JPWO2011136202A1 - ワイヤーハーネス、ワイヤーハーネスの製造方法 - Google Patents

ワイヤーハーネス、ワイヤーハーネスの製造方法 Download PDF

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Abstract

被覆部材に水などの液体が浸透しないワイヤーハーネスおよびその製造方法を提供すること。また、被覆部材の耐摩耗性を向上させることを目的とする。電線91の所定の箇所を前記熱可塑性の材料からなる第一の素材801および第二の素材802により挟むかまたは包むとともに、第一の素材801および第二の素材802の表面の略全部に撥水性の材料からなる保護層の素材803を配設し、第一の素材801、第二の素材802および保護層の素材803を加熱しながら加圧することによって第一の素材801および第二の素材802を所定の形状および寸法に成形するとともに、第一の素材801および第二の素材802の表層部の少なくとも一部を溶融することによって保護層の素材803を第一の素材801および第二の素材802の表面に接合する。また、保護層の素材803として耐摩耗性の高い材料を選択する。

Description

本発明は、ワイヤーハーネスおよびその製造方法に関するものであり、詳しくは、電線を所定の形状に維持する部材および/または電線を保護する部材を有するワイヤーハーネスおよびその製造方法に関するものである。
自動車などの車両の内部には、電気装置や電子機器などを相互に接続するためのワイヤーハーネスが配索される。一般的なワイヤーハーネスは、所定の数および所定の種類の電線を有し、これらの電線が纏められて幹線や枝線を形成するという構成を有する。
ワイヤーハーネスの幹線や枝線は、車両などの内部の所定の経路に沿って配索される。このため、ワイヤーハーネスの幹線や枝線が配索しやすいように、ワイヤーハーネスの幹線や枝線は、製造段階において所定の軸線形状に形成されることがある。ワイヤーハーネスの幹線や枝線を所定の軸線形状に維持する構成としては、たとえば、ワイヤーハーネスの幹線や枝線の所定の箇所に、所定の形状を有する形状維持部材が装着されるという構成が用いられることがある。
また、ワイヤーハーネスの幹線や枝線の所定の箇所には、幹線や枝線に含まれる電線を保護するために、プロテクタ(保護部材)が装着されることがある。
このような形状維持部材やプロテクタには、たとえば、内部が空洞のシェル状の部材(たとえば、内部が空洞の筒状の部材であって、その軸線が所定の形状に形成される部材)が適用される。そして、シェル状の形状維持部材やプロテクタには、一般的には、樹脂材料からなる射出成形品が適用される。
ワイヤーハーネスの幹線や枝線の所定の箇所に、射出成形品の形状維持部材が装着されると、装着された部分は、形状維持部材が有する軸線形状に維持される。また、射出成形品のプロテクタが装着されると、装着された部分は、当該プロテクタにより保護される。しかしながら、射出成形品のプロテクタが適用される構成は、次のような問題を有する。
射出成形品の形状維持部材やプロテクタを製造するためには、射出成形型が必要となる。樹脂材料の射出成形に用いる射出成形型は、一般に高価であることから、設備コストが上昇し、形状維持部材やプロテクタも高価となる。このため、射出成形品の形状維持部材やプロテクタが装着されたワイヤーハーネスの価格が上昇するおそれがある。また、ワイヤーハーネスの製造において、ワイヤーハーネスの幹線や枝線の所定の箇所に形状維持部材やプロテクタを装着する工程が必要となるから、作業工数が増加する。このため、製造コストの上昇を招き、ワイヤーハーネスの価格が上昇するおそれがある。
また、幹線や枝線の所定の箇所に、シェル状の形状維持部材やプロテクタが装着される構成においては、幹線や枝線に含まれる電線と形状維持部材やプロテクタの内周面との間に隙間が存在することがある。このため、ワイヤーハーネスに振動や衝撃が加わるなどすると、電線が形状維持部材やプロテクタの内周面に衝突し、衝撃音が発生することがある。このような衝撃音の発生は、ワイヤーハーネスが適用された車両などの品位を低下させるおそれがある。また、電線が形状維持部材やプロテクタの内周面に衝突することによって、損傷するおそれがある。
電線が形状維持部材やプロテクタの内周面に衝突することを防止する構成としては、たとえば、形状維持部材やプロテクタの内部に緩衝材(たとえば、スポンジなど)が挿入される構成がある。しかしながらこのような構成では、形状維持部材やプロテクタの内部に、緩衝材を挿入する工程が必要となる。このため、作業工数が増加し、製造コストの上昇を招くおそれがある。また、部品点数が増加するため、部品コストの上昇を招くおそれがある。
射出成形品ではないプロテクタを用いる構成としては、たとえば、フラット回路体の周囲に熱可塑性の材料からなるプロテクタを形成する構成が提案されている(特許文献1参照)。特許文献1の特開2003−197038号公報に開示される構成は、フラット回路体を熱可塑性の材料からなる二枚の不織布で挟み、これらを加熱しながら金型により加圧することによって、二枚の不織布をフラット回路体に密着させるとともに、二枚の被覆材を溶着するというものである。このような構成によれば、二枚の不織布がプロテクタとなるから、射出成形品のプロテクタが不要となる。
しかしながら、特許文献1に開示される構成は、次のような問題を有すると考えられる。
不織布は繊維が絡み合った構造を有するため、水などの液体を含みやすい。不織布が水などの液体を含むと、ワイヤーハーネスの重量が大きくなる。また、不織布からなるプロテクタの一部が濡れた場合であっても、液体は不織布の内部を伝わっていくことができる。このため、不測の箇所に液体が入り込むおそれがある。
また、不織布は、一般に、樹脂の射出成形品と比較すると、軟らかく耐摩耗性が低い。このため、車両などの使用中において振動や衝撃が加わると、不織布からなるプロテクタが他の部材(たとえば、車体)などに接触して摩耗するおそれがある。特に、振動が加わると、プロテクタが他の部材と断続的に接触することや、接触した状態で摺動することがあるため、摩耗が進行しやすい。このように、不織布からなるプロテクタは、射出成形品のプロテクタに比較して、耐久性が低い。
特開2003−197038号公報
本発明が解決しようとする課題は、電線の所定の箇所に設けられる(=電線の所定の箇所を被覆する)被覆部材の防水性を高めたワイヤーハーネスを提供すること、または、不織布などからなる被覆部材の防水性を高めたワイヤーハーネスを提供すること、電線の所定の箇所に設けられる(=電線の所定の箇所を被覆する)被覆部材の防水性を高めたワイヤーハーネスの製造方法を提供すること、または、不織布などからなる被覆部材の防水性を高めたワイヤーハーネスの製造方法を提供すること、または、被覆部材の製造コストや製造工数の増加を防止もしくは抑制しつつ被覆部材に防水性をもたせることができるワイヤーハーネスの製造方法を提供することである。
また、本発明が解決しようとする別の課題は、電線の所定の箇所に設けられる(=電線の所定の箇所を被覆する)被覆部材の耐摩耗性を高めたワイヤーハーネスを提供すること、または、不織布などからなる被覆部材の耐摩耗性を高めたワイヤーハーネスを提供すること、電線の所定の箇所に設けられる(=電線の所定の箇所を被覆する)被覆部材の耐摩耗性を高めたワイヤーハーネスの製造方法を提供すること、または、不織布などからなる耐摩耗性を高めたワイヤーハーネスの製造方法を提供すること、または、被覆部材の製造コストや製造工数の増加を防止もしくは抑制しつつ被覆部材の耐摩耗性を高めることができるワイヤーハーネスの製造方法を提供することである。
前記課題を解決するため、本発明にかかるワイヤーハーネスは、電線の所定の箇所に熱可塑性の材料からなる被覆部材が設けられたワイヤーハーネスであって、前記被覆部材の表面には、液体を透過しない保護層が設けられることを要旨とするものである。
この場合、前記保護層は、前記被覆部材よりも耐摩耗性が高い熱可塑性の材料からなることが好ましい。
また、前記被覆部材は、中心部に比較して表層部が硬いことが好ましい。
さらに、前記被覆部材は、熱可塑性の材料からなる不織布または発泡体からなる構成が適用できる。
そして、前記不織布には、基本繊維と、芯繊維および前記芯繊維の表面に設けられるバインダ材の層を有するバインダ繊維とを有する構成のものが適用できる。
尚、前記保護層は、前記バインダ材により前記被覆部材の表面に接合している構成が適用できる。また、前記保護層は、前記被覆部材の表面に溶着している構成であってもよい。
また、本発明にかかるワイヤーハーネスは、電線の所定の箇所に熱可塑性の材料からなる被覆部材が設けられたワイヤーハーネスであって、前記被覆部材の表面の一部または全部には、前記被覆部材よりも耐摩耗性が高い熱可塑性材料からなる保護層が設けられることを特徴と要旨とするものである。
この場合、前記被覆部材は、中心部に比較して表層部が硬い構成であることが好ましい。
前記被覆部材には、熱可塑性の材料からなる不織布または発泡体が適用できる。
そして前記不織布には、基本繊維と、芯繊維および前記芯繊維の表面に設けられるバインダ材の層を有するバインダ繊維とを有する構成のものが適用できる。
尚、この場合も前記保護層は、前記バインダ材により前記被覆部材の表面に接合している構成であることが好ましい。また、前記保護層は、前記被覆部材の表面に溶着している構成であってもよい。
本発明にかかるワイヤーハーネスの製造方法は、表面に液体を透過しない保護層が設けられるとともに熱可塑性の材料により成形される被覆部材が電線の所定の箇所に設けられるワイヤーハーネスの製造方法であって、前記電線の所定の箇所を前記熱可塑性の材料により挟むかまたは包むとともに、前記熱可塑性の材料の表面に前記保護層の材料を配設し、前記熱可塑性の材料および前記保護層の材料を加熱しながら加圧することによって前記熱可塑性の材料を所定の形状および寸法に成形するとともに、前記熱可塑性の材料の表層部の少なくとも一部を溶融することによって前記保護層の材料を前記熱可塑性の材料の表面に接合する工程を含むことを要旨とするものである。
この構成においては、前記電線の所定の箇所と前記熱可塑性の材料と前記保護層の材料とを保持具に収容し、温度調節手段を備える一組の成形型により前記熱可塑性の材料を前記保持具を介して加熱および加圧し、その後前記熱可塑性の材料で覆われた前記電線の所定の箇所を前記保持具に収容された状態で前記一組の成形型から取り外して冷却することが好ましい。
本発明にかかるワイヤーハーネスの製造方法は、表面の一部または全部に保護層が設けられるとともに熱可塑性の材料により成形される被覆部材が電線の所定の箇所に設けられるワイヤーハーネスの製造方法であって、前記電線の所定の箇所を前記熱可塑性の材料により挟むかまたは包むとともに、前記熱可塑性の材料の表面の一部または全部に前記保護層の材料を配設し、前記熱可塑性の材料および前記保護層の材料を加熱しながら加圧することによって前記熱可塑性の材料を所定の形状および寸法に成形するとともに、前記熱可塑性の材料の表層部の少なくとも一部を溶融することによって前記保護層の材料を前記熱可塑性の材料の表面に接合する工程を含むことを要旨とするものである。
そして、前記電線の所定の箇所と前記熱可塑性の材料と前記保護層の材料とを保持具に収容し、温度調節手段を備える一組の成形型により前記熱可塑性の材料を前記保持具を介して加熱および加圧し、その後前記熱可塑性の材料で覆われた前記電線の所定の箇所を前記保持具に収容された状態で前記一組の成形型から取り外して冷却する構成が適用できる。
本発明にかかるワイヤーハーネスによれば、被覆部材の表面に液体を透過しない保護層が設けられるから、被覆部材の表面に液体がかかった場合であっても、被覆部材に液体が浸透することがない。このため、被覆部材が液体を含むことによって重量が増加することや、液体が被覆部材を伝わって不測の箇所に到達することを防止できる。さらに、保護層が耐摩耗性の高い材料からなれば、被覆部材の耐摩耗性の向上を図ることもできる。
本発明にかかる別のワイヤーハーネスによれば、被覆部材の表面の一部または全部に保護層が設けられるから、被覆部材の耐摩耗性の向上を図ることができる。
本発明にかかるワイヤーハーネスの製造方法によれば、熱可塑性の材料を加熱しながら加圧することにより、被覆部材を成形することができる。この被覆部材は、電線の所定の箇所を保護するプロテクタの機能と、電線の所定の箇所を所定の形状に維持する機能を有する。このため、射出成形品の形状維持部材やプロテクタを適用することなく、ワイヤーハーネスに形状維持部材やプロテクタを設けることができる。
そして、熱可塑性の材料には、射出成形品の形状維持部材やプロテクタに比較して安価な材料が適用できるから、被覆部材の製造コストや部品コストの削減を図ることができる。また、熱可塑性材料を加圧して成形するための成形型は、射出成形品を製造するための射出成形用の金型に比較して構造が簡単で安価であるから、設備コストの上昇を抑制または設備コストの削減を図ることができる。
さらに、被覆部材の成形は、ワイヤーハーネスを構成する電線の所定の箇所を熱可塑性の材料で挟むかまたは包み、その状態で加熱しながら加圧するだけでよい。このため、射出成形品の形状維持部材やプロテクタを装着する構成と比較して、作業内容が簡単となる。したがって、ワイヤーハーネスの製造時間の短縮や製造コストの削減を図ることができる。
さらに本発明にかかるワイヤーハーネスの製造方法によれば、熱可塑性の材料のうち、電線の所定の箇所に接触している部分およびその近傍の部分が高温になる前に熱可塑性材料の加圧を終了させることができる。このため、成型された被覆部材のうち、電線の所定の箇所に接触している部分およびその近傍の部分は、加圧前の性質を維持することができる。このため、硬化していない熱可塑性の材料により電線の所定の箇所が弾性的に包み込まれた構成を有するワイヤーハーネスを製造することができる。このような構成のワイヤーハーネスによれば、硬化していない熱可塑性の材料が電線の所定の箇所を振動や衝撃から保護する緩衝材として機能する。
また、硬化していない熱可塑性の材料に電線の所定の箇所が包み込まれた構成であるから、ワイヤーハーネスに振動や衝撃が加わっても、電線の所定の箇所と被覆部材との間で打音や衝撃音が発生しない。このように、射出成形品の形状維持部材やプロテクタの内部に緩衝材が充填された構成と同様の作用効果を奏することができる。一方、射出成形品の形状維持部材やプロテクタの内部に緩衝材が充填された構成に比較して、部品点数や作業工数の削減を図ることができる。
本発明にかかるワイヤーハーネスの製造方法によれば、製造されたワイヤーハーネスを成形型から取り外す際や、取り外された後冷却している間において、成形された被覆部材に不測の変形が発生することを防止できる。すなわち、本発明によれば、成形された被覆部材を、保持具に載置された状態で成形型から取り外すことができる。また、成形型から取り外された被覆部材を、保持具に載置された状態で冷却することができる。このため、成形型から取り外す際や冷却の際に被覆部材に直接触れる必要がない。また、被覆部材が保持具に載置されていれば、成形型により成形された形状が維持される。このため、成形された被覆部材に不測の(または望まない)変形が生じることを防止できる。
本発明の第一実施形態にかかるワイヤーハーネスの所定の箇所(=被覆部材が設けられる箇所)を抜き出して示した外観斜視図であり、(a)は、被覆部材の断面形状が略六角形である構成を示し、(b)は、被覆部材の断面形状が略円形である構成を示す。 第一の下側保持具と第一の下型の構成を模式的に示した外観斜視図である。 第一の上側保持具と第一の上型の構成を、模式的に示した外観斜視図である。 この第一実施形態にかかるワイヤーハーネスの製造方法の所定の工程を模式的に示した断面図であり、第一の下側保持具に、電線の所定の箇所と第一の素材(この第一の素材には、保護層の素材があらかじめ設けられている)と第二の素材が収容され、それらに第一の上側保持具が載置された状態を示した図である。 この第一実施形態にかかるワイヤーハーネスの製造工程において、第一の下側保持具に、第一の素材と電線の所定の箇所と第二の素材と保護層の素材とが収容され、さらに第一の上側保持具が載置された状態を示した図である。 この第一実施形態にかかるワイヤーハーネスの製造工程において、第一の素材と電線の所定の箇所と第二の素材と保護層の素材とが収容された第一の下側保持具が、第一の下型に載置された状態を示した図である。 この第一実施形態にかかるワイヤーハーネスの製造工程において、第一の素材および第二の素材が、第一の下型と第一の上型とにより加熱および加圧されている状態を示した図である。 この第一実施形態にかかるワイヤーハーネスの製造工程において、製造されたこの実施形態にかかるワイヤーハーネスの所定の箇所(=成形された被覆部材)が、第一の下側保持具に載置された状態で、第一の上型および第一の下型から取り外された状態を示した図である。 本発明の第二実施形態にかかるワイヤーハーネスの所定の箇所(=被覆部材が設けられる箇所)を抜き出して示した外観斜視図であり、(a)は、被覆部材の断面形状が略六角形である構成を示し、(b)は、被覆部材の断面形状が略円形である構成を示す。 第二の下側保持具と第二の下型の構成を模式的に示した外観斜視図である。 第二の上側保持具と第二の上型の構成を模式的に示した外観斜視図である。 この第二実施形態にかかるワイヤーハーネスの製造工程において、第二の下側保持具に第三の素材(この第三の素材には保護層の素材が一体に設けられる)と電線の所定の箇所とが収容され第二の上側保持具が載置された状態を示した図である。 この第二実施形態にかかるワイヤーハーネスの製造工程において、第三の素材と電線の所定の箇所と保護層の素材とが第二の下側保持具に収容された状態を示した図である。 この第二実施形態にかかるワイヤーハーネスの製造工程において、第三の素材と電線の所定の箇所と保護層の素材とが収容され第二の上側保持具が載置された第二の下側保持具が、第二の下型に載置された状態を示した図である。 この第二実施形態にかかるワイヤーハーネスの製造工程において、第二の下型と第二の上型とにより第三の素材が加熱されながら加圧されている状態を示した図である。 この第二実施形態にかかるワイヤーハーネスの製造工程において、製造されたこの実施形態にかかるワイヤーハーネスの所定の箇所(=成形された被覆部材)が、第二の下側保持具に載置された状態で第二の下型および第二の上型から取り外された状態を示した図である。 (a)は、本発明の第三実施形態にかかるワイヤーハーネスの所定の箇所(=被覆部材が設けられる箇所)を抜き出して示した外観斜視図であり、(b)は、本発明の第四実施形態にかかるワイヤーハーネスの所定の箇所(=被覆部材が設けられる箇所)を抜き出して示した外観斜視図である。 (a)は、被覆部材の本体部の断面形状が略円形である本発明の第三実施形態にかかるワイヤーハーネスの所定の箇所を抜き出して示した外観斜視図であり、(b)は、被覆部材の本体部の断面形状が略円形である本発明の第四実施形態にかかるワイヤーハーネスの所定の箇所を抜き出して示した外観斜視図である。 本発明の第三実施形態にかかるワイヤーハーネスの製造方法の所定の工程を模式的に示した断面図であり、第一の下側保持具に第一の素材と電線の所定の箇所と第二の素材と保護層の素材が収容され第一の上側保持具が載置された状態を示した図である。 この第三実施形態にかかるワイヤーハーネスの製造方法の所定の工程を模式的に示した断面図であり、第一の素材と電線の所定の箇所と第二の素材と保護層の素材とが収容された第一の下側保持具が、第一の下型に載置された状態を示した図である。 この第三実施形態にかかるワイヤーハーネスの製造工程において、第一の素材および第二の素材が、第一の下型と第一の上型とにより加熱および加圧されている状態を示した図である。 この第三実施形態にかかるワイヤーハーネスの製造工程において、製造されたこの第三実施形態にかかるワイヤーハーネスの所定の箇所(=成形された被覆部材)が、第一の下側保持具に載置された状態で、第一の上型および第一の下型から取り外された状態を示した図である。 (a)は、本発明の第五実施形態にかかるワイヤーハーネスの所定の箇所(=被覆部材が設けられる箇所)を抜き出して示した外観斜視図であり、(b)は、本発明の第六実施形態にかかるワイヤーハーネスの所定の箇所(=被覆部材が設けられる箇所)を抜き出して示した外観斜視図である。 本発明の第五実施形態にかかるワイヤーハーネスの製造工程において、第二の下側保持具に第三の素材と電線の所定の箇所と保護層の素材とが収容され、さらに第二の上側保持具が載置された状態を示した図である。 本発明の第六実施形態にかかるワイヤーハーネスの製造工程において、第二の下側保持具に、保護層の素材が設けられた第三の素材と電線の所定の箇所とが収容され、さらに第二の上側保持具が載置された状態を示した図である。 本発明の第五実施形態にかかるワイヤーハーネスの製造工程において、第三の素材と電線の所定の箇所と保護層の素材とが収容された第二の下側保持具が、第二の下型に載置された状態を示した図である。 この第五実施形態にかかるワイヤーハーネスの製造工程において、第二の上型と第二の下型とにより第三の素材が加熱されながら加圧されている状態を示した図である。 この第五実施形態にかかるワイヤーハーネスの製造工程において、製造されたこの第五実施形態にかかるワイヤーハーネスの所定の部分が、第二の下側保持具に載置された状態で第二の下型および第二の上型から取り外された状態を示した図である。
以下に、本発明の各実施形態について、図面を参照して説明する。
まず、本発明の各実施形態にかかるワイヤーハーネスの構成の概略を、簡単に説明する。
本発明の各実施形態にかかるワイヤーハーネスは、所定の数および所定の種類の電線を有する。そして、これらの電線が所定の態様で纏められ、纏められた電線が、本発明の各実施形態にかかるワイヤーハーネスの幹線や枝線を形成する。各電線(=幹線や枝線)の端部には、所定のコネクタ類が装着される。なお、本発明の各実施形態にかかるワイヤーハーネスの全体の寸法および形状、幹線および枝線の構成、本発明の各実施形態にかかるワイヤーハーネスに含まれる電線の数・種類・長さ、各電線に装着されるコネクタ類の構成などは、特に限定されるものではない。これらは、本発明の各実施形態にかかるワイヤーハーネスの用途などに応じて、適宜設定される。
本発明の各実施形態にかかるワイヤーハーネスの所定の箇所(=電線の所定の箇所)には、被覆部材が設けられる。被覆部材は、本発明の各実施形態にかかるワイヤーハーネスの所定の箇所を保護できる(いわゆる「プロテクタ」の機能を有する)。また、被覆部材は、本発明の各実施形態にかかるワイヤーハーネスの所定の箇所(=電線の所定の箇所)を所定の形状に維持できる(特に、電線の軸線形状を所定の形状に維持できる)。
すなわち、本発明の各実施形態にかかるワイヤーハーネスの保護したい部分に設けられた被覆部材は、プロテクタとなる。また、本発明の各実施形態にかかるワイヤーハーネスを所定の形状に維持したい部分に設けられた被覆部材は、当該所定の箇所を所定の形状に維持する。さらに、本発明の各実施形態にかかるワイヤーハーネスの保護したい部分であり、かつ所定の形状に維持したい部分に設けられた被覆部材は、プロテクタとして機能するとともに、本発明の各実施形態にかかるワイヤーハーネスの所定の箇所を所定の形状に維持する。
被覆部材が設けられる箇所の具体的な位置および範囲(すなわち、「所定の箇所」の具体的な位置および範囲)、被覆部材の寸法および形状は、特に限定されるものではない。本発明の各ワイヤーハーネスの保護すべき位置および範囲、所定の軸線形状に成形すべき(=維持すべき)位置および範囲などに応じて適宜設定される。たとえば、本発明の各実施形態にかかるワイヤーハーネスに要求される機能や性能、本発明の各実施形態にかかるワイヤーハーネスの形状、本発明の各実施形態にかかるワイヤーハーネスが配索される空間(たとえば、車両の内部の空間)の寸法や形状、使用時の環境(たとえば、使用時における振動や衝撃の有無や程度など)に応じて適宜設定される。
そして、被覆部材92aの表面の略全体には、液体を透過しない材料からなる保護層が設けられる。このため、被覆部材に水などの液体がかかった場合であっても、液体が被覆部材に浸透することが防止される。
次に、本発明の第一実施形態にかかるワイヤーハーネス9aについて説明する。図1は、本発明の第一実施形態にかかるワイヤーハーネス9aの所定の箇所(=被覆部材92aが設けられる箇所)を抜き出して示した外観斜視図である。それぞれ、図1(a)は、被覆部材の断面形状が略六角形である構成を示し、図1(b)は、被覆部材の断面形状が略円形である構成を示す。
本発明の第一実施形態にかかるワイヤーハーネス9aに設けられる被覆部材92aは、本体部921aと、延出部922aと、保護層923aとを有する。本体部921aおよび延出部922aは、二つの素材801,802により形成される。
説明の便宜上、被覆部材92aの本体部921aおよび延出部922aの材料である二つの素材の一方を「第一の素材801」と称し、他方を「第二の素材802」と称する。図1(a)、(b)において、被覆部材92aの断面に描かれた破線は、第一の素材801と第二の素材802の接合面(=境界)を、模式的に示したものである。
被覆部材92aの本体部921aは、電線91の所定の箇所(=本発明の第一実施形態にかかるワイヤーハーネス9aの幹線や枝線の所定の箇所)を覆う部分(換言すると、電線91の所定の箇所が埋め込まれる部分)である。本体部921aは、所定の軸線形状と、所定の断面形状および寸法を有する(ここで、「断面」とは、電線91の軸線方向に直角な方向で切断した切断面をいうものとする。以下同じ)。
図1(a)においては、被覆部材92aの本体部921aの断面形状が略六角形である構成を示し、図1(b)においては、被覆部材92aの本体部921aの断面形状が略円形である構成を示すが、被覆部材92aの本体部921aの断面形状は、これらの形状に限定されるものではない。被覆部材92aの本体部921aの軸線形状、断面形状および寸法は、被覆部材921aが有するべき機能や性能、本発明の第一実施形態にかかるワイヤーハーネス9aの所定の箇所が配索される空間の形状や寸法などに応じて設定される。
被覆部材92aの延出部922aは、本体部921aの外周から外側に向かって突起する部分である。延出部922aは、本体部921aの軸線方向に沿って延伸する略平板状または略襞状の構造を有する。そして、延出部922aにおいて、第一の素材801と第二の素材802とが接合して一体化している。延出部922aの厚さ寸法(第一の素材801と第二の素材802との重ね合わせ方向をいう)は、本体部921aの厚さ寸法よりも小さい。特に、延出部922aにおける第一の素材801と第二の素材802のそれぞれの厚さ寸法(すなわち、それぞれの表面から互いに接合する接合面までの距離)は、本体部921aの外周面から電線91の所定の箇所までの距離(特に、電線91の所定の箇所のうち、最も外周面に近いものまでの距離)よりも小さいことが好ましい。
第一の素材801および第二の素材802は、熱可塑性を有し、弾性変形可能な材料(特に、圧縮する態様で弾性変形が可能な材料)が適用される。具体的にはたとえば、熱可塑性材料からなる不織布や発泡体が適用できる。
不織布には、基本繊維とバインダ繊維とが絡み合った構成を有するものが適用できる。このような構成の不織布を、説明の便宜上、「第一の不織布」と称する。基本繊維は、所定の融点を有する熱可塑性樹脂材料により形成される。バインダ繊維は、芯繊維の外周にバインダ材の層が形成される構成を有する。バインダ繊維の芯繊維は、基本繊維と同じ熱可塑性樹脂材料により形成される。バインダ繊維のバインダ材の層は、基本繊維および芯繊維よりも融点が低い熱可塑性樹脂材料により形成される。
第一の不織布は、ある温度以上の温度に加熱されると、基本繊維およびバインダ繊維が有する熱可塑性により塑性変形できる。特に、バインダ繊維のバインダ材の融点よりも高い温度であって、基本繊維およびバインダ繊維の芯繊維の融点よりも低い温度帯域の温度に加熱されると、バインダ繊維は溶融するが、基本繊維およびバインダ繊維の芯繊維は固体の状態(=繊維の状態)を維持したままで熱可塑性により塑性変形できる。そして、溶融したバインダ繊維のバインダ材は、基本繊維およびバインダ繊維の芯繊維の間に染み渡る。このような温度帯域を、説明の便宜上、「第一の温度帯域」と称する。
このため、第一の不織布は、第一の温度帯域内の温度に加熱され、第一の温度帯域内の温度で所定の形状に成形され、その後、第一の温度帯域よりも低い温度であって基本繊維およびバインダ繊維が熱可塑性による塑性変形をしない温度に冷却されると、成形された所定の形状を維持する。さらに、成形された第一の不織布は、溶融後固化したバインダ材により基本繊維やバインダ繊維の芯繊維どうしが結合されるため、加熱前に比較して硬くなる。
第一の不織布には、基本繊維およびバインダ繊維の芯繊維がPET(ポリエチレンテレフタレート)から形成され、バインダ繊維のバインダ材の層がPETとPEI(ポリエチレンイソフタレート)の共重合樹脂から形成される構成を有する不織布が適用できる。このような第一の不織布の基本繊維およびバインダ繊維の芯繊維の融点(すなわち、PETの融点)は、約250℃である。バインダ材の融点は、110〜150℃である。したがって、このような構成の第一の不織布の第一の温度帯域は、110〜250℃である。
このほか、熱可塑性樹脂材料からなり、バインダ繊維を有しない不織布も適用できる。このような不織布を、説明の便宜上、「第二の不織布」と称して区別する。さらに、熱可塑性材料からなる発泡体も適用できる。たとえば、PETからなる不織布や発泡体が適用できる。
被覆部材92aの本体部921aの表層部(=外表面およびその近傍)は、中心部(=電線91の所定の箇所に接触している部分およびその近傍)に比較して硬い。換言すると、被覆部材92aの本体部921aの硬さは、中心部から表層部に向かうにしたがって高くなる。さらに、被覆部材92aの本体部921aの表層部は、被覆部材92aに成形される前の第一の素材801および第二の素材802よりも硬い。
被覆部材92aの本体部921aの中心部は、表層部に比較して軟らかい。具体的には、被覆部材92aの本体部921aの中心部は、被覆部材92aに成形される前の第一の素材801および第二の素材802の物理的性質を有している。このため、被覆部材92aの本体部921aの中心部は、弾性を有する状態で電線91の所定の箇所に接触している。
図1(a)、(b)に示すように、本発明の第一実施形態にかかるワイヤーハーネス9aの被覆部材92aの表面の略全体には、保護層923aが形成される。なお、図1(a)、(b)においては、被覆部材92aのうち、軸線方向の端面および延出部922aの先端面には保護層923bが形成されない構成を示すが、これらの部分にも保護層923aが形成される構成であってもよい。
保護層923aは、被覆部材92aに液体が浸透しないようにする機能を有する。すなわち、保護層923aは、被覆部材92aに水などの液体がかかった場合であっても、液体が被覆部材の本体部に浸透しないようにする。このため保護層923aは、液体を浸透しない材料(たとえば、撥水性を有する材料)により形成される。
たとえば、保護層923aの材料(=保護層の素材803)には、ポリエステル樹脂からなるシート状の部材や不織布(たとえば、スパンボンド法により製造された不織布)が適用できる。また、ポリエステル樹脂には、たとえば、PET(ポリエチレンテレフタレート)などが適用できる。なお、本発明の第一実施形態にかかるワイヤーハーネス9aの被覆部材92aの保護層923aの材質や厚さなどは、本発明の第一実施形態にかかるワイヤーハーネス9aの仕様などに応じて適宜設定されるものであり、特に限定されるものではない。要は、水などの液体を浸透や透過させない構成を有していればよい。
また、図1(a)、(b)においては、保護層923aが被覆部材92aの略全体に設けられる構成を示したが、保護層923aが被覆部材92aの表面の一部に設けられる構成であってもよい。たとえば、被覆部材92aのうち、防水性をもたせたい部分にのみ保護層923aが設けられる構成であってもよい。
また、保護層923aは、熱可塑性を有し、第一の素材801および第二の素材802よりも融点が高い材料により形成される。さらに、保護層923aが、第一の素材801および第二の素材802よりも耐摩耗性の高い材料が適用される構成であってもよい。「耐摩耗性」とは、ある材料が他の材料と接触して擦られるときの摩擦によって損耗しにくい特性をいうものとする。このような構成によれば、被覆部材923aの耐摩耗性の向上を図ることができる。
本発明の第一実施形態にかかるワイヤーハーネス9aは、次のような作用効果を奏することができる。
本発明の第一実施形態にかかるワイヤーハーネス9aに設けられる被覆部材92aの表層部は、中心部に比較して硬い。このため、この硬い部分が、電線91の所定の箇所を保護するプロテクタの機能と、電線91の所定の箇所を所定の形状に維持する機能の少なくとも一方を有する。
したがって、本発明の第一実施形態にかかるワイヤーハーネス9aの保護したい部分に設けられた被覆部材92aは、電線91の所定の箇所を保護するプロテクタとなる。また、本発明の第一実施形態にかかるワイヤーハーネス9aを所定の形状に維持したい部分に設けられた被覆部材92aは、当該所定の箇所を所定の形状に維持する。さらに、本発明の第一実施形態にかかるワイヤーハーネス9aの保護したい部分であり、かつ所定の形状に維持したい部分に設けられた被覆部材92aは、プロテクタとして機能するとともに、本発明の第一実施形態にかかるワイヤーハーネス9aの所定の箇所を所定の形状に維持する。
一方、被覆部材92aの中心部は、成形前の第一の素材801および第二の素材802の物理的性質を有しており、軟らかい。電線91の所定の箇所は被覆部材92aに包まれており(=第一の素材801と第二の素材802との間に埋め込まれており)、電線91の所定の箇所は被覆部材92aに弾性的に接触している。このため、被覆部材92aは、電線の所定の箇所を保護する緩衝材として機能する。たとえば、被覆部材92aに衝撃や振動が加わっても、電線91の所定の箇所に衝撃や振動が伝わることが防止または抑制される。さらに、電線91の所定の箇所と被覆部材92aとの間で衝突音などが発生することが防止される。
そして、被覆部材92aの略全部に保護層923aが設けられるから、被覆部材92aに水などの液体がかかった場合であっても、被覆部材92aの本体部921aに浸透することが防止される。このため、被覆部材92aの本体部921aが水などの液体を含むことによって重量が大きくなることや、被覆部材92aを伝わった液体が不測の箇所に到達することを防止できる。
さらに、保護層の素材803に、第一の素材801および第二の素材802よりも耐摩耗性が高い材料が適用されると、被覆部材92aの耐摩耗性の向上を図ることができる。
次に、本発明の第一実施形態にかかるワイヤーハーネス9aの製造方法において用いられる工具などについて説明する。
本発明の第一実施形態にかかるワイヤーハーネス9aの製造方法においては、第一の下側保持具11aと、第一の上側保持具12aと、一組の第一の下型13aと第一の上型14aからなる成形型と、プレス機が使用される。図2は、第一の下側保持具11aと第一の下型13aの構成を、模式的に示した外観斜視図である。図3は、第一の上側保持具12aと第一の上型14aの構成を、模式的に示した外観斜視図である。
第一の下側保持具11aおよび第一の下型13aは、図2中の上方側が、第一の上側保持具12aおよび第一の上型14aに対向する。第一の上側保持具12aおよび第一の上型14aは、図3中の上方側が、第一の下側保持具11aおよび第一の下型13aに対向する。以下、説明の便宜上、第一の下側保持具11aおよび第一の下型13aについては、第一の上側保持具12aおよび第一の上型14aに対向する側を「上側」と称する。一方、第一の上側保持具12aおよび第一の上型14aについては、第一の下側保持具11aおよび第一の下型13aに対向する側を「下側」と称する。図2においては、図中の上方が、第一の下側保持具11aおよび第一の下型13aの上側である。図3においては、図中の上方が、第一の上側保持具12aおよび第一の上型14aの下側である。
第一の下側保持具11aおよび第一の上側保持具13aは、本発明の第一実施形態にかかるワイヤーハーネス9aを製造する工程(特に、それぞれの被覆部材92aを成形する工程)において、第一の素材801および第二の素材802を加圧して所定の形状(=被覆部材92aの形状)に成形する機能や、製造された本発明の第一実施形態にかかるワイヤーハーネス9a(特に、成形されたそれぞれの被覆部材92a)の形状を維持する(換言すると、不測の変形または望まない変形が生じないようにする)などの機能を有する工具である。
第一の下側保持具11aは、第一の加圧部111aと、第二の加圧部112aと、側壁部113aとを有する。
第一の下側保持具11aの第一の加圧部111aは、被覆部材92aの本体部921aを成形するための部分である。第一の加圧部111aは、第一の下側保持具11aの上側の面に形成される溝状の凹部(換言すると、上側に向かって開放する溝状の凹部、下側に向かって窪む溝状の凹部)である。第一の加圧部111aの寸法および形状は、電線91の所定の箇所を収容可能であり、被覆部材92aの本体部921aの形状および寸法に応じて設定される。すなわち、第一の加圧部111aの軸線の形状は、成形される被覆部材92aの本体部921aの軸線の形状に略等しく、第一の加圧部111aの断面形状および寸法(電線91の所定の箇所の軸線に略直角な方向で切断した場合の断面形状および寸法)は、成形される被覆部材92aの本体部921aの断面形状を二分割して得られる形状の一方と略同じである。
たとえば、図1(a)に示すように、被覆部材92aの本体部921aの軸線が略円弧状に湾曲した形状であり、断面が略六角形である場合には、第一の下側保持具11aの第一の加圧部111aの軸線は略円弧状に湾曲した形状であり、断面は六角形を二分割して得られる略台形である。すなわち、略平面状の底面と、底面の両側から略上側に向かって底面に所定の角度をもって立ち上がる傾斜面とが形成される構成となる。また、図1(b)に示すように、被覆部材92aの本体部921aが断面略円形に成形される場合には、第一の下側保持具11aの第一の加圧部111aは、断面略半円形の溝状の構成を有する。
第一の下側保持具11aの第二の加圧部112aは、第一の上側保持具11aとともに、第一の素材801と第二の素材802とを加圧して被覆部材92aの延出部922aを形成する(=第一の素材801と第二の素材802とを接合する)ための部分である。第一の下側保持具11aの第二の加圧部112aは、上側を向く略平面状の部分である。第一の下側保持具11aの第二の加圧部112aは、第一の加圧部111aの両外側に、第一の加圧部111aの軸線方向に沿って形成される。
第一の下側保持具11aの側壁部113aは、第一の素材801および第二の素材802を加圧する前、および加圧する工程において、第一の素材801および第二の素材802を保持する機能を有する部分である。側壁部113aは、上側に向かって突起する板状または襞状の部分であり、第二の加圧部112aの外側縁に沿って形成される。このため、二つの側壁部113aは、第一の加圧部111aおよび第二の加圧部112aを挟んで、所定の距離をおいて対向する。側壁部113aの高さ寸法は、両側壁部113aの間に、電線91の所定の箇所と第一の素材801と第二の素材802とが収容された状態において、第一の素材801および第二の素材802が、両側壁部113aの上側から外にはみ出さないような寸法に設定される。
このように、第一の下側保持具11aは、全体として、断面が略「U」字形状の棒状の構成を有する。
第一の下側保持具11aの下側の形状は、特に限定されるものではない。たとえば、第一の下側保持具11aが金属板などからなり、鈑金加工などにより製造される場合には、第一の下側保持具11aの下側には、上側に形成される第一の加圧部111aに対応する凸部が形成されるとともに、この凸部の両外側には、この凸部に沿って、第二の加圧部112aに対応する略平面状の部分が形成される。
第一の上側保持具12aは、第一の加圧部121aと、第二の加圧部122aとを有する。
第一の上側保持具12aの第一の加圧部121aは、被覆部材92aの本体部921aを成形するための部分である。第一の上側保持具12aの第一の加圧部121aは、第一の上側保持具12aの下側の面に形成される溝状の凹部(換言すると、下側に向かって開放する溝状の凹部、上側に向かって窪む溝状の凹部)である。第一の上側保持具12aの第一の加圧部121aの寸法および形状は、電線91の所定の箇所を収容可能であり、成形される被覆部材92aの本体部921aの形状および寸法に応じて設定される。すなわち、第一の上側保持具12aの第一の加圧部121aの軸線の形状は、成形される被覆部材92aの本体部921aの軸線の形状に略等しく、第一の上側保持具12aの第一の加圧部121aの断面形状および寸法(電線91の所定の箇所の軸線に略直角な方向で切断した場合の断面形状および寸法)は、被覆部材92aの本体部921aの断面形状を二分割して得られる形状の他の一方と略同じである(第一の下側保持具11aの第一の加圧部111aの寸法および形状が、被覆部材92aの本体部921aの断面形状を二分割して得られる形状の一方と略同じである)。
たとえば、図1(a)に示すように、被覆部材92aの本体部921aが、円弧状に湾曲した軸線形状を有し、略六角形の断面形状を有する場合には、第一の上側保持具12aの第一の加圧部121aは、略円弧状に湾曲した軸線形状を有し、六角形を二分割して得られる略台形の断面形状を有する。すなわち、略平面状の底面と、底面の両側から略上側に向かって底面に所定の角度をもって立ち上がる傾斜面とを有する。また、図1(b)に示すように、被覆部材92aの本体部921aが断面略円形に形成される場合には、第一の上側保持具12aの第一の加圧部121aは、断面略半円形の溝が延伸する構成となる。
第一の上側保持具12aの第二の加圧部122aは、第一の下側保持具11aとともに、第一の素材801と第二の素材802と加圧して被覆部材92aの延出部922aを成形する(=第一の素材801と第二の素材802とを接合する)ための部分である。第一の上側保持具12aの第二の加圧部122aは、下側を向く略平面状の部分である。第二の加圧部122aは、第一の加圧部121aの両外側に、第一の加圧部121aの軸線方向に沿って形成される。
第一の上側保持具12aの上側の形状は、特に限定されるものではない。第一の上側保持具12aが金属板などからなり、鈑金加工などにより製造される場合には、第一の上側保持具12aの上側には、下側に形成される第一の加圧部121aに対応する凸部が形成されるとともに、この凸部の両外側には、第二の加圧部122aに対応する略平面の部分が形成される。
第一の上側保持具12aは、第一の下側保持具11aの両側壁部113aの間の領域に容易に出し入れ可能な寸法を有する。
第一の上側保持具12aが第一の下側保持具11aの側壁部113aどうしの間に入れられると、第一の上側保持具12aの第一の加圧部121aと第一の下側保持具11aの第一の加圧部111aとが対向し、第一の上側保持具12aの第二の加圧部122aと第一の下側保持具11aの第二の加圧部112aとが対向する。すなわち、第一の下側保持具11aの第一の加圧部111aと第一の上側保持具12aの第一の加圧部121aとは、それらの軸線が略同じ形状であり、幅寸法も略同じである。同様に、第一の下側保持具11aの第二の加圧部112aと第一の上側保持具12aの第二の加圧部122aとの幅寸法は、略同じである。そして、第一の上側保持具11aの幅寸法は、第一の下側保持具11aの両側壁部113aどうしの間隔の寸法と略同じ寸法か、またはそれより少し小さい。
第一の下側保持具11aおよび第一の上側保持具12aは、熱伝導率の高い材料により形成され、蓄熱量が小さい(すなわち、周りの温度変化に追従しやすい)構成を有する。特に、上下方向に熱を伝えやすい構成を有する。具体的にはたとえば、薄い金属板などからなり、鈑金加工などにより製造される。第一の下側保持具11aおよび第一の上側保持具12aが、それぞれ薄い金属板などからなれば、上下方向(金属板の厚さ方向)に熱を伝えやすい。さらに、第一の下側保持具11aおよび第一の上側保持具12aの質量を小さくできるから、蓄熱量を小さくすることができる。
第一の下側保持具11aの第一の加圧部111aと第二の加圧部112aと両側壁部113aとは、一枚の金属板から鈑金加工などによって一体に製造される構成であることが好ましい。同様に、第一の上側保持具12aの第一の加圧部121aと第二の加圧部122aとは、一枚の金属板から鈑金加工などによって一体に製造される構成であることが好ましい。第一の下側保持具11aおよび第一の上側保持具12aが、それぞれ一枚の金属板などから一体に製造される構成であれば、別体からなる部品を組み付ける必要がない。このため、別体からなる部品を組み付ける構成に比較すると、第一の下側保持具11aと第一の上側保持具12aの部品コストや製造コストの上昇を防止することができる。さらに製造の手間の増加の防止または削減することができる。
第一の下型13aは、第一の下側保持具11aを介して、第一の上側保持具12aおよび第一の上型14aとともに、第一の素材801および第二の素材802を加熱しながら加圧して、被覆部材92aを成形する工具である。すなわち、第一の素材801および第二の素材802を熱可塑性を利用して塑性変形させることにより所定の形状および寸法(=被覆部材92aの寸法および形状)となるように加圧するとともに、第一の素材801と第二の素材802とを加熱して溶着することができる。
第一の下型13aの上側には、第一の下側保持具11aの全部または下側の一部を嵌め込むことができる溝状の凹部が形成される。この溝状の凹部は、第一の加圧部131aと、第二の加圧部132aと、支持部133aとからなる。
第一の下型13aの第一の加圧部131aは、第一の下型13aの上側に第一の下側保持具11aが載置された状態において、第一の下側保持具11aの第一の加圧部111aの下側を収容する部分であり、第一の下側保持具11aの第一の加圧部111aの下側の面(=第一の加圧部111aに対応する凸部の表面)に接触する部分である。このため、第一の下型13aの第一の加圧部131aは、第一の下側保持具11aの第一の加圧部111aの下側の形状および寸法に略等しい寸法および形状を有する。たとえば、図2に示すように、第一の下側保持具11aの第一の加圧部111aの下側が略台形の突起であれば、第一の下型13aの第一の加圧部131aは、断面略台形の溝状の構造を有する。また、第一の下側保持具11aの第一の加圧部111aの下側が断面略半円形の突起であれば、第一の下型13aの第一の加圧部131aは、断面略半円形状の溝状の構造を有する。
第一の下型13aの第二の加圧部132aは、第一の下型13aの上側に第一の下側保持具11aが載置された状態において、第一の下側保持具11aの第二の加圧部132aの下側の面に接触する部分である。第一の下型13aの第二の加圧部132aは、第一の加圧部131aの両外側に、第一の加圧部131aに沿うように形成される。そして、第一の下型13aの第二の加圧部132aは、第一の下側保持具11aの第二の加圧部112aの下側の面の形状に倣った形状を有する。たとえば、図2に示すように、第一の下側保持具11aの第二の加圧部112aの下側が略平面であれば、第一の下型13aの第二の加圧部112aも、それに倣った略平面に形成される。
第一の下型13aの支持部133aは、第一の下型13aの上側に載置された第一の下側保持具11aが、移動したり、容易に倒れたり、第一の下型13aの上側から容易に外れないように、第一の下側保持具11aを支持する機能を有する部分である。具体的には、支持部133aは、図2に示すように、第二の加圧部132aの両外側に形成され、互いに対向する面状の部分である。
支持部133aどうしの間隔は、第一の下側保持具11aの全部または下側の一部を着脱可能に嵌め込むことができる寸法に設定される。たとえば、第一の下側保持具11aの側壁部113aの外側の面どうしの間隔と略同じか、それよりも少し大きい寸法に設定される。
支持部133aの高さ寸法(=上下方向寸法)は特に限定されるものではない。前記のとおり、第一の下型13aの上側に載置された第一の下側保持具11aが、移動したり、容易に倒れたり、第一の下型13aの上側から容易に外れないように支持できる寸法であればよい。図2に示す第一の下型13aの支持部133aは、第一の下側保持具11aの側壁部113aの高さ寸法よりも小さい寸法を有する。このような寸法であると、第一の下側保持具11aの下側の一部を支持できる。なお、支持部133aの高さ寸法は、第一の下側保持具11aの側壁部113aの高さ寸法と略同じかまたはそれより大きい寸法であってもよい。このような寸法であれば、第一の下側保持具11aの全部が、第一の下型13aに嵌り込むことができる。
このように、第一の下型13aの上側は、第一の下側保持具11aの下側の寸法および形状に倣った寸法および形状の部分を有し、この部分に、第一の下側保持具11aを載置すること(=嵌め込むこと)ができる。そして、第一の下側保持具11aが載置されると、第一の下側保持具11aの下側の面(=第一の加圧部111aおよび第二の加圧部112aのそれぞれの下側の面)が、ほぼ全体にわたって第一の下型13aに接触する。
すなわち、第一の下型13aの上側には、所定の軸線形状と断面形状および寸法を有する「溝」が形成される。支持部133aが「溝」の側面に相当し、第一の加圧部131aおよび第二の加圧部132aが「溝」の底面に相当する。そして、第一の下側保持具11aの全部または下側の一部を、この「溝」に着脱可能に嵌め込むことができる。第一の下側保持具11aがこの「溝」に嵌め込まれると、第一の下側保持具11aの下側の面が「溝」の底面(=第一の下型13aの第一の加圧部131aおよび第二の加圧部132a)に接触し、第一の下側保持具11aの側壁部113aの外側の面の一部(=下側の一部)または全部が「溝」の側面(=第一の下型13aの支持部133a)に近接または接触する。
第一の上型14aは、第一の上側保持具12aを介して、第一の下型13aおよび第一の下側保持具11aとともに、第一の素材801および第二の素材802を加熱しながら加圧する工具である。すなわち、第一の上側保持具12aを介して、第一の素材801および第二の素材802を所定の寸法および形状(=被覆部材92aの寸法および形状)となるように加熱しながら加圧して成形するとともに、第一の素材801と第二の素材802とを溶着する。
第一の上型14aの全部または下側の一部は、第一の下側保持具11aの両側壁部113aの間に出し入れできる構成を有する。すなわち、第一の上型14aの全部または下側の一部が、所定の軸線形状(=成形後の被覆部材92aの軸線の形状)を有し、その幅方向寸法(=軸線に直角な方向の寸法)が第一の下側保持具11aの両側壁部113aの間に出し入れ可能な寸法を有する。たとえば、第一の上型14aの全部または下側の一部は、第一の下側保持具11aの両側壁部113aの間隔の寸法と略同じ寸法、またはそれより少し小さい寸法を有する。図3に示す第一の上型14aは、下側の一部が、前記寸法および形状を有し、第一の下側保持具11aの両側壁部113aの間に出し入れできる構成を有する。
第一の上型14aの下側の面は、第一の上側保持具12aの上側を嵌め込むことができる寸法および形状を有する。具体的には、第一の上型14aの下側の面には、第一の加圧部141aと第二の加圧部142aとが形成される。
第一の上型14aの第一の加圧部141aは、第一の上型141aの下側の面に第一の上側保持具12aが嵌め込まれた状態において、第一の上側保持具12aの第一の加圧部121aの上側を収容する部分である。換言すると、第一の上型14aの第一の加圧部141aは、第一の上側保持具12aの第一の加圧部121aの上側の面(=第一の上側保持具12aの第一の加圧部121aに対応する凸部の表面)に接触する部分である。
このように、第一の上型14aの第一の加圧部141aの寸法および形状は、第一の上側保持具12aの第一の加圧部121aの上側の形状および寸法に略等しい。たとえば、図3に示すように、第一の上側保持具12aの第一の加圧部121aの上側が略台形の突起であれば、第一の加圧部141aは、断面略台形の溝状の構造を有する。また、第一の上側保持具12aの第一の加圧部121aの上側が断面略半円形の突起であれば、第一の上型14aの第一の加圧部141aは、断面略半円形状の溝状の構造を有する。
第一の上型14aの第二の加圧部142aは、第一の上型14aの下側の面に第一の上側保持具12aが嵌り込んだ状態において、第一の上側保持具12aの第二の加圧部122aの上側の面に接触する部分である。第一の上型14aの第二の加圧部142aは、第一の上側保持具12aの第二の加圧部122aの上側に倣った形状に形成される。そして、第一の上型14aの第二の加圧部142aは、第一の上型14aの第一の加圧部141aの両外側に、第一の加圧部141aに沿うように形成される。たとえば、図3に示すように、第一の上側保持具12aの第二の加圧部122aの上側が略平面である場合には、第一の上型14aの第二の加圧部142aは、略平面に形成される。
このように、第一の上型14aの下側の面は、第一の上側保持具12aの上側の寸法および形状に倣った寸法および形状を有する。このため、第一の上側保持具12aの上側は、第一の上型14aの下側の面に着脱可能に嵌り込むことができる。そして、第一の上側保持具12aが第一の上型14aの下側の面に嵌り込むと、第一の上側保持具12aの上側の面(=第一の加圧部121aおよび第二の加圧部122aのそれぞれの上側の面)が、ほぼ全体にわたって第一の上型14aの下側の面に接触する。
第一の下型13aおよび第一の上型14aは、それぞれ図略の温度調節手段を備える。そして、この温度調節手段により、第一の下型13aおよび第一の上型14aのそれぞれの第一の加圧部131a,141aおよび第二の加圧部132a,142aを、「所定の温度」に維持する(正確には、第一の素材801および第二の素材802を「所定の温度」に加熱する)ことができる。なお、「所定の温度」については後述する。
温度調節手段には公知の各種加熱手段が適用できる。たとえば、加熱手段として電熱線が適用され、この電熱線が第一の下型13aや第一の上型14aの内部に埋め込まれる構成や、第一の下型13aや第一の上型14aの外周に電熱線が装着される構成が適用できる。また、第一の下型13aや第一の上型14aの内部に流体が通過することができる経路(たとえば孔)が形成され、この経路に温度調整された流体(温度調整された空気、液体(油など)、蒸気(過熱蒸気など))を通過させる構成が適用できる。このように、温度調節手段(=加熱手段)は、第一の下型13aおよび第一の上型14aのそれぞれの第一の加圧部131a,141aおよび第二の加圧部132a,142aを「所定の温度」に維持できる構成を有していればよく、その種類や構成は限定されるものではない。
そして、第一の下側保持具11aが第一の下型13aの上側に載置され、第一の上側保持具12aが第一の上型14aの下側に嵌め込まれ、その状態で第一の下型13aと第一の上型14aとが接近すると、第一の上型14aの全部または下側の一部と第一の上側保持具12aが、第一の下型13aに載置された第一の下側保持具11aの両側壁部113aの間に嵌り込むことができる(なお、実際には、第一の上側保持具12aは、その自重によって第一の上型14aの下側から離れて落下するが、ここでは、第一の上側保持具12aが第一の上型14aの下側に嵌め込まれた状態を維持しているものとする)。そして、第一の下側保持具11aの第一の加圧部111aと、第一の上側保持具12aの第一の加圧部121aとが、所定の間隔をおいて対向する。同様に、第一の下側保持具11aの第二の加圧部112aと、第一の上側保持具12aの第二の加圧部122aとが、所定の間隔をおいて対向する。
第一の下型13aと第一の上型14aとが接近すると、第一の下側保持具11aの第一の加圧部111a、第二の加圧部112aおよび両側壁部113aと、第一の上側保持具12aの第一の加圧部121aおよび第二の加圧部122aとにより囲まれる空間の形状および寸法が、本発明の第一実施形態にかかるワイヤーハーネス9aの所定の箇所に設けられる被覆部材92aの形状および寸法となる。
第一の下側保持具11aの第一の加圧部111aは、第二の加圧部112aよりも下側に窪んだ凹部である。一方、第一の上側保持具12aの第一の加圧部121aは、第二の加圧部122aよりも上側に窪んだ凹部である。このため、第一の下側保持具11aの第二の加圧部112aと第一の上側保持具12aの第二の加圧部122aとの間の距離は、第一の下側保持具11aの第一の加圧部111aと第一の上側保持具11aの第一の加圧部111aとの間の距離よりも小さくなる。
なお、第一の下側保持具11aが第一の下型13aの上側に嵌め込まれると、第一の下型13aの熱が第一の下側保持具11aに伝達する。第一の下側保持具11aの下側の面は、ほぼ全体にわたって第一の下型13aの上側の面に接触するから、第一の下側保持具11aは、全体にわたって速やかにかつ均一に加熱される。そして、第一の下側保持具11aは上下方向に熱を伝達しやすい構成を有するから、第一の下側保持具11aの第一の加圧部111aおよび第二の加圧部112aは、それぞれ全体にわたって速やかに均一な温度(=「所定の温度」)になる。同様に、第一の上側保持具12aが第一の上型14aに嵌め込まれると、第一の上側保持具12aの第一の加圧部121aおよび第二の加圧部122aは、それぞれ全体にわたって速やかに均一な温度(=「所定の温度」)になる。
次に、本発明の第一実施形態にかかるワイヤーハーネス9aの製造方法について説明する。
図4〜図8は、それぞれ、本発明の第一実施形態にかかるワイヤーハーネス9aの製造方法の所定の工程を、模式的に示した断面図である。具体的には、図4は、第一の下側保持具に、電線91の所定の箇所と第一の素材801(この第一の素材801には、保護層の素材803があらかじめ設けられている)と第二の素材802が収容され、それらに第一の上側保持具が載置された状態を示した図である。図5は、電線91の所定の箇所と第一の素材801と第二の素材802と保護層の素材803とが収容され、それらに第一の上側保持具が載置された状態を示した図である。図6は、第一の素材801と電線91の所定の箇所と第二の素材802と保護層の素材803とが収容された第一の下側保持具11aが、第一の下型13aに載置された状態を示した図である。図7は、第一の素材801および第二の素材802が、第一の下型13aと第一の上型14aとにより加熱および加圧されている状態を示した図である。図8は、製造された本発明の第一実施形態にかかるワイヤーハーネス9aの所定の箇所(=成形された被覆部材92a)が、第一の下側保持具11aに載置された状態で、第一の上型11aおよび第一の下型12aから取り外された状態を示した図である。
第一の素材801および第二の素材802は、第一の不織布、第二の不織布、熱可塑性の材料からなる発泡体により成形される部材であって、たとえば、所定の幅と厚さと長さを有する板状または棒状の部材が適用される。第一の素材801および第二の素材802の寸法は、成形される被覆部材の寸法および形状に応じて適宜設定される。
保護層の素材803には、前記のとおり、所定の材料により成形されるシート状の部材が適用される。保護層の素材803の寸法および形状は、被覆部材92a,92bに設ける保護層923a,923bの寸法および形状に応じて適宜設定される。
第一の素材801および第二の素材802には、それらの一面にあらかじめ保護層の素材803(保護層923a)が設けられている構成のものが適用される構成と、第一の素材801および第二の素材802と保護層の素材803とが別部材であるものとが適用できる。たとえば、第一の素材801および第二の素材802には、保護層の素材803としてポリエステル樹脂などからなる不織布やシートが第一の不織布に貼り合わせられた構成のものが適用できる。
保護層の素材803が設けられる第一の素材801および第二の素材802が適用される場合には、図4に示すように、まず、第一の素材801が電線91の所定の箇所を包んだ(または挟んだ)状態で、第一の下側保持具11aの両側壁部113aに挟まれる領域に収容される。第一の素材801が、電線91の所定の箇所を挟むように(または包むように)曲げられ(たとえば、略「U」字形状または略「C」字形状に曲げられ)、その状態で、第一の下側保持具11aの両側壁部113aの間に収容される。この際、図5に示すように、第一の素材801の曲げられた側(=「U」字の底に相当する側)が、第一の下側保持具11aの下側(=第一の加圧部111aおよび第二の加圧部112aが形成される側)に向けられる。
そして、それらの上側に、第二の素材802が載置され、さらに、第一の上側保持具12aが載置される。この際、第一の素材801および第二の素材802の表面のうち、保護層の素材803が設けられない側の面が内側となり(=電線91の所定の箇所を向き)、保護層の素材803が設けられる側の面が外側となる(=第一下側保持具11aや第一の上側保持具12aに接触する)ようにする。
第一の素材801および第二の素材802と保護層の素材803とが別部材である場合には、図5に示すように、まず、第一の下側保持具11aに保護層の素材803が配設される。そして、第一の素材801が電線91の所定の箇所を包んだ(または挟んだ)状態で、第一の下側保持具11aの両側壁部113aに挟まれる領域(すなわち、配設された保護層の素材803の上側)に収容され、さらにそれらの上側に、第二の素材802が載置される。そして、第一の素材801および第二の素材802が保護層の素材803により包まれる。さらにそれらの上側に第一の上側保持具12aが載置される。
なお、一つの保護層の素材803を用いる構成のほか、複数の保護層の素材803を用いる構成であってもよい。この場合には、第一の素材801および第二の素材802が第一の下側保持具11aに収容された状態で、複数の保護層の素材803により、第一の素材801および第二の素材802が包まれる(または挟まれる)ようにする。
被覆部材92aに成形される前の第一の素材801および第二の素材802の厚さ寸法(=上下方向寸法)は、成形された後における被覆部材92aの本体部921aの厚さ寸法の半分以上の寸法であり、かつ、延出部922aの厚さ寸法より大きい寸法が適用される。また、被覆部材92aに成形される前の第一の素材801の幅寸法は、少なくとも第一の下側保持具11aの両側壁部113aの間の距離以上の寸法が適用される。そして、第一の素材801が折り曲げられて電線91の所定の箇所を挟んだ状態において、電線91の所定の箇所が第一の素材801からはみ出さない寸法に設定されることが好ましい。一方、被覆部材92aに成形される前の第二の素材802の幅方向寸法は、第一の下側保持具11aの両側壁部113aの間の距離以上の寸法が適用される。
このため、第一の素材801および第二の素材802は、第一の下側保持具の両側壁部の内側に配設されると、第一の下側保持具11aの第一の加圧部111a、第二の加圧部112a、側壁部113aとにより、弾性変形した状態に維持される。特に、第一の素材801は、第一の下側保持具11aの側壁部113aにより、略「U」字形状または略「C」字形状で電線91の所定の箇所を挟み込んだ状態または包み込んだ状態に維持される。このような構成によれば、成形された被覆部材92aから、電線91の所定の箇所がはみ出したり露出したりすることがない。すなわち、成形された被覆部材92aは、電線91の所定の箇所の周囲を隙間なく覆う。
次いで、図6に示すように、第一の下側保持具11aが、保護層の素材803と、第一の素材801と、電線91の所定の箇所と、第二の素材802とを収容し、第一の上側保持具12aが載置された状態で、第一の下型13aの上側に載置される。すなわち、第一の下側保持具11aの下側の一部が、第一の下型13aの上側に形成される「溝」(=支持部133aが溝の側面に相当し、第一の加圧部131aおよび第二の加圧部132aが溝の底面に相当する)に嵌め込まれる。このため、第一の下型13aの上側に載置された第一の下側保持具11aは、容易に位置ずれしたり、容易に倒れたり、容易に第一の下型13aから外れたりすることがない。
第一の下側保持具11aが第一の下型13aに載置されると、第一の下側保持具11aの第一の加圧部111aの下側の面と第二の加圧部112aの下側の面とが、それぞれ、第一の下型13aの第一の加圧部131aと第二の加圧部132aに接触する。第一の下側保持具11aの側壁部113aの外側の面の全部または下側の一部が、第一の下型13aの支持部133aに近接または接触する。
なお、第一の下型13aの第一の加圧部131aおよび第二の加圧部132aと、第一の上型14aの第一の加圧部141aおよび第二の加圧部142aとは、温度調節手段により「所定の温度」に維持されている。
「所定の温度」は、第一の素材801および第二の素材802に第一の不織布が適用される場合には、バインダ繊維のバインダ材の融点以上の温度であって、第一の素材801および第二の素材802の融点と保護層の素材803の融点のいずれか低い方の温度以下の温度が適用される。一方、第一の素材801および第二の素材802に熱可塑性材料からなる第二の不織布または発泡体が適用される場合には、第二の不織布または発泡体の材料である熱可塑性材料の融点近傍の温度(ただし、融点以上の温度)が適用される。たとえば、第一の不織布のバインダ繊維のバインダ材の融点が約110℃であり、保護層の素材803がPET(ポリエチレンテレフタレート)(融点は約250℃)からなる場合には、「所定の温度」は110〜250℃が適用できる。
次いで、図7に示すように、第一の下型13aと第一の上型14aとを接近させる。第一の下型13aと第一の上型14aは、図略のプレス機に組み付けられており、プレス機の動作によって、第一の下型13aと第二の下型14aとが接近する。具体的には、第一の下側保持具11aの第一の加圧部111aおよび第二の加圧部112aと、第一の上側保持具12aの第一の加圧部121aおよび第二の加圧部122aとに囲繞される空間の形状および寸法が、成形された被覆部材92aの形状および寸法となるように、第一の下型13aと第一の上型14aとを接近させる。そして、第一の下型13aと第二の上型14aとを接近させることにより、第一の素材801および第二の素材802の加熱および加圧を行う。そして、所定の時間にわたり、この状態を維持する(すなわち、加熱および加圧を継続する)。
このような構成によれば、第一の素材801および第二の素材802のうち、第一の下側保持具11aの第一の加圧部111aと、第一の上側保持具12aの第一の加圧部121aに挟まれて加圧される部分が、被覆部材92aの本体部921aになる。また、第一の下側保持具11aの第二の加圧部112aと第一の上側保持具12aの第二の加圧部122aとに挟まれて加圧される部分が、被覆部材92aの延出部922aとなる。
「所定の時間」、すなわち第一の素材801および第二の素材802の加熱および加圧を継続する時間は、次のとおりである。
第一の素材801および第二の素材802に第一の不織布が適用される場合には、第一の素材801および第二の素材802のうち、被覆部材92aに成形された後に延出部922aとなる部分(=第一の下側保持具11aの第二の加圧部112aと第一の上側保持具12aの第二の加圧部122aとに挟まれる部分)が、厚さ方向の全体にわたって第一の温度帯域に達するのに必要な時間よりも長い時間であるが、被覆部材92aの本体部921aとなる部分(=第一の下側保持具11aの第一の加圧部111aと第一の上側保持具12aの第一の加圧部121aとに挟まれる部分)の中心部(=電線91の所定の箇所およびその近傍)は、第一の温度帯域に達しない時間である。
第一の素材801および第二の素材802に第二の不織布または発泡体(=熱可塑性材料からなりバインダ材を有さない不織布または発泡体)が適用される場合には、第一の素材801および第二の素材802のうち、被覆部材92a延出部922aとなる部分が、熱可塑性材料の融点の温度に達するのに必要な時間よりも長い時間であるが、被覆部材92aの本体部921aとなる部分の中心部は、熱可塑性材料の融点近傍の温度に達しない時間である。
被覆部材92aの延出部922aは、本体部921aよりも厚さ寸法が小さいから、被覆部材92aの本体部921aになる部分の中心部が「所定の温度」に達するよりも前に、延出部922aになる部分の全体を前記所定の温度に加熱することができる。
第一の素材801および第二の素材802が、「所定の温度」で「所定の時間」にわたって加熱されながら加圧されると、次のようなプロセスにより、被覆部材92aの延出部922aが成形される。
第一の素材801および第二の素材802が加圧されている間は、第一の下側保持具11aの第二の加圧部112aと第一の上側保持具12aの第二の加圧部122aとの間の距離が、被覆部材92aの延出部922aの厚さ寸法と略同じに維持される。加圧前における第一の素材801および第二の素材802の厚さ寸法は、成形された被覆部材92aの延出部922aの厚さ寸法よりも大きい寸法を有する。このため、第一の素材801および第二の素材802のうち、第一の下側保持具11aの第二の加圧部112aと第一の上側保持具12aの第二の加圧部122aとに挟まれた部分は、加圧されて圧縮変形する。そしてこの部分は、第一の下型13aおよび第一の上型14aの温度調節手段が発する熱により加熱され、所定の温度に達する。このため、この圧縮変形は、熱可塑性による塑性変形となる。
第一の素材801および第二の素材802に、第一の不織布が適用される場合には、第一の不織布の基本繊維およびバインダ繊維の芯繊維は、熱可塑性によって塑性変形する。ただし、「所定の温度」は、第一の不織布の基本繊維およびバインダ繊維の芯繊維の融点よりも低い温度であるから、溶融はせず、固体の状態(=繊維の状態)に維持される。一方、「所定の温度」は、バインダ繊維のバインダ材の融点より高い温度であるから、バインダ繊維のバインダ材が溶融し、基本繊維やバインダ繊維の芯繊維の間に染み渡るとともに、第一の素材801と第二の素材802との接触面にも広がる。このため、第一の素材801および第二の素材802のそれぞれの基本繊維およびバインダ繊維の芯繊維どうしが、バインダ材により結合する。さらに、第一の素材801と第二の素材802との接触面に広がった溶融したバインダ材により、第一の素材801と第二の素材802とが接合する。
第一の素材801および第二の素材802に、バインダ材を有しない熱可塑性材料からなる第二の不織布または発泡体が適用される場合には、「所定の温度」は、熱可塑性材料の融点近傍の温度(ただし、融点以上の温度)であるから、第一の素材801および第二の素材802は、熱可塑性により塑性変形する。そして、第一の素材801および第二の素材802のそれぞれの一部が溶融するため、第一の素材801と第二の素材802とが溶着する。
このように、第一の素材801および第二の素材802が、第一の不織布、第二の不織布、発泡体のいずれからなる場合であっても、第一の素材801および第二の素材802のうち、被覆部材92aの延出部となる部分(=第一の下側保持具11aの第二の加圧部112aと第一の上側保持具12aの第二の加圧部122aとに挟まれる部分)は、塑性変形(=圧縮変形)して上下方向寸法が縮まるとともに接合する。
一方、次のようなプロセスにより、被覆部材92aの本体部921aが成形される。
第一の素材801および第二の素材802のうち、第一の下側保持具11aの第一の加圧部111aと第一の上側保持具12aの第一の加圧部121aとに挟まれる部分が、被覆部材92aの本体部921aとなる。第一の素材801および第二の素材802のうち、第一の下側保持具11aの第一の加圧部111aと第一の上側保持具12aの第一の加圧部121aとに挟まれる部分は、これらにより加圧される。そして、第一の素材801および第二の素材802は、第一の下側保持具11aの第一の加圧部111aと第一の上側保持具12aの第一の加圧部121aとの間に形成される空隙の形状に略等しい形状に塑性変形し、被覆部材92a本体部921aになる。
第一の素材801および第二の素材802に第一の不織布が適用される場合には、第一の素材801および第二の素材802のうち、第一の下側保持具11aの第一の加圧部111aに接触している部分とその近傍、および第一の上側保持具12aの第一の加圧部121aに接触している部分とその近傍は、「所定の温度」に達する。このため、バインダ繊維のバインダ材が熱により溶融し、基本繊維やバインダ繊維の芯繊維どうしの間に染み渡るように広がる。そして、第一の下側保持具11aの第一の加圧部111aに接触している部分とその近傍、および第一の上側保持具12aの第一の加圧部121aに接触している部分とその近傍は、中心部(=電線91の所定の箇所に接触している部分およびその近傍)に比較して温度が高い。このため、これらの部分は、中心部に比較して塑性変形の度合が大きくなり、中心部に比較して基本繊維およびバインダ繊維の芯繊維の密度が高くなる。
第一の素材801および第二の素材802に第二の不織布または発泡体が適用される場合には、第一の素材801および第二の素材802のうち、第一の下側保持具11aの第一の加圧部111aに接触している部分とその近傍と、第一の上側保持具12aの第一の加圧部121aに接触している部分とその近傍とは、それらの中心部(=電線に接触している部分およびその近傍)に比較して温度が高いため、中心部に比較して塑性変形の度合が大きくなる。この結果、繊維または発泡体の密度が中心部に比較して高くなる。また、第一の下側保持具11aの第一の加圧部111aに接触している部分とその近傍の一部、および第一の上側保持具12aの第一の加圧部121aに接触している部分とその近傍の一部は、「所定の温度」に達するから、第二の不織布または発泡体の一部が溶融する。第二の不織布または発泡体が溶融すると、気泡が抜けるなどして密度が高くなる。
このように、第一の下側保持具11aと、第一の上側保持具12aと、第一の下型13aと、第一の上型14aとにより、第一の素材801および第二の素材802が加熱されながら加圧されると、被覆部材92aの延出部922aとなる部分において、第一の素材801と第二の素材801とが接合して一体化する。さらに、被覆部材92aの本体部921aとなる部分の表層部の密度が、中心部に比較して高くなる。
なお、第一の下型13aが発する熱は、第一の下側保持具11aを通じて第一の素材801や第二の素材802に伝わる。同様に、第一の上型14aが発する熱は、第一の上側保持具12aを通じて第一の素材801や第二の素材802に伝わる。第一の下側保持具11aおよび第一の上側保持具12aは熱伝導率の高い材料から形成され、かつ上下方向に熱を伝えやすい構成であるから、第一の下型13aおよび第一の上型14aが発する熱は、第一の素材801や第二の素材802に伝わりやすい。このため、前記「所定の時間」を長くする必要がない。
さらに、第一の素材801および第二の素材802に保護層の素材803が設けられる構成の場合には、保護層の素材803が、所定の形状に成形されて保護層923aとなる。第一の素材および第二の素材と保護層の素材803とが別部材である場合には、この過程において、保護層の素材803が、第一の素材801と第二の素材802のそれぞれの表面に貼り付くとともに所定の形状に成形され、保護層923aとなる。具体的なプロセスは次のとおりである。
第一の素材801および第二の素材802が第一の下側保持具11aおよび第一の上側保持具12aにより加圧される間に、それらの表面が「所定の温度」に達する。このため、第一の素材801および第二の素材802に第一の不織布が適用される場合には、第一の素材801および第二の素材802の表層部のバインダ材が溶融する。そして、溶融したバインダ材が接着剤となって、保護層の素材803が、第一の素材801と第二の素材802のそれぞれの表面に貼り付く。一方、第一の素材801および第二の素材802に第二の不織布または発泡体が適用される場合には、第一の素材801および第二の素材802の表層部の少なくとも一部が溶融する。そして、溶融した第一の素材801および第二の素材802が接着剤となって、保護層の素材803が、第一の素材801と第二の素材802のそれぞれの表面に貼り付く(=溶着する)。この結果、被覆部材92aの表面に、保護層923aが成形される。
保護層の素材803が熱可塑性の材料からなれば、この過程において、保護層の素材803が熱可塑性により塑性変形して、第一の下側保持具11aの第一の加圧部111aや第一の上側保持具12aの第一の加圧部112aの形状および寸法に倣った形状および寸法となる。すなわち、この過程においては、第一の素材801および第二の素材802は、第一の下型13aおよび第一の上型14aの温度調節手段の熱により加熱され、熱可塑性による塑性変形ができる状態にある。そして第一の素材801および第二の素材802が弾性圧縮変形しているから、第一の素材801および第二の素材802が元の形状および寸法に戻ろうとする力により、保護層の素材803には、第一の下側保持具11aの上側の面や第一の上側保持具12aの下側の面に押し付けられるような力が加わる。このため、保護層の素材803は、第一の下側保持具11aの上側の面や第一の上側保持具12aの下側の面の寸法および形状と略同じ寸法および形状に塑性変形する。
次いで、図8に示すように、「所定の時間」が経過した後、第一の下型13aと第一の上型14aとが分離される。そして、本発明の第一実施形態にかかるワイヤーハーネス9aの所定の箇所(すなわち、成形された被覆部材92aおよび電線91の所定の箇所)が、第一の下側保持具11aと第一の上側保持具12aとに挟まれた状態で、第一の下型13aから取り外される。そして、本発明の第一実施形態にかかるワイヤーハーネス9aの所定の箇所が、第一の下側保持具11aに載置された状態で冷却される。
第一の素材801および第二の素材802に第一の不織布が適用される場合には、成形された被覆部材92aが、第一の不織布の基本繊維およびバインダ繊維の芯繊維が熱可塑性による塑性変形を生じない温度(少なくとも、第一の温度帯域よりも低い温度)になった後、第一の下側保持具11aおよび第一の上側保持具12aから取り外される。また、第一の素材801および第二の素材802に第二の不織布または発泡体が適用される場合には、熱可塑性の材料が熱可塑性による塑性変形を生じない温度になった後、第一の下側保持具11aおよび第一の上側保持具12aから取り外される。なお、冷却方法は特に限定されるものではない。たとえば、冷蔵庫内に収納する方法や、常温または低温の気体を吹き付ける方法のほか、常温中に放置する方法であってもよい。
以上の工程により、本発明の第一実施形態にかかるワイヤーハーネス9aの所定の箇所(=電線91の所定の箇所)に、被覆部材92aが設けられる。なお、本発明の第一実施形態にかかるワイヤーハーネス9aの製造には、前記工程のほかに、電線91を所定の長さに切り出す工程、電線91を所定の態様で纏める工程(=幹線や枝線を形成する工程)、電線91の端部にコネクタ類を装着する工程などが必要となる。これらの工程には、従来公知の各種方法が適用できる。したがって、これらの工程の説明は省略する。
第一の下側保持具11aおよび第一の上側保持具12aは、熱伝導率の高い材料から形成され、かつ上下方向に熱を伝えやすい構成を有する。このため、成形された被覆部材92a(=第一の素材801および第二の素材802)が有する熱は、第一の下側保持具11aおよび第一の上側保持具12aを通じて迅速に外部に放散される。また、第一の下側保持具11aおよび第一の上側保持具12aは蓄熱量が小さいから、第一の下型13aから取り外されると、ただちに温度降下が開始する。このため、第一の下型13aから取り外された後においては、第一の下側保持具11aおよび第一の上側保持具12aが、本発明の第一実施形態にかかるワイヤーハーネス9aの所定の箇所を加熱することがない。このように、本発明の第一実施形態にかかるワイヤーハーネス9aの所定の箇所が、必要以上に加熱されることを防止できる。したがって、被覆部材92aの性質の制御が容易となる。
第一の素材801および第二の素材802に第一の不織布が適用される場合には、成形された被覆部材92aが、熱可塑性による塑性変形を生じない温度(少なくとも、第一の温度帯域よりも低い温度)になると、成形された被覆部材92aの形状および寸法が確定する。さらに、溶融して基本繊維やバインダ繊維の芯繊維の間に染み渡ったバインダ材が固化し、バインダ材が基本繊維やバインダ繊維の芯繊維どうしを接着する。このため、バインダ材が溶融して染み渡った部分は、その他の部分に比較して硬くなる。
成形された被覆部材92aの延出部922a(=第一の素材801および第二の素材802のうち、第一の下側保持具11aの第二の加圧部112aと第一の上側保持具12aの第二の加圧部122aとに挟まれて加圧された部分)には、バインダ材が当該部分のほぼ全体にわたって溶融して染み渡り、その後固化している。さらに、延出部922aは、圧縮変形しており、基本繊維やバインダ繊維の芯繊維の密度が高くなっている。このように、被覆部材92aの延出部922aは、基本繊維およびバインダ繊維の芯繊維の密度が高くなった状態で、バインダ材により互いに接着されるから、他の部分に比較して硬度が高い。さらに、第一の素材801および第二の素材802は、延出部922aにおいて、バインダ材が固化することによって接合して一体化している。
成形された被覆部材92aの本体部921a(=第一の素材801および第二の素材802のうち、第一の下側保持具11aの第一の加圧部111aと第一の上側保持具12aの第一の加圧部121aとに挟まれて加圧された部分)の表層部は、第一の温度帯域に達しているから、バインダ材が溶融しその後固化している。このため、被覆部材92aの本体部921aの表層部は、バインダ材により基本繊維や芯繊維どうしが接合している。
さらに、被覆部材92aの表層部921aは、基本繊維やバインダ繊維の密度が中心部に比較して高い。すなわち、被覆部材92aの本体部921aの表層部は、その本体部921aの中心部に比較して、加圧時における温度が高いから、熱可塑性による塑性変形の度合も大きい(=圧縮変形量が大きい)。このため、成形された本体部921aの表層部は、中心部に比較して、基本繊維やバインダ繊維の芯繊維の密度が高い。そして、密度が高くなった状態で、第一の不織布の基本繊維とバインダ繊維の芯繊維どうしがバインダ材により接合されている。したがって、加圧前に比較すると硬くなっている。
一方、成形された被覆部材92aの本体部921aの中心部(すなわち、電線91の所定の箇所に接触している部分およびその近傍)は、加圧時において第一の温度帯域に達していない。このため、被覆部材92aの本体部921aの表層部に比較して、熱可塑性による塑性変形の度合が小さいか、または熱可塑性による塑性変形が生じていない。そして、第一の温度帯域に達していないから、バインダ繊維のバインダ材は溶融していない。したがって、被覆部材92aの本体部921aの中心部は、成形前の第一の不織布とほぼ同じ物理的性質を有している(ただし、加圧により、繊維の密度が高くなっている場合がある)。
第一の素材801および第二の素材802に第二の不織布または発泡体が適用される構成においては、被覆部材92aの延出部922aは、第一の素材801および第二の素材802が圧縮されて密度が高くなっている。このため、延出部922aは他の部分に比較して硬度が高くなっている。また、延出部922aの少なくとも一部は加圧時において溶融しその後固化しているから、第一の素材801と第二の素材802とは、延出部922aにおいて接合(=溶着)して一体化している。
また、被覆部材92aの本体部921aの表層部は、加圧時における温度が中心部に比較して高いから、塑性変形の度合は、中心部に比較して大きい。これに対して被覆部材92aの本体部92aの中心部は、加熱および加圧前の状態を維持している。このため、被覆部材92aの本体部921aの表層部は、中心部に比較して密度が高くなっている。さらに、被覆部材92aの本体部921aの表層部の一部は、加圧時において溶融温度以上の温度に達しているから、一部が溶融して気泡が抜け、繊維または発泡体の状態(すなわち、内部に気泡や空洞を有する状態)から、中実の固体(=内部に気泡や空洞が無いかまたはほとんど無い内部が詰まった固体)の状態に変化している。このため、被覆部材92aの本体部921aの表層部は、中心部に比較して硬く、かつ、加圧前に比較しても硬くなっている。
このように、第一の素材801および第二の素材802に、第一の不織布、不織布または発泡体のいずれが適用される構成においても、成形された被覆部材92aの本体部921aの表層部は、本体部921aの中心部に比較して硬く、かつ成形前の第一の素材801および第二の素材802よりも硬くなっている。これに対して被覆部材92aの本体部921aの中心部は、加圧前とほぼ同じ物理的性質を有する。
このように、被覆部材92aの本体部921aの表層部を硬くすることができる。そして、この表層部が、本発明の第一実施形態にかかるワイヤーハーネス9aの所定の箇所(=電線91の所定の箇所)を保護することができる。また、硬さが硬く変形しにくいから、本発明の第一実施形態にかかるワイヤーハーネス9aの所定の箇所を所定の形状に維持することができる。
したがって、本発明の第一実施形態にかかるワイヤーハーネス9aのうちの保護したい箇所に設けられた被覆部材92aは、プロテクタとして機能する。また、本発明の第一実施形態にかかるワイヤーハーネス9aのうち所定の形状に維持したい箇所に設けられた被覆部材92aは、当該箇所を所定の形状に維持する。さらに、本発明の第一実施形態にかかるワイヤーハーネス9aのうち、保護したい箇所であって、かつ所定の形状に維持したい部分に設けられた被覆部材92aは、プロテクタとして機能するとともに、当該所定の箇所を所定の形状に維持する。
本発明の第一実施形態にかかるワイヤーハーネス9aの製造方法は、次のような作用効果を奏することができる。
第一の上型13aおよび第一の下型14aは、射出成形品を製造する金型(=射出成形用の金型)に比較して構造が簡単である。このため安価に製造できるから、設備コストの削減を図ることができる。また、本発明の第一実施形態にかかるワイヤーハーネス9aの製造方法は、射出成形品のプロテクタなどを用いる構成に比較して、被覆部材に安価な材料(熱可塑性材料)が適用できる。このため、本発明の第一実施形態にかかるワイヤーハーネスを安価に製造することができ、製品の低価格化を図ることができる。
さらに、本発明の第一実施形態にかかるワイヤーハーネス9aの製造方法における被覆部材92aを成形する工程は、射出成形品のプロテクタや被覆部材に電線を嵌め込む方法に比較して、作業が簡単である。
また、射出成形品のプロテクタなどを用いる構成においては、プロテクタなどの内面と電線との間に隙間があると、振動などによって電線がプロテクタなどの内面と衝突し、衝突音などが発生することがある。なお、射出成形品のプロテクタなどの内部にスポンジなどの緩衝材を挿入して衝突音などを防止する構成があるが、このような構成とすると、部品点数や作業工数が増加し、製造コストや製品価格の上昇を招くおそれがある。
これに対して、本発明の第一実施形態にかかるワイヤーハーネス9aは、電線91の所定の箇所が被覆部材92aに包まれており(=第一の素材801と第二の素材802との間に埋め込まれており)、電線91の所定の箇所は被覆部材92aに弾性的に接触している。このため、電線91の所定の箇所と被覆部材92aとの間で衝突音などが発生しない。
さらに、被覆部材92aを成形する工程において、同時に保護層923aを成形することができる。このため、本発明の第一実施形態にかかるワイヤーハーネス9aの製造方法における作業工数の増加を防止できる。したがって、本発明の第一実施形態にかかるワイヤーハーネス9aの価格の上昇を防止または抑制することができる。換言すると、工数を増加させることなく、被覆部材92aに防水性をもたせること(=水などの液体が被覆部材92aに浸透しないようにすること)ができる。成形された被覆部材92aに液体がかかるなどしても、被覆部材92aは液体を吸収しないから、被覆部材92aの重量が増加することや、液体が被覆部材92aを伝って不測の箇所に到達することを防止できる。
また、本発明の第一実施形態にかかるワイヤーハーネス9aの製造方法においては、被覆部材92aを成形する過程において、併せて、保護層の素材803が所定の形状(=被覆部材92aの表面に倣った形状)に成形される。このため、保護層の素材803は、単純な形状のもの(たとえば、平板状のもの)が適用できる。したがって、保護層の素材803に、安価な部材が適用できる。たとえば、保護層の素材803には、所定の材料により形成されるシートまたは平板を、所定の寸法および形状に切り出したものが適用できる。このように、保護層の素材803には、特別な加工は必要ない。このため、被覆部材92aの耐摩耗性の向上を図ることができるとともに、部品コストの上昇の防止または抑制を図ることができる。
なお、前記説明においては、第一の素材801および第二の素材802と、保護層の素材803とが別部材である構成を示したが、このような構成でなくてもよい。たとえば、第一の素材801および第二の素材802の一面に、あらかじめ保護層923aが成形されている構成(換言すると、ある一面に保護層923aが成形されている第一の素材801および第二の素材802を用いる構成)であってもよい。また、第一の素材801および第二の素材802と、保護層の素材803とが別部材である場合には、第一の素材801および第二の素材802を第一の下側保持具11aに収容する工程において、同時に保護層の素材803を収容する構成であってもよい。たとえば、第一の素材801および第二の素材802の一面に、あらかじめ保護層の素材803を仮止め(接着など)しておく構成であってもよい。このような構成であっても、前記同様の作用効果を奏することができる。さらにこのような構成においては、保護層の素材803と、第一の素材801および第二の素材802とを、別々に第一の下側保持具に収容する必要がないから、作業工数や手間の更なる削減を図ることができる。
また、本発明の第一実施形態にかかるワイヤーハーネス9aの製造方法においては、第一の素材801および第二の素材802の両方に保護層923aが設けられる構成を示したが、いずれか一方にのみ設けられる構成であってもよい。要は、被覆部材92aのうち、耐摩耗性の向上を図りたい箇所に保護層923aが設けられる構成であればよい。
さらに、本発明の第一実施形態にかかるワイヤーハーネス9aの製造方法は、第一の下側保持具11aを用いることにより、次のような効果を奏することができる。
第一の下側保持具11aを用いずに、第一の下型13aと第一の上型14aとによって第一の素材801および第二の素材802を直接的に加熱および加圧する構成においては、第一の下型13aの上側に直接的に第一の素材801を配設し、さらにその上側に電線91の所定の箇所を配設し、さらにその上側に第二の素材802を配設するという作業が必要になる。このため、これらの作業に時間がかかると(特に、第一の下型13aの上側に第一の素材801が配設された状態で長時間が経過すると)、第一の下型13aに載置された第一の素材801が、加圧する前に第一の下型13aの温度調節手段により加熱される。このため、熱可塑性により塑性変形して予期しない形状になり、その結果、第一の素材801および第二の素材802を所定の被覆部材92aの形状に成形することができなくなるおそれがある。
また、第一の素材801が第一の下型13aの上側に載置された状態で長時間が経過すると、第一の素材801の全体が、「所定の温度」に達するおそれがある。第一の素材801が第一の不織布である場合、第一の素材801の全体が所定の温度に達すると、全体にわたってバインダ材が溶融する。また、第一の素材801が第二の不織布または熱可塑性材料からなる発泡体が適用される場合には、第一の素材801の全体が溶融するおそれがある。その結果、成形後において、電線91の所定の箇所に接触する部分およびその近傍も硬化するおそれがある。そうすると、電線91の所定の箇所に接触する部分およびその近傍の部分が弾性を失う(または弾性変形しにくくなる)ため、成形された被覆部材92aが緩衝材としての機能を発揮できないかまたは緩衝材としての機能が低くなる。
さらに、第一の素材801が第一の下型13aに載置された状態で長時間が経過すると、第一の下型13aの熱が第一の素材801を通じて電線91の所定の箇所に伝わり、電線91の所定の箇所の被覆材が熱により損傷するおそれがある。
また、第一の上型13aおよび第一の下型14aは、第一の素材801および第二の素材802が熱可塑性により塑性変形できる温度に維持されているから、第一の素材801と電線91の所定の箇所と第二の素材802と保護層の素材803を第一の下型13aに載置する作業を行う際に、作業者が第一の下型13aおよび/または第一の上型14aに触れて、火傷をするおそれがある。
なお、第一の素材801および第二の素材802を加圧するときにのみ、第一の上型13aと第一の下型14aとを所定の温度に加熱する構成が考えられる。このような構成によれば、第一の下型13aに第一の素材801と電線91の所定の箇所と第二の素材802と保護層の素材803とを収容する作業を、第一の下型13aが低温(=第一の素材801が熱可塑性による塑性変形をしない温度および作業者が火傷をしない温度)のときに行うことができる。したがって、第一の素材801の不測の変形や作業者の火傷を防止できる。しかしながらこのような構成は、本発明の第一実施形態にかかるワイヤーハーネス9aを製造するごとに(すなわち、一個の被覆部材92aを成形するごとに)、第一の下型13aと第一の上型14aの加熱および冷却を行う必要がある。このため、本発明の第一実施形態にかかるワイヤーハーネス9aの製造に要する時間が大幅に長くなる。
さらに、加圧時にのみ第一の下型13aおよび第一の上型14aを加熱する構成(すなわち、加圧開始後に第一の下型13aおよび第一の上型14aの加熱を開始する構成)では、第一の下型13aおよび第一の上型14aが「所定の温度」に達する前も、第一の素材801と電線91の所定の箇所と第二の素材802とが加熱される。そうすると、第一の下型13aや第一の上型14aが所定の温度に達する時点には、第一の素材801および第二の素材802の表面から内部にまで熱が伝達し、電線91の所定の箇所やその近傍まで高温になるおそれがある。電線91の所定の箇所やその近傍が高温になると、電線91の所定の箇所の被覆材(一般的には合成樹脂材料により形成される)が熱により損傷するおそれがある。電線91の所定の箇所の被覆材が熱により損傷すると、電線91どうしの間の絶縁が維持できなくなるなどのおそれがある。
これに対して、本発明の第一実施形態にかかるワイヤーハーネス9aの製造方法においては、第一の下側保持具11aに第一の素材801と電線91の所定の箇所と第二の素材802と保護層の素材803とを収容する作業の最中は、第一の下側保持具11aを加熱する必要がない(=第一の下側保持具11aを第一の下型13aに載置する必要がない)。したがって、第一の下型13aおよび第一の上型14aにより加圧するときにのみ、第一の素材801および第二の素材802を加熱することができる。このように、第一の素材と第二の素材は、加圧前においては加熱されることがないため、加圧前において、第一の素材801および/または第二の素材802が予期しない変形を起こすおそれがない。したがって、第一の素材および第二の素材を、正確に被覆部材92aの形状に成形することができる。
さらに、第一の素材801と電線91の所定の箇所と第二の素材802と保護層の素材803とが収容された第一の下側保持具11aが、第一の下型13aに載置された後、ただちに第一の素材801および第二の素材802の加熱および加圧を行うことができる。すなわち、加圧を行う前においては、第一の素材801および第二の素材802が長時間にわたって加熱されることがない。したがって、第一の素材801および第二の素材802の中心部に熱が伝達する前に、加圧して成形を行うことができる。このため、第一の素材801および第二の素材802の内部(特に電線91の所定の箇所に接している部分およびその近傍)が、「所定の温度」に達する前に加圧して成形を行うことができる。したがって、第一の素材801および第二の素材802の内部が硬化することがないから、第一の素材が防音材や緩衝材としての機能を失うことがない。
さらに、第一の下側保持具11aに保護層の素材803と第一の素材801と電線91の所定の箇所と第二の素材802とを収容する作業は、第一の下型13aおよび第一の上型14aから離れた場所で行うことができる。このため、作業空間が広い場所で作業を行うことができるから、作業を容易に行うことができる。
すなわち、第一の下型13aおよび第一の上型14aは一般的にプレス機に組み付けられていることから、第一の下型13aに直接的に第一の素材801などを収容する場合には、第一の下型13aと第一の上型14aの間の限られた空間で行う必要がある。このため、第一の上型14aが作業の阻害要因となることがある。これに対して、第一の下側保持具11aを用いる構成では、作業場所を問わないから、作業を阻害するものがない場所で作業を行うことができる。また、第一の素材801と電線91の所定の箇所と第二の素材801と保護層の素材803とを第一の下側保持具11aに収容する作業は、第一の下型13aまたは第一の上型14aに触れることがない場所で行えるから、作業者が火傷を負うおそれがなくなる。
また、加圧時にのみ第一の下型13aおよび第一の上型14aを加熱する構成と比較すると、加圧時のみならず、それ以外のとき(たとえば待機時)においても、第一の下型13aおよび第一の上型14aを「所定の温度」に維持しておくことができる。このため、第一の下側保持具11aに保護層の素材803と第一の素材801と電線91の所定の箇所と第二の素材802とを収容する作業が完了した後、ただちに加熱および加圧を行うことができる。このため、本発明の第一実施形態にかかるワイヤーハーネス9aの製造に要する時間を短縮することができる。また、第一の下型13aおよび第一の上型14aを常に所定の温度に維持しておくことができるから、加圧時において第一の素材801および第二の素材802の温度の制御が容易となる。
さらに、第一の下側保持具11aを用いる構成においては、第一の下型13aおよび第一の上型14aを常に所定の温度に維持できるから、加圧開始と同時に、第一の素材801および第二の素材802を速やかに所定の温度に加熱することができる。このため、電線91の所定の箇所や、第一の素材801および第二の素材802の電線91の所定の箇所の近傍の部分が、熱が伝わって高温になる前に、延出部922aにおいて第一の素材801と第二の素材802とを接合することができるとともに、保護層の素材803を、第一の素材801と第二の素材802の表面に貼り付けることができる。
さらに、このような構成によれば、第一の素材801および第二の素材802として第一の不織布が適用される場合には、被覆部材92aの本体部921aの表層部のみを所定の温度に加熱して塑性変形させ、かつ表層部のみのバインダ材を溶かすことができる。したがって、被覆部材92aの本体部921aにおいては、その表層部のみ、第一の素材801および第二の素材802を塑性変形させることができるとともに、バインダ材を基本繊維やバインダ繊維の芯繊維どうしの間に染み渡らせることができる。
同様に、第一の素材801および第二の素材802として、熱可塑性の材料からなる第二の不織布または発泡体が適用される場合には、被覆部材92aの本体部921aの表層部のみを所定の温度に加熱して塑性変形させ、かつ表層部の一部のみ熱可塑性の材料を溶融することができる。したがって、被覆部材92aの本体部921aにおいては、その表層部のみ、第一の素材801および第二の素材802を塑性変形させることができるとともに、気泡や空洞をなくすことまたは少なくすることができる。
このため、冷却した後は、表層部のみが硬化し、中心部は加圧前の物理的性質を有する(=弾性変形可能な状態を維持する)。したがって、硬化した部分が、本発明の第一実施形態にかかるワイヤーハーネス9aの所定の箇所の形状を所定の形状に維持できるとともに、保護することができる。さらに、被覆部材92aの本体部921aの中心部の硬化していない部分が、電線91の所定の箇所の防音材や緩衝材として機能する。
さらに、第一の下側保持具11aを用いる構成は、製造された本発明の第一実施形態にかかるワイヤーハーネス9aの所定の箇所(=成形された被覆部材92a)が、第一の下型13aから取り外される際や、取り外された後において、被覆部材92aが熱可塑性による変形を生じない温度に下がるまでの間に、予期しない変形(または望まない変形)が生じることを防止できる。
すなわち、第一の下側保持具11aを用いない構成では、被覆部材92aを加圧した後、第一の下型13aから取り外す際に、本発明の第一実施形態にかかるワイヤーハーネス9aを直接的に掴む必要がある。本発明の第一実施形態にかかるワイヤーハーネス9aおよび本発明の第二実施形態にかかるワイヤーハーネス9bの被覆部材92bの少なくとも表層部は、第一の下型13aおよび第一の上型14aにより加熱および加圧された直後においては、高温(=熱可塑性による塑性変形が生じる温度)にある。このため、成形された被覆部材92aのうち、掴まれた部分およびその近傍が変形するおそれがある。また、取り外す際に、本発明の第一実施形態にかかるワイヤーハーネス9aが、自重などによって撓み変形することもある。さらに、第一の下型13aから取り外した後であって、被覆部材92aが熱可塑性による塑性変形を生じない温度に下がるまでの間にも、異物などが接触すると変形が生じるおそれがある。
これに対して本発明の第一実施形態にかかるワイヤーハーネス9aの製造方法においては、成形された被覆部材92aは、第一の下側保持具11aに載置された状態で第一の下型13aから取り外すことができる。さらに、第一の下型13aから取り外された本発明の第一実施形態にかかるワイヤーハーネス9aの所定の箇所(=被覆部材92a、保護層923a、電線91の所定の箇所)は、第一の下側保持具11aに載置された状態で冷却することができる。
このように、本発明の第一実施形態にかかるワイヤーハーネス9aの所定の箇所を第一の下型13aから取り外す際には、第一の下側保持具11aを掴んで取り外せばよい(=第一の下側保持具11aごと取り外せばよい)。このため、成形された被覆部材92aに直接に触れる必要ない。また、成形された被覆部材92aは、第一の下側保持具11aに収容されているから、成形された被覆部材92aを、加圧されて成形された形状を維持した状態で、第一の下型13aから取り外すことができる。さらに、成形された被覆部材92aは、第一の下側保持具11aに載置された状態で冷却することができる。このため、成形された被覆部材92aには、第一の下型から取り外された後、熱可塑性による塑性変形が生じない温度に冷却されるまでの間(=成形された形状が確定するまでの間)において、触れる必要がなく、かつ異物が接触することが防止される。このため、成形された被覆部材92aに予期しない変形(または望まない変形)が発生することを防止できる。
なお、成形された被覆部材92aに予期しない変形が生じないようにするために、第一の下型13aおよび第一の上型14aを冷却してから取り外す構成が適用できる。しかしながら、この構成では、第一の下型13aおよび第一の上型14aの冷却のための時間が必要であるから、本発明の第一実施形態にかかるワイヤーハーネス9aの製造に要する時間が長くなる。また、加圧して成形するごとに、第一の下型13aおよび第一の上型14aの加熱と冷却を行う必要があるから、前記のような問題を有する。
さらに、本発明の第一実施形態にかかるワイヤーハーネス9aの製造方法においては、第一の下側保持具11aに収容された第一の素材801および第二の素材802は、それらの全部が被覆部材となる。このため、被覆部材92aが成形された後において、不要な部分を除去する作業(いわゆるトリミング)が不要である。したがって、作業工数の削減を図ることができる(または作業工数の増加を防止できる)。さらに、第一の素材801および第二の素材802の無駄をなくすことができる。
一方、第一の上側保持具12aを用いると、次のような効果を奏することができる。
第一の素材801および第二の素材802が、第一の下型13aおよび第一の上型14aにより加熱および加圧されて成形された後、第一の下型13aと第一の上型14aとが分離すると、成形された被覆部材92aに加わっていた圧力がなくなる。そうすると、成形された被覆部材92aは、成形前の形状および寸法に戻ろうとすることがある(たとえば、金属などの塑性加工におけるスプリングバックに相当する現象が生じることがある)。特に、成形された被覆部材92aの本体部921aの中心部は、本体部921aの表層部や延出部922aと比較すると、加圧時における温度が低いから、塑性変形ではなく弾性変形していることがある。このため、第一の下型13aおよび第一の上型14aによる加圧力が除去されると、成形された被覆部材92aが、成形前の第一の素材801および第二の素材802の寸法および形状に戻ろうとする(=大きくなろうとする)ことがある。
本発明の第一実施形態にかかるワイヤーハーネス9aの製造方法によれば、成形された被覆部材92aは、第一の下型13aと第一の上型14aから取り出された後、熱可塑性による塑性変形が生じない温度になるまでは、第一の上側保持具12aの自重によって圧縮力が加え続けられる。このため、成形された被覆部材92aが、成形前の第一の素材801および第二の素材802の寸法および形状に戻ることを防止できる。そして、成形された被覆部材92aが、熱可塑性による塑性変形を生じない温度になれば、被覆部材92aの寸法および形状が、成形された形状に確定して変形しなくなる。このように、本発明の第一実施形態にかかるワイヤーハーネス9aの形状および寸法の精度の向上を図ることができる。
また、加圧後、成形された被覆部材92aの温度が高い状態で(=熱可塑性により容易に塑性変形できる温度にある状態で)加圧力が除去されると、元の形状に戻ろうとする力により、被覆部材92aの延出部922aには分離するような力が加わることがある。そうすると、延出部922aにおける第一の素材801と第二の素材802の接合の強度が低下するおそれや、第一の素材801と第二の素材802とが分離するおそれがある。
このため、成形された被覆部材92aには、熱可塑性により塑性変形しない温度(第一の不織布が適用される場合には、少なくとも第一の温度帯域よりも低い温度)に下がるまで、第一の上側保持具12aの自重を加え続けられる。これにより、被覆部材92aの延出部922aにおける接合の強度の向上を図ること(または接合の強度の低下の防止を図ること)ができる。または、第一の素材801と第二の素材802が分離することを防止または抑制できる。
なお、第一の下側保持具11aと第一の上側保持具12aとをクランプなどで挟めば、成形された被覆部材92aの変形をより確実に防止することができる。
さらに、第一の上側保持具12aを用いる構成においては、第一の素材801および第二の素材802を加圧した後、第一の下型13aと第一の上型14aとが分離する際に、第二の素材802が第一の上型14aに貼り付くことが防止できる。
すなわち、第一の素材801および第二の素材802に第一の不織布が適用される構成においては、第一の素材801および第二の素材802が加熱および加圧されている間は、バインダ繊維のバインダ材が溶融している。一方、第一の素材801および第二の素材802に、熱可塑性の材料からなる第二の不織布または発泡体が適用される構成においては、第一の素材801および第二の素材802は、加熱および加圧されている間は、それらの表面の少なくとも一部が溶融している。このため、第一の上側保持具12aを用いないと(=第一の上型14aが直接的に第二の素材802に接触する構成であると)、第一の下型13aと第一の上型14aとが分離する際に、特に第二の素材802が第一の上型14aに粘着し、第一の素材801が第一の下側保持具11aに粘着して、第一の素材801と第二の素材802に対して引き剥がされるような力が加わるおそれがある。その結果、第一の素材801と第二の素材802が分離するおそれや、接合の強度が低下するおそれがある。
これに対して、第一の上側保持具12aを用いる構成であれば、第一の下型13aと第一の上型14aとが分離する際に、第一の素材801と第二の素材802とに互いに引き剥がすような力が加わらない。したがって、第一の素材801と第二の素材802の分離の防止や接合強度の低下の防止を図ることができる。
さらに、被覆部材92aは、加熱されながら加圧されて成形された後、熱可塑性による塑性変形が生じない温度に冷却されるまでの間は、第二の上側保持具12aにより蓋をされた状態にある。このため、成形された被覆部材92aには、冷却している間に異物などが接触することが防止される。したがって、成形された被覆部材92aに望まない変形が生じることが防止される。
次に、本発明の第二実施形態にかかるワイヤーハーネスについて説明する。本発明の第二実施形態にかかるワイヤーハーネス9bは、被覆部材92bの構成を除いては、本発明の第一実施形態にかかるワイヤーハーネス9aと同様の構成を有する。本発明の第一実施形態にかかるワイヤーハーネス9aと共通する構成については、説明を省略することがある。
図9は、本発明の第二実施形態にかかるワイヤーハーネス9bの所定の箇所(=被覆部材92bが設けられる箇所)を抜き出して示した外観斜視図である。それぞれ、図9(a)は、被覆部材92bの断面形状が略六角形である構成を示し、図9(b)は、被覆部材92bの断面形状が略円形である構成を示す。
本発明の第二実施形態にかかるワイヤーハーネス9bの被覆部材92bは、本発明の第一実施形態にかかるワイヤーハーネス9aの被覆部材92aの本体部921aと同様の構成を有する。なお、本発明の第二実施形態にかかるワイヤーハーネス9bの被覆部材92bは、本発明の第一実施形態にかかるワイヤーハーネス9aの被覆部材92aと異なり、延出部を有さない。
なお、図9(a)においては、被覆部材92bの断面形状が略六角形である構成を示し、図9(b)においては、被覆部材92bの断面形状が略円形である構成を示すが、これらは例示であり、被覆部材92bの断面形状は限定されるものではない。
本発明の第二実施形態にかかるワイヤーハーネス9bの被覆部材92bは一個の素材により成形される。図9(a),(b)において、被覆部材92bの断面に破線は、素材の接合面を模式的に示したものである。説明の便宜上、この素材を、「第三の素材804」と称する。第三の素材804には、第一の素材801および第二の素材802と同じ材料が適用できる。すなわち、第三の素材804には、第一の不織布、熱可塑性の材料からなる第二の不織布または発泡体のいずれかが適用できる。
図9(a)、(b)に示すように、本発明の第二実施形態にかかるワイヤーハーネス9bの被覆部材92bには、その表面の略全体にわたって保護層923bが設けられる。本発明の第二実施形態にかかるワイヤーハーネス9bの被覆部材92bの保護層923bは、本発明の第一実施形態にかかるワイヤーハーネス9aの被覆部材92aの保護層923aと同様の構成を有する。そして、本発明の第二実施形態にかかるワイヤーハーネス9bは、本発明の第一実施形態にかかるワイヤーハーネス9aと同様の作用効果を奏する。
次に、本発明の第二実施形態にかかるワイヤーハーネス9bの製造方法において用いられる工具などについて説明する。なお、本発明の第一実施形態にかかるワイヤーハーネス9aの製造方法において用いられる工具と共通する構成については、説明を省略することがある。
本発明の第二実施形態にかかるワイヤーハーネス9bの製造方法は、第二の下側保持具11bと、第二の上側保持具12bと、一組の第二の下型13bと第二の上型14bとからなる第二の成形型と、プレス機が使用される。図10は、第二の下側保持具11bと第二の下型13bの構成を、模式的に示した外観斜視図である。図11は、第二の上側保持具12bと第二の上型14bの構成を、模式的に示した外観斜視図である。
第二の下側保持具11bおよび第二の下型13bは、図10中の上方が、第二の上側保持具12bおよび第二の上型14bに対向する側である。第二の上側保持具12bおよび第二の上型14bは、図11中の上方が、第二の下側保持具11bおよび第二の下型13bに対向する側である。以下、説明の便宜上、第二の下側保持具11bおよび第二の下型13bについては、第二の上側保持具12bおよび第二の上型14bに対向する側を「上側」と称する。第二の上側保持具12bおよび第二の上型14bについては、第二の下側保持具11bおよび第二の下型13bに対向する側を「下側」と称する。図10においては、図中の上方が、第二の下側保持具11bおよび第二の下型13bの上側である。図11においては、図中の上方が、第二の上側保持具12bおよび第二の上型14bの下側である。
第二の上側保持具11bおよび第二の下側保持具12bは、本発明の第二実施形態にかかるワイヤーハーネス9bの被覆部材92bを成形する工程において、第三の素材804を加圧して所定の寸法および形状(=被覆部材92bの寸法および形状)に成形する機能や、製造された本発明の第二実施形態にかかるワイヤーハーネス9b(特に、成形された被覆部材92b)の形状を維持する(換言すると、望まない変形をしないようにする)などの機能を有する工具である。
第二の下側保持具11bは、加圧部114bと側壁部113bとを有する。
第二の下側保持具11bの加圧部114bは、被覆部材92bを加圧して成形するための部分である。第二の下側保持具11bの加圧部114bは、第一の下側保持具11aの第一の加圧部111aと同様の機能および構成を有する。
側壁部113bは、第三の素材804を加圧する前および加圧する工程において、第三の素材804を保持する機能を有する部分である。側壁部113bは、上側に向かって突起する板状または襞状の部分であり、第二の下側保持具11bの加圧部114bの外側縁に沿って形成される。すなわち、二つの側壁部113bは、加圧部114bを挟んで、所定の距離をおいて対向する。側壁部113bの高さ寸法は、両側壁部113bの間に、電線91の所定の箇所と第三の素材804が収容された状態において、第三の素材804が、両側壁部114bの上側から外にはみ出さない寸法に設定される。
このように、第一の下側保持具11bは、全体として、断面が略「U」字形状の棒状の構成を有する。
第二の下側保持具11bの下側の形状は、特に限定されるものではない。たとえば、第二の下側保持具11bが金属板などからなり、鈑金加工などにより製造される場合には、第二の下側保持具11bの下側には、上側に形成される加圧部114bに対応する凸部が形成される。
第二の上側保持具12bは加圧部123bを有する。第二の上側保持具12bの加圧部123bの構成および機能は、第一の上側保持具12aの第一の加圧部121aと同様である。第二の上側保持具12bの上側の形状は、特に限定されるものではない。第二の上側保持具12bが金属板などからなり、鈑金加工などにより製造される場合には、第二の上側保持具12bの上側には、下側に形成される加圧部123bに対応する凸部が形成される。
第二の上側保持具12bは、第二の下側保持具11bの両側壁部113bの間の領域に容易に出し入れ可能な寸法を有する。すなわち、第二の上側保持具12bの幅寸法は、第二の下側保持具11bの両側壁部113bどうしの間隔の寸法と略同じ寸法か、またはそれより少し小さい寸法に設定される。さらに、第二の下側保持具11bの加圧部114bと第二の上側保持具12bの加圧部123bとは、それらの軸線が略同じ形状に形成される。第二の上側保持具12bが第二の下側保持具11bの側壁部113bどうしの間に入れられると、第二の上側保持具12bの加圧部123bと第二の下側保持具11bの加圧部114bとが対向する。
第二の下側保持具11bおよび第二の上側保持具12bは、熱伝導率の高い材料により形成され、蓄熱量が小さい(すなわち、周りの温度変化に追従しやすい)構成を有する。特に、上下方向に熱を伝えやすい構成を有する。たとえば、第二の下側保持具11bの加圧部114bおよび側壁部113bは、鈑金加工などによって一枚の金属板から一体に成形される構成であることが好ましい。同様に、第二の上側保持具12bも、鈑金加工などによって一枚の金属板から一体に成形される構成であることが好ましい。
第二の下型13bは、第二の下側保持具11bを介して、第二の上側保持具12bおよび第二の上型14bとともに、第三の素材804を加熱しながら加圧して、被覆部材92bを成形する工具である。すなわち、第三の素材804を加圧して塑性変形させることにより、所定の形状および寸法(=被覆部材92bの寸法および形状)となるように成形する。
第二の下型13bの上側には、第二の下側保持具11bの全部または下側の一部を嵌め込むことができる溝状の凹部が形成される。この溝状の凹部は、加圧部134bと支持部133bとからなる。
第二の下型13bの加圧部134bは、第二の下型13bの上側に第二の下側保持具11bが載置された状態において、第二の下側保持具11bの加圧部114bの下側を収容可能な部分であり、第二の下側保持具11bの加圧部114bの下側の面(=加圧部114bに対応する凸部の表面)に接触する部分である。このため、第二の下型13bの加圧部134bは、第二の下側保持具11bの加圧部114bの下側の形状および寸法に略等しい寸法および形状を有する。たとえば、図11に示すように、第二の下側保持具11bの加圧部114bの下側が、断面形状が略台形の突起であれば、第二の下型13bの加圧部134bは、断面略台形に形成される。また、第二の下側保持具11bの加圧部114bの下側が断面略半円形の突起であれば、第二の下型13bの加圧部134bは、断面略半円形状の溝状に形成される。
第二の下型13bの支持部134bは、第二の下型13bの上側に載置された第二の下側保持具11bが、移動したり、容易に倒れたり、第二の下型13bの上側から容易に外れたりしないように、第二の下側保持具11bを支持する機能を有する部分である。具体的には、支持部133bは、図10に示すように、加圧部134bの両外側に形成され、互いに対向する面状の部分である。
支持部133bどうしの間隔は、第二の下側保持具11bの全部または下側の一部を着脱可能に嵌め込むことができる寸法に設定される。たとえば、第二の下側保持具11bの側壁部113bの外側の面どうしの間隔と略同じか、それよりも少し大きい寸法に設定される。
支持部133bの高さ寸法(=上下方向寸法)は特に限定されるものではない。第二の下型13bの上側に載置された第二の下側保持具11bが、移動したり、容易に倒れたり、第二の下型13bの上側から容易に外れたりしないように支持できる寸法であればよい。図10に示す第二の下型13bの支持部133bは、第二の下側保持具11bの側壁部113bの高さ寸法よりも小さい寸法を有する。このような寸法であると、第二の下側保持具11bの下側の一部を支持できる。なお、支持部133bの高さ寸法は、第二の下側保持具11bの側壁部113bの高さ寸法と略同じかまたはそれより大きい寸法であってもよい。このような寸法であれば、第二の下側保持具11bの全部が、第二の下型13bに嵌り込むことができる。
このように、第二の下型13bの上側は、第二の下側保持具11bの下側の寸法および形状に倣った寸法および形状に形成される部分を有する。そしてこの部分に、第二の下側保持具11bを載置すること(=嵌め込むこと)ができる。第二の下側保持具が載置されると、第二の下側保持具11bの下側の面(=加圧部114bの下側の面)が、ほぼ全体にわたって第二の下型13bに接触する。
第二の上型14bは、第二の上側保持具12bを介して、第二の下型13bおよび第二の下側保持具11bとともに、第三の素材804を加熱しながら加圧して成形する工具である。
第二の上型14bの全部または下側の一部は、第二の下側保持具11bの両側壁部113bの間に出し入れできる構成を有する。この構成は、第一の上型14aと同様である。
第二の上型14bの下側は、第二の上側保持具12bの上側を嵌め込むことができる寸法および形状を有する。具体的には、第二の上型14bの下側には加圧部143bが形成される。第二の上型14bの加圧部143bは、第二の上型14bの下側に第二の上側保持具12bが嵌め込まれた状態において、第二の上側保持具12bの加圧部123bの上側が収容される部分であり、第二の上側保持具12bの加圧部123bの上側の面(=第二の上側保持具12bの加圧部123bに対応する凸部の表面)に接触する部分である。このため、第二の上型14bの加圧部143bの寸法および形状は、第二の上側保持具12bの加圧部123bの上側の形状および寸法に略等しい。
このように、第二の上型14bの下側の面は、第二の上側保持具12bの上側の寸法および形状に倣った寸法および形状に形成される。このため、第二の上側保持具12bの上側は、第二の上型14bの下側に着脱可能に嵌り込むことができる。そして、第二の上側保持具12bが嵌り込むと、第二の上側保持具12bの上側の面(=加圧部123bの上側の面)が、ほぼ全体にわたって第二の上型14bの下側の面に接触する。
第二の下型13bおよび第二の上型14bは、それぞれ図略の温度調節手段を備える。そして、この温度調節手段により、第二の下型13bおよび第二の上型14bのそれぞれの加圧部134b,143bを、「所定の温度」に維持することができる。温度調節手段は、第一の下型13aおよび第二の下型14aと同じ構成が適用できる。「所定の温度」は、本発明の第一実施形態にかかるワイヤーハーネス9aの製造方法における「所定の温度」と同じである。
第二の下側保持具11bが第二の下型13bの上側に載置され、第二の上側保持具12bが第二の上型14bの下側に嵌め込まれ、その状態で第二の下型13bと第二の上型14bとが接近すると(=第二の下側保持具11bと第二の上側保持具12bとが接近すると)、第二の上型14bの全部または下側の一部および第二の上側保持具12bが、第二の下型13bに載置された第二の下側保持具11bの両側壁部113bの間に嵌り込む。そして、第二の下側保持具11bの加圧部114bと、第二の上側保持具12bの加圧部123bとが、所定の間隔をおいて対向する。
第二の下型13bと第二の下型14bとが所定の距離に接近すると、第二の下側保持具11bの加圧部114bおよび両側壁部113bと、第二の上側保持具12bの加圧部123bとにより囲まれる空間の形状および寸法が、本発明の第二実施形態にかかるワイヤーハーネス9bの所定の部分に設けられる被覆部材92bの形状および寸法となる。
次に、本発明の第二実施形態にかかるワイヤーハーネス9bの製造方法の製造方法の工程について説明する。なお、本発明の第一実施形態にかかるワイヤーハーネス9aの製造方法と共通する工程は、説明を省略することがある。
図12〜図16は、それぞれ、本発明の第二実施形態にかかるワイヤーハーネスの製造方法の所定の工程を、模式的に示した断面図である。具体的には、図12は、第二の下側保持具11bに第三の素材804(この第三の素材804には保護層の素材803が一体に設けられる)と電線91の所定の箇所とが収容され第二の上側保持具12bが載置された状態を示した図である。図13は、第三の素材804と電線91の所定の箇所と保護層の素材803とが第二の下側保持具11bに収容され第二の上側保持具12bが載置された状態を示した図である。図14は、第三の素材804と電線91の所定の箇所と保護層の素材803とが収容され第二の上側保持具12bが載置された第一の下側保持具11bが、第二の下型13bに載置された状態を示した図である。図15は、第二の下型13bと第二の上型14bとにより第三の素材804が加熱されながら加圧されている状態を示した図である。図16は、製造された本発明の第二実施形態にかかるワイヤーハーネス9bの所定の箇所(=成形された被覆部材92b)が、第二の下側保持具11bに載置された状態で第二の下型13bおよび第二の上型14bから取り外された状態を示した図である。
第三の素材804には、その一面にあらかじめ保護層の素材803(保護層923b)が設けられている構成のものが適用される構成と、第三の素材804と保護層の素材803とが別部材であるものとが適用できる。
保護層の素材803が設けられる第三の素材804が適用される場合には、図12に示すように、第三の素材804が、電線91の所定の箇所を挟むように(または包むように)曲げられ(たとえば、略「U」字形状または略「C」字形状に曲げられ)、その状態で、第二の下側保持具11bの両側壁部113bの間に収容される。そしてその上側に、第二の上側保持具12bが載置される。ここで、図14に示すように、第三の素材804の表面のうち、保護層の素材803が設けられない表面が電線91の所定の箇所に向けられ、保護層の素材803が設けられる面が外側に向けられる。
第三の素材804と保護層の素材803とが別部材である場合には、図13に示すように、第三の素材804が、電線91の所定の箇所を挟むように(または包むように)曲げられ(たとえば、略「U」字形状または略「C」字形状に曲げられ)、さらにその外側に第三の素材804が配設された状態で、第二の下側保持具11bの両側壁部113bの間に収容される。換言すると、電線91の所定の箇所が保護層の素材803により挟まれ(または包まれ)、さらにそれらが保護層の素材803により包まれた状態で、第二の下側保持具11bの両側壁部113bの間に収容される。そしてそれらの上側に、第二の上側保持具12bが載置される。
なお、第三の素材804と保護層の素材803の配設の手順は特に限定されない。電線91の所定の箇所を第三の素材804で挟み(または包み)、さらに第三の素材804を保護層の素材803で包んだ後、それらを第一の下側保持具11bの両側壁部113bの間に収容してもよい。また、先に保護層の素材803を第一の下側保持具11bに配設し、その後、電線91の所定の箇所を挟んだ(または包んだ)第三の素材804を、第一の下側保持具11bの両側壁部113bの間に収容してもよい。
被覆部材92bに成形される前における第三の素材804の厚さ寸法は、成形された後における被覆部材92bの厚さ寸法(=表面から電線91の所定の箇所までの距離)より大きい寸法が適用される。また、被覆部材92bに形成される前の第三の素材804の幅寸法は、電線91の所定の箇所を隙間なく包み込むことができる寸法が適用される。そして、折り曲げられて(または丸められて)電線91の所定の箇所を挟んだ(または包んだ)状態において、電線91の所定の箇所が第三の素材804からはみ出さない(または露出しない)ようにできる寸法に設定される。
第三の素材804は、第二の下側保持具11bの両側壁部113bの内側に収容された状態において、圧縮する態様で弾性変形する。そして、第三の素材804は、第二の下側保持具11bの加圧部114bと側壁部113bにより、電線91の所定の箇所を挟み込んだ状態または包み込んだ状態に維持される。
次いで、図14に示すように、保護層の素材803と、第三の素材804と、電線91の所定の箇所と、第二の上側保持具12bとが収容された第二の下側保持具11bが、第二の下型13bの上側に載置される。すなわち、第二の下側保持具11bの下側の一部が、第二の下型13bの上側に形成される「溝」(=支持部133bが溝の側面に相当し、加圧部134bが溝の底面に相当する)に嵌め込まれる。このため、第二の下型13bに上側に載置された第二の下側保持具11bは、容易に位置ずれしたり、容易に倒れたり、容易に第二の下型13bから外れたりすることが防止される。
この状態では、第二の下側保持具11bの加圧部114bの下側の面が、第二の下型13bの加圧部134bに接触する。一方、第二の下側保持具11bの側壁部113bの外側の面の全部または下側の一部が、第二の下型13bの支持部133bに接触および/または接近する。
なお、第二の下型13bの加圧部134bおよび第二の上型14bの加圧部143bは、温度調節手段により「所定の温度」に維持されている。
次いで、図15に示すように、第二の下型13bと第二の上型14bとを接近させる。第二の下型13bと第二の上型14bの駆動には、図略のプレス機が用いられる。そして、第二の下側保持具11bの加圧部114bと第二の上側保持具12bの加圧部123bとの間の距離を、所定の距離にする。すなわち、第二の下型13bと第二の上型14bとを接近させ、第二の下側保持具11bの加圧部114bと第二の上側保持具12bの加圧部123bとに囲繞される空間の形状および寸法を、成形後の被覆部材92bの形状および寸法にする。そうすると、第三の素材804が加圧されるとともに加熱される。そして、「所定の時間」にわたり、この状態を維持する(すなわち、加熱および加圧を継続する)。
第三の素材804に第一の不織布が適用される場合には、「所定の時間」は、第三の素材804のうちの表層部(=第二の下側保持具11bまたは第二の上側保持具12bに接触している部分およびその近傍)は「所定の温度」に達するが、第三の素材804の中心部(=電線91の所定の箇所およびその近傍の部分)は、「所定の温度」に達しない時間である。第三の素材804に第二の不織布または発泡体(=熱可塑性の材料からなりバインダ材を有さない不織布または発泡体)が適用される場合には、「所定の時間」は、第三の素材804のうちの表層部は熱可塑性の材料の融点に達するが、第三の素材804の中心部は融点に達しない時間である。
第三の素材804が、「所定の温度」で「所定の時間」にわたって加熱されながら加圧されると、次のようなプロセスにより、被覆部材923bが成形される。
第三の素材804は、第二の下側保持具11bの加圧部114bと第二の上側保持具12bの加圧部123bとにより加圧され、第二の下側保持具11bの加圧部114bと第二の上側保持具12bの加圧部123bとの間に形成される空隙の形状に略等しい形状に圧縮変形する。この結果、第三の素材804は、被覆部材923bの寸法および形状となる。
そして、第三の素材804は、第二の下側保持具および第二の上側保持具を通じて、第二の下型および第二の上型の温度調節手段の発する熱により加熱される。このため、第三の素材804は、熱可塑性により塑性変形する。ただし、中心部(=電線91の所定の箇所に接触している部分およびその近傍)は、熱可塑性による塑性変形をしていないことがある。
第三の素材804が加熱されながら加圧されると、本発明の第一実施形態にかかるワイヤーハーネスの製造方法9aの製造方法と同様のプロセスにより、第三の素材804の表層部の密度が、中心部に比較して高くなる。
さらに、この過程において、保護層の素材803が、第三の素材804の表面に貼り付く。保護層の素材803が第三の素材804に貼り付くプロセスも、本発明の第一実施形態にかかるワイヤーハーネス9aの製造方法と同様である。これにより、被覆部材92bの表面に、保護層923bが設けられる。
そして、第三の素材804が略平板状の部材であり、略「U」字形状または略「C」字形状に曲げられることによって電線91の所定の箇所を包んでいる場合には、第三の素材804の幅方向の両端部どうしが溶着する。一方、第三の素材804がスリットを有する棒状の部材である場合には、スリットの内面どうしが溶着する。このため、第三の素材804は、電線91の所定の箇所を内部に包み込んだ筒状の構成になる。
具体的には、第三の素材804に第一の不織布が適用される場合には、第三の素材804のうち、第二の下側保持具11bまたは第二の上側保持具12bに接触している部分およびその近傍(すなわち、表層部)において、第一の不織布の基本繊維およびバインダ繊維のバインダ材が溶融する。溶融したバインダ材は、基本繊維やバインダ繊維の芯繊維の間に染み渡るとともに、幅方向の両端部の接触している面どうしの間、またはスリットの内面どうしの間にも広がる。このため、溶融したバインダ材により、第三の素材804の表層部において、幅方向の両端部の接触している面どうし、またはスリットの内面どうしが接合する。
一方、第三の素材804に、熱可塑性の樹脂材料からなる第二の不織布または発泡体が適用される場合には、第三の素材804のうち、第二の下側保持具11bまたは第二の上側保持具12bに接触している部分およびその近傍(=第三の素材の表層部)において、熱可塑性の材料が溶融する。このため、第三の素材804の表層部において、幅方向の両端部の接触している面どうし、またはスリットの内面どうしが接合(=溶着)する。
このように、第三の素材804が、第一の不織布、第二の不織布、発泡体のいずれからなる場合であっても、第三の素材804の幅方向の両端部どうし、またはスリットの内面どうしが接合する。このため、第三の素材804は、電線91の所定の箇所を包み込んだ筒状の構成(外周面から電線91の所定の箇所に達する開口部などがない構成)を有するようになる。
次いで、図16に示すように、所定の時間経過後、第二の下型13bと第二の上型14bとが分離される。そして、本発明の第二実施形態にかかるワイヤーハーネス9bの所定の箇所(すなわち、成形された被覆部材92bおよび電線91の所定の箇所)が、第二の下側保持具11bと第二の上側保持具12bとに挟まれた状態で、第二の下型13bから取り外される。そして、本発明の第二実施形態にかかるワイヤーハーネス9bの所定の箇所の所定の箇所が、第二の下側保持具11bに載置された状態で冷却される。冷却方法は、本発明の第一実施形態にかかるワイヤーハーネス9aの製造方法と同様である。
以上の工程を経て、本発明の第二実施形態にかかるワイヤーハーネス9bの所定の箇所の所定の箇所が製造される(=それぞれの被覆材92bが成形される)。成形された被覆材92bの構成は、本発明の第一実施形態にかかるワイヤーハーネス9aの被覆材92aの本体部921aとほぼ同様である。
そして、本発明の第二実施形態にかかるワイヤーハーネス9bの被覆部材92bに設けられる保護層923bは、本発明の第一実施形態にかかるワイヤーハーネス9aの被覆部材92aに設けられる保護層923aと同様の構成を有し、同様の作用効果を奏する。
本発明の第二実施形態にかかるワイヤーハーネス9bの製造方法は、本発明の第一実施形態にかかるワイヤーハーネス9aの製造方法と同様の作用効果を奏する。
次に、本発明の第三実施形態にかかるワイヤーハーネス9cと、本発明の第四実施形態にかかるワイヤーハーネス9dについて説明する。図17(a)は、本発明の第三実施形態にかかるワイヤーハーネス9cの所定の箇所(=被覆部材92cが設けられる箇所)を抜き出して示した外観斜視図である。図17(b)は、本発明の第四実施形態にかかるワイヤーハーネス9dの所定の箇所(=被覆部材92dが設けられる箇所)を抜き出して示した外観斜視図である。
本発明の第三実施形態にかかるワイヤーハーネス9cに設けられる被覆部材92c、および本発明の第四実施形態にかかるワイヤーハーネス9dに設けられる被覆部材92dは、それぞれ、本体部921c,921dと、延出部922c,922dと、保護層923c,923dとを有する。本体部921c,921dおよび延出部922c,922dは、二つの素材801,802により形成される。図17(a)に示すように、本発明の第三実施形態にかかるワイヤーハーネス9cは、被覆部材92cの所定の箇所の表面に保護層923cが形成される構成を有する。一方、図17(b)に示すように、本発明の第四実施形態にかかるワイヤーハーネス9dは、被覆部材92dの表面の略全体にわたって保護層923dが形成される構成を有する。
説明の便宜上、被覆部材92c,92dの本体部921c,921dおよび延出部922c,922dの材料である二つの素材の一方を「第一の素材801」と称し、他方を「第二の素材802」と称する。図17(a)、(b)において、被覆部材92c,92dの断面に描かれた破線は、第一の素材801と第二の素材802の接合面(=境界)を、模式的に示したものである。
被覆部材92c,92dの本体部921c,921dは、電線91の所定の箇所(=本発明の第三実施形態にかかるワイヤーハーネス9cと本発明の第四実施形態にかかるワイヤーハーネス9dのそれぞれの幹線や枝線の所定の箇所)を覆う部分(換言すると、電線91の所定の箇所が埋め込まれる部分)である。本体部921c,921dは、所定の軸線形状と、所定の断面形状および寸法を有する(ここで、「断面」とは、電線91の軸線方向に直角な方向で切断した切断面をいうものとする。以下同じ)。
図17(a)、(b)においては、被覆部材92c,92dの本体部921c,921dの断面形状が略六角形である構成を示すが、この形状に限定されるものではない。図18(a)は、被覆部材92cの本体部921cの断面形状が略円形である本発明の第三実施形態にかかるワイヤーハーネス9cの所定の箇所を抜き出して示した外観斜視図である。図18(b)は、被覆部材92dの本体部921dの断面形状が略円形である本発明の第四実施形態にかかるワイヤーハーネス9dの所定の箇所を抜き出して示した外観斜視図である。図18(a)、(b)に示すように、被覆部材92c,92dの本体部921c,921dの断面形状は、略円形であってもよい。
このように、被覆部材92c,92dの本体部921c,921dの形状および寸法は、特に限定されるものではない。被覆部材92c,92dの本体部921c,921dの軸線形状、断面形状および寸法は、被覆部材921c,921dが有するべき機能や性能、本発明の第三実施形態にかかるワイヤーハーネス9cと本発明の第四実施形態にかかるワイヤーハーネス9dのそれぞれの所定の箇所が配索される空間の形状や寸法などに応じて設定される。
被覆部材92c,92dの延出部922c,922dは、本体部921c,921dの外周から外側に向かって突起する部分である。延出部922c,922dは、本体部921c,921dの軸線方向に沿って延伸する略平板状または略襞状の構造を有する。そして、延出部922c,922dにおいて、第一の素材801と第二の素材802とが接合して一体化している。延出部922c,922dの厚さ寸法(第一の素材801と第二の素材802との重ね合わせ方向をいう)は、本体部921c,921dの厚さ寸法よりも小さい。特に、延出部922c,922dにおける第一の素材801と第二の素材802のそれぞれの厚さ寸法(すなわち、それぞれの表面から互いに接合する接合面までの距離)は、本体部921c,921dの外周面から電線91までの距離(特に、電線91のうち、最も外周面に近いものまでの距離)よりも小さいことが好ましい。
第一の素材801および第二の素材802は、熱可塑性を有し、弾性変形可能な材料(特に、圧縮する態様で弾性変形が可能な材料)が適用される。具体的にはたとえば、熱可塑性材料からなる不織布や発泡体が適用できる。
不織布には、基本繊維とバインダ繊維とが絡み合った構成を有するものが適用できる。このような構成の不織布を、説明の便宜上、「第一の不織布」と称する。基本繊維は、所定の融点を有する熱可塑性樹脂材料により形成される。バインダ繊維は、芯繊維の外周にバインダ材の層が形成される構成を有する。バインダ繊維の芯繊維は、基本繊維と同じ熱可塑性樹脂材料により形成される。バインダ繊維のバインダ材の層は、基本繊維および芯繊維よりも融点が低い熱可塑性樹脂材料により形成される。
第一の不織布は、ある温度以上の温度に加熱されると、基本繊維およびバインダ繊維が有する熱可塑性により塑性変形できる。特に、バインダ繊維のバインダ材の融点よりも高い温度であって、基本繊維およびバインダ繊維の芯繊維の融点よりも低い温度帯域の温度に加熱されると、バインダ繊維は溶融するが、基本繊維およびバインダ繊維の芯繊維は固体の状態(=繊維の状態)を維持したままで熱可塑性により塑性変形できる。そして、溶融したバインダ繊維のバインダ材は、基本繊維およびバインダ繊維の芯繊維の間に染み渡る。このような温度帯域を、説明の便宜上、「第一の温度帯域」と称する。
このため、第一の不織布は、第一の温度帯域内の温度に加熱され、第一の温度帯域内の温度で所定の形状に成形され、その後、第一の温度帯域よりも低い温度であって基本繊維およびバインダ繊維が熱可塑性による塑性変形をしない温度に冷却されると、成形された所定の形状を維持する。さらに、成形された第一の不織布は、溶融後固化したバインダ材により基本繊維やバインダ繊維の芯繊維どうしが結合されるため、加熱前に比較して硬くなる。
第一の不織布には、基本繊維およびバインダ繊維の芯繊維がPET(ポリエチレンテレフタレート)から形成され、バインダ繊維のバインダ材の層がPETとPEI(ポリエチレンイソフタレート)の共重合樹脂から形成される構成を有する不織布が適用できる。このような第一の不織布の基本繊維およびバインダ繊維の芯繊維の融点(すなわち、PETの融点)は、約250℃である。バインダ材の融点は、110〜150℃である。したがって、このような構成の第一の不織布の第一の温度帯域は、110〜250℃である。
このほか、熱可塑性樹脂材料からなり、バインダ繊維を有しない不織布も適用できる。このような不織布を、説明の便宜上、「第二の不織布」と称して区別する。さらに、熱可塑性材料からなる発泡体も適用できる。たとえば、PETからなる不織布や発泡体が適用できる。
被覆部材92c,92dの本体部921c,921dの表層部(=外表面およびその近傍)は、中心部(=電線91の所定の箇所に接触している部分およびその近傍)に比較して硬い。換言すると、被覆部材92c,92dの本体部921c,921dの硬さは、中心部から表層部に向かうにしたがって高くなる。さらに、被覆部材92c,92dの本体部921c,921dの表層部は、被覆部材92c,92dに成形される前の第一の素材801および第二の素材802よりも硬い。
被覆部材92c,92dの本体部921c,921dの中心部は、表層部に比較して軟らかい。具体的には、被覆部材92c,92dの本体部921c,921dの中心部は、被覆部材92c,92dに成形される前の第一の素材801および第二の素材802の物理的性質を有している。このため、被覆部材92c,92dの本体部921c,921dの中心部は、弾性を有する状態で電線81の所定の箇所に接触している。
図17(a)と図18(a)のそれぞれに示すように、本発明の第三実施形態にかかるワイヤーハーネス9cの被覆部材92cの表面の所定の一部には、保護層923cが形成される。また、図17(b)と図18(b)のそれぞれに示すように、本発明の第四実施形態にかかるワイヤーハーネス9dの被覆部材92dの表面の略全体には、保護層923dが形成される。なお、図17(b)と図18(b)においては、被覆部材92dのうち、軸線方向の端面および延出部922dの先端面には保護層923dが形成されない構成を示すが、これらの部分にも保護層923dが形成される構成であってもよい。
保護層923c,923dは、被覆部材92c,92dを保護する機能を有する。特に、保護層923c,923dは、被覆部材92c,92dの本体部921c,921dが他の部材に直接的に接触しないようにして、被覆部材92c,92dが摩耗することを防止する機能を有する。このため保護層923c,923dは、被覆部材92c,92dよりも耐摩耗性の高い材料(=第一の素材801および第二の素材802よりも耐摩耗性が高い材料)により形成される。なお、「耐摩耗性」とは、ある材料が他の材料と接触して擦られるときの摩擦によって損耗しにくい特性をいうものとする。
また、本発明の第四実施形態にかかるワイヤーハーネス9dの被覆部材92dに設けられる保護層923dは、防水性または撥水性を有する材料(=水などの液体が浸透や透過しない材料)により形成される構成であることが好ましい。
なお、保護層923c,923d(=保護層の素材803)は、熱可塑性を有する材料により成形される。保護層923c,923dは、第一の素材801および第二の素材802に第一の不織布が適用される場合には、第一の不織布のバインダ繊維のバインダ材よりも融点が高い材料が適用される。たとえば、保護層923c,923dの材料(=保護層の素材803)には、ポリプロピレン(PP)(融点は約120℃)からなるメッシュ状の部材やシート状の部材などが適用できる。第一の素材801および第二の素材802に熱可塑性の材料からなる第二の不織布または発泡体が適用される場合には、この熱可塑性の材料よりも融点が高い材料が適用される。たとえば、PET(ポリエチレンテレフタレート)からなるメッシュ状の部材やシート状の部材などが適用できる。
保護層923c,923dの材質や厚さは、被覆部材92c,92dの保護の度合などに応じて適宜設定されるものであり、特に限定されるものではない。また、本発明の第三実施形態にかかるワイヤーハーネス9cの被覆部材92cの保護層923cの寸法や形状、形成される位置および範囲は、本発明の第三実施形態にかかるワイヤーハーネス9cの仕様などに応じて適宜設定されるものであり、特に限定されるものではない。たとえば、本発明の第三実施形態にかかるワイヤーハーネス9cが配索された状態において、他の部材と接触する箇所や接触する可能性のある箇所(=摩耗が生じやすい箇所、摩耗が生じる可能性がある箇所)などに設けられる。
本発明の第三実施形態にかかるワイヤーハーネス9cと本発明の第四実施形態にかかるワイヤーハーネス9dは、次のような作用効果を奏することができる。
本発明の第三実施形態にかかるワイヤーハーネス9cおよび本発明の第四実施形態にかかるワイヤーハーネス9dに設けられる被覆部材92c,92dの表層部は、中心部に比較して硬い。このため、この硬い部分が、電線91の所定の箇所を保護するプロテクタの機能と、電線91の所定の箇所を所定の形状に維持する機能の少なくとも一方を有する。
したがって、本発明の第三実施形態にかかるワイヤーハーネス9cおよび本発明の第四実施形態にかかるワイヤーハーネス9dの保護したい部分に設けられた被覆部材92c,92dは、電線91の所定の箇所を保護するプロテクタとなる。また、本発明の第三実施形態にかかるワイヤーハーネス9cおよび本発明の第四実施形態にかかるワイヤーハーネス9dのうちの所定の形状に維持したい部分に設けられた被覆部材92c,92dは、当該所定の箇所を所定の形状に維持する。さらに、本発明の第三実施形態にかかるワイヤーハーネス9cおよび本発明の第四実施形態にかかるワイヤーハーネス9dの保護したい部分であり、かつ所定の形状に維持したい部分に設けられた被覆部材92c,92dは、プロテクタとして機能するとともに、本発明の第三実施形態にかかるワイヤーハーネス9cおよび本発明の第四実施形態にかかるワイヤーハーネス9dの所定の箇所を所定の形状に維持する。
一方、被覆部材92c,92dの中心部は、成形前の第一の素材801および第二の素材802の物理的性質を有しており、表層部に比較して軟らかい。電線91の所定の箇所は被覆部材92c,92dに包まれており(=第一の素材801と第二の素材802との間に埋め込まれており)、電線91の所定の箇所は被覆部材92c,92dに弾性的に接触している。このため、被覆部材92c,92dは、電線の所定の箇所を保護する緩衝材として機能する。たとえば、被覆部材92c,92dに衝撃や振動が加わっても、電線91の所定の箇所に衝撃や振動が伝わることが防止または抑制される。さらに、電線91の所定の箇所と被覆部材92c,92dとの間で衝突音などが発生することが防止される。
そして、被覆部材92c,92dの一部または全部に保護層923c,923dが設けられるから、被覆部材92c,92dの耐摩耗性の向上を図ることができる。
さらに、保護層の素材803に液体を浸透や透過しない材料が適用されると、被覆部材92c,92dの耐摩耗性の向上を図ることができるとともに、被覆部材92c,92dに撥水性または防水性をもたせることができる。このため、成形された被覆部材92c,92dに液体がかかるなどしても、被覆部材92c,92dは液体を吸収しないから、被覆部材92c,92dの重量が増加することや、液体が被覆部材92c,92dを伝って不測の箇所に到達することを防止できる。
次に、本発明の第三実施形態にかかるワイヤーハーネス9cの製造方法および本発明の第四実施形態にかかるワイヤーハーネス9dの製造方法について説明する。ただし、この製造方法に使用される下側保持具11a,上側保持具12a,下型13a,上型14a等については、図2および図3において既に説明したので、ここでは割愛する。
図19〜図22は、それぞれ、本発明の第三実施形態にかかるワイヤーハーネス9cの製造方法および本発明の第四実施形態にかかるワイヤーハーネス9dの所定の工程を、模式的に示した断面図である。それぞれ、図19は、第一の下側保持具11aに、第一の素材801と電線91の所定の箇所と第二の素材802と保護層の素材803とが収容され、第一の上側保持具12aが載置された状態を示した図である。図20は、第一の素材801と電線91の所定の箇所と第二の素材802と保護層の素材803とが収容された第一の下側保持具11aが、第一の下型13aに載置された状態を示した図である。図21は、第一の素材801および第二の素材802が、第一の下型13aと第一の上型14aとにより加熱および加圧されている状態を示した図である。図22は、製造された本発明の第三実施形態にかかるワイヤーハーネス9cまたは本発明の第四実施形態にかかるワイヤーハーネス9dの所定の箇所(=成形された被覆部材92c,92d)が、第一の下側保持具11aに載置された状態で、第一の上型13aおよび第一の下型14aから取り外された状態を示した図である。
なお、本発明の第三実施形態にかかるワイヤーハーネス9cの製造方法と、本発明の第四実施形態にかかるワイヤーハーネス9dの製造方法とで共通する構成は、図19〜図22を参照してまとめて説明する。
第一の素材801および第二の素材802と保護層の素材803とが別部材である場合には、図19に示すように、まず、保護層の素材803が、第一の下側保持具11aの所定の箇所に載置される。「所定の箇所」は、被覆部材92c,92dの表面のうちの保護層923c,923dが形成される位置および範囲に応じて設定される。本発明の第三実施形態にかかるワイヤーハーネス9cは、被覆部材92cの表面の一部に保護層923cが設けられるため、保護層の素材803の寸法および形状は、保護層923cの寸法および形状に応じて設定される。本発明の第四実施形態にかかるワイヤーハーネス9dは、被覆部材92dの表面の全体に保護層923dが設けられるため、保護層の素材803の寸法および形状は、被覆部材92dの寸法および形状に応じて設定される。
そして、第一の素材801と電線91の所定の箇所と第二の素材802とが、第一の下側保持具11aに収容される。まず、第一の素材801が、電線91の所定の箇所を挟むように(または包むように)曲げられ(たとえば、略「U」字形状または略「C」字形状に曲げられ)、その状態で、第一の下側保持具11aの両側壁部113aの間に収容される。この際、図19に示すように、第一の素材801の曲げられた側(=「U」字の底に相当する側)を、第一の下側保持具11aの下側(=第一の加圧部111aおよび第二の加圧部112aが形成される側)に向ける。そして、電線91の所定の箇所および第一の素材801の上側に、電線91の所定の箇所および第一の素材801を覆うように、第二の素材802が載置される。
そして、第二の素材802の上側の「所定の箇所」に、保護層の素材803が載置される。保護層の素材803の寸法および形状、「所定の箇所」は、前記同様である。そして、保護層の素材803、第一の素材801、電線91の所定の箇所、第二の素材802の上側に、第一の上側保持具12aが載置される。
第一の素材801および第二の素材802に保護層の素材803があらかじめ設けられた構成である場合(=一面に保護層の素材803が設けられた第一の素材801および第二の素材802を用いる場合)には、図4において既に説明したので、ここではその説明を割愛する。
次いで、図20に示すように、第一の下側保持具11aが、保護層の素材803と、第一の素材801と、電線91の所定の箇所と、第二の素材802とを収容し、第一の上側保持具12aが載置された状態で、第一の下型13aの上側に載置される。すなわち、第一の下側保持具11aの下側の一部が、第一の下型13aの上側に形成される「溝」(=支持部133aが溝の側面に相当し、第一の加圧部131aおよび第二の加圧部132aが溝の底面に相当する)に嵌め込まれる。このため、第一の下型13aの上側に載置された第一の下側保持具11aは、容易に位置ずれしたり、容易に倒れたり、容易に第一の下型13aから外れたりすることがない。
第一の下側保持具11aが第一の下型13aに載置されると、第一の下側保持具11aの第一の加圧部111aの下側の面と第二の加圧部112aの下側の面とが、それぞれ、第一の下型13aの第一の加圧部131aと第二の加圧部132aに接触する。第一の下側保持具11aの側壁部113aの外側の面の全部または下側の一部が、第一の下型13aの支持部133aに近接または接触する。
なお、第一の下型13aの第一の加圧部131aおよび第二の加圧部132aと、第一の上型14aの第一の加圧部141aおよび第二の加圧部142aとは、温度調節手段により「所定の温度」(正確には、第一の素材801および第二の素材802を「所定の温度」に加熱可能な温度)に維持されている。
「所定の温度」は、第一の素材801および第二の素材802に第一の不織布が適用される場合には、バインダ繊維のバインダ材の融点以上の温度であって、第一の素材801および第二の素材802の融点と保護層の素材803の融点のいずれか低い方の温度以下の温度が適用される。一方、第一の素材801および第二の素材802に熱可塑性材料からなる第二の不織布または発泡体が適用される場合には、第二の不織布または発泡体の材料である熱可塑性材料の融点近傍の温度(ただし、融点以上の温度)が適用される。たとえば、第一の不織布のバインダ繊維のバインダ材の融点が110℃であり、保護層の素材803の融点が120℃である場合には、「所定の温度」は110〜120℃が適用できる。
次いで、図21に示すように、第一の下型13aと第一の上型14aとを接近させる。第一の下型13aと第一の上型14aは、図略のプレス機に組み付けられており、プレス機の動作によって、第一の下型13aと第二の下型14aとが接近する。具体的には、第一の下側保持具11aの第一の加圧部111aおよび第二の加圧部112aと、第一の上側保持具12aの第一の加圧部121aおよび第二の加圧部122aとに囲繞される空間の形状および寸法が、成形された被覆部材92c,92dの形状および寸法となるように、第一の下型13aと第一の上型14aとを接近させる。そして、第一の下型13aと第二の上型14aとを接近させることにより、第一の素材801および第二の素材802の加熱および加圧を行う。そして、所定の時間にわたり、この状態を維持する(すなわち、加熱および加圧を継続する)。
このような構成によれば、第一の素材801および第二の素材802のうち、第一の下側保持具11aの第一の加圧部111aと、第一の上側保持具12aの第一の加圧部121aに挟まれて加圧される部分が、被覆部材92c,92dの本体部921c,921dになる。また、第一の下側保持具11aの第二の加圧部112aと第一の上側保持具12aの第二の加圧部122aとに挟まれて加圧される部分が、被覆部材92c,92dの延出部922c,922dとなる。
「所定の時間」、すなわち第一の素材801および第二の素材802の加熱および加圧を継続する時間は、次のとおりである。
第一の素材801および第二の素材802に第一の不織布が適用される場合には、第一の素材801および第二の素材802のうち、被覆部材92c,92dに成形された後に延出部922c,922dとなる部分(=第一の下側保持具11aの第二の加圧部112aと第一の上側保持具12aの第二の加圧部122aとに挟まれる部分)が、厚さ方向の全体にわたって第一の温度帯域に達するのに必要な時間よりも長い時間であるが、被覆部材92c,92dの本体部921c,921dとなる部分(=第一の下側保持具11aの第一の加圧部111aと第一の上側保持具12aの第一の加圧部121aとに挟まれる部分)の中心部(=電線91の所定の箇所およびその近傍)は、第一の温度帯域に達しない時間である。
第一の素材801および第二の素材802に第二の不織布または発泡体(=熱可塑性材料からなりバインダ材を有さない不織布または発泡体)が適用される場合には、第一の素材801および第二の素材802のうち、被覆部材92c,92d延出部922c,922dとなる部分が、熱可塑性材料の融点の温度に達するのに必要な時間よりも長い時間であるが、被覆部材92c,92dの本体部921c,921dとなる部分の中心部は、熱可塑性材料の融点近傍の温度に達しない時間である。
被覆部材92c,92dの延出部922c,922dは、本体部921c,921dよりも厚さ寸法が小さいから、被覆部材92c,92dの本体部921c,921dになる部分の中心部が「所定の温度」に達するよりも前に、延出部922c,922dになる部分の全体を前記所定の温度に加熱することができる。
第一の素材801および第二の素材802が、「所定の温度」で「所定の時間」にわたって加熱されながら加圧されると、次のようなプロセスにより、被覆部材92c,92dの延出部922c,922dが成形される。
第一の素材801および第二の素材802が加圧されている間は、第一の下側保持具11aの第二の加圧部112aと第一の上側保持具12aの第二の加圧部122aとの間の距離が、被覆部材92c,92dの延出部922c,922dの厚さ寸法と略同じに維持される。加圧前における第一の素材801および第二の素材802の厚さ寸法は、成形された被覆部材92c,92dの延出部922c,922dの厚さ寸法よりも大きい寸法を有する。このため、第一の素材801および第二の素材802のうち、第一の下側保持具11aの第二の加圧部112aと第一の上側保持具12aの第二の加圧部122aとに挟まれた部分は、加圧されて圧縮変形する。そしてこの部分は、第一の下型13aおよび第一の上型14aの温度調節手段が発する熱により加熱され、所定の温度に達する。このため、この圧縮変形は、熱可塑性による塑性変形となる。
第一の素材801および第二の素材802に、第一の不織布が適用される場合には、第一の不織布の基本繊維およびバインダ繊維の芯繊維は、熱可塑性によって塑性変形する。ただし、「所定の温度」は、第一の不織布の基本繊維およびバインダ繊維の芯繊維の融点よりも低い温度であるから、溶融はせず、固体の状態(=繊維の状態)に維持される。一方、「所定の温度」は、バインダ繊維のバインダ材の融点より高い温度であるから、バインダ繊維のバインダ材が溶融し、基本繊維やバインダ繊維の芯繊維の間に染み渡るとともに、第一の素材801と第二の素材802との接触面にも広がる。このため、第一の素材801および第二の素材802のそれぞれの基本繊維およびバインダ繊維の芯繊維どうしが、バインダ材により結合する。さらに、第一の素材801と第二の素材802との接触面に広がった溶融したバインダ材により、第一の素材801と第二の素材802とが接合する。
第一の素材801および第二の素材802に、バインダ材を有しない熱可塑性材料からなる第二の不織布または発泡体が適用される場合には、「所定の温度」は、熱可塑性材料の融点近傍の温度(ただし、融点以上の温度)であるから、第一の素材801および第二の素材802は、熱可塑性により塑性変形する。そして、第一の素材801および第二の素材802のそれぞれの一部が溶融するため、第一の素材801と第二の素材802とが溶着する。
このように、第一の素材801および第二の素材802が、第一の不織布、第二の不織布、発泡体のいずれからなる場合であっても、第一の素材801および第二の素材802のうち、被覆部材92c,92dの延出部となる部分(=第一の下側保持具11aの第二の加圧部112aと第一の上側保持具12aの第二の加圧部122aとに挟まれる部分)は、塑性変形(=圧縮変形)して上下方向寸法が縮まるとともに接合する。
一方、次のようなプロセスにより、被覆部材92c,92dの本体部921c,921dが成形される。
第一の素材801および第二の素材802のうち、第一の下側保持具11aの第一の加圧部111aと第一の上側保持具12aの第一の加圧部121aとに挟まれる部分が、被覆部材92c,92dの本体部921c,921dとなる。第一の素材801および第二の素材802のうち、第一の下側保持具11aの第一の加圧部111aと第一の上側保持具12aの第一の加圧部121aとに挟まれる部分は、これらにより加圧される。そして、第一の素材801および第二の素材802は、第一の下側保持具11aの第一の加圧部111aと第一の上側保持具12aの第一の加圧部121aとの間に形成される空隙の形状に略等しい形状に塑性変形し、被覆部材92c,92dの本体部921c,921dになる。
第一の素材801および第二の素材802に第一の不織布が適用される場合には、第一の素材801および第二の素材802のうち、第一の下側保持具11aの第一の加圧部111aに接触している部分とその近傍、および第一の上側保持具12aの第一の加圧部121aに接触している部分とその近傍は、「所定の温度」に達する。このため、バインダ繊維のバインダ材が熱により溶融し、基本繊維やバインダ繊維の芯繊維どうしの間に染み渡るように広がる。そして、第一の下側保持具11aの第一の加圧部111aに接触している部分とその近傍、および第一の上側保持具12aの第一の加圧部121aに接触している部分とその近傍は、中心部(=電線91の所定の箇所に接触している部分およびその近傍)に比較して温度が高い。このため、これらの部分は、中心部に比較して塑性変形の度合が大きくなり、中心部に比較して基本繊維およびバインダ繊維の芯繊維の密度が高くなる。
第一の素材801および第二の素材802に第二の不織布または発泡体が適用される場合には、第一の素材801および第二の素材802のうち、第一の下側保持具11aの第一の加圧部111aに接触している部分とその近傍と、第一の上側保持具12aの第一の加圧部121aに接触している部分とその近傍とは、それらの中心部(=電線に接触している部分およびその近傍)に比較して温度が高いため、中心部に比較して塑性変形の度合が大きくなる。この結果、繊維または発泡体の密度が中心部に比較して高くなる。また、第一の下側保持具11aの第一の加圧部111aに接触している部分とその近傍の一部、および第一の上側保持具12aの第一の加圧部121aに接触している部分とその近傍の一部は、「所定の温度」に達するから、第二の不織布または発泡体の一部が溶融する。第二の不織布または発泡体が溶融すると、気泡が抜けて密度が高くなる。
このように、第一の下側保持具11a、第一の上側保持具12a、第一の下型13a、第一の上型14aとにより、第一の素材801および第二の素材802が加熱されながら加圧されると、被覆部材92c,92dの延出部922c,922dとなる部分において、第一の素材801と第二の素材801とが接合して一体化する。さらに、被覆部材92c,92dの本体部921c,921dとなる部分の表層部の密度が、中心部に比較して高くなる。
なお、第一の下型13aが発する熱は、第一の下側保持具11aを通じて第一の素材801や第二の素材802に伝わる。同様に、第一の上型14aが発する熱は、第一の上側保持具12aを通じて第一の素材801や第二の素材802に伝わる。第一の下側保持具11aおよび第一の上側保持具12aは熱伝導率の高い材料から形成され、かつ上下方向に熱を伝えやすい構成であるから、第一の下型13aおよび第一の上型14aが発する熱は、第一の素材801や第二の素材802に伝わりやすい。このため、前記「所定の時間」を長くする必要がない。
さらに、第一の素材801および第二の素材802と保護層の素材803とが別部材である場合には、この過程において、保護層の素材803が、第一の素材801と第二の素材802のそれぞれの表面に貼り付き、保護層923c,923dとなる。第一の素材および第二の素材にあらかじめ保護層の素材803が設けられた場合には、保護層の素材803が所定の形状に成形されて保護層923c,923dとなる。具体的なプロセスは次のとおりである。
第一の素材801および第二の素材802が第一の下側保持具11aおよび第一の上側保持具12aよりに加圧される間に、それらの表面が「所定の温度」に達する。このため、第一の素材801および第二の素材802に第一の不織布が適用される場合には、第一の素材801および第二の素材802の表層部のバインダ材が溶融する。そして、溶融したバインダ材が接着剤となって、保護層の素材803が、第一の素材801と第二の素材802のそれぞれの表面に貼り付く。一方、第一の素材801および第二の素材802に第二の不織布または発泡体が適用される場合には、第一の素材801および第二の素材802の表層部の少なくとも一部が溶融する。そして、溶融した第一の素材801および第二の素材802が接着剤となって、保護層の素材803が、第一の素材801と第二の素材802のそれぞれの表面に貼り付く。この結果、被覆部材92c,92dの表面に、保護層923c,923dが成形される。
保護層の素材803が熱可塑性の材料からなれば、この過程において、保護層の素材803が熱可塑性により塑性変形して、第一の下側保持具11aの第一の加圧部111aや第一の上側保持具12aの第一の加圧部121aの形状および寸法に倣った形状および寸法となる。すなわち、この過程においては、第一の素材801および第二の素材802は、第一の下型13aおよび第一の上型14aの温度調節手段の熱により加熱され、熱可塑性による塑性変形ができる状態にある。そして第一の素材801および第二の素材802が弾性圧縮変形しているから、第一の素材801および第二の素材802が元の形状および寸法に戻ろうとする力により、保護層の素材803には、第一の下側保持具11aの上側の面や第一の上側保持具12aの下側の面に押し付けられるような力が加わる。このため、保護層の素材803は、第一の下側保持具11aの上側の面や第一の上側保持具12aの下側の面の寸法および形状と略同じ寸法および形状に塑性変形する。
次いで、図22に示すように、「所定の時間」が経過した後、第一の下型13aと第一の上型14aとが分離される。そして、本発明の第三実施形態にかかるワイヤーハーネス9cおよび本発明の第四実施形態にかかるワイヤーハーネス9dのそれぞれの所定の箇所(すなわち、成形された被覆部材92c,92dおよび電線91の所定の箇所)が、第一の下側保持具11aと第一の上側保持具12aとに挟まれた状態で、第一の下型11aから取り外される。そして、本発明の第三実施形態にかかるワイヤーハーネス9cおよび本発明の第四実施形態にかかるワイヤーハーネス9dのそれぞれの所定の箇所が、第一の下側保持具11aに載置された状態で冷却される。
第一の素材801および第二の素材802に第一の不織布が適用される場合には、成形された被覆部材92c,92dが、第一の不織布の基本繊維およびバインダ繊維の芯繊維が熱可塑性による塑性変形を生じない温度(少なくとも、第一の温度帯域よりも低い温度)になった後、第一の下側保持具11aおよび第一の上側保持具12aから取り外される。また、第一の素材801および第二の素材802に第二の不織布または発泡体が適用される場合には、熱可塑性の材料が熱可塑性による塑性変形を生じない温度になった後、第一の下側保持具11aおよび第一の上側保持具12aから取り外される。なお、冷却方法は特に限定されるものではない。たとえば、冷蔵庫内に収納する方法や、常温または低温の気体を吹き付ける方法のほか、常温中に放置する方法であってもよい。
以上の工程により、本発明の第三実施形態にかかるワイヤーハーネス9cおよび本発明の第四実施形態にかかるワイヤーハーネス9dのそれぞれの所定の箇所に、被覆部材92c,92dが設けられる。なお、本発明の第三実施形態にかかるワイヤーハーネス9cおよび本発明の第四実施形態にかかるワイヤーハーネス9dの製造には、前記工程のほかに、電線91を切り出す工程、電線91を所定の態様で纏める工程(=幹線や枝線を形成する工程)、電線91の端部にコネクタ類を装着する工程などが必要となる。これらの工程には、従来公知の各種方法が適用できる。したがって、これらの工程の説明は省略する。
第一の下側保持具11aおよび第一の上側保持具12aは、熱伝導率の高い材料から形成され、かつ上下方向に熱を伝えやすい構成を有する。このため、成形された被覆部材92c,92d(=第一の素材801および第二の素材802)が有する熱は、第一の下側保持具11aおよび第一の上側保持具12aを通じて迅速に外部に放散される。また、第一の下側保持具11aおよび第一の上側保持具12aは蓄熱量が小さいから、第一の下型11aから取り外されると、ただちに温度降下が開始する。このため、第一の下型11aから取り外された後においては、第一の下側保持具11aおよび第一の上側保持具12aが、本発明の第三実施形態にかかるワイヤーハーネス9cおよび本発明の第四実施形態にかかるワイヤーハーネス9dのそれぞれ所定の箇所を加熱することがない。このように、本発明の第三実施形態にかかるワイヤーハーネス9cおよび本発明の第四実施形態にかかるワイヤーハーネス9dのそれぞれの所定の箇所が、必要以上に加熱されることを防止できる。したがって、被覆部材92c,92dの性質の制御が容易となる。
第一の素材801および第二の素材802に第一の不織布が適用される場合には、成形された被覆部材92c,92dが、熱可塑性による塑性変形を生じない温度(少なくとも、第一の温度帯域よりも低い温度)になると、成形された被覆部材92c,92dの形状および寸法が確定する。さらに、溶融して基本繊維やバインダ繊維の芯繊維の間に染み渡ったバインダ材が固化し、バインダ材が基本繊維やバインダ繊維の芯繊維どうしを接着する。このため、バインダ材が溶融して染み渡った部分は、その他の部分に比較して硬くなる。
成形された被覆部材92c,92dの延出部922c,922d(=第一の素材801および第二の素材802のうち、第一の下側保持具11aの第二の加圧部112aと第一の上側保持具12aの第二の加圧部122aとに挟まれて加圧された部分)には、バインダ材が当該部分のほぼ全体にわたって溶融して染み渡り、その後固化している。さらに、延出部922c,922dは、圧縮変形しており、基本繊維やバインダ繊維の芯繊維の密度が高くなっている。このように、被覆部材92c,92dの延出部922c,922dは、基本繊維およびバインダ繊維の芯繊維の密度が高くなった状態で、バインダ材により互いに接着されるから、他の部分に比較して硬度が高い。さらに、第一の素材801および第二の素材802は、延出部922c,922dにおいて、バインダ材が固化することによって接合して一体化している。
成形された被覆部材92c,92dの本体部921c,921d(=第一の素材801および第二の素材802のうち、第一の下側保持具11aの第一の加圧部111aと第一の上側保持具12aの第一の加圧部121aとに挟まれて加圧された部分)の表層部は、第一の温度帯域に達しているから、バインダ材が溶融しその後固化している。このため、被覆部材92c,92dの本体部921c,921dの表層部は、バインダ材により基本繊維や芯繊維どうしが接合している。さらに、被覆部材92c,92dの表層部921c,921dは、基本繊維やバインダ繊維の密度が中心部に比較して高い。すなわち、被覆部材92c,92dの本体部921c,921dの表層部は、その本体部921c,921dの中心部に比較して、加圧時における温度が高いから、熱可塑性による塑性変形の度合も大きい(=圧縮変形量が大きい)。このため、成形された本体部921c,921dの表層部は、中心部に比較して、基本繊維やバインダ繊維の芯繊維の密度が高い。そして、密度が高くなった状態で、第一の不織布の基本繊維とバインダ繊維の芯繊維どうしがバインダ材により接合されている。したがって、加圧前に比較すると硬くなっている。
一方、成形された被覆部材92c,92dの本体部921c,921dの中心部(すなわち、電線91の所定の箇所に接触している部分およびその近傍)は、加圧時において第一の温度帯域に達していない。このため、被覆部材92c,92dの本体部921c,921dの表層部に比較して、熱可塑性による塑性変形の度合が小さいか、または熱可塑性による塑性変形が生じていない。そして、第一の温度帯域に達していないから、バインダ繊維のバインダ材は溶融していない。したがって、被覆部材92c,92dの本体部921c,921dの中心部は、成形前の第一の不織布とほぼ同じ物理的性質を有している(ただし、加圧により、繊維の密度が高くなっている場合がある)。
第一の素材801および第二の素材802に第二の不織布または発泡体が適用される構成においては、被覆部材92c,92dの延出部922c,922dは、第一の素材801および第二の素材802が圧縮されて密度が高くなっている。このため、延出部922c,922dは他の部分に比較して硬度が高くなっている。また、延出部922c,922dの少なくとも一部は加圧時において溶融しその後固化しているから、第一の素材801と第二の素材802とは、延出部922c,922dにおいて接合(=溶着)して一体化している。
また、被覆部材92c,92dの本体部921c,921dの表層部は、加圧時における温度が中心部に比較して高いから、塑性変形の度合は、中心部に比較して大きい。これに対して被覆部材92c,92dの本体部921c,921dの中心部は、加熱および加圧前の状態を維持している。このため、被覆部材92c,92dの本体部921c,921dの表層部は、中心部に比較して密度が高くなっている。さらに、被覆部材92c,92dの本体部921c,921dの表層部の一部は、加圧時において溶融温度以上の温度に達しているから、一部が溶融して気泡が抜け、繊維または発泡体の状態(すなわち、内部に気泡や空洞を有する状態)から、中実の固体(=内部に気泡や空洞が無いかまたはほとんど無い内部が詰まった固体)の状態に変化している。このため、被覆部材92c,92dの本体部921c,921dの表層部は、中心部に比較して硬く、かつ、加圧前に比較しても硬くなっている。
このように、第一の素材801および第二の素材802に、第一の不織布、不織布または発泡体のいずれが適用される構成においても、成形された被覆部材92c,92dの本体部921c,921dの表層部は、本体部921c,921dの中心部に比較して硬く、かつ成形前の第一の素材801および第二の素材802よりも硬くなっている。これに対して被覆部材92c,92dの本体部921c,921dの中心部は、加圧前とほぼ同じ物理的性質を有する。
このように、被覆部材92c,92dの本体部921c,921dの表層部を硬くすることができる。そして、この表層部が、本発明の第三実施形態にかかるワイヤーハーネス9cの所定の箇所(=電線91の所定の箇所)を保護することができる。また、硬さが硬く変形しにくいから、本発明の第三実施形態にかかるワイヤーハーネス9cおよび本発明の第四実施形態にかかるワイヤーハーネス9dの所定の箇所を所定の形状に維持することができる。
したがって、本発明の第三実施形態にかかるワイヤーハーネス9cおよび本発明の第四実施形態にかかるワイヤーハーネス9dのうちの保護したい箇所に設けられた被覆部材92c,92dは、プロテクタとして機能する。また、本発明の第三実施形態にかかるワイヤーハーネス9cおよび本発明の第四実施形態にかかるワイヤーハーネス9dのうち所定の形状に維持したい箇所に設けられた被覆部材92c,92dは、当該箇所を所定の形状に維持する。さらに、本発明の第三実施形態にかかるワイヤーハーネス9cおよび本発明の第四実施形態にかかるワイヤーハーネス9dのうち、保護したい箇所であって、かつ所定の形状に維持したい部分に設けられた被覆部材92c,92dは、プロテクタとして機能するとともに、当該所定の箇所を所定の形状に維持する。
本発明の第三実施形態にかかるワイヤーハーネス9cの製造方法および本発明の第四実施形態にかかるワイヤーハーネス9dの製造方法は、次のような作用効果を奏することができる。
第一の上型13aおよび第一の下型14aは、射出成形品を製造する金型(=射出成形用の金型)に比較して構造が簡単である。このため安価に製造できるから、設備コストの削減を図ることができる。また、本発明の第三実施形態にかかるワイヤーハーネス9cの製造方法および本発明の第四実施形態にかかるワイヤーハーネス9dの製造方法は、射出成形品のプロテクタなどを用いる構成に比較して、被覆部材に安価な材料(熱可塑性材料)が適用できる。このため、ワイヤーハーネスを安価に製造することができ、製品の低価格化を図ることができる。
さらに、本発明の第三実施形態にかかるワイヤーハーネス9cの製造方法および本発明の第四実施形態にかかるワイヤーハーネス9dの製造方法における被覆部材92c,92dを成形する工程は、射出成形品のプロテクタや被覆部材に電線を嵌め込む方法に比較して、作業が簡単である。
また、本発明の第三実施形態にかかるワイヤーハーネス9cおよび本発明の第四実施形態にかかるワイヤーハーネス9dは、電線91の所定の箇所が被覆部材92c,92dに包まれており(=第一の素材801と第二の素材802との間に埋め込まれており)、電線91の所定の箇所は被覆部材92c,92dに弾性的に接触している。このため、電線91の所定の箇所と被覆部材92c,92dとの間で衝突音などが発生しない。
さらに、被覆部材92c,92dを成形する工程において、同時に保護層923c,923dを成形することができる。このため、本発明の第三実施形態にかかるワイヤーハーネス9cの製造方法および本発明の第四実施形態にかかるワイヤーハーネス9dの製造方法における作業工数の増加を防止できる。したがって、本発明の第三実施形態にかかるワイヤーハーネス9cおよび本発明の第四実施形態にかかるワイヤーハーネス9dの価格の上昇を防止または抑制することができる。換言すると、工数を増加させることなく、被覆部材92c,92dの耐摩耗性の向上を図ることができる。
また、本発明の第三実施形態にかかるワイヤーハーネス9cの製造方法および本発明の第四実施形態にかかるワイヤーハーネス9dの製造方法においては、被覆部材92c,92dを成形する過程において、併せて、保護層の素材803が所定の形状(=被覆部材92c,92dの表面に倣った形状)に成形される。このため、保護層の素材803は、単純な形状のもの(たとえば、平板状のもの)が適用できる。したがって、保護層の素材803に、安価な部材が適用できる。たとえば、保護層の素材803には、所定の材料により形成されるシートまたは平板を、所定の寸法および形状に切り出したものが適用できる。このように、保護層の素材803には、特別な加工は必要ない。このため、被覆部材92c,92dの耐摩耗性の向上を図ることができるとともに、部品コストの上昇の防止または抑制を図ることができる。
また、本発明の第四実施形態にかかるワイヤーハーネス9dの製造方法によれば、保護層の素材803に液体を浸透や透過しない材料が適用されると、被覆部材92c,92dの耐摩耗性の向上を図ることができるとともに、被覆部材92c,92dに撥水性または防水性をもたせることができる。このため、成形された被覆部材92c,92dに液体がかかるなどしても、被覆部材92c,92dは液体を吸収しないから、被覆部材92c,92dの重量が増加することや、液体が被覆部材92c,92dを伝って不測の箇所に到達することを防止できる。
なお、前記説明においては、第一の素材801および第二の素材802と、保護層の素材803とが別部材である構成を示したが、このような構成でなくてもよい。たとえば、第一の素材801および第二の素材802の一面に、あらかじめ保護層923c,923dが成形されている構成(換言すると、ある一面に保護層923c,923dが成形されている第一の素材801および第二の素材802を用いる構成)であってもよい。また、第一の素材801および第二の素材802と、保護層の素材803とが別部材である場合には、第一の素材801および第二の素材802を第一の下側保持具11aに収容する工程において、同時に保護層の素材803を収容する構成であってもよい。たとえば、第一の素材801および第二の素材802の一面に、あらかじめ保護層の素材803を仮止め(接着など)しておく構成であってもよい。このような構成であっても、前記同様の作用効果を奏することができる。さらにこのような構成においては、保護層の素材803と、第一の素材801および第二の素材802とを、別々に第一の下側保持具に収容する必要がないから、作業工数や手間の更なる削減を図ることができる。
また、本発明の第三実施形態にかかるワイヤーハーネス9cの製造方法においては、第一の素材801および第二の素材802の両方に保護層923cが設けられる構成を示したが、いずれか一方にのみ設けられる構成であってもよい。要は、被覆部材92cのうち、耐摩耗性の向上を図りたい箇所に保護層923cが設けられる構成であればよい。
さらに、本発明の第三実施形態にかかるワイヤーハーネス9cの製造方法および本発明の第四実施形態にかかるワイヤーハーネス9dの製造方法は、第一の下側保持具11aを用いることにより、次のような効果を奏することができる。
これに対して、本発明の第三実施形態にかかるワイヤーハーネス9cの製造方法および本発明の第四実施形態にかかるワイヤーハーネス9dの製造方法においては、第一の下側保持具11aに第一の素材801と電線91の所定の箇所と第二の素材802と保護層の素材803とを収容する作業の最中は、第一の下側保持具11aを加熱する必要がない(=第一の下側保持具11aを第一の下型13aに載置する必要がない)。したがって、第一の下型13aおよび第一の上型14aにより加圧するときにのみ、第一の素材801および第二の素材802を加熱することができる。このように、第一の素材801と第二の素材802は、加圧前においては加熱されることがないため、加圧前において、第一の素材801および/または第二の素材802が予期しない変形を起こすおそれがない。したがって、第一の素材801および第二の素材802を、正確に被覆部材92c,92dの形状に成形することができる。
さらに、第一の素材801と電線91の所定の箇所と第二の素材802と保護層の素材803とが収容された第一の下側保持具11aが、第一の下型13aに載置された後、ただちに第一の素材801および第二の素材802の加熱および加圧を行うことができる。すなわち、加圧を行う前においては、第一の素材801および第二の素材802が長時間にわたって加熱されることがない。したがって、第一の素材801および第二の素材802の中心部に熱が伝達する前に、加圧して成形を行うことができる。このため、第一の素材801および第二の素材802の内部(特に電線91の所定の箇所に接している部分およびその近傍)が、「所定の温度」に達する前に加圧して成形を行うことができる。したがって、第一の素材801および第二の素材802の内部が硬化することがないから、第一の素材801および第二の素材802が防音材や緩衝材としての機能を失うことがない。
さらに、第一の下側保持具11aに保護層の素材803と第一の素材801と電線91の所定の箇所と第二の素材802とを収容する作業は、第一の下型13aおよび第一の上型14aから離れた場所で行うことができる。このため、作業空間が広い場所で作業を行うことができるから、作業を容易に行うことができる。すなわち、第一の下型13aおよび第一の上型14aは一般的にプレス機に組み付けられていることから、第一の下型13aに直接的に第一の素材801などを収容する場合には、第一の下型13aと第一の上型14aの間の限られた空間で行う必要がある。このため、第一の上型14aが作業の阻害要因となることがある。これに対して、第一の下側保持具11aを用いる構成では、作業場所を問わないから、作業を阻害するものがない場所で作業を行うことができる。また、第一の素材801と電線91の所定の箇所と第二の素材801と保護層の素材803とを第一の下側保持具11aに収容する作業は、第一の下型13aまたは第一の上型14aに触れることがない場所で行えるから、作業者が火傷を負うおそれがなくなる。
また、加圧時にのみ第一の下型13aおよび第一の上型14aを加熱する構成と比較すると、加圧時のみならず、それ以外のとき(たとえば待機時)においても、第一の下型13aおよび第一の上型14aを「所定の温度」に維持しておくことができる。このため、第一の下側保持具11aに保護層の素材803と第一の素材801と電線91の所定の箇所と第二の素材802とを収容する作業が完了した後、ただちに加熱および加圧を行うことができる。このため、本発明の第三実施形態にかかるワイヤーハーネス9cおよび本発明の第四実施形態にかかるワイヤーハーネス9dの製造に要する時間を短縮することができる。また、第一の下型13aおよび第一の上型14aを常に所定の温度に維持しておくことができるから、加圧時において第一の素材801および第二の素材802の温度の制御が容易となる。
さらに、第一の下側保持具11aを用いる構成においては、第一の下型13aおよび第一の上型14aを常に所定の温度に維持できるから、加圧開始と同時に、第一の素材801および第二の素材802を速やかに所定の温度に加熱することができる。このため、電線91の所定の箇所や、第一の素材801および第二の素材802の電線91の所定の箇所の近傍の部分が、熱が伝わって高温になる前に、延出部922c,922dにおいて第一の素材801と第二の素材802とを接合することができるとともに、保護層の素材803を、第一の素材801と第二の素材802の表面に貼り付けることができる。
さらに、このような構成によれば、第一の素材801および第二の素材802として第一の不織布が適用される場合には、被覆部材92c,92dの本体部921c,921dの表層部のみを所定の温度に加熱して塑性変形させ、かつ表層部のみのバインダ材を溶かすことができる。したがって、被覆部材92c,92dの本体部921c,921dにおいては、その表層部のみ、第一の素材801および第二の素材802を塑性変形させることができるとともに、バインダ材を基本繊維やバインダ繊維の芯繊維どうしの間に染み渡らせることができる。
同様に、第一の素材801および第二の素材802として、熱可塑性の材料からなる第二の不織布または発泡体が適用される場合には、被覆部材92c,92dの本体部921c,921dの表層部のみを所定の温度に加熱して塑性変形させ、かつ表層部の一部のみ熱可塑性の材料を溶融することができる。したがって、被覆部材92c,92dの本体部921c,921dにおいては、その表層部のみ、第一の素材801および第二の素材802を塑性変形させることができるとともに、気泡や空洞をなくすことまたは少なくすることができる。
このため、冷却した後は、表層部のみが硬化し、中心部は加圧前の物理的性質を有する(=弾性変形可能な状態を維持する)。したがって、硬化した部分が、本発明の第三実施形態にかかるワイヤーハーネス9cおよび本発明の第四実施形態にかかるワイヤーハーネス9dのそれぞれの所定の箇所の形状を所定の形状に維持できるとともに、保護することができる。さらに、被覆部材92c,92dの本体部921c,921dの中心部の硬化していない部分が、電線91の所定の箇所の防音材や緩衝材として機能する。
さらに、第一の下側保持具11aを用いる構成は、製造された本発明の第三実施形態にかかるワイヤーハーネス9cおよび本発明の第四実施形態にかかるワイヤーハーネス9dのそれぞれの所定の箇所(=成形された被覆部材92c,92d)が、第一の下型11aから取り外される際や、取り外された後において、被覆部材92c,92dが熱可塑性による変形を生じない温度に下がるまでの間に、予期しない変形(または望まない変形)が生じることを防止できる。
すなわち、第一の下側保持具11aを用いない構成では、被覆部材92c,92dを加圧した後、第一の下型13aから取り外す際に、本発明の第三実施形態にかかるワイヤーハーネス9cおよび本発明の第四実施形態にかかるワイヤーハーネス9dを直接的に掴む必要がある。本発明の第三実施形態にかかるワイヤーハーネス9cおよび本発明の第四実施形態にかかるワイヤーハーネス9dのそれぞれの被覆部材92c,92dの少なくとも表層部は、第一の下型13aおよび第一の上型14aにより加熱および加圧された直後においては、高温(=熱可塑性による塑性変形が生じる温度)にある。このため、成形された被覆部材92c,92dのうち、掴まれた部分およびその近傍が変形するおそれがある。また、取り外す際に、本発明の第三実施形態にかかるワイヤーハーネス9cおよび本発明の第四実施形態にかかるワイヤーハーネス9dが、自重などによって撓み変形することもある。さらに、第一の下型13aから取り外した後であって、被覆部材92c,92dが熱可塑性による塑性変形を生じない温度に下がるまでの間にも、異物などが接触すると変形が生じるおそれがある。
これに対して本発明の第三実施形態にかかるワイヤーハーネス9cの製造方法および本発明の第四実施形態にかかるワイヤーハーネス9dの製造方法においては、成形された被覆部材92c,92dは、第一の下側保持具11aに載置された状態で第一の下型13aから取り外すことができる。さらに、第一の下型13aから取り外された本発明の第三実施形態にかかるワイヤーハーネス9cおよび本発明の第四実施形態にかかるワイヤーハーネス9dの所定の箇所(=被覆部材92c,92d、保護層923c,923d、電線91の所定の箇所)は、第一の下側保持具11aに載置された状態で冷却することができる。
このように、本発明の第三実施形態にかかるワイヤーハーネス9cおよび本発明の第四実施形態にかかるワイヤーハーネス9dのそれぞれの所定の箇所を第一の下型13aから取り外す際には、第一の下側保持具11aを掴んで取り外せばよい(=第一の下側保持具11aごと取り外せばよい)。このため、成形された被覆部材92c,92dに直接に触れる必要ない。また、成形された被覆部材92c,92dは、第一の下側保持具11aに収容されているから、成形された被覆部材92c,92dを、加圧されて成形された形状を維持した状態で、第一の下型13aから取り外すことができる。さらに、成形された被覆部材92c,92dは、第一の下側保持具11aに載置された状態で冷却することができる。このため、成形された被覆部材92c,92dには、第一の下型13aから取り外された後、熱可塑性による塑性変形が生じない温度に冷却されるまでの間(=成形された形状が確定するまでの間)において、触れる必要がなく、かつ異物が接触することが防止される。このため、成形された被覆部材92c,92dに予期しない変形(または望まない変形)が発生することを防止できる。
なお、成形された被覆部材92c,92dに予期しない変形が生じないようにするために、第一の下型13aおよび第一の上型14aを冷却してから取り外す構成が適用できる。しかしながら、この構成では、第一の下型13aおよび第一の上型14aの冷却のための時間が必要であるから、本発明の第三実施形態にかかるワイヤーハーネス9cおよび本発明の第四実施形態にかかるワイヤーハーネス9dの製造に要する時間が長くなる。また、加圧して成形するごとに、第一の下型13aおよび第一の上型14aの加熱と冷却を行う必要があるから、前記のような問題を有する。
さらに、本発明の第三実施形態にかかるワイヤーハーネス9cの製造方法および本発明の第四実施形態にかかるワイヤーハーネス9dの製造方法においては、第一の下側保持具11aに収容された第一の素材801および第二の素材802は、それらの全部が被覆部材となる。このため、被覆部材92c,92dが成形された後において、不要な部分を除去する作業(いわゆるトリミング)が不要である。したがって、作業工数の削減を図ることができる(または作業工数の増加を防止できる)。さらに、第一の素材801および第二の素材802の無駄をなくすことができる。
一方、第一の上側保持具12aを用いると、次のような効果を奏することができる。
第一の素材801および第二の素材802が、第一の下型13aおよび第一の上型14aにより加熱および加圧されて成形された後、第一の下型13aと第一の上型14aとが分離すると、成形された被覆部材92c,92dに加わっていた圧力がなくなる。そうすると、成形された被覆部材92c,92dは、成形前の形状および寸法に戻ろうとすることがある(たとえば、金属などの塑性加工におけるスプリングバックに相当する現象が生じることがある)。特に、成形された被覆部材92c,92dの本体部921c,921dの中心部は、本体部921c,921dの表層部や延出部922c,922dと比較すると、加圧時における温度が低いから、塑性変形ではなく弾性変形していることがある。このため、第一の下型13aおよび第一の上型14aによる加圧力が除去されると、成形された被覆部材92c,92dが、成形前の第一の素材801および第二の素材802の寸法および形状に戻ろうとする(=大きくなろうとする)ことがある。
本発明の第三実施形態にかかるワイヤーハーネス9cの製造方法および本発明の第四実施形態にかかるワイヤーハーネス9dの製造方法によれば、成形された被覆部材92c,92dは、第一の下型13aと第一の上型14aから取り出された後、熱可塑性による塑性変形が生じない温度になるまでは、第一の上側保持具12aの自重によって圧縮力が加え続けられる。このため、成形された被覆部材92c,92dが、成形前の第一の素材801および第二の素材802の寸法および形状に戻ることを防止できる。そして、成形された被覆部材92c,92dが、熱可塑性による塑性変形を生じない温度になれば、被覆部材92c,92dの寸法および形状が、成形された形状に確定して変形しなくなる。このように、本発明の第三実施形態にかかるワイヤーハーネス9cおよび本発明の第四実施形態にかかるワイヤーハーネス9dのそれぞれの形状および寸法の精度の向上を図ることができる。
また、加圧後、成形された被覆部材92c,92dの温度が高い状態で(=熱可塑性により容易に塑性変形できる温度にある状態で)加圧力が除去されると、元の形状に戻ろうとする力により、被覆部材92c,92dの延出部922c,922dには分離するような力が加わることがある。そうすると、延出部922c,922dにおける第一の素材801と第二の素材802の接合の強度が低下するおそれや、第一の素材801と第二の素材802とが分離するおそれがある。
このため、成形された被覆部材92c,92dには、熱可塑性により塑性変形しない温度(第一の不織布が適用される場合には、少なくとも第一の温度帯域よりも低い温度)に下がるまで、第一の上側保持具12aの自重を加え続けられる。これにより、被覆部材92c,92dの延出部922c,922dにおける接合の強度の向上を図ること(または接合の強度の低下の防止を図ること)ができる。または、第一の素材801と第二の素材802が分離することを防止または抑制できる。
なお、第一の下側保持具11aと第一の上側保持具12aとをクランプなどで挟めば、成形された被覆部材92c,92dの変形をより確実に防止することができる。
さらに、第一の上側保持具12aを用いる構成においては、第一の素材801および第二の素材802を加圧した後、第一の下型13aと第一の上型14aとが分離する際に、第二の素材802が第一の上型14aに貼り付くことが防止できる。
すなわち、第一の素材801および第二の素材802に第一の不織布が適用される構成においては、第一の素材801および第二の素材802が加熱および加圧されている間は、バインダ繊維のバインダ材が溶融している。一方、第一の素材801および第二の素材802に、熱可塑性の材料からなる第二の不織布または発泡体が適用される構成においては、第一の素材801および第二の素材802は、加熱および加圧されている間は、それらの表面の少なくとも一部が溶融している。このため、第一の上側保持具12aを用いないと(=第一の上型14aが直接的に第二の素材802に接触する構成であると)、第一の下型13aと第一の上型14aとが分離する際に、特に第二の素材802が第一の上型14aに粘着し、第一の素材801が第一の下側保持具11aに粘着して、第一の素材801と第二の素材802に対して引き剥がされるような力が加わるおそれがある。その結果、第一の素材801と第二の素材802が分離するおそれや、接合の強度が低下するおそれがある。
これに対して、第一の上側保持具12aを用いる構成であれば、第一の下型13aと第一の上型14aとが分離する際に、第一の素材801と第二の素材802とに互いに引き剥がすような力が加わらない。したがって、第一の素材801と第二の素材802の分離の防止や接合強度の低下の防止を図ることができる。
さらに、被覆部材92c,92dは、加圧されて成形された後、熱可塑性による塑性変形が生じない温度に冷却されるまでの間は、第一の上側保持具12aにより蓋をされた状態にある。このため、成形された被覆部材92c、92dには、冷却している間に異物などが接触することが防止される。したがって、成形された被覆部材92c,92dに望まない変形が生じることが防止される。
次に、本発明の第五実施形態にかかるワイヤーハーネスと、本発明の第六実施形態にかかるワイヤーハーネスについて説明する。本発明の第五実施形態にかかるワイヤーハーネス9eと本発明の第六実施形態にかかるワイヤーハーネス9fは、被覆部材92e,92fの構成を除いては、本発明の第三実施形態にかかるワイヤーハーネス9cおよび本発明の第四実施形態にかかるワイヤーハーネス9dと同様の構成を有する。本発明の第三実施形態にかかるワイヤーハーネス9cおよび本発明の第四実施形態にかかるワイヤーハーネス9dと共通する構成については、説明を省略することがある。
図23(a)は、本発明の第五実施形態にかかるワイヤーハーネス9eの所定の箇所(=被覆部材92eが設けられる箇所)を抜き出して示した外観斜視図である。図23(b)は、本発明の第六実施形態にかかるワイヤーハーネス9fの所定の箇所(=被覆部材92fが設けられる箇所)を抜き出して示した外観斜視図である。
本発明の第五実施形態にかかるワイヤーハーネス9eの被覆部材92eは、本発明の第三実施形態にかかるワイヤーハーネス9cの被覆部材92cの本体部921cと同様の構成を有する。本発明の第六実施形態にかかるワイヤーハーネス9fの被覆部材92fは、本発明の第四実施形態にかかるワイヤーハーネス9dの被覆部材92dの本体部921dと同様の構成を有する。なお、本発明の第五実施形態にかかるワイヤーハーネス9eおよび本発明の第六実施形態にかかるワイヤーハーネス9fのそれぞれの被覆部材92e,92fは、本発明の第三実施形態にかかるワイヤーハーネス9cおよび本発明の第四実施形態にかかるワイヤーハーネス9dのそれぞれの被覆部材92c,92dと異なり、延出部を有さない。
なお、図23においては、被覆部材の断面形状が略六角形である構成を示すが、被覆部材の断面形状は限定されるものではない。たとえば略円形(図18(a),(b)参照)やその他所定の形状が適用できる。
本発明の第五実施形態にかかるワイヤーハーネス9eおよび本発明の第六実施形態にかかるワイヤーハーネス9fのそれぞれの被覆部材92e,92fは一個の素材により成形される。図23(a),(b)において、被覆部材92e,92fの断面に破線は、素材の接合面を模式的に示したものである。説明の便宜上、この素材を、「第三の素材804」と称する。第三の素材804には、第一の素材801および第二の素材802と同じ材料が適用できる。すなわち、第三の素材804には、第一の不織布、熱可塑性の材料からなる第二の不織布または発泡体のいずれかが適用できる。
図23(a)に示すように、本発明の第五実施形態にかかるワイヤーハーネス9eの被覆部材92eには、その表面の所定の箇所に保護層923eが形成される。一方、図23(b)に示すように、本発明の第六実施形態にかかるワイヤーハーネス9fの被覆部材92fには、その表面の略全体にわたって保護層923fが形成される。本発明の第五実施形態にかかるワイヤーハーネス9eの被覆部材92eの保護層923eは、本発明の第三実施形態にかかるワイヤーハーネス9cの被覆部材92cの保護層923cと同様の構成を有する。本発明の第六実施形態にかかるワイヤーハーネス9fの被覆部材92fの保護層923dは、本発明の第六実施形態にかかるワイヤーハーネス9fの被覆部材92fの保護層923dと同じ構成を有する。
本発明の第五実施形態にかかるワイヤーハーネス9eは、本発明の第三実施形態にかかるワイヤーハーネス9cと同様の作用効果を奏する。本発明の第六実施形態にかかるワイヤーハーネス9fは、本発明の第四実施形態にかかるワイヤーハーネス9fと同様の作用効果を奏する。
次に、本発明の第五実施形態にかかるワイヤーハーネス9eの製造方法および本発明の第六実施形態にかかるワイヤーハーネス9fの製造方法において用いられる工具などについての説明は割愛する。
次に、本発明の第五実施形態にかかるワイヤーハーネス9eの製造方法と、本発明の第六実施形態にかかるワイヤーハーネス9fの製造方法の工程について説明する。
図24〜図28は、それぞれ、本発明の第五実施形態にかかるワイヤーハーネス9eと本発明の第六実施形態にかかるワイヤーハーネス9fの製造方法の所定の工程を、模式的に示した断面図である。具体的には、図24は、第二の下側保持具11bに第三の素材804と電線91の所定の箇所と保護層の素材803とが収容され、さらに第二の上側保持具12bが載置された状態を示した図である。図25は、第二の下側保持具11bに、保護層の素材803が設けられた第三の素材804と電線91の所定の箇所とが収容され、さらに第二の上側保持具12bが載置された状態を示した図である。図26は、第三の素材804と電線91の所定の箇所と保護層の素材803とが収容された第二の下側保持具11bが、第二の下型13bに載置された状態を示した図である。図27は、第二の下型13bと第二の上型14bとにより第三の素材804が加熱されながら加圧されている状態を示した図である。図28は、製造された本発明の第五実施形態にかかるワイヤーハーネス9eの所定の部分が、第二の下側保持具11bに載置された状態で第二の下型13bおよび第二の上型14bから取り外された状態を示した図である。
なお、本発明の第五実施形態にかかるワイヤーハーネス9eの製造方法と、本発明の第六実施形態にかかるワイヤーハーネス9fの製造方法とで共通する構成は、図24〜図28を参照してまとめて説明する。また、本発明の第三実施形態にかかるワイヤーハーネス9cおよび本発明の第四実施形態にかかるワイヤーハーネス9dの製造方法と共通する工程は、説明を省略することがある。
本発明の第五実施形態にかかるワイヤーハーネス9eの製造方法および本発明の第六実施形態にかかるワイヤーハーネス9fの製造方法において用いられる第三の素材804は、保護層の素材803と別部材である構成であってもよく、保護層の素材803があらかじめ一面に設けられている構成のものであってもよい。
第三の素材804と保護層の素材803とが別部材である場合には、まず、図24に示すように、保護層の素材803が、第一の下側保持具11bの所定の箇所に載置される。「所定の箇所」と、保護層の素材803の寸法および形状は、本発明の第三実施形態にかかるワイヤーハーネス9cの製造方法および本発明の第四実施形態にかかるワイヤーハーネス9dの製造方法と同じである。そして、第三の素材804が、電線91の所定の箇所を挟むように(または包むように)曲げられ(たとえば、略「U」字形状または略「C」字形状に曲げられ)、その状態で、第二の下側保持具11bの両側壁部113bの間に収容される。さらに、第三の素材804の上側の「所定の箇所」に、保護層の素材803が載置され、その上側に、第二の上側保持具12bが載置される。
なお、被覆部材92eの所定の箇所の全周にわたって保護層923eを形成する場合には、既に収容した保護層の素材803により、第三の素材804の所定の箇所が包まれる。保護層の素材803の寸法および形状、「所定の箇所」は、本発明の第三実施形態にかかるワイヤーハーネス9cの製造方法と同様である。本発明の第六実施形態にかかるワイヤーハーネス9fの製造方法においては、既に収容した保護層の素材803により、第三の素材804の略全体が包まれる。
一方、第三の素材804にあらかじめ保護層の素材803が設けられる場合(=第三の素材804と保護層の素材803とが一体である場合)には、図25に示すように、第三の素材804が、電線91の所定の箇所を挟むように(または包むように)曲げられ、その状態で、第二の下側保持具11bの両側壁部113bの間に収容される。そして、その上側に、第二の上側保持具が載置される。第三の素材803の収容の態様は、第三の素材804と保護層の素材803とが別部材である場合と同様である。ただし、保護層の素材803が設けられない側を電線91の所定の箇所の側に向け(=内側に向け)、保護層の素材803が設けられた側を第二の下側保持具11bや第一の上側保持具12bの側に向ける(=外側に向ける)。
このほか、第三の素材804が、所定の断面形状を有する棒状の構成を有し、スリット(=切り込み)が形成される構成のものであってもよい。この場合には、第三の素材804に形成されるスリットに電線91の所定の箇所を挿入することによって、電線91の所定の箇所が、第三の素材804を構成する不織布または発泡体に包まれる。
被覆部材92e,92fに成形される前における第三の素材804の厚さ寸法は、成形された後における被覆部材92e,92fの厚さ寸法(=表面から電線91の所定の箇所までの距離)より大きい寸法が適用される。また、被覆部材92e,92fに形成される前の第三の素材804の幅寸法は、電線91の所定の箇所を隙間なく包み込むことができる寸法が適用される。そして、折り曲げられて(または丸められて)電線91の所定の箇所を挟んだ(または包んだ)状態において、電線91の所定の箇所が第三の素材804からはみ出さない(または露出しない)ようにできる寸法に設定される。
第三の素材804は、第二の下側保持具11bの両側壁部113bの内側に収容された状態において、圧縮する態様で弾性変形する。そして、第三の素材804は、第二の下側保持具11bの加圧部114bと側壁部113bにより、電線91の所定の箇所を挟み込んだ状態または包み込んだ状態に維持される。
次いで、図26に示すように、保護層の素材803と、第三の素材804と、電線91の所定の箇所と、第二の上側保持具12bとが収容された第二の下側保持具11bが、第二の下型13bの上側に載置される。すなわち、第二の下側保持具11bの下側の一部が、第二の下型13bの上側に形成される「溝」(=支持部133bが溝の側面に相当し、加圧部134bが溝の底面に相当する)に嵌め込まれる。このため、第二の下型13bに上側に載置された第二の下側保持具11bは、容易に位置ずれしたり、容易に倒れたり、容易に第二の下型13bから外れたりすることが防止される。
この状態では、第二の下側保持具11bの加圧部114bの下側の面が、第二の下型13bの加圧部134bに接触する。一方、第二の下側保持具11bの側壁部113bの外側の面の全部または下側の一部が、第二の下型13bの支持部133bに接触および/または接近する。
なお、第二の下型13bの加圧部134bおよび第二の上型14bの加圧部143bは、温度調節手段により「所定の温度」に維持されている。
次いで、図27に示すように、第二の下型13bと第二の上型14bとを接近させる。第二の下型13bと第二の上型14bの駆動には、図略のプレス機が用いられる。そして、第二の下側保持具11bの加圧部114bと第二の上側保持具12bの加圧部123bとの間の距離を、所定の距離にする。すなわち、第二の下型13bと第二の上型14bとを接近させ、第二の下側保持具11bの加圧部114bと第二の上側保持具12bの加圧部123bとに囲繞される空間の形状および寸法を、成形後の被覆部材92e,92fの形状および寸法にする。そうすると、第三の素材804が加圧されるとともに加熱される。そして、「所定の時間」にわたり、この状態を維持する(すなわち、加熱および加圧を継続する)。
第三の素材804に第一の不織布が適用される場合には、「所定の時間」は、第三の素材804のうちの表層部(=第二の下側保持具11bまたは第二の上側保持具12bに接触している部分およびその近傍)は「所定の温度」に達するが、第三の素材804の中心部(=電線91の所定の箇所およびその近傍の部分)は、「所定の温度」に達しない時間である。第三の素材804に第二の不織布または発泡体(=熱可塑性の材料からなりバインダ材を有さない不織布または発泡体)が適用される場合には、「所定の時間」は、第三の素材804のうちの表層部は熱可塑性の材料の融点に達するが、第三の素材804の中心部は融点に達しない時間である。
第三の素材804が、「所定の温度」で「所定の時間」にわたって加熱されながら加圧されると、次のようなプロセスにより、被覆部材923e,923fが成形される。
第三の素材804は、第二の下側保持具11bの加圧部114bと第二の上側保持具12bの加圧部123bとにより加圧され、第二の下側保持具11bの加圧部114bと第二の上側保持具12bの加圧部123bとの間に形成される空隙の形状に略等しい形状に圧縮変形する。この結果、第三の素材804は、被覆部材923e,923fの寸法および形状となる。
そして、第三の素材804は、第二の下側保持具および第二の上側保持具を通じて、第二の下型および第二の上型の温度調節手段の発する熱により加熱される。このため、第三の素材804は、熱可塑性により塑性変形する。ただし、中心部(=電線91の所定の箇所に接触している部分およびその近傍)は、熱可塑性による塑性変形をしていないことがある。
第三の素材804が加熱されながら加圧されると、本発明の第五実施形態にかかるワイヤーハーネスの製造方法9eおよび本発明の第六実施形態にかかるワイヤーハーネス9fの製造方法と同様のプロセスにより、第三の素材804の表層部の密度が、中心部に比較して高くなる。
さらに、第三の素材804と保護層の素材803とが別部材である場合には、この過程において、保護層の素材803が、第三の素材804の表面に貼り付く。さらに、保護層の素材804が所定の形状に成形されて保護層923e,923fとなる。保護層の素材803が第三の素材804に貼り付くプロセスおよび保護層の素材803が所定の形状に成形されるプロセスも、本発明の第三実施形態にかかるワイヤーハーネス9cの製造方法および本発明の第四実施形態にかかるワイヤーハーネス9dの製造方法と同様である。これにより、被覆部材92e,92fの表面に、保護層923e,923fが設けられる。
そして、第三の素材804が略平板状の部材であり、略「U」字形状または略「C」字形状に曲げられることによって電線91の所定の箇所を包んでいる場合には、第三の素材804の幅方向の両端部どうしが溶着する。一方、第三の素材804がスリットを有する棒状の部材である場合には、スリットの内面どうしが溶着する。このため、第三の素材804は、電線91の所定の箇所を内部に包み込んだ筒状の構成になる。
具体的には、第三の素材804に第一の不織布が適用される場合には、第三の素材804のうち、第二の下側保持具11bまたは第二の上側保持具12bに接触している部分およびその近傍(すなわち、表層部)において、第一の不織布の基本繊維およびバインダ繊維のバインダ材が溶融する。溶融したバインダ材は、基本繊維やバインダ繊維の芯繊維の間に染み渡るとともに、幅方向の両端部の接触している面どうしの間、またはスリットの内面どうしの間にも広がる。このため、溶融したバインダ材により、第三の素材804の表層部において、幅方向の両端部の接触している面どうし、またはスリットの内面どうしが接合する。
一方、第三の素材804に、熱可塑性の樹脂材料からなる第二の不織布または発泡体が適用される場合には、第三の素材804のうち、第二の下側保持具11bまたは第二の上側保持具12bに接触している部分およびその近傍(=第三の素材の表層部)において、熱可塑性の材料が溶融する。このため、第三の素材804の表層部において、幅方向の両端部の接触している面どうし、またはスリットの内面どうしが接合(=溶着)する。
このように、第三の素材804が、第一の不織布、第二の不織布、発泡体のいずれからなる場合であっても、第三の素材804の幅方向の両端部どうし、またはスリットの内面どうしが接合する。このため、第三の素材804は、電線91の所定の箇所を包み込んだ筒状の構成(外周面から電線91の所定の箇所に達する開口部などがない構成)を有するようになる。
次いで、図28に示すように、所定の時間経過後、第二の下型13bと第二の上型14bとが分離される。そして、本発明の第五実施形態にかかるワイヤーハーネス9eおよび本発明の第六実施形態にかかるワイヤーハーネス9fのそれぞれの所定の箇所(すなわち、成形された被覆部材92e,92fおよび電線91の所定の箇所)が、第二の下側保持具11bと第二の上側保持具12bとに挟まれた状態で、第二の下型13bから取り外される。そして、本発明の第五実施形態にかかるワイヤーハーネス9eの所定の箇所および本発明の第六実施形態にかかるワイヤーハーネス9fの所定の箇所が、第二の下側保持具12dに載置された状態で冷却される。冷却方法は、本発明の第三実施形態にかかるワイヤーハーネス9cの製造方法および本発明の第四実施形態にかかるワイヤーハーネス9dの製造方法と同様である。
以上の工程を経て、本発明の第五実施形態にかかるワイヤーハーネス9eの所定の箇所および本発明の第六実施形態にかかるワイヤーハーネス9fの所定の箇所が製造される(=それぞれの被覆材92e,92fが成形される)。成形された被覆材92e,92fの構成は、本発明の第三実施形態にかかるワイヤーハーネス9cおよび本発明の第四実施形態にかかるワイヤーハーネス9dのそれぞれの被覆材92c,92dの本体部921c,921dとほぼ同様である。
そして、本発明の第五実施形態にかかるワイヤーハーネス9eの被覆部材92eに設けられる保護層923eは、本発明の第三実施形態にかかるワイヤーハーネス9cの被覆部材92cに設けられる保護層923cと同様の構成を有し、同様の作用効果を奏する。本発明の第六実施形態にかかるワイヤーハーネス9fの被覆部材92fに設けられる保護層923fは、本発明の第四実施形態にかかるワイヤーハーネス9dの被覆部材92dに設けられる保護層923dと同様の構成を有し、同様の作用効果を奏する。
本発明の第五実施形態にかかるワイヤーハーネス9eの製造方法は、本発明の第三実施形態にかかるワイヤーハーネス9cの製造方法と同様の作用効果を奏する。本発明の第六実施形態にかかるワイヤーハーネス9fの製造方法は、本発明の第四実施形態にかかるワイヤーハーネス9dの製造方法と同様の作用効果を奏する。
以上、本発明の各種実施形態について詳細に説明したが、本発明は、前記各種実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の改変が可能である。
前記本発明の各実施形態にかかるワイヤーハーネスは、断面が略円形または略六角形の被覆部材が設けられる構成を有するが、被覆部材の断面形状および寸法は、限定されるものではない。一般的に、ワイヤーハーネスの断面形状は、ワイヤーハーネスの仕様などに応じて設定される。
たとえば被覆部材の本体部の断面形状または被覆部材の全体の断面形状は、略四辺形などであってもよい。また、上下、左右に非対称な形状であってもよい。断面形状が略四辺形の場合には、下側保持具には、上側に断面略四辺形の溝状の凹部が形成され、この溝状の凹部の両側に加圧部が形成される構成が適用される。そして上型の下側には(上側保持具が用いられる場合には上側保持具の下側には)、断面四辺形の溝状の凹部が形成され、この溝状の凹部の両側に加圧部が形成される構成のものが適用される。このように、下側保持具の上側に形成される溝状の凹部と、上型の下側(上側保持具が用いられる場合には上側保持具の下側)に形成される溝状の凹部の断面形状を所定の形状に形成することにより、ワイヤーハーネスの所定の部分の被覆部材の各種断面形状を、種々の形状に成形することができる。
また、本発明の各実施形態にかかるワイヤーハーネスの製造方法においては、第一の上側保持具または第二の上側保持具を用いる構成を示したが、第一の上側保持具または第二の上側保持具を用いない構成であってもよい。この場合には、第一の上型または第二の上型により直接的に第一の素材または第二の素材または第三の素材を加圧するとともに加熱する。このため、第一の上型の下側の面の寸法および形状は、第一の上側保持具の下側の面の寸法および形状と同じに設定される。一方、第二の上型の下側の面の寸法および形状は、第二の上側保持具の下側の面の寸法および形状と同じに設定される。

Claims (17)

  1. 電線の所定の箇所に熱可塑性の材料からなる被覆部材が設けられたワイヤーハーネスであって、前記被覆部材の表面には、液体を透過しない保護層が設けられることを特徴とするワイヤーハーネス。
  2. 前記保護層は、前記被覆部材よりも耐摩耗性が高い熱可塑性の材料からなることを特徴とする請求項1に記載のワイヤーハーネス。
  3. 前記被覆部材は、中心部に比較して表層部が硬いことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のワイヤーハーネス。
  4. 前記被覆部材は、熱可塑性の材料からなる不織布または発泡体からなることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のワイヤーハーネス。
  5. 前記不織布は、基本繊維と、芯繊維および前記芯繊維の表面に設けられるバインダ材の層を有するバインダ繊維と、を有することを特徴とする請求項4に記載のワイヤーハーネス。
  6. 前記保護層は、前記バインダ材により前記被覆部材の表面に接合していることを特徴とする請求項5に記載のワイヤーハーネス。
  7. 前記保護層は、前記被覆部材の表面に溶着していることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のワイヤーハーネス。
  8. 電線の所定の箇所に熱可塑性の材料からなる被覆部材が設けられたワイヤーハーネスであって、前記被覆部材の表面の一部または全部には、前記被覆部材よりも耐摩耗性が高い熱可塑性材料からなる保護層が設けられることを特徴とするワイヤーハーネス。
  9. 前記被覆部材は、中心部に比較して表層部が硬いことを特徴とする請求項8に記載のワイヤーハーネス。
  10. 前記被覆部材は、熱可塑性の材料からなる不織布または発泡体からなることを特徴とする請求項8または請求項9に記載のワイヤーハーネス。
  11. 前記不織布は、基本繊維と、芯繊維および前記芯繊維の表面に設けられるバインダ材の層を有するバインダ繊維と、を有することを特徴とする請求項10に記載のワイヤーハーネス。
  12. 前記保護層は、前記バインダ材により前記被覆部材の表面に接合していることを特徴とする請求項11に記載のワイヤーハーネス。
  13. 前記保護層は、前記被覆部材の表面に溶着していることを特徴とする請求項8から請求項10のいずれか1項に記載のワイヤーハーネス。
  14. 表面に液体を透過しない保護層が設けられるとともに熱可塑性の材料により成形される被覆部材が電線の所定の箇所に設けられるワイヤーハーネスの製造方法であって、
    前記電線の所定の箇所を前記熱可塑性の材料により挟むかまたは包むとともに、前記熱可塑性の材料の表面に前記保護層の材料を配設し、
    前記熱可塑性の材料および前記保護層の材料を加熱しながら加圧することによって前記熱可塑性の材料を所定の形状および寸法に成形するとともに、前記熱可塑性の材料の表層部の少なくとも一部を溶融することによって前記保護層の材料を前記熱可塑性の材料の表面に接合する工程を含むことを特徴とするワイヤーハーネスの製造方法。
  15. 前記電線の所定の箇所と前記熱可塑性の材料と前記保護層の材料とを保持具に収容し、
    温度調節手段を備える一組の成形型により前記熱可塑性の材料を前記保持具を介して加熱および加圧し、
    その後前記熱可塑性の材料で覆われた前記電線の所定の箇所を前記保持具に収容された状態で前記一組の成形型から取り外して冷却することを特徴とする請求項14に記載のワイヤーハーネスの製造方法。
  16. 表面の一部または全部に保護層が設けられるとともに熱可塑性の材料により成形される被覆部材が電線の所定の箇所に設けられるワイヤーハーネスの製造方法であって、
    前記電線の所定の箇所を前記熱可塑性の材料により挟むかまたは包むとともに、前記熱可塑性の材料の表面の一部または全部に前記保護層の材料を配設し、
    前記熱可塑性の材料および前記保護層の材料を加熱しながら加圧することによって前記熱可塑性の材料を所定の形状および寸法に成形するとともに、前記熱可塑性の材料の表層部の少なくとも一部を溶融することによって前記保護層の材料を前記熱可塑性の材料の表面に接合する工程を含むことを特徴とするワイヤーハーネスの製造方法。
  17. 前記電線の所定の箇所と前記熱可塑性の材料と前記保護層の材料とを保持具に収容し、
    温度調節手段を備える一組の成形型により前記熱可塑性の材料を前記保持具を介して加熱および加圧し、
    その後前記熱可塑性の材料で覆われた前記電線の所定の箇所を前記保持具に収容された状態で前記一組の成形型から取り外して冷却することを特徴とする請求項16に記載のワイヤーハーネスの製造方法。
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