JPWO2011148936A1 - 3波長用光源装置、3波長用受光装置および光ヘッド装置 - Google Patents
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Abstract
波長が異なる少なくとも3つの光のうち、少なくとも1つの波長の光の偏向方向を変えて他の少なくとも1つの波長の光の光軸と一致させる3波長用光源装置、3波長用受光装置、これらを用いる光ヘッド装置を提供する。発光点の位置がそれぞれ異なる、3波長の光を出射する光源20と、光軸補正素子30を備えた3波長用光源装置10において、光軸補正素子30は、凸部と、凸部の溝を埋めるように配置された凹部により、断面が凹凸形状を有し、凸部を構成する第1の材料と凹部を構成する第2の材料とは、3波長の光のうち、1つまたは2つの波長の光において屈折率が略一致するとともに、残りの波長の光において屈折率が異なり、光軸補正素子30は、屈折率が異なる波長の光が入射するとき、偏向させて出射する回折等の光学作用を発生して、他の波長の光の光軸と一致させる。
Description
本発明は、波長が異なる3つの光が入射して進行方向を揃える機能を有する光軸補正素子を備えた3波長用光源装置、3波長用受光装置および、光ストレージを扱う光学系として、CD、DVD、光磁気ディスクなどの光記録媒体および、「Blu−ray」(登録商標:以下BD)などの高密度光記録媒体(以下、「光ディスク」という)に情報の記録および/または再生(以下、「記録・再生」という。)を行う光ヘッド装置等に関する。
BD、DVD、CD等の複数の光ディスクに対応した光ヘッド装置では、異なる規格の光ディスク毎に、波長の異なる光を出射する半導体レーザ素子等の光源が用いられる。そして、開口数NAの異なる対物レンズにより光ディスクの情報記録面に光源からの出射光が集光され、その反射光を例えば、ビームスプリッタにより分岐して光検出器にて受光することで、電気信号に変換して情報の記録・再生を行う。このとき、光源として、例えば、BDを記録・再生するために青紫色の波長帯の光を出射するレーザ素子と、DVDを記録・再生するために赤色の波長帯の光を出射するレーザ素子および、CDを記録・再生するために赤外の波長帯の光を出射するレーザ素子が、それぞれ個別に配置される構成が考えられる。
ここで、光ヘッド装置を、BD、DVD、CDの光ディスク毎、独立した光学系に基づいて空間配置した部品を用いて構成する場合、光ヘッド装置が大型化し、重量が増加するとともに、光学部品の部品点数が増えるという問題がある。また、光源として、BD用の青紫色の波長帯の光を出射するレーザ素子と、DVD用の赤色の波長帯の光およびCD用の赤外の波長帯の光を出射するレーザ素子とが、個別に配置される光ヘッド装置の構成であっても、同様の理由により、とくに、薄型のノートパソコン等に、BD、DVD、CDを記録・再生できる光ヘッド装置を搭載する場合、求められる小型化、軽量化が実現できないという問題がある。そこで、光ヘッド装置にこれら3種類の波長帯(以下、「3波長」という。)の光を出射する光源として、例えば、1つのCANタイプのパッケージ内に3波長の光を出射する半導体が集積されて構成される、ハイブリッド型またはモノリシック型のレーザ素子を利用し、小型化、軽量化を実現することが検討されている。
ところが、上述のように1つのCANパッケージ内に複数の波長帯の光を出射する構成のレーザ素子を用いる場合、各波長帯の光の発光点が空間的に離れてしまう。そのため、複数の波長帯の光が共通する光路を有する光学系において、複数の波長帯の光の光軸が一致しない。そして、このような光学系における光軸と、一方の波長帯の光の光軸と、を合わせると、他方の波長帯の光の光軸とは一致せず、そのために収差が発生してしまう。このように光学系において収差が発生すると、例えば、光ヘッド装置の場合、光ディスクで反射した光を、光検出器によって高い精度で信号検出ができず、安定した記録・再生ができないという問題がある。
このため、光源から発射された2つの異なる波長の光のうち、一方の光は直進透過させるとともに、他方の光を偏向させ光学系の光軸を一致させる例として、複屈折媒体からなる2波長用偏向光学素子を用いる、2波長光源装置が報告されている(特許文献1)。
また、発光点が異なる複数の波長帯の光について、光学系の光軸を一致させるために、入射するCD用/DVD用/BD用の3つの異なる波長の光のうち、例えば、CD用のレーザ光の光軸のみを回折させて、DVD用のレーザ光の光軸に整合させる回折格子を用いる光ヘッド装置が報告されている(特許文献2)。
ところが、特許文献1の2波長光源装置に用いられる2波長用偏向光学素子は、複屈折媒体を用いており、入射する2つの波長の光の偏光状態を、互いに直交する直線偏光の光として設定しなければならないという制限がある。そのため、例えば、2波長用偏向光学素子に無偏光の光が入射させることはできず、また、互いに直交する直線偏光の光を入射させる場合でも直線偏光の偏光方向と、2波長用偏向光学素子の光学軸と、を精度よく整合させなければならないなど、設計自由度が低いという問題があった。
また、特許文献2の光ヘッド装置に用いられる第1/第2の回折格子は、複屈折媒体ではなく、例えば、ガラスなどの等方性材料に格子パターンを形成しているので、入射する複数の波長の光の偏光状態についてはとくに制限がない。そして、入射するCD用/DVD用/BD用の3つの異なる波長の光のうち、CD用のレーザ光の光軸のみを回折させる場合、格子のステップの高さが、BD用の波長およびDVD用の波長の略整数倍、そしてCD用の波長の非整数倍となるように設定し、CD用の波長の光のみを回折している。しかし、ステップの高さを調整する場合、出射する光の波長が所望の波長に対してずれてしまうと、回折効率が変化しやすくなり、安定した光利用効率を得ることができない、という問題があった。とくに、半導体レーザは、使用する温度によって、出射する波長が変化するので、使用環境によって光利用効率が変化するため、光ディスクの安定した記録・再生が実現できないという問題もあった。
本発明は、上記の問題を鑑みてなされたものであり、とくに3波長の光が入射するとき、特定の1つまたは2つの波長の光に対して偏向させることにより、光学系において少なくとも2つの波長の光の光軸を一致(「光軸補正」ともいう。)させる。そして、入射する光の偏光状態に依存せず、また、光利用効率の波長依存性が小さく、さらに、高い精度で所定の波長の光の光軸補正ができる、3波長用光源装置または3波長用受光装置、そしてこれらの装置のいずれかまたは両方を用いた光ヘッド装置を提供することにある。
本発明は、互いに異なる帯域を有する3波長の光である、波長λ1の光、波長λ2の光、波長λ3の光(λ1<λ2<λ3)を、それぞれ異なる発光点から出射する光源と、入射する前記3波長の光のうち、1つまたは2つの波長の光の進行方向を選択的に変えて出射する光軸補正素子と、有する3波長用光源装置であって、前記光軸補正素子は、第1の材料からなる凸部と第2の材料からなる凹部との組み合わせにより、断面が凹凸形状を有する凹凸部を有し、前記第1の材料の屈折率および前記第2の材料の屈折率は、前記3波長の光のうち、1つまたは2つの波長の光に対して、略一致するとともに、残りの波長の光に対して、異なり、前記3波長の光のうち、1つの波長の光が、残りの波長の少なくとも1つの光の光軸と一致して出射する3波長用光源装置を提供する。
また、前記凹凸部の断面形状は、周期的なピッチとなる回折格子の形状を有するかまたは、前記回折格子形状に、前記3波長の光のうち偏向させる波長の光に対して収差を低減する光路差の分布を付加した形状を有する上記の3波長用光源装置を提供する。
また、前記光軸補正素子は、第1の光軸補正板と第2の光軸補正板を有し、前記第1の光軸補正板および前記第2の光軸補正板はそれぞれ、前記凹凸部を有する上記の3波長用光源装置を提供する。
また、前記光軸補正素子の位置を、光軸方向または前記光軸方向と直交する平面方向に可変する位置調整部を備える上記の3波長用光源装置を提供する。
また、前記光軸補正素子は、第1の光軸補正板と第2の光軸補正板を有し、前記第1の光軸補正板および前記第2の光軸補正板はそれぞれ、前記凹凸部を有し、前記3波長の光のうち光の進行方向を変える波長の光に対する、前記第1の光軸補正板および前記第2の光軸補正板が発生する光路差の分布関数をΦa(x,y)、Φb(x,y)とするとき、Φa(x,y)=−Φb(x,y)である基準位置を有し、光軸と直交する平面方向に、前記光軸からのベクトル量をr、前記基準位置からのずれを示すベクトル量をΔrとするとき、前記第1の光軸補正板および前記第2の光軸補正板は、前記Φa(x,y)と前記Φb(x,y)との差分を表す関数Φa(r)−Φb(r+Δr)が、
Φa(r)−Φb(r+Δr)=α・x(±|Δr|)+β+A・x+W(x,y)、
W(x,y)=a0+a1(x/r0)+a2(y/r0)+a3(x/r0)2
+a4(x/r0)・(y/r0)+a5(y/r0)2+・・・
(但し、α、β、A、a0、a1、a2、a3、a4、a5は定数、r0は開口サイズの規格化定数)の関係を満たす前記凹凸部の形状を有する上記の3波長用光源装置を提供する。
Φa(r)−Φb(r+Δr)=α・x(±|Δr|)+β+A・x+W(x,y)、
W(x,y)=a0+a1(x/r0)+a2(y/r0)+a3(x/r0)2
+a4(x/r0)・(y/r0)+a5(y/r0)2+・・・
(但し、α、β、A、a0、a1、a2、a3、a4、a5は定数、r0は開口サイズの規格化定数)の関係を満たす前記凹凸部の形状を有する上記の3波長用光源装置を提供する。
また、前記光軸補正素子の位置を、光軸方向と直交する平面方向に可変する位置調整部を備える上記の3波長用光源装置を提供する。
また、前記波長λ1の光に対する、前記第1の材料の屈折率と前記第2の材料の屈折率とが略一致するとともに、前記波長λ2の光および前記波長λ3の光に対する、前記第1の材料の屈折率と前記第2の材料の屈折率とが異なる上記の3波長用光源装置を提供する。
また、前記波長λ1の光に対する、前記第1の材料の屈折率と前記第2の材料の屈折率とが異なるとともに、前記波長λ2の光および前記波長λ3の光に対する、前記第1の材料の屈折率と前記第2の材料の屈折率とが略一致する上記の3波長用光源装置を提供する。
また、前記第1の材料と前記第2の材料の一方または両方が、無機材料を含有する上記の3波長用光源装置を提供する。
また、前記波長λ1は395〜425nmの範囲の405nm波長帯、前記波長λ2は640〜680nmの範囲の660nm波長帯、前記波長λ3は、765〜805nmの範囲の785nm波長帯である上記の3波長用光源装置を提供する。
また、互いに異なる帯域を有する3波長の光である、波長λ1の光、波長λ2の光、波長λ3の光(λ1<λ2<λ3)のうち、1つまたは2つの波長の光の進行方向を選択的に変えて出射する光軸補正素子と、前記3波長の光を受光する光検出器と、を有する3波長用受光装置であって、前記光軸補正素子は、第1の材料からなる凸部と第2の材料からなる凹部との組み合わせにより、断面が凹凸形状を有する凹凸部を有し、前記第1の材料の屈折率および前記第2の材料の屈折率は、前記3波長の光のうち、1つまたは2つの波長の光に対して、略一致するとともに、残りの波長の光に対して、異なり、前記3波長の光のうち、1の波長の光が、残りの波長の光の少なくとも1つの光と一致して前記光検出器に到達する3波長用受光装置を提供する。
また、前記凹凸部の断面形状は、周期的なピッチとなる回折格子の形状を有するかまたは、前記回折格子形状に、前記3波長の光のうち偏向させる波長の光に対して収差を低減する光路差の分布を付加した形状を有する上記の3波長用受光装置を提供する。
また、前記光軸補正素子は、第1の光軸補正板と第2の光軸補正板を有し、前記第1の光軸補正板および前記第2の光軸補正板はそれぞれ、前記凹凸部を有する上記の3波長用受光装置を提供する。
また、前記光軸補正素子の位置を、光軸方向または前記光軸方向と直交する平面方向に可変する位置調整部を備える上記の3波長用受光装置を提供する。
また、前記光軸補正素子は、第1の光軸補正板と第2の光軸補正板を有し、前記第1の光軸補正板および前記第2の光軸補正板はそれぞれ、前記凹凸部を有し、前記3波長の光のうち光の進行方向を変える波長の光に対する、前記第1の光軸補正板および前記第2の光軸補正板が発生する光路差の分布関数をΦa(x,y)、Φb(x,y)とするとき、Φa(x,y)=−Φb(x,y)である基準位置を有し、光軸と直交する平面方向に、前記光軸からのベクトル量をr、前記基準位置からのずれを示すベクトル量をΔrとするとき、前記第1の光軸補正板および前記第2の光軸補正板は、前記Φa(x,y)と前記Φb(x,y)との差分を表す関数Φa(r)−Φb(r+Δr)が、
Φa(r)−Φb(r+Δr)=α・x(±|Δr|)+β+A・x+W(x,y)、
W(x,y)=a0+a1(x/r0)+a2(y/r0)+a3(x/r0)2
+a4(x/r0)・(y/r0)+a5(y/r0)2+・・・
(但し、α、β、A、a0、a1、a2、a3、a4、a5は定数、r0は開口サイズの規格化定数)の関係を満たす前記凹凸部の形状を有する上記の3波長用受光装置を提供する。
Φa(r)−Φb(r+Δr)=α・x(±|Δr|)+β+A・x+W(x,y)、
W(x,y)=a0+a1(x/r0)+a2(y/r0)+a3(x/r0)2
+a4(x/r0)・(y/r0)+a5(y/r0)2+・・・
(但し、α、β、A、a0、a1、a2、a3、a4、a5は定数、r0は開口サイズの規格化定数)の関係を満たす前記凹凸部の形状を有する上記の3波長用受光装置を提供する。
また、前記光軸補正素子の位置を、光軸方向と直交する平面方向に可変する位置調整部を備える上記の3波長用受光装置を提供する。
前記波長λ1の光に対する、前記第1の材料の屈折率と前記第2の材料の屈折率とが略一致するとともに、前記波長λ2の光および前記波長λ3の光に対する、前記第1の材料の屈折率と前記第2の材料の屈折率とが異なる上記の3波長用受光装置を提供する。
また、前記波長λ1の光に対する、前記第1の材料の屈折率と前記第2の材料の屈折率とが異なるとともに、前記波長λ2の光および前記波長λ3の光に対する、前記第1の材料の屈折率と前記第2の材料の屈折率とが略一致する上記の3波長用受光装置を提供する。
また、前記第1の材料と前記第2の材料の一方または両方が、無機材料を含有する上記の3波長用受光装置を提供する。
また、前記波長λ1は395〜425nmの範囲の405nm波長帯、前記波長λ2は640〜680nmの範囲の660nm波長帯、前記波長λ3は、765〜805nmの範囲の785nm波長帯である上記の3波長用受光装置を提供する。
また、光源と、前記光源から出射した光を光ディスクに集光する対物レンズと、前記光ディスクで反射された光を受光する光検出器と、前記光源から出射した光を前記対物レンズへ導くとともに、前記光ディスクで反射された光を前記光検出器へ導くビームスプリッタと、を備えた光ヘッド装置において、前記光源を含み、前記光源から前記ビームスプリッタ間の光路中に上記の3波長用光源装置が備えられる光ヘッド装置を提供する。
さらに、光源と、前記光源から出射した光を光ディスクに集光する対物レンズと、前記光ディスクで反射された光を受光する光検出器と、前記光源から出射した光を前記対物レンズへ導くとともに、前記光ディスクで反射された光を前記光検出器へ導くビームスプリッタと、を備えた光ヘッド装置において、前記光検出器を含み、前記ビームスプリッタから前記光検出器間の光路中に上記の3波長用受光装置が備えられる光ヘッド装置を提供する。
本発明によれば、少なくとも3つの異なる波長帯である波長λ1、波長λ2および波長λ3を用いる所定の光学系において、1つまたは2つの波長の光を偏向させて所定の光学系の光軸と一致させる、3波長用光源装置、3波長用受光装置を提供することができる。また、本発明の3波長用光源装置および/または3波長用受光装置を用いて、3波長の光に対して小型化、軽量化を実現するとともに、各波長の光に対応する光ディスクの安定した記録・再生が実現できる光ヘッド装置を提供することができる。
(3波長用光源装置の第1の実施形態)
図1は、本実施形態に係る3波長用光源装置の概念的模式図である。3波長用光源装置10は、光源20と、光源20から発射する光の進行方向に備えられた光軸補正素子30を含む構成を有する。光源20は、波長λ1の光、波長λ2の光および、波長λ3(λ1<λ2<λ3)の光を出射する集積された半導体レーザ素子などから構成され、例えば、CANパッケージ内に一体化されている。また、光軸補正素子30は、屈折率が互いに異なる2つの材料が組み合わされており、これらの材料の境界線が凹凸をなす構造を有する。そして、後述するように、この凹凸によって、光軸補正素子30に入射する3波長の光うち、いずれか1つまたは2つの光を偏向させて、3波長の光のうち少なくとも2つの波長の光の光軸を一致させるように設定されている。なお、「偏向」は、「回折」の現象も含む意味で用いる。
図1は、本実施形態に係る3波長用光源装置の概念的模式図である。3波長用光源装置10は、光源20と、光源20から発射する光の進行方向に備えられた光軸補正素子30を含む構成を有する。光源20は、波長λ1の光、波長λ2の光および、波長λ3(λ1<λ2<λ3)の光を出射する集積された半導体レーザ素子などから構成され、例えば、CANパッケージ内に一体化されている。また、光軸補正素子30は、屈折率が互いに異なる2つの材料が組み合わされており、これらの材料の境界線が凹凸をなす構造を有する。そして、後述するように、この凹凸によって、光軸補正素子30に入射する3波長の光うち、いずれか1つまたは2つの光を偏向させて、3波長の光のうち少なくとも2つの波長の光の光軸を一致させるように設定されている。なお、「偏向」は、「回折」の現象も含む意味で用いる。
波長λ1、波長λ2および波長λ3の組み合わせとしては、光ヘッド装置に適用させる場合、例えば、波長λ1としてBD用の405nm波長帯(395〜420nm)、波長λ2としてDVD用の660nm波長帯(640〜680nm)、そして、波長λ3としてCD用の785nm波長帯(765〜805nm)の組み合わせが考えられる。また、これらの波長の組み合わせはこれに限らない。例えば、3色のレーザ光を用いた投射型表示装置(プロジェクタ)用として用いられるBlue(420〜480nm)となる450nm波長帯、Green(520〜560nm)となる533nm波長帯およびRed(610〜670nm)となる645nm波長帯をそれぞれ、これら波長λ1、波長λ2および波長λ3として設計するものであってもよい。さらに、他の波長帯の組合せであってもよい。
次に、3波長用光源装置10の光学作用について説明する。図2(a)は、3波長の光のうち1つの波長の光に対する3波長用光源装置10の光学作用について示す模式図であり、図2(b)は、残り2つの波長の光に対する3波長用光源装置10の光学作用について示す模式図である。なお、図2(a)、図2(b)において、光源20は、パッケージ部分を表示していない。ここで、3波長の光を出射する光源20は、1波長光源25と、2波長光源26とが、一定の間隔で並べられて不図示のパッケージに収納されているものとする。また、1波長光源25は、波長λ1の光を第1の発光点21から出射し、2波長光源26は、波長λ2の光を第2の発光点22から出射するとともに、波長λ3の光を第3の発光点23から出射する。そして、所定の光学系の光軸を光軸44とすると、光軸44は、第2の発光点22上にあり、また、第1の発光点21と第2の発光点22との間は、距離dの間隔があるものとする。
ここで、第1の発光点21および第3の発光点23は、光軸44からずれており、このうち、第1の発光点21から出射する波長λ1の光が、所定の光学系において、光軸補正素子30によって光軸44と同一の光軸となるように設定する。なお、実際の光は進行方向と直交する平面において有限の面積を有するが、図2(a)、図2(b)では、3波長用光源装置10の光学系において、各発光点から出射した代表的な光線についてのみ実線で示しており、以降の実施形態においても、そのように示す。光軸補正素子30は、図2(a)に示すように、波長λ1の光41に対してX軸方向に角度θだけ傾けて偏向させる光軸補正を行い、光軸44と一致させ、一方で、図2(b)に示すように波長λ2の光42および波長λ3の光43に対して光軸補正の作用は発生しない。つまり、特定の波長の光について波長選択的に光軸補正を行う機能を有する。このように例えば、1波長光源25と、2波長光源26とが独立して配置される場合、配置状態のばらつき等によって、とくに光軸のずれが生じやすい波長λ1の光41に対して光軸補正を行うことができる。
次に、光軸補正素子30の具体的な構成について説明する。図3は、光軸補正素子30の断面模式図を示す例である。光軸補正素子30は、第1の材料からなる凸部31と、第2の材料からなる凹部32によって、断面形状が凹凸となるように組み合わされた凹凸部33を有する。なお、凹凸部33における凹凸(形状)とは、光軸補正素子30の断面において、第1の材料と第2の材料との境界線によってできる凹凸、という意味であり、以降の実施形態においても同様の意味で用いる。この凹凸部33は、例えば、図3に示すように断面が周期的なピッチを有する回折格子とすることができるが、後述するように周期的ではない凹凸の形状を有してもよい。凹部32は、凸部31の溝を埋めるように備えられていてもよく、図3のように、凸部31を覆うように備えられていてもよい。また、ここでは凹凸部33を挟持する透明基板34aおよび透明基板34bが備わって光軸補正素子30を構成するが、一方の透明基板が備わらない構成でもよい。また、透明基板34a、34bとしては、入射する光に対して透明であれば、樹脂板、樹脂フィルムなど種々の材料を用いることができるが、ガラスや石英ガラスなどの光学的等方性材料を用いると、透過光に複屈折性の影響を与えないため好ましい。
凸部31を構成する第1の材料と凹部32を構成する第2の材料は、それぞれ均質で光学的に等方性な材料からなる。そのため、屈折率は入射する光の偏光状態には依存しない。そして、第1の材料と第2の材料と、の組み合わせとしては、以下に説明する屈折率の波長分散特性を有する。図4は、横軸に波長λ、縦軸に波長λの光に対する屈折率n(λ)を示し、第1の材料における屈折率の波長分散特性n1(λ)を実線で、第2の材料における屈折率の波長分散特性n2(λ)を破線で示した例である。
図4では、光軸補正素子30に入射する3波長の光について、波長λ1の光に対する各材料の屈折率、n1(λ1)とn2(λ1)とが異なり、波長λ2の光に対する各材料の屈折率、n1(λ2)とn2(λ2)とが略一致し、さらに、波長λ3の光に対する各材料の屈折率、n1(λ3)とn2(λ3)とが略一致する特性を示したものである。なお、この場合、略一致とは、|n1(λ1)−n2(λ1)|の値に対する、|n1(λ2)−n2(λ2)|の値、|n1(λ3)−n2(λ3)|の値が、40%以下であり、この割合が、30%以下であれば好ましく、20%以下であればより好ましい。例えば、3波長用光源装置10を後述する光ヘッド装置に組み込み、さらに、λ1=405nm、λ2=660nm、λ3=785nmとする場合を考える。そして、凹凸部33の断面の凹凸形状がブレーズ形状であるとき、660nmにおいて上記のように40%以下であれば、660nmの光の0次回折効率(直進透過率)η0(660)が80%以上、30%以下、20%以下であれば、η0(660)がそれぞれ、90%以上、95%以上となり、660nmの光について一定量の高い光量が得られる。
また、図4の屈折率の波長分散特性を示す光軸補正素子30の凹凸部33は、波長λ1の光41に対して、光路差が発生して伝播方向が変化するのに対し、波長λ2の光42および波長λ3の光43に対して、光路差は発生しないので、直進透過する。そして、波長λ1の光41に対して、凹凸部33において変化する伝播方向を制御する設計とすることで、この場合、波長λ1の光41の光軸を光軸44に一致させる補正をすることができる。
図4のような屈折率の波長分散特性n1(λ)を示す第1の材料として、例えば、芳香族系炭化水素を含む樹脂材料や無機微粒子を含有した樹脂を用いることができる。芳香族系炭化水素化合物としては、ビフェニル構造やフェニルシラン構造を有するものを用いることができる。他にも、低アッベ数のゾルゲル材料や無機材料を用いてもよい。無機材料である場合、多層膜構造とすることで屈折率の波長分散特性を調整できるので、多層膜構造としてもよい。屈折率の波長分散特性n2(λ)を示す第2の材料としては、脂肪族系炭化水素、フッ素系炭化水素、硫黄系炭化水素、ポリシロキサン系の樹脂などを用いることが可能である。また、これらの樹脂に無機微粒子を含むものを用いることも可能である。脂肪族系炭化水素としては、アダマンタン、ジアマンタン、トリシクロデカンなどの材料を選択すると高屈折率、高アッベ数の材料を得ることができるので好ましい。他にも、高アッベ数のゾルゲル材料や無機材料、無機材料による多層膜構造としてもよい。これらの無機微粒子やゾルゲル、無機材料に用いる材料として、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化ジルコニウム、酸化タングステン、酸化インジウム、酸化スズ、酸化ハフニウム、酸化セリウム、酸化イットリウム、チタン酸バリウム、シリカ、アルミナなどが挙げられる。また、前述の無機材料を混合した材料を用いてもよい。一般的に無機材料は青色波長帯の光に対して耐光性を有しているので、青色波長帯の光を透過させる場合には第1の材料、第2の材料の少なくとも一つに無機材料を含有するとよい。さらに、第1の材料、第2の材料の少なくとも一つが、無機材料から構成されてもよい。なお、凸部31を第1の材料、凹部32を第2の材料とする組み合わせとしたが、凹凸部33の材料の組み合わせによって屈折率の波長分散特性を得るものであるので、凸部31に第2の材料、凹部32に第1の材料とする組み合わせであってもよい。
また、第1の材料、第2の材料が樹脂を含有する材料であって、青色波長帯のように光子エネルギーが高い波長帯の光を透過させる場合、青色波長帯の光における屈折率が高い樹脂材料を用いると、樹脂材料の劣化が起こり得る。したがって、第1の材料、第2の材料として樹脂を含有する材料を用いる場合、この材料のd線(587.56nm)における屈折率ndとアッベ数vdとして、
第1の材料: 1.5<nd<1.70、 10<vd<35、
第2の材料: 1.5<nd<1.70、 35<vd<60、
となる範囲の値を選択するのが好ましい。
第1の材料: 1.5<nd<1.70、 10<vd<35、
第2の材料: 1.5<nd<1.70、 35<vd<60、
となる範囲の値を選択するのが好ましい。
次に、第1の材料、第2の材料が無機材料を含有する材料の場合について考える。図5(a)は、無機材料についてC線(656nm)における屈折率nCに対するh線(405nm)における屈折率nhの関係を表したグラフの例であり、具体的には、HOYA社のガラスのカタログ(http://www.hoya-opticalworld.com/japanese/datadownload/index.html 変更日:2010年4月21日)より抜粋したデータをプロットしたグラフである。図5(a)に示されるように、無機材料のC線における屈折率nCが高くなるほどh線における屈折率nhのばらつきが大きくなることがわかる。この例に基づき、全般的に、第1の材料と第2の材料の両方が無機材料を含有する場合、屈折率nCが高い材料を選択すると、屈折率nhの取り得る選択範囲が広がるという点で好ましい。
このように、第1の材料、第2の材料が無機材料を含有する材料の場合、d線における屈折率ndとアッベ数vdとしては、
第1の材料: nd>1.70、
vd≦554.928/(nd)4
−132.831/(nd)2+20.608、
第2の材料: nd>1.70、
vd>554.928/(nd)4
−132.831/(nd)2+20.608、
となる範囲の値を選択するのが好ましい。
第1の材料: nd>1.70、
vd≦554.928/(nd)4
−132.831/(nd)2+20.608、
第2の材料: nd>1.70、
vd>554.928/(nd)4
−132.831/(nd)2+20.608、
となる範囲の値を選択するのが好ましい。
また、図5(b)は、HOYA社のガラスのカタログのデータ(http://www.hoya-opticalworld.com/japanese/datadownload/index.html 変更日:2010年4月21日)より抜粋したデータを用いて、d線における屈折率ndに対するアッベ数vdの関係を表したグラフの例である。また、図5(b)中に、
Vd=56.9581×(nd)2−280.588×(nd)+356.349、
となる曲線を実線で示している。例えば、このような曲線を境界として屈折率、アッベ数が区分される2つの材料を、それぞれ、第1の材料と第2の材料として使用することで、回折するべき波長の光について、これらの材料の間で高い屈折率差が得られる。
Vd=56.9581×(nd)2−280.588×(nd)+356.349、
となる曲線を実線で示している。例えば、このような曲線を境界として屈折率、アッベ数が区分される2つの材料を、それぞれ、第1の材料と第2の材料として使用することで、回折するべき波長の光について、これらの材料の間で高い屈折率差が得られる。
次に、凹凸部33の凹凸形状について説明する。本実施形態に係る3波長用光源装置10に用いる光軸補正素子30は、凹凸部33が、断面が周期的な凹凸となる回折格子を有する。とくに、波長λ1の光に対して、例えば、高い1次回折効率で回折光を発生するブレーズ形状または、ブレーズ形状を階段状に近似した、擬似ブレーズ形状を有することが好ましい。
ここで、回折格子の周期を表す格子ピッチをP、波長をλ、回折次数をmとするとき、回折格子による回折角度θ´は、sinθ´=mλ/P、の関係を満たす。したがって、図2(a)に示す、所望の光軸補正角度θに対して、回折次数を決定して、光軸補正素子30が、sinθ=mλ/Pを満たすように格子ピッチPを設定するとよい。
また、例えば、図3の凸部31に示すように、擬似ブレーズ形状は、フォトリソグラフィーとエッチングを繰り返すことにより形成することができる。また、これに限らず、ブレーズ形状や他の任意の凹凸形状も含め、切削や研削加工、金型を用いたプレス、モールドを用いたインプリント法などでも形成できる。また、凹部32は、例えば、凸部31の加工後に、例えば、樹脂やゾルゲル材料を塗布することによって形成できる。さらに、これに限らず、凹部32として無機材料を用いる場合、CVD法、バイアススパッタ法をはじめとするスパッタ法、真空蒸着法などを用いることができる。
次に、特定の波長の光を偏向させる場合の、凹凸部33の凹凸(格子)形状の決定方法について説明する。光軸補正素子30に入射する特定の波長の光について進行方向を変えて出射する場合、波面の変化が生じるものとして考えることもできる。そして、図3に示すように、光軸補正素子30の透明基板面をX−Y平面とし、光軸44をZ軸方向とし、X−Y平面における光路差の分布を関数Φ(x,y)で定義する。このとき、以下の方法によって凹凸形状を決定するとよい。なお、(x,y)座標において、(x,y)=(0,0)は3波長用光源装置10の光軸44に相当する。
まず、光軸補正素子30に特定の波長の光が入射して波面を変えて出射するとき、所望の角度θだけ偏向させて光軸補正が実現できるための、光軸補正素子30の光路差の分布を与える。図6(a)は、その所望の光路差を示す分布図をX軸方向について示したプロファイルの例である。ここで、図6(a)の光路差分布において、光軸補正の対象となる波長として、例えば、波長λ1に対する剰余を関数Φ´(x,y)とする。図6(b)はこの剰余の関数Φ´(x,y)を示したプロファイルである。
次に、波長λ1の光に対する、第1の材料の屈折率と第2の材料の屈折率と、の差(=屈折率差)をΔn(λ1)とし、凹凸形状の高さの分布をh(x,y)と定義すると、
h(x,y)=Φ´(x,y)/Δn(λ1) ・・・ (1)
で与えることができる。図6(c)は、図6(b)に基づく、高さh(x,y)の分布を示すものである。そして、凹凸部33が図6(c)に示す分布となるように、例えば、凸部31となる第1の材料を加工して、凹部32となる第2の材料を、凸部31の溝に埋めることで実現できる。また、図6(d)は、図6(c)の高さの分布を階段形状にした図を示したものであり、このように近似させた分布であってもよい。なお、例として図6(d)に高さの分布を示すように、必ずしも周期的な凹凸形状に限らず、所望の光軸補正の特性に応じて適宜、凹凸形状の分布を与えるとよい。
h(x,y)=Φ´(x,y)/Δn(λ1) ・・・ (1)
で与えることができる。図6(c)は、図6(b)に基づく、高さh(x,y)の分布を示すものである。そして、凹凸部33が図6(c)に示す分布となるように、例えば、凸部31となる第1の材料を加工して、凹部32となる第2の材料を、凸部31の溝に埋めることで実現できる。また、図6(d)は、図6(c)の高さの分布を階段形状にした図を示したものであり、このように近似させた分布であってもよい。なお、例として図6(d)に高さの分布を示すように、必ずしも周期的な凹凸形状に限らず、所望の光軸補正の特性に応じて適宜、凹凸形状の分布を与えるとよい。
また、凹凸部33の凹凸形状は、例えば、図2(a)に示すように、特定の波長の光をX軸方向に傾けて偏向させる場合、光路差の分布を、関数Φ(x,y)とすると、
Φ(x,y)=Ax ・・・ (2)
として与えることができる(Aは、定数)。この場合、凹凸部33の凹凸形状は、この特定の波長の余剰分に基づいて与えると、周期的な回折格子の形状となる。また、凹凸部33は、周期的な回折格子の形状だけに限らない。光軸を補正する特定の波長の光が、光軸補正素子30に発散光として入射すると、非点収差、コマ収差等の収差が発生するが、これらの収差を低減させるため、凹凸部33の凹凸形状は、周期的な回折格子に、収差を低減するための光路差の分布を含む形状を付加する形状としてもよい。
Φ(x,y)=Ax ・・・ (2)
として与えることができる(Aは、定数)。この場合、凹凸部33の凹凸形状は、この特定の波長の余剰分に基づいて与えると、周期的な回折格子の形状となる。また、凹凸部33は、周期的な回折格子の形状だけに限らない。光軸を補正する特定の波長の光が、光軸補正素子30に発散光として入射すると、非点収差、コマ収差等の収差が発生するが、これらの収差を低減させるため、凹凸部33の凹凸形状は、周期的な回折格子に、収差を低減するための光路差の分布を含む形状を付加する形状としてもよい。
つまり、発生する収差に相当する光路差の分布を、関数W(x,y)で表し、光軸補正によって発生する収差を低減させるため、全体の光路差の分布を関数ΦW(x,y)とすると、
ΦW(x,y)=Ax−W(x,y) ・・・(3a)
W(x,y)=a0+a1(x/r0)+a2(y/r0)+a3(x/r0)2
+a4(x/r0)・(y/r0)+a5(y/r0)2+・・・ (3b)
とするとよい。なお、a0、a1、a2、a3、a4、a5、・・・は定数であり、r0は規格化定数であり、収差を求める対象となる開口サイズと同程度の値となる。
ΦW(x,y)=Ax−W(x,y) ・・・(3a)
W(x,y)=a0+a1(x/r0)+a2(y/r0)+a3(x/r0)2
+a4(x/r0)・(y/r0)+a5(y/r0)2+・・・ (3b)
とするとよい。なお、a0、a1、a2、a3、a4、a5、・・・は定数であり、r0は規格化定数であり、収差を求める対象となる開口サイズと同程度の値となる。
また、特定の波長の光についてのみX軸方向に傾けて偏向させる場合において、3次の非点収差および3次のコマ収差だけを補正させる場合、上記の式(3a)のW(x,y)として、
W(x,y)=B{(x/r0)2−(y/r0)2}
+C[3{(x/r0)2+(y/r0)}2−2]・(x/r0) ・・・(3c)
を与えるとよい(B、Cは、定数)。
W(x,y)=B{(x/r0)2−(y/r0)2}
+C[3{(x/r0)2+(y/r0)}2−2]・(x/r0) ・・・(3c)
を与えるとよい(B、Cは、定数)。
このように、収差を低減させる光路差を含ませる場合、関数ΦW(x,y)に対応する凹凸部33の凹凸の高さの分布hW(x,y)は、周期的とはならない場合が多い。また、例えば、1波長光源25から出射する波長λ1の光の強度に分布を有する場合、凹凸部33の凹凸の高さ(凸部31の高さ)を調整することにより、回折効率の分布を変化させることができるので、光軸補正素子30を出射する光の強度分布を所望の分布に補正することもできる。とくに、光軸補正素子30を出射する光を他の光学系で集光させる場合、光の強度分布が均一であれば、光の強度(光量)分布に起因するスポット形状の劣化が抑制され、好ましい。
また、光軸補正素子30を出射する光の強度分布を所望の分布を与える場合、凸部31の高さを一定値とし、凸部31の形状に分布を与えてもよい。例えば、図3は、凸部31が、各段の幅が等しい8段の擬似ブレーズ形状として一様に分布しているが、段数が異なる擬似ブレーズ形状や各段の幅が不均一となる擬似ブレーズ形状を含めることによって、光軸補正素子30を出射する光の強度分布を所望の分布に補正することもできる。この場合、各段の高さを一定の値とできるので、凸部31を形成するために、エッチングプロセスを利用する場合に、エッチング処理の回数を大きく増加することなく実現できる。また、擬似ブレーズ形状に限らず、ブレーズ形状でもよい。ブレーズ形状の場合、凸部31の高さが一定で、勾配が不均一となるブレーズ形状を含めることで、出射する光の強度分布を補正できる。また、光の強度分布を補正するために別途回折素子を設けたり、多層膜のパターニングなどによって透過する光量を調整する方法を用いてもよい。
本実施形態に係る3波長用光源装置10の光軸補正素子30の凹凸部33の構成は、後述する他の実施形態に係る3波長用光源装置および、3波長用受光装置の光軸補正素子30にも適用できる。また、後述するように、光軸補正素子を、2つの光軸補正板によって構成する場合であっても、各光軸補正板は、光軸補正素子30の凹凸部33の種々の構成、つまり、断面が周期的な凹凸を有する回折格子の形状となる構成、または、さらに収差を低減するための光路差の分布を付加する凹凸の形状を有する構成、光の光量分布の補正を付加する構成などを適用することができる。
(3波長用光源装置の第2の実施形態)
図7は、本実施形態に係る3波長用光源装置の概念的模式図である。3波長用光源装置50は、3波長用光源装置10に対して、光軸補正素子30の位置を調整できる位置調整部55が付加されたものである。本実施形態では、3波長用光源装置10と同じ構成を有する、光源20および光軸補正素子30には、同じ番号を付して、説明の重複を避ける。位置調整部55は、光軸補正素子30をZ軸方向の1次元に移動できる機構を有するが、これに限らず、2次元、回転やチルトも含む3次元に移動できる機構を有してもよい。
3波長用光源装置50は、位置調整部55を備えることで、後述するように光源20に備えられた、1波長光源25と2波長光源26との位置に、ばらつきなどがある場合等、有効に所定の波長の光に対する光軸補正を行うことができる。具体的に、位置調整部55として、光軸補正素子30をホルダーに固定して、ホルダーごとネジ等によって光軸補正素子30の位置を調整する機能が付加されていたり、光軸補正素子30を固定する場所にガイドを備え、ガイドに沿って外部からマイクロメータで光軸補正素子30を調整する機能が付加されていたりしてもよい。また、位置調整部55は、光軸補正素子30の位置を固定した後にネジが取り外せるものであってもよい。また、例えば、1波長光源25が傾いて配置されており、第1の発光点21が、第2の発光点22と第3の発光点23を結ぶ直線上に無い場合、位置調整部55が、光軸補正素子30を傾ける調整をしてもよい。なお、後述する各実施形態に含まれる位置調整部についても同等の機能を有するものとする。
図7は、本実施形態に係る3波長用光源装置の概念的模式図である。3波長用光源装置50は、3波長用光源装置10に対して、光軸補正素子30の位置を調整できる位置調整部55が付加されたものである。本実施形態では、3波長用光源装置10と同じ構成を有する、光源20および光軸補正素子30には、同じ番号を付して、説明の重複を避ける。位置調整部55は、光軸補正素子30をZ軸方向の1次元に移動できる機構を有するが、これに限らず、2次元、回転やチルトも含む3次元に移動できる機構を有してもよい。
3波長用光源装置50は、位置調整部55を備えることで、後述するように光源20に備えられた、1波長光源25と2波長光源26との位置に、ばらつきなどがある場合等、有効に所定の波長の光に対する光軸補正を行うことができる。具体的に、位置調整部55として、光軸補正素子30をホルダーに固定して、ホルダーごとネジ等によって光軸補正素子30の位置を調整する機能が付加されていたり、光軸補正素子30を固定する場所にガイドを備え、ガイドに沿って外部からマイクロメータで光軸補正素子30を調整する機能が付加されていたりしてもよい。また、位置調整部55は、光軸補正素子30の位置を固定した後にネジが取り外せるものであってもよい。また、例えば、1波長光源25が傾いて配置されており、第1の発光点21が、第2の発光点22と第3の発光点23を結ぶ直線上に無い場合、位置調整部55が、光軸補正素子30を傾ける調整をしてもよい。なお、後述する各実施形態に含まれる位置調整部についても同等の機能を有するものとする。
図8(a)と図8(b)は、3波長用光源装置50において、光源20の1波長光源25と2波長光源26と、の位置が互いに異なる場合について模式的に示したものであり、それぞれ、1波長光源25から出射する波長λ1の光の代表的な光線を示したものである。まず、図8(a)は、図2(a)の3波長用光源装置10と同様に、第1の発光点21と第2の発光点22と、の間隔がdであって、この位置関係が、設計中心となる光学系を示すものとする。また、3波長用光源装置50の光学系の光軸を、第2の発光点22上にある光軸54で示しており、1波長光源25から出射する波長λ1の光51aをX軸方向に角度θだけ傾けて偏向する光軸補正を行い、光軸54と一致させる。
一方、図8(b)は、第1の発光点21と第2の発光点22と、の間隔が、光源20の配置のばらつきによって設計中心からずれが生じ、d+Δxであるときの光学系について示したものである。ここで、図8(b)に示すように、設計中心となる光学系と同様に、波長λ1の光51bをX軸方向に角度θだけ傾けて偏向する光軸補正するために、位置調整部55によって、Z軸方向にΔzだけ光軸補正素子30を移動させるとよい。このとき、Δzは、
Δz=Δx/tanθ ・・・ (4)
の関係を満足すると、所望の光軸補正が可能となる。また、Δzとして大きい値を想定する場合、光軸補正素子30が移動可能な空間を広く与える必要がある。そのため、Δzとしては10mm以下となるように角度θを設定するとよく、1mm以下であればより好ましい。
Δz=Δx/tanθ ・・・ (4)
の関係を満足すると、所望の光軸補正が可能となる。また、Δzとして大きい値を想定する場合、光軸補正素子30が移動可能な空間を広く与える必要がある。そのため、Δzとしては10mm以下となるように角度θを設定するとよく、1mm以下であればより好ましい。
また、本実施形態に係る3波長用光源装置50の光軸補正素子30は、3波長用光源装置10と同様に、凹凸部33の断面の凹凸形状が周期的な回折格子の形状であってもよく、また、収差の補正分を付加した高さの分布hW(x,y)を有する凹凸形状を有するものであってもよい。光軸補正素子30が、収差の補正を考慮する凹凸部の凹凸形状を有する場合、収差は光の径の大きさの関数となるため、位置調整部55によって設定される位置によって、光路差の分布W(x,y)の値が異なる。そのため、光軸補正素子30の可動範囲のうち、最も光の径が大きくなる位置における、収差補正のための光路差の分布Wm(x,y)を、上記の式(3b)のW(x,y)として与えるとよい。このようにすると、光軸補正素子30のZ軸方向の移動による光の径の変化に依存する収差変化の量を低減できるので好ましく、例えば、後述する光ヘッド装置に用いる場合、光ディスクの安定した記録・再生を実現することができる。また、光軸補正素子30は、第1の実施形態で示すように、入射する光の強度分布を補正する種々の構成を用いることもでき、以降の実施形態における光軸補正素子でも同様に用いることができる。
(3波長用光源装置の第3の実施形態)
図9(a)、図9(b)および図10は、本実施形態に係る3波長用光源装置の構成および光学作用を示す模式図である。図9(a)および図9(b)の3波長用光源装置60aは、光軸補正素子65が、第1の光軸補正板65aと第2の光軸補正板65bと、を有し、これらが3波長の光路中に配置されるところが、3波長用光源装置10と異なる。図9(a)は、3波長の光のうち1つの波長の光に対する3波長用光源装置60aの光学作用について示す模式図であり、図9(b)は、残り2つの波長の光に対する3波長用光源装置60aの光学作用について示す模式図である。なお、光源20については、3波長用光源装置10と同じ番号を付して、説明の重複を避ける。また、3波長用光源装置60aの所定の光学系の光軸を光軸64とすると、光軸64は、第2の発光点22上にあり、また、第1の発光点21と第2の発光点22との間は、距離dの間隔があるものとする。
図9(a)、図9(b)および図10は、本実施形態に係る3波長用光源装置の構成および光学作用を示す模式図である。図9(a)および図9(b)の3波長用光源装置60aは、光軸補正素子65が、第1の光軸補正板65aと第2の光軸補正板65bと、を有し、これらが3波長の光路中に配置されるところが、3波長用光源装置10と異なる。図9(a)は、3波長の光のうち1つの波長の光に対する3波長用光源装置60aの光学作用について示す模式図であり、図9(b)は、残り2つの波長の光に対する3波長用光源装置60aの光学作用について示す模式図である。なお、光源20については、3波長用光源装置10と同じ番号を付して、説明の重複を避ける。また、3波長用光源装置60aの所定の光学系の光軸を光軸64とすると、光軸64は、第2の発光点22上にあり、また、第1の発光点21と第2の発光点22との間は、距離dの間隔があるものとする。
また、図9(a)、図9(b)は、3波長用光源装置60aの光学系において、各発光点から出射した代表的な光線についてのみ実線で示す。光軸補正素子65は、図9(a)に示すように、波長λ1の光61aに対して、X軸方向に角度θだけ傾けて偏向する光軸補正を行い、光軸64と一致させ、一方で、図9(b)に示すように波長λ2の光62および波長λ3の光63に対して偏向する作用は発生しない。
ここで、第1の光軸補正板65a、第2の光軸補正板65bは、光軸補正素子30と同様に、2つの異なる材料によって図示しない凹凸部を形成する。なお、第1の光軸補正板65a、第2の光軸補正板65bは、いずれも、図4に示す屈折率の波長分散特性n1(λ)、n2(λ)を有する材料の組み合わせを含む構成とする。そして、第1の光軸補正板65a、第2の光軸補正板65bは、波長λ1の光に対して回折角度θとなる回折格子形状を有する。また、収差を低減する光路差の分布を含む形状を付加する場合、2つの光軸補正板のうちいずれか一方に付加しても、両方に付加してもよい。このとき、第1の光軸補正板65aと第2の光軸補正板65bとの間の距離をtとすると、t=d/tanθを満足するように設定するとよい。なお、tは、厳密には、第1の光軸補正板65a、第2の光軸補正板65bにおいて、それぞれの凹凸部間の距離であり、透明基板の厚さは考慮されない。
また、図10は、本実施形態の別の構成を示す3波長用光源装置60bの構成および光学作用を示す模式図であって、同様にX軸方向に角度θだけ傾けて偏向する光軸補正が実現できる。3波長用光源装置60bも、同様に2つの光軸補正板を有する光軸補正素子として光軸補正素子66を有する。なお、光軸補正素子66を構成する第1の光軸補正板66aおよび第2の光軸補正板66bは、それぞれ、第1の光軸補正板65aおよび第2の光軸補正板65bと回折角度が異なる例を示すため、異なる番号を付して表したものである。ここで、第1の発光点21から第1の光軸補正板66aまでの距離をt1とする。また、光軸補正素子66は、第1の光軸補正板66aと第2の光軸補正板66bとがt2の間隔で配置される構成であって、第1の光軸補正板66aは、波長λ1の光61bに対して回折角度θ1で回折し、第2の光軸補正板66bは、波長λ1の光61bに対して回折角度θ2で回折する。そして、t1とt2は、t1×tanθ1+t2×tanθ2=d、の関係を満たすように設定されていると、波長λ1の光61bの光軸を、光軸64と一致させることができる。なお、t1およびt2は、厳密には、第1の光軸補正板66a、第2の光軸補正板66bにおいて、それぞれ、凹凸部を基準とした距離であり、透明基板の厚さは考慮されない。
(3波長用光源装置の第4の実施形態)
図11(a)および図11(b)は、本実施形態に係る3波長用光源装置の構成および光学作用を示す模式図である。3波長用光源装置70は、3波長用光源装置60aに対して、光軸補正素子65の位置を調整できる位置調整部75が付加された構成を有し、第1の光軸補正板65a、第2の光軸補正板65bの構成は同じである。位置調整部75は、例えば、第2の光軸補正板65bのみを、Z軸方向に可動するものとするが、これに限らず、第1の光軸補正板65aのみ、または、第1の光軸補正板65aおよび第2の光軸補正板65bの両方を可動する機構を有するものであってもよい。また、図示しないが、3波長用光源装置60bに対して、光軸補正素子66の位置を調整できる位置調整部75が付加された構成であってもよい。さらに、位置調整部75は、第1の光軸補正板65aおよび/または第2の光軸補正板65bを、2次元、回転やチルトも含む3次元に移動できる機構を有してもよい。この場合も、3波長用光源装置の第2の実施形態と同様に、位置調整部75を備えることで、1波長光源25、2波長光源26の位置のばらつきなどがある場合に有効に光軸補正を行うことができる。
図11(a)および図11(b)は、本実施形態に係る3波長用光源装置の構成および光学作用を示す模式図である。3波長用光源装置70は、3波長用光源装置60aに対して、光軸補正素子65の位置を調整できる位置調整部75が付加された構成を有し、第1の光軸補正板65a、第2の光軸補正板65bの構成は同じである。位置調整部75は、例えば、第2の光軸補正板65bのみを、Z軸方向に可動するものとするが、これに限らず、第1の光軸補正板65aのみ、または、第1の光軸補正板65aおよび第2の光軸補正板65bの両方を可動する機構を有するものであってもよい。また、図示しないが、3波長用光源装置60bに対して、光軸補正素子66の位置を調整できる位置調整部75が付加された構成であってもよい。さらに、位置調整部75は、第1の光軸補正板65aおよび/または第2の光軸補正板65bを、2次元、回転やチルトも含む3次元に移動できる機構を有してもよい。この場合も、3波長用光源装置の第2の実施形態と同様に、位置調整部75を備えることで、1波長光源25、2波長光源26の位置のばらつきなどがある場合に有効に光軸補正を行うことができる。
図11(a)、図11(b)は、3波長用光源装置70において、光源20の1波長光源25と2波長光源26と、の位置が異なる場合について模式的に示したものであり、1波長光源25から出射する波長λ1の光の代表的な光線を示したものである。まず、図11(a)は、第1の発光点21と第2の発光点22と、の間隔がdであって、この位置関係が、設計中心となる光学系を示すものとする。また、3波長用光源装置70の光学系の光軸を、光軸74で示しており、1波長光源25から出射する波長λ1の光71aをX軸方向に角度θだけ傾けて偏向する光軸補正を行い、光軸74と一致させる。そして、光軸74は、第2の発光点22上にあり、また、第1の発光点21と第2の発光点22との間は、距離dの間隔があるものとする。
一方、図11(b)は、第1の発光点21と第2の発光点22と、の間隔が、光源20のばらつきによって設計中心からずれが生じ、d+Δxであるときの光学系について示したものである。ここで、図11(b)に示すように、設計中心となる光学系と同様に、波長λ1の光71bをX軸方向に角度θだけ傾けて偏向する光軸補正するために、位置調整部75によって、Z軸方向に平行に、Δzだけ第2の光軸補正板65bを移動させるとよい。このとき、Δzは、上記の式(4)の関係を満足すると、所望の光軸補正が可能となる。なお、光軸補正素子65は、2つの光軸補正板を用いることで、回折角度θを大きくすることができるので、それによって、移動距離Δzを小さくすることができる。また、Δzは、3波長用光源装置の第2の実施形態と同様に、10mm以下となるように角度θを設定するとよく、1mm以下であればより好ましい。
(3波長用光源装置の第5の実施形態)
図12(a)および図12(b)は、本実施形態に係る3波長用光源装置の構成および光学作用を示す模式図である。3波長用光源装置80は、光源20と、光軸補正素子85と、光軸補正素子85の位置を調整できる位置調整部86を有する。また、光軸補正素子85は、第1の光軸補正板85aと第2の光軸補正板85bと、を有し、これらが3波長の光路中に配置される。位置調整部86は、例えば、第1の光軸補正板85aのみを、X軸方向に可動するものとするが、これに限らず、第2の光軸補正板85bのみ、または、第1の光軸補正板85aおよび第2の光軸補正板85bの両方を可動する機構を有するものであってもよい。さらに、位置調整部86は、第1の光軸補正板85aおよび/または第2の光軸補正板85bを、2次元、回転やチルトも含む3次元に移動できる機構を有してもよい。この場合も、位置調整部86を備えることで、1波長光源25と、2波長光源26との位置に、ばらつきなどがある場合、有効に光軸補正を行うことができる。
図12(a)および図12(b)は、本実施形態に係る3波長用光源装置の構成および光学作用を示す模式図である。3波長用光源装置80は、光源20と、光軸補正素子85と、光軸補正素子85の位置を調整できる位置調整部86を有する。また、光軸補正素子85は、第1の光軸補正板85aと第2の光軸補正板85bと、を有し、これらが3波長の光路中に配置される。位置調整部86は、例えば、第1の光軸補正板85aのみを、X軸方向に可動するものとするが、これに限らず、第2の光軸補正板85bのみ、または、第1の光軸補正板85aおよび第2の光軸補正板85bの両方を可動する機構を有するものであってもよい。さらに、位置調整部86は、第1の光軸補正板85aおよび/または第2の光軸補正板85bを、2次元、回転やチルトも含む3次元に移動できる機構を有してもよい。この場合も、位置調整部86を備えることで、1波長光源25と、2波長光源26との位置に、ばらつきなどがある場合、有効に光軸補正を行うことができる。
図12(a)は、3波長の光のうち波長λ1の光に対する3波長用光源装置80の光学作用について示す模式図であり、図12(b)は、波長λ2の光および波長λ3の光に対する3波長用光源装置80の光学作用について示す模式図である。図12(a)に示すように、波長λ1の光81aに対してX軸方向に角度θだけ傾けて偏向することで、光軸補正を行い、光軸84と一致させ、一方で、図12(b)に示すように波長λ2の光82および波長λ3の光83に対して偏向する作用は発生しない。
第1の光軸補正板85aと第2の光軸補正板85bは、いずれも波長λ1の光に対してのみ、光路差を与える分布となる凹凸形状をなす図示しない凹凸部を有する。具体的に、図12(a)のように、第1の光軸補正板85aと第2の光軸補正板85bは、設計中心となる基準位置において、入射する波長λ1の光がこの場合、X軸方向に角度θだけ傾けて偏向するように光路差の分布を有する組み合わせとなる。
ここで、第1の光軸補正板85aの光路差の分布を表す関数をΦa(x,y)、第2の光軸補正板85aの光路差の分布を表す関数をΦb(x,y)とし、これらの関数の差分を表す関数をF(Δr)とするとき、
F(Δr)=Φa(r)−Φb(r+Δr)
=α・x(±|Δr|)+β+A・x+W(x,y) ・・・ (5)
を満足するようにΦa(x,y)およびΦb(x,y)を決定する。なお、ここで、rはX−Y平面において、第1の光軸補正板85aおよび第2の光軸補正板85bの基準位置を示すベクトル量であって、Δrは基準位置からのずれを示すベクトル量、そしてα、β、Aは、定数である。また、W(x,y)は、収差を低減する光路差の分布関数であり、上記の式(3b)または式(3c)を適用することができる。なお、(x,y)座標において、(x,y)=(0,0)は3波長用光源装置80の光軸84に相当する。
F(Δr)=Φa(r)−Φb(r+Δr)
=α・x(±|Δr|)+β+A・x+W(x,y) ・・・ (5)
を満足するようにΦa(x,y)およびΦb(x,y)を決定する。なお、ここで、rはX−Y平面において、第1の光軸補正板85aおよび第2の光軸補正板85bの基準位置を示すベクトル量であって、Δrは基準位置からのずれを示すベクトル量、そしてα、β、Aは、定数である。また、W(x,y)は、収差を低減する光路差の分布関数であり、上記の式(3b)または式(3c)を適用することができる。なお、(x,y)座標において、(x,y)=(0,0)は3波長用光源装置80の光軸84に相当する。
上記の式(5)を満たすための、第1の光軸補正板85aおよび第2の光軸補正板85bの光路差の分布関数として、例えば、
Φa(x,y)=b1x2 ・・・ (6a)
Φb(x,y)=−Φa(x,y) ・・・ (6b)
とする組み合わせが考えられる(b1は、定数)。なお、ここではA=0、W(x,y)=0として考えるが、チルト成分に関するA、収差の分布に関するW(x,y)が有限の値を示すものであってもよい。
Φa(x,y)=b1x2 ・・・ (6a)
Φb(x,y)=−Φa(x,y) ・・・ (6b)
とする組み合わせが考えられる(b1は、定数)。なお、ここではA=0、W(x,y)=0として考えるが、チルト成分に関するA、収差の分布に関するW(x,y)が有限の値を示すものであってもよい。
上記の式(6a)および式(6b)を満たす場合、例えば、第2の光軸補正板85bをX軸方向に平行にΔxaだけ移動させると、
F(Δr)=b1x2−b1(x−Δxa)2
=2b1Δxax−b1Δxa 2 ・・・ (7a)
となる。
F(Δr)=b1x2−b1(x−Δxa)2
=2b1Δxax−b1Δxa 2 ・・・ (7a)
となる。
ここで、上記の式(7a)の右辺の第2項は、実質的に光学系には影響を与えないので、式(7a)は、
F(Δr)=2b1Δxax ・・・ (7b)
として与えることができる。そして、上記の式(7b)は、光軸補正素子85に入射する光の進行方向の変化を表すものであって、Δxaに比例するので、Δxaによって、光軸補正素子85を出射する光の進行方向(偏向方向)を制御することができる。
F(Δr)=2b1Δxax ・・・ (7b)
として与えることができる。そして、上記の式(7b)は、光軸補正素子85に入射する光の進行方向の変化を表すものであって、Δxaに比例するので、Δxaによって、光軸補正素子85を出射する光の進行方向(偏向方向)を制御することができる。
また、上記の式(5)を満たす、光路差関数Φa(x,y)、Φb(x,y)の他の組み合わせとして、
Φa(x,y)=b2(x2+y2) ・・・ (8a)
Φb(x,y)=−Φa(x,y) ・・・ (8b)
として(a2は定数)、第1の光軸補正板85aまたは第2の光軸補正板85bをX軸方向に移動させてもよく(b2は、定数)、また、
Φa(x,y)=b3xy ・・・ (9a)
Φb(x,y)=−Φa(x,y) ・・・ (9b)
として(a3は定数)、第1の光軸補正板85aおよび/または第2の光軸補正板85bをY軸方向に移動させてもよい(b3は、定数)。また、これらの組み合わせに限らず、上記の式(5)を満たす、Φa(x,y)とΦb(x,y)と、の組み合わせであればよい。
Φa(x,y)=b2(x2+y2) ・・・ (8a)
Φb(x,y)=−Φa(x,y) ・・・ (8b)
として(a2は定数)、第1の光軸補正板85aまたは第2の光軸補正板85bをX軸方向に移動させてもよく(b2は、定数)、また、
Φa(x,y)=b3xy ・・・ (9a)
Φb(x,y)=−Φa(x,y) ・・・ (9b)
として(a3は定数)、第1の光軸補正板85aおよび/または第2の光軸補正板85bをY軸方向に移動させてもよい(b3は、定数)。また、これらの組み合わせに限らず、上記の式(5)を満たす、Φa(x,y)とΦb(x,y)と、の組み合わせであればよい。
また、光軸補正素子85に発散光が入射し、第1の光軸補正板85aに入射する光の有効径と、第2の光軸補正板85bに入射する光の有効径と、が異なる場合について考える。このとき、各光軸補正板に入射する光の有効径の大きさr0で規格化したX座標η=x/r0と、Y座標ξ=y/r0を、それぞれ、上記の光路差関数のx、yに置換することで、上記の式(5)を満足する。
図13(a)、図13(b)は、3波長用光源装置80において、光源20の1波長光源25と2波長光源26と、の位置が異なる場合について模式的に示したものであり、1波長光源25から出射する波長λ1の光の代表的な光線を示したものである。なお、図13(a)の3波長用光源装置80は、図12(a)の3波長用光源装置80と同じ図面を示すものである。まず、図13(a)は、第1の発光点21と第2の発光点22と、の間隔がdであって、設計中心となる光学系を示すものとする。また、3波長用光源装置80の光学系の光軸を、光軸84で示しており、光軸84は、第2の発光点22上にある。
このとき、図13(a)において、波長λ1の光81aをX軸方向に角度θだけ傾けて偏向する光軸補正をし、光軸84を一致させるために、光軸補正素子85は、前述した第1の光軸補正板85aと第2の光軸補正板85bと、が特定の配置となるように位置調整部86で制御しているものとする。例えば、第1の光軸補正板85aと、第2の光軸補正板85bと、の光路差関数Φa(x,y)、Φb(x,y)との組み合わせが、それぞれ、式(6a)、式(6b)を満足するものとする。このとき、波長λ1の光が光軸補正素子85に入射して、X軸方向に角度θだけ傾けて偏向する、第1の光軸補正板85aと、第2の光軸補正板85bとの位置関係を基準位置とする。
次に、図13(b)に示すように、第1の発光点21と第2の発光点22と、の間隔が、光源20のばらつきによって設計中心からずれが生じ、d+Δxであるときの光学系である場合について考える。このとき、波長λ1の光81bが入射して、光軸補正素子85でX軸方向に傾けて偏向し、光軸84と一致させる角度θ´を考えると、基準位置における角度θよりも大きい。そのため、位置調整部86によって、第2の光軸補正板85bを基準位置よりも、X軸方向にΔxaずらすことで、角度θよりも大きい角度θ´の偏向角を容易に得ることができる。本実施形態では、例えば、所定の光学系において光軸方向の空間が狭い場合においても、高い精度の調整ができる。
(3波長用光源装置の第6の実施形態)
図14(a)および図14(b)は、本実施形態に係る3波長用光源装置の構成および光学作用を示す模式図である。第1〜第5の3波長用光源装置の実施形態では、光軸補正素子は、入射する3波長の光のうち、波長λ1の光のみ進行方向を偏向させて出射させる光学作用を与えるものとした。これに対して、本実施形態に係る3波長用光源装置90は、光軸補正素子100に入射する3波長のうち、波長λ2の光および波長λ3の光のみ偏向させて出射させる光学作用を与える。なお、光源20については、3波長用光源装置10と同じ番号を付して、説明の重複を避ける。
図14(a)および図14(b)は、本実施形態に係る3波長用光源装置の構成および光学作用を示す模式図である。第1〜第5の3波長用光源装置の実施形態では、光軸補正素子は、入射する3波長の光のうち、波長λ1の光のみ進行方向を偏向させて出射させる光学作用を与えるものとした。これに対して、本実施形態に係る3波長用光源装置90は、光軸補正素子100に入射する3波長のうち、波長λ2の光および波長λ3の光のみ偏向させて出射させる光学作用を与える。なお、光源20については、3波長用光源装置10と同じ番号を付して、説明の重複を避ける。
ここで、所定の光学系の光軸を光軸94とすると、光軸94は、第1の発光点21上にあり、また、第1の発光点21と第2の発光点22との間は、距離dの間隔があるものとする。光軸補正素子100は、図14(a)に示すように、波長λ1の光91に対して偏向作用は発生せず、一方で、図14(b)に示すように、波長λ2の光92に対してX軸方向に角度θだけ傾けて偏向して光軸94と一致させる光軸補正を行う。また、この場合、波長λ3の光93に対しては、光軸94に近づくように補正ができれば好ましく、また、光軸94と一致するとより好ましい。なお、とくに高い精度で光軸補正を行う光の対象としては、波長λ2の光に限らず、波長λ3の光を優先的に光軸補正するものであってもよい。以下は、波長λ2の光を優先的に光軸補正するものとして説明する。
まず、上記のような光学作用を与えるため、本実施形態に係る3波長用光源装置90が、第1の実施形態に係る3波長用光源装置10と大きく異なるところは、具体的に、光軸補正素子100の凹凸部を構成する、第1の材料の屈折率の波長分散特性および/または、第2の材料の屈折率の波長分散特性が、光軸補正素子30と異なるところである。以下、光軸補正素子100について説明する。
図15は、光軸補正素子100の断面模式図を示す例である。光軸補正素子100は、第1の材料からなる凸部101と、第2の材料からなる凹部102によって、断面形状が凹凸となる凹凸部103を有する。この凹凸部103は、例えば、図15に示すように断面の凹凸形状が、周期的なピッチを有する回折格子とすることができるが、周期的ではない形状を有してもよい。凹部102は、凸部101の溝を埋めるように備えられていてもよく、図15のように、凸部101を覆うように備えられていてもよい。また、ここでは凹凸部103を挟持する透明基板104aおよび透明基板104bが備わって光軸補正素子100を構成するが、一方の透明基板が備わらない構成でもよい。
凸部101を構成する第1の材料と凹部102を構成する第2の材料は、それぞれ均質で光学的に等方性な材料からなる。そのため、屈折率は入射する光の偏光状態には依存しない。そして、第1の材料と第2の材料と、の組み合わせとしては、以下に説明する屈折率の波長分散特性を有するものが好ましい。図16は、横軸に波長λ、縦軸に波長λの光に対する屈折率n(λ)を示し、第1の材料における屈折率の波長分散特性n1(λ)を実線、第2の材料における屈折率の波長分散特性n2(λ)を破線で示した例である。
図16では、光軸補正素子100に入射する3波長の光について、波長λ1の光に対する各材料の屈折率、n1(λ1)とn2(λ1)とが略一致し、波長λ2の光に対する各材料の屈折率、n1(λ2)とn2(λ2)とが異なり、さらに、波長λ3の光に対する各材料の屈折率、n1(λ3)とn2(λ3)とが異なる特性を示したものである。なお、この場合、略一致とは、|n1(λ2)−n2(λ2)|の値に対する、|n1(λ1)−n2(λ1)|の値が、40%以下であり、この割合が、30%以下であれば好ましく、20%以下であればより好ましい。
図16の屈折率の波長分散特性を示す光軸補正素子100の凹凸部103は、波長λ1の光91に対して、光路差は発生しないので、直進透過するのに対し、波長λ2の光92および波長λ3の光93に対して、光路差が発生して伝播方向が変化する。そして、波長λ2の光92および/または波長λ3の光93に対して、凹凸部103において変化する伝播方向を制御する設計とすることで、この場合、波長λ2の光92および/または波長λ3の光93の光軸を補正することができる。
図16のような屈折率の波長分散特性n1(λ)を示す第1の材料として、例えば、芳香族系炭化水素を含む樹脂材料や無機微粒子を含有した樹脂を用いることができる。芳香族系炭化水素化合物としては、ビフェニル構造やフェニルシラン構造を有するものを用いることができる。他にも、低アッベ数のゾルゲル材料や無機材料を用いてもよい。無機材料である場合、多層膜構造とすることで屈折率の波長分散特性を調整できるので、多層膜構造としてもよい。屈折率の波長分散特性n2(λ)を示す第2の材料としては、脂肪族系炭化水素、フッ素系炭化水素、硫黄系炭化水素、ポリシロキサン系の樹脂などを用いることが可能である。また、これらの樹脂に無機微粒子を含むものを用いることも可能である。脂肪族系炭化水素としては、アダマンタン、ジアマンタン、トリシクロデカンなどの材料を選択すると高屈折率、高アッベ数の材料を得ることができるので好ましい。他にも、高アッベ数のゾルゲル材料や無機材料、無機材料による多層膜構造としてもよい。これらの無機微粒子やゾルゲル、無機材料に用いる材料として、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化ジルコニウム、酸化タングステン、酸化インジウム、酸化スズ、酸化ハフニウム、酸化セリウム、酸化イットリウム、チタン酸バリウム、シリカ、アルミナなどが挙げられる。また、前述の無機材料を混合した材料を用いてもよい。一般的に無機材料は青色波長帯の光に対して耐光性を有しているので、青色波長帯の光を透過させる場合には第1の材料、第2の材料の少なくとも一つに無機材料を含有するとよい。さらに、第1の材料、第2の材料の少なくとも一つが、無機材料から構成されてもよい。なお、凸部101を第1の材料、凹部102を第2の材料とする組み合わせとしたが、凹凸部103の材料の組み合わせによって屈折率の波長分散特性を得るものであるので、凸部101に第2の材料、凹部102に第1の材料とする組み合わせであってもよい。
また、第1の材料、第2の材料が樹脂を含有する材料であって、青色波長帯のように光子エネルギーが高い波長帯の光を透過させる場合、青色波長帯の光における屈折率が高い樹脂材料を用いると、樹脂材料の劣化が起こり得る。したがって、第1の材料、第2の材料として樹脂を含有する材料を用いる場合、この材料のd線(587.56nm)における屈折率ndとアッベ数vdとして、
第1の材料: 1.5<nd<1.70、 10<vd<35、
第2の材料: 1.5<nd<1.70、 35<vd<60、
となる範囲の値を選択するのが好ましい。
第1の材料: 1.5<nd<1.70、 10<vd<35、
第2の材料: 1.5<nd<1.70、 35<vd<60、
となる範囲の値を選択するのが好ましい。
次に、凹凸部103の凹凸形状について説明する。凹凸部103は、断面が周期的な凹凸で、ブレーズ形状または擬似ブレーズ形状となる回折格子であってもよい。さらに、凹凸部103は、断面が周期的な凹凸形状に限らず、第1の実施形態に係る3波長用光源装置10の説明に基づき、回折格子の形状に加え、光軸補正によって発生する収差を低減するための光路差をさらに付加した、凹凸形状を有するものであってもよい。
また、本実施形態の3波長用光源装置90は、代表的に、第1の実施形態に係る3波長用光源装置10のうち、光軸補正素子30を光軸補正素子100として置き換えた場合について説明したが、第1の実施形態のみの適用に限らない。つまり、第2〜第5の実施形態に係る3波長用光源装置においても、光軸が第1の発光点21上にあることと、光軸補正素子に含まれる第1の材料の屈折率の波長分散特性と第2の材料の屈折率の波長分散特性と、の関係が異なることによる光軸補正対象の波長の光が異なること、以外は、同様の構成を適用することができる。
したがって、第2の実施形態に係る3波長用光源装置50のように位置調整部があって、光軸補正素子100を光軸(Z軸)方向に可動する機構を有するものであってもよい。また、第3〜第5の実施形態に係る3波長用光源装置のように、光軸補正素子100の代わりに2つの光軸補正板を有するもの、さらに、位置調整部を有し、この位置調整部によって2つの位相補正板のうち少なくとも1つを、光軸(Z軸)方向や、光軸と直交する平面(X−Y面)方向等に可動する機構を有するものであってもよい。このような構成によって、所望の波長λ2の光および/または波長λ3の光の光軸を所望の角度で補正することができる。とくに、位置調整部を付加することで、光源20の第1の発光点21と第2の発光点22との間隔、または、第1の発光点21と第3の発光点23との間隔にばらつきがあっても、所定の波長の光に対して適正に光軸補正を実現することができる。
(3波長用受光装置の実施形態)
これまで、3波長用光源装置の各実施形態について説明したが、本実施形態では、これらの3波長用光源装置に用いる各光軸補正素子を用いて、互いに光軸が異なって入射する3波長の光のうち、少なくとも2つの波長の光を同一の受光エリアに到達する3波長用受光装置について説明する。
これまで、3波長用光源装置の各実施形態について説明したが、本実施形態では、これらの3波長用光源装置に用いる各光軸補正素子を用いて、互いに光軸が異なって入射する3波長の光のうち、少なくとも2つの波長の光を同一の受光エリアに到達する3波長用受光装置について説明する。
図17(a)は、3波長用受光装置150aの基本構成および光学作用を示す模式図であって、3波長用受光装置150aは、光軸補正素子160と光検出器170と、を有する。また、図17(a)において、光検出器170は、第1の受光エリア171と第2の受光エリア172を有し、これらの受光エリアに到達した光によって、信号検出などを行うことができる。なお、光検出器170は、2つの受光エリアを有するものとして説明したが、1つの受光エリアを有し、光軸補正素子160に入射する3波長の光をいずれも1つの受光エリアに到達させるものでもよい。さらに、光軸補正素子160は、入射する光の有効領域内に凹凸部を有する複数の領域を有し、それぞれの領域において特定の波長の光に対して互いに異なる方向に偏向させてもよい。この場合、複数の領域のうち、特定の領域に入射する光を偏向させて、他の波長の光が到達する受光エリアと共有して到達させるようにしてもよい。
また、図17(a)は、3波長用受光装置150aの光軸補正素子160に、波長λ1の光151a、波長λ2の光152aおよび、波長λ3の光153aが、それぞれ、光軸が異なって入射する様子を示した図である。なお、実際の光は進行方向と直交する平面において有限の面積を有するが、図17(a)、代表的な光線についてのみ実線で示している。ここで、図17(a)において、とくに、波長λ1の光151aを例えば、X軸方向に回折角度θで回折し、偏向することで、光軸補正素子160を直進透過する波長λ2の光152aが到達する第1の受光エリア171に、波長λ1の光151aが到達するところに特徴がある。この場合、第1の受光エリア171を共有化できるため、光検出器170を小型化することができる。さらに、光検出器170は、光信号を電気信号に変換して光学系を制御する回路が備わっている場合があり、例えば、第1の受光エリア171を共有化することによって、この回路構成を簡素化させることもできる。
3波長用受光装置150aに用いる光軸補正素子160としては、例えば、3波長用光源装置の第1の実施形態における、光軸補正素子30を用いることができる。つまり、屈折率の波長分散特性が互いに異なる2つの材料によって凹凸部を形成することで、入射する波長λ1の光151aについてX軸方向に角度θ傾けて偏向(回折)するとともに、波長λ2の光152aおよび波長λ3の光153aを直進透過する機能を有する。また、例えば、光軸補正素子160に、収束光が入射して光検出器170に集光して到達する光学系である場合、光軸補正素子160の凹凸部の断面形状は、回折格子の形状に、さらに収差補正をする光路差を付加する凹凸の形状を有する構成であってもよい。この場合、光路差の分布関数である、上記の式(3b)または式(3c)に基づき、各定数を決定して、所定の形状に設定することができる。なお、光軸補正素子に収束光が入射することによって発生する収差を補正するように、断面の形状を与えることは、他の3波長用受光装置の実施形態においても同様に適用できる。
また、図17(b)は、光軸補正素子160と光検出器170、そして、光軸補正素子160を可動する位置調整部154を有する、3波長用受光装置150bの構成および光学作用を示す模式図である。3波長用受光装置150bは、光軸補正素子160に、波長λ1の光151b、波長λ2の光152bおよび、波長λ3の光153bが、それぞれ、光軸が異なって入射する様子を示した図であって、とくに、波長λ1の光151bが、設計中心の位置に対してずれて、光軸補正素子160に入射する様子を示すものである。つまり、図17(b)における、光軸補正素子160に入射する波長λ1の光151bと波長λ2の光152bとの距離は、図17(a)における光軸補正素子160に入射する波長λ1の光151aと波長λ2の光152aとの距離とは異なる。
このとき、位置調整部154は、光軸補正素子160を光軸方向に可動させる機構を有することによって、波長λ1の光151bが、X軸方向に角度θ傾けて偏向して、第1の受光エリア171に到達するように調整することができる。つまり、この場合、光軸補正素子160と位置調整部154と、の関係は、3波長用光源装置の第2の実施形態における、光軸補正素子30と位置調整部55と、の関係に相当する。
また、3波長用受光装置の実施形態としては、3波長用受光装置150a、150bだけに限らない。図18(a)は、光軸補正素子185と光検出器170と、を有する3波長用受光装置180aの構成および光学作用を示す模式図である。光軸補正素子185は、第1の光軸補正板185aと第2の光軸補正板185bを有し、入射する3波長の光のうち、波長λ1の光181aのみを、それぞれX軸方向に角度θ傾けて偏向する。なお、波長λ2の光182aおよび波長λ3の光183aはいずれも、直進透過する。そして、光軸補正素子185を直進透過する波長λ2の光182aが到達する第1の受光エリア171に、波長λ1の光181aが到達し、第1の受光エリア171を共有化できるため、光検出器170を小型化することができる。また、3波長用受光装置180aに用いる光軸補正素子185としては、例えば、3波長用光源装置の第3の実施形態における、光軸補正素子65、66を用いることができる。
そして、図18(b)は、光軸補正素子185と光検出器170、そして、光軸補正素子185を可動する位置調整部186を有する、3波長用受光装置180bの構成および光学作用を示す模式図である。3波長用受光装置180bは、光軸補正素子185に、波長λ1の光181b、波長λ2の光182bおよび、波長λ3の光183bが、それぞれ、光軸が異なって入射する様子を示した図であって、とくに、波長λ1の光181bが、設計中心の位置に対してずれて、光軸補正素子185に入射する様子を示すものである。つまり、図18(b)における、第1の光軸補正板185aに入射する波長λ1の光181bと波長λ2の光182bとの距離は、図18(a)における第1の光軸補正板185aに入射する波長λ1の光181aと波長λ2の光182aとの距離とは異なる。
このとき、位置調整部186は、光軸補正素子185のうち、例えば、第1の光軸補正板185aを光軸方向に可動させる機構を有することによって、波長λ1の光181bが、X軸方向に角度θ傾けて偏向し、第1の受光エリア171に到達するように調整することができる。つまり、この場合、光軸補正素子185と位置調整部186と、の関係は、3波長用光源装置の第4の実施形態における、光軸補正素子65と位置調整部75と、の関係に相当する。なお、位置調整部186は、第1の光軸補正板185a、第2の光軸補正板185b、または両方を可動させる機構を有するものであってもよい。
このように、3波長用受光装置は、第1〜第6の実施形態に係る3波長用光源装置と同様に特定の波長の光の光軸を補正する機能を有する。上記に説明した3波長用受光装置は、第1〜第4の実施形態に係る3波長用光源装置の構成の一部を適用させた例について説明したが、第5、第6の実施形態に係る3波長用光源装置の構成に基づいて、3波長用受光装置として適用させてもよい。つまり、第5の実施形態に係る3波長用光源装置80の光軸補正素子85と、例えば、第2の光軸補正板85bを光軸と直交する平面方向に可動する位置調整部86に相当する構成を有するものであってもよい。また、光軸補正素子が、波長λ1の光のみを直進透過させ、波長λ2の光および波長λ3の光を偏向させる機能を有するように、図16に示すような材料の組み合わせを有し、3波長用光源装置の各構成に基づき、3波長用受光装置に適用させてもよい。なお、上記は、少なくとも2つの波長の光を同一の受光エリアに到達する3波長用受光装置について説明したが、これに限らない。入射する3波長の光に対して、それぞれ、異なる受光エリアを有しているような場合についても、光軸のずれを補正するために、第1〜第6の実施形態に係る3波長用受光装置における光軸補正素子を用いて、3波長用受光装置とすることができる。
(光ヘッド装置の実施形態)
本実施形態は、上記の3波長用光源装置および/または3波長用受光装置を備えた光ヘッド装置について説明する。図19(a)は、3波長用光源装置210または3波長用光源装置220を備えた光ヘッド装置200aの模式図であり、図19(b)は、3波長用受光装置230または3波長用受光装置240を備えた光ヘッド装置200bの模式図である。なお、光ヘッド装置200a、200bに共通する部品には、同じ番号を付している。
本実施形態は、上記の3波長用光源装置および/または3波長用受光装置を備えた光ヘッド装置について説明する。図19(a)は、3波長用光源装置210または3波長用光源装置220を備えた光ヘッド装置200aの模式図であり、図19(b)は、3波長用受光装置230または3波長用受光装置240を備えた光ヘッド装置200bの模式図である。なお、光ヘッド装置200a、200bに共通する部品には、同じ番号を付している。
最初に、光ヘッド装置200a、200bに共通する主な光ヘッド装置の構成とその機能について説明する。光源201は、3波長の光を出射する半導体レーザ素子等である。3波長となる波長λ1はBD用の405nm波長帯の光、波長λ2はDVD用の660nm波長帯の光、そして波長λ3はCD用の785nm波長帯の光であって、これらは、同一方向の直線偏光の光が出射するものとする。出射した3波長の光はコリメータレンズ202で平行光となり、偏光ビームスプリッタ203を直進透過する。そして、1/4波長板204で円偏光の光となって対物レンズ205によって光ディスク206の情報記録面に集光する。なお、光源201から光ディスク206までの光路を「往路」と定義する。
そして、光ディスク206で反射された3波長の光は、再び対物レンズ205を透過し、1/4波長板204によって、往路と直交する直線偏光の光に変換されて、偏光ビームスプリッタ203で反射され、集光レンズ207によって集光されて光検出器208の各受光エリアに到達する。なお、光ディスク206から光検出器208までの光路を「復路」と定義する。また、光検出器208は、光ディスク206に記録された情報の再生信号、フォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号などの光情報が検出される。
光ヘッド装置200a、200bは、図示しないが、往路の光路中に、光を回折して3ビーム化するためのグレーティング素子が備えられてもよい。また、図示しないが、フォーカスエラー信号に基づいて対物レンズ205を光軸方向に移動制御するフォーカスサーボ、トラッキングエラー信号に基づいて対物レンズ205を光軸と垂直方向に移動制御するトラッキングサーボを備える。
ここで、まず、光ヘッド装置200aにおける3波長用光源装置210、3波長用光源装置220について説明する。そして、3波長用光源装置210および3波長用光源装置220は、共通して光源201および光軸補正素子211を含む。また、3波長用光源装置220は、位置調整部221をさらに備える構成である。つまり、光軸補正素子211は、第1〜第6の実施形態に係る3波長用光源装置の各光軸補正素子に相当するものであり、例えば、上記の光軸補正素子30のような構成や、第1の光軸補正板65aと第2の光軸補正板65bとを含む、上記の光軸補正素子65のような構成等に置き換えることができる。
また、位置調整部221は、上記の位置調整部55、位置調整部75のように光軸補正素子211を光軸方向に可動する機構、上記の位置調整部86のように光軸補正素子211を光軸方向と直交する平面方向に可動する機構、またはその両方に可動する機構等を備える。ここで、3波長の光がそれぞれ、異なる発光点から出射する光源201を含む、3波長用光源装置210、220は、例えば、BD用の波長λ1の光の光軸を、DVD用の波長λ2の光の光軸に合わせるように偏向させる機能を有する。
とくに、光源201が、第1〜第6の実施形態に係る3波長用光源装置で説明した光源20のように、1波長用光源25と2波長用光源26を備える場合について考える。このとき、DVD用の波長λ2の光の発光点と、BD用の波長λ1の光の発光点との間隔のばらつきによって生じる、これらの波長の光の間に生じる光軸のずれを補正することが以下の理由で重要である。
まず、光ヘッド装置200a、200bにおいて光軸のずれが発生したまま、光ディスク206に集光したり、光検出器208に集光したりすると、一定量の収差が発生するため、光ディスクの記録・再生特性の安定性を低下させる原因となり得る。そして、とくに、記録密度の高い光ディスクは短波長の光を利用するが、その分、記録密度の低い光ディスクの光学系に比べ、光学部品の調整マージンも厳しく制限される。そのため、発光点が異なる複数の光のうち、この場合、最も短波長であるBD用の波長λ1の光の光軸を、所定の方向に優先的に調整することで、BDに対する記録・再生が安定して行われる。
そのため、光ヘッド装置200aにおける3波長用光源装置210または3波長用光源装置220として、第1〜第6の実施形態に係る各3波長用光源装置を用いることで、DVD用の波長λ2の光の光軸に、BD用の波長λ1の光の光軸を一致するように偏向する光軸補正をしたり、BD用の波長λ1の光の光軸に、DVD用の波長λ2の光軸を、CD用の波長λ3の光軸よりも優先的に一致するように偏向する光軸補正をしたりすることが好ましい。また、CD用の波長λ3の光も、これらの光軸に一致するように設計できれば、さらに好ましい。
次に、光ヘッド装置200bにおける3波長用受光装置230、3波長用受光装置240について説明する。ここで、3波長用受光装置230および3波長用受光装置240は、共通して光軸補正素子231および光検出器208を含む。また、3波長用受光装置240は、位置調整部241をさらに備える構成である。そして、光軸補正素子231は、第1〜第6の実施形態に係る3波長用光源装置に基づく、上記の実施形態に係る3波長用受光装置の各光軸補正素子に相当するものであり、例えば、上記の光軸補正素子30のような構成や、第1の光軸補正板65aと第2の光軸補正板65bとを含む、上記の光軸補正素子65のような構成などに置き換えることができる。
また、位置調整部241は、上記の位置調整部55、位置調整部75のように光軸補正素子231を光軸方向に可動する機構、上記の位置調整部86のように光軸補正素子231を光軸方向と直交する平面方向に可動する機構、またはその両方に可動する機構等を備える。ここで、3波長の光がそれぞれ、光ディスク206を反射して、3波長用受光装置230、240に光軸が異なって入射する場合を考える。このとき、3波長用受光装置230、240は、上記のようにBDの記録・再生の安定性を優先的に得るために、BD用の波長λ1の光が到達する光検出器208の図示しない受光エリアに、DVD用の波長λ2の光が到達するように偏向するかまたは、BD用の波長λ1の光が到達する光検出器208の図示しない受光エリアに、DVD用の波長λ2の光が、CD用の波長λ3の光よりも優先的に到達するように偏向して光軸補正をすることが好ましい。また、CD用の波長λ3の光も、波長λ1の光および波長λ2の光に共通の受光エリアに到達するように設計できれば、さらに好ましい。
なお、光ヘッド装置200aでは、3波長用光源装置210、220を備え、光ヘッド装置200bでは、3波長用受光装置230、240を備える例を示したが、これに限らず、光ヘッド装置は、3波長用光源装置と3波長用受光装置と、の両方を備えてもよい。このようにすることで、より、高い精度で光軸補正を実現することができ、各光ディスクの記録・再生の安定化を実現することができる。
また、光ヘッド装置200aにおいて、3波長用光源装置210、220は、光源201と光軸補正素子211との間の光路中に、3ビーム化する図示しないグレーティング素子が備わっていたり、コリメータレンズ202が備わったりして、一体化されていてもよい。さらに、光軸補正素子211が偏光ビームスプリッタ203と一体化されていてもよい。なお、3波長用光源装置210、220は、偏光ビームスプリッタ203までの往路の光路中に備わっていればよく、例えば、コリメータレンズ202の光出射側に光軸補正素子211が備わっていてもよい。さらに、光ヘッド装置200aは、コリメータレンズ202が備わらない構成であってもよい。光軸補正素子211は、他の光学素子と一体化されていてもよく、他の光学素子の表面に光軸補正機能を持たせてもよい。光学素子としては、光軸補正素子211の位置合わせによる特性変化が小さい波長板のようなものが好ましい。
また、光ヘッド装置200bにおいて、3波長用受光装置230、240は、偏光ビームスプリッタ203と光検出器208との間の光路中に集光レンズが備わっていたり、図示しないシリンドリカルレンズが備わったりして一体化されていてもよい。さらに、光軸補正素子231が偏光ビームスプリッタ203と一体化されていてもよい。なお、3波長用受光装置230、240は、偏光ビームスプリッタ203からの復路の光路中に備わっていればよく、例えば、集光レンズ207の光入射側に光軸補正素子231が備わっていてもよい。光軸補正素子231は、他の光学素子と一体化されていてもよく、他の光学素子の表面に光軸補正機能を持たせてもよい。光学素子としては、光軸補正素子231の位置合わせによる特性変化が小さい波長板のようなものが好ましい。
(実施例1)
実施例1では、図2に示す3波長用光源装置10の設計例について説明する。まず、3波長用光源装置10における、光源20のうち、1波長光源25は、第1の発光点21より405nmの光を出射し、2波長光源26は、第2の発光点22より660nmの光を出射するとともに、第3の発光点23より785nmの光を出射するものとする。そして、第1の発光点21と第2の発光点22との距離dが120μm、また、光源20と光軸補正素子30との距離が3mmであるものとする。そして、本実施例では、660nmの光の光軸(図2の光軸44)上に405nmの光の光軸を一致させるように光軸補正素子30を設計する。ここで、距離dの方向をX軸方向、660nmの光の光軸方向をZ軸方向として考える。
実施例1では、図2に示す3波長用光源装置10の設計例について説明する。まず、3波長用光源装置10における、光源20のうち、1波長光源25は、第1の発光点21より405nmの光を出射し、2波長光源26は、第2の発光点22より660nmの光を出射するとともに、第3の発光点23より785nmの光を出射するものとする。そして、第1の発光点21と第2の発光点22との距離dが120μm、また、光源20と光軸補正素子30との距離が3mmであるものとする。そして、本実施例では、660nmの光の光軸(図2の光軸44)上に405nmの光の光軸を一致させるように光軸補正素子30を設計する。ここで、距離dの方向をX軸方向、660nmの光の光軸方向をZ軸方向として考える。
図3の光軸補正素子30において、透明基板34a、34bとして、厚さ約0.3mmのガラス基板を用いる。そして、透明基板34aに相当するガラス基板の一方の面に、第1の材料として、芳香族系炭化水素を含有する高屈折率分散樹脂を、17.7μmの均一な厚さで形成する。次に、第1の材料について、格子ピッチが10.8μm、となるように断面が、8段の階段状の擬似ブレーズ形状に加工して、凸部31を形成する。次に、凸部31によってできる溝を充填するように、第2の材料として、ジルコニア微粒子を含有する樹脂を形成して、厚さ0.3mmのガラス基板で挟持する。第2の材料は、405nmの光、660nmの光、785nmの光に対する屈折率がそれぞれ、1.551、1.531、1.528となるアクリル樹脂に、405nmの光、660nmの光、785nmの光に対する屈折率がそれぞれ、2.021、1.972、1.965となるジルコニア微粒子を、体積分率で11.5%含有するものである。これら3波長の光に対する第1の材料および第2の材料の屈折率を表1にまとめる。
ここで、第1の材料のd線における屈折率nd、アッベ数vdはそれぞれ1.584、33.4であり、第2の材料のd線における屈折率nd、アッベ数vdはそれぞれ1.583、50.6である。
なお、第2の材料であるジルコニア微粒子を含有する樹脂の屈折率は、マクスウェル・ガーネットの理論から計算することができる。このように第2の材料を凹部32として形成する。このように形成した、回折格子形状を有する凹凸部33は、(λ=)405nmの光に対する光路差の関数Φ(x,y)を与えると、Φ(x,y)={λ/(2π)}×Ax、の関係において、λ=0.405×10−3[mm]、A=−581.4[mm−1]として与えたものに相当する。なお、この場合、格子ピッチの方向がX軸方向である。
このように設計した光軸補正素子30を有する3波長用光源装置10について、光源20より3波長の光を出射すると、405nmの光は凹凸部33で屈折率が異なるので回折し、また、660nmの光および785nmの光はいずれも、凹凸部33で屈折率が一致するので回折せずに直進透過し、光軸補正素子30を出射する405nmの光の光軸が660nmの光の光軸と一致する。
次に、本実施例の光軸補正素子30の回折効率ηの計算結果を図20に示す。なお、0次回折効率をη0、1次回折効率をη1で表す。図20より、405nm波長帯の光に対して高い1次回折効率を示すとともに、660nm波長帯の光および785nm波長帯の光に対して高い0次回折効率、つまり高い直進透過率を示すことがわかる。また、図20より、405nm、660nmおよび785nmを中心とする波長変動に対しても大きく回折効率が変動しないことがわかる。そして、本実施例において、光軸補正素子30を出射する405nmの光における、3次の非点収差が−8[mmλrms]となり、3次のコマ収差が−10[mmλrms]となる。なお、これらの収差は、開口の半径を0.27mmとして、計算したものであり、以降の実施例における、各収差の値も、同様に、開口の半径を0.27mmとしたものである。
(実施例2)
実施例2では、図8(a)、図8(b)に示す3波長用光源装置50の設計例について説明するが、光軸補正素子30としては、実施例1と同じ構成のものを用い、光源20も同様に、1波長光源25は、第1の発光点21より405nmの光を出射し、2波長光源26は、第2の発光点22より660nmの光を出射するものとする。また、位置調整部55として、光軸補正素子30を固定するホルダーと、そのホルダーをネジ調整によって光軸54方向に移動できる機構を有するものを備える。ここで、実施例1と同様に、光源20と光軸補正素子30との距離は3mmである。また、第1の発光点21と第2の発光点との距離dが120μmのとき、位置調整部55による光軸方向の位置を基準位置として、0μmと設定する。つまり、この位置が、光源20と光軸補正素子30との距離を3mmとする位置、に相当するように与える。そして、本実施例では、660nmの光の光軸(図8(a)、図8(b)の光軸54)上に405nmの光の光軸を一致させる。
実施例2では、図8(a)、図8(b)に示す3波長用光源装置50の設計例について説明するが、光軸補正素子30としては、実施例1と同じ構成のものを用い、光源20も同様に、1波長光源25は、第1の発光点21より405nmの光を出射し、2波長光源26は、第2の発光点22より660nmの光を出射するものとする。また、位置調整部55として、光軸補正素子30を固定するホルダーと、そのホルダーをネジ調整によって光軸54方向に移動できる機構を有するものを備える。ここで、実施例1と同様に、光源20と光軸補正素子30との距離は3mmである。また、第1の発光点21と第2の発光点との距離dが120μmのとき、位置調整部55による光軸方向の位置を基準位置として、0μmと設定する。つまり、この位置が、光源20と光軸補正素子30との距離を3mmとする位置、に相当するように与える。そして、本実施例では、660nmの光の光軸(図8(a)、図8(b)の光軸54)上に405nmの光の光軸を一致させる。
次に、光源20として、図8(b)において、Δxが−20μm、つまり、第1の発光点21と第2の発光点22との距離dが100μmであるとき、位置調整部55によって、光軸補正素子30を光軸54に沿って−530μm移動させる。つまり、光源20と光軸補正素子30との間の距離を2.47mmとすると、光軸補正素子30を出射する405nmの光の光軸が660nmの光の光軸と一致する。また、図8(b)において、Δxが+20μm、つまり、第1の発光点21と第2の発光点22との距離dが140μmであるとき、位置調整部55によって、光軸補正素子30を光軸54に沿って+530μm移動させる。つまり、光源20と光軸補正素子30との間の距離を3.53mmとすると、光軸補正素子30を出射する405nmの光の光軸が660nmの光の光軸と一致する。そして、光軸補正素子30における回折効率は、実施例1と同様に、図20の特性を示す。
また、光源20として、図8(b)において、Δxが−50μm、つまり、第1の発光点21と第2の発光点22との距離dが70μmであるとき、位置調整部55によって、光軸補正素子30を光軸54に沿って−1330μm移動させる。つまり、光源20と光軸補正素子30との間の距離を1.67mmとすると、光軸補正素子30を出射する405nmの光の光軸が660nmの光の光軸と一致する。また、図8(b)において、Δxが+50μm、つまり、第1の発光点21と第2の発光点22との距離dが170μmであるとき、位置調整部55によって、光軸補正素子30を光軸54に沿って+1330μm移動させる。つまり、光源20と光軸補正素子30との間の距離を4.33mmとすると、光軸補正素子30を出射する405nmの光の光軸が660nmの光の光軸と一致する。そして、光軸補正素子30における回折効率は、実施例1と同様に、図20の特性を示す。
(実施例3)
実施例3では、実施例1における光軸補正素子30の凹凸部33における、(λ=)405nmの光に対する光路差の関数Φ(x,y)について、収差補正を考慮して、
Φ(x,y)={λ/2π}×{Ax+Bx2+Cy2+Dxy2+Ex3}
とし、A=−586.3[mm−1]、B=1.4[mm−2]、C=−1.4[mm−2]、D=20.6[mm−3]、E=20.6[mm−3]として与える凹凸形状とし、それ以外は、実施例1と同じ条件とする。
実施例3では、実施例1における光軸補正素子30の凹凸部33における、(λ=)405nmの光に対する光路差の関数Φ(x,y)について、収差補正を考慮して、
Φ(x,y)={λ/2π}×{Ax+Bx2+Cy2+Dxy2+Ex3}
とし、A=−586.3[mm−1]、B=1.4[mm−2]、C=−1.4[mm−2]、D=20.6[mm−3]、E=20.6[mm−3]として与える凹凸形状とし、それ以外は、実施例1と同じ条件とする。
このとき、実施例1と同様に、光軸補正素子30を出射する405nmの光の光軸が660nmの光の光軸と一致する。さらに、光軸補正素子30を出射する405nmの光における、3次の非点収差が−1[mmλrms]となり、3次のコマ収差が−3[mmλrms]となり、各収差を低減することができる。
(実施例4)
実施例4では、光軸補正素子30の特性として、出射する光強度(以下、「出射強度」という。)に分布を有するように素子を構成し、それ以外は、実施例1と同じ条件となる3波長用光源装置10を設計する。具体的に、本実施例の光軸補正素子30は、格子ピッチが実施例1と同じ10.8μmであるが、凸部31の高さ、つまり、8段の擬似ブレーズ形状の最上段の高さが、不均一な構成を有する。
実施例4では、光軸補正素子30の特性として、出射する光強度(以下、「出射強度」という。)に分布を有するように素子を構成し、それ以外は、実施例1と同じ条件となる3波長用光源装置10を設計する。具体的に、本実施例の光軸補正素子30は、格子ピッチが実施例1と同じ10.8μmであるが、凸部31の高さ、つまり、8段の擬似ブレーズ形状の最上段の高さが、不均一な構成を有する。
図21(a)は、光軸44を横軸0の位置としたとき、光軸補正素子30に1波長光源25から405nmの光が入射する光強度(以下、「入射強度」という。)を破線で示し、入射強度に対する出射強度を実線で示したプロファイルの一例である。なお、入射強度は最大値を1として規格化している。また、1波長光源25から発射する光の強度は、その強度が半値となる広がり角が19.5°となる強度分布を有するものとする。ここで、1波長光源25の発光点は光軸44上には無いので、405nmの光の入射強度は、最大となる位置が光軸44からずれて分布している。この入射強度の分布を有する光に対して本実施例の光軸補正素子30は、図21(a)に示すように、出射強度が均一となるように、凸部31の高さを設計する。
図21(b)は、図21(a)の入射強度分布に対する出射強度分布を与えるための、凸部31の高さ(実線)および1次回折効率η1(破線)の分布を示した例である。このように、405nmの光が入射する各位置で、凸部31の高さを調整することで、出射強度を均一化することができる。これより、光軸補正素子30を出射する光を集光する場合、出射強度の不均一に起因するスポット形状の劣化を抑制することができる。なお、図21(a)は、光軸補正素子30の一つの断面におけるプロファイルを示した例であり、光軸補正素子30は、2次元的に凸部31の高さが異なる分布を有する。
(実施例5)
実施例5では、光軸補正素子30の特性として、出射強度に分布を有するように素子を構成し、それ以外は、実施例1と同じ条件となる3波長用光源装置10を設計する。具体的に、本実施例の光軸補正素子30は、格子ピッチが実施例1と同じ10.8μm、凸部31の高さ、つまり、擬似ブレーズ形状の最上段の高さが、17.7μmであるが、擬似ブレーズ形状が不均一な構成を有する。
実施例5では、光軸補正素子30の特性として、出射強度に分布を有するように素子を構成し、それ以外は、実施例1と同じ条件となる3波長用光源装置10を設計する。具体的に、本実施例の光軸補正素子30は、格子ピッチが実施例1と同じ10.8μm、凸部31の高さ、つまり、擬似ブレーズ形状の最上段の高さが、17.7μmであるが、擬似ブレーズ形状が不均一な構成を有する。
図23(a)は、光軸44を横軸0の位置としたとき、光軸補正素子30に1波長光源25から405nmの光の入射強度を破線で示し、入射強度に対する出射強度を実線で示したプロファイルの一例である。なお、入射強度は最大値を1として規格化している。また、1波長光源25から発射する光の強度は、その強度が半値となる広がり角が19.5°となる強度分布を有するものとする。ここで、1波長光源25の発光点は光軸44上には無いので、405nmの光の入射強度は、最大となる位置が光軸44からずれて分布している。この入射強度の分布を有する光に対して本実施例の光軸補正素子30は、図23(a)に示すように、出射強度の差が小さくなるように、凸部31の形状を設計する。
図23(b)は、図23(a)の入射強度分布に対する出射強度分布を与えるための、1次回折効率η1の分布を示した例である。そして、図24(a)、図24(b)、図24(c)は、図23(b)に示す1次回折効率の分布を与えるための、3種類の擬似ブレーズ形状に対応する、位相差のプロファイルを示したものである。具体的に、図24(a)〜図24(c)は、横軸に格子ピッチを1と規格化し、格子ピッチ内の位置に対し、405nmの光が同相で入射したとき、凸部の高さが0の部分を出射する光の位相を基準としたときの各位置の位相差を示したものである。なお、図24(a)〜図24(c)の各プロファイルは、縦軸の位相差を擬似ブレーズの高さに置き換えることもできる。つまり、最大の位相差を示す縦軸の位置を、擬似ブレーズの最上段の高さ(=17.7μm)と置き換えて、各段の高さを与えることができる。そして、図24(a)は、1次回折効率η1が95%、図24(b)は、1次回折効率η1が89%、図24(c)は、1次回折効率η1が85%とするときのプロファイルである。なお、図24(b)、図24(c)に示す擬似ブレーズ形状の高さは、図24(a)に示す擬似ブレーズ形状の8段の高さのうち、いずれかの高さと等しい。そして、これらの擬似ブレーズ形状のプロファイルを、図23(a)に示す位置関係を満足するように分布させることで、出射光の光量分布の中心強度を光軸付近に与えることができ、光軸を対象とする光量のバランスを改善することができる。
(実施例6)
実施例6では、光軸補正素子30の第1の材料(凸部31)および第2の材料(凹部32)を、無機材料とし、それ以外は、実施例1と同じ条件となる3波長用光源装置10を設計する。厚さ約0.3mmの透明基板34aに相当するガラス基板の一方の面に、第1の材料として、Ta2O5を3.6μmの均一な厚さで形成する。次に、第1の材料について、格子ピッチが10.8μm、となるように断面が、段差が等しい8段の階段状の擬似ブレーズ形状に加工して、凸部31を形成する。次に、凸部31によってできる溝を充填するように、第2の材料として、TiO2とSiO2とを混合比が、TiO2:SiO2=63:37となるようにバイアススパッタ法により、混合膜を形成して、厚さ0.3mmのガラス基板で挟持する。
実施例6では、光軸補正素子30の第1の材料(凸部31)および第2の材料(凹部32)を、無機材料とし、それ以外は、実施例1と同じ条件となる3波長用光源装置10を設計する。厚さ約0.3mmの透明基板34aに相当するガラス基板の一方の面に、第1の材料として、Ta2O5を3.6μmの均一な厚さで形成する。次に、第1の材料について、格子ピッチが10.8μm、となるように断面が、段差が等しい8段の階段状の擬似ブレーズ形状に加工して、凸部31を形成する。次に、凸部31によってできる溝を充填するように、第2の材料として、TiO2とSiO2とを混合比が、TiO2:SiO2=63:37となるようにバイアススパッタ法により、混合膜を形成して、厚さ0.3mmのガラス基板で挟持する。
第1の材料は、405nmの光、660nmの光、785nmの光に対する屈折率がそれぞれ、2.286、2.108、2.086である。また、第2の材料は、405nmの光、660nmの光、785nmの光に対する屈折率がそれぞれ、2.188、2.085、2.067である。これら3波長の光に対する第1の材料および第2の材料の屈折率を表2にまとめる。
ここで、第1の材料のd線における屈折率nd、アッベ数vdはそれぞれ2.130、14.2であり、第2の材料のd線における屈折率nd、アッベ数vdはそれぞれ2.101、21.2である。次に、本実施例の光軸補正素子30の回折効率ηの計算結果を図22に示す。なお、0次回折効率をη0、1次回折効率をη1で表す。図22より、405nm波長帯の光に対して高い1次回折効率を示すとともに、660nm波長帯の光および785nm波長帯の光に対して高い0次回折効率、つまり高い直進透過率を示すことがわかる。
(実施例7)
実施例7はでは、図9(a)、図9(b)に示す3波長用光源装置60aの設計例について説明する。光源20としては、第1の発光点21と第2の発光点22との距離dが120μmであることも含め、実施例1と同様の条件とする。また、距離dの方向がX軸方向、光軸64がZ軸方向に相当する。そして、光軸補正素子65を構成する、第1の光軸補正板65aと第2の光軸補正板65bは、表1に示す屈折率の波長分散特性を有する材料の組み合わせによって、回折格子の凹凸形状を有する凹凸部を形成する。
実施例7はでは、図9(a)、図9(b)に示す3波長用光源装置60aの設計例について説明する。光源20としては、第1の発光点21と第2の発光点22との距離dが120μmであることも含め、実施例1と同様の条件とする。また、距離dの方向がX軸方向、光軸64がZ軸方向に相当する。そして、光軸補正素子65を構成する、第1の光軸補正板65aと第2の光軸補正板65bは、表1に示す屈折率の波長分散特性を有する材料の組み合わせによって、回折格子の凹凸形状を有する凹凸部を形成する。
具体的に、表1の第1の材料に相当する、芳香族系炭化水素を含有する高屈折率分散樹脂を、厚さ0.3mmのガラス基板上に形成して、X軸方向に相当する格子ピッチが、6.8μmで高さが17.7μmの8段の擬似ブレーズ回折格子の形状となるように加工する。そして、第1の材料からなる凸部によってできる溝に、表1の第2の材料に相当する、ジルコニア微粒子を含有する樹脂を充填して、厚さ0.3mmのガラス基板で挟持し、第1の光軸補正板65a、第2の光軸補正板65bを作製する。
そして、光源20から第1の光軸補正板65aまでの距離が1.0mm、光源20から第2の光軸補正板65bまでの距離が2.0mmとなるように、平行に配置した光軸補正素子65を有する3波長用光源装置60とする。なお、第1の光軸補正板65aと第2の光軸補正板65bの回折格子の長手方向は同一(Y軸)方向であって、擬似ブレーズ形状の傾斜は、互いに異なるように配置する。そして、光源20より出射した3波長の光のうち、光軸補正素子65を出射する405nmの光の光軸が660nmの光の光軸と一致する。そして、光軸補正素子65における回折効率は、実施例1の図20に基づく特性を示す。
(実施例8)
実施例8では、図11(a)、図11(b)に示す3波長用光源装置70の設計例について説明する。また、位置調整部75として、第1の光軸補正板65aを固定するホルダーと、第2の光軸補正板65bを固定するホルダーと、その第2の光軸補正板65bを固定するホルダーをネジ調整によって、光軸74方向に移動できる機構を有するものを備える。ここで、実施例7と同様に、光源20から第1の光軸補正板65aまでの距離が1.0mm、光源20から第2の光軸補正板65bまでの距離が2.0mmである。また、第1の発光点21と第2の発光点22との距離dが120μmのとき、位置調整部75による、第2の光軸補正板65b光軸方向の位置を0μmと設定する。つまり、この位置が、光源20と第2の光軸補正板65bとの距離を2.0mmとする位置、に相当するように与える。そして、本実施例では、660nmの光の光軸(図11(a)、図11(b)の光軸74)上に405nmの光の光軸を一致させる。
実施例8では、図11(a)、図11(b)に示す3波長用光源装置70の設計例について説明する。また、位置調整部75として、第1の光軸補正板65aを固定するホルダーと、第2の光軸補正板65bを固定するホルダーと、その第2の光軸補正板65bを固定するホルダーをネジ調整によって、光軸74方向に移動できる機構を有するものを備える。ここで、実施例7と同様に、光源20から第1の光軸補正板65aまでの距離が1.0mm、光源20から第2の光軸補正板65bまでの距離が2.0mmである。また、第1の発光点21と第2の発光点22との距離dが120μmのとき、位置調整部75による、第2の光軸補正板65b光軸方向の位置を0μmと設定する。つまり、この位置が、光源20と第2の光軸補正板65bとの距離を2.0mmとする位置、に相当するように与える。そして、本実施例では、660nmの光の光軸(図11(a)、図11(b)の光軸74)上に405nmの光の光軸を一致させる。
次に、光源20として、図11(b)において、Δxが−20μm、つまり、第1の発光点21と第2の発光点22との距離dが100μmであるとき、位置調整部75によって、第2の光軸補正板65bを光軸74に沿ってΔz=−330μm移動させる。つまり、光源20と第2の光軸補正板65bとの間の距離を1.67mmとすると、光軸補正素子30を出射する405nmの光の光軸が660nmの光の光軸と一致する。また、図11(b)において、Δxが+20μm、つまり、第1の発光点21と第2の発光点22との距離dが140μmであるとき、位置調整部75によって、第2の光軸補正板65bを光軸74に沿ってΔz=+330μm移動させる。つまり、光源20と光軸補正素子30との間の距離を2.33mmとすると、光軸補正素子65を出射する405nmの光の光軸が660nmの光の光軸と一致する。そして、光軸補正素子65における回折効率は、実施例1の図20に基づく特性を示す。
(実施例9)
実施例9では、図12(a)等に示す3波長用光源装置80の設計例について説明する。光源20としては、第1の発光点21と第2の発光点22との距離dが120μmであることも含め、実施例1と同様の条件とする。また、距離dの方向がX軸方向、光軸84がZ軸方向に相当する。そして、光軸補正素子85を構成する、第1の光軸補正板85aと第2の光軸補正板85bは、表1に示す屈折率の波長分散特性を有する材料の組み合わせによって凹凸部を形成する。このとき、第1の光軸補正板85aおよび第2の光軸補正板85bの凹凸部における、(λ=)405nmの光に対する光路差関数をそれぞれ、Φa(x,y)、Φb(x,y)とする。このとき、
Φa(x,y)={λ/2π}×{A(x2+y2)+Bx}、
Φb(x,y)={λ/2π}×{C(x2+y2)}、
とし、A=483.6[mm−2]、B=−580.3[mm−1]、C=−350[mm−2]として与える凹凸形状とする。
実施例9では、図12(a)等に示す3波長用光源装置80の設計例について説明する。光源20としては、第1の発光点21と第2の発光点22との距離dが120μmであることも含め、実施例1と同様の条件とする。また、距離dの方向がX軸方向、光軸84がZ軸方向に相当する。そして、光軸補正素子85を構成する、第1の光軸補正板85aと第2の光軸補正板85bは、表1に示す屈折率の波長分散特性を有する材料の組み合わせによって凹凸部を形成する。このとき、第1の光軸補正板85aおよび第2の光軸補正板85bの凹凸部における、(λ=)405nmの光に対する光路差関数をそれぞれ、Φa(x,y)、Φb(x,y)とする。このとき、
Φa(x,y)={λ/2π}×{A(x2+y2)+Bx}、
Φb(x,y)={λ/2π}×{C(x2+y2)}、
とし、A=483.6[mm−2]、B=−580.3[mm−1]、C=−350[mm−2]として与える凹凸形状とする。
具体的に、表1の第1の材料に相当する、芳香族系炭化水素を含有する高屈折率分散樹脂を、厚さ0.3mmのガラス基板上に形成する。そして、表1の第2の材料に相当する、ジルコニア微粒子を含有する樹脂との組み合わせにより、Φa(x,y)に相当する光路差関数を満足する形状を、8段の高さに近似した形状となるように加工する。そして、第1の材料上に、第2の材料を充填して、厚さ0.3mmのガラス基板で挟持し、第1の光軸補正板85aを作製する。また、同様に、厚さ0.3mmのガラス基板上に表1の第1の材料を形成、加工しでできた溝に、第2の材料を充填して、厚さ0.3mmのガラス基板で挟持し、Φbに相当する光路差関数を満足する形状を、8段の高さに近似した形状となるように第2の光軸補正板85bを作製する。
そして、光源20から第1の光軸補正板85aまでの距離が3.0mm、光源20から第2の光軸補正板85bまでの距離が3.7mmとなるように、平行に配置した光軸補正素子85を有する3波長用光源装置80とする。そして、光源20より出射した3波長の光のうち、光軸補正素子85を出射する405nmの光の光軸が660nmの光の光軸と一致する。そして、光軸補正素子85における回折効率は、実施例1の図20に基づく特性を示す。なお、本実施例において、光軸補正素子85を出射する405nmの光における、3次の非点収差が−8[mmλrms]となり、3次のコマ収差が−9[mmλrms]となる。
(実施例10)
実施例10では、図13(a)、図13(b)に示す3波長用光源装置80の設計例について説明する。また、位置調整部86として、第1の光軸補正板85aを固定するホルダーと、第2の光軸補正板85bを固定するホルダーと、その第2の光軸補正板85bを固定するホルダーをネジ調整によって、光軸84と直交する平面方向に移動できる機構を有するものを備える。ここで、実施例9と同様に、光源20から第1の光軸補正板85aまでの距離が3.0mm、光源20から第2の光軸補正板85bまでの距離が3.7mmである。また、第1の発光点21と第2の発光点との距離dが120μmのとき、第1の光軸補正板85aおよび第2の光軸補正板85bは、光軸84の位置と、Φa(x,y)およびΦb(x,y)の座標(x,y)が、(0,0)となる位置と一致する配置とする。そして、本実施例でも、660nmの光の光軸(図13(b)の光軸84)上に405nmの光の光軸を一致させる。
実施例10では、図13(a)、図13(b)に示す3波長用光源装置80の設計例について説明する。また、位置調整部86として、第1の光軸補正板85aを固定するホルダーと、第2の光軸補正板85bを固定するホルダーと、その第2の光軸補正板85bを固定するホルダーをネジ調整によって、光軸84と直交する平面方向に移動できる機構を有するものを備える。ここで、実施例9と同様に、光源20から第1の光軸補正板85aまでの距離が3.0mm、光源20から第2の光軸補正板85bまでの距離が3.7mmである。また、第1の発光点21と第2の発光点との距離dが120μmのとき、第1の光軸補正板85aおよび第2の光軸補正板85bは、光軸84の位置と、Φa(x,y)およびΦb(x,y)の座標(x,y)が、(0,0)となる位置と一致する配置とする。そして、本実施例でも、660nmの光の光軸(図13(b)の光軸84)上に405nmの光の光軸を一致させる。
次に、光源20として、図13(b)において、Δxが−20μm、つまり、第1の発光点21と第2の発光点22との距離dが100μmであるとき、位置調整部86によって、第2の光軸補正板85bをX軸方向に(Δxa=)−100μm移動させる。また、図13(b)において、Δxが+20μm、つまり、第1の発光点21と第2の発光点22との距離dが140μmであるとき、位置調整部86によって、第2の光軸補正板85bをX軸方向に(Δxa=)+100μm移動させる。この場合、いずれも、光軸補正素子85における回折効率は、実施例1の図20に基づく特性を示す。なお、Δxの符号と、Δxaの符号と、は同じ関係を有する。
また、光源20として、図13(b)において、Δxが−50μm、つまり、第1の発光点21と第2の発光点22との距離dが70μmであるとき、位置調整部86によって、第2の光軸補正板85bをX軸方向に(Δxa=)−250μm移動させる。また、図13(b)において、Δxが+50μm、つまり、第1の発光点21と第2の発光点22との距離dが170μmであるとき、位置調整部86によって、第2の光軸補正板85bをX軸方向に(Δxa=)+250μm移動させる。この場合も、いずれも、光軸補正素子85における回折効率は、実施例1の図20に基づく特性を示す。
(実施例11)
実施例11では、実施例9における第2の光軸補正板85bの凹凸部における、(λ=)405nmの光に対する光路差の関数Φb(x,y)について、収差補正を考慮して、
Φb(x,y)={λ/2π}×{Cx+Dx2+Ey2+Fxy2+Gx3}、
とし、C=−0.1[mm−1]、D=−348.8[mm−2]、E=−351.1[mm−2]、F=16.3[mm−3]、G=16.3[mm−3]として与える凹凸形状とする。なお、第1の光軸補正板85aの凹凸部における、405nmの光に対する光路差の関数Φa(x,y)は、実施例9と同じとし、それ以外の条件も実施例9と同じとする。
実施例11では、実施例9における第2の光軸補正板85bの凹凸部における、(λ=)405nmの光に対する光路差の関数Φb(x,y)について、収差補正を考慮して、
Φb(x,y)={λ/2π}×{Cx+Dx2+Ey2+Fxy2+Gx3}、
とし、C=−0.1[mm−1]、D=−348.8[mm−2]、E=−351.1[mm−2]、F=16.3[mm−3]、G=16.3[mm−3]として与える凹凸形状とする。なお、第1の光軸補正板85aの凹凸部における、405nmの光に対する光路差の関数Φa(x,y)は、実施例9と同じとし、それ以外の条件も実施例9と同じとする。
このとき、光軸補正素子85を出射する405nmの光の光軸が660nmの光の光軸と一致する。さらに、光軸補正素子85を出射する405nmの光における、3次の非点収差が0[mmλrms]となり、3次のコマ収差が0[mmλrms]となり、各収差を低減することができる。
(実施例12)
実施例12では、図14(a)、図14(b)に示す3波長用光源装置90の設計例について説明する。まず、3波長用光源装置90における、光源20のうち、1波長光源25は、第1の発光点21より405nmの光を出射し、2波長光源26は、第2の発光点22より660nmの光を出射するとともに、第3の発光点23より785nmの光を出射するものとする。そして、第1の発光点21と第2の発光点22との距離dが120μm、また、光源20と光軸補正素子100とが3mmの距離を有するものとする。そして、本実施例では、405nmの光の光軸(図14(b)の光軸94)上に660nmの光の光軸を一致させるように光軸補正素子100を設計する。ここで、距離dの方向をX軸方向、405nmの光の光軸方向をZ軸方向として考える。
実施例12では、図14(a)、図14(b)に示す3波長用光源装置90の設計例について説明する。まず、3波長用光源装置90における、光源20のうち、1波長光源25は、第1の発光点21より405nmの光を出射し、2波長光源26は、第2の発光点22より660nmの光を出射するとともに、第3の発光点23より785nmの光を出射するものとする。そして、第1の発光点21と第2の発光点22との距離dが120μm、また、光源20と光軸補正素子100とが3mmの距離を有するものとする。そして、本実施例では、405nmの光の光軸(図14(b)の光軸94)上に660nmの光の光軸を一致させるように光軸補正素子100を設計する。ここで、距離dの方向をX軸方向、405nmの光の光軸方向をZ軸方向として考える。
図15の光軸補正素子100において、透明基板104a、104bとして、厚さ約0.3mmのガラス基板を用いる。そして、透明基板104aに相当するガラス基板の一方の面に、第1の材料として、芳香族系炭化水素を含有する高屈折率分散樹脂を、33.3μmの均一な厚さで形成する。次に、第1の材料について、格子ピッチが17.6μm、となるように断面が、8段の階段状の擬似ブレーズ形状に加工して、凸部101を形成する。次に、凸部101によってできる溝を充填するように、第2の材料として、ジルコニア微粒子を含有する樹脂を形成する。第2の材料は、405nmの光、660nmの光、785nmの光に対する屈折率がそれぞれ、1.551、1.531、1.528となるアクリル樹脂に、405nmの光、660nmの光、785nmの光に対する屈折率がそれぞれ、2.021、1.972、1.965となるジルコニア微粒子を、体積分率で16.0%含有するものである。本実施例における、これら3波長の光に対する第1の材料および第2の材料の屈折率を表3にまとめる。
ここで、第1の材料のd線における屈折率nd、アッベ数vdはそれぞれ1.584、33.4であり、第2の材料のd線における屈折率nd、アッベ数vdはそれぞれ1.601、50.9である。
なお、第2の材料であるジルコニア微粒子を含有する樹脂の屈折率は、マクスウェル・ガーネットの理論から計算することができる。このように第2の材料を凹部102として充填して凹凸部103を形成し、厚さ0.3mmのガラス基板で挟持し、光軸補正素子100を作製する。
このように設計した光軸補正素子100を有する3波長用光源装置90について、光源20より3波長の光を出射すると、405nmの光は凹凸部103で屈折率が一致するので回折せず直進透過し、また、660nmの光および785nmの光はいずれも、凹凸部103で屈折率が異なるので回折する。さらに、光軸補正素子100を出射する660nmの光の光軸が405nmの光の光軸と一致する。
次に、本実施例の光軸補正素子100の回折効率ηの計算結果を図25に示す。なお、0次回折効率をη0、1次回折効率をη1で表す。図25より、405nm波長帯の光に対して高い0次回折効率、つまり高い直進透過率を示すとともに、660nm波長帯の光および785nm波長帯の光に対して高い1次回折効率を示すことがわかる。また、図25より、405nm、660nmおよび785nmを中心とする波長変動に対しても大きく回折効率が変動しないことがわかる。
(実施例13)
実施例13では、実施例12の3波長用光源装置90にさらに、光軸補正素子100を固定するホルダーと、そのホルダーをネジ調整によって光軸94方向に移動できる機構を有する位置調整部を備える、3波長用光源装置を考える。ここで、実施例12と同様に、光源20と光軸補正素子100との距離は3mmである。また、第1の発光点21と第2の発光点との距離dが120μmのとき、位置調整部による光軸方向の位置を0μmと設定する。つまり、この位置が、光源20と光軸補正素子100との距離を3mmとする位置、に相当するように与える。そして、本実施例では、405nmの光の光軸(図14(b)の光軸94)上に660nmの光の光軸を一致させる。
実施例13では、実施例12の3波長用光源装置90にさらに、光軸補正素子100を固定するホルダーと、そのホルダーをネジ調整によって光軸94方向に移動できる機構を有する位置調整部を備える、3波長用光源装置を考える。ここで、実施例12と同様に、光源20と光軸補正素子100との距離は3mmである。また、第1の発光点21と第2の発光点との距離dが120μmのとき、位置調整部による光軸方向の位置を0μmと設定する。つまり、この位置が、光源20と光軸補正素子100との距離を3mmとする位置、に相当するように与える。そして、本実施例では、405nmの光の光軸(図14(b)の光軸94)上に660nmの光の光軸を一致させる。
次に、光源20として、第1の発光点21と第2の発光点22との距離dが100μmであるとき、位置調整部によって、光軸補正素子100を光軸94に沿って−530μm移動させる。つまり、光源20と光軸補正素子100との間の距離を2.47mmとすると、光軸補正素子100を出射する660nmの光の光軸が405nmの光の光軸と一致する。また、第1の発光点21と第2の発光点22との距離dが140μmであるとき、位置調整部によって、光軸補正素子100を光軸94に沿って+530μm移動させる。つまり、光源20と光軸補正素子100との間の距離を3.53mmとすると、光軸補正素子100を出射する660nmの光の光軸が405nmの光の光軸と一致する。そして、光軸補正素子100における回折効率は、実施例12と同様に、図25の特性を示す。
(比較例1)
比較例1として、入射する3波長の光として、405nmの光、660nmの光、785nmの光のうち、405nmの光を回折させて、660nmの光の光軸と一致させる光軸補正素子を考える。石英ガラス基板の表面を、405nmの光に対して空気との界面におけるリタデーション値が波長の非整数倍となるとともに、660nmの光および785nmの光に対して、空気との界面におけるリタデーション値がそれぞれ、波長の整数倍となるように加工する。具体的に、石英ガラス基板の屈折率は、405nmの光、660nmの光、785nmの光に対する屈折率がそれぞれ、1.479、1.462、1.459であって、断面形状として、1段の高さが8.65μmの4段擬似ブレーズ形状となる光軸補正素子を作製する。
比較例1として、入射する3波長の光として、405nmの光、660nmの光、785nmの光のうち、405nmの光を回折させて、660nmの光の光軸と一致させる光軸補正素子を考える。石英ガラス基板の表面を、405nmの光に対して空気との界面におけるリタデーション値が波長の非整数倍となるとともに、660nmの光および785nmの光に対して、空気との界面におけるリタデーション値がそれぞれ、波長の整数倍となるように加工する。具体的に、石英ガラス基板の屈折率は、405nmの光、660nmの光、785nmの光に対する屈折率がそれぞれ、1.479、1.462、1.459であって、断面形状として、1段の高さが8.65μmの4段擬似ブレーズ形状となる光軸補正素子を作製する。
次に、比較例1の光軸補正素子の回折効率ηの計算結果を図26に示す。なお、0次回折効率をη0、1次回折効率をη1で表す。図26より、405nmの光に対して高い1次回折効率を示すとともに、660nmの光および785nmの光に対して高い0次回折効率を示すが、これら所定の波長に対して波長の変動が生じると、各波長の光の回折効率が急峻に変動し、安定した回折効率が得られない。例えば、405nmの光が10nm変動しただけで、1次回折効率が5%以下となり、所定の光軸に補正されても、安定して高い光量が得られない。
(比較例2)
比較例2として、入射する3波長の光として、405nmの光、660nmの光、785nmの光のうち、660nmの光および785nmの光を回折させて、とくに660nmの光を405nmの光の光軸と一致させる光軸補正素子を考える。石英ガラス基板の表面を、405nmの光に対して空気との界面におけるリタデーション値が波長の整数倍となるとともに、660nmの光および785nmの光に対して、空気との界面におけるリタデーション値がそれぞれ、波長の非整数倍となるように加工する。具体的に、断面形状として、矩形状の回折格子とし、高さが0.84μmのバイナリ形状となる光軸補正素子を作製する。
比較例2として、入射する3波長の光として、405nmの光、660nmの光、785nmの光のうち、660nmの光および785nmの光を回折させて、とくに660nmの光を405nmの光の光軸と一致させる光軸補正素子を考える。石英ガラス基板の表面を、405nmの光に対して空気との界面におけるリタデーション値が波長の整数倍となるとともに、660nmの光および785nmの光に対して、空気との界面におけるリタデーション値がそれぞれ、波長の非整数倍となるように加工する。具体的に、断面形状として、矩形状の回折格子とし、高さが0.84μmのバイナリ形状となる光軸補正素子を作製する。
次に、比較例2の光軸補正素子の回折効率ηの計算結果を図27に示す。なお、0次回折効率をη0、1次回折効率をη1で表す。図27より、405nmの光に対して高い0次回折効率を示すとともに、660nmの光および785nmの光に対して所定の1次回折効率を示す。比較例2の光軸補正素子は、比較例1の光軸補正素子のように、波長変動による回折効率の大きな変動は無いが、660nmの光、785nmの光に対する1次回折効率が40%程度であり、所定の光軸に補正されても、高い光量が得ることが困難である。
以上のように、本発明の3波長用光源装置は、発光点が異なる光源より3波長の光を発射し、これら3波長の光のうち特定の波長の光の光軸に、残りの1つまたは2つの波長の光の光軸を一致させることができる。また、本発明の3波長用受光装置は、光軸が異なる3波長の光のうち特定の波長の光の光軸に、残りの1つまたは2つの波長の光の光軸を一致させることができる。また、本発明の3波長用光源装置および/または3波長用受光装置を用いて、BD、DVD、CDの各光ディスクの記録・再生を安定させることができる光ヘッド装置を得ることができる。
本出願を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。
本出願は、2010年5月28日出願の日本特許出願(特願2010-122791)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
本出願は、2010年5月28日出願の日本特許出願(特願2010-122791)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
10、50、60a、60b、70、80、90、210,220 3波長用光源装置
30、65、66、85、100、160、185,211、231 光軸補正素子
20、201 光源
21 第1の発光点
22 第2の発光点
23 第3の発光点
25 1波長光源
26 2波長光源
31、101 凸部
32、102 凹部
33、103 凹凸部
34a、34b、104a、104b 透明基板
41、51a、51b、61a、61b、71a、71b、81a、81b、91、151a、151b、181a、181b 波長λ1の光
42、62、82、92、152a、152b、182a、182b 波長λ2の光
43、63、83、93、153a、153b、183a、183b 波長λ3の光
44、54、64、74、84、94 光軸
55、75、86、154、186、221、241 位置調整部
65a、66a、85a、185a 第1の光軸補正板
65b、66b、85b、185b 第2の光軸補正板
150a、150b、180a、180b、230、240 3波長用受光装置
170、208 光検出器
171 第1の受光エリア
172 第2の受光エリア
200a、200b 光ヘッド装置
202 コリメータレンズ
203 ビームスプリッタ
204 1/4波長板
205 対物レンズ
206 光ディスク
207 集光レンズ
30、65、66、85、100、160、185,211、231 光軸補正素子
20、201 光源
21 第1の発光点
22 第2の発光点
23 第3の発光点
25 1波長光源
26 2波長光源
31、101 凸部
32、102 凹部
33、103 凹凸部
34a、34b、104a、104b 透明基板
41、51a、51b、61a、61b、71a、71b、81a、81b、91、151a、151b、181a、181b 波長λ1の光
42、62、82、92、152a、152b、182a、182b 波長λ2の光
43、63、83、93、153a、153b、183a、183b 波長λ3の光
44、54、64、74、84、94 光軸
55、75、86、154、186、221、241 位置調整部
65a、66a、85a、185a 第1の光軸補正板
65b、66b、85b、185b 第2の光軸補正板
150a、150b、180a、180b、230、240 3波長用受光装置
170、208 光検出器
171 第1の受光エリア
172 第2の受光エリア
200a、200b 光ヘッド装置
202 コリメータレンズ
203 ビームスプリッタ
204 1/4波長板
205 対物レンズ
206 光ディスク
207 集光レンズ
Claims (22)
- 互いに異なる帯域を有する3波長の光である、波長λ1の光、波長λ2の光、波長λ3の光(λ1<λ2<λ3)を、それぞれ異なる発光点から出射する光源と、入射する前記3波長の光のうち、1つまたは2つの波長の光の進行方向を選択的に変えて出射する光軸補正素子と、有する3波長用光源装置であって、
前記光軸補正素子は、第1の材料からなる凸部と第2の材料からなる凹部との組み合わせにより、断面が凹凸形状を有する凹凸部を有し、
前記第1の材料の屈折率および前記第2の材料の屈折率は、前記3波長の光のうち、1つまたは2つの波長の光に対して、略一致するとともに、残りの波長の光に対して、異なり、
前記3波長の光のうち、1つの波長の光が、残りの波長の少なくとも1つの光の光軸と一致して出射する3波長用光源装置。 - 前記凹凸部の断面形状は、周期的なピッチとなる回折格子の形状を有するかまたは、前記回折格子形状に、前記3波長の光のうち偏向させる波長の光に対して収差を低減する光路差の分布を付加した形状を有する請求項1に記載の3波長用光源装置。
- 前記光軸補正素子は、第1の光軸補正板と第2の光軸補正板を有し、
前記第1の光軸補正板および前記第2の光軸補正板はそれぞれ、前記凹凸部を有する請求項1または請求項2に記載の3波長用光源装置。 - 前記光軸補正素子の位置を、光軸方向または前記光軸方向と直交する平面方向に可変する位置調整部を備える請求項1〜3いずれか1項に記載の3波長用光源装置。
- 前記光軸補正素子は、第1の光軸補正板と第2の光軸補正板を有し、
前記第1の光軸補正板および前記第2の光軸補正板はそれぞれ、前記凹凸部を有し、
前記3波長の光のうち光の進行方向を変える波長の光に対する、前記第1の光軸補正板および前記第2の光軸補正板が発生する光路差の分布関数をΦa(x,y)、Φb(x,y)とするとき、Φa(x,y)=−Φb(x,y)である基準位置を有し、
光軸と直交する平面方向に、前記光軸からのベクトル量をr、前記基準位置からのずれを示すベクトル量をΔrとするとき、前記第1の光軸補正板および前記第2の光軸補正板は、前記Φa(x,y)と前記Φb(x,y)との差分を表す関数Φa(r)−Φb(r+Δr)が、
Φa(r)−Φb(r+Δr)=α・x(±|Δr|)+β+A・x+W(x,y)、
W(x,y)=a0+a1(x/r0)+a2(y/r0)+a3(x/r0)2
+a4(x/r0)・(y/r0)+a5(y/r0)2+・・・
(但し、α、β、A、a0、a1、a2、a3、a4、a5は定数、r0は開口サイズの規格化定数)の関係を満たす前記凹凸部の形状を有する請求項1に記載の3波長用光源装置。 - 前記光軸補正素子の位置を、光軸方向と直交する平面方向に可変する位置調整部を備える請求項5に記載の3波長用光源装置。
- 前記波長λ1の光に対する、前記第1の材料の屈折率と前記第2の材料の屈折率とが略一致するとともに、前記波長λ2の光および前記波長λ3の光に対する、前記第1の材料の屈折率と前記第2の材料の屈折率とが異なる請求項1〜6いずれか1項に記載の3波長用光源装置。
- 前記波長λ1の光に対する、前記第1の材料の屈折率と前記第2の材料の屈折率とが異なるとともに、前記波長λ2の光および前記波長λ3の光に対する、前記第1の材料の屈折率と前記第2の材料の屈折率とが略一致する請求項1〜6いずれか1項に記載の3波長用光源装置。
- 前記第1の材料と前記第2の材料の一方または両方が、無機材料を含有する請求項1〜8いずれか1項に記載の3波長用光源装置。
- 前記波長λ1は395〜425nmの範囲の405nm波長帯、前記波長λ2は640〜680nmの範囲の660nm波長帯、前記波長λ3は、765〜805nmの範囲の785nm波長帯である請求項1〜9いずれか1項に記載の3波長用光源装置。
- 互いに異なる帯域を有する3波長の光である、波長λ1の光、波長λ2の光、波長λ3の光(λ1<λ2<λ3)のうち、1つまたは2つの波長の光の進行方向を選択的に変えて出射する光軸補正素子と、前記3波長の光を受光する光検出器と、を有する3波長用受光装置であって、
前記光軸補正素子は、第1の材料からなる凸部と第2の材料からなる凹部との組み合わせにより、断面が凹凸形状を有する凹凸部を有し、
前記第1の材料の屈折率および前記第2の材料の屈折率は、前記3波長の光のうち、1つまたは2つの波長の光に対して、略一致するとともに、残りの波長の光に対して、異なり、
前記3波長の光のうち、1の波長の光が、残りの波長の光の少なくとも1つの光と一致して前記光検出器に到達する3波長用受光装置。 - 前記凹凸部の断面形状は、周期的なピッチとなる回折格子の形状を有するかまたは、前記回折格子形状に、前記3波長の光のうち偏向させる波長の光に対して収差を低減する光路差の分布を付加した形状を有する請求項11に記載の3波長用受光装置。
- 前記光軸補正素子は、第1の光軸補正板と第2の光軸補正板を有し、
前記第1の光軸補正板および前記第2の光軸補正板はそれぞれ、前記凹凸部を有する請求項11または請求項12に記載の3波長用受光装置。 - 前記光軸補正素子の位置を、光軸方向または前記光軸方向と直交する平面方向に可変する位置調整部を備える請求項11〜13いずれか1項に記載の3波長用受光装置。
- 前記光軸補正素子は、第1の光軸補正板と第2の光軸補正板を有し、
前記第1の光軸補正板および前記第2の光軸補正板はそれぞれ、前記凹凸部を有し、
前記3波長の光のうち光の進行方向を変える波長の光に対する、前記第1の光軸補正板および前記第2の光軸補正板が発生する光路差の分布関数をΦa(x,y)、Φb(x,y)とするとき、Φa(x,y)=−Φb(x,y)である基準位置を有し、
光軸と直交する平面方向に、前記光軸からのベクトル量をr、前記基準位置からのずれを示すベクトル量をΔrとするとき、前記第1の光軸補正板および前記第2の光軸補正板は、前記Φa(x,y)と前記Φb(x,y)との差分を表す関数Φa(r)−Φb(r+Δr)が、
Φa(r)−Φb(r+Δr)=α・x(±|Δr|)+β+A・x+W(x,y)、
W(x,y)=a0+a1(x/r0)+a2(y/r0)+a3(x/r0)2
+a4(x/r0)・(y/r0)+a5(y/r0)2+・・・
(但し、α、β、A、a0、a1、a2、a3、a4、a5は定数、r0は開口サイズの規格化定数)の関係を満たす前記凹凸部の形状を有する請求項11に記載の3波長用受光装置。 - 前記光軸補正素子の位置を、光軸方向と直交する平面方向に可変する位置調整部を備える請求項15に記載の3波長用受光装置。
- 前記波長λ1の光に対する、前記第1の材料の屈折率と前記第2の材料の屈折率とが略一致するとともに、前記波長λ2の光および前記波長λ3の光に対する、前記第1の材料の屈折率と前記第2の材料の屈折率とが異なる請求項11〜16いずれか1項に記載の3波長用受光装置。
- 前記波長λ1の光に対する、前記第1の材料の屈折率と前記第2の材料の屈折率とが異なるとともに、前記波長λ2の光および前記波長λ3の光に対する、前記第1の材料の屈折率と前記第2の材料の屈折率とが略一致する請求項11〜16いずれか1項に記載の3波長用受光装置。
- 前記第1の材料と前記第2の材料の一方または両方が、無機材料を含有する請求項11〜18いずれか1項に記載の3波長用受光装置。
- 前記波長λ1は395〜425nmの範囲の405nm波長帯、前記波長λ2は640〜680nmの範囲の660nm波長帯、前記波長λ3は、765〜805nmの範囲の785nm波長帯である請求項11〜19いずれか1項に記載の3波長用受光装置。
- 光源と、前記光源から出射した光を光ディスクに集光する対物レンズと、前記光ディスクで反射された光を受光する光検出器と、前記光源から出射した光を前記対物レンズへ導くとともに、前記光ディスクで反射された光を前記光検出器へ導くビームスプリッタと、を備えた光ヘッド装置において、
前記光源を含み、前記光源から前記ビームスプリッタ間の光路中に請求項1〜10いずれか1項に記載の3波長用光源装置が備えられる光ヘッド装置。 - 光源と、前記光源から出射した光を光ディスクに集光する対物レンズと、前記光ディスクで反射された光を受光する光検出器と、前記光源から出射した光を前記対物レンズへ導くとともに、前記光ディスクで反射された光を前記光検出器へ導くビームスプリッタと、を備えた光ヘッド装置において、
前記光検出器を含み、前記ビームスプリッタから前記光検出器間の光路中に請求項11〜20いずれか1項に記載の3波長用受光装置が備えられる光ヘッド装置。
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