JPWO2011129152A1 - 旋回流形成体及び非接触搬送装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】非接触搬送装置の製造コストを低減し、被搬送物の浮上高さの精度の低下を防止することのできる旋回流形成体及び非接触搬送装置を提供する。【解決手段】表面側に開口する平面視円形の穴部1bを有する椀状の本体1aと、本体の穴部を形成する内表面に開口する流体噴出口1kと、本体の外表面に開口し、流体噴出口と連通する流体取入口1lとを備え、流体噴出口から流体を噴出することにより、本体の表面側に表面から離れる方向へ向かう上昇旋回流を生じさせる旋回流形成体1等。この旋回流形成体1と、平面視反対方向の旋回流を生じさせる旋回流形成体4を基体2の搬送面2aに2個以上配置して非接触搬送装置を構成することができ、旋回流形成体を基体の搬送面に形成した凹部(収容部2b)に収容することができる。【選択図】図1

Description

本発明は、旋回流形成体及びこの旋回流形成体を用いた非接触搬送装置に関し、特に大型の液晶ディスプレイ(LCD)やプラズマディスプレイ(PDP)等のFPD(フラットパネルディスプレイ)や太陽電池パネル(ソーラーパネル)等の生産に用いられるレール状の非接触搬送装置、及びこの非接触搬送装置を構成する旋回流形成体に関する。
従来、FPDや太陽電池パネル等の生産に際し、1枚のパネルを大型化することで生産効率を上げる方法が採用されている。例えば、液晶ガラスの場合には、第10世代で2850×3050×0.7mmの大きさとなる。そのため、従来のように、複数個並べられたローラの上に液晶ガラスを載せて転がり搬送すると、ローラを支持するシャフトの撓みやローラ高さのばらつきにより液晶ガラスに局部的に強い力が働き、液晶ガラスを傷つける虞がある。
上記ローラによる転がり搬送装置は、該装置とパネルとが非接触であることが要求される、例えばFPDのプロセス工程では採用することができず、近年においては、空気浮上の搬送装置が採用され始めている。非接触搬送装置として、板状のレールの一部に多孔質材料を用い、給気経路と連通させて給気することで、噴出空気によりFPDを浮上搬送する装置が存在する。しかし、この装置を用いると、FPDが上下方向に動きながら浮遊するような状態となるため、搬送工程に用いることは可能であるが、例えば30〜50μmの高精度の浮上高さが要求されるプロセス工程には採用することができない。
また、上記多孔質材料を用いた板状のレールに真空引き用の孔を設けると、装置の構成が複雑になり、装置自体が高額になるとともに、浮上高さを高精度に維持するために給気圧を高くすると、高剛性空気の圧縮性に係わる自励振動が発生し、浮上高さを高精度に保つことができないという問題があった。
さらに、多孔質材料の代わりにオリフィス(小径の孔)を真空引き用の孔と交互に穿設した装置も存在するが、オリフィスからの強い噴出空気で静電気が発生したり、クリーンルームの環境を乱したり、消費流量が大きくなって運転コストが高騰するという問題があった。
そこで、特許文献1には、流体流量及びエネルギー消費量が少なく、浮上高さを高精度に維持できる非接触搬送装置として、流体噴出口から流体を噴出させることにより、リング状部材の表面側から離れる方向へ向かう旋回流を生じさせるとともに、リング状部材の表面側の開口部近傍に裏面方向への流体流れを生じさせる旋回流形成体を、基体の搬送面に2個以上備える非接触搬送装置が提案されている。
国際公開第2009/119377号パンフレット
上記特許文献1に記載の非接触搬送装置では、基体の搬送面に形成した凹部に旋回流形成体を収容し、この旋回流形成体の外周面を凹部の周囲に突設した盛上部によってかしめ接合するため、基体への旋回流形成体の装着に長時間を要して非接触搬送装置の製造コストの上昇に繋がるとともに、旋回流形成体を基体にかしめ接合する際に、旋回流形成体の取付角度にばらつきを生じたり、旋回流形成体や基体(レール)に反りが発生したりして被搬送物の浮上高さの精度が低下する虞があるという問題があった。
そこで、本発明は、上記従来技術における問題点に鑑みてなされたものであって、非接触搬送装置の製造コストを低減し、被搬送物の浮上高さの精度の低下を防止することのできる旋回流形成体、及びこの旋回流形成体を用いた非接触搬送装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、旋回流形成体であって、表面側に開口する平面視円形の穴部を有する椀状の本体と、該本体の前記穴部を形成する内表面に開口する流体噴出口と、前記本体の外表面に開口し、前記流体噴出口と連通する流体取入口とを備え、前記流体噴出口から流体を噴出することにより、前記本体の表面側に該表面から離れる方向へ向かう上昇旋回流を生じさせることを特徴とする。
本発明によれば、旋回流形成体は、椀状の本体の内表面に流体噴出口を開口させ、外表面に流体噴出口と連通する流体取入口とを備えるため、この旋回流形成体を基体の凹部等に収容し、流体取入口から流体を取り入れることで、簡単に非接触搬送装置を構成することができ、非接触搬送装置の製造コストを低く抑えることができる。また、この旋回流形成体を基体に装着するにあたり、該旋回流形成体の本体の外表面を基体の収容部の内表面に圧入することで、該本体の外表面と基体の収容部の内表面との間に流体の漏れを生じさせることなく該旋回流形成体を前記基体に装着することができる。
また、上記旋回流形成体において、前記本体は、底面に突出部を備えるとともに、前記穴部の開口部の外周縁に一体に形成された環状鍔部を備え、該環状鍔部の外周面から前記底面側に向かって突出し、先端に係止突起を有する複数個の突出部を備えることができる。この構成により、旋回流形成体を基体にワンタッチで装着することができ、製造コストをさらに低減することができる。また、旋回流形成体を基体に装着するに際し、従来のようなかしめ接合を用いないため、旋回流形成体の取付角度にばらつきを生じたり、旋回流形成体及び基体に反りが生じたりしないため、被搬送物の浮上高さの精度を高く維持することができる。
上記旋回流形成体において、前記流体噴出口を、前記穴部の円筒状内壁面に該円筒状内壁面の接線方向であって該穴部の中心を挟んで対角線上の相対向する位置に形成された凹部に、夫々前記穴部の円筒状内壁面側に前記開口部を夫々反対方向に向けて形成することができる。このように、該凹部に夫々反対方向に開口する流体噴出口を形成することにより、該流体噴出口から噴出した流体は円筒状内壁面に当接し、該穴部に右回り方向あるいは左回り方向の上昇旋回流を発生させることができる。
また、旋回流形成体は、ポリアセタール樹脂等の熱可塑性合成樹脂で一体成形することができ、旋回流形成体の製造コストをさらに低減することができる。
さらに、本発明は、基体と、該基体の搬送面に装着された互いに平面視反対方向の上昇旋回流を発生させる2個以上の旋回流形成体とからなる非接触搬送装置であって、該基体は、搬送面に開口する平面視円形の複数個の収容部と、該収容部の底面と、該収容部の円筒状内壁面に該収容部の開口部の直径よりも大径の帯状の円筒係止凹部とを備え、前記旋回流形成体の前記本体の底面に形成された突出部が前記基体の収容部の底面に当接して該本体が撓むことにより、前記複数個の係止突起の夫々が前記基体の円筒係止凹部に収容され、該本体が元の形状に戻ることにより前記複数個の係止突起の夫々が該円筒係止凹部に係止されるとともに、該本体の環状鍔部の外周面が前記基体の収容部の円筒状内壁面に圧入嵌合されることにより該旋回流形成体が前記基体の収容部に装着されることを特徴とする。この発明によれば、構造が簡単で、製造コストを低減した非接触搬送装置を提供することができる。
また、上記非接触搬送装置において、一方向の上昇旋回流を発生させる前記旋回流形成体と流体吸い込み用の孔とを前記基体の幅方向に沿って交互に配置した列と、他方向の上昇旋回流を発生させる前記旋回流形成体と流体吸い込み用の孔とを前記基体の幅方向に沿って交互に配置した列とを、該基体の長手方向に沿って交互に配置するとともに、該基体の幅方向及び長手方向に位置する同方向に上昇旋回流を発生させる前記旋回流形成体の間に、前記流体吸い込み用の孔が位置するように配列することができる。この構成により、旋回流形成体から流れ広がる面が複数の旋回流形成体で面一となり、被搬送物を浮上させる基準面が基体の搬送面となるため、被搬送物の浮上高さを高精度に制御することができるとともに、流体吸い込み用の孔で周囲の微量の流体を真空吸着することで、被搬送物の浮上高さを高精度に制御することができ、プロセス工程等に好適に適用することができる。
以上のように、本発明によれば、非接触搬送装置の製造コストを低減し、被搬送物の浮上高さの精度の低下を防止することのできる旋回流形成体、及びこの旋回流形成体を用いた非接触搬送装置を提供することができる。
本発明にかかる平面視右回り方向(時計回り方向)の旋回流を発生させる旋回流形成体の一実施の形態を示す図であり、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は底面図、(d)は(b)のA−A線断面図、(e)は(c)のB部の拡大断面図、(f)は(d)のC部の拡大断面図である。 本発明にかかる平面視左回り方向(反時計回り方向)の旋回流を発生させる旋回流形成体の一実施の形態を示す図であり、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は底面図、(d)は(c)のD−D線断面図、(e)は(c)のE部の拡大断面図、(f)は(d)のF部の拡大断面図である。 旋回流形成体を装着する基体の一実施の形態を示す図であって、(a)は平面図、(b)は(a)のG−G線断面図である。 旋回流形成体を装着する基体の他の実施の形態を示す図であって、(a)は平面図、(b)は(a)のH−H線断面図である。 図1に示す旋回流形成体を図3に示す基体に装着する要領を説明するための断面図であって、(a)は旋回流形成体全体を基体の収容部の底面に押し下げた状態、(b)は旋回流形成体が基体の収容部に装着された状態を示す。 図1に示す旋回流形成体を図3に示す基体の収容部に装着した状態を示す断面図である。 本発明にかかる非接触搬送装置の一実施の形態を示す平面図であって、(a)はプロセス工程用非接触搬送装置の一部を示す平面図、(b)は搬送工程を含めた非接触搬送装置全体を示す平面図である。 図7に示すプロセス工程用非接触搬送装置を示す図であって、(a)は平面図、(b)は(a)のI−I線断面図である。 本発明にかかる搬送工程を含めた非接触搬送装置全体の他の実施の形態を示す平面図である。
次に、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。尚、以下の説明においては、搬送用流体として空気を用い、被搬送物として液晶ガラス(以下、「ガラス」という)を搬送する場合を例にとって説明する。
図1(a)乃至図1(f)は、本発明にかかる旋回流形成体における平面視右回り方向(時計回り方向)の上昇旋回流を発生させる旋回流形成体1であり、該旋回流形成体1は、例えばポリアセタール樹脂等の熱可塑性合成樹脂で一体成形された椀状の本体1aと、本体1aの内部に位置するとともに一方に開口する平面視円形の穴部1bと、本体1aに形成され、該穴部1bの開口部の外周縁に一体に形成された環状鍔部1cと、該環状鍔部1cの外周面1dから下方に向かって突出し、先端に係止突起1eを有して径方向に相対向して形成された4本の突出部1fと、本体1aの底面1gの中央部において該底面1gから僅かに下方に突出する円筒状の突出部1hと、本体1aの穴部1bの円筒状内壁面1iに該円筒状内壁面1iの接線方向であって該穴部1bの中心Oを挟んで対角線上の相対向する位置に形成された凹部1j、1jと、夫々の凹部1jに形成され、穴部1bの円筒状内壁面1i側に向かって夫々反対方向に開口する空気の噴出口1k、1kと、噴出口1kに連通し、本体1aの外周面に開口する空気取入口1l、1lとを備える。
上記旋回流形成体1は、空気取入口1l、1lを介して夫々噴出口1k、1kから噴出した空気が本体1aの穴部1bの円筒状内壁面1iに当接することにより、平面視右回り方向の上昇旋回流(図1(b)中の矢印方向)を発生させる。
図2(a)乃至図2(f)は、本発明にかかる旋回流形成体における平面視左回り方向の上昇旋回流を発生させる旋回流形成体4であり、該旋回流形成体4は、前記旋回流形成体1と同様、例えばポリアセタール樹脂等の熱可塑性合成樹脂から一体成形された椀状の本体4aと、本体4aの内部に位置するとともに一方に開口する平面視円形の穴部4bと、本体4aに形成され、該穴部4bの開口部の外周縁に一体に形成された環状鍔部4cと、該環状鍔部4cの外周面4dから下方に向かって突出し、先端に係止突起4eを有して径方向に相対向して形成された4本の突出部4fと、本体4aの底面4gの中央部において該底面4gから僅かに下方に突出する円筒状の突出部4hと、本体4aの穴部4bの円筒状内壁面4iに該内壁面4iの接線方向であって該穴部4bの中心Oを挟んで対角線上の相対向する位置に形成された凹部4j、4jと、夫々の凹部4jに形成され、該穴部4bの円筒状内壁面4i側に向かって夫々反対方向に開口する空気の噴出口4k、4kと、噴出口4k、4kに連通し、本体4aの外周面に開口する空気取入口4l、4lとを備える。
上記旋回流形成体4は、空気取入口4l、4lを介して夫々噴出口4k、4kから噴出した空気が本体4aの穴部4bの円筒状内壁面4iに当接することにより、平面視左回り方向の上昇旋回流(図2(b)の矢印方向)を発生させる。
上記旋回流形成体1又は4が装着される基体2は、図3(a)、(b)に示すように、搬送面2aに穿設され、上面に開口する平面視円形の収容部2bと、該収容部2bの底面2dと、該収容部2bの円筒状内壁面2cに収容部2bの開口部の直径よりも大径に形成された帯状の円筒状係止凹部2eと、ポンプ(不図示)から基体2の長手方向に沿って形成された空気通路2fを介して供給される空気を収容部2bに供給する貫通孔2gとを備える。
基体2の収容部2bに旋回流形成体1を装着するには、基体2の収容部2bに旋回流形成体1を突出部1fの係止突起1e側から挿入し、図5(a)に示すように、旋回流形成体1の突出部1hを基体2の収容部2bの底面2dに当接させた後、旋回流形成体1を押し下げると、本体1aが撓んで係止突起1eが帯状の円筒状係止凹部2eに挿入される。その後、旋回流形成体1の下方への押圧力を解除すると、図5(b)に示すように、本体1aが元の形状に戻り、旋回流形成体1の係止突起1eが基体2の円筒状係止凹部2eに係止された状態で旋回流形成体1が基体2に強固に固着される。このとき、旋回流形成体1の本体1aの環状鍔部1cの外周面1dは基体2の収容部2bの円筒状内壁面2cと圧入嵌合されているので、当該圧入嵌合部からの空気の漏れが防止される。尚、旋回流形成体4を基体2の収容部2bに装着する場合も、前記旋回流形成体1の基体2の収容部2bへの装着方法と同様の方法で行なわれる。
図4(a)、(b)は、旋回流形成体1又は4が装着される基体2の他の実施の形態を示すもので、搬送面2aに穿設され、上面に開口する平面視円形の収容部2bと、該収容部2bの底面2dと、該収容部2bの円筒状内壁面2cに収容部2bの開口部の直径よりも大径に形成された帯状の円筒状係止凹部2eと、ポンプ(不図示)から基体2の長手方向に沿って形成され、一部が前記収容部2bに開口する空気通路2fとを備えている。この図4(a)、(b)に示す基体2においては、前記図3(a)、(b)に示す基体2における空気通路2fから空気を収容部2bに供給する貫通孔2gが不要となる。尚、この図4(a)、(b)に示す基体2への旋回流形成体1又は4の装着方法は、前記図5(a)、(b)で説明した装着方法と同様である。
次に、上記旋回流形成体1と、該旋回流形成体1を装着した基体2の動作について、図6を参照して説明する。
ポンプ(不図示)から基体2の空気通路2fに供給された空気は、該空気通路2fに連通する貫通孔2gを介して収容部2bに供給され、収容部2bから旋回流形成体1の空気取入口1l、1l(図1(e)参照)を介して夫々噴出口1k、1kから穴部1bに噴出する。噴出した空気は、穴部1bの円筒状内壁面1iに当接し、旋回流形成体1の穴部1bの上方に平面視右回り方向(時計回り方向)の上昇旋回流を発生させ、この上昇旋回流にて被搬送物であるガラス3を浮上させる。
次に、本発明にかかる非接触搬送装置の一実施の形態について、図7及び図8を参照しながら説明する。
図7に示す非接触搬送装置10は、ガラス3を非接触で搬送するために使用され、2つの搬送工程11及び13と、これら搬送工程11及び13に挟まれたプロセス工程12を備える。
2つの搬送工程11及び13では、旋回流形成体1及びこの旋回流形成体1とは逆向きの旋回流を生じさせる旋回流形成体4を、基体2の搬送面2aに2列にわたって、図7の紙面上で上下左右に交互に複数個装着して構成した非接触搬送装置21を、並列に3基配置している。尚、図を見易くするため、旋回流形成体4を黒塗りで示している。
一方、プロセス工程12における非接触搬送装置32は、図7(a)に示すように、平面視右回り方向の上昇旋回流を発生させる旋回流形成体1と微量の空気を吸い込む流体吸い込み用の小径孔31とを基体2の幅方向に沿って交互に配置した列と、平面視左回り方向の上昇旋回流を発生させる旋回流形成体4と微量の空気を吸い込む流体吸い込み用の小径孔31とを基体2の幅方向に沿って交互に配置した列とが該基体2の長手方向に沿って交互に配置されるとともに該基体2の幅方向及び長手方向に隣接する旋回流形成体1、1との間及び隣接する旋回流形成体4、4との間に直径1〜2mm程度の小径孔31が位置するように配列された基体2を備えている。この非接触搬送装置32は、図7(b)に示すように、並列に3列配置して構成される。
次に、上記プロセス工程12における非接触搬送装置32の詳細構造について、図8を参照しながら説明する。
基体2の搬送面2aに装着された旋回流形成体1及び4へは、基体2の内部において基体2の長手方向に沿って穿設された空気通路2f及びポンプ(不図示)を介して空気が供給され、図1(e)に示す旋回流形成体1の噴出口1k、1k及び図2(e)に示す旋回流形成体4の噴出口4k、4kから穴部1b及び4bに噴出する。これら噴出口1k、1k及び4k、4kから噴出した空気は、該穴部1b及び4bの円筒状内壁面1i及び4iに当接することにより、該旋回流形成体1は穴部1bの上方に平面視右回り方向の上昇旋回流を発生し、また旋回流形成体4は穴部4bの上方に平面視左回り方向の上昇旋回流を発生させる。ここで、図8(b)に示すように、各空気通路2fは、互いに連通孔(不図示)によって連通しているため、噴出口1k、1k及び4k、4kからの空気の噴出量を均一に維持することができ、ガラス3の浮上高さを均一に制御することができる。
また、基体2の搬送面2aに開口して該基体2の幅方向及び長手方向に隣接する旋回流形成体1と1との間、及び隣接する旋回流形成体4と4との間に位置するように配列された直径1〜2mm程度の小径孔31は、図8(b)に示すように、基体2の長手方向に沿って穿設された空気通路41に連通しているとともに該空気通路41は連通孔(不図示)によって連通している。従って、小径孔31は、旋回流形成体1及び4の周辺の空気を真空ポンプ(不図示)で吸引することにより、小径孔31からの空気の吸引量を均一に維持することができ、ガラス3の浮上高さを均一に、かつ高精度に制御することができる。
このようにプロセス工程における非接触搬送装置32においては、旋回流形成体1及び旋回流形成体4の噴出口1k、1k及び4k、4kへの給気圧により浮上量を大きくする作用と、小径孔31からの真空吸着圧により浮上量を小さくする作用の両作用を制御することにより、30〜50μmの被搬送物の浮上高さを高精度に制御することができる。
次に、上記構成を有する非接触搬送装置10の動作について、図7を参照して説明する。
搬送工程11における非接触搬送装置21において浮上した状態で、別途設けた空気噴出装置(不図示)等によって搬送されたガラス3は、プロセス工程12における非接触搬送装置32に入ると、旋回流形成体1及び4に発生する上昇旋回流によって浮上するとともに、各旋回流形成体間に位置せしめられた小径孔31で周囲の微量の空気を真空吸着することで、ガラス3が30〜50μmの浮上高さに高精度に制御され、各種検査や加工が行なわれる。その後、ガラス3は、搬送工程13における非接触搬送装置21において浮上した状態で、別途設けた空気噴出装置等によって次工程へと搬送される。ここで、0.7mmの厚さのガラス3を図7(b)に示したプロセス工程12において、旋回流形成体1、4の穴部1b、4bの直径φ16mm、噴出口1k、4kの径0.35mm、給気圧50kPa、真空吸着圧10kPaの条件での搬送状態では、ガラス3のうねりの振幅を30μm以下に抑えることができるのに対し、前後の搬送工程11及び13では、ガラス3のうねりの振幅は100μmを超えるものであったという実験結果を得ている。
図9は、図7(b)に示した非接触搬送装置10のプロセス工程12の他の実施の形態を示すもので、このプロセス工程12では、並列に3基配列した非接触搬送装置32に該非接触搬送装置32と隣接してさらに3基の非接触搬送装置32を配列したものである。この非接触搬送装置32を2列配列したプロセス工程12においては、非接触搬送装置32と32との間で、例えばカメラ透過チェック等の作業が行なわれる。
尚、上記実施の形態においては、図1及び図2に示すように、旋回流形成体1及び4の穴部1bに凹部1j及び4jを設け、凹部1j及び4jに噴出口1k及び4kを形成したが、必ずしも凹部1j及び4jを設ける必要はなく、穴部1bの円筒状内壁面1i及び4iに直接噴出口1k及び4kを形成することもできる。
また、旋回流形成体1及び4の本体1a及び4aの環状鍔部1c及び4cの外周面1d及び4dに係止突起1e及び4eを有する突出部1f及び4fを径方向に相対向して4本延設したが、突出部1f及び4fの本数は4本に限定されず、3本又は5本以上とすることができる。さらに、旋回流形成体1及び4を基体2に装着するにあたって、係止突起1e及び4eを有する突出部1f及び4fを用いずに、他の係止構造を採用することもできる。
さらに、上記各実施形態においては、流体として空気を用いる場合について説明したが、空気以外の窒素等のプロセスガスを使用することもできる。
1、4 旋回流形成体
1a、4a 本体
1b、4b 穴部
1c、4c 環状鍔部
1d、4d 環状鍔部の外周面
1e、4e 係止突起
1f、4f 突出部
1g、4g 底面
1h、4h 突出部
1i、4i 円筒状内壁面
1j、4j 凹部
1k、4k 噴出口
1l、4l 空気取入口
2 基体
2a 搬送面
2b 収容部
2c 円筒状内壁面
2d 底面
2e 円筒係止凹部
2f 空気通路
2g 貫通孔
3 ガラス
10 非接触搬送装置
11、13 搬送工程
12 プロセス工程
21 非接触搬送装置
31 小径孔
32 非接触搬送装置
41 空気通路

Claims (6)

  1. 表面側に開口する平面視円形の穴部を有する椀状の本体と、
    該本体の前記穴部を形成する内表面に開口する流体噴出口と、
    前記本体の外表面に開口し、前記流体噴出口と連通する流体取入口とを備え、
    前記流体噴出口から流体を噴出することにより、前記本体の表面側に該表面から離れる方向へ向かう上昇旋回流を生じさせることを特徴とする旋回流形成体。
  2. 前記本体は、底面に突出部を備えるとともに、前記穴部の開口部の外周縁に一体に形成された環状鍔部を備え、該環状鍔部の外周面から前記底面側に向かって突出し、先端に係止突起を有する複数個の突出部を備えることを特徴とする請求項1に記載の旋回流形成体。
  3. 前記流体噴出口は、前記穴部の円筒状内壁面に該円筒状内壁面の接線方向であって該穴部の中心を挟んで対角線上の相対向する位置に形成された凹部に、夫々前記穴部の円筒状内壁面側に前記開口部を夫々反対方向に向けて形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の旋回流形成体。
  4. 該旋回流形成体は、熱可塑性合成樹脂で一体成形されることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の旋回流形成体。
  5. 基体と、該基体の搬送面に装着された互いに平面視反対方向の上昇旋回流を発生させる2個以上の旋回流形成体とからなる非接触搬送装置であって、該基体は、搬送面に開口する平面視円形の複数個の収容部と、該収容部の底面と、該収容部の円筒状内壁面に該収容部の開口部の直径よりも大径の帯状の円筒係止凹部とを備え、前記旋回流形成体は、請求項2乃至4のいずれかに記載の旋回流形成体であって、前記本体の底面に形成された突出部が前記基体の収容部の底面に当接して該本体が撓むことにより、前記複数個の係止突起の夫々が前記基体の円筒係止凹部に収容され、該本体が元の形状に戻ることにより前記複数個の係止突起の夫々が該円筒係止凹部に係止されるとともに、該本体の環状鍔部の外周面が前記基体の収容部の円筒状内壁面に圧入嵌合されることにより該旋回流形成体が前記基体の収容部に装着されることを特徴とする非接触搬送装置。
  6. 一方向の上昇旋回流を発生させる前記請求項2乃至4のいずれかに記載の旋回流形成体と流体吸い込み用の孔とを前記基体の幅方向に沿って交互に配置した列と、他方向の上昇旋回流を発生させる前記請求項2乃至4のいずれかに記載の旋回流形成体と流体吸い込み用の孔とを前記基体の幅方向に沿って交互に配置した列とが、該基体の長手方向に沿って交互に配置されるとともに、該基体の幅方向及び長手方向に位置する同方向に上昇旋回流を発生させる前記旋回流形成体の間に、前記流体吸い込み用の孔が位置するように配列されることを特徴とする請求項5に記載の非接触搬送装置。
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