JP2013226074A - 新規ddr2融合体 - Google Patents

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Abstract

【課題】癌の新たな原因遺伝子であるポリヌクレオチドを解明し、これにより、当該ポリヌクレオチド又はそれがコードするポリペプチドの検出方法、及びそのためのキット及びプライマーセットを提供することを課題とする。
【解決手段】癌患者の一部に存在している、HSD17B7遺伝子の一部とDDR2遺伝子の一部との融合遺伝子が癌の原因遺伝子であることを見出し、当該遺伝子であるポリヌクレオチド及びそれがコードするポリペプチドの検出方法を構築した。前記検出方法では、HSD17B7遺伝子の一部とDDR2遺伝子の一部との融合遺伝子、あるいは、それがコードする融合蛋白質を検出する。前記プライマーセット又は検出用キットは、HSD17B7をコードする部分から設計されるセンスプライマーと、DDR2をコードする部分から設計されるアンチセンスプライマーとを含む。
【選択図】なし

Description

本発明は、DDR2キナーゼ領域を含む新規の融合遺伝子または該融合遺伝子によってコードされる融合蛋白質の検出方法に関する。
ディスコージンドメインレセプターチロシンキナーゼ2(Discordin Domain Receptor Tyrosine Kinase 2;DDR2)遺伝子は染色体1番長腕に存在し、コードする蛋白質は受容体型チロシンキナーゼであり、中央部に細胞膜貫通領域を有し、そのカルボキシル末端側にチロシンキナーゼ領域、アミノ末端側に細胞外領域を有する。DDR2はコラーゲンをリガンドとして自己のチロシンをリン酸化し活性化する(非特許文献1)。また、コラーゲンにより活性化されたDDR2により、マウス線維芽細胞の増殖を促進することが知られている(非特許文献2)。
肺扁平上皮癌において、DDR2遺伝子に変異が起こり、この変異によって形成された蛋白の異常により細胞の異常増殖が起こり、肺扁平上皮癌の原因遺伝子となることが知られている(非特許文献3)。
ヒドロキシステロイド(17−ベータ)デヒドロゲナーゼ7(Hydroxysteroid(17−beta)Dehydrogenase7);HSD17B7)遺伝子は染色体1番長腕に存在する膜貫通型蛋白質である。コードする蛋白質は、性ステロイド生合成に関わる17ベータヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ活性と、コレステロール生合成に関わる3−ケトステロイドリダクターゼ酵素活性を持つことが知られている(非特許文献4)。
これまでにDDR2とHSD17B7が融合しているという報告はなされていない。
「モレキュラーセル(Molecular Cell),((米国)、1997年、1巻、p.13−23)」 「ジャーナル・オブ・バイオロジカルケミストリー(Journal of Biological Chemistry), ((米国), 2001年、277巻、5号、p.3606−3613)」 「キャンサーディスカバリー、((米国)、2011年、1巻、1号、p.OF77−OF87)」 「ジャーナル・オブ・エンドクライノロジー(Journal of Endocrinology)、((英国)、2012年、212巻、p.27−40)」
癌組織に存在する新たなポリヌクレオチドを解明し、これにより、当該ポリヌクレオチド又はそれがコードするポリペプチドの検出方法、およびそのためのキット又はプライマーセットを提供することを課題とする。
本発明は肺癌患者から得た検体からキナーゼであるDDR2遺伝子の一部とHSD17B7遺伝子の一部とが融合した新規の融合遺伝子を単離同定し(実施例1)、これらの融合遺伝子が一部の肺癌患者検体に存在することを見出した。本発明者は、これらの知見から、これらの融合遺伝子の検出法を構築し(実施例2)、そのためのキットおよびプライマーセットを提供し、これらの融合遺伝子またはそれにコードされる融合蛋白質を検出することにより、HSD17B7−DDR2融合蛋白質陽性の患者を選別することを可能とした。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[4]に関する。
[1] 被験者から得た試料中の、下記(1)〜(3)に記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド又は該ポリペプチドの存在を検出する工程を含むことを特徴とする、ヒドロキシステロイド(17−ベータ)デヒドロゲナーゼ7(Hydroxysteroid(17−beta)Dehydrogenase7);HSD17B7)遺伝子とディスコージンドメインレセプターチロシンキナーゼ2(Discordin Domain Receptor Tyrosine Kinase 2;DDR2)遺伝子との融合遺伝子又は該融合遺伝子によってコードされる融合蛋白質の検出方法:
(1)配列番号2で表されるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、又は、配列番号2のアミノ酸配列において、1〜10個のアミノ酸が欠失、置換、及び/若しくは挿入されたアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、
(2)配列番号2で表されるアミノ酸配列との同一性が90%以上であるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、あるいは、
(3)配列番号2のアミノ酸配列からなるポリペプチド。
[2] 下記(1)〜(3)に記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを特異的に増幅できるように設計したセンスプライマー及びアンチセンスプライマーを含む、HSD17B7遺伝子とDDR2遺伝子との融合遺伝子の検出用キット:
(1)配列番号2で表されるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、又は、配列番号2で表されるアミノ酸配列において、1〜10個のアミノ酸が欠失、置換、及び/若しくは挿入されたアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、
(2)配列番号2で表されるアミノ酸配列との同一性が90%以上であるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、あるいは、
(3)配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド。
[3] HSD17B7遺伝子をコードする部分から設計されるセンスプライマー及びDDR2遺伝子をコードする部分から設計されるアンチセンスプライマーを含む、HSD17B7遺伝子とDDR2遺伝子との融合遺伝子を検出するためのプライマーセットであって、[1]に記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドにストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸分子からなるアンチセンスプライマー及び該ポリヌクレオチドの相補鎖にストリンジェントな条件でハイブリダイズする核酸分子からなるセンスプライマーを含むプライマーセット。
[4] 配列番号1の塩基番号1から903間の任意の連続する少なくとも16塩基のオリゴヌクレオチドからなるセンスプライマー及び配列番号1の塩基番号904から2178間の任意の連続する少なくとも16塩基のオリゴヌクレオチドに対して相補的であるオリゴヌクレオチドからなるアンチセンスプライマーのプライマーセット。
また、本発明は、
下記(1)〜(3)に記載のポリペプチド(以下、「本発明のポリペプチド」と略すこともある)又は該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(以下、「本発明のポリヌクレオチド」と略すこともある):
(1)配列番号2に示されるアミノ酸配列との同一性が90%以上であるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、
(2)配列番号2に示されるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、又は、配列番号2に示されるアミノ酸配列において、1〜10個のアミノ酸が欠失、置換、及び/若しくは挿入されたアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、あるいは、
(3)配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
に関する。
また、本発明は、
下記工程を含むことを特徴とするDDR2キナーゼ領域を含む融合遺伝子陽性の癌(特には肺癌)の存在の検出方法;
被験者から得た試料中の、下記(1)乃至(3)に記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの存在を検出する工程、
(1)配列番号2で表されるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、又は、配列番号2で表されるアミノ酸配列において、1〜10個のアミノ酸が欠失、置換、及び/若しくは挿入されたアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、
(2)配列番号2で表されるアミノ酸配列との同一性が90%以上であるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、あるいは、
(3)配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
に関する。
また、本発明は、
下記工程を含むことを特徴とするHSD17B7遺伝子とDDR2遺伝子とを含む融合遺伝子陽性の癌(特には肺癌)の診断方法:
被験者から得た試料中の、下記(1)〜(3)に記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの存在を検出する工程、
(1)配列番号2に示されるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、又は、配列番号2に示されるアミノ酸配列において、1〜10個のアミノ酸が欠失、置換、及び/若しくは挿入されたアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、
(2)配列番号2に示されるアミノ酸配列との同一性が90%以上であるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、あるいは、
(3)配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
に関する。
また、本発明は、
下記工程を含むことを特徴とする癌(特には肺癌)の存在の検出方法:
(1)被験者から得た試料を鋳型とし、前記[3]〜[4]に記載されたプライマーセットを用いてPCRを行う工程、及び
(2)PCR産物の存在を検出する工程、
に関する。
また、本発明は、
下記工程を含むことを特徴とする癌(特には肺癌)の診断方法:
(1)被験者から得た試料を鋳型とし、前記[3]〜[4]に記載されたプライマーセットを用いてPCRを行う工程、及び
(2)PCR産物の存在を検出する工程、
に関する。また、更に、上記方法により癌(特には肺癌)を有すると診断された患者に対して、本発明のポリペプチドを抑制する物質(好ましくはHSD17B7−DDR2阻害剤)を投与することを含む方法に関する。
また、本発明は、
下記工程を含むことを特徴とする、染色体の再構成(genomic rearrangement)を検出する方法:
被験者から得た試料中の、下記(1)〜(3)に記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの存在を検出する工程、
(1)配列番号2に示されるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、又は、配列番号2に示されるアミノ酸配列において、1〜10個のアミノ酸が欠失、置換、及び/若しくは挿入されたアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、
(2)配列番号2に示されるアミノ酸配列との同一性が90%以上であるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、あるいは、
(3)配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
に関する。
さらに、本発明は、
下記工程を含むことを特徴とする、染色体の再構成(genomic rearrangement)を検出する方法:
(1)i)被験者から得た試料、ii)HSD17B7遺伝子をコードする5’側ゲノム領域を含む標識プローブ、及びiii)DDR2遺伝子をコードする3’ゲノム領域を含む蛍光標識プローブを用い、インサイチュハイブリダイゼーションを行う工程、及び
(2)前記標識のシグナルの重なりを検出する工程、
に関する。
また、本発明は、
下記工程を含むことを特徴とする癌(特には肺癌)の存在の検出方法:
(1)i)被験者から得た試料、ii)HSD17B7遺伝子をコードする5’側ゲノム領域を含む標識プローブ、及びiii)DDR2遺伝子をコードする3’ゲノム領域を含む蛍光標識プローブを用い、インサイチュハイブリダイゼーションを行う工程、及び
(2)前記標識のシグナルの重なりを検出する工程、
に関する。
また、本発明は、
下記工程を含むことを特徴とする癌(特には肺癌)の診断方法:
(1)i)被験者から得た試料、ii)HSD17B7遺伝子をコードする5’側ゲノム領域を含む標識プローブ、及びiii)DDR2遺伝子をコードする3’ゲノム領域を含む蛍光標識プローブを用い、インサイチュハイブリダイゼーションを行う工程、及び
(2)前記標識のシグナルの重なりを検出する工程、
に関する。また、上記方法の更なる工程として、上記方法により癌(特には肺癌)を有すると診断された患者に対して、本発明のポリペプチドを抑制する物質(好ましくはHSD17B7−DDR2阻害剤)を投与する工程を含んでもよい。
また、別の態様として、本発明は、上記の診断方法により癌(特には肺癌)陽性と診断された患者に対してHSD17B7−DDR2阻害剤を投与することを含む癌(特には肺癌)の治療方法、に関する。
また、本発明は、被験者から得た試料中の、下記(1)〜(3)に記載のポリペプチドの存在を検出する工程を含むことを特徴とする、HSD17B7とDDR2との融合蛋白質の検出方法:
(1)配列番号2に示されるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、又は、配列番号2に示されるアミノ酸配列において、1〜10個のアミノ酸が欠失、置換、及び/若しくは挿入されたアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、
(2)配列番号2に示されるアミノ酸配列との同一性が90%以上であるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、あるいは、
(3)配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
に関する。
また、本発明は、
下記工程を含むことを特徴とするHSD17B7とDDR2との融合蛋白質陽性の癌(特には肺癌)の存在の検出方法:
被験者から得た試料中の、下記(1)〜(3)に記載のポリペプチドの存在を検出する工程、
(1)配列番号2に示されるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、又は、配列番号2に示されるアミノ酸配列において、1〜10個のアミノ酸が欠失、置換、及び/若しくは挿入されたアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、
(2)配列番号2に示されるアミノ酸配列との同一性が90%以上であるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、あるいは、
(3)配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
に関する。
また、本発明は、
下記工程を含むことを特徴とするHSD17B7とDDR2との融合蛋白質陽性の癌(特には肺癌)の診断方法:
被験者から得た試料中の、下記(1)〜(3)に記載のポリペプチドの存在を検出する工程、
(1)配列番号2に示されるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、又は、配列番号2に示されるアミノ酸配列において、1〜10個のアミノ酸が欠失、置換、及び/若しくは挿入されたアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、
(2)配列番号2に示されるアミノ酸配列との同一性が90%以上であるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、あるいは、
(3)配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
に関する。また、上記方法の更なる工程として、HSD17B7とDDR2との融合蛋白質陽性の癌(特には肺癌)を有すると診断された患者に対して、上記(1)〜(3)に記載のポリペプチドを抑制する物質(好ましくはHSD17B7−DDR2阻害剤)を投与する工程を含んでもよい。
また、別の態様として、本発明は、上記の診断方法によりHSD17B7とDDR2との融合蛋白質陽性の癌(特には肺癌)を有すると診断された患者に対して、上記(1)〜(3)に記載のポリペプチドを抑制する物質(好ましくはHSD17B7−DDR2阻害剤)を投与することを含む癌(特には肺癌)の治療方法、に関する。
本発明の検出方法は、HSD17B7遺伝子とDDR2遺伝子との融合遺伝子陽性の癌(特には肺癌)を検出する方法として利用できる。また、本発明の検出方法は、染色体の再構成を検出する方法として利用できる。また、本発明の検出方法によれば、本発明のポリペプチドを抑制する物質(好ましくはHSD17B7−DDR2阻害剤)の適用対象者であるか否かを鑑別することができ、これにより、本発明のポリペプチドを抑制する物質(好ましくはHSD17B7−DDR2阻害剤)による治療の有効性が期待されるテーラーメード医療が実践できる。本発明の検出用キット及びプライマーセットは、本発明の検出方法に用いることができる。
《本発明の検出方法》
本発明の検出方法には、(I)融合遺伝子の検出方法と、(II)前記融合遺伝子によってコードされる融合蛋白質の検出方法とが含まれる。
(I)融合遺伝子の検出方法
本発明における融合遺伝子の検出方法は、被験者から得た試料中の、本発明のポリヌクレオチドの存在を検出する工程を含む。
被験者から得た試料としては、被験者からの採取物(生体から分離した試料)、具体的には、任意の採取された体液(好ましくは血液)、肺胞・気管支洗浄液、生検された試料、喀痰試料を用いるが、好適には、被験者の肺患部の生検試料又は喀痰試料を用いる。試料からゲノムDNAを抽出して用いることができ、またその転写産物(ゲノムが転写及び翻訳される結果生じる産物;例えばmRNA、cDNA、蛋白質)を用いることができる。特にはmRNA又はcDNAを調製して用いることが好ましい。
融合遺伝子の検出方法における「本発明のポリヌクレオチドの存在を検出する工程」において、その検出対象となる本明細書のポリヌクレオチド(以下、「検出対象ポリヌクレオチド」と称する)は、「HSD17B7遺伝子とDDR2遺伝子との融合遺伝子」であり、これはHSD17B7の一部とDDR2の一部との融合蛋白質であるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドのことをいう。検出対象ポリヌクレオチドである「HSD17B7遺伝子とDDR2遺伝子との融合遺伝子」として具体的には、
(1)配列番号2に示されるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、又は、配列番号2に示されるアミノ酸配列において、1〜10個のアミノ酸が欠失、置換、及び/若しくは挿入されたアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド(以下「機能的等価改変体」とも称する)、
(2)配列番号2に示されるアミノ酸配列との同一性が90%以上であるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド(以下、「相同ポリペプチド」とも称する)、あるいは、
(3)配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド
をコードする融合遺伝子である。
「機能的等価改変体」としては、「配列番号2で表されるアミノ酸配列において、1〜10個、好ましくは1〜数個、更に好ましくは1〜7個、最も好ましくは1〜5個のアミノ酸が置換、欠失、及び/又は挿入されたアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド」が好ましく、「配列番号2で表されるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド」が特に好ましい。
「相同ポリペプチド」は、「配列番号2で表されるアミノ酸配列との同一性が90%以上であるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド」であるが、該同一性が、好ましくは95%以上、更に好ましくは98%以上であるアミノ酸配列を含むポリペプチドが好ましい。
なお、本明細書における前記「同一性」とは、NEEDLE program(J Mol Biol 1970; 48: 443-453)検索によりデフォルトで用意されているパラメータを用いて得られた値Identityを意味する。前記のパラメータは以下のとおりである。
Gap penalty = 10
Extend penalty = 0.5
Matrix = EBLOSUM62
配列番号2で表されるアミノ酸配列は、配列番号1で表される塩基配列によりコードされる配列である。配列番号2で表されるアミノ酸からなるポリペプチドである蛋白質を「HSD17B7−DDR2融合ポリペプチド」と称する。HSD17B7−DDR2融合ポリペプチドをコードする遺伝子を「HSD17B7−DDR2融合ポリヌクレオチド」と称する。
好ましい前記検出対象ポリヌクレオチドとしては、配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリペプチドが挙げられ、さらに好ましい前記検出対象ポリヌクレオチドとしては、配列番号1に示される塩基配列からなるポリヌクレオチドが挙げられる。
配列番号1に示される塩基配列からなるポリヌクレオチドは、HSD17B7遺伝子(GenBank登録番号:NM_016371.2)の塩基番号96(エキソン1のファーストメチオニンに対応)から998(エキソン8の3’末端に対応)とDDR2遺伝子(GenBank登録番号:NM_006182.2)の塩基番号1679(エキソン13の5’末端に対応)から2953(エキソン19のストップコドンに対応)までの塩基配列からなるポリヌクレオチドである。配列番号1に示される塩基配列の内、塩基番号1〜903の配列はHSD17B7遺伝子に由来し、塩基番号904〜2178の配列はDDR2遺伝子に由来する。配列番号1の塩基番号1〜2178は、融合蛋白質のオープンリーディングフレーム(ORF)であり、このORFにコードされるアミノ酸配列を配列番号2に示す。
本発明のポリヌクレオチドの検出方法における「ポリヌクレオチドの存在を検出する工程」は、被験者から得た試料のゲノム中の検出対象ポリヌクレオチド(融合点を含むゲノム配列)の存在を検出すること、あるいは、被験者から得た試料から抽出したゲノムDNAの転写産物(例えばmRNA又はcDNA)を調製し、検出対象ポリヌクレオチドに対応するmRNA又はcDNAの存在を検出することにより実施する。
ゲノムDNAの抽出は公知の方法で行うことができ、市販のDNA抽出キットを用いて簡便に行うことができる。
検出工程は公知の遺伝子解析法(例えば遺伝子検出法として常用されるPCR,LCR(Ligase chain reaction)、SDA(Strand displacement amplification)、NASBA(Nucleic acid sequence-based amplification)、ICAN(Isothermal and chimeric primer-initiated amplification of nucleic acids)、LAMP(Loop-mediated isothermal amplification)法、TMA法(Gen-Probe’s TMA system)、インサイチュハイブリダイゼーション法、更にマイクロアレイなど周知の方法)に従って実施することができる。例えば、検出対象ポリヌクレオチドにハイブリダイズする核酸をプローブとしたハイブリダイゼーション技術、又は、検出対象ポリヌクレオチドにハイブリダイズするDNAをプライマーとした遺伝子増幅技術等を利用する。
具体的には、被験者から得た試料由来の核酸、例えばmRNA等を用いて測定する。mRNA量の測定は、検出対象ポリヌクレオチド配列を特異的に増幅できるように設計したプライマーを用いて遺伝子増幅反応方法にて測定する。本発明の検出方法に用いられるプライマー、又は、検出用キットに含まれるプライマーは、検出対象ポリヌクレオチド配列を特異的に増幅できるものであれば、特には限定されず、検出対象ポリヌクレオチドの塩基配列に基づいて設計する。PCR増幅モニター法におけるプライマー設計は、プライマー設計ソフトウェア(例えば、Primer Express; PE Biosystems)などを利用してできる。また、PCR産物のサイズが大きくなると増幅効率が悪くなるため、センスプライマーとアンチセンスプライマーは、mRNA又はcDNAを対象に増幅したときの増幅産物の大きさが1kb以下になるように設定するのが適切である。
より具体的には、センスプライマー(5’−プライマー)をHSD17B7をコードする部分から、アンチセンスプライマー(3’−プライマー)をDDR2をコードする部分から設計する。好ましくは、本発明の検出用キットに含まれるプライマーを用い、更に好ましくは、検出用キットに最も好適に含まれるプライマーを用いる。各増幅技術に適した方法によって目的とした遺伝子(全体又はその特異的部分)が増幅されたか否かを確認することができる。例えば、PCR法では、PCR産物をアガロースゲル電気泳動によって分析し、エチジウムブロマイド染色等によって目的とするサイズの増幅断片が得られたか否かを確認できる。目的とするサイズの増幅断片が得られた場合は、被験者から得た試料において、検出対象ポリヌクレオチドが存在していたことになる。このように、検出対象ポリヌクレオチドの存在を検出することができる。
本発明の融合遺伝子の検出方法としては、被験者から得た試料中の、特定のポリヌクレオチドの存在を遺伝子増幅反応により検出する工程に加え、さらに目的とするサイズの増幅断片が得られたか否かを検出する工程を含むことが好ましい。
ハイブリダイゼーション技術を利用した検出は、例えば、ノーザンハイブリダイゼーション、ドットブロット法、DNAマイクロアレイ法、RNAプロテクション法などを使用して行う。ハイブリダイゼーションに用いるプローブとしては、検出対象ポリヌクレオチド又はそれらの相補鎖にストリンジェントな条件下で(好ましくはよりストリンジェントな条件下で)ハイブリダイズする連続した少なくとも32塩基の核酸分子であって、融合点を中心にその上流及び下流のそれぞれ16塩基からなる配列又はそれらの相補鎖を含むプローブを用いることができる。
インサイチュハイブリダイゼーション技術を利用した検出は、公知のFISH法(fusion assay)に従って実施することができる。または、クロモジェニックインサイチュハイブリダイゼーション(CISH)法とシルバーインサイチュハイブリダイゼーション(SISH)法を組み合わせたヒュージョンアッセイで実施することができる。
なお、本明細書における融合点とは、HSD17B7の遺伝子由来の部分とDDR2遺伝子由来の部分とが融合した点を意味する。
また、本発明における「ストリンジェントな条件」とは、ハイブリダイゼーションのための条件として、「5×SSPE、5×Denhardt’s液、0.5%SDS、50%ホルムアミド、200μg/mL鮭精子DNA、42℃オーバーナイト」、洗浄のための条件として、「0.5×SSC、0.1%SDS、42℃」の条件である。「よりストリンジェントな条件」とは、ハイブリダイゼーションのための条件として、「5×SSPE、5×Denhardt’s液、0.5%SDS、50%ホルムアミド、200μg/mL鮭精子DNA、42℃オーバーナイト」、洗浄のための条件として、「0.2×SSC、0.1%SDS、65℃」の条件である。
さらには、RT−PCR等の遺伝子増幅技術を利用することができる。RT−PCR法においては、遺伝子の増幅過程においてPCR増幅モニター(リアルタイムPCR)法(Genome Res., 6(10), 986, 1996)を用いることにより、検出対象ポリヌクレオチドの存在について、より定量的な解析を行うことが可能である。PCR増幅モニター法としては、例えば、ABI PRISM7900(PEバイオシステムズ社)を用いることが出来る。リアルタイムPCRは公知の方法であり、そのための装置およびキットは市販されており、これらを利用して簡便に行える。
(II)前記融合遺伝子によってコードされる融合蛋白質の検出方法
本発明における融合蛋白質の検出方法は、被験者から得た試料における、特定のポリペプチド、すなわち、検出対象ポリヌクレオチドにコードされるポリペプチド(以下、「検出対象ポリペプチド」と称する)の存在を検出する工程を含む。当該検出対象ポリペプチドは、「HSD17B7とDDR2との融合蛋白質」のことであり、具体的には、
(1)配列番号2に示されるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、又は、配列番号2に示されるアミノ酸配列において、1〜10個のアミノ酸が欠失、置換、及び/若しくは挿入されたアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、
(2)配列番号2に示されるアミノ酸配列との同一性が90%以上であるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、あるいは、
(3)配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、
であり、好ましくは配列番号2に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドである。
このような検出する工程は、被験者から得た試料(例えば、被験者から得た癌組織や細胞)由来の可溶化液を調製し、その中に含まれる検出対象ポリペプチドを、HSD17B7に対する抗体と、抗DDR2抗体とを組み合わせることによる免疫学的測定法又は酵素活性測定法等により実施できる。好適には、検出対象ポリペプチドに特異的なモノクローナル抗体又はポリクローナル抗体を用いた、酵素免疫測定法、2抗体サンドイッチELISA法、蛍光免疫測定法、放射免疫測定法、ウェスタンブロッティング法等の手法を用いることができる。
本発明の検出方法における検出対象ポリヌクレオチド又は検出対象ポリペプチドが、被験者から得た試料から検出された場合は、当該被験者は、当該ポリヌクレオチド陽性の癌を有する対象(患者)であり、本発明のポリぺプチドを抑制する物質(好ましくはHSD17B7−DDR2阻害剤)による治療の適用対象となる。検出又は診断の対象としては、癌であれば特に制限はないが、特には肺癌であり、好ましくは腺扁平上皮肺癌治療剤である。
《本発明の検出用キット、本発明のプライマーセット》
本発明の検出用キットには、少なくとも、本発明の検出方法における検出対象ポリヌクレオチドを特異的に増幅できるように設計したセンス及びアンチセンスプライマーが含まれる。センス及びアンチセンスプライマーセットは、検出対象ポリヌクレオチド増幅用のプライマーとして機能するポリヌクレオチドのセットである。
本発明のプライマーセットには、
(1)HSD17B7をコードする部分から設計されるセンスプライマー及びDDR2をコードする部分から設計されるアンチセンスプライマーを含む、HSD17B7遺伝子とDDR2遺伝子との融合遺伝子を検出するためのプライマーセットであって、アンチセンスプライマーは「検出対象ポリヌクレオチド」にストリンジェントな条件下(好ましくは、よりストリンジェントな条件下)でハイブリダイズする核酸分子(好ましくは、少なくとも16塩基の核酸分子)からなり、センスプライマーは「検出対象ポリヌクレオチド」の相補鎖にストリンジェントな条件(好ましくは、よりストリンジェントな条件下)でハイブリダイズする核酸分子(好ましくは、少なくとも16塩基の核酸分子)からなるプライマーセット
が含まれる。
また、前記プライマーセット(1)のより具体的な態様として、本発明のプライマーセットには、以下の(2)のプライマーセットが含まれる。
(2)配列番号1の塩基番号1から903間の任意の連続する少なくとも16塩基のオリゴヌクレオチドからなるセンスプライマー及び配列番号1の塩基番号904から2178間の任意の連続する少なくとも16塩基のオリゴヌクレオチドに対して相補的であるオリゴヌクレオチドからなるアンチセンスプライマーのプライマーセット。
これらのプライマーセット(1)〜(2)においては、センスプライマーとアンチセンスセンスプライマーの選択位置の間隔が1kb以下であるか、あるいは、センスプライマーとアンチセンスセンスプライマーにより増幅される増幅産物の大きさが1kb以下であることが好ましい。
また、本発明のプライマーは、通常、15〜40塩基、好ましくは16〜24塩基、更に好ましくは18〜24塩基、特に好ましくは20〜24塩基の鎖長を有する。
本発明のプライマーセットは、本発明の検出方法において、検出対象ポリヌクレオチドを増幅及び検出するために用いることができる。また、本発明のプライマーセットに含まれる各プライマーは、特に限定されるものではないが、例えば、化学合成法によって製造することができる。
「本発明のポリペプチドを抑制する物質」としては、本発明のポリペプチドを阻害する物質又は本発明のポリペプチドの発現を抑制する物質(例えば、二重鎖核酸、抗体又は抗体断片を含む蛋白質、ペプチド、又はそれ以外の化合物)等が挙げられ、好ましくはHSD17B7とDDR2との融合蛋白質の活性を阻害する物質(HSD17B7−DDR2阻害剤とも称する)である。これらの物質は、癌治療剤、特には肺癌治療剤として用いることができ、好ましくは腺扁平上皮肺癌治療剤として用いることができる。
以下、実施例によって本発明を詳述するが、本発明は該実施例によって限定されるものではない。なお、特に断りがない場合は、公知の方法に従って実施可能である。また、市販の試薬やキット等を用いる場合には市販品の指示書に従って実施可能である。
[実施例1]HSD17B7−DDR2(H8D13)融合ポリヌクレオチドの単離
腺扁平上皮肺癌患者肺癌組織由来RNA(米国アステランド社)Lg357検体RNAに対して、逆転写酵素(SuperScriptIII、ライフテクノロジーズ社)およびオリゴ(dT)プライマー(オリゴ (dT)20プライマー、ライフテクノロジーズ社)を用いて、キットのプロトコールにしたがって逆転写反応を行い、cDNAを合成した。
次に、配列番号3で表わされるHSD17B7−DDR2_cloning_Fおよび配列番号4で表わされるHSD17B7−DDR2_cloning_Rのプライマーを用いて、上記で得たcDNAを鋳型として、DNAポリメラーゼ(PrimeSTAR GXL;タカラバイオ株式会社)を用いてPCR(98℃10秒、55℃15秒、68℃3分を30サイクル)を行った。その後、10倍希釈した前述PCR産物を鋳型として、配列番号5で表わされるHSD17B7−DDR2_cloning_nested_Fおよび配列番号6で表わされるHSD17B7−DDR2_cloning_nested_Rのプライマーを用い、同じDNAポリメラーゼを用いてPCR(98℃10秒、55℃15秒、68℃3分を30サイクル)を行った。PCR反応後、電気泳動したところ、約2.4kbのPCR産物を得たことがわかった。PCR産物をクローニングベクター(TOPO XL PCR Cloning Kit;ライフテクノロジーズ株式会社)にクローニングした。インサートはダイデオキシシーケンス法により配列を決定した(BigDye Terminator v3.1 Cycle Sequencing Kit;ライフテクノロジーズ)。この結果、約2.4kbのPCR産物では、NCBIに登録されているHSD17B7(NM_016371.2)のコーディングシーケンス(以下CDS)のN末端からエキソン8の3’末端までが、DDR2(NM_006182.2)のCDSのエキソン13の5’末端からCDSのC末端までと融合している転写産物(HSD17B7−DDR2(H8D13))(配列番号1)が存在していることが明らかになった。配列番号1によりコードされるポリペプチドを配列番号2に示す。
[実施例2]HSD17B7−DDR2(H8D13)融合ポリヌクレオチドの検出
肺癌組織由来RNA(米国アステランド社)30検体に対して、逆転写酵素(SuperScriptIII、ライフテクノロジーズ社)およびランダムプライマー(ランダムプライマーズ、ライフテクノロジーズ社)を用いて、キットのプロトコールにしたがって逆転写反応を行い、cDNAを合成した。
次に、配列番号7で表わされるHSD17B7−DDR2_partial_Fおよび配列番号8で表わされるHSD17B7−DDR2_partial_Rのプライマーを用いて、上記で得たcDNAを鋳型として、DNAポリメラーゼ(PrimeSTAR GXL;タカラバイオ株式会社)を用いてPCR(98℃10秒、55℃15秒、68℃1分を30サイクル)を行った。その後、10倍希釈した前述PCR産物を鋳型として、配列番号9で表わされるHSD17B7−DDR2_partial_nested_Fおよび配列番号10で表わされるHSD17B7−DDR2_partial_nested_Rのプライマーを用い、同じDNAポリメラーゼを用いてPCR(98℃15秒、55℃15秒、68℃1分を30サイクル)を行った。PCR反応後、電気泳動したところ、上述のサンプルLg357のみで、約500bのPCR産物を得たことがわかった。
その後、PCR産物をダイデオキシシーケンス法により配列決定した(BigDye Terminator v3.1 Cycle Sequencing Kit;ライフテクノロジーズ)。この結果、約500bのPCR産物は、NCBIに登録されているHSD17B7(NM_016371.2)のCDSのエキソン6の途中からエキソン8の3’末端までが、DDR2(NM_006182.2)のCDSのエキソン13の5’末端からCDSのエキソン13の途中までと融合している転写産物(HSD17B7−DDR2(H8D13))の一部であることが明らかになった。
以上のことより、HSD17B7−DDR2融合ポリヌクレオチド融合遺伝子の検出法を構築し、そのためのキットおよびプライマーセットを提供し、これらの融合遺伝子またはそれにコードされる融合蛋白質を検出することにより、HSD17B7−DDR2融合遺伝子陽性の患者を選別できることが示された。
本発明の検出方法は、本明細書の融合遺伝子陽性の癌患者の判定に有用である。本発明の検出用キット及びプライマーセットは、前記検出方法に用いることができる。

Claims (4)

  1. 被験者から得た試料中の、下記(1)〜(3)に記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド又は該ポリペプチドの存在を検出する工程を含むことを特徴とする、ヒドロキシステロイド(17−ベータ)デヒドロゲナーゼ7(Hydroxysteroid(17−beta)Dehydrogenase7);HSD17B7)遺伝子とディスコージンドメインレセプターチロシンキナーゼ2(Discordin Domain Receptor Tyrosine Kinase 2;DDR2)遺伝子との融合遺伝子又は該融合遺伝子によってコードされる融合蛋白質の検出方法:
    (1)配列番号2で表されるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、又は、配列番号2で表されるアミノ酸配列において、1〜10個のアミノ酸が欠失、置換、及び/若しくは挿入されたアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、
    (2)配列番号2で表されるアミノ酸配列との同一性が90%以上であるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、あるいは、
    (3)配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド。
  2. 下記(1)〜(3)に記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを特異的に増幅できるように設計したセンスプライマー及びアンチセンスプライマーを含む、HSD17B7遺伝子とDDR2遺伝子との融合遺伝子の検出用キット:
    (1)配列番号2で表されるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、又は、配列番号2で表されるアミノ酸配列において、1〜10個のアミノ酸が欠失、置換、及び/若しくは挿入されたアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、
    (2)配列番号2で表されるアミノ酸配列との同一性が90%以上であるアミノ酸配列を含み、しかも腫瘍形成能を有するポリペプチド、あるいは、
    (3)配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド。
  3. HSD17B7遺伝子をコードする部分から設計されるセンスプライマー及びDDR2遺伝子をコードする部分から設計されるアンチセンスプライマーを含む、HSD17B7遺伝子とDDR2遺伝子との融合遺伝子を検出するためのプライマーセットであって、請求項1又は2に記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドにストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸分子からなるアンチセンスプライマー及び該ポリヌクレオチドの相補鎖にストリンジェントな条件でハイブリダイズする核酸分子からなるセンスプライマーを含むプライマーセット。
  4. 配列番号1の塩基番号1から903間の任意の連続する少なくとも16塩基のオリゴヌクレオチドからなるセンスプライマー及び配列番号1の塩基番号904から2178間の任意の連続する少なくとも16塩基のオリゴヌクレオチドに対して相補的であるオリゴヌクレオチドからなるアンチセンスプライマーのプライマーセット。
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