列番号4で表されるアミノ酸配列において、1〜10個のアミノ酸が欠失、置換、及び/若しくは挿入されたアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、
(2)配列番号2若しくは配列番号4で表されるアミノ酸配列との同一性が90%以上であるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、あるいは、
(3)配列番号2若しくは配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
に関する。
下記工程を含むことを特徴とするRETキナーゼ領域を含む融合遺伝子陽性の癌(特には肺癌)の存在の検出方法;
被験者から得た試料中の、下記(1)乃至(3)に記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの存在を検出する工程、
(1)配列番号2若しくは配列番号4で表されるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、又は、配列番号2若しくは配列番号4で表されるアミノ酸配列において、1〜10個のアミノ酸が欠失、置換、及び/若しくは挿入されたアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、
(2)配列番号2若しくは配列番号4で表されるアミノ酸配列との同一性が90%以上であるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、あるいは、
(3)配列番号2若しくは配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
に関する。
本発明の検出方法は、KIF5B遺伝子と、RET遺伝子との融合遺伝子陽性の癌(特には肺癌)を検出する方法として利用できる。また、本発明の検出方法は、染色体の再構成を検出する方法として利用できる。また、本発明の検出方法によれば、RET阻害剤の適用対象者であるか否かを鑑別することができ、これにより、RET阻害薬による治療の有効性が期待されるテーラーメード医療が実践できる。本発明の検出用キット及びプライマーセットは、本発明の検出方法に用いることができる。
《本発明の検出方法》
本発明の検出方法には、(1)融合遺伝子の検出方法と、(2)前記融合遺伝子によってコードされる融合タンパク質の検出方法とが含まれる。
本発明の検出方法には、(1)融合遺伝子の検出方法と、(2)前記融合遺伝子によってコードされる融合タンパク質の検出方法とが含まれる。
(1)融合遺伝子の検出方法
本発明における融合遺伝子の検出方法は、被験者から得た試料中の、本明細書のポリヌクレオチドの存在を検出する工程を含む。
本発明における融合遺伝子の検出方法は、被験者から得た試料中の、本明細書のポリヌクレオチドの存在を検出する工程を含む。
被験者から得た試料としては、被験者からの採取物(生体から分離した試料)、具体的には、任意の採取された体液(好ましくは血液)、肺胞・気管支洗浄液、生検された試料、喀痰試料を用いるが、好適には、被験者の肺患部の生検試料又は喀痰試料を用いる。試料からゲノムDNAを抽出して用いることができ、またその転写産物(ゲノムが転写及び翻訳される結果生じる産物;例えばmRNA、cDNA、蛋白質)を用いることができる。特にはmRNA又はcDNAを調製して用いることが好ましい。
融合遺伝子の検出方法における「本明細書のポリヌクレオチドの存在を検出する工程」において、その検出対象となる本明細書のポリヌクレオチド(以下、検出対象ポリヌクレオチドと称する)は、KIF5Bの一部とRETキナーゼ領域を含むRETの一部との融合タンパク質であるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドのことをいう。検出対象ポリヌクレオチドとしては、下記(i)乃至(iii)に記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが特に好ましい。
(i)配列番号2若しくは配列番号4で表されるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、又は、配列番号2若しくは配列番号4で表されるアミノ酸配列において、1〜10個のアミノ酸が欠失、置換、及び/若しくは挿入されたアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド(以下、機能的等価改変体と称する)、
(ii)配列番号2又は配列番号4で表されるアミノ酸配列との同一性が90%以上であるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド(以下、相同ポリペプチドと称する)、並びに、
(iii)配列番号2又は配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド。
(i)配列番号2若しくは配列番号4で表されるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、又は、配列番号2若しくは配列番号4で表されるアミノ酸配列において、1〜10個のアミノ酸が欠失、置換、及び/若しくは挿入されたアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド(以下、機能的等価改変体と称する)、
(ii)配列番号2又は配列番号4で表されるアミノ酸配列との同一性が90%以上であるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド(以下、相同ポリペプチドと称する)、並びに、
(iii)配列番号2又は配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド。
配列番号2で表されるアミノ酸配列は、配列番号1で表される塩基配列によりコードされる配列である。配列番号4で表されるアミノ酸配列は、配列番号3で表される塩基配列によりコードされる配列である。配列番号2で表されるアミノ酸からなるポリペプチドである蛋白質を「KIF5B−RET融合ポリペプチドv1S」と称し、配列番号4で表されるアミノ酸からなるポリペプチドである蛋白質を「KIF5B−RET融合ポリペプチドv1L」と称する。「KIF5B−RET融合ポリペプチドv1S」及び「KIF5B−RET融合ポリペプチドv1L」を総称して「KIF5B−RET融合ポリペプチドv1」と称する。KIF5B−RET融合ポリペプチドv1Sをコードする遺伝子を「KIF5B−RET融合ポリヌクレオチドv1S」と称し、KIF5B−RET融合ポリペプチドv1Lをコードする遺伝子を「KIF5B−RET融合ポリヌクレオチドv1L」と称する。KIF5B−RET融合ポリペプチドv1をコードする遺伝子を「KIF5B−RET融合ポリヌクレオチドv1」と称する。
「機能的等価改変体」としては、「配列番号2又は配列番号4で表されるアミノ酸配列において、1〜10個、好ましくは1〜数個、更に好ましくは1〜7個、最も好ましくは1〜5個のアミノ酸が置換、欠失、及び/又は挿入されたアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド」が好ましく、「配列番号2又は配列番号4で表されるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド」が特に好ましい。
「相同ポリペプチド」は、「配列番号2又は配列番号4で表されるアミノ酸配列との同一性が90%以上であるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド」であるが、該同一性が、好ましくは95%以上、更に好ましくは98%以上であるアミノ酸配列を含むポリペプチドが好ましい。
なお、本明細書における前記「同一性」とは、NEEDLE program(J Mol Biol 1970; 48: 443-453)検索によりデフォルトで用意されているパラメータを用いて得られた値Identityを意味する。前記のパラメータは以下のとおりである。
Gap penalty = 10
Extend penalty = 0.5
Matrix = EBLOSUM62
Gap penalty = 10
Extend penalty = 0.5
Matrix = EBLOSUM62
あるポリペプチドが「腫瘍形成能を有する」ことは、実施例4の方法で確認する。具体的には、当該ポリペプチドを発現するプラスミドを導入した宿主(3T3繊維芽細胞)をヌードマウスの皮下に接種し、腫瘍形成の有無で判断する方法で確認する。
本発明の検出方法における検出対象ポリヌクレオチドとしては、「配列番号2又は配列番号4で表されるアミノ酸配列を含み、しかも、腫瘍形成能を有するポリペプチド」をコードするポリヌクレオチドが好ましく、「配列番号2又は配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド」をコードするポリヌクレオチドが最も好ましい。
本発明のポリヌクレオチドの検出方法における「ポリヌクレオチドの存在を検出する工程」は、被験者から得た試料のゲノム中の検出対象ポリヌクレオチド(融合点を含むゲノム配列)の存在を検出すること、あるいは、被験者から得た試料から抽出したゲノムDNAの転写産物(例えばmRNA又はcDNA)を調製し、検出対象ポリヌクレオチドに対応するmRNA又はcDNAの存在を検出することにより実施する。
ゲノムDNAの抽出は公知の方法で行うことができ、市販のDNA抽出キットを用いて簡便に行うことができる。
検出工程は公知の遺伝子解析法(例えば遺伝子検出法として常用されるPCR,LCR(Ligase chain reaction)、SDA(Strand displacement amplification)、NASBA(Nucleic acid sequence-based amplification)、ICAN(Isothermal and chimeric primer-initiated amplification of nucleic acids)、LAMP(Loop-mediated isothermal amplification)法、TMA法(Gen-Probe’s TMA system)、インサイチュハイブリダイゼーション法、更にマイクロアレイなど周知の方法)に従って実施することができる。例えば、検出対象ポリヌクレオチドにハイブリダイズする核酸をプローブとしたハイブリダイゼーション技術、又は、検出対象ポリヌクレオチドにハイブリダイズするDNAをプライマーとした遺伝子増幅技術等を利用する。
具体的には、被験者から得た試料由来の核酸、例えばmRNA等を用いて測定する。mRNA量の測定は、検出対象ポリヌクレオチド配列を特異的に増幅できるように設計したプライマーを用いて遺伝子増幅反応方法にて測定する。本発明の検出方法に用いられるプライマー、又は、検出用キットに含まれるプライマーは、検出対象ポリヌクレオチド配列を特異的に増幅できるものであれば、特には限定されず、検出対象ポリヌクレオチドの塩基配列に基づいて設計する。PCR増幅モニター法におけるプライマー設計は、プライマー設計ソフトウェア(例えば、Primer Express; PE Biosystems)などを利用してできる。また、PCR産物のサイズが大きくなると増幅効率が悪くなるため、センスプライマーとアンチセンスプライマーは、mRNA又はcDNAを対象に増幅したときの増幅産物の大きさが1kb以下になるように設定するのが適切である。
より具体的には、センスプライマー(5’−プライマー)をKIF5Bをコードする部分から、アンチセンスプライマー(3’−プライマー)をRETをコードする部分から設計する。好ましくは、本発明の検出用キットに含まれるプライマーを用い、更に好ましくは、検出用キットに最も好適に含まれるプライマーを用いる。PCR増幅モニター法では、各遺伝子に対応した上記センスプライマーを混ぜることにより、1反応液により全ての融合ポリヌクレオチドを検出するマルチプレックスPCR(Multiplex PCR)を設計することもできる。各増幅技術に適した方法によって目的とした遺伝子(全体又はその特異的部分)が増幅されたか否かを確認することができる。例えば、PCR法では、PCR産物をアガロースゲル電気泳動によって分析し、エチジウムブロマイド染色等によって目的とするサイズの増幅断片が得られたか否かを確認できる。目的とするサイズの増幅断片が得られた場合は、被験者から得た試料において、検出対象ポリヌクレオチドが存在していたことになる。このように、検出対象ポリヌクレオチドの存在を検出することができる。
本発明の融合遺伝子の検出方法としては、被験者から得た試料中の、特定のポリヌクレオチドの存在を遺伝子増幅反応により検出する工程に加え、さらに目的とするサイズの増幅断片が得られたか否かを検出する工程を含むことが好ましい。
ハイブリダイゼーション技術を利用した検出は、例えば、ノーザンハイブリダイゼーション、ドットブロット法、DNAマイクロアレイ法、RNAプロテクション法などを使用して行う。ハイブリダイゼーションに用いるプローブとしては、検出対象ポリヌクレオチド又はそれらの相補鎖にストリンジェントな条件下で(好ましくはよりストリンジェントな条件下で)ハイブリダイズする連続した少なくとも32塩基の核酸分子であって、融合点を中心にその上流及び下流のそれぞれ16塩基からなる配列又はそれらの相補鎖を含むプローブを用いることができる。
インサイチュハイブリダイゼーション技術を利用した検出は、公知のFISH法(fusion assay)に従って実施することができる。または、クロモジェニックインサイチュハイブリダイゼーション(CISH)法とシルバーインサイチュハイブリダイゼーション(SISH)法を組み合わせたヒュージョンアッセイで実施することができる。
なお、本明細書における融合点とは、KIF5Bの各遺伝子由来の部分とRET遺伝子由来の部分とが融合した点を意味する。
また、本明細書における「ストリンジェントな条件」とは、ハイブリダイゼーションのための条件として、「5×SSPE、5×Denhardt’s液、0.5%SDS、50%ホルムアミド、200μg/mL鮭精子DNA、42℃オーバーナイト」、洗浄のための条件として、「0.5×SSC、0.1%SDS、42℃」の条件である。「よりストリンジェントな条件」とは、ハイブリダイゼーションのための条件として、「5×SSPE、5×Denhardt’s液、0.5%SDS、50%ホルムアミド、200μg/mL鮭精子DNA、42℃オーバーナイト」、洗浄のための条件として、「0.2×SSC、0.1%SDS、65℃」の条件である。
さらには、RT−PCR等の遺伝子増幅技術を利用することができる。RT−PCR法においては、遺伝子の増幅過程においてPCR増幅モニター(リアルタイムPCR)法(Genome Res., 6(10), 986, 1996)を用いることにより、検出対象ポリヌクレオチドの存在について、より定量的な解析を行うことが可能である。PCR増幅モニター法としては、例えば、ABI PRISM7900(PEバイオシステムズ社)を用いることが出来る。リアルタイムPCRは公知の方法であり、そのための装置およびキットは市販されており、これらを利用して簡便に行える。
(2)前記融合遺伝子によってコードされる融合タンパク質の検出方法
本発明における融合タンパク質の検出方法は、被験者から得た試料における、特定のポリペプチド、すなわち、検出対象ポリヌクレオチドにコードされるポリペプチド(以下、検出対象ポリペプチドと称する)の存在を検出する工程を含む。
本発明における融合タンパク質の検出方法は、被験者から得た試料における、特定のポリペプチド、すなわち、検出対象ポリヌクレオチドにコードされるポリペプチド(以下、検出対象ポリペプチドと称する)の存在を検出する工程を含む。
このような検出する工程は、被験者から得た試料(例えば、被験者から得た癌組織や細胞)由来の可溶化液を調製し、その中に含まれる検出対象ポリペプチドを、KIF5Bに対する抗体と、抗RET抗体とを組み合わせることによる免疫学的測定法又は酵素活性測定法等により実施できる。好適には、検出対象ポリペプチドに特異的なモノクローナル抗体又はポリクローナル抗体を用いた、酵素免疫測定法、2抗体サンドイッチELISA法、蛍光免疫測定法、放射免疫測定法、ウェスタンブロッティング法等の手法を用いることができる。
本発明の検出方法における検出対象ポリヌクレオチド又は検出対象ポリペプチドが、被験者から得た試料から検出された場合は、当該被験者は、当該ポリヌクレオチド陽性の癌を有する対象(患者)であり、RET阻害剤による治療の適用対象となる。
《本発明の検出用キット、本発明のプライマーセット》
本発明の検出用キットには、少なくとも、本発明の検出方法における検出対象ポリヌクレオチドを特異的に増幅できるように設計したセンス及びアンチセンスプライマーが含まれる。センス及びアンチセンスプライマーセットは、検出対象ポリヌクレオチド増幅用のプライマーとして機能するポリヌクレオチドのセットである。
本発明の検出用キットには、少なくとも、本発明の検出方法における検出対象ポリヌクレオチドを特異的に増幅できるように設計したセンス及びアンチセンスプライマーが含まれる。センス及びアンチセンスプライマーセットは、検出対象ポリヌクレオチド増幅用のプライマーとして機能するポリヌクレオチドのセットである。
「KIF5B遺伝子とRET遺伝子との融合遺伝子」とは、KIF5B遺伝子の一部とRET遺伝子の一部とが融合した遺伝子のことをいう。
本発明のプライマーセットには、
(1)KIF5Bをコードする部分から設計されるセンスプライマー及びRETをコードする部分から設計されるアンチセンスプライマーを含む、KIF5B遺伝子とRET遺伝子との融合遺伝子を検出するためのプライマーセットであって、アンチセンスプライマーは「検出対象ポリヌクレオチド」にストリンジェントな条件下(好ましくは、よりストリンジェントな条件下)でハイブリダイズする核酸分子(好ましくは、少なくとも16塩基の核酸分子)からなり、センスプライマーは「検出対象ポリヌクレオチド」の相補鎖にストリンジェントな条件(好ましくは、よりストリンジェントな条件下)でハイブリダイズする核酸分子(好ましくは、少なくとも16塩基の核酸分子)からなるプライマーセット
が含まれる。
(1)KIF5Bをコードする部分から設計されるセンスプライマー及びRETをコードする部分から設計されるアンチセンスプライマーを含む、KIF5B遺伝子とRET遺伝子との融合遺伝子を検出するためのプライマーセットであって、アンチセンスプライマーは「検出対象ポリヌクレオチド」にストリンジェントな条件下(好ましくは、よりストリンジェントな条件下)でハイブリダイズする核酸分子(好ましくは、少なくとも16塩基の核酸分子)からなり、センスプライマーは「検出対象ポリヌクレオチド」の相補鎖にストリンジェントな条件(好ましくは、よりストリンジェントな条件下)でハイブリダイズする核酸分子(好ましくは、少なくとも16塩基の核酸分子)からなるプライマーセット
が含まれる。
また、前記プライマーセット(1)のより具体的な態様として、本発明のプライマーセットには、以下の(2)及び(3)のプライマーセットが含まれる。
(2)配列番号1の塩基番号1から1725間の任意の連続する少なくとも16塩基のオリゴヌクレオチドからなるセンスプライマー及び配列番号1の塩基番号1726から2808間の任意の連続する少なくとも16塩基のオリゴヌクレオチドに対して相補的であるオリゴヌクレオチドからなるアンチセンスプライマーのプライマーセット。
(3)配列番号3の塩基番号1から1725間の任意の連続する少なくとも16塩基のオリゴヌクレオチドからなるセンスプライマー及び配列番号3の塩基番号1726から2934間の任意の連続する少なくとも16塩基のオリゴヌクレオチドに対して相補的であるオリゴヌクレオチドからなるアンチセンスプライマーのプライマーセット。
(2)配列番号1の塩基番号1から1725間の任意の連続する少なくとも16塩基のオリゴヌクレオチドからなるセンスプライマー及び配列番号1の塩基番号1726から2808間の任意の連続する少なくとも16塩基のオリゴヌクレオチドに対して相補的であるオリゴヌクレオチドからなるアンチセンスプライマーのプライマーセット。
(3)配列番号3の塩基番号1から1725間の任意の連続する少なくとも16塩基のオリゴヌクレオチドからなるセンスプライマー及び配列番号3の塩基番号1726から2934間の任意の連続する少なくとも16塩基のオリゴヌクレオチドに対して相補的であるオリゴヌクレオチドからなるアンチセンスプライマーのプライマーセット。
これらのプライマーセット(1)〜(3)においては、センスプライマーとアンチセンスセンスプライマーの選択位置の間隔が1kb以下であるか、あるいは、センスプライマーとアンチセンスセンスプライマーにより増幅される増幅産物の大きさが1kb以下であることが好ましい。
また、本発明のプライマーは、通常、15〜40塩基、好ましくは16〜24塩基、更に好ましくは18〜24塩基、特に好ましくは20〜24塩基の鎖長を有する。
本発明のプライマーセットは、本発明の検出方法において、検出対象ポリヌクレオチドを増幅及び検出するために用いることができる。また、本発明のプライマーセットに含まれる各プライマーは、特に限定されるものではないが、例えば、化学合成法によって製造することができる。
以下、実施例によって本発明を詳述するが、本発明は該実施例によって限定されるものではない。なお、特に断りがない場合は、公知の方法に従って実施可能である。また、市販の試薬やキット等を用いる場合には市販品の指示書に従って実施可能である。
[実施例1]KIF5B−RET融合ポリヌクレオチドv1の単離
非小細胞肺癌患者肺癌組織由来RNA(米国アステランド社)Lg165検体RNAに対して、逆転写酵素(SuperScriptIII、ライフテクノロジーズ社)およびオリゴ(dT)プライマー(オリゴ(dT)20プライマー、ライフテクノロジーズ社)を用いて、キットのプロトコールにしたがって逆転写反応を行い、cDNAを合成した。
非小細胞肺癌患者肺癌組織由来RNA(米国アステランド社)Lg165検体RNAに対して、逆転写酵素(SuperScriptIII、ライフテクノロジーズ社)およびオリゴ(dT)プライマー(オリゴ(dT)20プライマー、ライフテクノロジーズ社)を用いて、キットのプロトコールにしたがって逆転写反応を行い、cDNAを合成した。
次に、制限酵素NotI認識配列を含んだ配列番号5および配列番号6のプライマーを用いて、上記で得たcDNAを鋳型として、DNAポリメラーゼ(PrimeSTAR HS DNA Polymerase;タカラバイオ株式会社)を行いてPCR(98℃10秒、60℃15秒、68℃3.5分を35サイクル)を行い、電気泳動したところ、約3kbのPCR産物を得たことがわかった。本PCR産物をNotI消化し、発現ベクター(pTracer−CMV−bsd;ライフテクノロジーズ社)のマルチクローニングサイトに存在するNotIサイトにクローニングし発現プラスミドを構築した。インサートはダイデオキシシーケンス法により配列を決定した(BigDye Terminator v3.1 Cycle Sequencing Kit;ライフテクノロジーズ社)。この結果、NCBIに登録されているKIF5B(NM_004521)のコーディングシーケンス(以下CDS)のN末端からエキソン15までが、RETのショートフォーム(NM_020630)のCDSのエキソン12からCDSのC末端までと融合している転写産物(KIF5B−RETv1S)(配列番号1)が存在していることが明らかになった。配列番号1によりコードされるポリペプチドを配列番号2に示す。
また、同様にNotI配列を含んだ配列番号5および配列番号7のプライマーを用いてPCRを行い、クローニングした結果、NCBIに登録されているKIF5BのCDSのN末端からエキソン15までが、RETのロングフォーム(NM_020975)のCDSのエキソン12からCDSのC末端までと融合している転写産物(KIF5B−RETv1L)(配列番号3)が存在していることを見出した。配列番号3によりコードされるポリペプチドを配列番号4に示す。
また、KIF5B−RETv1S及びKIF5B−RETv1LのORF全長をN末端にFLAGタグが付加されたタンパク質として発現するため、NotIサイトおよびFLAG配列を導入した配列番号8および配列番号6のプライマー及び配列番号8および配列番号7のプライマーにて、上記KIF5B−RETv1S及びKIF5B−RETv1LのORF全長を含むPCR産物をそれぞれ鋳型として、同条件によるPCRを行い、発現ベクター(pTracer−CMV−bsd;ライフテクノロジーズ社)のマルチクローニングサイトに存在するNotIサイトにクローニングし発現プラスミドを構築した(FLAG−KIF5B−RETv1S/pTracer−CMV−bsd、FLAG−KIF5B−RETv1L/pTracer−CMV−bsd)。
[実施例2]KIF5B−RET融合ポリヌクレオチドv1の検出
非小細胞肺癌臨床検体由来cDNA(米国アステランド社)181サンプルを基質とし、配列番号9及び配列番号10で表される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドをプライマーセットとして、定量的PCRキット(Power SYBR Green PCR Master Mix;ライフテクノロジーズ社)を用い、アプライドバイオシステムズ7900HTシステムにて、定量PCR(95℃10分の後、95℃15秒、59℃60秒を45サイクル)を行い遺伝子発現量を測定した。その結果、上述のサンプルLg165のみで増幅が確認された。以上から、上記方法により、非小細胞肺癌臨床検体由来の試料中のKIF5B−RETポリヌクレオチドv1の存在を検出することができ、KIF5B−RETポリヌクレオチドv1陽性患者を選択できることが示された。
非小細胞肺癌臨床検体由来cDNA(米国アステランド社)181サンプルを基質とし、配列番号9及び配列番号10で表される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドをプライマーセットとして、定量的PCRキット(Power SYBR Green PCR Master Mix;ライフテクノロジーズ社)を用い、アプライドバイオシステムズ7900HTシステムにて、定量PCR(95℃10分の後、95℃15秒、59℃60秒を45サイクル)を行い遺伝子発現量を測定した。その結果、上述のサンプルLg165のみで増幅が確認された。以上から、上記方法により、非小細胞肺癌臨床検体由来の試料中のKIF5B−RETポリヌクレオチドv1の存在を検出することができ、KIF5B−RETポリヌクレオチドv1陽性患者を選択できることが示された。
[実施例3]KIF5B−RET融合ポリヌクレオチドv1による増殖因子非依存性増殖亢進作用の検討
上記FLAG−KIF5B−RETv1S/pTracer−CMV−bsd、又はFLAG−KIF5B−RETv1L/pTracer−CMV−bsdを2μg、トランスフェクション試薬(Cell Line Nucleofector Kit V;Lonza社)を用いて、エレクトロポレーション法(Nucleofector;Lonza社)にて、それぞれBA/F3細胞に導入し、RPMI1640培地(インビトロジェン社)に10%牛血清(インビトロジェン社)、1ng/mLのマウスリコンビナントIL−3(R&D社)加えた培地で培養した。導入2日後に上記培地にBlastcidin(Invivogen社)10μg/mLを添加したものに交換し、さらに2週間培養を続け、N末端にFLAGタグが付加されたKIF5B−RETv1Sを安定発現するBA/F3細胞および、N末端にFLAGタグが付加されたKIF5B−RETv1Lを安定発現するBA/F3細胞を取得した(それぞれFLAG−KIF5B−RETv1S発現/BA/F3細胞、FLAG−KIF5B−RETv1L発現/BA/F3細胞と命名した)。
上記FLAG−KIF5B−RETv1S/pTracer−CMV−bsd、又はFLAG−KIF5B−RETv1L/pTracer−CMV−bsdを2μg、トランスフェクション試薬(Cell Line Nucleofector Kit V;Lonza社)を用いて、エレクトロポレーション法(Nucleofector;Lonza社)にて、それぞれBA/F3細胞に導入し、RPMI1640培地(インビトロジェン社)に10%牛血清(インビトロジェン社)、1ng/mLのマウスリコンビナントIL−3(R&D社)加えた培地で培養した。導入2日後に上記培地にBlastcidin(Invivogen社)10μg/mLを添加したものに交換し、さらに2週間培養を続け、N末端にFLAGタグが付加されたKIF5B−RETv1Sを安定発現するBA/F3細胞および、N末端にFLAGタグが付加されたKIF5B−RETv1Lを安定発現するBA/F3細胞を取得した(それぞれFLAG−KIF5B−RETv1S発現/BA/F3細胞、FLAG−KIF5B−RETv1L発現/BA/F3細胞と命名した)。
FLAG−KIF5B−RETv1S発現/BA/F3細胞及びFLAG−KIF5B−RETv1L発現/BA/F3細胞の増殖能を検討した。
FLAG−KIF5B−RETv1S発現/BA/F3細胞、FLAG−KIF5B−RETv1L発現BA/F3細胞、及び親株であるBA/F3細胞を、増殖因子IL−3の非存在下で、1ウェル当り2×103個ずつ96ウェルプレートに撒き8日間培養し、細胞数測定試薬(CELLTITER−GloTM Luminescent Cell Viability Assay;Promega社)を添加し20分撹拌した後、発光測定装置(Envision;パーキンエルマー社)を用いて細胞数を測定した。その結果、BA/F3細胞は死滅したが、FLAG−KIF5B−RETv1S発現/BA/F3細胞およびFLAG−KIF5B−RETv1L発現/BA/F3細胞は播種日に比べてそれぞれ27倍、26倍の細胞数の増加が観察された。以上により、KIF5B−RET融合ポリヌクレオチドv1S及びKIF5B−RET融合ポリヌクレオチドv1Lは、増殖因子非依存性増殖亢進作用を有することがわかった。
FLAG−KIF5B−RETv1S発現/BA/F3細胞、FLAG−KIF5B−RETv1L発現BA/F3細胞、及び親株であるBA/F3細胞を、増殖因子IL−3の非存在下で、1ウェル当り2×103個ずつ96ウェルプレートに撒き8日間培養し、細胞数測定試薬(CELLTITER−GloTM Luminescent Cell Viability Assay;Promega社)を添加し20分撹拌した後、発光測定装置(Envision;パーキンエルマー社)を用いて細胞数を測定した。その結果、BA/F3細胞は死滅したが、FLAG−KIF5B−RETv1S発現/BA/F3細胞およびFLAG−KIF5B−RETv1L発現/BA/F3細胞は播種日に比べてそれぞれ27倍、26倍の細胞数の増加が観察された。以上により、KIF5B−RET融合ポリヌクレオチドv1S及びKIF5B−RET融合ポリヌクレオチドv1Lは、増殖因子非依存性増殖亢進作用を有することがわかった。
[実施例4]KIF5B−RET融合ポリヌクレオチドv1の足場非依存的増殖亢進作用及び腫瘍形成能の検討
KIF5B−RETv1S ORF全長をレンチウイルス発現ベクターにサブクローニングするため、SpeIサイトを導入した配列番号11および、SalIサイトを導入した配列番号12のプライマーを設計した。
KIF5B−RETv1S ORF全長をレンチウイルス発現ベクターにサブクローニングするため、SpeIサイトを導入した配列番号11および、SalIサイトを導入した配列番号12のプライマーを設計した。
上記FLAG−KIF5B−RETv1S/pTarcer−CMV−bsdを鋳型として、PrimeSTAR HS DNA Polymerase(タカラバイオ株式会社)を行いてPCR(98℃10秒、60℃15秒、68℃3.5分を35サイクル)を行ったところ、約3kbのPCR産物が得られた。本PCR産物を精製し(QIAquick Gel Extraction Kit;キアゲン社)、本PCR産物をSpeI、SalI消化した産物をレンチウイルス発現ベクター(pLenti6.3/V5−TOPO;ライフテクノロジーズ社)のマルチクローニングサイトに存在するSpeI−XhoIサイトにクローニングした(FLAG−KIF5B−RETv1S/pLenti6.3と命名した)。
上記FLAG−KIF5B−RETv1S/pLenti6.3を3μg、パッケージング用プラスミド9μg(ViraPowerTM Packaging Mix;ライフテクノロジーズ社)と共に、トランスフェクション試薬(LipofectAmine2000;ライフテクノロジーズ社)を用いて、293FT細胞パッケージング細胞(ライフテクノロジーズ社)に導入した。導入3日後の培養上清を、レンチウイルスとして回収し、ポリブレン(polybrene;Sigma社)を6μg/mlの濃度で添加した後、マウスNIH3T3細胞に添加した。2日後にNIH3T3細胞の培養上清をDMEM培地(インビトロジェン社)に10%牛血清(インビトロジェン社)、Blastcidin(Invivogen社)5μg/mlを添加したものに交換し、さらに2週間培養を続け、N末端にFLAGが付加されたKIF5B−RETv1Sを安定発現するNIH3T3細胞(FLAG−KIF5B−RETv1S/NIH3T3と命名)を取得した。
96ウェルスフェロイドプレート(スミロンセルタイトスフェロイド96U;住友ベークライト)に、FLAG−KIF5B−RETv1S/NIH3T3細胞、及び親株であるNIH3T3を、それぞれ1ウェル当り3×103個となるように10%牛胎児血清を含む培地で播種した。5%CO2存在下、37℃にて培養後、翌日(Day1)および6日後(Day6)の細胞数を細胞数測定試薬(CellTiter−GloTM Luminescent Cell Viability Assay;Promega社)をマニュアルの方法に従って測定した。検出には発光測定装置(Envision;パーキンエルマー社)を用いた。NIH3T3細胞はDay1からDay6までで細胞数のカウントは増加しなかったのに対して、FLAG−KIF5B−RETv1S/NIH3T3細胞はDay1からDay6までで細胞数のカウントの増加が確認された。以上から、FLAG−KIF5B−RETv1S/NIH3T3細胞は足場非依存的細胞増殖を示すことが明らかとなった。
次に、in vivoにおける造腫瘍能を検討するため本細胞株をヌードマウスに移植し腫瘍形成能を検討した。FLAG−KIF5B−RETv1S/NIH3T3細胞をヌードマウスの皮下に3x106個ずつ接種し8日観察したところ腫瘍形成が確認された。以上から、KIF5B−RET融合ポリヌクレオチドv1Sは癌の原因遺伝子であることが示された。
[実施例5]KIF5B−RET融合ポリペプチドv1Sの検出
細胞中のKIF5B−RET融合ポリペプチドv1Sを検出する方法を以下の通り構築した。FLAG−KIF5B−RETv1S/NIH3T3細胞を細胞溶解液(50mM Hepes pH7.0、150mM NaCl、1mM EDTA、2.5mM EGTA、10% glycerol、0.1% Tween20、protease inhibitor(complete protease inhibitor cocktail;Roche社))に溶解し超音波処理し、遠心後得られた上清蛋白質に対してプロテインGビーズ(Protein G Sepharose 4 Fast Flow;GE Healthcare社)及び抗RET抗体(Cell Signaling社)あるいはウサギIgG(Cell Signaling社)を添加し4℃にて一晩、免疫沈降を行った。遠心後に沈降物を細胞溶解液にて5回洗浄し、SDS溶解液にて沈殿物を懸濁した。この上清に対して抗KIF5B抗体(SIGMA社)を用いてイムノブロッティングを行った。その結果、抗RET抗体を用いて行った免疫沈降産物では、KIF5B−RET融合ポリペプチドv1Sが検出されたが、ウサギIgGを用いて行った免疫沈降産物では、KIF5B−RET融合ポリペプチドv1Sは検出されなかった。以上の結果から、抗RET抗体及び抗KIF5B抗体を組み合わせて用いることで、KIF5B−RET融合ポリペプチドv1Sを発現している癌細胞や癌組織中のKIF5B−RET融合ポリペプチドv1Sの存在を検出することが可能となり、KIF5B−RET融合ポリペプチドv1S陽性癌患者を判定することが可能であることが明らかとなった。
細胞中のKIF5B−RET融合ポリペプチドv1Sを検出する方法を以下の通り構築した。FLAG−KIF5B−RETv1S/NIH3T3細胞を細胞溶解液(50mM Hepes pH7.0、150mM NaCl、1mM EDTA、2.5mM EGTA、10% glycerol、0.1% Tween20、protease inhibitor(complete protease inhibitor cocktail;Roche社))に溶解し超音波処理し、遠心後得られた上清蛋白質に対してプロテインGビーズ(Protein G Sepharose 4 Fast Flow;GE Healthcare社)及び抗RET抗体(Cell Signaling社)あるいはウサギIgG(Cell Signaling社)を添加し4℃にて一晩、免疫沈降を行った。遠心後に沈降物を細胞溶解液にて5回洗浄し、SDS溶解液にて沈殿物を懸濁した。この上清に対して抗KIF5B抗体(SIGMA社)を用いてイムノブロッティングを行った。その結果、抗RET抗体を用いて行った免疫沈降産物では、KIF5B−RET融合ポリペプチドv1Sが検出されたが、ウサギIgGを用いて行った免疫沈降産物では、KIF5B−RET融合ポリペプチドv1Sは検出されなかった。以上の結果から、抗RET抗体及び抗KIF5B抗体を組み合わせて用いることで、KIF5B−RET融合ポリペプチドv1Sを発現している癌細胞や癌組織中のKIF5B−RET融合ポリペプチドv1Sの存在を検出することが可能となり、KIF5B−RET融合ポリペプチドv1S陽性癌患者を判定することが可能であることが明らかとなった。
[実施例6]KIF5B−RET融合ポリペプチドv1S発現3T3細胞に対するKIF5B−RET融合ポリペプチド抑制剤の足場非依存的細胞増殖抑制作用
足場非依存的な細胞増殖の測定(コロニー法など)は、化合物の抗癌作用(薬理効果)を検討する系として知られている(臨床腫瘍学 セカンドエディション、癌と化学療法社)。コロニー法に変わる細胞非接着性の増殖を測定する方法として、前述のようなスフェロイドプレートを用いる方法がある。
足場非依存的な細胞増殖の測定(コロニー法など)は、化合物の抗癌作用(薬理効果)を検討する系として知られている(臨床腫瘍学 セカンドエディション、癌と化学療法社)。コロニー法に変わる細胞非接着性の増殖を測定する方法として、前述のようなスフェロイドプレートを用いる方法がある。
96ウェルスフェロイドプレート(スミロンセルタイトスフェロイド96U;住友ベークライト)に、FLAG−KIF5B−RETv1S/NIH3T3細胞を、1ウェル当り2×103個となるように10%牛胎児血清を含むDMEM培地で播種した。また、ポジティブコントロール用に培地のみ添加したウェルを調製した。5%CO2存在下、37℃にて一晩培養後、癌治療薬Sunitinib、Sorafenib、又はVandetanibを最終濃度1.1μMで添加した。ネガティブコントロールとして化合物の溶媒であるDMSOを化合物と同濃度(0.1%)になるように添加した。その後、5%CO2存在下、37℃で5日間培養し、細胞数測定試薬(CellTiter−GloTM Luminescent Cell Viability Assay;Promega社)を添加し20分撹拌した後、発光測定装置(Envision;パーキンエルマー社)を用いて測定した。ポジティブコントロール、ネガティブコントロールの値をそれぞれ100%抑制値、0%抑制値として各化合物の増殖阻害%を算出した。その結果、Sunitinib、Sorafenib、Vandetanibの阻害%はそれぞれ77%、96%、83%であった。
FLAG−KIF5B−RETv1S/NIH3T3細胞内のKIF5B−RETリン酸化に対する化合物の抑制効果を試験した。
FLAG−KIF5B−RETv1S/NIH3T3細胞を2×105個播種した翌日、Sunitinib、Sorafenib、Vandetanibをそれぞれ1μMの濃度で添加し4時間培養した。その後、細胞溶解液(50mM Tris・HCl(pH7.4)、150mM NaCl、1%Triton X100、5mM EDTA、5mM EGTA、1mM NaVO4、1mM DTT、プロテアーゼ抑制剤カクテルcomplete)にて細胞を溶解した。SDS溶解液を加え、1062番目のチロシン残基がリン酸化されたRETを特異的に認識する抗リン酸化RET抗体(SANTA−CRUZ)及び抗RET抗体(CELL SIGNALING TECHNOLOGY)を用いたイムノブロッティングを行い、約110Daのリン酸化KIF5B−RET融合ポリペプチドv1Sのチロシンリン酸化量及び総蛋白質量の定量を画像解析システム(VersaDoc Imaging System;Bio−Rad社)により算出した。リン酸化量を総蛋白質量で割った値を算出し、化合物未添加(化合物の溶媒であるDMSO添加)時を対照(抑制率0%)として各化合物1μM添加時のリン酸化抑制率を算出した結果、Sunitinib、Sorafenib、Vandetanibはそれぞれ57%、94%、74%であった。この結果により、Sunitinib、Sorafenib及びVandetanibがKIF5B−RET融合ポリペプチドv1Sの阻害剤であることが分かった。
FLAG−KIF5B−RETv1S/NIH3T3細胞を2×105個播種した翌日、Sunitinib、Sorafenib、Vandetanibをそれぞれ1μMの濃度で添加し4時間培養した。その後、細胞溶解液(50mM Tris・HCl(pH7.4)、150mM NaCl、1%Triton X100、5mM EDTA、5mM EGTA、1mM NaVO4、1mM DTT、プロテアーゼ抑制剤カクテルcomplete)にて細胞を溶解した。SDS溶解液を加え、1062番目のチロシン残基がリン酸化されたRETを特異的に認識する抗リン酸化RET抗体(SANTA−CRUZ)及び抗RET抗体(CELL SIGNALING TECHNOLOGY)を用いたイムノブロッティングを行い、約110Daのリン酸化KIF5B−RET融合ポリペプチドv1Sのチロシンリン酸化量及び総蛋白質量の定量を画像解析システム(VersaDoc Imaging System;Bio−Rad社)により算出した。リン酸化量を総蛋白質量で割った値を算出し、化合物未添加(化合物の溶媒であるDMSO添加)時を対照(抑制率0%)として各化合物1μM添加時のリン酸化抑制率を算出した結果、Sunitinib、Sorafenib、Vandetanibはそれぞれ57%、94%、74%であった。この結果により、Sunitinib、Sorafenib及びVandetanibがKIF5B−RET融合ポリペプチドv1Sの阻害剤であることが分かった。
以上の結果は、KIF5B−RET融合ポリペプチドv1Sを発現する癌細胞や腫瘍の増殖をKIF5B−RET融合ポリペプチド抑制剤が抑制できることを示している。
KIF5B−RET融合ポリペプチド抑制剤による治療の有効性が期待される適用対象者を本発明の検出方法により識別することで、テーラーメード医療が実践できることが示された。
本発明の検出方法は、本明細書の融合遺伝子陽性の癌患者の判定に有用である。本発明の検出用キット及びプライマーセットは、前記検出方法に用いることができる。
以下の配列表の数字見出し<223>には、「Artificial Sequence」の説明を記載する。具体的には、配列表の配列番号5〜8、11及び12で表される各塩基配列は、人工的に合成したプライマー配列である。
Claims (9)
- 被験者から得た試料中の、下記に記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド又は該ポリペプチドの存在を検出する工程を含むことを特徴とする、キネシンファミリープロテイン5B(Kinesin family protein 5B;KIF5B)遺伝子とリアレンジドデュアリングトランスフォーメーション(rearranged during transformation;RET)遺伝子との融合遺伝子又は該融合遺伝子によってコードされる融合蛋白質の検出方法:
配列番号2若しくは配列番号4で表されるアミノ酸配列との同一性が90%以上であるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド。 - 前記ポリペプチドが、配列番号2若しくは配列番号4で表されるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、又は、配列番号2若しくは配列番号4で表されるアミノ酸配列において、1〜10個のアミノ酸が欠失、置換、及び/若しくは挿入されたアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチドである、請求項1に記載の方法。
- 前記ポリペプチドが、配列番号2若しくは配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチドである、請求項1に記載の方法。
- 下記に記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを特異的に増幅できるように設計したセンスプライマー及びアンチセンスプライマーを含む、KIF5B遺伝子とRET遺伝子との融合遺伝子の検出用キット:
配列番号2若しくは配列番号4で表されるアミノ酸配列との同一性が90%以上であるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド。 - 前記ポリペプチドが、配列番号2若しくは配列番号4で表されるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、又は、配列番号2若しくは配列番号4で表されるアミノ酸配列において、1〜10個のアミノ酸が欠失、置換、及び/若しくは挿入されたアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチドである、請求項4に記載のキット。
- 前記ポリペプチドが、配列番号2若しくは配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチドである、請求項4に記載のキット。
- KIF5B遺伝子をコードする部分から設計されるセンスプライマー及びRET遺伝子をコードする部分から設計されるアンチセンスプライマーを含む、KIF5B遺伝子とRET遺伝子との融合遺伝子を検出するためのプライマーセットであって、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドにストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸分子からなるアンチセンスプライマー及び該ポリヌクレオチドの相補鎖にストリンジェントな条件でハイブリダイズする核酸分子からなるセンスプライマーを含むプライマーセット。
- 配列番号1の塩基番号1から1725間の任意の連続する少なくとも16塩基のオリゴヌクレオチドからなるセンスプライマー及び配列番号1の塩基番号1726から2808間の任意の連続する少なくとも16塩基のオリゴヌクレオチドに対して相補的であるオリゴヌクレオチドからなるアンチセンスプライマーのプライマーセットであって、センスプライマーとアンチセンスセンスプライマーにより増幅される増幅産物の大きさが1kb以下である前記プライマーセット又はその相補鎖からなるプライマーセット。
- 配列番号3の塩基番号1から1725間の任意の連続する少なくとも16塩基のオリゴヌクレオチドからなるセンスプライマー及び配列番号3の塩基番号1726から2934間の任意の連続する少なくとも16塩基のオリゴヌクレオチドに対して相補的であるオリゴヌクレオチドからなるアンチセンスプライマーのプライマーセットであって、センスプライマーとアンチセンスセンスプライマーにより増幅される増幅産物の大きさが1kb以下である前記プライマーセット又はその相補鎖からなるプライマーセット。
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010166674 | 2010-07-26 | ||
JP2010166674 | 2010-07-26 | ||
PCT/JP2011/066661 WO2012014795A1 (ja) | 2010-07-26 | 2011-07-22 | 新規ret融合体の検出法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPWO2012014795A1 true JPWO2012014795A1 (ja) | 2013-09-12 |
Family
ID=45530003
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2012526465A Withdrawn JPWO2012014795A1 (ja) | 2010-07-26 | 2011-07-22 | 新規ret融合体の検出法 |
Country Status (4)
Country | Link |
---|---|
US (1) | US20130137111A1 (ja) |
EP (1) | EP2599878A4 (ja) |
JP (1) | JPWO2012014795A1 (ja) |
WO (1) | WO2012014795A1 (ja) |
Families Citing this family (10)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5780527B2 (ja) | 2010-09-02 | 2015-09-16 | 学校法人 久留米大学 | 単分子dnaから形成される環状dnaの作成方法 |
JP6032616B2 (ja) * | 2011-08-04 | 2016-11-30 | 国立研究開発法人国立がん研究センター | Kif5b遺伝子とret遺伝子との融合遺伝子、並びに該融合遺伝子を標的としたがん治療の有効性を判定する方法 |
SG2014012728A (en) | 2011-08-23 | 2014-06-27 | Foundation Medicine Inc | Novel kif5b-ret fusion molecules and uses thereof |
WO2013031700A1 (ja) | 2011-08-31 | 2013-03-07 | 学校法人 久留米大学 | Dna分子の環状化において単分子による環状化dnaのみを選別する方法 |
US10023855B2 (en) | 2011-10-31 | 2018-07-17 | Macrogen, Inc. | Fusion protein comprising C-terminal domain of RET protein and use thereof as a diagnosing marker |
JP2015109806A (ja) * | 2012-03-22 | 2015-06-18 | アステラス製薬株式会社 | 新規ret融合体の検出法 |
US20150177246A1 (en) * | 2012-07-26 | 2015-06-25 | Lsip, Llc | Fusion gene of cep55 gene and ret gene |
LT2902029T (lt) | 2012-09-25 | 2018-10-25 | Chugai Seiyaku Kabushiki Kaisha | Ret inhibitorius |
US11505830B2 (en) * | 2017-05-31 | 2022-11-22 | Roche Molecular Systems, Inc. | Multiplex PCR detection of ALK, RET, and ROS fusions |
CN109517053B (zh) * | 2018-11-28 | 2021-10-08 | 生命谷(海南)生物科技股份有限公司 | 肿瘤相关基因ret突变短肽及其应用 |
Family Cites Families (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US8163524B2 (en) * | 1998-09-22 | 2012-04-24 | Oncomedx, Inc. | Comparative analysis of extracellular RNA species |
WO2001018250A2 (en) * | 1999-09-10 | 2001-03-15 | Whitehead Institute For Biomedical Research | Single nucleotide polymorphisms in genes |
JP2014005206A (ja) * | 2010-10-22 | 2014-01-16 | Astellas Pharma Inc | アリールアミノヘテロ環カルボキサミド化合物 |
-
2011
- 2011-07-22 US US13/812,356 patent/US20130137111A1/en not_active Abandoned
- 2011-07-22 EP EP11812385.0A patent/EP2599878A4/en not_active Withdrawn
- 2011-07-22 WO PCT/JP2011/066661 patent/WO2012014795A1/ja active Application Filing
- 2011-07-22 JP JP2012526465A patent/JPWO2012014795A1/ja not_active Withdrawn
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
US20130137111A1 (en) | 2013-05-30 |
WO2012014795A1 (ja) | 2012-02-02 |
EP2599878A1 (en) | 2013-06-05 |
EP2599878A4 (en) | 2014-02-12 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR102470456B1 (ko) | Fgfr 억제제를 사용한 치료에 반응할 암 환자를 확인하는 데 있어서 fgfr 돌연변이 유전자 패널의 사용 | |
KR102106962B1 (ko) | 신규 fgfr3 융합체 | |
JPWO2012014795A1 (ja) | 新規ret融合体の検出法 | |
JP2015109806A (ja) | 新規ret融合体の検出法 | |
JP6493681B2 (ja) | 肺がんで見出された新規融合遺伝子 | |
JP5861244B2 (ja) | 新規ros1融合体の検出法 | |
CN108192972B (zh) | 用于乳腺癌转移的诊断、预后和治疗的方法 | |
JP6871869B2 (ja) | 新規融合体及びその検出法 | |
US9267176B2 (en) | Method for detecting novel FGFR4 mutant | |
JP2011254830A (ja) | 結腸癌に関するポリヌクレオチド | |
EP2894169B1 (en) | Fusion protein comprising axl and composition for treating cancer comprising same | |
WO2004016317A1 (en) | Use of murine genomic regions identified to be involved in tumor development for the development of anti-cancer drugs and diagnosis of cancer | |
JP7015171B2 (ja) | 新規融合体及びその検出法 | |
JP6806440B2 (ja) | 新規融合体及びその検出法 | |
JP2014054185A (ja) | 新規braf融合体の検出法 | |
WO2015129655A1 (ja) | Dnajb1-prkaca遺伝子の検出方法 | |
CA2496048A1 (en) | Use of murine genomic regions identified to be involved in tumor development for the development of anti-cancer drugs and diagnosis of cancer | |
JP2013226074A (ja) | 新規ddr2融合体 | |
JP2013226075A (ja) | 新規aurkc融合体 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20141007 |