JP5355056B2 - 浮上装置および流体噴出体ユニット - Google Patents
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Description
この種の搬送装置では、被浮上体の搬送方向に沿って、かつ、被浮上体の幅(搬送方向と直交する方向の幅)に合わせて、複数の流体噴出体が並べて配置されて、浮上領域が構成されるとともに、浮上した状態の被浮上体の一辺を保持しつつ移動することにより被浮上体を移動させる移動機構が、浮上領域に沿って設けられる。
ここで、浮上領域は、被浮上体の幅(搬送方向と直交する方向の幅)に合わせて、複数の流体噴出体を並べて配置して構築されるものであるところ、このような浮上領域上で被浮上体を回転させると、被浮上体の角部近辺が浮上領域から外れてしまう。これでは、角部近辺の下面に流体が当たらないことから、角部近辺の浮上高さが低くなり、これにより、被浮上体が撓んで流体噴出体と接触し、傷付いたり破損したりしてしまう。
そこで、請求項1記載の発明は、被浮上体の回転時にその角部近辺の下面に流体が当たるようにし、これにより、被浮上体が撓まないようにし、ひいては被浮上体と流体噴出体との接触防止および被浮上体の破損防止を図るようにした浮上装置の提供を目的とする。また、被浮上体の回転時にその角部近辺を浮上させるのに要する流体噴出体の数を極力少なくして、製造コストの削減を図るとともに、被浮上体の回転時にその角部近辺が通過することとなる、隣合う流体噴出体同士の間隙を極力少なくして、角部近辺の浮力の低下を極力防止するようにした浮上装置の提供を目的とする。
(請求項2)
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の目的に加え、被浮上体の回転時に浮上領域内に留まる部分と浮上領域から外れる部分との浮上量の調整を容易にし、これにより、被浮上体の撓みをより確実に防止し、ひいては被浮上体と流体噴出体との接触防止および被浮上体の破損防止をより確実に図るようにした浮上装置の提供を目的とする。
また、請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明の目的に加え、被浮上体の回転時に浮上領域から外れる部分の下面により多くの流体が当たるようにし、これにより、被浮上体の撓みをより確実に防止し、ひいては被浮上体と流体噴出体との接触防止および被浮上体の破損防止をより確実に図るようにした浮上装置の提供を目的とする。
(請求項4)
また、請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明の目的に加え、被浮上体の回転時に浮上領域内に留まる部分と浮上領域から外れる部分との浮上量の調整を容易にし、これにより、被浮上体の撓みをより確実に防止し、ひいては被浮上体と流体噴出体との接触防止および被浮上体の破損防止をより確実に図るようにした浮上装置の提供を目的とする。
また、請求項5記載の発明は、請求項1ないし4記載の発明の目的に加え、被浮上体の回転時にその角部近辺の下面に確実に流体が当たるようにし、これにより、被浮上体の撓み防止をより確実にし、ひいては被浮上体と流体噴出体との接触防止および被浮上体の破損防止をより確実に図るようにした浮上装置の提供を目的とする。
また、請求項6記載の発明は、被浮上体の回転時にその角部近辺の下面に流体が当たるようにした浮上装置を、容易に構築可能にした流体噴出体ユニットの提供を目的とする。また、被浮上体の回転時にその角部近辺を浮上させるのに要する流体噴出体の数を極力少なくして、製造コストの削減を図るとともに、被浮上体の回転時にその角部近辺が通過することとなる、隣合う流体噴出体同士の間隙を極力少なくして、角部近辺の浮力の低下を極力防止するようにした浮上装置を、容易に構築可能とした流体噴出体ユニットの提供を目的とする。
(請求項7)
また、請求項7記載の発明は、請求項6記載の発明の目的に加え、被浮上体の回転時に浮上領域内に留まる部分と浮上領域から外れる部分との浮上量の調整が容易な浮上装置を、容易に構築可能とした流体噴出体ユニットの提供を目的とする。
(請求項8)
また、請求項8記載の発明は、請求項6または7記載の発明の目的に加え、被浮上体の回転時に浮上領域から外れる部分の下面により多くの流体が当たるようにした浮上装置を、容易に構築可能とした流体噴出体ユニットの提供を目的とする。
また、請求項9記載の発明は、請求項8記載の発明の目的に加え、被浮上体の回転時に浮上領域内に留まる部分と浮上領域から外れる部分との浮上量の調整が容易な浮上装置を、容易に構築可能とした流体噴出体ユニットの提供を目的とする。
また、請求項10記載の発明は、請求項6ないし9記載の発明の目的に加え、被浮上体の回転時にその角部近辺の下面に確実に流体が当たるようにし、これにより、被浮上体の撓み防止をより確実にし、ひいては被浮上体と流体噴出体との接触防止および被浮上体の破損防止をより確実に図るようにした浮上装置を、容易に構築可能とした流体噴出体ユニットの提供を目的とする。
請求項1記載の発明は、被浮上体の下面へ向けて流体を噴出する流体噴出体30を備え、この流体噴出体30から噴出させた流体により被浮上体を浮上させる浮上装置10に係るものであって、流体噴出体30としての複数の通常流体噴出体31(30)が所定の配列で配置されて構成される通常浮上領域40と、浮上した状態の被浮上体の下面に吸着されるものであって通常浮上領域40内の所定位置に配置される吸着体60と、回転軸72を中心に吸着体60を回転させるためのものであって吸着体60を回転させることにより浮上した状態の被浮上体を回転させるための回転機構70とを備え、回転軸72を中心とし少なくとも一部が通常浮上領域40外を通過する円である領域外通過円50を設定し、通常浮上領域40外における領域外通過円50の円周上に沿って、流体噴出体30としての円周上流体噴出体32(30)を配置し、被浮上体における、回転に伴って通常浮上領域40から外れた部分を、円周上流体噴出体32(30)から噴出させた流体により浮上させるように形成されているとともに、前記各円周上流体噴出体32(30)はいずれも、平面視ほぼ矩形とされ、その長辺が領域外通過円50の接線とほぼ平行になるように配置されていることを特徴とする。
また、「流体」としては、例えば、空気、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの気体が用いられ、また、水などの液体も用いられる。
また、「流体噴出体30」は、被浮上体の下面へ向けて流体を噴出するためのものである。この流体噴出体30から噴出させた流体により、被浮上体を浮上させる。
また、流体噴出体30は、例えば、チャンバーと、チャンバーの上面に固定された多孔質板とを備える。また、チャンバーの内部には、気密空間が設けられ、また、チャンバーの上面には、溝部が設けられるとともに、溝部の底面を貫通して気密空間と連通する貫通孔が設けられる。また、チャンバーの気密空間には、加圧流体が供給される。また、多孔質板としては、例えば、多孔質カーボン、焼結金属、多孔質セラミックス、多孔質樹脂、板状体に所定径の孔を開けたものなどが用いられる。そして、チャンバーの気密空間に加圧流体を供給すると、チャンバーの上面に設けられた貫通孔から流体が噴出する。貫通孔から噴出した流体は、チャンバーの上面に設けられた溝部を伝って、多孔質板の下面に行き渡り、多孔質板の上面から上方へ向けて噴出する。そして、多孔質板の上面から上方へ向けて噴出した流体が、被浮上体を浮上させる。
また、「通常流体噴出体31(30)」は、通常浮上領域40内に配置される流体噴出体30である。
また、通常浮上領域40は、例えば、その長さ(X軸方向の長さ)および幅(Y軸方向の長さ)が、被浮上体の長さ(X軸方向の長さ)および幅(Y軸方向の長さ)に合うように、複数の通常流体噴出体31(30)を配置して構成される。
また、「吸着体60」は、浮上した状態の被浮上体の下面に吸着されるものであって、通常浮上領域40内の所定位置に配置されるものである。
また、吸着体60は、例えば、通常浮上領域40の中心に配置することができる。
また、「回転機構70」は、回転軸72を中心に吸着体60を回転させるためのものであって、吸着体60を回転させることにより浮上した状態の被浮上体を回転させるためのものである。
また、例えば、回転軸72が通常浮上領域40の中心に位置するように、サーボモーター71(70)を設置するとともに、回転軸72に吸着体60を固定することにより、通常浮上領域40の中心に、吸着体60を配置することができる。
また、「領域外通過円50」は、回転軸72を中心とし、少なくとも一部が通常浮上領域40外を通過する円である。
また、「円周上流体噴出体32(30)」は、通常浮上領域40外における領域外通過円50の円周上に沿って配置される流体噴出体30である。
つまり、円周上流体噴出体32(30)は、通常浮上領域40外に配置されるものであり、かつ、領域外通過円50の円周上に沿って配置されるものである。
(請求項2)
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明を限定したものであって、通常流体噴出体31(30)および円周上流体噴出体32(30)は、同一平面上に配置されていることを特徴とする。
(請求項3)
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明を限定したものであって、通常浮上領域40外における通常流体噴出体31(30)と円周上流体噴出体32(30)との間に相当する位置に、流体噴出体30としての補助流体噴出体33(30)を配置し、被浮上体における、回転に伴って通常浮上領域40から外れた部分を、補助流体噴出体33(30)から噴出させた流体により浮上させるように形成されていることを特徴とする。
つまり、補助流体噴出体33(30)は、通常浮上領域40外に配置されるものであり、かつ、通常流体噴出体31(30)と円周上流体噴出体32(30)との間に相当する位置に配置されるものである。
そして、補助流体噴出体33(30)は、円周上流体噴出体32(30)と同様に、被浮上体における、回転に伴って通常浮上領域40から外れた部分の下面へ向けて、流体を噴出するものであり、これにより、被浮上体における、通常浮上領域40から外れた部分を浮上させるものである。
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明を限定したものであって、通常流体噴出体31(30)、円周上流体噴出体32(30)および補助流体噴出体33(30)は、同一平面上に配置されていることを特徴とする。
請求項5記載の発明は、請求項1ないし4記載の発明を限定したものであって、被浮上体は、平面視ほぼ矩形とされ、被浮上体が回転した際のその頂点の軌跡が、領域外通過円50として設定されることを特徴とする。
(請求項6)
請求項6記載の発明は、被浮上体の下面へ向けて流体を噴出する流体噴出体30を備え、この流体噴出体30から噴出させた流体により被浮上体を浮上させる浮上装置10に用いられる流体噴出体30ユニットに係るものであって、浮上装置10は、流体噴出体30としての複数の通常流体噴出体31(30)が所定の配列で配置されて構成される通常浮上領域40と、浮上した状態の被浮上体の下面に吸着されるものであって通常浮上領域40内の所定位置に配置される吸着体60と、回転軸72を中心に吸着体60を回転させるためのものであって吸着体60を回転させることにより浮上した状態の被浮上体を回転させるための回転機構70とを備え、回転軸72を中心とし少なくとも一部が通常浮上領域40外を通過する円である領域外通過円50を設定し、通常浮上領域40外における領域外通過円50の円周上に沿って、流体噴出体30としての円周上流体噴出体32(30)を配置し、被浮上体における、回転に伴って通常浮上領域40から外れた部分を、円周上流体噴出体32(30)から噴出させた流体により浮上させるように形成されるとともに、前記各円周上流体噴出体32(30)がいずれも、平面視ほぼ矩形とされ、その長辺が領域外通過円50の接線とほぼ平行になるように配置されているものであり、流体噴出体30ユニットは、所定の配列で配置された複数の通常流体噴出体31(30)と、通常浮上領域40外における領域外通過円50の円周上に沿って位置するように配置された円周上流体噴出体32(30)とがユニット化されたものであることを特徴とする。
請求項7記載の発明は、請求項6記載の発明を限定したものであって、通常流体噴出体31(30)および円周上流体噴出体32(30)が、同一平面上に配置されていることを特徴とする。
(請求項8)
請求項8記載の発明は、請求項6または7記載の発明を限定したものであって、浮上装置10は、通常浮上領域40外における通常流体噴出体31(30)と円周上流体噴出体32(30)との間に相当する位置に、流体噴出体30としての補助流体噴出体33(30)を配置し、被浮上体における、回転に伴って通常浮上領域40から外れた部分を、補助流体噴出体33(30)から噴出させた流体により浮上させるように形成されるものであり、流体噴出体30ユニットは、所定の配列で配置された複数の通常流体噴出体31(30)と、通常浮上領域40外における領域外通過円50の円周上に沿って位置するように配置された円周上流体噴出体32(30)と、通常浮上領域40外における通常流体噴出体31(30)と円周上流体噴出体32(30)との間に位置するように配置された補助流体噴出体33(30)とがユニット化されたものであることを特徴とする。
請求項9記載の発明は、請求項8記載の発明を限定したものであって、通常流体噴出体31(30)、円周上流体噴出体32(30)および補助流体噴出体33(30)が、同一平面上に配置されていることを特徴とする。
請求項10記載の発明は、請求項6ないし9記載の発明を限定したものであって、被浮上体が、平面視ほぼ矩形とされ、被浮上体が回転した際のその頂点の軌跡が、領域外通過円50として設定されることを特徴とする。
請求項1記載の発明によれば、通常浮上領域外における領域外通過円の円周上に沿って、流体噴出体としての円周上流体噴出体を配置したことから、被浮上体の回転時にその角部近辺の下面に流体が当たるようにすることができ、これにより、被浮上体の撓み防止が図れ、ひいては被浮上体と流体噴出体との接触防止および被浮上体の破損防止が図れる浮上装置を提供できる。また、平面視ほぼ矩形の円周上流体噴出体を、その長辺が領域外通過円の接線とほぼ平行になるように配置したことから、被浮上体の回転時にその角部近辺を浮上させるのに要する円周上流体噴出体の数を極力少なくすることができ、製造コストの削減が図れるとともに、被浮上体の回転時にその角部近辺が通過することとなる、隣合う円周上流体噴出体同士の間隙を極力少なくすることができ、角部近辺の浮力の低下防止が極力図れる浮上装置を提供できる。
(請求項2)
請求項2記載の発明によれば、通常流体噴出体と円周上流体噴出体とを同一平面上に配置したことから、被浮上体の回転時に通常浮上領域内に留まる部分と通常浮上領域から外れる部分との浮上量の調整を容易にすることができ、これにより、被浮上体の撓み防止がより確実に図れ、ひいては被浮上体と流体噴出体との接触防止および被浮上体の破損防止がより確実に図れる浮上装置を提供できる。
請求項3記載の発明によれば、通常浮上領域外における通常流体噴出体と円周上流体噴出体との間に相当する位置に、流体噴出体としての補助流体噴出体を配置したことから、被浮上体の回転時に通常浮上領域から外れる部分の下面により多くの流体が当たるようにすることができ、これにより、被浮上体の撓み防止がより確実に図れ、ひいては被浮上体と流体噴出体との接触防止および被浮上体の破損防止がより確実に図れる浮上装置を提供できる。
(請求項4)
請求項4記載の発明によれば、通常流体噴出体、円周上流体噴出体および補助流体噴出体を同一平面上に配置したことから、被浮上体の回転時に通常浮上領域内に留まる部分と通常浮上領域から外れる部分との浮上量の調整を容易にすることができ、これにより、被浮上体の撓み防止がより確実に図れ、ひいては被浮上体と流体噴出体との接触防止および被浮上体の破損防止がより確実に図れる浮上装置を提供できる。
請求項5記載の発明によれば、平面視ほぼ矩形の被浮上体が回転した際のその頂点の軌跡を、領域外通過円として設定したことから、被浮上体の回転時にその角部近辺の下面に確実に流体が当たるようにすることができ、これにより、被浮上体の撓み防止がより確実に図れ、ひいては被浮上体と流体噴出体との接触防止および被浮上体の破損防止がより確実に図れる浮上装置を提供できる。
請求項6記載の発明によれば、所定の配列で配置された複数の通常流体噴出体と、通常浮上領域外における領域外通過円の円周上に沿って位置するように配置された円周上流体噴出体とをユニット化したことから、被浮上体の回転時にその角部近辺の下面に流体が当たる浮上装置を容易に構築可能な流体噴出体ユニットを提供できる。また、平面視ほぼ矩形の円周上流体噴出体を、その長辺が領域外通過円の接線とほぼ平行になるように配置したことから、被浮上体の回転時にその角部近辺を浮上させるのに要する流体噴出体の数を極力少なくすることができ、製造コストの削減が図れるとともに、被浮上体の回転時にその角部近辺が通過することとなる、隣合う流体噴出体同士の間隙を極力少なくすることができ、角部近辺の浮力の低下防止が極力図れる浮上装置を容易に構築可能な流体噴出体ユニットを提供できる。
(請求項7)
請求項7記載の発明によれば、通常流体噴出体と円周上流体噴出体とを同一平面上に配置したことから、被浮上体の回転時に浮上領域内に留まる部分と浮上領域から外れる部分との浮上量の調整が容易な浮上装置を容易に構築可能な流体噴出体ユニットを提供できる。
請求項8記載の発明によれば、所定の配列で配置された複数の通常流体噴出体と、通常浮上領域外における領域外通過円の円周上に沿って位置するように配置された円周上流体噴出体と、通常浮上領域外における通常流体噴出体と円周上流体噴出体との間に位置するように配置された補助流体噴出体とをユニット化したことから、被浮上体の回転時に浮上領域から外れる部分の下面により多くの流体が当たる浮上装置を容易に構築可能な流体噴出体ユニットを提供できる。
(請求項9)
請求項9記載の発明によれば、通常流体噴出体と円周上流体噴出体と補助流体噴出体とを同一平面上に配置したことから、被浮上体の回転時に浮上領域内に留まる部分と浮上領域から外れる部分との浮上量の調整が容易な浮上装置を容易に構築可能な流体噴出体ユニットを提供できる。
請求項10記載の発明によれば、平面視ほぼ矩形の被浮上体が回転した際のその頂点の軌跡を、領域外通過円として設定したことから、被浮上体の回転時にその角部近辺の下面に確実に流体が当たり、これにより、被浮上体の撓み防止がより確実に図れ、ひいては被浮上体と流体噴出体との接触防止および被浮上体の破損防止がより確実に図れる浮上装置を容易に構築可能な流体噴出体ユニットを提供できる。
図1ないし図4は、本発明の実施の形態を示すものである。
図1は、浮上装置10の平面図、図2は、浮上装置10の要部側面図、図3は、回転機構70の拡大側面図、図4は、エア供給ユニット80の拡大側面図をそれぞれ示すものである。
(浮上装置10)
本実施の形態に係る浮上装置10は、ガラス基板などの被浮上体の下面へ向けて流体を噴出する流体噴出体30を備え、この流体噴出体30から噴出させた流体によって、被浮上体を浮上させるものである。
また、本実施の形態では、図1の上方が、搬送ラインの上流側とされ、また、図1の右方が、搬送ラインの下流側とされている。つまり、本実施の形態では、搬送ラインが、L字形に屈曲した形状に構築されている。そして、本実施の形態に係る浮上装置10は、L字形に屈曲した搬送ラインの屈曲点に設置されて、上流側から搬送されてきた被浮上体の向きを、搬送ラインの屈曲角度に合わせて90度回転させるものである。
以下更に、本実施の形態に係る浮上装置10が備える各構成について詳しく説明する。
(流体噴出体30)
流体噴出体30は、被浮上体の下面へ向けて流体を噴出するためのものである。この流体噴出体30から噴出させた流体により、被浮上体を浮上させる。
チャンバーの気密空間に加圧空気が供給されると、チャンバーの上面に設けられた貫通孔から空気が噴出する。また、貫通孔から噴出した空気は、チャンバーの上面に設けられた溝部を伝って、多孔質板の下面に行き渡り、多孔質板の空隙を通って、孔質板の上面から上方へ向けて噴出する。そして、多孔質板の上面から上方へ向けて噴出した空気が、被浮上体を浮上させる。
通常浮上領域40は、流体噴出体30としての複数の通常流体噴出体31(30)が所定の配列で配置されて構成されるものである。
また、通常流体噴出体31(30)は、通常浮上領域40内に配置される流体噴出体30である。
また、通常浮上領域40は、その長さ(X軸方向の長さ)および幅(Y軸方向の長さ)が、被浮上体の長さ(X軸方向の長さ)および幅(Y軸方向の長さ)に合うように、複数の通常流体噴出体31(30)を配置して構成される。
更に、本実施の形態では、26個の通常流体噴出体31(30)は、同一平面上に配置されている。
(吸着体60・回転機構70)
吸着体60は、浮上した状態の被浮上体の下面に吸着されるものであって、通常浮上領域40内の所定位置に配置されるものである。
本実施の形態では、吸着体60として、エアパッド61(60)を用いている。また、エアパッド61(60)の上面には、多数の通気孔が設けられており、また、エアパッド61(60)の被浮上体への吸着は、エアパッド61(60)の上面を被浮上体の下面に当接させ、この状態で、被浮上体とエアパッド61(60)との間の空気を、通気孔を介して吸引することによって行うようにしている。
本実施の形態では、回転機構70として、サーボモーター71(70)を用いている。また、図3に示すように、本実施の形態では、サーボモーター71(70)の回転軸72の上端に、吸着体60を固定しており、これにより、回転軸72を中心に、吸着体60を回転させ、ひいては被浮上体を回転させるようにしている。
また、図1に示すように、本実施の形態では、回転軸72が通常浮上領域40の中心に位置するように、サーボモーター71(70)を設置するとともに、回転軸72の上端に、吸着体60を固定することにより、通常浮上領域40の中心に、吸着体60を配置するようにしている。
更に、本実施の形態では、被浮上体の重心が、通常浮上領域40の中心、つまり、吸着体60の配置位置と一致したときに、被浮上体の下面に吸着体60を吸着させ、この状態で、サーボモーター71(70)を駆動させ、回転軸72を回転させて、被浮上体を回転させるようにしている。このため、吸着体60は、被浮上体の重心に吸着されるようになっており、また、被浮上体は、その重心を中心に回転するようになっている。
領域外通過円50は、回転軸72を中心とし、少なくとも一部が通常浮上領域40外を通過する円である。
図1に示すように、本実施の形態では、回転軸72を中心とし、Y軸方向の両側が通常浮上領域40外を通過する円を、領域外通過円50として設定している。この領域外通過円50は、設計上設定される円である。
また、本実施の形態では、被搬送体は、平面視ほぼ矩形とされ、被浮上体が回転軸72を中心に回転した際のその頂点の軌跡を、領域外通過円50として設定している。
つまり、円周上流体噴出体32(30)は、通常浮上領域40外に配置されるものであり、かつ、領域外通過円50の円周上に沿って配置されるものである。
そして、円周上流体噴出体32(30)は、被浮上体における、回転に伴って通常浮上領域40から外れた部分の下面へ向けて、流体を噴出するものであり、これにより、被浮上体における、通常浮上領域40から外れた部分を浮上させるものである。
また、本実施の形態では、6個の円周上流体噴出体32(30)は、26個の通常流体噴出体31(30)と同一平面上に配置されている。
また、図1に示すように、本実施の形態では、6個の各円周上流体噴出体32(30)は、平面視ほぼ矩形とされ、その長辺が領域外通過円50の接線とほぼ平行になるように配置されている。
補助流体噴出体33(30)は、通常浮上領域40外における通常流体噴出体31(30)と円周上流体噴出体32(30)との間に相当する位置に配置される流体噴出体30である。
つまり、補助流体噴出体33(30)は、通常浮上領域40外に配置されるものであり、かつ、通常流体噴出体31(30)と円周上流体噴出体32(30)との間に相当する位置に配置されるものである。
そして、補助流体噴出体33(30)は、円周上流体噴出体32(30)と同様に、被浮上体における、回転に伴って通常浮上領域40から外れた部分の下面へ向けて、流体を噴出するものであり、これにより、被浮上体における、通常浮上領域40から外れた部分を浮上させるものである。
また、本実施の形態では、2個の補助流体噴出体33(30)は、26個の通常流体噴出体31(30)および6個の円周上流体噴出体32(30)と同一平面上に配置されている。
(エア供給ユニット80)
エア供給ユニット80は、各流体噴出体30へ、流体としての加圧空気を供給するためのものである。
また、図4に示すように、本実施の形態では、エア供給ユニット80は、加圧空気を送り出すための送風機81と、送風機81から送り出された加圧空気を濾過するためのヘパフィルター82とを備えている。そして、ヘパフィルター82で濾過された加圧空気を、耐圧チューブを介して、各流体噴出体30のチャンバーの気密空間へ供給するようにしている。
(浮上装置10の動作)
本実施の形態では、まず、搬送ラインの上流側から、搬送ラインの屈曲点へ、つまり、本実施の形態に係る浮上装置10上へ、被浮上体が浮上した状態で、図示しないX軸方向の搬送機構により搬送されてくる。
そして、被浮上体を時計回りまたは反時計回りに90度回転させたら、吸着体60の被浮上体下面への吸着が解かれ、その後、図示しないY軸方向の搬送機構により搬送される。
(作用・効果)
以上説明したように、本実施の形態では、通常浮上領域40外における領域外通過円50の円周上に、流体噴出体30としての円周上流体噴出体32(30)を配置したことから、被浮上体の回転時にその角部近辺の下面に流体が当たるようにすることができ、これにより、被浮上体の撓み防止が図れ、ひいては被浮上体と流体噴出体30との接触防止および被浮上体の破損防止が図れる。
また、本実施の形態では、通常浮上領域40外における通常流体噴出体31(30)と円周上流体噴出体32(30)との間に相当する位置に、流体噴出体30としての補助流体噴出体33(30)を配置したことから、被浮上体の回転時に通常浮上領域40から外れる部分の下面により多くの流体が当たるようにすることができ、これにより、被浮上体の撓み防止がより確実に図れ、ひいては被浮上体と流体噴出体30との接触防止および被浮上体の破損防止がより確実に図れる。
また、本実施の形態では、平面視ほぼ矩形の被浮上体が回転した際のその頂点の軌跡を、領域外通過円50として設定したことから、被浮上体の回転時にその角部近辺の下面に確実に流体が当たるようにすることができ、これにより、被浮上体の撓み防止がより確実に図れ、ひいては被浮上体と流体噴出体30との接触防止および被浮上体の破損防止がより確実に図れる。
なお、上記実施の形態では、搬送ラインを、L字形に屈曲した形状とし、浮上装置10は、被浮上体の向きを、搬送ラインの屈曲角度に合わせて90度回転させるとしたが、搬送ラインの屈曲形状は、L字形に限られるものではなく、適宜設定できるものであり、また、浮上装置10も、被浮上体の向きを、搬送ラインの屈曲角度に合わせて適宜回転させることができるものである。
また、上記実施の形態では、流体として空気を用いたが、流体は空気に限られるものではなく、流体として、例えば、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの気体を用いることもでき、また、水などの液体を用いることもできる。
また、通常流体噴出体31(30)、円周上流体噴出体32(30)、補助流体噴出体33(30)の配置は、上記実施の形態で示した配置に限られるものではなく、被浮上体の形状や大きさなどに合わせて適宜設定できるものである。
また、通常流体噴出体31(30)と円周上流体噴出体32(30)とをユニット化した流体噴出体30ユニットにおいて、通常流体噴出体31(30)と円周上流体噴出体32(30)とを同一平面上に配置すると、被浮上体の回転時に浮上領域内に留まる部分と浮上領域から外れる部分との浮上量の調整が容易な浮上装置10を容易に構築可能とすることができる。
また、通常流体噴出体31(30)と円周上流体噴出体32(30)と補助流体噴出体33(30)とをユニット化した流体噴出体30ユニットにおいて、通常流体噴出体31(30)と円周上流体噴出体32(30)と補助流体噴出体33(30)とを同一平面上に配置すると、被浮上体の回転時に浮上領域内に留まる部分と浮上領域から外れる部分との浮上量の調整が容易な浮上装置10を容易に構築可能とすることができる。
また、上記各流体噴出体30ユニットにおいて、平面視ほぼ矩形の被浮上体が回転した際のその頂点の軌跡を、領域外通過円50として設定すると、被浮上体の回転時にその角部近辺の下面に確実に流体が当たり、これにより、被浮上体の撓み防止がより確実に図れ、ひいては被浮上体と流体噴出体30との接触防止および被浮上体の破損防止がより確実に図れる浮上装置10を容易に構築可能とすることができる。
30 流体噴出体 31 通常流体噴出体
32 円周上流体噴出体 33 補助流体噴出体
40 通常浮上領域 50 領域外通過円
60 吸着体 61 エアパッド
70 回転機構 71 サーボモーター
72 回転軸 80 エア供給ユニット
81 送風機 82 ヘパフィルター
Claims (10)
- 被浮上体の下面へ向けて流体を噴出する流体噴出体を備え、この流体噴出体から噴出させた流体により被浮上体を浮上させる浮上装置であって、
流体噴出体としての複数の通常流体噴出体が所定の配列で配置されて構成される通常浮上領域と、
浮上した状態の被浮上体の下面に吸着されるものであって通常浮上領域内の所定位置に配置される吸着体と、
回転軸を中心に吸着体を回転させるためのものであって吸着体を回転させることにより浮上した状態の被浮上体を回転させるための回転機構とを備え、
回転軸を中心とし少なくとも一部が通常浮上領域外を通過する円である領域外通過円を設定し、
通常浮上領域外における領域外通過円の円周上に沿って、流体噴出体としての円周上流体噴出体を配置し、被浮上体における、回転に伴って通常浮上領域から外れた部分を、円周上流体噴出体から噴出させた流体により浮上させるように形成されているとともに、
前記各円周上流体噴出体はいずれも、平面視ほぼ矩形とされ、その長辺が領域外通過円の接線とほぼ平行になるように配置されていることを特徴とする浮上装置。 - 通常流体噴出体および円周上流体噴出体は、同一平面上に配置されていることを特徴とする請求項1記載の浮上装置。
- 通常浮上領域外における通常流体噴出体と円周上流体噴出体との間に相当する位置に、流体噴出体としての補助流体噴出体を配置し、被浮上体における、回転に伴って通常浮上領域から外れた部分を、補助流体噴出体から噴出させた流体により浮上させるように形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の浮上装置。
- 通常流体噴出体、円周上流体噴出体および補助流体噴出体は、同一平面上に配置されていることを特徴とする請求項3記載の浮上装置。
- 被浮上体は、平面視ほぼ矩形とされ、被浮上体が回転した際のその頂点の軌跡が、領域外通過円として設定されることを特徴とする請求項1、2、3または4記載の浮上装置。
- 被浮上体の下面へ向けて流体を噴出する流体噴出体を備え、この流体噴出体から噴出させた流体により被浮上体を浮上させる浮上装置に用いられる流体噴出体ユニットであって、
浮上装置は、流体噴出体としての複数の通常流体噴出体が所定の配列で配置されて構成される通常浮上領域と、浮上した状態の被浮上体の下面に吸着されるものであって通常浮上領域内の所定位置に配置される吸着体と、回転軸を中心に吸着体を回転させるためのものであって吸着体を回転させることにより浮上した状態の被浮上体を回転させるための回転機構とを備え、回転軸を中心とし少なくとも一部が通常浮上領域外を通過する円である領域外通過円を設定し、通常浮上領域外における領域外通過円の円周上に沿って、流体噴出体としての円周上流体噴出体を配置し、被浮上体における、回転に伴って通常浮上領域から外れた部分を、円周上流体噴出体から噴出させた流体により浮上させるように形成されるとともに、前記各円周上流体噴出体がいずれも、平面視ほぼ矩形とされ、その長辺が領域外通過円の接線とほぼ平行になるように配置されているものであり、
流体噴出体ユニットは、所定の配列で配置された複数の通常流体噴出体と、通常浮上領域外における領域外通過円の円周上に沿って位置するように配置された円周上流体噴出体とがユニット化されたものであることを特徴とする流体噴出体ユニット。 - 通常流体噴出体および円周上流体噴出体が、同一平面上に配置されていることを特徴とする請求項6記載の流体噴出体ユニット。
- 浮上装置は、通常浮上領域外における通常流体噴出体と円周上流体噴出体との間に相当する位置に、流体噴出体としての補助流体噴出体を配置し、被浮上体における、回転に伴って通常浮上領域から外れた部分を、補助流体噴出体から噴出させた流体により浮上させるように形成されるものであり、
流体噴出体ユニットは、所定の配列で配置された複数の通常流体噴出体と、通常浮上領域外における領域外通過円の円周上に沿って位置するように配置された円周上流体噴出体と、通常浮上領域外における通常流体噴出体と円周上流体噴出体との間に位置するように配置された補助流体噴出体とがユニット化されたものであることを特徴とする請求項6または7記載の流体噴出体ユニット。 - 通常流体噴出体、円周上流体噴出体および補助流体噴出体が、同一平面上に配置されていることを特徴とする請求項8記載の流体噴出体ユニット。
- 被浮上体が、平面視ほぼ矩形とされ、被浮上体が回転した際のその頂点の軌跡が、領域外通過円として設定されることを特徴とする請求項6、7、8または9記載の流体噴出体ユニット。
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